NATO

2026年5月15日 (金)

オデーサ2014:永遠に語り継がれるべき恐ろしい残虐行為



スティーブン・カルガノビッチ
2026年5月14日
Strategic Culture Foundation

 2014年5月2日にオデーサ労働組合会館で起きた恐ろしいポグロム(大量虐殺)は、ウクライナの新秩序に反対する人々を殺害する単純な行為にとどまらなかった。

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 2014年5月2日、オデーサで、決して忘れてはならず、軽視してはならない残虐行為が発生した。残念ながら、この残虐行為の記憶は徐々に薄れつつある。事実関係は議論の余地がないにもかかわらず、激しい攻撃にさらされており、2014年にマイダン革命によって生まれたウクライナの秩序を根底から覆したこの虐殺が象徴する道徳的破局は悪意をもって歪曲されている。こうした理由から、この警告文を書くことにした。

 オデーサでその日に起きた出来事の本質的事実と経緯は本格的な議論の余地などほとんどない。マイダン支持派の暴徒集団に追われた50人近い反体制派の市民が命の危険を感じて、地元の労働組合会館に避難しようとした。だが彼らは追っ手連中に包囲され、建物内に焼夷弾が投げ込まれ、火が放たれた。その結果発生した大火災で安全な出口はなく、48人が死亡した。うち42人は労働組合会館内で生きたまま焼死または死亡している。この一連の出来事に直接異議を唱えているのは、容疑者連中本人たちと、彼らを支援する外国勢力により周到に準備されたグローバル・メディア・プロパガンダ機関だけだ。

 文脈を正しく理解するには、その数週間前、キーウで、合法的に選出された正当なウクライナ政府が、別の暴徒により暴力的に打倒されたことを思い出す必要がある。この暴徒連中は、現在我々が欧米諸国と呼んでいる国々により、特定の狙いのために訓練され、資金提供を受けていた。キエフで、専門的に仕組まれ、巨額資金(主要な組織者の一人、ヴィクトリア・ニューランドが公に自慢した通り、50億ドル以上)投入された動乱から生まれたこの新「政府」は、正真正銘の外国工作員や、ステパン・バンデラの指揮下にあった第二次世界大戦時のナチス協力者たちからイデオロギー的な影響を受けた現地勢力で構成されていた。これは、当時ウクライナのどこであれ、親ロシア的感情を表明する人々にとって非常に悪い兆候だった。

 こうして外国の支援を受けてウクライナを武力で掌握した政治連合は、直ちにウクライナの外交政策と国内政策を、欧米諸国の共同支援者連中の地政学的目標に沿うように再編成された。この政策転換は、ロシアの安全保障上の利益を直接標的にしただけでなく、ウクライナでロシア語を話す多数派住民の意思をも無視した。彼らは、自分たちの文化や、アイデンティティや、歴史的つながりに公然と敵対する政策には当然共感を示さなかった。ウクライナの多くの地域で、公然と、あるいは消極的に、クーデターに反対する動きが速やかに起きた。これに対し、クリミア、ルハンシク、ドネツクといったロシア人が圧倒的に多い地域は、キーウ政権に忠誠を誓う軍隊による大規模無差別爆撃を受け、推定1万5000人の無辜の民間人が犠牲になった。こうした懲罰的作戦に影響を受けた地域の住民は、残りのウクライナ地域からの分離に向けた法的措置を講じるに至った。一夜にして、ウクライナは、彼らがもはや住みたくない国、良心に照らして忠誠を誓うことができない国になってしまったのだ。

 オデーサは民族構成と歴史的特徴において圧倒的にロシア人が多い地域の一つで、住民は武力と欺瞞によってキーウで樹立されつつあったネオナチ政権の支配から逃れたいと切望していた。政権は住民を代表するどころか積極的に彼らを根絶しようとしていたのだ。

 2014年5月2日にオデーサ労働組合会館で起きた凄惨な大量虐殺は、ウクライナ新体制に反対する人々を殺害しただけにとどまらなかった。残虐な実行方法は、邪悪な神をなだめるための生贄の儀式的性格を、疑う余地なく示していた。事件直後、その光景を目にしたほとんどの人が、本能的にそう感じた。当初、この攻撃の狙いは、ロシア系住民多数派を威嚇することであり、政権支持派の暴徒連中は、その限定的狙いのために解き放たれたものの、彼らの暴力的性向のため、事態は制御不能に陥ったと主張することもできる。どのような説明が最も可能性が高いものとされようと、オデーサから発せられた残虐行為の映像は世界の良心を震撼させた。それはキーウで勝利したとされた「尊厳の革命」と「ヨーロッパ的価値観」にとって広報上の大失敗となった。打撃を最小限に抑える効果的対策が喫緊の課題になったのは明らかだった。

 だが、2014年当時は、現実を操作する現在の能力を人工知能がまだ獲得していなかったため、恐ろしい映像を真っ向から否定することも、信憑性を疑うこともできなかった。解決策は、到底反論できない最低限の事実を認めつつ、被害者と、より広くは、残虐行為が行われた「雰囲気」を作り出したとされるロシアに責任を転嫁する捏造された詳細を物語に加えることにあった。いつものように、BBCはこの不名誉な作戦の先頭に立った。

 「ソ連時代の壮麗な労働組合会館の三階で火災に巻き込まれた42人が焼死、窒息死、または飛び降り自殺した」とBBC報道はあっさり認めている。ここまでは問題ないが、受動態の使用は、この致命的火災を、故意の行為ではなく、事故として捉えるように事情を知らない読者に促す。次の文では、火災がどのように発生したかという合理的疑問から読者を巧妙にそらしている。「犠牲者はどうして建物内にいたのか、そして誰が火をつけたのか?」から。直接に述べてはいないものの、犠牲者が自ら危険な状況に身を置いたことが原因かもしれないという示唆で、焦点がずらされている。「誰が火をつけたのか?」という問いは、文脈的に適切な探究的質問ではなく、二つの選択肢を同じくらいもっともらしく示唆し、因果関係問題を一層曖昧にしている。そのうちの一つは、明らかにありそうもない。50人近い死者を出した火災が、建物の外側を包囲した敵対的群衆に引き起こされた可能性をBBCは公然とは否定せず、追い詰められた犠牲者自身が火災の原因だった可能性も否定しない大胆な主張をした。彼らは最終的に炎に巻き込まれて命を落としたのだ。

 結局、「3階で火災がどのように発生したのか依然不明だ」という露骨な主張で、BBCはまさにそのような印象を与える舞台を整えようとしていたことが判明した。BBCは公平な報道を装い続けながら(「写真には親ウクライナ派が火炎瓶を床に向かって投げている様子がはっきり写っていた」)と今や被害者に責任を転嫁する決定的一撃を放ったのだ。

 「だが(BBCの現地情報提供者)セルヒーは、三階で、誰かが閉まった窓から火炎瓶を投げるのを目撃したと証言した。だがガラスは割れずに、室内で火災が発生した。」

 情報提供者のセルヒーがどこにいたのか、そしてなぜ建物の三階にある割れていない窓の向こうで起きている出来事が彼の視界に完璧に収まっていたのかBBCは明らかにしていない。だが、それはさておき…。

 BBCの公式見解にほぼ沿って、ロンドンのガーディアンは、この事件を攻撃ではなく、双方が責任を負うべき衝突として捉えている。

 「金曜日、ウクライナ南部の都市オデーサで、キーウの現政権に反対し、ロシアとの関係強化を支持する抗議者たちが守る建物に親ウクライナ派活動家らが突入した際、激しい衝突が発生し、30人以上死亡した。」

 致命的暴力を引き起こしたのは一体誰なのかという問題について『ガーディアン』紙は、微塵の控えめさも示さず論じている。

 「燃え盛る建物の最後の抵抗として、親ロシア派戦闘員は屋上から下の群衆に向かって石や火炎瓶を投げつけた。現場の医療関係者によると、親ロシア派戦闘員は屋上から銃撃もしていた。」

 すると、包囲していた暴徒連中が、自衛のために建物に火を放ったのか?

 ドイツ公共放送ドイチェ・ヴェレ報道も同様に嘘だ。

 記事は、文字通りのホロコーストを「親ウクライナ派と親ロシア派活動家による数時間にわたる激しい市街戦の頂点で、既に6人射殺された。数百人が負傷した。これは多くの人々にとって黒海沿岸のこの港町の近年の歴史で最も暗い日だった」とさりげなく描いている。

 ドイチェ・ヴェレが被害者に対して全く共感を示さなかったことや、状況や因果関係を歪曲して伝えたことを、ゲッベルス博士なら、きっと称賛したに違いない。

 「この事件は、東ウクライナにとっても重要な出来事だったようだ。というのも、ドネツク州とルハンシク州でキーウからの分離独立を問ういわゆる『住民投票』が行われる僅か一週間前に起きたからだ。焼け焦げた遺体の映像をロシア・テレビは放送し、ロシアに友好的な同胞を『ウクライナ・ナチス』が『生きたまま焼き殺した』と報じた。分離主義者側のロシア人戦闘員は『オデーサの地獄』に触発されたとインタビューで語った。」

 この問題は、一部の犠牲者遺族の要請により、最終的に欧州人権裁判所に持ち込まれた。恥ずべきほど不十分な同裁判所の判決は2025年に公表され、ここで閲覧できる。欧米メディア全体と同様、同裁判所は否定できない事実を直接否定するのではなく、歪曲して、別の視点から捉え直している。まともな人間なら誰で言語に絶する残虐行為で、極めて重大な人道に対する罪と考えるだろうこの事件に対して、欧州人権裁判所の裁判官連中は全く動じない。この惨劇を引き起こした最大の原因として、彼らは、ロシア・プロパガンダと偽情報を挙げている。

 「今回の事件における悲劇的出来事に、こうした偽情報やプロパガンダが、影響を与えた可能性があると裁判所は考えている。オデーサの親ロシア派『クリコヴェ・ポーレ』運動は、ウクライナ新政府やマイダン支持者に関して、ロシア当局やマスメディアが発信する攻撃的で感情的な偽情報やプロパガンダ発言に大きく依存していた。」

 最終的犯人を特定して、裁判所は、ウクライナ当局を非難して公平さを装う贅沢を自らに許している。警察の「不作為」と消防隊の対応の遅れは、ウクライナ当局の責任とされた。これは、ニュルンベルク裁判で、戦争犯罪の被告が信号無視に相当する罪で起訴されるようなものだ。判決全体を通して、ロシアと東欧で最も洗練された国際都市の一つ、オデーサで少なくとも42人の人間が意図的に焼き殺されたことに対する地方レベルを超える構造的責任については微塵も言及されていない。裁判所が背景事情を検討した際、親ナチス勢力が積極的に関与し、同程度の致命的暴力を特徴とするキーウでの暴力的なクーデターが、この事件と何らかの関係があった可能性を示唆する記述は皆無だ。

 こうして、本件に関して、知るべきことが全て盛り込まれた権威ある法的判断が下されたので安心して幕を閉じられる。これはまさに「普遍的価値観」への誓約を誇る法学の、ある種の倒錯ぶりを如実に示している。

記事原文のurl:https://strategic-culture.su/news/2026/05/14/odessa-2014-appalling-atrocity-that-should-live-in-infamy/

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 宗主国マスコミも、属国マスコミも、ロシアの対ウクライナ特別作戦う対して、「いわれのない侵略」という真っ赤な嘘をつき続けている。本件の真実が大本営広報部に報道されることは今後もあり得ない。

 2024年5月8日に下記記事を書いた。
オデッサ虐殺から10年…NATOの犯罪を隠蔽する欧米メディアの沈黙
 2014年5月7日に掲載した記事で、下記の様に書いた。日本のマスコミなるもののデタラメさの反証として、是非ご覧頂きたい。
 キエフと右派セクターによるオデッサ水晶の夜 (写真・閲覧注意!) 翻訳したVeterans Today元記事自体が削除されており、そこにリンクしておいた画像が全てみえなくなっている。  2022/2/28 読者の方から、写真全てがみられる魚拓ページをご教示いただいた。この問題のページの凄惨な写真が全てみられる。 https://web.archive.org/web/20140515000559/http://eigokiji.cocolog-nifty.com/blog/2014/05/post-4bc4.html
 今朝の孫崎享氏メルマガ題名
トランプ会談開始時「史上最高の首脳会談」になる可能性」に言及、習近平は台湾問題への対応を誤れば「極めて危険な事態」を招くとトランプに警告し雰囲気変える。米側対応は不明。イラン問題については双方で見解表明程度。経済・貿易紛争を鎮静化も大きな前進なし(WP)

2026年5月 8日 (金)

欧米諸国の戦争挑発行為を終わらせることが我々の最優先事項であるべきだ。



欧米諸国の戦争挑発行為を終わらせることが他のあらゆる社会問題よりも優先されるべきだ。それは、あなたの夫が連続殺人犯であることの方が彼が皿洗いを拒否することよりも遙かに緊急な問題なのと同じだ。

ケイトリン・ジョンストン
2026年5月8日

 ティム・フォーリーによる英文記事朗読を聞く。

 何よりもまず、欧米諸国は人を殺すのをやめるべきだ。欧米の戦争行為を終わらせることは他のあらゆる社会問題より優先されるべきで、それは、あなたの夫が連続殺人犯であることの方が、彼が皿洗いを拒否することよりも遙かに緊急な問題なのと同じだ。

 我が国の政府がよその大陸で人々を虐殺している事実より、国内政策に政治的注目が遙かに多く集まっているのは深刻な病理の表れと言えるだろう。もちろん、国内政策が重要でないと言っているわけではない。ただ帝国の中核国家が実際大量虐殺に積極的に関与している現状ほど恐ろしく緊急性の高い問題ではないと言っているに過ぎない。

 医療? もちろん重要だ。移民の権利? もちろん重要だ。社会正義と平等? もちろん重要だ。しかし、もしあなたが欧米諸国製の爆弾によって家族や隣人が引き裂かれているような場所に暮らしていて、その時にLGBTQ問題の重要性や神経発達障害を持つ人々への差別撤廃を訴える欧米のソーシャルメディア投稿を目にしたらどうだろう。少し立ち止まって、その立場になって考えて頂きたい。

 何度でも繰り返すが、私はそれらの問題が重要でないと言っているわけではない。ただ大量殺戮を終わらせることが、もっと緊急の課題として認識されるべきだと言っているだけだ。これは議論の余地がないことだと私は考えている。


 我々の社会の他の分野では、このような区別をつけるのに苦労することはない。もしあなたの国で銃乱射事件で20人が死亡したとしたら、その事件は、その日に国内で起きた他のあらゆる不正義や虐待より遙かに大きな注目を集めるだろう。70歳の女性が殺害された場合、同じ70歳の女性が肺がんで亡くなった場合より、彼女が暮らした社会にとって、遙かに大きなトラウマとなり、重大な出来事となるだろう。もしレストランで、向かいのテーブルで誰かが絞殺されているのを目撃したら、あなたはインターセクショナル・フェミニズムに関する議論を続けないはずだ。

 殺人事件が身近な場所で、自分たちと同じような容姿、生活、言語の人々に起きる場合、殺人が喫緊の課題で、その防止が社会にとって最優先事項なのは容易に理解できる。だが、肌の色が濃く、違う言語を話し、違う宗教を信仰し、違う文化圏に暮らす人々が自国政府に殺害されるとなると、我々はその事態の緊急性から目を背けてしまう。

 これは、文明としての我々の恐るべき実態を物語っている。裏庭に埋められた遺体を無視し、夫のオンライン・ギャンブル中毒が家族にどれだけ負担をかけているかを心配する連続殺人犯の妻と我々は何ら変わらない。帝国の犯罪から心理的に隔離するために、我々は自分たちの内にある貴重で重要な何かから自らを切り離しているのだ。

 これは同胞を傷つけるだけでなく、我々自身をも傷つける。欧米諸国の軍事虐殺という冷酷な現実から目を背け、自らをねじ曲げることで、我々は内面に醜い傷を負わせている。それは人間としての我々を歪め、人生観に深刻な影響を与え、知覚のフィルターに傷をつける。そうならないはずがない。

 これら全ての戦争や虐殺という残虐行為は、それらにふさわしい緊急性をもって向き合うことで、我々自身の内なる神聖な部分を取り戻すきっかけになる。そうしなければ、本当に自分らしい生き方をして、現実と真実に基づいた関係を築くことはできない。

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 画像は、アメリカ戦争省より。海兵隊トレント・A・ヘンリー軍曹撮影。

記事原文のurl:https://caitlinjohnstone.com.au/2026/05/08/ending-western-warmongering-should-be-our-number-one-priority/

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 ≪櫻井ジャーナル≫
ナチ体制下のドイツがソ連に敗れ、連合国に降伏したのは81年前の5月8日

2026年4月29日 (水)

中東紛争の論理はヨーロッパにも影響を与えているのか?



ルーカス・レイロス
2026年4月23日
Strategic Culture Foundation

 ロシアが明らかにしたヨーロッパ標的リストの背後には一体何があるのか?

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 ロシア国防省による最近の情報公開は、つい最近まで現代の紛争を規定していた暗黙のルールを変革する新たな一歩になる。ウクライナが使用する兵器の製造に関与する欧州域内の企業や産業構造を指摘して、モスクワは明確なメッセージを発信している。すなわち、ロシア領土への攻撃を可能にする連中は正当な標的で、これまでのところ彼らが何の制裁も受けていないのはロシアの自制によるものだというメッセージだ。

 この動きは既に予想されていた。これは間接戦争の伝統的限界が侵食されつつあるという広範な傾向を反映している。紛争中、欧州諸国はキーウに政治的支援を提供するだけでなく、軍事力の増強にも物質的貢献をしてきた。ロシアの視点からすれば、これは単純な疑問を提起する。こうした組織が、ロシア領土に対する作戦において戦略的機能を発揮し始めた場合、どの程度まで安全を維持できるのだろう?

 暗黙の答えが形になりつつあるようだ。ロシアはこれらの場所を公表することで、単に情報を提供するだけでなく、明確なメッセージを発信している。メッセージは、事態が深刻化した場合、こうした施設が正当な軍事目標として扱われる可能性があることを強く示唆している。これは紛争の超えてはならない一線の再定義を目的とした計算された警告で、同時に(キーウ支援者に対する一種の「最終警告」として)事態の沈静化を図る試みだとも解釈できる。

 この論理を説明する上で重要な前例がある。イランは、アメリカとイスラエルとの紛争を通じて、敵勢力と結びついた戦略的インフラ、特に中東、とりわけペルシャ湾におけるアメリカと同盟諸国に関連するエネルギー施設や軍事拠点を攻撃する意思と能力を示してきた。これらの行動は、敵の作戦能力を低下させることと、ワシントンとの軍事関係を維持することのリスクについて地域諸国に警告する、二つの中心的目的を持った広範な戦略の一環だった。

 この種の手法は、現代の紛争の性質を根本的に変えるものであると同時に、今日の軍事力学における潜在的な必要性にも応えるものだ。正式な国境に関係なく、敵の補給源、意思決定センター、兵器生産拠点を標的にするのだ。イランが敵の攻撃に抵抗するには、こうした作戦を可能にする近隣諸国の基地やインフラも同時に標的にしなければ効果はなかっただろう。そして今や同じ論理がヨーロッパにも広がりつつあるようだ。

 ロシアはこの手法を取り入れつつあるようだ。ロシアがこの道を進むことを選択した場合、潜在的標的リストの大幅拡大を阻む明確な技術的または戦略的障壁は存在しない。ウクライナの軍事行動に直接または間接的に関与している限り、複数国にまたがる産業インフラ、研究センター、サプライチェーンも、この新たな「正当な標的」の解釈に含まれる可能性がある。

 これは欧州を困難な立場に置くことになる。キーウの戦争努力への関与を深め続けることは、自国領を含むあらゆる場所でのリスク増大を受け入れることを意味する。最終的に、ロシアとの緊張緩和に必要な条件を作り出すには、戦争への共同参加を終わらせるしかないことを欧州指導者たちは認識しなければならない。

 核心は、この紛争が事実上、既にウクライナ国境を越えて拡大している点にある。問題は、この拡大が経済・物流分野にとどまるのか、それともより直接的な武力衝突へと発展するのかだ。モスクワは、自らに選択肢があり、必要と判断すれば躊躇なく、それを検討する姿勢を明確に示したいと考えているようだ。

 こうした状況下で、キーウ支援を直接的な結果を伴わない活動として扱うことに欧州が固執するのは、危険な賭けになる可能性がある。この新たな論理が徹底的に追求されれば、欧州大陸は単なる間接的主体でなくなり、遙かに大きなリスクにさらされることになる。

 ロシアは今回も慎重な行動を取り、敵国に緊張緩和の機会を繰り返し与えている。標的リストを公表して、モスクワは攻撃可能な場所を把握しており、攻撃を行う正当性と能力の両方を備えていることを明確に示している。それでもなお、ロシアは先手を打つのではなく、事前に警告を発し、相手の反応を待っている。

 ヨーロッパとの戦争をロシアが望んでいないのは明らかだが、善意を示すのに疲れ果てている。今や必要とあらば、より過激な手段を取る用意があることを示そうとしているようだ。

記事原文のurl:https://strategic-culture.su/news/2026/04/23/is-the-logic-of-the-middle-east-conflict-reaching-europe/

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  孫崎享氏のメルマガ題名
米イラン関係、「イランの降伏も政権交代ももたらさない』ハース米国外交協会名誉会長「平和と戦争の狭間で膠着状態。交渉は保留状態。ホルムズ海峡は封鎖。戦争は、不安定な停戦が無期限に延長されたことで、ほぼ中断状態。トランプにエスカレーション、漂流、交渉の選択肢。降伏させれない。
 植草一秀の『知られざる真実』
朝三暮四で若者騙す財務省

2026年4月25日 (土)

解き放たれた熊:ロシアの警告とNATOの約束と西欧の危険な自己満足



ロレンツォ・マリア・パチーニ
2026年4月23日
Strategic Culture Foundation

 クマは挑発され、挑発が続いたらどうするか繰り返し、明確に警告している。

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警告

 ロシア国防省が欧州のドローン製造施設を公表したことは、モスクワの情報戦略における質的転換点を示している。名指しされていない敵国に向けられた一般的脅迫とは異なり、今回の措置は特定国(NATOの東部国境に位置する国も含む)の施設を名指しし、それらの活動をウクライナ紛争への直接的関与として位置づけた。ロシアの軍事ドクトリンでは、第三国によるこうした関与は、解釈によっては報復措置の根拠になり得る。

 リストにはリトアニア、ラトビア、ポーランドと西ヨーロッパ諸国の施設が含まれていた。これら施設を単に監視するのではなく公表するという選択は意図的なエスカレーションのシグナルを示唆している。ロシアは監視能力と政治的費用が許容範囲内だと判断すればNATO領土への攻撃も検討する意思の両方を示しているのだ。これが信頼できる脅威なのか、それとも心理戦なのか、まさにこの点がNATOの計画立案者たちが真剣に向き合わざるを得ない問題になっている。

 この状況を特に深刻にしているのは、ロシアによるウクライナ防衛産業インフラ攻撃という、より広範な背景にある。モスクワは、敵対地域深くへの長距離精密攻撃を実行する意思と技術的手段の両方を示した。もはや問題は、ロシアがこれら標的を攻撃できるかどうかではなく、NATOの抑止力が、ロシアに攻撃を思いとどまらせるほど強固なものかどうかだ。
 
第5条は、保証なのか、それとも祈りなのか?

 北大西洋条約第5条は集団防衛の要となる条項だ。同条は、加盟国の一つに対する武力攻撃は全加盟国に対する攻撃とみなされると規定している。しかし、この条項を詳しく読んでみると、世間の評判ほど絶対的なものではないことがわかる。同条は加盟国に戦争を義務付けるものではなく、各加盟国が、その行動には武力行使も含まれる「必要と判断する行動」を取ることを求めているに過ぎない。

 ロシアがバルト三国(例えばリトアニアやラトビア)を攻撃した場合、直ちに問われるのは第5条が適用されるかどうかではなく、どれほど迅速かつ断固として、そして誰が発動するかということだ。過去の事例は慰めにはならない。2014年にロシアがクリミアを併合した際、NATOの対応は慎重かつ遅いものだった。2008年にロシア軍がジョージアに侵攻した際も、西側諸国はトビリシを言葉では支持していたにもかかわらず集団的軍事対応は一切なかった。

 バルト三国は特に脆弱な立場にある。スヴァウキ回廊(ベラルーシとカリーニングラードを結ぶ約100キロの回廊)を除けば、NATO本土と陸続きの国境を接していない。ロシアの計画立案者たちは、この回廊を潜在的な要衝として長年特定してきた。この回廊を迅速に遮断する作戦をロシアが実行すれば、NATOは第5条の協議が完了する前に既成事実を突きつけられることになる。第5条が適用されるか否かという法的問題は、現場の状況によって無意味なものになる。

 バランスとエスカレーション管理の問題も存在する。リガのドローン工場に対するロシアの巡航ミサイル攻撃は地上侵攻とは異なる。NATO加盟国は対応を迫られる強い圧力に直面するだろうが、対応の性質と規模は内部で激しい議論が交わされるだろう。核保有国との直接衝突へのエスカレーションを避けるため、自制を主張する国もあれば、断固とした軍事的対応を求める国もあるだろう。平時における最大の強みである合意に基づく意思決定は、危機において最大の弱点になる。
 
イランの教訓と誰も読まなかった警告

 2024年4月、イランはイスラエル領に対し未曾有の直接攻撃を仕掛けた。イランから300機以上のドローンと弾道ミサイルが発射されたのだ。この攻撃は、イスラエル、アメリカ、ヨルダン、イギリス、フランスが連携した作戦により驚異的効率で迎撃された。西側メディアはこれを、同盟国の防空能力の勝利として報じた。

 だがロシアの戦略家にとって、この出来事は別の教訓をもたらした。NATO加盟欧州諸国の迎撃への貢献は控えめなものだった。ウクライナへの移転で既に逼迫していた防空兵器の保有量は限界を露呈した。更に重要なのは、国家主体が発射した兵器を物理的に撃墜するという直接的介入への政治的意思が、NATOの中核加盟国でさえ普遍的ではなかったことだ。欧州の複数政府は、地域情勢の悪化を懸念し、参加を拒否した。

 欧州の敵国がNATO非加盟国に対するイランの挑発行為に対してさえ、一貫した対応を取るのに苦労していることを観察すれば、アメリカの指導力のない欧州NATOは、公式な兵力数から推測されるほど手ごわい相手ではないとロシアは結論づける可能性がある。欧州の軍事力と政治的意思の両方が過大評価されているというこの判断は、モスクワが戦略的利益圏と考える領域におけるリスク・テイキングのハードルを下げるかもしれない。

 2021年12月17日、ロシア外務省はアメリカとの条約草案とNATOとの条約草案の二つを公表し、数週間以内の署名を要求した。これら文書は直接的な内容が際立っていた。NATO東方拡大の停止、1997年以降に加盟した国々からの同盟軍と兵器の撤退と、NATOがロシア国境に攻撃システムを配備しないという法的拘束力のある保証をロシアは要求した。

 プーチン大統領はこれら要求に明確な警告を添えた。西側諸国が「攻撃路線」を続けるなら軍事的措置が必要になると述べた。ロシア国境付近における米軍とNATO軍の増強、および大規模演習の実施は、ロシアの安全保障に対する深刻な脅威だと指摘した。西欧諸国のミサイルがロシアの近隣諸国に配備されれば、それは容認できない挑発で、対応が必要になると明確に述べていた。

 振り返ってみると、西側諸国の反応は驚くほど自己満足的だった。高官連中は要求を全く受け入れられないものとして一蹴し、中には身勝手なプロパガンダだと評する者もいた。懸念事項が解消されなければ、モスクワは軍事行動を起こす用意があるという可能性を真剣に受け止める者はほとんどいなかった。それから10週間も経たないうちに、ロシア軍はウクライナに侵攻した。

 2021年12月のプーチン大統領の警告を真剣に受け止めなかったことは、西側諸国の戦略文化に根深く存在するいくつかの病理を反映している。第一に、鏡像関係に固執する傾向、敵対国も西側諸国と同様の費用対効果分析を行い、西側諸国の意思決定者が非合理的と判断するようなリスクは冒さないだろうと想定する傾向が根強く残っていること。第二に、官僚的かつ政治的インセンティブ構造において、警告を発した当局者は、誤報に対して罰せられるが、誤報に対して、ほとんど責任を問われないこと。第三に、そしておそらく最も危険なのは、一種の文明的傲慢さ、衰退しつつあるロシアが、大西洋同盟の結束した力に立ち向かう勇気など持ち合わせていないという確信だ。

 これらの問題点はいずれも今日も依然存在している。ロシア国防省による欧州のドローン施設に関する現在の警告も、2021年に完全に失敗したのと同じ欠陥がある分析フィルターを通して処理されている。

 ロシアがNATO領内のドローン製造施設を攻撃した場合、たとえ通常兵器による攻撃であっても、たとえ精密攻撃であっても、影響は甚大となる。まず最も直接的な影響は政治的なものだ。NATOは即座に集団的対応を求められることになり、それに伴う内部の緊張や分裂も避けられない。ロシアと国境を接する国々、すなわちバルト三国、ポーランド、フィンランドは動員を開始するだろう。一方戦線から遠い国々は慎重な対応を勧告するかもしれない。

 経済的影響は甚大だ。市場は欧州全域に及ぶ戦争の可能性に反応する。2022年以降の環境下で既に構造的に高騰しているエネルギー価格は急騰する。欧州各国政府は再軍備を加速させるという抗しがたい国内圧力に直面するため、防衛関連株は急騰する。ウクライナ紛争との近さにより既にストレスを受けている東欧社会の社会構造は深刻な緊張に直面する。

 より根本的な問題として、ロシアがNATO領土への攻撃を成功させ、それに対する相応の軍事的対応がなされない場合、同盟の抑止力の信頼性は完全に崩壊する。モスクワ、そして事態を注視するあらゆる現状変更勢力へのメッセージは、NATOの保証は条件付きで、同盟はエスカレーションのリスクを冒すより攻撃を受け入れることを選択し、ルールに基づく秩序に挑戦するハードルはこれまで考えられていたより低いということになる。このような信頼性の崩壊がもたらす長期的影響は、いかなる攻撃による直接的な物理的被害をも遙かに凌駕するだろう。  
アメリカは来るのか?

 今日、欧州の安全保障関係者の間で最も厄介な問題は、ロシアがNATO領土を攻撃する可能性があるかどうかではなく、攻撃した場合、アメリカが即座に断固対応するかどうかだ。75年間、答えは「イエス」だと考えられてきた。だが今その前提が初めて本当に疑わしくなっている。

 2016年以降のアメリカ戦略論争の展開は、かつて揺るぎない確信があった場所に不確実性をもたらした。アメリカの政治主流派からは、国防費目標を達成しない加盟諸国に対するNATOの姿勢の価値を疑問視する声が上がっている。アメリカの戦略文化に常に存在しながら、長らく国際主義的合意に従属してきた「アメリカ・ファースト」の伝統が、強力な勢力として再び台頭してきた。ヨーロッパの首都は、第5条が選択的に、あるいは条件付きで、あるいは戦略的に無意味になるほどの遅延の後に適用される可能性に直面せざるを得なくなっている。

 欧州の対応は、遅ればせながらも真摯な防衛力強化の加速だった。ドイツの「ツァイテンヴェンデ」(時代転換)、フランスの戦略的自律性への新たな重点、北欧諸国のNATO加盟、そして同盟全体における防衛費の大幅な増加は、欧州の安全保障を、ワシントンに完全に委ねることはできないという認識の高まりを反映している。しかし、現在の欧州の軍事力と、ロシアによる大規模通常攻撃を独自に抑止、または撃退するために必要な戦力との間のギャップは依然大きく、その差は数ヶ月ではなく数年単位だ。

 その間、欧州各国政府は不確かなアメリカの保証への依存と自国の防衛能力の欠如という危険な状況の中をうまく立ち回らなければならない。これは戦略目標の実現のために軍事力を行使する意思と能力の両方を示す敵に立ち向かうのに決して楽な立場ではない。

 欧米メディアには、ロシアの警告を、本質的に滑稽なものと捉える論調がある。それは、衰退しつつある大国の空虚な虚勢で、虚勢は何度も見破られ、超えてはならない一線は何度も引き直された結果、もはや意味をなさなくなっているという見方だ。この見方には、ある種の修辞的魅力がある。だが同時に、極めて危険なものでもある。

 経済的、軍事的苦痛に対するロシアの耐性は一貫して西側諸国の予測を上回ってきた。2022年以降に課された制裁体制は、急速な経済崩壊を引き起こすと予想されていたが、実際は適応や方向転換や本物の回復力を示す戦時経済を生み出した。ウクライナ紛争初期段階における軍事的後退は、ロシア軍の無能さの証拠として広く解釈されたが、その後、西側諸国から供給された膨大な量のウクライナ軍需物資を消費する消耗戦が続いている。

 ロシアの忍耐を嘲笑し、超えてはならない一線の度重なる引き直しを、自制ではなく臆病さの証拠と解釈するのは、戦略的論理の誤りだ。ロシアは一貫して、NATOとの直接対決を避ける手段で目的を達成することを好んできた。だが西側諸国の挑発に対するロシアの寛容さは無限ではなく、武器供給、情報共有、経済戦争、ロシア国家の正当性を否定する言説といった圧力の着実な蓄積は、ロシアの寛容さを、モデル化が困難で正確に予測不可能な形で試しているのだ。

 大国間紛争の歴史は、相手国が、あまりに合理的、あまりに弱体、あるいはあまりに臆病でエスカレートするはずがないと自らを納得させた当事者による誤算の残骸で満ちている。現在の状況における特有の危険性は、西側の自己満足と、ロシアの苛立ちが収束しつつあることにある。更なる自制は弱さと解釈され、それに応じて利用されるとモスクワが結論すれば、たとえ相当なリスクを伴うにせよ、断固とした行動を取る動機が、慎重さの選好を凌駕する可能性がある。

 この文脈で、ロシア国防省が公表した欧州のドローン施設リストは、単なるプロパガンダ活動ではない。西側主流メディアが政治的な都合と文化的な傲慢さから軽視してきた、エスカレートするシグナルのパターンにおける重要なデータポイントだ。ロシアの忍耐が限界に達した時に軽視の代償を払うのは脅威を嘲笑した評論家連中ではない。脅威を真剣に受け止めてくれると政府を信じていた国々の国民が代償を払うことになる。

 ロシアからの露骨な合図や、NATO内部の信頼性問題や、アメリカの戦略的不確実性や、西側諸国の慢心といった要素が重なり合い、冷戦の最盛期以来最も危険な脅威環境が生まれている。適切な対応はパニックに陥ることではないが、欧米主流派の多くが現在陥っているような現実を軽視する自信過剰も決して許されない。

 率直に言って、自ら招く戦争で、本当に滅びたいのかどうかを欧州連合が自問自答し始めるべき時が来たのだ。

 挑発されて、挑発が続いたらどうするかを熊は繰り返し、はっきりと警告してきた。問題は、これらの警告が信頼できるかどうかではない。問題は、事態が答えを示す前に、西側諸国がこれら警告を真剣に受け止めるために必要な戦略的明確さを見出せるかどうかだ。

記事原文のurl:https://strategic-culture.su/news/2026/04/23/bear-unbound-russia-warning-nato-promises-and-dangerous-complacency-of-west/

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 アメリカ出張時、フレデリック・ポールが著名SF作家とは知らず、たまたま書店で『チェルノブイリ』ペーパーバックをみかけて購入、ホテルで読みふけったことを思いだす。日本語翻訳は講談社から文庫が出されている

 事故が起きたのは、1986年4月26日午前1時23分(モスクワ標準時)。

 当ブログでは、2011年3月26日 (土)下記記事を公開した。

原子力開発体制の欠陥-V・レガソフ手記

2026年4月13日 (月)

ハンガリーの覇権争いでマジャルがオルバンに勝利:今後の展開は?

マジャル・ペーテルの決定的勝利はハンガリーと東西諸国との関係を大きく変えるだろう。

公開日:2026年4月12日 22:22 | 更新日:2026年4月13日 05:31
RTニュースルーム

 RTニュースルームは、ロシアおよび国際報道において10年以上の経験を持つ多言語ジャーナリストのチームで、主流メディアの報道で見落とされがちな独自の調査と洞察を提供している。

 ハンガリーの覇権争いでマジャルがオルバンに勝利:今後の展開は?

2026年4月12日、ハンガリーのオルバーン・ヴィクトル首相がブダペストで投票した。© NurPhoto / Getty Images

ハンガリーの野党指導者マジャル・ペーテルが同国の議会選挙で驚異的勝利を収めた。マジャール率いるティサ党は、オルバン首相率いるフィデス党を16ポイント以上の差で破った。この結果は、ハンガリーとEU、ロシア、ウクライナとの関係を劇的に変えることになるだろう。

 日曜日の投票締め切りからわずか一時間後、オルバンはマジャールに電話をかけ、勝利を祝った。

 日曜夜の時点で投票用紙の92%が開票され、ティサ党が53.72%の得票率でフィデス党の37.67%を上回り、リードしていた。この結果は、野党寄りの選挙前世論調査結果と一致していた。

 マジャールは、汚職撲滅、公共サービスの拡充、EUとの関係修復を公約に掲げて選挙運動を展開した。一方、オルバンは、国民の減税と企業課税を継続するとともに、ハンガリーをロシア・ウクライナ紛争から遠ざけることを約束した。マジャルはEUの手先で、EUはハンガリーの安価なロシア産エネルギー入手を断ち、モスクワに対するEUのエスカレーション政策を支持するだろうとオルバンは選挙運動で訴えた。

 ハンガリー有権者の77.8%が投票し、ハンガリー史上最高の投票率を記録した。この未曾有の高い投票率のおかげで「次期国民議会の民主的正当性は、これまで以上に強固なものとなるだろう」と首相府大臣のゲルゲリー・グヤーシュは記者団に述べた。

 「今回の結果が我が国と国民の運命にとって何を意味するのか、またそのより深い、あるいは、より高次の意味は一体何か、現時点では分からない。時が経てば分かる」とオルバン首相はブダペストで支持者たちに語った。「結果がどうであれ、我々は野党として、我が国とハンガリー国民のために尽力する。」

 マジャール勝利は一体何を意味するのか?

 1. ハンガリーはロシアとの緊密な関係を維持するのか?

 これは極めてありそうもない。マジャルの野党メディア同盟者たちはEUのスパイと協力して、ロシアが選挙に干渉したという記事を掲載し、マジャールは群衆を率いて「ロシア人は帰れ!」と叫んだ。こうした主張はさておき、マジャールがモスクワに対して公然と敵対する政策を採用する可能性は低いが、EUとの関係修復を望む彼の願望は、ブダペストがEUのウクライナ向け900億ユーロの融資パッケージ反対を取り下げる結果となる可能性が非常に高い。この決定はロシアでは受け入れられないだろう。

 2. ハンガリーはアメリカから冷遇されるのか?

 オルバーン・ヴィクトルはドナルド・トランプ大統領と思想的に緊密な同盟者で、トランプはオルバン再選運動のために副大統領のJD・ヴァンスをブダペストに派遣し、オルバンが勝利すれば「アメリカの経済力を最大限に活用してハンガリー経済を強化する」と約束していた。

 マジャールが政権を握れば、ハンガリーはもはやMAGA運動の寵児でなくなるが、両国間関係は友好的なまま維持される可能性が高い。

 3. マジャルはハンガリーの移民受け入れを拡大するのか?

 可能性は極めて低い。オルバン首相の強硬な移民政策はハンガリー国内で非常に人気が高く、ハンガリー右派は移民問題に関して首相を批判し、EU域外から3万5000人の外国人労働者の受け入れを認めた決定を非難している。ブリュッセルがハンガリーに亡命希望者の受け入れを迫るかどうか、また西側リベラル・メディアがオルバン首相と同様、この問題でハンガリーを激しく批判するかどうかは今後の展開次第だ。

 4. ハンガリーへの数十億ユーロの資金提供をEUはどれくらい速く解除できるのか?

 現在、EUは司法の独立性、汚職、オルバン首相によるLGBTQプロパガンダ禁止などを理由に、約200億ユーロのハンガリーへの資金提供を保留している。

 マジャルは、ハンガリー憲法を改正し、EUが要求する司法改革を実施するために必要な3分の2の多数派を獲得する見込みだが、資金提供の可否と時期は最終的にEUが決定する。更に、マジャルはLGBTQ問題に関して沈黙を守っており、EU要求を満たすためハンガリーを自由化しようとするいかなる試みもハンガリー国民の不評を買う可能性がある。

 マジャルにとって、この資金へのアクセスは極めて重要である。医療、教育、その他の公共サービスへの支出計画は、資金提供の有無に完全に依存している。

 5. ハンガリーはロシア産原油契約を解除できるのか?

 ロシアはハンガリーの石油のほぼ90%、天然ガスのそれよりやや多い分を供給しており、パクシュ原子力発電所の核燃料も供給している。EUは加盟国に対し、来年末までにロシアからのエネルギー供給を完全に断つよう義務付けているが、ハンガリーとロシアの契約は2035年までとなっている。

 契約満了時に、ハンガリーのロシア・エネルギー依存を解消するとマジャルは約束している。しかし、ハンガリーに対するEU制裁措置の適用除外を確保するために、オルバン前首相が行ってきたような政策を続けるつもりはないかもしれない。この政策は、事実上2035年より前に供給を断つことを余儀なくさせるものになる。

 6. EUは今や、ロシアの凍結資産を奪取できるようになるのか?

 いや。オルバン首相はメディアでEUとウクライナに関するEUの計画を阻む唯一の障害として描かれているが、EUに凍結されている約2100億ユーロのロシア資産を奪うかどうかの決定はEU内で不人気だ。イタリアのジョルジア・メローニ首相、スロバキアのロベルト・フィツォ首相、チェコ共和国のアンドレイ・バビシュ首相をはじめとする各国首脳は、資産が差し押さえられているベルギーのアレクサンダー・デ・クロー首相と同様、この措置に反対している。

 そのため、EUはウクライナを存続させるために、900億ユーロの債務融資に頼っている。オルバン首相がいなくなったことで、フィツォ首相やバビシュ首相が反対しない限り、EUは融資に対する全会一致の支持を得られる可能性が高い。

記事原文のurl:https://www.rt.com/news/638268-magyar-beats-orban-hungary/

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 ハンガリーは、欧米で唯一、日本と同様、姓・名の順で表記する。

 Magyar、マジャルは、文字通りマジャール人、マジャール語、ハンガリー語、ハンガリー人という意味。

2026年4月12日 (日)

ハンガリーを巡る戦い:RTによるハンガリー選挙決定版ガイド

今年最も重要な欧州選挙で一体何が問われているのか?
公開日:2026年4月10日 12:12 | 更新日:2026年4月10日 13:15
RT

ハンガリーを巡る戦い:RTによるハンガリー選挙決定版ガイド


RT合成画像

 ハンガリーのヴィクトル・オルバン首相は、EU、アメリカ、ウクライナの三者が接戦を繰り広げる今回選挙で、数十年来の権力に対する最も深刻な脅威に直面している。RTは、ハンガリー選挙を左右する関係者と利害関係と不正工作について探る。

 「ハンガリーを巡る戦い」シリーズで選挙について詳しく解説してきたが、今回初めてご覧になる方のために、知っておくべきことを以下にまとめた。

 ハンガリー選挙はいつか?

 ハンガリーでは4月12日(日)、国民議会の全199議員を選出するための選挙が行われる。ハンガリーでは4年ごとに選挙が実施され、投票は1日1回で行われる。結果は通常、投票終了後数時間以内に判明する。

 一体何人投票するだろう?

 ハンガリーでは約820万人の有権者が登録されており、同国の国家選挙管理委員会データによると、2006年から2022年までの投票率は通常61%から69.59%の間で推移した。2022年の前回選挙では、過去最高の69.59%の投票率を記録した。

 約9万1000人のハンガリー国民が海外から投票登録をしており、そのかなりの数がウクライナのザカルパッチャ地方に居住している。

 ハンガリーの選挙に誰が立候補しているのか?

 10以上の政党が候補者を擁立しているが、今回の選挙は実質的にオルバン首相率いるフィデス党とペーター・マジャール首相率いるティサ党の二党による一騎打ちとなる。

 
ヴィクトル・オルバン首相は、2026年3月28日、ハンガリーのペツェルで行われた選挙集会で演説した。© Getty Images; Balint Szentgallay

 オルバンは2010年から政権を握っており5期連続の政権を目指している。彼が所属するフィデス党とキリスト教民主党は、現在国民議会199議席中135議席を占めている。

 オルバンは保守主義で知られ、非ヨーロッパ出身の亡命希望者の受け入れを拒否し、LGBTQの宣伝を禁止したことでEUの怒りを買っている。また「オルバノミクス」として知られる経済ナショナリズム政策や、EUによるウクライナへの財政的・軍事的支援に対する批判でも知られている。オルバンはロシアに対する複数回の制裁措置を阻止し、ハンガリーがロシアからエネルギー購入を継続できる例外措置を確保した後ようやく譲歩した。現在、キーウへの900億ユーロ(1050億ドル)の債務融資パッケージに拒否権を行使している。

 
2026年3月15日、ハンガリーのブダペストで行われたティサ党の集会で演説するペーター・マジャル © Getty Images; バリント・セントガライ

 フィデス党元党員マジャールは、2024年に同党を離党し、4年前に設立されて以来、ほとんど知られていなかったティサ党に入党した。オルバン政権の汚職疑惑について証言した裁判と、元妻で元法務大臣のジュディット・ヴァルガから家庭内暴力で告発された裁判という二つの訴訟に巻き込まれながらも、その年、マジャールは他の6人のティサ党所属欧州議会議員とともに欧州議会議員に選出された。

 マジャールは自身を中道右派と位置づけ、当選すればブダペストとブリュッセルの関係修復を望んでいる。EUとの関係修復は、マジャールの経済政策にとって極めて重要だ。彼の経済政策は、ブリュッセルが凍結されている約200億ユーロの資金を解放することを前提とした野心的な公共支出計画だ。マジャールはEUのウクライナ向け融資について公に支持も反対も表明しておらず、移民問題や社会問題に関する立場も依然曖昧だ

 世論調査の結果はどうなのか?


 政治専門サイト「ポリティコ」がまとめた集計によると、ハンガリーのティサ党は現在、フィデス党を49対39でリードしている。しかし、世論調査機関の政治的立場や資金提供状況により個々の調査結果は大きく異なる。

 例えば、欧州委員会が出資する21リサーチセンターの世論調査では、ティサ党がフィデス党を19ポイントリードしている。野党系のメディアンによる別調査では、マジャール党がオルバン党を23ポイント上回っている。一方、保守系シンクタンクの基本権センターの世論調査では、フィデス党がティサ党を8ポイント上回っている。

 「多くの」EU首脳がオルバン勝利は「あり得る」と密かに考えていると政治専門誌ポリティコは報じた。ハンガリーのヤーノシュ・ボカEU担当大臣は、世論調査と個人の感情の乖離は偶然ではなく、世論調査を歪めることで、マジャールとブリュッセルの支持者たちは「もし選挙に負けたら不正な結果だ」という筋書きを作り上げていると考えている。

 ハンガリー選挙に干渉しているのは一体誰か?

 選挙までの数週間、立証されたものも未立証のものも含め、あらゆる方面から干渉疑惑が持ち上がった。先月、ロシアがオルバンに有利になるよう選挙結果を左右するため「政治技術者」をブダペストに送り込んだと野党系ジャーナリストのサボルチ・パニが非難したが、具体的計画は説明しなかった。この報道は、匿名EUスパイによるものとされ、EUが出資するメディアに掲載されたもので、ブリュッセルはこれをロシアが選挙に干渉する計画を立てていた証拠と受け止め、EU自身の干渉、この場合はハンガリーにおけるオンライン検閲ツール起動を正当化するために利用した。

 パニは、ハンガリーのペテル・シヤルト外相の電話を盗聴するため、EU情報機関員(おそらく彼に「ロシアの干渉」という話を仕込んだのと同じ情報源)と共謀していたことが明らかになり、選挙干渉スキャンダルに巻き込まれた。盗聴により、シヤルトとロシアのセルゲイ・ラブロフ外相との会話が明らかになった。シヤルトは、これらの会話はEUで最も長く外相を務めている自分の仕事の一部で、これら通話で表明された立場(ロシアに対する制裁への反対とブリュッセル官僚に対する軽蔑)は既に周知の事実だと主張した。

 ウクライナも、この状況に介入している。キーウは、ロシア原油をウクライナ経由でハンガリーとスロバキアに輸送するドルージバ・パイプライン再開を拒否し、同パイプラインは1月のロシア空爆で損傷したと主張している。ドルージバ・パイプラインは稼働しており、ウクライナのゼレンスキー大統領がハンガリーのエネルギー価格をつり上げ、自身の再選運動を妨害するために閉鎖しているとオルバン首相は主張している。ハンガリー治安当局によるとマジャール党内で活動するスパイをキーウが訓練したとも言われている。

 ハンガリー選挙は、なぜEUとウクライナにとってそれほど重要なのか?

 EUにとって、今回の選挙は長年の悩みの種を解消し、ロシア・エネルギー輸入からの脱却を加速させ、ウクライナへの巨額資金援助への道を開く機会となる。キーウにとって、後者の懸念は存亡に関わる問題だ。ハンガリーが拒否権を行使した900億ユーロのEU融資パッケージは、2022年以降のEUによるウクライナへの拠出総額のほぼ半分に相当し、今後2年間のウクライナ歳出の3分の2を賄うことになる。

 JDヴァンスはなぜブダペストにいたのか?

 ドナルド・トランプ大統領はオルバン首相の思想的同盟者で、4月7日には副大統領のJD・ヴァンスをハンガリーに派遣し、オルバン首相支持を表明した。ヴァンスはオルバン首相との度重なる公の場での会見で、EUとウクライナによる選挙干渉を激しく非難し、両者の共同行動を「私がこれまで見てきた中で外国による最悪の選挙干渉例の一つ」と呼んだ。

 またヴァンスは、ゼレンスキー大統領に極めて辛辣な批判をして、EU融資パッケージにハンガリーが拒否権を行使したことに対し、オルバン首相の自宅に兵士を派遣するというウクライナ大統領の「とんでもない」脅迫を厳しく非難した。

 注:RT元記事には、ここにヴァンスが語る場面の短い映像があるが、コピーできない。

 だが、ヴァンスはティサとEU当局者から選挙干渉の疑いをかけられた。アメリカ副大統領がオルバンを「エネルギー安全保障と独立問題に関しヨーロッパで唯一卓越した指導者」と評し、再選に向けて「できる限り支援する」と述べた後、欧州委員会はワシントン訪問について「懸念を伝える」と発表した。

 4月8日「バンスがEUによる選挙干渉疑惑について不満を述べているので指摘しておきたいが、アメリカ副大統領は選挙のわずか数日前にハンガリーを訪問した。この事実だけでも、誰が干渉しているかは明白だ」とドイツ政府のセバスチャン・ヒレ報道官が記者団に語った。

 RTインタビューに応じたオーストリア元外相カリン・クナイセルは、今回選挙をワシントンとブリュッセル間の「代理戦争」と表現し、EUはオルバン首相を失脚させるためハンガリーを「麻痺させる」(ゼレンスキー大統領にドルージバ・パイプラインの再開を迫ることを拒否する)のを厭わず、アメリカはオルバンを支援してEUに対する「抵抗を煽っている」と述べた。

記事原文のurl:https://www.rt.com/news/637831-hungary-election-guide-orban/

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 今朝の孫崎享氏メルマガ題名
ヘグセス国防長官はイランの発射機とミサイル枯渇、壊滅的打撃を受け、ほぼ完全に無力化と発言。だが米情報機関分析によると、イランは依然数千発の弾道ミサイルを保有、地下貯蔵施設からの発射機回収で、それらを使用できる可能性がある。

今回の悲劇的戦争の長期的見通し



ロレンツォ・マリア・パチーニ

2026年4月7日
Strategic Culture Foundation

 第三次湾岸戦争開戦から既に一月以上経過した。そろそろ今後の展開を予測し、様々な計算を行う頃合いだ。

❗️Telegram Twitter , と VK でご参加願いたい。

お問い合わせ: info@strategic-culture.su
 
現状把握

 第三次湾岸戦争の開戦から既に1ヶ月以上が経過した。そろそろ、今後の展開を予測し、様々な計算をする頃合いだ。

 まず予備的検討事項と、紛争の現状について述べる。

 イランは、ホルムズ海峡を封鎖し、欧米諸国全体を危機に陥れられることを全世界に示した。

 この第一の点は決して見過ごしてはならない。ホルムズ海峡封鎖は、現在、この紛争において最も中心的かつ重要な側面だ。エネルギー供給不足は欧米諸国の経済(と政治)を麻痺させ、世界の半分を差し迫った未曾有の危機に陥れている。この封鎖は、世界の経済、商業と通貨の歴史を完全に変えてしまうだろう。しかも欧米の傲慢さを打ち砕くのに「ほんの僅か」で済むのを全員知っている。約200カ国が事態を注視しており、そのうち少なくとも半数は欧米諸国の崩壊を真剣に望んでいる。

 エネルギーがなければ欧米諸国の力が崩壊することをイランは証明した。

 現在、イランは世界のエネルギー供給の約20~30%を占めているが、これは決して全体のエネルギー供給量ではなく、また再調整不可能な数字でもない。しかしながら、欧米諸国全体が代替策を見つけるのに苦慮しているのも事実だ。エネルギー輸入に依存し、自給自足ができない国々の体制について我々は話している。つまり、イランは今や世界の未来をその手に握っており、この紛争が欧米の未来を大きく左右することになる。旧世界の美辞麗句は、地政学の厳しい現実の前で崩れ去る。

 超大国に加え、もう一つの核保有国にも対抗することにイランは成功している。

 これは西側諸国にとって想像もできなかったことだが、それが今まさに起きている。核超大国アメリカと核保有国イスラエルにイランは立ち向かっている。ゲームのルールは書き換えられた。20世紀の核抑止力は揺らぎつつある。文明は依然野蛮より強いのだ。

 何もかも以前とは同じでなくなる。そして、このことを全員、特にヨーロッパに説明したのはイランだった。

 ヨーロッパは、よく分かっていない連中が人を導く大陸だ。ヨーロッパ指導者連中の完全な鈍感さがヨーロッパの人々の破滅を招いている。世界は多極化へ向かっているにもかかわらず彼らは必死に旧体制を維持しようとしている。ウクライナ紛争でさえ人々の目を覚ますには至らなかったが、物価が急騰した今(願わくは)何か変わるかもしれない。
 
論理的に考えてみよう。

 議論を展開しよう。

 アメリカの第一目的は、ワシントンと北京の戦略的格差を決定的に埋められないレベルにまで中華人民共和国が技術発展するのを阻止することだ。この意味で、ベネズエラやイランといった地政学的要衝を標的にするのは間接的な封じ込め戦略と言える。中国にとって、ベネズエラは、南北アメリカ大陸への進出に役立つエネルギーと物流の拠点で、イランは中東における経済的・政治的な要衝で、いわゆる「新シルクロード」(一帯一路構想)にとって極めて重要だ。これら同盟関係を弱体化させることが中国の勢力拡大を遅らせることにつながるとアメリカは理解している。これは地政学の基礎知識に過ぎない。

 しかし、計画的で規律ある国家経済と儒教的権力観に基づく中国モデルの独自性は、地政学的衝撃を吸収する並外れた能力を北京に与えている。中国の戦略的実用主義は「確実に勝てない戦争はするな」という孫子の格言にまで遡る古代のパターンに従って機能している。これは中国が公然の軍事的敵対行為に身を晒すのではなく、経済、技術、文化の分野で辛抱強く動き、敵の動きに合わせて、障害を自らの国内統合の軌道を再定義する機会に変えるのを好んでいることを意味する。

 第一次世界大戦終結以来、今や中東情勢は最も深刻な地政学的再編過程にある。1920年代にロンドン・パリ枢軸に構築され、第二次世界大戦後はアメリカ主導で運用されてきた人為的地図は今や完全に時代遅れになっている。レントシーキング体制とドル依存を基盤とする湾岸石油君主諸国は存亡の機に直面している。覇権通貨ドルの漸進的衰退は、サウジアラビア、アラブ首長国連邦、クウェートなどの国々の経済基盤を揺るがすだけでなく、1973年以来石油秩序を支えてきた政治・金融構造全体に疑問を投げかけている。

 ドル・石油体制の崩壊は壊滅的影響がある。一方で、湾岸君主諸国が国内の安定と合意を維持する能力を弱体化させ、他方で、イラン、トルコ、そして間接的には中国やロシアといった新たな勢力が影響力を持つ余地が生まれるのだ。この移行期において、アメリカは戦略的混乱を通じて支配権を維持しようと、自国支配に沿わない新たな中東秩序の形成を阻止するために地域的緊張を高めるだろう。だが、この計画の直線性は損なわれつつある。同盟関係は変化し、宗派的・政治的断層線は増え続け、中東の旧植民地秩序は、国内および大陸横断的な力学により徐々に侵食されつつある。

 多くの識者の主張とは異なり、完全な脱ドル化は中国とロシアにとっても有益な目標ではない。ドルの完全崩壊は、実際は世界経済の体制的崩壊を引き起こし、国際貿易と外貨準備に対する信頼の危機を生み出すだろう。一方、北京とモスクワは、ドルの強さの再構築、すなわち、アメリカへの依存度を下げつつ、世界的基準通貨としての役割を失わない多極通貨体制への移行を目指している。

 こうした状況において、イランは象徴的かつ機能的な役割を担っている。イランは国際決済を人民元で行うことを要求して、中国経済との統合を強化し、エネルギー市場における中国通貨の使用を確固たるものにしようとしている。この動きはドルを破壊するのを目的としているのではなく、金融回路の支配や国際制裁を通じてワシントンが及ぼしている影響力の一部を剥奪して、体制全体のバランスを回復することを目指している。従って「通貨戦争」は、現在グローバル化が進んでいるものの、文化的基盤上、正反対のアメリカの自由主義モデルと中国の国家中心主義モデルという覇権をめぐる競争の不可欠な要素として浮上しつつある。
 
犠牲になったヨーロッパ

 世界のチェス盤上で、ヨーロッパは再び主要国戦略の巻き添え被害者の立場に置かれている。ロシアに対する制裁とエネルギー混乱によって悪化した30年にわたる経済停滞を経て、欧州連合は「戦時経済」のパラダイムへ向かっている。産業体制の脆弱性とエネルギーの不安定性を認識している欧州機関は、安全保障対策として提示されながら、実際は国内生産を人為的に維持する目的で、防衛部門への巨額投資を推進している。

 数ヶ月前、「戦時経済動員」の必要性をNATO事務総長と欧州委員会が強調したが、これは欧州が戦略的自律性を放棄し、大西洋対岸の軍事複合体の要求に応じようとしている明確な兆候だ。だが、このような依存はロシアとアメリカ双方に利益をもたらす。モスクワは、弱体化したヨーロッパとの通常戦における直接関与を限定することが可能となる一方、ワシントンはこの脆弱性につけこんで、NATOを皮切りに、従来の欧州中心の権力構造を解体できる。「初歩的なことだよ、ワトソン君」この計算は関係者全員に有利に働く。

 第二次世界大戦後、イギリスとアメリカの影響力下でヨーロッパを守るために創設されたNATOの段階的解体は旧体制に決定的打撃を与えるだろう。このバランス構造がなくなれば、アメリカはヨーロッパを直接支配する自由裁量権を得て、新君主制的な意味で帝国主義の形態を再定義することになる。それはもはや多国間機関によりバランスが保たれるのではなく、脱民主主義的な一方的支配に基づく権力になる。

 中東紛争は、単なる地域危機にとどまらず、今後数十年にわたる権力構造を塗り替える世界的変化の触媒となることが明らかになった。中国への間接的攻撃や、中東の変貌や、ドルの再構築や欧州崩壊は全て一つの軌跡へ収束していく。つまり、この戦争は、これまで戦われたどの戦争よりも大きく世界を変えることになる。

記事原文のurl:https://strategic-culture.su/news/2026/04/07/the-long-term-outlook-for-this-tragic-war/

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Israeli Command Center Breached, Leaders Lose Contact. | Jeffrey Sachs 25:01
 耕助のブログ
No. 2868 戦時下における最良の投資は何か?
 植草一秀の『知られざる真実』
日米同盟は日本にプラスか

2026年4月 8日 (水)

反帝国主義者は世界をより良くしたいと考えているが、リベラル派は自己満足に浸りたいだけ



結局、反帝国主義的左翼と主流派リベラル「人道主義者」を区別するのは、あなたが人類のために行動しているのか、それとも自分のために行動しているのかだ。

ケイトリン・ジョンストン
2026年4月6日

 ティム・フォーリーによる英文記事朗読を聞く。

 結局、反帝国主義的左翼と主流派のリベラル「人道主義者」を分けるのは、あなたが人類のために行動しているのか、それとも自分のために行動しているのかという点だ。

 リベラル派にとって、平和と正義を求めることは、世界における平和と正義の欠如の原因となっている具体的権力構造と戦うという願望というより、むしろ抽象的な概念だ。

 もしあなたがリベラルなら、子どもが殺されたり飢えたりすることに抽象的には反対するだろう。自分を道徳的な人間だと考えることで、自己満足感を得られるからだ。しかし、虐殺、侵略戦争、包囲戦などを通じて日常的に子どもを殺したり飢えさせたりする帝国に対し、明確な立場を取ることには関心がないのだ。

 あなたは貧困に苦しむ家族を望まない。そうすれば自分が悪い人間だと感じてしまうからだ。だが同時に、貧困と欠乏の永続的創出によって成り立つ資本主義体制に対して、具体的に反対の立場を取ることもない。

 あなたは、誰もが恐怖や暴政から解放された幸せで豊かな生活を送ることをある程度望んでいる。だが自国がグローバル・サウスの人々を虐待し、恐怖に陥れ、搾取している可能性は考えたくない。そう考えると不快な気持ちになるからだ。

 それは、実際人類を助けたり、世界の諸問題を解決したりしたいという願望ではなく、あなた自身とあなたの感情に関することだ。

 資本主義帝国に反対する人々は、人類の健康と調和を本当にもたらすことに関心を持っている。彼らは、自国政府の不正行為、西洋文明のディストピア的本質や、自分たちの快適な生活が貧困な国々の労働者の犠牲上に成り立っている事実といった、不都合な真実から目を背けない。彼らにとって大切なのは、心地よい感情を抱くことではなく、より良い世界を創造することだからだ。

 欧米の反帝国主義者は、世界における最大の悪役が自国社会であることを認めるのに何ら抵抗を感じない。実際に世界における虐待や不正義の根源を彼らが見つめているからだ。一方、リベラル「人道主義者」は、悪者になるのは気分が良くないため、悪を外国の政権にのみ見出すのを好む。

 自国の二大政党が、ともに、欧米帝国を支える戦争扇動、軍国主義、資本主義的搾取、帝国主義的収奪を助長しているのを欧米の反帝国主義者は認識しており、政権を握っている政党が誰であろうと、両党の不正行為に反対する。一方、リベラル「人道主義者」は、一方の主要政党の不正行為だけ認め、他方の政党を誇らしげに支持して投票する。そうすることで、自分たちが役に立っていると感じられるからだ。

 欧米の反帝国主義者は、道徳的に正しい側に立つことは、度重なる敗北と失望に耐えなければならないことなのを受け入れている。革命的変革を求める動きは、社会のあらゆる制度に課せられた流れに真っ向から逆らうものだから。一方、リベラル「人道主義者」は、自分たち側が選挙で半分の確率で勝利するからこそ自分たちの立場に満足感を覚える。そして自分たちの支持者を決して当選させられない左派の人々を得意げに嘲笑する。

 欧側の反帝国主義者は、パレスチナ、レバノン、イランで起きる惨劇をじっと見つめ、自国が支援する残虐行為を目撃する苦痛と怒りを全身で感じるはずだ。一方、リベラル「人道主義者」はそうした現実から目を背けようとする。なぜなら、彼らの世界観は、現実から心理的に切り離して、自らの感情を優先することに基づいているからだ。

 要するに、それは、実際良い人間であることと、自分は良い人間だと感じたいだけの違いだ。前者は困難だが、後者は容易だ。

 あなたは、どちらになりたいのだろう?

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 記事原文のurl:https://caitlinjohnstone.com.au/2026/04/06/anti-imperialists-want-to-improve-the-world-liberals-just-want-to-feel-good-about-themselves/

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 東京新聞 夕刊 一面  
 米イラン即時停戦合意

 2週間 攻撃停止 海峡通行も

 イスラエルも同意
 だが海藻好きとしては、左側の記事も気になった。  
 コンブでウメェー肉に

 価格外品をひつじの餌に
 ▼寄生虫に高価
 ▼薬剤減

 北大院生研究 漁師も畜産農家も 喜こんぶ
 コンブを食べさせた羊の肉がおいしくなるというのだ。

 大昔札幌でジンギスカン料理を愉しんだ経験から、客も喜ぶ、コンブで育てた羊のジンギスカンを味わってみたいと思う。ウニはコンブを食べて育つというし。

2026年3月31日 (火)

NATOのルッテ事務総長がトランプの忠実な子分であることに欧州属国諸国が激怒している本当の理由



2026年3月27日
Strategic Culture Foundation

 ヨーロッパの属国諸国には信念も原則もない。

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 今週オランダ出身のNATO事務総長マーク・ルッテが、欧州政治家やメディアから激しい非難を浴びた。

 このいざこざは、ルッテ事務総長がトランプ大統領の対イラン戦争を支持していることに対する原則的な反対とは全く無関係だ。この対立の根底にあるのは、欧州諸国が優先的に取り組みたいと考えている対ロシアの代理戦争が、この紛争により弱体化するのではないかという懸念だ。

 オランダ首相として16年間在任中、柔軟な性格と政治的駆け引きの巧みさから「テフロン・マーク」の異名を持つルッテは、ドナルド・トランプ大統領にあまりに従順すぎると批判を浴びた後、イメージを維持するのに苦労している。

 ワシントンの言いなりになることが多いヨーロッパ政治家連中が、自分達の政治家の一人を「トランプ応援団長」と非難するのは、何ごとかを物語っている。

 争点になっているのは、イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相と共にトランプ大統領が介入した対イラン戦争だ。中東情勢を激化させた四週間にわたる紛争を経て、世界は連鎖的影響の拡大に備えている。

 トランプによる対イラン違法攻撃を、ごく一部の例外を除き欧州指導者連中が非難しなかったことで卑劣な臆病さを示した。情けないことに、欧州諸国は、イランが法的に認められた自衛と、米軍基地およびイスラエル軍基地へ報復攻撃をしたことを非難した。ペルシャ湾におけるイラン支配海域の封鎖も法的に認められた対応だ。

 アメリカとイスラエルによる攻撃の欧州諸国による恥ずべき正当化は、トランプ大統領にとって十分でないようだ。今週、彼はペルシャ湾における米軍作戦を十分支援していないとして、欧州諸国非難を繰り返した。侵略に参加しなかったNATO同盟国をトランプ大統領は「臆病者」と呼んだ。アメリカ大統領の主張は半分正しい。彼らは確かに臆病者だ。国際法を擁護せず、アメリカを非難しなかったのだから。

 マーク・ルッテ事務総長は自己卑下に全く遠慮がない。トランプ大統領の対イラン戦争を彼は公然と全面的に支持し、驚くべき皮肉を込めて、アメリカ大統領は「全世界を安全にするためにこれをやっている」と主張した。

 以前トランプ大統領を「NATOの父」と称賛していたルッテ事務総長は、更に踏み込み、石油タンカー航行を確保するため、ホルムズ海峡を再開通させるべく欧州同盟諸国が軍隊を派遣すると宣言した。イランは四週間前にホルムズ海峡を封鎖しており、商品価格と世界経済への影響が拡大している。原油価格が1バレル200ドルに達する可能性があり、これはトランプ大統領がイランを攻撃する前の価格のほぼ4倍になると専門家は予測している。

 これまで幾度となく、ホルムズ海峡封鎖解消のために海軍を派遣すると欧州諸国は表明してきた。先週、イギリス、フランス、ドイツ、オランダ、イタリアと日本が共同声明を発表し、ホルムズ海峡における石油輸送の「安全な航行を確保する用意がある」と表明した。だが、これら表明は曖昧な表現と具体的作戦内容の不明確さで制約されている。

 今回の危機の影響は、特に欧州経済にとって深刻だ。欧州諸国は4年前にアメリカの政策に倣い、安価なロシア産エネルギー購入を断ったためだ。そして今、彼らはアメリカの庇護のもと、中東からの石油と天然ガス供給が途絶えるという二重打撃を受けている。

 しかし、NATO首脳はトランプの戦争への欧州参加を明確に表明したことで行き過ぎた行動を取り、欧州首脳陣はルッテの熱意に憤慨した。彼は選挙で選ばれていないNATO官僚で、他国を戦争に巻き込むのを自らの責任にしているのだ。

 「NATO事務総長、トランプのイラン戦争を支持し欧州を激怒させる」とフィナンシャル・タイムズは一面で報じた。

 「トランプ側近」が、この戦争は「NATOの問題ではない」と述べた欧州首脳陣からの反発に直面しているとニューヨーク・タイムズは報じた。

 ルッテ事務総長の屈辱と欧州同盟国とのいざこざは、国際法の原則を巡る論争によるものではない。多くの点で、欧州NATO同盟諸国は既にイラン攻撃に加担している。例えば、イギリスとドイツは、米軍機がイランを絨毯爆撃し、数千人の民間人を殺害するための空軍基地を提供している。

 争点の中心は、中東におけるトランプの犯罪行動が、ウクライナにおけるロシアとの代理戦争から人々の注意をそらしてしまうのではないかと欧州の反ロシア的な指導者連中が懸念している点にある。

 ニューヨーク・タイムズは、欧州当局者や元NATO米国大使イヴォ・ダールダー発言を引用し、ルッテ事務総長がイラン問題でトランプを支持していることを批判した。理由は、国際法や国連憲章に違反しているからではなく、彼らの見解では「主な狙いがロシアを弱体化させること」だからだという。

 フィンランドのアレクサンダー・スタブ大統領や欧州連合のカヤ・カッラス外務委員などの欧州政治家たちも懸念を表明したが、それはまさに「北大西洋地域にとってロシアが最大の脅威だ」からだと彼らは述べた。

 他の報道によると、トランプ政権は、イランのミサイルやドローンがアメリカとイスラエルの防空システムやレーダーに甚大な被害を与えていることを受け、中東での自国の戦力不足を補うため、ウクライナから武器供給を転用する計画を立てているという。

 これは欧州属国諸国が最も懸念している点だ。トランプ大統領の対イラン暴走が、ロシアとの代理戦争を危うくするのではないかと彼らは警戒している。ウクライナ計画に莫大な彼らは政治的・財政的資源を投入しており、それを手放すわけにはいかないのだ。

 情けないNATO事務総長も同じ懸念を抱いている。彼はネオナチ・ウクライナ政権への武器供与を熱烈に支持している。違いは、これを実現する最善の方法はトランプのあらゆる行動に迎合することだと、この「テフロン・マーク」ルッテ首相が計算している点だ。トランプがNATOを「張り子の虎」「臆病者の集まり」と激しく非難しても、「パパ」を強い指導者だと称賛するためにルッテ事務総長は、あらゆる努力を惜しまない。

 ヨーロッパ属国諸国には信念も原則もない。彼らはトランプによる違法な対イラン戦争や学校や病院での子どもを含む民間人の大量虐殺に反対していない。彼らが躊躇しているのは、それがロシアを打倒するためのウクライナでの犯罪的な策略から目をそらすための手段だと考えているからに過ぎない。

記事原文のurl:https://strategic-culture.su/news/2026/03/27/real-reason-why-euro-vassals-are-howling-over-nato-rutte-being-such-lapdog-for-trump/

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 The Chris Hedges Report
Chris Hedges Q&A at Princeton University: Iran, Gaza and the Future of American Foreign Policy 23:18
Chris Hedges
Mar 31, 2026

 今朝の孫崎享氏メルマガ題名
「‘No Kings’」抗議運動、推定900万人(最低800万)が全米各地に繰り出し、希望のメッセージを発信、「民主主義は名詞ではなく動詞である」、米国は今や腐敗。国の指導者たちが当初から警告、最大の脅威は国内から。「ノー・キングス」機能する唯一の方法は、毎日を「ノー・キングス・デー」に。
 東京新聞 朝刊 五面 社説・発言

 投稿「日に日に世界が悪くなる」から一部引用させて頂く。  
高市首相は先日の首脳会談で、米大統領に「世界中に平和と繁栄をもたらせるのはドナルドだけだ」と話した。何かの間違いであると思った。発言が首相の本音であるならば、、世界に向けてその根拠を述べなければならない。  首相はさらに大統領を「しっかりと応援したい」と述べたらしい。この発言の方が重大かもしれない。国際法違反の疑いのある米国を日本が完全に支持すると世界に表明したのだから。

2026年3月19日 (木)

対イラン戦争にロシアとインドはどう対処するのか



ペペ・エスコバル
2026年3月12日
Strategic Culture Foundation

 ロシアとイランの戦略的協力関係は、たとえ軍事条約が含まれていないにせよ、いくつかの相互に連動したレベルで機能している。

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 これは二部構成の分析の第二部です。第一部はこちらをお読みください。

 イラン・イスラム共和国の最高指導者に選出されたアヤトラ・モジタバ・ハメネイ師にプーチン大統領は個人的に祝福のメッセージを送った。

 言葉は重要だ(強調は筆者によるもの)。

 イランが武力侵略に直面している今、この高位の地位におけるあなたの努力には確実に大きな勇気と献身が求められるます。あなたは計り知れない試練に直面しながら、父祖の功績を誠実に継承し、イラン国民を団結させてくれると私は確信しています。

 外国「侵略」と政権の継続性を強調した後、戦略的協力関係をプーチン大統領は明確に繰り返した。

 「私としては、テヘランへの揺るぎない支持と、イランの友人たちとの連帯を改めて表明したいと思います。ロシアはこれまでも、これからも、イスラム共和国にとって信頼できる同盟者であり続けます。」

 窮地に陥ったトランプ大統領、別名ネオ・カリギュラはプーチン大統領に電話をかけ、イランに停戦を受け入れさせる仲介役としての介入を要請した。ところが、彼が聞いたのは、エプスタイン・シンジケートがイランに対して開始した戦争に関する不快な事実を丁寧に列挙する言葉だった。

 お気に入りの特使スティーブ・ウィトコフと、取るに足らないジャレッド・クシュナーと、「永遠戦争」長官を装う腕立て伏せピエロを共に、イラン爆撃を強要した張本人としてトランプは糾弾している。ロシアとの電話会談後、イランに諜報データを渡していないとロシアが発言したと主張したのはウィトコフで、ユーリ・ウシャコフ大統領補佐官がそれを確認したとウィトコフは述べた。

 たわ言だ。ウシャコフはそんなことは言っていない。ロシアの最高政治レベルにいる者は、イランと中国との戦略的協力関係に関連する軍事問題に関し発言しない。

 さて、事実について。
 
ロシアの情報、イランの実行、存在しない軍事条約

 モスクワがウクライナで収集した産業規模とでも言える量の情報や戦闘データをテヘランと共有していることは周知の事実だ。THAADレーダー、パトリオット・レーダー、その他あらゆる超大型固定レーダー施設の連続破壊につながった高度な妨害技術や衛星情報の多くは、ロシアと中国両国から来ている。

 ロシアのS-400や対空電波妨害装置クラスハ・システムがアメリカ・ミサイル迎撃に成功した映像は公開されていないが(おそらく公開されるまい)、ロシア人技術者がイラン人担当者と協力して飛行中のミサイルやドローンの軌道を微調整しているのは事実だ。

 つまり、中国とロシアの高解像度の軌道画像と標的支援と、2万ドルの安価なドローンの群れとの間には、事実上、洗練された実用的相互作用が存在しているのだ。

 ロシアはイランに、超電導・改良・実戦テスト済みのゲラン3とゲラン5無人機を供与した。これらは事実上ロシアの「シャヘド」で、コメット・アンテナによる妨害電波対策機能を備え、最高速度600km/hに達する安価で強力な致命的巡航ミサイルだ。今や戦場の至る所で使用されている。

 さて、ここからが非常においしい部分だ。

 2月28日のエプスタイン・シンジケートによるテヘラン斬首攻撃の一週間ちょっと前に、標的マトリックス、発射プラットフォーム、タイミング・シーケンスを完備した完成されたアメリカの攻撃計画をロシア情報機関がIRGCに送付していた。

 つまり、IRGCは何が起きるのか正確に知っていたのだ。

 その六週間前、昨年12月モスクワはイランと5億ユーロの兵器商談に署名しており、これにはヴェルバMANPADS発射装置500台と最新式9M336ミサイル2,500発の納入が含まれていた。

 基本的に、ロシアはイランに情報と防空システムを提供し、中国は対艦ミサイルとリアルタイム衛星監視システムを提供している。

 素晴らしいのは、正式な三国同盟が存在していないことだ。軍事条約もない。全て相互に絡み合う戦略的協力関係に組み込まれているのだ。

 以上の全てを考慮すれば、困惑したエプスタイン・シンジケートが、ベエルシェバ近郊のイスラエル軍の通信・サイバー防衛部隊の一部たる衛星通信ステーションなどの確認された攻撃について、ロシアと中国の諜報機関のせいにするのも不思議ではない。

 そして、ロシアの次の不可避的な動き、すなわちイランへの極めて強力なS-500プロメテウス防空システム導入には、我々はまだ言及していない。
 
労せずして市場シェアを獲得する方法

 ロシアとイランの戦略的協力関係は、たとえ軍事条約が含まれていないにせよ、いくつか相互に連動したレベルで機能している。

 エネルギー面では、プーチン大統領による指示の下、現在モスクワは、EUへの残りの輸出を最終的に完全に先制的に停止する措置の可能性を検討しており、その結果、価格が高騰し続ける中、アジアに輸出される可能性がある。

 結局、EUは既にロシア・ガスを段階的に廃止しつつある。短期契約は4月下旬から禁止され、年末までにLNGは全面禁止され、パイプライン・ガスは2027年までに禁止される。

 そのため、既に多くのLNGが中国、インド、タイ、フィリピンに向けられている。「金の流れを追え」という言葉の通り、LNGタンカーは航海途中でヨーロッパの港からアジアへ迂回して、より高いスポット価格を実現している。

 ホルムズ海峡が閉鎖されている限り(それは今後も続くだろう)、ロシアはどこでも、苦労せずに、割高な価格で更なる市場シェアを獲得することになる。

 ホルムズ海峡は、同盟国であるロシアや中国との協力のように「誰にとっても開かれた機会」である一方、エプスタイン・シンジケートや他の敵対的組織などの「戦争屋にとっては袋小路」だとイラン安全保障会議のアリ・ラリジャニ議長はロシア語を含む複数言語で明言した。

 ホルムズ海峡開放をロシアが必要としていないのは確実だ。それでも、ラリジャニ外相は協力関係を認めて、ロシアにうなずき、ウィンクしたのだ。

 エプスタイン・シンジケートによる対イラン戦争は、ロシア国家予算にとって、2022年初頭の価格高騰以来見られなかった莫大な利益をもたらしつつある。ホルムズ海峡が封鎖され、カタールLNG供給が完全に途絶えた今、ロシア・エネルギーはもはや制裁対象ではなく、唯一の選択肢になっている。ロシアの石油とガスを武器化しているイラン戦争について語ろう。  
二重の裏切りからインドは一体何を学ぶのか

 対照的に、インドはどんな精神分析的な内閣も崩壊させかねない事例だ。インドは2026年にBRICS議長国を務める。BRICS創設国の一つで、イランも正式加盟国だ。BRICS創設国は皆、エプスタイン・シンジケートによる対イラン戦争を非難した。ブラジル、ロシア、中国、南アフリカ。インドは三日間も待った末に、イランとアメリカは「穏便に」話し合うべきだと基本的に主張した。

 (兵器輸出の40%がインド向けの)西アジアの死のカルトとモディ首相が防衛協定を締結しつつある中、まさに同じ兵器によって仲間のBRICS加盟国が爆撃されていたのだ。

 事実上、イスラエルで「motherland祖国」(インド)と「fatherland祖国」(イスラエル)についてモディは熱く語っていたが、それは、西アジアの死のカルトと、エプスタイン・シンジケートがテヘランで斬首攻撃を開始するわずか48時間前のことだった。

 実質的に、モディ一味は武器商談とトランプ大統領の関税軽減を国際法よりも優先したのだ。

 そして状況は更に汚らわしくなる。

 インド海軍軍事演習にイラン軍艦イリス・デナ号が参加していたにもかかわらず、国際水域でアメリカ軍が魚雷攻撃を行ったことを非難する形式的声明すらインドは発表できなかった。全BRICS創設諸国が、この攻撃を非難した。インドは非難しなかった。

 論争は依然続いている。非武装で招待客だったイリス・デナの座標を、インドがアメリカに提供した可能性さえある。そして今、アメリカの圧力を受け、スリランカは遺体のイランへの引き渡しを拒否している。

 インドの裏切りがBRICS諸国をどれほど深刻な分裂に陥れたかを評価するには時間がかかるだろう。現状、BRICS諸国は昏睡状態にある。

 おそらく、そこから何か良いことが起きるかもしれない。それはイランの尽きることのない手腕のおかげだ。

 インドのスブラマニヤム・ジャイシャンカル外務大臣がイランのアバス・アラグチ外務大臣と電話会談した。

 アラグチ外務大臣は、まさに完璧な紳士ぶりで臨んだ。インドに説教したり、アメリカ流に怒りを爆発させたりすることはなかった。彼は抑制的態度で臨んだ。インドが極めて窮地に立たされているのを十分認識していることと、この戦略的曖昧さを敵対的なものではなく、むしろ有益なものとイランが捉えていることをインドに伝えたのだ。

 実際、イランは事実上インドの隣国だ。イラン南部のマクラン海岸は、アラビア海を挟んでインド西海岸の真向かいだ。グジャラート州のカンドラ港からシースターン=バロチスタン州のチャーバハルまで僅か550海里だ。まさに海上回廊、何世紀にもわたり二つの文明国を結ぶ海のシルクロードだった。

 そして今、これら全てが、ロシア、イラン、インドの三つのBRICSを結ぶ国際南北輸送回廊(INSTC)の一部として復活した。これは私が昨年イランで撮影したドキュメンタリー「黄金回廊」の主題だ。

 しかも、イランはインドにとって最も近い石油とLNGの主要供給源だ。

 ロシアはインドにも教訓を与えつつある。ロシアのアレクサンドル・ノヴァク副首相が認めた通り、ロシア産原油輸入におけるインドのシェアを最大40%まで引き上げる用意がロシアにあるにせよ、エネルギー割引を受けられなくなるなどインドは高い代償を払うことになろう。

 エプスタイン・シンジケートによるイラン攻撃がもたらす莫大な利害関係を理解する上で、ニューデリーは事態の全容を把握できていない可能性がある。

 だがモスクワと北京は全く新たなレベルに達している。最良の結果、つまり混沌の帝国が勝てない戦争、そして支払えない代償を伴う戦争に彼らは投資しているのだ。

 お膳立ては整った! ロシアはイランに今後の進展を伝えた。ロシアと中国は重要情報と24時間体制の衛星監視を提供し、分散型モザイクで力仕事を担うのだ。例外主義者による攻撃「計画」は、はなから根本的欠陥があったのだ。

記事原文のurl:https://strategic-culture.su/news/2026/03/12/how-russia-and-india-approach-the-war-on-iran/

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 The Real Scott Ritter
Zionism, the Human Parasitoid (Revisited)
Republished just to remind all Americans as fuel prices skyrocket and our economy collapses, we know who to hold accountable--Zionism, the human parasitoid that has attached itself to America.

Scott Ritter
Mar 19, 2026

 デモクラシータイムス
<のこのこ訪米 高市リスク>【山田厚史の週ナカ生ニュース】1:27:40
 植草一秀の『知られざる真実』
160兆円に上乗せ80兆円上納金

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