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2018年3月26日 (月)

スティーヴン・スピルバーグの『ペンタゴン・ペーパーズ/最高機密文書』: 政府の秘密を暴露すべきか否か?

Joanne Laurier
2018年1月17日

監督 スティーヴン・スピルバーグ; 脚本 リズ・ハンナとジョシュ・シンガー

スティーヴン・スピルバーグの新作映画『ペンタゴン・ペーパーズ/最高機密文書』は、1971年6月に、ペンタゴン・ペーパーズを公表すべきかどうかをめぐるワシントン・ポストの内部抗争の物語だ。

7,000ページ、47冊の文書は、1945年から1966年までの、ベトナムにおけるアメリカ帝国主義者の関与についての国防省史だ。文書は、民主党も共和党も、相次ぐ政権が何十年も組織的にウソをつき続け、何百万人ものベトナム人と、何万人ものアメリカ人死者を含め壊滅的な結果をもたらしたことを明らかにしていた。


『ペンタゴン・ペーパーズ/最高機密文書』

『ペンタゴン・ペーパーズ/最高機密文書』の中心は、ワシントン・ポスト発行人キャサリン・グラハムと財務・法務コンサルタントとの間で、そして、かたやグラハム、かたや編集長ベン・ブラッドリーと部下の記者たちとの間でのものも含む、政府の議論を巻き起こすような秘密を公表することの妥当性を巡って起きた一連の論争だ。更に、グラハムとブラッドリーのそれぞれが、この危機の間に内なる葛藤を味わう。

スピルバーグの映画は、誠実かつ理知的に、こうした出来事を描いて、報道の自由、当局が一体何を考えているのかを国民が知る権利、そして大統領独裁の危険を含む多数の極めて重要な疑問を引き出している。

『ペンタゴン・ペーパーズ/最高機密文書』は、1966年の序幕で始まる。軍事専門家ダニエル・エルズバーグ(マシュー・リス)は、リンドン・B. ジョンソン大統領の国防長官ロバート・マクナマラ(ブルース・グリーンウッド)のための事実調査任務でベトナムにいた。エルズバーグとの会話では、戦争はひどいことになりつつあることに同意しながら、マクナマラはアメリカ・マスコミの前では違う楽観的なことを語っていた。

エルズバーグは海兵隊員として服務し、国務省での仕事で、二年間ベトナム過ごし、1967年にマクナマラが委託した“ベトナムにおけるアメリカ意思決定の歴史、1945年-66年”というあたりさわりない題で、後に“ペンタゴン・ペーパーズ”として悪名を轟かせた文書の作成に関与していた。

1969年、益々戦争に幻滅し、政府のウソにうんざりして、いずれもRAND社で働いていたエルズバーグと同僚アンソニー・ルッソ(Sonny Valicenti)は全部で7,000ページのペンタゴン・ペーパーズを秘かにコピーし始める。

1971年6月13日、エルズバーグがタイムズ記者のニール・シーハン(ジャスティン・スウェイン)に漏洩した極秘書類の一部をニューヨーク・タイムズが掲載し始めた際、ワシントン・ポスト編集者ベン・ブラッドリー(トム・ハンクス)と発行人キャサリン・グラハム(メリル・ストリープ)は不意を突かれた。ブラッドリーはシーハンの大スクープにいらだった。

6月15日、ジョン・ミッチェル司法長官がタイムズに、諜報活動取締法に違反していると言い、タイムズがペーパーを公表し続けるのを差し止める裁判所命令をニクソン政権は取得した。“もしタイムズが黙ったら”ブラッドリーは言う。“我々がやる。”

“ニュースを報道するのではなく、読むのに飽きた人はいるだろうか?”と彼は腹立たしげに修辞的に問い、全国版編集者ベン・バクディキアン(ボブ・オデンカーク)に、漏洩の情報源を見つけ出すように命じる。バクディキアンが、それが元RANDでの同僚エルズバーグであることをつきとめ、ボストンに行き、案じている内部告発者に会い、ワシントンに4,400ページのコピーという収穫を持ち帰る。

ポストは今や材料を入手したのだ。それを公表すべきか否かを巡る議論で、ブラッドリーは、同社の法務部、銀行家や投資家候補と対立する。グラハムと事業顧問は何百万ドルの価値の新聞社株式初公開をしようとしている最中なのだ。刑事告訴されれば、新聞社は破壊され、グラハムとブラッドリーは投獄されかねない。

ブラッドリーは主張する。“報道の権利を擁護する唯一の方法は、報道することだ.”更に、彼はこう主張する。“我々は彼らの権力を監視しなければならない。我々が彼らの説明責任を問わなければ、一体誰が問うのだ?”編集部と法務部間の論争が激しく続く中、友人のロバート・マクナマラから、グラハムに、更なる圧力がかけられる。とはいえ、私的会話では、彼女は、自分の息子はベトナムで戦ったし、自分には戦争の極悪な性格と、彼自身のものを含め政府のウソを暴露する義務があると彼に言う。それに答えて、マクナマラは激しく警告する。“ニクソンは君を嫌っていて、君の新聞を潰す方法がもしあれば、彼はそれを見つけ出すだろう。”


トム・ハンクスとメリル・ストリープ

(当時の司法副長官で、後のアメリカ最高裁首席裁判官、ウィリアム・レンキストからの電話で!)ポストは、タイムズ同様に諜報活動取締法に違反していると主張する司法省からの威嚇にもかかわらず、ペンタゴン・ペーパーズを利用した最初のワシントン・ポスト記事は6月8日に掲載される。

1971年6月26日、最高裁は、ポストとタイムズの主張を聞き、6月30日、両紙の掲載する権利を支持する6-3の判決を下す。『ペンタゴン・ペーパーズ/最高機密文書』は、1972年に、二年後に、リチャード・ニクソンの不名誉な辞任をもたらす結果となったウォーターゲート・スキャンダルが起きたところで終わる。

スピルバーグの映画は誠実かつ、楽しませる形で、アメリカ史上、重要な瞬間の詳細と人々の描写を始める。映画の一番の強みは、本物の民主的感覚だ。おそらく映画の中で最も頻繁に繰り返されるセリフは、様々な政権について言われる“彼らはウソをついた”だ。グラハムとブラッドリーは、特にケネディとジョンソン政権によっておおいに狼狽させられる。二人とも両政権幹部と個人的に親しかったのだ。

更に『ペンタゴン・ペーパーズ/最高機密文書』国民の利益が当局の利益と真っ向から対立することを実証している。映画は、マスコミが政府から自立し、政府発表に対し懐疑的であるように主張している。その意味で、映画はホワイト・ハウスやCIAやペンタゴンのプロパガンダ部門に過ぎないものと化した現在の主流マスコミに対する叱責と非難だ。

『ペンタゴン・ペーパーズ/最高機密文書』は、スピルバーグでも、最も効果的な映画製作だ。筋が通った巧みな話術で人をひきつける。キャスト全員、一定の緊迫感と献身で演じている。ハンクス、オデンカークとグリーンウッドは特記に値する。ホワイト・ハウスの窓の謎めいた人物の画像と重なるニクソンの悪名高い、マフィア風録音テープの断片を、映画制作者は見事に統合している。更に映画のリズムと強烈さが、1971年の世界を揺るがす出来事の本物のリズムと強烈さの感覚をもたらしている。

この作品を支えているのは、ジョン・ウィリアムズの音楽と、2015年、カトリック教会の犯罪行為を暴露した『スポットライト 世紀のスクープ』脚本を共同執筆したジョシ・シンガーが共同で書いた脚本だ。たぶん、シンガーは、真実を明らかにすることに心から専念しているように見える地味な“脇”役を作り出してあの映画で演じた役をするよう買って出たのだ。『スポットライト 世紀のスクープ』では、不屈の弁護士ミッチェル・ガラベディアン(スタンリー・トゥッチ)、そしてここでは、オデンカークのバグドキアン。

何よりも『ペンタゴン・ペーパーズ/最高機密文書』は、現代の観客の注意を、極めて重要な出来事に向けさせる。映画の制作ノートは、ペンタゴン・ペーパーズが“今日まで続く強烈な衝撃波を引き起こすこととなった。文書が、残虐なベトナム戦争に関する壮大で、広範にわたる欺瞞が、トルーマンからアイゼンハワー、ケネディ、ジョンソンに至る四人の大統領政権にわたっていたという暗い真実を暴露したことを指摘している。

“ペンタゴン・ペーパーズは、ベトナムにおけるアメリカの作戦について、これら大統領全員が繰り返し国民を欺き、政府は平和を追求しているのだと言いながら、水面下で軍とCIAが秘かに戦争を拡大していたことを明らかにした。ペーパーズは暗殺やジュネーブ協定違反、選挙不正や議会でのウソ発言の証拠に満ちた気味悪い歴史を示している。”


『ペンタゴン・ペーパーズ/最高機密文書』中の反戦抗議行動

インタビューで、シンガーは『ペンタゴン・ペーパーズ/最高機密文書』の脚本は、彼らの映画で描かれる時代と、ドナルド・トランプの下におけるいくつかの今日の類似点を予見していたと語った。“制作の過程で、米国憲法修正第1項「言論の自由」条項に関するテr.>ーマが益々今日的になっていったのは驚くべきことです”とこの脚本家は言っている。“それが、スティーブン[スピルバーグ]が、この映画を今作りたかった理由の一つです。”

この発言が心からのものであるのは疑問の余地はないが、幾つかの映画の限界を矛盾した形で示すことになっている。

米国憲法修正第1項「言論の自由」条項と、憲法上の権利に対する偽りのない感覚が、映画の中で表現されているが、何よりも、主人公たちの大いに理想化された姿も描かれている。ポスト社そのものが、グラハムとブラッドリーと政治的既成勢力との多くのつながりに言及している。当時の主要戦犯の一人マクナマラは、グラハムの親しい友人だった。

映画のフェミニスト的色合いは的外れだ。どうやら脚本は“元ワシントン・ポスト発行人で、フォーチュン500社の一社の初女性CEOとなったキャサリン・グラハムの物語を語るなら … ハンナが最初の原稿を書いていた際、グラハムと大統領候補ヒラリー・クリントンとの対照が、現在との最も顕著な類似に見えたという脚本家リズ・ハンナの願望に起因しているように思われる。(彼女は選挙のわずか10日前に、脚本を売った。)” 幸いに、脚本は、この限られた出だしから発展して、より広範な問題を取り上げている。それでも、女性CEOとしての、グラハムの“パイオニア的”立場の強調は残っている。映画制作者たちは、それを何か慶賀して当然のものと考えている。

グラハム-ストリープ崇拝に対する解毒剤として、発行者が、ボスト紙の印刷工労働組合潰しを始めた際、1970年代で最も悪名高い組合潰し工作が起き、1975年10月のストライキを引き起こし、大量解雇と、印刷工場の機器を軽微に破壊したことに関する容疑で労働者15人がぬれぎぬを着せられて、ストライキが終わったことを想起すべきだ。ポスト・ストライキは、1981年のレーガン政権による航空管制官労働組合PATCO破壊への序曲の一つとして広く見なされている。

1976年1月、ワシントン・マンスリーで、グラハムと彼女の活動に対して極めて批判的な記事で、ペンタゴン・ペーパーズの出所を追い詰め、公表を支援した人物、ベン・バクディキアンが、ポスト紙が1971年に株式公開したのは、“アメリカ合州国における日刊新聞の、同族会社から、株主に対して‘利益を最大化する”義務を持った大企業への変身の転機だと書いた。

ブラッドリーについて言えば、彼の経歴はもっとあさましいと言えようか。ボストンのエリート家系出身の冷戦リベラルで、ジョンと、ジャクリーン・ケネディの親しい友人は、1950年代、ヨーロッパで、秘かにCIAのために働いていた。1971年、以前、無数のCIA工作に関与していたCIA高官、コード・メイヤーと結婚していたメアリー・ピンショー・メイヤーは彼の義妹だった。

2014年、ガーディアンの追悼記事で、ブラッドリーがいかに“正体を隠して、防諜情報提供者や、政府の宣伝屋や、中央情報局(CIA)非公式スパイを長年つとめたか”をクリストファー・リードが詳しく書いている。リードによれば、彼の実績の中には、1953年、アメリカ人スパイとして有罪判決を受けたエセルとジュリアス・ローゼン バーグ夫妻の論議の的となった処刑を促進させるため“CIAが指揮したヨーロッパ・プロパガンダ”流布も含まれている。

上述の通り『ペンタゴン・ペーパーズ/最高機密文書』で、民主主義の英雄としてグラハムとブラッドリーを美化して描いている点は、映画制作者たちを称賛できない。更に、スピルバーグは撮影を急いで、2017年末に公開しようとしたのは、トランプが大統領の座についたこと、そして、スピルバーグ自身は民主党支持であることと大いに関係があるだろうと思われる。

主人公の生活に関して、ハリウッド映画が真実を覆い隠すのは、もちろんこれが歴史上初めてのことではない。とは言え、それによって、多数の伝記映画や歴史映画が重要な物事を浮き彫りにするのを妨げられているわけではない。それは本作品にもあてはまる。『ペンタゴン・ペーパーズ/最高機密文書』の衝撃と含蓄は、映画制作者そのままの考えや狙いを超えている。

スピルバーグの映画は、1971年当時もまだ、民主的原則に愛着心を持ち、民主的原則の放棄を恐れていたブルジョア層の様相と外的特徴をかなりの洞察力で劇化している。結局の所、ケント州立大学射殺事件をめぐる大規模抗議行動からわずか一年後、ニューヨーク・タイムズとワシントン・ポストがペンタゴン・ペーパーズが制御できていなかったらどうだっただろう? ともあれ、現在彼らの立場にある人々とは対照的に、グラハムとブラッドリーは、ある程度の勇気と行動規範を示したのだ。

支配層エリート全体が劇的に右に動いてしまった。グラハム自身、1988年、CIAでの講演でこう言っていた。“一般大衆が知る必要がなく、知るべきでないことも存在しています … 政府がその秘密を守るための正当な措置を講じることができ、マスコミが、知っていることを公表するかどうかを決定できる時に民主主義は栄えるのだと私は思います。”

2010年11月、イラクやアフガニスタンや他の国々におけるアメリカの行動をウィキリークスが公表した暴露の絶頂時、国家機密を暴露すべきか否かを考える際、タイムズが“政府と包括的で真摯な議論”を行ったことを強調する記事を元ニューヨーク・タイムズ編集長ビル・ケラーが書いた。“透明性が絶対善ではないことに我々は全面的に同意する。報道の自由は、報道しない自由も含んでおり、それが一定の秩序で我々が行使する自由なのだ。” 現在ならペンタゴン・ペーパーズの公表はあり得まい。

タイムズとポストに文書公表を認めた、1971年最高裁裁定が、現在も下されるだろうとは想像しがたい。今の裁判所は決まったように、政府には“国家安全保障”の権益のため、情報を抑え、あらゆる人々をスパイする権利があると判決を下している。

『ペンタゴン・ペーパーズ/最高機密文書』は1971年の裁定でのヒューゴ・ブラック判事の言葉を引用している。これは延々引用する価値がある。

“米国憲法修正第1項「言論の自由」条項で、建国の始祖は、我が民主主義における本来の役割を果たすために必要な、出版・報道の自由の保護を与えた。マスコミは支配する人々ではなく、支配される人々のために奉仕すべきだ。マスコミが永遠に政府検閲から自由であり続けるために、マスコミを検閲する政府の権限は廃止された。政府の秘密をあらわにし、国民に伝えることができために、マスコミは保護されている。自由で抑制されないマスコミだけが、政府内の欺瞞を効果的に暴露することができる。… その勇気ある報道で、ニューヨーク・タイムズ、ワシントン・ポストや他の新聞は、非難にふさわしいどころか、建国の始祖がこれほどはっきりと見出していた目的を果たしたかどで称賛されるべきだと私は考える。”

決して投獄されず、広く称賛されているダニエル・エルズバーグの運命は、ジュリアン・アサンジやエドワード・スノーデンやチェルシー・マニングの運命とは全く異なっていた。2011年、80歳のエルズバーグは、ペンタゴン・ペーパーズ公表40周年に発言して、こう書いた。“今月、我々が公表する必要があるのは、イラクとアフガニスタンの(そしてパキスタン、イエメンやリビアの)ペンタゴン・ペーパーズだ。”

当時、CNNのインタビューで、40年前、ニクソン政権が彼に対しておかした犯罪は、今なら法律に擁護されて、オバマ・ホワイト・ハウスによる実行が可能だとエルズバーグは語った。

犯罪リストには以下が含まれる。“私の元精神分析医の診療所室不法侵入… 令状無しの盗聴、アメリカ国内のアメリカ国民に対するCIAの利用、ホワイト・ハウスの殺し屋集団が‘私を完全に無能力化する’許可 (1971年5月3日、連邦議会議事堂階段で)”とエルズバーグは言った。“しかし、ジョージ・W・ブッシュやバラク・オバマの支配下では、愛国者法や、外国情報監視法改正法、そして(殺し屋集団については) オバマ大統領の大統領命令で” これらの犯罪が“全て合法的になっています”。

スピルバーグやシンガーやその一座がアメリカ民主主義の壮大な腐食にどれほど気がついているにせよ、映画の最も重要な意義は、見る目のある観客たちが、ワシントン・ポスト軽視するようになるだろうことだ。

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グーグルの検閲と戦おう!

グーグルは、検索結果で、World Socialist Web Siteを阻止している。

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記事原文のurl:https://www.wsws.org/en/articles/2018/01/17/post-j17.html

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官邸前のデモ規制の異様な厳しさと、アメリカの高校生中心の銃規制デモの対照を報じる報道番組を見た。まっとうな報道もあるのだ。

日刊IWJガイド「<インタビュー報告>政権の腐敗に怒りの抗議をすれば『悪意の感情の充足』として処罰!? 自由法曹団東京支部・舩尾遼弁護士に岩上安身が緊急インタビュー!/【タイムリー再配信】本日20時「岩上安身による日本共産党・宮本岳志衆院議員インタビュー」/自民・和田議員、維新・足立議員、『暴言』両横綱が発言撤回!/慰安婦問題を巡る記事で不当なバッシングを受けた元朝日新聞記者・植村隆氏が訴えた裁判で本人尋問/<新記事>世界中で起きる副反応に世界中の医師が『気のせい』!?~国際シンポジウム『世界のHPVワクチン被害は今』」2018.3.26日号~No.2020号~

2017年10月14日 (土)

エリートには“何の威信も残されていない”ジャーナリスト、クリス・ヘッジズ・インタビュー

ディヴィッド・ノース
2017年10月6日

月曜、WSWSの国際編集委員会委員長ディヴィッド・ノースが、ピューリッツァー賞受賞ジャーナリスト、作家、講演者で元ニューヨーク・タイムズ特派員クリス・ヘッジズにインタビューした。ヘッジズの著書で良く知られているものには、War is a Force That Gives Us Meaning(『戦争の甘い誘惑』)、The Death of the Liberal Class、Empire of Illusion: the End of Literacy and the Triumph of Spectacle、漫画家のJoe Saccoと共著のDays of Destruction, Days of Revoltと、Wages of Rebellion: the Moral Imperative of Revolなどがある。


クリス・ヘッジズ

Truthdigで、9月17日に掲載された“The Silencing of Dissent(反体制派封じ)”と題する記事で、ヘッジズは、グーグルによる左翼サイト検閲に関するWSWS報道に言及し、“ブラックリストや、検閲や、異議唱える人々をロシアの外国代理人や“偽ニュース”流布者として中傷することがある”傾向の増大を警告した。

ヘッジズはこう書いていた。“司法省が、RTアメリカと、その“仕事仲間”-私のような人々も意味するのかも知れない-に、外国代理人登録法下で、登録するよう要求したのだ。大企業国家は、我々の大半は外国代理人として登録するまいことを知っているのは確実で、つまり我々は放送界から追放されることになる。これが真意だろうと私は思う。”

ノースによるヘッジズ・インタビューは、マスコミにおける反ロシア・キャンペーンの重要性に関する議論で始まった。

ディヴィッド・ノース: ロシアに対する執着や、プーチンによる操縦という枠組みでの選挙解釈をどうお考えですか?

クリス・ヘッジズ: サダム・フセインの大量破壊兵器と同様、ばかげています。大企業資本主義と帝国主義を批判する人々は、ロシアのための外国代理人だという、全くぞっとする非難を長続きさせるために使われている全く証明されていない主張です。

アメリカが、ロシアや、世界中の他のあらゆる国々で過去行い、今実行しているのと同様同に、ロシアも、彼らの利益に役立つだろう形で、アメリカ合州国における出来事に影響しようとして、時間やエネルギーや金をかけていることに疑いは持っていません。ではすから、私は何の影響もなかったとか、物事に影響する試みがなかったと言っているわけではありません。

しかし、ロシアがトランプの為に選挙で不正を行ったという考え丸ごとばかげています。ロシアが、ポデスタ電子メールを、ウィキリークスに渡し、これらの電子メールの公表が、何万、何十万人ものクリントン支持者を、トランプ支持に変えたという立証されていない主張を、実際前提にしています。これは全く意味をなしていません。国家情報長官による、私も番組を持っているRTアメリカが、全員、緑の党に投票させようとしたやらも。

このロシアに対する固執は、支配層エリート、特に民主党が、非常に不愉快な現実に直面するのを避けるため使う戦術です。連中が不人気なのは、産業空洞化と、働く男女や貧しい有色人種に対する攻撃という連中の政策の結果です。労働組合に加盟してする高賃金仕事を廃絶し、何の追加給付も受けられない労働者の時給が3ドルというメキシコのような国に、雇用を移転したNAFTAのような悲惨な貿易協定の結果です。ビル・クリントンによる1994年の包括的犯罪防止法で、実刑判決が三倍、四倍になって始まった大量投獄制度が爆発した結果です。クリントンが骨抜きにした、もちろん福祉を含む基本的政府サービスを削減し、規制緩和、公立学校を含むインフラの荒廃、事実上の大企業による脱税の結果です。国を少数独裁者支配体制に変えた結果です。先住民保護主義者の反乱や、民主党内で潰された反乱も、アメリカという国に対し、連中がしでかしたことを見れば、つじつまがあいます。

警察部隊は、人々が他のあらゆる権利も剥奪され、罪を問われることがない警官に銃撃される少数派のコミュニティーを、テロ的手口で脅す準軍事組織に変えられてしまいました。実際、毎日、三人以上殺害されています。国は社会支配の手段として、貧しい有色人種を銃撃し、投獄しています。連中は、制御しがたくなった他のどの集団に対しても、社会支配の手段として、同じ手口を駆使する用意ができています。

特に、民主党が、このロシア魔女狩りを推進しています。連中は、我々の市民的自由の破壊に荷担した事実に直面できないのです。バラク・オバマによる市民的自由に対する攻撃は、ジョージ・W・ブッシュが行ったものや、アメリカ経済や、アメリカの民主的組織の破壊よりも酷いことを想起ください。

クリントン夫妻、ペロシやシュマーなどの政治家はウオール街が作り出したものです。民主党のサンダース派に対する反撃で、連中が、あれほど猛烈だった理由はこれです。ウオール街の金無しでは、連中は政治権力を維持できません。民主党は、実際は政党としては機能していません。全て大企業寄付者の費用による絶え間ない大衆動員と、過度に騒ぎ立てる広報部門にすぎません。党基盤の人々は、バーニー・サンダースや、彼の支持者たちが気づいたように、指導部や党の政策に対して、何の発言権もありません。彼らは不毛な政治劇場の小道具に過ぎません。

強欲と近視眼と皮肉に夢中なこれら党エリートが、政治プロセスをがっちり掌握しています。連中は決してそれを手放そうとはしません。たとえそれが内破しようとも。

DN: ヘッジズさんは、ニューヨーク・タイムズで働いておられました。正確にはいつのことでしょう?

CH: 1990年から、2005年までです。

DN: あなたは、この組織で多少経験をお持ちですが、どのような変化をご覧になっていますか? 我々は、同紙は裕福な中流の上の購読者を開拓していると強調しています。

CH: ニューヨーク・タイムズは、3000万人の中流の上の階級、裕福なアメリカ人を意識的に対象にしています。全国紙なのですが、ニューヨークの読者は、わずか約11パーセントです。家庭欄や、スタイル、ビジネス、旅行欄を見れば、タイムズが一体誰を対象にしようとしているか容易にわかります。例えば、ハンプトンズで別宅を持つことの難しさという記事。頻繁とは言えませんが、良い調査活動もできます。外交問題も報じています。けれども、それはエリートの思考を反映しています。あなた方のウェブサイトと釣り合わせるため、毎日、タイムズを読んでいます。

DN: 釣り合わせる以上のものであって欲しいものですが。

CH: ええ、釣り合わせる以上です。タイムズは常にエリート向け刊行物ですが、エイブ・ローゼンタールが編集長だった財政難時代、ネオコンと新自由主義イデオロギーを全面的に奉じていました。エリートに応える特別欄を設けたのは彼です。彼は、ノーム・チョムスキーやハワード・ジンのように、拘束されない資本主義と帝国主義を批判する人々を締め出す事実上の検閲を課し、彼は、ニューヨークの不動産開発業者に挑戦したシドニー・シャンバーグや、エルサルバドル、エル・モゾテの虐殺を報じたレイモンド・ボナーのような記者を追い出しました。

彼は毎週、発行人と一緒に、ウイリアム・バックリーと昼食をとっていました。大企業資本主義という最も退行する勢力の手先、アメリカ帝国主義の擁護者へのこの旋回は、一時、同紙を非常に儲かるものにしました。最終的に、もちろん、インターネットが勃興し、新聞の全収入約40パーセントを占めていた広告が消滅し、全ての新聞が打撃を受けたと同様、タイムズも打撃を受けました。新聞は、かつて売り手と買い手を結びつけていた独占力を失ったのです。新聞は、権力を持った裕福な連中に応えるように作られた古い情報制度、連中が“客観性”と“バランス”と呼ぶ常套句、真実の曖昧化に捕らわれているのです。しかし全てのビザンチン宮廷同様、タイムズは聖杯にしがみついたまま沈没するでしょう。

同紙の知的厳粛さ、とりわけ書評と週間レビューのそれは、彼自身ネオコンで、コラムニストとして、イラク戦争応援団長だったビル・ケラーによって破壊されました。彼はサム・タネンハウスのような連中を引き入れました。あの時点で、同紙は、人類の進歩、の必然的な形としての新自由主義と大企業権力優先というユートピア・イデオロギーを、満場一致で奉じたのです。タイムズは、大企業国家が助長するビジネス・スクール、大学の経済学部や評論家と並んで、社会のあらゆる部門を、市場の命令の前にひれ伏せさせれば、我々全員一層楽になるという荒唐無稽な考えを宣伝したのです。こんなことを信じるには特別愚劣でいる必要があります。ハーバード・ビジネス・スクールの学生に、エンロン社と、その素晴らしいビジネス・モデルのケース・スタディーをさせていたのです、つまり、エンロンが破綻し、壮大なペテンであることが暴露されるまでは。これは実際、決してアイデアの問題などではありません。純然たる強欲です。それを最高に教養があると思われているラリー・サマーズのような人物が推進していたのですから、アメリカの衰退は、教育が不十分なせいだというウソもばれました。衰退し破綻した、道徳規準をもたないエリートと、連中を裕福にした犯罪的な金融機関のせいなのです。

論説ページ、週間レビューや書評の、そもそも強くはなかった批判的に考える力は、ケラーのもとで蒸発しました。グローバリゼーションは自明のことでした。タイムズ社は、あらゆるエリート機関同様、気密反響室で、連中は、自分たちが、どれほど的外れになっているか、あるいは自分たちが、どれほど滑稽に見えているのか、自覚できないのです。トーマス・フリードマンやデイヴィッド・ブルックスも、ジ・オニオンに書いた方がいいでしょう。

私は海外で働きました。ニュース編集室で長く働いたわけではありませんが、同紙は、非常に不安に満ちた場所です。ルールは明記されているわけではありませんが、口にはせずとも、全員が同紙の非公式の金言を知っているのです。我々がお金と情報取得で依存しているお偉方との関係を大幅に悪化させてはならない! 時には、連中に立ち向かってもかまわない。しかし、もしあなたが、発言権を与えられていない人々に発言させようとしたり、人種、階級、資本家の搾取や帝国の犯罪などの問題を扱おうとしたりするチャーリー・ルダフやシドニー・シャンバーグのような真面目な記者であれば、あっという間に、経営幹部に問題にされ、追い出されます。組織の中で出世し、権力を維持している連中は、完璧な出世主義者です。連中の忠誠心は、自分の出世と、組織の名声と収益性に対してで、それが、この新聞社の幹部階層が凡庸な連中に満ちている理由です。出世主義は、同紙最大の弁慶の泣きどころです。有能な人々が不足しているわけではありません。そうではなく、知的自立と道徳的勇気に欠けているのです。ハーバード大学を連想させられます。

DN: ロシアがハッキングしたという報道の話に戻りましょう。事実上の基盤が全く皆無で、様々な諜報機関による主張に過ぎない、評価として提示されたものが、疑問の余地がないことになる話を作り出す能力に触れておられますね。こうしたものに対するあなたの評価はいかがでしょう?

CH: CNNやMSNBCも含む商業放送局は、ジャーナリズムを仕事にしているわけではありません。ほとんどしていません。こうした企業の著名記者はエリートのご機嫌取りです。連中は、宮廷のうわさ話、つまりロシアに関するあらゆる非難を憶測し広め、繰り返すように言われたことを繰り返すのです。連中は、視聴率と収益のために、ジャーナリズムと真実を犠牲にしています。こうしたケーブル放送のニュース番組は、企業構造上、主要収入源の一つです。それが他の収入源と競合しているのです。CNN社長、ジェフ・ザッカーは、ドナルド・トランプの架空人格を、番組“セレブリティ・アプレンティスで作り出すのを支援し、CNNで、政治を24時間リアリティ番組に変えたのです。あらゆるニュアンス、曖昧さ、意味や深みや検証可能な事実が、猥雑な娯楽のために犠牲にされるのです。ウソ、人種差別、偏見や陰謀論には、発言の機会が与えられ、報道価値があると見なされ、錯乱しているだけがとり得の人々に支持されることが多いわけです。茶番としてのニュースです。

イラク戦争に至る間、ニューヨーク・タイムズの調査チームにいました。パリに駐在して、ヨーロッパと中東のアルカイダを対象にしていました。ルイス・スクーター・リビー、ディック・チェイニー、リチャード・パールや、諜報機関の誰かが、何であれ、政権が売り込もうとしているものを支持するのでした。タイムズ社のジャーナリズムのルールは、情報源が一つの話を扱ってはいけないというものです。しかし、同じ言説を裏付ける三つか、四つの独自と思われる情報源がある場合には、その記事を進めて良く、それで進めていたのです。同紙はコロンビア大学ジャーナリズム大学院で教えられるルールを一つたりとも破りませんでしたが、彼らが書いたあらゆるものはウソでした。

事態丸ごと茶番でした。ホワイト・ハウスは何か作り話をジュデイ・ミラーやマイケル・ゴードンに漏洩し、それからショー番組で、‘タイムズはこう報じた’とやるのです。それで、こうしたウソに、自立した立派なジャーナリズムといううわべが得られます。これは壮大な組織的欠陥でしたが、一紙たりとも、立ち向かいませんでした。

DN: CIAが話題を売り込み、タイムズが、話を売り込んで来た連中から確認を得ると。

CH: いつも売り込まれるわけではありません。大半がCIAによるものというわけではありません。CIAが、“大量破壊兵器”ヒステリーを作り出したわけではありません。

DN: 他にもあると?

CH: そうです。幹部連中と会おうとする場合には、常時、要請をしておく必要があり、幹部連中が会いたい時を決めるのです。連中が会いたがる時には、何か売り込みたいものがあるのが普通です。

DN: マスコミの反ロシア言説は、自称“左翼”のかなりの部分に支持されています。

CH: アメリカ左翼の話を始めさせないでくださいな。そもそも、アメリカ左翼、政治理論や革命理論を理解する、経済研究に没頭している、権力体制が、特に大企業と帝国主義権力どのように機能するのかを理解している何らか真面目さがある左翼は皆無です。左翼は、社会の他の人々がかかっているのと同じ人格カルトに夢中なのです。このカルトは、トランプが問題の中心であるかのように、トランプに集中します。トランプは、破綻した体制、機能不全な民主主義の産物、症状であって、病気そのものではありません。

大半の左翼とされる連中と議論しようとすると、連中は、議論を、政治をこのマンガ的構図におとしめてしまうのです。

この国の本格的な左翼は滅ぼされてしまいました。ウッドロー・ウィルソン下における急進派運動の弾圧で始まり、更に1920年代“赤の恐怖”で、連中は、事実上、アメリカ労働運動や、アメリカの急進的メディアを破壊し、更に、1950年代、あらゆる粛清がありました。おまけに、連中はリベラル層も粛正しました-連中が、ヘンリー・ウォレスに対してしたことを見てください。冷戦“リベラル連中”が、資本主義を民主主義と同一視し、帝国主義を自由と同一視するように。私はスイスとフランスで暮らしたことがあります。ヨーロッパには、ヨーロッパ人がそれを基盤に戦いを構築できる戦闘的左翼の残滓がまだありいます。しかし、アメリカでは、我々はほとんどゼロから始めなければなりません。

私は「アンティファ(Antifa)」やブラック・ブロックとずっと戦っています。連中は、私が並外れた政治的未熟さと考えているものの一種のイメージキャラクターだろうと考えています。抵抗は、個人的カタルシスの一形態ではないのです。我々は、1930年代に勃興しつつあるファシズムと戦っているわけではないのです。我々が打倒しなければならない大企業エリートは既に権力を掌握しています。我々が、労働者男性や女性たちを組織するには大変な忍耐が必要な広範な大衆の抵抗運動を構築しない限り、我々は着実に潰されるでしょう。

ですから、トランプが問題なのではありません。しかし、あの文章だけでも、自分は左翼の一部だと考えている人々との大半の議論を駄目にします。

大企業国家で、この根源的批判に固執すれば、生活は極めて困難になります。終身在職権は決して得られません。役職にはつけません。賞は取れません。補助金は得られません。ニューヨーク・タイムズは、著書を書評する場合でも、ジョージ・パッカーのような従順な保守人間に任せ、私の最新著作でそうしたように、中傷させるのです。プリンストンやコロンビアのような幾つかの大学で客員教授して教えたことがありますが、エリート大学は、大企業の構造と目標の複製です。博士学位審査委員会や、まして終身在職審査委員会を切り抜けたいと思ったなら、徹底的に安全第一で行かねばなりません。組織中に染み込み、大企業からの寄付や、裕福な卒業生連中の指示によって押しつけられている大企業寄りの姿勢に異議申し立てをしてはなりません。大半のこうした評議員会メンバーの半数は監獄に入るべきです!

17世紀、イギリスでは、投機は犯罪でした。投機家は絞首刑にされました。そして、現在、連中が経済と国家を運営しているのです。連中は、捕獲した富を、アメリカの知的、文化的、芸術的生活を破壊し、アメリカ民主主義を根絶するのに使っているのです。連中のための言葉があります。国賊です。

DN: アメリカにおけるアイデンティティ政治の影響をどうご覧になっていますか?

CH: アイデンティティ政治は左翼の未熟さを示しています。大企業国家はアイデンティティ政治を奉じています。アイデンティティ政治がどこに向かうのかを、バラク・オバマで目にしていますが、悲惨なものです。彼はコーネル・ウエストが言った通り、ウオール街の黒人マスコットで、今は我々を売り渡した彼への謝礼を徴収すべく歩き回っています。

アイデンティティ政治に関する私のお気に入りの逸話をご紹介しましょう。コーネル・ウエストと私は他の人々と一緒に、フィラデルフィアでの民主党全国大会集会に向けたホームレスの人々の行進を先導しました。あの晩イベントがありました。集会は何百人もの人々が一杯で、大半が怒れるバーニー・サンダース支持者でした。私は講演を依頼されていました。控え室に、若い活動家のグループがいて、一人がこう言ったのです。“白人男性第一にはさせない。”そこで彼は立ち上がり、いかに全員がヒラリー・クリントンに投票しなければならないかについて演説をしたのです。アイデンティティ政治は、そうなりがちです。コリー・ブッカーやヴァン・ジョーンズのような大企業資本主義と帝国主義サクラと、グレン・フォードやアジャム・バラカのような本当の急進派との間には大きな違いがあります。大企業国家は、体制の残忍さと搾取を隠蔽するため、女性や有色人種の人々を入念に選んで宣伝します。

権力エリートに寝返った連中の声ではなく、こうした意見が発言の場を与えられるのは非常に重要です。フェミニスト運動はこの好例です。私が尊敬するかつてのフェミニズム、アンドレア・ドウォーキンたちのファミニズムは、抑圧された女性たちに権限を与えるものでした。こうしたフェミニズムは、売春を風俗業として正当化しようとはしませんでした。女性を搾取工場で虐待するのも、風俗業で虐待するのも間違っているのを知っていたのです。新手のファミニズムは、新自由主義の害毒の好例です。ヒラリー・クリントンのように、抑圧体制に仕える女性CEOや女性大統領を実現するのが狙いです。連中は売春は選択の問題だと主張しています。安定した収入と安心を得ている女性が、一体どうして生活のために、強姦されることを選ぶでしょうか? アイデンティティ政治は反政治です。

DN: 社会主義者収束会議で講演され、オバマとサンダースを批判して、やじり倒されたそうですね。

CH: ええ、覚えてはいませんが。バークレー校を含め、多くの場所で、オバマを批判してやじり倒されています。ラルフ・ネーダーの支持者、演説原稿作成者として、私はこれに耐えることを長年強いられてきました。人々は、でっちあげられた人格、自分の政治的救済者たちの幻想、広報会社が作り出す人格を粉砕されたくないのです。彼らは権力がどのように機能するかを本当に理解して、それを倒すべく組織化するというきつい仕事をしたがりません。

DN: World Socialist Web Siteを、かなり長い間読んでいると言っておられますね。我々が枠組みから全く外れていることはご存じですね。

CH: 私はマルクス主義者ではありません。私はトロツキストではありません。それでも私はこのサイトが好きです。他の多くのサイトではしないような形での重要な問題に対する皆さんの真剣な報道が。あなた方は、私にとって重要な物事-大量投獄や労働者階級の権利と戦いや帝国の犯罪を気にかけておられます。私はこのサイトを長年読んでいます。

DN: 左翼と自称する連中の大半、つまり似非左翼は裕福な中流階級の権益を反映しています。

CH: その通りです。主要機関では、誰もが他文化主義を主張していますが、実際には、大学の学部やニュース編集室に、ごく少数の有色人種の人や女性を送り込むことを意味していて、一方で、アメリカ合州国の産業を失った地域の低収入労働者、特に有色人種の貧しい人々に対する残忍な経済攻撃を行っているのです。これら多文化主義者の極めて少数しかこれに気づいていません。私は多様性には大賛成ですが、経済的公正が欠如しているものには賛成できません。コーネル・ウエストは偉大な闘士の一人で、アメリカ史上、最も重要な知的伝統である黒人予言の伝統であるのみならず、あらゆる形の公正に対する明快な呼びかけです。経済的公正無しには、人種的公正はあり得ません。これらのエリート機関は、印ばかりの少数の連中を、階層中にちりばめはしますが、連中は、労働者階級や貧しい人々、特に有色人種の貧しい人々を痛めつけているのです。

左翼の大半はアイデンティティ政治のトリックに騙されています。おかざりの運動なのです。我々が破壊すべき大企業体制には手をつけません。親しみやすい仮面を体制に着せているのです。

DN: World Socialist Web Siteは、不平等問題を報道の焦点に置いています。

CH: それこそが、私が拝読し、好きな理由です。

DN: ロシア問題に戻って、事態はどのような方向に向かっているとお考えですか? 民主的権利に対するこの攻撃をどれほど深刻なものとお考えでしょう? 我々はこれを新マッカーシズムと呼んでいます。これは、あなたのお考えでは正当な類推でしょうか?

CH: ええ、もちろん新たなマッカーシズムです。しかし、我々の意見はほとんど意味がないことを認めましょう。

DN: その点は同意しかねます。

CH: 主流マスコミで我々は発言させてもらえないという点で、意味がないと申しあげているのです。カナダでは、私はCBCのゴールデン・アワーに出演します。フランスでも同じです。アメリカでは決しそういうことは起きません。PBSはNPR決してそういうことはしません。連中は、資本主義や帝国主義を本気で批判する他の誰も出演させません。

例えばもし、シリア攻撃について議論する場合、シリアを爆撃するか、シリアを爆撃して、軍隊を送り込むか、という二つだけが選択肢であるかのように、言われることになります。医療もそうです。ヘリテージ財団と医薬品業界と保険業界の産物であるオバマケアにするのか、何もしないのか? 国民皆保険は論議されません。我々は隅に追いやられています。しかし、だからといって、我々が危険でないことにはなりません。新自由主義とグローバリゼーションは、ゾンビー・イデオロギーです。彼らには何の威信も残ってはいません。詐欺は露顕してしまいました。グローバル・オリガーキーは憎悪され、ののしられています。エリートは、我々の批判に全く反論できません。そこで、連中は我々を跋扈させておけないのです。権力エリート連中が一層怯えると、連中は支配のためより過酷なものを使うことになります、検閲と暴力というむき出しの手段を含めて。

DN: 孤立感や社会的疎外にばかり注目するのは大変な間違いのように思えます。予言させて頂きましょう。おそらく、あなたがお考えになっているより早く、インタビューやテレビ出演依頼が増えるでしょう。私たちは途方もない政治的崩壊の時代にいるのです。益々、労働者階級が強力な政治勢力として登場するのを目にするようになるでしょう。

CH: それが我々が標的にされている理由です。支配イデオロギーが破綻し、アメリカ・リベラル層やアメリカ左翼が破綻しているなか、深い知性や、経済や文化や政治を含む権力体制の検証を堅持する人々は、沈黙させねばならないのです。

記事原文のurl:http://www.wsws.org/en/articles/2017/10/06/hedg-o06.html
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彼の著書翻訳には『本当の戦争』(What Every People Should Know About War)もある。
残念ながら、古書しか見当たらない。

彼は毎週、発行人と一緒に、ウイリアム・バックリーと昼食をとっていました。

「スシ友」のご先祖!下記も、そのまま通じる。いや、全員ゾンビーの社もある?

組織の中で出世し、権力を維持している連中は、完璧な出世主義者です。連中の忠誠心は、自分の出世と、組織の名声と収益性に対してで、それが、この新聞社の幹部階層が凡庸な連中に満ちている理由です。出世主義は、同紙最大の弁慶の泣きどころです。有能な人々が不足しているわけではありません。そうではなく、知的自立と道徳的勇気に欠けているのです。

World Socialist Web Site
グーグルの新アルゴリズム、左翼、進歩派ウェブ・サイトへのアクセスを制限

インタビューに出てくる彼の記事は“The Silencing of Dissent(反体制派封じ)”

Paul Craig Roberts氏も、「言論の自由を抑圧すると決めたグーグル」で、World Socialist Web Siteに触れておられる。

ということで、IWJガイドをコピーさせていただこう。

日刊IWJガイド・ウィークエンド版「『時の人』立憲民主・枝野幸男代表にまさかの『落選』の危機が!? 地元のテレビ埼玉が対抗馬・自民党の牧原秀樹候補が優勢と伝える!/『驕れる者は久しからず、という言葉を思い知らせなければならない』~野田佳彦元首相が地元千葉での朝街宣の後、大阪16区に飛び立憲民主党・森山浩行候補の応援演説!~IWJは与野党1対1・接戦の注目の選挙区など、街宣の模様を各地から中継!/今日は鹿児島で岩上さんがトークカフェ!まだ若干お席に余裕あり!」2017.10.14日号~No.1856号~

2017年9月 4日 (月)

ソーシャル・メディアはCIAの道具: “人々をスパイするのに使われているフェイスブック、グーグルや他のソーシャル・メディア”

Prof Michel Chossudovsky
Global Research
2017年8月28日

2011年に発表された“ソーシャル・メディアはCIAの道具。本当だ”と題するCBSニュース記事はCBSを含む主要マスコミが報じ損ねている“語られることのない真実”を明らかにした。

CIAは“人々をスパイするため、フェイスブック、ツイッター、グーグル(GOOG)や他のソーシャル・メディアを利用している。”

CBSが公表したこの記事は主要マスコミ(とCBS)のウソに反論している。記事はCIAと、検索エンジン、ソーシャル・メディアや巨大広告コングロマリットの陰険な関係を裏付けている。“CIAがフェイスブックやツイッターやグーグル(GOOG)や他のソーシャル・メディアを利用して人々をスパイしていると考えるのに、アルミホイルの帽子をかぶる必要はない。CIAが、報道発表で、技術投資部門In-Q-Tel経由で出資している全てのソーシャル・メディア・ヴェンチャーの便利なリスト[リンクは無効]を公開してくれているのだ。“

報道は“プライバシー”は広告主に脅かされているが、同時にこうした広告主が“ CIAと結託して”アメリカ諜報機関の代わりに、連係して活動していることを認めている。

CBS記事のスクリーン・ショット

スパイの民営化

CIA、NSA、国土安全保障省と契約している私企業にとって、個人をスパイするのは大いに儲かる商売だ。CBS報道は、世界最大の広告代理店の一つが収集した何百万人ものアメリカ人の個人情報が、CIAに販売されていることを歯に衣着せずに示唆している。

Noam SchachtmanによるWired News2010年7月記事によれば:

CIAの投資部門とグーグルは、リアル・タイムでウェブを監視し、その情報を将来予測に使っている企業を支援している。

その会社はRecorded Futureで、人々や組織や現在のものも、まだ起きていないことも含め行動や出来事との関係を見出すため、何万ものウェブサイト、ブログやツイッター・アカウントを徹底的に調査している。白書で、同社は、その経時的分析エンジンは“検索を超えて”“文書間の同じ、あるいは関係する組織や出来事について語っている‘見えないつながり’をも探している。”と述べている。


Wired News記事のスクリーン・ショット

表現の自由

ソーシャル・メディアと検索エンジンは、アメリカ人をスパイするのに利用されている! だがアメリカ人だけではない。個人データ収集は世界中で行われている。

だが、危機に瀕しているのは、“プライバシー”問題だけではない。オンライン検索エンジンは、オンライン・メディア検閲の道具としても機能している。

グーグルは、自立した代替メディアの評価を下げることを狙ったアルゴリズムを導入した。この件に関して、ガーディアンか(2016年12月)“グーグルの検索アルゴリズムが、いかにして右翼偏向のかかった偽情報を広めているか“で報じている。


ガーディアン記事のスクリーン・ショット

自立したオンライン・メディアが標的になっている。インターネットを中心とするニュース・メディアの表現の自由は、グーグルによって常時、脇に追いやられている。

“他のインターネット・ニュース・サイトや検索技術専門家の支援を受けて、World Socialist Web Siteがまとめた新たなデータは、この社会主義、反戦、進歩派ウェブ・サイトが過去三カ月に経験した膨大な読者数の減少はグーグルからのトラフィックが累積45パーセント減少したことでもたらされたことを明らかにした。

下記はCBSニュースの2011年記事の抜粋だ。記事全文を読むにはここをクリック

個人に関する世界最大のデータベース

プライバシーに対する主な脅威の一つは、消費者がウェブ上でするあらゆることを追跡し、オンライン・アカウントで個人情報を集めたがっている広告主だ。だから、CIAと世界最大の広告代理店ネットワーク、WPP (WPPGY)が、少なくとも2009年1月以来、ソーシャル・メディア・データ-マイニング・ベンチャー企業で協力していると知っても驚くにはあたるまい。WPPは現在、購買層、経済、購買や地理的実績歴史を含む世界最大の個人情報データベースを持っていると主張している。WPPのVisible Technologies部門は、2009年秋、In-Q-Telからの投資を受けた。Visible Technologiesは、ツイッターやフェイスブックなどのソーシャル・メディア・ネットワークをスキャンするツールを開発している。

グーグルとCIA: 古くからのお友達

まだ流れが読めないだろうか? 2004年に同社が、最終的に、グーグル・アースとなったマッピング技術企業Keyholeを買収して以来、グーグル(GOOG)はCIAのパートナーだ。2010年、ウェブを評価し、出来事がどういう方向に向かっているかをと予言する曲線を生成する“経時的分析エンジン”を作り出すマイノリティー・レポート風の目標を持った企業Recorded Futureに、グーグルとIn-Q-Telは共同投資をした

グーグルは既に、政府が歴史を書いたり書き換えたりするのを手伝っている。同社の透明性報告書から、アメリカ政府機関からの要求に基づいて政府に渡したり、ウェブから削除したりしている情報に関する統計データを挙げておこう。

    • 4,601件は、アメリカ政府機関からの“ユーザー・データー“要求
    • グーグルは政府のユーザー・データー要求の94%に答えている。
    • 1,421件の“コンテンツ削除“要求
    • グーグルは、コンテンツ削除要求の87%に答えている。
    • 15件の要求は、 “幹部、警察など”からのもの
  • 1件は国家安全保障上の要請だった。

強調は筆者による。Jim EdwardsによるCBS News記事全文を読むには、ここをクリック

本記事の初出はGlobal Research
Copyright Prof Michel Chossudovsky、Global Research、2017年

記事原文のurl:http://www.globalresearch.ca/social-media-is-a-tool-of-the-cia-facebook-google-and-other-social-media-used-to-spy-on-people/5606170

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水爆実験なる報道一辺倒。しつこく繰り返させていただこう。

ハワード・ジン講演。ハワード・ジン「歴史の効用とテロリズムに対する戦争」を語る 十年前に翻訳した記事。直接つながる部分を貼り付けておこう。この機会に、全文は長いが、お読みいただければ幸いだ。

ゲーリングは言っています。「もちろん国民は戦争を望んではいない。なぜ畑にいる貧しいまぬけが、自分の命を戦争にさらそうなどと望むだろう?だが、結局、政策を決定するのは国家指導者だ。国民はいつでも指導者達の命令に従わせることができる。連中に、我々は攻撃されているのだと言って、平和主義者は愛国心に欠けると非難するだけで良いのだ。これはどこの国でも同様に機能する。」

私には最後の行が興味深いものでした。「これはどこの国でも同様に機能する。」つまり、ここで、彼らはナチスです。あれはファシスト体制です。アメリカはデモクラシーです。けれども、自分の国を何制度と呼ぼうと、これはどこの国でも同様に機能するのです。自分の国を全体主義国家と呼ぼうと、あるいは自国をデモクラシーと呼ぼうと、同じように機能するのです。つまり、国家指導者達は国民を、丸め込んだり、無理強いしたり、唆したりして戦争をさせることができるのです。国民を脅かし、国民が危険な状態にあると言い、もしも支持しなければ、非愛国的と見なされるぞと国民を脅迫し、無理強いして。そして、これが9/11直後にこの国で本当に起きたことなのです。これがブッシュがイラクの大量破壊兵器という妖怪をよみがえらせた直後に起きて、しばらくの間アメリカ国民がこれを支持するようにさせたわけです。

けれども問題は、どうやって連中がまんまとそれをやりおおせたかです?新聞はどうでしょう?テレビはどうでしょう?政府がしていることを暴くのは新聞の仕事ではありませんか?テレビの仕事ではありませんか?ジャーナリズムの仕事ではありませんか?ジャーナリスト達はI・F・ストーンからは学ばないのでしょうか?「ひとつだけ覚えておくように」と彼はジャーナリズムを勉強している若者に言いました。「ひとつだけ覚えておくように。政府は嘘をつくものです。」ところがマスコミはそれには注意を払わなかったのでしょう。マスコミは支持したのです。彼らは大量破壊兵器というアイデアを喜んで受け入れたのです。

そして、大本営広報部ではない報道団体の記事をコピーさせていただこう。

■■■ 日刊IWJガイド「北朝鮮の核実験で恐怖を煽る官邸とマスコミ! 非常事態時に起きた関東大震災・朝鮮人虐殺を忘れるな!20時より『ほうせんか』理事・西崎雅夫氏インタビューを再配信/ナチス擁護発言の高須克弥氏から『寄付』の申し出!? 岩上安身は『我々に共感したという言葉は真に受けられない』と事実上の謝絶/『島根に落ちても何の意味もない』!? 自民党・竹下亘総務会長が北朝鮮のミサイル通過を受け失言! 島根原発への着弾は念頭にない!? 本日19時から、ミサイル攻撃を想定し高浜原発運転停止の仮処分を求めた河合弘之弁護士による記者会見を再配信!」2017.9.4日号~No.1816号~ ■■■
(2017.9.4 8時00分)

2017年8月28日 (月)

クリストファー・ノーランの『ダンケルク』: 歴史も政治も抜きの第二次世界大戦勃発

David Walsh
2017年7月26日

“どうしようもない程、目の見えない人々だけが、イギリスとフランスの将軍や提督連中が、ファシズムに対して戦争すると信じることができる!” - レオン・トロツキー、1940年5月

イギリス人監督クリストファー・ノーランの新作映画『ダンケルク』は、1940年5月-6月のイギリスとフランス軍の多数の兵士を北フランスから救出した有名な作戦の話だ。

5月10日に始まった英仏海峡西方へのドイツ軍による素早い進撃の後、イギリス海外派遣軍(BEF)と、その同盟軍が、フランスとベルギー海岸線の細長い地域で遮断され、包囲されることになった。5月26日から6月4日にわたる“ダイナモ作戦”で、約340,000人の兵士がイギリスに脱出した。イギリス南部から英仏海峡を横断し、ベルギー国境から10kmにあるダンケルクの海岸と防波堤から、兵士たちを大型船に運んだり、イギリスの港まで直接運んだりして、救出で、多くの小型船舶が重要な役割を演じた。


『ダンケルク』

ノーランの映画は長さは異なるが(それぞれ一週間、一日、一時間)重複している“陸”“海”と“空”の三部構成だ。

“陸”では、トミー(フィン・ホワイトヘッド)が、ダンケルクの街で見えないドイツ軍に銃撃されるイギリス軍部隊の若い兵士だ。彼だけ生き残り、海岸へと向かうと、何万人もの兵士が立ち往生している。彼は後でフランス人とわかる“ギブソン”(アナイリン・バーナード)とアレックス( ハリー・スタイルズ)と組むことになる。映画のこの部分は彼らを危機から救う船を捜そうとするトミーと仲間の様々な益々必死の努力を描いている。

“海”では、ドーソン(マーク・ライランス)が、脱出作戦の一環として、英国海軍に徴発された小型船を持っている。ところが、彼と息子のピーター(トム・グリン=カーニー)と17歳の甲板員ジョージ( バリー・コーガン)は、海軍船員にやってもらうのでなく、自分たちで英仏海峡横断すると決める。途中で、ドイツのUボートで船が沈没させられ、砲撃でストレス状態になったイギリス人兵士(キリアン・マーフィー)を救いあげる。ドーソンが船を沈没現場から遠くないダンケルクに向けて進めていると知ると兵士が暴れる。

“空”部分は、ダンケルク上空でドイツ戦闘機と交戦する二人の英国空軍パイロット、ファリアー(トム・ハーディ)とコリンズ(ジャック・ロウデン)を追う。ドイツ空軍は比較的自由に行動して、イギリス艦船やボートを攻撃し、海岸にいる兵士たちも爆撃する。ファリアーとコリンズの任務は地上軍を掩護することだ。コリンズは飛行機を不時着水せざるを得なくなり、最善の結果を期待する。ファリアーは戦い続けるが、燃料がわずかだ。


『ダンケルク』のマーク・ライアンス

ノーランの『ダンケルク』には、いくつか視覚的に目を奪われる場面がある。空中戦場面は確かに印象的だ。映画撮影は総じて壮麗で、カメラは自然や人々の詳細を深くとらえている。

ある種劇的な展開(ライランスの抑えた知的な演技も含め)があるので、ドーソン-ライランスの場面が、映画の中で最も印象に残る。ジョージの運命には実に悲劇的なものがある。兵士たちのダンケルク救出支援を志願する若者なのに、自身重傷を負った兵士の一人によって、致命傷を負ってしまうのだ。

それを別とすれば、他にはほとんど何もない。“陸”と“空”での対話は最小限で、ともあれ印象的なものは皆無だ。映画が進むにつれ、“陸”部分は、段々と(しかも、うんざりするほど)登場人物たちが、致命的な結果になりそうな状況を次々と切り抜けるのを強いられる型にはまったパニック映画に見えてくる。

映画の全体的雰囲気は一貫性がない。テレンス・マリックの映画に敬服しているとノーランは語っている。残念なことに、ノーランは、マリックの最高作品、特に『シン・レッド・ライン』(1998年)のいくつかの場面から触発されたのではなく、陰鬱なハイデッガー風宇宙の中を、登場人物があてもなくさまよい歩く、同じアメリカ人映画監督の最新作から触発されたようだ。ノーランの新作映画の一部は、その種の雰囲気を再現している。そこで突如音楽が高まり、イギリス人の“勇気”や勇敢な行動が土壇場で成功をもたらすのだ。どうしても納得が行かない。

『ダンケルク』はいかなる伝統的な意味でも戦争ドラマではないのは、対象となっている1940年の出来事が、戦闘あるいは一連の戦闘というものではなく、歴史的な敗北、壮大な撤退だったがゆえだけではない。


トム・ハーディ

第二次世界大戦に関する無数のアメリカやイギリス映画は、よかれ悪しかれ、概して国民の人種や階級の“代表例”である少規模部隊に焦点を当てている。そうした作品では、最初は身勝手というか個人主義で、恐怖で身をすくませるが、戦闘の過程で、言い換えれば実に運命的な条件の下で、“大義”のために、集団の必要性を優先し、必要とあらば、自己犠牲の必要性を学ぶ登場人物(あるいは複数の登場人物)が多い。戦争中あるいは直後に制作された映画は、“民主主義”や専制への反対を、究極的に、そのために戦って死ぬに値するを主な要因にして、ファシズムや独裁制に対する大衆の圧倒的な反感を考慮しており、多くの場合、共有もしていた。

ノーランは、戦争や、その原因や、正当性などに関する議論を避けて、そうした重荷から逃げている。主人公たちは若いかも知れないが、大恐慌や、他の衝撃的な出来事を生き抜いてきたのだ。彼らには何らかの政治的意見があったはずだ。わずか二十年程前の第一次世界大戦で勝ち誇ったはずのイギリス軍に与えられた大惨事の規模や原因について、登場人物の誰一人、疑問を投じない。実際、誰も意味ある発言をしない。

エルストン・トレヴァーの(1955年)「The Big Pick-Up」を部分的に基にしたレスリー・ノーマンの『激戦ダンケルク』(1958年)は、脱出についての、堅苦しい紋切り型の愛国的映画で、ジョン・ミルズ、リチャード・アッテンボロー、バーナード・リーやロバート・アーカートを含む多数の著名な、頼もしい当時のイギリス人俳優が出演している。とは言え、極度の制約にもかかわらず、ノーマンの映画は、少なくとも、冒頭場面から終始、(映画があからさまに馬鹿にしている当時の政府やマスコミの主張に反して)油断とダンケルク大惨事の規模を指摘する義務を感じている。

最初の『ダンケルク』は別として、1950年代と1960年代の戦争映画(『暁の出撃』、『The Man Who Never Was』、『戦場にかける橋』、『愛欲と戦場』、『攻撃』、『愛する時と死する時』、『若き獅子たち』、『ビスマルク号を撃沈せよ!』、『ナヴァロンの要塞』、『Hell to Eternity』、『史上最大の作戦』、『Merrill ’ s Marauders』、『大脱走』、『シン・レッド・ライン』、『大列車作戦』などの作品)は、成功の度合いこそ異なれ、第二次世界大戦を、政治的、軍事的、心理的に理解しようとつとめていた。

あいにく現代の映画監督たちは、もはや歴史的な出来事を、引用符中に置かれることが多い言葉の一つである“説明する”ような俗事にかかずらうことはしない。連中はほとんど、そうした俗事を超越しているのだ。

1940年5月-6月、イギリス海外派遣軍に対するドイツ軍の勝利と、それに続くフランス第三共和国崩壊と、敵に協力的な連中によるビシー政権樹立は些細なことではない。


フィン・ホワイトヘッド

1939年9月1日、ドイツによるポーランド侵略後、そして二日後のイギリスとフランスによる対ヒトラー政権への宣戦布告後、1940年5月に、ドイツ軍がフランス、ベルギーとオランダを攻撃するまで、ヨーロッパでは、いかなる主要作戦も行われなかった。イギリスとフランスの軍は、八カ月も受動的に待ち続けていた。フランス軍には“敗北主義”がはびこっており、イギリス既成支配体制は分裂でばらばらだった。ナチス“宥和”に最も責任があったはずの人物ネビル・チェンバレンが、1940年5月10日、ウィンストン・チャーチルにとって変わられるまで首相の座に居座り続けた。

一方、1940年春のヒトラー軍隊の勝利は、レオン・トロツキーの言葉によれば“自らの任務という側面でさえの帝国主義民主主義の堕落”を実証していた。イギリスとフランスの支配エリート層は(退位したイギリス国王エドワード8世を含め)ヒトラー主義を、ボルシェビキ思想と社会革命に対する最強の防衛と見なす親ナチス分子だらけだった。

トロツキーは説明していた。フランスの降伏は“単なる軍隊の出来事ではない。ヨーロッパの破滅的状況の一部なのだ。… ヒトラーは事故ではない。彼は我々の文明全てを粉砕する脅威を与えている帝国主義の最も徹底的で、最も凶暴な表現であるにすぎない。”

一方、ドイツの軍事的勝利は、ヨーロッパや世界の労働者階級に対するスターリン主義者による裏切りの悲惨な結果を実証していた。五年間“人民戦線”を宣伝し、様々な“民主主義”の幻想を生み出した後、1939年に、ソ連政権はヒトラー側に転じ、欧米列強の“軍事力を麻痺させた”と、トロツキーは書いていた。“破壊用のあらゆる機構にもかかわらず、精神的要素が、戦争における決定的重要性を保持している。ヨーロッパ大衆の士気を阻喪させ、ヨーロッパにおいてのみならず、ヒトラーに仕えて、スターリンは挑発の手先役を演じたのだ。フランス降伏はそうした政治の結果の一つに過ぎない。”

トロツキーの冷静で正確な論評だけでなく、多少真摯なあらゆる取り組みによって、二度目の、悲惨な帝国主義戦争勃発に関する、大半の今日の作家や監督たちにとっては、決着済みの問題であることは言うまでもない。

歴史的問題に関するノーランの沈黙、あるいは“自制主義”は、ノーランによる取り組みの前進ではなく、複雑な疑問を前にしての無能を現すに過ぎない。

映画監督は『ダンケルク』から歴史と政治を排除し、上述の通り、凡庸な“災害映画”のレベルにおとしめるのが意識的な決断であることを示す様々な発言をしている。

あるフランスの雑誌に、例えば、“これは戦争映画というより、生き残りがテーマのサスペンス。… 登場人物への共感は、彼らの物語とは無関係だ。対話で、登場人物の物語を語りたくはなかった。問題は、彼らが誰であるかではないし、彼らが誰のふりをしているかではないし、彼らがどこから来たかではない。私が興味があった唯一の疑問はこうだ。彼らは脱出できるのだろうか? 防波堤に行こうとする際に、次の爆弾で殺されるのだろうか? それとも海を渡っている間に潜水艦にやられるだろうか?”と語っている。

登場人物への共感は“彼らの話とは無関係だ”ろうか? 問題は“彼らが誰なのかではない”のだろうか? すると人は、パラディやヴォルムートの虐殺をやらかしたばかりで、移送を待っているナチス親衛隊兵士に対しても、大恐慌やイギリス帝国主義の世界的野望の犠牲者である、イギリス人やスコットランド人の青年たちに対して感じるのと同じ状況で、同じように感じるべきなのだろうか? ノーランは“唯一私に興味があった疑問は、 彼らは脱出できるか?”だと言ったのを恥ずかしく感じるべきなのだが、彼はたぶんそう感じるまい。

ジョシュア・レヴィンの『Dunkirk: The History Behind the Major Motion Picture』が、ノーランの映画封切りにあわせて刊行された。助監督のニロ・オテロが“クリス[ノーラン]が歴史の教訓を与えないことを選び、ダンケルク物語を、サバイバル映画として描いた事実が、インパクトを強めている。‘後に歴史になるものの真っ只中にいると、それが歴史だとはわからないものだ。’と考えている”とレヴィンは説明している。

レヴィンはこう書いている。“クリスは、歴史を観客にとっての個人的経験に煎じつめることで、映画がロールシャッハ・テストのようなものになることを期待していた。彼は政治的解釈を観客に押しつけたくはないのだ。彼はそういうことには興味がない … 彼は我々を主人公の視点にたたせる普遍的な映画を作りたいのだ。そうすることによって、‘観客は『ダンケルク』の中で、彼らが見出したいものを見出せるのだ’と彼は言う。 ”本当の『ダンケルク』発見とは一体何だろう?

もちろん、ダンケルクのドラマに参加した人々の多くは、自分たちが何をしているのかを知っていたか、多少は理解していた。 政府と既成支配体制が全体として、危険を軽視する中、普通のイギリス人の多くが、ヒトラーとファシズム脅威に反応していたのだ。結局、1930年代中、自国の支配階級の手によって、ひどく苦しめられ、 栄養失調にさせられたイギリス労働者階級は、反抗的で、敵意を持っていたのだ。

実際、ダンケルクのエピソードに関して決して十分回答されていない一つの疑問は、一体なぜヒトラーは、イギリス軍を絶滅できていた可能性が極めて高い戦車攻撃を、数日間中止するよう命じたのかだ。ロンドンと和解に至る希望を彼がまだ持っており、イギリスにおける社会革命の可能性を彼が恐れていたため、イギリス陸軍を殲滅するのは長期的にはナチスの利益にならないと、ファシスト指導者は感じていたためだと主張するむきもある。

「テレグラフ」で、ノーランはこう語っている。 “現在の観客に直接関係しない、古びたものと片づけられるような映画は作りたくないと思っていた。… まずは、状況の政治にはまりこんでしまうのを即座に排除することだった。室内で、地図上で色々動かしている将軍たちは登場しない。チャーチルは登場しない。敵はおぼろげにしか見えない。”

またしても、驚きで、目をこすらずにはいられない。フランスの戦いは、第二次世界大戦初期の極めて重大な出来事の一つで、二十世紀の重要な政治的出来事だ。戦争に関するもっとも良く知られている格言の一つで、広く公理として受け入れられている、プロイセン王国の将軍カール・フォン・クラウゼヴィッツによる“戦争は別の手段による外交の継続である”がある が、ノーランにとっては、戦争はいかなるものの継続でもなく、別の世界に存在するものなのだ。

歴史に関する真剣さの欠如と知識の欠如が結びつき、現実に対する個々の主観的認識が可能だという理由で、全てが正当化される。

著書の中で、レヴィンはこう書いている。“[ダンケルクで]海岸や防波堤に立っていた、あるいは牛にしがみついて撤退した各個人にとって、異なる現実が存在していた。並べて見ると、こうした現実は、お互いに矛盾することが多い。”ノーランはこう付け加えている。“映画は、客観的現実を規定する個々人の主観的な経験の紛らわしい性格に、大いに基づいていると私は思う。それが私が制作した全ての映画全てを貫く糸だ。全てが個人的経験に関するもので、客観的現実と矛盾する可能性があるので、映画には無限の数の経験とお互いに矛盾するだろう物語りや、様々な形のコメントと思われるものに対する余裕を是非残すようにしている。”

言い換えれば、歴史を語ることは、それぞれ他の全てと矛盾する可能性がある個々の経験、あるいは物語の要約なのだ。それぞれ同様に妥当であり、たぶん、妥当でないのだ。特定時点では、誰一人として、自分が歴史を作っているとは知ることができず、政治的、歴史的に、一体自分が、どういう場に位置しているのかさえも知ることができない。特定のイデオロギーを押しつけることによって、“歴史”は後で形成されるのだ。客観的な歴史を書こうという取り組みは、実際その生活も感情も無視される“普通の人々”に対して意地悪い物となることが多い。もっとも深遠な手法は、個々の経験をできるだけ正確かつ誠実に描いた逸話による歴史なのだ。

“時間を超越する”手法は、必然的に、抽象的であいまいな人々や出来事を生み出す結果になっている。これは、ドラマの概して微温的で、退屈な性格の説明としても役にたつ。あらゆることが失敗し、観客が興味を失うかも知れないと監督が感じる場合には、少なくとも下級兵士における人間不信と暴力に彼は頼っている。一方、ケネス・ブラナー演じる、脱出時に“桟橋長”を務めるボルトン海軍中佐は、終始冷静で落ち着いており、映画の最後の瞬間に、残ったフランス軍兵士の出発を監督する自分の場に居続けると誓約する。

徹底的な月並みだ。当今の主観主義という映画の“革新的”特徴は、実際、極めて体制順応的で国粋主義的な見方と、ぬくぬくと共存している。彼らがあたかもエイリアンで、これがホラー映画であるかのように、ドイツ軍兵士を出さないという決定にさえ及んでいる。

要するに『ダンケルク』は、第二次世界大戦勃発に関して、それからほとんど何も学ぶことができない映画だ。人類が直面している最も深刻な脅威、第三次世界大戦が勃発しかねない途方もない世界的緊張の時期に、これが撮影され、上映されているのだ。これは知的に無責任と思えないだろうか?

グーグルの検閲と戦おう!

グーグルは、World Socialist Web Siteを検索結果掲載を妨害している。

このブラックリスト工作と戦うため:
本記事を友人や職場の仲間と共有しよう。

記事原文のurl:https://www.wsws.org/en/articles/2017/07/26/dunk-j26.html
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この映画、ネットでは絶賛記事だらけだが見てlいない。

米軍が最も恐れた男~その名はカメジロー』を見にゆく予定。

2017年8月14日 (月)

“狂犬” マティス国防長官、グーグルとアマゾンを訪問

Andre Damon
2017年8月12日

水曜、ジェームズ・マティス国防長官は、声明の中で、もしアメリカ合州国の要求に従わなければ、北朝鮮は“国民の破壊”に直面することになると述べた。

前進作戦基地に向けてではなく、シアトルのアマゾン本社と、グーグルのようなハイテク企業と密接に仕事をしている、シリコン・バレーにある国防省機関訪問旅行に出発する際、2004年のイラクの都市ファルージャを残虐に征服したことで、“狂犬”というあだ名を得た退役海兵隊大将が、この大量虐殺宣言を発した。

アメリカ合州国が冷戦終焉以来のどの時点より核戦争へと近づく中、マティス訪問は、海外での戦争行為のみならず、国内政治的敵対勢力の検閲と弾圧においても、アメリカ巨大ハイテク企業が益々重要な役割を演じている証しだった。


木曜日、アマゾンCEOジェフ・ベゾス、マティスと会談[写真提供者: @JeffBezos]

北朝鮮、そして可能性としては、その同盟国の中国とさえ戦争を準備する中、マティスとアメリカ軍は、国内で、労働者階級による大規模反戦運動という形の潜在的に最大の敵対勢力と直面していることを十分承知している。軍国主義や戦争の拡大には、常に民主的権利に対する攻撃の強化や独裁的支配の進展がともなう。

現在アメリカでは、軍、諜報機関や主要マスコミは、左翼、反戦ウェブ・サイトを沈黙させることを狙った組織的検閲を実行するため、ハイテク企業、まず第一には、グーグルと協力している。この作戦の主要標的はWorld Socialist Web Siteだ。

過去三カ月、インターネットで“偽ニュース”と戦い、“信頼できる”内容を促進するという名目で、グーグルは検索アルゴリズムに変更を施し、主要左翼ウェブ・サイトの検索トラフィックを45パーセントも減らした。この政治検閲作戦は、グーグル検索からのWorld Socialist Web Siteへのトラフィックを、三分の二以上減らした。

マティスとハイテク企業幹部との話し合いで、グーグルが展開している検閲アルゴリズムが重要な部分を占めたのは確実だ。しかし訪問の名目上の狙いは、シリコン・バレーの企業を、戦争を遂行するための成長著しい、儲かる商売によりしっかり組み込むことだ。

木曜、マティスは巨大ハイテク企業のシアトル本社でアマゾンCEOジェフ・ベゾスと会見し、金曜、彼は、カリフォルニア州マウンテン・ビューのグーグル社から3.2キロにある国防省のユニット、国防イノベーション実験ユニット(DUIX)本部を訪問した。ユニットの顧問の中にはグーグルの親会社アルファベット会長エリック・シュミットもいる。

マティスは、DUIXを通じたペンタゴンとシリコン・バレー企業との提携は、アメリカ軍をこれまでになく“より壊滅的で、より効果的”にするだろうと述べた。DUIXは、アメリカのハイテク企業に軍事技術契約を発注している。

事業で、人工知能、自律運転装置や宇宙などの分野で、45のパイロット・プロジェクトで、既に1億ドル以上契約している。DUIXのウェブ・ページは、ハイテク企業に“1000億ドル+ 市場をうまく活用する”よう奨励している。

訪問時、マティスは“ユニットの成果として、ここでのAIの進歩をアメリカ軍への組み込むのに我々は上達する”と宣言し、それは軍に対する“影響を増大する”だろうと述べた。ブルームバーグ・ニュースによれば、DUIXが展開してきたプロジェクトの中には“逃走する車輛などの”標的に対する空爆を調整するシステムもある。

用意された発言の後、アメリカ軍は北朝鮮に対する“軍事オプション”の“用意”が出来ているとマティスは補足した。

ペンタゴンにとって、外国で戦争を行う上で、巨大ハイテク企業の通信インフラ以上に重要なのは、世論を形づくり、反戦、反政府感情の表現を阻止するため、彼らの通信インフラを利用することだ。この分野における主要組織に、グーグルの親会社アルファベットの子会社でジグソーという名のシンクタンクがある。コンドリーザ・ライスとヒラリー・クリントン両人の元国務省顧問をつとめたジャレッド・コーエンがジグソーを率いている。

ジグソーの最も目立つプロジェクトは“パースペクティブAPI”と呼ばれるウェブ・コメント検閲システムで“人々の意見交換を台無しにしかねない、好ましくないコメントを特定するためのウェブ・パブリッシャー用の新ツール”だ。

主要アメリカ新聞と協力して開発されたツールは、ニューヨーク・タイムズのコメント欄のコメントに削除の印を付けるために、既に導入されている。“CIAはシリア内のイスラム教主義者に武器を与え、何千人も殺害した”という言葉を含んだコメントには、パースペクティブAPIによって、66パーセント“好ましくない”という印がつけられる。“アメリカ政府は素晴らしい”というコメントへの“好ましくない”パーセントはゼロだが、“アメリカ政府は腐敗している”は、71パーセント“好ましくない”という印が付けられると今週、ウィキリークスが報じた。

今年第二四半期、アメリカ政府へのロビー活動で、グーグルは過去に使ってきた以上の金額、約600万ドルを費やした。これはアメリカの他のどの会社が使った金額より多かった。

グーグルは、前のホワイト・ハウスとは極めて親密な関係にあった。インターセプトは、“オバマが大統領になった時から、2015年10月までに、グーグルの代表は、ホワイト・ハウスの会議に、平均、週に一回以上、出席していた”と報じている。

インターセプトの報告は更にこうある。“[オバマ]政権中、約250人の人々が政府職員から、グーグル社員、あるいは、その逆方向に移動した”更に、こう結論している。“政府とここまで親密になった公開企業は他にない”

巨大ハイテク企業と軍との提携増大は、最近の一連の報告書で、政治的敵対勢力の増大を制御するのは現代軍事戦略の重要な要素であり、インターネット通信の支配は、軍事作戦にとって“極めて重要”だと述べたアメリカ陸軍士官学校の所見と一致している。

4月に陸軍士官学校によって刊行された“要地、ソーシャル・メディア: 我々はそこを確保できるか?”と題する研究は“大義を宣伝し、プロパガンダを広め、誘惑されやすい人々を勧誘するためにメディアを利用する過激派や敵対的組織の能力同様、ソーシャル・メディアのメディア環境に対する影響は広く認識されている”と述べている。

更にこう結論している。“ソーシャル・メディアは21世紀における軍事作戦の事実上あらゆる側面で益々直接的な影響力を持つだろうし”軍は“特に、ごまかしと心理作戦(PSYOPS)での利用”で、ソーシャル・メディアに対する支配を強化しなければならない。

先月発行されたある国防省報告書が警告していた“基本的支配権を巡る政府と国民との間の溝が広がる”中、オンライン通信に対する支配は、益々重要になる。

この報告書は、国民が“政治的連帯や忠誠心の無数の代替源”に触れられるようになっている為“現在、全ての国々が、威信、影響力、精力が及ぶ範囲や、吸引力の急激な衰退を味わっている”と結論している

また昨年刊行された他の報告書は、国際的反目の増大が“社会秩序”の危機の激化をもたらしているとも警告していた。

国々はライバル国のみならず、“自らがその上に依拠している、脆弱で反抗的な社会秩序”によって“今や全て、危うい流砂の上に立ちながら、お互い競合する権益を巡って格闘していると結論づけている。

新たな大規模戦争の危険が高まる中、資本家支配層エリートによる戦争計画に反対して、労働者階級を動員するために、情報への自由で拘束されないアクセスは益々極めて重要になっている。全ての読者に、WSWS記事をソーシャル・メディアで共有し、グーグルによるインターネット検閲に対する戦いに参加するよう我々は呼びかける。

筆者は下記もお勧めする。

グーグル、WSWSの上位45の検索単語全てをブロック(英語原文)
[2017年8月4日]

記事原文のurl:http://www.wsws.org/en/articles/2017/08/12/matt-a12.html
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Perspective API 「評価API」という意味だろうか。検索してみると翻訳された記事があった。

昨夜の731部隊ドキュメンタリー、ロシアでの裁判時の証言録音が使われていた。
莫大な研究費が軍から支出されており、国民全体の雰囲気も、有名大学出身の医師たちによるとんでもない研究を後押ししていたという。
医師の出身大学にも膨大な研究費が割り当てられていた。
医学部の上司から、満州に行かないなら、首だと言われたという話もあった。

画面に登場する方々は、医師ではなく、使い走りの元少年兵の方々。
一人、まともな発言をした医師の録音があって驚いたが、彼は帰国前に自殺したという。他の大多数の医師は、帰国後、大いに出世した。

番組では出てこなかったが、血友病の方々に使われた血液製剤で、エイズを蔓延させた「ミドリ十字」の創始者は731部隊幹部だった。

無人機操縦者もPTSDになるというが、そういうシステムを開発しているエンジニアはどうなのだろう。

日本の学術会議でも軍事研究は話題になっている。国家からの予算が削減される中、研究費の工面で、倫理観は後退するだろう。

武器輸出と日本企業』という新書、官房長官の回答拒絶話法に鋭く切り込む記者によるもの。

武器輸出大国ニッポンでいいのか』という共著も拝読予定。

この記事にも出てくる巨大ネット書店で『武器輸出と日本企業』を見ると、とんでもない酷評があり、しかも、それに賛成する連中が何十人もいることになっている。

最近読み終えた『偽りの経済政策――格差と停滞のアベノミクス』の書評をみると、やはり実にとんでもない評価記事が賛成多数になっている。

こうしたものも一種「逆Perspective API」による逆宣伝ではと勘繰りたくなる。

あの巨大書店書評で罵倒されている本こそ、良書だというのが小生の理解。もちろん、あそこからは決して買わない。

罵倒書評で思い出したのが、IWJインタビュー「日米開戦の隠された真実に迫る!新刊『日米開戦へのスパイ 東條英機とゾルゲ事件』著者・孫崎享氏 (元外務省国際情報局長)に岩上安身が訊く!第一弾 2017.8.12」で触れられていた孫崎享氏の『戦後史の正体』に対する佐々木俊尚書評。「本書は典型的な謀略史観でしかない。」
後日、新聞はこの部分を削除した。書いた本人はとぼけているらしい。

新聞書評、今「逆Perspective API」化しているのかどうかは購読しておらず、わからない。

2017年8月12日 (土)

言論の自由を抑圧すると決めたグーグル

2017年8月8日
Paul Craig Roberts

これは今朝の先の投稿記事、http://www.paulcraigroberts.org/2017/08/08/facts-supplanted-propaganda-wherever-look/ (日本語翻訳記事)に対する更新記事だ。

グーグル社内で、事実に基づかないイデオロギー文化に疑問を呈したハーバード博士号を持つエンジニアが突き止められ、解雇された。

グーグルCEOのサンダー・ピチャイは、自分の見解を発表した従業員は、グーグルの行動規範に違反し、“職場で、ジェンダーに関する有害な固定観念を助長し”越えてはならない一線を越えたと述べた。元従業員ジェームス・デイモーは、自分の意見を表明して“ジェンダーに関する固定観念を永続させた”かどで解雇されたことを認めた。

デイモーを解雇したか、グーグルの思想取り締まり責任者、ダニエル・ブラウンが、デイモーを解雇するのを認めたかしておいて、サンダー・ピチャイは偽善茶番を演じた。サンダーは、デイモーに触れてこう言った。“職場で、特に少数派の視点で、自分の考えを安心して言えるのかどうか疑問に思っている同僚たちに触れた。彼らも脅威を感じているが、これは良いことではない。人と異なる意見を自由に言えると、思えなければいけない。”

自分の意見を発表したかどでデイモーを首にしておいて、サンダーはこう確認したのだ。“グーグル社員が自らの意見を表明する権利を強く支持する”。サンダーはこう述べた。“メモの中で挙げられていた多くの点 - グーグルの訓練に対する批判の部分や、職場におけるイデオロギーの役割に対する疑問、女性や、十分な配慮を受けていない集団に対するプログラムが全ての人々に十分開かれているかどうかという論議は重要な話題だ。書いた人物は、こうした話題について、彼らの(原文通り)見解を表現する権利があった - 人々がこういうことをできる環境を我々は奨励しており、こうした議論を引き起こす誰に対しても取り締まらない方針を続けてゆく。”https://www.recode.net/2017/8/7/16110696/firing-google-ceo-employee-penned-controversial-memo-on-women-has-violated-its-code-of-conduct

しかしながら、グーグル社員は、フェミニスト・イデオロギーに疑問を呈してはならないのだ。

グーグルが表現の自由に反対しても、我々は驚くべきではない。報道によれば、グーグルは、あらゆる人々に、あらゆる場所で、違憲なスパイ行為をし、自立した異議を唱える思想や表現を抑圧するため、NSAとCIAに協力して動いている。

例えば、7月31日、World Socialistウェブ・サイトはこう報じた。“4月から6月までの間に、グーグルは、大企業や国が支配するマスコミから自立して活動しているインターネット・ウェブ・サイトへの人々のアクセスを大幅に減少させるよう、検索エンジンの大規模改修を完了した。変更実施以来、多くの左翼、反戦、進歩派ウェブ・サイトは、グーグル検索でもたらされるトラフィックが急激に減少している。World Socialist ウェブ・サイトは、グーグルからのトラフィックが、わずか一月で、70 パーセントも減少した。” https://www.wsws.org/en/articles/2017/07/31/goog-j31.html

Global Researchの記事で、グラハム・ヴァンバーゲンが、グーグルによって、偽ニュース、あるいは陰謀論サイトだと恣意的に烙印を押され、グーグルが、読者数を、19から67 パーセントも減らすのに成功した13のウェブサイトのリストを挙げている。

* wsws.org 67パーセント減
* alternet.org 63パーセント減
* globalresearch.ca 62パーセント減
* consortiumnews.com 47パーセント減
* socialistworker.org 47パーセント減
* mediamatters.org 42パーセント減
* commondreams.org 37パーセント減
* internationalviewpoint.org 36パーセント減
* democracynow.org 36パーセント減
* wikileaks.org 30パーセント減
* truth-out.org 25パーセント減
* counterpunch.org 21パーセント減
* theintercept.com 19パーセント減

こうしたサイトのどれも、偽ニュースやら陰謀論サイトではないことは全く明白だ。こうしたサイトは、人々に与える言説を管理するのに使われている公式のウソに疑問を投じるがゆえに、グーグル検閲の対象になっているのだ。印刷メディアもTVメディアもNPRも支配下に置いたので、今や支配権を握るごく少数の権力者集団は、人々を、がっちり『マトリックス』の世界に閉じ込めておくために使われている公式のウソと異なるあらゆるインターネット言辞を封じようと動いているのだ。

グーグルは独占企業だ。独占主義者連中が、シャーマン法などのアメリカの反トラスト法を死文に変える前だったら、グーグルは解体されていたはずだ。現在グーグルは、反トラスト法の崩壊のおかげのみならず、アメリカ警察国家にとっての有用性によっても守られている。グーグルの積極的な協力無しには、NSAは、全面スパイ・ネットワーク、国防に役立つだけでなく、支配権を握るごく少数の権力者集団の狙いから逸脱する反体制派も抑圧できるネットワークを完成できていなかったはずだ。

グーグルは、その権力を色々な形で濫用している。例えば、ポデスタ電子メール漏洩の中には、グーグルのエリック・シュミットから、クリントンの首席補佐官だったシェリル・ミルズ宛ての、民主党が大統領選挙で勝利するのを支援するため、アメリカ人をスパイするのにグーグルの能力を提供しようというものがあったとウィキリークスは報じている。http://www.zerohedge.com/news/2016-11-01/wikileaks-reveals-googles-strategic-plan-help-democrats-win-election

どうやら、グーグルは、真実の代わりに、ウソとイデオロギーを支持すると固く決めた怪物になるのを選んだようだ。ワシントンに立ち向かう勇気のある他の国が、ライバル検索エンジンを作り出さない限り、真実は地表から消えるだろう。

Paul Craig  Robertsは元経済政策担当の財務次官補で、ウオール・ストリート・ジャーナルの元共同編集者。ビジネス・ウィーク、スクリプス・ハワード・ニュー ズ・サービスと、クリエーターズ・シンジケートの元コラムニスト。彼は多数の大学で教えた。彼のインターネット・コラムは世界中の支持者が読んでいる。彼 の新刊、The Failure of Laissez Faire Capitalism and Economic Dissolution of the West、HOW AMERICA WAS LOST、The Neoconservative Threat to World Order.が購入可能。

記事原文のurl:http://www.paulcraigroberts.org/2017/08/08/google-committed-suppression-free-speech/
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World Socialist Web Siteが、この話題を最初に扱ったのは、「グーグルの新アルゴリズム、左翼、進歩派ウェブ・サイトへのアクセスを制限」だったと思う。現在も、詳しい記事を続いて掲載している。

筆者のインタビュー記事、PCR’s latest interview with Greg Hunter, USA Watchdogの言葉に座布団十枚。

それによって、残りの人生をずっとテレビの前で過ごしたり、ニューヨーク・タイムズのあらゆる号を読んだりして得られるものより遥かに多くの真実を知ることができよう。

真実を知りたければ、“主要マスコミ”は捨て去ることだ。

ご意見に従って、大本営広報部大政翼賛会は読まず、見ずに、本日は三時からIWJによる孫崎享氏インタビューを拝見予定。以下、日刊IWJガイド・ウィークエンド版の一部を引用させていただこう。

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 さて、3連休の中日となる本日は、15時から岩上さんによるインタビュー「日米開戦の隠された真実!新刊『日米開戦へのスパイ東條英機とゾルゲ事件』著者・孫崎享氏に(元外務省国際情報局長)岩上安身が訊く!」をライブ配信でお届けします。

 「ゾルゲ事件」とは、ロシア系ドイツ人のリヒャルト・ゾルゲを中心とするソ連のスパイ組織が1933年から1941年にかけて日本で諜報活動を行なったとして、その構成員らが逮捕された事件です。同組織の中には、近衛内閣のブレーンであった元朝日新聞記者の尾崎秀実(おざきほつみ)も含まれていました。

 19名に有罪判決が下され、ゾルゲ、尾崎は死刑。5人が獄死、1人が服役中危篤となり、仮釈放後に死亡しています(執行猶予2人、戦後釈放9人)。ゾルゲらの任務は主に日本の対ソ戦略の調査と、対ソ攻撃研究の計画や報告とされ、大戦前夜の日本を揺るがせた「20世紀最大のスパイ事件」とも言われてきました。

 しかし、後世になってこのゾルゲの情報の多くは不正確だったことが明らかとなっています。

 岩上さんが聞き手を務めるIWJのインタビュー番組には幾度となくご出演いただいております元外務省国際情報局長の孫崎享氏は、最新の著書『日米開戦へのスパイ東條英機とゾルゲ事件』の中で、次のような疑問を呈しています。

 「ゾルゲ事件を論じる時、『具体的にいかなる国益が侵されたか』『はたして極刑に値したのか』という論点がほとんど論じられていない」――

 その上で孫崎氏は、「ゾルゲ事件は『関係者を死刑や無期懲役にできるような事件ではなかった』」と断言。「『スパイ』という、ただその言葉だけによってその人を葬るに足るような、ときがたい汚名をきせられた事件」との見方も示しています。

 他方、この事件は「東條英機陸相が近衛文麿首相を追い落とす」ために利用され、「日米開戦の本筋と大きく関わっていた」と強調。「20世紀最大のスパイ事件」の虚像、「ゾルゲ事件」の本質に同書は迫っています。

 2014年、孫崎氏が出版元の祥伝社と相談をしたとき、「日米開戦とゾルゲ」をまず提案。「ゾルゲ事件」は、なんと、孫崎氏が40年間も構想を温めてきたテーマだったそうです。

 しかし、書き始めてみると、どうしても日米開戦を語るには日露戦争からの政治の流れを書く必要があると判断し、まずは『日米開戦の正体』を執筆。同書はベストセラーになりました。同書の発売時には、すぐに岩上さんが2度にわたるロングインタビューを行っています。この時のインタビューは合計8時間にも及んでいます。

※“史上最悪の愚策”真珠湾攻撃を行った当時の日本と似通っている現在の安倍政権~安保法制、TPP、AIIB、中東情勢について、『日中開戦の正体』著者・元外務省国際情報局長・孫崎享氏に岩上安身が聞く―第1弾 2015.6.8
http://iwj.co.jp/wj/open/archives/248422

※日中の軍事バランスは核兵器を含めて1対100!? 「真珠湾攻撃の時と同様、戦争にはなり得ない」岩上安身のインタビューで孫崎享氏が「日米開戦の正体」を暴く! ―第2弾 2015.8.3
http://iwj.co.jp/wj/open/archives/256172

 孫崎氏は、「忠臣蔵」の外伝に相当する「日米開戦とゾルゲ」を論じる前に、まずは本編である「忠臣蔵」(つまり『日米開戦の正体』)を書いてから、次に外伝として「日米開戦とゾルゲ」をテーマに本を書こうと考えたそうです。しかし、今回、執筆にあたって勉強してゆく中で、ゾルゲ事件は外伝ではなく、「日米開戦」の本筋と深く関わっていることに気づいたといいます。

 「何としても戦争を回避したい」派の近衛文麿首相から、開戦派の東条英機陸相に内閣が交代した時こそが、「対米戦争開戦」という、日本史上もっとも愚劣な政治決断に日本が舵を切る分岐点でしたが、近衛内閣崩壊の「謀略」として開戦派に利用されたのが、なんと「ゾルゲ事件」だったというのです。今回の新刊『日米開戦へのスパイ東條英機とゾルゲ事件』は、『日米開戦の正体』の「外伝」ではなく、まさに日米開戦を語る上で絶対に外せない「本筋」そのものだったのです。

 現代の若い世代には知る人は多くないかもしれませんが、戦時中に「ゾルゲ事件」という有名な事件が起きました。

 因みにこの事件は、巨匠篠田正浩監督の引退作品『スパイ・ゾルゲ』として映画化。元「シブがき隊のモックン」こと本木雅弘氏が尾崎を、映画『バイオハザード』ではアイザックス博士役だったイアン・グレン氏がゾルゲを演じ、3時間を超える大作として2003年に公開されました。

 本日の岩上さんのインタビューも濃密な3時間になることは必至です。どうぞご期待ください!

 インタビューは下記よりご視聴いただけます。

▽日米開戦の隠された真実!新刊『日米開戦へのスパイ東條英機とゾルゲ事件』著者・孫崎享氏に(元外務省国際情報局長)岩上安身が訊く!
2017年8月12日 15時から18時(予定)

※YouTube Live
https://www.youtube.com/user/IWJMovie/videos?shelf_id=4&view=2&sort=dd&live_view=501

※ツイキャスLive
http://ja.twitcasting.tv/iwakamiyasumi

 孫崎氏の新刊のあとがきには、尾崎が処刑直前に担当弁護士に送ったとされる手紙が紹介されています。その中で尾崎は「私の最後の言葉をもう一度繰り返したい。『大きく眼を開いてこの時代を見よ』」と綴っています。

 新たな視点、視野、視座を与えてくれる同書は、インタビュー後に孫崎氏の自筆サイン入りでIWJ書店にて販売開始予定です。準備ができ次第日刊ガイド等でお知らせ予定ですが、こちらにもご注目ください!

※IWJ書店はこちらから。(『日米開戦へのスパイ東條英機とゾルゲ事件』は著者インタビュー後、孫崎さんにサインを入れていただき、準備が整い次第、販売開始となります)
https://iwj.co.jp/ec/products/list.php?category_id=16

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2016年3月11日 (金)

元大統領ルーラの逮捕と、ブラジル支配層の危機

2016年3月9日

先週、拡大するペトロブラス・スキャンダルに関連して、元大統領で、労働者党(パルティード・ドス・トラバハドーレス-PT)創設者のルイス・イナシオ・ルーラ・ダ・シルバが拘留され、尋問されたことが、ブラジル与党のみならず、ブラジル全体のブルジョア支配の危機を劇的に激化させた。

ルーラは、このエネルギー・コングロマリットとの契約の見返りにブラジルの建設会社から利益や、リベートを受けとっていたとされ、ペトロブラス賄賂の“主な受取人の一人”であると非難されている。

PTはブラジル資本主義の主要政党として登場して、十年以上、権力の座にあり、国内・海外の金融・大企業オリガーキー支配勢力の権益を擁護し、ブラジル債務をウオール街に返済すべく、何百億ドルもの社会的資源を忠実に回している。

最初はルラ 、次は彼自ら厳選した後継者、現在のジルマ・ルセフによる大統領支配は、かなりの部分、中国とインドの産業化と、ブラジルがその先頭の一国である“新興市場”への外国資本投資の狂乱によって加速された、未曾有の商品相場急騰と重なった。

この現代の経済環境が中南米における、いわゆる“左転換”の基盤となり、ブラジルから、ベネズエラ、ボリビア、アルゼンチンやエクアドルに至るまでの政府が、左翼民族主義的姿勢をとりながら、階級間の緊張緩和を狙う限定的な社会福祉プログラムを推進した。

商品相場の急騰は、中国成長の減速とともに行き詰まり、金融市場の元寵児ブラジルが、ウオール街の格付け機関によってジャンク状態に格下げされることになった。

ブラジルのPTの危機は、ベネズエラのチャベス主義、アルゼンチンのペロニズムや、ボリビアのエボ・モラレスの社会主義運動政府の危機と並行しており、このいずれも正に同じ資本主義体制の世界的危機によって動かされている。

これら全ての政治運動の中で、中南米最大の国と経済を支配し、大多数のブラジル国民が物心ついて以来、労働党政権のもとで暮らして来たPTは最も重大で揺るぎないものだ。

ブラジルの20年間の軍事独裁を致命的に不安定化させた大規模ストライキの戦闘的な波の後、1980年に設立されたPTと、それが提携する労働組合連合CUTは、ブラジル労働者階級の革命闘争を逸らし、ブルジョア国家支配下に押し返す手先として機能した。

組合幹部、カトリック活動家や学者とともに、似非左翼組織のお仲間連中が、PT創設で重要な役割を演じ、労働者階級の大規模な革命政党構築の代案として、労働者党を推進した。ヨーロッパにおける彼らのお相手役、特に歴史的に、エルネスト・マンデルのものだとされる修正主義的傾向のUnited Secretariatと提携する集団が、同様な政党の発展のモデルとして、PTを国際的に推奨した。

これら似非左翼集団のなかには、益々右に移り、PTから追放され、現在PSTU (統一社会主義労働者党)に集まっているモレノ派もある。内部に残ることに成功した他の連中には、農業改革相となり、現在、ルセフの大統領首席補佐官で首席報道官のミゲル・ロセトを指導者とするマンデル派のデモクラシア・ソシアリスタ(民主社会主義者)集団がある。

こうした流れで、追放された連中と、内部に残った連中とが演じた重要な役割は、徹底的に反動的で腐敗した資本主義政党に“社会主義”の装いを与えることだった。彼等はPTのみならず、いずれもブラジル労働者階級の戦いを、ブラジル資本と国際資本権益の利益に従属させる役目のCUT労働組合や様々な飼い馴らされた“社会運動を推進した。

約35年前、ブラジルの軍事独裁に反対して登場した革命運動の歴史的裏切りが、今や、指導者連中全員が ペトロブラスを巡る20億ドルの賄賂と政治献金スキャンダルの泥沼に引きずり込まれつつあるPTの根本的危機と不名誉という完成表現になったわけだ。

先週、ペトロブラス・スキャンダルにからんで、昨年11月逮捕されたPT指導者の一人、ブラジル上院議員デルシディオ・アマラルが検察との司法取り引きに応じて、ルラは捜査で、証人を沈黙させようとし、ルセフがペトロブラスが、テキサス州パサデナの老朽精油所 途方もない水増し価格で購入し、何百万もの収入が、幹部、政治家や、PTの金庫に注ぎ込まれたた取り引きについて“十分承知していた”と非難したと報じられた。当時ルセフは石油会社会長だった。

ルラ尋問とともに、こうした訴えが、ルセフを弾劾しようとするブラジル右派の動きを復活させた。この日曜、PT大統領の追放を要求する全国での大規模デモを呼びかけている。同じ日に、ルラとルセフを擁護するPT支持者も集会を呼びかけており、暴力衝突の可能性があるという警告もある。

ブラジル人労働者にとって、1930年代の大恐慌以来最悪の現在の危機は壊滅的な影響をもたらしている。2015年、100万以上の雇用が喪失したが、その多くは自動車や関連産業だ。何百万人もの若者が、就職の見込みも無しに大学を卒業している。10パーセントのインフレ率は実質賃金に食い込み、昨年、家計支出は、4パーセントも減り、不況への落ち込みを更に悪化させている。

危機に対するルセフ政府の答えは、年金や社会的支出を攻撃する一連の緊縮政策で、労働者階級の状態を更に悪化させている。PTの右派反対勢力は弾劾を推進することを狙った政治戦術として、こうした施策を阻止しているが、彼らの処方も同じか、よりお粗末だ。

ブルジョア経済学者や資本主義シンクタンクが推進するブラジル経済が直面する本当の難題という主張は、軍事独裁後施行された1988年憲法に含まれている限定された社会的権利をブラジル国民から奪い、ブラジルを限りない国際資本による支配に開放するものだ。

そのような施策が平和裡に実施されることはありえない。おそらく先週のルラ短期拘留を巡る最も重要な進展は右派ブラジル日刊紙オ・グローボの数人の記者が報じたものだ。

オ・グローボ紙のリカルド・ノブラトが、逮捕時、サンパウロの軍大隊が、抗議行動の抑えが効かなくなった場合に備えて警戒態勢に置かれたと報じた。

ノブラトによれば“軍最高司令部のメンバーが、過激政治集団との紛争が一番起きそうな州の知事たちに電話をかけ、社会平和の維持の必要に備えさせた”。弾劾支持の趣旨で、コラムニストは、将軍たちは“憲法で予想されているように、法と秩序を保障すべく介入するよう要請され”たいとは思っていないことを確認した。

オ・グローボのコラムニスト、メルバル・ペレイラは、まさに同じ憲法上の軍の“任務”に触れ、もしPTに反対する右派諸政党が“民主的危機脱出策を求めて団結しなければ、組織的退化の脅威に直面する”言い換えれば軍事独裁への回帰となることを警告した。

現在、ブラジル労働者が直面している危険な手詰まりに対する責任は、これを推進した労働者党や様々な似非左翼組織にある。この危機に対する答えは、社会主義と国際主義的視点に基づき、PTや、その擁護者の政治に対する容赦ない戦いによって作り上げられた、労働者階級の新革命指導部を構築する戦いの中にあるはずだ。

記事原文のurl:http://www.wsws.org/en/articles/2016/03/09/pers-m09.html

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五輪前、奇病流行、政治不安。この国と大違い。

1945年3月10日、東京大空襲。

1964年(昭和39年)12月4日に日本本土爆撃を含む対日無差別爆撃を指揮した米空軍司令官カーチス・ルメイ大将に対し勲一等旭日章の叙勲を第1次佐藤内閣が閣議決定し、理由は航空自衛隊育成の協力で、授与は7日に行われた。
当時の防衛庁長官が小泉純也。今、選挙のテーマを反原発にしろと茶々をいれて、自分が進めた郵政破壊による日本再占領を、TPPで完結するのを幇助している御仁の父親。
「功績と戦時の事情は別個に考えるもの。防衛庁の調査によれば当時ルメイは原爆投下の直接部隊の責任者ではなく、サミュエル・モリソンによれば原爆投下はトルーマン大統領が直接指揮したものである」と彼は説明したという。

1945年8月4日、カーチス・ルメイが、広島への原爆投下、コード名「オペレーション・センターボード」を承認した。と宗主国ウェブにある。

焼夷弾で効果的に焼き尽くすため、アメリカ軍は、ユタ州の砂漠に東京下町の木造家屋が続く街並みを再現して実験した。(縮小模型ではなく、実寸大。)

この住宅を設計したのが、チェコ出身の建築家、アントニン・レーモンド。
軽井沢のセントポール教会、聖心女子学院聖堂、東京女子大学チャペルで知られている。

広島原爆ドームとして知られる「広島県産業奨励館」は、チェコ人建築家ヤン・レツル設計。
聖心女子学院校舎も設計したが、関東大震災で倒壊。現存は正門のみという。

空爆の歴史―終わらない大量虐殺』本の山に埋没、みつからない。 第四章 大量焼夷攻撃と原爆投下―「都市と人間を焼きつくせ」

原爆にこりずに、原発を推進する愚の悲惨な結果から五周年

大本営広報部・御用学者ではない、誠実な原発技術者による現状報告。

2016/03/09 第48回 69(ロック)の会「進行中の原発事故、その現状」(動画)

【岩上安身のツイ録】IWJの財政が悪化!このままでは7月末には最悪3千万円の大赤字の見通し!皆様、ご寄付・カンパでの緊急のご支援をお願いします!IWJのピンチをお助けください!

『夕陽妄語 2 1999-2000』が刊行された。 333-334ページ 1997/10/22  「宣長とバルトーク」から引用させていただこう。

日本は多くの分野で米国に従い、戦後「米国の軍事行動に反対したことのない」(橋本首相)日本政府は、地域を限定せず将来の米国の軍事行動に「自主的」に広汎な支援を行う約束をしようとしている。(「新防衛協力指針」。)「ほかの国から見れば、どうせ日本は自分の考えがなくてアメリカについていってるんだから、日本にはいくら話てもしょうがない」というところまで状況は進んできたのである。

2016年2月 7日 (日)

『不屈の男 アンブロークン』: 何かに仕える凡庸なハリウッド作品

Charles Bogle
2015年1月7 日
wsws.org

アンジェリーナ・ジョリー監督の『不屈の男 アンブロークン』は、ローラ・ヒレンブランドによる、第二次世界大戦中、日本の捕虜収容所でのアメリカ人オリンピック選手ルイ・ザンペリーニの痛ましい体験に関する2010年のノンフィクションに基づいている。ヒレンブランドの最初の著書『シービスケット: あるアメリカ競走馬の伝説 』(2001年)は有名な競走馬に関する“感動的な”物語だった。2003年にハリウッドで映画化もされた。

『不屈の男 アンブロークン』

第二次世界大戦に到る時期以来、最も張り詰めた現在の世界的緊張状況からして、映画監督は、結局は二十世紀の重要な出来事のいくつかと、主要大国のいくつかが関係する、ザンペリーニ物語のパンドラの箱を探る誠実な取り組みをしてくれるだろうと期待したくなる。

悲しいことに、ジョリー女史は、他の人々より優れていた、あるいは、道徳的に強かったが故に拷問され、まさに同じ理由で生き抜いたアメリカ人の陳腐な物語という、またもう一つのハリウッド・ヒット作を制作することを選んだ。

イタリア移民の息子、ルイス・ザンペリーニ(子ども時代のルイは、C.J. Valleray、青年役は、ジャック・オコンネル)は、民族的出自ゆえに年中いじめられ、更には喧嘩をしたかどで、父親に叩かれる(子ども時代の場面は回想シーンとして示される)。

兄のピート(少年時代は、John D’Leoが、成人はアレックス・ラッセルが演じる)が、弟が非常に早く走れることに気がつき、ルイを、真面目に練習し、トラック競技に進むよう説得する。ルイは、その成績でじきに栄冠を勝ち取り、自信も持つようになる。実際、高校最上級生の彼が、ナチス・ドイツで開催された1936年夏季オリンピックの5000m競争で、アメリカ人走者中で最高位(8位)になったほどだ。

『不屈の男 アンブロークン』

ルイの走者としての更なる進歩は戦争の勃発によって中断される。さらに悪いことに、彼と他のアメリカ爆撃機乗組員たちは海に不時着をしいられる。生き残ったのは、ルイと他の二人、フィル(ドーナル・グリーソン)とマック(フィン・ウィットロック)だけだ。

ゴムボートで47日間漂流し、マックを失った後、ルイとフィルは日本船に拾いあげられ、捕虜収容所に入れられる。他の捕虜収容所に送られたフィルと別れたルイは、オリンピックでの悪評と、どうしても折れようとしないため、じきにサディスティックな渡辺伍長 (石原貴雅=MIYAVI)によるむち打ちの標的となる。この虐待が映画の大半を占めている。

ベテラン撮影監督ロジャー・ディーキンス(『ショーシャンクの空に』、『ノーカントリー』、『007 スカイフォール』他)は新技術を使用して、ワクワクさせるような本格的な戦闘場面を生み出している。敵機が下から急上昇し、機関銃砲撃を爆撃機の金属外装にビシビシ打ち込む(飛行機が飛行する際のギシギシする音さえ聞こえる)。そして乗組員の表情の多くのクローズアップや、様々なアングルからのショットが、不確かさと恐怖のさなかの意志の強さの真に迫った感覚を生み出している。

不幸にして、このカメラワークだけが、この映画で例外的、あるいは実に興味をそそる特徴なのだ。

事実上、始めから終わりまで、『不屈の男 アンブロークン』は、ルイがある種の拷問に次から次にさらされ、苦難することに集中し、こうしたこと全てを生き抜くことで、彼が遥かに優れた人物になることを示す。

子ども時代、うちのめされ、オリンピック級の長距離走者になるための厳しい練習では、海で、時折、生魚を食べ、サメや日本の戦闘機に攻撃されながら生き延びる訓練が6週間続く。

そこで、日本人将校が、ルイを執拗な肉体的虐待の対象に選び出し、時には自ら虐待し、時には他の捕虜にルイを叩くよう強いる。暴力行為の合間の短い時間は、大半が益々叩かれて、あざになったルイの顔のクローズアップ、あるいは、殴打された後、収容所の広場に一人取り残される彼の姿にあてられている。

謎めいた優位性ゆえに、苦難と拷問の犠牲者となるアメリカ人主人公を描き出すのはハリウッドでは、お決まりのようなものだが(クリント・イーストウッドの欧米人主人公が、すぐに思いだされる)、過去30年間の戦争と高まる社会危機、それに伴うイデオロギー的混乱や方向感覚の喪失が、同じ主題に基づく映画の数が増えている間接的な原因には少なくともなっている。

多数の評論家が映画のルイのイエス・キリストとのつながりを指摘している。渡辺伍長がルイに、枕木を彼の頭上に長時間縛りつけて負わせる場面は特にそうだ。ルイの苦難と高い角度からのカメラ画像は明らかに、キリストを連想させる。

ハリウッドは、この同一視を利用することが多いが、『不屈の男 アンブロークン』は、この使い古された隠喩を利用することにしたため、安っぽくなった。『不屈の男 アンブロークン』のこのイメージと、拷問の場面に凝っていたメル・ギブソンのすさまじい『パッション』(2004年)のキリストが大いに似ているのはもっとひどいことだ。

ジョリーは一体なぜこの映画を制作したのだろう? 2014年7月に97歳で亡くなる前に知った晩年の“人を鼓舞するキリスト教講演者”だったザンペリーニから、個人的に着想を得たと彼女は主張している。だが女優-監督を後押しした他の力があったのだろうか?

『不屈の男 アンブロークン』

『不屈の男 アンブロークン』の主題の性格を考えると、政治的、社会的言及は驚くほどわずかだ。実際、映画は、意図的に政治と関わらないよう作られているように思える。ルイが執拗に残酷な拷問をされるのを-サディスティックな渡辺伍長は、ルイルイがスポーツマンとして有名であり、 (b) 軍人である父親が、息子が出世できないことに失望しているために、ルイを選ぶ羽目になったと、個人的問題として描きだすという選択によって-監督のアンジェリーナ・ジョリーは、観客の関心を、捕虜収容所と拷問の本当の原因、つまり、日本における階級関係と帝国主義国家の残忍さから逸らせている。

拷問を推進する上で、また拷問をする目的における、国家の役割に、観客の注意を向けようと決めたのであれば、日本の国家機構とマスコミのかなりの部分を、監督が激怒させてしまった可能性が高い(日本の様々な右翼民族主義団体がジョリーの入国を禁止するよう要求しているという事実が、日本のエリート層の敏感さを実証している)。彼女は、特にCIA犯罪に関する上院報告書が最近公開されたことからしても、アメリカ帝国主義の国家的拷問の歴史を観客に思い起こさせてもよかったはずだ。実際、ジョリーに、一体なぜ、アメリカによる拘留者拷問に関する映画を制作しないのか聞きたくもなる。

ジョエルと、イーサン・コーエン(このような脚本を書いた二人は一体何をしていたのだろう?)による脚本には、他の同様なハリウッド・ヒット作を連想させないような対話はほとんどない。演技も、石原が少年のような無邪気な表情を効果的に生かし、矛盾する感情を伝えてはいるものの、ほとんど似たようなもので、最も低俗な大衆嗜好の類型だ。

ジョリーは拷問には声を大に反対しており、反対は心からのものかも知れないが、具体的に一体何を意味しているのだろう? 先に述べた通り、いずれも言い表せないほどの虐待の場である、アメリカの“ブラック・サイト”、グアンタナモ湾抑留所や、バグラム空軍基地に関する映画を彼女は制作していない。もし彼女が『不屈の男 アンブロークン』が、拷問と、より大きな問題や影響とのつながりに気づかない人々の目をさまさせる呼びかけになると思っているのであれば、彼女は酷い見当違いをしている。

そうではなく、彼の優位性が、サディスティックな人物の自我を脅かすがゆえに、英雄的人物が拷問される個人的な厳しい試練として問題を描きだすことで、彼女の映画は、諜報機構の犯罪が体系的に暴露される必要がある時期に、アメリカの軍・諜報機構に関する神話を推進するという点で、『フューリー』『ザ・インタビュー』や『アメリカン・スナイパー』を含む他のいくつかの最近公開されている映画と同列なのだ。

ありきたりで、体制順応派の意見を持って、アメリカ支配層と提携している女優-監督は、軍メンバー向けウェブ・サイト Military.comで最近インタビューに応じている。

“私は軍にいるわけではありません”ジョリーは語る。“軍にいるということがどういうことか私は知りませんが、こうした場面を再現して、軍人たちが、お互いを信頼し、お互いを愛し、お互いを守り、共に戦い、お互いのために戦うというのは一体どのようなものかを見ると…共通の大義をもった、何かとても強い結びつき、とても美しいものがあることを実感します。あらゆる経験、確実に私が知っているあらゆることと違っていて、それが一体どのようなものかを感じさせてくれる窓のようなもので、軍務についている人々、男女の軍人たちを益々敬意を持つようになりました。”

自分の作品のより大きな含意、あるいはそれがもたらす影響力を、ジョリーが意識していない可能性は高いが、『不屈の男 アンブロークン』は“人権”や他の分野に対するアメリカの公式な取り組みという文脈で見ないわけにはゆかない。ハリウッド名士連中は、肝心な地政学的問題の手がかりもなしに、あちこち走り回り、“民主主義”について何でも知っているかのように偉そうに語り、概して、アメリカによる“援助”や“介入”をするため国務省とCIAが推進している主張を補強するのだ。

記事原文のurl:https://www.wsws.org/en/articles/2015/01/07/unbr-j07.html
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山奥の仙人ではないが、全く電気洗脳箱と無縁の快適な日を送っている。

彼女の作品、見た記憶はなく、今後も見る予定は皆無。

公開が始まった今、こういう見方も一読の価値はありそうだ。(良い翻訳でないのが残念)

2016年1月11日 (月)

スティーヴン・スピルバーグの『ブリッジ・オブ・スパイ』: 冷戦時の一エピソード

David Walsh
2015年10月24日

スティーヴン・スピルバーグの『ブリッジ・オブ・スパイ』は、冷戦時のエピソードを扱っている。1957年6月、ニューヨーク市でのソ連スパイル、ドルフ・アベルの逮捕と、約5年後、U-2スパイ機パイロット、ゲーリー・パワーズとの捕虜交換だ。


『ブリッジ・オブ・スパイ』

弁護士のジェームズ・ドノバンは、裁判でアベルの代理人となり、1962年始めの最終的スパイ交換で大きな役割を果たした。イギリス脚本家マーク・チャーマンと、アメリカ人映画製作者ジョエルと、イーサン・コーエン共著の映画脚本は、ドノバンの1964年の回想録、『橋上の見知らぬ二人: アベル大佐とフランシス・ゲーリー・パワーズ事件』に部分的に基づいている。

オープニング・タイトルが、映画が冷戦の真っ只中、1957年から始まることを説明する。ルドルフ・アベル(マーク・ライランス)は、FBIによる監視下、ブルックリンで、いつもどおり、アマチュア画家のかたわら、隠されたメッセージを回収する仕事をする。実際問題、捜索令状も“相当な理由”もなしに、FBI捜査員たちが全く違法に彼のアパートに踏み込む。

冒頭、正当な主張に対して、生命保険会社を弁護する様子を見せる著名なニューヨークの弁護士ジェームズ・ドノバン(トム・ハンクス)は、地方の弁護士協会から、アベルを弁護するよう要請される。彼は刑事事件を扱ったのは大昔のことだと抗議するが、義務感から、彼は仕事を引き受ける。“皆が私を憎むだろうが、裁判にも負けるのだ”と彼は冗談を言った。ドノバンが選ばれた理由の一つに、ニュルンベルク戦争犯罪裁判での仕事で、彼は最高裁判所判事ロバート・H・ジャクソン・スタッフの次席検察官をつとめ、第二次世界大戦中には、OSS(CIAの前身)の総合弁護士をしていたことがある。

アベルは、ドノバンに即座に好印象を与える。(回想録で、弁護士は、ソ連工作員は“類まれな人物で、聡明で、終生かわらぬ研究者のような大変な知識欲だったと書いている。彼は仲間付き合いと意見のやりとりを渇望していた”と書いている。ドノバンは、ほぼ5年にわたる拘留期間中、唯一のアベル面会者だった。)アベルは冷静で、落ち着いていて、非常に知的だった。ドノバンが“不安なようには見えませんね”というと、ソ連スパイは答える。“役にたちますか?”このセリフは何度か繰り返される。

アベルは、アメリカ国民ではなく、単に自分の祖国のために働いている立派な“兵士”なのだから、(数年前にソ連スパイとして処刑された)エセルとジュリアス・ローゼンバーグのような裏切り者ではないというのが、ドノバンの理論だった。


『ブリッジ・オブ・スパイ』

その間に、CIAがU-2スパイ機を開発し、ゲーリー・パワーズ(オースティン・ストウェル)を含む元空軍パイロット集団を飛行機を操縦すべく招き入れた。U-2は高空を飛行し、大判カメラで、写真を撮影するのだとCIA担当者は説明する。パイロットは飛行機と共に墜落するよう指示され、瞬時に死ねるような毒を塗った針を与えられていた。

アメリカで、ドノバンがアベルを弁護する論拠は、アメリカは“共産主義スパイ”であっても、あらゆる被告が法の適正手続きを受けることを示す必要があるということだ。ドノバンはすぐさま知ることになるのだが、実際は、これとはほど遠い。判事モーティマー・バイヤーズ(デイキン・マシューズ)が、ドノバンとの会話で、迅速な有罪判決を進めるよう期待しており、そう計画していることをはっきりさせる。彼は、FBIの家宅捜査は違法だというドノバンの主張をはねつけ、政府にとって裁判が円滑に進むようつとめる。憲法第四修正に違反して、証拠が押収されたという理由で、ドノバンがアメリカ最高裁判所に上告するが、5-4の評決で否決されてしまう。

人道的かつ、アメリカ人スパイがいつか逮捕された場合、アベルが生きていれば交渉の切り札になるという実利的理由から、ドノバンは、バイヤーズに、アベルに死刑判決をしないように(第一訴因、国防情報のソ連引き渡し謀議は、死刑に相当する罪だった)強く懇願する。最終的に、裁判官は、ソ連スパイに、三十年の刑を宣告する。

アベルが、アトランタの連邦刑務所で刑期をつとめている間、1960年に、ゲーリー・パワーズがソ連上空で撃墜され、尋問される。ソ連の裁判所で、彼は三年の禁固と、七年の労働という判決を受ける。(アメリカ当局は高度21,000メートルなら、U-2は、ソ連レーダーと地対空ミサイルが届かない範囲だと誤って思いこんでいた。両方の点で彼らは間違っていた。しかも、彼らは愚かにも、いつもより交通量がずっと少ない祝日の5月1日に、パワーズをスパイ飛行に送り出したのだ。) CIAはパワーズが秘密を漏らしてしまうのではないかと心配になる。

第II幕は、ソ連と東ドイツ政府と、アベルとパワーズとの交換と、東ドイツのスターリン主義者連中に捕らえられているアメリカ人学生の釈放について交渉するよう、非公式な資格ながら、CIAによってドノバンが派遣されたベルリンが舞台になる。CIA工作員が、外交的努力を進めるドノバンの周辺をうろつく。東ドイツは、アメリカに、主権国家としての東ドイツの立場を認めさせようとして、アメリカとソ連双方に、面倒をもたらす。出来事は歴史記録の一部なので、ドノバンが任務に成功した秘密を一切暴露することなく、西ベルリンと東ドイツを結んでいる橋の上で終わる。

『ブリッジ・オブ・スパイ』には楽しめ、称賛すべき点が多々ある。ライランスはアベルの知性と揺るぎなさを伝える点で、実に素晴らしい。彼が登場する場面で映画は最も現実的で、陳腐さがない。

逮捕される時までに、本物のアベルと実に様々な体験をしていた。彼は、1903年にイギリスでウィリアム・オーガスト・フィッシャー(おそらくは、ウィルヘルム・リープクネヒトと、オーガスト・ベベルにちなんで?)として、ドイツ系ロシア人革命家亡命者の家庭に生まれた。父親は一時、レーニンの協力者だった。一家は、革命の後、ソ連に帰国し、1927年、フィッシャー-アベルは、ソ連諜報機関で働くようになった。


『ブリッジ・オブ・スパイ』

彼はすんでのところで、1930年代末の大粛清をきりぬけた。彼の義弟はトロツキー支持者であることで非難され、フィッシャー-アベルは、一時、NKVDを解雇された。第二次世界大戦中、彼は重要な対ドイツ諜報作戦に参加する。1948年、彼はソ連スパイを統轄するため、アメリカに派遣された。逮捕後、死刑に相当する罪を前にしながらも、彼はFBIに協力することを拒否したか、何も語ろうとはしなかった。

ありきたりで洞察力に欠けた形で役が構想されているため、ドノバン役のハンクスはそれほどできは良くない。ハンクスは、荒海の中、常識的な道を進もうとしている中流階級の普通のアメリカ人を演じている。彼の演技は申し分なく素晴らしいが、真実味に欠けているのだ。ジェームズ・ドノバンの名は、やぶから棒に選ばれたわけではない。影響力があり、有力なコネ(ウオール街や情報機関などの間で)をもった人物で、後に、ニューヨークで民主党のアメリカ上院議員候補者として立候補もする人物だ。オンラインで見ることができるビデオでは、彼は狡猾で、おそらく、かなり冷酷な人物に見える。

アメリカ・エリート自身が、ケネディ時代には、国家の伝統に対し、いささか違う関係を持っていた。帝国主義的野望を執拗に追求しながらも、政治とマスコミの支配体制は、まだ、守るべき自信があったか、ある種の民主的規範に対し、少なくとも口先だけは賛同していた。ドノバンは回想録の中で、アメリカでもっとも憎悪されていると思われる人物アベルを弁護するという彼の決断は、彼の同僚“仕事上の知人や、アメリカ合州国全土の弁護士”から広く支持されたと述べている。例えば、元米国弁護士協会会長は、彼にこう書いていた。“不人気な主張の弁護は、我々の職業を天職にするものの一つです。”

ドノバンは、最高裁判所の準備書面で、以下のように結論づけている。アベルは、ソ連のスパイという極刑に価する罪で告訴されている外国人です。アメリカ憲法がそのような人物の保護を保障するのは異例にも思えるでしょう。何も考えていない人々は、アメリカによる自由な社会という原則の誠実な遵守は、利他主義としてあまりに几帳面に過ぎ、自滅に到る可能性を見るかもしれません。しかし、我々の原則は、歴史と  国法に刻み込まれている。もし自由世界が、自らの道徳律に忠実でなければ、他の人々にとって、渇望する社会がなくなってしまいます。”

映画には、どうやらそのきらいがあるが、ドノバンを、リンチをしようとする雰囲気の大衆に直面した、憲法と権利章典の聖人のような擁護者として、あるいは、CIAとアメリカ国家が設定した秘密計画の振り付け通りに動くだけの皮肉屋の、いずれにも描き出す必要はないのだ。ドノバンは、アメリカ支配層の権益の擁護者であり、同時に、被告の基本的な憲法上の権利を本気で信じているように見える。

スピルバーグ映画(特にアメリカ生活に関して)ではよくあることだが、人物や状況が、感情に流されず、本当に客観的なやり方で、描き出される繊細で痛烈な場面と、気力を萎えさせる自己満足や愛国的賛美を発散させる、あたかもノーマン・ロックウェルの絵のように描かれた場面が、交互に入れ変わるのは、不快で説得力に欠ける。

刑務所でのアベルとドノバンとの間の場面や、多数の裁判所の場面や、CIAがパワーズや同僚パイロットを訓練する場面は、写実的かつ正確に演じられている。ここで、スピルバーグの、ペース、映画全体のリズムと、構成に対する本物の感覚が活躍する。しかし映画制作者たちは、中産階級の家族生活を理想化し、改ざんすることに抵抗するのは困難だったのだろう。ドノバンが帰宅すると、妻が時折不満を言うものの、観客は映像の温かさに浸るよう促される。芸術的に、作品は停止してしまう。

しかも、概して『ブリッジ・オブ・スパイ』の前半は後半より格段に強力だ。映画製作者は、アベルを非常に同情的な調子で描いている。たぶん彼らは、東ベルリンや、ソ連と東ドイツ当局者を、陳腐でありきたりな姿で構成し、ソ連スパイを複雑な人間として描き出す自分たちの厚かましさを償う必要性を、意識的なり、無意識的なりに感じたのだ。こうした場面は、どこかプロパガンダ映画の内容のようだ。国境警備兵全員はおどすように乱暴だ。役人は全員が陰険か、残酷か、その両方だ。映画の色合いが、東ベルリンでは、くすんだ灰色と黒の調子に変わる(そこでドノバンがニューヨークに戻るところが活気づき、2月だというのに、木々には、突然、奇妙なことに葉が繁っている!)。

冷戦期に制作された数多くの映画『寒い国から帰ったスパイ』『国際諜報局』『パーマーの危機脱出』や、アルフレッド・ヒチコックの作品中でも秀作とは言えない『引き裂かれたカーテン』や『トパーズ 』さえ、そして他の作品も、アメリカの“自由世界”という主張に関しては、『ブリッジズ・オブ・スパイ』よりずっと懐疑的だった。映画製作者は、若い世代に間違ったことを教えているのを恥じるべきだろう。

結果として、『ブリッジ・オブ・スパイ』は、重要な時期には、比較的ほとんどふれずにいる。こうした疑問のそばには近寄らないことを選んでいるのだ。ソ連は一体何だったのか、そして一体どうして、アベルのようなこれほどの忠誠心と献身を引き出せたのだろう? 上っ面の虫のいい表現の下にあった、冷戦の本質は一体何だったのだろう? アメリカ・リベラリズムの矛盾は一体何であり、現在それは一体どうなっているのだろう?

こうした様々な社会層に対する反共産主義の遺産は、依然として重い。反共産主義と結びついた、アメリカにおける、いわゆる自由企業体制の擁護や、世界中での地政学的権益といった偏見や社会的視点から解き放たれるまで、芸術的、知的進歩は困難だろう。

スピルバーグの映画は、過去のみならず、現在をも示唆している。実際『ブリッジ・オブ・スパイ』の中で、現代アメリカ生活に関する映画製作者の懸念は、最初から明らかだ。FBIとCIAは暴力的に振る舞い、裁判官は基本的な民主的権利に無関心で、マスコミは、後進性や恐怖をかきたてる。

彼は有罪には見えるが、アベルは基本的に、無理矢理、監獄に送られている。『アベル大佐裁判』の中で、ジェフリー・カーン法学教授が述べている通り、1957年8月の告訴の時までに、“アベルは、連邦捜査員に捕らえられ、全く秘密裏に、最初に逮捕された場所から2000マイル離れた独房監禁に、弁護人との接触もなしに、いかなる理由でも、司法官僚の前に姿を現すこともなく、48日間留め置かれていた。”

スピルバーグとハンクスは、インタビューで“対テロ戦争”や、グアンタナモや、他の場所における被拘留者の処遇のことがずっと頭の中にあったことを明らかにしている。ハンクスは、映画のウェブサイトCollider.comのインタビューでこう語っている。“人々の拷問を始めれば、すぐに、相手側に全く同じことをする許可と大義を与えてしまうことになりますが、アメリカの規範はそういうことではありません。… 自分たちの国に逆らっていると思える誰かを処刑し始めれば、KGBやシュタージとさほど違わなくなります。それはアメリカの目指すところではありません。ドノバンが最初から身につけていたのはこれです。これは否定できません。”

スピルバーグは、エンタティンメント・ウイークリーにこう説明している。“保険会社の弁護士だったが、元ニュルンベルク裁判の次席検察官で、アメリカでは、あらゆる人が弁護されることを世界に示す為、この仕事を引き受けるよう要求されたジェームズ・B・ドノバンという名の人物の存在は、つい最近知りました。誰でも公正な扱いを受けるのです。こうした道徳的主題に私は共感します。特にリンカーンに由来するものですから。”

拷問、警察国家、軍国主義、憲法規範の侵害、国家暴力こそ、まさに現在の公式アメリカだ。映画製作者は現実から遊離しており、彼らの懸念はきっと本物なのだろうが、いずれも、あまりにおざなりだ。状況は遙かに進んでいる。

同様に『ブリッジ・オブ・スパイ』制作中、緊張が現在のレベルには至っていなかったことは疑うべくもないが、米ロ関係の問題は、脚本家や監督に重くのしかかっている。映画は、交渉や外交、妥協において、冷静さを優先するようにという呼びかけだ。 彼らの懸念は本気だが、大災厄との遭遇へと向かうアメリカの支配層エリートを突き動かしている、社会・経済的な力の深みを、彼らはまたしても、あまりに過小評価している。

記事原文のurl:http://www.wsws.org/en/articles/2015/10/24/brid-o24.html
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『月刊住職』という雑誌の目次を、毎回新聞のサンヤツ広告で興味深く拝見している。これまで購入しようと思ったことはなかったが、下記見出しをみて正月号、是非拝読したくなった。

  • TPPは寺院にも住職にも影響する!?

大本営広報部報道、いつもは真面目に読む気力は起きないが、長谷部恭男・早稲田大学教授と、杉田敦・法政大学教授の対談、真面目に拝読した。きちんと「緊急事態条項」問題を指摘しておられる。

気になるお相撲さんのひとり、時天空、悪性リンパ腫で休場。

一体、なぜ今、この映画なのか、昨年秋に、この記事を読んで不思議に思った。
いまでも不思議に思う。

ISとの、人質交換を言いたいのだろうか。
ロシアとの本格的冷戦再開を言いたいのだろうか。筆者が指摘する通り、宗主国、とんでもない下劣な帝国に成り下がり、それとともに第一の属国は益々惨めな新満州国に成り下がりつつある。

国策プロパガンダ映画『海難1890』なぞ、金をもらっても見ないが、この映画、個人的に気になった。『海難1890』の評判を全く知らない。一体どのような反響だったのかだけは関心があるのだが。

子どもの時に、新聞見出しで「U-2撃墜」とあったのを読んだ記憶がある。
検問所、通過した経験がある。チェック・ポイント・チャーリーだったかどうか定かではない。
訪問した西ドイツの人が帰還するのを見送るのかどうかわからないが、東ドイツ側の人々が皆様、文字通り号泣していたのを覚えている。
荒涼とした東側、ネオン煌きジャンズ高鳴る大ベルリンという華やかさの対比に心底驚いた。

筆者が指摘していることを、エンドロールを見ながら、つかの間考えた。

ソ連は一体何だったのか、そして一体どうして、アベルのようなこれほどの忠誠心と献身を引き出せたのだろう? 上っ面の虫のいい表現の下にあった、冷戦の本質は一体何だったのだろう? アメリカ・リベラリズムの矛盾は一体何であり、現在それは一体どうなっているのだろう?

民主党やら異神やらの有象無象の与党別動隊の活躍を見ていると、宗主国に習って、共産主義憎悪プロパガンダの負の遺産、「人類を」ではなくとも、「属国を」破滅させるには十分すぎるほど強烈な洗脳であること一目瞭然。民主党やら異神やらの方が恐ろしい。しかし、

馬鹿は死んでも直らない。

庶民には共産党より何より、属国ファシズムのほうが、はるかに怖いだろうと思うのだが。

電気洗脳箱は、北朝鮮の核の脅威やら、独裁者の脅威やらをあおり、スキー場宣伝を嘲笑している。ああいう論点逸らしで時間を潰している余裕もはやない。下記をご覧願いたい。

【中継配信】1/11 14:00~
岩上安身による升永英俊・弁護士インタビュー
緊急事態条項について

2015年9月11日 (金)

シリアを巡るロシアとの対決を脅すワシントン

Bill Van Auken
2015年9月9日
wsws.org

バッシャール・アル・アサド大統領のシリア政権を支援してのロシアの軍事力増強という根拠のない主張を巡り、オバマ政権は、モスクワとの緊張を激化させた。

シリア領でのロシア駐留のいかなる増強も、イラクとシリアのイスラム国 (ISIS)に反撃する狙いとされるもので、シリアを爆撃しているワシントンの“連合軍”との“対決”に至る可能性があると、週末、ロシアのセルゲイ・ラブロフ外務大臣との電話会話で、アメリカのジョン・ケリー国務長官は恫喝した。

世界の二核大国間の武力衝突という、途方もないケリー国務長官の恫喝を、火曜日、ホワイト・ハウスのジョシ・アーネスト報道官が繰り返し、“ロシアが追加の軍事要員や飛行機をシリアに配備する可能性”という報道を巡るアメリカ政権の“懸念”を表明した。

“こうした措置は、生命のより大きな損失につながりかねず、難民の流れを増し、シリア国内で活動しているISIL [ISISの別の略称]連合との対決というリスクをもたらす可能性がある”と彼は警告した。

ワシントンによる軍事的脅威には、シリアへの補給飛行の為、両国の空域を利用するロシアの権利を拒否するよう、ギリシャとブルガリア政府に、アメリカが強要するという更なる挑発が伴った。

ギリシャ同様、NATO加盟国のブルガリアは、火曜日、不特定の数のロシア航空機が、シリアへの途上、その領土上空を飛行する要求を拒否したと発表した。ギリシャ外務省筋は、月曜日、アテネのシリザ党政権が、同じような行動をするようにという要請を、アメリカから受けたことを明らかにした。シリア政府軍用の軍事補給を運んでいるという理由で、ロシア機の上空通過を9月24日まで禁じるようワシントンが要請したと、彼等は述べた。

この行動はモスクワの怒りを引き起こし、ロシアのミハイル・ボグダーノフ外務副大臣がインターファックス通信社にこう語った。“もし誰かが、この場合、ギリシャとブルガリアだが、何らかの疑念があるなら、彼等は、もちろん一体何が問題かを説明すべきだ。”

“アメリカの要請で、飛行に何らかの制限、あるいは禁止措置をとると言っている両国について言えば、他の国々の飛行機、特にロシアの飛行機が、空域を通過することについて決定を行う、彼らの主権に関する疑問か生まれる”と彼は述べた。“我が国の飛行機はどこに飛行しているのか、目的と貨物が何かを彼等に説明した”と述べ、更に、その様な飛行は長いこと、日常的なものだと指摘した。

ありそうな、差し迫ったロシアのシリア“介入”に関して、興奮してまくしたてるアメリカのマスコミ主張は、匿名を条件に、ペンタゴン当局者が語った、シリアに飛行するロシア航空機の数は増加しており、ロシア軍によって使用される得ると思われるプレファブ住宅がシリアに建設されているという発言に要約される。

シリア制圧を狙うISISや他のイスラム原理主義過激派に対し、アサド政府を支援する為の、シリア国内におけるロシアの駐留は、この同じ勢力に対して、隣国イラク政府を支援する為のアメリカによる取り組みと比較すれば最小限だ。本当の問題は、モスクワが、アサド政府を支持し続けていることが、ISISの壊滅ではなく、既存政権の打倒と、政権を、より従順なワシントンの傀儡で置き換えるという、アメリカが率いるシリア介入の本当の狙いにとって、障害となっていることなのだ。

“アメリカの諜報機関筋の情報”を引用して、火曜日、ニューヨーク・タイムズは、アメリカの主な懸念は“いくつかの主要地域で、ロシアがシリアの防空手段を強化している”ことだと報じた。 防空システムの強化は、アメリカがシリアにおける主な狙いだとしている物事、つまり対ISISとシリア一般国民の保護の為の攻勢実施に対する脅威とは解釈しようがない。もしワシントンと同盟諸国が、その空軍力を、ISIS標的に対する散発的攻撃から、イラクとリビアでかつて行われた空爆の様な、シリア政権を破壊し打倒することを狙った“衝撃と畏怖”作戦へと変える準備をしている場合にのみ、それが問題なのだ。

ウラジーミル・プーチン大統領のロシア政権は、その様な介入を阻止することを繰り返し目指しており、反政府派各派との政権協議の手配、あるいは、アサドを辞任に追い込むであろう暫定政府に基づく、シリア内戦を終わらせる為の、何らかの合意を仲介しようとしている。

2013年9月、偽ってシリア政府軍のせいにされた毒ガス攻撃を口実に、オバマ大統領がシリアへの空爆を命令する寸前、プーチン政府が、シリアの化学兵器廃絶を基盤にした代案を出し、政権転覆の為のアメリカによる直接の戦争を阻止した。ところが、この協定に至るまでの時期に、アメリカとロシアの間の緊張は、急に激化し、両国の戦艦がシリア沖近くに配備された。

最近では、モスクワは、シリア和平計画を提示し、ロシア、イランとシリア政府軍と共に、アメリカと同盟諸国も含む対ISIS共同作戦を、アサド政権や、シリア反政府派と、クルド部隊の各派を巻き込んだ新たな統一政府構築と併せて提案している。

ところが、ロシア、アメリカとサウジアラビアの交渉は、すぐに行き詰まった。カタールとトルコと共に、ISISや、アルカイダとつながるアル・ヌスラ戦線や、他のイスラム原理主義過激派に対する主な後援者で、資金提供者である、サウジアラビア君主体制が、無条件のアサド政権打倒を含まない、いかなる合意の受け入れも拒否している。ワシントンは、元来、アラブ世界第一番の同盟国、サウジアラビア王家に肩入れしてきた。

シリアの事態進展におけるロシアの役割については、ホワイト・ハウスの広報担当官が週末、明らかにした通り、ロシアの行動は、それがワシントンと“連合国”の狙いに沿ったものである範囲でのみ容認されるのだ。だが、アメリカは、この帝国主義の最前線に、ロシアを組み込むことへの興味を全く示していない。

こうした狙いは、いずれにせよ、地域における、かつてのソ連の影響力の遺産たる、中東最後のアラブ同盟国として、シリアを重視するロシアの国益に全く反する。ロシアは依然、シリアの港タルトゥースに、旧ソ連以外でロシア軍唯一の基地である海軍基地を維持している。

ロシアの石油企業は、シリア沖にある埋蔵石油の採掘で、シリア政府と契約した。国営エネルギー企業ソユーズネフチェガスは、この目的で、25年間の契約を結んだ。

しかも、シリアを、アメリカとアラブの王政産油国の傀儡国家に変えると、シリアは、ロシアと地中海間から、ヨーロッパ市場からその先へという潜在的なパイプライン・リンクから、何十億ドルもアサドの失脚を狙っているいわゆる“反政府派”支援に注ぎ込んでいるカタールからのガスをもたらすライバル・パイプラインの経路へと変換する。

アメリカ帝国主義にとっては、シリアで大虐殺を引き起こすことは、中東、ユーラシア大陸と地球全体に対するアメリカ覇権戦略を推進するための更なる一歩にすぎない。ロシアのシリア介入が、ロシアとの軍事的対立という直接的脅威をもたらしたというが、それはロシアの軍事増強とされるもの等の為ではなく、この戦略の結果だ。

軍事増強のそうしたでっち上げ報道は、ヨーロッパの難民危機と共に、アメリカが率いるシリア介入をエスカレートする口実として利用されている。ここ数日で、フランスもイギリスも、シリアでの爆撃強化計画を発表し、オーストラリアも間もなく続くと見られている。

アメリカが率いる中東介入での、ロシアとの対決という威嚇と共に、シリアにおける帝国主義的軍国主義の更なる噴出は、第三次世界大戦への道を開く危険をもたらすものだ。

記事原文のurl:http://www.wsws.org/en/articles/2015/09/09/syri-s09.html
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常総市の堤防決壊(新石下)しか知らなかったが、「ソーラーパネルを設置する為、自然堤防を削った部分で、鬼怒川は堤防を越えた」場所(若宮戸))があった!役所の方がおっしゃていったのだから、事実だろう。

Paul Craig Roberts氏も再三指摘しておられる「費用の外部化」の見本。

原発も基地も戦争法案もTPPも、新自由主義軍産複合体による「費用の外部化」。

RTに、この記事につながるロシア外務省報道官の発表記事がある。

Russia has always supplied equipment to Syria to help fight terrorism - Foreign Ministry

アメリカには、どの国の政権を、いかに、いつ転覆するか決定し実行する権利がある。
ブルガリアやギリシャ政府と同様、日本政府にも、宗主国の命令のまま、どの侵略戦争にでも、どこまででも、ついてゆくことを決める自由がある。

「どこまでもついてゆきます下駄の石」

武器輸出「国家戦略として推進すべき」 経団連が提言

とうとう本音。とんでもない国に、とんでもない時代に生きている。こういう連中が属国政策を決め、とんでも道徳を決め、とんでも歴史教科書を押しつけて、戦争を推進する。

原発も基地も戦争法案もTPPも、新自由主義軍産複合体による「費用の外部化」。

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