イギリス

2025年4月 2日 (水)

欧州が和平に本気なら、会議にゼレンスキーを招く回数を減らすべき



イアン・プラウド
2025年3月30日
Strategic Culture Foundation

 アメリカは単にウクライナ側に立つのではなく、交渉の仲介役を務めようとしているとプーチン大統領は見ている。

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 ゼレンスキー大統領は現在、欧州各国首脳の主要会議には全て出席している。おそらく理解できることではあるが、議題がウクライナの要求に乗っ取られ、和平交渉で欧州が公平な役割を果たす能力が制限されることを意味する。

 3月27日に欧州首脳はパリで再び会合を開き、将来の和平過程の一環としてウクライナに安全保障の保証を提供することをいとわない欧州諸国集団、具体的には有志連合構想について議論した。

 この会議では新たな進展は生まれず、共同主催者であるフランスのマクロン大統領とイギリスのスターマー首相は最後にそれぞれ記者会見を行った。凍結されたロシア資産をウクライナ復興に使うという物議を醸す問題は、法的リスクと財政的リスクが大きいことから、今回も合意に達することはできなかった。

 将来ウクライナに西側諸国の「再保証」部隊を派遣するという議論を呼ぶ構想は新たな決定には至らなかった。ギリシャやイタリアを含む一部ヨーロッパ諸国は、これは実行不可能で危険な措置と見ていることを明らかにしている。実行不可能なのは、基本的にNATO軍のウクライナ派兵は、ほぼ確実にロシアの抵抗に直面するためだ。危険なのは、最も楽観的な西側諸国の評論家さえ、派遣されるヨーロッパ軍は三万人と語っており、現在ウクライナにいるとされるロシア軍60万人に比べて、人員数がごく僅かなせいだ。

 だが、もっと根深い問題もある。いかに実行不可能で危険であろうと、ウクライナに軍を派兵する提案は、間違った問題への取り組みだ。アメリカや、間接的にはNATO事務総長は、軍事同盟へのウクライナの加盟希望は、もはや議論の対象外だと認めている。パリ首脳会談では、和平協定の一環としてウクライナの安全保障がどのようなものになるかという詳細に焦点を当てた方がよかっただろう。これはイタリアのジョルジャ・メローニ首相が推奨した欧州有志国による第5条のような誓約に沿ったものになるかもしれない。

 マクロンやスターマーなどの指導者らも提案されている軍事力の規模が限られていることや、現在の進捗状況では、軍隊がウクライナに到着するとしても数ヶ月かかる現実を考えれば、軍事力による恫喝は、和平のためロシアを攻撃するよう圧力をかけるための単なる戦術だと主張することはできない。

 これもまた委員会方式で戦争を戦うヨーロッパの無能さを物語っている。パリで開催される大規模会議は、正論を言い、連帯を表明し、援助以外のあらゆる支援を提供する機会をヨーロッパ指導者連中に与える。だが根本的に、パリ・サミットのような催しは、ウクライナに平和をもたらす取り組みに新たな発想や新しいエネルギーや勢いを注入するものではない。

 実際、実質的な面から見ると、これらの出来事は真の和平を阻止し遅らせる戦術になっている。

 ウクライナのゼレンスキー大統領を招待せずには欧州首脳が会議を開けないことが、その一因であるように私には思える。カーゴパンツと黒いスウェットシャツを着た彼は、王族のように扱われているように見える。そしてもちろん、戦時に人々がウクライナに連帯感を抱き、ゼレンスキーに個人的親近感を抱くのは理解可能かもしれない。

 だがこれら会談でゼレンスキーは一体どんな役割を果たすのかという疑問が残る。

 明らかに彼はヨーロッパでの多くの記者会見で展開する独自の「要望」と一連の言説を携えてやって来る。その中には、ロシアに対する更なる制裁の必要性や、ヨーロッパはプーチン大統領に和平を迫るべきこと、ウクライナをより多くの兵器で強化することだけが役に立つなどが含まれる。これらの主張は、あらゆるウクライナ政府関係者やメディアに積極的に展開されているため、皆様おそらくこれまで数え切れないほど聞いたことがおありだろう。

 戦場でロシアと戦っているため、ウクライナが国内の士気を高めることを含め、より広範な戦争努力の一環として、積極的対外広報姿勢を追求する必要があるのは理解できる。ゼレンスキーの立場なら、私も同様の戦術を追求するかもしれない。だが彼が進める制裁やロシアへの圧力といった方針は、戦争を終わらせるのではなく、戦争を長引かせるものになりそうだ。

 そして現在、戦争に関する欧州の主要会議全てにゼレンスキーが出席しているため、主催者が同意するかどうかに関わらず、彼の発言がその日の議題の大部分を占める。

 パリでの記者会見で、ゼレンスキーの原稿に従い、プーチン大統領に和平を迫る取り組みの一環として、西側諸国はロシアに対し更なる制裁を課すべきだとスターマーは述べた。これは、最初の制裁が導入されてから11年が経過した現在も、ロシア経済が依然として欧州諸国を上回っている事実にもかかわらずだ。(実際、今週、イギリス予算責任局は2025年のイギリス経済成長率の予測を2%から1%に半減させた。)あるいは、ロシアがウクライナの戦場で依然優位に立っている中、更なる制裁を課すのは、プーチン大統領が和平協定に同意するのを阻むだけなのは自明だ。

 今週、アメリカがサウジでのウクライナとロシア代表団と黒海協定解除に同意したにもかかわらず、ロシア農業銀行に対する極めて小規模な制裁緩和の可能性は未だ不透明だ。完全な平和が訪れるまで制裁緩和はあり得ないとマクロン大統領は述べた。ロシア軍がウクライナから完全に撤退するまで制裁は解除できないと欧州委員会報道官は述べたが、この立場は、明らかに他のEU加盟国との議論も合意もされていない。

 イギリスやフランスやヨーロッパ諸国のこうした発言は善意から出たものかもしれないが、ほとんど役に立たない。ヨーロッパが和平交渉に建設的意見を述べるのを既に困難にしている官僚機構の拘束に加えて、ゼレンスキーが全ての会議に出席することで、必然的にヨーロッパは彼の議題に同意し、推進する方向に引きずり込まれることになる。

 そしてもちろん、いかなる和平交渉でもロシアがヨーロッパを独立した主体とみなしていないことも意味している。ヨーロッパはウクライナの延長線上に位置し、公平な立場を取れないからだ。特に、ヨーロッパ指導者連中がプーチン大統領と直接交渉することはほとんどない。

 トランプとの和平交渉にプーチン大統領が前向きなのは、アメリカが単にウクライナ側につくのではなく、交渉の仲介役になろうとしていると見ているためだ。現在、ウクライナの今後の和平交渉にはイギリスとフランスが参加すべきだとゼレンスキーは「主張」している。実際、和平交渉で、スターマーとマクロンがより重要な役割を担いたいなら、ゼレンスキーを招く会議の数を減らすべきだ。

記事原文のurl:https://strategic-culture.su/news/2025/03/30/if-europeans-serious-about-peace-they-should-invite-zelensky-fewer-meetings/

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 Dialogue Works トランプによるイラン攻撃可能性の論議。
Larry C. Johnson & Scott Ritter: Why War with Iran Would Be America's Biggest Mistake 1:43:47
 今朝の孫崎享氏メルマガ オンライン講座案内。
案内:私とスパイの物語【オンライン受講】孫崎 享/元駐イラン大使・国際情報局局長 主催:朝日カルチャーセンターくずは教室4/9, 5/14, 6/11、13:30~15:00旧ソ連、イラク、イランに勤務、外務本省国際情報局の事務官、課長、局長として西側情報関係者と交流。スパイ小説重ねスパイを語る。
 日刊IWJガイド
フジテレビ清水社長『速やかに関係者に対する、厳正な処分』を表明! しかし日枝久氏の説明責任は『個人ではなく、組織が持つ』と否定!」2025.4.2号~No.4495

■はじめに~第3者委員会の調査報告書を受け、フジテレビ清水社長は「速やかに関係者に対する、厳正な処分を」と表明! しかし日枝久氏の説明責任を度々質問されても「(日枝氏)個人ではなく、組織が説明責任を受けもつ」と依然かばう姿勢! 3月27日に「経営体制は刷新」と主張するも、「退任した取締役のほとんどが、特別待遇で、常任顧問や顧問として再雇用」の指摘に、「『特別待遇』とは、退任取締役が社員に戻る時に適当な言葉がない」等苦しい弁明!「中居正広氏に刑事責任を問うか?」には、「当事者女性の考えに寄り添う」と主体性欠く曖昧な答弁! 人権重視プログラムを全社員に徹底し始めても、制作会社スタッフは蚊帳の外!

■4月になりました! ですが、IWJの財政は崖っぷちです! 3月は1日から31日までの31日間で、106件、246万646円のご寄付・カンパをいただいています。ありがとうございます! この金額は、月間目標額350万円の70%にあたります。3月は月間目標まで、あと30%、103万9354円届きませんでした! どうか、緊急のご支援を!緊急のご寄付、カンパをお願いします!

2025年3月27日 (木)

最近のキーウによる裏切り後も、依然外交的解決は可能なのか?



ルーカス・レイロス
2025年3月21日
Strategic Culture Foundation

 インフラ非攻撃協定即時違反はキーウ政権がいかに信頼できないかを示している。

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 最近、ドナルド・トランプ大統領とウラジミール・プーチン大統領の電話会談により、アメリカとロシア連邦の外交関係改善に向けた新たな試みが行われた。3月18日に行われたこの会談は2時間以上続き、ウクライナ紛争における「人道的緩和」模索に一定の進展が見られた。しかし和平問題は遙かに複雑で、永続的合意への期待は依然極めて低い。更に電話会談以降の出来事は、キーウ政権が引き続き予測不可能で不安定な主体で、停戦や平和的解決の可能性が危険に曝されていることが明らかになった。
 
キーウと支持諸国の強硬姿勢

 和解の試みにもかかわらず、具体的進展は限られており、トランプ大統領が提案した停戦合意が成功する見込みは低い。プーチン大統領は停戦合意に合意する意向を表明しているものの、敵対行為の一時停止の可能性は、戦線沿いのウクライナ行動を監視し、強制動員やキーウへの外国兵器輸送を停止するなど具体的保証にかかっていると強調している。更に西側諸国による諜報データ共有を中止する必要がある。だが西側諸国はこうした要求に完全に応じることはできないようだ。

 それでも、戦争暴力を減らすために重要な措置がいくつか取られた。双方はインフラ施設への攻撃を30日間停止することで合意した。更に捕虜交換が合意され、既に進行中で、負傷したウクライナ軍兵士はキーウに移送された。また黒海に新たな海上安全保障体制を構築するための協議に参加することをモスクワは約束した。

 予想通り、インフラ協定の条件に対する最初の違反は、双方がこれら目標への攻撃をやめる合意直後に起きた。ウクライナ軍はロシアのクラスノダール地方の石油施設を攻撃したが、これはゼレンスキー政権が約束を守らないことを明確に示した行為だった。この事件は、キーウが国際条約を無視し、建設的対話の可能性を一切無視する犯罪国家のように振る舞っていることを裏付けるものだった。ウクライナ国民の苦しみを終わらせることを求めるのではなく、むしろ紛争を長引かせ、敵に圧力をかけるためにテロ戦略を採用することにキーウは関心があるようだ。

 外交に抵抗し、ウクライナの国家テロを支援し続けているネオナチ政権のヨーロッパ同盟諸国は、合意不履行を非難していないことを強調しておく必要がある。アメリカのトランプ政権の努力にもかかわらず、ヨーロッパは紛争の不安定化要因であり続け、あらゆる形態での戦争支持の強硬姿勢を支持している。
 
ウクライナを信じるのは不可能

 モスクワにとって、キーウの意図に対する不信感は変わらない。マイダン革命以来、署名した協定を組織的に破ってきたウクライナ政権の行動は、真の永続的理解の余地がないことを明らかにしている。キーウの戦略は、紛争開始以来、実際は平和を求めることなく、全面戦争を求め、不可逆的行動に焦点を当ててきた。プーチン大統領が多くの面で善意を示したにせよ、ウクライナ政府が依然テロリスト代理人として行動し、平和へのあらゆる試みを常に拒絶している事実をロシアは無視できない。これはクラスノダール石油インフラへ攻撃後これまで以上に明らかになった。

 アメリカがどれだけ平和的解決を仲介しようとしても、現実にキーウは自国の野望に沿わないいかなる合意も受け入れるつもりはない。トランプ大統領の緊張緩和提案にも関わらず、ウクライナ政府は攻勢継続を主張し、真の平和を確立する試みを妨害している。このために、合意は実行される前に弱体化してしまう。
 
避けられない道としての軍事的解決

 キーウが合意遵守を拒み続けていることから、ロシアにとって実行可能な唯一の選択肢は軍事的解決だ。外交は、多くの人が望んでいるにもかかわらず、平和ではなく紛争長期化を求める政権の姿勢によって直接妨害されている。(かつての)同盟国ウクライナの行動を制御できない無力さをワシントンは見せている。トランプが緊張緩和を導こうと試みているにもかかわらず、イギリスや欧州連合加盟諸国はキーウを無条件で支持し続け、戦争を煽り、外交の実質的な進展を妨げている。

 このシナリオでは、ウクライナが対話に応じるのを待ち続けることにもはやロシアに何の利点もない。紛争が長引けば長引くほど、ウクライナは資源と能力の面で益々失うことになる。戦場でのロシアの軍事的勝利は益々不可避に思われ、この現実に直面したワシントンは必死に新たな和解の機会を作ろうとしている。だが、キーウと西側同盟国に対する統制の欠如は、和平へのいかなる試みも失敗に終わる。

 ウクライナの損失が飛躍的に増大する中、政権への圧力は高まっている。ロシアの現在の和平条件を遵守する決断をキーウ当局がしなければ、残された選択肢は戦争継続だけでなく、ロシアの戦略的・領土的利益の拡大のみになるだろう。

 キーウの姿勢が変わらないことを考えれば、現時点では平和的解決の可能性は非現実的で、軍事的解決が再びモスクワにとって唯一実行可能な選択肢だと結論付けるのが妥当だろう。

 結局、キーウがインフラ攻撃停止のような簡単な合意さえ履行できないなら、一体どうやって恒久的平和を確保できるだろうか?

記事原文のurl:https://strategic-culture.su/news/2025/03/21/is-diplomatic-solution-still-possible-after-kiev-latest-betrayal/

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 Dialogue Works 突然のイエメン爆撃は軍需産業で成立する永久戦争国家が生きるためだけに理不尽な戦争を続けているとラリー・ウィルカーソン氏。真の狙いはイラン攻撃。
US Faces Total Defeat if War with Iran Begins — Yemen Was Just the Warning | Col. Larry Wilkerson 38:52
 Alex Christoforou Youtube ウクライナにNATO軍を送れとゼレンスキー。  IOC新会長で、オリンピックへのロシア参加可能性?
RUSSIA energy ceasefire warning. Arestovich, Budanov crazy plan. New IOC chief hints Russia return 22:08
 昨日の孫崎享氏メルマガ題名
ケネディ殺害と安倍元首相殺害の類似性
 日刊IWJガイド
「ウクライナが米国の仲介によるエネルギー施設への攻撃一時停止合意に違反し、ロシア南部の石油貯蔵施設やクルスクのガスパイプラインを攻撃!」2025.3.26号

■はじめに~トランプ米大統領の仲介で合意したはずの、ロシアとウクライナのエネルギー施設やインフラに対する30日間の攻撃停止に、ウクライナは即日違反! ロシア南部の石油貯蔵施設やクルスクのガスパイプラインを攻撃!「ウクライナの軍事情報長官キリル・ブダノフ氏は、ウクライナが紛争で負け始めた場合、国内の原子力発電所を爆破することを提案した」と、ゼレンスキー氏の元側近アレストヴィッチ氏が、明らかに! ブダノフ長官は、「我々はみな死ぬが、彼らも死ぬ」と、正気の沙汰ではない、破滅的な発言! トランプ政権の「ウクライナの原発を米国が所有」との提案は、核の大惨事を防ぐため!?

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2025年3月22日 (土)

カナダ、メキシコ、ヨーロッパとのアメリカ貿易戦争は一体どんな結果をもたらすのか?



ロレンツォ・マリア・パチーニ
2025年3月19日
Strategic Culture Foundation

 既にアメリカは、自国の将来についてどうするかを決めるためには、新たな世界の大多数と交渉しなければならない状況に陥っている。

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 アメリカがカナダ、メキシコ、ヨーロッパに対して最近仕掛けた貿易戦争は、国際経済体制に大きな影響を与えた。幅広い輸入品に大幅な関税を課すという特徴を持つこれら保護主義的措置は、世界貿易の動向や世界の大国間の経済関係に及ぼす可能性のある影響について懸念を引き起こしている。特に、これらの緊張がアメリカとロシア間の商業、経済、投資協力の拡大に寄与するかどうかという疑問が生じる。生じる主な疑問は、これら貿易戦争が世界貿易と関係する経済にどのような影響を及ぼすか、これら紛争がアメリカとロシアの経済的和解に寄与するのかということだ。
 
現在の貿易紛争の背景

 アメリカと主要経済パートナー間の貿易摩擦は新しい現象ではないが、過去10年間で保護主義政策への回帰により激化している。

 カナダとメキシコに関しては、アメリカはカナダとメキシコからの鉄鋼輸入に25%、アルミニウム輸入に10%の関税を課し、両国の反発を招いている。伝統的に自由貿易協定(USMCA、旧NAFTA)に基づく北米の貿易関係は、これら措置により深刻な打撃を受けている。

 一方、欧州では、欧州がアメリカ農産食品に関税を課したことを受けて、自動車やその他の高級品の輸入に関税を課せられ、打撃を受けている。アメリカと欧州の緊張は大西洋をまたぐ関係の悪化を招き、双方の経済安定を危うくしている。

 貿易戦争は必然的に生産コスト上昇を招き、インフレ上昇と企業競争力の低下につながる。関税導入により輸入品は値上がりし、様々な経済分野に影響を及ぼす。自動車やハイテク業界など、輸入部品に依存している業界は価格上昇の影響を強く受ける。アメリカの大豆、肉、乳製品生産者は、カナダ、メキシコ、EUからの貿易報復により大きな損失を被っている。大西洋をまたぐ観光業と輸送業は経済緊張の影響を受け、この分野の成長を鈍化させている(過去3か月間のアメリカ政府の貿易政策に関する声明の時系列は、こちらをお読み願いたい)。

 世界的サプライチェーンの分断は貿易戦争の最も深刻な結果の一つだ (そして、これは一見直接関係ないように見えるが、実際は市場動向に依存している他の多くの国々にも影響を与える結果となあることに留意願いたい)。現代産業は複雑な国際サプライヤーネットワークに依存しており、関税により生産コストが増加し、世界貿易の効率が低下する。
 
西側同盟の弱体化<

 貿易戦争は単なる経済問題ではなく、地政学的に重大な意味を持つ。制裁政策が計画的に欧州を弱体化させるための手段であったことは今やよく知られ広く認められている。

 データによると、EUは物品部門でアメリカとの貿易黒字が大きく、2023年には1570億ユーロに達する。しかし、サービス部門では、EUは1090億ユーロの赤字を抱えている。したがって、両地域の経済関係は、よく言われているほど不均衡ではない。欧州企業はアメリカに多くの物品を輸出しているが、一方、欧州はアメリカから多くのサービス、特にデジタルサービスを購入している。欧州製品に対するアメリカ関税は、アメリカ市場に最も依存している分野に損害を与える可能性があり、その影響は国や影響を受ける商品の種類(自動車など)によって異なる。この不均衡を利用してEU加盟国を分裂させ、個別交渉するよう迫る意図があるかもしれないが、貿易政策はEUの独占的権限のままであるべきだ。既に一部では、他国に不利益になる有利な条件で交渉する考えが提唱されているが、交渉においてより大きな影響力を発揮するためにEUが統一的姿勢を維持すべきことは明らかだ。欧州単一市場は世界最大規模で、人口は約4億5000万人、世界のGDPの20%を占めている。

 欧州が国際競争に残るためには、圧力と誘因両方を組み合わせた戦略を採用する必要があるのは明らかだ。

 伝統的なアメとムチ手法の観点から見てみよう。「ムチ」はアメリカ以外の市場への拡大で、対抗関税を課す可能性がある。既に欧州委員会は海外からの製品とサービスに対する関税計画を準備している。だが貿易戦争はどちらの側にとっても有利ではない。「アメ」はアメリカからのエネルギー輸入、特に液化天然ガスを増やすことで、これは環境移行に関してある程度の妥協を伴う一方、ロシアとの決定的決別を可能にする動きでもある。武器購入は、商業的利益が防衛の自立と欧州防衛産業の優先という戦略的利益と重なるワシントンで明らかに歓迎されるだろう。

 強調すべき基本的な点は、関税は数多くのマクロ経済変数に依存する貿易赤字を是正するための効果的または十分な手段ではないことだ。特にアメリカの赤字は、欧州や中国や他のグローバルサウス地域の製造能力がアメリカに輸出されることに起因しており、これら地域での消費によって吸収されていない。更に関税は、それを課す側と受ける側双方に損害を与える傾向があり、最終的に消費者に負担がかかる税金として作用する。関税は地元生産者の需要を増やす可能性があるが、この影響は、特に単一製品が世界中の多数の部品から構成される複雑な生産環境では、ほとんど選択的でない。実際、関税は一般的なインフレを引き起こす傾向がある。だが、これら決定に経済理論の確固たる基盤を認めることは困難で、その結果、欧州や他の国々はアメリカの行動変化に適応する必要がある。

 まさにこれが、我々が目にし始めている現象だ。最近、欧州委員会委員長と委員団全体がインドを訪れ、長年議論されてきたナレンドラ・モディ首相との自由貿易協定が年末までに締結されると発表された。協定が締結されれば、世界最大の自由貿易協定となり、世界経済に起きている変化の明確な兆候となる。関税やその他の地政学的考慮から、いくつかの国がEUとの関係強化を迫られる可能性がある。同時に、EUは世界の他地域との新たな同盟関係を検討し、中国との関係も見直す可能性がある。これは、第1回フォン・デア・ライエン委員会のリスク回避ガイドラインから逸脱する可能性がある。

 関税復活に伴う深刻なリスクは、世界市場に不確実性をもたらすことだ。相互に結びついた経済では、サプライチェーンが突然の変化により混乱し、特定製品の不足やコスト増加のリスクが高まる。関税に関連する不確実性は事業上の決定に影響を及ぼし、企業が投資を延期したり、開発戦略を凍結したりする可能性がある。
 
アメリカとロシアは貿易均衡を取り戻すのか?

 現時点では、両国にとって安定的で有利な商業関係が回復するとは予想しにくい。国際金融における主要通貨としてのドルの下落は止めようがないが、アメリカはまだそれに納得していない。ロシアと中国は、アメリカ通貨をポートフォリオから外すことなく、多くの取り引き、ほぼ全ての取り引きでドルを使い続けているため、ある意味でアメリカに大きな恩恵を与えている。

 些細なことに思えるかもしれないが、実際それは重要な支援で、外交的には非常に説得力あるソフトパワーだ。なぜなら、それはあたかも「市場のルールを決めるのはあなた方だけであってほしくない。我々もここにいる。各国は独自ルールを提示して参加できなければならないが、あなた方に飢えてほしくはない。同じ帝国主義の論理を繰り返すことは望まない」と言っているかのようだからだ。これから見る通り、これはまさにスタイルの教訓だ。

 アメリカが保護主義政策を継続すれば、カナダ、メキシコ、欧州との緊張関係が更に悪化する可能性がある。このシナリオは、BRICSや中国が主導する一帯一路構想など代替経済圏の強化とともに国際貿易の更なる分断につながるが、同時にこれまでより速い勢いで脱ドル化が加速し、一部の国は国際貿易で米ドルに代わる手段を模索することになる。

 もう一つ可能性がある結果は、多国間主義への流れの反転と、歴史的同盟国との貿易交渉への復帰だ。この場合、アメリカは経済戦略を再検討し、欧州および北米との関係を修復でき、ロシアはアメリカとの貿易関係において、もちろん特権的だが排他的ではない立場を維持し、経済協力はおそらく非常に緩やかに増加するだろう。

 より極端なシナリオでは、ワシントンは多極化移行を主導する国の条件を受け入れるしか選択肢がなくなるだろう。

 結論として、既にアメリカは、自国の将来についてどうするかを決めるためには世界の大多数と対峙しなければならない状況にあると言える。これは素晴らしいパラダイムシフトだ。アメリカ流に言い換えれば「一人の人間にとっては小さな一歩だが、人類にとっては偉大な飛躍だ」と言えるだろう。

記事原文のur:https://strategic-culture.su/news/2025/03/19/what-will-united-states-trade-wars-with-canada-mexico-and-europe-lead-to/

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 Judging Freedom Ray McGovern氏「トランプはジキルとハイド。」
INTEL Roundtable w/ Johnson & McGovern : Weekly Wrap 33:12
 今朝の孫崎享氏メルマガ題名
ケネディ暗殺機密文書18日全公開。新たに公開されたのは約8万頁。当時ケネディはカストロ政権の軍事的転覆、北越への武力攻撃等を画策する軍参謀本部、CIA過激派と対立。文書保存の危険性は十分承知、疑惑よぶ文書はそもそも存在しないと思う。私個人は前方からの狙撃説ありうると思う

2025年3月11日 (火)

発狂したヨーロッパ



ソニア・ファン・デン・エンデ
2025年3月9日
Strategic Culture Foundation

 過激化して現実から乖離した欧州エリート連中は、ロシアに対する戦争言説と恐怖をあおる言説を毎日繰り返し国民を恐怖に陥れている。

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 ウクライナ問題に関するEUの頑固さは驚くべきもので、現実との大きな乖離を示している。戦争で負けているのに、ヨーロッパはこの事実に気づいていないようだ。敗北を認めるどころか、EU政治家たちは錯乱状態で、紛争の第二段階を企んでいるようだ。アメリカの支援なしでもこの戦争に勝てると彼らは主張しているが、もし失敗したらどうなるのか? その時、彼らは停戦を懇願するのだろうか?

 歴史を振り返ってみよう。ドイツ、フランス、ウクライナ、ロシアの間で締結されたミンスク合意1と2(2014-2015年)は、戦闘を停止し、ウクライナ国内のドンバス地域に何らかの自治権を与えることを目的としていた。だが、ロシアとの和解を選挙公約に掲げていたにもかかわらず、ゼレンスキーは別の計画を持っていた。彼はクリミアを奪還し、ドンバスを支配下に置くことを目指し、爆撃作戦を激化させた。2022年1月までにドンバス爆撃は激化し、特にドネツクで多数の民間人の犠牲者を出した。

 その後、元イギリス首相ボリス・ジョンソンと(バイデン政権)アメリカがゼレンスキー大統領にロシアと和平を結ばないよう指示していたことが明らかになった。ウクライナがNATO加盟の野望を放棄し、軍事制限を課し、侵略があった場合、欧米諸国の支援を確保することを提案したイスタンブール・コミュニケにつながったトルコでの交渉を思い出す。合意に近づき、双方大幅な譲歩を検討していたが、2022年5月に交渉は突如中断された。平和に興味のない欧米諸国はロシアの敗北を求め、「偽旗」ブチャ事件とされる事件を受けて交渉は頓挫した。

 ドナルド・トランプ率いる新政権誕生により、ウクライナとロシア間で持続可能な平和条約を結ぶための取り組みが進められている。停戦だけでなく永続的平和だ。だがウクライナの姿勢が進展を阻んでいる。和平にウクライナやヨーロッパは必要ないとアメリカは主張しているが、もちろんこれはたわ言だ。たとえ(バイデン政権下)アメリカが紛争を扇動したにせよ、解決策はウクライナとロシアから生まれなければならない。平和条約か降伏が不可欠だ。

 だが、バイデン前政権より洗脳されたヨーロッパ・エリート連中は譲歩を拒んでいる。これは、ヨーロッパが80年以上もしてきたように、アメリカに魂を売る危険性だ。アメリカが事実上大陸を占領するのを許したことで、ヨーロッパは主体性を失った。今アメリカに見捨てられたヨーロッパは衝撃を受け、必死に自分を再発見しようとしている。

 アメリカの影響から自由な強く独立した大陸であると証明することをEUは目指している。だが、この自立の追求は、戦争という危険な道へとヨーロッパを導いている。「ヨーロッパ再軍備」計画は、事実上ロシアに対する宣戦布告だが、ヨーロッパ指導者連中はこれを否定するだろう。

 ヨーロッパ・エリート層のせいで何百万人もの命が失われた世界大戦の惨状を彼らは忘れてしまったようだ。当初アメリカは、第二次世界大戦への関与を避けていたが、最終的に介入した。ヨーロッパがロシアを挑発し、アメリカが再びヨーロッパを「解放」せざるを得なくなる歴史が繰り返されるのだろうか。それとも、政治家連中を捕らえている戦争狂からヨーロッパは自らを解放するのだろうか。

 第二次世界大戦以来、ヨーロッパがアメリカ占領下にあったのは事実だ。1945年以来、アメリカはあらゆる主要な紛争を引き起こし、ヨーロッパをアフガニスタン、リビア、イラク、シリアの戦争に引きずり込んできた。その結果は今も明らかだ。ほとんどの難民はヨーロッパに渡り、アメリカは中東に火をつけた後、文字通り手を引いたのだ。

 現在のヨーロッパに対するアメリカの「説教」は同情や怒りから生まれたものではない。アメリカは破産寸前で、麻薬中毒やホームレスや崩壊しつつあるインフラに取り組んでいる。「アメリカ第一主義」や「アメリカを再び偉大にする」というスローガンは、たとえ帝国主義や植民地主義や、いかがわしい取り引きの復活を意味するにせよ、超大国の地位を取り戻したい願望を反映している。アメリカは自国生存に気をとられているのだ。

 少なくとも2022年から、ヨーロッパはロシアとの戦争に国民を準備させてきた。トランプ政権発足以来、欧米メディアは戦争言説で溢れている。政治家連中は今や48時間でなく72時間、緊急計画について語り、差し迫った紛争をほのめかしている。オランダのような裕福な国が戦争経済に移行しつつある。

 ヨーロッパの防衛力は紛争に対処できるが官僚主義と費用制約が軍備生産を妨げている。兵士不足が事態を更に複雑にしているが、ヨーロッパ・エリート連中はひるんでいない。だがヨーロッパ人口の相当部分は戦闘を望んでいない。ドイツでは最近の選挙でロシアとの平和を主張する政党「ドイツのための選択肢(AfD)」への幅広い支持が明らかになった。だが選挙は操作されたとされ、ザーラ・ヴァーゲンクネヒトの政党BSW(ザーラ・ヴァーゲンクネヒト同盟=理性と公正のために)はソーシャルメディアで悪者扱いされた。新議会がおそらく拒否するだろう防衛費増額を新首相メルツは速やかに承認した。

 フランスのマクロン大統領はロシアに対する核兵器使用さえ示唆し、オランダを含む他のEU諸国はロシアが2014年の停戦交渉を妨害したと非難した。オランダ首相は自国の経済的安定よりウクライナを優先し、適切な承認なしに30億ユーロを防衛費に割り当てた。

 だが代替メディア情報源は、ヨーロッパ市民はロシアと戦う気がないことを示唆している。主流メディアはこの件について沈黙を守っており、代わりに兵役義務再導入について議論している。ヨーロッパ諸国政府は、表面上はウクライナを守り、ロシアのヨーロッパへの攻撃を阻止するため、ロシアとの戦争に備えることだけに集中しているが、彼らはそれが馬鹿げた考えだと知っている。

 ロシアとの戦争に対するヨーロッパ世論に関する信頼できる情報は阻止されたり抑圧されたりすることが多いため、ほとんどない。だがX(旧Twitter)などのソーシャルメディアや代替メディアは特にドイツとオランダで広範な反対があることを示唆している。

 イギリスも信頼できるデータは不足しており、反対意見は主に代替メディアやソーシャル・メディアで表明されている。EU寄りメディアは戦争に取り憑かれたバブルの中にいて、ヨーロッパと西側諸国を紛争に備えさせることに固執している。ヨーロッパ政治家の言説は憂慮すべきもので愚かでもある。ヨーロッパが最後にそのような狂気を見せたのは第一次世界大戦前で、男たちは口笛を吹きながら戦争に赴いたが結局何百万人もの命を奪った致命的なゲームに巻き込まれただけだった。歴史は繰り返されるのだろうか? ヨーロッパ人口の多くは高齢化しており、新しい移民が戦闘に召集されるかもしれない。彼らは決して手に入らないかもしれないEUパスポートのため死ぬ覚悟があるのだろうか?

「欧州再軍備」計画承認後、欧州政治家連中は戦争狂騒に陥り、好戦的演説を繰り広げ、クラスター爆弾や地雷に関する条約を破棄した。過激化し現実から乖離した欧州エリート連中は、ロシアに関する戦争言説や恐怖をあおる言動を日々繰り返し、国民を恐怖に陥れている。戦争の現実とロシア打倒の不可能性を彼らは理解していない。世界経済フォーラムに「有望な若手指導者」として育てられたこれら指導者の多くはEU政府に潜入し、買収され、売り飛ばされ、ゲームは終わっており、戦争は解決策ではない事実に気付いていない。

 最も危険な人物は(EUの)ウルズラ・フォン・デア・ライエンや(NATOの)マルク・ルッテなどの旧エリート連中だ。彼らは最も過激化しており、止められるず、スキャンダルや脅迫に巻き込まれている可能性が高く、今やEUやヨーロッパの政治指導者連中を脅迫している。彼らの無謀さは、ヨーロッパを再び混乱に陥れる恐れがある。

記事原文のurl:https://strategic-culture.su/news/2025/03/09/europe-has-gone-mad/

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 3.10は東京大空襲があった日。3.11は東日本大震災が起きた日。  クリス・ヘッジズの記事『今度は地球丸ごと道連れ』を思いだす。

 Judging Freedom 今回の対談相手は哲学者アレクサンドル・ドゥーギン氏
 ナポリターノ氏、ラリー・ジョンソン氏らと共にラブロフ外相に招かれモスクワ訪問中。
 ロシア正教が広く浸透している理由や欧米のキリスト教との差違やアメリカやヨーロッパにおけるロシア嫌いの原因を問う。
[ EXCLUSIVE ] - Judge Napolitano w/ Prof. Aleksandr Dugin {Moscow, Russia} - pt.1 20:31
 Judging Freedom
Larry Johnson : Ukraine without US Intel (Live from Moscow)  21:00
 トランプに莫大な寄付をして当選を実現させ、自身選挙にもでていないのにDOGEで大量首切りを推進するイーロン・マスク、アメリカのみならず、世界的に不評を買っている。テスラ売り上げは低迷し、株価下落が止まらない?
マスクの横暴に反対する人々がテスラ販売店前でデモをするのに対抗するため警官が並んだりしている。

Anti-Elon Musk protests erupt at Tesla dealerships across US 1:01
 Wired
 Mar 8, 2025
What’s Driving Tesla’s Woes?
As Tesla faces a global sales slump, and with shares down for the seventh consecutive week, could Elon Musk's antics really be to blame?

 今朝の孫崎享氏のメルマガ題名
トランプ大統領、関税が市場に与える影響の中、景気後退の可能性を否定せず。繁栄の「移行期」移行期は常にある…少し時間がかかる、と説明、2025年第1四半期の経済成長がアトランタ連邦準備銀行マイナス予測、NYニューヨーク連銀は健全と指摘。📉 主要株価指数は下落。🛢️ 原油価格が下落。

2025年3月 6日 (木)

ゼレンスキー大統領を叩き出し、ロシアとの戦争を激化させる欧州策略を水に流したトランプ大統領



フィニアン・カニンガム
2025年3月1日
Strategic Culture Foundation

 和平を実現し、トランプ外交を支持するという遅ればせながらの明らかな関心で、代理戦争を継続したい願望を欧州諸国は隠蔽しようとしている。

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お問い合わせ:info@strategic-culture.su

 テレビ生放送でトランプ大統領から激しく叱責され、ホワイトハウスから追い出された後、ウクライナのゼレンスキー大統領は直ちに欧州各国首脳に電話をかけた。

 喜劇俳優から大統領に転身したウクライナ人が、キーウからワシントンに飛んだのは、アメリカとの鉱物資源協定に署名するためだけではなく、ウクライナでの対ロシア代理戦争を激化させるべくトランプを罠にはめるためだったことをこの対応が示している。

 ロシアとの戦争を長引かせる計画が混乱していることで、ヨーロッパ諸国間に動揺と警戒が広がっているのは確実だ。更に最悪なのは、激怒したトランプがウクライナと関係を絶ち、ロシアのなすがままにしてしまうかもしれないことだ。

 日曜日、イギリスのキール・スターマー首相が招集した緊急会議のためヨーロッパ首脳がロンドンに集合している。ゼレンスキー大統領が出席予定で、ヨーロッパ各国からの支持表明と数十億ドル以上の税金らの支援を得られる予定だ。信じられないことに、いまだこの連中は、この厚かましい詐欺師を「チャーチルのような英雄」だと称賛している。

 金曜日の大統領執務室での騒動は、みじめな光景だった。テレビカメラの集中砲火を浴びながら、ウクライナの石油やガスや希土類金属などの鉱物資源採掘権をアメリカ企業に認める取り引きの一環として、大胆にも、更にアメリカによる安全保障の保証を要求するゼレンスキー大統領をトランプ大統領とJ・D・ヴァンス副大統領は激しく叱責した。

 会談は和やかに始まったが、具体的な「安全保障保証」をウクライナに与えるのをトランプ大統領は控えた。ロシアとの和平協定が成立した後、アメリカからの明確な軍事支援約束を得たいと悲しげにゼレンスキー大統領が主張するのを、ウクライナ大統領は、公式の場で口論し敬意を欠いているとトランプ大統領と政権幹部が非難した。

 炉辺での一悶着後、激怒したトランプはゼレンスキーを追い出した。鉱物資源協定は締結されず、ゼレンスキーは何も手にせずワシントンを去った。だが、それで終わりではない。その後、ロシアと和平を結ぶ用意ができるまでは、ゼレンスキー再来を歓迎しないとトランプは記者団に語った。

 トランプはこの騒動の企てに鋭敏だった。ゼレンスキー大統領を追い出した後、ホワイトハウスの芝生で彼は記者団にこう語った。「我々は平和を望んでいる。大国と協定を結んだ後、それで大胆になり、和平協定を結ばないような人物を求めているわけではない。起きて居いることで私が見たのはそういうことだ。彼は戦争をしたくて仕方ないのだ。事態が長引くのを私は望まない」

 ホワイトハウスでの失態後、ゼレンスキー大統領が直ちにフランスのエマニュエル・マクロン大統領とマルク・ルッテNATO事務総長に電話をかけたことが多くを物語っている。

 金曜日にゼレンスキー大統領がホワイトハウス訪問する数日前、ロシアとの和平協定の一環としてアメリカの安全保障保証を欧州各国首脳はトランプ大統領に働きかけていた。

 月曜日にマクロンはトランプと会談した。木曜日はスターマーがトランプに気に入られる番だった。EUトップ外交官カヤ・カラスもワシントンにいた。注目すべきは、彼女とマルコ・ルビオ国務長官の会談が「スケジュール問題で」突然中止になったことだ。

 マクロンとスターマーの主目的は、ウクライナにおける軍事的「後ろ盾」の約束をトランプから引き出し「平和維持軍」を装ってフランス軍とイギリス軍を派遣する提案を強化することだった。

 BBCによると、イギリスは自国軍のためのアメリカ軍「上空援護」を求めたという。

 友好的態度や賛辞や、トランプをチャールズ国王が王室訪問に招待するイギリスの甘い言葉にもかかわらず、マクロンとスターマーは曖昧な言葉で相手にされなかった。

 2月12日の電話会談に始まり、2月18日にサウジアラビアで行われたアメリカとロシアの外交官による高官級会談に至った、ロシアのプーチン大統領に対するトランプ大統領の外交的働きかけは欧州のNATO加盟諸国に衝撃を与えた。

 自分たち抜きでトランプがプーチンと和平協定を結ぶことに彼らは憤慨している。「ロシア侵略からウクライナの民主主義と主権を守る」というバイデン前政権のプロパガンダ主張にヨーロッパ諸国は、いまだに縛られている。

 ウクライナの混乱から抜け出したいとトランプは考えている。この紛争はもともとロシアを打倒するという隠れた狙いを持った代理戦争だったと彼は認識している。何千億ドルもの資金とユーロが無駄な代理戦争に使われ、結局ロシアが決定的に勝利しつつある。

 大統領執務室での口論後、ウクライナ戦争をもう一年続けるのが「彼らの計画」で、最終的に「ロシアを弱体化」させ、モスクワに「和平を懇願させる」ことになると欧州のある外務大臣が彼に語ったと、CNNインタビューでマルコ・ルビオ国務長官が明かした

 ヨーロッパ人の冷酷さとロシア嫌い執着は異様だ。ウクライナでの三年の紛争は、軍人死者100万人や、ヨーロッパ全土での難民数百万人や、経済破綻を招いた。言うまでもなく、第三次世界大戦に発展する危険もある。

 代理戦争を継続したい願望を、平和を実現し、トランプ大統領外交を支持するという遅ればせながらの関心でヨーロッパ諸国は隠蔽しようとしているのだ。

 (当初プーチンとの電話会談で大騒ぎしていたが)マクロンとスターマーは表面上はトランプを称賛し「永続的平和への道を見いだす」ことについて話している。

 だが、フランス兵とイギリス兵を「平和維持軍」として派遣する彼らの提案は、平和維持と全く無縁のトロイの木馬だ。一方、ウクライナでのNATO軍は受け入れられず、戦闘員として攻撃するとモスクワは断言している。

 だからこそ、「安全保障の保証」を与えるようマクロンやスターマーや他の欧州指導者連中はトランプ大統領に強く求めていたのだ。いわゆるアメリカ軍による「補強」は、ロシアに対する代理戦争を激化させる手段になるはずなのだ。

 利益の大きい鉱物資源取り引きという餌をちらつかせながらトランプ大統領をだまし安全保障の保証を与えるよう仕向ける使命を帯びてゼレンスキーはワシントンを訪問した。

 報道によると、木曜日にゼレンスキー大統領がウクライナを出発する前に、金曜日の会談をキャンセルしたいとトランプ大統領のホワイトハウスは考えていたという。だがマクロン大統領が介入して、応対を続行するようトランプ大統領に懇願した。

 際限ない白紙小切手で甘やかされるのにゼレンスキーは慣れており、トランプから鉱業協定以上のものを言いくるめられると考えていた。欧州のロシア嫌い指導者連中が望むアメリカの直接軍事介入を引き出せると期待されていたのだ。そうすれば代理戦争は激化し、戦争犯罪の儲け話に乗っている連中は、世界最大の安全保障危機から、引き続き金を巻き上げられることになるはずだった。

 幸なことに、トランプはゼレンスキーを追い出し、欧州の策略を水に流した。

 今週初め、マクロン大統領とスターマー首相をトランプ大統領が称賛し、フランスをアメリカ「最古の同盟国」、イギリスを「特別な関係」と称えていたのは皮肉だ。こうした陳腐な考え方は根本的に改めたいとトランプ大統領は思っているかもしれない。

記事原文のurl:https://strategic-culture.su/news/2025/03/01/trump-gives-zelensky-bum-rush-and-flushes-european-ploy-escalate-war-against-russia/

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 先日The Jimmy Dore ShowにThe Duranの二人が登場。
Ukraine DESPERATELY Regretting Not Signing 2022 Peace Deal! w/ The Duran 23:22
 Juding Freedom 今朝の番組は驚き。何とナポリターノ氏、ロシア外務省に招待されたのだ。
[SPECIAL ANNOUNCEMENT] - Where in the world is Judge Napolitano today? 10:46
 東京新聞 朝刊 総合面 座布団三枚!
 ホワイトハウスX投稿画像(王冠をぶり満足げなトランプの図)を右に載せ
自賛の王様
 今朝の孫崎享氏メルマガ題名
トランプ関税、日本車を直撃。メキシコ、カナダに関税25%、だがここに日本自動車企業の拠点。トヨタ24年に米で販売233万台中、約3割が加と墨の輸入。日産は墨からの輸入割合は92万台の4割弱。日本から対米輸出中、金額最大は自動車、去年6兆261億円と輸出額全体の28.3%
 植草一秀氏 「ガーベラの風」
日本経済の現状、財務省の思惑とは? 植草一秀が解説 41:13

2025年2月19日 (水)

なぜウォロディミル・ゼレンスキーは傀儡指導者の長い系譜の最新版に過ぎないのか



イアン・プラウド
2025年1月31日
Strategic Culture Foundation

 ゼレンスキー大統領が権力の座に居続けられるのは、彼の法外な勝ち目のない戦争を支持する西側諸国の支援があるからに過ぎない。

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 特にアメリカとイギリスも第二次世界大戦終結以来、傀儡指導者が権力にしがみつくのを支援する傾向を示してきた。ゼレンスキーは、その長いリストの最新例にすぎない。

 過去数世紀にわたり、大国は、より強力なライバル国が足場を築くのを阻止し、他の弱い国々には従順な指導者を据えようと懸命に努力してきた。

 ゼレンスキーは必ずしも西側諸国政府によって就任したわけではない。ウクライナを欧米リベラル風装いで再構築するプロジェクトは、既に2014年2月、ヴィクトル・ヤヌコビッチ前大統領の打倒とともに始まっていた。従順なペトロ・ポロシェンコ大統領は、2022年以来ゼレンスキーがそうだったように、西側諸国の首都で温かく迎えられた。2019年の選挙後、イギリス政府内で、政治家として、ゼレンスキーを真剣に受け止めるべきかどうかについて深刻な疑問が浮上した。約束した通りには蔓延する汚職を彼は撲滅しなかった。大統領になった前任者たちより、彼は民主的でもリベラルでもなかった。

 2022年2月にウクライナで戦争が始まった時、状況は劇的に変化した。ある評論家が述べた通り、戦争はゼレンスキー大統領の頭上を覆う暗雲を払いのけ「英雄的な戦時大統領で、自由世界の守護者の世界的象徴」という作り出された役割に彼が変身するのを可能にした。確かに、戦争の最初の6か月間、そのイメージはゼレンスキー大統領にとってうまく機能し、今も彼は欧米諸国政治家や主流メディア間で永続的魅力を維持している。

 だが時が経つにつれ、ゼレンスキーは弱点を露呈した。大統領選挙が行われるはずだった2024年3月以降、選挙で選ばれておらず、明らかに民主主義志向のリベラル派ではない。

 彼の政府は、ソ連崩壊以降の他のウクライナ政府と同様腐敗しているように見える。2023年の世論調査では、調査対象となったウクライナ人の77%が、ゼレンスキーが腐敗の責任者だと考えていることが示された。

 彼は1年半前から、ウクライナがロシアとの戦争に勝てないのを知っていた。この認識こそ、広く報道されたインタビューで、このことを指摘した際、人気の高い元軍司令官ヴァレリー・ザルジニー解任のきっかけになったのだ。

 だがゼレンスキー大統領は、戦争を継続し、更なる戦闘支援を西側諸国に迫り、戦闘を終わらせるためのロシアとの直接交渉への揺るぎない反対を貫くため全力を尽くしている。

 トランプが政権を握った今、ゼレンスキーはここ数日、交渉に関する自身の立場を巧みに修正したり撤回したりしようとしている。だが、多くの公平な外部観察者にとっては、ゼレンスキーの立場の背後にある理由は二つの考え方しかない。

 ウクライナが単独では勝てないロシアとの戦いに、最終的にNATOが巻き込まれるかもしれないという頑固な願望。

 たとえNATO介入はなくとも欧米諸国は外部援助で彼の政府を支え続けるという信念。

 ロシアとの戦いにNATOが直接参加する可能性は一度もなかったことから、ゼレンスキーは、欧米諸国の支援者に見捨てられるまで、権力にしがみつくためなら何でもする、もう一人の傀儡指導者のように見えることになる。

 傀儡支配者は儲かる商売だ。あなたの国は、あなたの存在を後援する国々から何十億ドルもの援助を受ける。あなたの言葉は、後援国のジャーナリストが聞きたがり、あなたは自由民主主義の白衣を着たキリストの再来だと信じようと彼らは必死だ。あなたが彼らの国を訪問すると、群衆が集まって拍手喝采し、あなたの素晴らしさに驚嘆して見つめる。あなたは友人なので、敵が批判されるような腐敗や悪い指導力で批判されることはない。主な問題は、あなたが不要になり、時間切れになったら、追放されるか、脇に追いやられるか、投獄されるか、暗殺されるかのいずれかであることだ。

 いくつか例を見てみよう。

 グエン・バン・チューは、1963年にCIAが支援したクーデターでゴ・ディン・ジエムが打倒された後、南ベトナムで権力の座についた元陸軍将校だ。1967年から1975年、北ベトナムがサイゴンを占領する直前まで大統領を務めたチューの最も注目すべき業績は、とてつもなく腐敗した政府を監督したことだ。1960年代と70年代でさえ、この小国は毎年平均15億ドル、アメリカから受け取っていた。これはGDPの約15%に相当した。その多くはチュー政府の腐敗した役人の懐に入った。だがチューは、アメリカ人が聞きたがっていることを言い、南ベトナムを共産主義の北に対する防壁だと宣伝した。アメリカには、北ベトナムに勝つという国内の政治的意思も、戦場での軍事力もないことが明らかになると、チューは舞台から逃亡して、台北で贅沢な亡命生活を築いた。

 アフガニスタンのハーミド・カルザイは、2002年にアフガニスタン大統領に就任して以来、タリバンに敗れるまで、アメリカが押し付けた傀儡指導者の現代的な現れだ。もちろん、アフガニスタンには、近代超大国が傀儡政権を据えてきた歴史があり、これは1986年の無血クーデター後、ソ連がムハンマド・ナジーブッラーを政権に就けた時にも当てはまった。欧米諸国のメディアや政治家からアフガニスタンの救世主として広く称賛されたカルザイは、未曾有のレベルの汚職と腐敗を特徴とする政府を監督した。ワシントン・ポストによると、アフガニスタンは西側諸国から数十億ドルの援助を受けたが、それを使い尽くせず、その結果「資金の約40%が反乱分子や犯罪組織や腐敗したアフガニスタン当局者の手に渡った」という。カルザイ大統領は2014年の選挙で失脚し、今では欧米あやつり人形劇史上、ほとんど忘れ去られた人物になっている。

 ミャンマーのアウンサンスーチーは、従来の意味での傀儡支配者ではないが、かつてビルマと呼ばれた国との歴史的植民地関係から、欧米、特にイギリス外交官から称賛される反政府派人物の典型だ。オックスフォード大学で教育を受け、イギリス人(現在は故人)と結婚した彼女は、軍によって直後に鎮圧されたミャンマーの選挙で勝利したことで、1990年にノーベル平和賞を受賞した。1999年に私がイギリス外交官になった際、東南アジア省は彼女こそ同国唯一の真の指導者だとみなし、常に彼女の善い状態に執着していた。何年も自宅軟禁されていたアウンサンスーチーは、ついに2015年の総選挙で圧勝した。彼女は2016年にイギリスを訪問し、キングチャールズ・ストリートのダルバール宮殿の壮大な植民地時代の中庭で彼女を歓迎し崇拝するイギリス外交官の群れに私は加わった。控えめで上品な口調で話す彼女は、ミャンマー西部でイスラム教徒のロヒンギャ族に対する大量虐殺が行われたとされる時期に首相を務め、軍の行動を断固擁護した。現在、彼女は依然強力な軍に捏造された可能性がある汚職容疑で有罪判決を受け、自宅軟禁状態にあり、二度と自由になることはないかもしれない。だが欧米諸国での崇拝は薄れ、彼女がイギリス・メディアに登場することはほとんどない。

 80年代と90年代にパキスタン首相を二度務めたハーバード大学とオックスフォード大学卒の美しく魅力的なベーナズィール・ブットーは酷く腐敗していることがイギリス外務省に知られていた。だが彼女は我々の言語を話したため、欧米自由民主主義的価値観の世界的スーパースターとして称賛された。2007年に自爆テロ犯に暗殺され、彼女の実績を巡り長らく消え消えなかった疑問は沈黙させられた。だが汚職疑惑に関し、イギリス外務省が深刻な懸念を抱いていた夫のアースィフ・アリー・ザルダーリーが現在パキスタン大統領だ。

 ウォロディミル・ゼレンスキーが権力の座に居続けているのは、勝ち目のない彼の戦争を法外な金で支持する欧米諸国の支援があるからに過ぎないことは今や明らかだ。戦争が終われば、必ず終わるのだが、彼が、追放されるか、脇に追いやられるか、投獄されるか、暗殺される、彼以前の傀儡連中と同じ運命を辿ることを歴史は示唆している。

記事原文のurl:https://strategic-culture.su/news/2025/01/31/why-zelensky-merely-latest-in-long-line-puppet-leaders/

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 スコット・リッター最新記事『ワシーリー・ゴロボロドコの悪夢』

 ワシーリー・ゴロボロドコというのはゼレンスキーを大統領にさせた「喜劇映画」彼が主人公の高校教師を演じる『国民の僕』での役柄。

 現在「エセ大統領が、しがない亡命者になる」という続編上演中。

Scott Ritter Extra
Vasily Goloborodko’s Nightmare
Scott Ritter
Feb 19, 2025

2025年2月16日 (日)

ファシズムとリベラリズムの関係を浮き彫りにするイーロン・マスクの敬礼



ブルーナ・フラスコラ
2025年2月2日
Strategic Culture Foundation

 国家を最高機関として採用し、ナチス・ファシズムも様々な種類のリベラリズムも、結局、文化的真空を生み出し、それを幻想で満たしている。

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 トランプ大統領就任式でのイーロン・マスクの敬礼は大きな話題を呼んだ。彼の身振りは、人々が自分の意見を投影する政治的ロールシャッハ・テストの役割を果たした。左派全体にとって、それは明白なジークハイル(Sieg Heil 勝利万歳) だった。イーロン・マスクが反ユダヤ主義者だという証拠を指摘するのに反シオニスト・ユダヤ人は熱心だった。実際、反ユダヤ主義とシオニズムは密接に関係している。ユダヤ人憎悪は、彼の民族人種国家へのユダヤ人移民を確実にするはずだとヘルツル自身が述べたためだ。だがカルヴァン主義者と後継者連中の親ユダヤ主義は事実だ。「イーロン」という名前自体、ヘブライ語で、「樫の木」を意味している。

 右派では、イーロン・マスクは愛情表現の仕方が分からない不器用な自閉症者で、だからこそ胸を叩き、手のひらを下に向け腕を伸ばす身振りを二回したのだとリバタリアンやネオコンが激しく非難した。おそらく、この説はシオニスト・ロビーがでっち上げたものだ。マスクは単にぎこちない身振りをしたに過ぎないとADLが急遽説明したせいだ。

 だが、より冷静な人々は、それはローマ式敬礼だと認識できた。インターネット上に現れた説明から判断すると、フランスではローマ式敬礼の方が良く知られているようだ。それにはフランス革命の象徴としてローマ式敬礼が存在している非常に単純な理由がある。
 意見対立を招くプロパガンダに悩まされているこの世界では、無政府資本主義に共感する億万長者が、フランス革命家の身振りをして右翼過激派というレッテルを貼られるに至った経緯を振り返るのは有益だ。
 
敬礼の歴史

 ローマ式敬礼は新古典主義の空想だ。ローマ人はこのようには挨拶しなかった。ローマ式敬礼の起源は、おそらくジャック=ルイ・ダヴィッドの絵画「Le Serment des Horaces(ホラティウス兄弟の誓い)」(1785年)にある。四年後に、フランス革命が勃発し、教会は迫害され、共和制が確立された。共和制はローマ人の発明だったため、革命家たちはキケロの帝政以前、そしてキリスト教以前の遠い時代を想像した。約130年後に、別の共和主義と反教権主義の運動が新古典主義の美学を流用した。イタリア・ファシズムだ。

 この偶然により、ファスケス・リクトリス(十数本の棒を皮の紐で縛った木束で包まれた斧)はイタリア・ファシズムを象徴するだけでなく、フランス共和国の国章にも登場する。そして同じ理由で、ローマ式敬礼のより簡素版(胸に手を当てる部分がない)がファシズムに採用された。後に、オーストリア人のムッソリーニ・ファンが、ジークハイルを導入した。だが、一般的にナチス・ドイツはローマの象徴の採用に反対しており、ファスケス・リクトリスは第三帝国には登場しない。

 ところで、ローマ式敬礼の改良版や、ファスケス・リクトリスや多くの新古典主義の美学が見られる場所を皆様は他にご存知だろうか? アメリカだ。ベラミー式敬礼 (手を胸に当て、腕を伸ばし、手のひらを下に向けてから上に向ける) は19世紀後半に登場し、第二次世界大戦まで続いた。ナチス・ファシストの身振りに似ているため、学校では排除された。一方、ファスケス・リクトリスは、アメリカ国家の象徴として良く登場する。上院の紋章や大統領執務室や奴隷解放記念碑のエイブラハム・リンカーンの手にも見られる...
 
リベラリズムの象徴的空白

 新古典派の三大運動のうち、ファシズムは唯一反リベラリズム運動なので厄介者だ。ファシズムが反リベラリズムなのは、権力を独裁者の裁量に集中させて、社会契約や人権の概念や議会を気にすることなく、独裁者が、したいことを何でもするためだ。

 一方、アメリカ独立戦争もフランス革命もリベラルだった。明らかに、これは経済的リベラリズムではなく、政治的リベラリズムだ。政治的リベラリズムは、中世の三部(聖職者、貴族、人民)構造を廃止し、法律文書上だけのことで、市民権を得られなかった人も多々居るとは言え、全市民が平等な権利を持つ偉大な社会契約へと政治組織を転換する。。フランス革命はブルジョアジー(国民中の富裕層)に遂行され、最も血に飢えた定式では、最後の貴族を最後の聖職者の内臓で絞首刑にする狙いがあった。大量流血と大量処刑(国民の一部である農民を含む)の後、マルクスが悪名高くも、ブルジョアの権利と呼んだ『人間の権利』(1789年)を革命家たちは制定した。

 リベラリズムの最も優れた形態は共和制だ。だがフランスが、歴史上最初のリベラリズム革命を経験したわけではない。最初のものは名誉革命 (1688年) で、その成果として『人間の権利』に相当するのが権利章典 (1689年)だった。

 フランスより、ずっと混沌とした状況からイングランドが生まれた。貴族は16世紀には既にブルジョアジーとして行動し、悪名高い「囲い込み(エンクロージャー)」で人々を共同財産から追い出すために国王や教会と対立していた。議会の認可を得て、貴族は人々を土地から追い出し、家を破壊し、飢え死にさせた。彼らの狙いは、土地を利用して羊を飼育し、羊毛を生産することだった。羊毛は益々近代化された織機で織られ、最終的に産業革命をもたらした。更に、イングランド王室と教会間に問題があり(ヘンリー8世は結婚を繰り返したがった)宗教的内戦や斬首やカルヴァン主義の共和国などもあった。

 結局、名誉革命によって作り出された状況は、ベールに包まれた共和国状態だった。ブルジョワジーが貴族を殺害する代わりに、貴族がブルジョワジーになった。聖職者を消滅させる代わりに、国家に従属する新しい教会が創設された。そして君主制を終わらせる代わりに、議会に手を縛られた国教会の王が就任した。

 これにより、イギリスのリベラル主義者たちは楽な立場に置かれた。伝統的な制度が破壊された後、国に独自性を与えるために無から国家の象徴を創り出す必要はなかった。古い教会の殻と古い貴族の殻はそこにあった。他の共和制や反教権主義政権は、リベラリズムであろうとなかろうと、無から象徴を発明しなければならなかった。そして、その最初の政権(アメリカとフランス)は後世に共和制を遺した古代ローマに、それを求めた。

 この象徴性の欠如は、リベラリズムの新しさ、すなわち国家を唯一の最高かつ完全に合理的な権威とする点にある。リベラリズムでは、全ての権威は国家から発する。リベラリズム以前は、たとえば世俗の束縛から逃れるために教会の権威に頼ることも可能だった。政治的リベラリズムとムッソリーニの反リベラリズムの違いは、国家が大きいか小さいかではなく、国家の自制機構にある。リベラリズムには自制機構が存在するが、ファシストの反リベラリズムには存在せず、国家権力は独裁者に集中する。
 
共通点

 プロテスタント国家、アメリカの場合に、国家の全ての象徴がキリスト教を排除しているのは驚くべきことだ。たとえば、彼らは十字架や魚を使うこともできたはずだが、そうはしなかった。彼らはフリーメーソンの象徴に加えて、異教文明の象徴を好んだのだ。

 だが、彼ら全員(アメリカ人、フランス人、イタリア人)が想像した古代ローマは、合理主義的で非宗教的なために、信じられないほど近代的だ。鳥の内臓を前にした腸卜僧の解釈に不安を抱く公人は見当たらない。全て、古代ではなく現代のように、もっぱらアポロ的かつ合理的なことが意図されている。ローマとの同一視は、ほぼ完全に恣意的なものだった。リベラリズムの文化的、象徴的な空白に直面して、残された唯一の方法は、リベラリズムが自分自身を同一視する唯一のもの、つまり共和国を生み出した文化の象徴と美学を使用することだった。そして現代、腸卜僧やニシキヘビはいなくとも科学者と哲学者はいる。

 ローマ以外にも、無から発明された旗を採用し、公共建築に掲げる二つの成功した科学的運動を思い浮かべることが可能だ。ナチズム (ドイツ史と全く関係ないスワスティカ) とウォーキズム (トランスジェンダーと有色人種の色の三角形が付いたゲイの旗) (これは、ここで見られるプログレス・プライド・フラグ)だ。ナチ・ファシズムと様々な色合いのリベラリズムは、どちらも国家を最高機関として採用することで、この文化的空白を生み出し、それを幻想で満たしているのだ。

記事原文のurl:https://strategic-culture.su/news/2025/02/02/elon-musk-salute-highlights-contact-between-fascism-and-liberalism/

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 The Chris Hedges Report
The Mafia State
First we got a mafia economy. Then we got a mafia state. We must rid ourselves of the ruling criminal class or become its victims.
Chris Hedges
Feb 16, 2025

 今朝の孫崎享氏メルマガ題名
CBS世論調査:トランプのイメージ:タフー69%、精力的63%、効果的58%→トランプ支持率上昇支持53%、不支持47%、新政権が商品やサービス価格引き下げに十分に注力せずと感じている。この点、関税引き上げに総じて懸念。但し対中では引き上げ賛成56%、反対44%

2025年2月14日 (金)

ウクライナ - (依然遠い)終わりの始まり

2025年2月13日
Moon of Alabama

 ウクライナを巡るロシアとの交渉におけるトランプ大統領の初動が波紋を呼んでいる。

 ウクライナは国境地帯、つまり領土をロシアに明け渡さなければならないとアメリカのピート・ヘグゼス国防長官が発言した。NATOにウクライナの居場所はなくなる。アメリカはウクライナに安全保障を一切保証しない。ウクライナでのいかなる平和維持活動にも米軍もNATOも参加しない。

 これでアメリカはロシアの二つの主な要求を認めたのだ。ウクライナの四州とクリミアはロシアの一部になる。NATOの東方拡大は停止される。ウクライナへの米軍派遣は今のところ問題外だ。

 だが悪魔は細部に潜む。ロシアは法的合意と保証を求めるだろう。これらが(再び)破られる可能性があるのは承知しているが、それでも何もないよりあったほうがましだ。

 戦闘がいつ、どこで、どう停止されるかについても全く合意は得られていない。

 現在の戦線に沿った即時停戦をトランプ政権は望んでいる。ロシアにとってウクライナ支援のために使われたミンスク合意1と2の繰り返しに過ぎない。十分な解決策ではない。

 昨日のトランプとプーチンの電話会談に関するロシア発表は次のように述べている。  
できるだけ早く紛争を停止し危機の平和的解決を支持するとドナルド・トランプは述べた。
 一方ウラジーミル・プーチン大統領は紛争の根本原因を排除する必要があると指摘した。
 トランプは停戦を望んでいるが、プーチンはそれ以上のことを望んでいる。

 ウクライナのNATO加盟問題は紛争の根本原因の一つに過ぎない。戦争を終結させるために必要なのは全主要国が安全と安心を感じられる長期にわたる不可分の欧州安全保障体制だ。

 2021年後半、アメリカとNATOに、ロシアはあり得る解決策を示唆する二文書を提出した。それに関する議論はまだ始まっていない。これは長い過程になるだろう。

 ヨーロッパで分割不可能な安全保障構造が見出され合意されない限り、自国と同盟諸国の安全を保証するためにロシアは軍事手段を使わざるを得なくなるだろう。彼らの目的が達成されるまで、ロシアの特別軍事作戦は継続される可能性が高い。

 トランプ大統領が目の前の大きな問題を認識し、それについて話し合う気がある兆候はない。停戦という短期的解決策がないとわかれば、彼は問題全体を放棄して、結果を無視したいと思うかもしれない。「ヨーロッパに任せよう...」

 バイデン政権が挑発してロシアに対する代理戦争を実行した時、欧州主要諸国は国益を無視しアメリカ属国のように振舞った。そして今和平プロセスから取り残されたと騒いでいる。

 だが、あなたは家臣のように振舞い、自分の利益を無視したのに、なぜ家臣のように扱われ自分の利益が無視された際に驚くのだろう? 勇気を出して自分の利益のために戦うのだ。そうすれば、あるいは相手も、あなたの利益を心に留め始めるかも知れない。

記事原文のurl:https://www.moonofalabama.org/2025/02/ukraine-the-beginning-of-the-end-which-is-yet-far-away.html

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 この結論、日刊ゲンダイ連載「西村カリン ニッポン見聞考」の説と呼応している?  
米国にノーと言えるフランスの記者から見た日米首脳会談
 この記事には下記文章がある。
「良い外交は同盟国に本音を言わないことではなく、礼儀正しい言葉で日本政府の意見を明確にすることだ。そうしないと自分の国の立場を弱めて、負ける。」
 日刊IWJガイド
「プーチン大統領とトランプ大統領が電話会談! 今後は、オールドメディアが報じることを避けてきた紛争の根本原因が話し合われる!?」2025.2.14号

■はじめに~プーチン大統領とトランプ大統領が電話会談! CIAとUSAIDの影響大にあって、西側の新聞・テレビなどのオールドメディアや御用評論家らは、ウクライナ紛争の根本原因への言及を避け続けて、プロパガンダに徹してきたものの、今後は、両大統領間で、直接、交渉のテーマとされる可能性が高い!

■IWJの財政は大ピンチです! 昨年8月から始まった第15期は、半期が過ぎ、6ヶ月連続月間目標を割り込み、累積のマイナス額は1175万3713円です! IWJが2月以降も活動を続けられますように、ご寄付・カンパによる緊急のご支援をよろしくお願いいたします! IWJは、10年以上、オールドメディアからウェブメディアへのメディア変動期をリードしてきました。現在、ますますIWJしか報道しない情報が増えています! 緊急のご支援をよろしくお願いします!!

■【中継番組表】

■「米国に神を取り戻さなくてはならない」!? トランプ大統領は「ホワイトハウス信仰局」を設置! また、パム・ボンディ司法長官が「反キリスト教」的な差別や暴力を停止するためのタスクフォースを指揮! ハルマゲドンと最後の審判、キリストの再臨と千年王国を信じる福音派を偏重することは、政教分離を定める米国憲法に抵触しないのか!? 現実の政治と軍事に多大な影響を及ぼす危険性も! しかも、旧統一教会も擁護! ホワイト牧師は、日本政府による旧統一教会への解散命令請求を批判!! これは、旧統一教会と関係をもつトランプ政権による内政干渉以外の何物でもない! 日本政府はこの圧力をはねのけられるか!?

■本日午後7時より、インタビュー初配信!!「米国から訓練・支援を受けていた『ウクロナチ』勢力が、暴力革命によって成立させた親米欧政権は、何をしたか? ウクライナ人がウクライナ人をジェノサイドし続けた8年間の記録を振り返る! 岩上安身によるインタビュー第1183回ゲスト 黒龍會・アジア新聞社会長田中健之氏 第4回」を撮りおろし初配信します! 配信終了後、会員向けIWJサイトのアーカイブにアップします!

2025年2月11日 (火)

イスラエルのために欧米諸国全体で公民権が破壊されている



イギリス人ジャーナリスト、リチャード・メドハーストは、今度はオーストリアで、イスラエルとその欧米諸国の人権侵害に関する報道を理由に、またもや欧米諸国の連邦法執行機関から迫害を受けている。
ケイトリン・ジョンストン
2025年2月8日

 物語マトリックスの端からのメモ

 この英語記事の朗読を聞く(朗読:ティム・フォーリー)



 イギリス人ジャーナリストのリチャード・メドハーストは、イスラエルとその欧米支援者による人権侵害を報道したため、またしても欧米諸国で連邦法執行機関から迫害を受けている。今度はオーストリアだ。オーストリア警察と諜報機関は月曜日、ウィーンでメドハーストを拘束し、その後自宅を捜索し電子機器を押収したと報じられている。ハマスと関係がある嫌疑があるという。

 8月にメドハーストは、 2000年英国テロ対策法第12条に基づきイギリス対テロ警察に逮捕され、24時間拘留された。報道によると、逮捕理由は、禁止されているテロ集団に過度に同情的とみなされる政治的意見を表明したためだという。

 言い換えれば、欧米諸国のジャーナリストがイスラエルを批判する発言をしたため、複数欧米諸国法執行機関の標的となり迫害されているのだ。



 これは、ジャーナリストのアリ・アブニマがイスラエルについて誤った考えを表明したとしてスイス警察に2晩拘留されてから数日後のことで、ガザでの虐殺が始まって以来エスカレート傾向が続いている

 中東の大量虐殺アパルトヘイト国家の情報権益を守る名目で欧米世界全体で公民権が組織的に解体されているのが、いかに不気味で恐ろしいことかじっくり考えてほしい。

 トランプ大統領の命令により、学校や大学における反ユダヤ主義と闘うことを公式目的とし、親パレスチナ活動家を標的にすることを非公式目的とした複数機関からなるタスクフォースがアメリカで発足した

 オーストラリアでも状況は悪化している。先日、イスラエルの虐待に関する事実をリツイートしたためにスポーツ記者が解雇された。解雇理由は、彼のリツイートのせいでメルボルンのユダヤ人がラジオで彼の声を聞いて「不安を感じた」ためだと告げられた。ガザにおけるイスラエルの犯罪行為に関する事実をリツイートしたため解雇されたジャーナリスト、アントワネット・ラトゥフの解雇を正当化するため「パレスチナの不法占領」という表現を使うのは反ユダヤ的だとオーストラリア国営放送局ABCのトップは述べた。

 最近、オーストラリア・シオニスト連盟代表が私をツイッターでフォロー/監視していることに気付いた。同連盟は、イスラエル批判を抑圧し、わが国のジャーナリストを標的にする上で主導的役割を果たしてきた。こうした変人連中が自分を監視していると気づくと、不快な気持ちになる。



 10月7日にイスラエル国防軍がイスラエル人への発砲を開始した際に起きた多くの死傷者と破壊は、イスラエル人が人質に取られるのを防ぐためイスラエルの悪名高いハンニバル指令施行により、イスラエル国防軍が引き起こしたのだという既に確立された事実をイスラエルの元国防大臣ヨアブ・ギャラントが認めた。

 そう、子供たち、10月7日を決して忘れないで。イスラエルの銃弾や戦車やヘリコプターや、ハマスによって1000人のイスラエル人が虐殺されたあの恐ろしい日だ。



 ガザとヨルダン川西岸で我々が目にしてきたこと全てが、パレスチナ人を全員死なせたり、強制退去させたりしてパレスチナから追い出そうとする計画の結果だ。全て。テロと戦うためではなかった。破壊された飛び地からパレスチナ人を救出するためではなかった。自衛のためでも人質のためでもない。パレスチナ人領土をユダヤ系イスラエル人が完全に所有できるよう、パレスチナ人のパレスチナでの存在を終わらせるためだった。

 これは、2023年10月以降のイスラエルのあらゆる虐待行為に当てはまり、また2023年10月以前のイスラエルのあらゆる虐待行為にも当てはまる。これがパレスチナ人が抵抗していることで、そもそも10月7日が起きた理由だ。地球全体に広がる帝国が支援する彼らの故郷での民族としての存在を終わらせようとする計画に反対する先住民の闘いを我々は目の当たりにしているのだ。




 この民族浄化計画を、トランプ就任時にどこからともなく現れた動きとして民主党が位置づけるのは非常に不快だ。ガザが破壊された翌日、民族浄化は常に計画されていた。私自身、バイデン政権時代にこのことについて頻繁書いてきたし、他の多くの人もそうだ。イスラエルが10月7日を、もう一つの植民地主義的土地強奪の口実に利用していたのは最初から明白だったし、イスラエルがガザにある人の生活に必要なもの全てを故意に破壊し組織的にガザを居住不可能な荒れ地に変えるにつれ益々明白になっていた。

 これは全てバイデンが大統領だった時に起きたことだ。バイデンは殺人を犯し、トランプは死体処理を手伝いに現れただけの男だ。同じ犯罪の異なる部分でしかない。死体を処分する計画なしに殺人を犯すことはないし、殺人を犯さずに死体処分することはできない。川に死体を沈めているギャングを指差して叫び「見ろ! 彼は一人であの男を殺したんだ!」と民主党支持者は言っているが、まるで、もう一人のギャングが被害者の頭を撃つところを、我々全員ただ見ているだけでないかのようだ。

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記事原文のurl:https://caitlinjohnstone.com.au/2025/02/08/civil-rights-are-being-destroyed-throughout-the-west-in-service-of-israel/

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 Judging Freedom
Larry Johnson : Does Trump Understand Putin? 29:21

2025年1月12日 (日)

シリア分割と新サイクス・ピコ協定:地政学的混乱と地域再編

セス・フェリス
2025年1月10日
New Eastern Outlook

 外部勢力とテロ集団の名称変更により煽られた民族的、宗教的境界線に沿ったシリアの意図的分割は、この国の混沌とした未来を形作する地政学的策略を浮き彫りにしている。

 シリア分裂と新サイクス・ピコ協定:地政学的混乱と地域再編

 テロ組織が一夜にして自らを変え、行いを改められると本当に思っている人などいるだろうか、特に国際社会に?

 だが、この「騒乱」がどれだけ、トルコやイスラエルのような国々や彼らの国際支援ネットワーク権益のため、シリア全体を古代の民族的、宗教的境界線に沿って憎悪で分割された地域に完全分裂させるため意図的に仕組まれたものであるかは注目されていない。

 アメリカにとって、アサド政権崩壊は、部分的勝利を主張するのを可能にし、焦点をウクライナからイランへと移すことになる。

 HTS*と指導者ジョラニを「多様性に友好的」と欧米諸国は位置付け、名称変更したアルカイダ*集団をテロ組織リストから急遽削除しようとしている。このテロリスト、おっと、民主化代理人指導者にかけられた1000万ドルの懸賞金を取り消すとアメリカも発表した。全て、この指導者(でゼレンスキーのクローン)との取り引きを試みるためだとされている。少数派と女性の権利について「前向きなメッセージ」が受け取れており、これは「HTS*との協議を開始している事実と一致する」「政策決定」だったとバーバラ・リーフ国務次官補(近東担当)は説明し、この地域の利益に関する協議に着手している時に「この人物の首に懸賞金をかけるのは少々矛盾する」と付け加えた。

 まるで取り引きが既に成立していないかのように。もしあなたがこれを信じるなら、あなたに、良い橋を売りましょう...。他の人々は彼をCIA工作員と呼んでいるが、それはまだ結論が出ていない。様々な課題を彼がどれだけうまく遂行するか見よう。

 シリアが新たな未来を迎える中、アル・ジョラニ、別名アフマド・フセイン・アル・シャラーに注目が集まっている。CNNやBBCのインタビューに後押しされて、彼の怪しい過去と、突然の変貌により、アル・ジョラニは変わった指導者として自らイメージチェンジした。だが、このPR活動の背後にあるものは、シリアで実際に起きている動向と、この国の未来がどうなるのか明らかにするかもしれない。

 彼がしたとされる約束の中には、キリスト教共同体や彼らの礼拝の権利を尊重することに関するものがある。彼はスーツとネクタイが似合っているが、彼の性格や暗い魂はおそらく何も変わっていない。

 一方、驚くべきことではないが、シリアのキリスト教聖職者は、イドリブ県などHTS*の厳重な管理下にある地域では伝統衣装を着て公の場に姿を現すことを禁じられており、キリスト教の象徴、特に十字架は教会から撤去されている。

 多様性、寛容…。

 そして予想通り、むしろ意外なことだったが、彼が指揮するテロリスト・ネットワークは、真の姿を現し続けている。

 ハマ市近郊のキリスト教徒が多数派を占める町スケイラビヤでクリスマスツリーが燃やされたことで、少数派の間で激しい怒りが巻き起こり、シリアのキリスト教徒は首都ダマスカスの一部を含む、キリスト教徒が多数派を占める多くの地域でシリア人キリスト教徒が抗議行動をした。言うまでもなく、この攻撃は「外国人戦闘員」に実行されたとジョラニとHTS*は主張しているが、これは単なる意図的隠蔽だ。なぜなら外国人戦闘員がHTS*作戦で重要な役割を演じ、ウクライナの外国人「志願兵」同様、彼らの部隊にうまく統合されていたのは周知の事実だから。

 ある抗議行動参加者はこう言った。「我々は、以前のようにキリスト教を尊重する国に暮らすか、国外出国できるよう扉を開けてもらうかのどちらかだ」

 おそらくこれが計画の全てで、イスラエル占領下のヨルダン川西岸地区とガザ地区も同様だ。パレスチナ人キリスト教徒に対するイスラエル国防軍の極めて否定的な態度により、過去40年間でキリスト教徒人口は激減した。

 だがシリアの他の少数民族、特にアラウィー派、ドゥルーズ派、クルド人はどうだろう?

 アサドがアラウィ派だったことを考えれば、宗教や民族共同体が反政府勢力による報復攻撃の標的になったのも不思議ではない。攻撃は犠牲者が政府に関与しているかどうかに関わらず行われることが多い。確かに、標的にされた人々の中には政府関係者や治安・諜報機関関係者もいたが、このテロ活動は、包括的な国家を創りたいというジョラニの主張と明らかに矛盾している。

 一方、ドゥルーズ派は実際的理由からイスラエルと連携しているようだ。既にイスラエルはゴラン高原全体(以前は戦略的要衝の一部しか占領していなかった)と1974年の緩衝地帯を含むシリア西部の大部分を占領しているが、ダマスカスから数キロのところまで急速に移動している。これは彼らの過激な入植者指導者が既に「ユダヤ人の街」と定義しているもう一つの標的なのかもしれない。これは非難されるべきイスラエル財務大臣スモトリッチが支持する見解で、彼は次のように発言している。

 「将来エルサレムはダマスカスまで拡張すると書かれている」「ダマスカスまではエルサレムだけだ」と不気味な口調で付け加えた。

 クルド人問題

 そして、この地域の庶子で、かつてシリア内戦の主な勝者で、国の25%以上を支配する「自治」地域(当然かなりアメリカの支援を受けて)を切り開いた、トルコ人から最も嫌われているクルド人がいる。

 今やHTS*の突然の変身や、世俗主義バース党勢力の劇的崩壊や、トルコと連携する「多様な聖戦主義者」によるダマスカス占領により、クルド人と彼らの国家樹立や自決の夢の終わりが近づいているのかもしれない。

 シリアのクルド人に対して、エルドアン大統領が本能的憎悪を抱いているのは周知の事実で、彼らがトルコのPKKやYPGなどのクルド民族主義者(テロリスト)を直接支援していると主張している。PKK、YPG、SDFのシリア・クルド人部隊に対し、トルコは長年にわたり国境を越えた作戦を数多く行ってきた。

 今や、この問題を「きっぱり」解決するとトルコは脅し、PKKやYPGなどの集団に、武器を捨ててシリアから撤退するよう要求しているようだ。彼らを救出する者が現れるかどうか疑わしいが、NATO加盟諸国の潔白な手により、彼らはパレスチナ人と同じ運命をたどることになるのかもしれない。

 トルコの支援を受けたSNAの攻撃により、シリア北部の戦略都市マンビジの大部分が制圧され、アメリカは停戦交渉を余儀なくされたが、その結果、SDF同盟者はマンビジからの撤退を余儀なくされた。最近クルド人の反撃はいくらか優勢に立ったようだが、この戦略都市は今のところトルコ代理勢力の支配下にある。

 SDFに関し、トルコのハカン・フィダン外相は

 「トルコ、イラク、イラン、欧州から来たPKKメンバーや極左集団により、この地域はテロの温床と化している」と会談後の記者会見でフィダンは述べた。「ISが(ISに対して)監視を行っているため、この無法状態に国際社会は目をつぶっている」

 イスラム過激派テロリストをアンカラが支援していることを考えると、これは少々偽善的に思えるが、何を期待すれば良いのだろう?

 全体像の中で、これはどのように展開するのだろう?

 われわれが目にしているのは新たなサイクス・ピコ協定の展開ではないかと思う。アメリカ、イスラエル、トルコはいずれもシリアの広大な地域に対する領有権を主張している。トルコのエルドアンはシリアの多くの地域、特にアレッポ、イドリブ、ダマスカス、ラッカ併合を提案している。言うまでもなく、これはダマスカスを含む広大な地域に対するイスラエルの主張と衝突することになるが、パレスチナ人を支持すると公言しているにもかかわらず、エルドアンは多くのアラブ指導者同様、国民の希望や期待に反して、ネタニヤフの腰巾着であることが益々明らかになっている。

 混乱が広がるにつれ、私は映画「アラビアのロレンス」の場面を思い出す。映画の終わり、ダマスカス陥落の際、彼は二人の外交官と話し、秘密のサイクス・ピコ条約は何も知らなかったと主張する。背後にある現実の物語では、勝者は栄光に浸っているが、いつも通り、その輝きはすぐ薄れ、舞台裏の協定の当事者たちは、いつも通り、権力や資源や、その双方から流れる金を求めて互いに敵対し始める。

 アサド軍崩壊の中、イランとロシアが比較的無策なのは戦略的撤退かもしれない。撤退することで、アサド軍は再編成し、内紛で敵が弱体化すれば戻ってくる可能性がある。一方、ロシアはHTS*から主要基地を確保しており、シリアでの最近の試練に直接関与しないことで、ウクライナでの主要目標に集中し、いざという時のため資源を温存できる。

 名ばかりの勝利!

 イランにとっては、レバノンやヒズボラとの直接の繋がりを失うのは後退だが、シリアでの作戦が長期化すれば危険を伴う。防空軍援護がないため、本国から遠く離れた場所では、イラン軍はイスラエル空爆に対して無防備になるだろう。

 アメリカにとって、アサド政権崩壊は、ウクライナからイランへと焦点を移し、部分的な勝利を主張できる機会となる。これをガザ紛争と進行中の大量虐殺から注意をそらす機会で、シリア防空軍に邪魔されることなくイラン核施設を攻撃する好機とイスラエルは見ている。だがイランがイスラエル空軍基地を以前攻撃した際、イランが十分に設計され完全に機能する防空網を持っているのをアメリカとイスラエルどちらも学んでいない。

 混乱は拡大し、ヨルダンとエジプトの不安定化を招く可能性が高く、それに比べればアラブの春は穏やかなものに見えてくるだろう。

*-ロシア連邦では禁止されている

 セス・フェリスは調査ジャーナリスト、政治学者、中東問題専門家

記事原文のurl:https://journal-neo.su/2025/01/10/syrias-fragmentation-and-the-new-sykes-picot-geopolitical-chaos-and-regional-realignments/

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