Unz Review

2024年10月28日 (月)

イスラエルの完全な狂気

Ron Unz
2024年10月21日
The Unz Review


イスラエル財務大臣ベザレル・スモトリッチ

 メディアは強力なマインド・コントロールの道具として機能していると私はよく言ってきた。これは古典的SFの筋書きに見られるものとあまり変わらない。何週間も何ヶ月もそのような支配的言説に浸っていると、完全に自由になるどころか、独立した考えを持つことさえ非常に困難になる。ほとんどの人にとって、頭蓋骨の奥のささやきが論理的思考を圧倒し、感情的な反応は、まるでスイッチでオンかオフに切り替わる。

 その完璧な例が、1967年の悪名高いリバティー号事件だ。国際水域を平和的に航行していた我が国の海軍艦艇がイスラエル軍の攻撃を受け、イスラエル空軍と海軍は200人以上の米兵を死傷させたが、生存者を一人残さず沈没させようとする試みは偶然失敗した。これは、第二次世界大戦の大規模戦闘以来、アメリカ海軍にとって最悪の人命損失で、他の国が責任を負っていたとしたら、我が国の迅速かつ圧倒的軍事的報復により、その国の主要都市は爆撃で瓦礫と化し、何千人もの市民が殺害されていたはずだ。おそらく、このいわれのない攻撃を命じた敵の指導者全員を追跡して処刑していたはずだ。

 しかし、アメリカ政府は事件発生当時、事件を完全に隠蔽し、その結果、ユダヤ国家に毎年納める貢納金が着実に増加しただけだった。12年後にようやく事実が明らかになった時でさえ、憤慨したのは国民のごく一部に限られ、その話を聞いた大多数の人々は、「ここには何も見るべきものはない」とメディアが伝えたので、気に留めず、先に進まなければならないと漠然と考えた。通常であれば大規模懲罰戦争を引き起こすと予想される出来事は、不快で肩をすくめる反応しか得られなかった。

 アメリカは、広大な国土と先進的兵器により、1960年代の世界舞台で物理的巨人として立ちはだかっており、他のどの国も我々の力には直接挑戦できなかった。しかし我々を攻撃した国の前で、我々は依然無力だった。なぜなら少数の親イスラエル派ユダヤ人が、メディアによるマインド・コントロール手段を駆使し、我々を目に見えない糸で揺さぶられる無力な操り人形に変えたためだ。

 私は数年前その奇妙な歴史的事件について論じた。

 事件から半世紀以上経過したが、そのうちの大半の期間、メディアによる国民に対するマインド・コントロールの力は依然大きく、着実に極端さを増している。

 ほんの数週間前、イスラエルのモサドがレバノンで何千もの爆弾を仕掛けたポケベルを突然爆発させ、それらの同時爆発により、子どもを含む約500人の民間人が死亡または重傷を負い、何倍もの人が負傷した。これは明らかな戦争犯罪であるだけでなく、攻撃の規模と、国全体で普通の電子機器を致死的爆弾に改造したことによる恐ろしい社会的影響を考えると、おそらく世界史上最悪のテロ攻撃の一つで、アメリカを含む他の国々に対する将来の攻撃の極めて危険な前例となった。もしアメリカ・メディアがこの事件をあるがままに伝えていれば、確実に、憤慨したアメリカ人が、これを実行したテロ国家を地球上から一掃するよう要求したはずだ。ところが、その代わり、メディアが違う物語を報じたため、アメリカ国民はただ肩をすくめるか、時に歓声を上げるかのどちらかだった。

 最近の記事で、寄稿者の一人が:保守的なカトリック教徒の友人との夕食会で遭遇した反応について述べたが、彼の経験談は長々引用する価値があると思う。  
南レバノンで、ポケベルやラジオやソーラー・パネルをイスラエルが攻撃した今や悪名高い事件直後に、現地のカトリック司祭の家で、私は友人や知人のグループと夕食を共にした。食事を終え、お決まりの世間話をした後、会話は自然に政治や中東情勢に及んだ。この一年、この集団とは数回会っていたので、イスラエル/パレスチナ問題や国際的ユダヤ人勢力に関し、出席者の大半が、どのような立場を取っているか良く知っていた。イスラエルはアメリカにとって欠かせない同盟国で、非文明的で野蛮な中東における神聖な「ユダヤ・キリスト教」価値観の擁護者だと彼ら全員考えている。(おそらく、いつの日か、自分たちの主であり救世主であるキリストを、キリスト教徒が拒絶し、その拒絶に基づき、神学的建物全体を築き上げ、中東で同信者を殺害したり傷つけたりしている人々を熱烈に支持する理由を調査する研究が実施されるだろう。)
 最後の点について、これらキリスト教徒たちは、彼らの宗教を伝統的ユダヤ教が忌み嫌っていることにおそらく気付いていない。今年初めベツレヘムのキリスト教牧師へのタッカー・カールソンによる長時間インタビューの、この短い動画で示唆されている通り、聖地からキリスト教を根絶すると、多くのユダヤ教指導者が誓っている。

 同じ夕食会での会話は、現在のガザ紛争と爆発する電子機器の利用に移った。  
会話は、2023年10月7日のハマスによる攻撃に対して自衛し、それに応じた対応をとる権利がイスラエルにはあるという、いつもの空虚な決まり文句の応酬で始まった。権威あるイギリスの医学雑誌「ランセット」によると、イスラエルによる完全に非対称な対応により、既に20万人近くのパレスチナ人が殺害されており、少なくとも夕食会に出席していた信者の一人にとって、十分に強力とは言えなかった。レバノンでのポケベル攻撃の話題になると、ユダヤ人による国際法の甚だしい違反を称賛する声を、司祭を含む数人の男性があげ始めた。このような攻撃の不道徳さと広範囲にわたる影響について、私は長々語り始めたが、わざと鈍感な対話者連中はすぐに私を非難した。10月7日にハマスが犯した大量レイプや他の残虐行為を考えれば、これは実に見事な攻撃で、結局かなり釣り合いが取れていると彼らは私に言った。彼らの議論の明らかな非合理性はさておき、イスラエル諜報機関が、おそらく何年も前にこの作戦を計画し、ハイテク産業への深い浸透を利用して製造段階で爆発装置を仕掛けたという主張を私はすることにした。主要産業へのこのような浸透は世界中の全ての人々に大きなリスクをもたらし、この新しい攻撃は危険な前例となる可能性があると私は彼らに言った。イスラエル諜報機関は消費者向け製品に爆発物を事前に仕掛ける能力を持っているという私の示唆は嘲笑の渦を引き起こし、いわゆるホロコーストに関する短いが同様注目すべき論議の後、会話はより日常的問題に移った。
 こうした酷く歪んだアメリカ人の反応は、決して新しい現象ではない。1941年12月7日、日本軍が我が国の軍に奇襲攻撃を仕掛けた。夕食会に出席していた保守派連中の両親や祖父母は、この攻撃を戦争史上最も恐ろしい攻撃の一つとみなし、日本の悪行の永久的証拠としたに違いない。その後、広島と長崎の民間人を原爆で絶滅させたのは、1941年のこの予期せぬ軍事攻撃に対する正当な報復だと多くのアメリカ人は考えた。

 だが、一世代後、イスラエルがほぼ同じことをした。1967年の奇襲攻撃で、エジプトとシリアの空軍を地上で壊滅させ、イスラエル国防軍が易々と戦争に勝利し、両国から領土を奪取できるようにした。しかし、メディア報道のおかげで、勇敢な小さなイスラエルの輝かしい軍事的成功を当時のアメリカ人のほぼ全員が称賛した。

 第二次世界大戦後、アメリカと同盟諸国は国際法を施行し平和を維持するため国連を設立した。熱烈な親イスラエル派メディアは、1948年のイスラエル建国は国連の初期の最も誇らしい瞬間の一つで、長らく苦しんできたユダヤ人に、この国際機関が国家として祖国を与えたとしばしば報じてきた。

 そして今年初め、国連総会はパレスチナを加盟国として承認すると決議し、それにより長い間苦しんでいたパレスチナの人々に同様の祖国を与え、その結果、激しい復讐心で、イスラエルは国連に反抗した。イスラエル国連大使は、痛烈な演説で、他の加盟諸国の前で、公然と(文字通り!)国連憲章をズタズタに引き裂き、国連を非合法かつ「反ユダヤ主義的」だと非難し、それにより自国の激しい敵意を全世界に宣言したようだった。国連のおかげで存在してきた国による同様光景が国連演壇で起きたことがあったかどうか私にはわからない。



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 今月初め、イスラエルが国連事務総長の入国を禁止する前例のない事態が起きた。その後、ここ1、2週間で、イスラエルによる国連攻撃は、象徴的なものから軍事的なものへとエスカレートし、イスラエル国防軍はレバノンの国連平和維持軍に繰り返し砲弾を発射し、国連平和維持軍駐留を認める長年の安全保障理事会決議にもかかわらず、イスラエルからの撤退を要求した。これらの事件で国連軍兵士数名が負傷しイスラエルによる何らかの化学兵器と思われる攻撃で15名が負傷した。

 過去12か月にわたり、ガザ地区で200人以上の国連援助要員をイスラエルは殺害しており、レバノンの国連平和維持軍にも同様な運命を辿ってほしいと一部著名人は考えている。イスラエルに暮らし学んだユダヤ人の元ホワイトハウス顧問マシュー・ブロツキーは、長年議会や行政府に中東問題について説明してきたが、最近「イスラエルはアイルランド担当地域を絨毯爆撃し、更にナパーム弾を投下すべきだ」と宣言し、国連派遣団を全滅させるようイスラエルに促した。元アメリカ政府高官の態度とは到底思えない。

 イスラエルは国連により創設されたのだが、その法的関係の驚くべき側面が、中東で豊富な経験を持つスイスの元軍人として高く評価されているジャック・ボー大佐の一、二週間前の長時間インタビューで取り上げられた。

 ボーの説明によると、イスラエル建国直後、イスラエル過激派がパレスチナとの紛争を解決するため派遣されていた国連和平交渉官フォルケ・ベルノドッテ伯爵を暗殺し、国連安全保障理事会はこれを非難する決議を出した。このテロの実績を踏まえ、当初、イスラエル国連加盟は、イスラエルが国境を確定すること、逃亡または追放されたパレスチナ人に帰還の権利を与えること、エルサレムを国際化すること、という三条件を付帯するものだった。しかし、これまで、どのイスラエル政府も、これら条件を遵守したことがないため、厳密に法的観点からは、イスラエルは国連から追放され、ならず者国家と宣言されるべきだとボーは指摘した。



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 建国当初から、近隣諸国の併合による大規模領土拡大をイスラエル指導者たちが常に夢見てきたため、国連が要求していた国境確定にイスラエル政府が応じなかったのも、そのためだとボーは強調した。

 数日前に欧州の公共放送局アルテが公開したドキュメンタリーは、ボーの主張を裏付けるとともに、領土拡大の考えが放棄されたわけでないことを示しているようだ。インタビューの一つで、イスラエル国境を徐々に拡大して、全て神からユダヤ人に与えられた土地であるヨルダンやレバノンやエジプトやシリアやイラクやサウジアラビア領を含むようにすべきだとイスラエルのベザレル・スモトリチ財務大臣が宣言した。このような攻撃的発言は、中東の安定や平和に、明らかに、ほとんど寄与しない。

 実際、過去数世代にわたり、近隣諸国全てを征服し、その領土を併合する意図を気軽に発表するトップ政治指導者など私は聞いたことがない。

 このような発言をアドルフ・ヒトラーの発言とみなし、まさにこのような大胆な公的征服計画こそ、ナチス・ドイツを倒し滅ぼした世界同盟の形成を正当化したと洗脳された多くの欧米人は信じているに違いないが、これは全く、たわ言だ。ドイツが弱体化していた時期、95%がドイツ人である都市ダンツィヒをポーランドが違法に支配し、ヒトラーがドイツの他の国境紛争を全て平和的に解決した後、唯一残った要求はダンツィヒをドイツに返還することで、その小さな火種が第二次世界大戦の引き金になったのだ。この重要な歴史は、2011年にドイツの軍事専門家で歴史家のゲルト・シュルツェ・ロンホフが出版した『1939 - The War That Had Many Fathers(1939年 - 多くの父親がいた戦争)』で詳しく論じられている。

 しかし、たとえ我々無知な国民が第二次世界大戦のこのような完全に誤った歴史物語を受け入れたにせよ、ナチス・ドイツを滅ぼすための世界同盟創設は、シオニスト・イスラエルを滅ぼすための同様同盟の完璧な前例になるのは確実だと思われる。だが、メディアのマインド・コントロールの力が、被害者たちが思考上、論理的一貫性を維持するのを阻止している。

 スモトリッチが宣言した中東の大半を征服して大イスラエルを建設する計画は極端に思えるかもしれないが、実際の信念そのものより、公の場での率直さこそ異例に思える。実際、2012年にシュロモ・サンド教授が著した素晴らしい著書『The Invention of the Land of Israel(イスラエルの地の発明)』で述べている通り、そのような考えは常にシオニスト運動の本当の狙いを表してきた。

 同様に、数ヶ月前、200万人のパレスチナ人全員をイスラエルが根絶するのは「正義で道徳的」だとスモトリッチが公言したが、現時点では、世界世論が政府にその重要措置を取らせないようにしているとも率直に語った。またしても、スモトリッチの立場は、イスラエル政府同僚大半の私的見解を代弁したものと思われる。

 長年、世界中で何百万人もの非ユダヤ人を虐殺しようとしているとイスラエル著名人が頻繁に公の場で宣言して悪名を馳せてきた。2018年に、将来の首相アリエル・シャロンが1980年代初頭、イスラエルを代表する文学者の一人アモス・オズから長時間インタビューを受けた際にした劇的発言に私は注目した。その後、オズは匿名を装い、これら発言を1983年の随筆集『In the Land of Israel イスラエルの地にて』の一章として発表した。

 2018年に私が説明した通り、自らを「ユダヤ・ナチ」とシャロンは誇らしげに宣言していた。
 彼が自らをそのような言葉で表現したのは、ほとんど誇張ではない。彼はむしろ、イスラエルの敵数百万人の虐殺や、近隣諸国の征服や、住民追放によるイスラエル領土の大幅拡大や、彼らや他の誰かがそのような取り組みに強く抵抗した場合、核兵器の自由な使用を喜んで主張していたからだ。彼の大胆な意見では、イスラエル人とユダヤ人は、一般的に余りに軟弱で従順なので、おそらく憎まれ、確実に恐れられる征服民族になることで、世界で地位を取り戻す必要があったのだ。彼にとって、サブラとシャティーラでの最近のパレスチナ人女性と子どもの大虐殺は全く重要ではなく、この事件の最も不幸な点は、殺人者がイスラエル兵士自身ではなく、イスラエルのキリスト教ファランヘ党同盟者だったことだ。

 今や政治家の間で、過激な言辞はごく普通に見られ、匿名さえ守られれば、口が滑るのは明らかだ。だがアメリカ人や他の欧米諸国の公人、ましてや政治上層部で活躍する人物が、そんな言葉を口にするなど誰が想像できるだろう。最近では、午前2時にドナルド・トランプがつづりを間違えた下品な侮辱をツイートすることがあり、アメリカ・メディアは恐怖で愕然としている。だが彼の政権は漏れやすいので、何百万人もの人々を虐殺するかもしれないと彼が側近に日常的に自慢していれば、確実に我々はそれを耳にしているはずだ。その点、ジャーナリストが注意深くメモを取っている間はもちろんのこと、個人的にも、元祖ドイツ・ナチスが、そんなふうに話した証拠は些かもないようだ。だがイスラエル「ユダヤ・ナチス」はまた別の話だ。
 スモトリッチとシャロンによる血に飢えた発言は、一般的に中東のイスラム教徒とキリスト教徒に向けられたものだが、ヨーロッパ人も、特に核兵器による破壊標的とされてきたのは確実だ。例えば、2000年代初頭の第二次インティファーダでは、占領下のヨルダン川西岸の解放を求めるパレスチナ過激派による自爆テロが広範に発生し、イスラエル社会は深刻なストレスにさらされた。イスラエルが陥落の危機に瀕すれば、純粋に悪意に満ちた復讐として、ヨーロッパの都市を全て破壊すると、イスラエルで最も尊敬されている軍事史家の一人、マーティン・ファン・クレフェルト教授断言した。  
我々は数百の核弾頭とロケットを保有しており、あらゆる方向の標的に発射できる。ローマにさえ。ヨーロッパの首都のほとんどが我が空軍の標的だ。モシェ・ダヤン将軍の言葉を引用しよう。「イスラエルは狂犬のようなもので、あまりに危険で、手を出すには危険すぎる」。現時点では絶望的だと思う。我々は、可能な限り、事態がそうなるのを防ぐよう努めなければならない。だが我々の軍隊は世界で30番目に強いのではなく、むしろ二番目か三番目だ。我々と共に世界を滅ぼす能力を我々は持っている。そして、イスラエルが陥落する前に、それが実現すると断言できる。
 崩壊しつつあるイスラエルが核兵器を使って世界の大半を破壊するというこの教義は「サムソン・オプション」と呼ばれ、著名調査ジャーナリスト、シーモア・ハーシュによる1991年の同名ベストセラーで広く知られるようになった。しかし、その本は出版当時も、その後数十年も、大きな注目を集めたにもかかわらず、数年前に私が読んだ際、最も驚くべき要素の一つが、メディアで読んだ様々な書評や概要のいずれにも一度も取り上げられていなかったことに気がついた。

 ほとんどの観察者と同様、イスラエルが核兵器を開発したのは、近隣アラブ諸国が通常軍事力で優位に立つ寸前になった場合、その国々に対して使える切り札だと私は考えていた。実際、1973年の戦争で軍事的大打撃を受けた際、イスラエルはまさにその通りのことをした。イスラエルがカイロとダマスカスを核兵器で殲滅すると脅したことで、ニクソン政権は未曾有の軍事装備を供給せざるを得なくなり、テルアビブは戦況を一変させて勝利を収められたのだ。

 しかしハーシュの本は、1980年代にイスラエル核兵器と熱核兵器の主標的が実はソ連だったという驚くべき事実に20ページ近くを割いている。イスラエルが密かにアメリカの諜報情報を入手しており、モスクワやレニングラードや他のソ連の主要都市を効果的に殲滅できると彼は説明した。この核攻撃能力は、イスラエルの直接の敵対国であるアラブ同盟諸国に、ソ連が過剰支援をしないよう強力に抑止するのが狙いだった。当時、ソ連は軍事力の絶頂期にあり世界最多の核兵器を保有していた。イスラエルは地理的に非常に小さいため、世界最大の国を攻撃して破壊するための本格的戦闘計画をイスラエルが立てていたのは非常に衝撃的だった。

 さらに、ハーシュによれば、イスラエルは普通のスーツケースに詰め込める小型核兵器開発にも力を入れており、モサドはそれをソ連や潜在的に敵対的とみなされる他の国に簡単に密輸でき、そのような目立たない運搬方法に対し、防御手段が全くないという。長年、インターネット上の多くの興奮した投稿者連中は、世界中のイスラエル大使館には、おそらく核兵器があり、危機の際、爆破し全ての主要国の首都を破壊できると主張してきたが、私は常にそのような考えを不合理な妄想として退けてきた。しかし、1991年のハーシュ著書の一部を読み返し、最近のポケベルの爆発攻撃を考慮すると、今ではそのことに、あまり確信が持てなくなっている。

 こうした極めて大胆、あるいは極めて愚かな態度は、現在のイスラエル指導者の間でも依然根強く残っているようだ。昨年、ハマス攻撃後、ロシアの支援が不十分だと考えて激怒したイスラエル有力政治家は、RTに出演し、イスラエルがハマスを壊滅させた後、ロシアを標的に厳しい報復を行うと宣言した。これは世界最大の核兵器保有国に対する驚くべき恫喝だった。



 これまで中南米の様々な国とアメリカはしばしば拙い関係を築いてきたが、キューバやベネズエラやニカラグアの指導者がアメリカのテレビに出演し、激怒して口角泡を飛ばす勢いでアメリカを脅すのは聞いたことがない。

 通常の状況なら、近隣諸国全てを征服し、敵対的とみなす何百万人もの民間人を絶滅させ、最終的に核兵器を使ってヨーロッパの全都市を破壊する意図を公言する指導者がいる国は、確実に国際的に多大な懸念をもたれるはずだ。もしそれら恐ろしい言葉が、中東と欧米諸国の指導者に対する何世代にもわたる比類のない暗殺の歴史を含む、同様に恐ろしい行為と頻繁に一致すれば、そのような懸念は明らかに拡大したはずだ。ごく最近では、イスラエルが敵指導者を暗殺しようとして、レバノンの首都ベイルートの1区画全体を80発余りの2,000ポンドのバンカーバスター爆弾で破壊して成功した。また、過去一年、数多くの記事で、連中の恐ろしい戦争犯罪の一部を私は頻繁にまとめてきた。  
実際、イスラエル人はそれらビデオのために、心をつかむコンテンツを雪崩のように作り続けている。イスラエル活動家の暴徒は頻繁に食料トラックの通行を阻止し、数週間以内に、100万人以上のガザ地区の人々が致命的飢餓の危機に瀕すると国連高官が発表した。絶望し飢えたガザ地区の人々が、通行を許された数少ない食料配達車列の1つに群がった際、イスラエル軍兵士が「小麦粉虐殺」で100人以上のガザ地区の人々を射殺し、後に同じことが繰り返された。これらの死や意図的飢餓の恐ろしい光景は全てソーシャル・メディアで世界中に放送され、最悪の例のいくつかは、パレスチナ人の子どもの遺体が飢えた犬に食べられる映像など、大喜びするイスラエル兵の証言によるものだった。別の画像には、イスラエル戦車に生きたまま押しつぶされた縛られたパレスチナ人囚人の遺体が映っていた。ヨーロッパ人権団体によると、イスラエル人は頻繁にブルドーザーで多数のパレスチナ人を生き埋めにしている数カ所の病院近くで集団墓地が見つかったと国連が報告した。犠牲者は縛られ、裸にされ、処刑のように射殺されていた。インターネットの扇動屋アンドリュー・アングリンが指摘している通り、イスラエルのユダヤ人の行為は単に邪悪なのではなく「漫画のように邪悪」で、彼らの露骨な犯罪全てが大げさなプロパガンダ映画の脚本に基づいているようだが、実際、現実に起きているのだ。
 だが、このような極端な事実にもかかわらず、ごく最近まで、イスラエルや現地の政治同盟諸国が展開したほぼ完全なメディアのマインド・コントロールは、大多数の欧米諸国民をイスラエル陣営に留め、イスラエルの行動を強く支持させるのに十分だった。

 しかし、このようなメディアによるマインド・コントロールには情報源のほぼ独占が必要だ。2、3世代にわたり、それはほぼ事実で、精力的な親イスラエル派門番連中が、反対の情報がアメリカ国民の目や耳にほとんど届かないようにしていた。しかし、インターネットの台頭により、伝統的メディアの力は急速に弱まり、特にソーシャル・メディアの効果的な配信チャネルにより、その力は脅かされている。ソーシャル・メディアを従わせるための大きな取り組みがなされてきたが、TikTokやイーロン・マスクのTwitterなど比較的検閲の少ないプラットフォームでは、破壊されたガザの恐ろしい画像が依然広く流布され、アメリカの若者の考え方を大きく変えつつある。

 YouTubeの検閲は遙かに厳しくなっているが、数十年前には考えられなかった重要コンテンツの配信チャネルも提供されている。

 たとえば、カタールが設立し、イラク戦争中に国際的名声を得たグローバル・ニュースネットワーク、アルジャジーラを考えてみよう。その後、全大手ケーブルTV企業が一致団結してブラックリストを作成し、アメリカ家庭で視聴できなくなり、アルジャジーラはアメリカ情報環境の中で目立たない存在に追いやられたように見えた。しかしインターネットの台頭により全てが変わり、最終的にアルジャジーラの強力な専門家たちが制作したコンテンツはCBSやFoxNewsの制作物とほぼ同等の土俵で競争できるようになった。

 一方、グレイゾーンのような小規模メディアも、YouTubeを効果的に利用して動画コンテンツを配信しており、YouTube上で検閲されることもあるが、15年や20年前には誰も彼らの活動に気付くことはなかっただろう。

 10月7日の攻撃から一年経ったのが数週間前で、アルジャジーラとグレイゾーンはそれぞれ過去12か月間の重要な側面を扱った迫力あるドキュメンタリーを発表した。これらは焦点こそ多少異なっていたが、話題の完全に補完的側面を提供している。内容のほとんど全てが主流メディアには完全に無視されていた。これらのドキュメンタリーは合わせて二時間以上あり、放送や印刷物を問わず、これまで主流情報源からしか情報を得ていなかった人々にとって、これらを観れば、かなり衝撃があると思う。

 アルジャジーラの80分間ドキュメンタリーはイスラエル戦争犯罪に焦点を当てており、二週間も経たないうちにYouTubeで100万回以上視聴され、Twitterや他プラットフォームでもおそらく更に数十万回視聴されており、非常に順調なスタートと思われる。



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 太古の昔から軍隊は戦争犯罪を行ってきたが、これほど徹底的に記録されたことはかつてなかった。証拠の多くは、おそらく友人に感心させるため、嬉々として撮影し動画をアップロードしたイスラエル兵士のソーシャルメディア・アカウントから得られたものだ。イスラエルほど自らの犯罪を自慢したがる軍隊は世界中どこにもなかったろう。おそらく、数十年にわたるほぼ完全な政治とメディアの免責が、イスラエル政府や軍隊や国民の傲慢さを、未曾有のレベルにまで高めたためだろう。

 経験豊富な人権問題担当者や退役イギリス軍将軍など、映像を評価するため数人の知識豊富な人物をアルジャジーラは雇ったが、カメラの前でのインタビューで、目の前で目撃した国際法の明らかな違反行為の全てに彼らは完全に愕然としていた。

 捕虜となったパレスチナ人のほとんどは明らかに無辜の民間人だったが、彼らはひどく虐待され、不法に人間の盾として使われ、時には無差別に殺害された。民間家屋や私有財産は略奪され、破壊され、現地の病院や他の民間施設も全て破壊された。ある軍事専門家は、先進国の軍隊がこのような完全に規律のない行動をとれることに驚きを表明した。これは、現代の正規軍というよりも部族民兵や盗賊団に予想される行動だ。

 ドキュメンタリー終盤は、パレスチナ人囚人に対する組織的レイプや性的虐待についても触れており、これはイスラエル最高指導部にも容認されているようで、ユダヤ人国民の大多数が強く支持している政策だ。また多数の欧米人医師による報告で、多数のパレスチナ人の子どもや幼児が、イスラエル人狙撃兵に正確に狙い頭部や胸部を撃たれて殺害されていることも軽く触れられている。

 このドキュメンタリーの内容は非常に陰惨であるにもかかわらず、欧米の専門家たちがイスラエルの違法行為や戦争犯罪の実に長いリストを冷静に列挙するのを聞いて私は不条理を感じた。ティムールや仲間の中央アジア部族が都市を略奪した後、人間の頭蓋骨の巨大な山を喜々として築いているが、そのような行為は、いくつかの国際法の様々な番号付き項の明らかな違反だと数人の国際法専門家が指摘して舌打ちするモンティ・パイソンの寸劇を私は想起した。この欧米からの批判が、イスラエル兵や連中の最高政治指導者に与える影響は、同じ程度だろうと私は思う。例えば、イスラエル国防軍の集団強姦犯首謀者は起訴の脅威を受け、身元が明らかにされた後、即座に国民英雄になった。

 アルジャジーラのドキュメンタリーは、無力なパレスチナ民間人に対するイスラエルの戦争犯罪と残虐行為の証拠を大量に記録したものに80分を費やしたが、この資料のほとんど全てが我が国の主流メディアには完全に無視されている。一方、グレイゾーンの40分ドキュメンタリーは、物語の裏側、つまりハマスによる残虐行為と戦争犯罪に関する欧米メディアの大規模で圧倒的な報道を取り上げており、そのほとんどがプロパガンダの作り話か、少なくとも確固とした裏付けとなる証拠が欠けているようだ。残念ながら、このビデオはYouTubeでは禁止されており、ここには埋め込めない。



 ハマス襲撃の数日後、イスラエル人の赤ん坊40人がハマスに斬首されたと、信じやすい欧米諸国のジャーナリスト連中が報道し始めた。そして、その話が誤りだと証明され撤回された後、同様に捏造された丸焼きにされた赤ん坊の話が即座にそれに取って代わり、その後、残忍な性的切除や集団レイプの話が続いた。これらの主張には証拠がなかったが、バイデン大統領をはじめとする欧米首脳は、これら馬鹿げた捏造に信憑性を与えた。



 残念ながら、ハマスによる様々な残虐行為に関する記事の撤回は、当初の衝撃的見出しほどの注目を集めることはなく、アメリカや欧米諸国の人々の記憶に深く刻み込まれているに違いない。知識がある人は「首を切られた赤ん坊40人」をばかげた残虐行為の作り話とみなすかもしれないが、5倍から10倍のアメリカ人が未だそれら記事は真実だと信じているのではないかと思う。そして感情的になりやすいイスラエル社会では、おそらくその傾向は更に強いだろう。

 これらビデオ・ドキュメンタリーで語られた何気ない発言から判断すると、一般イスラエル人の大多数は、未だこれら残虐行為の物語を信じていると私は思う。ハマス戦闘員は、赤ん坊の首をはねて焼き、少女を輪姦し、身体を切断する男の姿をした悪魔で、彼らを支援しているパレスチナ民間人もほぼ同じ範疇に入るとされている。従って、イスラエル人の少女や女性に対する明らかに架空の輪姦は、捕らえられたパレスチナ人に対しイスラエル人が復讐行為として非常に現実的な輪姦を行う決定的要因になっていると思われる。アルジャジーラ・ドキュメンタリーで紹介された他の残虐行為や拷問や殺人もそうだ。

 ハマスによる架空の残虐行為に関するユダヤ人の奇怪な主張は現実に恐ろしい結果をもたらした。これは私が他のいくつか主要な歴史的出来事で指摘してきたパターンだ。2018年の記事で歴史的反ユダヤ主義に関するアルバート・リンデマン教授の非常に長い研究を参考に、特定の文化的傾向の存在と、それが時に不幸な結果をもたらすことを私は指摘した

 ロシアで急激に増加しているユダヤ人人口と統治当局との間の緊張関係を率直に描写する中で、賄賂や汚職や全般的な不正行為で知られるユダヤ人の悪名にリンデマンは触れずにいられない。法廷で偽証するユダヤ人の顕著な性癖が、司法の有効な運営に深刻な問題を引き起こしていると、あらゆる政治的背景を持つ多くの人物が指摘している。1913年に東欧系ユダヤ人の通常の行動を、非常によく似た言葉でアメリカの著名社会学者 E・A・ロスが表現している。「ユダヤ人の恥知らずな嘘や大げさな誇張の悪名高い傾向は、時として人間に恐ろしい結果をもたらすことがある。」
 欧米メディアは依然厳しい親イスラエル統制下にあるが、世界の人口と経済の中で欧米は小さく、その割合は減少しつつある。

 これらの出来事について異なる視点を提供する数少ない欧米の主要YouTubeチャンネルの一つが、アンドリュー・ナポリターノ判事のチャンネルだ。このチャンネルは、主流メディアから完全に排除されているアメリカの一流学者や国家安全保障専門家やジャーナリストを招いている。彼らは多種多様なイデオロギー的、職業的視点を代表しているが、出来事の基本的現実については全員同意している。現実は、いわゆるメディアで伝えられているものとは大きく異なるのだ。

 常連出演者の一人に著名政治学者ジョン・ミアシャイマー教授がいる。同教授は中国など数カ国への海外旅行から戻ったばかりだ。先週のインタビューで、アメリカや欧米諸国は依然メディア統制下にあるが、他の国々のメディアは、自分や他の出演者が主張する内容と非常に近い全く異なる物語を伝えていると教授は強調した。



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 数十年前は、アメリカの世界メディアや強力なマインド・コントロール体制が地球を支配していたが、現在その影響力は急速に縮小しつつある領土の一部となり、イスラエルとガザの紛争に関する極めて不誠実な描写が、残された信頼性を著しく損なっている。

 最後に、トルコのメディア企業が、2040年と、ほぼ全世界が傍観して何もしなかった間に起きたガザ民間人虐殺の25周年記念式典を描写した短いながら感動的映像を公開したことを指摘しておかなければならない。



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 ローレンス・ウィルカーソン大佐はコリン・パウエル国務長官の首席補佐官を長年勤め、アメリカ政府のトップに近い立場で長年過ごしたが、インタビューでその映像を見せられた際、言葉に詰まり、冷静さを取り戻すのに数分間かかり、それから話を続けた。

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Bibliography
記事原文のurl:https://www.unz.com/runz/the-total-madness-of-the-state-of-israel/

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 Alex Christoforou Youtube ドイツ最大兵器企業、ラインメタル、ウクライナで現地生産予定。「グルジアの夢」が選挙で54%獲得したが、ズラビシビリ大統領「選挙結果を認めない」。
SELIDOVO captured. Georgia Dream big election WIN. GERMAN Rheinmetall in Ukraine. Kamala McDs pic? 34:45
 Sabrina Salvatiの正論 CNNエルサレム特派員報告批判。

 イスラエルのイラン攻撃を報じるCNN見出しは偽りだ。
 攻撃はretaliateではなく、escalateだ。
 そもそも紛争を始めたのは、イスラエルだ。
 CNNはアメリカ国務省の拡声器。
Israel ATTACKS Iran! 20:27
 日本のメディアも同じ。

2023年8月17日 (木)

ネオコンはトゥキディデスの罠から世界を救ったのか?

ロン・アンズ
2023年6月18日
Unz Review

 ここ数年、中国との紛争の拡大を「トゥキディデスの罠」の必然的結果として私は説明し始めたが、その考えの源泉を完全には確信していなかった。数十年前、私は古典ギリシャ史に非常に強い関心を持っていたので、ギリシャを荒廃させた数十年にわたるペロポネソス戦争に至った支配的なスパルタと台頭するアテネ間の激しい競争への言及は私には明白だった。しかし、つい最近、ハーバード大学のグレアム・アリソンによる2017年の全国ベストセラーDestined for War(邦訳書名『米中戦争前夜』)で、この用語が普及したことを発見した。

・トゥキディデスの罠:アメリカと中国は戦争に向かっているのか?
台頭する勢力が既製支配権力と対峙した過去12件の事件のうち16件で結果は流血だった
グレアム・アリソン• The Atlantic• 2015年9月24日

 私はアリソンの以前の作品を読んだことはなかったが、私が新入生として大学に入学するほんの数年前、彼はハーバード大学ケネディスクール創設学部長になったので、何十年もの間彼の名前はよく知られていた。彼の話題は私に関係していたので、私は彼の比較的短い本と、同じ主題に関する彼の元記事を読むことにした。

 アリソンの学歴全体は非常に冷静で立派で、これは確かに彼の扇動的な称号と劇的予測の影響を拡大した。ペーパーバック版の表紙には、ジョー・バイデンからヘンリー・キッシンジャー、デビッド・ペトレイアス将軍、クラウス・シュワブに至るまで、欧米で最も権威ある公人や知識人の長いリストの驚くべき10ページの熱烈な支持が詰め込まれている。彼のメッセージが深い琴線に触れたのは明らかで、彼の全国ベストセラーは、ニューヨーク・タイムズ、ロンドン・タイムズ、フィナンシャル・タイムズ、アマゾンにより今年の本に選ばれるなど絶賛された。だから6年前までさかのぼり中国とアメリカの戦争の深刻な可能性は、アメリカの政治、知的エリートにとって非常にホットな話題になった。

 アリソンの推論は単純ながら説得力がある。彼が元の2015年の記事冒頭で説明したように、中国とアメリカの間の戦争は、ありそうもない、あるいは考えられないようにさえ思えるかもしれないが、歴史的に似た物事の幅広い考察はそうではないことを示唆しており、予期せぬ第一次世界大戦の勃発が最も明白な例だ。

 30年以上前の冷戦終結とソビエト連邦崩壊に続いて、アメリカは唯一比類のない世界的超大国として浮上した。しかし過去の世代における中国経済の驚異的成長は19世紀末近くにアメリカがイギリスを追い抜いて以来初めてのそのような移行で、実際の規模でもアメリカを追い抜いた。中国の技術進歩も同様に急速で、現代世界で、これらはグローバルパワーの生の要素だが中国は以前優先度が高くなかった軍隊も強化し始めている。

 これら同じ傾向に私は確実に気づいており、数年前に中国とアメリカの対照的軌跡に関する長い記事を発表したが、軍事紛争を現実的可能性として考えたことはなかった。

 ・中国の台頭、アメリカの没落
どちらの超大国が「搾取エリート」に脅かされているのだろう?
ロン・アンズ• The American Conservative• 2012年4月17日

 しかし、アリソンと彼の仲間が過去500年の歴史をふるいにかけ、急速に成長する新興国の力が支配的な支配国の力を追い抜く恐れがあった事例を見つけた際、彼らは、そうした例の半分以上(12のうち16)で、結果が戦争だったことを発見した。

 これら個々の歴史的事例のいくつかは簡単に異議を唱えられるかもしれない。そして実際、彼の2015年の記事で示されたもののいくつかは彼の2017年の著書と異なっていた。しかし一般的パターンは非常に明確に見える。

 最も古く最も深い文化的および政治的つながりでさえ、こういう結果をほとんど妨げなかった。第一次世界大戦前、イギリスとドイツは互いに戦争をしたことがなく、実際、後者のプロイセンの前任者は伝統的にイギリスの最も忠実な大陸の同盟国だった。両国の皇室も深く織り交じっており、イギリス君主制には複数のドイツ人の前例があり、ビクトリア女王のお気に入りの孫はカイザー・ヴィルヘルム2世で、彼女は彼の腕の中で亡くなった。英語自体ドイツ語にルーツがあるが、アングロ人とサクソン人はもともとゲルマン人部族だったので驚くべきことではない。しかし、ドイツの成長する産業力と軍事力が海峡の反対側にある同族の国を見劣りさせる恐れがあるという単純な地政学的事実と比較して、これら全ての何世紀にもわたる緊密な関係は、ほとんど無視された。

 対照的に、台頭する中国からアメリカを隔てる政治的、文化的、人種的な差違は計り知れず、国民の憎悪をかき立てられる一種ポピュリストのデマゴーグたる最も粗雑な悪魔化に容易に役立つようだ。中国の言語と文化はアメリカのものとは全く異なるだけでなく、三世代にわたり、中国は公式イデオロギーがアメリカの民主的立憲主義と完全に反する共産党に統治されている。朝鮮戦争中、数十万人の中国兵がアメリカ兵と戦い、アメリカに、36,000人の戦死者のほとんどをもたらした。

 明らかに、これら過去の敵意の要点は全て、1972年のリチャード・ニクソン大統領の歴史的な中国開放後は無視され、この両国は、冷戦後期ソビエト連邦の軍事力に対抗する準同盟国となった。しかし地政学的現実が明らかにアメリカを対立の可能性に駆り立てているので、これら事実は、南シナ海の独立して支配されている中国の台湾州をめぐる対立とともに、アメリカの台頭するライバル勢力に対する大衆の敵意を復活させ、集中させる簡単な手段を提供するでしょう自然な発火点を提供します。

 第一次世界大戦のほとんどの説明によると、二つのライバル同盟の形成がヨーロッパを火薬庫に変え、最終的にバルカンでの暗殺の火花で発火し、どちらの側も求めも予想もしなかった大変動的戦争をもたらした。そしてこれは中国とアメリカ間で軍事衝突がどのように起こるかに関するアリソンのモデルだ。後半の章の一つは「ここから戦争へ」と題され、南シナ海で敵対的に対立する海軍哨戒が人命の損失を伴う衝突を容易に引き起こし、双方で面子のためのエスカレーションを何度か引き起こし、最終的に本格的な戦争に突入する可能性がある様々なシナリオを提示している。

 アリソンの最も有名な著書はキューバ・ミサイル危機に関する画期的な1971年の『決定の本質――キューバ・ミサイル危機の分析』で、彼は後にレーガンとクリントン国防総省の顧問として何年も過ごし、そのような軍事的意思決定の現実に精通した。彼の懸念は合理的に思われ、彼は最近かろうじて回避されたいくつかのそのような中国・アメリカの海軍事件について説明している。二つの大きな敵対勢力の軍隊が同じ地域を積極的に哨戒している場合、最終的衝突はほとんどありそうになく、政治的圧力は危険な方法でエスカレートする可能性がある。

 アリソンの著書の挑発的書名は、おそらく疑問符をつけるべきだった。戦争の運命?だが、それ以外は残念ながら彼の歴史的、地政学的分析は非常にもっともらしく感じる。

 アリソンは同じ線に沿って考える著名学者の中で決して孤立していない。2001年、シカゴ大学の著名な政治学者ジョン・ミアシャイマーは国家の行動を最もよく説明すると主張する「攻撃的現実主義」教義の理論的枠組みを提供する「The Tragedy of Gread Power Politics (翻訳は「大国政治の悲劇」)を出版した。彼の構想では、全ての大国は覇権国になることを熱望している。地域ライバルのどれより遙かに強力な国 そして、ナポレオン戦争や第一次世界大戦や第二次世界大戦がこの明白な例であるように、そのような覇権を確立したり阻止したりするため戦争が何百年間も戦われてきた。

 そのような覇権の範囲は地域的だが、世界の特定地域で確立した覇権国が他の場所でライバルとなり得る覇権国の台頭を阻止する強い誘因もあると彼は主張した。したがって、アメリカが西半球で覇権的地位を獲得すると、ドイツがヨーロッパで同様の地位を獲得したり、日本が東アジアで同様の地位を獲得したりするのを防ぐため、当然ながら二つの世界大戦に介入したのだ。

 ミアシャイマーによれば、典型的戦略は、現地覇権国の台頭を防ぐため使用される他の地域諸国の同盟だ、地方のバランスをとる連合の創設と支援が含まれる。したがって、アメリカは第一次世界大戦でドイツがヨーロッパの覇権を獲得するのを防ぐため、イギリスとフランスを支援し、第二次世界大戦では、ソ連とともにこれら二大国に同じことをした。同様に、アメリカは、後者の紛争の極東戦域で中国、オーストラリア、イギリスと同盟を結ぶことにより、日本の東アジア覇権の衝動を阻止した。

 彼の2014年改訂版には、中国に焦点を当てた長い最後の章が含まれており、その大きく急速に成長する力は、アジアの覇権国として確立する可能性が高いと思われた。したがって、ミアシャイマーの理論的枠組みの下で、アメリカとの衝突はほとんど避けられず、アメリカは当然、中国の地域支配を未然に防ぐため、他の現地勢力との反中国連合を育成するだろう。<>年前、彼はすでに外交政策のページで有名な地政学的戦略家ズビグニュー・ブレジンスキーに対し、この同じ問題に熱く異議を唱えて「現実主義」派のこれら<>人の主要人物は中国とアメリカの軍事紛争が発生する可能性があるかどうか議論していた。

 ・タイタンの衝突
 中国はミサイルよりも金に興味があるのか? アメリカは、かつてソビエト連邦を封じ込めたように、中国を封じ込めようとするのだろうか? ズビグニュー・ブレジンスキーとジョン・ミアシャイマーは、これら二大国が戦う運命にあるかどうかについて直接対決する。
ズビグニュー・ブレジンスキー対ジョン・ミアシャイマー • Foreign Policy • 2005年1月-2月

 アリソンとミアシャイマーの二人が強調した重要な点は、アメリカと中国の特定の特徴、つまり彼らの政治制度、文化、歴史および国家指導部が、彼らの軍事的対立の可能性を予測する上でほとんど無関係だったことだ。そうではなく重要なのは、支配的世界大国としてのアメリカの地位と、台頭する中国の地位で、他の全ての違いは権力政治の考慮によって引き起こされる紛争の背後にある大衆の支持を動員するための便利な手段としてのみ機能した。この種の枠組みは、最も純粋な形で地政学的「現実主義」を構成する。

 紛争や同盟のそのような基盤は多くのアメリカ人には異質に見えるかもしれないが、実際現代ではかなり一般的だ。結局共和制フランスは、第一次世界大戦前ドイツとの同盟のバランスで、帝政ロシア絶対君主制の最も近い軍事パートナーだった。イギリスとアメリカの自由民主主義は後に、ドイツに対し、スターリンのソビエト連邦と同盟を結び、頑固な反共産主義者ウィンストン・チャーチルは、その政策の主要支持者だった。最近では、アメリカは毛沢東主義の中国と協力し、イデオロギー的に遙かに穏健なソビエト連邦に反対した。政治的な違いや類似点は国際関係よりも実利的配慮にしばしば圧倒されてきた。

 アリソンもミアシャイマーも中国との戦争は避けられないという鉄壁の主張はしていないし、そうなると主張していない。しかし彼らが示す歴史的証拠は、非常に心配になるほど十分広範だ。そしてアリソンが概説する通り、緊張した対立的状況の下、南シナ海での比較的小さな軍事紛争は容易にエスカレートし、おそらく最終的には核戦争に至る可能性がある。

 ミアシャイマーの改訂版は2014年に登場し、2017年にはアリソンの全国ベストセラーが登場し、彼らが予測した不幸な状況は、毎年益々もっともらしくなり、主流メディアが増幅するアメリカ政治指導部言説の着実な増加に特徴づけられた。彼らの本や他の公開講演がこの傾向を助長し、中国とのそのような世界戦争の概念を考えられないものから、もっともらしい現実的なものに変えたのではないかと思う。トランプ政権の何人かの高官、特にジョン・ボルトン国家安全保障問題担当補佐官やマイク・ポンペオ国務長官はアメリカの主要国際的敵として描いた国、中国に対し確かに敵対的で、共和党の多くも同じ言説を採用している。

 2020年に民主党がホワイトハウスを奪還した後、多くの人がこれら傾向が逆転すると予想していたが、バイデン政権が中国の重要なマイクロチップ産業に未曾有の経済制裁を課し、台湾を巡り大げさな軍事力威嚇などを実際加速しており、民主党と共和党は今、どちらの党が中国に対してより厳しくできるかを巡って競争し始めている。中国の風船をめぐる最近の巨大メディアの誤った動揺は最も極端な例だ。

 ミアシャイマーとアリソン両人が強調する通り、アメリカの反中国地政学戦略の中心的要素は、アメリカの封じ込めの取り組みを支援するため現地でバランス連合を組織することで、英語圏オーストラリアはその集団の創立メンバーだ。アメリカは、第二次世界大戦で、アメリカの忠実な同盟国として戦ったオーストラリアと、イギリス植民地時代の遺産を共有しており、その政治は、オーストラリア人の息子ルパート・マードックの強力な右翼メディア帝国の影響を強く受けている。したがって、これら要因を考えると、かつてのオーストラリアの中国との非常に友好的関係は、激しい国民の敵意や貿易禁輸の話題を特徴とする新たな方向に急速に移行した。

 素朴で楽観的なアメリカ人は、中国との将来の戦争は、太平洋によって守られたアメリカという大国で、アメリカ海岸から遠く離れて行われるよう望むかもしれない。しかし彼の国はその地域に位置し、人口が50倍以上多い中国と比較して極めて小さいため、合理的なオーストラリア人は同じように感じることはできない。思慮深いオーストラリア人は確実にそのような事実を認識し、これら危険な国際的傾向に警戒を強めているので、アリソン-ミアシャイマーの枠組みに対する最初の主要反応の一つがオーストラリア人から来るのは驚くに値しない。

 ケビン・ラッドは、オーストラリア首相を二期(2007-2010年と2013年)務め、その後アメリカに移り、ニューヨーク市に拠点を置くアジア・ソサエティ会長になり、数週間前駐米オーストラリア大使に任命された。2022年3月、彼は「アメリカと習近平の中国との間の壊滅的紛争の危険性」という恐ろしいほど正確な副題を付けて、The Avoidable War(避けることが可能な戦争)を出版した。私は彼の経歴をほんの少々しか知らなかったが、迫り来る世界的紛争を回避するための彼の洞察を知るべく彼の著書を読むことにした。

 ラッドは大学で中国語を専攻し、18歳で学び始めた北京官話に完全に堪能で、彼が設定した重要な課題に理想的背景を持っているようだ。彼が「はじめに」で説明した通り、彼は中国とアメリカの両方に広く暮らし、旅行し、各国に多くの友人がいて、彼らが不必要な対立と考えるものを回避できることを非常に望んでいた。彼の本は素晴らしいと私は感じ、確実に著者の個人的友人アリソンやキッシンジャーや他の主要なアメリカ軍人や学者から受けた熱烈な賞賛に値する。この本は英語で出版され、明らかに主にアメリカ人読者を対象としているため、ページの大部分を当然中国の視点を説明するのに費やしたが、紛争のアメリカ側についてもかなり書いている。

 地政学で性格はほとんど重要ではないかもしれないが、いくつか例外もある。1997年、鄧小平の没後、中国は集団指導部に運営されており、いくつかの派閥や重要人物は通常、最高指導者と政治権力を共有していた。しかし、ラッドは、この状況は今や劇的に変化し、習近平国家主席は未曾有なまで彼の個人的権威を中国で確立することに成功し、共産党のあり得る競争相手を全員脇に置き、毛沢東以来最も強力な中国の指導者になったと強調した。習主席は再選の任期制限を撤廃することにも成功し、現在69歳だが、父親は88歳まで生き、母親は96歳で生きているので、2020年代から2030年代にかけて中国最高指導者であり続けられる。

 これら現実を考えると、中国の目標と戦略に関する現在の分析は必然的にラッドの本の中心人物、習主席に焦点を当てるべきだ。確かに、この本は著者が同時期に準備していた「習近平の世界観」に関するオックスフォード博士論文と大きく重なるようだ。

 ラッドは、この分析をする独自の資格があるようだ。首相になる前、オーストラリア外交官として長い経歴を持ち、最終的に外務大臣に昇進し、35年以上前に習主席に初めて会った。何年にもわたり、彼は非常に非公式なものを含め、<>つの別々の機会に彼と会話に合計<>時間を費やした。これに加えて、中国と西洋の両方で、何十年にもわたって入手した他の多くの個人的情報源があり、中国の最高指導者の目標に関する彼の理解に匹敵する多くの部外者がいるとは思えない。したがって、著者が何度かこれらを劇的な言葉で説明する際、アメリカは著者を非常に真剣に受け止めるべきだ。「習は中国の党史上で少なくとも毛沢東と同等で、鄧より大きい自分の場所を確保したいと思っている」。

 ラッドは習主席の主要な目標を一連の10の章で示し、彼の戦略目標の同心円を表し、これらが本の半分を占めている。習主席は政治力の維持と国民の統一の確保を最も重要視し、次に経済発展、軍隊の近代化、そして近隣、アジア周辺、最終的に世界における中国の影響力を高めようとしている。ラッドの組織的手法は役に立ち、彼の分析は非常にもっともらしく思える。

 明らかに、主要大国はしばしば相反する利益を持っており、中国の台頭は必然的にアメリカの相対的衰退をもたらすだろうが、これら全ての章にわたり、アメリカの1997つの大陸規模の国の間に根深い固有の対立はほとんどなかった。ほんの数週間前、私はズビグニュー・ブレジンスキーの影響力のある2004年の本「The Grand Chessboard(翻訳は『地政学で世界を読む――21世紀のユーラシア覇権ゲーム』」を再読した。著者は同様に、グローバルコミュニティのトップとしてのアメリカの影響力と地位を確保することを目的とした一連の戦略と目標を提示したが、彼の計画は、戦争を引き起こすことは言うまでもなく、アメリカの主要な競争相手の重要な利益を脅かすことを目的としていなかった。私は<>年のミアシャイマーとの中国に関する討論でブレジンスキーの味方をし、ラッドが習主席の世界目標と計画を正しく分析した限り、私はそれらをほとんど同じカテゴリーに入れる。時折鋭い肘を伴う国際的競争は、国内の政治的対立が内戦につながる必要がある以上に、必ずしも国際紛争を引き起こすものではない。

 しかし、紛争を誘発しようとしている国は、通常そうする手段を見つけられ、現在の台湾の中国との発火点は明らかにその範疇に入ると思う。半世紀間、アメリカ政府は台湾は中国の一部だと公式に認めていたが、最近民主党と共和党両党の一部幹部政治家はこの解決された問題に疑問を投げかけ、それにより中国が核心的国益と見なすものに直接挑戦している。

 これら危険な進展に対するラッド自身の見解は、私よりも遙かに一方的なものでなく、台湾政策の変更は、特に香港での大規模街頭抗議に対する2019年の警察取り締まりなど、中国の強圧によって部分的に促されたと強調している。著者の専門知識は私自身を矮小化し、おそらく彼は完全に正しいが、抗議自体は実際は意図的に挑発的なカラー革命方針に沿って欧米諜報機関に組織されたという広範な憶測もあり、ラッドは彼のエリート支配体制の社交界から余りにも離れた立場をとるのを躊躇したのかもしれない。また中国のハイテク大手、不動産および金融サービス企業、家庭教師業界、ウォール街投資家や、アメリカの支配的新自由主義支配層に近い全ての経済部門に対する最近の取り締まりについて習が驚くほど批判的であることに気づいたが、ラッドは中国指導者がこれらの活動をしばしば寄生的と見なしていると説明した。

 中国に対するアメリカの姿勢は、トランプ政権とバイデン政権両方で過去数年間劇的変化を遂げた。ラッドはこれらの変化を説明し「危険な生活の10年間」と題する章を書き、可能性がある軍事衝突の10の違うシナリオを概説しているが、半分は武力紛争を含み、時に両国のどちらかに悲惨な政治的結果をもたらす。彼自身は、アメリカが、そうではなく「管理された戦略的競争」方針に従うことを望んでおり、その要素を長い最終章で概説しており、これは明らかに私自身の好みでもある。彼の全提案は素晴らしいものだが我が国の支配的政治エリートが彼の賢明な言葉に十分注意を払っているのか疑問に思う。

 私は彼の本は非常に有用と思い、皆様に強くお勧めしたいが、アリソンとミアシャイマーに以前提示された冷徹な地政学的論理に効果的に反駁するものはほとんど見られなかった。ラッドの著書は、世界がトゥキディデスの罠に閉じ込められ、その結果、中国とアメリカ間の深刻な世界的な対立が起こり、戦争につながる可能性があるという懸念を止めるよう私を説得することはほとんどない。

 20年後の二度目の戦争でヨーロッパの多くを破壊した第一次世界大戦の悲劇的な遺産に関する議論でラッドは著書冒頭を書き出しているが、私はその類推が正しいのを恐れている。1914年の政治指導者や軍事指導者連中は直面する危険をひどく誤って判断し、抵抗できないと感じ、潮流に乗って戦争に導かれたのと今の状況はほとんど同じかもしれないと思う。ミアシャイマーの本の書名は適切に「悲劇」という言葉を強調していた。

 更にアメリカは実際二重の危険に直面している。世界を戦争へと駆り立てる深い歴史的勢力がまださほど強力ではなかったにせよ、過去三十年間、傲慢でしばしば無能なネオコンが二大政党の外交政策体制を支配してきた。彼らの危険な冒険主義が、おそらく非常に違う方法で振る舞ったはずのブレジンスキーの冷静な現実主義を完全に置き換えた。

 しかし奇妙なことに、偶然の状況で、様々な脅威のベクトル和が互いに強化するのでなく相殺することがあり、これがまれな機会の一つの可能性がある。アメリカ外交政策を運営するネオコンの深いイデオロギー的欠陥が、この異なる著者が予測した非イデオロギー的理由で、アメリカと中国間の世界的衝突を回避するのに実際に役立つ可能性がある。

 アリソンとミアシャイマーは何世紀にもわたる歴史的傾向に焦点を当て、彼らの本は過去2022年内に出版されたが、ラッドの本はわずか<>年前に刊行された。通常の状況では、これらの作品は日付とはほとんど見なされません。しかしロシアのウクライナ戦争は2022年2月下旬に始まり、昨年の地政学的影響は甚大で、変革的でさえあった。

 ミアシャイマーが2014年に長い最終章を書いたとき、彼は当然、ロシアをインドや日本、そして韓国やベトナムなどの小国とともに、アメリカが中国に対して構築するバランス連合の中心的要素として想定していた。台頭する中国を封じ込めようとする合理的なアメリカの地政学戦略家なら誰でも、その手法をとったはずだ。

 ところが、オバマ政権の外交政策を動かしているネオコンは、合理的というより実に傲慢で、同じ年、ウクライナで反ロシア・クーデターを画策し、続いてクリミア奪取とドンバスでの戦闘継続を画策し、その全てがロシア関係を永久に潰した。その後間もなく、ミアシャイマーは、ウクライナでのNATOとロシアの紛争の迫り来る将来のリスクについて予言的講演を行い、昨年、おそらくインターネット史上どの学術講演よりも多くYoutubeで約29万回視聴された講演を行った。

 したがって、アリソンが2017年の本を出版するまでに、対中国のアメリカ・ロシアの同盟の可能性は蒸発し、ロシアは彼の議論でほとんど取り上げられなかった。この傾向は続き、一年前、ラッドの本は既に中国とロシアを戦略的パートナーと特徴づけ、習主席がロシアのウラジーミル・プーチン大統領を「親友」と表現し、両国は様々な異なる政治的、軍事的、経済的問題で定期的に協力していると述べた。しかしロシアは依然ラッドの分析では小さな要因で、その役割は彼の著書の他の場所に散在する参照とともに、わずか数ページしか論じられていない。

 ロシア-ウクライナ戦争の勃発は、ロシアを標的とした結果として生じる欧米経済制裁の未曾有の波と、ウクライナに提供された莫大な量の財政的、軍事的援助と同様、全てを完全に変えた。昨年アメリカ主導のNATOは、ロシア国境でロシアに対する代理戦争を戦ってきたが、これは多くのアメリカ政治指導者連中が、ロシアの敗北とプーチンの死か打倒でしか終わらないと宣言した戦争だ。ヨーロッパのハーグ裁判所は、既に戦争犯罪の疑いでロシア大統領に対し逮捕状を発行している。

 ウクライナ戦争が始まる直前、習主席はプーチンと39回目の個人会談を行い、中国とロシアの提携には「制限がない」と宣言した。その後の欧米による対ロシア全面攻撃は、必然的に二つの大国間の緊密な同盟関係を生み出した。

 中国の産業力は非常に大きく、実質生産経済はすでにアメリカ、欧州連合、日本の合計より大きい。しかし、それに加えて、非常に補完的なロシアの隣国の莫大なエネルギー供給と他の天然資源、そしてこの2つを合わせると、おそらくアメリカと同盟諸国の力を上回っている。昨年10月、私はその後起きたいくつかの進展について説明した

 戦争開始時、ほとんどの観測筋は、アメリカとNATO同盟諸国に課された未曾有の制裁がロシア経済に壊滅的な打撃を与えると信じていた。逆に、ロシアは深刻な被害を免れたが、安価なロシア・エネルギーの喪失はヨーロッパ経済を荒廃させ、アメリカ自身をひどく傷つけ、40年間で最高のインフレをもたらした。ロシア・ルーブルは崩壊すると予想されていたが、現在は以前より強くなっている。

 ドイツはヨーロッパの産業エンジンで、ロシアに課された制裁は非常に自己破壊的だったので、それを解除し、ノルドストリーム・エネルギー・パイプラインを再稼働するよう大衆抗議行動が要求し始めた。そのような離脱の可能性を未然に防ぐため、ロシア-ドイツ・パイプラインは、ほぼ確実にアメリカ政府の承認と関与を得て、突然攻撃され破壊された。アメリカは、ドイツは言うまでもなく、ロシアとも法的に戦争していないので、これはおそらく世界史上最大の平時の民間インフラ破壊で、ヨーロッパ同盟諸国に甚大で永続的損害を与えた。世界のメディアに対するアメリカの完全な支配は、これまでのところ、ほとんどの普通のヨーロッパ人やアメリカ人が起きていることを認識するのを阻止してきたが、エネルギー危機が悪化し真実が徐々に明らかになり始めるにつれ、NATOは生き残りに苦労するかもしれない。私が最近の記事で論じたように、アメリカはこれら重要なパイプラインを破壊することによって、3世代のヨーロッパの友情を失ったかもしれない。

・アメリカのプラウダ:パイプラインと疫病
ロン・アンズ• The Unz Review • 2022年10月3日

 一方、他の多くの主要諸国に対する長年の傲慢で抑圧的なアメリカの行動は、ロシアへの支持という強力な反発を生み出した。ニュースによると、イランはウクライナに対し効果的に配備されている多数の先進的ドローンをロシアに提供している。第二次世界大戦以来、サウジアラビアとの同盟はアメリカの中東政策の要だったが、今や石油生産問題でサウジアラビアは繰り返しロシア側に立っており、アメリカ議会の報復の恫喝にもかかわらず、アメリカの要求を完全に無視している。トルコはNATO最大の軍隊を持っているが、天然ガス輸送ではロシアと緊密に協力している。インドもアメリカがロシア石油に課した制裁を無視し、重要な問題でロシアに近づいている。アメリカの政治的属国を除き、ほとんどの主要世界大国はロシア側についているようだ。

 第二次世界大戦以来、アメリカによる世界支配の中心的な柱の一つは世界の準備通貨としてのアメリカ・ドルの地位と、それに伴う国際銀行体制支配だった。最近まで、アメリカは常に中立的で行政的役割をしていたが、アメリカは益々その力を武器化し始め、アメリカの立場を利用して嫌いな国を罰し始めており、これは当然、他の国々に代替案を模索するよう余儀なくさせている。おそらく世界は、ベネズエラやアフガニスタンなど比較的小さな国の金融資産凍結は容認できるかもしれないが、ロシアの3000億ドル外貨準備差し押さえは明らかにバランスをひっくり返し、主要国は益々ドルとアメリカが管理する銀行ネットワークから取り引きを移動しようとしている。EUの経済衰退は、それに対応してユーロ下落を引き起こし、自動的にドルを押し上げたが、通貨覇権継続の長期的見通しはほとんど良くないように思える。そしてアメリカの恐ろしい財政赤字と貿易赤字を考えると、ドルからの逃避はアメリカ経済を簡単に崩壊させるかも知れない。

 ウクライナ戦争勃発直後、著名な歴史家アルフレッド・マッコイは、ユーラシア大陸を支配するロシア-中国同盟を中心に構築された新しい世界秩序の地政学的誕生を目撃しているのだと主張した。エイミー・グッドマンと彼の議論は200万回近く視聴されている。

 先月のForeign Policy記事で、アリソンは確かにこれらの新たな進展の大きな重要性を認識していた。彼が最後の段落で示唆したように、それらは彼が2017年のベストセラーで以前想定していた地政学的景観を劇的に変えた。

 国際関係論の基礎の初歩的命題は「私の敵の敵は私の友人だ」というものだ。中国とロシア両国を対峙させ、アメリカ合州国は、元アメリカ国家安全保障問題担当補佐官ズビグニュー・ブレジンスキーが「苦しむ人々の同盟」と呼んだものを作り出すのを助けた。これにより、冷戦でアメリカの勝利に大きく貢献した方法で中国と米国の主要な敵であるソビエト連邦との間のギャップを拡大した1970年代、ワシントンが成功した「三国間外交」を習主席は逆転できた。今日中国とロシアは習主席の言葉を借りれば同盟国より近い。

 習とプーチンは両国の現役大統領であるだけでなく事実上任期満了のない指導者であるため、アメリカは世界で最も重大な宣言されていない同盟に直面しているのを理解する必要がある。

 習とプーチンは今日、ワシントンの公式同盟より重要になっている世界で最も重大な宣言されない同盟にある グレアム・アリソン ? Foreign Policy ? 2023年月1日 ?

 更に数週間前に議論したように、この傾向は急速に続いている。

 先週水曜、ウォールストリート・ジャーナルはサウジアラビアが中国の上海協力機構に加わると報じたが、これは中国の支援下、北京で開催された交渉後、宿敵イランとの外交関係を再構築した発表からわずか数週間後に決定された。石油が豊富な王国は3世代にわたりアメリカの最重要アラブ同盟国で、ジャーナル記事のリード文は、この劇的な発展が中東におけるアメリカの影響力の衰退を反映していると強調した。

 同じ日、ブラジルは、大統領がロシア・ウクライナ戦争を終わらせるための中国の努力を支援するため中国指導者と会う予定だという以前の声明に続いて、最大の貿易相手国である中国との取り引きにおけるドル使用を放棄すると宣言した。地政学的なドミノは急速に崩壊し、アメリカの影響力を奪っているようだ。

 アメリカの恐ろしい財政赤字と貿易赤字を考えると、アメリカの生活水準は特に石油購入のためのドルの国際的使用に大きく依存しているため、これらは非常に脅威的進展だ。何十年もの間、アメリカはドル札を世界中の商品や商品と自由に交換してきたが、それが遙かに困難になれば、アメリカの世界的立場は悲惨なものとなる可能性がある。1956年スエズ危機におけるイギリス・ポンド崩壊の危機が世界舞台におけるイギリスの影響力の終わりとなったが、アメリカも急速に、その「スエズの瞬間」に近づいている可能性がある。

 ネオコンが地政学チェス盤で「フールズ・メイト」の手を指したのを私は厳しく示唆し状況を要約した。

 グランド・ユーラシア・チェス盤で「フールズ・メイト」を指す ロン・アンス? Unz Review 3年2023月3日

 これらの地政学的傾向は、フランスのエマニュエル・マクロン大統領が北京を訪れ、ヨーロッパが「ただのアメリカ追随者」であり続けて「我々のものではない危機に巻き込まれる」べきではないと宣言したことで、二週間で更に加速した。メキシコのアンドレス・マヌエル・ロペス・オブラドール大統領は、アメリカ指導部に異議を唱え、中国の支援を求めた。アメリカの反対にもかかわらず、ドイツ大手企業は中国との関係を強化しており、ブラジル政府も同じことをしており、昨日のアジア・タイムズの長い記事は北京勝利の週を要約している。アメリカに公式にテロリストとして分類されているパレスチナ組織ハマスとの関係を再確立するため会合することで、サウジアラビアは、アメリカに、もう一つの打撃を与えた。

 土曜日、長年ロナルド・レーガン政権とジョージ・H・W・ブッシュ政権で共和党の人物ダグラス・マッキノンによる短いコラムが、これら国際的傾向のいくつかを要約し、アメリカの信頼の喪失で、アメリカは世界的な「銀行取り付け騒ぎ」に相当する地政学的なものに直面するかもしれないと警告した。

 ・アメリカ合衆国銀行に世界的な動きはあるのか?
ダグラス・マッキノン?The Hill?2023年4月15日?

 昨年ネオコンが画策した対ロシア戦争は、強力な反中国連合を形成するアメリカの願望を崩壊させたのが現実だ。

 何世代にもわたり、インドは中国との関係に問題を抱えており、ほんの数年前、激しい国境の小競り合いがTikTok全国的禁止を促した。しかしインドとロシアは冷戦を通じて強力な同盟国で、インドの軍事装備のほとんどは依然ロシア製で、制裁されたロシア石油の精製と販売における非常に儲かる貿易の恩恵を受けている。したがってインドは今や明らかにロシア-中国ブロックに向かって動いている。

 近年中国はサウジアラビア石油の最大市場になり、ロシアは重要なOPEC+カルテルの主要メンバーだ。両国が緊密に抱き合ったことで、長年のアメリカ同盟国からのサウジアラビアの移動はそれほど驚くべきことではなかったが、それでも衝撃波を生み出した。

 日本のエネルギー需要は、欧米の制裁キャンペーンにもかかわらずロシア石油の輸入を開始するように導いたので、極東で最も強力な同盟国でさえ選択肢を再考し始めている可能性がある。

 2014年の分析で、ミアシャイマーは、ロシア、インド、日本を、アメリカが中国に対して作り出すバランス連合の最も重要な三つのメンバーとして論理的に提示していたが、現在、おそらく、これらの二国、または三カ国すべてを失った。

 第一次世界大戦は非常に長く続き、二つの競合する連合が均等に一致し、台頭するドイツの力が非常に強力だったため、三つのヨーロッパ大国(イギリス、ロシア、フランス)同盟は4年間かろうじて引き分けで戦え、アメリカ介入が最終的に流れを変えた。ニーアル・ファーガソンが『The Pity of War』で冷静に論じたように、ドイツが迅速に勝利していれば、本質的に一世紀前にEUを創設し、流血もごくわずかだったはずだ。

 しかし当時のイギリス政府が、あの戦争前夜に故意にロシアとの紛争を引き起こし、それによりロシアのツァーをドイツのいとこの腕に追いやるほど狂っていたとしたら、結果として生じる再編は、ドイツ皇帝の迅速な勝利を確実にしたはずだ、あるいは、おそらくドイツ主導の連立は強すぎて反対さえできなかったはずだ。

 ミアシャイマーが思い描いたように、ロシア、インド、日本、NATO諸国と同盟を結んだアメリカは、中国にとってグローバルマッチより優れたものを構成し、それにより南シナ海での非常に積極的なアメリカ政策を可能にしたはずだ。しかし、ネオコンの過ちは今やまったく異なる力の相関関係を生み出しており、それはアメリカにとって非常に不利なもので、武力紛争の可能性ははるかに低くなっている。

 著書で、アリソンは過去500年間の地政学的移行の長いリストを検討し、流血を回避した数少ないものの一つは、20世紀初頭にアメリカの力がイギリスの力を上回った時発生した。彼が物語っている通り、西半球のアメリカ支配に挑戦することをイギリス政府が検討する頃には、アメリカは既に抵抗するには強力になりすぎていて、イギリスの軍事指導者はその考えを放棄した。後に、イギリス首相ソールズベリー卿はイギリスが数十年前に南北戦争に介入し、アメリカを敵対するライバルの国々に分割するのを助けていたら、問題は後で非常に違う展開をしたかもしれないと物憂げに反省した。

 同様に、昨年の進展は、アメリカが直接対峙するには余りにも強力な中国と連携するグローバル連合の成長を促進し、アメリカに従順な軍事指導者でさえおそらくその現実を認識していると思う。

 この進行中の世界的移行は、政治的であると同時に経済的で、現在IMFや世界銀行などの支配的な新自由主義国際機関は、中国と連携して新たに設立された対抗する組織からの深刻な財政的課題に直面している。最近経済学者のラディカ・デサイとマイケル・ハドソンは、これらの重要な進展について議論し、最も重要な点のいくつかはMoon of Alabamaブログでも強調されている。

 この世界大国の権力変化の重大な性質は、おそらくまだアメリカ自身ではないにしても、多くの国の指導者にとって明らかになりました。習主席は先月のモスクワ首脳会談でプーチン大統領と重要な会談を行い、出発時に彼の発言が映像に記録されている。

 「現在、100年間見られなかったような変化があり、これら変化を我々は一緒に推進している」と習主席はクレムリンのドアに立ってプーチンに別れを告げた。

 ロシア大統領は「同意する」と答えた。

 記事原文のurl:https://www.unz.com/runz/did-the-neocons-save-the-world-from-the-thucydides-trap/

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 最近未翻訳のこの記事があるのに気がついて翻訳。

 同じ筆者の記事で下記記事も以前訳した。

壮大なユーラシア・チェス盤上の「始めから最短手数で詰みにいたる手順、フールズ・メイト」ゲーム

 寺島メソッド翻訳NEWS Pepe Escobar記事の翻訳

米帝国に対する地政学的なチェス盤の変遷

 今朝の孫崎享氏メルマガ題名

ウ:継戦争or和平、NATO事務総長の首席補佐官討論会で、キエフはNATO加盟と引き換えにロシア領土に対する領有権を放棄可能と示唆、スイスのノイエ・ツルヒャー・ツァイトゥングは2月CIA長官が露に「ウクライナ領土の20%」を露が維持し和平と提言と報道

 日刊IWJガイド

「ハワイ・マウイ島で発生した山火事の犠牲者は106人に! 再開発業者によって焼き出された避難民の人たちの人権が侵害されてゆく可能性も!」

【本日のニュースの連撃! 2連弾!】

【第1弾! 中国が年内に日本・ドイツを追い抜き、世界トップの自動車輸出国になる見通し!】格付け会社のムーディーズは、2023年末までに日本を追い抜く可能性があると予測! 長期化するウクライナ紛争と対露制裁で、欧州の工業生産の中心ドイツは急激に没落!(『RT』2023年8月15日、『ロイター』2023年8月15日)

【第2弾! 6月の「反転攻勢」に失敗したウクライナ軍が頭痛の種!? 西側諸国の軍事戦略家たちは、年内の反撃はあきらめ、関心は来年の戦いに移っている! ウクライナ紛争は「長期にわたる消耗戦」へ?】米軍事アナリスト「この戦争は朝鮮戦争に似ているかもしれない」、紛争が長期化すればするほど、欧州経済は没落し続ける!?(『ウォール・ストリート・ジャーナル』、2023年8月13日)

2023年4月14日 (金)

東欧の視点

多くの人々がロシアの敗北を見たいと思っている
フィリップ・ジラルディ
2023年4月11日
The Unz Review

1970年代に私はバージニア州ウィリアムズバーグ近くのキャンプ・ピアリーにあるCIA中央情報局の主要訓練施設で、新しい作戦要員のための実践スパイ技術コースに参加していた。ピアリーは昔も今も「農場」と呼ばれているが最も基本的な意味でのみ畜産に従事していた。教官の一人はラドヤード・キップリングの詩の一部を教官室のドアに飾っていた。それにはこうあった。

鋤の下のヒキガエルは知っている

それぞれの刃先が落ちる正確な場所を

路上の蝶

ヒキガエルに満足を知れと説く

 一部の学生は自分たちを「ヒキガエル」と呼び始め、当局の期待に添うべく教官からの最悪事態を予想していたが、この教官は、海外に行く資格を得たいなら黙って一緒に付き合うよう言う蝶だと特定した。誰もがそれは自分の役割や地位の認識の問題で、学生は罰で辞任するか、更に酷い場合、ヒキガエルのように更に酷い目にあうと知っており、視点と期待が全く異なる教官は全て順調に進んでいると犠牲者たちに快く請け合った。

 国家安全保障問題には関与するヒキガエルや蝶が常にいるのは当然だが、何が重要か重大かについての認識は個人の生活や文化的経験によって異なる。別の言い方をすれば基本的見解はあらかじめ決められておらず塀のどちら側に立っているかに大きく依存する。

 ところで私は最近東ヨーロッパ7か国に立ち寄った3週間旅行から戻ってきた。旅の準備として私は様々な国の多数の現地ジャーナリストや政治家や学者との出会いを手配した。私が選んだ人々は一般的に、それぞれの国のより保守的な政党で活動している私自身の傾向を考えて私自身心地よくいられる範囲の人々を私が選んだ。私が本当に知りたかったのはウクライナでの戦争が国家エリートと一般市民両方に実際どう認識されているかということだった。

 私は自分の見解と同期する反応、つまり、戦争は回避可能だったが、ロシアと指導者ウラジーミル・プーチンを弱体化させるためイギリスとアメリカ両方から要求されたという反応を期待していた。紛争のあらゆるレベルに関与する全当事者が停戦と、戦闘を終わらせるための交渉を要求すべきことを。そしてこの瞬間も軍事力の使用を非難しながらも、ロシアには対処しなければならない正当な国家安全保障上の懸念があることを。

 私の対話者の反応にはいくつか差違があったが、ウクライナでの戦争は、人気がないにせよ、泥棒政治ではなくとも必要に応じ軍事力を使用して旧ソビエト連邦を再現したいプーチンの願望、独裁的だと繰り返し説明されたものを制限するため必要な措置だと考えられているとすぐに知った。私は二つのレベルで、この主張に精力的に反論した。第一に、ウクライナとの戦いが示したように、ロシアにはそのような狙いを楽しむための資源がないこと、第二に、ソビエト連邦の「悲惨な」崩壊に関連するプーチンのしばしば引用される発言はボリス・エリツィン下でその後起きたロシア資源の壊滅的略奪に明確に言及しているのだ。プーチンはワルシャワ条約機構を再現する憧れには言及していない。

 確かに、紛れもなく紛争の最前線にいて、通常関与を警戒すべき人々の反ロシア感情は私を驚かせた。ロシアと深い歴史的、文化的、宗教的つながりを持つセルビアでだけ、ウクライナ紛争に対する彼の同胞の見解は「五分五分」で、国の半分と指導者の何人かさえウクライナ防衛を支持していると主要ジャーナリストが私に言った。他の東ヨーロッパ諸国では視点は遙かに決定的に親ウクライナだった。あるチェコ共和国の学者はポーランドとスロベニア大統領が加わりウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領への個人的支持を誓約し始めキーウフを訪問したため彼の国の指導者を「英雄」と表現した。

 いくつかの出会いでウクライナへの傾倒の一層もっともらしい理由を聞かされた。彼らは、モスクワの中央集権的支配への復帰と、第二次世界大戦の結果、クレムリンが設立した共産主義政権下で採用された形の国政採用につながる可能性のある、この地域でのロシア支配復帰を阻止したかったのだ。彼らはロシアが東ヨーロッパやバルカン半島で支配的役割を果たせなくなるよう何であれロシアを弱体化させたいと考えているのだ。

 更に言えば、彼らは僅か30年以上前のソビエト連邦の崩壊以来経験している繁栄を手放したいのだ。東ヨーロッパのほとんどの国は現在高価なレストランや瀟洒なホテル、繁華街地域でイタリアやフランス・ブランド店舗が並んで目に見えて繁栄している。巨大なスターリン様式アパートが多くの都市部を汚しているのを見ながら、1990年代の問題にさかのぼる廃墟となった建物や正面の銃弾痕の証拠を農村部で見ても、印象は間違いなく高級だった。私は旅の途中あちこちでメルセデスやBMW、そして遙かに高級なマセラティスやランボルギーニ、更に何台かのベントレーやロールスロイスを含む他の場所で見たことのないほど高価な自動車を見た。住民が300万人未満のルーマニアの首都ブカレストでは150万台の自動車が登録されている。東欧中の通りや道路はジョー・バイデンのアメリカの多くの地域より良く維持されているのに私は気がついた。

 現在東ヨーロッパに暮らす多くの人々はソビエト共産主義の代理人が軍事介入(ハンガリー、チェコスロバキア)に支えられて支配した時代にさかのぼる経済的、社会的失敗の直接的な、ほとんど好ましくない記憶を持っているのに留意願いたい。そして若い世代は自由市場と比較的自由な選挙しか知らず両親が説明するような古い姿に戻りたいという傾向はさらに減る。これら全てがおそらく不可逆的なロシアに対する懸念につながるのだ。

 だから私には「ヨーロッパに出没する亡霊」共産主義のようなものへの復帰への恐れが優勢で、態度や視点を形作っているように見えたが、歴史的に言えば好む好まざるにかかわらず、共産主義はロシアを意味する。私は確かに特に現在、ロシアは選挙の自由やその他の基本的自由の点で少なくとも東ヨーロッパにほとんどに匹敵するので、破棄された社会経済的概念と関連する罪悪感の基準によって今のロシアを判断するのには反対だ。あるスロバキア知識人が仲間同胞の宗教を「彼ら全員異教徒だ」と私に説明したにせよ、この地域のほとんどの国で多数派の信仰である正教という共通の絆もあるのだ。

 したがってネオコンが主導する敵対的軍事同盟が世界最大の核保有国と対峙する取り決めより、ある種友好的な多国間関係が好ましいと示唆するのは合理的だ。しかし、とはいえ私の旅行は東ヨーロッパ人が歴史的現実に基づいてロシアが一体何なのかについて正当な懸念を持っている現実に目を開かせた。それは紛れもなく、NATO/西側の介入支持が増加している要因で、その文脈で、ポーランド、チェコ、スロバキア政府が、自国の兵器庫から引き出した武器をウクライナに提供する先導者だったことに注意する必要がある。ある時点で、誰もが正気を取り戻し、何万人ものウクライナ人やロシア人を殺すのは避けられない交渉による紛争解決を遅らせるだけの無意味な行為だったことに気が付くよう期待する必要がある。

 Ph.D.のフィリップ・M・ジラルディは、中東での、より権益にかなうアメリカ外交政策を検討する501(c)3の課税控除対象教育財団Council for the National Interest(連邦ID番号#52-1739023)事務局長。ウェブサイトはhttps://councilforthenationalinterest.orgで、アドレスはP.O. Box 2157, Purcellville VA 20134、電子メールはinform@cnionline.org

記事原文のurl:https://www.unz.com/pgiraldi/perspectives-from-eastern-europe/

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 The Jimmy Dore Show マクロンのもっともな発言。女性ドイツ議員はもっとまとも。

BOMBSHELL! French President Says France Is Done “Following” The United States

Since the end of World War II the United States has had a near stranglehold on Western European policymakers — compelling countries like the U.K., Germany and France to go along with American imperialist efforts in Africa, the Middle East and Asia. Now those virtual vassal states may be reconsidering their adherence to U.S. foreign policy as the U.S. empire begins to disintegrate while China merely gains in stature and influece on the global stage.

Jimmy and Americans’ Comedian Kurt Metzger talk to British politician and talk show host George Galloway about what will likely happen as the U.S. traditional European allies seek a better deal elsewhere.

 今朝の孫崎享氏メルマガ題名

ウクライナにブラジルですら和平の動き。ロシアとウクライナの間の和平交渉を仲介するために、中国、インド、インドネシアを含む国のグループの創設を提案。更に元外相をモスクワに送り打診。日本って平和国家じゃないのか。間接的に戦争ヤレヤレ側についてる。

 日刊IWJガイド

「日本の新聞・テレビが今も取り上げないタブー! 元ジャニーズJr.の岡本カウアン氏がFCCJ会見でジャニー喜多川氏の性的虐待を告発!」

はじめに~日本の新聞・テレビが今も取り上げないタブー! ジャニー喜多川氏による性的虐待を元ジャニーズJr.の岡本カウアン氏がFCCJ会見で告発!『NHK』ディレクターの「もし大手メディアが報じていれば、ジャニーズ事務所に入らなかったか?」との質問に「大問題になっていれば、親も行かせなかったし、なかった」と回答!

【IWJ号外】を発行しました! シーモア・ハーシュ氏の新記事を仮訳! 米国と同盟国からのウクライナへの支援のうち、ゼレンスキー政権による横領は4億ドル以上! ゼレンスキー大統領を無条件で支援するバイデン政権と米情報機関の信頼関係は崩壊、さらに、米国内でもほとんど知られていない事実として、ウクライナの国境近くに米軍2個旅団(約2万人)がすでに集結!! NATOと手を組んで、ロシア軍と対峙するのか、米国政府と米軍の意図は不明!!

2023年4月 8日 (土)

壮大なユーラシア・チェス盤上の「始めから最短手数で詰みにいたる手順、フールズ・メイト」ゲーム

ロン・アンス
2023年4月3日
The Unz Review

 少なくとも一世代以上の間、アメリカ国際政策は益々「プロパガンダ省」に支配され、とうとうツケを払う時期になりつつあるのかもしれない。

 先週水曜日ウォールストリート・ジャーナルがサウジアラビアが中国の上海協力機構に加盟すると報じたが、これは中国の支援で北京で開催された交渉の後、宿敵イランとの外交関係再構築の発表からわずか数週間後に決定された。石油が豊富なこの王国は三世代にわたりアメリカの最重要アラブ同盟国で、ジャーナル記事要旨は、この劇的進展が中東における我が国の影響力衰退を反映していると強調している。

 同じ日、ロシア・ウクライナ戦争を終わらせる中国の取り組みを支援するため大統領が中国指導者と会う予定だという以前の声明に続いて、最大貿易相手国中国との取り引きにおけるドル使用を廃止するとブラジルが宣言した。地政学ドミノは急速に崩壊し、アメリカの影響力を奪いつつあるようだ。

 我が国の恐ろしい財政赤字と貿易赤字を考えると、アメリカの生活水準は特に石油販売のためのドルの国際使用に大きく依存しているため、これは非常に脅威的な進展だ。何十年間も我々は我が国の札を世界中の商品と自由に交換してきたが、それが困難になれば我々の世界的立場は悲惨なものになる可能性がある。1956年スエズ危機はイギリス・ポンド崩壊の危機で、世界舞台におけるイギリスの影響力の終焉を示したが、アメリカは自身の「スエズの瞬間」に急速に近づいている可能性がある。

 我が国の多大な努力と欧米マスコミの強い支持にもかかわらず従順な属国以外に我々の命令に従ってロシアに経済制裁を課すのをいとわない国はほとんどなく、我が国の国際的影響力が大幅に低下している更なる証拠になっている。

 1980年代以来、地政学的権力の中国への地殻変動は中国発展のほぼ必然的結果だと私は見ており、既に長年見えていたこれら強い傾向について10年以上前に説明した。

 しかし事実は今や露骨に明らかになった。数か月前、フランスを代表する学術機関の一つEHESSの研究理事長を務めるジャック・サピールは驚くべき経済統計を述べる短い記事を発表した。

 名目為替レートによるとロシア経済はフランスの半分、スペインとほぼ同じ小さな経済であるため、ウクライナ戦争勃発後課された未曾有の欧米制裁の波に対して非常に脆弱なように見えたと彼は説明した。だがロシアはほとんど無傷で生き残り、逆に深刻なエネルギー不足や深刻なインフレや、その他深刻な経済的ストレスに苦しんでいるのは欧米で、これら比較は単なる幻想だったと示唆している。

 対照的に遙かに現実的な購買力平価(PPP)指標によると、ロシア経済は実際は遙かに大きく、ドイツ経済に匹敵する。だがその基準さえ国際的な力の本当のバランスを大きく過小評価している。

 欧米諸国では経済活動全体においてサービスが圧倒的割合を占めており、これら統計は遙かに操作されやすい。麻薬取り引きや売春や他の犯罪行為も合計に含めるべきで、我が国の繁栄尺度とされるものを押し上げられるとさえ一部経済学者は主張している。

 対照的に、激しい国際紛争の時期には、GDPの生産部門(産業、鉱業、農業、建設)はおそらく相対的に経済力の遙かに優れた尺度で、ロシアはその範疇では遙かに強力だ。したがってロシアの名目GDPはフランスの半分に過ぎないが、実質生産経済は2倍以上で、相対的経済力は、ほぼ5倍違う。これはロシア経済を不自由にすると予想されていた欧米制裁を、なぜそれほど簡単に乗り越えたか説明するのに役に立つ。

 サピールが同じ分析を他国に拡張すると結果は一層顕著になる。我々の不誠実な主流メディアは常に中国を世界第2位の経済大国と表現するが、CIAのワールド・ファクト・ブックを参照すれば誰でも確認できる通り、実際は数年前、実質的にアメリカを上回っていた。だが中国の近代的経済の44%はサービスで構成されるが、アメリカのサービス部門(広告、小売り販売、教育、個人的サービス、ダイバーシティ・コンサルティング)は全体の80%近くに達し、本当の生産高は残りのわずかな部分でしかない。

 サピールの表の1つは、2019年の昔に中国の実質生産経済は既にアメリカの三倍の大きさだったことを示している。

 実際2017年までに中国の実質生産部門はアメリカ、欧州連合、日本の合計を上回っていた

 アメリカを支援する連中は技術や技術革新における我々の優位とされるものにしばしば慰めを見いだすが、過去我々の優位は巨大だったが現在や将来、さほど真実ではなさそうだ。2018年までに世界全体のほぼゼロから60%以上に増加し、アメリカのシェアのほぼ5倍になった過去40年間、中国特許出願の驚異的成長を示す図をサピールは示している。

 これら公式統計が現実世界に影響を与えるいくつかの経験的証拠がある。アメリカ企業は世界の消費者にとって非常に重要なソーシャルメディアやスマートフォンという生態系を作りだし、完全支配し、何年も彼らの立場は難攻不落に見えた。しかし最近のWSJ記事によると現在アメリカで最も人気のスマートフォン・アプリ5つのうち4つは中国製で、Facebookは5位だ。我々の超党派政治支配層の主な反応は、かつて衰退しつつあるソ連のノーメンクラトゥーラが西洋のブルージーンズとロック音楽を必死に禁止しようとしたのと同様に、我々の若者の間で非常に人気のあるTikTok禁止で脅かすことだった。

 技術と経済競争力における中国のこの急速な台頭は驚くべきことではない。物理学者のスティーブ・スーが2008年に指摘したように、国際心理測定データによると、アメリカの人口にはおそらくIQが160以上の約10,000人の個人がいるが、中国の合計は約300,000人で、30倍だ。

 中国最大の戦略的脆弱性は巨大な産業基盤を養うため輸入エネルギーと原材料に依存していることで、国際的な紛争の間、アメリカはそのような重要な供給を阻止するため海の支配を利用する可能性がある。しかしロシアはそのような資源の世界最大の宝庫を持っており、我々の絶え間ない敵意は、最近モスクワ・サミットで強調されたように、ロシアは隣国中国をしっかり抱きしめている。

 このように我々自身の行動は、アメリカを支配的な世界的地位から排除する可能性が高いと思われる強力な中国・ロシア同盟を構築した。そのような結果は、30年前のソビエト連邦崩壊に匹敵する歴史的規模の出来事になるはずだ。

 ハーバード大学のグレアム・アリソンは私が高校在学中その地位を引き受けたケネディ行政大学院の初代院長で、彼の影響力ある2017年のベストセラー『米中戦争前夜――新旧大国を衝突させる歴史の法則と回避のシナリオ』で「ツキジデスの罠」という言葉を造語し、台頭する中国と世界を支配するアメリカ間のほぼ避けられない紛争を彼は恐れていた。しかしロシアに対する我々の不合理な敵意は今や地政学的景観を変え、先週彼はForeign Policyのページで中国-ロシア同盟は、おそらく我々自身を上回っていると主張した。

 彼の最後の段落は全文引用する価値がある。

 国際関係論入門講義の初歩的命題は「私の敵の敵は私の友人だ」と述べている。中国とロシア両国と同時に対立することで、アメリカ合州国は元アメリカ国家安全保障問題担当補佐官ズビグニュー・ブレジンスキーが「苦しむ人々の同盟」と呼んだものを作り出すのを助けてしまった。これにより習主席は、冷戦でのアメリカの勝利に大きく貢献した方法で、中国とアメリカの主敵であるソビエト連邦との間のギャップを拡大した1970年代のワシントンの成功した「三国間外交」を逆転できたのだ。今日、中国とロシアは、習主席の言葉を借りれば、同盟国より緊密だ。

 習とプーチンは両国の現大統領であるだけでなく事実上任期の満期がない指導者であるため、アメリカは世界で最も重大な宣言されない同盟に直面していることを理解する必要がある。

 アリソンによれば、現在我々は、30年以上前のソビエト連邦の崩壊に続く、アメリカの揺るぎない世界支配の終わりを目撃しているのだ。したがって冷戦紛争勝利後期に我が国の成功した戦略の主要設計者だったポーランド生まれの政治学者ズビグニュー・ブレジンスキーの見解を引用したのは非常に適切だった。

 ハーバード大学とコロンビア大学両方で長年「現実主義」派学者であるブレジンスキーは、1973年の三極委員会の主要主催者で、1976年にカーター政権の国家安全保障顧問に任命され、ライバルのサイラス・ヴァンス国務長官に対し、より強硬な見解で徐々に優勢になった。彼は特に自身の母国ポーランドの強力な連帯運動を含む東ヨーロッパの反体制活動を強く支持し、ソビエトが支配するアフガニスタンのイスラム教反政府勢力への大規模軍事援助も組織した。これらの努力は、おそらくソ連を致命的に弱体化させる上で重要な役割を果たした。

 確かにブレジンスキーは社会民主主義的傾向が強い民主党員だったが、外交政策の立場は共和党保守派に非常に賞賛され、1980年のカーター敗北後もロナルド・レーガンが同じ役割にとどまるように彼に頼んだと後に主張さえされた

 1980年代半ばまでに、ブレジンスキーはソビエト共産主義が末期的に衰退していると確信するようになり、1989年に彼は「20世紀における共産主義の誕生と終焉」という予言的副題を付けた『大いなる失敗』を出版した。この作品はベルリンの壁崩壊が時代の終わりを示すほぼ一年前に印刷された。

 鉄のカーテン崩壊は、分断から二世代後に、ヨーロッパの切断された半分を再結合させ、これに続き二年後、ソビエト連邦の衝撃的崩壊と崩壊が起きた。モスクワは即座に何世紀にもわたり支配してきた領土を失い、後継国ロシア国境のほとんどは1682年ピョートル大帝治世前の状態に押し戻された。

 突然のソ連消滅は地政学的景観を完全に変え、世界史上唯一の状況である世界支配を実現させて、アメリカを世界唯一の超大国にした。

 ブレジンスキーは世界的激変の結果を検討し、1997年に我々の未曾有の国際的立場を要約し、題名の「グランドチェス盤」を構成する地域であるユーラシア大陸での我々の新たな支配を強化するための地政学的政策を概説した短いが影響力のある本The Grand Chessboard『地政学で世界を読む――21世紀のユーラシア覇権ゲーム』を出版した。

 何年にもわたり、ブレジンスキーは恒久的アメリカ世界覇権戦略を提唱しているという非難を頻繁に目にしたが、そのような批判者は彼の考えを全く違うイデオロギーの道をたどったネオコンが支持する粗雑な勝利主義と混同していたと私は思う。私はとうとう数年前彼の本を読み、アメリカがユーラシア大陸で直面する危険と機会に関して、著者が我々の世界支配は一時的状態にすぎず、恒久的に維持するのは不可能だと繰り返し強調する非常に思慮深く穏健な分析に遭遇した。

 アメリカは彼の国で、彼は確かに我々のグローバルな地位を強化拡大するための同盟やその他の措置を提案していたが、彼は挑発的や急な行動は避け、中国、ロシア、日本、そしてより大きなヨーロッパ諸国などの他の大国の正当な地政学的利益に適切に対応し、合理的かつ抑制された方法でそうしようとしていた。

 彼の本はアメリカの威信と影響力の絶対的頂点近くに現れ、数年後の9/11攻撃の余波、ブレジンスキーは、中東の安定を破壊し、我が国の信頼性を浪費し、何兆ドルも費用がかった悲惨な過ち、ネオコンの影響を受けたブッシュ政権のイラク戦争計画に対する強力な批判者になった。1970年代半ば以来、彼の最も近い同盟・協力者は後に3つ星将軍として1980年代半ばにロナルド・レーガンのためNSAを運営した元軍事補佐官ウィリアム・オドムで二人は後にイランとの即時戦略的和解とイラクからの撤退を促した。

 我々が最近経験している劇的地政学的変化が、私にブレジンスキーの1997年の短い本を読み直すよう促し、そうすることで私の記憶を完全に確認できた。早い段階で彼はアメリカ世界支配の主な理由を述べ、それらのほとんどが少なくとも一世代、おそらく更に長く続と期待していた。

 要するにアメリカは四つの決定的領域で世界的に優位にある。軍事的に比類のない世界的広がりを持っている。経済的には日本とドイツ(どちらもグローバル大国の他の属性を享受していない)によっていくつかの点で挑戦されたにせよ、世界成長の主要機関車であり続ける。技術的にはイノベーションの最先端分野で全体的優勢を維持している。そして文化的に、いくらかの粗雑さにもかかわらず特に世界の若者の間で比類のない魅力を享受しており、その全てが他の国が匹敵できないほどの政治的影響力をアメリカに与えている。アメリカを唯一包括的世界超大国にしているのは、この四つ全ての組み合わせだ。

 ポーランド生まれの著者は確かに祖国の伝統的敵ロシアに対し、いくらか深い個人的敵意を持ち、彼の本はロシア国家衰退のどん底近くで書かれたが、そのような敵意の痕跡しか見えず、彼は復活したロシアが、拡大ヨーロッパ、かつてミハイル・ゴルバチョフが奉じた「共通のヨーロッパの家」に首尾よく統合する可能性を十分に考慮していた。彼はイスラム世界の不安定さについて多少懸念を表明していたが、9/11後の悲惨な中東戦争は想像を絶する無謀さと愚かさの行為に見えたはずだ。

 彼のユーラシア分析の最後から二番目、最長の章は「極東のアンカー」と題され、彼はその地域を「人間の進歩で匹敵するもののない経済的成功」を経験していると説明した。彼は工業化離陸段階でイギリスとアメリカはそれぞれ生産量を二倍にするのに約半世紀要したが、中国と韓国両国はわずか10年で同じ結果を達成したと述べた。ブレジンスキーは不幸な状況がない限り中国は必ず世界を率いる経済大国に成長すると確信しており「中国の歴史は国家の偉大さの一つだ」と適切に認識しながら、自国が構築した世界システムに中国を組み込むことを目指すべきだと信じていた。

 中国の可能性に対するブレジンスキーの評価は非常に好意的だったが、1997年の分析は実際は予測上非常に慎重だった。彼は「異様に並ならぬ効果的な国家指導部の組み合わせ」や他の多くの有利な条件が必要で、中国の目覚ましい経済成長率が更に数十年続くかどうか疑っており、「これら全ての肯定的要因の長期にわたる組み合わせは疑わしい」と主張していた。

 その代わりに彼は2017年頃までに中国の総GDPが日本よりかなり大きくなる可能性があるという従来の予測に傾き、中国を「アメリカやヨーロッパとほぼ同等のグローバルパワー」だとした。しかし現実には、その年までに中国の実質GDP日本の四倍以上になり実質工業生産はアメリカと欧州連合を合わせたものより大きかった。

 したがって今日の世界における中国の経済的重みはブレジンスキーの1997年の予想を遙かに上回っており、その違いは我が国の政治指導部が完全に無視している彼の戦略的警告の重要性を強調しててる。本で彼は繰り返しアメリカが直面する最大の危険は我々が不必要に主要なユーラシア諸国に敵対し、彼等が我々に対し団結するかもしれない場合だと繰り返し強調していた。

 最後に将来の政治連携を含む、いくつか潜在的な不測の事態にも注意する必要がある...アメリカ合州国は、アメリカをユーラシアから追い出そうとする地域連合にどう対処するか決定しなければならないかもしれない。潜在的に最も危険なシナリオは、中国、ロシア、そしておそらくイランの大連立、イデオロギーではなく、相互に補完的な不満で団結した「反覇権」連合だ...この不測の事態を回避するためには、どれほど遠く離れていてもユーラシアの西、東、南の国境でアメリカの地政学的手腕を同時に示す必要がある。

 しかしロシアを中国とイラン両方と同盟させる連合は、アメリカが中国とイランを同時に敵対するのに十分なほど近視眼的な場合にのみ発展可能だ。

 最近の出来事を考えると彼の予言的警告は完全に無視された。その代わり我が国の政治指導部は彼の提案をまさに逆転させるのを選び、彼が想像したより遙かに中国が強くなったにもかかわらず、彼らはそうしている。

 ブレジンスキーはこれら重要な進展のいくつかを認識しており、2017年に亡くなる前年分析を更新し、アメリカ支配の時代は既に終わりに近づいており、我々はその現実を認識すべきだと宣言した。

  • グローバル再編に向けて
    世界支配の時代が終わるにつれ、アメリカは世界の権力構造再編を主導する必要がある。
    ズビグネフ・ブレジンスキー •American Interest •2016年4月17日

 彼の懸念に耳を傾け、それに応じて政策を調整するのではなく、我々の政府は不可能なアメリカ世界覇権を維持しようとする粗雑な戦略を強化している。

 我々の指導者連中は壮大なユーラシア・チェス盤で「開始状態から最短手数で詰みにいたる手順のフールズ・メイト」ゲームすると決めたようだ。

記事原文のurl:https://www.unz.com/runz/playing-a-game-of-fools-mate-on-the-grand-eurasian-chessboard/

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 Alexander Mercouris イギリス国防省、悲観的な報告。バフムートでロシア前進。

UK MoD Admits Bakhmut Crisis, Russia Storms Pervomaiskoyev, Encircling Avdeyevka; Macron Fails 41:55

 今朝の孫崎享氏メルマガ題名

転載:政権批判すると「飛ばされる」 放送法解釈変更、TV局萎縮の実態(毎日/4/7 放送法の「政治的公平」:「(15年の)あの時期に、局内のスタッフだけでなく、骨太な政治の話題をずっとやってきた外部スタッフも交代させられたり、」

 日刊IWJガイド

「仏マクロン大統領、EUのフォン・デア・ライエン欧州委員長が訪中! 李強総理は、中国と欧州で手を結ぼうと大胆な提案!」

はじめに~中国が今、世界史を動かしている! 習近平国家主席はフランスのマクロン大統領、欧州連合(EU)のフォン・デア・ライエン欧州委員長と3者会談を行う。李強総理は欧州を米国と切り離して一つの「文明圏」と見なし、中国という文明圏と手を結ぼう、と大胆な提案! 同時に、イランとサウジアラビアの外相が、この同日、中国の北京において会談し、それぞれの国の大使館と領事館を再開することに合意!

2023年3月19日 (日)

ロシア、中国、イラン...そしてサウジアラビア?

ロン・アンス
2023 年3月13日
The Unz Review

 金曜日、中東で最も重要な二つの国で、かつて宿敵だったイランとサウジアラビアが、北京で行われた中国高官との長い交渉後、外交関係を回復したと発表し、地政学的基層が地殻構造規模で目に見えるほど変化した可能性がある

 1945年、フランクリン・ルーズベルト大統領はアメリカ巡洋艦でイブン・サウドと会ったことで有名で、石油が豊富なサウジアラビアとの重要な同盟関係が生まれた。

 1973年の石油禁輸や9.11攻撃の余波で時々強調されたが、この関係はアラブ世界で最も重要であり続け、オイルダラーの上昇と世界準備通貨としてのアメリカ自身のドルの維持に貢献した。アメリカ産業基盤はかつての世界支配の単なる影に縮小し、アメリカは恐ろしい年間財政赤字と累積債務に悩まされており、今のアメリカの繁栄と現在の生活水準の多くはおそらくドルの地位維持に依存している。

 一方、1979年のイスラム革命以来四十年間この地域のどの国もイランほどアメリカの敵意の対象ではなかった。最近2020年1月には2021年選挙で大統領候補の可能性が高いと考えられていたイラン最大の軍事司令官カセム・ソレイマニ将軍を暗殺した。

この明らかな外交革命の背後には、特に中国の経済成長や中東石油の主要購入者としての地位など、明らかに多くの長期的要因がある。10年以上前、私はこれらの強力な傾向について説明したが、今や全世界に明らかになった。

 しかし自国の巨大な傲慢さや、アメリカが長年にわたり同盟諸国や属国を益々虐待し、犠牲にしてきた度合いは、確かに大きな要因であったに違いないと思う。不正なプロパガンダの力に過度に依存する一つの問題は、欺瞞の意図された標的のほとんどがそうするのをやめた後でさえ、アメリカ自身がそれを信じ続けるかもしれないことだ。

 9月下旬、一連の大規模な水中爆発は、おそらくヨーロッパで最重要な民間エネルギーインフラであるロシアとドイツのノルドストリームパイプラインに甚大な被害を与え、ヨーロッパが何世代にもわたり最悪のエネルギー危機に苦しんでいる時に特に壊滅的な打撃を与えた。

 これらの深海破壊の巨大な規模と極度の困難さから、ドイツ捜査官は、国家主体が責任を負っていた可能性が高いと即座に宣言した。しかし不思議なことに、この巨大な事件をアメリカ主流メディアはほとんど報道しなかった。ロシアが自分のパイプラインを破壊したと愚かにも示唆した匿名政府当局者を簡単に引用した後、アメリカ・マスコミはすぐ物語への関心を失い、続きの記事や調査はほとんど行わずすぐに姿を消した。

巨大な環境災害は、通常は髪を誘発する環境保護主義者の軍団から無視できるほどのメディアの関心を引き付けているようでした。

 この奇妙な好奇心の欠如とその結果としての沈黙の毛布の明白な理由は、重大な政治的意味合いを持つ犯人の身元の可能性だ。アメリカ幹部連中は、これらパイプラインに対し多くの公の恫喝をし、破壊成功を喜んでいるように見えたので、世界史上最悪の平時産業テロ事件で、アメリカが違法攻撃の中心的役割を果たした可能性が圧倒的に高いように思われる。十分な数のヨーロッパ人が同盟国アメリカがドイツや他の大陸にとって極めて重要なエネルギーインフラを破壊したのではないかと疑い始めれば、NATO同盟は壊滅的な打撃を受け解散への道を歩むことになるかもしれない。

 アメリカの最強力国際兵器の一つは、世界中のマスコミに対する圧倒的支配で、メディアを沈黙させる完全な報道管制が即座に施行され、この壮大な事件は国民の意識から急速に消えている。ジェフリー・サックス教授のような人物がブルームバーグTVでおそらく何が起きたのか言及した際、彼は即座に放送から消された

 ほとんどの普通の西洋人は、統制されたメディアの繭に閉じ込められて暮らしており、この歴史的出来事の大きさを認識しているのはごく少数で、悪魔化されたロシアの敵以外の国を非難しているのはごくわずかだ。

 しかし、この無知は世界中の政治指導者にも当てはまり、おそらく何が起きたのか確実に理解しているとは思えない。無謀で犯罪的なアメリカ政府が最も親密なNATO同盟国の重要な民間インフラをむやみに破壊し、ヨーロッパ経済を壊滅させる可能性があるなら、他の国々の命や財産を尊重するとどうして信頼できるだろう? サウジアラビアや他の多くの重要な国々の指導者は、そのような質問を自問し始めたのだ。

 そして一ヶ月に前、ドイツのエネルギー・インフラに対するアメリカ攻撃の正確な詳細が、アメリカで最も有名な調査ジャーナリストの一人として半世紀を過ごしたシーモア・ハーシュによる爆弾暴露で明らかにされたため残りの疑念は消えた。

 ハーシュの話は主流報道機関に完全にボイコットされたが、24時間以内に世界中で100万人以上がSubstackでそれを読んだ。その後エイミー・グッドマンとの「デモクラシー・ナウ!」インタビューはYoutubeで200万回以上視聴され、他の様々なインタビューは数十万回再生された。

 ハーシュの暴露により、ロシアはパイプライン攻撃について話し合うために国連安全保障理事会の特別セッションを召集し、ここでサックス教授と元CIAアナリストのレイ・マクガヴァンが重要な証言をした。これらの進展により、ワシントンポストは最初に公開されてから数週間後ハーシュの大ヒット記事に渋々言及するのを余儀なくされ、ついに主流メディアの封鎖を破った。

 ハーシュ報告の波紋が広がり始めたため、ドイツ政府とオラフ・ショルツ首相は非常に困難なジレンマに直面した。

 2021年後半、ショルツは記者会見でジョセフ・バイデン大統領の隣に立っていた時、ジョセフ・バイデン大統領がパイプラインを排除すると公式に恫喝したためドイツ有権者は、その恫喝が実行された後、自身の指導者の共謀を合理的に疑う可能性がある。注意を別の方向に向ける必要があったのだ。

 先週ショルツはワシントンDCでバイデンと個人的に会うため突然予定外の訪問をし、数日後、ニューヨーク・タイムズとドイツ週刊誌ディー・ツァイトが突然パイプライン攻撃を不特定の親ウクライナ活動家集団のせいにする記事を掲載した。記事は匿名政府筋を引用しており、詳細のほとんどは曖昧で嘲笑的だ。

 深海に大量の強力な軍用爆薬を設置するのは明らかに非常に困難な秘密作戦で、高度に専門化した潜水機器と熟練した解体専門家が必要だが、ドイツの情報源によると、それは借りたヨットで少数の不明な活動家が実行したと言い全くばかげている。タイムズの説明は、説得力がないにせよ、より曖昧で、謎のウクライナ活動家を犯人として指摘し、第26段落で、元スター記者の1人であるハーシュの非常に詳細な暴露を認めただけだった。ヨットを使った攻撃に関するドイツの主張はすぐにウォールストリート・ジャーナルで議論されたが、そのような限定された状況でそのような大規模海底作戦を実行することがいかに極めて困難か懐疑的な記者は強調した

 Moon of Alabamaのウェブサイトでブログを書いているドイツ人は当初からパイプライン攻撃をしっかり追っていた。彼はこれら突然の匿名メディア記事を、ハーシュが既に提供された攻撃の非常に詳細な説明を覆い隠し、ピューリッツァー賞受賞者が発表を計画している可能性のある続き記事のいくつかから注意をそらすことを目的としたジャーナリズム上の目くらましだと正しく説明した

 Grayzoneポッドキャストのホストは大規模軍事攻撃で使用されたとされるヨットの写真を示し、我々の政府がでっち上げたばかげたカバーストーリーを嘲笑した。

 実際ハーシュが昔働いていた新聞が何を発表したか知らされた時、彼は唖然として、彼らがこれほど愚かなことを書いたとは信じられないと言った。

 

 数日後、ハーシュは中国テレビでインタビューを受け、彼は個人的な情報源を説明した。半世紀前ベトナムで兵役についた若いGIの多くは彼の正直な戦争報告に深く感銘を受け、その後の数十間に、アメリカ軍や諜報機関で非常に高位に出世した人々もいた。これらの人々は特定のアメリカ大統領ではなくアメリカ憲法に宣誓し、彼らの多くはヨーロッパのエネルギー・パイプラインを破壊するというバイデン政権の決定の愚かさに愕然とし、ハーシュに彼が発表した詳細説明を提供したのだ。

 そのインタビューで、ヨットに乗ったウクライナ活動家の闇の集団が、ノルドストリームパイプライン破壊ほどの明らかに大規模で複雑な作戦を実行した可能性があるというばかげた主張をハーシュは当然ながら嘲笑した。中国人対談者は、歴史的な前例があることに異議を唱えたが、彼女が9/11攻撃について言及したのだと言うと、ハーシュは困惑したように見えた。彼の回顧録に基づくと、そのような物議を醸す全ての話題についてハーシュは実に保守的な考え方のようで、欧米主流メディアのバブル内で暮らしているので彼は公式9/11物語に疑問を呈したり、パイプライン攻撃との明白な類似を考えたりしたことは一度もないのかもしれない。しかし彼をインタビューした女性の態度は、9/11で実際に何が起きたのかに関する深い疑惑がおそらく中国全土とほとんどの非西洋世界に広まっていることを示した。

 20周年直前、私はこの重要な事件について独創的な長い記事を発表したので興味がある方々に記事をお勧めする。

 ほとんどの世界指導者は借りたヨットに乗ったウクライナ活動家の話には完全な不信感で反応し、欧米政府と卑屈なメディアがウソをつくのではなく、彼らのウソがまったくばかげていることにショックを受けたのではないかと思われる。したがってバイデン政権は、ヨーロッパ属国の重要なエネルギー・パイプラインを違法に破壊しただけでなく、犯罪攻撃を隠蔽するためのもっともらしいつじつま合わせを準備する努力さえしなかったようだ。これほど傲慢で無能な覇権国家権力と自分を一致させたい独立志向の国家指導者などいるだろうか? アメリカ政府は戦略思考の完全な破産を示しており、まさに崩壊しつつある帝国の末期に見られると思われるものだ。

 数日前サックス教授はドイツのポッドキャスターからインタビューを受け、ネオコンが支配するアメリカ政府の完全な非合理性と無謀さに関する説明で非常に痛烈だった。

 これら全ての事実は、ほとんどの非欧米諸国の支配エリートに確実に知られるようになったと思えるが、伝統的電子メディアに対するアメリカの絞めつけにもかかわらず、それらは益々遙かに幅広い聴衆に届いていると思われる。

 我々のウェブサイトは小さなもので、我々の記事の約12だけが100,000ビューを突破した。しかし、ほぼちょうど一年前、ウクライナ戦争が勃発する直前、マイク・ホイットニーは「ウクライナの危機はウクライナの問題ではない。問題はドイツだ」と述べ、迫り来る紛争の主な動機は、ドイツとロシア間の増大する経済関係を混乱させるアメリカの努力であり、ノルドストリーム・パイプラインがこの最も重要な例だと主張した。強力なドイツとロシアの協力は両国にとって非常に有益だが、ヨーロッパに対するアメリカの影響力を大幅に低下させる可能性があるため、その結果そのようなユーラシア統合を防ぐため、ウクライナが破壊され、ドイツとロシアの両方に深刻な経済的損害を与える可能性がある戦争を扇動していたのだ。

 この記事は早速世界中で膨大な読者を獲得し、現在では100万回近いビューに達しており、そのトラフィックの大部分はインド亜大陸のWhatsAppユーザーからのものだ。それらの個人の多くが少なくとも内容を一瞥したと仮定すると、アメリカ政策に対する彼らの見方は、アメリカ政府が自身の力を維持するためヨーロッパ属国を容赦なく貧しくしていると認識し、それらの国々で選出された指導者が頻繁に彼らが奉仕すると主張する国民の利益を裏切っていると認識して遙かに現実的になったかも知れない。欧米の代替インターネット情報源のそのような反対の発想の世界的普及は、ハリウッドやCNNに長い間推進されてきたいい加減な言説をますます弱体化させる可能性がある。

 ほとんどの信心深い欧米人は、それが自身の主流メディアに承認されない限り、事実の情報という現実を受け入れられないのかもしれないが、他の世界中の人々は異なる視点を持っているかもしれない。昨年、欧米グローバル・マスコミは、ロシアのウクライナ戦争を、私が覚えている限り最も激しいプロパガンダ弾幕を解き放ち、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領を前例のない程悪魔化し、法外で、いわれのないむき出しの侵略行為と描写してきた。プーチンは即座にこれら攻撃を「ウソの帝国」からのものだと非難したが、それはロシアの国際的孤立をもたらし深刻な経済的ストレスにつながると広く予想された。

 しかし現実はまったく違う。アメリカ人や他の西洋人は明らかにこのプロパガンダの大部分を飲み込んだが、他の場所への影響は最小限で、世界人口の60-70%がロシアとの良好な関係を維持している。だから、いくつかの点で実際に孤立しているのはアメリカと他の西欧だ。実際中国の工業生産高はアメリカと欧州連合の合計より大きく、アメリカの不安定で益々挑発的な行動は、中国をかつてないほどロシアに近づけた。私は半年前にこれらの傾向を強調したが、以来、それはより明白になっている。

 一方他の多くの主要国に対する長年の傲慢で抑圧的なアメリカの行動は、ロシア支持という強力な反発を生み出した。ニュース報道によると、イランはロシアに多数の高度なドローンを提供し、ウクライナに対し効果的に配備されている。第二次世界大戦以来、サウジアラビアとの同盟は中東政策の要だったが、サウジアラビアは今や石油生産問題で繰り返しロシア側に立っており、議会からの報復の脅威にもかかわらず、アメリカの要求を完全に無視している。NATO最大の軍隊を持っているが天然ガス輸送でトルコはロシアと緊密に協力している。アメリカがロシア石油に課した制裁を無視して、インドも重要な問題ではロシアに近い。アメリカの政治属国を除いて、ほとんどの主要世界大国はロシア側についている。

 第二次世界大戦以来、世界的なアメリカ支配の中心的な柱の一つは、世界準備通貨としてのアメリカ・ドルの地位と、それに伴う国際銀行決済制度の支配だった。最近までアメリカは常に中立的で行政的役割を示していたが、アメリカは益々その力を武器化し始め、アメリカの立場を利用して嫌いな国を罰し始めており、これは当然他の国々に代替案を模索することを余儀なくさせている。おそらく世界はベネズエラやアフガニスタンなどの比較的小さな国々の金融資産凍結を制裁できるかもしれないが、ロシアの3,000億ドル外貨準備差し押さえは明らかにバランスを逆転し、主要国はますます取り引きをドルとアメリカが支配する銀行ネットワークから移行しようとしている。EUの経済衰退は、それに対応してユーロの下落を引き起こし、デフォルトでドルを押し上げたが、通貨覇権継続の長期的見通しはほとんど良くないように思われる。アメリカの恐ろしい財政赤字と貿易赤字を考えると、ドルからの逃避はアメリカ経済を簡単に崩壊させるかも知れない。

 ウクライナ戦争勃発直後、ユーラシア大陸を支配するロシア-中国同盟を中心に構築された新しい世界秩序の地政学的誕生を目撃していると著名な歴史家アルフレッド・マッコイは主張した。

 おそらく、アメリカがヨーロッパのエネルギー・パイプラインを破壊したことを知っている西洋人はまだごく一部だが、世界中の他の多くの人々は決して無知ではなく、同じことが更に重要な問題にも当てはまる可能性がある。上記のように中国の主流放送ジャーナリストは、9/11攻撃についてアメリカ・メディアが普遍的に提示しているものと非常に異なる見方をしているようで、これは世界的コロナ流行にも当てはまると思われる。

 ちょうど半年前、ロシア政府とイラン政府両方が意図的な生物兵器攻撃でコロナ・ウイルスを放出したとアメリカを公に非難し、中国政府も同じことを暗示しており、そのような憶測が中国ソーシャルメディア全体に広まっていると報告されていることを指摘する記事を私は発表した。


 100万人をはるかに超えるアメリカ人を含む2000万人がこの世界的流行で亡くなり、何十億もの人々の生活が混乱した。ノルドストリーム・パイプライン攻撃の基本的事実がすぐにアメリカ犯罪の可能性を示唆したように、同じことがコロナ発生にも当てはまる。ほぼ三年間、世界的惨事が、アメリカ(とイラン)に対するアメリカの生物戦争攻撃の失敗による反撃の結果であるという、恐らく圧倒的に強力な証拠を指摘する長い一連の記事を私は発表してきた。

 彼の数多くのインタビューのいくつかでハーシュは彼の暴露は明白なことを説明したにすぎず、ほとんど直ちに明らかになった正確な詳細を提供するだけだと冗談を言っており、そして、ほとんど同じことがコロナ流行にも当てはまると私は思う。ロシア、イラン、中国の当局者がなぜこれら告発をしているのか理解したい人には、無料でダウンロード可能な電子書籍でも提供されている私の長い一連の記事をお勧めする。


 12か月間、私は定期的にポッドキャストインタビューのいくつかを宣伝してきたが、これは重要な情報を効果的に要約し、Rumbleで利用可能だった。しかしYoutubeは遙かに広く利用されているので、新しく作成したYoutubeチャンネルにもアップロードした。

Kevin Barrett、FFWN・2022年2月16日・15m

Geopolitics & Empire・2022年2月1日・75m・SoundCloud Audio

Red Ice TV 2022年2月3日・130m

関連記事:

中国の台頭、アメリカの台頭
アメリカのプラウダ:パイプラインと疫病の
シーモア・ハーシュ:ウソの海に高く屹立する
「しかし、その新聞は死んでいる」
アメリカの幻想の支配者に挑戦する

記事原文のurl:https://www.unz.com/runz/russia-china-iran-and-saudi-arabia/

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 耕助のブログ 読みたかった記事を翻訳されている。

No. 1729 マイク・ホイットニー、ポール・クレイグ・ロバーツに 中国との緊張の高まりについてインタビュー

 今朝の孫崎享氏メルマガ題名

FRBの急速な利上げは低金利に慣れてきた米国企業に当然の痛手。被害が出ることが予想されたが大規模な被害が真っ先に銀行を襲ったのは予想外。NYT「銀行危機が経済に影を落とし、景気後退の恐怖が再燃」。米国地方銀行への不安、完全に払拭されていない。

 宗主国が支配しているのは属国政治家や属国裁判所だけではない。国際組織も。

 日刊IWJガイド

「逮捕権のない国際刑事裁判所がプーチン大統領に逮捕状を発行! その目的はプーチン大統領・習近平国家主席の会談にミソをつけるため?」

はじめに~国際刑事裁判所(ICC)がプーチン大統領に逮捕状を発行! ICCに加盟していない米国のバイデン大統領は逮捕状の正当性を強調、やはりICCに加盟していないロシアは逮捕状は無効だと拒否! 逮捕権のないICCによってプーチン大統領を逮捕できる可能性は極めて低いにもかかわらず、ICCはあえて習近平国家主席の訪露日程が発表された17日に逮捕状を発行したのは、「平和を築く者」としての中国の外交的地位にミソをつけるため?

2022年3月23日 (水)

ウクライナと細菌戦陰謀論

ロン・ウンズ
2022年3月10日
Unzレビュー

 数日前、アメリカ国防総省に資金供給された炭疽病や伝染病の分野で活動していたウクライナ細菌戦研究室ネットワークの存在を発見したとロシア人が主張していると言うメモを、ある一流政策アナリストが私に送ってくれた。これまで二年、私の焦点の多くがアメリカの細菌戦プログラムと使用の可能性にあったので、私がこの問題をどう考えるかと彼は思ったのだ。

 似たようなロシアの非難がインターネットで渦巻いているのを私は見ていたが、さほど注意を払っていなかった。一方で、数十年にわたり、アメリカは細菌戦研究の婉曲表現である「生物防衛」に1000億ドル以上使っており、アメリカは今まで実戦で使用されたことがある世界最古、最大のこのようなプログラムの数少ない一つを持っていた。だからウクライナ研究室に数百万あるいは何千万ドルも割り当てるのは決して信じ難いことではない。

 しかし他方、たとえ我々が持っていなかったとしても、侵入軍が、世界にその攻撃を弁明するために使う「偽情報」の典型例で、ロシア人は確実に、我々は持っていたと言うかもしれない。私はウクライナ語が読めないから、ロシア人が発見したと主張する文書は、私にとっても、熱狂的支持者以外にも何の意味もないが、何らかの形で、他の誰か信じているのか私は疑問に思っていた。

 ところが、火曜日、アメリカのウクライナ政策立案当事者ビクトリア・ヌーランド国務次官の議会証言のおかげで、状況は劇的に変化した。彼女はそれらウクライナの生物学研究所の存在を認めるだけではなく、研究所の危険な試料が敵の手に落ちるかもしれないことを懸念しており、ロシアの衝撃的な非難を完全に裏付けるように思われた。私は一度もネオコンを特に頭が良いと思ったことなどないが、最大の国際的重要性を持つ問題で、試合終了となる彼女のオウンゴールは全くの無能の新記録を達成したかもしれない。

 私は、ヌーランドの明白な開示の深刻な帰結的意味に気付いた唯一の人物ではなかった。グレン・グリーンワールドは、世界で最も注目を集めるジャーナリストの一人だが、彼は素早く昨日朝長いコラムを発表して、事実を説明し、我々の公式メディアのファクト・チェッカー連中が、今や本当と判明したと思われる主張を非難、ちょう笑して2週間を過ごしたことを指摘した。

 タッカー・カールソンは、ケーブルで一番評価されている番組で同じ話題を扱い、アメリカ政府当局者がウソをついていたために、この問題に関して公式のロシアや中国政府のプロパガンダ屋を引用しなければならない恥ずかしさを強調した。

 全ての事実は、まだ明らかになっていないが、この段階で、おそらくロシア人が提示した捕獲文書が正しく、我々の防衛予算がロシア国境近くのウクライナ研究室で炭疽病や伝染病を含め命を脅かす生物兵器開発に資金供給していたと想定すべきだと私は考える。

 ウクライナがヨーロッパで最も腐敗した国の一つに位置付けられていることからして、これらのプロジェクトの言葉が確かに漏洩し、ロシア人がそれを極めて不快に思い、なぜ侵入決定に寄与したのか理解するのは容易だ。中国に支援される過激に敵対的なメキシコ政府が、アメリカ国境近くで、生命を脅かす生物兵器を開発していたら、アメリカはどう対応するだろう?

 当然、ヌーランドの不注意な開示に基づく、この壮大な物語は、アメリカ主流メディアに完全に無視されているが、昨夜からカールソンのYouTubeクリップは、既に百万ビューに接近しており、事実は広がり続けるだろう。

 ケビン・バレットは即座に私とのインタビューを手配し、この話題を概説し、より広い文脈から見る短いビデオを公開した。特に、2017年に、確かにアメリカ政府が着手するには極めて怪しいプロジェクトであるロシア人の生体物質収集に関し、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領が重大な細菌戦の懸念を表明していたことを彼は指摘した。

ビデオリンク

 とにかく、途方もなく核武装した隣国ロシアと対立しているウクライナに、アメリカ政府が細菌戦施設創設に資金供給したのは極めて無謀な、ばかなことだったと私は思う。

 そして、そうした極めて無謀な、ばかなことをする政府は、もしかすると既に、これまで二年にわたり、アメリカ人が100万人も死亡するような大規模な悪影響をもたらしたものを含め、他にも極めて無謀な、ばかなことをしていた可能性は益々真高い。

 同じ二年間、私は世界的Covid流行が、中国(とイラン)に対するアメリカ細菌戦攻撃の結果だったという、強力というか圧倒的な証拠の長い記事のシリーズを発表したが、合計400,000回以上読まれており、無料でダウンロード可能な電子ブックにまとめてある。

EPub Format⬇ ・Mobi Kindle⬇

Covid/細菌戦シリーズ
Ron Unz ? The Unz Review ?2020年4月-2021年12月- 80,000語

 私が集めた証拠はどちらかと言うと大量で、誰であれ、今まで反対意見で、効果的に提起した唯一の主張は、トランプ政権内の、ならずもの連中さえ、それほど無謀な、ばかげたことは到底できるまいということだ。現在、この主張は、一週間前にそうだったより遙かに弱くなっているように私には思われる。

 更に先月末、ニューヨークタイムズが、武漢での大本のCovid発生に関する我々のトップ研究者による複数の新たな科学論文について報じた。それら調査結果は最初の感染が、以前考えられていたより遅く、おそらく11月下旬あるいは12月初旬に発生したことを示している。一方、2020年4月、ABCニュースが報じ、イスラエルのテレビが、アメリカ国防情報局DIAが「大惨事となる可能性がある」疫病発生が武漢で起きたと述べる「11月第二週の」秘密報告書を作成していたことを確認した。このDIA報告書は、最初の中国人が感染さえする前に書かれたように思われる。

 我々の諜報関係幹部による、この以前の不注意な公表は、ビクトリア・ヌーランドの大失敗と同じ範疇に分類されると私は思う。

 これら全てを先月三つのビデオ・インタビューで論じ、それは今総計170,000ビューを越えた。人々がウクライナにおけるアメリカの対ロシア細菌戦活動の新たな公表に鑑みて、皆様に、この資料を再訪頂くよう提案したい。

COVID-19 Bio-attack Smokin Gun!

ビデオリンク

Ron Unz: Covid-19 was an anti-economy Bioweapon by the U.S. against China

ビデオリンク

Interviews

ビデオリンク

記事原文のurl:https://www.unz.com/runz/ukraine-and-biowarfare-conspiracy-theories/

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 大本営広報部洗脳機関は、真逆の報道をしている。

 Gonzalo Lira氏が「ニセ旗作戦は近い」と現地(マウリポリ)から報じている。もちろん、ロシアではなく、ウクライナ側がしかけて、ロシアに罪をなすり付けるものだ。

Gonzalo Lira - A False Flag Is Coming

 ウクライナの民族主義者が化学物質による挑発行為を準備 ロシアを非難するため=ロシア国防省、というSputnik記事がある。最初この記事を訳した時点では、何故かアクセスできなかった。と言うより、そもそもSputnik自体にアクセスできなかった不思議。

 芝居は宗主国の傀儡部隊が化学物質で挑発行為を実行しロシアになすりつける準備のはずだ。議会で、マルコ・ルビオ上院議員に質問されて、ヌーランド国務次官が生物学研究所の存在を認めたのも、もはや隠蔽不能なので、自分が仕掛ける化学・生物兵器攻撃をロシアになすりつけるための、二人を使った宗主国茶番漫才。

 宗主国製でない検索エンジン、宗主国製でないネットを、ずっと夢見ている。属国に暮らしていてはかなわない夢想と知りながら。

 宗主国プロパガンダの威力は、ケイトリン・ジョンストンさんご指摘の通り絶大。
 ロシアに対して西の傀儡を捨て駒として駆使して、中国に対して東の傀儡国家を参院選で完全掌握するアメリカ戦略の見事さ。ウクライナの背後にいるのはNATOという建前だが、NATOを仕切っているのはアメリカ。事実上、アメリカとロシアの戦争なのに。今日の西のアメリカ傀儡による東の傀儡国家での洗脳演説で参院選での与党圧勝確保。歴史に残るだろう。最悪の意味で。

 今夕彼が宗主国ネオコンが書いたプロパガンダ原稿を属国議会で読み上げる前に、下記記事をお読みいただきたい。

ウクライナを売った男

 The Jimmy Dore Show

 アメリカ大本営広報が、ウクライナ・ナチスについて真っ赤なウソを言っていると説明。ネオナチと読んでいたものを、極右に言い換えたりしている。米軍内のナチの方が、ウクライナより多いという噴飯ものを言う専門ウソつきまでいる。

 Media Whitewashes Ukraine Nazis!

 自由と民主主義を守るという建前なのに、野党全てを禁止した。

Ukrainian President Bans 11 Opposition Parties!

 毎日必ず拝読している「孫崎享氏メルマガ」と「日刊IWJガイド」。大本営広報部洗脳機関と違う意見が読める。

 今朝の孫崎享氏メルマガ題名

ウクライナ問題とリベラルの危機:「謝罪しろ」「制裁しろ」を効果的にやるのは米国、米国と協力するのがいいとなる。それを一番効率的にやれるのはどの政党か、リベラル政党ではない。自民党だ。「謝罪しろ」「制裁しろ」を超え、「和平の道」を模索・提言するのが道だ。

 日刊IWJガイド 一部を複写させていただく。

<新記事紹介>ゼレンスキーの「正体」! 彼が人気を得たドラマのテレビ局オーナーは富豪のコロモイスキー氏。氏はユダヤ人でオレンジ革命から「親欧米派」活動、今米国滞在。各国は軍事支援で戦闘長引かせず、停戦交渉の場を!

■ウクライナの親ロシア野党の活動停止処分を英『ガーディアン』が詳報! メドヴェージェフ前大統領(現国家安全保障トップ)が「最も民主的な大統領は西側の民主主義の理想に向かってまた一歩を踏み出した。彼らは必要ない! よくやった! その調子だ」とゼレンスキー大統領を絶賛!?

■現在のウクライナ戦争はその前史であるドンバス戦争を理解しないと、国際法違反のただの「ロシア悪党論」で思考停止する! 2015年からドンバス地方を見つめて来たフランスのドキュメンタリー映画監督でジャーナリストのアンヌ-ロール・ボネル氏による2015年の大変貴重なドキュメンタリー『ドンバス、忘れられた戦争』をご紹介します。さらに、IWJはボネル監督に直撃取材!

2022年3月17日 (木)

ウクライナを売った男

2022年3月4日
マイク・ホィットニー
Unz Review


 ウォロディミル・ゼレンスキーは現ウクライナ大統領だ。2019年、ロシアとの緊張を緩和し、東ウクライナの独立共和国問題を解決するという公約で彼は地滑り的勝利で選出された。彼はどの問題に関しても約束を守ろうとしなかった。それどころか、ウクライナの内部危機を大い悪化させ、ロシアを容赦なく挑発した。ゼレンスキーにはモスクワとの関係を丸く収め、戦争の発生を防ぐ多数の機会があった。ところが、彼は首尾一貫、やみくもにワシントンの命令に従って、問題を一層悪化させた。

 ゼレンスキーは欧米でもてはやされ、個人的勇敢さを称賛されている。だが実際問題として、彼は国家的団結の復活も、和解の唯一の道である重要な和平協定も実行し損ねている。ウクライナ大統領は、いわゆるミンスク合意が気に入らず、基本的な必要条件を遵守するのを拒否した。結果として、これまで8年間、ウクライナを飲み込んだ民族的要因による兄弟殺し戦争は、今日に至るまで、とどまるところを知らずに継続している。最近クレムリンで行なった演説で ウラジーミル・プーチン大統領は、ゼレンスキーの強情さに言及した。彼はこう述べた。

 「昨日の催しで、ウクライナ指導部は、公式に、これら協定に従うつもりがなかったと宣言した。それらに従うつもりはないのだ。それについて他に何が言えるだろう?」(ウラジーミル・プーチン)

 大半のアメリカ人は、ゼレンスキーのミンスク合意拒否が、最後の決定的なとどめだったことを理解し損ねている。ロシア当局は、8年苦労して、全当事者にとって納得がゆく条件、ミンスク合意を作り出したのだ。ところが、土壇場になって、ゼレンスキーは、それを、あっけなく、だめにしたのだ。なぜだろう?一体誰がゼレンスキーに合意を破棄するように言ったのだろうか? ワシントンだろうか?

もちろん。

 ゼレンスキーは、一体なぜ(東ウクライナで)境界線を越えて、ロシア人が暮らしている町村に致命的な砲弾を打ち込める区域に、60,000人の戦闘部隊を派兵したのだろう?これが人々に送ったメッセージは、明らかに侵略が差し迫っていて、すぐさま家から逃げるか、地下室に避難すべきだということだった。ゼレンスキーは、人々が自宅で、命の恐怖で、寄り集まるよう強いて、一体どんな目的を達成しようとしているのだろう?大統領がただ驚いて、事態の展開を見ていたモスクワに、彼は一体どんなメッセージを送るつもりだったのだろう?

 自分の動きが、ロシアで警鐘を鳴らし、大規模民族浄化作戦と思われるものに対し、自国民を守るべく、プーチンに軍隊動員を強いると知っていたのだろうか?

 彼は知っていた。

 すると、これらの行動は、国の結束を復活させ、ウクライナ問題をロシアと平和裏に平和に解決するというゼレンスキーの選挙公約と、一体どう一致しているだろう?

 全く一致しておらず、まさに正反対だ。実際、ゼレンスキーは、全く違う脚本で動いているように見える。例えば、ロシアの最低限の安全保障に対する懸念に、彼は全く対応する気がなかった。ゼレンスキーは、プーチンが繰り返し、ウクライナのNATO加盟は、ロシアにとって「越えてはならない一線」だと言っていたのを知っていたのだろうか?2014年から、プーチンが繰り返し何度も同じことを言っていたのを彼は知っていたのだろうか?彼はプーチンが、ウクライナがNATOに加盟する措置をとったら、ロシアは自身の安全保障を確保する「軍事的-技術的」措置をとるよう強いられると警告していたのを彼は知っていたのだろうか?NATOは、他の主権国家に対する多数の侵略行為に携わったワシントンが支配する同盟だとゼレンスキーは知っていたのだろうか。ここにNATOの実績の一覧表がある。

  1. ユーゴスラビアの破壊
  2. アフガニスタンの破壊
  3. リビアの破壊
  4. イラクの破壊
  5. シリアの破壊

 NATOが公然とロシアに敵対的で、ロシアを、連中の拡張主義の野心に対する重大な脅威と見なしていることをゼレンスキーは知っているのだろうか?

 そう、彼はこれら全てを知っている。それなのに、彼は公然と核兵器開発に対する彼の関心を表明した。一体何を狙ったいるのだろう? それがロシアにとってどういう問題かを想像願いたい。ゼレンスキーのようなアメリカが支援する操り人形が、彼の指先で核弾頭ミサイルを使えることを想像願いたい。それがロシアの安全保障にどのような影響を与えると皆様は思われるだろうか? プーチンがそのような進展を無視して、それでもロシア国民を守る彼の義務を実行できると皆様は思われるだろうか?

 もし彼が心からロシアとの平和を望んでいたのなら、なぜゼレンスキーは、致命的兵器が次々とウクライナに送り込まれるのに同意したのだろう? プーチンは余りに愚かで、目と鼻の先で起きていることに気がつかないと彼は思ったのだろうか?彼は兵器庫を拡大し、自国民を脅迫して、関係を正常化し、何であれワシントンの命令に従おうと思っているのだろうか?

 あるいは彼はプーチンの安全保障要求は不当だと思ったのだろうか? そうなのだろうか? 事態が逆の場合、メキシコに軍事基地や大砲とミサイル基地をアメリカの南国境沿いに配備するのを、アメリカが許すと彼は思ったのただろうか? アメリカ史上、プーチンがしたのと同じことをしない大統領がいただろうか? それらメキシコの武器に対し先制攻撃を開始して、半径30キロ内の全ての生物を蒸発させない大統領がアメリカ史上いるだろうか?

 いや、プーチンの要求は完全に妥当だったが、ゼレンスキーは、とにかく、それを一笑に付したのだ。なぜだろう?

 ネオ・ナチの右派セクターが、政府や軍や治安機関にいるのを、ゼレンスキーは知っているのだろうか。連中は数こそ少ないが、侮れない勢力で、ロシア人に対する酷い憎悪と迫害の要因であることを、彼は知っているのだろうか?これら極右分子が松明行進に参加し、腕に、かぎ十字章やSSの入れ墨を入れ、アドルフ・ヒットラーの人種差別イデオロギーを崇拝しているのを彼は知っているのだろうか? これらナチの多くが、2014年、オデッサ労働組合ビルで一般人40人を焼き殺したのを含め野蛮な犯罪行為をしているのを彼は知っているのだろうか?彼はこれら右翼過激派戦士を武装し、訓練するCIA秘密プログラムが信頼を構築すると彼は考えているのか、それとも、それはモスクワに、2700万人のロシア人がドイツ国防軍に根絶された悲惨な戦争を思い出させると彼は思うのだろうか?

 ゼレンスキーが行った全てのことが、ロシアを挑発する意図で行われたのを皆様お分かりだろうか?

 NATO加盟に関する、あらゆる話、核兵器製造の話、致命的兵器の着実な準備、東部への部隊の動きのあらゆる話、ミンスク条約実行拒否とプーチンの安全保障要求の拒否。これら全てが意図的挑発だった。だが一体何故だろう?なぜ「熊をいじめる」のか? それが疑問だ。

 プーチンを更に悪者にできるよう、ロシアを戦争に誘い込み、ロシアを孤立させ、ロシア軍に対し反乱鎮圧作戦を始動し、ロシア経済に最大の損害を与える厳しい経済封鎖を押し付けたいとワシントンが望んでいるためだ。一言で言えば、それがワシントンの戦略で、ワシントンが目的を達成するのをゼレンスキーは助けているのだ。彼はワシントンの言うがままになっている。彼はアメリカの権益のために自国を犠牲にしているのだ。

 この全てが、メディアは決して考慮せず、ケーブル・ニュースの評論家連中が決して論じない話題、つまり、ウクライナは戦争に負けつつあること、そして、ゼレンスキーはそれを知っているということを強調する。彼はウクライナ軍がロシア軍には歯が立たないのを知っている。巨人、が蝿をピシャリと叩くようなものだ。ウクライナは蝿だ。大衆はこれを聞く必要があるが聞いていない。それどころか、大衆は英雄的なウクライナ人がロシア侵略者と戦うことに関する、愚劣なおしゃべりを聞かされている。だが、これはたわごと、勝ち目のない戦いのために命を犠牲にするよう人々を鼓舞する危険なたわごとだ。この紛争の結果は一度たりとも不確かだったことはない。ウクライナは負ける。それは確実だ。そして、行間を読めば、ロシアが非常に巧みに戦争に勝っているのが分かるだろう。彼らは至る所でウクライナ軍を押しつぶし、ウクライナが降伏するまで押しつぶし続けるだろう。タッカー・カールソンの番組で、このダグラス・マグレガー大佐の短いインタビューをご覧になれば、一体何が本当に起きているか理解されるだろう。

 タッカー:「今晩の時点で、戦争はどうなっていますか」?(3月1日)

 マクレガー大佐:「最初の5日間、ロシア軍が非常に遅い組織的な動きでウクライナに入るのを見ました。彼らはゆっくり慎重に動いて、民間人犠牲者を減らそうとし、ウクライナ軍に降伏する機会を与えようとしました。それは終わりました。今の段階は、ロシア軍が、残るウクライナ軍を取り囲み、包囲するのに成功し、一連の大規模ロケット砲攻撃、空爆で破壊し、ロシアの装甲車両が、ゆっくり着実に距離を縮め、残ったものを絶滅させます。ですから、これはウクライナの抵抗の終焉の始まりです。

 タッカー:プーチンの狙いは何でしょう?」

 マクレガー大佐:プーチンは、2007年に、ミュンヘン安全保障会議で言った言葉を実行し始めたのです。「我々は、NATOが我々の国境に触れる、特にウクライナとジョージアへのNATO拡大を許さない。これはNATO軍事大国とアメリカの影響力のためのトロイの木馬だと我々は見ている。」実質的に、東ウクライナで、どんな反対勢力も一掃する行動をとったり、ウクライナをロシアへのアメリカと西欧兵力投射のための足場に変えたり、影響力をおよぼす、それ以上の試みを阻止するため、彼の軍隊をNATOと対決する立場に置くのを避けられると期待し、彼は何度も何度も警告を繰り返しました。

 現時点での彼の狙いは、東ウクライナ地域全体(ドニェプル川の東)の掌握と、ドニェプル川を渡り(キエフ)市完全攻略の準備です。

 その時点で、プーチンは何をしたいと望むか決めなければなりません。彼が更に、それ以上西に前進したがっていると私は思いません。しかし、彼は何であれ、ウクライナに、これから出現するものは、誰とも提携せず「中立」で、できれば、モスクワに友好的であって欲しいと望んでいます。それなら彼は受け入れるでしょう。それ以下であれば、彼の戦争は時間の無駄になります。」(「タッカー・カールソンとダグラス・マグレガー大佐」Rumble)

 動画リンク

この短いインタビューから我々が推論できること。

  1. ロシアは勝利し、ウクライナは敗北するだろう。
  2. ウクライナは分割される。プーチンはロシアの安全を保証するのに必要な緩衝地帯を作ろうとしている。
  3. ウクライナ西部を支配する者は誰であれ、書面で「中立」を宣言し、NATO加盟に対するどんな申し出も拒絶するよう要求されるだろう。もし彼らがその約束を破れば、彼らは武力で排除されるだろう。

 だが、重要なことがある。この大失敗の主要当事者全員、そもそも最初からウクライナがロシア軍を破る可能性がないのを知っていた。それは必然的結果だった。それで-我々が知りたいのは、事態が展開する前に、一体何故ゼレンスキーは悲劇を避ける措置をとらなかったのかだ。

 この疑問の答えは「ゼレンスキーは本当に一体何者か」を明らかにするのに役立つ。

 皆様はこう自問して頂きたい。その機会があった時に、ゼレンスキーはなぜプーチンと交渉しなかったのか?彼はなぜ東部から60,000人の兵隊を撤退させなかったのか?彼はなぜワシントンの武器出荷を止めなかったか?彼はなぜミンスク合意を実行しなかったのか?彼はなぜNATO加盟申し出を拒否しなかったのか?

 最終的に、モスクワを怒らせ、戦争の可能性を高めると知っていたことをするのに、なぜ彼は、それほど懸命だったのか

 これらの質問に答えるのは難しいことではない。

 ゼレンスキーは始めから、ワシントンの命令で動いている。我々はそれを知っている。彼は自身のものでも、確実にウクライナのものでもなく、ワシントンの狙いを実行しているのだ。我々は、それも知っている。だが、だからといって、彼は責任から逃れられない。結局、彼は悪と善を区別できる立派な大人だ。彼は自分が何をしているか知っており、それが間違っているのを知っている。間違っている以上に酷く、許せない。彼は男性たちを、自身勝てないと知っている戦争で死にに行かせている。彼は何の理由もなしに自国民に数え切れない苦しみと傷害を与えている。そして、何よりも悪いことに、彼は守ると誓った国ウクライナ自身の崩壊の道を開いたのだ。ロシアとの最終解決の一環として、ウクライナはバラバラに砕かれるだろうが、ゼレンスキーは、この罪のかなりの部分を共有するだろう

 このような男が、一体どうして、良心に恥じないよう生きられるだろう?

記事原文のurl:https://www.unz.com/mwhitney/the-man-who-sold-ukraine/

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 翻訳してから、同題名で翻訳を掲載しているサイトを知った。良い記事が、あちこち掲載されるのは良いことだ。

 植草一秀の『知られざる真実』にも下記記事。

ヒーローと呼べないゼレンスキー

 この男、西の傀儡が、東の属国国会で演説?宗主国議会では演説済み。飛行禁止区域設定を要求した。憲法改悪を要求するのだろうか。

 彼が○○○でピアノ演奏する映像をこそ、国会で上映すべきだろう。

 嬉しいことにケイトリン・ジョンストンさんの記事を、イギリスのコメディアンが取り上げて読んでいる。16分。コメディアンも色々。

Watch Russell Brand Read From A Couple Of My Articles

 現地からの、Gonzalo Lira氏の新しい動画がある。The Sakerで紹介されている。

Gonzalo Lira on “Five Random Topics”

 日刊IWJガイド

【3.11から11年!「ウクライナ侵攻危機」で、IWJが警告し続けてきた「原発×戦争リスク」が明らかに!日本は無防備な原発を抱えたまま戦争するのか!?シリーズ特集】本日午後7時から、2021年12月27日収録「コロナ禍を口実に改憲による緊急事態条項の導入は不要!(続々編)日本列島は『中国軍のミサイル吸収ホイホイ』!? ~岩上安身によるインタビュー第1064回 ゲスト 弁護士 永井幸寿氏」を公共性に鑑み、全編フルオープンで再配信します!

2022年2月25日 (金)

ウクライナ危機はウクライナに無関係。ドイツの問題だ。

マイク・ホィットニー
2022年2月11日
Unzレビュー


 「第一世界大戦や第二次世界大戦や冷戦と、我々が何世紀もそれを巡って戦争をしてきたアメリカの根源的な関心は、彼らが団結すれば、我々を脅かすことが可能な唯一の勢力なので、ドイツとロシアの関係だ。そしてそれが決して起きないようにすることだ。」シカゴ国際問題評議会におけるSTRATFOR CEOジョージ・フリードマン

 ウクライナ危機はウクライナには無関係だ。それはドイツの問題、特に、ドイツをロシアと結びつけるノルドストリーム2と呼ばれるパイプラインだ。ワシントンは、このパイプラインを、ヨーロッパにおける優位に対する脅威と見なし、至る所でプロジェクトを破壊しようとしている。たとえそうでも、ノルド・ストリームは突き進み、今完全に運用可能で準備万端だ。ドイツ規制当局が最終承認を出した途端、ガス送付が始まるだろう。ロシアのガス収入に本格的な後押しになり、ドイツの自宅所有者や企業は、きれいな高価でないエネルギーの頼れる源が得られる。双方にとり、お互い有利な関係だ。

 アメリカ外交政策支配層はこの進展に不満だ。彼らは、貿易が信用を形成し、信頼が取り引きの拡大に導くから、ドイツがロシア・ガスに一層依存するのを望まないのだ。関係がより深まり、更に多くの貿易障害が撤廃され、規制が緩和されるにつれ、旅行・観光が増加し、新たな安全保障構造が発展する。ドイツとロシアが友人で貿易相手国である世界では、米軍基地は不要で、NATOは不要で、高価なアメリカ製兵器やミサイルシステムも不要だ。米ドルでのエネルギー取り引き決済も、勘定のバランスをとるため財務省長期債券をため込む必要もない。ビジネス・パートナー間取り引きを自身の通貨で行うことが可能だが、これはドル価値の急落や、経済大国の劇的移行を促進するのは確実だ。これがバイデン政権がノルド・ストリームに反対する理由だ。それは単にパイプラインというだけでなく、未来への窓なのだ。ヨーロッパとアジアが巨大な自由貿易地帯に入り、より近くなり、相互の力と繁栄を強化し、アメリカはのぞき込むだけで置きざりにされる未来だ。ドイツとロシア間のより暖かい関係は、これまで75年間アメリカが監督してきた「一極」世界秩序の終わりを意味する。ドイツ・ロシア同盟は、現在刻々と奈落の底に近づきつつある超大国の下落を早めるおそれがある。これがワシントンがノルド・ストリームを妨害し、自らの軌道内にドイツを引き留めるべく、できる限りあらゆることすると固く決意している理由だ。それは生き残りの問題なのだ。

 そこでウクライナが登場する。ノルド・ストリームを粉砕し、ドイツとロシアの間にくさびを打ち込む上で、ウクライナはワシントン「お好みの兵器」なのだ。この戦略はアメリカ外交政策ハンドブックの一ページに「分割と支配」という見出しで書かれている。ロシアはヨーロッパに対する安全保障上の脅威だという認識をワシントンは作る必要がある。それが狙いだ。彼らは、プーチンが、すぐカッとなる性格の血に飢えた信用できない侵略者だと示す必要がある。それを目指して、メディアは「ロシアはウクライナ侵略を計画している。」と繰り返し何度も言う役割を当てがわれている。決して話題にされないのは、ソ連崩壊以来、ロシアはどこの国も侵略しておらず、一方、アメリカは同じ期間に、50以上の国で政権を侵略したり打倒したりしており、アメリカは世界中の国々に800以上の軍事基地を維持していることだ。これらをメディアは、いささかも報じず、代わりに焦点を当てているのは、全ヨーロッパを再び血まみれの戦争に陥れるおそれがある、ウクライナ国境に沿って推定100,000人の兵隊を寄せ集めている「邪悪なプーチン」だ。

 全てのヒステリックな戦争プロパガンダが、ロシアを孤立化し、悪者にし、究極的に、より小さな断片に粉砕するために使える危機をでっちあげる意図で作られている。だが本当の標的はロシアではなく、ドイツだ。Unzレビューのマイケル・ハドソンによる記事の抜粋を検討しよう。

 「アメリカ外交官にとって、ヨーロッパのガス購入を阻止するために残された唯一の方法は、ロシアを軍事対応へと駆り立てて、次に、この対応に報復するのは、国の経済上のどんな純粋な利権より重要だと主張することだ。1月27日、タカ派の国務次官(政治担当)ビクトリア・ヌーランドが国務省記者会見でこう説明した。「もしロシアが何らかの形でウクライナを侵略すれば、ノルドストリーム2は前進しない」。(「アメリカの本当の敵はヨーロッパと他の同盟諸国だ」Unzレビュー)

 これは物事を良いか悪いだけで見ているのだ。バイデンチームはノルドストリームを破壊するため「ロシアを軍事対応に駆り立てる」ことを狙っている。それは、プーチンをウクライナ東部でロシア人を守るため彼の軍隊を国境を越え派兵する気にさせるよう意図された何らかの挑発があることを意味する。プーチンがワナにかかれば対応は素早く厳しいはずだ。世界中の指導者がプーチンを「新ヒットラー」と非難し、メディアは、この動きを全ヨーロッパに対する脅威と糾弾するだろう。これは要するにワシントン戦略で、演出全体が一つの狙いを念頭に置いて画策されている。ドイツのオラフ・ショルツ首相がノルドストリームに最終過程を承認するよう指示するのを政治的に不可能にするのだ

 ノルド・ストリームにワシントンが反対していることを我々が知っているという条件のもとで、読者は、年初バイデン政権が、なぜ議会に、このプロジェクトに、より多くの制裁を課さないよう圧力をかけたのかと思うかもしれない。その疑問への答えは単純だ。国内政治だ。ドイツは現在原子力発電所を廃炉にしつつあり、エネルギー不足を埋め合わせるため天然ガスが必要だ。経済封鎖の脅威は、それを外国干渉の兆候と見るドイツにとって「いやなもの」なのだ。「なぜアメリカは我々のエネルギー決定に干渉するのか?」と平均的ドイツ人は問うている。「ワシントンは人に干渉せず、いらぬおせっかいをしないようすべきだ。」これは、まさに、どんな道理をわきまえた人にも期待するだろう対応だ。

 そして、アルジャジーラのこの記事だ。

 「過半数のドイツ人がプロジェクトを支持しており、パイプラインに反対しているのはエリートとメディアの一部に過ぎない

 「アメリカが制裁について語ったり、プロジェクトを批判したりすればするほど、ドイツ社会で益々人気が高まる」とGerman Council on Foreign Relationsのロシアと東ヨーロッパ専門家ステファン・マイスターが言う。(「ノルドストリーム2:ヨーロッパへのロシアのパイプラインがなぜ欧米を分断するのか」Al Jazeera)

 だから、世論はノルド・ストリームを強く支持しており、それがワシントンが新しい方法に決めた理由の説明に役立つ。制裁が機能しないからアメリカ政府はプランBに転換したのだパイプライン始動を阻止するようドイツが強いられる十分大きな外的脅迫を作るのだ。率直に言って、この戦略には絶望の雰囲気があるが我々はワシントンの忍耐力に感銘するべきだ。彼らは9回裏で5点負けているかもしれないが、タオルを投げ入れ降参していない。彼らは最後の一撃で多少成果を上げられるかどうか見ようとしているのだ。

 月曜日、バイデン大統領はホワイトハウスでドイツのオラフ・ショルツ首相と最初の共同記者会見を開催した。この催しを取り巻くばか騒ぎは全く未曾有のものだった。全てバイデンがアメリカ政策の方向に首相に圧力をかけて従わせるために使う「危機の雰囲気」を作り出すため画策されていた。その週早々、ホワイトハウス報道官ジェン・サキは繰り返し「ロシア侵略が差し迫っている」と述べた。彼女の発言に、東ウクライナで近い将来行われると予想するロシアの「ニセ旗」作戦とされることの詳細を諜報機関が彼に提供したと意見を述べる国務省広報担当ニック・プライスが続いた。プライスの警告は日曜朝、ロシア侵略が「明日さえ」いつでも起きかねないとはっきり示すジェイク・サリバン国家安全保障担当補佐官が続いた。これはブルームバーグ・ニュースが「ロシアがウクライナを侵略する」という扇情的な全く偽りの見出しを公表してからわずか数日後だ。

 ここで皆様は同じパターンにお気づきだろうか?これら根拠のない主張が、どのように全て彼を狙った作戦に気付いていないように思われる疑うことを知らないドイツ首相に圧力をかけるために使われたか皆様はお分かりだろうか?

 想像できる通り、最終的な打撃はアメリカ大統領自身に加えられた。記者会見中に、バイデンが断固としてこう述べた。

 「もしロシアが侵略すれば、もはやノルドストリーム2はあり得ないが。我々がそれに終止符を打つ。

 それで今や、ドイツのためワシントンが政策を決定するのだろうか???

 なんと耐えがたい横柄さ!

 明らかに元々の脚本の一部ではなかったバイデン発言に、ドイツ首相は不意をつかれた。それでもショルツは決してノルド・ストリームを中止することに同意せず、名指しでパイプラインに言及さえするのを拒否したもしバイデンが公開討論会で彼を追い詰めることで、世界で三番目に大きな経済の指導者を攻撃できたと思ったのであれば、彼は見当違いだった。ドイツは遠く離れたウクライナおける紛争の可能性にかかわらず、ノルド・ストリームを始動するとを決心している。だが、それはいつでも変化しかねない。結局、誰がワシントンが近い将来、どんな煽動を計画しているかもしれないかを知っているだろう?誰が、ドイツとロシアの間にくさびを打ち込むため、彼らは何人もの命を犠牲にする用意があると知っているだろう?バイデンがアメリカ没落を減速し、新たな「多極」世界秩序が出現するのを阻止するため、いかなる危険もいとわないか一体誰が知っているだろう?今後何週間も何であれ起きかねない。何であれ。

 当面ドイツは有利な立場にある。問題をどのように解決するか決めるのはショルツ次第だ。彼はドイツ人の利益を支持する最良の政策を実行するだろうか、それとも彼はバイデンの容赦ない圧力に屈服するだろうか?彼は活気のあるユーラシア回廊で新たな同盟を強化する新たな進路を決めるだろうか、それとも彼はワシントンの狂気の地政学的野心支持を表明するのだろうか?多くの新興権力中心が等しく世界統治を分かち合い、指導体制が断固多国主義、全員の為の平和的発展と安全保障に忠実な新世界秩序におけるドイツの中枢的役割を彼は受け入れるのだろうかそれとも彼は明らかに賞味期限を過ぎて生き残ったぼろぼろの戦後体制を支えようとするのだろうか?

 一つ確実なことがある。ドイツが何を決定しようと我々全員に影響するのは確実だ。

記事原文のurl:https://www.unz.com/mwhitney/the-crisis-in-ukraine-is-not-about-ukraine-its-about-germany/

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 この記事「メモ・独り言blog」様が『「ウクライナ危機」はウクライナとは何の関係もない』として、既に、フランス語から?翻訳しておられる。当ブログの様々な記事とのつながり上、こちらにも置いた方が皆様わかり易いのではと想像、屋上屋を架して翻訳させていただいた。

 朝、RTを読む。

 今朝の孫崎享氏メルマガ題名

ウクライナ問題の根幹は①ウクライナのNATO加盟問題と②「ドネツク」と「ルガンスク」の独立問題。西側が真に沈静化を望むなら、かつて米独が約束した通りにNATOを東方に一段と拡大しない、ウクライナへの加盟は露の理解得られるまで棚上げと約束することだ

 日刊IWJガイド

「ロシアがウクライナの軍事施設に攻撃開始! ロシアは『占領はない』と主張、ウクライナは『侵略戦争』『国家を破壊することが目的だ』と非難」2022.2.25号~No.3452号

<本日のタイムリー再配信>本日午後6時から2014年収録「『日露エネルギー同盟を締結せよ!』シェールガス革命の幻想と日本のエネルギー戦略のこれから~岩上安身によるインタビュー 第425回 ゲスト 現役の経産省官僚(※収録当時)・藤和彦氏」を再配信します!

2020年7月29日 (水)

グーグルに完全「消去される」

2020年7月22日
Ron Unz

 昨日朝早々、私は我々の常連コラムニストの一人から、我々のウェブサイトが、もはやグーグル検索結果に表われないと懸念するメモを受け取った。

 グーグルとフェースブックは世界のインターネットへの最高位監視役で、五月初旬、フェースブックは、我々のコンテンツを遮断し、グーグルは、我々の全ページのランクを下げて、彼らは、いずれも我々を追放していた。

 以前は、グーグル検索結果で、我々の記事の多くが非常に高く評価されていたが、今や、検索文字列に「unz」を入れないと、それらの記事は全く表示されない。だから、本気で我々を探している人しか、我々の内容を見つけられないのだ。

 だが最近の攻撃は一層厳しいもので、今や「unz」あり、無し、いずれの検索でも、我々の、どのページも表示されない。グーグルは、どうやら全インターネットから我々を「消した」ようだ。

 これまでのFacebookと、グーグルによる排除にもかかわらず、我々へのトラフィックは、我々独自の異なる見解が、巨大インターネット企業に課された妨害を克服して、六月には全ての記録を易々と超えた。それで、どうやら、マウンテンビューの独占者は、締め付けを強化することに決めたのだ。

 たまたま私は多少誤解していた。その日後刻、かなり主流の、穏健な見解のものを含め、非常に広い範囲の、人気が高い、保守的な、共和党志向のウェブサイトに、良く似た運命が起きていたのに気がついた。

https://www.newsbusters.org/blogs/techwatch/corinne-weaver/2020/07/21/updated-google-blacklists-newsbusters-conservative-sites

https://thefederalist.com/2020/07/21/google-appears-to-test-its-ability-to-blacklist-conservative-media-ahead-of-election/

 FoxNewsのタッカー・カールソンは現在ケーブル・テレビ史上最高評価をされている番組を司会しているが、グーグルは彼のウェブサイトは、もはや存在しないと決めている。

http://www.tuckercarlson.com/

https://www.foxnews.com/shows/tucker-carlson-tonight

 だから、どうやら我々の「物議をかもす」記事は、我々がインターネットから、すっかり消えたことと無関係だったのだ。そうではなく、グーグル検閲者は、我々が、他の全ての他の人々と一緒に追放する、ある種保守的ウェブサイトだと判断したのだ。

 私は自分が、内務人民委員部NKVDによる緊急捜索で真夜中に突然逮捕され、寒く湿った尋問室に放り込まれて「一体誰が私を裏切ったのだろう?!」と必死で考えている、1930年代のソビエト社会主義共和国連邦最大のトロツキー主義組織秘密指導者のように感じた。だがそこで、私は、最終的に、主に、最近買ったパンが古いと文句を言ったかどで、同じ夜に、50,000人の他の人々も一斉検挙されていたのに気がついた。私は…前の週、誰かに、古いパンの文句を言ったのを覚えていた。

 たまたま、我々自身のものを含め、それら全てのウェブサイトの、グーグルによる突然の完全排除は、一時的なことが分かった、検索結果は、前日と同じものに戻り、我々のページも、完全に排除されたのではなく、ランクを下げられていて、探すのがほとんど不可能なのだ。だが、この出来事は、私企業や経営幹部に許されている、不条理で政治的な、メディア権力を浮き彫りにした。

 検索エンジン市場でのグーグルの市場占有率は、アメリカでも世界でも、ほぼ90%で、フェースブックも、ソーシャルネットワークで、ほぼ同等の独占だ。連中はインターネットの監視役で、彼らが、気に食わないウェブサイトや政治候補者を「消す」権力を持つのを許すのは本当に道理にかなっているのだろうか? もし誰かが会社の気に食わないことを言ったら、電話会社は、その人へのサービスを永久停止できるだろうか?

 テレビの黄金時代に、もし一つの局がアメリカ聴衆の90%を支配したら、その局は確実に規制対象の独占企業として扱われ、公平公正な方法で振る舞うよう要求されたはずだ。グーグルとフェースブックも同じ基準に拘束されるべきではないだろうか?

 このパターンが、究極の原因を示すのか示さないのか、わからないが、体制側と違う主張の我々ウェブサイトは、インターネット監視役による妨害に会わずに、極めて論議の的となる内容を五年間提供してきたが、我々へのトラフィックは着実に増大していた。ところが、四月下旬、私が、アメリカの悲惨なCovid-19流行は、おそらく、中国(とイラン)に対する、実に無謀なアメリカ細菌戦攻撃の意図しなかった、想定外の結果だった有力な証拠を示す極めて人気の高い記事を公開すると、数日の内に我々は、Facebookとグーグルの両方に排除された。だから、これらの二つが同時に起きたのは、純粋な偶然の一致以上の可能性がありそうだ。

 我々のトラフィックは、その後、空前の高さになったが、グーグルによる排除は、私が述べた理由から、私にとって頭痛の種だ。

これまで10年、私の記事、The Myth of Hispanic Crime (スペイン語系人の犯罪神話)は、グーグルの「Latino Crime(ラテンアメリカ人の犯罪)」検索では、1億8000万、「Hispanic Crimeヒスパニックの犯罪」検索では、6000万の検索結果で、常に第二位で、大いに誇りとする実績だった。だが、BingDuckDuckGoなどの検索エンジンは、私の記事を、依然ほぼ首位にランクしているが、グーグルは完全に「消滅」させている。

ある話題の重要性を評価する妥当な基準は、検索結果総数だと私は思う。共産主義と共産党は、20世紀中、影響を及ぼし、同名の政党が巨大な中国を依然支配している。だから「Communism 共産主義」検索では、検索結果は、1億6300万で膨大だが、それでも「Latino Crime(ラテンアメリカ人の犯罪)」の結果合計より、いくぶん少ない。もし学者やジャーナリストが、共産主義を分析した彼の記事が、インターネットで丸十年、第二位にランクされていたのに、グーグルが、本質的あるいは客観的品質と全く無関係な理由で、突然それをブラックリストに載せると決めたら、どう感じるか想像願いたい。

 それでも、こうした不運な展開は、20世紀の、いくつかの他の体制の下で経験されたこととは到底比較にならない。私は、とうとう、ソビエト社会主義共和国連邦や、同様のイデオロギーを採用した多くの他の政権の1997年の信頼できる説明、The Black Book of Communism共産主義黒書を読む機会を得、まだ800ページの半ばだが、至る所にある大量処刑と大量投獄は、気のめいる内容だ。

 更に、アメリカの不安定な社会が今、グーグルによる検索順位降格など些細な苦情の中でも特に他愛ないものでしかないシナリオの極端に否定的な方向に向かっている気がかりな兆候がある。元CIA職員のフィリップ・ジラルディは常に極めて冷静な人だが、昨日彼は「A Nation Falling Apart 崩壊しつつある国」という挑発的な題の極めて好評な記事を書いたが、そこには「アメリカという飛行機が墜落間近だという多くの兆しがある」という発言がある。

 数日前、私は、1980年代、ハーバードのリチャード・ハーンスタインの下で学び、最近のゲストに、チャールズ・マレーや、高名な理論物理学者ローレンス・クラウスがいる、European Institute of Science in Management所長ルイス・ラゾ・ブラーボによる詳細なインタビューで、いくつか、これらと同じ論点を主張した。

記事原文のurl:https://www.unz.com/announcement/being-totally-disappeared-by-google/

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 この翻訳記事自体が、隠蔽されている。隠蔽エンジンでお試し願いたい。

 小説『楢山節考』に書かれた、うば捨て山は伝説だったという。しかし、現代日本では、政府が推進している。厚生破壊省が先頭にたち、国土交通省が幇助している。コロナ蔓延で、弱者、高齢者を大量死させるのが狙い。妄想であってほしいもの。PCR検査数、四月末のデータでは、OECD加盟国36カ国中、35位。より最近のデータでは、世界で159位、というのが傍証。そこで一句。

分科会、政府のウソのかくれみの

 中国に限らず、宗主国でも、支配体制による弾圧は強烈だ。ネット検索や、ソーシャル・メディア・アカウントさえ排除されてしまう。この排除については、Paul Craig Roberts氏や、wsws.orgなども、書いておられる。共産党支配下のソ連での、反体制派言論の弾圧と変わらない。当ブログも、かつて「検索エンジン」で、何ページにもわたって、検索結果が表示されていた。今や、ごくわずか。数ページ先をたどると、縁もゆかりもないニセの見出しだらけ。クリックすると、無関係なサイトがあらわれる。おそらく、ロボットを使って、ゴミ・サイトを多数生成し、検索する意欲をそぐのが狙いだろう。それで最近は「隠蔽サイト」と呼んでいる。Yahooも、Googleも変わらない。その結果、昔のトラフィックの数分の一に減っている。それでも、この筆者がいう通り、DuckDuckGoでは、そういう妨害は少ないようだ。お試し願いたい。

 日本人によるシベリア抑留体験記『スターリン獄の日本人―生き急ぐ』と『極光のかげに―シベリア俘虜記』を読んだことがある。一方、第二次大戦中の日本政府による共産党迫害の歴史は史的事実。小林多喜二がその典型。宗主国によるマッカーシー・レッドパージ、朝鮮戦争以降の日本でのレッドパージも激烈。この経緯は孫崎享氏の新刊『朝鮮戦争の正体』にも書かれている。少なくとも日本では、今も共産党員排除は、しっかり続いている。「会社は三つの赤がきらいです。火事、赤字、共産党。」と新入社員教育で教えられましたと、優秀な後輩から聞いたことがある。

 チェルノブイリ原子力発電所事故の際には、大変な人数の兵士が現場に駆り出され、悲惨な結果になっている。一方、近隣住民に対する共産主義政権の対応は、豊かな資本主義社会の日本政府による被災者対応より、ずっとまともに思える。具体的知識は下記の本による。通常は良い本をくさす巨大ネット書店書評、本書に対しては、まっとう。

3・11とチェルノブイリ法―再建への知恵を受け継ぐ』『原発事故 国家はどう責任を負ったか―ウクライナとチェルノブイリ法

 このネット言論弾圧の記事で最近読んだ本を連想。『なぜ日本のジャーナリズムは崩壊したのか (講談社+α新書)』

 隠蔽エンジンの実態、被害妄想と思われるなら、ネットで、この記事の検索を試して頂きたい。
 「簡単な10のステップで実現できるファシスト・アメリカ(日本?)」と入力しても、2007年8月に翻訳掲載した小生の元記事は決して見つからない。コピーはみかけるが。

 属国完全植民地化を狙う傀儡政府の手口を見事にまとめたナオミ・ウルフさんの素晴らしい記事、知られてはならないので、人目につかぬよう、属国の手の者が人為的に排除工作をしていなければ、こういう不思議なことにはならないはずだ。

 三度掲載したもの全てが検索エンジンでは現れない。ジョージ・オーウェルが『1984年』で書いた過去の真実の歴史を廃棄する「メモリー・ホール」に放り込まれたよう。

 「簡単な10のステップで実現できるファシスト・アメリカ(日本?)」過去の三つのurlは下記の通り。決してブログから削除したわけではない。クリックすると現れる。

 2016年2月14日、冒頭末尾以外再再掲記事アドレス
http://eigokiji.cocolog-nifty.com/blog/2016/02/10-bb36.html

 2013年8月5日、末尾以外再掲記事のアドレス
http://eigokiji.cocolog-nifty.com/blog/2013/08/post-d987.html

 2007年8月26日、最初の掲載時のアドレス
http://eigokiji.cocolog-nifty.com/blog/2007/08/10-b849.html

 よそのサイトにコピーされた記事は読めるので、題名のみならず、元のurlも組み合わせた論理での記事排除策と思われる。とは言え深刻な時節、再再掲載せざるを得ない。

 サーバー企業に「同じ記事を再三繰り返し掲載するのは重大違反だ」といいがかりをつけられ、閉鎖に追いやられるかも知れない。サーバー管理者は、隠蔽エンジン大企業に、なぜ削除すると文句は言わないだろう。その時は「皆様さようなら」ということになる。

 コピーする方々は、必ずこの付記もコピーするよう願いたい。
付記部分を除く翻訳のみの転載は、支配体制による言論統制の幇助に他ならない。

 ちなみに元の英語記事は今も健在。Fascist America, in 10 easy stepsと入力すると当然読める。末尾に寄付のお願い文章がある。昔あったかどうかの記憶はない。
https://www.theguardian.com/world/2007/apr/24/usa.comment

 

2020年7月 7日 (火)

ビクトリア・ヌーランドの警告 外国干渉主義者は本当にロシアが嫌い

フィリップ・ジラルディ
2020年6月23日
Unzレビュー

 ドナルド・トランプについて語るべき良い点を見つけるのは困難だが、現実には、ベネズエラとイランの場合、かなりきわどかったし、今後四カ月間は「強い大統領」のあかしを強化し、コロナウイルスや「黒人の命は大切だ」から目を逸らせるのに役立つ何かを始めるかなりの誘因があるだろうが、彼は新しい戦争を始めていないのだ。

 それはともあれ、トランプは三人の前任者、ビル・クリントン、ジョージ・W・ブッシュとバラク・オバマが作った実績に追いつくためには、相当頑張らなければなるまい。ブッシュは根っからのネオコンで、ドナルド・ラムズフェルド、リチャード・パール、マイケル・レディーン、リュエル・ゲレクト、ポール・ウォルフォウィッツ、ダグ・フェイト、エリオット・エイブラムス、ダン・シナーやスクーター・リビーを含む彼らが少なくとも簡単に操れた。彼は不幸にして、実際は自分こそ責任者だと思っていたディック・チェイニー副大統領に耐えなければならなかった。彼ら全員、20年後もアメリカが軍隊を配備しているアフガニスタンやイラクのように、他の国々の侵略を含め、アメリカの安全保障を強化するために必要と考えるあらゆることをする権利があると信じるタカ派だった。

 クリントンとオバマは、いわゆるリベラル干渉主義者で、一層受けようして、他の国々に民主主義と呼ばれるものを輸出しようと努めた。マスコミが何らかの方法でモニカ・ルインスキーと彼の関係のうわさを耳にすると、目をそらすため、クリントンはアフガニスタンとスーダンに爆弾を投下し、オバマはクリントン夫人に支援されてリビアを破壊することに決めた。オバマは、無人飛行機で殺害することで、利益を受けるだろうアメリカ国民のリストを再検討するため毎週火曜朝の会議を設定した最初の大統領でもあった。

 だから、ネオコンとリベラル干渉主義者の違いは、実体より、むしろスタイルだ。どの尺度でも、全般的に見れば、トランプはかなりましに見えるが、それでも、彼の政権には、ネオコン思考の復活があった。アメリカは例外的な国という精神構造は、現在、アメリカは、他の国々と対処する際、もっぱら自身の規則で行動してよいと神から権限を与えられているという信念の権化、マイク・ポンペオ国務長官が最高の実例だ。それは主導的ネオコン、マイケル・レディーンのものだとされる「アメリカは、10年に一度ぐらい、どこか小さい、でたらめな国を拾い上げ、それを壁にたたきつけて、我々が本気だと世界に示す必要がある」という助言に従うことを含むだろう。

 ネオコン/ リベラル干渉主義の世界で一番の家族の一つは、ケイガン家のロバートとフレデリックだ。フレデリックはネオコンのアメリカン・エンタープライズ研究所上級研究員で、妻のキンバリーは、奇怪な名称のInstitute for the Study of War(軍事問題研究所)の所長だ。ロバートの妻ビクトリア・ヌーランドは、ブルッキングス協会参与で、オルブライト・ストーンブリッジ・グループの非常勤上級研究員だ。それは、ビクトリアも、ブルッキングスにいる夫同様、リベラル干渉主義者であるとことを意味している。彼女はヒラリー・クリントンの愛弟子と見なされており、制裁で500,000人のイラクの子供を殺すことは「価値があった」と発言したマドレーン・オルブライト元国務長官と現在働いている。ヌーランドはディック・チェイニーが集めたスタッフの一員だったことで、ネオコンとは相当の関係がある。

ヌーランドは、2013年-2014年、ウクライナのヴィクトル・ヤヌコーヴィチ大統領政府を不安定化する企みの背後の原動力だったのを多くの人々が覚えているだろう。ヤヌコーヴィチは、確かに腐敗した独裁者だったが、自由選挙で、首相になっていた。国務省でヨーロッパとユーラシア担当国務次官補だったヌーランドは、抗議行動参加者を励ますため、広場でクッキーを配るマスコミ好みの演技をして、ヤヌコーヴィチ政府に反対するマイダン広場のデモ参加者を、あからさまに支援した。

 ワシントンとキエフが表向きは友好関係を持っていた事実にもかかわらず、ヌーランドは、反政府派を露骨に支援して、ウクライナに公然と政権交代を求めていた。いかなるアメリカ政権であれ、特にもし、50億ドルもの予算で支援されているような、外国によるアメリカ内政干渉の、似たような企みを容認すると想像するのは困難だが、ワシントンは長い間、自身の行動を評価する上で、世界的な二重基準を信じてきたのだ。

 ヌーランドは、彼女と全米民主主義基金がウクライナで醸成するのを支援していた不安に対処する上で、ヨーロッパのあり得る役割に言及した際の、彼女の汚い言葉で悪名高い。ヌーランドにとって、キエフでの政府転覆は、ウクライナにおけるロシアの権益、特にクリミアでの権益を守ろうとするロシアの取り組みを巡って、本当の敵、モスクワとの断固たる決別と、エスカレートする対立の前兆に過ぎなかった。

 紛争を拡大し、直接ロシアと対決するという、当時のヌーランドのより広範な狙いは明らかだ。上院証言で、彼女は政権が、どのように「モルドバとジョージアのような他の前線諸国を支援して」いたかを述べた。「前線」という言葉の使い方は示唆に富む。

 ビクトリア・ヌーランドは火遊びをしていたのだ。アメリカを破壊する軍事力を持っている唯一の国、ロシアは、サダム・フセインのイラクや、タリバーンのアフガニスタンのような取るに足りない国ではない。恫喝と制裁を使って、モスクワを逃げ場のない窮地に追いやるのは、良い政策ではない。対テロ活動の取り組みを含めて、ワシントンには、モスクワと安定した関係を維持すべき多くの素晴らしい理由があり、反対方向に動いても、ほとんど利益はない。ロシアはワルシャワ条約を再編成しようとしておらず、ウクライナを武装させたり、北大西洋条約機構(NATO)に加入したりして、冷戦体制に戻る、やむにやまれぬ理由などない。

 ビクトリア・ヌーランドは、フォーリン・アフェアーズ誌の7月/8月号に、ロシアの「脅迫」と彼女が考えるものに対処する上で、アメリカにとって適切な方法について、長編記事を書いたところだ。それは「How a Confident America Should Deal With Russia.(自信があるアメリカは、いかにロシアに対処すべきか)」という題だ。フォーリン・アフェアーズ誌は、ネオコンとリベラル干渉主義者双方にとって快適な居場所を提供する、外交問題評議会(CFR)が発行する支配体制の機関紙だ。

 アメリカと同盟諸国が、ロシアが、軍縮協定や、国際法、近隣諸国の主権や、アメリカとヨーロッパで選挙完全性に違反するのを許して、プーチンに「悪い手で、うまくプレーすることを可能にさせ」、ウラジーミル・プーチンに対し、アメリカが自分で「ゲームを変える能力」の自信を失い、同盟諸国が冷戦を勝ち取った政治的手腕を忘れ、その後、何年も結果に甘んじ続けたというのがヌーランドの意見だ。この戦略には、大統領レベルでの一貫したアメリカ指導部、民主的な同盟諸国やパートナーとの団結、クレムリンによる危険な行動を阻止し反撃するという決意の共有が必要だ。それには、モスクワに協力させる誘因や、時には、魅力をより良い関係の恩恵について、ロシア国民に対する直接の呼びかけも含まれる。ところが、リベラル世界に対するロシアの脅威が増大する中、この手法は使われなくなった。」

 ロシアは「リベラル世界」を脅かす、ならず者国家だという彼女の認識を共有すれば、ヌーランドが書いているものは完全に意味をなすだろう。NATOやアメリカの支出に比べれば小さく見えるのだが、プーチン下のロシア再軍備を彼女は脅威と見ている。近隣諸国の安全保障体制を拒否していることから、彼女はプーチンが東ヨーロッパで「ロシア勢力圏を再確立しようとしている可能性があるという恐れを抱いている。ここで、特にNATO拡大という話題に関し、自由民主主義と、ロシアを指揮している依然非常にソ連的な人物との間に深い亀裂が直ぐさま広がった。NATOは純粋に防衛連合で、ロシアに対する脅威にはならいと、ワシントンと同盟諸国が、どれほど懸命にモスクワを説得しようとしても、ヨーロッパをゼロ・サムという観点で見るのがプーチンの狙いには役立つのだ」。

 NATO拡大というヌーランドの考えは、実に見当違いで、むしろ空想に近い。もちろん、アメリカ政権は拡大しないと保証していたのだから、ロシアは目の前の軍事同盟を脅威と考えるはずだ。NATO拡大に対するプーチンの大きな恐怖は、ロシアを取り巻く益々繁栄する民主主義諸国の帯は、彼の指導者モデルに対する挑戦で、ロシア国民に民主主義への熱望を再感染させるリスクだと考えているからだと彼女は全くのたわごとを言っている。

 ヌーランドは似たようなことを延々語っているが、中心主題は、彼女が明かに憎悪し漫画の悪人のように描写している人物ウラジーミル・プーチンを阻止するため、ロシアに対決しなくてはならないということだ。彼女の分析の中には、こういうばかばかしいものがある。「ロシア軍はシリア油田の利用と密輸経路を得るため、シリアに残った少数の米軍を定期的に試している。もしこれらアメリカ軍が去れば、モスクワとテヘランは、シリア石油や密輸薬物や兵器で彼らの作戦資金調達をするのを阻止するものがなくなる。」

 大半の狂信者と同様、ヌーランドは自己批判の感覚が全く欠如している。ロシアに余りにも友好的だと見なされるので、合法的に選ばれたウクライナ政府を打倒しようと彼女は企んだのだ。彼女はクリミアを「占拠した」と言ってクレムリンを非難するが、アフガニスタンやイラクでの米軍の大きな存在や、イスラエルやサウジアラビアの戦争犯罪を地域で幇助しているのを見落としてている。彼女が拡張主義と考えているロシアには海外軍事基地がたった一つしかなく、アメリカは、1000千以上の基地を保有しているのを彼女は知っているのだろうかと疑問に思う。

 アメリカの思い通りにならない国々、永続の敵ロシアに加えて、中国や、最近では、イランやベネズエラに対するホワイトハウスの恫喝に、ヌーランドは明らかに気付かないことに決めている。これらの国のどれも、アメリカを脅やかしてはおらず、あらゆる活動や警告はクレムリンやテヘランやカラカスや北京の「非民主的」指導者からでなく、ワシントンで語るマイク・ポンペオという名の紳士から間もなく発せられようとしている。

 ビクトリア・ヌーランドは「2021年のアメリカにとっての課題は、強みをもとに作り上げ、ロシア国民を含めて、プーチンの弱点に圧力を加え、ロシアに対し、より効果的な方法を作りあげる上で世界の民主主義を率いる」ことだと勧めている。興味深いことに、これは、2016年にロシアに対して行われた、インチキな主張を思い出させる、外国政府の営みに対する干渉と見なされる可能性がある。それは、まさに、ヌーランドがウクライナで実際にしたことだ。

 ヌーランドは論文で、大いに語っており、ワシントンにおける干渉主義の現在の状態に興味がある人々は彼女を無視するべきではない。何らかのイデオロギーの敵として、ロシアと対決するのは、双方をより貧しくし自由度を減らす、決して終わらない過程だ。モスクワが、国境で起きることに関心を持ち、8000キロ離れた、巨大な経済と軍隊の両方を持つアメリカが多少くつろいで、自薦世界の警官の重荷を下ろすのが適切だろう。

 Ph.D.のフィリップ・M・ジラルディは、中東での、より権益にかなうアメリカ外交政策を検討する501(c)3の課税控除対象教育財団Council for the National Interest(連邦ID番号#52-1739023)事務局長。ウェブサイトはhttps://councilforthenationalinterest.orgで、アドレスはP.O. Box 2157, Purcellville VA 20134、電子メールはinform@cnionline.org

記事原文のurl:https://www.unz.com/pgiraldi/victoria-nuland-alert/

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 経済効率が全て。職員も、無駄な年寄りも削減するのがネオリベ・ネオコンの狙い。

 日刊ゲンダイDIGITAL

非情の厚労大臣 過労死ライン超え職員555人でも人員削減

 今日の孫崎氏のメルマガ いつもとは違い題名だけコピーしても意味はわからないが説得力あるエッセイ。兵士、諜報機関員の「犬死」がテーマ。

随想? ノルマンディー の崖

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