William Engdahl

2018年4月12日 (木)

トランプの対中国貿易戦争の深い狙い

2018年4月8日
F. William Engdahl
Strategic Culture Foundation

ワシントンの貿易に関する最近の動きは、EUや他の貿易相手国ではなく、はっきりと中国を狙ったものだ。しかしながら、狙いはアメリカに対する中国輸出を減らすことではない。狙いは、中国が断固抵抗している、ワシントンによる自由市場リベラル改革で、中国経済を根本的に開放することだ。ある意味で、中国をこじあけるために別の手段を用いる1840年代英米アヘン戦争の現代版だ。中国の経済主権を維持する中国構想は、ワシントンのそれと真っ向から対立する。それゆえ習近平は屈伏しようとせず、エスカレーションするという最近のトランプの恫喝は、不安定な国際金融体制を大きく不安定化させる危険性がある。

中国の将来の経済について、基本的に二つの相反する構想が存在するのだが、これこそワシントン攻撃の真意なのだ。一つは、欧米、特にアメリカ多国籍企業に命じられた条件で、経済開放するよう、中国に強いるものだ。もう一つの構想は、今後七年間で、中国の巨大な経済を、世界の主要ハイテク国家に変身させることを狙って、習近平の一期目に導入された、困難ながら北京が本気で考えているものだ。これは習近平の一帯一路構想の背後にある不可欠なビジョンでもある。

「中国2030」

2013年、ロバート・ゼーリックが総裁だった時期に世界銀行と共同で中国が作成した文書を遵守するよう、ワシントンは中国に強制すると堅く決めているのだ。その文書「中国2030」は、中国に根本的市場改革を完了するよう要求している。文書にはこうある。“中国が、活発な民間部門が、成長を駆動する上で、より重要な役割を演じる… 健全な基盤がある、市場を基盤とした体制を発展させることが必須である…”当時、中国財政部(財務省)と国務院が署名した報告書は、更に“中国の対世界政策は、開かれた市場、公正と平等、互恵的協力、グローバル的一体感なと、持続可能な発展という、少数の主要原則によって律されるべきだ”と宣言している。

何十億ドルもの中国製品に対して輸入税を課する現在のワシントン戦略について、ネオコンの元トランプ移行チーム顧問で、中国専門家のマイケル・ピルズベリーはサウス・チャイナ・モーニング・ポストにこう語った。“最終目標は、中国が共同報告書に書かれている通りに、経済の根本的改革を完了することだ”と世界銀行のゼーリック・中国2030年報告書に言及した。

…対 「中国製造2025年」

この報告書で注目すべき点は、それが習近平支配体制開始時に刊行されたもので、初期中国の産物と言えることだ。主席の座について間もなく、習は現在の一帯一路構想にあたる、ロシア、南アジア、中東と東アフリカの一部を含む全ユーラシアに統合された経済空間を作り出す、野心的な何兆ドルにのぼる高速鉄道と深水港の産業インフラ・プロジェクトを発表した。習近平が、新経済シルク・ロードと呼ばれるものを公表してから二年後、彼の政権は世界銀行の物とは全く異なる国家経済戦略文書を公表した。それは「中国製造2025年」という題だった。

文書は、中国が、ライセンスを受けて、アップルやGM用に組み立てる技術の経済という初期段階から、自分の技術で自給自足するよう呼びかけている。アップルやサムスンのライバルとなる中国の携帯電話会社、華為技術(Huawei)の劇的成功がその好例だ。中国 2025年は、1871年以降、“メイド・イン・ドイツ”のもとドイツで行われたと同様に、発展を支持するための戦略なのだ。わずか30年のうちに、ドイツの製造業者は、低品質の立場から最高品質水準の一つとなったのだ。中国はこのモデルを周知している。

中国経済制裁は、アメリカ合州国通商代表部(USTR)によって書かれている。約200ページのUSTR最初の報告書は、中国の知的所有権軽視、外国企業に対する差別や、“不当に”中国企業にてこ入れする優遇産業政策の実施を非難して、彼らが、中国の不公正な貿易慣行と呼ぶ物をはっきりと攻撃している。このUSTR報告書は、深い戦略としてトランプの関税が変えさせることを狙っている『中国製造2025年』の名前を挙げている。

「中国製造2025年」は、中国製の高速鉄道技術、航空機、電気自動車、ロボット、AI技術や他の無数の最先端技術を輸出する、超一流のハイテク経済に転換するための現在の青写真だ。これはある意味で、韓国が必要な国家指導によって、労働集約産業段階から始まり、付加価値連鎖を上がり、ハイテク産業に至った1950年-1980年の韓国モデルを手本にしている。既に人口不均衡の始まりに直面している中国は、この新しい産業基盤モデルを発展させなければ、競争力を失い、経済低迷に直面することがわかっているのだ。これは、外国技術と投資への依存から、重要な分野で自立することを意味している。「中国製造2025年」の大半は、ドイツの産業生産をデジタル時代と融合させることを目指すドイツの“インダストリ4.0”の中国による徹底的な研究に基づいている。「中国製造2025年」は代替技術によって、“自給自足”を実現し、重要なハイテク産業における世界的“製造業超大国”になることを狙っている。

“…蛇の心臓を刺す”

習近平がアメリカの圧力に屈し、ワシントンの要求に合わせて経済を開放するよう期待しての、この最近のワシントンの対決姿勢は、高くつきすぎる賭けだ。これは中国の経済戦略を危うくするだけではない。習近平が酷く面子を失うことにもなり、彼として望ましいことではない。国営共産党メディアの最近の見出しが、雰囲気を現している。人民日報のトップ記事は宣言している。“勇敢に刀の鞘を払い、対決する勇気を持って、蛇の心臓を刺すのだ…” 記事はこう続く。“貿易戦争はアメリカの低所得消費者や産業労働者や農民…トランプの主要支持者たちを傷つける。”

実際、ワシントンの最近の貿易一斉砲撃は、国家が、いかなる重要な役割も演じることが許されず、決定的権力が多国籍大企業エリートに握られているアメリカ版のグローバル化されたリベラル世界内に止まれと、中国に言うのが狙いだ。任期制限を無くして立場を強化し、毛沢東以来これまでの中国指導者の誰にもなかったほど役割を強化した習近平にとって、中国が、経済主権で、外国の圧力に屈することだと考えるものに逆戻りするなどとんでもない。2008年の金融危機以来の年月、私は個人的に中国での無数の議論で確認しているが、中国は、アメリカ合州国を、1873年以降のイギリス帝国と良く似た衰退しつつある覇権国と見なしているのだ。1990年代後のアメリカ“唯一の超大国”に対する、多極世界の代案を準備すると、中国は固く決意している。最近の中国とロシアとの緊密なつながりには、金備蓄を裏付けにした通貨、欧米のSWIFTの代替体制、南シナ海や他の場所におけるアメリカのあらゆる潜在的脅威に対する軍事防御の準備も含まれている。この視点からして、中国新国防大臣魏鳳和の最初の海外出張が、ロシア国防大臣と会談し、二つのユーラシア大国の緊密なつながりを、ワシントンに知らせるものだったことは注目に値する。中国は、アメリカを、債務が制御不能になった旧産業大国で、その“自由市場”モデルは、世界は言うまでもなく、アメリカでも明らかに失敗したと見ている。

北京の公式新聞Global Times(環球時報)紙の4月3日論説は、中国は世界銀行の狙いに屈伏したり、戻ったりするつもりは皆無だと言っている。“ワシントンは世界に対し、威信を実証したかったのだが、不幸なことに賭けは大はずれだった。アメリカの支配層エリート全員が、力と実行力を買いかぶっていたのだ。”と主張している。論説は更に続く。“アメリカが、ワシントンのエリートが描いている覇権を再構築するのは不可能だ。グローバリゼーションと民主主義が覇権の基盤を傷つけ、アメリカは必要な力と意思と内部結束に欠けている。実際アメリカは、中国などの主要諸国は言うまでもなく、イランや北朝鮮の制圧が困難なことに気がついたのだ。ワシントンは帝国として世界を支配することはできない。”

中国が野心的な一帯一路構想をこれまで実行する上で、間違いが無かったわけではない。これは、60以上の国々や文化が経済的に協力する、おそらく、あらゆる世界史の中で最も遠大なプロジェクト。中国は過ちから学んでいて、事業の展開に合わせて、修正しているように見える。これまでの所、ワシントンは、参加するようにという直接の招待に対し、ドアをピシャリと閉めて答え、今は国家による産業政策モデルを撤回するよう、中国に強制しようとして、過酷な貿易関税制裁を押しつけている。

これはやアメリカ経済の勝利では終わらないという結論を避けることは困難だ。最近のエスカレーションに対する膨れ上がったアメリカ株式市場の反応が、2008年よりも遥かに深刻な金融危機を引き起こしかねないアメリカ株式市場最大の投機バブルを破裂させる危険を、大統領がおかしているのを示唆している。こうしたこと全てが古いことわざを思いおこさせる。ガラスの家で住むものは、石を投げてはならない。 つまり『人を呪わば穴二つ』。

トランプは、貿易戦争ではなく、ワシントン版のアメリカ率いるグローバル化経済、対 国家主権を確保した上での経済発展という中国構想との対立を始めると決めたのだ。現在、中国、ロシア、イランや、アメリカが率いるグローバル化の狙いは、自国の将来に災いを及ぼすことを理解したハンガリーやオーストリアのようないくつかのヨーロッパ諸国との間で意見の相違が広がりつつあるのを目にしているのだ。この相違は、世界地政学における最も重要な地殻構造上の断層線であり、世界が新たな不況に陥るのか、それとも、中国とロシアのユーラシア協力というインフラを中心にした成長と拡大のモデルを開発することになるのかを決めることになるだろう。

アメリカ経済はそのような対立で決して勝てる状況になく、習近平も屈伏するまい。これは酷いことになりかねない。中国は極めて慎重な抑制した動きで対応している。

最新のペンタゴン戦略政策文書、2018年国防戦略は、中国とロシアを、アメリカ“国家安全保障”にとって主要脅威だと、はっきり明記しており、アメリカ自身のそうした行為を棚にあげて、体制のルールを自分に有利に経済政策に都合良く利用する“略奪的経済”(原文通り)だと中国を非難している。もしトランプが本当にエスカレートすれば、「中国製造2025年」に書かれている中国経済モデルを守るために、たとえ経済的苦痛を伴おうとも、中国は明らかに、何であれ必要なことをする用意ができているのだ。

F. William Engdahlは戦略リスク・コンサルタント、講師で、プリンストン大学の政治学学位を持っており、石油と地政学に関するベストセラー本の著書で、これはオンライン誌“New Eastern Outlook”への独占寄稿。

記事原文のurl:https://journal-neo.org/2018/04/08/trump-china-trade-war-has-deeper-agenda/
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スクリパリの娘、警察経由で、いとことは会いたくないと発表したという。なんとも奇怪。

昨日の国会討論、「弁慶の立ち往生」という言葉を思い出した。攻撃を全身で受け、矢ではりねずみのようになり、立ったまま死んだという話。

「内弁慶の立ち往生」

日刊IWJガイド・番組表「本日15時15分『安倍一強』崩壊へのカウントダウン開始か!? 相次ぐリークに制御不能の安倍政権にとどめを刺すか『森友問題』! 岩上安身による立憲民主党逢坂誠二衆院議員インタビュー!/民進と希望、5月上旬にも新党結成で合意! 民進・杉尾議員は立憲民主へ! 小沢自由党代表は『全野党結集でなければ』と不参加!/<本日の再配信>本日20時『パレスチナ問題の背景に隠されたイスラエルによる「大災厄(ナクバ)=民族浄化」の歴史と今なお続く現実を暴く! 岩上安身による東京経済大学准教授・早尾貴紀氏インタビュー 第一弾(前半)』
/『岩上安身によるインタビュー』人気コンテンツDVD化総選挙~現在投票受付中! ぜひリクエストをお願いいたします!」2018.4.12日号~No.2037号~

2018年2月24日 (土)

レバノンは次のエネルギー戦争の場となるのか?

F. William Engdahl
Global Research
2018年2月15日

新たな地政学的対立が中東で起きつつあり、しかもイスラエルとシリア、あるいはイランとの間だけではない。ここでの大半の紛争同様、炭化水素資源-石油とガスを巡る戦いがからんでいる。新たな焦点は両国間の排他的経済水域の正確な画定を巡るイスラエルとレバノン間の紛争だ。現在の主要当事者は、イスラエルとレバノン政府に加え、ロシア、レバノンのヒズボラ、シリア、イランと、陰に潜むアメリカだ。シリア国内のイラン基地、あるいはヒズボラcampsとされるものに対する最近のイスラエル攻撃は、イランから、シリアを経由し、レバノン国内のヒズボラ本拠インフラへの陸路を阻止するイスラエルの狙いと密接につながっている。全体の状況は、誰も、少なくとも、ほぼ誰も、望んでいない醜悪な広範な戦争をもたらす可能性がある。

2010年、地中海における石油とガスの地政学は大きく変化した。これはテキサス州の石油会社ノーブル・エナジーが、東地中海のイスラエル沖合で、ここ十年で世界最大のガス田発見の一つ、巨大な天然ガス埋蔵、いわゆるリバイアサン・ガス田を発見したことによる。同じテキサス州の企業が後にイスラエルのリバイアサン・ガス田近くで、キプロス沖合海域で、Aphroditeと呼ばれる膨大なガス資源を確認した。最近まで、レバノン国内での政治停滞とシリアでの戦争が、潜在的な海底ガスと石油を、レバノンが積極的に開発するのを妨げていた。今それが変化しつつある。変化とともに、イスラエルとレバノン間の緊張は高まりつつあり、ロシアは極めて大胆な形で、レバノンに関与しつつある。

2月9日、ベイルートでの公式式典で、レバノンのミシェル・アウン大統領とともに、トタル、ENIとロシアのノヴァテクのトップが、レバノンの排他的経済水域(EEZ)と主張している沖合地域における石油とガス掘削の最初の協定に署名した。この催しは、レバノンは、“どう見ても我々のものである”ガス田に対する国際集団の入札募集をしたと発言し、レバノンの採掘入札を“非常に挑発的”だと言うイスラエルのアヴィグドール・リーベルマン国防大臣による激しい攻撃を招いた。

レバノンのエネルギー入札は、地中海地域における全く新たな政治的計算をもたらしているロシアとレバノン間の劇的な新防衛関係という背景の中で行われた。

レバント海盆の富

東地中海における約8年の海洋探査後、現時点で明らかなのは、この地域が炭化水素に溢れているということだが、これはイスラエルもレバノンもこれまでは見出せなかったものだ。レバノンにとって、自国天然ガス資源開発は文字通り、天の賜物のはずだ。1975年内戦以来、レバノンは停電に悩まされてきた。ピーク需要が発電量を大きく超えるので、レバノンは毎日停電を味あわされている。国産ガスも石油もないので、レバノンは高価なディーゼル燃料を輸入しなければならず、年間約25億ドルの経済損失がある。レバノンはGDPの約145%の負債を抱え、世界で最も債務の多い国の一つだ。シリア戦争とレバノン国内の政治的停滞が、レバノンの沖合エネルギー開発を今日に至るまで凍結していた。

近年、イギリス企業スペクトラムが、レバント海盆のレバノン沖合部分で、三次元地震波を含む地球物理調査を実施し、レバノン海域には、25兆立方フィートもの経済的に採掘可能なガスがあると推計した。これらのガス田の開発はレバノン経済全体を変えることになろう。これまで、シリアでの戦争とレバノン内の政治停滞が沖合地域における採掘を妨げていた。

見込みは非常に有望で、フランスの巨大企業トタル、イタリアのENIと、ウラジーミル・プーチンに近い私営石油企業ロシアのノヴァテックが率いる国際コンソーシアムが掘削権入札に名乗りをあげた。コンソーシアムのリーダー、トタルは、最初の油田は、来年、紛争になっていない部分、第4ブロックで掘削し、二番目の油田は、部分的にイスラエルが領有権を主張している地域にあたる第9ブロックの予定だと発表した。トタルは素早く、第9ブロックの掘削は、イスラエルが主張している係争中の地域から24キロ以上離れた場所で行うことを明らかにした。それにもかかわらず、イスラエルは掘削に激しく反対している。レバノンは、10のブロック中のうち三つの縁沿い、約330平方マイルの海の三角地帯を巡って、イスラエルとの未解決の海上国境紛争を抱えている。

ヒズボラとイスラエル間のロシアという緩衝?

地域のエネルギー資源を巡る紛争の可能性を考えれば、レバノンが、沖合資源開発への大手ロシア石油企業ノヴァテックの参加を歓迎する中、ロシア政府が、ロシア国防省に“協調のための包括的枠組み”を含むレバノン軍との軍事協力協定を準備するのを承認したのは単なる偶然ではない。枠組みは、合同軍事演習やロシアによるレバノン港湾や飛行場利用を含むと報じられている。

ロシア-レバノン協力には“防衛手段に関する情報交換と国際的安全保障能力の強化、対テロ協力活性化、幹部訓練、軍事演習や軍隊構築分野での協力強化、IT専門知識交流、両国軍隊間の協力メカニズムの確立”も含まれていると報じられている。要するに重要なものだ。

これは、今や恒久的なシリア内のロシア軍基地-フメイミム空軍基地と、地中海のタルトゥース・ロシア海軍基地に加えて、約束が破られ、ワシントンの信頼性が下落する中、不安定な地域において、継続中の和平調停者、または仲裁者としての恒久的な役割を確立するためのロシア側の重要な動きだ。このロシア-レバノン合意は、ネタニヤフの欲しい物リストには決して含まれてはいない。2月10日以来のシリア領空内での劇的なイスラエル攻撃は、レバノンのヒズボラを維持できる、ここ数カ月で出現し始めた事実上のイラン-シリア-レバノン補給線を粉砕しようという、イスラエルの先を見越した決定を示しているように見える。

イスラエル、プーチンに、ヒズボラについて警告

もし新たなイスラエル-レバノン-シリア武力戦争が起きるとすれば、レバノン沖海域の潜在的な石油やガス資源だけを支配するための戦争ではないはずだ。イランが支援するシーア派政党で、民兵で、シリア戦争では、バッシャール・アル・アサドとロシア側についている主要当事者のレバノン・ヒズボラが本当の標的のはずだ。レバノン が沖合地域でガス開発に成功すれば、レバノン経済安定化に大きく貢献し、高い失業を緩和し、ネタニヤフが考えているように、イラン寄りのヒズボラを、主要な安定化要素として、権力の座に皿に定着させることになる。

最近のシリア国内へのイスラエル攻撃よりずっと前、イスラエル・マスコミ記は、英語版エルサレム・ポストの最近の“レバノンのヒズボラとの戦争にイスラエルが備えができている5つの理由”のような挑発的な見出しを載せていた。昨年9月、イスラエル国防軍はヒズボラとの衝突をシミュレーションする軍事演習を行った。イスラエル軍部隊は防衛姿勢から攻撃姿勢に切り替え、南レバノンの地形を念頭に置いた演習を実施した。

昨年11月、サウジアラビア皇太子で将来の国王ムハンマド・ビン・サルマーンが、突然、事前に準備された辞任声明を読むよう、レバノン首相サード・ハリーリーをリヤドに呼びつけて、レバノンのヒズボラに対してあり得るイスラエル戦争の第二戦線が議題に上がった。声明で、ヒズボラが、イエメン国内の反サウジアラビア部隊支持と、アサドを支持してのシリア関与を止めない限り、サウジアラビアは、カタールにしたような厳しい経済制裁をレバノンに科する用意があると、ハリーリーは警告した。経済的に困窮しているレバノン経済は、湾岸で働いている約400,000人のレバノン人からの年間80億ドル送金に依存しているので、これは壊滅的だ。

昨年9月、ネタニヤフのリヤド秘密訪問後、現時点で、イスラエルのネタニヤフは、ワシントンを背後にして、あからさまに、サウジアラビア皇太子ビン・サルマーンと同盟し、イランと、シリアやレバノンとイエメンにおけるイランの影響力に反対している。

トランプ政権が、イランに対する増大する敵意を宣言し、極めて挑発的に、エルサレムをイスラエルの首都として一方的に承認し、今回は、レバノン沿岸海域に対する領土権の主張を口実にワシントンによって背後から、最前列では、サウジアラビアによる経済制裁に支援されているイスラエルの第三次レバノン戦争用の前提条件は、中東全体での遥かに広範な戦争へとエスカレートする可能性があるはずだ。現時点で、レバノンに、手強い軍事プレゼンスと、エネルギー・プレゼンスを配備して、ロシアは、この新たな中東戦争に対する唯一の障壁なのかも知れない。

イスラエルのダマスカス攻撃の劇的エスカレーションと、1982年以来始めてのシリアによるイスラエルF-16戦闘機撃墜と、シリアの標的に対するイスラエルの不釣り合いな反撃は、地域全体がどれほど一触即発状態かを示唆している。ガッサン・カディが、Sakerブログでの地域の優れた分析で最近こう書いている。“シリアとイスラエル間の最近のエスカレーションは、より大きな戦争の前兆ではない。誰も戦争を望んではいない。彼ら全員、自分たちが受けかねない被害を承知しているので今の所は。シリアの防空能力を試し、何より中東で本当の力の均衡を作り出そうとするロシアの決意・決心を試すため、イスラエルは瀬踏みをし続けている。”本記事執筆の時点では、イラン無人機侵入と、シリアが否定しているイスラエルF-16撃墜とされるものを、ロシアとイランのあり得る反応を探るための試験探針作業を行う口実として、イスラエルが利用しているように見える。

ロシアが、これらの勢力を封じ込め、全面戦争を避けられるかどうかはまだ明らかではない。ロシアがレバノンとの軍事協力協定に署名すると決定し、同時に主要ロシア・エネルギー企業がレバノン沖合での石油とガスの掘削権を獲得したのは時の弾みの決断ではない。これは世界の中でも最ももつれた地域の一つにおける計算されたチェスの手だ。人類の幸福のために、ロシアが戦争権益を押さえるのに成功するよう願おうではないか。

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F. William Engdahlは戦略リスク・コンサルタント、講師で、プリンストン大学の政治学学位を持っており、石油と地政学に関するベストセラー本の著書で、これはオンライン誌“New Eastern Outlook”への独占寄稿。

記事原文のurl:https://journal-neo.org/2018/02/14/will-lebanon-be-the-next-energy-war/
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国会討論、売国与党の茶番質疑はほとんど聞いていない。音声を消して、野党のまともな質疑だけまっている。

オリンピック後こそ気になる。狂った宗主国支配層、何をするかわからない。「地球上で最も残虐で抑圧的な体制の中心人物だ」とだと非難する御仁、天に向かって唾をはいて、自分のことを告白しているに過ぎない。それをたれ流す大本営広報部。

会社再編などで苦労していた後輩が、出社せず、自宅で亡くなっていたのが発見されたのは数年前。亡くなる前に仲間と飲んだ際、つらい様子をわらいながら語っていたのを覚えている。彼も一種の過労死だろうと思っている。

日刊IWJガイド・番組表「野党が『働き方改革』断念を要求、与党は応じない構え!野党と市民は集会開催、過労死遺族は『明らかに命が奪われる法律、見過ごせない』と憤り!/本日20時より【籠池夫妻の不当な長期勾留に反対! 許すな!人質司法!シリーズ特集・タイムリー再配信 第3弾】『死に瀕する過酷な取り調べを激白!小堀隆恒・元枚方副市長と佐藤栄佐久・元福島県知事が2010年岩上安身司会のシンポジウムで検察の闇を証言していた!』を再配信!/落語家・桂春蝶氏の『日本での貧困は自己責任』ツイートに批判の声~岩上安身『残業代ゼロでも死ぬまで働け』などの社会的圧力と同調することに大いなる懸念」
2018.2.24日号~No.1990号~

2018年2月17日 (土)

不確実化するヨーロッパのエネルギー地政学

2018年2月9日
F. William Engdahl

ヨーロッパのエネルギー地政学と、EUエネルギー供給安全保障は極めて不確かになりつつあり、議論を引き起こしている。一体誰がEU市場への天然ガスの主要供給者になるのかを巡る最近の展開が進んでいる。世界最大の天然ガス市場の一つであるEUで市場を求める激化する競争での主役には、ロシア、ノルウェー、アゼルバイジャン、カタールと、最近では、LNGタンカーでのシェール・ガスというアメリカがある。この混戦の中、1960年代以来、EUへのガスの主要供給国であるオランダが、オランダ最大のガス田の生産を大幅に削減すると決定した。

1月27日、ワルシャワでの、ポーランドのモラヴィエツキ首相との悪意ある会談中、アメリカ国務長官でエクソンモービルの元CEO、レックス・ティラーソンは、あからさまにこう発言した。“ポーランド同様、アメリカ合州国はノルド・ストリーム 2 パイプラインに反対だ。これはヨーロッパ全体のエネルギー安全保障と安定性を損なうものだと考えている。” これは、現在ノルド・ストリームIで、北ドイツに輸送されている既存のガス容量を倍増させるため、バルト海で、ロシアのガスプロムによって建設されつつある二つ目の海底ガス・パイプラインのことだ。ノルド・ストリーム IIは、 550億立方メートルのロシア・ガスをドイツ経由で輸送する予定だ。

ポーランドのマテウシュ・モラヴィエツキ首相は記者会見で、ロシアのノルド・ストリーム II パイプライン完成時に、経済制裁を課するようアメリカ大統領を説得して欲しいとティラーソンに強く促したと述べた。モラヴィエツキ首相はこう述べた。“我々はノルド・ストリーム2について話し合った。ノルド・ストリーム 2 パイプライン建設を、対ロシア経済制裁を含んでいる、アメリカ経済制裁法の対象にして欲しい。”

二つのノルド・ストリーム パイプラインは、政治的に不安定でロシア嫌いのウクライナ経由のロシア・ガスの流れの途絶を避けるよう意図的に考えられている。2017年6月、アメリカ大統領が、EUによるアメリカ・シェール・ガスLNG輸入を推進するため、ワルシャワで劇的登場をし、トランプがポーランドに、遥かに高価なアメリカLNGに頼るべきだと説得して、ポーランドはアメリカLNGの最初のタンカー出荷を受け取った。アメリカはポーランドや他の国々に、t反ロシアの雰囲気が強いブリュッセルに、ガスプロムとの交渉を引き継ぐよう要求しろと圧力をかけている。少なくともこれまでは、ドイツ国内の商業問題だと主張し、ドイツは拒んでいる。昨年11月 ポーランド国営ガス会社PGNiGは、英米エネルギー集団のセントリカLNG社と、2018年-2022年、ロシア供給への依存を止めるための計画の一環として、アメリカ合州国から8隻のLNG出荷を受ける中期契約に署名した。

現在、ポーランドは、その大半の天然ガスをロシアから得ているが、ガスプロムとの契約が2022年に満了する際、ポーランドは、カタールとアメリカからのLNGと、ノルウェーのガス輸入に切り替える計画だ。その過程で、ドイツのノルド・ストリーム IIを阻止するのは、ポーランドとドイツ間の緊張と、EU全体の経済的不安定を激化させることになる危険性の高い冒険だ。

最大のEUガス田は削減が必要

ポーランドによる、ノルド・ストリーム IIを阻止するためのアメリカ経済制裁要求は、控えめに言っても、折り悪い時期に行われた。2月2日、オランダのガス監督官庁、鉱業監督庁が、オランダの巨大なグローニンゲン・ガス田でのガス生産は、地震の危険を最小化するため出来るだけ早急に現在の生産の半分、最大12 Bcm/年に減らすべきだと述べた。最近の地震は現地の家々に大きな被害を引き起こしている。これは最近の2014年生産のわずか25%だ。政府は、ガス田は四年以内にガスを生産できなくなるだろうと言っている。

グローニンゲン・ガス田は世界最大の天然ガス田の一つで、1960年代から、生産している。シェルと、ティラーソンが働いていた企業エクソンモービルが共同で操業しているので、アメリカ国務長官は現実を十分承知している。生産の大幅削減はEUのガス難問を暴露している。

NATOと欧州委員会による 絶え間ないプロパガンダ集中砲火は、ロシア・ガス輸入に対するEUの依存を攻撃しているが、ドイツや他のEU産業集団は、ノルド・ストリームを高価なアメリカLNGや他の輸入ガスに対する安定した低価格な代案だとして強く支持している。公式EU Eurostatによれば、EU-28カ国の天然ガス輸入のロシア比率は、34.6 %から26.8 %に減少した 2005年から2010年の間に。現在、it約29%総輸入. NATO加盟国ノルウェーが、二番目に大きな供給国で、約26%だ。アルジェリアとカタールもその他の供給国だ。

EUガスの代替供給元は?

EU28加盟国のためのロシア・ガスの本格的な安定した経済的な代案は限定されている。アメリカ・シェール・ガスLNG輸入は、受け入れ施設と、再ガス化設備などのインフラがあっても、特殊なLNGタンカー輸送の経費からして、パイプライン経由のロシア・ガスより遥かに高価だ。ポーランドは、昨年6月のアメリカLNGに対して、ロシア・ガスと比べて、50%もの割り増しを払わざるを得なかったと推測されている。ポーランドが現在、ソ連時代のガス・パイプラインからウクライナ経由で得ているロシア・ガスは心もとない。昨年夏、ウクライナ・エネルギー相イーゴル・ナサリクが、ウクライナは、ガス輸送システムの状態が劣化しているため、ロシア・ガスのヨーロッパへの送付を保障できなくなることを認めた。ウクライナの経済的混乱を示して、ナサリクは、ウクライナの国営石油ガス会社ナフトガスを、ウクライナのガス輸送システムへの投資を拒否していると非難した。いずれにせよ、既存のガスプロム-ナフトガス契約は、2019年12月に満了するが、ロシアは更新しないと宣言している。その頃には、EU エネルギー状況が変化していようが、さもなくば、EUは供給の危機に直面する。

LNGタンカーによるアメリカ・シェール・ガスの限られた可能性はさておき、ブリュッセルで検討されているEUガス輸入需要を満たすロシア・ガスの他の選択肢は更に危うい。

ロシア・ガスに対する一つの代案で、この理由で欧州委員会にも支持されている選択肢はアゼルバイジャン南ガス回廊、ワシントンにも支持されているプロジェクトで、ガスを、BPのシャーデニス海洋カスピ海ガス田から、アゼルバイジャン、ジョージア、トルコを経由するパイプラインで、ギリシャ、アルバニアやイタリアや南ヨーロッパに送るものだ。このプロジェクトは、420億ドルという驚くような経費がかかる、約2,200マイル、3,500キロものパイプラインが必要だ。比較すると、ノルド・ストリームIIは、経費が約95億ドルで、ジョージアのように政治的に不安定な国々や、現在EUと大いにもめているトルコに依存していない。トルコ経由で、ギリシャ国境に至るガスプロムのトルコ・ストリーム・ガス・パイプラインの日程は、政治的理由から、EU承認が不確実だ。

シャーデニスIIのアゼルバイジャン・ガス・プラットフォームは、2020年までに、トルコに年間60億立方メートルを供給する契約をしている。シャーデニスの第二段階は、2020年からガスを、ギリシャ、ブルガリアとイタリアを含むEU諸国に供給するが、2024年-25年までに、年間160億立方メートルのピークに達すると予想されている。EUへのアゼルバイジャン・ガスは、現時点では、ガスプロムのトルコ・ストリーム・プロジェクトに対する重要な対抗策だ。シャーデニスIIの主要運営者BPは、2020年からヨーロッパ企業に総計年間100億立方メートル供給契約。ジョージアとトルコへの最初のガスは2018年末に開始される予定だ。

アゼルバイジャン・ガス・オプションは、アゼルバイジャンがロシアから奪い去り過ぎた場合、ガスプロムが巨大な市場支配力と豊富なガス埋蔵量を使って、高価なアゼルバイジャン・シャーデニスII ガスに価格戦争をしかける危険に直面している。“ガスプロムは、理論的に、アゼルバイジャン・ガスや他のガスが、ヨーロッパ市場にアクセスするのを阻止するためだけに、大量の原価割れ天然ガスを、トルコとギリシャを通る輸送インフラに供給することができる”とアメリカを本拠とするGeopolitical Futuresのロシア・エネルギー専門家アントニア・コリバサヌは語っている。ロシアは年間、5000億立方メートルのガスを生産し、毎年1610億立方メートル、EUガスの34%を供給している。ガスプロムによれば、ロシアには推計24兆立方メートルの天然ガス埋蔵量がある。ロシアは世界最大の圧倒的なガス埋蔵量を保有している。

そしてイスラエルも?

2017年4月、EU幹部は、イスラエルとキプロスと協力して、ロシア・ガスの更にもう一つの代替案を探し求めた。イスラエル政府代表とキプロス代表が、EU幹部と昨年4月テルアビブで出会い、イスラエルとキプロス沖ガス田から、パイプライン経由でギリシャや更にEU市場に送るfいわゆる“東地中海パイプライン”開発を議論した。東地中海天然ガス (East Med) パイプラインは、イスラエルから始まり、キプロス、クレタ島とギリシャの上陸地点まで、海中で1,300キロ、808マイル、そして陸上で600キロ、373マイルも続く。欧州委員会は驚くべきことに、ロシアのノルド・ストリーム IIの代替案として、イスラエルEast Medパイプラインを支持すると発表し、EUエネルギー担当委員のスペイン人、ミゲル・アリアス・カニェテは、ロシアのものに対する地中海代替案に有頂天だ。ウオール街のゴールドマン・サックスとJPモルガンチェースは、巨大海洋ガス田業者、テキサス州を本拠とするノーベル・エナジーとともに建設に融資する用意かあると主張している。

East Medの計画は、パイプラインを、2025年までに完成し、年間160億立方メートルまでをギリシャと他のEU市場に送るものだ。これは最も長距離で、最も深い海底ガス・パイプラインの一つだ。ブリュッセルのノルド・ストリーム IIを、イスラエル ガスで置き換える夢には問題が一つだけある。経済的に採算がとれないのだ。現在、パレスチナと、EU諸国が承認を拒否している、エルサレムをイスラエルの首都とするアメリカの一方的な承認を巡って、EUとイスラエルの間で溝が広がりつつある事実はさておき、イスラエル・パイプラインの経済は、現在のガス市場で全く競争力がないのだ。NATOとつながる北大西洋理事会のエネルギー専門家、チャールズ・エリナス博士はこう述べている。“ノーベル社は、プラットフォームで、約4.50/mmBTU生産するが、パイプラインと液化とヨーロッパへの輸送経費を加えると、価格は常にヨーロッパ市場の価格帯を超えるだろう。ノーベル社は、プラットフォームでの価格を引き下げるわけにはゆかない。もしそうしたら、その安い価格をイスラエルの顧客にも提示しなければならなくなる。”

これは、東地中海における、巨大な政治的、地政学的緊張も考慮していない。イスラエルは、いまだ、そのような共同パイプラインに不可欠な、お互いの排他的経済水域を決めるキプロスとの正式合意をしていない。トルコは、キプロスのギリシャ領におけるガス掘削には猛烈に反対している。提案されている東地中海パイプラインのガス田のキプロス部分、アフロディテはキプロス-イスラエル排他的経済水域にまたがっている。誰がアフロディテのどの部分を所有しているのかの合意無しでは、開発計画を進めることはできない。イスラエルとキプロスは、六年間の交渉でも合意に達し損ねている。

EUに残されているのは、自分自身のエネルギー安全保障と経済を損ねてまで、安定して経済的なヨーロッパへのガス供給者ガスプロムを封じ込めるという愚かな政治的取り組みだ。シェールからのアメリカLNGを、ポーランドやリトアニアなど他のEU市場に売るというのは先に私が書いている通り、在来型ガスより遥かに早く枯渇するし、より高価な非在来型ガスのための手のこんだ詐欺だ。アゼルバイジャンのシャーデニスII南ガス回廊は、南ヨーロッパに非ロシア・ガスの一部を供給するが、現在の見通しでは、価格でも、量でも、EU市場でロシア・ガスに取って代わることは決してできない。EUエネルギー担当委員カニェテが主張するイスラエル-キプロス東地中海ガス・パイプラインの夢は財政的に実行可能ではない。

オランダがヨーロッパ最大の同国の巨大なグローニンゲン・ガス田からのガス生産削減を強いられる中、供給の妥当性こそが、いかなる犠牲を払ってもロシア・ガスを阻止するなどということより、EUの優先項目リストで上位にあるべきだ。2009年、EU諸国へのロシア・ガスを絶ったのは、ガスプロムではなく、ウクライナ国営ガス会社による違法行為だった。ロシアとEUのつながりを弱めるため、アメリカが吹き込んだ地政学的策略だった。東西緊張冷戦の最高潮時期でさえ、ガスプロムは一度たりともヨーロッパへのガス供給を中断していない。

F. William Engdahlは戦略リスク・コンサルタント、講師で、プリンストン大学の政治学学位を持っており、石油と地政学に関するベストセラー本の著書で、これはオンライン誌“New Eastern Outlook”への独占寄稿。

記事原文のurl:https://journal-neo.org/2018/02/09/europe-s-energy-geopolitics-is-getting-dicey/
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メダルの色やら数やら選手来歴は詳しく報じるが、労働者搾取法のためのエセ・データでっちあげについてはほとんど沈黙状態の大本営広報部。

運動神経が人並み外れて鈍い小生、オリンピックにほとんど関心がないが、若い血縁者全員、未来永劫搾取される労働者酷使最悪法には非常に強い関心を持っている。

「裁量労働制で働く人の方が一般労働者よりも労働時間が短い」というのを最初に聞いた時に、耳を疑った。労働時間を長くする手段で、そんな結果になるはずがない。

某掲示版を見ると、夜の国営放送はニュースではなく、民放昼バラエティにあたるという指摘があって納得。しかし、それのために金を取られている。

洞窟探検ドキュメンタリーは思わず見入ったが。

大政翼賛会は、籠池氏についても、ほとんど報じない。

孫崎享氏の今日のメルマガ題名を拝借しよう。

籠池氏をめぐる動きはあまりに醜い。後池氏は何の罪で、長期勾留か。仮に犯罪犯したとしても、違法受領額一千―二千万円程度、かつ返却済み。政治的勾留は誰の目にも明らかだろう。こんな日本に何時から成ったのだ。法曹界何故放置しているのだ。

日刊IWJガイド・番組表「『日本維新の会』公認・鈴木篤志市議、神戸山口組最大二次団体『山健組』所属疑惑――IWJが松井一郎大阪府知事に直撃質問『僕は会ったこともない』『その人が過去どういう人であったなんていうのは、どの政党であっても、人のすべてまで見透かすことは無理』と他人事のような無責任発言に終始/最高裁判決から3週間以上たっても官房機密費が開示されず!? IWJは原告団代表の上脇博之・神戸学院大学教授に直接取材!『安倍総理の「お気に入りメディア」に先にリークして報道させようとしているんじゃないか』との疑念も!」2018.2.17日号~No.1983号~

2018年1月18日 (木)

トランプのアフガニスタン政策は、タリバン、中国どちらが狙いか?

F. William Engdahl
2018年1月13日
New Eastern Outlook

ここ数カ月、アメリカ大統領は、アメリカ最長の戦争、アフガニスタンから撤退するというもう一つの選挙公約を覆し、逆に、更に3,000人の現地軍隊配備を始めた。同時に、彼はパキスタン政府を激しく攻撃し、アフガニスタン・タリバンを支援していると非難し、報復としてパキスタンへのアメリカの全軍事援助を止めると誓った。状況を子細に見ると、二つの動きはつながっており、タリバンやアフガニスタン・テロリストとは無関係であることがわかる。中国が率いる一帯一路構想の平和的建設という進行中の展開と、他の口実を利用して、こうした発展を阻止しようとするワシントンのに必死の取り組みが大いに関係している。

2017年6月、軍部との激しい議論後、益々成功しつつあるタリバン勢力に対処するため、アフガニスタン軍を更に訓練するためという表向きの理由で、トランプは、4,000人のアメリカ兵増派を承認した。12月には、ペンタゴンは大規模空爆作戦を行ったが、タリバンの麻薬製造所破壊を狙ったものだと言う。

パキスタン諜報機関ISIが、タリバンや、CIAが訓練し、アルカイダとつながるハッカニや他のテロ集団に国境を越えた避難所を提供して共謀していると主張して、トランプはパキスタンへの軍事援助を凍結した。パキスタン軍と諜報機関がタリバンや他のイスラム主義集団に対する支援を止めるよう強いるこめだとされている。彼の悪名高いツイートの一つで、アメリカ大統領はこう書いている。

    “アメリカ合州国は愚かにも過去15年間にわたり、パキスタンに援助として、330億ドル以上与えたのに、わが国の指導者を阿呆と考え、我々にはウソと欺瞞の見返りしかしない、…彼らは、アフガニスタンで我々が追跡しているテロリストに安全な隠れ家を与えて、何の役にもたたない。もうたくさんだ!”

パキスタン支援削減には、20億ドルの価値の機器と同盟国支援資金提供が含まれる。政権筋は、パキスタンの“主要な非NATOの同盟国”としての立場を剥奪したり、IMF借款の返却を要求したりすることを含め“あらゆる選択肢がありうる”と述べている。

アメリカの圧力の直接的な結果、パキスタン政府は、約140万人のアフガニスタン難民に丸一年の難民資格を自動更新せず、1月末までにアフガニスタンに帰国するよう命じた。これは、アメリカによる爆撃が三倍に強化されている国アフガニスタン全土に、事実上の新たな不安定化を生み出すことになる。

もう一つの隠れた狙い

実際、ワシントンが、アフガニスタンとパキスタン両国で行っていることは、カーブルに機能する政府を復活させたり、1980年代、アメリカが支援したアフガニスタンでの対ソ連軍アルカイダ戦争中、金のかかる十年戦争で訓練し、武器を与えたムジャヒディン傭兵を利用したCIAのサイクロン作戦で、かつてアメリカの緊密な同盟国だったパキスタンを安定化させたりすることとはほとんど無関係だ。

本当の狙いは地政学的なもので、一部ロシアとも協力し、アフガニスタンを安定化し、アフガニスタンを、パキスタンとともに、流れを一変させる一帯一路構想、複数の国家が関与する中国の数兆ドルの鉄道と深水港インフラ・ネットワークに加えようとしている中国の増大する影響力を直接狙ったものだ。経済的理由と、中国の新疆自治区アフガニスタンで、タリバンに訓練される中国のウイグル・イスラム教徒テロ集団を支配する狙いで、中国はアフガニスタンを、BRIの中国-パキスタン回廊部分に引き込むのに熱心だ。

中国、アフガニスタンを一帯一路構想に招待

実際、ワシントンがアフガニスタンにおける本当の民主主義構築に決して本気だったことはない。そうではなく、ワシントンの優先事項は、ユーラシアの奥深くに、中国とロシアを狙う事が可能なNATO基地を構築することだ。もう一つの利点は、タリバンや他の連中に世界最大のアヘン栽培を許し、マナス空軍基地からアメリカ軍航空機により、ヘロインを輸出し、ロシアや中央アジアにおいて、深刻な中毒問題を引き起こすことだ。

アメリカがアフガニスタンに対する関心を再び高めたのは、特に2014年アメリカ軍撤退後の、中国のイスラム教新疆自治区国境近くの過激イスラム・テロの温床縮小に経済発展を活用する中国によるアフガニスタン安定化の取り組み強化と符号する。

12月末、中国の王毅外務大臣は、中国とパキスタンは、570億ドルと推計される中国-パキスタン経済回廊、壮大な一帯一路構想の主要鉄道、道路、港湾とパイプライン回廊にアフガニスタンを含めることを期待していると発言した。彼はこう宣言した。

    “中国とパキスタンは、アフガニスタンとともに、双方に恩恵がある互恵の原則を基に、適切な手段を用いて、中国-パキスタン経済回廊をアフガニスタンにまで延長したいと考えている。”

これは、2001年のアメリカによるカーブル侵略以来、パキスタンとアフガニスタンが往々にして不和な地域全体の本格的安定化を示すこととなろう。一帯一路構想という文脈でのそのような安定は、この地域全体におけるアメリカ軍の影響力を酷く弱体化させよう。

カーブル現政府としては、中国の経済シルク・ロード・プロジェクトへの参加論議に極めて熱心だ。2017年10月、カーブルは、歴史上のシルク・ロード沿い都市市長の公開討論を主催し、中国プロジェクトに参加する可能性を話し合った。中国とパキスタンとアフガニスタンとの間で論議したプロジェクトの中には、ペシャワル-カーブル自動車道路、ランディ・コタル-ジャララバード鉄道、チャマン-スピンボルダック鉄道、クナール川水力発電ダム、トルクメニスタン-アフガニスタン-パキスタン送電線や、パキスタンのペシャワルから中央アジアへのアフガニスタン横断道路がある。これらのプロジェクトは、ロガール-トルハム鉄道とともに、中国-パキスタン経済回廊の一環だ。明らかに、これは果てしない戦争という現在のアメリカ戦略より遥かに安定した原動力を生み出すはずだ。

同時にアメリカのトランプ大統領は、アフガニスタンからタリバンを匿っているとされることを理由に、パキスタンへの支援を削減するとツイートし、パキスタン中央銀行が、最大貿易相手国中国との貿易で中国元決済を認めると発表したが、これはドル支配に対するもう一つの打撃だ。パキスタン政府としては、ワシントンからの圧力に対して、パキスタン国防相によれば、アメリカとのあらゆる軍事、諜報協力を停止して対応している。

近頃、ワシントンには、アフガニスタンやパキスタン国民に提供できる前向きなものはほとんどない。威嚇、更なる軍隊、支援削減は、これらの国々の関心を惹きつけられるものではない。経済発展、パキスタン、アフガニスタン、イランを結びつけるインフラ回廊構築、そしてトルコから中国、ロシア、一部のEU経済まで含め、全く新たな市場と産業を作り出す可能性以上に、より魅力的な進展はあり得ない。これを止めようとするのが、アフガニスタンにおけるワシントンの最近の軍事的方向転換と、タリバンにではなく、パキスタンに対する圧力の本当の背景なのだ。

F. William Engdahlは戦略リスク・コンサルタント、講師で、プリンストン大学の政治学学位を持っており、石油と地政学に関するベストセラー本の著書で、これはオンライン誌“New Eastern Outlook”への独占寄稿。

記事原文のurl:https://journal-neo.org/2018/01/12/is-trump-afghan-policy-aimed-at-taliban-or-at-china/

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昨日のIWJインタビュー、これから拝聴予定。

※【岩上安身のツイ録】「海水注入を止めたのは官邸指示」というデマ情報を流した東電、誤報を流した読売と産経、そしてデマ拡散を政治利用してきた安倍晋三氏らはこの機会に改めて謝罪と訂正し、菅氏の名誉回復を図るべき!
http://iwj.co.jp/wj/open/archives/409883

 インタビューは当初90分の予定でしたが、延長して2時間余りに。様々な内容がぎっしりつまった、充実のインタビューです! 見逃された方は、ぜひ以下のリンクからご覧ください!

※「私が海水注入停止を指示したことはない」「安倍総理は虚偽の情報を撒き散らして私を政権から引きずり降ろそうとした」――3.11当時、一体何が!? 菅直人元総理に岩上安身が訊く!
http://iwj.co.jp/wj/open/archives/409824

孫崎享氏の今日のメルマガ題名

拉致問題・蓮池透氏「安倍首相はこの5年間、“拉致問題は、安倍内閣の最重要課題”と国会で54回の発言、だが一ミリも動いていない。日本政府は核・ミサイル問題と拉致問題をヒモ付け。包括的解決圧力で北朝鮮が折れる? 希望的観測もいいとこ」

2017年11月25日 (土)

ロシアと中国、新たな経済地理を構築

2017年11月16日
F. William Engdahl

11月8日、ロシアの巨大採掘集団ノリリスク・ニッケルは、ロシア、ザバイカリエ地方、チタ郊外で、最先端技術のビストリンスキー採掘・加工工場の操業を開始したと発表した。このプロジェクトで注目すべき点は、中国の参加と、四年前、ビストリンスキーの膨大な銅と金と磁鉄鉱埋蔵は、いかなる市場にも接近しがたく、全く未開発だった事実だ。これは、ロシアと中国の緊密な協力、特に、以前、新経済シルク・ロードとして知られていた中国の一帯一路構想の結果、成長しつつあるユーラシア全体の経済地理変貌の一例だ。

ビストリンスキー採掘・加工コンビナートは、鉱石の総埋蔵量3億4300万トンと推計されている15億ドルのプロジェクトだ。この巨大プロジェクトは、ニッケルとパラジウムの世界最大の生産者で、プラチナと銅の最大生産者の一つノリリスク・ニッケルと、ウラジーミル・ポターニンが設立したロシアの天然資源基金、CIS天然資源基金と、中国のHighland Fundの共同所有だ。新しい採掘コンピナートは、ロシアのシベリア極東にある中国国境から鉄道で約400キロだ。

中国の参加は驚くべきことではない。中国は世界最大の銅輸入国で、大半の新たな鉱産物は中国へと向かうのだ。ユーラシアを横切る何千キロもの新たな高速鉄道建設を進める中国の一帯一路構想(BRI)は、銅や鉄鋼や鉄鉱石の大規模な需要増加を生み出している。新たなロシアの採掘プロジェクトには、道路、鉄道支線という全く新たなインフラ建設も含まれ、これはこれまで未開発の荒野だった場所での膨大なインフラだ。ロシア極東で最大の民間プロジェクトである鉱山は、2019年にフル稼働する予定だ。

アムール川に架橋

ロシアと中国の間で起きている経済地理変容のもう一つの例は、中国で黒竜江と呼ばれるアムール川の橋梁建設だ。新たな橋は、中国とロシアを、中国最北西の地域、哈爾浜と結ぶ。世界最大の国、ロシア連邦を横切る壮大な距離を理解するために言えば、アムール川橋は、チタ近郊の新たな中国-ロシア銅採掘コンビナートの約1000キロ東にある。

2019年に開通予定の新しい橋は、ロシアのユダヤ人自治州と中国の黒竜江省との間での貿易を促進する、長さ2km以上に及ぶ鉄道・道路橋という重要インフラ・リンクとなる。新たな橋の主な即効的恩恵は、香港のIRC Limitedが所有するユダヤ人自治州にあるキムカン露天掘り鉱山鉄鉱石の経済的輸送だ。鉄道部分には、標準軌(1435 mm)と、ロシア軌間(1520 mm)があり、自動車とトラック輸送用の2車線道路がある。

2016年、数年に及ぶ交渉の後、中国とロシアのパートナーの間の長年にわたる不信感を克服して、橋梁建設が始まった。橋は、新経済シルク・ロードの中国-モンゴル-ロシア経済回廊(CMREC)への輸送統合を可能にすることで、中国の巨大な一帯一路構想につながる。アムール橋は、黒河市と、アムールとゼヤ川が合流するロシア、アムール地区の行政の中心、ロシア極東の都市ブラゴベシチェンスクを結ぶ。橋は更に、ロシアのシベリア横断鉄道と、太平洋のロシア主要商業港、ウラジオストックとも接続予定だ。

黒竜江-ブラゴベシチェンスク橋は、2016年3月、中国に設立された黒竜江橋会社と呼ばれるロシア-中国ジョイント・ベンチャーで、ロシア内の子会社が六ヶ月後に設立された一つの会社が運営する。

中国-モンゴル-ロシア経済回廊

2014年、タジキスタン、ドゥシャンベでの会合で、 中国の習近平主席、ロシア ウラジーミル・プーチン大統領と、モンゴルのツァヒアギーン・エルベグドルジ大統領が、中国の一帯一路構想の六優先回廊の一つで、一帯一路構想の一部を形成する最初の多国間協力計画となる中国-モンゴル-ロシア経済回廊(CMREC)の創設に合意した。CMRECは、中国の一帯一路構想と、ロシアが提案しているユーラシア経済連合と、モンゴルのステップ・ロード計画を結び、地域経済統合を推進する。CMRECには、二本の主要交通大動脈がある。一本は、中国の北京-天津-河北地域から、フフホト市、更に、モンゴルとロシアに向かう。もう一本は、中国の大連、瀋陽、長春、哈爾浜と満州里から、新たな大規模ロシア-中国銅プロジェクトの現場であるロシアのチタにまで延びる。

ドルを使用しない中国-ロシア投資

9月、ウラジオストックで、CMREC三国のトップは、エネルギー資源、鉱物資源、ハイテク、製造業、農業と林業、サービス貿易を拡大するより緊密な協力と、教育、科学技術、文化、観光、医療と知的所有権での協力に合意した。これは冷戦緊張時に、酷く未開発で、お互いに孤立していた三国の地域の大転換を保証するものだ。

同じウラジオストックでの、第三次東方経済フォーラムの9月7日の会談で、中国は、1ロシアとの将来の地域経済協力プロジェクトに資金を供給する50億ドルの基金の設立を発表した。中国国務院副総理汪洋が、投資は製造業、資源開発、インフラ、農業と観光を対象にする予定だと述べた。

これに2017年7月、習近平のモスクワ訪問が続き、そこで両国は一帯一路とユーラシア経済連合構想の両方のものを含むロシア・プロジェクト用の人民元資金供給利用を可能にする新たな100億ドルの中国-ロシア人民元投資協力基金の設立を含む、一連の経済協力協定に調印した。中国海南でのプロジェクトは、文化・芸術への取り組みを優先分野として、産業・革新パーク、ハイテク医療、観光、社会インフラを開発するための50000万ドル(人民元換算値)投資を主張している。海南は、中国海のシルク・ロード・インフラの主要ポータルだ。

更に、ロシア-中国開発基金は、モスクワ北西の旧トゥシノ飛行場に、15億ドルに相当する投資総額で、ロステク・ビジネス・パーク、住民15,000人用のアパート、学校と診療所を含む巨大プロジェクトを開発中だ。開発には主要テナントの一つとして、ロシア国営企業ロステク社が関与しており、デベロッパーは、ロシアの投資会社Vi Holdingだ。

ロシアと中国の投資基金間で、ロシアのExport and FRC Internationalとともに、打开套娃(ダーカイタオワ) - 中国語で“マトリョーシカを開ける”ことを意味する商標名のプロジェクトをたちあげることにも合意した。プロジェクトの狙いは、遺伝子組み換えではない、生態学的に清潔なロシア農産物の更なる成長と中国市場輸出の促進だ。

しかも中国は、モスクワで、中国ICBC銀行を通して、人民元での決済サービスを提供する許可を、ロシアから得た。これにより、中国とロシアは、両国相互の経済投資で、ドル・リスクを効果的に回避する。

ユーラシアの国々全体に新たな経済地理を構築するこうした進展の全ては、2001年9月以来、ワシントンがやってきたことと全く対照的だ。ブラウン大学のWatson Institute of International and Public Affairsの新たな研究によれば、2001年以来、ワシントンは、アフガニスタンやイラクやシリアやパキスタンでの戦争に 、ペンタゴンが公式推計で主張している額の三倍以上、驚くべき5.6兆ドルを費やしてきた。

そうではなく、アメリカ合州国が、5.6兆ドルを、アメリカの朽ちた8兆ドルの道路、鉄道、水道、配電網のインフラ不足の再構築に使っていたらと想像願いたい- アメリカ人と世界にとって、一体どの様な向上だったろう。彼らは、世界にとって、本当に全員の利益になるロシア-中国による新興ユーラシア開発の平和的協力も想像できるはずだ。

F. William Engdahlは戦略リスク・コンサルタント、講師で、プリンストン大学の政治学学位を持っており、石油と地政学に関するベストセラー本の著書で、これはオンライン誌“New Eastern Outlook”への独占寄稿。

記事原文のurl:https://journal-neo.org/2017/11/16/russia-china-build-up-a-new-economic-geography/
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朝から晩まで、相撲暴行問題一辺倒。横綱の品格は問うが、首相の品格は問わない、品格と無縁の大本営広報部と茶坊主・太鼓持ち。
宗主国大統領が、羽田や成田でなく、横田に飛来し、アメリカ軍兵士への演説から、属国訪問を開始し、武器大量契約と、米日FTAについて話したことの方がよほど重大に思えるのだが。カエルの王国大本営広報部は、違う。

そこで、今朝の孫崎享氏メルマガのタイトルをコピーさせて頂こう。

高田昌幸著「なぜ記者は権力のポチになるのか」(「月刊日本」よりの転載) 現在の新聞報道の80%は当局の発表を伝える「発表報道」。メディアの役割は「権力監視」と言われるが、軍部を監視したことはないし、GHQを監視したこともない。

日刊IWJガイド・ウィークエンド版「年末『IWJ設立7周年記念ファンドレイジング・トークイベント』参加ゲストが続々決定! 2017年12月23日(土・祝日)はスケジュールの確保を!! 今年の会場は『六本木一丁目』駅直結の泉ガーデンタワー3階でアクセスも簡単」2017.11.25日号~No.1898号~

参加ゲスト、拝聴している衝撃的インタビュー登場の方々がずらり。

2017年11月 9日 (木)

ワシントンのクルディスタン計画を出し抜いたモスクワ

2017年11月4日
F. William Engdahl

一瞬、激動する中東における、ロシアによる3次元の地政学的チェスの動きが、独立クルディスタンを作り出すワシントンの計画を徹底的に破壊したかのように見える。9月、イラクのクルド人は、どうやらキルクーク内と周辺のイラク国内で最も豊かな油田のいくつかを支配するはずの独立クルディスタン創設に圧倒的多数で賛成したようだった。一ヶ月後の現在、アメリカとイスラエルが支援するクルド指導者、マスード・バルザニは、イラク・クルド議会での深刻な権力喪失に直面している。その結果が、中東を遙かに超え、決定的に重要な、急速に変わりつつある進展の中心にいるのは、ロシアとロシア国営巨大石油企業ロスネフチだ。

元議長マスード・バルザニと彼のクルディスタン民主党(KDP)を、欧米風民主主義の闘士であるかのごとく描き出す、アメリカとEUの巧みなプロパガンダとは逆に、バルザニは2014年まで、これらの人々が歴史的に暮らしていた油田地帯を支配するため、ヤズィーディー教徒とアッシリア人キリスト教徒少数派に対する民族浄化を冷酷に推進した部族軍閥リーダーだ。バルザニ一族と、その軍事部門ペシュメルガは、1960年代末初めに、イスラエル・モサドのTzuri Sagi中佐から、当初、サダム・フセインの支配と戦うために訓練を受けた。イスラエルとバルザニ一族とのつながりは、以来続いている。

その時以後、マスード・バルザニ一族は、暗殺、賄賂と、2014年以降は、トルコ経由でのイラク石油輸出を支配することで、ラクのクルド地域で独裁的権力を構築してきた。イラク・クルディスタン議長としての任期は2015年に切れ、クルド地域議会は更新を拒否したが、議会が召集され、彼を正式に追放するのを阻止して、以来いかなる法的根拠もなしに支配を続けてきたのがバルザニのマフィア権力の実態だ。マスードの息子が地域の安全保障会議と、全ての軍と民間の諜報機関を支配している。

イスラエルのネタニヤフのあからさまな支援を得て、世界中の大半からの強力な反対にもかかわらず、バルザニは、独立クルド国家の住民投票を強行した。これはラルフ・ピーターズ陸軍大佐による、2006年のArmed Forces Journal記事、“血の国境: より良い中東はどのような姿か”にある国境線に沿って中東全体の地政学的地図をドミノ式に描き換える始めになっていたはずだった。

イギリスとフランスが、第一次世界大戦中、1916年の秘密のサイクス-ピコ協定によって、崩壊するオスマン帝国の、石油豊富な土地を切り取って以来、クルド人として知られている民族は、イラン、イラク、シリアとトルコの国境で、意図的に分断された。一つのクルド国家を今作れば、地域全体、さらにはその外まで不安定化させるはずなのだ。様々なクルド人民族自身の間で、考え方は実に様々で、クルド語方言間の差異も、時に英語と現代ドイツ語と同じくらい大きな違いがある。政治的な差異も、同様に極めて大きい。

アメリカとイスラエルが、人口約2300万人の大クルディスタンの前身として、イラク国内に独立クルド国家を形成することに成功していればイラン、イラク、シリアからトルコに至る地域全体を、2003年に、サダム・フセインが大量破壊兵器を保有しているという偽の証拠をでっち上げて以来、ペンタゴン・ネオコンが涎がでるほど望んでいる実に巨大な戦争に陥れていたはずなのだ。

2003年の対サダム・フセイン戦争推進のためのロビーとして、アメリカ国内で、イラクでの戦争に対する国民の支持を煽り立てるため、でっち上げを利用するムーブ・アメリカ・フォワード(MAF)を作ったのと同じカリフォルニア州のPR会社、ルッソ・マーシ & ロジャースが、2005年以来、バルザニ一族が、キルクークの石油は独立クルディスタンの一部であるべきだという考え方をアメリカ国内で宣伝するのに起用していたPR会社だというのも興味深い。

一カ月後…

一カ月後、イラク・クルドの光景は一体どれほど変わっただろう。明らかに強力な反バルザニ派クルド人の支援を受けた電撃的な軍事行動で、バグダッドの軍が、2014年以来違法にバルザニの部隊に占領されていたキルクークと主要油田を奪回した。

これはつまり、バルザニとテルアビブの“独立”イラク・クルディスタンにとっての財政上の鍵、キルクークとバイハッサン油田の約120万バレル/日の石油収入が、もはやバルザニ・マフィアの手中にはないことを意味している。

2014年、何十万人ものヤズィーディー教徒やアッシリア人キリスト教徒を家から追い出して、バルザニ一派がキルクークの石油豊富な地域を支配して以来、アメリカの石油権益はバルザニが権力を強化するのを支援してきた。エクソンモービルのCEOとして、レックス・ティラーソンは、2014年以降、バグダッド政府に逆らって、アメリカによる独立した石油豊富なクルディスタン準備の明らかな一環として、シェブロンとともにイラクのクルド地域に、投資した。

当初、バルザニの、キルクーク石油を奪うための企てによって助長された、2014年以降のイラクとシリアに対するISISによる征服の混乱のさなか、バルザニ一族は、トルコ大統領エルドアンの家族と、石油をトルコ・パイプライン経由でイスラエルに売り、バルザニ一族が何十億ドルも稼ぐ違法取り引きをした。2015年8月、エルサレム・ポストは、77%ものイスラエル石油輸入が、クルド人が占領するキルクーク地域の、トルコのジェイハンから、イスラエルのアシュケロン石油港までのパイプラインによるものだと報じた。

バルザニの93%の独立賛成投票という大げさな宣言の後、イラク政府は、トルコやイランを含めた他の政府同様、投票は違法だと宣言した。バグダッドは素早く動き、イラク・クルド地域に経済制裁を課した。エルドアンのトルコは、クルド独立が、少数派とは言え、シリアとイラクの国境地帯の数多いトルコ・クルド人に広がるのを恐れ、クルド・パイプラインの流れを止めた。

最近亡くなったジャラル・タラバニの反政府派クルディスタン愛国同盟(PUK)とバグダッドは秘密交渉を行っていた。PUKは、住民投票に反対で、キルクークをほぼ支配していたのは、この兵士たちだった。

最近亡くなったジャラル・タラバニの息子バフェル・タラバニによれば、イラク軍が、イラク軍とシーア派のハシュド・アルシャービ民兵との共同作戦で、キルクーク奪還のために動こうとする直前、PUKが支配するペシュメルガ部隊を市から平和的に撤退させるバグダッドとの合意がまとまり、対話への道が開け、何千人もの命を救われた。結果に関する明らかな警告にもかかわらず住民投票を進めたバルザニの判断を、タラバニは“大失敗”と評している。

10月29日、イスラエルが支援した住民投票策略の完全な失敗を認めて、マスード・バルザニは、イラク・クルド地域(違法な)議長を辞任するつもりだと発表した。

ロシアの石油地政学G

ここ数ヶ月、イラクとシリア・クルド地域の地政学的エネルギー地帯での戦略的変動を起こしている、ほとんど目立たないながら、極めて重要な要素は、ロシア、具体的にはロシアの巨大国営企業ロスネフチだ。

9月25日のイラク・クルド人住民投票のすぐ後、多くの人々を驚かせて、協定調印の二日前、10月18日、筆者も出席していたイタリアでの会議でのセチン発言によれば、ロスネフチCEOイーゴリ・セチンは、ロスネフチがイラク・クルディスタンの主要石油パイプラインの支配権を購入することに合意し、自治地域への投資を40億ドルに増やすと発表した。

ロスネフチは、パイプラインの能力を、950,000バレル/日にまで増やす計画だ。協定のもとで、ロスネフチが、60%という過半数を取得し、残りは現在の事業者、アルビルのクルドKARグループが保有する。クルド・パイプラインに対する35億ドルの投資に加えて、ロスネフチは、今年早々、財政危機緩和のため、地域クルド政府に、12億ドル貸しており、ロシアは、イラク・クルド地域における非常に大きな最大外国投資家となっている。

ベイルートのアルマスダル・ニュースの報道によれば、同日、10月19日、石油とガスが豊富なシリア・デリゾール州で継続中の戦争で、アメリカの兵器と訓練によって大いに支援されていたクルド人のシリア民主軍(SDF)が、豊富なガス田を、ロシア地上部隊の兵士に引き渡すという、驚きの取り引きをした。

クルドのSDFが、9月23日に、ISISから支配権を奪ったばかりのアルタビヤ・ガス田を引き渡すことに同意したという報道は、シリアとイラク両国での石油とガス開発、もちろん、クルドでの開発においても、ロシアの小さいとは言いがたい役割を示唆している。以前、アメリカのコノコ社が運営していたアルタビヤ・ガス田は、シリアのあらゆるガス田で最大の能力を誇り、日産1300万立方メートルの天然ガスを生産可能だ。アルマスダル・ニュースの報道は、ロシアは、支配権をシリアのダマスカス政府に返還する予定だという。協定は、ロジャバのクルド自治区に駐在するミハイル・ボグダノフ外務次官、大統領中東特使と、北部の都市カミシリで、クルドとシリア指導部との秘密交渉の成果だ。

10月25日、イラクのハイダル・アル=アバーディ首相は、アンカラで、トルコのレジェップ・タイイップ・エルドアン大統領と会談したが、これは両国間の大きな雪解けだ。アメリカ-イスラエルに支援されたバルザニのクルディスタン独立策略は完璧に裏目に出た。またしても、ワシントンの地政学的愚行と、ネオコンの戦争熱が、従来、地政学的な敵だった国々を、わずか三年前には到底想像できなかった形で協力させるよう追いやったのだ。

ロシアは、地政学チェスの戦いを抜け目なく演じたのだ。モスクワは、もしロスネフチが、イラク・クルド・エネルギー経済で切り札を持てば、クルド人には、トルコ経由で石油を輸出する以外の選択肢がないことを知っている。二年前、エルドアンがシリア上空でのロシア戦闘機撃墜を巡って、ロシアに和解を提案するまで、トルコは、バッシャール・アル・アサド政権に反対するISISに資金を供与し、同時に、トルコ国有企業を経由して、シリアからの石油輸出を手助けしていたと報じられている。シリア内のムスリム同胞団、ISISや他のサラフィー主義テロ集団への資金提供で、カタールは何十億ドルも費やしていた。イラク・ガスについて、今やトルコは、ロスネフチと、ロシアの支援で、バッシャール・アル・アサドがしっかり定着している中、ダマスカスと交渉しなければならない。そして、トルコはそうしているように見える、アンカラとワシントン間の敵対心の増大という理由で。

ワシントンにとっての更なる失点は、カタールを巡る展開だ。昨夏、ワシントンとイスラエルが、頼りにならないサウジアラビアを、イランを狙ったスンナ派石油国家(プラス・イスラエル)“アラブNATO”を創設するというばかばかしい発想に追い立てて以来、その“アラブNATO”は最初の行動として、元湾岸協力会議の同盟国で、ムスリム同胞団に支持されているカタールに対して経済制裁を課した。カタールがサウジアラビアに標的にされたのは、EU向けの共通ガス経路構築で、以前の大敵イランに、公然と協力を求めたのが理由だ。今やカタールは、サウジアラビアが反対する新たな地政学同盟、イラン、トルコ、ロシアと中国と協力している。

ロシアは、イラクとシリアのクルド地域の真ん中に身を置き、大クルディスタンとNATOが支配する大中東という英米とイスラエルの計画に対する鮮やかな政治クーデターをなし遂げたのだ。

王手! ワシントン。あなた方は中東を失ったのだ。ロシア兵器を要求するためのサウジアラビア国王による前例の無い最近のモスクワ訪問が示唆しているように、ロシアとサウジアラビアやクウェートで更に事が進展するのは、時間の問題に過ぎない。

D.J. トランプと初心者の義理息子、36歳の“上級顧問”ジャレッド・クシュナーの周囲のネオコン連中や益々痛々しいエクソンモービル国務長官レックス・ティラーソンは、酷い一味だ。世界は連中の破壊戦争にうんざりなのだ。新たに作り上げるべき頃合いだ。

F. William Engdahlは戦略リスク・コンサルタント、講師で、プリンストン大学の学位を持っており、石油と地政学に関するベストセラー本の著書で、本記事は、オンライン誌“New Eastern Outlook”独占記事。

記事原文のurl:https://journal-neo.org/2017/11/04/moscow-outmaneuvers-washington-s-kurdistan-project/
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クルドの様子、素人には良くわからない。
様子を理解したくて、『私の闇の奥』の記事を毎回拝読している。
最新記事は、ロジャバ革命の命運(7)

ゴルフ、全くできない。ルールも知らない。テレビ放送、ぼんやり眺めたことはあるが、選手もほとんど知らない。が、最近の後方一回転画像だけは何度か見た。

腕前の極端な差、二者の関係を象徴していそうだ。
ポンコツ兵器を法外なお値段で引き取らせていただきます。二国間貿易協定は?

孫崎享氏の今日のメルマガ題名

日本の大手メディアはかつてのソ連紙のプラウダや国営テレビより酷くなったのでないか。公平を装いながら、安倍首相に都合の悪い事はカット。日米首脳会談の目玉はゴルフ。個人的絆を強めたと報ずるのに、安倍首相後方一回転事件は報道なし。

日刊IWJガイドの一部をコピーさせていただこう。

※【岩上安身のツイ録】米国の軍産複合体は「北朝鮮特需」にわきかえり、喜色満面。米国は核のために1兆2000億ドルの戦時予算。これで「東アジアで戦争など起こらない」と思っている人がいたらどうかしている 2017.11.8
http://iwj.co.jp/wj/open/archives/404844

※【岩上安身のツイ録】「武士の国」と持ち上げられて、日本は米国の「鉄砲玉」に!? 自発的隷従にひた走る「緩衝国家」としての日本の異常に迫る! 近日中に伊勢崎賢治氏と布施祐仁氏にインタビュー!
http://iwj.co.jp/wj/open/archives/404520

2017年11月 7日 (火)

アメリカ軍戦力投射:常に備えあり?

2017年10月29日
F. William Engdahl


2017年1月に、D. J. トランプ・アメリカ大統領が就任して以来、将軍連中の一隊とともに、ワシントンは、ほとんどあらゆる方向を、核や他の軍事力で脅し、北朝鮮を完全に壊滅すると威嚇し、シリア反政府集団への兵器出荷を増やし、AFRICOM軍事行動を強化し、海軍艦隊を、南シナ海からバルト海に至るまで、想像できる限りのあらゆる方向に派遣し、ロシア国境沿いの軍隊を強化し、イランを威嚇している。

これら全ての大言壮語の背後にあるのは、士気が史上最低で、大半が底無しなほど準備不十分で、納税者にとって負担が重く、他の潜在敵国の最先端技術から遥かに遅れた技術を使っているアメリカ軍だ。全てが国防目的と大違いのことに軍隊が酷く酷使され、濫用されているかつて唯一の超大国衰退の症状なだ。

アメリカ海軍艦船の衝突

今年8月、アメリカ海軍第七艦隊のミサイル駆逐艦ジョン・S・マケイン号がシンガポール沖で、石油タンカーと衝突し、乗組員10人が死亡した。その二カ月前には、日本を本拠とする米軍艦フィッツジェラルド号が商船と衝突し、乗組員が7名死亡し、推計5億ドルの損害を被った。海軍の諜報捜査では、サイバー攻撃の証拠は皆無だった。今回に限って、ワシントンは、ロシアあるいは中国のせいにしようとしなかった。落ち度は自国にある。

信じがたいことに見えるかも知れないが、世界最大で最も手ごわい海軍で、ブッシュ-チェイニー政権時代、ドナルド・ラムズフェルドが国防長官だった時に、海軍士官の伝統的な訓練を廃止して、“コスト削減”するという決定がなされたのだ。高度なレーダー、ソナー、銃、ミサイルや、データ・リンク・システムなどの海軍電子工学機器が1960年代に、一層複雑化し、海軍は、最初の艦船に乗船する前に、将来の士官に過酷な12-14カ月の訓練をする水上艦乗組士官学校(Surface Warfare Division Officer School)と呼ばれるものを設立した。2003年、“効率を生み出すため”学校は閉鎖され、コンピューター・ベースの訓練(CBT)に置き換えられた。初期の訓練に出席する代わりに、新海軍士官は袋入りのコンピューター訓練用ディスクを与えられ、艦長は指揮下の将校の能力に責任を持てと命じられた。

本格的訓練を廃止すれば、“より高度な職業上の満足感をもたらし、将校の最初の遠征における投資利益率を高め、より多くの時間が、経験を積むのに使える”と主張し、決定の責任を負っていたティモシー・ラフリョール海軍中将は、多くの将校から厳しく非難された。訓練費削減は、年間、はかげた1500万ドルも節約した。しかも、自動レーダー装置や船舶自動識別装置(AIS)などの“ミス予防”電子機器への過度の依存から、実際に船橋の窓から危険を見張る監視員の廃止に至った。フィッツジェラルドやマケイン号では誰も監視をしていなかったのだ。

フィッツジェラルド号やマケイン号の艦長は艦長職を解かれたが、深刻な問題に対して、到底本格的な対応とは言い難い。腐敗の根は深い。

低い基準

1960年代のベトナム戦争の真面目な熟練退役軍人なら誰でも、外国による軍事占領からの独立のため、あるいは外国による攻撃と戦っている土地と民衆の中に、外国人兵士として入る場合、決定的な違いがあることを証言できる。アメリカ合州国とフランスで長年暮らした、ベトナム労働党中央委員会主席のホー・チ・ミンが、世界最高の装備をした部隊に対して、非常に装備不足の農民軍隊を率い、最終的に勝利した。

アメリカ合州国国防軍には、1991年のソ連崩壊による冷戦終了以来、説得力ある“悪の”敵がなかったという事実は、士気の上で大きな影響を受けた。2001年、アフガニスタンに行き、オサマ・ビン・ラディンを倒し、次にイラクで、サダム・フセインを倒し、次はリビアでムアンマル・ カダフィを倒し、今シリアでバッシャール・アル・アサドを倒そうとしているが、こうした“敵”のどれ一人たりとも、大半のアメリカ人にとって道徳的に説得力がない。

この文脈で、アメリカ国軍が、ワシントンと、ウオール街のその後援者連中が世界中でたがっているように見える戦争のための十分適任の知的な軍要員を採用するのに苦労しているのも驚くべきことではない。

今年、世界中でのミッション用に新兵定員を満たすため、アメリカ陸軍は、テストで下位三分の一の成績で、薬物使用経歴がある人々を含め、質の低い、いわゆるカテゴリー・フォーの新兵を採用せざるを得なくなった。

しかも、陸軍要員や海軍将校の補充が不十分なだけではない。

気がかりなパイロット不足

10月23日、Defense Oneによれば、アメリカ空軍は、B-52核兵器搭載可能爆撃機の編隊を、冷戦終焉以来、行われてこなかったf24時間警戒態勢の準備をしていることを明らかにした。バークスデール空軍基地の空軍兵たちは、1991年のソ連解体で中止されていた行動である、航空機を“警戒命令が発せられた場合に備え、”原子爆弾を装備したB-52が直ちに離陸できるよう準備している。

ところが、トランプの将軍連中の狂った新計画が問題を増やした。空軍には適格のパイロットが劇的に不足しているのだ。

10月21日、トランプ大統領は、ジョージ・W・ブッシュが2001年9月11日後に宣言した国家非常事態を延長し、空軍が1,000人までの退役パイロットを軍務に再度服するよう呼びかけることを可能にする大統領命令に署名した。命令はペンタゴン広報担当官によれば“空軍の深刻なパイロット不足を緩和する”取り組みの一環だ。

何十年もの間、年間予算が、中国、イギリス、フランス、ドイツとロシアを合計したものを超えるアメリカ軍は、到底勝負にならないイラクやアフガニスタンやリビアなどの軍事的敵対者と戦争をしてきた。

6月 米国陸軍士官学校は、「At Our Own Peril: 卓越後の世界における国防省リスク評価」と題する研究を発表した。研究の中で、著者たちは、第二次世界大戦後に作り出された、アメリカに支配される世界秩序は“大変なストレスを受けている”と結論づけている。彼らは更に“秩序とその構成要素は、ソ連崩壊で以来、一極体制へと転換し、概してアメリカ合州国と、その主要な欧米およびアジア同盟諸国によって支配されてきた。現状維持勢力は、集団的に国際的安全保障の結果条件を決定する上での優位に満足しており、ライバルとなる力と威信の中心が登場することに抵抗している”

研究は更に、アメリカは“ソ連崩壊後、20数年間享受してきた、優位、最高権威や卓越という難攻不落の立場を、もはやあてにすることはできない”とつけ加えている。

今や、中国が本物の大国として登場し新興ユーラシアという中国の構想と団結した大国としてロシアが急速な登場する中、アメリカ外交政策として健全な振る舞いでもなく、成熟した国家の振る舞いとして真摯でもない行動で、トランプ政権は、あらゆる場所で、あらゆる人々と戦っている。でっちあげた脅威や、自らの主権を主張する国々に対して、アメリカ軍を強化するのではなく、アメリカの崩壊しつつある国内インフラを構築し回復すること、本当のアメリカ経済を構築して、主要産業国として隊列に復帰することこそ、遥かに意味があるだろうと私は考える。

F. William Engdahlは戦略リスク・コンサルタント、講師で、プリンストン大学の学位を持っており、石油と地政学に関するベストセラー本の著書で、本記事は、オンライン誌“New Eastern Outlook”独占記事。

記事原文のurl:https://journal-neo.org/2017/10/29/usa-military-force-projection-semper-paratus/
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属国大本営広報部洗脳呆導の嵐。瞥見するだけで腹がたつ。(ほとんど見ていないが)

孫崎享氏の今日のメルマガ題名をコピーさせていただこう。

トランプ横田基地より入国。米国軍人は、入国に関し、日本の法律は適用されないという地位協定の条項を利用しての入国。「米軍は日本の法律の適用外」の運用を示したもの。この入国の異例さをマスコミ報じない。隷属が常態化。

「カッコイイ」とのたまう見にいった男性の声が聞こえた。(見ているわけではないが)カッコワルイ属国民。

最近購入して、読み始めた本、『主権なき平和国家』伊勢崎賢治・布施祐仁著。

帯に、「いつまで占領状態を許すのか!」とある。

(もちろん急速に、主権なき戦争国家にかわりつつある。)

アフガニスタン植民地訪問者たちを連想する悲しさ。

IWJで、伊勢崎賢治氏、布施祐仁氏に著者インタビュー予定という。これも必見。

日刊IWJガイド「滞在2日目、天皇皇后両陛下や北朝鮮拉致被害者家族と面会! 安倍総理と5回目の首脳会談後に共同記者会見! 『日米は100%ともにある』米国のポチぶりを発揮した安倍総理に貿易や北朝鮮問題で要求を突きつけたトランプ大統領/岩上安身がジャーナリスト・浅野健一氏インタビュー『米国が朝鮮への先制攻撃に踏みきれば東アジアの犠牲者は数千万人になる! 日本は人が住めなくなる』と強い危機感」2017.11.7日号~No.1880号~

2017年10月11日 (水)

ISISとSDFというアメリカの大ウソ-‘クルディスタン’と新たなガス戦争

2017年10月4日
F. William Engdahl

最近の主要欧米マスコミの見出しは、シリアのデリゾール県周辺の主要天然ガス田攻略を、あたかも、それがシリアの勝利であるかのごとく称賛している。典型的な見出しはこうだ。“SDF、シリア・ガス田をISISから奪還。”本来のガス田所有者、シリア国が貴重な経済的資源を、ISISテロリストから奪還するのに成功したことを意味する単語“奪還”に注目願いたい。現実には、逆なのだ.

ダマスカスのアサド政権ではなく、ペンタゴンとイスラエルIDFや他のバッシャール・アル・アサドのダマスカス政権に敵対的な連中に支援されているクルド・シリア民主軍(SDF)が、元々テキサス州ヒューストンのコノコ石油が開発したシリアの主要ガス田を支配したと発表したのだ。作戦に関する欧米マスコの標準的な報道は、“アメリカが支援するシリア部隊が、石油の豊富なガス田地域のコノコ・ガス工場を「イスラム国」から奪い、過激派戦士から重要な収入を奪った”という線に沿っている。

この描写の背後には、アメリカ・ペンタゴン部隊が、ISISテロ集団とSDFの両方の導き手であることが露顕した醜い真実がある。2014年以来、ISISがデリゾール県と、その石油とガス田を占領し、アサド政府から収入とエネルギーの主要源の一つを奪っていたのだ。

9月24日、ロシア国防省が、都市デリゾールの北、ISIS戦士が配備されている場所の、アメリカ軍特殊部隊の機器を示す航空写真を公開した。写真は、アメリカ軍部隊が、クルド・シリア民主軍(SDF)の自由通行を認めて、「イスラム国」テロリストの戦闘隊形を通り抜けることを可能にしている、とロシア国防省は声明で述べている

“ユーフラテス川左岸沿いにデリゾールに向けて、ISIS戦士による抵抗無しに、SDF軍部隊は移動している”と声明にある。

モスクワ国防省声明は更にこうある。“アメリカ軍の拠点が、ISIS部隊が現在配備されている場所にあるにもかかわらず、戦闘前哨基地が組織されている兆しさえない。”明らかに、アメリカ軍要員は、ISISが支配する領土の真ん中で、絶対安全と思っているのだ。

ダマスカスを本拠とするフランス人中東専門家ティエリー・メイサンはこう書いている。“8月、ペンタゴンは、主に旧ソ連製の5億ドルの兵器と弾薬の購入と輸送入札を発表した。最初の200台のトラックは、9月11日と、19日、イラク・クルディスタン経由で、聖戦士たち(つまりISIS-筆者注)に攻撃されることなく、ハサカ県のYPGに到着した。”

アメリカとイスラエルが支援する封建的独裁者、マスード・バルザニの下、イラク・クルド人が、イスラエルのネタニヤフと、黒幕として、ワシントンが公然と支持する動きである、イラク・クルディスタン“独立”宣言支持の92%の賛成投票をしたばかりと報じられている、イラク国境に近いシリアの石油とガス埋蔵の戦略的地域を確保するため、アメリカが訓練し、武器を与えているクルドSDF軍部隊も、ISISも、アメリカが区別なく利用しているアメリカの代理であることが、これで確認できる。ロンドン・フィナンシャル・タイムズの報道によれば、既に2015年、イスラエルは、イスラエル石油の77パーセントにもあたる量をバルザニが支配するイラク・“クルディスタン”から輸入していた。

イラク、シリアや、NATO加盟国トルコさえ、そして究極的にはイランからも、領土を切り取って作り出すアメリカとイスラエルが支援する独立クルディスタン国家という最初、2006年、アメリカのArmed Forces Journal記事で概要が説明されたペンタゴンの長期計画が、今、明るみに出つつある。これまで、地域の小国乱立化計画にとっての主要障害たる正当に選挙で選ばれたバッシャール・アル・アサド政権を退陣させるためのアメリカが後援し、主としてサウジアラビアが資金供給している6年以上にわたる戦争の間、これは、ほとんど闇の中に隠されていた。

対テロ戦争か、テロによる支援を受けた戦争か?

ペンタゴンは、アメリカ政府は、ISISテロリストを破壊するため、シリアで戦争をしているとウソをついている。ちなみに、アメリカの侵略、主権国家に対する敵対的侵略は、国連憲章に違反するので、国際法のもとで違法、ウソに過ぎないことが完全に暴露された。ペンタゴンとCIAと、その様々な殺人のため雇われた私的傭兵が、何度も非難されている通り、アサドを打倒し、戦略的石油とガス埋蔵とパイプライン経路を支配する取り組みの中、イラクとシリアのアルカイダから、ISISを作り出したのだ。単にシリアのみならず、欧州連合やアジアにとってのエネルギーの未来が危機に晒されているのだ。

連中の他の選択肢が失敗した後、シリアの主要エネルギー回廊の支配権を得るためシリア・クルド人を利用するというのは、決して‘狂犬’マティス大将指揮するペンタゴンの行き当たりばったりの思いつきではない。この計画は、少なくとも、アメリカのArmed Forces Journalに掲載された、ラルフ・ピーターズ中佐による2006の記事にまでさかのぼる。その中で、ピーターズは、第一次世界大戦後の全中東国境を根本的に描き変える計画の概要を説明していた章で、ピーターズはこう主張している。“ディヤルバクルから、タブリーズにまで広がる自由クルディスタンは、ブルガリアから日本までの間で、最も親欧米な国となろう。”彼は更にこう主張している。“バルカン山脈とヒマラヤとの間で、最も明白で不当な悪名高い不正な土地は、独立クルド人国家の欠如だ。2700万人から3600万人のクルド人が、中東の隣接する諸地域で暮らしている。” ピーターズは“ほぼ100パーセントのイラク・クルド人が独立賛成投票するはずの”イラク・クルド人による、あり得る独立住民投票についてさえ語っていた。反対投票する有権者を、バルザニ族の悪漢、“賛成投票しろ、さもなくば”と激しく恫喝したという報道の中まさにそれが行われ、ソ連風の結果は、92%独立賛成だった。家族あげて行っている汚職行為によって、バルザニ本人が蓄財した資産は何十億ドルもあると報じられている。議会が辞任を要求した後、いかなる法的権能もないまま、2015年以来、彼は大統領として支配している。

今年夏、ハンブルクG20サミット前に、アメリカ大統領は、シリアや中東での聖戦テロに対するCIAとペンタゴンの戦争に対する資金を削減すると発表した。現在、明らかになっているのは、その代わり、実際は、2015年9月に、ロシアが介入して以来、聖戦傭兵が酷く敗北しつつある戦争で、ISISや他のテロリストを訓練し、連中をアサドとの戦闘に送り出す代わりに、アメリカ資金は、いわゆるシリア民主軍(SDF)というクルド軍事旅団に振り向けられている。

トランプの発表後、重機関銃、迫撃砲、対戦車兵器、装甲車輛やエンジニアリング設備を含むアメリカが供給する兵器の膨大な貨物がクルドSDFに送られた。今年5月、トランプは、クルドSDF戦士に武器を与える許可に署名した。6月までに、軍事援助物資を搭載した約348台のトラックが、クルド集団に渡されたと、トルコのアナドル通信は報じている。この報道機関データによれば、集団に引き渡すべきペンタゴン兵器リストには、ロシア、あるいはアメリカ製の12,000丁のカラシニコフ・ライフル銃、6,000丁の機関銃、3,000機の擲弾発射筒と約1,000機の対戦車兵器が含まれている。

クルドSDF部隊に対するこれらアメリカ武器輸出が、アサドの軍隊がデリゾール周辺の石油とガスの豊富な土地を奪還するのを防ぐための、バッシャール・アル・アサドのダマスカス・シリア・アラブ軍に対する新たな戦争を狙ったものであることは明らかだ。

9月始め、ヒズボラの支援と、ロシアによる上空援護を得て、アサド軍部隊は、三年間にわたるISISによる、シリアの石油とガス埋蔵の中核、重要な都市デリゾール封鎖をとうとう解いた。同時に、アメリカが支援し、今やアメリカの武器で重武装したクルドSDFが、デリゾール北の豊富なガス田を占領した。ISIL(ISIS/IS/ダーイシュ)掃討を目指す有志連合担当のブレット・H・マガーク大統領特使が、8月18日、以前、賄賂をもらって、ISISへの忠誠を誓った現地部族指導者たちと会談した。今や連中は金につられて、同じアサドに対し、アメリカ・クルドSDF部隊を支援する立場に変わったと報じられている。

つい最近、アメリカは、元ISISテロ戦士、アフマド・アブ・ハウラを、アメリカ特殊部隊が支配する新たに立ち上げたデリゾール軍事評議会の司令官に仕立て上げた。アブ・ハウラは、有罪判決を受けた自動車泥棒で、ゆすり屋で万能の凶悪犯だ。金が入る限り、ISISからSDFへの転向もかまわないのだ。

だが、ロシアの空軍力による支援を受けたシリア・アラブ軍と連合軍による最近の成功のおかげで、戦闘は、決して世界平和を助長するようなものではないアメリカとロシアとの直接対決へと変わりつつある。彼らはその歴史で繰り返しいるように、シリアとイラクのクルド人は、欧米列強のゲームの駒に利用されている。全中東の膨大なエネルギー資源の完全支配のため、そして、それによる世界の大半を支配するため。無意味で冷酷な虐殺が、多くの人命を奪い続けてからの話だが、究極的にゲームは破綻する。

F. William Engdahlは戦略リスク・コンサルタント、講師で、プリンストン大学の学位を持っており、石油と地政学に関するベストセラー本の著書で、これはオンライン誌“New Eastern Outlook”への独占寄稿。

記事原文のurl:https://journal-neo.org/2017/10/04/the-big-isis-and-sdf-lies-of-the-us-kurdistan-and-new-gas-wars/
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2015年2月13日に掲載した記事 中東国境描き直し計画: “新中東”プロジェクト とつながっている。そちらもお読みいただけると有り難い。

大本営広報部大政翼賛会の呆導番組で、投票先を選ぶのが困難ですやら、選び方やらをのたまうのを見て、夜の大本営広報部も見る気を失った。こんなに明白な選挙はない。

今回が戦後最後の選挙。以後、侵略戦争参戦の本格化が始まる。

自滅党(プラス・カルト宗教集団)と絶望を合計すると簡単に憲法が破壊できる人数、緊急事態条項導入も実現するだろう。

外国の知人にぼやいた所、「そうなったら私の田舎で暮らせばよい」と言われた。
冗談でない状況が恐ろしい。

西福寺の奪衣婆画像をご紹介させていただこう。

淨勝寺の奪衣婆画像もご紹介させていただこう。

ウソをつくと閻魔様に舌を抜かれる、と子供時代聞いていて、多少信じていた。
呼吸をするようにウソをつく与党ゆ党政治家連中を見る限り、閻魔様、いそうもない。

日刊IWJガイド「いよいよ『憲法改正』がかかった天王山の総選挙が公示! 安倍総理の第一声! ところが自民党員以外の聴衆を『排除』!!/希望の党・小池百合子知事の人気に明らかな『陰り』!? 街のリアクションが意外なほど薄い!/改憲がかかった今回の総選挙、共産党は野党共闘のため立憲民主党に大幅に譲歩! 岩上安身による日本共産党・山下芳生副委員長インタビュー」2017.10.11日号~No.1853号~

2017年9月21日 (木)

ロシアと中国の金オイルダラー

F. William Engdahl
New Eastern Outlook
2017年9月13日

今日の状態をもたらした、1944年のブレトン・ウッズ国際通貨体制は、率直に言って、世界の平和と繁栄にとって最大の障害だ。現在、中国は一層ロシアに支援され、ユーラシアの二大国は、世界の貿易と金融に対するアメリカ・ドルの専制に対する極めて実行可能な代替策を作り出すべく決定的な措置をとりつつある。ウオール街とワシントンには嬉しくない話だが、彼らは無力で阻止できない。

第二次世界大戦が終わる直前、ウオール街の主要な国際銀行の助言を得て、多くの人々が間違って新たな金本位制と思い込んでいるものの草案をアメリカ政府が考えた。実際には、それは他の全ての通貨国際通貨基金加盟国通貨が、ドルに対して価値を固定されるドル本位制だった。そしてアメリカ・ドルは金一オンス、35ドルの価値で固定された。当時ワシントンとウオール街が、そうした制度を押しつけることができたのは、戦争と、それに関連した進展の結果、連邦準備金制度理事会が世界の貨幣用金の約75%を持っていたおかげだった。ブレトン・ウッズで、中央銀行が保有する世界貿易の準備通貨としてのドルが確立した。

不完全なドル本位制の断末魔の苦しみ

1960年代末には、ベトナム戦争の経費や他の愚かな支出によるアメリカ連邦政府財政赤字が膨れ上がり、ドル本位制は深刻な構造的欠陥を示し始めた。復興した西ヨーロッパと日本は、再建の為の資金調達に何十億ドルも必要ではなくなった。鉄鋼から自動車に至るアメリカ基本産業と基本インフラが次第に陳腐化したため、アメリカ製造業より高い効率で、ドイツと日本が世界的輸出経済となった。ワシントンは、増大する世界貿易の不均衡を改めるため、金に対してドルを大幅に切り下げるべきだったのだ。そうしたドル切り下げで、アメリカ製造業輸出収入を押し上げられ、貿易不均衡が軽減していたはずなのだ。それが本当のアメリカ経済を大きく推進させていたはずだった。ところがウオール街の銀行にとって、それは莫大な損失を意味していた。そこで、その代わりに、ジョンソンと、更にニクソン政権は、益々多くのドルを印刷し、実質的にインフレを世界に輸出した。

とりわけフランスとドイツの中央銀行が、ワシントンが耳をかさないことに業を煮やし、アメリカ連邦準備金制度理事会に、1944年のブレトン・ウッズ協定通り、手持ちのアメリカ・ドル準備を、一オンス35ドルで交換するよう要求した。1971年8月、水増しされたアメリカ・ドルの金兌換は危機に瀕し、主席財務次官のポール・ヴォルカーが、ニクソンにブレトン・ウッズ体制を破棄するよう助言した

1973年に、ワシントンが金の自由取り引きを認め、金はもはや堅実なアメリカ・ドルの裏付けではなくなった。それどころか、1973年10月のでっち上げられた石油価格ショックで、石油のドル価格がわずか数カ月で400%も高騰し、ヘンリー・キッシンジャーが当時そう呼んだオイルダラーを生み出した。

経済のために世界は石油を必要としている。1975年に、ワシントンは、サウジアラビア君主体制との取り決めで、アラブOPECが、アメリカ・ドル以外の通貨では、一滴の石油も世界に売らないことを保証させた。ドルの価値は、ドイツ・マルクや日本円などの他の通貨に対して急騰した。ウオール街の銀行はオイルダラー預金であふれた。ドル・カジノが開かれ、運営され、それ以外の国々は金をだまし取られる羽目になった。

著書『Gods of Money: Wall Street and the Death of the American Century』で、1970年代、チェースやシティ・バンクやバンク・オブ・アメリカなどのニューヨークの主要国際的銀行がどのようにして、アラブ石油の利益を、オイルダラーを使って発展途上世界の石油輸入諸国にリサイクルし、いわゆる第三世界の債務危機の種をまいたかを私は詳しく書いた。奇妙なことに、デイヴィッド・ロックフェラーとロックフェラーのチェイス・マンハッタン銀行の子分、まさに同じポール・ヴォルカーが、今度は、1979年10月、連邦準備金制度理事会議長として、連邦準備金制度金利を非常に高くして、1980年の債務危機を引き起こしたのだ。彼は、それはインフレを止めるためだとウソをついて主張した。実はドルとウオール街銀行を救済するのが狙いだった。

控えめに言っても、現在のドルは奇妙な現象だ。1971年以来、アメリカ合州国は、第一番の産業国家から借金で膨れ上がった巨大な投機カジノへと変わってしまった。

過去九年間、米国の市中銀行が連邦準備銀行に預けている資金の金利が、ゼロと一パーセントの間にあるという現代史未曾有の状態で、連中の金融上の不正行為と残忍な強欲が、2007年サブプライム危機と、2008年の世界金融の津波を生み出したウオール街の主要銀行は新たな投機バブル構築に取りかかっている。借金で膨れ上がった都市に対し、緊急に必要なインフラや他の実体経済の生産的手段に貸し出すかわりに、連中はもう一つの途方もない株式市場バブルを作り出した。主要企業は低利の融資を利用して自社株を買い戻して、“経済回復”誇大宣伝と神話で上がっているウオール街市場株価に拍車をかけている。2008年末以来、S&P-500株価指数は320%上がった。こうした紙の株が本当のアメリカ経済が320%成長したがゆえに上がったわけではないと私は請け合おう。

アメリカの家計は、ここ数十年毎年実質収入が減っている。1988年以来、インフレが着実に進み、実質収入が減少する中、平均世帯収入は停滞している。アメリカ人は史上これまでなかった以上に借金せざるを得ない。連邦政府債務は、手に負えない20兆ドルで、いつまで続くか全く見当はつかない。アメリカ産業が閉鎖し、製造を海外に移転するのを“外注”と婉曲表現している。 後に残されたものは、何百万人もの人々が、破綻せずにいるためだけの目的で、二つあるいは三つものパート仕事を掛け持ちする、大量の負債を抱え、腐敗し解体された“サービス経済”だ。

完全崩壊からドルを救っている唯一の要素はアメリカ軍と、世界経済略奪を推進するため、欺瞞的なNGOの世界中へのワシントンによる配備だ。

2010年、連中がユーロ圏でギリシャを使って行ったように、ワシントンの卑劣な手口とウオール街の策謀が危機を作り出すことが可能な限り、中国や日本やロシアなどの世界貿易での黒字国には、貿易で稼いだ余剰ドルの大部分で、アメリカ国債-財務省証券を更に買い入れるしか現実的な代替案はない。ワシントンとウオール街はほくそえんでいた。連中はF-16やエイブラムス戦車よりも価値あるもので裏付けられてはいないドルを無限に印刷できたのだ。中国やロシアや他のドル公債保有国は、米国債を購入することで、実際は、自分たちを狙ったアメリカの戦争に資金供給をしているのだ。当時、実行可能な代替選択肢はほとんど存在していなかった。

実現可能な代替案出現

今や皮肉にも、1989年以降もドルの人為的延命を許してきた二つの外国経済、ロシアと中国が、現在のドルの不当な覇権的役割に取って代わり得る、実現可能な金の裏付けがある国際通貨と、可能性として、更にいくつかの同様な通貨という最も恐れられていた代替案を注意深く明らかにしつつある。

普通なら典型的にはドルやユーロによるはずの両国中央銀行の外貨準備を積みますため、ロシア連邦も中華人民共和国も、数年にわたり、膨大な量の金を購入してきた。最近まで、一体何のためなのか明らかではなかった。

数年にわたり、金市場では、金現物の最大の購入者が中国とロシアの中央銀行であることが知られていた。ワシントンにより強化される経済制裁や貿易戦争での敵意に満ちた言辞のさなか、自国通貨への信頼性を生み出す以外に、一体どれほど深遠な戦略があるのか明らかではなかった。

今、一体どういう理由なのかが明らかになった。

中国とロシアは、BRICS(ブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカ)や上海協力機構(SCO)ユーラシアのパートナー諸国主要貿易相手国と共に、ドル世界に対する新たな代替通貨制度の仕組みを完成しかけている。

現在、創設メンバー国の中国とロシアに加えて、SCO正式加盟国には、カザフスタン、キルギスタン、タジキスタン、ウズベキスタンと、より最近ではインドとパキスタンがある。30億人を遥かに超える人口、世界の全人口の約42%が、整合的で、計画された、平和な、経済、政治協力としてまとまるのだ。

SCO加盟諸国に、正式加盟国として加盟希望を表明した公式オブザーバ諸国である、アフガニスタン、ベラルーシ、イランやモンゴルを加えれば、世界地図を一目見るだけで、新興SCOの素晴らしい可能性がわかる。トルコは、スリランカ、アルメニア、アゼルバイジャン、カンボジアやネパールと同様にSCO加盟申請を検討している公式対話国だ。これは率直に言って、桁外れだ。

BRIと、金に裏付けられたシルク・ロード

最近まで、ワシントンのシンクタンクや政府は、SCOなどの出現しつつあるユーラシア機構をあざ笑っていた。広大な陸塊内の隣接する国々で構成されているわけではないBRICSとは違い、SCOグループはユーラシアと呼ばれる地理的実体を構成している。2013年に、カザフスタンでの会合で、習近平中国国家主席が当時新経済シルク・ロードと呼ばれるものを提案した際、欧米でこれを真剣に受け止めたものはごくわずかだった。これは現在は一帯一路構想(BRI)という公式名称だ。現在、世界はBRIの規模を本気で受け止め始めている。

中国とロシアとユーラシア経済連合グループの国々の経済外交が、広大な新市場を結びつける先進的な高速鉄道、港湾、エネルギー・インフラの実現を狙っており、現状の勢いで行けば、十年以内に、借金が膨れ上がり、経済的に停滞しているEUと北米というOECD諸国のあらゆる経済的可能性をすっかりかすませるのは明白だ。

ユーラシアの国々を、ドルと、そして彼らがドルに依存していることにつけこんだアメリカ財務省による更なる経済制裁や金融戦争に対する脆弱さから解放する戦略は、これまで絶対に必要でありながら、明らかではなかった。これがいま起きようとしているのだ。

9月5日、中国厦門での年次BRICSサミットで、現在の世界経済に対するロシアの見方として、ロシアのプーチン大統領は簡潔で非常に明確な発言をした。彼はこう述べた。

    “新興諸国経済の増大しつつある重みに対して、適切な配慮をしない世界的な金融と経済構造の不公平感を巡るBRICS諸国の懸念を、ロシアも共有している。我々はパートナーたちと協力して、国際金融規制改革を推進し、限られた数の準備通貨による過剰な支配を克服する用意がある。”

私が知るかぎり、通貨に関して、プーチン大統領は決してこれほど明示的ではなかった。北京が明らかにした最新の金融構造の文脈でまとめて見ると、世界が新次元の経済的自由を享受しようとしていることが明らかになる。

中国元建て原油先物

日経アジアレビュー記事によれば、中国は金兌換可能な中国元建て原油先物契約を立ち上げようとしている。これは中国による過去二年間の他の動きとあいまって、ロンドンとニューヨークto上海に対する実行可能な代替案で、実に興味深くなってくる。

中国は世界最大の石油輸入国であり、圧倒的大半は依然アメリカ・ドルで支払われている。もし新たな元石油先物契約が広く受け入れられた場合、中国が世界最大の石油輸入国であることを考えれば、最も重要なアジアを本拠とする原油石油ベンチマークになり得る。これは、現在まで、ウオール街に、目に見えない膨大な優位を与えているウオール街が支配する二つの石油ベンチマーク契約、北海ブレント原油と西テキサス原油石油先物に挑戦することとなる。

中国と、特にロシアを含む石油取り引き諸国によって、もう一つの壮大な誤魔化し操作の手段が消滅する可能性がある。最近、IMF SDRバスケットの構成通貨に選ばれた元での石油先物契約取り引きの上海における導入は、特に石油先物は金兌換が可能なため、地政学的な力の均衡を、大西洋両岸の世界からユーラシアへと、劇的に変えかねない。

2016年4月、金取引所の新センター、世界の金現物取り引きの中心地になるべく、中国が本格的に参入した。現在、中国は、BRICSメンバー仲間の南アフリカを遥かに超え、ロシアが第二位の世界最大の産金国だ。

中国は、香港のすぐ北の珠江デルタにある人口約1800万人の都市深センの隣、前海自由貿易区に巨大な貯蔵センターを作り上げた。今、中国は、保税倉庫、取引所の立会場と関連する事務所地域もある恒久的な金貯蔵施設建設を完了しつつある。香港を本拠とする105年の歴史を持つ中国金銀業貿易場が、中国最大の国営銀行で最大の金輸入銀行である中国工商銀行ICBCと、前海貯蔵センターを構築する共同プロジェクトに参加している。これで、2014年末、全米民主主義基金のようなワシントン製の人をあざむくNGOが、香港で反北京カラー革命たる雨傘革命を作り出そうとして失敗した理由が明らかになってくる。

金の裏付けがある中国元で取り引きされる新たな石油先物契約が加わったことで、中東主要OPEC加盟諸国でさえ、自国の石油に対して、数カ月前のトランプのリヤド訪問後にカタールが経験したような地政学的リスクがともなう粉飾されたアメリカ・ドルより中国元を好んで劇的移行をもたらすだろう。ロシア巨大国営石油企業ロスネフチが、中国の国営石油企業中国華信能源有限公司が、ロスネフチ株14%をカタールから購入したと発表したのも注目に値する。あらゆることが一つの極めて整合した戦略としてまとまり始めている。

ドルの絶対的支配権は、ひどい断末魔の苦しみ状態にあり、別名トランプ大統領として知られているその長老連中は現実否認状態にある。一方、世界の分別ある人々は建設的で平和的な代替案を構築しようとしている。それは公正なルールのもとで、ワシントン加盟にすら開かれている。何と寛大なことだろう?

F. William Engdahlは戦略リスク・コンサルタント、講師で、プリンストン大学の政治学学位を持っており、石油と地政学に関するベストセラー本の著書で、これはオンライン誌“New Eastern Outlook”への独占寄稿。

記事原文のurl:https://journal-neo.org/2017/09/13/gold-oil-dollars-russia-and-china/
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宗主国大統領国連演説、とんでもないが、輪をかけたたわごとを聞かされる悲しさ。

大本営広報部、夜、アナウンサー氏が演説に疑問を投じたのには驚いた。

日刊IWJガイド「言語道断の暴挙!―― 所信表明直後に解散、あるいは、所信表明もしないで国会を解散する!? 憲法無視、国会軽視の安倍政権! 立憲4野党は候補者の一本化へ向けた協議を進める!/トランプ大統領の国連総会での演説に会場がざわめき!『北朝鮮を完全に壊滅するほか選択肢はなくなる』」2017.9.21日号~No.1833号~

2017年9月 5日 (火)

現金を持つ我々の権利に対する陰険な戦争

2017年8月21日
F. William Engdahl
New Eastern Outlook

現金を持っていなければ、プライバシーもないのを考えたことがおありだろうか?

三年前、一見曖昧な学術論争として始まった作戦が、今や先進世界における、いくつかの最も強力な機関による本格的プロパガンダ・キャンペーンとなっている。これは正しくは対現金戦争と呼ばれるべきものだ。対テロ戦争や、がんとの闘いや麻薬撲滅戦争と同様、本当の狙いは陰険でわかりにくい。もし、完全なデジタル銀行預金を支持して、現金完全撤廃というプロパガンダを鵜呑みにするほど我々が愚かであれば、わずかに残された自主性とプライバシーにお別れを告げるも同然となりかねない。ジョージ・オーウェルの『1984年』の強化版が実現するだろう。

はっきり申し上げよう。ここで、我々は様々なブロック・チェーン・デジタル技術、いわゆる暗号通貨について論じるわけではない。中国のWeChatなどの民間決済システムについて論じるわけではない。e-バンキングや、VisaやらMaster Cardその他の銀行クレジット・カードについて論じるわけではない。これらは進行中の陰険な対現金戦争の目標とは全く違う性質のものだ。これらは皆私的なサービスで、国家によるものではない。

我々がここで論じるのは陰謀で、主要中央銀行、一部の国々の政府、国際通貨基金が、主要国際銀行と共謀して、市民に、言い換えれば、我々に!-現金を持つことや、購買時の現金支払いをあきらめたりするよう強制する陰謀だ。現金の代わりに、我々はデジタル銀行クレジットを使うよう強制される。違いは一見ごくわずかなように見えようが、実は極めて大きい。インドでは、アメリカにそそのかされた、2016年末の狂ったモディによる対現金戦争の後、インド国民は、お金の支払い方を決める個人的自由や、お金に関するプライバシーを永遠に失うことになった。もし私が自動車を買いたくて、銀行金利を避けるため、現金を使いたくとも、そうできないのだ。銀行は、一日に引き出せるデジタル・マネーの金額を制限していているのだ。もし私が、特別な記念日を祝うために洒落たホテルに泊まって、プライバシーの理由から現金で支払おうとしても、不可能なのだ。だがこれはまだ上面に過ぎない。

Visaも参戦

今年7月、Visa Internationalは“Visa キャッシュレス・チャレンジ”なるものを発表した。技術がいかに世界コマースを変えるかについての、いくつかしゃれた宣伝文句を使って、Visaは、アメリカの一部の小規模レストラン・オーナーが、お客の現金払いを拒否し、クレジット・カード払いのみ受け付けることに同意すれば、謝礼を払うプログラムを発表した。Visaの公式ウェブサイトにはこうある。“謝礼は最高500,000ドル 。50人の資格ある飲食物提供店舗オーナー。100%キャッシュレスの追求。”年収150億ドルのVisaのような巨大企業にとって、わずか500,000ドルははした金だ。彼らは、これがこれまで現金支払いを好んできた小規模ファミレス市場におけるVisaカードの利用を増進すると考えているのは明らかだ。

“100%キャッシュレスの追求”と呼ぶものを実現しようというVisaの“挑戦”は、ただ雲をつかむような話では決してない。これは単にVisaのみならず、ごく一例を挙げれば、欧州中央銀行、イングランド銀行、国際通貨基金やReserve Bank ofインドなどによる考え抜かれた戦略の一環なのだ。

茹でガエルを攻めるIMF

今年3月、ワシントンの国際通貨基金が、彼らが“脱現金”と呼ぶものに関する調査報告書を発行し、報告書はこう勧告している。“完全なキャッシュレス化は段階的に行われるべきである。既存の事実にも触れ“高額紙幣を段階的に廃止したり、現金取引に上限を設定したり、国境を越える現金移動を報告したりなど、最初のほとんど議論の余地の無い措置が存在している。さらなる措置としては、取り引きで現金の使用を減らすことに対する経済的誘因を作り出したり、振り替え可能な口座の開設、利用を簡素化したり、金融システムを一層電子化したりすることなどが考えられる。”

フランスでは、2015年以来、“マネー・ロンダリングや脱税に対処すべく”個人が企業に現金で支払える上限は、わずか1000ユーロだ。しかも、一つの銀行口座での一ヶ月、10,000ユーロを超えるあらゆる預金や現金引き出しは、マネー・ロンダリングと戦うことを任務とするフランス政府機関、金融犯罪捜査局(Tracfin)に自動的に報告されるが、これは、“ほとんど争いようの無い措置”であり、実に不気味な兆しだ。

IMF報告書は、更に現金廃絶に対してこう主張している“脱現金で、脱税が減り、税徴収が改善される”。言い方を変えて、もし銀行からの送金にデジタル・マネーだけを使うよう強いられれば、現在、事実上全てのOECD諸国政府は、自国民の銀行データを合法的に入手可能なのだ。

脱現金に関するIMF報告書から一カ月後の4月、ブリュッセル欧州委員会はこういう声明を発表した。“現金支払いは、テロ活動への資金供与に広く使われている。この文脈で、現金支払い上限額の妥当性も検討可能だ。一部の加盟国は特定の上限を超えた現金支払いの禁止を実施している。”

スイスにおいてさえ、ワシントンによる執拗なキャンペーンの結果、テロ組織への資金提供を防ぐのだという人を惑わす主張のもと、スイスの伝説的な銀行の秘密は酷く損なわれた。バルセロナやミュンヘンやロンドンやシャーロッツビルでの攻撃に関する最近のヨーロッパのマスコミ見出しを一瞥するだけで、この主張がでっちあげだと分かる。

現在EUでは、ワシントンによるさらなる圧力の結果、外国口座税務コンプライアンス法(FATCA)の下で、アメリカ国民が預金口座を持っているアメリカ国外の銀行は、そうした口座の資産について、アメリカ財務省金融犯罪執行機関連絡室に年次報告を提出するよう強制されている。主要タックス・ヘブンとして登場しつつあるアメリカにとって好都合なことに、この法律に規定されているにもかかわらず、アメリカ政府自身はFACTAへの参加を拒否している。

2016年、組織犯罪とテロを阻止する可能性があると主張して、欧州中央銀行は、500ユーロ紙幣の発行を停止したが、これは、まるで組織犯罪の高度なネットワークが紙幣に頼っているかのような実につまらない冗談だ。アメリカでは、元ハーバード学長ラリー・サマーズなどの主導的経済学者たちが同じ理由から、100ドル紙幣の廃止を主張している。

上限10ドル?

しかしながら、現金に対する戦争の本当の狙いは、ハーバード大学経済学教授で元IMFチーフ・エコノミストのケネス・ロゴフによるウオール・ストリート・ジャーナル論説で概略が説明されている。ロゴフは、連邦準備金制度理事会による現金発行を劇的に減すべきだと主張し。10ドル以上の全ての紙幣を流通から排除し、それにより、人々や企業が、デジタル、つまり電子決済のみに依存するよう強制するよう彼は主張している。その計画でマネー・ロンダリングを減らすことができ、それにより犯罪を減らすことができ、同時に脱税もあばけるというインチキ呪文を彼は繰り返し唱えている。

ところが、この現金に対する戦争の隠された狙いは、EU加盟諸国においてであれ、アメリカ合州国であれ、インドのような開発途上国であれ、次の不可避の金融危機時に、我々のお金を没収することだ。

2008年財政・金融危機の後、成長を刺激するのに必要だと偽って主張して、既にいくつかの中央銀行がマイナス金利政策を導入している。欧州中央銀行に加え、日本銀行やデンマーク国立銀行がこの奇怪な政策に固執している。ところが、加盟銀行に対する金利を更に引き下げる中央銀行の能力は、現金が豊富にある限り制限されてしまう。

ここで引用した上記のIMF文書は、うっかり秘密を漏らしている。文書にはこうある。“もし物理的通貨での貯蓄が水をさされ大きく減少すれば、特にマイナス金利政策は、金融政策の実行可能な選択肢となる。脱現金で、大半のお金が銀行に蓄えられることとなり、それゆえ、マイナス金利によってより影響されやすくなり、消費者に支出を奨励することになろう…”あなたがお金を預けた銀行が、銀行がもっと金を儲けるために使える場所に、あなたのお金をおいておくのを認める“サービス”に対し、あなたに請求し始めるためだ。それを避けるべく、明日という日がないかのように浪費するよう言われるのだ。あきらかに、この論議はいんちきだ。

ドイツ人経済学者リチャード・ヴェルナーが指摘しているように、マイナス金利は、銀行が事業を行う経費を上げる。“銀行は、この経費を顧客に回すことになる。既にゼロ預金金利なので、これはつまり銀行が貸出金利を上げることを意味する。”ヴェルナーは更に言っている。“デンマークやスイスなど、マイナス金利政策が導入されている国々での経験的知見は、それが経済を刺激する上で効果的でないことだ。その逆なのだ。これは中央銀行によって、マイナス金利が、金を借りる大衆ではなく、銀行に課されるためだ。

ECBのマイナス金利政策は、ドイツ銀行、HSBC、フランスのソシエテ・ジェネラル、ロイヤルバンク・オブ・スコットランド、ギリシャのアルファ銀行、イタリアのモンテ・デイ・パスキ・ディ・シエナ銀行等の、こっそり緊急援助を受けている、財政的に腐敗した巨大銀行を優遇して、ドイツのSparkassen and Volksbankenのようなしっかり機能している伝統的で保守的なEUの貯蓄銀行を破壊することを狙っていると彼は指摘している。ECB総裁のマリオ・ドラギは、巨大銀行ゴールドマン・サックスの元パートナーだ。

なぜ今なのか?

一体なぜ今、中央銀行や、IMFのような機関による、突然急な現金廃止要求なのか、というのが適切な疑問だ。欧米世界の主要政府幹部や中央銀行総裁や多国籍企業幹部が集うスイス、ダボスの世界経済サミットの後、2016年1月に、現金廃絶という掛け声の連打が顕著に始まった。現在の現金に対する戦争攻勢、プロパガンダ攻勢はダボス会議直後に始まった。

数カ月後の2016年11月、USAIDの専門家連中やVisaに導かれ、ナレンドラ・モディのインド政府は、インド準備銀行の勧告を受け、即座の紙幣廃止、つまり、すべての500ルピー (8ドル相当)と1,000ルピー(16ドル相当)紙幣の強制排除を発表した。モディ政府は、この行動で闇経済を縮小し、違法な活動やテロに資金供給するための違法な偽札を取り締まることができると主張した。

最近インド議会が、モディの対現金戦争の影響についいての追跡調査を行ったのは注目に値する。議会紙幣廃止委員会の報告書は、表明された目標の一つたりとも実現していないことを実証している。大規模な不正所得は全く発見されておらず、脱現金は、そのような劇的政策を導入する理由として政府が挙げた理由である、テロへの資金提供には何の効果もなかった。インド中央銀行は、脱現金によって、不正所得を攻撃していたとされるが、オフショア・タックス・ヘヴンの本格的な違法な金は、直接投資によって“洗浄され”犯罪集団や企業集団によって“ラウンド・トリッピング”として知られている手法で合法的に簡単にインドに還流していると報告書は書いている。

議会報告は、実際のインド経済が劇的打撃を受けた詳細を書いている。現金に依存している何千もの小企業が倒産したため、4月の工業生産は、衝撃的に前月比10.3パーセントも減少した。主要インド・マスコミは議会報告を報道しないようモディ政府から警告されていたとも言われている。

こうした個々の事実を結びつけると、現金に対する戦争は、我々個人の自由と、生活における我々の自由の度合いに対する戦争だということがより明らかになる。我々の現金を強制的にデジタル化させるのは、EUやアメリカや他のどこであれ、次の2007年-2008年のような大規模金融危機が勃発した際の政府による没収に向けた次の一歩だ。

今年7月末、輪番EU理事会議長国のエストニアが、預金者が、銀行の“取り付け騒ぎ”を起こす前に“一時的に”国民が問題になった銀行から預金を引き出すのを、EUの国家規制当局止めることを可能にするドイツが支持する提案を提出した。EUの前例は既に、政府が僅かな日々の金額以上の現金引き出しを阻止したキプロスとギリシャで起きている。

最近の分析で、アメリカのベテラン金融専門家クリストファー・ ウィーランは、EU当局が2008年金融危機以来、銀行の混乱を効果的に処理し損ねており“通常、最大預金保険金額を大きく下回っている預金者が、預金現金が利用できないことになるという考え方は、次回、預貯金取り扱い金融機関が面倒なことになった場合、ヨーロッパで取り付け騒ぎや、広範な悪影響が確実に起きてしまうことになると指摘している。”2008年危機から九年たっても、EU銀行は悲惨な状況にあるとウィーランは指摘している。“ヨーロッパ銀行業界内には、約1兆ユーロの不良債権が残っている。これはEU経済の6.7%に当たる。これは大変な金額だ。アメリカと日本における銀行の銀行不良債権のGDP比率は、それぞれ1.7パーセントと、1.6パーセントだと彼は指摘している。

EUなり、インドなり、他の国なりの政府が、巨大銀行の悪徳商法を制御するのを拒否し、人々の現金使用を止めさせ、金融資産全てを国家が管理する銀行にデジタル預金するように強いることで、政府が次の緊急事態を宣言した際、そうした資産を国家が没収する舞台が用意される。この詐欺が易々と実施されるのを許すほど我々が愚かなのであれば、おそらく我々は
わずかに残された経済上の自主性も失うことになって当然なのだ。幸いドイツなどの国々における現金廃止に反対する民衆の抵抗は大規模だ。1920年代のワイマール共和国と、1931年に、第三帝国をもたらした金融危機としてのハイパーインフレーションの日々をドイツは覚えている。IMFの手法は、カエルをゆっくり茹でる中国のことわざそのものだ。だが人間はカエルではないのでは?

F. William Engdahlは戦略リスク・コンサルタント、講師で、プリンストン大学の学位を持っており、石油と地政学に関するベストセラー本の著書で、これはオンライン誌“New Eastern Outlook”への独占寄稿。

記事原文のurl https://journal-neo.org/2017/08/21/a-sinister-war-on-our-right-to-hold-cash/
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中央銀行やIMFのような機関が、庶民のためになる政策を考えるわけがない。
たまたま書店で『現金の呪いーー紙幣をいつ廃止するか? 』という本を見かけて不思議な考えがあるものだと思ったのは最近のこと。
「おそらく最もシンプルで、最も非干渉的なやり方は、高額紙幣の段階的廃止であろう。」という。こういうものに大金を払って洗脳されたい人がいることこそ謎。

属国民は人間ではなく、本当はカエルなのでは?と電気洗脳装置を、あるいはタブロイド紙の見出しを眺めて思う。

ここ数日、昼の洗脳バラエテイ見ていない。どうでもよいクズ話題を語る提灯持ち連中を見ている自分が哀れに思えてくるので。

大本営広報部から程遠い下記のインタビューは拝見したいと思う。

日刊IWJガイド「日米が『相互防衛』を約束!?『我々には多くの軍事的な選択肢がある』~米国が北朝鮮に警告! 日本は国連に、北朝鮮への『石油禁輸』措置の提起を検討! 中国の対応に注目!/本日、日本女医会の青木正美氏、前田佳子氏、牛山元美氏に岩上安身がインタビュー! 原発事故後の健康調査の問題点、市民の健康不安に対する日本女医会の活動についてお聞きします!」2017.9.5日号~No.1817号~
(2017.9.5 8時00分)

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