イスラエル・パレスチナ

2026年5月14日 (木)

ある「反ユダヤ主義」心理作戦の分析



最近、親パレスチナ・デモを禁止する必要性に関する特集をスカイニュースで見たが、それは、これらのデモが反ユダヤ主義的攻撃を引き起こしていると信じ込ませようと、いかにマスメディアが世論を操作しているのかを如実に示していた。

ケイトリン・ジョンストン
2026年5月3日

 ティム・フォーリーによる英語翻訳朗読を聞く。

 最近、親パレスチナデモを禁止する必要性に関するスカイニュースの一コマを見たが、これは、これらのデモが反ユダヤ主義的攻撃を引き起こしていると信じ込ませようとして、いかにマスメディアが世論を操作しているのかを如実に示していた。

 最近、ゴールダーズ・グリーンでの列車内刺傷事件を受けて、親パレスチナ・デモの「繰り返される本質」と「累積的影響」ゆえ、一部抗議活動は禁止する必要があるかもしれないとイギリスのキア・スターマー首相が主張したことについて、反ユダヤ主義的事件の「文脈」の中で、またユダヤ人に対する攻撃の「背景」の中で、これらデモが行われているとスカイニュース記者モリー・マローンが繰り返し視聴者に報じた。


 パレスチナ支持デモと反ユダヤ主義的攻撃が何らかの関係があるという主張には証拠皆無だ。しかし、スカイニュースのこのプロパガンダ担当者が、同じ文脈で両者に繰り返し言及し「文脈」や「背景」といった言葉で結びつけ、視聴者の心の中で両者を結びつけている様子をご覧願いたい。

 「長らく続いてきたこれら抗議活動への対処法や管理方法について首相はこれまで以上に踏み込んで議論し発言している。だが、これら抗議活動は、明らかにユダヤ人共同体への攻撃が増加している背景の中で起きている。最近では、水曜日にゴールダーズ・グリーンでユダヤ人男性2人が刺された事件があった」とマローンは述べた。

 反ユダヤ主義的攻撃が「ユダヤ人の不安を増幅させている」とマローンは言い、イギリス・ユダヤ人の感情に訴えかけるお決まりの手法を用いて「こうした状況の中、親パレスチナ・デモ行進が議論されている」と述べた。

 冷蔵庫から聞こえるかすかなブーンという音が、足首の痛みの原因だと主張するにも全く同じような論法が使える。足首が痛くて、痛みのせいで気分が落ち込んでいる、そして、まさにこの状況下で冷蔵庫のブーンという音が聞こえると言うわけだ。実際は、足首の痛みと、かすかなブーンという音に何らかの関係がある証拠は一切示さない。ただ誤った連想や感情に訴えかけて、両者に因果関係があるかのように思わせようとしているだけだ。

 イギリスのテロ対策法審査官ジョナサン・ホールの発言を無批判に引用して、パレスチナ支持デモ行進は「反ユダヤ主義を助長する」とマローンは何の根拠もなく主張している。更に「インティファーダをグローバル化する」という文句は「ユダヤ人に対する暴力を扇動するものと見なされている」という偽プロパガンダ論点を繰り返した。

 公平性を装うため、親パレスチナ活動家の反論を展開した後「ここでは文脈が全てだ」とマローンは結論づけた。

 ゴールダーズ・グリーンでの列車内刺傷事件について、イギリス政治家やメディア関係者が、ここ数日議論している通り、ユダヤ人ではない三人目の男性も同じ事件で襲われたことや、犯人が最近精神病院から退院したばかりだったことをマローンは意図的に伏せている。長年にわたる犯人の精神疾患病歴や、ユダヤ人だけを標的にしてはいなかった事実を考慮すれば、この事件を、憎悪に基づくイデオロギーによる犯行だとして報道するの真面目な報道記者なら躊躇するはずだと人々は思うかもしれないが、イギリスの報道関係者は本物の報道記者ではない。連中はプロパガンダ屋なのだ。

 欧米諸国におけるパレスチナ支持抗議行動を徹底的に弾圧しようとする狂乱的プロパガンダ活動は、ユダヤ人を反ユダヤ主義攻撃から守ることとは全く無関係だ。それはイスラエルと、イスラエルと同盟関係にある残虐な西側諸国政府の権益を守るためだけのもので、それ以外の何物でもない。

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 画像はスカイニュースのスクリーン・ショット(フェアユース)。

記事原文のurl:https://caitlinjohnstone.com.au/2026/05/03/dissecting-an-antisemitism-psyop/

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 今朝の孫崎享氏メルマガ題名
米中首脳会談、NYT記事「両国とも安定を求めており、現在はリスク管理の段階。トランプの目標は中国との決定的なデカップリングではなかった。ホワイトハウス報道官はトランプ大統領は米中関係の焦点を「米国民の安全、保障、繁栄の再建」に再設定したと述べた。」

2026年5月10日 (日)

対イラン戦争:駆逐艦戦、持ちこたえるイラン、切り札を握る敗者

2026年5月8日
Moon of Alabama

 ホルムズ海峡周辺の現状は不透明だ。チャス・フリーマンが言うところの「イスラエル特有の停戦」状態が続いている。(動画参照)双方とも戦闘を続けてはいるものの、事態の悪化は避けようとしている。

 昨日、インド洋からイランの港に向かっていた空のイラン・タンカーをアメリカが阻止した。これに対して、ホルムズ海峡を東から西へ通過してペルシャ湾に入ろうとしていたとみられるアメリカ駆逐艦三隻をイランが攻撃した。

 イラン軍の激しい砲火により駆逐艦は撃退された。  
駆逐艦三隻へのイランによる攻撃は、数日前に駆逐艦二隻が受けた別のイラン砲撃より激しく、より持続的なものだったとアメリカ当局が述べた。

 公式発言する権限がないため、匿名条件で、CBSニュースに、多数のイラン高速攻撃艇が接近してきたため、米軍艦が発砲して撃退したが、船舶は激しいイラン攻撃を受けたと米当局者は語った。

 数時間、アメリカ軍艦と支援機は多層防御を展開し、5インチ艦砲とCIWS(近接防御火器システム)を発射したと当局者は述べた。甲板上の小口径砲チームも攻撃艇を迎撃した。アメリカのアパッチ・ヘリコプターはヘルファイア・ミサイルを発射し、艦艇の甲板から50口径機関銃で銃撃し、更に上空から航空機が支援を行った。

 当局者によると、イラン軍は交戦中にドローンとミサイルも発射した。本稿執筆時点では、死傷者や船舶被害は報告されていない。
 ( あなたが、この最後の文を信じられるなら、私が販売している橋の品揃えをご覧願いたい。)

 イラン海軍が駆逐艦を撃沈できるほど十分接近していたのは明らかだ。撃沈しなかったのは、イラン海軍が現状事態をエスカレートさせたくない意思表示かもしれない。

 イランのウランを奪取しようとする試みが、砂漠で10機以上の航空機とヘリコプターを失い失敗に終わり、今週初めに「プロジェクト・フリーダム」が失敗に終わった後、これはアメリカによる三度目の戦術的軍事作戦の試みで、イランが勝利を収めた。

 これは、イランがこの紛争に耐える能力がありアーカイブ)、数ヶ月、場合によっては数年にわたる継続的戦闘に耐える十分な備蓄を持っているという最近「漏洩」されたアメリカ情報機関による評価を裏付ける。  
今週、トランプ政権の政策立案者に提出されたCIA機密分析によると、イランは少なくとも3~4か月間はアメリカの海上封鎖を乗り切れるが、その後、より深刻な経済的困難に直面する可能性があると、この文書に詳しい4人が述べた。この調査結果は、ドナルド・トランプ大統領の戦争終結に対する楽観論に新たな疑問を投げかけるものと思われる。

 イランは戦前の移動式発射機の在庫の約75%と、戦前のミサイル備蓄の約70%を保持していると米当局者が述べた。当局者によると、イラン政権はほぼ全ての地下貯蔵施設を復旧して再開し、損傷したミサイルの一部を修理し、戦争開始時にほぼ完成していた新しいミサイルの一部を組み立てることさえできた証拠があるという。
 この評価はこれまでのところイランが戦争に勝利しているという結論を裏付けている。  
水曜日「政権転覆と核・弾道ミサイル能力の解体を目的とする戦争として始まったはずのこの戦争は、制裁緩和により力を増し、依然相当なミサイル能力を保持し、代理勢力支援を継続し、ほぼ確実に自国内でのウラン濃縮を維持するなど、イラン政権を以前より強固なものにする可能性がある」とイスラエル人評論家シトリノヴィッチがXに投稿した
。  アメリカはそれに同意できないが、同時に、そのような結果を回避するための合理的手段も持ち合わせていない。

 時間はイランに味方している。イラン経済は制裁と圧力下での運営に慣れている。アメリカ(と世界)経済は、現在ペルシャ湾で封鎖されている石油、ガス、肥料、鉱物資源なしでは成立しない。アメリカは軍事的に勝利できず、経済的に敗北している。

 今ホワイトハウスに残されている唯一の選択肢は、イランと和平を結ぶこと(つまり敗北を認めること)で、それをあたかも勝利の結果であるかのように見せかけることだ。

 5月4日、ホワイトハウス・ツイッター・アカウントがこの写真を投稿した。


 トランプは、UNOのゲーム・カードを持った合成画像をツイートし「カードを全部持っている」と誇らしげに宣言した。

 この写真は現ホワイトハウスの住人と職員の知的能力の欠如を完璧に示す例だ。

 UNOは、カードを捨てるゲームなのだ。  
プレイヤーは手札を持ってゲームを開始し、ゲームの狙いは、一番先に全手札を捨てることだ。
 トランプは確かに全てのカードを持っているかもしれない。だが、このゲームの勝者は、最初にカードを全て捨てたプレイヤーだ。UNOのカードを持っているプレイヤーは敗者だ。

 この投稿写真は、トランプがイランに敗北したのを無意識のうちに認めた行為だったのかもしれない。

記事原文のurl:https://www.moonofalabama.org/2026/05/war-on-iran-destroyer-battle-iran-can-sustain-losers-hold-cards.html

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 東京新聞 朝刊 一面  
 「あの日」の小学校残したい

 福島県大熊町 震災遺構に向け議論

 中間貯蔵施設内 受け入れ態勢課題
 東京新聞 朝刊 二面  
 英国地方選 二大政党大敗

 反移民の新興右派躍進

 首相へ辞任圧力強まる

2026年5月 8日 (金)

エネルギーを巡る激震:ウクライナと対イラン紛争がヨーロッパの未来をどのように変えたのか



ロレンツォ・マリア・パチーニ
2026年5月6日
Strategic Culture Foundation

 根本的な問題は、ヨーロッパが産業基盤と国際経済システムにおける地位を永久に失うことなく、エネルギー危機を乗り越えられるかどうかだ。

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全身性エネルギー・ショックの解剖学的構造

 2021年から2024年にかけて、欧州のエネルギー・システムは、戦後大陸の経済史において未曾有の急速かつ衝撃的な変革を遂げた。2022年2月のロシアによるウクライナへの特別軍事作戦、それに伴う制裁措置、モスクワによるエネルギー面での報復と、中東の海上輸送ルートにおける構造的緊張が重なり、いわば二重の地政学的・エネルギー的ショックが発生した。すなわち、欧州の主要化石燃料供給経路である東側のロシア回廊と、南東側のペルシャ湾回廊が同時に寸断されたのだ。

 この危機の規模を理解するためには、まず危機以前の状況を明確に把握する必要がある。2021年、欧州連合はロシアから約1,550億立方m(Bcm)の天然ガスを輸入し、これは総需要の45%を占めた(ユーロスタット、2022年)。ロシアからの原油輸入量は1日あたり約270万バレルで、総輸入量の27%を占めた。ロシア産石炭は欧州の輸入量の46%を占めた。合計すると、ロシアはEUの一次エネルギー消費量の約24%を供給していたと推定され、これは現代世界において、他のどの同盟体制にも見られない依存度だ。

 同時に、欧州の液化天然ガス(LNG)輸入量のかなりの部分、そして増加傾向にある部分は、ペルシャ湾岸地域、特にカタールから来ており、現在もその傾向は続いている。これらの供給は、欧州の再ガス化港に到達する前に、ホルムズ海峡と紅海を経由しなければならない。2023年末に始まったイエメン危機と紅海におけるフーシ派の作戦は、数十年間、理論上の問題にとどまっていた脆弱性を具体的現実に変えてしまった。

 ロシアやイランからのエネルギー供給ルートに代わる、ヨーロッパのエネルギー供給ルートの現状はどのようなものか。こうした代替経路への強制的移行がもたらす本当の代償は、価格面だけでなく、産業競争力、インフレ、社会安定性といった面で、どのようなものか。そして、今後10年から15年間に、ヨーロッパのエネルギー・システムの構造的回復力に関して、具体的見通しはどうなっているのか。
 
主要な事実

 2021年、ロシアは欧州連合が輸入するガスの45%、石油の27%、石炭の46%を供給していた。これらの供給がほぼ同時に途絶えたことは、1973年以来、欧州大陸史上最大のエネルギー供給ショックとなった。
 
2. ヨーロッパのエネルギー輸送経路の地理と内訳

2.1 2022年以前のシステムの構造

 1990年から2020年までの30年間に構築された欧州のエネルギー供給システムは、戦略的多様化より経済的安定と費用削減を優先するロシアとのインフラ統合という論理に基づいていた。ロシア・ガスは、主に3つの回廊を中心としたパイプライン網を通じて欧州に供給されていた。

 北ヨーロッパ回廊(ノルドストリーム1号線と2号線、総容量110Gmc/年)、ウクライナ送電システムを経由するウクライナ回廊(近年は約40~45Gmc/年)、およびトルクストリームとバルカンシステムを経由する南部回廊(約30Gmc/年)。

 このシステムには明確な経済的利点があった。危機以前のロシア・パイプラインガスの価格は1メガワット時(MWh)あたり5~10ユーロだったのに対し、中東やアメリカからのスポットLNGは10~15ユーロだった。統合は深く、長期契約(通常15~25年)によって欧州の買い手には予測可能性が保証され、ロシアの予算には安定収入が確保された。このシステムの論理は、国際関係論者が「複雑な相互依存」と呼ぶものだった。相互依存の関係にあるため、紛争は双方にとって、経済的に非合理的なものになるはずだった。
 
ロシア回廊の崩壊:その力学とタイミング

 崩壊は瞬時に起きたのではなく、徐々にエスカレートする過程をたどり、欧州の対応を更に困難にした。ロシア特別軍事作戦数ヶ月前の2021年夏には、ガスプロムは自社の貯蔵備蓄を低く抑えつつ、欧州への供給量を削減していた。多くの専門家(Pirani、2022年、Oxford Institute for Energy Studies、2022年)は、これを冬に備えて価格をつり上げ、欧州の備蓄を弱体化させるための意図的な戦略だと解釈していた。2022年2月~3月に制裁が始まると、供給量は徐々に減少した。ノルド・ストリーム1は2022年6月に容量の40%に、7月には20%に削減され、2022年8月には完全に停止した。公式にはタービンに関する技術的紛争が原因とされているが、事実上、制裁への対応だった。

 決定的な出来事は、2022年8月にノルドストリーム1号線と2号線のパイプラインが破壊されたことで、これは破壊行為で、責任は国際調査の対象になっているが、これにより、これら回廊の喪失は短期から中期的に物理的に不可逆となった。ウクライナ回廊は別の輸送協定の下で運用が続けられたが、この協定は2024年12月31日に期限切れとなり、ウクライナは更新しないことを選択した。トルコ・ストリームは引き続き稼働しているが、主にバルカン半島とトルコの市場に供給している。全体的影響として、ロシアからEUへのガス供給量は2021年の155 Gmcから2023年には約25 Gmcに減少し、僅か2年間で130 Gmcの純損失となった(IEA、2024年)。  
ペルシャ湾ルートの脆弱性

 ホルムズ海峡は、航行可能な最小水路幅が約33キロで、世界のエネルギー・システムにおいて最も重要な輸送拠点だ。

 ホルムズ海峡は、1日あたり約2,000万~2,100万バレルの石油および精製製品が通過し、世界の石油消費量の約21%を占めるとともに、世界LNG貿易の相当部分を占めている(EIA、2023年)。ヨーロッパにとって、ホルムズ海峡の重要性は2022年以降劇的に高まっている。ロシア産ガスを、カタール産LNG(カタールは世界第2位のLNG輸出国)に置き換えることで、ヨーロッパはエネルギー依存の一部を、地政学的にリスクの高い東側回廊から、地政学的に脆弱な南東側の別回廊へ移した。

 2023年11月にガザ紛争への対応としてフーシ派が海上交通を攻撃したことから始まった紅海危機は、この理論上の脆弱性を具体的運用上の問題へと変えた。危機のピーク時にはスエズ運河の交通量が40~50%減少した(Kpler、2024年)。そのため、多くの船舶が喜望峰を迂回する航路を取らざるを得なくなった。この代替航路は航海に10~14日余計にかかるため、輸送費、保険料、設備投資費用が増加する。

 2022年以前、ロシア産ガスの欧州における価格は5~10ユーロ/MWhだった。代替品として用いられるアメリカ産またはカタール産LNGは、通常の市場状況下では10~20ユーロ/MWhで安定しており、2022年8月には投機的高騰で340ユーロ/MWhに達した。この構造的価格差こそが、欧州の競争力問題の根源だ。
 
代替エネルギー経路:現実、可能性と限界

 2022年から2023年にかけて、アメリカは欧州へのLNGの主要供給国となり、欧州大陸への輸出量は危機以前の期間と比べて2倍以上に増加した。2021年の約22Gmcから2023年には56Gmc以上になった(アメリカ・エネルギー情報局、2024年)。この増加には、ルイジアナ州とテキサス州で承認された新施設によるアメリカの液化能力拡大と、欧州での再ガス化ターミナルの建設またはチャーターを急ぐことが必要だった。2021年にはLNGターミナルがなかったドイツは、2022年12月から2023年半ばにかけて4基の浮体式ターミナル(FSRU)を稼働させ、総容量は約20Gmc/年となった。

 だがアメリカ産LNGには構造的制約があり、ロシア産ガスを完全に代替するのは困難だ。まず価格の問題だ。アメリカ産LNGには液化、大西洋横断輸送、保険、再ガス化の費用が含まれるため、パイプラインガスより構造的に高価になる。

 第二に、契約の柔軟性の欠如:アメリカ産LNGの長期契約のほとんどは「仕向け地指定なし」条項を課しているものの、価格決定メカニズムはアメリカのヘンリーハブ市場に連動しており、欧州のニーズとのずれを生じさせている。第三に、輸送能力:世界のLNGタンカー船隊は、これまでパイプラインで輸送されていた量を完全に代替できるほど十分な規模ではなく、船隊を急速に拡大するには、1隻あたり3~5年の建造期間が必要になる。

 カタールは2022年から2023年にかけて、ドイツ、フランス、ベルギー、イタリアを含む複数欧州諸国と長期契約を締結した。これらの契約は通常15年から27年間続き、ある程度の予測可能性をもたらす一方、2つの根本的問題を抱えている。1つ目は地理的な集中だ。カタールのLNG輸出は全てホルムズ海峡を経由しなければならず、本来軽減されるはずだった地政学的脆弱性がそのまま残ってしまう。海峡での軍事危機や(テヘランが頻繁に発動する抑止措置)イランによる封鎖は、カタールのLNGと湾岸諸国の石油の欧州供給を同時に混乱させるだろう。

 2つ目の問題は、カタールLNGを巡るアジア市場との競争だ。中国、日本、韓国は伝統的にペルシャ湾からの輸出の大部分を吸収しており、カタールの拡張能力(2027年までに輸出能力を年間7700万トンから1億2600万トンに増加させるノースフィールド拡張プロジェクト)は、ウクライナ危機以前に締結された契約を通じて、既に一部がアジア市場に先行販売されている(カタール・エネルギー、2023年)。

 ノルウェーは2022年以降、ヨーロッパへのパイプライン・ガスの主要供給国となり、輸出量は2021年の約113億立方mから2023年には122億立方m以上に増加した(NPD、2024年)。しかし、ノルウェーのガス田は既に最大生産能力に近づいており、新たなパイプライン建設には時間と投資が必要で、短期的には不足分を補えない。アルジェリアは、メドガス(スペイン)とトランスメド(イタリア)のパイプラインを経由してヨーロッパにガスを供給しており、量は年間約30~35億立方メートルで安定している。ここでも拡張能力は地質的制約と、新たなガス田の開発に多額の投資が必要なことから制限されている。

 南部ガス回廊は、アゼルバイジャンのカスピ海ガス田と、TAP(トランスアドリア海パイプライン)を経由してジョージア、トルコ、ギリシャ・イタリアを結び、ヨーロッパと繋がっている。

— 2021年に年間約100億立方mのフル稼働能力に達した。2022年7月、アゼルバイジャンはEUと、2027年までに輸出量を年間200億立方mに倍増し、更に300億~350億立方mまで拡大する協定を締結した。この回廊は、ロシアやホルムズ海峡に依存しない利点があるが、その能力は欧州の需要やロシアの供給不足に比べると依然限定的だ。  
欧州産業にとってのエネルギー・ショックの本当の費用

 天然ガスの欧州における主要指標TTF(Title Transfer Facility)指数は、2022年に未曾有の変動を経験した。1月には約75ユーロ/MWh(過去の平均の4倍)で始まり、2022年8月には340ユーロ/MWhのピークに達したが、貯蔵施設の満杯、暖冬、産業需要の減少といった要因が重なり、徐々に下落した。2023年には、TTFは35~60ユーロ/MWhの範囲で安定したが、それでも危機前の水準の2~3倍で、欧州の生産コストに恒久的影響を与えている。

 電力に関しては、欧州市場の構造が影響を増幅させた。欧州市場では「限界価格設定」メカニズムが採用されており、電力価格はピーク需要時に稼働する限界発電所(通常はガス火力発電所)により決定される。その結果、産業用電力価格は2022~2023年に欧州のいくつかの国で300~400ユーロ/MWhまで上昇した(ユーロスタット、2023年)。これは危機前の平均60~100ユーロ/MWhと比較して大幅な上昇だ。

 エネルギー危機の影響を最も受けているのは、エネルギー集約型産業で、エネルギー費用が総生産費用のかなりの割合(通常15~40%)を占めている。欧州鉄鋼業界は、鉄鋼生産量を2021年の1億5200万トンから2023年には1億2900万トンに削減し、生産能力の約15%を失った(WorldSteel、2024年)。一次アルミニウム生産量は、ドイツ、フランス、スペインの多数の電解工場が一時的または恒久的に閉鎖されたことにより、約25%減少した(European Aluminium、2023年)。

 化学産業は、ドイツを中心地とし、同国のGDPの3%以上を占めているが、2022年には生産量が12%減少し、2023年には更に8%減少した(VCI、2023年)。特に深刻なのは、窒素肥料の原料となるアンモニアの生産だ。ヨーロッパのほとんどの工場は原料として天然ガスを使用しており、コスト上昇により、ヨーロッパの生産は中東やアメリカに比べて競争力を失っている。多くの肥料メーカーが生産量を削減したり、海外からアンモニアを輸入したりしており、農業サプライチェーンに波及効果をもたらしている。

 イタリア、ドイツ、スペインが世界をリードするセラミックス・ガラス産業は、生産工程のエネルギー集約度(窯の温度が1200~1700℃)の高さから壊滅的影響を受けている。イタリアの業界団体(Confindustria Ceramica)は、2022~2023年の期間に、トルコ、中国、インドの生産者に対する競争力が30~40%低下すると予測している(Confindustria Ceramica、2023年)。

 エネルギー危機の影響は製造業にとどまらず、インフレを通じて経済全体に波及した。ユーロ圏の総合消費者物価指数は2022年10月に10.6%のピークに達し(ECB、2022年)、単一通貨導入以来の最高水準となった。このインフレのほぼ半分はエネルギー関連要因によるものだったが、食料、輸送、サービスなどの価格上昇といった二次的影響は経済全体に広がった。

 家計の購買力低下は、経済的影響だけでなく、政治的、社会的な影響も及ぼし、ロシアへのエネルギー依存モデルを構築・擁護してきた欧州機関や各国の政治エリートに対する不満を煽った。エネルギー分析において、しばしば見落とされがちな社会的結束という側面は、あらゆるレジリエンス戦略の長期的な政治的持続可能性を理解する上で極めて重要だ。脆弱な家計や、最も影響を受けやすい産業部門に対する適切な補償制度がなければ、エネルギー転換の資金調達に必要な合意形成が損なわれる恐れがある。

 2023年における欧州と中国の産業用電力費用の差は約5対1だった。欧州と(IRAとシェールガスの恩恵を受けている)アメリカの差は約3.5対1だった。この構造的格差により、欧州製造業の多くの分野が国際比較において競争力が欠如している。
 
レジリエンスの可能性:新たな欧州エネルギー・システムに向けて

 ロシアとイランの二重ショックに対する長期的構造的対応策は、再生可能エネルギーへの移行を加速させて、化石燃料輸入への依存度を低減すること以外にあり得ない。これは理想論的な目標ではなく、国家安全保障のあらゆる面において必要不可欠なことだ。2035年までに欧州が電力の70~80%を再生可能エネルギー源から発電するようになれば、化石燃料の輸入への依存度は2021年と比較して60~70%減少し、エネルギー供給ルートの危機に対する構造的な脆弱性が効果的に解消されると国際再生可能エネルギー機関(IRENA)は推定している(IRENA、2024年)。

 この方向での進展は既に著しい。2023年には、史上初めて再生可能エネルギー源(風力、太陽光、水力)が欧州の電力生産量の44%以上を占め、ドイツ、スペイン、デンマークではピーク時に50%を超えた(Ember、2024年)。EUにおける太陽光発電設備の設置容量は、2023年だけで約56GW増加し、これは過去最大の年間増加量となった。洋上風力発電は、コストが急速に低下しており、2030年までに北欧諸国や沿岸諸国で主要な発電源となる見込みだ。

 しかし、再生可能エネルギーへの移行には、依然として部分的にしか解決されていない2つの根本的な問題、すなわち断続性(太陽光発電は日中のみ、風力発電は風がある時のみ発電する)と季節規模のエネルギー貯蔵に対する解決策が必要だ。リチウム・イオン電池は日々の変動を管理するには十分だが、エネルギー需要が最も高く太陽光発電量が最も低い冬季の再生可能エネルギー生産不足を補うには不十分だ。グリーン水素(再生可能電力を用いた水の電気分解により生成される)は、季節的エネルギー貯蔵と高温を必要とする産業プロセスの脱炭素化にとって最も有望な解決策のように見えるが、産業規模での導入には依然多額の投資と技術革新が必要だ。

 2022年以降の欧州のエネルギー情勢における最も重要な展開の一つは、低排出で信頼性の高いエネルギー源としての原子力発電の再評価だ。2011年の福島原発事故以降、ベルギー、ドイツ、スイスなど欧州諸国のエネルギー政策を支配していた反原発パラダイムは、エネルギー危機により根本的に覆された。ドイツは、原子力発電所、最後の3基の運転期間を2023年4月まで延長した(その後、物議を醸す決定で、更なる延長の選択肢を放棄した)。ベルギーは2023年に、原子炉の閉鎖を10年間延期すると決定した。通常、国内電力生産の70~75%を賄う56基の原子炉を保有するフランスは、新たに6基のEPR2型原子炉を建設する計画を開始した。

 欧州レベルでは、いわゆる小型モジュール式原子炉(SMR)への関心が高まっている。SMRは、従来の大型原子炉に比べて建設コストが低く、建設期間も短い小型のモジュール式原子炉だ。ポーランド、チェコ共和国、ルーマニア、スウェーデンなど、いくつかの欧州諸国は、2030年から2035年までにSMRを建設するための評価プロセスや商業契約を開始している。原子力発電が、安定した信頼性の高い低排出電力供給基盤を提供できるのであれば、欧州のエネルギー・レジリエンス戦略において不可欠な柱になるだろう。

 エネルギー効率化による需要削減は、再生可能エネルギーの拡大と並んで、2022年の危機に対する最も迅速に実施された対応策だった。EUにおける天然ガス需要は、2022年に13%、2023年にさらに7%減少し、合計で2021年より約55GMc減少した。この減少は、ロシアからの供給なしで冬を乗り切るために必要な量を上回るものだった(IEA、2024年)。この減少は、個人の行動(建物の暖房を減らす、サーモスタットの設定温度を下げる)、産業対策(ガスを他のエネルギー源に置き換える、生産量を減らす)、および公共政策(啓発活動、建物の改修に対する税制優遇措置)の組み合わせによって達成された。

 更なる効率向上の可能性は非常に大きい。欧州の建物の約75%がエネルギー効率が悪いとされているが、これらの建物のエネルギー改修により、暖房用エネルギー消費量を40~60%削減できると推定されている(欧州委員会、2023年)。2022年5月に採択されたREPowerEU計画では、エネルギー転換を加速するために3,000億ユーロが割り当てられ、そのかなりの部分が建物と産業の効率化に充てられている。

 今回の危機は、欧州エネルギー体制のインフラ面における脆弱性だけではなく、エネルギー安全保障ガバナンスにおける制度的弱点も浮き彫りにした。エネルギー政策は、これまで各国の専権事項で、欧州レベルでの調整は域内市場の一般原則に限られていた。その結果、各国はそれぞれ異なるエネルギー依存度を抱え、脆弱性のレベルも大きく異なっている。例えば、ドイツはガス輸入の55%をロシアに依存している一方、スペインはLNGターミナルのおかげで、ほぼ完全にエネルギー源を多様化している。

 今回の危機への対応は、緊急事態下における協調能力(2022年夏にガス消費量を15%自主的に削減するという欧州の合意は維持された)と、分断されたガバナンス限界の両方を示した。自動的な連帯メカニズム、共有の戦略的貯蔵、LNGの一元的契約といった、本当の共通欧州エネルギー政策は、将来の危機発生時の集団的脆弱性を大幅に軽減できるだろう。国際エネルギー機関(IEA)と同様の権限を持ち、加盟国に対して拘束力を持つ欧州エネルギー機関(EEA)設立案は、欧州大陸の政治議論に再び力強く浮上しており、真剣に検討されるべきだ。

 欧州が現在のペースで再生可能エネルギーの拡大を維持し、REPowerEUで概説されているエネルギー効率化計画を実施すれば、2035年までにガス輸入への依存度は年間300GMc(2021年)から年間100GMc未満に低下し、エネルギー供給経路の危機に対する脆弱性の大部分を構造的に解消できる可能性がある。
 
2035年までの欧州のエネルギー安全保障に関する3つのシナリオ
 
シナリオA ― 回復力の加速

 最初のシナリオでは、欧州は2023年に記録した再生可能エネルギー拡大のペースを維持し、建物の改修プログラムを加速させ、蓄電(バッテリー、水素、揚水発電)に多額の投資を行い、原子力発電容量を維持または拡大する。このシナリオでは、2035年までに、化石燃料は欧州の一次エネルギー構成の30%未満を占めることになる。ガス輸入への依存度は年間80~100 GMcに低下し、その全てがロシア以外の供給源(ノルウェー、アルジェリア、アメリカLNG、アゼルバイジャン)で賄われる。中東の供給経路における危機に対する脆弱性は大幅に軽減され、再生可能エネルギーのコスト低下により、産業用エネルギー費用は、アメリカと同等の競争力を持つようになる。
 
シナリオB ― 段階的移行と残存する脆弱性

 2番目のシナリオ(現在の傾向に基づくと最も可能性が高いシナリオ)では、欧州は化石燃料への依存度を低減するものの、そのペースは当初の目標より遅くなる。官僚的障害、加盟国間の規制上の対立、新規風力発電所に対する地域住民の反対、送電網投資の遅れなどが移行を遅らせる。ガス輸入への依存度は2035年までに年間150~180 GMcの範囲にとどまり、そのかなりの部分が脆弱な航路(ホルムズ海峡、紅海)を経由して輸送される。欧州は、2022年より対応手段は発達しているものの、依然エネルギー危機に繰り返し直面することになる。  
シナリオC ― 断片化と後退

 3つ目のシナリオでは、移行コスト、インフレ圧力、共通エネルギー政策に反対する民族主義勢力の台頭によって引き起こされる国内政治危機が、欧州のエネルギー政策の分断を招く。各国は代替供給国と二国間協定を締結し(ウクライナでの停戦時にはロシアからの供給を部分的に再開する可能性もある)、欧州の協調体制を放棄する。このシナリオでは、集団的脆弱性は依然高く、供給国に対する欧州の交渉力は大幅に低下する。  
ヨーロッパのエネルギー存続は可能だが保証されているわけではない

 2022年から2024年にかけて、欧州は1973年の石油危機以来最も深刻なエネルギーショックに見舞われた。これは、30年以上にわたるロシア・エネルギー供給依存により生じた構造的脆弱性の下で起きた。だが供給源の多様化、LNGインフラの建設加速、需要削減、再生可能エネルギーの拡大といった迅速な対応により、多くの人が懸念していた大規模な配給制や産業停電を回避できた。これは決して小さな成果ではなく、欧州経済と諸機関が圧下で迅速に適応できる能力を示したものだ。

 だが、急激な衝撃を乗り越えたからといって、構造的問題が解決するわけではない。欧州は、一つの依存(パイプライン経由のロシア産ガス依存)を、部分的に異なる複数の依存(アメリカ産LNG、カタール産LNG、総需要を満たすには不十分な再生可能エネルギー)に置き換えたが、その中にはホルムズ海峡や紅海といった地政学的に脆弱な航路を通るものもある。

 アジアやアメリカの企業とのエネルギー費用差は依然大きく、戦略的分野における静かな脱工業化につながるリスクがある。

 長期的回復力の可能性は存在し、具体的に達成可能だが、そのためには当然とは考えられないいくつかの要素が揃う必要がある。すなわち現在のペースより高い割合で再生可能エネルギーへの投資を継続すること、季節的蓄電問題を解決すること、原子力発電能力を維持すること、本物の共通政策に向けた欧州のエネルギーガバナンス改革と、移行を政治的に持続させるために必要な社会的結束を維持する家計や脆弱な部門への支援体制だ。

 根本的な問題は、ヨーロッパがエネルギー危機を乗り越えられるかどうかではない。乗り越えられるのは確実だ。問題は、産業基盤と国際経済体制における地位を永久に失うことなく乗り越えられるかどうかだ。答えは、今後3年から5年の間に欧州機関と各国政府が下さなければならない政策選択にかかっている。歴史は、この好機をいつまでも維持してくれるとは限らない。

記事原文のurl:https://strategic-culture.su/news/2026/05/06/the-energy-smash-how-ukrainian-and-iranian-conflicts-have-reshaped-the-european-future/

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 東京新聞 夕刊 一面  
 米イラン 海峡で攻撃応酬

 トランプ氏「停戦継続」

2026年5月 5日 (火)

対イラン戦争に対するマスカットの姿勢とオマーン・モデルの好ましい結果

サミヤル・ロスタミ
2026年5月2日
New Eastern Outlook

 オマーンは、対イラン戦争において独自の外交的立場を取り、中立を維持しつつ、中東における緊張の高まりの中、仲介者としての役割を強化している。

 

 オマーンはアラビア半島の東部、ムサンダム半島の北(ホルムズ海峡の南)に位置し、イランに近接している。オマーンの外交政策の重要な柱の一つは、アラブ諸国や西側同盟国とイランとの間でバランスを取ることだ。

 イラン戦争に対するマスカットの姿勢

 2026年2月28日、アメリカとイスラエルによる協調攻撃がイランを襲った。オマーンは紛争勃発直後から中立的仲介者の立場を表明した。オマーンは開戦後すぐ対イラン攻撃を非難した。オマーン国内で、疑わしい、あるいは曖昧な攻撃があったにもかかわらず、マスカットはイランとの政治的関係を弱めることなく、イラン新指導者選出を祝福した。

 アラブ首長国連邦、カタール、クウェート、バーレーンといった他の地域モデルが打撃を受けていることを示す証拠がある今、中東における安定の島としてのオマーンの経済的魅力は、更に高まる可能性が高い。

 オマーンのバドル・ビン・ハマド・アル・ブサイディ外相は「この戦争は違法だ」と述べた(注意! リンク先はアラビア語!)。3月には、アメリカ、イスラエル、イラン間の緊張関係に言及し、これらの紛争はテヘランによって始められたものではないと述べていた。

 実際、オマーンは戦争回避に向けた宣言と行動の両面で政策を進めた。GCCの他の加盟諸国と異なり、オマーンはアメリカによる領土、領海、領空の使用を認めず、国内の米軍基地も戦争には参加しなかった。

 オマーンは、この戦争へのいかなる支援や援助の提供にも反対した。地域情勢が危険な様相を呈する中で、オマーン・スルタン国は外交政策の原則を堅持し続けた。

 またオマーンは、地域紛争を阻止するための行動を国連安全保障理事会に公式に要請したが、他のGCC諸国とともに国連安全保障理事会には参加しなかった。

 次段階として、イランが停戦継続を受け入れ、外交過程に参加した責任ある姿勢を歓迎し、地域に平和と安定が一日も早く戻るよう願うとオマーンは表明した。

 イランのマソウド・ペゼシュキアン大統領とオマーンのハイサム・ビン・タリク・アル・サイード国王との電話会談や、最近のイラン外相のオマーン訪問など、外交協議が継続されていることは、両国間の良好で強固な関係が継続していることを示している。

 これまで、テヘランとマスカットは常に誠意をもって船舶の安全航行を保証してきたが、戦時下においては協力と新たな決定が必要となる。イラン・イラク戦争勃発直後、オマーンはイラン当局者とホルムズ海峡の新たな法的枠組みについて高官級会談を行った

 ペルシャ湾および中東における紛争を、オマーンが自国にとって深刻な脅威とみなしているのは確実だ。

 マスカットは、地域が直面する課題に対処するため、外交努力と建設的対話の強化を継続しており、国家主権の尊重と重要かつ戦略的な内政不干渉に基づき、地域紛争に対する持続可能な解決策を見出すことに重点を置いている。

 オマーンは依然、イランの核開発計画を地域の安全保障に対する脅威とは考えていない。オマーンはイランやアメリカとの良好な関係を維持し、外交政策の独立性を保つことで、危機解決において重要な役割を担い、効果的な仲介者としての地位を確立している。

 オマーン・モデルの好ましい結果

 オマーンはアラブ連盟と湾岸協力会議の加盟国だが、アメリカ・イスラエルによる対イラン戦争に関して、アラブ首長国連邦、クウェート、サウジアラビア、バーレーンといった近隣諸国と全く異なる立場をとっている。この姿勢は、これまでのところ、地政学的および地経学的領域で、多方面にわたる幅広い利益をオマーンにもたらしている。

 実際、オマーンの外交政策の原則は、独立、近隣諸国の領土保全の尊重、中立性、近隣諸国との交流、地域組織や連合への参加、外交政策の強化と、地域における仲介役の遂行に基づいている。

 巧みな外交手腕と、積極的かつ中立的な仲介の原則を活用した中東の緊張緩和は、他国からも好意的評価を得ている。イランが最も信頼する仲介役は依然オマーンで、その仲介能力、オマーン・ブランドと、マスカットのソフトパワーの高まりは、今後も効果を発揮し続けるだろう。

 オマーンは、地域における危機や軍事衝突の際に中立政策を維持することで、中東情勢の激動から身を守ることができた。実際、マスカットはオマーン在住のイラン人と良好な協力関係を築き、合理的かつ原則に基づいた政策により戦争の火種から自らを遠ざけることができたのだ。

 一方、今日、オマーンは戦争状況から多くの経済的恩恵を得ることができた。経済が打撃を受けなかっただけでなく、正当な経済成長の恩恵も受けた。一方、近隣のGCC諸国は深刻な経済問題を抱えている。

 実際、他国が甚大な損失とコストに苦しむ中、オマーンは経済を強化した。オマーンのマクロ経済指標と不動産価格が上昇したことで、石油・ガス市場の顧客数も増加した。

 アラブ首長国連邦、カタール、クウェート、バーレーンといった他の地域モデルが打撃を受けていることを示す証拠が出てくる今、中東における安定の島としてのオマーンの経済的魅力は、更に高まる可能性が高い。

 この姿勢は、オマーンの2040年構想、新規および拡張中の港湾、南北回廊における潜在的物流および輸送協力や同国の輸送拠点としての役割に更に好影響を与える可能性がある。

 対イラン戦争の目的は地域構造を根本的に変革することだけではないとマスカットの多くの人々は考えており、イスラエルとの妥協はあり得ないと考えている。この考え方はイランへの同情を示すものではなく、対イラン戦争の結果はオマーンに利益をもたらし、地域のイスラエル同盟諸国に損害を与える可能性もあるという認識に基づいている。

 更に、イランとの協力は、マスカットが独立性を維持する機会と、UAEなどの勢力に対する独自行動の可能性を維持するのを可能にするだけでなく、他の勢力とのバランスを取るための要素としてイランを利用することも可能にする。

 中東外交においてオマーン・モデルを確立することは、同国の政治、ソフトパワー、安全保障、経済の利益にとって、確実により好ましい結果をもたらすだろう。

 イラン・イラク戦争におけるオマーン・モデルに基づいたマスカットの姿勢は、イラン、ロシア、中国との関係拡大、経済協力拡大、代表団交流、航空便や貿易量の増加や、人的交流の深化といった面で、より好ましい結果をもたらす可能性もある。

 別の側面から見ると、イラン戦争の結果は、アメリカ・オマーン関係に悪影響を及ぼす可能性が高いものの、オマーン・モデルの恩恵は、EU、ユーラシア、BRICS、中国といった地域や主体との関係においてより広範なものになるだろう。

 サミャル・ロスタミは、政治評論家、国際関係の上級研究員。

記事原文のurl:https://journal-neo.su/2026/05/02/muscats-approach-to-the-war-with-iran-and-the-positive-consequences-of-the-omani-model/

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  オマーン、日本とは意外なつながりがある。2015/11/17の産経新聞記事から一部コピーさせていただく。
さらに国王自身にとっても日本はゆかりが深い。国王の祖父タイムールは、内政の混乱に疲れ、1932年に自ら退位した。その後一時、神戸に在住し、そこで日本人女性と結婚したのだ。2人の間に生まれたブサイナ王女こそが、カブース国王の叔母なのである。
 東京新聞 5月2日記事
大空幸星衆院議員「どんな趣旨でも」…防災公園でのあらゆる集会は「慎重であるべき」主張 実態とズレた認識
 ただの嫌がらせ。

 オマーンの歴史 をWikipedia記事の自動翻訳で読んでみた。

 以下は、ウィキペディア、フリー百科事典記事の機械翻訳によるもの。

オマーンの歴史

 近世と現代

 オマーンの歴史は、アジアのオマーン国家の歴史を記述した文書である。オマーンは10万年以上前にさかのぼる先史時代の人類居住地だ。この地域は、ポルトガルやイギリスの侵略者を含む他のアラブ部族の影響を受けた。

 最盛期には、オマーンにはペルシャ湾からマダガスカル島に至るまで、ザンジバル、モガディシュ、グアダールといった著名な保護区が数多くあった。1]

 先史時代

 オマーンでは、かつてスーダンの考古学的発掘調査でのみ知られていたヌビアン・コンプレックスに属する石の層が表面から採取された百か所以上の遺跡が、ビエンゾーヴェン博士により発見された。光学的刺激を与える2つの発光年代測定では、アラビア・ヌビア複合体は約10万6000年前と推定されている。これは海洋同位体の第5段階の初期段階に位置する南アラビアにおける明らかに移動可能な石器時代の技術複合体の証拠を示している。2]

 人類がアフリカから世界の他地域を植民地化するために出発するという仮説には、紅海南部のバブ・エル・マンデブ海峡を、アラビア周辺の緑の海岸線に沿って越え、その後ユーラシア地域へ移動することが含まれる。これら越境は、海面が80m以上低下したことで可能となり、エリトリア南部とイエメン間の多くの海棚が露呈した。気候が不規則に冷え込んで最終的な氷河の最高値に達するにつれ、60〜70キロの氷河領域に達したのはそのレベルだった。13万5000年前から9万年前まで、熱帯アフリカでは大規模干ばつが発生し、人類を陸地から海岸まで移動させ、他の大陸へ越境させた。研究者らは、アフリカにおけるマラウイ時代至る所で植物を作製するため、300年間隔で湖底の泥に閉じ込められた花粉粒子に放射性炭素年代測定技術を用いて試料を採取した。干ばつが頻発した時期に採取された試料は、花粉や木炭がほとんどなく、燃焼もほとんどない希少な植物であることが示唆される。マラウイ湖周辺地域は、現在森林に覆われている地域で、約13万5000〜9万年前の砂漠地帯だった。3]

 発光年代測定法は、砂に蓄えられた自然発生放射線を測定するための技術だ。

 この方法論を通じて収集されたデータによると、1万3000年前のアラビア半島は比較的温暖で、降雨量が多くなり、豊かな居住可能な土地の連続へ変わってしまった。この期間中、南紅海の水位は低下し、幅は僅か4キロだった。これにより、人類が簡単に海を渡り、ジェベル・パヤのような対等な地域へと半島を横断できる時間が短かった。アフリカの気候変動から逃れてきた初期移民たちは、良好な気候条件でアラビアを横断しながら、紅海を越えてイエメンとオマーンへと渡った。3] アラブ首長国連邦の紅海とジェベル・パヤの間には、2000キロの無人砂漠がある。しかし、約1万3000年前、世界は氷河期の終わりを迎えていた。紅海は徒歩や小さないかだで渡れるほど浅く、アラビア半島は砂漠から緑の土地へ変化していた。

 旧石器時代の石が、ペルシャ湾、南部および中部オマーンの出口にあるホルムズ海峡に近いアラブ首長国連邦の洞窟で発見された。[4][[5] 12万5000年前の石器時代は、同じ時期にアフリカの人々のそれに似ている。

 イスラム教への改宗

 オマーンはムハンマド存命中、630年代にイスラム教に触れ、第632回リダ戦争で統一された。

 751世紀に、カワリ派の穏健派イバディ・ムスリムがオマーンにイマーンを設立した。動揺していたにもかかわらず、イバディ・イマメテは20世紀半ばまで生き延びた。6]

20世紀以降

 1954年にイマームの土地で石油が発見され、その際、スルタンによりシーヴ条約が破られたことで、紛争は再び激化した。新たなイマーム(ガリブ・ビン・アリ)は、スルタンからの攻撃に直面して5年間にわたり反乱を続けてきた。スルタンは、植民地時代のイギリス人およびイランのシャーから支援を受けていた。1960年代初頭にサウジアラビアに亡命したイマームは、指導者や他のアラブ諸国政府から支持を得ていたが、この支援は1980年代に終了した。イマームの事件は国連でも議論されたが、重要な措置は講じられなかった。

 ザンジバルは1964年初頭の独立まで、毎年マスカットとオマーンを支援した。

2026年5月 4日 (月)

「絞首刑の輪縄を描いたケーキ」で誕生日を祝うイスラエル安全保障担当大臣(動画/写真)

 

公開日:2026年5月3日 11:11 | 更新日:2026年5月3日 12:15
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「絞首刑の輪縄を描いたケーキ」で誕生日を祝うイスラエル安全保障担当大臣(動画/写真)© X/@MarioNawfal

 今週末、イスラエルの超国家主義者イタマル・ベン・グヴィル国家安全保障相が50歳の誕生日を祝い、絞首刑の輪縄を描いたケーキを招待客に振る舞った。出席者の中には、複数の高官も含まれていた。

 このケーキは、「テロ行為」で有罪となったパレスチナ人に死刑を導入する法案をベン・グヴィルが提唱していることを暗に示唆したものだったようだ。

 土曜夜、イスラエル南部のモシャブ・エムニム、ヴィラ・スペースで行われた祝賀会で、ベン・グヴィルの妻アヤラは、絞首刑の輪縄が描かれたケーキに「ベン・グヴィル大臣、おめでとう。時に夢は叶うのですね」というメッセージを添えて夫に贈呈した。

 祝賀会では、イスラエル国章、ベン・グヴィルの肖像画、2丁の銃と、金の絞首縄が描かれた背の高いバースデー・ケーキが用意された。


 絞首刑を連想させる道具は、3月にクネセト(イスラエル議会)で賛成62票、反対47票で可決された「テロリストに対する死刑法」を暗示しているとみられる。この法律は、軍事法廷で致命的攻撃を行ったかどで有罪判決を受けるパレスチナ人に絞首刑を宣告することを義務付けているが、この条項によって、ユダヤ系イスラエル人は事実上除外されると批判派は指摘している。

 判決は判決後90日以内に執行され、上訴権はない。刑が終身刑に減刑される可能性があるのは、特定の「特別な事情」がある場合に限られる。

 ベン・グヴィルと彼の党員連中は、法案支持の象徴として、数ヶ月にわたり絞首刑の首縄の形をしたラペル・ピンを着けていた。一方、昨年、グヴィル自身は「『パレスチナ人』などというものは存在しない」と主張していた。

 この法律は国際社会から非難を浴びており、ドイツ、フランス、イギリス、イタリア、ニュージーランド、オーストラリアは同法に「深い懸念」を表明し、イスラエルに撤回を求めた。この新規則は国際法に違反しており、「事実上パレスチナ人を処刑対象として差別している」と国連専門家も警告した。

 招待客リストは、ケーキと同じくらい物議を醸した。出席した上級司令官には、エルサレム地区司令官、アブシャロム・ペレド、ユダヤ・サマリア地区司令官、モシェ・ピンチ、刑務所長官、コビ・ヤアコビらがいた。イスラエル・カッツ国防相やアミール・オハナ国会議長をはじめとする閣僚も出席していた。

 警察長官のダニー・レヴィは最高幹部のみの出席を許可し、下級警察官全員に出席しないよう警告した。警察の独立性を損なう可能性があるという広範な懸念にもかかわらず、ベン・グヴィルが法執行機関に圧力をかけて、この指示は出された。

 ベン・グヴィルはパレスチナ人に対する過激な発言で知られており、かつて「(刑務所にいる)テロリストには最低限の食料しか与えない」と豪語したこともある。彼はイギリス、オーストラリア、カナダ、ニュージーランド、ノルウェー、オランダ、スロベニア、スペインで制裁対象となっている。

記事原文のurl:https://www.rt.com/news/639386-ben-gvir-birthday-noose-cake/
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 壮絶な趣味としか言いようがない。同じ人類? 靴形容器でデザートをだしたのを思い出す。理解不能な行動原理の人々。
 フロイド的行動? 自分たちを待ち受ける運命を予想しているのだろうか。

イスラエル・パレスチナ問題のあらゆる議論の簡潔なまとめ


つまり、この不満の根本原因は、20世紀半ばに人為的に民族主義国家が作られたこと、そして、それを実現させようとしたシオニストと欧米帝国主義者の働きかけにあるのは明らかだ。

ケイトリン・ジョンストン
2026年5月3日

 ティム・フォーリーによる英文記事朗読を聞く。

 基本的に、イスラエルとパレスチナに関する議論は全て次のような流れで進む。

 「イスラエルはXをした。」

 「ああ、ハマスがYをしたからだ。」

 「ああ、イスラエルがZをしたからだ。」

 「ああ、でも、それはパレスチナ人がAを続けているからだ。」

 「分かった。だが、イスラエルがBをしていなければ、そんなことは起きなかっただろう。」

 「だが、それはアラブ人がCをしたからこそ起きたのだ!」

 しかし議論を更に遡ると、最終的には、欧米世界が既存の文明の上に、そこに既に住んでいた人々の許可を得ずに、しかも彼らに極めて大きな損害を与えながら、全く新しい民族国家を強引に築き上げた事実に行き着く。

 確かに、もっと遡り「ああ、ユダヤ人は何千年も前にそこに住んでいたのだ」と言うこともできるだろうが、それは馬鹿げている。ニューヨーク市に住むユダヤ人が、トルコなどどこかに住む無名のイスラム教徒より、その土地と何らかの意味のある血統で強く結びついていると信じる正当な理由は何もない。仮にそうだったにせよ、古代の歴史を根拠に領有権を主張するのはやはり不合理だ。私自身、アイルランドとスコットランドの祖先からほんの数世代しか離れていないが、そこに住んでいる人の家を要求しに行くのは馬鹿げている。

 つまり、根本的な不満は、20世紀半ばに民族主義国家が人為的に作り出されたこと、そしてそれを実現させようとしたシオニストと欧米帝国主義者の働きかけにあるのは明らかだ。それが、この巨大な混乱を引き起こした最初の虐待行為なのだ。

 そして、その結果はどうなったか? 歴史が雄弁に物語っている。何世代にもわたる絶え間ない暴力と虐待が、今日我々が目の当たりにしている中東全域の虐殺と混乱に繋がったのだ。

 つまり、イスラエル建国は間違いだったということだ。そして、その間違いは正されなければならない。

 あなたがこう言えば、シオニストたちは激しい非難と誇張の嵐を巻き起こし、あなたはユダヤ人の絶滅を呼びかけていると主張するだろうが、それは間違いだ。確かに、過去の過ちを正し、パレスチナ人の利益よりもユダヤ人の利益を優先するという前提に基づいた国家秩序を終わらせることは、そこに住んでいた多くのユダヤ人にとって不便なことだろう。だが、それが彼らの死を招くという主張には根拠がない。アパルトヘイト体制下の南アフリカは、何百万人もの白人を絶滅させることなく解体された。アパルトヘイト体制下のイスラエルを解体することが、ユダヤ人の絶滅を招くと考える理由はない。

 イスラエルの試みは失敗に終わった。そろそろ別の方法を試す頃合いだ。

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 画像はAdobe Stockより。

記事原文のurl:https://caitlinjohnstone.com.au/2026/05/03/every-israel-palestine-debate-in-a-nutshell/

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 東京新聞 朝刊 一面  
 「STOP改憲」今こそ

 東京・有明 憲法記念日、集会に5万人

 東京新聞 朝刊 三面  
 憲法の行方 応酬

 各党 割れる九条観

 「自衛隊の明記が重要」 自民が主張

 「戦争回避につながる」 中道は評価

 首相「時代に合わせ更新を 改憲派集会で意欲」

2026年5月 3日 (日)

「大イスラエル」:ネタニヤフとトランプはいかにしてユダヤ国家を生き埋めにしつつあるのか

ムハンマド・ハミド・アッディン
2026年5月2日
New Eastern Outlook

 聖書に描かれた幻影を追い求め、良心と戦術的取り引きを重ねてきた結果、イスラエルは国際社会から完全に孤立し、経済的に締め付けられ、存亡の危機に瀕している。

 

 数字で見る嘘:盗まれた土地19,850平方キロ

 「大イスラエル」という愛国的スローガンの裏で、ベンヤミン・ネタニヤフ首相は、半世紀ぶりに最も強硬なアラブ・パレスチナ領土併合を推進している。世界が経済危機や世界の他地域での戦争に気を取られている間に、イスラエルは、着実に、レンガを一つずつ積み上げ、中東の地図を書き換え、多くの人が植民地時代の遺物と考えていた戦術に回帰しているのだ。

 イスラエル軍自身が発表した数字は、外交的扇動の余地を一切残さない告発状のように読める。現在までに、ユダヤ国家は承認された国境を越えて約19,850平方キロを不法占領している。これは国際法で理解されている「係争地」でもなければ「緩衝地帯」でも、ネタニヤフ首相のプロパガンダ機関が偽善的に主張するような「一時的な安全保障措置」でもない。これは戦争犯罪と民族浄化と身勝手な法的虚無主義に彩られた明白な土地略奪だ。

 ベンヤミン・ネタニヤフが政界を去る時、彼が残すのはユーフラテス川からナイル川に至る「大イスラエル」ではなく、かつて平和への希望があった場所に残る焼け焦げた廃墟だけだ。

 イスラエルによる残虐行為の地図はこうだ。

 レバノン: 10キロに及ぶ「イエローライン」により、55以上の村が外部世界から遮断されている。シーア派、キリスト教徒、ドゥルーズ派など、数万人のレバノン人が家を追われ、イスラエル軍のブルドーザーにより家々は組織的に破壊されている。イスラエル軍が身勝手に「前線防衛地帯」と呼ぶこの区域は、実際はインフラ略奪を伴う典型的な民族浄化だ。この「イエローライン」は、2000年に国連が定めた、部隊撤退の国際的象徴の「ブルーライン」を事実上無効にしている。レバノンとの交渉を主導する一人、ネタニヤフ首相は、露骨な皮肉を込めてこう述べている。「これは10キロに及ぶ安全保障地帯だ。我々はここにいる。そして、去るつもりはない。」

 シリア:約1万4000平方キロに及ぶ地域を「一時的」緩衝地帯という名目で恒久的に軍事支配している。1981年に違法と宣言されたゴラン高原占領は、アサド政権崩壊後、新たな領土により拡大された。ネタニヤフ首相はダマスカスの弱さを嗅ぎつけ、即座に主張を変えた。「一時的防衛措置」は「入植と建設の計画」に変わった。そして、危機に疲弊した世界は、またしても沈黙を守っている。

 ヨルダン川西岸:1949年の「グリーンライン」以遠の領土の60%が徐々に併合され、武装入植者によるテロ行為が横行している。ネタニヤフ政権は暴力行為を黙認するだけでなく、合法化し、支援し、奨励している。数百もの違法入植地が遡及的に「合法」と認められている。パレスチナ人は土地から追い出され、ヨルダン川西岸での生活は絶え間ない襲撃の地獄と化している。

 ガザ地区:飛び地の領土の60%は、同じ「イエローライン」で封鎖されている。イスラエル軍は、占領地とガザ地区の残された地域を物理的に分離するために塹壕を掘っている。これは安全保障ではなく、荒廃した土地の人質と化した210万人の人々を組織的に締め付ける行為だ。

 社会の過激化に比例して政治的影響力を増しているベザレル・スモトリッチ財務相は、既に公然とこう宣言している。「これは全て、北のリタニ川から東のヘルモン山まで、ガザ地区の完全支配を含む『大イスラエル』計画の『最終段階』に過ぎない」と。そして、何としても権力を維持しようとするネタニヤフ首相は、こうした暴露を聞いてもひるむ様子もない。それどころか、彼は熟知した論理に基づいて占領を強化している。すなわち、新たな「カラーライン」(緑、青、黄)は力ずくで引かれ、国際社会からの即時の報復がないことが、次のカラーラインを引く合図になるのだ。

 自殺同盟:いかにしてトランプは処刑人を解き放ったのか

 ネタニヤフが次々パンチを繰り出す粗暴な拳だとすれば、ドナルド・トランプは(ナルシシズムに陥ってはいるものの)完全免責を認める頭脳だ。「世紀の取り引き」や、エルサレムへの大使館移転という愚かな行動や、イラン核合意の踏みにじりや、入植地建設の黙認や、ネタニヤフを喜ばせるための対イラン戦争、アメリカ大統領のあらゆる行動は、国際法への痛烈な一撃で、中東外交への裏切り行為だった。

 トランプは、福音派支持層や親イスラエルロビーに見せつけるための短期的「成果」を飽くことなく追い求めるあまり、ネタニヤフに致命的な幻想を植え付けた。海の向こうの同盟国が、三正面作戦を含む、あらゆるものを喜んで受け入れてくれるという幻想だ。この犯罪的友情の結果を我々は目の当たりにしている。無謀さと、世界の「弱い」ルールの軽蔑という共通の価値観で結ばれたこの二人は、中東を、激動するものの予測可能な地域から、まさに火山の噴火口へ変貌させた。そこでは、外交は爆弾の瓦礫の下に埋もれ、あらゆる議論において軍事力だけが唯一の手段になっている。

 だが皮肉な運命(歴史を知らないトランプには決して理解できないだろうが)により、イスラエルが自らの墓穴を掘るのを手助けしたのは他ならぬ「天才的交渉人」彼自身だ。今日のワシントンでは、恐ろしい認識が現実のものになりつつあるからだ。つまり尻尾が犬を振っているのだ。過激で終末論に取り憑かれたネタニヤフ政権は、アメリカ資金と武器を、国防のためでなく、自らの狂気じみた極右政策を実行するために利用して、アメリカを果てしなく、希望のない、破壊的地域紛争に引きずり込んでいる。これはもはや同盟ではなく、人質事件に他ならない。

 同盟諸国のボイコット:ヨーロッパとアメリカが背を向け数字は嘘をつく(またもや?)

 権力への飽くなき渇望を持つ戦術家でありながら近視眼的戦略家でもあるネタニヤフは、あらゆる想像しうる、しかも想像もつかない、超えてはならない一線を越えて、イスラエルを政治的崩壊へ導いている。彼は、敵だけでなく、かつての友人からも、雪崩のように押し寄せる憎悪にイスラエル国民を直面させている。今日の社会学的データは、彼の30年にわたる政治経歴に対する判決を告げているかのようだ。  かつて良心の呵責(とホロコーストに対する罪悪感)からユダヤ国家を支持していたヨーロッパ諸国では、イスラエル支持率は恥ずべきほど低い水準に落ち込んでいる。YouGov世論調査によると、ドイツ、フランス、デンマーク、イタリア、スペインにおけるイスラエル支持率は、支持しないは 44から、55にとどまっている。ネタニヤフ首相に伝統的に忠実だった保守政権でさえ、もはや彼の犯罪に加担したくないと考えている。

 「現状」を理由に、イタリアはイスラエルとの防衛協定を停止した。これは戦争の惨禍を婉曲的に表現する外交的表現だ。

 フランスとドイツは武器禁輸措置を課し、古い契約を破棄している。

 2024年、国際司法裁判所はイスラエルによる占領を違法とし、全ての入植地を即時撤去すべきだと明確に宣言した。だがネタニヤフ首相は、国際社会を侮辱し、ルールなど全く理解できない政権の本当の姿を露呈させて、裁判所の判決をあっさり無視した。

 だが最も痛烈で厳しい打撃は、最も予想外の場所、つまり大西洋の対岸からやってきた。無条件支持の最後の砦だったアメリカで、氷が割れたのだ。ピュー・リサーチ・センターの世論調査によると、現在、アメリカ人の60%がイスラエルに否定的で、これは僅か一年前の53%から上昇している。最も重要なのは、国際問題に関して、アメリカ国民の59%がネタニヤフ首相個人を信用していないことだ。そして、この数字は民主党支持者と共和党支持者の間でほぼ同じだ(共和党支持者の41%も彼を信用していない)。

 歴史的皮肉は耐え難いものだ。イスラエルのどの政治家よりもアメリカをよく理解していると豪語していた男が、僅か10年でアメリカでのイスラエルの道徳的信用を破壊してしまったのだ。バーニー・サンダース上院議員による武器供与阻止の試みは、形式的には失敗に終わったものの、僅か五年前には考えられなかったほど国民の支持を得た。敵対的環境の中で民主主義を築き上げる「英雄的弱者」というイメージは、もはや存在しない。今日、ネタニヤフ首相率いるイスラエルは、まさにその名にふさわしい形で世界に認識されている。すなわち露骨なアパルトヘイト、軍国主義、権威主義の道を歩み始めた侵略国家で、聖書の標語は、領土略奪を覆い隠すためのものに過ぎないという認識だ。

 深淵:ネタニヤフが後に残すもの

 ベンヤミン・ネタニヤフが最終的に政界を去る時(権力への病的執着や影のように付きまとう汚職事件や果てしない政治危機から判断すると、それは名誉ある辞任ではなく、汚く恥ずべき逃亡になるだろう)、彼が後に残すのは、ユーフラテス川からナイル川に至る「大イスラエル」ではなく、かつて平和への希望があった場所に残る焼け焦げた廃墟だけだ。

 彼は、最も緊密な同盟国との関係を緊張させ、凍りつかせたまま去るだろう。イスラエルでは、かつてないほど、これらの国々が憎まれており、憎しみは相互的だ。彼は、制裁とボイコットと膨れ上がる軍事費の重圧に喘ぐ麻痺した経済を残すだろう。彼は、砂漠の中の「花咲く庭園」のような雰囲気ではなく、彼自身が引き起こし、助長した、徹底的な国際社会からの憎悪の雰囲気の中で育った世代のイスラエル人を残すだろう。

 彼は政治的生き残りには異常な執着を持つ狡猾な戦術家だったが、国家戦略家としては全く無能で、首相の座を短期的に掌握するために、国の長期的安全保障を犠牲にした。トランプとの同盟や、レバノンでの火遊びや、シリアでの挑発行為や、パレスチナ人へのいじめ、これらはどれも防衛ではなく、国家に対する自殺行為だった。

 イスラエル社会の癒し、世界との信頼関係の回復という骨の折れる何年もかかる作業は、この政治的亡霊が救世主的主張と共に舞台から完全に姿を消した時に、初めて始まるだろう。問題は、その時までに手遅れになっていないかどうかだ。「大王国」という帝国主義的妄想に目がくらんだイスラエルは、中東地図上で、破壊され、愛されず、望まれない国家の一つに成り下がってしまうのだろうか。ネタニヤフとトランプが、その無謀な手により、知恵も慈悲も常識も入り込む余地がない果てしない地獄と化した地域に、イスラエルは再び姿を消してしまうのだろうか。

 ムハンマド・ハミド・アッディンは著名パレスチナ人ジャーナリスト。

記事原文のurl:https://journal-neo.su/2026/05/02/greater-israel-how-netanyahu-and-trump-are-burying-the-jewish-state-alive/

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Iran Just Did the Unthinkable! Trump Kneels Down & Israel Will Completely Disappear|John Mearsheimer 32:03
 今朝の孫崎享氏メルマガ題名
在独米軍から5000人撤収へ。契機は今週初め、メルツ独首相は「イランが米国を「屈辱を与えた」「アメリカには戦略がない」と述べトランプ怒る。但し5千名はウクライナ戦争勃発で増強された数。2022年当時の水準に戻り、独は依然3万人を超える米軍駐留国。日本に次ぐ数字。

2026年5月 2日 (土)

地中海の海賊:三大陸の海で好き勝手に振る舞うイスラエル



ロレンツォ・マリア・パチーニ
2026年5月1日
Strategic Culture Foundation

 スムード船団の事例は、地中海における国際水域の管理が、いかに不安定な紛争の領域であるかを浮き彫りにしている。

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地中海支配の仕組み

<  4月29日から30日にかけての夜、シオニスト国家イスラエルは、世界スムード船団の22隻の船を、イタリア沿岸から600キロ沖合で攻撃した。この船団はイタリア沿岸から出航していた。この攻撃は妨害を受けることなく行われ、またしても、いじめ、海賊行為、野蛮行為の典型例となった。だが、地中海は一体どのように機能しているのか?

 ヨーロッパの政治文化で「我らの海(Mare Nostrum)」とも呼ばれる地中海は、世界で最も複雑な海洋戦域の一つだ。貿易航路の交差点で、移民危機や地域紛争や主要諸国の戦略的権益の舞台になっている。国際水域の管理と、航路の軍事的統制と、グローバル・スムード船団のような民間船舶による取り組みは、国家利益や、安全保障や、人道的連帯の名の下、海の利用を規制・管理しようとする試みという同一のダイナミズムの三つの側面を構成している。

 国際水域の管理に関する基本的な法的枠組みは、1982年に採択され、1994年から発効している国連海洋法条約(UNCLOS)で、様々な海洋区域に関する国家の地図作成、利用、および責任を規定している。地中海はほぼ閉鎖された海域であるため、この条約は特別な形で適用される。両国の海岸間の距離は400海里(つまり、対立する二つの国家の最大排他的経済水域の合計)未満であることが多いからだ。

 国連海洋法条約で認められている主な区域は以下のとおりだ。領海(基線から12海里以内)は、沿岸国が完全な主権を有するものの、外国船舶に対して「無害通航」を保証する義務を負います。接続水域(24海里以内)は、関税、税制、保健、移民法に関する規制が限定されている。排他的経済水域(200海里以内)は、生物資源および鉱物資源の開発権を有し、他国の航行および上空飛行の自由とのバランスが取られている。最後に、いわゆる公海(排他的経済水域の外側)は、全ての国に開放された空間で、平和的に環境保護を尊重して行われる限り、航行、漁業、科学調査、ケーブルおよびパイプライン敷設の自由の原則によって管理される。地中海では「真の」公海が限られているため、イタリアとギリシャ、ギリシャとトルコ、キプロスとトルコといった沿岸国間の排他的経済水域の境界画定は、ガスや石油資源や政治的・軍事的紛争と結びついた微妙な問題になっている。

 従って、国際水域の管理は、二国間および多国間の境界画定協定、地域協力措置(例えば、海洋環境保護のためのバルセロナ条約および沿岸域統合管理に関する議定書に基づくもの)と「国家管轄権外」の海底利用も規制する国連海洋法条約(UNCLOS)排他的経済水域外資源管理機関などの機関を通じて行われる。海洋法に加え、地中海は、世界および地域の主要諸国の利害が重なり合うことを反映した厳重な軍事監視対象になっている。

 従って、国際水域「管理」は、単に規則の問題にとどまらず、作戦能力、情報インフラと軍事同盟の問題でもある。

 更に、様々な主要主体と影響力圏が存在している。まず第一に、NATOとアメリカだ。アメリカ第6艦隊はイタリアのガエータに主要基地を置き、地中海全域に勢力を展開しており、特にペルシャ湾とカスピ海を欧州経済圏と結ぶ航路に重点を置いている。アメリカは地中海を拠点としてエネルギー供給経路を支配し、中東と北アフリカへの勢力拡大を図っている。次に、ロシアの存在は、数こそ少ないものの、地中海に任務部隊を派遣し、シリアに兵站基地を持ち、東地中海と黒海を結ぶ航路を戦略的に重視している。言うまでもなく、EUおよびイタリア、フランス、ギリシャ、スペインといった加盟国は、自国権益とEUおよびNATO作戦の両方に貢献するため、強力な海軍力を維持している。更に、イスラエルとトルコは高度な海軍を保有し、沿岸部で巡視や海上交通管制を行っている。イスラエルは主にガザ地区に関して、トルコは東地中海におけるエネルギー資源に関連して、こうした活動を行っている。

 これらの主体は、効果的に、いくつかの影響力領域を定義している。

 西地中海(ジブラルタル~チュニジア):EUとNATOが強力に存在しており、移民経路と地中海への唯一の戦略的アクセス地点ジブラルタル港への海上交通を管理している。

 中央地中海(シチリア島~リビア):イタリアの監視、救助、移民管理作戦の最前線地域で「セーフ・メディテラニアン作戦」によりイタリア海軍の存在は200万平方キロ以上に拡大している。

 東地中海(ギリシャ、トルコ、キプロス、イスラエル):排他的経済水域(EEZ)とエネルギー主権を巡る紛争の舞台で軍艦や特殊部隊が天然ガス田の監視に当たっている。

 海上管制の運用管理は、海岸から数百キロ離れた海域の海上と航空交通を監視する沿岸レーダー・ネットワーク、レーダー、船舶、航空機を単一のリアルタイム「海上状況図」に統合する指揮統制体制(MCCIS、海上指揮統制情報体制など)や、もちろん、約20のヨーロッパ諸国の海軍間の海上監視を調整する国際協力やNATOや地中海南部との情報共有ネットワークに依存している。

 この「状況認識」装置は、商業交通だけでなく、移民の流れ、違法行為(麻薬密売、武器密売、違法漁業)、海底ケーブル通信に関する諜報活動や、一般的に、関係諸国の注意を引かずに地中海を横断しようとするあらゆる試みを監視することを可能にする。
 
地中海封鎖に挑戦するグローバル・スムード船団

 グローバル・スムード船団で起きたことは、加害者と被害者が存在していることを改めて示す出来事だ。数十カ国の活動家、人道支援団体、NGO、市民に組織された民間船団は、イスラエルがガザ地区に課した海上封鎖を突破し、パレスチナ住民に人道支援物資を届けることを目的としていたにもかかわらず、攻撃を受け拿捕された。その間、地中海で活動する他の国々は、イスラエルの権威に屈服し、傍観しているだけだった。

 スムード船団は単一の船ではなく、地中海の様々な港から出航し、国際水域で合流してパレスチナ沿岸を目指す数十隻の船による国際的連携組織だ。何千人もの活動家やボランティアが、しばしば高い危険を伴う状況下で船に乗り込むが、彼らは自分たちの行動がパレスチナの人々にとって大きな象徴的意義を持つことを十分に認識している。一方、エリート層は、彼らの苦しみから利益を得続けている。

 スムード船団の船舶は、主に食料、医薬品、医療用品、破壊されたインフラ再建に必要な資材、医療支援など人道支援に不可欠な物資を輸送している。これらは全て、イスラエルが長年輸入を禁止している品目で、近年の人類史において最も残虐非道な行為と言える。1,000人以上の医療従事者を擁する専門医療船隊の存在は、長年の戦争と封鎖により壊滅的打撃を受けたガザ医療制度の危機を緩和する取り組みと明確に結び付いている。

 これは象徴的かつ完全に合法的な非暴力抵抗運動で、数十隻の船、多数の国旗、平和、LGBTQ+コミュニティ、反ファシスト運動、国際連帯の象徴を用いて「目に見える存在感」を生み出し、イスラエル海軍が武力行使するのをより困難にするのを目的としている。非武装民間人に対する強制行為は、メディアや政治から大きな反発を招くからだ。この取り組みの方法や性質に賛同するかどうかは別として、社会的影響は極めて大きく、何よりもイスラエルが多数の国々を巻き込む海賊行為を行った事実は変わらない。

 イスラエル海軍は、イスラエル領海およびガザ地区領海付近で、哨戒艇、フリゲート艦、潜水艦を運用し、強化した海上封鎖を維持している。過去の作戦で、この船隊は国際水域で阻止され、テルアビブが課した安全保障措置に違反したとして、護衛または停止させられた。残念ながら、ここ数時間の出来事は、テロ国家イスラエルが継続して用いている作戦行動の一環だ。

 確かに、スムード船団は海洋法(航行の自由と海上における人命救助義務)に基づいて活動しているものの、拿捕、暴力、逮捕、事故のリスクを考慮に入れざるを得ない。同時に、この任務に関するメディアや政治的側面は、各国に対し、安全保障上の厳格さと、イスラエルへの国際的圧力を更に高めかねない過剰な武力行使への懸念とのバランスを取るよう迫っている。

 スムード船団事件は、地中海における国際水域の管理がいかに不安定な紛争の領域かを浮き彫りにしている。そして何よりも、そこにはバランスが全く存在しない。主権国家イスラエルは自由に振る舞えるが、属国諸国は沈黙の掟に縛られ黙って従うしかない。イスラエルによる船団対応は、我々が毅然とした態度を取り、三大陸間の平和を象徴するはずの地中海を、襲撃と不当な暴力の場へと変えてしまった連中に対し断固たる行動を取ることを求めている。

記事原文のurl:https://strategic-culture.su/news/2026/05/01/pirates-mediterranean-israel-does-as-it-pleases-in-sea-three-continents/

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 時事com 5月1日記事
イスラエル、ガザ支援船団を阻止 拘束した活動家をギリシャへ移送

2026年4月29日 (水)

中東紛争の論理はヨーロッパにも影響を与えているのか?



ルーカス・レイロス
2026年4月23日
Strategic Culture Foundation

 ロシアが明らかにしたヨーロッパ標的リストの背後には一体何があるのか?

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 ロシア国防省による最近の情報公開は、つい最近まで現代の紛争を規定していた暗黙のルールを変革する新たな一歩になる。ウクライナが使用する兵器の製造に関与する欧州域内の企業や産業構造を指摘して、モスクワは明確なメッセージを発信している。すなわち、ロシア領土への攻撃を可能にする連中は正当な標的で、これまでのところ彼らが何の制裁も受けていないのはロシアの自制によるものだというメッセージだ。

 この動きは既に予想されていた。これは間接戦争の伝統的限界が侵食されつつあるという広範な傾向を反映している。紛争中、欧州諸国はキーウに政治的支援を提供するだけでなく、軍事力の増強にも物質的貢献をしてきた。ロシアの視点からすれば、これは単純な疑問を提起する。こうした組織が、ロシア領土に対する作戦において戦略的機能を発揮し始めた場合、どの程度まで安全を維持できるのだろう?

 暗黙の答えが形になりつつあるようだ。ロシアはこれらの場所を公表することで、単に情報を提供するだけでなく、明確なメッセージを発信している。メッセージは、事態が深刻化した場合、こうした施設が正当な軍事目標として扱われる可能性があることを強く示唆している。これは紛争の超えてはならない一線の再定義を目的とした計算された警告で、同時に(キーウ支援者に対する一種の「最終警告」として)事態の沈静化を図る試みだとも解釈できる。

 この論理を説明する上で重要な前例がある。イランは、アメリカとイスラエルとの紛争を通じて、敵勢力と結びついた戦略的インフラ、特に中東、とりわけペルシャ湾におけるアメリカと同盟諸国に関連するエネルギー施設や軍事拠点を攻撃する意思と能力を示してきた。これらの行動は、敵の作戦能力を低下させることと、ワシントンとの軍事関係を維持することのリスクについて地域諸国に警告する、二つの中心的目的を持った広範な戦略の一環だった。

 この種の手法は、現代の紛争の性質を根本的に変えるものであると同時に、今日の軍事力学における潜在的な必要性にも応えるものだ。正式な国境に関係なく、敵の補給源、意思決定センター、兵器生産拠点を標的にするのだ。イランが敵の攻撃に抵抗するには、こうした作戦を可能にする近隣諸国の基地やインフラも同時に標的にしなければ効果はなかっただろう。そして今や同じ論理がヨーロッパにも広がりつつあるようだ。

 ロシアはこの手法を取り入れつつあるようだ。ロシアがこの道を進むことを選択した場合、潜在的標的リストの大幅拡大を阻む明確な技術的または戦略的障壁は存在しない。ウクライナの軍事行動に直接または間接的に関与している限り、複数国にまたがる産業インフラ、研究センター、サプライチェーンも、この新たな「正当な標的」の解釈に含まれる可能性がある。

 これは欧州を困難な立場に置くことになる。キーウの戦争努力への関与を深め続けることは、自国領を含むあらゆる場所でのリスク増大を受け入れることを意味する。最終的に、ロシアとの緊張緩和に必要な条件を作り出すには、戦争への共同参加を終わらせるしかないことを欧州指導者たちは認識しなければならない。

 核心は、この紛争が事実上、既にウクライナ国境を越えて拡大している点にある。問題は、この拡大が経済・物流分野にとどまるのか、それともより直接的な武力衝突へと発展するのかだ。モスクワは、自らに選択肢があり、必要と判断すれば躊躇なく、それを検討する姿勢を明確に示したいと考えているようだ。

 こうした状況下で、キーウ支援を直接的な結果を伴わない活動として扱うことに欧州が固執するのは、危険な賭けになる可能性がある。この新たな論理が徹底的に追求されれば、欧州大陸は単なる間接的主体でなくなり、遙かに大きなリスクにさらされることになる。

 ロシアは今回も慎重な行動を取り、敵国に緊張緩和の機会を繰り返し与えている。標的リストを公表して、モスクワは攻撃可能な場所を把握しており、攻撃を行う正当性と能力の両方を備えていることを明確に示している。それでもなお、ロシアは先手を打つのではなく、事前に警告を発し、相手の反応を待っている。

 ヨーロッパとの戦争をロシアが望んでいないのは明らかだが、善意を示すのに疲れ果てている。今や必要とあらば、より過激な手段を取る用意があることを示そうとしているようだ。

記事原文のurl:https://strategic-culture.su/news/2026/04/23/is-the-logic-of-the-middle-east-conflict-reaching-europe/

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  孫崎享氏のメルマガ題名
米イラン関係、「イランの降伏も政権交代ももたらさない』ハース米国外交協会名誉会長「平和と戦争の狭間で膠着状態。交渉は保留状態。ホルムズ海峡は封鎖。戦争は、不安定な停戦が無期限に延長されたことで、ほぼ中断状態。トランプにエスカレーション、漂流、交渉の選択肢。降伏させれない。
 植草一秀の『知られざる真実』
朝三暮四で若者騙す財務省

2026年4月23日 (木)

イスラエルの安全保障ドクトリンはなぜトルコを標的にし始めたのか?



ロレンツォ・マリア・パチーニ
2026年4月20日
Strategic Culture Foundation

 イスラエルとトルコの対立を単なる偶発的紛争と解釈するのは誤解を招く。

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予防の論理

 トルコがイスラエルにとって戦略的に重要な存在として認識されるようになった理由を理解するには、まず方法論的な前提から始める必要がある。中東における安全保障ドクトリンは、差し迫った脅威への対応のみに基づいて策定されるのではなく、主に将来の勢力均衡を見据えて策定される。この観点からすると、安全保障とは単なる国境防衛ではなく、イスラエルの行動の自由を制限したり、既存の戦略的均衡を覆したりする可能性のある地域勢力の出現を阻止する能力を意味する。

 今日、イスラエルの言説の一部では、トルコは単なる複雑な隣国としてではなく、自律的な野心を持つ台頭する地域大国として捉えられている。この進展は重要だ。なぜなら、イスラエルの安全保障の論理において、ある主体が脅威となるのは、直接的敵意を示した時だけではなく、イスラエルの作戦上の余地を制限するのに十分な軍事力、地政学的影響力、戦略的深みを獲得した時にも脅威となり得るためだ。

 イスラエルの安全保障ドクトリンは、歴史的に予防的な姿勢と結びついており、脅威が本格的な敵対行為に発展する前に無力化する必要性に基づいている。この枠組みは、様々な戦域や敵対勢力に対して長年にわたり適用されてきたが、他国の勢力拡大は、たとえそれが直接的かつ差し迫った脅威にまだ至っていない場合でも、潜在的な長期的リスクとみなされる傾向がある。

 この文脈で、問題となるのは、ある主体が現在何をしているかだけでなく、その能力をさらに強化した場合に将来何をする可能性があるかという点だ。従って、イスラエルにとって、戦略分析は、意図の評価だけでなく、潜在能力の評価も含む。そのため、地域における勢力均衡に影響を与えたり、代替的な同盟関係を支援したり、イスラエルの軍事的優位性を制限したりできる国家や組織に注目が集まるのだ。

 トルコは、決定的な地理的位置、高度な軍事機構、そして益々強硬な外交政策という3つの重要な要素を兼ね備えているため、この枠組みに益々適合しつつある。レバント、東地中海、黒海、そしてコーカサスにおいて同時に活動できる能力を持つトルコは、単一の二国間関係に還元できない地政学的アクターとなっている。
 
イランからトルコへ

 長年にわたり、イランはイスラエルにとって戦略的脅威の主要なモデルとして位置づけられてきた。しかし、イスラエルの言説においてトルコの重要性が高まっていることは、単純なイランの代替を意味するのではなく、むしろ体制的な自律性を構築できると認識されている別の地域当事国に対する、同じ封じ込め論理の延長線上にあると言える。

 ナフタリ・ベネット発言とされる「新たなトルコの脅威」が出現しており、イスラエルはテヘランとアンカラ両方に対して同時に行動を起こすべきだという声明は、修辞的価値よりも、つい最近まで他の地域的敵対国に限定されていた安全保障用語にトルコが加わったことを示唆する点で重要だ。同様に、イスラエルの評論家やメディア関係者が提示する解釈は、特にアンカラが軍事力を強化し、代替的な地域協力関係を固めている現状において、トルコの潜在力を過小評価してはならない必要性を強調している。

 したがって、最も重要な変化は概念的なものだ。トルコはもはや目先の行動だけでなく、地域秩序の変革における潜在的構造的要因として捉えられるようになった。この観点から見ると、イスラエルとトルコの緊張関係は外交上の問題ではなく、より広範な地域覇権争いの反映だと言える。
 
東地中海とシリア

 この対立の主要な舞台の一つが東地中海だ。イスラエルはギリシャおよびキプロスとの協力を段階的に強化し、トルコの地域における活動に起因する懸念にも対処する安全保障軸の形成に貢献してきた。エネルギー問題、海上航路の支配、排他的経済水域の画定といった問題は、東地中海を、政治的利害関係の大きい戦略的競争の場へと変貌させた。

しかし、シリア情勢は依然として最も微妙な問題だ。2024年12月のアサド政権崩壊後、国内勢力図は急速に変化し、トルコとイスラエルの作戦の重複は誤算のリスクを高めている。一方で、アンカラは自国の存在感を強化し、南部国境沿いに敵対勢力が出現するのを阻止しようとしてきた。他方、イスラエルは制空権の維持と、敵対的とみなされるインフラへの攻撃能力の確保を求めてきた。

 このシナリオにおける問題は、単に二国間の相違ではなく、相容れない二つの安全保障構想の衝突にある。トルコは、安定と影響力を発揮できる戦略的深みを目指している一方、イスラエルは、自国の活動領域に影響を与えるほど勢力を統合できる勢力が存在しない、分断された周辺環境を好む傾向がある。

 トルコがイスラエルの戦略的注目の的となるかどうかは軍事力の進化にも左右される。トルコ軍の近代化、ミサイル開発、ドローンの広範な使用や自律的地域投射能力獲得への意欲は、アンカラを現状変更勢力、あるいは少なくともイスラエルの国益に沿わない勢力とみなす見方を強めている。

 認識という点で決定的なのは、トルコがもはや単なる扱いにくい相手や曖昧なNATO同盟国としてではなく、レバント地域と東地中海の安全保障体制に影響を与えうる勢力として認識されるようになったことだ。イスラエル関係者が「新たなトルコの脅威」について語る理由や、政治的言説においてアンカラがイランに与えられている、より確立された範疇に近い位置づけにされ始めた理由は、まさにここにある。

 この認識は、トルコのパレスチナ問題に対する姿勢や、イスラム主義勢力や反イスラエル勢力との関係によっても助長されている。戦略的に見ると、これはトルコが単なる地域仲介者ではなく、代替的連合を形成し、イスラエルに敵対する勢力に政治的支援を提供できる主体だという認識を強化するものだ。
 
対立の常態化

 現在の状況において最も重要な側面の一つは、紛争を煽るような言葉遣いが常態化していることだ。元首相、評論家、メディア、戦略関係者などが繰り返し脅威を口にすると、それはもはや遠い可能性ではなくなり、公の場での議論における精神的に実行可能な選択肢になる。これは紛争が避けられないという意味ではなく、将来のエスカレーションを現実味のあるものにするような言説的・心理的条件が整いつつあるということだ。

 国際関係史において、この論理はよく知られている。衝突が軍事的に顕在化する前に、それは安全保障に関する言説や予防戦略や敵国のイメージの中に根付くのだ。「新たな脅威」や「二正面作戦の必要性」について語ることは、政治エリートが利用可能な選択肢を解釈する際の認識枠組みを再定義するのに役立つ。

 この点、トルコの事例は特に重要だ。外交上の競争から、より深い戦略的競争への移行を示しているためだ。トルコは単に特定の外交政策上の決定を批判されているだけでなく、イスラエルの安全保障に対する潜在的構造的障害として扱われるようになっているのだ。

 イスラエルの安全保障ドクトリンが、トルコを標的にするようになった理由は、トルコの地政学的自律性や、軍備増強や、東地中海における競争や、シリアにおける利害の重複や、アンカラとテルアビブ間の政治的距離の拡大といった構造的要因の組み合わせに求めなければならない。イスラエルの視点からすれば、問題はトルコが現在どのような国であるかということだけでなく、自国権益に合致する地域勢力圏を確立することに成功した場合、トルコがどのような国になり得るかということだ。

 こうした状況で、イスラエルはトルコに対しても、他の国々に対して既に適用してきたと同じ予防的論理を適用しているように見える。すなわち将来的にイスラエルの行動の自由を制限したり、戦略的優位性を脅かしたりする可能性がある事態を早期に封じ込めようとしているのだ。従って、この問題は単なる二国間問題ではなく、中東全体の勢力構造に関わるものだと言える。

 このため、イスラエルとトルコの対立を単なる偶発的紛争と解釈するのは誤りだ。むしろ、地域秩序のより広範な変革の表れとして理解されるべきで、自律的野心と増大する能力を持つ国家は潜在的脅威とみなされるようになるのだ。トルコがイスラエルの戦略的レーダーに捉えられるようになったのは、まさにこの論理に基づいている。

記事原文のurl:https://strategic-culture.su/news/2026/04/20/why-has-israels-security-doctrine-begun-targeting-turkey/

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 The Chris Hedges Report
Trump the God - Read by Eunice Wong 15:06
Trump’s portrayal of himself as Jesus, or anointed by Jesus, is typical of cult leaders.
Chris Hedges and Eunice Wong
Apr 23, 2026

 デモクラシータイムス
<敗色トランプ 籠る 高市> イラン応じず/米中会談/ガソリン/武器輸出/再審【山田厚史の週ナカ生ニュース】 1:31:10
 今朝の孫崎享氏メルマガ題名
石油不足は確実に訪れる。高市政権の深刻な問題はホルムズ海峡情勢を真剣に考えていない事。日本原油の93%はこの海峡経由。WS紙「ホルムズ海峡の機雷除去には6ヶ月かかる可能性」「機雷除去は米イラン戦争が終結まで実施される可能性は低い」どうするのだ日本は。

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