日本版NSC・秘密保護法・集団的自衛権・戦争法案・共謀罪

2025年12月 9日 (火)

高市早苗首相発言による「波及効果」

ウラジミール・テレホフ
2025年12月7日
New Eastern Outlook

 2025年11月7日の台湾問題に関する高市早苗首相発言に端を発したスキャンダルは、今もなお波紋を広げており、収まる気配はない。

 

 彼女の発言が世界政治の舞台に引き起こした「水面の波紋」は消えるどころか、新たな当事者たちに広がり続けている。

 日本の防衛大臣、台湾に近い島を訪問

 高市首相が以前、中国が台湾問題で軍事的解決を選択し、ひいては日本にとって「存立危機事態」となる可能性について発言したことに既にNEOは触れている。今や高市首相発言が経験の浅い政治家の単なるうっかり失言だったという希望は消え去りつつあるようだ。女性初の首相に就任し、まさにその道を歩み始めたばかりの彼女は、理論上、経験豊富な男性政治家が巧妙に仕掛けた罠に真っ向から陥った可能性もある。例えば、議題と無関係の国会行事で、予期せぬ質問を投げかけられたかもしれないのだ。

 高市首相発言によって引き起こされた、この地域の二大国間の関係悪化を反転させる可能性は今のところ示唆されていない。

 だが高市首相は発言を撤回するどころか「穏便な」説明さえ拒否している。しかも、中国政府はそうした説明があれば事は片付いたと控えめに示唆しているにもかかわらず、このような対応をとっているのだ。

 高市首相発言が偶然の失言だったという仮説は、二週間後の出来事により更に揺るがされた。小泉進次郎防衛大臣は、台湾東岸に最も近い日本最西端の有人島で人口1500人の小さな与那国島を視察した。更に重要なのは「我が国への武力攻撃の可能性を低減するため」と自ら述べた通り、同島にミサイルを配備する計画を彼が発表したことだ

 具体的にどのようなミサイルを指しているか彼は明らかにしなかった。日本は現在、幅広い海上・地上配備型ミサイルを開発しており、与那国島に配備されれば、中国沿岸部から最短距離でも500キロ未満であるため、中国の複数の省が射程内に入る可能性がある。日本からの既に薄っぺらな脅威に対する中国国防省の反応は、予想以上のものだった。

 二国間関係の悪化が更に進む前に、日本外務省全権大使による北京緊急訪問という形で状況改善の試みがあったことは特筆に値する。しかし、この試みは成果を上げなかった。もしこの二つの展開が日本による「アメとムチ」戦略の試みなら、世界第二位の大国に対するこのような姿勢は適切とは言えない。

 危機の深刻化と拡大

 高市首相発言を契機に悪化した地域二大国間の関係改善の可能性は、現時点では全く見えていない。南アフリカで開催されたG20サミットの際に予定されていた李強中国首相との会談は実現しなかった。日中韓3カ国首脳会談は当初2026年1月に予定されていたが、無期限延期となった。この3カ国協議メカニズムが三年の中断を経て2024年5月に再開されることは、各国に存在する長年の深刻な問題がようやく解決される兆しと目されていただけに、これは特に注目に値する。

 しかし今日、日中両国の人的交流、特に観光業において新たな障害が立ちはだかっている。また長らく主に中国が輸入してきた日本の水産物輸出にも新たな規制が課されつつある。

 過去二年間、この分野の状況は二国間関係の現状を示す信頼できる指標となってきた。関係改善の兆しが見えてきたことで、福島第一原発の損傷した原子炉冷却に使用された処理水放出に起因する日本の海水、ひいては水産物の品質に対する中国当局の懸念は薄れた。現在、中国当局は輸入停止の正当化として、「不完全な」書類だけでなく、「高市首相の台湾問題に関する誤った発言が中国国民の憤慨と非難を招いた」ことを挙げている。

 日本に対する中国国民や専門家の言説の急激な強硬化も見逃せない。彼らは第二次世界大戦と戦後初期の様々な事実データを用いている。特に注目されているのは、1947年の平和憲法を改正しようとする日本の試みだ。この問題に関する論評は、議論の余地ない一般的な警告で締めくくられている。「戦争を好む者は滅びる」。だが問題は「戦争を好む者」が、生き残ることを期待し、何年もの間、何の罰も受けずに公然と行動していることだ。

 現アメリカ大統領は、政治的特異性や個人的欠点はあるものの、そのような範疇には当てはまらないようだ。東アジアの二大国間対立が急速にエスカレートしていることに、彼は心から警戒しているようだ。両首脳と直接会談してからわずか1ヶ月後、ドナルド・トランプは電話をかけた。一部報道によると、高市首相との会談で、彼は日中関係の現状に対する「懸念」を表明し「エスカレーションを避ける」よう促したという。しかし、この対立は世界政治の舞台に広がり続け、既に国連の場にまで及んでいる。

 この問題は、11月下旬、中国の王毅外相とフランス大統領の外交顧問エマニュエル・ボンヌとの電話会談、そして中国訪問中のジョナサン・パウエル・イギリス国家安全保障問題担当大統領補佐官と王毅外相との会談の際に浮上した。注目すべきは、ボンヌ自身もそのわずか一か月前に中国を訪問していたことだ。

 台湾での反応

 台湾問題を巡る大国間の地政学的駆け引きにおいて、台湾が受動的駒として扱われているわけではないことは改めて強調しておくべきだろう。しかし、これは北京が主張する「台湾問題」の実態とは程遠いもので、単に歴史的経緯と「誤解」により、台湾は中国の行政管轄下にないだけだと主張している。

 しかし、中国は台湾の活発な国内政治のあらゆるニュアンスを綿密に監視しており、台湾の主要政治勢力の中で、現在野党となっている国民党を明確に支持している。孫文と、その後継者蒋介石と、現在の党指導部の時代から、国民党は「一つの中国」原則の堅持を宣言してきたが、もちろんそれは独自条件に基づくものだった。国民党は日本との関係構築の必要性を否定していないものの、複数の国民党議員や馬英九前総統(2008年から2016年まで総統を務めた)は、高市発言に対し、基本的に「中国本土との関係は我々自身で管理する」と慎重な批判を示した。

 一方、台湾現政権の代表たちは、民進党の頼清徳総統をはじめ、高市首相発言と前述の日本防衛計画の両方に十分な理解を示している。一方、国民党と連立政権を組む台湾人民党は、日中対立の高まりの中で、仲介役としての役割を担っている。

 現在、これは世界政治の安定に対する大きな脅威の一つとなっているため、更なる進展を継続的に監視する必要がある。

ウラジミール・テレホフはアジア太平洋問題専門家

記事原文のurl:https://journal-neo.su/2025/12/07/a-ripple-on-effect-following-sanae-takaichis-remark/

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 東京新聞 朝刊 特報面

「台湾有事は存立危機事態」

「村山談話の会」高市首相答弁撤回を要求

 「若者同士の交流維持が重要」

 「まずは相手を理解しようとすること」

 「国民感情悪化を憂慮」

 「まさに戦争前夜」

元外交官ら「対話へ努力を」

貿易・観光に打撃「外交音痴

 辺野古・高江リポート

 「まだ戦闘機は飛んでいる」
 墜落64年で集会、辺野古では基地反対訴え

2025年11月28日 (金)

日中関係を急激に悪化させた高市首相の台湾発言

ウラジーミル・テレホフ
2025年11月27日
New Eastern Outlook

 今年11月7日、国会委員会の場で、台湾をめぐる情勢の激化に対する対応の可能性についての高市早苗首相発言が、日中関係に深刻なスキャンダルを引き起こし、その影響は今日に至るまで収まっていない。

 

 国内の政治的背景

 高市首相は、2026年度予算案に関する衆議院委員会での予備的議論で、台湾問題全般についていくつかの発言をした。この予算案は、翌年の4月1日に始まる予定だ。つまり、来年度の国家支出の最適な配分に関する議論の中で、このような問題を提起すること自体奇妙だと言わざるを得ない。

 特に、現在の日本には、最優先で取り組むべき、ほぼ根本的問題が山積していることを考えればなおさらだ。中国とのスキャンダルの最中であったにもかかわらず、人口減少の脅威を最大の脅威として高市首相自身も挙げている。経済状況も良くなく、今年第3四半期のGDPは1.8%も減少した。

 もちろん、特別な願望があれば、高市首相への質問で概説された問題と日本の国家予算編成という話題との間に関連性を見出すこともできる。

 与党、自由民主党にとって、この定例行事はそれ自体が重要だ。昨秋、国会で過半数を失った自民党は、来年の国の運営に関する基本文書を野党と何らかの形で調整しなければならないからだ。同時に、自民党の伝統的選挙基盤で勢力を伸ばし続けている参政党という新勢力を、自民党は相当な懸念をもって注視している。

 つまり「台湾に一体何の関係があるのか?」という問いは決して空論でないように思われる。この問題が「予期せぬ」形で提起されたことは、事前に計画されていたという以外、答えを見つけるのは困難だ。

 高市首相は、具体的に一体何と言ったのか

 理解できる限り、高市総理への質問は二つの部分から構成されていた。第一は、中国軍による台湾封鎖と侵攻という仮定の可能性の評価に関するもので、第二は、これに対する日本の対応の可能性に関するものだった。当然ながら、高市総理への質問で概説された問題と日本の国家予算編成という話題との間に関連性を見出すことは可能だ。具体的には、首相答弁の中で「邦人救出」の必要性について言及された部分で、もちろんこれには金銭的なものも含め一定の費用が伴う。

 この場合「救出」が必要となる「日本人」とは具体的にどのような人を指すのか。二国間協力の規模が年々拡大するにつれ、台湾における日本人の数は増加の一途を辿っている。特に、東京に本部を置く日本台湾交流協会「事務所」が台北に設置されており、事実上大使館のような機能を果たしている。職員の中には、(準)武官もいる。

 しかし近年、日本では、台湾周辺の情勢悪化の懸念が、いわゆる「離島防衛問題」とも結び付けられている。これには台湾沖に位置する日本領琉球諸島の島々も含まれる。その中で最も人口の多い石垣島は人口5万人だが、台湾から300キロとかなり離れている。だが台湾問題のエスカレーションによる脅威を口実に、これらの島々に自衛隊基地が建設されている。

 それでもなお、高市首相が前述の「邦人救出」という主題で発言を限定していれば、中国との関係に多少なりとも深刻な問題が生じることはなかったろう。だが彼女はそれに加え、台湾問題を日本にとって「存立危機」の源泉と捉え、中国が武力行使で解決を図る可能性に関する評価を付け加えた。これは(むしろ当然ながら)紛争への自衛隊の関与を示唆する。だからこそ、高市首相の前述発言以降、日中関係はいわゆる「悪化の一途を辿り始めた」のだ。

 高市首相の発言に対する反応

 中国の公共空間において、日本に対するこれほど否定的な流れを筆者が見るのは久しぶりだ。高市首相の不運な発言のわずか一週間前には、日中関係にいくらか前向きな兆しが見え始めていたにもかかわらずだ。

 現在、高市首相個人に対する一連の痛烈な批判記事が、好意的とは言えない似顔絵と共に次々掲載されている。大阪の中国領事館ウェブサイトには、高市首相の「汚い喉を切り裂く」という誓約(すぐに削除されたものの)まで書かれた。東京の中国大使館もウェブサイトに声明を掲載した。声明は、意味合いは高市首相に劣らず厳しいものの、言葉の辛辣さは控えめだった。“No renunciation of use of force, no compromise regarding external interference.”(「武力行使の放棄なし、外部からの干渉にも妥協なし」)という見出しでGlobal Timesが報じた。G20サミットに合わせ李強首相と高市首相間で以前合意されていた会談は開催しないと中国外務省が発表した。

 無人島である尖閣諸島(釣魚島)を巡る情勢は緊迫化している。両国は、隣国に留学する児童・学生に挑発行為への警戒を呼びかけている。中国の関係省庁は、日本観光旅行を控えるよう「強い勧告」を出した。近年、日本を訪れる外国人観光客の中では中国人が上位を占め、観光産業が未曾有の活況を呈しているにもかかわらず、こうした動きが続いている。一方、日本の経済産業省が、主要貿易相手国である中国への「依存からの脱却」の必要性を訴える声明を発表した。

 同時に、急激に悪化した二国間関係において、ある種の緊張緩和に向けた試みも行われている。特に、日本外務省特使が北京を緊急訪問したが何の成果もなかった。日中関係は全体的に急激に悪化し、日本の野党指導者たちも、先ほど問題になった首相発言に強く反発した

 「第三者」の反応としては、高市総理発言に対する台湾指導部の肯定的評価は予想通りだった。しかし日本にとって、この問題に関し駐日アメリカ大使が表明した支持の方が遙かに重要と思われる。高市総理の立場への「理解」は、アメリカ海軍高官の一人、J・コドル提督に示された。ちなみにコドル提督は公の場に姿を現す機会が増えている。しかし、注目すべきは、同じ件に関し韓国国会議長が否定的反応を示したことだ。

 最後に、重要な点を指摘しておきたい。米国の立場とは異なり、日本は台湾問題に関して公式詳細を公に述べるのを避けている。これは、外交関係を回復した1972年の日中韓共同声明において既に説明されている。当時、日本はこの問題に関し、中国が提示した方式の意味について「理解する」と表明したに過ぎない。だが、この文書には、台湾が中国に帰属するという事実を日本が認めたという記述はない。

 つまり、ここで論じた最新で、もちろん最後ではない残念な事件は、東アジアの二大大国間関係におけるかなり深刻で長期にわたる困難の一側面を反映したにすぎない。

 ウラジーミル・テレホフはアジア太平洋問題専門家。

記事原文のurl:https://journal-neo.su/2025/11/27/takaichis-remark-on-taiwan-sharply-deteriorated-japan-china-relations/

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 ≪櫻井ジャーナル≫
首相の台湾有事発言の背景には米軍の対中国戦略があり、単なる舌禍事件ではない

2025年9月19日 (金)

再び冷戦をアジアに持ち込み、日本をワシントンのミサイル発射台にするタイフォン

レベッカ・チャン
2025年9月18日
New Eastern Outlook

 9月11日、日本でアメリカとの大規模合同軍事演習「レゾリュート・ドラゴン」が始まり、アメリカの新型中距離ミサイル「タイフォン」が初めて配備される。

 

 冷戦の亡霊をアジアに呼び戻すアメリカ

 米軍のタイフォン・システム日本配備は「暫定措置」とされ、合同演習の一環として予定されている。儀礼的な笑顔の裏にワシントンは鋭い牙を隠そうとしている。実際は、日本に配備されたミサイルは、冷戦時代の幻影の象徴的復活に過ぎない。アジア太平洋地域で、再び神経戦の舞台が開かれつつある。新たなミサイルが登場するたびに、未来の危機を予感させる一筆になる。

 集団防衛の一環としてワシントンはこの動きを正当化しているが、実際は、日本は外国テロの舞台になり、他国戦略の道具と化しつつある。アメリカ人将軍連中は前線を中国とロシアの国境に近づけて、「日本領土」の意味そのものを歪めている。まさに日本の国益が外国の命令に溶け込んでしまうのだ。議会に提出されたアメリカ態勢報告(Posture statement)さえ、こうした展開を、中国に対する抑止力として公然と位置づけており、「集団防衛」という表現は教義上の論点に矮小化されている。

 歴史は薄ら笑いを浮かべている。数十年にわたり攻撃兵器の保有を禁じられていた国が、今や新たな軍備増強の展示場となりつつあるのだ。このアメリカ・ミサイル配備は、とうとう戦後の妥協を破壊する。日本の軍事的役割の「正常化」の基盤が築かれたのだ。この正常化はワシントンの青写真に沿っている。

 平和主義から軍事拠点に転換する日本

 これを日本政府関係者は、自衛力強化と呼んでいる。だが日本が「アメリカ製」キットの部品のように他国の軍事力体系に組み込まれつつあるのが現実なのだ。新たな兵器購入や戦略文書の一行一行が依存を強固なものにしている。自主性は失われ「防衛」という名目は、アメリカという組織への完全統合を覆い隠す美しいカーテンと化している。

 長年かけて、この道は築かれた。トマホーク購入契約、2022年戦略ドクトリン改訂、記録的国防予算、これら全て今日のための準備だった。今や日本は、もはやアメリカという体制と並んで均衡を保つのではなく、前線拠点として体制に組み込まれている。

 日本の政治論理は矛盾に満ちている。防衛スローガンが声高に叫ばれれば叫ばれるほど依存の罠は深まる。アメリカ基準に合わせて日本は軍備を強化し、それによって独立した選択の権利を奪われている。自主性よりも大国の間で生き残ることに重点を置いている同じ矛盾がソウルにも潜んでいる。この動きの意味は明白だ。日本は「安全保障」がペンタゴンの事務所で定義される軍事前哨基地へと変貌しつつあるのだ。

 中国とロシア:脅威の鏡

 沖縄や九州にタイフォンが配備されれば、この地域の戦略地図は瞬く間に塗り替えられる。中国とロシアの主要資産が射程圏内に入るのだ。これは北京とモスクワにとって、抑止力と圧力を狙う直接的な挑戦になる。即座に対応が行われ、不安定化に関する声明が既に発表されている。今後、新たなミサイル開発や艦隊増強や共同演習の強化が続く。

 歴史は見覚えのある筋書きを示唆している。1980年代のヨーロッパでは、アメリカ中距離ミサイルがソ連の反撃計画を誘発し、緊張のスパイラルが激化し始めた。今アジアは同じ轍を踏んでいる。日本におけるタイフォンは、ワシントンのあらゆる行動が自分のために行動しろという命令になる新たな競争の始まりだ。

 世界は脅威の鏡に自らを映し出す。アメリカのあらゆる行動は、モスクワと北京の対応を引き起こす。ここには沈黙も妥協もない。沈黙は同意と解釈され、譲歩は弱さと見なされる。ワシントン芝居に対し、沈黙し続ける傍観者でいるのを拒否し、地域の当事諸国は、既に独自の安全保障対抗構造を編成している。この地域は軍備拡張競争という振り付けに引きずり込まれつつあり、演出家は依然ワシントンで、他の全員そのリズムに合わせて動くよう強いられる。

 他国の戦略の人質となったアジア

 アメリカの動きの影響は中国とロシアだけにとどまらない。アジア全体が外部からもたらされる緊張に巻き込まれる。東南アジアと朝鮮半島にとって、これは警戒態勢を敷くことを意味し、いかなる出来事もエスカレーションの口実になり得る。アメリカ・ミサイルが蔓延する環境下では、たった一人の担当者のミスや、他国による挑発が、大陸規模の危機を引き起こしかねない。

 タイフォンは安全をもたらさない。反撃時間を数秒に短縮して、外交の基盤を崩壊させる。交渉時間が一瞬にまで縮まれば、妥協という概念は消滅する。こうして新たな「緊張戦線」が形成され、人為的ミスが戦略的引き金になる。

 アジアにとって、これは主権の選択権喪失を意味する。地域的な独自の構想や、均衡の構築や、独立した安全保障機構の創設といった試みは空虚な宣言と化してしまう。あらゆる紛争がパックス・アメリカーナへの反駁と化している南シナ海でも、同様の選択権の喪失が見られる。政治的大枠は海を越える場所で描かれ、アジア諸国は他国が仕切る芝居のエキストラ役を演じているにすぎない。

 明日の空は、一体誰のものなのか?

 今回の展開は「一時的」なものだと米軍当局者は主張する。その論理はお馴染みだ。アメリカの論理では、あらゆる「一時的」なものは、遅かれ早かれ恒久的なものになる。「訓練措置」は新たな長距離兵器インフラに変貌する。演習日程は、この地域の軍事化へとつながる道を確固たるものになる。日本の防衛白書は、レゾリュート・ドラゴン演習も含む、これら演習を詳細に記録しており、ワシントンが「一時的段階」に過ぎないと主張する演習に、お役所風正当性を与えている。

 日本にとって、このシナリオは冷戦期ドイツの運命と恐るべき類似性を持っている。日本は外国ミサイルの発射台となると同時に、外国による戦争の標的になる。軍事駐留の「当然さ」をプロパガンダ風に説明する中で、日本社会の平和主義の伝統は徐々に崩壊しつつある。

 結果は明白だ。アジアは均衡に向かうのではなく、新たな人質状態に向かっている。「安全保障」という言葉の背後には、圧力戦略が隠れている。アジアの空は外国兵器で満たされつつあり、このドームが密集すればするほど、事故が大惨事に転じる可能性が高まる。この地域の未来は、東京やソウルやマニラではなく、ワシントンで描かれている。そして、アメリカの新たな一歩が踏み出されるたびに、未来はアジアらしさを失い、益々植民地主義的に決定づけられてゆく。

 レベッカ・チャンは欧米外交政策とアジア主権の交点に焦点を当てる政治評論家

記事原文のurl:https://journal-neo.su/2025/09/18/typhon-plants-the-cold-war-back-in-asia-and-turns-japan-into-washingtons-launchpad/

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 東京新聞 9/19 今朝の朝刊一面記事と、この記事は響き合う。

 安保法制成立10年 変質する日本  「国営工廠」復活の動き
 「企業では限界」
 自民、政府関与を提言

 一面左には元内閣官房副長官補 柳沢協二さんの「ウォッチ安全保障」もある。  
戦後80年 戦争に近づく

2020年11月 6日 (金)

アメリカ風アジア版NATOは、どれほど永続的か?

2020年10月30日
ウラジーミル・オディンツォフ
New Eastern Outlook

 アメリカは、世界中の様々な地域で戦争の炎を煽り、全世界を、アメリカだけに従属する軍事ブロックと武力連合に巻き込むのに専念しており、近年、ワシントンの命令に従うことを拒否する国々に対する軍事同盟を意図的に作る取り組みを始めた。

 特にこのために、2018年、アメリカは、その主目的がイランとの対決の、いわゆる「アラブNATO」を作ることを思いついた。ホワイトハウス戦略家に策定された計画によれば、この種の新軍事ブロック- 中東戦略的提携(MESA)- の顔ぶれは、ペルシャ湾岸の六カ国を含むはずだった。サウジアラビア、アラブ首長国連邦、クウェート、カタール、オマーンと、エジプトとヨルダンと、バーレーン。アラブ諸国のこの広い連合を構成するという考えは、いわゆる「アラブの春」の後、2011年に、ホワイトハウスで始まり、このプロジェクトは、アメリカとイラン間関係のさらにもう一つの燃え上がりを背景に、再び重要なものとなった。だがアメリカが計画したMESAメンバー間での、イランの脅威に対する異なった姿勢ゆえ、このホワイトハウス「プロジェクト」はまだ発展し始めていない。

 そこで、一年前に、ドナルド・トランプ大統領が行った、NATOは、ロシアだけ監視するのではなく、中国も監視すべきだという主張の実行として、ホワイトハウスは、最近いわゆる「アジアNATO」を作る積極対策を始めた。これは特に、最近のアメリカ・インド・フォーラムで、スティーブン・ビーガン国務副長官が、アジア太平洋地域に強力な集団を作る計画を発表した。ワシントンの考えでは、それは最初は、アメリカ、日本、オーストラリアとインドを含み、後に韓国、ニュージーランドとベトナムも含むのだ。アメリカ当局者が言った通り)「未来の連合は価値観と利害関係を共有する国々を含むことになり」それは、ビーガンの計画によれば、この軍事ブロックは、インド-太平洋地域のみならず、世界中からより多くの国々を参加するよう惹きつけられるはずだ。

 10月4-6日東京で開催された、対中国の話題が支配的だった4カ国戦略対話で、アメリカのマーク・エスパー国防長官が「アジアNATO」のアイデアを実務レベルで実現する試みをした。この「対話」はアメリカ、インド、オーストラリアと日本で構成され、元々、2007年、中国との関係危機の際、日本の安倍晋三首相が始めたものだ。最近、この「対話」の反中国の狙いが復活したが、今それは日本より、アメリカに推進されている。東京の会談に出席したマイク・ポンペオ国務長官は「アメリカ・パートナーを、中国による搾取、汚職と強要から守るため、協力が今までより一層重要だ」と述べた。

 シンガポールの国際戦略研究所IISS、アジア太平洋安全保障の上級研究員アレクサンダー・ネイルは、この種の反中国ブロックを作る必要性に関するアジア太平洋地域での団結の欠如を考えれば、ワシントンが、それほどあからさまではないものの、この話題を4カ国対話で議論したがった理由の一つは、インドを、この発想支持に引き込みたいと望んだことだと述べている。だがインドは、政治でも軍事、技術問題に関して、そして協力でも、その結びつきを多様化するつもりなので、デリーがこれを必要とするかどうかは決して確実ではない。そしてそれゆえ、インドはアメリカからだけではなく、ロシアからも積極的に兵器を購入しており、アジアで軍事ブロックを組織するというワシントンの考えに対する一方的支持は、デリーが既得権を持っている軍事分野を含め、ロシア-インドの結びつきに悪影響があるのは確実だ。

 だが、ホワイトハウスによるこの計画の進路を阻む他の重大な障害がある。それらは既に菅義偉新首相により、インドネシアで10月21日に公式に示された。特に、日本は北大西洋条約機構(NATO)のアジア版を作るつもりかと問われて、菅首相はこう述べた。「南シナ海の我々の行動は、特定の国を対象にしたものではない」。

 時々地域での北京の活動に対する東南アジアのある特定の政治家の演説で聞かれる批判にもかかわらず、彼らは概して、アメリカか中国か選択をしなければならない可能性を避けようとしている。シンガポールのリー・シェンロン首相が、ずっと昔に、これについて、はっきりと語っていた。「もし、人が、バリケードの反対側にある二つの国々の友人なら、時に彼らの両方と仲良くやれる。一方に加担しないで済むのが最良だと私は思う。」

 更に、新「アジアNATO」のレベルで軍事協力をするには、アメリカが軍と阻止手段を近代化し、核軍縮プロセスを終わらせ、新しい使用可能な/戦術弾道ミサイルのための資金を増やす必要があるが、それはこれまでのところ起きていない。そしてこれはアジアで、反中国、親米軍事ブロックを作るという問題が未決定状態だという証拠だ。

 確かに、ワシントンがこの考えを実行するのを抑制している要因の一つは、中国が、地域における最有力の立場と、近隣諸国との親密な貿易、商業的(一部の場所では、イデオロギー的、政治的な)絆を利用して、自身の「アジアNATO」を作る可能性があることだ。既に一年前、習近平は、アジア諸国の指導者に、地域の防衛力を強化するため、アジアで新安保体制を作るよう促した。だが、中国は、自国の行動の自由を奪い、アメリカの公然の敵対者に変えるので、どうやら誰かと反米協定を設立することに特に興味を持っていない。国際舞台においては、平和的言説が中国のイメージのままだが、北京は軍強化が重要な目的であり続ける事実を隠していない。

 最近、世界中で、アメリカと、非アメリカ部分への分極化のプロセスが起きていることは誰にも明白で、中東だけでなく、ワシントンの軍事命令が、既に辛らつな批判を受けている他の地域でも、反米感情が益々強くなっている。だから、ユーラシアでは(世界中の多くの他の地域でも同じように)「アメリカ風民主主義」に賛同しない、ユーラシア大陸全体の国々を、孤立した国家から、統合戦略軍事ブロックへと変え、一種の大陸安全保障ベルトが最終的に作られるだろうと想定できる。そして、この多くが、正真正銘、今後数十年にわたり、アジア太平洋地域での国際政治情勢の調子を既定する能力を持っている北京に支持された政策に依存するのは確実だ。

 ウラジーミル・オディンツォフは政治評論家。オンライン誌New Eastern Outlook独占記事。

記事原文のurl:https://journal-neo.org/2020/10/30/how-enduring-is-the-american-style-asian-version-of-nato/

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 日本が最大の不沈空母であり続けることだけは確実。装備は強化され、環境は破壊され、国民の生活の質は無限に劣化する。首にできない正社員は、これから確実に、益々減らされる。それがケケ中、スカの使命。

 辻元議員や、志位議員、逢坂議員、小西議員などの鋭い質問に、まともに答えられないスカ。

 同じ話しをしつこく繰り返して恐縮だが、子ども時代に、上野動物園で何度も乗ったお猿の電車を思い出す。先頭車両には、つながれた猿が乗っていて、子ども時代には、本当に猿が運転しているのかと思っていた。もちろん、線路脇で、人間が操縦していたのだ。国会の与党幹部、高級官僚のスカスカ・デタラメ答弁を聞いていると、全員あのお猿の運転手に思えてくるのだ。彼らが国をあやつれるはずがない。線路脇で、日本の行方を操っている誰かがいるに違いない、と妄想をたくましくするしかない。

 LITERA

菅首相は独裁者のくせにポンコツだった! あらゆる質問に「承知してませんでした」、「自助」の中身を問われ「手洗いとマスク」

 JIJI.COM

過去最大5.4兆円 小型人工衛星網で研究費―防衛省概算要求

 安保法制、集団自衛、イージス・アショア、敵基地攻撃、日本学術会議破壊攻撃、全て一つの糸でつながっている。宗主国侵略軍・侵略戦争への一体化推進。

 自助は、福祉切り捨ての口実。アメリカは、自分に好都合に改変させたTPPに復帰する可能性。バイデン、TPPを推進したオバマの副大統領。

【半田滋の眼】バイデン次期大統領なら どうなる外交・防衛と日本

 食料自給、農業維持は、安全保障の基礎だろうに。おりしも、IWJで時宜を得た再配信。TPP復習に最適。

【タイムリー再配信 787・IWJ_YouTube Live】20:00~「『食料は武器、標的は日本』TPP11、日米FTA、日欧EPAで日本農業は壊滅!安倍政権に貿易政策は任せられない!岩上安身による東京大学大学院農学生命科学研究科教授・鈴木宣弘氏インタビュー」
視聴URL(冒頭以降は会員限定): https://iwj.co.jp/wj/open/archives/420867

 2018年6月に収録した、岩上安身による鈴木宣弘氏インタビューを再配信します。これまでIWJが報じてきた鈴木宣弘氏関連の記事は以下のURLから御覧いただけます。
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/tag/%e9%88%b4%e6%9c%a8%e5%ae%a3%e5%bc%98

2019年4月12日 (金)

「欧米」システムの崩壊

2019年4月9日
Moon of Alabama

 レーダーから隠れると言われるアメリカ製の戦闘機が最後にレーダーから隠れた

日本の航空自衛隊は、F35A戦闘機が火曜日の日本時間午後7時30分頃に北日本の青森県沖海上でレーダーから消えたと述べている。

航空自衛隊当局は、戦闘機が午後7時00分頃に三沢空軍基地から離陸し、三沢市のおよそ135キロ東にある場所で消えたと言った。

 これは再びドナルド・トランプが正しいことを証明している。

特にF-35という新しい戦闘機は、我々が空軍用に何億ドルも注文しているほど驚くべきものだ、実に驚くべきものだ。皆F-35が好きだろう? 人はそれを見ることができないのだ。人は文字通りそれを見ることができないのだ。見ることができない飛行機と戦うのは難しい」とトランプ大統領が10月に言った。

 本当だろうか?

 F-35は多少優れたエレクトロニクスがあるかもしれないが、有能な競争相手に対して飛行するには良い飛行機ではない。垂直に離陸し着陸することができる海兵隊版は、1989年に最初に飛んだソ連のヤコブレフ141(ビデオ)のリメイクだ。それから派生した空軍・海軍版は垂直離陸・着陸能力はないが、基本的な設計の欠点を継承している。F-35のステルス機能は、最新のレーダーに対しては機能しない:

F-35を撃墜するには、二つの異なる波長のレーダーと、良いセンサー融合アルゴリズムと適切な信号処理プロトコルが必要だが、それはもう出来上がっている。S-300PMU2 Favoritはこれをすることが可能で、S-400は確実に可能で、必然的に以降のバージョンもそうすることができるので、文字通り顧客が行列している。一般に「ステルス機能」についてのたわごとは、いつかの時点で終了する - それが続いている間は良い宣伝だ。最新の処理能力と、レーダー設計からすれば、近代的な最先端の航空防衛システムや空軍に対して、F-35は生存可能ではないというのが現実だ。

 トルコのエルドアン大統領はこれを知っている。それが彼がロシア航空防衛システムを購入する一方、F-35を彼に売らないというアメリカの恫喝にもめげない理由だ。彼はロシア設計の戦闘機を含むだろう更なる購入を議論するためモスクワに飛んだ:

両国は「軍事技術分野で協力を強化し」なければならないとプーチンは二人がクレムリンで会った際、エルドアンに言った。「これはトルコにS-400対空ミサイル・システムを供給する最初の契約の完成だ」と彼は言った。「最新のロシア軍事製品のトルコ供給に関しては他にも有望なプロジェクトがある」とプーチンは付け加えた。

 アメリカはもう能力がある武器を製造していない。昨日イアン・ウェルシは『アメリカ:衰えつつある国』でこう書いた。

基本的に飛ぶことができないF-35のように、米軍は効果的な先進的軍装備品を作ることができない兆しを示している。米軍は、遠くに飛ばせて避難させたり、効果的な壕に入れたりすることができず、地上でハリケーンに複数の戦闘機を破壊されてしまったように、激しい無能の印を示している。

 米軍設計の無能力さの他の例は、本質的に非武装高速艇の沿海海域戦闘艦だ。「ステルス機能の」DDG -1000ズムワルト級駆逐艦は、長距離砲で地上部隊を支援するはずだった。一隻40億ドルで建造されたが、弾薬を買うのに余りに費用がかかることが分かったため、船は今その銃を失っている。それ以前に、必要な一部の通信設備が元々の設計に組み込まれていなかったので、彼らはステルス能力の多くを失っている。船の新任務はミサイル発射台だが、コンテナに入ったロシア・ミサイルを積載した(ビデオ)どの商用船でも実現できる仕事だ。

イアンは軍の能力欠如は徴候に過ぎないと指摘している。実際の問題は遥かに深刻だ。

アメリカは海に向かってゆっくり転がり落ちる、金をちりばめたごみの山だ。しかも燃えている。

アメリカには多くの荒廃があるが、ほとんど40年間、アメリカ・エリートはアメリカを略奪すべきものとして扱い、それはかなり長い時間続くだろうと想定していた。本当に統治することには彼らは無関心だった。中国人は実に賢明で、アメリカ・エリートを金持ちにさせたので、彼らは、覇権者として、アメリカに最もとって代わりそうな国、海外に、アメリカの中核となる製造の多くを喜んで移転した。

 欧州連合は類似の問題を経験している。ブレグジットは崩壊の一症状に過ぎない。

アラステア・クルックは「欧米」システム全体が崩壊しつつあると考えている。

どこを見ても、戦後の支配体制エリートが守勢なのは明白だ。彼らはわざとらしい極めて楽観的な高慢さを維持している。

より基本的に、こういう質問はめったにされることがない。今(当会計年度の初めから現在まで)出費に対して連邦収入不足が30%という状態から始まるのに、軍を完全に更新し、民間インフラを一新して、アメリカを再び偉大にする(MAGA)のは本当に可能だろうか。今負債が非常に大きいので、再びゼロ近く(ゾンビ化する)利率を押さえることでしか、アメリカが生き残れないかもしれないのに?

固定化された金融インフレーション政策を通して、アメリカが次第に「コストがより高」くなった背景があるのに、このコストの高い国を世界的に競合させるようドル価値を破壊して、移転した低コストアジアから、再び高コストのアメリカに製造の仕事が戻るように強要する以外、本当に実行可能なのだろうか? MAGAは現実的なのだろうか。それとも、低コスト世界から、アメリカへの仕事の奪還は中央銀行が恐れる景気後退を引き起こして終わるのだろうか?

アメリカとヨーロッパの戦後エリートは、世界文明の先導だという錯覚を維持するのに益々必死になる中、彼らは生来の「文明社会国家」の再出現に一体どのように対処するのだろう。すなわち中国に対して?

 記録破りの中国の連続番組「瓔珞<エイラク>~紫禁城に燃ゆる逆襲の王妃~(原題:延禧攻略)」』(ビデオ)を最近また見た。それはすべての点でハリウッドが作り出すものより優れている。このような文化番組は中国が次に「欧米人」を大差で破る分野だ。

 「欧米」エリートは自らを引き下げた。それはもはや優れてはいない。一歩下がるべき時期だ。

記事原文のurl:https://www.moonofalabama.org/2019/04/the-demise-of-the-western-system.html

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日刊IWJガイド「訓練中のF35が青森沖で墜落! パイロットの40代の3等空佐は脱出した形跡なく行方不明! 米国で966もの欠陥が報告されていることについて、岩上安身によるインタビューで明石順平弁護士が『それにわが国の自衛官を乗せようとしてるんですか!?』と驚いてからわずか1ヶ月! 危惧が現実に!」 2019.4.12日号~No.2402号~(2019.4.12 8時00分)

2018年8月27日 (月)

ブレナン-ローゼンスタイン-マラー-コミー-売女マスコミによる魔女狩り

2018年8月23日
Paul Craig Roberts

 更新 8月23日: マーク・ペンは、The Hillの記事で、コーエンが選挙違反ではなかったことで、選挙違反での有罪を認めたことを指摘している。しかも、コーエン自身はカレン・マクドゥーガルに口止め料を払っていなかった。彼は、アメリカ・マスコミによる支払いをまとめたのだ。口止め料は選挙運動資金から支払われてはおらず、いかなる法律の違反にもあたらない。コーエンによる、この偽りの罪状認定は、どうやら極めて現実的な所得税脱税を軽く扱ってもらうのと引き替えになされたものだ。言い換えれば、アラン・ダーショウィッツの表現を使えば、コーエンは“作文したのだ”。http://thehill.com/opinion/white-house/402959-cohens-plea-deal-is-prosecutors-attempt-to-set-up-trump

 ロシアゲートは画策されたものだ。ドナルド・トランプの大統領選挙運動でのロシアとの関係を正常化するつもりだという発言への、軍安保複合体による対応だ。

 2007年、ミュンヘン安全保障会議で、ロシアは主権国家であり、そういうものとして行動するつもりだと、ウラジーミル・プーチンが発言して以来、覇権主義のネオコンがあおりたてている過激なロシア嫌悪は、地球上の生命にとっての脅威であることを、トランプは認識している。クリントン政権以来、アメリ外交政策を支配しているネオコンは、一方的に行動するワシントンの能力に対するいかなる国による制限も受け入れたがらないのだ。

 オバマ政権によるシリア侵略とイラン爆撃をプーチンが阻止した後、ワシントンが資金提供するNGOとウクライナ人政治家を利用して、民主的に選ばれたウクライナ政府を打倒し、ロシアに敵対的な政権を据えて、ネオコンはプーチンにしっぺ返しした。その狙いは、三世紀以上ロシアの一部だったウクライナを利用して、ロシアにとって、ロシアの注意を奪う問題を作りだし、中東におけるワシントンとイスラエルの自由裁量を取り戻し、ロシアをクリミアの黒海海軍基地から追い出すことだった。クリミア住民がロシアとの再統一賛成投票をすると、民族自決の民主的結果を、ワシントンは“ロシア侵略とクリミア併合”だと故意に歪曲して伝えた。そのような途方もない故意の歪曲は、ロシア政府が抱いていたかも知れない僅かに残されたワシントンの誠実さについての信頼を破壊した。

 ここから二つの核大国の関係は急速に悪化した。私やスティーヴン・コーエンが強調している通り、二つの政府の間には今や何の信頼感もないので、現在の核戦争の危険は
長年の冷戦時代より遙かに高い。

 核戦争は終末的な出来事になるはずで、アメリカとロシアの間で、協力的で、お互いが尊敬しあう関係を回復すること以上に重要なことはないというドナルド・トランプは全く正しい。

 問題は、軍安保複合体が違う見方をしていることだ。70年間も、その足場を固めた軍安保複合体は独立した政治勢力なのだ。1961年、アイゼンハワー大統領が、アメリカ国民に、このありそうな結果について警告したが、無駄だった。軍安保複合体の見地からすれば、ロシアとの関係正常化の問題は、それが軍安保複合体の1兆ドルの年間予算と、そのような膨大な予算がもたらす権限にとって実に必要不可欠な“ロシアの脅威”を格下げしてしまうことだ。GDPが1兆ドル以上の国は世界195カ国中、わずか16カ国しかない。軍安保複合体は、G-20加盟国になって、自国通貨と軍隊を保有するに十分なほど大きいのだ。

 オバマのCIA長官ジョン・ブレナンは、トランプに対するロシアゲート陰謀を素早くでっちあげた。コミー、ローゼンスタイン、クラッパー、マラー、マッケイブ、ピーター・ストラクや他の連中は、アメリカ大統領選挙を盗み取るためのドナルド・トランプとウラジーミル・プーチン両者の共謀とされるものを画策する上で、積極的な参加者として明かに関与していたし、しているのだ。FISA裁判所をだますことにより、令状が違法に入手され、何であれ使える手段で、トランプ大統領に対する訴訟を作り上げるため、マラーを特別検察官として任命する根拠になったのだ。

 二年後、ロシアゲートについて、我々にある唯一の証拠は、それがトランプ大統領とアメリカ国民に対する陰謀というだけだ。実際、トランプ-プーチン共謀など無かったことを重々承知のマラーは、起きてもいないことの証拠などあり得ないので、いかなる証拠もわざわざ探そうとしていない。彼は、あたかも陰謀があったかのように見せ、それを証明しないで済ませるためため、何人かのロシア人のまやかしで意味のない起訴を見つけ出したが、彼の本当の狙いは、ポール・マナフォートをはめることだった。

 マラーによるマナフォート捜査は、ロシアゲート話とは全く無関係だ。マナフォートの犯罪とされるものは、マラーの遥か権限外で、もし起きていたにせよ、ロシアゲートとされるものの何年も前のことだ。マナフォートは、18の罪状のうち8つについて陪審員により有罪の評決がでたが、トランプを憎悪する売女マスコミによって、これがロシアゲート捜査が正しいことの証明として、意図的に歪曲して伝えられ、また売女マスコミは“トランプにとって暗い日”として、トランプを大統領の座から追い出す、ウォーターゲートとの類似を示唆した。

 マナフォートは、ロシアゲートではなく、所得税脱税と、融資申し込みで、自分の財政状況について偽って伝えこたとで有罪になったのだ。

 マナフォートが有罪なのか、それとも単にマラーと無能な陪審員によるでっちあげの犠牲者なのか我々にはわからない。アメリカ陪審員は周知の通り、無能で、それが重罪起訴の97%が、司法取引で決着する理由だ。無辜の人でさえ、無頓着なアメリカ陪審員連中に裁かれるより、むしろ答弁に関して合意し、何か実際には犯していない罪を認めるのだ。テキサス州ワコでの、FBIによるブランチ・ダヴィディアン信者集団虐殺の生き残りの人々に、宗教集団にFBIがしかけた大量虐殺のことを語れなくするため、長年監禁の有罪判決をした陪審員を覚えておられるだろうか。

 抵当担保のデリバティブ危機を引き起こした原因の一つが、抵当を発行する企業による融資関連文書上の抵当申告者の不実表示だったので、融資申し込み用の自分の財政状況についての不実表示申告が、どれほどの犯罪になるのか、はっきりしない。 ワシントンは、起訴する代わりに、不実表示されたローンを抱えていた銀行を緊急救済するのに、連邦準備金制度理事会に頼ったのだ。

 所得税脱税は、IRSの権限範囲で、トランプ-プーチン共謀の証拠を探すはずの特別検察官の権限範囲ではない。

 すると、マラーは一体なぜマナフォートに焦点を絞っているのだろう? ハーバード法学部教授のアラン・ダーショウィッツに説明してもらおう。

 “捜査の容疑者を、検事にウソをついたかどで起訴するために、特別検察官に必要なのは、容疑者に進んで反論する証人一人だ。

 “証人は“口を割る”だけでなく、“作文”までしている可能性がある - つまり、話がうまければうまいほど良い結果になるのを知っているので、話をつくりあげたり、尾ひれをつけたりするのだ。

 “連邦法の下では、そのような“垂れ込み証人”の証言は有罪判決を確保するために裏付けられる必要がない。

 “偽証罪の仕掛けを機能させるには、一人の証人によって、反論する答えが得られる一つの質問だけで十分なのだ。” https://www.gatestoneinstitute.org/12896/is-the-truth-the-truth-when-it-comes-to

 トランプ大統領は画策されたロシアゲート非難に対抗して様々な発言をしているが、もしマナフォートが、特別検察官の証人として彼に反論すれば、アメリカ大統領を偽証罪のかどで、監獄に送り込めるのだ。

 これが分かっているから、私に言わせれば腐敗した人物として証明済のマラーは、マナフォートが自らを救うため、トランプに反論する偽りの証言を彼にさせるよう、マナフォートを締め上げることに決めたのだ。

 毎日、この戦術が州や地方や連邦検事に利用されている。起訴と有罪判決を信じているアメリカ人は、97%の有罪判決は、より重い懲罰を避けるための自己負罪によるものであることを知らない。

 マナフォートの場合、これは効かなかった、というか効いていない。まだ。マナフォートは、今度はウクライナの利益のため働く未登録の外国人代理人として活動したとされることと、アメリカ政府真実を語ると宣誓していない状況で、虚偽の陳述をしたかどでの二件目の裁判を受けることになっている。マナフォートは独房に監禁されていると報じられているが、これは抵抗する意志をくじくよう仕組まれた拷問の一種だ。

 マナフォートの最初の裁判同様、彼の二度目の裁判もロシアゲートとは全く無関係だが、売女マスコミや民主党からは、そういう話は決して聞けない。依然マナフォートはトランプを大統領の座から追い落とすために利用できる何かを言うよう強要されかねない。

 トランプの元弁護士、マイケル・コーエンの場合はどうだろう? マラーはコーエンの事件には何の価値も見出しておらず、訴訟を普通のアメリカ連邦判事に任せた。だから、それはロシアゲート捜査の一環として現れることはないはずだ。

 コーエンは陪審員を避け、個人所得脱税について五件、融資を得るため金融機関に、不正確な申告をしたかどで一件と、違法な選挙献金に関係して二件で有罪を認めた。選挙献金に関しては、彼は以前の発言に矛盾している。トランプの指示で、トランプと性交渉したと主張する二人の女性に金を握らせたと彼は言っていた。

 政治に関わるアメリカ法の複雑な細部は、はっきりしないことが多い。政治運動のために集めた資金を、トランプから金をゆすり取る機会を見て活用した二人の女性に金を握らせるのにコーエンが使い、これは資金の違法な使用だという容疑のようだ。依頼人が超億万長者なのに、その話が本当かそうでないかわからない女性に、弁護士が違法な形で金を握らせるというのは、筋が通らない。

 しかし、こうしたことは、売女マスコミが関心を持つ類の疑問ではない。

 それでも、コーエンの罪状申し立ては、特別検察官マラーではなく、別の検事が起こした訴訟にまつわるものだ。私はアメリカ訴訟手続きには十分詳しくないので、これが一体どうやってマラーの捜査に戻るのかを語ることはできない。

 事実関係はこうだ。

 アメリカ軍安保複合体は、ロシアとのいかなる関係正常化も認めるつもりはない。以上終わり。どこかの時点で、プーチンや、ラブロフや、愚かなロシアの大西洋中心統合主義者は、この事実を認めなければならず、さもなくば、ロシアは破壊される。

 関係の正常化が、大統領としての彼の二大目標の一つだと宣言することで、トランプは強力な軍安保複合体の恨みを買った。ヒラリーの大統領当選を阻止して、トランプは、売女マスコミとして、アイデンティティ政治と、トランプに投票した“白人男性抑圧者”憎悪に献身しているアメリカ・マスコミの憎悪をかきたてた。アメリカ最初の女性大統領の当選を阻止したことは、“女性の局部をつかむ”女性蔑視の白人男性による許されない犯罪であり、トランプは決して許されることはない。

 軍安保複合体と民主党とアメリカの印刷とTVメディアを構成する男娼連中による陰謀によって、アメリカ民主党大統領選挙が打倒されつつある見せ物を、軍安保複合体と白人男性を憎悪する民主党のアイデンティティ政治によるトランプ憎悪が世界に曝している。

 トランプ大統領は、ツイッターで、勇敢に立ち向かっている - ツイッターが彼のアカウントを停止しないのに私は驚いているが - それ以外は、無力に見える。トランプの破壊に専念している人物であるローゼンスタインを、自らをロシアゲート捜査から救出した、弱くて愚かなAG セッションズを考えれば、支配的な地位である司法副長官に任命するよう、トランプに助言した人物は誰であれ、トランプの破壊を意図していたのだ。トランプの破壊に献身する、いかがわしい人物が、トランプを破壊するために、トランプによって任命されたのだ。それほど無知な人物が、一体どうして生き残れよう?

 選挙運動中に書いたが、トランプは、ワシントンのことを全く分かっておらず、彼に反対して動く連中ではなく、彼のために動く連中として誰を任命すべきか分かっていなかった。結果的に、彼は、自分に反対して活動する閣僚を選んでしまったのだ。

 ジョン・マケイン上院議員とリンジー・グラハム上院議員は、共和党が自党の大統領を支持するのを阻止するために活動している。連中は容易に成功できよう。下院も上院も丸ごと、両党が軍安保複合体からの選挙献金の支配下にある。

 トランプ大統領は一体何ができるだろう? 彼はツイッター上で言葉によってではなく、大統領の権限で戦えるのだ。選挙をヒラリーから横取りするためのトランプ-プーチン共謀だという証拠以上に、ロシアゲートがアメリカ大統領に対する陰謀だという遥かに多くの証拠がある。もしマラーが、全く証拠無しに起訴することができるなら、ロシアゲートがアメリカ大統領に対する陰謀だという膨大な証拠を根拠に、トランプは司法長官に起訴を命じることができる。

 ブレナン、コミー、クラッパー、マラー、ローゼンスタイン、マッケイブ、ストラク、CNN、MSNBC、フォックス・ニューズ、NPR、ニューヨーク・タイムズ、ワシントン・ポストなどなどは、全てアメリカで、民主主義を打倒し、誰もが認める軍安保複合体支配を確立するための陰謀の一員だ。

 愚かな売女マスコミによるトランプ憎悪で、連中は自分が加わっている陰謀に気がつかないのかも知れないが、アメリカ民主主義がどれほど僅かしか残っていないにせよ、アメリカ売女マスコミが、アメリカ民主主義打倒に関与していることに疑いようはない。

 本コラムはトランプ支持をするものではない。真実を支持するものであり、苦悩の中、最良の情報で、ドナルド・トランプを大統領としての当選を実現したアメリカ国民への支援だ。

 環境では、トランプは間違っている。長年の戦いの後、実施された環境保護が、環境規制機関に対する支配権を得た産業汚染者によって骨抜きにされつつある。これはトランプ大統領のもとで起きている独特の出来事ではない。8年間のジョージ・W・ブッシュ政権時代の本当の大統領、ディック・チェイニー副大統領のもとで、これが始まったのだ。チェイニーが、環境保護規制機関を、産業汚染者に引き渡したのだ。

 イランに関して、トランプは間違っている。イスラエル・ロビーの力が彼を売女マスコミと軍安保複合体から守ってくれると願って、彼はイスラエルの手中にある。イスラエルが、イランに対し、アメリカ軍部隊を利用しようとして企んでいることが、ワシントン/イスラエル同盟にとって強力過ぎる新同盟をまとめつつある。ロシア、中国、シリア、トルコ、イラン、インドとパキスタンは、ワシントン帝国を遥かに超える人口がいる国々だ。これらの国々のそれぞれが、各国に対するワシントンの愚かで不可解な行動によって、団結しつつある。

 軍事的に、イスラエルは大して重要ではない。非武装の女性や子供を殺害する以外能の無い自慢のイスラエル軍は、二度も、数千人のヒズボラ民兵によって、打ち破られ、南レバノンから追い出された。三度目を試みるには、イスラエルは余りに臆病で、愚かなアメリカ人が、自分たちのため、その仕事をしてくれるのに頼っている。

 アメリカとイスラエルを見て、世界中は一体どう思っているのだろう? いずれも先住民絶滅の結果である二つの国は信用されず、至る所で嫌われており、いずれも他国政府の買収と、連中自身と、その属国を除く全員を破壊されるべき悪の犯罪人として描く、果てしないウソとで、なんとか生きている。

 例えば、これまでで世界最大の強制収容所、ガザは、ガザ内部の人々全員が、イスラエル破壊に身を捧げることを誓った爆発物ベルトを着けたテロリストだという明らかで、見え透いたウソを隠れ蓑に、その中で暮らすあらゆる命と共に、イスラエルによって組織的に破壊されている。戦力になる年代の男だけでなく、老人、妊婦、子供、全てのパレスチナ人が、イスラエル軍によって殺戮されつつある。アメリカ合州国国務長官は、パレスチナ人全員破壊されるべきで、早ければ早いほど良いことで、イスラエルに同意している。

 中国は愚かなアメリカ人が手放している金融上の機会を活用するのに忙しいが、それ以外、連中の目の前で展開しつつあるドラマの中で、どう進めるかについて、いかなる戦略的センスがあるようには見えない。中国にとって、当面、金が全てなのだ。

 ロシア人は、ロシアがアメリカの傀儡国家だったエリツィン時代に、血管に注入されたアメリカ・プロパガンダに感染している。ロシア人は確実とは言えずとも、ゆっくり正気に返りつつあり、彼らには、アメリカ“パートナー”などいないことに気がついている。

 もしトランプが敗北し、排除され、最終的にロシアと中国が、ワシントンとの和解はあり得ないことに気がついたら一体何が起きるだろう? ロシアと中国の政府の、お互いの経済利益を基に和解するという全てのむなしい期待と賭けが無に帰したら、一体手にが起きるだろうか?

 それは地球の終わりだろう。

 ロシアゲート“捜査”は選挙直前に、根拠の無い非難の濡れ衣で、トランプ大統領を弾劾する民主党が多数派の議会を作り出す企みとして、中間選挙に影響を与える時期に合わせられているように見える。売女マスコミは、この陰謀を隠蔽するはずだ。言い換えれば、本当の選挙干渉はロシアゲート“捜査”によって行われつつあるのだ。https://www.americanlibertyreport.com/articles/americans-should-brace-for-mueller-election-meddling/ See also: https://beforeitsnews.com/v3/survival/2018/2704912.html

 そのような弾劾はクーデターだ。その結果は、アメリカの政治生活における深刻で永久的な分裂と、戦争という結果をもたらす一層激しいロシア嫌悪だ。

 危険は本物で、売女マスコミが支援し、扇動する民主党ロシアゲート“捜査”は核のハルマゲドンに終わるだろう。

 Paul Craig Robertsは元経済政策担当財務次官補で、ウオール・ストリート・ジャーナルの元共同編集者。ビジネス・ウィーク、スクリップス・ハワード・ニューズ・サービスとクリエーターズ・シンジケートの元コラムニスト。彼は多数の大学で教えた。彼のインターネット・コラムは世界中の支持者が読んでいる。彼の新刊、The Failure of Laissez Faire Capitalism and Economic Dissolution of the West、HOW AMERICA WAS LOST、The Neoconservative Threat to World Orderが購入可能。

ご寄付はここで。https://www.paulcraigroberts.org/pages/donate/

記事原文のurl:https://www.paulcraigroberts.org/2018/08/23/the-brennan-rosenstein-mueller-comey-presstitute-witch-hunt/

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 文中にあるジョン・マケイン上院議員が亡くなった。太鼓持ち追悼記事が多々あるなか、Caitlin Johnstoneという女性が、強烈な文章を書いておられる。
Do NOT Let Them Make A Saint Of This Asshole
「このろくでなしを、連中が聖人に祭り上げるのを許すな」という

 売国ファシスト支持率が50%という驚異の劣化社会。これも「マスコミ」が太鼓持ち集団なればこそ。

 集英社新書『スノーデン監視大国日本を語る』を読み始めた。国谷裕子氏の問いかけとスノーデン氏の回答が表紙に載っている。2017年10月1日に一橋講堂でおこなわれたシンポジウムの翻訳。

 刊行にあたって スノーデンのメッセージ 12-13ページに書かれている言葉に同意する。引用させていただこう。

ジャーナリズムの役割は、権威を疑い、疑問を突き付けることです。(政府という)社会における最も強大な組織による情報の独占に挑戦することです。政府の発表を単に繰り返すだけではメディアではありません。メディアの役割とは、その真偽を調査することです。民主的な政府の正統性は、たった一つの原理から導かれます。投票という被治者の同意です。しかし、事前に事実が知らされていなければ同意は無意味です。メディアが政府の発表の真偽を調査しなければ、人々は無知に基づく投票を余儀なくされ、選挙はその意味を失います。つまり、政府の公式見解をそのまま垂れ流すメディアは、いかなる組織であれ、単にメディアの名に値しないというだけでなく、民主主義を危機に陥れているのです。

 直接関連する記事では、オリバー・ストーンの『スノーデン』: NSAは“対世界捜査網を運営している”を訳してある。

 とはいえ、政府発表の真偽を調査するまともな活動には、大本営広報活動と違って、大企業スポンサーはつかない。

日刊IWJガイド「IWJの第9期が始まったばかりですが、8月23日までのご寄付・カンパが目標額の5分の1と非常に厳しいスタートとなっています! どうかご支援をよろしくお願いいたします!/<新記事紹介>【IWJ検証レポート】イスラエル新基本法――イスラエルは『ユダヤ人の』国家、植民活動は『国家の価値』と憲法規定! イスラエル、フランスのメディアで報じられた海外記事からその危険性と極右政権の本質を読み解く!/明日午後2時より『日露戦争で蒔き尽くされた近代日本 〈失敗〉の種は今なお増殖を続けている!? 岩上安身による明治大学・山田朗教授 インタビュー』を冒頭のみフルオープンで配信!/
自民党総裁選は『安倍』対『石破』!? しかし『緊急事態条項』の新設では完全一致か!?/本日午後7時より再配信『参院3分の2議席で日本でも現実に!安倍政権が「学ぶ」「ナチスの手口」とは何か?~岩上安身による石田勇治・東京大学教授インタビュー(後編)』 #ヤバすぎる緊急事態条項/IWJは本日午後1時半からおこなわれるの石破氏政策発表記者会見を録画取材し配信の予定!/
岩上さんは『安倍首相自宅放火未遂事件の闇』のスクープを放ったジャーナリストの山岡俊介氏と寺澤有氏に9月2日インタビュー予定!#ケチって火炎瓶/『トリチウム汚染水の海洋放出は福島県内で完結するものではない!』IWJは8月31日の東京会場でおこなわれる公聴会を中継します!福島会場での中継も現在手配中です!」2018.8.27日号~No.2174号~

2017年12月26日 (火)

アメリカのイージス・アショア弾道ミサイル防衛システム購入で日本の安全性は低がる

 

Andrei AKULOV
2017年12月22日
Strategic Culture Foundation

12月19日、日本の現在の二段階ミサイル防衛パトリオット能力発展型砲台と、イージス駆逐艦とで構成されるへの追加として、日本の内閣は二基のイージス・アショア弾道ミサイル防衛(BMD)システム購入計画を承認した。政府の決定は“常時、持続的に防護できるよう我が国の弾道ミサイル防衛能力を抜本的に向上させる必要性”で説明されている。11月29日、北朝鮮が、日本の現在のミサイル防衛網を飛び越えられると主張する新たなより強力な弾道ミサイルを実験した。

2023年までに稼働予定の二基のイージス・アショア装置は、先進的ミサイル迎撃機、巡航ミサイル迎撃が可能な共同開発されたSM-3 Block IIAやSM-6を用いて、日本全土をカバーできる。イージス戦闘システム、ミサイルの上昇段階で追尾を開始し、イージス・アショア・サイト上空を飛行する前に、迎撃機を発射する。システムは、短距離、中距離弾道ミサイルを最終段階で迎撃できるバトリオット砲台と、イージスを装備した4隻の誘導ミサイル駆逐艦を補完する。日本は長距離攻撃用空対地ミサイルも購入するが、その一つは、攻撃が差し迫っていると見なされた際、北朝鮮の標的に対し、F-15戦闘機や、最終的にはF-35から発射可能なアメリカ製JASSM-ERだ。

北日本の秋田と南西日本の山口にある自衛隊基地がサイト候補だ。二基のイージス・アショア・ミサイル防衛システムの費用は20億ドルを超える可能性がある。最終段階高高度地域防衛システム(THAAD)という選択肢でなく、イージス・アショアが選ばれたのは、経費の安さと多用途性が理由だ。。日本はルーマニアとポーランドに続いて(2018年に配備予定)システムを配備する三番目の国になる。

日本は既に大量の防衛機器をアメリカから購入している。日本は既に次世代版のSM-3 Block IIA艦載弾道ミサイル・システム、F-35戦闘機、V-22オスプレー・ティルト・ローター機とAAV-7水陸両用車両の購入を決め、アメリカ軍需産業に安定収入を保証している。

日本は長年、防衛以上の能力がある軍隊の構築努力を続けてきた。憲法70周年の5月に、安倍晋三首相は、227,000人を擁する日本自衛隊の“立場を明確にする”ため改憲を計画していると初めて表明した。日本では、もし威嚇された場合。先制攻撃を行うより大きな能力の開発を要求する声が上がっている

東京の国防専門家の中には、非核決議を再考し、アメリカの核兵器を日本に配備するよう招く時期かも知れないという人々もいる。昨年、安倍晋三政権は、日本国憲法には、日本の核兵器使用を明示的に禁じるものは皆無だと述べた。横畠裕介内閣法制局長官は、昨年、“憲法上あらゆる種類の核兵器の使用がおよそ禁止されているとは考えてない”と述べた。与党自由民主党の有力者、石破茂議員は平壌の核実験を受けて、日本は非核原則を議論する必要があると考えている。

アメリカのトランプ大統領はこの傾向を歓迎し、更なる共同軍事演習を呼びかけ、もっと多くの"高度な軍事備品" を日本と韓国に売ると約束している。昨年、ドナルド・トランプは大統領候補時代に日本の核兵器保有を容認する考えを示してニュースになった。最近日本の核備蓄はどうあるべきかの評価をしたアメリカ防衛専門家もいる。

北朝鮮問題が、日本がアメリカ核兵器を受け入れる可能性、あるいは自国製のものを手に入れる可能性さえ議論を始めるのに利用されたという事実が、極めて気にかかる。北朝鮮の脅威に対抗する通常兵器は多々あるが、核抑止力は大きな誘惑であるように見える。もし韓国と日本が核兵器開発計画を再開するようなことになれば、核拡散防止条約(NPT)からの脱退を意味しよう。他の国々も条約を葬る前例に倣い、1970年以来有効な。素早く核保有諸国に加わる技術的可能性を持った多くの国々があるので、瓶から精霊を出せば、野放しの核兵器開発競争が始まる。アメリカが責任を負うようにするアメリカの承認なしには日本は核保有国になれない。

憲法は国際紛争での武力の行使を放棄し、交戦権を認めていない。憲法第9条は、軍隊の保持を禁じている。歴代政権は、自衛隊に、もっぱら防衛目的だけを認めるものと解釈してきた。2015年に、発効した歴史的変化が  限定的な集団的自衛、つまり、攻撃を受けている同盟国支援を可能にするよう拡大された。あらゆる改憲には国会両院の三分の二による承認、そして更に国民投票が必要だ。安倍首相の所属政党と連立政権のパートナー政党を合わせれば、それだけの多数議席があり、改憲を進める時期を自由に選べるのだ。

周知の通り、イージス・アショア・ミサイル防衛システムは、地上配備型中距離地対地巡航ミサイルも発射可能なMk-41発射装置を使っている。中距離核戦力全廃条約(INF条約)はロシアとアメリカとの間の二国間協定だ。日本は、アメリカのものを領土に配備するのではなく、イージス・アショアを購入することに決めたのだ。だから法律上、システムは日本のもので、アメリカのものではないことになり、条約違反ではない。しかし、システムは米日共同計画の一環だ。条約の精神に反し、条約を骨抜きにするものだ。

日本はトマホーク長距離巡航ミサイル購入を検討している。海上あるいは陸上配備のトマホークで、北朝鮮のみならず、中国とロシアをも攻撃する能力を得ることになる。防衛用イージス・アショアは容易に攻撃用兵器に転換可能だ。ソフトウエアを変えるだけで良いのだ。ロシアと中国の懸念はもっともだ。北朝鮮の脅威を口実として利用して、もし日本が核保有すると決めれば、日本には核弾頭を装備するための稼働中の運搬手段があることになる。先に挙げた事実が、そのような可能性が排除できないことを証明している。

日本政府が決めたばかりの判断は露日関係を酷く複雑化させるだろう。システムが形式的に、アメリカのものでなく、日本のものだというのは重要ではない。それは脅威がなのだ。これは北方領土問題の解決策を見出す可能性にも、あらゆる種類の他の問題にも悪影響をもたらそう。これは両国が平和条約合意に至るのをずっと困難にしよう。予定されている配備は、あらゆる分野での協力の障害となる恒久的な懸念材料となろう。また、それで日本は報復攻撃の標的となり、日本の安全性は、今よりずっと低くなる。

記事原文のurl:https://www.strategic-culture.org/news/2017/12/22/japan-purchase-us-aegis-ashore-bmd-system-may-make-less-safe.html
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苫米地氏の新刊『真説・国防論』に「最新情報を根拠に「ミサイル防衛システム」という虚構を解き明かす」という章がある。

北朝鮮を口実にした、中国、ロシアを狙うシステムの導入は、アメリカ軍需産業に安定収入を保証し、両国政治家の懐を潤すだけ。庶民には悪影響以外あるまい。

政治批判批判のあきれたご意見番芸人「嘘っぱち先生」を見たら、テレビを消そうと思う。

相撲問題呆導しかしない大本営広報部は見ず、下記トークを拝見予定。

日刊IWJガイド「本日17時30分から! 『2017年年末総決算! いろいろあったまきちゃう! 岩上安身×室井佑月氏(作家・コメンテーター)ぶっちゃけトーク!』/民進党『離党ドミノ』再び!? 枝野幸男・立憲民主党代表と蓮舫元代表が会談! 立憲の基本政策素案で原発避難計画の責任や日米地位協定の改定に言及」2017.12.26日号~No.1929号~

 

2017年10月29日 (日)

安倍首相はうまくやってのけたが、涙に終わるだろう

安倍晋三の選挙勝利は再軍国化という日本が行き詰まる道を加速するだけ
Tim Beal

Zoom in Korea
2017年10月24日

ヒステリーを利用し、目を逸らした突然解散選挙

散々喧伝された‘北朝鮮の脅威’を巡る懸念とヒステリーを利用した突然解散選挙をするという首相の賭けは、広く想定されていた通り成功した。政治的成果は大変なものだ。わずか数ヶ月前、事態は安倍と自由民主党にとって、好ましいものではなかった。ニューヨーク・タイムズは、‘安倍のなぞ’と表現している。

安倍首相の支持率は、一連のスキャンダルに悩まされて、夏の間に30パーセント以下に下がり、選挙運動中に行われた世論調査では、安倍首相の対北朝鮮タカ派戦略を支持する人より、反対する有権者の方が多かった。

“ここに安倍のなぞがあります”キングストン教授[東京にあるテンプル大学アジア研究科ディレクター]は語った。“基本的に、有権者に不人気で、政策がとりわけ人気があるわけでもなく、指導者として、高得点というわけでもない人物が、それでも、一体どうして、選挙に勝ち続けるのでしょう?”

彼は多少運も良かったかった - 台風のおかげで、一部の有権者は投票せず、野党は分裂していたが- 日本の上空を飛行した最近の火星-12号ミサイル実験後の北朝鮮を巡るヒステリーこそ、彼の切り札だった。有権者は安倍の北朝鮮政策や、再軍国化計画を支持しはしなかったかも知れないが、十分な人数の国民を脅かせたように見える。

日本政府とマスコミは、8月28日と9月15日の火星-12号実験を巡って大騒ぎした。実験は、日本に対する意図的な威嚇として描かれ、当局は、携帯電話や拡声器で緊急警報を送信して、ヒステリーを強化した。

2017年8月28日の火星-12号の推定飛行経路


写真出典: 憂慮する科学者同盟

実験の現実は、実際はアメリカに対する抑止力開発が狙いで、日本上空の飛行は主として地理学の問題だ。もし北朝鮮が、長距離ミサイルを標準的な(通常よりも高い角度の)軌道で実験するつもりなら、無人の北太平洋に落下するはずで、そうなれば、日本の上空を飛行せざるを得ない。憂慮する科学者同盟のディヴィッド・ライトはこう説明している。

1998年と2009年、衛星を軌道に乗せようとした失敗した試みで北朝鮮は日本上空を飛んだロケットを打ち上げたとは言え、昨日の打ち上げで、北朝鮮は初めて弾道ミサイルを日本領上飛行させた。日本上空の飛行を避けるため、日本海に着水するよう、通常よりも高い角度の軌道で、実験ミサイルを打ち上げる労も惜しまなかったのだ。更に、ロケットが地球の回転から速度を得られるので、日本の上を越える、東に向けて打ち上げる方が好ましいにもかかわらず、より最近の衛星打ち上げは、南方へ向けた。

火星-12号ミサイルを、グアム近くに発射すると威嚇した後、北朝鮮が、このミサイルをグアムの方向ではなく、短距離であるにもかかわらず、攻撃と解釈されかねない東の方向に発射したことは興味深い。ミサイルは日本の人口稠密地域上を通過しない方向に飛行したようにも見える。

図で分かる通り、ミサイルは、本州と北海道間の津軽海峡上を経由したように見え、二機目のミサイルも同様と思われる。日本領空上を通過する際、いずれも日本の空域のはるか上、多くの衛星より高空だ。基本的に、長距離ミサイルは遠距離の標的用に設計されており、火星-12号のような中距離弾道ミサイルも、火星-14号のような大陸間弾道ミサイルも、日本にとってとりたてて危険なわけではない。

しかし感じ方の方が現実よりも重要で、安倍は圧勝し、憲法改訂と再軍国化を推進する方向にある。

    ロイター: 選挙勝利後、安倍は日本の平和憲法改訂に邁進

    ワシントン・ポスト: 日本の選挙で圧倒的多数を確保した安倍は、憲法改訂を推進する可能性

    インデペンデント: 日本の選挙結果: 安倍晋三、連合与党政権の大勝利をおさめ、平和憲法の改訂を誓う

そして、これは悪いニュースだ - 日本にとっても、この地域にとっても。

安倍の家系 - 岸信介‘アメリカお気に入りの戦犯’

安倍一族は、政治的才覚の血統だ。最高幹部としての政治は、彼にとっての天性だ。‘安倍は日本で最も著名な政治家一家の出身だ。彼の父親も祖父も高位の職を勤めた。’実際、祖父二人もそうだが、留意すべきは母方の祖父、信介だ。岸は、アメリカや、様々なヨーロッパ諸国、そして最後にソ連との太平洋戦争に至った、1930年代と1940年代、日本の対中国戦争立案者の一人だった。彼はとりわけ、そこで昭和の妖怪として知られていた、傀儡国家、満州国(満州、現在は中国の北東諸州)を支配していたことで悪名が高かった。満州国における彼の手下の一人は誰あろう、傀儡軍にいて、日本支配に抵抗する中国人と朝鮮人を探し出す仕事をしていた朴正煕だ。二人が相まみえる機会はなかったが、後者の一人が金日成だった。

戦後、彼はアメリカに、A級戦犯として召還され、三年間投獄された。しかし時代は変わる。友人は敵となり、敵は友となる。アメリカは‘中国を失う’過程にあり、岸の中国での殺戮は、勇敢な同盟者たちの凶悪な虐殺から、赤い中国に対して、アメリカを守るむしろ先見の明ある行動へと転換した。岸は、マイケル・シャラーの言葉で言う、アメリカお気に入りの戦犯となった。トランプ大統領のゴルフ愛好を考えると、政治家としてのキャリアで、岸がこのスポーツをいかに利用したのかを挙げるのは意味深い。彼は戦前のアメリカ駐日大使ジョセフ・C・グルーとの友情を築きあげていた。グルーが真珠湾後に拘留されていた際、岸は彼が外出し、ゴルフをする機会をもうけたのだ。この好意は、1957年に岸がアメリカを訪問した際に、CIAからの資金供与手配と、普通は、白人専用のゴルフ・クラブでのアイゼンハワー大統領とのゴルフ設定という形で報いられた。その頃までに、メンバーに元大使のグルーも含むロビーのおかげで、岸は首相の地位についていた。このロビーは、産業が空洞化し、武装解除された日本を作るというアメリカの戦争目的を、ソ連と中国に対抗すべく、再軍備と産業復興の方向へと反転させるのに貢献した。これが安倍の血統で、それこそが、彼とその再軍国化が、覇権を維持し、拡大するというアメリカ戦略と合致する理由なのだ。

しかしながら、歴史は、その後に歓迎せざる遺産も残しかねず、そうしたものの一つが、安倍の観点からは、日本の‘平和憲法’とりわけ第九条なのだ。

1. 日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。
2. 前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない。

起源の詳細については議論があるものの、連合軍最高司令官、SCAP、マッカーサー将軍のアメリカ人スタッフが基本的に草稿を書いたと広く見なされている。軍国主義は、1945年、日本に壊滅的な敗北をもたらし - 日本中の都市における原子爆弾や焼夷弾爆撃の死傷者のみならず、(朝鮮などの)解放された植民地から帰国させられた何百万人もの兵士や民間人を考慮に入れると-平和と戦争放棄というの理想は現在と同様、当時の日本でも、広範な国民の支持を得た。もちろん全員が同じ見解だったわけではない。岸や安倍や、日本の軍事能力をソ連と中国に対して活用したがっているアメリカの戦略担当者たちはそうではなかった。彼らにとって幸いなことに、九条は、実際には、訓練を受けていない人々が思うような意味ではないと主張する法律家を、神が作りたもうたのだ。最初に‘これを保持しない’‘陸海空軍は’は名称が変えられた。大日本帝国軍と、その構成要素は、日本自衛隊になった。‘再解釈’と呼ばれるこの過程は、別のもの-憲法修正の代用だ。言い換えれば、単語を変えるか、単語の意味を変えるかのいずれかなのだが、意味を変える方が出くわす抵抗が少ないので、これが主な流れとなっている。かくして、安倍はここ数年、憲法は日本が核兵器保有することを禁じるものではないと主張している。更に、彼は、軍事支出増加や海外での軍事作戦は憲法九条によって禁じられている‘交戦権’と全く無関係で、 むしろ‘積極的平和主義’の好例だとも主張している。しかも、これは誤植ではない。

安倍の‘積極的平和主義’に関してのニューヨーク・タイムズ記事


画像の出典: ニューヨーク・タイムズ | Heng

日本再軍国化の促進剤としての‘北朝鮮の脅威’

大いに喧伝された‘北朝鮮の脅威’と、僅かに違った形での‘中国の脅威’は、明らかで、一見したところ、日本再軍国化のための天与の正当化のようだ。軍国化の擁護者連中でさえ‘武力の最小限の行使さえ懸念し続けている日本国民が、[再軍国化に対する]もう一つの抑制要因だと’認めている。これらの脅威は、実際は、天与のものどころではなく、様々な形で、大半、目的に役立つよう作り上げられたものなのだ。

いずれも人種差別を基礎に作り上げている。植民地主義/帝国主義と人種差別は、共存し、お互い強化しあう。彼らが劣っていて、おそらく、人間以下でさえあり、彼らに対する我々の支配は、我々の方が優れているという証明だと我々が思えばこそ、我々は外国国民を支配するのだ。朝鮮半島と中国の大半は大日本帝国の一部だったわけで、ドイツのように徹底的な形で、過去を清算したわけではないため、こうした態度が、現在を堕落させてしまう。この点、日本だけが特別というわけでなく、世界中で、アメリカで、イギリスで、そして、現在あるいは過去の植民地関係がある国ならどこででも、こうしたものの変種を目にできる。人種差別の一つの重要な側面は、それにより、人々が他者に関し、合理的かつ現実的に考える能力を歪め弱めてしまうことだ。本質的に、他者に対する非人間的な振る舞いである不合理な考えに帰することで、慰めにはなるかも知れないが、偽りの状況理解に至るのだ。人種差別主義者は妄想の犠牲者となる。それが、例えば‘ロケット・マン[金正恩]は、本人と政権の自爆作戦を進めている’というドナルド・トランプの主張を生み出すことになる。トランプがそうしがちだとされている行為である、合理性を放棄し、空想を受け入れない限り、そのようなたわごとは信じられない。

支配層エリートのレベルでは、北朝鮮と中国に対するこうした敵意は悔しさの思いによって、つのらされる。一世紀前には、日本は両国を支配していたのだ。現在日本は、依然として、ガヴァン・マコーマックの言うように、アメリカの属国だが、中国は、経済的、軍事的に日本より大きく、国連安全保障理事会常任理事国だ。北朝鮮でさえ、ずっと小さく、貧しいとは言え、独立国家だ。外国人の将軍連中やアメリカや中国が‘助言’を与えているわけではない。

明らかに、中国は様々な点で日本の競争相手で、中国には本格的な増強しつつある軍事力がある。中国は、おそらく将来、日本の脅威になる可能性があり得よう。北朝鮮は明らかに違う。人口は日本の1/5で、経済はずっと小規模だ。また日本は平和憲法にもかかわらず、2016年の軍事予算は、国際戦略研究所IISSによれば、470億ドルだった。これは国務省の数値を使えば、北朝鮮の13倍で、2013年の大韓民国国会で引用された推計を使えば、50倍だ。北朝鮮には日本を攻撃する能力はなく、攻撃する理由も無く、これまで威嚇したようにも見えない。日本にとっての危険は、もしアメリカが北朝鮮を攻撃すれば、アジアで、主要アメリカ前進基地を受け入れている国として、日本は朝鮮による報復の標的となることだ。それが一体どういう事態を意味するかは、正確にはわからないが、最近の推計ではソウルと東京に対する核攻撃でのあり得る死者数は、最大380万人だ。

安倍は、再軍国化を推進する上で、そのような危険も値すると考えているように見えるが、そのいずれも不可避ではないことを想起すべきなのだ。日本は、1950年に(これこそ、CIAが岸信介に資金を注いだ理由だ) 、また2002年9月の昔、小泉純一郎首相が平壌を訪問した際に中立主義的な道を進められたはずだ。その結果の日本 - 朝鮮民主主義人民共和国平壌宣言は、あらゆる種類の良いことを約束したが、ごく僅かしか実現していない。ジョージ・W・ブッシュ政権が、東京-平壌和解は、アメリカの東アジア戦略に衝撃を与えるだろうと、大いに懸念し、和平が実現するのを阻止する手段を講じたのように見える。クリントン政権が調印した米朝枠組み合意は廃棄され、日本には圧力がかけられた。極めて感情的ながら、極めて疑わしい拉致問題が、更なる交渉にもかかわらず、平壌と東京との間の関係を依然悩ませ続けている。おそらく、事は日本の政治家たちが解決するには、余りに荷が重すぎるのだ。中国封じ込め戦略の一環として、また日本の隷属関係(‘アメリカ-日本同盟’)強化のための日本と北朝鮮との間の緊張緩和に対するアメリカの敵意と、反北朝鮮感情、あるいは、おそらく単なる反朝鮮感情をかきたてることで、日本人政治家が、大衆の関心を引きつけられる利点などが相まって、日本のリベラル派の関係正常化という実現できそうにない希望は、少なくとも近未来においては阻止されるであろうことを示唆している。

日本の再軍国化という行き詰まりの道

再軍国化は明らかに、日本のアメリカとの属国関係に対する対応だ。平和憲法は、日本の敗北の結果と、アメリカだけに限定されないが、主にアメリカ合州国によりもたらされたのだ。この敗北と、その結果を清める一つの方法は、1945年以前の状態に戻って、戦勝国(ドイツさえ)と同じ交戦権を有する‘普通の国’となろうとする取り組みだろう。これは無理もないが、方向が間違っている。軍国主義は日本と近隣諸国に大変な被害をもたらしたことを認め、放棄されるべきなのだ。公平に言って、偽善と二重基準に満ちた世界では、これは難しい。戦勝国がしないことを、打ち負かされた国がすべき理由などあるだろうか。一例を挙げれば、アメリカ合州国は、一体いつ過去の行いを詫び、交戦権を放棄しただろう? しかし、この厄介な倫理問題に加え、日本は、再軍国化すべきではなく、ソフト・パワーが、ハード・パワーにとって代わる最初の平和主義国家という先駆者としての道を進むべき実利的な理由があるのだ。

第一に、日本再軍国化は、アメリカだけに限定されないが、主として、中国封じ込めと、分割の可能性に注力しているアメリカの東アジア戦略という子宮の内部で懐胎しているのだ。もしアメリカが中国に対して戦争をする場合、北朝鮮攻撃による可能性が最も高く、日本はほぼ確実に巻き込まれる。結果は日本にとっては壊滅的で、全面的な核の応酬が無い限り、アメリカにとって、それほど酷くはなかろうし、もし、中国に対する戦勝があるとすれば、恩恵は日本のものではなく、アメリカのものとなろう。もし戦利品があったにせよ、アメリカが分けてくれる可能性は低い。

第二に、人類に対する、倫理的配慮と、長期的なる結果を別とすれば、軍事力は、ある国々にとっては意味があり、他の国々にとっては意味がない。遥かに強力な敵国に脅かされている北朝鮮や中国などの国々にとっては、抑止力として意味がある。維持すべき世界帝国を持っているアメリカにとっても意味はある。例えば、確かな敵とは直面していない、オランダやニュージーランドにとって、ほとんど意味がなく、危険な帝国主義の郷愁を奨励しているイギリスにさえ、さほど意味はなく、そして日本にとっても意味はない。たとえ正式なアメリカ-日本同盟(隷属関係)などなくとも、北朝鮮や中国による日本攻撃を、実利的な力の均衡という理由からして、アメリカは容認するまい。

‘軍事力に意味があるのか’という問題は、歴史で見られる。時には、それには意味があり、別の時には意味がない。1868年の明治維新から75年後の日本を考えて見よう。当時、帝国は大流行で、自分が帝国にならなければ、どこかの国の一部にされてしまうことは、ほぼ確実だった。イギリスがそうであり、フランスも、オランダも、ロシアもそうだった。ドイツも行動に参加しようとしており、アメリカ合州国もそうで、部分的には、強制や脅し(誤解を招きかねない‘外交’と表現されることが多い)に基づくが、フィリピンでのように、やはり冷酷な武力による新たなスタイルの帝国主義を導入していた。こうした状況で、日本にも、自らの帝国を切り開くことには意味があったのだ。

日本とアメリカ帝国には、二つの重要な交差点があった。二つ目が、1941年の真珠湾だが 、それ以前に、ブルース・カミングスの言葉によれば、‘ フィリピンと朝鮮の交換を認め、日本は、アメリカの植民地における権利を問題とせず、アメリカ合州国も、日本の新たな保護領に異議を申し立てることをしない’1905年の桂タフト協定があったのだ。タフトも桂も、40年後に、アメリカが日本全土と、朝鮮の半分を得ることになるなど知るよしもなかった。

日本の朝鮮併合、満州傀儡国支配と、それ以前の1895年、台湾占領の全て、経済的には意味があった。植民地から原料、閉ざされた市場、労働力、日本の余剰人口の捌け口、更に、帝国の一部が将来の青写真となるような、おそらく日本にとって独特なものが得られたのだ。‘例えば、南満州鉄道調査部の立案者たちは、大きな欠陥のある本国経済と彼らが見なすしものを乗り越えるため、植民地における先端経済を主張した。’そういう時期は過去のものであって、取り戻すことは不可能だ。

現代日本は、勃興する中国と衰退するアメリカという二つのビヒモスに挟まれている。日本が、核兵器や、その運搬方式を含む、あらゆる兵器を持った主要軍事大国になることへの大きな技術的障害は皆無だ。しかし、その軍事力で一体何ができるだろう? 中国は余りに巨大で強力だ。もはや台湾や満州を占領することもできない。アメリカは、日本は中国に対して利用可能な飼い馴らした獣だという自信があるからこそ、日本の再軍国化を奨励しているのだ。しかし、パーマストンが、19世紀の昔に指摘した通り、国には永久の友も、敵もなく、あるのは永遠の国益のみだ。日本とアメリカも不和になりかねず、日本は1941年に試みたように、アメリカをアジアから排除したいと願うことになるかも知れない。しかし、それはばかげた夢でしかない。

短期的には、日本の再軍国化は、北東アジアにおける危機を悪化させる。主張を正当化するため、朝鮮半島と地域の危機をあおるのだ。 北朝鮮に対するアメリカの非妥協的態度を強化し、平和的解決の可能性を減らすだろう。朝鮮における戦争を、介入し、外国での軍事的冒険に対する制約を打破する好機と見なしているのだ。

しかし長期的には、再軍国化は日本とこの地域の両方を行き詰まらせることになる。そこには、繁栄や安全にたいする希望が皆無なのだ。

ニュージーランドを本拠とする退職した学者のTim Bealは、朝鮮問題とアメリカのグローバル政策に関する著書二冊と無数の記事を書いている。彼はAsia-Pacific Journalの寄稿編集者で、NK NewsとZoom in Korea にも寄稿している。彼はAsian Geopoliticsというウェブサイトを運営している。

記事原文のurl:http://www.zoominkorea.org/abe-pulls-it-off-but-it-will-end-in-tears/
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ガバン・マコーマック氏の『属国』は日本語翻訳がある。何度も拝読している。

外出中、自分が選んでいなくとも、トンデモ大本営広報部番組が耳に入ることがある。
排除発言を引き出した横田氏の質問を無視したというアナウンサーの声が聞こえた。
昨夜のことだが、これは徹底しているようだ。IWJ記事を引用させていただこう。

◆昨日アップした記事はこちらです◆

「わたしたちは国民じゃないかもしれない!しかし同じ国に住んで働いている生活者です!」~どれだけ叫べばいいのだろう?奪われ続けた声がある~朝鮮学校「高校無償化裁判」全国集会
http://iwj.co.jp/wj/open/archives/403485

希望の党、首班指名は「日本会議」所属の渡辺周氏へ!「排除発言」引き出したジャーナリスト・横田一氏の質問を希望の党「完全無視」!――希望の党
両院議員総会と総会後の囲み取材
http://iwj.co.jp/wj/open/archives/403820

「とにかく福島に来てみてください。来てみて初めて被害を受けたという気持ちがわかります」~福島を視察した市民が現地の悲痛な声を紹介――再稼働反対!首相官邸前抗議
http://iwj.co.jp/wj/open/archives/403825

希望の党の公約が政府を刺激した!? 都選出の4人の国会議員が国との連携を加速!? ~小池百合子都知事 定例会見
http://iwj.co.jp/wj/open/archives/403818

◆昨日テキストアップした記事はこちらです◆

235人中185人が落選した希望の党! 「マイナスを乗り越えていける地力がな
かった」~樽床伸二代表代行・細野豪志氏が敗戦の弁!
重苦しい空気に包まれた開票センターをレポート!
http://iwj.co.jp/wj/open/archives/402970

2017年7月 6日 (木)

“犯罪予防”監視技術、社会的要注意者リスト

Graham Vanbergen
2017年6月27日
TruePublica

思いがけず暴かれたイギリスの『マイノリティー・レポート』風‘犯罪予防’プログラム“と題する記事で、イギリスでは最新の犯罪防止技術が既に利用されていることを、私は5月に報じた。

既にイギリスが、欧米世界中で、自国民に対する最も立ち入った監視システムを採用しているという評判をどのように得て、まだ法律に違反していないが、法律に違反する可能性がある人々の跡をそっと追うビッグ・データを使った“犯罪予防”システムが警察によって、どのように実験されているかを述べた。

その時、どこで、違法な行動が一番起こりそうか、そして最も重要なことに、一体誰がそれを行う可能性が最も高いかを予測すべく、公的データ、個人情報やプログラムの利用で、世界中の警察が私企業と提携していることにも私は触れた。

最近のカナダで放送された“犯罪予防’というドキュメンタリーは犯罪予防システムに焦点を当てていた。アメリカのあるそうしたシステムは、こうした技術の最先端にある。

    “シカゴには、1,500人が掲載されているリストがある。彼らは警察の監視下におかれており、彼らが罪を犯すリスクを計算する特殊なプログラムがある。”

この犯罪予防技術は、罪がいつ、誰によって犯されるかを予測すると主張している。わずか数カ月の間に、様々なシステムが既に世界中で稼働している。こうしたシステムについて、我々が知れば知るほど、大変なものが背後についてやってくるおかげで、そうしたシステムは益々陰惨なものに見えてくる。

まず、ブルームバーグ 中国: “安定性に対する脅威を一掃する中国の取り組みは、かつては暗黒郷SFの中にだけ存在していた分野にまで拡大している。犯罪予防だ。共産党は、中国最大の国営国防請負企業の一つ、中国電子科技集団公司に、起きる前に‘テロ’行為を予測するため、普通の国民の仕事、趣味、消費習慣や、他の行動データを照合するソフトウエアを開発するよう命じた。“テロ行為の後に、原因を吟味するのは極めて重要だ” 国防請負企業の技師長、Wu Manqingは、12月の会議で記者団に語った。“しかし、より重要なことは、来る活動を予測することだ。”

プライバシー保護法の保障措置が皆無で、市民的自由擁護者たちからの反対が最小限なのだから、ソフトは未曾有のものだ”。世界中のこうしたあらゆる例で、通例、国民をテロから守るという口実の下、法律は素早く変更されつつある。

デイリー・ビースト: “東京-2017年6月14日木曜日朝、人目を欺くために“対テロ”法案と名付けられたものが、“共謀罪法案”として知られている法案に関するこれ以上厄介な質問を避けるべく、与党連立政権が標準的立法手順をとばし、国会て強引に押し通された。法律は、計画あるいは単に議論したかどで、警察が人を逮捕できる277の犯罪を規定している。法規上、ソーシャル・メディアも法律の対象になっているので、関連するツイートにリンクしたり、リツイートしたりするだけでも、共謀のかどで逮捕する理由となり得る。”

BigThink -  “アメリカ合州国: アメリカ国土安全保障省に率いられる、国土安全保障省が、現実の害を引き起こそうという意図や願望として定義する“悪意を示唆する”手掛かりを“迅速に、確実に、離れて”探知するために、センサー技術を利用することを目指すFuture Active Screening Technology、略称FAST構想がある。国土安全保障省によれば、テロと戦うのに利用されるという。

FASTシステムは、接触せずに、心理的、行動的手掛かりを監視することができる。これは、飛行機に搭乗する乗客の心拍や視線の安定性などのデータを取得することを意味している。手掛かりは、更に、その人物が罪を犯そうと計画している確率をリアルタイムで計算するプログラムにかけられる。科学雑誌ネイチャーによれば、このソフトの一回目の実地試験は数ヶ月前に、北東の秘密の場所で完了した。実験室でのテストでは、FASTは精度70%だったと報じられている。”

こうしたものは全て犯罪予防技術だ。ぞっとさせられる話かも知れないが、次に登場するのは‘社会信用メカニズム’だ。

Civil Society Futureは監視時代の市民社会に関する最近の記事でこう指摘している。

    “市民は益々、例えば、データ評点や、中国で開発されている社会信用評点のようなデータの集合により分類され、人物像分析されるようになっている。そのような評点の狙いは、将来の行動を予想し、それに従って、サービス(あるいは懲罰)用の資源と適格性を割り当てることだ。

言い換えれば 市民が、それに従って生きる規則が決められることになるのだ。

しかも、こうした規則は、単なる仮説上のものではない。ライデン大学、ファン・フォレンホーフェン研究所で中国法と統治を専門にしている研究者Rogier Creemersによれば、中国では、社会信用メカニズムの一部が既に実用化されている。

    “規則を破り、適時に改めない場合‘信頼を損なった執行対象者’リストに載せられ、様々なことができなくなる。”

中華人民共和国国務院が発表した文書によれば“信頼を裏切った人々は”助成金や、出世や、資産購入や、政府から名誉称号を受ける資格に、罰を科される。

同様の趣旨で、借金を返済し損ねた人々は、罰として旅行を制限される。現地のマスコミによれば、つい先月、最高人民法院は、裁判所の命令に従わなかったかどで、過去四年間に、615万人の中国人が、飛行機旅行を禁じられたと発表した。

処罰するために、総計44の政府機関と協力していると裁判所は発表した。

わずか四年前、イギリスとアメリカの監視機関、イギリス政府通信本部とアメリカ国家安全保障局が、電子メール、電話、会話、接触、医療や金融情報から、許可無しでの自宅における性的写真の撮影に至るまで、ありとあらゆる国民のデータを集めているのが明らかになった際、人々はすぐさまオンライン行動を変え始めた。これは自己検閲と呼ばれるものだ。しかも、更に政府は、次には、国民に報奨・懲罰制度を用意している。

二カ月前のイギリスの急速に衰退しつつある民主主義に関するガーディアンの記事では、もう一つの実に恥ずべき技術の利用が、国民的論議も無しに既に実用化されている。

“(オブザーバーが)見た文書は、国民の閲覧実績を一斉に記録し、電話会話を録音し、録音された音声データを自然言語処理にかけ、国民一人一人に罪を犯す性向について評点をつけて完成する全国警察データベース構築の提案だった。大臣に提出された計画は『マイノリティー・レポート』だった。犯罪予防だ。しかも、(データ収集に関わっている企業)ケンブリッジ・アナリティカが今やペンタゴン内で作業しているという事実は心底恐ろしい。”

いわば反則金や運転免許に対する点数をつけるスピード違反罰金制度の強化でたとえてみよう。人はスピード違反を、スピード違反取り締まりカメラでみつけられ、罰金通知が、自動的に発行され、免許証に点が追加される。保険会社リスクが増えたことが分かって、保険料があがり、スピード違反で捕まらないよう気をつけることになる。水圧破砕現場での抗議行動や、このような制度に疑問を投げ掛ける市民的自由擁護団体への参加に、同じ制度が適用されるのを想像願いたい。

労働組合員を要注意リストに載せることが、既にイギリスの建設業界の企業によって秘かに行われている。何千人もの人々が、単に労働組合員だという理由で、契約や雇用を得るのを妨げられている。イギリス政府は、いくつかの企業を、まずい発注先として、要注意リストに載せているが、同社が国家に対して無数の犯罪をおかした後も、民間軍事・警備会社のG4Sに発注している。問題は、本人たちが知らないうちに、政府の都合のために、人々や企業を、政府が積極的に管理していることだ。スピード違反加点から、要注意リストへの飛躍は、決して大きなものではなく、我々が知っていることは、読者が考えるより早く実現する。結局、エドワード・スノーデンが、アメリカ政府の大きな秘密を暴露するまで、自宅で自分たちの写真が撮影され、会話が録音され、インターネット閲覧が追跡されていることを我々の誰も知らなかったではないか。

犯罪予防システム技術は既に実現しているが、その目的は単なる犯罪予測だけではないのをお忘れなく。この技術を他の大量データ収集と結びつければ、本質的に、自己検閲を強いる能力があるのは明らかで、時間とともに、社会信用システムのような技術が、現在中国でテストされているシステムに似た懲罰・報酬に使用されることになろう。

記事原文のurl:http://truepublica.org.uk/united-kingdom/pre-crime-social-credit-systems-way/
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しっかり共謀罪もあげられている記事に感心。

刊行されたばかりの『増補版 アメリカから〈自由〉が消える』と直結する内容。 

大本営広報部の紙媒体をくまなく読んでも、痴呆洗脳テレビ番組を終日見続けても、全国民の生活に衝撃的な影響がある話題は、徹底的に隠す。TPPを、さも良いものであるかのごとく虚報しかしなかったのだから、当然ではあるが。

街の弁護士日記 SINCE1992at名古屋 2017年7月 6日記事
売国の日EU経済連携協定(EPA)  隠蔽される最恵国待遇の罠

今日の日刊IWJガイドから、共謀罪と直結する話題部分をコピーさせていただこう。

 7月1日に秋葉原で開かれた自民党都議候補の応援演説において、安倍総理が聴衆の一部を指差し、「こんな人たちに負けるわけにはいかない」と述べた問題。

※都議選前日ようやく表に姿を現した安倍総理を待っていたのは「やめろ!」「帰れ!」の嵐!怒れる聴衆の中には森友・籠池氏の姿も!安倍総理は有権者を指差し「こんな人たちに負けない」と逆上! 2017.7.1
http://iwj.co.jp/wj/open/archives/387185

 3日の会見で、東京新聞の望月衣塑子記者が、総理の発言は「有権者をある意味軽視しているかのような発言だと思える」と指摘し、「発言に問題があるとは思わないのか」と菅官房長官に質問しました。それに対し菅官房長官は、総理の発言は「きわめて常識的」と述べ、「妨害的行為があったことは事実ではないか」と反論しました。

・「妨害的行為があったことは事実じゃないか」菅長官(朝日新聞、2017年7月4日)
http://www.asahi.com/articles/ASK744J5QK74UTFK00H.html

 また、中田宏前横浜市長は、4日に放送されたフジテレビの「バイキング」で、安倍総理を批判した聴衆のことを「組織的活動家」と断言しました。

・中田宏前横浜市長 「安倍やめろ」コールの聴衆の正体について断言(LivedoorNews,2017年7月4日)
http://news.livedoor.com/article/detail/13289381/

 しかし、秋葉原で安倍総理に抗議していた市民の多くは、ツイッターのハッシュタグ「#0701AKIHABARA」を見て集まった個人であり、中田前横浜市長のいうような「組織的活動家」ではありません。

 見ず知らずの人々が、ネットの情報で街頭演説が行われると知って、三々五々集まってきたことが「組織的活動」と定義されてしまったら、どんな集会も成り立ちません。言論の自由も成立しないことになります。恐ろしく危険な発言です。

 菅官房長官は「妨害的行為があった」と言い、中田前横浜市長は「組織的活動家」と言う…。ということは、首相の政治姿勢を反対する人々がネットで呼びかけて集まって声をあげたら、そうした人々は共謀罪の「組織的犯罪集団」に該当してしまう、ということになるのでしょうか。

 共謀罪が政府を批判する言論を弾圧するために使われてしまう、という懸念が、現実のものとなりつつあると考えざるを得ません。

 なお、中田前横浜市長は岡山理科大学、倉敷芸術科学大学、千葉科学大学という、加計学園の3つの大学で客員教授を務めています。この件について問い合わせるため、IWJは昨日18時ごろ、中田宏事務所に電話を掛けましたが、連絡した時間が遅かったためか、誰も電話に出ませんでした。

・中田宏(DMM講演依頼、2017年7月5日)
https://kouenirai.dmm.com/speaker/hiroshi-nakada/

 IWJは引き続き、この件でも取材を続けていきます。

最後の部分、唖然茫然同じ穴。

2017年6月 1日 (木)

‘権利は卑劣な法律によって奪われる': テロリストではなく、各国政府が言論の自由を削いでいるとスノーデン

公開日時: 2017年5月30日 23:53
RT


エドワード・スノーデン © Rafael Marchante / ロイター

火曜日夜、国際移民会議でのビデオ・リンクによる講演で、内部告発者のエドワード・スノーデンが、テロが大量監視を導入する口実として利用されることに反対するという情熱の込もった説を述べた。

2013年に、ロシア亡命を認められて以来、四年間暮らしているモスクワからのビデオで、ポルトガル、エストリルでのグローバル移民に関する国際会議で講演し、テロリストは、人々の権利を破壊したり、社会の力を弱体化させたりする力を持ってはいないとスノーデンは述べた。そういうことが起きるのは、権力の座にある連中が、国民の自由を浸食する法律を制定するのに、過激派を口実として利用する場合だけだと、彼は述べた。

更に読む: ‘ウィキリークス・スタッフは危険な状態にある’: ピルジャー、キリアコウ、継続中のアサンジの法的闘争を論議

“テロリストは、我々の自由が理由で、我々を憎悪しているのではありません、連中は我々の自由が一体何かすら知りません... テロリストには、我々の権利を破壊したり、我々の社会を衰えさせたりすることはできません。彼等には力が欠けています。それができるのは我々だけです。”

“バニックの最中に、成立される卑劣な法律によって、権利が失われるのです。我々の自由の喪失よりも、自分の権力の座を失うのを恐れている政治指導者連中の共謀に縮み上がることによって、権利が失われるのです。”

    "間違った考え方を打ち破りたいなら、明るみに引きずりだすことだ
@Snowden#EstorilConferencespic.twitter.com/aj1bR5ZWL5
    - Estoril Conferences r/(@EstorilConf) 2017年5月30日

政府は、テロを取り締まるために、大量監視手段を使用しているのではなく、ジャーナリストの情報源、より具体的には“政府にとって不都合な記事を書くジャーナリスト”を発見するのに使用されていると、スノーデンは主張した。

更に読む: テロリスト容疑者連中は捕虜収容所に監禁すべきと元警察署長

この内部告発者は更に、テロリスト・イデオロギーを打ち破る最善の方法は、連中に、完全に広く放送するのを認めることだと主張した。“テロリストの考え方の信用を落とす方法は、公共空間で検閲することではありません… こうした考え方は魅力的ではなく、こうした考え方は、暗闇で良く育ちます… そうしたものを世界の舞台に引きずり出し、一体なぜ、それが誤りで、我々の方がうまくやれることを人々に示すのです。”

テロと戦うために、インターネットを規制することを主張したイギリスのテリーザ・メイ首相による最近の発言について、話して欲しいという会場からの質問に答えた際も、元NSA契約業者は、同様の主張をした。

    "大量監視は多くのことに有効だが、人命を救うわけではない
@Snowden#EstorilConferencespic.twitter.com/b9X3GOCUXL
    - Estoril Conferences (@EstorilConf) 2017年5月30日

スノーデンは、イギリス議会が昨年成立させた調査権限法にふれ、テロリストを根絶する手段として正当化された“欧米史上、最も過激な監視法”と表現した。

更に読む: 国連、イギリスの‘ビッグ・ブラザー’対テロ戦略を非難。

スノーデンは、そうしたものを作る衝動があるのはわかるが、こうした政策が有効だという公的証拠は無いと述べた。逆に、そうしたものが大衆に害を及ぼすという明白な証拠があると彼は述べた。

“人々がブラック・リストに載せられるのを目にしています。その政治、その信条、そのイデオロギーゆえに、政党が骨抜きにされ、反対に直面し、政府によって沈黙させられるの、歴史の上で、何度となく目していますが、これは、常に、国家治安機関が、国家を守るために必要な取り組みだと主張するものから生じているのです。”

“イギリスや、他のどの国にとって、悪の計画の一種だとまで申しあげるつもりはありません”とスノーデンは述べた。“しかし、我々は一つのこと、発言の必要性、言論の自由、結社の自由、出版の自由、どこかにある政府データベースの中でどのように見えるのか、10年後、政治家を敵に回した際に、それが一体どのように見直されるのか心配せずに、電話機を取って、好きな相手にダイアルできることなどに、注力する必要があります。これは、あらゆる自由な社会の基盤です。”

記事原文のurl:https://www.rt.com/news/390247-snowden-terrorism-privacy-conference/
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イギリスの悪法を批判する主張、国と法律名を置き換えればそのまま「共謀罪批判」。

財務省、あらゆる文書を廃棄し、明日全てのパソコンを入れ換えるという。ジョージ・オーウェルの『1984年』の主人公は、真理省という、歴史を改竄する役所につとめて、政府に不都合な過去記事を切り取って、メモリー・ホールに捨てるというのどかな世界だった。2017年の日本は、その世界を遥かに越えている。

与党のホームページの正しい解釈はこうに違いない。

日本をぶちこわそう。日本を最低の国に。

「日本国のために就職したのではないのか。巨悪の隠蔽があなたたちの職務的誇りなのか」〜官僚に向け京大・高山佳奈子教授が訴え!「テロ等準備罪」は「テロ以外」にしか適用されない!? 2017.5.26
http://iwj.co.jp/wj/open/archives/380484

「『テロ等準備罪』は、(その名称とは裏腹に、実は)『テロ以外』にしか適用されない」

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