中国

2026年5月16日 (土)

ほとんど成果を得られずに中国を去ったトランプ

2026年5月15日
Moon of Alabama

 トランプ大統領の中国訪問が終わった。

 あの訪問から具体的成果は得られないと私は予想していた。  
トランプはいつものように帽子を手に北京にやってくる。彼はいつものようにハッタリをかませて「勝利」をもぎ取ろうとする。まるでアメリカが優位な立場にあるかのように振る舞う。中国は礼儀正しく振る舞うが、決してそれを受け入れない。

 今回訪問に向けた準備はほとんど行われなかった。シェルパたちが事前に集まって、両国間の深刻な問題を解決することもなかった。大きな契約や条約の署名もない。
 当初の希望の一つは、ボーイング社のジェット機約500機を複数の中国航空会社に売ることだった。今回訪問から帰国後、中国が200機購入するとトランプ大統領は主張した。この件について中国外務省は確認を拒否した。ボーイング社の株価は下落した。

 約20人の企業幹部がトランプに同行したが、彼らには特に計画や任務はなかったようだ。取り引きも成立せず、契約も締結されなかった。

 トランプ大統領は、NVIDIAの旧型AIチップの一部について、中国への販売をアメリカが禁止する措置を解除することを提案した。しかし、中国は既に同様性能のチップを自国製造しているため、この提案を拒否した。

 中国は、今回の協議の主な成果として「新たな立ち位置」と「建設的な戦略的安定」を挙げた。

 「新たな位置づけ」とは、アメリカと中国を対等な存在と捉え、客観的に見て中国の方が有利な立場にあると考えることだ。

 「建設的な戦略的安定」とは、中国が思うように動いている間は、アメリカは黙って静かにしていろという助言と解釈できるかもしれない。  
「建設的戦略的安定」とは、協力を主軸とした積極的安定、適切な範囲内での競争を伴う健全な安定、管理可能な相違を伴う恒常的安定と、期待可能な平和を伴う永続的安定を意味すると習近平国家主席は明確に指摘した。これら「4つの安定」は、米中関係の明確かつ実現可能な青写真を示している。これは一時しのぎの措置ではなく、長期的方針だ。ゼロサムゲームではなく、相互利益とウィンウィン協力関係だ。「4つの安定」は、建設的な姿勢で戦略的安定を主導し、戦略的安定を通じて長期的発展を保障するもので、米中関係が互いに成功と繁栄を共に築ける大国間関係であることを十分示している。
 トランプ大統領が中国訪問中、約30隻の中国船舶がイラン当局と連携してホルムズ海峡を通過した。トランプ大統領が中国にいたため、アラビア海のアメリカ海上封鎖部隊は、これら船舶を阻止する試みを敢行できなかった。このことは今後も中国の船舶航行を容認する前例になった。

 中国にとって、ホルムズ海峡は開かれている。

記事原文のurl:https://www.moonofalabama.org/2026/05/trump-leaves-china-with-little-in-hand.html

----------

 東京新聞 朝刊 一面  
 「中国が米農産物購入」

 首脳会談で合意 年間数兆円規模か

2026年5月15日 (金)

対イラン戦争:サウジアラビアはイスラエルを非難し、ネオコンの大御所は敗北を認めている

2026年5月11日
Moon of Alabama

 ここ数日の間に、注目すべき記事が二つ発表された。両記事の著者は、ともに、ジョージ・W・ブッシュ政権とイラク戦争に深く関わっていた経験豊富な右翼戦略家で、互いに関連している。

 最初の記事はトゥルキ・アル・ファイサルによるものだ。  
彼はサウジアラビア建国の父、アブドゥル・アジーズ国王の孫で、ファイサル国王の息子だ。彼はキング・ファイサル財団のイスラム研究センター会長を務めている。

 1979年から2001年まで、トゥルキ王子はサウジアラビアの情報機関アル・ムハバラート・アル・アンマ長官を務め、2001年9月1日に辞任した。15人のサウジアラビア国民がアメリカの民間航空機をハイジャックした9月11日同時多発テロの10日前だった。

 その後、トゥルキ王子はセントジェームズ宮廷およびアメリカ合衆国大使を務めた。
 ファイサルは、土曜日に準国営メディアのアラブ・ニュースに掲載された論説記事で、アメリカによる対イラン戦争の背後にある重大な陰謀を明らかにした

 サウジアラビアはイランに不満を抱いているものの、湾岸地域全体が現在陥っている混乱の真の原因はイランではないと認めている。  
イランなどがサウジアラビア王国を破滅の渦に引きずり込もうとした時、サウジアラビア指導者たちは、国民の生命と財産を守るため、隣国に引き起こされる苦痛に耐えることを選んだ。もしサウジアラビア王国が、イランの施設や権益を破壊することで、イランに対して同様の報復措置を取ることを望み、また実際にそうする能力を持っていたら、アラビア湾沿岸、更には王国奥深くにあるサウジアラビアの石油施設や海水淡水化プラントが破壊されるという結果になっていただろう。

 もしイスラエルが対イラン戦争を引き起こす計画が成功していたら、この地域は荒廃と破壊に陥っていたはずだ。何千人もの息子や娘が、我々と何の利害関係もない戦いで命を落としていたはずだ。イスラエルはこの地域に自らの意思を押し付け、周辺地域における唯一の勢力として君臨していたはずだ。

 ムハンマド・ビン・サルマン皇太子の英知と先見の明により、サウジアラビア王国は戦争の惨禍とその壊滅的影響を回避できた。実際、現在パキスタンと共に、サウジアラビア王国は、戦闘の火を消し止め、事態の悪化を防ぎ、平和を求める人々が愛する人々の命と国益の安全について安心できるという希望を与えている。
 この論説記事は、サウジアラビアが戦争の拡大を促していると主張していたシオニスト・プロパガンダ担当者に広められた全ての噂を否定している。

 三年前の中国による仲介で、イランとサウジアラビア間で政治的合意が成立して以来、両国間で大きな衝突は起きていない。戦争にもかかわらず、サウジアラビアはハッジ(大巡礼)にイランからの巡礼者を歓迎し ている。イランはサウジアラビア国内の米軍施設を攻撃したが、サウジアラビアの主要石油利権への攻撃は控えている。その結果、国営石油会社サウジアラムコは記録的利益を上げている。

 サウジアラビアの姿勢は、アメリカが湾岸地域における覇権的役割を失ったことを示す多くの兆候の一つだ。

 強硬ネオコンのロバート・ケーガンが、親戦派のアトランティック誌に寄稿した2つ目の論説記事も、この見解を裏付けている。ブッシュ/チェイニー政権を、対イラン戦争へと駆り立てたケーガンは、アメリカがイランとの戦争に敗れたことを認めている。  
イランにおける王手 ― この戦争に敗れた結果をワシントンは覆すことも制御することもできない。アーカイブ) ―アトランティック

 紛争でアメリカが完全敗北を喫し、戦略的損失が修復も無視もできないほどの決定的後退を経験した時代を思い浮かべるのは困難だ。

 現在の対イラン戦争における敗北は全く異なる性質のものだ。修復も無視もできない。以前の状態に戻ることはなく、被った損害を覆したり克服したりするような最終的なアメリカの勝利もない。ホルムズ海峡は、かつてのように「開かれた」状態にはならない。海峡を支配することにより、イランはこの地域における主要当事者、世界における主要当事者の一人として台頭する。イランの同盟国、中国とロシアの役割は強化され、アメリカの役割は大幅に縮小する。戦争支持者が繰り返し主張してきたように、この紛争はアメリカの力量を示すどころか、頼りにならず、始めたことをやり遂げる能力のないアメリカを露呈した。これは、アメリカの失敗に、同盟諸国や敵国が適応していく中、世界中で連鎖反応を引き起こすだろう。
 アメリカにはこのジレンマから抜け出す道がないことをケーガンは認めている。  
たとえトランプがイラン「文明」を破壊するという脅迫を実行に移し、更なる爆撃を行ったとしても、イランは政権崩壊前に(そもそも政権が崩壊すると仮定した場合)、多数のミサイルやドローンを発射できる。わずか数回の攻撃が成功するだけで、この地域の石油・ガスインフラは数年、場合によっては数十年にわたり麻痺し、世界とアメリカを長期にわたる経済危機に陥れる可能性がある。たとえトランプが撤退戦略の一環としてイランを爆撃し、強硬姿勢を見せて、撤退を隠蔽しようとしても、このような大惨事を招くリスクなしには実行できない

 これは王手ではないにせよ、それに近い。
 ケーガンは代替案として対イラン全面戦争も検討しているが、それは更に悪い道で、より大きな失敗につながる可能性が高いとして切り捨てている。  
現在のイラン政権を打倒するため本格的地上戦と海戦を展開し、新政権が樹立されるまでイランを占領する覚悟がアメリカにない限り、また係争中の海峡でタンカーを護衛する軍艦を失うリスクを冒す覚悟がない限り、更に、イランの報復により、地域全体の生産能力に壊滅的な長期的損害が生じることを覚悟しない限り、今撤退するのは最悪の選択肢でないように思えるかもしれない。政治的観点から言えば、トランプ大統領は、より大規模で長期にわたり、費用もかさむにもかかわらず、最終的に失敗に終わる可能性がある戦争を生き延びるより、敗北を乗り切る方が可能性が高いと感じているのかもしれない。

 従って、アメリカにとって、敗北はあり得るだけでなく、むしろ可能性が高い。敗北とはこういうことだ。

 海峡における新たな現状は、地域的にも世界的にも、相対的な力と影響力に大きな変化をもたらす。この地域では、アメリカは張り子の虎だと証明され、湾岸諸国や他のアラブ諸国はイランに迎合せざるを得なくなる。イラン研究者のルーエル・ゲレヒトとレイ・タケイが最近書いたように「湾岸アラブ諸国の経済は、アメリカ覇権という傘の下で築かれてきた。それを奪い、それに伴う航行の自由を奪えば、湾岸諸国は必然的にテヘランに物乞いをすることになる」。

 彼らだけではない。湾岸諸国のエネルギーに依存している全ての国は、イランとの間で独自の取り決めを結ばなければならない。他にどんな選択肢があるだろう?
 対イラン戦争での敗北は、世界におけるアメリカの立場に、より広範な影響を与えるとケーガンは考えている。

 ポスト・アメリカ世界への世界的適応は加速している。かつてアメリカが支配的だった湾岸地域におけるアメリカの地位低下は、数多くの犠牲のほんの始まりに過ぎない。

 今週後半、ドナルド・トランプ大統領は中国訪問予定だ。フィナンシャル・タイムズに掲載された今回訪問に関する政権側の事前記事(アーカイブ)は、アメリカは依然、戦争を利用して世界中に圧力をかけられると主張している。  
「大統領は圧力をかけると予想している」と、ある米当局者は記者会見で述べた。

 トランプ大統領は、中国によるイランとロシアへの支援、具体的には軍民両用部品の提供や潜在的武器輸出について、習近平国家主席との以前の協議を再開すると述べた。

 「この協議は今後も続くと予想している。ここ数日の間にアメリカからいくつかの措置、つまり制裁措置が出されたのを目にしたと思うが、それらは確実に協議の一部になる」と当局者は付け加えた。

 金曜日、イランが中東で米軍に対する軍事攻撃を行うのを支援する画像や他のサービスを提供したとして、中国の衛星企業三社にアメリカ国務省が制裁を科した。また財務省は、イランが中国から携帯式地対空ミサイル(MANPADS)を輸入するのを支援したとして、YUSHITA (Shanghai)International Trade Co., Ltdにも制裁を科した。
 戦争に敗れた以上、制裁ゲームも終わったのだということをトランプは未だに認識していない。中国であれ、他のどの国であれ、湾岸地域で失った覇権的地位をアメリカが取り戻すのを支援することは決して利益にならない。

記事原文のurl:https://www.moonofalabama.org/2026/05/war-on-iran-saudis-blame-israel-neocon-grandee-concedes-defeat.html

----------

 耕助のブログ  
No. 2901 米国のAI産業は破滅の運命にある
 The Chris Hedges Report
Trump's Iranian Nightmare
Trump’s catastrophic miscalculation in Iran and refusal to accept the Inevitability of defeat is pushing us towards a global depression and ensuring the suffering and immiseration of millions.

Chris Hedges
May 14

トランプ大統領と習国家主席の首脳会談に先立ち、なぜワシントンは中国に制裁を課したのか?

サルマン・ラフィ・シェイク
2026年5月12日
New Eastern Outlook

 ドナルド・トランプ大統領の北京訪問直前にアメリカが中国企業に対して新たに制裁措置を課したことは、経済的圧力をアメリカ外交の主要手段として用いる傾向が強まっていることを浮き彫りにしている。



 ドナルド・トランプ大統領は5月13日から15日にかけて中国訪問予定だ。しかし、彼が持参するのは譲歩ではなく、数々の制裁措置だ。中国訪問の数日前、ワシントンはイランによるドローンやミサイル関連部品の調達を支援したとして、中国本土と香港に拠点を置く企業に対し新たな制裁を課した。メッセージは明白だ。アメリカは圧力をかけて交渉に臨みたいと考えている。だが外交に先立つ強制は、往々にして逆効果を生む。今回の措置は、北京に対するワシントンの影響力を強化するどころか、中国の抵抗を強め、中国とイランの関係を深め、多極化が進む世界においてアメリカの制裁権限の衰退を加速させかねない。

 外交としての強制

 トランプ政権は、イラン問題で中国の団体に制裁を科す一方、貿易、地域安定、海洋安全保障の分野で中国との協力を求めるなど、両国関係を切り離して考えることができると考えているようだ。

 タイミングが全てを物語っている。5月8日、イランによるシャヘド無人機や弾道ミサイル計画で使用される資材調達を幇助したとして、中国と香港に拠点を置く企業を含む10の個人と企業に制裁を科すとアメリカ財務省は発表した。財務省によると、一部企業は、イランの軍事産業ネットワークに関連する断熱材や調達サービスを提供していたとされる。ロイター通信は、この制裁がトランプ大統領と習近平中国国家主席との北京での会談予定日の僅か数日前に行われたと報じた。そして、トランプ大統領が中国へ向かうまさにその時、アメリカはイラン産原油を中国へ輸送する企業に更なる制裁を科し、中国のエネルギー需要に打撃を与えた。

 この動きの背景にある論理は比較的単純明快だ。トランプ大統領は、米中関係の安定化を切望したり、融和的な姿勢を見せたりすることなく北京入りすると固く決意しているようだ。イラン問題で、アメリカが敗北したという印象を完全に避けたいと考えている。事前に制裁を課すことで、ワシントンは中国との対話が、イランに対するアメリカの圧力作戦や、より広範な国家安全保障上の懸念を犠牲にするものでないことを示唆しているのだ。この制裁は国内政治的な目的も果たしている。トランプ大統領は、中国と外交的に関わりながらも、北京とテヘランの両方に対し「強硬」な姿勢を維持しているというイメージを自ら作り出せるのだ。

 これは、トランプ政権下の外交におけるより広範なパターン、すなわちエスカレーションを通じた交渉を反映している。関税、NATOの負担分担、イラン問題など、トランプ大統領は高官級会談に先立ち、交渉力を高めるため圧力戦術を頻繁に用いてきた。経済的強制は抵抗の代償を高め、妥協へのインセンティブを高めるという前提に基づいている。しかし、この戦略は相手側が、譲歩する方が抵抗するよりも代償が低いと考えている場合にのみ有効だ。中国の場合、この前提は益々疑問視されるようになっている。

 北京の対応は即座かつ予想通りだった。中国外務省は制裁を「違法な一方的措置」と非難し、中国企業の正当な利益を守ると表明した。制裁は外交上の柔軟性を生み出すどころか、譲歩を政治的に従順なものと見なさせることで、習近平の行動の余地を狭めた可能性がある。

 これはワシントンでしばしば見落とされている重要な点だ。中国指導者たちは、首脳会談前の制裁を単なる戦術的な交渉手段として解釈するのではなく、交渉開始前に中国を屈辱させるための公然たる威嚇行為とみなしている。このような状況下では、妥協は国内外における弱体化の認識を強めるリスクがあるため、政治的に大きな代償を伴う。この力学は、米中関係がもはや戦略的な曖昧さや、選択的な競争によって定義されるものでなくなった今日、特に重要だ。両国の首都では、米中関係は貿易、技術、金融、安全保障とイデオロギーが同時に絡む体系的な競争として捉えられるようになっている。このような環境下で、制裁は孤立した政策手段ではなく、より広範な封じ込め戦略の一部となる。

 経済的圧力の限界

 ワシントンにとってより深刻な問題は、制裁措置がかつてのような強制力を持たなくなっている可能性があることだ。

 数十年にわたり、アメリカは世界金融体制における支配力を利用して、敵国や第三国に服従を強要してきた。ドル体制、西側諸国の銀行ネットワークと、アメリカ市場参入は、ワシントンに絶大な影響力をもたらしてきた。少なくともワシントンの視点からすれば、二次制裁はアメリカ外交戦略において最も効果的な手段の一つとなった。しかし、地政学的環境は大きく変化している。

 今日の中国は過去の制裁対象国の大半より遙かに高い経済力を有している。また制裁に従うことには戦略的代償が益々伴うようになっているため、アメリカの圧力に抵抗する動機も強まっている。北京はイランを単なる孤立した中東の同盟国としてではなく、複数地域にわたりアメリカの影響力を抑制できる広範な国家ネットワークの一部と捉えている。

 長年にわたるアメリカの制裁にもかかわらず、中国は依然イラン最大の石油顧客だ。このような状況下では、中国がワシントンの対イラン「最大限の圧力」キャンペーンに全面的に協力する可能性は低い。実際、度重なる制裁は、制裁耐性のある経済構造を構築しようとする中国の決意をむしろ加速させているのかもしれない。北京は既に代替決済制度の利用を拡大し、人民元建て貿易を奨励し、中国企業が特定の外国制裁体制に異議を唱えたり無視したりできる法的メカニズムを採用している。アメリカによる新たな制裁措置が講じられるたびに、アメリカが支配する金融制度への依存は戦略的な脆弱性だという中国の認識が強まる。

 制裁措置の実施が効果逓減の法則を生んでいる証拠も増えつつある。アメリカは過去数年にわたり、イランによるドローン部品調達を支援したとして、中国や香港と関係のある企業に繰り返し制裁を科してきた。しかし、調達ネットワークはペーパーカンパニー、仲介業者、迂回されたサプライチェーンなどを通じて依然対応を続けている。

 サウスチャイナ・モーニング・ポストの2025年の記事では、この過程を「モグラ叩き作戦」と表現し、香港を拠点とするフロント企業を標的とした以前の制裁の後、イランの調達ネットワークが急速に再編成されたことを指摘している。サウスチャイナ・モーニング・ ポストによる先の制裁ネットワークに関する記事では、これらネットワークが存続していることから、制裁は中国とイラン、どちらの根本的戦略的計算も根本的に変えることなく、一時的に取り引きを混乱させる可能性があることが示唆されている。

 これは重要な点だ。強制手段の効果の多くは信頼性から生まれるからだ。制裁対象国が制裁は管理可能、適応可能、あるいはほとんど象徴的なものだと判断すれば、将来の制裁の抑止力は大幅に低下する。

 より断片化された地政学的秩序

 今回の制裁は、現代アメリカ外交政策におけるより広範な矛盾をも露呈している。ワシントンは、中国との戦略的競争と、中国との選択的協力という相容れない二つの結果を同時に追求する傾向を強めている。トランプ政権は、イラン問題で中国企業に制裁を科しながら、同時に貿易、地域安定、海洋安全保障といった分野で中国との協力を求めて、両国関係を切り離して考えられると考えているようだ。だが両国関係は、あまりに安全保障上の問題が絡み合っており、もはや単純な区分けは不可能になっている。

 北京の視点からすれば、中国企業に対する制裁は、単なる技術的措置ではない。それは、中国の経済的・地政学的な台頭を抑制することを目的とした、より大きなアメリカ戦略の一環だ。こうした状況下では、ワシントンとの限定的協力でさえ、中国国内では政治的に敏感な問題になる。

 皮肉なことに、制裁措置はワシントンが弱体化させようとしている連携を、かえって強化する可能性がある。中国、イラン、ロシアは、アメリカ主導の財政的・戦略的圧力への依存度を減らす共通の利益を益々共有するようになる。彼らは正式同盟関係にはないが、アメリカの強圧的政策が抵抗への共通の動機を生み出すため、より緊密な連携へ向かっている。

 これは制裁措置が全く効果がないという意味ではない。制裁は依然、取り引き経費を上げ、調達ネットワークを複雑化させ、政治的決意を示せる。だが、制裁だけで主要国の行動を根本的に変えられる時代は終わりを迎えつつあるのかもしれない。

 今、より重要な問題は、ワシントンがこうした現実に十分迅速に対応できているかどうかだ。米国が地政学的影響力を行使する主要手段として制裁に頼り続けるなら、かつて制裁を強力なものにした国際秩序自体の分裂を意図せず加速させてしまいかねない。

 トランプ大統領は北京訪問に際し、交渉力を強化したと確信しているかもしれない。しかし習近平国家主席は制裁措置を異なる視点で捉える可能性が高い。妥協のための切り札としてではなく、ワシントンが圧力自体を外交手段とみなす傾向が強まっていること、そして威圧が今後も米中関係の重要要素であり続けるだろうことの証拠と捉えるだろう。そして、威圧が国際政治の常套手段となれば、主要国が妥協へ向かうのは稀になる。むしろ、対立が恒常化する世界に備えることになる。

 サルマン・ラフィ・シェイクは国際関係およびパキスタンの外交・国内問題担当リサーチアナリスト

記事原文のurl:https://journal-neo.su/2026/05/12/why-did-washington-impose-sanctions-on-china-before-the-trump-xi-summit/

----------

 耕助のブログ Pepe Escobar記事翻訳
No. 2900 トランプ中国へ行く。でもイランがすべてのカードを握っている。

2026年5月12日 (火)

対イラン戦争:サウジアラビアがイスラエルを非難し、ネオコンの大御所が敗北を認める

2026年5月11日
Moon of Alabama

 ここ数日の間に、注目すべき記事が二つ発表された。両記事の著者は、ともに、ジョージ・W・ブッシュ政権とイラク戦争に深く関わっていた経験豊富な右翼戦略家で、互いに関連している。

 最初の記事はトゥルキ・アル・ファイサルによるものだ。  
彼はサウジアラビア建国の父、アブドゥル・アジーズ国王の孫で、ファイサル国王の息子だ。彼はキング・ファイサル財団のイスラム研究センター会長を務めている。

 1979年から2001年まで、トゥルキ王子はサウジアラビアの情報機関アル・ムハバラート・アル・アンマ長官を務め、2001年9月1日に辞任した。15人のサウジアラビア国民がアメリカの民間航空機をハイジャックした9月11日の同時多発テロの10日前だった。

 その後、トゥルキ王子はセントジェームズ宮廷およびアメリカ合衆国大使を務めた。
 土曜日に準国営メディアのアラブ・ニュースに掲載された論説記事で、アメリカによる対イラン戦争の背後にある重大な陰謀をファイサルは、明らかにした

 サウジアラビアはイランに不満を抱いているものの、湾岸地域全体が現在陥っている混乱の真の原因はイランではないと認めている。  
イランや他の国々がサウジアラビア王国を破滅の渦に引きずり込もうとした際、サウジアラビア指導者たちは、国民の生命と財産を守るため、隣国に引き起こされる苦痛に耐えることを選んだ。もしサウジアラビア王国が、イランの施設や権益を破壊することで、イランに対して同様の報復措置を取ることを望み、また実際にそうする能力を持っていたら、アラビア湾沿岸、更には王国奥深くにあるサウジアラビアの石油施設や海水淡水化プラントが破壊されるという結果になっていただろう。

 もしイスラエルが対イラン戦争を引き起こす計画が成功していたら、この地域は荒廃と破壊に陥っていたはずだ。何千人もの息子や娘が、我々と何の利害関係もない戦いで命を落としていたはずだ。イスラエルはこの地域に自らの意思を押し付け、周辺地域における唯一の勢力として君臨していたはずだ。

 ムハンマド・ビン・サルマン皇太子の英知と先見の明により、サウジアラビア王国は戦争の惨禍とその壊滅的影響を回避できた。実際、現在パキスタンと共に、サウジアラビア王国は、戦闘の火を消し止め、事態の悪化を防ぎ、平和を求める人々が愛する人々の命と国益の安全について安心できるという希望を与えている。
 この論説記事は、サウジアラビアが戦争の拡大を促していると主張していたシオニスト・プロパガンダ担当者に広められた全ての噂を否定している。

 三年前、中国の仲介により、イランとサウジアラビア間で政治的合意が成立して以来、両国間で大きな衝突は起きていない。戦争にもかかわらず、ハッジ(大巡礼)にイランからの巡礼者をサウジアラビアは歓迎し ている。イランはサウジアラビア国内の米軍施設を攻撃したが、サウジアラビアの主要石油利権への攻撃は控えている。その結果、国営石油会社サウジアラムコは記録的利益を上げている

 サウジアラビアの姿勢は、アメリカが湾岸地域における覇権的役割を失ったことを示す多くの兆候の一つだ。

 強硬ネオコンのロバート・ケーガンが、親戦派のアトランティック誌に寄稿した2つ目の論説記事も、この見解を裏付けている。ブッシュ/チェイニー政権を、対イラン戦争へ駆り立てたケーガンは、アメリカがイランとの戦争に敗れたことを認めている。  
イランにおける王手 ― この戦争に敗れた結果をワシントンは覆すことも制御することもできない。アーカイブ) ―アトランティック

 紛争でアメリカが完全敗北を喫し、戦略的損失が修復も無視もできないほどの決定的後退を経験した時代を思い浮かべるのは困難だ。

 現在の対イラン戦争における敗北は全く異なる性質のものだ。修復も無視もできない。以前の状態に戻ることはなく、被った損害を覆したり克服したりするような最終的なアメリカの勝利もない。ホルムズ海峡は、かつてのように「開かれた」状態にはならない。海峡を支配することにより、イランはこの地域における主要当事者、世界における主要当事者の一人として台頭する。イランの同盟国、中国とロシアの役割は強化され、アメリカの役割は大幅に縮小する。戦争支持者が繰り返し主張してきたように、この紛争はアメリカの力量を示すどころか、頼りにならず、始めたことをやり遂げる能力のないアメリカを露呈した。これは、アメリカの失敗に、同盟諸国や敵国が適応していく中、世界中で連鎖反応を引き起こす。
 アメリカにはこのジレンマから抜け出す道がないことをケーガンは認めている。  
たとえトランプがイラン「文明」を破壊するという脅迫を実行に移し、更なる爆撃を行ったとしても、イランは政権崩壊前に(そもそも政権が崩壊すると仮定した場合)、多数のミサイルやドローンを発射できる。わずか数回の攻撃が成功するだけで、この地域の石油・ガスインフラは数年、場合によっては数十年にわたり麻痺し、世界とアメリカを長期にわたる経済危機に陥れる可能性がある。たとえトランプが撤退戦略の一環としてイランを爆撃し、強硬姿勢を見せて、撤退を隠蔽しようとしても、このような大惨事を招くリスクなしには実行できない。

 これは王手ではないにせよ、それに近い。
 ケーガンは代替案として対イラン全面戦争も検討しているが、それは更に悪い道で、より大きな失敗につながる可能性が高いとして切り捨てている。  
現在のイラン政権を打倒するため本格的地上戦と海戦を展開し、新政権が樹立されるまでイランを占領する覚悟がアメリカにない限り、また係争中の海峡でタンカーを護衛する軍艦を失うリスクを冒す覚悟がない限り、更に、イランの報復により、地域全体の生産能力に壊滅的な長期的損害が生じることを覚悟しない限り、今撤退するのは最悪の選択肢ではないように思えるかもしれない。政治的観点から言えば、トランプ大統領は、より大規模で長期にわたり、費用もかさむにもかかわらず、最終的に失敗に終わる可能性がある戦争を生き延びるより、敗北を乗り切る方が可能性が高いと感じているのかもしれない。

 従って、アメリカにとっては、敗北はあり得るだけでなく、むしろ可能性が高い。敗北とはこういうことなのだ。

 海峡における新たな現状は、地域的にも世界的にも、相対的な力と影響力に大きな変化をもたらす。この地域では、アメリカは張り子の虎だと証明され、湾岸諸国や他のアラブ諸国はイランに迎合せざるを得なくなる。イラン研究者のルーエル・ゲレヒトとレイ・タケイが最近書いたように「湾岸アラブ諸国の経済は、アメリカ覇権という傘の下で築かれてきた。それを奪い、それに伴う航行の自由を奪えば、湾岸諸国は必然的にテヘランに物乞いをすることになる」。

 彼らだけではない。湾岸諸国のエネルギーに依存している全ての国は、イランとの間で独自の取り決めを結ばなければならない。他にどんな選択肢があるだろう?
 対イラン戦争での敗北は、世界におけるアメリカの立場に、より広範な影響を与えるとケーガンは考えている。  
ポスト・アメリカ世界への世界的適応は加速している。かつてアメリカが支配的だった湾岸地域におけるアメリカの地位低下は、数多くの犠牲のほんの始まりに過ぎない。
 今週後半、ドナルド・トランプ大統領は中国訪問予定だ。フィナンシャル・タイムズに掲載された今回訪問に関する政権側の事前予測記事(アーカイブ)は、アメリカは依然、戦争を利用して世界中に圧力をかけられると主張している。  
「大統領は圧力をかけると予想している」と、ある米当局者は記者会見で述べた。

 トランプ大統領は、中国によるイランとロシアへの支援、具体的には軍民両用部品の提供や潜在的武器輸出について、習近平国家主席との以前の協議を再開すると述べた。

 「この協議は今後も続くと予想している。ここ数日の間にアメリカからいくつかの措置、つまり制裁措置が出されたのを目にしたと思うが、それらは確実に協議の一部になる」と当局者は付け加えた。

 金曜日、イランが中東で米軍に対する軍事攻撃を行うのを支援する画像や他のサービスを提供したとして、中国の衛星企業三社にアメリカ国務省が制裁を科した。また財務省は、イランが中国から携帯式地対空ミサイル(MANPADS)を輸入するのを支援したとして、YUSHITA (Shanghai)International Trade Co., Ltdにも制裁を科した。
 戦争に敗れた以上、制裁ゲームも終わったのだということをトランプは未だに認識していない。中国であれ、他のどの国であれ、湾岸地域で失った覇権的地位をアメリカが取り戻すのを支援することは決して利益にならない。

記事原文のurl:https://www.moonofalabama.org/2026/05/war-on-iran-saudis-blame-israel-neocon-grandee-concedes-defeat.html

----------

 東京新聞 夕刊 一面   
 ふるさと納税 手数料1379億円

 総務省 サイトに引き下げ要請へ

 寄付の一割超 自治体の負担重く
 この制度を考えた人物を支持していないため、利用しておらず、今後の利用予定もない。

 Wikipedia記事からごく一部を引用する。
 菅は「ふるさと納税の検討を私が指示したのは、少なからず田中康夫がきっかけだった」と周囲に述べている。
 植草一秀の『知られざる真実』
消費税は社会保障財源という嘘

2026年5月 6日 (水)

中国、アメリカ制裁に対抗

2026年5月5日
Moon of Alabama

 日曜日夜、世界時時間(UTC)20時35分頃、ペルシャ湾の船舶がホルムズ海峡を通航できるように米海軍が支援するとドナルド・トランプ大統領が発表した

 「What's Going on With Shipping」チャンネルを運営するSal Mercoglianoによると、ほぼ同時期に、アメリカの輸送予備軍に属する米国籍商船2隻がペルシャ湾を離れ、その後アラビア海に到着したという。海運会社マースクは自社の船舶1隻がペルシャ湾を離れたことを確認した。

 Mercoglianoによると、アメリカはおそらく海軍予備役将校をこれら艦船に乗せたのだろう。彼らは安全な通信機器を装備しており、それにより作戦行動を調整できた。ペルシャ湾を出る際、2隻の艦船はホルムズ湾南側のオマーン沿岸に沿って航行した可能性が高い。

 更にアメリカは自国駆逐艦2隻がホルムズ海峡に進入したと主張した。一方、イランは米軍艦艇に向け発砲し警告を発したと主張している。これらの主張はいずれも確認されていない。

 またアメリカは5隻から7隻(情報源により異なる)のイラン革命防衛隊高速艇を破壊したと主張しており、おそらくヘリコプターによる攻撃だったとみられる。これは、それら高速艇が米海軍が護衛していた船舶を攻撃しようとしていたことを示唆している。イランはこれを否定し、アメリカが攻撃したのは小型民間貨物船二隻だと主張している。(海峡には常に数百隻もの小型貨物船が行き交っている。)

 トランプ大統領が発表した壮大な「プロジェクト・フリーダム」は、ホルムズ海峡の船舶航行を可能にするためのものだった。だが実際には、ペルシャ湾で立ち往生していた約900隻の船舶のうち僅か2隻を救出するための一度限りの特別作戦だったようだ。

 この作戦と並行して、イランはペルシャ湾から出る石油の流れに対する統制を強化した。アラブ首長国連邦(UAE)は西部の油田からホルムズ海峡外の東海岸にあるフジャイラ港まで石油輸送するパイプラインを保有している。ホルムズ海峡が封鎖されているにもかかわらず、このパイプラインを使って1日あたり約200万バレルの石油を輸出している。

 



 昨日、イランはフジャイラを封鎖区域に含める地図を公開した。同時にイラン・ミサイルがアラブ首長国連邦(UAE)の施設に向けて複数発射された。イラン・ドローンがフジャイラを攻撃し石油施設が炎上した。UAE関連船舶2隻も攻撃され、1隻は依然炎上している。

 傲慢な首長国UAEは、最近アラブ主導のOPEC機構を脱退した。UAEはイスラエルとアメリカと同盟を結び、イラン攻撃に参加した。現在の状況下でUAEを攻撃すれば、イランは他のアラブ湾岸諸国から同情票を獲得するだろう。

 だが、それは同時に世界の他地域における石油供給状況を更に逼迫させることになる。

 現在イランのアッバス・アラグチ外相はイラン最大の石油顧客中国を訪問中だ。

 今回訪問は、中国がイラン産製品を加工する自国製油所に対するアメリカの制裁措置を否定した僅か数日後に行われた。  
土曜日の声明で、今回の制裁措置は「国際法および国際関係を律する基本規範に違反し」中国企業と第三国との間の事業を「不当に」制限するものだと中国商務省は述べた。

 制裁措置は「承認、執行、遵守されない」と規定する「禁止命令」を発令したと商務省は述べ、この命令は「国家の主権、安全保障、発展の利益を守るための措置」だと説明した。

 「国連の承認や国際法上の根拠を欠く一方的制裁に中国政府は一貫して反対してきた」と同省は付け加えた。
 これは些細な動きではなく、ワシントンの注目を集めることが確実な声明だ。  
中国はアメリカの域外強制力を国際商取引における日常的条件として扱うのをやめ、中国国内でその強制に従うことが法的に危険な行為になるようにできるかどうか試している。
 これは世界エネルギー供給を支配しようとするアメリカの試みに対抗する中国による最初の攻撃だ。

 この動きは、トランプ大統領の中国訪問10日前に行われた。これは、アメリカはもはや中国に圧力をかけることはできず、中国やイランなどの国々が実際反撃する可能性があることをより強く認識すべきだというメッセージだ。

記事原文のurl:https://www.moonofalabama.org/2026/05/war-on-iran-project-freedom-a-one-off-stunt-tightening-uae-blockade-china-counters-u-s-sanctions.html

----------

 ≪櫻井ジャーナル≫
イランと中国を結ぶ鉄道の破壊に熱心なアメリカとイスラエル
 Reuters
イラン・中国外相が会談、紛争開始後初めて 緊密な関係強調

2026年4月27日 (月)

中国、イラン、アメリカ:複雑な権力ゲーム


ロレンツォ・マリア・パチーニ
2026年4月18日
Strategic Culture Foundation

 ワシントンの視点からすれば、テヘランと北京の同盟は戦略的な悪夢だ。

❗️Telegram Twitter , と VK でご参加願いたい。

お問い合わせ: info@strategic-culture.su
 
紛争の戦略的状況

 アメリカによる対イラン戦争は、単なる地域危機を遙かに超えたもので、アメリカの世界的覇権に内在する根強い不安定性を明らかに示している。国際法や主権や多国間外交を軽視して、アメリカは強制力を支配手段として正当とみなす姿勢を改めて示している。趙明浩が指摘している通り、ワシントンの武力行使は秩序を回復させるどころか、台頭しつつある世界体制を特徴づける亀裂を悪化させるだけだ。

 2026年2月28日に開始されたアメリカ主導の対イラン軍事作戦は、当初は標的を絞った一連の攻撃として始まったが、今や中東全域、ひいてはそれ以外の地域における地政学的境界線を塗り替える地域紛争へ拡大している。当初はイランの核・ミサイル能力を無力化することを目的とする戦術的動きと思われたものが、世界の勢力均衡を再構築するための本格的な戦略的取り組みに発展したのだ。

 北京にとって、この戦争は国家の中核的利益に対する直接攻撃を意味する。中国は中東においてエネルギー、インフラ、輸送分野で緊密な協力関係のネットワークを構築しており、その多くは重要拠点としてイランに依存している。中国の原油輸入量の約53%はこの地域から供給され、30%以上がホルムズ海峡を経由している。従って、長期にわたる混乱は、中国の経済安定とエネルギー安全保障に対する体系的脅威になる。

 一方、ワシントンの幹部戦略家連中は、今回の作戦を、いわゆる「混沌の枢軸」、つまり、ロシア、イラン、北朝鮮、ベネズエラの非公式連携を打破する機会と捉えている。これらの国々は全て、アメリカの制裁と圧力にさらされており、外交的・経済的保護者として中国への依存度を高めている。アメリカの狙いは明らかだ。中国のグローバル資源供給網を弱体化させ、北京に対外的な影響力を再調整させることにある。
 
台頭する中・イラン枢軸が新段階に達する

 この紛争が世界に及ぼす影響を理解するには、過去10年間で強固な戦略的連携に発展した中・イラン関係を検証する必要がある。2021年、北京とテヘランは25年間の包括的協力協定に署名し、イランのエネルギー、インフラ、技術分野への約4000億ドルに上る中国投資の枠組みを定めた。この協定は、しばしば欧米専門家によって過小評価されてきたが、一帯一路構想(BRI)におけるイランの役割を再定義するものだ。

 ペルシャ湾と中央アジアにまたがるイランの地政学的位置は、一帯一路構想の「西アジア回廊」において不可欠な要素になっている。中国は、テヘラン・マシュハド高速鉄道、チャバハール港拡張、ファーウェイやZTEとのデジタル・インフラ提携といったプロジェクトを通じて、イランを自国の大陸横断物流網に組み込もうとしてきた。同時に、イランを欧米諸国の制裁から守るため、アメリカが支配するSWIFTネットワークの代替として、北京は人民元建ての国際銀行間決済システム(CIPS)を活用して、テヘランの金融準備金を積み立ててきた。

 制裁にもかかわらず、両国間貿易は増加している。2025年には二国間貿易額が300億ドルを超え、2026年には更に20%増加すると予測されている。この数字は、中国をイランの主要貿易相手国にし、制裁に苦しむイラン経済の生命線にしている。中国石油化工(Sinopec)や中国石油天然ガス集団(CNPC)などの中国企業は、ヤダバランや南アザデガンといったイランの広大な油田に積極的に出資しており、戦時下でも原油の東方への安定供給を確保している。

 ワシントンにとって、こうした動きは世界的覇権争いの核心を突くものだ。イランと中国の関係は、アメリカ中心の自由主義秩序に代わる多極的選択肢を象徴している。経済統合、技術交流と、アメリカの圧力に対する相互外交支援を融合させたモデルだ。ワシントンはテヘランを標的にして、事実上、北京の長期的なユーラシア戦略に対する代理戦争を仕掛けているのだ。

 エネルギーは、常に中・イラン協力の決定的側面だった。中国はイラン最大の石油購入国であるだけでなく、イランの精製能力と輸送経路への最大投資国でもある。イラン産原油は、制裁を回避するために「マレーシア」や「オマーン」の船積みラベルを偽装して、1日あたり約80万バレルが中国の製油所に送られ続けている。だが、紛争とホルムズ海峡におけるアメリカの海上封鎖は、この繊細なシステムを脅かしている。

 北京の対応は二段階に分かれている。第一に、ホルムズ海峡に代わる陸上経路として、パキスタンのグワーダル港や中国・パキスタン経済回廊(CPEC)への大規模投資など、海上経路の多様化に向けた取り組みを加速させている。第二に、中国の戦略家たちは「軍民両用」インフラという名目で、一帯一路構想における資産の一部を軍事化しようと働きかけ、主要エネルギー輸送経路を強化している。ジブチからコロンボに至るインド洋全域の港湾、パイプライン、輸送拠点は、今や民間・軍事の両目的に利用される可能性がある。

 一方、地域における要としてのイランの役割は依然揺るぎない。テヘランはエネルギー供給だけでなく、情報協力、地域への出入り、技術協力もしている。両国は衛星システム、AIベースの監視プラットフォーム、サイバー・レジリエンスといった分野で共同事業を立ち上げており、これらは全て、アメリカ情報機関がハイブリッド戦争の次のフロンティアと見なしている分野だ。
 
アメリカの戦略的懸念

 ワシントンは、この中・イラン間協力関係が単なる地政学的協力にとどまらず、米ドル体制、強制手段としての制裁や世界の主要貿易拠点における戦略的独占に対する直接的挑戦だと認識している。アメリカ財務省のデータによれば、2025年にはイランの対外貿易の約50%がドル以外の通貨、主に人民元とルーブルで決済された。こうした脱ドル化の取り組みは、実験的ではあるものの、世界の金融構造における根本的変化を示しており、アメリカの経済的影響力を脅かすものだ。

 更に、米軍は中国のペルシャ湾への関与が長期的に及ぼす影響を懸念している。イラン南部沿岸の衛星追跡施設や、ジャースク近郊における人民解放軍海軍整備区域の拡大疑惑など、北京の兵站拠点は、中東における中国の恒久的駐留への道を開くものだ。この海域で揺るぎない支配を享受してきたワシントンにとって、この傾向は自国の海洋覇権の衰退を加速させるものになる。

 アメリカ国内で、トランプ大統領の対イラン戦争は世論を二分する政治危機へと発展した。「アメリカを再び偉大にする」運動内部では不満が高まっており、トランプ大統領の伝統的支持者の多くは、海外での軍事介入再開の決定に裏切られたと感じている。インフレ圧力は急上昇し、連邦準備制度理事会(FRB)の利下げは行き詰まり、原油価格は1バレル130ドルを超えた。戦争の代償は、消費者物価の上昇とエネルギー不安という形で、アメリカの家庭に重くのしかかっている。

 国際的には、アメリカ同盟諸国の幻滅が深まっている。フランス、スペイン、そしてイギリスでさえ、戦争の合法性に疑問を呈し、全面的兵站支援を拒否している。大西洋の対岸、ヨーロッパでは、新たな難民の波とエネルギー価格の変動への対応に追われ、湾岸諸国は、ワシントンの予測不可能な外交に益々不満を募らせている。アメリカは益々孤立を深めており、地域的敵対勢力だけでなく、自らの過剰な帝国主義的拡大という認識にも苦慮している。
 
旧来のグローバル体制が直面する戦争問題

 北京の目には、イラン紛争は単にアメリカの介入主義の新たなサイクルを反映しているのではなく、多極化への構造的転換の始まりを示すものと映っている。アメリカがイランに向けて発射するミサイルは全て、西側諸国の衰退という中国の主張を強化し「運命共同体」という中国の呼びかけに重みを与える。だが、この転換自体が多くのリスクを伴う。世界貿易経路の混乱、エネルギー市場の不安定化、核不拡散体制の弱体化は、中東を遙かに超えた連鎖反応を引き起こす可能性がある。

 実際、国際原子力機関(IAEA)のイラン監視能力の低下は危険な前例になる。テヘランが合意の遵守を完全に放棄すれば、平壌からアンカラに至るまで、他の国々も核抑止戦略を追求するようになるだろう。そのようなシナリオでは、中国自身も安全保障上のジレンマに直面することになる。周辺地域に潜在的な「核の森」が出現し、北京は地政学的野心と核拡散の衝撃に対する脆弱性との間で折り合いをつけざるを得なくなる。  この紛争は、戦争の新たな側面も明らかにしている。ワシントンが大手民間企業と協力してAIベースにした標的システムや自律型兵器に依存していることは重大な倫理的懸念を引き起こしている。イランの学校へのミサイル攻撃で160人以上の子どもが犠牲になった事件など、アルゴリズムの誤判断により民間人が犠牲になった報告は、グローバル・サウス諸国で激しい怒りを巻き起こしている。戦争における人間と機械の意思決定の境界線は曖昧になりつつあり、人道的大惨事に道徳的曖昧さが加わっている。

 2026年、アメリカによるイランへの戦争は、国際秩序の断層を露呈させた。ワシントンは威圧により覇権を維持しようとする一方、北京とテヘランは、連結性や主権や欧米諸国による支配への抵抗を基盤とした代替構想を構築している。しかし、権力が拡大するにつれ、不安定性も拡大する。中国とイランの協力関係は、変革をもたらす可能性を秘めてはいるものの、世界体制を対立する陣営に分断し、それぞれが協力ではなく、排除によって安全保障を追求する事態を加速させる可能性もある。

 ワシントンの視点からすれば、テヘランと北京の同盟は戦略上の悪夢だ。制裁を弱体化させ、海洋支配に挑戦し、非対称的な脅威を増大させるからだ。北京にとって、この対立は、アメリカ覇権が依然不安定で、多極化に屈するのを拒んでいることを裏付けるものとなる。そして世界全体にとっては、この対立は一極支配の安穏な時代が終わったことを示している。これから始まるのは、新世紀のルールを定めるための激動の闘争だ。それはアメリカの秩序ではなく、対立や不確実性や益々不安定化する相互依存関係によって特徴づけられる世紀になるだろう。

記事原文のurl:https://strategic-culture.su/news/2026/04/18/china-iran-usa-a-complex-game-of-power/

----------

 RTが「チョルノービリ生存者が語る惨事後に起きたこと」ドキュメンタリー映像を掲載している。49:25 英語字幕付き。
Chernobyl survivors reveal what happened after nuclear disaster (FULL DOCUMENTARY) 49:25
 ジェフリー・サックス教授の正論。「中東で犯罪を幇助したトランプの罪は決して許されない」
Trump Will Not Be Forgiven For Aiding And Abetting Crimes In The Middle East. | Jeffrey Sachs 27:27
 耕助のブログ
No. 2883 ジェフリー・サックスがNATOの力学を「暴く」
 今朝の孫崎享氏メルマガ題名
米大統領出席行事の近くで発砲 負傷者なし、容疑者逮捕。25年4月ロシアメディアRT[左派系アメリカ人の大多数がトランプ暗殺を「正当化」と見なす ― 世論調査、米国研究所NCRIは世論調査を発表。マスクとトランプ殺害をある程度正当化を表明は各々31%と38%。
 東京新聞 朝刊 特報面 本音のコラム 大矢英代さん   
日本製武器の末路
 末尾部分をコピーさせていただく。  
この愚策の末路には、売れない在庫品を国内に抱え込む日本の未来しか想像できない。人殺しで金儲けをしようなどという落ちぶれた国には、それぐらいのしっぺ返しがちょうどいいのかも知れない。
 東京新聞 朝刊 最終ページ  
 ガザ見つめた若者を知っていますか

 空爆で散った通信員の軌跡 写真絵本に

 銃ではな無くカメラ

 もう一つの「夢」

2026年4月19日 (日)

中国の知恵:変化する世界秩序で必要不可欠なもの

Taut Bataut
2026年4月17日
New Eastern Outlook

 中国の戦略的知恵は、四つの主要概念に基づいて国際関係の手法を導いている。急速に変化する世界秩序の中で、これら原則は、複雑な地球規模の課題に対処し、安定を維持し、協力的な解決策を促進するため、世界がこれまで以上に必要としている普遍的な知恵を提供している。

 txt

 はじめに  
仁義施さずして、攻守の勢異なればなり(仁義を施さなければ、攻守の形勢は逆転する)賈毅(Jia Yi=ジャー・イー)

 今日の世界は混乱と混沌の極みにあり、特にアメリカをはじめとする既存強国は制御不能に陥っている。現在の世界秩序は、分断や信頼の失墜や他国を犠牲にした自国権益の追求に特徴づけられる。中小国は戦略的自律へと向かわざるを得ない状況に追い込まれている。生き残りをかけた戦いは、世界中で安全保障上のジレンマを生み出している。これは、西側諸国が作り出し、推進してきた体制の結果だ。国際社会は、いわゆる西側民主主義とルールに基づく秩序の真髄を目の当たりにしている。世界は今、大規模戦争の瀬戸際に立たされている。必要なのは、リセットだ。そして、その鍵を握っているのは中国だ。西側諸国に、しばしば誤解されてきた古代中国の政治的知恵は、暗闇に陥った世界にとって希望の光となり得る。中国の平和的台頭は、その最良の例だ。中国が平和的に成長できたなら、国際社会もそうできないはずがない。

 天下から無為まで、中国の知恵は、過去の束縛を打ち破り、調和、統合、繁栄を特徴とする時代を到来させるよう世界に呼びかけている。

 四つの戦略的概念

A. 天下

 「天下」の概念は、古代中国の政治思想における古典的かつ根幹的な考え方だ。これは初期の中国の宇宙観や統治哲学と密接に結びついている。天下とは、世界は相互に繋がっており、統一された道徳的・政治的秩序が存在するという考え方だ。国際社会を、分裂や混乱の余地のない調和のとれた体制として捉えている。この概念は『書経』や『礼記』をはじめとする古代中国の文献で広く論じられている。この考え方は、単一の政治共同体が存在するべきこと、権威は正義と仁愛と人々の福祉から生まれるべきこと、そして、支配ではなく統合を特徴とする「大同」が存在するべきこと、という重要な原則に基づいている。中国の「一帯一路」構想は、中国が共有体制の下での経済的相互依存を促進する、この考え方の代表的な例だ。

B. 和而不同

 「和して同ぜず」という概念は、古代中国の知恵の珠玉の一つで、もし今日、その真の姿で実践されれば、より豊かな世界へと導く可能性を秘めている。この概念は、古代中国の哲学者孔子が古典『論語』の中で初めて提唱した。孔子は「君子は和して同ぜず、小人は同じて和せず」と述べている。この考え方は、様々な原則を規定している。多様な制度や文化は両立可能だ。多様性は呪いではなく祝福だ。統一性と自治は、繊細なバランスを保つべきだ。この考え方は、中国主導のBRICSなどの国際機関にも反映されている。BRICSでは、異なる国家制度、文化、政治思想を持つ国々が、均一性よりも調和を優先し、互いに協力し合っている。

C. 勢

 「戦略的な権力配置」と訳される「勢」の概念は、古代中国の最も傑出した哲学者・思想家である韓非子と孫子の著作に由来する。孫子はこの概念を軍事政策に適用したが、韓非子は政治と統治に、より関心を寄せた。この概念は力による支配を否定し、健全な競争を重視する。この原則は、国家の立場が運命を決定づけると述べている。たとえ弱小国であっても、地形、時間、位置を支配すれば強大国に勝利できる。直接衝突を経ずに得られる勝利こそ最良の勝利だという考えに基づいている。更に、絶えず変化する地政学的環境における適応力の重要性も強調している。

D. 無為

 「無為」、別名「非強制行動」とは、政治家は戦略的自制心を保ち、国政への過剰な介入を避けるべきだという考え方だ。この概念は、最小限の介入が最大限の成果を生み出す事実に基づいている。中国の古典哲学者老子は、代表作『道徳経』で、この考え方を提唱した。支配者は自らの意志を押し付けすぎず、流れに身を任せるべきだと老子は指摘した。彼の有名な言葉は「太上(たいじょう)は、下(しも)これあるを知る。」(「最高に優れた指導者は、民衆が『そのような人がいる』ことだけ知っている(存在感がない)状態だ。功績を成し遂げても、民衆は『自分たちでやったんだ』と言う。全てが自然にうまくいく」という意味だ。この考え方は、紛争の最小化も求めており、中国が国際問題において非対立的姿勢をとっているのはそのためだ。無為は、不必要な攻撃や武力行使を避けることが永遠の安定と持続性をもたらすと主張している。中国の新型コロナウイルス感染症対策は、この考え方の最も優れた例と言えるだろう。中国は戦術的政策を追求する代わりに、ワクチン外交を選択し、国際社会がそれぞれのニーズや要望に応じて対応できるようにした。

 なぜこれらの概念が今日重要なのか?

 中国の古典的戦略概念は、あらゆるイデオロギーの国家が、平和的な方法で、望ましい結果を得るための明確なロードマップを提供している。現在の多極化世界秩序は、まさにこのような指針を必要としている。これまで欧米諸国は、自らの統治モデルを世界中に押し付けてきた。トランプ政権2.0は更に野心的で、国際社会の勢力図を混乱させている。

 世界は多様な集団が平和的に共存できる「和して同ぜず」原則を遵守すべきだ。アメリカは、過去の優位性を維持するため、今や露骨な支配政策を追求し、各国に特定の基準に従うよう強要する道を歩んでいる。このような分断は、支配ではなく、統合を促進する「天下」の理念によって克服できるはずだ。多極化は今日の現実で、アメリカは一極支配という幻想から脱却すべきだ。

 同様に、アメリカは、再び競合国のすぐそばで不安定状況を作り出し、他国を挑発している。イランは攻撃を受け、台湾は既に不安定な状態にあり、日本は攻勢に出ており、フィリピンは新たなウクライナになりつつある。こうした一連の動きは全て、中国に打撃を与えるためのものだ。世界は「シー」の原則、すなわち、競合国と戦争をするのではなく、間接的で健全な競争を観察するという戦略的な権力構造を堅持すべきだ。

 自国に有利な結果を生み出すための戦略は平和的方法で実行される環境であるべきだ。まさに今世界はそれを目の当たりにしている。中国はアメリカが直接対決することなく過ちを犯すのを黙認している。ベネズエラ、イラン、キューバなど、アメリカは現状を変えるために公然と武力を行使している。世界が今必要としているのは、戦略的な自制と内政不干渉の原則を特徴とする非強制的な統治モデル、すなわち無為自然主義だ。

 結論

 天下から無為まで、中国の叡智は世界に過去の束縛を打ち破り、調和、統合、繁栄に満ちた時代を到来させるよう呼びかけている。中華人民共和国はこれまで自国の統治モデルを押し付けたことはなく、むしろ国際社会がそれぞれの戦略的ニーズに応じて中国の原則を適用することを常に容認してきた。これに対し、西側諸国は常に自らが構築した原則を他者に押し付けようとしてきたが、結果は今や明らかだ。世界は再び大惨事の瀬戸際に立たされており、これは西側諸国が、地政学の管理に失敗した明白な証拠だ。従って、今こそ、この事実を認識し、様々な文明の叡智と知性が共に機能する旅に出るべき頃合いだ。

 Taut Batautは南アジア地政学に関する論文を発表している研究者、作家。

記事原文のurl:https://journal-neo.su/2026/04/17/chinese-wisdom-a-necessity-in-a-changing-world-order/

----------

 【新華社北京3月8日】中国の王毅共産党中央政治局委員・外交部長は8日、第14期全国人民代表大会(全人代)第4回会議の記者会見で、イラン情勢について次のように述べた。   
「仁義施さずして、攻守の勢異なればなり(仁義を施さなければ、攻守の形勢は逆転する)」。大国は公正を守り、正しい道を歩み、中東の平和と発展のためにより多くの積極的な役割を果たすべきだ。中東に秩序を、中東の人々に安定を、世界に平和を取り戻す。
 最近の新華社記事は例えば下記。

 【新華社北京4月7日】中国外交部の毛寧(もう・ねい)報道官は7日の記者会見で、イラン情勢に関する質問に答え、戦闘の長期化は誰の利益にもならないとし、各当事者は誠意を示し、早期終結を図るべきだと強調した。

2026年3月19日 (木)

対イラン戦争にロシアとインドはどう対処するのか



ペペ・エスコバル
2026年3月12日
Strategic Culture Foundation

 ロシアとイランの戦略的協力関係は、たとえ軍事条約が含まれていないにせよ、いくつかの相互に連動したレベルで機能している。

❗️Telegram Twitter , と VK でご参加願いたい。

お問い合わせ: info@strategic-culture.su

 これは二部構成の分析の第二部です。第一部はこちらをお読みください。

 イラン・イスラム共和国の最高指導者に選出されたアヤトラ・モジタバ・ハメネイ師にプーチン大統領は個人的に祝福のメッセージを送った。

 言葉は重要だ(強調は筆者によるもの)。

 イランが武力侵略に直面している今、この高位の地位におけるあなたの努力には確実に大きな勇気と献身が求められるます。あなたは計り知れない試練に直面しながら、父祖の功績を誠実に継承し、イラン国民を団結させてくれると私は確信しています。

 外国「侵略」と政権の継続性を強調した後、戦略的協力関係をプーチン大統領は明確に繰り返した。

 「私としては、テヘランへの揺るぎない支持と、イランの友人たちとの連帯を改めて表明したいと思います。ロシアはこれまでも、これからも、イスラム共和国にとって信頼できる同盟者であり続けます。」

 窮地に陥ったトランプ大統領、別名ネオ・カリギュラはプーチン大統領に電話をかけ、イランに停戦を受け入れさせる仲介役としての介入を要請した。ところが、彼が聞いたのは、エプスタイン・シンジケートがイランに対して開始した戦争に関する不快な事実を丁寧に列挙する言葉だった。

 お気に入りの特使スティーブ・ウィトコフと、取るに足らないジャレッド・クシュナーと、「永遠戦争」長官を装う腕立て伏せピエロを共に、イラン爆撃を強要した張本人としてトランプは糾弾している。ロシアとの電話会談後、イランに諜報データを渡していないとロシアが発言したと主張したのはウィトコフで、ユーリ・ウシャコフ大統領補佐官がそれを確認したとウィトコフは述べた。

 たわ言だ。ウシャコフはそんなことは言っていない。ロシアの最高政治レベルにいる者は、イランと中国との戦略的協力関係に関連する軍事問題に関し発言しない。

 さて、事実について。
 
ロシアの情報、イランの実行、存在しない軍事条約

 モスクワがウクライナで収集した産業規模とでも言える量の情報や戦闘データをテヘランと共有していることは周知の事実だ。THAADレーダー、パトリオット・レーダー、その他あらゆる超大型固定レーダー施設の連続破壊につながった高度な妨害技術や衛星情報の多くは、ロシアと中国両国から来ている。

 ロシアのS-400や対空電波妨害装置クラスハ・システムがアメリカ・ミサイル迎撃に成功した映像は公開されていないが(おそらく公開されるまい)、ロシア人技術者がイラン人担当者と協力して飛行中のミサイルやドローンの軌道を微調整しているのは事実だ。

 つまり、中国とロシアの高解像度の軌道画像と標的支援と、2万ドルの安価なドローンの群れとの間には、事実上、洗練された実用的相互作用が存在しているのだ。

 ロシアはイランに、超電導・改良・実戦テスト済みのゲラン3とゲラン5無人機を供与した。これらは事実上ロシアの「シャヘド」で、コメット・アンテナによる妨害電波対策機能を備え、最高速度600km/hに達する安価で強力な致命的巡航ミサイルだ。今や戦場の至る所で使用されている。

 さて、ここからが非常においしい部分だ。

 2月28日のエプスタイン・シンジケートによるテヘラン斬首攻撃の一週間ちょっと前に、標的マトリックス、発射プラットフォーム、タイミング・シーケンスを完備した完成されたアメリカの攻撃計画をロシア情報機関がIRGCに送付していた。

 つまり、IRGCは何が起きるのか正確に知っていたのだ。

 その六週間前、昨年12月モスクワはイランと5億ユーロの兵器商談に署名しており、これにはヴェルバMANPADS発射装置500台と最新式9M336ミサイル2,500発の納入が含まれていた。

 基本的に、ロシアはイランに情報と防空システムを提供し、中国は対艦ミサイルとリアルタイム衛星監視システムを提供している。

 素晴らしいのは、正式な三国同盟が存在していないことだ。軍事条約もない。全て相互に絡み合う戦略的協力関係に組み込まれているのだ。

 以上の全てを考慮すれば、困惑したエプスタイン・シンジケートが、ベエルシェバ近郊のイスラエル軍の通信・サイバー防衛部隊の一部たる衛星通信ステーションなどの確認された攻撃について、ロシアと中国の諜報機関のせいにするのも不思議ではない。

 そして、ロシアの次の不可避的な動き、すなわちイランへの極めて強力なS-500プロメテウス防空システム導入には、我々はまだ言及していない。
 
労せずして市場シェアを獲得する方法

 ロシアとイランの戦略的協力関係は、たとえ軍事条約が含まれていないにせよ、いくつか相互に連動したレベルで機能している。

 エネルギー面では、プーチン大統領による指示の下、現在モスクワは、EUへの残りの輸出を最終的に完全に先制的に停止する措置の可能性を検討しており、その結果、価格が高騰し続ける中、アジアに輸出される可能性がある。

 結局、EUは既にロシア・ガスを段階的に廃止しつつある。短期契約は4月下旬から禁止され、年末までにLNGは全面禁止され、パイプライン・ガスは2027年までに禁止される。

 そのため、既に多くのLNGが中国、インド、タイ、フィリピンに向けられている。「金の流れを追え」という言葉の通り、LNGタンカーは航海途中でヨーロッパの港からアジアへ迂回して、より高いスポット価格を実現している。

 ホルムズ海峡が閉鎖されている限り(それは今後も続くだろう)、ロシアはどこでも、苦労せずに、割高な価格で更なる市場シェアを獲得することになる。

 ホルムズ海峡は、同盟国であるロシアや中国との協力のように「誰にとっても開かれた機会」である一方、エプスタイン・シンジケートや他の敵対的組織などの「戦争屋にとっては袋小路」だとイラン安全保障会議のアリ・ラリジャニ議長はロシア語を含む複数言語で明言した。

 ホルムズ海峡開放をロシアが必要としていないのは確実だ。それでも、ラリジャニ外相は協力関係を認めて、ロシアにうなずき、ウィンクしたのだ。

 エプスタイン・シンジケートによる対イラン戦争は、ロシア国家予算にとって、2022年初頭の価格高騰以来見られなかった莫大な利益をもたらしつつある。ホルムズ海峡が封鎖され、カタールLNG供給が完全に途絶えた今、ロシア・エネルギーはもはや制裁対象ではなく、唯一の選択肢になっている。ロシアの石油とガスを武器化しているイラン戦争について語ろう。  
二重の裏切りからインドは一体何を学ぶのか

 対照的に、インドはどんな精神分析的な内閣も崩壊させかねない事例だ。インドは2026年にBRICS議長国を務める。BRICS創設国の一つで、イランも正式加盟国だ。BRICS創設国は皆、エプスタイン・シンジケートによる対イラン戦争を非難した。ブラジル、ロシア、中国、南アフリカ。インドは三日間も待った末に、イランとアメリカは「穏便に」話し合うべきだと基本的に主張した。

 (兵器輸出の40%がインド向けの)西アジアの死のカルトとモディ首相が防衛協定を締結しつつある中、まさに同じ兵器によって仲間のBRICS加盟国が爆撃されていたのだ。

 事実上、イスラエルで「motherland祖国」(インド)と「fatherland祖国」(イスラエル)についてモディは熱く語っていたが、それは、西アジアの死のカルトと、エプスタイン・シンジケートがテヘランで斬首攻撃を開始するわずか48時間前のことだった。

 実質的に、モディ一味は武器商談とトランプ大統領の関税軽減を国際法よりも優先したのだ。

 そして状況は更に汚らわしくなる。

 インド海軍軍事演習にイラン軍艦イリス・デナ号が参加していたにもかかわらず、国際水域でアメリカ軍が魚雷攻撃を行ったことを非難する形式的声明すらインドは発表できなかった。全BRICS創設諸国が、この攻撃を非難した。インドは非難しなかった。

 論争は依然続いている。非武装で招待客だったイリス・デナの座標を、インドがアメリカに提供した可能性さえある。そして今、アメリカの圧力を受け、スリランカは遺体のイランへの引き渡しを拒否している。

 インドの裏切りがBRICS諸国をどれほど深刻な分裂に陥れたかを評価するには時間がかかるだろう。現状、BRICS諸国は昏睡状態にある。

 おそらく、そこから何か良いことが起きるかもしれない。それはイランの尽きることのない手腕のおかげだ。

 インドのスブラマニヤム・ジャイシャンカル外務大臣がイランのアバス・アラグチ外務大臣と電話会談した。

 アラグチ外務大臣は、まさに完璧な紳士ぶりで臨んだ。インドに説教したり、アメリカ流に怒りを爆発させたりすることはなかった。彼は抑制的態度で臨んだ。インドが極めて窮地に立たされているのを十分認識していることと、この戦略的曖昧さを敵対的なものではなく、むしろ有益なものとイランが捉えていることをインドに伝えたのだ。

 実際、イランは事実上インドの隣国だ。イラン南部のマクラン海岸は、アラビア海を挟んでインド西海岸の真向かいだ。グジャラート州のカンドラ港からシースターン=バロチスタン州のチャーバハルまで僅か550海里だ。まさに海上回廊、何世紀にもわたり二つの文明国を結ぶ海のシルクロードだった。

 そして今、これら全てが、ロシア、イラン、インドの三つのBRICSを結ぶ国際南北輸送回廊(INSTC)の一部として復活した。これは私が昨年イランで撮影したドキュメンタリー「黄金回廊」の主題だ。

 しかも、イランはインドにとって最も近い石油とLNGの主要供給源だ。

 ロシアはインドにも教訓を与えつつある。ロシアのアレクサンドル・ノヴァク副首相が認めた通り、ロシア産原油輸入におけるインドのシェアを最大40%まで引き上げる用意がロシアにあるにせよ、エネルギー割引を受けられなくなるなどインドは高い代償を払うことになろう。

 エプスタイン・シンジケートによるイラン攻撃がもたらす莫大な利害関係を理解する上で、ニューデリーは事態の全容を把握できていない可能性がある。

 だがモスクワと北京は全く新たなレベルに達している。最良の結果、つまり混沌の帝国が勝てない戦争、そして支払えない代償を伴う戦争に彼らは投資しているのだ。

 お膳立ては整った! ロシアはイランに今後の進展を伝えた。ロシアと中国は重要情報と24時間体制の衛星監視を提供し、分散型モザイクで力仕事を担うのだ。例外主義者による攻撃「計画」は、はなから根本的欠陥があったのだ。

記事原文のurl:https://strategic-culture.su/news/2026/03/12/how-russia-and-india-approach-the-war-on-iran/

----------

 The Real Scott Ritter
Zionism, the Human Parasitoid (Revisited)
Republished just to remind all Americans as fuel prices skyrocket and our economy collapses, we know who to hold accountable--Zionism, the human parasitoid that has attached itself to America.

Scott Ritter
Mar 19, 2026

 デモクラシータイムス
<のこのこ訪米 高市リスク>【山田厚史の週ナカ生ニュース】1:27:40
 植草一秀の『知られざる真実』
160兆円に上乗せ80兆円上納金

2026年3月14日 (土)

ミサイルの流れを見守る中国



ペペ・エスコバル
2026年3月10日
Strategic Culture Foundation

 ホルムズ海峡封鎖は欧米諸国を粉砕するかもしれない。だが中国を粉砕することはできない。

❗️Telegram Twitter , と VK でご参加願いたい。

お問い合わせ: info@strategic-culture.su

 さあ本題に入ろう。BRICSは深刻な昏睡状態に陥っている。少なくとも一時的には、今年後半にBRICS首脳会議を主催するインドにより、その状況は悪化している。まさに最悪のタイミングと言えるだろう。

 インドはBRICS正式加盟国であるロシアとイランを次々裏切ってきた。エプスタイン・シンジケートとの連携を確固たるものにすることで、インドは疑いの余地なく、自らが信頼できない国であると証明しただけでなく、「グローバル・サウスを率いる」という高尚な主張そのものが完全崩壊したのだ。

 BRICSは完全に刷新されなければならない。セルゲイ・ラブロフ外相でさえ、この避けられない結論に至らざるを得ないだろう。かつてのプリマコフ・トライアングル、「RIC」は再び消滅する。たとえインドがBRICSから追放されなかったとしても、停止される可能性もあるが、「RIC」は必然的にロシア・イラン・中国、あるいは「RIIC」(ロシア・イラン・インドネシア・中国)と翻訳されなければならないだろう。

 グランド・チェス盤における我々の立ち位置について、マイケル・ハドソン教授は次のようにまとめている。「偉大なる力を与える虚構は消え去った。アメリカはロシア、中国、イランによる攻撃から世界を守っていない。世界の石油貿易を支配するというアメリカの長期目標は、テロの継続と中東における永続的戦争を必要としている。

 次に何が起ころうとも、西アジア全域でテロは続く。イラン国民が政権転覆を拒否したために、エプスタイン・シンジケートのように変態的な無力感と純粋な怒りから、テヘランの民間人(強調は筆者)に黒い雨を降らせたのだ。

 更に、少なくとも今世紀半ばまでに、問題の核心はかつてないほど明確になっている。国際的混沌を生む例外主義体制が優勢となるか、それとも中国が背後から主導権を握る、グローバル・サウス主導の平等主義体制に取って代わられるかだ。

 これは、イラン戦争に関連するBRICS諸国の主要な相互作用に関する二部構成の分析だ。今回は中国に焦点を当て、次回はロシアとインドに焦点を当てる。
 
撃たないで! 私は中国の所有物だ!

 中国がイランを支援する準備をしていると「示唆」するアメリカ情報機関に関する無知なMICIMATT(軍産複合体、議会、情報機関、メディア、学界、シンクタンク複合体)の推測は、またしても、中国の高度な知識が、バーバリアから発信される取るに足らない「分析」を完全に回避している証拠だ。

 まず第一に、エネルギーだ。中国とイランは、エネルギーとインフラ投資を本質的に連動させた相互に利益のある4,000億ドル規模の25年協定を締結した。

 事実上、ホルムズ海峡が封鎖されているのは、西側諸国がパニックに陥って保険金を撤回したためで、テヘランが封鎖したためではない。

 中国はイランの原油輸出全体の90%を占めており、これは中国の総輸入量の12%に相当する。重要なのは、中国が依然イラン産だけでなく、サウジアラビア、アラブ首長国連邦、クウェート、カタール、イラク産の輸出も利用できることだ。これは、テヘランと北京の戦略的協力関係が鉄壁で、中国行きタンカーがホルムズ海峡を行き来できることを意味する。

 北京とテヘランは、事実上多国間で閉鎖されている重要な海上回廊において、先週金曜日から運用されている二国間安全通航協定を締結した。益々多くのタンカーがトランスポンダーに「中国所有」(強調は筆者)という魔法の言葉を送信するようになっているのも不思議ではない。これは彼らの海軍外交パスポートなのだ。

 翻訳 ? そしてそれは、大変革をもたらす出来事だ。混沌の帝国の海洋政治覇権終焉だ。

 特定の海上連結回廊における「航行の自由」は、今や「中国との取り引き」を意味する。中国所有ならまだしも、欧州、日本、更に韓国所有のものは認められない。

 テヘランが確実に得ているのは、エプスタイン・シンジケートとの戦いにおける中国のハイテク支援だ。そして、それは戦争の前から始まっていた。

 中国の情報収集船「遼王1号」は、次世代の信号諜報(SIGINT)および宇宙追跡船であり、数週間にわたりオマーン沿岸付近を航行し、イランに対しエプスタイン・シンジケートの海上および空中の動きに関する電磁情報をリアルタイムで提供している。

 これが、イランの攻撃のほとんどが極めて正確な大きな理由だ。

 遼王1号は、055型駆逐艦と052D型駆逐艦に護衛され、少なくとも5つのレーダードームと高利得アンテナを搭載し、ディープラーニング・アルゴリズムを用いて、少なくとも1,200個の空中目標とミサイル目標を同時に正確に追跡する。センサーの射程範囲は約6,000キロだ。

 素晴らしいのは、これらセンサーが中国の衛星やアメリカ空母を同様に追跡できることだ。

 翻訳: 中国は、ニューラルネットワーク処理監視プラットフォームを国際水域に航行させることで、一発の銃弾も撃たずに戦略的パートナーを支援している。

 つまり、中国は戦争を24時間365日、ライブで録画しているのだ。

 遼王1号を補完する300基以上の吉林1号衛星が文字通り全てを記録し、活動中の混沌の帝国の大規模ISRデータベースを構成している。

 テヘランからも北京からも公式確認はないだろう。だが、北斗を介して中継された中国の実情報は、バーレーンにある米第5艦隊インフラを完全に破壊するために、テヘランにとって決定的に重要だったのは確実だ。このインフラは、包括的レーダー、情報、データベースセンターであり、西アジアにおけるアメリカ覇権の基盤だった。

 戦争の冒頭で取り上げられているこの章は、戦略的な要衝とエネルギー輸送を掌握するという帝国が設計した権力闘争を粉砕し、中国がそこに出入りできないようにするために、テヘランがいかにして核心に迫ったかを明らかにしている。

 驚くべきことに、我々がリアルタイムで目にしているのは、イランが混沌の帝国にとって重要な海上要衝と、港湾と海軍連絡路を遮断している状況だ。現時点ではペルシャ湾とホルムズ海峡が対象だ。近いうちに、イエメンのフーシ派やバブ・エル・マンデブ派の協力を得て、それも実現するかも知れない。

 これは中国だけでなく、海上輸出経路を開いたままにしておく必要があるロシアにも利益をもたらす最大の変革だ。  
金を儲けて東へ行け

 さて資金の流れを追ってみよう。中国は7,600億ドルのアメリカ債を保有している。北京は銀行体制全体に、明日がないかのようにアメリカ債を売却し、同時に金を蓄えるよう命じている。

 中国とイランは既に人民元で取り引きを行っている。今後、代替決済システムの実験を行っているBRICSラボは、脱出速度に達する必要がある。これには、BRICS PayからThe Unitまで、テストされている全ての仕組みが含まれる。

 そして、資金流出の波が押し寄せている。サウジアラビア、UAE、カタール、クウェートは、不正の有無に関わらず、アメリカと締結したあらゆる商談を既に「見直し」ている。これらの国々は、アメリカ債、シリコンバレーのテクノロジー企業への投資、不動産など、総額二兆ドルにも上るアメリカ投資を保有している。

 東アジアに資金の津波が押し寄せ始めている。現状では、最も人気の高い行き先は香港ではなくタイだ。いずれ香港もそうなるだろう。そして深圳や広州と並んで粤港澳大湾区の主要拠点の一つである香港は、再び中国に莫大な利益をもたらすだろう。

 中国の戦略原油備蓄と商業原油備蓄は最大4か月分に相当する。これに加え、ロシア、カザフスタン、ミャンマーからの海上輸送やパイプラインによる原油と天然ガスの輸入を増やすことが可能だ。

 従って、十分な戦略的備蓄、複数供給源と「石油から電力への需要側の移行」の組み合わせは、再び中国の強靭性を示すものだ。ホルムズ海峡封鎖は欧米諸国を粉砕するかもしれないが、中国を粉砕することできないだろう。

記事原文のurl:https://strategic-culture.su/news/2026/03/10/china-watching-the-missiles-flow/

----------

 決して見たくない画像を見せられた。一種醜悪ポルノ。迷惑行為。

 小生、エセ黄金緑たぬきに投票などしていない。

 東京新聞 朝刊 一面  
 予算案 衆院通過

 委員会審議 最短59時間

 与党「数の力」で強行

 全野党が反対

 「国論二分政策」も強引さ懸念
 東京新聞 朝刊 三面  
 モジタバ師初声明「ホルムズ封鎖継続」


2026年2月25日 (水)

TRIPP: そんなに素晴らしいのなら、なぜ密室でやるのか?

Henry Kamens
2026年2月17日
New Eastern Outlook

 南コーカサスの平和と繁栄への新たな道として提示された「国際平和と繁栄のためのトランプ・ルート(TRIPP)」は実際はユーラシア貿易回廊の支配を狙った、遙かに広範な地政学的ゲームの一部だと判明するかもしれない。

 

 もっと大きな計画だ!

 アメリカと地域当局が12月下旬にTRIPPを発表した際、文言は包括的だった。ワシントンのユーラシア連結戦略の「礎」で、平和への道筋で、中央ユーラシア全体の発展の触媒となると。まるで夢物語のようだった! この発表は、アゼルバイジャン商工会議所主催のハイレベル大使円卓会議に続いて行われたもので、南コーカサスと中央アジアの外交官、アメリカ高官、民間部門の代表者が一堂に会した。

 しかし、この催し自体は、答えより多くの疑問を提起した。アメリカ国務省の公式政策文書や大西洋評議会の新聞発表の行間を読むだけで、本当の姿が垣間見える。注目すべきは、最近の会議が非公開で開催され、公開討論の場も、詳細な資金計画も、独立した精査の機会もなかったことだ。そのため、この円卓会議は、この構想が掲げる繁栄と地域統合という壮大な約束とは対照的なものになった。

 巨大回廊は、包摂的成長をもたらすことは稀だ。利益は建設会社、物流業者と、政治エリート層に流れ込み、地域経済は単なる通過地点と化してしまう危険性がある。

 TRIPPが経済機会と安定をもたらすのを意図しているのなら、なぜ政治・経済エリートの間でのみ議論されたのか? 第一に、その開始をめぐる秘密主義は、このプロジェクトがオープンな開発というより、むしろ戦略的なポジショニング、つまり中国、イラン、ロシア連邦との競争が激化する時代にユーラシア貿易ルートを掌握しようとする公然たる試みであることを示唆している。

 USACC、アメリカ・ユーラシア連結戦略の礎となるTRIPPに関する初の大使円卓会議を主催  
「そんなに素晴らしいのなら、なぜ隠すのか?」

 このイベントが、南コーカサスと中央アジアの各国大使、アメリカ政府高官、民間部門幹部らを集め、TRIPPがいかにしてインフラ開発を加速させ、地域連携を強化し、中央回廊沿いにアメリカの永続的な経済的存在感を定着させられるかを検討する非公開の討論会であった事実は、疑問を生じさせるべきだ。

 早速、新聞発表を平易な英語に翻訳してみよう。

 「アメリカのユーラシア連結戦略の礎」で、TRIPPがどのように「アメリカの永続的な経済的存在感を支え」、「インフラ開発を加速させる」のか…だが、一体誰の利益になるのか、そして誰が勝者で誰が敗者になるのか? 実際は、アメリカは中央アジアとコーカサス(いわゆる「中間回廊」)を横断する貿易経路とインフラへの影響力を望んでおり、これが新たなグレートゲーム、すなわち地政学的ポジショニングの鍵で、いわゆる経済発展と同じくらい地政学的利害関係者間の力関係の転換を促しているのだ。

 実際は、これは中国の一帯一路構想と、この地域におけるロシアの伝統的優位性を相殺、あるいは対抗することを目的としていることに留意すべきだ。「TRIPP」協定は、おそらくこの戦略のブランディング活動で、地域の当事者たちにwin-winの結果をもたらすような完全なプロジェクトではない。とは言え、少なくともアルメニアの公式見解からすれば狙いは全く異なる。

 さて非公開部分が最も多くのことを明らかにしているが、我々は自問しなければならない。「なぜ、現地の人々の協力を得て、透明性を重視し、一般の人々を含む地元の利害関係者が自らの利益を見出せるような公共開発構想を実施しないのか?」 商工会議所主催の催しの詳細な計画や、資金調達の詳細や、新聞発表だけでなく、報道関係者との対話の機会など、公開フォーラムが開催されるはずだと考えるだろう。だが、この催し全体から見ると、これはアメリカ政府と側近による特別権益団体による地域支配の試みに関連しているという印象を受け、より価値の高い主張や善意に近づくためのものではない。

 TRIPPは「アゼルバイジャン商工会議所の傘下」と謳われており、実際は戦略的議論であるにもかかわらず、事業的な口実を与えている。中立的印象を与えるが、実際は非常に政治的な側面があり、「中央ユーラシア全域における新たな戦略的関与」という主張を展開している。これは外交上の二重表現で「我々は以前撤退し、気を散らされたが、特にイランが我々の標的となっている今再び関与しようとしている」という意味の隠語だ。

 TRIPP:平和と繁栄ではなく、権力の回廊

 しかし、協力と繁栄という言説の背後には、遙かに戦略的な野望が隠されている。それは、ユーラシアの輸送路における影響力の再編で、これは主にアメリカとその協力者に有利になる可能性がある。TRIPPは、アルメニア南部を横断する輸送・物流回廊として宣伝されており、アゼルバイジャンと、その飛び地ナヒチェヴァンを結び、中央アジア、カスピ海、南コーカサス、トルコを経由して中国とヨーロッパを結ぶ経路、いわゆる「中央回廊」につながる。このプロジェクトは、鉄道、高速道路、エネルギー・インフラ、デジタル・ネットワークを統合する。長期的開発権と管理権が西側諸国とつながりのある組織に保有されると予想されるのは当然のことで、これは、このプロジェクトが草の根開発や紛争解決というより、地政学的再編を目的としていることを示唆している。

 意図された勝者

 最も大きな受益者はアメリカである可能性が高い。重要な輸送動脈の管理における役割を確保することで、アメリカはイランとの国境地域への戦略的アクセスを獲得する。また、サプライチェーン、エネルギーの流れや地域貿易において影響力を行使できるようになる。この意味で、インフラは外交と軍事的優位性を獲得する手段となる。このプロジェクトにより、アメリカは長らくロシアに形成され、平和維持の名の下で中国の影響を強めている地域に介入できる。

 アゼルバイジャンは戦略的にも利益を得ることになる。この回廊は、カスピ海盆地とトルコとヨーロッパを結ぶ交通ハブとしての役割を確固たるものにし、アルメニアに対する軍事的勝利後の地域的地位を強化することになる。通過料、物流サービスと、政治的影響力は全て、チョークポイントを支配する国にもたらされる。トルコは、この路線の西側玄関口として利益を得る。既に中央回廊の中心的役割を担っているアンカラは、ヨーロッパとアジアを結ぶ架け橋としての役割を更に強化するだろう。

 建設会社、物流会社、エネルギー会社といった民間部門は、静かな勝利者と言えるだろう。長期的特権や運営権は、特に政治的な支援と資金力のある企業にとって、安定した収益を約束する。

 だが、一体誰が敗者なのか?

 ロシアとイランは最も明らかな敗者として浮上する。両国とも、近隣諸国への影響力を維持するため、通過国としての地位に大きく依存している。アメリカが支援する代替回廊は、その影響力を弱め、地域政府にモスクワとテヘランを迂回する経路を提供する。

 中国はこの回廊から排除されているわけではないが、TRIPPは中国が資金提供した路線から注目と交通を逸らして、北京の「一帯一路」構想と競合している。このプロジェクトはBRIに公然と敵対しているわけではないものの、中国と直接対峙することなく、中国のインフラ整備に対抗しようとする欧米諸国の広範な取り組みを反映している。

 アルメニアの立場は最も複雑だ。投資と輸送収入は得られるかもしれないが、領土内の微妙な地域における戦略的自治権を放棄し、アメリカの「善意」に頼らざるを得なくなるリスクがある。

 一般人が恩恵を受けにくい理由

 巨大回廊が包摂的成長をもたらすことは稀だ。利益は建設会社や物流業者や政治エリート層に流れ込み、地域経済は単なる通過地点と化してしまう危険性がある。健全な開発政策、産業政策、製造業や、持続的地域投資がなければ、道路や鉄道は移動を可能にするものの、永続的繁栄をもたらすことはできない。

 政治リスクも同様に深刻だ。非公開交渉は、特に紛争後の脆弱な社会や回廊地域において、不信感と腐敗を生み、和解よりもむしろ反感を深める可能性がある。アルメニアでは、主権と安全保障上の懸念が約束された歳入を上回る可能性がある。アゼルバイジャンでは、利益は国家とつながりがあるエリート層に流れ込む可能性が高く、中央アジアでは、トランジット・レントへの依存が、多様化を促進するどころか、搾取モデルを固定化してしまう可能性がある。

 TRIPPは繁栄への高速道路として売り出されてはいるものの、インフラ整備競争における新たな戦線のようなものだ。透明性、地域主体の主体性や、本物の経済統合が欠如しているため、遠く離れた狭い地域特有の利益のために構築された巨大プロジェクトになる危険性がある。ブランド・イメージを剥ぎ取れば、開発回廊というより、むしろ電力回廊、つまり協力関係という言葉でユーラシアの地図を書き換えようとする企みに見える。歴史が示す通り、このような計画が現地住民の生活を下から変革することは滅多にない。

 結局、これは道路や鉄道の問題だけでなく、影響力や、支配力や、誰がルールを定め、誰が利益を得るのかという問題でもある。アルメニアの政治情勢と今後の選挙が不確実性を高める中、TRIPPの平和と繁栄の約束は現実よりむしろ言葉だけのものに過ぎない。

 政治的、社会的状況、特にアルメニアで予定されている選挙は、最終的に事態を一層複雑にするだろう。

 Henry Kamensは中央アジアとコーカサスの専門家、コラムニスト

記事原文のurl:https://journal-neo.su/2026/02/17/tripp-if-it-is-so-great-then-why-behind-closed-doors/

----------

 クリス・ヘッジズ記事、書き起こしあり
 ウィトコフとクシュナー交渉ペアをサイレント喜劇コンビ、ローレル&ハーディになぞらえて記事は始まる。

 The Chris Hedges Report
The Suicidal Folly of a War with Iran [VIDEO]  4:08
Chris Hedges
Feb 25, 2026

 東京新聞 朝刊 特報面  
 米論文「普天間は辺野古と併用を」

 「唯一の解決策」政府説明と矛盾

 返還条件に「長い滑走路」

 くすぶる「継続使用」疑念

 軟弱地盤くいうち進まず「長期化懸念」

 「オール沖縄」選挙連敗「南西シフト」進行に危機感
 「本音のコラム」は斎藤美奈子さん。
 危ない民意 から抜粋させていただこう。
 
 首相の「台湾本有事発言」
 多くの新聞や識者が批判的ないし懸念を示す立場をとった。
  だが、世論調査の結果は違ったのである。
  首相の発言は「問題ない」50%「問題あり」25%(毎日新聞25年11月)
 中略
 世論は外国との対立に激しやすく、強硬な意見に傾く傾向がある。
 そして戦争が近づいた時にはもう遅い。
  首相のたった一言が招いた危機。日中関係を回復させる方法はないのだろうか。


より以前の記事一覧

その他のカテゴリー

エチオピア 911事件関連 AI Andre Vltchek BRICS Caitlin Johnstone CODEPINK Eric Zuesse Finian Cunningham GMO・遺伝子組み換え生物 ICE ISISなるもの James Petras John Pilger Mahdi Darius Nazemroaya Mike Whitney Moon of Alabama NATO NGO Pepe Escobar Peter Koenig Prof Michel Chossudovsky Saker SCO Scott Ritter Stephen Lendman Thierry Meyssan Tony Cartalucci/Brian Berletic TPP・TTIP・TiSA・FTA・ACTA Unz Review Wayne Madsen WikiLeaks William Engdahl wsws アフガニスタン・パキスタン アメリカ アメリカ軍・軍事産業 アルメニア・アゼルバイジャン イエメン イギリス イスラエル・パレスチナ イラク イラン インターネット インド イーロン・マスク ウォール街占拠運動 ウクライナ エプスタイン オセアニア・クアッド オデーサ オバマ大統領 オーウェル カジノ カナダ カラー革命・アラブの春 キューバ ギリシャ クリス・ヘッジズ グリーンランド グレート・リセット サウジアラビア・湾岸諸国 シェール・ガス・石油 シリア ジーン・シャープ ソマリア ソロス タイ チベット チュニジア・エジプト・リビア・アルジェリア テロと報道されているものごと トヨタ問題 トランプ大統領 トルコ ドイツ ナゴルノ・カラバフ ノルドストリーム ノーベル平和賞 バイデン政権 バングラデシュ パソコン関係 ヒラリー・クリントン ビル・ゲイツ フィル・バトラー フランス ブラジル ベネズエラ ベラルーシ ホンジュラス・クーデター ボリビア ポール・クレイグ・ロバーツ マスコミ ミャンマー ユダヤ・イスラム・キリスト教 レバノン ロシア 中南米 中国 中央アジア 二大政党という虚構・選挙制度 伝染病という便利な話題 共産主義 北朝鮮・韓国 地球温暖化詐欺 地震・津波・原発・核 宗教 憲法・安保・地位協定 授権法・国防権限法・緊急事態条項 文化・芸術 新冷戦 新自由主義 日本版NSC・秘密保護法・集団的自衛権・戦争法案・共謀罪 旧ユーゴスラビア 映画 東ヨーロッパ・バルト諸国 東南アジア 民営化 無人殺戮機 田中正造 経済・政治・国際 英語教育 読書 赤狩り 通貨 選挙投票用装置 関税 難民問題 麻薬 麻薬とされるマリファナについて

お勧め

  • IWJ
    岩上安身責任編集 – IWJ Independent Web Journal

カテゴリー

ブックマーク

最近のトラックバック

無料ブログはココログ