William Engdahl

2018年8月19日 (日)

モンサント社有罪判決は始まりに過ぎない

2018年8月15日
F. William Engdahl
New Eastern Outlook

 カリフォルニア州の陪審員裁判は、農薬とGMOの巨大企業モンサント、現在のバイエル/モンサントの有罪判決という結果になった。陪審は、非ホジキン・リンパ腫を患っている元学校校庭整備員のドウェイン・ジョンソンに、2億8900万ドルの損害賠償を支払うようモンサントに命じた。彼の弁護士は、癌はモンサントのグリフォセートを主材料にした除草剤ラウンドアップによって引き起こされたと主張していた。モンサントが評決を不服として上告する予定なのも驚くべきことではない。裁定の影響は、上告の結果にかかわらず、世GMO・農薬ビジネス・モデル丸ごとにとり、極めて大きな問題となる、世界中に及ぶ影響を解き放つことになる。

 サンフランシスコのカリフォルニア州上位裁判所でのジョンソン裁判、ドウェイン・ジョンソン 対 モンサント社、CGC-16-550128は、アメリカ合州国中で裁判を待っている、ラウンドアップの成分が癌を引き起こしたと主張する5,000件以上の訴訟で最初のものだ。

 カリフォルニア州郡学校区元害虫駆除担当者だった46歳のジョンソン氏は、モンサントのラウンドアップとレンジャー・プロを、二年半以上、一年に30回、郡内全ての学校校庭で使っていた。

 雑誌インシュランス・ジャーナルによれば、この有罪判決は、モンサント グリフォセートを主材料にしたラウンドアップに対する何千もの同様な訴訟の結果に影響しかねない。同じ弁護士事務所で、カリフォルニア州を本拠とするBaum, Hedlund, Aristei & Goldman, PCが、裁判を待つ他の訴訟でも弁護団の一員として関わっているのは注目に値する。

 裁判で暴露されたモンサント

 モンサント訴訟の弁護士の一人、ロバート・ケネディ Jrが、裁判での原告弁護士と、モンサント弁護士による反対尋問の要約を書いた。モンサントによる否定的な発ガン性実験結果の隠蔽や、モンサントのラウンドアップ除草剤には発ガン性がないとされる立証されていない、安全だというモンサントの主張への“専門家”科学証言のウソや巨額謝礼の衝撃的なパターンを明らかにした。

 のっぴきならない告白の一つとして、モンサントの毒物学者ドナ・ファーマーは、モンサント社内eメールを突きつけられて、彼女の一番の関心事は、公衆の健康より、各種規制の順守だったことを認めざるを得なかった。ファーマーは、グリフォセートを擁護するのに同意した自立した科学者とされる人物のために記事を代作する画策もしたのを認めることも強いられた。“あれに何もまずいことはありません”が彼女の答えだった。

 2015年に、グリフォセートが“おそらく発ガン性”だと判断したWHOの機関、国際がん研究機関(IARC)によって使われた動物実験に反対する証言をするようモンサントから金を貰うまで、謝礼を得ていた別のモンサント証人、ウォーレン・フォスター博士は、グリフォセートや、その発ガン性についての研究したことが無かったのを認めるよう強いられた。IARCの決定は、約31%のグリフォセートを含む同社のラウンドアップは、動物にも人間にも無害だというモンサントの主張にとって大打撃だった。

 別のモンサントの毒物学者、マーク・マートンズ博士は、優れた専門家だと称賛しておいて、1999年、独立した毒物学者、ジェームズ・パリー博士による研究をモンサントがやめたのは一体なぜかと質問された。パリーの研究が、複雑な非公開のラウンドアップ処方が、遺伝子突然変異、ガンの潜在的前駆体を引き起こし得ると結論を出すと、モンサントは彼を中断させ、独立した科学者がパリーの研究を論評するのも拒否し、モンサントはパリーの研究をアメリカ環境保護庁(EPA)に渡すこともしなかった。もう一人のモンサント“専門家証人、ガン疫学者で、ハーバード公衆衛生大学院(HSPH)准教授、ロレライ・ムッチ博士”は、モンサントが、彼女の証言に100,000ドル支払ったことを認めた。

 IARCのものに反するEPAが出した、グリフォセートが人間にとって発ガン性手ある“可能性は低い”という結論に対決した毒物学専門家クリストファー・ポルティエ博士の信頼性を、モンサントの弁護士たちが損なおうとした際、ポルティエは宣誓した上、グリフォセートに関する様々な齧歯動物研究で、誤った手法を機関が用いていたため、アメリカのEPAも、EUの欧州食品安全機関(EFSA)も15の腫瘍を見落としたと発言し、こう述べた。“

    主に化合物の発ガン性に関して決定をするのに、私は科学的な証拠を使用するのに生涯を費やし、それを適切に行うべく我々は長年活動してきました。彼らのこのやり方は驚くほど間違っていました。”

 チャールズ・ベンブルック博士の証言では、ラウンドアップを製造するためにグリフォセートに加えられる活性剤アジュバントとは別個に、グリフォセートだけを論じるEPAの主張は、“単一の成分だけでなく、ラウンドアップ処方そのものに、毒性があり、発ガン性”なのかどうかというより差し迫った疑問を隠蔽するために仕組まれた不正行為であると指摘された。

 要するに、サンフランシスコの裁判で明らかになったのは、モンサントのラウンドアップは安全だという主張と矛盾する研究をしている自立した毒物学者たちの信頼を傷つけるためのウソや隠蔽や秘密戦争のパターンの実証だ。

 ラットを使ったセラリーニらによる研究

 2016年2月26日、International Journal of Environmental Research and Public Healthで公表された論文審査を受けた科学論文で、フランス、カーン大学の生物学研究所のジル=エリック・セラリーニと、ハンガリー国立農業研究イノベーション・センター農業・環境研究所所長アンドラシ・サカーチが率いる毒物学者チームが、モンサントのラウンドアップを含む最も良く使われているグリフォセートを基本にする除草剤を実験した。彼らは、グリフォセートと組み合わせて使用される補助剤や処方を含め、全ての組み合わせを実験した。

 とりわけ彼らの実験は、グリフォセートを主材料として使用して調合された除草剤で、非公開の“処方”、つまり活性剤を含むものは、グリフォセート単独で実験するより非常に毒性が強く、細胞に対し、2000倍も毒性があると結論を出した。モンサントは、法律によって強制されているアメリカ政府に対しても、一般大衆に対しても、企業秘密の補助剤を決して明らかにしていない。

 今回のモンサントに不利なサンフランシスコ判決の結果は、大半がモンサント、そして現在はバイエル/モンサントによって販売されている有毒な発ガン性農薬に対する反対の高まりの始まりであることは明らかだ。世界中の憂慮する人々は、証拠をまとめて全容を明らかにして、我々がばかにされているだけでなく、命に関わる結果になりうることで、おもちゃにされているのに気づき初めている。

 アルゼンチンでは、公表されたばかりの研究で、“妊娠中に、環境で、グリフォセート主材料とする除草剤に曝露すると、ラットのメスの受胎能力を損なうのみならず、次世代の子に、四肢の異常発達を含め、胎児の成長遅延や奇形を引き起こすことがわかった”と科学者たちが判定した。グリフォセートを基本にする除草剤が大量に散布されているGMO大豆とトウモロコシ栽培の中心地にあたるアルゼンチンの町で暮らす人々について研究が行われ、全国平均のの二倍の出生異常が実証されている。

*

F. William Engdahlは戦略リスク・コンサルタント、講師で、プリンストン大学の学位を持っており、石油と地政学に関するベストセラー本の著書で、これはオンライン誌“New Eastern Outlook”独占寄稿。

記事原文のurl:https://journal-neo.org/2018/08/15/monsanto-guilty-verdict-is-only-beginning/

----------

 筆者、GMOを主題に分厚い本を書いておられ、日本語訳もある(マネーハンドラー ロックフェラーの完全支配 【アグリスーティカル(食糧・医薬)】編)が、なぜかどうやら絶版。

 本ブログの「GMO」カテゴリーにも、彼の記事は多々ある。

 植草一秀の『知られざる真実』でも、同じ話題を書いておられる。
 発がん性で320億円賠償責任のラウンドアップ

 同ブログ最新記事「安倍政治が売国政治である決定的な証拠」も話はつながる。

 F. William Engdahl氏の別の専門、地政学でのIWJインタビューがある。

 【第183-184号】岩上安身のIWJ特報!日本を含めたユーラシアの分断をもくろむ「アメリカ帝国」 F.ウィリアム・イングドール氏インタビュー 2014.12.30

 日刊IWJガイド・日曜版「本日午後5時から【核兵器と戦争を考えるシリーズ特集 14・IWJ_Youtube Live】『8・6ヒロシマ平和の夕べ 2018 ―ヒロシマの継承と連帯を考える―』を再配信します!/本日午後6時からは【タイムリー再配信 225・IWJ_Youtube Live】『幕末に水戸学が生み出したマジカルワード「国体」! 日本史の中の天皇制 時の権力は天皇をどのように利用してきたのか!? 岩上安身による書籍編集者・前高文研代表 梅田正己氏インタビュー(第二弾)2/2』を冒頭のみフルオープンで再配信します!/
元ツイートは、周知の事実にもとづくものだった! それなのに1回のリツィートだけで名誉棄損!? 橋下徹氏によるIWJ岩上安身への『スラップ訴訟』8月23日 第三回口頭弁論・報告集会のお知らせ/IWJの第9期が始まったばかりですが、新しい期のスタート時としては、ご寄付・カンパがかつてないピンチです!岩上さんは8月23日に大阪地裁で橋下徹・元大阪府知事からの『スラップ訴訟』の第3回口頭弁論も控えています。どうかご支援をよろしくお願いいたします!/他」2018.8.19日号~No.2166号~

2018年7月28日 (土)

自明の運命説とオーウェルの二重思考: “認知的不協和としての民主主義” 新刊書

F. William Engdahl
Global Research、
2018年7月22日

 はじめに

 自由は隷属だ。民主主義の名における国の破壊

 1945年、イギリス人作家で社会評論家のジョージ・オーウェルが、虚構の全体主義社会をテーマに『1984年』と題する本を書いた。出版史上最も成功した一つであるこの本は、世界核戦争後、世界が三つの国に分けられている時期を描いている。一つの国、オセアニアは、首都がロンドンで、国民の心を完全に掌握しているイングソック(イングランド社会主義党)に支配されている。国民を、卑屈で従順な精神の奴隷に留めておくために使われる中心的なマインド・コントロール・プログラムは“二重思考”と呼ばれる。二重思考で、臣民は、心理学者が“認知的不協和”と呼ぶ、いずれも正しいものとして同時に受け入れなければならない、二つの矛盾する概念にさらされる。そこで、オセアニアは常に戦争状態にあるにもかかわらず、国民は平和でもあるかのごとく振る舞っている。二重思考の本質は、オーウェルによって、小説冒頭で、こう要約されている。

戦争は平和だ。
自由は隷属だ。
無知は力だ。1

 以下で、実際“認知的不協和としての民主主義”と呼ぶことが可能なオーウェルの二重思考の翻案を年代順に記録する。スターリンのソ連やヒトラーのゲッペルスが率いた第三帝国さえ含め、あらゆる現代国家の、諜報機関による最も破壊的で、最も効果的な作戦の一つの年代記だ。アメリカによるグローバル支配に対する断固たる敵、フランスのシャルル・ド・ゴール大統領を打倒した1968年5月のCIA学生ストライキにさかのぼる、何十年にもわたるアメリカ諜報機関が開発した壮大なプロジェクトの年代記だ。

 F. William Engdahlの本を購入するには表紙をクリック(右)

 NATO諸国とソ連同盟諸国間の冷戦は約半世紀続いた。最終的に、消耗し経済的に大変な苦境にあった、ミハイル・ゴルバチョフ指揮下のソ連、モスクワがベルリンの壁が破壊されるにまかせ、1989年11月に降伏の白旗を掲げた。壁は、ワシントン・プロパガンダ が好んで繰り返した1946年のミズーリ州フルトンでの有名な演説で、ウィンストン・チャーチルが欧米“自由世界”をモスクワに支配された共産主義世界から隔てる鉄のカーテンと呼んだものの象徴になった。

 アメリカCIA、国務省やペンタゴン幹部の少数の仲間や、アメリカン・エンタープライズ研究所やニューヨーク外交問題評議会などの特定のワシントン・シンクタンクの同盟者以外は、東ヨーロッパ中の旧共産主義諸国や、ウクライナや、新たに形成されたロシア連邦自体に対し、まさに政権転覆を狙った実に念入りな取り組みをワシントンがしかけようとしていることは極めて僅かな人々しか知らなかった。スローガンは“アメリカ風民主主義、自由、人権、新自由主義自由市場の導入”だった。 それはやがて、独裁政治となるのだが、ウクライナの場合など、ソ連政権下で経験したあらゆるものより遥かに酷い。

更に読む: アメリカによる帝国の遂行。ワシントンの冷戦後覇権プロジェクト

 それぞれの不安定化に、マディソン街がふりつけたカラー・テーマ、つまりウクライナのオレンジ革命、ジョージアのバラ革命、イランのグリーン革命等々から、ワシントン政権転覆工作は“カラー革命”と呼ばれることになった。連中は、デイヴィッド・ロックフェラーが、彼の回顧録で、ワン・ワールド政府と呼び、ビル・クリントンが、1990年代に、無害なように聞こえる言葉ながら、さほど無害でないプロセス、大企業グローバリゼーションと読ばれるものの邪魔になる重要な国を必ず標的にした。2

 実際は、こうしたワシントンによるカラー革命政権転覆介入は、かつての共産党指導者を、それぞれの国の大切な財産や国民を、億万長者の投機家ジョージ・ソロスや欧米銀行家や多国籍企業などの特定の欧米金融捕食業者に進んで売り飛ばす、厳選された、ワシントンが抱き込んだ政治指導者に置き換える取り組みだった。

 アメリカ権力のオーラ

 皮肉なことに、ワシントンやペンタゴンやCIAや議員と大統領を連中の資金で支配している強力な軍産・金融ロビー集団に直面した難題は、1989年末のactive冷戦の終焉だった。膨大なアメリカ軍支出やNATO存続を正当化する“敵”が突然存在しなくなったのだ。

 元アメリカ国防長官で、後にCIA長官になったジェームズ・R・シュレジンガーは、ジレンマをこう説明している。

    “アメリカの政策立案者は、アメリカの権力構造と将来の軍事支出を決定する基盤は、単なる個別の脅威に対する対応ではなく、アメリカ権力の総体的なオーラを維持するのに必要なものであるべきだということを念頭に置かなければならない”3

 1980年代末、アメリカの経済と金融体制は、大恐慌以来最も深刻な危機の真っただ中にあった。ウオール街の最大の銀行-シティー・グループ、バンク・オブ・アメリカや他の銀行は事実上、破産していた。アメリカの貯蓄・融資銀行の規制緩和が、1980年代末に崩壊した不動産投機バブルを招き、同時の世界石油価格の劇的下落が、アメリカ国内石油業界中で破産の波を引き起こした。

 この何十億ドルを、急速に崩壊しつつあるアメリカ経済インフラ更新に使える“平和の配当”を作り出すのではなく、何千億ドルもの税金を、もはや特定することが不可能な敵のために、高い水準の国防費の無駄遣いを続けるようアメリカ納税者に要求するのは、アメリカ軍や諜報機関にとって困難な課題だった。1991年4月、コリン・パウエル統合参謀本部議長がArmy Timesにこう語っている。

    “良く考えて頂きたい、私は悪魔の種がきれつつある。悪役の種がきれつつある。カストロと金日成しか残っていない。”4

 このジレンマは間もなく解決されることとなった。連中のグローバルな狙いの推進に、もっぱら公然の軍事力に頼るのではなく、ワシントンは劇的な新兵器を公表した。ソ連崩壊後の世界の戦略的地域で密かにワシントン寄り政権を作り出すために使われる“エセ民主主義”非政府組織 (NGO)だ。民主的自由が、新たな独裁制をもたらすための信じられないような旗印だ。“自由”市場は実際は、崩壊した共産主義世界の膨大な国有資源を略奪する、ウオール街やヨーロッパのグローバル銀行や、欧米多国籍企業に支配されている。

 人権を武器として利用する

 1990年代、ユーゴスラビアでのワシントンの戦争という残虐な例外は別として、あからさまな軍事的対立に代わって、世界中で、アメリカが操るエセ民主主義政権転覆で、劇的に効果のある新兵器となったものが本格的に利用されるようになった。

 億万長者投機家ジョージ・ソロスが資金提供するヒューマン・ライツ・ウォッチや、フリーダム・ハウス、国際共和研究所 (IRI)、アムネスティー・インターナショナル・アメリカや、民間組織ということになっているアメリカ政府の全米民主主義基金(NED)などのいわゆる“人権” NGOは、旧共産主義東ヨーロッパの新たに独立した国々やロシアをも変身させるための政権転覆用ワシントン主要兵器となった。後にワシントンの“エセ民主主義”カラー革命は、中国や中央アジアや、最も劇的には石油の豊富な中東諸国に、いわゆるアラブの春としてもちこまれることとなった。

 目標は、狙った国々を一連の政権転覆カラー革命により、アメリカの経済的総督管轄領、つまり属国に変えることだった。アメリカによる“民主主義”輸出の名目で、自国とその経済に対し、一体何が行われているのか、標的にされた疑うことを知らない国民が気がつくにはしばらく時間がかかるのだった。

 成功した最初のエセ民主主義カラー革命政権転覆は、1999年にセルビア、ヴォイヴォディナ、コソボと、モンテネグロとなった旧ユーゴスラビアの当時の大統領スロボダン・ミロシェヴィッチが標的だった。

 1980年代初期、レーガン大統領のCIA長官ビル・ケーシーらによって、ひっそりと設立されたワシントンのNGO誕生の記述で、我々の調査を始めた。それはNED、全米民主主義基金という名前だった。ワシントンによる冷戦後新グローバリゼーション秩序とは一致しない政策を推進する政府を標的にするワシントンが支援するあらゆる政権の不安定化で、このNEDが中心的役割を演じたのだ。

*

 F. William Engdahlは戦略リスク・コンサルタント、講師で、プリンストン大学の学位を持っており、石油と地政学に関するベストセラー本の著書。Global Researchにしばしば寄稿している。

1. ジョージ・オーウェル、『1984年』、https://www.brainyquote.com/quotes/quotes/g/georgeorwe141783.html

2. デイヴィッド・ロックフェラー、『ロックフェラー回顧録』、405ページ(翻訳書では517ページ)、http://opengov.ideascale.com/a/dtd/David-Rockefeller-s-book-Memoirs-admits-secretly-conspiring-for-a-NWO/4007-4049. “なかには我々が[ロックフェラー家]アメリカ合州国の国益に反する秘密結社の一部で、私の一族と私を‘国際主義者’で、世界中の他の人々とともに、より統合的なグローバルな政治経済構造 - 言うなればワン・ワールドを構築しようとたくらんでいるとして描くむきもある。もし、それが罪であるならば、私は有罪であり、それを誇りに思う。”

3. Joe Stork、New Enemies for a New World Order、MER176、http://www.merip.org/mer/mer176/new-enemies-new-world-order?ip_login_no_cache=e4b-596febb56c8ddb4c739f2806fd833.

4. William W. Kaufmann and John D. Steinbruner、Decisions for Defense (ワシントンD.C.: ブルッキングス研究所、1991年)、p. 45.

 F. William Engdahlは戦略リスク・コンサルタント、講師で、プリンストン大学の学位を持っており、石油と地政学に関するベストセラー本の著書。Global Researchにしばしば寄稿している。

 本記事初出は、Global Research。
Copyright  F. William Engdahl、Global Research、2018年

 記事原文のurl:https://www.globalresearch.ca/manifest-destiny-and-orwells-doublethink-democracy-as-cognitive-dissonance/5648111
----------

 新刊書、購入したいものだが、画像をクリックした先の販売元は巨大書店。
あそから購入する気になれない。困ったものだ。

 この国、『1984年』を地で行くとんでもない社会になってしまったが、スローガンの項目がもう一つ増える。

戦争は平和だ。
自由は隷属だ。
無知は力だ。
過労死はゼロだ。

 「街の弁護士日記 SINCE1992at名古屋」の下記記事をお読み頂きたい。

残業代ゼロ法が描く『過労死ゼロ』社会

 記事末尾の文章、頭の中で「いるようで」を削除して読ませて頂いた。

それにしても、労災担当官の削減を取り上げているのが中日(東京)新聞だけで後追いの記事も出ないという事実は、メディアが『過労死認定ゼロ』に加担しているようで、いやなものである。

 下記のような多くの記事・映像を、IWJ「過労死」で見られる。

「4年前成立の『過労死防止法』と真逆の法案が可決するとは!」~「高プロ」参院本会議成立後、過労死弁護団、遺族らが失意と抗議の6.29記者会見!「間違いなく過労死は増える!国は責任を取れるのか!?」 2018.6.29

日刊IWJガイド「<本日の再配信>『なぜ、続けて死刑を執行しなければならなかったのか』~ 今日午後8時より、『岩上安身による松本サリン事件の誤報被害者・河野義行さんインタビュー』を再配信します!/西日本豪雨による農林水産関係の被害額1,695億円を超える!2015年9月の鬼怒川氾濫は『国の河川管理に不備があった』として常総市民ら集団提訴へ!/翁長知事が、辺野古新基地建設にともなう埋め立て承認の撤回を表明! 埋め立ての賛否を問う県民投票条例で、必要署名数を大きく上回る約7万7000筆もの署名が集まる!! ~7.27翁長雄志 沖縄県知事 記者会見
自民党・杉田水脈(みお)衆院議員に続き、同じく自民党の小野田紀美参院議員のツイート『義務を果たしていれば権利を主張して良い』に非難殺到!『深刻なのは基本的人権否定の考えが自民党のスタンダード』であること!/他」2018.7.28日号~No.2144号~

2018年7月13日 (金)

ワシントンの最新の神話とウソと石油戦争

2018年7月6日
F. William Engdahl

 アメリカ人ドライバーがガソリン価格値上げに文句を言っている中、トランプ政権と、その背後の石油・金融権益集団は大喜びで銀行へ向かっている。イランとベネズエラと今のリビアにおける一見異なる出来事を子細にみると、アメリカによる石油支配に有利なように、主要な石油の流れの混乱を推進する首尾一貫した戦略があることが明らかになる。

 十年前には、アメリカ合州国が、サウジアラビアやロシア連邦を世界最大の産油国の座から追い出せるなど、考えにも及ばなかった。今日では、それが、トランプ政権とアメリカ・シェール石油生産に資金を出しているウオール街の主要銀行の最優先外交政策であるのは明らかだ。戦略は地政学的なもので、ロシアやイランやベネズエラなど自立した世界の産油国を弱体化させることが究極的な狙いだ。

 世界の石油価格に劇的な影響を与えた最近のいくつかの出来事を良く見ると、自由市場の力ではなく、何よりもワシントンによる地政学的操作の明らかなパターンが浮かび上がる。イランとベネズエラの例、そしてより最近ではリビアの例で、シェール石油産業開発に行った投資が再度儲かるのに十分なまで石油価格を押し上げるとワシントンの連中が固く決めていることが明らかになる。

 イラン問題は、核ではなく、石油が狙い

 イランを欧米経済制裁から自由にして、何よりも石油とガス産業への何十億ドルもの外国投資の道を開くことを可能にする合意、イラン核合意のトランプ政権による一方的拒否で明らかなことは、イランの核計画自体とは全く無関係だという事実だ。それはイラン石油輸出と石油とガス開発に対する経済制裁を再度課す口実に直結しているのだ。

 イランが核合意を遵守しているという国連国際原子力機関の報告を無視し、EUやロシアや中国といった署名国の反対にもかかわらず、5月、トランプ政権は一方的に事実上の合意終了を発表した。11月4日、ワシントンの要求に対する、あり得ないイランの屈伏がなければ、イラン石油輸出を主に標的とする新たな過酷な経済制裁が発効する。ワシントンは、その行動をイエメンのシーア派勢力とシリアのアサド支持撤退にイランが同意することと結びつけている。核合意以来、イラン国営石油会社は、石油輸出を約一日400万バレル、ほぼ制裁前の水準に再構築するのに成功していた。二次的経済制裁で、イランが石油輸出を継続するのを支援するEUや他の国の企業は、アメリカにおけるあらゆる事業活動で制裁を受けるという重大な障害をワシントンは明言した。既にフランスの巨大エネルギー企業トタルは、イランの巨大なエネルギー部門でのジョイント・ベンチャーを止めると述べている。

 7月2日、あるアメリカ国務省幹部が、ワシントンが、イランを狙っていることを明らかにした。“原油輸出による収入をゼロにして、イラン政権への圧力を強化するのが我々の狙いだ。世界市場の混乱を最小化するべく我々は努めているが、石油生産能力には十分な世界的余力があると我々は確信している。“

 ベネズエラも

 開始を11月まで遅らせて、世界市場において、イラン石油を標的にするのを再開すると同時に、トランプ政権は、マドゥロ政府に対しても、ワシントンが継続している金融・政治戦争の一環として、ベネズエラ石油生産の完全崩壊を推進している。

 最近のベネズエラ選挙での現職社会主義者大統領マドゥロ当選で、国営石油会社PDVSAやベネズエラの、アメリカの銀行へのあらゆるアクセスを切断する経済制裁をワシントンは強化し、全ての新たな債務の借り換えも打ち切っている。最近のOPEC閣僚会議前に、ベネズエラ石油相マヌエル・ケベドはこう発言した。“これらの経済制裁は極めて強力で、経済制裁は実質的にPDVSAを機能停止しており …石油市場に対する攻撃だ.” 国際エネルギー機関によれば、ベネズエラ石油生産は、6月の平均は日産136万バレルの石油で、五年前の290万バレル/日から激減している。

 すると実に好都合な時期に、2007年に、ベネズエラにおけるアメリカ石油の大規模プロジェクトの国有化で得たベネズエラ国営石油会社PDVSAの約6億3600万ドルの資産をアメリカ大手石油会社コノコ・フィリップスが差し押さえた。差し押さえで、PDVSAは輸出義務を守れなくなり、ベネズエラの港で、タンカー・ボトルネットが生じた。ベネズエラ石油輸入の莫大な損失に対応するため、中国開発銀行はベネズエラ石油産業への50億ドルの融資を発表したばかりだ。ベネズエラとイラン石油の主要輸入国は中国だということを、アメリカ財務省も国務省も十分承知している。

 そして、今リビア

 石油貿易業者が、イランとベネズエラ両国での供給削減に対応し 様々なグレードの原油価格が、三年で初めて、70ドルより高くなったが、市場状況は、アメリカ石油産業、特にシェール石油の視点から見ると、まだ確実ではない。リビアにおける最近の進展によって、それも変わりつつある。

 当時アフリカで最も経済的に進んでいた国の一つカダフィのリビアに対するワシントンによる“人道的”爆撃以来、リビアは、事実上の内戦と政治的分裂状態にある。トリポリには、国民合意政府という欺瞞的名称の、国連が据え、ワシントンが支持し、首相と大統領評議会(PC)議長に任命されたファイズ・サラージ率いる政権がある。サラージは、ワシントンが支援したアラブの春と、エジプトのムハンマド・ムルシー政権の背後だった謎めいたサラフィー主義政治組織、ムスリム同胞団に支持されている。トリポリ集団はアメリカとイギリスとフランスにも支持されている。

 石油豊富な東リビアで、反サラフィー主義のリビア国軍によって、事実上の軍事支配を確立し、主要な部族指導者の支援を得、選挙で選ばれたリビア下院 (HOR)に支持されているハリーファ・ハフタル総司令官が、サラージの主要な敵だ。

 ムスリム同胞団テロリストと呼ぶ仇敵ハフタルは、東部リビアの石油三日月地帯で事実上、軍事支配を確立した。最近、彼の軍隊が、重要な石油港ハリガとズエティナを含む東リビアの主要部分の支配権を得ると、ハフタルはトリポリのアメリカが支援する政権と真っ向から対立し、東部の石油港を支配し、ベンガジを本拠とする国営石油会社を分離し、国連に認められていない東部政府傘下にいれたと発表した。この時点で、ワシントンの支持を得て、7月2日、西のトリポリ国営石油会社は、東部の港の不可抗力状態を宣言し、一日850,000バレルのリビア石油の世界市場出荷を停止した。

 ハフタルの軍はムスリム同胞団の仇敵、エジプトのアッ=シーシー大統領にも非常に親密であることも知られている。ハフタルは、プーチンのロシアとも良好な関係にある。石油豊富な東部のハフタル部隊が、アメリカが支援するトリポリ政権から自立した並立する石油経済を作り出すのを阻止すれば、世界石油市場の劇的変化を勢いづけ、世界の市場価格を、2014年以来なかった水準の一バレル80ドル以上に押し上げるのはほぼ確実だ。

 好都合にも、それはアメリカ・シェール石油生産を大きく増大させる利益水準だ。

 アメリカのシェール。新たな石油地政学?

 テキサス州を本拠とするアメリカ・シェール石油最大生産者の一社、パイオニア・リソーシズの会長スコット・シェフィールドが、最近のOPEC会合中、最近のウィーンでのインタビューで、今年末までに、アメリカ合州国はロシアを超えて、世界最大の産油国石油になると発言した。アメリカの生産は、テキサス州のパーミアン盆地などのような場所のシェール石油生産を基に、3-4か月で日産1100万バレルを越え、“非常に短期で”1300万バレル/日にいたり、7年か8年内に、1500万バレル/日になり得ると彼は述べた。現在、シェールにとって、最も好ましい価格は、1バレルあたり60ドルから80ドルの範囲だと彼は述べた。イラン、ベネズエラ、そして今、リビアの石油供給を標的にすることで、トランプ外交政策の背後にいる有力エネルギー企業は、アメリカ・シェール石油が今後数カ月で世界市場に流れ込み、三つの国の石油のみならず、次第に、ロシア石油にも取って代われるようになるのを狙っているのだろうか?

 価格石油を上げるため、JCPOAから離脱したことで、アメリカ合州国をイランは非難している。5月11日、イラン石油大臣ビジャン・ナムダル・ザンギャネはこう発言した。“トランプ大統領は石油市場で裏表のある手段をろうしている。一部のOPEC加盟国はアメリカの術中にはまっている。アメリカはシェール石油生産の強化を狙っている。”

 ワシントン石油支配戦略の長期的問題は、シェール石油供給の不確実性だ。近年の技術投資で、石油井のと生産性と生産速度が向上したが、シェール石油には大きな問題がある。一つは、シェール石油井は、通常の石油井より遥かに急速に枯渇し、生産は、一年後に、75%あるいは、それ以上減少するのが典型的なことだ。全体的な生産量を維持するには、更なる油井や、より高価な油井が必要になる。もう一つの制限は、フラッキング用に必要な膨大な水の量で、パーミアン盆地などでは、1バレルの石油を得るのに5バレルの水が必要だ。業界の報告書は、2020年から経費上昇や低品質の土地や他の制限が、シェール石油の増加を抑え、アメリカにおけるシェール石油生産の黄金時代は終わり、それとともに、アメリカの石油産出も抑えられることを示唆している。これはアメリカを偉大な石油王国にするという現在のトランプ政権の戦略に、非常に深刻な悪影響があるだろう。これは究極的に、神話とウソと、そう石油戦争の上に構築される戦略だ。

 F. William Engdahlは戦略リスク・コンサルタント、講師で、プリンストン大学の学位を持っており、石油と地政学に関するベストセラー本の著書で、これはオンライン誌“New Eastern Outlook”への独占寄稿。

記事原文のurl:https://journal-neo.org/2018/07/06/washington-s-latest-myths-lies-and-oil-wars/
----------

被災者の方が直言されたという。

今日の日刊IWJガイド冒頭の文章、そのままつながる。

日刊IWJガイド「<本日のインタビュー>午後2時半より、『「社会的弱者や困難に直面する人に共感するという感情が欠落してる」安倍政権!「闘うには敵を知ることが大切なんだ」~岩上安身による落語家・作家 立川談四楼氏インタビュー』を中継配信!/『オウム真理教教祖・麻原彰晃』こと松本智津夫元死刑囚らに殺人の余罪!? IWJの取材に対する『ひかりの輪』からの回答文書を全文公開!/倉敷市真備地区はハザードマップで危険が指摘されていた!? 大洲市の肱川は安全基準の6倍の水がダムから放水されていた!? IWJは本日2人目の記者を被災地に派遣!まずは愛媛県から取材を始めます!/
<新記事紹介>【特別寄稿】『売国的』安倍政権が強行のカジノ法案が参院で審議入り!(ジャーナリスト・横田一)/7月29日(日)【IWJファンドレイジング in Hot Summer 2018】開催まで残り17日!予約は参加予約受付フォームよりお早めにどうぞ!」2018.7.13日号~No.2129号~

2018年7月 5日 (木)

トランプの経済戦争で目新しいのはツイートだけ

2018年6月29日
F. William Engdahl

 ロシアから中国からイランからベネズエラやEUに至るまで、味方も敵も同様に、計算ずくの攻撃、進行中のトランプ政権の経済戦争、いわゆる関税戦争の唯一新しい部分は、敵をめんくらわせるために、ツイートを武器として活用している大統領だ。少なくとも1970年代初め以来ワシントンは、アメリカが製造した商品によるもの、世界準備通貨としてのドルによる世界支配を強制するため、経済的恫喝と不安定化による同様な戦術を開発している。1971年8月15日以来、ほぼ50年間、ワシントンとウオール街は、自分たちの支配的な立場を利用して、インフレになった紙のドルを世界に押しつけ、金融バブルと、それに続く、不可能な水準までの債務の積み上がりと、崩壊を引き起こした。

 いわゆるトランプ“貿易戦争”を理解する上で、最も重要な点は、それが、貿易やら、アメリカの貿易相手国との貿易や通貨不均衡を是正するものでは全くないということだ。世界は、1971年にニクソンと顧問たちによって、ひどくおいてきぼりにされたのだ。

 1971年以来のアメリカ経済は、事実上、アメリカ合州国を、主として工業製品を製造する国から、あらゆる投資の唯一の目的が、お金からお金を生むことだという国に変わり、金融収入の源へと変えられたのだ。1960年代末には自動車とトラックの世界最大メーカーだった、アメリカ経済の中核ゼネラル・モーターズのような企業が、同社のGMAC自動車ローン金融部門を使って世界経済カジノで賭をする投機に引き込まれ、アメリカ不動産バブルが、2007年3月に破裂した際、賭けは大失敗し、GMは国有化され、ウオール街巨大銀行は、納税者と米国連邦準備制度理事会によって救われた。

 拙著『Gods of Money』で詳細に書いた過程は何十年にもわたって起きた。2000年までに、ウオール街の銀行や投資基金が、本質的にアメリカ経済全体を支配するようになった。製造業の雇用は、言われているように、中国やドイツや他の“強欲な泥棒連中”によってではなく、1980年代以来、企業にその製品の健全性ではなく、株価にのみ注力するよう押しつけてきた、全く同じウオール街の銀行の圧力により、海外への“移転”を強いられたのだ。レバレッジド・バイアウトや株主価値がキャッチ・フレーズになった。ウオール街銀行に財務利益を認めて貰えなければ、企業幹部は首になる。それで今日残ったものは、基本的に、サービス経済で、債務で膨らんだ消費者経済、もはや偉大な産業のリーダーではないアメリカ合州国だ。いわゆる上位1%のアメリカ人少数支配者が、維持できないものを維持するため、世界中から同様の貢納金を要求しているのだ。トランプの貿易・経済戦争は、1970年代に機能したものを、半世紀後に繰り返そうとする自暴自棄の策略だ。

 ‘第二のアメリカ革命’

 アメリカのかつては偉大な産業経済の破壊的変質の根源は、1970年代の変質だ。国家による赤字支出が、景気後退や不況の悪影響を緩和できると主張した1930年代後の、ケインズ経済学の優勢は、ジョン・D・ロックフェラー IIIが、『第二のアメリカ革命』と題する著書で主張した、電気事業や上下水道や道路などの国営企業の規制緩和、民営化体制に取って代わられた。同時に、シカゴ大学経済学者ミルトン・フリードマン周辺の自由市場モンペラン・イデオローグが、ウオール街や、ロックフェラー周辺のアメリカ財界にもてはやされた。フリードマンは、自由市場経済の導師となり、1980年代に、ロナルド・レーガンとマーガレット・サッチャーの二人に助言した。彼の自由市場の教理は、国際通貨基金に定着し、中南米全体や、ソ連や東ヨーロッパという旧共産主義経済で、経済ショック療法と規制緩和を主張するのに利用された。

 現在のワシントンによる関税・経済戦争の鍵になる出来事は、1971年8月15日、ニクソン大統領による一方的なアメリカ・ドル金兌換停止の決定を巡る出来事にさかのぼる。

 ニクソンの貿易戦争ゲーム

 1971年8月のニクソン大統領による、アメリカの金へのドル兌換停止決定は、233兆ドルと推計される現在の膨大な世界的過剰債務を生み出した遥かに大規模な変質となったもののごく一部に過ぎない。そうした債務の大半は、ドル建てで、中国や日本やEU諸国などの中央銀行が保有していた。

 1971年夏よりずっと前、アメリカ政権は、主要貿易相手国、日本とヨーロッパの欧州経済共同体(EEC)同盟諸国、特にドイツとフランスに対する懲罰的な事実上の貿易制限を成立させることで、議会に許可を与えていた。1960年代末、日本とEECの経済が、当時最新式の産業技術に基づいた経済再建で、戦争による破壊から本格的に登場した。アメリカの製鉄所や自動車工場は、比較すれば、戦時の産物、戦後直後の投資だった。ドイツとフランス製品の輸出は、アメリカ以外でも、大いにもてはやされた。

 その結果、こうした経済は、相対的に膨大な金額のドルを中央銀行口座に蓄積し始め、1971年、外国が保有する債務は約610億ドルとなった。1944年の条約上、アメリカ合州国の義務で、いつでも中央銀行は、そうしたドルに対して、連邦準備金制度理事会に、アメリカの金を要求することができた。連邦準備金制度理事会の公式金備蓄は、250億ドルから、1971年初めには、わずか120億ドルに急減し、中央銀行が膨れ上がるドルの価値を、益々懸念するにつれ、その傾向は雪だるま式に膨れ上がった。ワシントンとウオール街は、ブレトン・ウッズ条約の金兌換条項を、アメリカのグローバル権力を劇的に削減しかねない厄介ものと見なしていた。

 金とドル

 金兌換停止には、まず基本的に、ヨーロッパや他の国々からの繊維製品と靴への輸入割り当てを課した新たな議会法を用いたワシントンによる脅しが先行したした。ヨーロッパの自動車や他の製品に対しても割り当て拡大して、威嚇につかわれた。

 1970年代、アメリカ貿易政治は、事実上、ほぼ半世紀後のトランプ政権のものと、良く似ていた。1970年5月、デヴィッド・ケネディ財務長官は、もしアメリカの貿易相手国がアメリカが輸出を増やすことを可能にする措置を講じなければ、議会はアメリカ合州国への輸入を制限する措置を講じると恫喝した。“そうした黒字の解消に向けて積極的行動をする特別な責任があるのは貿易黒字国ではあるまいか?”貿易不均衡の主な理由が、アメリカ企業がヨーロッパとアジアの企業を買収し、こうした国々の国際収支黒字を強制していることであり、アメリカ輸出品にはヨーロッパや日本製品に対する競争力がもはやない事実を十分承知しながら、ケネディはそう要求したのだ。

 ワシントンは、ヨーロッパ人が“善意の無視”と呼んだ政策を使って、EEC内の通貨関係を混乱させるべく、民間資本を、特にドイツに自由に流入させた。ドイツの余剰ドルは急増した。アメリカ輸出を押し上げ、危機を緩和できたはずの動きである大幅に膨れ上がったドルを切り下げるのではなく、ワシントンは、EEC諸国、何よりもドイツに、通貨を切り上げて、不安定な時期に、輸出品の競争力を削ぐよう要求した。日本の場合、ワシントンは、円を、およそ20%切り上げを要求し、さもなくば特定範疇の日本製品のアメリカ合州国輸出に対する関税制限に直面すると言ったのだ。

 ニクソンのモーリス・スタンズ商務長官はヨーロッパに対し、攻撃的姿勢をとった。彼は“多くの点で、我々は、他の世界の国々にとって、カモおじさんだ。”と宣言した。

 アメリカ人経済学者マイケル・ハドソンは、それをこう特徴付けた。“アメリカ合州国はヨーロッパとアジアに真っ向から挑んだ。服従するか‘殺害できない限り、指導者を攻撃するな.’”という適切な戦術上の格言という条件のもとで報復するかだ。彼らは、報復せず屈し従った。アメリカ貿易法案は、アメリカだけが、世界の覇権国家として、GATTや、あらゆる貿易相手国と結んだ他のあらゆる法的取り決めから免除されるという宣言だった。

 その時点で、ワシントンがドイツ連邦銀行総裁カール・ブレッシングに猛烈な圧力をかけていたドイツを除く、フランスに率いられたEEC中央銀行が、余剰ドルの金への引き換えを始めた。1966年、ドイツ当局者が増大しつつあるドイツの余剰ドルをアメリカの金に引き換えることを検討していると示唆すると、ワシントンはドイツがもはやドルを“支持”しないなら、アメリカ軍はドイツを撤退するとドイツ連邦銀行総裁カール・ブレッシングに言ったのだ。

 同盟諸国による更なる金引き換えの脅威を無くすべく、1971年8月15日、ロックフェラーのチェース銀行元幹部だった当時の財務次官ポール・ヴォルカーに側面を守られ、リチャード・ニクソンが、連邦準備理事会金割引窓口の永久的閉鎖を発表した。同時に、ニクソンは、もはや金の裏付けがない、ドル額面価値が驚異的にインフレした無限のドルを受け取るよう、EECと日本に強制するための恫喝手段として、大半のアメリカ輸入に対し10%関税を課した。アメリカ政府のインフレ尺度にってさえ、アメリカ国民が、1970年、385ドルで購入できた食品や衣料や他の生活必需品に、現在は2,529ドル必要だ。これがニクソンによる金兌換停止の直接の結果だ。

 ニクソンとウオール街は、ペンの一振りで、 外国へのドル債務に対する金による上限という脅威を取り除いたのだ。債務は急増し、ワシントンとウオール街は、現在、世界貿易体制をドル化し、そこでは、アメリカ財務省による経済制裁は、友好国にも敵国にも、ワシントンの要求に足並み揃えて従うよう強制するための戦争兵器として、ありふれたものと化した。中国はそのハイテク製品の大半が、依然、アメリカ製チップとプロセッサーや他の先進技術に依存している状態で、ドル体制に挑戦する用意があるだろうか? 習近平の「中国製造2025」経済戦略は、その状態をなくすことを狙っている。同様にアメリカに大量輸出しているEU企業はイランとの石油貿易や他の投資を継続することで、二次的経済制裁の危険を警戒している。

 現在トランプ大統領は、ドイツや中国に対し、根拠無しに“通貨操作国”とツイートで恫喝し、ペンタゴン軍事支配の傘下にいられる特権に対し、国防費負担を大幅に増やすよう、NATO同盟諸国に要求している。1970年代のものから、アメリカの経済的な脅しの手口は変わっているものの、中身は変わっていないのだ。

 William Engdahlは戦略リスク・コンサルタント、講師で、プリンストン大学の学位を持っており、石油と地政学に関するベストセラー本の著書。本記事はオンライン誌“New Eastern Outlook”独占。

記事原文のurl:https://journal-neo.org/2018/06/29/only-thing-new-about-trump-economic-wars-are-tweets/

---------
準強姦事件を巡るBBC報道映像、全て削除されているという。そういう手筈だけ一流。
トップの顔が現れた瞬間、音声を消すか、テレビを消すかしているが、呆導バラエティーを聞いていのも苦痛になってきた。ゴミ情報を知りたくて聞いているわけではない。どれほど強烈な争点ずらしをしているかを確認する目的。
下記インタビュー、こわいもの見たさで拝見するつもりだったが、ドタキャン。この機会に、ラブキン氏インタビューを拝聴しよう。

日刊IWJガイド「岩上さんによるエイブラハム・クーパー師インタビュー中止のお詫び/<再配信>本日午後8時『【ガザ侵攻】敬虔なユダヤ教徒だからこそ、現代の帝国・イスラエルを批判する~岩上安身によるモントリオール大学教授ヤコブ・M・ラブキン氏インタビュー 2014.8.5』を再配信!/東海第二原発が安全対策に関する再稼働審査に合格!? 40年も運転したオンボロ原発の危険性を明らかにすべく、岩上さんが関西学院大学災害復興制度研究所の青木正美氏に、7月10日(火)インタビュー!/水道民営化を進める安倍政権は災害時の給水について何も考えていない!? 政府側の緊張感のない答弁があからさまに!/『危険性は社会通念上無視し得る程度にまで管理・統制されている』!? 大飯原発住民訴訟で名古屋高裁金沢支部が1審判決の運転差し止め命令を取り消し!?/ワールドカップという華やかな舞台の影で…父親を誘拐されていたサッカー・ナイジェリア代表主将の選手が、大きな不安を抱えながらも試合に出場。一方、PK戦でゴールを外したコロンビア代表の選手にはSNS上で殺害予告が/7月29日(日)【IWJファンドレイジング in Hot Summer 2018】開催まで残り24日!予約は参加予約受付フォームよりお早めにどうぞ!/今期合計3万円以上ご寄付・カンパをいただいた方でご希望の方全員に感謝を込めて前回12月のファンドレイジングイベントの新作DVDをプレゼント! 第8期も7月末の期末まであと残り26日。先月末以降、ご寄付・カンパが足踏みしており、厳しい状況です。なにとぞ期末のご支援をよろしくお願いいたします!/会員新特典!! サポート会員の方でご寄付・カンパをくださった方の中からご希望の方を抽選で岩上さんのインタビューのスタジオ見学にご招待!この機会にぜひサポート会員への切り替えご検討を!」2018.7.5日号~No.2121号~

2018年6月17日 (日)

大西洋体制が崩壊する中、岐路に立つヨーロッパ

2018年6月15日

F. William Engdahl
New Eastern Outlook

 ここ数日間の世界の出来事は、G7先進工業国内部の明らかな分裂を遥かに超える重要なものだ。もし、世界を巨大な電気の力場だと想像した場合、1945年以降のドルに基づく世界体制が混乱した終末段階に至る中、磁力線は劇的な再配列中だ。現在、ヨーロッパの政治エリートは合理と不合理の間で分かれている。とは言え、東方への発展は、益々多くの力を引き寄せつつあり、EU内における西から東への地政学的極性反転とでも呼ぶべきものの初期段階を我々は目の当たりにしているのだ。貿易戦争であれ、経済制裁戦争であれ、テロ戦争であれ、動的戦争であれ、ワシントンには戦争しかできない中で、中東やイランや、何よりロシアと中国間を含むユーラシアでの最近の進展は重要性を増している。

 長年のNATO同盟国で、国境を接する国、カナダの首相を“不正直で弱い”とあからさまに呼ばわりし、カナダから輸入される自動車への新たな輸入関税で威嚇するアメリカ大統領のツイートの光景は、どう見ても、一貫性のないアメリカ大統領の気まぐれというよりも、アメリカの同盟諸国全てを動揺させるための計算ずくの戦略だ。それもワシントンが一方的にイラン核合意を粉砕して、ヨーロッパや、ロシアや中国やイランを落胆させた後の話だ。それに加え、アメリカは、WTO協定に、あからさまに違反して、アルミニウムと鉄鋼で、EUに対する新たな関税貿易戦争も発表した。

 良い人役はもうおわりだ

 こうした振る舞いが、何かより深いものの症状だとすれば、私が先に書いた通りのアメリカの爆発的な債務水準を見るだけでよい。最新のトランプ税法で、現在の21兆ドルという連邦債務に加え、今後十年、1兆ドルという連邦の年間財政赤字が加わると予想される。家計の私的債務は、2007年の金融危機以前より高い水準にある。ジャンクボンド、つまり“投資不適格”債務 を含む企業債務は、十年にわたる連邦準備制度理事会のほぼゼロ金利のおかげで、途方もなく大きい。

 実際のアメリカ経済状況には、ほとんど言及されていない別の要素もある。アメリカ消費者金融保護局による最近の研究によれば、他の多くの国々と比較して、1世帯当たりの平均収入は名目上高く見えるが、食料や住宅や強制医療保険などの固定費という現実で、新種の貧困が生まれている。調査は、約50%のアメリカ人が、毎月の請求書支払いが困難で、三分の一もが、時に食べ物や、まともな住居や医療のお金が不足していると結論づけている。ある最近の研究は、四人家族の医療費だけでも、年間28,000ドル以上、平均収入の半分もかかると推計している。

 アメリカ国内の厳しい見通しに加え、メディケア保険資金の運営委員会が、信託基金は、8年で枯渇すると発表したばかりだ。社会保障信託基金も、引退する多数の戦後ベビー・ブーマー世代と、払い込む若い労働者数の減少のおかげで、出生率も人口成長も減少しているので、1982年以来、今年初めて赤字に転落する。また、ニュージャージー州は、財政破綻が迫るなか、あらゆる歳出を凍結した。連邦準備制度理事会が金利を上げると、企業と家計の債務不履行の連鎖反応が、あらかじめプログラムされている。

 要するに、アメリカ経済は、わずか1%の富裕層に失血させられ、限界点に至っているのだ。アメリカ株式市場は、十年間の低利資金のおかげで、現在過去最高を享受しているが、アメリカ合州国の根本的な経済的現実は、控え目に言っても、不安定だ。唯一の超大国による世界支配を維持するという点では、権力者にとって、二つの道が開きつつある。戦争か、あるいは2008年のものより酷い新たなグローバル金融危機を引き起こし、危機を世界資本の流れに対する支配を再び取り戻すのに利用するかだ。

 世間的に確立したG7同盟諸国に対する貿易戦争のような戦術を、アメリカ大統領が始めるのを余儀なくされている事実が、窮余の策が予定されていることを示唆している。現実には、戦いこそが、EU、特にドイツの未来なのだ。

 対照的なユーラシア

 この点で、注目に値するのは、最近のドイツのメルケル首相による、ロシアのプーチン大統領と、中国習近平主席との会談のための訪問だ。たぶん、イラン核合意以上のことが話し合われたのだ。対ロシア経済制裁を、ドイツ政府が公式に支持しながら、同時に、ドイツが、ある分野では、ロシアを同盟国として必要としているという合図を送っている矛盾が、現在のEUのある種政治的統合失調症を実証している。とりわけ、中国率いる高速ユーラシア横断鉄道と深水港のリンクという壮大な一帯一路構想と、ロシアとイランの巨大な潜在的経済力で、経済的に成長市場が東方にあることが益々明らかになりつつある。

 ロシアは、ワシントンによる新たな過酷な経済制裁を課されているにもかかわらず、記録的な人数の政府首長や産業界指導者が参加し経済協力を話あった最も成功した年次サンクトペテルブルク国際経済サミットを終えたばかりだ。SPIEF会議の文脈での一例として、ロシア国有鉄道CEOが、ロシアは、ペルシャ湾南端沿いに、クウェートからオマーンを結ぶアラビア横断鉄道建設への参加を計画していると発表した。もし実現すれば、ロシア、サウジアラビアと中国は、より緊密な経済関係になる。サウジアラビアへの投資プロジェクトに、中国は既に約1300億ドル確保しており、彼には様々な欠点があるにせよ、ビン・サルマーン皇太子は、サウジアラビアを、三大陸のアフリカ- ユーラシア経済の中心に本気でしたがっているように見える。

 ロシアでのSPIEF会議のすぐ後、北京でのプーチンと習近平の別会合が続き、そこで、中国主席がプーチンに、外国人に対する中国最高の栄誉、金の“友情メダル”を授与し、ロシア大統領は“最高の最も親しい友人”だと宣言した。パキスタンとインドが初めてSCO正式加盟国として、またイラン議決権を有しない参加者として加わった青島での拡大上海協力機構が続いた。今やSCO加盟国には、パキスタン、インド、カザフスタン、キルギスタン、タジキスタン、ウズベキスタン、ロシアや中国が含まれている。

 ロシアと中国とモンゴルの指導者の3者が参加する会談で、プーチンは、ウラーンバートル ロシア-モンゴル鉄道と隣接区間の改良で、2020年までに、2億6000万ドル費やす計画を発表した。中国-モンゴル-ロシア経路でのヨーロッパ向けコンテナ輸送量は、2012年から17年の間に2.7倍に増え、今年初めの三カ月で四倍になったと彼は述べた。

 こうしたこと全て、G7の衝突と緊張は実に対照的だった。プーチンが述べた通り、G7は“この創造的おしゃべりを止めて、本物の協力に関わる具体的問題に移る”べきなのだ。プーチンが、トランプが呼びかけたG7へのロシア再復帰に興味を示さなかったのが、世界の経済と政治の重心が、東に移ったことの更なる印だ。

 ユーラシアの潜在的経済力が、負債で膨れ上がって崩壊しつつある大西洋両岸のドル本位体制への実現可能な代案として出現しつつある。ロシアも中国も経済制裁を受けやすいドルではなく、自国通貨を使って、空前の速度で、中央銀行金準備を蓄積しており、多極化の新たな可能性が現れつつある。一帯一路インフラ・プロジェクトの拡大が、感じられ始めつつある。オランダ ING Bankの新たな研究は、一帯一路は、世界貿易のレベルを、12%あるいはそれ以上、増加させ得ると予測している。エコノミストのJoanna Koningsは、こう述べている。“アジアとヨーロッパ間の貿易は…世界貿易の28%を占めており、こうした貿易の流れをより容易にすることには、大きな潜在的効果がある。”

 ユーロが重大な段階にあり、EUの金融危機は未解決で、イタリアから、ポルトガルからギリシャに至るまで、大半のEU外縁部の国々で景気が後退する中、新たな経済空間、ユーラシア中のEU製品向け新市場構築への参加可能性が、アメリカとの貿易戦争や金融戦争や、もっと悪いものに対する唯一現実的な代案だ。磁力線が、劇的にはっきり見え始め、EUの国々も間もなく、大西洋両岸体制か、新たに出現しつつあるユーラシアという代案のいずれかを選択しなければならない。ワシントンからの強烈な圧力が、その決断の一層の前倒しを強いている。

F. William Engdahlは戦略リスク・コンサルタント、講師で、プリンストン大学の学位を持っており、石油と地政学に関するベストセラー本の著書。本記事はオンライン誌“New Eastern Outlook”独占。

記事原文のurl:https://journal-neo.org/2018/06/15/europe-faces-crossroads-as-atlantic-system-crumbles/
-----------
米朝対話で、地位協定・安保体制が崩壊する中、岐路に立つ属国

朝鮮国連軍後方司令部は、横田基地にある。
日本国内にある国連軍司令部後方基地は座間基地,横田空軍司令部基地,横須賀海軍基地,佐世保海軍基地,嘉手納空軍基地,普天間海兵隊基地,ホワイト・ビーチ地区の計8ヶ所。

親分は辛辣。
「私が(日本に)メキシコ人を2500万人送れば、君はすぐ退陣することになるぞ」と話したと報じられている。

「日米基軸」幻想』の対談内容と、この記事、ぴったり重なっている。今、『増補「戦後」の墓碑銘 』の第5章 平成政治の転換点 を拝読中。文庫版あとがきは、朝鮮半島問題にも触れている。

日刊IWJガイド・番組表「岩上さんが橋下徹元大阪府知事から名誉毀損で訴えられたスラップ訴訟。6月21日の第二回口頭弁論まであと4日!第二回口頭弁論の案内用紙を作成しましたので、ぜひ、ダウンロードして印刷し、お知りあいにお配りください!/<本日の再配信>トラブルが発生したばかりの玄海原発4号機が再稼働!本日午後8時より、『広島高裁の決定が今後の原発訴訟を変える!? 火砕流の危険にさらされているのは伊方原発だけではない!岩上安身による脱原発弁護団全国連絡会共同代表・海渡雄一弁護士インタビュー』を再配信!/
IWJの財政がピンチです! 6月に入ってから上旬までのご寄付・カンパは目標額の1割にも届かず! 第8期も期末まで残り1ヶ月半。このままでは赤字転落の可能性が濃厚です! 崖っぷちに立たされたIWJがつぶれてしまわないよう、なにとぞご支援をよろしくお願いいたします!」2018.6.17日号~No.2103号~

IWJ寄付・カンパのお願い

2018年5月22日 (火)

石油は「アメリカの世紀」を終わらせるだろうか?

2018年5月19日
F. William Engdahl
New Eastern Outlook

 1941年、アメリカ支配体制インサイダーのヘンリー・ルースによって、ライフ誌論説で、誇らしげに宣言された「アメリカの世紀」は、石油支配と、世界石油支配のための果てし無く続く戦争の上に築かれていた。今皮肉なことに、アメリカ大統領による、違法で、一方的なイラン核合意離脱のおかげで、意図的ではないにせよ、まさに「アメリカの世紀」という世界覇権崩壊で、石油が重要な役割を演じることになっているのかも知れない。

 ドル依存から離れるため、様々な国々の最近の拡大しつつある措置の各要素それ自体は、石油の売買をドルのみでおこなうよう他の国々に強制するワシントンの能力によるアメリカ・ドル支配を終わらせるには不十分だ。それでも、ワシントンの力による一方的な挑発や制裁行動のそれぞれが、わずか四年前には、可能あるいは現実的とは思われなかった解決策を、他の国々が見いだすよう強いている。

 ヨーム・キップール戦争の後の、1973年石油価格ショック以来、ワシントンとウオール街は、サウジアラビア率いるOPECが、アメリカ・ドルでしか石油を売らせないように動いた。それが、アメリカ通貨への需要が、事実上、アメリカ経済の内部状態や、政府債務や赤字と無関係になることを保障していた。ヘンリー・キッシンジャーや他の連中が、当時、オイルダラー・リサイクリングと呼んだ体制は、アメリカが世界に戦力を投射する能力の極めて重要な基盤であり、同時に、中国やメキシコやアイルランドやロシアなどのような場所にすら移転する過程で、アメリカの主要大企業が、国内課税や投資から逃れることを可能にしていた。現時点で、かなりの数の国々の集団がドルを放棄して、他の通貨に移行したり、バーター貿易をしたりすれば、アメリカ金利の急増と、十年前のものより遥かに醜悪になるはずの新たなアメリカ金融危機を引き起こしかねない連鎖反応の出来事のきっかけになり得る。

 制裁マニア、アメリカ

 2001年9月11日以来、アメリカ政府は、アルカイダのようなテロ集団への資金供与を取り締まるはずの金融経済制裁の使用を、アメリカの世紀防衛のための戦争の中心的武器へと転換する過程に従事してきた。過激な新たな形の標的を絞った経済制裁をロシアに課するというアメリカ財務省による最近の決定は、アメリカ国民が彼らと事業をすることを禁じるだけでなく、そのような事業を行っているアメリカ国民ではない人々にも経済制裁を課すと威嚇し、更に過酷な新アメリカ経済制裁をイランに再び課すことが続いている。

 トランプ政権は包括的共同作業計画 (JCPOA)、イラン核合意から一方的に離脱し、イラン石油を貿易している他の国々も、11月までに取引を段階的に縮小しなければ、いわゆる第二次経済制裁で、彼らも経済制裁に直面すると発表した。アメリカ財務省は、イラン石油貿易に関与している可能性のある主要国際再保険会社や外国銀行も標的にしている。最新のイラン経済制裁に、2012年会計年度の国防権限法1245条を正当化に利用している。

 根拠のないアメリカの動きは、中国、ロシアや、イラン自身を含む主要な国々、可能性としてはEUにも、これまでになかったことだが、ドル離れするよう強いているのだ。

 中国元による石油貿易

 今年3月、中国は、元に基づく石油先物契約を開始した。先物は、現在の世界石油貿易の主要要素だ。アメリカ・ドルではない石油先物契約としては、初めてのものだ。新たな対イラン・アメリカ経済制裁まで、ワシントンは、本格的に受け入れられるとしても、何年もかかるやっかい者同然に見なしていた。今や、ドルでのイラン石油販売を阻止するアメリカの取り組みは、上海の石油先物や、一部の人々がオイル元と呼ぶものの前払いに大きな弾みをつける可能性がある。

 中国は、イラン石油の圧倒的な最大顧客で、イランの一日約250万バレルの最近の輸出総計のうちの一日約650,000バレルを輸入している。ブルームバーグの最近のレポートによれば、インドは第二位で、一日約500,000バレル輸入している。韓国は第三位で、313,000 bpd、更にトルコは第四位で、一日165,000バレルだ。最近ドルから自立する願望を明かにしたイランが、中国元で石油を中国に売る可能性は極めて高い。もし中国が、元での販売を、イラン石油購入継続の前提条件にすれば、ドル交換の経費を節減し、ドルを犠牲にして、世界貿易での中国人民元の利用を大幅に増やすことになろう。

 イランは、何兆ドルものユーラシア・インフラ・プロジェクト、中国の一帯一路構想における主要な戦略的パートナーでもある。最新のアメリカ経済制裁の後、フランスのメジャー、トタル石油が、イランの巨大南パース天然ガス田の株の売却を強いられる可能性があり、中国国営エネルギー企業情報源は、中国の巨大石油集団CNPCは、フランスの株を引き受ける用意があると述べているという報道がある。現在、トタルは50.1%を保有し、CNPCが30%、イランの国営石油会社が19.9%を保有している。対イラン戦争を主張してきた、長年にわたるネオコン・タカ派、トランプの国家安全保障問題担当補佐官ジョン・ボルトンは、EU企業が、もしイラン政府との協力を継続すれば、アメリカ経済制裁に直面することになると述べた。

 中国-イランの経済的つながりの増大を示すものとして、5月10日、中国は内モンゴル自治区のバヤンノール市から、約8,000キロ、カザフスタンとトルクメニスタンを経由し、テヘランまでを結ぶ直通陸上鉄道便を開始した。貨物の輸送時間は、14日間と予想されており、海上輸送時間より約20日間短い。

 ロシアの動き

 イランにとって二番目に大きなビジネス・パートナー、ロシアは、自身が、アメリカ経済制裁によって苦しめられているが、2014年のイラン核合意と経済制裁解除の後、イランとの無数の事業契約を行っている。ロシアのプーチン大統領は、経済制裁への脆弱性にまつわる安全保障上の理由から、ロシアがアメリカ・ドルから独立する希望をはっきり宣言した。この点、ロシア-イラン二国間貿易は、2017年11月以来、多くの製品が非ドル・ベースのバーターで行われている。

 更に、イランのモハンマド・ジャヴァード・ザリーフ外務大臣が、5月14日、モスクワを訪問して、ロシアのラブロフ外務大臣と、将来のロシアの原子力計画協定について話し合い、両者は経済協力継続を誓った。いくつかのロシア石油会社は、既にイラン・プロジェクトに参加している。

 最近の愚かなアメリカのイラン合意離脱の前から、ロシアと中国間の貿易も、ドルから離脱しつつある。現在、中国は、ロシアの最大貿易相手国で、17%を占め、第二位のロシアとドイツ間の倍だ。両国間のドル貿易が更に減少する可能性が高い。4月25日、上海でのヴァルダイ・クラブ会議で、Union of Chinese Entrepreneurs in Russia(在ロシア中国起業家同盟)会長、Zhou Liqunが、ユーラシアの二国は、二国間貿易で、ドルから一層離脱すべきだと述べた。彼は“二国の指導部should think over関係改善、特に、金融協力r。一体なぜ外国通貨で支払う必要があるでしょう? なぜドルなのでしょう? なぜユーロなのでしょう? 直接、元とルーブルで行えるではありませんか”と彼はロシア国営TVで述べた。

 最近のワシントンによるロシアとイラン経済制裁の前から、ロシアと中国は両国の二国間貿易でのドル離脱の方向に慎重に動いてきた。ロシアは、2016年末に上海石油-元先物と似たような、ロシア・ウラル石油先物の値付けにルーブルを使う石油先物契約取引を、サンクトペテルブルク取引所(SPBEX)に開設した。

 2017年に、約31%増え、今年、中国・ロシアの二国間貿易は、1000億ドルに達すると推計されている。ユーラシアの主要二国の銀行や企業は、世界準備通貨を保持しているというワシントンの不愉快な強みである、ドルからの、そしてドル経済制裁に対する脆弱性から自立する基盤を慎重に築いている。

 2017年、既に9パーセントのロシア商品の中国輸出はルーブル決済だ。ロシア企業は、15パーセントの中国輸入を人民元で決済している。こうした直接のルーブルや人民元決済は、NATO経済制裁が益々重要な要因になっているので、ドルやユーロ通貨のリスクを回避できる。更に、EUのSWIFT国際銀行間決済体制から自立して、確立した人民元決済システム(CIPS)を使うことで、この二つのユーラシア国家を、アメリカの金融戦争や制裁から、遮断できる。既に170以上のロシアの銀行や、ロシア中の証券会社は、中国銀行、ICBC、中国建設銀行や中国農業銀行などの中国の巨大国営銀行が参加しているモスクワ取引所で、元で取引している。ルーブル-元為替レートは、アメリカ・ドルの関与無しに計算されている。

 EUは続くだろうか?

 最近、これまで行っているドルでなく、ユーロによるイラン石油貿易の可能性を欧州連合が検討しているという報道もある。彼らはトランプによるイラン核合意からの一方的離脱を強く非難し、イラン石油貿易や、アメリカに威嚇されている航空機や他のハイテクの大型契約を維持する方法を検討している。フェデリカ・モゲリーニ欧州連合外務・安全保障政策上級代表は、マスコミに、イギリス、フランス、ドイツ、イランの外務大臣が、ワシントンの動きに対応した、現実的な解決策に、今後数週間で取り組む予定だと語った。彼らは、石油とガス供給の分野を含め、イランとの経済的なつながりを拡大する予定だと報じられている。

 EUがそのような動きをすれば、ドル体制の基盤を根底から揺るがし、それと共に、アメリカ戦力投射をも揺るがすことになる。現時点ではありそうにないが、2014年以来、ロシア経済制裁で、ワシントンが要求して明白に起きているEU経済権益を損なう、ワシントンの動きの一つ一つによって、大西洋同盟から離れるという地政学的同盟の大規模構造的転換の可能性が、より想像可能なものとなる。

 主要世界準備通貨としてのアメリカ・ドルの役割は、軍事力とともに、ワシントン権力の基盤だ。これが大幅に縮小するようなことになれば、他の国々の資源を利用して、超大国支配を継続するため戦争をしかけるペンタゴンの能力を弱体化させるはずだ。アメリカ財務省経済制裁が強いるものが抑えのきかないものになればなるほど、中国、イラン ロシアなどの国々や、可能性としては、EUも、ドル依存を減らし、ワシントンが他の国々を支配する力が益々弱くなる。前世紀のこうした過程の核心にあったのは、石油支配と、その支配のためのドルの役割だった。

 F. William Engdahlは戦略リスク・コンサルタント、講師で、プリンストン大学の学位を持っており、石油と地政学に関するベストセラー本の著書で、オンライン誌“New Eastern Outlook”への独占寄稿。

記事原文のurl:https://journal-neo.org/2018/05/19/will-oil-end-the-american-century/

-----------

狂気の与党、野党風与党分派連中、なんとしても過労死推進法案を通すつもりだ。

せめて、下記IWJインタビューを拝聴しようと思う。上記記事と関連しているパイプラインの話題、これから拝読する。

日刊IWJガイド・番組表「過労死促進法案が成立!?『5月23日衆院予算委で強行採決!?「高度プロフェッショナル制度」の異次元の危険性! ~岩上安身による上西充子法政大学教授インタビュー』を本日午後3時半から生配信!!/ドイツとロシアとの間でガス・パイプライン事業が着実に進行! 対する「ビジネスマン」率いるトランプ米政権は対露経済制裁を示唆!?/IWJの第8期も残り2ヶ月余り、どうか皆様のあたたかいご支援をお願いします!」2018.5.22日号~No.2076号~

IWJ Independent Web Journal - 岩上安身責任編集

 

2018年5月20日 (日)

ワシントンのユーラシア地政学を形作るブレジンスキーの亡霊

2018年5月14日
F. William Engdahl

 これまで実に際立っているトランプ大統領の最も顕著な特徴の一つは、ツイートやスキャンダルという意図的な巧妙な煙幕を消し去ると、実際の政策展開が、少なくとも1992年にさかのぼるワシントン地政学の基本戦略に、どれほど正確に従っているかという点だ。イラン核合意離脱の最近の嘆かわしい、全く違法な一方的な決定にもこれは当てはまる。ロシアに対する容赦ない冷戦風悪者化キャンペーンや、陰険な新経済制裁実施もそうだ。トランプ政権が中華人民共和国に対してはじめた迫りくる貿易戦争もそうだ。

 アメリカのトランプ大統領は、衝動だけで行動するとか、予測できないとかいう、広く信じられている考えとは逆に、事実は逆だろうと私は考えている。トランプ政権の戦略的地政学的政策は、大統領本人のものではなく、権力者、実際に支配をしていて、時に陰の政府と呼ばれる恒久的支配体制による対応なのだ。その政策の地政学が、彼らが一体誰を大統領になるのを認めるかを、かなりの程度まで決定しているのだ。

 現在のワシントン外交政策が最初に公式に構築されたのは、父親ブッシュの下で、ディック・チェイニーが国防長官だった1992年のことだ。ソ連が崩壊し、ブッシュは意気揚々と、アメリカは唯一の超大国だと宣言した。チェイニーの国防副長官、ポール・ウォルフォウィッツが、1994年-1999年、防衛戦略ガイダンス策定責任者だった。それは無遠慮なもので、後にテッド・ケネディ上院議員が、帝国主義者と表したほどだ。編集されていないウォルフォウィッツ・ドクトリンの中に、“第一の目的”は“旧ソ連地域であれ、他の地域であれ、かつてソ連がもたらしたようなスケールの脅威をもたらすような[アメリカの一方的行動に対する]新たなライバルの再出現を防ぐことだ…統合的に管理すればグローバル・パワーを生み出すに十分な資源がある地域を、いかなる敵対的勢力にも支配させないよう、我々は尽力しなければならない”とある。ジョージ・W・ブッシュの下で、2002年、イラク戦争の準備段階で、単独覇権主と、予防戦争の行使、アメリカ政策の中心だと宣言して、ウォルフォウィッツ・ドクトリンは、ブッシュ・ドクトリンとして再浮上した。

基本的地政学

 この記事の題名に戻って、現在のトランプの下でのアメリカ外交・国防政策が一体何かを強調するために、故大統領顧問ズビグニュー・ブレジンスキーの1997年の著書、The Grand Chessboard: American Primacy and its Geostrategic Imperatives『ブレジンスキーの世界はこう動く―21世紀の地政戦略ゲーム』から引用しよう。これは、ブッシュ-ウォルフォウィッツ・ドクトリンのブレジンスキーの地政学的挑戦と予防戦争という考え方を、アメリカという唯一の超大国支配に対する抵抗が現在現れているという文脈への適応に他ならない。

 もちろん、ブレジンスキーは、CIAと、サウジアラビア諜報機関と、パキスタンISIが訓練した、ムジャヒディン・イスラム主義テロリストを利用した、ジミー・カーターによる、ソ連軍に対するアフガニスタン戦争の立案者だった。

1997年、“ユーラシアを支配することが可能で、アメリカにも挑戦するユーラシアの挑戦者が決して出現しないようにすることが極めて重要だ”と彼は書いていた。彼は更に、declared、“可能性として、最も危険なシナリオ、イデオロギーではなく、相補う不満で団結した‘反覇権’同盟だ…中国、ロシア、おそらくはイランの大連合…Avertこの不測事態…ユーラシア外周の西と東と、南で、同時に、アメリカの戦略地政学的技能を必要とすることになる”

 これに、ロシアと中国を、アメリカ覇権に対する最大の潜在的脅威と規定する最新のペンタゴン国家防衛戦略文書を加えこれを、2015年に経済制裁を解除して以来、ロシアと中国とイランの間の、特にシリアでのつながりの深まりと組み合わせると、ワシントンが一体何をしているのかが明かになる。私が唯一の覇権国に対するユーラシアの挑戦と呼ぶ、ロシア、中国、イランを粉砕するため、連中は徹底的に取り組んでいるのだ。

 ブレジンスキーが指摘した通り、支配継続というアメリカの目的にとって、ロシアと中国とイランの間に、人種的、宗教的、あるいは他の差異かあることは重要ではない。2001年9月以来、アメリカ外交政策は、こうした差異にもかかわらず、彼らが、国家主権の防衛と考えるもののため、この三国が一層協力することを強いている。

標的ロシア…

 最近の色々な出来事を、1997年のブレジンスキーのユーラシア警告の視点から見てみよう。何の証拠も無しに、ロシアのせいにされたイギリスの、いんちきなスクリパリ毒ガス攻撃事件を、ワシントンは支持していた。ダマスカス郊外での偽化学兵器攻撃は、国連憲章や国際法のあらゆる前例を無視した、違法なアメリカ爆撃急襲の口実に利用された。あれは思い返して見れば、ロシアのあり得る反応を探るための実験以外の何者でもなかった。アメリカ・トマホークや他のミサイルが命中しようと、しまいと、イスラエルや、他のアメリカ同盟国が、シリア国内のイラン攻撃をエスカレートする前例が確立されたのだ。

 更に、世界第二位のアルミ・メーカー、ルサールのデリパスカのような“プーチンのオリガルヒ”に対する新たな壊滅的打撃を与える極悪非道の経済制裁が行われている。ワシントンは、新経済制裁の口実をでっちあげようとさえしていない。連中は、理由は、ロシア政府が“世界中で様々な悪意ある活動”に関与していることだと言っている。

 新経済制裁は、たとえ新経済制裁の前に購入したものであれ、制裁対象のロシア企業の株を保有しているあらゆる欧米の銀行や投資家を罰するのだ。これは、あらゆる点で、戦争より酷くはないにせよ、武力戦争同様、アメリカ財務省による極めて破壊的な新形金融戦争なのだ。911のすぐ後、この手が開発され、以来、経済的グローバリゼーションの下、貿易と、中央銀行の外貨準備の上で、世界が依然圧倒的に、アメリカ・ドルに依存しているという事実を利用する破壊兵器にまで洗練されている。

 ロシア人オリガルヒや企業に対する最新のアメリカ経済制裁では、将来、欧米資本市場で借り入れることが阻止されるだけではない。近年、対象にされたロシア企業に、何十億ドルも投資した非ロシア人投資家は、ロシア資産を保有しているかどで、換金するか、二次的経済制裁の目に会うかで、うろたえることを強いられた。だが一体誰が買うだろう? 既に主要EU証券決済機関の二社、クリアストリームと、ユーロクリアは、制裁対象のロシア証券の決済を拒否するよう強いられている。彼らはロシア株を保有しているかどで、経済制裁にも直面する。たとえば、中国国営銀行が市場からドルを借りていれば、彼らは今や事実上、制裁対象ロシア企業と事業をすることを禁じられている。

標的中国…

 ワシントンは、シリアとウクライナを巡って、プーチンのロシアに対する圧力を強化しながら、同時に、中国との貿易を最初の梃子として利用する、壊滅的経済戦争であることが明かなものの初期段階を開始した。ワシントンは、私が前の記事で指摘したように、中国経済を、今後十年で、主導的ハイテク製造国という立場に押し上げようという戦略を中国に強制して廃棄させることを狙っているのだ。戦略は「中国製造2025」と呼ばれるもので、習近平の戦略目標、一帯一路構想、経済シルク・ロード・プロジェクトの中核だ。

 「中国製造2025」のもとで、ハイテクで世界のリーダーになろうとする中国の動きを標的に、ワシントンが一体何を計画しているかの一端が、中国の主要通信機器メーカー、ZTEと、アップル社に対する有力な挑戦者、華為技術に対する扱いだ。4月、ZTEは通信機器をイランに売ったとされることで、ワシントンによる制裁対象となった。アメリカのサプライヤーは、極めて重要な部品を、中国ハイテク集団に供給することを禁じられている。アメリカから猶予を勝ち取ろうとする中、同社は一時的に操業を中止している。

標的イラン…

 ドイツやフランスや他のEU諸国の猛烈な抗議にもかかわらず、トランプは一方的にイラン核合意を破棄した。狙いが、壊滅的打撃を与える経済制裁を、イランに再度課して、2015年以来、始まった脆弱な進展を破壊させることなのは明らかだ。EUがイランとの合意を破棄するのを拒否している事実も、最終的には、アメリカによるイラン経済制裁は、イランと商売をしているEU企業の経済制裁もすると脅しているので大して意味はない。

 最近のトランプによる、イランとの核合意破棄の一環として、アメリカは、中国や日本やEU諸国など他の国々に イラン石油のあらゆる購入契約をやめる180日間の猶予を与えた。イランからの何十億ドルの航空機購入注文があったエアバスなどのヨーロッパ企業は、キャンセルを強いられた。8月6日、アメリカ・ドル購入、金や他の金属による貿易や、航空や自動車産業は制裁される予定だ。11月4日、アメリカ経済制裁は、イランの金融・石油企業を標的にして、以前、アメリカ財務省経済制裁リスト対象になった個人に対して行った経済制裁を再開した。

 イランの脆弱な経済を危機に陥れるべく、アメリカ財務省による正確に狙った経済制裁という壊滅的新兵器使用が明かな狙いだ。同時に、NSC顧問ジョン・ボルトンは、新たなカラー革命のこころみを開始するため、イランのテロ組織、ムジャヒディーン・ハルク、MEKのを再活性化を主張しているという報道もある。2012年、クリントン国務長官によって、MEKは、アメリカ国務省のテロ・リストから外された。

アメリカ中央軍、CENTCOM

 各国の具体的な詳細や、各国に対するワシントンの行動から一歩下がって見ると、ユーラシアの三大国-ロシア、中国、イランは、体系的に、標的にされており、これまでのところ、程度の差はあれ成功していることが見えてくる。

 2月末、アメリカ中央軍、CENTCOMの司令官ヴォーテル陸軍大将が、DoD Newsのインタビューに応じた。そこで、ロシアと特にロシアのシリア関与や、中国の新一帯一路構想や、ジブチや他の場所の中国軍事基地を例にあげるのに加え、ヴォーテル大将は、両国のイランとの結びつきに触れた。ヴォーテル大将は“ロシアも中国も、イランと多次元のつながりを育てている。包括的共同作業計画のもとでの、国連経済制裁解除が、イランが上海協力機構加盟申請を再開する道を開いた”と述べた。

 皮肉にも、事実上の三正面戦争の同時開始は、現時点では経済戦争のレベルだとは言え、三大国に対して、一層密接に協力するという戦略原則を生み出している。中国はイラン石油の最大購入国だ。ロシアは、軍事備品を供給しており、それ以上のことも交渉中だ。この三国中国、イラン、ロシアいずれにとっても、ワシントンの地政学的三正面戦争を目の前にして、不信や差異がどうであれ、自己保存の目的で、これまでになかった以上に協力する以外良い選択肢はないのだ。

 F. William Engdahlは戦略リスク・コンサルタント、講師で、プリンストン大学の学位を持っており、石油と地政学に関するベストセラー本の著書で、オンライン誌“New Eastern Outlook”に独占寄稿。

記事原文のurl:https://journal-neo.org/2018/05/14/brzezinski-s-ghost-shapes-washington-eurasia-geopolitics/

----------

昨日は、IWJの岩上安身氏による放送大学名誉教授・高橋和夫氏インタビューを拝聴。今日は下記を拝聴予定。

日刊IWJガイド・日曜版「<本日のタイムリー再配信>本日午後8時より「岩上安身による東京大学名誉教授・板垣雄三氏インタビュー(後編)1/2」を再配信!さらに午後7時から【働かせ方改悪を許すな!シリーズ特集】として「5.16『働き方改革虚偽データ疑惑』野党合同ヒアリング/
ボルトン米大統領補佐官が北朝鮮の非核化に『リビア方式』で臨むと発言! 北朝鮮の抗議に対しトランプ大統領自ら火消し役に!/日本大学アメリカンフットボール部監督・常務理事の内田氏『一連のこの問題は、すべて私の責任』と監督辞任を表明するも、大学役職の進退については答えず」も再配信します!」2018.5.20日号~No.2075号~

2018年5月10日 (木)

ワシントンはアルメニアで実際何をしているのか?

2018年5月3日
F. William Engdahl

旧ソ連邦のアルメニア全土で最近続いている抗議行動は、もう一つのワシントンによるカラー革命不安定化なのか、それともセルジ・サルキシャン首相政権下での酷い腐敗と経済発展の欠如にうんざりした単なる国民の怒りの反乱なのかという憶測が、ここしばらく大きな話題になっている。大規模抗議行動が連日続いた後、4月23日、首相は“ニコル・パシニャンが正しかった。私は間違っていた”と宣言して辞任を強いられた。アルメニアは、ロシアのユーラシア経済連合の重要なメンバーであり、それが親NATO野党の支配下におかれるようなことになれば、モスクワにとって、控えめに言っても、戦略的問題が生じかねない。事態は深刻だ。

皮肉にも、形式上、抗議行動を引き起こしたのは、サルキシャンが、トルコのエルドアンが行ったことの逆を、自分で行った結果なのだ。彼と議会の与党が、大統領府から、儀礼的役割以外のあらゆる権限をはぎ取り、実際の決定権限を、首相に与えることに成功していたのだ。彼自身が首相になる前に、彼はこれをやりおおせていた。これまでの所、ロシアはアルメニア内政に干渉しないという声明の後、続行中の抗議行動に対するモスクワの対応は、明らかに沈黙だ。

現時点では、サルキシャンが、首相を辞任し、5月1日の議会選挙で、パシニャンの対抗候補として出馬していない事実にもかかわらず、パシニャンは首相任命に必要な多数決が得られなかった。この記事を書いている時点で、“平和な市民的不服従”による交通と政府庁舎の完全遮断を、彼は呼びかけた。首相承認投票が失敗したことが発表された後、彼は議会前の群衆にこう語った。“明日はゼネストが宣言される。08:15から、我々は全ての道路、通信、地下鉄、空港を封鎖する。我々の戦いは失敗で終わるわけには行かない。”

カラー革命?

一体どのような証拠が、モスクワにとって戦略上重要な国へのワシントンの直接介入を示しているだろう? 第一に、ジョージ・ソロスのオープン・ソサエティー財団-アルメニアのエレバン事務所という確立された存在があることだ。4月17日、反政府抗議行動の規模が拡大する中、いくつかのNGOが、まず確実に政府が支援している抗議行動妨害者連中を突き止めたと警告し、 平和な抗議行動参加者に対して、彼らを配備しないよう警告する政府に対する公開書簡に署名した。

呼びかけには、ジョージ・ソロスのオープン・ソサエティー財団により、一部の資金供給を受けているヘルシンキ委員会の一環、アルメニア・ヘルシンキ委員会も署名した。呼びかけには、ソロスのオープン・ソサエティー財団 - アルメニアも署名した。

2月に、ソロスのソロスのオープン・ソサエティー財団-アルメニアは、“若者、若い活動家やジャーナリストを引きつけることを目指す。アルメニアの確立した人権擁護活動家と、アルメニア共和国国民の権利を擁護する上で、更なる専門知識を得ることに興味がある若い世代の活動家の架け橋として機能する”よう作られた欧州連合との共同プロジェクトを発表した。

対アルメニア政府警告声明への署名者に、自らを「国境なき権利保護NGO」と称するアルメニアNGOがある。このNGOも、ソロスのOSF-アルメニアのみならず、EUや、私が最新刊、Manifest Destiny: Democracy as Cognitive Dissonanceで、アメリカ政府の政権転覆不安定化カラー革命につながっていることが多いと書いた組織アメリカ国務省USAIDからも資金提供を受けていることが判明している。

オープン・ソサエティー財団-アルメニアや他の組織が、エレバンの街頭で展開している出来事に直接つながるそのような声明に署名している事実は、少なくとも、学術的関心以上のものが、拡大する抗議行動にあることを示唆している。

アルメニア国内における他のアメリカを本拠とするNGOの役割はどうだろう? 1980年代に設立された主要なアメリカの政権転覆NGO、創設者の一人、アラン・ワインステインの言葉によれば、CIAが行っていたことを民間で行うものである全米民主主義基金は、助成金という点で、協力的ではなくなっている。とは言え、いくつかの研究で、NEDも、アルメニアにおける法の支配と政府の説明責任推進から、“EUとの連携で、いかにジョージアが恩恵を得ているか、しかしアルメニアが、いかにユーラシア経済連合からは同様な恩恵を得られないか”を示す2017年のアルメニア人ジャーナリスト向けプログラムに至るまで、アルメニア国内の無数のプログラムに資金提供していることが明らかになっている。2017年、別の寛大な助成金で、NEDは彼らに言わせれば、“質を向上させ、独自のニュースを得られるようにする”資金を供給するため、アルメニア・タイムズ新聞に、窮乏したアルメニア経済では、かなりの金額40,000ドル以上を与えた。

ワシントンが資金提供しているNGOの確固とした存在に、最近の抗議行動中、アメリカ国務省が、野党指導者ニコル・パシニャンと積極的に接触している事実を加えると、我々はワシントンによるカラー革命の変種を目撃している可能性が一層高くなる。4月30日、決定的な議会選挙の前日、A. ウェス・ミッチェル国務次官補(ヨーロッパ・ユーラシア担当)が、野党Civil Contract議員、ニコル・パシニャンとの電話対話を開始したと述べた。彼の公式声明で、ミッチェルはただこう述べていた。“アメリカ政府は、何十年にもわたるアメリカ-アルメニア関係を更に深化させることを目指してアルメニア新政権と緊密に協力することを楽しみにしている。”

ウェス・ミッチェルは、オバマの下で、悪名高いネオコン・ウクライナ・カラー革命煽動者ビクトリア・ヌーランドが占めていた地位にある。彼もヌーランドの続きであるように見える。2017年、ミッチェルは、彼が実際設立し、CEOをつとめていたCenter for European Policy Analysis (CEPA)なるものから移り国務省の職についた。これで、事態は興味深くなる。

アメリカがウクライナのオレンジ革命に深く関与していた頃の2004年に設立された、ワシントンのシンクタンクCEPAは、その任務は“アメリカ合州国との密接かつ永続するつながりによって、経済的に活気あり、戦略的に安定し,政治的に自由な中欧と東欧を推進すること”だとされている。CEPAの主要プログラムは“中欧と東欧の国々でのロシアによる偽情報を監視し、暴露することだ。”

実際、ミッチェル国務次官補は、その資金提供団体が、NATO、アメリカ国防省、全米民主主義基金、ロッキード・マーチン、レイセオン、ボーイング、BAEシステム、ベル・ヘリコプターを含む主要巨大軍事企業であるワシントンの反ロシア・シンクタンク出身者なのだ。 特に、ロシア国営のRTによるCEPAへの資金提供情報記事の後に、連中のウェブサイトの、その部分は、サイバー涅槃へと消滅したように見える。

ロシア嫌いのミッチェルが、野党指導者ニコル・パシニャンとの接触を認めているのに加えて、駐アルメニア・アメリカ大使リチャード・ミルズ、元在イラクアメリカ大使館“首席民主主義顧問”(原文通り) ウクライナ同様に、アルメニアを、ロシアから離脱させ、アメリカ勢力圏に引き込むのを支援するべく、ミルズをエレバンに転勤させたとされるビクトリア・ヌーランドのおかげで、その地位にある。電気料金の16%値上げを巡る失敗した2015年のカラー革命抗議行動を引き起こしたアルメニアのヴォロタン水力発電複合体をアメリカ企業への販売を仲立ちする上で、ミルズは、重要な役割を演じたとされている。アメリカが資金提供するNGOは、電気料金値上がりの主な理由は、ガスプロムがアルメニア・エネルギー市場を支配しているロシアのせいだと主張した。抗議行動は当時ソーシャル・メディアのハッシュ・タグ#ElectricYerevanを使って広められた。

今回は、あらゆることが、遥かに精巧なアメリカ・カラー革命のリメイクを示唆している、今回は、42歳のジャーナリストで、パシニャンの以前の反政府活動で投獄経験もあるつわもの、信頼できそうに見える指導者を用意している。パシニャンは、首相になったら、アルメニアをロシアのユーラシア経済連合から離脱させるつもりはないと慎重に宣言している。5月1日、彼はこう宣言した。“ロシアは戦略的に重要な同盟国と考えており、我々の運動は、これを脅威とは見なさない…[首相として]もし私が選ばれたなら、アルメニアは、ユーラシア経済連合と、集団安全保障条約のメンバーであり続ける。”

現段階で、ニコル・パシニャンの気休めの言葉にもかかわらず、アルメニアでの出来事は、当面直接とれる選択肢は限定されているモスクワにとっては決して良いニュースではないことは明らかだ。

なぜアルメニアなのか?

アルメニアは、1991年のソ連崩壊以来、戦略的に極めて重要なモスクワの同盟国だ。アルメニアは、二つの敵対的国家-アゼルバイジャンとトルコと国境を接している。他の隣国に、イランとジョージアがある。2003年に、アメリカがカラー革命を仕組み、親NATOのミヘイル・サアカシュヴィリを権力の座に据えて以来、ジョージアの状況は不安定で、アルメニアが、主要貿易相手国で投資国であるロシア依存から国を引き離すと固く決めている指導者の影響を受けるようなことになれば、ある種の内戦になりかねない。

既に、アゼルバイジャンでは、大喜びで、そのような結果を期待する声が上がっている。5月1日、アルメニア議会が、パシニャンを首相とする投票を拒否した際、アゼルバイジャン議員Gudrat Hasanguliyevは、アルメニアの状況は内戦になりかねないと警告した。彼は、アゼルバイジャンは、内戦を住民の大多数がアルメニア人である分離主義のナゴルノ・カラバフを奪回する好機として利用する準備をしておくべきだと主張した。

1994年、アメリカが支援するアゼルバイジャン軍と、アルメニアとの間のナゴルノ・カラバフ飛び地をめぐる戦争終結をロシアが仲立ちして以来、停戦は不安定だ。2016年に、アゼルバイジャン軍が、撤退を余儀なくされる前に、ナゴルノ・カラバフ軍事占領を試みて一時、停戦が破られた。

現時点のあらゆる証拠が、アルメニア国内の不満につけこみ、ロシアとユーラシア経済連合を弱体化させようとする、少なくとも、アルメニアに不穏と混乱を生み出すアメリカのNGOと国務省の汚い手が入ってきることを示唆している。もし、そうであれば、間もなく明らかになるだろう。

F. William Engdahlは戦略リスク・コンサルタント、講師で、プリンストン大学の政治学学位を持っており、石油と地政学に関するベストセラー本の著書で、これはオンライン誌“New Eastern Outlook”への独占寄稿。

記事原文のurl:https://journal-neo.org/2018/05/03/what-s-washington-really-doing-in-armenia/
----------

三国サミット。三人の解放。

日刊IWJガイド・番組表「【米「イラン核合意」離脱】 きな臭さが一挙に高まったのはネタニヤフ首相によるイラン核兵器開発の『証拠』公表から! 最大の関心事はトランプ大統領がどう動くかに!!/史上初の米朝首脳会談を前に、日中韓の3ヶ国首脳が東京に集結! 中国メディアはビジネスサミットを重視!? 韓国メディアは3ヶ国の交流促進に軸足!? 日本人拉致問題は理解された?/『平和か戦争か!? 運命の前夜の韓国へIWJ記者を特派! 十夜配信シリーズ特集・第六夜〜「戦争のない世界」アキ・アン氏、「開かれた軍隊のための市民連帯」パク・ソクジン氏〜連続インタビュー』を午後6時より配信します!」2018.5.10日号~No.2065号~

2018年5月 5日 (土)

イランを不安定化させるのに通貨戦争を利用するワシントン

2018年4月21日
F. William Engdahl

アメリカ大統領を取り巻くネオコンタカ派、とりわけ新たな国家安全保障担当のトップ 、ジョン・ボルトンと、国務長官に指名されたマイク・ポンペオは、イランは、ワシントンにとって、政権転覆あるいは、少なくとも経済制裁や混乱の標的だと公言していることが知られている。言説は口先だけではない。アメリカの威嚇によって 他の調印国によって反対されたが、イランを到底耐えられない深刻な経済危機におち入れるはずの動きである、イラン核合意を5月に更新しない下地は準備されつつある。

ここ何週間、イラン通貨はつるべ落とし状態で、闇市場でのドル買いパニックを引き起こし 国内危機を悪化させている。トランプが5月にイラン核合意を更新しない、新たな公式経済制裁を始めると威嚇しているが、ワシントンの主要同盟国サウジアラビアとUAEによって、リアルを弱体化させる汚いゲームが行われていることを、証拠が示している。

2017年12月、国中で弱い経済と高い失業を問題にした抗議行動の波が起きた。そこで、当初、外国による介入のせいだと非難して(確かにそれはあった)、何千人も逮捕した後、政府は、経済不満は正当なもので、対処する必要があることを認めることを強いられた。アメリカが引き起こした2009年の緑の革命未遂以来、最大の抗議行動だった。欧米経済制裁解除にもかかわらず、2017年の14%という全面的インフレや、25%という若者の失業に、穏健派ハサン・ロウハーニーの政府は、この経済状況に対処すると誓った。

通貨戦争開始

抗議行動は次第に下火になった。しかしながら、現在起きていることは、イランの安定にとって遙かに危険だ。それは、ワシントンが仕掛ける見え透いた金融戦争だ。現時点では、1979年のホメイニ革命以来、リアルが最低に下落する中、ドルを得ようとする必死の取り組みで、リアルの投げ売りに走っているイラン国民のバニックを含む、通貨戦争という形をとっている。

最近のリアル下落の引き金になったのは、次の四半期毎の決定が行われる5月12日に、イランの核協定遵守を認定“したくない気分”だという、トランプ大統領による声明だった。1月に、トランプ大統領が核協定を署名承認した際、イランの弾道ミサイル計画や、シリア戦争における重要な勢力、ヒズボラ支持を止めることを含む、ヨーロッパとイラン間の根本的改善が合意されない限り、承認しないと彼は威嚇した。

2月に、リアルは、アメリカ・ドルに対し下落し始めた。その時点の報道は、ワシントンとサウジアラビアの親密な同盟国UAE内の銀行が、石油生産と輸出が、経済制裁の部分的解除以来、大幅に増加した事実にもかかわらず、イラン石油支払い処理を意図的に遅らせたというものだ。イランの貿易収支は黒字だ。昨年イランは、500億ドルの石油と400億ドルの石油以外のものを輸出し、500億ドルの商品とサービスを輸入した。石油生産は、経済制裁のピーク時、2012年の260万バレル/日から、380万バレル/日へと大幅に増加した。

最新の化学兵器使用という偽りの主張を巡るアメリカ-イギリス-フランスによる対シリア爆撃の数日前、イランの自由両替市場で、リアルは下落しつつあった。4月11日には、1ドル、60,000リアルだった。昨年9月には、1ドル、36,000リアルだった。現在、急激な下落を制御しようとする必死の動きで、ロウハニは、公定相場と私的相場の二重体制を終わらせるよう動き、相場を公式中央銀行相場とまとめて、1ドル、42,000リアル。リアルは、為替管理前の二週間で、20%下落した。

シリア爆撃

現時点では、4月14日のシリア標的 に対する違法なアメリカ-イギリス-フランス爆撃準備中の主要目的が、現在のロシア、シリアと特にイランとの関係の中に、状況を一気に変えるものを仕込むことだったことは明らかだ。現在、トランプの政策と、イスラエルでネタニヤフのリクード党政権を支配しているネオコンの狙いは、イランをシリアから追い出すことだ。爆撃の翌日、4月15日、アメリカ国連大使で、露骨なネオコンのニッキ・ヘイリーは、フォックス・ニューズに、アメリカは、以下の三条件が成立した場合に、シリアから撤退すると述べた。“化学兵器使用停止、ISISの完全打倒、イラン監視”。要するに、アメリカ軍は、現時点では、シリアでの長期駐留を計画しているのだ。

最近の爆撃にもかかわらず、今や、1999年のベオグラード作戦に沿って、いかなる時点でも、アメリカが支援するシリア国内のテロ集団が、新たな遥かに破壊的なシリア爆撃を正当化するための次の偽旗化学兵器攻撃を行う舞台が準備されたのだ。“イラン監視”という言葉で、彼女は一体何を意味していたのだろう?

ルサルや他のロシア企業に対する新たな過酷な経済制裁や、近年のルーブル下落や、スクリパリの神経ガス悪ふざけという欺瞞的なイギリス諜報情報、そして、それに続く同様に欺瞞的なホワイト・ヘルメットによる偽旗グータ化学兵器攻撃の主張との組み合わせによる明らかな結果の一つは、シリア内のイラン軍事駐留に対するロシアによる支持を“軟化させる”ことだった。4月13日、シリア空爆を国民に発表する演説の中で、トランプはこう宣言した。“今夜、犯罪的なアサド政権を支援し、機器を与え、財政援助をする上で、最も責任がある二つの政府にも言いたいことがある。イランとロシアにだ” 彼はそこで、ロシアに焦点を当てた。“ロシアは、この暗黒の道を下り続けるつもりなのか、それとも、安定と平和の勢力として文明諸国に加わるのかを決断しなければならない(原文のまま).”

エネルギー・ニュースレターのOilprice.comによれば、イランの通貨状況は、アメリカの主要同盟国サウジアラビアとUAEによる、イラン石油輸出によるドルの本国送金を妨害する意図的な措置で悪化しつつある。イラン中央銀行総裁のヴァリオッラ・セイフはこう述べた。“我が国境外の敵たちは、様々な姿で、この状況をあおり、国民にとって、状況を悪化させるため色々画策している。”

アメリカ財務省経済制裁再開?

どの標的が攻撃されたのか、されなかったのかとは無関係に、アメリカが率いたシリア爆撃画策で、新たな対イラン経済制裁の劇的なエスカレーションと、2009年には不可能だった、本格的な不安定化のプロパガンダ用の舞台は今や準備されている。

とにかく、ワシントン側で、姿を現しつつあるのは、対イラン経済・金融制裁の新たな波を解き放つ準備だ。

シリア攻撃二日前の4月12日、スティーヴン・マヌーチン財務長官は、アメリカは多国間イラン核合意から脱退しないと主張しながら、イランに対して経済制裁を再度課する可能性は存在するとアメリカ議会に述べた。下院聴聞会で、マヌーチンは述べた。“もし大統領が、あれ(権利放棄)に署名しないと決めても、必ずしも合意から離脱することを意味するわけではない。意味するのは、一次制裁と二次制裁が復活するということだ。”ヨーロッパ外交官が、たとえドイツやフランスやイギリスが合意に残ると決めても、アメリカによる経済制裁の威嚇ゆえに、欧米企業はイランから撤退するだろう”オフレコでロイターに述べた。これはイランを包囲する壊滅的経済防疫線だ。

マヌーチンは更に述べた。“極めて強力な”対イラン経済制裁が可能だ。“もし大統領が、承認に署名しなければ、経済制裁が復活する”とマヌーチンは述べた。“一次制裁と二次制裁はイラン経済に大きな影響があるはずと思うし、大統領は、決定に当たって、これを考慮、考量するだろう。” vii 近年 アメリカ財務省は、国家安全保障会議の一部となっており、“プーチン・オリガルヒ”と彼らの企業を標的にしたもののような”悪魔的な新“賢明な経済制裁”を語るようになっている。

マヌーチンは、議会に、財務省は、核合意とは全く独立に、経済制裁で動いていると語り、イランの核開発計画と全く無関係で、むしろ、イランそのものを、経済的に機能不全にしたり、不安定化したりする狙いという秘密を暴露した。主要ロシア企業に対するアメリカ財務省の最新の経済制裁を子細に見れば、ワシントンは、標的とした国に経済制裁を課すのに、もはや、いかなる真面目なやり方であれ、正当化する必要がないほど大胆になっているのは明らかだ。今や、良きトランプ氏と、お友達によって“この暗黒の道を下り続けるつもり”だと判断され、非難されるだけで犯罪とされるのに十分なのだ。

2012年、オバマ政権財務省は、欧州連合諸国に圧力をかけ、欧州連合が、ベルギーを本拠とするSWIFT、国際銀行間通信協会に、中央銀行を含めイラン銀行との全ての銀行間credit linesを切断させ、イランが石油や他の輸出品でドルを稼ぐ能力に壊滅的打撃を与えた。これは未曾有のことで、SWIFT回線が、2016年の核合意後に再度接続されるまで、四年間続いた。

アメリカ財務省が、一次制裁と二次制裁を今にも“パチンと”復活させるとを話している以上、ワシントンには、SWIFT回線を切断するため、EUに再び圧力をかける計画をしている連中がいることは明らかだ。ただし今回、“正当化の理由”は、アメリカやイギリスやフランスの駐留と違い、正当なシリア政府の要求を受けたイランのシリア駐留だ。

弱体化されたイラン経済の状態を考えると、イランの敵-ワシントン、サウジアラビアとイスラエルが、イラン経済に巨大な損害と混乱をもたらすには、いずれにせよ大変に困難な軍事攻撃は不要なはずだ。1989年に、ユーゴスラビアで、アメリカが経済危機引き起こした時のように、ワシントンが、イランを分裂させ、混乱を広めようとして、全米民主主義基金やソロス財団支配下の偽民主主義NGOを再度解き放つ可能性も高い。

現時点で明らかなことは、ワシントンとロンドンが、連中の戦争行為を正当化するための、国際的な法の支配順守の装いを、すっかりかなぐり捨ており、イランが、事実上の通貨戦争で、何カ月も、弱体化させられた後、壊滅的な新経済戦争に直面しつつあることだ。5月12日以降、中東の状況は実に醜いものになりかねない。これは、中国のユーラシア一帯一路構想、新経済シルク・ロードと、ロシアとの経済協力重要なリンクであるイランを標的にするものだ。もしこれが成功すれば、次は、ロシアや中国攻撃が視野に入るのは確実だ。もしこれらユーラシアの主要戦略的列強が、経済、政治と軍事のレベルで、相互協力を強化し損ねれば、ワシントンがライバルたちを打倒し、争う余地のない唯一の超大国覇権となるのが、樽の中の魚に網を投げるように簡単なことになりかねない。これは世界平和の見通しにとって、決して良いことではあるまい。

F. William Engdahlは戦略リスク・コンサルタント、講師で、プリンストン大学の政治学学位を持っており、石油と地政学に関するベストセラー本の著書で、これはオンライン誌“New Eastern Outlook”への独占寄稿。

記事原文のurl:https://journal-neo.org/2018/04/21/washington-using-currency-war-to-destabilize-iran/

-----------

「セクハラ罪という罪はない」とのたまう御仁、拝顔するたび「パワハラの権化」と勝手に思っている。

やはり、サウジアラビアも核合意離脱を支持。

日刊IWJガイド「<本日のインタビュー>本日14時30分より『子宮頸がんワクチン被害者と向き合う!「HANS(HPVワクチン関連神経免疫異常症候群)の問題は現在の医学・医療に対する告発だ」岩上安身による横浜市立大学名誉教授 横田俊平医師インタビュー』をお送りいたします/サウジアラビアもイラン核合意から離脱する米国を支持!シーア派抑圧の思惑でイランに向けて『圧力外交』が進行中!」2018.5.5日号~No.2060号~

2018年4月12日 (木)

トランプの対中国貿易戦争の深い狙い

2018年4月8日
F. William Engdahl
Strategic Culture Foundation

ワシントンの貿易に関する最近の動きは、EUや他の貿易相手国ではなく、はっきりと中国を狙ったものだ。しかしながら、狙いはアメリカに対する中国輸出を減らすことではない。狙いは、中国が断固抵抗している、ワシントンによる自由市場リベラル改革で、中国経済を根本的に開放することだ。ある意味で、中国をこじあけるために別の手段を用いる1840年代英米アヘン戦争の現代版だ。中国の経済主権を維持する中国構想は、ワシントンのそれと真っ向から対立する。それゆえ習近平は屈伏しようとせず、エスカレーションするという最近のトランプの恫喝は、不安定な国際金融体制を大きく不安定化させる危険性がある。

中国の将来の経済について、基本的に二つの相反する構想が存在するのだが、これこそワシントン攻撃の真意なのだ。一つは、欧米、特にアメリカ多国籍企業に命じられた条件で、経済開放するよう、中国に強いるものだ。もう一つの構想は、今後七年間で、中国の巨大な経済を、世界の主要ハイテク国家に変身させることを狙って、習近平の一期目に導入された、困難ながら北京が本気で考えているものだ。これは習近平の一帯一路構想の背後にある不可欠なビジョンでもある。

「中国2030」

2013年、ロバート・ゼーリックが総裁だった時期に世界銀行と共同で中国が作成した文書を遵守するよう、ワシントンは中国に強制すると堅く決めているのだ。その文書「中国2030」は、中国に根本的市場改革を完了するよう要求している。文書にはこうある。“中国が、活発な民間部門が、成長を駆動する上で、より重要な役割を演じる… 健全な基盤がある、市場を基盤とした体制を発展させることが必須である…”当時、中国財政部(財務省)と国務院が署名した報告書は、更に“中国の対世界政策は、開かれた市場、公正と平等、互恵的協力、グローバル的一体感なと、持続可能な発展という、少数の主要原則によって律されるべきだ”と宣言している。

何十億ドルもの中国製品に対して輸入税を課する現在のワシントン戦略について、ネオコンの元トランプ移行チーム顧問で、中国専門家のマイケル・ピルズベリーはサウス・チャイナ・モーニング・ポストにこう語った。“最終目標は、中国が共同報告書に書かれている通りに、経済の根本的改革を完了することだ”と世界銀行のゼーリック・中国2030年報告書に言及した。

…対 「中国製造2025年」

この報告書で注目すべき点は、それが習近平支配体制開始時に刊行されたもので、初期中国の産物と言えることだ。主席の座について間もなく、習は現在の一帯一路構想にあたる、ロシア、南アジア、中東と東アフリカの一部を含む全ユーラシアに統合された経済空間を作り出す、野心的な何兆ドルにのぼる高速鉄道と深水港の産業インフラ・プロジェクトを発表した。習近平が、新経済シルク・ロードと呼ばれるものを公表してから二年後、彼の政権は世界銀行の物とは全く異なる国家経済戦略文書を公表した。それは「中国製造2025年」という題だった。

文書は、中国が、ライセンスを受けて、アップルやGM用に組み立てる技術の経済という初期段階から、自分の技術で自給自足するよう呼びかけている。アップルやサムスンのライバルとなる中国の携帯電話会社、華為技術(Huawei)の劇的成功がその好例だ。中国 2025年は、1871年以降、“メイド・イン・ドイツ”のもとドイツで行われたと同様に、発展を支持するための戦略なのだ。わずか30年のうちに、ドイツの製造業者は、低品質の立場から最高品質水準の一つとなったのだ。中国はこのモデルを周知している。

中国経済制裁は、アメリカ合州国通商代表部(USTR)によって書かれている。約200ページのUSTR最初の報告書は、中国の知的所有権軽視、外国企業に対する差別や、“不当に”中国企業にてこ入れする優遇産業政策の実施を非難して、彼らが、中国の不公正な貿易慣行と呼ぶ物をはっきりと攻撃している。このUSTR報告書は、深い戦略としてトランプの関税が変えさせることを狙っている『中国製造2025年』の名前を挙げている。

「中国製造2025年」は、中国製の高速鉄道技術、航空機、電気自動車、ロボット、AI技術や他の無数の最先端技術を輸出する、超一流のハイテク経済に転換するための現在の青写真だ。これはある意味で、韓国が必要な国家指導によって、労働集約産業段階から始まり、付加価値連鎖を上がり、ハイテク産業に至った1950年-1980年の韓国モデルを手本にしている。既に人口不均衡の始まりに直面している中国は、この新しい産業基盤モデルを発展させなければ、競争力を失い、経済低迷に直面することがわかっているのだ。これは、外国技術と投資への依存から、重要な分野で自立することを意味している。「中国製造2025年」の大半は、ドイツの産業生産をデジタル時代と融合させることを目指すドイツの“インダストリ4.0”の中国による徹底的な研究に基づいている。「中国製造2025年」は代替技術によって、“自給自足”を実現し、重要なハイテク産業における世界的“製造業超大国”になることを狙っている。

“…蛇の心臓を刺す”

習近平がアメリカの圧力に屈し、ワシントンの要求に合わせて経済を開放するよう期待しての、この最近のワシントンの対決姿勢は、高くつきすぎる賭けだ。これは中国の経済戦略を危うくするだけではない。習近平が酷く面子を失うことにもなり、彼として望ましいことではない。国営共産党メディアの最近の見出しが、雰囲気を現している。人民日報のトップ記事は宣言している。“勇敢に刀の鞘を払い、対決する勇気を持って、蛇の心臓を刺すのだ…” 記事はこう続く。“貿易戦争はアメリカの低所得消費者や産業労働者や農民…トランプの主要支持者たちを傷つける。”

実際、ワシントンの最近の貿易一斉砲撃は、国家が、いかなる重要な役割も演じることが許されず、決定的権力が多国籍大企業エリートに握られているアメリカ版のグローバル化されたリベラル世界内に止まれと、中国に言うのが狙いだ。任期制限を無くして立場を強化し、毛沢東以来これまでの中国指導者の誰にもなかったほど役割を強化した習近平にとって、中国が、経済主権で、外国の圧力に屈することだと考えるものに逆戻りするなどとんでもない。2008年の金融危機以来の年月、私は個人的に中国での無数の議論で確認しているが、中国は、アメリカ合州国を、1873年以降のイギリス帝国と良く似た衰退しつつある覇権国と見なしているのだ。1990年代後のアメリカ“唯一の超大国”に対する、多極世界の代案を準備すると、中国は固く決意している。最近の中国とロシアとの緊密なつながりには、金備蓄を裏付けにした通貨、欧米のSWIFTの代替体制、南シナ海や他の場所におけるアメリカのあらゆる潜在的脅威に対する軍事防御の準備も含まれている。この視点からして、中国新国防大臣魏鳳和の最初の海外出張が、ロシア国防大臣と会談し、二つのユーラシア大国の緊密なつながりを、ワシントンに知らせるものだったことは注目に値する。中国は、アメリカを、債務が制御不能になった旧産業大国で、その“自由市場”モデルは、世界は言うまでもなく、アメリカでも明らかに失敗したと見ている。

北京の公式新聞Global Times(環球時報)紙の4月3日論説は、中国は世界銀行の狙いに屈伏したり、戻ったりするつもりは皆無だと言っている。“ワシントンは世界に対し、威信を実証したかったのだが、不幸なことに賭けは大はずれだった。アメリカの支配層エリート全員が、力と実行力を買いかぶっていたのだ。”と主張している。論説は更に続く。“アメリカが、ワシントンのエリートが描いている覇権を再構築するのは不可能だ。グローバリゼーションと民主主義が覇権の基盤を傷つけ、アメリカは必要な力と意思と内部結束に欠けている。実際アメリカは、中国などの主要諸国は言うまでもなく、イランや北朝鮮の制圧が困難なことに気がついたのだ。ワシントンは帝国として世界を支配することはできない。”

中国が野心的な一帯一路構想をこれまで実行する上で、間違いが無かったわけではない。これは、60以上の国々や文化が経済的に協力する、おそらく、あらゆる世界史の中で最も遠大なプロジェクト。中国は過ちから学んでいて、事業の展開に合わせて、修正しているように見える。これまでの所、ワシントンは、参加するようにという直接の招待に対し、ドアをピシャリと閉めて答え、今は国家による産業政策モデルを撤回するよう、中国に強制しようとして、過酷な貿易関税制裁を押しつけている。

これはやアメリカ経済の勝利では終わらないという結論を避けることは困難だ。最近のエスカレーションに対する膨れ上がったアメリカ株式市場の反応が、2008年よりも遥かに深刻な金融危機を引き起こしかねないアメリカ株式市場最大の投機バブルを破裂させる危険を、大統領がおかしているのを示唆している。こうしたこと全てが古いことわざを思いおこさせる。ガラスの家で住むものは、石を投げてはならない。 つまり『人を呪わば穴二つ』。

トランプは、貿易戦争ではなく、ワシントン版のアメリカ率いるグローバル化経済、対 国家主権を確保した上での経済発展という中国構想との対立を始めると決めたのだ。現在、中国、ロシア、イランや、アメリカが率いるグローバル化の狙いは、自国の将来に災いを及ぼすことを理解したハンガリーやオーストリアのようないくつかのヨーロッパ諸国との間で意見の相違が広がりつつあるのを目にしているのだ。この相違は、世界地政学における最も重要な地殻構造上の断層線であり、世界が新たな不況に陥るのか、それとも、中国とロシアのユーラシア協力というインフラを中心にした成長と拡大のモデルを開発することになるのかを決めることになるだろう。

アメリカ経済はそのような対立で決して勝てる状況になく、習近平も屈伏するまい。これは酷いことになりかねない。中国は極めて慎重な抑制した動きで対応している。

最新のペンタゴン戦略政策文書、2018年国防戦略は、中国とロシアを、アメリカ“国家安全保障”にとって主要脅威だと、はっきり明記しており、アメリカ自身のそうした行為を棚にあげて、体制のルールを自分に有利に経済政策に都合良く利用する“略奪的経済”(原文通り)だと中国を非難している。もしトランプが本当にエスカレートすれば、「中国製造2025年」に書かれている中国経済モデルを守るために、たとえ経済的苦痛を伴おうとも、中国は明らかに、何であれ必要なことをする用意ができているのだ。

F. William Engdahlは戦略リスク・コンサルタント、講師で、プリンストン大学の政治学学位を持っており、石油と地政学に関するベストセラー本の著書で、これはオンライン誌“New Eastern Outlook”への独占寄稿。

記事原文のurl:https://journal-neo.org/2018/04/08/trump-china-trade-war-has-deeper-agenda/
----------

スクリパリの娘、警察経由で、いとことは会いたくないと発表したという。なんとも奇怪。

昨日の国会討論、「弁慶の立ち往生」という言葉を思い出した。攻撃を全身で受け、矢ではりねずみのようになり、立ったまま死んだという話。

「内弁慶の立ち往生」

日刊IWJガイド・番組表「本日15時15分『安倍一強』崩壊へのカウントダウン開始か!? 相次ぐリークに制御不能の安倍政権にとどめを刺すか『森友問題』! 岩上安身による立憲民主党逢坂誠二衆院議員インタビュー!/民進と希望、5月上旬にも新党結成で合意! 民進・杉尾議員は立憲民主へ! 小沢自由党代表は『全野党結集でなければ』と不参加!/<本日の再配信>本日20時『パレスチナ問題の背景に隠されたイスラエルによる「大災厄(ナクバ)=民族浄化」の歴史と今なお続く現実を暴く! 岩上安身による東京経済大学准教授・早尾貴紀氏インタビュー 第一弾(前半)』
/『岩上安身によるインタビュー』人気コンテンツDVD化総選挙~現在投票受付中! ぜひリクエストをお願いいたします!」2018.4.12日号~No.2037号~

より以前の記事一覧

その他のカテゴリー

911事件関連 | Andre Vltchek | Eric Zuesse | Finian Cunningham | GMO・遺伝子組み換え生物 | ISISなるもの | James Petras | John Pilger | Mahdi Darius Nazemroaya | Mike Whitney | Moon of Alabama | NATO | NGO | Pepe Escobar | Peter Koenig | Prof Michel Chossudovsky | Saker | Stephen Lendman | Thierry Meyssan | Tony Cartalucci | TPP・TTIP・TiSA・FTA・ACTA | Wayne Madsen | WikiLeaks | William Engdahl | wsws | アフガニスタン・パキスタン | アメリカ | アメリカ軍・基地 | イスラエル | イラク | イラン | インターネット | インド | ウォール街占拠運動 | オバマ大統領 | オーウェル | カナダ | カラー革命・アラブの春 | ギリシャ | クリス・ヘッジズ | サウジアラビア・湾岸諸国 | シェール・ガス・石油 | ソマリア | ソロス | チベット | チュニジア・エジプト・リビア・シリア・アルジェリア | テロと報道されているものごと | トヨタ問題 | トランプ大統領 | トルコ | ノーベル平和賞 | パソコン関係 | ヒラリー・クリントン | ホンジュラス・クーデター | ポール・クレイグ・ロバーツ | マスコミ | ユダヤ・イスラム・キリスト教 | ロシア | 中南米 | 中国 | 中央アジア | 二大政党という虚構・選挙制度 | 伝染病という便利な話題 | 北朝鮮 | 地球温暖化詐欺 | 地震・津波・原発・核 | 宗教 | 憲法・安保・地位協定 | 授権法・国防権限法・緊急事態条項 | 新冷戦 | 新自由主義 | 日本版NSC・秘密保護法・集団的自衛権・戦争法案・共謀罪 | 旧ユーゴスラビア | 映画 | 書籍・雑誌 | 東ヨーロッパ・バルト諸国 | 東南アジア | 無人殺戮機 | 田中正造 | 英語教育 | 読書 | 通貨 | 選挙投票用装置 | 難民危機 | 麻薬とされるマリファナについて

お勧め

  • IWJ
    岩上安身責任編集 – IWJ Independent Web Journal

カテゴリー

ブックマーク

無料ブログはココログ