Tony Cartalucci/Brian Berletic

2024年6月 6日 (木)

鋼鉄に埋もれる:軍事生産とウクライナにおけるNATO代理戦争

2024年6月3日
Brian Berletic
New Eastern Outlook

 隣国ウクライナで、選挙で選ばれた政権が打倒され、その後のアメリカとNATO諸国による同国の軍事化によって、ロシアの特別軍事作戦(SMO)が開始されて、現在三年目を迎えているが、それがロシアの巨大な軍事産業基盤の恩恵を受けているのは明らかだ。

 かつては粗悪で時代遅れのロシア兵器が「画期的な」NATO兵器に打ち負かされつつあるというニュースで溢れていた欧米メディアが、今やロシアの軍事生産と、それに追いつけないNATO状況のギャップが拡大しているという見出しを掲げている。他の見出しも、過去二年以上の戦闘で、かつて自慢していたNATO兵器が欠点を露呈していると認めている。

鋼鉄に埋もれる:ロシアの砲弾と滑空弾生産

 こうした見出しの中に、スカイニュースの2024年5月下旬記事「ウクライナの欧米同盟諸国の約三倍の速さ、約4分の1の費用でロシアは砲弾生産をしている」があり、下記のように認めている。

 ロシアの工場で今年約450万発の砲弾が製造または改修されると予測されているのに対し、欧州諸国とアメリカを合わせた生産量は約130万発であることが公開情報を基にベイン・アンド・カンパニーが行った砲弾に関する調査で判明した。

 ウクライナでの戦闘を決定づける最も決定的な要因の一つは火砲だ。アメリカ政府と欧米諸国企業が資金提供する外交問題評議会が2024年4月に発表した報告書「戦争兵器:ロシアとウクライナの競争」には次のように書かれている。

 火砲は数世紀にわたり「戦いの王」として知られてきたが、これは今日もほぼ変わらない。ロシア・ウクライナ戦争では砲撃が両軍死傷者の約80パーセントを占めている。アメリカの援助打ち切り後のここ数カ月で、ウクライナの砲撃が5対1から10対1に減ったのは、一層不吉だ。

 もし5対1から10対1で武器でウクライナが劣勢なら、死傷者も同様にこの差を反映することになる。イギリス国防省を含む欧米諸国の様々な情報源によると、ロシアが「35万5000人」の死傷者を出しているのに対し、ウクライナは約5倍から10倍、つまり170万から350万人のウクライナ人死傷者を出している。

 より現実的に考えると、ロシアの損失は5万人、ウクライナの損失は50万人の可能性が高い。

 NATOとそのウクライナ代理勢力にとって懸念が高まっているもう一つの分野は、ロシアがウクライナ防空網の残存範囲外にロシア軍用機で投下する精密誘導滑空爆弾を使用していることだ。ロシアの圧倒的な砲兵力の優位性をもってしても不可能な規模で、この爆弾は、ウクライナの要塞を標的にして破壊できる。

 2024年5月下旬の「ロシアの滑空爆弾がウクライナ都市を安価に破壊」と題する記事でBBCは次のように説明している。

 ウクライナでの攻勢を進めるため、安価ながら破壊力の大きい兵器「滑空爆弾」をロシアは益々多く使用している。

 現在、国境を越えてハルキフ近郊にロシアが侵攻する際、ウクライナ北部の町ヴォフチャンスクを攻撃するため、わずか一週間で200発以上の砲弾が使用されたとみられる。

 3月だけで同様爆弾が3,000発投下されたとウォロディミル・ゼレンスキー大統領は述べた。

 ウクライナはアメリカと同等の統合直接攻撃弾(JDAM)を受領したが、減少する戦闘機と優れたロシアの電子戦(EW)能力と相まって、この能力も無意味になっている。

 2023年6月に発表した報告書「JDAM阻止:ロシア電子戦によるアメリカ兵器への脅威」の中で、アメリカ兵器の欠点と、ロシアの妨害からアメリカの滑空爆弾を守る技術的課題をアメリカが解決する可能性が低いことをロンドンに拠点を置く王立統合安全保障研究所(RUSI)は詳細に説明している。

 たとえロシアの電子戦能力をアメリカが克服できたとしても、アメリカと欧州製の滑空爆弾の数は、それを搭載できる戦闘機と訓練を受けたパイロット不足により、ロシアが使用する数のほんの一部にとどまるはずだ。

 期待に応え損ねているNATOの「奇跡の兵器」

 アメリカ製JDAMが標的に命中し損ねているのに加えて、ウクライナに供与された他の多くの精密誘導兵器もロシアの電子戦妨害に直面しており、その中にはアメリカ製エクスカリバー155mmGPS誘導砲弾や、アメリカ製HIMARSおよびM270発射装置に発射される誘導多連装ロケットシステム(GMLRS)、HIMARSおよびM270システムに発射されるアメリカ製の地上発射小口径爆弾(GLSDB)などがある。

 これら兵器は戦場で効果的に使用されているが、ロシアの電子戦能力により全体的有効性が阻害されている。また同等のロシア兵器より供給が少ないため、ロシアに決定的優位性をもたらしている。

 ウクライナでの戦闘を通じて明らかになった他の「形勢を一変させる」兵器には、ドイツ製レオパルト1と2主力戦車(MBT)とイギリス製チャレンジャー2 MBTがあり、どちらも失敗したウクライナの2023年攻勢で使用された。

 アメリカ製M1エイブラムス主力戦車もウクライナに供与された。これらは2023年の攻勢時には留め置かれていたが、代わりに今年ロシア軍が勝利したアヴデーエフカでの戦闘で戦場デビューを果たした。

 戦場で燃えるM1エイブラムスの画像や映像は、ウクライナにおける他の欧米諸国主力戦車の結果の例外でないことを示している。

 最近の記事で、M1エイブラムスの使用を試みたウクライナ人乗員にCNNはインタビューし、彼らの苛立ちと失望を報じた。

 「ウクライナ兵、アメリカ供給の戦車はロシア攻撃の標的になっていると語る」と題されたこの記事は、次のように認めている。

 イラクでサダム・フセイン政権軍や反政府勢力と戦うために使用された米軍の主力戦車(総経費1000万ドル)には最新兵器を阻止できる装甲が欠如しているとドイツで訓練を受けた乗員らは語った。

 「この戦争には装甲が不十分だ」とコールサイン「ジョーカー」の乗員の一人が語った。「装甲は乗員を守らない。実際に、今やドローン戦争だ。だから今では戦車が出ると、連中は必ずドローンで攻撃しようとする」

 これは欧米諸国の装甲車両の「生存性」を称賛する欧米諸国の専門家や評論家の主張と矛盾する。

 記事は、多くが運用不能となっている戦車の兵站と保守の課題も取り上げている。

 記事は、下記のように認めている。

…戦車には技術的問題があるようだ。

 木の下に駐車していた一輌は、ポーランドから輸送されたばかりだったにもかかわらず、エンジン・トラブルのため、CNN取材中ほとんど動かなかったと取材班は言う。また雨や霧の中では結露で車内の電子機器が壊れることもあると兵士は不満を漏らしている。

 また、ウクライナのM1エイブラムス戦車に提供された弾薬は戦車同士の戦闘用だとCNNは報じたが、記事はそういう場合はまれだと認めている。そそではなく、戦車は歩兵陣地を攻撃するための突撃砲として使用されているので、高爆発性弾薬の方が適しているが、どうやら十分な数が供給されなかったようだ。

 最後に、アメリカ製M1エイブラムス戦車の失敗は、アメリカとNATOが決して想定していなかった、十分な火砲と航空支援がない形で:ウクライナが戦車を使用しかねない事実による可能性もあるとCNNは認めている。

 CNNは次のように報じている。

 戦車がNATOスタイルの戦争、すなわち戦車と歩兵が前進する前に空軍と砲兵が戦場を準備する戦争のために作られていることにウクライナ軍乗員は不満を表明した。キーウは長い間、砲兵と空軍の不足を嘆いてきた。

 ウクライナは空軍も砲兵もないため、M1エイブラムスを含むウクライナ軍に移管された複雑で重く信頼性の低い欧米諸国の戦車は全て特に脆弱だ。

 予想可能な結果

 ウクライナへの欧米諸国の兵器供与が「形勢を一変させる」結果を予想する多くの欧米諸国の見出しと対照的に、アメリカと欧州のハードウェアの失敗は完全に予測可能だった。

 欧米諸国の軍事的優位性という神話は、全て、数十年にわたる複数の紛争で生じた一連の不一致に基づいていた。アメリカと同盟諸国は訓練も装備も不十分な軍隊の国々と戦争してきたのだ。これらの国々の多くは「ソ連」または「ロシア」の軍事装備を運用していたとされるが、それは最先端装備から数世代遅れており、装備を十分活用できない組織化不十分な軍隊に運用されていたのだ。

 こうした多くの不利な点にもかかわらず、数十年にわたり、アメリカの侵略戦争の標的となった国々は、少なくとも理論上、アメリカと欧州の兵器には限界があり、同等またはほぼ同等の敵との戦闘では脆弱なことを証明していた。このことや訓練や兵站に関する課題などの他の要因により、ウクライナの戦場における欧米諸国兵器の有効性(またはその欠如)は予想可能だった。

 欧米諸国の軍事的優位性という神話は今やウクライナで完全に打ち砕かれ、欧米諸国の兵器は量的にも質的にも限界に達し、戦場でロシア軍に決定的優位性を与えているが、欧米諸国は機会を捉えられないことが明らかになった。

 前述のスカイニュース記事は、ロシアの滑空爆弾の数が膨大かつ増加していると論じているが、欧米諸国全体の軍事産業生産が不十分なため、欧米諸国から提供される兵器が不足していることも指摘している。

 この記事には「最前線の戦争で工場が勝ち得る」という題の部分があり、下記のことを認めている。

 武器と弾薬生産の重要性から、ウクライナ戦争の勝敗は最前線ではなく、工場の生産ラインで決まる可能性があると多くの専門家は述べている。

 これは「アマチュアは戦略を語り、プロは兵站を語る」という格言を反映している。

 欧米諸国の兵器メーカーは十分な注文があった場合にのみ生産能力を拡大すると記事は説明している。これにより利益は最大化されるが、即応性が犠牲になる。生産拡大は費用のかかる過程であり、資源や、更に重要なことに時間が必要なのだ。

 ロシアの国営兵器製造企業は即応性を優先し、注文に関わらず過剰生産能力を維持しているため、欧米諸国の工場が一年以上もかかるのに対し、ロシアは数ヶ月という比較的短期間で生産を増強できる。

 ウクライナの現在の危機が、少なくとも部分的には、SMOが始まる何年も前からロシアが軍事産業生産と兵站に長期的に重点を置いてきたことと、これだけの規模や激しさや、これ程長期にわたる運用を決して想定していなかった欧米軍事産業基盤による武器を使って代理戦争を戦っている欧米諸国集団との対立の結果であることは明らかだ。

 欧米諸国が共同で軍事産業の生産拡大に真剣に取り組む頃には、ロシアは既に数年先を行く状況にある。例えば、アメリカと欧州の砲弾生産合計は、2025年から2027年の間に年間250万から300万発に拡大すると予測されている。これはロシアの現在の生産量より少ない。2025年から2027年までにロシアが生産量を更に拡大しているのはほぼ確実だろう。

 ワシントンやロンドンやブリュッセルの政策立案者の間では、この紛争におけるウクライナの「勝利」は決して本当の狙いではなかった。2019年のランド研究所論文「ロシアの手を広げさせる」が認めている通り、常に、この計画の狙いは莫大な費用を伴うロシアによるウクライナ介入を誘発し、ロシアを過度に拡大させ、ソ連のように崩壊を引き起こす可能性だった。ウクライナ紛争は「不釣り合いに多くのウクライナ人の死傷者、領土の喪失、難民の流入を引き起こす可能性がある。ウクライナを不利な平和に導く可能性さえある」と論文は予測していた。

 今日、かつて東西間でバランスを取り、両世界との商売で利益を得ていた東欧の国ウクライナにおけるロシアとのワシントン代理戦争の余波が一体どのようなものかを我々は見ている。ウクライナを本当に支援する能力も意欲もない同盟諸国の利益のために、ウクライナは、ロシアの鉄鋼に埋もれつつある。

 戦闘の明らかな結末(2019年初頭には既に良く知られていた結末)にもかかわらず、ウクライナが非合理的に戦い続けるのを促すように欧米諸国全体から発せられる言説の多くは作られている。多くのウクライナ人の心の中に、ロシアに対する深い憎悪が意図的に植え付けられているが、彼らの本当の敵は常に欧米諸国全体の指導部だった。利益、権力、影響力の永続的ながら最終的には持続不可能な獲得を前提とする欧米諸国の政策立案者の近視眼的性質は、欧米諸国全体自身さえ最大の敵にしているのだ。

 勝てないだけでなく(そもそも勝つ見込みもなかった)戦争の結末が全て戦場で決まるとすれば、より賢明な助言が勝ち、より適切な欧米外交政策が採用され、ウクライナが最終的に交渉の席に着き、戦いが長引けば長引くほど最終的に「ウクライナ」が小さくなる戦争を終わらせるまで、この自己破壊過程がいつまで続くか時が経てば分かるだろう。

 一方、ロシアの軍事工業生産は成長を続けている。砲弾や装甲、航空戦力、滑空爆弾、ドローン、防空システム、あらゆる種類のミサイルは生産量が増大しているだけでなく、品質の向上に向けて開発が進められている。多くの場合、ロシアの軍事装備は欧米諸国の装備の能力を超えている。品質に関係なく、単純に量が多いため、戦場で敵を鋼鉄で「葬り去る」ことができるのだ。

 Brian Berleticは、バンコクを本拠とする地政学研究者、著者。オンライン誌New Eastern Outlook独占記事。

記事原文のurl:https://journal-neo.su/2024/06/03/buried-in-steel-military-production-natos-proxy-war-in-ukraine/

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 The New Atlasでも、本人が同じ話題を語っている。

Buried in Steel: Military Production & NATO’s Proxy War in Ukraine 40:46

 George Galloway MOATAS 最新番組は、今回のパスポート没収を巡るスコット・リッター・インタビュー

INTERVIEW: Land of the free, home of the grave 19:09

 日本語で検索しても、属国大本営広報部で、彼のパスポート没収を扱う記事は見当たらない。日本語記事はSputnikのみ? 英語で検索しても、宗主国大本営広報部は全く報じていないようだ。

 デモクラシータイムス

<小池潜行 自公維野合>【山田厚史の週ナカ生ニュース】 1:47:50

 今朝の孫崎享氏メルマガ題名

ウクライナ戦争和平は①NATOはウクライナに拡大しない、②東南部の帰属は住民の意思に従うを軸に実現できると思う。上記二点米国、NATO側はこれまで受け入れを表明していない。この中バイデンは「ウクライナの平和はNATO加盟を意味するものではない」と発言。支離滅裂気味。

 日刊IWJガイド

「ロシア領への直接攻撃を認める西側諸国の決断に、ロシアが警告! しかしマスコミはまたも甘い見通し!」

はじめに~ウクライナ対ロシアという2ヶ国間の「紛争」の枠組みを大きく踏み越える軍事的エスカレート! 西側諸国は、ウクライナに長距離攻撃可能な兵器を供与し、ロシア領内を直接、攻撃することを認める! 前ロシア大統領のメドベージェフ・ロシア安全保障会議副議長が、このエスカレーションに深刻かつ真剣な警告!「西側諸国との現在の軍事紛争は、最悪のシナリオ通りに発展している。NATOが使用する兵器の威力は絶えずエスカレートしており、紛争が最終段階に移行する可能性を誰も排除できない」! この警告を、日本のマスメディアはことごとく真剣に受け止めず、スルー!! またもや見通しを誤る可能性大!!

2024年5月 9日 (木)

ウクライナでの教訓を学ばずにイギリスは「威力ある」戦車チャレンジャー3号を発表

2024年4月29日
Brian Berletic
New Eastern Outlook

 「イギリスで最も威力ある戦車」が生産ラインから出ているとイギリス国防省が発表した。「ヨーロッパで最も威力ある戦車の一つ、チャレンジャー3の入手に更に一歩近づいている」と声明で、イギリス陸軍兵士が主張することになるだろう。

 しかし、いくつかの例外を除いて、ラインメタルBAEシステムズとのほぼ9億9,000万ドルの契約に基づいて製造されたチャレンジャー3主力戦車の詳細は、目的より利益を重視し、ウクライナで進行中の紛争から重要な教訓をイギリス政府と軍隊は学べていない。

 チャレンジャー3は本当に「新しい」わけではない

 最初の発表と価格は、チャレンジャー3が新たに生産された戦車であることを示唆しているが、実際は既存のチャレンジャー2戦車を改修し近代化したものだ。

 2024年4月の「イギリスで最も威力ある戦車が試験に入る」という題名の記事で、イギリス陸軍既存のチャレンジャー2戦車221輌が改修/近代化されたチャレンジャー3127に「スリム化」されるとBBCは主張した。国防省声明は、チャレンジャー3号は合計148機引き渡されるとしている。

 既存戦車を改修し近代化したにもかかわらず、9億9,000万ドルの計画は戦車一輌あたり約600~800万ドルに相当し、改修/近代化されたロシアのT-72B3、T-90M、またはT-80BVM戦車より数倍高価で、最近のBusiness Insider記事によると、ロシアの最新戦車T-14 Armataと同じくらい高価で、価格は500万ドルから900万ドルと考えられている。

 改修され近代化された主力戦車は依然戦場で効果的に機能する。戦車の最も重要な特性は火力、防御力、機動性で、これらは全て近代化計画中に改良されることがよくある。

 ロシアは、改修および近代化計画により戦場で効果的な装甲を大量に配備できることを証明しているが、そのような計画の成功の鍵は、その過程が迅速かつ安価に行われることだ。「不毛の樽」と題する2022年11月の記事で、ロシアの戦車産業は年間最大250両の新型車両を生産し、更に最大600両を近代化する能力があると欧米資本のメディア、ノーバヤ・ガゼータは主張した。これは、2040年までに計画されている全てのチャレンジャー3戦車の総数より遙かに台数が多い。

 時代遅れの設計哲学を強化

 イギリスのチャレンジャー3戦車がその高価格と少量を正当化できるという証拠はない。戦車がどれほど効果的でも、数が少ないため、同等または同等の敵との大規模作戦では不利になる。

 チャレンジャー3の基になっているチャレンジャー2主力戦車は既にウクライナで実験され、性能は低かった。イギリスの在庫にあるチャレンジャー2の数は全体的に少ないため、戦闘で使用するためにウクライナ軍に移送できたのは14輌だけだった。ウクライナの攻勢が失敗に終わる2023年9月、最初のチャレンジャー2号は、おそらく地雷により、ロシア軍に破壊されたとイギリス・メディアは報じた。

 2023年攻勢の中「突破口」に備えてチャレンジャー2号戦車を予備としてウクライナが保有しているのではないかという憶測があったが、そのような作戦は行われなかった。

 その代わり、チャレンジャー2派、前線の要塞を攻撃するための高価で、重く、過度に複雑な突撃砲として使用されていたと報告書は主張している。同様の報告書で、チャレンジャー2は「重すぎ」、保護が欠如し、「過度の保守」が必要だと批判されている。報道によると、重い重量と比較的出力の低いエンジンが組み合わさったため、この戦車はウクライナの泥だらけの地形で動けなくなったという。また、その重さから、戦場を横切っている戦車を支えられない橋を渡る際も問題が生じる。

 同様の設計思想を採用した他の欧米主力戦車も同じ挫折を経験した。

 また他の欧米主力戦車と同様、チャレンジャー2の多くのシステムは不必要に複雑だった。この戦車は、最新の戦車のようなトーションバーの代わりに、油圧空気圧サスペンションを使用している。複雑なサスペンションシステムにより、主砲の精度が向上すると考えられている。サスペンションの複雑さが増すことで、修理用交換部品の数が増えるとともに、より複雑な保守作業が必要となり、既に悲惨なウクライナでの物流上の課題が一層複雑になった。

 チャレンジャー2は、他のNATO戦車設計で使用されている120mm滑腔砲とは対照的に、独特のライフル主砲を使用したため、弾薬の別途供給が必要となり、戦場で戦車を維持するのが更に困難になっていた。

 チャレンジャー3は実際にはチャレンジャー2より重いが、同様の大きさと出力のエンジンの使用が予想されており、これは、余分な重量を支えられる橋を見つけるのと同様に、困難な地形を横断するのが一層困難になることを意味する。チャレンジャー3には、チャレンジャー2の複雑な水圧空気圧サスペンションの改良版が使用される。

 全体的改善としての設計上の決定の1つは、共同作戦演習や戦場で改良された戦車の兵站的負担を軽減するチャレンジャー3がNATO標準弾薬を使用できるようにする120mm滑腔砲の使用だ。

 全体として、チャレンジャー3は時代遅れの設計哲学を強化したもので、少数の複雑な戦車が、低品質な、より多くの敵の戦車に対し、優位性を獲得することを目的としていた。今日、現代のロシアの主力戦車は、数キロメートルの射程で射撃し、最初の射撃で標的に命中させられる。ロシアの主力戦車は主砲から対戦車誘導ミサイル (ATGM) も発射するため、実際には欧米戦車の射程外の標的と交戦できる。

 しかし、ウクライナが証明している通り、戦車対戦車の戦闘は比較的まれだ。双方が広汎な移動プラットフォームに搭載される可搬性の高い対戦車誘導ミサイルを使用しており、対戦車用には神風ドローンを使用する。代わりに、戦車は、敵の防御に対する攻撃や長距離直接射撃兵器として使用される。これらの役割は、いずれも、チャレンジャー2や3の設計に含まれる高価で複雑な機能を必要としない。

 代わりに、主力戦車が攻撃を受け重大な損傷を受けたり破壊されたりする可能性が高いため効果的戦車を最も速く最も安価に生産できる国が消耗戦略で本質的に有利になる。

 これら教訓を、チャレンジャー3は全く学んでいないことを示している。

 アメリカのM1エイブラムスやドイツのレオパルト2など他の欧米戦車同様、チャレンジャー3は、組織化が不十分で武装が不十分な過激派に対し武器を組み合わせる、数十年にわたる「小さな戦争」の中で開発された兵器だ。その役割でさえ、欧米諸国の大きく重く複雑な設計哲学は、世界中の戦場で普及した安価で効果的なロシアの対戦車ミサイルの餌食になり始めている。

 これら大型で複雑で高価な主力戦車の改良版を製造し続ける動機は、戦場での有効性への狙いではなく、主に経済的利益への欲求から生じている。全く新しい主力戦車の開発には、研究開発に多額の資金が必要となるだけでなく、最終的に製造するための新たな工具類も必要で、たとえそれら戦車が現代の戦場にどれほど不適切であれ、さほど大掛かりではない (が効果も遙かに少ない) 改良を既存戦車に行うことで金を儲けられるのだ。

 初代チャレンジャー3の配備に関するグラント・シャップス国防長官の次のような発言をBBCは記事で引用している。

 イギリスが直面する脅威が進化するにつれ、より危険な世界で、チャレンジャー3のような車両の必要性が不可欠となっている。

 しかし、過去20年、イギリスやアメリカや欧州同盟諸国が戦ってきた多くの戦争や代理戦争は、全て自分たちが選んだ紛争で、欧米集団が直面しているとされる「脅威」に関する意図的な嘘に基づいて、そうした介入が国民に売りこまれたことが多かった。

 現実は、目的よりも利益を優先する、この考え方こそ、インフラや教育や医療から「必要不可欠な」チャレンジャー3のような高価で役に立たない兵器計画に公共資源を振り向けて、欧米の民衆の福祉や幸福に最大の脅威をもたらしているのだ。

 Brian Berleticは、バンコクを本拠とする地政学研究者、著者。オンライン誌New Eastern Outlook独占記事。

記事原文のurl:https://journal-neo.su/2024/04/29/uk-unveils-lethal-challenger-3-failing-to-learn-lessons-from-ukraine/

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 New Atlasで彼は同じ話題を語っている。

Britain's "Newest" Tank: Challenger 3, Failing to Learn Lessons from Ukraine 24:00

 イスラエルの戦争犯罪を告発した南アフリカには驚いた。南アフリカのナレディ・パンドール国際関係協力大臣の演説を聴いて納得。属国与党と違って、主権国家には、まともな政治家がいるのだ。イスラエル軍戦争犯罪を告発する南アフリカ文書は現在IWJで翻訳中と聞いている。

Viral Naledi Pandor Lecture To Arrest Netanyahu Shakes the World ! 49:49

 ジョージ・ギャロウェイMOATSのインタビューで、エジプトは「物乞い国家(beggar state)」。アメリカとて精神的には「物乞い国家」だと彼もスコット・リッターも。

INTERVIEW: Egypt, a beggar state 16:27

  DanielDavis/DeepDiveで、ゼレンスキーも欧米も現実から遊離しているとミアシャイマー教授

John Mearsheimer Zelensky & the West Detached from Reality 1:05:32

 The Chris Hedges Report Fish氏の挿絵が秀逸。懐かしいStrangelove名画のもじり。

The Nation’s Conscience

The courageous stance of students across the country in defiance of genocide is accompanied by a near total blackout of their voices. Their words are the ones we most need to hear.

Chris Hedges
May 08, 2024

 日刊IWJガイド

はじめに~スクープ! なんと、150万人近くのパレスチナ人難民が追い詰められた、ガザ地区南部のラファへのイスラエル軍による攻撃に、米国はひそかにGOサインを出し、全面協力していた!! ほんの2ヶ月前には、バイデン政権あげて猛反対のポーズ! しかも、イスラエル軍のラファ侵攻直後に、米国はイスラエルへの武器供与を拒否したと発表したというのに!

IWJへのご寄付・カンパは、11月から3月までの5ヶ月間連続して目標に未達で、不足額は合計972万3789円にもなります!「IWJしか報じていない情報」がますます増えている中、今後も目標未達となると、IWJは活動できなくなる可能性が出てきます! 有料会員登録と、ご寄付・カンパで、どうか財政難のIWJへの強力なご支援をよろしくお願い申し上げます!

【中継番組表】

<インタビュー報告>「岸田政権にまで至る第2次安倍政権の路線は、大企業だけ良くする円安政策を進め、憲政史上最長の政権を築いた。そもそも最初から、『アベノミクス』は、中小零細企業を救う気は、まったくなかった。まして、非正規労働者を救おうなどと、思ってもいなかった」! 岩上安身によるエコノミスト田代秀敏氏への緊急連続インタビュー第4弾!

<米国内の大学で親パレスチナ、シオニスト・イスラエルによるジェノサイド反対学生運動が拡大(その5)>【5月2日、コロンビア大学ハミルトン・ホールで警察が発砲!? ニューヨーク市警は地元メディアの指摘を受けるまで発砲事件を隠蔽! UCLAでは、数百人の警察がキャンプを強制撤去し、209人の学生を逮捕! バイデン大統領は、「我々は人々を黙らせたり、反対意見を鎮圧したりする権威主義国家ではない」が、「我々は無法国家ではない、秩序が勝たなければならない」と、一連の親パレスチナデモに初声明! これこそ「虐待者が突然、被害者に変身する反作用的な虐待(reactive abuse)」の典型的なケース!】

2024年4月 8日 (月)

ウクライナにおけるアメリカ兵器の運命は、この先考えている中国との戦争に一時停止をもたらすだろうか?

2024年3月12日
Brian Berletic
New Eastern Outlook

 ここ数カ月、ウクライナ軍に供与されたアメリカの先進兵器システムは、戦場でロシア軍に追い詰められ、破壊されている。米軍のM142高機動ロケット砲システム(HIMARS)被弾映像が初めて確認されたこと、M1エイブラムス主力戦車数両が破壊されたこと、更にブラッドレー歩兵戦闘車数両が失われたことなどをニューズウィーク誌が報じた

 CNNによると、昨年、ロシア軍のミサイル攻撃でアメリカ製パトリオット防空砲台が損傷したことをアメリカ国防総省は認めた。今年、フォーブス記事で、ロシアの短距離イスカンデル弾道ミサイルが、少なくとも二基のパトリオット・ミサイル発射装置を破壊したことが認められている。

 これらの進展は、M1エイブラムスがウクライナに送られたことに関してビジネス・インサイダーが主張した通り、ロシアのソビエト時代の装備はアメリカ兵器に「かなわない」という自慢を含め、兵器システムの優位性に関する数十年にわたるアメリカの主張を終わらせるものだ。

 アメリカの軍事覇権神話を打ち破る

 1991年の湾岸戦争と、2003年のアメリカ主導のイラク侵略におけるアメリカ軍事技術の性能の不完全な分析に基づいて、アメリカ軍事技術は優れているという神話を、欧米マスコミの他の多くの記事と同様、ビジネス・インサイダー記事は繰り返した。どちらの場合も、当時既に時代遅れになっていたソ連時代の装備を使う、訓練不足のイラク軍に対し、アメリカは、最高の軍隊と装備で戦ったのだ。

 両紛争での戦闘の一方的な結果は、ソ連とロシア連邦の軍事技術に対する、アメリカの優位性の証拠として引用された。それはまた、中国の軍事力に対する軍事的優位の前提としても機能している。このような一方的な戦闘は、ウクライナの戦場にアメリカ兵器が到着する前に、欧米専門家が想像したもので、ウクライナにおける、これらシステムの性能の低さにもかかわらず、アメリカと中国間であり得る紛争でも、そのような一方的な戦闘が依然想定されている。

 しかし、1991年から現在までの近代戦の進化を注意深く研究している専門家にとって、欧米の軍事技術と非国家武装組織の軍事技術との格差は縮まりつつあった。2006年のイスラエルによるレバノン南部侵攻の際、ロシアの近代的対戦車兵器を使用して、ヒズボラはイスラエル軍に多大な損害を与えたとハアレツは報じた。ヒズボラの軍事力強化により、目標のリタニ川に到達するかなり前で、イスラエルのメルカバ主力戦車と支援部隊の進軍を阻止できた。

 シリアで進行中の紛争で、ソ連とロシア製防空システムの使用にシリア・アラブ軍が成功したため、アメリカやヨーロッパやイスラエルの戦闘機は、より長距離のスタンド・オフ兵器を使った攻撃を仕掛けることを余儀なくされた。これら防空システムは、欧米諸国の巡航ミサイルを迎撃するために使用され、国中の標的の被害を軽減している。

 2015年、ダマスカスの招請によるロシアのシリア介入後、近代的ロシア空軍力の効果的使用が続き、欧米が支援する過激派の補給線を切断し、彼らを現地のシリア軍が包囲し、破壊するのを支援した。

 現代の欧米兵器システムが、現代のロシア軍事技術と対峙すれば、欧米軍事的優位の神話は打ち砕かれることが明らかになりつつある。またアメリカの軍事技術と中国の軍事技術に関しても、同様格差が縮まりつつあることも明らかになっている。

 ウクライナの戦場では、アメリカや他のNATO加盟国が訓練し武装したウクライナ旅団を、ロシアの近代兵器を使ってロシア軍が殲滅している。2023年のウクライナ攻勢前の大きな期待にもかかわらず、数カ月の戦闘でNATOが訓練した武装旅団は最大9個旅団が壊滅した。2023年末、ウクライナの大規模攻勢にもかかわらず、ロシアはその年に、最も多くの領土を獲得したとニューヨーク・タイムズ紙は報じている

 2022年以降に移転した欧米諸国の兵器をウクライナが適切に統合するのに十分な時間がなかったのは事実だが、戦場での欧米とロシアの兵器の性能は、欧米の軍事的優位という考えが、これまで以上に歴史的郷愁に満ちた解釈であることを明らかにした。現実とかけ離れているのだ。

 戦場での欧米とロシアの兵器の性能以上に、欧米とロシア双方の軍事産業能力が試されている。欧米諸国の民間企業が運営する武器製造は、現在ウクライナで起きている長期にわたる大規模戦闘に必要な急増能力の開発に失敗している。ロシアの軍需産業基盤は、ソ連から、そのような急増能力を継承し、その後、強化・近代化し、ニューヨーク・タイムズによれば、制裁にもかかわらず、今や欧米諸国を凌駕している。

 更に、現代の西洋兵器は複雑なため、これら兵器を戦場で運用し続けるには、兵站、維持、保守の広大なネットワークが必要だ。ウクライナに移転されたアメリカ兵器のためには、そのような体制は作られておらず、それがなければ「ウクライナ人は、これら兵器システムを維持する能力がないはず」なことをアメリカ国防総省監察官による最近の報道発表は明らかにしている。

 このような支援は、大規模事業を必要とするため、ウクライナには提供されなかった。いかなる戦力に対しても、その部隊と、それが使用する兵器や車両を支援し、維持し、維持するためには、何倍もの戦力が必要だ。

 まとめると、欧米の軍事技術について明らかになったこれら弱点の全ては、中国に対する直接または代理紛争の可能性に先立ち、アメリカにとって良い前兆ではない。

 アメリカと中国の軍事力の差は縮まりつつある

 中国は、ロシアが現在ウクライナで採用しているシステムに匹敵する多くの兵器システムを保有しているだけでなく、ロシアからロシア最高の軍事技術のいくつかを取得している。これには、Su-35戦闘機やS-400防空システムが含まれる。

 特に地対地ミサイルと戦闘機が発射する空対空ミサイルのミサイル技術において、中国軍事システムの能力がアメリカのミサイルに匹敵するか、それを超えていることをアメリカ国防総省は認めているとAir and Space Forces Magazineは報じている

 2023年のロイター記事も、同様にアメリカ国防総省を引用し、中国海軍は既に米海軍より大きいことを認めている。

 ロシアの軍需産業基盤は欧米諸国を凌駕しているが、中国の産業基盤は更に大きい。アメリカが、軍事装備や弾薬の面でロシアの後塵を拝している、あらゆる困難も、中国の軍事産業生産高に比べれば、見劣りするはずだ。

 アメリカが中国と引き起こそうとしているあらゆるあり得る紛争が、アメリカ海岸から何千キロも離れたアジア太平洋地域で起こる事実と、戦場でアメリカ軍事技術を支援するのに必要なネットワークの広範な性質を考慮すると、ワシントンが中国に対するあらゆる武力紛争と戦い、勝利するという考えは、特に益々ばかげているように見える。

 たとえワシントン戦略が、アジア太平洋地域で中国と戦い勝利するという脅しではなく、結末がどうであれ、戦争の恫喝により、地域の平和と安定を人質にとることで中国を従属させるのであっても、アメリカにとっては困難となり、立場は年々弱体化している。

 現在のアメリカ外交政策は「力は正義なり」という前提に基づいている。しかし、アメリカはもはや「最強」でないのは明らかだ。アメリカが直接あるいは代理を使い世界中で紛争を引き起こしながら、数十年前、アメリカを守っていた軍事力上の以前の優位性が深刻な結果に苦しむ危険を冒しているのだ。

 このような持続不可能な政策を追求し続ければ、ワシントンとアメリカ国民にとって大惨事に終わるだろう。だが、アメリカは、ロシアや中国のように他国との相互尊重や、あらゆる国の国家主権の優位に基づき常に共存と協力の政策に軸足を移すことが可能だ。

 アメリカはもはや地球上最強の国ではないはずだが、多極世界の中で傑出した尊敬される地位を占めるはずだ。逆に、好戦的な外交政策を推進追し続ければ、もはや地球上最強の国ではなく、遙かに困難な状況の下で、そういう結論に達するだろう。

 ウクライナの戦場で繰り広げられていることは、欧米覇権が弱まり、今や欧米集団や、世界中の野望より、自国国境や地域内で、世界の他の国々が自国の最善の利益を主張できるようになった世界の中で紛争を誘発し続ければ、欧米集団が一体何を経験するかについての洞察を欧米集団に与えている。

 自らの危険を顧みずに、世界覇権を追求し続けると欧米諸国は主張している。

 Brian Berleticは、バンコクを本拠とする地政学研究者、著者。オンライン誌New Eastern Outlook独占記事。

記事原文のurl:https://journal-neo.su/2024/03/12/does-the-fate-of-us-arms-in-ukraine-create-pause-for-thought-ahead-war-with-china/

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 Brian Berletic氏のThe New Atlas最新記事も、この話題。

Ukraine's Ammunition Crisis Persists as Western Desperation Grows 37:10

2024年4月 3日 (水)

進む欧米の火砲能力の弱体化

2024年3月26日
Brian Berletic
New Eastern Outlook

 何十年にもわたり、貧乏な軍隊や常備軍を全く持たない貧しい国々に戦争を仕掛けてきたアメリカは、突如、同等か同等に近い競争相手が軍事力でアメリカを凌駕する急激に変化する世界にいるのに気がついた。これら能力の多くは、最近までアメリカが相対的な軍事的優位を享受してきた場所の戦場に現れている。

 アメリカが特に苦手とする分野の一つは大砲だ。ウクライナでの紛争は、アメリカの火砲能力だけでなく、西欧諸国の火砲能力に関する様々な欠点を露呈した。

 アメリカ陸軍の「長距離砲」(ERCA)試作機が最近キャンセルされたのは、アメリカ政府が遥かに後れをとっているというワシントンの認識を反映した、いくつかの出来事の中で、ごく最近の出来事に過ぎない。

 2024年3月12日付の「米陸軍、拡張射程砲試作の取り組みを中止」と題する記事で、Defense Newsは次のように述べている。

 米陸軍は、長距離砲の能力を獲得する方法を変更し、58口径の拡張射程砲の試作作業を中止した。

 3月8日の2025年度予算要求に関する要旨説明で「我々は昨年秋、プロトタイピング活動を終了した」と、ダグ・ブッシュは記者団に語った。「残念ながら、直ちに生産に入るほどの成功を収めることはできなかった」。

 新しい計画は、陸軍未来司令部が主導する長距離大砲要件の再検討を目的とした「徹底的」戦術射撃研究に続くもので、この夏に産業界の既存選択肢を評価し「これらシステムの成熟度を把握する」ことだ。

 試作機は、欧米諸国がウクライナに供与した火砲システムが抱えている「比較的少ない弾数を発射した後の砲管の過度摩耗」という問題の多くに悩まされ始めた。

 比較的最近まで、欧米の火砲システムは、歩兵を支援する非正規過激派部隊を標的とする射撃任務の一環として、比較的少ない数の弾丸を発射するだけだった。これら任務は、過激派が使用する小火器の届かない静的な基地から行われる。これら射撃基地は、弾薬と保守の両面で砲兵隊員を支援できる十分に発達した兵站網の末端に存在していた。

 これは、ウクライナで見られる激しい陣地戦と全く対照的で、銃身が変形し始め、精度を失い、場合によっては火砲を傷つけたり殺したりする可能性がある爆発を含む射撃で、砲は連日連続発砲される。対火砲作戦の激しさは、砲兵隊が標的にならずに、前線近くで簡単に修理を行うことができないことを意味する。

 現代の欧米大砲は、この発射速度を満たすようには設計されておらず、特に十分保護された兵站線がもはや存在しないこの種の戦闘環境でうまく機能するようには設計されていない。

 欠陥のある解決策を探す

 別のDifence News記事「アメリカ陸軍、ウクライナでの戦争に拍車をかける新たな火砲戦略を準備」は、欧米火砲システムの明らかな欠陥に対処するため、アメリカが取ろうとしている方向性を示している。

 記事は特に中距離砲で長距離砲と同等の射程を撃つのを可能にする「推進剤」の進歩を指摘した。また軍需品の自動装填装置という形の「ロボット工学」も論じている。

 ところが、どちらの手法も、冷戦以来、アメリカとNATO同盟諸国が進めてきたのと同じ誤った方向、つまりロシアと中国の武器と弾薬の量に対する技術的優位性を利用しようとする過剰設計されたシステムに向かっているように見える。この手法の問題点は、欧米の軍事技術とロシアや中国の軍事技術間に大きな格差がもはや存在しないことだ。

 両国とも、高品質の兵器システムを大量に生産する能力がある。

 さらに、ウクライナで見られるように、ロシアは、ロシア自身の火砲システムの射程を遙かに超えて、欧米の火砲システムを発見し、攻撃できるランセット神風ドローンのような長距離対火砲能力を構築している。正確で長射程の大砲を保有したからといって、ロシアや中国とのあり得る紛争で、アメリカが考えているような優位性は得られない。

 ロシア、中国両国は、これら兵器を世界中の他の国々に益々輸出しており、欧米諸国による軍事侵略の潜在的標的数を制限していることに留意すべきだ。

 根本的に欠陥があるアメリカの考え方

 ワシントンの問題は、目的や性能より利益を優先し、大量の単純だが効果的な装備より、少数の高価な兵器システムを好む、民間産業が支配する軍産基盤に起因している。

 ERCAプロトタイプを放棄した後、現在米陸軍はイスラエルのエルビット・システムズ自律型トラック搭載兵器システム(ATMOS)アイアン・セイバーなどの既存システムや、イギリスのBAE、フランスのネクスターなどが製造したシステムを調査している。

 例えば、イスラエルのATMOS自走砲システムは世界中の国々に運用されているが、その数は一桁から二桁だ。

 これら全てのシステムに共通する問題は、大規模生産が不可能な小規模生産能力によって生み出される過剰設計された技術への依存だ。ウクライナの戦場で示された需要を満たすために必要な大量の弾薬供給にも同様の不足がある。例えば、2024年3月11日の記事で、ロシアだけで、アメリカと欧州を合計したものの少なくとも三倍の大砲弾薬を生産しているとCNNは指摘している。

 米陸軍の進行中計画の一環として行われた追加改善を含め、これらシステムのいずれかがどれほど有能でも、それぞれの軍産基盤が、現在のウクライナのように、将来の戦場から失われるより早く、それらを置き換えられなければ、その能力は、あり得る紛争の最終結果にほとんど違いをもたらすまい。

 技術格差が縮まるにつれ、現代の戦争は変化しており、一握りの高性能で保守の行き届いたシステムは、戦場で、もはやアメリカと同盟諸国に優位をもたらさないことを意味する。中東でさえ、現地の過激派は無人機や精密誘導ロケット弾を使って、アメリカが交換するより早く、アメリカ軍装備品を消耗させている。これまでのところ、これらの例はごく僅かで、ごくまれだ。もし、アメリカとイランとイランの多くの同盟諸国間で大規模紛争が勃発すれば、アメリカの能力はたちまち消耗し、アメリカ軍に作戦上の危機を引き起こすだろう。

 この現実がはっきり現れているにもかかわらず、いまだに、アメリカの優れたイノベーションと、想定される優位性をアメリカに与える上で民間産業が果たす役割という神話にアメリカの計画立案者連中はしがみついている。

 最近のアメリカ国防産業戦略(NDIS)報告書は、現在のアメリカ軍需産業基盤の様々な欠点を指摘し、その多くが民間企業に起因していると認めているが、民間産業は問題の原因ではなく、解決策の一部だと主張している。

 アメリカの軍産基盤は、ワシントンが奉仕する民間産業に支配されているので、実際の能力ではなく、産業の利益が最優先事項のままなのだ。この方程式が続く限り、アメリカは、そもそも、これら問題を生み出しているのと同じ欠陥のある考え方を適用することによって、新たな問題を解決しようと試み続けるだろう。

 Brian Berleticは、バンコクを本拠とする地政学研究者、著者。オンライン誌New Eastern Outlook独占記事。

記事原文のurl:https://journal-neo.su/2024/03/26/the-growing-weakness-of-western-artillery-capabilities/

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 再選めざす緑のタヌキ。野球通訳どころではない学歴詐称タレントを支持する人々の考え、全くわからない。

 ジャーナリストの横田一氏、彼女から「排除します」発言を引き出す偉業後、一度も指名されず記者会見からも排除されている。
 つまり彼以外のマスコミを名乗るTVや新聞=大本営広報部大政翼賛洗脳機関も速記者全員も忖度記事で生活している。ウソ・メディア。

 デモクラシータイムス

【横田一の現場直撃 No.261】◆危ない万博メタンガス ◆排除小池 乙武擁立 ◆シールド工法 下水道も立往生 20240401 1:07:05

 マグレガー氏YouTubeを字幕付きで流してくれる番組、現れないものか?

Douglas Macgregor Reveals: US-Ukraine's Dire Fate - Global Power Play & the Future of Geopolitics 22:52

 今朝の孫崎享氏ルマガ題名

中国は本年経済成長を5%の目標。西側の多くは懐疑的。中国首相も目標は厳しいと発言。3月の製造業購買担当者指数(PMI)は50.8と、1年ぶりの高水準。活動拡大・縮小の境目は50。輸出1-2月前年同期比7.1%増、FT「ここ数週間で安定化の兆しを見せている。」

 日刊IWJガイド

 「4月3日になりました! 今後も目標未達となると、IWJは活動できなくなるかもしれません! ご支援をお願い申し上げます!」

【本日のニュースの連撃! 4連弾!】

【第1弾! イスラエル国会が「国家安全保障を脅かす」として『アルジャジーラ』のイスラエル事務所を閉鎖する法律を可決! カルヒ通信大臣は、『アルジャジーラ』が「数日以内に閉鎖され、表現の自由はなくなる」と断言!!】米ホワイトハウスのジャンピエール報道官は「本当なら憂慮すべきこと」と表明!(『タイムズ・オブ・イスラエル』、2024年4月1日)

【第2弾! イスラエルがシリアの首都ダマスカスで、イラン大使館を空爆! 革命防衛隊の精鋭組織「コッズ部隊」の上級司令官・ザヘディ准将ら7人を殺害!】イランは「あらゆる国際義務と国際条約への違反」と指摘し、「断固とした対応」を表明! イスラエルは米国を巻き込んでの戦争拡大を狙ってシリアでイラン施設を攻撃か!? イランは、イスラエルによる度重なる軍事的挑発に耐えられるか!?(『ブルームバーグ』、2024年4月2日)

【第3弾! 上川外務大臣がUNRWA(国連パレスチナ難民救済事業機関)への資金提供停止を解除すると発表!】「ガザの人道状況が悪化の一途を辿っていることへの強い危機感」を理由に「UNRWAの関与がやはり不可欠」だと表明! それならなぜ、何の根拠も示さないイスラエルの「UNRWAスタッフがテロに関与」との主張に従って、資金提供を停止したのか!? 何人の子供達が餓死したのか!?(『外務省』、2024年4月2日)

【第4弾! イスラエル国防軍がガザ地区最大のアル・シファ病院でのハマス掃討作戦が終了し、撤退したと発表! 何の証拠も示さず、約900人を拘束、そのうち500人以上がテロ工作員、200人以上を殺害したと明らかに!!】残されたのは廃墟となった病院と、放置され腐敗した死体の山!(『タイムズ・オブ・イスラエル』、2024年4月1日)

2024年3月 8日 (金)

アメリカの防衛産業基盤をむしばむ致命的欠陥

2024年2月15日
Brian Berletic
New Eastern Outlook

 ワシントンの地球規模外交政策目標の持続不可能な本質と、防衛産業基盤(DIB)がそれを実現できないことに関し、多くの専門家が結論付けたことを、史上初のアメリカ国防総省国防産業戦略(NDIS)が裏付けている。

 アメリカの防衛産業基盤を悩ませている多くの問題として、緊急増産能力不足や、労働力不足や、必要なものを必要な時に必要な量生産するよう海外の下流サプライヤーや民間産業パートナーを奨励するには不十分な「需要兆候」等を、この報告書は挙げている。

 実際、報告書で指摘されている問題の大半は、儲からないため、国家安全保障要件を満たすのに民間企業が消極的なことと関係している。

 例えば、この報告書は、アメリカ防衛産業基盤の多くの企業が高度な製造能力に欠けている理由を説明し、以下のように主張している。

 従来の防衛産業基盤の多くの企業は、必要な設備投資効果が得られる事業計画の作成に苦労しているため、依然高度な製造技術を採用していない。

 言い換えれば、高度な製造技術を採用すれば、アメリカ国防総省の狙いは満たせるが、民間企業にとっては儲けが出ないのだ。

 この報告書は、事実上、問題がアメリカ防衛産業基盤に対する民間企業の不均衡な影響力に起因するにもかかわらず、一度も民間企業自体が問題だとしていない。

 民間企業と、その利益優先策が防衛産業基盤の目的実現を阻止する中心問題なら、明白な解決策は、民間産業を国有企業に換えて防衛産業基盤を国有化することだ。これで政府は利益よりも目的を優先できる。ところがアメリカ合州国やヨーロッパでは、いわゆる「軍産複合体」は、もはや政府や国益に従属するのでなく、むしろ政府や国益が彼らに従属するほどの規模に成長している。

 欠陥がある前提の上に築かれたアメリカ防衛産業戦略

 民間企業がアメリカ防衛産業基盤を掌握しているだけでなく、防衛産業基盤が構築される前提そのものに根本的欠陥があり、民間企業の利益主導の優先順位付けに深く根ざしている。

 報告書は次のように主張している。

 この国防産業戦略の目的は、敵対国に対し持続的な競争上の優位をアメリカにもたらす産業生態系の発展促進だ。

 いわゆる「敵国」の追随を許さずに、富と権力をアメリカ合州国が世界中に絶えず拡大し続けるという考えは非現実的だ。

 中国だけでもアメリカの4-5倍人口がある。実際、中国の人口はG7を合わせた人口より多い。中国にはアメリカより大きな産業基盤、経済、教育制度がある。中国の教育制度は、科学、技術、工学など重要分野で毎年アメリカより何百万人多い卒業生を輩出しているだけでなく、そのような卒業生の比率はアメリカより中国の方が多い。

 中国だけが、現在、そして近い将来、アメリカに対する競争上の優位を維持する手段を持っている。こうした現実がどうであれ、対中国で(対世界は言うまでもなく)優位を維持する戦略を立案しようというアメリカは妄想に近い。

 ところがアメリカ政策立案者連中は、まさにそのための戦略を60ページにわたり打ち出そうとしているのだ。

 中国だけでなく、ロシアも

 アメリカの「ペース配分の課題」として中国は繰り返し言及されているが、ウクライナで進行中の紛争は、おそらく世界のパワーバランス変化の最も深刻な例だ。

 人口、GDP、軍事予算を合わせれば、ロシアの何倍もの規模なのにもかかわらず、戦車、航空機、精密誘導ミサイル等の複雑なシステムはおろか、砲弾のような比較的単純な弾薬でさえ欧米諸国はロシア生産にかなわない。

 机上でこそアメリカと同盟諸国はロシアに対し考えられるあらゆる優位を持っているように見えるが、欧米諸国は目的主導型でなく利益主導型社会として組織化されている。

 ロシアでは防衛産業は国家安全保障のために存在している。言うまでもないことと思われるかもしれないが、欧米諸国全体で、防衛産業は、欧米諸国の他の全産業と同様に、利益を最大化するために存在している。

 国家安全保障に十分貢献するため、防衛産業は妥当な急増生産能力を維持する必要があり、比較的短期間に大規模生産急増が必要な場合に備えて未使用の工場空間や機械や労働力を待機させておく必要がある。欧米諸国では、利益を最大化するため、経済的に非効率と見なされ、急増能力は容赦なく削減されてきた。ごく稀な例外としては、アメリカ軍の155mm砲弾の生産などがある。

 欧米の防衛産業は依然地球上最も利益を上げているが、利益の最大化によって、大規模紛争に必要な量と質の武器と弾薬を実際大量生産する能力は明らかに損なわれている。

 その結果は欧米諸国が代理国ウクライナ用武器や弾薬生産拡大に苦労している今明らかだ。

 防衛産業基盤報告書には、次のように書かれてている。

 侵攻前、需要が大きなシステムの一部に対する武器調達は、毎年の訓練要件や進行中の戦闘作戦によって推進されていた。この控えめな需要と最近の市場力学により、企業は経費を理由に余剰生産能力を売却するようになった。つまり生産要件の増加に伴い、既存施設の労働時間を増やす必要があり、一般に「急増産」能力と呼ばれる。これらは労働力や設備やサプライチェーンの制約に関する同様の下流の考慮事項により更に制限される。

 経費が、どの防衛産業でも考慮すべき事項なのは確実だが、経費を第一に考えることはできない。

 ロシア防衛産業の中核は巨大国有企業ロステックで、傘下には防衛を含む国家産業ニーズに関連する何百もの企業が組織されている。ロステックは儲かる。しかしロステック下で組織される産業上の狙いは、何よりもまず国家の健全さや、インフラや安全保障など、ロシアの国益に関連する目的に資することだ。

 ロシア防衛産業は目的志向で、軍事用品を生産するのは、儲かるからではなく、必要なためだ。その結果、2022年2月の特別軍事作戦(SMO)に先立ち、ロシアは大量の弾薬や装備を保有していた。これに加えて、ロシアは大量の増産能力を維持しており、過去二年間で、砲弾から装甲車まで、あらゆるものの生産率が急速に拡大した。

 欧米の専門家たちが、これを認めたのは比較的最近のことだ。

 2023年9月の記事「ロシアは制裁を乗り越えミサイル生産を拡大と当局者は言う」で、ロシアはミサイルだけでなく装甲車や砲弾生産が戦前水準を超えているのをニューヨーク・タイムズは認めている。アメリカや欧米同盟諸国を合わせた弾薬の少なくとも7倍をロシアは生産していると、この記事は推定している。

 それにもかかわらず現在急増産能力の限界に達し、新しい施設と原材料の供給源が必要になるためロシアの生産は「頭打ち」になると欧米諸国の専門家は主張している。

 2024年2月の「2024年までのウクライナにおけるロシアの軍事目標と能力」と題する記事で弾薬生産に関し英国王立防衛安全保障研究所(RUSI)は下記のように主張している。

...新工場を建設し、5年以上のリードタイムの原材料取得に投資しない限り、今後数年間で生産を大幅に増やすことはできないとロシア国防省は考えている。

 しかし、ロシアの産業基盤は利益主導ではなく目的主導であるため、長期的な経済的非効率性にもかかわらず、既に追加施設が建設されている。

 2023年11月、「対ウクライナ戦争のためロシアが生産能力を強化しているのを衛星画像が示唆」と題する記事で、ロシアは既存施設での生産を拡大しているだけでなく、戦闘機、戦闘ヘリコプター、軍用ドローン、誘導爆弾を生産する新工場も建設しているとアメリカ政府が出資するラジオ・フリー・ヨーロッパ/ラジオ・リバティは報じている。

 アメリカの「解決策」は遥かに不十分

 2023年の防衛産業基盤報告書は、155mm砲弾の生産拡大を、アメリカ防衛産業基盤の「迅速な拡張」能力の実例として挙げている。

 報告書は次のように主張している。

 これに対応して、国防総省はペンシルベニア州スクラントンの既存生産施設の拡張に投資し、テキサス州メスキートに新生産施設を着工して、需要の高まりに対応した。2022年12月に行われたこれら投資に加えて、米軍は2023年9月に15億ドル相当の契約を締結し、2025年度末までに月8万発以上の砲弾を受領する目標を達成した。

 だがこれはアメリカ陸軍が砲弾製造施設を所有しているからこそ可能だった。砲弾生産率向上は、ロシアのSMOが始まる何年も前に、アメリカ陸軍が意図的に建設した既存の増産能力により可能になった。計画上のこの先見の明はアメリカ合州国にとって不幸なことに、この規則の稀な例外で、アメリカやヨーロッパの他の武器生産に当てはまらない。

 欧米の利益主導政策は武器と弾薬生産ラインのかなり下流にあるアメリカ防衛産業基盤に問題を起こしている。これには海外の安価な労働力を利用して利益を最大化するため何十年にもわたり生産を海外移転してきたアメリカも含まれる。現在アメリカの国防衛産業基盤全体で使用されている多くの原材料や部品は「敵対的」な国を含む海外から来る。

 アメリカ国防総省国防産業戦略報告書は次のように嘆いている。

 過去10年、国防総省は敵対的調達を削減し、防衛サプライチェーンの完全性を高めるのに苦労してきた。こうした努力にもかかわらず敵対的供給源への依存度が高まっている。サプライチェーンのリスクを軽減する包括的取り組みが国防総省には依然欠けている。

 利益主導政策は労働力にも打撃を与えている。何十年にもわたるアメリカ製造業の海外移転により、アメリカはサービス主流経済に移行した。これは教育にも反映されており、職業能力は軽視されるだけでなく、汚名を着せられている。

 アメリカ国防総省国防産業戦略報告書は、次のように説明している。

 労働市場では、あらゆるレベルで技術革新を推進しながら、防衛生産の需要を満たすために必要な人数の熟練労働者が不足している。この不足はベビーブーマーが退職し、若い世代が製造業や工業の仕事に関心を示さなくなるにつれ悪化している。

 この問題を超えて、利益主導政策はアメリカで教育を受けにくくしている。教育を提供することで利益を得ようとする欲求は、そもそも教育を提供する本来の目的、つまり機能し繁栄する社会を運営するのに必要な人材創造の機会を奪ってしまった。アメリカの学位や研修講座には、完済に一生かかる可能性があるほどの借金が必要だ。

 アメリカでは熟練労働者への関心の欠如と教育を受ける困難さにより、労働力は世界の他の地域に比べ歪んでいる。たとえば、アメリカのSTEM(科学、技術、工学、数学)卒業生数は、ロシアの総人口がアメリカの半分以下なのにもかかわらず、ロシアと同等だ。フォーブス誌によると、2016年、ロシアの56万1,000人に対し、アメリカには56万8,000人のSTEM卒業生がいる。同年、中国は470万人以上の卒業生を輩出した。

 アメリカの経済基盤は全体として歪んだ社会を生み出し、それに応じて人口とGDPの点で小国に匹敵するのに苦労するほど国防衛産業基盤を歪めている。しかし仮にアメリカがこうした根本問題に取り組んだとしても、BRIC同盟は言うまでもなく、中国が確固たる基盤を持ち、人口、経済、産業基盤がより大きい事実は変わらない。

 アメリカ外交政策の前提は非現実的だ。アメリカ経済力の根幹に致命的欠陥がある。

 アメリカが世界の他の国々に対し競争力を維持するという考え自体、非現実的で、他の国々が国内および/または地域の著しい不安定に苦しんでいる場合のみ現実的だ。

 これこそが何十年にもわたり政治干渉や政治的占領や更に地域紛争に世界中でアメリカが多額投資をしてきた理由だ。だが経済力、工業力、軍事力面でアメリカと世界の格差は、アメリカが「国際秩序」を押し付けるより早く、縮小しつつあるのかもしれない。

 再興したロシアだけでも軍事工業生産はアメリカを上回っている。中国は遙かに幅広い指標でアメリカを上回っている。アメリカが非現実的前提に基づいて持続不可能な政策を追求する限り、アメリカは益々多くの国に追い越されるだけでなく孤立し不安定になるだろう。

 アメリカが「敵国」と呼ぶ国々と、アメリカ自身との違いは、持続可能で目的意識を持った形で自分の土地を耕作する農民と、消費するものがなくなるまで、行く手にあるあらゆるものを無分別に消費して、自らの自己保存を危険にさらす捕食者との違いだ。

 今から、その時までに、より理性的な利害関係者の輪が現在アメリカ経済政策や外交政策を動かしている人々に取って代わり、自らを押し付けようとするのでなく、手段に見合った力を追求し、他の国々との協力に投資する国へとアメリカを変えるかもしれない。

 Brian Berleticはバンコクを拠点とする地政学研究者、作家。オンライン誌New Eastern Outlook独占記事。

記事原文のurl:https://journal-neo.su/2024/02/15/fatal-flaws-undermine-americas-defense-industrial-base/

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 彼はThe New Atlasで同話題を語っている。

The Fatal Flaw Undermining America's Defense Industrial Base 41:55

 Daniel Davis Deep Dive ミアシャイマー教授解説。

John Mearsheimer - U.S. Blind Support of Ukraine / The West: Collective Suicide 51:49

 今朝の孫崎享氏メルマガ題名 ミアシャイマー教授の話を思わせる。

中国(王毅外相)は対ロ関係深化を約束し、中国を抑圧することへの米国の「執着」を批判。バイデン氏が台湾独立を支持しないと約束したことを指摘、台湾での「火遊びの罪で焼かれる」と付け加え、グローバル・サウスはサイレント・マジョリティーではなく、国際秩序を改革する力」

 日刊IWJガイド

「大統領への返り咲きが濃厚となったトランプ氏『イスラエル側か?』との記者の質問に『イエス』と回答! ガザのジェノサイドは続く!」

はじめに~大統領への返り咲きが濃厚となってきたトランプ氏、『Foxニュース』の記者の「イスラエル側か?」との者の質問に「イエス」と回答! ガザの攻撃を支持!『問題は解決しなければならない』と発言! 落ち目のバイデンと上り調子のトランプ、どちらが次期米大統領になっても、米国はイスラエルによるパレスチナ人へのジェノサイドを止めることはない!

【第1弾! 米国主導によるウクライナ紛争を牽引してきたヴィクトリア・ヌーランド国務次官が任期半ばで辞任!】2014年のユーロマイダンクーデターから、ウクライナ紛争に至るまで、陰の仕掛け人だったヌーランドの任期途中の辞任は、何を意味するのか!? ヌーランドが言い残した「素晴らしいサプライズ」とは、プーチン大統領の暗殺!?(『国務省』2024年3月5日ほか)

2024年2月17日 (土)

ウクライナの黒海「勝利」は陽動作戦

2024年2月5日
Brian Berletic
New Eastern Outlook

 ウクライナはロシア海軍艦艇や港湾などクリミア全域の標的を攻撃し、クリミア大橋などの民間インフラを攻撃するための複雑な作戦実行に多大な努力を費やしてきた。キーウによれば、これは全て、まず半島を孤立させ、次にロシアから奪取する戦略の一環だ。

 一方、ウクライナが黒海で「勝利」していると世界を説得するのに欧米マスコミは多大な努力を費やしており、クリミア占領だけでなく、ロシアを完全に打ち負かす勝利を期待している。

 現実には、黒海におけるウクライナ作戦は根本的に地上戦で、この危機に対処しなければ必然的にウクライナの敗北につながる危機の中、増大するウクライナ危機から目をそらす陽動作戦だ。

 多大な投資

 クリミアを孤立させ占領したいというウクライナの願望は、海軍や空中の無人偵察機から、欧米諸国がウクライナに与えた最も高度で有力な長距離攻撃能力まで、あらゆるものを使った長期的長距離攻撃作戦として現れている。

 わずかに残ったウクライナ空軍部隊が発射する空中発射巡航ミサイルは、半島全域の港湾、軍事基地、民間インフラを標的にしている。ウクライナ戦闘機は、時に空中発射型巡航ミサイルの一斉射撃中に標的にされて破壊されることもあり、ウクライナの戦闘力は更に低下する。そうしたミサイル一斉射撃は、ロシアの恐るべき防空・ミサイル防衛と電子戦能力で対応され、大部分の弾が迎撃されている。

 残るミサイルは、ロシア防衛線を回避できる同様に僅かな数の無人機とともに、海軍艦艇を破壊し、建物やインフラを破壊し、一度の攻撃でクリミア橋に損害を与えた。しかし、これらの成功はごくわずかで、約2〜3か月に一回しか起きない。

 それにもかかわらず、長期にわたる作戦で、ロシアは黒海艦隊の大半をロシア本土沿岸に沿って更に東に移転させることを余儀なくされた。この移転自体が、黒海におけるウクライナの大きな勝利だと称されている。

 しかし昨年末には、黒海艦隊とカリブル巡航ミサイルによる脅威が続いているとウクライナ自身が警告していた。最大2,500kmの射程を持つカリブル巡航ミサイルは、黒海艦隊の新しい位置からでも、ウクライナのあらゆる標的を攻撃できる。

 ウクライナは時折ロシア海軍艦艇を標的にするのに成功しているが、黒海艦隊の大部分は無傷のままで、主に陸上で行われる軍事作戦であるロシアの特別軍事作戦(SMO)で支援的役割を果たし続けている。

 ウクライナの黒海「勝利」のもう一つの側面は海運回廊の開放とされるものだ。

 2023年11月に経済協力開発機構(OECD)が発表した記事によると、ウクライナの海運がSMO開始段階を経てゼロに近いレベルから再開したのは事実だが、依然戦争前レベルの数分の一にとどまっている。長引く紛争がウクライナ経済に与えた打撃を考えると、最近のロイター記事が主張するように、海運業が戦前の水準に戻ったとしても、経済回復支援はおろか、ウクライナ経済の維持にも役立つ可能性は低い。

 ロシアがウクライナ船舶を封鎖しようと最善を尽くしているにもかかわらず、ウクライナが黒海を再開したという前提には大きな欠陥がある。ロシアがウクライナ海運の再開を止めない理由について多くの理由を専門家は挙げるかもしれないが、軍事的にそれが不可能なことはその中に含まれていない。イエメンの準非正規軍が紅海の海運を著しく妨害する能力があるなら、長距離対艦ミサイルやディーゼル電動攻撃潜水艦を含むロシアの遥かに高度な対艦能力は、黒海海運を著しく妨害する能力を十二分に備えている。

 「特別軍事作戦」という言葉は全面的侵攻の婉曲表現だと西側諸国政府やメディアは主張するが、黒海でのエスカレーションを含め、ロシアはかなりの自制を示している。

 見出しと実際の戦略的成功を分離すると、残るのは、一連の広報活動の勝利に相当するもののためのウクライナとNATOによる高価な投資だ。黒海艦隊を移転する必要性にロシアは当惑しているが、巡航ミサイル発射における黒海艦隊の役割は途切れることなく続いている。主に武器輸送を阻止する手段として、ロシアは黒海を通るウクライナ輸送を阻止しようとしたが、西側の武器備蓄が枯渇していることを考えると、ウクライナに送付する方法とは無関係に、送るべきものはほとんど残っていない。

 武器、弾薬、訓練された人的資源の面でウクライナが直面している根本問題は、黒海で見出しを飾る高価な投資では克服できない。こうした見出しは全て、ウクライナの根本的問題から目をそらす役割を果たしているのだ。

 陸戦で敗北する中、海で見出しになるウクライナ

 2024年1月17日付の「黒海は今やウクライナ戦争の重心」と題する記事で、ザ・ヒルは次のように主張している。

 2023年、ウクライナは陸上で決定的突破口を開くことはできなかったかも知れないが、海上での戦争は大成功だった。海上ドローンとイギリス製ストームシャドー巡航ミサイルを組み合わせ、容赦ない海と空の作戦のおかげで、ウクライナはロシア黒海艦隊に大損害を与えられ、ロシアはセバストポリの海軍要塞への撤退を余儀なくされた。12月下旬に揚陸艦ノボチェルカッスクが破壊された後、ロシアは過去4カ月で黒海艦隊の20%を失ったとイギリスのグラント・シャップス国防相が発表し、作戦の成功を称賛した。

 ウクライナの2023年攻勢がロシアの防衛により決定的に敗北したのをここで欧米メディアは認めている。

 そして記事は次のように説明している。

 黒海における次のステップは、2014年にロシアが不法に併合したクリミア半島をキーウが標的にし、ウクライナ南部で活動するロシア軍の兵站ライフラインを断ち切るのを欧米が支援することだ。

 この兵站ライフラインは、クリミア大橋とクリミアとヘルソン、ザポリージャ、ドネツクを経由してロシアの他地域とを結ぶ陸橋で構成されていると記事は主張している。クリミアを孤立化させる究極の狙いは、最終的にロシアに「クリミアでの姿勢を再考させる」ことだとザ・ヒル紙は報じている。

 黒海艦隊に移転を強いるのは、この狙いの実現と無関係だ。ウクライナがこの「勝利」を実現する手段は、希な無人機やミサイル攻撃で、それ以外で、クリミアを孤立化させたり、半島での姿勢をロシアに再考させたりはできない。

 たとえウクライナのミサイルや無人機がクリミア大橋の破壊に成功したとしても陸橋は無傷のままだろう。ウクライナの2023年攻勢が示した通り、陸橋切断はウクライナの能力を超えている。しかし、たとえ将来ウクライナ攻勢が何らかの形で陸橋を切断したとしても、クリミアは依然孤立しないはずだ。

 クリミアには多くの空港や飛行場があり、何百万人もの人々や何百万トンもの貨物をロシアの他地域間で移動できる多くの主要港があるためだ。実際クリミア大橋が建設中の2014年から2018年にかけて、そして2022年に陸橋が架橋されるずっと前から、ロシアが半島における経済とロシア軍駐留維持を可能にしたのは空路と港湾のネットワークだった。

 従って、実際にクリミアを孤立化させるには、ウクライナは陸橋を切断し、クリミア橋を破壊しなければならないだけでなく、クリミアに点在する複数の空港や港湾の稼働を長期にわたり妨害することも必要になる。そのためにはロシア防空網や電子戦能力を圧倒するのに十分な速度で、毎月数百発のミサイルや無人機による攻撃を仕掛ける必要があるだけでなく、ロシアが攻撃の合間に修復できる以上の損害を標的の兵站インフラに与える必要があるはずだ。

 これほどの早さの作戦を遂行するのに十分なミサイルや無人機は欧米諸国のどこにも存在しないし、近い将来も存在しないだろう。欧米の軍事産業生産の拡大に関する最も空想的な議論のどこにも、この早さを実現するのに必要な量のミサイルや無人機を生産する計画は見当たらない。クリミア半島全域の兵站を混乱させるだけでも、ウクライナにとって遙かに大きな問題、つまり、ロシアの巨大な軍需産業基盤とウクライナの戦場をつなぐ兵站を混乱させる必要性(そして絶対的無力さ)を露呈している。

 ウクライナや欧米諸国スポンサーよりも多く訓練された要員、武器、弾薬を生み出すロシアの能力は、ウクライナと欧米諸国が勝てない消耗戦をもたらした。

 代償が大きい突破口攻勢を回避しつつ、戦闘能力を高めながら、補充できないほど早くウクライナ要員と装備を破壊するロシア戦略は累積的効果をもたらしている。この影響は、ロシアの戦闘能力が拡大し続ける一方、ウクライナの戦闘能力の最終的崩壊をもたらすだろう。現在ロシア軍が「前進」していないため欧米専門家が「膠着状態」と片付けているが、実際は将来の攻勢に先立ち、ロシア軍が戦場でロシア軍の戦術的・戦略的優位性を高めるためのロシア軍司令官による意図的選択だ。「膠着状態」が続く一日ごとに、ウクライナに対するロシア勝利の可能性が向上する。

 黒海におけるウクライナ「成功」に関する話は、この根本的問題や、それがもたらす必然的結果に全く触れていない。ウクライナの「成功」は、この必然性から注意をそらすだけで、それを阻止することはできない。ウクライナの「成功」に対する「弱さ」と解釈されているロシアの「不作為」は時間はロシアの味方で、広報活動の戦いに勝つことは実際の戦争に勝つことより遙かに重要でないと認識しているがゆえの無関心と解釈できる。

  ブライアン・バーレティックはバンコクを拠点とする地政学研究者、作家。オンライン誌「New Eastern Outlook」独占記事

記事原文のurl:https://journal-neo.su/2024/02/05/ukraines-black-sea-victory-is-a-distraction/

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 大本営広報部大政翼賛会、こぞってナワリヌイの死に大騒ぎ。クリス・ヘッジズのように、まともなジャーナリストとして、宗主国の犯罪を曝露したがゆえに、イギリスで監視の厳しい監獄に投獄されているアサンジ問題を取り上げることはない。

 The Chris Hedges Report

I will moderate this event on Monday at 7:00 pm with Stella Assange, attorney Jennifer Robinson and Kristinn Hrafnsson, Editor-in-Chief of WikiLeaks, at The Frontline Club in London.

 今朝の孫崎享氏メルマガ題名

日経平均3万8487円、あと50円ほどと最高値に肉薄、前日の米株式市場、主要3指数がそろって上昇が追い風、「新たな海外投資家が取引に参加」NIKKEI ASIA、米国株式動向:CNN・Fear & Greed Index 77(75-100が極めて貪欲)。円安で中国含め、外国から資金流入

 日刊IWJガイド

「世界中が証人! 現代のホロコースト! イスラエル軍が避難したパレスチナ人130万~140万人が密集するラファへ総攻撃を開始!」

はじめに~世界中が証人! 現代のホロコースト! イスラエル軍が避難したパレスチナ人130万~140万人が密集するイスラエル最南端の都市ラファへ陸海空から総攻撃を開始! 各国の警告と非難の中、ネタニヤフ首相は「完全勝利まで軍事的圧力を継続することによってのみ、人質全員の解放がもたらされる」として武器を持たない市民に陸海空から総攻撃を断行! この後には、イスラエル軍の地上侵攻が開始される! なんとこの「特別作戦」は、3月10日のラマダンまで1ヶ月も継続するとネタニヤフ首相は意思表明!

2024年1月20日 (土)

イエメンに対するアメリカ-イギリス攻撃は、より広範な戦争の前兆

2024年1月16日
Brian Berletic
New Eastern Outlook

 2024年初頭の数週間、イエメンのアンサール・アッラー(欧米メディアは「フーシ派」と呼んでいる)が支配する地域の標的に対し、アメリカとイギリスが複数の大規模なミサイル攻撃と空爆を一方的に開始した。

 この攻撃は、ガザで進行中のイスラエルの懲罰的作戦に対抗してイスラエル発着商業船に対してアンサール・アッラーが実施したミサイル攻撃と乗船作戦に続くものだ。

 米英攻撃の目的は商業海運を守ることだとされているが、紅海でのいかなる紛争も、あらゆる戦闘が収まるまで代替ルートを模索し使用し続けるよう国際海運会社に促す可能性が高い。

 実際、ユーロニュース・ビジネスによると、アンサール・アッラーに対する米英攻撃にもかかわらず、世界海上輸送の5分の1を占めるマースクのCEOは、紅海を安全に航行するのはまだ数カ月先だと考えている。

 これら攻撃に伴う政治姿勢にもかかわらず、戦略的には、アンサール・アッラーの戦闘能力に影響を与えることはほとんどあるまい。この政治運動は、アメリカ、イギリス両国が支援するサウジアラビア主導のアラブ連合が、何年にもわたり、彼らに対し仕掛けた全面戦争を乗り切った恐るべき軍事組織を所有している。

 アメリカとイギリスは、イエメンに対する空中戦と地上戦を維持するようサウジアラビアに奨励しただけでなく、両国はサウジアラビアの戦争努力に直接貢献した。

 2018年の「陸軍特殊部隊、イエメン反政府勢力からの脅威と戦うサウジアラビアを秘密裏に支援」と題する記事で、アメリカ特殊部隊が、少なくともサウジアラビア-イエメン国境沿いで活動し、サウジアラビア軍の標的選択を支援していたことをニューヨーク・タイムズは認めていた。

 同記事は、アメリカが「航空機への給油、兵站、一般的情報共有」に関する支援も行っていたことも認めている。

 ガーディアン紙は、2019年の「『サウジは我々なしではやっていけない』:イエメンの致命的戦争におけるイギリスの本当の役割」と題する記事で、対イエメン戦争でイギリスがサウジアラビアに提供した支援の範囲を認めた。それには、武器や弾薬の供給、何千人もの整備請負業者、パイロット訓練、更に、イエメン国内でサウジアラビア軍兵士と共に戦うために、イギリス兵の派遣が含まれていた。

 サウジアラビア自身の対イエメン戦争の規模と、何千人もの請負業者と、地上での何百人もの兵士使用を含む、サウジアラビアに対するアメリカとイギリスの支援規模は、アメリカとイギリスが紅海で行っている現在のミサイル攻撃や空爆を凌駕する。たとえアメリカとイギリスが、現在のミサイル攻撃と空爆作戦を大幅に拡大したとしても、近年、イエメンに対して行われてきた戦争と比べれば、まだ見劣りするはずだ。

 明らかに、現在のアメリカ-イギリスによるイエメン攻撃がアンサール・アッラーを抑止する可能性がほとんどないのに、一体なぜアメリカとイギリスは、こうした攻撃を行っているのだろう?

 イエメンを攻撃するワシントンの本当の動機

 「アメリカとイギリス、イランが支援するイエメン・フーシ派に対する攻撃を実施」と題する記事で、CNNはこう主張している。

 何週間もイスラエルとハマスの戦争が続く中、既に緊張がくすぶる地域でのエスカレーションの危険性を理由に、アメリカはイエメンへの直接攻撃を避けようとしてきたが、国際海運に対するフーシ派攻撃が続いているため有志連合は行動を余儀なくされた。

 ところが、この攻撃は確実に紅海での船舶航行が妨害されたままにするだけで、攻撃自体がアンサール・アッラーに戦略的に影響を及ぼす望みがほとんどないため、アメリカがなぜ攻撃を開始したのかは、他に「地域におけるエスカレーションのリスク」を高めるためという説明しかない。

 アンサール・アッラーの同盟国イランは、何十年もアメリカが支援する政権転覆作戦の標的となってきた。ブルッキングス研究所や、2009年の論文「ペルシャへの道はどれか?」などアメリカ政府や大企業が資金提供するシンクタンクにより政策文書全体が書かれており、イラン国内の秘密工作や、イランの地域同盟国ネットワークへの攻撃など、イランを戦争に引き込もうとする意図的な試みなど政権転覆を実現するための選択肢を詳述している。

 ブルッキングス論文も認めている。

 「...アメリカ合州国が空爆を仕掛ける前に、イランによる挑発をその正当化の理由として引き合いに出せれば遙かに好ましい。イランの行動が明らかに非道で、致命的で、いわれのない行動であればあるほどアメリカ合州国は有利になる。もちろん世界の他の国々がこのゲームに気づけば、そのような工作は台無しになるので、アメリカ合州国がイランをそのような挑発に駆り立てるのは極めて困難だろう。(成功の可能性がいくらかある一つの方法は、テヘランがあからさまに、あるいは半ばあからさまに報復し、イランのいわれなき侵略行為として描かれるのを期待して秘密の政権転覆努力を強化することだ。

 イエメンに対する米英ミサイル攻撃と空爆に先立ち、アメリカはシリアやイラクを含む地域全域のイラン同盟諸国への攻撃を実行した。アメリカの支援を受けて、イスラエルはイラン同盟諸国、特にレバノン南部のヒズボラに対しても地域全体で攻撃をしている。

 最近、イラン国内で爆弾テロがあったが、ブルッキングス論文が示唆する「イラン国内の政権転覆工作を隠蔽する」案によれば、まさにそのような攻撃を実行するため、アメリカが支援するいくつかのテロ組織の一つが実行した可能性が高い。このブルッキングス論文の他の場所で、アメリカが支援する「反乱」を実行するのに既知のテロ集団を利用する選択肢が一つの章丸ごとさかれていることに留意すべきだ(第7章「反乱を鼓舞する―イランの少数派と反政府勢力を支援する」)。

 全体として、より広範な紛争に先立ち、地域におけるイランの同盟諸国を弱体化させる戦略で、イランを挑発し、より広範な紛争に引き込む手段なのだ。

 これまでのところ、イランは途方もない忍耐力を発揮している。ロシアも中国も同じようなアメリカによる包囲と封じ込め政策に直面しているので、時間が自分に有利に働くのをイランは知っている。イランの忍耐は既にテヘランのためになっている。中国の仲介により、サウジアラビアとの緊張を外交的に解決する能力をえた。またイランが自国軍事力だけでなく地域の同盟国ネットワーク全体の軍事力を強化し続けるのを可能にし、力の均衡を徐々にテヘランに有利に変化させている。

 ワシントンはこれに気づいている。近年のような事態が展開し続ければ、来年の今頃イランは一層強くなり、この地域でアメリカは一層孤立するだろう。ヨーロッパでの優位性が薄れる同様の問題にアメリカは直面しており、ロシアに対するウクライナでの代理戦争を、ヨーロッパに対し再び幅をきかせる手段として利用している。中東で再び幅をきかせるする一方、地域紛争を利用して、中東諸国を集団的に弱体化させ従属させるのに、同様の戦略を使えるとワシントンは想像しているのだろう。

 ヨーロッパでそうだったように、中東でアメリカが「成功」するかどうか時が経てばわかるだろう。既に多くの要因がアメリカに不利に働いているが、ワシントンの視点からすれば、これら紛争のいずれに対してもアメリカが代償を払っているのでなく、これら紛争が戦われている地域が代償を払っているのだ。そのような外交政策におけるいかなる直接費用もワシントンが免れる限り、そうし続ける手段を最終的に完全に否定されるまで、ワシントンは、この政策を追求し続けるだろう。

 Brian Berleticは、バンコクを本拠とする地政学研究者、著者。オンライン誌New Eastern Outlook独占記事。

記事原文のurl:https://journal-neo.su/2024/01/16/us-british-attacks-on-yemen-a-portent-for-wider-war/

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 Judging Freedom 最新はマックス・ブルーメンタール

Max Blumenthal: Israel’s Wider War 28:44

 寺島メソッド翻訳NEWS

キエフではナイフが抜かれた: ウクライナが戦争に負ければ、エリートたちは互いを食い合うようになるだろう

 植草一秀の『知られざる真実』

無限大リスクの志賀原発

 長周新聞

すべての原発を即時停止せよ 安全の根拠ない再稼働基準 情報の後出しと隠蔽が体質化 原発列島に自然からの警告

 今朝の孫崎享氏メルマガ題名

「茶番劇」「許せない」 幹部立件見送り、有権者ら憤り 安倍派パーティー事件(時事) 3派閥の会計責任者ら立件、不記載総額9・7億円…安倍派幹部の立件は見送り(読売) 行き詰まった「還流方針変更」の解明 安倍派5人衆、立件見送り(毎日)共謀立証の壁高く

 日刊IWJガイド

「大規模な震災への備えという点でエリアの自衛隊の大規模駐屯基地の有無を踏まえる必要がある!!」2024.1.20号

IWJへの緊急支援をお願いいたします! 1月は19日までに、76件、81万400円のご寄付をいただきました。この金額は月間目標額400万円の20%であり、1月の残り13日間で80%が必要です!! 岩上安身もインフルエンザに倒れ、1週間あまり経って、ようやく平熱に戻りました。スタッフへ感染させる恐れがまだあり、しばらくは在宅勤務を続けます。新年早々ピンチに見舞われましたが、IWJは独立メディアとして、市民の皆さまに真実を伝え続けていきます! そのためには、皆さまのご支持とご支援が何よりも必要です! 1月こそ月間目標額400万円に届きますように、どうぞよろしくお願い申し上げます!

【中継番組表】

<岩上安身によるインタビュー決定のお知らせ>岩上安身は1月22日(月)、ウクライナ紛争の背景について、元高知大学准教授、元朝日新聞モスクワ特派員でロシア・ウクライナ研究の第一人者の塩原俊彦氏に録画収録でインタビューを行います! また、2月2日(金)には、早稲田大学文学学術院の岡真理教授へ、現在ガザで起きているイスラエルによるジェノサイドの歴史的背景について、録画収録でインタビューを行います! さらに2月7日(水)には、東京経済大学の早尾貴紀教授に、イスラエルによるガザでのジェノサイドについて、第2弾のインタビューを予定しています!

南アフリカが国際司法裁判所(ICJ)に提出した、イスラエルによるパレスチナ人に対するジェノサイドを告発し、裁判の開始を求めた申請書の仮訳に挑戦します! 大変重要な内容を含むものですが、84ページの英語原文をIWJスタッフだけではとても訳しきれません! どうぞ、翻訳ボランティアをしてもいいという方、ご応募ください! 翻訳の監修は中東問題の専門家にチェックしていただく必要があり、費用もかかります、ぜひこの翻訳プロジェクトを資金面でもご支援をお願いいたします!

2023年9月28日 (木)

ウクライナでの代理戦争の中、厳しい現実に目覚めるワシントン

2023年9月25日
ブライアン・バーレティック
New Eastern Outlook

 今年6月掲載された記事で元イギリス陸軍大佐ハミッシュ・デ・ブレットン・ゴードンが主張したように、NATO訓練を受け、装備したウクライナ軍が「プーチンの徴兵を一掃」できる可能性を告げる欧米見出しの時代は、とうの昔に過ぎ去った。

 ウクライナの攻撃部隊がザポリージャからハリコフまでの戦線に沿った強力なロシア防衛を突破した時、ワシントン、ロンドン、ブリュッセルが、ロシア連邦を、経済的、政治的、外交的に、そして最も重要なことに軍事的、産業的に過小評価しているという認識が定着し始めた。

 ロシアの軍事生産は成長し、欧米の備蓄は枯渇する

 今日、様々な見出しが欧米諸国のメディア中に現れている。ニューヨーク・タイムズ紙は最近「ミサイル生産を拡大するためロシアは制裁を克服したと当局者」という題名の記事で、ロシアの弾薬生産は欧米諸国の少なくとも7倍だと報じた。

 同じ記事は、ロシアが戦車生産を2倍に増やし、年間200万発の砲弾を生産していると認めており、これは2025年から2027年のアメリカと欧州連合の砲弾生産計画合計より多い数だ。ロシアは欧米を出し抜いているだけでなく、欧米の武器や軍需品の数分の一のコストで武器や弾薬を生産している。

 ロシアの軍事工業生産が拡大し、ウクライナで進行中の特別軍事作戦のため、より多くの戦車、大砲、巡航ミサイル、弾薬を生産するにつれ、ウクライナ軍は武器と弾薬の供給源が枯渇しているのに気づいている。

 最近の記事で「穀物論争の中、もはやポーランドはウクライナに武器を供給していない」とBBCは報じている

 ウクライナに最も忠実な同盟国の一つポーランドは、キーウの穀物輸出をめぐる外交紛争の中、もはや隣国には武器を供給しないと述べた。

 ポーランドの焦点は、むしろ近代的兵器で自国を守ることにあるとマテウシュ・モラヴィエツキ首相は述べた。

 ポーランドとBBC両方が、ポーランドとウクライナの間の緊張の高まりに動機付けられた決定を描こうとしているが、現実にはポーランドはウクライナに送れる武器と弾薬の量が限られており在庫を使い果たしている。これにより、ポーランドが自国防衛のために得たより近代的兵器が遙かに少なくなる。ポーランドも外国の武器供給国も、戦場でウクライナ軍を維持するのに必要な量の武器や弾薬を生産していないため、ポーランドがこの時点からウクライナに供給を続ければ最終的に「武装解除」されてしまう。

 他の国々も待望される兵器システムを提供できていない。これにはウクライナが何ヶ月もアメリカに要求しているATACMS弾道ミサイルが含まれ、到着が差し迫っているという主張にもかかわらず、最近の記事で、ロイターは国防総省の次の支援パッケージに先立ち、それらを再び除外した。

 ドイツの空中発射巡航ミサイル「トーラス」も追加支援パッケージに入っていない。ブルームバーグ記事「ドイツはウクライナへの軍事援助で更に4億2800万ドルを計画」でベルリンは最終的に送る前に「多数の政治的、法的、軍事的、技術的側面」を依然検討中だと指摘した。

 どちらのミサイルも他の様々ないわゆる「驚異の兵器」同様ウクライナの戦況を変える可能性がないのに注意が必要だ。これらミサイルが納入されればキーウの戦術的勝利はもたらすだろうが、戦略的には、戦闘にはほとんど、または全く影響を与えるまい。

 ウクライナに対する欧米軍事援助で残っているのは、不十分な量の弾薬、レオパルト1主力戦車のような冷戦の遺物を含む古い、および/または益々不適切な装甲車両、および圧縮日程で実施された「訓練」で、戦場に到着して数日以内に死ぬのがほぼ確実なウクライナ兵だ。

 ウクライナにおけるアメリカ主導の対ロシア代理戦争は持続不可能で、欧米諸国全ての権力の殿堂にいる多くの連中がそれを把握し始めているようだ。

 持続する妄想

 ところが欧米マスコミはウクライナの失敗を認めているにもかかわらず、他の場所では、明らかに「長期戦争」に変わりつつあるものに勝つため、ウクライナ軍事戦略の「再考」が役に立つと信じる記事で、依然深い妄想を反映している。

 たとえばエコノミスト誌記事は「ウクライナは長い戦争に直面している。もちろん変化が必要だ」と長い間期待されていた反攻が「機能していない」のを認めているが、追加の防空システムや「信頼できる大砲供給」を含む、ウクライナへのより多くの攻撃と防御能力を要求し続けている。

 記事の中で、ヨーロッパは「防衛産業を強化しつつある」とエコノミストは主張しているが、そうするための所要期間が年単位なことには明らかに気づいていない。

 すぐにも連中に有利に戦争を終わらせる計画が失敗していることに、欧米諸国は明らかに気づいてはいるが、今連中を待っていると分かっている「長い戦争」が代理や他の方法でも連中が戦う能力を超えることには気づいていないようだ。「ロシアに力の限り頑張らせる」のを目的とした代理戦争は、今やロシアを軍事的、産業的に強くしている。同時に、紛争と欧米がロシアに課した経済制裁は、最終的に欧米が同様方法で自分たちを標的にするのではないかと恐れて、他の国々がアメリカ主導の一極世界から離れて、代わりに多極の代替案に向かうきっかけになっている。

 欧米諸国がウクライナを交渉の席でより優位な立場に置こうとすればするほど、ウクライナと欧米スポンサーが弱くなるのは明らかだ。この紛争が長引けば長引くほど、ウクライナとそのスポンサーにとって事態は悪化するだろう。欧米諸国にとって、代理戦争に勝つのは軍事的にも産業的にも不可能だが、欧米諸国指導者にとって、同様にこの現実を受け入れるのは心理的に不可能に見える。

 ブライアン・バーレティックはバンコクを拠点とする地政学研究者、作家。オンライン誌New Eastern Outlook寄稿者。

記事原文のurl:https://journal-neo.su/2023/09/25/washington-wakes-up-to-harsh-reality-amid-ukraine-proxy-war/

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 Alex Christoforou

Elensky curse hits Rota. US cuts Ukraine aid. Menendez, Turkey F16s & Sweden. G20 Trudeau high. 38:33

 冒頭はサマンサ・パワーが、アルメニアで「国に帰れ」と罵倒される場面

 9/27は、ノルドストリーム・パイプライン爆破一周年だった。

 今朝の孫崎享氏メルマガ題名  自分こそガン。

麻生氏は講演で、反撃能力保有を巡り山口代表、石井幹事長、北側副代表を名指しで「がんだった」と批判。自公は衆院選挙区「10増10減」に伴う候補者調整のもつれ、立川市長選挙で自民候補敗れる影響。岸田・山口会談で修復。その中、麻生発言。今後どう進展?

2023年7月12日 (水)

ワシントンの本当の対中政策

2023年7月4日
Brian Berletic
New Eastern Outlook

 中国台頭を「封じ込める」というアメリカの固執、特に台湾へのアメリカ干渉をめぐって、アメリカと中国間での激しいエスカレーション後、アメリカのアンソニー・ブリンケン国務長官は、ボロボロの米中関係を修復するという建前で北京を訪問した。

 プロセスの一環として、ブリンケン長官は、アメリカが台湾独立を支持しないことを認め、アメリカの一つの中国政策を公に復唱した。しかし台湾に対する中国の主権を認めつつも、一方的な台湾関係法の元、「台湾が自衛能力を持つことを保証する」アメリカの「責任」つまり北京の承認なしに台湾に武器販売して中国の主権を踏みにじる発言をブリンケン長官は繰り返した。

 これに続いてアメリカのジョー・バイデン大統領はホワイトハウス公式ウェブサイトに掲載された演説で中国の習主席を「独裁者」と呼んだ。アメリカ政府が資金提供するメディア、ボイス・オブ・アメリカの記事「アメリカ当局は同意する:中国の習主席は独裁者だ」で報じた通り数日後ブリンケン長官はバイデン大統領発言を肯定している。

 アメリカはなぜ米中関係改善を故意に妨害しながら、外交を追求しているよう見せかけようとしているのだろう?

 この質問に答える前に、中国を封じ込めというアメリカ政策が実際どれほど長く続いているか、そして今日それを変えようとする真剣な試みを目撃する可能性がどれほど低いかを理解することが重要だ。

 中国封じ込めというアメリカ政策は数十年前にさかのぼる

 対中アメリカ外交政策は何十年にもわたり行われており、包囲と封じ込めに焦点を当て続けている。ブリンケン長官が北京を訪問した時でさえ、(ロシアでは禁止されている)全米民主主義基金やアメリカ政府が資金提供する関連する組織が率いる無数の計画が東南アジアの中国周辺に沿いの政府に強制し、不安定化させ、更には置き換え、この地域を北京に対する統一戦線として形成するために働いてきた。

 アメリカは二つの主要反中国同盟クアッド(アメリカ、インド、日本、オーストラリア)とAUKUS(オーストラリア、イギリス、アメリカ)の活動を拡大するため緊密に協力している。

 アメリカはフィリピンでの米軍駐留を拡大し、アメリカ軍艦を中国沿岸沖で継続的に航行させるなど、インド太平洋地域での軍事力強化を継続している。

 更にアメリカ政府や外交問題評議会や戦略国際問題研究所CSIS大西洋評議会など大企業が資金提供するシンクタンクは、現在、中国に課す経済制裁と、制裁を執行し悪化させることを目的とした軍事介入の両方を計画している。

 今日のアメリカの対中好戦姿勢は数十年前アメリカ政府文書で明確にされた政策の継続だ。アメリカ国務省のOffice of the Historian傘下の公式ウェブサイトで、中国封じ込めというワシントン政策を説明する多数の文書や覚書が見つかる。

 当時のアメリカ国防長官ロバート・マクナマラが当時のアメリカ大統領リンドン・ジョンソンに宛てて書いた「ベトナムでの行動方針」という主題の1965年文書は次のように述べている。

 北ベトナムを爆撃するという2月の決定と、フェーズI配備の7月承認は、共産党中国を封じ込めるという長期的アメリカ政策を支持する場合にのみ意味がある。

 世界における我々の重要性と有効性を弱体化させ、更に間接的ながら、より威嚇的に、我々に対しアジア全体を組織すると脅迫する大国として中国は迫りつつある。

 このメモは「日本-韓国戦線、インド-パキスタン戦線、東南アジア戦線」を含む中国を封じ込めるための長期的取り組みである「3つの戦線」にも言及している。

 ベトナムとソ連への言及は省略するが、このメモはどのアメリカ大統領がホワイトハウスで暮らし、誰がアメリカ議会を支配するかに関係なく中国封じ込めを追求するアメリカ外交政策が何十年も続いていることを反映しており、まるで今日書かれたようだ。

 制裁と戦争に対する合意形成のための見せかけ外交

 アメリカが何十年にもわたって中国の封じ込めを追求し止めるつもりがないなら、なぜアメリカ国務省は中国との外交を追求しようとしたのだろう。

 答えは簡単だ。それは自らを「外交的」で「合理的」で、敵を好戦的で不合理なものとして描き出そうとするワシントンのより広いパターンに合致するのだ。制裁を課し、戦争さえする時が来た際、アメリカが嫌々ながらそうするのだという認識は世界経済全体にアメリカ制裁を実施し、戦場の米軍強化を支援するため必要なアメリカ同盟諸国の同意を構築するの役立つのだ。

 2009年、当時のアメリカ国務長官ヒラリー・クリントンはモスクワとの関係を「リセット」することに対するワシントンの関心とされるものの象徴として物理的「リセット」ボタンをロシアのセルゲイ・ラブロフ外務大臣に手渡した。ところが、クリントン長官が茶番を演じている間でさえ、アメリカ国務省や関連機関や組織は、来たる2011年の「アラブの春」やリビアやシリアを含むアラブ世界全体の複数のロシア同盟諸国の暴力的転覆を画策していたと、ニューヨーク・タイムズは後に認めている

 もう一つの例は「イラン核合意」としても知られる2015年の包括的共同行動計画だ。協定は2013年まで公に明らかにされず、2015年にやっと署名されたがアメリカを拠点とするシンクタンクは何年も前から、この計画を開始していたのだ。

 「ペルシャへの道: アメリカの対イラン新戦略の選択肢」というブルッキングス研究所論文で、アメリカの政策立案者は、この提案が本質的にテヘランの政権転覆を究極的に狙った罠だったことを認めている。

 論文はこう認めている。

 この場合、理想的シナリオは、アメリカと国際社会が、イラン国民が合意を支持するほど魅力的な積極的誘因がある案を提示し、イラン政権にそれを拒否させることだ。

 同様に、イランに対するいかなる軍事作戦も、世界中で非常に不人気で、作戦に必要な後方支援を確保し、それに対する反撃を最小限に抑えるには適切な国際文脈が必要だ。

 国際非難を最小化し、(いやいやながらであれ、こっそりとであれ)支持を最大化する最善の方法は、核兵器を入手しようと固く決意していて不純な動機で入手しようとする政権しか拒絶するはずがない余りに素晴らしい最高の提案を提示されたのに、イランが拒絶したという考えが広まっている場合にのみ攻撃することだ。

 そうした状況下で、アメリカ合州国(あるいはイスラエル)は、怒りからではなく、悲しみながらの作戦のように描きだすことが可能で、少なくとも国際社会の一部は、最高の提案を拒否したイランが「自ら招いた」と結論するだろう。

 アメリカ-ロシア「リセット」が不誠実なのは明らかだったが、このブルッキングス論文はアメリカが、あらかじめ決めた制裁や軍事介入に先んじて、合意形成の手段として、見かけの善意や外交を利用している証拠を文書化しているのだ。

 イラン核合意が調印され発効してから数年後、アメリカは一方的に合意から撤退し、イランがそれに「違反した」と非難し、イランに経済制裁を再び課し、アメリカが支援するイラン国内転覆(ブルッキングス論文内のあちこちで計画されているように)とイランとその同盟諸国に対する中東地域全体の代理戦争の組み合わせを追求し始めることになる。

 2009年にブルッキングスの政策立案者が述べた通り、アメリカは平和と和解の申し出を拡大しているように見せかけようとしたが、その後イランが悪意で核合意に違反したと描写しようとし、アメリカがイランに対し準備し必然的に使うつもりだった制裁と軍事行動を正当化した。

 最近のブリンケン長官北京訪問でもアメリカは中国に対し同じ戦略を追求している。

 アメリカの対中国制裁と戦争は既に進行中

 ロシアやイランと同様、アメリカは既に経済制裁をエスカレートさせる作戦と直接および代理人を通じての中国に対する軍事攻勢の両方を計画し実施している。

 パキスタンのバルチスタン地域から東南アジアのミャンマー、太平洋のソロモン諸島に至るまで、中国外交官や市民やインフラ・プロジェクトや企業を攻撃するためアメリカは何年も武装集団を支援している。

 アメリカは既に中国の経済活動に対する制裁を実施している。アメリカ政府や欧米業界が資金提供する外交問題評議会CFRのようなシンクタンクを通じて、2022年2月の特別軍事作戦開始後、ロシアに課されたものより一層大きな制裁が意図され準備されている。

 CFR論文「より積極的な中国に対応する新時代の米台関係」は台湾をめぐる北京との合意を弱体化させ続けるワシントンの計画を詳しく説明し、この島に対するアメリカの影響力を維持し、従ってアジアにおける中国に対するアメリカ優位を維持するための多くの政治的、経済的、軍事的措置を推奨している。

 台湾を更に武装させ、台湾を中国の他地域から経済的に分離させ、この地域での米軍駐留を構築するなどの措置は、全て中国が本質的にワシントンによる台湾政治占領を止めるのを阻止することを目的としている。台湾支配維持は、アジアにおけるアメリカの「影響力」と「アクセス」を維持するという明らかにより広範な政策の鍵だ。

 CFR論文は、アメリカ国務省が公式ウェブサイトで発表した1965年の覚書を反映し「台湾の将来だけでなく、第一列島線の将来と、西太平洋全体でのアメリカのアクセスと影響力を維持する能力も機に瀕している」と結論付けている。

 この論文には、台湾がいかに「アメリカ同盟諸国ネットワークを固定しているか」を示す、明らかに中国を包囲し脅迫しているネットワークの地図さえ含まれている。

 アメリカが中国を包囲し封じ込めようとしているのは明らかだ。中国の力が増大しているため、ワシントンは単独ではそうできない。台頭する超大国を従属させる試みの上で益々極端な経済制裁や軍事侵略が必要で、緊張が高まるにつれアメリカ自身や同盟諸国に制裁と軍事攻勢の両方を支持するよう強制するには世界中の国々の同意が必要だ。

 アメリの政策立案者がイランに関して述べたように「国際的非難を最小限に抑え、(いやいやながらであれ、こっそりとであれ)支援を最大化する最善の方法は、中国の場合、アメリカは外交を「試みた」が、「中国」の決定が交戦的なためアメリカには「気が進まないながら」経済制裁と軍事介入以外の選択肢が残っておらず、願わくは他の国々を同意させる説得力があるか、やむを得ないか、少なくとも強制するのを容易にするものであってほしいのだ。

 ロシアもイランも外交とされるものの上でアメリカの二枚舌をよく知っている。中国がそれに気づいていない可能性は低い。米中の緊張が高まる中、中国も同様に世界の支持を求めているが、忍耐や粘り強さや他の国々との建設的関係によってそうしており、ワシントンが北京に突きつける非難と比較して説得力ある明確な対照となっている。

 ワシントン率いる一極「国際秩序」の衰退の勢いと、中国だけでなくロシアやイランが提唱している多極主義の台頭から判断すると、中国は必勝法を推進しているように見える。長期にわたる中国封じ込め政策でワシントンが追求している益々危険で絶望的な措置が最終的に成功するのか、それとも最終的に裏目に出て、この政策を考案し永続させたワシントンとウオール街の現在の権力世界が崩壊するのかは、時が経てばわかるはずだ。

Brian Berleticはバンコクを本拠とする地政学研究者、作家。オンライン誌New Eastern Outlook独占記事。

記事原文のurl:https://journal-neo.org/2023/07/04/washingtons-real-policy-toward-china/

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 スコット・リッターのAgent Zelensky Part 1は 興味深い。

 今朝の孫崎享氏メルマガ題名

我々はバイデン大統領が肉体的に衰弱し、知的に「耄碌」を知ってる、民主党ほとんど候補者に名乗りなし、現段階立候補→軍産複合体や金融界、加担するメディアにつぶされる。 R・F・ケネディ・ジュニア立候補表明。軍産複合体の政策批判、勝利なくともメッセージは全米に伝わる。

 日刊IWJガイド

「トルコのエルドアン大統領が一転、スウェーデンのNATO加盟に同意!」

はじめに~トルコのエルドアン大統領が一転、スウェーデンのNATO加盟に同意! スウェーデンが法改正でテロ対策の強化を約束! さらにスウェーデンはトルコへの武器禁輸措置を解除、米国もF-16売却を示唆!? ストルテンベルグ事務総長は、トルコのEU加盟との関連性は否定!

『グレイ・ゾーン』のブルメンタール氏が、国連安保理でバイデン政権の暗部を一刀両断!】米独立メディア『グレイ・ゾーン』創設者のマックス・ブルメンタール氏が、国連安保理演説で、ウクライナ紛争をめぐるバイデン政権と軍事産業の癒着を一刀両断! ロバート・ケネディJr.氏は「しびれるような批判」と、ツイート!! IWJは、ブルメンタール氏の演説を、緊急全文仮訳!(『グレイ・ゾーン』、2023年6月30日)

<インタビュー決定>7月13日(木)午後4時半から、中東がご専門の国際政治学者である放送大学名誉教授・高橋和夫氏への、岩上安身によるインタビューが決定しました! ウクライナ紛争に米国がのめり込んでいる間に、中東諸国は分断を超え、米国離れが加速! 戦後史上最大の変化を迎えつつあります! 高橋先生に解説してもらいます。

2023年2月 4日 (土)

アメリカ、エイブラムス戦車をウクライナに供与。それで変化が起きるか?

2023年1月27日
Brian Berletic
New Eastern Outlook

 ウクライナ軍が多くの戦線で敗北する中、益々多くのドイツ・レオパルト2主力戦車とともにアメリカも少なくとも31台のM1エイブラムス戦車を送ると最近発表した。

 「「団結した」取り組みとバイデンは称賛し、ドイツと共にウクライナに戦車を送る」というガーディアン記事はこう書いている。

 ジョー・バイデンは31台のM1 エイブラムス戦車のウクライナへの送付を承認したが、これは多くの国々が戦線に戦車を送るのを
いやがるのを止め、ロシア攻勢に対処するアメリカの取り組みの本格的エスカレーションだ。

 ウクライナの戦争遂行用にドイツがレオパルト2戦車14輌を供与し、キーウを支援するため同盟諸国に他の戦車を再輸出する許可を与えると確認した後、アメリカもこれまでの姿勢を逆転させた。

 記事にはこうもある。

 ホワイトハウスのルーズベルト・ルームで「ヨーロッパとアメリカが決意を弱めるのをプーチンは期待していた」とバイデンは述べた。「我々の対ウクライナ支援が時間と共に崩壊すると彼は期待していた。彼は間違っていた。彼は間違っていた。彼は最初から間違っていたし彼は今後も間違い続ける。」

 だが外見上明白な支援の増加にもかかわらず、詳しく分析するとウクライナに対する実際的な支援はとっくの昔に底を突き、これまでの支援策より戦場に対する効果が更に少ない「奇跡の兵器」策に欧米が出たように思える。

 多くの人々が考えているような「形勢を一変させるもの」ではない

 ウクライナに欧米が主力戦車を供与すれば「形勢を一変させる」だろうという考えは欧米の主力戦車はロシア戦車より「優れている」という神話に根ざしている。この神話は1991年にイラクで、そして2003年にアメリカやイギリスの最新主力戦車がソ連時代に輸出されたT-72と対戦したアメリカによるイラク侵略の際の実績に基づいている。

 数人の経験豊富なアメリカ軍将校がこの誤解を警告しているだけでなく最近の紛争における欧米主力戦車の実績は大いに異なっている。

 元米軍中佐ダニエル・デイビスは最近の記事でイラクでの欧米戦車の実績を巡る神話を一掃し、これらハイテク戦車が相違をもたらし、ウクライナのものだと主張する地域からキーウがロシア軍を追い出すのを可能にするかどうか問うている。

 イラクで実際アメリカの勝利をもたらした重要な要因を彼は指摘している。彼はこう説明している。

 デザート・ストームではアメリカM1A1エイブラムス戦車がサダム・フセインのソ連製T-72戦隊を殲滅し、再び2003年にエイブラムスが先導したアメリカ攻勢はT-72がアメリカ戦車にかなわないことを明らかにした。そして実際アメリカ戦車は大いに成功していた。デザート・ストームの際、例えばアメリカと連合諸国は3,000台以上のイラク戦車を破壊した。だがサダムの軍は一輌のエイブラムス戦車も破壊しなかった。ロシアが持っている戦車に対してそれほど有効だと分かった時、誰であれエイブラムスかそれに匹敵する戦車を持ちたいと望むのは理解できる。

 だがデイビス中佐はデザート・ストームの際にイラク軍が使った戦車がロシアが今持っている種類の戦車と違うことを言っていない。

 デザート・ストームの際イラク軍が使ったT-72は元来生産された時の鋼鉄装甲でしか守られていなかった。彼らには暗視能力や赤外線画像装置や温度や砲弾の種類や風速や方向を含め多くの要素を考慮して射撃手のため自動的に砲撃方法を計算する射撃管制装置のコンピュータ化が欠如していた。

 アメリカはこれらの遙かに劣ったイラク戦車と戦うために1,900輌以上のエイブラムスを配備し、この巨大な戦車勢力が、全てがまとまった際、諸兵科連合戦と呼ばれる大規模空軍力や砲兵隊や機甲化歩兵に支援された事実にデイビス中佐記事は言及していない。

 だがデイビス中佐は、ほぼ完全にアメリカを優位にするのに効果があった非常に重要な要因、訓練に言及している。

 訓練は重要で訓練には何年も要する

 デイビス中佐は記事でこう説明している。

 まずアメリカ人乗務員は個人として大いに訓練されている。私の部隊では、運転手、砲弾装填者、射撃手と指揮官が全員個々の業務を習得し、戦闘の一年以上前に小隊として、更に中隊レベルでかなりの時間訓練を行っており、その後我々は戦隊、最終的に連隊レベルで訓練した。誰も我々以上に戦う準備ができていたはずはない。

 逆にイラク軍はこうした訓練を全く受けていなかった。デイビス中佐は多くのイラク戦車兵は皆無ではないにせよ、ほとんど主砲を撃つ訓練をしておらず、主力戦車のような重装備兵器を戦場で維持するのに必要な部隊レベルの訓練や保守計画が「事実上実在しなかった」と説明している。

 訓練における相違は非常に極端で、たとえアメリカ戦車兵がイラクのT-72を運用し、イラク人がアメリカのM1エイブラムスを与えられたとしてもアメリカが勝っただろうとデイビス中佐は結論している。

 彼が更にこう説明している。

 戦車戦では最初に正確に発砲する側がほとんど常に勝つ。デザート・ストームで、我々はほぼ最初に発砲し、我々の訓練のおかげでほとんど決して外れなかった。だがイラク射撃手が砲撃した時でさえ、めったに命中しなかった。結果は彼らにとって致命的だった。

 今のロシア戦車にはコンピュータ化射撃管制装置や暗視装置や赤外線画像装置や高度な爆発反応装甲(ERA)がある。彼らは少なくとも欧米がウクライナに供与した主力戦車と同じぐらい有能だろう。しかもロシア戦車は何倍も多いだろう。訓練は別として、ウクライナでの戦車戦で誰が最初に相手を見つけ最初に正確な砲撃をするかという問題では欧米戦車を探し、それに攻撃をしかける能力があるロシア戦車のほうがずっと多いだろう。

 初心者レベルの戦車隊員を最新の欧米主力戦闘戦車を操作するよう訓練するにはほぼ半年かかる(米軍ウェブサイトによれば22週間)。欧米の戦車乗組員は運転手、射撃手、装填係と指揮官で構成される。戦車指揮官は往々にして何年も特定の戦車を操作する経験を持っており、初心者戦車兵で構成された欧米戦車の乗組員はいないことを意味する。

 これはウクライナには到底克服できない問題だ。欧米メディアはウクライナ人が欧米戦車を操作し配備する方法を学ぶには数カ月要すると認めているが、これは乗組員が、どのように戦車を部隊として一緒に使用すべきかに関するどんな訓練も省いて、いかに個別戦車を操作するかという集中特訓を与えられた場合の話だ。

 多くの人々が訓練は短縮可能で、ウクライナ軍は「士気が高く」何年も必要な訓練や経験を何らかの方法で数週間に縮められると主張している。これは本当ではない。

 (退役)米軍中将マーク・ヘルトリングはTwitterの最近のスレッドで同意している。

 彼は訓練は「ごまかせる」はずがないと警告している。もしそうであれば乗務員は実際戦車自身の損害をもたらし戦場では役に立たないだろう。

 M1エイブラムスは損害を与えるのを避けるため相当な時間の注意深い操縦士訓練が必要なタービンエンジンで動く。破損したエンジンは交換する必要があるがウクライナの前線では容易な作業ではない。エンジンは普通の機械工では保守できず訓練され免許を持った技術者が対処する必要がある。

 ヘルトリング中将はウクライナ国内で修理を行うのは不可能なので、M1エイブラムスの故障部品がなんであれ、事実上、800kmの兵站線が必要だと指摘している。

 イラクやサウジアラビアを含めM1エイブラムスを使っている他の国々が戦隊を立ち上げるのに、それぞれ5年、7年訓練が必要だったと彼は指摘している。両国とも技術者も自身でする訓練も装置をないため依然ゼネラル・ダイナミクス(戦車製造企業)に保守を頼っている。

 だからウクライナにいきなりこのような兵器を配置しようと試みれば生ずる困難を想像するのは容易だ。

 ウクライナの欧米戦車は単独で戦うことになる。

 デイビス中佐は「戦車は単独では戦えず、さもないと死ぬ」と記事で指摘している。

 彼はウクライナがこの現在の紛争の間終始持ち得ない支援で、アメリカがイラクに侵攻する際豊富に持っていた航空や火砲支援や機甲化歩兵諸兵科連合戦に言及している。

 ヘルソンに対するウクライナ攻撃に言及し、前進するウクライナ戦車が主に砲弾やロケット弾や対戦車ミサイルの標的にされ破壊されたと指摘している。「戦車対戦車」交戦が行われた例は極めて少数しかない。ロシアはウクライナがロシア陣地に対して行った複数の攻撃の際、旅団に相当するウクライナ兵や兵器を殲滅した。デイビス中将は、たとえウクライナがT-72の代わりにM1エイブラムスやレオパルト2戦車を操作したとしても結果的に同じことになるだろうと推測している。

 これは戦場で戦車以外にもロシアがウクライナより際立って大きな空軍力や砲兵隊を持っているためだ。ロシアは装甲車両やヘリコプターや軍用機から発射する対戦車誘導ミサイル(ATGM)や、歩兵隊が操作する携行式ロケット弾(RPG)に至るまで様々な対戦車火器を開発し大量に所有している。

 これらATGMやRPGは最近の世界中の紛争で、とりわけイギリスのチャレンジャー2やアメリカのM1エイブラムスやイスラエルのメルカバやドイツのレオパルト2などの欧米主力戦車に対して有効なことが分かっている。しばしばこれらの損失は空軍力や大砲や戦車のような統合された兵器支援の恩恵なしで古いロシアの対戦車火器で武装した非正規軍の手によってこうむっている。

 負けた紛争を長引かせる

 2022年2月ロシア特別軍事作戦の初め、ウクライナは多数の近代化されたソ連時代の戦車、大砲、軍用機と機械化歩兵隊を持っていた。

 ロシアはそれらを破壊しソ連時代の装置を持っているNATOの東ヨーロッパ加盟諸国兵器の大洪水を引き起こした。この「第二」軍もウクライナのハルキウとヘルソン攻撃の際に破壊された。

 今NATOはウクライナにウクライナ軍が戦場で使ったり保守したりした経験のない兵器で構成される「第三」軍を構築している。たとえ訓練や補充問題が存在しないとしてもロシア兵器に対して大きな優位をもたない兵器だ。なお悪いことに、ロシアは主力戦車を含め戦場で様々な種類の膨大な兵器を保有し、西側諸国全体には出来ない勢いで戦車の損失を穴埋めする能力がある。

 ウクライナへの欧米兵器供給はこの紛争を確実に引き延ばし双方に更に多くの死傷者をもたらしウクライナをより徹底的に破壊するだろうが戦闘結果は変えるまい。

 砲兵や航空援護の恩恵なしに未経験のウクライナ戦車隊員が乗員として働く欧米戦車はウクライナ軍が長年操作してきた兵器よりかえって悪いだろう。これら戦車の乗務員として欧米の戦車操縦士が働くことに対する疑念は事実に基づいている。だがたとえ欧米の操縦者がこれら戦車の乗員として働いたとしても彼らは依然数で負け、アメリカがイラクで勝つの要した類の複合的兵器援護がない戦闘に入るはずだ。

 しまいにウクライナは始めの時点に戻り彼らの膨大な損失を穴埋めするにはもう一つの軍隊分の兵器が必要で、それを操作する訓練した人的資源が縮小しているのに気づくだろう。

  Brian Berleticは、バンコクを本拠とする地政学研究者、著者。オンライン誌New Eastern Outlook独占記事。

記事原文のurl:https://journal-neo.org/2023/01/27/us-to-send-abrams-tanks-to-ukraine-will-it-make-any-difference/

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 Scott Ritter

More Weapons for Ukraine... Just a ploy for Political Cover 1:07

 佐高信の隠し味

岸田よ、中村哲に学べ! 松元ヒロさん 20230126 1:02:55

 今朝の孫崎享氏メルマガ題名

ソ連侵攻当初、米国民はウクライナへの武器提供を圧倒的に支持。共和党支持者(カッコ内は全体)、昨年3月支援多すぎるが9%(7)、現在は40%(26)。共和党は下院支配し、本年秋頃から対ウクライナ軍事支援額は減少が予想される。当然戦況に影響。

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「2022年、エネルギー大手がウクライナ紛争とインフレと賃金抑制でぼろもうけ! エクソンモービル、シェブロンなど年間利益が過去最高を更新」

はじめに~2022年、米エネルギー大手がウクライナ紛争とインフレと賃金抑制でぼろもうけ! エクソンモービル、シェブロンなどの年間利益が過去最高を更新! ウクライナ紛争は、米国国家と米エネルギー大手にとって「金のなる木」に他ならない!「自由・民主主義対専制主義の戦い」とは、この実態を隠すための虚飾のキャンペーン!

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