Mike Whitney

2024年8月 5日 (月)

パレスチナ人囚人をレイプしても構わないと言うイスラエル人

マイク・ホイットニー
2024年7月30日
The Unz Review


イスラエル国会議員ハノク・ミルウィツキー
 
パレスチナ人囚人を強姦するのは正当かとの質問に、イスラエルの与党リクード党議員ハノック・ミルウィツキーは「全て合法だ」と答えた。「人の肛門に棒を挿入するのは合法か?」とパレスチナ人議員アフマド・ティビは尋ねた。「そうだ! 彼がヌフバ(ハマス)なら何をしても合法だ」とミルウィツキーは叫び返した。マクトゥーブ・メディア
 
イスラエルは野蛮と残虐の限界を超えた。これは新たなレベルの堕落だ。アブディ、ツイッター
 
月曜、イスラエルの過激派がベイト・リドのイスラエル国防軍基地に押し入り、拘留中のパレスチナ人囚人を拷問し、強姦したとされるイスラエル予備役兵9人の拘留に抗議した。建物内での混乱した騒動はビデオに記録され、Twitterで広く拡散された。(こちらを参照)暴徒は、軍人がパレスチナ人被拘留者への残忍で非人道的な扱いの責任を問われる可能性がある事実に激怒した。彼らは、パレスチナ人囚人に科されるいかなる刑罰も、それがいかに残酷で野蛮なものでも正当かつ正当化できると信じている。ソーシャル・メディアで多くの人が指摘している通り、抗議行動参加者は基本的に予備役兵がパレスチナ人囚人を強姦する権利を擁護していた。彼らの行動から導き出せる結論はそれだけだ。

 下記は、アフマド・ティビ議員とリクード党クネセト議員ハノック・ミルウィツキーとの間の異例のやり取りを収めた短い映像だ。ミルウィツキーは、囚人の肛門に棒を突っ込むのは容認できる処遇で、捜査、起訴、処罰の対象とすべきでないと率直に述べている。(映像)

 ミルウィツキーによれば、イスラエル予備役兵は保護下にある囚人に対する残酷で非人道的な扱いを禁じる基本的人権法に従う必要はない。ハマスが同じ政策を採用し、10月7日に捕らえたイスラエル人人質に適用したら、ミルウィツキーはどのような反応を示すだろうか。彼は「ある人にとって良いものは、別の人にとって良い」という考え方を受け入れるつもりだろうか。それとも、イスラエルが恣意的に「テロリスト」と分類する囚人に対しては、特別な法的「例外」があるべきだと考えているのだろうか。この用語は、現在ガザに住んでいる200万人のパレスチナ原住民全員に漠然と適用される。下記はAntiwar.comの投稿からの引用だ。

 月曜日、イスラエル軍警察は、イスラエル南部の悪名高いスデ・テイマン刑務所でパレスチナ人囚人を強姦した疑いのあるイスラエル兵士を拘束した。イスラエル・メディアは、パレスチナ人囚人が肛門に重傷を負い、歩行も困難な状態でスデ・テイマンから病院に移送されたと報じた。

 イスラエル軍警察がパレスチナ人男性を強姦した疑いのある兵士を拘留するためスデ・テイマンに向かったところ抵抗に遭った。強姦容疑者逮捕は、イスラエルの極右活動家による抗議を引き起こした。イスラエル国会議員らは、スデ・テイマンに突入した抗議行動参加者に加わった。同日遅く、イスラエル兵士が拘束されている基地であるベイト・リドに抗議行動参加者は突入した。

 イスラエル国家安全保障大臣でユダヤの力党党首イタマール・ベン・グヴィルは拘束されたイスラエル兵士らを「最高の英雄」と称え、彼らの逮捕を「恥ずべきこと」と非難した。

 ガザから来たパレスチナ人を収容しているスデ・テイマン刑務所では、広範囲にわたる虐待と拷問が行われていることをイスラエルの内部告発者が詳細に報告している。先月、この施設から脱出したパレスチナ人が性的拷問を受けたと語ったとニューヨーク・タイムズ紙は報じた。

 ハマスと関係があるとの疑いでアル・シーファ病院を去った後、ガザ地区でイスラエル軍に拘束された上級看護師ユニス・アル・ハムラウィは、イスラエル兵が金属棒を直腸に突っこんだため出血し「耐え難い痛み」を味わったとタイムズ紙に語った。

 タイムズ紙報道によると、国連から流出した報告書には「尋問官に『熱い金属棒のようなものの上に座らされたが、火のように感じた』と語る41歳の被拘禁者の言葉が引用されており、また別の被拘禁者は『肛門に電気棒を挿入された後、死亡した』とも書かれている」。イスラエル警察、パレスチナ人を強姦した疑いのある兵士を拘束し、抗議活動勃発、antiwar.com

 この話が今や(新聞の裏表紙に埋もれるのではなく)見出しになっているのは、イスラエルの長年にわたる囚人虐待の歴史とは何の関係もない。いや、この話は実際は囚人虐待に関するものではないからだ。これはイスラエルのユダヤ人が自分たちの国の魂をめぐって繰り広げている苦い闘争に関するものだ。残念ながら、狂信者と悪党がその闘いに勝利しているようだ。Middle east Observer編集者は次のようにまとめている。
 
イスラエル社会が分裂しているのはわかっていた。しかしパレスチナ人を強姦し拷問する権利をめぐって内戦に突入すると一体誰が予想しただろう。ミドル・イースト・オブザーバー

 しかし、悪いニュースばかりではない。ベイト・リドの暴動は、一部の偏見のないシオニストにとって強力な警鐘となった。指導者やメディアや、更に親しい友人に意図的に騙されていたことに彼らは気づいたのだ。シャイエル・ベン・エフライムの心のこもった声明を読んでみよう。
 
私は愚かで恥ずかしいと感じている。

 5月、CNNがスデ・タイマンでの虐待の詳細を暴露した。その後、ニューヨーク・タイムズもそれに関する記事を発表した。どちらもイスラエル情報源とパレスチナ情報源を合わせた内容だった。

 政府筋とイスラエルのメディアがそれを否定したので、私はそれらを無視した。私は生涯を通じて、国際メディアはイスラエルを攻撃しようとしている、彼らは全員反ユダヤ主義者だと言われ続けてきた。

 しかし今日、どれほど嘘をつかれていたか私は悟った。私の国に、私の友人に、私のメディアに。今日、私が話した多くの人々は、これらの疑惑を否定していたが、彼らはそれが真実だったことを認めたのだ。

 最悪なのは、この件が明るみに出ないのは、イスラエル国防軍と政府が考えを変えたからだ。イギリス、国際刑事裁判所、国際司法裁判所からの圧力が無視できないほど大きくなってきたため明るみに出ているのだ。これではネタニヤフ、ギャラント、参謀総長は深刻な問題に巻き込まれるだろう。そこで彼らはとうとう真実を語った。イスラエルは囚人を日常的に拷問している。性的虐待はかなり一般的だ。人々は死ぬまで拷問を受ける。

 最悪なのは、この施設にいた人々の多くが無実だったことだ。偶然に集められたのだ。しかし、彼らがこの地獄のような状況に置かれる前に実際に検証する過程はなかった。

 このままではいけない。

シャイエル・ベン・エフライム

結局、人類には希望があるのかも知れない。ありがとう、シャイエル。

メモと映像

 狂信者連中、ベイト・リドに集結

「(パレスチナ人)テロリストたちに死を」と叫ぶ群衆

 イスラエル警察官たちが現場に到着

  過激派が強姦犯が収容されている軍事基地への侵入を試みる

門前の野蛮人連中

狂信者連中を撃退できない兵士たち

弁護士のハレド・マハジネは、オフェル強制収容所でパレスチナ人囚人と面会した後、「イスラエル」の看守が他の囚人全員の前で、あるパレスチナ人囚人の直腸に消火器のパイプを挿入して作動させ、拷問したと報告した。 https://t.co/vYxC9DjrPw pic.twitter.com/UNUPyS5nYB — الأخ الكبير (@BIG__Brother7)
July 15, 2024

記事原文のurl:https://www.unz.com/article/israelis-say-its-okay-to-rape-palestinian-prisoners/

----------

 Alexander Mercouris

MidEast War: West Flees Lebanon, G7 Begs Restraint, Rus Gives Iran EW, Arms Houthis... 1:22:12

 耕助のブログ Pepe Escobar記事翻訳

No. 2229 中国は脱出速度を達成した

2024年7月21日 (日)

ウクライナでロシアがNATOに勝利する理由

マイク・ホイットニー
2024年7月14日
Unz Review



 ワシントンDCで3日間にわたり開催されたNATOサミットは、今後のロシア連邦攻撃に、同盟諸国32カ国全てが一致して支持を表明できる公開フォーラムを開催する当初の目的を実現した。これがこの会議の真の目的だった。会議主催者は、モスクワとの将来の敵対行為を正当化し、第三次世界大戦開始の責任を問われる可能性を減らすため、劇的に団結を示そうとしたのだ。

 首脳会談後、既に開戦が決定されたことを強く示唆する公式宣言が発表された。多くの人が知っている通り、ロシア領内標的へのミサイル発射を許す政策をNATOは承認した。この政策は、近い将来ウクライナに配備される多数のNATOのF-16にも適用される。(F-16は核ミサイル搭載可能だ)加盟諸国の間でこの政策に対する圧倒的な支持があるにもかかわらず、これは国際法で禁じられている露骨な侵略行為なのを忘れてはならない。どんなに大騒ぎしても「最大犯罪」を犯す方向にNATOが進んでいる事実を隠すことはできない。

 注目すべきは、戦争遂行において、NATOがより積極的役割を果たすつもりでいることだ。アメリカ国家安全保障担当補佐官ジェイク・サリバンによると、同盟はウクライナ国内に軍事作戦を監督するNATO事務所を正式に設置する計画だという。要するに、もはや自らの関与を隠すことに紛争管理者には興味がないのだ。これは今やNATO作戦だ。以下はWorld Socialist Web Site記事の抜粋だ。
 
このNATO事務所は、ウクライナ戦争を監督するNATO司令部創設に伴って設置され、武器供給と兵站監督を、アメリカ主導の特別集団からNATO同盟自体に移行することになる。

 サリバン発言は、ワシントンで3日間にわたり開催される首脳会談の主要議題を概説したもので、ウクライナにおけるロシアとの紛争の大幅な激化と、欧州全域で全面戦争に備えるNATOの能力を大幅に強化する計画を示唆するものとみられる。

 サミットでは「ウクライナ軍の訓練、装備、戦力開発計画を開始する三つ星将軍が率いるドイツにおける新NATO軍司令部設置」も発表される予定だとも彼は述べた。

 キーウにNATO事務所を開設し、NATOの直接指揮下で武器供給、訓練、軍事兵站を再編したことは、ウクライナ紛争はNATOとロシアの戦争ではないという見せかけの終焉を意味する。これは戦争の危険な新たな局面を示し、大規模エスカレーションの可能性を高めている。ワシントン・サミットはウクライナ国内にNATO事務所を設立する計画を発表、WSWS

 これら全てに加え、ウクライナがNATO加盟への「不可逆な」道を歩んでいると首脳宣言で断言しており、モスクワを挑発するため、あらゆる努力が払われているのは明白だ。

 当然ながら、宣言の中でロシアは徹底的に悪魔化されている。これはサダムやカダフィやアサドなど他のワシントンの敵国で見られたお馴染みのパターン通りだ。以下は、本文から直接引用した「邪悪な」ロシアの簡単な要約だ。
 
 ロシアは依然、同盟諸国の安全保障に対する最も重大かつ直接的脅威であり続けている。

 国連憲章を含む国際法の明白な違反であるウクライナに対する侵略戦争についてロシアは単独で責任を負う

 ロシア軍と当局による人権侵害や侵害、戦争犯罪、その他の国際法違反に対する免責は認められない。

 ロシアは数千人の民間人の死に責任があり、民間インフラに甚大な被害を与えた。

 7月8日に病院を含むウクライナ国民に対してロシアが行った恐ろしい攻撃を、我々は可能な限り強い言葉で非難する。

 ロシアの攻撃的行動を抑制し、対抗し、NATOと同盟諸国に対する不安定化活動を行うロシアの能力に我々は対抗する決意だ…ワシントン・サミット宣言、 NATO

 ロシアに対するワシントンの猛烈な拒絶は、この全てがどこに向かっているのか疑う余地を残さない。戦争に向かっているのだ。戦場でのロシアの前進を後退させ、モスクワの政治指導者を倒し、国をより小さく、より管理しやすい小国に分裂させると決意している億万長者エリート連中の見解を、この宣言の筆者は繰り返し述べている。アジアに武力を投射し、中国を包囲し、世界で最も繁栄している地域で卓越した勢力としての地位を確立するワシントンの全体的な地政学的戦略にとって、ロシアは最も手ごわい障害となっている。これら戦略的目標はメディア報道では常に省略されるが、それこそが出来事を形作る根本要因だ。バイデンはこう述べている。
 
ヨーロッパでは、ウクライナに対するプーチン大統領の侵略戦争が続いている。そしてプーチン大統領が望んでいるのは、ウクライナの完全征服、ウクライナ民主主義の終焉、ウクライナ文化の破壊、そしてウクライナを地図から消し去ることだ。

 プーチンがウクライナで止まらないことは分かっている。しかし誤解しないよう願いたい。ウクライナはプーチンを止められるし、止めるだろう。特に、我々の全面支援があればなおさらだ。そして彼らは我々の全面支援を受けている。「ウクライナはプーチンを止められるし、止めるだろう。」ホワイトハウス

 全てたわ言だが、バイデンの明らかな意図である戦争の根拠を構築するには役に立つ。(プーチンがヨーロッパを征服したがっているというバイデンの主張に対するジョン・ミアシャイマーの反論は下記。YouTube ; 30秒マーク)

ビデオリンク



 この戦争はNATO拡大によって引き起こされたのが真実で、これはNATO議長イエンス・ストルテンベルグが何度も認めている不都合な事実だ。2022年4月のキーウとモスクワの和平交渉の際、ロシアの主な要求はウクライナがNATO加盟を拒否し、永世中立を宣言することだったのを思い出す方も読者の中におられるかも知れない。ゼレンスキーは、これら条件に同意したが、これは事実上、プーチンの行動がNATO拡大に関連していたことを証明している。プーチンがヨーロッパを征服したがっている証拠は事実上ない。皆無だ。プーチンは単にウクライナが中立に関する条約上の義務を尊重するのを望んでいるに過ぎない。Antiwar.comのテッド・スナイダーによるこの抜粋を確認頂きたい。

 
ウクライナはNATOに加盟しないことを約束した。ウクライナの非同盟はウクライナ独立国家の基本文書に明記されている。

 1990年のウクライナ国家主権宣言第9条は、ウクライナは「軍事ブロックに参加しない永久中立国となる意図を厳粛に宣言する」と述べている。 この誓約は1996年のウクライナ憲法でも繰り返され、ウクライナは中立を約束し、いかなる軍事同盟にも参加することを禁じられた。しかし、2019年にペトロ・ポロシェンコ大統領が、ウクライナ憲法を改正し、NATOとEU加盟の「戦略的方針」にウクライナを誓約させた。

 NATOの過去の行動を考慮して、これはロシアにとっての直接的脅威とみなされた。2023年にウクライナの主権を、まだロシアが認めているかどうか尋ねられた際、セルゲイ・ラブロフ外相は次のように答えた。「我々は、ウクライナがソ連から脱退した時に採択した独立宣言に基づいて、1991年にウクライナの主権を認めた…この宣言において、[ロシアにとって]主な要点の1つは、ウクライナは非ブロック非同盟国になるはずで、いかなる軍事同盟にも参加しないはずなことだった…その版で、それら条件で、我々はウクライナの領土保全を支持する。」 NATO75周年:戦争につながった破られた約束、 Antiwar.com


 もちろん、ワシントンが誠意を持って行動していれば、この問題はずっと前に解決できたはずだが、ワシントンは誠意を持って行動しなかった。実際、ワシントンは依然、世界で唯一無二の超大国としての将来を確保する「アジアへの回帰」戦略を実行するため、ロシアに「戦略的敗北」を負わせると決意している。これら目標は、エスカレーションや、紛争や、本格的戦争なしに実現できない。NATOサミットは、核超大国間のより広範でより暴力的な紛争の前触れにすぎない。



 我々が自問すべき疑問は、NATOが実際ロシアとの戦争に勝てるかどうかだ。本当に勝てるのだろうか?

 答えは「いいえ」だ、勝てない。

 なぜか?

 この質問に軍事評論家ウィル・シュライバーは次のように答えている。

 
2022年よりずっと前から私は何年も研究をしてきた。ウクライナ戦争はアメリカ/NATOが決して勝てない戦争だと私は繰り返し警告してきた。(アメリカを含む)NATOの「書類上の」強さと、実際の戦闘能力の間には大きな隔たりがある。アメリカは東ヨーロッパで25万人の戦闘員を集結、装備、配備、維持することさえできず、そうしようとすれば、地球上の全主要アメリカ基地撤退が必要になる。アメリカ/NATOはロシアとの戦争に勝てないだけでなく、その取り組みで骨抜きにされるだろう。

 アメリカ/NATOによるユーゴスラビア、イラク、リビアの破壊に警戒したロシアは、過去25年間、特に過去2年間、アメリカ/NATOとの最終戦争に備えて、大規模で非常に強力な軍備増強と近代化に従事してきた。過去2年以上にわたり、ウクライナ代理軍を、ロシアはいとも簡単に三回連続、計画的に破壊したロシアの軍隊構築、戦闘訓練、軍事産業生産は、NATO圏全体を合わせたより遙かに優れている。あなた方のような物見遊山軍事評論家がハリウッドのファンタジーや欧米諸国の国営メディアで徹底的に洗脳されている度合いは理解できるが、戦争は架空の物語や派手なスーパーヒーローが戦って勝つのではない。戦争に勝つのは生の火力で、この基準から、ロシア、中国、イランの三国同盟は、今や傲慢さに酔った敵より優位に立っている。現時点で、正気な選択肢は一つしかない。帝国を放棄し、復活した世界の文明国と和平を結ぶことだ。さもなくば現代人類文明そのものの多くが破壊される危険に曝され、回復には何世紀もかかるだろう。ウクライナは勝てない、ウィル・シュライバー、ツイッター

 また「弾薬庫の奥行き」という厄介な問題もある。これは敵に勝ち、最終的に打ち負かすために必要な武器弾薬備蓄を指す。ここで再びシュライバーの言葉を引用する。

 
イスラエルは(偉大な後援者アメリカ同様に)「大戦争」という状況において、潜在的に同等または準同等の敵に対して、複数の損害を与える攻撃を遂行する能力があるのは疑いようがない。しかし帝国の領域全体では、現時点で存在しており、短期または中期のどの時点でも強みに変えられない致命的弱点がある。第一に、軍人が「弾薬庫の奥行き」と呼ぶものだ。攻撃で圧倒し、防御で、打ち負かし、戦略的に敵より長く生き残るのに十分な弾薬の備蓄だ。アメリカも、ほとんど無力な属国諸国も、同等の敵、ロシアや中国やイランや、彼らの全て、またはいずれかの小国に対し、比較的短い作戦以上のものを実行するのに十分な「弾薬庫の奥行き」を持っていない。弾薬庫の奥行き」ウィル・シュライバー、Twitter

 シュライバーの言い分は深刻なのと同時に憂慮すべきだ。ロシアとの戦争でアメリカとNATOは勝利することはないだろう。なぜなら彼らはロシアほどの工業力、戦力、戦闘訓練、弾薬庫の奥行き、総合的火力を持っていないためだ。あらゆる基準で、彼らの戦闘力は劣っている。更に既にロシアは「ウクライナ軍で最も訓練され、最も装備が整った兵士」数十万人を殺害または捕虜にしている。既にウクライナ軍は事実上壊滅している。現在塹壕にいる兵士は訓練不十分で、技術がなく、士気の低い新兵で、数千人単位で虐殺されている。NATOの関与が、この流れを変え、勝利を確保できると本気で信じている人などいるのだろうか。以下は更なるシュライバー発言だ。

 
アメリカやNATOが、彼らに対して展開するあらゆる種類の攻撃ミサイルを日常的に撃墜できることをロシアは実証してきた。常に全てのミサイルを撃墜できるわけではないが、ほとんどの場合、ほとんどのミサイルを撃墜できる。しかも時間が経つにつれ、ロシアのミサイル迎撃能力は益々向上している。

 実際、ここ数ヶ月「ほとんどの場合、全て」という状況が益々増えている。今週初め、ロシアのセルゲイ・ショイグ国防相がこう報告している。

 「特別軍事作戦中に我々は防空システムを総合的に活用している。これにより、システムの対応力と攻撃範囲が大幅に向上した。過去6か月間で、NATOのHIMARSロケット、短距離ミサイル、巡航ミサイル、誘導爆弾を1,062発撃墜した。

 世界の他の軍隊は、これまで、このレベルの能力を証明したことはない。アメリカはその能力を持っていないし、開発するには少なくとも10年はかかる。

 現在、最前線に配備されているアメリカの戦術弾道ミサイルや海上および空中発射巡航ミサイルは、ロシア防空軍にとって、ウクライナ戦争で既に目にして破壊したものより大きな技術的脅威にはならないはずだ。この戦場での進展の重要性は誇張してもし過ぎることはない。これは何十年もの間想定されてきた戦争計算を変えるものだ。Empty Quiver、Will Schryver、Twitter


 成功の可能性を徹底的に調査せずにNATOが戦争に突入すると信じられない向きも読者にはおられるかもしれない。だが、まさにそれがここで起きているのだ。大声で怒鳴るアメリカ政府は自分が「参戦すればすぐ勝てる」と愚かにも信じている。ロシアに有利な状況にあり、参戦すれば猛烈な反撃を受けるのを彼らは受け入れられないのだ。しかし、それが彼らが直面している現実だ。最後にもう一度シュライバーの言葉を引用しよう。

 
たとえ目標に合意できたとしても、NATOは調整、教義、戦力編成という大問題に直面するだろう。NATO軍はこの種戦争のために訓練されておらず、共に行動したこともない。

 2023年の大攻勢に向けて欧米諸国が訓練し装備したとされる9個旅団より強力な部隊を配備するのは困難だろう。この大攻勢はロシア軍に撃退されただけで、目立った成果は得られなかった。

 高強度地上戦に少しでも適した地上戦闘部隊をアメリカはヨーロッパに持っていない。十分な時間と資金、政治的意志と組織があれば、ほとんどのことは可能だ。しかし、ロシアにとって迷惑以上のものを構成する軍隊をNATOが編成し、多くの命を危険にさらす可能性はない。NATO幻影軍、ウィル・シュライバー、サブスタック

 ウクライナの戦場で、NATOがロシアと対峙すればロシアに勝てると確信している妄想的分子が外交政策体制内部にいると私は確信している。なぜそういうことが起きないのかを示すのに、シュライバーの分析は役に立つ。

記事原文のurl:https://www.unz.com/mwhitney/why-russia-will-defeat-nato-in-ukraine/

----------

 デモクラシータイムス

保険証廃止で医療は崩壊?~レセプトオンライン義務化で町の医院はたいへん【荻原博子のこんなことが!】
 22:00

 寺島メソッド翻訳NEWS

ABCニュース:「トランプ氏の選挙集会の銃撃犯が屋上にいた建物は警察機動部隊の待機場所だった」

植草一秀の『知られざる真実』

独立を回復できない日本

2024年7月 9日 (火)

紅海で形勢を一変させるフーシ派の極超音速ミサイル

マイク・ホイットニー
2024年7月2日
The Unz Review

 

 2024年6月26日にイエメンのフーシ派が公開した映像のスクリーンショットにはイエメンの非公開の砂漠地帯から極超音速ミサイルが発射される様子が写っている。新華社

 

 これはイランの復讐だろうか?

 

 3月下旬、ダマスカスの領事館をイスラエルが爆撃したことに対するイランの報復は、極超音速ミサイルをフーシ派に提供して「大悪魔」と戦わせることなのだろうか?

 

 6月26日、イエメンのフーシ派反政府勢力は長距離固体燃料極超音速弾道ミサイルを使用してアラビア海の商船を攻撃した。軍事作戦で、この集団が最新鋭ミサイルを使用したのはこれが初めてだ。この進展の重要性はいくら強調してもし過ぎることはない。極超音速ミサイルは、まだ欧米諸国では入手できない技術進歩を特徴としており、以前のモデルより精度が高く、撃墜が困難で、飛行距離が長い。この独自最新兵器は、将来、紅海やそれ以遠への攻撃でフーシ派に決定的優位を与える戦力増強装置だ。これにより、フーシ派は商業交通に対する支配力を強めることができると同時に、アメリカ軍艦をより大きな危険にさらすことになる。またアメリカや連合諸国との戦争で、フーシ派が勝利する可能性も大幅に高まるだろう。以下はMaritime Executive記事からの引用だ。

 

 アデン湾沖のMSCコンテナ船を標的とした極超音速ミサイルを初めて発射したとフーシ派は主張している。

 フーシ派のヤヒヤ・サリー報道官の投稿により、アラビア海でMSC社のSarah Vを狙ったミサイルの正体が初めて明らかになった。「これは高度な技術を備え、命中精度が高く、長距離まで到達する現地製極超音速ミサイルだ。」

 3月のメディア報道によると、フーシ派はマッハ8に達する極超音速ミサイルの製造を開始した。報道によると、このミサイルはインド洋更に深奥部の船舶の脅威となると言う。動画:フーシ派、MSCの船を標的に極超音速ミサイル初発射を主張、Maritime Executive

 

 第一に、フーシ派は高度なミサイル製造施設を持っていないので、現在軍事作戦で彼らが使用しているハイブリッド弾道ミサイルが何であれ、自ら製造したわけではない。

 

 第二に、今週初めのアラビア海での事件で発射されたミサイルは、おそらくイラン製ファッタフ1の派生型で、マッハ3、つまり音速の3倍の速度で飛行できると専門家らは示唆している。ファッタフ1はフーシ派が使用してきたミサイルが大幅に改良されたものだが、最先端の極超音速弾道ミサイルほど商業船舶に深刻な脅威を与えるものではない。最先端の固体燃料極超音速ミサイルは別格だ。マッハ5を超える速度で飛行し、機動性が高く、飛行中に進路を変更できるものもある。多少の背景情報は下記のとおり。

 

 極めて機動性の高い兵器を極超音速で発射する能力は、どの国にとっても大きな利点となる。なぜなら、そのような兵器は現在使用されているほぼ全ての防衛システムをかわすことができるためだ。

 

 2020年1月ワシントンで「脅威が何かは問題ではない。脅威が見えなければ防御はできない」と元米統合参謀本部副議長ジョン・ハイテン将軍が聴衆に語った。

 

 2018年にアメリカ戦略軍司令官を務めたハイテンは「我々に対する、そのような兵器の配備を阻止できる防衛手段はない。…我々の防衛手段は抑止力だ」と述べた。極超音速兵器とは一体何で、誰が保有しているのか? VOA

 

 結論:もし、これら「先進的」兵器をフーシ派が自由に使えるなら、紅海は海底に向かう燻る米軍艦で埋め尽くされるはずだ。しかし、そうではないので、フーシ派にミサイルを供給しているのが誰であれ、まだ最新鋭の極超音速ミサイルを彼らに提供する準備はできていないと仮定しなければならない。Business Insider記事から更に引用する。

 

 ミサイルや宇宙技術を研究するミュンヘンのコンサルティング会社STアナリティクスの責任者マルクス・シラーは、このミサイルはイランで設計された可能性が高いとBusiness Insiderに語った。

 

 「これは間違いなくイランのファッタフ・ミサイル・ファミリーの一種だ。このミサイルは1990年代に開発され、以来継続的に改良されている」とシラーは述べた。最近テヘランは、ファッタフ・ミサイル最新版を極超音速ミサイルとして宣伝している。フーシ派反政府勢力は、新しい「自家製極超音速ミサイル」を発射したと述べ、民間船に向けて発射する映像を投稿した。 Business Insider

 

 実際フーシ派が最良の弾道ミサイルを持っていない可能性が高い。結局、彼らの封鎖の狙いは、アメリカ軍艦を破壊して何千人もの人を殺すことではなく、イスラエル経済に圧力をかけて、ガザへの人道支援をイスラエルに認めさせることだ。実際、フーシ派の戦略が成功したのは、それがほとんど平和的だった事実に大きく起因しており、だからこそ彼らの大義は世界中の人々から支持を集めてきたのだ。もし彼らがやり方を変えて、片っ端から船を沈没させ始めたら、人々の支持は一夜にして消えるだろう。下記はForeign Policy記事からの引用だ。

 

…… 8か月たって船舶の混乱は突然更に悪化している。 6月下旬フーシ派攻撃で船が沈没(攻撃開始以来2隻目)し、別の船にも損傷が生じた。今年に入ってから攻撃未遂と攻撃成功のリストは延々続く。米艦艇がドローンやミサイルや無人水上艦艇を撃退した報告を米中央軍公式発言はほぼ毎日繰り返している。対艦ミサイルを効果的に使用してきたフーシ派は現在いわゆるフーシ派特攻船「Blowfishフグ」を含む水上ドローンに益々依存するようになっている。

 

 こうした展開と頻繁な迎撃は、アメリカ海軍の弾薬庫を食いつぶしている。議会関係者によると、紅海でフーシ派ドローンやミサイルを撃墜するのに米護衛艦が使用する標準的防空ミサイルをアメリカはほとんど生産していないという。「あそこでの消耗率がこれまでと同じ急な高水準を維持する限り、我々はより危うい立場に立たされる」と匿名を条件にアメリカの弾薬不足について率直に語ったある関係者は語った。米海軍と同盟諸国はなぜフーシ派を阻止できないのだろう? Foreign Policy

 

 著者の分析には苛立ちが感じられ、理由も理解できる。アメリカにとって国家安全保障上の脅威とはならない反乱集団と紅海で戦って泥沼にはまり込むのをワシントンは望んでいない。いやなのだ。ロシアのウクライナ作戦を押し返したり、中国を封じ込めたりする、より広範なアメリカの地政学的野望を前進させることにはならない取り組みに、バイデンも更なる資源や地上部隊を投入したくないのだ。要するに、紅海での騒動は、「消えてなくなる」のをアメリカ外交政策責任者が望んでいる厄介な問題だと一般に認識されている。しかし問題は消えるどころか悪化しており、バイデンは望まない選択を迫られている。以下はgCaptain記事からの引用だ。

 

 イランが支援するフーシ派反政府勢力による攻撃が激化しているため、紅海の船舶を護衛するため欧州連合(EU)が派遣した海軍部隊は規模を二倍以上に拡大する必要があると作戦責任者が述べた。

 

 水曜日のインタビューで、二月以来、EU艦艇4隻がイエメン沖海域を巡回している。その間、164隻の船舶に「近接防御」を提供し、無人航空機を12機以上撃墜し、対艦弾道ミサイル4発を破壊したとヴァシリオス・グリパリス少将が語った。

 

 イエメンを拠点とするフーシ派は世界海運を混乱させ、1月に始まったEUの作戦とアメリカとイギリスの爆撃にもかかわらず、多くの船舶が南アフリカを何千マイルも迂回して航行するのを余儀なくされた…。

 

 「毎日40~50隻の船が海峡を行き来しているので、近接防御を行うには相当数の船が必要だ」と彼は語った。「近接防御ができない場合もあるが量に対処するよう努めている。」

 

 アメリカとイギリスの爆撃作戦は攻撃を阻止できず、むしろ両国関連の船舶が頻繁に攻撃されるようになっている。地中海の船舶を攻撃する可能性がある作戦拡大をフーシ派は警告している。

 

 「フーシ派を攻撃して問題が解決するとは我々は考えていない」と彼は語った。「数年前同様の行動をとった国もあったし今もそうしている国もあるが、それが問題解決につながっていないのは明らかだ」フーシ派を撃退するには艦隊を倍増させる必要があるとEU軍は主張、gCaptain

 


 著者が何を言っているかお考え願いたい。現在の方法は機能していないので同じ戦略を更に強化すべきだと著者は主張しているのだ。これは「狂気」の定義ではなかろうか。

 

 明らかなのは、アメリカ外交政策手段は軍事力しかないことだ。そして、その手段が効果がないことが判明すると、軍事力が更に強化される。これがアメリカ政府が紅海で無駄骨を折っている現在の紛争の結末にどんな影響を与えるのか理解する必要がある。イスラエルに圧力をかけて、ガザ封鎖を解除させたほうが良いのではなかろうか。

 

 政策立案者が自ら問うべき疑問は、かなり明白だ。「この問題に対する軍事的解決策はあるのだろうか?」

 

 答えは「ノー」だ。明確に定義された戦略目標や撤退戦略もない。これらは戦争への突入と、外交政策の官僚たちがお気に入りの作戦理論「先に撃って後で質問する」を実行する決意の中で無視された。その結果、アメリカは従来の手段では勝てない、またしても無意味な大戦に巻き込まれている。下記はBusiness Insiderからの引用だ。

 

 ここ数週間、フーシ派は商業船への攻撃を連続して成功させており、そのうち一隻を沈没させたほか、ドローン船で標的を効果的に攻撃する能力を実証し、攻撃がより巧妙になっていることを示している。

 

 いくつかの事件では、危険な新戦術も明らかになった。最も注目すべきは、6月12日、フーシ派が爆発物を積んだドローンボートで紅海の商船を攻撃したことだ。これは、フーシ派が昨年11月に商船への攻撃を開始して以来初めだ。

 

 商用ばら積み貨物船MV Tutorに対する最初のドローン・ボート攻撃により、浸水とエンジン・ルームの損傷が発生した。数時間後、フーシ派ミサイルが船に命中した。二回連続攻撃により乗組員は船を放棄せざるを得なくなり、船は最終的に沈没した...

 

 同週、フーシ派はアデン湾で対艦ミサイル2発を発射して、MV Verbena号を攻撃した。それから24時間も経たないうちに、このばら積み貨物船は別のミサイルで攻撃され、この週で2度目の二回連続攻撃攻撃となった。攻撃による損傷のため、乗組員は最終的に船を放棄した。

 

 Tutor号とVerbena号攻撃は数日前に行われた他の船舶2隻への攻撃成功に加え、フーシ派作戦の「有効性の大幅向上」を示しているとイギリス警備企業アンブリーは述べた。

 

 「攻撃のたびに、何が効果的で何が効果的でないかを、おそらくフーシ派は学んでいるのだろう」とカーターは語った。「軍事組織の運営方法を考えれば、使用している様々な攻撃方法から彼らは確実に教訓を得ている」。

 

 反政府勢力が「ローテクで低コスト」の攻撃手段を入手するのを阻止するだけでなく、攻撃を思いとどまらせるのも困難だとランド研究所で中東安全保障を担当する政策研究員アレックス・スタークがBIに語った。

 

 これら攻撃は「明白で有用な解決策がないまま進行中の問題」だと彼女は付け加えた。フーシ派は紅海での攻撃を巧妙化しており、この海域を航行する船舶は代償を払っている。Business Insider

 

 スタークは間違っている。「明らかな解決策は目の前にある」。ガザの人々への食糧や水や医療援助封鎖をイスラエルが解除するまで、全てのイスラエルへの武器供給をバイデン政権は停止する必要がある。それが紅海の危機を終わらせる唯一の政策だ。更に重要なのは、それが正しい行動だということだ。

 

記事原文のurl:https://www.unz.com/mwhitney/the-houthis-hypersonic-missile-is-a-game-changer-in-red-sea/

----------

 

 Judging Freedom ラリー・ジョンソン 溺れるNATOは藁をも掴む

Larry Johnson : NATO Grasping at Straws 29:35

 

 UIチャンネル

ウクライナ情勢を徹底解説(24年7月現在)下斗米伸夫 (神奈川大学教授、法政大学名誉教授) × 鳩山友紀夫 1:20:32

 

 さすが植草氏。今回の奇怪な結果を的確に説明しておられる。大本営広報部機関、つまりテレビも新聞も、今回の大資本洗脳プロパガンダ一味なので、たとえ真実を知っていても、植草氏のように真実はいわない。

 植草一秀の『知られざる真実』

石丸氏メディア異常宣伝の黒幕

 

 日刊IWJガイド

 

「仏国民議会選挙の結果、左派連合の新人民戦線が182議席で最大勢力に! マクロン大統領の中道連合は168議席、右派国民連合は143議席!」

 

■はじめに~フランス国民議会選挙の結果、左派連合の新人民戦線が182議席で、最大勢力に! 続いてマクロン大統領の中道連合が168議席、国民連合は143議席で第3位に! しかし、3つの勢力とも過半数を確保できず、フランス政局は、少なくとも2025年夏まで不安定なままになる!?

■IWJの第14期も最後の1ヶ月です! 7月は4日までの4日間で、ご寄付・カンパが10万8000円と、目標額の3%にとどまっています! 今期第14期は、8ヶ月連続で目標金額に届かず、累積の赤字額は約1260万円になっています。他方で、「IWJしか報じていない情報」が、日々、増えてきています! そのIWJを支えるのは、皆さまからいただく会費とご寄付・カンパだけです。有料会員登録と、ご寄付・カンパで、どうか財政難のIWJが、独立メディアとして報道・言論活動を継続できるよう、皆さまのご支援をよろしくお願い申し上げます!

■<新記事・動画紹介>「情報戦」の時代をどう生き抜くか? 巨大組織メディア報道の罠を検証!【第2部】新型コロナウイルス危機とmRNAワクチン危機(第9回)~岩上安身によるインタビュー第1164回ゲスト 在野研究者・嶋崎史崇氏

■『ウィキリークス』がXで、昨年10月7日のハマスらパレスチナ抵抗勢力による奇襲攻撃直後に、イスラエル情報省が治安部門に配布した、ガザ地区住民のシナイ半島への強制永久移住に関するリーク文書を報じた、イスラエルの市民メディアの昨年10月の記事を紹介! ガザ住民永久追放のためには、偽のアッラーのメッセージを作成! 米国にはアラブ諸国への圧力をかけさせる! 他方でイスラエルが非難されないため、「人道的措置」だと主張する、詳細な手口のほとんどが実現されている!!

■<IWJ取材報告>国民の健康と生命を守るべき厚労行政の長が、この秋に迫るレプリコンワクチンの接種開始を前に懸念される「シェディング(ワクチン接種により産生されたmRNAやスパイクタンパク質が、接種者の吐息などから非接種者に拡散される現象)」のリスクを完全無視!! mRNAワクチン政策は本当に大丈夫なのか!?~7.5 武見敬三厚生労働大臣定例会見

2024年6月 9日 (日)

核戦争を避けるためには、プーチン大統領はもう少し狂気になる必要がある

マイク・ホイットニー
2024年5月31日
The Unz Review

 水曜日にプーチン大統領がウズベキスタンで行った記者会見は、彼の24年の政治経歴の中で最も異例かつ並外れた出来事だったかもしれない。ウクライナのゼレンスキー大統領が4年の任期を超えて大統領職にとどまると決めたことに関する憲法上の問題に触れた後、ロシア国内の標的に長距離兵器を発射するというNATOの計画について簡潔ながら不穏な声明をプーチン大統領は発表した。これら攻撃に応じて、兵器システムを提供した国々にロシアは責任を負わせことになるとプーチン大統領は明言した。また兵器システムの仕組みや運用には原産国の請負業者が直接関与する必要があることを非常に詳細に説明した。プーチン大統領発言で注目すべき点は、核兵器を保有する敵対国同士の直接対決に世界が近づくということではなく、ロシアは座視して連中のサンドバッグになるつもりがないことを欧米諸国の政治指導者に想起させなければならなかったことだ。プーチン大統領の発言の一部を紹介しよう。

 攻撃に関しては、率直に言って、NATO事務総長が何を言っているのか私にはよく分からない。彼がノルウェー首相だった時(私たちは良好な関係だった)彼は認知症ではなかったと確信している。もし彼がロシア領土を長距離精密兵器で攻撃する可能性について話しているなら、彼は私と同じ民間人だが、宇宙からの偵察なしに長距離精密兵器は使用できない事実を軍事政治組織トップとして認識すべきだ。これが私の第一の要点だ。

 二つ目の要点は、最終的な標的選択といわゆる発射任務は、この偵察情報、技術的偵察情報に頼る高度な能力を持つ専門家だけが実行できることだ。ストーム・シャドウなどの一部攻撃システムでは、これらの発射任務はウクライナ軍を使わずに自動的に実行できる。誰が行うのか。製造者と、これら攻撃システムをウクライナに供給しているとされる者が行う。これはウクライナ軍の関与なしに実行できるし、実際実行されている。たとえば、ATACMSなどの他のシステムの発射も宇宙偵察情報に依存しており、標的が特定され、担当者に自動的に伝えられるが、担当者は自分が何を発射しているのかさえ理解していない可能性がある。担当者、場合によってはウクライナ人担当者が対応する発射任務を実行する。ただし、任務を統括するのはNATO諸国代表で、ウクライナ軍ではない。プーチン大統領、ウズベキスタンでの記者会見、クレムリン

 まとめると次のようになる。
  1. 長距離精密兵器(ミサイル)はNATO諸国から提供される。
  2. 長距離精密兵器は、原産国の専門家または請負業者に運用される。
  3. 長距離精密兵器はアメリカまたはNATOが提供する宇宙偵察情報とリンクする必要がある。
  4. ロシアの標的は、アメリカやNATOが提供する宇宙偵察情報によっても提供される。

  5. プーチンが主張しようとしているのは、長距離ミサイルはNATOに製造され、NATOに供給され、NATO請負業者に運用および発射され、標的はNATOから提供された宇宙偵察情報を使用してNATO専門家に選択されることだ。あらゆる点で、ロシアの標的に対する長距離精密兵器の将来の発射は、NATOとアメリカの作戦だ。したがって誰が責任を負うかについて混乱すべきではない。NATOが責任を負っているということは、NATOが事実上ロシアに対し宣戦布告していることを意味する。プーチンの長文発言は、この重要な点を強調しているにすぎない。プーチン発言は他にもある。

     したがって、NATO諸国、特にヨーロッパに拠点を置く、とりわけヨーロッパ小国の関係者は何が問題か十分認識すべきだ。ロシア領土奥深くへの攻撃について話す前に、彼らは自分たちの国が小さく人口密度の高い国であることを考慮すべき要素として念頭に置くべきだ。これは深刻な問題で、我々は、これを非常に注意深く、しっかり見守っている。ウズベキスタンでのプーチン大統領記者会見、クレムリン

     当然欧米メディアは上記段落に全注目しているが、それには十分理由がある。「ロシアを攻撃すれば我々は報復する」という明白なことをプーチン大統領が述べているからだ。それが根底にあるメッセージだ。以下は金曜日の(ヒステリックな)見出しの一部だ。
    • ウラジミール・プーチン大統領、ウクライナが欧米諸国の兵器を使ってロシアを攻撃すれば「全面戦争」になると警告 ― ウォロディミル・ゼレンスキー大統領、同盟諸国に許可を求める、MSN.com
    • なぜプーチンは再び核戦争で恫喝するのか?、ザ・インタープリター
    • プーチン大統領、欧米諸国に警告「ロシアは核戦争の準備ができている」ロイター通信
    • 暴君の恫喝:ウラジミール・プーチン大統領、ウクライナが欧米諸国の兵器を使ってロシアを攻撃すれば全面戦争になると脅す、ザ・サン
    • (そして何よりも)
      プーチンの虚勢を暴く時が来た、CNN

     これら全て、プーチンが虚勢を張っているかどうか試すためのものなのだろうか?

     もしそうだとしたら、それは非常にリスクの高い戦略だ。しかし彼らの言うことには一理ある。結局、ロシアへのいかなる攻撃も即座に猛烈な報復攻撃を引き起こすとプーチンは警告しているのだ。そして彼は「人口密度の高い小規模なNATO諸国」の指導者たちに、将来のロシアによる核攻撃の可能性にどんな影響を与えるか考えるよう助言しているのだ。プーチンが虚勢を張っているかどうか知るために、彼らは本当に自分たちの文明全体を危険にさらすのだろうか? プーチンはこう言っている。

     欧米の同僚が何を報道しているかご覧願いたい。誰もベルゴロド(ロシア)や他の隣接地域を砲撃することについて語っていない。彼らが語っているのは、ロシアが新たな戦線を開いてハリコフを攻撃することだけだ。一言も言っていない。なぜだろう? 彼らはそれを自らの手で行ったのだ。彼らにその創意工夫の成果を刈り取らせよう。あなたが尋ねた長距離精密兵器が使われた場合にも同じことが起きる可能性がある。

     もっと広い意味で、この終わりのないエスカレーションは深刻な結果を招く可能性がある。ヨーロッパがそのような深刻な結果に直面した場合、戦略兵器の均衡を考慮してアメリカはどうするだろう? それは分からない。ウズベキスタンでのプーチン大統領記者会見、クレムリン

     欧米諸国の行動に、プーチンは本当に困惑しているようだ。アメリカとNATOの指導者たちは、ロシアを長距離ミサイルで攻撃してもロシアが反応しないと本当に思っているのだろうか? 彼らの馬鹿げたプロパガンダが、核兵器を保有する2つの超大国間衝突の結果に影響を与えると本当に思っているのだろうか? 彼らは一体何を考えているのか、あるいは、そもそも考えているのだろうか? 我々には分からない。我々は「未知の愚かさ」に陥ってしまったようだ。絶望と無知が融合して、全く狂気の外交政策を生み出しているのだ。これはタス通信記事からの引用だ。

     ロシア領土への武器攻撃を承認したNATO諸国は、ウクライナだけでなくロシア領土を攻撃したあらゆる地点で自国装備と専門家が破壊されると認識すべきだとロシア安全保障会議副議長ドミトリー・メドベージェフは彼のテレグラム・チャンネルで述べ、NATO専門家の関与は開戦理由と見なされる可能性があると指摘した。

     「もしそこからロシア領土に対して攻撃が行われれば、旧ウクライナ領土と他国領両方で、我々と戦う彼らの軍事装備と専門家は全て破壊される」とメドベージェフは警告した。

     モスクワはウクライナに供給された全ての長距離兵器が既に「NATO諸国の軍人に直接運用されている」事実に基づいて行動したと彼は更に付け加えた。これはロシアに対する戦争への参加に等しく、戦闘作戦を開始する理由となる。ロシアが攻撃を受けた可能性がある国々の全てのNATO兵器が攻撃される - メドベージェフ、タス通信

     そこには白黒はっきりした事実がある。プーチン大統領が外交的手法を選んだのに対し、メドベージェフ大統領は強烈な打撃を選んだ。「ロシアを攻撃したら爆撃して石器時代に逆戻りさせる」。そこには逃げ道はほとんどない。しかし行動の潜在的結果を理解していない人々に必要なのは、おそらく明確さだろう。いずれにせよ、ワシントンやブリュッセルの誰も、警告を受けていなかったとは言えない。

     戦争の過程で東ヨーロッパの都市が焼け野原になる可能性があるにもかかわらず、ワシントンが実際に戦争を拡大したがっている可能性を排除することはできない。より広範な紛争が連中の地政学的野望を達成する唯一の方法だとワシントンのタカ派は考えているのかもしれない。ワシントンに核兵器の使用を支持するかなりの支持層があるのを知っているのと同様に、これが現実の可能性であることをプーチンは知っている。彼がそれほど慎重に行動している理由は、アメリカ権力層の中に、戦術的優位性のため「使用可能な」核兵器に関する彼らの持論を実行できるように、古いライバルであるロシアとの衝突を心待ちにしている狂人がいると知っているからかもしれない。プーチンはこう語っている。

     アメリカは「予防攻撃」という理論を持っている。現在、彼らは「武装解除攻撃」のシステムを開発している。それは何を意味するのでだろうか? それは、敵の反撃能力を破壊するため、現代のハイテク兵器で指揮統制中枢を攻撃することを意味する。

     プーチン大統領はアメリカ核政策研究にかなりの時間を費やしており、そのことに深い懸念を抱いている。結局のところ、先週「ロシアの核の傘の重要な要素」に対して未曾有の攻撃をバイデン政権は開始したばかりではないだろうか?  まさに。連中件攻撃した。

     そして、アメリカは(核態勢見直しを通じて)核兵器の攻撃的使用を正当な防衛行為として再定義したのではないだろうか?  そうだ。

     そして、この改正は、アメリカの強硬派に、法的訴追を恐れずに核攻撃を仕掛けるために必要な制度的枠組みを与えるのではないだろうか?

     そうだ。

     そして、これらのタカ派は、ワシントンの地政学的ライバルに対する先制核攻撃の基盤を築くため、「先制攻撃」「先制攻撃」「武装解除攻撃」に関するそれぞれの理論を展開してきたのではないだろうか?

     そうだ。

     そしてアメリカの核ドクトリンでは核兵器は「アメリカまたは同盟諸国やパートナーの重大な利益を守るため極限状況で」使用できると規定されているのではないだろうか。

     そうだ。

     そして、その定義には中国のような経済的ライバルも含まれるのだろうか?

     そうだ。

     そして、それは「先制攻撃」核兵器攻撃に対する防御なのだろうか?

     そうだ。

     そして、それはアメリカがもはや核兵器を純粋に防衛的なものとしてではなく「ルールに基づく秩序」を維持するための不可欠な手段とみなしていることを意味するのだろうか?

     ああ、そうだ。

     そして、核兵器のタブーが解除され、核兵器がより多くの状況でより頻繁に使用されるようになることを望んでいる政治体制やディープステート(闇の政府)の有力者がいるのをプーチンは知っているのだろうか?

     彼は知っている。

     そして、ワシントンがロシアと中国をアメリカの世界覇権と「ルールに基づく秩序」に対する最大の脅威とみなしているのを彼は知っているのだろうか?

     知っている。

     そして、アメリカが先制攻撃策を実施すれば、ロシアには報復する時間がないかもしれないことを彼は理解しているのだろうか?

     彼は理解している。

     そして、欧米が望んでいるモスクワの戦略的敗北をもたらす先制攻撃に直面した際、彼は引き金を引いたり、迅速に対応したりしないかもしれない抑制された合理的人物だと外交政策専門家連中が見なしているのにプーチン大統領は気づいているのだろうか?

     いや、そうではない。彼は依然、大量核兵器を保有することでアメリカの侵略を抑止できると考えている。しかし、相手は核兵器を使用しないとアメリカが確信している場合、大量核兵器も抑止力にはならない。

     時には、理性的なことが敵を撃退する最善の方法でないこともある。時には少し狂気になる必要もあるのだ。

     それはプーチンが早急に学ぶべき教訓だ。

    記事原文のurl:https://www.unz.com/mwhitney/to-avoid-nuclear-war-putin-needs-to-be-a-little-crazier/

    ----------

     Judging Freedom この番組、ロシアのみならず西欧諸国でも好評とのこと。

    INTEL Roundtable : Johnson & McGovern - Weekly Wrap Up 22:41

     デモクラシータイムス

    主権侵犯、マヒした国家 vs 警鐘鳴らす市民 宮城秋乃さん+布施祐仁さん 【シン・池田香代子の世界を変える100人の働き人】 1:15:17

2024年3月 9日 (土)

ウクライナでの大失敗における役割ゆえにヌーランドは首にされたのか?

マイク・ホイットニー
2024年3月6日
The Unz Review

 ビクトリア・ヌーランドの退任は、ワシントンの主要外交政策プロジェクト失敗の自認だ。ヌーランドほどウクライナでの失態に関与していた政府高官はいない。2014年クーデターの際、現地活動で、彼女は業務のあらゆる手順を監督し、意志決定の一切を部下に任せないマイクロマネジメントをし、戦争が始まって以来、国務省の卑しむべき関与を監督してきた。何十万人ものウクライナ兵の不必要な死と、国の大部分の破壊をもたらしたNATOが支援する不運な惨事と、彼女の経歴は密接に結びついている。それゆえ、我々が自問する必要があるのは、ロシアとの勝ち目のない戦争にNATOを引きずり込もうとするヌーランドの執拗な策謀が、彼女が「お払い箱になる」つまり引退を発表した理由なのかどうかだ。以下は国務省公式報道声明の抜粋だ。

 しかし外交官や外交政策の学生が今後何年にもわたって研究するのはウクライナに関するトーリア(ヌーランド)の指導力だ。プーチンのウクライナへの全面侵攻に立ち向かい、彼の戦略的失敗を確実にするため世界的連合を結集し、ウクライナが民主的、経済的、軍事的に強く立ち上がれる日に向けて取り組むのを助けるために彼女の努力は不可欠だった。ビクトリア・ヌーランド政治担当国務次官の退任について、アメリカ国務省

 これは、ウクライナでの大失敗の責任を、もろヌーランドに負わせる、とんでもない段落だ。そう、彼女は、ロシアに対する代理戦争を遂行するための「グローバル連合をまとめる」上で重要な役割を演じたのと同様、プーチンと対決する動きを主導する上で「不可欠」だった。そして、この声明が我々に教えてくれるのは、ヌーランドは現在進行中の紛争の主要立案者の一人で、NATO指導者間の溝の拡大、戦場で増大する殺戮、そして主要地政学的ライバル、ロシアに対するアメリカの戦略的敗北に、彼女に大きな責任があることを意味する。要するに、ビクトリア・ヌーランドほどウクライナの泥沼に責任がある政府高官はいないのだ。

 (ヌーランドは)在職期間中、6人の大統領と10人の国務長官の下での、35年の目覚ましい公務を勤めた。中国の広州に領事として初めて赴任して以来、ほとんど国務省でトリアは仕事をしてきた。政治担当官や経済担当官。報道官や首席補佐官。副次官補、次官補。特使や大使。

 これら経験により、幅広い問題や地域に関する百科事典的知識と米国外交のあらゆる手段を駆使して、我々の利益と価値観を前進させる比類ない能力をトリアは身につけた。(米国国務省)

 言い換えれば、ビクトリア・ヌーランドは、国務省全体で、最も知識豊富で、経験豊かな外交官の一人だが、それでも極端な危機の時期に、35年の経歴中、最大かつ最も重要な任務に彼女が失敗したため、連中は彼女を犠牲にしたのだ。連中はそう言っているのではあるまいか?

 そうなのだ。ヌーランドのような好戦的ストリートファイターは、はっきり辞めろと命じられない限り決してタオルを投げることはないと100%確信できる。戦争に進展の兆しがあれば、彼女は仕事にしがみついていたかもしれないが進展の兆しはない。我々がこれまでに見たことのない絶望的で悲惨な状況だ。我々が話している間にも、ウクライナ前線は崩壊し、死者数は増え続けている。ウクライナは、火力で負け、要員数で負け、主導権を握られている。これは全くのミスマッチで、一年以上前にプーチンが予備役を招集して以来ずっと続いている。現在、若者が大挙して虐殺され、火薬と死の臭いがする泥だらけの塹壕で腐敗させられている。これら全ては終わりが近いことを示唆している。終わりが近づいたら誰かが責められなければなるまい。背中に標的を付けたヌーランドの登場だ。

 ヌーランドは彼女に与えられるもの全てに値する。筋金入りのタカ派として、彼女は常に事実を拙速に扱い、半ば真実と、あからさまな捏造で戦争の正当性を立証し、再び必然的に屈辱的敗北に終わるだろう無意味な流血に国を突入させるつもりだった。彼女は願いを叶え、そして今、彼女は当然の報いを受けている。下記はヌーランドの偽引退に関し同様に好奇心を抱いているカレン・クフィアトコウスキーによる記事の一部だ。

 彼女の辞任は、進行中のウクライナの国民国家としての崩壊や、次のクーデターでのゼレンスキーに差し迫る崩壊に関係しているのだろうか、それとも、もっと悪いことだろうか? 恐らくは出血を止めるため、近いうちに誰かがキエフで次のクーデターを計画しているが、今回は年老いたヴィックは招待されなかったのか。もしかしたら、CIAはついにウクライナで損切りをすると決定したのかもしれない。彼女の後任は、数年前の夏、アフガニスタンから最も素晴らしく良く計画された撤退を監督したジョン・バス元大使だ。沈没する船からネズミが逃げただけかも知れない。トーリは血まみれで腐敗したウクライナ-バイデン関係の主要人物だった。彼女の突然の離脱が、深海に飛び込む一匹の大きな厄介な殺人ネズミより、もっと重要な意味を持よう願っている。ネオコンの悪戯の他部分への道を彼女が切り開きますように。さよなら、ビクトリア! カレン・クフィアトコウスキー、ルー・ロックウェル

 ヌーランドと彼女の元同僚ジョン・ブレナンとヒラリー・クリントンは、ロシア憎悪を国教にまで高め、あらゆる場面でアメリカの評判を泥沼に引きずり込み、わが国の政治に有害な影響を与えた。タイム誌インタビューで、ヌーランドは大胆にこう発言した。

 ウクライナが必要とする限り、我々はウクライナを支援する。ウクライナは国境内の全ての土地を取り戻すために戦っている。彼らの領土を取り戻すための次の厳しい攻勢準備を含め、我々は彼らを支援している...クリミアは、少なくとも非武装化されなければならない。 タイム誌

 たわごと。このほら話をまだ信じている人がいるのだろうか?

 「必要とするだけ」とは、おそらく更に10ヶ月から12ヶ月という意味だろう。それまでに、ワシントンは支援を撤回し、台湾に関心を移しているだろう。請け合う。

 いずれにせよ、ヌーランド引退は決して自発的なものではないと我々は考える。彼女の怒鳴り散らすような言説や、プーチンを打ち負かすという空虚な約束をもはや信じない外交政策エリートに彼女は切られたと我々は考える。ヌーランドを排除することで、代理戦争は失敗し、別の戦略が必要だと連中は認めているのだ。そして政策変更でどうなるかはまだわからないが、ヌーランドがその実施に関与しないことはわかっている。

 最後に一言。2024年2月22日、権威ある戦略国際問題研究所(CSIS)でのインタビューで、ヌーランドは下記質問を受けた。

 「...(ウクライナへの追加資金を提供するため)議会が行動を起こさなない場合...プランBはあるのですか? どうやってウクライナ支援資金を得るか政権は考えていますか。議会が実際資金を配分することなしに、ウクライナ援助資金を得る方法はあるのですか?

 ヌーランド:マックス、プランAで行きます。プランAです。率直に言って、上院はこの法案を70票で可決したばかりです。つまり、ウクライナの利益のためだけでなく、我々自身の利益のためにも、ウクライナを支援し続けるのをアメリカ国民は強く支持しています。ですから下院議員が選挙区に行く際、有権者が議員にどんなメッセージを送るかという問題だと思います。そして議員が世界の様子をどう理解し、この資金を支持しない場合、彼らがどのように答えなければならないかです。ですから、私はこの点、楽観的です。そこにたどり着くと思います。しかし、アメリカ国民は同胞に強く語りかける必要があると思います。ビクトリア・ヌーランド国務次官:ロシアによるウクライナ全面侵攻から二年、CSIS戦略国際問題研究所(CSIS)

 彼女の発言を聞かれただろうか? プランBはない。アメリカがロシアとの代理戦争で勝利するか、それとも何なのか? 混乱。ロシアによるウクライナ全土占拠? NATO解体? それとも?。

 これは(インタビューに出席した)有力な外交政策エリートが聞きたがっている答えではない。彼等はウクライナが戦争に勝てないのを分かっている。全てが不確実な中、更なる資金、更なる兵力、更なる火力を得ない限り、ウクライナが成功する可能性が極めて低い事を知っている。彼らは国務省が、ロシアとの裏ルート交渉を招集していないことも知っているので、想像外の解決という可能性もない。そして今、彼女も同僚も戦争が予想通りにならない場合の予備計画を策定していないとヌーランドは語っている。プランBはないのだ。

 これは信じられない。ヌーランドは、この上なく傲慢か、犯罪的に怠慢かのどちらかだ。いずれにせよ、なぜエリート権力者連中が、いらいらしたヌーランド女史を辞めさせる時が来たと判断したかも理解できる。

 残念ながら「担当者を変える」ことは、必ずしも政策の根本的見直しを意味するわけではない。それでも、正しい方向への一歩ではある。アメリカの「無敵という雰囲気」が侵食され続け、道徳的権威が崩壊するにつれ(ガザ)、ワシントンは譲歩して、近隣諸国と「仲良くする」ことを余儀なくされるだろう。その日は急速に近づいている。

 最後に、皆様がどうお考えであれヌーランドをお払い箱にするのは前向きな動きだ。この瞬間を満喫願いたい。

記事原文のurl:https://www.unz.com/mwhitney/was-nuland-fired-for-her-role-in-the-ukraine-debacle/

----------

 運慶快慶には失礼と思うのだが、彼女の写真で東大寺南大門の金剛力士立像、阿吽を思い出す。寺院内に仏敵が入り込むことを防ぐ守護神だという。それとは対極で、世界に災厄を振りまく悪の権化。

 ドミトリー・オルロフのヌーランド解説に納得。

The End of Nuland's Era - Disastrous Policies in Ukraine | Dmitry Orlov 27:52

 Alex Christoforou YouTube 認知症男性の狂書演説にあきれるが女性も負けない。たわごとに拍手喝采する光景で連想するのは、日本でのゼレンスキー演説。日本の国会議員全員?、スタンディング・オベーション。選良ではなく選悪阿呆集団。

Biden will not bow down to Putin. Macron, no red lines with Russia. Ursula, right/left extremists 36:41

 今朝の孫崎享氏メルマガ題名

①日経:人類存続の危機もたらす恐れがAIにある・自律的に人を殺すロボット兵器が登場、汎用人工知能による人類滅亡のリスク。②ウィキペディア:AI人類上回った場合、人類がAI制御困難、ゴリラの運命人間の善意左右される様に人類の運命も超知能に左右される。

 日刊IWJガイド

「ウクライナ紛争を停戦に導く気は一切なし! バイデンの一般教書演説は、トランプとの徹底対立! 富裕層課税で、中間層以下の歓心を買う!」

はじめに~ウクライナ紛争を停戦に導く気は一切なし! バイデン大統領の一般教書演説は、米国内の内戦である南北戦争に例えて、トランプ氏との徹底対立を強調! 世界を、プーチンをヒトラーに例えて第2次世界大戦時になぞらえる!「自由と民主主義が国内外で、まさに同時に攻撃を受けている」とまで言い切り、さらに富裕層に25%課税すると、中間層以下の人々の歓心を買う! 都合よく歴史を忘却し、捏造する「バイデン史観」は健在だが、82歳という高齢による認知機能の低下は明らかに!

YouTubeの「検閲」により、3月7日に撮りおろし初配信した「岩上安身による在野研究者・嶋崎史崇氏連続インタビュー 第1部・第1回」のアーカイブをYouTubeから一方的に削除される! ロシアのウクライナへの侵攻の前に、ウクライナのネオナチによるロシア系住民への迫害が行われていた等の事実説明を「ヘイトスピーチ」と判断する誤認!! IWJの再審査請求に、動画はすぐに復元されたものの、IWJとしては、YouTubeの「言論検閲」制度を信頼できず、8日の撮りおろし初配信第2回は急遽中止、VimeoにアップしてIWJサイトで公開しました!

2024年1月12日 (金)

アメリカ政府は騙されてイスラエルの戦争に引き込まれるのだろうか?

マイク・ホイットニー
2024年1月5日
The Unz Review

 今週のベイルート南部でのハマス幹部サレハ・アル・アロウリに対する無人機攻撃は、イスラエルが国境を越えて紛争を拡大したがっているのを示す有力な証拠だ。ここ数週間で、イスラエルは、ダマスカス空港でハマス副政治指導者(アル・アルーリ)、イラン革命防衛隊上級顧問(サイード・ラジ・ムサビ)、そして「12人近くのイラン軍高官」(フォックス・ニュース)を暗殺した。同時に、レバノンとシリアに対して、イスラエルはいわれのない空爆を複数回開始した。これら全ての挑発は地域全体を戦争に突入させるため、ガザを越えて敵対行為を拡大する方法をイスラエルが模索していることを示唆している。

 中東全域でのイスラエルの挑発は、地域全体の紛争にアメリカ合州国を深く引き込もうとする試みだ。敵(主にヒズボラとイラン)がひどく弱体化しない限り、イスラエルは支配的地域大国になれないのをイスラエル指導者連中は知っている。だがアメリカの支援なしには敵が弱体化しないこともイスラエルは理解している。それゆえ中東における最も緊密な同盟国を救うために、イランとヒズボラと軍事的に交戦せざるを得ないと感じる状況にアメリカを置かなければならないのだ。イスラエルが現在やろうとしているように敵と二正面戦争、三正面戦争を始めれば、アメリカはイスラエルのため介入せざるを得なくなり、イスラエルが地域覇権国として浮上する可能性が高まるだろう。それが現在の作戦の根本目標だ。

 もちろん、このどれも、イスラエルがガザを殲滅し、住民をエジプト国境に押しやるのに使った口実「ハマスを打ち負かす」ことと何の関係もない。本当の狙いは、イスラエルの利益に最も適したやり方で、中東における基本的な力関係を変えることだ。下記は、水曜日のBBC記事抜粋だ。

 イラン国営メディア報道では、イランのカセム・ソレイマニ司令官がアメリカに暗殺されてから4周年を迎えた今、イランのカセム・ソレイマニ司令官の墓地付近で二度爆発があり、少なくとも103人が死亡した。国営放送イリブは、南部の都市ケルマーンにあるサヘブ・アル・ザマン・モスク近くの行列に爆弾が命中し更に数十人負傷したと伝えた。映像には、道路に遺体が転がり、救急車が現場に急行する様子が映っていた。

 水曜日の事件は、イランが支援するパレスチナ組織ハマス副指揮官が、レバノンでのイスラエル無人機攻撃で殺害された後、地域の緊張が高まる中で起きた。イランのカセム・ソレイマニ司令官の墓地付近での爆発で少なくとも103人死亡 - 国営テレビ、BBC

 イランでのテロ攻撃の責任はイスラエルにあるのだろうか?

 証拠は決定的なものではないが、近隣諸国における最近の暗殺や無人機攻撃のパターンと確実に一致している。爆破事件はイラン国民を激怒させ、彼らは報復を求め大挙して街頭にあふれた。繰り返しになるが、大衆の反応は、イランをイスラエルとの直接対決に引き込む感情的過剰反応を引き起こすイスラエルの狙いと完全に合致している。バイデン政権は、この地域に二つ空母群を配備しており、即座にイスラエルを支援する準備ができていることに留意願いたい。だからイランが(ミサイル攻撃や空爆で)応戦すれば、アメリカは争いに参戦するのに絶好の場所にいる。これは、なぜネタニヤフが罪に問われずに隣人を爆撃し続けているかを説明するかもしれない。アメリカ政府が「守ってくれる」のを彼は知っている。

 速報 |バグダッドで、イラク内務省人民動員隊PMU本部に対する米軍空爆後、複数死傷者が報告された。

 アルジャジーラのその他の記事は以下の通り。

 中東で敵対する民兵や軍隊に対する進行中の作戦の一環として、イスラエルはシリアとレバノンの陣地攻撃を開始した。

 「(イスラエル軍は)シリア軍の軍事インフラを攻撃した」と、火曜日、ソーシャル・メディア・プラットフォームXへの投稿でイスラエル軍は述べた。

 「(イスラエル軍)戦闘機もレバノンのヒズボラ・テロリスト・インフラを攻撃した」と記事は補足し「イスラエル主権に対するいかなる脅威に対しても作戦を継続する」と誓った。

 月曜から火曜にかけて行われた最新の攻撃は、イスラエルと、敵イランとつながりがあるとイスラエルが主張する隣国間の緊張の急上昇を示している。イスラエル軍、シリアとレバノンの標的に攻撃開始 アルジャジーラ

 なぜイスラエルはこのようなことをしているのだろう? ガザのパレスチナ人に対し大規模作戦を行っているのに、なぜ彼らは隣国を挑発するのだろう? これら全ての扇動は、イスラエルが戦争を拡大したがっていることを示唆するのではなかろうか? アルジャジーラの更なる記事は下記。

 火曜日、ヒズボラの拠点ベイルート南部郊外のダヒヤで無人機攻撃が行われ、ハマス高官サレハ・アル・アロウリが殺害された。レバノン国営通信社の報道では無人機はハマス事務所に着弾し、6人が死亡した。

 ハマスはアル・アローリの死を認め、イスラエルによる「卑怯な暗殺」と呼び、パレスチナ人に対する攻撃は「パレスチナの内外で、わが人民の意志や不動心を打ち砕いたり、彼らの勇敢な抵抗継続を損なったりすることに成功できない」と付け加えた。ベイルートで殺害されたハマス指導者サレハ・アル・アロウリは何者だったのか?、アルジャジーラ

 アル・アローリ暗殺は、シリアやレバノンやガザへの攻撃と同様「自然な復讐行為」ではなかった。これら全て、イスラエルの敵を挑発し、ワシントンを戦争に引き込み、中東の地図を描き直す壮大な計画の一部だ。一言で言えばそれが基本戦略だ。政治評論家アルノー・ベルトランはツイッターで以下のようにまとめている。

 左右のレバノンとイランを爆撃して地域戦争を引き起こすためイスラエルは最善を尽くしており、おそらく、最後の賭けとして得点を狙うため投げるロングパスとして、アメリカを戦闘にもっと関与させようとしているのだろうが、レバノンもイランもアメリカも、その餌には引っかかっていない。アルノー・ベルトラン @RnaudBertrand

 ベルトランは正しい。自らが作り出した戦争にイスラエルはアメリカを引きずり込もうとしているのだ。イランとヒズボラは(これまでのところ)大きな自制を示し、報復の誘惑に抵抗しているという彼の発言も正しい。しかし、それは一体いつまで続くのだろう? 結局、彼らはイスラエルに同種手段で応酬せずに、自分達を永遠に叩くのを許すわけにはゆかない。そして、彼らは単に寝返りを打って死んだふりをすることもできない。そして、それは彼らがしていることではない。彼らがしているのは、より広範なイスラエル戦略をより良く理解するために展開する出来事を追うことだ。イスラエルが軍隊をガザから北部戦線に移動させ、そこで今後二週間内にヒズボラ過激派と衝突する可能性が高いが、彼らは時間を稼いでいる。それが起きていることのようだ。

 一方、「地域戦争」は今や不可避かも知れないという主張を欧米マスコミは繰り返し、中東での新たな紛争に国民を備えさせようとしている。これら最近の見出しをチェックして、繰り返し発生する話題が見つかるかどうかご確認願いたい。

 おわかりだろうか? マスコミは中東でのより広範な地域戦争に国民を準備させているのだ。紛争は避けられず抵抗は無意味だと大衆を説得するため、このような記事が利用されているのだ。

 だが、こうした記事は一体誰の利益のために書かれるのだろう? 誰の地政学的狙いが推進されているのだろう? 誤った情報に基づいて、何百万人もの人々が死に、何も得られない狂ったもう一つの大火にアメリカ国民が羊のように歩いてゆくことで利益を得る国は一体どこだろう?

 もちろんイスラエルだ。

 色々な事から判断すると、アメリカ人の命やアメリカ国家安全保障に、いかなる脅威ももたらさないヒズボラやイランに対しアメリカ軍を戦わせる狂気の作戦のため軍事力を提供するようアメリカ政府は要求されるだろう。この見当違いの戦争の狙いは、イスラエルの敵を排除し、イスラエルが「領土を確保」できるようにして、地域の覇権国、議論の余地のない中東支配者となれるようにすることだろう。

 それは夢物語だ。

記事原文のurl:https://www.unz.com/mwhitney/is-uncle-sam-being-duped-into-fighting-israels-war/

----------

 Judging Freedom ミアシャイマー教授対談

Prof. John Mearsheimer: Not a war crime, but GENOCIDE. 35:30

 東京新聞 朝刊 一面

PFASを追う

相模原の河川汚染 本誌・京大調査

魚から平均濃度の340倍

週8グラム接種 健康リスク

 東京新聞 朝刊 特報面

防災予算の割合 低下傾向

防衛費は過去最高記録

予備費拡大 「ずさん運用」「便乗」恐れも

2024年1月 3日 (水)

バイデンはイエメンへの軍派遣を余儀なくされるのだろうか?

マイク・ホイットニー
2023年12月26日
The Unz Review

 イエメンの要求は、人道支援物資のガザへの搬入と停戦を認めろという極めて単純なものなに、なぜ戦争に踏み切るのだろう、彼ら自身援助を必要としているにもかかわらず、彼らはそれを要求さえしていない。イエメンに神のご加護がありますように @EsirEid https://twitter.com/EsirEid/status/1736935425426481330

 インド洋の商業タンカーに対する無人機攻撃に関して、バイデン政権はイランを非難している。この主張は、フーシ派に紅海封鎖を断念させ、海上交通を正常に戻すよう圧力をかけるためのイランへの梃子として利用されている。しかし、フーシ派は、イランや他の誰からの圧力にも屈するつもりはない。イスラエル行きの交通に対する攻撃を、どんなに時間がかかっても、どんな犠牲を払っても続ける決意を彼らは固めている。

 日曜日、インド洋で日本所有のケミカルタンカー「ケム・プルート号」にイランが無人機攻撃を仕掛けたと西側メディアの多数の記事が報じた。これら記事の多くは、正体不明のペンタゴン情報源や機密解除された諜報機関の主張に基づいて報じられている。火曜日時点で、これらの主張のどれも独自に検証されたり、真実だと証明されたりしていない。過去の経験から分かっているのは、不人気な軍事作戦に対する国民の支持を集めたり、外国に何の責任もない事で外国を悪魔化したりするため、安全保障国家分子が、しばしば架空の物語をメディアに仕込んでいることだ。そして、それはこれにも当てはまるようだ。紅海での商船に対する最近の攻撃に、イスラエルもアメリカも、イランを巻き込みたがっているのは確実だ。しかし、これまでのところ、これら主張を検証する証拠はない。イラン指導者たちは、イスラエルがガザで行っている虐殺に強く反対しているが、戦争に参加したくないことも示している。何百万人ものイラン人の死をもたらすアメリカ合州国との対立の引き金となりかねない、より広範な地域戦争に引きずり込まれるのをイランは望んでいない。これら全てが、最近の反イラン報道の嵐は、世論を反イランに仕向けるよう仕組まれた思惑主導の偽情報であることを示唆している。下記はBBC記事の引用だ。

 土曜、インド洋のケミカル・タンカーがイランから発射された無人機に攻撃されたと米軍は言う。

 イランは発言していない。 イスラエルとの戦争でイランの支援を受けるイエメン・フーシ派反政府勢力はハマスを支援しているが、最近紅海の船舶を標的にして無人機やロケット弾を使用した。

 この船はサウジアラビアからインドに向かっており、イスラエルと関係があると同社は述べている。ガザでの紛争を巡り、イスラエルと関係ある船舶を標的にしているとフーシ派は主張している。

 ケム・プルート号は「イランから発射された攻撃ドローン」に攻撃されたとアメリカは述べた。船舶をイランが直接標的にしたと公式にアメリカが非難したのはこれが初めてと考えられている。

 以前も紅海での商船に対する作戦計画にイランが「深く関与している」とアメリカは非難していたが、テヘランはこれを否定している。タンカーはイランからの無人機によってインド沿岸沖で攻撃されたとアメリカは言う BBC

 驚くべきことではないが、BBC記事はいくつかの点で事実を誤認している。第一に、イランはこの事件に関し発言しており、実際いかなる関与も断固否定している。下記はアルジャジーラのものだ。

 海上輸送への脅威を巡り世界的に緊張が高まる中、インド洋でテヘランがケミカルタンカーを攻撃したというアメリカの非難をイラン外務省は退けた。

 月曜の記者会見で、同省報道官は、この告発をあっさり退けた。イランが発射した無人機がインド付近を航行中の日本所有のタンカーを攻撃したというアメリカの主張は誤りだと彼は主張した。

 アメリカによる非難について問われて「これら主張を完全に否定し、無価値だと我々は宣言する」とナセル・カナーニは述べた。

 「そのような主張は[イスラエル]シオニスト政権のガザへの犯罪に対するアメリカ政府の全面支援を投影し、注意をそらし、隠蔽することを目的としている」と彼は補足した。
 インド沖タンカー攻撃に関するアメリカの非難をイランは却下、アルジャジーラ

 イランを一層悪魔化する不純な動機にBBC編集者が突き動かされていない限り、この関与の明確な否定を一体なぜ盛り込まなかったのか我々には理解できない。

 第二に「無人機がイランから発射された」証拠は皆無だ。我々が読んだ多くの似たり寄ったり記事のどれも検証可能な証拠にはいささかも似ていない。

 第三に、紅海での商船に対する作戦計画にイランは「深く関与」していない。紅海でイスラエル行きの商船を攻撃する考えは、フーシ派指導者が考え出したものだ。フーシ派もイランも同じことを認めている。BBCの更なる記事はこちら。

 ペンタゴン声明によると「リベリア船籍で、日本が所有し、オランダが運航するケミカルタンカー」であるケム・プルート号が、土曜日現地時間10:00に攻撃された。BBCはこの事件を独自に検証できなかった」と述べた。BBC

 BBCが「事件を独自に検証できなかった」なら、一体なぜ神の名に懸けて、イランの責任をほのめかすような報道をしたのか? それは職業上の不正行為ではあるまいか?

 同じ記事から更に抜粋する。

 攻撃のリスクが高まっているため、多くの世界的海運企業が紅海での運行を停止している。このルートの安全性を確保するとイギリス政府は誓っている。

 船舶への攻撃を撃退するとイギリスは誓っており、紅海が「立ち入り禁止区域」になるのを許さないとグラント・シャップス国防長官がサンデー・タイムズ紙に語った。

 イギリスの海上警備会社Neptune P2P Groupのクリス・ファレルは、この地域の緊張感を説明し、コンテナ船はより大型の船より航路を変更する可能性が高いことがわかっていると述べた。「誰も現場の状況を知らない」とBBCワールドサービスの週末番組で彼は語った。

 「安定性に欠けるため、その地域に資産を投入する顧客や海運会社に不確実性が生じている。」 BBC

 この抜粋には多少説明が必要だ。紅海が「立ち入り禁止区域」になるのを許さないとイギリス国防長官は言いながら、既に「立ち入り禁止区域」になっているのを暗黙のうちに認めている。言い換えれば、彼自身認めている通り「多くの世界的海運グループが紅海での運行を停止し」この通過回廊はもはや安全ではなく、「コンテナ船」は既に経路を変更している。考えうるあらゆる指標から見て、フーシ派の戦略は、皆が想像していた以上に、うまく機能している。彼はそう言っているのだ。筆者たちはそのことに気づいていないのだろうか? フーシ派の非対称攻撃が、史上最も成功したハイブリッド攻撃かもしれないことを彼らは認めたばかりだということに。「ルールに基づく秩序」の経済的震源地で、彼らが事実上、核爆弾を爆発させたのが見えていないのだろうか? この巧妙な攻勢が、西側世界中の政治指導者やエリートに与えている影響は、いくら強調してもし過ぎることはない。ヒステリー感は明きらかだ。小規模で素朴な民兵が帝国のアキレス腱に壊滅的打撃を与えたのだ。世界貿易の極めて重要な通過回廊は、今や事実上ワシントンの不倶戴天の敵フーシ派支配下にあるのだ。それは、アメリカとイスラエルによるパレスチナ人の残忍な虐殺に反対している世界中大多数の普通の人々にとっての勝利ではないだろうか?

 それは勝利だ。それは悪に対する善の勝利だ。しかし、それはうやむやのままでは済まない。以下はCNNの記事からの更なる抜粋だ。

 金曜、イランが「紅海での商船に対する作戦計画に深く関与している」ことを示唆する機密解除された情報をアメリカは新たに公開したと国家安全保障会議のエイドリアン・ワトソン報道官がCNNに語った。

 以前CNNが報じたところでは、イランが支援するフーシ派反政府勢力は、紅海を航行する約12隻の商船や商船に過去4週間に100回以上攻撃した。新たに機密解除された諜報情報は「ガザ危機全体を通じてのイラン支援により、フーシ派はイスラエルと海上目標に対する攻撃を開始できたが、イランはしばしば作戦上の意思決定権限をフーシ派に委ねてきた」とワトソンは述べた。

 火曜、イランがフーシ派が標的を選ぶのを助けているかどうか問われて、イランは紅海で活動しているとアメリカ軍高官は述べた。しかし、その高官は、フーシ派の攻撃は広範囲に無差別に行われていると述べた。

 「支援がなければ紅海やアデン湾を航行する商船を効果的に追跡し、攻撃するのにフーシ派が苦労するはずの支援を提供するか控えるかの選択をイランは迫られている。」と前出のワトソン局長は述べた。イランが紅海での攻撃計画に関与していることをアメリカ諜報機関は示唆している。CNN

 機密解除された諜報情報とは一体何か? 米軍高官とは? 誰がこの情報を提供したのか、そしてCNNは彼らの主張を証明するためどのような文書を作成できるのか? これら質問に対する答えを知る必要がある。

 繰り返しになるが、証拠も、目撃者も、文書も、電子通信も、証拠もない。我々に残されているのは、真実か否かわからない狡猾な反イラン言説を支持する「ウソのつづれ織り」だけだ。検証可能な事実はなく、膨大な伝聞の中で憶測を述べているだけなのだから。確実にわかっているのは、イランが中東のあらゆる問題の根源だと著者たちが我々を信じ込ませたがっているということだけだ。だが、この考えは、この地域の歴史や最近の出来事に関する理解を否定するものだ。過去30年間、様々な政府を転覆し、何百万人もの人々を殺害し、中東全域の国々を抹殺してきたのはイランではない。ワシントンの仕業だ。ガザの民間人に対する残忍な絶滅戦争を仕掛け、200万人の飢えた人々をエジプト国境に押し込めながら、地域の大部分をくすぶる瓦礫に変えたのはイランではない。イスラエルの仕業だ。イランは誰に対しても戦争を仕掛けていない。それどころか、彼らは自国資源に対する支配権を主張する大胆さを持っているため、50年以上アメリカの執拗な敵意の標的となっている。それがイランの本当の罪なのだ。アメリカ政府に膝を屈し、ワシントンの卑屈な傀儡としての役割を臆病に受け入れる気がないのだ。それは本当なのだろうか、それとも本当ではないのだろうか?

 本当だ。下記はABCニュースからだ:

 イラク北部での無人機攻撃で米軍兵士3人が負傷した後、ジョー・バイデン米大統領がイランが支援する民兵集団に対する報復空爆を実施するよう米軍に命じた。

 火曜日早朝、民兵組織を標的にした米軍攻撃で、戦闘員1人が死亡し、18人が負傷したとイラク当局が述べた。これは、イスラエルとハマスの戦争の地域的な波及の恐れが高まっていた時期に起きた。

 紅海の重要な海運の要衝を経由する商船や軍艦をイエメンのフーシ派過激派が攻撃したことに、ハマス集団に資金提供し訓練してきたイランもアメリカは非難している。イラクでの無人機攻撃で米軍兵士3人が負傷した後、バイデンは、イランと同盟関係にある集団への攻撃を命じた、ABCニュース

 これらは本当にイラン陣地に対する「報復攻撃」なのだろうか、それともバイデンはフーシ派に圧力をかけるようイランに強要しようとしているのだろうか?

 私見では、この攻撃は明らかに同盟国のイラン経由でしか対処できないフーシ派を狙ったものだ。アメリカ政権はフーシ派と直接話し合う努力をしていないし、フーシ派もそうするつもりはない。アメリカ指導者は自分より劣っていると見なす人々とは交渉しないので、イランを説得して、自分たちの主張を彼らに言わせなければならない。だが、その努力に対しイランは一体何を得られるだろう?

 ネタニヤフは狙っているが、(アメリカを含め)他の誰も本当は望んでいない、より広範な地域戦争を彼らは避けている。バイデン・チームがイランに圧力をかけているのは、次のエスカレーション策が、フーシ派の陣地、指揮統制、武器庫、通信などの直接攻撃だからだ。一度そうなれば事態はあっという間に動く。フーシ派は、紅海の海上交通を封鎖し、地域のアメリカ基地や施設を攻撃し、サウジアラビアの重要な石油インフラを破壊するだろう。瓶から精霊が飛び出し、地域全体に大混乱が広がる。原油価格が高騰し、市場が急落し、世界経済は崖から落ちる。だからこそ、バイデンはイランに圧力をかける道を進んでいるのだ。これは中東の大惨事を避けるための最後の取り組みだ。

 悲しいことに、イスラエルはガザで民族浄化を続け、その後、西岸地区攻撃をすると決意しているので、それはうまくゆくまい。だから商船攻撃は続き、ワシントンには戦争以外の選択肢はなくなるだろう。

 イエメンは、アメリカ覇権にとって、独特ながら、深刻な脅威だ。アメリカの基準からすれば、イエメン軍は小規模だが、峻険な土地での闘いに長けており、この戦場を隅から隅まで知っている。何年も続くゲリラ戦争に彼らは十分用意が出来ている。当然バイデンと顧問連中は、そのような紛争を避けるはずだが、結局、「ルールに基づく秩序」なるものは、経済・政治・軍事力に依拠しているのだから、それは避けられないかもしれない。だから、世界で最も重要な航路で、小国が商船の邪魔をして、アメリカに無礼を働けば、アメリカ政府は、そのような反乱を鎮圧する力を持っていることを証明しなければ、将来同じような脅威にさらされることになる。これが帝国の政策を導く論理だ。決して弱みを見せるな。さもなくばジャッカルに襲われ、切り刻まれて殺される死。ワシントンは、この根本原理に従って生きているのだ。

 もはや辺境地にパックス・アメリカーナを押し付ける能力がワシントンにはないことをフーシ派は世界に示しているのだ。アメリカの同盟諸国はワシントンの判断を信頼していなかったり、道徳的権威を信じなかったりするため、アメリカは広範な海洋連合を結成できない。欧米諸国の経済を支える水路や輸送回廊を守るのに十分な大きさや機敏さの艦隊をアメリカ海軍は持っていない。これは些細な問題ではない。正統性の危機だ。アメリカが世界の安全保障の保証人として行動できるかどうかの問題だ。それが可能だと我々は思わないが、紅海での反乱を鎮圧し、世界一の軍事大国というアメリカのイメージを回復するため「銃を連射しながら」イエメンに突撃し、精いっぱい努力しようとアメリカ政権と彼らを支持する欧米エリートは考えている。

 結論。「三流国」とみなしている国に公の場で痛めつけられるのをアメリカ政府は許すつもりはない。重砲を配備し、地上部隊を送り込むつもりだ。神よ我々を助け給え。

記事原文のurl:https://www.unz.com/mwhitney/will-biden-will-be-forced-to-send-ground-troops-to-yemen/

----------

 Judging Freedom
 モスクワのスコット・リッターとアレクサンドル・ジリヤノフ両氏インタビュー

Scott Ritter: LIVE from Moscow, Russia - Russians on Putin. 

 耕助のブログ

No. 2021 アメリカ:帝国時代の黄昏にあるならず者国家

 日刊IWJガイド

「倒壊家屋、横倒しのビル、輪島市中心部の大火災!! 一夜明け、あらわになった能登半島地震の被害の大きさ! 石川県では死者55人!」

 はじめに~一夜明け、あらわになった能登半島地震の被害の大きさ! 石川県では死者55人! 今回の地震で最大震度7を記録した志賀町には志賀原発が!! 2011年の福島原発事故直後、神戸大学名誉教授の石橋克彦氏は講演で「建設当時の地震学は古く、地震動の想定が甘い」と指摘!「原発震災は起こる」と警告していた!! この2011年の石橋氏の講演を含む緊急院内集会『「福島原発震災」後の日本の原子力政策を考える』をフルオープンで公開します!!

 IWJへの緊急支援をお願いします! 2023年12月は、28日時点で月間目標額400万円の57%でした。IWJは事実にもとづいた真実を、市民の皆さまに伝え続けます! そのためには、市民の皆さんのご支持とご支援が何よりも必要です! 1月こそ毎月の月間目標額400万円に届きますように、よろしくお願い申し上げます!

 元米国防副次官スティーブン・ブライエン氏が「ワシントンは、唯一の解決策として、ウクライナでクーデターを起こし、ゼレンスキーの代わりにロシア側と交渉する意思のある政治指導者か軍事指導者を選ぶしかない、と判断するかもしれない」と大胆予測!「第2のユーロマイダン・クーデター」が近い将来起きる!?

2023年7月20日 (木)

全てを説明する1つの図

マイク・ホイットニー
2023年月12日
The Unz Review

 上の図を注意深くご覧願いたい。何が見えるだろう?

 地球上どこにも比類のない高速鉄道システム開発が見える。輸送コストを削減し、モビリティを向上させ、収益性を高める現代のインフラで国の全ての地域を接続する計画の実現が見られる。21世紀の構想では、国主導の資本が農村部の人口と都市中心部を結びつけ、生活水準を全面的に引き上げている。8億人を貧困から救い出し、世界経済統合への道を開いた新しい経済モデルの表現が見られる。産業の超巨大なものがあらゆる方向に拡大し、経済統合、開発加速、新世紀の共有の繁栄の基礎を築いているのがわかる。

 今日中国で見られるものに匹敵する高速鉄道システムがアメリカにあるだろうか?

 いや、ない。これまでのところアメリカで建設された高速鉄道は80キロ以下だ。 (「80キロの区間で240km/hに達するアムトラックのアセラ・エクスプレスがアメリカ唯一の高速鉄道だ。」誰もが知っている通りアメリカ輸送網は時代遅れで混乱している。

 でも、どうして。なぜアメリカは重要インフラ開発において中国に大きく後れをとっているのだろう?

 それは中国の国家主導モデルがアメリカの「一旗」モデルより遙かに優れているからだ。中国では、政府は経済の運営に直接関与しており、成長を促進し、発展を促進する産業に助成金を支給している。対照的に、アメリカ資本主義は野蛮な自由で、民間所有者は、雇用を創出したり経済を強化したりするためには何もしない非生産的な自社株買いや他の詐欺に多額の金を転用できる。2009年以来、アメリカ企業は7兆ドル以上を自社株買いに費やしており、これは裕福な株主に支払いを増やす活動だが重要な価値あるものは何も生み出さない。資本が重要インフラに投資されていれば、アメリカの全都市は「太平洋から大西洋へと」伸びる高速鉄道の巨大な蜘蛛の巣につながっていたはずなのだ。しかし欧米モデルは、公益に役立つプロジェクト開発ではなく、個人的豊かさのための資本支出を奨励するため、そういうことは起きない。国富が中国で貧困を根絶し、生活水準を高め、最先端インフラを構築し、新世紀の基礎を築くため使用され、どれほど速く変革的変化が起きるかがわかる。

 これは「中国の経済成長...」に関する議会調査局報告の詳細だ。

 1979年に対外貿易と投資に門戸を開き自由市場改革を実施して以来、中国は世界で最も急速に成長している経済の一つで、2018年までの実質年間国内総生産(GDP)成長率は平均9.5%で、世界銀行は「主要経済国による史上最速の持続的拡大」と表現している。このような成長により、中国は平均して8年ごとにGDPを倍増させ、推計8億人を貧困から救い出せた。中国は世界最大の経済(購買力平価ベースで)、製造国、商品トレーダー、外貨準備保有者になった。中国はアメリカ最大の商品貿易相手国で、最大輸入元で、アメリカ債の最大の外国保有者で、連邦債務の資金調達とアメリカの低金利の維持を支援している。
... 中国の経済成長:歴史、傾向、課題、およびアメリカへの影響 議会調査局

 戦略国際問題研究所(CSIS)の「中国国家資本主義の挑戦に立ち向かう」という題名の記事にも更にある。

 現在、フォーチュン・グローバル500リストで、中国はアメリカより多くの企業が載っている。これらの75%近くが国有企業(SOE)だ。世界5大企業のうち3社は中国企業(中国石油化工集団S、国家電網公司、中国石油天然気集団)だ。中国最大の国有企業は、エネルギーから海運、レアアースまで、最も重要で戦略的な産業の多くで支配的市場地位を占めている。Freeman Chairの計算によると、中国96社の最大国有企業の合計資産は合計63兆ドルを超え、世界のGDPのほぼ80%に相当する。中国の国家資本主義の挑戦に立ち向かう』戦略国際問題研究所CSIS

 IMF報告書「中国の再開に後押しされて世界の経済成長を牽引する態勢を整えるアジア」からもう一つ紹介する。

 中国とインドを合計すると今年の世界経済成長の約半分を生み出すと予測されている。アジア太平洋地域は世界経済の不安定な回復という暗い状況の中、比較的明るい場所だ。

 「今週の図」が示す通り、この地域は今年の世界成長に約70%貢献し、近年より遙かに大きな割合を占めるだろう。」「中国の再開に後押しされて世界の経済成長を牽引する態勢を整えるアジア」IMF

 要するに、中国の国家主導モデルは、産業と商業のほぼ全ての分野でアメリカを急速に追い越しており、その成功は、再投資戦略を政府が将来の構想に自由に合わせられる事実に大きく起因している。これにより中国は今後数年でより強力で、より広範な経済の基礎を築く条件で、様々なプロジェクトの短期収益性を無視できる。中国の改革者陳雲(チェン・ユン)は、この現象を「鳥籠経済」と呼んでいるが、これは経済がより広い政治システムの範囲内で「自由に飛ぶ」ことができることを意味する。言い換えれば、中国指導部は、経済を将来の全体構想を実現する手段と見なしているのだ。

 中国の成功で、銀行や石油などの重要産業に対する中国の支配は部分的理由にすぎない。「国内企業の総数に占める国有企業(SOE)のシェアはわずか5%に低下したが、総生産量に占めるシェアは26%にとどまっている」。そして国有部門は過去20年間劇的に縮小したが、中国の習近平国家主席は、国有企業を「混合所有」によって運営される「市場主体」に変えることで、国有企業の競争力を高めることを目的とした三年間の行動計画を実施した。簡単に言えば、中国は欧米の厳しい批判にもかかわらず自由化の道を邁進し続けている。

 また、いわゆる中国の奇跡は、中国がいわゆる「欧米専門家」に推奨されたプログラムを実施していたら決して起きなかったろうことも注目に値する。もし中国が、1991年のソ連解体後、ロシアが行ったような抜本的改革(「ショック療法」など)を実施していたら同じ悲惨な結果を経験しただろう。幸いなことに中国の政策立案者は欧米経済学者の助言を無視して、誰の途方もない夢より成功した独自の段階的改革構想を開発した。この話は、YouTubeの「中国はいかにして(実際)金持ちになったか」という題のビデオに要約されている。以下、文章の一部を書き起こした。間違いがあれば全て私のものだ。

 過去数十年で最も驚くべき経済物語は中国の台頭だった。1980年から2020年にかけて、中国経済は75倍以上に成長した。それは現代史における物的条件の最大かつ最も急速な改善だった。中国は地球上で最も貧しい国の一つだったが、今や経済大国だ。この十年の終わりまでに世界最大の経済大国としてアメリカを追い抜くとエコノミストたちは予測している。人々はそれを「中国の奇跡」と呼んでいる。この奇跡を「自由市場」のありのままの話と表現する人もいる。彼らは「それは単純な話だ」と言う。中国は貧しかった(が)その後、経済は国家支配から解放された。今や中国は豊かだ」しかし、これは誤解を招きかねない。中国の台頭は自由市場の勝利ではなかったのだ。

 1980年代以降、自由市場政策は世界を席巻した。多くの国が広範囲にわたる変革を遂げた。価格自由化、産業全体の民営化、自由貿易の開放。しかし一夜にして市場にさらされた経済の多くは、その後停滞または衰退した。それらのどれも中国で見られるような成長実績を持っていない。アフリカ諸国は残忍な経済縮小を経験した。中南米諸国は25年の停滞を経験した。中国を20世紀共産主義のもう一つの巨人ロシアと比較すると対照は一層驚異的だ。

 国家社会主義下で、ロシアは産業超大国だったが中国は依然大半が農業経済だった。しかし中国の改革が驚異的経済成長をもたらしたのと同じ時期、ロシアの改革は悲惨な崩壊をもたらした。中国、ロシアいずれも主に国家の命令を通して主として運営される経済だった。ロシアは当時の最も「科学的な経済学」の勧告、いわゆる「ショック療法」政策に従った。基本原則として、市場が出現する余地を作るには、古い計画経済を破壊する必要があるという考えだった。ロシアは一夜にして本格的経済として浮上すると予想されていた。ボリス・エリツィンが権力を握った時、彼は全ての価格統制を撤廃し、国有企業と資産を民営化し、ロシアを即座に世界貿易に開放した。結果は大惨事だった。ロシア経済は既に混乱していたが、ショック療法は致命的打撃だった。 (欧米の経済学者は)短期的痛みを予測したが、彼らが予想しなかったのは影響がどれほど深刻で破壊的かということだった。消費者物価は制御不能になり、ハイパーインフレが定着しGDPは40%減少した。

 ロシアにおけるショック療法不況は「大恐慌」より遙かに深刻で長かった。普通のロシア人にとっては大惨事だった。アルコール依存症、小児期の栄養失調、犯罪が急増した。ロシア人男性の平均余命は7年縮み、これまで平時に経験したどの先進国よりひどかった。ロシアは一夜にして自由市場を手に入れなかった。その代わり、停滞経済からオリガルヒが運営する空洞化した残骸になった。価格統制や政府雇用を廃止するだけでは繁栄は生まれず、経済を破壊し、膨大な数の人々を殺したのであれば、明らかに「自由市場」への急速な移行は解決策ではなかったのだ。

 1980年代を通じて、中国はロシアが追求したのと同じ形の急速な改革を実施することを検討した。白紙状態から始めるというアイデアは魅力的で、ショック療法は(尊敬される)経済学者たちに広く推進された...しかし結局、中国はショック療法を実施しないと決定した。中国は、(経済を)一気にひっくり返すのではなく、段階的かつ実験的方法で自らを改革した。経済の本質的でない部分で市場活動は容認または積極的に促進された。中国はデュアルトラック価格設定政策を実施した。中国は世界で最も先進国のアメリカ、イギリス、日本、韓国などの国々から学んでいた。このそれぞれは市場や初期段階の産業を保護し、投資を管理して自身の経済発展を管理・計画していたのだ。

 欧米の自由市場経済学者は、このシステムは大災害になるはずだと考えた。しかし中国指導者は耳を傾けず、ロシアは「ショック療法」プログラムに従った後、崩壊したが、中国は目覚ましい成功を収めた。中国は産業経済の基幹と土地の所有権を管理し続けた。中国が経済の新しい動態へと成長するにつれ、国家機関は過去の化石へと劣化はせず、しばしば新しい産業フロンティアの推進力となり、彼らの成長を保護し保証した。今日の中国は、いかなる意味でも自由市場経済ではない。国家主導の市場経済だ。政府は事実上全ての土地を所有しており、中国は市場競争を通じ国有を利用して経済を舵取りしている。世界中で提唱されたショック療法手法は失敗だった。ロシアは突然の移行後崩壊したが、中国の段階的改革は生き残りを可能にした。そして、それが全ての違いを生んだのだ。」「中国はいかにして(実際)金持ちになったか」YouTube。

 中国の国有企業が外国の競争から保護され、政府の補助金を受け取っている事実は、中国が不当に有利で、規則に従って行動していないと考える外国企業を怒らせた。それは確かに公正な批判だが、ワシントンの一方的制裁(現在、世界の約三分の一に課されている)も明らかにWTOルール違反なのも事実だ。いずれにせよ習主席下の中国の市場に対する姿勢は最善でも曖昧だった。また「工業生産に占める国有部門のシェアは1980年の81%から2005年の15%に低下した」が習主席は(改革精神で)中国共産党が企業経営と企業の意思決定において、より大きな影響力を持つことも保証した。当然ながら、これは(彼らが欧米でそうしているように)企業の利害関係者が支配権を持つべきだと固く信じているアメリカやEUの巨大企業には好意的に受け入れられてはいない。

 しかし、より大きな問題は中国が国有企業に助成金を支給することではなく、中国が今後10年以内に世界最大の経済になる予定でもない。それは問題ではない。本当の問題は中国が当初予想されていたように、ワシントン主導の「ルールに基づく秩序」に同化しないことだ。事実、中国指導者は強い愛国心を持っており、アメリカ政府世界帝国の属国になるつもりはない。これはカウンターパンチ記事で政治評論家アルフレッド・マッコイが明らかにしている重要な点だ。

 ユーラシアに対する中国の支配強化は明らかにユーラシア大陸地政学の根本的変化を表している。2001年に中国の世界貿易機関(WTO)加盟を認めて北京がアメリカのルールに従ってグローバル・ゲームをすると確信していたワシントン外交政策支配層は大きな戦略的誤算をした。オバマ政権の二人の元メンバーが告白している。「イデオロギー・スペクトルを超えて、アメリカ外交政策コミュニティの我々は」「アメリカの力と覇権が中国をアメリカの好みに容易に形成できるという根本的信念を共有していた...政策論争のあらゆる側面が誤りを犯した」 WTO加盟からわずか十年余りで、北京のアメリカへの年間輸出はほぼ五倍に増加し、外貨準備高はわずか2000億ドルから、2013年までに未曾有の4兆ドルへと急増した。『中国の台頭とアメリカの崩壊』カウンターパンチ誌

 明らかに、アメリカの外交政策高級官僚は中国に関し壊滅的な判断の誤りを犯したが、今や損害を元に戻す方法はない。中国は世界最大の経済大国として浮上しただけでなく、気候政策から強制予防接種、トランスジェンダー・トイレからウクライナでの戦争まで全てを決定するオリガルヒ主導のシステム(WEF)に組み込まれている西側諸国と異なり、自ら運命を支配している。これら政策は全て、政治家やメディアや広大な闇の国家を支配するオリガルヒに設定されている。繰り返すが、中国の問題は規模や金ではない。支配の問題なのだ。中国は現在「ルールに基づく秩序」から独立して自らの未来を支配しており、既存体制に対する脅威となっている。

 最初のグラフ(上)をもう一度見れば、ワシントンがロシアとの代理戦争に突入した理由が理解できる。結局、中国がわずか12年で高速鉄道ネットワークを中国全土に広げられた場合、次の12年間で一体何をもたらすだろう? それこそがワシントンが懸念していることだ。

 中国がアジア大陸の地域覇権国として台頭するのは現時点ではほぼ確実だ。誰がそれを止められるだろう?

 ワシントンではない。ウクライナは、中央アジア全域にアメリカ軍事基地を拡散し、(最終的に)中国を包囲し、孤立させ、封じ込めるための発射台となるはずだったにもかかわらず、現在ウクライナは行き詰まっている。それが計画だったが、計画は日々その可能性が低くなっているように見える。そして国家安全保障顧問ズビグネフ・ブレジンスキーが、ほぼ30年前に彼の古典的名著『地政学で世界を読む――21世紀のユーラシア覇権ゲーム』でユーラシア大陸を重視していたことを想起願いたい。彼はこう言っていた。

 「ユーラシアは世界最大の大陸で、地政学的な軸だ。ユーラシアを支配する大国は、世界で最も先進的で経済的に生産的な三つの地域のうちの二つを支配するだろう。世界の人々の約75パーセントがユーラシアに住んでおり、世界の物理的富のほとんどは、そこの企業と地下両方でそこにある。ユーラシアは世界のGNPの60%を占め、世界の既知エネルギー資源の約四分の三を占めている。(The Grand Chessboard: American Primacy and its Geostrategic Imperatives,ズビグネフ・ブレジンスキー、p.31)

 外交政策のお偉方間の統一見解は、アメリカが世界秩序における現在の高い地位を維持したいと望むなら、中央アジアで支配的プレーヤーにならなければならないということだ。ポール・ウォルフォウィッツ元国防次官は、ワシントンの「最優先事項」は「旧ソ連の領土であれ、他の場所であれ、旧ソ連が提起した秩序に脅威を与える新たなライバルの再出現を防ぐこと」でなければならないとまで言った。国家安全保障戦略や国防戦略を含む最近の全てのアメリカの国家安全保障文書で、このウォルフォウィッツの感情は今でも繰り返されている。専門家全員、たった一つのことだけに同意している。アメリカは中央アジアを支配する計画に勝たなければならない。

 しかし、それは今どのくらいありそうか? ロシアがウクライナから追い出され、ユーラシアでアメリカに反対することを妨げる可能性はどのくらいあるだろう? 中国の一帯一路構想がアジア全域、ヨーロッパ、中東、アフリカ、更に中南米に拡大しない可能性はどのくらいあるだろう? 中国の一帯一路計画に関するこの簡単な抜粋を確認願いたい。

 中国は、これまで着手された世界最大の経済発展・建設プロジェクトである新シルクロードを建設している。 このプロジェクトは、世界の経済地図の革命的変化を目指している...この野心的構想は、古代のシルクロードを上海からベルリンまで続く現代の輸送、貿易、経済回廊として復活させることだ。「道路」は中国、モンゴル、ロシア、ベラルーシ、ポーランド、ドイツを横断し、8,000マイル以上伸び、地球の円周の三分の一以上に広がる経済圏を作り出す。

 この計画は、高速鉄道、道路と高速道路、エネルギー送電と配電網、および光ファイバー網の建設を想定している。ルート沿いの都市や港は経済発展の対象となる。

 計画の同様に重要な部分は、中央アジアとインド洋を介して中国とペルシャ湾および地中海を結ぶ陸上プロジェクトと同じくらい野心的な、海上ベースの「海上シルクロード」(MSR)要素だ。完成すると、古代のシルクロードのように、アジア、ヨーロッパ、アフリカの4つの大陸を接続する。(そして今や中南米も)一連のインフラ・プロジェクトは、4億人の人口と21兆ドルの経済生産をカバーする世界最大の経済回廊を作り出す。

 世界全体にとって、道路に関するその決定は重大なものに他ならない。この大規模プロジェクトは、元のシルクロードに匹敵する可能性のある、商業、産業、発見、思想、発明、文化における新しいルネッサンスの可能性を秘めている。またプロジェクトをめぐる地政学的紛争が、ユーラシアでの支配をめぐり東西間の新たな冷戦につながる可能性があることも日ごとに明らかになっている。結果は不確実だ。(「新シルクロードは世界経済を永遠に変える可能性がある」、ロバート・バーク、Oil Price)

 未来は中国

 習近平の「代表的インフラ・プロジェクト」は、中央アジアと世界中の貿易関係を再形成している。一帯一路構想には最終的に150か国以上と無数の国際機関が含まれる。これは間違いなく、世界人口の65%、世界のGDPの40%を含む史上最大のインフラ、投資プロジェクトだ。道路、鉄道、海路の改善により、接続性が大幅に向上し、輸送コストが削減され、生産性が向上し、広範な繁栄が促進される。一帯一路は、崩壊しつつある第二次世界大戦後の「ルールに基づく」秩序を、国家主権を尊重し、一国主義を拒否し、より公平な富の分配に影響を与えるため、市場ベースの原則に依存するシステムに置き換える中国の試みだ。

 一帯一路は、中国の新世界秩序の青写真だ。それは21世紀の資本主義の顔であり、世界権力のありかは必然的に事実上の世界の中心になる北京へと東に移動する。

記事原文のurl:https://www.unz.com/mwhitney/the-one-chart-that-explains-everything-2/

----------

 クリス・ヘッジズの最新音声記事

"Cornel West and the Campaign to End Political Apartheid"

The two ruling parties have destroyed our democracy. Voting for one or the other will not bring it back.

二大政党が我々の民主主義を破壊している。どちらに投票しても民主主義は復活しない。

 今朝の孫崎享氏メルマガ題名

米国では、ウクライナでの戦況は①「反攻は予定されたより遅い」②主たる理由は地雷との発言が続いている。ミリー統合参謀本部議長は18日ウクライナの反転攻勢に関し「ゆっくりで困難を伴い、大きな代償を払う」「真の問題は地雷だ」と言及

 日刊IWJガイド

「ウクライナが民主主義!? 2014年の『ユーロマイダン・クーデター』のときから暴力による反対派の排除と事実の隠蔽が行われていた!

はじめに~ウクライナが自由民主主義国家であり、法治国家であるというのは虚偽である!! 2014年の「ユーロマイダン・クーデター」のときから暴力による反対派の排除と事実の隠蔽が行われていた! 多くの目撃証言や証拠があるにもかかわらず、「マイダン大虐殺」を捜査しなかったウクライナ政権! 実際には100人が虐殺された! この事実を明らかにする調査論文が、ウクライナ系カナダ人の研究者によって発表された!!」

<インタビュー決定>7月24日(月)午後4時から、国際政治学者、六辻彰二氏への、岩上安身によるZoomインタビューが決定しました! ウクライナのネオナチを支援したことで、ブーメランのように、ヨーロッパ各地に極右過激派が出現してしまうリスクについて、国際政治学者、六辻彰二氏にお話をうかがいます!

2023年3月 8日 (水)

中国の番

南北アメリカの超金融化された経済体制は中国政府主導の投資モデルに到底かなわない。残念なことに中国の爆発的成長は絶望的なワシントンを戦争に近づけている。
マイク・ホイットニー
2023年3月1日
The Unz Review

 ウクライナはアメリカと中国間の大国間闘争の最初の発火点だ。何年にもわたり世界中の低賃金の場所に産業を移転した後、アメリカは急速に成長する機知に富んだ中国に市場シェアを着実に失っているのに気がついた。ほとんどの推計で中国経済は2035年までにアメリカを追い越し、その時点で北京は自国利益を促進する方法で国際貿易関係を形成するのに遙かに良い立場にあるだろう。成長とともに権力が生まれるという法則は確かに中国にも当てはまる。中国は世界で最も人口が多く最も急速に成長する地域の震源地に位置する産業大国として浮上している。そのためアメリカは台湾と南シナ海で一連の挑発を開始した。アメリカは従来の自由市場競争を通じて中国に勝つ全ての希望を放棄した。代わりにアメリカは資源を枯渇させ経済制裁に対するより広範な支持を集め、中国を地域の貿易相手国から孤立させる必死の試みで中国に軍事的に関与することを計画している。それは見事に裏目に出る可能性がある危険で破壊的な計画だがワシントンは関係なく前進している。アメリカの外交政策官僚とグローバリスト同盟諸国は中国が世界最大かつ最強力な経済だという結果を受け入れない。これはChina Macro Economy記事からのものだ:

 ゴールドマン・サックスのエコノミストの最新予測によると中国の経済成長のペースは近年鈍化しているが、2035年頃までに世界最大の経済大国としてのアメリカの長期にわたる活動を終わらせる軌道に乗っているようだ

 新しい予測は、投資銀行が2011年に予測したより10年遅れている。しかしエコノミストのケビン・デイリーとタダス・ゲドミナスは中国の潜在成長率は依然アメリカより大幅に高いと述べている。

 「中国は既にアメリカのGDPとのギャップの大部分を埋めている」と彼らは火曜日に発表した報告書で述べ、2000年のアメリカの12%から、80%弱に中国の国内総生産が増加したと付け加えた。

 報告書によると、中国の年間経済成長率は2024年から2029年まで約4%だが、アメリカは1.9%で、2075年までの世界経済がどのようになるか予測している。

 過去10年間の米ドルの並外れた強さは、中国経済が一位になるのに10年送れる修正のもう一つの理由だとデイリーは付け加えた。しかし、報告書によると、中国人民元に対する米ドルの強さは今後10年で減少する可能性が高く、中国がアメリカを追い抜くための更なる基盤となる。

 報告書はまた、世界GDPの重みは今後30年間でアジアに移行し、2050年の世界の5大経済大国は中国、アメリカ、インド、インドネシア、ドイツになると予測している。」(「以前の予想より数年遅れ、中国のGDPは2035年頃にアメリカを上回るとゴールドマンサックスは予測」China Macro Economy)

 当然、アメリカ経済の金融化は将来のアメリカの可能性に大きな影響を与えた。ウォール街の勃興は、非生産的な活動に何兆ドルもの資本を向けながら、ごく少数の裕福な銀行家を儲けさせた無数の債務レバレッジ詐欺を招いた。同時に筋の通った産業政策の欠如も、無限に低賃金労働を供給する国々への何万もの企業や工場の移転をもたらした。問題は、もちろん増大する政策の誤りが、最終的に生産性の減少を招き、より意欲的な他の国々が穴を埋めるのを許したのだ。要するに、中国の奇跡は、主に金融化とアメリカ企業にアメリカにとどまる誘因を提供するのではなく、産業の他国移転を許した近視眼的方針に帰因する。肝心な点。中国経済はアメリカを追い越している、その状況を逆転できるのは核戦争以外ない。

 

 ここ数週間、メディアの中国に対する否定的な報道は、習近平国家主席への想像通りの攻撃とともに着実に増加している。アメリカ人はこれまで何度もこのショーを見たことがあり、それが何を意味するのかを明確に理解しているはずだ。外国指導者の悪魔化は常に戦争への第一歩だ。メディアは、サダム、カダフィ、ミロシェビッチ、プーチン、その他無数の人々に対する告発を主導してきた。現在中国の習近平国家主席は帝国に照準を当てられている。名前は変われど過程は変わらない。洗脳されたアメリカ人が別の血なまぐさい紛争へと、いいように操られる中、既に挑発や制裁や中傷は山積し始めている。

 両国間で戦争が起こった場合、経済的影響は壊滅的なものになる可能性がある。米中紛争によって深刻な影響を受けるアメリカとヨーロッパの企業がいくつあるか、少し考えて頂きたい。登録中国の記事からの抜粋は次のとおりだ。

 2020年末までに合計1,040,480の外国企業が中国本土で登録された。この公式データは中華人民共和国商務部(MOFCOM)提供。公式データによると、中国では2018年末までに合計961,000の外国投資企業(FIE)が設立され、実際に使用した外資は2.1兆米ドルだった。結果は、外国投資企業の数が2021年に増加し続けていることを示している...(「中国には外国企業が何社あるか?」商誉企业管理(上海)有限公司GWBMA

 中国に100万の外資系企業? 驚くべきことだ。

 これら企業はどのように利益を生み出しているのだろう。

 彼らは自国の人々に製品を売ることで利益を生み出す。それがどう機能するかを説明するNBCニュースの古い記事の抜粋を確認願いたい。

 「アメリカが中国に関税を課すと決定した場合、中国の対アメリカ輸出の60%以上を占める中国で事業を行っているアメリカ企業が確実に最も打撃を受けるだろう」と陳氏は述べた。結局、チェンは「アメリカは調整する必要がある国だ」と言った。

 「一部アナリストは、中国がすぐに人民元を上昇させ始めると予測しているが、陳氏のインタビューは中国に再評価に反対する強力なロビーがある事実を示した。陳氏によると、再評価が中国にとって危険な理由の1つは、中国輸出業者の利益率が1.7-2%の範囲と小さいことだ。」(「中国商務大臣:アメリカは貿易戦争で最も失う」NBCニュース)


 「アメリカ企業が中国の対アメリカ輸出の60%以上を占めている」? それは可能だろうか? 言い換えれば中国に事業移転したアメリカ企業は、より大きな利益を生み出すため、解雇した同じ人々の多くからお金を稼いでいるのだ。

 そして同時に受け入れ国(中国)の利益はわずか1.7%なのだ。彼らの報酬として十分ではない。中国ではなく、多国籍企業が棚ぼたを享受しているのだ。では、なぜ中国はアメリカの世界生産シェアを縮小していると非難されるのだろう。キャロリン・バーソロミューが数年前にアメリカン・プロスペクトでこう述べている。

 「中国の政策は、過去20年間多国籍企業の利益によって推進されており、これらグローバル企業は中国政策の多くから恩恵を受けている。数十年前から始まり、ほんの一握りの輸出エリート(とりわけボーイングやモトローラ、GE)が、ブッシュやクリントン、ブッシュ政権に説得力を持って主張したように、これら企業だけが中国消費者にアクセスできる場合、アメリカの経済的利益が得られる......もちろん今我々はそのような考え方の結果を見ている。世界的経済危機によりアメリカ労働者は仕事も年金基金も失った。

 アメリカを拠点とする多国籍企業の要請でワシントンは自由貿易を装って大企業権益という大義を擁護してきた。(「中国の万里の大企業長城」キャロリン・バーソロミュー、アメリカン・プロスペクト)

 だから、強力な企業と金権政治家ボスが推進した政策に対して、我々は中国を非難しているのではないかが問題なのだ。

 確かにそう見える。もしそうなら、ワシントンの戦争への衝動は、どの国の経済が他の国より大きくなるかという不安に煽られているのではなく、外国オリガルヒの政治干渉や策略に対する中国政府の抵抗に煽られていると推測できる。それが実際に起きていることだ。欧米諸国でと同様に、億万長者エリートは政治機構に入り込みたいのだが共産党政府がそれを許さないのだ。ロン・アンズが10年以上前に書いた記事の抜粋をご覧願いたい。

 

 中国の台頭は確実に過去100年で最重要な世界の進展として位置づけられる。中国経済は、この10年の終わりまでにアメリカを超える準備ができている。

 2010年までの30年間で、中国は人類史上でおそらく最も急速な持続的な経済発展を達成し、実体経済は1978年から2010年の間にほぼ40倍に成長した。1978年、アメリカ経済は15倍の大きさだったが、ほとんどの国際的推計によると、現在中国は、わずか数年以内にアメリカの総経済生産高を超えると見られている。

 更に、わずか一世代で牛や自転車から自動車へと移行する瀬戸際の普通の中国人労働者に新たに生み出された中国の経済的富の大部分が流れている。アメリカの収入の中央値はほぼ40年間停滞しているが、中国の収入は10年ごとにほぼ倍増しており、農業部門以外の労働者の実質賃金は過去10年で約150%上昇している。

 1980年から2008年にかけて世界の貧困率が大幅に低下したと最近の世界銀行報告書は強調したが、その減少の100%以上が中国だけによるものだと批評家は指摘した。悲惨な貧困で暮らす中国人数は驚くべき6億6200万人も減少したが、世界の他地域の貧困人口は実際1300万人増加した。

 過去10年間だけで中国は工業生産高を4倍に増やし、現在アメリカのそれに匹敵する...

 中国の目覚ましい進歩を背景に、アメリカはほとんど非常に暗い状況を示している。過去40年、アメリカ労働者の大多数は実質所得が停滞または減少した。

 立憲民主主義の崩壊

 「なぜ国家は失敗するのか」の中心的テーマは、政治制度と支配エリートの行動が国の経済的成功や失敗を大きく左右することだ。ほとんどのアメリカ人が何十年もの間事実上経済的利益を経験していないなら、おそらく我々は自身の社会におけるこれら要因に目を向けるべきだ。

我々の搾取エリート

 寄生エリートが「搾取」方針で社会を支配する際の中心的特徴は、あらゆる反対の法律や規制と関係なく、搾取された富の上向きの大規模な流れだ。統一したメディア金権政治が支配する一党国家に我々の政治体制が益々統合されるにつれ、アメリカは確実に公式に認められた腐敗の巨大な増加を経験している

 社会のメディアや学術機関は、身体の感覚装置や中枢神経系で、これらが提供する情報がひどく誤解を招くものである場合、迫り来る危険は悪化し増大する可能性がある。非常に腐敗したり不正直だったりするメディアや学界は致命的な国家危険をもたらす。アメリカの社会情報システムは企業や政府指導者の要求を満たすため現実を形成するのに遙かに熟練しており、まさにこの成功が我々の国に多大な損害を与えるのだ。

10年以上前から、イギリス人著名学者リチャード・リンが、ヨーロッパ由来の人々による世界支配は急速に終焉に近づいており、予見可能な将来、人類の進歩と世界指導力のたいまつは必然的に中国の手に渡ると予測していたのを認めなければならない。」(「中国の台頭、アメリカの衰退。どちらの超大国が「搾取エリート」に一層脅かされているのか? ロン・アンズ、American Conservative

 確かに先見の明のある言葉だが、欧米民主主義における深い二極化と政治的機能不全を考えると決して予想外ではない。中国に同様の分裂が存在するとしても、それは確実に部外者にとって明白ではない。客観的な批評家たちが見ているのは、長年抑圧されていた8億人近くの人々を貧困から救い出し(未曾有の歴史的成果)、同時に未来の共通展望として社会的に機能する統一目標(一帯一路構想)へと巧みに結びつける支配体制だ

 バイデン政権は世界秩序における優位を維持するため中国を封じ込めると誓っている。しかしワシントンには中国の一帯一路プロジェクトの代替となるような数兆ドル規模の壮大なインフラ計画はない。実際ワシントンには将来に対する展望が全くない。ワシントンが提供しているのは経済制裁と政権転覆と戦争の新世紀だ。中国がアメリカ介入や干渉、暴力の脅威なしに大規模な世界統合プロジェクトを進めることを許されれば、世界にとって遙かに良いだろう。残念ながらバイデンチームは違うことを念頭に置いている。

記事原文のurl:https://www.unz.com/mwhitney/chinas-turn/

----------

 『耕助のブログ』がホイットニー氏の別記事翻訳を掲載しておられる。

No. 1720 アメリカを滅茶苦茶にする計画

 長周新聞が紹介している映画、是非見たい。

映画『妖怪の孫』――安倍晋三がもたらしたのは美しい国か、妖怪が棲む国か? 監督・内山雄人

 Jeffrey Sachs氏の正論。

Jeffrey Sachs on Seymour Hersh, Nord Stream Bombing, Ukraine & the Cold War with China

 ノルドストリームを爆破されても文句を言えず、それどころかロシアと戦争をしていると発言する外相を首にできない首相を見ていると、我々の鏡像を見ているようで恥ずかしくなる。 

 今朝の孫崎享氏メルマガ題名

高市氏、放送法文書は「捏造」、事実なら議員辞職発言(参院予算委)経緯あるも、松本総務相「行政文書」と認める 放送法解釈の内部文書、同時期三浦瑠麗氏の夫を逮捕 関連事業巡り業務上横領容疑 東京地検。安倍元首相存命なら起こりえない動き2つ

2023年3月 5日 (日)

ウクライナの天王山

衰退しつつある優位を維持するため戦争に頼る苦境のアメリカ
マイク・ホイットニー
2023年2月26日
Unz Review

 人類の未来はウクライナの戦場で決定される。これは誇張ではない。アメリカとロシアの対立は、進化する多極システムの中で世界経済統合が拡大するのか、それとも「ルールに基づく秩序」が欧中心モデルに反対する敵を粉砕するのに成功するかを決定する。これがウクライナで起きていることであり、実際、最近政府が作成した国家安全保障関連文書は全てロシアと中国をアメリカ覇権に対する最大の脅威と特定している。たとえば2021年の議会調査局報告書「新たな大国競争:防衛への影響—議会の問題」という題名のこの短い抜粋をご覧願いたい。

 ユーラシアにおける地域覇権国の出現を阻止するアメリカの目標は...(1)ユーラシアの人口、資源、経済活動を考えると、ユーラシアの地域覇権は極めて重要なアメリカ権益を脅かすに十分な大きさの権力集中になるという2つの判断を反映した政策選択だ。

 大戦略と地政学に関するアメリカの視点からすると、世界の人口、資源、経済活動のほとんどが西半球でなく他の半球、特にユーラシアに位置していることがわかる。世界地理学のこの基本的特徴に対応し過去数十年間アメリカ政策立案者はアメリカ国家戦略の重要要素としてユーラシアにおける地域覇権の出現を阻止するという目標を追求すると選択した。」(「新たな大国間競争:防衛問題への影響—議会にとっての問題」アメリカ議会)

 それは一言で言えばアメリカの外交政策の要約だ。「地域覇権の出現阻止」は絶対だ。次に2022年アメリカ国防戦略のアンドレ・デイモンによる要約を世界社会主義ウェブサイトで確認頂きたい。

 アメリカ・マスコミでは本格的に議論されなかったこれら文書は、今年の大規模アメリカ軍備蓄が"ロシア侵略"への対応だというのが根本的なウソなのを明らかにしている。実際はホワイトハウスとペンタゴンの戦争計画者の考えでは軍事費の大幅増加と中国との戦争計画は「地政学や技術や経済や我々の環境の劇的変化」によって引き起こされている。

 これら文書は、アメリカが中国の経済的台頭を実存的な脅威と見なし軍事力威嚇で対応することを明確にしている。アメリカはロシア征服を中国との紛争への重要な足がかりと見なしている。」(「ペンタゴン国家戦略文書は中国を標的にしている」アンドレ・デイモン、世界社会主義ウェブサイト)

 これら2つの抜粋は決してアメリカ外交政策目標の包括的要約ではないが、かなり効果的なサムネイルスケッチだ。結論:ウクライナでの戦争はウクライナが狙いではない。極めて明確にされたアメリカの戦略目標は次の通りだ。ロシアを弱体化させ、指導者を打倒し、膨大な天然資源を支配し、中国封じ込めに移行する。簡単に言えばウクライナでのワシントンのエスカレートする侵略は、世界秩序の上で衰退しつつある地位を維持するため、新興経済力の中枢を封じ込めることを狙った一か八かの最後の試みだ。

 これは「ロシアのいわれのない侵略に対する戦争」という隠れ蓑の背後で行われている地政学的チェス試合だ。このばかげた欺瞞に人々は惑わされるべきではない。この戦争はアメリカが徐々に消えつつある世界覇権を維持するための必死の試みとしてでっち上げたのだ。それがウクライナの真実の全てだ。これはアメリカ・マスコミと政治支配層を絞め殺しつつある戦争挑発屋欧米オリガルヒと"高速"インフラと協調的発展を通じて資源や工業製品を世界中の国々と結びつけるために市場システムを利用している新興経済国との衝突なのだ。

 だから誰もが自問しなければならない質問はこれだ。皆様は更なる経済統合、より安い価格、共有されるより多くの繁栄とより少ない戦争、あるいは更なる80年の厄介で恣意的な制裁、カラー革命、政権転覆作戦、大量虐殺介入、生物兵器戦争(Covid-19)を見たいのか? どちらをお望みだろう?

 おそらく皆様は中国はアメリカの敵だと信じている何百万人ものアメリカ人の一人だ。おそらく皆様は現代中国の創造の上でアメリカが果たした役割にも気づいていない。アメリカと欧米の企業はアメリカの生産経費の高さから逃れるため一斉に中国に事業を移したのか?

 答え–そう、彼らはそうした。

 そして、彼らは公正な賃金が彼らの過度な利益創出を阻止するのを望まなかったのでアメリカ労働者を裏切ったのだろうか?

 答え–そうだ。

 そして、食卓に食べ物を置けるまともな賃金を稼ぐ機会をアメリカ労働者から奪いながら、彼らは自身を勝者にするため事業を海外移転し、製品製造を外注し、できる限りのあらゆることをしたのだろうか?

 答え–彼らは確かにそうした。

 では、中国の台頭は実際誰の責任なのだろう。

 答え–欧米企業の責任だ。アメリカ人が誰か非難したいのなら連中を非難しろ!

 しかし今や企業官僚や他のエリートは中国がアメリカで持っているように彼らの市場、金融システム、通貨を支配するのを許さないので中国に不満を持っている。それで今これら同じ冷酷至極な企業は彼らが作り出した怪物との戦争を我々に望んでいるのだろうか?

 おわかりだろうか? 中国に対する執拗な挑発はアメリカの国家安全保障やアメリカの利益と何の関係もないことがおわかりだろうか。彼らの壮大な略奪作戦の次の標的に中国に定めた貪欲な欧米オリガルヒ幹部のため戦って死ぬよう我々はいいように操られているのだ。

 しかし過去を少し忘れ未来に焦点を当てよう。結局それが本当に重要なことだろう?

 では将来に対しより「前向きな展望」を持っている国は中国、アメリカどちらだろう。

 中国外交政策の中心である数兆ドル規模の大規模インフラ計画である中国の一帯一路構想について聞いたことがおありだろうか? これは史上最大のインフラ計画で既に150か国以上がこの計画に投資している。これは高速鉄道、航路と港、高層ビル、鉄道、道路、橋、空港、ダム、発電所、鉄道トンネルを介した接続性を高めることを目的とした開発指向プロジェクトだ。移動速度を上げることで中国製品と商品はより早く市場に投入され、中国自身と関係する他の国々にとってより大きな繁栄を生み出すだろう。BRIは参加者が北京に指示された特定経済モデルに従うことを必要としない高速システムで世界中の国々を結ぶことに留意願いたい。言い換えれば一帯一路構想は政治のない自由市場経済だ。それは誰にとっても「ウィンウィン」で政治的操作、強制、搾取のない相互繁栄の保証だ。

 アメリカを動かしている卑劣なオリガルヒ連中は、この規模や可能性のプロジェクトを想像することさえできない。実際彼らはアメリカの鉄道上で列車を維持するのに十分なお金を決済することさえできない。これら億万長者寄生虫が彼らの活動から引き出す利益は、常に株式の買い戻し、脱税や、誰にも利益をもたらさず、国富の多くを自身の膨らんだ銀行口座に移すだけの様々な巧妙な借金を積み上げるポンジ詐欺から来るのだ。もちろん、国から略奪するのは十分悪いことだが、今この同じ階級の悪党が全ての人の自由を大幅に制限する抑圧的警察国家措置を課せるよう、政治力を増幅する手段として公衆衛生を利用することにしたのだ。要するに連中は絶対的な社会統制を望んでおり、それを手に入れるまで諦めるつもりはないのだ。

 この行動で「前向きな展望」はどこにあるだろう?

 ない。アメリカはかつてアイデア、理想、展望の国だった。現在アメリカはオリガルヒが運営する全ての将来の希望を一握りの傭兵億万長者が容赦なく消す収容所だ。

 少なくとも中国の場合、相互接続され、誰もがより利用しやすく、より良く、より繁栄した世界を想像できる。しかしアメリカはどうか? 東ヨーロッパで戦争をすることで我々の生活が改善されると我々は信じるべきだろうか? 「我々がトップにとどまれる」唯一の方法は、他の全員を押し下げることだと信じるべきだろうか? 間違った大統領候補に投票したり、我々の都市を燃やし略奪するテロリストを支持しなかったり、キーウのナチス突撃隊員よりも東パレスチナの人々こそ我々の支援に値すると信じたりしたことで我々の政府が8000万人を悪魔化しながら、我々は中国とロシアを憎むよう期待されているのだろうか?

 事実は我々のリーダーはBRIのような巨大な相互接続されたインフラス・プロジェクトに公的資源をさくことを想像できない。それで彼らはノルドストリームを破壊したのと同じようにそれを破壊すると決めたのだ。この画期的プロジェクトに関する報道論評をお読み願いたい。欧米ジャーナリストは、それについて言うべき「良い言葉」を見つけられないのだ。アメリカ中央部の広大な地域は、塩化ビニル、アクリル酸ブチル、イソブチレンで激しく攻撃されたが、欧米マスコミは彼らのお雇い主に責任を負わせるより中国の野心的BRIプロジェクトを批判したがるのだ。信じられない。

 同じ規則がロシアにも適用される。バイデン・チームと裕福な同盟諸国は、より緊密な関係は両国にとってより多くの繁栄を意味するためドイツとロシアのより緊密な関係を望んでいない、ワシントンはそれを許せず、それがドイツの安い燃料の生命線だったパイプラインを連中が爆破した理由だ。それがワシントンが問題を解決した方法だ。それでドイツとロシアを下落させアメリカが首位にとどまれるようにした。これがわからない人がいるだろうか?

 対照的に、一帯一路構想は世界の大多数が支持する考えである未来への前向きな展望を提供する。それは人々が生活水準を高め、地域社会に有意義な貢献をし、制裁や投獄や爆撃されて死ぬのを恐れることなく自分たちの文化や伝統を享受楽できる相互接続された世界への道に我々を置いてくれる。下記は中国の環球時報からの抜粋だ。

 中国が提案した一帯一路構想(BRI)は既に好評を博している国際公共財で国際協力の重要プラットフォームとなっている...

 「BRIは地政学的ゲームの時代遅れの考え方を超越し、国際協力の新しいモデルを生み出した。それは他の参加者を排除する排他的集団ではなくオープンで包括的な協力の場だ。それは中国単独の努力だけでなく、全参加国が演奏する交響曲だ。

 2013年に一帯一路構想(BRI)が提案されて以来、この構想は常に開発指向で、高水準で持続可能で人間中心であることを保証するため一貫した努力がなされてきた。

 8月までに中国のBRI参加国との商品貿易は約12兆ドルに達し、これらの国々に対する中国の非財務的直接投資は1,400億ドルを超えた。...2021年末までに中国企業はBRI諸国の経済貿易協力区建設に430億ドル投資し、34万人以上の地元雇用を創出したと公式データが示している...

 中国は他国や地域のBRI参加を受け入れており、より質の高い公共財を世界に提供するため他国が提案するインフラ構想との連携を検討している。中国は高品質の開発を進めるため全てのパートナーと手を組みたいと望んでいる...中国は断片化ではなくグローバルなつながり、ドアを閉じるのではなく相互開放、ゼロサムゲームではなく相互統合を目指していると強調した。 (「BRIは全ての人々にオープンで包括的で、地政学ゲームという時代遅れの考え方を超越している」環球時報)

 一帯一路構想に匹敵するアメリカ主導のプロジェクトは何だろう?

 一つとしてない。アメリカは致死兵器と戦争遂行に年間1兆ドル以上を割り当て、ウォール街の銀行家を救済するため更に数兆ドル割り当て、国民に有毒な泥濘を注入したい億万長者エリート独裁に従うことを余儀なくされた全国の全ての企業を閉鎖するため更に数兆ドル割り当てている。しかし商業やレクリエーションを通じて世界の人々を平和的に近づけるグローバル・インフラ・プロジェクトにはゼロだ。

 中国が完璧だとは誰も言っておらず、少なくとも私はそうではない。また私は中国に住みたくない。違う。私はアメリカ人で、ここで死ぬつもりだ。


 しかし私は目が見えないわけではない。このロシアとの戦争が「いわれのない侵略」と何の関係もないことは容易に理解できる。これはアメリカの世界覇権を維持するという本当の目的を隠すため利用されている煙幕にすぎない。我々が今しなければならないのは「何が起きているのか」正確に分析することだ。「なぜそれが起きているのか」を理解しようとし、次に、アメリカが勝った場合の結果がどうなるかご理解願いたい。言い換えれば我々はロシアを粉砕し、中国を封じ込め、ヨーロッパに必要なエネルギーを飢えさせ、一帯一路インフラ計画を妨害し、アフガニスタン、リビア、シリア、イラクにもたらしたと同じ失敗した政策を強化するオリガルヒ支配体制を永続させたいのだろうか?

 我々はそれを望んでいるのだろうか? 皆様はそれを望んでいるのだろうか?

 アメリカ国民はより豊かで平和な世界を創造するため政府が他の国々と協力するのを望んでいる。彼らは新しい世界秩序を望んでおらず確実に第三次世界大戦は望んでいない。

記事原文のurl:https://www.unz.com/mwhitney/showdown-in-ukraine-hobbled-us-turns-to-war-to-preserve-its-waning-primacy/

----------

 Dialogue for Peopleが広島忖度教育委員会による教材からの『はだしのゲン』と『福竜丸被爆』記事削除問題を扱っている。

高橋博子さん「『はだしのゲン』削除から考える記憶の継承」Radio Dialogue 099(2023/3/1) 1:03:58

 数日前『ペリクリーズ』を観劇。クリス・ヘッジズが最近シェークスピア演劇の話題で、この芝居についても語っているのに気がついた。俳優と演出家との鼎談。

Shakespeare and the politics of the 21st Century | The Chris Hedges Report 30:45

 中国国営放送CGTN地女性記者が訪中前のルカシェンコ大統領を現地でインタビュー

Belarusian president's exclusive: We do not want war, West blocking peace talks 28:32

 ヨーロッパ指導部は傀儡でも、悪影響を受ける国民は違う。ウクライナの戦争支援反対デモが起きている。

‘Europe is Waking Up’: Protests in Europe Call For Peace in Ukraine

 植草一秀の『知られざる真実』も小西参議院議員が公表した「内部文書」の話題。

G7最悪マスメディア偏向の原因

 日刊IWJガイド

「シリーズ特集! 福島第一原発事故から12年、進む事故への危機感と恐怖の記憶の風化! 他方、急激に高まる原発への武力攻撃リスク!」

<IWJ取材報告 2>「ロシアの核の威嚇は許せないというが核を使用したらどうするのか? 西側の報復核攻撃ならば、岸田政権は容認するのか? 核攻撃へのエスカレーションリスクを高めるウクライナへの武器支援よりも、停戦に向けての働きかけがより重要ではないか?」IWJ記者の質問に「仮定の質問にコメントは差し控える」と浜田大臣! 核戦争となった時の想定を岸田政権と日本政府は何もしていない!? 無責任では!? ~23.3.3浜田靖一防衛大臣定例記者会見

<IWJ取材報告 4>日本の自由主義と民主主義の根幹である「放送法」の解釈変更。法規範の破壊はどのように行われたのか? 総務省の職員から立憲民主・小西参議院議員に託された「内部文書」に記された内容とは?~ 3.2立憲民主党 小西洋之参院議員 記者会見

より以前の記事一覧

その他のカテゴリー

エチオピア 911事件関連 Andre Vltchek Caitlin Johnstone CODEPINK Eric Zuesse Finian Cunningham GMO・遺伝子組み換え生物 ISISなるもの James Petras John Pilger Mahdi Darius Nazemroaya Mike Whitney Moon of Alabama NATO NGO Pepe Escobar Peter Koenig Prof Michel Chossudovsky Saker SCO Scott Ritter Stephen Lendman Thierry Meyssan Tony Cartalucci/Brian Berletic TPP・TTIP・TiSA・FTA・ACTA Unz Review Wayne Madsen WikiLeaks William Engdahl wsws アフガニスタン・パキスタン アメリカ アメリカ軍・軍事産業 アルメニア・アゼルバイジャン イギリス イスラエル・パレスチナ イラク イラン インターネット インド イーロン・マスク ウォール街占拠運動 ウクライナ オセアニア・クアッド オバマ大統領 オーウェル カジノ カナダ カラー革命・アラブの春 ギリシャ クリス・ヘッジズ グレート・リセット サウジアラビア・湾岸諸国 シェール・ガス・石油 シリア ジーン・シャープ ソマリア ソロス タイ チベット チュニジア・エジプト・リビア・アルジェリア テロと報道されているものごと トヨタ問題 トランプ大統領 トルコ ドイツ ナゴルノ・カラバフ ノーベル平和賞 バイデン政権 バングラデシュ パソコン関係 ヒラリー・クリントン ビル・ゲイツ フランス ベネズエラ ベラルーシ ホンジュラス・クーデター ボリビア ポール・クレイグ・ロバーツ マスコミ ミャンマー ユダヤ・イスラム・キリスト教 レバノン ロシア 中南米 中国 中央アジア 二大政党という虚構・選挙制度 伝染病という便利な話題 北朝鮮・韓国 地球温暖化詐欺 地震・津波・原発・核 宗教 憲法・安保・地位協定 授権法・国防権限法・緊急事態条項 文化・芸術 新冷戦 新自由主義 日本版NSC・秘密保護法・集団的自衛権・戦争法案・共謀罪 旧ユーゴスラビア 映画 東ヨーロッパ・バルト諸国 東南アジア 民営化 無人殺戮機 田中正造 英語教育 読書 赤狩り 通貨 選挙投票用装置 難民問題 麻薬 麻薬とされるマリファナについて

お勧め

  • IWJ
    岩上安身責任編集 – IWJ Independent Web Journal

カテゴリー

ブックマーク

最近のトラックバック

無料ブログはココログ