William Engdahl

2017年10月11日 (水)

ISISとSDFというアメリカの大ウソ-‘クルディスタン’と新たなガス戦争

2017年10月4日
F. William Engdahl

最近の主要欧米マスコミの見出しは、シリアのデリゾール県周辺の主要天然ガス田攻略を、あたかも、それがシリアの勝利であるかのごとく称賛している。典型的な見出しはこうだ。“SDF、シリア・ガス田をISISから奪還。”本来のガス田所有者、シリア国が貴重な経済的資源を、ISISテロリストから奪還するのに成功したことを意味する単語“奪還”に注目願いたい。現実には、逆なのだ.

ダマスカスのアサド政権ではなく、ペンタゴンとイスラエルIDFや他のバッシャール・アル・アサドのダマスカス政権に敵対的な連中に支援されているクルド・シリア民主軍(SDF)が、元々テキサス州ヒューストンのコノコ石油が開発したシリアの主要ガス田を支配したと発表したのだ。作戦に関する欧米マスコの標準的な報道は、“アメリカが支援するシリア部隊が、石油の豊富なガス田地域のコノコ・ガス工場を「イスラム国」から奪い、過激派戦士から重要な収入を奪った”という線に沿っている。

この描写の背後には、アメリカ・ペンタゴン部隊が、ISISテロ集団とSDFの両方の導き手であることが露顕した醜い真実がある。2014年以来、ISISがデリゾール県と、その石油とガス田を占領し、アサド政府から収入とエネルギーの主要源の一つを奪っていたのだ。

9月24日、ロシア国防省が、都市デリゾールの北、ISIS戦士が配備されている場所の、アメリカ軍特殊部隊の機器を示す航空写真を公開した。写真は、アメリカ軍部隊が、クルド・シリア民主軍(SDF)の自由通行を認めて、「イスラム国」テロリストの戦闘隊形を通り抜けることを可能にしている、とロシア国防省は声明で述べている

“ユーフラテス川左岸沿いにデリゾールに向けて、ISIS戦士による抵抗無しに、SDF軍部隊は移動している”と声明にある。

モスクワ国防省声明は更にこうある。“アメリカ軍の拠点が、ISIS部隊が現在配備されている場所にあるにもかかわらず、戦闘前哨基地が組織されている兆しさえない。”明らかに、アメリカ軍要員は、ISISが支配する領土の真ん中で、絶対安全と思っているのだ。

ダマスカスを本拠とするフランス人中東専門家ティエリー・メイサンはこう書いている。“8月、ペンタゴンは、主に旧ソ連製の5億ドルの兵器と弾薬の購入と輸送入札を発表した。最初の200台のトラックは、9月11日と、19日、イラク・クルディスタン経由で、聖戦士たち(つまりISIS-筆者注)に攻撃されることなく、ハサカ県のYPGに到着した。”

アメリカとイスラエルが支援する封建的独裁者、マスード・バルザニの下、イラク・クルド人が、イスラエルのネタニヤフと、黒幕として、ワシントンが公然と支持する動きである、イラク・クルディスタン“独立”宣言支持の92%の賛成投票をしたばかりと報じられている、イラク国境に近いシリアの石油とガス埋蔵の戦略的地域を確保するため、アメリカが訓練し、武器を与えているクルドSDF軍部隊も、ISISも、アメリカが区別なく利用しているアメリカの代理であることが、これで確認できる。ロンドン・フィナンシャル・タイムズの報道によれば、既に2015年、イスラエルは、イスラエル石油の77パーセントにもあたる量をバルザニが支配するイラク・“クルディスタン”から輸入していた。

イラク、シリアや、NATO加盟国トルコさえ、そして究極的にはイランからも、領土を切り取って作り出すアメリカとイスラエルが支援する独立クルディスタン国家という最初、2006年、アメリカのArmed Forces Journal記事で概要が説明されたペンタゴンの長期計画が、今、明るみに出つつある。これまで、地域の小国乱立化計画にとっての主要障害たる正当に選挙で選ばれたバッシャール・アル・アサド政権を退陣させるためのアメリカが後援し、主としてサウジアラビアが資金供給している6年以上にわたる戦争の間、これは、ほとんど闇の中に隠されていた。

対テロ戦争か、テロによる支援を受けた戦争か?

ペンタゴンは、アメリカ政府は、ISISテロリストを破壊するため、シリアで戦争をしているとウソをついている。ちなみに、アメリカの侵略、主権国家に対する敵対的侵略は、国連憲章に違反するので、国際法のもとで違法、ウソに過ぎないことが完全に暴露された。ペンタゴンとCIAと、その様々な殺人のため雇われた私的傭兵が、何度も非難されている通り、アサドを打倒し、戦略的石油とガス埋蔵とパイプライン経路を支配する取り組みの中、イラクとシリアのアルカイダから、ISISを作り出したのだ。単にシリアのみならず、欧州連合やアジアにとってのエネルギーの未来が危機に晒されているのだ。

連中の他の選択肢が失敗した後、シリアの主要エネルギー回廊の支配権を得るためシリア・クルド人を利用するというのは、決して‘狂犬’マティス大将指揮するペンタゴンの行き当たりばったりの思いつきではない。この計画は、少なくとも、アメリカのArmed Forces Journalに掲載された、ラルフ・ピーターズ中佐による2006の記事にまでさかのぼる。その中で、ピーターズは、第一次世界大戦後の全中東国境を根本的に描き変える計画の概要を説明していた章で、ピーターズはこう主張している。“ディヤルバクルから、タブリーズにまで広がる自由クルディスタンは、ブルガリアから日本までの間で、最も親欧米な国となろう。”彼は更にこう主張している。“バルカン山脈とヒマラヤとの間で、最も明白で不当な悪名高い不正な土地は、独立クルド人国家の欠如だ。2700万人から3600万人のクルド人が、中東の隣接する諸地域で暮らしている。” ピーターズは“ほぼ100パーセントのイラク・クルド人が独立賛成投票するはずの”イラク・クルド人による、あり得る独立住民投票についてさえ語っていた。反対投票する有権者を、バルザニ族の悪漢、“賛成投票しろ、さもなくば”と激しく恫喝したという報道の中まさにそれが行われ、ソ連風の結果は、92%独立賛成だった。家族あげて行っている汚職行為によって、バルザニ本人が蓄財した資産は何十億ドルもあると報じられている。議会が辞任を要求した後、いかなる法的権能もないまま、2015年以来、彼は大統領として支配している。

今年夏、ハンブルクG20サミット前に、アメリカ大統領は、シリアや中東での聖戦テロに対するCIAとペンタゴンの戦争に対する資金を削減すると発表した。現在、明らかになっているのは、その代わり、実際は、2015年9月に、ロシアが介入して以来、聖戦傭兵が酷く敗北しつつある戦争で、ISISや他のテロリストを訓練し、連中をアサドとの戦闘に送り出す代わりに、アメリカ資金は、いわゆるシリア民主軍(SDF)というクルド軍事旅団に振り向けられている。

トランプの発表後、重機関銃、迫撃砲、対戦車兵器、装甲車輛やエンジニアリング設備を含むアメリカが供給する兵器の膨大な貨物がクルドSDFに送られた。今年5月、トランプは、クルドSDF戦士に武器を与える許可に署名した。6月までに、軍事援助物資を搭載した約348台のトラックが、クルド集団に渡されたと、トルコのアナドル通信は報じている。この報道機関データによれば、集団に引き渡すべきペンタゴン兵器リストには、ロシア、あるいはアメリカ製の12,000丁のカラシニコフ・ライフル銃、6,000丁の機関銃、3,000機の擲弾発射筒と約1,000機の対戦車兵器が含まれている。

クルドSDF部隊に対するこれらアメリカ武器輸出が、アサドの軍隊がデリゾール周辺の石油とガスの豊富な土地を奪還するのを防ぐための、バッシャール・アル・アサドのダマスカス・シリア・アラブ軍に対する新たな戦争を狙ったものであることは明らかだ。

9月始め、ヒズボラの支援と、ロシアによる上空援護を得て、アサド軍部隊は、三年間にわたるISISによる、シリアの石油とガス埋蔵の中核、重要な都市デリゾール封鎖をとうとう解いた。同時に、アメリカが支援し、今やアメリカの武器で重武装したクルドSDFが、デリゾール北の豊富なガス田を占領した。ISIL(ISIS/IS/ダーイシュ)掃討を目指す有志連合担当のブレット・H・マガーク大統領特使が、8月18日、以前、賄賂をもらって、ISISへの忠誠を誓った現地部族指導者たちと会談した。今や連中は金につられて、同じアサドに対し、アメリカ・クルドSDF部隊を支援する立場に変わったと報じられている。

つい最近、アメリカは、元ISISテロ戦士、アフマド・アブ・ハウラを、アメリカ特殊部隊が支配する新たに立ち上げたデリゾール軍事評議会の司令官に仕立て上げた。アブ・ハウラは、有罪判決を受けた自動車泥棒で、ゆすり屋で万能の凶悪犯だ。金が入る限り、ISISからSDFへの転向もかまわないのだ。

だが、ロシアの空軍力による支援を受けたシリア・アラブ軍と連合軍による最近の成功のおかげで、戦闘は、決して世界平和を助長するようなものではないアメリカとロシアとの直接対決へと変わりつつある。彼らはその歴史で繰り返しいるように、シリアとイラクのクルド人は、欧米列強のゲームの駒に利用されている。全中東の膨大なエネルギー資源の完全支配のため、そして、それによる世界の大半を支配するため。無意味で冷酷な虐殺が、多くの人命を奪い続けてからの話だが、究極的にゲームは破綻する。

F. William Engdahlは戦略リスク・コンサルタント、講師で、プリンストン大学の学位を持っており、石油と地政学に関するベストセラー本の著書で、これはオンライン誌“New Eastern Outlook”への独占寄稿。

記事原文のurl:https://journal-neo.org/2017/10/04/the-big-isis-and-sdf-lies-of-the-us-kurdistan-and-new-gas-wars/
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2015年2月13日に掲載した記事 中東国境描き直し計画: “新中東”プロジェクト とつながっている。そちらもお読みいただけると有り難い。

大本営広報部大政翼賛会の呆導番組で、投票先を選ぶのが困難ですやら、選び方やらをのたまうのを見て、夜の大本営広報部も見る気を失った。こんなに明白な選挙はない。

今回が戦後最後の選挙。以後、侵略戦争参戦の本格化が始まる。

自滅党(プラス・カルト宗教集団)と絶望を合計すると簡単に憲法が破壊できる人数、緊急事態条項導入も実現するだろう。

外国の知人にぼやいた所、「そうなったら私の田舎で暮らせばよい」と言われた。
冗談でない状況が恐ろしい。

西福寺の奪衣婆画像をご紹介させていただこう。

淨勝寺の奪衣婆画像もご紹介させていただこう。

ウソをつくと閻魔様に舌を抜かれる、と子供時代聞いていて、多少信じていた。
呼吸をするようにウソをつく与党ゆ党政治家連中を見る限り、閻魔様、いそうもない。

日刊IWJガイド「いよいよ『憲法改正』がかかった天王山の総選挙が公示! 安倍総理の第一声! ところが自民党員以外の聴衆を『排除』!!/希望の党・小池百合子知事の人気に明らかな『陰り』!? 街のリアクションが意外なほど薄い!/改憲がかかった今回の総選挙、共産党は野党共闘のため立憲民主党に大幅に譲歩! 岩上安身による日本共産党・山下芳生副委員長インタビュー」2017.10.11日号~No.1853号~

2017年9月21日 (木)

ロシアと中国の金オイルダラー

F. William Engdahl
New Eastern Outlook
2017年9月13日

今日の状態をもたらした、1944年のブレトン・ウッズ国際通貨体制は、率直に言って、世界の平和と繁栄にとって最大の障害だ。現在、中国は一層ロシアに支援され、ユーラシアの二大国は、世界の貿易と金融に対するアメリカ・ドルの専制に対する極めて実行可能な代替策を作り出すべく決定的な措置をとりつつある。ウオール街とワシントンには嬉しくない話だが、彼らは無力で阻止できない。

第二次世界大戦が終わる直前、ウオール街の主要な国際銀行の助言を得て、多くの人々が間違って新たな金本位制と思い込んでいるものの草案をアメリカ政府が考えた。実際には、それは他の全ての通貨国際通貨基金加盟国通貨が、ドルに対して価値を固定されるドル本位制だった。そしてアメリカ・ドルは金一オンス、35ドルの価値で固定された。当時ワシントンとウオール街が、そうした制度を押しつけることができたのは、戦争と、それに関連した進展の結果、連邦準備金制度理事会が世界の貨幣用金の約75%を持っていたおかげだった。ブレトン・ウッズで、中央銀行が保有する世界貿易の準備通貨としてのドルが確立した。

不完全なドル本位制の断末魔の苦しみ

1960年代末には、ベトナム戦争の経費や他の愚かな支出によるアメリカ連邦政府財政赤字が膨れ上がり、ドル本位制は深刻な構造的欠陥を示し始めた。復興した西ヨーロッパと日本は、再建の為の資金調達に何十億ドルも必要ではなくなった。鉄鋼から自動車に至るアメリカ基本産業と基本インフラが次第に陳腐化したため、アメリカ製造業より高い効率で、ドイツと日本が世界的輸出経済となった。ワシントンは、増大する世界貿易の不均衡を改めるため、金に対してドルを大幅に切り下げるべきだったのだ。そうしたドル切り下げで、アメリカ製造業輸出収入を押し上げられ、貿易不均衡が軽減していたはずなのだ。それが本当のアメリカ経済を大きく推進させていたはずだった。ところがウオール街の銀行にとって、それは莫大な損失を意味していた。そこで、その代わりに、ジョンソンと、更にニクソン政権は、益々多くのドルを印刷し、実質的にインフレを世界に輸出した。

とりわけフランスとドイツの中央銀行が、ワシントンが耳をかさないことに業を煮やし、アメリカ連邦準備金制度理事会に、1944年のブレトン・ウッズ協定通り、手持ちのアメリカ・ドル準備を、一オンス35ドルで交換するよう要求した。1971年8月、水増しされたアメリカ・ドルの金兌換は危機に瀕し、主席財務次官のポール・ヴォルカーが、ニクソンにブレトン・ウッズ体制を破棄するよう助言した

1973年に、ワシントンが金の自由取り引きを認め、金はもはや堅実なアメリカ・ドルの裏付けではなくなった。それどころか、1973年10月のでっち上げられた石油価格ショックで、石油のドル価格がわずか数カ月で400%も高騰し、ヘンリー・キッシンジャーが当時そう呼んだオイルダラーを生み出した。

経済のために世界は石油を必要としている。1975年に、ワシントンは、サウジアラビア君主体制との取り決めで、アラブOPECが、アメリカ・ドル以外の通貨では、一滴の石油も世界に売らないことを保証させた。ドルの価値は、ドイツ・マルクや日本円などの他の通貨に対して急騰した。ウオール街の銀行はオイルダラー預金であふれた。ドル・カジノが開かれ、運営され、それ以外の国々は金をだまし取られる羽目になった。

著書『Gods of Money: Wall Street and the Death of the American Century』で、1970年代、チェースやシティ・バンクやバンク・オブ・アメリカなどのニューヨークの主要国際的銀行がどのようにして、アラブ石油の利益を、オイルダラーを使って発展途上世界の石油輸入諸国にリサイクルし、いわゆる第三世界の債務危機の種をまいたかを私は詳しく書いた。奇妙なことに、デイヴィッド・ロックフェラーとロックフェラーのチェイス・マンハッタン銀行の子分、まさに同じポール・ヴォルカーが、今度は、1979年10月、連邦準備金制度理事会議長として、連邦準備金制度金利を非常に高くして、1980年の債務危機を引き起こしたのだ。彼は、それはインフレを止めるためだとウソをついて主張した。実はドルとウオール街銀行を救済するのが狙いだった。

控えめに言っても、現在のドルは奇妙な現象だ。1971年以来、アメリカ合州国は、第一番の産業国家から借金で膨れ上がった巨大な投機カジノへと変わってしまった。

過去九年間、米国の市中銀行が連邦準備銀行に預けている資金の金利が、ゼロと一パーセントの間にあるという現代史未曾有の状態で、連中の金融上の不正行為と残忍な強欲が、2007年サブプライム危機と、2008年の世界金融の津波を生み出したウオール街の主要銀行は新たな投機バブル構築に取りかかっている。借金で膨れ上がった都市に対し、緊急に必要なインフラや他の実体経済の生産的手段に貸し出すかわりに、連中はもう一つの途方もない株式市場バブルを作り出した。主要企業は低利の融資を利用して自社株を買い戻して、“経済回復”誇大宣伝と神話で上がっているウオール街市場株価に拍車をかけている。2008年末以来、S&P-500株価指数は320%上がった。こうした紙の株が本当のアメリカ経済が320%成長したがゆえに上がったわけではないと私は請け合おう。

アメリカの家計は、ここ数十年毎年実質収入が減っている。1988年以来、インフレが着実に進み、実質収入が減少する中、平均世帯収入は停滞している。アメリカ人は史上これまでなかった以上に借金せざるを得ない。連邦政府債務は、手に負えない20兆ドルで、いつまで続くか全く見当はつかない。アメリカ産業が閉鎖し、製造を海外に移転するのを“外注”と婉曲表現している。 後に残されたものは、何百万人もの人々が、破綻せずにいるためだけの目的で、二つあるいは三つものパート仕事を掛け持ちする、大量の負債を抱え、腐敗し解体された“サービス経済”だ。

完全崩壊からドルを救っている唯一の要素はアメリカ軍と、世界経済略奪を推進するため、欺瞞的なNGOの世界中へのワシントンによる配備だ。

2010年、連中がユーロ圏でギリシャを使って行ったように、ワシントンの卑劣な手口とウオール街の策謀が危機を作り出すことが可能な限り、中国や日本やロシアなどの世界貿易での黒字国には、貿易で稼いだ余剰ドルの大部分で、アメリカ国債-財務省証券を更に買い入れるしか現実的な代替案はない。ワシントンとウオール街はほくそえんでいた。連中はF-16やエイブラムス戦車よりも価値あるもので裏付けられてはいないドルを無限に印刷できたのだ。中国やロシアや他のドル公債保有国は、米国債を購入することで、実際は、自分たちを狙ったアメリカの戦争に資金供給をしているのだ。当時、実行可能な代替選択肢はほとんど存在していなかった。

実現可能な代替案出現

今や皮肉にも、1989年以降もドルの人為的延命を許してきた二つの外国経済、ロシアと中国が、現在のドルの不当な覇権的役割に取って代わり得る、実現可能な金の裏付けがある国際通貨と、可能性として、更にいくつかの同様な通貨という最も恐れられていた代替案を注意深く明らかにしつつある。

普通なら典型的にはドルやユーロによるはずの両国中央銀行の外貨準備を積みますため、ロシア連邦も中華人民共和国も、数年にわたり、膨大な量の金を購入してきた。最近まで、一体何のためなのか明らかではなかった。

数年にわたり、金市場では、金現物の最大の購入者が中国とロシアの中央銀行であることが知られていた。ワシントンにより強化される経済制裁や貿易戦争での敵意に満ちた言辞のさなか、自国通貨への信頼性を生み出す以外に、一体どれほど深遠な戦略があるのか明らかではなかった。

今、一体どういう理由なのかが明らかになった。

中国とロシアは、BRICS(ブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカ)や上海協力機構(SCO)ユーラシアのパートナー諸国主要貿易相手国と共に、ドル世界に対する新たな代替通貨制度の仕組みを完成しかけている。

現在、創設メンバー国の中国とロシアに加えて、SCO正式加盟国には、カザフスタン、キルギスタン、タジキスタン、ウズベキスタンと、より最近ではインドとパキスタンがある。30億人を遥かに超える人口、世界の全人口の約42%が、整合的で、計画された、平和な、経済、政治協力としてまとまるのだ。

SCO加盟諸国に、正式加盟国として加盟希望を表明した公式オブザーバ諸国である、アフガニスタン、ベラルーシ、イランやモンゴルを加えれば、世界地図を一目見るだけで、新興SCOの素晴らしい可能性がわかる。トルコは、スリランカ、アルメニア、アゼルバイジャン、カンボジアやネパールと同様にSCO加盟申請を検討している公式対話国だ。これは率直に言って、桁外れだ。

BRIと、金に裏付けられたシルク・ロード

最近まで、ワシントンのシンクタンクや政府は、SCOなどの出現しつつあるユーラシア機構をあざ笑っていた。広大な陸塊内の隣接する国々で構成されているわけではないBRICSとは違い、SCOグループはユーラシアと呼ばれる地理的実体を構成している。2013年に、カザフスタンでの会合で、習近平中国国家主席が当時新経済シルク・ロードと呼ばれるものを提案した際、欧米でこれを真剣に受け止めたものはごくわずかだった。これは現在は一帯一路構想(BRI)という公式名称だ。現在、世界はBRIの規模を本気で受け止め始めている。

中国とロシアとユーラシア経済連合グループの国々の経済外交が、広大な新市場を結びつける先進的な高速鉄道、港湾、エネルギー・インフラの実現を狙っており、現状の勢いで行けば、十年以内に、借金が膨れ上がり、経済的に停滞しているEUと北米というOECD諸国のあらゆる経済的可能性をすっかりかすませるのは明白だ。

ユーラシアの国々を、ドルと、そして彼らがドルに依存していることにつけこんだアメリカ財務省による更なる経済制裁や金融戦争に対する脆弱さから解放する戦略は、これまで絶対に必要でありながら、明らかではなかった。これがいま起きようとしているのだ。

9月5日、中国厦門での年次BRICSサミットで、現在の世界経済に対するロシアの見方として、ロシアのプーチン大統領は簡潔で非常に明確な発言をした。彼はこう述べた。

    “新興諸国経済の増大しつつある重みに対して、適切な配慮をしない世界的な金融と経済構造の不公平感を巡るBRICS諸国の懸念を、ロシアも共有している。我々はパートナーたちと協力して、国際金融規制改革を推進し、限られた数の準備通貨による過剰な支配を克服する用意がある。”

私が知るかぎり、通貨に関して、プーチン大統領は決してこれほど明示的ではなかった。北京が明らかにした最新の金融構造の文脈でまとめて見ると、世界が新次元の経済的自由を享受しようとしていることが明らかになる。

中国元建て原油先物

日経アジアレビュー記事によれば、中国は金兌換可能な中国元建て原油先物契約を立ち上げようとしている。これは中国による過去二年間の他の動きとあいまって、ロンドンとニューヨークto上海に対する実行可能な代替案で、実に興味深くなってくる。

中国は世界最大の石油輸入国であり、圧倒的大半は依然アメリカ・ドルで支払われている。もし新たな元石油先物契約が広く受け入れられた場合、中国が世界最大の石油輸入国であることを考えれば、最も重要なアジアを本拠とする原油石油ベンチマークになり得る。これは、現在まで、ウオール街に、目に見えない膨大な優位を与えているウオール街が支配する二つの石油ベンチマーク契約、北海ブレント原油と西テキサス原油石油先物に挑戦することとなる。

中国と、特にロシアを含む石油取り引き諸国によって、もう一つの壮大な誤魔化し操作の手段が消滅する可能性がある。最近、IMF SDRバスケットの構成通貨に選ばれた元での石油先物契約取り引きの上海における導入は、特に石油先物は金兌換が可能なため、地政学的な力の均衡を、大西洋両岸の世界からユーラシアへと、劇的に変えかねない。

2016年4月、金取引所の新センター、世界の金現物取り引きの中心地になるべく、中国が本格的に参入した。現在、中国は、BRICSメンバー仲間の南アフリカを遥かに超え、ロシアが第二位の世界最大の産金国だ。

中国は、香港のすぐ北の珠江デルタにある人口約1800万人の都市深センの隣、前海自由貿易区に巨大な貯蔵センターを作り上げた。今、中国は、保税倉庫、取引所の立会場と関連する事務所地域もある恒久的な金貯蔵施設建設を完了しつつある。香港を本拠とする105年の歴史を持つ中国金銀業貿易場が、中国最大の国営銀行で最大の金輸入銀行である中国工商銀行ICBCと、前海貯蔵センターを構築する共同プロジェクトに参加している。これで、2014年末、全米民主主義基金のようなワシントン製の人をあざむくNGOが、香港で反北京カラー革命たる雨傘革命を作り出そうとして失敗した理由が明らかになってくる。

金の裏付けがある中国元で取り引きされる新たな石油先物契約が加わったことで、中東主要OPEC加盟諸国でさえ、自国の石油に対して、数カ月前のトランプのリヤド訪問後にカタールが経験したような地政学的リスクがともなう粉飾されたアメリカ・ドルより中国元を好んで劇的移行をもたらすだろう。ロシア巨大国営石油企業ロスネフチが、中国の国営石油企業中国華信能源有限公司が、ロスネフチ株14%をカタールから購入したと発表したのも注目に値する。あらゆることが一つの極めて整合した戦略としてまとまり始めている。

ドルの絶対的支配権は、ひどい断末魔の苦しみ状態にあり、別名トランプ大統領として知られているその長老連中は現実否認状態にある。一方、世界の分別ある人々は建設的で平和的な代替案を構築しようとしている。それは公正なルールのもとで、ワシントン加盟にすら開かれている。何と寛大なことだろう?

F. William Engdahlは戦略リスク・コンサルタント、講師で、プリンストン大学の政治学学位を持っており、石油と地政学に関するベストセラー本の著書で、これはオンライン誌“New Eastern Outlook”への独占寄稿。

記事原文のurl:https://journal-neo.org/2017/09/13/gold-oil-dollars-russia-and-china/
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宗主国大統領国連演説、とんでもないが、輪をかけたたわごとを聞かされる悲しさ。

大本営広報部、夜、アナウンサー氏が演説に疑問を投じたのには驚いた。

日刊IWJガイド「言語道断の暴挙!―― 所信表明直後に解散、あるいは、所信表明もしないで国会を解散する!? 憲法無視、国会軽視の安倍政権! 立憲4野党は候補者の一本化へ向けた協議を進める!/トランプ大統領の国連総会での演説に会場がざわめき!『北朝鮮を完全に壊滅するほか選択肢はなくなる』」2017.9.21日号~No.1833号~

2017年9月 5日 (火)

現金を持つ我々の権利に対する陰険な戦争

2017年8月21日
F. William Engdahl
New Eastern Outlook

現金を持っていなければ、プライバシーもないのを考えたことがおありだろうか?

三年前、一見曖昧な学術論争として始まった作戦が、今や先進世界における、いくつかの最も強力な機関による本格的プロパガンダ・キャンペーンとなっている。これは正しくは対現金戦争と呼ばれるべきものだ。対テロ戦争や、がんとの闘いや麻薬撲滅戦争と同様、本当の狙いは陰険でわかりにくい。もし、完全なデジタル銀行預金を支持して、現金完全撤廃というプロパガンダを鵜呑みにするほど我々が愚かであれば、わずかに残された自主性とプライバシーにお別れを告げるも同然となりかねない。ジョージ・オーウェルの『1984年』の強化版が実現するだろう。

はっきり申し上げよう。ここで、我々は様々なブロック・チェーン・デジタル技術、いわゆる暗号通貨について論じるわけではない。中国のWeChatなどの民間決済システムについて論じるわけではない。e-バンキングや、VisaやらMaster Cardその他の銀行クレジット・カードについて論じるわけではない。これらは進行中の陰険な対現金戦争の目標とは全く違う性質のものだ。これらは皆私的なサービスで、国家によるものではない。

我々がここで論じるのは陰謀で、主要中央銀行、一部の国々の政府、国際通貨基金が、主要国際銀行と共謀して、市民に、言い換えれば、我々に!-現金を持つことや、購買時の現金支払いをあきらめたりするよう強制する陰謀だ。現金の代わりに、我々はデジタル銀行クレジットを使うよう強制される。違いは一見ごくわずかなように見えようが、実は極めて大きい。インドでは、アメリカにそそのかされた、2016年末の狂ったモディによる対現金戦争の後、インド国民は、お金の支払い方を決める個人的自由や、お金に関するプライバシーを永遠に失うことになった。もし私が自動車を買いたくて、銀行金利を避けるため、現金を使いたくとも、そうできないのだ。銀行は、一日に引き出せるデジタル・マネーの金額を制限していているのだ。もし私が、特別な記念日を祝うために洒落たホテルに泊まって、プライバシーの理由から現金で支払おうとしても、不可能なのだ。だがこれはまだ上面に過ぎない。

Visaも参戦

今年7月、Visa Internationalは“Visa キャッシュレス・チャレンジ”なるものを発表した。技術がいかに世界コマースを変えるかについての、いくつかしゃれた宣伝文句を使って、Visaは、アメリカの一部の小規模レストラン・オーナーが、お客の現金払いを拒否し、クレジット・カード払いのみ受け付けることに同意すれば、謝礼を払うプログラムを発表した。Visaの公式ウェブサイトにはこうある。“謝礼は最高500,000ドル 。50人の資格ある飲食物提供店舗オーナー。100%キャッシュレスの追求。”年収150億ドルのVisaのような巨大企業にとって、わずか500,000ドルははした金だ。彼らは、これがこれまで現金支払いを好んできた小規模ファミレス市場におけるVisaカードの利用を増進すると考えているのは明らかだ。

“100%キャッシュレスの追求”と呼ぶものを実現しようというVisaの“挑戦”は、ただ雲をつかむような話では決してない。これは単にVisaのみならず、ごく一例を挙げれば、欧州中央銀行、イングランド銀行、国際通貨基金やReserve Bank ofインドなどによる考え抜かれた戦略の一環なのだ。

茹でガエルを攻めるIMF

今年3月、ワシントンの国際通貨基金が、彼らが“脱現金”と呼ぶものに関する調査報告書を発行し、報告書はこう勧告している。“完全なキャッシュレス化は段階的に行われるべきである。既存の事実にも触れ“高額紙幣を段階的に廃止したり、現金取引に上限を設定したり、国境を越える現金移動を報告したりなど、最初のほとんど議論の余地の無い措置が存在している。さらなる措置としては、取り引きで現金の使用を減らすことに対する経済的誘因を作り出したり、振り替え可能な口座の開設、利用を簡素化したり、金融システムを一層電子化したりすることなどが考えられる。”

フランスでは、2015年以来、“マネー・ロンダリングや脱税に対処すべく”個人が企業に現金で支払える上限は、わずか1000ユーロだ。しかも、一つの銀行口座での一ヶ月、10,000ユーロを超えるあらゆる預金や現金引き出しは、マネー・ロンダリングと戦うことを任務とするフランス政府機関、金融犯罪捜査局(Tracfin)に自動的に報告されるが、これは、“ほとんど争いようの無い措置”であり、実に不気味な兆しだ。

IMF報告書は、更に現金廃絶に対してこう主張している“脱現金で、脱税が減り、税徴収が改善される”。言い方を変えて、もし銀行からの送金にデジタル・マネーだけを使うよう強いられれば、現在、事実上全てのOECD諸国政府は、自国民の銀行データを合法的に入手可能なのだ。

脱現金に関するIMF報告書から一カ月後の4月、ブリュッセル欧州委員会はこういう声明を発表した。“現金支払いは、テロ活動への資金供与に広く使われている。この文脈で、現金支払い上限額の妥当性も検討可能だ。一部の加盟国は特定の上限を超えた現金支払いの禁止を実施している。”

スイスにおいてさえ、ワシントンによる執拗なキャンペーンの結果、テロ組織への資金提供を防ぐのだという人を惑わす主張のもと、スイスの伝説的な銀行の秘密は酷く損なわれた。バルセロナやミュンヘンやロンドンやシャーロッツビルでの攻撃に関する最近のヨーロッパのマスコミ見出しを一瞥するだけで、この主張がでっちあげだと分かる。

現在EUでは、ワシントンによるさらなる圧力の結果、外国口座税務コンプライアンス法(FATCA)の下で、アメリカ国民が預金口座を持っているアメリカ国外の銀行は、そうした口座の資産について、アメリカ財務省金融犯罪執行機関連絡室に年次報告を提出するよう強制されている。主要タックス・ヘブンとして登場しつつあるアメリカにとって好都合なことに、この法律に規定されているにもかかわらず、アメリカ政府自身はFACTAへの参加を拒否している。

2016年、組織犯罪とテロを阻止する可能性があると主張して、欧州中央銀行は、500ユーロ紙幣の発行を停止したが、これは、まるで組織犯罪の高度なネットワークが紙幣に頼っているかのような実につまらない冗談だ。アメリカでは、元ハーバード学長ラリー・サマーズなどの主導的経済学者たちが同じ理由から、100ドル紙幣の廃止を主張している。

上限10ドル?

しかしながら、現金に対する戦争の本当の狙いは、ハーバード大学経済学教授で元IMFチーフ・エコノミストのケネス・ロゴフによるウオール・ストリート・ジャーナル論説で概略が説明されている。ロゴフは、連邦準備金制度理事会による現金発行を劇的に減すべきだと主張し。10ドル以上の全ての紙幣を流通から排除し、それにより、人々や企業が、デジタル、つまり電子決済のみに依存するよう強制するよう彼は主張している。その計画でマネー・ロンダリングを減らすことができ、それにより犯罪を減らすことができ、同時に脱税もあばけるというインチキ呪文を彼は繰り返し唱えている。

ところが、この現金に対する戦争の隠された狙いは、EU加盟諸国においてであれ、アメリカ合州国であれ、インドのような開発途上国であれ、次の不可避の金融危機時に、我々のお金を没収することだ。

2008年財政・金融危機の後、成長を刺激するのに必要だと偽って主張して、既にいくつかの中央銀行がマイナス金利政策を導入している。欧州中央銀行に加え、日本銀行やデンマーク国立銀行がこの奇怪な政策に固執している。ところが、加盟銀行に対する金利を更に引き下げる中央銀行の能力は、現金が豊富にある限り制限されてしまう。

ここで引用した上記のIMF文書は、うっかり秘密を漏らしている。文書にはこうある。“もし物理的通貨での貯蓄が水をさされ大きく減少すれば、特にマイナス金利政策は、金融政策の実行可能な選択肢となる。脱現金で、大半のお金が銀行に蓄えられることとなり、それゆえ、マイナス金利によってより影響されやすくなり、消費者に支出を奨励することになろう…”あなたがお金を預けた銀行が、銀行がもっと金を儲けるために使える場所に、あなたのお金をおいておくのを認める“サービス”に対し、あなたに請求し始めるためだ。それを避けるべく、明日という日がないかのように浪費するよう言われるのだ。あきらかに、この論議はいんちきだ。

ドイツ人経済学者リチャード・ヴェルナーが指摘しているように、マイナス金利は、銀行が事業を行う経費を上げる。“銀行は、この経費を顧客に回すことになる。既にゼロ預金金利なので、これはつまり銀行が貸出金利を上げることを意味する。”ヴェルナーは更に言っている。“デンマークやスイスなど、マイナス金利政策が導入されている国々での経験的知見は、それが経済を刺激する上で効果的でないことだ。その逆なのだ。これは中央銀行によって、マイナス金利が、金を借りる大衆ではなく、銀行に課されるためだ。

ECBのマイナス金利政策は、ドイツ銀行、HSBC、フランスのソシエテ・ジェネラル、ロイヤルバンク・オブ・スコットランド、ギリシャのアルファ銀行、イタリアのモンテ・デイ・パスキ・ディ・シエナ銀行等の、こっそり緊急援助を受けている、財政的に腐敗した巨大銀行を優遇して、ドイツのSparkassen and Volksbankenのようなしっかり機能している伝統的で保守的なEUの貯蓄銀行を破壊することを狙っていると彼は指摘している。ECB総裁のマリオ・ドラギは、巨大銀行ゴールドマン・サックスの元パートナーだ。

なぜ今なのか?

一体なぜ今、中央銀行や、IMFのような機関による、突然急な現金廃止要求なのか、というのが適切な疑問だ。欧米世界の主要政府幹部や中央銀行総裁や多国籍企業幹部が集うスイス、ダボスの世界経済サミットの後、2016年1月に、現金廃絶という掛け声の連打が顕著に始まった。現在の現金に対する戦争攻勢、プロパガンダ攻勢はダボス会議直後に始まった。

数カ月後の2016年11月、USAIDの専門家連中やVisaに導かれ、ナレンドラ・モディのインド政府は、インド準備銀行の勧告を受け、即座の紙幣廃止、つまり、すべての500ルピー (8ドル相当)と1,000ルピー(16ドル相当)紙幣の強制排除を発表した。モディ政府は、この行動で闇経済を縮小し、違法な活動やテロに資金供給するための違法な偽札を取り締まることができると主張した。

最近インド議会が、モディの対現金戦争の影響についいての追跡調査を行ったのは注目に値する。議会紙幣廃止委員会の報告書は、表明された目標の一つたりとも実現していないことを実証している。大規模な不正所得は全く発見されておらず、脱現金は、そのような劇的政策を導入する理由として政府が挙げた理由である、テロへの資金提供には何の効果もなかった。インド中央銀行は、脱現金によって、不正所得を攻撃していたとされるが、オフショア・タックス・ヘヴンの本格的な違法な金は、直接投資によって“洗浄され”犯罪集団や企業集団によって“ラウンド・トリッピング”として知られている手法で合法的に簡単にインドに還流していると報告書は書いている。

議会報告は、実際のインド経済が劇的打撃を受けた詳細を書いている。現金に依存している何千もの小企業が倒産したため、4月の工業生産は、衝撃的に前月比10.3パーセントも減少した。主要インド・マスコミは議会報告を報道しないようモディ政府から警告されていたとも言われている。

こうした個々の事実を結びつけると、現金に対する戦争は、我々個人の自由と、生活における我々の自由の度合いに対する戦争だということがより明らかになる。我々の現金を強制的にデジタル化させるのは、EUやアメリカや他のどこであれ、次の2007年-2008年のような大規模金融危機が勃発した際の政府による没収に向けた次の一歩だ。

今年7月末、輪番EU理事会議長国のエストニアが、預金者が、銀行の“取り付け騒ぎ”を起こす前に“一時的に”国民が問題になった銀行から預金を引き出すのを、EUの国家規制当局止めることを可能にするドイツが支持する提案を提出した。EUの前例は既に、政府が僅かな日々の金額以上の現金引き出しを阻止したキプロスとギリシャで起きている。

最近の分析で、アメリカのベテラン金融専門家クリストファー・ ウィーランは、EU当局が2008年金融危機以来、銀行の混乱を効果的に処理し損ねており“通常、最大預金保険金額を大きく下回っている預金者が、預金現金が利用できないことになるという考え方は、次回、預貯金取り扱い金融機関が面倒なことになった場合、ヨーロッパで取り付け騒ぎや、広範な悪影響が確実に起きてしまうことになると指摘している。”2008年危機から九年たっても、EU銀行は悲惨な状況にあるとウィーランは指摘している。“ヨーロッパ銀行業界内には、約1兆ユーロの不良債権が残っている。これはEU経済の6.7%に当たる。これは大変な金額だ。アメリカと日本における銀行の銀行不良債権のGDP比率は、それぞれ1.7パーセントと、1.6パーセントだと彼は指摘している。

EUなり、インドなり、他の国なりの政府が、巨大銀行の悪徳商法を制御するのを拒否し、人々の現金使用を止めさせ、金融資産全てを国家が管理する銀行にデジタル預金するように強いることで、政府が次の緊急事態を宣言した際、そうした資産を国家が没収する舞台が用意される。この詐欺が易々と実施されるのを許すほど我々が愚かなのであれば、おそらく我々は
わずかに残された経済上の自主性も失うことになって当然なのだ。幸いドイツなどの国々における現金廃止に反対する民衆の抵抗は大規模だ。1920年代のワイマール共和国と、1931年に、第三帝国をもたらした金融危機としてのハイパーインフレーションの日々をドイツは覚えている。IMFの手法は、カエルをゆっくり茹でる中国のことわざそのものだ。だが人間はカエルではないのでは?

F. William Engdahlは戦略リスク・コンサルタント、講師で、プリンストン大学の学位を持っており、石油と地政学に関するベストセラー本の著書で、これはオンライン誌“New Eastern Outlook”への独占寄稿。

記事原文のurl https://journal-neo.org/2017/08/21/a-sinister-war-on-our-right-to-hold-cash/
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中央銀行やIMFのような機関が、庶民のためになる政策を考えるわけがない。
たまたま書店で『現金の呪いーー紙幣をいつ廃止するか? 』という本を見かけて不思議な考えがあるものだと思ったのは最近のこと。
「おそらく最もシンプルで、最も非干渉的なやり方は、高額紙幣の段階的廃止であろう。」という。こういうものに大金を払って洗脳されたい人がいることこそ謎。

属国民は人間ではなく、本当はカエルなのでは?と電気洗脳装置を、あるいはタブロイド紙の見出しを眺めて思う。

ここ数日、昼の洗脳バラエテイ見ていない。どうでもよいクズ話題を語る提灯持ち連中を見ている自分が哀れに思えてくるので。

大本営広報部から程遠い下記のインタビューは拝見したいと思う。

日刊IWJガイド「日米が『相互防衛』を約束!?『我々には多くの軍事的な選択肢がある』~米国が北朝鮮に警告! 日本は国連に、北朝鮮への『石油禁輸』措置の提起を検討! 中国の対応に注目!/本日、日本女医会の青木正美氏、前田佳子氏、牛山元美氏に岩上安身がインタビュー! 原発事故後の健康調査の問題点、市民の健康不安に対する日本女医会の活動についてお聞きします!」2017.9.5日号~No.1817号~
(2017.9.5 8時00分)

2017年8月16日 (水)

ナレンドラ・モディはくら替えしたのか?

2017年8月11日
F. William Engdahl

世界でも潜在的な主要大国の一つインドという国が、組織的に自己破壊するさまを見るのは何ともつらいことだ。インドとブータン王国と接する中国のチベット自治区国境、ヒマラヤ高原の人里離れた土地を巡る中国との新たな戦争挑発は、最新の例に過ぎない。ここで思い浮かぶのは、一体誰が、あるいは一体何がナレンドラ・モディ首相指揮下のインド外交・国内政策の背後にある総合構想なのかという疑問だ。モディはくら替えしたのだろうか? もし、そうであれば誰に?

ユーラシアの調和?

わずか一年前には、穏やかではないにせよ、中国、更には、慎重にパキスタンまで含むモディのアジア近隣諸国との平和な進展に向かっているように見えていた。

昨年インドは、パキスタンと共に、中国がロシアと共に創設メンバーで、益々重要になりつつある上海協力機構の正式メンバーとして受け入れられ、1947年に、マウントバッテン総督が将来の発火点として、陰険にもカシミールを含むいくつかの未解決の紛争地域残したまま、イギリスが、インドを、イスラム教徒が多数派のパキスタンと、ヒンズー教徒が多数派のインドに分離して生み出され、くすぶり続けている国境の緊張も、共通のSCOの枠組みで、平和的解決が可能になるだろうという希望が高まった。

インドは、中国とともに、インド人が総裁をつとめるBRICS新開発銀行を上海に設立したばかりのBRICSメンバーでもある。インドは、中国を本拠とするアジア・インフラ投資銀行AIIB加盟国でもある。モディが、中国の一帯一路の5月14日北京会議へのインド出席拒否を発表するまでは、インドも巨大なユーラシア・インフラ・プロジェクトの参加国だった。

OBORボイコット、日本の‘自由回廊’

物事は何と素早く変わるのだろう。中国OBORの一環として、パキスタンが占領しているカシミールを通過する620億ドルの中国とパキスタン間の道路、鉄道と港湾インフラ開発、中国-パキスタン経済回廊CPECへの中国による投資をあげ、モディは5月14日の中国OBOR会議参加拒否を発表した。

インドは、そこで驚くほどの慌ただしさで、グジャラトで開催中のアフリカ開発銀行会議で、日本の安倍晋三首相との共同プロジェクト、アジア-アフリカ成長回廊(AAGC)構想文書を明らかにした。インド-日本AAGC文書は、中国のOBORに対抗すべく、インドと日本により提示されている、日本の資金を使い、インドがアフリカでその存在感を確立する、いわゆるインド-太平洋自由回廊の明らかな一環だ。

安倍の下で、日本は東シナ海の釣魚台列嶼、日本で尖閣諸島と呼ばれるものを巡る紛争を含め、益々攻撃的な反中国政策を進めている。日本は、アメリカ・ミサイル防衛システム設置も決めており、安倍の下で、アジアにおけるアメリカ軍の最強同盟国と見なされている。今年2月に安倍がトランプと会った際、アメリカ大統領はアメリカ-日本安全保障条約の条項を再確認し、条約が、東シナ海の尖閣、あるいは中国では釣魚台と呼ばれる紛争になっている無人諸島にも適用されることを明らかにした。

ワシントンとテルアビブでのモディ

数週間後の6月27日、インドのモディ首相は、ワシントンで、アメリカ大統領と会談した。その前日、うまい具合に、アメリカ国務省は、パキスタンに本拠を置く、カシミール渓谷の過激派、ヒズブ・ウル・ムジャヒディンのカシミール人指導者、モハンマド・ユスフ・シャーを特別指定世界的テロリスト(SDGT)に指定したと発表した。何よりも、この指定で、アメリカによるパキスタン経済制裁が可能になるのだ。

モディ-トランプ会談の結果、アメリカは、インドに、22機のガーディアン無人機、いわゆるゲーム・チェンジャーを、30億ドルで売ることに同意した。他の項目には軍事協力強化や、アメリカ・シェール・ガスLNG購入するというインドの合意もある。モディはワシントンでの交渉に大いに気を良くしたようで、彼は大統領の娘イヴァンカ・トランプを、今年末インドで開催されるグローバル起業サミット(GES)のアメリカ代表団団長として招いた。

ワシントンでの明らかな政治的成功に対する賛辞を受ける中、インドのモディ首相はイスラエルに飛び、7月7日、イスラエルでのインド政府トップとイスラエル首相との未曾有の会談を行った。モディとベンヤミン・ネタニヤフとの会談を、インド外交政策の大転換として、インド・マスコミは賞賛した。

話はここで断然興味深くなる。イスラエル諜報機関モサドのインド内の事務所と、RAWと呼ばれるインド版CIAとの間には、1950年代にまでさかのぼる秘密の協力があるのだ。2008年、イスラエル駐インド大使、マーク・ソファーが、イスラエル諜報機関が、1999年のインドとパキスタンの“カルギル戦争”の際、インド軍に極めて重要な衛星画像を提供し、インドが、ジャンムーとカシミール州のカルギル地方にある駐屯地を占拠していたパキスタン軍陣地を正確に爆撃するのを可能にしたと暴露した。

アジット・ドバルの不審な役割

7月のモディのテルアビブ訪問は何ヶ月もかけて準備されたものだ。既に2月末には、訪問の詳細を話し合う為、モディは、国家安全保障顧問アジット・ドバルをテルアビブに派遣していた。そこでドバルは、モサドのトップ、ヨセフ・コーヘンと会い、何よりも、アフガニスタン-パキスタン国境に近いアフガニスタン内の他の州の中国とパキスタンによるタリバン支援とされるものについて話し合った。

ドバルは決して軟弱ではない。彼が‘防御’から‘防御的攻勢’へと呼ぶ、パキスタンに関するインド安全保障政策の最近の転換、インドのドバル・ドクトリンと呼ばれるものは彼のたまものだとされている。彼は2016年9月のインドによる対パキスタン局部攻撃と、カシミールにおけるインド寄り過激派の勃興の黒幕だとされている。あるインドのブログdescribes it、国家安全保障顧問に任命された後の、2014年と2015年の彼の演説で述べた本質的に中国とパキスタンを標的にした、ドバル・ドクトリンには、要素が三つある。“道徳とは無関係、計算や較正から自由な過激主義と、軍への依存だ”。明らかに、ドバルは外交的解決にはほとんど使い道はない。

6月、モディとワシントンとの間で、また7月始め、テルアビブとの間で、どのようなことが非公式に合意されたにせよ、中国とブータンとインドの間の微妙な国境地帯での中国建設チームに対し、インドが、無理やり干渉するため軍隊を送る決定をして、チベット高原でドクラム紛争が勃発したのはこの時期のことだ。

中国側は、元インド首相ジャワハルラル・ネール首相から中国の周恩来首相宛の1959年書簡を引用している。“1890年本協定が、シッキム州とチベット間の境界も明確にした。そして境界は後に、1895年に画定された。それゆえシッキム州とチベット地域の境界に関する争いは存在しない”と書簡にある。中国は、1890年の協定と、“双方はシッキム州の境界調整に合意した”とある1959年-60年の書簡に加えて、2006年5月10日の言及も引用している。中国は道路建設について、“善意の”として、インドに“通知した”とも公式に主張している。

現時点で、本当に重要な問題は、中国の主張が国際法の下で妥当なのか、妥当でないのかではない。中国とインドとの間の最近のドクラム紛争をとりまくあらゆることが、モディ政権と共謀して、巨大で発展しつつある中国の一帯一路インフラ・プロジェクトの進展を妨害するため、アメリカがけしかける次の代理戦争を醸成し、対立を利用するワシントンとテルアビブの闇の手を示唆している。

ドクラムを巡る紛争は、決して軍事面にまでのエスカレーションする必要はなかった。これはモディ政府による決定であり、モディの安全保障顧問で、インド諜報機関の元トップ、アジット・ドバルが関わった形跡はあきらかだ。

ナレンドラ・モディは、上海協力機構内の親善精神で、インド-パキスタンや、インド-中国国境紛争の平和的解決を本気で支持する側から、実際くら替えしたのだろうか、それとも彼は、2014年の首相としての任期の始めから、義務として、欺瞞的な、一種のイギリス-アメリカ-イスラエルのトロイの木馬として、中国のユーラシア新経済シルク・ロード推進を妨害するために送り込まれたのだろうか? 少なくとも筆者には、まだ答えはわからない。とは言え、インド軍と密接なつながりがある、信頼できるインドの情報筋が、最近の私的通信で、昨年11月、トランプ当選から間もなく、アメリカ諜報機関の上級顧問が、トランプ一派に、アメリカと中国間の戦争はないだろうが、インドと中国の間で、ヒマラヤ山脈で、戦争があるだろうと単刀直入に言ったと教えてくれた。それはドクラムが全く穏やかだった11月のことだった。

F. William Engdahlは戦略リスク・コンサルタント、講師で、プリンストン大学の学位を持っており、石油と地政学に関するベストセラー本の著書で、これはオンライン誌“New Eastern Outlook”への独占寄稿。

記事原文のurl:https://journal-neo.org/2017/08/11/has-narenda-modi-switched-sides/
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長州神社を参拝する連中、同じことを繰り返しますという決意表明。今年は話題の医者やら外人タレントまで登場。

大本営広報部昼の洗脳報道、北朝鮮によるミサイ発射一辺倒。こうした中国包囲網への日本の荷担には、もちろん決して触れない。

宗主国のため、存立危機状態をいう傀儡の問題にも一切触れない。確認のためだけとは言え、くだらないもののため電気と時間を使うことを毎回後悔している。

駅のキオスクで、タブロイド紙二紙の見出しを眺めるのが一種の日課。一紙は買おうかと思うことがあるが、もう一紙、買いたいと思う見出し、見たことがない。あれが売れること事態、民度の途方もない低劣さの証明。金を払って洗脳されたい心理がわからない。

2017年7月21日 (金)

二国物語: ロシアとアメリカの経済見通し

2017年7月19日
F. William Engdahl

アメリカとEUの途方もない対ロシア経済制裁と、2014年以来の石油価格安値を考慮しても、ロシアの先行きの経済見通しは明るいが、トランプのアメリカの見通しは控えめに言っても暗い。当時は若かったウィリアム・ジェファーソン・クリントンとジョージ・H.W. ブッシュとの1992年大統領候補討論での記憶に残る言葉を言い換えれば“債務こそ重要なのだ、愚か者め。”

過去数年間、余りに多くのアメリカストエコノミストやアナリストやムーディーズのような信用格付け会社は、ロシア連邦の経済を、2014年の石油価格崩壊で打撃を受けた、ソ連時代の石油とガスに依存した破産寸前の経済と片づけようとしてきた。これは重大な間違いだ、特に、NATOの軍事的計算は、多くの場合、こうした乏しい情報や古びた判断に依存しているのだから。ロシア民生部門における最先端、最前線の技術や研究・開発の実用化という点で実際何が起きているかという、ごくわずかの例をあげよう。欧米新植民地主義の独善的な傲慢など出る幕ではない。

確かにロシアの物理的な経済は大問題だ。私は1994年以来何度もロシアを旅行している。息をのむような美しささえ遥かにこえたサンクトペテルブルクのツァー宮殿や、1480年代に建設された目を見張らせるモスクワのクレムリン要塞も見た。ロシアの小さな都市で、老朽化したインフラやニューヨーク風の穴があいた道路も見た。

1960年代と、1970年代とそれ以降の時期、アメリカ合州国の若者としてボストン、ニューヨーク、ニューアークやダラスなどの都市で、スラムや貧困の近くで、私は育ち働いた。ロシア経済赤字との違いは実に大きい。 ウオール街の意図的な経済政策の結果として、1970年代初め以来、特に、1971年のブレトンウッズ金兌換制放棄の決定後、アメリカにおける貧困が増大した。

対照的に、現代ロシアの貧困は、冷戦中の軍事需要と、個人のやる気や創造力を抑圧する、あるいは、むしろ麻痺させる厳格な中央計画経済の致命的欠陥という70年間のソ連状態の残滓だ。これは、ゴルバチョフのペレストロイカによる財政的な失敗と、1990年代の十年間のCIAが支援したエリツィン マフィアによる犯罪的なロシア国家資産略奪によって、壊滅的な形で悪化した。

要するに、アメリカ合州国は、アメリカ政府による偽りの経済データをはぎ取れば、お金とウオール街の巨大銀行が、お金の神のように君臨する中、負債と崩壊の深みにはまりつつあるのだ。対照的に、ロシアは、過去数十年、実際には、欧米が支援した1917年のレーニンによるクーデター以来、過去一世紀にわたる経済・インフラ不足から、ゆっくりながら、しっかりと脱出しつつある。アメリカ合州国が過去50年間、かつては繁栄していた都市やインフラや産業を壊し続けているのに対し、世界中で最も創造力ある科学、技術精神で、ロシアは、先進技術基盤の上に国家経済を構築中だ。ムーディーズやS&P風に表現すれば“アメリカ経済: 将来の見通しは暗い。ロシア経済: 将来の見通しは明るい。”

債務者の監獄

アメリカ合州国とロシア連邦との現在の経済見通しの差異は根本的なものだ。手始めに、西と東の相対的な負債構造を検討する必要がある。アメリカ合州国の負債は鰻登りで、アメリカ合州国のポチョムキン村、ニューヨーク市のマンハッタンや、ワシントンD Cやその超富裕高級住宅地化した郊外の陰に隠れて、スラムやホームレスが蔓延している。

2008年9月の金融崩壊からほぼ九年、連邦準備金制度理事会のゼロに近い金利で八年以上たったアメリカ家計の借金は驚くほど多く、戦後のどの時期より多いGDPのほぼ80%だ。

この個人家計負債のうち、大学教育の為の学費ローン負債は1.3兆ドル以上で、学生一人当たりの平均負債は48,000ドルだ。驚くべきことに、学生の高等教育債務は、ドル金額で、伝説的なアメリカ人のクレジットカード負債を超えている。2017年始め連邦準備金制度理事会や他のデータによれば、4400万人以上のアメリカ人が、高等教育のために総計約1.3兆ドルの負債を抱えている。わずか20年前の1997年、学生の負債総額は、300億ドル以下で、決して大きな負担ではなかった。

負債が爆発している理由の一つは、現在アメリカにおける高等教育の総費用が、特に州立大学で急上昇していることだ。2002年から2012年で、費用は41%上がった。同時に、子供を大学に送っている家庭の家族収入は停滞し、2008年以来、事実上低下している。

戦争直後から、1970年代の経済危機までの大半の期間、アメリカ合州国における高等教育は、特に州立大学で、授業料は最小限か、ハーバード学長チャールズ・W・エリオットが巧みに表現したように、高等教育が“頭脳がある”誰にでも開かれるべく州が助成する伝統があった。高等教育は、州や社会から、国の未来への投資と見なされていた。それもグローバリゼーションと、大規模な雇用の海外移転が起きる前の日々の話だ。今では連邦政府monies低額の州立大学授業料を支援するための、大幅に削減され、2007年-8年の金融危機以来、全米の州予算は依然赤字だ。

現在のアメリカ合州国家計借金合計は、住宅ローン、学費ローン、自動車ローン、クレジットカード債務を合わせると、12兆ドルを超える。これはアメリカ経済の成長可能性に対する途方もない重荷だ。

さらに、今や20兆ドルをわずかに下回るアメリカ国債の指数関数的増加があり、トランプ大統領選挙運動の美辞麗句“アメリカを再び偉大にする”には、緊急経済施策と、アメリカ合州国が、単なる借金を負った金融投機家ではなく本当の製造業経済に再びなれるようにするには、国家債務の効果的で周到な連邦倒産法風会社更生が必要なことが明らかになっている。

レーガン-ブッシュ時代の“債務は問題ではない”という無責任さが始まった1980年、連邦債務の水準は、きわめて御しやすい、GDPの30%だった。父ブッシュの任期が終わった1993年1月、債務は倍以上に増えて、GDP63%になった。債務は“問題”になり始めていたのに、ウオール街や債券トレーダーは、それを好んでいた。ジョージ・W・ブッシュが政権を握った2001年、ブッシュのおかげではなく、ベビーブーム世代人口のおかげで、54%に下落した。以来、アメリカ国債は、弾道ミサイルのような急増し、2017年3月までに、倍以上で、現在、GDPの104%、あとわずかで驚異的な20兆ドルだ。

私的、公的なアメリカのこの負債が、世界史上最悪の金融危機から8年以上たっても、連邦準備金制度が、債務不履行のドミノ、経済全体の崩壊を引き起こすのが恐ろしくて、金利を現在の歴史的な低さの1.25%以上に上げられない本当の理由だ。ロシアは、そのような債務監獄という点で、いささかも類似する点はない。

EU諸国の状況とて、僅かにましなのに過ぎない。ユーロ圏諸国では、負債はGDPに対し、マーストリヒト条約の上限60%を遥かに超える、平均90%だ。ギリシャが179%で突出し、133%のイタリア、130%のポルトガル、107%のキプロスと、106%のベルギーが続く。

ロシアはすこぶる健康そうだ

対照的に、ロシアの債務は、2016年、ほとんど取るに足らないGDPの13%で、現在の為替レートでのアメリカ・ドル換算、1900億ドルだ。インフレは現在、4-5%だ。ルーブルは、2014年の経済制裁危機と石油ショック以来安定している。しかも外国投資が、ロシア経済に戻りつつある。更に、2014年9月以降の世界石油価格崩壊にもかかわらず、ロシア石油輸出have held firm or grown and新パイプラインによる中国や東ユーラシアの他の国々へのガス輸出が、国営ガスプロムや他のロシア石油会社の収入を増やそうとしている。ロシア石油とガスの国内生産コストはルーブルで、ドルで売られるので、2014年以降のルーブルの対ドル大幅下落は、アメリカ財務省の財務戦争操作者が望んだような厳しいものからは程遠い。

現在のロシア中央銀行準備金は健全どころではない。金準備の大規模補充に加え、現在の総準備金は、4060億ドルで、3850億ドルだった2014年よりも多い。更に、財務省の政府系投資ファンドは、現在の為替レートで総計900億ドルだ。ムーディーズとS&Pよ、ロシア国債を依然“ジャンク”と格付けし続けている公的債務不履行”のリスク“ が一体どこにあるのか言いなさい。

ロシアに対する政治的偏向?

以下に、主要アメリカ信用格付け会社ムーディーズとS&Pによる特定の国家信用リスク格付けの政治的な性格について述べる。2014年ルーブル危機のどん底時、石油価格急落とアメリカとEUの経済制裁が、ロシア企業に、外国のドルやユーロ・ローンの返済を強い、欧米が対ロシアのSWIFT銀行間回線を切断すると脅し、危機の年の2014年、資本流出は1510億ドルにのぼり、大半が第四四半期中のものだった。

2016年、ロシアの資本流出は総計150億ドルに過ぎず、大半が外国にあるロシア企業向けで、ルーブルは安定している。1998年8月、大混乱のエリツィン時代の、ソロスにからんだルーブル債務不履行危機のような、ロシアの公的債務不履行可能性は片鱗もないにもかかわらず、ムーディーズもS&Pも、ロシア政府国債を“投資適格以下”やら“ジャンク”級と格付けし続けており、その結果、国際的年金基金や他の主要な投資家は、自国の規制当局から、EUやアメリカや日本と比較して、極めて魅力的な金利であるにもかかわらず、ロシア国債の購入を禁じられている。

ムーディーズとS&Pの国債格付けの政治的偏向を批判する人々は、世界の信用格付けを事実上独占しているウオール街の巨大格付け会社が、余りに頻繁に政治的偏向で動いていると言う。彼らは目を見張らせた2001年のエンロン破産と、二つのアメリカ格付け会社は、破産の直前まで、エンロンに最高評価を与え続けた事実を例にあげる。エンロンのCEO、ケネス・レイが、たまたまブッシュ一家の親しい友人だったことが、無分別な格付けに影響したと考えるゆきもある。同様に、ムーディーズもS&Pも、アメリカで2007年3月に始まった不動産担保証券市場、いわゆるサブプライム不動産ローンのメルトダウンによって引き起こされた最大の金融崩壊も警告しなかった。両社は警告すべきだったのだ。両社は不動産担保証券を危機の後、格付けした。

事実上、ムーディーズとS&P (三つの格付け会社の中で、一番小さいフィッチはそれほどではないが)決して必要としてなどいない破壊的なリベラルな経済改革をロシアに押しつけるため低い信用格付けという脅しを使って、アメリカ財務省の経済戦争経済制裁部隊の中に組み込まれた補助剤として活動しているように見える。

欧米の格付けゲームという仮想現実ではなく、ロシア実体経済の前向きな産業分野をいくつか簡単に見てみよう。破綻やらジャンクとは程遠いようだ。

軍事部門の恩恵を受ける民生部門

シリア戦争への介入で世界に示した極めて高度なロシアの軍事技術が、ロシアの科学技術は、国際レベルで、それをしのぐことも多いことが確認された。

7月9日、中部ロシア、エカテリンブルグでの国際産業貿易見本市「INNOPROM-2017年」の開会式における演説で、ウラジーミル・プーチン大統領はこう述べた。“もう一つの重要な課題は、国防産業複合体による民生用途ハイテク製造の量を引き上げることだ。ロシア産業貿易省は現在、この課題に積極的に取り組んでいる。”

これは軍事技術部門に対するロシアの姿勢の大転換だ。冷戦中、スターリン時代の安全保障へのこだわりの伝統で、軍事産業は、民生経済とのいかなる交流を完全に封じられ、現在に至るまでの国内経済に広がる技術の巨大な不均衡をもたらしてきた。

先進的な商用航空機

ロシアの途方もない軍用機製造経験を利用して、ハイテク製造を支援する政策によるイノベーションと技術の可能性の一例が、今年5月、ロシアのイルクート MC-21狭胴型商用ジェット機の初飛行試験公開だ。この開発は、ボーイングとエアバスの役員室に衝撃波を送ったと言われている。

イルクートMC-21は、現在市場にあるあらゆる狭胴型ジェット機の中で胴体が一番広く、同等のボーイング737やエアバスA320モデルの“すしずめ”乗客空間と比較して、乗客にはより快適だ。特に中東とアジアの多くの開発途上市場にとって魅力的なのは、価格がA320よりも、およそ15%安いという事実だ。より興味深いのは製造技術だ。MC-21はロシアが開発した独自の炭素繊維翼で、30%複合材料を使っていることになる。翼はロシア、ウリヤノフスクのAeroComposit社が産み出した革命的な新たな樹脂トランスファー注入プロセスを用いて開発された。ボーイング737 MaxとエアバスA320の翼は金属製だ。

イルクート社は、新たな国営飛行機製造グループである統一航空機製造会社UACの傘下なのだだ。大統領一期目の時に、ウラジーミル・プーチンが、元軍用機製造会社イリューシン、イルクート、スホイ、ツポレフとヤコヴレフを、80%国有の統一航空機製造会社UACに合併させたのだ。

MC-21狭胴型中距離旅客機に加えて、UACは、2012年に国際路線認定を受けた地域スーパージェット100も開発している。UACの傘下のスホイは、主要競合機、ブラジル・エンブラエル社の190/195より直接経費が6-8%低く、乗客は22人多いと主張している。個人的に私は、この飛行機がかなり快適だと断言できる。

ロシアの戦略的な民間航空機市場参入は、最近ロシア-中国合弁事業の設立という新たな方面でも展開している。2016年6月に、UACと中国国営の航空機製造企業、商用飛機有限公司は、上海を本拠とする中露国際商用飛行機有限公司 (CRAIC)を設立した。CRAICは、技術開発、製造、マーケティング、販売、顧客サービス、コンサルテーション、プログラム管理を行う。二つの企業は、エアバスA380やボーイング787と競合する新世代長距離広胴型民間航空機を開発しているのだ。中国ロシア・ジェット機の航続距離12,000キロ(7,500マイル)で、乗客280人で、ライバルより経費が10-15%少ない。UACは、新たな共同開発ジェット機が、ボーイング787とエアバスA350が支配している市場の10パーセントを獲得することを目指している。

先進的な鉄道車輛

ロシアの優れたインフラ製造のもう一つの部門は、ロシアの統一貨車製造会社United Wagon Companyの目覚ましい発展だ。2012年、当時首相だったプーチンは、約10億ドルの経費で建てた統一貨車製造会社のチフヴィン車輛製造工場の極めて高度な新たな最先端の車輛工場開設式典に出席した。それ以来、統一貨車製造会社は、世界的先進的な特殊鉄道車輛主要メーカーとなり、ヨーロッパのどの無蓋貨車メーカーより大きく、年間22,000の車輛を製造している。

同社は工場を設計する上で、世界中の自動車、航空機と鉄道産業の最優良事例を取り入れた。鋳物製造と車輛組み立てを一つの工場にまとめることで、柔軟性と既存のロシア車輛工場を“数倍”超える生産性をもたらした。TVSZは、台車を4 1/2分に一台、24分毎に貨車一輌を製造できる。サンクトペテルブルク郊外の工場では、BMWやエアバスが使用している機器と同様の最先端の自動機器やロボットが使われている。唯一同等の鋳造機は、ドイツのダイムラーが使っているものだ。TVSZの貨車は既存のロシア製品より維持費が50%安く、線路にもより優しい。

最近のハンブルクG20会議前の会談で、プーチン大統領と中国の習近平主席は、ロシアの鉄道車輛製造能力を、ロシアとユーラシア経済連合を含め、ユーラシアを横断して現在建設されつつある巨大な高速鉄道インフラ展開の中に組み込むことについて話し合った。統一貨車製造会社が、プーチンの頭の中で一番だったのは確実だ。

今日に至るまで、時速224キロ以上の速度が出せる、一マイル、一キロの高速鉄道線路も建設せずに済ませてきたアメリカ合州国とは違い、ロシアは中国の壮大な一帯一路ユーラシア・インフラ・プロジェクトと今や公式に連携して高速鉄道を拡張しつつある。ロシアと中国は、最終的に北京からモスクワへのOBOR路線の主要部分になるロシアのカザンからモスクワへの新高速鉄道路線の優先プロジェクトを共同で進めている。モスクワ-カザン高速鉄道路線の距離は770 kmで、時速400kmまでの速度で走り50-70km毎に停車する。モスクワからカザンへの高速鉄道の旅は、現在の14時間に対して、3.5時間になり、路線沿いの経済関係を革命的に変化させることになる。

ロシアの東側の国々との増大する貿易関係を視野に入れて、昨年ロシアは、2025年までに完成する日本海の新たな港によって、シベリア横断鉄道と太平洋の間の接続をより早くするため、ロシア極東に新たな鉄道回廊を建設する計画を発表した。新たな輸送回廊は、大半のロシア極東の港湾や、日本や中国や韓国の役にたち、シベリア横断鉄道への距離を550 km縮め、ロシアのヨーロッパ部分へのずっと早い貨物輸送が可能になる。

活力に満ちて成長しつつある現在のロシアの体経済の見通しは、過去二世紀あるいはそれ以上の期間のどの時期より前向きだ。世界の至る所での愚かな負け戦をやめ、国々や文明の構築に立ち戻る方が我々の世界にとって遥かに良いだろうと思わざるを得ない。戦争のエネルギーには頭脳は不要だ。中国とロシアも益々自覚しつつあるように、ものを築き上げるのはわくわくすることなのだ。

F. William Engdahlは戦略リスク・コンサルタント、講師で、プリンストン大学の政治学学位を持っており、石油と地政学に関するベストセラー本の著書で、これはオンライン誌“New Eastern Outlook”への独占寄稿。

記事原文のurl:https://journal-neo.org/2017/07/19/a-tale-of-two-nations-russia-vs-usa-economic-prospects/
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United Wagon Company、便宜的に、「統一貨車製造会社」とさせていただいた。いくら検索してもこの日本語名の企業はない。United Wagon Companyという英語名はあるが、ロシア会社に英語名ではと勝手に思った次第。

最近買い換えた電気掃除機、パイプ部分は炭素繊維のようだ。掃除をするたびに航空機を思い出している。

国宝消滅』を読み終えた。現在、小西美術工藝社長で、元ゴールドマン・サックス金融調査室長が書いた本。美術・芸術のあるべき保存、展示方法が書かれている。実に説得力がある。観光客の人数を騒ぐのではなく、落とす金額こそが大事。もっと増やすべきであり、可能なはずだという。入場料が安いのは、関係者が本気で働きたくないからだ。ほとんどの展示に十分な英語説明がないと指摘している。読みながら、どこかで聞いたような話(「学芸員はガン」発言を連想した)と思っていたら、240ページに書かれていてびっくり。今話題の人。

そんな奥ゆかしさをもつ人物の代表が、自民党の山本幸三衆議院議員です。

そこで、日刊IWJガイド。

■■■ 日刊IWJガイド 「獣医学部の新設は、公募の2ヶ月も前から加計学園に決まっていた! 山本幸三地方創生相の決定的証言を記した日本獣医師連盟の議事録入手、IWJが全文公開!/東芝崩壊に見る日本電機メーカーの危機! 背景にあるのは東電やNTTを家長とする『ファミリー構造』! 岩上安身による『東芝解体電機メーカーが消える日』著者・大西康之氏インタビュー、本日生配信!」2017.7.21日号~No.1771号~ ■■■

「加計学園ありき」の決定打となる文書を入手! 日本獣医師会顧問・北村直人氏が岩上安身のインタビューで予告した「爆弾証拠」開示! 山本幸三地方創生担当相の弁明に北村氏が徹底反論! 2017.7.21

東芝解体電機メーカーが消える日』も、まさに最近読み終えたばかりの本。たまたま知人と酒をのんだ際に、日本の電気メーカーの盛衰の話題をつまみに盛り上がり、東芝や他のメーカーの話をしたばかり。知人には翌日読み終えた本をお送りした。

このインタビューも見逃せない。

2017年7月16日 (日)

ワシントン新エネルギー戦略の致命的欠陥

F. William Engdahl
2017年7月13日

同情心に何らかの価値があるとするなら、人は不運なポーランド人に同情したくなるかも知れない。ポーランド新指導部は、危険なワシントンの計略によって、今回またしても、たぶらかされた。ドイツにとってかわり、ロシアを追い出して、EUの天然ガス・ハブになろうというのだ。

ポーランド人は、自滅的なプロジェクトに引っかかる傾向があるようだ。1939年、ポーランドのユゼフ・ベック外務大臣が、ナチス侵略の際には、ポーランドの主権イギリスが守ってくれると信じて、イギリスと、後に、フランスと、ポーランド-イギリス相互援助条約に署名した時もそうだった。イギリスとフランスが静かに微笑む中、ヒトラーとスターリンによって戦利品として、分けられてしまったのだ。諸国にはポーランド人と違う狙いがあったのだ。

ポーランド人、特にレフ・ワレサが、レーガンのCIAと全米民主主義基金を信じたのもこの例だ。全米民主主義基金経由で得る何百万ドルものCIAと国務省の資金をもったCIA NGOフロント組織ソリダーリノスチ(連帯)が、ポーランドを、ソ連支配という災難から逃れさせ、自由市場ハイパーインフレと最も貴重な国家資産略奪というジョージ・ソロスと彼のハーバード・ボーイズによる別の災難に追い込んだ。“国のDNA”というようなものについて語れるとすれば、いくつかの重要なアミノ酸が欠けていて、それがポーランド人が、一体誰が友人で、一体誰が敵なのかを本当に認識するのを妨げているように思える。

今回、最近ワルシャワでのトランプ大統領に対する“最高の歓迎”で、ポーランド人は必死にアメリカ大統領を奉じ、ポーランドを、EUにとって、ロシア天然ガスのライバルにするという彼の約束を信じようとした。7月6日、ワルシャワでのスリー・シーズ・イニシアチブ会議での発言で、ロシア・ガスへの依存の代案として、アメリカ・エネルギー輸出をとるべきだと、出席した指導部に、トランプは述べた。

スリー・シーズ・イニシアチブは、12の中欧と東欧諸国が、エネルギー政策を調整するための取り組みだ。トランプは、明らかにロシアに言及して、ポーランド人にこう語った“一つの重要な問題について、はっきり申しあげたい。アメリカ合州国は、貴国を強要するために、決してエネルギーを利用することはしないし、他国にもそうさせるつもりはない。皆様は独占や独占的状況はお嫌いだろう。”彼はさらにこう言った。“我々は皆様の代替エネルギー源入手を我々は断固として確保するので、ポーランドと隣国諸国は二度と単一のエネルギー供給国の人質にされることはありません。”

LNGエネルギー・ハブ?

トランプが、ハンブルクG20サミットへの途中、ワルシャワに立ち寄ったのは、ロシア-ドイツ間のサンクトペテルブルク南部のウスチ・ルガから、ベルリンとハンブルクの中間にあり、ポーランド国境から80 kmのドイツ、グライフスヴァルトへのバルト海海底ノルド・ストリーム 2 ガス・パイプライン阻止をアメリカが支援する夢を、ポーランドに見させてやる計算ずくのものだった。ポーランド人は、ウクライナからのポーランドへのパイプラインに対するガスプロムの通行料を失うことで激怒しているだけではない。彼らは、ロシアのガスプロムを、巨大かつ、拡大しつつあるEUガス・エネルギー市場から追放したがってもいる。これこそトランプ政権の長期的な狙いだ。ポーランド政府との会談で、トランプは、LNGガス・インフラと、アメリカの剰余シェール・ガスLNG輸入の壮大な可能性について語ったとされている。

アメリカ東海岸とメキシコ湾にある極めて数が限られたLNGターミナルから、特殊なタンカーで輸送するアメリカ・シェール・ガスは決して安くない。

今年6月、シェニエール・エナジーのルイジアナ州サビンパス工場からポーランドへのアメリカLNGの初荷が到着した。しかも、決して安くはない。エネルギー専門家は、ポーランドのシフィノウイシチェLNGターミナルでの価格は、百万英熱量あたり、5.97ドルと推計している。同じガスは、現在アメリカ市場で、百万英熱量あたり約3ドルだ。ドイツ向けのロシア・ガスは百万英熱量あたり推計約5ドルと見なされている。ポーランド人は、彼らのロシア嫌いと、ワシントンによるごまかしのおかげで、カモにされているのだ。

NATOのエネルギー戦略

ポーランドの戦略は長年にわたって構想されてきたたもので、アメリカと北大西洋理事会に支持されている。既に、2014年、ポーランドは、バルト海の港、シフィノウイシチェに約10億ドルの経費で液化天然ガス(LNG)ターミナル建設を開始した。年間、50立方メートルのガスを受け入れることが可能で、それを倍増することも検討中だ。だが、これは、実際には、ロシア・ガスをEU市場から追い出すNATO戦略の序章に過ぎない。

戦略では、ポーランドを連結管で、リトアニア、ウクライナ、スロバキアとチェコ共和国と結び、ポーランドを中欧の天然ガスのハブにすることになっている。

これは、アドリア海、バルト海と黒海に接する12カ国で、エネルギー戦略をまとめるべく、昨年、ポーランドとクロアチアによって設立されたスリー・シーズ・イニシアチブなるものの一環だ。クロアチア政府は、人気の高いクロアチアの観光地イストリア半島で、大きな反対がある中、アドリア海のクルク島に議論の多い海上LNGターミナルも建設しようとしている。ポーランドとクロアチアに加えて、この構想には、ハンガリー、チェコ共和国、スロバキア、ルーマニア、ブルガリア、リトアニア、エストニア、ラトビア、スロベニアとオーストリアという、ほぼ全て現在、ロシア天然ガスに依存している国々が参加している。

ワシントンに本拠を置くシンクタンク北大西洋理事会の事実上のNATO戦略上、スリー・シーズ・イニシアチブは、ロシア・ガスを、東欧と中欧の旧共産国から追い出そうという共通の動機だ。皮肉にも、ドイツと他の西欧EU諸国は、既に建設中のガスプロム・ノルド・ストリーム IIを支持しており、ポーランドのスリー・シーズ・イニシアチブと対立状態にある。

5月に、北大西洋理事会は、ワシントンで、スリー・シーズ戦略に関する会議を開催した。元オバマの国家安全保障問題担当大統領補佐官だったジェームス・ジョーンズ将軍が基調講演を行い、そこで彼はトランプ政権が、ロシア・ガスからのエネルギー“自立”のため、スリー・シーズ・イニシアチブを支援する戦略的重要性に触れた。講演の中で、ジョーンズは、イニシアチブの狙いは、ヨーロッパのエネルギー分野での“クレムリンの影響力”を低下させるか、消滅させることだと述べた。ワルシャワでのスリー・シーズ・イニシアチブにおけるトランプの7月6日の演説は、ジョーンズ将軍本人が書いたものである可能性がある。戦略的地政学的ワシントン政策は、大統領自身が書くことはない、少なくとも1963年11月のCIAによるJFK暗殺以来。クロアチアとともに、ポーランドを、非常に高価なアメリカLNG天然ガス輸入のエネルギー・ハブにするというのは、ワシントンの対ロシア地政学戦略なのだ。

新たなEU断層線

東欧と中欧のEU諸国に対するロシアのエネルギー影響力を標的にするのに加え、ポーランドと、可能性として、クロアチアに対するトランプのLNGガス政策は、EU問題に対するドイツとフランスの優勢的影響力を損なうことも狙っている。最新のアメリカ上院による対ロシア経済制裁は、ポーランド経由とは独自のバルト海経由のドイツ-ロシア ノルド・ストリーム II パイプライン拡張支援に関与している企業を直接狙っている。下院を通過し、トランプが署名すれば、ノルド・ストリームIIなどのロシアとのエネルギー・プロジェクトに関与しているEU企業に対して厳しい経済制裁が課されることになる。

最近のアメリカ経済制裁の可能性に対して、明らかな理由から、ドイツとオーストリアの政府は、即座に激しい反対を表明した。6月15日、ドイツとオーストリア外務大臣は、アメリカを批判するいつにない共同声明を発表した。実にきつい言葉で、こう述べている。“ヨーロッパのエネルギー供給はヨーロッパの問題であって、アメリカ合州国の問題ではない。ヨーロッパのエネルギー供給開発に参加するヨーロッパ企業に対する違法な域外適用経済制裁の脅しを認めることはできない”。トランプの7月6日のスリー・シーズ構想会合登場を、オーストリアはボイコットした。

現れつつあるのは、エネルギー、具体的には天然ガス・エネルギーという経済的な命綱を巡る新たな本格的なEU断層線だ。一方の側は、特にドイツだが、オーストリアやフランスや主にロシア・ガス供給でまとまっている他のEU諸国現在同士の枢軸だ。登場したのは、明らかに彼らと対抗する、ワシントンと提携したポーランド枢軸だ。今後数カ月、数年に、これがどのように進展するかが、ヨーロッパだけではなく、戦争と平和に大きな意味を持つことになろう。

ワシントンの新ガス・グレート・ゲーム

ワシントン陰の政府の一つの特徴は、連中の戦略的想像力は、最近まで、一世紀、彼らのために機能してきたように見えるもの、つまりエネルギー支配に限られていることだ。過去数年間、2003年のイラク占領や、2011年のリビア破壊など、石油支配のための無数のペンタゴン戦争に加え、現在に至るまでのバッシャール・アル・アサドに対するアメリカが操る戦争も、基本的にエネルギー、具体的には天然ガス・エネルギー支配のための戦争なのだ。

混乱していることが多いトランプ政権政策の狙いも、天然ガスの世界支配と、他のライバルによるそうした支配の戦略的阻止という特殊なプリズムを通すと、戦略がはっきり見えてくる。トランプ戦略の礎の一つは、スリー・シーズ・イニシアチブを支援して、ポーランドをアメリカ・シェール・ガスのためのヨーロッパのハブにするという企みだ。

新ワシントン戦略の二番目の基軸は、イランとカタール両国の領海にまたがるペルシャ湾にある共有ガス田の世界最大の天然ガス埋蔵を輸送するために出現しつつある、カタール-イラン-シリア-トルコ天然ガス同盟の阻止だ。

トランプによる最近のリヤド訪問中、トランプは、何よりも、サウジアラビアが率いるスンナ派“アラブNATO”を奨励して、サウジアラビアとワシントンにより、この妨害が開始されたのだ。その結果が、イランとのつながりと、ムスリム同胞団テロ支援を理由とした、サウジアラビアが率いる異様な対カタール経済制裁だ。これが異様なのは、大半の観察眼の鋭い人々には周知の通り、現在、サウジアラビアは、ワシントンと並んで、テロに対する世界の主要スポンサーで、資金供給者で、少なくとも1979年以来、アフガニスタンのオサマ・ビン・ラディンと、彼のアルカイダ・ムジャヒディンを支援してきているのだ。最近、シリアでの戦争に勝利する見込みはないことを理解するまで、カタールの手は、シリア国内のテロリスト支援で汚れていた。それは当時から明らかだった。現実には、サウジアラビアによるカタール封鎖は、過激派テロリストを阻止することを狙ったものではない。今後、可能性として世界最大のガス消費者であるEUガス市場から、イランとカタールと、潜在的には、シリア・ガスを締め出すことを狙っているのだ。

更に、この二つの重要な要素に加えて、アメリカ・シェール・ガス輸入に依存するよう中国を誘惑しようというアメリカ・ガス戦争の最近の取り組みがある。その一つの結果が、4月、マー・ア・ラゴでのトランプと習近平中国国家主席会談で、アメリカ商務省は、LNGの形でのアメリカ・シェール・ガスの対中国輸出を支援し、促進するという声明だ。中国は現在カタール天然ガスの主要輸入国で、中国向けの巨大なパワー・オブ・シベリア・ガス・パイプラインが2019年に運用が始まれば、ロシア・ガスの大口輸入国になろうとしている。ワシントンは、劇的に石炭への依存度を引き下げる中国の戦略のために、いくつかの別のガス供給業者を抱えていたいという中国の当然の願望に付け込んでいるのだ。

致命的欠陥

新たなワシントン ガス戦争地政学的戦略には致命的欠陥がある建設中アメリカ東海岸とメキシコ湾沿いに、他の12 LNG港湾が建設中という事実にもかかわらず、アメリカ・シェール・ガス供給の長期的信頼性は、きわめて疑わしいのだ。

透水性の低いシェール岩層から、地震活動で、シェール・ガスの解放を誘発するのに必要な水圧‘破砕’による膨大な環境上の被害については既に多く書かれている。井戸一つあたり1000万ガロンもの膨大な淡水需要がある。膨大な量の極めて有毒な廃水ももたらし、誘発地震や、温暖化ガス排出や、地下水汚染がある。

多くの州が水質浄化法に違反している、こうした問題を避けるため、水質浄化法を施行する責任を負っている環境保護局長官スコット・プルイットは、ガス生産を増やすべく、シェール・ガス破砕に関する多くの環境規制を解除するつもりだと言っている。これはペンシルヴェニア州から、テキサス州から、ノースダコタ州に至るまで、アメリカ中での莫大な水需要を意味する。これは有毒地下水汚染の飛躍的増大をも意味しよう。

ところが、トランプのアメリカ・シェール輸出支配計画の最も深刻な致命的欠陥は、シェール・ガス生産の安定性そのものなのだ。シェール・ガスの異例な地質ゆえに、井戸の産出は、当初の流量が比較的高い。ところが再三の実験で明らかなように、シェール・ガス田は、約4-5年後、生産量が双曲線的に低下する。実験で、ガスの量は7-8年後に約80%減少しうることが分かっている。つまり、おそらくシェール井戸の利益の80%が、劇的に低下するまでの最初の5-7年間に限られていることを意味する。つまり、ガス生産水準を維持するには、遥かに多くの井戸を、エンド・ユーザーに対するガス価格の点でも、環境に対する負担の上でも遥かに高い経費で掘削する必要があることを意味する。

これまでのところ、シェール・ガス掘削業者は、西テキサス州パーミアン盆地のような、大量のガスが大きな利益をもたらす“スイート・スポット”と呼ばれるものに集中してきた。アメリカ国内シェール・ガス供給過剰は、1970年代のエネルギー危機以来、初めてガスと石油輸出を認める最近の法律によって緩和される。とはいえ、ここ数カ月、現在の投資水準での現状シェール・ガス“ピーク”の気がかりな兆しが現れつつある。

エネルギー業界のニュースレター、OilPrice.comの6月16日号によれば、非常に活発なテキサス州パーミアン盆地でのシェール石油生産も既に衰退している可能性がある。つまり、シェール・ガスも間もなく同じことになるのを意味している。購読者向けのレポートで、OilPrice.comはこう書いている。“パーミアン盆地も生産性が頭打ちになり、掘削装置毎の新たな井戸の産出は、今年これまで毎月減少している。桁外れの生産性増加は、2016年に止まった。2016年8月、平均的な掘削装置は、新たな油井からわずか日産700バレル程度の石油しか生産しない。この数値は、2017年7月には、日産602バレルに下落したと推定されている。生産性の低下は、スイート・スポットは既に使い尽くされており、もし業界がもっと生産したければ、更に資金を投入し、限界的な地域を掘削しなければならないだろうことを示唆している。”

これこそが誰もが、特にアメリカ・シェール・ガスに誘惑されたポーランド人が無視している致命的欠陥なのだ。

F. William Engdahlは戦略リスク・コンサルタント、講師で、プリンストン大学の学位を持っており、石油と地政学に関するベストセラー本の著書で、これはオンライン誌“New Eastern Outlook”への独占寄稿。

記事原文のurl:http://www.williamengdahl.com/englishNEO13July2017.php
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こういう策略が進められているなか、シベリアからのエネルギー輸入計画、宗主国が許可するのだろうか?と不思議になる。

記事を訳すのに邪魔なので、大本営広報部洗脳装置、今日は電源を入れていない。電気代も節約になる。北朝鮮ICBMや、異常youtubeタレントの行方や睡眠導入剤呆導は時間の無駄。所詮トップが寿司友。

あの手の映像は許すが、政治的に微妙なものになると、すぐ規制をかけるソーシャル・メディアの二枚舌も露骨なものだと感心する。

大本営広報部ではない、IWJによる二度目の北村直人氏インタビューは衝撃的。思わず耳を疑った。一回目の北村直人氏インタビューで、構図がかなり飲み込めたように思う。参考人になっていただくべきお一人だ。

★「総理出席の集中審議をやるなら私を参考人に」――「加計学園」問題で日本獣医師会に責任をなすりつける安倍政権に憤り! 岩上安身による日本獣医師会顧問・北村直人氏インタビュー第2弾・その2
[収録日時] 2017年7月15日(土)14:00~
[配信日時] 2017年7月19日(水)20:00~

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2017年7月 3日 (月)

カタール後、ワシントンは中東を失ったのか?

2017年6月24日
F. William Engdahl
New Eastern Outlook

最近のアメリカ議会の対イラン、そして対ロシア連邦経済制裁と、サウジアラビアと他の湾岸君主諸国によるカタール制裁決議を結ぶ隠れた赤い糸がある。この赤い糸は、テロに対する戦いとは全く無関係で、もっぱら世界最大の天然ガス埋蔵量を誰が支配し、世界ガス市場を誰が支配するかに関係している。

1914年以来、前世紀の大半、世界は、ほぼ連続して石油支配を巡って戦争してきた。それ自体は科学的行動ではなく、政治的行動なのだが、石炭発電を減らし、CO2排出を大幅に削減することに同意して、欧州連合や特に中国が、クリーン・エネルギー政策を採用するに伴い、また天然ガス液化、LNGのような天然ガス輸送技術の進歩もあいまって、天然ガスはとうとう石油同様、世界中で取り引きされる商品となった。この進展に伴い、現代は世界中の主要石油埋蔵を支配のための戦争だけの時代ではなくなっている。今や天然ガス戦争時代の夜明けなのだ。乗客の皆様、シートベルトをお締め下さい。

地政学的関係者という点で、最近の宣戦布告なしのガス戦争を始めた責任が一番重いのは、いわゆる陰の政府権益の為に政策をたてる、腐敗したワシントン徒党という政治権力をおいて他にない。これはオバマ大統領から、きわだって始まり、現在のトランプ-ティラーソンによる、つまらない見せ物のもとで継続している。イランがそうだとワシントンが定義する“テロ”と戦うため、スンナ派アラブ“NATO”という考え方を押し進めるためのドナルド・トランプによる最近のリヤド・テルアビブ歴訪が、始まりつつあるアメリカによる世界ガス戦争の新段階を引き起こしたのだ。

豚を焼くため、家を燃やす

トランプ政権の中東政策、明らかな政策が存在するのだが、豚肉を焼くため、家を燃やした農夫に関する古代中国の寓話になぞらえられる可能性が高いと思われる。“CO2の少ない″天然ガスを巡って出現しつつある世界エネルギー市場を支配するため、ワシントンは世界最大のガス埋蔵量がある国ロシアだけ標的にしているのではない。ワシントンは今やイランとカタールも標的にしているのだ。一体なぜかを詳しく見てみよう。

2009年3月15日、当時のカタール首長ハマド・ビン・ハリーファ・アール=サーニー、当時は、まだ首長にとって信頼できる友人と見なされていたシリアのバッシャール・アル・アサド大統領との悪名高い会談について、以前、私は書いたことがある。ハマド首長が、アサドに、巨大なEUガス市場を狙った、カタールの巨大なペルシャ湾ガス田から、シリアのアレッポ州経由で、トルコへのガス・パイプライン建設を提案すると、ガス問題で、カタールのガスで、ロシア・ガスの対EU輸出を損なうのを望まずに、ロシアとの長年の良い関係を優先させて、アサドは断ったとされている。

カタール側がノース・ドームと呼び、イランが南パースと呼ぶペルシャ湾ガス田は、世界最大の単一ガス田だと推測されている。運命の定めで、ガス田はカタールとイラン間の領海にまたがっている。

2011年7月、モスクワの承認を得て、シリア政府、イラクとイランは、“友好パイプライン”と呼ばれる異なるガス・パイプライン協定を結んだとされている。この協定は膨大な未開発のイラン南パースガスを、イラク、シリア、レバノン経由で、地中海を通し、出現しつつあるEU市場に送る、長さ1,500キロのガス・パイプライン建設を標榜していた。NATOとワッハブ派反動的湾岸諸国が、2011年以降、シリア破壊を選んで以来、このパイプラインは、明らか保留になっている。彼らは、イラクやシリアのアルカイダと名付け、更にはイラクとシリアの「イスラム国」、更には単にIS、あるいはアラビア語で、ダーイシュと様々な名前をつけた様々な偽旗テロ組織を用いて、アサドと統一されたシリア国家を破壊することを選んだのだ。NATOと湾岸諸国にとって、イラン-イラク-シリア・ガス・パイプラインは、ユーラシアのエネルギー地政学地図や、サウジアラビア・ワッハブ派支配に対するイランの政治的影響力を変えてしまうものだった。

2014年、不可解なISISが爆発的な勢いで登場した際に カタールからトルコへのパイプラインが計画されているアレッポ占領に動いたのも驚くべきことではない。偶然の一致だろうか? その可能性は低い。

提案されたカタール-シリア-トルコ-EUパイプライン(青)は、アレッポ県を経由し、代替のイラン-イラク-シリア (赤) ラインは、レバノンを経由して、EUガス市場に至る。

2011年は、カタールが、当時、サウジアラビアや、他のスンナ派湾岸諸国、更に地政学的にヨーロッパとアジアのガス・ハブとなる野望が消えるのを目にしたトルコにも支援された対アサド戦争に、30億ドルもの金を注ぎ込みはじめた時期だ。イラン-シリア“友好パイプライン”協定発表のまさに翌月、2011年8月、国連安全保障理事会で、アメリカがシリアのアサド辞任を要求した。アメリカ特殊部隊とCIAは、アサドを追い出し、ダマスカスに、カタールのガス・パイプラインの野望に好意的なサウジアラビアが支配する傀儡政権ための扉を開くべく、スンナ派ワッハブ派の影響を受けている世界中から徴募された“シリア反政府派”テロリストのトルコとヨルダン内の秘密NATO基地での、秘かな訓練を開始した 。

ワシントンとリヤドの地政学的な愚かさ

現在のトランプと、サウジアラビアのサルマーン皇太子による、イランが“一番のテロ支援国”で、カタールがテロ支援者だという悪者扱いは一体どういうことなのだろう?

前首長ハマドの息子で、現役のカタール首長タミーム・ビン・ハマド・アール=サーニーが大いに実利的で、ロシアがシリア戦争に介入して、アレッポ経由トルコの、EU向けパイプラインというカタールの夢がはかなく消えたことを悟り、静かにテヘランと交渉を始めたことに我々が気づけば、すべてのものごとがつながって見えてくる。

この春、カタールは、両国が共有する南パース-ノース・ドーム・ガス田開発で妥協案を見出すための交渉をテヘランと開始した。カタールは、ガス田開発禁止措置を解除し、共同開発を巡り、イランと協議を行った。カタールとイランは、イランから、地中海、あるいはトルコ向けで、カタール・ガスをヨーロッパにも送れるカタール-イラン・ガス・パイプラインの共同建設合意に至ったと報じられている。引き換えに、ドーハは、シリア国内でのテロ支援を停止することに同意し、破壊されたシリアを小国に分割して、地域のガスの流れを支配するというトランプ-サウジアラビア計画にとって大打撃となった。

ワシントンとリヤドとテルアビブから見てのこの地政学的大惨事を防ぐため、邪悪の三国は、イランと、皮肉にも中東中でペンタゴンの最も重要な基地があるカタールに罪をなすりつけるべく団結した。連中は、カタールは、世界テロの‘命知らずエベル・ナイベル’だと宣言し、アメリカ国防長官“狂犬”マティスが実際、イランは世界“最大のテロ支援国家”だと宣言し、カタールの罪は、ハマース、アルカイダとISISへの主要資金提供者であることだとされている。かつては、そうだったかも知れない。現在、カタールは違う目標を追求している。

カーブルから中国まで、ボスニア-ヘルツェゴヴィナから、コソボやシリアや、更にはイランやロシアに至るまで、狂信的聖戦テロリストのネットワーク構築に近年、1000億ドル以上注ぎ込んだとされるワッハブ派サウジアラビアの役割を、ワシントンはご都合主義で誤魔化している。

失敗する運命

大半の最近のワシントン・ネオコン戦略と同様、カタール-テヘランの悪者扱いと経済制裁は、これを実施している連中に対し逆噴射している。封鎖を破るべく、イランはすぐさま、緊急食料や他の支援を申し出て対応したが、全く違う文脈での1948年-49年のベルリン空輸を思い起こさせる。

ロシアのセルゲイ・ラブロフ外務大臣も、モスクワで、カタール外務大臣と会談し、中国海軍が、ホルムズ海峡という石油の超戦略的要衝でイラン-中国共同海軍演習に参加するため、イランの港に到着した。ペルシャ湾から、オマーン海への開口部のオマーンとイラン間のホルムズ海峡は、中国や他の世界市場に向けて、35%以上の全ての海上石油輸送がここを通る紛れもなく現代世界で最も重要な海上の要衝だ。

イランは、アメリカとEUの経済制裁が半ば解除されたので、上海協力機構の正式加盟国となる候補者で、既に、世界で最も目覚ましいインフラ・プロジェクト中東を含むユーラシア中の国々の経済的なつながりを構築する、これまで“新経済シルク・ロード”として知られていた中国の一帯一路の戦略パートナーに招かれている。

カタールも、中国やロシアにとって、新顔ではない。2015年、カタールは、今やIMFで、SDR主要通貨として認められている、中国通貨元での初めての中東決済センターとして、中国人民銀行によって公式に認められ、人民元の国際的な受け入れを大きく押し上げた。人民元の決済状況で、カタール企業が、中国との貿易、例えば天然ガスを、直接人民元で決済することが可能になる。既にカタールは膨大な量のLNGを中国に輸出している。

アムステルダム発の最近の報道によれば、カタールは既に、米ドルではなく、人民元建てで、中国にガスを輸出している。もしこれが真実であれば、19兆ドル以上の連邦政府赤字や公的債務を背負いながら、至る所で戦争をしかける能力の財政基盤、アメリカ・ドルの威力に対する大規模な構造的転換を意味する。イランは既に石油へのドル支払いを拒否しており、ロシアは、ガスをルーブルや元で中国に輸出している。二国間貿易で、人民元やロシアルーブルや、ドル以外の他の通貨を好む方向に大きく動けば、アメリカ世界超大国にとってのたそがれとなる。消灯、もうたくさんだ!

たとえば、1990年代そうであったのと全く違い、現在、世界唯一の超大国であり続けるのは容易なことではない。狂犬などというあだ名の精神病質の将軍連中ですら、ワシントンが怒鳴って命令した際、他国を脅し、たじろがせ、従わせることができなくなっている。かつて1990年頃まで それは、言わば朝飯前だった。ユーゴスラビアで戦争をし、ソ連を不安定化 アフガニスタンでの長い戦争の後、旧共産主義国経済東ヨーロッパ全てを略奪した。しかもなお悪いことに、世界はもはやワシントンの破壊戦争を評価しているようには見えない。近年ワシントンが諸国のためにした全てのことに対する全くの忘恩だ。

将来の歴史学者から見ると、ディック・チェイニーが、エネルギーの豊富な中東と呼んだ“戦略的な獲物”に対する支配力をワシントンが失った2017年頃、アメリカの世紀の死亡記事が書かれたということになるのだろうか?

F. William Engdahlは戦略リスク・コンサルタント、講師で、プリンストン大学の学位を持っており、石油と地政学に関するベストセラー本の著書で、これはオンライン誌“New Eastern Outlook”独占寄稿。

記事原文のurl:http://journal-neo.org/2017/06/24/has-washington-lost-the-middle-east-after-qatar/
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都民の大多数がB層なのか、ムサシが本当に機能しているのか、いずれにせよ悲惨な結果。国政がこうなれば、憲法も簡単に破壊される。マクロンのフランスそっくり。

総理が都議選の夜、フランス料理店「オテル・ドゥ・ミクニ」で食事というのは、本当に祝賀会だったのだろう。

大本営広報部選挙報道全く見なかった。自民と都民ラストを対比する雰囲気ゆえ。
ムサシの威力がウワサなら、この結果を産んだ最大の功労者は大本営広報部。

昨日だか一昨日だか、アナグマとタヌキが都会の側溝で一緒に暮らしているドキュメンタリーを見た。山里の穴でも一緒に暮らしているらしい。「同じ穴の狢」はそこからでたような話だった。選挙結果予言番組?

将来の歴史学者から見ると、都民が都議会で改憲勢力を圧勝させた2017年頃、 日本の死亡記事が書かれたということになるのだろうか?

2017年5月 8日 (月)

一路一帯という鶏小屋の番人に、かなりのキツネを雇った北京

2017年4月30日
F. William Engdahl
New Eastern Outlook

中国政府の新聞、環球時報が、香港に本拠を置くフロンティア・サービシズ・グループ(FSG)社が、中国北西部の新疆ウイグル自治区と、中国南西部の雲南省の二カ所に事業基地を構築すると公表した。新疆と雲南省は、中国の壮大な一帯一路の高速鉄道、港と、エネルギー・パイプライン・インフラ開発事業の核心、地理的要だ。北京がこの警備会社FSGと関係する上で、注目に値するのは同社の会長だ。

フロンティア・サービシズ・グループの会長で主要執行役員は、世界で最も悪名高い傭兵、今や存在していないブラックウオーター・セキュリティー創設者エリック・プリンスだ。ロンドン フィナンシャル・タイムズのインタビューで、プリンスは、最近中国との彼の事業について、こう述べた。“我々は中国の外交政策目標のために働くのではなく、貿易拡大を支援している。”彼は更にこう語った。“隣国諸国との中国貿易とインフラ構築は恩恵だけをもたらす。我々は中国の外交政策目標の為に働いているのではなく、我々は貿易増大を支援する。”プリンスは、更にこう主張した。“これは中国版ブラックウオーターではない。FSG は物流会社だ。我々は警備会社ではない。我が社の誰も武装しておらず、武装する予定もない。だが警備業務は、確かに物流過程の一部だ。”

警備業務は護衛の婉曲表現だ。プリンスの社員は、決して火器を必要としないジェイソン・ステイサムのような武道の技を習得しているのかも知れない。あるいは、彼はうそつきなのかも知れない。いずれにせよ、中国が、元ネービー・シールで、CIA協力者で、悪名高いブラックウオーターの共同創設者エリック・プリンスを、戦略的な新経済シルク・ロードの守護者にしたというのは大きな出来事だ。

CITIC

中国との関係は、決して最小限でも情報不足でもなさそうだ。FSGの最大投資家は、中華人民共和国が所有し支配する投資ファンドCITICだ。CITICは、フロンティア・サービシズ・グループの20%を所有している。CITICは、2013年、プリンスが彼のアフリカ警備会社の投資家を探しに香港にやってきた際、初めてエリック・プリンスに会ったとされている。取締役会長のプリンスの他に、FSGの取締役には華東一、CITICの子会社とつながりのある、Acting CEO。華東一の北京の事務所として、CITICタワーがあげられている。高振順は、フロンティア・サービシズ・グループ副会長だ。二人は北京を本拠とする中国人だ。

中国は、ナイジェリアなどのアフリカの紛争地域や、中国が大規模投資をしている南スーダンで、アルカイダとつながるボコ・ハラムに対して、石油とガス・パイプライン企業を守る彼の警備業務ゆえに、プリンスに最初に注目したもののようだ。3月21日の中国国営の環球時報紙インタビューで、プリンスは、FSGが、同社が“事業基地”と呼ぶものを二つ建設するべく雇われたと発表した。“2016年末、FSGは地理的な対象を、アフリカだけから、一帯一路構想の北西と南西回廊をも含むよう拡大した”と彼は述べた。エリック・プリンスが、中国の一帯一路プロジェクトの中核、崩壊しつつあるNATOの大西洋世界の代替となるのが確実なプロジェクトを警備する責任を負うのだ。

プリンスは、環球時報のインタビューで、“北西回廊には、カザフスタン、ウズベキスタン、パキスタン、アフガニスタンなどの国々があり、南西回廊には、ミャンマー、タイ、ラオスとカンボジアなどの国々がある”と述べ、“中国の雲南省で計画されている新施設のおかげで、FSGは、南西回廊の企業にもより良いサービス提供が可能になるだろう。続いて、FSGは、北西回廊内の企業のため、新疆に訓練施設を開設予定だ。

中国北西の新疆ウイグル自治区のFSG基地は、CIAがけしかけているウイグル・テロ活動の中心部に置かれる予定だ。新疆は、新疆ウイグル人イスラム教徒の中で活動的な、CIAがfostered アルカイダの東トルキスタン・イスラム運動(ETIM)の本拠地だ。新疆自体、カザフスタン、ロシアや他から、更には中国内の油田から、中国への大半の石油とガスの主要国際パイプラインの十字路だ。二つ目の“事業基地”は南西中国雲南省に置かれる予定で、ミャンマーの石油とガス・パイプラインや、インド洋への深水港、巨大な一路、建設中の高速鉄道インフラシンガポールと、全東南アジアに至る一路全体の十字路となる昆明は戦略的ハブだ。

金のための参入か?

エリック・プリンスは“中国版ブラックウオーター”を構築するつもりはなく、単に、中国の壮大な貿易プロジェクトに、企業警備や他のサービスを提供すべく、中国と事業をしているのだと主張している。FSG警備担当者は全員非武装だと彼は主張している。

中国国営の環球時報は、エリック・プリンスの民間警備会社を雇うことを擁護している中国人専門家、復旦大学アメリカ研究センター所長呉心伯にインタビューしており、彼は環球時報に“一帯一路構想をうまく実施するには、中国海外企業の警備業務は強化されるべきだ。中国はアメリカ民間企業から経験を得ることが望ましい” 中華人民共和国公安部の実働部隊、中安保実業集団有限公司の国際事務部総監の黎江向はこう述べている。

“中国企業は海外での警備サービスが是非とも必要だ。中国の警備サービス会社には、高度な経営理論が欠けている。”

民間傭兵による殺人における高度な“経営理論”は、確かにエリック・プリンスのおはこだ 。イラク戦争中、ブラックウオーター・セキュリティーはCIAに雇われ、契約金額は、6億ドルを越えていた。ブラックウオーター共同創設者は、ブラックウオーター・アメリカ副社長、ブラックウオーター・セキュリティー社社長になった元CIA職員のジェイミー・スミスだ。2006年から2009年まで、ブラックウオーター副会長だったコファー・ブラックは、元CIA対テロセンター所長だった。要するに、プリンスの事業は、秘密工作に対する制限を受けるアメリカ政府の制限がない民間CIAなのだ。

2007年9月、ブラックウオーター社員が、バグダッドの混雑する広場で発砲し、子供を含む17人のイラク一般市民を殺害し、更に20人に重傷を負わせたニスール広場虐殺で、ブラックウオーターは悪名をとどろかせた。アメリカの裁判所で三人の警備員が、14人の過失致死で、もう一人が殺人で有罪判決を受けた。その後、2010年に彼は会社を売り、アカデミという名前で再編成した。2010年、プリンスの会社は、CIAの仕事で、更に1億ドル受け取った。2009年、彼がテロリスト殺害を委託されたCIAタスク・フォースの一員であることが明らかにされた。彼はバージニア州ラングレーのCIA本部を警備するよう雇われてさえいた。

トランプとのつながり

エリック・プリンスのドナルド・トランプ政権とのつながりも注目に値する。プリンスは、トランプと個人的な知り合いで、トランプの選挙に100,000ドル以上寄付した。彼の姉、AmWay一家の億万長者ベッツィ・デヴォスはトランプ政権の教育長官だ。さらに重要なことに、プリンスは、トランプ政権のホワイト・ハウス首席戦略官スティーブン・バノンの親友でもある。ある元アメリカ高官によれば、プリンスは、1月20日以前に、トランプ移行チームに、“国防長官と国務長官候補者評価を含む”諜報と国防に関する問題で助言までしていた。バノンに加え、エリック・プリンスは、上院での50-50票で、プリンスの姉、ベッツィ・デヴォスが教育長官になるのを可能にした決定票を投じたマイク・ペンス副大統領の親しい友人だ。プリンスは、トランプの選挙と、イギリスBrexitの主要投資家である、投資運用会社ルネッサンス・テクノロジーズのヘッジ・ファンド業億万長者ロバート・マーサーとも親しい。

中国の一帯一路という極めて重要な動脈を警備するのにエリック・プリンスを雇うのに、北京当局が二つの利点を考えている可能性があり、その可能性は高い。一つは、エリック・プリンスが、テロを受けやすい地域における企業警備の世界的専門家の一人だという確実な事実だ。彼は中国の警備会社がおそらく良く知らないテクニックを知っている。二つ目の理由は、強烈な反中国の話題で選挙運動を展開したトランプ政権とのエリック・プリンスの緊密なつながりから、トランプ人脈と直接のつながりがあるプリンスを北京が“友人”にすれば、ワシントンとのより良い関係を仲介してもらえようと期待したのかも知れない。

もしそうであれば、中国当局は、こうした無理からぬ狙いを追求する中、一帯一路と言う名の鶏小屋警備に、狡猾で非常に危険なキツネを認めたのを見直ことになるかも知れない。“元”CIA工作員で、世界でも一流の傭兵、エリック・プリンスが、今やワシントンに、中国の新経済シルク・ロードの進展に関する最も詳細な諜報情報を提供できる立場にあるのだ。倫理に反したいと彼が思いさえすれば、CIAテロリスト・ハンドラーに、将来の破壊工作や、新シルク・ロード・プロジェクト崩壊の為、ISISやアルカイダなどの集団の的確な標的を彼は容易に提供できるのだ。

F. William Engdahlは戦略リスク・コンサルタント、講師で、プリンストン大学の学位を持っており、石油と地政学に関するベストセラー本の著書で、本記事は、オンライン誌“New Eastern Outlook”独占。

記事原文のurl:http://journal-neo.org/2017/04/30/beijing-hires-princely-fox-to-guard-their-obor-henhouse/
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英語原文では、Princely Fox。本名のPrinceとの語呂合わせだろう。
大本営広報部がこぞって「中道派」とよぶ、ネオリベラ・ネオコン、フランスで、当選。
この記事題名の都市を入れ換えればそのまま?

2017年5月 3日 (水)

あちこちでのアメリカ戦闘の背後にある、さほど壮大ではない戦略

2017年4月26日
F. William Engdahl
New Eastern Outlook

1月20日に、トランプ・プロジェクトが政権を握って以来、ワシントンによる世界中での戦争はかなり狂ってきている。疑問は、トランプ政権による世界中での劇的な軍事攻撃エスカレーションの背後に、一体本当の戦略があるのか否かだ。これは私の考えでは、決して世界平和のためにはならず、アメリカ合州国のために、世界のためにもならない。

まず、大統領の座についてわずか数週間後、新大統領は、海軍特殊部隊に、イエメン内戦での違法攻撃を承認し、イエメンで、CIAのアフガニスタン・ムジャヒディン分派の一つのテロ組織アルカイダを攻撃するための介入とされるもので、攻撃時に、シールズ隊員一名が死亡し、四人が負傷した。次が、4月7日のシリアの偽旗サリン爆弾という主張で、独立した国際的検証も無しに、シリアの正統な政府の主要空軍基地を破壊するため、アメリカ海軍が59発のアメリカ・トマホーク・ミサイルを発射する口実としてワシントンに利用された。亡くなったり、苦しんだりしている子供たちが映っているほとんどでっち上げのビデオと、不安なほど影響力のある娘イヴァンカ・トランプの嫌悪とされるものが口実にされた。

アメリカも調印国である国連憲章によれば、違法な行為である、ワシントンがシリア国内で行ったシリア攻撃後、世界がそれを吟味する暇もなく、4月13日には、アフガニスタンに対し、同様に違法な爆弾攻撃を行い、カルザイ元大統領によれば、無辜の一般市民が死亡したという。一見やぶからぼうに、トランプ大統領が、臆病のスラング表現、プッシー(弱虫)だと世界が考えないようにするための妙案として、アメリカ大統領は、MOABと呼ばれる、GBU-43/B 大規模爆風爆弾兵器、軍の言い方で「あらゆる爆弾の母」アメリカ兵器庫中最大の非核兵器爆弾の投下を承認し、洞窟内のISISテロリスト90人を殺害したとされるが、形勢を一変させるものとは程遠い。

更に、4月14日には、アフリカ司令部(AFRICOM)が、アメリカ第101空挺師団の兵士を、ハリウッド映画『ブラックホーク・ダウン』で映画化された不運な1993年のモガディシュの戦闘以来初めて、石油が豊富で地政学的に戦略的なアフリカの角にある国家ソマリアにアメリカ“現地部隊”を派兵するとワシントンが発表した。ソマリア覇権の口実はサウジアラビアが資金提供するアル・シャバーブ・ワッハーブ主義テロ組織を根絶することだ。

現在、アメリカ大統領は、北朝鮮と、精神的に不安定な33歳の-独裁者、金正恩を理由にした、彼のミサイルによる威嚇を口実に、武力での威嚇として、第七艦隊の艦船を朝鮮半島付近に配備し、もし中国が隣のならずものを“コントロール”できない場合には、アメリカによる通常兵器での対北朝鮮先制攻撃をするとツィートで脅している。

ハートランド地政学の基本

アメリカによる威嚇行動や、そう見えるこれらの気がかりな出来事は、決して思いつきではない。全て1945年以来、アメリカ基本的地政学戦略の核心だ。トランプ・プロジェクトなるものをワシントンに送り込むというアメリカの族長連中による決定を含め、全てが、さほど壮大とは言えないでイギリス-アメリカ世界支配戦略の一環だ。アメリカが引き起こした2008年世界金融危機以来の、益々攻撃的で、経済的に耐えがたいワシントンの政策に対して、中国、ロシアやユーラシアの大半やBRICS諸国を含む多くの他の国々は、彼らの経済的な安定性を破壊しつつあるアメリカ・ドル体制の代替策の創出を本気で開始している。

ロシアとEU、特にドイツとドイツ産業の間に巨大なくさびを打ち込むことを狙った、2014年2月のウクライナにおける露骨なアメリカ・クーデターへの対応として、ロシアは東方を向き始め、特に中国との経済・軍事協力を深めている。

中国国家主席習近平は、ロシアとロシアが率いるユーラシア経済連合-ロシア、ベラルーシ、カザフスタン、アルメニアとキルギスタンという五カ国の新興経済同盟、人口1億8300人、国内総生産4兆ドル以上の単一市場を、中国の超巨大一帯一路 (OBOR)港湾と高速鉄道インフラ・プロジェクトに参加するよう招くという対応をした。現在、中国のOBORは、ユーラシア全大陸に広がり、更に、西ヨーロッパやイラン、可能性としては他のペルシャ湾産油諸国、更にエジプトや、おそらくトルコまでにわたる。この何兆ドルの経済ネットワークが、世界の経済的重心を、ユーラシアへと移しつつある。更に、彼らは、中国とロシアが両国の中央銀行金準備を積み上げて、金に裏付けられた国家通貨という形で、ドルに対するもっともな代替策も作り出しつつある。

オバマ大統領の下、アメリカと、その族長たちや、ロックフェラーの顧問ヘンリー・キッシンジャーのような連中の地政学戦略家は、彼らがあらゆるものを失い、世界覇権を失う危機にあることを認識していた。2003年以来の、石油とガスが豊富な中東における大失敗のアメリカ戦争  特にアメリカが訓練したISISやヌスラ戦線テロリストに対するバッシャール・アル・アサドの軍事支援要求をロシアが大胆にも受け入れたことが、アメリカ・グローバル権力と影響力のたそがれが、のアメリカによる世界の石油とガス支配追求を深刻に動揺させている様子を示している。ワシントンは、故毛沢東が言った“張り子の虎”という言葉通りだと見なされ初めている。

小さな元アメリカ植民地、フィリピンの大統領ロドリゴ・ドゥテルテさえ、様々な形でワシントンにあからさまに逆らい、2016年末までに、中国とロシアとの同盟は、ワシントンから“離脱”を交渉している。ユーラシアの地政学的支配という見地から、もう一つの重要な国トルコも、特にCIAの手駒フェトフッラー・ギュレンのトルコ・ネットワークを利用した2016年7月のCIAクーデターの企み失敗後、アメリカ軌道を離脱して、ロシアとの和解に向かいつつある。EU各国は、ワシントンが命じたロシア連邦に対する経済制裁に益々うんざりしている。

ハートランドを支配するものは…

トランプ大統領最初の日々における様々な軍事行動とつながる戦略を理解するには、ほぼ一世紀前、第一次世界大戦後のドイツ敗北に続いて行われたヴェルサイユ“和平”交渉時に、イギリス地政学の巨匠、ハルフォード・マッキンダー卿が策定したイギリス-アメリカ地政学の基本原理を理解することが必要だ。

1919年の著書『デモクラシーの理想と現実』で、マッキンダーは、三つの短い文でイギリスと1945年以降のアメリカ外交政策の本質を明らかにしている。マッキンダーはこう書いていた。

    東ヨーロッパを支配するものがハートランドを支配し

    ハートランドを支配するものがワールド・アイランドを支配し

    ワールド・アイランドを支配するものが世界を支配する。

マッキンダーにとって、ハートランドは、ロシアと中国と周辺諸国というユーラシアの広大な地域だ。東ヨーロッパは、ドイツ、ポーランド、フランス、ハンガリー、チェコスロバキア、オーストリアを含んでいる。ワールド・アイランドというのはヨーロッパ大陸から、全ユーラシア、更には、下方の石油の豊富な中東という広大な地域だ。

マッキンダーが亡くなる前の最後の地政学的エッセイは、ロンドンの王立国際問題研究所 RIIA、別名チャタム・ハウスの姉妹外交政策シンクタンク、ロックフェラーが支配する外交問題評議会に招請されたものだった。CFRの『フォーリン・アフェアーズ』1943年7月号が“Round World and Winning of the Peace”と題するエッセイを発表した。エッセイで、アメリカ合州国が、世界覇権国として、イギリス帝国に取って代わると予測しており、マッキンダーは、ユーラシアをまたぐロシア- ソ連と、中国両国、そして可能性としてインドを、巨大なユーラシアのランド・パワーとして出現することを予想していた。マッキンダーはまた、数年後に、NATO、北大西洋条約機構となる、大西洋両岸のイギリス-アメリカ両国の勃興も予見していた。ヘンリー・キッシンジャーもズビグニュー・ブレジンスキーも、ハートランドを主張するマッキンダー・イギリス地政学信奉者だ。現在のトランプ軍事と外交政策は、私が他でも書いてきた通り、戦術の変化であって、決してユーラシアを地政学的に支配するというアメリカの基本大戦略の変化ではない。

当初、トランプの計画は、経済制裁で弱体化したロシアを、シリア支援と、イランと中国との事実上の協力を放棄するよう説得する狙いで、“二つの根本的に地政学上のユーラシアの敵国でも、弱い方”、プーチンのロシア連邦に言い寄ることだった。それが成功していれば、選択肢として、ユーラシア制覇の“王手詰み”になっていただろう。

私が以前に書いた通り、ロシア指導部が何であれ、イギリス-アメリカ地政学の基本という点では決して愚かではない。11月以降の初期の時期に、ロシアには、曖昧な約束と引き換えに、“アサドとシリアを裏切る”つもりがないことが明らかになると、“親ロシア”の国家安全保障問題担当大統領補佐官マイク・フリンは、ロシアに敵対的で、イランに敵対的で、中国に敵対的なH.R. マクマスター元大将に置き換えられた。現在、中国の習近平とトランプのフロリダ州サミット以降、ワシントンは戦術変更をしようとしているように見える。戦略ゲーム自体は不変だ。ハートランド、中国からロシアに至る広大なユーラシア大陸の支配。しかし、中国に対する圧力を緩め、非協力的なロシアやシリアやイランに対しては強化しようとしているようだ。

ワシントンの“ゲーム”、Brexit以降のイギリス-アメリカの新たな“特別な関係”をも要約するブレジンスキーの1997年の啓発的な著書『地政学で世界を読む―21世紀のユーラシア覇権ゲーム』から私が引用した、よく参照される記事が一つある。彼の著書で、はっきりマッキンダーに言及している、ブレジンスキーの文を引用しよう。

“アメリカが、ユーラシアをいかに‘運営’するかが極めて重要だ。ユーラシアを支配する国は、最も進んだ、経済的にも生産的な世界で三つある地域の二つを支配することになる。地図を一見すれば、ユーラシア全体を支配すれば、ほぼ自動的に、アフリカが、西半球とオセアニア(オーストラリア)を服従させ、地政学的に、世界の中央大陸の周辺化するのを意味することがわかる。世界の人々の約75パーセントがユーラシアに住み、企業活動の上でも、地下埋蔵量の点でも、世界の物理的な富の大半もそこにある。ユーラシアは、世界における既知エネルギー源の約四分の三を占める” (原書p.31)… ユーラシアを支配することができ、それゆえ、アメリカにも挑戦できるようなユーラシアの挑戦者が決して現れないようにすることが必須だ”(原書p.xiv)

2017年現在、トランプと将官閣僚の下での、アメリカのさほど大戦略ではないものは、1997年にブレジンスキーが書いた時のものと変わっていない。エネルギーの豊富な中東やアフリカにおけるあらゆる紛争、CIAのアラブの春、シリアのアサドに対する戦争、ウクライナにおけるクーデター、朝鮮半島で画策されているアメリカの緊張、南シナ海における中国の主張に対抗する日本の動きを駆り立て、シリアやリビアや中東でのアメリカによる戦争から、不安定化要因となる難民の流れを管理することによるEU操縦などは、ブレジンスキーが、ユーラシアの脆弱な外周の、このユーラシアの“暴力が浸透しているグローバル・ゾーン”の操縦と呼ぶものの一環だ。

これはうまく行くだろうか? その可能性は低い。とは言え、現在の世界の進展を逆転させようとする、特にユーラシアでの取り組みで、ワシントンは世界に同じ歩調をとらせるべく、いじめ、脅すのに、甘やかされた気短な駄々っ子のように、あちこちで戦争をしようとしているのは明らかだ。幸いなことに、2017年の世界は、マッキンダーがCFRとアメリカ外交政策支配層に助言した1943年や、ブレジンスキーが述べているように、アメリカ覇権が、1914年8月のイギリス帝国のものと同様の絶頂にあった1997年の世界とさえ、全く同じではない。

F. William Engdahlは戦略リスク・コンサルタント、講師で、プリンストン大学の学位を持っており、石油と地政学に関するベストセラー本の著書で、これはオンライン誌“New Eastern Outlook”への独占寄稿。

記事原文のurl:http://journal-neo.org/2017/04/26/the-not-so-grand-strategy-behind-america-s-warring-around/
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昼の大本営広報部白痴製造番組、しつこく北朝鮮洗脳。番組表をみるだけで、実際には見ない。さすがに夜のニュース番組では、共謀罪の問題点を指摘してはいるが。

白痴洗脳番組の代わりに、IWJインタビューを拝見している。以下は、本日の日刊IWJガイドの一部。

 「共謀罪と、米国へ追従する日本の動きは表裏一体なのを忘れてはいけない。何度でも繰り返して伝えなければ!」と、岩上さんは噛んで含めるように私たちに言います。

 共謀罪は「テロリスト」の名目で、その実は他ならぬ「私たち国民」の、目と耳と口を閉ざさせ、手足を縛り、最期には心を窒息させるのです。そうして望むままに強権を振るう政治と、おびえて物を言わなくなった国民がそろった時、この国の傀儡・独裁政権は完成します。

 この後のニュースフラッシュでも取り上げていますが、一刻も早く共謀罪法案を通してしまいたい安倍自民党は、ゴールデンウイーク中にもかかわらず、昨日5月2日、衆院法務委員会を強引に開催しました。

 IWJは一貫して、国民の自由を奪うこの権力の横暴・共謀罪の恐ろしさを訴え続けています。4月30日には岩上さんが京都大学大学院の高山佳奈子教授にインタビューを行ないましたが、ご覧いただけましたでしょうか。惜しくも見逃してしまわれた方も、一ヶ月間は一般会員の方でも全編動画をご覧いただけますので、会員登録がお済みでない方は、この機会にぜひ会員登録をおすすめ致します。

※権力者の「共謀」も大企業の「共謀」も処罰対象外!? 相続税法も対象外で透けて見える「富裕層優遇」!「監視対象」は下々の者だけ!?
岩上安身が京都大学教授・高山佳奈子氏にインタビュー 2017.4.30
http://iwj.co.jp/wj/open/archives/376437

※会員登録はこちらから。
https://iwj.co.jp/ec/entry/kiyaku.php

2017年4月25日 (火)

ユーロランドは解体寸前か?

2017年4月20日
F. William Engdahl

昨年のイギリス有権者の大多数による欧州連合離脱という決断は単なる国民投票以上のものだ。Brexitキャンペーンは、シティー・オブ・ロンドンの最も有力な複数の銀行と、イギリス王室が推進し、資金提供していた。イギリスの終焉どころか、Brexitは、悲惨なユーロ単一通貨実験の終わりの始まりになる可能性の方が遙かに高い。

2008年の世界金融危機以来、ブリュッセルも19のユーロ圏諸国政府も、ユーロ圏最大の銀行を健全な安定状態にするために意味あることをほとんど実行していない。逆に、ドイツのドイツ銀行のような尊敬すべき巨大銀行でさえ瀬戸際でよろめいている。

イタリアでは、世界最古の銀行モンテ・デイ・パスキ・ディ・シエナ銀行が、国家による延命処置状態にある。それもイタリア銀行不良債権の氷山の一角に過ぎない。現在、イタリアの銀行全体で、3600億ユーロの不良債権を抱えているが、これはイタリアGDPの20%、五年前の合計の二倍だ。

それは更に悪化しつつある。イタリアはEU四番目の経済規模だ。イタリア経済が惨憺たる状態なので、銀行の不良債権は増大する。国家債務はギリシャ同様に多く、GDPの135%だ。現在、2013年のキプロス銀行危機以来、主にドイツからの圧力で、EUは厳しい新銀行“ベイルイン”法を成立させた。この法律では、新たな金融危機になった場合、金融債保有者と、必要とあらば、キプロスの場合同様、まず銀行預金者が“ベイルイン”つまり損失を被るまで、公的資金投入による救済措置は禁じられている。イタリアでは、総額約2000億ユーロの金融債保有者の大半は、金融債は安全な投資だと言われた普通のイタリア国民なのだ。

ドイツの緊縮政策という薬が、患者を殺している

主要な問題は、2008年の金融・経済危機に対処するのに、ユーロ圏経済が、間違った薬を押しつけられていることだ。ユーロ圏危機は、国々が余りでたらめに支出し、労賃が余りに高くなり過ぎたと、誤って理解されている。そこで、またもやドイツの圧力で、ギリシャなど危機にあるユーロ圏諸国は、過酷な緊縮政策、年金削減、賃金引き下げを押しつけるのを強いられた。その結果、一層酷い景気後退や失業増加、銀行の不良債権増となった。2008年と比較して、2015年には、ギリシャのGDPは26%以上、スペインのGDPはほぼ6%、ポルトガルは7%、そしてイタリアのGDPは、ほぼ10%減少した。

緊縮政策は、決して国の経済危機に対する解決策ではない。1931年 ハインリヒ・ブリューニング首相による過酷な緊縮政策の結果、不況、失業と金融危機の中、勃発したドイツ経済危機の教訓は、歴史的な記憶の健忘症に陥っているように見えるドイツ当局にとって、十分明らかなはずだ。

ユーロ圏全体で、1900万人以上の労働者が失業している。ギリシャ、イタリア、ポルトガルとスペインには、合計で1100万人の未曾有の失業労働者がいる。フランスとイタリアでは失業は労働人口の13%を越える。スペインでは20%で、ギリシャでは信じがたい25%だ。それが、2008年危機から8年以上たった今の経済状況だ。要するに、ユーロランドは経済回復していないのだ。2009年以来、欧州中央銀行 (ECB)、ユーロの銀行は金融危機を安定させようとして未曾有の動きをした。彼らは状況を良くするのではなく、延期しただけだった。

ECBが担保付き債権、社債、国債や資産担保型証券を購入した結果、ECBの貸借対照表は、現在、1.5兆ユーロ以上だ。イタリアのマリオ・ドラギが総裁をつとめるECBは、2014年6月以来、約 -0.4%という未曾有のマイナス金利を導入した。ECBは、マイナス中央銀行金利が“しばらく”続くことを明らかにした。この結果、インドが昨年実行して悲惨な結果になったり、ユーロ国ではないスウェーデンが既になったりしたような、キャッシュレス社会にしようと、有権者の説得を試みるむきも出てきた。多くの人々にとって驚くべき考えで、顧客が預金を利用するのに、銀行が顧客から手数料を取り始めれば、人々は“預金をおろし”金や、他の安全な資産や、現金に換えるだけのことだ。

ECBのマイナス金利は、控えめに言っても、死にもの狂いの兆しだ。ユーロ圏全体の債券金利が余りに低いので、多くの保険会社が、ユーロ圏金利がより正常な水準に戻らない限り、将来、負債を支払う上で深刻な流動性問題に直面する。ところが、ECBがマイナス金利政策と、いわゆる量的緩和を辞めるようなことになれば、多くの銀行の債務危機が、ギリシャから、イタリアやフランス、更にはドイツでも爆発するだろう。

来るべき通貨戦争?

だから、穏やかに言っても、ユーロ圏は、わずかな新たな衝撃や危機で即爆発し得るカチカチいう債務時限爆弾なのだ。二年後、イギリスがEUからの離脱を完了した際に、その衝撃を見ることになるかも知れない。既にワシントンのドナルド・トランプ新政権は、ユーロに対する通貨戦争を開始する可能性を示している。1月31日、アメリカ国家通商会議のトップ、ピーター・ナヴァロは、アメリカと、ドイツのパートナーのEU諸国を“非常に割安なユーロで、搾取している”とドイツを非難した。ナヴァロは、ユーロ圏経済の中核ドイツを、事実上の“通貨操作国”とまで呼んだ。ナヴァロはこう述べた。“ユーロは国際通貨市場で自由に変動しているが、この制度は、もしドイツのドイツ・マルクがまだ存在していれば、ドイツ通貨がそうであったもの以上に下げている。”

シティー・オブ・ロンドンの膨大な金融資源を持つイギリスは、EU加盟の足かせから解放されれば、ユーロ圏経済に壊滅的結果をもたらすであろう、ユーロを引きずり下ろす秘かな全面通貨戦争で、ワシントンと提携することが可能になる。イギリス・ポンドは、ドルとユーロに続く三番目に大きい世界の支払い通貨だ。イタリア、ギリシャ、スペインや他の諸問題がある脆弱なユーロ圏に対して、イギリスがワシントン側に付く通貨戦争で、EUの拘束から解放されたイギリスがユーロを引きずり下ろせれば、ポンドは主要な利得者となり得る。既にイギリスのテリーザ・メイ首相は、二国間でアメリカ-イギリス貿易協定を結ぶことをトランプ政権と話し合っており、英連邦の一部の有力な国々は、アメリカを英連邦の準会員に招くことを話しあっている。アメリカ・ドルとウオール街銀行が、ドルに対する中央銀行準備通貨というライバルを傷つけるというのは極めて魅力ある考え方だ。今やEUの拘束から間もなく解放されるイギリスと、シティー・オブ・ロンドンにとって、誘惑が現実になる可能性がある。

これはすべて、乱用を制御する民主的に選ばれた当局が存在しない超国家的通貨というユーロ圏プロジェクト全体の機能不全な本質のせいだ。1990年の昔に、マーストリヒト条約が、欧州通貨制度と共にもたらした、国家主権の中途半端な解体が、EUに将来危機が起きた場合、最悪の組み合わせを置き土産にしたのだ。

F. William Engdahlは戦略リスク・コンサルタント、講師で、プリンストン大学の学位を持っており、石油と地政学に関するベストセラー本の著書で、これはオンライン誌“New Eastern Outlook”への独占寄稿。

記事原文のurl:http://journal-neo.org/2017/04/20/is-euroland-on-verge-of-disintegration-2/
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ソーシャル・メディアが、宗主国のツールで監視されていることが明らかになった。当然そうだと思っていたので、書き込んだことは皆無。たまに覗くだけにしていたが。

今日のIWJ、岩上安身氏のインタビュー相手は関良基氏。個人的に待望のインタビュー。『赤松小三郎ともう一つの明治維新』を拝読したのだが、次は『社会的共通資本としての水』を読む予定だ。以下、 日刊IWJガイドから引用させていただこう。

北朝鮮情勢から、いったんテーマは離れますが、今日は15時から政府が力を入れて今国会での成立を狙っている「水道民営化」の危険性について、拓殖大学政経学部准教授・関良基氏にインタビューします!TPPやFTAとも無関係ではない、重大な問題です!北朝鮮危機や森友学園の問題、あるいは小池劇場の陰に隠れてしまいがちですが、こんな法案が通ったら大変です!我々の生存に関わるライフラインが、外資を含めた民間資本に売っ払われ、カネ儲けの道具にさせられてしまうのです。

 しかし実は、関さんがお詳しいのは「水」問題だけではありません。『赤松小三郎ともう一つの明治維新』という著作をもつ関さんは、美化されがちな幕末明治維新の真実に迫っています。

 テロを政治権力獲得のもっぱらの手段とした長州の「志士」たちは、まごうかたなき「テロリスト」であり、初代首相の伊藤博文はそうした「テロリスト」の一人でした。彼は自分自身の手で、人を殺めています。そうやって明治維新後の日本は「長州レジーム」が支配してきたと、関さんは分析され、今こそ「長州レジームから日本を取り戻せ!」と訴えています。

水道民営化については、下記記事を翻訳してある。

コチャバンバ水戦争:「水戦争」から10年 マルセラ・オリベラ、市営水道民営化阻止の対ベクテル民衆闘争をふり返る

ザ・ウォーター・ウォー(水戦争)と複雑なことに取り組む必要性

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