2026年3月5日
Moon of Alabama
アメリカとイスラエルはイスラム共和国の完全破壊を目指している。イランは、自国のエネルギー資源が豊富な地域での戦争結果を世界規模で拡散して、これに対抗している。世界経済が十分疲弊し、イラン国内の結束が崩壊する前に、アメリカを方針転換させられるとイランは見込んでいる。
トランプ大統領がイラン攻撃を発表した際、この戦争で実現すべき目標として、一見無作為に思える
いくつかの目標を挙げた。だが結局、そのどれも実現不可能だった。
トランプと代弁者連中は、戦争は短期間で終わると想定していたようだ。彼らは、イラン最高指導者が殺害されれば、すぐにアメリカに友好的な政権が樹立するというベネズエラ風シナリオを期待していた。このような見方は、イラン社会の歴史と社会構造を全く知らない人々にしかできない。
おそらく我々が目にしている混乱において、無知こそ最も重要な説明変数だ。戦争の目的も、期間も、結果も、誰も予測していなかったものだ。
政策立案任務を担う国家安全保障会議は縮小され、国務省は計画策定にほとんど関与していなかった。国防総省の警告は無視されてきた。
トランプは直感に頼って大惨事に陥り、いまだにそこから
脱出する方法を見いだせていない(
アーカイブ)。
大統領に就任したトランプはNSCの人員を少なくとも3分の2削減し、忠誠心に漠然とした疑いがあるメンバーを解任した。NSCは選択肢を生み出すためではなく、自身の決定を実行するためにあるとトランプは明言している。
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「トランプは選択肢も緊急時対応計画も必要ないと考えているようだ」とバイデン政権時代に国家安全保障会議の長期戦略計画に取り組んだブルッキングス研究所の研究者トーマス・ライトは述べた。「彼は自分の直感を実行してくれる小さなチームが欲しいだけだ。だが、よくあるように事態が悪化した場合、用意された選択肢を持たない大統領は、ツーペアで賭けに挑むことになる」
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「これほど大きなリスクや、これほど重大な結果をもたらす大規模軍事行動が、これほど計画性がなく、意図的か意図的でないかを問わず、起こりうる結果の検討もほとんど行われなかったことはかつてない」と[デービッド・ロスコフ]は述べた。
作戦計画を策定するのは軍で、その後NSCで精査されると彼は指摘する。「この過程は現政権下で事実上萎縮しており、これまで策定されてきた計画も、顧問より自分の直感を信じる大統領により、しばしば無視されている。これは範囲が狭い行動には有効かもしれないが、イランのような巨大で影響力ある国との戦争には通用しない」
トランプ政権は既に三つの計画で失敗しており、現在四番目の計画を試みているとArmchair Warriorは
指摘している。
– プランA:ハメネイ師殺害、新指導者の降伏
– プランB:ハメネイ師殺害、大規模市民暴動、政権転覆
– プランC:民族反乱勢力の動員、利益獲得
– プランD:実際に制空権を獲得し、彼らが降伏するまで無期限爆撃する
一方、イスラエルは、現代イランを特徴づける全てのものの
完全破壊(
アーカイブ)というプランZを検討している。
イスラエルの最終目的は「この政権とその支柱、革命防衛隊(IRGC)、バシジ(草の根民兵組織)、その戦略能力など、政権を支えている全てのものの完全破壊」だとテルアビブの国家安全保障研究所のイラン専門家で上級研究員ダニー・シトリノウィッツが語った。
イスラエルに対するイランの脅威能力(主にミサイルと初期核計画による)を除去することが「明白な」最終目的だが、イスラエル政府にとって更に重要なのは「この政権を弱体化させ、国内問題に対処せざるを得ないようにすること」だとシトリノヴィッツは付け加えた。
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イスラエル政府の立場を要約して「クーデターが起きれば結構だ。民衆が街頭に繰り出せば結構だ。内戦が起これば結構だ。イスラエルはイランの将来や安定など全く気にしていないとシトリノヴィッツは言う。
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この戦争の灰の中から同様に強硬な新しい指導者が立ち上がれば「彼らも対処される」と元イスラエル高官は語った。
イスラエル政府の考えに詳しい人物はこう語った。「
イスラエルは、イラン政権の能力を破壊し、次回をせずに済むようすむよう望んでいる。第二、第三、第四の攻撃は望んでいない。今すぐにも任務を終わらせたいのだ。」
シオニストの計画は、イランという国にもう一つの「ガザ」を作ろうとしているようだ。おそらく、その計画を湾岸地域全体に拡大しても構わないと私は思う。
トランプ政権の一部は
この計画を支持しているようだ。
[国防長官] ヘグゼス:彼らの首都上空を飛行中だ。空から一日中、死と破壊が降り注いでいる。我々は真剣勝負を挑んでいる。我々の戦闘員は、大統領と私から個人的に与えられた最大限の権限を有している。我々の交戦規則は大胆かつ明確で、アメリカの力を束縛するのではなく解き放つように策定されている。これは決して公平な戦いになるはずがなく、実際公平な戦いではない。我々は彼らが倒れている時に殴りかかっているのだ。まさにそうあるべきだ。
アメリカ爆撃作戦は
イラン全土を襲っている。
イランの救急医療サービス責任者は、アメリカとイスラエルの攻撃の標的となった29の州と172の都市で…
軍事施設だけでなく、病院、学校、警察署などの民間施設も標的とした広範囲にわたる攻撃は、イラン国民の反撃の意志にほとんど影響を与えるまい。
イランは最も危険な武器でアメリカ軍事作戦に対抗している。地理的優位性により、湾岸地域のあらゆるエネルギーと輸送手段を危険にさらすことが可能なのだ。
これはトランプ政権が想定していなかった多くの影響を引き起こしている。アメリカのガソリン価格は
上昇しつつある。
ドナルド・トランプ大統領のスージー・ワイルズ首席補佐官は、アメリカのイラン攻撃を受けて、ガソリン価格を下げるための考えを大統領執務室に持ち込むよう顧問に指示していると、この会話に詳しいエネルギー業界幹部二人が明らかにした。
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この攻撃と、それに続くイランによるペルシャ湾エネルギー部門攻撃により原油価格は1バレル10ドル以上上昇し、ガソリン価格は昨年のトランプ大統領就任以来最高値に達した。
ホルムズ海峡を封鎖し、エネルギー価格を引き上げることは、イラン側にとって最も明白な対抗手段の一つだった。だが、トランプ政権はそれを想定していなかった。
攻撃以来、今のところエネルギー価格の問題について[エネルギー長官クリス]ライトは公式に言及していない。
これは意図的なものだと土曜日のアメリカ攻撃開始直後にホワイトハウス当局者と話をした3人目のエネルギー業界幹部が述べた。マルコ・ルビオ国務長官をはじめとするタカ派の政権関係者が政権の計画を主導していたが、通常、原油価格を低く抑えるべきと主張する他の政権関係者は、イランでの戦闘が続く間は控えるよう当初指示されていたと、この人物は語った。
「ホワイトハウス内で原油価格が80~90ドルになることを懸念していた派閥は沈黙させられていた」と、政権との私的会話について語ったこの人物は匿名を条件に語った。「その時点では、より大きな声が勝っていた」
業界幹部によると、戦争による石油・天然ガス価格の上昇への懸念は比較的新しいものだという。攻撃が始まり石油価格が上昇し始めてから数日後まで、石油・天然ガス市場の落ち着かせ方についてトランプ政権は電話協議を始めなかった。
イランはホルムズ海峡を通過する船舶を攻撃すると発表した。保険会社はこの脅威を利用して保険料を値上げした。高いリスクと保険不足から船主は船舶停泊を余儀なくされた。
世界の石油、ガス、肥料の約20%はホルムズ海峡を通過している。ホルムズ海峡閉鎖は、地球規模で様々な連鎖的な影響を及ぼす。
石油とLNGは、電力、肥料、船舶、化学薬品、鉱業、製造業、国家財政への投入物としては役に立たない。
例えば、世界のポリエステル・チェーンは石油化学製品から始まる。炭化水素と石油化学原料の深刻な供給途絶は、PTA、MEG、ポリエステル樹脂、フィラメントや生地生産に波及し、合成繊維を多く使用するアパレル分野全体で深刻な供給不足、価格高騰や工場停止を引き起こす。ポリエステル産業は一夜にして消滅するわけではないが、低コスト・大量生産のアパレル・モデルは崩壊し始める。
そこから累積的論理の連鎖が生まれる。燃料インフレは肥料インフレに、肥料インフレは食料インフレに、食料インフレは都市の不安定化、国家補助金の枯渇、そして最終的には飢餓へと繋がる。この連鎖において、食料不足は二次的人道問題ではない。食料不足は危機の中心的政治的帰結の一つだ。なぜなら、現代社会は大戦略によって体制の崩壊を経験するのではなく、手の届かないパン、不安定な電力供給、空っぽの薬局や、おそらく治安の崩壊によって経験するためだ。グローバル化したアラブの春と言えるだろう。
この枠組みにおいて、ハイパーインフレは現実の物理的隘路の社会的表現として現れる。エネルギー輸入国は、ドル建て燃料をいかなる価格でも入手せざるを得なくなり、通貨が下落し、肥料や輸送費により収穫サイクル全体の価格が変動すると、インフレは循環的なものでなくなり、強制的なものになる。
それは全ての家計簿と国家元帳に一気に入り込む。その結果、計画そのものが破壊される。企業は予算を見積もることができず、政府は補助金を出すことができず、人々はもはや未来を予測できなくなる。このような状況下では、信用市場は麻痺し、外貨準備は枯渇し、国債スプレッドは拡大し、経済危機と政治危機の境界は消滅する。
化石燃料輸入に97%依存している韓国の株価は昨日18%下落した。個人投資家はパニックに陥っている。世界のハイエンド半導体の80%を生産する台湾の天然ガス備蓄はわずか11日分しかない。台湾の電力網と、それに依存する半導体生産はまもなく危機に瀕するだろう。世界各地で作付けシーズンを迎え、尿素価格は法外な水準にまで高騰している。パン価格もそれに追随するだろう。
トランプ政権がイランで期待していた短期作戦は、長期的消耗戦に変貌しつつある。イランを徹底的に爆撃し、粉々にしようとアメリカとイスラエルは全力を尽くすだろう。イランはホルムズ海峡と湾岸地域全体をほぼ封鎖しようと全力を尽くすだろう。
湾岸アメリカ同盟諸国は打撃を受けるだろう。世界のコンテナ船は湾岸諸港での貨物受け入れを停止している。湾岸諸国の食料安全保障は危機に瀕している。
世界経済はエネルギー・ショックに見舞われ、それに伴うあらゆる経済的、社会的影響に見舞われることになるだろう。
アメリカはある程度自給自足しており、エネルギー価格の高騰にも耐えられる。しかし、アメリカがイランを攻撃した際に声を上げなかった多くの同盟諸国は、まもなく深刻な問題に直面することになる。
イランは甚大な被害を受けるだろう。だが最初にひるむのはアメリカだ。
記事原文のurl:
https://www.moonofalabama.org/2026/03/the-u-s-iran-war-of-attrition-a-global-depression-to-counter-total-destruction.html----------
The Real Scott Ritter
Ritter’s Rant 080: The Double Tap 12:00
The deliberate murder of civilians is a war crime. The United States is committing war crimes in Iran.
Scott Ritter
Mar 10, 2026
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原油価格は日曜日、2022年以来初めて3桁台に突入。世界の石油供給の20%が9日間にわたり混乱し、継続。これはスエズ危機時10%弱の混乱の2倍以上。紛争の拡大が地域の石油生産、処理、貯蔵、輸出インフラに及ぼす他のリスクも反映。リスクはロシア・ウクライナ紛争時より大
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