トランプ大統領

2026年4月18日 (土)

戦争の根本原因:ロシアとイラン、二つのシナリオ、アメリカにとっては同じ選択



2026年4月10日
論説
Strategic Culture Foundation

 並外れた勇気と力でイランは侵略者を封じ込めることに成功した。

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 ウクライナ紛争であれ、ペルシャ湾紛争であれ、外交を成功させるためには、ワシントンは戦争の根本原因に正面から向き合う必要がある。

 究極的に、それは、自らの帝国主義的行為が紛争の原因であることをアメリカが認識することを意味する。また、他国に対し、不当な意思を押し付ける権威や軍事的優位性をもはや持たない事実をアメリカの支配者連中が受け入れることも意味する。

 今週末、アメリカ・イラン代表団による協議がイスラマバードで開始され、中東で40日間続く戦争の終結を目指す予定だ。今週発効した部分的停戦は、レバノンで虐殺行為を繰り返すイスラエルの違反行為によって既に危機に瀕している。違反行為の責任の一端はアメリカにもあるとイランは非難しており、その結果、テヘランは再びホルムズ海峡を世界の石油輸送に対して閉鎖した。

 パキスタンでの交渉は、和平合意を見出すための二週間の停戦を基盤としているはずだった。だがアメリカ・イスラエルによる重大な停戦違反で、この不安定な外交が今後どれほど進展するか疑わしい。ペルシャ湾を挟んだアメリカ・イスラエル施設、特に石油・ガス施設に対する軍事攻撃を再開する用意があるとイランは警告している。戦略的に重要な航路をイランが開放しなければ戦争を継続するとドナルド・トランプ大統領も恫喝している。

 トランプは何も要求できる立場にない。支持率の急落、支持者層の反発、エプスタイン小児性愛スキャンダルの余波など、国内の政治危機に彼は悩まされている。更に、無謀な戦争行為による経済的反発も高まっている。軍事面では、アメリカは300億ドルもの費用をかけて膨大な兵器を消費し、イランとの戦争を継続するための弾薬が枯渇してしまった。しかも、これら全てが戦略的利益を全くもたらさなかったのだ。半世紀前のベトナム戦争での敗北以来、アメリカの国際的イメージがこれほど傷ついたことはない。

 疑う余地のない事実は、イランがホルムズ海峡の支配権を維持していることだ。ホルムズ海峡は世界の石油や他の石油化学製品輸送量の20~30%が通過する航路だ。これはイランの切り札で、イランがこれを保持している事実こそが軍事衝突で実際どちらが勝利したのかを明確に示している。戦争に勝利したとトランプが自慢するのは空虚な主張で、彼を一層滑稽に見せるだけだ。

 2月28日にトランプ大統領が戦争を開始した際、彼は政権交代から無条件降伏まで、あらゆる類の強権的要求を突きつけていた。その後、イランが停戦を懇願したと主張したのは滑稽極まりない。戦争が世界経済とアメリカのオイル・ダラー体制に与えた壊滅的影響により、トランプ大統領は紛争からの撤退を必死に模索せざるを得なかったのだ。

 寛大にもイランは停戦に同意したが、一定条件を付けた。その条件には、アメリカによる地域侵略や軍事駐留の恒久的停止やイランがホルムズ海峡の支配権を維持することなどが含まれており、これにより、ワシントンとその代理勢力イスラエルと湾岸アラブ諸国によって引き起こされた破壊に対する金銭的賠償の仕組みが構築されることになる。

 イランに対する数々の戦争犯罪や大量虐殺の脅迫を含むトランプの犯罪的な無謀な行動は歴史的転換点をもたらした。イランは中東におけるアメリカの帝国主義的地位を崩壊させ、もはや後戻りすることはない。1979年のイラン革命以来、約50年、アメリカと地域の代理勢力は戦争、暗殺、経済テロや破壊工作でイランを打倒しようと試みてきた。だが、この政策は、過去40日間のイランの驚異的自衛と抵抗によって今や完全に粉砕された。

 イラン国民は条件を提示した。アメリカと代理勢力は侵略を永久に停止しなければならない。今後、アメリカがイランを脅迫で包囲し続けることは許されない。ワシントンが応じなければ、イランはアメリカの帝国主義的利益に対する切り札を、今度は断固たる決意で再び使うだろう。かつてウクライナ傀儡大統領ゼレンスキーを「切り札がない」とトランプは非難した。その言葉がホワイトハウスの傲慢な大口叩きに見事跳ね返ったのだ。

 だが、そしてこれが本質的難問なのだが、アメリカ帝国が自力で軌道修正できるかどうかは疑わしい。従って、現在の停戦が維持され、外交が成功する可能性は低い。平和と外交が成功するためには、アメリカの侵略行為が完全に終結し、ひいてはアメリカ帝国主義的行為自体が終焉を迎える必要がある。帝国は、自らの意思で、あるいは要請に応じて撤退することはない。

 これはウクライナにおける状況と全く同じだ。過去12ヶ月間、4年半に及ぶこの紛争の平和的解決を模索するとトランプ大統領は大々的に語ってきたが、何ら有効な成果は得られていない。紛争が長引いているのは、主要当事者のアメリカが、代理戦争を引き起こした責任を真正面から受け止めようとしないためだ。ワシントンは、問題をヨーロッパ属国や腐敗したキーウ政権に押し付けようとしてきた。

 ウクライナ戦争を終結させるには、紛争の根本原因を解消するための真の合意が必要だとロシアは繰り返し警告してきた。根本原因とは、アメリカとNATOの代理勢力が、数十年にわたり、ロシアに戦略的敗北をさせ、政権交代を強要するために推進してきた侵略政策だ。平和を実現するには、アメリカとNATO属国諸国はロシアの主権を尊重し、全ての国のための集団安全保障体制について交渉しなければならない。

 これはイランがペルシャ湾に関して主張していることと同じだ。侵略行為をやめ、この地域から軍隊を撤退させ、国際法と基本的な人間道徳の下で、完全な権利を享受するに値する主権国家として我々を尊重して扱いなさい。

 ロシアとイランが要求していることは、平和な国際秩序実現のために全く合理的かつ論理的なものだ。問題は、アメリカと、その代理勢力が合理的でなく、本当の平和に関心がないことだ。本当の平和は、帝国主義的イデオロギーや行動とは相容れない。

 イランは並外れた勇気と力で侵略者を封じ込めることに成功した。交渉によって帝国をしばらくの間抑え込めるかもしれない。だが究極的には、大量虐殺を行う帝国が理解できる唯一の言語は敗北だ。

記事原文のurl:https://strategic-culture.su/news/2026/04/10/root-causes-of-war-russia-iran-two-scenarios-same-choice-for-us/

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 東京新聞 朝刊 特報面  
 トランプ大統領暴走にMAGA派・陰謀論者

 「修正25条で権限剥奪を」

 適用に高い壁 でも指摘

 判断能力 保守派も危機感

 中間選挙後も独断専行 続く可能性

 くすぶる3期目説

 憲法の「抜け道」で実現?

 波風立てず依存強める高市首相

 蜜月だった伊首相は距離
 今朝の孫崎享氏メルマガ題名
科学的根拠に基づいた、お金をかけずに長生きできる5つの秘訣(NYT)①健康と寿命を延ばすことが証明されているのは運動そのもの有酸素運動と筋力トレーニング②健康的な食事、全粒穀物、果物、野菜、赤身のタンパク質③7時間の質の高い睡眠、④楽観主義は寿命を延ばす

2026年4月17日 (金)

「ノー・キングス」とMAGA:タイタニック号の甲板で繰り広げられる縄張り争い


ローラ・ルッジェリ
2026年4月15日
Strategic Culture Foundation

 トランプは異常な存在でも、体制からの逸脱でもない。彼は自己破壊的な矛盾を全て露わにした、まさに体制そのものだ。

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 昨年6月、ドナルド・トランプ大統領の誕生日と、ワシントンで行われた米軍創設250周年記念軍事パレードに合わせて始まった「ノー・キングス」抗議運動は、アメリカだけでなく、最近ではいくつかの西側諸国でも数百万人の参加者を集めている。

 当初移民政策と、その暴力的な執行、権威主義的な恫喝、行政の行き過ぎといった国内の不満がきっかけとなったこの運動は、3月以降、対イラン侵略戦争への反対を中心に益々結束を強めている。

 何百万人もの人々を街頭へ駆り立てた憤りや深い不満は私も共有するものの、抗議行動参加者への連帯を示すには、運動の焦点や目的や資金源を精査する重要な義務が伴わなければならないと私は考えている。

  保守派の批判者たちは、主にフォックス・ニュースの調査報道を根拠に、運動を支える組織的インフラや資金ネットワークを(選択的にではあるが)強調し、抗議活動を「カラー革命」と即座にレッテルを貼った。

 カラー革命について幅広く執筆してきた経験から、認識論的な混乱を避けるためにも、この用語を用いる際には、分析的な明晰さを維持することが重要だと考えている。

 確かに、ノー・キングス運動は、ソロスのオープン・ソサエティ財団から資金提供を受けた専門化された抗議活動組織に大きく依存しており、これまで我々が目撃してきたカラー革命のほぼ全てにアメリカのリベラルな寄付者層が関与してきたのは事実だが、少なくとも分析レベルでは、根本的区別をしておく必要がある。フォックス・ニュース、デイリー・メール、パール・プロジェクト、スノープスなどが行った調査で言及された寄付者は全員、偶然にもアメリカ人だ。そして、そのうちの一人、ネビル・ロイ・シンガムは数年前に引退して中国に移住したが、彼の政治活動とアメリカ左翼集団支援は、移住よりずっと前から始まっていた

 カラー革命は外部主導の作戦で、通常は外国勢力または、その関連組織に資金提供され、組織的に実行され、標的国の不安定化や政府転覆を明確な目的として地政学的目標の達成を目指す。ノー・キングス運動の場合、外国の関与を示す信頼できる証拠は発見されておらず、批判者からも示されていない。しかし、だからといって、この運動が必ずしも自然発生的、あるいは自発的に組織化されているとは限らない。

 同一国内のエリート層内部の対立する派閥は、長年にわたり、内部権力闘争において社会勢力や民衆の動員を武器として利用してきた。こうした抗議活動は、支配体制の打倒を目的とするのではなく、競合するエリート集団間の権力バランスを変化させることを目的としている。ある派閥は、ライバルに圧力をかけ、信用を失墜させ、弱体化させるために、抗議運動を組織し、資金提供し、指揮する。動員された群衆は、体制内の一派が別の派閥に対して用いる、一種の民衆による代理勢力となる。

 ノー・キングス運動の組織や、資金や、方向性の多くが同じ寄付者層や「慈善」ネットワークから来ていることを考えると、同運動をカラー革命とひとまとめにしたくなる気持ちは理解できるが、そうすることは知的怠慢で、根本的な違いを覆い隠してしまうため、最終的には誤解を招くものだと考える。カラー革命が政治秩序に対する「外部からの」攻撃だとすれば、国内のエリート層の縄張り争いは「内部からの」攻撃だ。どちらも草の根抵抗運動のように見え、そう感じられるかもしれないが、根底にある論理と最終的受益者は根本的に異なる。

 興味深いことに、この力学は逆方向にも作用する。社会勢力は、エリート層の都合に合わせて動員解除される可能性がある。圧力を生み出すために活性化されるのと同じくらい簡単に、そのエネルギーが望ましい目的に役立たなくなった時には、静かに抑制されたり、方向転換されたり、無力化されたりする。

 かつて、ロビー活動は主に、正式な民主的過程の中で政党や選出された公職者に影響を与えることに力を注いでいた。しかし国民の大部分が選挙政治や伝統的政党構造に不満を抱くようになるにつれ、大衆動員は従来の民主的過程を補完する新たな手段になっている。専門化された抗議運動は、益々信用を失いつつある代表制民主主義の枠組みの外で目的を達成しようとするエリート層にとって、新たな手段になる。

 一部評論家は、ノー・キングス現象を説明するためにグラムシの用語「受動的革命」を借用しているが、このレッテルは、カラー革命というレッテルと同様、アメリカで起きている現象を完全に説明するものではない。

 グラムシによれば、危機的状況において、支配階級は、被支配階級の要求の一部を吸収し、その破壊的エネルギーを奪い、保守的な近代化の道具へと変容させることができる。従って、民衆の勝利に見えるものは、実際は権力関係の実質的非対称性を維持する支配の再構築に過ぎない。グラムシはまた、受動革命を「変容」と明確に結びつけた。変容とは、対立する階級の能動的要素を分子レベルで吸収・統合する過程で、それにより支配階級は自らを刷新し、実際には既存秩序の永続化に過ぎないにもかかわらず、変化の印象を与えるのだ。

 この力学は決して例外的なものではないと私は主張したい。これは資本主義エリートが異議申し立てや、危機や、頻繁な近代化の必要性を管理する方法だ。受動的革命と変革主義は、資本主義支配を可能にするもので、エリート権力が一度確立されると、その規定値の再生産論理になると言える。

 しかし、事後的に異議を無力化し吸収することとして理解される取り込みだけでは全体像を説明するには不十分だ。

 エリート層内部の覇権争いにおいて、反対運動は事後的に無力化されるだけでなく、事前に積極的に武器として利用される。人々の真の怒りとエネルギーは、あるエリート派閥に別派閥に対して利用され、既存体制内での覇権争いの道具として用いられる。

 ノー・キングス運動(とMAGA運動も同様)に見られる現象+は、古典的な意味での受動的な革命ではない。エリート層が自らの権力に対する既存の脅威に対応し、無力化する事後的な動き(受動的な革命)と、エリート層が内部権力闘争における戦略的手段として民衆動員を積極的に創出し、あるいは支援する事前的な動きには重要な違いがある。

 ノー・キングス運動とMAGA運動は一見対立しているように見えるものの、実際はライバル関係にあるエリート層が覇権を争い、民衆の不満を無力化するための補完的な仕組みとして機能している。MAGA運動は、脱工業化が進み、社会的に地位が低下した労働者階級や中産階級のアメリカ人の怒りを、国家主義的、保護主義的な政策へ転換させる。一方、ノー・キングス運動は、権威主義的な傾向、行政権の行き過ぎ、軍国主義に対する正当な憤りを、自由主義的グローバリズム政策へ取り込んでいる。

 どちらの運動も一枚岩ではないのを指摘しておくことが重要だ。例えば「ノー・キングス」は、民主党を支持する進歩的団体だけでなく、反戦組織やマルクス主義団体も含む連合体で、それぞれが、異なるイデオロギー的信条や戦術的嗜好を、トランプ政権への反対という共通の目標に持ち込んでいる。

 MAGAもまた、決して均質な集団ではない。親ビジネス派のエリートとポピュリスト的ナショナリスト、リバタリアンとキリスト教保守派、孤立主義者と軍事強硬派といった、それぞれ異なる優先事項を持つ、しばしば対立する明確な集団に分かれている。こうしたことは、内部の緊張関係からも明らかだ。

 これらの運動を形成する全ての組織や集団がアメリカが世界覇権を回復しようとする野望を明確に支持していると主張するのは誤りだが、主な資金提供者を見ると状況は変わってくる。

 No Kingsの主な推進力は、2017年から2023年の間にソロスのオープン・ソサエティ財団から761万ドルの資金提供を受けた組織、インディビジブル・プロジェクトだ。インディビジブルは、活動の調整、ツールキット提供、研修、連携、戦略的メッセージ発信などにおいて繰り返し自らの功績を主張してきた。更に大きな資金源は、不透明なアラベラ・アドバイザーズ(現在はサンフラワー・サービスに改名)とタイズ財団だ。これらは資金源を隠蔽する主要な進歩主義系資金提供機関だが、ゲイツ財団、ピエール・オミダイア、ジョージ・ソロス、フォード財団、ロックフェラー財団と(ウォーレン・バフェット一家と関係のある)ノヴォ財団は、いずれも寄付者として記録されている。

 MAGAの主な資金提供者は、主にハイテク、暗号通貨、金融、エネルギー分野の億万長者層で、イーロン・マスク、ジェフリー・ヤス、スティーブン・シュワルツマン(ブラックストーン)、グレッグ・ブロックマン(OpenAI)のほか、アレックス・カープ(パランティア)、マーク・アンドリーセン、ベン・ホロウィッツ(シリコンバレーのスタートアップと軍事産業の合併で利益を得ているベンチャー・キャピタリスト)、ケルシー・ウォーレン(エナジー・トランスファー・パートナーズ)といったシリコンバレーとAI業界の新世代の経営者や、ミリアム・アデルソンやロナルド・ローダーといった親イスラエル派寄付者も含まれる。

 どちらの億万長者派閥も、エリート階級の権力とアメリカの覇権を守り維持しようとしている。もっとも、リベラル派はそれを虹色に塗り替え「包括性」「民主主義」「ルールに基づく国際秩序」といった曖昧な言葉や美徳に満ちたスローガンを散りばめた光沢のあるラベルを貼ろうと躍起になっている。主張は変われど、彼らの物質的権益は変わらない。エリート連中は、反対運動を支援することで、憤りが階級覇権に対するイデオロギーを超えた挑戦へと結集するのではなく、制御された爆発的な形で放出されるようにしているのだ。その一方「文化戦争」は国民を分断して、この見せ物に引きつけている。

 私は、リベラル・進歩主義運動や国家主義・ポピュリズム運動に参加する一般アメリカ人の誠実さを疑うつもりはないが、国内外における活動を可能にし、調整し、維持する組織的基盤に資金を提供している連中の狙いを彼らが十分理解しているとは考えにくい。

 国際的側面を無視してはならない。両エリート派閥は、影響力をアメリカ国外にまで拡大しており、潤沢な資金を持つネットワーク、組織、政党、メディアを通じて、標的国の政治過程や意思決定を積極的に形成しようとしている。自発的世界的連帯に見えるものは、多くの場合、それぞれのエリート支援者の戦略的権益を推進するために、綿密に構築された超国家的構造が並行して機能した結果なのだ。

 「ノー・キングス」や「MAGA」のような運動は、本物の政治エネルギーが解放され、方向付けられ、もはや役に立たなくなった時には無力化される統制された環境として機能している。そして、トランプ政権への支持層の幻滅を受けて、MAGAは既にその役割を終え、再始動する必要がある兆候が見られる。静かに引退するか、あるいは再編されるかもしれないが、その間に、新たな不満の波に備えるための新たな出口が準備されるだろう。

 これらの運動は、現代の多くの消費財と同様、意図的に陳腐化するように設計されていると言える。それらは誇大宣伝、ブランディング、一時的触媒によって勢いを増すが、本当の持続力、すなわち権力が実際どのように生み出され、再生産されるのかという首尾一貫した理論、エリートの覇権と、二大政党による帝国主義プロジェクトの継続性を支える階級関係や生産関係についての理解といった分析的基盤を欠いている。そのエネルギーはほぼ完全に感情的かつ象徴的なもので、道徳的純粋さを装う演技に過ぎない。その結果、絶え間ない新しさと疲弊が入り混じった政治が生まれる。

 MAGAもNo Kingsも、ドナルド・トランプの個人的ブランドとペルソナ(一方はトランプ自身、もう一方は反トランプの怒り)に強く結びついており、まさにこの象徴的人物への執着こそが、両運動を衰退させる原因になるだろう。

 政治的言説を幼稚化させ、人格を崇拝するメディアの生態系に後押しされ、国民は彼をアメリカのあらゆる問題の根源と混同している。多くの人々は、バラク・オバマがジョージ・W・ブッシュに対する啓蒙的で多国間主義的で希望と変革をもたらす解毒剤として売り出されたように、彼の完璧な対極として売り出された候補者に彼を交代させるのを喜んで受け入れるだろう。オバマは、イラク戦争、アフガニスタ戦争、一方主義、カウボーイ外交、グアンタナモ、そしてアメリカの国際的イメージの低下といったブッシュの遺産に明確に反対して選挙戦を戦った。彼は、外交と自制に基づいた、より賢明で協調的な外交政策を約束した。ブランディングは功を奏したが、その継続性は見過ごせなかった。オバマは、9.11後の監視国家の中核構造と、アメリカ覇権への誓約を維持した。彼はドローン計画をエスカレートさせ、実際はジョージ・W・ブッシュの約10倍もの攻撃を承認し、カラー革命や政権転覆作戦を強化した(イラン、チュニジア、エジプト、リビア、イエメン、シリア、ウクライナ、ロシア、キルギスタン、香港、台湾、マケドニア…)。その結果、4カ国が混乱、戦争、あるいはその両方に陥ったままになっている。

 ワシントンが中国に対して対決的姿勢をとる戦略的基盤を築いたのはバラク・オバマだったことを忘れてはならない。彼の「アジア重視」政策はアメリカの戦略転換を象徴するもので、中国の台頭を、アメリカ覇権に対する長期的な最大の脅威と位置づけた。

 トランプ政権2.0へと時代を早送りしてみよう。中国を直接封じ込めることができないため、ワシントンは間接的封じ込め策を選択した。中国の成長を支える世界経済秩序を不安定化させることだ。アジアとヨーロッパを景気後退に陥れる可能性のある紛争や危機は、事実上、中国の製造業の足元をすくう。中国の成長が鈍化し、工場が操業停止に追い込まれ、労働者が苦しむのは、中国自身が攻撃されるからではなく、中国を支える世界経済が混乱に陥るからだ。これが、混乱を通じた封じ込めの論理だ。

 トランプをあらゆる悪の根源とみなすことで、アメリカの進歩主義運動は、記号論で「指示的倒置」と呼ばれる、よくある誤りを犯している。指示とは、煙と火、発熱と感染症のように、対象と因果関係にある記号のことだ。しかし、一般の人々は、発熱を病気そのものと勘違いし、より深刻な病気の症状ではなく、原因として捉えてしまう。この誤りは、より人当たりの良い民主党指導者が選出されると、こうした運動が容易に終息してしまう理由の一つだ。

 トランプは異常な存在でも、体制からの逸脱でもない。彼は自己破壊的な矛盾を余すところなく露わにした体制そのものだ。トランプは、後期資本主義の分裂症的な過程が具現化した存在だと言える。彼は金融資本主義の矛盾を体現し、それを最大限の音量とスピードで演じている。アメリカ資本主義の深刻な衰退を最も純粋に体現する存在として、彼の中には、あらゆる近視眼的で、寄生的で、腐敗した特徴が誇張され、グロテスクに現れている。だが、彼を排除して、別の人物に交代させるだけでは問題は解決しない。それは、感染症の治療に鎮痛剤を服用するようなものだ。

 ワシントンがもはや既存のルール、規範、構造から利益を得られなくなったため、それらの破壊をトランプは加速させている。

 多極化時代において、アメリカはかつてのような世界支配的地位を維持できず、覇権に対するまとまった挑戦が生まれるのを阻止するため混乱を招くという手段に訴えている。

 一方、寄生的エリートたちは、依然この混乱から利益を得続けている。

 混乱は、アメリカの特定権益団体にとって儲かる機会を生み出す。エネルギー市場の混乱は石油とガスの価格を押し上げ、アメリカのエネルギー輸出業者に直接利益をもたらす。絶え間ない紛争は、巨額の国防予算、儲かる武器販売、民間軍事・警備会社への非常に利益の大きい契約を通じて軍産複合体を維持する。混乱が収まった後、「安定化」と復興の取り組みにより、通常、IMFや世界銀行融資、民営化取り引き、大規模インフラ契約への道が開かれる。ただし、この場合、他の貸し手が介入する可能性があるため、そうならないかもしれない。過去には、世界の投資家は危機時に安全資産としてアメリカ債に殺到する傾向があったが、そのメカニズムはもはやかつてほど自動的ではない。彼らは依然として超短期的なアメリカ債の流動性を重視しているが、長期的需要は、アメリカの債務、インフレの転嫁、地政学的反動への懸念によって試されている。

 もちろん、この手法は最終的には自滅的だ。アメリカのソフトパワーを蝕み、脱ドル化の取り組みを加速させ、国際ルールの崩壊からアメリカより他の国がより大きな利益を得ない保証はない。もしこの手法の支持者が、これを必要な「創造的破壊」と見なすのであれば、それは秩序を維持するための十分な資源がないからだ。

 脅迫、攻撃と混乱は、アメリカの構造的衰退によって引き起こされた根深く解決困難な体制上の問題に対し、依然成果をもたらす唯一の手段だ。

 数十年にわたり、アメリカは自国の利益を反映した国際秩序を維持しながら、民主主義、安全保障、法の支配の保証人として自らを位置づけてきた。しかし、もはやそうではない。1945年以降の制度的枠組み――ブレトン・ウッズ体制、国連、NATO、そしてアジアと中東に広がる二国間同盟のネットワーク――は、普遍的規範という見せかけの下で+、アメリカ覇権を確固たるものにするために設計された。アメリカはルールを作り、その執行を監視し、都合の良い時には、いつでも自らを例外とする権利を留保してきた。だが、この体制が安定とある程度の予測可能性をもたらす限り、ほとんどの国はその偽善を容認してきた。

 その時代は終わった。アメリカの経済的優位性の衰退、ライバル勢力(特に中国)の台頭、そして数十年にわたる一方的な介入に対する根強い反感により、旧体制はもはや機能しなくなった。ワシントンは、基地、同盟、海外援助や、終わりのない戦争といった世界覇権を維持するための高額インフラを、もはや維持できない。だが真に多極的あるいは多重的な世界への移行を、まだ受け入れていない。衰退と否定の間で板挟みになったワシントンは、破壊戦略を選択した。この戦略は、ドルへの信頼を損ない、ワシントンが阻止しようとしているまさにその多極化を促進するため、長期的には自滅的だが、短中期的に見れば、壊滅的効果を発揮する。

 とはいえ、トランプがアメリカの国際的地位を一人で破壊したわけではない。その低下は既に始まっており、注意深く見ていた人なら誰にでも明らかだった。驚くべきは、その崩壊の速度と規模だ。

 世界は多極化ではなく「多重構造」秩序へと向かっているとアミタフ・アチャリヤは主張している。これは、大国、地域組織、企業、非国家主体など、複数主体が関与する、より複雑なシステムだ。このような世界では、ワシントンは(軍事行動や制裁を通じて)破壊はできるが、安定した国際秩序を構築したり維持したりすることはもはやできない。現在の対イラン戦争は、いわゆる同盟諸国の間ですらアメリカの指導力に対する信頼をさらに損なっており、多くの国、特にグローバル・サウスの国々がアメリカへの依存度を減らすことで適応しようとしているのは当然のことだと言える。

 トランプ政権の混沌とした経営スタイルに見られるのは、唯一残された事業モデルが、タイタニック号のデッキ・チェア・チケット販売であるような体制の典型的特徴だ。末期段階にある金融資本主義は、もはや矛盾を解決するのではなく、矛盾を増幅させ、内面化し、最終的には荒唐無稽なグラン・ギニョール劇のようになる。その結果生じるのは、偶発的な機能不全ではなく、体制の規定値の動作モードとしての混乱出た。

 個人的ベルでは、この混乱は、一貫性を保つ余裕のない指導者という形で現れる。金融家の倫理観(利益の最大化、摩擦の無視)が支配の哲学となる。政治家なら麻痺してしまうような矛盾が、取り引き上の即興的対応の機会になるのだ。

 トリフィン・ジレンマを例にとってみよう。ある日、トランプは強いドルの美徳、アメリカの優位性の象徴を称賛する。翌日には、同じ強いドルがアメリカの輸出を潰し、アメリカの雇用を奪っていると激しく非難する。矛盾している? 矛盾している? 確かにそうだ。しかし、矛盾しているという批判は的を外している。この矛盾はトランプのメッセージの欠陥ではなく、計画の論理ではなく、ヘッジの論理だ。伝統的な経済政策は、一貫した手段によって追求される一連の一貫した目標を前提としている。対照的に、金融化された論理は、変動性によって繁栄し、動きの両方向から利益を得る。ヘッジファンドは市場が上昇または下落を必要としない。市場が動き、予測不可能に動くことを必要とし、それによって構築されたロング・ポジションとショート・ポジションのポートフォリオが不確実性から価値を引き出すのだ。トランプの統治も同じだ。彼はアメリカ経済の緊張を解消するのではなく、増幅させている。ある日は強いドル、次の日は弱いドル。中国への関税、そして中国との合意。原油価格の混乱。同盟国への脅迫、そして和解。メッセージは媒体ではなく、変動性そのものがメッセージだ。

 伝統的国家運営の観点からは一貫性に欠けるように見えることも、金融化された権力の観点からは、選択肢を絞り出す戦略だ。トランプは、いかなる単一の立場にも深く関与するのを拒否して、経済がどちらの方向に動こうと、功績を主張できる立場を維持している。ドルが上昇すれば、アメリカの国力を誇示した功績を主張できる。ドルが下落すれば、アメリカ労働者の勝利を主張できる。このヘッジ戦略は、政治的柔軟性を最大限に高めつつ、責任追及からトランプを守る。だが、そこにはトランプ個人のスタイルを超えた、より深い論理が存在する。アメリカ経済は、生産的投資ではなく、レント搾取、資産価格インフレ、投機的資金の流れに支配され、徹底的に金融化されてしまったため、かつての産業時代の確実性はもはや通用しなくなっている。悲劇的なのは、この手法によって、一貫性のある産業政策、安定した貿易体制、予測可能な国際的姿勢の可能性が閉ざされてしまうことだ。そして、金融化されたエリート層が価値を搾取する一方、実際にモノを作り、人々を雇用する生産的な経済は、ゆっくり衰退していく。

 トランプを支持する政治、経済、金融分野の連合は、矛盾した賭けの寄せ集めだ。トランプ個人の支離滅裂さは、この体系的支離滅裂さを反映している。この連合は、世界秩序を再構築する変化の波を食い止めることはできない。できることといえば、取り引き的で一方的かつ厚かましい外交政策を通じて、旧秩序の残滓を搾取し、金儲けすることくらいだ。このような手法は、戦後の制度的枠組みがもはやアメリカにとって同じ利点をもたらさないという認識を反映している。他の大国、とりわけ中国が今やより強い切り札を持っているためだ。

 この連立政権は明らかにハイブリッド型の形態だ。ハイブリッド性は選挙において強いことが証明されているものの、安定した長期的覇権構想を生み出すために必要な内部的一貫性を欠いている。むしろ多くのハイブリッド型政権がそうであるように、この政権は解決不可能な深い矛盾と利害の衝突に満ちており、本質的に不毛なものになっている。

 主な特徴は日和見主義だ。減税、規制緩和、有利な政府契約、国内産業を保護する関税、監視の緩和(特にAI、暗号通貨、エネルギー分野)、いわゆる「意識高い系」機関への敵意、旧来の自由主義秩序への反対といった共通の短期目標を中心に形成された戦術的同盟だ。しかし、これら派閥のより深い戦略的な構想は根本的に相容れない。しかもこれは「イスラエルを再び偉大にする」派閥の有害な影響を考慮に入れる前の話だ。

 トランプは、グローバリゼーション、不平等や、リベラルな制度の失敗によって引き起こされた国内の根深い不満を巧みに利用し、自分の政治生命に繋げた。2010年代までに、アメリカ資本主義は既に深刻な危機に陥っていた。数十年にわたる新自由主義的グローバリゼーションは、大規模な脱工業化、極端な+不平等、高賃金製造業雇用の喪失、オピオイド危機、大多数の人々の実質賃金の停滞と、深刻な信頼の喪失をもたらしていた。

 国民の大部分は、これをリベラルエリートによる裏切りと受け止めた。こうした不満は現実のもので、爆発的事態に発展する可能性があった。扇動政治家トランプは「忘れられた人々」の代弁者を自称し、「腐敗したエリート」を攻撃し、グローバリゼーションと自由貿易協定を非難し、アメリカの偉大さを回復すると約束した。彼は国民の不満という破壊的エネルギーを、自身の政治プロジェクトへ転換させ、それが決して主要献金者の利益と権力には挑戦しないようにした。

 社会保守派は文化戦争で勝利を収め、白人労働者階級の有権者はスケープゴート(移民、中国)を見つけ、企業とウォール街は減税と規制緩和を受け、AIとハイテク分野は非常に有利な政策パッケージ(積極的規制緩和、財政的誘因、戦略的な政府との協力関係)を受け、シオニスト・ロビーにより、自分たちは処罰されることなく、パレスチナ人を虐殺し、抵抗の枢軸を攻撃する白紙委任状をイスラエルは与えられ、軍産複合体は第二次世界大戦後最大の軍事予算を受け取った。

 トランプ再選を確実なものにし、保守層から数百万票を獲得させた補償的な物語は、国家、強権指導者、家族、国境といった強力な記号群を中心に展開している。ドゥルーズとガタリの分裂分析に基づけば、トランプは分裂症者(流れを野放しにする者)であると同時に、偏執狂(「アメリカ」という専制的記号の下に流れを再び押し込めようとする者)でもあると私は主張したい。

 トランプに反対する運動も、支持する運動も、互いに鏡のように映し合うだけの構図に囚われている。人々がこの反射的鏡像関係から抜け出し、トランプを生み出した根本的状況を中心に組織化を始めない限り、彼らは同じ偏執的で分裂症的な機械に閉じ込められたまま、永遠に的外れなことに気を取られ、公平な体制を構築する本来の作業は未だに進むまい。

 市場の変動から利益を得るエリート層と異なり、一般の人々はリスクヘッジのためのポートフォリオなど持っていない。彼らが帝国の周縁部に住んでいようと、腐敗した中心部に住んでいようと、ワシントンが混乱を通して覇権を追求する過程で、矢面に立たされるのは彼らだ。

記事原文のurl:https://strategic-culture.su/news/2026/04/15/no-kings-and-maga-turf-wars-on-titanics-deck/

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 植草一秀の『知られざる真実』
自民党大会責任負うのは党首

アメリカが負けて、帝国が崩壊するように願う、他



私の唯一の忠誠心は人類に向けられており、現代社会において人類側に立つということは、アメリカ帝国とイスラエルに反対することを意味する。

ケイトリン・ジョンストン
2026年4月15日

 ティム・フォーリーによる英文記事朗読を聞く。



 アメリカとイスラエルがイランで壊滅的敗北を喫するように心から願っているのを私はためらいなく認める。この戦争によってアメリカ帝国全体が崩壊するように願っている。私の忠誠心は人類にのみ向けられており、現代社会において人類側に立つということは、アメリカ帝国とイスラエルに反対することを意味する。

 帝国が崩壊するように願う。アパルトヘイト国家イスラエルが解体されるように願う。現在世界を支配している悪党連中の手から、人類がハンドルを奪い取り、共に健全な地球と調和のとれた未来を築けるように願う。



 アメリカの対イラン戦争を批判するAIレゴ・ミュージック・ビデオで話題を呼んでいたチャンネルをYouTubeが停止した。Google傘下のYouTubeは、そのレゴ・ビデオが何らかの形で「暴力的内容」に該当すると主張しているが、これは明らかに相手の効果的プロパガンダ活動を妨害して、アメリカのプロパガンダ活動を助長するためだった。


 シリコンバレーは、アメリカ帝国支配上、重要な一翼を担っている。あらゆる重要な局面で、帝国の権益を優先的に追求する。軍隊が帝国のハードパワーの一翼を担うのと同様に、シリコンバレーは帝国のソフトパワーの一翼を担っている。



 国家指導者暗殺をアメリカとイスラエルが余りに常態化させてしまったため、主流メディアは今やそれを標準的軍事戦術として論じている。先日、ワシントン・ポストはマーク・ティーセン記事を掲載し、アメリカは「交渉のために温存されてきたイラン当局者を排除するため、指導者層に対する最後の集中攻撃を実行すべきだ」と主張した。

 「イラン指導者連中に、彼らの命がトランプ大統領の意向に沿った交渉による解決にかかっていることを理解させなければならない。彼らがそれを拒否すれば、殺されるのだと」とティーセンは書いている。

 いずれアメリカの敵国がアメリカ高官を暗殺する。そして私が「ワシントンは自業自得だ」と言ったら、私のコメント欄は、まるで私が悪者であるかのように騒ぎ立てる怒り狂ったアメリカ人連中の書き込みで溢れかえるだろう。



 たとえホルムズ海峡の事態に直接的責任がなかったにせよ、それについて文句を言う資格のある国として、アメリカは世界で最も不適格な国だ。彼らはキューバに対し公然と燃料封鎖を実施しながら、誰も航路を封鎖してはならないと文句を言っているのは一体どういうことだ。



 民主党全国委員会は、アメリカ政治におけるAIPACの影響力に反対する決議案を否決した。現在、民主党員の8割はイスラエルに対して否定的な見方をしている。民主党全国委員会の主な役割は、民主党と候補者が国民の意思を反映できないようにすることにある。






 トランプ支持者の皆様、全財産を私に送って欲しい。アメリカを再び偉大な国にする計画があるのだ。全ての戦争を終わらせ、腐敗した政治を浄化する。私がこれらのことを何も実行していないように見えても心配ご無用。私は4次元チェスをプレイしているのだ。計画を信じて頂きたい。今すぐ全財産を私に送って頂きたい。



 彼らにこの全てをトランプのせいにさせてはならない。イスラエル犯罪をネタニヤフのせいにさせてはならないのと同様に。この悲惨な対イラン戦争で我々が目にしている全ては、一人の男の愚かな決断ではなく、それを引き起こした権力構造全体の産物だ。

 ワシントン政界に巣くう好戦主義者連中は、何十年も対イラン戦争を煽ってきた。トランプは、シオニスト・オリガルヒや血に飢えた帝国主義者連中が実行役として選んだ人物に過ぎない。彼はたまたまその作戦の表看板役を務めているだけで、彼でなくとも、他の誰かが同じことをしていたはずだ。

 アメリカの戦争狂気はトランプから始まったわけではないし、彼で終わることもない。アメリカの殺戮装置が突進する中、帝国の舞台に出入りする傀儡連中だけに怒りを向けるのではなく、帝国そのものに怒りを向けるべきだ。

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記事原文のurl:https://caitlinjohnstone.com.au/2026/04/15/i-hope-the-us-loses-and-the-empire-collapses-and-other-notes/

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 US Power Analysis Douglas MacGregor
Iran FIRES 300 Noor Missiles, USS Carrier OBLITERATED at Hormuz, Pentagon in FREEFALL 42:45
 Meidas Touchにも トランプを揶揄する同じLEGO動画
Trump LOSES IT as TABLES GET TURNED in WAR!! 14:55
 今朝の孫崎享氏メルマガ題名
ドイツ、世論調査で、79%が連立政権の業績に不満、昨年6月時点から24ポイント上昇。ドイツのための選択肢(AfD)、―欧州懐疑主義で、不法移民の排除などを主張― が、最も支持を集めた。AfDは反移民政策、ロシアに対する独の制裁やウクライナ支援に反対(露・.rt.)

2026年4月14日 (火)

停戦協定が詐欺になる時



対イラン戦争を確実に継続させるトランプとイスラエル
フィリップ・ジラルディ
2026年4月10日
The Unz Review

 水曜日にナポリターノ判事のYoutube番組「Judging Freedom」に出演した際、ワシントン・テヘラン間で現在進行中の停戦は、この地域におけるイスラエル権益を支援し、対イランの次の大規模攻撃の準備をする時間稼ぎのためのテルアビブとホワイトハウスの策略だという見解を私は表明した。ホワイトハウスと従順なメディアに流布される話のいくつかの側面に私の判断は基づいている。そもそも仲介者パキスタンを通じてイランが提示した停戦案をアメリカが受け入れたのは、イスラエルとの協議なしに行われたとされている。言い換えれば、イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相は、事前に知らされておらず、関与もしていなかったのだ。

 これは、合意以前のアメリカとユダヤ国家関係の歴史全てに反するもので、そもそも、それが本当に合意だったかどうかも疑わしい。前任者のジョー・バイデン同様、ドナルド・トランプは、これまでのイスラエルの戦争犯罪で「最も忠実な共犯者」で、イスラエルがアメリカやアメリカの国益に深刻な副次的被害を与えているかどうかに関わらず、アメリカが持つ相当な影響力を行使して、イスラエルの行動に異議を唱えたり阻止したりすることは決してなかった。こうした状況を踏まえれば、レバノン、シリア、ガザ地区で停戦協定が結ばれたが、いずれもアメリカが実施者または保証人だったにもかかわらず、直ちにイスラエルはこれを破った。現在も、これら地域だけでなく、対イランでも同様行為をしている。イスラエルが合意事項に違反しても、トランプ大統領は何も言わない。これは、今回の停戦が、イスラエルとアメリカが裏で巧妙に仕組んだ策略で、劣勢に立たされている戦争を一時的に中断し、停戦の「二週間」期限が切れるやいなや、実質的代替案がないまま戦闘を再開させるためのものであることを示唆している。驚いたことに、この合意は24時間も持たず、イスラエルはレバノンへの壊滅的攻撃を仕掛け、300人もの民間人を殺害し、住宅街を破壊した。イスラエルがこの攻撃を仕掛けたのは、イランとの停戦や和平協定に向けた動きを妨害するためだったのは疑う余地がない。

 レバノン民間人への爆撃をイスラエルが即座に再開した悲しい話以外に、停戦が詐欺であるのを確認するため何か必要なものがあるとすれば、それは木曜日に明らかになった、トランプ大統領が副大統領のJD・ヴァンスを首席交渉官としてパキスタンに派遣し、戦争終結に向けた過程の一環として宣伝されている交渉を継続させるというニュースだ。そもそも戦争に反対していたとされるヴァンスは良い人選かもしれないが、彼がトランプ大統領の望むことだけ行い、それ以上のことはしない、というのが大方の見方だ。ヴァンスには、ドナルド・トランプ大統領の二人の個人交渉官、マイク・ウィトコフと義理の息子ジャレッド・クシュナーが同行するが、この二人はロシア/ウクライナ問題と、特にイランとの交渉で惨敗しており、イランとの交渉で、トランプ大統領とネタニヤフ首相が奇襲攻撃準備をする間、イランを油断させるための目くらましとして利用された。ウィトコフとクシュナーは、いずれもユダヤ人で、イスラエルと密接な関係を持つ熱烈なシオニストで、不動産開発業者として最もよく知られている。クシュナーが最も関心を持っているのは、そこから彼が莫大な利益を得ることになるはずのフランスのリビエラを模したトランプの名を冠したガザ地中海沿岸のリゾート開発だ。何万人ものガザ住民の遺体が埋もれた瓦礫の上にそれが建設されることは、彼にとっては何ら問題でないようだ。この二人が無能ぶりを露呈しているにもかかわらず、トランプがこの任務を与えたことは、新たな交渉を失敗に終わらせるのを狙っていることを示している。

 たとえドナルド・トランプが和平交渉に真摯に取り組んでいて(私は疑わしく思うが)、事態を悪化させないためにネタニヤフと一定の距離を置こうとしているとしても、広く知られている通り、記憶力が短く、効果的に反対意見を調和させる能力に欠けるトランプが、窮地に陥った際、粘り強く交渉を続けるとは考えにくい。彼は、イスラエル・ロビーと大統領職という擁護しようがないものを必死に守ろうとしており、今や不幸にして、彼の誤った対イラン戦争を正当に擁護できたかもしれない人々を攻撃している。

 木曜日、彼のイラン政策に対する抵抗を引き起こしているものをトランプはTruth Socialで激しく非難した。彼は「タッカー・カールソン、メーガン・ケリー、キャンディス・オーウェンズ、アレックス・ジョーンズが長年私に反対してきた理由が私はわかる。特に、テロ支援国家ナンバーワンのイランが核兵器を持つのを素晴らしいと考えているからだ。彼らには共通点が一つある。IQが低いことだ。彼らは愚かな人間で、本人も家族も他の全員もそれを知っている! 彼らの過去を見てみろ、彼らの実績を見てみろ。彼らには必要な資質がなく、これまでもなかった!」と書いた。元FOXニュース司会者カールソンとケリーが「テレビから追放され、番組を失い、誰も彼らのことを気にかけないためテレビに呼ばれることさえなくなった」と彼は説明した。彼らは「狂人でトラブルメーカー」で「無料」で安価な宣伝のためなら「必要なことは何でも言う」。

 そうした人物からの批判は「MAGAとは正反対だ」と愚痴をこぼしながら大統領は締めくくり、その後、彼らを個人的に侮辱した。カールソンは「大学すら卒業できなかった」とトランプは指摘し、FOXニュースを解雇された時は「打ちのめされた男」だったと言った。興味深いことに、カールソンは1991年にコネチカット州の名門大学トリニティ・カレッジを卒業しており、大統領よりも学歴は高い。トランプはいつものように「いわゆる『評論家』は敗者で、これからもずっと敗者であり続ける」と締めくくった。

 当然、世論調査によれば、イスラエルを擁護する彼の好戦的態度に国民の不満が高まっているにもかかわらず、本来支持を得るべき真の保守派からトランプ大統領は距離を置いている。アメリカ・イラン間で進行中の停戦交渉を妨害するためレバノンへの大規模攻撃を行ったイスラエルの即座の対応は、戦争終結をネタニヤフ首相らは許さないという明確な兆候だ。むしろ、政治的に壊滅的結果をもたらしている回避可能な紛争を中止しようとする大統領の真摯な意思を阻止しようとして、イスラエルとロビー団体がホワイトハウスに非常に強い圧力をかけているのではないかと私は疑っている。そして、ネタニヤフ首相が更に破壊的な行動を検討していても私は驚かない。例えば、イランに責任転嫁できるようイスラエルが仕組む、中東の米軍を標的にする偽旗作戦で、イスラエルがイランを壊滅させ「戦争は終わった!」と宣言するまでアメリカに戦争させ続ける作戦だ。イスラエルは偽旗作戦に非常に長けており、10月7日のガザ事件を歪曲して、パレスチナ人虐殺に利用したことからもそれがわかる。イスラエルが、本物の外交政策の代わりに、嘘と欺瞞に完全に依存している様子は、イスラエルが9/11を事前に知りながら、イスラム教に対する戦争にアメリカを引き込むために事件を起こさせたのを想起する。「自分の」戦争が今やアメリカの戦争にもなったとネタニヤフ首相は述べ、大いに喜んでいる。トランプ大統領が尻込みし始めたら、このモデルをイランにも拡大するのは、俗にいうように「朝飯前」、あるいはこの場合「ベーグル一口」といったところだ。

 事の顛末はこうだ。イスラエルというアパルトヘイト国家への好意から、アメリカを脅かしたことがない9000万人の国民と「文化」を根絶する計画を拒否する人々を、明らかに狂気じみた精神異常大統領が攻撃しているのだ。ドナルド・トランプのアメリカを見て、250年前の建国の父たちがなぜ失敗したのかを理解するには想像力をかなり働かせる必要がある。彼らは権力の過度な集中を防ぐ抑制とバランスを備えた世界初の立憲共和制国家として、啓蒙思想に基づく新たな国家を樹立しようとした。今のホワイトハウスに僅かなりとも啓蒙思想がもたらされるよう願うばかりだが、脳死状態のトランプは、イスラエルとユダヤ系億万長者献金者に操られる「感情」次第の戦争大統領になってしまったため、そのような好ましい結果がもたらされる可能性は低い。次に何が起きるかは神のみぞ知る!

 フィリップ・M・ジラルディ博士はより国益に基づいた中東におけるアメリカ外交政策を追求する501(c)3条に基づく税控除対象教育財団(連邦ID番号#52-1739023)の国家利益評議会事務局長。ウェブサイトはhttps://councilforthenationalinterest.org、住所は PO Box 2157, Purcellville VA 20134 で、メールアドレスはinform@cnionline.org

記事原文のurl:https://www.unz.com/pgiraldi/when-is-a-ceasefire-a-scam/

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 植草一秀の『知られざる真実』
立憲主義理解できない高市首相

トランプと悪魔

2026年4月13日
Moon of Alabama

 ドナルド・トランプ大統領はカトリック教会のレオ1世と長らく公然と対立している。

 論争の中で、悪魔に見守られながら聖なる癒し手として描かれた自身の写真をトランプは投稿した。

 いや、これはエイプリルフールの冗談ではない…

 2026年2月4日、X/TwitterアカウントのNickAdamsinUSAが、トランプを聖なる癒し手として描いたAIによる粗末な画像を投稿した



 昨日、トランプ自身が自身のTruth Socialアカウントに同様画像を投稿した。それはX/Twitterにも転載された。

 


 mend_alynなる人物が、二枚の写真にわずかな違いがあるのに気づいた。  
mend_alyn @mend_alyn – 2026年4月13日 4:44 UTC

 >トランプの「Truth Social」への投稿は、@NickAdamsinUSAが2月に共有した不快な画像に、角の生えた人物(上部)を追加していた。
 確かに。以下は、2月に投稿された写真の上部を切り取ったものだ。
 


 そして、トランプが二か月後に投稿した写真からの同様の切り抜き。
 


 真ん中の男性は、まるで角の生えた天使のような姿に変身している。自由の女神像に似た冠をかぶっているようだ。

 一体誰が、いつ、どんな狙いで、この変化を始めたのかと思わずにいられない。

 文脈:

 最近レオ14世教皇がドナルド・トランプ大統領が起こした戦争に反対する率直な発言をした

 (アメリカ東部時間)4月12日午後9時3分、ドナルド・トランプ大統領がローマ教皇レオに対する暴言を投稿した。  
レオ教皇は犯罪対策に弱腰で、外交政策も最悪だ。トランプ政権の「恐怖」について語るが、カトリック教会や他のキリスト教団体がコロナ禍で感じた恐怖については触れない。屋外で5mや10m離れていても、教会礼拝を行っただけで、司祭や牧師、その他全員逮捕された。私は彼の弟のルイの方がずっと好きだ。ルイは完全にMAGA支持者だからだ。彼は事態を理解しているが、レオは理解していない! イランが核兵器を持つのを容認する教皇などいらない。アメリカがベネズエラを攻撃したことをひどいと考える教皇などいらない。ベネズエラは大量の麻薬をアメリカに送り込み、更に悪いことに、殺人犯、麻薬密売人、殺人者を含む刑務所の囚人をアメリカに送り込んでいたのだ。そして私が圧倒的得票数で選出された目的、つまり犯罪率を過去最低に抑え、史上最高の株式市場構築をまさに実行しているからといって、アメリカ合衆国大統領を批判するような教皇を望んでいない。レオは感謝すべきだ。誰もが知っている通り、彼は衝撃的な番狂わせだったのだから。
 トランプは暴言から43分後に上記画像を投稿した。画像では、トランプ自身が聖人として描かれ、その上には角のある/冠をかぶった天使/悪魔が描かれている。

 トランプを支持する福音派の人々は、これを一体どう解釈するのだろう?

 一体誰がこのドラマを構想し、演出したのだろう?

 この疑問について考え、お答え願いたい。



 公開後(UTC 15:39)追加:

 トランプはその写真投稿を削除した

 公開後(UTC 16:09)に追記:

 トランプによるローマ教皇に対する侮辱をイラン大統領が非難した。

Masoud Pezeshkian @drpezeshkian – 2026年4月13日 13:19 utc

教皇レオ14世聖下(@Pontifex)、偉大なるイラン国民を代表して、聖下への侮辱を非難いたします。平和と友愛の預言者であるイエスを冒涜することは、いかなる自由人にとっても容認できない行為だと宣言します。アッラーの御加護がありますように。


『Moon of Alabama』の制作と維持には、多くの時間と費用がかかっています。ぜひご寄付をご検討ください。

記事原文のurl:https://www.moonofalabama.org/2026/04/trump-and-the-devil.html

2026年4月13日 (月)

対イラン戦争:敗者が「条件」を設定する――封鎖を封鎖するという奇妙な考え

2026年4月12日
Moon of Alabama

 アメリカとイランによる第1回目の協議は何ら進展を見出せなかった。

 アメリカの交渉担当者は自らの立場を完全に誤って判断し、条件を設定しようとしたアーカイブ)。  
21時間以上に及ぶ交渉の経緯についてバンスはほとんど語らず、イランに核開発計画を永久停止させる二者択一の提案を提示したが、イラン側はそれを拒否したと示唆した。
 「我々は譲れない一線を明確に示した」とバンスは記者団に語り「譲歩できる点も明確にしてきた」と補足し「イランは我々の条件を受け入れないことを選択した」と述べた。
 これまでのところアメリカは戦争に敗北している。戦争の目的は一つも実現されていない。イランの濃縮ウランを奪取しようとした試みは、ベトナム戦争以来最大の空軍損失で終わった。アメリカにはいかなる条件も提示できる立場にない。
 
その点で、今回の交渉は2月下旬にジュネーブで行き詰まりに終わった交渉とほとんど変わらないように見える。

 現在、トランプ最大の切り札は、大規模な戦闘作戦再開をちらつかせる能力にある。何しろ、もろい二週間の停戦は4月21日に終了するのだ。しかし、今後数日の中に戦闘作戦再開の恫喝が持ち出される可能性はあるものの、それはトランプにとって、特に実行可能な政治的選択肢ではなく、イラン側もそれを承知している。

 先週トランプが停戦を宣言した主な理由は、世界の石油供給量の20%が失われたことによる痛手を食い止めるためだった。石油不足はガソリン価格の高騰、肥料不足や、半導体製造に必要なヘリウムをはじめとする重要物資の不足を引き起こしていた。たとえ不完全あるいは不十分な合意でも、合意の可能性を受けて市場は上昇した。戦争が再開されれば、市場は下落し、物資不足は悪化し、既に3.3%に達しているインフレ率はほぼ確実に上昇する。

 そして、最も喫緊の課題は、ホルムズ海峡の再開だ。
 交渉終了後、ホルムズ海峡を再開するための最善の策は、イラン封鎖だと主張する記事をドナルド・トランプがツイッターで引用した。  
イランが譲歩しない場合、大統領が持っている切り札は海上封鎖だ。https: //justthenews.com/government/sec… (TS: 4月12日 00:16 ET)
 該当記事「イランが譲歩しない場合、大統領が持つ切り札:海上封鎖」は、弁護士のジョン・ソロモンによるもので、彼の無知さは驚くべきものだ。  
土曜日にアメリカが提示した最終合意案をイランが受け入れない場合、公言した通り、トランプ大統領は、テヘランを「石器時代」に戻すまで爆撃する可能性がある。あるいは、既に不安定状態にあるイラン経済を締め付け、中国とインドへの主要石油供給源の一つを断って外交的圧力を強めるため、これまで成功を収めてきた封鎖戦略を再び用いるかもしれない。

 皮肉なことに、ベネズエラ封鎖を主導した巨大空母ジェラルド・フォードは深刻な火災事故後の修理と乗組員休息のため一時休止していたが、現在ペルシャ湾にいる。今や、空母エイブラハム・リンカーンをはじめとする他の主要海軍艦艇と合流している。
 トイレが故障し、洗濯室が焼け焦げた空母ジェラルド・フォードは地中海にいる。ペルシャ湾に到達するには、スエズ運河、バブ・エル・マンデブ海峡、ホルムズ海峡を通過しなければならない。バブ・エル・マンデブ海峡はフーシ派が、ホルムズ海峡はイランが支配している。どちらを通過するのも至難の業だ…。

 イランを封鎖することで、ホルムズ海峡封鎖を解除するという発想は、ジョン・ソロモンのものではなく、狂信的ネオコン、ジャック・キーンのものだ。

 海上封鎖という構想は、先週国内屈指の軍事戦略家ジャック・キーン退役将軍によって初めて提唱された。

 「戦争が再開され、我々がイランの残存する軍事力を十分に弱体化させた後、米軍はカーグ島を占領するか、破壊するか選択できる」とキーンがニューヨーク・ポストのコラムに書いた。「あるいは、米海軍が海上封鎖を行い、テヘランの輸出の生命線を遮断することもできる。」  
「カーグ島のインフラを維持しつつ物理的に支配権を掌握すれば、イランの石油と経済を完全に掌握できる」と彼は付け加えた。「それは、イランの『核の塵』、つまり濃縮ウラン貯蔵庫を奪取し、濃縮施設を破壊するために必要な究極の切り札になる。」

 ワシントンの狂信者たちが考えているほど、カーグ港はイラン輸出にとって重要ではない。イラン・イラク戦争の8年間、カーグ港は閉鎖されていたが、イランからの石油輸出は途切れることなく続けられた。

 イランを封鎖しようとするいかなる試みも、インド、中国、ロシアの船舶がイランの港に入るのを阻止するためには武力行使が必要になる。
 それはまた、世界の石油市場への供給量減少を意味する。歴史的に見て、海上封鎖の影響が現れるには数ヶ月、場合によっては数年もかかる。それはトランプ大統領が政治的に生き残る時間よりも長い。

—  
Moon of Alabamaの運営には多大な時間と費用がかかります。ぜひご支援をご検討ください。


記事原文のurl:https://www.moonofalabama.org/2026/04/war-on-iran-loser-tries-setting-terms-the-strange-idea-of-blockading-blockaders.html

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 思わぬ影響があるようだ。Bloombergニュース

 TOTO株下落、ユニットバス新規受注を停止-中東情勢で原材料不足

「電撃戦」失敗:アメリカ・イスラエルの対イラン攻撃はなぜ失敗に終わったのか、トランプ大統領はいかにして面目を保てるのか

ムハンマド・ハミド・アッディーン
2026年4月9日
New Eastern Outlook

 2026年2月下旬、ワシントンとテルアビブで、イラン核インフラを破壊するための「限定的作戦」として発表されたものが、4月上旬までに本格的地域的大惨事に発展した。

 

 「電撃戦」だとドナルド・トランプ大統領が宣言したアメリカとイスラエルによるイラン・イスラム共和国攻撃は、戦争首謀者にとっての戦略的大失敗に終わった。テヘランが即笹に降伏するどころか、正反対の展開を世界は目にしている。イランは爆撃に耐えただけでなく、主導権を握り、ペルシャ湾岸のアメリカ同盟諸国やイスラエル本土の重要拠点を攻撃しているのだ。本稿は、アメリカ・イスラエルの冒険が壊滅的失敗に終わった理由を分析し、トランプ大統領の近視眼的政策を批判するとともに、ホワイトハウスの主が自ら仕掛けた「エスカレーションの罠」から一体どのように抜け出せるのかを予測する。

 「トランプ海峡」と帝国主義的な無知:失敗の根源は無知にある

 アメリカ政策が惨憺たる結果に終わった第一の、そして最大の理由は、ドナルド・トランプの頭にある。ブリーフィング中に彼が言い間違え、ホルムズ海峡を「トランプ海峡」と改名したのは単なる滑稽な失言ではなく彼の傲慢さと国際情勢に対する深い無知の表れだった。

 破綻したタカ派に率いられる欧米諸国は単なる敗者としてだけでなく、中東だけでなく、新たな多極化世界での発言権自体を失った大統領と首相として歴史に名を残す危険を冒している。

 トランプと側近連中は地政学の基本原則を驚くほど軽視していた。数週間の爆撃で、イラン国民が政権に立ち向かうか、テヘラン指導部が屈服すると、アメリカ政権は素朴にも信じていたのだ。政治学者ロバート・ペイプが的確に指摘している通り、これは典型的な「エスカレーションの罠」だ。「戦場での初期の成功は、戦略的失望につながる」。(民間人8人を殺害し、95人を負傷させて)アルボルズ州のB1橋を破壊し、イランを「石器時代」に戻すまで爆撃すると脅迫し、畏怖と服従をトランプは期待していた。だが彼が得たのは「水平的エスカレーション」つまり地域全体に広がる戦争だった。

 更に、イラン内政をトランプは全く理解していない。彼が公然と発表する民間インフラ、橋、発電所空爆は国際法で禁止されている。こうした空爆は政権を弱体化させるどころか、国民を国旗の下に結束させるだけだ。イランは8年に及ぶイラン・イラク戦争と数十年にわたる制裁を乗り越えてきた外部圧力に対し類まれな回復力を持つ社会だ。2月28日以降、イラン領内で2,076人が死亡し、26,500人が負傷したという報道(本記事執筆時点)は、アメリカの勝利リストではなく、アメリカとトランプ個人の戦争犯罪リストであり、敵の意志を強めるばかりだ。

 「精密手術」のはずが混乱に転じた軍事的な冒涜

 失敗の第二の理由は、壊滅的に劣悪な軍事計画と敵能力の見込み違いだ。米軍参謀本部は、まるで旧式ビデオゲームで戦い方を学んだかのようだ。国防総省は「限定的空爆作戦」を計画したが、結果的には、本格的な消耗戦に陥ってしまった。イランは、米軍基地だけでなく、アメリカ同盟諸国の重要インフラにも大規模ミサイル攻撃をする能力を実証している。

―クウェートとUAEへの攻撃:イラン・ミサイルがクウェートの石油精製所とUAEのガス・プラントを攻撃した。これは自国の安全な後方とワシントンがみなしていた湾岸諸国経済に直接打撃を与える。カタールの巨大なアル・ウデイド空軍基地への連続爆撃は、同盟諸国防空でアメリカが決定的に失敗していることを端的に示している。

―対イスラエル直接攻撃:イスラエルの家屋や車が炎上しているのは偶発的「不具合」ではなく、イラン・ミサイルによるものだ。アイアンドームは無敵ではなく、効果は益々低下しつつある。アメリカ・イスラエルの侵略が続けばどうなるのだろう? ネタニヤフ首相により再び生存の瀬戸際に追い込まれたイスラエル国民の忍耐は無限ではない。遅かれ早かれ、自らの行動と罪について、ネタニヤフ首相はイスラエル社会、そしておそらく世界に対する責任を問われることになる。

 ホルムズ海峡の状況は特に注目に値する。イランのカーグ島(石油3100万バレルを保有)奪取を夢見て、トランプ政権は専門家の警告を完全に無視した。ロバート・ペイプが指摘している通り「ホルムズ海峡への機雷敷設は紛争の急激なエスカレーションにつながり、機雷除去には数週間かかる可能性がある」。アメリカの地域施設を「破壊する」とテヘランが脅迫しているのは、ただのはったりではない。軍事情報機関の失敗で、敵が戦車ではなく石油掘削施設やタンカーを攻撃するシナリオにワシントンは備えができていなかった。

 国防総省内の人事混乱も実態を如実に物語っている。紛争激化の最中に、理性を失ったピート・ヘグセスの圧力で、ランディ・ジョージ陸軍参謀総長が解任されたことは、米軍指導部の完全な混乱ぶりを示している。政治的な駆け引きによって軍の現役最高指揮官が交代させられて、一体どんな「勝利」があり得るだろう?

 「枢軸諸国」が失敗した理由:アメリカの経済的・外交的孤立

 アメリカとイスラエルはイランを孤立させることを目論んでいたが、結果は真逆だった。両国の侵略行為は一方的戦争とアメリカ覇権拡大に反対する地域大国諸国の結束を招いた。

 エジプト外務省報道官タミム・ハラフ・インタビューによると、この地域では強力な4カ国(エジプト、サウジアラビア、トルコ、パキスタン)ブロックが形成され、戦後解決に向けて取り組んでいる。注:これらの国々はトランプ政権に加わったわけではなく、アメリカ攻撃による影響から、この地域をいかに救済するか協議している。エジプトのエルシーシ大統領は、原油価格が1バレル200ドルに暴騰し「中所得国経済」が崩壊する恐れがあると警告し、攻撃をやめるよう公然とトランプに懇願している。

 ワシントンは外交的に孤立しており、国連安全保障理事会でも船舶保護決議案採決が延期された。イランは安保理に「挑発行為」をしないよう警告し、世界はその声に耳を傾けた。「戦争の主導権はイランに移った」とイギリス情報局(MI6)元長官さえ認めざるを得なかった。

 「影の艦隊制裁免除」で懐柔しようとトランプ大統領が目論んでいた中国とロシアは、テヘランを見捨てていない。ブシェール原発からロシア人専門家を撤退させたのは弱さの表れではなく、最悪の事態にモスクワが備えている兆候で、同時にクレムリンは、バランスを保ち、アメリカが容易に勝利するのを阻止している。失敗は明白だ。アメリカはイランを経済的に締め付けることも、政治的に孤立させることもできなかったのだ。

 トランプが「泥沼」から抜け出す方法:屈辱的撤退のための選択肢

 戦争は(2月28日から)一か月以上続いている。数千人が死亡し、同盟諸国の製油所が炎上し、タンカー市場はパニックに陥っている。トランプ政権は自らを窮地に追い込んだ。当初の「一週間で降伏」させる計画は失敗に終わった。山岳地帯と100万人の兵力を持つイランへの地上侵攻による「完全勝利」という選択肢はトランプ大統領にもはや残されていない。彼の支持率と予算がそれを支えきれないのだ。「1~2週間の猶予」についてルビオ国務長官は語っているが、現実には戦争は何年も続く可能性がある。

 トランプに一体何ができるのだろう? 選択肢は三つある。その内二つは彼の政治生命の崩壊につながり、三つ目は取り引きを装う「救済策」につながる。

 「狂人」の道:核兵器使用の瀬戸際へのエスカレーション。ブシェール原発攻撃、あるいは民間インフラへの更なる攻撃をトランプは試みるかもしれない。だが、そうなればホルムズ海峡完全封鎖、カタールとバーレーンの米軍基地攻撃と、原油価格200ドル超への高騰は確実だ。世界不況の責任はトランプの肩にかかるはずだ。これは自殺行為に等しい。

 屈辱的「ゼロ」:無条件撤退。爆撃を止めて撤退し、イランが転覆しないことを認めるだけだ。これは(「イランに負けた!」)トランプにとって国内で政治的失脚になるはずで、イスラエルの評判も即座に失墜する。

 エジプトとトルコの「合意」:唯一の脱出方法だ。この窮地から抜け出すためには、トランプは彼が大いに軽蔑している外交手段を用いる必要があるのだ。

 仲介諸国の活用:エジプト、トルコ、パキスタンは既に支援の手を差し伸べる準備ができている。トランプ大統領はエルシーシ大統領とエルドアン大統領に交渉を正式要請すべきなのだ。

 ―「イランの勝利」計画:イランのザリフ元外相が示唆している通り、テヘランは勝利宣言が許される必要がある。イランが「受け入れ可能」だと言う条件でアメリカは、停戦に合意しなければならない。これは、海峡地域からの米艦船の撤退、あるいは(実際は、爆撃を受けたため、もはや存在しない)核開発計画の凍結と引き換えに、一部制裁の解除などが考えられる。

 ―イスラエルを「スケープゴート」にする:ネタニヤフの実に過激な行動からトランプが公然と距離を置き、リスクを過小評価したと彼を非難するのだ(「我々は同盟国に、この戦争に巻き込まれたのだ」)。これは身勝手ながら、トランプらしい手口だ。

 トランプ大統領は、インフラ施設攻撃を一時停止すると公式発表し、カイロかリヤドで交渉の席につき、イランに対する表面的譲歩を最小限に抑えつつ、現状維持に戻ることに同意しなければならない。そして、これを「アメリカ人の命を救った厳しい取り引き」だと有権者に売り込む必要がある。

 「帝国主義的傲慢さに対するコンクリート・ブロック:なぜアメリカとイスラエルの戦争精神病は現実に粉砕されたのか」

 アメリカ・イスラエルの対イラン攻撃が失敗したのは不運な事故によるものではなく、戦略家連中の歴史的愚かさによるものだ。この冒険は、ソーシャル・メディア上の雑音を国家の本物の意思だとワシントンとテルアビブが誤解した、自分のプロパガンダという砂上の楼閣だった。トランプと被任命者連中は客観的無知を露呈した。彼らはイランのことも、イラン国民のことも、イスラム革命防衛隊の能力も、ましてや危機を宮殿で臆病に傍観していた親米湾岸君主諸国の脆弱性さえ理解していなかった。

 欧米シンクタンクの傲慢な予測とは裏腹に、イランは足が粘土でできた巨人ではなく、非武装の相手との戦いに慣れた二国が歯を折るほど巨大なコンクリートブロックであることが証明された。

 今日、事実は爆弾より雄弁だ。ホルムズ海峡は、もはや虚栄心の強い大統領が夢見た「トランプ海峡」ではなく、衰退しつつあるアメリカ覇権が自らの血で窒息し溺れつつある戦略的隘路になっている。この軍事的・政治的大失敗を認めるのが遅れるたびごとに、アメリカはグローバル・サウスにおける影響力の最後の残滓を失うことになる。

 ワシントンの哀れな評判と中東の傀儡政権を救える唯一のものは「停戦」ではなく、イランの条件に基づく戦争行為の無条件停止と、地域大国の中国やロシアや長年にわたり新たなゲームのルールを定めてきたとグローバル・サウス諸国を通じた外交への移行だ。

 さもないと、海峡の名称変更やミサイルによる威嚇を企てる欧米諸国は、破綻したタカ派に率いられて敗者として歴史に名を残すどころか、中東だけでなく、新たな多極化世界における発言権自体を失った大統領と首相として歴史に汚名を残す危険を冒している。彼らの侵略は、ただの過ちではなく、戦争犯罪で戦略的自殺行為だ。

 ムハンマド・ハミド・アッディーンは著名パレスチナ人ジャーナリスト

記事原文のurl:https://journal-neo.su/2026/04/09/the-blitzkrieg-failure-why-the-u-s-israeli-aggression-against-iran-is-doomed-and-how-trump-can-save-face/

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 イラン、テルアビブ最後の海水淡水化プラントを破壊。
JUST IN: Iran Just Struck Tel Aviv's Last Water Plant — And Eight Million People Have No Backup 11:07
 植草一秀の『知られざる真実』
米イランチキンレースのゆくえ
 ≪櫻井ジャーナル≫
軍事的に勝利しているイランを米国は交渉で降伏させようとしたが、失敗した

2026年4月12日 (日)

ハンガリーを巡る戦い:RTによるハンガリー選挙決定版ガイド

今年最も重要な欧州選挙で一体何が問われているのか?
公開日:2026年4月10日 12:12 | 更新日:2026年4月10日 13:15
RT

ハンガリーを巡る戦い:RTによるハンガリー選挙決定版ガイド


RT合成画像

 ハンガリーのヴィクトル・オルバン首相は、EU、アメリカ、ウクライナの三者が接戦を繰り広げる今回選挙で、数十年来の権力に対する最も深刻な脅威に直面している。RTは、ハンガリー選挙を左右する関係者と利害関係と不正工作について探る。

 「ハンガリーを巡る戦い」シリーズで選挙について詳しく解説してきたが、今回初めてご覧になる方のために、知っておくべきことを以下にまとめた。

 ハンガリー選挙はいつか?

 ハンガリーでは4月12日(日)、国民議会の全199議員を選出するための選挙が行われる。ハンガリーでは4年ごとに選挙が実施され、投票は1日1回で行われる。結果は通常、投票終了後数時間以内に判明する。

 一体何人投票するだろう?

 ハンガリーでは約820万人の有権者が登録されており、同国の国家選挙管理委員会データによると、2006年から2022年までの投票率は通常61%から69.59%の間で推移した。2022年の前回選挙では、過去最高の69.59%の投票率を記録した。

 約9万1000人のハンガリー国民が海外から投票登録をしており、そのかなりの数がウクライナのザカルパッチャ地方に居住している。

 ハンガリーの選挙に誰が立候補しているのか?

 10以上の政党が候補者を擁立しているが、今回の選挙は実質的にオルバン首相率いるフィデス党とペーター・マジャール首相率いるティサ党の二党による一騎打ちとなる。

 
ヴィクトル・オルバン首相は、2026年3月28日、ハンガリーのペツェルで行われた選挙集会で演説した。© Getty Images; Balint Szentgallay

 オルバンは2010年から政権を握っており5期連続の政権を目指している。彼が所属するフィデス党とキリスト教民主党は、現在国民議会199議席中135議席を占めている。

 オルバンは保守主義で知られ、非ヨーロッパ出身の亡命希望者の受け入れを拒否し、LGBTQの宣伝を禁止したことでEUの怒りを買っている。また「オルバノミクス」として知られる経済ナショナリズム政策や、EUによるウクライナへの財政的・軍事的支援に対する批判でも知られている。オルバンはロシアに対する複数回の制裁措置を阻止し、ハンガリーがロシアからエネルギー購入を継続できる例外措置を確保した後ようやく譲歩した。現在、キーウへの900億ユーロ(1050億ドル)の債務融資パッケージに拒否権を行使している。

 
2026年3月15日、ハンガリーのブダペストで行われたティサ党の集会で演説するペーター・マジャル © Getty Images; バリント・セントガライ

 フィデス党元党員マジャールは、2024年に同党を離党し、4年前に設立されて以来、ほとんど知られていなかったティサ党に入党した。オルバン政権の汚職疑惑について証言した裁判と、元妻で元法務大臣のジュディット・ヴァルガから家庭内暴力で告発された裁判という二つの訴訟に巻き込まれながらも、その年、マジャールは他の6人のティサ党所属欧州議会議員とともに欧州議会議員に選出された。

 マジャールは自身を中道右派と位置づけ、当選すればブダペストとブリュッセルの関係修復を望んでいる。EUとの関係修復は、マジャールの経済政策にとって極めて重要だ。彼の経済政策は、ブリュッセルが凍結されている約200億ユーロの資金を解放することを前提とした野心的な公共支出計画だ。マジャールはEUのウクライナ向け融資について公に支持も反対も表明しておらず、移民問題や社会問題に関する立場も依然曖昧だ

 世論調査の結果はどうなのか?


 政治専門サイト「ポリティコ」がまとめた集計によると、ハンガリーのティサ党は現在、フィデス党を49対39でリードしている。しかし、世論調査機関の政治的立場や資金提供状況により個々の調査結果は大きく異なる。

 例えば、欧州委員会が出資する21リサーチセンターの世論調査では、ティサ党がフィデス党を19ポイントリードしている。野党系のメディアンによる別調査では、マジャール党がオルバン党を23ポイント上回っている。一方、保守系シンクタンクの基本権センターの世論調査では、フィデス党がティサ党を8ポイント上回っている。

 「多くの」EU首脳がオルバン勝利は「あり得る」と密かに考えていると政治専門誌ポリティコは報じた。ハンガリーのヤーノシュ・ボカEU担当大臣は、世論調査と個人の感情の乖離は偶然ではなく、世論調査を歪めることで、マジャールとブリュッセルの支持者たちは「もし選挙に負けたら不正な結果だ」という筋書きを作り上げていると考えている。

 ハンガリー選挙に干渉しているのは一体誰か?

 選挙までの数週間、立証されたものも未立証のものも含め、あらゆる方面から干渉疑惑が持ち上がった。先月、ロシアがオルバンに有利になるよう選挙結果を左右するため「政治技術者」をブダペストに送り込んだと野党系ジャーナリストのサボルチ・パニが非難したが、具体的計画は説明しなかった。この報道は、匿名EUスパイによるものとされ、EUが出資するメディアに掲載されたもので、ブリュッセルはこれをロシアが選挙に干渉する計画を立てていた証拠と受け止め、EU自身の干渉、この場合はハンガリーにおけるオンライン検閲ツール起動を正当化するために利用した。

 パニは、ハンガリーのペテル・シヤルト外相の電話を盗聴するため、EU情報機関員(おそらく彼に「ロシアの干渉」という話を仕込んだのと同じ情報源)と共謀していたことが明らかになり、選挙干渉スキャンダルに巻き込まれた。盗聴により、シヤルトとロシアのセルゲイ・ラブロフ外相との会話が明らかになった。シヤルトは、これらの会話はEUで最も長く外相を務めている自分の仕事の一部で、これら通話で表明された立場(ロシアに対する制裁への反対とブリュッセル官僚に対する軽蔑)は既に周知の事実だと主張した。

 ウクライナも、この状況に介入している。キーウは、ロシア原油をウクライナ経由でハンガリーとスロバキアに輸送するドルージバ・パイプライン再開を拒否し、同パイプラインは1月のロシア空爆で損傷したと主張している。ドルージバ・パイプラインは稼働しており、ウクライナのゼレンスキー大統領がハンガリーのエネルギー価格をつり上げ、自身の再選運動を妨害するために閉鎖しているとオルバン首相は主張している。ハンガリー治安当局によるとマジャール党内で活動するスパイをキーウが訓練したとも言われている。

 ハンガリー選挙は、なぜEUとウクライナにとってそれほど重要なのか?

 EUにとって、今回の選挙は長年の悩みの種を解消し、ロシア・エネルギー輸入からの脱却を加速させ、ウクライナへの巨額資金援助への道を開く機会となる。キーウにとって、後者の懸念は存亡に関わる問題だ。ハンガリーが拒否権を行使した900億ユーロのEU融資パッケージは、2022年以降のEUによるウクライナへの拠出総額のほぼ半分に相当し、今後2年間のウクライナ歳出の3分の2を賄うことになる。

 JDヴァンスはなぜブダペストにいたのか?

 ドナルド・トランプ大統領はオルバン首相の思想的同盟者で、4月7日には副大統領のJD・ヴァンスをハンガリーに派遣し、オルバン首相支持を表明した。ヴァンスはオルバン首相との度重なる公の場での会見で、EUとウクライナによる選挙干渉を激しく非難し、両者の共同行動を「私がこれまで見てきた中で外国による最悪の選挙干渉例の一つ」と呼んだ。

 またヴァンスは、ゼレンスキー大統領に極めて辛辣な批判をして、EU融資パッケージにハンガリーが拒否権を行使したことに対し、オルバン首相の自宅に兵士を派遣するというウクライナ大統領の「とんでもない」脅迫を厳しく非難した。

 注:RT元記事には、ここにヴァンスが語る場面の短い映像があるが、コピーできない。

 だが、ヴァンスはティサとEU当局者から選挙干渉の疑いをかけられた。アメリカ副大統領がオルバンを「エネルギー安全保障と独立問題に関しヨーロッパで唯一卓越した指導者」と評し、再選に向けて「できる限り支援する」と述べた後、欧州委員会はワシントン訪問について「懸念を伝える」と発表した。

 4月8日「バンスがEUによる選挙干渉疑惑について不満を述べているので指摘しておきたいが、アメリカ副大統領は選挙のわずか数日前にハンガリーを訪問した。この事実だけでも、誰が干渉しているかは明白だ」とドイツ政府のセバスチャン・ヒレ報道官が記者団に語った。

 RTインタビューに応じたオーストリア元外相カリン・クナイセルは、今回選挙をワシントンとブリュッセル間の「代理戦争」と表現し、EUはオルバン首相を失脚させるためハンガリーを「麻痺させる」(ゼレンスキー大統領にドルージバ・パイプラインの再開を迫ることを拒否する)のを厭わず、アメリカはオルバンを支援してEUに対する「抵抗を煽っている」と述べた。

記事原文のurl:https://www.rt.com/news/637831-hungary-election-guide-orban/

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 今朝の孫崎享氏メルマガ題名
ヘグセス国防長官はイランの発射機とミサイル枯渇、壊滅的打撃を受け、ほぼ完全に無力化と発言。だが米情報機関分析によると、イランは依然数千発の弾道ミサイルを保有、地下貯蔵施設からの発射機回収で、それらを使用できる可能性がある。

2026年4月 9日 (木)

勝利を主張しながら敗北を認める:ホルムズ海峡を開放する簡単な方法はない



アラステア・クルック
2026年4月7日
Strategic Culture Foundation

 今トランプは戦争に負けたことを悟っている。負けたかもしれないが、戦争は終わったわけではない。しばらくは続くかもしれない。

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 ブルームバーグ:「おそらくイランが最も重要な戦略的勝利を収めたと言えるだろう…テヘランが海峡を支配する能力を高めている兆候が随所に見られる」

 西側諸国が繰り返し被る敗北は「何よりもまず…知的な敗北」だ。そして「目の前の状況を理解できないことは、それに対して効果的に対応するのが不可能なことを意味する」とオーレリアンは主張した。しかし「問題は戦場での戦闘にとどまらず、非対称戦争の本質、そしてその経済的・政治的側面を理解することにある」。

 「これは特にイランの場合に顕著で、ワシントンは『相手側』が経済的・政治的要素を含む戦略を持ち、それを実行に移しているのを理解できないようだ。」

 「(西側諸国の些末な事柄への執着に倣って)最近のメディアの注目は、まるでそれが何かを決定するかのように、地域への米軍の展開と、あり得る用途にばかり集まっている。だが実際は、本当の問題は、ミサイル、ドローンや防衛準備に基づくイランによる新たな戦争概念の開発と展開や、プラットフォーム中心の思考様式を持つ西側諸国が、これら展開(すなわち非対称戦争の背後にある戦略)を理解し、処理することができない点にある。」

 イランの安全保障構想とモデルは20年以上前に計画された。非対称的パラダイムへの移行のきっかけになったのは、2003年にアメリカがバグダッドへの3週間にわたる大規模空爆を行い、イラクの中央集権的軍事司令部を完全に破壊したことだった。

 この事態を受けてイランに生じた問題は、同等の航空戦力を持たない(そして持つこともできない)状況で、いかにして抑止力となる軍事体制を構築するかということだった。更に、高解像度衛星カメラを通して、イラン軍事インフラの規模をアメリカが俯瞰的に把握できる状況で、どのように抑止力となる軍事体制を構築するかという問題もあった。

 まず第一の対策は、軍事構造をできるだけ地上から見えないようにすることだった。構成要素は地中に埋めなければならず、しかも深く埋めなければならなかった(ほとんどの爆弾の届かない深さに)。第二の対策は、地中に深く埋められたミサイルが、事実上イランの「空軍」、つまり従来の空軍の代替となり得ることだった。そのため、イランは20年以上にわたりミサイルを製造・備蓄してきた。第三の対策は、イランの軍事インフラを地方の自治司令部に分割することだった。つまり、司令部を分散化し、各司令部がそれぞれ独自の備蓄弾薬、ミサイル・サイロや、必要に応じて独自の海軍と民兵組織を持つようにしたのだ。

 要するに、イランの軍事機構は、首脳部攻撃が発生した場合、容易に停止または制御できない自動化された分散型の報復機構として機能するように設計されているのだ。

 目の前の事態を理解できない時、最も簡単なのは、自分が良く知っているもの、つまり兵力を増強することに頼って、過去にうまくいかなかったことを続けるのだ。

 若い頃のトランプは、マンハッタンの不動産業界でスターとして賞賛されたいと切望し、ニューヨークの弁護士ロイ・コーンを個人的な師と仰いでいた。「コーンは、ニューヨーク市の五大犯罪組織の弁護士でもあり、こうした人脈により手出し無用な人物として名を馳せていた」とイスラエルの軍事評論家アロン・ベン・ダビッドが言っている。  
「ほとんどの場合、トランプがすべきことは、コーンを取り引き相手に紹介し、相手がトランプの条件に同意するよう促すことだけだった。時には、トランプは相手を法廷に引きずり出すことを余儀なくされ、そこでコーンは裁判官の前で牙をむいて勝利を収めた。だがトランプの最終的目標は常に勝利だった。パイを大きくすることでも、双方にとってのウィン・ウィンでもなく、彼自身の勝利、できれば相手側の降伏を伴う勝利だった。」
 時は流れ、ベン・デイビッドが書いているように、今日では米軍の巨大な力がトランプにとっての「ロイ・コーエン」のような役割を果たしている。トランプはイランに対して、アメリカ軍事力を誇示することで、イランが簡単に降伏するのを期待している。そうでなければ、トランプ自身、手綱を放すつもりだ。米海軍艦隊がペルシャ沿岸に集結した後、集結した海軍力を見て、イランがなぜ降伏しなかったのか「困惑し、混乱している」とトランプはウィトコフに不満を漏らした。

 「トランプが困惑している理由は、今回彼が対峙する相手が、これまで彼が経験したことのない種類の人々だからだ。彼らはマンハッタンの不動産王でもアトランティック・シティのギャングでもなく、3000年の歴史を持つペルシャ人で、時間や勝利の概念が全く違う。」

 今トランプ大統領は、一体どうすべきか分からず、この窮地からどう抜け出せばいいのか途方に暮れている。イランを脅迫したものの、イランは屈服しない。そして予想通り、ネタニヤフ首相は、イランの軍事力が完全解体される前にワシントンがイランと交渉に入るのを恐れ「地上部隊を含む可能性のある短期間で高強度の作戦を実行するようトランプ政権に圧力をかけている」とイスラエル人評論家ベン・カスピットがMa’arivに書いている。

 トランプ大統領はイランとの対話の可能性について矛盾するメッセージを発信しているが、イスラエル当局は、彼は三つの選択肢を検討していると考えている。1つ目は、カーグ島とサウスパルス・ガス田にあるイランのエネルギー・インフラを攻撃して戦争をエスカレートさせること、2つ目は、地上作戦によるイランの高濃縮ウラン備蓄破壊だ。

 検討されている3つ目の選択肢は、イランとの合意交渉だが、そのような可能性は「イランの明白な勝利で、イラン共和国の存続への道を開くことになる」とイスラエル指導部は見なすだろうとカスピットは書いている。「イラン政権を回復不能なほど弱体化させることにイスラエルは注力しており、それにより将来の大規模抗議活動を促そうとしている。この論理は、ワシントンに戦争を継続するよう説得するためにも利用されている」とカスピットは強調している。

 4つ目の選択肢としては、トランプが勝利宣言してそのまま立ち去る可能性もある。

 現実的に考えて、トランプ大統領は戦争を拡大することで何を達成しようとしているのだろう?

 まず、現在イラン国家を空爆だけで打倒することはほぼ不可能だとイスラエルとアメリカの軍当局者は考えている。過去にも成功例はない。

 第二に、アメリカ政権によるホルムズ海峡の最終的軍事的制圧に関する信念表明は、より深い問題、つまり戦略的空白を露呈する戦いの雄叫びや空想の描写として捉えるべきだ。

 「それらは状況の事実から導き出されたものではなく、実際にそれを引き起こすような過程が存在する必要もない。真実とは、そうあってほしいと我々が願うもので、我々を安心させる真実で、現実よりも神話を我々は好むのだ。」

 実際、海峡を再開させる簡単な方法はない。交渉による再開には少なくともイランへの実質的な譲歩が必要で、その中には海峡に対するイランの主権を明確に認めることも含まれる。

 ホルムズ海峡を開放するための停戦合意を目指すには、あらゆる戦線に適用する必要がある。つまり、イスラエルがレバノンでの作戦を停止し、アンサール・アッラーが同様にイスラエルへの攻撃を停止し、イラクが攻撃を停止し、占領下のパレスチナでの攻撃をイスラエルが停止する必要がある。

 第三に、トランプは、イラン新指導者の名前をこれまで聞いたことがないため「政権交代」は既に起きたと主張している。「彼らはこれまで誰も聞いたことのない人物で、率直に言って、より理性的だ。つまり、誰も想像できなかったほどの完全な政権交代が起きたのだ」。トランプは、イランの「新」第三層指導者が誰なのか知らないが、それでも彼らがアメリカとの交渉においてより柔軟になると推測している。(この「信念表明」の根拠は一体何だろう? 事実は必要ないのだろうか?)

 第四に、ホルムズ海峡を直接的な軍事攻撃で突破しようとする試みは、米軍に多大な犠牲者が出る危険性を伴う。ホルムズ海峡はイランにとって本拠地で、イラン軍が長年にわたって準備してきた戦闘の舞台になる。ホルムズ海峡の地理的条件、すなわち狭い水路、イラン海岸線への近さや、イランの強固な防衛体制だけでも明白かつ深刻なリスクだ。部隊はどこから集結するのか? どう補給を受けるのか? どう撤退するのか?

 たとえ米軍がカーグ島、あるいはUAE沿岸に隣接する3つの島のうち1つ、または全てを占領したとしても、イランは依然、水上または潜水ドローン、あるいはイラン本土から発射するミサイルを用いて、無許可で水路を航行するタンカーを攻撃する可能性がある。

 たとえ米軍が島々に駐留して作戦を成功させたとしても、根本的な問題は解決しない。イランは依然遠距離から(ミサイル攻撃や死傷者などで)損害を与える能力を持ち続け、この影響力を利用して更なるエスカレーションを仕掛けるだろう。

 第五に、イランの濃縮ウランを管理するという提案と同様、イランが保有しているとされる430キロの60%濃縮ウランをイランの手から確実に奪う方法は押収以外にない。イランがそれを放棄する合意はありそうになく、また不可能なほど複雑な軍事作戦でそれを押収のも不可能だ。

 ワシントン・ポストによると、トランプ大統領がイランから濃縮ウランを押収する計画を要請した際、掘削機材の空輸、貨物機がウランを搬出するためのイラン国内の滑走路建設や、数百人の兵士の配備を含む複雑な作戦について米軍が大統領に説明した。

 このウランを押収するための米特殊部隊による軍事作戦には、保管場所(または複数の場所)の綿密な特定に加え、十分な準備と搬出計画が必要になる。このウランがまだ一括輸送されているのか、それとも既に分割されているのかアメリカは把握しているのか?

 アメリカがこの作戦について「綿密な検討」を行った兆候はなく、この側面は欺瞞作戦として計画されている可能性を示唆している。つまり、イスファハン近郊で小規模作戦を実行し、ウランを押収したと偽装し、イラン軍が米軍兵士を殺害する前に速やかに撤退するというものだ。

 最後に、イランのミサイル能力の破壊についてだが、これはそもそも実現不可能だ。イランの弾薬庫や生産施設は国土全体に分散しており、地中深くに埋設されている。この問題で「勝利」を収めるには、トランプにとって、嘘をつくのが最善策かも知れない。

 イランは、長期にわたり事前に計画された軍事行動の体系「モザイク」システムを本格始動させた。重要なのは、イランの戦略的反撃は、いかなる交渉による妥協にもつながることを目的としたものではなく、むしろ西側諸国が課す終わりのない制裁、封鎖、孤立や包囲という「檻」から脱出できる状況を作り出すことを目的としている点だ。

 アメリカと同盟諸国にとって不都合な現実は、イランの戦略的反撃に対する、あらゆる軍事的または外交的対応策には重大な欠点が伴うことだ。

 この戦争はトランプとアメリカが負ける可能性もある。今トランプは戦争に負けたのを悟っている。負けたかもしれないが戦争は終わったわけではない。しばらく続くかもしれない。

 1ヶ月にわたる戦争を経て「最も重要な戦略的勝利を収めたのは、おそらくイランだ」とブルームバーグは指摘している。イランは「ホルムズ海峡を通る航行に対する支配力を益々強めている」のだから。

 「テヘランがホルムズ海峡を支配する能力を高めている兆候が随所に見られる…3月初旬以来のホルムズ海峡のほぼ完全な封鎖は世界で最も強力な軍事力を持つ二国との戦いにおいて、イランにとって極めて効果的な非対称兵器だということが証明されている。」

記事原文のurl:https://strategic-culture.su/news/2026/04/07/claiming-victory-whilst-admitting-defeat-there-no-easy-way-open-hormuz/

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 トランプを育て上げた弁護士ロイ・コーンとトランプの関係は、映画『アプレンティス:ドナルド・トランプの創り方』で見事に描かれている。

  東京新聞 夕刊 一面  
 イスラエル、レバノン攻撃続行

 イラン対抗か「ホルムズ完全封鎖」

 対イラン攻撃再開「いつでも」
 イスラエル首相
 東京新聞 夕刊 七面  
 海峡通航料徴集「共同で」米大統領

 トランプ大統領は8日ABCテレビのインタビューで、ホルムズ海峡を通過する船舶の通航料徴集を米国とイランの共同事業とする案に言及した。

蛮族は戦略的に降伏した。文明の勝利。今のところ。



ペペ・エスコバル
2026年4月8日
Strategic Culture Foundation

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 これは常に文明の問題だった。

 「今夜、一つの文明が滅び、二度と復活することはない。」歴史は太陽のように容赦ない視線でそれを記録に刻む。アメリカ大統領がソーシャル・メディア投稿でした驚くべき野蛮な主張だ。

 要するに、世界にビッグマックをもたらした粗悪な「文明」が、代数学を世界にもたらした古代文明を滅ぼそうとしたのだ。古代文明は、比類ない方法で芸術、科学、政治に影響を与え、キュロス大王からアヴィセンナ、オマル・ハイヤームから最高の詩人ジャラールッディーン・ルーミーまで数々のスターを生み出し、壮麗な庭園、絨毯、建築の驚異、そして哲学的・倫理的な枠組みを発展させた。

 決定的に重要なのは、この野蛮な暴挙について、いわゆる「文明化した」西側諸国全体の政治指導者連中からは何の反応もなかったことで、憤慨を装うことさえなかった。これは彼らの絶対的かつ不可逆的な道徳的・政治的破綻を改めて証明するものだ。

 野蛮な行為に対し、イラン国民はそれ相応の対応で応じた。1400万人以上が全国各地の発電所を囲む人間の壁を作るために登録し、生活を守ると同時に、エプスタイン・シンジケートの圧倒的火力に真っ向から立ち向かった。

 手に汗握る緊迫した場面が近づくと、野蛮なヒヒは、当然、Trump Always Chickens Out トランプはいつもビビってやめた。でくの坊部下連中がそれを不滅のものにした。

 パキスタンがイランに停戦こそ戦争終結への道だと「保証」したなどということは到底あり得ない。外交筋が確認したところによると、実際に起きたのは、土壇場になって北京が保証人となり、イランの10項目計画に含まれる要求事項の少なくとも一部をアメリカが受け入れるとテヘランに保証したことだ。

 このことは、駐中国イラン大使、アブドルレザ・ラマニ・ファジリにも確認された。交渉は今週金曜日にイスラマバードで開始される。

 野蛮なヒヒのような大統領は、自らの戦略的失策の避けられない悲惨な結果に直面し、パキスタンを逃げ道として利用した。これはパキスタン首相自身によるもう一つのとんでもない失策で裏付けられた。ホワイトハウスが彼のために作成したツイート/投稿のヘッダーを彼は削除し忘れていたのだ。

 トランプ大統領と頻繁に連絡を取り合っているアシム・ムニール元帥が事実上率いる現在のパキスタン政権は、シーア派の少数派を抱えるイスラム教の核保有国で、湾岸協力会議(GCC)との良好な関係や、イランとの良好な関係を築いている隣国関係や、サウジアラビアとの防衛協定締結や、中国の戦略的協力関係や、国内に米軍基地がない他に類を見ない地位から地政学的に利益を得てきたし、今後も利益を得続けるだろう。

 だがイスラマバードは常に単なる仲介役で、いかなる「調停」の立案者でもなかった。ホワイトハウスからどんなに曖昧な説明がなされようと、緊張緩和の輪郭を固めたのは中国だった。
 
猶予を懇願するエプスタイン・シンジケート

 イランとレバノン南部のヒズボラにより、西アジアの死のカルト集団は壊滅させられる瀬戸際にいた。どんなに多くプロパガンダが流されようと、トランプ大統領が停戦へ舵を切る上で重要な役割を果たしたのは助けを求める彼らの叫び声だった。

 エプスタイン・シンジケートが丸ごと、そう懇願したのだ。地政学的問題ではなく、作戦上の地獄が原因だった。混沌の帝国は軍事資源を使い果たしてしまったのだ。

 決定的な証拠は、強襲揚陸艦トリポリが砲火を浴びながら2,500名の海兵隊員を乗せたまま南インド洋の深海へ撤退したことだった。これはトマホーク・ミサイル搭載潜水艦を除き、米海軍が戦場から撤退したことを意味した。ちなみに、トマホークの約半数は、驚くほど不正確な命中率で目標を外れている。

 そして問題はまだまだ終わっていない。イスラマバードをはじめ、各国でどのような決定が下されようと、2026年には10兆ドルもの国債が借り換えされる予定で、金融危機は避けられない。そしてオイル・ダラーは急速に歴史のゴミ箱へと向かっている。

 またしても狂気に満ちた死のカルト集団登場。

 決して誰も忘れてはならない。エプスタイン・シンジケートには非合意能力があるのだ。そして、この死のカルト集団は停戦などしない。せいぜい目につく者全員を殺し続けるための抜け穴を探すだけだ。

 事態は既に明白だ。死のカルト集団が停戦協定を破棄すれば、実際、既にそうなっているのだが、イランとヒズボラは、アメリカ資産を攻撃せずに、大規模反撃に出る。

 とはいえ、道徳的、法的、政治的、経済的、戦略的など、あらゆる基準において、蛮族のヒヒが戦争に敗れたと断言するのは時期尚早だ。

 結局、混沌の帝国は、本質的に常に「交渉を成立させない能力」を持っており、特に過去の実績を見れば、外交交渉中に、対イラン攻撃が二回連続して行われ、最高指導者ハメネイ師をはじめ、多数の交渉担当者が殺害されたのは明らかだ。

 大局的視点という歌は変わらない(歌おう!):これは多極化世界の三大推進国イラン、中国、ロシアに対して最後まで続く戦争だ。
 
中国のパワー・プレイと、既知の事実いくつか

 停戦前、中国はイランから1日120万バレルの原油を輸入していた。これは実質的に、トランスポンダーを停止した26隻の幽霊タンカー船団により、ホルムズ海峡の通行料所で人民元国際決済システムCIPSを通じて人民元で決済されていた。こうした取り引きは全て、SWIFT、制裁、石油会社と欧米諸国の保険を迂回して行われていた。

 世界で最重要な隘路に事実上導入された新たな代替決済体制について語ろう。

 この複雑な影のエネルギー構造は、停戦が維持されると仮定すれば、影響を受けないままになる。だが重要な点は、中国が一息つけることだ。蛮族の宣言による発電所の日を巡る緊迫した状況の後、イラン産原油輸出を全て停止する不吉な脅威は消え去ったように見える。これが土壇場で中国がイランに保証を与えた理由を説明している。

 混沌の帝国が公言していた「狙い」、つまり、政権転覆の挑発、濃縮ウランの捕獲、ミサイル計画の破壊、イランの軍事力投射能力の破壊と比較してみよう。これらは全て壮大な戦略的失策となり、ホルムズ海峡の新状況という形で頂点に達した。

 停戦期間中はもちろん、停戦後も、ホルムズ海峡を通過する全ての船舶の通行料徴収をイランとオマーンは詳細な法的枠組みに基づいて調整する。人民元で通行料を支払った後に、ホルムズ海峡を通過するアメリカ船舶。歴史の皮肉という観点から言えば、これほど詩的で心を揺さぶる光景は他にあるまい。

 だが、イランが主導権を握っているとはいえ、混沌の帝国が時間稼ぎをしているのは明らかだ。イラン最高国家安全保障会議から得られる重要な教訓は以下の通りだ。

 「これらの原則(イランの10項目)のみに基づき、イランがイスラマバードで2週間の交渉を行うことが最高レベルで決定された。これは戦争終結を意味するものではない。これら原則が詳細に確認された場合にのみ、イランは戦争終結を受け入れる。」

 理論上トランプが「受け入れた」とされる10項目を簡単に振り返ってみよう。
  1. 攻撃しないという誓約。
  2. イランによるホルムズ海峡支配権の維持。
  3. ウラン濃縮に関する合意。
  4. 全ての主要制裁措置の解除。
  5. 全ての二次制裁の解除。
  6. 国連安全保障理事会の全決議の破棄。
  7. IAEA理事会の全決議の破棄。
  8. イランへの賠償金支払い。
  9. 地域からの米軍戦闘部隊撤退。
  10. レバノンのヒズボラとの戦争を含む、あらゆる戦線での戦争停止。
 これらの点ほとんど全てにおいてイランが妥協する可能性は皆無だ。賠償金支払いは、ホルムズ海峡の通行料収入に転嫁されるかもしれない。だが制裁解除はあり得ない。アメリカ議会が決してそれを許すまい。アメリカがイランを二度と攻撃しないという保証は冗談にもならない。更に、混沌の帝国はガザやレバノンに関し何も保証できない。

 とはいえ、これはイランにとって極めて危険な賭けで、主要保証国である中国にとっても大きな試練になる。イランは、特に石油化学産業において甚大な被害を受けている。中国から多額投資があったとしても復興には何年もかかるだろう。

 今週金曜、「三ばか大将」はイスラマバードへ向かうかもしれない。カーリー:ヴァンス。シフティ:ウィトコフ。モー:クシュナー。だがイランは(アラグチ外相を通じて)彼らの一人、カーリーとしか真剣に話し合わないだろう。

 今のところ文明は生き残っている。いくつか事実を挙げておこう。事実その1:アメリカはもはや超大国ではない。事実その2:イランは世界のトップ大国の一つとして復活した。事実その3:臆病な湾岸石油君主国のほとんどが最終的に米軍基地を永久に追い出すことになろう。事実その4:カタールとオマーンはイランと安全保障協定を結ぶだろう。

 最重要課題は依然残っており、それは世界全体に関わる問題だ。すなわち、西アジアにおける癌の治療法をいかにして見つけるかだ。

記事原文のurl:https://strategic-culture.su/news/2026/04/08/barbaria-strategically-surrenders-civilization-wins-for-now/

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 文中の「三ばか大将」、意味が分からない方々が多いのではないだろうか? 昔の人気テレビ番組。

 Wikipediaから引用させていただこう。  
『三ばか大将(The Three Stooges)』は、アメリカでは1930年代より短編映画の人気者で、テレビ時代が始まった1949年にはかつての短編映画をテレビ用に編集し放送

  中略

 日本では、1963年6月から1964年11月まで『三ばか大将』の番組名で、日本テレビ系列で毎週日曜19:30 - 20:00(JST)に放送され、スポンサーの森永製菓が3人のイラストを今で言うマスコットキャラクター化するほどの人気を博していた。
とある。

 今朝の孫崎享氏メルマガ題名
イラン戦争、トランプ声明で、「イランからの10項目提案を受理。workable basis(現実的に機能する基盤)」。二週間停戦、両者とも長期化を避けたい(米国:中間選挙・ガソリン価格・経済、イラン:経済疲弊・孤立)。困難材料:要求格差が大きい

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