William Engdahl

2019年12月 7日 (土)

中国のアフリカ豚コレラは今や世界的脅威

2019年11月30日
F. William Engdahl
New Eastern Outlook

 過去数カ月にわたる致命的なアフリカ豚コレラの最悪発生が世界最大の豚頭数を誇る中国の群れを破壊した。今それは隣接する国々に広がり、アメリカの豚の群れさえ脅かしている。事実上の世界的大流行病状況が広まるにつれ、政治的、人的影響は想像より遥かに深刻になり得る。農業関連産業のグローバリゼーションは問題の助けになっていない。

 2018年8月3日、アフリカ豚コレラが中国遼寧省で確認された。その時以来、死に至る病気を封じ込める様々な手段にもかかわらず、一年余りの2019年11月時点で、病気を封じ込める真剣な取り組みで、中国の莫大な豚頭数の半分近くが死ぬか、処分された。アフリカ豚コレラは、人にとっては致命的ではないが、感染したあらゆる豚にとって、100%致命的だ。それを治す既知の治療法はない。それは感染した豚や体液や機器や衣類との接触や、特定のダニによってる広まる可能性がある。

 8月、中国農水省は中国の生きている豚群の規模が、2018年8月から正に38.7%下落したという報告を公表した。 業界筋は、これを過小報告と疑っており、実際は50%にものぼると推計している。とにかくそれは巨大で、過去一年にわたり、政治的に微妙な中国の食料価格インフレの基準に衝撃を与えた。豚肉は肉タンパク質として、中国食品の頼みの綱であり、国家安全保障問題と見なされている。中国の大半の豚が、今破産に直面している小規模農民に育てられている。中国国内の報告によれば、これが、多くの自暴自棄な小規模農家が、その群れにおけるアフリカ豚コレラの発生を隠そうとして、殺し、売り、財政的破たんを避けようとするように仕向けたのだ。

 病気は特に危険だ。専門家によれば絶滅は困難だ。ある報道はこう指摘している「それは、糞便には11日間、血には15週間潜んでいる。塩漬け肉では182日間、乾し肉ではほぼ一年、冷凍肉では3年間生きる。中国人は旅行する際、肉スナックを持参するのが好きだ。アジアでは規則は曲げることができるのだ。」

 感染した中国豚の死骸処分が安全ではないという報告は一層警鐘的だ。感染して死んだ豚を病原体汚染危害として取り扱い、それを農場から遠くに埋めるのではなく、それらを燃やして、現場を石灰で覆い、一年あるいはそれ以上現場を危険廃棄物として扱うのが適切な方法だが、しばしば小規模農家は、焼却せずに、家畜小屋の脇に豚を埋葬していることが証拠書類で立証されている。それは病気再燃の危険を招く。

 2018年初めには、世界中で推定7億6900万頭の豚に対し、中国には4億4000万頭で世界最多の豚がいた。今やその半分となり、世界の肉タンパク質供給に対する大きな衝撃となり得る。

 中国全土への病気蔓延の速度は、明らかに中国体制に大きな負担となった。だが保証にもかかわらず、蔓延は中国内では止まらなかった。

 世界規模で蔓延

 アフリカ豚コレラは中国外でも蔓延している。ウォール・ストリート・ジャーナルがこう指摘した。「ここ数カ月で、日本、台湾とオーストラリアの関税官が観光客が持参した他の食品に感染している肉を発見した。病気は、以来ベトナム、モンゴルとカンボジアの群れで確認された。」 国連食糧農業機構は、ベトナム全省でのアフリカ豚コレラ発生を報告しており、最初の事例が2月に発見された時から、5,880,000匹以上の豚が処分されたと報告している。

 中国のアフリカ豚コレラは、北朝鮮にも広がった。北朝鮮研究所の所長で元北朝鮮軍人のアン・チャン・イルによれば、そこから感染した豚が緩衝地帯を通って韓国へ渡り、韓国は重大な対策が必要になっている。

 国連食糧農業機関によれば、11月21日時点でフィリピン、ラオスと東ティモールの豚で、重大なアフリカ豚コレラの症例が確認されていた。病気を媒介するイノシシが、ロシアとモンゴルの国境地帯で発見された。いくつかの例で、中国潘陽からの乗客から韓国ソウルのインチョン空港で没収された豚肉製品から、アフリカ豚コレラのウイルス遺伝子が検出されており、封じ込めがどれほど困難かを示している。

 孤立した症例は、ブルガリアやルーマニアやハンガリーを含め蔓延を封じ込めるため迅速に行動しているEU加盟国でも発見された。モルダビアやベラルーシやウクライナでも確認された。最近、アフリカ豚コレラの症例がドイツ国境から遠くないポーランドで発見された。11月初旬、欧州連合最大の豚生産国ドイツの約80キロ東にあるオーデル川に近いポーランド西部のルブシュ県で、イノシシ20匹でアフリカ豚コレラが発見された。

 警鐘的な症例は、ニュージャージー州のニューアーク港で、三月の数週間にわたり、中国船コンテナで発見され、連邦捜査官が、これまでで最大の農産物没収として、中国から密輸された百万ポンドの豚肉を差し押さえた。豚肉はラーメン容器と衣料用洗剤で隠されていた。当局は、それがアフリカ豚コレラで汚染されているかどうか判断するために、それをとった。

 世界的に蔓延したアフリカ豚コレラについては、現時点で、答えられていない多くの疑問がある。明確なのは、これが我々がこれまで信じるよう仕向けられているより遥かに危険なことだ。10月、ヘンリー・カメンズによる新しい報告によれば、七匹の死んだイノシシが主要豚生産国デンマークで岸に打ち上がり、アフリカ豚コレラに関する検査さえされずに処分された。

 F. William Engdahlは戦略リスク・コンサルタント、講師。プリンストン大学の政治学位を持つ石油と地政学のベストセラー作家。オンライン誌New Eastern Outlook独占記事。

記事原文のurl:https://journal-neo.org/2019/11/30/china-s-african-swine-fever-now-global-threat/

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 人間の精神を腐敗させるアメリカ脳コレラが蔓延しているのかもと妄想したくなる。

 「美しい日本」中枢の正体。FTAで、グローバル企業に国ごと身売りするのも当然。

安倍政権中枢総ぐるみ ジャパンライフ汚染議員30人の名前

2019年11月26日 (火)

中国とアメリカとリチウム地政学

2019年11月18日
F. William Engdahl
New Eastern Outlook

 大規模の電気自動車開発という世界戦略以来数年、リチウムは戦略的金属として焦点になった。現在、中国とEUとアメリカで需要は莫大で、リチウム供給支配の確保は、既に石油支配に対するものと五十歩百歩の自身の地政学を発展させている。

 資源確保に動く中国

 EVの世界最大の生産者になるという主要目標を設定した中国は、リチウム電池原料の開発は第13次5ケ年計画(2016-20)期間の優先事項だ。中国自身にリチウム埋蔵はあるが、採掘は限られており、中国はリチウム鉱業権を確保するため海外に出た。

 天齊が支配するオーストラリアの中国企業タリソン・リチウムはオーストラリア西部パース近くのグリーンブッシズで世界最大最高級のリシア輝石埋蔵量を採掘し所有している。

 タリソン・リチウム社は世界最大の主要リチウム生産者だ。同社のオーストラリアのグリーンブッシズ・サイトは今日中国のリチウム需要の約75%、世界需要の約40パーセントを生産する。これはオーストラリアの他の主要原材料と同様、伝統的に強固なアメリカ同盟国オーストラリアとの関係を、北京にとって戦略上の重要なものにした。同様に、中国はオーストラリアにとって最大の貿易相手国となった。

 だがオーストラリア周辺の太平洋で増大する中国の経済的影響力は、戦略上重要なオーストラリアの地元地域に手を出さないよう中国に警告メッセージを送るようスコット・モリソン首相に強いた。2017年末、オーストラリアは、地域における中国の影響力増大の懸念から、時にクワッドと呼ばれる、アメリカとインドと日本が南太平洋で中国の影響力を抑制する非公式協力、以前の試みを復活させた。オーストラリアは、最近中国の融資に対処するため、太平洋の島国への戦略的融資も増やした。明らかに、この全てが、今後10年間、新たに出現したEV経済で主役になるべく、中国が世界的に他の場所でリチウムを確保すること不可欠にしたのだ。

 電気自動車開発が中国の経済計画における優先事項となった時、確実なリチウムの探索は、もう1つのリチウムの主要源チリへと移った。世界最大リチウム生産企業の一つ、ソシエダード・キミカ・イ・ミネラ・デ・チリ(SQM)が、中国の天齊がチリの主要なシェアを寄せ集めるという状態である。採鉱産業報告によれば、もし中国の天齊がSQMの支配権を増すことに成功すれば、世界リチウム支配の地政学は変わるだろう。

 電気自動車(EV)に電力を供給するのに使われるリチウム・イオン電池の戦略的元素リチウムのグローバル供給は、ごくわずかな国々に集中している。

 リチウムの潜在需要をイメージするために言うと、テスラのモデルS用電池には約10,000個の携帯電話電池に電力供給するのに十分な63キログラムの炭酸リチウムが必要だ。最近の報告で、ゴールドマン・サックス銀行は炭酸リチウムを新しいガソリンと呼んだ。ゴールドマン・サックスによれば、電気自動車生産高の1パーセント増加だけで、現在のグローバル生産の40パーセント以上リチウム需要を増やすことになる。多くの政府がより低いCO2排出を要求しており、グローバル自動車産業は今後10年にわたり大規模EV計画を拡大して、石油が今日そうであるのと同じ位、リチウムを戦略的なものにするだろう。

リチウムのサウジアラビア?

 リチウム採掘が実に困難なボリビアも、近年北京にとって興味の目標になった。いくつかの地質学推計は、世界最大のウユニ塩湖だけで、900万トンのリチウムがあると推定され、ボリビアのリチウム埋蔵量をランク付けしている。

 2015年以来、中国の採掘企業CAMCエンジニアリングが、塩化カリウムを肥料として生産するため、ボリビアで巨大プラントを経営している。CAMCが軽く扱っているのは、ボリビアに22ある、このような塩原の一つウユニ塩原の塩化カリウムの下には世界最大の既知のリチウム埋蔵量がある事実だ。2014年、中国の臨沂Dakeトレードが、同じ場所にリチウム電池パイロットプラントを建設した。

 そして2019年2月、モラレス政府は、中国の新彊TBEAグループ社が、ボリビア国営リチウム企業YLBが計画したジョイント・ベンチャーの49パーセントの株を所有する、もう一つのリチウム協定に署名した。協定は、コインパサと、パストス・グランデス塩原から、推計23億ドルもかけて、リチウムや他の物質を作り出す予定だ。

 リチウムに関しては、これまでのところ、中国は、その支配の上で、世界のグレート、・ゲームで優位にある。現在、中国企業が、グローバル・リチウム生産の半分近くと、電池生産能力の60パーセントを支配している。ゴールドマン・サックスは、中国が10年以内に世界のEVの60パーセントを供給できると予測している。要するに、北京にとって、リチウムは戦略的優先事項なのだ。

リチウムを巡る米中ライバル関係?

 世界のリチウム採掘の主役は、現在アメリカ合州国だ。立派な理事会を持つノースカロライナ州シャーロットの企業アルベマールは、中国同様、特にオーストラリアとチリに主要リチウム鉱山を保有している。2015年、同社がアメリカ企業ロックウッド・ホールディングスを買収した際、アルベマールは世界リチウム採掘における最有力企業になった。注目すべきことに、ロックウッド・リチウムは、チリのアタカマ塩原と、中国の天齊集団が51パーセントを所有するオーストラリアのグリーンブッシズ鉱山で事業を行っていた。これは中国との提携で、アルベマールに、巨大オーストラリア・リチウム・プロジェクトの49%のシェアを与えていた。

 明確になり始めているのは、中国の経済計画を巡るアメリカ-中国間の緊張が、戦略上重要なリチウム埋蔵地を支配する中国の影響力への反撃を含んでいた可能性があることだ。エボ・モラレスを強制的にメキシコへの追放に追い込んだボリビアでの最近の軍事クーデターは、初期の証拠から、ワシントンの指紋がある。ヘアニネ・アニェス暫定大統領を演ずる項目、右翼キリスト教徒と右翼百万長者ルイス・フェルナンド・カマチョは、国の政治生命、公然とワシントンに保証されたもので右に不快なターンに信号を送る。問題は未来の政府が中国企業とのリチウム採鉱協定を無効にするかどうかだろうことは他の間で重要だ。

 トランプと習近平間の貿易に関するサミットが目玉だったはずの11月16日のチリでのAPEC会議キャンセルにも、もう一つの重要性がある。南華早報によれば、会議は、主要な中国-チリ貿易協定のための場でもあった。計画されていた習の代表団は、150社の企業トップを含み、更に最近アメリカが警告したチリ-中国の経済的結びつきを強化し、大きな経済的合意への署名が計画されていた。

 チリ政府の公共交通運賃値上げに反対する集団抗議活動の爆発は、ワシントンのカラー革命に火をつけるために他の国々で使われている類似の経済的引き金の兆候がある。抗議行動はチリでのAPECサミットを中止する短期的効果があった。チリでの抗議行動では、アメリカから資金供給を受けたNGOの積極的な役割は確認されなかったが、チリと中国間で成長する経済関係は、明らかにワシントンには前向きのものと見なされていない。現時点でのチリにおける中国によるリチウム採掘は、現政府の自由市場経済にもかかわらず、ワシントン介入の目標となり得るほとんど論じられていない戦略上の地政学的要因だ。

 この際、明らかなのは、未来のEV電池市場支配のための世界的戦争が行われているということで、リチウム支配がその核心だ。

 F. William Engdahlは戦略リスク・コンサルタント、講師。プリンストン大学の政治学位を持つ石油と地政学のベストセラー作家。オンライン誌New Eastern Outlook独占記事。

記事原文のurl:https://journal-neo.org/2019/11/18/china-usa-and-the-geopolitics-of-lithium/

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 後楽園のドーム外に、フィリピンの方々が多数おられるのをテレビで拝見した。教皇のスピーチで思い出して、下記記事を再読した。長崎のカトリック教会でのミサのさなかへの原爆投下、教会跡撤去は、アメリカ支配層の人々が、プロテスタント信者やユダヤ教信者であることと、全く無関係なのだろうか?。

 九州場所で、白鵬の取り口について、解説者が「勝てば何をしてもいいのか」と言ったのを聞いた。自民党に言えば立派だったのに。横審もエルボーを批判した。50回優勝目標といわれても、あの「最長最悪」イメージが重なる。

 植草一秀の『知られざる真実』の見出し、大本営広報部では決して見られない。

私たちの命とくらしを蝕む日米FTAを阻止

安倍私物化政治排除する主権者の大きなうねり必要

 アメリカのイスラエル入植地合法説、大本営広報部は批判しているのだろうか?

日刊IWJガイド「本日午後6時半より、岩上安身による インタビューライブ! 『近代日本の植民地主義とジェンタイル・シオニズム』著者・パレスチナの平和を考える会事務局長・役重善洋氏インタビュー第6弾を生配信します!」 2019.11.26日号~No.2630号~

2019年11月 8日 (金)

アメリカ・シェール・エネルギーに関するロシアの指摘は正しいのか?

F. William Engdahl
2019年11月6日
New Eastern Outlook

 最近のペンシルベニア・シェール生産者大会での発言で、ドナルド・トランプ大統領は、シェールオイル同様、シェールガスのこれまで10年間にわたる壮大な成長を指摘して、非在来型シェール・エネルギーが「アメリカを世界史上最も偉大なエネルギー超大国」にしたと述べた。一見すると、この業績は本当に印象的だ。2011年以来、アメリカはロシアを越えて、天然ガスの世界最大の生産国になった。2018年までにアメリカはロシアとサウジアラビアを追い越して、世界最大の石油生産国になった。それはもっぱら、アメリカの非在来型シェールオイルとガスによるものだ。だが成功は短命かもしれない。

 シェールエネルギーの勃興と、西テキサスやノースダコタや他の場所の好ましい地質学的条件が、中東やベネズエラ政策でのみならず、アメリカに世界政治で明確な地政学的手段を与えたのだ。ロシア・ガスが主要な供給元であるEUでも。アメリカは、ガスと石油における主導的役割に基づいて、政策を続けることができるのだろうかか、それとも、これは、出現した時と同じぐらい突然に終わる一時的急上昇にすぎないのだろうか?

 勝ち誇ったトランプがピッツバーグでシェール産業に演説していたのと、まさに同じ時、ロシアのノヴァク・エネルギー大臣が、アメリカの重要な地域におけるシェールオイル生産増加が最近減速していることを指摘していた。「もし予想が正しければ、近い将来、生産は頭打ちになるだろう。」彼はここ数カ月のシェールオイル掘削の大幅減少と、2020年シェールオイルの大幅減速が増すというウォール街による予測を示した。アメリカ・シェールガスの見通しは、現在の国内供給過剰にもかかわらず、肯定的なものとはほど遠い。LNG輸出ターミナルのインフラは増えているが、アメリカが、ロシアのガスと競合して、EUへの主要供給元になるのに十分なものからはほど遠い。しかもウォール街からの金も干上がりつつある。

 EUでのトランプ敗北

 トランプ政権は、供給の多様性を主張して、ロシアの従来形天然ガスの代わりに、アメリカ・シェールガスを買うよう、EUや世界の他の地域を説得する上で大きな政治的努力を払った。今それは決して実現しそうもないように見える。ロシアからバルト海を横切ってドイツに至る、能力を倍増し、ウクライナ・パイプラインへの依存を減らすヨーロッパ・ノルドストリーム2ガスパイプラインを中止させようとするアメリカの強い圧力にもかかわらず、最後のEU障壁デンマークは、領海を通るガスプロム・ルートを承認すると発表した。何カ月にもわたるワシントンによる圧力後のデンマークの決定は、アメリカ・シェールガスを液化LNGとして、ロシア・パイプライン・ガスの代用にするというトランプのエネルギー地政学戦略の明確な敗北だ。ガスプロムは、2020年始めまでに、ガス輸送能力を倍増するノルドストリームの二本目の完成を計画している。

 最近の2018年7月、ワシントンでの欧州委員会ユンケル委員長との会談で、トランプは、欧州連合(EU)が間もなくアメリカ液化天然ガス(LNG)の「大規模バイヤー」になると発表していた。二年前の最低水準からすれば輸出は増えているが、それはまだ起きていない。ロシアのガスを阻止するアメリカ失敗はその希望に対する大打撃だ。

 今日までのアメリカLNG供給元とポーランド間の限定された契約は別として、ノルドストリーム2をEUが承認した今、来年の対EU市場アメリカLNG大量輸出の見込みはほとんどない。

 ノルウェーに頼るポーランド

 アメリカ・シェール液化天然ガスのEU輸出成功例の一つ、すなわちポーランドさえ、ほかのところで、非ロシア・ガスを探している。2018年、アメリカ・シェールガス会社とのガス契約調印に続いて、ポーランドはノルウェー・ガスに頼った。ポーランド国営ガス企業の社長ピョートル・ヴォジニャクは「2022年から、100億立方メートルの計画容量のバルト・パイプ経由で、我々はノルウェーの大陸棚上で我々自身が採掘する約250万立方メートルの天然ガスを輸入するつもりだ。我々はノルウェー市場から残りの燃料を買う予定だ。」と発表したばかりだ。より高価なアメリカ供給元からの膨大なポーランド・ガス購入の夢は、もはやこれまでだ。

 アメリカLNGの輸出は、ガスを積載して出荷するためのガスを液化するための高価なインフラや特殊な港湾施設やタンカー建設に依存している。最近の非常に安いアメリカ国内ガス価格と高い投資コストから、主要輸出施設の完成が遅れている。2018年、その多くがシェール抽出によるアメリカ天然ガスの生産が、ガス供給過剰を引き起こし、アメリカのガス価格を25年の最低にした。今年のガス生産は去年より10%多い

 二番目に大きいアメリカガス生産者チェサピーク・エナジーは更なるガスに対する投資を急激に削減し、資産を売って、負債を減らそうとしている。2008年に、同社は豊穣なヘインズビル鉱区を発見したが、かつて「アメリカで最も収益があるガス田」と呼ばれた北ルイジアナと東テキサス鉱区での生産を、低価格のために減らしている。同社はシェールガスブームをフルに利用するため、連邦準備銀行がゼロ金利維持した2010年の後、大規模借金をした。今やガスは溢れ、連邦準備銀行政策がきつい状態で、同社も他社も巨額の借金と、下落するガス価格を押しつけられている。

 彼らは倒産することができ、エクソンモービルのようなより大きな競争相手が、安く彼らのガス埋蔵を買うことができるが、EUや中国へのアメリカLNG輸出に対する将来投資の経済的側面は明るくない。ワシントンの貿易戦争は、アメリカLNG輸出業者がインフラを拡大していた、まさにその時に、安定したLNG輸入を求めてロシア、オーストラリア、カタールや他のものに中国が目を向けるよう仕向けたのだ。アメリカ関税に報復するため、中国はアメリカLNGに25%の輸入関税を課して、効果的にアメリカ・ガスの可能性を潰したのだ。アメリカ・ガスは、EUでもアジアでも、いくつかの他の生産者との厳しい競合に直面しなくてはならないのが現実だ。

 アメリカ・シェールオイルの凋落?

 現在、アメリカ・シェールガスが世界的主要勢力となる見込みは大きくないが、近年、アメリカ・シェール掘削の主要な焦点であるシェールオイルの展望は全く違う問題に直面している。世界的な景気下降の不安を前に、益々多くのウォール街企業がリスクを減らすにつれ、シェールオイル・プロジェクトへの投資は大幅に削減されている。

 アメリカの非在来型シェールオイル生産は、これまで10年間ほどににわたり、多くの人々にとって驚くべきものだった。米国エネルギー情報局によれば、アメリカ原油生産高は2018年、一日1096万バレルの記録に達した。日産約650万バレル、原油全体のほぼ60%が、主としてテキサス西部の巨大なパーミアン盆地のシェール資源だ。だが増加のペースは、際立って鈍化しており、シェールオイルの死のスパイラルは確実だと一部の人々が予測している。

 アメリカ・シェール石油が年率180万バレル増加した、2018年末のピークの成長から、今四半期には、その半分に減るとRystad Energyは推定している。彼らは「2017-2018年の重要な油井活動の拡張」は「基盤のより急速な下落を犠牲」で実現したと指摘している。いわゆる若い井戸が始めの数四半期に大量の石油を産出し、生産高は急速に減少する

 世界石油価格は50ドルの範囲で立ち往生しており、ベネズエラ、イラン、サウジアラビアでの地政学ショックにもかかわらず、シェールオイルの経済はストレスに直面している。大半の小規模シェール企業が赤字操業しており、もしこれが間もなく変化しなければ、アメリカ・シェールオイル破産の速度は雪だるま式に加速しかねない。

 問題はアメリカのシェールオイル経済の大半が不透明なことだ。 近年、シェールオイル企業への大量の投資は、石油埋蔵量が増加するという企業見積もりに基づいていた。しかしながら、この数値は主要な利益相反の影響を受けるのだ。2008年以来、証券取引委員会は、石油会社が埋蔵量を決定するために、開示の対象とならない「独自の方法」を使うことを許してきた。生産高がブームになり、金が豊富な限り、誰もたいして気にしなかった。今それは変化している。最近パーミアン盆地で最大企業の一社Pioneer Natural ResourcesのCEOスコット・シェフィールドは、シェール油のための最良の場が石油産業に不足していることを認めた。それは「スイートスポット」と呼ばれるもので、利益を得るため経費が十分低い。わずか二年前、パーミアン盆地のシェール埋蔵量をサウジアラビアに例えたシェフィールドにとって、大きな転換だ。

 ここで、ありそうなのは、アメリカ・シェールオイル部門の生産率の更なる下落と、それゆえアメリカ石油全体の下落だ。シェールブームは、従来の井戸より遥かに速く、最大産出量に達し、枯渇する油井に依存することが知られていた。技術がその効果を緩和するのを助けたが、金が安く借りられ、石油価格が上がっている限りのことだった。2018年から石油価格が下がった。2018年10月、ウエスト・テキサス・インターメディエイト石油は1バレル75ドル以上の値段だった。今日価格は、56ドル付近で、大半のシェールオイル会社にとって、危険なほど損益分岐点に近い。

 S&P Global Plattsのシン・キムは「業界が考えているより速く、シェールに失望する可能性」を見ている。「アメリカ・シェールの日産100万あるいは150万バレルという、一貫したレベルの、生産伸び率に見合うものは他に何もありません。」と彼女は言う。

 アメリカ・シェールオイルの急速な衰退の地政学的結果は、アメリカ対外政策の選択肢に重大な影響を与え、アメリカの油田投資が低下すれば、アメリカ経済にも影響し、トランプ再選にとっても良いニュースではない。一つの不吉な兆しは、以前のシェール低迷の際は、シェールオイル採取業者が、需要復活を待って使わない装置をそのままにしていたのに対し、今回は装置が部品に解体されたり、スクラップとして売られたりしている事実だ。

 F. William Engdahlは戦略リスク・コンサルタント、講師。プリンストン大学の政治学位を持つ石油と地政学のベストセラー作家。オンライン誌New Eastern Outlook独占記事。

記事原文のurl:https://journal-neo.org/2019/11/06/is-russia-right-about-us-shale-energy/

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 昨日は、昼から、バラエティーやら呆導番組やらを、音を消して、翻訳しながら、時々ながめてみた。森田知事の行動はしつこく報じていたが、国会討論での下劣野次問題や入試問題に触れたものは皆無だった。民間企業による大学入試導入は既定事項なのだから、決して触れるなと全ての局に通達が回っているのだろうか。TPPの時と同様に。そして検閲は更に強化されつつある。

日刊IWJガイド「外務省が『検閲』!? ウィーンの芸術展公認取り消しの理由は『「両国の相互理解を深め、友好を促進するという要件に合致しない』から!?」2019.11.8日号~No.2612号~

2019年10月27日 (日)

中国の隠れた経済時限爆弾

2019年10月22日
F. William Engdahl
New Eastern Outlook

 中国国家統計局が、中国にとって、ほぼ30年間で最低のGDP成長を示す経済データを発表した。問題は、米中貿易戦争の最近の影響や、中国の豚を大量に死なせたアフリカ豚コレラのような災厄の衝撃よりずっと根深い。根本的に遙かに重大な問題は、ほとんどの人々が公然と論じるのをいやがっている、新たに出現しつつある大惨事だ。

 2017年頃から、中国の人口は、40年前の1979年に共産党が導入した、まずい発想の一人っ子政策の本当の影響を示し始めた。次第に拡大するこの問題は、かつて恩恵と見なされた「中国経済の奇跡」の土台全体に悪影響を及ぼしている。問題は、北京が、社会的、経済的大混乱なしで、人口高齢化に移行できるかどうかだ。

 10月18日、中国国家統計局は、前四半期の6.2%と比較して、6.0%という第三四半期のGDPを発表した。報告がどれほど正直かは大いに疑念はあるが、成長率の低下を政府が発表しなければならない事実が実際の状況は遙かに悪い可能性があること示唆している。

 中国経済の本当のデータは不透明なままだ。2018年12月、上海財経大学は、31の地域レベルで、年次透明度調査を発表した。53%をやや越える平均点だった。研究は「[不幸にして]中国地方自治体の透明度の一般的レベルはひどいままだ」と結論した。

 経済の健康状態の、より直接的な目安は、実際の貿易データだ。ブルームバーグは、中国における自動車販売が、9月は、16カ月中15回目の前年割れと報じている。ブルームバーグによれば、「世代最悪のスランプ」だ。 同様に、北京、上海や他の大都市での新築住宅とアパートの販売が、劇的に2014年以来の最低に落ちた。

 より深刻な問題は、公式経済データの透明度ではない。より深刻な問題は、わずか30年以内に、第三世界レベルの後進性から注目に値する躍進した中国の奇跡が、その影響が、中国経済だけに止まらない構造的危機に入っているのかどうかだ。新車と新築住宅の購入に関する最近のデータは、中国ブームの時代が劇的に減速しつつあり、中国のみならず、世界にとって、極めて大きな影響を与えかねないという不吉な兆しかも知れない。

黄金時代のピーク

 近代史上、途方もない短期的人口ボーナスで促進された注目に値する中国経済発展のようなことは他のどの国の経済にもない。その恩恵が、のろいに変わり始めているのだ。

 1980年代、中国が経済を、欧米の工場と投資に公式に開放した際、中国には道路や新しい都市を建設し、ナイキやVWやアップルなどの世界に輸出する商品を工場で組み立てる地方の低賃金労働力の無限供給源に見えるものがあったのだ。中国経済奇跡初期の1987年、人口の64パーセントが労働年齢で、65歳以上は、わずか4パーセントだった。それは、中国の低コスト製造ブームに供給可能な労働者の莫大な余剰を意味していた。これが、1987年から2007年の間に見られた年平均10-11パーセントのGDPの成長を引き起こしたのだ。

 新たに作られた世界貿易機関のルールによるグローバリゼーションが、莫大な超低賃金労働力を持つ中国への製造移転を奨励する限り中国は未曾有のブームを享受していた。

 1950年から1978年まで、20パーセントの年間の自然人口増加率で増加する人口に恐れを感じて、1979年、共産党は過酷な一人っ子政策を課した。四つの近代化の一部で、同期間内に中国のGDPを四倍にする方策の一環として、鄧小平は、2000年までに人口を12億に保つ目標を設定した。

 この方針の、より長期的な経済的帰結は、ほぼ一世代後、約30年後まで、特に重要なことに、2008-9年世界経済危機の時期まで現れなかった。2007年-10年に始まった最初の人的資源の不足で引き起こされた中国製造業部門での賃金上昇が、当時のアメリカ不動産市場以上に、世界金融危機の深刻さの要因だったと主張することも可能だ。

 1979年以降の、鄧小平が「中国式社会主義」と呼んだものへの中国の転換は、欧米の企業と投資が、実際中国の一見無限の低コスト労働を活用するための国家管理による転換だった。その労働力は、一人っ子政策以前、主に1979年以前に生まれた人々だった。1980年に20代半ばだった労働者は、欧米での2008年-9年問題の時期には50代だった。人口構造の変化はゆっくりしたプロセスで、2008年以前のブーム時代には、見過ごすことができた。今、過去10年間、中国全土で製造業賃金が上昇しており、一人っ子政策時代に生まれた国民は特に少数で、最近の賃金上昇圧力に追い打ちをかけている。

 「中国製造」開発戦略の一環として、中国製造業が付加価値のチェーンで、より上方に移動するにつれ、賃金は際立って上昇した。エコノミスト・インテリジェンス・ユニットは、2013年-2020年から平均製造労働コストが平均年12%上昇したと推定している。現在中国の平均工場賃金コストはインドの約3倍で、インドネシアやベトナムより遙かに高い。

 同時に、特に「中国製造2025」による世界一級のハイテク経済への転換という課題の下、急速に発展する中国の製造能力に、より高度な熟練労働者が必要となり、かつて、ほとんど無限と思われていた全体的な労働力の規模が減り始めた。中国の労働力は、2015年にピークに達し、最初ゆっくりとではあれ減り始めた。1979年以前の労働力が退職年齢に達するにつれ、減少が今後加速するようあらかじめプログラムされており、出生の劇的減少のせいで、1979年以降は、同等の人数で置き換えることができないのだ。ドイツ銀行の推計によれば、労働力は、2015年の9億1100万人から、2020年には、8億4900万人に、2030年には、7億8200万にまで減る。出生率の劇的変化がなければ、2025年頃から、中国の総人口は、ゆっくりながら、次第に加速して、減少し始めるだろう。

 2017年、中国は人口規模を維持するのに必要な2.1の人口置換水準を遙かに下回る出生率だ。2013年、おそまきながら長期的影響を理解して、共産党は、一部の家族で子供二人へとにわずかながら上限を上げ、2016年までには、全家庭で子供二人へと限界を引き上げた。たとえ結果が希望通りになったとしても、状態を変えるには少なくとも一世代必要だろう。だが、まだ様々な理由のため本格的な出生率増加策は打ち出されていない。

高齢化シフト

 中国の労働力が減少し、賃金が上昇しているだけでなく、急速な高度経済成長と子供人数制限の組み合わせのおかげで、中国の総人口は、これまで40年にわたり、どの国よりも急速に高齢化している。地方の生活水準改善で国民の寿命は際立って伸びた。中国の平均寿命は、1960年の43歳から、2013年の75歳に伸びた。

 新生児数が増えない一方、生まれた人々が遙かに長生きするようになっているため、中国は他のあらゆる国より速く高齢化しつつある。2016年の中国国家統計局データによれば、2016年まで、出生率は、1.05で、中国は世界最低だ。社会が変化し、若い女性たちに結婚を延期し、職業生活を極めるよう奨励しており、地方の慣習は、女児より男児の出生を好んでいることで、出生率は更に下がる。

 2016年には、14パーセントだった中国の高齢者人口(60歳以上)が、2030年までには人口の24パーセントに増大し、2050年までには、人口の39パーセントに達するだろう。その時点で、中国の依存人口比率、つまり、15歳未満の人々と65歳以上の人々の合計を労働人口で割った数値は、2015年の、37パーセントから、70パーセントに上がる。これは、劇的に少ない生産年齢人口が、若年者、高齢者の両方をへの責任を負担することを意味する。言い換えれば、減少する相対的に少ない働いている勤労世代の納税者が、益々多数の高齢退職者に直面するのだ。社会不安を避けるため、政府は、何らかの方法で、高齢者を養う莫大な経費を負担しなくてならない。

 伝統的に、若い中国人が年老いた親の世話をしてきたが、今や極めて少数の働く子供が高齢退職者の世話をする状況では、貿易黒字が下落し、国家債務が急激に増加する中、政府は、多少改善された形の社会保障や医療保険制度や所得補助を保証するよう強いられるだろう。同時に、若い家族は家計費が増える大家族にするよう圧力を受けている。現在中国では、高齢者の推定23パーセントが自立できず、2010年には、高齢男性のわずか43パーセント、高齢女性の13パーセントしか、何らかの年金を受け取っていない。国民が年を取る前に日本は金持ちになったが、中国はそうはゆくまい。中国の高齢化は、カチカチと時を刻む社会的時限爆弾だ。

 全てイタリアやドイツのような多くの国が直面した問題に似ているように聞こえるかもしれないが、世界経済における中国の役割と、出生と死亡率の減少に続く経済成長の加速で、わずか数年での「人口ボーナス」と呼ばれたものから、今の「人口大惨事」と呼ばれそうなものへの劇的な移行を考えれば、中国は独特だ。

 ほぼ不可能な経済的偉業を達成する試みとして、「中国製造2025」と「一帯一路構想」を習近平と党執行部が推進している緊急性は明らかだ。人口構成の変化は現実だが、「一帯一路構想」や「中国製造2025」で期待される配当は、現時点では遙か遠く見える。ここ数ヶ月の自動車と住宅の国内消費急落は、実際単なる周期的な沈滞以上に警鐘的なものである可能性がある。現在展開しつつある中国の人口構成変動は、世界経済に対する否定的影響の最初の兆候かも知れない。

 F. William Engdahlは戦略リスク・コンサルタント、講師。プリンストン大学の政治学位を持つ石油と地政学のベストセラー作家。オンライン誌New Eastern Outlook独占記事。

記事原文のurl:https://journal-neo.org/2019/10/22/china-s-hidden-economic-time-bomb/

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 かなり前に拝読した藻谷浩介氏の著書『デフレの正体 経済は「人口の波」で動く』を思い出した。

 英語民間試験 文科相「身の丈で」発言。文科破壊相の面目躍如。新自由主義の世界では、入試で、金持ちが有利になって当然。文句を言う方がおかしいのだ。したがって、大臣辞任などということには決してならない。

 これほど、激しい雨の日が続いた記憶はない。

 日刊IWJガイド・日曜版「3時間でひと月分の雨量!! 千葉県と福島県を中心に記録的大雨が発生!! 千葉では15河川、福島では3河川が氾濫し、死者は10名に!! IWJでは、今回の大雨も含め、被災地への緊急支援と取材を継続していきます! 被災地では、今後も土砂災害や低い土地の浸水に警戒して下さい!」2019.10.27日号~No.2600号~

 

2019年9月23日 (月)

アメリカの農業危機は次期大統領を決定するのだろうか

2019年9月16日
F. William Engdahl
New Eastern Outlook

 アメリカの農業部門は、1980年代以来、最悪の危機を経験している。この春と夏の中西部農業ベルトでの極端な雪と、それに続く異常に多い雨量で、植えつけが遅れるか、減っている。これが数年続く農業収入下落の後に起きているのだ。石油産業に対するアメリカ環境保護局による一連の免責が、トウモロコシ由来エタノールの市場を急激に削減した。さらに悪いことに、トランプ政権の中国商品に対する関税への報復として、中国が全アメリカ農産物の輸入を止めた。アメリカ農民に破産が広がり、最高記録の債務で苦闘する中で、この全てが起きている。状況を農業における大恐慌の危機に例えるむきもある。農業生産は長らく、アメリカ経済と輸出の大黒柱だった。このほとんど知られていない農業農危機はドナルド・トランプが2020年に再選で勝つか負けるかを決定する要因になり得るのだろうか?

エタノール大失敗

 これまで数年にわたり農家収入が劇的に下がっている時に、トランプの環境保護局は、E10燃料用エタノール生産に使われるトウモロコシの市場に更なる大打撃を与えた。8月9日、環境保護局は、トウモロコシ・エタノール精油業者にガソリンへの義務的混合を避けることを認め、審議中の小規模精油所38社の31社に適用除外を認めたと発表した。認可は、バイオ燃料法に反して、2018年にそ及し、精油業者に10億ガロン以上のトウモロコ由来エタノールの義務的混合を避けることを認めたのは、アメリカ・トウモロコシ裁培者に対する大打撃だ。

 さらに悪いことに、石油産業寄りのトランプ環境保護局は、最初は石油産業の強力な後援者スコット・プルーイット、今は彼の後継者の元石炭産業ロビイストのアンドリュー・ウィーラー下で、苦しんでいる小規模精製業者だけを助けるはずだった法律に違反して、シェブロンやエクソンモービルのような企業を含め、記録的な数の精油業者を免除した。免除は、これまでオバマ政権下で免除されたものの約四倍で、トウモロコシ由来エタノール消費量の上で大きな損失を招いた。

 環境保護局は、さかのぼって行動して、2016年から2018年までの期間、40億ガロン以上のエタノールに等しい14億ブッシェルのトウモロコシ収穫、主要トウモロコシ生産州ミネソタの一年丸ごとの収穫を失うのに等しい免除を与えた。アメリカのエタノール・ロビー組織は、法律で必要とされている通りに、失われたエタノールの量を、トランプ政権が復活させるよう要求している。エタノール連合、グロウス・エナジーCEO、エミリー・スコールが述べた。「毎週益々多くの生物燃料プラントが閉鎖し、農家家族は選択肢が無くなっています。環境保護局は、2020年の生物燃料目標の下で失われた損害を修復し、エクソンやシェブロンのような石油業界大手に認められ、悪用された精製所免除による損害を修復するための行動を即刻とらなくてはなりません。」

 ブッシュ政権が2005年のエネルギー政策法令を提案して、空気清浄法を改正して、環境保護局に、石油やジェット燃料を暖めて、ガソリン燃料で、生物燃料、主としてトウモロコシ・エタノールの年間量を義務づけ、混合するよう要求して以来、燃料添加物としてガソリン燃料、暖房用油やジェット燃料のガソリン混合用のエタノールを作るためのトウモロコシ栽培が、アメリカ農業の原動力となった。今日、アメリカのエタノール生産の増加は極めて大きく、アメリカのエタノール生産のほぼ40%が、エタノール用だ。現在、アメリカのガソリンの10%は、エタノール入りのE10だ。現在、アメリカは世界最大のトウモロコシ生産者で、第二位の中国のほぼ二倍だ。

 環境保護局の石油産業に対する免除は、中西部州、特にアイオワ、ミネソタ、イリノイ、ネブラスカとインディアナのアメリカ・トウモロコシ農民に大打撃を与えた。今までトランプ政権は、トウモロコシ農民のエタノール市場に対する損失に対処するいくつかのジェスチャーをした。だが、農民とエタノール連合は、それがあまりにわずかだと主張している。注目すべきことに、特にアイオワでの2016年キャンペーン中に、トランプはある量の生物燃料を毎年燃料供給に加えることを義務づける2005年の再生可能燃料基準を守ると誓った。多くの農民は、環境保護局に裏切られたように感じている。

 ホワイトハウスは、主要な選挙資金寄贈者の石油産業に対する大きな支援と、2016年の大衆支持で、2020年再選に重要な切り札である「アメリカを再び偉大にする」農業地帯の中心部への支援との間の板ばさみになっている。

 環境保護局のエタノール裁定は、決してホワイトハウスから来ている否定的なものとして農民が見ている唯一の行動ではない。中国との貿易戦争も、アメリカ農産物輸出に巨大な打撃を与えた。

中国貿易

 トランプの中国貿易紛争前に、中国が大気汚染に対処する取り組みを強化するにつれ、アメリカのエタノール生産者は,中国市場は主要な成長分野になり得ると楽観的だった。2018年早々、トランプ政権が関税をあげて戦争をエスカレートし、中国がエタノール輸入関税を2018年7月に70%引き上げて、アメリカ農業部門に標的を定めて対応するまで、アメリカからの中国エタノール輸入は着実に増加していた。それは本質的にアメリカのトウモロコシ農家とエタノール生産者にとっての中国エタノール市場を殺した。アメリカの輸出はブラジルのサトウキビ由来エタノール主要生産者たち取って代わられている。

 だが、中国エタノール輸出の損失は、アメリカ農業にとって、中国損害の比較的小さな部分だった。トランプ貿易行動に対して、北京は政治的に重要なアメリカ農場部門に、彼らの対抗策の対象を、寸分の狂いもない正確さで定めた。重要なのは、習近平が、若い頃、交換留学制度で、アイオワで数カ月過ごし、多くの外国の国家指導者より良くアメリカの農業地帯を知っていることだ。

 8月初旬、報道によれば、中国政府は、国家の買い付け企業に、トランプ・アメリカ大統領が、9月1日時点で中国輸入でさらに3000億ドルに関して追加の10%の関税を命じると発表した後、全てのアメリカ農業産品の輸入を止めるよう命じた。それ以前に、中国は、既にアメリカ大豆輸入を10年来の最低に削減していた。

 2017年、貿易戦争が本格的に始まる前、中国は、アメリカ大豆生産高全体の約60%の1900万トン、約120億ドルの価値のアメリカ大豆を輸入していた。中国は、アメリカ農業の主要部門であるアメリカ大豆農民にとっての最大輸出市場だった。中国への大豆輸出はアイオワ農業にとって主要輸出先だった。貿易戦争前の中国へのアメリカ農業輸出、全体でほぼ200億ドルと見積もられている。2012年以来、中国はアメリカ農業輸出にとって最大市場だった。それが今ほとんどなくなって、彼らが対処する余裕がほとんどない時期の、アメリカ農民に対する驚異的打撃だ。

複合する諸問題

中国農業輸出市場の最近の損失と相まった、トランプ環境保護局に帰せられるトウモロコシのエタノール市場損失は、アメリカ農民が不安定な状態にある時に起きた事実以外は、深刻だが、対処可能だろう。アメリカ中西部全体の農業地帯の記録的降雨が、この季節以前に植えられた地域と、特にトウモロコシと大豆両方の収穫高の大きな減少を意味する。現在のアメリカ農務省のアメリカ・トウモロコシ収穫見積もりは、大豆同様「良いから、かなり良い」状態で、2013年以来最も低い。

 様々な理由で、農場の純所得は劇的に下がった。アメリカ小麦価格は、2012年から約50%下がった。トウモロコシ価格は2013年から50%以上安値だ。正味の農業収入は、これまでのところ、2013年のピークから、2019年には35%に下がっている。これは現在の穀物不足や、洪水や、中国からの衝撃や、エタノール効果を考慮する前のものだ。

多額の債務

不幸にも、この全てが、ほとんど記録的な債務のアメリカの農業家族を見舞っている。正味の農場収入が、これまでの10年間の多くにわたり、低かった中、農業債務は際立って上昇した。平均の農業債務は、2018年始めの時点で、長期的に、農場毎に130万ドルにも上昇している。現在の農業危機は、破産の増加を引き起こしている。連邦準備銀行がこれまで二年利率を引き上げる状態で、農民がより良い時期を期待して、債務を借り換えることは益々困難だ。結果は破産の増加だ。2018年、農業純収入は、既に12年で最低だ。今年2019年は、遥かに悪くなるはずだ

 一部の農民は、トランプ大統領の任期に対する彼らのこれまでの支持を再考し始めているのは驚くべきことではない。全米農民組合委員長のロジャー・ジョンソンは、8月のラジオインタビューの終わりに、トランプの農業と貿易政策にひき起こされた損害を修復するには「数十年」かかると指摘した。中国はトランプの貿易戦争のおかげで、今アメリカ農民にとっては「失われた市場」だと彼は付け加えた。ジョンソンは補足した。「農民は現在の多くの財政的圧迫を受けている。農業純収入は6年前の半分だ。これは本当に厳しい。我々は今、実に困難な立場にある。」

 ただ彼が中国を引き受けることをサポートしたということが一部の理由で、エタノール生産者、アイオワ州アトランティックのエリート・オクタン社CEOニック・ボウデッシュは、2016年には、トランプを支持した。最近彼は「彼が農業政策問題に関与して以来、ここ中枢地域では、我々の誰にとっても完全な期待はずれでした。」と言った。彼はニューズウィーク・インタビューで「大統領が道を誤り、重大な過失をしたのは、彼がこれら精製所への免責で、地元の農産物の市場破壊を始める決断をした時だった。」と付け加えた。彼らが中国との貿易戦争によって大打撃を受けた正にそのとき、それが農民に打撃を与えたが「それは受容できない」。

 最初の大統領予備選挙まで約四カ月の現時点での結果は、明確からはほど遠い。最近の中国貿易とエタノールでの挫折後、弱まってはいるが、大半の農民は、まだトランプを支持している兆候がある。今中国は、トランプによる貿易上の譲歩のお返しに、進んで大豆の取り引きをしようとしている兆しがある。もしそうなれば、それはトランプに対する農場の支持に必要な後押しかもしれない。2020年の最初の大統領予備選挙は二月だ。それはアイオワだ。

 F. William Engdahlは戦略リスク・コンサルタント、講師。プリンストン大学の政治学位を持つ石油と地政学のベストセラー作家。オンライン誌New Eastern Outlook独占記事。

記事原文のurl:https://journal-neo.org/2019/09/16/will-the-us-farming-crisis-determine-the-next-president/

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 自民・公明政権、もう悪夢そのもの。農業が主力の県では、さすがに非与党の知事が当選するが。

日刊IWJガイド「与党は衆院災害対策特別委員会の開催を先送り!? 本日23日、台風17号が日本海を通過!千葉県を始め、 台風15号で大きな被害を受けた地区にお住いの方は急な風雨の強まりにご注意ください!」2019.9.23日号~No.2566号~(2019.9.23 8時00分)

 自分たちを売り飛ばす屠殺業者に投票する家畜のような行動をとる方がなぜ多いのか考えたいので、孫崎享氏の今日のメルマガにある新刊『日本国の正体 「異国の眼」で見た真実の歴史』をこれから買いにでかけよう。

2019年7月25日 (木)

エルドアンとキプロスとNATOの未来

2019年7月19日
F. William Engdahl
New Eastern Outlook

 ここ数週間、帰属問題で係争中のEU加盟国キプロスを取り巻く排他的経済水域での、トルコの》石油掘削装置をめぐって、緊張の劇的なエスカレーションがおきている。トルコのレジェップ・タイイップ・エルドアン大統領は、北キプロスの水域のみならず、ギリシャのキプロスが権利を主張している、そこからかなり遠い水域でも、トルコは掘削する権利があると主張している。石油とガス掘削プラットホームを、この水域に移動するトルコの行動は、エネルギー源の豊富な東地中海で、劇的な新しい衝突を生み出している。当事者の顔ぶれは、トルコが、キプロスとギリシャと衝突する可能性のみならず、ロシアと中国が強い関心で見守る中で、イスラエルとアメリカとの衝突さえありうる、対立する利害の政治的火炎瓶となりつつある。

 6月20日、トルコは石油とガスを求めてボーリングするため、キプロス沖水域に、二隻目の船を出航させたと発表した。トルコは、キプロス島のトルコ対岸部、北キプロス・トルコ共和国を承認しているので、北東地域で海の権利を持っていると主張している。島が1974年に分割されて以来、トルコだけが、島のおよそ36%を占める北キプロス・トルコの共和国を公式に承認している。キプロス共和国として知られている島の残りの部分は、独立のEU加盟国として認知されており、歴史的にギリシャに近い。2017年7月、国連が仲介した島の統一に関する協議が失敗し、エネルギー上の緊張が増大した。

 2011年、巨大な石油と、特に天然ガス田が、キプロスに近い東地中海と、イスラエル、レバノンと、可能性としてエジプトの沖で発見された。地域全体には500兆立方フィート以上のガスを埋蔵している。その時以来、東地中海は、エネルギー地政学と高まる緊張の焦点になった。キプロスが去年2月にENIに採掘権を与えた際、トルコは、ENIにその掘削を断念することを強いて、軍艦をその区域に送った。11月、キプロスがキプロス南西水域で、アメリカのメジャー石油企業エクソンモービルに採掘権を与えると、エルドアンは同社を「海賊」と呼び、それを放棄するよう要求した。

 ここ数週間、エルドアンは、キプロス共和国が領有を主張する水域に数隻のトルコ掘削船を送って、状況をエスカレートさせている。

 舞台裏では

 今、大論争となっているキプロス沖合での掘削を露骨にエスカレートしているトルコの背景は一体何だろう。膨大なガス埋蔵が最初に発見された時から、8年以上の間多かれ少なかれ知られていた問題が、なぜ今なのか? それを説明できる要因がいくつかある。

 第一に、最近、10年以上で初めて彼の権力に疑問を投じた、エルドアンの劇的な選挙敗北がある。彼がキプロスに対するトルコの主張で断固たる態度を取ることが、特に、トルコ経済が、ここ数カ月厳しい景気後退に入っている中、彼の衰えた人気を復活できると彼が判断した可能性は排除できない。拡大する政治不安で、トルコ経済は、失業率増加や内需崩壊やリラ下落で打撃を受けている。エルドアンは、アメリカ代案ではなく、ロシアの先進的なS-400防空システム購入に、アンカラが固執していることで、ワシントンと進行中の戦いの中にある。トルコがギリシャと同様にNATO加盟国であるという事実が、地政学的波瀾を高める。7月17日、ワシントンは、ロシアのS-400防空システムを購入した結果、トルコは、F-35統合攻撃戦闘機を購入することを許されないと発表した。

 トルコとロシア

 何年にもわたり、特に、ペンシルベニアに亡命中のCIA資産フェトフッラー・ギュレンのせいだとエルドアンが主張する2016年7月のクーデター未遂以来、ワシントンがギュレン引き渡しを拒否しているため、エルドアンとワシントンの関係は緊張状態にある。

 今、以前の、トルコによるシリア領空でのロシア戦闘機撃墜後のトルコ-ロシア関係の決裂後、ロシアはトルコに大いに進入して、ワシントンの懸念を引き起こしている。ロシアのS-400防空システム購入に加えて、エルドアンは、ロシアの黒海から、トルコまで、ロシアとのトルコ・ストリーム・ガスパイプライン建設に加わった。2018年11月、それがトルコ領土に至ったので、ロシアのプーチン大統領が、ガスパイプライン最初の910キロ海底区間完成を祝うためイスタンブールを訪問した。2番目の平行するパイプラインがトルコ経由で、ギリシャに、可能性として、セルビア、ハンガリーや他のヨーロッパ市場にロシアのガスを輸送するはずだ。プーチンとエルドアンは、相互貿易のかなりの増加を議論して、最近の大阪G20サミットでも協議を行った。

 しかしながら、掘削船をキプロス水域に送る最近のトルコの動きは、ギリシャがトルコ・ストリームからのトルコ・ガス購入に同意しないだろうことを、ほとんど保証するにすぎない。さらに、トルコがキプロスとギリシャの領空と領海をカバーする新しいロシアのS-400ミサイル部隊を南西トルコに配備した事実は、ギリシャ側からトルコやロシアとの関係を温める役にはたたない。

 7月16日、キプロス沖での、無許可の掘削船派遣のかどで、EUがトルコに対する制裁を発表した際、トルコのメヴリュット・チャヴシュオール外務大臣はこう応えた。「EUの決定を、制裁を呼ぶことは、それを真剣に受けとめることを意味する。そういうことはするべきではない。ギリシャ系キプロス人を満足させるために、この決定がなされたのだ。こうしたものは我々に影響を与えない。」彼が話をした通り、アンカラは東地中海に四隻目の探査船を送るとを発表した。謙虚どころか、エルドアンの外務大臣は、トルコには、キプロス海岸から200マイルを含む、キプロス共和国政府と同等の掘削の権利があると主張し、ギリシャの排他的経済水域に食い込む地中海の一部の権利さえ主張しているのだ。トルコは、キプロス沖の掘削船を護衛するため、無人飛行機、F-16戦闘機と軍艦で支援している。

 NATOの未来

 この全てがエルドアンがトルコ地政学の大きな新たな章に入り、中国とロシアが率いる上海協力機構を好んでNATO離脱を準備しているのかどうかという疑問を引き起こす。

 トルコは、モスクワとの軍事的結びつきを深めるのをいとわないように思われるだけではない。7月2日、最近の北京訪問で、エルドアンは新疆ウイグル自治区での百万人以上のイスラム教ウイグル人抑留とされているもので、中国を非難するのを拒否した。かつて、トルコは、ウイグル族を、民族的にトルコ人と見なしていて、新彊を、東トルキスタンとして言及して、中国によるウイグルの取り扱いを非難する唯一のイスラム教国の一つだった。今回驚くべきことに、エルドアンは中国メディアで「我々は双方の微妙な点を考慮に入れることで、問題への解決を見いだすことができると私は信じている。」と穏やかな語調で語ったのだ。エルドアンの北京訪問の明確な目的は、ここ数カ月間、アメリカ制裁によって大きな打撃を受けている弱体化したトルコ経済に対し経済援助を得ることだった。既に中国企業は、新しいイスタンブール空港同様、新しいイスタンブール-アンカラ高速鉄道路線の一部の建設に従事している。

 トルコは、最も有利になるようにする取り組みで、東と西に二股をかけることがよくあった。疑問は、今エルドアンが、NATOでの立場への危険を冒して、中国とロシアとの明確な連合へと移行しつつあるのかどうかだ。もしそうであれば、キプロスとの石油とガスの掘削に関する現在の紛争は、EUにとってのみならず、ワシントンにとっても大きな課題となり得る地政学的構造的転換に向かう過程での小さな事件であり得よう。

 F. William Engdahlは戦略リスク・コンサルタント、講師。プリンストン大学の政治学位を持つ石油と地政学のベストセラー作家。オンライン誌New Eastern Outlook独占記事。

記事原文のurl:https://journal-neo.org/2019/07/19/erdogan-cyprus-and-the-future-of-nato/

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 (国際原子力機関 (IAEA) 事務局長天野之弥氏が亡くなった。

 2011年3月21日に掲載したクリス・ヘッジズ氏記事「今度は地球丸ごと道連れ」の後記で、機内で撮影された天野IAEA事務局長発言への違和感を書いたのを今でも覚えている。

 他にも、下記記事や後記で、彼氏に触れている。検索エンジンというものが、実際は隠蔽エンジンであることが、こうした記事でも確認できる。

 またもや戦争へと燃えあがるアメリカ資本主義

 イランを覆いつつある戦雲 (不思議なことに、この記事、今朝の時点で、yahoo、Google検索から隠蔽されている。 ペルシャ湾侵略有志連合参戦に不都合だからだろうか?) 

IranyahooIrangoogle

 福島の危機、6ヶ月で収束予定(不思議なことに、この記事は、今朝の時点で、yahoo検索から隠蔽されている。)

Fukushimay

 “福島-1”原発を巡る状況とは無関係に原発建設は進行中とIAEA事務局長

 喜劇に特別興味はないが、あの企業、不思議な組織と思っていた。今日の日刊IWJガイドを拝読して納得。

日刊IWJガイド「吉本興業の本当の闇は芸能と権力の結びつきにある! 吉本興業とNTTが沖縄県那覇市に立ち上げた教育コンテンツ等を国内外に発信する国産プラットフォーム事業に対して、官民ファンドのクールジャパン機構が最大100億円も出資! 」 2019.7.25日号~No.2506号~(2019.7.25 8時00分)

2019年6月28日 (金)

中国の自動車は次の不況を引き起こすのだろうか?

2019年6月16日
F. William Engdahl
New Eastern Outlook

 5月、現在世界最大の自動車市場、中国における新車販売が、劇的に16.4%も急落し、比較的新しい中国自動車産業史上最悪の月となった。中国汽車工業協会(CAAM)によれば、悲惨な5月の売り上げは、4月の14.6%、3月の5.2%の下落後に起きた。これがアメリカ-中国貿易戦争に起因するものかどうかは疑わしい。だが、中国車販売の不振は、外国の自動車メーカー、特にドイツに深刻な影響を与えている。この中国の変化は、本格的な新たな世界的不景気、あるいはもっと悪いものの前兆なのだろうか?

 アメリカの貿易戦争が主な原因ではないという一つの兆候は、2019年5月が、中国で自動車販売台数の連続凋落で、12カ月目にあたるという事実だ。中国の自動車メーカーと車のディーラー間の売上高は44%減った。しかも、中国ブランド自動車の国内販売は、5月に26%と大きく減少した。中国ブランドの宝駿と東豊とTrumpchiは今年これまでに、40%減った。日本のホンダとトヨタだけが販売増加を示している。明らかに、何か本格的な、良くないことが世界で2番目に大きい経済、中国で進行中なのだ。

 中国汽車工業協会CAAMの許海東秘書長助理が、一体何が急落を起こしているかの手がかりを示した。「低・中所得層の購買力凋落と、購入を促進する政府刺激策への期待」が主な原因だと彼は言った。

消費者負債

「低・中所得層の購買力下落」が意味することは気掛かりだ。私が以前の記事で報じたように、中国繁栄の時代は、欧米においてとほとんど同様、特に2008年の世界金融危機以来、金融緩和に促進されていた。

 中国は2009年に世界最大の自動車生産国になった。多くはアメリカあるいは日本、あるいはEUブランドの中国製だ。10年で、中国で製造される自動車は、EU全体のそれと同様、アメリカと日本での製造を合計したものを超えた。2010年までに、中国は史上あらゆる国で最大、毎年約1400万台の車を生産しており、大部分が中国「低・中収入」国内市場向けだった。中国の中所得者は自動車保有を不可欠と考え、銀行やノンバンクや影の金融が熱心に貸すようになった。2009年に中国で登録された自動車とバンとトラックは、6200万台に達した。2020年までには2億台を超えるだろう。それは自動車保有市場が、飽和していないにせよ、少なくとも世帯債務負担能力の限界に直面していることを意味する。

 過去10年間、収入が上昇している自動車を持っている中国のより若い家族が、初めて自身のアパートや家の本格的な購入に向かっている。2018年までに、その多くが規制されていない、世帯や他の負債の爆発が、北京や中国人民銀行の不安を呼び起こし始めた。簿外債務、つまり影の金融ローンで、驚くべき15兆ドルが未払いだと推定されている。そのうち少なくとも3.8兆ドルが、地方政府プロジェクトや住宅建設に投資するため普通の中国市民の貯金を引き出す、いわゆる信託基金だった。世銀は中国の影の金融総計が、2005年のGDPの7%から、2016年の31%にまで拡大していると推定した。バーゼルの国際決済銀行BISはそのうちの7兆ドルが債務不履行のリストがあると計算している。

 現在の消費者ブームは、世界金融危機の2008年後に、北京政府が雇用と収入の上昇を維持しようとして、経済へのパニックに近い低金利融資注入と多くの人々が見なす行為をして引き起こされた。規制当局が問題をよりうまく制御しようとし始めると、突然不動産価値が2桁の膨張を止めるにつれ、何百万という中間所得の中国人家族が、これまで20年続いていた経済天国が、突然、債務者刑務所になるのに気が付いた。困難なのは、正確な政府経済データを入手することだ。揺るぎないように見える公式の6%強のGDP増大に反し、中国人エコノミストの一部は、それが約1%、あるいはマイナスでさえあるかも知れないことを示唆している。

 この状況で、中国自動車販売の最近の凋落は、憂慮すべきどころではない。それは世界的に、とりわけドイツに大きな影響を与える。中国で生産しているドイツのVWは、2017年に300万台以上で、中国で最も良く売れている自動車だ。

世界的な衝撃

 ここ数カ月、主に中国自動車販売の凋落が継続した結果、グローバル自動車業界は新たな危機的段階に入った。それはディーゼル大気汚染物質スキャンダルのような問題に加えて、産業にとって良いニュースではない。ドイツの自動車研究センターは、2019年のグローバルな自動車生産は、少なくとも400万台減少し、強い衝撃になると推定している。大半の欧米専門家は、中国自動車販売の厳しい急落が起きると予想していなかった。

 5月、ドイツのダイムラーCEOディーター・ツェッチェは、彼が「未曾有の」産業崩壊と呼ぶものに備えるため「全面的コスト削減」を進めていると述べた。ボッシュのようなドイツ自動車部品メーカーや何千という小・中部品企業が、1970年代のオイル・ショック以来最悪の問題について語っている。2019年最初の6カ月間、ドイツからイタリアまで、アメリカと中国まで、世界中の自動車メーカーが、世界的下方転換に対応して、約38,000の雇用を削減した。「我々が大幅な下方転換になるだろうと考えている暗い先行きを業界は凝視しています。中国での減少の速度は本当に驚きです」とバンク・オブ・アメリカ・メリル・リンチの自動車アナリスト、ジョン・マーフィーが述べた。

 ドイツ自動車メーカーにとって、中国市場崩壊の時期は最悪だ。現在のガソリンやディーゼル車より遥かに高価だと考えられていて、生存可能になるのもまだ何年も先の次世代電気自動車開発に何十億も注いでいるまさに同時期に、過酷で恣意的なEU大気汚染物質要求と不確実さ打撃を与えられているのだ。

 もしワシントンが今ドイツや他のEU自動車輸入に新たな関税を課せば、それは経済領域に、非常な悪影響を与えかねない。2000年以来、中国を世界の工場にした工業生産グローバリゼーションは今グローバリストの基盤に巨大な地質構造のひびを見せ始めている。

 F. William Engdahlは戦略リスク・コンサルタント、講師。プリンストン大学の政治学位を持つ石油と地政学のベストセラー作家。オンライン誌New Eastern Outlook独占記事。

記事原文のurl:https://journal-neo.org/2019/06/16/will-china-autos-trigger-next-economic-downturn/

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 昨日岩上氏の坂本雅子・名古屋経済大学名誉教授インタビュー一回目を拝見。必見。この記事の中国の自動車産業の話題と直結する話題もあった。

 森嶋通夫著『なぜ日本は没落するか』を何度か読んだ。政治や教育のひどさを指摘していた記憶があるが、属国ゆえ、まともな産業政策を実施できないと書いてはいなかったような記憶がある。「半導体摩擦」時、おしつけられた決着に、憤慨したものだが。

 属国には、独自の産業政策はありえない。欠陥商品原発セールスしかない。
 属国には、独自の外交政策はありえない。地球不完全害行しかない。
 属国には、独自の国防政策はありえない。集団的自衛権という名目で侵略戦争に行くしかない。重要な武器の自製は許されず、ブラックボックス兵器の爆買しかない。

日刊IWJガイド「『尊敬する政治家は石井紘基! 議員になったら国政調査権を行使して日本社会の財政構造を解明したい!』れいわ新選組二人目の参院選公認予定候補者は安冨歩東大教授! 」2019.6.28日号~No.2479号~(2019.6.28 8時00分)

 

岩上安身によるインタビュー今後の日程・配信予定~ 米国のイラン敵視政策の背後にはイスラエルの存在が! 放送大学名誉教授の高橋和夫氏へもインタビュー予定! 2日かけて録画収録した坂本雅子・名古屋経済大学名誉教授インタビューは、6月27日、28日に配信します! なぜ日本の経済力が低下したのか!? どうして景気が好転しないのか!? 問題は金融ではなく産業政策にあった! 必見の内容です!

 

 安冨歩東大教授の本は何冊か拝読している。「生きる技法」は、必要があって、再度購入したばかり。

 原発危機と「東大話法」が初めて拝読した本。
 「ハラスメントは連鎖する 「しつけ」「教育」という呪縛」、今、巨大書店で、とんでもない高値。

2019年6月 3日 (月)

我々は世界的食糧大惨事に直面するのだろうか?

2019年5月31日
F. William Engdahl
New Eastern Outlook

 いや、本記事は、決して、アレクサンドリア・オカシオ・コルテスや有名な若いスウェーデン気候専門家グレタ・トゥーンベリの破滅的シナリオを是認するものではない。だが本記事は、来年、食糧供給と価格に劇的に影響を与えかねない、アメリカからオーストラリア、フィリピンや更に他の、重要な穀倉地帯における異常な気象災害を一瞥するものだ。それは、今後の生育期の進展次第で、大きな政治的影響がありうる。

 水浸しのアメリカ中西部

 5月20日のアメリカ農務省農業統計局(NASS)最新報告によれば、トウモロコシと大豆農作物が、時期的に、今年は普通の成長レベルからかなり遅れている。が昨年の同時期の78%と比較して、アメリカの全ての計画されたトウモロコシ作付面積のわずか49%しか植えられていないと報じている。そのうち、2018年5月の47%と比較して、わずか19%しか芽を出していない。大豆に関しては、昨年の53%と比較して、19%しか植えられていない。米の作付面積は米を栽培する6つの州で、1年前の92%と比較して、73%まで下がっている。もちろん、天気が劇的に向上すれば、最終の収穫も向上するはずだ。予測するにはあまりにも早すぎる。

 中国との貿易戦争前、アメリカは世界の大豆生産の34パーセント、世界輸出の42%で、大差で世界最大の大豆生産国だ。アメリカは、世界最大のトウモロコシやメイズ生産国でもあり、第二位の中国のほぼ二倍だ。ほぼ全てのアメリカ大豆とトウモロコシがGMO農作物であるという残念な事実は考慮から除けば、これら2つの農作物の深刻な凶作は、世界の食料価格に大きな影響を与え得る。それらは主に家畜の餌に使われている。

 アメリカ中西部の生育期崩壊の重要な要因は、アメリカ国立海洋大気庁環境情報センターによれば、これまでの12カ月、アメリカ政府が1895年に統計を記録し始めて以来、最大の降雨量だった事実だ。記録的降雪と、それに続いた異常に激しい雨が、その理由だ。

 太平洋の強いエルニーニョが、2015-16年、活動中で、新たなエルニーニョが、通常よりいくぶん早く、この冬確認されたという事実は注目すべきだ。正確にそれがどのように今の天気に影響を与えたかはまだ明確ではない。エルニーニョは、赤道の東と、太平洋中央部での周期的な温暖化だ。

 それは人為的要因ではなく、太陽活動に関係しており、世界の天候パターンを数カ月の期間にわたり変える可能性があり、地域で、より暖かかったり、冷たかったり、多雨だったり、乾燥したりする天気の可能性をもたらすのだ。彼らは、数年毎に、通常2から7年ごとに周期的におこるが、比較的弱いエルニーニョが、今月5月にピークに達すると予想されることが確認されたのは注目に値する。4月、国立海洋大気庁は、最新のエルニーニョ状態が、2019年春(~80%の可能性)か夏まで(~60%の可能性)北半球全体で継続する可能性が高いと推定している。

 オーストラリアとフィリピンのひどい干ばつ

 中西部アメリカ農場ベルトが水浸しとなる一方で、地球の他の地域、特に主要穀物生産国のオーストラリアは、干ばつに苦しんでいる。2007年以来初めて、オーストラリアは、主としてカナダから小麦輸入を強いられている。去年は干ばつで、小麦の収穫高が20%減った。政府は状況に対処するため大量の輸入許可証を発行した。現在の小麦収穫見積もりは、わずか1600万トン、同国が二シーズン前にそうだったものの半分だ。近年オーストラリアは、世界第5位の小麦輸出国だ。

 穀物の不足に加えて、2018年2月以来、フィリピンは、米作に壊滅的打撃を与えている酷い干ばつに見舞われている。フィリピンは、合計すると全ての米輸出の約70%を占めるインドやタイやベトナムやパキスタンのような世界首位の米生産国の一つではないが、これは、問題山積の国に深刻な政治的影響を与えている。

 北朝鮮は、ひどい干ばつに襲われているもう一つの国だ。雨量は、今年、1982年以来、これまでのところ最少だ。国営メディアが、北朝鮮では「全ての地域で、ひどい干ばつが長引いている」と報じている。1月以来の平均降水(雪)量は、年平均降水(雪)量128ミリのたった42.3%だ。北朝鮮が深刻な食糧不足に見舞われている中、これが起きているのだ。データは、おそらく政治問題化されようが、国際制裁の影響は助けにはならない。

 こうした深刻な不足は、まだ世界的緊急事態を宣言する根拠にはならないが、注目すべきは、中華人民共和国で、中国全土の豚に対する、致命的なアフリカ豚コレラの最も酷い流行のさなかに、それが起きていることだ。アメリカ農務省は、この接触伝染病を完全に制御するには、今年、約2億頭の豚をと殺しなくてはならないと推定している。中国には、豚が約7億頭いて、圧倒的な世界最大の豚生産国だ。弱り目に祟り目で、中国は、トウモロコシや大豆等の農作物に壊滅的打撃を与えかねないツマジロクサヨトウ蔓延に全土が襲われている。

 この全て、コンゴからイエメンやシリアに至るまで、戦争の犠牲で農業生産が破壊された世界中の様々な紛争地帯を考慮に入れないでの話だ。

 新しい穀物大国としてのロシア?

 これらの現在の収穫困難、あるいは、本格的収穫不足の可能性が、2014年のアメリカとEUによる制裁実施以来、過去3年で、カナダとアメリカ両国を遥かに上回る世界最大の小麦輸出国として出現した国ロシアにとって、きわめて有利になり得る。現在の2019/2020年の収穫年、ロシアは、1年前のおよそ10%以上、記録的な4940万トンの小麦を輸出すると推定される。去年、世界小麦輸出全体に対するアメリカの14%や、同様のカナダと比較して、ロシアは21%を占めた。

 ロシアに対する欧米制裁は、ロシア政府に、食糧生産で自足する措置をとることを強いる興味深い効果があった。2016年、ロシア政府はGMO作付けや輸入を禁止し、世界でも最も豊穣な黒土を享受している。少なくとも短期的に、ロシアは世界の穀物市場で、様々な収穫不足に対処すべく介入するのに好都合な立場にある。

 ロシアが穀物をアメリカに売るよう頼まれることはありそうもないが、もしそれが起きれば、それは大きな歴史的運命のいたずらとなろう。1970年代初期のソ連凶作時に、後に、Great Grain Robbery(穀物大強盗)と呼ばれるようになった、カーギルや穀物カルテルと共謀し、シカゴ商品取引所で、穀物価格を、125年ぶりの高値にし、途方もなく暴騰した価格でソビエト社会主義共和国連邦への穀物輸出を計画したのはヘンリー・キッシンジャー国務長官だった。我々が聞かされている、アメリカやヨーロッパ労働者の賃金引き上げ要求ではなく、同じキッシンジャーの卑劣な外交が中心的役割を果たした、1973-74年のOPECによる400%石油価格ショックとともに、食糧と石油が1970年代の大インフレの原因だったのだ。

 F. William Engdahlは戦略リスク・コンサルタント、講師。プリンストン大学の政治学位を持つ石油と地政学のベストセラー作家。オンライン誌New Eastern Outlook独占記事。

記事原文のurl:https://journal-neo.org/2019/05/31/do-we-face-a-global-food-disaster/

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 シリーズ人体Ⅱ遺伝子第2集『“DNAスイッチ”が運命を変える 』思わず見入ってしまった。

日刊IWJガイド「櫻井よしこ氏、なでしこアクション山本優美子氏らが映画『主戦場』出演は『だまされた』と抗議声明を発表! 本日午後2時から、ミキ・デザキ監督と配給会社『東風』が抗議声明に応えて記者会見!」 2019.6.3日号~No.2454号~(2019.6.3 8時00分)

 しかも、IWJが記者会見を生中継!これは拝見しなければ。

■櫻井よしこ氏、なでしこアクション山本優美子氏らが映画『主戦場』出演は「だまされた」と抗議声明を発表! 本日午後2時から、ミキ・デザキ監督と配給会社「東風」が抗議声明に応えて記者会見! IWJは生中継します!

2019年6月 1日 (土)

レアアースは中国の究極の武器か?

2019年5月26日
F. William Engdahl


 中国とアメリカ間の関税エスカレーションと貿易戦争の緊張が劇的にエスカレーションする中、習近平中国主席は、贛州市にある国有企業JL Magレアアース社に、時宜を得た訪問をした。彼は公然と脅迫はしなかったが、中国はトランプ政権に圧力をかけて従わせるための兵器庫に、よりも多くの武器を持っているという明確な心理的メッセージをワシントンに送ったのだ。レアアース鉱物採掘における中国の役割はどのようなものなのだろう、彼らがそれを兵器として利用する可能性はどれぐらいたかいのだろう?

 5月20日に、中国政府の新聞、環球時報が、習近平訪問について書いた「訪問は国内レアアース産業に対する指導部幹部による支持の印と見なされた」という記事で 彼らはさらにそれほど遠まわしにではなく「中国商品に対して関税を課し、中国企業向けの半導体供給を削減するというアメリカ決定に対し、対策として中国は、アメリカへのレアアース輸出を限定するべきだと多くの人々が提案している」ことを指摘した。新聞は中国のレアアース金属が「最新のアメリカ関税リストから除外された少数の項目の中に」あったことを強調して指摘している。

 もし中国がアメリカへのレアアース輸出を禁止したら、アメリカ経済に対する影響はどれほど深刻だろうかという疑問がわく? 簡潔な答えは、非常に深刻だ。

 スマートフォンやラップトップのような大半の電子装置での使用のほかに、レアアース鉱物は、国防総省とアメリカ軍隊に絶対的に不可欠なのだ。ニュースレターのブレーキング・ディフェンスによれば、レアアース要素は、原子力で動くSSN -774バージニア級の高速攻撃潜水艦や、DDG -51イージス艦や、F-35次世代主力戦闘機のような主要兵器システムに不可欠なのだ。彼らは「レアアースが同じく高精度誘導弾や、レーザーや、衛星通信や、レーダーやソナーや他の軍装備品に欠くことができないと、2013年の議会調査施設報告にある」ことを指摘している。

輸入依存

 次の疑問は、現在、アメリカ経済、特にその防衛産業基盤が、どれほど中国のレアアース輸入に依存しているかだ。答えはほとんど100%だ。アメリカ地質調査局による2017年12月の報告によれば、中国は現在世界レアアースの90%以上を供給している。これは中国政府が重要な鉱物の開発に優先順位を付けた1990年代後期から事実だった。

 レアアース(希土類)は一般に、原子番号で57(ランタン)から「ランタノイド」と呼ばれる71(ルテチウム)までの15の要素を意味する。リストによっては、イットリウムも含む。石油精製での触媒としての利用と同様、知られている最も強い磁石、ネオジム-鉄-ホウ素磁石もレアアースを使っている。

 既知の埋蔵量に関して、アメリカ地質調査局は中国には、5500万トンのレア・アース元素、その大半が内蒙古にあると推定している。世界的なレア・アース元素埋蔵は、約1億3000万トンで、中国、ブラジル、オーストラリアとインドの順にあるとされている。

アメリカ・レアアースの死

 レアアースの長編歴史物語で驚くことは、レア・アース元素の主要産出国としてのアメリカの歴史だ。1995年までアメリカは、処理されたレアアースの世界最大の生産国だった。アメリカ地質調査局によれば、アメリカには、主にカリフォルニア、アラスカとワイオミングとテキサスに、約1300万トンのレアアース元素がある。

 最大の採掘施設は、元来はユニオン石油、後のシェブロン、そして様々な権益組織が所有していたカリフォルニアのモハベ砂漠のマウンテン・パス鉱山だった。しかし、2002年に、マウンテン・パスは環境汚染流出のかどで閉鎖を強いられたが、2010年に日本を狙った中国レアアース禁輸で、世界の金属価格が急騰した時に再開された。日本の住友金属がマウンテン・パスの改良に参加した。高価格のおかげで、2014年まで、年間4,700トンのレアアースを産出していた。しかしながら、中国が2014年末にレアアース輸出禁止令を終わらせ、世界の供給が豊富になった際、価格が崩壊し、マウンテン・パス所有者、今のモリコープが2015年に破産申請を強いられた。

 わずか四半世紀のうちに、アメリカ・レアアース採鉱、処理産業が丸ごと崩壊し、中国が世界の首位として台頭した長編歴史物語全体は、別記事が必要だ。かつてGMが所有していたが、アーチボルド・コックス・ジュニアによって率いられていた株主グループに売られたマグネクエンチと呼ばれるもう一つの重要なレアアース企業の売却が重要な役割を演じた。マグネクエンチは、それから中国投資家のグループに売られ、2000年にそのアメリカ施設が閉鎖し、全ての装置が中国に移転した。1998年、クリントン大統領任期中に、驚くことに、国防総省にレアアースの全戦略的備蓄を売却させる決定がなされた。同じ年、レアアース金属と合金生産の最後のアメリカ企業ロディア社が、テキサスの処理施設を閉じ、モンゴルで新施設を作った。

 皮肉にも、ディフェンス・ワン・ジャーナルが「アメリカ採鉱企業が、他の金属の採鉱を通じ、世界需要の85%に対応するのに十分なレアアース鉱石を採掘しているが、規制が、その採掘を経済的でなくしているため、それは捨てられている」と指摘している。

アメリカ会計検査院の警告

 2016年、オバマ政権時、議会の会計検査院はレアアースの状態に関する報告を公表した。それは「レアアースはアメリカ軍装備品の生産、補充と運用に欠くことができない。必要な原料の確実な入手は、防衛需要の全体水準にかかわらず、国防省にとって基礎必要条件だ。」と警告していた。アシュトン・カーター国防長官は脆弱さに対処する処置をとり損ねた。

 大統領として最初の行動の一つとして、ドナルド・トランプは最も包括的な政府部門間の国防産業基盤見直しを命じる政令に署名した。去る12月、報告書公表の直前、アメリカ防衛産業が、極めて重要な鉱物で、中国に対する依存を詳細に調べた結果は「非常に憂慮すべきで、我々は中国に、驚くほどの量を依存している。彼らはレアアース鉱物や、一部のエネルギーや他のものでの唯一の供給源だ。我々が前進する上で、これは我々にとって問題だ」とエレン・ロード国防次官(調達担当)が述べた。

 問題はそれに不可欠な技術者やと他の人たちのリクルートは言うまでもなく、高度なレアアース採掘、処理施設を再建するのには何年もかかることだ。国防総省が密かにレアアースを備蓄していなければ、中国レアアース輸出禁止宣言は、巨大な戦略上のエスカレーションとなるはずだ。だがそれは、あっと言う間に制御が利かなくなるエスカレーションになりかねず、中国にとっても同様に重大な結果を招くはずだ。現時点では、中国レアアース禁止は語られない脅威の状態にすぎない。世界平和のため、そのままであるよう願うばかりだ。

 F. William Engdahlは戦略リスク・コンサルタント、講師。プリンストン大学の政治学位を持つ石油と地政学のベストセラー作家。オンライン誌New Eastern Outlook独占記事。

記事原文のurl:https://journal-neo.org/2019/05/26/are-rare-earths-china-s-ultimate-weapon/

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 IWJ岩上氏による長時間インタビューをしっかり拝聴した。

5月31日(金)午後2時30分より【岩上安身インタビュー】財政危機に直面した米国は苦し紛れに対中追加関税!? 米国追随のリスクとは!? ~岩上安身による中国通エコノミスト・田代秀敏氏インタビュー

 サラリーマン通勤をやめて以来ほとんど購入した記憶がない週刊誌車内吊りビラで興味深い記事を見た。

「櫻井よしこさん」を欺いた日系米国人のトンデモ映画

 新聞記事もある。

「だまされた」と保守派が抗議 慰安婦映画「主戦場」

 大手メディアによる宣伝効果で、多数の方々が、見に行かれることを期待したい。

 ところで「候補者の前科すら包み隠さず有権者の信を得ようとする強み」という日刊ゲンダイ記事を見た。筆者正気だろうか。

 「安倍総理を応援します。野党支援の皆さんごめんなさい。」という映像の冒頭を見れば、矛盾に思えるのだが。

 今日の日刊IWJガイド、昨日のインタビューが見出し。

日刊IWJガイド・土曜版「<昨日の岩上安身によるインタビュー>財政危機に直面した米国は苦し紛れに対中追加関税!? 米国追随のリスクとは!? ~岩上安身による中国通エコノミスト・田代秀敏氏インタビュー」 2019.6.1日号~No.2452号~(2019.6.1 8時00分)

 

2019年5月30日 (木)

中国の食物危機は、貿易戦争より、ずっと危険?

2019年5月20日
F. William Engdahl
New Eastern Outlook

 中国は激化しているアメリカ関税戦争よりも、遥かに多くの政治的安定と経済への損害をもたらしかねない農業への脅威に直面している。昨年8月、最初に発見された時以来、ここ数カ月、世界最大の豚生産国の豚頭数を脅かすアフリカ豚コレラ(ASF)問題が、豚頭数を徹底的に削減することを強制した。その上、最近、中国の穀物生産者はトウモロコシや米や他の穀物農作物に壊滅的打撃を与える「ツマジロクサヨトウ」と呼ばれる危険な害虫の大発生と呼ばれるものに出くわしている。指導部はエスカレートするアメリカとの大きな貿易戦争のさなかにあり、中国に打撃を与えるこの組み合わせは、ほとんど想像できない形で、世界の地政学地図に影響を与えかねない。

 中国政府は、公式に、致命的なアフリカ豚コレラ(ASF)発生を根絶するのに必要な措置をとる明確な決意で対処しているように思われる。北京当局は、今日までに百万頭以上の豚が屠殺されたと主張している。だがそれも、豚汚染が中国の全ての州、更に国外にさえ広がるのを阻止できなかった。

 現在、中国の食事で、豚肉はタンパク質の主要源だ。中国は世界最大の数、5億、あるいは約7億頭の豚がいる。問題はアフリカ豚コレラは(証拠によれば、人にとってではないが)大いに命取りで、豚にとってほぼ100%致命的であることだ。この病気は伝染性が強いのが、群れ丸ごと即座に屠殺しなければならない理由で、治療法もない。ウイルスは何日も何週間も表面や肉で生存可能だ。

 アメリカ農務省は4月の報告書で、中国はアメリカ豚の総生産高と等しい1億3400万頭の豚を殺さなければならないだろうと予想した。アメリカ農務省が1970年代半ばに監視を始めて以来、それは記録上、最悪の屠殺数になるはずだ。

 2019年4月の世界の主要農業金融機関、オランダのラボバンクによる研究報告は、中国の、実際のアフリカ豚コレラのための屠殺は、報告された百万頭よりずっと多いと推定している。彼らは、2018年8月の最初の発生以来、致命的なアフリカ豚コレラは公式の数より約100倍酷く、中国豚の1.5億から2億頭の範囲が感染し、中国本土の全ての省に広がったと推測している。報告書は「2019年、アフリカ豚コレラのために、25%から35%の中国の豚肉生産損失を予想している。(50%以上の)極端な損失に関する報告は限られた地域に限定されている。」 報告書は「これらの損失は他のタンパク質(トリ、カモ、魚、牛肉や羊肉)によっては容易に代替できず、同様に大規模輸入でも完全には損失を相殺できず、これは2019年の全動物性タンパク質供給で、ほぼ1000万トンの需給ギャップをもたらすだろう」と補足している。

 それは公式データが示唆するより遥かに大きく、もし本当なら、豚の価格のみならず、損失から生き残れない何百万という中国の小農民に壊滅的打撃を与えかねない。中国の豚生産は、健康管理対策がより緩く、接触感染がより多い、小規模農家に独占されているため、正確なデータが不足している。

 不幸にも、状態を静めるための明らかな取り組みとして、24の省で病気が蔓延していたにもかかわらず、一月に中国農業省は「アフリカ豚コレラ流行」はなく、この状況を収拾するため政府が適切な措置をとっているという声明を発表した。元気づける声明が出された不審なタイミングは、中国旧正月の祝日の春節、一年で最大の豚消費時期の二週間前だった。皮肉にも今年は中国では豚年だ(韓国、香港、台湾も。猪年は日本だけ)。

 豚の致命的な病気は隣接する主要豚生産国のベトナムにも広がり、ラボバンクは、少なくとも、この国の豚の10%が破壊され、カンボジアに広がると予想している。香港や台湾やモンゴルにも広がっている。問題は再感染のリスクが大きく、最善の条件下で、中国が豚を再製するには何年も要すると専門家が推定している。

そこにツマジロクサヨトウが大発生

 中国の豚生産が、数十年で最もひどい危機にある同じ時に、穀物も、戦うのが同じぐらい困難な、蛾Spodoptera frugiperda種幼虫の普通名詞ツマジロクサヨトウと呼ばれるものの、もう一つの壊滅的大発生の蔓延にでくわしている。

 アメリカ農務省(USDA)の最近の報告によれば、この壊滅的な害虫はミャンマーから入って、1月29日、最初に雲南省で発見され、既に雲南、広西、広東、貴州、湖南や海南島を含む広範囲の南中国の省に広がった可能性がある。アメリカ農務省は、一晩で驚くべき100キロも移動できるツマジロクサヨトウは、今後数カ月で中国の穀物生産地域の全てに広がると推定している。典型的なツマジロクサヨトウ蛾は、全部で1,000から1,500の卵を産み、寿命の間に500キロ旅行する。卵は数日で、幼虫にふ化する。

 「中国農業輸出」は、予想よりずっと速く虫が広がったと報じている。虫は絶滅させることが極めて難しい。アメリカ農務省は「ツマジロクサヨトウは中国に天敵がおらず、その存在により、換金作物の中でも、トウモロコシ、米、小麦、ソルガム、サトウキビ、綿、大豆やピーナッツの生産が減少し、品質が低下するかもしれない」と指摘している。報告書は「中国の大半の農民に、ツマジロクサヨトウに効果的に対処するのに必要な財源がなく、訓練をもけていないと補足している。たとえ緩和対策が実施されたとしても、高価な駆除対策(主に薬剤散布)は、被害を受ける大半の作物をつくる農民の生産者利益を赤字にさせるだろう。」

 アメリカ農務省によれば、中国は2018-19年で2億5700万トンのトウモロコシを生産すると予測され、アメリカに続き、世界で二番目に大きいトウモロコシ生産国だ。これまでの3年で、北米固有だったツマジロクサヨトウは、アフリカや南アジアや東南アジア全体で大規模経済損害を引き起こした。イギリスに本拠をおくCentre for Agriculture and Biosciences International(CABI)によれば、ツマジロクサヨトウは、わずか2年で、アフリカの4分の3に定着した。

 一方トランプ政権に課されたアメリカ貿易関税に応えて、北京はアメリカ大豆の購入を制限し、国内大豆や他の穀物農作物をますます中国農業にとって重要なものにした。悪天候の干ばつと異常に寒い天気が、中国の大豆とトウモロコシ生産に影響を与えた。

 中国の経済全般が際立って停滞している兆しの中、アフリカ豚コレラとツマジロクサヨトウによる二重の打撃と、中国からの輸入品に対するアメリカ関税の最近のエスカレーションと組み合わさって、下落はそれにより何十万という中国の小規模農家が多分経済的に破綻する可能性と、中国の国内食品価格インフレーションが急激に進む危険な状況を生み出しかねない。これは確実に、この時点で、中国が必要とはしていないものだ。

 F. William Engdahlは戦略リスク・コンサルタント、講師。プリンストン大学の政治学位を持つ石油と地政学のベストセラー作家。オンライン誌New Eastern Outlook独占記事。

記事原文のurl:https://journal-neo.org/2019/05/20/a-china-food-crisis-more-danger-than-trade-war/

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 日刊IWJガイド「川崎登戸の事件でまたしても『メディアスクラム』の問題が! メディアスクラムと情報操作を排して、問題の根本的な解決に取り組むべき! 」 2019.5.30日号~No.2450号~(2019.5.30 8時00分)

<昨日の岩上安身によるインタビュー>「MMT論者は為替市場を無視している」! 松尾匡・立命館大学教授らが主張する「反緊縮」の問題点を明石順平氏が明快に指摘! 岩上安身による『データが語る日本財政の未来』著者・明石順平弁護士インタビュー

 インタビュー拝聴に集中して、時代劇再放送を見るのも忘れた。

 インタビュー終了後、内田樹氏の『望月衣塑子『安倍晋三大研究』から』を拝読し、早速書店にでかけ『安倍晋三大研究』を購入。

 そして、まさに今朝の記事。

 菅官房長官「その質問なら指さない」=東京新聞記者に

記者クラブ、即刻、速記者クラブと改名する必要があるだろう。

 

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