シェール・ガス・石油

2018年6月10日 (日)

カタールはロシアのS-400購入を始めるだろうか?

2018年6月7日
Alexander Orlov

 最近、サウジアラビアが、モスクワとドーハの間で行われている、S-400ミサイル・システム購入交渉をめぐる懸念を表明した。フランス新聞ル・モンドによれば、サウジアラビア王国は、もしカタールが、S-400ミサイル・システムを購入したら、軍事的に報復すると威嚇した。サウジアラビアのサルマーン・ビン・アブドゥルアズィーズ国王は、フランスのエマニュエル・マクロン大統領に、カタールによるロシア・ミサイル防衛システム購入交渉に関する“深い懸念”を表明するメッセージを送った。カタール国内でのS-400システムの存在は、サウジアラビア領空の安全に対し悪影響があり、地域の緊張を高める危険性があると国王は考えている。

 フランス新聞ル・モンドの記事に対し、モスクワは、公式チャネルではなく、議会レベルで対応し、ロシア連邦院防衛・安全保障委員会副委員長アレクセイ・コンドラチェフが、リヤドの姿勢は、ドーハに、S-400ミサイル・システムを輸出するモスクワの計画とは無関係だと述べて対応した。コンドラチェフは更にこう述べた。“カタールへのS-400販売で、ロシアは、国家予算を補てんする資金を得ようとしている。サウジアラビアの見方は無関係で、ロシアは計画を変えるつもりはない。” カタールもしS-400を購入したら武力を行使するというサウジアラビア国王の声明は恐喝と同じだと彼は語った。“明らかに、リヤドが地域を支配しているが、ロシアのS-400システムの力で、カタールの軍事力が強化するのはドーハに有利だ。だから、サウジアラビアが味わう緊張は理解できる。”とコンドラチェフは述べた。カタールによるロシア・システム購入に対するリヤドの姿勢の背後には、ワシントンは、地域の兵器市場で“パイの一切れ”を失いたくないので、サウジアラビアに対して圧力をかけているアメリカの影響力があると彼は確信している。

 とはいえ、現実には、状況は説明とは若干異なり、詳細に見ると、明らかになる。2017年6月5日に、サウジアラビアが、エジプト、アラブ首長国連邦と、バーレーンとともに、カタールに貿易・政治的制裁を科したことは強調に値する。制裁で、カタール唯一の陸国境を封鎖し、食料や建材のカタールへの主要供給経路を絶ったのだ。さらに、この四国は、国内から、カタール国民を追放し、カタール国内に暮らす自国民に、出国を促した。しかも、彼らはカタール航空機が自国領空を利用するのを禁止し、政権に反対する亡命カタール人を積極的に支援し始めた。

 S-400ミサイル・システム購入に関しては、残念ながら、リヤドは、またもや、カタール による“ロシアの切り札”演技のわなにはまったのだ。現実は、カタール軍は伝統的に、欧米諸国からのみ機器を購入しており、カタールがS-400システムを、ロシア連邦から購入したがっているという話は、カタール空軍は、アメリカとイギリスとフランスの戦闘機のみで構成されている事実を考えれば、たわごとなのだが、不幸にして、サウジアラビア王国は真に受けている。2017年下期以来、つまりアラブ諸国が、カタールに経済制裁を科してから、ドーハは欧米軍事ハードウエアや武器購入の多数の契約に署名している。アメリカとの契約は、30機のF-15戦闘機購入で、120億ドルにのぼり、イギリスとの契約は、戦闘機24機の購入で、$50億ドルにのぼる。

 一体誰が、アメリカやイギリス製の戦闘機を、ロシア防空システムと共生するようにできるだろう? 全くばかばかしい考えだが、肝心なのはそこではない。

 カタールが、グローバル・テロリズムに直接関与しているのを、アメリカが“勘弁する”のと引き換えに、20年前、ドーハ指導部が、アメリカ最大の空軍基地の一つを、 (首都から34 kmの)アルウデイドに受け入れることに同意した事実はそのままだ。アメリカ合州国中央軍 (CENTCOM)と、アメリカ空軍中央軍 (第609航空作戦センター)、イギリス空軍の第83遠征航空集団と、アメリカ空軍の第379遠征航空集団の司令部がここに駐留している。これは、シリアにおけるアメリカ連合が作戦を調整するのに使用している空軍基地なのだ。必要とあらば、カタールを防衛するのが狙いの特殊部隊を含めて、ここには、総計約10,000人のアメリカ軍要員がいる。カタール軍指導部集団によってクーデターが企てられた際、それが起きたのだ(注 - 2012年4月17日夜、首長近衛兵が反乱を開始した。軍隊は、シャィフのハマド・ビン・ハリーファ・アール=サーニーの宮殿を占領しようとした。シャィフは皆に見捨てられたが、特殊部隊が彼の救出に向かった。アメリカ軍が反乱部隊を粉砕し、クーデターは失敗した。それでも、カタールのシャィフと、妻のモザー・ビント・ナセルは、“コマンド”に随伴され、アメリカ・ヘリコプターで宮殿を脱出した。)

 カタール空軍は主に、B-1B爆撃機と、KC-135R空中給油機とで構成されている。更に、3機のRC-135と、何機かの貨物機が配備されている。滑走路は、最大100機の戦闘機を収容できる。基地には最新の通信と管理システムが備わっている。基地の外れに配備された二基のパトリオット・ミサイル・システムが、軍事施設を防衛しているが、ミサイル発射装置は北と東に向けてある。そして、これが問題の核心なのだが、多くのアラブ人に“エクソン・モービルの燃料バーナー”と呼ばれているペルシャ湾の事実上のアメリカ属国、つまりカタールが、ロシア・ミサイル防衛システムを購入するのを、アメリカは決して許すまい。特に、それがパトリオット・ミサイル・システムよりも進んでいるので。さもないと、(少なくとも、S-400システム設置と、その後の、現地軍事要員訓練の間) アルウデイド空軍基地上空のみならず、石油が採掘されている地域を含めサウジアラビアとUAEの領空まで、ロシアの軍事要員が支配権を握ることになる。

 カタール指導部が日和見であっても、ドーハは愚者の巣窟ではなく、結局、国家安全保障とサーニー家が権力の座は、ロシアではなく、アメリカに依存している。もしカタールが、アメリカの規則にのっとって動くのを止めれば、カタール空軍は、わずか6,000人で、警官と治安部隊は5,000人に過ぎないので、政権は容易に置き換えられる。ワシントンに必要なのは、サウジアラビア軍の一部隊をカタールに進入させるだけで良いのだ。より単純な対策は、昔、2015年6月、現支配者の父親が自発的に退位し、息子に王座を譲った時のように、現在のシャィフを新たなシャィフに置き換えるソフトなクーデターだ。当面アメリカが、リヤドとアブダビが、現在のシャィフや閣僚を権力の座から追い出すのを阻止している唯一の障害だ。これまでの所、ホワイト・ハウスからは何の兆しもないが、特に、もしドーハが、S-400をロシアから購入する意図を発表すれば反応は予想できる。

 驚くべきことに、リヤドは、他のいくつかの国とともに、これが理解できない。 2010年、前シャィフ、ハマドや前首相ハマド・ビン・ジャーシム・ビン・ジャブル・アール=サーニーのロシア訪問時、ロシア経済に100億ドル以上投資すると約束して、カタールは、モスクワを何度もだましてきた。これまでのところ、カタールは、1セントたりとも送っていない。両国間の貿易量は、2017年、掲げられていた5億ドルではなく、かろうじて、6000万ドルだ。エクソン・モービルに圧力をかけられて、カタールは、ガスプロムがカタール・ガス田探査に参加するのを阻止し、同様に、ロシア石油会社は、カタール油田へのアクセスも認められていない。しかも、現在、ドーハは、液化天然ガス (LNG)で、世界ガス市場で ロシア最大のライバルで、GECF(ガス輸出国フォーラム; 注記:ガスのOPECに等しい)GECFに加盟する全てのガス生産国の活動を効果的に調整する取り組みを阻止していることは想起するに値する。おまけに、カタールは、シリアにおける戦争が、その唯一の障害物である、パイプラインで、ガスをイラン経由、トルコに、そして更にヨーロッパに供給する計画の一翼を担おうと常時準備が整った状況にある。実は、カタール・ガスのヨーロッパ向けの通過を認めるはずのダマスカス新政権を当て込んで、ドーハがこの戦争を起こしたのだ。

 S-400システムに対するリヤドの動きに対し、モスクワが公式声明発表を控えているのは、おそらくこれが理由だ。結局、このミサイル・システムを、サウジアラビアに輸出する契約は既に存在しているのだ。経済的見地から、石油を基にした協力という点で、ロシアにとって、何よりもまず“ガスの小人”カタール(注記 - 300,000人の人口と国の小ささにもかかわらず、地域におけるカタールの壮大な政治的野望ゆえに、アラブ人がカタールにこのあだ名をつけた)より、サウジアラビア王国の方がずっと重要なパートナーだ。結局、モスクワとリヤドの協力のおかげで、OPEC+合意がまとまり、石油価格の安定と、今年かなりの値上げする能力という結果になったのだ。こうしたこと全てが、S-400購入宣言で、ロシアとサウジアラビアを仲間割れさせようと決めている野心的なカタールをいらだたせている。

 2018年ワールドカップのため、サウジアラビアのムハンマド・ビン・サルマーン皇太子がモスクワを訪問すれば、特にカタール政権の運命が危険にさらされているので、今ある誤解が解決する可能性は高い。アラブの国々から、経済制裁解除の前提条件として課された13の要求項目に、ドーハは、まだ応じていない。アラブの国々からのドーハに対する要求には、下記が含まれている。スンナ派運動のムスリム同胞団の財政支援停止。アラブ人から扇動的な放送局と見なされているアル・ジャジーラTVの閉鎖。カタール駐留トルコ軍基地の閉鎖、そして、サウジアラビア、エジプト、UAEとバーレーンのあからさまな敵であるシーア派イランとのつながりの縮小。長年、中東で猛威を振るっているスンナ派とシーア派間の残虐な紛争にもかかわらず、過激なスンナ派運動(例えば、ムスリム同胞団)や、シーア派イスラム教徒に対する指導者役を演じているイランと、カタールが密接なつながりを維持しているのも注目に値する。

 だから、この状況下でのロシアの選択は実にはっきりしている。

 アレクサンドル・オルロフは政治学者、東洋学専門家。オンライン誌“New Eastern Outlook”独占記事。

記事原文のurl:https://journal-neo.org/2018/06/07/will-qatar-start-buying-russia-s-s-400/

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昨日の岩上氏による孫崎享氏インタビュー、残念ながら外出していて、拝聴できていない。

日刊IWJガイド・番組表「<新記事紹介>【特別寄稿】新潟県知事選応援演説での女性差別発言であらわになった花角英世候補の「親子ギャップ」!? 柳瀬唯夫元首相補佐官と瓜二つの記憶喪失!? 「むすめ」のタスキをかけて隠蔽・改竄の父親を応援する花角氏の娘(ジャーナリスト・横田一)/<昨日の岩上安身のインタビュー報告>紆余曲折を経て米朝首脳会談の開催へ!北朝鮮外交でも中東問題でも米国に振り回される安倍政権!岩上安身による元外務省国際情報局長・孫崎享氏インタビュー!/
先日岩上さんによるインタビューをお届けした、元東京高裁判事・明治大学法科大学院・瀬木比呂志教授にご著書にサインを入れていただきました!数量限定ですので、ぜひIWJ書店よりお早めにお求めください!」2018.6.10日号~No.2096号~

2018年6月 5日 (火)

ロシアのノルド・ストリームIIへのアメリカ反対は“スリー・シーズ・イニシアチブが理由”

Andrew Korybko
Oriental Review
2018年6月2日

 ノルド・ストリーム IIの地政学は、益々複雑化しつつある。

 ロシアとドイツ間の二本目の直通海底パイプラインは、建設に全く反対で、それに関与する国々を制裁さえすると威嚇しているアメリカから強い圧力を受け続けている。ドイツ is EUの経済的エンジンであり、ドイツは、自国の工場に動力を供給するため、ロシアから大量の資源を受け取るわけで、両国のエネルギー提携は、ウイン-ウイン協力として好例で、需要と供給という基本的な経済理論の立証でもある。That said、まさに、この提携の将来にわたる政治的影響で、モスクワが、長期的に、ベルリンを、より多極志向にしかねないと恐れているがゆえに、アメリカは、これほど強く反対しているのだ。

 恐怖をあおるのにアメリカが好んで活用し、ヨーロッパをだまし、信用させるのに、いささか成功しているように、エネルギー輸出を“兵器がわりにする”のは、ロシアにとって逆効果のはずだ。これは、親米のウクライナが、2000年代中期に、ロシアと、ガスで紛争して以来、アメリカ政策の基礎であり、ヨーロッパ大陸二大国間の、より緊密で、確固とした信頼関係により、アメリカがドイツ外交政策を支配することが、一層困難になると、ワシントンは考えているのだ。パイプラインの存在そのものと、それに続く、東西間で“バランスを取ろうとする”ベルリンの行動が、アメリカの一極計画に悪影響をもたらすことになるので、それゆえ、挑発的ながら大いに誤解を招く“新たなモロトフ・リッペントロップ条約”と表現しているのだ。

 第三次世界大戦という、マスコミのあおりは見当外れだ。アメリカ-ロシア軍備競争は、シリアでの両国のこう着状態を安定化させるかも知れない。

 良く知られている歴史的理由から、この二つの巨大隣国に被害妄想を抱いていて、それゆえ、ノルド・ストリーム IIをめぐる人為的な論争を、アメリカの主要なヨーロッパ・パートナーとしてのドイツにとってかわるために利用しようとしているポーランドに主に受けるように、この言説は組み立てられている。アメリカは、より高価なLNGを、ポーランドのシフィノウイシチェ・ターミナルや他の貯蔵所経由で、大陸諸国への販売を継続するつもりで、ドイツとロシア間の“スリー・シーズ”地域において、より手ごわい存在感となることも望んでいるので、この出来事におけるアメリカの権益は明らかだ。

 だから、ノルド・ストリーム IIは儲かるLNG事業に割り込むだろうし、同時に、ポーランドとバルト三国におけるドイツの存在感拡大を“正当化”する戦略的口実にもなるので、アメリカにとって両刃の剣だ。アメリカは、これに対応して、両国の二本目の海底パイプラインに対する経済制裁があろうと、なかろうと、ともあれ当面やりたいことである、ポーランド率いる“Intermarium”によって、ロシアとドイツの間にくさびを打ち込むことができよう。既に進行中ながら、ノルド・ストリーム IIの建設によって大いに加速するだろうこの展開は、ロシア-ドイツ間の多次元の親交関係回復妨害を狙ったものだが、それが、計画を更に強化する動機を両大国に与えてしまう可能性もある。

本投稿は、Sputnik NewsのCONTEXT COUNTDOWNラジオ番組で、2018年6月1日、金曜に、放送されたものの一部書き起こし。

お断わり: 筆者は、本記事を個人的な立場で書いており、彼の個人的見解以外の誰の、あるいは、いかなる組織を代表するものではない。筆者意見を、編集部見解や、他のいかなるマスコミや組織の公式的立場とと混同せぬようお願いする。

記事原文のurl:https://orientalreview.org/2018/06/02/the-us-is-against-nord-stream-ii-is-because-of-the-three-seas-initiative/
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電気洗脳箱で、人をくった記者会見を見た。厭世的になるばかり。

日刊IWJガイド「本日午後8時より『日本の司法の根幹にある「統治と支配」と「人権軽視」!日本の司法水準は近代以前~岩上安身による元東京高裁判事・明治大学法科大学院・瀬木比呂志教授インタビュー(前半)』を録画初配信します!/<本日のタイムリー再配信>本日午後6時からは『「帰還の大行進」ではわずか1日で58人死亡、2700人以上が負傷!これはデモ隊とイスラエル軍との「衝突」ではなく、「虐殺」である!! ~5.27 志葉玲パレスチナ・イスラエル取材報告会』を再配信します!/
『なぜ国会答弁の訂正ではなく、文書を改竄したのか』との質問に笑顔で『それがわかれば苦労はしない』とスットボケ! 麻生太郎財務相は会見で最後まで頭を下げず!他~」2018.6.5日号~No.2091号~

2018年6月 4日 (月)

ロシアに対するワシントンのガス戦争は勢いを増しつつある

2018年6月3日
Petr Lvov
New Eastern Outlook

 ロシア経済に打撃をあたえるため、ロシア・ガス輸出を破壊するのに注力しながら、ワシントンができる限りあらゆること行っているのは明らかだ。だから、ウクライナ・ガス・ハブを迂回して、ロシア・ガスをEUに代替経路で輸出するのを可能にする新ガス・パイプラインをモスクワが建設するのを邪魔すべく、あらゆる手がうたれていると聞いても誰も驚くまい。現在、二つのそうしたプロジェクトが実行されつつあるが、それはノルド・ストリーム 2と、トルコ・ストリームだ。

 5月29日、バクーは、アゼルバイジャンのシャー・デニス・ガス田からヨーロッパにガスを送るはずの南ガス回廊 (SGC)開通公式式典を行った。式典に参加していたアゼルバイジャンのイルハム・アリエフ大統領は、イギリスやアメリカ合州国や西欧の石油・ガス会社代表を前に、ワシントンがSGCの建設を支援していると公式に発言した。だが、アメリカ合州国は、TANAPにもSGCにも、いかなる形でも関係していないので、この何らかの、いわゆる支援なるものが一体何かは明らかではない。SGCは年間100億立方メートルのアゼルバイジャン・ガスを、アナトリア横断パイプライン(TANAP)経由で、カスピ海地域から、ジョージア経由で、トルコ、そして更にヨーロッパへと送ると期待されている。このパイプラインの背後には、大きな政治的要素がある、現在建設中のトルコ・ストリームで輸出されるだろうロシア・ガスの量を減らすことになり、これまでになく敵対的なウクライナ経由で、ガスを送り込み続けるよう、モスクワに強いるのだ。

 ヨーロッパの報道によれば、南ガス回廊建設の総費用は、400億ドルにのぼる。アナトリア横断ガス・パイプライン (TANAP)は、6月12日に開通し、最初のアゼルバイジャン・ガスの最初の立方メートルを旧世界に送ることになっていると期待されている。どうやら、このイベントは、皮肉にも、ロシアの日の祝日と重なるように設定されたもののようだ。地域で進行中のアメリカ政策に対し、アンカラがロシア連邦との協力の約束について大言壮語しながら、どれほど否定的態度を見せびらかそうとしても、現実は全く違って見える。新アゼルバイジャン・パイプラインは、トルコの国内消費用にガスを供給するが、このガスのヨーロッパに対する実際の送付は、ナブッコと、TANAPガス・パイプライン建設と結びついている。それでもなお、ヨーロッパは、プロジェクト全体の実現の上で、TANAPが中心的役割を果たすSGCを手に入れることになろう。トルコ向けの60億立方メートルに加えて、年間100億立方メートルのガスというアゼルバイジャン・ガスそのものすら、全体像を変えるような問題ではない。とは言え、TANAPで、ヨーロッパは、次第に、イラン、イラクや、トルクメニスタンやカザフスタンのような中央アジア諸国といった、他の国からの供給を得始めつつある。

 そして、この瞬間は、ガスプロムの大戦略にとって極めて重要だ。イランや イラクからのEUへのガス供給は、ワシントンの対イラン経済制裁や、シリアとイラクの軍事・政治状況ゆえ、まだ可能ではないが、事態は中央アジアにおけるほど本当に劇的なわけではない。

 ウクライナ経由、南部と、一部は中央ヨーロッパに輸送されているガスは、ガスプロムに購入され、ヨーロッパに転売される中央アジア・ガスなので、この全体状況には特殊な面がある。ガスプロムが享受している独占的地位は、ガスプロムが大量のガスを輸送できる唯一無二のパイプラインを所有している事実にあり、そのおかげで、ガスプロムが、中央アジア・ガスの大御所でいられるのだ。確かに、この状況は、両国は、自国ガスを、購入価格を極めて安くしている独占専売者に売り渡すことを強いられているので、カザフスタンもトルクメニスタンも特に幸せにしているわけではない。しかし、これまでは、本物の代案が存在しなかった。両国は、ガスをアゼルバイジャンとトルコ経由と、ロシアとウクライナ経由という二つの経路で送ることができるので、今や代案が一つ現れたのだ。

 ワシントンが最近、中央アジアへの政治介入を強化し、現地の国々を、ロシアからより独立するよう推進しているのにはもっともな理由がある。カザフスタンもトルクメニスタンも、ガスプロム・パイプラインへの依存からの解放を可能にする選択肢を求めていたのだが、南ガス回廊が、両国に、まさにそれを提供する。とは言え、問題もある。その過程で、ガスプロムが関与することなく、中央アジアで生産されたガスが、ヨーロッパ市場に到達し始めるようになれば、ウクライナ通過問題と、ヨーロッパ市場でのガスプロムのシェア、それだけで終わってしまう。送り込むべきガスがなくなるという実に単純なことだ。現在のサプライ・チェーンは、ソ連時代の昔に作り出され設計され、強力で進んだソ連の産業に供給するよう設計されていて、ヨーロッパへの供給は、さほど重要ではない関心事だった。しかし、ソビエト社会主義共和国連邦の崩壊によって引き起こされたロシア連邦と旧中央アジア共和国諸国での製造減少のため、今や一定の割合のガスが輸出されている。当然ながら、状況の変化は、紛争状態を生み出す。中央アジアからガスを輸送できる唯一の企業という独占的地位を現在失いつつあるガスプロムにとって、SGCは大惨事だといって問題あるまい。

 今や新たな状況が出現している。ヨーロッパ市場でシェアを得ようしているアメリカの政治圧力と認識されているものに加え、ガスプロムは、EUへの主要ガス供給国としての量も地位や失い始める可能性がある。この市場全体、非常に競争の激しい環境だと言える。当然、この全ての変化が、数週の間に起きるわけではない。サプライ・チェイン全体の変化が始まるおおよその時期は、2020年-22年だ。とは言え、ガスプロムが現在の量と収入を維持できなくなるだろうことは既に明らかだ。それゆえ、ロシアが経済危機と欧米経済制裁で弱体化している状況でも、国家予算から、高価なパイプライン・プロジェクト建設に膨大な資源を投入し続けているのだ。

 ちなみに、SGCは、ガスプロム新プロジェクトがしていると同様、やすやすと輸送ハブを迂回するので、ウクライナの恩恵には決してならない。カザフスタンとトルクメニスタンがTANAPへと向かうようなことになれば、崩壊しかけているウクライナ経済は停止にいたるだろう。だが、キエフは、自国の将来を考える代わりに、モスクワを傷つけられる方法を考え出すことの方に興味があるように見える。

 「泣きっ面に蜂」ということわざがあてはまるようだ、ガスプロムは、ノルド・ストリーム 2に対する、新たな課題に直面している。ストックホルム商工会議所仲裁裁判所の裁定に従って、ウクライナは、ガスプロムの子会社、スイスのノルド・ストリームAGの資産を差し押さえようとしている。ノルド・ストリーム-2運用者と、まさに同じ会社だ。一週間前、アメリカのマイク・ポンペオ国務長官が、ワシントンはガスプロムのノルド・ストリーム 2の心臓に杭を打ち込むつもりだと発表した。ウラジーミル・プーチン大統領が、ブルガリアのボイコ・ボリソフ首相との会談後、記者会見でこう発表したのは偶然ではない。

ノルド・ストリーム 2建設は、現在積極的に話し合われている。我々はウクライナ通過を維持する用意があり、どれだけのガスを輸送するか、何のガスの量がウクライナ経由で輸送されるかが問題だ。我々の顧客が、現在、そして近い将来に、どれだけの必要とするかというのが問題だ。

 言い方を変えれば、この当事者の動きは、関係する全当事者も行っており、アメリカ合州国とウクライナは、極端に攻撃的な切り口で交渉しようとしており、モスクワは、通過する量に関して議論しており、もはや将来のウクライナ通過完全停止を言っていない。いくつかの客観的要因から、ガス分野におけるロシアの交渉上の立場は、最近弱体化している。一つ目の要素は、シリアにおける軍事・政治状況の進展だ。シリア-トルコ国境を掌握と、アフリンのクルド人戦闘部隊を、トルコ国軍部隊の拮抗勢力にする軍の課題は実現しておらず、将来も実現するまい。結果的に、アンカラは、三つのルートが建設されているという文脈で、トルコ経由のプロジェクトについて話し合うことを拒否したが、現在、そのうちの一つたりとも合意されていない。更に、ISISはダマスカスに対してゲリラ戦争を行うよう切り換え、完全に打ち負かされてはいないことが判明している。

 二つ目の要素は、アメリカの立場とアメリカがヨーロッパにかける圧力で、これが最終的に、ノルド・ストリーム 2は、ウクライナ通過を維持することによってのみ建設可能だというメルケルのプーチンに対する最後通告という結果をもたらした。三つ目の要素は、TANAP立ち上げと、来るべき南ガス回廊の立ち上げは、もちろん依然、実際のパイプラインには到底見えず、むしろガスをトルコ国内市場に送るパイプだが、プロジェクト全体は、ロシアの代替ルートよりもずっと進んでいるように見える。四つ目の要素は、ガスプロム資産の差し押さえで始まった法的手続きで、これは、プロジェクトの最も重要な部分 - ノルド・ストリーム2の運用者に影響する。差し押さえは法廷で争われる可能性が高いが、これには時間がかかり、株主の反応は、彼らがプロジェクトから撤退する決定をするほど極端に否定的なことが予想できる。

 そういうことが起きる確実な時期を予想することはまだ不可能だが、他にも予想される問題がある。中央アジア諸国、カザフスタンとトルクメニスタンが南ガス回廊の一部になりたいと宣言し、後にイラク、イラン、カタールが加わり、アゼルバイジャン運用者の立場を大幅に強化し、最も重要なことに、ガスプロムから中央アジア・ガスを奪う可能性がある。

 これを背景に、モスクワは、ウクライナとの新たな通過合意交渉に向かおうとしており、ドイツは、いかなる代償を払ってもウクライナ通過を維持するという揺るぎない姿勢をとっている。そのような条件下では、アメリカ合州国が支持するキエフの当初の提案が極端に厳しいものとなるのは明らかだ。通常の条件下ですら、そのような交渉には、誰でも当惑するだろうが、クリミアとドンバスを巡り、モスクワとキエフの間には、紛争の長いリストがあるので、これほど困難なものはあるまい。

 政治学博士Peter Lvovによる、オンライン誌“New Eastern Outlook”独占記事

記事原文のurl:https://journal-neo.org/2018/06/03/washington-s-gas-war-agaisnt-russia-is-picking-up-steam/
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「外国人記者は見た」を怖いものみたさで眺めてしまった。スシロー氏出演なので。
ゲスト名を聞いた瞬間、時間と電気の無駄と理解したのだが。

昨日翻訳した記事と関連する今日のIWJインタビューを拝聴予定。

日刊IWJガイド「本日午後5時『【シリーズ『パレスチナの民族浄化』を読む第4弾!】民族浄化を招いた国連の分割決議!圧倒的な軍事力でパレスチナ人の村々を破壊したシオニストたち~岩上安身による東京経済大学早尾貴紀准教授インタビュー(第4弾)』を配信!/米国が北朝鮮の『段階的非核化』を容認!? 経済支援は日・中・韓へちゃっかり丸投げ!?/福田康夫元総理が安倍総理、麻生財務大臣を批判!『わかってない人が多いんじゃないか』!?/安倍総理が自民党滋賀県連大会で憲法改正の実現に意欲表明!『緊急事態条項』の危険性を知るためにもぜひ『前夜~増補改訂版』をご一読ください!/
新潟県知事選で自公が支援する花角英世候補の応援演説で魚沼市の堀之内商工会長の真島慎一氏が『新潟県には、女性の知事は必要ないんです』とスピーチ!?/新生K-1が那須川天心選手らに対して1億円を超える損害賠償請求!看板選手との対戦を要求した発言が『興行に対する不当な介入』!? スポーツ界にまでSLAPP訴訟が拡がる?/<新記事紹介>竹中平蔵氏が会長を務めるパソナの迎賓館を門康彦市長が訪れた直後に淡路島が『総合特区』に!?『地方創生』の効果は不明!?『パソナ島・淡路島』の謎は深まるばかり!?(後編)」2018.6.4日号~No.2090号~

2018年5月22日 (火)

石油は「アメリカの世紀」を終わらせるだろうか?

2018年5月19日
F. William Engdahl
New Eastern Outlook

 1941年、アメリカ支配体制インサイダーのヘンリー・ルースによって、ライフ誌論説で、誇らしげに宣言された「アメリカの世紀」は、石油支配と、世界石油支配のための果てし無く続く戦争の上に築かれていた。今皮肉なことに、アメリカ大統領による、違法で、一方的なイラン核合意離脱のおかげで、意図的ではないにせよ、まさに「アメリカの世紀」という世界覇権崩壊で、石油が重要な役割を演じることになっているのかも知れない。

 ドル依存から離れるため、様々な国々の最近の拡大しつつある措置の各要素それ自体は、石油の売買をドルのみでおこなうよう他の国々に強制するワシントンの能力によるアメリカ・ドル支配を終わらせるには不十分だ。それでも、ワシントンの力による一方的な挑発や制裁行動のそれぞれが、わずか四年前には、可能あるいは現実的とは思われなかった解決策を、他の国々が見いだすよう強いている。

 ヨーム・キップール戦争の後の、1973年石油価格ショック以来、ワシントンとウオール街は、サウジアラビア率いるOPECが、アメリカ・ドルでしか石油を売らせないように動いた。それが、アメリカ通貨への需要が、事実上、アメリカ経済の内部状態や、政府債務や赤字と無関係になることを保障していた。ヘンリー・キッシンジャーや他の連中が、当時、オイルダラー・リサイクリングと呼んだ体制は、アメリカが世界に戦力を投射する能力の極めて重要な基盤であり、同時に、中国やメキシコやアイルランドやロシアなどのような場所にすら移転する過程で、アメリカの主要大企業が、国内課税や投資から逃れることを可能にしていた。現時点で、かなりの数の国々の集団がドルを放棄して、他の通貨に移行したり、バーター貿易をしたりすれば、アメリカ金利の急増と、十年前のものより遥かに醜悪になるはずの新たなアメリカ金融危機を引き起こしかねない連鎖反応の出来事のきっかけになり得る。

 制裁マニア、アメリカ

 2001年9月11日以来、アメリカ政府は、アルカイダのようなテロ集団への資金供与を取り締まるはずの金融経済制裁の使用を、アメリカの世紀防衛のための戦争の中心的武器へと転換する過程に従事してきた。過激な新たな形の標的を絞った経済制裁をロシアに課するというアメリカ財務省による最近の決定は、アメリカ国民が彼らと事業をすることを禁じるだけでなく、そのような事業を行っているアメリカ国民ではない人々にも経済制裁を課すと威嚇し、更に過酷な新アメリカ経済制裁をイランに再び課すことが続いている。

 トランプ政権は包括的共同作業計画 (JCPOA)、イラン核合意から一方的に離脱し、イラン石油を貿易している他の国々も、11月までに取引を段階的に縮小しなければ、いわゆる第二次経済制裁で、彼らも経済制裁に直面すると発表した。アメリカ財務省は、イラン石油貿易に関与している可能性のある主要国際再保険会社や外国銀行も標的にしている。最新のイラン経済制裁に、2012年会計年度の国防権限法1245条を正当化に利用している。

 根拠のないアメリカの動きは、中国、ロシアや、イラン自身を含む主要な国々、可能性としてはEUにも、これまでになかったことだが、ドル離れするよう強いているのだ。

 中国元による石油貿易

 今年3月、中国は、元に基づく石油先物契約を開始した。先物は、現在の世界石油貿易の主要要素だ。アメリカ・ドルではない石油先物契約としては、初めてのものだ。新たな対イラン・アメリカ経済制裁まで、ワシントンは、本格的に受け入れられるとしても、何年もかかるやっかい者同然に見なしていた。今や、ドルでのイラン石油販売を阻止するアメリカの取り組みは、上海の石油先物や、一部の人々がオイル元と呼ぶものの前払いに大きな弾みをつける可能性がある。

 中国は、イラン石油の圧倒的な最大顧客で、イランの一日約250万バレルの最近の輸出総計のうちの一日約650,000バレルを輸入している。ブルームバーグの最近のレポートによれば、インドは第二位で、一日約500,000バレル輸入している。韓国は第三位で、313,000 bpd、更にトルコは第四位で、一日165,000バレルだ。最近ドルから自立する願望を明かにしたイランが、中国元で石油を中国に売る可能性は極めて高い。もし中国が、元での販売を、イラン石油購入継続の前提条件にすれば、ドル交換の経費を節減し、ドルを犠牲にして、世界貿易での中国人民元の利用を大幅に増やすことになろう。

 イランは、何兆ドルものユーラシア・インフラ・プロジェクト、中国の一帯一路構想における主要な戦略的パートナーでもある。最新のアメリカ経済制裁の後、フランスのメジャー、トタル石油が、イランの巨大南パース天然ガス田の株の売却を強いられる可能性があり、中国国営エネルギー企業情報源は、中国の巨大石油集団CNPCは、フランスの株を引き受ける用意があると述べているという報道がある。現在、トタルは50.1%を保有し、CNPCが30%、イランの国営石油会社が19.9%を保有している。対イラン戦争を主張してきた、長年にわたるネオコン・タカ派、トランプの国家安全保障問題担当補佐官ジョン・ボルトンは、EU企業が、もしイラン政府との協力を継続すれば、アメリカ経済制裁に直面することになると述べた。

 中国-イランの経済的つながりの増大を示すものとして、5月10日、中国は内モンゴル自治区のバヤンノール市から、約8,000キロ、カザフスタンとトルクメニスタンを経由し、テヘランまでを結ぶ直通陸上鉄道便を開始した。貨物の輸送時間は、14日間と予想されており、海上輸送時間より約20日間短い。

 ロシアの動き

 イランにとって二番目に大きなビジネス・パートナー、ロシアは、自身が、アメリカ経済制裁によって苦しめられているが、2014年のイラン核合意と経済制裁解除の後、イランとの無数の事業契約を行っている。ロシアのプーチン大統領は、経済制裁への脆弱性にまつわる安全保障上の理由から、ロシアがアメリカ・ドルから独立する希望をはっきり宣言した。この点、ロシア-イラン二国間貿易は、2017年11月以来、多くの製品が非ドル・ベースのバーターで行われている。

 更に、イランのモハンマド・ジャヴァード・ザリーフ外務大臣が、5月14日、モスクワを訪問して、ロシアのラブロフ外務大臣と、将来のロシアの原子力計画協定について話し合い、両者は経済協力継続を誓った。いくつかのロシア石油会社は、既にイラン・プロジェクトに参加している。

 最近の愚かなアメリカのイラン合意離脱の前から、ロシアと中国間の貿易も、ドルから離脱しつつある。現在、中国は、ロシアの最大貿易相手国で、17%を占め、第二位のロシアとドイツ間の倍だ。両国間のドル貿易が更に減少する可能性が高い。4月25日、上海でのヴァルダイ・クラブ会議で、Union of Chinese Entrepreneurs in Russia(在ロシア中国起業家同盟)会長、Zhou Liqunが、ユーラシアの二国は、二国間貿易で、ドルから一層離脱すべきだと述べた。彼は“二国の指導部should think over関係改善、特に、金融協力r。一体なぜ外国通貨で支払う必要があるでしょう? なぜドルなのでしょう? なぜユーロなのでしょう? 直接、元とルーブルで行えるではありませんか”と彼はロシア国営TVで述べた。

 最近のワシントンによるロシアとイラン経済制裁の前から、ロシアと中国は両国の二国間貿易でのドル離脱の方向に慎重に動いてきた。ロシアは、2016年末に上海石油-元先物と似たような、ロシア・ウラル石油先物の値付けにルーブルを使う石油先物契約取引を、サンクトペテルブルク取引所(SPBEX)に開設した。

 2017年に、約31%増え、今年、中国・ロシアの二国間貿易は、1000億ドルに達すると推計されている。ユーラシアの主要二国の銀行や企業は、世界準備通貨を保持しているというワシントンの不愉快な強みである、ドルからの、そしてドル経済制裁に対する脆弱性から自立する基盤を慎重に築いている。

 2017年、既に9パーセントのロシア商品の中国輸出はルーブル決済だ。ロシア企業は、15パーセントの中国輸入を人民元で決済している。こうした直接のルーブルや人民元決済は、NATO経済制裁が益々重要な要因になっているので、ドルやユーロ通貨のリスクを回避できる。更に、EUのSWIFT国際銀行間決済体制から自立して、確立した人民元決済システム(CIPS)を使うことで、この二つのユーラシア国家を、アメリカの金融戦争や制裁から、遮断できる。既に170以上のロシアの銀行や、ロシア中の証券会社は、中国銀行、ICBC、中国建設銀行や中国農業銀行などの中国の巨大国営銀行が参加しているモスクワ取引所で、元で取引している。ルーブル-元為替レートは、アメリカ・ドルの関与無しに計算されている。

 EUは続くだろうか?

 最近、これまで行っているドルでなく、ユーロによるイラン石油貿易の可能性を欧州連合が検討しているという報道もある。彼らはトランプによるイラン核合意からの一方的離脱を強く非難し、イラン石油貿易や、アメリカに威嚇されている航空機や他のハイテクの大型契約を維持する方法を検討している。フェデリカ・モゲリーニ欧州連合外務・安全保障政策上級代表は、マスコミに、イギリス、フランス、ドイツ、イランの外務大臣が、ワシントンの動きに対応した、現実的な解決策に、今後数週間で取り組む予定だと語った。彼らは、石油とガス供給の分野を含め、イランとの経済的なつながりを拡大する予定だと報じられている。

 EUがそのような動きをすれば、ドル体制の基盤を根底から揺るがし、それと共に、アメリカ戦力投射をも揺るがすことになる。現時点ではありそうにないが、2014年以来、ロシア経済制裁で、ワシントンが要求して明白に起きているEU経済権益を損なう、ワシントンの動きの一つ一つによって、大西洋同盟から離れるという地政学的同盟の大規模構造的転換の可能性が、より想像可能なものとなる。

 主要世界準備通貨としてのアメリカ・ドルの役割は、軍事力とともに、ワシントン権力の基盤だ。これが大幅に縮小するようなことになれば、他の国々の資源を利用して、超大国支配を継続するため戦争をしかけるペンタゴンの能力を弱体化させるはずだ。アメリカ財務省経済制裁が強いるものが抑えのきかないものになればなるほど、中国、イラン ロシアなどの国々や、可能性としては、EUも、ドル依存を減らし、ワシントンが他の国々を支配する力が益々弱くなる。前世紀のこうした過程の核心にあったのは、石油支配と、その支配のためのドルの役割だった。

 F. William Engdahlは戦略リスク・コンサルタント、講師で、プリンストン大学の学位を持っており、石油と地政学に関するベストセラー本の著書で、オンライン誌“New Eastern Outlook”への独占寄稿。

記事原文のurl:https://journal-neo.org/2018/05/19/will-oil-end-the-american-century/

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狂気の与党、野党風与党分派連中、なんとしても過労死推進法案を通すつもりだ。

せめて、下記IWJインタビューを拝聴しようと思う。上記記事と関連しているパイプラインの話題、これから拝読する。

日刊IWJガイド・番組表「過労死促進法案が成立!?『5月23日衆院予算委で強行採決!?「高度プロフェッショナル制度」の異次元の危険性! ~岩上安身による上西充子法政大学教授インタビュー』を本日午後3時半から生配信!!/ドイツとロシアとの間でガス・パイプライン事業が着実に進行! 対する「ビジネスマン」率いるトランプ米政権は対露経済制裁を示唆!?/IWJの第8期も残り2ヶ月余り、どうか皆様のあたたかいご支援をお願いします!」2018.5.22日号~No.2076号~

IWJ Independent Web Journal - 岩上安身責任編集

 

2018年4月24日 (火)

カスピ海ゲーム: 接続市場を奪いあう中央アジア‘スタン’

'パイプライニスタンには長い歴史があるが、一帯一路構想により、中国が状況を変える上で最も有力な国になった
PEPE ESCOBAR
2018年4月20日
アジア・タイムズ

カスピ海は全ユーラシアのガス・パイプライン・システと、貿易回廊の重要拠点

アゼルバイジャンで、 大統領選挙が行われた。予想通り、現職のイルハム・アリエフが、金王朝並みの86%の得票で、連続四期目の大統領の座を確保した。

欧州安全保障協力機構(OSCE)のOffice for Democratic Institutions and Human Right (ODIHR)が“必須手順の無視が蔓延しており、深刻な不法行為や透明性欠如の無数の例がある”と強調した。アゼルバイジャン選挙委員会はそのような意見は“根拠がない”と回答した。
そして問題丸ごと消滅した。一体なぜか? 欧米の戦略的観点からすれば、アゼルバイジャンのソ連後の石油独裁体制には、まったく手が及ばないためなのだ。

これは、第一次ビル・クリントン政権時代に イランを迂回するため、故ズビグニュー“大チェス盤”ブレジンスキーが推進したバクー-トビリシ-ジェイハン(BTC)パイプラインと大いに関係があるのだ。BTCが、事実上、 私がパイプラインスタンと呼ぶ、新たなグレート・ゲームで、エネルギーの章を解き放ったのだ。

現在バクーは、砂漠の荒れ地アラトで、西(トルコと欧州連合)、南(イランとインド)と北(ロシア)を同時に結ぶ新たな港 (“ユーラシアのハブ!”)に大きな期待をかけている。

アラトは、新シルク・ロード、別名、一帯一路構想BRI最大の輸送/製造/接続拠点としても考えられている。この戦略的位置は、BRIの中央接続回廊をまたいでいる。新たに開通したバクー-トビリシ-カルス鉄道につながり、カフカスを中央アジアと結んでいる。ロシアとインドをイラン経由で結ぶ国際南北輸送回廊ともつながっている。

輸送回廊は大騒ぎだ。アゼルバイジャンにとって、石油とガスは、2050年までしかもたないかも知れない。だから、これからの優先項目は、物流拠点となることを目指す移行努力だ。カスピ海最大の拠点になることを目指すのだ。

(カスピ海)両岸は引きつけ合うだろうか?

バクーの動きは、ユーラシア統合におけるパイプライニスタンと接続回廊の第一線の役割を再考させ、促進させる。全体図は、カスピ海エネルギー輸出の“第三の道”ヨーロッパ行きを最終的に示しているかも知れないが、当面は主にロシアと中国が中心だ。

今年、トルクメニスタンは“偉大なシルク・ロードの心臓部”として自ら積極的に売り込んでいる。とはいえ、デジタル接続性というより、古代のシルク・ロード史跡復活に注力している。

しかしながら、トルクメニスタンから、 ウズベキスタンとカザフスタンを経由して、新疆に向かう、年間550億立方メートル(bcm)を輸送する、1,800キロの中央アジア-中国 ガス・パイプラインが、2009年に開通した際、アシハバードは、BRIを予期していた。

アシハバードとモスクワは、延々小競り合いを続け、最終的に、二年以上前、ガスプロムは、トルクメン・ガスのロシア輸入を完全に止めた。

そして、これにより、モスクワではなく、北京が、中央アジア最大のエネルギー顧客、そして貿易相手国として登場することになったのだ。

その特異な慣行ゆえに、トルクメニスタンは結局、輸出市場の多様化には決して成功しなかった。トルクメニスタンは、スイッチをロシアから中国に切り替えたが、儲かるヨーロッパ市場には出られなかった。

加盟諸国が、共通エネルギー政策の輪郭にすら合意できないのに、EUは、ガスプロムだけでなく、エネルギー源の多様化が必要だというのが、ブリュッセルでは、長年のスローガンだ。

ヨーロッパ企業は、カザフスタンでこそ大規模油田を開発している。だが“青い黄金”パイプライニスタン戦線では、中央アジアからヨーロッパ向けに送られるガスは皆無だ。

トルクメニスタンから、カスピ海経由、トルコ、そして更に先へと続く、結局決して建設されなかったパイプライン、ナブッコ茶番が過去のトラウマ体験の典型だ。

アゼルバイジャンとトルクメニスタンは、実際、カスピ海対岸の猛烈な競争相手だ。不規則に広がるシャー・デニス・ガス田からの自国ガスが、ヨーロッパに売れる可能性を高めるので、バクーはナブッコの失敗を喜んだ。ナブッコの大きな問題は、大半のガスが、現在中国に送られていることを考えた場合、トルクメニスタンの本当のガス産出能力を巡るミステリーだった。

ことを複雑にしている要素は、依然、法的に不確定なカスピ海(海なのか、湖なのか?)を通るあらゆるパイプラインは、ロシアにもイランにも歓迎されていないことだ。

ガスプロムには、ノルド・ストリームと、トルコ・ストリームによってヨーロッパ市場でのシェアを増やす計画がある。イランは、カタールと協力して、巨大な南パース・ガス田から、イラン-イラク-シリア・パイプラインの改良版で、ヨーロッパ市場に入り込むことを狙っており、これは、シリアにおける戦争の理由の重要な一つなのだ。

TAP、TANAPと出会う

だから結局、カスピ海ガスのヨーロッパ市場への接続という点で、唯一現実的なパイプラインスタン作戦は、年間10bcmのガスを、バクーから送る小規模な、45億ユーロ(55.5億ドル)アドリア海横断パイプライン (TAP)になる。

長さ、わずか878km(北ギリシャ 550km; アルバニア 215km; アドリア海 105km; 南sイタリア 8km)のTAPは、2020年3月に稼働すると予定されている。

TAPは、ガスをアゼルバイジャンのシャー デニス 2から西トルコに送る、より野心的な、80億ドルのいわゆる南部ガス回廊、アナトリア横断天然ガス・パイプライン(TANAP)のある種の延長だと言えよう。TAPとTANAPはギリシャ-トルコ国境で接続する。

アゼルバイジャンがヨーロッパに賭け、トルクメニスタンが中国に賭けている様子の比較は勉強になる。

更に、ロシアと中国とアメリカとEUを対象とする独自の“複数ベクトル”外交政策を推進するカザフスタンがある。

同時に、アスタナは、BRIの主要結節点で、ユーラシア経済連合(EEU)加盟国で、上海協力機構(SCO)加盟国で、EUメジャーやアメリカ巨大石油企業の投資を歓迎している。

いずれ、北京は、カザフスタンを除く、あらゆる中央アジア“スタン”の主要貿易相手国という戦略的優位を享受し、一方、モスクワは、安全保障提供者、貿易相手国、外国投資の源、何百万人もの中央アジア人国外居住者の雇用主、ソフトパワーの中心(ロシア語は、中央アジアでは、共通語で、ロシアTVや文化は、いたるところにある)という複数の役割を維持することになろう。

しかも、この全てが、BRIとEEU両方の枠組み内のものなのだ。

イランとトルコは、全体像の中で、どうなるのだろう?

カスピ海の国家としてのアゼルバイジャンは、トルコと深い人種的、言語的つながりがある。ところが、バクーは、アタチュルクの精神に則った世俗主義を奉じており、これはトルコのレジェップ・タイイップ・エルドアン大統領のイスラム教色に染まった新オスマン帝国主義とは相いれない。

ことを複雑にする大きな要素は、アンカラとモスクワが、トルコ・ストリームで協力していることだ
- 要するに、シベリアから黒海海底経由でヨーロッパに送るものは、パイプライニスタン、アゼルバイジャンのガス輸出と直接競合するのだ。

イラン自体は、中央アジア全体に大きな文化的、言語的影響力がある。実際ペルシャは、歴史的に、中央アジア全体で、主要とりまとめ組織だった。イランは、南西アジア(欧米が中東と呼ぶ)でも、中央アジアでも大国だ。

しかし、道路、鉄道、橋、トンネル、パイプラインや、光ファイバー・ネットワーク構築で形成されるBRI環境の中で、中央アジアで状況を変える上で最も有力な国は、トルコやイランやロシア以上に、中国であり続けるだろう。

中国企業は既に、カザフスタン石油生産の約25%、トルクメニスタンのガス輸出の事実上全てを保有している。しかも彼らは主要BRIノードとして、バクーに目をつけている。

中国帝国の影響力が中央アジアを横断し、遥々北東イランまで広がっていた唐王朝のデジタル版復活とでも呼ぶべきか。カスピ海が間もなく中国の湖になるのに賭けますか?

記事原文のurl:http://www.atimes.com/article/caspian-games-central-asian-stans-vie-connectivity-market/
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拉致被害者たちを見殺しにした安倍晋三と冷血な面々』を拝読し、下記IWJインタビューも拝聴したことがある、あの蓮池透氏が、パフォーマンスに怒っておられるようだ。

岩上安身による拉致被害者家族連絡会元副代表・蓮池透氏インタビュー 第2弾

国会で議員に北朝鮮の「工作員」と名指しで侮辱!?された『拉致被害者たちを見殺しにした安倍晋三と冷血な面々』著者「拉致被害者家族会」元事務局長蓮池透氏に岩上安身が訊く!第1弾 2016.1.27

セクハラ官僚、言語道断。大本営広報部さえ、この件は再三扱う。一方、小西議員に対する「お前は国民の敵だ」統合幕僚監部所属3等空佐発言、その後の小野寺防衛相の「不快な思いをさせたのであれば申し訳ない。国民の一人として当然思うことはあると思うが、それを口にするかどうかは自分が置かれた立場をおもんぱかって対応すべきだ」という驚愕の発言については、大本営広報部、不思議なほど扱おうとしない。

二・二六事件、五・一五事件前夜?

今日のIWJガイド、これから拝読する。

日刊IWJガイド・番組表「<岩上安身のインタビュー>本日午後2時30分より、岩上安身による東京新聞論説委員・五味洋治氏インタビュー!急展開する朝鮮半島情勢――今後の行方は? 米朝の対立解消は可能か?/財務省・福田淳一事務次官の辞任が今日にも閣議で承認される!? 自身もセクハラ被害を受け、女性の人権問題に取り組んできた野田聖子女性活躍担当大臣は、閣議に署名をするのか!? IWJが野田大臣にFAXで質問するも、回答はいまだになし!/今度は維新が『梯子をはずされる』番か!? 国政でも、牙城・大阪でも苦戦する維新は風前の灯!?」2018.4.24日号~No.2049号~

大本営広報部洗脳バラエティーは見ず、下記記事を拝読し、インタビュー拝聴予定。

統幕監部の「暴走」は安倍政権以前から!?「日米同盟のために集団的自衛権を行使すべし」――青井未帆教授が新資料で明らかになったシビリアン・コントロール崩壊の“新事実”を暴露! 2016.2.21

「日本全体が米軍の巨大な兵站部隊になる懸念がある」――日米の「調整メカニズム」で自衛隊が米軍化する? 学習院大学教授・青井未帆氏に岩上安身が緊急インタビュー! 2015.7.8

2018年3月11日 (日)

ロシア・スパイへの毒ガス攻撃: ノルド・ストリーム 2が、より大きな標的なのか?

Finian CUNNINGHAM
2018年3月10日

イギリスにおける元ロシア・スパイに対する謎めいた明らかな殺害の企みの影響は、ヨーロッパ全体に広がっている。

予想通り、事件はイギリス・マスコミでの反ロシアの主張を煽り立てるのに利用された。しかし、更に、欧州連合は、イギリスの主権に対するロシアによる攻撃とされるものに対するイギリスとの“団結”を示すよう圧力を受けている。

元イギリス当局者たちが、イギリス国内へのロシアによる侵害とされるものを巡るEU諸国の団結の欠如を悲嘆していると報じられている。EUは、ロシアによる違法行為なるものを暗黙の内に承認して、イギリスとの“団結”という義務的声明を出して答えた。

日曜、イギリスにおける、亡命クレムリン工作員セルゲイ・スクリパリに対する明白な致死的毒ガス攻撃へのロシアの国家的関与という非難は、適正手続きの嘆かわしい無視と平行している。

66歳のスクリパリと彼の娘が集中治療に急送された事件から数時間後、イギリス・マスコミは、ロシア工作員が、報復暗殺を試みたと憶測している。

スクリパリは、2010年、イギリス国外の政治経済やその他の秘密情報収集、情報工作を任務とするMI6への二重スパイによる国家反逆行為のかどで起訴された後、ロシアから亡命した。彼はイギリス南部の都市ソールズベリーに暮らしているが、そこの公園で、33歳の娘とともに麻痺しているのを発見されたのだ。

イギリス人テロ対策当局者たちは、使用された化学物質は特定せずに、二人は猛毒の神経ガス攻撃の犠牲者だと明らかにした。彼らは、そのような致死的な作戦を実行する攻撃、あるいは攻撃者は、国家ぐるみのものに違いないと主張している。イギリス警察は攻撃を実行した機関をまだ明らかにしていないが、イギリス・マスコミは、ロシアの関与という無責任な憶測に早速飛びついた。この憶測は、ボリス・ジョンソン外務大臣などの政府閣僚が当てこすりをして、あおられている。

ロシア外務省は、モスクワの関与という非難を“更なる無責任なロシア嫌悪”だと切って捨てた。

過去8年、イギリスで公然と暮らしている、不祥事を起こした元スパイに報復するため、今月の大統領選挙を前に、ロシアが危険な作戦を実行するだろうという考えは、信憑性に欠ける。欧米マスコミにおいて、既に高まっている反ロシア・ヒステリーを考えれば、クレムリンが、そのような計画を考え出すなど笑止千万だ。

とは言え、証拠は、スクリパル暗殺の企みで、軍用化学兵器が使用されたことを示している。著名イギリス人毒物学者、アリステア・ヘイ博士が、ラジオ・フリー・ヨーロッパで、今週攻撃で使用された化学物質は、ソマンやタブンなどのサリンやVXと関係する有機リン毒物のどれかであった可能性が高いとかたった。これらは人肌に一滴付けただけで殺人できる神経ガスだ。

化学兵器に関するイギリス政府顧問が、急いたロシア非難を警告したのだ。“現段階で、誰かを非難するのは、余りに早急すぎると私は思う”と、この専門家は述べた。

国際的に尊敬されている毒物学者が、あえて語っているのは、使用された物質の極端な致死性ゆえに攻撃の性格は“軍隊能力”を帯びているということだ。

ロシアが関与していないと仮定すると - 上記理由からして、もっともな仮定だが - 疑問はこうだ。一体どのような国家機関が、これ実行したのだろう? 一体何の目的で?

ここでは特に、ロシアと全ヨーロッパの関係を破壊させることを狙う機関に焦点が当てられている。上記の通り、毒ガス攻撃事件を巡るロシア非難の影響の一つは、EUに、モスクワに対して厳しい対応を示すようにというすぐさまの圧力だ。

元駐ロシア・イギリス大使、トニー・ブレントン、ヨーロッパ諸国を、イギリスへの支援が足りないと非難したと報じられている。

“トニー・ブレントン元大使によれば、元ロシア・スパイが、ソールズベリーで、毒ガス攻撃された後のロシアに対する戦いで、欧州連合はまたもや、イギリスを支援しそこねている”とデイリー・エクスプレスが報じている

別の元イギリス外務省顧問、イギリスのBrexitを巡るEUの辛辣な論争ゆえに“クレムリンは、イギリスがアメリカとEUに同盟がなく、スクリパリ事件に関して何もできないのに付け込んでいる”と主張している

ロシアが関与しているというこの論理は錯乱している。だが示唆に富んでいる点は、モスクワに対するより広範な敵対的対応にヨーロッパを巻き込むという意図された効果だ。

確かに以下の論議は不確かだ。だが一考に値する。

先週、アメリカが率いるロシア-EU ノルド・ストリーム 2プロジェクトを駄目にする政治キャンペーンは、新たな弾みを得た。

110億ドル、1,200キロのガス輸送パイプラインは、来年の完成が近づいている。

ポーランド、エストニア、リトアニアとラトビアの外務大臣が、ワシントン DCを訪れ、ノルド・ストリーム 2と、どうすれば潰せるかいう特定の話題で、レックス・ティラーソン国務長官と会談したとボイス・オブ・アメリカが報じた

ポーランドとバルト諸国は、伝統的なヨーロッパへのエネルギー源ロシアを置き換えるアメリカによるガス供給を主張している。この問題は戦略的重要性が非常に大きい。ヨーロッパ消費者にとってずっと高価な結果となるにもかかわらず、ヨーロッパ諸国が、アメリカ・ガス輸出に切り替えることへの支援を、トランプ大統領は強く主張している。

ノルド・ストリーム2プロジェクトは、ロシア国営企業ガスプロムと、五社の私営エネルギー会社イギリス、ドイツ、フランスとオランダのパートナーシップだ。

しかし、プロジェクトは、ウクライナ、クリミアに関して、そして、アメリカとヨーロッパの選挙への“干渉”とされるものに対するロシアに対する非難を巡る政治的影響に晒されている。

ドイツとオーストリア政府、ロシアとの新ガス・ネットワークの強力な支援者だ。先週、オーストリアのセバスティアン・クルツ大統領は、モスクワを訪れ、ウラジーミル・プーチンと会談し、ノルド・ストリーム 2支援を表明した。

とは言え、猛烈な反ロシア・イデオロギー政治が傑出しているポーランドとバルト諸国は別としても、EU政権内部には同様にノルド・ストリーム供給に反対する分子もいる。彼らは、そのような仕組みは、ヨーロッパ内政に対する余りに大きな影響力をモスクワに与えてしまう。そのような主張をする連中は、親NATOで、親ワシントンであることが多い。

要は、ロシア-EUガス・パートナーシップを駄目にするためのキャンペーンに、先週のポーランドとバルト諸国政府閣僚代表団ワシントン訪問で見るように新たな弾みがついていることだ。もちろん連中はドアを押し開けているのだ。アメリカの国益は、ヨーロッパへのガス供給国としてのロシアを打ち負かすという目的と深く結びついている。

すると、ロシアをはめるよう仕組まれた、イギリスにおける暗殺の企てのタイミングは、ヨーロッパの世界的エネルギー市場を巡る戦略的闘争の好都合な時期のものだ。亡命ロシア・スパイ殺人未遂とされるものを巡り、モスクワに対して“より強硬”となるよう、巨大な圧力がEUにかけられているように見える。求められている“より強硬な”対応は、ノルド・ストリーム 2 ガス・プロジェクトのキャンセルである可能性がある。

もしこれが、EU-ロシア関係を切り裂くための最近の取り組みの動機なのであれば、実行犯らしきものとして絞られるものは以下のものへと変わる。モスクワを排斥する狙いで、セルゲイ・スクリパリと彼の娘を殺害しようと、おそらくイギリスや東ヨーロッパの共犯者と協力したアメリカ国家機関だ。

写真: politico.eu

記事原文のurl:https://www.strategic-culture.org/news/2018/03/10/russian-spy-poison-attack-nord-stream-2-bigger-target.html
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財務大臣が「ゆうむ」というのが、わけがわからなかった。「有無」のことだった。呑気な夫妻は知らん顔。

日刊IWJガイド・日曜版「財務省が決済文書の書き換えを認める!? 12日月曜日に国会へ報告!/IWJは9日の佐川宣寿国税庁長官辞任囲み取材をフルテキスト化!/本日20時より『佐川国税庁長官が辞任!森友公文書捏造疑惑と音声データ全容発覚!財務省職員自殺との関係は!?岩上安身による日本共産党宮本岳志衆院議員インタビュー』を再配信します!」2018.3.11日号~No.2005号~

岩上安身氏インタビュー、大本営広報部では、決して伝えない情報満載、必見だが、拝見するには時間が必要。

2018年2月24日 (土)

レバノンは次のエネルギー戦争の場となるのか?

F. William Engdahl
Global Research
2018年2月15日

新たな地政学的対立が中東で起きつつあり、しかもイスラエルとシリア、あるいはイランとの間だけではない。ここでの大半の紛争同様、炭化水素資源-石油とガスを巡る戦いがからんでいる。新たな焦点は両国間の排他的経済水域の正確な画定を巡るイスラエルとレバノン間の紛争だ。現在の主要当事者は、イスラエルとレバノン政府に加え、ロシア、レバノンのヒズボラ、シリア、イランと、陰に潜むアメリカだ。シリア国内のイラン基地、あるいはヒズボラcampsとされるものに対する最近のイスラエル攻撃は、イランから、シリアを経由し、レバノン国内のヒズボラ本拠インフラへの陸路を阻止するイスラエルの狙いと密接につながっている。全体の状況は、誰も、少なくとも、ほぼ誰も、望んでいない醜悪な広範な戦争をもたらす可能性がある。

2010年、地中海における石油とガスの地政学は大きく変化した。これはテキサス州の石油会社ノーブル・エナジーが、東地中海のイスラエル沖合で、ここ十年で世界最大のガス田発見の一つ、巨大な天然ガス埋蔵、いわゆるリバイアサン・ガス田を発見したことによる。同じテキサス州の企業が後にイスラエルのリバイアサン・ガス田近くで、キプロス沖合海域で、Aphroditeと呼ばれる膨大なガス資源を確認した。最近まで、レバノン国内での政治停滞とシリアでの戦争が、潜在的な海底ガスと石油を、レバノンが積極的に開発するのを妨げていた。今それが変化しつつある。変化とともに、イスラエルとレバノン間の緊張は高まりつつあり、ロシアは極めて大胆な形で、レバノンに関与しつつある。

2月9日、ベイルートでの公式式典で、レバノンのミシェル・アウン大統領とともに、トタル、ENIとロシアのノヴァテクのトップが、レバノンの排他的経済水域(EEZ)と主張している沖合地域における石油とガス掘削の最初の協定に署名した。この催しは、レバノンは、“どう見ても我々のものである”ガス田に対する国際集団の入札募集をしたと発言し、レバノンの採掘入札を“非常に挑発的”だと言うイスラエルのアヴィグドール・リーベルマン国防大臣による激しい攻撃を招いた。

レバノンのエネルギー入札は、地中海地域における全く新たな政治的計算をもたらしているロシアとレバノン間の劇的な新防衛関係という背景の中で行われた。

レバント海盆の富

東地中海における約8年の海洋探査後、現時点で明らかなのは、この地域が炭化水素に溢れているということだが、これはイスラエルもレバノンもこれまでは見出せなかったものだ。レバノンにとって、自国天然ガス資源開発は文字通り、天の賜物のはずだ。1975年内戦以来、レバノンは停電に悩まされてきた。ピーク需要が発電量を大きく超えるので、レバノンは毎日停電を味あわされている。国産ガスも石油もないので、レバノンは高価なディーゼル燃料を輸入しなければならず、年間約25億ドルの経済損失がある。レバノンはGDPの約145%の負債を抱え、世界で最も債務の多い国の一つだ。シリア戦争とレバノン国内の政治的停滞が、レバノンの沖合エネルギー開発を今日に至るまで凍結していた。

近年、イギリス企業スペクトラムが、レバント海盆のレバノン沖合部分で、三次元地震波を含む地球物理調査を実施し、レバノン海域には、25兆立方フィートもの経済的に採掘可能なガスがあると推計した。これらのガス田の開発はレバノン経済全体を変えることになろう。これまで、シリアでの戦争とレバノン内の政治停滞が沖合地域における採掘を妨げていた。

見込みは非常に有望で、フランスの巨大企業トタル、イタリアのENIと、ウラジーミル・プーチンに近い私営石油企業ロシアのノヴァテックが率いる国際コンソーシアムが掘削権入札に名乗りをあげた。コンソーシアムのリーダー、トタルは、最初の油田は、来年、紛争になっていない部分、第4ブロックで掘削し、二番目の油田は、部分的にイスラエルが領有権を主張している地域にあたる第9ブロックの予定だと発表した。トタルは素早く、第9ブロックの掘削は、イスラエルが主張している係争中の地域から24キロ以上離れた場所で行うことを明らかにした。それにもかかわらず、イスラエルは掘削に激しく反対している。レバノンは、10のブロック中のうち三つの縁沿い、約330平方マイルの海の三角地帯を巡って、イスラエルとの未解決の海上国境紛争を抱えている。

ヒズボラとイスラエル間のロシアという緩衝?

地域のエネルギー資源を巡る紛争の可能性を考えれば、レバノンが、沖合資源開発への大手ロシア石油企業ノヴァテックの参加を歓迎する中、ロシア政府が、ロシア国防省に“協調のための包括的枠組み”を含むレバノン軍との軍事協力協定を準備するのを承認したのは単なる偶然ではない。枠組みは、合同軍事演習やロシアによるレバノン港湾や飛行場利用を含むと報じられている。

ロシア-レバノン協力には“防衛手段に関する情報交換と国際的安全保障能力の強化、対テロ協力活性化、幹部訓練、軍事演習や軍隊構築分野での協力強化、IT専門知識交流、両国軍隊間の協力メカニズムの確立”も含まれていると報じられている。要するに重要なものだ。

これは、今や恒久的なシリア内のロシア軍基地-フメイミム空軍基地と、地中海のタルトゥース・ロシア海軍基地に加えて、約束が破られ、ワシントンの信頼性が下落する中、不安定な地域において、継続中の和平調停者、または仲裁者としての恒久的な役割を確立するためのロシア側の重要な動きだ。このロシア-レバノン合意は、ネタニヤフの欲しい物リストには決して含まれてはいない。2月10日以来のシリア領空内での劇的なイスラエル攻撃は、レバノンのヒズボラを維持できる、ここ数カ月で出現し始めた事実上のイラン-シリア-レバノン補給線を粉砕しようという、イスラエルの先を見越した決定を示しているように見える。

イスラエル、プーチンに、ヒズボラについて警告

もし新たなイスラエル-レバノン-シリア武力戦争が起きるとすれば、レバノン沖海域の潜在的な石油やガス資源だけを支配するための戦争ではないはずだ。イランが支援するシーア派政党で、民兵で、シリア戦争では、バッシャール・アル・アサドとロシア側についている主要当事者のレバノン・ヒズボラが本当の標的のはずだ。レバノン が沖合地域でガス開発に成功すれば、レバノン経済安定化に大きく貢献し、高い失業を緩和し、ネタニヤフが考えているように、イラン寄りのヒズボラを、主要な安定化要素として、権力の座に皿に定着させることになる。

最近のシリア国内へのイスラエル攻撃よりずっと前、イスラエル・マスコミ記は、英語版エルサレム・ポストの最近の“レバノンのヒズボラとの戦争にイスラエルが備えができている5つの理由”のような挑発的な見出しを載せていた。昨年9月、イスラエル国防軍はヒズボラとの衝突をシミュレーションする軍事演習を行った。イスラエル軍部隊は防衛姿勢から攻撃姿勢に切り替え、南レバノンの地形を念頭に置いた演習を実施した。

昨年11月、サウジアラビア皇太子で将来の国王ムハンマド・ビン・サルマーンが、突然、事前に準備された辞任声明を読むよう、レバノン首相サード・ハリーリーをリヤドに呼びつけて、レバノンのヒズボラに対してあり得るイスラエル戦争の第二戦線が議題に上がった。声明で、ヒズボラが、イエメン国内の反サウジアラビア部隊支持と、アサドを支持してのシリア関与を止めない限り、サウジアラビアは、カタールにしたような厳しい経済制裁をレバノンに科する用意があると、ハリーリーは警告した。経済的に困窮しているレバノン経済は、湾岸で働いている約400,000人のレバノン人からの年間80億ドル送金に依存しているので、これは壊滅的だ。

昨年9月、ネタニヤフのリヤド秘密訪問後、現時点で、イスラエルのネタニヤフは、ワシントンを背後にして、あからさまに、サウジアラビア皇太子ビン・サルマーンと同盟し、イランと、シリアやレバノンとイエメンにおけるイランの影響力に反対している。

トランプ政権が、イランに対する増大する敵意を宣言し、極めて挑発的に、エルサレムをイスラエルの首都として一方的に承認し、今回は、レバノン沿岸海域に対する領土権の主張を口実にワシントンによって背後から、最前列では、サウジアラビアによる経済制裁に支援されているイスラエルの第三次レバノン戦争用の前提条件は、中東全体での遥かに広範な戦争へとエスカレートする可能性があるはずだ。現時点で、レバノンに、手強い軍事プレゼンスと、エネルギー・プレゼンスを配備して、ロシアは、この新たな中東戦争に対する唯一の障壁なのかも知れない。

イスラエルのダマスカス攻撃の劇的エスカレーションと、1982年以来始めてのシリアによるイスラエルF-16戦闘機撃墜と、シリアの標的に対するイスラエルの不釣り合いな反撃は、地域全体がどれほど一触即発状態かを示唆している。ガッサン・カディが、Sakerブログでの地域の優れた分析で最近こう書いている。“シリアとイスラエル間の最近のエスカレーションは、より大きな戦争の前兆ではない。誰も戦争を望んではいない。彼ら全員、自分たちが受けかねない被害を承知しているので今の所は。シリアの防空能力を試し、何より中東で本当の力の均衡を作り出そうとするロシアの決意・決心を試すため、イスラエルは瀬踏みをし続けている。”本記事執筆の時点では、イラン無人機侵入と、シリアが否定しているイスラエルF-16撃墜とされるものを、ロシアとイランのあり得る反応を探るための試験探針作業を行う口実として、イスラエルが利用しているように見える。

ロシアが、これらの勢力を封じ込め、全面戦争を避けられるかどうかはまだ明らかではない。ロシアがレバノンとの軍事協力協定に署名すると決定し、同時に主要ロシア・エネルギー企業がレバノン沖合での石油とガスの掘削権を獲得したのは時の弾みの決断ではない。これは世界の中でも最ももつれた地域の一つにおける計算されたチェスの手だ。人類の幸福のために、ロシアが戦争権益を押さえるのに成功するよう願おうではないか。

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F. William Engdahlは戦略リスク・コンサルタント、講師で、プリンストン大学の政治学学位を持っており、石油と地政学に関するベストセラー本の著書で、これはオンライン誌“New Eastern Outlook”への独占寄稿。

記事原文のurl:https://journal-neo.org/2018/02/14/will-lebanon-be-the-next-energy-war/
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国会討論、売国与党の茶番質疑はほとんど聞いていない。音声を消して、野党のまともな質疑だけまっている。

オリンピック後こそ気になる。狂った宗主国支配層、何をするかわからない。「地球上で最も残虐で抑圧的な体制の中心人物だ」とだと非難する御仁、天に向かって唾をはいて、自分のことを告白しているに過ぎない。それをたれ流す大本営広報部。

会社再編などで苦労していた後輩が、出社せず、自宅で亡くなっていたのが発見されたのは数年前。亡くなる前に仲間と飲んだ際、つらい様子をわらいながら語っていたのを覚えている。彼も一種の過労死だろうと思っている。

日刊IWJガイド・番組表「野党が『働き方改革』断念を要求、与党は応じない構え!野党と市民は集会開催、過労死遺族は『明らかに命が奪われる法律、見過ごせない』と憤り!/本日20時より【籠池夫妻の不当な長期勾留に反対! 許すな!人質司法!シリーズ特集・タイムリー再配信 第3弾】『死に瀕する過酷な取り調べを激白!小堀隆恒・元枚方副市長と佐藤栄佐久・元福島県知事が2010年岩上安身司会のシンポジウムで検察の闇を証言していた!』を再配信!/落語家・桂春蝶氏の『日本での貧困は自己責任』ツイートに批判の声~岩上安身『残業代ゼロでも死ぬまで働け』などの社会的圧力と同調することに大いなる懸念」
2018.2.24日号~No.1990号~

2018年2月17日 (土)

不確実化するヨーロッパのエネルギー地政学

2018年2月9日
F. William Engdahl

ヨーロッパのエネルギー地政学と、EUエネルギー供給安全保障は極めて不確かになりつつあり、議論を引き起こしている。一体誰がEU市場への天然ガスの主要供給者になるのかを巡る最近の展開が進んでいる。世界最大の天然ガス市場の一つであるEUで市場を求める激化する競争での主役には、ロシア、ノルウェー、アゼルバイジャン、カタールと、最近では、LNGタンカーでのシェール・ガスというアメリカがある。この混戦の中、1960年代以来、EUへのガスの主要供給国であるオランダが、オランダ最大のガス田の生産を大幅に削減すると決定した。

1月27日、ワルシャワでの、ポーランドのモラヴィエツキ首相との悪意ある会談中、アメリカ国務長官でエクソンモービルの元CEO、レックス・ティラーソンは、あからさまにこう発言した。“ポーランド同様、アメリカ合州国はノルド・ストリーム 2 パイプラインに反対だ。これはヨーロッパ全体のエネルギー安全保障と安定性を損なうものだと考えている。” これは、現在ノルド・ストリームIで、北ドイツに輸送されている既存のガス容量を倍増させるため、バルト海で、ロシアのガスプロムによって建設されつつある二つ目の海底ガス・パイプラインのことだ。ノルド・ストリーム IIは、 550億立方メートルのロシア・ガスをドイツ経由で輸送する予定だ。

ポーランドのマテウシュ・モラヴィエツキ首相は記者会見で、ロシアのノルド・ストリーム II パイプライン完成時に、経済制裁を課するようアメリカ大統領を説得して欲しいとティラーソンに強く促したと述べた。モラヴィエツキ首相はこう述べた。“我々はノルド・ストリーム2について話し合った。ノルド・ストリーム 2 パイプライン建設を、対ロシア経済制裁を含んでいる、アメリカ経済制裁法の対象にして欲しい。”

二つのノルド・ストリーム パイプラインは、政治的に不安定でロシア嫌いのウクライナ経由のロシア・ガスの流れの途絶を避けるよう意図的に考えられている。2017年6月、アメリカ大統領が、EUによるアメリカ・シェール・ガスLNG輸入を推進するため、ワルシャワで劇的登場をし、トランプがポーランドに、遥かに高価なアメリカLNGに頼るべきだと説得して、ポーランドはアメリカLNGの最初のタンカー出荷を受け取った。アメリカはポーランドや他の国々に、t反ロシアの雰囲気が強いブリュッセルに、ガスプロムとの交渉を引き継ぐよう要求しろと圧力をかけている。少なくともこれまでは、ドイツ国内の商業問題だと主張し、ドイツは拒んでいる。昨年11月 ポーランド国営ガス会社PGNiGは、英米エネルギー集団のセントリカLNG社と、2018年-2022年、ロシア供給への依存を止めるための計画の一環として、アメリカ合州国から8隻のLNG出荷を受ける中期契約に署名した。

現在、ポーランドは、その大半の天然ガスをロシアから得ているが、ガスプロムとの契約が2022年に満了する際、ポーランドは、カタールとアメリカからのLNGと、ノルウェーのガス輸入に切り替える計画だ。その過程で、ドイツのノルド・ストリーム IIを阻止するのは、ポーランドとドイツ間の緊張と、EU全体の経済的不安定を激化させることになる危険性の高い冒険だ。

最大のEUガス田は削減が必要

ポーランドによる、ノルド・ストリーム IIを阻止するためのアメリカ経済制裁要求は、控えめに言っても、折り悪い時期に行われた。2月2日、オランダのガス監督官庁、鉱業監督庁が、オランダの巨大なグローニンゲン・ガス田でのガス生産は、地震の危険を最小化するため出来るだけ早急に現在の生産の半分、最大12 Bcm/年に減らすべきだと述べた。最近の地震は現地の家々に大きな被害を引き起こしている。これは最近の2014年生産のわずか25%だ。政府は、ガス田は四年以内にガスを生産できなくなるだろうと言っている。

グローニンゲン・ガス田は世界最大の天然ガス田の一つで、1960年代から、生産している。シェルと、ティラーソンが働いていた企業エクソンモービルが共同で操業しているので、アメリカ国務長官は現実を十分承知している。生産の大幅削減はEUのガス難問を暴露している。

NATOと欧州委員会による 絶え間ないプロパガンダ集中砲火は、ロシア・ガス輸入に対するEUの依存を攻撃しているが、ドイツや他のEU産業集団は、ノルド・ストリームを高価なアメリカLNGや他の輸入ガスに対する安定した低価格な代案だとして強く支持している。公式EU Eurostatによれば、EU-28カ国の天然ガス輸入のロシア比率は、34.6 %から26.8 %に減少した 2005年から2010年の間に。現在、it約29%総輸入. NATO加盟国ノルウェーが、二番目に大きな供給国で、約26%だ。アルジェリアとカタールもその他の供給国だ。

EUガスの代替供給元は?

EU28加盟国のためのロシア・ガスの本格的な安定した経済的な代案は限定されている。アメリカ・シェール・ガスLNG輸入は、受け入れ施設と、再ガス化設備などのインフラがあっても、特殊なLNGタンカー輸送の経費からして、パイプライン経由のロシア・ガスより遥かに高価だ。ポーランドは、昨年6月のアメリカLNGに対して、ロシア・ガスと比べて、50%もの割り増しを払わざるを得なかったと推測されている。ポーランドが現在、ソ連時代のガス・パイプラインからウクライナ経由で得ているロシア・ガスは心もとない。昨年夏、ウクライナ・エネルギー相イーゴル・ナサリクが、ウクライナは、ガス輸送システムの状態が劣化しているため、ロシア・ガスのヨーロッパへの送付を保障できなくなることを認めた。ウクライナの経済的混乱を示して、ナサリクは、ウクライナの国営石油ガス会社ナフトガスを、ウクライナのガス輸送システムへの投資を拒否していると非難した。いずれにせよ、既存のガスプロム-ナフトガス契約は、2019年12月に満了するが、ロシアは更新しないと宣言している。その頃には、EU エネルギー状況が変化していようが、さもなくば、EUは供給の危機に直面する。

LNGタンカーによるアメリカ・シェール・ガスの限られた可能性はさておき、ブリュッセルで検討されているEUガス輸入需要を満たすロシア・ガスの他の選択肢は更に危うい。

ロシア・ガスに対する一つの代案で、この理由で欧州委員会にも支持されている選択肢はアゼルバイジャン南ガス回廊、ワシントンにも支持されているプロジェクトで、ガスを、BPのシャーデニス海洋カスピ海ガス田から、アゼルバイジャン、ジョージア、トルコを経由するパイプラインで、ギリシャ、アルバニアやイタリアや南ヨーロッパに送るものだ。このプロジェクトは、420億ドルという驚くような経費がかかる、約2,200マイル、3,500キロものパイプラインが必要だ。比較すると、ノルド・ストリームIIは、経費が約95億ドルで、ジョージアのように政治的に不安定な国々や、現在EUと大いにもめているトルコに依存していない。トルコ経由で、ギリシャ国境に至るガスプロムのトルコ・ストリーム・ガス・パイプラインの日程は、政治的理由から、EU承認が不確実だ。

シャーデニスIIのアゼルバイジャン・ガス・プラットフォームは、2020年までに、トルコに年間60億立方メートルを供給する契約をしている。シャーデニスの第二段階は、2020年からガスを、ギリシャ、ブルガリアとイタリアを含むEU諸国に供給するが、2024年-25年までに、年間160億立方メートルのピークに達すると予想されている。EUへのアゼルバイジャン・ガスは、現時点では、ガスプロムのトルコ・ストリーム・プロジェクトに対する重要な対抗策だ。シャーデニスIIの主要運営者BPは、2020年からヨーロッパ企業に総計年間100億立方メートル供給契約。ジョージアとトルコへの最初のガスは2018年末に開始される予定だ。

アゼルバイジャン・ガス・オプションは、アゼルバイジャンがロシアから奪い去り過ぎた場合、ガスプロムが巨大な市場支配力と豊富なガス埋蔵量を使って、高価なアゼルバイジャン・シャーデニスII ガスに価格戦争をしかける危険に直面している。“ガスプロムは、理論的に、アゼルバイジャン・ガスや他のガスが、ヨーロッパ市場にアクセスするのを阻止するためだけに、大量の原価割れ天然ガスを、トルコとギリシャを通る輸送インフラに供給することができる”とアメリカを本拠とするGeopolitical Futuresのロシア・エネルギー専門家アントニア・コリバサヌは語っている。ロシアは年間、5000億立方メートルのガスを生産し、毎年1610億立方メートル、EUガスの34%を供給している。ガスプロムによれば、ロシアには推計24兆立方メートルの天然ガス埋蔵量がある。ロシアは世界最大の圧倒的なガス埋蔵量を保有している。

そしてイスラエルも?

2017年4月、EU幹部は、イスラエルとキプロスと協力して、ロシア・ガスの更にもう一つの代替案を探し求めた。イスラエル政府代表とキプロス代表が、EU幹部と昨年4月テルアビブで出会い、イスラエルとキプロス沖ガス田から、パイプライン経由でギリシャや更にEU市場に送るfいわゆる“東地中海パイプライン”開発を議論した。東地中海天然ガス (East Med) パイプラインは、イスラエルから始まり、キプロス、クレタ島とギリシャの上陸地点まで、海中で1,300キロ、808マイル、そして陸上で600キロ、373マイルも続く。欧州委員会は驚くべきことに、ロシアのノルド・ストリーム IIの代替案として、イスラエルEast Medパイプラインを支持すると発表し、EUエネルギー担当委員のスペイン人、ミゲル・アリアス・カニェテは、ロシアのものに対する地中海代替案に有頂天だ。ウオール街のゴールドマン・サックスとJPモルガンチェースは、巨大海洋ガス田業者、テキサス州を本拠とするノーベル・エナジーとともに建設に融資する用意かあると主張している。

East Medの計画は、パイプラインを、2025年までに完成し、年間160億立方メートルまでをギリシャと他のEU市場に送るものだ。これは最も長距離で、最も深い海底ガス・パイプラインの一つだ。ブリュッセルのノルド・ストリーム IIを、イスラエル ガスで置き換える夢には問題が一つだけある。経済的に採算がとれないのだ。現在、パレスチナと、EU諸国が承認を拒否している、エルサレムをイスラエルの首都とするアメリカの一方的な承認を巡って、EUとイスラエルの間で溝が広がりつつある事実はさておき、イスラエル・パイプラインの経済は、現在のガス市場で全く競争力がないのだ。NATOとつながる北大西洋理事会のエネルギー専門家、チャールズ・エリナス博士はこう述べている。“ノーベル社は、プラットフォームで、約4.50/mmBTU生産するが、パイプラインと液化とヨーロッパへの輸送経費を加えると、価格は常にヨーロッパ市場の価格帯を超えるだろう。ノーベル社は、プラットフォームでの価格を引き下げるわけにはゆかない。もしそうしたら、その安い価格をイスラエルの顧客にも提示しなければならなくなる。”

これは、東地中海における、巨大な政治的、地政学的緊張も考慮していない。イスラエルは、いまだ、そのような共同パイプラインに不可欠な、お互いの排他的経済水域を決めるキプロスとの正式合意をしていない。トルコは、キプロスのギリシャ領におけるガス掘削には猛烈に反対している。提案されている東地中海パイプラインのガス田のキプロス部分、アフロディテはキプロス-イスラエル排他的経済水域にまたがっている。誰がアフロディテのどの部分を所有しているのかの合意無しでは、開発計画を進めることはできない。イスラエルとキプロスは、六年間の交渉でも合意に達し損ねている。

EUに残されているのは、自分自身のエネルギー安全保障と経済を損ねてまで、安定して経済的なヨーロッパへのガス供給者ガスプロムを封じ込めるという愚かな政治的取り組みだ。シェールからのアメリカLNGを、ポーランドやリトアニアなど他のEU市場に売るというのは先に私が書いている通り、在来型ガスより遥かに早く枯渇するし、より高価な非在来型ガスのための手のこんだ詐欺だ。アゼルバイジャンのシャーデニスII南ガス回廊は、南ヨーロッパに非ロシア・ガスの一部を供給するが、現在の見通しでは、価格でも、量でも、EU市場でロシア・ガスに取って代わることは決してできない。EUエネルギー担当委員カニェテが主張するイスラエル-キプロス東地中海ガス・パイプラインの夢は財政的に実行可能ではない。

オランダがヨーロッパ最大の同国の巨大なグローニンゲン・ガス田からのガス生産削減を強いられる中、供給の妥当性こそが、いかなる犠牲を払ってもロシア・ガスを阻止するなどということより、EUの優先項目リストで上位にあるべきだ。2009年、EU諸国へのロシア・ガスを絶ったのは、ガスプロムではなく、ウクライナ国営ガス会社による違法行為だった。ロシアとEUのつながりを弱めるため、アメリカが吹き込んだ地政学的策略だった。東西緊張冷戦の最高潮時期でさえ、ガスプロムは一度たりともヨーロッパへのガス供給を中断していない。

F. William Engdahlは戦略リスク・コンサルタント、講師で、プリンストン大学の政治学学位を持っており、石油と地政学に関するベストセラー本の著書で、これはオンライン誌“New Eastern Outlook”への独占寄稿。

記事原文のurl:https://journal-neo.org/2018/02/09/europe-s-energy-geopolitics-is-getting-dicey/
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メダルの色やら数やら選手来歴は詳しく報じるが、労働者搾取法のためのエセ・データでっちあげについてはほとんど沈黙状態の大本営広報部。

運動神経が人並み外れて鈍い小生、オリンピックにほとんど関心がないが、若い血縁者全員、未来永劫搾取される労働者酷使最悪法には非常に強い関心を持っている。

「裁量労働制で働く人の方が一般労働者よりも労働時間が短い」というのを最初に聞いた時に、耳を疑った。労働時間を長くする手段で、そんな結果になるはずがない。

某掲示版を見ると、夜の国営放送はニュースではなく、民放昼バラエティにあたるという指摘があって納得。しかし、それのために金を取られている。

洞窟探検ドキュメンタリーは思わず見入ったが。

大政翼賛会は、籠池氏についても、ほとんど報じない。

孫崎享氏の今日のメルマガ題名を拝借しよう。

籠池氏をめぐる動きはあまりに醜い。後池氏は何の罪で、長期勾留か。仮に犯罪犯したとしても、違法受領額一千―二千万円程度、かつ返却済み。政治的勾留は誰の目にも明らかだろう。こんな日本に何時から成ったのだ。法曹界何故放置しているのだ。

日刊IWJガイド・番組表「『日本維新の会』公認・鈴木篤志市議、神戸山口組最大二次団体『山健組』所属疑惑――IWJが松井一郎大阪府知事に直撃質問『僕は会ったこともない』『その人が過去どういう人であったなんていうのは、どの政党であっても、人のすべてまで見透かすことは無理』と他人事のような無責任発言に終始/最高裁判決から3週間以上たっても官房機密費が開示されず!? IWJは原告団代表の上脇博之・神戸学院大学教授に直接取材!『安倍総理の「お気に入りメディア」に先にリークして報道させようとしているんじゃないか』との疑念も!」2018.2.17日号~No.1983号~

2018年2月 7日 (水)

ベネズエラでピノチェト式クーデターを計画しているトランプ政権

Wayne MADSEN
2018年2月5日
Strategic Culture Foundation

退行するドナルド・トランプ政権は、ニコラス・マドゥロ大統領の社会主義政府を打倒するため、ベネズエラでの軍事クーデターを計画している。レックス・ティラーソン国務長官が、中南米とカリブ地域の諸国歴訪出発前に、テキサス大学で講演し、中南米では、危機の時期に、軍が政治に介入することが多いと述べた。

ティラーソン発言は、中南米におけるアメリカの暗い過去の場面を呼び起こした。さらに悪いことに、ティラーソ ン“それが書かれた頃と同様、現代でもあてはまる”と強調して、1823年の帝国主義的モンロー・ドクトリンを呼び起こしたのだ。アメリカ史で終始、モンロー・ドクトリンは往々にして、ワシントンの言いなりになる“バナナ共和国”を樹立する目的で、中南米における軍事介入を正当化するのにアメリカ合州国に利用されてきた。

BBC報道によれば、ティラーソンは、この発言の前に“政権転覆を主張ているわけではなく、いかなる計画された行動に関する諜報情報も持ち合わせていない”と述べていた。1973年9月11日のチリの社会主義者大統領サルバドール・アジェンデに対する中央情報局(CIA)が支援した残虐なクーデター前、リチャード・ニクソン大統領の国家安全保障顧問ヘンリー・キッシンジャーが似たような発言をしていた。公式には、民主的に選ばれたチリ政府の不安定化に関する、アメリカのいかなる関与も否定しながら、陰でキッシンジャーは、アジェンデの打倒、暗殺で、チリ国軍と協力していた。チリ・クーデターから11日後、国家安全保障顧問の職を維持しながら、ニクソンに国務長官に任命されて、キッシンジャーは報奨された。

1999年にマドゥロの前任者ウゴ・チャベスが権力者の座について以来、CIAは少なくとも一度は、クーデターはすぐさま覆されたが、軍事クーデターを試みており、2002年には、幾つかの“カラー革命”風街頭抗議行動や混乱や経済戦争やチャベスとマドゥロを権力の座から追い出すためのCIAが起動したゼネストがあった。

エクソン-モービル元CEOのティラーソンは、ベネズエラの国有石油会社ペトロレオス・デ・ベネズエラS.A. (PdVSA)に対する、拘束されないアメリカによる支配に長らく目をつけていた。ティラーソンの中南米訪問日程が、ベネズエラに対する彼の計画を漏らしている。ティラーソンは、トランプの人種攻撃的言辞を巡り、アメリカ合州国と関係がこじれている国メキシコを訪問予定だ。ティラーソンとトランプの国家安全保障顧問のH. R. マクマスター中将は、メキシコの現在の大統領選挙戦に干渉していると、ロシアを、一片の証拠も無しに非難した。左翼MORENA党候補者、最有力候補のアンドレス・マヌエル・ロペス・オブラドル、略称“AMLO”は、彼がロシア権益集団から資金提供を受けたという濡れ衣をかわさなければならなかった。ワシントンのお気に入り、右翼候補ホセ・アントニオ・ミードは、AMLOはロシアに支援されていると非難した。AMLOは、麻薬で腐敗した制度的革命党 (PRI)から立候補し、冗談めかして“アンドレス・マヌエロヴィッチ”と名前を書いたジャケットを着ることが多いミードの非難は、話にならないと言っている。

メキシコの他、ティラーソンはアルゼンチン、ペルー、コロンビアとジャマイカも訪問する。ティラーソンの立ち寄り先が彼の真の意図を暴露している。トランプの不動産開発業者仲間マウリシオ・マクリが支配するアルゼンチンと、スキャンダルまみれのペドロ・パブロ・クチンスキ大統領がトランプを称賛しているペルーは、米州機構や他の国際機関内で、反ベネズエラ行動を率いている。コロンビアは、ベネズエラに対するCIAが支援する武装集団や諜報活動の基地として機能している。アメリカ率いる対ベネズエラ経済制裁のおかげで、コロンビアは現在、何千人ものベネズエラ経済難民の本拠で、対マドゥロ・クーデター向け歩兵人材の格好の供給地となっている。ジャマイカを除いて、ティラーソンの中南米での立ち寄り先全てが、ベネズエラで、マドゥロを平和裡に権力の座から外すことを狙う国々の集団リマ・グループのメンバー諸国だ。

ティラーソンのジャマイカ立ち寄りが、ベネズエラから輸出される割安の石油の恩恵を受けているカリブ共同体(CARICOM)のいくつかの島嶼国をベネズエラ勢力圏から引き離すことを狙ったものであることは明白だ。BBCによれば、ティラーソンは、テキサスで、マドゥロの究極的な運命に関してジョークまで言った。“もし彼[マドゥロ]にとって、台所が暑くなりすぎれば、彼はキューバのお友達連中に、海岸にある素敵な大農場をくれるように手配できるはずだ。”政府を支持するベネズエラ人にとって、ティラーソンの“冗談”は、チャベスが、2002年4月のクーデターで一時的に退けられた後、ベネズエラのオルチラ島にあるアントニノ・ディアス海軍飛行場に監禁されたことを思い起こさせるものだった。クーデターが失敗していなければ、アメリカ合州国は、チャベスを、キューバのグアンタナモ湾にあるアメリカ海軍基地で、抑留者収容所を経由し、キューバに亡命させるつもりだったと考えられている。

明らかにエクソン-モービルに今も肩入れしているティラーソンは、International Telephone and Telegraph(ITT)社長のハロルド・ジェニーンが果たした役割を再度演じているのだ。ジェニーンはCIAと協力し、1970年大統領選挙で、アジェンデの競争相手ホルヘ・アレッサンドリに100万ドル提供した。ITTは、チリでの1973年クーデター策謀者連中を財政的に支援したことも発見されている。1964年、ジェニーンとITTは、CIAと協力してto overthrow民主的に選ばれたブラジルのジョアン・グラール政権。現在、it isトランプ政権内のエクソン-モービルのまわし者 - ティラーソン - ベネズエラで、マドゥロを打倒しようとして、ITTとジェニーンの役割を演じるのに残業している。それぞれ、ブラジルやアルゼンチン元大統領で、そして将来の大統領になり得たはずのルイス・イナシオ・ルーラ・ダ・シルヴァやクリスティーナ・フェルナンデス・デ・キルチネルをでっちあげた濡れ衣で投獄した。アメリカ“砲艦外交”が西半球で復活したのだ。

メキシコ・シティーでの記者会見で、メキシコのルイス・ビデガライ外務大臣は、マドゥロ政権を打倒するためのベネズエラでの軍事クーデターというティラーソンの考え方をはねつけた。記者会見には、ベネズエラとロシアに対して歯に衣を着せずに物を言う敵、カナダのクリスティア・フリーランド外務大臣も出席していた。

ティラーソンは心底からのベネズエラ憎悪は、マドゥロやチャベス以前からのものだ。1976年、ティラーソンがエクソンで働き始めた一年後、ベネズエラのカルロス・アンドレス・ペレス大統領がベネズエラの石油産業を国有化した。国有化された資産の中には、ベネズエラ内のエクソン’s holdings。ティラーソンが同社を支配していた時代、2007年に、チャベスはエクソン-モービルの資産を再度国有化した。エクソン-モービルとティラーソンはカラカスによる補償を巡ってベネズエラと戦った。エクソン-モービルは、この件を 世界銀行での仲裁にもちこみ、ベネズエラに、同社に150億ドルを支払って補償するよう要求した。世界銀行は、わずか16億ドルの補償を決定し、この行為はティラーソンを激怒させた。エクソン-モービルへの補償を巡る小競り合いで、ベネズエラが勝利したことを、ティラーソンは決して忘れていない。今ティラーソンは仕返しをしようとして、チャベスの後継者マドゥロを権力の座から追い出しを狙っているのだ。

2015年、エクソン-モービルは、ベネズエラの東、ガイアナ沖の係争中の領土エセキボで石油事業を開始した。ベネズエラとガイアナは、この件で国際仲裁を求めたが、それも、エクソン-モービルを率いるティラーソンが、ガイアナの子会社エッソ探査・生産ガイアナ社に、係争地域で探査を続けるよう命じるのを止めなかった。ティラーソンと彼のボストランプにとって法的取り決めも、それが印刷されている紙の価値もなさそうだ。

ジャマイカ滞在中、ティラーソンは、ジャマイカ石油精製企業ペトロジャムのベネズエラの株、49パーセントを買い取るよう、アンドリュー・ホルネス首相に頼るだろうと予想されている。ティラーソンは、ペトロカリブ・エネルギー協定同盟により、ベネズエラ石油業界との協力協定を確立しているカリブ諸国に、“ロシア風”経済制裁をベネズエラにも拡張するトランプの懲罰的な大統領命令13808号に応じるべく、これら合意を取り消すよう服従させたいのだ。ハイチ、ニカラグア、ジャマイカ、ガイアナ、ベリーゼ、ホンジュラス、バハマ、スリナム、セントクリストファー・ネイビスやセントルシアなどの国々のペトロカリブ・エネルギー協定を取り消させ、カリブ諸国に、より高価な石油とガソリンを、エクソン-モービルから購入するよう強制し、エクソン-モービルの利益を増やすことしか、ティラーソンは考えていない。

ティラーソンは、トランプ政権の醜い顔を中南米に見せた。第二次世界大戦以来、未曾有の避難民大量移動として、アメリカ合州国内の何百万人もの不法入国中南米人居住者を強制送還したいだけでなく、中南米中のトランプの気に入らない政権を、残虐なクーデターによって変えたいのだ。

記事原文のurl:https://www.strategic-culture.org/news/2018/02/05/trump-administration-planning-pinochet-type-coup-in-venezuela.html
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9/11 サルバドール・アジェンデの遺言 (1973)を昔訳した。


話題のAH-64とMain Rotorとで、過去の宗主国記事を捜すと、例えば下記がある。

Failure Analysis of the Main Rotor Retention Nut from AH-64 Helicopter

Failure Analysis of an AH-64 Main Rotor Damper Blade Rod End, P/N 7-211411186-5

興味深いインタビューが目白押し。

日刊IWJガイド・番組表「本日17時半から! 岩上安身による 日本共産党 辰巳孝太郎参議院議員 インタビュー!/さらに8日21時からは木村真 豊中市議インタビュー(後編・その2)を再配信!/ニューヨーク市場で株価急落を受けて日経平均株価も急落!黒田日銀総裁は『経済はしっかりしている』!? 本日20時からは岩上安身による弁護士『アベノミクスによろしく』著者・明石順平氏インタビュー(後編)を緊急再配信!/スタッフ緊急募集中!」2018.2.7日号~No.1973号~

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2017年11月10日 (金)

サウジアラビアの長いナイフの夜事件裏話

王子、閣僚や億万長者が リヤド・リッツ・カールトン'収監'され、サウジアラビア軍は騒然としていると言われている。

Pepe Escobar
2017年11月7日
Asia Times

サウド家のサルマーン国王は、強力な“反汚職”委員会を設置し、息子のムハンマド・ビン・サルマーン皇太子、略称MBSを委員長に任命した。

うまいタイミングで、委員会は、11人のサウド家の王子、4人の現閣僚や何十人もの元王子/閣僚を全員汚職のかどで拘留した。高額銀行口座は凍結され、私有ジェット機は地上に釘付けになった。著名な被告人はリヤド・リッツ・カールトンに“収監”された。

アジア・タイムズが7月に予想していた通り、サウド家内部で、戦争が勃発した。何ヶ月も、MBS対する進行中のクーデターにまつわる噂が飛び交っていた。現在起きているのは、そうではなく、MBSによる、もう一つの先制クーデターだ。

不透明なサウド家と何十年も取り引きをしている一流の中東事業/投資情報源が、待ち望んでいた見方を教えてくれた。“これは見かけよりも遙かに深刻だ。アブドゥッラー前国王の二人の息子、ムタイブ王子とトルキー王子を逮捕したのは致命的な失敗だ。これは今や国王自身を危険にさらしている。国王に対する敬意だけが、MBSを守っていたのだ。軍内にはMBSに反対するものが多数おり、彼らは自分たちの司令官の逮捕に激怒している。”

サウジアラビア軍では大騒ぎという表現は控えめだ。“彼は軍隊丸ごと逮捕しないと、安心できないはずだ。”

ムタイブ王子は最近までサウジアラビア王位後継者として重要な競争相手だった。しかし、拘留されたものの中で一番の重要人物は、ツィッター、シティバンク、フォー・シーズンズ、Lyftや、最近まで、ルパート・マードックのニューズ・コーポレーションの主要株主、キングダム・ホールディングスの所有者、億万長者アル-ワリード・ビン・タラル王子だ。

アル-ワリード逮捕は、重要な切り口とつながっている。完全な情報支配だ。サウジアラビアには情報の自由は皆無だ。MBSは既に全ての国内マスコミを支配している(知事任命権とともに)。だが、サウジアラビア・マスコミは野放しだった。MBSの狙いは、“あらゆる巨大メディア帝国の鍵を握り、サウジアラビアに移転させることだ。”

一体どうしてこういうことになったのか?

粛清の背後にある秘密

当時のアブドゥッラー国王“排除”の可能性に関する2014年の秘密討議から話は始まる。しかし“王家を解体すれば、部族の忠誠心を崩壊させ、サウジアラビアが三つにわかれてしまう。石油を確保するのもより困難になるはずで、何であれ壊れた組織は、混乱を避けるために維持しなければならない。”

その代わりに、当時シリアのサラフィー主義聖戦戦士を積極的に育成していたバンダル・ビン・スルターン王子を追放するという結論に達し、治安機関の支配者を、ムハンマド・ビン・ナーイフに変えた。

アブドゥッラー国王からの王位継承は円滑に進んだ。“権力は三つの主要氏族の間で、共有された。サルマーン王(と彼の愛息、ムハンマド王子); ナーイフ王子の息子(別のムハンマド王子)、そして、亡くなった王の息子(国家警備隊司令官のムタイブ王子)。実際は、サルマーン王は、MBSに采配を振るわせた。

そして、実際、大失敗が続いた。サウド家は、シリアでは、政権転覆の取り組みで敗れ、イエメンに対する勝てない戦争は行き詰まっており、MBSは、両国にまたがる砂漠、空虚の地を活用できずにいる。

サウジアラビア財務省は国際市場での借金を余儀なくされた。緊縮政策支配になったが、MBSがコート・ダジュールでのんびりすごしながらほぼ5億ドルのヨットを買ったというニュースが流れては、決して受けは良くない。シーア派指導者ニムル師の斬首が徹底した政治的弾圧の象徴だ。東部州のシーア派のみならず、西部のスンナ派諸州でも、反乱がおきている。

政権の人気が激しく急落すると、MBSは2030年構想を持ち出した。理論的に、これは、石油からの移行だ。アラムコ株の一部売却。新産業の導入の取り組み。不満を鎮めるため、主要な王子たちを忠誠にしておくための王家からの支払いと、手に負えない大衆への未払い賃金の遡及払いか行われた。

ところが、サウジアラビアでは、外国人が生産的な仕事の大半を占めているので、2030年構想は、機能し得ない。新たな雇用をもたらすには、新たな(技能を持った)労働者を一体どこから得るかという問題が生じるのだ。

こうした進展の中、MBSに対する嫌悪感は決して増大が止まることはない。“現在の支配者に反対して、連携している三つの主要王家集団がある。前のアブドゥッラー国王の家族、前のファハド国王の家族と、元皇太子ナーイフの家族。”

バンダルの後釜、ナーイフは、ワシントンと密接で、対テロ活動のおかげで、中央情報局では極めて人気がある。今年早々の彼の逮捕は、MBSが権力闘争に着手したと解釈されて、CIAとサウド家非常に多くの派閥を怒らせた。

情報源によれば、“CIAお気に入りのムハンマド・ビン・ナーイフを逮捕しても、丸くおさめていれば、許されていた可能性があるが、MBSは、シーザーではないくせに、ルビコン川を渡ってしまった。CIAは彼のことを、全く無用と見なしている。”

以前のスデイリー族(MBS無しの)と、シャンマル族(故アブドゥッラー国王の部族)との間の権力共有に回帰して、ある種の安定が得られる可能性がある。情報源は、サルマーン国王逝去後“MBSは王位を奪われ、王位はもう一人のムハンマド王子(ナーイフの息子)にわたる。ムタイブ王子は彼の地位を保持しよう。”と見ている。

MBSは、まさにこの結果を防ぐべく行動したのだ。だが情報源は頑固だ。“近い将来に、政権転覆がおきるはずで、それがまだ起きていない唯一の理由は、老国王が家族の中で好かれているため。エジプトのファルーク国王時代のように、軍で紛争がおきて、アメリカ合州国に友好的でない支配者が出現する可能性があるかも知れない。”

‘穏健派’サラフィー派聖戦主義者はいるだろうか?

粛清前、サウド家は、サウジの政府系投資ファンドと、アラムコ新規株式公開による収入で資金を調達して、風力と太陽光発電で動く、理論的には2025年までに完成する予定だった紅海海岸で、サウジアラビア、ヨルダンとエジプトにまたがる5000億ドルの地域 、一種のドバイの真似を絶えず喧伝していた。

並行して、MBSは、サウジアラビアの将来は“我々が奉じてきたもの、世界とあらゆる宗教に開かれた穏健なイスラム教に単に戻れば良い”だけの話だと言って、苦境から抜け出すもう一つの策を取り出した。

一言で言えばこうだ。たまたま、あらゆる表現や宗教の自由の原則に向かない、王家の私有財産で、あらゆるサラフィー派聖戦主義イデオロギー・マトリックスが揃っている国家が、単にMBSがそう言ったからとて“穏健な”国家に単純に移行できるはずがない。

さしあたり、粛清やクーデターや反クーデターの山が常態になるはずだ。

記事原文のurl:http://www.atimes.com/article/inside-story-saudi-night-long-knives/
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「中東の戦争に莫大な戦費を出させられ、武器を買わされ、国庫は空っぽ。対策を取ろうとすると、宗主国から内政干渉される」ということだろうか?

「アジアにかぎらず宗主国の戦争に莫大な戦費を出させられ、ポンコツ武器を買わされ、出兵もさせられ、国庫は空っぽ。対策を取ろうとすると、宗主国から、内政干渉される」だろう。サウジアラビアと違って、この列島は油が出ないのだが。

岩波書店『世界』12月号、特集は「政治の軸」再編の行方 を読み始めた。
「希望に助けられた安倍自民」

「メディア批評」。電気洗脳箱を見ている方々、紙媒体を読んでいる方々の一体どれほどの比率の人数が、こうしたまっとうなマスコミ批判を読むのだろう。すくなくとも小生の幼なじみは読んでいない。自民・希望支持者の幼なじみから、飲み会の誘いが全くこなくなった。つまはじきになったのだろう。断る手間も省けて、ほっとしている。

今日の日刊IWJガイドは

日刊IWJガイド・番組表「自民党が年内に改憲素案をまとめ、早ければ来年の通常国会で『改憲発議』へ〜いよいよ憲法改正目前!? 野党からは『野党こそ改憲の議論をリードすべき』などと明後日な論調も!/速報・大袈裟太郎氏が逮捕/希望の党は『改憲勢力』になるのか? 『踏みとどまる』のか? 11月10日の共同代表選に立候補した玉木雄一郎候補と大串博志候補をIWJが直撃! スタンスの違いが明らかに!」2017.11.10日号~No.1883号~

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