中国

2025年4月18日 (金)

ガザについて嘘をついたように、連中は中国についても嘘をつくだろう



ワシントンと中国の冷戦が激化するにつれ、欧米諸国で反中国プロパガンダ運動が大規模に再活性化すると予想される。

ケイトリン・ジョンストン
2025年4月12日

 この英語記事の朗読を聞く(朗読:ティム・フォーリー)。

 中国とワシントンの冷戦激化するにつれ、欧米諸国で反中国プロパガンダキャンペーンが大規模に再燃すると予想される。この展開に際し、ガザに関するマスメディアの不誠実さについて皆様が学んだこと全てが、中国のように帝国主義の標的となった国々にも同様に当てはまることをご理解願いたい。

 ガザ虐殺で目が覚めたのであれば、最も重要なのは、ガザは、マスメディアや欧米諸国の軍事力の行動における異常な例外でないと理解することだ。彼らは常に同じことをする。帝国は常にグローバルサウスの人々に恐ろしい悪行をしており、マスメディアは常に彼らの嘘を助長する。ガザは史上初めてライブストリーミングされたジェノサイドであるため、より顕著に表れているに過ぎない。だが帝国とそのプロパガンダ機関はこれまでずっと世界中でこの種行為をしており、これからも続けると理解する必要がある。

 中国について新たに出てくるあらゆる物語に、積極的に疑問を投げかけて頂きたい。ガザとハマスについてイスラエルが発表するあらゆる物語に、積極的に疑問を投げかけるよう学んできたのと同様に。これまで人生で中国について教えられてきたあらゆることに、積極的に疑問を投げかけて頂きたい。イスラエルについて教えられてきたあらゆることに、積極的に疑問を投げかけるよう学んできたのと同様に。もしあなたが誠実で、自分が間違っていることを証明する可能性を受け入れれば、中国に関して皆様が教え込まれてきた信念の多くが誤った情報だったことに気づくだろう。

 新冷戦は長らく準備が進められており、プロパガンダ装置は既に準備万端だ。2004年の著書『Superpatriotism』でマイケル・パレンティはこう書いている。  
「PNAC計画は、中国との戦略的対決と、世界の隅々にまで及ぶ恒久的軍事駐留の拡大を想定している。狙いは、単なる権力獲得ではなく、世界の天然資源と市場を支配する権力、世界のあらゆる国の経済を民営化し規制緩和する権力、そして北米を含むあらゆる地域の人々に、束縛されないグローバル「自由市場」の恩恵を享受させる権力だ。最終目標は、グローバル資本主義そのものの覇権を確保するだけでなく、競合する可能性がある他の超大国の出現を阻止し、アメリカのグローバル資本主義覇権を確保することにある。」
 ここで「PNAC計画」についてパレンティが語るとき、彼は(Project for the New American Century新アメリカ世紀プロジェクト)を指している。9.11以降、ワシントンによる中東への介入主義の大幅強化を促進したことで悪名高いネオコン系シンクタンクだ。21世紀初頭から中東におけるアメリカの好戦主義を推進してきた同じ構想は、まさに最近の新冷戦激化でそれが見受けられる「中国との戦略的対決」も構想していたのだ。

 「ネオコン」という言葉は今日ではほとんど意味をなさず、一般的には単に「好戦主義者」あるいはより具体的には「ドナルド・トランプが嫌っている好戦主義者」という意味に解釈されることが多い。だが、この言葉も有用性も失っている。この少数派が唱えた奇想天外な世界支配構想が、その後ワシントンにおける外交政策の主流合意になったためだ。PNACとウォルフォウィッツ・ドクトリンが提唱するアメリカの世界支配という思惑を推進する政策は、今や連邦議会のほぼ全員、そして当然ホワイトハウス内でも支持されている。

 中東における帝国の好戦的行動に関する嘘に気づいたなら、その気づきを今後も持ち続け、中国に関する帝国の嘘にも気づくようにして頂きたい。これらは全て同じ計画の一部なのだから。反中国宣伝攻勢は、パレスチナやイエメンやレバノンやシリアやイランに対するものと同じくらい不誠実で、新冷戦が激化するにつれ、その嘘は益々激しくなるばかりだ。

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 スコット・リッターの最新Substack記事 宿主に卵を産み、宿主を食べて成長する捕食寄生虫の話を、アメリカとイスラエルの関係にたとえている。

 Scott Ritter Extra

Zionism, the Human Parasitoid
 Scott Ritter
 Apr 18, 2025

 今朝の孫崎享氏メルマガ題名
NYT論評Robert Wu「中国はかかる高関税の対米緊張予測、対米輸出比重削減、技術の自主開発。勿論高関税の悪影響はあるが、国民は支持。中国人は伝統的に「吃苦」、「苦を食らう」に慣れ。他方トランプは国内的圧力に直面するだろう。既に経済界等は批判の声が出ている。
 日刊IWJガイド
「米国債の金利上昇とドル安で輸入物価上昇による米国のインフレは、クレジットカード文化の低所得者層を直撃! 米国経済は一気に縮小へ!?」2025.4.17号

■はじめに~トランプ政権の相互関税政策による、米国債の金利上昇と、輸入物価の上昇による米国のインフレは、財政悪化や企業の資金調達コストを増加させるだけでなく、クレジットカード文化の低所得者層を直撃! 米国経済が一気に縮小に転じる可能性も!

■IWJの活動は、市民の皆さまの会費と、ご寄付・カンパによって成り立っています。IWJの現在の財政は崖っぷちです! 4月は1日から15日までの15日間で、14件、9万8700円のご寄付・カンパをいただいていましたが、これは月間目標額の350万円の約3%と、たいへん厳しい状況です! どうか、緊急のご支援を! 緊急のご寄付、カンパをお願いします!

2025年4月14日 (月)

関税 - またもやひるんだトランプ大統領

2025年4月12日
Moon of Alabama

 木曜日、国債売りが深刻な経済的大惨事に発展する恐れがあるとして、トランプ大統領は関税を撤回した。

 中国を除くほとんどの国に対する関税は10%に引き下げられた。(10%は関税攻撃をトランプ大統領が開始する前と比べると依然かなり高い。)中国製品に対する関税は合計145%に引き上げられた。

 中国製品への高関税は、必然的にアメリカにおける家電製品価格の急騰につながるだろう。これら製品は、少なくとも一部は中国から輸入されている。これはアップルを始めとするアメリカ大企業にとって大きな損失をもたらしていたはずだ。

 それで、トランプはまたもやひるんだのだ。  
アメリカ、トランプ大統領の相互関税の対象からスマートフォンとパソコンを除外-ロイター、2025年4月12日

 トランプ政権は、主に中国から供給されるスマートフォン、コンピューター、その他の電子機器の輸入品に対し関税免除を認め、ドナルド・トランプ大統領が課す125%の高関税の大半を免除した。

 アメリカ税関・国境警備局(CBP)は荷送り業者への通知の中で、関税の適用除外となる関税コード・リストを公表した。適用除外は4月5日午前0時1分に遡及する。

 アメリカ税関・国境警備局(CBP)は、あらゆるコンピューター、ノートパソコン、ディスク・ドライブ、自動データ処理装置を対象とする非常に広範なコード8471を含む20の製品カテゴリーをリストアップした。また、半導体デバイス、機器、メモリー・チップ、フラット・パネルディスプレイも含まれていた。

 通知ではトランプ政権の措置について説明はなかったが、深夜の除外措置はアップル、デルテクノロジーズ、その他無数の輸入業者を含むアメリカの大手ハイテク企業にとって歓迎すべき救済策となる。
 新しい関税例外の全リストはここにある。

これは、1. アメリカの製造業を弱体化させ、2. 貿易不均衡を拡大させる奇妙な方法だ。

 高価格ハイテク製品は低関税で中国から輸入できる一方、アメリカ生産者が製品に必要な中国のローテク中間財には超高関税が課せられることになる。

 この状況が続けば、アメリカ内では中間財のローテク生産が更に増加し、ハイテク製品生産は中国に留まり拡大することになるだろう。

 アメリカの関税に対し、全てのアメリカ製品に125%の関税を課すことで中国は報復した。特定品目を免除する可能性は低い。関税率が100%を超えれば、米中間貿易は短期間で完全に停止するだろう。

 これまでの中国からの輸入品の約22%をアメリカは関税から免除したが、全てのアメリカ製品に対する高関税を中国は維持している。これにより両国間貿易は、これまで以上に不均衡になるだろう。

 アメリカは引き続き中国から従来の輸入量の22%を輸入する一方、対中輸出はゼロに縮小する。これにより、貿易不均衡の絶対値はトランプ大統領が関税戦争を開始する前より高くなるだろう。

 これら全て、戦争での敗北を認める奇妙な方法だ。明日から首切りが始まるだろう。

記事原文のurl:https://www.moonofalabama.org/2025/04/trump-blinks-again.html

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 Robinson Erhardt  アメリカ帝国没落過程をRichard Wolff教授が熱弁三時間  
Richard Wolff: Trump, Hitler, and the End of the American Empire 3:11:17
 ArcTimes 万博開会当日の惨状を現場報告 会場地名、悪夢洲としたほうが適切では?
【藤永のぶよ・万博ついに開幕、そして大混乱/入場に1時間半、帰りも制限/メタン場所、むき出しの危険】4/13(日) 18:30~ ライブ(尾形) 1:06:39
 今朝の孫崎享氏メルマガ題名
小川洋子著『人質の朗読会』。極限状態に置かれた八人の人質が、人質状況が小康状態を保った時、互いに自分の人生に起こったこと、劇的に思うことを語り合うという構成。人質は各々異なる背景。だが生きる価値が縦糸。「日本人にこんなに素晴らしい感性があるよ」と言いたくなる作品。
 日刊IWJガイド

■はじめに~チキンレースでトランプ政権が根負けか!? 米税関当局が、相互関税の対象から、iPhoneなどのスマートフォンやAppleなどのコンピューター、その他の電子製品や半導体を除外したと発表! 対中関税を実施した場合、iPhoneの価格暴騰の試算が報じられ、ハイテク企業株が暴落する中、トランプ政権が米テック企業の工場を中国から米国へ持ってくる、という力づくの政策を事実上、断念! 貿易不均衡を一方的に主張するトランプ政権に対し、中国側は「米国のサービス貿易黒字は2024年には約3000億ドル(約43兆円)」と指摘! 日本が米国に払っているサービス収支も、実は年6兆円以上!

■IWJの財政は崖っぷちです! 4月は1日から11日までの11日間で、8件、7万3000円のご寄付・カンパをいただいていましたが、これは月間目標額の350万円の約2%と、たいへん厳しい状況です! どうか、緊急のご支援を! 緊急のご寄付、カンパをお願いします!

■【中継番組表】

■大阪・関西万博が問題山積のままスタート! 12日開会式には約1300人が出席、13日開幕式では「大屋根リング」の上で1万人による「歓喜の歌」の合唱! 4月2日時点での前売り券販売数は約870万枚と目標1400万枚の6割どまり! 世論調査では「行きたいと思わない」が74.8%と、「行きたいと思う」の約3倍! インド、ネパール、チリ、ベトナム、ブルネイの5ヶ国のパビリオンの準備が遅れ、開幕初日には間にあわず!「並ばない万博」のはずがあちこちで混雑や渋滞、一部のパビリオンは一時閉鎖へ! 万博協会は、メタンガス問題を指摘した「しんぶん赤旗」の取材を拒否!! 都合の悪いことを書くメディアをしめ出す!

■米トランプ政権が「700%」と主張する日本のコメの関税! 江藤農水大臣は「無税で入っている枠がある」と主張するが、その「ミニマム・アクセス米」には、輸入差益という「事実上の関税」があり、トランプ政権が問題視! 政府備蓄米の2回の放出でも、米価の高止まりと品薄は解消せず、輸入米が急増! 一方米国では富山産コシヒカリが5キロ3000円で売られている!? 減反や転作に補助金を出し、米作りを破壊し、国内の需要に供給が足りない日本の農政は、今すぐ転換するべき!

2025年3月14日 (金)

様々な問題の責任を支配者以外の全員のせいにするよう我々は騙されている



あなたの敵はモスクワや北京やテヘランにいるわけではない。あなたの敵はワシントンやバージニアやニューヨークやロサンゼルスにいる。あなたの敵はロンドンやパリやブリュッセルやテルアビブにいる。

ケイトリン・ジョンストン
2025年3月12日

 この英語記事の朗読を聞く(朗読:ティム・フォーリー)。

 イスラム教徒はあなたにとって脅威ではない。

 ロシアはあなたにとって脅威ではない。

 中国はあなたにとって脅威ではない。

 トランスジェンダーの人々はあなたにとって脅威ではない。

 移民はあなたにとって脅威ではない。

 私が今言ったことに、あなたが抵抗を感じたら、それは連中が、あなたを騙しているためだ。支配者連中があなたを騙し、あなたの問題を連中以外の誰かのせいにしたのだ。

 敵がいないとか、誰も我々に脅威を与えないと私が言っているのではないことに皆様はお気づきだろう。確かに敵は存在し、彼らは確実に脅威を与えている。人々は騙され、操られ、本当の敵や本当の脅威がどこにあるのか見えないようにされているだけだ。

 あなたにとって脅威となるのは、あなたの国の富や資源を奪い、海外の無辜の人々に軍事暴力をふるい、あなたの公民権を抑圧し、地球を汚染する政治的現状だ。あなたにとって脅威となるのは、環境災害や核による絶滅を通じて人類を権威主義的ディストピアと絶滅へと追いやっているこの現状を維持するオリガルヒや帝国経営者連中だ。

 連中は、あなたが自分の問題の原因を実際問題を引き起こしている人以外の誰かのせいにすることを望んでいる。帝国権益を促進するために破壊したい彼らの主標的の反抗的集団や国家について、あなたを激怒させるのを連中は好むが、それが達成できない場合は、あなたにとって本当の脅威ではない無力なグループを憎むように仕向ければ満足だ。彼らは、あなたの本当の抑圧者、つまり億万長者や銀行家やメディア王や諜報機関や戦争屋や環境破壊的な資本家や軍産複合体の金持ちや、正式に選ばれた政府のあらゆる帝国の手先からあなたの目をそらすため、できることは何でもする。

 我々がお互いに争うのを連中は望んでいるが、敵意と分裂という連中の偽言説を我々が信じた場合にだけ、我々はお互いに脅威になる。移民が右翼に脅かされるのは、右翼がうまく騙されて自分の問題を移民のせいにし、その結果、移民の生活を一層困難にする帝国の手先を選出しているためだ。だが、人工的に作られた敵意がなければ、それは単にトップの同じ嫌な連中に虐待されている二人に過ぎない。

 このようなことを私が言うと、必ず「いやいや、ケイトリン、あなたはわかっていない。我々は本当にトランス・ジェンダー問題で深刻な脅威にさらされている」などと反論する人がいる。だが、そうではない。私がここで説明していることを、あなたがしているのに過ぎない。私が言っている詐欺に、あなたはまさにひっかかっているのに過ぎない。抑圧者を守るため、あなたは標的を抑圧者から無関係な方向に移しているのだ。

 どこかの時点で詐欺に騙されないようにしなければならない。我々は非常に虐待的社会に暮らす普通の人々の集団に過ぎず、連中の分断統治策略を我々が見抜き、団結し、対抗できないために、虐待者連中が莫大な利益を得ている事実に目覚める必要がある。

 イスラム教徒はあなたにとって脅威ではない。

 ロシアはあなたにとって脅威ではない。

 中国はあなたにとって脅威ではない。

 トランスジェンダーの人々はあなたにとって脅威ではない。

 移民はあなたにとって脅威ではない。

 アメリカ帝国はあなたにとって脅威だ。

 あなた自身の政府はあなたにとって脅威だ。

 オリガルヒはあなたにとって脅威だ。

 核の瀬戸際政策はあなたにとって脅威だ。

 エコサイドはあなたにとって脅威だ。

 戦争と軍国主義はあなたにとって脅威だ。

 暴政はあなたにとって脅威だ。

 プロパガンダはあなたにとって脅威だ。

 あなたの敵はモスクワや北京やテヘランにはいない。あなたの敵はワシントンやバージニアやニューヨークやロサンゼルスにいる。あなたの敵はロンドンやパリやブリュッセルやテルアビブにいる。あなたの虐待者は、あなたの政府に気に入らない遠い国でもなければ、あなたの政府が気にかけない疎外された集団でもない。あなたの虐待者は、あなたの政府自身や、世界中の全ての同盟諸国や、その手先や、この世界規模の権力構造を舞台裏で操るオリガルヒや帝国経営者のネットワークだ。

 我々がこれを早く理解すればするほど、現在我々が騙されて間違った人々のせいにしている全ての問題を早く解決できる。

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 これらの記事を音声で聞きたい場合、SpotifyApple PodcastsSoundcloud、またはYouTubeで聴取できます。私の記事は完全に読者に支えられているので、この記事を気に入っていただけた場合、ご希望に応じてチップ入れにお金を入れられる選択肢がここにいくつかあります。記事の映像版を見るには、こちらをご覧ください。毎月の記事のペーパーバックを購入するには、こちらをご覧下さい。私の記事は全て、海賊版を作成したり、あらゆる方法、形状、形式で自由に使用したりできます。再配布、翻訳、商品への使用など、ご希望どおり使用可能です。私が公開する記事を確実に読む最良の方法は、Substackのメーリングリストに登録することです。これにより、私が公開する全ての記事についてメール通知が届きます。全ての記事は、夫のTim Foleyとの共著です。



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 画像はAdobe Stockより。

記事原文のurl:https://caitlinjohnstone.com.au/2025/03/12/we-are-duped-into-blaming-our-problems-on-everyone-except-our-rulers/

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2025年3月 2日 (日)

日本の国家安全保障戦略

サイモン・ウェストウッド
2025年2月14日
New Eastern Outlook

 日本の国家安全保障戦略は実は太平洋における日本の不安の高まりを完璧に表している。またロシアの発展に対する日本の無能さと絶望の高まりを反映しているにすぎない。

 日本の国家安全保障戦略

 はじめに

 2022年12月、日本外務省は「国家安全保障戦略」と題する非常に重要な政策文書を発表した。この文書には国家防衛戦略と防衛力整備計画という二つの文書が含まれている。

 この文書には「ロシア」という言葉が16回近く登場しており、ロシアのせいで日本が深刻な不安に陥っていることを反映している。だがロシアに対する日本の不安は、国際関係の一般的観察者の理解を超えている。

 どうやら日本はロシアの国益を傷つけるためにあらゆる手を尽くしているようだ。

 北大西洋条約機構(NATO)が定める基準と同等の国内総生産(GDP)の約2%まで防衛費を増額することを日本は目指している。ここで忘れてならないのは、日本は世界第3位の経済大国で、G20、G7、経済協力開発機構(OECD)などの帝国主義的手段の重要メンバーであることだ。国際戦略研究所(IISS)によれば、日本は既に防衛・軍事力強化に500億ドル以上費やしている。このような実績があれば日本は安全な国になるはずだが、日本の国家安全保障戦略と政治軍事態勢は非常に不安定なようだ。この本質的不安定さは、特にロシアに関し、太平洋地域における日本の最近の動きにより明らかにされている。

 ロシアや中国や北朝鮮を日本は同じものと見ている。

 ロシアや中国や北朝鮮に関し、日本の国家安全保障戦略が非常に厄介な見解を示しているのは実に奇妙だ。歴史的に言えば日本は侵略国家だったのだ。日本はロシアと戦争し、第二次世界大戦中および戦前、中国や北朝鮮の人々に対して凶悪な残虐行為と重大な戦争犯罪を行ったのだ。おそらく日本指導者は、これらの国々を常に支配することが可能で、政治的・軍事的優位性が永遠に続くはずだと考えていたのだろう。

 だが特に現代において、ロシアや中国や北朝鮮のような開かれた考えを持つ国々が西洋覇権に対抗し可能性を創り続けている。反植民地主義姿勢と反資本主義の確固たる信念を持つロシアや中国や北朝鮮は特に日本にとっての脅威とみなされている。

 ウクライナにおけるロシア特別軍事作戦に関する日本の立場

 どうやら日本は、ロシアの国益を傷つけるために、あらゆる手を尽くしているようだ。また日本政界はロシアの敵を励まして支援するのに多忙だ。日本の国家安全保障戦略は「ロシアのウクライナ侵略は国際秩序を形成する規則の根幹をいとも簡単に破った」とはっきり言及している。また「ロシアは日本周辺での軍事活動を加速させている」とも指摘している。日本は、航行の自由作戦や、自由で開かれたインド太平洋を支持しているが、太平洋におけるロシアの利益は忘れている。

 慶應義塾大学大学院の谷口智彦元教授は安倍晋三前首相の顧問を務めた。ドイツのニュース局DWインタビューで、ロシアを日本にとっての脅威と谷口教授は語り、ウクライナでのロシア特別軍事作戦を批判し、特に千島列島周辺でのロシア軍軍事活動をしっかり監視するよう日本政府に求めた。

 日本の出生率低下と軍事的野心

 2023年から2024年にかけて日本の出生率が過去最低を記録したのは実に残念だ。日本の出生率が8年連続で低下し、女性1人あたり約1.20になったと厚生労働省が明らかにした。たとえば2022年に日本で生まれた子どもの総数は770,759人だったが、2023年には727,277人に減少した。今後数年、出生率は70万人を下回る可能性が高い。

 このような人的資源の減少傾向により、2720年1月までに日本には14歳未満の子どもは一人しか残らないと日本の人口統計専門家が主張した。理解すべきは、このような人口減少では、日本は野心的軍事的野望を実現する立場に全くないことだ。

 結論

 日本の国家安全保障戦略は実は国家非安全保障戦略だと結論付けるのは困難ではない。軍事に多額投資すれば、特にロシアに対し日本固有の不安を克服できると日本の政治軍事思想家は考えている。だが大日本帝国軍国主義は日本を救えず、ソ連が日本軍を破ったことを歴史は示している。また日本の現在の同盟国アメリカは1945年8月、日本国民に対する核兵器使用を躊躇しなかった。今日でさえ強力な軍隊で日本の存続を確保するのは不可能だ。

 軍事力の近代化や防衛や軍事力強化に日本が数十億ドル投資する必要はない。国民に投資し、日本の人口減少を最小限に抑える必要がある。

 戦略的不安と絶望感を更に最小限に抑えるため、アメリカやオーストラリアやその他の志を同じくする国々に対し、ロシアに対する不安感を軽減できる戦略を追求すべく、日本は積極的に働きかけている。例えば2022年9月に、アメリカが史上初のアメリカ太平洋パートナーシップ戦略を開始するよう日本は日本は大いに説得した。同様に2022年6月に開催された第4回日米豪安全保障対話首脳会議でも日本は非常に攻撃的な発言をした。特に千島列島を巡りロシアに圧力をかけるため、国連海洋法条約(UNCLOS)実施を日本は強調した。だが1951年のサンフランシスコ平和条約で、日本は千島列島に対する全ての領有権主張を撤回したことを世界に知ってもらう必要がある。

 サイモン・ウェストウッドはアイルランド、ダブリン市立大学(DCU)修士課程学生。DCUの歴史学部の研究助手でもある。

記事原文のurl:https://journal-neo.su/2025/02/14/japans-national-in-security-strategy/

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2025年2月23日 (日)

トランプ大統領の欧州に対する懲罰は一体何をもたらすのか

2025年2月18日
Moon of Alabama

 2022年2月28日に、ウクライナ武装解除作戦が始まって5日後、それがどのような結果をもたらすか私は予想した。  
アメリカとEUおよび他地域の代理勢力は、ロシア経済に打撃を与えるため、ロシアに対して非常に厳しい制裁を課した。

 この経済戦争の最終目的はロシアでの政権転覆だ。

 その結果、他の多くの国々で政権交代が起きる可能性が高い。
...
 アメリカとEUの全エネルギー消費は今後、割り増し価格となる。これにより、EUとアメリカは不況に陥るだろう。ロシアは、ガス、石油、小麦、カリウム、チタン、アルミニウム、パラジウム、ネオンなど自国が市場支配力を持つ商品の輸出価格を引き上げるだろうから、世界中でインフレが著しく上昇するだろう。... ロシアと中国との経済関係を避けているのは、新冷戦を起こそうというアメリカの計画にドイツとオラフ・ショルツ首相が騙されたということだ。ドイツ経済は、今後、犠牲者の一人になるだろう。

 2月4日、ロシアと中国が、アメリカに対抗する協力二国極となる多極世界を宣言した。ロシアのウクライナ侵攻は、その証拠だ。

 一極支配大国という自己イメージをアメリカが維持するのを支持するのでなく、そのことをこそヨーロッパ諸国は認めるべきだった

 新たな経済現実が定着するには、しばらく時間がかかるだろう。本当の欧州の戦略的利益に関する現在の見方は、おそらく変わるだろう。
 トランプ再選は、ウクライナ戦争によってもたらされた最も重要な政権交代だった。日曜日にはドイツで選挙が行われる。ドイツ経済が三年間縮小した後、この選挙は新たな政権交代につながるだろう。今後も多くの政権交代が続くだろう。

 当時私が予想できなかったのは、トランプ大統領の欧州に対する懲罰が、その過程を加速させるものになることだった。
マーク・エイムズ @MarkAmesExiled - 2025年2月18日 15:30 UTC

 ウクライナに関し、トランプは「プーチンに利用されている」とアメリカとヨーロッパのメディアと政治体制全体が自分たちに(そして我々にも)繰り返し言い聞かせている。なぜならウクライナとヨーロッパをトランプ・チームが故意に罰している可能性を彼らは考えられないためだ。
 トランプは「プーチンに操られている」と依然主張する人々が一体誰か私には分からない。あの芝居は終わっていないのだろうか? だが「故意に罰する」という部分については私は確信がある。

 一体なぜトランプは、ウクライナとヨーロッパを罰したいのだろう? 民主党とディープステートによる彼の初代大統領職妨害を彼らが支援したからだ。

 ミュンヘン安全保障会議に関するスコット・リッターの広汎な記事は、このことをうまく説明している。  
2016年大統領選挙での[トランプ]勝利は支配体制全体に衝撃を与え、支配体制は、その後四年、内外からトランプ革命を弱体化させ続けた。

 そして、その後四年、代表格ジョー・バイデンの支援下、支配体制はトランプ復活を阻止するため、支配体制のあらゆる汚い手(多方面からの政治的動機による訴追や、おそらく暗殺も含む)を使った。

 敵NATOとEUを滅ぼすために、OODAループをトランプが典型的に応用しているの我々はミュンヘンで見ることができる。

 さて、この時点で「ちょっと待て。NATOとEUは、一体どのようにドナルド・トランプの敵になったのか?」と疑問に思う人もいるかも知れない。

 答えは極めて明白だ。彼らはまさに、今日アメリカでトランプが宣戦を布告した支配体制エリートの延長だからだ。

 彼らはトランプ大統領の一期目の任期中に陰謀を企てたヨーロッパ・エリート連中で、バラク・オバマ前大統領を慕いながら、アメリカの選挙周期で、アメリカ政治の舞台からトランプ大統領が一掃されるのを期待してトランプ大統領が義務付けた改革施行を遅らせた連中だ。

 彼らはアメリカの好戦主義を倍加させアメリカ独占権益のためにロシアを破壊するべく設計されたウクライナの罠に自らを陥れ、その過程でヨーロッパを破壊した連中と機関だ

 常に従順な手先のヨーロッパ人は、奉仕する意志に目がくらみすぎ、自分たちがウクライナと同じように犠牲の羊であることに気がつかなかったのだ

 そしてトランプが勝利を収めそうになった際、NATOとEUヨーロッパ諸国がバイデン政権と共謀し「トランプに耐えうる」政策を策定し、アメリカ支配体制がトランプを内部から封じ込め弱体化させている間に再び四年のトランプ主義を乗り切れると期待したのだ。

 だがトランプは教訓を学んだ。

 革命は初日、ヨーロッパがトランプを抑えるため頼りにしていた[アメリカ]体制の破壊で始まった。


 そしてトランプはヨーロッパに目を向けた。

 ドナルド・トランプの世界では、ヨーロッパ諸国、特に双子組織であるNATOとEUは同盟国ではなく敵であることを覚えておいてほしい。
 そこでパトリック・アームストロング (おかえりなさい、パット!) が口をはさんでいる内容は以下のとおりだ。  
我々は何を学んだのか? そう、ずっと昔にモスクワが学んだことだ。ワシントンは信頼できない(難解なロシア語単語では「 недоговороспособны」で、基本的にワシントンと合意を結ぶことはできず、たとえ結んだとしてもワシントンはそれを守らないという意味だ)。一言で言えば、ワシントンはウクライナ惨事を引き起こしたのに、今や取り返しがつかないほど悪化したため、そこから逃げ出してヨーロッパに下駄を預けているのだ

 最も単純で、最も率直で、最も残酷な言葉で言えば、アメリカは向こう側にいて、ロシアはここら側にいる事実がワシントンに突きつけられたのだ。アメリカは、いつでもどこでも混乱を引き起こして、逃げ出せる。ベトナムを覚えておられるだろうか? アフガニスタンを覚えておられるだろうか? さて、今度はあなた方の番だ。

 ヨーロッパの皆様、あなた方が今即座にすべきことが四つある。1) 自分たちの本当の利益は何か見極めること。2) 利益を守れる立場に身を置くこと。3) モスクワと和解すること。(何年も前に現実政治のヨーロッパ人の達人が「政治の秘訣? ロシアと良い条約を結ぶことだ」と言った。) そして4)番目に、三年前のロシアと中国の共同声明を読み熟考願いたい。なぜか? それが未来だからだ。
 パトリックが言及しているロシア・中国共同声明は三年前に私が指摘したことと同じものだ。

 中国の王毅外相は、ヨーロッパのジレンマを見て、門戸を開放している。ミュンヘン安全保障会議での声明で、彼は助力を申し出た。  
昨年のGDP成長率5%で、世界経済成長に中国は30%近く貢献した。中国は世界経済成長の重要な原動力となり、その超巨大市場の恩恵を世界と共有してきた。中国は質の高い一帯一路協力と欧州連合のグローバル・ゲートウェイ戦略を融合させ、お互いに権限を増し、世界全体で権限を増していきたいと考えている

 友よ

 欧州を多極化世界の重要な極として中国は一貫してみなしてきた。双方はライバルではなく協力者だ。今年は中国・EU外交関係樹立50周年に当たる。中国はこの機会に欧州と戦略的意思疎通と互恵協力を深め、世界を平和と安全と繁栄と進歩の明るい未来へ導きたいのだ
 トランプ大統領はヨーロッパ官僚機構との戦いを続けるだろうから、ブリュッセルで政権交代が起こるまでには数ヶ月しかかからないかもしれない。

 これは中国に向かう長年延び延びになっていたヨーロッパの動きの始まりになるかもしれない。

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 The Chris Hedges Report
Watch me Speak at the Workers Strike Back Conference LIVE Now! 4:35:02
Join Chris Hedges, Kshama Sawant, Jill Stein, and working people from around the country for Workers Strike Back’s Fight the Rich Organizing Conference!

Chris Hedges
Feb 23, 2025

 デモクラシータイムス
トランプ&マスクの「赤狩り」 選挙を汚す連中! (志田 陽子/北丸 雄二/竹信 三恵子/保坂 展人) ウィークエンド・ニュース 1:59:25
https://www.youtube.com/watch?v=oNNbXkGLJzU

2025年2月 4日 (火)

「アメリカを再び拡大する」トランプ大統領の計画

サルマン・ラフィ・シェイフ
2025年1月27日
New Eastern Outlook

 最近、グリーンランドやパナマ運河の支配権の主張から、NATO防衛費増額要求に至るまで、新拡張主義をドナルド・トランプが推進しているのは、アメリカの優位性を回復しようという物議を醸す試みの兆候だが、世界的孤立を招くリスクもある。

 トランプ大統領の「アメリカを再び拡大する」計画

 ここ数日、ドナルド・トランプと政治同盟者は、アメリカ介入の新たな形を強調する声明を何度も発表している。パナマ運河とグリーンランド支配に関するトランプ発言から、イギリス国民をイギリス政府から「解放する」というイーロン・マスク発言まで、拡張主義的アメリカが再現しつつあるようだ。だが新拡張主義によって、アメリカは世界から孤立する可能性が高い。

 計画:アメリカ化

 グリーンランドは、いくつかのアメリカ企業が獲得を狙っている希土類鉱物の広大鉱床だ。

 1月7日、トランプはフロリダで記者会見し容赦ない態度を示した。トランプの言葉を引用すると「中国はパナマ運河の両端にいる。中国はパナマ運河を運営しており、彼らはバイデンに、大統領選に出馬することさえ許されるべきでなかった男に会いに来た」。更に「そういう時代は終わった」とトランプは宣言した。彼は近隣諸国にも挑むつもりだ。「カナダは年間約2000億ドルの補助金を受けており、他にも色々ある。彼らは本質的に軍隊を持っていない。彼らの軍隊は非常に小さい。彼らは我々の軍隊に頼っている。それは全く結構だが、彼らは費用を支払わなければならない。非常に不公平だ」とトランプは強調した。彼の考えはカナダに支払わせるだけではなく、アメリカ覇権の強化だ。安全保障のためにカナダがアメリカに支払えば、アメリカは責任を負う。これは、要するに、地政学的「アメリカ化」への道だ。

 アメリカ化を更に顕著に示すのは、メキシコ湾の名前をアメリカ湾に変更するというトランプの考えだ。「メキシコ湾の名前をアメリカ湾に変更するつもりだ。この名前の響きは美しい。この名前は広い地域をカバーする。アメリカ湾、なんと美しい名前だろう。ふさわしい。実にふさわしい」と彼は述べた。

 彼はアメリカのために、もっと領土を奪い取ろうとしている。実際には、彼はエリート層のために、これを望んでいるのだが、アメリカに何年も何十年も住んでいる移民には土地を与えずに、トランプはアメリカ領土を拡大しようとしているのだ。興味深いことに、トランプの領土拡大は、NATO加盟国デンマークとの衝突を招きつつある。「そう、我々は国家安全保障のためグリーンランドが必要だ。長年、私が立候補するずっと前から私はそう言われてきた。つまり、長年それについて人々は話してきたのだ。そこには約45,000人の人々がいる。実際デンマークがそこに何らかの法的権利を持っているかどうかさえ人々は知らないが、もし知っているなら、彼らはそれを手放すべきだ。なぜなら、それは国家安全保障上我々に必要なのだから」。彼がグリーンランドを欲しがっている主な理由は、いくつかのアメリカ企業が自分のものにしようとしている希土類鉱物の広大な鉱床だ。

 グリーンランド最大のレアアース鉱床開発者に、中国に売却しないようアメリカ当局は既にロビー活動を試みている。だが、これはうまくいっていない。そのため、トランプは、電気自動車を含む最高の電気製品生産を巡る中国との継続的戦いの一環として、グリーンランドを強引に奪取したいと考えているのだ。そこで、新拡張主義の理解やグリーンランド支配の必然性にイーロン・マスクなどのエリート連中が関与してくるわけだ。

 帝国主義的拡大から孤立化へ

 これを世界は一体どう見るだろう。トランプの発想を「新たな帝国主義者の思惑」とアメリカを本拠とする通信社APは呼んだ。主な狙いが衰退するアメリカ権力強化なのは確実だが、ヨーロッパのNATO同盟諸国によそよそしくし、世界の大半をアメリカに対抗させて、ワシントンが大きな利益を得られる可能性は低そうだ。この文脈で、NATO諸国にGDPの5%を拠出するようトランプが要求するのは、非現実的なだけでなく、極めて逆効果だ。

 この要求は、NATO同盟諸国を「動揺させた」とドイツの大手ニュース・ネットワークDWが報じた。結局、トランプと彼のアメリカ人同盟者がNATO諸国に防衛費をもっと支出させて実現したいのは、NATO諸国の資産をアメリカの資産へと移すことなのだ。多くのNATO同盟諸国はアメリカ製防衛装備に依存している。従ってNATO諸国が自国の防衛生産能力を本当に強化し、国内または大陸内で最先端兵器システムを生産できない限り、アメリカから大量購入する必要がある。いずれにせよ、トランプはNATOを窮地に追い込み、行動の余地を最小限にしてしまう。これがトランプがアメリカ支配を固めようとしている手口だ。

 だが、もしNATO諸国がGDPの3~5%を防衛費に費やすことになったら、アメリカを必ずしも関与させない共通防衛構想を彼らが発展させるのを一体何が妨げるのだろう?

 長期的には、大陸の安全保障をヨーロッパ化する動きは、アメリカ覇権からヨーロッパを解放することになるかもしれない。そのようなシナリオでは、競争相手に対するアメリカの政策調整能力は低下するだろう。これまで、アメリカが経済制裁や金融制裁によりロシアと中国の利益を損ねられた主な理由の一つは、ヨーロッパをアメリカに追随させること(同様の制裁や関税を課すこと)だった。

 だが、これらの国々の多くにとって、ドナルド・トランプが同盟者でないのは既にに明らかだ。彼らはアメリカの先導に依然従うだろうか? ヨーロッパがアメリカの後を追わなければ、ワシントンの世界的権力は拡大どころか縮小し、「アメリカを(再び)弱体化させる」ことになるだろう。

 サルマン・ラフィ・シェイフは国際関係とパキスタンの外交・内政研究者

記事原文のurl:https://journal-neo.su/2025/01/27/trumps-make-american-expand-again-programme/

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2025年1月30日 (木)

いかにして中国はトランプとOpenAIに勝ったのか

2025年1月24日
Moon of Alabama

 人工知能を巡る誇大宣伝や、それを独占しようとするアメリカの試みの失敗や、最近の中国の反撃は、イノベーションのあり方についての教訓だ。また、アメリカがイノベーションを行う能力を失いつつあることも示している。

 2023年半ば、人工知能の誇大宣伝が注目を集めた時に私は下記のように書いた。
 
「人工知能」は(ほとんど)見かけ倒しのパターン認識だ

 現在、ChatGPTのような大規模言語モデル・ファミリーが話題になっている。このプログラムは自然言語入力を読み取り、それを処理して関連する自然言語コンテンツ出力を生成する。これは新しいものではない。最初のアーティフィシャル・リングイスティック・インターネット・コンピューター・エンティティ(A.L.I.C.E.)は、1960年代初頭にMITのジョセフ・ワイゼンバウムが開発した。1980年代に、私はメインフレーム端末でELIZAと愉快なチャットをした。ChatGPTはもう少し気が利いたもので、その反復結果、つまりそれが作成する「会話」は、一部の人々を驚かせるかも知れない。だが、それを巡る誇大宣伝には根拠が無い。
...
 現在、大規模言語モデル出力の、事実上最高の正確性は推定80%だ。これらモデルは記号やパターンを処理はするが、それら記号やパターンが何を表しているのかは理解していない。これらは数学的問題や論理的問題や、非常に基本的な問題さえ解けない。

 書き言葉の翻訳のようなニッチなアプリケーションでは、AIやパターン認識が驚くべき結果をもたらす。だが全ての単語を正しく翻訳できるとはまだ考えられない。このモデルは、アシスタントとしては使えるが、その結果を常に二重チェックする必要がある。

 現実世界の状況を判断するには、全体的に現在のAIモデルの正確性は、まだまだ低すぎる。データや計算能力を増やしても状況は変わらない。限界を克服したければ、根本的に新しい発想を見いだす必要がある。
 だが、誇大宣伝は続いた。一つの巨大AIモデル、ChatGPTは、非営利団体OpenAIがもたらした。だがCEOのサム・アルトマンは、すぐに自分が稼げるかもしれない莫大な金額の匂いに気がついた。OpenAIの非営利組織を一年守った後、アルトマンは、事実上、理事会を乗っ取り、組織を非公開にした。  
ChatGPTの開発元OpenAIは、中核事業を非営利理事会による管理がなくなる営利法人に再編する計画を進めていると事情に詳しい関係者がロイター通信に語った。これにより、同社は投資家にとって一層魅力的な企業になるだろう。

 この営利企業の株式をサム・アルトマン最高経営責任者(CEO)は初めて受け取ることになる。再編後、同社の価値は1500億ドルに達する可能性があり、投資家への運用益上限も撤廃しようとしていると関係者は付け加えた。
 OpenAIが提供したChatGTP大規模言語モデルはクローズ・ソースだった。金を支払って、クラウドで実行されるブラック・ボックスで、料チャットや、翻訳や、コンテンツ生成や、特定の問題の分析に使用したりできる。

 ChatGTPのトレーニングと維持には、大量の計算能力と費用が必要だった。多少高価だったが新技術はなかった。使用されたアルゴリズムは良く知られており、それを「プログラム」するために必要なトレーニング・データは、無料で入手できるインターネット・コンテンツだった。

 AIに関する大騒ぎこそあるものの、AIは秘密でもなければ新技術でもない。競争の参入障壁は低いのだ。

 これが、イギリス人ジャーナリストのエドワード・ジトロンに「OpenAIは一体どうやって生き残るのか?」とNaked CapitalismのYvesが質問した理由だ。生き残れない。あるいは生き残る可能性はほとんどない。アメリカでの議論は、この事実を決して認めない。

 AIは次の大物で、アメリカの世界支配を更に推進するはずだと政治家連中は考えていた。その分野でアメリカが持っていると思った優位性に対抗するあらゆる競争の可能性を彼らは阻止しようとした。アメリカ最後の大手チップメーカーNvideaは、中国への最新AI特化モデルの販売を禁止され、数十億ドルの損失を被った。

 二日前、アメリカにおける5000億ドルのAIインフラ投資、スターゲイトをトランプ大統領が発表した。  
火曜日、アメリカで人工知能インフラを拡大するため、スターゲイトという新会社を設立すると大手ハイテク企業三社が発表した。

 火曜日午後、オープンAIのサム・アルトマンCEO、ソフトバンクの孫正義CEO、オラクルのラリー・エリソン会長がドナルド・トランプ大統領と並んでホワイトハウスに現れ、トランプ大統領が「史上最大のAIインフラ・プロジェクト」と呼ぶ同社の発表を行った。

 各社はこのプロジェクトに、まずは1000億ドル投資し、今後数年で最大5000億ドルをスターゲイトに投入する計画だ。このプロジェクトにより、アメリカで10万人の雇用創出が期待できるとトランプは述べた。

 スターゲイトは、データセンターを含む「次世代AIを支える物理的および仮想的インフラ」を全米各地に構築する予定だとトランプは述べた。このグループ初の100万平方フィートのデータ・プロジェクトを既にテキサスで建設中だとエリソンは語った。
 同日ながら、遙かに静かな形で、中国企業が別のAIモデルを発表した。  
我々の第一世代の推論モデルであるDeepSeek-R1-ZeroとDeepSeek-R1をご紹介します。DeepSeek-R1-Zeroは、予備段階として教師あり微調整 (SFT) を行わずに、大規模強化学習 (RL) でトレーニングされたモデルで、推論において優れた性能を発揮します。RLを使用することで、DeepSeek-R1-Zeroは強力で数多くの興味深い推論動作を自然に実現します。
 新しいDeepSeekモデルは、他のどのモデルよりも優れたベンチマークを有している。これを実現するために、異なる技術の組み合わせや、より少ないトレーニング・データや遙かにに少ない計算能力を使用している。使用費用が安く、OpenAIとは対照的に、本物のオープン・ソースだ。

 フォーブスはこう書いている。  
先端半導体に対するアメリカの輸出規制は、中国のAIの進歩を遅らせるのが狙いだったが、気づかぬうちにイノベーションを促進してしまったのかもしれない。最新ハードウェアだけに頼ることができなくなったため、杭州を拠点とするDeepSeekなどの企業は、少ない資源で、より多くのことを実現する創造的解決策を見つけざるを得なくなったのだ。
...
 今月、DeepSeekはR1モデルを発表した。これは純粋強化学習などの高度な手法を使用し、世界で最も素晴らしいモデルの一つであるだけでなく、完全にオープンソースであるため、世界中の誰もが、それに対し分析し、変更し、構築できるモデルを作成したのだ。
...
 数学、コーディング、複雑な推論など、様々なタスクにわたり、DeepSeek-R1の性能はOpenAIのトップ推論モデルに匹敵する。たとえば、AIME 2024数学ベンチマークでは、DeepSeek-R1のスコアは79.8%だったのに対し、OpenAI-o1は79.2%だった。MATH-500ベンチマークでは、DeepSeek-R1は97.3%を実現し、o1は96.4%だった。コーディング・タスクでは、DeepSeek-R1は Codeforcesで96.3パーセンタイルに達し、o1は96.6パーセンタイルに達した。ただし、ベンチマークの結果は不完全な場合があり、過度に解釈すべきではないことに注意が重要だ。

 だが、最も注目すべき点は、DeepSeekが最新コンピュータ・チップに頼るのではなく、主に新機軸の採用を通して、これを実現できたことだ。
 Natureも同様に感心している。  
DeepSeek-R1と呼ばれる中国製の大規模言語モデルは、OpenAIのo1などの「推論」モデルに対する、手頃な価格で、オープンなライバルとして科学者たちを興奮させている。
...
 「これは驚くべきもので、全く予想外だ」と、イギリスを拠点とするAIコンサルティング会社DAIR.AI共同創設者でAI研究者のエルビス・サラビアがXに書いた。

 R1が際立っているのには別の理由がある。このモデルを開発した杭州の新興企業DeepSeekは、このモデルを「オープンウェイト」として公開したのだ。つまり研究者はアルゴリズムを研究し、その上に構築が可能なのだ。MITライセンス下で公開されたこのモデルは自由に再利用できるが、トレーニング・データが公開されていないため、完全なオープンソースとは見なされていない。

 「DeepSeekのオープン性は実に素晴らしい」と、ドイツ・エアランゲンのマックス・プランク光科学研究所の人工知能研究室リーダーのマリオ・クレンは言う。それに比べると、カリフォルニア州サンフランシスコのOpenAIが構築したo1や他モデル、最新のo3も含めたモデルは「本質的にブラックボックス」だと彼は言う。
 全てを見てきた長年のインターネット投資家たちさえ感銘を受けている。
マーク・アンドリーセン 🇺🇸 @pmarca - 2025年1月24日 9:19 UTC

Deepseek R1は、私がこれまで見た中で最も素晴らしく印象的な飛躍的前進の一つで、オープンソースとして世界への大きな贈り物だ。🤖🫡
 Natureは次のように付け加えている。

 DeepSeekは、R1のトレーニングにかかる全コストを公表していないが、同社のインターフェースを使用するユーザーには、O1の運用コストの約30分の1を請求する。
 同社はまた、計算能力が限られている研究者がモデルを操作できるように、R1のミニ「凝縮」版も作成している。

 それが実際機能するのだ!
Brian Roemmele @BrianRoemmele - 2025年1月23日 14:34 UTC

皆様、我々は成し遂げたと思っています!
夜間テストで確認されれば、インターネットに接続されていないRaspberry Piで1秒あたり200トークンで動作するオープン・ソースのDeepSeek R1が完成します。
 「OpenAI」より優れた最先端AIが完全にあなたのポケットに入り無料で使用可能です!
 全てのテストが完了すれば、Piイメージを公開します。Raspberry Piに挿入するだけでAIが手に入ります!
 これは、AIモデルを真にオープン・ソース化した時に発揮される力のほんの始まりにすぎない。

 最新のRasberry Piハードウェア価格は50ドルからだ。ソフトウェアは無料だ。

 これは OpenAIにとっての死刑宣告だ。  
アルノー・ベルトラン @RnaudBertrand - 2025年1月21日 14:23 UTC

中国のDeepseekがOpenAIにとってどれほど悪いニュースかを、ほとんどの人はおそらく気づいていない。

 彼らは、様々なベンチマークでOpenAIの最新モデルo1に匹敵し、更にそれを上回るモデルを考案し、その価格のわずか3%で提供している。

 本質的に、誰かがiPhoneと同等の携帯電話を発表したが、それを1,000ドルでなく、30ドルで販売するようなものだ。それほど劇的だ。
 更に、オープンソースとして公表されているため、OpenAIでは提供されないオプションとして、APIを全く使用せず、「無料」で自分でモデルを実行することも可能だ。...

 DeepSeekの背景も素晴らしい。

 2007年、三人の中国人技術者がAIを使ったクオンツファンド(金融投機)構築に着手した。彼らは大学を卒業したばかりの意欲的人材を雇った。彼らのHigh-Flyerファンドはある程度成功したが、ここ数年、中国政府は金融工学、クオンツ取引、投機を取り締まり始めた。

 時間と研究室にある未使用計算能力を利用して、技術者たちはDeepSeekモデル構築を開始した。費用は最小限だった。OpenAI、Meta、GoogleがAI構築に数十億ドル費やしたのに対し、公開されたDeepSeekモデルのトレーニング経費は僅か500万~600万ドルだった。
ヘンリー・シー @henrythe9ths - 2025年1月20日 23:20 PM

7. 教訓は?

時に僅かしか持っていないことが、より多くのイノベーションを生むことがある。下記のようなものが必要ではないことをDeepSeekは証明している。

- 数十億ドルもの資金
- 数百人の博士号取得者
- 著名家系
 優秀な若い頭脳と違った考え方をする勇気と決してあきらめない根性だけで良いのだ
 もう一つの教訓は、優秀な若者の頭脳は、金融投機を最適化するために無駄にされるべきではなく、実際に使えるものを作るべきだということだ。

 DeepSeekは、貿易障壁や技術障壁を利用して、競合相手を技術から遠ざけることが、いかに不可能かを実証している。適切な資源があれば、それら障壁を回避するだけでイノベーションを起こすことが可能なのだ。

 たとえ何十億ドルもの資金や、トランプのような声高なマーケティング専門家担やサム・アルトマンのような自己宣伝詐欺師がいても、良く訓練された技術者の豊富な人材とは競争できない。

 察者网のある筆者は次のように述べている(機械翻訳)。  
米中科学技術戦争において、中国独自の優位性は、まさにアメリカの禁輸措置から生まれたものだ。ワシントンに追いやられたが、我々の強い生存意志で、限られた資源を最大限に活用することが突破口を開く秘訣だと言える。歴史上、弱者が強者に勝つたり、小さな者が大きな物と戦ったりする物語は新しいものではない。

 自国の絶対的優位性に頼りすぎて、アメリカは多くの資源を浪費し、国内消費にのめり込むベトナム戦争型ジレンマに陥るだろう。
 アメリカがその教訓を(再)学習するのに一体どれくらい時間がかかるのだろう?

記事原文のurl:https://www.moonofalabama.org/2025/01/how-the-chinese-beat-trump-and-openai.html#more

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 The Chris Hedges Report ヤニス・バルファキス テクノ封建制を語る
 アマゾン倉庫労働者は腕にセンサーを付けて、常時動きを監視されている。
Technofeudalism: What Killed Capitalism (w/ Yanis Varoufakis) | The Chris Hedges Report 59:40
Chris Hedges
Jan 30, 2025  今朝の孫崎享氏メルマガ題名
ドイツ、2024年のGDPは、市場予想通り0.2%縮小。更にドイツ産業連盟(BDI)はドイツは深刻な経済危機と指摘、25年のGDP)が0.1%縮小するとの見通し。世界的な需要低迷と中国製品との競争、原因は国内要因であり、政府が取り組めなかった18年以来の構造的弱さの結果

2025年1月26日 (日)

ルビオと中国と長期戦

リカルド・ヌーノ・コスタ
2025年1月19日
New Eastern Outlook

 マルコ・ルビオは今やいくらでも文句を言えるが、本格的に多極化した世界に加わる以外に選択肢はない。

 ルビオと中国と長期戦

 最近までトランプを「詐欺師」と呼んでいた頑固な「ネバー・トランプ」派だったが、来週からトランプのアメリカ国務長官になるマルコ・ルビオは、最近、世界経済と貿易の現状について不満を述べた。「今の道を進み続けると、10年も経たないうちに、我々の生活で大切なことのほとんど全て、中国がそれを許すかどうかに依存するだろう。服用する血圧薬から、観る映画まで、その間にある全てのもので、我々は中国に頼ることになる」とルビオは語った。

 一般的に、中国は遙かに洗練された賢明な方法で相手の正当な利益を配慮できた。

 今や、中国の優位というシナリオが実現しないよう緊急に「方向転換」することを彼は提案している。

 古臭い反共産主義で知られる、このキューバ系アメリカ人上院議員は、既に二年前、ブラジルが中国とドルでなく各々の通貨で二国間貿易を行うことで合意した事実に不安を抱いていた。
 
「アメリカから完全に独立した第二の経済を彼らは世界に生み出している」と彼は劇的不満を述べ、次のように付け加えた。

 「5年後には制裁について話し合う必要はないだろう。ドル以外の通貨で取り引きする国があまりに多くなり、制裁を課す能力がなくなるためだ。」
 この「リベラル」ドラマに注目願いたい。

 アメリカ支配階級の統合失調症を、ルビオは反映している。最近まで、中国がやっていること全てを「社会主義は機能しない」と軽蔑していたのは、同じ「最小国家」擁護者連中だった。最も傲慢な連中は、50年間で8億人を貧困から中国が救い出したことを認めようともしなかった。これは世界人口の10%に相当する。また、2020年以降、世界が不況に陥らなかったのは中国経済のおかげだということも認めようとしない。実際、中国は2008年の金融危機後、既に不況に陥っていた世界経済の原動力となっている。

 2001年に欧米諸国がアジアの大国、中国をWTOに加盟させた際、資本主義の論理により中国の力が弱まり、計画経済と中国共産党(中国文明党と呼ぶ人もいる)の中央集権的計画に代わり、市場の見えざる手が台頭すると欧米諸国が考えたのは間違いだった。この国が10億人を超える人口と5000年の歴史を持ち、欧米諸国の干渉によって受けた屈辱の記憶が今も生きている事実は、あまり重要でない細部とみなされた。

 ラッシュ・ドーシの『The Long Game』(中国の大戦略 覇権奪取へのロング・ゲーム)(2022年)を読むようお勧めするが、著者が伝えたい考えのためではなく、むしろ逆だ。これは、アメリカと「民主主義と自由主義の価値観」により、世界は支配されるべきだという倒錯した前提に基づく不誠実な本だ。ルビオと同様限定的な考え方で、過去30年間に起きた世界的構造変化を否定しているように見える著者は、直接の影響圏であるアジアでの中国の優位性さえ認めていない。アメリカが世界中に約800の軍事基地と、世界貿易を麻痺させて中国を窒息させるため無数の要衝を持っているのをドーシは当然と考えているが、中国が海外に軍事基地を1つ(ジブチ)しか持っていないことや、二国間または多国間を問わず、世界経済貿易構想を一切持っていないことを嫌悪している。それらは全て「漠然として」「不透明」だが、その理由は説明されていない。

 興味深いのは、著者が中国を非難する商業的拡大は、アメリカが何十年も行ってきたこととそれ以上でもそれ以下でもないことだ。違いは、中国は一般的に相手の正当な利益を遙かに洗練された知的な形で配慮でき、アメリカと異なり、民間人を爆撃したり、軍事的に従属させたり、例えば経済や通貨の計画に従わせたりすることはおろか、一発の銃弾も発射せずに、相手との高レベルの相関関係を実現している点だ。

 ブルッキングス研究所や他のいくつかのシンクタンク専門家ドーシは、中国の台頭は不可避と考えているが、アメリカは中国の進出を遅らせ、アジア支配を阻止できると考えている。わずかに異なる考えを持つ様々な著者を引用しながら、彼は漠然とした概念を主張し、中国が自国の価値観に基づいた世界を築きたいと考えている証拠をほとんど示していない。この本は、引用されている豊富な事例と歴史的、文献的参照の点で価値があるが、誤った原則から出発しているという欠点がある。

 マルコ・ルビオの指針となるべきドーシの最大矛盾は、一方で自由主義の理論的長所を称賛しながら、結局、アメリカと中国の現在の利害対立解決策として、過去数十年間に中国が世界の国々に対して行ってきたことの模倣を提案している点だ。つまり基本的な国家の存在や計画やインフラや外交や多国間主義、つまりアメリカが世界最大の経済大国だった時にやりたくなかったこと全てだ。今マルコ・ルビオは、いくらでも文句を言える。本格的に多極化した世界に加わる以外、彼に選択肢はない。

 リカルド・ヌーノ・コスタは地政学専門家、作家、コラムニスト、geopol.pt編集長

記事原文のurl:https://journal-neo.su/2025/01/19/rubio-china-and-the-long-game/

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 Danny Haiphong マルクス経済学者の分析に、好意的コメントだらけ。
Richard Wolff: The END of the US Empire, Trump’s Denial & the Rise of BRICS 1:04:13
 今朝の孫崎享氏メルマガ題名
AP:「AP通信: 中国はルビオに、ベールに包まれた警告で行儀よくするよう指示(注、かつてルビオは新疆ウイグル問題で中国非難、入国禁止を受けている)、読売新聞「対中強硬派のルビオ氏「米国民第一の米中関係を追求」、王毅氏「正当な発展の権利は守る」 台湾問題で見解対立

2025年1月24日 (金)

続くマイクロチップ戦争



ロレンツォ・マリア・パチーニ
2025年1月19日
Strategic Culture Foundation
 マイクロチップ戦争は続いており、すぐさま新たな方向に向かいかねない。2022年以降に起こる地政学的に重要な出来事の多くは、これにかかっている。
❗️Telegram Twitter , と VK でご参加願いたい。

お問い合わせ:info@strategic-culture.su

 マイクロチップ戦争は続いており、すぐさま新たな方向に向かうかも知れない。2022年以降に起こる地政学的に重要な出来事の多くは、これにかかっている。
 
TSMCチップ、アメリカの計画通りに増加中

 TSMC(台湾積体電路製造股有限公司)の四半期売上高は予想を上回り、人工知能(AI)ハードウェアへの支出ペースが2025年まで持続するという投資家の期待を強めた。10月から12月にかけて売上高が39%増加するという噂もある。

 マイクロチップ市場の成長競争は、ほとんどあらゆる分野における人工知能の開発と大規模利用に主に関係している。先進チップの世界最大の契約製造業者は、人工知能を開発する世界競争の最大受益者の一つで、年間30%の成長率という記録を打ち立てた。

 不可能? TSMCの時価総額は2024年にほぼ2倍になり、現在アメリカでは1兆1000億ドル近くの評価額で取り引きされている。問題は、AIブームがいつ終わるかだ。過剰生産や材料(まず第一に希土類)の調達難などの問題に加えて、AIの生産と維持はエネルギーを大量に消費するプロセスである事実に直面している。AIは大量エネルギーを消費するため、まったく「グリーン」ではない。だが、これは主流メディアではあまり報じられない。更に、別の問題が発生している。AIキラーアプリとソフトウェア、つまりAIを「殺す」ことができる新しいタイプのプログラムが、デバイス、ネットワーク、サーバーなど様々なレベルでAIを台無しにし、これら新しいデジタル・テクノロジー使用に重大な損害を与えることに成功している。

 またアメリカは、Nvidiaの最も強力なチップの中国流入を制限する一連の規制を設けており、TSMCの主要顧客に対する長期的影響は不透明だ。同社はドル換算で年間売上高が20%弱の成長をするとモルガン・スタンレーは予想している。なぜなら、特にAppleが主力製品販売に苦戦し、Nvidiaが抑制されている状況で、現在、同社は売り上げのトレンドを維持するのに苦戦しているからだ。
 
ジェンスン・フアン(仁勳黄)がとどめを刺す

 Qbitコンピューターは素晴らしいものだが、大きな可能性を我々がまだ生かせていないのは残念だ。

 ちょうどその頃、市場を先導する企業NVIDIAのCEO、ジェンスン・フアン(仁勳黄)がこの技術の実用化はおそらく20年以内に可能になるだろうと宣言し、ウォール街で量子分野の株価を急落させた。これは、急成長しそうな様子ながら、どうやら我々が考える以上に市場の法則や研究の法則に左右される業界に、冷や水を浴びせた。

 リゲッティ・コンピューティングとクオンタム・コンピューティングの株価はそれぞれ取り引き開始前取り引きで17%以上下落し、一方、イオンQとD-Wave Quantumはそれぞれ9.4%と14%下落した。市場価値は30億ドル減少した。

 アルファベット傘下グーグルの注目度の高い業績回復と、人工知能(AI)生成アプリケーションによるコンピューティング需要の高まりを受け、これら企業の株価は昨年少なくとも3倍に上昇した。

 12月、グーグルが従来コンピューターでは宇宙の歴史全体より長い時間を要した計算問題を5分で解くと謳う次世代チップを発表し、株価上昇のきっかけを作った。

 2024年4月、マイクロソフトとクォンティニウムは量子コンピューター商用化に向けて大きな一歩を踏み出したと発表したが、この技術を使って従来のスーパーコンピューターを上回るまでにあと何年かかるかはコメントしなかった。

 そこで、黄は事態を現実に引き戻す必要があった。世界最大規模企業のCEOが、自身の経済的利益を犠牲にして、このような自己目標を自らに課すことを決めたのは興味深い。偽旗作戦なのだろうか? 市場を混乱させる戦略なのか? まだはっきりしない。しかし、確かなのは、突然の停止が株式市場の変化を招き、これら量子技術が利用可能になる実際の日程について大いに考えさせられることだ。
 
植民地化されるべき土地としてのヨーロッパ

 アメリカ国内で物事がうまく行かず、台湾でもひどく不便になったら、ヨーロッパに目を向けたほうが良い。これがアメリカが問題を「解決」しようとしている方法だ。

 TSMCはヨーロッパで新工場を開設する計画だ。インテルも同様にドイツのマクデブルクに新工場を開設する計画で、ポーランドでこれまで行った投資を中断することになる。300億ユーロ相当のこれらプロジェクトがなければ、既に半導体不足で工場閉鎖に追い込まれている欧州連合に十分な量の半導体を供給するのは不可能だ。インテルは以前、フランスとイタリアでの小規模プロジェクトを密かに閉鎖していた。

 問題は、今や欧州連合が世界の半導体競争で競争できる可能性が更に悪化していることだ。アメリカや中国や韓国、そして一般的に、できる国は全て、積極的に半導体産業を発展させ、技術と製造業者を誘致するため補助金を出しているが、欧州はこの種産業を輸入し、強化するための真に肥沃な土壌をまだ整えていない。特にアメリカが必要とする生産量と時期の点で。

 欧州チップ法によれば、EUは2022年の9%から2030年までに世界のマイクロチップ市場の20%を占める計画だった。だが、インテルが撤退したことでシェアは9%から7~8%に低下するだろう。欧州に残るのは自動車産業の高度に専門化された分野に注力するTSMCの小規模子会社だけになるためだ。

 ヨーロッパにはもう一つ問題がある。エネルギー価格が高すぎるのだ。既に述べた通り、マイクロチップ製造には大量エネルギーが必要だ。だから、ヨーロッパに生産拠点を置くことは、ヨーロッパに販売するアメリカの視点から見てのみ意味がある。いわば、輸送距離ゼロの生産-販売-消費サイクルだ。

 覚えておいていただきたいのは、世界ではIntel、Samsung、Hynix、Micronの四社だけがマイクロチップを独自に設計、製造できることだ。他の企業は、Nvidia、AMD、Qualcomm、Marvellなどの専門企業を少なくとも一度は経由する必要がある。
 
リスクはあるものの、ロシアは安全

 自立面でロシア連邦は多少後れをとっている。中国やインドからの購入など、依然、外部供給者を必要としている。

 マイクロチップ、回路基板、工作機械など、インドの対ロシア輸出は、2024年4月と5月に過去最高の6000万ドルに達し、前月比約2倍となり、7月には9500万ドルに急増した。この分野でインドを上回っているのは中国だけだ。

 制裁を回避して、2024年、アメリカと欧州からロシアは10億ドル以上の先進的チップを輸入した。

 2023年の最初の9か月間に輸入された半導体と集積回路の半分以上は、アメリカと欧州の企業に製造されたものだ。これには、インテル社、アドバンスト・マイクロ・デバイセズ社、アナログ・デバイセズ社、および欧州ブランドのインフィニオン・テクノロジーズ社、STマイクロエレクトロニクス社、NXPセミコンダクターズ社が含まれる。だが、これら企業は制裁に完全に準拠しており、戦争開始時にロシアでの事業を停止し、コンプライアンスを監視するためのプロセスとポリシーを整備していたと述べた。これらが、ロシアによる戦車やその他の兵器生産を継続可能にしていたのだ。

 Keptが最近発表した報告書によると、ロシアのマイクロエレクトロニクス市場は 2030年までに15.2%成長すると見込まれている。成長の主な原動力は、補助金やローンや他のインセンティブという形の政府支援だとみられている。現在のロシア・マイクロエレクトロニクス産業は、2010年初頭に事実上ゼロから構築された。ソビエト時代のマイクロエレクトロニクス産業は、国が世界からの輸入に門戸を開いた際、国際メーカーと競争できず、1990年代初頭に崩壊した。ほぼ20年間、輸入がロシア・マイクロチップ需要のほぼ全てを占めていた。

 現在、ロシアには、モスクワ近郊のゼレノグラードに、大規模にマイクロチップを生産できる、ミクロン、アングストレム、ミランドルの三工場があるが、生産能力は低く、生産できるマイクロチップの種類は限られている。

 これら数字は前向きだが、自国システムをアメリカや台湾の企業が製造・所有するマイクロチップに依存しながら、ロシアがあとどれだけ続けられるか疑問に思う必要がある。これは非常に高いリスクであり、ソ連時代を含む過去数十年間に締結された協定にも影と疑念を投げかけることになる。

 最後に「イタリア風」好奇心について。2024年、有名なパルミジャーノ・レッジャーノチーズに、塩粒ほどの大きさのシリコン製マイクロチップが、パルミジャーノチーズの輪切り12万個の皮に埋め込まれた。このチップは、マイクロ・トランスポンダーを専門とするシカゴのp-Chip社に製造されている。このニュースは、事実上隠されていたイタリアよりも海外多く取り上げられた。さて2024年8月下旬、オハイオ州の化学者ビル・エイボンがマイクロチップを食べたが「副作用は記録されなかった」。たとえそれがパスタに載せるパルメザン・チーズのほんの一部にせよ、マイクロチップ戦争を消化するのは容易ではない。

記事原文のurl:https://strategic-culture.su/news/2025/01/19/the-microchip-war-continues/

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 偶然興味深い番組を二つ見た。いずれも、トランプ・マスクも語っている。

 スランス人の質問に答える形式。スティグリッツの新刊が読みたくなった。残念ながら、どれも翻訳はない。
TRUMP : THE END OF DEMOCRACY ? JOSEPH STIGLITZ, NOBEL PRIZE 53:23
 Richard D. Wolffというマルクス経済学者の講義にもに驚いた。笑わせながら巧み。  彼の著書も、当然?!翻訳はない。  Democracy At Work
Global Capitalism: What Trump 2.0 Means 1:02:55
 今朝の孫崎享氏メルマガ題名
世界はトランプになびく。「ダボス会議の世界指導者が次々とトランプ時代に列に並ぶ」「印、サウジ、中、露、ブラジル、トルコ、インドネシア等は“トランプ氏は自国にとって悪よりも善になる”と考えている」。「世界は自国第一のトランプ的になっている」。
 日刊IWJガイド
「中居正広氏が引退発表! フジテレビからのスポンサー撤退は75社に! SNSでは104社情報も!フジの会見に批判殺到で取締役会開催!」2025.1.24号

【本日のニュースの一撃!】

■【第1弾! ガザで停戦したイスラエルは、ヨルダン川西岸地区で「対テロ作戦」を開始! ジェニン難民キャンプを空爆するなど、21日には10人を殺害し、40人が負傷!】西岸地区ではイスラエル軍だけでなく、入植者もパレスチナ人を襲撃!(『タイムズ・オブ・イスラエル』、1月21日)

2025年1月15日 (水)

就任さえしていないのに既に全面戦争を誓うトランプ



ロレンツォ・マリア・パチーニ
2025年1月11日
Strategic Culture Foundation

 新たな戦争を一切起こさなかった大統領任期一期目のドナルド・トランプを覚えておられるだろうか? 心配ご無用。ただの悪い思い出に過ぎない。

❗️Telegram Twitter , と VK でご参加願いたい。

お問い合わせ:info@strategic-culture.su

 大統領就任一期目の任期中、ドナルド・トランプが新たな戦争を一切起こさなかったことを覚えておられるだろうか? 心配ご無用。ただの悪い思い出に過ぎない。2025年のアメリカは征服に戻るのだ。
 
決して抜けない悪癖

 ドナルド・トランプが大統領選挙に勝利すれば、平和と繁栄の時代へと世界を導き、台頭しつつある多極世界の他の国々と競争ではなく協調関係を築くだろうと、世界中が数日間(本当に数日間)固く信じていた。決して少なからぬ内部構造の崩壊を避けるため、緊急に解決が必要なアメリカ国民の問題対応にアメリカ政府が戻るはずだと信じる人々さえいた。またグローバリズムを放棄し、それからの一種の「解放」を理論化し、本物の政治を中心に戻し、アメリカ地政学と国際関係の再生を信じる人々もいた。

 応援した人々全員がっかりさせて残念だ。トランプはアメリカ合衆国大統領なので、これまで全てのアメリカ大統領がしてきたこと、つまり世界征服戦争をしたいと考えているようだ。

 まだホワイトハウスに就任さえしていないのに、既にイランを破壊し、カナダを征服し、グリーンランドを接収して北極圏の土地を開発し、中国から台湾を奪い、パナマを併合し、メキシコ湾をアメリカ湾に改名するとトランプは脅している。一方、欧州には軍事費増額をほのめかし、東側に制裁を課すと言っている。

 彼が最も信頼する協力者(あるいは師匠)たるイーロン・マスクは、大規模トランスヒューマニズムへの移行だけでなく、国内外でアメリカ政府の覇権に反対する者全員の入れ替えも計画している。所有するソーシャルメディアにおける報道と表現の自由に関する彼の譲歩のせいで、これが本当の自由だと人々は信じ込んでいるが、実際は対話型に見せかけた檻に過ぎない。

 まさに妙技だ。
 
アメリカを再びメキシコにしよう

 それは視点の問題にすぎない。

 本物のアメリカ人は、旧世界からやって来て、溢れかえる刑務所から追い出された犯罪人集団たるアメリカ人ではない。この大陸は「アメリカ」とさえ呼ばれていなかったが、イギリス人、いやアメリカ人が、それをとても気に入っている今のグローバリズム到来よりずっと前から、キャンセル・カルチャーは始まっていたのだ。本物のアメリカ人は絶滅させられたり殺されたりして絶滅危惧種の獣のように保護区に閉じ込められている。「アメリカを再び偉大にする」のをどう思うかを誰も彼らに聞いたことがない。一体なぜだろう...

 メキシコ湾も同じで、これをアメリカ湾にしたいとトランプは考えている。地理的に、メキシコの消滅あるいは併合を彼は提案しているのだろうか? 彼のトゥルース・ソーシャルを通じて、彼はまだ我々にそうは言っていないが、嫌疑は直ちに払拭されるはずだと我々は確信している。

 この点、先週水曜日の記者会見でトランプ大統領に対応したメキシコのクラウディア・シェインバウム大統領の言葉が素晴らしかった。「もちろん、メキシコ湾は国連で認められているが「メキシコのアメリカ」と呼んだら良いのではなかろうか? 1607年以来、アパチンガン憲法はメキシコ・アメリカ憲法だった。だからメキシコのアメリカと呼ぼう。メキシコ湾も、1607年以来、国際的に認められている」と彼女は補足した。更に「お言葉を返すようだが、昨日トランプ大統領は誤った情報を与えられていたと私は思う。メキシコではフェリペ・カルデロン大統領とガルシア・ルナ公安相がまだ統治していると言われたのだと思うが、そうではない。メキシコを統治しているのは国民だ」とも補足した。

 イギリス人入植者より遙か前からそこにあったのだから「アメリカ」領土を取り戻すという(正当な)主張をメキシコ人がしたら興味深いはずだ。ジャーナリストのペペ・エスコバルが指摘した通り「アメリカを再びメキシコにする」こそ的を射た標語のはずだ。
 
赤い龍をからかう

 ロシア科学アカデミー世界経済・国際関係研究所の報告書(RIAノーボスチ通信から入手可能)によれば、中国とアメリカは、二国間関係における大規模危機と軍事衝突の脅威に直面する可能性がある。

 年末までに、中国に対する経済圧力は不要だとトランプ大統領が確信するようになれば、台湾問題を利用して圧力を強める可能性があると報告書筆者は指摘している。

 数日前、対イラン戦士ネオコン、ピート・ヘグゼス下の国防次官として、中国戦士ネオコン、エルブリッジ・コルビーをトランプは指名しなかった。

 コルビーは最も狂った戦争派ネオコンの一人で、ロシアやイランとの戦争に反対しているために反介入主義者と誤解されることも多いが、全ての努力や資源を中国との戦争に費やすべきだと信じているからに過ぎない。

 中国の島嶼省である台湾の分離を彼は支持し、アメリカ製兵器への支出を増やすよう台湾政府に求め、半導体メーカーTSMCは「中国」の手に落ちるよりも破壊されるべきだと主張している(台湾は中国だとアメリカも認めている)。

 劇的変化を掲げてトランプは選挙戦を戦ったのに、星条旗を掲げる帝国主義的拡張主義政策を鉄壁の継続性で貫く政権を構築した。

 この金髪大統領にとって、中国をからかうことは最も情熱を傾ける娯楽の一つであり続けている。この大統領は第一期大統領としての2016年、中国問題掌握を相当強化した。

 この点について、年末のTASSインタビューで「今後のアメリカ政権の計画を我々は推測しない。それは政治学者の仕事だ。この地域全体状況の我々による評価では状況は悪化し続けている。アメリカと衛星諸国は『一つの中国』原則厳守を宣言してはいるが、現状維持に固執しており、それは現在の状況を無限に維持することを意味する」とロシアのセルゲイ・ラブロフ外相は述べた。更に「一方、アメリカは台湾海峡で挑発的行動を取り、台北に武器を供給し、台湾当局と政治的対話を進めている。これら全てが相まって分離主義感情の高まりをもたらしているのは確実だ。これらの方法は、過去ウクライナで反ロシア拠点を築くためにアメリカが使用した方法と非常に良く似ている」と彼は付け加えた。

 アメリカが本当に中国との通常戦争を維持できるかどうか我々には正確には分からないが、中国はいかなる状況下でも大同原則を曲げるつもりはなく、アメリカの傲慢さに直面しても屈しないのは確実だ。  
平和を許さないイラン

 ワシントン政権にとって本当に悩みの種であるイランも同様だ。

 イランは、中東で唯一、アメリカ支配下にない地域だ。アメリカを本拠とする銀行も、米軍基地もなく、アメリカ政治権益を保護するものもない。要するに「悪の王国」なのだ。更に彼らが反シオニストである事実も加えれば、まさに悪魔そのものだ。

 長年アブラハム合意で推進してきた大イスラエル・プロジェクトの発展や第三神殿再建をトランプは阻止できない。

 「テロリスト」が「我が国領土に侵入している」と主張し「テロとの戦いは終わったとバイデン政権が決定したというメモを[ISISやアルカイダやハマス]は受け取っていない」と次期アメリカ国家安全保障問題担当大統領補佐官マイク・ウォルツがフォックス・ニュースのマーク・レビンに語った。トランプ政権は「国家安全保障の観点から海外で正しい姿勢を維持する」つもりだとウォルツは強調した。

 「より広範な中期的取り組み」の一環として「アメリカに脅威を与え、アメリカに危害を加えるため人々を過激化させているモスクや個人や大学や教授など、あらゆるもの」を監視し「過激化」に対抗する政府間構想計画を彼は語った。特に抗議活動に参加したり、他者を過激化させたりする学生ビザ保有者に警告して、そのような連中は直ちに国外追放されると強調した。

 更に中東政策に関して、哲学と国家安全保障の全面転換をトランプ政権は計画していると彼は付け加え「中東問題の大半はテルアビブでなくテヘランから生じている」と主張した。言うまでもなく、イスラエルを支援する政権誓約を彼は改めて強調した。政権の優先事項には、イランに対抗するためイスラエルを湾岸アラブ諸国と連携させることや、イランに対する最大限の経済的圧力を復活させることやイラン石油販売停止などが含まれる。

 ウォルツによれば、戦略的外交を通じて中東における長年の紛争を「縮小」し「歴史的前進」を遂げるというトランプ大統領の熱意は、フーシ派に対する容赦ない攻撃を通じて実現しており、フーシ派壊滅はアメリカ政策課題の一部になっている。
 
俺の覇権以外なら、何に触れてもかまわない

 結局、要点は常に同じだ。ルールに基づく秩序に挑戦してはならない。挑戦する者は遅かれ早かれ無力化される。

 かくして世界戦争を勃発させ、国際政治で既に特定されている一連の身代わり連中に責任を押し付ける準備をトランプは整えている。もちろん可能な限り代理戦争が推進されるだろう。常に汚れ仕事は他人にやらせる方が良いからだ。

 事実を踏まえれば、トランプを救世主と考えると誤解を招きかねない。トランプの願いは自国権益と帝国主義アメリカの権益を守りたいだけで、多極的平和や新たな世界秩序を望んでいるわけではないのだ。

記事原文のurl:https://strategic-culture.su/news/2025/01/11/trump-hasnt-even-taken-office-yet-and-he-already-promising-total-war/

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 Alex Christoforou YouTube 冒頭はNATO加盟諸国よ軍事支出をふやせルッテ事務総長
RUTTE, more money to NATO or learn Russian. POLAND, cut Russian LNG. MELONI to Trump, keep war going 47:48
 耕助のブログ Richard Wolf記事の翻訳
No. 2393 2週間後、誰もが影響を受ける
 今朝の孫崎享氏メルマガ題名
ニューヨーク・タイムズ紙「中国の貿易黒字は1兆ドル近くの記録に達する。独、日、米国等の輸出大国の貿易黒字を含め、過去100年間の世界の貿易黒字をはるかに上回った。中国の工場は、第二次世界大戦後の米国以来、どの国も経験したことのない規模で世界の製造業を支配している。」
 植草一秀の『知られざる真実』
チームBに引き込まれぬ叡智

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