サウジアラビア・湾岸諸国

2023年8月10日 (木)

岸田首相、ペルシャ湾岸諸国を歴訪し脱炭素化について議論

2023年8月4日
ウラジーミル・テレホフ
New Eastern Outlook

 今年7月16日から18日まで、サウジアラビア王国、アラブ首長国連邦、クウェートの三つのアラブ湾岸諸国を岸田首相が訪問した。2021年秋に就任して以来、世界地政学グレートゲームの現段階で、全ての主要大国にとって戦略的重要性が高まっている地域への彼の初訪問だ。

 炭化水素燃料の燃焼に依存する現在の「炭素依存」経済を、いわゆる「グリーン」経済に置き換える必要性に関するあらゆる話にもかかわらず、主要大国は相変わらず化石燃料の世界の主要供給者である湾岸地域に政治的影響力を確保することに関心を持っている。歴訪について評論家たちが指摘している通り、サウジアラビアとUAEは日本の炭化水素輸入のほぼ80%を占めている。さらに10%は、この地域の他の国々から来る。そして岸田首相歴訪の主な焦点は(「中・長期的に」)炭化水素供給の安定した入手をいかに維持するかという問題だった。

 日本の首相が各国との政治交渉で使うため持参した「贈り物」も、いささか顰蹙をかった。どうやら、交渉の中で、日本は製造過程で使われる革新的「脱炭素技術」を利用できるようにすることを申し出たようだ。しかし炭化水素供給国が長年にわたり炭化水素輸出へのほぼ完全な依存を減らしたい願望は、いくつか誤解があるようだ。

 実際彼らの主な関心事は製造技術の脱炭素化ではなく、より競争力ある製品を製造するため常に最新生産施設を開発することだ。結局、今日、炭化水素の大部分は生産国から遠く離れた場所で燃やされる(そして結果として生じる温室効果ガスが排出される)。したがって、実際の生産者には、行うべき脱炭素化はほとんどない。

 この同じ主題は、世界の大気温度が近年上昇している(明らかに証明された)事実を糧にする国際的「グリーン」運動によって大いに推進されている。しかしこの有害な過程否において、家畜農業を含む様々な人間活動が果たす(とされている)支配的役割は起源が不明な数学モデルによって実証されている。

 この「脱炭素問題」は現代のメディアや政治の場で「新常態」という概念と「公正でない」価値観の背後にある同じ声に推進されているように見える。更に、この両方の思惑の推進は、ヨーロッパや日本の代理人を通じて動く今のアメリカの民主党政権加盟以来、劇的に加速している。実際、これが両方とも実施された場合、世界中の人々に壊滅的結果をもたらす可能性がある。

 しかし日本の首相が訪問先首脳との会談中、脱炭素問題に焦点を当てたのは、実際は単なる隠れ蓑で、湾岸諸国訪問の本当の狙いはかなり違っていたようだ。その狙いは上記要因、つまりこの地域での有利な地位を巡り益々激化する闘いに完全に関連していた。経済的利益だけでなく、政治的利益も、この二つは概して密接に関連している。

 現在、東京の主要地政学的ライバルである北京は、最近何十年にもわたり和解できない敵対者に見えたイランとサウジアラビア間の仲介に成功し、この成果は、より広範な中東地域全体でその地位を大幅に高めた。そして北京も同様にこの地域の経済に関与している。今年6月、中国国営企業CNCPは、カタールエナジーと二度目の長期(27年)契約を締結し、その下で年間400万立方メートルの液化天然ガスを購入する。

 東京は「この地域における地位を中国に譲りつつある」と感じ、中東で存在感を示すため緊急措置を講じる必要があると感じ、これは本来、現代日本で最も著名な指導者の一人、行動的な安倍晋三が最初の任期(2007-2020)に開始した過程だ。安倍晋三のアラブ湾岸諸国への最後の訪問は、首相としての二期目が終了する6か月前の2020年1月に行われた。

 その訪問から3年半の間、安倍晋三の後継者たちはより広範な中東湾岸諸国を訪問しなかった。だから、その間この地域の様々な進展は日本の明白な関与なしに行われた。そして東京が北東アジアという「地元」地域で継続的配慮を必要とする多くの問題を抱えているのは事実だが、遙か遠くにある国々、特に主要炭化水素供給国を無視する余裕はない。

 今回の岸田歴訪の目的は、日本の外交活動におけるこの「ギャップ」を埋めることだった。地理と主題の両方の観点から、彼の歴訪は2020年の安倍晋三の歴訪とほぼ同じ地域だった。歴訪の最後の国所だけ異なっていた。三年半前はオマーンだったが、今年はカタールだった。訪問した三か国で署名された二国間文書の範囲に鑑みて、日本は既に述べた通り極めて重要な地域で日本の存在感を示す過程を再開したと言って過言ではない。

 事実「再開」という言葉が、これらの文書中、最も重要な文書(少なくとも筆者の見解で)、つまり日本の全権代表とアラブ・ペルシャ湾岸6カ国で構成される湾岸協力会議の共同声明で実際使用されている。したがって、共同声明署名国には、岸田率いる日本代表団が最近の訪問で訪問しなかった3か国が含まれている。

 この文書の主な焦点は、日本と湾岸協力会議の六つの加盟国全てとの間の自由貿易協定を締結するための交渉の計画された開始(2024年)にある。この問題は15年前に安倍晋三が最初に提起したもので、これが本文で「再開」という言葉を使用している理由のようだ。

 最後に、日本のペルシャ湾地域への新たな幅広い関与は、経済分野に限定されておらず、決して局所的や地理的な範囲に限定されていない事実に注意する必要がある。実際、これは東京の外交政策における最近の多くの構想の一つに過ぎず、この地域は多かれ少なかれ相互接続された政治的、地理的地域連鎖のリンクとして機能する。これには北東アジア、台湾、東南アジア、インド、ペルシャ湾を含むより広い中東、アフリカ、ヨーロッパが含まれる。

 今年3月、岸田首相はインドを訪問し、その後ヨーロッパを短期間訪問し、その一か月後アフリカ諸国を訪問した。そして、これまで見てきた通り、彼の最近の外交政策活動はペルシャ湾に焦点を当てている。そして彼の政権の他のメンバーも同様に活発だ。特に林義正外務大臣がアジア(インドを含む)やアフリカの多くの国を訪問した。

 上記の通り日本が各国で新たな国際活動を行う大きな理由の一つは「中国要因」だ。

 ウラジーミル・テレホフは、アジア太平洋地域問題専門家。オンライン誌New Eastern Outlook独占記事。

記事原文のurl:https://journal-neo.org/2023/08/04/the-japanese-prime-minister-tours-the-persian-gulf-states-to-discuss-decarbonization/

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 耕助のブログ Pepe Escobar記事翻訳

No. 1879 まずモスクワを目指し、それから北京をとる

 今朝の孫崎享氏メルマガ題名

多くの人は日本は研究で世界のトップにいると思っている。だが違う。科学論文上位10%の順位。中国、米国、英、独、伊、印、豪、加、仏、韓、スペイン、イラン、日。 日本の上に他のG7+中国、インド、韓国、西、イラン。しかも日本は本年順位落とす

 日刊IWJガイド

「ハンター・バイデン氏のビジネスモデルの原型はデヴォン・アーチャー氏が作った! 両氏の関与した3つの投資ファンドの外部資金調達の流れ」

【本日のニュースの連撃! 5連弾!】

【第1弾! 共和党のマージョリー・テイラー・グリーン下院議員(ジョージア州選出)がバイデン政権のウクライナ支援金のありかたを根本批判!「外国の戦争にこれ以上資金を送り、これ以上人々を殺すために投票するのはごめんだ!」「これは間違っており、あってはならないことだ」】国防総省の経理ミスで数十億ドルのウクライナ援助を過大評価していたことが発覚し、バイデン政権は62億ドルの支援資金を配り始めている! さらに彼らは、緊急洪水対策費と組み合わせて、議会で別のウクライナ追加支援予算を可決させようとしている(マージョリー・テイラー・グリーン議員の8月9日のツイッター)

2023年6月16日 (金)

シリアの政治的解決に取り組むサウジ皇太子

スティーブン・サヒオニー
2023年6月14日
Strategic Culture Foundation

 戦争を引き起こしテロリストを支援したアメリカと同盟諸国はシリア国民の復興過程への参加を拒否している。

 シリアのファイサル・メクダッド外相は、6月11日と12日に開催される会議のためサウジアラビアを訪問しており、過去三か月で三度目の王国訪問となる。彼は4月に初訪問し、5月19日のアラブ連盟理事会サミット出席のためアサド大統領に同行してジッダを訪れた。

 MbSとして知られるサウジアラビアのムハンマド・ビン・サルマン皇太子は5月のアラブ連盟サミット主催者としての立場を通じてシリアの援助と復興を推進した。MbSはシリアをアラブ諸国の兄弟連盟に戻すアラブ諸国の判断を求めたがアメリカは、その計画を非難した。

 「これは『我々は、あなた方抜きで我々の関係を再形成し再び描く』というアメリカへの強力な合図だ」とガルフ・リサーチ・センター会長アブドゥルアジズ・アル・セイガーは述べた。

 MbSは世界最大の石油輸出国の舵取りで指導的役割を果たし、国益を最優先し、MbSについて語る際、非外交的とは言えない言葉で、サウジアラビアに対して公然と恫喝するアメリカ、バイデン政権の圧力に屈していない。

 2011年に始めた政権転覆のためのオバマ-バイデンによる対シリア戦争に参加するようアメリカはサウジアラビアに要求した。アメリカの計画はカタールとサウジアラビアから資金提供を受けながら、シリア全土で性的暴行をし、不具にし、殺害したテロリストを利用していた。このプロジェクトは失敗し、シリア国民はムスリム同胞団と過激イスラム教に反撃し、中東唯一の世俗国家であり続けている。

 4月、メクダッドとサウジアラビアのファルハン外相は、シリア危機の包括的な政治的解決とアラブ世界におけるシリアの役割の回復について話し合った。

 シリア・サウジアラビア空港間の直行便再開にサウジアラビアが合意し、6月末開始予定だとシリアは発表した。5月28日サウジアラビア技術チームがダマスカスのサウジアラビア大使館再開準備のためシリアに到着した。

 アメリカサウジ関係

 昨年7月にバイデン大統領がMbSを訪問した際、彼はアメリカの石油価格を下げるために石油生産の増加を要求したが、彼は手ぶらで去った。6月8日、ブリンケン国務長官はMbSと会談し、この訪問中にMbSは7月に石油生産を削減し、アメリカ消費者へのガソリン価格を引き上げると発表した。

 ブリンケン国務長官はシリアのアラブ連盟復帰を許したことに対するアメリカの非難を表明しており、アメリカはシリア国民の家やインフラや生活の再建に、あえて参加するサウジ王国や他のアラブ諸国への復讐を積極的に計画している。

 アメリカが仕組んだシリア紛争の平和的解決を模索する代わりに、アメリカの「優先事項」であるアブラハム合意を通じて、イスラエルとサウジアラビアとの正常化を強要することだけにブリンケンは焦点を当てている。

 ファイサル・ビン・ファルハン外相はブリンケンの要請には動じず、「パレスチナ人にとっての平和の道を見つける」ことなしには、イスラエルとの正常化は「限定された利益」しかないと述べた。

 MbSは、ヨルダン川西岸、東エルサレム、ガザにパレスチナ国家を創設し、既存の国連決議を満たすよう繰り返し求めている。しかし、現在のベンヤミン・ネタニヤフのユダヤ過激派政権下のイスラエルで、そのような動きは不可能だ。

 MbSは、中東の平和と繁栄を求めるビジョン2023の真っ只中にいる。ブリンケンは中東に対する構想を持っておらず、彼の優先事項は、600万人を残忍な軍事独裁政権下に置いて、パレスチナの現状を維持することだ。ブリンケンは、シリア国民とその隣人パレスチナ人の苦しみには無関心だ。

 ブリンケン国務長官のリヤド訪問中、彼はイスラム国(IS)と戦う世界連合の外相会議を共催し、シリアとイラクでの取り組みに約150億80万ドルを約束した。連合には80か国以上が参加しており、このプログラムへの新たな資金は600億ドルを超えている。この資金はシリアのアメリカのパートナー、北東部のクルド共産党政権を通じて流れる。

 新たな道を開くムハンマド・ビン・サルマーン

 彼が支配者となる時代より前のシリア破壊はMbSの責任ではない。彼のビジョン2030は、シリアを含む地域の平和と繁栄のための計画だ。彼はワシントンに束縛されないグローバル・プレーヤーとして浮上しつつある。彼は、観光、スポーツ、娯楽、教育、商業、投資にまたがる大規模な経済的、社会的改革を開始した。

 近隣諸国のイエメン、カタール、イラン、シリアとの関係修復は彼の外交努力の基礎だ。ワシントンの批判に関係なく、MbSはシリアでのアラブ主導の政治的解決に向けて取り組むことを主張し、国連決議2254をロードマップとして使用しようとしている。

 水曜日MbSはロシアのプーチン大統領と電話会談を行い、ブリンケンの到着前にベネズエラのマドゥロ大統領がMbSを訪問した。皇太子はサウジアラビアの国益を追求しながら様々な指導者との協力と外交を求め、アメリカ大統領執務室の指示には拘束されない。

 アメリカ制裁、制裁、更なる制裁

 アメリカが支援するテロリストが破壊、損傷した家、学校、病院、インフラをシリア国民が再建するのを阻止する更なるシリアに対する制裁をアメリカ議会は検討している。

 新法案は2023年シリア反正常化法と呼ばれ、既に麻痺している2020年のシーザー法への追加だ。新法案はシリア国民の再建と回復をあえて支援する国に重い罰金を科そうとしている。シリアとの関係を正常化するアラブ諸国は再建支援を阻止されるのだ。

 制裁はシリア国民を傷つけ、彼らの回復を遅らせ、仕事や生計の回復を妨げるだけである事実を専門家は指摘している。法律は、国が最大の領土を保持し、ダマスカス、アレッポ、ホムス、ハマ、ラタキアのすべての主要都市を含め、ダマスカス政権が支配するシリアの部分に50,000ドルを超える価値の投資、助成金、契約または寄付を行った場合、いつでも金銭的罰則を科すと規定している。アメリカはイドリブと北東部の共産党支配地域のテロリストを保護しているが、これら地域のどれにも大都市がない。シリア民間人の最大集団は、ダマスカスにある中央政府の管理下で暮らしているのだ。

 オクラホマ大学のシリア専門家ジョシュア・ランディスは、ダマスカスに対する制裁はシリア国民に正義をもたらすのでなく、彼らを更に貧しくすると考えている。アメリカ制裁により交換部品注文が阻止されているため医療機器は病院で休眠状態になっている。外国の製造業者がダマスカスへの製品輸出に対する罰則に直面するのを恐れているため、シリアでは時折化学療法薬品が入手できないことがある。シリアで家を建築するには木枠から始まるが、シリアには広葉樹林がないため木材を輸入する必要がある。カナダ、スウェーデン、ノルウェーなどの国は罰則を恐れシリアの商人に木材を販売しない。

 EU首脳会議

 「シリア及び地域の将来の支援に関する会合」が7月14日と15日ブリュッセルで開催される。この会議は中央政府下で暮らす1500万人のシリア人の必要性に対処したり検討したりするのではなく、イドリブでテロリストに人質にされている民間人と、トルコ、ヨルダン、レバノンなどシリア難民を受け入れている諸国の必要性にのみ資源を投入する。

 この会議はダマスカス政権下で暮らしていないシリア人に寄付するための2023年の主要な催しだ。しかし大多数のシリア人は、この会議により暮らしを助けられたり改善されたりすることは決してない。これはイドリブで300万人を拘束しているテロリスト指導者を支援し、トルコ、ヨルダン、レバノンでのテント暮らしのシリア難民は飢餓から守るが、彼等のシリア帰国を阻止する駒としてしっかり確保する欧米民主主義の優先事項を示している。

 アメリカと欧州連合の同盟諸国はシリアで暮らす1500万人の暮らしは考慮していない。彼らは戦争を起こし、国を破壊し、分割したテロリストを支援したが、シリア国民の復興過程に参加するのを拒否しているのだ。

記事原文のurl:https://strategic-culture.org/news/2023/06/14/saudi-crown-prince-is-working-towards-a-political-solution-for-syria/

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 東京新聞朝刊国際面に驚いた。

 オラフ・ショルツ正気だろうか? 初の安保戦略策定で「ロシアは最大の脅威」明記。
 ドイツ産業の大動脈ノルドストリームを爆破した宗主国は最大の脅威ではないのだ。

 マグレガー氏最新youtube ロシアを見くびっている欧米指導部の錯覚・誤解を批判。

War events - Conflicts between America and Russia 22:02

 耕助のブログ

No. 1826 不当な影響力、21世紀型

 今朝の孫崎享氏メルマガ題名

講演での反応:私の講演を聞かれる人は、多くの場合方向性が一致している。従って肯定的になるのは自然である。しかし、私の論特にウクライナ関係は今日の日本では左右両グループにとり異端である。この中どういう反応があるか、一会場の例をみてみたい。

 日刊IWJガイド

「改悪入管法が9日に可決、成立! 本日午後3時から、岩上安身による社民党党首・福島みずほ参議院議員インタビューをフルオープンで生配信!」

はじめに~<本日の岩上安身によるインタビュー>難民を「死刑」が待つ地へと送り返す改悪入管法が9日に可決、成立! どうやって難民の命を守っていくのか!? 改悪入管法の廃止法案提出や政権交代が必要! 本日午後3時から、岩上安身による社会民主党党首 福島みずほ参議院議員インタビュー

【IWJ_YouTube Live】15:00~
難民を「死刑」が待つ地へと送り出す入管法改悪法が9日に可決! どうやって難民の命を守っていくのか? 入管法改悪法の廃止法案提出や、政権交代が必要! 岩上安身による社会民主党党首 福島みずほ参議院議員インタビュー
視聴URL:https://www.youtube.com/user/IWJMovie/featured

2023年5月24日 (水)

アラブ連盟とダマスカスを団結させたジェッダ会議

スティーブン・サヒオニー
2023年5月21日
Strategic Culture Foundation

 現在カタール・シリア間には分裂があるかもしれないが、彼らはパレスチナの自由を求めるのを支持する上で団結している。

 アラブ連盟サミットに先立ち、5月18日、シリアのバッシャール・アル・アサド大統領はサウジアラビアのジェッダ空港でバドル・ビン・スルタン・ビン・アブドゥルアズィーズ王子と会談した。

 メッカ州の副首長であるバドル王子はアル・アサドと応接室に入り座って歓談した。これは政権転覆のためシリアに対するアメリカ-NATO攻撃が始まった後、シリアのメンバー資格が中断された2011年以来アル・アサドが出席する最初のアラブ連盟サミットだ。

 5月19日、首脳会談開始前に、アサド大統領は握手でサウジアラビアのムハンマド・ビン・サルマン皇太子に温かく迎えられた。皇太子は会議主催者でアサドをアラブ諸国の兄弟同盟に戻すため働いていた。アル・アサドを含む首脳会談後、二人は短時間会談した。

 サウジアラビアは「我々の地域が紛争の場に変わるのを許さない」と皇太子は述べ、「苦痛な長年の闘争」のページはめくられたと述べた。

 紛争を終わらせ、苦難から目を背けないようシリアを関与させる必要性に関する合意が中東全体で構築されつつある。シリア紛争はアラブの問題で、アラブ世界によって解決されるべきだという意見を指導者たちは形成し始めた。

 イラク、リビア、エジプト、チュニジア、イエメン、シリアなど、中東は西欧の介入とアメリカ主導の政権転覆の冒険に長い間苦しんできた。その結果は壊滅的で、これらの国々を荒廃させ、特にアメリカ侵略と占領から決して回復していないイラクで著しい。シリアが回復するには数十億ドルと、おそらく数十年必要だ。

 アラブ連盟は、湾岸協力会議(GCC)のようなシリアを支援するための金を持った人々をまとめるネットワーキングツールとして使用される単なる出会いの場だ。シリア経済は崩壊しており、アメリカと同盟諸国に支援された武装テロリストとの長年の戦いで損傷し、台無しにされたインフラを再建するため現金流入が必要だ。

 オバマ-バイデンのシリア政権転覆プロジェクトは、トルコ、カタール、サウジアラビアと湾岸首長国連邦の大規模参加に依存していた。皇太子が王国の指導的地位に就くと方針を変更し、政治イデオロギーである過激イスラム教に従うテロリストへの資金提供を撤回した。

 アメリカとEUの対シリア制裁は、シリアが海外から難民を帰国させるのを含め、人々の苦しみを再建し終わらせるのを助ける上で障害だ。シリア国民の回復を支援するため、制裁解除や緩和に向けて取り組みたいとUAEとサウジアラビアは望んでいる。

 皇太子は独立した指導者で、彼の国最善の利益のため決定を下すが、それはアメリカ大統領執務室からの指示と常に一致するわけではない。彼はバイデン米大統領がアメリカ消費者のためにガソリンの価格を下げるため、より多くの石油を汲み上げるよう要求した後、石油生産量を増やすのを拒否した時など、王国の暮らしこそ一番大事であることをワシントンに知らせるため,いくつか措置を講じている。

 現在のサウジアラビア政権は、1973年10月の戦争中に、ニクソン大統領がイスラエルに22億ドルの支援を行った後、アメリカへの石油供給を遮断したファイサル国王時代を彷彿とさせる権力の頂点にある。

 ファイサル国王の息子で元サウジアラビア諜報部長トゥルキ・アル・ファイサル・ビン・アブドゥルアズィーズ・アル・サウード王子はムハンマド・ビン・サルマン皇太子の右に立っているのがよく見られる。トゥルキ王子は王国は数十年前にイスラエルに対し厳格な姿勢をとっており、パレスチナ・イスラエル紛争が解決するまでイスラエルとの関係を正常化しないとインタビューで述べた。

 サウジアラビアはかつてはアメリカの影響を強く受けており、これがシリアに対する政権転覆攻撃への関与につながった。アメリカが中東を去り、代わりにアメリカが支援するウクライナでの戦争によっててロシアを弱体化させることに焦点を合わせたため、アメリカの影響力は衰えた。

 アメリカが他の地域に焦点を当てる中、中国は和平工作者として介入し、イエメンでの戦争を終わらせる可能性のあるサウジアラビア・イラン合意を仲介し、シリアをアラブ連盟に招待し、サウジアラビアとの関係を回復する道を開いた。

 サウジ・ビジョン2030は、サウジアラビアの石油依存を減らし、経済を多様化し、健康、教育、インフラ、レクリエーション、観光などの公共サービス部門を開発する戦略的枠組みだ。

 これはムハンマド・ビン・サルマーン皇太子の発案によるもので、実現には、この地域の平和、安定、繁栄が必要だ。

 彼は、この地域で強力な指導者が必要だが、アサドはアメリカ、NATO、EU、およびアメリカ同盟諸国が2017年以上にわたりシリア破壊に兵器を供給し資金提供し支援していた間、国際規模の戦争地帯に安全を回復する能力があるのを証明した。トランプ大統領は最終的にシリアの武装戦士を訓練し支援したCIAプログラム、ティンバー・シカモア資金を削減した。

 カタールとモロッコはシリアとの関係正常化に抵抗している。主な理由はアメリカとの同盟と、ワシントンが書いた指令に従うという連中のパターンだ。

 カタールは、シリア国民、社会正義、草の根運動の側にあり、独裁的アラブ政権に反対しているとして、強硬な反アサドの立場を紡ぎ出そうとしている。しかしカタールは選挙も民主的制度もない権威主義的指導者の王子に支配されている。

 カタール首長シェイク・タミム・ビン・ハマド・アル・タニはジェッダに到着し、皇太子と握手した後、サミットに参加する前突然去った。彼が去る前、アサドと握手したとシリア国営通信社は述べた。

 サミットでのアサド演説は「拡張主義的なオスマン帝国思想の危険性」を指摘し、それはムスリム同胞団の影響を受けていると説明した。これはトルコのエルドアン大統領とシリア・テロリストへの彼の支援、トルコによるシリアの継続的占領への言及だ。

 ムスリム同胞団はサウジアラビア、アラブ首長国連邦、シリア、エジプトで非合法化された世界的テロ集団だが、それでもトルコとカタールに支援されている。

 国務省報道官ヴェダント・パテルは、2012年にシリアで行方不明になった元米海兵隊員のオースティン・タイスを帰国させるなど「多くの共通目的がある」と述べた。アラブ世界によるシリアに対するあらゆる平和構築の努力にアメリカ公式見解は反対している。

 アメリカ制裁は過去に化学療法薬がシリアに入るのを阻止し、最近ではラタキアとアレッポの地震犠牲者へのアメリカとEU援助到着を阻止したにもかかわらず、制裁は政府を排除するのでなく無辜の民間人を苦しめるだけと知りながらアメリカは制裁維持を主張している。

 ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領がサミットに出席し、ムハンマド皇太子はリヤドがロシアとの戦争を調停する用意があるとを改めて述べた。サミットで演説したゼレンスキーは代表団にウクライナの和平案を支持するよう求め、昨年の捕虜釈放調停におけるリヤドの役割に感謝した。

 欧米の圧力にもかかわらずアラブ湾岸諸国はウクライナ紛争で中立を保とうとしている。ロシアは、石油豊富な湾岸君主国とプーチンを結びつけているOPEC+の仲間だ。

 現在カタールとシリア間は分裂しているかもしれないが、少なくとも70年間アラブ世界の紛争と過激主義の原因となっているパレスチナの自由を求めるのを支持する上で団結している。新たな指導部、新たな構想、新たな目標の下、アラブ世界は黄金時代に入っているのかもしれない。

 スティーブン・サヒオニーはシリアを拠点とする受賞歴あるシリア系アメリカ人ジャーナリスト。中東専門。彼はカナダやロシア、イラン、シリア、中国、レバノン、アメリカのテレビやラジオにも出演している。

記事原文のurl:https://strategic-culture.org/news/2023/05/21/jeddah-meeting-unites-the-arab-league-with-damascus/

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 属国大本営広報部大政翼賛会 G7戦争賛美サミット、政府・アメリカ主張の垂れ流し。

 その点George Gallowayはさすが。G7馬鹿騒ぎと切って捨てている。

G7 TUMULT - MOATS Episode 240 with George Galloway

 11:45から広島でのバイデンの白痴的言行や原爆投下を批判。
 17分からは沖縄占領問題。日本そのものが占領常態だと。

 今朝の孫崎享氏メルマガ題名

驚き、伊達判決は生きてる。」砂川事件裁判国家賠償等請求事件、現在訴状東京地検に提示され訴訟中。伊達判決「当然日本区域外に(米)軍隊を出動し得る→その際提供の施設はこの軍事行動に使用される。わが国が直接関係のない武力紛争の渦中に巻き込まれ戦争の惨禍に」台湾問題だ!。

 植草一秀の『知られざる真実』

解散総選挙なら政権組換えの可能性

 日刊IWJガイド

「広島サミットに参加したブラジルのルラ大統領が会見で『ウクライナ問題はロシアと敵対するG7の枠組みでなく、国連で議論すべき』と主張!」

はじめに~「ウクライナ支援での結束」即ち「即時停戦ではなく紛争の長期化」がテーマのG7広島サミット後の会見で「ウクライナ問題はロシアと敵対するG7の枠組みでなく、国連で議論すべきだ」と主張したブラジルのルラ大統領!「バイデン大統領がロシアへの攻撃をけしかけている」「和平を見出したいが、ノース(北=欧米日)はそれを実現しようとしない」と批判!! ゼレンスキー大統領も参加したセッションでも、ルラ大統領は「ヨーロッパ以外にも平和と安全の課題がある」と演説!

2023年5月22日 (月)

アラブ人の再結成で孤立するイスラエル

2023年5月19日
Moon of Alabama

 ちょうど10週間前私は畏怖を感じていた。「これはおおごとだ!」私は中国(とロシア)の調停後、サウジアラビア・イラン関係が復活した驚くべきニュースについて書いた。

 それで、シリアやイラクやイエメンで、イランに友好的な軍隊とサウジアラビアが支援する軍隊間の紛争が終わりに近づいているのは明らかだった。しかし、それが今起きている速度は誰も予測していなかった。

 今日シリアのアサド大統領はサウジアラビアでアラブ連盟首脳会議に歓迎された。

 シリアのアサドがアラブ連盟サミットで、かつての敵と握手し頬にキスをする

 全ての握手が重要で、シリアのバッシャール・アル・アサド大統領は金曜のアラブ連盟サミットで、この地域のかつての敵から抱擁やキスと、多くの握手をした。

 金曜午後、サウジアラビアの都市ジッダのサミット会場を散歩する笑顔のアサドが、サウジアラビアのムハンマド・ビン・サルマン皇太子に手を差し出し、サルマン皇太子は両手を握り、アサドの両頬にキスをした。

 それは彼に反対する抗議行動の取り締まりをめぐり、アラブ連盟から排除され、地域のほとんどの国から孤立した後、アサドのアラブ集団への再統合を示す象徴的な瞬間だった。

 アメリカとネオコンのドイツのアナレナ・ベアボック外務大臣によるこれを阻止する企みは失敗した。シリアに対し依然多少敵対的な国々、カタールやアラブ首長国連邦、モロッコさえ、この措置を拒否するのを控えた。彼らにとってアラブ統一は地域外の利益より重要なのだ。

 フアン・コールは下記のように要約している

 ワシントンは今や外交官パーティーのスカンクだ。イランはアメリカを仲介者として信頼する可能性は全くなかった。サウジアラビアは別のヘルファイア・ミサイルに相当するものが発射されないよう、交渉について彼らに話すのを恐れていたに違いない。
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 サウジアラビアとイランがそうだったように双方が紛争にうんざりしているところで北京は明らかに今や公正な仲介者役を果たす準備ができている。しかし、これらの国々の関係を回復する驚くべき外交的偉業は中東で台頭する大国としての立場よりも、そこにいた、あれをしたという地域で30年間の偽りの約束(オスロ)や大失敗(イラク)や気まぐれな政策立案後、アメリカの信頼性の驚くべき低下を反映している。

 アラブ人が団結して、イスラエルは今や孤立した外れ者だ。サルマン・ラフィ・シェイクがイスラエルが置かれている新しい状況を分析している。

 アメリカとイスラエルの当局者は、イランとサウジアラビアの合意は政治に影響を与えず、アブラハム合意延長の可能性に影響を与えないと述べたが、様々な協議にもかかわらず、合意延長は依然実現していない。主な理由の一つはアメリカの政権交代で、バイデン政権は中東和平とサウジアラビアとの深い関係の両方に対するトランプ政権の熱意を共有していないがサウジアラビアもこの合意に熱心ではない。言い換えれば、中国主導の中東における「新しい」和平プロセスは、イスラエルにとって後退に他ならない。
...
 皮肉なことに、アメリカの立場をさらに複雑にする可能性があるため、中国は最近、現実的な和平計画を策定するためイスラエルとパレスチナ間の仲介を申し出た。アメリカがサウジを説得できない場合、孤立の増大を恐れるイスラエルは、最終的に新しい和平プロセスのために中国に向かう可能性がある。

 サウジアラビアはアメリカが「テロ集団」だと宣言したパレスチナ・ムスリム同胞団組織ハマスとの関係を再構築している。

 イスラエルにとって、この動きは二つの基本的理由から大きな後退だ。第一に、それはサウジアラビアがイスラエルとの交渉をむやみに追求していないことを示している。実際、サウジアラビアの動きは、イスラエルに難しい選択を強いるため、イスラエルの地域スペースを圧迫するのを目的としている。第二に、報告は、サウジアラビアが中東でアメリカに積極的に対抗していることを示している。ハマスとの関係確立は、サウジアラビアが少なくともワシントンやエルサレムが明らかにそうしているのと同じ意味でハマスをテロ集団と見なさない限り、アメリカと直接対峙する。

 イスラエルにとって、これは困難な状況だ。伝統的な地政学のやり方に固執し、積極的に利益を追求し、より広範な紛争のリスクを冒すか、「新しい」和平プロセスのため中国に頼ることも可能だ。しかし後者の選択肢は、中東におけるアメリカの立場をさらに弱体化させるだろう。

 イスラエルは合理的な解決策を約束できないため、イスラエルとの交渉にはあまり期待できない。イスラエルは崩壊しつつあるとジョナサン・クックは言っている。

 驚いたことに、イスラエルの苦境は何世代にもわたり指導者たちが恐れていたように、アラブ諸国からの複合攻撃や国際社会からの圧力である外部勢力からでなく、イスラエル自身の内部矛盾から生じているのだ。
...
 イスラエルの長期的問題は、いわゆる司法見直しのためのネタニヤフ計画をめぐる現在の激しい対立によって強調されている。イスラエルのユダヤ人国民は真っ二つに分かれており、どちら側も後退するつもりはない。当然ながら双方がゼロサムの戦いの観点から対立を見ている。

 そしてこの背後には、ほぼ一定の麻痺状態にある政治体制があり分裂のどちら側も議会で安定過半数を獲得できない。イスラエルは現在恒久的な低レベル内戦に陥っている。

 イスラエルの問題は、建国以来シオニズムの屋根の下で団結しようとした二つの異なる集団だ。より世俗的でリベラルなヨーロッパ・アシュケナージが主に国を率いており、中東のミズラヒムや超正統派ハレディムは脇役を演じてきた。しかし彼らは出生率が高く多数派になる途中だ。これら異なるグループの目的は両立せず永続的対立を助長する。

 何十年間も、アシュケナージ指導部は、宗教的権利、特にミズラヒムとハレディムが、パレスチナ人に対する特権で買収される限り、イスラエルのユダヤ人階層における彼らの劣った地位を受け入れるだろうと想定していた。

 しかし宗教右派は今やパレスチナ人を抑圧する権利以上のものに貪欲だ。彼らはイスラエルのユダヤ人の性格を形作する権利も望んでいる。

 アシュケナージ支配層が、特に入植事業を通じて、パレスチナ人に対し武器化することを望んでいた宗教的熱意は、しっぺ返しを食らわせている。ネタニヤフによってさえ、ますます飼いならせない怪物が作り上げられたのだ。

 新しい中東には、新しい時代精神の流れに逆らって泳いでいる国が一つだけある。その国はまとまりがなく、何も決められない。イスラエル側には中国や他の誰かとパレスチナを巡り継続する合意をできる人は誰もいない。

 ミズラヒムとハレディムが勝利した場合、最終的にそうなるだろうが、より世俗的なアシュケナージは去り始めるかもしれない。イスラエルの能力は彼等と共に去るだろう。そうなれば能力が低下した豊かなイスラエルをより広い中東が再吸収するのが可能になるかもしれない。

 それは驚くべき進展の筈だ。

 だが現在のものもそうだ。

記事原文のurl:https://www.moonofalabama.org/2023/05/the-arabs-are-reunited.html#more

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 Alex Christoforou ゼレンスキーG7参加は空振り。日本で記者にバフムートについて問われ失言。バイデン、オーストラリアでの対談時に記者質問に答えられず。ザルジニー重傷の噂。

Elensky; Russia does/does not occupy Bakhmut. G7 shifts to China. Medvedev invites Musk. 37:43

 耕助のブログ

No. 1801 プリゴジン・ファイル:神々の黄昏か、欺瞞作戦か?

 今朝の孫崎享氏メルマガ題名

福田赳夫首相の「一人の生命は地球より重い」→人質身代金として600万ドル(約16億円)、服役勾留中の9名の釈放。他方オルブライト国連大使、国務長官、対イラク制裁で50万人死亡の犠牲払う価値がある行為かを問われ、その代償、思うに、それだけの値打ちはある

 日刊IWJガイド

「岸田総理が自画自賛する『核軍縮に関するG7首脳広島ビジョン』に原水協が『「核抑止力」論を公然と宣言するサミットとなった』と批判!」

はじめに~G7広島サミット終了! 発表された「中国を害することを目的としていない」との首脳声明に、中国側は「中国からの完全なデカップリングは、現時点では非現実的であることを認識している」と分析! 一方でG7を「国際平和を妨げ、地域の安定を損ない、他国の発展を抑制している」と非難!! 岸田総理が自画自賛する「核軍縮に関するG7首脳広島ビジョン」に原水協は「『核抑止力』論を公然と宣言するサミットとなった」と批判!

2023年5月20日 (土)

イスラエルと「新しい」中東

2023年5月18日
Salman Rafi Sheikh
New Eastern Outlook

 2020年、アメリカの支援を受けたイスラエルがUAEや他の中東諸国とアブラハム合意に署名した際、イスラエル政府は中東和平プロセス軌道を進んでいるように見えた。3年後、中国によるイラン・サウジアラビア和解仲介成功が、中東地政学の現地および国際的動態を大幅に変えたため、もはやアメリカやイスラエルによって和平はもたらされない。現地では今や益々多くのアラブ諸国が「正常化」を追求している。国際的にワシントンではなく北京が主導的役割を果たしている。明らかな理由から北京を介して間接的にさえこれら進展に影響を与えられないため、イスラエルにとって問題は積み上がる。同時に、アブラハム合意の根底にある論理が、アラブ世界におけるイスラエルの影響力を拡大し、イランをさらに孤立させることだった場合、これはもはや不可能だ。

 イラン・サウジアラビア和解は政治に影響を与えず、アブラハム合意延長の可能性に影響を与えないとアメリカとイスラエルの当局者は述べているが様々な協議にもかかわらず、合意は依然実現していない。主な理由の一つはアメリカの政権交代で、バイデン政権は中東和平と、サウジアラビアとの深い関係の両方に対するトランプ政権の熱意を共有していないが、サウジアラビアもこの合意に熱心ではない。言い換えれば、中国が主導する中東における「新しい」和平プロセスは、イスラエルにとって後退に他ならない。

 これはイスラエルとの交渉に対するサウジアラビアの立場が過去数ヶ月程度で硬化した方法から最も明白だ。アメリカ主流メディアも報じている通り、サウジアラビアはワシントンに追加の安全保障を要求しているだけでなく、原子力発電所計画を進展させる支援も求めている。これはアメリカに対するサウジアラビア向け武器販売制限緩和というサウジアラビアの要求に加えてのものだ。これら要求はサウジアラビアの「パレスチナ人の独立願望に対処するため何かをする」というイスラエルに対する永続的要求への追加だ。

 アメリカとイスラエルの観点からは、サウジアラビアは「正常化」と引き換えに、彼らから最大限の譲歩を引き出すためこのシナリオを利用しているだけだ。彼らの観点からは、中国の支援下、他の国々が政治的正常化を追求し続ける可能性が最も高い以上、イスラエルを当事者として排除する中東和平プロセスが最終的にこの地域でイスラエルの孤立につながることを考えると、彼らは最終的にサウジアラビア要求のいくつかに対処する必要があるかもしれない。皮肉なことにアメリカの立場を更に複雑にする可能性があるため、中国は最近、現実的な和平計画を策定すべく、イスラエル・パレスチナ間仲介を申し出た。アメリカがサウジアラビアを説得し損ねた場合、孤立化が悪化するのを恐れるイスラエルは、最終的に新しい和平プロセスで中国に頼る可能性がある。

 これまでのところ、アメリカはこの方向、つまりイスラエル・サウジアラビアの和平プロセスに向けて前進できていない。実際サウジの要求に対処しそこねたことが、サウジを反対方向に押しやっている。アメリカ主流メディアで再び報道されているように、イスラエルに抵抗し、アメリカに「テロ集団」と指定されているパレスチナ民兵のハマスとの関係を正常化、効率化すべくサウジアラビアは動いている。ウォールストリート・ジャーナルが報じたように、サウジアラビアの動きは

 「ハマスとの王国の和解努力は地域の当事者がシリアとの関係を再確立し、中国やロシアなどの国々が、不安定な地域での影響力を求めてアメリカに挑戦するにつれ、皇太子の外交的影響力を示すためのより大きな動きの一部だ。」

 この動きは二つの基本的な理由からイスラエルにとって大きな後退だ。第一に、それはサウジアラビアがイスラエルとの交渉を無思慮に追求しているわけではないことを示している。実際サウジアラビアの動きは、イスラエルに困難な選択を強いるためイスラエルの地域スペースを押しつぶすのを目的としている。第二に、報道はサウジアラビアが中東でアメリカに積極的に対抗していることを示している。少なくとも明らかにワシントンとエルサレムがそう見なしているのと同様にサウジアラビアがハマスをテロ集団と見なさない以上、ハマスとの関係確立はアメリカと直接対峙する。

 イスラエルの観点からは、これは重大な複雑化要因だ。以前アブラハム合意が交渉された際、根底にあった論理は、全ての「スンニ派アラブ諸国」とイスラエルの共通の敵としてのイランだった。中国外交はアラブ諸国のイランに対する見方を変えた。イランは依然ライバル国だが、これらアラブ諸国は、イランの地域的および核的な野心を抑制するため中国を間に挟んでいる。その結果、アラブ諸国は2020年に追求しようとしていたほど熱心にイスラエルとの関係を発展させる必要がなくなった。

 最近アブラハム合意署名国であるUAE政府がイスラエルとの防衛協定を延期する決定から、これが明らかになった。この決定は先月イスラエル政府によるアル・アクサ・モスク襲撃、パレスチナの町への入植者による攻撃およびイスラエル財務大臣ベザレル・スモトリッチのフワラ町殲滅発言への対応として行われた。これらの事件はパレスチナ問題の重要性が続いていることを示しているかもしれないが首長国指導部がイスラエルから離れる、より決定的な理由は、かつてのライバルのイランやシリアやハマスなどとの関係を正常化する地政学的動態の変化に関係している。今や明らかに「新たな常態」だ。

 イスラエルにとって、これは困難な状況だ。伝統的な地政学手法に固執し、積極的に利益を追求し、より広範な紛争のリスクを冒したり、「新しい」和平プロセスで中国に頼ったりすることが可能だ。しかし後者の選択肢は中東におけるアメリカの立場をさらに弱体化させるだろう。

 Salman Rafi Sheikhは国際関係とパキスタンの外交、国内問題専門家。オンライン誌New Eastern Outlook独占記事。

記事原文のurl:https://journal-neo.org/2023/05/18/israel-and-the-new-middle-east/

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 スコット・リッター氏、ロシア講演。最新はボルゴグラード。ママエフ・クルガン 母なる祖国像で有名。

Scott Ritter Extra Ep. 68: Ask the Inspector (Live from Volgograd) 1:22:08

 サミット会場の宇品、中国との戦争を議論する場所として相応しい。Wikipediaにある

宇品港には続々と兵員が輸送され、この地区は大陸進出の前進基地とみなされた

 孫崎享氏のメルマガ題名で、下記記事の一節を思い出した。政府が「敵」を押しつける手口を。

ハワード・ジン「歴史の効用とテロリズムに対する戦争」を語る

ゲーリングは言っています。「もちろん国民は戦争を望んではいない。なぜ畑にいる貧しいまぬけが、自分の命を戦争にさらそうなどと望むだろう?だが、結局、政策を決定するのは国家指導者だ。国民はいつでも指導者達の命令に従わせることができる。連中に、我々は攻撃されているのだと言って、平和主義者は愛国心に欠けると非難するだけで良いのだ。これはどこの国でも同様に機能する。」

 今朝の孫崎享氏メルマガ題名

ギャラップ社は2023年「米国の最大の敵国はどこか-%-」中国50、ロシア32、北朝鮮7、イラン2、アフガニスタン1、イラク1以下。ウクライナでロシアを敵に大々的武器支援。にもかかわらず、中国の脅威が露より大。世論自然にできるのでなく政権側の働きかけ

 日刊IWJガイド

「ゼレンスキー大統領が来日して21日のG7会議に参加! 不正蓄財の天才ゼレンスキーにさらなる支援をしてドブに金を捨てるのか!?」

※【IWJ号外】G7広島サミットの招待国、インドのモディ首相が、来日直前インタビューで「民主主義(G7中心)と権威主義(中露中心)の二極」のどちらにつくのか、という選択を拒否!
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/516087

2023年5月10日 (水)

サウジアラビア王国に外交政策ドクトリンを課すと固く決意しているアメリカ

2023年5月1日
バフティアル・ウルソフ
New Eastern Outlook

 2022年2022月にウクライナ軍事情勢が勃発した後、アメリカのチェック・バランス・システムは崩壊し始めた。これは特にエネルギー部門で顕著だ。したがってカタールが関与する一回限りの合意は、ヨーロッパが必要とするロシア分をLNGで部分的に穴埋めしたが、サウジアラビアの状況は依然不明だ。

 2023年夏のサウジアラビア訪問中、ジョー・バイデン大統領は、OPEC+の枠組みの中で石油生産を増やすようサウジアラビアを説得できず、その結果ロシアとサウジアラビアの割り当ては2023年5月まで延長された。同時に今年3月、安定した炭化水素価格を維持するため生産を減らすと湾岸アラブ諸国協力評議会は決定した。

 最近のサウジアラビアとイランの和解は両国間の外交関係と空路再開を伴い、アメリカでは更なる怒りの波を引き起こした。カタールに対する封鎖緩和と湾岸諸国への復帰はアメリカにとって大きな外交的勝利と見なされ、今回中国が手柄にした。この失敗を補いリヤドをアメリカ外交政策の軌道に戻すためワシントンは王国代表との交流を増した。イエメン問題、つまり過去一年の進展はアメリカ・サウジアラビア関係を再開する正式理由として役立った。ジェイク・サリバン国家安全保障問題担当補佐官はムハンマド・ビン・サルマン皇太子に初めて電話をかけ、イエメン問題解決への王国の関与を強調し、サウジアラビアを「アメリカにとって中東における不可欠なパートナー」と呼んだ。重点はアメリカが地域の安全と安定に対する主な危険と見るイランから距離を置く必要性にあった。

 同様に共和党のリンゼー・グラハム上院議員もサウジアラビアにメッセージを送り、80年以上にわたるアメリカとサウジアラビア関係の成功を継続するとアメリカ議会は誓約した。今年1月議会でのサウジアラビアへの武器輸出を制限する必要性に関する激しい議論を考えると、アメリカ政治家の発言は控えめに言っても奇妙に思える。

 ただし、この戦略は新しいものではない。アメリカの視点から、方向性が逸脱し始めた同盟国の進路調整が重要な場合、ワシントンは通常上級代表を派遣する。ただし、これを実現するため常に平和的戦術が使用されるとは限らない。たとえば、欧米世界の支配から逸れた時、ムアンマル・カダフィとサダム・フセインの支配が衰えさせられたのを想起するれば十分だ。ムハンマド・ビン・サルマーンに政権と王国の主権を維持する十分な適応性があるかどうかは時間が経てばわかるだろう。

 しかし首長国の動きは欧米を激怒させている。自国領でのロシア国民の経済取り引きに対する確固たる姿勢の結果、UAEはマネーロンダリングに関する金融活動作業部会の「グレーリスト」に追加された。

 更に2023年2月に財務次官ブライアン・ネルソン(テロ・金融情報担当)がUAEを訪問した。公式発表によるとアメリカ当局者はマネーロンダリングとの戦いとイランとロシアに課されたアメリカ制裁の回避について話し合うため、中央銀行だけでなく多くの省庁を訪問した。この訪問に先立ち、財務省は「認可された管轄区域で活動する個人および機関」が制裁対象組織と取り引きを行う場合、主要欧米市場へのアクセスを失う可能性があると警告する声明を発表した。これは実際、対ロシア制裁支援問題に関するUAEの協調欠如に対するワシントンの不満を表明するためブライアン・ネルソンが訪問したことを意味する。

 アラブ首長国連邦における投資条件をアメリカは変え続けている。一部外国企業は、UAEとビジネスをすることで欧米制裁の対象となるロシア企業や個人に近づく危険にさらされる可能性を懸念し、アメリカ当局と懸念を共有している。そのような場合、大企業は投資対象の徹底的監査をしようとするため、あらゆる形で取り引きが遅れる。

 アブダビは自国利益を危険にさらすことなく、モスクワとの関係を維持できるだろうか? この疑問は未解決のままだ。

 バフティアル・ウルソフは政治評論家。オンラインマガジン「New Eastern Outlook」 独占記事。

記事原文のurl:https://journal-neo.org/2023/05/01/the-united-states-is-determined-to-impose-its-foreign-policy-doctrine-on-the-kingdom-of-saudi-arabia/

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 ロシアは我々が思っているより弱いのでウクライナにもっと武器を送れとコットン議員

 The Jimmy Dore Show

This Is How To Start A War With Russia! 8:23

 今朝の孫崎享氏メルマガ題名

今日本の報道はどれだけ客観性を持っているか。2023年の「報道の自由度ランキング」 180カ国・地域のうち日本は68位、G7中最下位。こうした中、読売:「“偽情報”対策 国益損ねる拡散を放置するな。SNS運営事業者は偽情報拡散を防ぐ対策を講じるべきだ。」危険な徴候

 日刊IWJガイド

「フォン・デア・ライエンEU委員長がワクチン問題で刑事告訴される! ファイザーとEUとのワクチン取引をめぐってEU全体で大問題に!」

2023年5月 3日 (水)

前向きな解決に向かうシリア問題

2023年4月25日
ヴィクトル・ミーヒン
New Eastern Outlook

 多くの事実は、シリア・アラブ共和国がゆっくりとだが着実に孤立から抜け出し国際生活に入りつつあることを示している。この困難な道には依然多くの障害があるが、合法的に選出されたシリアのバッシャール・アル・アサド大統領は近隣諸国、そして何よりも現在シリア領で重要な役割を演じているトルコとの関係を確立しつつある。

 2011年のシリア内戦勃発後、ダマスカスのトルコ大使館は2012年月に閉鎖されたことを想起願いたい。それにもかかわらず両国は欧米がしかけた紛争の最悪の時期でさえ、多少の接触を維持していた。これら接触は主に諜報機関間のもので本質的に外交的ではなかったが、より低いレベルであっても両国間交渉が継続していることを示す点で重要だ。

 トルコのレジェップ・タイイップ・エルドアン大統領がシリアのバッシャール・アル・アサド大統領との会談に前向きだと発表した後、両国外交官はロシアの熟達した外交的調停で関係を確立し始めた。これら会談はすぐ成果を上げ、2022年12月28日にモスクワで両国国防相が会談し、アンカラとダマスカス間で6年ぶりのハイレベル公式接触が確立された。交渉は継続されると予想されていたが、二つの出来事、イランが交渉への関与を主張したことと、両国に深刻な影響を及ぼした2023年2月6日のカフラマンマラシュ地震により、この過程は遅延した

 当初イランはロシアが後援するトルコ・シリア会談に参加しなかった。しかしイランのホセイン・アミール・アブドラヒアン外相のアンカラダマスカスのシャトル外交を通じて会談参加という主張は最終的に受け入れられた。その結果ロシアが仲介したアンカラとダマスカス間交渉はトルコ、シリア、ロシア、イラン4か国の参加を得てアスタナ形式に変わった。この過程は更にトルコ・シリア間の紛争の減少につながった。

 イランが交渉に参加した後、2023年2月6日に地震が発生し両国で5万人以上が死亡した。その結果両国間の接触は停止された。しかし地震による傷が癒え始めるとすぐ、4月3日-4日モスクワで交渉が再開された。外務副大臣が出席したこの会議は四か国外相間会議開催に専念した。開会挨拶でロシアのセルゲイ・ラブロフ外相は「可能な限り柔軟で建設的な姿勢を期待する」など包括的正常化に向けた努力を全員に要求した。

 2023年4月7日にロシアのセルゲイ・ラブロフ外相はアンカラを訪問し、トルコのメヴリュト・チャヴシュオール外相とエルドアン大統領と会談した。この会談はウクライナでのアメリカ-NATO戦争、穀物危機、カラバフ危機と最も重要なこととしてアンカラ-ダマスカス会談の文脈におけるシリア危機を含む複数の話題に触れた。モスクワでの会談後のラブロフ・アンカラ訪問と、トルコ当局との二国間会談が遅く困難な交渉過程を確実に加速するのに役立ったことは注目に値する。

 アンカラとダマスカス間会談の進展は遅いとはいえ会談は継続され、最終的に成功すると期待されている。実際911キロに及ぶ国境を共有する両国が、アメリカが率い欧米とペルシャ湾地域のいくつかの君主国によってシリアで解き放たれた内戦中に蓄積した問題を抱えて生き続けるのは持続可能な状況ではない。この状況を認識している政治家たちは、これら困難な問題を議題にして前向きな結果を実現すると決意している。

 議論されたもう一つの重要な問題はトルコのシリア難民だった。トルコは現在、3万人の登録難民を受け入れており、ダマスカスは難民が安全かつ自発的に母国に帰還できるようにするため必要な法的、実務的措置を講じることを期待している。さらに、この地域の過激派武装集団の状況も議論の話題だ。ダマスカスは彼等と戦った武装反政府勢力の抑圧を期待しているが、アンカラは国境沿いの脅威として認識しているクルド人民自衛隊(YPG)の解体を期待している。

 明らかに、これら全ての問題に対する即時解決策を出すのは不可能だ。それにもかかわらず、当事者は、最初は一般的な点に焦点を当て、正常化の過程に向けて確実かつ前向きな措置を講じる可能性がある。双方が特に注意すべきは、シリアの統一と領土保全の問題を優先することだ。特に過去のようにシリアを解体し、領土に異なる飛び地を作ることを欧米マスコミは誰も主張していない。

 さらに1998年に署名されたアダナ合意の更新はトルコとシリア国境沿いで認識されている脅威に対する一致団結した取り組みを可能にするだろう。同時にトルコはシリアの国際体制への再統合に貢献し、シリア再建を支援できる。両国間交渉の主な目的は問題のある分野で解決策を見つけて関係を正常化することだが、対話を促進するためお互いに共通する分野でのやりとりの確立から始めることが可能だ。確かに交渉の最初のステップが示している通り、両国とも正常化問題を非常に重要視している。

 交渉の持続的進展を確保するため、両国はロシアが示唆したように、問題を分割して、個別に段階的に対処する戦略を採用する可能性がある。長年にわたり多くの問題が蓄積されているため全てを即座に解決するのは不可能な場合がある。したがって時間をかけて解決できる問題に優先順位を付けることは、相互理解を深め連絡を密にしておく上で非常に効果的だ。トルコとロシアの関係は、当事者の善意に関する問題や、問題を解決するためのこの手法の例として役に立つ。

 さらに両国間関係の正常化は、より広範な地政学的結果をもたらす可能性がある。多くの国が加担し、中でもアメリカを指摘すべきシリアでの紛争は、この地域の主要な緊張の原因で、様々な地域や世界大国がこの紛争に加担している。正常化は緊張を緩和し、地域の国々間の協力強化に役立ち、最終的にはより大きな安定につながる可能性がある。

 最後に、両国間の複雑で長年の問題を考えると、正常化は単純な過程ではないことに注意することが重要だ。それには相互信頼、妥協、お互いの懸念に建設的に対処する能力が必要だ。それにもかかわらず、決意と積極的関与により、両国間の継続的交渉は、両国と地域全体にも利益をもたらす前向きな結果につながる可能性がある。

 シリアのアラブ復帰について話し合うため4月中旬サウジアラビアのジェッダで高官が会合した多くのアラブ世界諸国の立場もこれに貢献している。その際カタールのマジド・アル・アンサリ外相は、ダマスカスの10年以上にわたる孤立が弱まり始めるにつれ、ダマスカスとバッシャール・アル・アサド大統領の立場が大幅に強化されていると指摘した。会議には湾岸協力会議(GCC)諸国、イラク、ヨルダン、エジプトの外相が出席した。

 2011年にシリアで内戦が勃発したとき、湾岸諸国、特にサウジアラビアがバッシャール・アル・アサド大統領に対する反政府勢力を支援したため、シリアがアラブ連盟から追放されたことが想起されるかもしれない。その後ダマスカス政府はサウジアラビアの地域ライバルであるイランから支援を受け始めた。アラブ連盟は五月にリヤドで首脳会談を開催予定で、シリアの復帰が議題になる可能性が高い。バッシャール・アル・アサドが出席するかどうかは確認されていないが、彼が参加すれば、この激動の地域全体の状況を正常化するための最も重要な一歩となるはずだ。

 トルコとシリアの一部に影響を与えた2月6日の壊滅的地震は既に戦争で荒廃した国に救いの手を差し伸べるようアラブ世界の国々を促した。悲劇の後、サウジアラビアはシリアの孤立を終わらせ、未解決の人道問題を解決するため対話に戻るアラブ諸国間の合意があったと述べた。

 湾岸アラブ諸国協力理事会の中でオマーンは過去10年間シリアとの外交関係を断ち切ることなく正常な関係を維持している数少ない国の一つだ。アサドは先月UAEを二度訪問し、ダマスカスと湾岸諸国間のより緊密な関係を示唆した。カタールは以前アサドとの関係を正常化するつもりはないと述べており他の国々がそうするのを阻止している。マジド・アル・アンサリはドーハの立場は変わっていないが、新たな全般的アラブの合意に沿っていると述べた。

 中東地域で起きている前向きな変化は、益々多くの国がロシアと個人的にウラジーミル・プーチン大統領の多極世界の考えを支持するだけでなく、この方向で確固たる効果的措置を講じていることをはっきり示している。

 ビクトル・ミーヒンは、ロシア自然科学アカデミー客員。オンライン誌New Eastern Outlook独占記事。

記事原文のurl:https://journal-neo.org/2023/04/25/the-syrian-problem-on-course-to-a-positive-resolution/

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 The Jimmy Dorw Show バーニー・サンダーズ、バイデン出馬支持。

Bernie Sanders Supports Joe Biden For President & Gets NOTHING For It! 10:14

 スコット・リッター氏、ノボシビルスクで講演

 著書のロシア語版刊行を記念してロシア訪問中。最初はノボシビルスク。爆発物で殺害されたドゥーギナやタタルスキー同様、彼もウクライナの殺人標的リストに載っているため、安全上誰でも聴講できるようにできず、聴衆は少ない。字幕はロシア語のみ。聴衆の質問もまとも。講演自体もそうだが女性通訳の活躍に感心する書き込みが多い。
 属国大本営広報部で宗主国拡声器を演じる属国軍事評論家諸氏、著書がロシア語になる可能性も、ロシアで講演する可能性もゼロ。

Scott Ritter in Novosibirsk 2:17:58

 東京新聞 朝刊一面

憲法「骨抜き」76年前の警鐘

 今朝の孫崎享氏メルマガ題名

日本で報じられないウクライナの惨状。質屋(半分は期限が来ても引き取りできない)と教会での無料給付パンの列。2022年にはウクライナの貧困率が5.5%から24.2%に増加、710万人以上が貧困に陥り非公式の失業は36% インフレ上昇率は2022年末に26.6%

 日刊IWJガイド

「イエレン米財務長官が『早ければ6月1日にも米政府は債務不履行(デフォルト)に陥る』と表明!『経済、金融的な大惨事』になると警告も!!」

はじめに~イエレン米財務長官が「早ければ6月1日にも米政府は債務不履行(デフォルト)に陥る」と表明! 1月の債務法定上限到達依頼、繰り返し議会に対応を要請、デフォルトになれば「経済、金融的な大惨事」がもたらされると警告も!! 破綻寸前の、そんな国がなぜ、ウクライナへの巨額の兵器支援で紛争の後押しをしているのか!? 大量の米国債を保有する日本への悪影響は!?

<IWJ取材報告 2>前川喜平氏「総務省文書の問題点は、明らかに政治が放送の自由に介入しようとしたということ」!~4.30「市民とともに歩み自立したNHK会長を求める会」記録集 出版記念シンポジウム「公共放送NHKはどうあるべきか」

2023年4月23日 (日)

NATO拡大 対 OPEC+オイル・ショック

2023年4月19日
Salman Rafi Sheikh
New Eastern Outlook

 フィンランドが加盟したことによる当然の拡大で、北大西洋条約機構(NATO)は民主主義と人権の保護を目指すロシアとの戦いで、おそらく西洋に大いに喜びをもたらしている。この戦いの本当の目的は我々が既に知っている通り、西洋の護持だ。1990年代初期のソ連崩壊後、一方的なアメリカ覇権という形でアメリカが率い支配した第二次世界大戦後の世界秩序だ。ロシアと中国が、アメリカのこの一方的覇権に、これまでで最も明確な衝撃を与えており、アメリカは、非常に手ごわい脅威に対して立場を強化すべく益々多くの同盟国を獲得するため、できる限りのことをしている。NATO拡大は西洋、またしても主にアメリカが、世界秩序を維持するために最近行った多くの措置処置の一つだ。だが進行中のロシア-ウクライナ(NATO)軍事衝突は多くの重要な形で世界を変えた。一つはNATO拡大にもかかわらず、アメリカはロシアを世界規模で成功裏に「孤立させる」ことがどうしてでもできていない。中国に対しては、アメリカは大きな代償を払わずに中国との関係を「断絶」することはできないし、地政学的影響なしにそうすることもできない。

 他の何よりも、生産量を削減するというOPEC+諸国の最近の決定、従って石油価格上昇は、世界で最も強力な石油生産諸国がロシアと協力し続けていることを示している。この全員一致の決定は単なる経済問題では済まない。実際、OPEC諸国がアメリカの圧力を拒絶して、自立的行動をしロシアを支持する能力は、これら諸国がアメリカをなだめるため自身の国益を危険な状況に陥れずに、国々やブロックで、どのように実際多極世界というロシアと中国の構想に習って行動できるかを示している。アメリカ覇権にとって多極世界のこの抵抗できない流れは、未来に対しNATO拡大より遙かに不利だ。NATO拡大は、この組織が今ヨーロッパ内の大きな軍事力がないもう一つの国を加盟国にすることを意味するが、ヨーロッパ/NATO外の代替反覇権勢力の団結は、アメリカと同盟諸国が自分に有利な外交政策結果を世界の他の国々に強制する領域が縮小しつつあることを意味する。

 今石油生産削減の決定が、既に経済危機と生活費危機に直面しているアメリカとヨーロッパ同盟諸国に打撃を与えつつあるが、この決定は、地政学的にも国内的にも直接バイデン政権をどう傷つけるか全く気にしていないことを示している。

 これを考慮願いたい。ロシア-ウクライナ(NATO)紛争開始以来、アメリカは高価な石油をヨーロッパに売っている。3月、ヨーロッパへのアメリカ石油販売は史上最高に達した。だがこの拡大した供給は、価格の約50パーセントの高騰をもたらした。今やOPECが生産を削減して石油価格を引き上げると決め、ワシントンのヨーロッパ同盟諸国と実際アメリカ自身の消費者は今や既に直面している生活費危機を促進しかねない一層高価な石油とガスを買っている。

 そのため国内的に、ヨーロッパにロシア石油購入削減を強いて、そして/あるいは価格上限を設定して、ロシアに対する経済戦争を始めるバイデン政権の決定は益々微妙になるだろう。 政治的に言って、石油価格を細かく管理して、アメリカ消費者のために価格を異常に低くしておく試みで、定期的にアメリカの戦略石油備蓄から石油を放出するバイデン政権の政策は今後数週で実行が益々困難になるだろう。

 (NATO拡大を巡って歓喜に満ちている)バイデン政権にとって、石油価格を永久に微細に管理する能力の減少は、多くの人々がドナルド・トランプの積極的な大統領選挙運動と見ているものの開始と同時に起きている。

 こうして二つの衝撃が起きている。ロシアがOPECを味方にしている事実はアメリカとNATOがこれまでに、どんな有意義な意味でもロシアを打倒し損ねていることを意味する。ジョー・バイデンは来年予定の再選のためのロシアに対する勝利を獲得できない。他方OPECに影響を与えるワシントンの能力のなさは、ロシアの成功を示唆し、外国政策の徹底的失敗を意味する。地政学な意味で、OPEC+の動きは3月16日、リヤドでの石油市場協力に焦点を合わせたロシアのアレクサンドル・ノヴァク副首相とサウジアラビア・エネルギー大臣アブドゥルアズィーズ・ビン・サルマン・アール=サウードとの会議後におきた。そのため、それは広くロシア・サウジアラビア間のきずなの深化として見られている。

 生活費危機管理の失敗とバイデン政権がサウジアラビアのような同盟国を失った事実は相まって、有罪判決し、最終的に逮捕するというバイデン政権の「陰謀」という観点で既に彼の復帰に対する障害として描きだしている自信に満ちたドナルド・トランプにとって、非常に重要な結節点になるだろう。

 このオイル・ショックはヨーロッパの国内政治や外交政策を益々複雑にするだろう。最近のフランスでの年金制度改革反対大規模抗議行動や、より高い賃金を要求するイギリスでの広範囲のストライキが一層再発するだろう。ヨーロッパ中でのこのような抗議の反響はヨーロッパ諸国の多くにロシア(と中国)に対するアメリカの戦争に対する彼らの支持の度合いを再考するよう強いかねない。

 従ってロシアとサウジアラビアによってもたらされたオイル・ショックはウクライナ現地に影響することがありそうになく、ロシアは対処する他の手段を持っており、NATO拡大でアメリカがロシアに与える予定だったショックより大きい。

 Salman Rafi Sheikhは国際関係とパキスタンの外交、国内問題専門家。オンライン誌New Eastern Outlook独占記事。

記事原文のurl:https://journal-neo.org/2023/04/19/nato-expansion-versus-opec-oil-shock/

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 ロバート・ケネディ大統領選出馬宣言で「全ての米軍基地を閉鎖し米軍をアメリカに戻す!」

 Redacted News

Robert Kennedy: I'll CLOSE all the military bases and bring the troops home! 21:00

 今朝の孫崎享氏メルマガ題名

中国金融力強化。G-SIBs指定主要金融機関の総資産ランキング:1 中国工業銀行、2 中国農業銀行、3 中国建設銀行、4 中国銀行、5 JPモルガン、6 HSBC HD、7 バンクオブアメリカ、8 三菱UFG。9 BNPパリバ、10 クレディアグリコル、11 シティ、12 三井住友

 ポーランドとハンガリー、ウクライナ産穀物を禁輸
 自国農業をウクライナからの安価な輸入品から保護するため禁止措置が必要だと主張

 日刊IWJガイド

「EUとG7がまっぷたつ? ? EUは『対露制裁は終わった』、今度は『対ウクライナ禁輸措置』へ!? G7は『対露全面制裁』に意気軒昂!」

はじめに~対米自立・独立外交を堅持するとのマクロン大統領発言に、米紙は「気にするな」と米国と欧州の一体性を強調! 帝国からの独立を求める属国の声を「気にするな」とは、どういう神経か!? 米仏大統領による電話会談で、米国が割愛した「ウクライナ紛争の終結に向けて中国との関係を維持することの重要性」を、フランス大統領府は掲出! 米国とEUの間に「隙間風」が吹く中、EUが「対ウクライナ禁輸措置」へ!? 英紙に対しEU高官は「ロシアに対する新たな制裁は終わった」とコメント! それでもG7は「対露全面制裁」にEUを参加させると意気軒昂!

2023年4月 9日 (日)

アメリカはなぜシリアを空爆しているのか?

2023年4月6日
Salman Rafi Sheikh
New Eastern Outlook

 中国が仲介したイランとサウジアラビアの和平協定が発表された直後にアメリカがシリアへ空爆を開始したのは偶然だろうか? この協定発表に続いて、サウジアラビアは関係を正常化するためシリアとも話し合っていることが明らかになった。中国はアメリカが、この地域の地政学を有利に操作する余地をほとんど、または全く残さない形で中東を再形成しているようだ。アメリカは依然シリア領土のほぼ三分の一を支配下に置いている。ほぼ900人の兵士、説明がつかない特殊部隊と請負業者がシリアで活動して、アメリカは過去何年にもわたりシリアの統一を阻止している。だがもしサウジアラビアとシリアの関係が正常化し、トルコもそれに倣って軍隊を撤退させれば、アメリカがシリア占領を維持する余地を更に圧迫するだろう。シリアからの軍事撤退は地政学的な意味で、アメリカを中東から更に追い出す可能性がある。そこで正常化を妨害するため紛争の炎を再燃させようとアメリカは努めているのだ。

 アメリカはシリアにかなりの軍事的存在を維持しており、最近ワシントンがイランが支援するシリアの集団を攻撃するために使用したカタール空軍基地を含め、この地域に広がる空軍基地を通じてそれを維持している。アメリカはイスラム国(ロシアで禁止されているISIS)の「帰還」を防ぐためだと、シリアでの軍事駐留を公式に正当化している。しかしアメリカが実際その存在を利用しているのは、a)戦争で荒廃した国が長年の戦争から回復するのを防ぐべく、シリア石油のかなり部分を支配下に置いておくため、そしてb)イランがシリアでの地位を強化し、イスラエルに地政学的圧力をかけるのを防ぐためだ。

 しかし、これら目標は両方とも中国(とロシア)が作り出そうとしている再編された中東では実現するのが遙かに困難になる可能性がある。大きな突破口は北京が湾岸協力会議とイランの会議を主催する今年後半に起きる可能性がある。イランとGCCの関係が正常化すれば、イスラエルとアメリカがイランを中東への「脅威」として描いたり、アラブ諸国に実存的問題をもたらすイラン核計画を売りこんだりするのは極めて困難になるだろう。おそらく中国を介したイランとGCC間のいかなる和解も、イランの核開発の野心、つまり核兵器を作る意志に関する包括的和解なしには不完全だろう。

 GCC諸国にとって、トランプ政権がJCPOAから一方的に撤退し、その後ジョー・バイデン政権がこの合意を刷新できなかった後、中国は、アメリカ、EU、イスラエルを排除し、イランとGCC間で実行可能な合意を考案する最適な地政学的当事者だ。もしイランとGCCの関係が正常化し、イランがもはや敵と見なされなくなったら、アメリカは本格的な軍事駐留を維持するための地域の伝統的同盟諸国の支持を失うだろう。それゆえシリアでのイランが支援する民兵組織に対するアメリカ空爆は、イランを地域の"本当の"敵、トラブルメーカーとして描き出すためだ。

 バイデン政権が送ったメッセージは次のように書かれている。イランが米軍を攻撃できるなら、それが他の国を攻撃するのを防ぐのは何か? しかしGCCが中国(およびイラン)から受け取っているメッセージは全く違う。中国には一帯一路構想を実現するため安定した中東が必要だ。イランは、他の多くのGCC諸国と同様、投資の見返りに石油を販売するなど様々な理由で中国を必要としている。したがってイランがGCC諸国を直接または間接に(たとえばイエメンに拠点を置くフーシ派を介して)「攻撃」して不安定を生み出し、北京の利益を危険にさらし、北京に関連する重要な経済的利益を危うくするのは全く意味がない。

 イランは、サウジアラビアとアメリカの関係が理想からかけ離れているのを理解している。サウジアラビアは石油の大半を中国に販売しており、価格を下げるため石油生産を増やすというアメリカの「要求」を繰り返し拒否している。リヤドはアメリカへの過度の依存から断固離れ、中国と連携するという政治的意志があるようだ。したがってイランもGCC諸国が持っていると同じレベルの中国への信頼を持っている。

 ワシントンにとって、これは非常に深刻な進展で、外交的に元に戻す手段はない。非常に関係が悪いためワシントンはサウジアラビアに影響を与えられず、サウジアラビアはGCCの最強力国家で、ワシントンはこの集団にも影響を与えられない。アメリカは影響力を行使するために必要な外交ルートが欠如しているため、現地で持っている唯一の手段である軍に頼らざるを得ない。

 それは成功するだろうか? 単なる軍事攻撃は、アメリカがより大きな地政学的正常化プロセスに影響を与えるのに十分ではないかもしれない。したがってアメリカは古い資産、つまりジハード民兵を再活性化する必要があるかもしれない。実際メディア報道が示すように、これら集団は既にシリア支配下の領土に侵入しようとしている。先週金曜「シリア反体制政党和解のためのロシア・センター」のオレグ・グリノフ副所長は(ロシアで禁止されている)「ハヤト・タハリール・アル・シャーム過激派・テロ集団がアレッポ県のウルム・アル・スグラ入植地近くの政府支配地域に侵入しようとした」と述べた。

 古い戦略からヒントを得て、ワシントンは地域の不安定を作り出し、自分たちの妥当性を投影できる条件を再現しようとしているのだ。ワシントンにとって重要な問題はシリア戦争ピーク時にこれら民兵を直接間接支援した、地域諸国の支援を見つける可能性が低いことだ。従って中国主導の過程の妨害でワシントンが意味のある成功ができる可能性は低い。

 Salman Rafi Sheikhは国際関係とパキスタンの外交、国内問題専門家。オンライン誌New Eastern Outlook独占記事。

記事原文のurl:https://journal-neo.org/2023/04/06/whys-the-us-doing-air-strikes-on-syria/

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 The Jimmy Dore Show フランスの抗議行動、BlackRockパリ本社を襲撃

French Protesters STORM BlackRock’s Paris Headquarters! 9:54

 デモクラシータイムス

気がつけば、臨戦体制 WeN20230408 1:42:39

 植草一秀の『知られざる真実』

野党分断中央突破目論む岸田首相

 今朝の孫崎享氏のメルマガ題名

米国株式と」債権の比較を行う論評(WSJ)[2007年以来、株式はこれほどまでに魅力的ではなかかったことはない]S&P 500の収益利回りと10年物国債の収益利回りの差=株式のリスク プレミアムは、約1.59%、2007年10月以来の低水準、バリュー株には魅力

 日刊IWJガイド

「欧州と中国が急接近! 欧州と米国に亀裂! 中仏声明『一つの中国の遵守』『ウクライナの平和を回復』に、米国は『停戦はありえない』と反発!」

はじめに~日本の主要メディアが伝えない! 急速に進む欧州と中国の接近! 欧州と米国の亀裂! 中国とフランスが共同声明!「一つの中国の遵守」「国連を世界の中核とする多国間国際システム」「ウクライナの平和を回復」などが盛り込まれ、国交樹立60周年を記念して幅広い両国の関係強化を明記! ブリンケン国務長官は「ロシア・ウクライナ間の停戦交渉の可能性はない」と反発、中露、中欧が関係を強化し、ウクライナ紛争の持続に固執する米国が孤立へ!? バフムートではロシア軍が前進、制圧間近か?

2023年3月21日 (火)

アメリカを置き去りにする地政学の地響き

2023年3月20日
Moon of Alabama

 先月、我々は驚くべき地政学的発展を見た。

 2月、中国はアメリカ覇権を公に非難し、世界的安全保障構想を発表し、ウクライナ和平計画を提示した

 3月10日、中国はサウジアラビアとイランの国交回復合意を仲介した

 3月15日、モスクワはシリアのバッシャール・アルアサド大統領を盛大に歓迎した

 昨日、アル・アサドと妻アスマはシェイク・モハメッドとの会談のためUAEを訪問した

 また昨日、イランとイラクはCIAが支援するクルド人の対イラン活動を止める安全保障協力協定に署名した。

 また昨日、サウジアラビアのサルマン国王はイラン大統領をリヤド訪問に招待した。

 過去30年アメリカは中東を裏庭と見なしていた。20年前アメリカはイラクを違法に侵略し、10万人の死と数十年の混乱を引き起こした。現在中国は平和的手段により、わずか一か月以内に中東のバランスを変えた。

 本日、中国の習主席はロシアのプーチン大統領との3日間会談のためモスクワに到着した。プーチン大統領による文章が人民日報に掲載され、ロシア・メディアは習主席の署名入り文章を掲載した

 アメリカはウクライナに対する中国の和平提案が確実な地歩を得るのを恐れている。アメリカは停戦和平交渉に公然と反対している。それはウクライナが決めるものだと私は思っていたが?

 プーチンは中国の和平計画を公式に支持する可能性が高いが、アメリカは実際和平が実現するかもしれないと疑心暗鬼だサウジアラビア・イラン合意を破壊したいとすら思っているかもしれない。

 ちなみに中国の人々は世界で最も幸せだ。

 習主席とプーチン氏は現在、多国間グローバル・ショーを展開している。バイデンと彼の周囲の不幸な「一極覇権主義」連中は取り残されている。

記事原文のurl:https://www.moonofalabama.org/2023/03/geopolitical-rumblings-leave-us-behind.html

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 「簡にして要を得る」の見本。この記事にある中国が発表した覇権主義批判文US Hegemony and Its Perilsを読む予定。ブルームバーグが簡単に報じているだけ。属国大本営広報部は完全無視するのだろうか? 大政翼賛会番組を一ヶ月見るより遙かにためになるだろうに。

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