ベネズエラ

2026年1月22日 (木)

権力が狂う時:ベネズエラにおけるアメリカの作戦と世界秩序への危険

フィル・バトラー
2026年1月19日

 過去数日間、近年で最も異例とも言える軍事作戦の一つをアメリカは遂行した。ベネズエラ空爆と、ニコラス・マドゥロ大統領夫妻拘束とニューヨークへの拉致だ。数時間後、安全かつ適切で思慮深い政権移行が実現するまでは、アメリカが「ベネズエラを支配する」とドナルド・トランプ大統領は宣言した。

 

 歴史上、我々が立ち止まるべき瞬間はごくわずかだが、今回はその一つだ。単に何が起きたのかというだけでなく、その後の言論が、ワシントンの権力者が、現在どのように考え、発言しているかを明らかにしているからだ。

 現実から切り離された言説

 この作戦に関する公式説明は、刑事司法の文言を混ぜ合わせたものだった。マドゥロ大統領は結局、麻薬戦争に関する大まかな主張で連邦訴追に直面することになる。しかし、それら主張は基本的精査によって崩れ去る。麻薬戦争の根拠の中心、フェンタニルは、主にメキシコ経由、陸路でアメリカに流入しており、カルテルは、自動車や、合法的な港での通関や、国内ネットワークを利用している。オピオイド危機の原因となるほどの量がベネズエラからは直接流入していない。フェンタニルに関連する海上検挙は稀で、ベネズエラはDEA密売データで、供給源や主要流通経路として現れてはいない。更に率直に言えば、小型沿岸船舶は、燃料補給支援や母船や中間中継地点なしには、ベネズエラからアメリカ本土まで物理的に移動できないのだ。これらのいずれも、記録されている密売パターンには見られない。だが証拠は、かつてのように不可欠な試金石でなくなったのだ。

 国連安全保障理事会常任理事国で、核を保有する国が、国連憲章の文言ではないにせよ、その精神に反する作戦を実施したのだ。

 マドゥロ大統領拘束から48時間以内に、トランプ発言は、異様に、劇的に、他の国々へ飛び火した。長年アメリカの地政学的敵対国だったキューバは「崩壊の準備が整っている」と大統領は公言し、コロンビアには麻薬生産の疑いがあると脅迫し、同国での軍事作戦は「良い考えだ」と示唆した。事態を更に泥沼に突き落とすため、トランプはアメリカによるグリーンランド併合要求を復活させ、領有権を中国とロシアの存在に対する「国家安全保障」上の懸念と明確に結び付けた。これはデンマークとグリーンランドの指導者たちが激しく拒否した主張だった。これは戦略的曖昧さではない。これは西半球における優位性の宣言で、確立された国際法の規範や国家の主権をほとんど考慮せず、主張と武力を武器とする意志に裏打ちされている。

 国際的な反発と規範の崩壊

 世界の反応は迅速だった。ベネズエラへの攻撃を「違法かつ不安定化させるもの」とロシア当局は非難し、石油資源支配というアメリカの戦略的利益の継続だと断定した。更に、より強大な国に対する同様行動は戦争行為とみなされると警告した。

 中南米諸国内外の指導者たちは、この作戦を強く非難した。スペイン、ブラジル、チリ、コロンビア、メキシコ、ウルグアイは共同声明を発表し、この介入を「平和と地域の安全保障にとって危険な前例」と評し、主権の尊重を強く求め、ベネズエラ危機に対する平和的かつ包括的な解決策を求めた。中国やフランスなどは武力行使を批判し、国連や欧州連合などの機関は国際法の優位性を強調した。

 長期的に見れば、これは地域的な議論ではなく、第二次世界大戦以降の世界秩序の基盤となってきた原則の試練なのだ。大国が、国連の承認なしに、また自衛や国際的負託もなしに、現職国家元首を拉致するのは、強さを示すものではなく、自制心の崩壊を示すものだ。アメリカの姿勢を集団的狂気と呼ぶ人々さえいる。

 これら行動の原動力となっているのは、希少性と権力投射の論理だ。この不穏な一連の姿勢の連鎖をどう説明するのだろう? 最も単純かつ不穏な説明は、不透明な道徳的闘争ではなく、物質的必然性にある。アメリカは益々外国石油と希土類鉱物への依存度を高めており、ベネズエラは世界最大の石油埋蔵量を誇る。「石油供給を再開させる」というホワイトハウスの主張は、その重要性を物語っている。モンロー主義(トランプ自身の言葉で「ドン・ロー主義」と改名された)などの教義の援用は、西半球における戦略的資源と政治的帰結に影響を与えるだけでなく、支配する意欲を示している。ニカラグアからグリーンランド、そしてキューバへと、まるで熱狂的な標的のチェス盤のように主張が飛び交う時、強力な戦略ではなく、不安感を必死に投影しているに過ぎない。

 危険な前例

 今この瞬間は、特異かつ危険な状況だ。国連安全保障理事会の常任理事国で、核保有国のアメリカが、国連憲章の文言とは言わないまでも、その精神に反する作戦を実行したのだ。長らくアメリカは主権と国際法を擁護してきたが、今やそれらに挑戦しているのだ。限定された状況を除き、いかなる国家も外部の武力によって転覆させられることはないという原則は、密かにではなく、傲慢な宣言によって侵食されているのだ。

 ニコラス・マドゥロ逮捕は、今後数十年にわたり、国際関係の授業で教えられることになるだろう。だが教訓は、強い国や弱い国に関するものではない。権力が抑制力を失った場合る、世界秩序が、再び帝国の論理へ崩壊していく様子を検証することになるだろう。進歩と偉大さとして売り出されているものは、実際は中世的思考への退行、あるいは更に悪いことに、無法地帯の世界への退行だ。ドナルド・トランプは暴走しているように見える。少なくとも「南北アメリカ大陸皇帝」の称号を狙っているように見える。

 フィル・バトラーは政策研究者、評論家、政治学者、東ヨーロッパ専門家で、最近のベストセラー「Putin’s Praetorians(プーチンの近衛兵)」などの著書がある。

記事原文のurl:https://journal-neo.su/2026/01/19/when-power-goes-mad-the-u-s-operation-in-venezuela-and-the-danger-to-world-order/

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 東京新聞 一面  
 安倍元首相襲撃 無期判決

 奈良地裁 被告の境遇影響否定


 東京新聞 三面にも  
 安倍氏銃撃判決

 「なぜ狙った」踏み込まず


 東京新聞 三面  
 トランプ氏 365項目成果強調

 政権1年「八つ戦争終わらせた」


記事の中に 全米各地でデモ④面 とある。  東京新聞 四面 国際・総合  
 強権1年「独裁者いらない」

 反トランプデモ 全米各地で展開


 東京新聞 六面 総合  
 トランプ大統領就任1年

 MAGA派の一部離反

 米国世論調査

 「米国第一」偽者だった

 外交没頭・格差置き去りに失望の声


 東京新聞 特報面  
 昨秋国会で「改修に一年以上」と強調

 高市氏「食品消費税2年ゼロ」尽きぬ疑問

 一体何だったの「レジの壁」

 「検討を加速」って・・・

 本気度に疑問符


 

2026年1月13日 (火)

アメリカの蛮行を隠蔽するためのロシアと中国に対する中傷



フィニアン・カニンガム
2026年1月10日
Strategic Culture Foundation

 いつものこと、つまりアメリカの犯罪的侵略を軽視し隠蔽することだけを欧米メディアは実行している。

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お問い合わせ:info@strategic-culture.su

 いつものこと、つまりアメリカの犯罪的侵略を軽視し隠蔽することのみ欧米メディアは実行している。

 トランプ大統領による露骨に違法なベネズエラ軍事攻撃、大統領拉致、外国人殺害と、同国の膨大な石油資源の窃盗、これらが構成する数々の重大犯罪は、いまだに指摘されていない。アメリカが行った侵略行為は、ニュルンベルク裁判で「最高犯罪」とされる基準に該当する。

 だが、アメリカや欧州企業の支配下にある報道機関は、こうした事態について一切報道も発言もしていない。イギリスBBCは、記者に「拉致」という言葉の使用を禁止した

 欧米メディアは、トランプ大統領による国連憲章と国際法の度重なる違反を率直に非難する代わりに、ロシアと中国に対する偽の誹謗中傷で注意を逸らそうとしている。

 「トランプ大統領によるベネズエラへの大胆な夜間攻撃は以下のようなメッセージを送った。『もし十分な武力があれば、国を攻撃し、指導者を倒し、ひょっとしたら狙っている資源を入手できるかもしれない。』中国とロシアの指導者たちは、大国が支配する勢力圏に世界を分割する構想を長年共有してきたが、いずれ独自の結論を導き出すだろう。」とアメリカの、いわゆる公式新聞ニューヨーク・タイムズは主張した

 世論の目を逸らすとは一体どういうことだろう? アメリカは戦争犯罪をおこない、国際秩序で、評判を極めて露骨に落としたばかりなのに、ニューヨーク・タイムズは、ロシアと中国がしているとされる行為に人々の関心を集めようとしている。

 デイリー・ビーストとガーディアンの両紙は「アメリカ外交政策のプーチン化」という表現を使った。

 現在ロシアのウラジーミル・プーチン大統領をトランプ大統領が「模倣」していると彼らは主張しているのだ。

 これら欧米メディアは、ロシアや中国を偽って同一視し、アメリカの犯罪行為を軽視しようとしている。

 つまり、ロシアのプーチンがウクライナでしたことを、トランプは繰り返しており、一方、中国指導者の習近平は今や台湾侵攻を実行しようとしているという推測だ。

 欧米メディアの歪曲報道はアメリカのベネズエラ侵略と国連憲章違反を激しく非難するモスクワと北京に否定されている。

 トランプが手本としているのは歴代アメリカ大統領全員だ。彼ら全員が中南米諸国や世界の国々を繰り返し侵略し、政府を転覆させ、天然資源を奪ってきたのだ。

 アメリカ合衆国の犯罪歴は他のどの国とも比べものにならないほど深刻だ。第二次世界大戦以降だけでも、アメリカは100カ国以上で政権転覆工作を行い、あらゆる大陸で数え切れないほどの違法な戦争や代理戦争を仕掛けてきた。

 過去80年間のこの騒乱と野蛮行為の「アメリカ例外主義」の中、欧米メディアは、冷戦、共産主義からの自由世界防衛、人権保護、民主主義の促進、大量破壊兵器の除去などの口実を並べて犯罪行為を隠蔽してきた。

 今回のベネズエラ侵略の前兆は、麻薬テロ対策に関するトランプ大統領の不条理な主張を、アメリカと欧米諸国のメディアが5ヶ月間煽り立てたことだった。犯罪的侵略が行われた今、ベネズエラの石油産業を掌握したとトランプ大統領が豪語する中、根拠のない戦争プロパガンダは忠実に放置された。

 むき出しのアメリカ帝国主義が全世界の目にさらされている。だが卑屈な欧米メディアは「王様は裸だ」と叫ぶ代わりに、プロパガンダへの共謀から目を逸らすために、トランプがプーチンと習近平を模倣している、あるいはロシアと中国が「勢力圏」における、いわゆる「自由な影響力」を享受していると主張して論調をそらさなければならない。

 これは欧米メディアの作り話に過ぎない。ウクライナにロシアが介入しているのは、アメリカ主導のNATOが数十年にわたって引き起こしてきた代理戦争のためだ。中国にとって、台湾は国際法上、中国が主権を有する領土の一部だ。緊張は、主に台湾への大量兵器売却によるアメリカの執拗な中国内政干渉に煽られている。

 国連憲章の尊重と国際法の遵守に基づく平和的な多極世界秩序をモスクワと北京は繰り返し主張してきた。

 帝国主義的な狙いを追求し、諸国を意のままに侵害して国際法を蝕み、混乱を引き起こしたのはアメリカと追従的西欧諸国なのだ。

 トランプは、力こそ正義だと決めつけ、砲艦外交に訴える点で、他の歴代アメリカ大統領と本質的に何ら変わらない。歴代大統領は、犯罪行為を隠蔽するために、身勝手な口実を用いる政治的義務を負っていた。そして、支配されたプロパガンダ装置である欧米メディアは、常にそうした隠蔽工作に加担してきた。

 トランプは、見せかけの言い訳など捨て、野蛮な行為を露骨に実行に移そうと躍起になっている。これは露骨な帝国主義的暴力だ。おべっか使いメディアは困惑している。醜い真実は明白だ。だが彼らはそれを報道できない。そこで彼らは卑劣な共謀を隠すために、奇術のようなトリックを使う。ロシアと中国への中傷だ。

 フィニアン・カニンガムは『Killing Democracy: Western Imperialism’s Legacy of Regime Change and Media Manipulation(民主主義を殺す:西洋帝国主義の政権転覆とメディア操作の遺産)』の共著者。

記事原文のurl:https://strategic-culture.su/news/2026/01/10/whitewashing-us-barbarism-by-smearing-russia-and-china/

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; 初めてカマラ・ハリスのYoutubeを見た。
JUST IN: Trump LOSES IT as Congress Drops BOMBSHELL Demand | Kamala Harris 14:09
 植草一秀の『知られざる真実』
高市内閣弱体化大作戦

2026年1月11日 (日)

ベネズエラの暗い穴で崩壊しかねないトランプの調子よい石油の夢



ペペ・エスコバル
2026年1月8日
Strategic Culture Foundation

 つまり、ベネズエラ石油大手を巡る状況はトランプ2.0ギャング容疑者より遙かに複雑だ。

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 まず、ネオ・カリグラが現在所有していると主張する帝国太守領に対する新勅令から始めよう。勅令というより、デルシー・ロドリゲス暫定大統領に対する露骨な脅迫だ。
 
  1. 「麻薬密売の流れ」を取り締まるべきだ。いや、これは実際には、アメリカの大口バイヤーと共謀しているコロンビアとメキシコの密輸業者に向けられるべきだ。

  2. カラカスが石油生産量を増やすのを許可される前に、イラン人、キューバ人、その他「ワシントンに敵対する工作員」を追放する。そんなことは起きない。
  3.  
  4. 「アメリカの敵国」への石油販売停止する。そんなことは起きない。
 従って、ネオ・カリグラが再度ベネズエラを爆撃する可能性はほぼ確実だ。

 別の口撃で、ベネズエラ石油事業を補助金で、ある程度改革したい意向もネオ・カリグラは明らかにした。「18ヶ月もかからないかもしれない」と言い、その後「もっと早くできるかもしれないが、多額の費用がかかる」と言い換え、最終的には「莫大な資金が必要になるだろうし、石油会社はそれを支払うだろう」と言い換えた。

 いや、そうはいかない。そう主張する「業界関係者」もいる。ネオ・カリグラが2800万人の国民を相手に反逆的政府を樹立すれば、完全な混乱に陥る可能性がある国に巨額投資をすることにアメリカのエネルギー大手は、ためらいを感じている。

 Rystad Energy Analysisによれば、ベネズエラが1日わずか300万バレルの石油を生産するためには、少なくとも16年の歳月と1,830億ドルの費用がかかるという。

 ネオ・カリグラ究極の夢は、世界の原油価格を1バレル最大50ドルまで引き下げることだ。この狙いのために、トランプ2.0の帝国主義的計画は、PDVSAの石油生産のほぼ全ての買収と売却を含め、PDVSAを完全に支配することになる。

 ゴールドマン・サックスのエネルギー会議でアメリカのエネルギー長官クリス・ライトが石油に関する秘密を漏らした。

 「我々はベネズエラ産原油を市場に出すつもりだ。まず貯蔵されている原油(最大5000万バレル)を売り、その後は無制限にベネズエラ産石油産物を市場に売るつもりだ」

 つまり本質的に、ネオ・カリグラの計画はPDVSAから原油販売を奪い、実際に盗み出すことで、その金は理論上「ベネズエラ国民の利益のため」にアメリカが管理するオフショア口座に預けられることになる。

 デルシー・ロドリゲス暫定政権が、事実上の窃盗とも言うべき行為を受け入れるはずがない。スティーブン・ミラー国土安全保障担当補佐官は、アメリカはベネズエラ支配を維持するために「軍事的脅威」を用いると自慢しているが、本当に支配しているなら、脅しをかける必要はない。  
すると中国はどうか?

 中国はベネズエラから1日あたり約74万6000バレルの原油を輸入していた。これはそれほど多くない。北京は既にイランからの輸入に切り替えようとしている。中国は基本的にベネズエラ産原油に依存していない。イラン以外にも、ロシアやサウジアラビアからも原油を調達している可能性がある。

 西半球と西アジアにおける帝国主義的暴走が石油だけの問題ではなく、石油ドルでエネルギーを購入させることも狙っていることを中国政府は明白に理解している。ロシア、ペルシャ湾と、それ以外の国々にとって、もはや石油元が全てなのだ。

 中国はエネルギー自給率が80%だ。ベネズエラは事実上、中国の輸入量20%の僅か2%でしかない。これはアメリカ政府自身の数字によるものだ

 中国とベネズエラのエネルギー関係は、安価なアメリカ方式を遙かに超えている。ここで「中国とベネズエラの石油協定は、事実上、拘束力ある金融契約で、返済メカニズム、担保構造、違約金条項とデリバティブ取引の連携が国際金融に深く根付いていることがわかる。(中略)これらの協定は、直接的にも間接的にも、西側諸国の金融機関、商品取引業者、保険会社と、ウォール街と結びついた組織を含む決済システムと結びついている。これらの契約が破棄されたとしても、中国が『損失を被る』結果にはならない。それは連鎖的事象だ。債務不履行が相手のエクスポージャーを引き起こし、デリバティブ価格が再調整され、法域を越えた法的紛争が発生し、信頼感の衝撃が外へと広がる。ある時点で、これはベネズエラの問題ではなく、世界的な制度的問題になるのだ。」と解説されている。

 更に「過去20年間、中国はベネズエラ石油産業の運営の中核となってきた。単なる買い手としてではなく、建設者としても。中国は製油所技術、重質原油の精製システム、インフラ設計、制御ソフトウェア、スペアパーツ物流を提供してきた。(中略)中国のエンジニアを排除せよ。制御ロジックを理解する技術者を排除せよ。メンテナンスのサプライチェーンを排除せよ。ソフトウェアサポートを排除せよ。残るのは『解放』を待つ機能的石油産業ではなく、機能しない殻だけだ。」

 結論:「ベネズエラの中国製石油部門をアメリカ製に転換するには最短でも3~5年はかかる。」

 金融アナリストのルーカス・エクワメが要点を解説している。ベネズエラはタールのように粘度の高い超重質油を産出している。原油はただ流れ出るのではなく、地表にくみ上げるには溶かす必要があり、採掘後に再び固まるため希釈剤が必要になる。輸出1バレルに対し、少なくとも0.3バレルの希釈剤を輸入する必要があるのだ。

 これに、ベネズエラのエネルギー・インフラが中国によって整備され、同時に2000年代初頭のイラクに対するものより酷い長年にわたるアメリカ制裁に苦しんでいることを加えると、ネオ・カリグラの誤った石油「戦略」が明らかになる。

 もちろん、だからといって、帝国ヘッジファンドのハゲタカ連中がベネズエラの死骸を短期的に食い物にすることに変わりはない。始まりは、億万長者のシオニスト・ヘッジファンド・マネージャーで、MAGAスーパーPAC寄付者(2024年には4200万ドル)でもある恐ろしいポール・シンガーだ。彼が経営するエリオット・マネジメントは、11月にヒューストンに拠点を置くCITGOの子会社を59億ドルで買収したが、これはベネズエラ石油輸入禁止措置により、時価総額180億ドルの3分の1にも満たない額だ。

 投機筋は債券市場で最大1,700億ドルを儲けることになるだろう。債務不履行となったPDVSA債券だけでも600億ドル以上の価値がある。

 つまり、ベネズエラにおける石油業界の状況は、トランプ2.0のギャングが疑うより遙かに複雑だ。もちろん、今後、ベネズエラ総督、マルコ・ルビオという名の悪党がカラカスから上海への石油供給を遮断する事態に直面するかもしれない。ルビオの戦略的「専門知識」を考えれば、今すぐ弁護士の大群を組織化すべきだろう。

記事原文のurl:https://strategic-culture.su/news/2026/01/08/how-trumps-oily-dreams-may-collapse-in-a-venezuelan-dark-pit/

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 東京新聞 特報面 本音のコラム 前川喜平氏  
戦争犯罪者との握手
 自民党の小野寺五典が、両国国旗の前でネタニヤフと握手する写真を見た。
 小野寺五典を団長とする議員団がイスラエルを訪問したのだという。
 「イスラエルによるパレスチナ人ジェノサイドを日本は支持する」意思表示だ。

   同行した「れいわ」の多ケ谷亮記者会見を見た。支離滅裂。こういう議員を擁する党など信じられない。

 ジェノサイドを止めるよう説得したかったと言っていた。
 ネタニヤフには国際刑事裁判所から戦争犯罪容疑で逮捕状が出されている。
 日本の無名政治家が言えばやめるようなタマではあるまいに。

   思いついて、アメリカ入国規定を検索した所、SNS、メールアドレスを問われるとあった。
米国、観光客のSNS情報提出義務付けへ 「ESTA」日本人も対象
 宗主国を褒める記事を書いた記憶がない小生、入国拒否される可能性を思った。
 もちろん全く心配していない。そもそもアメリカ旅行資金などない。

 今朝の孫崎享氏メルマガ題名
元経済諮問委員会委員長の予測「昨年トランプは経済に新たなルールを課し、ほとんどの人、機関が従った。だがすぐに過去の出来事になる可能性。26年トランプ支配のピークは去るだろう。最高裁、連邦準備制度理事会(FRB)、議会がトランプの意向を無視する動きを強める。

2026年1月10日 (土)

「力こそ正義」が我々全員にとって危険な理由

2026年1月6日
Moon of Alabama

 最近、欧州連合から制裁を受けたジャック・ボーは、Youtube番組のDialogue Worksで「 世界は無法時代に入りつつある」と嘆いている(動画)。

 もちろん彼は正しいが手遅れだ。

 何世紀にもわたり発展してきた国際法は、制定されて以来、アメリカや他の帝国主義勢力に破られてきた。

 だが第二次世界大戦後、そのような違反は、たとえ明白なものでも、それぞれ、より高次の価値観の強制だと主張するプロパガンダに覆われた。悪党と戦い、独裁者に対抗し、邪悪な共産主義者が国民から盗むのを阻止しなければならなかった。新旧ネオコンは、この点で達人だった。イラクとアフガニスタンへの露骨な帝国主義的攻撃は、これらの国々で虐げられ抑圧された貧しい人々に民主主義をもたらす善良な人々の使命だと宣伝された。我々は彼らの女性を解放しなければなさなかった。

 民主主義推進の名の下で、残忍な征服戦争を覆い隠すプロパガンダは、しばらくの間は存続した。それは二つの目的を果たした。

 アメリカ属国諸国は帝国主義者との協力を正当化できた。また「西側」の人々のかなりの部分が、依然自国に好感を抱くこともできた。戦争が南下し、損失が増大すると、彼らは戦争を遂行したのは悪かったことを認めた。だが少なくとも「我々は善意だった」という慰めの気持ちがあった。イラクを略奪していた帝国主義者の一人が自身の回顧録に題名をつけたように。

 しばらくの間は、一部の人々にとっては効果があった。イラク戦争はヨーロッパで抗議を呼び、ドイツとフランスは戦争に反対し、議会はフライド・ポテトを「フリーダム・フライ」と改名した。

 しかし、それ以来、彼らの道徳的優位性も更に悪化した。

 10年にわたるシリアに対する汚い戦争は、NATO加盟国全てから支持された。2014年のキエフでのナチスによるクーデターと、それに続くドンバス地方の人々に対する戦争は隠蔽された。西側諸国のプロパガンダは、あらゆる抗議をかき消した。しかし、これらの戦争に対する疑念は消えなかった。プロパガンダは余にも露骨になりつつあったのだ。

 ガザで進行中のジェノサイド戦争が転換点になった。戦争を正当化するために用いられたシオニスト・プロパガンダはもはや効果を発揮しなくなった。

 それが起きると、権力者は弾圧に転じた。イスラエルによるパレスチナ人の大量虐殺に対する抗議は犯罪とみなされた。

 ジャック・ボーは欧米諸国の情報源だけに基づいてウクライナ戦争について正しい分析を行ったが、その結果、EUは彼を検閲する不合理な措置を取った。

 ジョー・バイデンはノルドストリーム・パイプラインを爆破した。ドイツとEUは、自国経済に対する露骨な攻撃に抗議すらしなかった。ドイツ政府はこの問題を、いかだに乗っている6人のウクライナ人という信じ難い話で隠蔽した。誰もそれを信じなかった。

 帝国主義者をあらゆる法律から解放するための最後の一歩をドナルド・トランプは踏み出した。

 彼はベネズエラへの違法攻撃をプロパガンダで正当化しようとさえしていない。民主主義の押し付けなど、いかなる道徳的正当化も語っていない。これはマフィア流石油強奪に過ぎず、結果や世間体など全く考慮していない。マドゥロ起訴は滑稽極まりない。正気の法律家なら誰も訴訟を起こさないはずだ。

 欧州の弱虫連中はこれを非難しなかった。これは連中の弱腰と正しく解釈され、結果的に彼らが次の標的になるだろう。彼らはグリーンランドをアメリカの侵攻から守るために軍隊を派遣することもできる。しかし、彼らはそうしないだろう。トランプはためらうことなくそれを受け入れるだろう。

 道徳的正当性の完全な欠如と国際法の明白な違反を隠蔽するプロパガンダは、二つの危険な結果をもたらす。

 法の遵守と道徳的透明性の欠如は、国際関係から国内問題にまで浸透するだろう。

 「『力こそ正義』の世界の到来を我々は後悔することになるだろう」(アーカイブ)とトーマス・ファジはテレグラフ紙で警告している。  
国外での法的、道徳的制約を西側諸国のエリート連中が放棄するにつれ、連中は国内でも、そうすることが益々正当だと感じるようになり、憲法上の保障や市民の自由の侵害が加速するだろう。

 この過程は既にかなり進行している。もはや問題は、いわゆるルールに基づく秩序が崩壊したかどうかではなく、エリート層によって解き放たれた無法の帰結を西側社会が認識せざるを得なくなるまでに、国内外で一体どれほどの破壊がもたらされるかだ。
 二つ目の悪い結果、つまり内部の一貫性の喪失についてアルノー・ベルトランは警告している

 指導者たちがあらゆる道徳と法律を公然と無視している時、アメリカ国民が偽善的に依然自分たちに抱いている理想の「丘の上の輝く都市」に一体何が残るのだろう?

 自分の理想を全て無視することが、自分自身の中で起きたらどんな感じがするかとベルトランは問うている。  
おそらくあなたには不十分な点もあるだろう ― 誰にでもあることだ ― だが、理想は依然あなたの行動を形成する。理想は、目指すべきものをあなたに与え、批判を受けるための条件を与えてくれる ― あなた自身の内なる対話を通しても。理想は、あなたが明日、より良い行動をとることを可能にする。

 偽善――理想と現実のギャップ――は問題ではない。それは、想がまだあなたを捕らえていること、そしてあなたがまだ理想に呼び戻される可能性がある証拠だ。諺にあるように、偽善とは悪が美徳に捧げる賛辞だ。

 そこで、これら全てを放棄したと想像願いたい。理想を完全に捨て去り、最悪の自分を認め、悪癖を許容するという意味において、偽善者であることをやめると想像願いたい。配偶者を裏切り、それが気にならないふりをするのをやめよう。子供たちをないがしろにし、それを受け入れよう。

 こうして、あなたは「爽快なほど正直」になっただろうか? もしかしたらそうかもしれない。だが、あなたは内面では死んでしまっている。あなたは酷く壊れた何かになってしまった。恥も魅力も感じられないほどに。道徳的な人生を可能にする内面構造を失ってしまった。「こんな自分はなりたくない」と告げていた小さな光は消えてしまった。

 それがアメリカが自らにしたことだ。

 率直に言って、この結果は恐ろしい。国家が自らに「善良であるべきだ」と言い聞かせることをやめたら、一体何が起きるだろう?
 社会が道徳観念を失えば、無政府状態に陥る。政治家が自分の行為を正当化する必要を感じなくなると、残忍な手段で支配するようになる。アメリカを筆頭とする欧米社会は、今まさにその未来へと歩みを進めている。

 それを防ぐために一体何ができるのだろう?

 彼らを非難し、道徳的透明性を主張することが急務だ。同じ道を歩もうとする内なる衝動を拒絶し、黄金律に従って生き、自分が他人にしてもらいたいように他人に接しよう。このブログに見られるように、これを国際関係にも当てはめよう。

 それに従わなければ、うまく行かないだろう。

記事原文のurl:https://www.moonofalabama.org/2026/01/why-might-makes-right-is-dangerous-for-all-of-us.html

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 FINLAND'S SELF-INFLICTED CRISES 10:54
Finland's Economy is Dying – Now Paying Heavy Price! Finland After Russia
 今朝の孫崎享氏メルマガ題名 道徳観!?
トランプ大統領はニューヨーク・タイムズ記者達とインタビュー。トランプ大統領は自らの権限の制限は国際法や条約ではなく、自ら(「私自身の道徳観」)が決定権を持つと明言。国際法その他の制約を無視。米国覇権に軍事力、経済力、政治力等全手段を用いる自由を自らに認めた

2026年1月 9日 (金)

マドゥロ大統領を拉致したのに何も得られなかったトランプ大統領

2026年1月5日
Moon of Alabama

 トランプ大統領のベネズエラ攻撃に関する前回記事で、計画には欠けている部分があると私は指摘した。  
アメリカが次にどんな措置を取るつもりなのか疑問に思う。ベネズエラに侵攻するだけの兵力はない。また、ベネズエラを封鎖しても、政権転覆にはつながらない。国内革命が成功する可能性は低い。

 アメリカ人のノーム連中が下着を盗んだ。次は第二段階だ。そして儲けだ。良い計画に思える。

 だが、今のところ第二段階が一体何か誰も知らないようだ。
 この下着窃盗妖精の事業計画第二段階は前と同じことをすると判明した(アーカイブ)。  
アメリカはベネズエラを一体どのように支配するつもりかという質問に対し、ルビオは、イラク戦争中にジョージ・W・ブッシュ政権がバグダッドに置いたようなアメリカ占領当局の計画は示さず、代わりに、投獄されているニコラス・マドゥロ大統領の同盟者が運営するベネズエラ政府に政策の変更を強制する考えを語った。

 国営石油産業を政府が外国投資に開放し、おそらくアメリカ企業を優先して他の改革を実施するまで、アメリカ制裁リストに載っている石油タンカーの出入港を米軍は阻止し続けるとCBSニュースの「Face the Nation」で彼は語った。

 「状況は維持され、それは非常に大きな影響力で、変化が見られるまで我々は継続する。それは単にアメリカの国益(最優先事項)を推進するためだけでなく、ベネズエラ国民にとっても、より良い未来につながる変化をもたらすためでもある。」と彼は語った。
 何も変わっていない。ベネズエラはボリバル革命を信奉するチャベス主義者に統治され続けている。アメリカ企業による石油採掘を許可するよう圧力を受け続けている。マドゥロ大統領を含むチャベス主義者はそれを認める用意はあるが、いくつかの条件を付けている。それらは変わっていないし、これからも変わらないと私は考えている。

 この大げさな行動全体、バーチャル戦争だった。  
本来なら空域で極めて激しく行われるが、敵防空網制圧作戦も最小限、あるいはほとんど行われなかったこの襲撃は、ベネズエラ軍が撤退命令を受けていた場合のみ可能だったはずだ。2024年以来、アメリカと権力移譲を巡り交渉を続けてきたマドゥロ大統領は、ベネズエラの権力構造全体から裏切られたか、あるいは自ら降伏したのかのどちらかで、襲撃当時「要塞」にいたようには見えない。
 すると、この作戦全体に一体何の意味があったのかと問う人もいるかもしれない。いや、おそらく何もなかったのだ。  
ペンタゴンが作戦名に「Absolute Resolve(絶対的決意)」と名付けたこの作戦には、未だ多くの疑問が残されている。ベネズエラとトランプ大統領が交わした取り引きの正確な内容は一体何だったのか? ロドリゲスとアメリカの間に協力関係があったのか? トランプ大統領が約束したアメリカによる石油産業の買収と、ベネズエラへの「数十億ドル」規模の投資は果たして現実のものだったのか? 現在入手可能な情報に基づく限り、この出来事が架空の出来事なら、これらの疑問に明確な答えが出されることは決してないかもしれない。むしろ、この出来事は単に忘れ去られ、永遠に不可解で、計り知れず、解釈不可能な状態のまま大部分忘れ去られることになるだろう。
 あるいは他国にトランプ政権が何をするのかを誇示するのが狙いだったかもしれない。  
1992年、アメリカの保守派作家マイケル・レディーンは次のように語ったと伝えられている。「アメリカは、およそ10年に一度は、小さな、くだらない国を拾い上げて壁にぶつけて、我々は本気だとを世界に示す必要がある。」

 実際、このような根拠のがない誇示は、アメリカの世界的権力が衰退しつつある恐怖を露呈しているのかも知れない。自分の強さを証明するために弱い相手を殴り倒すのは、自信がないいじめっ子の行動だ。
 投資に意欲的なアメリカ石油企業をベネズエラは歓迎する可能性が高い。だが、それはトランプが思い描いているような大儲けからは程遠いだろう。ベネズエラ原油は重く、回収費用も高い。地表にくみ出して市場に輸送するには希釈液か蒸気が必要だ。世界の原油価格が1バレル50ドル前後で推移すると予想される中、数十億ドル規模の投資を正当化する誘因は僅かだ。

 今週末の行動後に何も変わらないと私は予想している。ベネズエラをアメリカは支配したくないのだ。地上部隊を派遣したくないのだ。封鎖は戦争行為として、しばらくは続くだろうが、いずれ船舶は母港に戻らざるを得なくなる。これでは何も得るものがないため、トランプ政権は次の標的へ向かうだろう。

 一方、イスラエルは対イランの新たな攻撃準備を進めている。アメリカは中東に部隊を再配置し、イランは全力で反撃する準備を進めている。

 一週間後にはベネズエラはニュースから消え、いつも通りの仕事が続くだろう。

記事原文のurl:https://www.moonofalabama.org/2026/01/trump-abducted-maduro-but-gained-not-a-thing.html

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 Ben NortonのGeopolitical Economy Report  マルコ・ルビオはナルコ・ルビオ 自分の犯罪を他人に投影。
Bombshell: USA admits Maduro didn't lead cartel - but CIA did traffic drugs in Venezuela 29:54
 東京新聞 朝刊 社説
グリーンランド 常識逸した米国の恫喝
 今朝の孫崎享氏のメルマガ
中国は高市答弁に反発、輸出制限発表、中にレアアースが入る可能性。その際の日本経済への打撃の推定(レアアース総輸入量の約63-70%が中国)。代替(10-20%高い傾向)、米中間:中国は世界の生産(約85%)と加工(最大95%)米国経済は短中期に重大な混乱の可能性
 

2026年1月 8日 (木)

北朝鮮専門家の目から見たベネズエラ紛争

コンスタンチン・アスモロフ
2026年1月7日
New Eastern Outlook

 2026年1月3日、アメリカはベネズエラで軍事作戦を開始し、首都カラカスをはじめとする戦略目標をミサイルで攻撃した。アメリカ政府によると、ニコラス・マドゥロ大統領とシリア・フローレス夫人は拘束され、アメリカに移送された。

 

 ドナルド・トランプによれば、マドゥロは「麻薬テロ」の罪で起訴され裁判にかけられ、ワシントンが共和国の統治権を握ることになるという。

 現時点では(本記事は2025年1月4日執筆)、戦火の霧が完全には晴れていないのは明らかで、筆者は中南米専門家でないため地域特有の状況は触れない。しかし、カラカスと平壌の類似はあまりに明白で、両国の政治的軌跡は多くの類似教訓があるため、ここで論じることにした。

 教訓、その1: 出発点と、国を強化するために一体何が行われたのか

 両国の人口は2,500万~2,800万人とほぼ同数だが、北朝鮮の国土の87%は山岳地帯で、農業にはリスクが高い地域だ。更に、北朝鮮には安定した利益を確保できるような輸出可能な鉱物資源が不足している。1990年代以降、北朝鮮は深刻なエネルギー危機に見舞われながらも発展を遂げてきた。一方、ベネズエラにはそのような問題はなく、北朝鮮と異なり膨大なエネルギー資源を保有している。石油埋蔵量は世界最大規模と言われている。

 もしアメリカがベネズエラの石油だけに興味を持っていたのなら侵攻はもっと早く始まっていたはずだ。

 両国は制裁対象になっているが、最近まで、ベネズエラに対する制裁は全面的禁輸措置には程遠いものだった。21世紀、特に2020年代初頭において、ベネズエラは三年の隔離という苦難を経験したことはなかった。ニコラス・マドゥロ大統領は2013年から権力の座に就いており、これは金正恩の在任期間に匹敵する。しかし10年間権力の座に就いている、この若き北朝鮮指導者は、軍事力の発展を中心に、ほぼあらゆる分野で飛躍的進歩を遂げ、北朝鮮を地域大国へと押し上げ、国際的孤立の壁を突破し、国民の生活水準と質を相対的に向上させた。

 だが、ベネズエラでは真剣な革新的プロジェクトは見られず、生活の質の向上は主に社会扶助策により行われ、関連インフラ整備は行われていない。相対的に見ると、外国からの融資やアメリカのオイルマネーは、製油所や軍産複合体ではなく、国民への贈り物に使われてきた。ベネズエラのインフラ整備プロジェクトは、マドゥロ大統領の前任者ウゴ・チャベス大統領の時代に実施されたものの、原油高騰の時代とともに終焉を迎え、地域に蔓延する汚職に埋もれてしまった。地域水準での高い犯罪率同様、この国は汚職抑制に時間を要した。

 その結果、当初は選択肢が多かったにもかかわらず、様々な理由から、ベネズエラ当局はアメリカによる攻撃に対する備えができていなかった。これは社会主義国家の建設が、社会主義的な表現を用いたポピュリズムとは、いかに異なるかを明確に示している。

 教訓 、その2: 脅威を認識し、それに対抗する準備をする真剣さの欠如

 当時、金正恩がトランプ大統領に対して強硬な姿勢を取り、核ミサイル防衛システム構築に注力したことが、2017年に極度の緊張状態に陥る事態を招き、筆者によれば、紛争発生確率は50%を超えた。金正恩は脆弱性の窓を「すり抜け」、十分な核抑止力を確保したため、アメリカは戦争のリスクを冒すことはなかった。トランプ大統領は最初の任期中に、この「ならず者国家」指導者と三度会談した。

 もちろん事態の進展はベネズエラ政権の回復力の見通しを明らかにするだろうが、今回の攻撃自体がアメリカの自信と、ベネズエラが本格的抵抗を示さなかった事実を物語っている。一方、ベネズエラに対するアメリカの攻撃的姿勢は、特にトランプ政権二期目にマルコ・ルビオが国務長官に就任した際、以前から知られていた。タブロイド紙によると、ルビオはベネズエラ政権との個人的因縁を抱えているという。彼は常にカラカスを批判し続けており、ベネズエラ当局は彼の暗殺を企てたとさえ伝えられている。ルビオが実際侵攻のロビー活動に関与していたかどうかはさておき、理論上は外交政策トップにこのような人物がいることは十分な警鐘になる。西半球を国益の優先地域と宣言するアメリカの新たな国家安全保障戦略も、ベネズエラに警戒を促していたはずだ。

 しかし、実際に戦闘態勢を強化するための措置はほとんど取られておらず、著者はここで21世紀初頭の発言を想起する。「もし、終末兵器を開発していると、アメリカがあなた方を非難するなら、ビートルズを起用した「決意集会」で敵を威嚇するのではなく、直ちに開発に着手するべきだ」。

 侵略者に対し、ボリバル風拒絶で反撃できる強大な国という印象を与えるため、ベネズエラ当局は、積極的な模擬活動を展開する一方、本物の戦闘態勢を維持するのを怠っていたようだ。少なくとも個人の安全を確保する措置を講じるどころか、マドゥロ大統領は支持者によるパレードを組織し「さあ、私を捕まえてみろ。私の場所で待っている」といった発言を繰り返した。結局、アメリカ軍は「やって来て、捕獲した」。30分間の作戦は、B級アクション映画を彷彿とさせる、事実上死傷者ゼロで進行した。

 確かに、この成功を「彼らは全員を買収した」と説明しようとする人もいるかもしれないが、それは正しくない。より正確な比較は、朝鮮人民軍とベネズエラ軍だろう。特に両国において、軍は伝統的に従来の軍隊とは異なる任務を担っているからだ。北朝鮮では建設業、中南米では国境警備、貧困削減、法執行、救助活動などがその例だ。

 だが、北朝鮮には建設部隊と戦闘部隊があり、戦闘力は中央軍管区で実証されている。一方、ベネズエラでは、軍全体の戦闘力は、いくつかの理由で低かったようだ。一つは汚職で、金正恩は汚職対策として、国内二番手幹部の制裁を厭わなかった。もう一つは軍に対する異なる姿勢だ。軍事クーデターを経験した中南米諸国では、軍の強化にかかる費用が国内の政情不安の新たな連鎖を引き起こすリスクがあるためだ。軍は国の主力ではなく、牽制と均衡のシステムの一つとして利用され、マドゥロ自身も、準軍事組織や、ウゴ・チャベスと異なり軍事経験のないマドゥロ大統領の個性に頼っているように見えた(ここで金正恩の軍事訓練を改めて想起しよう)。

 教訓、その3:世界が混乱している時代に、国際社会への訴えや、密室取り引きへの依存は効果がない

 マドゥロ大統領は、自国の軍事力より、国際社会が挑発を許さない侵略を無視する姿勢に頼っていたようだ。しかし、フランスを含む多くの国が侵略を非難したものの、国際社会の怒りは行動に結びついていない。更に、国連安全保障理事会で反米決議を採択しようとする試みには、アメリカが拒否権を発動するのは明らかだ。

 別の説によれば、マドゥロ大統領はアメリカとの密室取り引きに依存しており、重要問題で全面的に譲歩する用意があったが、アメリカによって社会ののけ者にされた国に関しては、交渉における欺瞞は欺瞞ではなく、合法的軍事的策略だという。

 教訓、その4: 脅威が現実のものか、想像上のものかに関係なく、アメリカは国益の範囲内、または国境における脅威に対してどのような対応をとるのか。

 もしアメリカがベネズエラの石油のみに関心を持っていたのなら侵攻はもっと早く始まっていたはずだ。だが、ベネズエラの石油埋蔵量について議論する際、一般的な専門家はベネズエラの石油が極めて特殊で、実質的には歴青だることを知らない。ベネズエラ石油は化学産業でこそ必要とされており、だからこそ中国はベネズエラ石油の最大80%を購入している。

 世界的な能力の危機を考えると、アメリカ指導部は自らの発言をほぼ信じていると想定する価値がある。イラクでも同様状況が発生した。アメリカの政治家、専門家や世論の間でサダム・フセインのイメージが確立されていたため、ワシントンはイラク指導者が必然的に大量破壊兵器を開発していると確信し、疑わしいものであれ、あらゆる証拠がこの枠組みに当てはまると考えた。

 教訓、その5: 世界的混乱の時代に、この紛争は一体どのような役割を果たすのか

 ベネズエラへの攻撃には、いくつかの目的と結果がある。第一に、ベネズエラは中国にとってロシアより大きな貿易相手国であるように思われ、ベネズエラ攻撃は中国の経済力を弱め、来るアメリカとの対決で中国を弱体化させることになる。

 第二に、トランプはワシントンを中心に西半球での勢力を強化しつつ、米軍は軍事経験を積んでいる。トランプ陣営は、アメリカが世界的存在感を追求する中、西半球の状況をやや軽視しており、そのため当面の優先事項は、西半球における絶対的支配を再確立し、その後、後方を強化した上で世界情勢に復帰することだと考えているとされている。

 第三に、他の国々は、複雑な国際問題を武力で解決するアメリカの前例を正当化し、同様行動を取る可能性がある。国連事務総長が述べたように、アメリカは世界にとって新たな「危険な前例」を作り出し、他のどの国にとっても受け入れがたい結末を迎えるだろう新たなパンドラの箱を開けてしまったのだ。

 要するに、金正恩委員長の方針が、正当性を更に証明されたのは明らかだ。むしろ、我々は紛争の展開を注視すべきで、特にマドゥロ一派のポピュリズムと社会主義的言説が、政権の安定維持と、アメリカ侵略への抵抗をどの程度保証するかに注目すべきだ。

 コンスタンチン・アスモロフは歴史学博士、ロシア科学アカデミー中国現代アジア研究所韓国研究センター主任研究員

記事原文のurl:https://journal-neo.su/2026/01/07/the-venezuelan-conflict-through-the-eyes-of-a-north-korea-expert/

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 デモクラシータイムス
<トランプ侵略 高市多難> ベネズエラ・中国・統一教会・浜岡原発・馬毛島【山田厚史の週ナカ生ニュース】 1:37:40

アメリカ帝国はトランプのような人物が必要なのだ



帝国にはオバマのような巧みな雄弁家や擁護者が必要だが、トランプのような鉄拳制裁の露骨な暴君も必要だ。

ケイトリン・ジョンストン
2026年1月6日

 ティム・フォーリーによる英文記事朗読を聞く。

 アメリカの権力機構が、トランプの今回の大統領就任に対し、前回よりずっと冷静だったのはなぜだろうと疑問に思っていたなら、今こそ理由が明らかだ。トランプがマドゥロ誘拐、イラン爆撃、パレスチナ問題の最終的解決といった長年の帝国主義的計画を実行すると確信し、その計画を遂行すると権力者連中が彼を信頼していたのだ。

 ディープステートと戦っているので支配体制はトランプを嫌っているというMAGA言説は決して真実ではない。アメリカ帝国の権力構造内にはトランプを嫌う派閥もあるが、それは彼がヒラリー・クリントンのような実績ある人物でなく、信用できる帝国管理者として信頼されていなかったからに過ぎない。トランプは一期目任期を通して、長年にわたる沼地の怪物の思惑推進上、信頼できる人物であることを証明し、大統領の座を離れていた間、再選されたら更に多く行うと帝国仲間の管理者連中を確信させるだけ十分な実績を残した。

 帝国には、オバマのような巧みな弁論家や擁護者が必要だが、トランプのような鉄拳制裁の露骨な暴君も必要だ。世界的な合意を形成し、アメリカのソフトパワーを拡大するためには、良き警官のような大統領が必要だ。そして良き警官ではできないハードパワーの濫用を働かせるには、悪しき警官のような大統領も必要だ。どちらも帝国という機械の運営には不可欠な要素だ。


 例えばキューバは、何世代にもわたり、アメリカ沖に浮かぶ社会主義の島国であり続けている。アメリカが通常手段でキューバ政権を転覆させられるなかったためだ。CIAによる暗殺作戦、代理戦争、経済封鎖といった常套手段は全て失敗に終わり、軍事的脅威のない小国に地上部隊を派遣して政権転覆を謀ることに国内外の支持は得られていない。だがトランプのような「悪徳警官」大統領には、良質な警官である大統領には考えられないような選択肢が選べる。

 アメリカ帝国の経営者連中は、このことについて公然と議論している。

 マドゥロ逮捕後「もし私がハバナに暮らして、政府にいたら、少なくとも少しは心配するだろう」とマルコ・ルビオ国務長官は言った

 日曜日「キューバは今にも陥落しそうだ」と喜びに浸るリンジー・グラムの横でトランプ大統領は記者団に語った。「キューバは今にも陥落しそうだ。持ちこたえられるかどうか分からない。だが、今キューバには収入がない。収入の全てをベネズエラ、ベネズエラの石油から得ていた。だが今や何も得られない。キューバは文字通り今にも陥落しそうだ」


 「キューバの件を待つしかない」とグラムは付け加えた。「キューバは共産主義独裁国家で、司祭や修道女を殺害し、自国民を食い物にしてきた。彼らの日々は残り少ない。いつか我々は目覚める。2026年には、我々の裏庭で、アメリカと商売をする同盟者がこれらの国々にいて、アメリカ国民を殺害する麻薬テロリスト独裁者でなくなっているよう願う」

 「ドナルド・トランプは、1950年代以来アメリカが成し遂げられなかったことを成し遂げることになるだろう。フロリダ沖90マイルの共産主義独裁政権に対処できるのだ」とグラムはFOXニュースで述べた。「その日が来るのが待ちきれない。フロリダとアメリカ全土のキューバ人の友人たちよ、祖国解放は間近だ」

 トランプがベネズエラに攻撃を仕掛けるずっと前から、ワシントンのワシントンD.C.の人々は、このことを言っていた。10月、リック・スコット上院議員は、マドゥロ大統領が排除されれば「キューバは終わりだ」と「 60 Minutes」で述べ「アメリカは南半球を守り、自由と民主主義を確保する」と強調した。

 ベネズエラにおけるトランプの国際法無視の露骨な拉致行為は、アメリカ帝国をいい人の顔にしようと努める大統領にはできなかっただろうが、ワールド・レスリング・エンターテインメントWWEでヒール役を演じるのに抵抗がない、リアリティー番組の裕福なスターが、帝国主義者連中が何十年も避けてきた権力掌握の可能性を開いたのだ。


 トランプがカラカスを攻撃したニュースが報じられた時、イランに対する彼の好戦的姿勢に関する記事を私は執筆中だったが、新たな展開に集中するため中断せざるを得なかった。もしイランで抗議活動をしている人々が殺害されたら「アメリカ合衆国が救援に駆けつける」と大統領はTruth Socialで宣言し「我々は準備万端で、いつでも出動できる」と付け加えていた。

 これに先立ち、ベンヤミン・ネタニヤフ首相との共同記者会見で、イランがミサイル計画を再構築しようとすればアメリカは攻撃するとトランプ大統領は報道陣に認め「イランが再びミサイル増強を試みないよう願う。もしそうすれば、我々はその増強を速やかに排除する以外選択肢はない」と言っている。

 誤解のないよう、はっきり言っておくが、イランが核施設再建や核兵器の開発を試みた場合に攻撃するなど大統領は言っていない。大統領が言っているのは、イランの通常弾道ミサイル計画についてだ。アメリカは、イランがいかなる方法、形であれ自衛するのは許されず、イランが自衛能力再建を試みれば再び攻撃をすると言っているのだ。

 つまり、連中は明らかにイランを爆撃する口実をでっち上げて、何かがうまくいくのを待っているだけだ。

 最近、リンゼー・グラム上院議員は、「イランを再び偉大に」と書かれた帽子を手にする大統領と笑顔で写った自身の写真をツイートした。リンゼー・グラム議員の表情を見れば、アメリカ帝国が日々どれほど好戦的かほぼ分かる。そして最近、彼は実に恍惚とした表情をしている。

 トランプはかつてグラムのような好戦主義者を厳しく批判し、2016年の大統領選では、彼らの破滅的外交政策と自らを対比させることに重点を置いた。再選を目前に控えた今、彼ら親友たちにアピールする余地はなくなり、「適切な人間を殺し、税金を下げている」から「トランプは私のお気に入り大統領だ」とグラムは主張している

 2029年1月はまだ遠い先のことだが、トランプが今後何年もリンゼー・グラムを笑顔にし続けるだろう兆候はあらゆるところで見受けられる。

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 画像はLindsey Grahamより。(パブリックドメイン)

記事原文のurl:https://caitlinjohnstone.com.au/2026/01/06/the-us-empire-needs-men-like-trump/

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 2015年2月27日、当ブログで、下記翻訳記事を公開した。
アメリカは、その歴史のうち93% - 1776年以来の239年中222年間が戦争
 Judge Napolitano - Judging Freedom
COL. Douglas Macgregor: Trump Is Sleepwalking Into Another War 28:20
 今朝の孫崎享氏メルマガ題名
グリーンランド人口約5万7千、(ワシントンポスト)ホワイトハウスがグリーンランドへの軍事介入を浮揚、デンマークとNATO動揺。ミラー副首席補佐官「グリーンランドは米国の一部であるべきが政権発足以来の正式な立場」。デンマークでの米軍をATO管轄から米北方軍に移管
 東京新聞 朝刊 特報面  
 米の国際法違反は明確 日本の選ぶ道は

 ベネズエラ攻撃 武力行使伴う内政干渉・主権侵害

 圧倒的軍事力誇っても西半球にこだわる弱さ

 ロシアのウクライナ侵攻 正当化の恐れ

 侵略行為は断固批判すべきだ

2026年1月 6日 (火)

想像以上に酷いトランプ外交政策の狂気



マーティン・ジェイ
2026年1月5日
Strategic Culture Foundation

 彼の愚かなお仲間には対ベネズエラ奇策が麻薬密売に関するものだと本気で信じている人がいるのだろうか?

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 最近ベンヤミン・ネタニヤフ首相がトランプのねぐらを訪問したことで、トランプ就任以来六度目の一対一会談になる。これは様々な意味で示唆に富む事実だ。肝心なのは、アメリカとイスラエルはイランと戦争する必要があるとビビがトランプを説得するのに苦戦している点だ。トランプはこの動きに抵抗している。中東における新たな「永遠戦争」にアメリカを引きずり込むシナリオは、世界中で外交政策の失策が裏目に出て、幾度となく窮地に追い込まれているトランプにとって魅力的ではない。ベネズエラを出港した石油タンカーを拿捕するトランプの非道な公海海賊行為を受けて、既に複数戦線で新たな紛争が勃発していると指摘する評論家もいる。

 対イラン戦争はアメリカにとって全く意味をなさない。おそらく敗者になるだろう。イラン政策の失敗で任期を終えたジミー・カーター大統領と同じ運命をトランプは辿りたくないのだ。これはまた、昨年6月、イラン核施設爆撃開始が成功したというトランプ自身の妄想的主張の維持にも繋がる。もしイスラエルのイラン攻撃を、たとえ間接的であれ、例えば空中給油といった形で支援するのに彼が同意すれば、メディアの激しい反発は計り知れないものになるだろう。それは、今トランプにとっては最も避けたい事態だ。

 興味深いのは、トランプが米軍を中東に派遣したくないことだ。中東は、普段から彼は全く無知で、何とも理解が及ばない分野だ。やや滑稽なことに、これは他の地域で米軍の力を誇示するのを彼が望まないという意味ではない。これは、彼のいわゆる「反戦」姿勢について我々が信じ込まされてきたイメージとは正反対だ。

 ベネズエラにおけるトランプ大統領の現在の動きは特に懸念される。中国行きベネズエラ産石油タンカーの拿捕は、火遊び以外何物でもないとしか思えない。これはトランプ大統領にとって、これまでで最も大胆かつ危険な策略と言える。中国が黙って受け入れるはずはなく、昨年の関税脅迫への対応と同様、報復措置に出ても驚くべきではない。アメリカあるいは同盟国のタンカーを中国が拿捕するなど同様報復措置に出ることは容易に想像できる。中国にはそのための手段と技術と軍事装備がある。そうしない理由などあるだろうか?

 問題はトランプの脆弱な自尊心だ。以前中国が関税引き上げをちらつかせ、ドル安を加速させ、アメリカによる希土類元素購入を制限した際、譲歩したのは当然の選択だった。だが中国がアメリカの石油タンカーを拿捕すれば、メディアの注目は高まり、トランプが静かに撤退するのは遙かに困難になる。虚栄心と感情次第で一日も経たないうちに変わることもある気まぐれで子供じみた意思決定は、中国との対立では余りに危険すぎる。

 トランプは横暴な男だ。インドや、南米諸国などの小国に喧嘩を売るのが好きで、抵抗がほとんどないと思われる場所で影響力を行使する。だが中国は違う。急成長を続ける経済が燃料安全保障にかかっている新興超大国だ。その計画に水を差すのは正気の沙汰ではない。そして彼が有能な人物から助言を受けていないことも露呈している。マルコ・ルビオはホワイトハウス高官の中でも最も無能で滑稽な外交政策のまぬけと言えるだろう。

 本当の懸念は、これまで同様、誤算と、それに続くエスカレーションの悪循環で、それは取り返しがつかないものだ。1970年代と80年代には、ニクソンやカーターやレーガンといった大統領でさえ、この地域に経験豊富な外交官を派遣し、衝動的発言をする大統領連中を安全策として支えていた。今日、外交はジャーナリズムより効果が低い場合が多く、最近イギリス政府は、十代の若者をモロッコの新大使に任命した。外交官たちはソーシャルメディアに夢中で、存在感を維持するのに苦労する役人になっている。つい先日、トランプ大統領は自身の政治的見解に沿わない外交官を30人解雇した。これは特使がもはや重要なパイプ役ではなく、単なる取り巻きやイエスマンになっていることを示している。

 トランプの問題は、国際外交が彼の救いの手になり得たにもかかわらず「トランプ第一、イスラエル第二、アメリカ第三」という彼の姿勢が注目され始め、悲惨な結果を招いていることだ。例えば、最近日本は米国債の売却を開始した。一般のソーシャルメディア・ユーザーでさえ点と点を結びつけている。トランプのベネズエラ、ナイジェリア、グリーンランド介入は、いずれも石油や鉱物資源が豊富な地域を標的としている。このパターンを見抜のに天才である必要はない。

 ベネズエラでの策略が本当に麻薬密売対策のためだと信じている人などいるだろうか? イランに対してネタニヤフ首相は石油カードを切っているのかもしれないが、ビビがアメリカを戦争に引きずり込むには汚い手を使う必要があるのは明らかだ。おそらくイランにイスラエルを攻撃させて、親イスラエルの闇の国家がトランプに牙をむくのを傍観する形で。トランプにとっては、ベッドの下にサソリを潜めて寝る方が、彼が好んで主張する偽の勇ましさでロビー団体と対峙するよりもましなのかもしれない。

記事原文のurl:https://strategic-culture.su/news/2026/01/05/madness-of-trump-foreign-policy-its-worse-than-you-think/

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 属国傀儡、伊勢神宮は参拝しても、宗主国の極悪非道には口をつぐむ。
 物言えば唇寒し冬の風

 植草一秀の『知られざる真実』
米国の侵略論評できない首相
 今朝の孫崎享氏メルマガ題名
トランプの奔放を止めるのは何か。米国自身。11月中間選挙。現在 民主党支持46.2%、共和党42.2%。この傾向継続なら民主党は下院過半数達成。共和党は微差で上院過半数維持。選挙民にとり最大課題は経済(雇用含む)。これに対しトランプ批判が支持を上回る。

アメリカはマドゥロを拘束したが、ベネズエラの将来は何も保証されていない



ラファエル・マチャド
2026年1月4日
Strategic Culture Foundation

 世界はいくつかの勢力圏に再編されつつあり、軍事力と、それを使用する意志だけが外国介入に対する有効な障壁になっているようだ。

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 カラカス時間午前2時に開始された作戦後、米軍特殊部隊はベネズエラのニコラス・マドゥロ大統領とシリア・フローレス夫人を拘束し、国外に拉致した。作戦はわずか30分で終了し、数機のヘリコプターが現地に非常に近い場所で活動した。

 アメリカ政府とその支持者たちは、この作戦の「偉業」に歓喜した。このようなことを実行できるのはアメリカだけだとドナルド・トランプは述べた。

 しかしながら、これまでのところ、この出来事は偉大な軍事的偉業というより、プロパガンダ花火大会といった様相を呈している。というのも、あらゆる兆候から見て、この拉致はベネズエラ政府のいかなる抵抗もなく行われたように見えるためだ。

 アメリカとベネズエラの緊張が高まって以来、数ヶ月にわたりマドゥロ大統領とトランプ大統領間で秘密交渉があったのではないかという憶測が飛び交っている。実際、マドゥロ大統領がトランプ大統領に「あらゆるもの」を申し出たにもかかわらず、トランプ大統領が様々な申し出を拒否したとニューヨーク・タイムズなどの新聞は報じている。

 他にもいくつか交渉が行われたと伝えられており、その中にはマドゥロ大統領退陣を条件に、ボリバル体制の維持と、アメリカがPDVSAと共にベネズエラ石油採掘に協力するという条件付き提案も含まれていた。アメリカはこれら提案を拒否したとされている。

 少なくとも2025年11月以降、ブラジル政府とコロンビア政府はニコラス・マドゥロ大統領の辞任を説得しようと試みてきたことも指摘しておくべき重要な点だ。ルラと現在はトランプ大統領双方の盟友であるブラジルの有力実業家でロビイストのジョゼリー・バティスタは、マドゥロ大統領の退陣交渉のためカラカスを訪れたと伝えられている。しかし、交渉は成功しなかったようだ。

 だが事実は変わらない。MANPADのような携帯型対空兵器なら、作戦で使用されたアパッチ機を撃墜できたはずだ。しかし、実際は、どれも使われなかった。実際、作戦中にベネズエラの防衛兵器が使用された証拠はない。公式発表では、それらは全て単に「停止」されたとされている。これはおそらくBUKが不活動だった理由を説明できるかもしれないが、他の兵器が使われなかった理由を説明することはできない。

 更に、シリアで見られたような軍人の大量離脱の兆候は見られない。パドリノ・ロペス国防大臣とディオスダド・カベジョ内務大臣は、それぞれ国軍とボリバル国家衛兵に対する完全な統制権を掌握している。街は、あらゆる兆候から見て平穏だ。野党勢力による祝賀ムードも、野党勢力全体による動きも見られない。

 マドゥロ解任は、実際は交渉によってなされたのかもしれない。だが、必ずしもマドゥロ本人と交渉されたわけではない。しかし、この件の責任者が一体誰なのか明確に特定するのは不可能だ。純粋に技術的観点から言えば、当然ながら、主な責任はベネズエラ防諜機関とマドゥロの個人的治安機関にあるだろう。だが、今回の場合、裏切りというより、単に失敗だったのかもしれない。

 現時点では、ベネズエラでの「政権交代」について適切に語るのは時期尚早だ。

 作戦直後の記者会見で、アメリカがベネズエラの「政権移行」を行うとドナルド・トランプは述べたが、現時点で、アメリカはベネズエラに全く駐留していない。マリア・コリーナ・マチャドによる政権交代を期待する者は間違っている。トランプは既に彼女を候補から外しており、ベネズエラ国民に不人気なことから無能と判断している。むしろ、チャベス派の知事や大臣や将軍たちの支持を得て、既にベネズエラ指導者となっているデルシー・ロドリゲスとの交渉に満足しているようだ。

 ロドリゲス大統領がアメリカと全面的に協力し、事実上ベネズエラの石油を「引き渡す」用意があるとトランプ大統領は主張している。しかし、ベネズエラ側からのこれまでの公式声明は、石油の差し押さえを非難し、マドゥロ大統領の復帰を要求し、トランプ大統領の野望に抵抗する姿勢を強調する内容ばかりだ。言い換えれば、トランプ大統領発言とベネズエラの現実の間には問題となる乖離が存在しているのだ。

 もちろん、例えば、チャベス主義がカラカスの権力を維持し、アメリカがベネズエラの石油部門で事業を展開できるようにする「密室取り引き」の可能性も排除できない。この種の交渉におけるマドゥロの運命は未知数だ。死刑から国外追放、更には最終的には釈放される懲役刑まで、あらゆる可能性が考えられる。

 だが、ベネズエラにおける主要政治主体は、PSUVでもマドゥロでもなく、軍だ。そして、合意内容やベネズエラの近い将来の政治的将来に関わらず、この状況は変わるまい。

 だが、ここで明らかなのは、国際情勢に大きな変化が生じたことだ。アメリカはこの作戦を「警察活動」として扱い、マドゥロ大統領は麻薬密売から機関銃所持(!)に至るまで、アメリカの銃器法違反(!!)の罪で起訴されている。事実上、ベネズエラ領土をアメリカ領土であるかのように扱っているのだ。

 国家間の主権国家としての相互承認、ひいては紛争における正当な交戦国としての相互承認、そして一定の交戦規則遵守は、文明の重要な成果だ。外国の主権者を犯罪者扱いすることは、蛮行と、礼儀正しさの規範を欠いた際限のない紛争への扉を開く。

 だが海賊時代と同じ考え方に戻る側面を超えて、国際法と国連への訴えは今日ではほとんど効果がないことは極めて明らかだ。

 世界は勢力圏に再編されつつあり、軍事力とそれを使用する意志だけが外国の介入に対する有効な障壁になっているようだ。

記事原文のurl:https://strategic-culture.su/news/2026/01/04/usa-seizes-maduro-but-nothing-is-guaranteed-regarding-venezuelas-future/

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 Chris Hedges 「ならず者国家 アメリカ」 いつもながら挿絵も秀逸。
America the Rogue State

The evisceration of the rule of law at home and abroad solidifies America as a rogue state.
Chris Hedges
Jan 05, 2026
 冒頭をはりつける。
The ruling class of the United States, severed from a fact-based universe and blinded by idiocy, greed and hubris, has immolated the internal mechanisms that prevent dictatorship, and the external mechanisms designed to protect against a lawless world of colonialism and gunboat diplomacy.
 Dialgue Works ゼレンスキー同様に、戦争をしないといって支持を得て当選しておいて乱暴狼藉のし放題。さすがに支持率は低下しており、中間選挙で酷い目に遭い、後半はレームダック化するとジョンソン氏。
Larry C. Johnson: Maduro’s Kidnapping Could Trigger a Massive US Backlash 57:36
 今朝の孫崎享氏メルマガ題名
トランプの奔放を止めるのは何か。米国自身。11月中間選挙。現在 民主党支持46.2%、共和党42.2%。この傾向継続なら民主党は下院過半数達成。共和党は微差で上院過半数維持。選挙民にとり最大課題は経済(雇用含む)。これに対しトランプ批判が支持を上回る。

2026年1月 4日 (日)

責任を負わない暴君に世界が支配されているおかげで連中はマドゥロを誘拐したのだ



フェンタニルや「麻薬テロ」や自由や民主主義について何か月も喋り続けた後、ベネズエラ政権転覆介入は昔ながらの石油強奪が狙いだったとトランプ政権ははっきり認めた。

ケイトリン・ジョンストン
2026年1月4日

 ティム・フォーリーによる英文記事朗読を聞く。

 ついにトランプがやらかした。米軍特殊部隊がベネズエラを攻撃し、マドゥロ大統領をカラカスから拉致し、その過程で 少なくとも40人殺害されたと報じられている。

 そして今、事態が収束した今、ホワイトハウスは自らの行動の背後にある真の動機について、より正直になりつつある。フェンタニルや「麻薬テロ」や自由や民主主義について、何ヶ月も無駄口を叩き続けてきたトランプ政権だが、ついにベネズエラ政権転覆を狙った介入は、古き良き石油収奪を目的としたものだったと、はっきり認めた。

 「率直に言って、ずっと前に取り戻すべきだった石油を我々は取り戻すつもりだ」と言い、トランプ大統領はマドゥロ大統領拉致後、報道陣に語った。「我々は莫大な富を地中から掘り出すつもりだ。その富はベネズエラ国民と、かつてベネズエラにいたベネズエラ国外の人々の手に渡り、ベネズエラが我々に与えた損害に対する賠償という形でアメリカ合衆国にも渡る」

 「世界最大規模のアメリカ巨大石油会社を派遣し、数十億ドルを投じて、ひどく破壊されたインフラ、石油インフラを修復し、国のために利益を上げ始める。そして、必要なら、第二次や、更に大規模な攻撃を仕掛ける用意がある」とトランプは述べた。

 「あの国には莫大なエネルギーがある。それを守ることは非常に重要だ。我々自身のためにも、世界のためにも、それは必要だ」と大統領は付け加えた


 トランプ大統領は、これがある種長期にわたるアメリカの占領計画になると明確に述べており、ベネズエラにおける大統領の行動は短期間の、一度きりの特殊作戦介入だと擁護していた支持者連中の当初の主張とは矛盾している。

 「安全で適切かつ賢明な政権移行が実現するまで、我々はあの国を運営するつもりだ」とトランプは言った。「だから誰か別の人物が政権を握るような事態には巻き込まれたくない。そして、我々は過去長年にわたり同じ状況にある。だから、安全で適切かつ賢明な政権移行が実現するまで、我々はあの国を運営するつもりだ」

 「我々は地上部隊派遣を恐れてはいない」と大統領は言った。「我々は昨夜、非常に高レベルの部隊を派遣した。実際、我々はそれを恐れているわけではない。それを言っても構わないが、我々はこの国が適切に運営されるようにするつもりだ。我々の行動は無駄ではない」

 地球上最大の石油埋蔵量を誇る国の資源を掌握するための政権転覆作戦だったという信じられないほど正直な告白がこれだけ続けば、人々は現実を直視し、トランプ政権がベネズエラを標的にした真の理由について嘘をつかれていたのを認めるはずだと思うだろう。だが、私のソーシャルメディアへのコメント欄で、トランプ支持者連中が、麻薬やテロ、民主主義について延々と語り、彼の残忍な戦争行為に対する私の批判に反論している。


 石油が全てだったと大統領が認めたからといって必ずしも麻薬密売対策も目的ではなかったとは限らないとあるトランプ支持者は私に言い放った。両方の動機があった可能性もあると。まるで老婆がメール詐欺被害に遭ったのを認めているように私には聞こえる。だからといって自分を騙した善良な男性がナイジェリアの王子だったとは限らないと。

 トランプ支持者は、文字通り彼のあらゆる行動に言い訳をするだろう。文字通り、何にでも。誇張表現をしているわけではない。彼らが正当化しようとして、認知能力をねじ曲げないことなど、文字通り何もない。

 トランプは、彼自身とアメリカ帝国が一体どんなものか真実を詳しく説明しており、目が覚めた人なら誰でも、はっきりわかるはずだ。

 目が開いている、あるいは開き始めている人々は、ガザで学んだのと同じ教訓をベネズエラから学び続けてほしい。アメリカ帝国は常に嘘をつき、マスメディアは常にその嘘を助長し、グローバルサウスは、物事を操る残忍な虐待者連中に荒らされ続けている。


 私がトランプのベネズエラ攻撃を非難した際、ある帝国主義者が嘲笑しながらこう言った。「暴君を失うのは悲しいだろう」

 そうではない、暴君に支配される無法の世界に私たちが暮らしていることが悲しいと私は彼に言った。

 主権国家を侵略し、指導者を誘拐しても何の罰も受けない、支離滅裂な独裁者に我々が支配されているのは悲しいことだ。

 人類の運命のハンドルを握っているのが、何の罰も受けずに好きな国を破壊し、略奪できる反社会的凶悪犯集団なのは私にとって悲しいことだ。

 政府を転覆し、戦争を起こし、大量虐殺を支援し、民間人を飢餓制裁で標的にし、代理戦争を支援し、爆弾を投下し、プロパガンダで国家全体を洗脳し、軍事力と経済力を使って国家を脅迫し、命令に従わせ、四六時中、世界中で苦しみと破壊と死の種をまく、地球規模帝国の気まぐれに全世界の人々が支配されているのは私にとって悲しいことだ。

 人類の未来の道筋を決める決定を下すのが、このような連中だというのは私にとって悲しいことだ。私たちの社会の未来。地球資源の未来。私たちの技術革新の未来。私たちの生態系の未来。私たちの軍隊の未来。私たちの核兵器の未来を。

 それが私にとって悲しいことだ。マドゥロ個人に対して特別感情的な思い入れはないが、将来健全な世界が生まれる可能性に私には強い思い入れがある。

 そして現在、状況はかなり暗いようだ。

 それは悲しいことだと私は思う。

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 画像は、The White Houseからのスクリーン・ショット。 (公正利用)

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記事原文のurl:https://caitlinjohnstone.com.au/2026/01/04/they-kidnapped-maduro-because-the-world-is-ruled-by-unaccountable-tyrants/

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 当ブログ、2018年11月29日に下記記事を翻訳していた。
ワシントンのベネズエラ政府転覆戦略
 属国は宗主国のあらゆる行為を常に支持するしかない。例え自国権益の侵害であろうとも。

 完全属国でない国々は、至極まともな反対の意を表明している。

 植草一秀の『知られざる真実』
米国の侵略は非難しないのか
高市首相の見識が問われる

より以前の記事一覧

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