関税

2025年4月14日 (月)

関税 - またもやひるんだトランプ大統領

2025年4月12日
Moon of Alabama

 木曜日、国債売りが深刻な経済的大惨事に発展する恐れがあるとして、トランプ大統領は関税を撤回した。

 中国を除くほとんどの国に対する関税は10%に引き下げられた。(10%は関税攻撃をトランプ大統領が開始する前と比べると依然かなり高い。)中国製品に対する関税は合計145%に引き上げられた。

 中国製品への高関税は、必然的にアメリカにおける家電製品価格の急騰につながるだろう。これら製品は、少なくとも一部は中国から輸入されている。これはアップルを始めとするアメリカ大企業にとって大きな損失をもたらしていたはずだ。

 それで、トランプはまたもやひるんだのだ。  
アメリカ、トランプ大統領の相互関税の対象からスマートフォンとパソコンを除外-ロイター、2025年4月12日

 トランプ政権は、主に中国から供給されるスマートフォン、コンピューター、その他の電子機器の輸入品に対し関税免除を認め、ドナルド・トランプ大統領が課す125%の高関税の大半を免除した。

 アメリカ税関・国境警備局(CBP)は荷送り業者への通知の中で、関税の適用除外となる関税コード・リストを公表した。適用除外は4月5日午前0時1分に遡及する。

 アメリカ税関・国境警備局(CBP)は、あらゆるコンピューター、ノートパソコン、ディスク・ドライブ、自動データ処理装置を対象とする非常に広範なコード8471を含む20の製品カテゴリーをリストアップした。また、半導体デバイス、機器、メモリー・チップ、フラット・パネルディスプレイも含まれていた。

 通知ではトランプ政権の措置について説明はなかったが、深夜の除外措置はアップル、デルテクノロジーズ、その他無数の輸入業者を含むアメリカの大手ハイテク企業にとって歓迎すべき救済策となる。
 新しい関税例外の全リストはここにある。

これは、1. アメリカの製造業を弱体化させ、2. 貿易不均衡を拡大させる奇妙な方法だ。

 高価格ハイテク製品は低関税で中国から輸入できる一方、アメリカ生産者が製品に必要な中国のローテク中間財には超高関税が課せられることになる。

 この状況が続けば、アメリカ内では中間財のローテク生産が更に増加し、ハイテク製品生産は中国に留まり拡大することになるだろう。

 アメリカの関税に対し、全てのアメリカ製品に125%の関税を課すことで中国は報復した。特定品目を免除する可能性は低い。関税率が100%を超えれば、米中間貿易は短期間で完全に停止するだろう。

 これまでの中国からの輸入品の約22%をアメリカは関税から免除したが、全てのアメリカ製品に対する高関税を中国は維持している。これにより両国間貿易は、これまで以上に不均衡になるだろう。

 アメリカは引き続き中国から従来の輸入量の22%を輸入する一方、対中輸出はゼロに縮小する。これにより、貿易不均衡の絶対値はトランプ大統領が関税戦争を開始する前より高くなるだろう。

 これら全て、戦争での敗北を認める奇妙な方法だ。明日から首切りが始まるだろう。

記事原文のurl:https://www.moonofalabama.org/2025/04/trump-blinks-again.html

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 Robinson Erhardt  アメリカ帝国没落過程をRichard Wolff教授が熱弁三時間  
Richard Wolff: Trump, Hitler, and the End of the American Empire 3:11:17
 ArcTimes 万博開会当日の惨状を現場報告 会場地名、悪夢洲としたほうが適切では?
【藤永のぶよ・万博ついに開幕、そして大混乱/入場に1時間半、帰りも制限/メタン場所、むき出しの危険】4/13(日) 18:30~ ライブ(尾形) 1:06:39
 今朝の孫崎享氏メルマガ題名
小川洋子著『人質の朗読会』。極限状態に置かれた八人の人質が、人質状況が小康状態を保った時、互いに自分の人生に起こったこと、劇的に思うことを語り合うという構成。人質は各々異なる背景。だが生きる価値が縦糸。「日本人にこんなに素晴らしい感性があるよ」と言いたくなる作品。
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■はじめに~チキンレースでトランプ政権が根負けか!? 米税関当局が、相互関税の対象から、iPhoneなどのスマートフォンやAppleなどのコンピューター、その他の電子製品や半導体を除外したと発表! 対中関税を実施した場合、iPhoneの価格暴騰の試算が報じられ、ハイテク企業株が暴落する中、トランプ政権が米テック企業の工場を中国から米国へ持ってくる、という力づくの政策を事実上、断念! 貿易不均衡を一方的に主張するトランプ政権に対し、中国側は「米国のサービス貿易黒字は2024年には約3000億ドル(約43兆円)」と指摘! 日本が米国に払っているサービス収支も、実は年6兆円以上!

■IWJの財政は崖っぷちです! 4月は1日から11日までの11日間で、8件、7万3000円のご寄付・カンパをいただいていましたが、これは月間目標額の350万円の約2%と、たいへん厳しい状況です! どうか、緊急のご支援を! 緊急のご寄付、カンパをお願いします!

■【中継番組表】

■大阪・関西万博が問題山積のままスタート! 12日開会式には約1300人が出席、13日開幕式では「大屋根リング」の上で1万人による「歓喜の歌」の合唱! 4月2日時点での前売り券販売数は約870万枚と目標1400万枚の6割どまり! 世論調査では「行きたいと思わない」が74.8%と、「行きたいと思う」の約3倍! インド、ネパール、チリ、ベトナム、ブルネイの5ヶ国のパビリオンの準備が遅れ、開幕初日には間にあわず!「並ばない万博」のはずがあちこちで混雑や渋滞、一部のパビリオンは一時閉鎖へ! 万博協会は、メタンガス問題を指摘した「しんぶん赤旗」の取材を拒否!! 都合の悪いことを書くメディアをしめ出す!

■米トランプ政権が「700%」と主張する日本のコメの関税! 江藤農水大臣は「無税で入っている枠がある」と主張するが、その「ミニマム・アクセス米」には、輸入差益という「事実上の関税」があり、トランプ政権が問題視! 政府備蓄米の2回の放出でも、米価の高止まりと品薄は解消せず、輸入米が急増! 一方米国では富山産コシヒカリが5キロ3000円で売られている!? 減反や転作に補助金を出し、米作りを破壊し、国内の需要に供給が足りない日本の農政は、今すぐ転換するべき!

2025年4月 7日 (月)

アメリカ人を貧困に陥れ、世界に害を及ぼすトランプの不条理な貿易政策

ジェフリー・D・サックス
2025年4月3日
The Unz Review


 2025年4月2日水曜日、ホワイトハウスのローズガーデンで行われた「アメリカを再び豊かにする」催しで、ドナルド・トランプ大統領は政権の関税計画に関する大統領令に署名した。(ダニエル・トロック撮影、ホワイトハウス公式写真)

 基本的な経済的間違いで、ドナルド・トランプ大統領は世界貿易体制を批判している。アメリカの貿易赤字は、世界がアメリカを騙したことが原因だと彼は誤って主張し「何十年にもわたり、歴史上どの国も騙されたことのないほど彼らは我々を騙してきた…」などと繰り返し述べている。

 関税を課すことで貿易赤字を解消し、輸入を抑制して貿易収支を回復すること(あるいは他国がアメリカをだますのをやめるように促すこと)をトランプは目指している。だが、トランプ関税は貿易赤字を解消するのではなく、むしろアメリカ人を貧困に陥れ、世界の他の国々に損害を与えるだろう。

 ある国の貿易赤字(より正確には経常収支赤字)は黒字国の不公平な貿易慣行を示すものではない。全く別のことを示している。経常収支赤字は、赤字国が生産より支出が多いことを意味する。つまり、投資よりも貯蓄が少ないということだ。

 アメリカの貿易赤字は、アメリカ企業支配階級の浪費尺度で、より具体的には、富裕層の減税と無駄な戦争に浪費された数兆ドルが組み合わさった結果生じた慢性的な巨額財政赤字の結果だ。赤字は、アメリカが、カナダやメキシコに売るより多くのものをアメリカに売っているカナダやメキシコや他の国々の不誠実さによるものではない。

 貿易赤字を解消するには、アメリカは財政赤字を解消する必要がある。関税を課せば(自動車などの)価格は上がるが、貿易赤字や財政赤字は解消されない。特にトランプ大統領は関税収入を、富裕層の寄付者に対する大幅減税で相殺する計画だからだ。更に、トランプ大統領が関税を引き上げると、アメリカは対抗関税に直面し、それがアメリカ輸出を直接阻害する。その結果、アメリカと世界の他の国々はどちらも損をすることになる。

 数字を見てみよう。2024年に、アメリカは4.8兆ドルの商品とサービスを輸出し、5.9兆ドルの商品とサービスを輸入し、1.1兆ドルの経常収支赤字をもたらした。この1.1兆ドルの赤字は、2024年のアメリカの総支出(30.1兆ドル)とアメリカの国民所得(29.0兆ドル)の差だ。アメリカは収入より多くを支出しており、その差額を世界から借りている。

 トランプはアメリカの財政赤字の原因を世界のせいにしているが、それは馬鹿げている。アメリカは収入より支出が多いのだ。考えてみよう。あなたが従業員なら、雇用主との経常収支は黒字だが、商品やサービスを購入する企業との経常収支は赤字だ。収入とまったく同じ額を使っているなら、経常収支は赤字だ。買い物三昧でクレジット・カードの借金が増え、収入以上の出費をしているとしよう。すると経常収支は赤字になる。店があなたをだましているのか、それとも、あなたの浪費が借金を生んでいるのか?

 ワシントンを支配する企業買収者や脱税者の無責任な財政が続く限り、関税では貿易赤字を解消できない。例えば、トランプ関税で海外からの自動車や他の商品輸入が大幅に減少したとしよう。すると、アメリカ人はアメリカ製自動車や輸出されるはずだった他の商品を購入することになる。輸入は減少するが、輸出も減少する。更に、トランプ関税に対抗して他国が課す新たな関税は、アメリカ輸出の減少を更に助長する。アメリカの貿易不均衡は残る。

 関税によって貿易赤字がなくなるわけではないが、アメリカ国民は外国生産者から、より安価に入手できるはずの高価なアメリカ産品を買わざるを得なくなる。関税は、経済学者が貿易の利益と呼ぶもの、つまり国内外の生産者の比較優位に基づいて商品を購入する能力を浪費することになる。

 関税により自動車価格と自動車労働者の賃金は上がるが、その賃金上昇は国民所得の増加ではなく、経済全体でのアメリカ人の生活水準低下によって支払われることになる。アメリカ労働者を支援する本当の方法は、国民皆保険や労働組合結成の支援やグリーンエネルギーを含む近代的インフラへの予算支援など、トランプが好むものと正反対の連邦政府の措置を通じてであり、これらは全て、最も裕福なアメリカ人と企業部門への減税ではなく増税によって賄われる。

 裕福な選挙資金提供者が減税や租税回避(タックスヘイブン経由)や脱税を推進しているため、連邦政府は総支出を税収で賄えない。DOGEがIRSの監査能力を弱体化させたことを忘れないよう願いたい。現在、予算赤字は約2兆ドルで、アメリカ国民所得の約6%に相当する。予算ギャップが慢性的に高いため、アメリカの貿易収支は慢性的赤字のままだ。

 DOGEを通じて無駄と乱用を削減し、財政赤字を削減するとトランプは述べている。問題は、DOGEが財政浪費の本当の原因を誤って伝えていることだ。財政赤字は、不当に解雇されている公務員給与や、将来の繁栄がかかっている政府の研究開発費によるものではなく、むしろ富裕層の減税や、アメリカの絶え間ない戦争への無謀な支出や、イスラエルの絶え間ない戦争へのアメリカの資金提供や、750の海外アメリカ軍基地、肥大化したCIAや他の諜報機関や、急増する連邦債務への利払いの組み合わせによるものだ。

 最も裕福なアメリカ人に対するさらなる減税に道を開くため、トランプ大統領と共和党議員はメディケイド、つまり最も貧しく弱い立場にあるアメリカ人を標的にしていると報じられている。彼らは近いうちに社会保障とメディケアにも狙いを定めるかもしれない。

 トランプ関税は貿易赤字と財政赤字を解消できず、物価を上昇させ、貿易による利益を浪費することでアメリカと世界を貧しくするだろう。アメリカは自国と世界に与えている損害のせいで世界の敵になるだろう。


ビデオリンク


(著者または代理人の許可を得てCommon Dreamsから転載)

記事原文のurl:https://www.unz.com/article/trumps-absurd-trade-policies-will-impoverish-americans-and-harm-the-world/

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 たまたま、Sabby SabというYoutube番組で、Richard Wolfff教授の「今年、不況になる予測」を見ていた。
Richard Wolff: A RECESSION Is Coming This Year! (Interview) 54:19
 Dialogue Works トランプは、アメリカに対して世界を団結させているとジェフリー・サックス教授
Trump is UNITING the World Against the US | Prof. Jeffrey Sachs 35:45
 今朝の孫崎享氏メルマガ題名
時事「中国向け相互関税率は34%、追加分含めると国・地域別で最高の54%、中国も報復措置の拡大で応じる構え」WSJ[中国これまで抑制的。金曜日、中国政府は34%の追加関税に初めて例外なく米国製品すべてを対象で対応。両国間のコミュニケーション不足は、改善の兆しなし]。

2025年4月 5日 (土)

金融知識が欠如しているホワイトハウス - 「関税」がそれを示している

2025年4月3日
Moon of Alabama  
2025年全国金融リテラシー月間に関する大統領メッセージ- ホワイトハウス、2025年4月1日

 アメリカの経済的繁栄の基盤は、アメリカン・ドリームを実現するためう、情報に基づいた財務上の決定を下すための知識と手段を備えた社会だ。...
 このメッセージを私は歓迎する。

 金融知識教育は上層部から始めなければならない。トランプ政権閣僚には、十分な情報に基づいた金融上の決定を下すための知識と手段が明らかに欠如している。

 彼らがどのようにしてこれら数字を導き出したのか、これが唯一の説明だ。

 中国はアメリカ製品に67%の関税を課していない(7.3%だ)。EUはアメリカ製品に39%の関税を課していない(5.2%だ)。数字はでたらめだ。

 すると、それらは一体どこから来たのだろう? アメリカ通商代表部による公式説明はここにある。これはでたらめだ。
James Surowiecki @JamesSurowiecki - 2025年4月3日 0:22 UTC ·

これらの偽関税率がどこから来ているのか分かった。彼らは、実際に関税率と非関税障壁を計算したと主張しているが、そうではない。その代わりに、各国について、その国との貿易赤字を、その国のアメリカへの輸出で割っただけだ

 つまり、インドネシアとの貿易赤字は179億ドル。インドネシアからアメリカへの輸出は280億ドル。17.9ドル÷28ドル=64% で、トランプはこれがインドネシアがアメリカに課している関税率だと主張している。これはとてつもないデタラメだ。

…  トランプにしても、彼らが「貿易赤字を輸入で割り、それが関税率だと国民に伝える」と言ったのが信じられない。そして、その完全にでっち上げた税率を半分に減らして、関税を設定すると決めたのだ。これは実に愚かで欺瞞的だ。

…  実際は私が思っていたより酷い。関税率を計算する際に、トランプ側近は物品の貿易赤字のみを使用した。つまり、アメリカが世界とのサービス貿易で黒字を出しているにもかかわらず、トランプにとって、それら輸出は計算されないのだ。
 この最後の点は中国にとって、そして特にEUにとって重要な点だ。  
EUとアメリカ間の物品およびサービスの貿易は、2023年に1.6兆ユーロという驚異的な額に達した。これは毎日44億ユーロ相当の物品およびサービスがEUとアメリカの間で大西洋を渡っていることを意味する。

...  2023年の二国間物品貿易総額は8,510億ユーロに達した。EUはアメリカ市場に5,030億ユーロの物品を輸出し、3,470億ユーロを輸入した。これによりEUの物品貿易黒字は1,570億ユーロとなった。

 2023年のEUとアメリカ間の二国間サービス貿易総額は7,460億ユーロだ。EUはアメリカに3,190億ユーロのサービスを輸出し、アメリカから4,270億ユーロ輸入した。この結果、EUのサービス貿易赤字は1,090億ユーロとなった。

...  EUとアメリカの物品とサービスの貿易は均衡しており、2023年のEUのアメリカへの輸出とアメリカのEUへの輸出の差は480億ユーロで、EUとアメリカの総貿易額の僅か3%に相当する。
 それにもかかわらず、トランプ大統領はEUからの全商品に20%関税を課すよう命じた。EUの当然の対抗措置は、アメリカの全てのサービス輸入に20%以上の関税を課すことだろう。

 またトランプ大統領は、全ての国からの輸入品に最低10%の関税を課すよう命じた。南極の無人島ハード島とマクドナルド島のペンギンが作った製品には、今後10%の追加料金が課されることになる。



 これらの数字の背後には経済的根拠は皆無だ。
アルノー・ベルトラン @RnaudBertrand -· 2025年4月3日 午前4:16

これらk関税計算がいかに無意味かを示すために、年間GDPが僅か24億ドルのアフリカ最貧国の一つ、レソトの例を挙げてみよう。トランプ計画により、レソトはリストに載っている全ての国の中で最も高い50%の関税率を課せられる。

…  実際のところ、レソトは南部アフリカ関税同盟(SACU)メンバーとして、この地域の貿易ブロックが確立した共通の対外関税構造を適用している。

…  従って、これら5か国がアメリカ製品に課している関税が全く同じなため、アメリカはこれら全ての国に50%の関税を課さなければならない、そうだろう? いや、そうではない。南アフリカは30%、ナミビアは21%、ボツワナは37%、エスワティニはわずか10%で、これは全ての国の中で可能な限り低い税率だ。

 レソトについて具体的に見ると、毎年レソトからアメリカは約2億3,600万ドル相当の商品(主にダイヤモンド、繊維、アパレル)を輸入している一方、レソトに輸出している商品は約700万ドル相当に過ぎない(https://wits.worldbank.org/CountryProfile/en/Country/LSO/Year/2022/TradeFlow/EXPIMP/Partner/by-country)。

 なぜ輸出が少ないのか? 繰り返すが、これは極貧国で、国民の56.2%が1日3.65ドル未満 ( https://databankfiles.worldbank.org/public/... )、つまり年間1,300ドル未満で暮らしているのだ。彼らにはアメリカ製品を買う余裕が全くなく、そのような収入では誰も iPhoneやTeslaを買うつもりはない...

 関税の実際の計算方法は、単純で経済的に意味のない計算式に基づいているようだ。アメリカとある国との貿易赤字を、その国のアメリカへの輸出で割り、これを「アメリカに課せられる関税」と偽って宣言しているのだ。

 そして、昨夜の演説でトランプが行ったように、あなた方は寛大にも、彼らにその「関税」の半分を課すことでのみ「報復」すると宣言するのだ。

 従って、レソトの場合、計算は次のようになる。(2億3,600万ドル - 700万ドル)÷2億3,500万ドル=97%。これがレソトがアメリカに課すとみなされる「関税」で、その半分、つまり約50%がアメリカが「報復」するものだ。

 これが全く意味をなさない理由は非常に簡単にわかる。
 レソトはダイヤモンドを採掘し販売できるため、アメリカより比較優位がある。しかし、アメリカ製品やサービスを購入する購買力が欠けている。トランプ政権の計算は、こうした基本的な事実を無視している。

 ちなみに、ベラルーシ、ロシア、北朝鮮に対して、関税は導入されていない。これは制裁措置のためで、アメリカはこれらの国々とは貿易関係がないと言われている。(原子力発電所用に濃縮ウランを購入する以外は?)

 この愚かな行為が自分の顔の前で爆発するのをトランプ政権は予想していたのだろうか?

 これはスムート・ホーリー関税法の拡大版だ。

記事原文のurl:https://www.moonofalabama.org/2025/04/white-house-lacks-financial-literacy-tariffs-show.html

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 Judge Napolitano - Judging Freedomでもサックス教授が関税批判。
Prof. Jeffery Sachs : The Disaster of Tariffs 38:00

2025年3月 9日 (日)

アメリカに大打撃を与えるトランプ関税戦争

2025年3月6日
Moon of Alabama

 関税がアメリカ国内に製造業を呼び戻すのに役立つとドナルド・トランプ大統領は思い込んでいるようだ。

 トランプ大統領の関税は、これまでアメリカ隣国のカナダとメキシコや中国、そして間もなく欧州連合の4か国を対象とする。

 一期目の任期中に、アメリカと近隣諸国を対象とする自由貿易圏USMCAをメキシコおよびカナダとトランプ大統領は交渉した。現在、彼は同協定の規則変更を試みている。だが、彼の手法は一貫性に欠けている。

 1月21日、カナダとメキシコに対する関税をトランプ大統領は約束した。2月1日に彼はそれを発表した。三日後、彼は関税実施を延期した。2月27日、関税が3月4日に発効すると彼は述べた。3月5日、彼は再び撤回を余儀なくされた(アーカイブ)。  
水曜日、前日最もアメリカに近い貿易相手国に課した25%関税が株式市場を混乱させ、業界から強い抵抗を引き起こしたのを受けて、カナダとメキシコからアメリカに輸入される自動車への関税を一か月間停止するとトランプ大統領は発表した。

 水曜日、トランプ大統領声明をキャロライン・レビット・ホワイトハウス報道官が読み上げ、ホワイトハウスが自動車メーカー最大手三社と協議し、アメリカ・メキシコ・カナダ協定に基づいて輸入される自動車には一カ月の免除が与えられると述べた。
 一か月の免除は冗談だ。ある国から別の国に部品生産を移すには何年もかかる。メキシコやカナダやアメリカには自動車に使われる無数の部品を製造している企業が何百社もある。それは完全に統合された産業で、構築に何年もかかっている。

 アメリカ自動車メーカーはUSMCAが維持されると信じていた。近いうちに関税が適用されれば、メーカーは大幅値上げをするか、生産を停止しなければならないだろう。  北米に対するトランプ大統領関税は、近隣諸国から価値ある譲歩を引き出すための圧力手段とみられる。これは交渉計画の一部で、長期的問題になる可能性は低い。

 だがトランプ大統領の対中関税は別問題だ。トランプ政権は中国を戦略的敵とみなして、深刻な打撃を与えたいと考えている。だが中国は反撃できるのだ(アーカイブ)。  
火曜日、トランプ大統領の最新関税が発効した数分後、アメリカからの輸入食品に独自の広範な関税を課し、アメリカ企業15社への販売を事実上停止すると中国政府は発表した。

 中国財務省は、アメリカ産鶏肉や、小麦、トウモロコシ、綿花輸入に15%の関税を課し、大豆から乳製品まで他食品にも10%の関税を課した。更にアメリカ最大のドローン・メーカーで米軍や救急業務に納入しているスカイディオを含むアメリカ企業15社に、特別な許可がない限り中国からの製品購入を禁止すると中国商務部が発表した。

 アメリカは世界貿易機関の自由貿易ルールに違反していると中国全国人民代表大会報道官楼欽建氏が非難した。「アメリカは一方的関税を課すことでWTOの規則に違反し、世界の産業チェーンとサプライチェーンの安全と安定を破壊した」と彼は述べた。
 アメリカで広く使用されている中毒性の合成オピオイド、フェンタニルの違法輸入を阻止するには中国への関税が必要だとトランプ大統領は主張している。

 フェンタニルと、その原料となる化学物質に対し既に厳しい規制を設けていると中国は反論している。アメリカ国内にしか存在しない問題に対して、中国を責めることはできない。  
フェンタニル問題がアメリカで深刻化している理由は決して外部的なものでなく、麻薬を厳しく禁止している中国とは何の関係もない。違法フェンタニルは1980年代早々にアメリカ市場に流入し始めた。その後、アメリカ製薬会社が合成オピオイドの依存性を隠し、医師が鎮痛剤を過剰処方し、患者の間で中毒が蔓延していることがメディアで明らかにされた。統計によると、世界人口の5%を占めるアメリカが世界のオピオイドの80%を消費しているが依然フェンタニル関連物質を分類として恒久的に規制していない。異常な需要が違法フェンタニル市場の発展を後押しし、アメリカでのフェンタニル蔓延に根本的に貢献している。
 薬物中毒の社会的原因を環球時報が指摘している。  
アメリカにおける社会統治の欠如が麻薬問題を悪化させている。JD・ヴァンス副大統領も自伝で同様の状況を述べている。多くの低所得世帯は教育や監督が不十分な混沌とした地域社会で暮らしている。このため多くの子どもが麻薬乱用や麻薬密売の劣悪な環境下で暮らしており、断ち切るのが困難な悪循環を形成している。
 中国政府報道官は反撃すると誓っている。  
我々は脅迫を怖れない。いじめは効果がない。圧力や強制や脅迫は中国に対処する正しい方法ではない。中国に最大限の圧力をかけている人々は、相手を間違え、計算を間違えている。アメリカが本当にフェンタニル問題を解決したいなら、中国と対等に接して協議するのが正しいやり方だ。

 もしアメリカが戦争を望むなら、関税戦争であれ貿易戦争であれ、あるいは他のいかなる種類の戦争であれ、我々は最後まで戦う用意がある。
 このような中国発言は通常発言とは全く異なる。そのため、アメリカと中国間ですぐに妥協が成立する可能性は低いと思われる。

 ヨーロッパに関して、ヨーロッパから輸入する商品数はヨーロッパへの輸出量を上回るとアメリカは主張している。これは事実だが、経済関係の全範囲を網羅しているわけではない。アメリカがヨーロッパに輸出するサービス(ソフトウェアなど)はヨーロッパがアメリカに輸出するサービスより遙かに多い。商品とサービスの交換総額は差し引きゼロだ。ヨーロッパ商品に関税をかけることにアメリカが固執する場合、EUはアメリカの全てのサービスに関税を課して対抗できる。結果は理論上、引き分けになるはずだ。

 だが関税は危険だ。関税は市場を歪め、参加者全員に多大な代償を負わせる。その痛みを最も感じるのアメリカ消費者だ。  
計画されている関税の全てが発動されれば、アメリカの関税率はわずか数週間で20%を超え、第一次世界大戦前以来の高水準となる。ジョセフ・ポリターノが指摘している通り、これらの措置の代償は莫大で、アメリカ輸入品1兆3000億ドル、つまりアメリカに持ち込まれる全商品の約42%に相当し、100年近く前の悪名高いスムート・ホーリー法以来最大の関税引き上げとなる。
...
 これら関税の総額は、アメリカ消費者と企業が輸入品購入に支払う金額が増えることで1600億ドルの増税となり、今後も更に増える見込みだ。火曜日にトランプ大統領が発表した措置は、提案した措置の40%にすぎない。次の措置が実施されれば、輸入経費は6000億ドル以上、GDPの1.6%にまで上昇することになる。

...  トランプが計画を撤回しなければ、世界経済は1930年代の大恐慌のような崩壊に直面する可能性があるとアメリカ国際商業会議所は懸念している。「これが1930年代の貿易戦争の領域に陥る下降スパイラルの始まりになるのではないかと深く懸念している」と国際商業会議所のアンドリュー・ウィルソン副事務局長は述べた。トランプの措置は「ちょっとした混乱」を遙かに超える可能性があるのだ。
記事原文のurl:https://www.moonofalabama.org/2025/03/trumps-tariff-wars-will-hurt-us-the-most.html#more

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