イスラエル・パレスチナ

2025年3月15日 (土)

シリアの新たな流血はアメリカ政策の失敗で引き起こされた。トランプは今後どうするのか?



マーティン・ジェイ
2025年3月10日
Strategic Culture Foundation

 元シリア大統領バッシャール・アル・アサドに忠誠を誓うアラウィー派を中心とする民間人の虐殺はアメリカにとっての警鐘だ。

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 元シリア大統領バッシャール・アル・アサドに忠誠を誓うアラウィー派を中心とする民間人の虐殺は、アメリカにとっての警鐘で、トランプがHTS戦闘員による凶悪な殺戮を支持するのか、つまりネタニヤフを支持するのか、それともこの集団と、その野蛮な支配様式を抑制する重要性を理解するのかに注目が集まるだろう。

 トランプと政府高官が、家族全員虐殺されるおぞましい映像を見れば、シリアとイラクにおける自分の功績の皮肉から逃れることはあるまい。そして、この地域におけるアメリカ外交政策の一貫性のなさが、ここでの反発の本当の原因だと多くの人が言うだろう。トランプが就任した2017年1月に、米軍を使って彼が殺害していたISIS戦闘員は、現在シリアを支配して、同盟者になっている同じ連中だ。

 もちろん、多くの人は慌ててバイデン政権を指さし、ダマスカスに進軍しアサドを打倒するための資金をHTS集団に与えた土壇場での決定を非難するだろう。それは、もっぱらネタニヤフが下した決定だったのか、それともバイデンにも相談したのか? そもそもトランプはそれについて何か知っていたのだろうか?

 更に明らかなのは、テロ組織を支援してきたアメリカの歴史は大きな代償を伴っていることで、HTSが西側諸国が協力できる「穏健な」イスラム政府という要求されている姿に「変身」できないのは確実だ。

 90年代初頭、ジョージ・H・W・ブッシュは、タリバン幹部をアメリカに招き、彼らと知り合う機会とした。アメリカ全土に広がるカリフォルニアのエネルギー集団に何兆ドルもの利益をもたらす大規模ガス・パイプライン契約に署名してもらうためだ。もちろん彼らは民族衣装で現れ、お茶を飲み、ブッシュとその一味と戯れた。パイプラインが完成すれば、それを守るためだけに年間1億ドルという法外な要求を彼らは曲げなかったため、契約は結局締結されなかった。当時、タリバンは女性を石打ちで殺すなど、最も野蛮な行為を行っていた。こうしたことは、契約やアメリカ政権が連中とうまくやっていけるかどうかに全く関係ないようだった。

 だが、これら過激派には何かあったのだ。トランプが好んで言うように、彼らには切り札があった。だが現在のシリア政権の場合、変身したテロ集団が政府に転じるという構想が何であれ、彼らがトランプ政権に何を提供できるのか見当もつかない。彼らの側にはイスラエルがおり、また残虐行為後に、HTSの手下に攻撃を開始したのはアラウィ派だと非難する最もばかげた声明を出したEUもいる。彼らが支配しているシリアの大部分には鉱物や石油がないため、今後しばらく好意的ではない可能性が高いトランプの反応を前にして、ネタニヤフとEU当局両方の政治的支援に大きく依存しなければなるまい。長期的にHTS政府にかけることを既に示唆しているので、ウクライナで見られたEUの反抗が繰り返されるように見える。これは、イスラエルのロビー活動の資金と権力が、これまで考えられていたより深くブリュッセル権力に浸透していることを示しているのかもしれない。

 ジョウラニと取り巻きがこのような蛮行を遂行するのはイスラエルにとって、強硬派とネタニヤフ首相にとって、まさに好都合だ。それは無知なアメリカ人の間で憎悪をかき立てるためイスラエルが育てたいと願っている決まり文句を強化し、テヘランに至るまでの抵抗枢軸を打破しているとイスラエルが感じる歓喜に更なる見せかけをもたらす。

 今大きな問題は、特に就任数日後に、トランプがソーシャルメディアに書いた、イスラエル首相と彼のイランとの戦争願望に不満を抱いていることを示唆する投稿を受け、評論家連中が苦慮しているトランプとネタニヤフの関係だ。ネタニヤフを従わせる必要があるのだろうか? 北部のクルド人を武装させ、HTSに対する内戦を許すことが、いずれにせよ在任日数が限られているイスラエル首相に対する影響力になるとトランプは考えているのかもしれない。あるいは、HTSとひげを生やした指導者に対し、より厳しい対応を取り、野蛮な連中を監視するため平和維持活動としてシリアに駐留する計画の一環として米軍を派遣することも可能だ。これはイラクで見られるのと同じような考え方だ。一部の人にとっては、これは火に油を注ぐようなものだと思われるかもしれない。結局、オバマ政権のイラク統治におけるもう一つの失敗が、現在ダマスカスで権力を掌握しているテロ集団の誕生につながったのだから。もちろん問題は、そのようなテロ集団と正面から戦えば、より大きな敵たる抵抗枢軸をあおってしまうことだ。トランプにとって難しい選択だ。

記事原文のurl:https://strategic-culture.su/news/2025/03/10/syria-new-bloodbath-was-created-by-failed-us-policies-what-now-from-trump/

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 Alex Christoforou Youtube
PUTIN, no Minsk 3. Lukashenko, EU is done. Trump, annex Greenland. Starmer, Russia menace UK streets 45:30
 上記番組最後で、欧州人権裁判所ECHRが2014年5月2日のオデッサ労働会館でのファシストによる虐殺を放置したかどでウクライナ政府に有罪判決と彼は語っている。
 2014年5月7日、当ブログも、このオデッサ労働会館虐殺事件について書いた。
キエフと右派セクターによるオデッサ水晶の夜 (写真・閲覧注意!)
 今朝の孫崎享氏メルマガ題名
ウクライナ戦争で米国・ウクライナは30日停戦案を提示。プーチン大統領は理論的には提案を支持するとしながらも、戦況優位を背景に、厳しい条件・従来路線をを提示。合意は難しいであろう。

2025年3月14日 (金)

様々な問題の責任を支配者以外の全員のせいにするよう我々は騙されている



あなたの敵はモスクワや北京やテヘランにいるわけではない。あなたの敵はワシントンやバージニアやニューヨークやロサンゼルスにいる。あなたの敵はロンドンやパリやブリュッセルやテルアビブにいる。

ケイトリン・ジョンストン
2025年3月12日

 この英語記事の朗読を聞く(朗読:ティム・フォーリー)。

 イスラム教徒はあなたにとって脅威ではない。

 ロシアはあなたにとって脅威ではない。

 中国はあなたにとって脅威ではない。

 トランスジェンダーの人々はあなたにとって脅威ではない。

 移民はあなたにとって脅威ではない。

 私が今言ったことに、あなたが抵抗を感じたら、それは連中が、あなたを騙しているためだ。支配者連中があなたを騙し、あなたの問題を連中以外の誰かのせいにしたのだ。

 敵がいないとか、誰も我々に脅威を与えないと私が言っているのではないことに皆様はお気づきだろう。確かに敵は存在し、彼らは確実に脅威を与えている。人々は騙され、操られ、本当の敵や本当の脅威がどこにあるのか見えないようにされているだけだ。

 あなたにとって脅威となるのは、あなたの国の富や資源を奪い、海外の無辜の人々に軍事暴力をふるい、あなたの公民権を抑圧し、地球を汚染する政治的現状だ。あなたにとって脅威となるのは、環境災害や核による絶滅を通じて人類を権威主義的ディストピアと絶滅へと追いやっているこの現状を維持するオリガルヒや帝国経営者連中だ。

 連中は、あなたが自分の問題の原因を実際問題を引き起こしている人以外の誰かのせいにすることを望んでいる。帝国権益を促進するために破壊したい彼らの主標的の反抗的集団や国家について、あなたを激怒させるのを連中は好むが、それが達成できない場合は、あなたにとって本当の脅威ではない無力なグループを憎むように仕向ければ満足だ。彼らは、あなたの本当の抑圧者、つまり億万長者や銀行家やメディア王や諜報機関や戦争屋や環境破壊的な資本家や軍産複合体の金持ちや、正式に選ばれた政府のあらゆる帝国の手先からあなたの目をそらすため、できることは何でもする。

 我々がお互いに争うのを連中は望んでいるが、敵意と分裂という連中の偽言説を我々が信じた場合にだけ、我々はお互いに脅威になる。移民が右翼に脅かされるのは、右翼がうまく騙されて自分の問題を移民のせいにし、その結果、移民の生活を一層困難にする帝国の手先を選出しているためだ。だが、人工的に作られた敵意がなければ、それは単にトップの同じ嫌な連中に虐待されている二人に過ぎない。

 このようなことを私が言うと、必ず「いやいや、ケイトリン、あなたはわかっていない。我々は本当にトランス・ジェンダー問題で深刻な脅威にさらされている」などと反論する人がいる。だが、そうではない。私がここで説明していることを、あなたがしているのに過ぎない。私が言っている詐欺に、あなたはまさにひっかかっているのに過ぎない。抑圧者を守るため、あなたは標的を抑圧者から無関係な方向に移しているのだ。

 どこかの時点で詐欺に騙されないようにしなければならない。我々は非常に虐待的社会に暮らす普通の人々の集団に過ぎず、連中の分断統治策略を我々が見抜き、団結し、対抗できないために、虐待者連中が莫大な利益を得ている事実に目覚める必要がある。

 イスラム教徒はあなたにとって脅威ではない。

 ロシアはあなたにとって脅威ではない。

 中国はあなたにとって脅威ではない。

 トランスジェンダーの人々はあなたにとって脅威ではない。

 移民はあなたにとって脅威ではない。

 アメリカ帝国はあなたにとって脅威だ。

 あなた自身の政府はあなたにとって脅威だ。

 オリガルヒはあなたにとって脅威だ。

 核の瀬戸際政策はあなたにとって脅威だ。

 エコサイドはあなたにとって脅威だ。

 戦争と軍国主義はあなたにとって脅威だ。

 暴政はあなたにとって脅威だ。

 プロパガンダはあなたにとって脅威だ。

 あなたの敵はモスクワや北京やテヘランにはいない。あなたの敵はワシントンやバージニアやニューヨークやロサンゼルスにいる。あなたの敵はロンドンやパリやブリュッセルやテルアビブにいる。あなたの虐待者は、あなたの政府に気に入らない遠い国でもなければ、あなたの政府が気にかけない疎外された集団でもない。あなたの虐待者は、あなたの政府自身や、世界中の全ての同盟諸国や、その手先や、この世界規模の権力構造を舞台裏で操るオリガルヒや帝国経営者のネットワークだ。

 我々がこれを早く理解すればするほど、現在我々が騙されて間違った人々のせいにしている全ての問題を早く解決できる。

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 画像はAdobe Stockより。

記事原文のurl:https://caitlinjohnstone.com.au/2025/03/12/we-are-duped-into-blaming-our-problems-on-everyone-except-our-rulers/

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2025年3月13日 (木)

シリアで虐殺が激化

ヴァネッサ・セヴィドヴァ
2025年3月10日
New Eastern Outlook

 3月6日と7日に、ラタキアとその周辺での暴力行為を撮影したビデオが公開され、武装した男がピックアップトラックで街をパトロールする様子や、他のより不穏な光景が映し出された。これは、12月のクーデター以来、シリア情勢の最も致命的な激化だ。

 シリアで虐殺が激化



 シリアの最新ニュース

 3月6日以来、シリア沿岸のラタキア、ラタキア県、タルトゥース県で激しい衝突が報告されている。シリア国内外の様々な報道筋によると、木曜日にアラウィー派が軍の拠点やインフラを攻撃し、ダマスカス政府治安部隊と政府支持派の戦闘員が激しい対応をとったと広く報じられている。沿岸地域に通じる道路は封鎖され、反乱鎮圧のため政府軍増援部隊が派遣された。

 アハメド・アル・シャラーの過去を考えれば、シリアにおける少数民族への迫害が続いているのは驚くに当たらない。

 3月8日の戦闘以来初の公式声明として、事前録音された演説の中で、暫定大統領アハメド・アル・シャラーは、政府軍は「崩壊した政権の残党を追跡し続ける」と述べた。アサド支持者らに「手遅れになる前に」武器を捨てるよう彼は求めた。

 ルダウは3月8日、衝突が始まって以来、少なくともアラウィー派340人の現場処刑が既に記録されており、戦闘員の死者は合計120人と報告されていると報告した。しかし、実際の死者数は遙かに多く、1,000人以上と推定されている。

 衝突により、アラウィ派やキリスト教徒を中心に数千人が命の危険を感じて家から逃げた。女性、子ども、高齢者を中心に数百人がロシアのフメイミム軍事基地に避難した。

 アラウィー派イスラム教徒はシリアの現在の人口の約10%を占め、そのほとんどは沿岸地域(主にラタキア県とタルトゥース県)に集中しているが、ダマスカス、ホムス県、ハマ県にも相当数の人々が居住している。特にバッシャール・アル=アサドはラタキア県の山岳地帯にあるアラウィー派が住民の大半を占める町アル=カルダハ出身だ。

 宗派間暴力は驚くべきことではない

 アハメド・アル・シャラー(戦闘名はムハンマド・アル・ジョラニ)の過去と、アルカイダ*から派生したヌスラ戦線*から派生したタハリール・アル・シャム*を考慮すると、シリアにおける少数派(まず第一に、アラウィー派、キリスト教徒、ドルーズ派)への継続的迫害は驚くに当たらない。シリア戦争中(つまり2011年以降)、スンニ派過激派によるキリスト教徒とアラウィー派への大規模迫害が報告され、文書化されており、処刑や拷問や性的奴隷や聖地の破壊などが含まれる。戦争中のこの暴力行為の最も悪名高い加害者はヌスラ戦線*とISIL*だ。シリアの現暫定大統領アハメド・アル・シャラーは以前ヌスラ戦線*指導者(首長)であったことを読者には想起願いたい(彼はアメリカ侵攻前にイラクでアルカイダ*に参加し、2012年頃にアルカイダ*の支援を受けてヌスラ戦線*を創設した)。彼のひげが剃られ軍服がスーツに変わった事実が、この不条理な事実を消し去るものではない。

 クーデター後、シリア国内では宗派間分裂に対する抗議として、物理的にもネット上でも不満の波が何度も押し寄せた。その一例が、クリスマス・ツリーが燃やされる動画だ。この動画はすぐにネット上で広まり、激しい批判や抗議活動の噴出やキリスト教徒や他の少数派迫害の恐れを招いた。それ以来、この事件の真相や実際に何が起きたのかをめぐって議論が続いているが、一つだけ確かなのは、一本の短い動画がシリアにおける少数派迫害や差別への深い恐れをかき立てるのに十分だったことだ。教会が略奪される動画も複数ある。

 アルジャジーラ、ガーディアン、CNNなど多くの情報源が衝突はアサド支持派と政権治安部隊の間で起きていると報じている。これは部分的には真実かもしれないが、一方側の代表者全員を「アサド支持派」と呼ぶのは無理がある。特に、シリア史の顕著な特徴として、集団全体に対する差別や、殺害された若い民間人の数が多いことを考慮するとなおさらだ。シリアではアラウィー派が少数派なのは周知の事実だ。更に、アラウィー派は、かなりの数のアラウィー派を周囲に擁していた父親ハーフィズと息子バシャール・アル・アサドとのつながりを理由に、現在全面的に非難されている。

 また、衝突に参加したのは政権の治安部隊だけでなかった可能性もある。2011年以来シリアで活動している多数の国家および非国家武装勢力を考慮すると、シリア人は時として「自らの手で問題を解決する」ことに慣れてしまっている。多くのスンニ派はアハメド・アル・シャラーを強く支持しており、程度の差こそあれアラウィー派に対する偏見が存在するのは当然だ。

 中東のキリスト教徒:忘れられがちな集団

 シリアや他の中東諸国のキリスト教徒に対する差別、さらには大量移住は、大きな問題であるにもかかわらず、ほとんど報道されていない。キリスト教徒の移住率は、レバントの他の集団と比較して不釣り合いに高く、この傾向は数十年(むしろ一世紀以上)にわたって見られる。これには多くの理由があり、様々な形の迫害(民族浄化を含む)や宗教に基づく差別などがあり、紛争により更に悪化している。現在アメリカ、カナダ、ヨーロッパには、かなりの数のアラブ系キリスト教徒海外居住者が存在している。一例を挙げれば、2011年にシリアで戦闘が勃発する前は、キリスト教徒の推定数は150万~200万人(全人口の約10%)だった。2020年までにキリスト教徒の数は45万人ほどに減少し、そのほとんどは北米やヨーロッパに逃れた。正確な数字を出すのは困難だが、現時点では300,000人程度に減る可能性もある。

 アラウィー派とキリスト教徒に対する現在の虐殺(まさに虐殺だ)を「反体制の破壊工作員を根絶するための勇敢な作戦」と呼ぶのは言語道断だ。

 言うまでもなく、中東はイスラム教より600年以上前に出現したキリスト教発祥の地だ。イスラムの侵略と征服以前は、中東住民(コプト人、アッシリア人、カルデア人、アルメニア人、ヌビア人、アラム人など)の大半はキリスト教徒だった。どういうわけか、この事実は、キリスト教徒の迫害と特定過激派集団の反キリスト教言説的の文脈で忘れられているようだ。中東には、レバノンのように、異なる宗教や宗派が共存している場所がいくつかある。だが、このバランスは非常に脆弱だ。この国の内戦(1975-1990)中に異なる集団がお互いを虐殺したことを思い出すだけで十分だ。このようなことは簡単に忘れられるものではなく、新しい世代を悩ませ続けている。残念ながら、民族・宗派の問題は常にレバントにとって中心的な問題で、(全てをスンニ派とシーア派の対立のせいにする弱い正当化に限定するのでなく)注意深く研究されなければならない。

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最後に、現状の皮肉を指摘したい。2011年から2012年にかけてのいわゆる「アラブの春」の初めに政府が抗議活動を取り締まる厳しい対応を取ったことを含め、バッシャール・アル・アサド大統領が民間人に対し不当に暴力を振るったことを批判し、非難する機会を逃さなかったシリア新政権は、まさに同じことをしている。偽善は明らかだ。

* ロシア連邦で禁止されている組織

 ヴァネッサ・セヴィドヴァはモスクワ国際関係大学大学院生、中東・アフリカ研究者

記事原文のurl:https://journal-neo.su/2025/03/10/massacres-in-syria-escalate/

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 Judging Freedom ナポリターノ氏、モスクワから帰国。
Prof. Jeffrey Sachs : Ceasefire or Surrender? What’s Really Happening in Gaza 29:17
 ≪櫻井ジャーナル≫
アサド政権崩壊後のシリアでは住民の虐殺が拡大、凄惨な状況になっている
 今朝の孫崎享氏メルマガ題名
総合的に、GDPへの影響はマイナスが支配的、報復が加わると度合い増。プラス効果(国内産業保護)は短期的ながら、長期ではコスト増や貿易縮小が上回ると見られる。MRIの試算では、対中60%・他国20%関税の場合、米国GDPはベースライン比で▲1.7%ポイント下押し

2025年3月12日 (水)

レイチェル・コリーと自由のための永遠の戦い



W.M. Peterson
2025年3月9日
Truth Blitzkrieg

 トランプの新たな「黄金時代」が始まって50日近く経つが、どういうわけか、2003年以来、中東で大規模戦争が起きる可能性が最も高いようだ。ベンヤミン・ネタニヤフ首相とミリアム・アデルソンの要求を、彼らの特定権益がアメリカ国民の利益と重なるかどうかに関係なく、従順な第47代大統領は全て実行する決意だ。1月に大統領職に復帰して以来、トランプはイスラエルに総額120億ドルの軍事援助を提供し、「緊急当局」を発動して議会を迂回し、バイデン政権がこれまで差し控えていた2,000ポンド爆弾やキャタピラーD9装甲ブルドーザーをイスラエルが確実に受け取れるようにした。実際、既にトランプ大統領は「イスラエルに任務を終えるのに必要なものは全て送る」と誓っており、イスラエルによるガザ地区への全ての物資の違法封鎖を支持するとホワイトハウスは公式に表明している。ガザ地区は完全に破壊され、何千人もの死者を出し、生存者には食糧や水や医薬品などの資源がない。

 アメリカ外交政策が、主にイスラエルに忠誠を誓う有力ユダヤ人団体に、かなりの程度、形成され指揮されているのに政治情勢を客観的に観察する人々は気づき始めている。

 3月4日に両院合同会議でトランプ大統領が演説する数時間前、安全保障問題ユダヤ研究所(JINSA)は、中東におけるイスラエルの戦争計画に対するアメリカの支援強化を求める書簡を発表した。「イラン枢軸に対するイスラエルの任務を終わらせる時だ」と同意する77人の元米軍将校が署名したこの書簡は、ペルシャ国家に対する今後のあらゆる作戦においてイスラエル支援を最大限行うようアメリカ政府に求めている。FoxNews.comは次のように報じている。

 「退役した将軍や提督らはイスラエルに弾薬、兵器システム、そして『この共通の脅威に対する作戦の有効性を確保するために必要な支援』を提供するようアメリカに求めている。核保有国イランとの戦いでイスラエルを支援することで、アメリカは地域における自らの影響力を守ることになると彼らは主張している。最近イラン政権はトランプ大統領暗殺を企てていると非難されたが、それはイスラム共和国の『消滅』につながると大統領は述べた。」

 JINSAは極めて強硬な外交政策シンクタンクで、イスラエルとアメリカの防衛体制との切っても切れない関係を築くことに専心している。以前はユダヤ国家安全保障問題研究所として知られていたこの組織は、ネイションのジェイソン・ベストによると「新たなアラブ・イスラエル戦争が起きた場合、アメリカがイスラエルに十分な軍事物資を供給できないかもしれないと懸念するネオコン」により設立された。ダグラス・フェイスやリチャード・パールなどJINSAの有力メンバーは、アメリカ軍派遣の正当化として使われた、とんでもない「大量破壊兵器」偽情報を捏造し、2003年のイラクへの壊滅的侵攻を煽る上で重要な役割を果たした。22年経った今、同じ組織が再び同じことをしており、明らかに妥協しているドナルド・トランプに最大限の圧力をかけ、中東での更に費用のかかる一連の戦争のためにアメリカ軍を動員してくれるよう期待している。米陸軍が最近、過去15年間で最多の新兵募集数を発表し、2024年12月だけで10,727人の新兵を入隊させたのは偶然ではない。

 2003年の言説と現在の言説の間には驚くべき類似点が存在する。

 レイチェル・コリーを偲んで

 陣太鼓が日ごと大きく鳴り響く中、イスラエルに対する組織的反対が間もなく確実に禁止されるようトランプ政権は熱心に取り組んでいる。1月29日「反ユダヤ主義と積極的に闘い、あらゆる利用可能かつ適切な法的手段を用いて、違法な反ユダヤ的嫌がらせや暴力の加害者を起訴、排除または他の方法で責任を問う」大統領令にトランプ大統領は署名した。この大統領令は、1964年公民権法第6編を拡張して、具体的には大学キャンパスでの非暴力的ボイコット・投資撤退・制裁(BDS)運動を標的とし、第6編の執行を担当する者に対し、イスラエル批判を含む反ユダヤ主義のIHRA暫定定義を考慮するよう指示した、2019年12月にトランプ大統領が署名した大統領令13899を「再確認」するものだ。トランプは、ブラフを打っていないことを証明するために、レオ・「アンクル・トム」・テレルを指導者とする反ユダヤ主義対策タスクフォースを組織し、既にアメリカの大学12校近くで調査を開始している。人権団体が「前例のない」かつ「違憲」だとする動きの中で、今週教育省は、キャンパス内での「容赦ない暴力、脅迫、反ユダヤ的嫌がらせ」を理由にコロンビア大学への連邦資金4億ドルの支給を取りやめると発表した。更に「追加の支給取り消しが続く見込み」だと断言している。

 1960年代以来、アメリカの大学キャンパスは反戦運動の温床となってきた。他の欠点は色々あるが、リベラル志向の若くエネルギッシュなアメリカ人は、大量虐殺や戦争を自然に嫌う強い人道主義精神に恵まれていることが多い。旗を振り回すMAGAの粗野な連中ではなく、こうした人々が、たとえ自分の命を犠牲にしても不正義とみなされることに立ち向かう意志が最も強いのは珍しいことではない。

 その一人がレイチェル・コリーだ。彼女は今月22年目に、ガザ地区のパレスチナ人の家屋の破壊に抗議していたところをイスラエル軍に冷酷に殺害された。

 レイチェルはワシントン州オリンピアで育った。2000年代初頭にエバーグリーン州立大学に通っていた時、学校で知り合ったパレスチナ出身の友人を通じてイスラエルとパレスチナの紛争について知った。その後すぐ、彼女は、彼女自身の言葉で「献身的平和活動家」となり、人道的災害として正しく認識した重大な不正に対して何かしようと決意した。レイチェルは最初「平和と連帯のためのオリンピアン」と呼ばれる集団と連携し、パレスチナ人の窮状に対する認識を高めるための平和イベントを企画し、その後国際連帯運動 (ISM) に参加した。ISMは、パレスチナ占領地域に国際人権監視団を配置するアメリカとイスラエルの国連提案が拒否されたことを受けて、パレスチナ人、アメリカ、イスラエルの活動家によって 2001 年に設立されたパレスチナ支援団体だ。ISMの使命は、設立以来、ガザ地区とヨルダン川西岸地区におけるイスラエル軍に対する抗議活動など非暴力直接行動を通じてパレスチナの大義を支援することだ。

 2003年1月、レイチェルとISMの他のメンバーは、連帯キャンペーンと称する活動のためヨルダン川西岸地区へ旅した。この集団はまずベツレヘムの東にあるベイト・サフールという町に立ち寄り、その後ガザ地区南部のラファに向かった。彼らがガザに到着した当時、イスラエル軍はパレスチナ人の家屋を大規模に破壊する作戦を行っており、武器としてアメリカ納税者が支払ったキャタピラーD9装甲ブルドーザーを頻繁に使用していた。国連が2004年に発表した報告書によると、2000年9月から2004年5月の間に17,594人のパレスチナ人の家屋がイスラエル軍に破壊されたことが立証されている。

 ラファ滞在中、レイチェルはいくつかの家族のもとに滞在した。その中にはイスラエル国境近くの質素な2階建ての家に妻と3人の子どもとも暮らしていた医師のサミール・ナスララ博士もいた。死の直前に行われたインタビューで、レイチェルはラファ滞在中に目撃したいくつかの恐ろしい出来事について語った

 「私がここにいる間に、子どもたちが撃たれて殺されました。1月30日、イスラエル軍は2つの最大の井戸をブルドーザーで破壊し、ラファの水供給の半分以上を破壊しました。毎日ではないにしても、数日おきに家が破壊されています。エジプトとの国境が封鎖され、イスラエルによるガザ経済の徹底的な統制により、人々は経済的に打撃を受けています。私がここで目撃しているのは、人々の生存能力が非常に組織的に破壊されているように感じます。それは信じられないほど恐ろしいことです。」

 2003年3月16日、アメリカ軍のイラク侵攻のわずか4日前、レイチェルは仲間の活動家から、イスラエル国防軍がナスララ博士の自宅を徹底的に破壊する準備をしているとの電話を受けた。「イスラエル軍が戻ってきた」と電話の主は言った。「すぐにこっちに来て。サミール博士の家に向かっていると思う」。確かにアメリカ製ブルドーザーは周囲の建物を破壊した後、ナスララ博士の自宅を狙っていた。「ここ数ヶ月で、この地域のほぼ全ての建物が破壊され、ナスララの住居は砂と瓦礫の海にぽつんと残っていた。」[出典]

 レイチェルは現場に到着し、7人のイギリス人とアメリカ人のISM活動家集団と会った。そのうちの何人かは拡声器を持ち、視認性を高めるためにオレンジ色の蛍光ベストを着ていた。NPR.org記事には、2人のイスラエル国防軍隊員が操作するブルドーザーにレイチェルが立ち向かった時の出来事が次のように記されている 。

 「オレンジ色の蛍光ベストを着て拡声器で話していたコリーは、彼らを止めようと決心していた。装甲車の進路にある盛り土の上に一人立ち、彼女は、他のブルドーザーが国際抗議者に直面した際にしたように、近づいてくるイスラエル・ブルドーザーが止まるだろうと予想していた。だが、ブルドーザーは動き続け、仲間の活動家たちが叫び声を上げて止めようとしたため、ワシントン州オリンピア出身の23歳の大学生は圧死した。ナスララ家の子供たちは庭の壁の割れ目から恐怖に震えながらその様子を見ていた。」

 目撃者の一人、ジョー・カーは次のように証言した

 「彼女は蛍光色のジャケットを着たまま、ブルドーザーの少なくとも15メートル手前でひざまずき、その日活動家たちが何十回も成功させてきたように手を振りながら叫び始めた。ブルドーザーが彼女の足元の地面を動かすほど近づいたとき、彼女はブルドーザーに押されている瓦礫の山に登った。彼女の頭と上半身はブルドーザーのブレードの上にあり、ブルドーザー運転手と協力者は彼女をはっきり見ることができた。それにもかかわらず、運転手は前進を続けたため、彼女は後ろに倒れ、運転手の視界から外れた。彼は前進を続け、彼女は後ろに下がろうとしたが、すぐにブルドーザーの下に引き込まれた。私たちは彼に向かって走り手を振りながら叫び、一人の活動家がメガホンを持っていた。だがブルドーザーの運転手は前進を続け、レイチェルはブルドーザーの中央部分の下に完全に入った。」

 Rachelcorrie
2003年3月16日、ガザ地区ラファでイスラエル・ブルドーザーに押し潰されて泥の上に横たわり医療援助を待つレイチェル・コリー。写真:国際連帯運動/ゲッティ・イメージズ

 イスラエルのアリエル・シャロン首相が「徹底的かつ信頼性があり、透明性のある」調査を開始すると約束したにもかかわらず、軍の調査はイスラエル国防軍の不正行為を完全に否定し、レイチェルの死は彼女自身の責任の事故だと裁定した。レイチェルの殺害について彼女に聴取した兵士が、ブルドーザーが民間人の家を破壊する計画だったと信じていたという彼女の供述を記録することさえ拒否したとイスラエル軍の聴取を受けた目撃者の一人、アリス・コイという名のイギリス人看護師は宣誓証言した。この裁定は人権団体アムネスティ・インターナショナル、ヒューマン・ライツ・ウォッチ、ベツェレム、およびレイチェルの両親に調査は正当ではないと告げたローレンス・ウィルカーソン大佐に批判された。イスラエル駐在アメリカ大使ダン・シャピロも同様の意見を表明し、イスラエルの調査が「徹底的かつ信頼性があり透明性があった」とは考えていないとレイチェルの家族にアメリカ政府は伝えた。批判にもかかわらず、レイチェルの故郷であるワシントン州オリンピアの代表たるブライアン・ベアード下院議員は彼女の殺害に関心を向けた数少ないアメリカ政治家の一人だった。2003年3月、アメリカ政府にレイチェルの死について「完全かつ公正で迅速な調査を行う」よう求める決議案をベアードはアメリカ議会で提出した。当然ながら何の措置も取られなかった。

 2005年、レイチェルの両親はハイファ地方裁判所に民事訴訟を起こし、イスラエル政府は信頼できる調査を行わず、レイチェルの死の最終的責任を負っていると非難した。家族は象徴的な1ドルを求めて訴訟を起こしたが、金銭的利益ではなく、愛する人の死の責任を問うためだった。2012年8月、イスラエル裁判所は軍の調査の判決を支持し、「戦闘活動」の例外を適用した。これは軍人が「戦争地域」に指定された地域で民間人に身体的または経済的危害を加えた場合、その責任を問われないというものだ。判決文で、イスラエルの調査は「適切」で、レイチェルとISMの他の人々が「テロリストを保護している」とオデッド・ガーション判事は非難したが、ナスララ博士と家族がその説明に当てはまるとは到底言えない。レイチェルの死は「彼女が自ら招いた事故の結果」だとガーション判事は付け加えた。裁判後、コリーの家族は、進行中の隠蔽工作の一環として重要な証拠が隠蔽されたと主張した。エルサレム・ポストは次のように報じている。「7月に裁判が終わった直後、活動家の死の前後の出来事をカラー映像で映した監視カメラのテープ数本を含む重要証拠が、彼女の死の状況の隠蔽工作の一環として隠蔽されたとコリーの家族は主張した。そのカラー映像はチャンネル2のドキュメンタリーで使用されたが、イスラエル国防軍はそれが存在するのを否定していると家族は主張している。」

 この証拠隠滅を根拠に、コリー夫妻は2014年5月に判決に対する控訴を起こしたが、翌年イスラエル最高裁判所は最終的にこれを棄却した。今日、クレイグとシンディ・コリーはパレスチナ人の権利のために戦い続け、2003年に「世界的に平和と正義を求める草の根運動を支援する」ためにレイチェル・コリー平和正義財団を設立した。かつて(ニューヨークの新聞「ザ・ジューイッシュ・プレス」元コラムニスト、スティーブン・プラウトはコリー夫妻を「二人の反イスラエルプロパガンダ特殊部隊」と表現した。)

 世界中のアレックス・ジョーンズが何を主張しようとも、アメリカ人が直面している本当の闘争は民主党と共和党の闘争ではない。人間の意識が政党に支配されると(2016年以降、かなり広範囲に起きたことだが)、人々は「政党」の命令で最悪の敵を擁護することが頻繁に起きる。ドナルド・トランプは、名前も顔も分からないグローバリストの陰謀からアメリカと西洋世界を救うため勇敢に闘うスーパーヒーローのようなものだと多くのアメリカ人は思い込んでいる。現実には、トランプは好戦的な間抜けで、ネタニヤフとイスラエルのために忠実に従順な行動をとって、アメリカの棺桶に最後の釘を打ち込むことに固執しているように見える。胸を叩くMAGAネアンデルタール人だらけでの国では、 レイチェル・コリーのような誠実さを持った人々がもっと必要だ。同様の信念と決意があってこそ、アメリカの主権が回復され、我が国が再び世界の光として認識される日が来ることを私たちは望めるのだ。彼女の記憶を神が祝福してくださるよう。


レイチェル・アリーン・コリー

1979年4月10日 – 2003年3月16日


記事原文のurl:https://truthblitzkrieg.com/2025/03/09/rachel-corrie-and-the-enduring-fight-for-freedom/

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 2010年6月4日の記事でもレイチェル・コリーに触れた。

パレスチナ支援船団殺戮事件:皆が海に
   クリス・ヘッジズ記事、毎回Fish氏の秀逸な漫画がかかれているが、今回のものは特に良い。
 トランプの対教育戦争

 The Chris Hedges Report
Trump’s War on Education
Trump’s assault on education comes out of the playbook used by all authoritarian regimes.
Chris Hedges
Mar 12, 2025

 クリス・ヘッジズ、ニュージャージーの刑務所で囚人にハワード・ジンの「民衆のアメリカ史」を教えたことがある。ハワード・ジンの演説を昔翻訳した。
ハワード・ジン「歴史の効用とテロリズムに対する戦争」を語る
 2020年、トランプは国会でハワード・ジンを非難したという。

2025年3月 8日 (土)

ゼレンスキー大統領には強硬な態度を取り、ネタニヤフ首相には武器を送るトランプ大統領



 金曜日に我々が目撃したのは、トランプがゼレンスキーと公の場で話している様子だった。それは、おそらくアデルソンがトランプと個人的に話しているのと同じだった。

ケイトリン・ジョンストン
2025年3月2日

 この英語記事の朗読を聞く(朗読:ティム・フォーリー)。

 ハマスに譲歩を迫り、1月19日に調印された停戦協定の条件を変更するため、現在ベンヤミン・ネタニヤフ首相がガザ猛攻撃の「一時的再開」を検討しているとイスラエル・メディアは報じている。

 イスラエル・タイムズ紙は次のように報じている
 
テロ集団ハマスに更なる譲歩を迫るため、ハマスとの戦闘を一時的に再開することを「ベンヤミン・ネタニヤフ首相が検討している」と土曜日放映されたイスラエル・テレビ報道で報じられた。ガザでの人質停戦合意の第二段階に進むための停滞した交渉について、首相は高官級協議を行った。

 「ハマスは、土曜日夜に正式に期限を迎える合意の第一段階である42日間の延長というイスラエル提案を拒否し、合意を第二段階に進めるよう主張している。イスラエルは過去一か月間、この交渉をほぼ拒否してきた。約2,000人のパレスチナ人捕虜と引き換えに、33人のイスラエル人人質が解放されたが、そのうち8人は死亡していた。ガザ地区で人質にされていた5人のタイ人も別途解放された。」

 「停戦は深夜に失効すると見込まれる中、ネタニヤフ首相とイスラエル・カッツ国防相は日曜日に他の治安当局者らと会談し、ガザでの戦闘再開の可能性と全ての可能な戦線の見直しに向けた準備について協議する予定だとチャンネル12ニュースが報じた。」

 ハマスがイスラエルの第1段階延長案を「拒否」したというこの構図は、アメリカとイスラエル広報機関による現在のプロパガンダ路線にすぎない。実際は停戦合意条件では、イスラエルとハマスは今週末に合意の第2段階に進むはずだったが、イスラエルは、イスラエル軍撤退と永続的平和への誓約を伴うとして、ずっと合意の第2段階交渉を拒否している。停戦の第1段階を第2段階に継続するのではなく「延長」すべきだというこの考えは、アメリカとイスラエルが数日前に推進し始めたばかりの全く新しい提案だ。

 従って、文書通りの停戦協定を拒否し、新たな合意条件を作成しようとしているのはイスラエルで、ハマスは合意した停戦条件を主張しているだけだ。

 だが今日我々はハマスが平和を拒否しているという言い方に圧倒されている。Axiosのイスラエル諜報工作員バラク・ラビドのツイートは下記の通りだ。  
「イスラエル首相府は、イスラエルは人質解放と引き換えにガザ停戦を延長するというアメリカ提案に同意したが、ハマスは拒否したと主張している。」
 トランプ政権がイスラエルに更に多くの武器を送る中、これが同意でっちあげ装置から我々に伝えられている公式見解だ。ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領との物議を醸した論争で和解にこだわる厳格なタフガイを装った直後、ホワイトハウスは、議会の監視をすり抜け、ネタニヤフ政権に30億ドルの武器を送付するため「緊急権限」を行使したばかりだ。


 読者の皆様も確実に既に耳にしておられるだろうが、ロシアとの和平を妨害したゼレンスキー大統領の役割をトランプ大統領とJ・D・ヴァンス副大統領が公然と厳しく叱責し、更に「第三次世界大戦に賭けている」と非難して国際的注目を集めて以来、欧米諸国政治メディア丸ごと大騒ぎになっている。

 聖ゼレンスキーが公衆の面前で辱められたことに民主党は憤慨し、トランプとヴァンスの「いじめ」を嘆いている。一方共和党は、トランプがワシントンの好戦的代理人のいかなる非難も受けない強くて英雄的な平和推進者である証拠として、この試練全体を称賛している。だが、ゼレンスキーが公に非難されたことに関して最も直接的で明白な点は、同じ政権が、大量虐殺を再開する準備をしているベンヤミン・ネタニヤフに対しては同じエネルギーを注いでいないように見えることだ。

 そしてもちろん、そうではない。世界で最も裕福なイスラエル人超巨額寄付者のミリアム・アデルソンに買収され所有されていることをトランプは公式に認めている。一方、JD・ヴァンスは、悪意に満ちたシオニスト億万長者ピーター・ティールの弟子だ。金曜日に我々が目撃したのは、公式の場でトランプがゼレンスキーに話しかける様子だった。それは、おそらくアデルソンがトランプに個人的に話しかける様子と同じだった。彼がネタニヤフにそのように話す姿を見るとは決して期待できない。

 ウクライナで事態が和平に向かっているのは良いことだが、この戦争は決して永続的なものにするよう意図されてはいなかった。この戦争は、ロシアの血をできるだけ流し、ロシアの気を逸らすための一時的泥沼に過ぎず、他の場所での戦略目標を推進するためのもので、最近、この帝国によるシリア政権転覆作戦成功にそれが表れている。ゼレンスキーは、アメリカ帝国の他のあらゆる手先と同様、利用後、廃棄予定だったに過ぎない。帝国戦争装置の歯車は回転し続けている。

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 これらの記事を音声で聞きたい場合、SpotifyApple PodcastsSoundcloud、またはYouTubeで聴取できます。私の記事は完全に読者に支えられているので、この記事を気に入っていただけた場合、ご希望に応じてチップ入れにお金を入れられる選択肢がここにいくつかあります。記事の映像版を見るには、こちらをご覧ください。毎月の記事のペーパーバックを購入するには、こちらをご覧下さい。私の記事は全て、海賊版を作成したり、あらゆる方法、形状、形式で自由に使用したりできます。再配布、翻訳、商品への使用など、ご希望どおり使用可能です。私が公開する記事を確実に読む最良の方法は、Substackのメーリングリストに登録することです。これにより、私が公開する全ての記事についてメール通知が届きます。全ての記事は、夫のTim Foleyとの共著です。



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 画像はWikimedia Commons/The White House (パブリックドメイン)より。

記事原文のurl:https://caitlinjohnstone.com.au/2025/03/02/trump-sends-netanyahu-weapons-while-talking-tough-to-zelensky/

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 Judging Freedom 今回はモスクワ、由緒あるメトロポール・ホテルから。  
[ LIVE from Moscow ] - Judge and The INTEL Roundtable w/Johnson & McGovern 26:00
 今朝の孫崎享氏メルマガ題名
トランプ大統領、米自動車メーカー支援を目的とした1カ月間のメキシコ・カナダからの関税猶予に同意。新輸入税の免除を求めたゼネラル モーターズ、フォード、ステランティスの 3 大自動車メーカーの幹部との電話会談を受けて下された。その後も他の製品についても猶予。盛んにディール。

2025年3月 7日 (金)

ゼレンスキー大統領には強硬な態度を取りつつネタニヤフ首相には武器を送るトランプ



 金曜日に我々が目撃したのは、おそらくは、アデルソンがトランプに内々話すのと同じような調子で、トランプがゼレンスキーと公式の場で話す様子だった。

ケイトリン・ジョンストン
2025年3月2日

 この英語記事の朗読を聞く(朗読:ティム・フォーリー)。

 譲歩するようハマスに迫り、1月19日に調印された停戦協定条件を変更するため、現在ガザ猛攻撃の「一時的再開」をベンヤミン・ネタニヤフ首相が検討しているとイスラエル・メディアは報じている。

 ザ・タイムズ・オブ・イスラエル紙は次のように報じている。  
ガザでの人質停戦合意の第二段階に進むための停滞している交渉について、首相が高官級協議を行う中、テロ集団ハマスに更なる譲歩を迫るため、ハマスとの戦闘の一時的再開を「ベンヤミン・ネタニヤフ首相が検討している」と土曜日放映されたイスラエル・テレビ報道で報じられた。

 「土曜日夜に正式に期限を迎える合意の第一段階、42日間を延長するというイスラエル提案を拒否し、ハマスは合意を第二段階に進めるよう主張している。イスラエルは過去一か月間、この交渉をほぼ拒否してきた。約2,000人のパレスチナ人捕虜と引き換えに、33人のイスラエル人人質が解放されたが、そのうち8人は死亡していた。ガザ地区で人質にされていた5人のタイ人も別途解放された。」

 「停戦は深夜に失効すると見込まれる中、日曜日にネタニヤフ首相とイスラエル・カッツ国防相は他の治安当局者らと会談し、ガザでの戦闘再開可能性と可能な全て戦線見直しに向けた準備について協議する予定だとチャンネル12ニュースが報じた。」

 イスラエルの第1段階延長案をハマスが「拒否」したという描き方は、アメリカとイスラエルの広報機関による現在のプロパガンダ方針にすぎない。実際は停戦合意条件では、イスラエルとハマスは今週末に合意の第2段階に進むはずだったが、イスラエル軍の撤退と永続的平和への誓約を伴うことになるとして、イスラエルは、終始、合意第2段階の交渉を拒否している。停戦の第1段階を第2段階に継続するのではなく、「延長」すべきだというこの考えは、アメリカとイスラエルが数日前に推進し始めたに過ぎない全く新しい提案だ。

 従って、文書通りの停戦協定を拒否し、新たな合意条件を作成しようとしているのはイスラエルであり、ハマスは合意した停戦条件を主張しているだけなのだ。

 だが、ハマスが平和を拒否しているという言い方に今我々は圧倒されている。Axiosのイスラエル諜報工作員バラク・ラビドのツイートは下記の通りだ。  
「イスラエルは人質解放と引き換えにガザ停戦を延長するというアメリカ提案に同意したが、ハマスは拒否したとイスラエル首相府は主張している。」
 トランプ政権がイスラエルに更に多くの兵器を送る中、これが同意ねつ造装置が我々に伝える公式見解だ。ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領との物議を醸した論争で和平にこだわる厳格な逞しい男を装った直後、議会監視をすり抜け、ネタニヤフ政権に30億ドルの兵器を送るためホワイトハウスは「緊急権限」を行使したばかりだ。


 読者の皆様も既に耳にしておられるだろうが、ロシアとの和平を妨害したゼレンスキー大統領の役割をトランプ大統領とJ・D・ヴァンス副大統領が公然と厳しく叱責し、更に「第三次世界大戦に賭けている」と非難して国際的注目を集めて以来、欧米諸国政治メディア丸ごと大騒ぎになっている。

 聖ゼレンスキーが公衆の面前で辱められたことで民主党は憤慨し、トランプとヴァンスの、この「いじめ」行為を嘆いている。一方、共和党は、トランプがワシントンの好戦的代理人のいかなる非難も受けない、強く英雄的平和推進者である証拠として、この試練全体を称賛している。だがゼレンスキーが公に叱責されたことに関し、最も直接的で明白な点は、大量虐殺を再開する準備をしているベンヤミン・ネタニヤフに対して、この同じ政権が同じエネルギーを注いでいないように見えることだ。

 そしてもちろん、そうではない。世界で最も裕福なイスラエル人超巨額寄付者のミリアム・アデルソンに買収されており、お抱えだとトランプは公式に認めている。一方、JD・ヴァンスは悪意に満ちたシオニスト億万長者ピーター・ティールの弟子だ。金曜日に我々が目撃したのは、公式の場でトランプがゼレンスキーに話しかける様子だった。それは、おそらくアデルソンが内々トランプに話しかける様子と同じだったはずだ。彼がネタニヤフにそのような態度でに話す姿を見るとは決して期待できない。

 ウクライナで事態が和平に向かっているのは良いことだが、この戦争は決して永続的なものにするよう意図されていなかった。この戦争は、ロシアの血をできるだけ流して、ロシアの気を逸らすための一時的泥沼に過ぎず、他の場所での戦略目標を推進するためのもので、最近、この帝国によるシリアでの政権転覆作戦成功にそれが表れている。アメリカ帝国の他のあらゆる手先と同様、ゼレンスキーも利用後、廃棄予定だったに過ぎない。帝国戦争装置の歯車は回転し続けている。

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 The Chris Hedges Report
How the Media Walked us into Autocracy (w/ Ralph Nader) | The Chris Hedges Report 57:28
Ralph Nader joins Chris Hedges to chronicle his life's work fighting corporate power, and provides insight as to how the American public can continue fighting it today.
Chris Hedges
Mar 07, 2025

 今朝の孫崎享氏メルマガ題名
1次の数字をお教えください。(1)中国GDPに占める貿易割合、(2)中国の輸出に占める米国の比重、(3)トランプ政権での米国の対中関税率の変化、(4)関税で中国の対米輸出の量的変化の予測 2:中国は2025年5%の経済成長を目的としているが、米国の関税政策がこの成長目的をどの程度鈍化させるか

2025年3月 1日 (土)

最も正直な帝国の姿



 AIが生成した驚くほど酷い音楽ビデオをドナルド・トランプ大統領が公開した。ビデオでは、未来のガザが派手なリゾート都市に変貌し、皆が金をまき散らしながらパーティーを開き、トランプ大統領とネタニヤフ首相がプールサイドで酒を飲む様子が描かれている。

ケイトリン・ジョンストン
2025年2月27日

 この英語記事の朗読を聞く(朗読:ティム・フォーリー)。

 驚くほど酷いAI生成音楽ビデオをドナルド・トランプ大統領が公開した。ビデオでは、未来のガザが派手なリゾート都市に変貌し、皆が金をまき散らしながらパーティーを開き、トランプ大統領とネタニヤフ首相がプールサイドで酒を飲む様子が描かれている。

 この映像は、永久にパレスチナ人が民族浄化されたガザ地区に対するトランプ大統領の計画を表現することを意図している。

 まだご覧でなければ、ぜひ見るべきだ。言葉では、その酷さを言い表せない。

 この映像は、これまでに起きた中で最もアメリカ的な出来事であると同時に、これまで起きた中で最もイスラエル的な出来事でもある。偽物。派手。社会病質的。大量虐殺的。両国のディストピア文明が体現している最も醜い価値観の象徴だ。

 彼らは、現存する最も芸術性のない芸術媒体を使い、山のような民間人の墓の上でデジタルダンスを踊ったのだ。地球上最強力な政府は、一年半の残忍な虐殺の後、先住民が追放された土地で、トランプとネタニヤフがとてつもなく裕福な連中のため乱痴気騒ぎパーティーを主催するという発想を祝福した。金色のトランプ像と100ドル札に囲まれて、AIが生成した愚劣なテクノミュージックに合わせ低くしゃがんだ体勢で尻を動かして踊るのは、ついにパレスチナ問題の最終解決策を見つけられたので、とても幸せなためだ。

 これ以上アメリカ的な、そしてこれ以上イスラエル的なことはない。死んだ子どもの血で潤滑油を差された、魂も芸術性も良心もない自己中心的な自慰行為表現は、最も正直な帝国の姿だ。これこそ世界を支配する権力構造が世界に提供できる最高のものだ。

 文明全体が病んでいる。アメリカとイスラエルだけでなく、彼らの癌のような影響の転移に曝されている世界全ての国がそうだ。連中は我々全員を愚かにし、病弱にし、意地悪にし、残酷にしている。創造性を低下させ、芸術性を低下させ、思いやりを低下させ、洞察力を低下させている。連中は我々の精神を毒し、我々の心を汚物に変えている。



 トランプで好きなのは彼が帝国の正直な顔を現わしていることだけだと私は常に言っている。実際の政策や行動では彼は他の共和党大統領とあまり変わらないが、彼には帝国のプラスチック笑顔マスクを絶えず剥ぎ取り、その下にある血まみれの顔を露わにする強迫的傾向があるのだ。私が言っていることの完璧な例だ。

 この映像一本だけでも、ハリウッドのPR担当者がこれまで制作したどの映画よりアメリカ帝国の本当の姿をよく現わしている。これが本当のアメリカだ。これが本当のイスラエルだ。これが本当の帝国だ。

 だからこそ、我々は彼らを打倒しなければならないのだ。

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 これらの記事を音声で聞きたい場合、SpotifyApple PodcastsSoundcloud、またはYouTubeで聴取できます。私の記事は完全に読者に支えられているので、この記事を気に入っていただけた場合、ご希望に応じてチップ入れにお金を入れられる選択肢がここにいくつかあります。記事の映像版を見るには、こちらをご覧ください。毎月の記事のペーパーバックを購入するには、こちらをご覧下さい。私の記事は全て、海賊版を作成したり、あらゆる方法、形状、形式で自由に使用したりできます。再配布、翻訳、商品への使用など、ご希望どおり使用可能です。私が公開する記事を確実に読む最良の方法は、Substackのメーリングリストに登録することです。これにより、私が公開する全ての記事についてメール通知が届きます。全ての記事は、夫のTim Foleyとの共著です。



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記事原文のurl:https://caitlinjohnstone.com.au/2025/02/27/the-empire-at-its-most-honest/

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 ウクライナとガザ、関与している二つの紛争に対するトランプの姿勢は大きく違う。
 Daniel Davis/Deep Dive ミアシャイマー教授の話題は、今朝の孫崎享氏メルマガ記事と同じ。
White House Tussle! Trump v. Zelensky / Prof John Mearsheimer 47:14
 今朝の孫崎享氏メルマガ題名
ホワイトハウスで、記者団の前で、トランプ大統領とバンス副大統領対ゼレンスキー大統領と歴史的対立。トランプの声が上がり、怒りが爆発する中、トランプはゼレンスキーが応じなければウクライナを完全に放棄すると脅した、ゼレンスキーがバンスの対ウクライナ外交を非難したことが決裂の出発点

2025年2月28日 (金)

ジェノサイドを推進するために同情を武器にするイスラエルと擁護者連中



イスラエルを批判する人々を迫害する任務を負う欧米諸国の警察でさえ、イスラエルを支持する人全員が常にできるだけ早急に被害者役を演じてしまうのは興味深い。

ケイトリン・ジョンストン
2025年2月23日

 この英語記事の朗読を聞く(朗読:ティム・フォーリー)。

 湯名人ダリア・カーツと彼女がガザでのイスラエルの残虐行為を支持しているのを活動家、作家のイヴ・エングラーが批判すると、エングラー発言で「自分の身の安全が不安になった」とカーツが述べた後、イヴ・エングラーはモントリオール警察に捕らえられた。

 自分に対する告訴について書いた後、自分の事件に世間の注目を集めて「警察に嫌がらせをした」かどで告訴されたとエングラーは報じた。

 イスラエル支持者全員、機会があれば必ず被害者役を演じるのは興味深い。イスラエル批判者を迫害する任務を負う欧米諸国の警察でさえそうだ。この被害者ライブRPG行動の手本をイスラエルは示しており、悪党集団全体が、その例に倣っているのだ。



 だが興味深いのは被害者とみなされること自体には何の価値もないことだ。価値があるのは同情だ。イスラエル支持者が求めているのは同情だ。被害者を演じるのは、その狙いを実現する手段にすぎない。

 もし人を操る行動をしがちな性格障害者をご存知なら、彼らが人を操る主要手段の一つが同情心なのにお気付きかも知れない。自分へのできるだけ多くの同情心を引き出すために、彼らは、あらゆる手段を講じる一方、敵とみなす相手に対する人々の同情心を全て潰そうとする。人生で関わる人々の同情心を少しでも支配するために、彼らは心理社会的チェス盤上のほぼ全ての駒を犠牲にするのだ。

 彼らがそうするのは共感が言説を支配するための基盤だからだ。誰かに共感すれば、その人が言うことを信じ、起きていることに関する、その人の言説を信頼する可能性がずっと高まる。人に共感がなければ、その人の言うことが何であれ、遙かに懐疑的に見られることになる。

 これはまさに社会的動物としての人間に備わっている性質だ。部族外の人々よりも自分の部族に属していると認識している人々に信頼を置くよう進化の過程で我々は条件付けられている。つまり自分の集団内の人々に共感するのだ。そのため、たとえばトランプやMAGA評論家が特定問題に特定の立場を取るとすぐ、これまで抱いたことのない意見をトランプ支持者が表明し始める。彼らは情報源に共感しており、ある問題に関する彼らの立場を支持するのだ。



 人々を巧みに操るのが巧みな連中はこれを理解しているので、全員が自分に同情するように、自分の利益と対立する人には同情しないようにするため全力を尽くす。16か月にわたる大量虐殺の残虐行為と民族浄化計画の後でさえ、依然我々が10月7日のことを話しているのはそのためだ。10月7日に殺害され拉致された人々に対するイスラエルへの同情を引き出すために、そしてイスラエルに殺害され拉致された桁違いの人数のパレスチナ人に対する同情を全て踏みにじるために、イスラエルと欧米諸国政府やメディアのイスラエル擁護者は熱心に働いてきた。これによりイスラエル権益に役立つ言説が、この問題に関する欧米諸国の主流合意を支配するようになり、武器やブルドーザーやイスラエルの敵の弱体化や、最終的には、かつてパレスチナ領だった場所での、パレスチナ人からイスラエルのユダヤ人への最終的置き換えなど、具体的な物質的利益をもたらしている。

 被害者ライブRPG行動が同情を生み、同情が信じられる言説を生み、信じられる言説が具体的物質的利益につながることがおわかりだろう。巧みな操作者全員が、この力学を理解し、自分の生活の中でそれを利用している。唯一違うのは、彼らが使用する特定の言説と、彼らが引き出そうとする物質的利益だ。ある人を操つる者は、同情を利用して女性から性的好意を引き出し、男性から敬意を引き出すかも知れない。別の人を操つる者は、同情を利用して金や資源を引き出すかも知れない。また別の人を操つる者は、同情を利用して、社交界で地位を得るかも知れない。規模も目的も異なっているが力学は同じだ。

 通常このことを、普通の人は理解していない。こうした操作は、我々のレーダーの下をかいくぐる傾向があるため、こうした類の操作に我々は非常に影響を受けやすいのだ。普通の人は、操作に長けた人よりも、真実を語り、正しいことをすることに遙かに価値を置いている。人を操る連中より、普通の人は、人間関係を遙かに重視しているためだ。普通の人は、お互いにやりとりし、理解し、つながるために言語を使うが、人を操る連中は、物質的利益を引き出すために言語を使用する。これは社会環境と関わる二つの劇的に異なる方法であり、一部の人々には、もう一方の関わり方の特徴があることに普通の人は全く気づかないことがよくある。そのために普通の人は操る理想的標的になる。

 10月7日や、ハマスに拘束されたイスラエル人人質事件で、自分が被害者だとイスラエルが叫ぶ時、我々はそれを目にする。社会における全く作り話の「反ユダヤ主義」危機についてイスラエル支持者が悲鳴を上げる時、我々はそれを目にする。欧米帝国のプロパガンダ機関が、敵を「いわれのない」侵略の邪悪な加害者として描き、帝国は単なる無実の受動的目撃者にすぎないと主張する時、あるいは大量石油埋蔵の上にたまたまいる、あれこれの邪悪な独裁政権の下で暮らす貧しい抑圧された人々への同情を喚き立てようとする時に、我々はそれを目にする。連中は世論の同情を操作して言説を支配し、言説を支配して、自分たちの物質的な思惑を推進しようとしているのだ。

 大学キャンパスで、彼のイスラエル批判を黙らせるためにホロコーストという切り札を使おうとした若いイスラエル擁護論者を怒鳴りつけるノーマン・フィンケルシュタインの伝説的ビデオがある。このビデオが広く共有され、多くの人の共感を呼んだ理由の一つは、フィンケルシュタインがたまたまホロコースト生存者ユダヤ人の息子で、それゆえ大きな権威を持って発言できたためだ。だが、もう一つの理由は、イスラエルの国家利益のために同情を操ろうとする試みを非常に巧みに阻止しているためだ。議論の場から同情を取り去り、イスラエル擁護論者最大の武器を彼は奪ったのだ。



 イスラエルとその支持者連中は、ほとんどの人々よりも言説の力を良く理解している。だからこそ連中には言説支配に特化したハスバラという特別な名前の慎重に培われた規律があるのだ。ハスバラというのは、イスラエルとその行為に関する肯定的情報を海外に広めるためイスラエルに関する言説を操ることを狙う広報活動だ。

 我々の世界の本当の通貨は、お金でも資源でもなく、金でもなく武器でさえない。世界の本当の通貨は言説と、それを支配する能力だ。言説を支配できれば全員を支配できるためだ。

 平均的な人間生活は精神的言説に支配されているので、世界について人間が互いに語り合う言説を支配できれば、人間を支配できるのだ。

 瞑想をしたことがおありなら、人間の意識が心の雑音に支配されているのをご存知だろう。私たちの心は、物事がどうなっているのか、自分がどうなっているのか、周りの人がどうなっているのか、何が起きているかなど絶えずおしゃべりしているのだ。自分が関心ある特殊権益について、大勢の人が頭の中でこの強力な言説を洪水のように流すのを支配できれば、そうでない人よりも、自分の権益を推進する可能性がずっと高くなる。あなたは多くの本当の権力を得られるのだ。

 世の中には山ほど虐待が存在する。それは人を操る連中がこの力学を理解しているのに普通の人々がそれを理解していないためだ。我々が気づかないうちに我々の共感の糸は絶えず揺さぶられ、それにより権力者の権益を推進する信念体系に我々は追い込まれる。

 だからこそ、どこで共感が武器化されようと、同情を控えることが極めて重要だ。誰かが武器を使って人を傷つけていたら、最初にすべきことは、彼らから武器を取り上げることだ。10月7日の犠牲者や西洋社会の偽「反ユダヤ主義」緊急事態について、イスラエル擁護者が、あなたの心の琴線に触れようとする時、あなたは彼らに譲歩してはならない。あなたがその方向に向ける同情は、あなたに何もしていない中東の人々を殺害し虐待する武器として使われるからだ。

 ガザでの大量虐殺を再燃させるため、イスラエルの子どもの死を利用して、イスラエルと擁護者連中が世間の同情を煽ろうとする時には、これを心に留めておくべきだ。

 言説を支配する者は世界を支配し、共感を支配する者は言説を支配する。人を操る連中に人々を支配する力を与えてはいけない。

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記事原文のurl:https://caitlinjohnstone.com.au/2025/02/23/israel-and-its-apologists-weaponize-sympathy-in-order-to-facilitate-genocide/

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 Judging `Freedom トランプはロシアを理解しているのか。  ミアシャイマー教授が答える。
Prof. John Mearsheimer : Does Trump Understand Russia? 28:51
 今朝の孫崎享氏メルマガ題名
昨年出生数、過去最少72万人 9年連続減、婚姻は2年ぶり増 少子化が加速・厚労省。 死亡数は過去最多の161万8684人で、4年連続の増加。死亡数から出生数を引いた人口自然減は89万7696人と18年連続減で、過去最大の減少幅。婚姻数は2.2%増の49万9999組
 日刊IWJガイド
「2月最終日! IWJの財政は大ピンチ! 今期累積マイナス額1175万3713円! 3月以降も活動を続けられるよう、緊急のご支援を!」2025.2.28号

■はじめに~2月最終日です! IWJの財政は大ピンチです! 昨年8月から始まった第15期は、半期が過ぎ、6ヶ月連続で月間目標を割り込み、累積のマイナス額は1175万3713円です! IWJが3月以降も活動を続けられますように、ご寄付・カンパによる緊急のご支援をよろしくお願いいたします! IWJは、10年以上、オールドメディアからウェブメディアへのメディア変動期をリードしてきました。現在、ますますIWJしか報道しない情報が増えています! 緊急のご支援をよろしくお願いします!!

■G7でゼレンスキー氏がNATO加盟を主張し、トランプ政権と真っ向から対立! 他方、トランプ政権は非常に巧みなアメリカ・ファーストの「ウクライナ復興投資基金の設立に関する二国間協定」を提示! ここでも、ウクライナの安全保障が問題化! 実はそれは、2022年3月の「幻のイスタンブール合意」でも問題化していた!

■「地上波では報道されない真実を、これからも」「IWJの存続を希望」ご寄付をくださった皆さまからの応援・激励メッセージに、岩上安身がご回答いたします!

■【中継番組表】

■2月発行の『岩上安身のIWJ特報!』は、「岩上安身による東京大学法学部・松里公孝教授インタビュー」と「岩上安身による現代イスラム研究センター理事長・宮田律氏インタビュー」をテキスト化し、詳細な注釈をつけて発行します! ぜひ「まぐまぐ」からご登録ください!! IWJのサポート会員になれば、IWJサイトでバックナンバーをすべて読めます! ぜひ、サポート会員にご登録を!!

2025年2月27日 (木)

停戦期限が近づく中、新たな残虐行為言説を推進するイスラエル



停戦交渉の重要期限が迫る中、イスラエルとその擁護者連中はガザ虐殺再開を正当化するため新たな物語を都合よく積極的に推進している。

ケイトリン・ジョンストン
2025年2月22日

 この英語記事の朗読を聞く(朗読:ティム・フォーリー)。

 停戦交渉の重要期限が迫る中、イスラエルとその擁護者連中はガザ虐殺再開を正当化するため新たな物語を都合よく積極的に推進している。

 イスラエル人の子ども、クフィルとアリエル・ビバスは「2023年11月までにガザで人質に取られていたところテロリストに残酷に殺害された」と現在イスラエル国防軍は主張している

 金曜日「ハマスの嘘とは裏腹に、アリエルとクフィルは空爆で殺されたのではない。アリエルとクフィル・ビバスはテロリストに冷酷に殺害された。テロリストは2人の少年を撃ったのではなく、素手で殺した。その後、彼らはこれら残虐行為を隠蔽するために恐ろしい行為を犯した」とイスラエル国防軍のダニエル・ハガリ報道官が報道陣に語った

 イスラエルがこれら扇動的主張を裏付ける証拠を一切提示していないことを知っても過去1年半にわたりガザでの出来事を追ってきた人なら誰も驚かないはずだ。

 彼特有のアメリカ英語のビデオ声明を発表し、子どもの拡大写真を振り回しながら、パレスチナ人はなんと野蛮な怪物かについてベンヤミン・ネタニヤフ首相が語った。

 「ハマスは冷酷に彼らを殺害した」とネタニヤフ首相は言い、カメラは愛らしい赤毛の少女たちにズームインした。「イスラエル首相として、私は人質を処刑した蛮族が裁きを受けるまで休まないと誓う。彼らはこの世に生きるに値しない。私を止めるものは何もない。皆無だ。」

 これは、ネタニヤフ首相が、今月初めにワシントンから帰国した際、彼はするはずだとイスラエル・メディアが予想していた通り、当初の合意になかった新たな実現の見込みがない要求を加えて停戦交渉を妨害しようとしていたまさにその時起きたのだ。ハマスとの停戦合意の6週間に及ぶ第一段階は、3月初めに期限切れとなる予定だ。

 これは明らかに赤ん坊を銃剣で刺す残虐行為プロパガンダで、最も都合よい時に発表されたのだ。赤ん坊の首を切ったり集団強姦をしたり、その他多くのことに関しイスラエルが嘘をついているのが発覚した後で、こうした主張を鵜呑みにするのは愚か者だけだ。



 だが、それは役目を果たしている。今やどこを見ても、停戦を終わらせ、無辜の子どもに復讐するためガザでの虐殺を再燃させようと呼びかけるイスラエル支持者の姿が見られる。タブレット マガジンの「連中は時間切れだ」という記事を私は読んだばかりだが、副題は「ビバス家の子どもの殺害は、パレスチナの隣人が誰かを正確に物語る18か月の恐怖の連続の最後を飾るものだ。ホワイトハウスの友人の支援を受け、イスラエルは強力な単独行動を通じて自国の将来を確保しなければならない」だった。

 子どもたちの死因として最も可能性が高いのは、当時イスラエル政府が人質を拘束していた場所に爆弾を降らせていたことだとわかっているにもかかわらず、このようなことが起きている。2023年11月、ビバス家の子どもたちが母親とともにイスラエル空爆で死亡したとハマスが報じた。2023年12月、遺体をイスラエルに返還するとハマスが申し出たが、イスラエルはこれを拒否し「イスラエルはハマスのプロパガンダに基づく報告には対応しない」と報道陣に伝えたと主流メディアが報じた

 イスラエル空爆により毎日多くの女性や子どもが殺されていた地域で、イスラエル空爆で女性と2人の子供が殺されたことは、パレスチナ抵抗戦士が計画通り、子どもを交渉材料として利用するのではなく、自発的に子どもを素手で殺害すると決断することよりも、遙かにありそうなシナリオだと推測するのにハマスや他の誰かを信頼する必要はない。

https://twitter.com/SanaSaeed/status/1892860670074671305

 ジャーナリストのムハンマド・シェハダが最近ツイッターで指摘した通り、既にイスラエルは、実際はイスラエル空爆で殺害された人質をハマスが殺害したと嘘をついてきた実績がある。2023年12月、人質3人の家族に、彼らはハマスに殺害されたとイスラエルは伝えた。人質の1人の母親は掘り続け、最終的に、彼らが隠れていたトンネルにイスラエル国防軍が「ガス」を噴射し、窒息死していたのを発見した。昨年9月、イスラエル国防軍は空爆で人質を殺害し、それについて嘘をついていたのを認めた。

 三週間前、イスラエルはビバス家の死を停戦終了の口実にしようとしているとゼテオ記事でシェハダは正しく予想していた。これは、この事態が始まるずっと前からだ。シェハダは、ハマスが1年以上前にビバス家の子どもの死を発表していたにもかかわらず、親イスラエル派の言説支配者連中が、ビバス家の子どもが被害を受けたことが判明したら、ガザに大いなる復讐をしなければならないという主張を推進しているのに気づいた。彼らは子どもたちが死んだのを知っていたので、一月下旬に停戦が発表された後に、彼らの死が発覚すれば停戦を終わらせる正当な理由になるという言説を流布し始めた。



https://twitter.com/DropSiteNews/status/1893042058249805894

 今日イスラエル軍はヨルダン川西岸でパレスチナ人の子ども二人を射殺した。二人とも背後から撃たれた。皆様がこの事件をご存知ないのも無理はない。なぜなら欧米政治・メディアは二人の白人の子どもの死に焦点を合わせすぎて、このような些細なことには注意を払わないためだ。

 2023年以来、イスラエルはハマスの新たな残虐行為を「発見」し続ける必要があるのだ。そうしなければ、これまで終始イスラエルが一方的に残虐行為をしてきたのが見えてしまうためだ。最初は首を切られた赤ん坊、その次は「ハマスが集団強姦をしていたことが発覚した!」になり、今度はビバス家の子どもだ。

 イスラエルがそうする必要があるのは、ハマスによる攻撃が、イスラエルが自らを被害者として位置づけられる最後の出来事だったためで、イスラエルはガザで桁違いにひどい虐待を犯しながら、その攻撃につけ込むのを極力長く引き延ばしてきた。これは全て怒りをかき立てて、イスラエルへの同情を引き出し、一年半にわたりイスラエルが虐待や強制退去や大量殺戮を続けてきたことによる明らかな被害者から同情をそらすため計画されたものだ。

 ガザに復讐の雨を降らせよという声が大きくなる中、このことを想起願いたい。ビバス家の子どもは理由ではなく口実だ。子どもが生まれるずっと前から、パレスチナ人に対し計画されていた計画を進めるための口実なのだ。

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 画像はIDFからのスクリーン・ショット。

記事原文のurl:https://caitlinjohnstone.com.au/2025/02/22/israel-pushes-new-atrocity-narrative-just-as-ceasefire-deadline-approaches/

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 Judging Freedom 冒頭はマグレガー氏による「ウクライナへの軍派遣というボリス・ジョンソンとトランプの妄言」批判。
[ DON'T MISS ] - COL. Douglas Macgregor : Why Is Trump Arming Ukraine? 30:09
 今朝の孫崎享氏メルマガ題名
WSJ「ウクライナ、米国の援助なしでも夏まで耐えられる十分な兵器を保有」「米の支援が止まれば。最も洗練された兵器の一部を使用できなくなる可能性。先進的な防空システム、地対地弾道ミサイル、航法システム、長距離ロケット砲等の米国の供給品の一部は、短期間で代替が事実上不可能。

2025年2月24日 (月)

病院を標的にするだけでなく個々の医療機器も破壊するイスラエル国防軍



狙いは常にパレスチナ人民族浄化推進のためガザを居住不可能な場所にすることだ。

ケイトリン・ジョンストン
2025年2月14日

物語のマトリックスの端からのメモ

 この英語記事の朗読を聞く(朗読:ティム・フォーリー) 。



 ガザ北部の病院内の救命医療機器が計画的に破壊され、「医療をこれ以上提供できないようにするため、一つずつ粉々に砕かれた」と国境なき医師団の緊急コーディネーター、キャロライン・セギンが報告している

 「このような行動の動機は一体何かが問わなければならない。これらの機械は人々、母親、父親、子どもの命を救うために作られている」とセギンは書いている。

 だが我々全員動機を知っている。動機はガザ地区をパレスチナ人にとって居住不可能な場所にすることだ。

 つまり、イスラエル擁護者たちは、この件についてどんな言い訳をできるのか? ハマスは人工呼吸器の中に隠れていたのか? MRI装置は人間の盾として使われていたのか? 除細動器の中に武器が備蓄されていたのか? 保育器はイスラエル国防軍に危険を感じさせるような動きをしたのか? これに関するハスバラの見解は一体何だろう?

 どうやら、そうではないようだ。イスラエルがガザの医療施設を組織的に破壊する理由についてあれだけ嘘をついてきたのに、連中は今や全ての見せかけを捨て、公然と医療機器そのものを破壊の標的にしている。狙いは、常にパレスチナ人の民族浄化を容易にするため、ガザ地区を居住不可能にすることだった。



 トランプが進めるあれこれの醜い国内政策のせいで「カマラに投票しなかった奴らはクソだ」と言う人々は、バイデン政権下でガザを無視しただけだ。連中は目でも頭でも心でも、ガザを無視したのだ。

 バラバラにされた子どもや焼かれた死体の残酷な映像を見るのを連中は避けた。毎日起きる大量殺戮について考えたり、近所が焼かれたらどうなるかを想像したりするのを連中は避けた。これらのものを目と心に揺るぎない注意を払って見れば必ず経験するだろう不快な感情を味わうのを連中は避けた。

 連中は、これらの恐ろしい出来事を目の当たりにし、考え、感じてきた我々とは違う世界に生きてきたのだ。それが連中が「カマラに投票しなかった奴らはクソだ」と言える唯一の理由だ。彼らが一年以上、目と心と心を固く閉ざしていなければ、こんなことを言うことなど決して思いつかないはずだ。

?

 最近のトランプ政権のウクライナでの動きに関する議論で忘れられがちな重要な点は、世論調査でウクライナ人の大多数が戦争終結を望んでいることが明らかになったことだ。彼らはもう戦いたくないのだ。

 会話は、そこで終わりにすべきだ。議論の余地はない。代理戦争の戦士連中が最後に言い張った「ウクライナ人は戦い続けたい」という主張は数か月前に消え去った。ウクライナ人自身この代理戦争の停止を望んでいるのに、それでもあなたが代理戦争継続を望むなら、あなたは怪物だ。あなたは不快な気分でなく、よい気分を味わいたいがためにウクライナ人が彼らの意志に反して勝ち目のない戦争の木材粉砕機に命を投じ続けるのを望んでいる。あなた方精神病質者だ。あなたが世界について言うこと全て全員無視すべきだ。



 トランプ政権は、世界中でアメリカの政権転覆作戦を支援するCIAのフロント組織、全米民主主義基金への資金提供を凍結した。これはアメリカのもう一つのソフトパワー作戦、USAID資金剥奪に続くものだ。これがどれだけ永続的な政策転換で、どれだけ帝国の操縦機構の再編に過ぎないかはまだ分からない。

 ウクライナは決して始めるべきでなかった勝てない代理戦争だという私の発言を、ロシア・プロパガンダだと罵倒するソーシャルメディア上の帝国の阿呆どもに、私がそういったじゃないかとひけらかすのに私は興じていた。そして、金にならないために、ほとんど全員が今やネットにいないのに私は気がついた。



 いまだに、トランプ支持の愚か者連中が、トランプ大統領は他の大統領がしたことがない方法でイスラエルとパレスチナの和平を実現するため英雄的努力をしていると言っている。そうだ、バカ野郎、トランプはパレスチナ人を排除して、文字通りイスラエルが望んでいたものを全てを与えて、それをしているのだ。これは問題解決でも和平実現でもなく、力を使って勝者を宣言し、敗者から全てを奪っているだけだ。議論の参加者の一人を殺せば議論が解決したと言うようなものだ。人種の違う人全員を排除すれば人種差別を解決できると言うようなものだ。

 トランプの計画は「パレスチナ人がいなくなることは、イスラエルとパレスチナの紛争がなくなることだ!」というものだが、それが平和と正義の姿だと信じるのは、どれほど愚かなことなのだろう。相手を排除すればどんな紛争も終わらせることができるが、それは平和ではない。この場合、大量虐殺民族国家に彼らが望むもの全てを与えることであり、平和と正義の支持者たちは何世代もかけてそれを阻止しようとしてきたのだ。



 ここ10年ほど、アメリカ人の意識は権力と戦うことはドナルド・トランプと関係あるという妄想に悩まされてきた。民主党はトランプに対抗して勇敢な革命家であるかのように振る舞う。共和党はトランプを支持して勇敢な革命家であるかのように振る舞う。

 現実には、権力に対する戦いはドナルド・トランプとはほとんど無関係だ。彼に反対することとほとんど無関係だ。なぜなら、アメリカ大統領は単なる名目上の人物で、その地位に立つのがトランプでなければ、思想的に同じ帝国の悪党が立つことになるためだ。そして、トランプは完全に体制側の権力構造と一体化しているので、彼を支持することと全く無関係だ。

 進歩派はトランプを、アメリカの民主主義を終わらせようと企むヒトラー的独裁者と見なしているが、右翼は彼をディープステートの解体を先導する英雄的ポピュリストと見ている。実際には、トランプの実績は、彼が典型的なひどい共和党大統領に他ならないことを疑いの余地なく証明している。彼の重要な政策決定と支配に関する限り、彼は並外れた存在ではなく、特別でもない。前任者との表面的違いは僅かしかないが、類似点により影が薄くなり、類似点が違いを桁違いに小さく見せている。トランプがアメリカの現状維持政治の継続ではなく、異常と見なされる唯一の理由は、架空党派分裂の双方が根拠のない感情に駆られた言説で、その妄想を煽り続けているためだ。

 アメリカを実際に動かしている金権政治家や帝国経営者のネットワークは、トランプよりずっと前から権力を握っており、トランプがいなくても今も簡単に事態を動かすことが可能で、トランプ後も事態を動かし続けるだろう。過去4年、アメリカには実際認知症患者大統領がいたが、帝国の機能に何の影響もなかった。トランプも同じだ。誰が名目上の地位に就こうと、アメリカ帝国の暴政と虐待は途切れることなく続くだろう。

 権力に意味ある形で反対するということは、ドナルド・トランプや他の帝国の経営者に対し特別な姿勢を取ることではない。帝国の悪業は、誰か一人のせいではなく、帝国の前提となっている制度や慣習の必然的結果だ。資本主義。帝国主義。覇権的支配。金権政治。軍国主義。生態系破壊。搾取。搾取。権威主義。プロパガンダ。

 権力と戦うことは、これらのことに反対する立場を取ることを意味する。権力者はドナルド・トランプに賛成または反対する党派間争いを許し、奨励する一方、帝国主義的戦争計画や資本主義少数独裁政治に反対する強力な運動が世界のどこかで起きると、激しく激怒するので、これが真実だとお分かりいただけるだろう。FBIがCOINTELPRO作戦で反戦活動家や共産主義者や黒人公民権団体をいかに積極的に標的にし、アメリカにおける正義と平等に向けるあらゆる運動を根絶したか、そしてこれをドナルド・トランプへの反対や支持が主流言説の中で自由に花開くことが許されていることと比較すれば、本物の反対がどのようなものかわかる。

 権力と戦いたいなら帝国そのものに反対して頂きたい。大衆の目から帝国プロパガンダ機構の信用を失墜させ、人々が帝国の悪行に同意するのをやめるよう支援願いたい。戦争計画に反対し、帝国の悪行が世界に及ぼされにくくなるように助力頂きたい。資本主義に埋め込まれた不正に人々の目を開き、より良い世界が可能なことを理解できるよう支援願いたい。帝国の実際の運営方法に対する認識を広め、人々が真の権力と戦うのはドナルド・トランプと関係があるという妄想にエネルギーを注ぐのをやめるよう助力願いたい。

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 画像はWikimedia Commons/IDFより。

記事原文のurl:https://caitlinjohnstone.com.au/2025/02/14/the-idf-didnt-just-target-hospitals-they-destroyed-individual-medical-machines/

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 The Chris Hedges Report
The Purge of the Deep State and the Road to Dictatorship - Read by Eunice Wong
Donald Trump’s dismantling of the deep state presages the formation of something far worse.

Chris Hedges
and Eunice Wong
Feb 24, 2025

 Judging Freedim ウクライナ侵攻三年目 Alex Jones
[ SPECIAL ] - 🔥 The War Begins: Alex Jones & Judge Nap on Russia’s Invasion - A Look Back- Feb '22 26:11
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XGrokへの問い「問:福島教授の説明が正しいとすると、安倍元首相を殺害した弾は前方から来たことになります。発射場所、銃撃者は誰か、動機は何かについて、何かの推論がありますか」→確かに弾が前方から来た可能性が浮上します。

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