BRICS

2025年10月20日 (月)

既に停戦を妨害しているトランプ二ャフ政権



イスラエルの停戦が「お前達が止めれば我々は撃つ」という意味だという言い回しを誰が最初に作ったのか知らないが、何度も確かに正確なことが証明されている。

ケイトリン・ジョンストン
2025年10月15日

 この英語記事の朗読を聞く(朗読:ティム・フォーリー)。

 イスラエル停戦が「お前達が止めれば我々は撃つ」という意味だという言い回しを一体誰が最初に作ったのか知らないが、何度も確かに正確なことが証明されている。

 本日、イスラエル国防軍が、帰宅しようとしていたパレスチナ人9人を殺害したと報じられている。彼らは、何らかの許可されていない地域を移動し、兵士に脅威を与えていた、などといったいつもの言い訳で殺害した。今年初めの「停戦」でも、全く同じ言い訳で、終始同じことを繰り返していた

 先日我々が起きかねないと予想していた通り、ハマスがイスラエル人人質の遺体全員を返還していないため、ガザへの援助を半減させ、燃料とガスの輸送を停止するとイスラエルが発表した。ガザにおけるイスラエル爆撃作戦により生じた瓦礫と混乱のため、ハマスが人質全員の遺体を直ちに返還できないことを合意に署名した時点でイスラエルは十分認識していた。


 10月9日、「ハマスが残りの人質全員の遺体を返還できない可能性ありとイスラエルは評価」と題する記事を掲載し「イスラエル政府は、ハマスが残りの人質28人のうち一部の遺体の所在を把握していないか回収できない可能性があると認識している」とCNNは報じた。

 人質が監禁されていた地域でイスラエル空爆により生じた瓦礫の中から人質の遺体全員を見つけるのは「大変な課題」となるだろうと赤十字は述べている

 「ガザでの交渉中、イスラエルは死亡した捕虜の遺体全員の回収には時間がかかることを理解していた。遺体回収のための具体的な仕組みも合意されていた。しかし今、イスラエルはそれがなかったかのように振る舞い、合意に違反して合意済みの援助物資を半分に減らそうとしている」とDrop Site Newsのジェレミー・スケイヒルは解説している

 イスラエルのヘブライ語メディアが、停戦合意の「秘密条項」により、死亡した人質の遺体が72時間以内に返還されなければイスラエルは攻撃を再開できるとしていたと(反シオニスト・メディア)Mondoweissが先週報じた

 つまり、これは最初から計画されていたように見える。イスラエルはハマスが果たせないと分かっていた義務を作り出し、それを口実に虐殺を再開したのだ。

 トランプ大統領もそれに同調しているようで「大きな重荷は取り除かれたが、仕事はまだ終わっていない。死者は約束通りには戻っていない!」とTruth Socialに投稿した

 火曜日「人質の死亡者は26人か24人だと聞いていたが、実際はそうではないようだ。我々が話しているのはそれよりずっと少ない数だ」とトランプ大統領は記者団に語り、「人質を返してほしい」と言った。


 また、ハマスは強制的に武装解除されなければならないとトランプ大統領は報道陣に語ったが、これはこの「停戦」見世物丸ごと、見せかけだと公然と認めたに等しい。

 「もし彼らが武装解除しないなら、我々が彼らを武装解除する。それは速やかに、おそらく暴力的に行われる」とトランプ大統領は火曜日に述べた

 この発言は、ハマス武装解除は「容易な方法」か「厳しい方法」のどちらかになるというベンヤミン・ネタニヤフ首相最近発言と一致している。

 停戦交渉が永続的和平へと進むためには、ハマスが完全降伏し、イスラエルが完全な勝利を得る必要があると大統領と首相は、はっきり述べている。彼らは停戦合意と称しているが、実際は完全降伏合意で、ハマスは降伏しないと明確に表明している。

 「過去1年間のDrop Siteとの複数回インタビューを含め、実際は、ハマスやイスラム聖戦幹部や他の抵抗勢力幹部らは、交渉を通じて繰り返し武装解除を拒否してきた」とDrop Site Newsは説明している

 今日の公共の議論における停戦を巡る混乱の大きな要因は、停戦とは何か、それが一体何を意味するかについて、二つの矛盾した考え方が行き交っていることだ。イスラエル支持者は「停戦」とは「イスラエルの完全勝利とハマスの完全降伏」を意味すると考えているが、それ以外の人々は「停戦」とは停戦を意味すると考えている。


 だからこそ、イスラエル支持者が合意を祝福する一方、パレスチナ支持者は大いに不安を抱いているのだ。パレスチナ支持者は、停戦と降伏は別物だと理解しており、「停戦」交渉が永続的和平へと進むためには、ハマスが完全に武装解除しなければならないとトランプ大統領とネタニヤフ首相が述べているのを理解している。トランプ政権とハマスという互いに譲らない相容れない立場が衝突し、ガザでのホロコーストの再燃につながる可能性が高いことを彼らは理解している。

 停戦を巡り盛大な拍手喝采が巻き起こってはいるものの、現在、状況は余り変わっていないように見える。ジェノサイドの始まり当初から、ハマスが武器を放棄し降伏するまで虐殺は終わらないという立場をアメリカとイスラエルは公式に表明しており、それは今も変わらない。確かに虐殺には待望の一時停止はあるが、ハマスが武装解除を拒否しているのを大義名分に、虐殺を再び激化させるつもりだとトランプ政権は明確に示している。

 しかも、それは交渉がそこまで進むと仮定した場合の話だが、既にイスラエルはパレスチナ人を殺害し、約束した援助額を大幅削減するなど、停戦を妨害するためあらゆる手段を講じている。

 これら全てに早急に何か重大な変化が起きない限り、イスラエルによるガザでの残虐行為の、この僅かな減少さえ持続するとは期待できない。

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 画像はホワイトハウスより(パブリックドメイン)。

記事原文のurl:https://caitlinjohnstone.com.au/2025/10/15/the-trumpanyahu-administration-is-already-sabotaging-the-ceasefire/

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 今日が新聞休刊日でなかったら、全米の反トランプ行進、一面記事になったろうか? 民主党がスポンサーという説もある。
 Alex Christoforu Youtube  日曜日の19日、2700以上のアメリカの都市で "No Kings"行進が行われ700万人が参加したという。

 これに腹を立てたトランプ、王冠を被り戦闘機を操縦し、空から行進に汚物をまき散らすAI動画を投稿。
No Kings. WaPo, Putin-Trump territory offer. Lord Richards, Ukraine can't win. Nexperia walk back 37:04
 庶民は明日のことを考える。
 権力者は数十年先のことを考える。あるいは百年先のことを?

 ガザ破壊は、ガザを金持ち専用高級リゾートにするトランプの娘婿クシュナーらの遠大な計画の一環に過ぎないという。連中の予想地図にはマスクの予定所有地も書かれている。下記動画をご覧願いたい。

 Sabby Sabs
Candace Owens WARNED You About Jared Kushner 23:11
 今朝の孫崎享氏メルマガ題名
全国27市区町村で外国人比率10%超 箱根町など1年で7増、最高は北海道占冠村36%(産経)外国人住民の比率が10%を超える市区町村が今年1月時点で全国27市区町村にのぼり、前年から1年間で7区町村増。中国23.2%、ベトナム16.8&、韓国10.9%、比9.1、

2025年8月22日 (金)

ゴールドフィンガーを睨みつける熊と龍と象とオオハシとナイチンゲール



ペペ・エスコバル
2025年8月13日
Strategic Culture Foundation

 もちろん、全てアラスカだ。何が描かれているのか、ここでご紹介する。だが、もっともわくわくするのは影絵芝居だ。

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お問い合わせ:info@strategic-culture.su

 もちろん、アラスカが舞台だ。何が描かれているのか、ここでご紹介する。だが、もっともわくわくするのは影絵芝居だ。

 冷戦時代の60年代に育った世界中の人々にとって、ドナルド・トランプをゴールドフィンガー役に起用したい誘惑は抗えない。(だが雑用役を演じるのは誰だ? ヘグゼスか?)

 ゴールドフィンガーは、結局、強力で冷酷な賭博師だ。21世紀の彼のモットーは「抹殺と略奪」だ。実際、機会さえあれば、次々と抹殺と略奪の狂乱を繰り返している。全ては黄金の取引の探求に委ねられる。我が道。唯一の道。

 だが今や『ゴールドフィンガー』は彼に相応しい対等の集団的好一対に出会ったのかも知れない。

 前回アラスカで首脳会談が行われた際に、まさにこれが起きた。アンカレッジの質素なホテルで行われた米中首脳会談だ。会談は地政学的チェス盤を根底から揺るがした。トランプ対プーチンならそうなるかも知れないが、非常に特殊な状況下においてのみだ。

 アラスカにとって現実的かつ最適な大詰めはただ一つ。ロシアで開催される次回会談のような次を示唆する共同声明だ。これは、ウクライナ代理戦争の解決の可能性も含め、米ロ関係の真の再構築に向けた、いわば長く曲がりくねった道のりの出発点になるだろう。

 本質的に、両国は協議を継続することで合意するかもしれない。だが本当に重要なのは、その約束が何を意味するかだ。つまり「ゴールドフィンガー」がロシア同盟諸国に二次的制裁を課すのを止めることだ。

 そうなればBRICSの大勝利になるだろう(イランは除く。実際、ロシアの二大戦略的同盟国イランと北朝鮮は除外されるはずだ)。

 ゴールドフィンガーに対抗するべく、BRICS諸国は積極的に連合を構築している。主要当事者はBRIC創設メンバーの熊と龍とオオハシと象の四カ国だ。ナイチンゲールは、熊、龍、象と地政学的・地経学的戦略的協力関係で結びついているため後で加わる予定だ。

 アラスカでの核心では、ロシア参謀本部やモスクワの巨大な情報機関にとって緊急事項となる全ての影響について、熊の親玉は考慮する必要がある。ウクライナの兵器化とあらゆる形の貴重情報の提供をゴールドフィンガーの手下連中がやめない限り、ゴールドフィンガーとヨーロッパの無力なチワワ連中が必死に望んでいる架空「停戦」は、ウクライナが全面的再軍備できるようにするための単なる小休止に過ぎない。

 これは熊の親玉にとって難しい決断だ。敵と会談したと非難する国内の過激な批判者連中をなだめる必要がある一方、包囲されているBRICS同盟諸国に成果を送らなければならないのだ。  
ゴールドフィンガーの略奪戦術に対抗するBRICS

 ゴールドフィンガーの関税/略奪の動きに対する集団的対応を明確にするために、熊、龍、オオハシ、象は息を切らして電話外交を行っている。

 例:ブラジルに関するモディ首相発言「グローバルサウス諸国間の強固で人間中心の協力関係は、全ての人々に利益をもたらす」

 インドに関するルラ大統領発言「ブラジルとインドは今のところ最も影響を受けている二カ国だ。多国間主義を守ることの重要性と、現状の課題に対処する必要性を我々は再確認した。」

 ルラ大統領への習近平主席発言「ブラジルの国家主権の防衛を中国は支援する。BRICSは『グローバル・サウスにおける合意形成の重要なプラットフォームだ』」

 いくつかの方法で機能するゴールドフィンガーの関税略奪策略。

 インドに対して:巨大な農産物市場をアメリカ産無関税輸入品に開放するのをインド政府が拒否していること(インド人口の45%が農業に直接依存している)と、ロシア産石油を切望する割引価格でインドが購入していること。

 ブラジルに対して:最終的目標は政権転覆とブラジル天然資源の自由な略奪だ。

 これまでのところ、ゴールドフィンガーの略奪策謀は、自分に逆風を仕掛ける上では見事なものになっている。同盟諸国さえも離反させ(ヨーロッパの屈辱的服従を参照)、事実上、多国間貿易を葬り去り、国際法をも葬り去っている。

 例えば、中国製品への関税「一時停止」が期限切れとなるわずか数時間前に、ゴールドフィンガーは期限を更に90日間延長する大統領令に署名した。つまり、またしても大統領は常に尻込みして引き下がるTACOの繰り返しだ。関税「一時停止」が実施されれば、37兆ドルの負債を抱える「欠くべからざる国」の経済は更に深刻な窮地に陥るだろう。

 更にゴールドフィンガーが北極圏で展開する可能性があるゲームについては、既にここで考察されている。北極圏全域にわたる北極海航路(NSR)、中国語で「北極シルクロード」と呼ばれる航路開発へのアメリカ参加をロシアが認める証拠は事実上存在しない。

 ロシアの驚くべき新兵器の備蓄と並んで、北極圏のどこにでも、いつでも航行できる巨大船、プロジェクト10510ロシアを含む、9隻が稼働中で、2隻が建造中の11隻の原子力砕氷船を保有するロシア原子力砕氷船企業アトムフロートの役割は、アラスカ後の米ロ協力の可能性に関する本格的議論において絶対に重要な変数だ。
 
ナイチンゲールを鳥かごに押し込めようとするゴールドフィンガーの執念

 さて、ナイチンゲールを見てみよう。これは非常に複雑な問題だ。イランに対して最大限の圧力と緊張を掛け合わせた、多重構造の練り直しにゴールドフィンガーは本格的に乗り出した。ヒズボラに武装解除を迫り、レバノンを派閥抗争に陥れ、元「アルカイダ」によるシリア分断を正当化し、国連の支援を受けて、テヘラン制裁を即時に発動させた。

 その後、ゴールドフィンガーも称賛するアゼルバイジャンのアリエフ大統領とアルメニアのパシニャン大統領との「歴史的平和サミット」が開催された。

 だがゴールドフィンガーの監視下で、バクーとエレバンが実際に署名したのは和平協定ではなく、ただの覚書(MOU)だ。

 彼らの共同宣言は極めて曖昧で、拘束力もない。約束されているのは「話し合いを続けよう」という枠組みだけだ。「(和平)合意の署名と最終的批准を実現するため、更なる行動を継続する必要性を我々は認識した。」

 アメリカが大々的に宣伝してきたザンゲズール回廊の99年間支配、つまりアメリカがそこからの収入の40%を横取りし(アルメニアは30%だけ)、ナイチンゲール国境のすぐ南にあるアルメニア領を巡回するためにアメリカ人傭兵を1,000人配置する「国際平和と繁栄のためのトランプ・ルート」(TRIPP)という誇らしげな名の代物の支配がどうなるか、まだ分からない。

 最大の話題は、もちろん、ゴールドフィンガーが、ギャング気質のMI6工作員(アリエフ)と国家の裏切り者(従順なパシニャン)を使って、南ユーラシア、つまり戦略上重要な南コーカサスの少なくとも一つの接続回廊を奪おうと躍起になっていることだ。いずれ、この二つの回廊は破棄されるか、都合よく利用されるだろう。重要なのは、アルメニアとアゼルバイジャン両国からNATO加盟の申し出があったことだ。

 ディープステートの戦略は完全支配だ。本当に重要なのは、カスピ海に至るまでのNATO回廊を確立する道を開くことだ。

 そんなことをナイチンゲールが許すはずはなく、熊や龍は言うまでもない。そうなれば、ロシア、イラン、インドの三カ国のBRICSを結びつけて、カスピ海を横断する国際南北輸送回廊(INSTC)だけでなく、イランを横断しコーカサスへの分岐も可能な中国シルクロードにも、NATOに対する直接的脅威になるだろう。

 既に、ザンゲズール回廊のいかなる現状変更も認めないとナイチンゲールは明確に表明している。しかも、それを裏付ける必要なミサイル兵器も保有している。IRGC副司令官ヤドラ・ジャヴァニ発言。「国境にアメリカ回廊を設けるのをイランは容認しない」

 ゴールドフィンガーであれディープステートであれ、混沌の帝国による圧力は容赦ない。BRICS諸国、特に新たなプリマコフ・トライアングル(ロシア、イラン、中国を意味する「RIC」)に対するハイブリッド戦争や、他の戦争は休む暇もあるまい。

 アラスカは原則として、米ロ間のあらゆる地政学的、商業的、軍事的な安全保障問題のリセットを目的とするべきで、ウクライナはあくまでも一部分でしかない。だが、それはかなり無理がある。ロシアを弱体化させ、妨害し、不安定化させようとして、NATOとアメリカが絶え間なく企てている陰謀の細部を、同じ席に着いたトランプ大統領にプーチン大統領が理解させられるとは想像しがたい。

 最も可能性が高い結末は、代理戦争とSMOは継続するだろうが、NATOがキーウに送る大量兵器を売却することで、ディープステートは莫大なユーロを稼ぐことになるだろう。しかし、米ロ間の新たな本格的安全保障体制が約束されなくとも、ゴールドフィンガーの最新の写真撮影の機会を利用して勝利を掴む機会がBRICSにはまだあるかもしれない。

記事原文のurl:https://strategic-culture.su/news/2025/08/13/bear-dragon-elephant-toucan-nightingale-stare-down-goldfinger/

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2025年8月12日 (火)

BRICS諸国の堅固な壁に激突するトランプ大統領の貿易癇癪といじめ



2025年8月8日
Strategic Culture Foundation

 アメリカの権力は益々過剰となり、実際拒絶すべきものになっている。

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 ドナルド・トランプ大統領は、自身の能力と同様、アメリカの権力も過大評価しているのが益々目立っている。今週、対米輸出品に二桁の関税を課す形で、厳しい貿易制裁を科すとトランプ大統領は約90カ国に警告した。彼が実際にこれらの措置を実行するかどうかは未知数だ。アメリカが世界的貿易戦争に勝てないことを、彼自身、あるいは、より情報に精通した顧問連中が認識したからに違いないが、トランプ大統領は既に4月の、いわゆる「解放記念日」の世界関税導入計画を撤回している。

 トランプの特徴の一つは、脅しをかけるのと同じくらい、素早く撤回することだ。この突飛な行動は、いわゆる彼の政策における思考の混乱と一貫した分析の欠如を物語っている。また地政学と地経学の現実が変化する中、トランプの方針転換はアメリカの力の限界をも物語っている。トランプが考えているようなアメリカの力は最早存在しないのだ。

 この乖離は、ブラジル、ロシア、インド、中国への関税賦課をトランプ大統領がちらつかせた今週露呈した。いわゆる二次関税は、ウクライナとの和平合意にロシアが達する期限をトランプ大統領が設定したことに関連しているはずだった。ロシア産原油を購入する国々は「戦争機械に燃料を供給している」とトランプ大統領は主張した。これをばかげた偽善だとインドは反論し、昨年、欧州連合(EU)がインドより多くロシア産原油を購入したことを指摘した。またアメリカは、数十億ドル相当のロシア産農業用肥料やウランや他の鉱物資源も購入しているのだ。

 いずれにせよ、トランプ大統領が二次関税の対象とした四カ国は、トランプ大統領の恫喝を断固拒否した。彼らはトランプ大統領の脅迫を退け、国益に必要と考える限り、引き続き事業を行う主権を行使すると誓ったのだ。

 このような反抗的姿勢を受けて、ホワイトハウスが次に何をするのかは不明だ。トランプ大統領は関税の期限を延期する傾向があるため、行動を先送りする可能性がある。

 来週ロシアのウラジーミル・プーチン大統領が、おそらくアラブ首長国連邦でトランプ大統領と直接会談するという突然の発表は、アメリカ側が二次関税案を撤回するきっかけになるかもしれない。ウクライナにおける和平交渉の担い手として見られたいトランプ大統領の利己的欲求は、プーチン大統領との首脳会談が注目を集め、ノーベル平和賞受賞の可能性を得るのに十分強いのかもしれない。インドとパキスタン、アゼルバイジャンとアルメニア、そしてイスラエルとハマス間の和平仲介という誇大な主張は、彼が表面的成功に突き動かされていることを示している。

 今週、トランプ大統領の威圧に屈することなくBRICS諸国が示した抵抗は、いくつかの理由から注目に値する。BRICS諸国が強力で結束力ある経済的・地政学的勢力として台頭しつつあるのを示したのだ。この国際機関設立から16年経ち、その影響力はもはや抽象的でも理論的なものでもない。具体的現実となりつつあるのだ。

 トランプ大統領は「世界皇帝ではない」とブラジルのルラ・ダ・シルバ大統領は揶揄し、アメリカの貿易恫喝への共同対応を強化するために、BRICS諸国による特別首脳会議開催を呼びかけた。中国はアメリカの威圧的対応を非難し、一方的関税賦課は国連憲章違反だと主張した。インドのナレンドラ・モディ首相は、国家安全保障担当の最高顧問をクレムリンに派遣し、プーチン大統領と会談させた。また今週、今月下旬にモディ首相が上海協力機構(SOC)首脳会議に出席するため中国を訪問すると報じられた。これらの動きは、BRICS諸国が、トランプ大統領の好戦的姿勢に対抗して、多国間世界秩序の推進に向けたコミットメントを強めていることを示唆している。

 トランプ大統領の気まぐれな行動や態度の多くと同様、皮肉なことに、彼はアメリカの地位と権力の衰退を加速させる国際勢力を結集させている。これは「アメリカを再び偉大にする」と豪語する大統領にとって皮肉なことだ。著名な国際経済学者マイケル・ハドソンの記事は、トランプ大統領の世界との貿易戦争がいかに無謀かを示している。関税は高額輸入品へのアメリカ人の負担増加につながるため、アメリカの消費者インフレを加速させるとハドソンは主張している。共和党のランド・ポール上院議員もこの見解に同意している。関税で、アメリカ消費者に2兆ドルの税金が追加されると彼は主張している。

 トランプ陣営が気づいていないもう一つの影響は、世界経済が十分多様化しているため、輸出のための代替市場を各国が見つけ出せるようになっている点だ。その結果、貿易決済でドル依存度が低下する国が増え、結果として米ドルの価値が下落し、アメリカが巨額国家債務を積み上げ続ける能力も低下するだろう。従って、トランプが他国に貿易制裁を課せば課すほど、この体制が崩壊する危険性が高まる。

 BRICS諸国が、アメリカ主導の欧米秩序に対する歴史的挑戦であることも明らかになっている。台頭する多極秩序をトランプ大統領が弱体化させようとすればするほど、秩序はより強力になってゆく。今年初め、自らが反米勢力と名付けたBRICS諸国に100%関税を課すと脅した後、「BRICSは死んだ」とトランプ大統領は主張した。だがBRICSの死に関する彼の言い分は大げさだ。この国際機構は着実に成長を続けており、今年、世界第4位の人口を誇るインドネシアが重要新メンバーとして加わった。BRICSは世界GDPの50%以上、人口の約40%を占め、経済力において欧米諸国が支配するG7グループを凌駕している。

 トランプ大統領の関税癇癪は、ウクライナ和平の実現とは無関係で、むしろアメリカ覇権に対する脅威となっているBRICS諸国解体の企みに大きく関係している。今週の出来事は、アメリカ主導の体制に代わる体制を築こうとする新たな自信と目的意識をBRICS諸国が獲得したことを如実に示している。トランプ大統領の傲慢さや、世界経済の新たな現実や、特にグローバルサウス諸国にとって長らく待望されていた正義と平和を求める世界の決意に対する理解の欠如は、アメリカ主導の新植民地主義秩序崩壊を早めている。

 アメリカ帝国主義の威圧に対する、ほんの数年前には考えられなかったような粘り強さや反抗心を、ブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカをはじめとする多くの国々が示している。相互発展とより公正な世界秩序への各国のコミットメントは、アメリカ主導の欧米エリートによる資本主義体制の意義と存続を低下させている。数十年にわたりアメリカが蓄積してきた膨大な貿易赤字は、37兆ドルという途方もない国家債務と相まって、本質的に寄生的立場を維持するため世界の他の国々を必要としている。BRICSの指導力による多極化した世界経済の統合で、アメリカの権力は益々過剰となり、実際拒絶すべきものになっていることを示している。アメリカはBRICSの強固な壁にぶつかっているのだ。

 しかし、不穏な面もある。だからこそ、アメリカ支配者連中は異常なほど好戦的になっているのだ。彼らは難局を爆破しようとするだろうか?

記事原文のurl:https://strategic-culture.su/news/2025/08/08/trump-trade-tantrums-and-bullying-hit-wall-of-solid-brics/

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 Judging Freedom 在モスクワ、スコット・リッターのロシア人インタビュー
LIVE FROM MOSCOW: Scott Ritter in conversation with Russian Officials! 25:18
 今朝の孫崎享氏メルマガ題名
米国は長くインドを自由主義陣営の要と位置づけ。しかしトランプはインドに25%関税(パキスタンには19%),50%の脅し。米国は農産品の解放を要求。農民インドの労働力の45%。手を付けられない。乳製品人口80%のヒンズー反対。関税妥結困難→インド、中国とロシアの関係構築へ。
 植草一秀の『知られざる真実』
陰謀論でない〈異常外力着力〉
 耕助のブログ
No. 2621 イスラエルはもはや存在する権利はない

2025年7月19日 (土)

トランプBRICSを攻撃。関税と恫喝は崩壊に対するアメリカの本当の恐怖を露呈している


2025年7月11日
Strategic Culture Foundation

 アメリカの王様は裸だ。威圧や虚勢も、アメリカ主導の西側秩序が、犯罪的戦争と空虚な脅しだけを権力の根拠とする破綻しつつある帝国である現実を覆い隠せない。

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 BRICSとして知られる国際フォーラムは、設立から16年を経て、今週ブラジルで年次首脳会議を開催した。ワシントンの視線は、その勇ましい発言と裏腹に、警戒感に満ちていたのは明らかだ。

 貿易と金融における多国間協力への取り組みにより、この組織は、国際開発、ひいてはより平和で安全な地球への期待の星として世界中で広く歓迎されている。

 それによって一体誰が問題など抱えるだろう?

 リオデジャネイロで開催されたBRICS首脳会議に対し、ドナルド・トランプ大統領は激しい反発を示した。貿易関税を課すとBRICS加盟諸国と加盟予定諸国に警告した。怒りのメッセージや発言を次々と送り、BRICS多国間フォーラムを「反米的」で主要準備通貨としての米ドルの世界的地位を攻撃しているとトランプ大統領は非難した。

 BRICS諸国に対してトランプ大統領が激しい怒りを爆発させたのは今回が初めてではない。昨年11月、次期大統領として、BRICS諸国に100%の関税を課すと警告した。

 今週、怒りを抑えきれず、南米のブラジルに50%の貿易関税を課すとトランプ大統領は警告した。この脅しは、2022年ルラ・ダ・シルバが勝利した選挙転覆を企てたとして訴追されているブラジル元大統領ジャイル・ボルソナロを支援するためでもあるとトランプ大統領は主張した。

 シェイクスピアの言葉を言い換えれば、ホワイトハウスから発せられる「響きと怒り」は多くのことを意味している。

 トランプ大統領の元側近スティーブ・バノンは率直にこう認めている。「BRICS諸国の脱ドル化の取り組みを見るたびに、大統領が激怒しているのがわかる」

 2009年にブラジル、ロシア、インド、中国により設立され、翌年には南アフリカが加盟したBRICSは、現在、イラン、インドネシア、エジプト、エチオピア、アラブ首長国連邦を含む10カ国を加盟国としている。アルジェリア、マレーシア、サウジアラビアなどの国々も加盟申請中だ。BRICSは世界の経済生産の約3分の1を占め、成長を続けている。

 その進化は緩やかなもので、突発的な躍進というほどではない。2015年に設立された新開発銀行は、まだその潜在能力を最大限に発揮していない。BRICS共通国際通貨の実現は、まだ遠い道のりのように思える。

 だが毎年新メンバーが加わり、多国間貿易と投資を強化するための実践的な仕組みが構築されつつある。

 BRICSはグローバル・サウス新興国間の主権的協力関係を重視しており、欧米諸国が主導するG7フォーラムや世界銀行などの金融機関に代わる選択肢を提供しているのは確実だ。

 多極的で真に民主的な世界という構想の実現をBRICS諸国は目指している。だからこそ、アメリカと西欧諸国がBRICSを存亡の危機と見なしているのだ。この矛盾は、自称欧米諸国の民主主義の偽善と二面性を露呈している。

 アメリカが支配する欧米主導の秩序は、少数の国々に利益をもたらす世界覇権のための仕組みだ。真の国際開発よりも搾取と特権を永続させる新植民地主義的構築物だ。この構造こそ、不平等と貧困と終わりのない戦争と軍国主義の根源だ。

 アメリカ覇権を維持する重要要素はドルの優位性だ。だが、その優位性は権力の濫用に基づいている。それは恣意的で政治的に押し付けられた特権で、もはや実行可能でも正当化可能でもない。

 皮肉なことに、トランプと西側諸国の帝国主義的傲慢さがドル崩壊の原因だ。

 協調と協力精神に基づき、各国が自由に貿易を行う構想をBRICSは提示している。重要な仕組みの一つは、提携国の通貨による貿易決済だ。米ドルへの依存を強いるのは、ワシントンに利益をもたらし、発展の足かせとなるだけだ。

 BRICSに対するトランプ大統領の懸念は、アメリカ支配体制と、その従属者たる欧州エリート層にも共有されている。もしドルが置き換えられれば、アメリカ覇権の重要な支柱も崩壊するはずだ。ドルと連動する通貨ユーロも暴落するはずだ。

 貿易と金融の仕組みを決定するのは全ての国の権利だ。これはそれ自体が「反米的」なわけではない。国連憲章に定められた、全ての国の民主的な権利なのだ。

 BRICS諸国が「ドルを攻撃している」としてトランプ大統領が激怒しているのは、覇権帝国の傲慢さを暴露している。

 だがワシントンの不安には十分根拠がある。BRICSをはじめとするグローバル・サウスの連帯を重視する多極的組織の台頭は帝国主義の特権にとって致命的脅威なのだ。

 イランに対するトランプ大統領の違法攻撃や、ウクライナでロシアに対し進行中の代理戦争や、アジア太平洋地域における対中国アメリカ軍事力増強は、全てアメリカ覇権を支えるためのより広範な地政学的紛争の一環だ。

 今週アメリカのイラン攻撃と違法な一方的貿易関税や制裁導入をBRICS諸国が非難した。

 アメリカの王様は裸だ。威圧と虚勢も、アメリカ主導の欧米秩序が、犯罪的戦争と空虚な脅しだけを権力の根拠にする破綻しつつある帝国である現実を覆い隠せない。醜悪な光景だ。だが幸いなことに、過去の多くの帝国同様に、この帝国も衰退し、消滅する。BRICSは人類にとって、より明るい未来を告げているのだ。

記事原文のurl:https://strategic-culture.su/news/2025/07/11/trump-brics-it-tariffs-and-threats-betray-real-us-fear-of-collapse/

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 Scott Ritter
Ritter's Rant 029: Deterrence 8:29
General Christopher Donahue thinks he can deter Russia by threatening Russia. History suggests this will not work.

Scott Ritter
Jul 19, 2025

 植草一秀の『知られざる真実』
参政党を正確に理解する
 今朝の孫崎享氏メルマガ題名
トランプ、関税1〜6月計872億ドル(約13兆円)財政潤わす→高額者減税。だが関税は実質税金。関税分はほとんど全て消費者に転化→消費減少。貧しい5分の1の所得減少は約4%に相当、最裕福な5分の1の所得減少は2%→企業投資現→GDP 0.6~1.1%押し下げ

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