Saker

2019年9月25日 (水)

イラン対サウジアラビア:勝負あり

2019年9月19日
The Sakerブログ用のガッサーン・カディ記事

 アラムコに対する攻撃は、長い戦争の始めなのだろうか、既に勝負ありなのだろうか?後者のように思われ、色々な点で、イランとサウジアラビア間の戦争は、始まる前に終わったのだ。フーシ派による、たった一つのアラムコ攻撃が、サウジアラビア石油輸出を半分へと転落させた。原油価格の20%上昇は言うまでもない。

 フーシ派がアラムコ攻撃実行を宣言しているにもかかわらず、現在、トランプ政権は、フーシ派ではなく、イランが攻撃したのだという考えを世界に受け入れさせたがっている。https://sputniknews.com/us/201909191076835893-pompeo-attack-saudi-oil-facilities-act-war-iran/ これまでのところ、少なくとも日本は納得していないように見え、フランスもそうだ。https://sputniknews.com/middleeast/201909191076835540-japan?no-evidence-iran-behind-attack-saudi-aramco-facilities/

 しかしながら、実際は、サウジアラビアの決意と、立ち上がって戦う能力は、誰が攻撃者かとは、ほとんど無関係で、それはサウジアラビアが、その損害を、さほど深刻に受け止めていないのを明らかにしたためだ。これは次の疑問か起きる。サウジアラビアは完全屈服するまでに、一体何回このような攻撃を切り抜けることができるのだろうか? 見たところ、さほど多くはなさそうだ。

 サウジアラビア経済とインフラは極めて脆弱なので、前の記事で、私はそのようなシナリオを予想した。事実上、たった一つの主要な富を産み出す源(つまり石油)と、大都市に清浄な水をポンプで汲み出す少数の海水淡水化プラントしかない国は、実際、非常にソフト・ターゲットだ。結局、一握りの重要標的が攻撃されれば、石油輸出だけではなく、家庭への水道が停止するだろう。http://thesaker.is/dissecting-the-unfathomable-american-iranian-war/ だが海水淡水化プラントが稼働を停止するには、直撃を受ける必要はない。プラントは電力を必要とし、電力は燃料によるものなので、燃料供給が停まれば、プラントも停止するし、冷房なしでは生きられない国の発電所も同様だ。

 最近まで、アラビアの人々は、干ばつや、塩気がある水や、焼けつく暑さに慣れていた。彼らはオアシスや周辺で暮らし、ほとんど水を使わない生活様式だった。だが新世代のサウジアラビア人や何百万という外国人居住者は家庭での毎日のシャワーや飲料水や空調設備に慣れている。戦争中、人は食物や水を探すため野外にでる。狩りをし、釣りをし、地域の漿果や食べられる野生植物を集め、流れる川や小川で壺を満たし、裏庭で自家用野菜を栽培するが、砂の王国サウジアラビアでは、このような選択肢は全く存在しない。

 さらに、1950年代の数百万人から人口は膨れ上がり、サウジアラビアの現在の住民は3300万人おり、これには、そこで働き、暮らす何百万人もの外国人居住者も含まれる。

https://en.wikipedia.org/wiki/Demographics_of_Saudi_Arabia。破損したインフラが修復されるまで塩気がある水の限られた供給は十分ではなく、そもそも送水さえされない。

 ロシアより大きく世界三番目の防衛予算を持つ国サウジアラビアは、パトリオット・ミサイルから銃弾に至るまで、全てを輸入し続けている。

 これはイランの地理や自然資産や人口と極めて対照的だ。イランには山や谷や川や牧草地や繁栄する農業と、アメリカが課した制裁のおかげで、革新的で自足であるよう教えられている7000万人の国民がいる。

 そして、アラムコの標的が不意に攻撃されたと言うのは、既にサウジアラビアはイエメンと、戦争状態にあり、特にイエメン空襲が、ここ数カ月エスカレートしていたことを考えれば、非常にばかばかしく、言い訳になるまい。サウジアラビアにとって更に恥ずかしいことがある。イランとの戦争の可能性が今や熱い話題になっているのに、重要なサウジアラビア施設が、一体どうして無防備であり得たのだろう?

 だが、もしトランプ政権が主張し、我々をそう信じさせたがっているように、本当に、イランが攻撃をしたのであれば、話は全く別で、イラン・ミサイルが、湾の対岸、イラン本土から飛び立ち、アメリカの防衛や最新の探知ハードウェアやソフトウェアを回避するのに成功し、サウジアラビア領土の目標に効果的に到達したのをアメリカは認めることになる。もしこれがトランプが我々に信じるよう望んでいるシナリオならば、イランと交戦するアメリカの能力について、これは一体何を物語るのだろう? これは、地球上で「最も偉大で最も強い」とされる国の大統領選挙結果に、ロシアが実際影響を与えることができるという主張、ロシアゲートより遥かに大きな茶番だ。このような主張は、アメリカの敵が極めて組織的で、賢く、強いか、アメリカが混乱していて、愚かで、弱いことを意味する。それとも、その両方だろうか? いずれにせよ、このような主張を、他ならぬアメリカ自身が行えば、アメリカの立場を良くしないのは確実だ。

 サウジアラビアとビッグ・ブラザーの弱点と脆弱性に並ぶのは、もう一つの同盟国、UAEだけだ。実際、もしガラス貼り超高層ビルを守りたいと望むならとフーシ派報道官ヤヒア・サリアは首長国連邦に厳しく警告した。https://www.rt.com/news/469104-houthis-new-drones-attack-uae/ サリアは演説で、アラブのことわざに皮肉をこめて言及し、自分の家がガラスでできていたら、他の人々に石を投げるべきではないと言った。世界が注意深く無関心に見守る中、何年も無差別攻撃をした後、イエメン人を無慈悲に飢えさせようとした後、フーシ派が侵略者に慈悲をかけると想像できるだろうか?

 だがそれに直面しよう。ドバイやUAEの他の繁栄する大都市はゴーストタウンに変身するように運命づけられているのだ。現在の魅力と、上っ面の豪華さを使い果たすまでの時間の問題に過ぎない。結局、こうした空想的な都市には、本物の実質的な持続可能なものは皆無だ。それどころか、イランとの戦争は、崩壊をはや回しする可能性が高い。もし(彼・それ)らの生命のために走っていないなら、群れで去っている外国人投資家と国外居住者を処理して、残すようにする。

 皮肉にも、アメリカ/サウジアラビア/UAE同盟は、もしそれが本当に同盟なら、地域への支配力を広めたと言ってイランを非難しているのだ。そして、おそらく、この主張を裏付ける証拠がある。だが連合は、彼ら自身が画策した侵略と、サダム打倒が、イランによって埋められたイラクの力の空白を作ったことを都合良く忘れているように思える。8年もの長きにわたる苦いイラン-イラク戦争は、勝者も敗者もなしで終わったが、アメリカ/アラブ連合によるサダム打倒は、まさに、その連合が、今抑えようとしているイランを、事実上の勝利者に変えたのだ。この茶番は、これ以上皮肉であり得るだろうか?

 アメリカはイラン軍の力を過小評価しており、イランは真逆のことをしている。これは当然で、心理戦の本質だ。だが実際は、誰もイラン軍事力の実態を知らないのだ。この理由から、イランとの全面対決では、当初、アメリカは、艦船をペルシャ湾から出し、イランの短距離ミサイル到達距離以遠に移動させ、後の段階で、安全と確信したら、接近させるのかも知れない。だがサウジアラビアの極めて重要な地上目標は移動することができず、イランは片手の指で数えられるごく少数の目標を攻撃するだけで、サウジアラビア/UAEの全面降伏を実現できるのだ。

 誰もイランの実力は知らないが、ずっと弱く遥かに貧しく恵まれないイエメンの餓死しそうな人々を打倒する上で、サウジアラビアが大失敗したのを我々は知っている。

 アメリカは現地には軍を派兵するまいし、それで海軍艦艇を危険にさらすようなことはほとんどない。ソフト・ターゲットはサウジアラビアやUAEの重要インフラであり、パトリオット防空システムは、それらを攻撃する全てのミサイルを途中で迎撃することはできるまい。フーシ派ができるなら、イランもできて当然だ。

 私は最近ネットフリックスで「ベトナム戦争」シリーズを見て、当時あの戦争の真実が暴露された時、アメリカのタカ派は、自国民と世界に、再度ウソをついたまま逃げ仰せたり、ベトナムにした手口で、いつか他国を侵略したりすることはあるまいと思ったのを思い出した。ところが20年もしないうちに、連中は全力でイラクに侵略し、国民は連中の言説を信じたのだ。おそらく、何か決して変化しないものがあって、朝鮮、ベトナム、レバノン、イラク、アフガニスタンやシリアで敗北した後も、依然、アメリカは、イランと戦うと固く決意しているように思われる。今回、最大の敗者はアメリカだけで終わらず、アラブ同盟国、つまりサウジアラビアとUAEもそうなるかもしれない。既に悪い兆しがあり、それは明らかに、勝負ありと読めるので、最近のアラムコに対する攻撃は避けられない結果の前兆に過ぎない。

記事原文のurl:https://thesaker.is/iran-vs-saudi-arabia-its-game-over/

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 二年前に、下記記事を翻訳した。

 イランとサウジアラビアの武力威嚇: 全面戦争では、どちらが優勢か?

 偶然「たんぽぽ舎30周年記念の集い」の録画を拝見した。たんぽぽ舎の方の挨拶から始まって、来賓の鎌田慧さんや神田香織さんの挨拶、そして小出裕章さんの講演「原発にしがみつく日本ばぜ?どうする」 75分。講演の最後に、あの田尻宗昭さんの講演時の言葉が紹介された。パワーポイント画面の文字を写しそこねたが「社会を変えていくのは、数じゃない。一人です、二人です、三人です。」という趣旨。ポール・クレーグ・ロバーツ氏が良く引用されるマーガレット・ミードの言葉と同じだったのに驚いた。

「世界を変えようと決意を固めた思慮ぶかい市民たちからなる小さなグループの力を決して否定してはいけません。実際、その力だけがこれまで世界を変えてきたのです。」

 孫崎享氏の今日のメルマガ題名

サウジへの石油施設攻撃が示す軍事的意味合い、9月14日石油施設に壊滅的打撃。サウジは戦闘機 F-15C(67機)F-15D(31機)F-15C(61機)レーダー施設、地対空ミサイル 対空システム[機能せず。日本にも言える事。ミサイル、無人機攻撃にほぼ無力を証明。

 下記講演会も拝聴予定。

日刊IWJガイド「『韓国には100%の理があり、日本には100%の非がある』! 本日午後6時半より、9月10日に収録した元外務省中国課長で元広島平和研究所所長の浅井基文氏による講演会『日韓関係を破壊する安倍政権 』を録画配信いたします!」2019.9.25日号~No.2568号~(2019.9.25 8時00分)

 ガイドには、とんでもないが書いてある。傀儡支配層と、大本営広報部の結託、大本営広報部は報じない。

はじめに~これまで自由に質問できていた防衛省の記者会見でIWJが突如質問を禁じられる! 経産省では広報担当者が事前にIWJの質問内容を検閲!?

2019年5月 8日 (水)

ゼレンスキーがポロシェンコに勝利 - 次に何が起きるだろうか?

2019年4月24日
The Saker

[この分析はUnzレビューのために書かれた]

 皆の予想通り、ポロシェンコは選挙に完敗した。私が以前のコラムに書いたように、ポロシェンコの巨大な広範囲の資源と、対抗者が文字通り、ピエロだった(もし読者がおなら漫画)という事実を考慮すれば、これは驚くべきことだ。同様、彼の敗北は、ほぼ不可避なほど予測可能だった。この人物がウクライナ中で(リボフ地域のナチ変人以外)心から全員に憎まれていたが、彼をいつもより更に一層忌まわしくした致命的大失敗をしたのだ。

 まず、この傑作だ。

 

翻訳:4月21日。 重要な選択!

 今ならポロシェンコに同情できる。単にこの「プーチン、オバケ」は、ウクライナ・ナチ・クーデターの主要スポンサーや、伝統的シオニスト・メディアには驚くほど効果があるように思われただけでなく、大半のウクライナ人は全くこのたわごとを買っていないと、誰もあえてポロシェンコに言わなかったのだ。全ての他の候補者がプーチンの代理人だという示唆も、これに劣らずばかばかしい。(このポスターはポロシェンコ公式選挙運動ではなく「ボランティア」が掲示した)ポロシェンコが考案した関係責任否認の権利とい見せ掛けは失敗し、全員すぐに全てを見破り、ポロシェンコ選挙運動の最初の自業自得になった。

次にこの大惨事だ。

https://youtu.be/TYc63d9SvrM

 またしても、このビデオを制作したのはポロシェンコ公式選挙運動ではなかったが、皆がこれも見破った。ゼレンスキー殺害というほぼ公式の脅迫は、ウクライナでは恐ろしいものとして受けとられ、このPR大惨事はポロシェンコの二度目の自業自得だった。

 そして哀れな人物は「負けた」。私はこの人物が、言い、行った、全ての愚かな、ばかばかしいことを列記するつもりはないが、大いに期待されていたスタジアムでの討論における彼の出来ばえは惨たんたるものだったと言っておこう。

 しばらくの間その兆しはあって、二人の候補者は(ドイツとフランスでは直接対面で、「アメリカを再び偉大にする御仁」とは電話で)彼らのご主人と話をするよう命じられ、いくつかのことを言われていたのだ。

  • ポロシェンコは、戦争を引き起こしたり、ぎりぎり最後の偽旗を画策したり、ゼレンスキーを殺したり、他の何らかの「創造的な選挙運動方法」を行ったりしてはならないとはっきり言われたのだ。
  • ゼレンスキーも、もし彼が選挙に勝ったら、ポロシェンコに触れてはいけないとはっきり言われたのだ。アメリカはポロシェンコに身の安全保障をしたように思われる。

 欧米の計算は単純だ。ポロシェンコを(比喩的、政治的に)生きながらえさせておいて、彼がどれだけ議員を維持できるか見るのだ。さらに、ゼレンスキーは極めて弱い(彼にはいかなる個人的な権力基盤もない)ので、コロモイスキーが、ゼレンスキーは言われた通りのことをするようにさせるが、コロモイスキーは、帝国に、行儀よくしろと言われるはずだ。最終的に、彼の手が(少なくとも、トゥルチノフやアヴァコフのように凶悪犯と比較すれば)血にまみれておらず、クレムリンと一緒に、要注意人物リストに載るような動きをせず、非常に目立たない姿勢を維持した現首相ヴォロディーミル・フロイスマンがいる。フロイスマンも、ユダヤ人(イスラエルとウクライナは、大統領と首相の両方がユダヤ人という世界で二つだけの国だ。ユダヤ人とウクライナ民族主義者間の歴史的愛憎関係を考えると皮肉)だ。彼は帝国にとって、ポロシェンコやゼレンスキーよりずっと有用なウクライナ大管区指導者になるかもしれない。今、フロイスマンは、既にポロシェンコの党を捨て、彼自身の党を作っている。いずれも、無辜の人々の血にまみれていて、支配下の種々のナチ暗殺団を使って、かなりの権力を手放すまいとするだろうアヴァコフやパルービーを忘れずにおこう。最後に、まだその政治的野心を抑制する必要がある、手ごわい(比較的人気が高い)ユリア・ティモシェンコがいる。だから巨大な富とコネがあるポロシェンコは、まだ帝国がウクライナを支配するための有用な手段であり得る。

 欧米の計算は間違っているかもしれない。一つは、ゼレンスキーは、確実に、ウクライナ国民に対して、*何も*意味あるものを、まず繁栄や正直を、与えることができないのだ。かなりすぐ、彼らがゼレンスキーというを「新人」選出した際、ウクライナ国民は、コロモイスキーの「決して新しくない」顔と、その悪名高い名前がもたらすあらゆるもので終わったことを理解して目を覚ますだろう。ゼレンスキーは、スタジアムでの討論の際に、そうすると半ば公約した、ポロシェンコを刑務所に送る以外の選択肢はないかもしれない。ゼレンスキーは、ポロシェンコと話し合うつもりで、何らかの公的資格で、彼を使いさえするかもしれないとも言っている。ウクライナの選挙公約は、それを作るのに要する時間より長期間、決して守られたことはないのだ。最終的に、誰も彼と一緒に没落するのを望んでいないので、ポロシェンコの権力基盤は非常に急速に損なわれつつある。彼が一晩で政治的死体になったので、ポロシェンコは、英米シオニストにとって彼の有用性が尽きた後も生き伸びてしまったと私は考える。だがこれはウクライナなので、あり得ないと決めてかかることはできない。

 最終的に、国会により多くの権限を、大統領により少ない権限を与える、ウクライナ政治制度改革を帝国は要求している。ゼレンスキーが未知の俳優で、(全ての党と派閥の)国会議員が基本的にアメリカに雇われている事実を考えれば、これはつじつまがあう。

 こうした全てに関して、ロシアは一体どうなのだろう?

 ロシア人は極めて用心深く、誰もゼレンスキーに幻想を抱いているようには思われない。実際、当選翌日、既にゼレンスキーは、あらゆる種類の反ロシア発言をしている。実際、ポロシェンコ・ポスター(彼の敗北は、プーチンにとっての勝利を意味する)の論理的なほのめかし以外、ロシアの誰も祝ってなどいない。ウクライナという話題全体についての主要な考え方は、全くの嫌悪感で、我々のいわゆる「兄弟」は、聖書中のケインという意味での兄弟に過ぎないという、緩やかな、苦痛を伴う事実の認識と、キエフには話をするべき誰もいない事の受け入れだ。それで、ロシアは、ウクライナに対して、一方的行動の政策に着手しなければなるまい。これには次のものが含まれる。

  • 選挙結果を認めるかどうか決める。ロシアは、大半のウクライナ人が、ゼレンスキーに投票をしたことを認め、その認識は、それ以上の何も意味しないという事実を認識することが一番ありそうだと私は思う。事実を認めることだ。
  • ドネツク人民共和国とルガンスク人民共和国共和国の国民へのロシア・パスポート発給ペースを加速する。
  • ウクライナ(ロシアはちょうど、ウクライナへのエネルギー源輸出を禁止したところだ - 最終的に、とうとう!)に対し、それ以上の経済封鎖を課す。
  • 何百万人というウクライナ人が投票しなかったのだから、それを宣言しろ(ウクライナ国内、ドネツク人民共和国 / ルガンスク人民共和国、ロシアでそしてミンスク合意が死んでいる(もしまだ法律上じゃないなら、それがデファクトだ)から、ロシアはこの選挙を認めず、代わりに二つの共和国を認める。(ウクライナ国内、ドネツク人民共和国 /ルガンスク人民共和国、ロシアで、何百万人というウクライナ人が投票しておらず、(法律上ではまだでも、事実上)ミンスク合意は死んでいるのだから、ロシアはこの選挙を認めず、代わりに二つの共和国を認めると宣言する。私はノボロシアに対するウクライナ・ナチによる攻撃(その場合、ロシアはサーカシビリによる南オセチア攻撃後にしたことをするだろう)がない限り、クレムリンがそうするだろうとは私は思わない。

 これまでのところ、ロシア報道官は、単に彼らは「ウクライナ国民の投票を尊重し」、「彼の言葉ではなく、彼の行動で」ゼレンスキーを評価するつもりだ述べただけだ。このやり方は、確かにバランスがとれていて、合理的だと私には思われる。

 結論

 コロモイスキーや、ゼレンスキーさえ、誰も次に何が起きるかわからないというのが真実だ。余りに多くの考慮すべきパラメータがあり、この選挙後の本当の力の均衡は、まだそれ自身明らかになっていない。ウクライナ人々の本当の念願と希望は全く無視された。ポロシェンコは、ゼレンスキーというマスクをつけたコロモイスキーに代わられるのだ。到底、大喜びの理由にはならない。

 多数候補者がいたにもかかわらず、ウクライナ国民は有意義な選択を与えられていなかった。それで彼らは、できる唯一のことをしたのだ。彼らはポロシェンコを追い出よう投票をした。それは確かに、とても言い気分だったに違いない。

 だがゼレンスキーは多少まともだということになるのだろうか? 私が間違っていること大いに願うが、私はそれを強く疑っている。

The Saker

記事原文のurl:https://thesaker.is/zelenskii-beat-poroshenko-what-will-happen-next/

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 以下のあとがきを省いて、上記翻訳記事だけを勝手に転載する連中は、憲法破壊推進確信犯だ。

 同じ話題しか流さないので、久しぶりに2015年12月20日放送の新・映像の世紀「第3集 時代は独裁者を求めた」録画を再度見た。権力は悪事を働く際に、ウソを言って正当化する。緊急事態条項というのは、婉曲語法で、実態は「全権委任法」だったことを思い出した。

 2007年8月26日に、下記のナオミ・ウルフ記事を掲載した。その時に「全権委任法」を知ったのだった。劣等の現状、この記事だけで理解できる。このステップが着実に推進されるのを目にしているのだ。改元騒ぎもその一環。

 簡単な10のステップで実現できるファシスト・アメリカ(日本?)

日刊IWJガイド「明日9日の衆議院憲法審査会で、改憲の国民投票のテレビCM規制をめぐって民放連幹部を参考人招致! 本日午後8時より、岩上安身による長谷部恭男・早稲田大学教授インタビューを再配信!」 2019.5.8日号~No.2428号~(2019.5.8 8時00分)

 日刊ゲンダイ・デジタルの斎藤貴男氏記事に驚いた。

 大メディアが黙殺する「倉敷民商弾圧事件」の“異常”さ

彼ら3人を逮捕し、取り調べたのは、なぜか岡山県警の公安部だった。勾留期間も禰屋氏が428日間、他の2人は184日間。あのカルロス・ゴーン氏は2カ月でも国際的な関心を集めたが、倉敷民商事件はマスコミにも黙殺されたまま。

 党名を変えないから支持率があがらない、とたわごとを言う連中、党名を変えれば、こういう冤罪攻撃がなくなると思っているのだろうが?

2019年5月 7日 (火)

The Sakerによるドミトリー・オルロフ・インタビュー

2019年4月16日

[本インタビューは元来Unzレビューのためにおこなわれた]

 「アメリカ帝国はほぼ既に終わっているが、まだいかなる本格的な負荷試験を受けていないので、誰もそれが事実なのを理解していないのだと私は思っている」

 たった一語で現在の国際情勢を描写しなければならないとすれば、「混乱」という単語が(唯一のものでないにせよ)かなり適切な選択だろう。ウクライナでの混乱、ベネズエラでの混乱、帝国がいかなる形においても関与しているあらゆる場所の混乱、そして、もちろん、アメリカ合州国内混乱。だが、タイタニック号船上のオーフストラとほとんど同じ役、つまりを進展する大惨事から、できるだけ長時間、気をそらせる役を演じている、評論家や他の「専門家」の話しか聞いていなければ、それには気がつくまい。

 ソヴィエト社会主義共和国連邦とアメリカ合州国の崩壊に関する非常に論理的な、イデオロギー的でない、比較分析をかねてから尊敬している、社会的、政治的崩壊に関する押しも押されもしない専門家ドミトリー・オルロフに話を聞こうと決めた。彼を中傷する連中は、露骨な、率直に言って愚かな人身攻撃に訴えるしかないという事実が、ドミトリーの意見が広く共有されるべきであることを一層確信させる。有り難いことに、ドミトリーは、いくつかの私の質問に詳細に答えることに実に快く同意してくれた。このインタビューが読者にとっても、私が感じたのと同様に興味深いものであるよう願っている。

The Saker

The Saker:社会的、経済艇、政治的崩壊という点で、ウクライナの現状をどのように評価されますか?

ドミトリー・オルロフ:ウクライナは独立した主権国家としては、一度も生存可能だったことはなく、進行中の崩壊は予想できたはずのものです。崩壊という概念は、崩壊し得る、そこなわれていない独立した組織に適用可能ですが、ウクライナの場合、これは当てはまりません。歴史上、決してそれは、安定した自給自足できる独立組織になれたことはありませんでした。独立を獲得するとすぐに倒れたのです。バルト諸国(エストニア、ラトビア、リトアニア)と同様、ソヴィエト社会主義共和国連邦が崩壊しようとしていた、まさにその時に、この国は経済、社会発展の頂点に達していて、以来ずっと、この国は劣化し、人口を失いつつあります。ですから、それを論じるための適切なモデルは突然の崩壊ではなく、着実な堕落と腐敗です。

 ウクライナの領土は、レーニンに、次にスターリンにより、次にフルシチョフにより、ボリシェビキを優先する人たちに、一つにまとめられたのです。本来ロシアの一部だった東部地域(具体的には、ドネツクとルガンスク)をひとまとめにしたのはレーニンでした。スターリンはそれから、何度もポーランドや、オーストリア・ハンガリーや、ルーマニアだった東部の土地を加えました。最後に、この問題を決定するためにソビエト憲法で必要とされていた国民投票をクリミアで行わず、フルシチョフによる当時ロシアでは違憲だった動きで、クリミアをほうりだしたのです。

 このボリシェビキの取り組み以前は、「ウクライナ」は適切な政治的、地理的表記としては使われていませんでした。この地域はロシアの一部と見なされていて、他から区別するため(小さいという意味の)接頭辞「マロ」をつけ「マロロシア」と呼ばれていました。「ウクライナ」という単語はロシア語単語「オクライナ」(はずれ、辺境)の古風表現です。これが定冠詞"the"が必要な理由なのです。ウクライナは文字通り「ロシアの辺境」です。国連での追加議席獲得に成功するため、ソ連はこの辺境に架空のアイデンティティーを与え、住民の多くに「ウクライナ人」としてその民族性を公式に宣言するよう強いたのです。

 この政治的でっち上げは、それ自身でっち上げであるウクライナという民族的アイデンティティーによって、ばらばらにならないように保持されるはずでした。ウクライナ語は、香り付けに、多少のポーランド語が混じったロシア語南部方言の組み合わせなのです。それにはロシア人が魅惑的と感じる快活な調子があり、民謡にぴったりです。けれどもそれは決して多くの実際的長所を持ってはおらず、ウクライナ人にとって実用的な言語は常にロシア語でした。話題がかなり複雑な場合には、現在ウクライナ人民族主義者でさえロシア語に変えます。宗教的には、国民の大部分が何世紀も、そして今もロシア正教です。

 数年間、多くのウクライナ人とウクライナについて話をして、私は衝撃的な事実を発見しました。ロシア人と異なり、ウクライナ人は民族的結束は全く皆無に思われるのです。彼らを結び付けるものは、ロシア帝国の一部として、更にはソヴィエト社会主義共和国連邦としての歴史上の経験の共通性ですが、この歴史的遺産は積極的に消されつつあります。ソビエトの崩壊とウクライナの独立後、ウクライナで、非ソ連化と非ロシア化キャンペーンが行われ、この共通の歴史遺産をけなし、国民の大部分にとって異質な偽歴史に基づく合成のウクライナ・アイデンティティーで置き換えられたのです。この偽歴史は、ナチ協力者をもてはやし、広範なロシア世界におけるウクライナのかつての非常に積極的な役割のあらゆる記憶を完全に消し去ろうと試みています。

 それで、現状は、人々の大半がロシア語を話す(その一部には訛りがある)か、スルジクと呼ばれるウクライナ語のように聞こえるが、大半がロシア語単語(二つの言語間の重複は非常に大きいので、彼らの間に線引きをすることは困難だ)である一種のウクライナ地方方言を話す、歴史的にほとんどロシア領だった地域があるというわけです。正しいウクライナ語とされるものは、一度もロシア帝国の一部になったことのないウクライナの西部で話されますが、それは他の地域ではほとんど理解できない方言なのです。

 この混乱した言語状況にもかかわらず、ウクライナ語は国全体に、教育用言語として押しつけられました。ウクライナ語教科書とウクライナ語で教える資格を持った教師の欠如が公教育の質を急落させ、本当にウクライナ語を知らず、わずかな正式なロシア語の授業しか受けていない、一種の砕けた半分言語しか話せないウクライナ人世代をいくつか生んでしまいました。より最近、ロシア語の使用をひどく制限する法律が通過しました。例えば、ウクライナ語をひとことも話したことがない人々が、今買い物や、政府の職につくため、それを使うよう強いられています。

 人工的な、つくりもののウクライナ・アイデンティティーは、この国に自己意識や方向感覚を与えるには余り薄弱です。それは全く後ろ向きのアイデンティティーです。ウクライナとは、ロシアではないものなのです。結果として生じた国民意識の穴は、欧州統合という積み荷崇拝を作って、ふさいだのです。ウクライナはロシア世界を離れ、欧州連合とNATOに加入すると発表されました。最近、EUとNATOに加盟する意志が、直接ウクライナ憲法に書き込まれました。EUとNATO加盟のいずれも、全く少しもありそうにないか必要でないことは極めて明確になっています。EUは価値ある代償を何も与えないまま、EU連合協定への署名を強いて、欲しいもの全てをウクライナから得ています。ウクライナ領はNATO軍事演習の舞台になっています。

 「ウクライナ社会」という言葉には実際は、ほとんど基礎がないので、社会的崩壊に関して論じるべきことは本当に多くはないのです。ロシアから分離すれば、ウクライナは存続可能な国だという過大評価をやめた場合、大ロシアの一部としての可能性について何が言えるでしょう。

 本物の帝国と、ソヴィエト社会主義共和国連邦との違いを説明するため、ここで脇道にそれなければなりません。本物の帝国は、大英帝国のように海外か、ロシア帝国の場合のように周辺部分のような帝国の所有地から、富を吸い上げる富のポンプとして機能します。後者はそれに先行したモンゴル帝国の伝統を継承しました。モンゴル語の単語「タムガ」はしばしばロシア帝国が東に拡張するにつれ、新たに征服した種族から集めるべき年度の税金を示すために使われました。(これらの種族の多くが、用語の意味を理解している元モンゴル臣民だった。)

 ここに重要な点があります。ソヴィエト社会主義共和国連邦は、まったく通常の帝国ではありませんでした。周辺から帝国の中心に、ポンプで富を汲み上げる富のポンプとして機能するどころか、中心の資源(ロシア)を利用して、社会主義を構築し、グローバル共産主義革命を助長する狙いを推進するため、周辺に資源を送り出し、革命孵卵器として機能したのです。ボリシェビキの中で、代表の数が平均を遥かに超えていた様々な民族集団は、ロシア内のユダヤ人強制集住地域や白ロシアやウクライナやコーカサスやバルトなど全て周辺地域出身で、彼らは世界革命の祭壇で、母なるロシアを犠牲にするのを全くいとわなかったのです。

 彼らの革命の熱意は、実際的利点が全く欠けていることで妨げられました。これが認識されるようになるにつれ、世界革命の偉大な提唱者レオン・トロツキーが最初に追放され、それから暗殺されました。後に、ロシア人の愛国的感情に訴えずには、ナチス・ドイツに勝利する課題に成功しそうもないことが明確になった際、スターリンはロシア正教会を復活させ、以前は、退歩的で愛国主義的だと非難されたロシアの民族的アイデンティティー復活のため他の取り組みもをしたのです。この過程にはかなりの失敗もありました。1940年代、レニングラードの共産主義指導者集団が、地域協力を通してロシア権益を促進しようと試みました。彼らは粛清され、「レニングラード問題」として知られるようになった政治的抑圧を味あわされました。

 幸いにも、世界共産主義革命のための使い捨て基地としてのロシアという考え方は決して完全には実行されませんでした。けれどもソビエト周辺の利益のためにロシアを利用する傾向は損なわれないままでした。ソヴィエト社会主義共和国連邦の最も重要な指導者、スターリンとフルシチョフとブレジネフはロシア人ではありませんでした。後の二人はウクライナ人でしたが、スターリンはグルジヤ人でした。全ての他のソビエト共和国はモスクワに送り出すべき幹部を生み出す共産党組織がありましたが、他方ロシア自身にはそのような組織はありませんでした。不可避な結果として、他のソビエト共和国の大部分が、ロシア自身より遥かに繁栄し、ロシアから資源を吸い上げることが可能だったのです。

 ですから、典型的な帝国としてのソヴィエト社会主義共和国連邦のイメージは全く正しくありません。ソヴィエト社会主義共和国連邦の正しいイメージは、14匹の太った貪欲な子豚(他のソビエト社会主義共和国)に乳を吸われて、疲労困憊し、やせ衰えた雌豚(ロシア)です。彼にはあらゆる欠点がありますが、ボリス・エリツィンは一つだけ良いことしたのです。(彼のやり方は無能を越え、ほとんど反逆罪だったとは言え)、彼はソヴィエト社会主義共和国連邦を解体したのです。

 なぜロシアが今復活し、ますます繁栄し、極超音速兵器システムや、国民のための近代的インフラに膨大な金額を投資することができるのかについての説明を必要なら、これが答えなのです。14匹の子豚は、自分で食べ物を探すよう追い払われたのです。このちょっとした見方は、ついでながら、ズビグニュー・ブレジンスキーの「巨大なチェス盤」という全くのばからしい話をお釈迦にします。ロシアは帝国になることを望んでいるが、ウクライナなしでは、そうなれないという彼の理論は、ロシアが1世紀以上、帝国でなく、再び帝国になる必要や願望がないという認識に触れた瞬間、粉々になります。

 いずれにせよ、最近、帝国は、いささか復古調で愚かなアメリカ人が、自ら破産させて終わるための方法として以外、全く有用ではありません。ロシアには施し物をやかましく要求する恩知らずの扶養家族ではなく、経済的に自立できる信頼できる取り引き相手が必要なのです。30年間、ウクライナに放置されていたクリミアを、ロシアの現代水準まで引き上げるのは途方もない課題であることが判明しています。それ以外のウクライナに対してそうすることなど、とてものことではありません!

 この視点を得て、我々は現代ロシアの見地から、ウクライナについて何を言うことができるでしょう?

 こっけいな不滅の漫画キャラクターのようなウクライナ人専門家が出演するロシアのトーク番組の内容で証明されるように、何よりもまず第一に、見せ物です。ウクライナを支持する彼らのお笑いぐさの主張が台無しになると、彼らは常に一瞬、黒焦げになって立ちつくし激怒し、自らの体をはたき、新たに次のコーナーに元気はつらつ出演するのです。この見せ物には特定の教訓的長所があります。現代ウクライナを現在そうであるようなひどい混乱にさせたのが欧米の干渉だったのですから、ロシア国民が欧米の偽善に対して強力な免疫抗体を発達させるのに役立ちます。しかしこれはある意味、避けられなかったのです。ソビエトの乳首を奪われて、ウクライナは、これまで30年間、アメリカとEUから乳を吸おうと試み、それがうまくいかないので、自身の腰肉を切り分け、焼いてきたのです。

 第二に、ウクライナは、独立以来、国民の約3分の1を失った、移民の豊富な供給源です。国民の多くがロシア人と見なされます。言語学的、文化的、宗教的に、彼らは完全にロシア国民と共生可能です。ウクライナ人は(ロシア人とタタール族に次いで)既にロシアで3番目に人口が多い民族集団で、ロシアは近年ロシアに逃げたウクライナ人を吸収することが可能でした。ウクライナの人口が減少するにつれ、自然な仕分けが行われています。ロシア世界と最も共生できる人々はロシアに、残りが、ポーランドや他のEU加盟国に移住する傾向があります。

 最後に、ウクライナの話題ついて、ロシアは非常に困憊しています。現在行われている茶番大統領選挙のおかげで、現在議論の主要話題になっていますが、益々多くの人がこの疑問を聞いています。「我々はこれについて話し続けなくてはならないのだろうか?」 ウクライナについては言うべき肯定的なものは何もなく、人々は頭を振って別の局に切り換える傾向があります。それで、ウクライナに対するロシアの見方の最終的な要素は、見るのがつらく、むしろ何か他のものを見たいということなのです。

 ところが、そうは行きません。十分な歴史的理由で、ロシアはウクライナの最大貿易相手国のままなのです。ロシアとウクライナの経済は、一連の計画や規格や規制に基づく一体のものとして構想されました。これらのつながりを断とうというウクライナ指導部による政治的動機による取り組みにもかかわらず、選択肢が欠如しているため、そうしたものの多くが、頑固に、そのまま残りました。一方、ウクライナは欧州連合や世界の他の国々が欲するようなものは極めてわずかしか作っておらず、そのうち極めてわずかしかEUの多くの基準や規制に合っていません。特にEUは、ウクライナ製品にとって全く役立たず、ウクライナを安い労働と資源の供給源として見ています。

 2分の1より遥かに多くのウクライナ電力を供給する老朽化したウクライナの原子力発電所に核燃料を供給しているのはロシアで、他方ロシアの石炭(特に無煙炭)が残りの多くを供給しています。けれども政治的理由で、ウクライナ当局は,ウクライナとロシアを結びつけるへその緒は切断できないという事実を認めるのをひどく嫌っています。例えば、彼らはロシアの天然ガスを直接でなく、EUから仲裁人を通して(彼らがその一部を懐に入れる)利ざやが乗ったものを買っています。書類上、ウクライナはEUからガスを輸入しています。物理的に、ロシアからパイプに送られるメタン分子は決してウクライナ領を離れません。彼らは現地使用のため流用されているだけなのです。

 ソヴィエト社会主義共和国連邦が崩壊する頃までに、ウクライナは最も高度に発展し、おそらく最も裕福な地域で、一部の人々は、ソビエトのくびきを投げ捨てた以上、未来はゴーグルなしで見るには余りに明るいと予想していました。ウクライナには豊富な天然資源(肥沃な土地、石炭)と知的な労働力がありました。ウクライナはジェット航空機や船舶用ディーゼル・エンジン、ヘリコプター・エンジン、世界最良のロケット・エンジンや他に多くのハイテク製品を生産していました。ところが起きたのは、数十年の窃盗や低迷や腐敗でした。今までにウクライナは産業の大部分を失い、多くが崩壊の間際にまで疲れ切っており、ソ連時代のインフラは朽ちました。産業は閉鎖し、かつて雇用されていた専門家は引退するか、ロシアやEUやアメリカで働くために去りました。(どうやら一部のウクライナ人ロケット科学者は北朝鮮に仕事に行き、これが朝鮮民主主義人民共和国の最近のロケット工学における驚くべき成功や、ロケット燃料非対称ジメチルヒドラジンの、ありそうもない風変わりなエキゾチックな選択の説明になる。)

The Saker:ドンバス共和国はどうでしょう? あなたはウクライナで起きていることと、ノボロシアの状況をどのように比較されますか?

ドミトリー・オルロフ:「ノボロシア」(新しいロシア)という用語は、エカチェリーナ2世がクリミアや他の南の領地所を含め、ロシア帝国を拡張した時代にまで数世紀遡ります。レーニンが、ウクライナ・ソビエト連邦に割り当てし直したのは、ドネツクとルガンスク地域というロシア領土でした。

 ほぼ完全にロシアの地域が他にもいくつかあります。とりわけ、ハリコフとオデッサですが、ドネツクとルガンスクも決してウクライナではありません。2014年の政府打倒後、キエフで権力を掌握したウクライナ民族主義者の意図が、国民のロシア部分を圧迫することだったのが明確になった際、この二つの地域がなぜ自立することに決めたかという理由です。ウクライナ民族主義者は、内戦を開始して対応しました。これは正確に5年前に始まり、彼らが敗北しました。面子を保つため、彼らは敗北を「ロシアによる侵略」の結果だと宣言しましたが、いかなる証拠も提出できませんでした。もしロシアが侵入していれば、結果は2008年8月にジョージアにおけるロシアの行動の再演になっていたはずで、それは約1週間続きました。

 ウクライナ人は、ドネツクとルガンスク地域にミサイルを打ち込み続けており、散発的な民間人の犠牲者を出しています。時たま彼らは小規模な小ぜり合いを演じ、犠牲者を出して、撤退します。彼らはこの内戦を「対テロ活動」呼んでいるのですが、大半は、他には説明のつけようがない彼らの敗北の連鎖を説明するために、ことあるごとに架空の「ロシア侵略者」が引き合いに出される、プロパガンダ攻勢に変わっています。

 ある程度ウクライナ人を訓練しようと、NATO教官が、取り組んだのですが、教官は諦めました。どのように戦うべきか教官が全く知らないことが、彼らには明きらかだったので、ウクライナ人が面と向かってばかにしたのです。ウクライナ人は、ゆっくりと、じっとしているNATOにとって、あまりにも狂っているので、ウクライナのNATO加盟「ロードマップ」は棚上げにすべきと決まったのです。そして教官は、NATO軍が決してしようとは考えないはずの、いかに航空援護なしで高強度地上戦を行うべきかについての諜報を集めるだけのCIAタイプの連中に置き換えられました。このような条件下では、NATO軍隊は、自動的に撤退するか、それがうまくいかなければ、降伏するでしょう。

 一方、経済的に大いに発展し、多くの産業がある二つの東部地域は一層しっかりロシア経済に融け込んでいました。現在彼らの大学と研究所はロシア高等教育制度で完全に認められており、通貨はルーブルで、国際的認識では彼らはウクライナの一部ですが、ウクライナが、彼らをそういう風に扱っていないと指摘するのは非常に重要です。

 ウクライナ政府はドネツクとルガンスクの市民を自国民として扱っていません。彼らの年金を支払わず、投票権を認めず、パスポートを発給しません。ウクライナ政府は、そこに居住する人々ではなく、ドネツクとルガンスク地域に対する権利を主張しているのです。今、大量虐殺や民族浄化は、国際社会から、一般にひんしゅくを買いますが、この場合、ロシア嫌悪用に例外が作られているのです。ドネツクとルガンスクに住むロシア人は「親ロシア派」というレッテルを貼られて、合法的な標的なのです。

 ロシアは、この二つの人民共和国を公式に認めることや、公然の軍事支援(志願兵の流入は最近低調とは言え、志願兵や兵器は何の障害もなしで、ロシア側から流れ込んでいる)提供要求に抵抗しています。純粋に身勝手な見地からは、この小さな戦争はロシアにとって有用なのです。もし将来ウクライナが完全に失敗して細かく分裂すれば、それはありそうに思えますが、もし(理論的にはドネツクとルガンスク地域だけでなく、ハリコフやオデッサやドニェプロペトロフスクも含まれるかもしれない)これら分裂した地域のいくつかがロシア加入を強く要求すれば、ロシアは深刻な問題に直面するでしょう。

 ご存じでしょう。これまで30年にわたり、自分たちの国が略奪されてきたのに、大半のウクライナ人は、ビールを飲み、テレビを見て、のんびり過ごすことで満足していました。彼らは、そうするよう金を払われたらデモをし、抗議のために街頭に出るのを問題と思っていませんでした。彼らは金をもらった通りに投票したのです。外国で働いて、国に送金できる限り、彼らはウクライナ産業が閉鎖しつつある問題を取り上げませんでした。彼らは自国が、ほとんど在キエフ・アメリカ大使館に運営されているという事実に激怒したり、当惑したりさえしませんでした。彼らの中で、唯一情熱的だったのは、松明を掲げ、ナチの記章を見せびらかして行進するナチです。要するに、こういう連中は自尊心を持った国が、関係したいと望むような種類の人々ではなく、まして彼ら丸ごと自国民として吸収するなどとんでもありません。そんなことをすれば、本来の国民全員、士気阻喪してしまいます。

 しかし、ドネツクとルガンスクの人々は全くそうではありません。これら炭鉱夫や工員やタクシー運転手たちは、何年もの間、深い溝の中で昼と夜を過ごし、ヨーロッパの大きな軍隊の一つを押しとどめ、自分たちの土地の一寸たりとも譲るまいと戦ってきました。もしウクライナが、いつの日かロシアが受容できると思えるものとして再生するとすれば、それはこうした開拓者魂をもった人々です。彼らは勝たなければならず、彼らはウクライナ軍など虫けらのように押しつぶせるロシア軍の手助けなしで勝たなければなりませんが、そういうことをしている核心は一体何でしょう? 潰れたものから存続可能な新ウクライナを作りだすのはかなり時間を要するプロセスなので、ロシアは人道支援や事業機会や多少の武器や多少の志願兵を提供しながら、期が熟すのを待っているのです。

The Saker:ウクライナ大統領選挙の第1回投票に関するあなたのお考えは?

ドミトリー・オルロフ:選挙の第1回投票は徹底的な不正でした。行為の狙いは、何らかの方法で、ポロシェンコ大統領が第2回投票に進むのに成功させることでした。これは必要な数の投票を偽造して行われました。かなりの数の選挙区で、投票率は、いつもの60%程度ではなく、ぴったり100%で、引っ越ししたり、死んだり、移住したりした人々の票が集計されました。これら全てのニセ票はポロシェンコに入り、第2回投票に滑り込むことを可能にしたのです。

 今はポロシェンコとウォロディミル・ゼレンスキーという名のコメディアンの戦いです。ポロシェンコとゼレンスキー、あるいは投票用紙に載っている他の30人以上の人々全員との唯一の差は、ポロシェンコが既に何十億も盗んだのに対し、競争相手連中は、まだ盗んでいないことなのですが、ウクライナでは大統領なり何らかの選出公職に立候補する唯一の理由は、自分自身を何か大規模窃盗ができる立場に置くためなのです。

 それでポロシェンコよりゼレンスキーを好む客観的理由がありますが、それはポロシェンコが大泥棒なのに対し、ゼレンスキーはまだそうではないことです。けれど、この違いは、ゼレンスキー就任式直後に同じになり始めることを理解しなければなりません。実際キエフのエリートは、ウクライナの土地全てを外国投資家に売るという連中の巧妙な計画(かなりの「手数料」が懐に入るのは確実)に現在全員わなないています。

 30人強の候補全員の綱領は同じでしたが、これは主権を放棄した国においては重要ではありません。外交や戦略的配慮に関して、ウクライナは在キエフ・アメリカ大使館に支配されています。内部機能上、大統領を含め権力を握っている全員の主要特権は盗みです。連中の考えは、分け前にあずかり、全てが吹き飛ぶ前に国から逃げることです。

 選挙の第2回投票が、同様に徹底的な不正なのか、結果として何が起きるかまだわかりません。多くの代案がありますが、いずれも民主主義のいかなる実践にも似つきません。この場合「民主主義」の意味するところは、確実に、単にワシントンの命令を実行する能力です。そうする能力のなさが、ウクライナが「専制政権」か「独裁」となり「政権転覆」にさらされることになるのです。そこまでならなければ全く問題ではありません。

 ウクライナ「民主主義者」の権謀術数は、ドブネズミの性生活と同じぐらい私には興味深いのですが、完全を期すために、フローチャートを書いてご覧に入れましょう。選挙で敗北すれば、ウクライナの政治的食物連鎖中で直ちに捕食動物から獲物に変わってしまうので、ポロシェンコは徹底的な不正で第2回投票に進みました。ところが彼は、決して巧妙ではなく、彼が不正行為をした十分な証明があり、彼が排除した競争相手ユリア・ティモシェンコは、理論的に選挙結果の正当性を裁判で問うて、勝てる可能性があるのです。すると選挙全体が無効となり、次の選挙まで、ポロシェンコが大統領のままということになるでしょう。全く同じことの繰り返しです。

 もう一つの代案は、ポロシェンコが(今回彼は30%以上差をつけられているので、より高圧的な手段で)第2回投票でも当選するよう、不正行為をすることですが、その場合、ゼレンスキーは理論的に、裁判で選挙結果に異議を唱えることができます。これで選挙全体が無効になり、次の選挙まで、ポロシェンコが大統領をつとめることになります。全く同じことの繰り返しです。それでも、ワクワクされるでしょうか?

 我々は二人のどちらがアメリカ国務省のえり抜きかを知らないので、これは全く重要ではありません。えり抜きがどちらか次第で、いかなる選挙や裁判の結果にもかかわらず、巨大な足が空から降りきて、支持していない側の頭を踏みつけるでしょう。もちろん全て見掛けは大いに民主的なふりをするでしょう。EU指導部は、吐き気をこらえながら、形ばかりの拍手を余儀なくされ、世界は進むでしょう。

The Saker:ウクライナは一体どこに向かっていると思われますか? 短期的、中期的未来で起きることについて、あなたによる最良の「当て推量」はどんなものでしょう?

ドミトリー・オルロフ:ある種のことは永久には続くことができず、そうはならないと思いますが、私達とて同じようなものだと思います。一番心配なのは、現在ウクライナで電力の大半を供給しているソ連時代の原子力発電所が耐用年数の終わりに近付いていますが、それを置き換える資金はありません。ですから、やがて、ウクライナの大部分で長期間停電すると予想すべきです。また、ウクライナとEUの多くに、現在ロシア・ガスを供給している天然ガス・パイプラインも老朽化していて、閉鎖の準備ができており、バルト海と黒海を横切って敷設される新パイプラインがそれに取って代わろうとしています。その時点以降、ウクライナはロシア天然ガスへのアクセスも失うでしょう。

 もしウクライナ人が、EU/ NATO加盟という夢物語で自らをなぐさめて、無条件に降伏し続ければ、ウクライナ人口は減り続け、土地は欧米の農業関連産業に売り払われ、NATO部隊に守られた一種の農業緩衝地帯になるでしょう。けれどもその種の円滑な移行を、EUとアメリカが画策するのは難しいかもしれません。ウクライナは、どちらかと言うと大いに軍隊化しており、武器があふれていて、ドンバスで前線を経験して、どのように戦うべきか知っている人で一杯で、彼らはある時点で戦うと決めるかもしれません。ウクライナ人が、これまで30年にわたる腐敗にもかかわらず、まだ幾ばくかのロシアの敢闘精神を持っていて、ロシア人のように、勝利するか、死ぬまで戦うかも知れないことは覚えておかねばなりません。両面価値的性差別のNATO軍の技術者たちは、彼ら邪魔をしようとは思わないでしょう。

 国民を減らされたウクライナを、欧米農業関連産業の遊び場に変えるという夢は、ロシアが欧米のGMOについて非常に懐疑的な見方をしていて、西からロシア国境を越えて、GMOに汚染された花粉が飛んでくるのをいやがっている事実によって、いくぶん妨げられるかもしれません。彼らは確実に、ウクライナにおける欧米農業関連産業の試みの採算性を悪くさせる何らかの最小努力の道を見出すでしょう。古びたウクライナ原子力発電所の一つからの小さめながら大いに喧伝される放射能漏れ計画はおそらく有効でしょう。どちらかと言うと奇妙なのですが、欧米人は自身をグリホサートで毒殺するのは何とも思いませんが、電離放射線のほんの少しさえ死のように恐れますから。

The Saker:EUや、欧州評議会はどうでしょう? EUはどこに向かっているとお考えでしょう?

ドミトリー・オルロフ:EUは多くの重大問題を抱えています。財政的、金融的に健全ではありません。全体的に、あるいは構成諸国として、アメリカに主権を渡してしまって、もはや完全な主権を行使する能力がありません。しかしアメリカはその決定が支離滅裂になるほど、内部対立で困窮しているため、アメリカはもう支配を維持することができません。全体的構造はマトリョーシカ人形のようなものです。アメリカは一種のひび割れた外殻です。その内側にNATOがあり、それはロシア国境まで、ヨーロッパの大部分の占領軍です。それはロシアに対しては役に立たないでしょうが、占領地の住民に対しては確かな暴力の脅威となり得ます。NATOの内部にEUがあり、それは政治的議論をするだけで行動に移さない委員会と、次々と多数の規則や規制を紡ぎだす肥大化した官僚制です。

 この軍事/政治的上部構造は、アメリカ覇権という重要な因子なしでは、実際には全く構造ではありませんから、我々はそれが、うまく機能すると考えるべきではありません。種々の国家政府が主権を取り戻そうと試みる中、議論をするだけで行動に移さない委員会として継続するでしょう。イギリスの国民投票に投票した人々は、確かに彼らの政府をその方向に駆り立てようとしましたが、彼らの政府は、後回しにしたり、死んだふりをしたりと種々の方法を使って実験して対応しており、違う政権が民意を実際に実行しようとするかもしれません。他方、ハンガリーやイタリアの政府は、国民の支持を得て、彼らの主権を再び主張する方向で若干前進しました。

 けれども何もまだ本当に起きていません。どんな国の政治エリート集団でも、国家主権の放棄によって徹底的に骨抜きにされてしまえば、胸毛が元のように伸びて、多国籍企業の権益に対する確かな脅威となり始めるには、しばらく時間を要します。ロシアでさえ、寡頭政治の権力と影響力を排除するのに、ほぼ10年を要しました。帝国が弱体化しており、一部の国が家臣であるのをためらい始めているのは見えますが、まだ決定的なことは何も起きていないのです。

 事態を加速させるかもしれないのは、ヨーロッパが、アメリカとともに景気後退/不景気に向かって進んでいるように思われることです。その一つの効果が、西欧で働いている全ての東ヨーロッパ人労働者が国に帰るよう強いられるだろうことです。もう一つは、最近獲得した東方、特にポーランドとバルト諸国へのEU助成金が大幅に減らされるか、まったく消失する可能性が高いことです。金銭的援助の欠如と、帰国する経済移民の流入の組み合わせは、わずかなロシア憎悪と引き換えに、欧米の金品を享受してきた特定の国家エリート連中の終焉を招く可能性がありそうです。

 西ヨーロッパから排出される人類のこの渦巻く潮流は東へ向かい、ロシアの巨大な壁にザンブとぶつかり、雇用ではなく、ウクライナの武器や、戦争ノウハウや、略奪という興味深い考えを持って、どっと西に逆流することが想像できます。そこで彼らは中東やアフリカからの新入りに対しとことん戦うのですが、現地の人々は最善を願い、性的中立性や他の高貴な大義に関する良いこと思いながらベッドに入ることでしょう。

 これら古いヨーロッパの国々は人口統計に関してのみならず、生来いかなる民族にも割り当てられている最大年齢の上で、全て年をとり過ぎています。Ethnoi(「民族ethnos」の複数形)は一般に、わずか約千年続くだけで、ライフサイクルの終わりには、自ずと現れる特定の傾向を示しがちです。彼らは子供を多く産むのをやめ、性的嗜好も下劣に、一般に退廃的になります。これらの傾向は既に丸見えになっています。ここに特にばかばかしい例があります。フランスの出生証明書には、もはや父親と母親という項目はなく、親1と、親2という項目があるのです。侵入してくる野蛮人はこれを見て、おそらく笑い死ぬでしょう。けれどももし彼らがそうしなかったら、どうでしょう?

 もはや戦いにはほとんど耐えられない、このような枯渇した民族は野蛮人に容易に侵略される傾向があり、その時点で、彼らは慈悲を乞うのです。滅亡したローマ帝国や、中国とペルシャやの似たような歴史の例によれば、彼らに慈悲を与えることは、野蛮人がすることが可能な最も酷い過ちの一つです。その結果、一群の性的に下劣で、一般に退廃的な野蛮人が、次の野蛮人集団に簡単に制圧され、虐殺されることになるのです。

 西ヨーロッパで、一体何が次の民族起源論争をひき起こすか予測するのは不可能ですが、いつかの時点で、自己保存の本能は弱いが、大混乱や栄光や死への癒やされることのない切望を持った狂信者の変異株が現れ、すぐに行動を始めるのは確実です。

The Saker:ノルドストリーム2が完成したら何が起きるでしょう? 特にアメリカ合州国とロシアとの関係で、ヨーロッパは一体どこに向かっているのでしょう?

ドミトリー・オルロフ:バルトと黒海海底の新パイプラインは、サベッタの二番目のLNG設備とともに完成し、ロシアは天然ガスをヨーロッパとアジアに供給し続けるでしょう。私はアメリカの水圧破砕という派手な見せ物は終盤に入っていて、ヨーロッパへのLNG大規模輸出の夢は決して実現しないと思います。

 ヨーロッパ諸国は、ロシアとの関係はほとんど有益で、アメリカとの関係がほとんど有害であることを次第に悟り、ある種の調整をするでしょう。天然ガス・パイプラインが老朽化していて、修理ができない状態のウクライナはヨーロッパから天然ガスを輸入し続けるでしょうが、今度はメタン分子は、ウクライナに、実際東からでなく西からに流れるでしょう。

The Saker:ロシアの政治情勢をあなたはどう見ておられますか? プーチン個人と、クレムリンの外交政策は非常に多くの支持を享受しているが、年金制度改革は本当にプーチンを傷つけたので、今では(CIAから金をもらっている連中と違う)国内の「愛国的反対派」があり、いっそう声高になっていると良く聞きます。本当でしょうか?

ドミトリー・オルロフ:外交政策に関して、ロシア内では多くの議論はないというのが事実です。欧米のどの国家指導者より依然遥かに人気が高いのですが、プーチンの人気は多少衰えました。年金制度改革はいくぶん彼を傷つけましたが、彼は移行を容易にするよう意図した多数の法案を押し進めて回復しました。特に公共交通料金割引や固定資産税減税など、現在、退職者が享受している全ての便益は退職年齢に近付いている人たちのために延長されるでしょう。

 プーチンは内政、国際政治両方でまだ非常に活動的ですが、引退の方向に向かいつつあるのは明かになりつつあります。国内政治での彼の主な狙いは、優先項目を推進する上で、政府内で非常に厳しい自制を維持することのように思われまする。彼がプーチン後時代への移行に、どのような影響をあたえるつもりなのか不明ですが、最近カザフスタンで行われたことが、ある程度、手がかりになるかもしれません。もしそうであれば、我々は、プーチンは、政界の長老として、国政に対する何らかの支配手段を維持して、連続性を強調するだろうと予想できます。

 しかしロシア政治で遥かに重要な変化は、新世代の地域指導者が権力の座につけられたことです。非常に多くの知事職が、国政に進出する可能性がある意欲的な若い管理者たちにに与えられています。彼らは最新の管理技能で、新しい種類の徹底的に専門的なエリート政治家です。一方、幹部の徹底的な洗い出しが行われ、一部の政府高官は汚職のかど服役しています。特に顕著なのは、これら新しい地域指導者の一部は今プーチンと同様か、もっと人気が高いということです。ソビエトの実験を悪い方向に運命づけ、今アメリカの支配体制を苦しめている長老政治ののろいは、もはやロシアを脅やかしていません。

The Saker:最近あなたは、現代アメリカ政治の愚かさのひどさを論じる「愚者のアメリカ艦船は浸水しているのか?」という題名の記事を書かれましたね? 私には単純な質問があります。可能だとすれば、帝国は、どれほど長く、トランプを切り抜けて生き残れるとあなたは思われますか?

ドミトリー・オルロフ:アメリカ帝国は既にほとんど終わっていると私は思いますが、まだ、いかなる本格的負荷試験も受けていないので、誰もそれが事実なのに気がついていないのだと思います。権力中枢が全く侮辱されることになり、この屈辱を容認することができず、やりくりするような出来事が起きるでしょう。政府内部やメディア内部の全員が、問題が存在しないふりをするため最善を尽くすので、事態はそれ以降、悪化するでしょう。金がなくなった途端に、現在世界中に広がっているアメリカ軍人が放棄されてしまうことはないよう願いますが、もしそうなっても、私はあまり驚きません。

The Saker:最後に、似ていますが、基本的に異なる質問です。(帝国と対比して)アメリカ合州国はトランプを切り抜けて生き残れるでしょうか、もしそうならば、どうやってでしょう? 内戦はあるのでしょうか? 軍事クーデターは? 暴動は? ストライキは? アメリカ版黄色いベストは?

ドミトリー・オルロフ:アメリカ合州国は、衰退しつつある一部の人々の権益に奉仕する組織として、かなり長い間、役割を果たし続ける可能性が高いでしょう。疑問はこういうことです。誰がそれに含まれるのか、誰が含まれないのか? 範疇として、退職者が、アメリカ合州国に期待すべきものが何もないことにほとんど疑いはありません。官庁であれ民間であれ、退職者はもう財産を使い尽くしています。既に就業の可能性が低く、ばかばかしい学生ローンで徹底的に絞りとられた若者には期待すべきものが何も持ないことに疑いようはありません。

 しかし私が前にお話したように、アメリカ合州国は、カントリークラブのようなもので、国ではないのです。メンバーには特権がありますが、国に暮らしてはいてもクラブ・メンバーでない人々の生活がどうか、メンバーは気にしません。誰でも入国させるし、国民でない人々にも投票させるという最近の動きは、アメリカ市民権それ自体に何の価値もないことを示しています。アメリカ国民唯一の生得権は、その多くがトランプが野外便所の国」と呼んだ国からの外国人浮浪者に囲まれて、路上浮浪者として暮らすことです。

 大衆や国家公務員が、集団として、約束されていた退職後の生活が、もはや存在しないという認識にどのように反応するのかを見るのは興味深いことです。多分それで体制まるごと機能不全状態になるでしょう。水圧破砕バブルが終わり、国民の更に3分の1が、それがもう国を推進することができないと気が付いた途端、ある種のリセットを強要するかもしれません。けれども軍隊化した警察体制は、どんな種類の反乱も鎮圧するよう設計されており、大半の人々はそれを知っています。特定の死か、歩道で麻薬を使うのかという選択を与えられれば、大半の人々は後者を選ぶでしょう。

 ですから、トランプであろうとなかろうと、ほとんど同じようなことになるでしょう。ピカピカの若いIT専門家連中は、仕事に行く道々、口笛を吹きながらスキップして、死にかけの人々や、排泄物の山を通りすぎます。店の裏では腹をすかせた人々が、ごみ箱の中をあさる中、ボトックス療法を受けた主婦たちは偽物の有機野菜を買っています。憂慮する市民たちは、移民の入国許可を与えるよう要求していますが、そうした移民が、自分たちの芝生の前庭にテントを準備したり、呼び鈴を鳴らして、トイレを使わせて欲しいと頼んだりすると、すぐさま警官を呼ぶのです。裕福な高齢カップルは、どこか熱帯のマングローブが生えた沼地のアメリカ屋敷に移住するのを夢見ていますが、彼らは、そこでなたで切り刻まれ、魚の餌にされてしまいます。彼ら全員、株式市場が実に好況なので、万事順調だと信じているのです。

 この勢いでは、最終的にアメリカ合州国の終わりが来る頃には、大半の人々は気付く立場にないでしょうし、それ以外の人々は、こうした心乱される情報を受け入れることができず、無視することに決めるでしょう。誰もが話の結末を知りたがりますが、その種の情報はおそらく誰の精神衛生にも良くありません。アメリカの精神状況は既に十分に病んでいます。我々はなぜそれを一層悪化しようと望むべきでしょう?

The Saker:オルロフさん、長時間、有り難うございます。実に興味深いインタビューを有り難うございます!

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記事原文のurl:https://thesaker.is/the-saker-interviews-dmitry-orlov/

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 この機会に『おっぱいとトラクター』を読んだ。英語原題は『ウクライナにおけるトラクター小史』

 イギリスに暮らす84歳の老父が、老妻を亡くした後、50歳年下のウクライナ人の巨乳女性と再婚すると宣言して、娘二人が父親に振り回され、大奮闘するお話。父親は、元エンジニアで、『ウクライナにおけるトラクター小史』を書いており、時々、書き終えた部分を読んで聞かせる。
 イギリスのEU離脱の理由がなんとなく想像できそう。ウクライナ人がなぜ、イギリスに暮らすようになったかという回想で、ウクライナ、ロシアの歴史もちらり読むことができる。ポーランドや、ナチスの関係も。

 キエフとモスクワの関係の部分をよみながらビリントンの『聖像画(イコン)と手斧 ロシア文化史試論』を思い出す。高価だが、是非お読み頂きたい名著。

 他国の文化や将来についての長い対話記事をなぜ訳すのか不思議に思われる方がおられよう。ひとごとと思われないからだ。

 オルロフ氏の言葉。

外交や戦略的配慮に関して、ウクライナは在キエフ・アメリカ大使館に支配されています。内部機能上、大統領を含め権力を握っている全員の主要特権は盗みです。連中の考えは、分け前にあずかり、全てが吹き飛ぶ前に国から逃げることです。

 『株式会社化する日本』内田樹、鳩山友紀夫、木村朗著で、「日本はアメリカ軍に支配される植民地状態」というのが、鼎談をしておられる方々の理解だが、そこで、19、20ページの内田氏の言葉はこうだ。オルロフ氏のものと比較願いたい。

とりあえず、これまで日本を駆動してきた、20年後、30年後の日本はいまよりもっと貧乏になって、いまよりもっと国際社会での地位が低下しているだろうということがわかっている。だから、とりあえず手元に残っている国民資源のうち、自分のふところに掻き集められるだけのものを掻き集めて、泥船が沈みだしたら、真っ先に逃げ出す算段をしている。

 昨日の沖縄タイムス・スクープ記事が、ウクライナ政権どころではない劣等政権の実態を表している。

米海兵隊、本土移転を要望 93年に沖縄から撤退予測 米高官元側近が証言米海兵隊、本土移転を要望 93年に沖縄から撤退予測 米高官元側近が証言

  現実を把握している沖縄と違って、劣等本土の人々の認識は悲惨。ウクライナ政治を馬鹿にできる立場ではない。

日刊IWJガイド「7月4日の公示まであとわずか2ヶ月!参院の争点が『選択的夫婦別姓』!? 立憲民主党・枝野幸男代表の演説にア然! 山尾志桜里議員は憲法記念日に『9条議論避けられない』!?」 2019.5.7日号~No.2427号~(2019.5.7 8時00分)

 

2018年12月17日 (月)

名誉を越える名誉

2018年12月14日
Paul Craig Roberts

人生で、私はフランスのレジョン・ド・ヌール勲位、米国財務省銀メダル、メキシコ記者クラブからの国際ジャーナリズム賞、世界特別功労賞や、同じぐらい誇り高いWho's Who名士録を含め、多くの表彰や賞や高い名誉賞を戴いたが、The Sakerは先程、スティーヴン・コーエンやボニー・フォークナーやロン・ウンスと並んで、私に最高位を与えてくれた。知識と高潔さと勇気に対するもので、世界にはこれに類するものはない。

The Saker自身注目に値する著名人だ。彼自身パーソン・オブ・ザ・イヤーに値する。

ここにThe Sakerの2018年パーソン・オブ・ザ・イヤー:アメリカ反体制派選がある。

https://thesaker.is/saker-2018-man-of-the-year-the-american-dissidents/

 Paul Craig Robertsは元経済政策担当財務次官補で、ウオール・ストリート・ジャーナルの元共同編集者。ビジネス・ウィーク、スクリップス・ハワード・ニューズ・サービスとクリエーターズ・シンジケートの元コラムニスト。彼は多数の大学で教えた。彼のインターネット・コラムは世界中の支持者が読んでいる。彼の新刊、The Failure of Laissez Faire Capitalism and Economic Dissolution of the West、HOW AMERICA WAS LOST、The Neoconservative Threat to World Orderが購入可能。

 ご寄付はここで。https://www.paulcraigroberts.org/pages/donate/

記事原文のurl:https://www.paulcraigroberts.org/2018/12/14/honor-beyond-honor/

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 The Saker氏の上記リストを先に読んでいたので、この記事には驚かない。世の中狭いものた。It's a small world.

 Putin's Praetorians: Confessions of the Top Kremlin Trolls という本がある。The Saker氏にも、Paul Craig Roberts氏にも触れられている。紹介されている方々、いずれも実に魅力的。読み出すと、とまらないが、日本では決して翻訳刊行されるまい。どうやら、Trollという単語、そうだと思い込んでいた、ネット・アラシという意味ではなく、(何か・誰かを支持して、記事や、ソーシャル・メディアで書き込みをするネット活動家を意味するようだ。 そういう記事を翻訳していると、やはりKremlin Trollということになるのだろうか。ところで、今回の沿海地方知事選挙では、プーチン大統領派が勝利したという。

 Putin’s Praetorians: Trolls Wrote It, Trolls Promote Itという、本の書評というか、紹介をしているページがある。提灯記事ではなく冷静な説明。結局 Trolls Wrote It, Trolls Promote It、そして、トロールしか読まないだろうという。その通りだろう。しょせん少数派。

 F. William Engdahl氏も、RT編集長のMargarita Simonyan女史も、The Saker氏もトロールの一員としてあげられている。。

 ネットで探すとファーウェイ関連本には、『任正非の競争のセオリー ファーウェイ成功の秘密』というものもある。

2018年12月11日 (火)

ウクライナやバルト小国や他のどこかをロシアが侵略しない理由

2018年12月6日
The Saker

[この記事はUnz Reviewのために書かれた]

 英米シオニストの宣伝機関は、いつも我々に、ロシアがどこかの国を侵略しようとしていると警告する。侵略候補のリストは長く、ノルウェーからウクライナまで及び、更に西のバルトの小国やポーランドさえ含まれる。もちろん、NATOと合衆国がいて、それを防いでいると言われる。彼らに感謝ということだろうか?

 だが、この物語で際立って欠如しているのは、そのような軍事行動に対して、ロシアのあり得る動機に関する議論だ。いつも、ロシアがクリミアを「併合する」ことで、軍隊をドンバスに送ることで、ヨーロッパの冷戦秩序と境界を壊したと我々は聞かされる。IQを持っている誰もが、室温で、あるいはより高温でも、既に、これらの主張が全くでたらめだと知っている。ユーゴスラビアを分割するため、全く違法に、軍事力を使って、冷戦の国際秩序と国境を実際に破ったのはNATO加盟国だった。クリミア住民は、このような機会を持たなかったコソボ住民と大いに異なり、住民投票で自分たちの未来について投票する機会を持っていた。08年8月8日の戦争では、いやいやながら、最終的にこれを始めたのは、実際、ロシアではなく、サーカシビリだったことに、ヨーロッパ人さえ同意した。

 だが、このすべてを脇に置いて、それが彼らの役に立つなら、ロシア指導者は再び軍事力を使うのをためらわないだろうと想定しよう。ロシア人は悪事を企んでおり、ヨーロッパのどこかで、よその土地を一画かじり取ろうとする可能性が高いと想定しよう。

 このような仮定は、即重要な問題を提起する。ロシア人はなぜそれを望むのか?

 何らかの理由で、この質問は問われることがあっても、ごく稀だ。

 もちろん「プーチンがソ連再建を望んでいる」、あるいは他のタイプの帝国を望んでいると聞かされるが、彼がなぜそう欲するのか、誰も疑問に思わないようだ!

 そこで、このような攻撃について、あり得る根拠を検討しよう:

 理由その1:より多くの土地を獲得するため

 これは全ての中でおそらく最も考えがたい理由だ。ロシアは非常に低い人口密度の、比較的少ない人口(144,526,636人)の巨大な国(17,098,246km2)だ。ロシアは単に広大なだけでなく、領土には膨大な天然資源がある。ロシアにとって、最も思いも寄らない必要品は、より多くの土地だ。

 理由その2:ロシアの人口を増やすため

 ロシアは人口が不足しているのは確かだ。だがそれは、人口増加がロシアにとって、そのまま幸いであることを意味しない。例えば、もし失業者や社会福祉や年金に頼る人々の数が増加すれば、ロシアは一層悪い状態になるだけだろう。ロシアは政治的に敵対的な人口から利益を得るまい。より多くの人口で利益を享受することが可能な、ロシアに必要なのは、より若い十分に教育を受けたロシア人で、失業して、困窮したウクライナ人や、リトアニア人ではない! ついでながら、ウクライナ難民の大規模流入、ウクライナで自分たちが働く産業部門が崩壊するのを目にして、ロシアに引っ越したウクライナ軍産複合体の専門エンジニアは、既に医者を含め、資格を持った専門家増加の要因となっている。ロシアがそれら資格を持った専門家を受け入れるためには、誰も侵略する必要がない。特別な資格が無いウクライナ人は、既にロシアに入っており、ロシアは、彼らがもっと必要だなど全く思っていない(彼らはポーランドかイギリスにトイレ掃除に行ける)。更に、ロシアには既に世界の他地域から多くの移民がおり、さらに多くの移民を得るのは到底良い考えとは言えない。ロシアは資格を持った若いロシア人から恩恵を得るだろうが、他国侵略は、彼らを得る方法ではない。

 理由その3:戦略地政学的理由

 バルトの港町はどうだろう? ウクライナのガスパイプラインはどうだろう? ソビエト時代、バルトの港町、あるいはウクライナ・パイプラインは戦略上の重要な資産だったのが真実だ。しかし彼らが独立して以来、これらの国は彼ら自身を破滅させるのみならず、「ソビエト占領者」から継承したインフラも破壊したが、ロシアは1991年後に失ったインフラと産業を成功裏に置き換えた。こうして、例えば、ロシアはバルト海で自身の商用港を積極的に開発し、今バルト諸国で見られるものより成長した(良い比較図をここで見る)。ウクライナ・パイプラインは、単にひどい状態にあるだけでなく、ロシアは、ウクライナを完全に迂回可能で、頭がおかしいキエフのバンデラ主義暫定政府を相手にする必要がない「北」と「南」ストリームを成功裏に建設した。バルト小国や、ウクライナ・ナチが、自身を非常に貴重な目標だとうぬぼれている間に、ロシアには全く必要性がなくなったというのが単純な真実だ。

 実際、逆が事実だ。まさに今、何十年もの民族主義者によるの支配の後、クリミアで緊急に必要な全ての再建計画の資金調達をロシアがすることは到底できない。将来、ロシアはドンバスの再建も助けなければなるまい。ロシア人がさらにもっと多くの国あるいは領土を救助する余裕があるなと、一体誰が真面目に思うだろう?!

 理由その4:失地回復論という動機

 それはヒラリー・クリントン/ズビグネフ・ブレジンスキーの議論だ。ロシア人は生まれつき拡張主義者、帝国主義者、軍国主義者、失地回復論者で、彼らは誰かを侵略するために動機を必要としない。実に簡単だ。彼らは単に、侵略し、威嚇し、圧迫するのだ。歴史を客観的に瞥見すれば、そのような行動を示したのは常に、ロシアではなく、欧米であることを証明されるだろうが、事実さえ無視できるのだ。ロシアには、ソ連時代の生活の良い思い出を持っている多くの人々もいるが、ソ連の再生や、ソ連ではない別の帝国主義仏復活も要求している国民はいないというのが真実だ。たいていのロシア人は、かなり孤立主義で、戦争や外国侵略に関与するのを望まない。これはアフガニスタン戦争の思い出の、あるいはドイツ、ハンガリーや、チェコスロバキアの介入結果のみならず、いわゆる「正教の兄弟」(一部の国々は、彼らが世界地図上に残ったのは、ロシアのおかげなのだ!)今や完全にロシアに敵対し、進んでNATO -植民地になったという苦い認識の結果でもある(ブルガリアあるいはルーマニアを想像願いたい)。そう、プーチンはソ連崩壊が悲劇だった(客観的に、それは事実で、何百万という人々に巨大な苦しみをもたらした)と言ったが、それは、プーチンか他の誰かが、たとえそれが実行可能だったとしても(そうではないが)実際にソ連を「復活させる」のを望んでいることを全く意味しない。それどころか、それは、純粋にイデオロギー的な理由で東方に影響力を広げることに決め、今常に、ロシア恐怖(「恐怖」は、恐怖症と「憎悪」両方の意味だ)のひっきりなしのキャンペーンに従事しているアメリカとNATOとEUだった。ロシア人は欧米に嫌悪の念を抱いているが、欧米を侵略したがっていることをほとんど意味しない。

 理由その5:誇大妄想

 ロシア人は冷戦で負けたことで腹を立て、再び超大国になることを望んでいるのだろうか? 実際、いや。全然。ロシア人は単に彼らが冷戦で「負けた」と感じないだけではない、彼らはすでに超大国だとさえ感じている。成功裏に帝国に反抗し、全てのヨーロッパ諸国がお互い帝国従僕の称号を競い争っている時に、完全な主権を得ようと努力し続けている。第二次世界大戦後のソ連と同様、欧米に支援された(実際、支配していた)「自由民主主義」が、エリツィン時代、ロシアに押し付けた恐怖から回復するのを阻止するため、あらゆる卑劣な術策企を試みた「統合欧米」の絶え間ない破壊活動とサボタージュにもかかわらず、1990年代の悪夢の後、ロシアは実に見事に再建した。もちろん、ロシア人は自分たちの国が繁栄し、強力であることを願っているが、地球上の全ての紛争に関与するアメリカのような世界覇権者になることを彼らが望むことを意味しない。本当のことを言えば、良くない古いソ連さえ反アメリカではなく、アメリカが持っている類の世界的野心は決して持っていなかった(トロツキー以外は、だがスターリンが狂人連中をお払い箱にして、後に彼らの多くがアメリカに移住し、自身にネオコンというレッテルを貼った)。もちろん、ウラジミール・ジリノフスキーとして知られ、「ジリク」としても知られる永遠のロシア「宮廷道化師」がいる。彼はロシアに隣接する国々に対し(核を含め)あらゆる種類の脅迫をしているが、皆彼はただの宮廷道化師で、言うことが基本的に全くの戯言なのを知っている。

 理由 その6:プーチン「政権」を救うため

 人気がない政権が、自分たちの失敗から目をそらせ、国民を「円陣を固め」「愛国的になり」興味をなくさせるために、戦争を利用するのは本当だ。それは確実に、ポロシェンコが、今していることだ。だがプーチンは、そのよう必要は皆無だ! たとえ年金制度改革で、人気の上で、彼が多くの打撃を受けようとも、彼は欧米の国内(国際的にさえ!)で、どの政治的指導者より遥かに人気が高く、有名な制裁にもかかわらず、ロシア経済はうまくいっている。実際、大半が大西洋統合主義者のメドベジェフ政府は、さほど人気は高くないが、典型的にプーチンや彼のユーラシア主権主義者と一緒の(ショイグあるいはラブロフのような)幹部は、非常に人気が高い。彼がロシアが現在直面しているすべての困難にもかかわらず驚くほど人気が高いので、プーチンには、いかなる「目をそらせる危機」も必要がないのが単純な真実だ。それどころか、目をそらせる戦争を必要としている連中は、プーチンではなく、トランプ一家、マクロン、メイ首相とお仲間だ!

 私は、どこかで、何か一画の土地をロシアが占領したがる、上記より一層こじつけの、根拠がなく、途方もないエセ理由を列記できるが、お分かりいただけただろう。ロシアは軍事介入には興味皆無だ。実際、ロシアが何より必要としているのは、できる限り長期間の平和だ。

さて、現実に戻ろう

 プーチンは、もう一人の偉大なロシア改革者ピョートル・アルカージェヴィッチ・ストルイピンの継続者だ。

 

ピョートル・ストルイピン(1862-1911)

 1906年から1911年まで、ロシア閣僚会議議長で首相だったピョートル・アルカージェヴィッチ・ストルイピンの有名な言葉がある「次の段階は我々の主要課題だ。下層階級の強化だ。彼らの中に我が国の力がある。1億人以上いる我々の国家の基礎は、健康で強くなり、ヨーロッパと、それ以外の世界に対して、ロシア政府の声は、間違いなく、非常に異なって聞こえるようになるはずだ。すべてのロシア人の、我々のモットーは、友好的で、相互信頼に基づく、団結した労働であるべきだ。ロシアに20年の内的、外的平和を与えてくれれば、現在のロシアと見違えるものになる(これは私の自由な翻訳だ。ロシア語原文は下記の通り。На очереди главная наша задача — укрепить низы. В них вся сила
страны. Их более 100 миллионов и будут здоровы и крепки корни у
государства, поверьте — и слова Русского Правительства совсем иначе
зазвучат перед Европой и перед целым миром… Дружная, общая, основанная
на взаимном доверии работа — вот девиз для нас всех, Русских. Дайте
Государству 20 лет покоя, внутреннего и внешнего, и вы не узнаете
нынешней России
).

 もちろん、ストルイピンは、最終的に、ユダヤ人革命家モルデカイ・ゲルシコビチ・ボクロフに暗殺され、ロシアは第一次世界大戦への参戦を強いられた。最終的に、ロシア君主国家は、アレクサンドル・ケレンスキー率いるフリーメーソン陰謀により打倒された。これらの「リベラル派」(すなわち富豪連中)は、まさに、彼らの後継者がエリツィンの下で行い、ロシアをまったくの混乱に陥れたのと同じことをした。8カ月後、ボリシェビキは権力を掌握し、内戦が始まった。20年の平和の代わりに、ロシアは30年の戦争を得た。膨大な犠牲と多くの恐怖の後、第二次世界大戦が終わった後、ロシアはようやく回復に成功したのだ。

 たとえ、結局、ロシアが勝つたろうとしても、ロシアの誰もこの酷い経験を繰り返すことを望んでいない。代償はあまりにも大きいのだ。

 今日、1911年と同様、ロシアは、何よりも、内外平和を必要としている、それはロシアが、何か外国での軍事的冒険に関わって手に入れられるものではない! 実際、3つの核大国含む同盟を攻撃するのは自殺的で、ロシア人は決して自殺はしない。

 ロシアがそれほど切実に平和を必要としているなら、なぜ戦争のうわさか絶えないのだろう?

 それは実に単純だ! そもそもポロシェンコはひどく困っていて、重大な危機以外の、選択肢は完全な不正選挙しかない。「欧米総体」がいつも通りウクライナ・ナチ政権の行動を見て見ぬ振りをしても、国内のポロシェンコ反対派はそうしないかもしれないので、後者の選択肢は慎重を要するかもしれない。その場合、深刻な社会不安や反クーデターさえ現実の可能性となる。だから、ポロシェンコには危機が是非とも必要なのだ。

 画像には千語分の価値があると言う。その考え方で、これをチェック願いたい。


左:戒厳令地域 右:2014年にポロシェンコに反対投票をした地域(ちなみに、これは将来の国境を示唆しているように思われないだろうか?:-)

 以上、証明終わり、そうではないか?

 同様に、特に恥ずかしいもう一つの理由がある。ヒトラーと英米シオニストが、最終的には、お互いに戦ったのは本当だが、様々な意味で、ヒトラーが「統合ヨーロッパ」と「再生した欧米文明」(異教徒とは言え!)の夢を具現化したのは本当だ。ヨーロッパ帝国主義の歴史で、少なくともアメリカが第二次世界大戦後に世界的覇権者としてナチに取って代わるまで、ヒトラーは、ちょっとした絶頂だった。ヒトラーの(何と控え目に約束されたことか)「千年帝国」と、フクヤマの『歴史の終わり』(あるいは、それを言うなら、歴史のエンジンである弁証法的矛盾を解決することで、歴史を終わらせると理解されていた共産主義というマルクス主義の考え)の間には大きな相違はない。心理的レベルで、ヒトラーはローマ法王とナポレオンの継承者だった - 「欧米文明」を東洋の野蛮な下等人間「劣等人種」モンゴロイドの大群にもたらす自称「文化伝達者」だ。だから、ヒトラーは、まず確実に「ろくでなし」だったが、彼は確かに「我々のろくでなし」(だから私が「ウクライナ・ナチ」という単語を使うと、「欧米文明」あるいは「白人文明」の様々な擁護者にやり場のない怒りを引き起こすのだ!)だったのだ。我々はすべて、これらのナチの「文化伝達者」白人優越論者がどのように終わったか知っている。


かくの如く世界の栄光は過ぎ去りぬ

 「統合ヨーロッパ」と「欧米文明社会」のこの価値伝達者たちは、この人々によって打ち破られた。


 この人々が、ナチ軍の80%を破壊し、*本当に* 第二次世界大戦(パットンあるいはマッカーサーではなく!)に勝った人々だ

 こうした思い出が、欧米エリートを本当に怖がらせるのだ。あえて公然と英米シオニスト帝国に反抗するだけでなく、過去既に、それを攻撃した全ての欧米覇権主義大国をあえて破った異なる文明領域の存在が。

 ついでながら、ロシア人は、現在の対立を、欧米のロシア嫌い連中が見ている「精神的座標」と極めて似した見方で見ているが、価値体系が裏返しになっていて、帝国が今ロシアに対して行っている戦争は、第二次世界大戦の結果がルーツだということを、彼らが完全に理解していることを意味している。これは彼ら全員が「欧米文明」と「統合ヨーロッパ」と戦って死んだ何百万人の思い出を大切にしている理由の一つだ。これは全てのロシアの都市で「不死身の連隊」によって最も良く表現される。

 ロシアの人々の鋭い歴史認識の表現としての「不死身の連隊」

 この歴史認識はドネツクでのウクライナ・ナチ戦争捕虜パレードでも見られる。

 

 

 またしても、第二次世界大戦に対する言及は紛れもない。

 私が過去何度も言っているように、ロシアと「欧米総体」の間で、最も重要な相違の一つは、ロシア人は戦争を恐れているが、それでも戦争に対する用意を整えているのに、戦う用意を全く整えずにいるのに、欧米人は戦争を恐れないことだ。本当に「天使が踏み込むのを恐れる場所へ愚者は飛び込む」のだ(ポンペオやマティスや他の連中を想起願いたい)。この外見上明白な無頓着にもかかわらず、彼らは全ての前任者が、どのように最終的にロシアによって打ち破られたか覚えているので、英米シオニスト指導者は、ロシアに対する、ほとんど遺伝学的な恐れと憎悪を抱いている。

 最後に、ベルトルト・ブレヒトが問うた重要な質問を覚えておこう。「ファシズムを生み出す資本主義に対し、誰も反対意見を述べることができないなら、ファシズムについて真実を語ることができるだろうか?」 そう、欧米総体は、言葉で、言葉のみでファシズムと国民社会主義を非難した。だが行為では? いや、全然。これが「彼はろくでなしだが、彼は我々のろくでなしだ」という敬虔なお題目で、ポロシェンコ風ファシスト人間のかすが、常に欧米エリートの支持を得る理由なのだろうか?

[補足:それについて、クリミア戦争の間に推定上で「キリスト教の欧米を心に抱く」ロシアに対して(イスラム教の)オスマン帝国と結び付ける. 革命時代に、アメリカのユダヤ人銀行家が完全にボルシェビキの資金調達をした。第二次世界大戦直前、イギリス人は同じくヒトラーの資金調達をした。第一次世界大戦と第二次世界大戦の間、欧米が、正規のナチを含め、ウクライナの分離主義者を支持した。冷戦の間、欧米がサウジアラビア(いや、MbSは、血に飢えた初めてのサウジアラビア人マニアではない!)で、そしてアフガニスタンで、完全にワッハーブ派の狂人を支持した。欧米は、政治的に可能な限り、長年、アパルトヘイト南アフリカを支援した。ラテンアメリカでは、ロジャー・ウォーターズがラテンアメリカの「食肉加工上流階級」と呼んだもの、すなわち、全員ありふれたファシストの多くの軍事政権をアメリカは喜んで支持した。コソボで、アメリカは以前はコソボ解放軍を危険なテロ組織と考えていたが、アメリカ空軍はコソボ解放軍の空軍になった(セルビア人に対してだったが、ストローブ・タルボットによれば、主目的は、もし抵抗すれば、ロシアに何が起き得るかを示すことだった)。チェチェン戦争中、欧米はタクフィール主義の狂人を全面的に支持した。9/11事件後、公式の作り話で、我々にアルカイダとビンラディンが3000人の人々の死に責任があると信じることを望んでいるにもかかわらず、アメリカはアルカイダと(特にシリアで)最終的に完全に結託した。(米国標準技術局NISTが、WTC7ビルの爆発物による破壊を直接的な暗示によって認めたこと k脚注1 など知ったことではない)。もしサタンが肉体を獲得して、我々の前に現れ、反ロシアか、反正教だと約束する限り、アメリカは完全に彼を支持するだろうことを疑う人がいるだろうか? 公正に言って人類の最悪のクズと呼べる連中と何十年間も同盟することにより、すでに長年、魔王と同盟しているも同様だろう?]

 正直に言って、我々は欧米金権国家の本質に錯覚を持つべきではなく、我々は常に「国家は支配階級の意志を実現する暴力装置だ」と述べたマルクス主義者の自明の理に耳を傾けるべきだ。英米シオニスト帝国の支配階級が、一体誰によって構成されているのか我々全員知っているはずだ。

 欧米の自由民主主義は、実際は、我々の惑星全体をコントロールする目的で資本主義凶悪犯階級によって作られた金権政治だ。これは第二次世界大戦前も本当だった。これは第二次世界大戦中も後も、同様に本当で、ファシズムとナチズムに対する、あらゆる楽天的な非難にもかかわらず、変わらなかった。

 これが意味するのは、生き残るため、我々のすべてに押し付けようとしている新世界秩序を維持するため、戦争を必要としているのは欧米支配層なのだ。ロシアは戦争を必要としていない - ロシアは平和だけを必要としている。

 結論:皆様ご安心を、ロシア人は来ない、私は約束する!

 英米シオニストの妄想共同幻覚にもかかわらず、ロシア人は来ない。そう、もしあなたが彼らを攻撃するほど十分に頭がおかしいのなら、彼らはあなたを壊滅するだろう。彼らは、少なくとも彼ら自身の意志では来ない。アパルトヘイト・ラトビアにいるロシア人少数派や、ナチによって占領されたウクライナのバンデラスタンを自由にするためにであってもやってこない。これらの政権に対する、ロシアの政策は非常に単純だ。自ら倒れさせよ。結局のところ、イデオロギー的妄想が、地理的現実に対して無力であるのと同様、すべて、遅かれ早かれ、最終的にやって来るだろう。

 私自身よりずっと相応しい人に、この記事を締めくくってもらおう。

 これはスティーヴン・コーエン教授が、最近、戦争の危険について言わずにいられなかったことだ:

 彼は本当に「荒野で叫ぶ者の声」だ。

 大惨事を回避するのに十分なだけの人々が、彼に耳をかたむけるだろうか?

 私はわからない。

The Saker

脚注1 (詳細議論のため、私がここで公表したビデオをご確認願いたい)WTC7ビルが自由落下速度で、2,25秒で、崩壊した事実をアメリカ政府は、NISTを通して公式に認めた。この2,25秒は本当に大問題なのだろうか? そうなのだ!! これが意味するのは、WTC7が、その速度を遅くするための、いかなる抵抗もなしに、2,25秒で崩壊したことをアメリカ政府が認め、従って、崩壊している部分の下には何もなかったことを意味するのだ。これは明白な疑問を提起する。崩壊している部分の下に何もなかったことを我々が知っていてる、崩壊の数秒前には、そこに鉄骨ビルがあったことを我々は知っているのだから、2つのイベント間に一体何が起きたのだろう? この疑問に可能な答えは一つしかない。通常、速度を減退させていたはずの建物の鉄骨部分が取り去られていたのだ a)極めて急速に b)組織的に。それができる唯一の技術がある。爆発物だ。上記は意見ではない。事実だ。同様に、それが観察されたような形で、火事がWTC7の部分を消滅させられたはずがないのは事実だ。驚くべきことだが事実だ。NIST自身が、爆発物が使われたことを認めたのだ。

記事原文のurl:https://thesaker.is/why-russia-wont-invade-the-ukraine-the-baltic-statelets-or-anybody-else/

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 大本営広報部の呆導を見るたびに、気が滅入る。見るなといわれればそれまで。しかし、この国の将来を考えるだけで、気が滅入る。これは、考えるなと言われても、停められない。まっとうな意見を言われるごく少数の方々のブログ拝読が、唯一元気の素。

 植草一秀の『知られざる真実』
日本政治刷新実現は市民と心ある政党の連帯で

 街の弁護士日記 SINCE1992at名古屋
外国人労務者本土移入の件 可決成立  オワコンジャパンを乗り越えて、新たな構想を持とう

 フランスの黄色いベスト運動、大本営広報部は意図的に重要性を隠蔽しているに違いない。余りに不都合なので。同じように、大資本、金持ちのための政策を長年推進している日本で起きないのが不思議。ヨーロッパで長年働いた知人の説、「個人の権利意識や、伝統文化が、彼らには身についている。日本人は、その点全くお粗末。」そのまま。

 現代ビジネスには、現地在住の方の素晴らしい記事がある。フランス全土が怒りに震える「黄色ベストデモ」という“階級闘争”

 日刊IWJガイド「「 岩手県の山間部で民間水道会社が経営悪化で電気料金を滞納!? 住民説明会で利用者に電気料金を要求、払わなければ水道供給停止を通告!?」2018.12.11日号~No.2280号~(2018.12.11 8時00分)」も、この話題に触れている。

 ■<新記事紹介>パリ在住IWJ会員からの現地レポート! 「黄色いベスト運動」はマクロン大統領退陣まで続くのか!? 「抗議しなければ、僕たちはいつまでも羊のままじゃないか!」

 フランスで2018年11月17日に勃発した、エマニュエル・マクロン政権による燃料税増税に反対する大規模なデモが続いています。

 デモの参加者の中心は、地方に住む労働者階級で、ドライバーの安全確保用の黄色い蛍光素材のベストを着て抗議を行うことから、「黄色いベスト運動」と呼ばれています。

 週末ごとにフランス各地で行われる抗議行動は、一部が暴徒化し、シャンゼリゼ通りでは炎上する車やガラスの割られた商店の映像が報じられ、大きなニュースとして報じられました。

 マクロン大統領はパリ時間の12月10日午後8時(日本時間11日午前4時)に、事態の収束のため、国民向けに演説を行うと発表しました。しかし、大統領がフランス国民の支持を取り戻すためには自分の政策の過ちを認める必要があり、この演説が「大統領としての正念場」になるとの見方もあります。

※マクロン仏大統領、起死回生なるか-10日の国民向け演説が正念場に(ブルームバーグ、2018年12月10日)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2018-12-10/PJI20S6JIJUO01

 マクロン大統領の演説直前の12月10日、パリ在住のIWJ会員、村岡和美様が、現地からの貴重なリポートを送ってくださいました。

 日本では伝わりにくい現地からの生々しい情報を掲載しましたので、ぜひ以下の記事を御覧ください。

※パリ在住IWJ会員からの現地レポート! 「黄色いベスト運動」はマクロン大統領退陣まで続くのか!? 「抗議しなければ、僕たちはいつまでも羊のままじゃないか!」
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/437412

2018年11月25日 (日)

退役軍人の「軍務」に、なぜ感謝するのだろう?

2018年11月15日
Saker

[この記事はUnz Reviewのために書かれた

 文脈により、小さな言葉「なぜか」はまったく無害であり得るが、人が口に出すことができる最も破壊的な冒涜的な言葉にさえなり得る。それが、おそらく私が本当にこの言葉が好きな理由だ。あらゆる種類の神聖な物や、疑念を抱かれない信念に対し、途方もなく大きい力を解き放てる力だ。それで今日私は皆様に、なぜ非常に多くの人々が、退役軍人の「軍務」に対し感謝する必要を感じているのか問いたいと思う。

 だが最初に、少数の神話に疑いをさしはさもう。

 最初に、第一番の神話を片づけることから始めよう。アメリカ人は戦争が好きではないという考えだ。それはまったくの偽りだ。アメリカ人は戦争で負けるのは嫌いだが、もし勝てるなら、アメリカ人は絶対に戦争を愛する。言い換えれば、戦争に対するアメリカ人の典型的反応は戦争の認知される結果に依存する。もし成功なら(たとえそれがデザート・ストームのような朝飯前のものであっても)アメリカ人は戦争が大好きだ。もしそれが否認可能な敗北(例えば、コソボのセルビア勢力に対するアメリカ/NATO航空作戦や、グレナダ侵攻)なら単に「忘れ去る」。もしそれがそれから否定し難い敗北(例えば、イラクやアフガニスタン)なら、そう実際大半のアメリカ人は断固反対するだろう。

外国での戦争の退役軍人?
ちょっと待って欲しい。
他の種類の退役軍人がいた
のを私は知らない!

 

 次に二番目の神話だ。アメリカ軍人は、少なくとも第二次世界大戦以来、アメリカ合衆国を防衛する戦争は行っていないのが真実だ(しかも、アメリカは、日本が戦争をしかけるよう強い、真珠湾攻撃は対日本攻撃の口実として仕組まれたものだったのを考慮すれば、これすら非常に議論の余地がある)。1945年以来、アメリカ兵が、侵略者から、自分の国、自分の町、自分の家族、自分の友人たちを守った例は一件もなかった。一件も! 1945年以降、アメリカが戦った全ての戦争は、侵略戦争、えり抜きの戦争で、その大部分が(多数の破壊的秘密活動を含め)開始は完全に違法だった。アメリカ退役軍人は、せいぜい、いわゆる「アメリカ風生活様式」を守ったと主張することができるが、その「アメリカ風生活様式」は、帝国主義侵略戦争と、国際法の重要概念の全面的放棄を必要とし、要求することを受け入れる場合に限られる。

 最後に、皆が知っていながら、何らかの理由で、極めて少数しかあえて言及しない醜い汚い小さい秘密がある。(全員志願兵の)米軍に入隊する決断は、主に経済的理由で、決して何か母国のための純粋で高尚な理想の、高潔な「軍務」ではない。9/11事件後、アメリカは既に攻撃されていて、アメリカを攻撃した連中との戦いを手伝う必要があると考えて、米軍に入隊した人々がいたのを私は知っている。だが、ごく基本的な知性があれば、9/11事件が本当にビンラーディンとアルカイダの仕業だったのかどうか、ほとんど明らかなはずだ(絶対にこれは制御倒壊だったと私は個人的に確信している)この残虐行為は、9/11事件に、ほとんど関係ない可能性がある、これまで持っていたが実行できなかった戦争の長いリストを正当化するため、米国政府により利用されたのだ。結局(一般にハイジャック犯と推定される連中の大半がサウジアラビア人で、公式にサウジアラビアに支援されていたのに)アメリカは、サウジアラビア王国でなく(9/11事件に何も関係がなかったのが明白な)イラクを攻撃することに決めたのだ。その上、たとえ若干の人々が嘘を見破るほど十分頭が良くなかったとしても、たとえ彼らがアメリカを守るため米軍に入ったと信じたとしても、2018年までには、イラクに対する全ての攻撃が、純粋に全く嘘に基づいたものだったことを知っている我々は、特定さえできない「利益」のため、愚かにも戦争を行ったことに対し、退役軍人になぜ「感謝する」のだろう? 一体いつから我々は、間違った、率直に言って不道徳な決定をしたことに対し、人々に感謝するのだろう?!

戦争のための大企業ピザチェーン

 

 もう一つ基本的なことを見よう。兵役とは一体何だろう? 私の考えでは、軍事要員は、およそ二つの範疇に分けられる。実際に人を殺す人々と、人を殺す人々が人を殺すのを手伝う人々だ。正しいだろうか? もしあなたが機関銃手や戦車運転手なら、あなたは個人的に人を殺すことが可能だ。もしあなたが通信専門家やトラック運転手や電気技師なら、あなたは自身は人を殺すことはできないが、人々を殺す人たちが人々を殺すのをより容易にするのが仕事だ。それで私は、どんな軍であれ、軍に入隊するのは、その主目的が人々を殺すことである組織に加わるすることだと言って公正だと思う。もちろん、その殺害は道徳的に正当なもの、例えば自国と同胞市民の防衛であり得る。だが防御的戦争のために準備するなら、それはあてはまるが、我々すべてが知っているように、アメリカは、これまで70年以上、そのような戦争をしていない。つまり、益々まれになりつつある少数の例外(第二次世界大戦の退役軍人)を除いて、その軍務に対して感謝されるすべての退役軍人は正確には何をしたのだろう? もしそれを平易な英語で表現すれば、これらすべての退役軍人は、一体どんな基本的な重要な決断をしたのだろう?

 単純なそして平易な英語で言えば、退役軍人は、金をもらって、アメリカ外部の人々の殺人に参加した人々なのだ。

 申し訳ないことに、私はこれが多くの人々には、無礼に聞こえるのを知っているが、これは事実だ。この決定(主要目的が、アメリカから何百も何千マイルや離れた自国にいる人々の殺人である組織への加入)が(史上最も嘘をついている宣伝機関である可能性が高いものを信じた人々)、あるいは「世界を見て」「本物の男になる」に「愛国的」理由であっても、もし米軍が無給で、福利を提供せず、奨学金無しで、医療保険がなければ、「服務」のために入隊したと主張する人たちの圧倒的多数は、決して入隊しなかっただろうという事実は変わらない。我々全員そのことを知っているのだから、そうでないふりをするのはやめよう! 新兵募集係が人々に入隊するよう説得するために使う主張を見よう。それすべて金と福利だ! もっと多くの証拠が必要だろうか? 米軍の大部分を構成している社会集団を見てみよう。無学で、貧しい、成功の見通しが最小の人々だ。経済的に成功した人々が入隊するのは非常に稀で、彼らがそうする場合、彼らは通常、そこを出世の場にするというのが単純な真実だ。

 合計21年間アメリカに今まで住んでいたものとして、私は人々が警官や刑務官になるのと全く同じ理由で、軍に入隊すると証言できる。なぜなら、それらすべてに得られる金と享受すべき福利があるのだから。本質的に、1%かそれ以下は純粋に高尚で高貴な理想のため、これらの(いずれも暴力的な)仕事についたに違いない。けれども彼らは、ごくごくわずかな少数派だろう。警官や刑務官や兵士の圧倒的多数は、主に物質的、そして/あるいは経済上の理由で就職したのだ。

 ところで、そういうことなので、(警官や刑務官と全く同様)軍人が既に小切手という形で彼らの「軍務」に対し、社会から彼 / 彼女への「感謝」を受け取ったことは同じく事実ではないか? 人々はなぜ更に「彼らの軍務に対し彼らに感謝する」必要を感じるのだろう? 我々は彼らの服務に対し航空管制官や伐採労働者(同じく非常に厳しい職業だ)に感謝はしなだろう? これは航空管制官や伐採労働者が、兵士たちが(そのために)支払われる、自分の家(個人の家であれ、国家のものであれ)にいる人々を殺すことが主要目的である組織に加入することに決めなかったという事実にもかかわらずだ。

 自明の理を、より直接な形で繰り返させて頂きたい。退役軍人は金で雇われた殺人者なのだ。以上、終わりだ。後は全て宣伝だ。

 標準的な正気の世界で、人はこれが主に道義的、倫理的な問題と思うだろう。私は崇高なものだとさえ言いたい。主要宗教は、これについて言うべき何か適切で明確化させる言い分が何かあるだろうか? 過去、彼らは言っていた。実際、若干の多少の変種と共に、「正戦論」と呼ばれるものの原則は、少なくともトマス・アキナスと、ヒッポのアウグスティヌス以来、西洋で知られている。ある情報源によれば、それはこうだ。

    • 正しい戦争は、最後の手段としてのみ行うことが可能だ。軍事力行使が正当化される前に、全ての非暴力の選択肢が使い尽くされていなければならない。
    • 戦争が正当な権利を保持する機関によって行われる場合に限る。大義であっても、社会や部外者によって合法的とみなされる容認された当局を構成しない個人や集団によってとられる行動によることはできない。
    • 正しい戦争は、人々が苦難している誤りを直すためにのみ行うことができる。例えば、武力攻撃に対する護身は常に正当な目的であると考えられる(大義の判断は十分ではないが、第4項を参照)。さらに、正しい戦争は、「正しい」意図でのみ行われ得る。唯一許される正しい戦争の目的は傷を軽減することだ。
    • 戦争は、成功する合理的機会があって戦われる場合のみ正当だ。絶望的な原因で引き起こされた死や傷害は、道徳的に正当化されない。
    • 正しい戦争の究極目標は平和の再確立だ。更に特定すれば、戦争が行われなかった場合、あったであろう平和より、戦後の平和の方が望ましいものでなければならない。
    • 戦争で使われる暴力は受ける負傷に比例しなければならない。国家は受けた負傷に対処するという限定された目的を達成するために必要ではない力の行使を禁じられる。
    • 戦争で使われる武器は戦闘員と非戦闘員を区別しなくてはならない。一般人は決して許される戦争の目標ではなく、一般人を殺すのを避ける全ての努力が払われなければならない。軍事目標に対する故意の攻撃の避けられない被害者である場合に限り、一般人の死は正当化される。

 

戦争のための近代宗教

(この魅力的な話題の一層徹底的な議論については、この記事をお読み願いたい。)

 ヒッポのアウグスティヌスと、トマス・アキナスは、到底私の英雄ではないが、彼らは欧米の哲学的思考では、非常に権威的と考えらている。それでも、範疇のこのリストと照らし合わせると、アメリカによって戦われたすべての戦争は明らかに、まったく不当だ。戦争の全てがいくつかの範疇に失格で、戦争(イラクとアフガニスタンに対する攻撃を含め)の大部分が全ての範疇で失格だ!

 けれども明らかに不公平な戦争を非難する権威的な欧米の思想家を見いだすために何世紀も遥かにさかのぼる必要はない。国際法下の究極の犯罪が、大量虐殺あるいは人類に対する犯罪ではないことをあなたは御存じだったろうか?

ロバート・H・ジャクソン

 

 いや、国際法下での最高の犯罪は侵略犯罪だ。ニュルンベルグの主任検事で、連邦最高裁判所判事、ロバート・H・ジャクソンの言葉では、侵略の犯罪は、あらゆる他の戦争犯罪の「悪をそれ自身の中に含む」から最高の犯罪なのだ。彼はこう書いた。「侵略戦争を始めることは、従って単に国際犯罪であるだけではない。他の戦争犯罪と違い、それ自身の中に蓄積された全ての悪を含むという点で唯一異なる最高の国際犯罪だ。

 

 それで4世紀から20世紀までは、欧米の人々は常に正しい戦争が何か知っていて、彼らは国際法の下で、このような戦争を始めるのは最高に悪い犯罪であるのを理解していた。だがこれは単なる大規模戦争を越える。国際法の下で「侵略」犯罪は単なる全面的な軍事攻撃を意味しない。侵略は下記のいずれか一つの行為として定義することができる

    • 他国に対する宣戦布告。
    • 宣戦布告の有無にかかわらず、他国領域への自国軍隊による侵略。
    • 宣戦布告の有無にかかわらず、他国の領土、船あるいは航空機に対する自国陸軍や海軍や空軍による攻撃。
    • 他国の海岸あるいは港の海上封鎖。
    • 他国領土を侵略した地域内で組織された武装部隊への支援提供、あるいは、侵略された国の要求にもかかわらず、その国の領土内で、それら部隊から、あらゆるる支援や、保護を奪うため、行うことが可能なあらゆる措置を講じるのを拒否すること。

 最終的に、これら正式な法律上の定義により、全てのアメリカ大統領が国際法の下で戦争犯罪人であることをここで指摘することは重要だ! これは更に(上記のヒッポのアウグスティヌスとトマス・アキナスに言及されているように)1945年からアメリカ兵によって行われたすべての戦争が本当に正当な当局によって行われたのかどうかという疑問を提起する。最高司令官自身が戦争犯罪人である場合それはどうなるのだろう?

 これまでのところを要約しよう。主に経済上の理由で、殺人者(あるいは殺人者のアシスタント)になることに同意し、最高司令官が戦争犯罪人である、違法で不道徳な侵略戦争に参加する人々がアメリカにいるのだ。

 そして彼らは本当に、我々の感謝に値するのだろうか?!

 実に多くの退役軍人が傷つき、体を不自由にされ、トラウマになるショックを与えられたためだろうか? 彼らが軍隊を去るや否や、必要とする社会的、医療支援を受けいれないからだろうか? ただ単に戦争が酷いという理由からだろうか? あるいは退役軍人が嘘をつかれ、だまされた、あるいは、彼らの一部(多く?)が彼ら周囲の戦争の恐ろしさにもかかわらず、人間的な、高潔な、まともな人のままでいようとしたからだろうか? 退役軍人の恐ろしい失業、ホームレスや自殺の数について考えると、我々は、これらの人々が、嘘をつかれ、だまされ、役に立たない道具のように捨てられた人々だと感じざるを得ない。だから「軍務をありがとう」と言うのは正しいことなのだろうか?

ロバート・H・ジャクソン

 いや! これらはすべての退役軍人に対し、深い思いやりと同情を感じる素晴らしい理由だ。しかし感謝ではない。ここには巨大な相違がある。全ての人、全ての人間は深い思いやりと同情に値すると私は信じている。だが「私はあなたに深い思いやりを感じる」と言うことと「あなたがしてくれたことに感謝します」と言うのは、彼らの行動が道義的、倫理的に良いものだったのを意味するのだから全く別のことだ。それは完全に間違っている。

 

 

 スメドレイ・バトラー少将はこう書いて、最もうまく言い表した。

戦争はいかがわしい商売だ。常にそうだった。それは多分最も古く、最も容易に利益があがり、確実に最も邪悪だ。それは唯一国際的な範囲のものだ。それは利益をドルで、損失を命で計算する唯一のものだ。いかがわしい商売は、大多数の人々には、そうとは見えないものだという表現が最適だと私は思う。ただ「内部の」小さな集団だけが、それが実際何なのかを知っている。それは、非常に多くの人々を犠牲にし、ほんの少数の利益のために行われる。ごく少数の人々が戦争で莫大な富を作る。

 もし、戦争が本当に「いかがわしい商売」で、それが「ごく少数の利益のために」行われることに我々が同意するなら、これら「ごく少数の」連中を豊かにするために雇った人たちに「ごく少数の」連中に感謝を表現するのは意味がある。そして、実際、彼らは感謝するのだ。ここにそれの最も良い例がある。

戦争株式会社(まあ、それは少なくとも意味は
なしている!)

 もちろん、グーグルは他のあらゆるアメリカ企業と同様、侵略戦争に依存している。米国経済の本質は、まさに戦争に基づいており、常に戦争に基づいていた。しかし侵略戦争がない「アメリカ風生活様式」は過去に一度も試みられたことがなく、アメリカがアングロシオニスト帝国の基礎で、それが追求する世界覇権を他の人類に押し付け続ける限り、それが試みられることはあるまい。だが、その日が来るまで「アメリカ風生活様式」は常に侵略戦争と、自由に生き、帝国の奴隷ではないことを望んだことだけが「罪」である無辜の人々の大量殺人を意味し続けるだろう。もし自由で、本当に主権を持った国家に暮らすことを望む人たちが、殺され、体を不自由にされるのに値すると、あなたが信じるのであれば、退役軍人に心の底から感謝しよう!

 けれど、もしあなたがこれを信じないのなら、彼らには、彼らの犯罪に対する感謝でなく、思いやりを示そう。

Saker

記事原文のurl:https://thesaker.is/thanking-vets-for-their-service-why/

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 この記事は、前回の記事『今出現しつつある世界秩序』で言及されている。

 貴景勝優勝。

 強引な辺野古基地建設をみていても、警察にも海保にも軍にも感謝はできない。

 自動車は買わない人もいる。なくても生きられる人がいる。水を飲まないで生きられる人間は皆無。外国人労働者の生活にまつわる様々なコストは、雇用する企業ではなく、自治体、庶民が負担する。消費税は大企業と金持ちを減税する分、庶民から搾取する仕組み。

 それでも、大本営広報部は、ゴーン問題を語り、外国人入管法改悪や、水道民営化や、消費税反対について、ほとんど語らない。マスコミほぼ全て、政府広報部そのもの。

 植草一秀の『知られざる真実』11月25日 (日)
NHKによる消費税増税推進政府広報番組

2018年11月17日 (土)

シリア内のS-300 - 初期評価

2018年11月9日
The Vineyard of the Saker

[本記事はUnz Review用に書かれた]

 S-300ファミリーのどのバージョンをロシアがシリアに供与したかに関し、多少情報が得られている。ロシアは多数のS-300PMと、S-300P2システムを、輸出版S-300PMU-2 “フェイヴァリット”に転換したのだが、ちなみにこれはロシアがイラン中国にも供給したバージョンでもある。このシステムは、48N6E2ミサイルを使用し、射程距離195kmだ。これ以上の技術的詳細は省略し、これは素晴らしい能力への最新改造で、ロシアが何か時代後れのS-300を供給するというあらゆる噂は今やウソだったことが判明している(例によって)とだけ言っておく。実際これはロシアによる“イスラエルを抑制する”防空システムの初提供ではない。1983年、ソ連は、シリア上空と周辺でのイスラエル(AWACS)作戦を大幅に制限する多数のS-200VE“ヴェガ-E”(SA-5b)防空システムをシリアに供給した。

 やはりロシアが供給したEWシステムと組み合わせて、この防空システムが、アメリカとイスラエルの作戦に影響するのは明らかだ。アメリカは、これが彼らにとって問題であることを認めているが、イスラエルは例によって、この供与に対し、苦情を言い、全く気にしないと豪語している。必要と思えばいつでもシリア爆撃を継続するとも言っている。イスラエルは、もし航空機が砲撃されたら、ロシア人要員殺害も辞さないとまで言っている。もちろん、今の所、イスラエルは、シリア領空外に留まっていることを除き(2017年のイスラエル情報筋によれば、IDFはシリアを200回以上攻撃しており、およそ一日おきに攻撃一回だということに留意願いたい!)

 今回、イスラエルは、遥かに能力の高い防空システムに直面しているのみならず、このシステムは移動性が高く、それゆえ位置を特定するのがずっと困難で、今後の攻撃は大いに困難になる。しかも、一つのS-300PMU2砲兵隊は非常に長距離の標的300を追跡可能で(同時に、72機のミサイルと交戦できる)、シリアは早期警戒能力を大幅に強化しており、イスラエルが、対シリア奇襲攻撃を成功裏に行うことをずっと困難になっている。

 しかしながら、遅かれ早かれ、イスラエルもアメリカも、PR目的のみでも、再度シリアを攻撃しようとするに違いないのはかなり確実だ。実際、これは彼らにとってそれほど困難ではないはずで、以下がその理由だ。

 一つ目は、良く主張されていることに反して、シリア国内には、実際にシリアの全領空を“封鎖”するのに十分なS-300/S-400は存在していない。ロシアは、シリア上空に事実上の飛行禁止空域を作り出したが、大規模な断固とした攻撃に耐えられるようなものではない。これまでロシアとシリア軍が合同で実施したのは、アングロシオニスト侵略者に対し、シリア周辺と領空のいくつか特定空域の閉鎖だ。つまり彼らは何か具体的な価値の高い標的を防衛可能だということだ。だが、アメリカ/イスラエルが、何がどこに配備されているか、そして、この統合防空ネットワーク全体がどのように機能するのかの感触を得るやいなや攻撃を計画できるようになり、すさまじく効果的ではないにせよ、プロパガンダ装置により、アングロシオニストにとっての大成功として語られるだろう。

 二つ目は、防空作戦は、常に数のゲームだ。たとえ、各防空ミサイルの迎撃確率が1(つまり発射された防空ミサイル一基が飛来するミサイル一基を破壊する)だと仮定しても、備蓄の中から発射できるもの以上のミサイルを撃墜することはできない。アメリカ/NATO/CENTCOMは、必要とあれば、飽和攻撃で、ロシアが防衛に使える以上の、ずっと多くのミサイルを使える。これは近い将来には変わりそうにない。

 三つ目は、アメリカ/NATO/CENTCOM/IDFの全てが、高度なEW能力を保有しており、特に、もしレーダー反射断面積の少ない航空機(F-22、F-35、B-1Bなど)が攻撃に使用すれば、それでロシア砲火と偵察能力の妨害を試みることが可能だ。レーダー反射断面積の少ない航空機 (とミサイル)は、単独で行動しなければならないわけではなく、現実には彼らは電子戦争の断固とした取り組みという支援を得て戦闘することが多い。

 最後に、帝国には、特に電子戦争とスタンドオフ型対レーダー・ミサイル攻撃との組み合わせでシリア攻撃に使える長距離兵器(AGM-158 JASSM 少レーダー反射断面積のスタンドオフ型空中発射巡航ミサイルなど)がある。

 だから、アングロシオニストに本当にする必要があるのは、接近経路と標的の選択に十分配慮し、強力な電子戦争活動に援護されたレーダー反射断面積の少ない航空機とミサイルで、帝国がロシアとシリアの防空を打ち破ったという見かけを得るため、十分多くの数のミサイルを使用するだけのことだ。

 彼らによる過去の対シリア攻撃から判断して、アメリカとイスラエルは、実際に何か意味のある軍事目標攻撃の実現よりも、非常に強力で、効果的で、難攻不落であるかのように見える必要性の方を遥かに気にしている。もちろん、この難攻不落であるかのように見える必要性は、アングロシオニストは、実際は、その航空機の一機が撃墜されるわけにはゆかないことを意味しており、それで現在連中はシリアの防空能力を試すのを渋っているわけだ。

 だが遅かれ早かれ、イスラエルは彼らの言う“S-300を打ち破”ろうとするはずだ。

 イスラエルにとっての問題は、彼らには、実際他に良い選択肢がないことだ。問題は技術的なものというより、政治的なものだ。

 イスラエルが意味のある標的に対する攻撃に成功したと仮定しよう(もし彼らの攻撃が象徴的なものであれば、ロシアとシリアは、いつもの抗議と非難での対応に限定することができ、実際には何も行動しない)。ロシアは一体何をするだろう? ロシア(具体的にはショイグ)が既に示した通り、もし必要ならば、ロシアはシリアに提供するS-300砲兵隊(と必要な支援システム)の数を増すだろう。だから、シリアに対する攻撃成功の主な効果は次の攻撃の実行を一層困難にするだろう。それはイスラエルにとって本当に望ましい結果だろうか? 私はそうは思わない。

 イスラエルが攻撃に成功するたびに、イスラエル航空機にとっての危険性が高まり、それに続く攻撃が一層困難になるなら、そのような攻撃に何の意味があるだろう? IDFによる破壊がシリアにおける状況の更なる悪化を引き起こすことを正当化するような何か本当に価値の高い標的がシリア内にあるだろうか? 逆に、もしシリア人(またはイラン人)だったら、ロシアに更なる防空システムを提供するよう強いる(ちなみに、必ずしもS-300である必要はない!)ほど激しく、イスラエルに、シリア(あるいはS-300砲兵隊)攻撃をしてもらいたいと思わないだろうか?

 ハサン・ナスラッラーが(1982年のイスラエルのレバノン侵略が、それを生み出すのを助けた)ヒズボラのトップの座についた(1992年に、アッバス・ムサウィがイスラエルにより殺害されたため、この組織の議長に昇進した)レバノン・ヒズボラの場合同様、イスラエルは何度も繰り返して、自明の理を再発見している。単純な暴力は短期的には効果的に見えるが、意味のある政治的手段によって裏付けられていない限り、中・長期的には必ず失敗する。イスラエルが依然認めるのを頑固に拒んでいる重要な自明の理は、あらゆる本物の安全保障は常に集団的なのだ(ロシアは何年も繰り返している)。シリアの場合、シリア内の標的を吹き飛ばすことで勝ろうとするより、ロシアとイランとシリアと何らかの合意を交渉するほうが(たとえ非公式なものであっても!)イスラエルは遥かに楽だろう。

 トランプ政権がアングロ・シオニスト帝国の崩壊速度を劇的に増している今、イスラエルは、彼らの地域政策に他の当事者を取り込む計画作成を始める必要がと私は主張したい。アメリカは、もはや、中東政治における重要な一員の立場にはなく、リクードの狙いに、何十年も卑屈に服従してきたことで、中東における(そして世界の他の地域でも)アメリカの信頼性と影響力は取り返しがつかないほど損なわれたというのが真実だ。

 S-300PMU-2“フェイヴァリット”砲台のシリア引き渡しを、チェス序盤の決まり手や、キャスリングのような撤回できない動きにたとえたい。それ自身でゲームの結果を決定するわけではないが、双方がそこで動くべき環境基準を作り出すのだ。ロシアにとって、次のステップは極めて明白だ。最終的に、アメリカやイスラエルによるあらゆる攻撃から、シリア全領空を防衛できるようにするという目標で、あらゆる種類の防空システム(特に更なるパーンツィリ)をシリアに提供しつづけることだ。重層的防空ネットワークの主な要素は既に配備されている今、シリアはもっと多く必要だ。ロシアが、それを供給することを、私は大いに期待している。

The Saker

記事原文のurl:https://thesaker.is/s-300-in-syria-a-preliminary-assessment/

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 四島返還を言い続けた属国、二島すら永久に返還させられないのではあるまいか?

 日刊IWJガイドによると、今晩、村上誠一郎議員インタビューが再配信される。自民党に、これほど素晴らしい議員がおられるのが不思議。入管法改悪用データも真っ赤なウソだった。

【政府統計の嘘を暴く!シリーズ特集再配信 3・IWJ_Youtube Live】11月17日(土)20:00~
「政府は財政健全化のシナリオの粉飾をいつまで続けるのか!?」「アベノミクスの成果は何もない」と痛烈批判! 岩上安身によるミスター自民党・村上誠一郎議員インタビューYouTube視聴URL(冒頭以降は会員限定): https://iwj.co.jp/wj/open/archives/420867
ツイキャス視聴URL(冒頭のみ): https://twitcasting.tv/iwakamiyasumi

 わけのわからないスローガン経済につきあわされて、何冊か拝読した。

 著者のうちのお二人、IWJインタビューに登場されている。浜教授講演も中継されている。

 アベノミクスの「まやかしの成果」を暴く!!「偽りの経済政策―格差と停滞のアベノミクス」著者・同志社大学商学部教授・服部茂幸氏に岩上安身が訊く! 2017.9.7』

 「アベノミクスの成果」に隠された驚くべき「かさ上げ」トリックを暴く! このままいくと日本経済は破綻!? ~岩上安身による弁護士『アベノミクスによろしく』著者・明石順平氏インタビュー 2017.12.14

安倍改憲を許さない!!「アホノミクスの正体を暴く」浜矩子さん講演会 2017.7.15

2018年9月29日 (土)

シリア上空に、ロシアが非公式飛行禁止空域を設定予定

2018年9月24日
The Saker

 今日、ショイグ国防大臣が、私が望んでいたもの遥かに超える措置を発表した。ショイグ国防大臣は、具体的には、ロシアが

  1. S-300防空システム(射程距離250km)を、シリアに二週間内に、供給する。
  2. ロシアは、シリア防空能力を*劇的に* 強化し、将来の“友軍による誤射”を防止する高度な自動防空管理システムを供給する。
  3. シリアと接する地中海を越え、地域のシリア領土の標的を攻撃する戦闘機の衛星航法や搭載レーダー・システムや通信を抑制する電子戦争能力をロシアは行使する。

 これは下記の理由から、非常に柔軟な素晴らしい解決策だ。

  1. これで、シリア上空に、法律上ではなく、事実上の、飛行禁止区域を設定することになる。そこでロシアは、国ごと、飛行機ごとに、どの飛行機を鎮圧/射撃すべきで、どれを追跡し監視するだけにするかの判断を柔軟におこなうことが可能になる。これでこの戦争の全当事者との交渉上、ロシアは極めて強力な立場になれる。
  2. こうした新たな能力は、イスラエルの行動に対し、シリア国内に配備されるのは当然だが、アメリカやアメリカの属国を含む、あり得るあらゆる侵略者に対するシリアの能力も劇的に強化することになる。S-300で、イスラエル航空機を、離陸直後、まだイスラエル領空内にある時から、シリアが探知し監視することが可能になる。
  3. ロシアは、どの自動防空管理システムのシリア引き渡しを計画しているか明らかにしていないが、これは、S-300とブク防空システムによる射撃管理に一般的に使用されているパリャーナD-4である可能性が高い。このシステムの送付は、シリア国内に駐留するロシア特別部隊の防空能力を劇的に増し、ボルトン風ネオコンにとって、ロシア軍を標的にすることが、ずっと困難になる。

 今回の対応の規模と質に驚かされたのを私は認めなければならない。明らかに、イスラエルの傲慢さは効果をもたらさず、今回は連中のいつもの厚かましさが、ロシアを激怒(入念に制御された怒りとは言え)させたのだ。ビビ・ネタニヤフにとって、シリア(とレバノンとイラン)に対する彼の政策を丸々駄目にするので、ロシアの対応は全くの最悪事態だ。イスラエルによる攻撃(200回以上、そのうち、わずか約10%しか、ロシアに通知しようとしなかった)は、イスラエルにとって何の具体的利益ももたらさず、今やイスラエルのロシアとの関係を根本的に損なってしまったのだ。私が何度も申し上げているように、自分たちは実に賢いという連中のあらゆる虫の良いプロパガンダにもかかわらず、イスラエルは、連中のほぼ無限のおごりに目がくらんでいて、実際には、かなり無能なのだ。

 だが、戦争では魔法の特効薬などないことに留意願いたい。一つには、イスラエルには依然として、シリア国内の標的を攻撃する(飛行機、あるいは艦船発射によるものも含むミサイルを使用してであれ)選択肢があるが、そのような攻撃を成功裏におこなう困難さは一桁増すだろう。アメリカ/NATO/CENTOM/などにも同じことが言える。一つの選択肢は、シリアとロシアの能力は、数量的に依然限られているので、極めて大量のミサイルを使用する飽和攻撃をすることだろう。理想的な状況でさえ(EW能力を除いて)、つまりロシア・ミサイルの殺傷率がたとえ1:1であっても、ロシアはロシアの供給量で対応できる数の敵ミサイルしか撃墜できない。地域におけるアメリカ+イスラエルのミサイル供給は遥かに多い。

 二つ目に、アメリカにも、イスラエルにも非常に高機能のEW戦闘能力があり、必要とあらば、両国がそれを使用するのは確実だ。たしかにロシアは、この分野では、質的に他の国々より先行しているが、悪党連中の能力を決して過小評価するべきではない。

 三つ目に、アングロシオニストは、以下の三つのどれかをするはずだ。南オセチアやクリミアでそうしたように、気にしないふりをし、現地の状況を基本的に受け入れる、あるいは、ロシアと何らかの合意を得るため交渉しようとする、あるいは、ロシアがひるむのを願ってのヒステリックな恫喝や挑発で対応する。我々としては選択肢#1を望むが、選択肢#2や#3の方が遥かに可能性が高いことも認識しなければならない。言い換えれば、これはまだ続くということだ。

 最後に、この最新のニュースは、プーチンは踏みつけられてもじっと耐える人間だとか、裏切り者だとか、ロシアはアングロ・シオニストに対抗できないやら、対抗するのをいやがっているという見解の偽りを決定的に暴いている。プーチンはイスラエルに対するおべっか使いだと非難していた連中全員、その大恥をごまかすのにおおわらわのはずだ。ロシアが時間をかけて、何が起きたのかを分析し、対応策を準備した事実は、彼らの弱さではなく、最も危険な状況における、責任ある行動の兆候だ。更に、このロシアの対応は、国家安全保障問題が危機にさらされた場合は、大西洋中心統合主義者第5列も、依然、ユーラシア主権主義者に従わざるを得ないことを示してもいる。これは、それ自体、非常に好ましい、心強い進展だ。

The Saker

この発表のビデオ。

記事原文のurl:http://thesaker.is/russia-will-establish-an-unofficial-no-fly-zone-over-syria/

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 彼の呼び名は、背後(せご)どん。立川談四楼師匠提案だという。座布団十枚。昭和の妖怪と祖父は呼ばれた。孫は平成の容喙。
 タレント引退報道に、『天上の葦』を連想した。本の中で対象にされているのは芸能タレントではなく、硬派ジャーナリストという大きな違いはあるが。『天上の葦』という本、ブログ「街の弁護士日記 SINCE1992at名古屋」の『決意をもって書かれた作品 太田愛著 『天上の葦』(KADOKAWA)  ネタバレ注意』を拝読して初めて知った。まともな報道をする人々が次々消えて行く今、必読書。

2018年8月30日 (木)

アングロシオニストによる対イラン攻撃の選択肢

2018年8月3日
The Saker

[本分析はUnz Review向けに書いたもの]

 ここ数日、インターネットは、対イラン攻撃準備で、アメリカがオーストラリアの支援をせがんでいるというなんともばかげた噂で溢れている。言うまでもなく、記事はオーストラリアが、一体どのようなアメリカに欠けている能力を持っているのかを説明していないが、それはどうでも良い。とは言え記事は余りに多くの場所で取り上げられており(ここと、ここと、ここ)無視できない。そうした記事の一つで、エリック・マーゴリス は、そのようなアメリカ攻撃はどのようなものになりうるかを説明している。彼の文章は丸々引用に値する。

 アングロシオニストによるあり得る対イラン攻撃の概要

    広大で、山が多く、1980年に始まったイラクとの8年間の戦争で、百万人もの戦争死傷者に耐えた国イランに対する、大規模で高くつく地上戦を、アメリカとイスラエルは確実に避けるだろう。あの陰惨な戦争は、イランの新たな人気あるイスラム政権を打倒するため、アメリカとイギリスとクウェートとサウジアラビアがけしかけたものだ。

    ペンタゴンは、イスラエルとサウジアラビアが参加する可能性が極めて高い強力な対イラン空爆戦争を計画している。計画では、イランの戦略的標的。軍用飛行場や海軍基地、兵器と石油、石油や潤滑油貯蔵庫、通信ノード、レーダー、工場、軍司令部、港湾、給水設備、空港、ミサイル基地や革命防衛隊部隊に対する2,300回以上の空爆が必要だ。

    イランの防空は、貧弱から、全く存在しない、まで多岐にわたっている。アメリカ率いる対イラン軍事、商業禁輸措置で、アメリカが2003年に侵略した際のイラク同様、イランは老朽化し衰弱している。兵器としては、イランの70年年代物戦車は、ゆがんでいて、まっすぐ撃てず、古ぼけたイギリスとソ連のAAミサイルは大半使えず、古びたMiGと中国戦闘機は、博物館行きの状態だ。特に、骨董品のアメリカ製F-14トムキャット、中国がコピーした陳腐化したMiG-21や、ごく少数のかろうじて動いているベトナム戦争時代のF-4ファントム。

    航空戦指揮司令部もお粗末だ。イランが保有するあらゆる電子装置は、アメリカによる攻撃の最初の数時間で、焼かれるか、吹き飛ばされる。イランのちっぽけな海軍最初の攻撃で沈没する。アメリカの対イラン戦後計画次第で、イランの石油産業は破壊されるか、一部残される。

    テヘランがしっぺ返しする唯一の方法は、中東にある何ら決定的価値のないアメリカ軍施設への特殊部隊による孤立した攻撃をしかけること、そして、もちろん、中東石油輸出の三分の二が通る狭いホルムズ海峡の封鎖だ。近くのバーレーンに基地があるアメリカ海軍は、この脅威と戦うべく、何十年も演習してきた。

 この説明には多数の興味深い内容があり、各部毎に検討する価値があると思う。

 第一に、アメリカもイスラエルも、対イラン地上戦は望んでいないことで、マーゴリスに同意せざるを得ない。国が大きすぎ、イランは、しっかり準備しており、そのような作戦に必要な軍隊の規模は、帝国が現在召集できるものを遙かに超えている。

 第二に、イランには、アングロシオニストが固く決めた(ミサイルと航空機)攻撃を阻止する手段がないと、マーゴリスが言うのも全く正しい。イランには多少の近代的防空能力があり、攻撃側も多数の損失をこうむるだろうが、この時点で、規模の相違はあまりに大きく、アングロシオニストは、かなり早く制空権を制圧し、何であれ連中が爆撃したがるものを爆撃する機会を得るだろう(詳細は後ほど)。

    [補足: とは言え、イランの防空を評価するのは、単にミサイルと発射装置の数を数えるだけの話ではなく、他にも色々あるのだ。あるロシアの情報源によれば、イランには4基の長距離対空ミサイル S-300PMU-2システム(48Н6Е2 マッハ6,6の迎撃ミサイル)、29基の対空自己推進ミサイル・コンプレックスTor-M1や、Bavar-373バッシブ電子走査アレイ・レーダー(照射、誘導システムが最新の中国エレクトロニクスを使っているのはほぼ確実だ)のようなかなり先進的な対空ミサイル施設や、ロシアや中国やイラン製のかなりの数の早期警戒レーダー・システムがある。こうしたものの中には、高性能の長距離レーダー探知、標的指定Najm-802レーダー(5120の受信・送信モジュールがあり、デシメートル Sレンジで動き、弾道標的や高精度兵器の小さな物体を探知するよう設計されている)のようなシステムや、固定アレイ・レーダーの先進的な早期警戒制御システムのロシアのメートル波レーダー “Nebo-SVU”や、メートル・レンジの早期警戒レーダー“Ghadir”がある。 最も重要なことは、これらのレーダーは全て、イランのネットワーク化されたミサイル防衛システムに統合されている。例えば“ガディール”レーダーは、アメリカ空軍やサウジ王国空軍やイスラエルの戦術戦闘機のみならず、(約1100 km先の)発射直後の弾道ミサイルも探知できる。その結果、西方向に(ペルシャ湾)マルチバンド・レーダー探知施設でのイランの無線部隊駐留によって、イランは高強度ミサイル攻撃に対して防衛する柔軟な梯形防空を準備することができる。とは言え、イランが防空をどれほど強化しようとも、非常に多くのミサイル(新しい高度なAGM-158 JASSM (統合空対地スタンドオフ・ミサイル)や、B-1B爆撃機から発射されるステルス性のスタンドオフ型空中発射ミサイルを含む)が、イランの防空は必然的に、あらゆる大規模攻撃によって圧倒されることを意味している。]

 だから、私は、イラン石油産業は、アメリカ/イスラエルが固く決心した攻撃から守れないというマーゴリスに同意する。実際、イランのインフラ全て攻撃に弱いのだ。

 とは言え、マーゴリスの最後の段落は、イランには信頼に足りる報復措置がないように聞こえるが、私はこれに大いに反対だ。

 例一: ホルムズ海峡におけるイランの能力

 一例を挙げれば、ホルムズ海峡問題は“アメリカ海軍が長年この脅威と戦うべく訓練したもの”より遥かに複雑だ。この狭い海峡経由で輸送するのを事実上不可能にするための非常に多様な選択肢がイランにあるのが現実だ。その選択肢は、機雷から、高速艇攻撃、対艦船ミサイル、沿岸防衛砲台砲撃他と多岐にわたる。

    [補足: ここには大きな危険がある。イスラエルと、あるいは、アメリカは、ホルムズ海峡内のあらゆる船に対する偽旗攻撃を極めて容易に仕掛け、イランのせいにでき、そこで、あらゆるアングロシオニスト諜報機関が、いつもの“大いにあり得る”というあやしい専門用語を言い立て、御覧じろ、帝国はイラン攻撃の口実を得ることになる。]

 実際、この狭い海峡経由での船舶輸送を脅迫する事実だけで、保険会社に、どの船舶にも、保険適用するのを思い止まらせ、それだけで輸送を停止できる可能性がある。それが不十分な場合には、イランは限られた数の機雷をいつでも敷設でき、それだけで十分なのだ(米海軍は機雷除去作業を行おうとすることは可能だが、イラン沖でそうすれば米海軍掃海挺を極端な攻撃の危険に曝すことになる点に留意願いたい)

 マーゴリスは、これに触れていない。

    イランはアラブ諸国からの石油輸出の一部を阻止し、海上保険料を急騰させられるかも知れないが、サウジアラビアと湾岸諸国の主要石油ターミナルを地上軍で攻撃しない限り、大量の石油輸出を阻止できる可能性は少ない。イラン-イラク戦争中、どちら側も相手の石油輸出を完全に阻止することはできなかった。

 しかしながら、この文脈で、イランの能力をひどく過小評価していると私は思う。一例として、イラン潜水艦戦力を見てみよう。

イラン潜水艦戦力は極めて特化したものだ。2018年版のIISSミリタリー・バランスによれば、イランは現在21隻の潜水艦を配備している。

  • 3隻のタレク級ディーゼル・エレクトリック方式潜水艦(ロシアのキロ級Project-877EKM)
  • 1隻のファタ級沿岸潜水艦
  • 16隻のガディール級小型潜水艦
  • 1隻のナハンド級小型潜水艦

 “ディーゼル・エレクトリック方式”と聞くと、大半の人々は古いディーゼル・トラックを思い浮かべて、感銘しない。特に、こうした潜水艦を、うわさの“先進的”攻撃型原子力潜水艦と対照した場合。ところが、潜水艦は、それが活動するよう設計されている環境の中でのみ評価できるので、これは非常に誤った意見だ。海の地形は、普通、三つに分類される。ブルーウォーター(外洋)、グリーンウォーター (大陸棚)と、ブラウンウォーター(沿岸地域)だ。攻撃型原子力潜水艦は、自立性、速度、潜行深度、兵器搭載能力、高度なソナーなどが極めて重要なブルーウォーター環境においてのみ優位なのだ。比較すると、ディーゼル・エレクトリック方式潜水艦は、より遅く、バッテリーを再充電するために浮上する必要があり、典型的により小型で、搭載兵器もより少ないが、グリーンウォーター作戦には、より適している。浅いブラウンウォーターでは、攻撃型原子力潜水艦は決してそのような環境で活動するように設計されていないので、小型潜水艦が君臨する。ホルムズ海峡の環境をざっと見てみよう。

 オマーン湾とアラビア海奥深く入った際のブラウンウォーターとグリーンウォーター型の環境で、極めて浅かったり、浅い海の興味深い組み合わせが典型的だ。これを念頭に置いて、どのような種類の潜水艦部隊をイランが入手/開発したか見よう。

 ブラウンウォーター作戦(ペルシャ湾とホルムズ海峡)用に、イランは比較的大規模で、有力な小型潜水艦艦隊がある。グリーンウォーター作戦(オマーン湾とアラビア海)用に、イランは三隻の手ごわいタレク/キロ級潜水艦がある(自立性、速度、兵器やソナーが、攻撃型原子力潜水艦よりずっと劣るとは言え、限定されたブルーウォーター作戦さえ可能だ)。“ディーゼル・エレクトリック方式”と同様、“小型”潜水艦という言葉で、我々は、おもちやか、良くて、せいぜい麻薬を密輸するのに使える第三世界の原始的ボロ船を思い浮かべる。ところが実際は、イラン“小型潜水艦”は、キロ級と同じ、重量級の魚雷(533 mm)を、より少数ながらも搭載可能だ。これは、つまり同じミサイルや機雷も搭載できることを意味している。実際、イランのガディール級“小型”潜水艦は、ペルシャ湾においては、最新型の攻撃型原子力潜水艦より、遥かに手ごわい脅威なのだと私は言いたい。

    [補足:典型的な(航空母艦を中心とする)外洋海軍を擁する覇権大国として、グリーンウォーター(沿岸)能力は必要ないと考えたため、アメリカは何年も前に、ディーゼル・エレクトリック方式潜水艦の建造を停止した。他の国々(ロシア、ドイツ、スウェーデン他)は、これらの潜水艦が、ずっと安価で、沿岸防衛作戦に、より適しているのを正しく理解しているので、ディーゼル・エレクトリック方式潜水艦計画(いわゆる“非大気依存推進” - AIP - のものを含め)を積極的に推進している。ディーゼル・エレクトリック方式潜水艦を放棄したのは、アメリカ軍計画者連中による大失敗の一つだ。この話題のこの記事をお読み願いたい。新しい沿海域戦闘艦(LCS)と、ズムウォルト級誘導ミサイル駆逐艦が、このグリーンと、ブラウン作戦能力の欠如を部分的に緩和するはずだったが、どちらも大失敗となった]

 
ガディール級潜水艦

 ロシアのキロ級潜水艦は、最も静かながら、重武装の潜水艦で、イランに対するアメリカ海軍作戦に対する主要な脅威となり得る。ところが、米海軍は彼らを24時間年中無休で追跡しており、キロ級潜水艦は、あらゆるアングロシオニスト攻撃の最初に第一の標的(港内であれ、洋上であれ)になるはずなのは確実だ。だが米海軍は、ずっと小型(で無数の)イラン小型潜水艦を追跡し続けることが可能だろうか? 私もわからないが、これらの比較的小型の潜水艦は隠れるのが実に容易なので、そうはゆくまいと個人的に思っている。このガディ級潜水艦を写真をご覧になって、それを隠したり、代案として、実物そっくりのデコイを作ったりするのが、いかに容易か想像願いたい。ところが、この小型潜水艦の魚雷は、ペルシャ湾内のあらゆる船を、一発で沈没させられるのだ。

 アメリカは確実に、これらの脅威を見つけ出し、破壊しようとする多数の極めて有力な偵察・諜報能力を保有しているが、イランは何十年もこのシナリオに準備をしており、彼らはロシアの軍事用語でいうマスキロフカの真の達人であることも分かっている。偽装、隠匿、欺瞞と、誤った方向への誘導の組み合わせだ。実際、レバノンのヒズボラにこの術を訓練したのはイランで、イスラエルが、自信満々、軽い足どりで、南レバノンを侵攻した際、イスラエルのあらゆる偵察/諜報能力をもってしても、比較的素朴な(技術的に言って)ヒズボラ・ミサイル能力にさえ対処することができないことを思い知らされたのを我々は良く知っている。散々愛国心を煽りたてようとも、もしイランがホルムズ海峡を封鎖しようと決めれば、アメリカに残された唯一の選択肢は、イランの岸に部隊を上陸させ、限定的ではあっても、依然極めて危険な地上攻撃作戦を行うしかないのが真実だ。この時点で、この狭い隘路で非常に多くの戦闘が行われ、誰もそこを船で通そうと考える人はいるまいから、この反撃が成功かどうかは重要ではない。

 イランが出来ることと言えば“中東のたいした重要性のないアメリカ軍施設に対する、特殊部隊による個別攻撃“をしかけることだろうというマーゴリスも間違っていると思う。一つの現実的なイランの選択肢は、アメリカの標的(中東にはたっぷりある)を様々なミサイルで攻撃することだろう。しかも、イランは、アメリカ同盟諸国(イスラエルやサウジ空軍)や権益 (サウジアラビア油田)に向けて、ミサイルを発射することが可能だ。

 二つ目の例: イランのミサイル能力

 CSISの筆者が言うこと全てを信じるつもりはないが(控え目に言っても、彼らは非常に偏向している)、このページに、現在のイラン・ミサイル能力のかなり良い要約を掲載している。

同じページに、CSISは現在と開発済イラン・ミサイルのより詳細リストを載せている。

(このWikipediaページで、CSISのイラン・ミサイル情報と比較することができる。)

 重要な疑問は、イランに有力なミサイルがあるか否かではなく、一体何発開発されたのかだ。明らかかつ、当然の理由で、イランは意図的に、非常にあいまいにしているので、誰もこれを本当に知ってはいない。だが、ヒズボラの例から判断して、イランは、これらのミサイルも十分大量な数保有しており、極めて信頼できる抑止能力になっているのは確実だ。そのようなミサイル兵器は、強力な戦争抑止力であるのみならず、極めて有用な戦闘用でもあると言いたい。地域のアメリカ基地(特に空軍基地や海軍施設)が断続的なイラン・ミサイル攻撃にさらされたら一体何が起きるか想像できるだろうか? 第一次湾岸戦争中のイスラエルの経験から、更には最近のサウジアラビアのフーシ派ミサイルでの経験から判断して、アメリカのパトリオットは、イラン・ミサイルに対する防衛として、役に立たないのはほぼ確実だ。

 確かに、アメリカが第一次湾岸戦争中に行い、イスラエルが2006年に行ったように、アングロシオニストはイラン・ミサイル基地の大掛かりな捜索を開始するだろうが、最近のあらゆる戦争から判断して、こうした捜索は十分成功することはなく、イランはミサイル攻撃をかなり長期間継続することができるだろう。たとえば、地域のアメリカ基地に対する2-3日に一発のミサイル攻撃が、作戦や士気にどのように影響するかご想像願いたい!

 現実性チェック:アメリカは中東中で攻撃されやすい

 以上、私は二つの具体的な能力(潜水艦とミサイル)だけ挙げたが、イランの小型高速モーターボートの群れや、電子戦争能力や、サイバー戦争についても、同様な分析が可能だろう。しかし、イランの最も手ごわい資産は、“大魔王”の攻撃に何十年にもわたって備えていて、自らと、自国を(おそらく不可避の) アングロシオニスト攻撃に対して守るため様々な非対称的選択肢を開発している極めて教養があり、高度の教育を受けた国民だ。

 中東のアメリカ軍施設を示す少なくとも一枚の地図をおそらくご覧になっているだろう(もしご覧でなければ、ここか、ここか、ここをご覧願いたい)。率直に言って、イランがアメリカ軍と基地に包囲されている事実はイランにとって重大な脅威だ。だがその逆も事実だ。これらアメリカ軍施設全てが標的で、極めて脆弱なことが多いのだ。しかも、こうしたどの標的の攻撃にも、イランは地域の代理部隊/同盟者を利用可能だ。このファクト・シートをダウンロードし、リストにあるそれぞれの施設が、イランによる攻撃の標的になる可能性を考えながら読まれるよう強くお勧めする。

 こうした議論に対して、私が良く聞くいつもの答えは、もしイランが実際に、あえてミサイルを使用したり、地域のアメリカ基地を攻撃したりすれば、アメリカによる報復は実に恐ろしいもののはずだ。ところが、エリック・マーゴリスによれば、アメリカ-イスラエルのイラン攻撃の当初の、そして主目的は“イランのインフラ、通信と輸送(石油を含め)を完全に破壊し、この重要な人口8000万人の国をマヒさせ、革命前の時代に戻すことだ”。ここで簡単な質問をさせて頂きたい。もしマーゴリスが正しければ - 私は個人的に彼は正しいと思っているが - すると、その結果は、イランが反撃した場合、アメリカが計画していると思われる“実に恐ろしい”報復と一体どう違うのだろう?  違う言い方をすれば - もしイランが、アングロシオニストが自分たちの国を荒廃させたがっていることを理解した場合、(たとえば、2006年に、イスラエルがレバノンに対してしたように)、一体どのような更なる可能なエスカレーションが、彼らが使える手段で反撃するのを防げるのだろう?

 この疑問に答えるには、アングロシオニストにとっての“イラン問題”の本質を良く見る必要がある。

 アングロシオニストによるイラン攻撃の本当の目的

 何よりまず、イランに何らかの軍用核計画がある証拠は皆無だ。イスラエルが長年これを世界に向かって叫んできた事実があるとて、真実になるわけではない。イランには、いかなる種類の核兵器を開発する論理的な理由など全くないはずであることを強く示唆する常識も加えたい。この点を議論する時間と余地がない(過去、何度も議論してきた)ので、イランは“核兵器計画を中止し”そのままになっているという国家情報評価の結論に触れるだけにしたい。

    [補足: イランにかつて核兵器計画があったとは思わないが、それは重要ではない。たとえもしあったとしても、そのような能力を開発するため何らかの初期的措置を講じたが、あきらめた他の多くの国と同じ水準になるだけだ。重要なのは、イランには現在、軍事核開発計画がないというのが、アメリカの公式の立場だ。]

 イランの本当の問題は実に単純だ。イランは下記に当てはまる世界で唯一の国なのだ。

  1. イスラム教で、サウジアラビア/ダーイシュ/ISIS/アルカイダ/他のタクフィール主義イデオロギーと、連中が推進するテロに対する戦いを率いている
  2. あからさまな反シオニストで、反帝国主義で、保守的な宗教的価値観と進歩的社会政策を組み合わせている
  3. 政治的、経済的、軍事的に成功していて、地域におけるイスラエルによる権力独占を脅かしている

こうした特徴のいずれも、それ自体、帝国の観点からすれば、その政府と、あえてそういうものを支持する国民を抹殺するという冷酷な決断によって対処されるに十分値する犯罪的思想で、全くの憎悪、恐怖対象のゆゆしき問題なのだ。この三つを組み合わせれば、イランが、アングロシオニストによって、それほど憎悪されているのも不思議ではない。

 イラン核計画に関する作り話丸ごと、嫌がらせと、あり得る対イラン攻撃の口実にすぎない。現実には、アングロシオニストの狙いはイランの武装解除でなく、まさにマーゴリスが言う通りだ。この“反抗的な”国と国民を爆撃して“革命前の時代に戻す”のだ。

 重要なことがある。イランはそれを完全に理解しているのだ。明らかな結論はこうだ。もしアングロシオニスト攻撃の目的が、イランを爆撃し、革命前の時代に戻すことであれば、イランが自制して、できる限り最大限の抵抗をせずにいる理由などあるだろうか?

 アメリカによる報復核攻撃脅威のためだろうか?

 アメリカにる核攻撃の選択肢 - 現実には、たいした選択肢はない

 ここでもまた、核兵器使用は敵に即座に戦闘をあきらめさせ、無条件降伏させるある種魔法の万能薬だと考えるだけでなく、文脈を考える必要がある。これは真実からほど遠いの。

 そもそも核兵器は、引き合う標的に対して使用された際にのみ効果的だ。アメリカが日本でしたように一般国民を殺戮するのは、目的が敵国軍を打ち破ることである場合、全く役にたたない。敵の“貴重な”標的を核攻撃することは、とことん戦うという敵の決意を強めることにしかならない。第一次湾岸戦争の際と同様、アメリカは既に、イラン国内で攻撃したいものの典型的な標的リストを作成していると私は確信している。主要政府庁舎や施設や、多数の軍隊や施設の組み合わせだ。ところが、大半の場合、そうしたものは通常(非核)兵器で破壊可能なのだ。しかもイランは何十年もこのシナリオにそなえて来たのだから(1979年革命以来、アメリカは常にイランに狙いを定めてきた)、あらゆる平時の施設は、戦時に備えて複製されているのはまず確実だ。だから多くの目立つ標的が破壊されても、その戦時用の複製施設が瞬時に受け継ぐだろう。地中深くにある標的を破壊するのに核兵器が使えると人は考えるだろうし、これは部分的には正しいが、一部の標的は(核爆発によってさえ)破壊するには深すぎる場所に建設されており、他の施設は何カ所にも複製されている(たとえば、平時の軍司令部、1箇所に対し、4、5、あるいは6箇所もの隠され、深く埋められたものがあるはずだ)。そのそれぞれを狙うには、更なる核兵器使用が必要となり、それはそのような核攻撃作戦の政治的代償という疑問を提起する。

 政治的意味で、アメリカが、誰であれ敵に核兵器を使用した日、アメリカは、そこから決して覇権が回復できない政治的自殺をすることになるのだ。大多数のアメリカ人は“勝てば官軍”で、“国連などどうでもいい”と考えるかも知れないが、世界の他の国々にとっては、核兵器先制使用(報復の反撃とは対照的に)思いも寄らない、実に不快なもので、犯罪で、特に違法な侵略行為だ(国連安全保障理事会は、決してアメリカのイラン攻撃を認めるまい)。たとえホワイト・ハウスが“核武装したアヤトラ”に対し“世界を守るために”核を使用“せざるを得なかった”と宣言しても、世界の圧倒的多数は、大憤激で対応するだろう(特にイラク大量破壊兵器という作り話の後では!)。しかも、どのようなアメリカ核攻撃も、イランを、悪役から被害者へと、瞬時に変えるだろう。アメリカにとって何の大きな利点ももたらさない標的に核兵器を使用するためだけに、そのような途方もない政治的代償を支払うと、アメリカが一体なぜ決断するだろう? 正常な状況の下であれば、この種の挑発されたわけではない核兵器使用は、全く想像もできず、不合理だと私は思う。ところが、アメリカの現在の政治的文脈では、実際、私を震え上がらせる可能性があるのだ。

 トランプはネオコンにとって“使い捨て大統領”なのか?

 ネオコンはトランプを憎悪しているが、彼を抑え込んでもいる。この種の“抑え込み”の最高の例は、信じがたいほど愚かな行動ながら、イスラエル・ロビーが要求していた大使館をエルサレムに移転するというアメリカの決定だ。アメリカによる包括的共同作業計画の破棄や、さらに言えば、現在のイランに対する一連の威嚇もそうだ。ネオコンには、こんな感じの基本戦略があるように思える。“我々はトランプと、彼が代表するあらゆるものを憎悪しているが、我々は彼を支配してもいる。正気のアメリカ大統領なら決してしないだろう、あらゆる狂ったことをするのに彼を利用し、そうした狂った決定に対するまずい余波を活用して、それをすべてトランプのせいにしてやろう。そうすれば我々は望むこと全てを得ることができ、その過程で、適切な時期にトランプを潰し、“我々のタマ”の一人に置き換える作業に取りかかるのだ”。繰り返すが、イラン攻撃の本当の狙いは、イランを爆撃して、革命以前の時代に戻し、アングロシオニスト帝国に大胆にも反抗する“間違った”政権を支持したかどで、イラン国民を懲罰することのはずだ。ネオコンは、イスラエルの最も重要な政治目標の一つである、イランを廃墟にすることを達成しながら、混乱と政治的大惨事を起こしたかどで非難できる“使い捨て大統領”としてトランプを利用できるだろう。ネオコンにとって、これはどうころんでも有利な状況だ。もしことがうまく行けば(いくらその可能性が低かろうとも)、連中は全てを自分の手柄にして、トランプを操り人形のように支配し続けられるし、もしことがうまくゆかなかったら、イランは廃墟になり、トランプは愚かで狂った戦争のかどで非難され、クリントン集団は、権力の座にもどる容易ができているだろう。

 そういうシナリオで、最大の敗者は、もちろんイラン国民だろう。だがアメリカ軍とて順調というわけに行かない。一例をあげれば、イランを“荒廃させる”だけという計画には、アメリカ軍は長期間紛争を好んでいない(アフガニスタンとイラクは十分酷い)のだが、実行可能な出口戦略、特に短期的なものがない。しかも、アメリカが破壊できる大半のものを破壊してしまえば、主導権はイランの手にわたり、時間もイランに味方する。2006年、イスラエルは、わずか33日後に打ち切らざるを得なかったが、勝利を宣言して、撤退するのに、アメリカにはどれだけ必要だろう? もし戦争が、たとえばサウジアラビアやイラクやシリアに広がったら、アメリカに撤退する選択肢があるのだろうか? イスラエルはどうだろう - ミサイルがイスラエルに命中し始めたら(イラン・ミサイルのみならず、おそらくはレバノンからのヒズボラ・ミサイルも!)彼らに一体どんな選択肢があるのだろう?

 対イラン軍事攻撃は“私が耳にしたものの中で最も愚かしい”と述べた元モサド長官メイール・ダガンは全く正しかった。悲しいかな、ネオコンは決して聡明だったことはなく、連中は愚劣なことをしでかす可能性が極めて高い。アメリカで誰かが連中を止める方法を見つけ出し、人の道に外れた、残虐で無用で、可能性として極めて危険な戦争を回避するよう祈るばかりだ。

The Saker

記事原文のurl:https://thesaker.is/anglozionist-attack-options-against-iran/

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 大本営広報部の昼番組、最近全く見なくなった。(聞かなくなった。)何を扱っているのか全く興味がなくなった。夜も、トップダウンで方針転換と話題の番組も全く見なくなった。洗脳におつきあいする時間はない。

日刊IWJガイド「本日午前10時より、『福島第一原発・汚染水タンク撤去後の放射性物質トリチウムを含む処理水の取扱いに関する説明・公聴会(富岡会場)』をライブ配信!/本日午後5時より『7.28草の実アカデミー「安倍首相・重大スキャンダル~安倍晋三氏は、本当に選挙妨害を暴力団関係者に発注したのか」!? ―講師:山岡俊介氏、寺澤有氏』を再配信! #ケチって火炎瓶/本日午後8時より2016年11月17日収録、岩上さんによる『関東大震災朝鮮人虐殺の記録: 東京地区別1100の証言』著者で『ほうせんか』理事・西崎雅夫氏インタビュー前編を再配信!/今日、メルマガ『岩上安身のIWJ特報!』を発行します!8月号は『「市民レベルの追及はやり尽くした」財務省強制捜査と昭恵総理夫人の証人喚問を!岩上安身による木村真豊中市議インタビュー(後編)』および『イラン核合意から離脱し、エルサレムに大使館を移したトランプ政権の「異常」な中東政策は、キリスト教福音派の預言成就願望とユダヤロビーに答えたもの!? 岩上安身による放送大学 高橋和夫名誉教授インタビュー』です!/米国でリベラル派からも英雄視された共和党のジョン・マケイン上院議員が死去!『アメリカでは人類に対する犯罪に関与すると英雄になれる』!?/佐賀県が地元漁協の頭越しに20年100億円でオスプレイ配備の受け入れ表明! この裏には山口祥義知事再選への思惑か!? IWJは防衛省に直撃取材!/IWJの第9期が始まったばかりですが、さっそくピンチに! 8月29日までのご寄付・カンパが目標額の5分の1どまりと非常に厳しいスタートとなっています! どうか緊急のご支援をよろしくお願いいたします!」2018.8.30日号~No.2177号~

2018年7月11日 (水)

クレムリン内部に第五列はいないのか? 良くお考え願いたい!

2018年6月29日
The Saker

 [この分析はUnz Review向けに書かれた]

 メドベージェフと、多かれ少なかれ改造した彼の内閣が再任命された後、ロシアや海外の世論は、これが、ロシア指導部内の連続と、団結の良い兆しなのか、それとも、これはクレムリン内にはプーチン大統領に反対して動いている第五列があり、親自由主義と欧米寄り政策をロシア国民に押しつけようとしていることの確認なのかで二分している。ロシア外交政策は、依然、私が“ユーラシア主権論者”と呼ぶ人々に主として支配されており、“大西洋統合主義者”連中の活動を探知するには、ロシア国内で一体何が起きているのかを見ておくことが必要だと考えているので、今日は、ロシア国内で何が起きているかをざっと見てみたい。

 ロシア第五列と、その典型的な作戦

 最初に、Saker Communityが翻訳した、“エホー・モスクヴィ”という名の、極端に欧米寄りで、騒々しい反プーチン・ラジオ局が、普通のロシア法制から免れているのみならず、ロシア国家が大半を所有している巨大ガス会社ガスプロムから資金まで得ているのは一体なぜかを疑問に思っている最も鋭いロシア人評論家の一人、ルスラン・オスタシコの短編ビデオをご覧いただきたいと思う。エホー・モスクヴィは余りにイスラエル寄りなので“エホー・マッツィ”というあだ名をつけられた(エホー・モスクヴィは“モスクワのこだま”という意味だが、“エホー・マッツィ”というのは“マッツォのこだま”という意味だ。訳注:マッツォは、ユダヤの過ぎ越しの祭りで使うパンのこと)。言うまでもなく、このラジオ局は、アメリカ大使館を断固、全面支持している。エホー・モスクヴィは、ロシア嫌いジャーナリストの孵化装置として機能しており、ロシア・マスコミにおける欧米寄りリベラル記者の大半が、何らかの時点で、このプロパガンダ機関と関係していたと言って言い過ぎではない。それにもかかわらず、というか、より正確には、そのおかげで、エホー・モスクヴィは、既に長いこと破綻しており、それでもなお存在し続けている。オスタシコの解説に耳を傾けよう(英語字幕が見られるよう‘cc’ボタンを押すのをお忘れなく)。

 興味深いではないか? 国営巨大企業ガスプロムが、エホー・モスクヴィを破綻させないように維持し、法の適用を受けないようにするのに全力を尽くしているのだ。実際、ガスプロムは、エホー・モスクヴィに長年資金提供している! 政治的に超正しいウイキペディアによれば“2005年の時点で、モスクワのこだまは、同社の株の66%を保有するガスプロム・メディアに過半数を所有されている”。ガスプロムの大半をロシア国家が所有していて、エホー・モスクヴィの大半がガスプロムに所有されていれば、エホー・モスクヴィは、基本的にクレムリンに資金供給されていることにならないだろうか? オスタシコが指摘している通り、現実は更に酷く、エホー・モスクヴィは一番目立つ例で、ロシア国内では実に多くの親欧米マスコミが直接間接にロシア政府に資金提供されている。

 そこで、単純な質問をさせていただきたい。オスタシコは、プーチン本人を含め、ロシア当局より情報に通じていると思われるだろうか?

 もちろん、そんなことはない! すると、ここで一体何が起きているのだろう?

 この疑問に答えを試みる前に、もう一つの興味深いロシアのニュース、ミハイル・ハジンによる最近の記事“プーチンを打倒するための第五列の手段としての年金改革”(原題“公正な年金制度について”) のストーカ・ゾーン・ブログのオリー・リチャードソンと、アンジェリーナ・シアールの翻訳による(ここと、ここにも投稿されている)ものを見てみよう。再任されて以来、メドベージェフ政権が一体何を狙っているかについて興味深いことを明らかにしているので、記事全文をお読み願いたい。私がここで引用したいのは、ミハイル・ハジンの結論だ。(強調は筆者による)

    言い換えれば、この改革丸ごと、全くのたわ言、国民(社会)と当局との関係を破壊することを狙った政治的冗談だ。この具体的な狙いは、ロシア人リベラルが“欧米”グローバル・プロジェクトの上級役員連中から、するよう命じられているプーチン打倒だ。この改革は、そういうもとして我々は扱うべきなのだ。良いことであれ、悪いことであれ、経済改革とは無関係だ。経済改革ではなく、政治策謀なのだ! そして、ここから、我々は始めなければならない。

 一体何が起きているのかを説明した後、ハジンは、更に、一体どうしてそうした作戦が可能なのかをあからさまに説明している。

    次は、マスコミだ。90年代末-2000年年代始め、事実上、全てのリベラルでないマスコミは死に絶えたことを理解しなければならない。完全に。そして、もちろん、リベラルではないジャーナリスト全員、事実上、完全に死に絶えた(社会主義時代からのごく僅かのマストドンしか残っていない)。ジャーナリズム学部で育った若者は概して完全にリベラルだ。連中は、2000年代中期には多少抑圧されていたが、メドベージェフが大統領の座について以来、連中はまたもや活発になった。だが、そこで、“党と政府政策 ”を反映していない、あらゆることで国家を攻撃することが始まったのだ。  そして、たまたま、ロシアには、主にリベラル・ジャーナリストを雇用する多数の“愛国的”刊行物が存在することになった。えも言われぬ光景だ。これらのジャーナリストは(彼らが読んでもいないレーニンの思想に厳密に従って)自分たちの主要課題は、“彼らの連中”つまり、ネムツォフ、ナワリヌイ等々、リベラル資本家を支援し、“残虐なケー・ジー・ビー”を傷つけることだと考えているのだ! 彼らは政府政策をできる限り宣伝し、そこでプーチン個人を利用して、国民を適切にいらだたせるのだ。これが、リベラル勢力の政策による結果というだけでなく、こうしたこと全てを奨励する閣僚連中や法執行機関幹部をその職につけた大統領の明確な過ちであることを説明するのに、毎回、何か非常に不快な話題を報じることが必要だ(総合病院や診療所に行く途中で、いかに老人男性が亡くなっているか、大家族から子供たちが、いかに奪い去られているか、幹部や司祭が、妊婦および/あるいは幼い子供を、連中の粋な自動車で、いかにはねているか)。

 驚くべきではなかろうか? これはプーチンを打倒する企みで、しかもそれを(偽)愛国マスコミが報じているのだ。プーチン本人はどうなのだろう? 彼はなぜ対策をとらないのだろう? ハジンはこう説明している。

    そもそも、もしこの“アウゲイアス王の牛小屋”掃除を始めれば、連中がその特権を決して自発的に手放すことはないので血を流す羽目になることを理解しているのだから、もちろん大統領は悪い。だが最も重要で、これが本質なのだが、現在、リベラル・ロシア・エリートは、プーチン排除という政治課題を設定しているのだ。連中が一体なぜこうすることに決めたのかは興味深い疑問だ。もしプーチン本人やリベラルが皆根っから同じなら、この課題は愚劣で無意味だ。明らかに自殺行為だ。だが、もし彼がリベラルでなければ(政治的リベラルではないというのが、おそらく正しかろう)、もちろん、この活動は道理にかなっている。だが同時に、もっぱらプロパガンダ目的から - 国民はリベラルを憎悪しているので、政治的リベラルというレッテルを彼に貼り付けることが必要になる。

ここで、全てをまとめて全容を明らかにしよう。政府内部に欧米寄りの(実際は、欧米が支配する)派閥が存在しており、(圧倒的多数が“リベラル”経済政策に反対し、リベラル・ロシア人エリートを軽蔑している)ロシア大衆に不人気にして 明らかに彼が好んではいないリベラル経済政策を常に彼のせいにして (2005年に、そのような政策には断固反対であることを彼は明言している)プーチン打倒を企んでいる連中に、彼らが資金を供給しているが、いわゆる“愛国的マスコミ”はそういうことを全て隠蔽している。しかもプーチンは、血を流すことなしには、これを変えることができないのだ。

 だが議論のために、プーチンは実際、内心リベラルで、彼は“ワシントン・コンセンサス”風の経済を信じていると仮定しよう。たとえ、これが本当でも、彼は何よりも92%のロシア人が、このいわゆる“改革”に反対していることを認識すべきだ。ドミトリー・ペスコフ大統領報道官が、プーチン本人は、この計画とは無関係だと発言しても、実際には、この過程は、ロシア国民や政治運動との彼の政治的イメージを傷つけてしまう。こうした計画の直接の結果として、ロシア共産党は、このプロジェクトに対する国民投票を主張しており、“公正ロシア”党は現在、政府全体不信任の署名を集めている。明らかに、途方もない規模の政治闘争が起きつつあり、伝統的にむしろ冴えないプーチンへの国内の反対運動が(CIAが支援し、および/あるいはソロスが資金提供する、ちっぽけな“NGO”ではなく、主要な政治運動や政党について私は話している)が、今や遥かに断固とした形の反対派へと変身しつつある。約一カ月前こう書いて、私はそれを予言していた

    “新たな形のロシア反政府派が、ゆっくりと形成されつつあるのは明らかに見える。そう、実際それは常に存在していた - プーチンとロシア外交政策を支持し、メドベージェフやロシア内政に不満な人々について私は語っているのだが。今や、帝国に対するプーチンの姿勢が穏健すぎると言う人々の声は強まるばかりだ。クレムリン内部の甚だしい度合いの身内びいきや寵遇(またしても、元スポーツ大臣ムトコは絶好の例だ)について語る意見と同様に。過激な親欧米リベラルが、そういう非難をしても、その影響力はごく僅かだが、愛国的で、国粋主義の政治家(例えばニコライ・スタリコフ)によって非難されると、全く異次元の規模になる。例えば、宮廷道化師ジリノフスキーと、彼の自由民主党はメドベージェフを忠実に支持しているが、共産党と公正ロシア党は違う。クドリンやメドベージェフのような連中を巡る緊張が何らかの形で解決されない限り(あるいはtimely scandal?)、ロシア国内で、帝国によって動かされているものではなく、本当の反政府運動の拡大を目にすることになる可能性がある。もしプーチンの個人的支持率が低下し始めたら、そのような本当の反政府派の出現に対応するために、彼は一体何をするべきなのかを考えるのは興味深いことだ”

 クレムリン内に、本当の第五列問題があるのを頑迷に否定する連中は、こうした“リベラル”の行動おかげで、メドベージェフ政権の政策に反対するほど、プーチン本人に反対ではない、愛国的な反対派が、次第に出現しつつあることに気がついた際、耳の痛い警鐘を受けることになろう。なぜプーチンに反対しないのだろう?

 大半のロシア人が、本能的に一体何が起きているか感じており、反プーチンの力が機能しているということだけでなく、この状況が、いかにして、なぜ作り出されたのかも理解しているからだ。しかも大半の欧米人とは違って、大半のロシア人は、非常に重要な形成期の1990年代に、一体何が起きたのかを覚えている。

 問題の歴史的根源(極めて大まかな要約)

 これはすべて、ソ連エリートが、自分たちが状況を制御できなくなっていて、何かなすべきであることに気がついた1980年代末に始まった。連中がしたことを要約すれば、こうしたエリート連中は、まず国を、こうしたソ連エリートが構成する一団/党派が支配する15の個別領地に分け、それから連中は、あらゆる価値あるものを情け容赦なく強奪し、一晩にして億万長者になり、連中の財産を欧米に隠したのだ。完全に破壊された国で、信じられないほど裕福になったことで、連中は国のあらゆる資源を更に搾取し、奪い取る、途方もない政治権力と影響力を得た。ロシア自身(と他の14の旧ソ連共和国)は本格的な戦争にも等しい言い表せないほどの悪夢に苦しみ、1990年までに、ロシアは、より多くの小さな断片(チェチェン、タタールスタン等)に分裂した。それまでに、ロシアは、無数のアメリカ人‘顧問’(現在のウクライナ同様に、彼らの何百人もが、多くの主要省庁や様々な国家機関内部に事務所を構えた)が勧める全ての経済政策を従順に実行し、ロシアは親米分子が草稿を書いた憲法を採択し、国家のあらゆる重要な地位は、欧米の手先としか呼びようがない連中に占拠された。一番上のエリツィン大統領は大半飲んだくれており、国は7人の銀行家、いわゆる“オリガルヒ” (うち6人がユダヤ人)によって動かされていた。“セミ・バンキルシチナ”だ。

 この時点で、極めて位が低く、(極めてリベラルな)サンクト・ペテルブルク市長(アナトリー・サプチャーク)のために働いたプーチンは、秩序の見かけこそ回復するが、オリガルヒにとって、本当の脅威にはならない下級官僚に過ぎないと、こうしたオリガルヒ連中に思い込ませるのにロシア治安機関がまんまと成功したのだ。この策略は機能したが、実業界支配エリートは、自分たちの権益を維持するため、“連中の”人物、メドベージェフを、政権支配者にするよう要求したのだ。オリガルヒは、二つの点を見過ごしていた。プーチンは実際(対外諜報機関)KGBのソ連国家保安委員会第1総局超エリートで、才気ある将校で、本物の愛国者だ。しかも、エリツィン政権を支持するべく成立した憲法を、今やプーチンが利用できるのだ。だか何にも増して、サイズの合わない背広を来た小柄な男が世界で最も人気ある指導者の一人に変身するだろうとは、彼らは想像できなかった。私が何度も書いている通り、プーチンの当初の権力基盤は治安機関と軍隊で、彼の法的権威は、憲法に由来するが、彼の *本当の*権力は、極めて長い歴史の中で、初めて、本当に自分たちの利益を代表する人物が最高指導者だと感じたロシア国民から、彼が得ている計り知れない支持に由来している。

 そこで、プーチンは、ドナルド・トランプがホワイト・ハウス入りするやいなや出来ていたはずのことを実行したのだ。彼は大掃除をしたのだ。彼はすぐさま、オリガルヒ対策を始め、セミ・バンキルシチナ支配を終わらせ、ロシアからのお金と資源膨大な流出を止めた。更に、“垂直的権力”(国に対するクレムリンの支配)再構築を進め、ロシア丸ごと、基盤(地域)から再構築を始めた。だがプーチンは大いに成功しているとは言え、全ての戦線で同時に戦って、勝利することはできない。

 率直に言って、彼は実際、戦うと決めた大半の戦闘で勝利しているが、勇気や意志が欠如しているためではく、極めて危険な敵連中が完全に支配している極端に酷い体制をプーチンが受け継いだという客観的現実ゆえに、戦うことができない戦闘もあるのだ。上述のハジンの言葉を想起願いたい。“もし彼がこの“アウゲイアス王の牛小屋”清掃を始めたら、彼らは特権を決して進んで手放さないのだから、彼は流血が避けられなくなるだろう”。それで典型的なプーチン手法で、彼はいくつもの取り引きをまとめている。

 例えば、ロシア政治への介入を止め、今後は納税し、基本的に法に従うことに同意したオリガルヒ連中は、投獄されたり、没収されたりしなかった。警告のメッセージを理解した連中は、普通の実業家(オレグ・デリパスカ)として活動することを許され、理解しなかった連中は、投獄されるか亡命した(ホドロフスキー、ベレゾフスキー)。だが、こうした有名で、悪名高いオリガルヒより下の水準を見ると、遥かに深い“沼地”(アメリカの表現を利用すれば)がある。1990年代にその財産をなした階級の連中全員、現在極めて影響力があり、経済、金融界や、実業界で大半の主要な地位を支配し、プーチンを徹底的に憎悪し、恐れている。連中お好みの兵器は、もちろん賄賂と影響力なので、軍隊や治安機関内部にも、連中の手先はいる。そして、もちろん彼らは、ロシア政府内に、連中の権益を代表する連中を擁している。まさにメドベージェフ政権の“経済圏連中”丸ごとだ。

 これら連中には、いわゆる“親ロシア”あるいは“愛国的”マスコミを含め、ロシア・マスコミ内に、お雇いの代理人がいても、驚くべきことなどあるだろうか? (私は少なくとも2015年以来、これを警告してきた)

 欧米でと同様、ロシアでも、マスコミは、何よりもまず、金がたよりだ。巨大金融権益は連中の狙いを推進するのに、ある種の話題を隠したり、見えにくくしたりする一方で、違う話題を推進し、マスコミを活用するのが極めて巧妙だ。ロシア・マスコミは、WTO/WB/IMF/その他の政策を徹底的に支持するのに、決して、イスラエルや、主流TVの猛烈な親イスラエル宣伝屋(ウラジーミル・ソロヴィエフ、エフゲニー・サタノフスキー、ヤコフ・ケドミ、アヴィグドール・エスキンその他の連中)を批判しない理由はこれだ。イランやヒズボラは喜んで批判しながら、決してロシアの主要TV局が毎日のように親イスラエル・プロパガンダを吐き出しているのなぜかと疑うことはしない全く同じマスコミなのだ。

 そして、もちろん連中はひたすらお経のように同じ呪文を繰り返している。“ロシアには第五列はいない!! 一人も!! 決して!!”

 これは“陰の政府”やアメリカ “イスラエル・ロビー”の存在を否定しているアメリカの金で買われた商業マスコミと全く変わらない。

 それでも、アメリカとロシアの多くの(大半の?)人々は、ほとんど心の底で、自分たちがだまされていて、実際には敵対勢力が自分たちを支配しているのを理解している。

 プーチンの選択肢と、あり得る結果

 悲しいかな、アメリカでは、ネオコンと連中の要求に完全に屈伏し、トランプは大惨事であることが明らかになっている。ロシアでは状況は遥かに複雑だ。これまでのところ、プーチンは大西洋統合主義者と関わり合うのを極めて巧妙に避けている。しかも過去10年ほどの間、大きな危機は全て外交政策問題に関連しており、そうした問題は依然ユーラシア主権主義者たちが支配している。最後に、ロシア政府は明らかに、いくつか間違いをしたり、いくつか不人気な政策を推進したり(例えば医療改革など)したが、否定できない成功もなし遂げている。プーチンについて言えば、彼は権限を強化し続けており、最も悪名高い人々の一部を権力の座から次第に排除している。理論的に、プーチンは、大西洋統合主義者最大の大物を賄賂のかどで逮捕させることは可能だろうが大規模で残虐な粛清はするまい。巨大であるのみならず、強力な社会階級丸ごと一掃することは出来ないのだ。

 ロシア国内の私の知人には、選挙直後の大西洋統合主義者粛清を予想していたひともいた。そこでの論理は“もうたくさん”で、プーチンは、国民から強い信任を勝ち取ったのだから、彼は、ようやくメドベージェフと彼の一味をクレムリンから追い出し、彼らを国民に人気のある愛国者たちで置き換えられるというものだ。それは、あきらかに起きなかった。だが、もしこの年金改革計画が進展し続ければ、抗議行動を引き起こすか、あるいは中東やウクライナで大規模な戦争が勃発すれば、クレムリン内の親欧米勢力は大きな圧力を受け、国の支配を、更にユーラシア主権主義者に譲り渡すことになろう。

 プーチンは極めて忍耐強い人物で、少なくとも、これまでのところ、彼は、全てではないにせよ、大半の戦闘で勝利してきた。事態が一体どのよう展開するかは誰も予言できまいと思うが、内部の紛争や権力を目指して戦っている権益集団を配慮せずに、ロシアを理解しようとするのが無駄なことだけは確実だ。1000年にもおよぶロシアの長い歴史の上で、内部の敵は、ロシアにとって、常に外部の敵より遥かに危険だった。これは将来も変わりそうにない。

The Saker

記事原文のurl:https://thesaker.is/no-5th-column-in-the-kremlin-think-again/

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「政権内に第五列もいる国」と
「政権が第五列である国」は違う。

第五列は、先手先手で、国民生活を破壊する。

大量死刑の前に、未曾有の降雨被害の前に、先手先手で宴会を開く。

戦争で武器を売って儲けるのは、大量の死傷者が前提。
特区で宗主国資本家がカジノで儲けるのは、大量の客を負けさせるのが前提。
大企業が残業代支払い不要になるのは、過労死推進が前提。

いくらお経を唱えても、構造上、ギャンブラーはカジノに負ける仕組みだ。カジノが儲かりますようにと、お経を唱えるのだろうか。仏罰が怖くはないのだろうか。

人の不幸を前提にする事業のための、あらゆる先手先手が推進されても大本営広報部は伝えない。

青年劇場の芝居『宣伝』を見た。

ラジオから聞こえてくるのは、勇ましい進軍ラッパと「突っ込め!!」の声。
陸軍省主催のラジオドラマに感激ひとしおの市井の人々。
好評に気を良くした陸軍大佐の後押しでドラマが舞台化されることになり、作家は戦地で盲目になった元兵士を訪ねるが…。

1929年の作品
高田保作。
大谷賢治郎演出。氏は1972年生まれ!

当時、これが書かれ、上演されたというのは驚異的。
さすがに題名は、『宣伝』ではなく、『作家対作家』だったという。
軍のプロパガンダを伝える作家と、
廃兵の真実の声を伝える作家と。

もちろん、プロパガンダ作家が勝利し、真実の声を伝える作家が破れた。

プロパガンダは、当時もっぱら、ラジオ(と新聞)によっていたが
プロパガンダは、現在もっぱら、テレビ(と新聞)によっている。

真実を発言する方々が決して登場しない仕組みになっているのは昔も今も変わらない。

植草一秀の『知られざる真実』2018年7月10日 (火) 記事
共産党と連携する野党第一党を創設する

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