ロシア

2025年3月21日 (金)

エネルギー関連の一時停戦合意を依然拒否しているウクライナ

2025年3月19日
Moon of Alabama

 昨日のアメリカのドナルド・トランプ大統領とロシアのウラジミール・プーチン大統領との電話会談で公に知られている結果は極めて僅かだ。  
本日の電話会談に先立ち、ドナルド・トランプはロシアのウラジーミル・プーチン大統領との会談を大々的に宣伝した。

 だが、結果は、さほど自慢できるものではなさそうだ。

 クレムリンに騙されたと思わせずに、ウクライナ和平に向けて前進があったと主張するのに十分な情報をロシア大統領は、アメリカ大統領に与えた。

 ウクライナのエネルギー・インフラ攻撃を30日間停止するというプーチン大統領の誓約をトランプ大統領は指摘できる。それが実際に実現すれば、民間人に多少の救済をもたらすだろう。

 だが、これはロシアにアメリカが望んでいた完全かつ無条件停戦からは程遠い。
 二時間以上に及ぶ電話会談の長さは、ウクライナ停戦以外にも話し合うべき事項があったことを示唆している。だが、どちら側も、その事項が何であったかに関して、ヒント以上のことは語っていない。

 エネルギー施設攻撃を直ちに停止するとロシアが誓約したのは全く新しいことではない。

 昨日の会談後のロシア発表には対エネルギー施設停戦が明確に言及されている。  
会談中、ドナルド・トランプ大統領は、両国が30日間エネルギー・インフラ攻撃を相互に控える提案をした。ウラジーミル・プーチン大統領はこの提案に好意的に反応し、直ちにロシア軍に関連命令を出した
 ホワイトハウス発表はこの申し出を認めているが、受諾の日付は明らかにしていない。  
平和への動きはエネルギーとインフラの停戦、そして黒海海上停戦、完全停戦、恒久的平和の実施に関する技術的交渉から始めることで首脳らは合意した。これら交渉は中東で直ちに開始される。
 ウクライナはまだそのような合意に同意していないようだ(機械翻訳)。  
ウクライナは、エネルギー・インフラ攻撃を止める提案の支持を否定しなかった。

 これはウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領が記者との会話の中で述べたものだ。

 「我々はエネルギー部門に対し、いかなる武器でも攻撃しないという立場を常に支持してきた」とゼレンスキー大統領は述べた。

 同時に、まだ決定を下していないことをウクライナ大統領は明らかにした。

 「アメリカ大統領とアメリカ側から詳細を受け取った後、エネルギー・インフラ攻撃を止める提案に対する我々の対応を準備し表明する。チームは技術的交渉の準備を整える」とゼレンスキーは述べた。
 エネルギーインフラへの攻撃を直ちに停止するというプーチン大統領の譲歩は、今のところ(再び)拒否された。昨夜、ウクライナはロシア・エネルギー施設攻撃を続けた

 
2025年3月19日夜、米露高官協議が終了し、アメリカ大統領のウクライナ電力インフラ攻撃を一時停止する提案をロシア連邦大統領が受け入れてから数時間後、キーウ政権はスタニツァ・カフカスカヤ(クラスノダール地方)の電力インフラ施設に三機の固定翼無人航空機による意図的攻撃を開始した。

 この施設は、鉄道タンク車から国際石油輸送会社カスピアン・パイプライン・コンソーシアム (CPC) のパイプライン システムへの石油積み替えを実現するものだ。
 火災が発生し、それによる損害が発生した。  
これは、アメリカ大統領の平和構想を弱体化させることを狙って、キーウ政権が意図的に準備したもう一つの挑発行為であることは明らかだ。
 エネルギー施設攻撃を阻止するための最初の合意は、FTが昨年10月に報じた通り、2023年秋に締結された。

 過去にも、合意を仲介する試みは失敗している。キーウとモスクワは昨年秋、互いのエネルギー施設を攻撃しないという「暗黙の合意」に達したとウクライナ当局者四人がフィナンシャル・タイムズに語っていた。

 その結果、ロシアはその冬、2022年から2023年にかけてウクライナの電力インフラに対してしたような大規模攻撃を控えたとウクライナ当局者二人とワシントンの事情に詳しい人物一人が語った。

 この合意は正式合意への道を開くことを意図したものだったと関係者らは語った。

 だが2023年の反撃が失敗した後、モスクワへの圧力を強めようとして、キーウは今年2月と3月にロシア石油施設へのドローン攻撃を再開した。

 エネルギー・インフラ攻撃を禁止する二番目の協定は2024年8月に作成中だった。ウクライナによるロシアのクルスク州侵攻により、この協定は受け入れられなかった。2024年10月、ウクライナは再びそのような協定を懇願し始めた。

 事情に詳しい関係者によると、ウクライナとロシアは互いのエネルギー・インフラ攻撃停止について予備的な協議を行っている。

 ウクライナ高官を含む関係者によると、キーウは、8月に合意に近づいたがウクライナのクルスク侵攻により頓挫したカタールの仲介による交渉再開を目指していたという。

 理由は不明だが、当時この合意は復活しなかった。

 昨夜ウクライナがロシアの別のエネルギー施設を攻撃したのは、こうした合意を阻止、あるいは破棄した三度目だ。だがロシアは常に合意を追求する姿勢を見せてきた。

 ウクライナは、エネルギー施設に関する30日間の小規模停戦であれ、いかなる合意も封鎖する決意をしていると思われる。

 トランプ政権がキーウに更に圧力をかけない限り、いかなる停戦合意も実現する可能性はあるまい。

記事原文のurl:https://www.moonofalabama.org/2025/03/ukraine-still-rejects-temporary-energy-related-ceasefire-deal.html

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 Judging Freedom
Prof. John Mearsheimer : Can Europe Survive? 27:44
 今朝の孫崎享氏メルマガ題名
トランプ大統領補佐官達、4月2日に向け数兆ドル相当の輸入品に新たな関税を課す準備。 大統領就任後2カ月間で、中、加、墨輸入品約8000億ドル分に関税引き上げ→株式市場を急落、米国の景気後退リスクを高めた。すでに動揺している世界市場と国内経済をさらに揺るがす可能性が高い(WP)

2025年3月17日 (月)

「欧州再軍備」計画:美辞麗句なのか、無謀な賭けなのか?

Henry Kamens
2025年3月14日
New Eastern Outlook

 ウクライナ紛争が続く中、欧州の軍事的野心と政治的分裂により、欧米諸国の支援の持続性には深刻な疑問が生じている。

 「欧州再軍備」計画:美辞麗句なのか、無謀な賭けなのか?

 ウクライナ特別軍事作戦が長引く中、いわゆるゼレンスキー大統領は欧米同盟国から更なる財政援助や軍事支援や安全保障の保証を得ようと努力を続けている。疲弊が増しているにもかかわらず、多くの欧州諸国は、少なくとも言葉上では関与を続けている。

 一方、欧州は「欧州再軍備計画」の下、軍事的野心を高めているが、その持続可能性と本当の狙いには深刻な疑問が浮上している。ウクライナ紛争が長引く中、イギリスやフランスやドイツ指導者は防衛費と軍事支援増額を要求しているが、国益は依然分裂している。主要当事者のポーランドは完全には足並みを揃えない可能性があり、欧州が一致団結して行動できるかどうか疑問視されている。

 ヨーロッパ政治体制は、欧米諸国グローバリストの広範な思惑に深く絡み合っている。  舞台裏で、これら主要人物連中は複雑な綱渡りをしている。つまり明確な終わりの見えない武力紛争で、納税者の金の再分配を管理しながら、自らの政治的利益を守るのだ。彼らの政治的出世と経済的利益がかかっている。だからこそ連中はより大きな戦争を引き起こす可能性があることに全力を尽くすのだ。

 イギリス政府が主張している通り、約20カ国がウクライナ有志連合に加わる可能性があるとBBCは報じている

 新展開

 状況が益々深刻化する中、新たな展開が続いている。ウクライナ政府が野党を禁止する決定を更に下したことで、民主主義の後退に対する懸念が一層高まっている。火に油を注ぐように、欧州委員会のウルズラ・フォン・デア・ライエン委員長は未曾有の安全保障上の脅威を警告し、ヨーロッパ防衛は、もはや外部の同盟諸国だけに頼ることはできないと強調した。ヒント:アメリカには頼れない。

 一方、アメリカは状況を制御しようとしており、ドナルド・トランプは政策を大幅転換し、在米ウクライナ難民約24万人の一時保護地位取り消しを検討している。おそらく、これはホワイトハウスでのゼレンスキー大統領の悲惨な弾圧を受けて、怒りの抗議活動を行ったアメリカ内の政治活動に積極的な難民を罰する二重の目的があるのだろう。

 この決定は、第三次世界大戦を防ぐための一時しのぎとして、キーウに交渉を迫る広範な戦略的取り組みの一環だとも広く見られている。だが、ウクライナは兵役年齢の男性を多数確保したいと望んでいるため、行動の有効性は不透明で、ほとんどは最終的にカナダに行くことになるだろう。

 これは驚くべきことではない。ウクライナからの憂慮すべき報告や映像には、若い男性が街で強制的に徴兵される様子が映っており、戦争による人的被害を痛烈に思い起こさせる。国際指導者が次の行動を検討する中、疑問が残る。政治的、経済的現実で方針が変わる前に、ヨーロッパと同盟諸国は、どれだけ長く約束を守れるのだろう?

 当然、これは交渉による解決を迫るゲーム理論の最終場面の一部だ。とはいえ、幕が上がったら、何があろうともショーは最後まで続けなくてはならないのだから、それがうまくいくかどうかには議論の余地がある。

 ロシアとの紛争から逃れた多くのウクライナ人がアメリカから間もなく強制送還されるかもしれないと報じた、ウクライナ人の保護的地位の変更に関するロイターのリンクを、私が幅広い友人と共有できなかったのは当然だ。だが欧米諸国で、文字通り路上で誘拐され、家や車から引きずり出され、そもそも起こるべきでなかった紛争で死なざるを得ない若者のビデオを見た人は一体何人いるのだろう。砲弾の餌食として死ぬ可能性が最も高い男性や少年は、この紛争の現実をあまりに良く知っている。

 フランスとイギリスは戦いに加わるのに熱心だが、代償は?

 欧州の同類の仲間とNATO同盟諸国が、ウクライナと自国軍に対する財政的・軍事的関与をいかに増やすかを議論する中、ワシントンのおなじみの文句「口先だけでなく行動で示せ」が益々大きくなっている。

 ヨーロッパ諸国は長年アメリカに防衛費を頼ってきたが、今や戦争を煽る言辞を実際の行動で裏付けるよう圧力を受けている。中でもフランスとイギリスは戦場で自らを主張するのに特に熱心なようだ。おそらく歴史が示す通り彼ら自身の不利益になるだろう。

 フランスのエマニュエル・マクロン大統領は、フランス軍事力はヨーロッパで最強だと宣伝し、EUに核の盾を提供する用意があるとさえ語るなど、地政学的現実から益々乖離しているようだ。ヨーロッパはアメリカの支援なしにウクライナを防衛できなければならないと彼は主張しており、これは最近の舌戦の中で最も脅迫的発言かもしれない。

 だが核兵器に関するいかなる決定もフランス国家元首に委ねられるという主張は根強い。  
これは基本的に、ウクライナをめぐる米ロ協議を明確に批判し「欧州の将来と、安全保障はモスクワでもワシントンでも決められない」という現在の政策を示している。
 だが冷静に考えさせられる対照的事例を歴史は提供している。ディエンビエン・フーでの悲惨な敗北を伴ったインドシナ戦争(1946-1954年)からアルジェリアでの壊滅的失敗まで、フランス軍の失敗は、決意の固い軍に対し能力を過大評価する危険性を強調している。アメリカも後にベトナム、イラク、アフガニスタンで同様教訓を学ぶことになる。

 現在、フランスとイギリス軍がウクライナに展開する可能性に関する憶測が高まっている。この緊張が高まれば、紛争は根本的に変わるだろう。だがヨーロッパ政治体制は、アメリカ民主党の政策立案者に少なからず形成された、より広範な欧米グローバリストの思惑に深く巻き込まれている。だが、ロシア打倒に執着するあまり、彼らは間もなく直面するかもしれない戦略的、軍事的リスクに目を向けていない。

 消耗戦が長引き、欧米諸国の軍備が減少する中、疑問が残る。欧州指導者連中は、新たな勝ち目のない戦線に身を置く前に、こうした厳しい現実を認めるのだろうか。そして、この混乱にどれだけの国々が巻き込まれるのか。それは特にトルコが関与する可能性があるクリミア戦争を思い起こさせる。

 全てが計画の一環!

 その間終始、ロシア資産を盗むのは構わないと連中は考えているが、破綻する経済や窃盗国家に投資する人は誰もいないので、EU経済を破壊することになる。評論家全員が同じセリフを確信を持って繰り返し、一般大衆はそれを信じる傾向がある。連中は自分自身さえ信じているのかと、私は落胆しつつ疑問に思う。

 欧米諸国の識者の中には、トランプ大統領のウクライナ支援停止は、第二次世界大戦でアメリカが陣営を変えたようなものだと主張したがる連中もいる。全てうまく収まり、陣営を変えることと無関係に、大金を手にして笑っているだけだ。欧州は「重大な」脅威に対処するため、未曾有の8400億ドル再軍備計画を発表し、防衛大手BAEとタレスの株価は急騰している。

 では、ウクライナを助けたいという集団的願望に実質があるのだろうか、それとも単にウクライナを口実に、自国納税者から金を奪っているだけなのか?

 ゼレンスキーがフロリダに3500万ドルの邸宅を所有し、海外銀行口座に12億ドルを保有している主張について語っている人はほとんどいない。ゼレンスキーは家15軒、自家用飛行機3機とヨットを所有している。月収1100万ドル。二流俳優で、包囲され誤解されている民主党員としては悪くない数字だ。

 「右翼」政党の台頭に見られるように、EU指導者連中は自国民の怒りの高まりを無視しているようだ。不正選挙や法の支配に直面して、ヨーロッパの人々が革命時代を思い出すかどうかは疑問だ。

 結局、戦争に関する議論は、主にイギリス、フランス、ドイツのものだが、単なる美辞麗句に留まる可能性が高い。ヨーロッパは、宣言した「戦闘計画」で統一されている状態とは程遠い。最も声高に主張する政治家の多くは、国家の優先事項が大きく異なる事実を見落としているようだ。たとえば、ポーランドは依然重要な不確定要素だ。ポーランドは「欧州再軍備計画」の特定側面に同調するかもしれないが、命令を軽々しく受け入れる国ではない。ポーランドの完全な関与がなければ、どんな大戦略も事実上行き詰まる。

 この計画自体無謀で、国家レベルでの防衛費に公的資金を大量投入することを含んでいる。EU加盟国は、財政的余裕と政治的意志があるかのように、自国の安全保障にもっと多くの資金を費やすことが求められている。EUは少なくともEUのフォン・デア・ライエン委員長(というより、フォン・デア・ライアー!)が提案した防衛パッケージに関する最近の報道発表によれば何らかの形で「共同で」加盟国がそうできるようにしなければならない。  
欧州委員会委員長ウルズラ・フォン・デア・ライエンは、未曾有の安全保障上の脅威を警告し、欧州防衛はもはや外部同盟諸国だけに頼ることはできないと強調した。彼女は、断固たる行動、迅速な対応、防衛費の大幅増加の必要性を強調した。ロンドンでの会議を含む最近の会議は、ウクライナに対する即時支援と長期的軍事的備えの両方に対する欧州諸国の強い決意を示している。欧州は再軍備の時代に入り、自らの安全保障に対してより大きな責任を負わなければならないと彼女は宣言した。
 だが最終的には、国家利益が美辞麗句より優先され、ヨーロッパ小国が再びドイツやイデオロギー的同盟諸国に従属する事態に陥らないようにするだろう。

 欧州諸国が、流血を継続させるための戦費を捻出する短期的約束にかかわらず、ウクライナ紛争を永久に終わらせられるのは何かという単純な現実を忘れてはならない。

 トランプ大統領は、既存のNATO安全保障協定、更には、あらゆる資金パッケージに深刻な疑問を投げかけている。
 
「彼らが支払わないなら、私は彼らを守るつもりはない」

 Henry Kamensは、コラムニスト、中央アジアとコーカサスの専門家

記事原文のurl:https://journal-neo.su/2025/03/14/rearm-europe-plan-rhetoric-or-reckless-gamble/

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 Judging Freedom 二日前の番組
INTEL Roundtable w/ Johnson & McGovern : Weekly Wrap 33:19
 今朝の孫崎享氏メルマガ題名
16日、中国の劉江永清華大学教授らとの対談で、第二次大戦以降、今日までの日中関係の長期的動向に関し私が説明したポイント。「米国経済が弱体化した中で、同盟が米国の利益になるという考え方は薄れた。露骨な利益追求はトランプ個人だけのものではない→米国追随で日本潤う時代は去る」

2025年3月14日 (金)

様々な問題の責任を支配者以外の全員のせいにするよう我々は騙されている



あなたの敵はモスクワや北京やテヘランにいるわけではない。あなたの敵はワシントンやバージニアやニューヨークやロサンゼルスにいる。あなたの敵はロンドンやパリやブリュッセルやテルアビブにいる。

ケイトリン・ジョンストン
2025年3月12日

 この英語記事の朗読を聞く(朗読:ティム・フォーリー)。

 イスラム教徒はあなたにとって脅威ではない。

 ロシアはあなたにとって脅威ではない。

 中国はあなたにとって脅威ではない。

 トランスジェンダーの人々はあなたにとって脅威ではない。

 移民はあなたにとって脅威ではない。

 私が今言ったことに、あなたが抵抗を感じたら、それは連中が、あなたを騙しているためだ。支配者連中があなたを騙し、あなたの問題を連中以外の誰かのせいにしたのだ。

 敵がいないとか、誰も我々に脅威を与えないと私が言っているのではないことに皆様はお気づきだろう。確かに敵は存在し、彼らは確実に脅威を与えている。人々は騙され、操られ、本当の敵や本当の脅威がどこにあるのか見えないようにされているだけだ。

 あなたにとって脅威となるのは、あなたの国の富や資源を奪い、海外の無辜の人々に軍事暴力をふるい、あなたの公民権を抑圧し、地球を汚染する政治的現状だ。あなたにとって脅威となるのは、環境災害や核による絶滅を通じて人類を権威主義的ディストピアと絶滅へと追いやっているこの現状を維持するオリガルヒや帝国経営者連中だ。

 連中は、あなたが自分の問題の原因を実際問題を引き起こしている人以外の誰かのせいにすることを望んでいる。帝国権益を促進するために破壊したい彼らの主標的の反抗的集団や国家について、あなたを激怒させるのを連中は好むが、それが達成できない場合は、あなたにとって本当の脅威ではない無力なグループを憎むように仕向ければ満足だ。彼らは、あなたの本当の抑圧者、つまり億万長者や銀行家やメディア王や諜報機関や戦争屋や環境破壊的な資本家や軍産複合体の金持ちや、正式に選ばれた政府のあらゆる帝国の手先からあなたの目をそらすため、できることは何でもする。

 我々がお互いに争うのを連中は望んでいるが、敵意と分裂という連中の偽言説を我々が信じた場合にだけ、我々はお互いに脅威になる。移民が右翼に脅かされるのは、右翼がうまく騙されて自分の問題を移民のせいにし、その結果、移民の生活を一層困難にする帝国の手先を選出しているためだ。だが、人工的に作られた敵意がなければ、それは単にトップの同じ嫌な連中に虐待されている二人に過ぎない。

 このようなことを私が言うと、必ず「いやいや、ケイトリン、あなたはわかっていない。我々は本当にトランス・ジェンダー問題で深刻な脅威にさらされている」などと反論する人がいる。だが、そうではない。私がここで説明していることを、あなたがしているのに過ぎない。私が言っている詐欺に、あなたはまさにひっかかっているのに過ぎない。抑圧者を守るため、あなたは標的を抑圧者から無関係な方向に移しているのだ。

 どこかの時点で詐欺に騙されないようにしなければならない。我々は非常に虐待的社会に暮らす普通の人々の集団に過ぎず、連中の分断統治策略を我々が見抜き、団結し、対抗できないために、虐待者連中が莫大な利益を得ている事実に目覚める必要がある。

 イスラム教徒はあなたにとって脅威ではない。

 ロシアはあなたにとって脅威ではない。

 中国はあなたにとって脅威ではない。

 トランスジェンダーの人々はあなたにとって脅威ではない。

 移民はあなたにとって脅威ではない。

 アメリカ帝国はあなたにとって脅威だ。

 あなた自身の政府はあなたにとって脅威だ。

 オリガルヒはあなたにとって脅威だ。

 核の瀬戸際政策はあなたにとって脅威だ。

 エコサイドはあなたにとって脅威だ。

 戦争と軍国主義はあなたにとって脅威だ。

 暴政はあなたにとって脅威だ。

 プロパガンダはあなたにとって脅威だ。

 あなたの敵はモスクワや北京やテヘランにはいない。あなたの敵はワシントンやバージニアやニューヨークやロサンゼルスにいる。あなたの敵はロンドンやパリやブリュッセルやテルアビブにいる。あなたの虐待者は、あなたの政府に気に入らない遠い国でもなければ、あなたの政府が気にかけない疎外された集団でもない。あなたの虐待者は、あなたの政府自身や、世界中の全ての同盟諸国や、その手先や、この世界規模の権力構造を舞台裏で操るオリガルヒや帝国経営者のネットワークだ。

 我々がこれを早く理解すればするほど、現在我々が騙されて間違った人々のせいにしている全ての問題を早く解決できる。

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 画像はAdobe Stockより。

記事原文のurl:https://caitlinjohnstone.com.au/2025/03/12/we-are-duped-into-blaming-our-problems-on-everyone-except-our-rulers/

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スジャ・パイプライン奇襲作戦

2025年3月11日
Moon of Alabama

 ウクライナ戦争中も、天然ガスはロシアからウクライナを経由してハンガリーとスロバキアまで友好(ドルージバ)パイプラインを通じて輸送され続けている。


 今年初め、ウクライナ政府はこの接続を閉鎖すると決定し、ウクライナ領内のバルブを閉鎖した。この出来事は、ロシアのクルスク地域へのウクライナによる侵攻終焉を意味するものだ。

 この地図は、2025年1月1日時点でウクライナがロシア国内で支配している地域を示している。地図にはスジャ市と約20のロシアの村落が含まれている。

2025年1月1日の状況



 友好パイプラインは、直径1.4m(4フィート8インチ)の平行管五本ので構成されている。これらはクルスクから南西方向に34k-004道路(ウクライナのH-07)とほぼ平行に走り、スジャの北を通り、ウクライナのスミに向かっている。

 パイプは地中に埋設されている。埋設されたパイプラインは植生の乱れで衛星写真で確認できる。
 
奇襲出口付近のパイプライン(右上から左下)


 1月1日以降、パイプラインを利用してウクライナの敵を背後から攻撃する計画をこの地域を担当するロシア軍司令部が策定した。

 友好パイプライン・パイプの一本から天然ガスが抜き取られ酸素が注入された。スジャの北東約15キロ(約10マイル)、ボリショエ・ソルダツコエ近くで、パイプラインに穴が開けられた。兵士たちがパイプライン中に送り込まれ偵察したが、パイプラインにはまだ天然ガスが残っていて酸素が少なすぎた。最初の兵士たちは気絶し、救助されなければならなかった。数週間の作業後、パイプラインはスジャに向かう屋根付き通路として使えるようになった。

 五つの異なる軍隊から選ばれた800人の部隊が編成され、任務に備えた。

 今年最初の二か月で、ウクライナ軍は侵攻地域の西側で既に地歩を失っていた。ロシア軍がドローンを使って、スミからスジャへの唯一の主要補給路の射撃統制権を掌握して以来、全体状況は悪化した。道路からの映像には数十台の大破した車両や燃え尽きた車両が映っていた。だがウクライナ軍防衛線とスジャは依然持ちこたえていた。

2025年3月1日の状況



 3月初旬、ロシア特殊部隊がパイプラインに入った(上の矢印に沿って)。彼らはパイプラインを使ってスジャ工業地帯の北に向かい、出口の穴を開け、パイプラインを覆う地面を掘り始めた。約800人の兵士が後を追い、パイプライン内に陣取った。

 3月8日、命令が下されると、ロシア軍特殊部隊はパイプラインを出て近くの森に入った。彼らは34k-004道路を封鎖するため移動を続け、道路を横断しスジャ工業地帯の北部に入った。そこで彼らは塹壕を掘ることができた。すぐ近くにはウクライナ軍の大規模部隊はいなかった。誰もその動きを止めることはできなかった。
 
出口と攻撃ルート

 背後に敵がいるという無線報告を聞いて、ウクライナ兵はパニックに陥った。スジャの北東と東の全部隊は補給を断たれた。退却路はなかった。同時にロシア軍はウクライナ支配地域の西と北を攻撃した。抵抗はすぐに崩壊した。スジャに退却できる者は退却した。そこから彼らはウクライナに戻ろうとした。
 
2025年3月11日の状況
 
 ウクライナ軍が支配する地域は一日で半分に縮小した。ロシア軍は合計12集落を奪還し、掃討した。現在の報告によると、ロシア国内のウクライナ軍は絶え間ない砲火の中、道路に沿って全面撤退中だ。生き残る者もいるだろう。

 一方、ロシア軍はスジャに侵攻しつつある。


 この作戦は、ロシア人が「作戦技術」と呼ぶものの素晴らしい具体例だ。戦術の詳細と戦略の目標を結び付けているのだ。

 パイプラインを通ってウクライナ軍の背後に進み、ウクライナ軍の主要補給線を切断する作戦は、数か月に及ぶ血なまぐさい戦闘ではなく、わずか数日間で実現された。この作戦の指揮官が高い名誉を得たのは確実だ。

 ミリタリー・サマリー・チャンネルのディマは昨日の要約で上記のいくつかを論じた

 ロシア・ニュース放送局は、この作業を紹介する素晴らしい5分のビデオ(英語字幕付き) を提供している。このビデオには、パイプライン内部の映像も含まれている。

 この作戦は歴史に残る。

記事原文のurl:https://www.moonofalabama.org/2025/03/pipelineraid.html

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 Judge Napolitano - Judging Freedom
COL. Lawrence Wilkerson : Russia/Gaza: Is the US a Trusted Neutral? 24:48
 今朝の孫崎享氏メルマガ題名
トランプ大統領政権、親イスラエル政策を強化。それは反パレスチナ支援でもある。ガザ戦争時、コロンビア大学は学生の反イスラエル・テント樹立等闘争の拠点。トランプ米政権コロンビア大学の反ユダヤ的嫌がらせがあったとして、約4億ドル相当の助成金と契約を「即時」取り消したと発表
 上記の孫崎享氏メルマガ内容を裏付ける昨日書いた記事を繰り返す。

 クリス・ヘッジズ記事、毎回Fish氏の秀逸な漫画がかかれているが、今回のものは特に良い。
 トランプの対教育戦争

 The Chris Hedges Report
Trump’s War on Education
Trump’s assault on education comes out of the playbook used by all authoritarian regimes.
Chris Hedges
Mar 12, 2025

 日刊IWJガイド
「日本政府が国民に対して秘密裏にウクライナ紛争の有志連合に加担! トランプ政権になってより深くウクライナ紛争に日本はコミット!」2025.3.14号~No.4479

■はじめに~日本政府が国民に対して秘密裏にウクライナ紛争の有志連合に加担! 黒海での有志連合の演習に、自衛隊幹部を派遣! バイデン政権からトランプ政権になって、より深くウクライナ紛争に日本はコミットさせられている!「一時的停戦」が実現しても、30日後に戦争が再開されたら、日本も巻き込まれる!

■本日午後7時より、初配信!!「米CDC元長官が上院で証言『新型コロナワクチンはビッグミステークだった』! 全身の細胞が取り込んだナノ粒子の毒性で急増した癌! 跳ね上がった死亡率!!~福島雅典氏」岩上安身によるインタビュー第1185回ゲスト 京都大学名誉教授・ワクチン問題研究会代表理事 福島雅典氏、外務省元国際情報局長 孫崎享氏(前半)を撮りおろし初配信します! 配信終了後、会員向けIWJサイトのアーカイブにアップします! 孫崎氏に語っていただく(後半)は、明日午後7時から初配信します!

2025年3月11日 (火)

発狂したヨーロッパ



ソニア・ファン・デン・エンデ
2025年3月9日
Strategic Culture Foundation

 過激化して現実から乖離した欧州エリート連中は、ロシアに対する戦争言説と恐怖をあおる言説を毎日繰り返し国民を恐怖に陥れている。

❗️Telegram Twitter , と VK でご参加願いたい。

お問い合わせ:info@strategic-culture.su

 ウクライナ問題に関するEUの頑固さは驚くべきもので、現実との大きな乖離を示している。戦争で負けているのに、ヨーロッパはこの事実に気づいていないようだ。敗北を認めるどころか、EU政治家たちは錯乱状態で、紛争の第二段階を企んでいるようだ。アメリカの支援なしでもこの戦争に勝てると彼らは主張しているが、もし失敗したらどうなるのか? その時、彼らは停戦を懇願するのだろうか?

 歴史を振り返ってみよう。ドイツ、フランス、ウクライナ、ロシアの間で締結されたミンスク合意1と2(2014-2015年)は、戦闘を停止し、ウクライナ国内のドンバス地域に何らかの自治権を与えることを目的としていた。だが、ロシアとの和解を選挙公約に掲げていたにもかかわらず、ゼレンスキーは別の計画を持っていた。彼はクリミアを奪還し、ドンバスを支配下に置くことを目指し、爆撃作戦を激化させた。2022年1月までにドンバス爆撃は激化し、特にドネツクで多数の民間人の犠牲者を出した。

 その後、元イギリス首相ボリス・ジョンソンと(バイデン政権)アメリカがゼレンスキー大統領にロシアと和平を結ばないよう指示していたことが明らかになった。ウクライナがNATO加盟の野望を放棄し、軍事制限を課し、侵略があった場合、欧米諸国の支援を確保することを提案したイスタンブール・コミュニケにつながったトルコでの交渉を思い出す。合意に近づき、双方大幅な譲歩を検討していたが、2022年5月に交渉は突如中断された。平和に興味のない欧米諸国はロシアの敗北を求め、「偽旗」ブチャ事件とされる事件を受けて交渉は頓挫した。

 ドナルド・トランプ率いる新政権誕生により、ウクライナとロシア間で持続可能な平和条約を結ぶための取り組みが進められている。停戦だけでなく永続的平和だ。だがウクライナの姿勢が進展を阻んでいる。和平にウクライナやヨーロッパは必要ないとアメリカは主張しているが、もちろんこれはたわ言だ。たとえ(バイデン政権下)アメリカが紛争を扇動したにせよ、解決策はウクライナとロシアから生まれなければならない。平和条約か降伏が不可欠だ。

 だが、バイデン前政権より洗脳されたヨーロッパ・エリート連中は譲歩を拒んでいる。これは、ヨーロッパが80年以上もしてきたように、アメリカに魂を売る危険性だ。アメリカが事実上大陸を占領するのを許したことで、ヨーロッパは主体性を失った。今アメリカに見捨てられたヨーロッパは衝撃を受け、必死に自分を再発見しようとしている。

 アメリカの影響から自由な強く独立した大陸であると証明することをEUは目指している。だが、この自立の追求は、戦争という危険な道へとヨーロッパを導いている。「ヨーロッパ再軍備」計画は、事実上ロシアに対する宣戦布告だが、ヨーロッパ指導者連中はこれを否定するだろう。

 ヨーロッパ・エリート層のせいで何百万人もの命が失われた世界大戦の惨状を彼らは忘れてしまったようだ。当初アメリカは、第二次世界大戦への関与を避けていたが、最終的に介入した。ヨーロッパがロシアを挑発し、アメリカが再びヨーロッパを「解放」せざるを得なくなる歴史が繰り返されるのだろうか。それとも、政治家連中を捕らえている戦争狂からヨーロッパは自らを解放するのだろうか。

 第二次世界大戦以来、ヨーロッパがアメリカ占領下にあったのは事実だ。1945年以来、アメリカはあらゆる主要な紛争を引き起こし、ヨーロッパをアフガニスタン、リビア、イラク、シリアの戦争に引きずり込んできた。その結果は今も明らかだ。ほとんどの難民はヨーロッパに渡り、アメリカは中東に火をつけた後、文字通り手を引いたのだ。

 現在のヨーロッパに対するアメリカの「説教」は同情や怒りから生まれたものではない。アメリカは破産寸前で、麻薬中毒やホームレスや崩壊しつつあるインフラに取り組んでいる。「アメリカ第一主義」や「アメリカを再び偉大にする」というスローガンは、たとえ帝国主義や植民地主義や、いかがわしい取り引きの復活を意味するにせよ、超大国の地位を取り戻したい願望を反映している。アメリカは自国生存に気をとられているのだ。

 少なくとも2022年から、ヨーロッパはロシアとの戦争に国民を準備させてきた。トランプ政権発足以来、欧米メディアは戦争言説で溢れている。政治家連中は今や48時間でなく72時間、緊急計画について語り、差し迫った紛争をほのめかしている。オランダのような裕福な国が戦争経済に移行しつつある。

 ヨーロッパの防衛力は紛争に対処できるが官僚主義と費用制約が軍備生産を妨げている。兵士不足が事態を更に複雑にしているが、ヨーロッパ・エリート連中はひるんでいない。だがヨーロッパ人口の相当部分は戦闘を望んでいない。ドイツでは最近の選挙でロシアとの平和を主張する政党「ドイツのための選択肢(AfD)」への幅広い支持が明らかになった。だが選挙は操作されたとされ、ザーラ・ヴァーゲンクネヒトの政党BSW(ザーラ・ヴァーゲンクネヒト同盟=理性と公正のために)はソーシャルメディアで悪者扱いされた。新議会がおそらく拒否するだろう防衛費増額を新首相メルツは速やかに承認した。

 フランスのマクロン大統領はロシアに対する核兵器使用さえ示唆し、オランダを含む他のEU諸国はロシアが2014年の停戦交渉を妨害したと非難した。オランダ首相は自国の経済的安定よりウクライナを優先し、適切な承認なしに30億ユーロを防衛費に割り当てた。

 だが代替メディア情報源は、ヨーロッパ市民はロシアと戦う気がないことを示唆している。主流メディアはこの件について沈黙を守っており、代わりに兵役義務再導入について議論している。ヨーロッパ諸国政府は、表面上はウクライナを守り、ロシアのヨーロッパへの攻撃を阻止するため、ロシアとの戦争に備えることだけに集中しているが、彼らはそれが馬鹿げた考えだと知っている。

 ロシアとの戦争に対するヨーロッパ世論に関する信頼できる情報は阻止されたり抑圧されたりすることが多いため、ほとんどない。だがX(旧Twitter)などのソーシャルメディアや代替メディアは特にドイツとオランダで広範な反対があることを示唆している。

 イギリスも信頼できるデータは不足しており、反対意見は主に代替メディアやソーシャル・メディアで表明されている。EU寄りメディアは戦争に取り憑かれたバブルの中にいて、ヨーロッパと西側諸国を紛争に備えさせることに固執している。ヨーロッパ政治家の言説は憂慮すべきもので愚かでもある。ヨーロッパが最後にそのような狂気を見せたのは第一次世界大戦前で、男たちは口笛を吹きながら戦争に赴いたが結局何百万人もの命を奪った致命的なゲームに巻き込まれただけだった。歴史は繰り返されるのだろうか? ヨーロッパ人口の多くは高齢化しており、新しい移民が戦闘に召集されるかもしれない。彼らは決して手に入らないかもしれないEUパスポートのため死ぬ覚悟があるのだろうか?

「欧州再軍備」計画承認後、欧州政治家連中は戦争狂騒に陥り、好戦的演説を繰り広げ、クラスター爆弾や地雷に関する条約を破棄した。過激化し現実から乖離した欧州エリート連中は、ロシアに関する戦争言説や恐怖をあおる言動を日々繰り返し、国民を恐怖に陥れている。戦争の現実とロシア打倒の不可能性を彼らは理解していない。世界経済フォーラムに「有望な若手指導者」として育てられたこれら指導者の多くはEU政府に潜入し、買収され、売り飛ばされ、ゲームは終わっており、戦争は解決策ではない事実に気付いていない。

 最も危険な人物は(EUの)ウルズラ・フォン・デア・ライエンや(NATOの)マルク・ルッテなどの旧エリート連中だ。彼らは最も過激化しており、止められるず、スキャンダルや脅迫に巻き込まれている可能性が高く、今やEUやヨーロッパの政治指導者連中を脅迫している。彼らの無謀さは、ヨーロッパを再び混乱に陥れる恐れがある。

記事原文のurl:https://strategic-culture.su/news/2025/03/09/europe-has-gone-mad/

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 3.10は東京大空襲があった日。3.11は東日本大震災が起きた日。  クリス・ヘッジズの記事『今度は地球丸ごと道連れ』を思いだす。

 Judging Freedom 今回の対談相手は哲学者アレクサンドル・ドゥーギン氏
 ナポリターノ氏、ラリー・ジョンソン氏らと共にラブロフ外相に招かれモスクワ訪問中。
 ロシア正教が広く浸透している理由や欧米のキリスト教との差違やアメリカやヨーロッパにおけるロシア嫌いの原因を問う。
[ EXCLUSIVE ] - Judge Napolitano w/ Prof. Aleksandr Dugin {Moscow, Russia} - pt.1 20:31
 Judging Freedom
Larry Johnson : Ukraine without US Intel (Live from Moscow)  21:00
 トランプに莫大な寄付をして当選を実現させ、自身選挙にもでていないのにDOGEで大量首切りを推進するイーロン・マスク、アメリカのみならず、世界的に不評を買っている。テスラ売り上げは低迷し、株価下落が止まらない?
マスクの横暴に反対する人々がテスラ販売店前でデモをするのに対抗するため警官が並んだりしている。

Anti-Elon Musk protests erupt at Tesla dealerships across US 1:01
 Wired
 Mar 8, 2025
What’s Driving Tesla’s Woes?
As Tesla faces a global sales slump, and with shares down for the seventh consecutive week, could Elon Musk's antics really be to blame?

 今朝の孫崎享氏のメルマガ題名
トランプ大統領、関税が市場に与える影響の中、景気後退の可能性を否定せず。繁栄の「移行期」移行期は常にある…少し時間がかかる、と説明、2025年第1四半期の経済成長がアトランタ連邦準備銀行マイナス予測、NYニューヨーク連銀は健全と指摘。📉 主要株価指数は下落。🛢️ 原油価格が下落。

2025年3月10日 (月)

Atlantic誌:消耗を無視すれば、ウクライナが勝つ

2025年3月8日
Moon of Alabama

『Atlantic』誌で二人の軍事歴史家が次のように主張している。  
ロシアは消耗戦で負けつつある

 消耗は戦争の条件であるだけでなく、戦略的選択でもあるため、戦争がこれほど決定的に勝利することはめったにない。消耗を賢く利用することで、より小さい国が自らの狙いの推進に成功することが可能なのだ。
 ふーむ ...

 消耗戦…
...とは、人員や物資や士気の継続的損耗により、敵を崩壊寸前まで弱体化させて、戦争に勝利しようとする好戦的な試みからなる軍事戦略だ。
 消耗戦には二つ(またはそれ以上) の側面がある。どちらが勝っているかを知るには、それぞれの側の能力と損耗を見積もる必要がある。必要な資源を最初に使い果たした側が競争に負ける。

 従って、どちらかの側が消耗によって負けると主張する記事では、その主張を裏付けるために、紛争双方の数字を示して、それらを比較する必要がある。

 Atlantic誌記事の著者は比較できなかった。

 ロシアの経済状況、ロシア装甲車の損失、ロシアの人手不足について彼らは言及しており、これら全てが悪いと主張している。だがウクライナの経済状況や、その損失や深刻な人手不足は一切書いていない。

 彼らが引用している情報源は、疑わしいものから笑止千万なものまで様々だ。  
ロシア人死傷者は着実に増加している。イギリス国防省によると、2022年12月には1日あたり約500人、2023年12月には1,000人弱、2024年12月には1,500人以上となっている。2024年だけでもロシア人死傷者は43万人近くに達し、2023年には25万人強にとどまる見通しだ。

 確かにイギリス防衛情報局はそう主張している。だが道理にかなっているだろうか? 2022年後半から2023年初頭にかけての血なまぐさいバフムートの戦いにおけるロシアの軍損失は、一日あたり500~600人とされている。前線が比較的静かで大規模戦闘も行われていない現在の損失は、その三倍だと言われている。これは全くあり得ない。他の欧米筋は、ロシア軍死傷者数を遙かに低くしている。
 ちなみに、ウクライナの損失には全く触れられていない。

 その後、著者たちは論点を変える。ロシアの損失を指摘しながら、ウクライナの損失を無視していた著者たちは今度はウクライナの生産成功を指摘する。

 
2024年、ウクライナ軍は120万機を超えるウクライナ製無人航空機を受領した。これは、戦争開始時にウクライナが保有していた数、ましてや生産した数より二桁多い。ウクライナの生産率は依然上昇しており、今年だけでドローン400万機の生産を目指している。

 もちろん、ロシアがそれ以上の量を生産していることに著者たちは触れない。

 次の段落には著者が読者に仕掛けようとしているもう一つの抜け目ない策略がある。  
無人機は戦場で最も効果的な兵器として大砲に取って代わったため、極めて重要だ。ある推計によると、現在ロシアの損失70%は無人機によるものだという。ウクライナの強力な防衛産業は、ロシアや同盟諸国より迅速かつ効果的に革新を進めている。
 なぜなら「ロシアの損失の70%」は著者論文を擁護しているが、それも、その数字が両側に当てはまるとわかる情報源をクリックするまでだ。

 この戦争では、かつて有名だった大型重砲ではなく、ドローンがロシアとウクライナの死傷者の約70%をもたらしているとウクライナ議会の防衛情報委員会委員長ロマン・コステンコは述べた。一部の戦闘では、ドローンによる死傷者数は更に多く、死傷者の80%にも上ると指揮官らは述べている。

 [補足: 私自身としては、どちらの数字にも疑問を抱いている。FPVドローンによる死傷者の映像を我々は多数見るが、それは全てのドローンにカメラが搭載されているためだ。歴史的に戦場での死傷者の70~80%の原因となっている砲撃は発砲を止めておらず、効果も失われていない。双方とも一日あたり約10,000発以上の砲弾を発射している。これは年間700万発以上の砲弾に相当する。100万台のドローン (その多くは故障) は射撃による被害を増加させるが、砲撃に取って代わるものではない。ドローンは、他の全ての武器と同様、ゲームの一部ではあるが、形勢を一変させるわけではない。]

 Atlantic誌に戻ると、ロシアは消耗戦に負けている主張している。

 いくつかの問題におけるロシアの問題や他の問題におけるウクライナの成功について著者らは言及している。だが双方の損失や成功の比較を一つもしていない。彼らの結論は…

 
ウクライナは崩壊の危機に瀕しているわけではなく、消耗戦で負けつつあるのはウクライナではなくロシアだ。
..
 とは、いかなる証拠にも裏付けられていない。

 これ以上優れたプロパガンダを兵器産業が考え出せないのは嘆かわしい。

記事原文のurl:https://www.moonofalabama.org/2025/03/atlantic-when-we-ignore-its-attrition-ukraine-wins.html#more

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 Alex Christoforou Youtube
KURSK cauldron tightens, media blames Trump. Elensky, obstacle to peace. EURO CBDC coming soon 37:30
 今朝の孫崎享氏のメルマガ題名
XGrok村上春樹氏以外ノーベル文学賞受賞の可能性、多和田葉子は言語の革新性と国際的評価から可能性高い、小川洋子は感情の普遍性と翻訳の広がりで続き、柳美里は情念と社会性が注目。彼らの受賞可能性は、作品の文学的質だけでなく、ノーベル委員会のテーマや世界情勢にも左右される。

2025年3月 6日 (木)

ゼレンスキー大統領を叩き出し、ロシアとの戦争を激化させる欧州策略を水に流したトランプ大統領



フィニアン・カニンガム
2025年3月1日
Strategic Culture Foundation

 和平を実現し、トランプ外交を支持するという遅ればせながらの明らかな関心で、代理戦争を継続したい願望を欧州諸国は隠蔽しようとしている。

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お問い合わせ:info@strategic-culture.su

 テレビ生放送でトランプ大統領から激しく叱責され、ホワイトハウスから追い出された後、ウクライナのゼレンスキー大統領は直ちに欧州各国首脳に電話をかけた。

 喜劇俳優から大統領に転身したウクライナ人が、キーウからワシントンに飛んだのは、アメリカとの鉱物資源協定に署名するためだけではなく、ウクライナでの対ロシア代理戦争を激化させるべくトランプを罠にはめるためだったことをこの対応が示している。

 ロシアとの戦争を長引かせる計画が混乱していることで、ヨーロッパ諸国間に動揺と警戒が広がっているのは確実だ。更に最悪なのは、激怒したトランプがウクライナと関係を絶ち、ロシアのなすがままにしてしまうかもしれないことだ。

 日曜日、イギリスのキール・スターマー首相が招集した緊急会議のためヨーロッパ首脳がロンドンに集合している。ゼレンスキー大統領が出席予定で、ヨーロッパ各国からの支持表明と数十億ドル以上の税金らの支援を得られる予定だ。信じられないことに、いまだこの連中は、この厚かましい詐欺師を「チャーチルのような英雄」だと称賛している。

 金曜日の大統領執務室での騒動は、みじめな光景だった。テレビカメラの集中砲火を浴びながら、ウクライナの石油やガスや希土類金属などの鉱物資源採掘権をアメリカ企業に認める取り引きの一環として、大胆にも、更にアメリカによる安全保障の保証を要求するゼレンスキー大統領をトランプ大統領とJ・D・ヴァンス副大統領は激しく叱責した。

 会談は和やかに始まったが、具体的な「安全保障保証」をウクライナに与えるのをトランプ大統領は控えた。ロシアとの和平協定が成立した後、アメリカからの明確な軍事支援約束を得たいと悲しげにゼレンスキー大統領が主張するのを、ウクライナ大統領は、公式の場で口論し敬意を欠いているとトランプ大統領と政権幹部が非難した。

 炉辺での一悶着後、激怒したトランプはゼレンスキーを追い出した。鉱物資源協定は締結されず、ゼレンスキーは何も手にせずワシントンを去った。だが、それで終わりではない。その後、ロシアと和平を結ぶ用意ができるまでは、ゼレンスキー再来を歓迎しないとトランプは記者団に語った。

 トランプはこの騒動の企てに鋭敏だった。ゼレンスキー大統領を追い出した後、ホワイトハウスの芝生で彼は記者団にこう語った。「我々は平和を望んでいる。大国と協定を結んだ後、それで大胆になり、和平協定を結ばないような人物を求めているわけではない。起きて居いることで私が見たのはそういうことだ。彼は戦争をしたくて仕方ないのだ。事態が長引くのを私は望まない」

 ホワイトハウスでの失態後、ゼレンスキー大統領が直ちにフランスのエマニュエル・マクロン大統領とマルク・ルッテNATO事務総長に電話をかけたことが多くを物語っている。

 金曜日にゼレンスキー大統領がホワイトハウス訪問する数日前、ロシアとの和平協定の一環としてアメリカの安全保障保証を欧州各国首脳はトランプ大統領に働きかけていた。

 月曜日にマクロンはトランプと会談した。木曜日はスターマーがトランプに気に入られる番だった。EUトップ外交官カヤ・カラスもワシントンにいた。注目すべきは、彼女とマルコ・ルビオ国務長官の会談が「スケジュール問題で」突然中止になったことだ。

 マクロンとスターマーの主目的は、ウクライナにおける軍事的「後ろ盾」の約束をトランプから引き出し「平和維持軍」を装ってフランス軍とイギリス軍を派遣する提案を強化することだった。

 BBCによると、イギリスは自国軍のためのアメリカ軍「上空援護」を求めたという。

 友好的態度や賛辞や、トランプをチャールズ国王が王室訪問に招待するイギリスの甘い言葉にもかかわらず、マクロンとスターマーは曖昧な言葉で相手にされなかった。

 2月12日の電話会談に始まり、2月18日にサウジアラビアで行われたアメリカとロシアの外交官による高官級会談に至った、ロシアのプーチン大統領に対するトランプ大統領の外交的働きかけは欧州のNATO加盟諸国に衝撃を与えた。

 自分たち抜きでトランプがプーチンと和平協定を結ぶことに彼らは憤慨している。「ロシア侵略からウクライナの民主主義と主権を守る」というバイデン前政権のプロパガンダ主張にヨーロッパ諸国は、いまだに縛られている。

 ウクライナの混乱から抜け出したいとトランプは考えている。この紛争はもともとロシアを打倒するという隠れた狙いを持った代理戦争だったと彼は認識している。何千億ドルもの資金とユーロが無駄な代理戦争に使われ、結局ロシアが決定的に勝利しつつある。

 大統領執務室での口論後、ウクライナ戦争をもう一年続けるのが「彼らの計画」で、最終的に「ロシアを弱体化」させ、モスクワに「和平を懇願させる」ことになると欧州のある外務大臣が彼に語ったと、CNNインタビューでマルコ・ルビオ国務長官が明かした

 ヨーロッパ人の冷酷さとロシア嫌い執着は異様だ。ウクライナでの三年の紛争は、軍人死者100万人や、ヨーロッパ全土での難民数百万人や、経済破綻を招いた。言うまでもなく、第三次世界大戦に発展する危険もある。

 代理戦争を継続したい願望を、平和を実現し、トランプ大統領外交を支持するという遅ればせながらの関心でヨーロッパ諸国は隠蔽しようとしているのだ。

 (当初プーチンとの電話会談で大騒ぎしていたが)マクロンとスターマーは表面上はトランプを称賛し「永続的平和への道を見いだす」ことについて話している。

 だが、フランス兵とイギリス兵を「平和維持軍」として派遣する彼らの提案は、平和維持と全く無縁のトロイの木馬だ。一方、ウクライナでのNATO軍は受け入れられず、戦闘員として攻撃するとモスクワは断言している。

 だからこそ、「安全保障の保証」を与えるようマクロンやスターマーや他の欧州指導者連中はトランプ大統領に強く求めていたのだ。いわゆるアメリカ軍による「補強」は、ロシアに対する代理戦争を激化させる手段になるはずなのだ。

 利益の大きい鉱物資源取り引きという餌をちらつかせながらトランプ大統領をだまし安全保障の保証を与えるよう仕向ける使命を帯びてゼレンスキーはワシントンを訪問した。

 報道によると、木曜日にゼレンスキー大統領がウクライナを出発する前に、金曜日の会談をキャンセルしたいとトランプ大統領のホワイトハウスは考えていたという。だがマクロン大統領が介入して、応対を続行するようトランプ大統領に懇願した。

 際限ない白紙小切手で甘やかされるのにゼレンスキーは慣れており、トランプから鉱業協定以上のものを言いくるめられると考えていた。欧州のロシア嫌い指導者連中が望むアメリカの直接軍事介入を引き出せると期待されていたのだ。そうすれば代理戦争は激化し、戦争犯罪の儲け話に乗っている連中は、世界最大の安全保障危機から、引き続き金を巻き上げられることになるはずだった。

 幸なことに、トランプはゼレンスキーを追い出し、欧州の策略を水に流した。

 今週初め、マクロン大統領とスターマー首相をトランプ大統領が称賛し、フランスをアメリカ「最古の同盟国」、イギリスを「特別な関係」と称えていたのは皮肉だ。こうした陳腐な考え方は根本的に改めたいとトランプ大統領は思っているかもしれない。

記事原文のurl:https://strategic-culture.su/news/2025/03/01/trump-gives-zelensky-bum-rush-and-flushes-european-ploy-escalate-war-against-russia/

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 先日The Jimmy Dore ShowにThe Duranの二人が登場。
Ukraine DESPERATELY Regretting Not Signing 2022 Peace Deal! w/ The Duran 23:22
 Juding Freedom 今朝の番組は驚き。何とナポリターノ氏、ロシア外務省に招待されたのだ。
[SPECIAL ANNOUNCEMENT] - Where in the world is Judge Napolitano today? 10:46
 東京新聞 朝刊 総合面 座布団三枚!
 ホワイトハウスX投稿画像(王冠をぶり満足げなトランプの図)を右に載せ
自賛の王様
 今朝の孫崎享氏メルマガ題名
トランプ関税、日本車を直撃。メキシコ、カナダに関税25%、だがここに日本自動車企業の拠点。トヨタ24年に米で販売233万台中、約3割が加と墨の輸入。日産は墨からの輸入割合は92万台の4割弱。日本から対米輸出中、金額最大は自動車、去年6兆261億円と輸出額全体の28.3%
 植草一秀氏 「ガーベラの風」
日本経済の現状、財務省の思惑とは? 植草一秀が解説 41:13

2025年3月 5日 (水)

とうとうアメリカが耳を傾けるようになったため期待できそうな米ロ和平交渉



2025年2月21日
Strategic Culture Foundation

 歴史的首脳会談がトランプとプーチンの間で行われる予定だ。ロシアや世界との平和を絶対望んでいないアメリカ帝国主義の邪悪な根深い勢力に、トランプは勝つことができるだろうか?

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 外交とは政治を機能させる芸術だが、今週アメリカとロシアの高官がサウジアラビアの首都リヤドで会談した際、まさにその啓発的な例を我々は目にしたのだ。

 この会合は、先週のドナルド・トランプ大統領とロシアのウラジミール・プーチン大統領の画期的電話会談から僅か五日後に開催された。先週の社説で述べた通り、アメリカ主導のNATO軍事圏とロシアの代理戦争で、壊滅的核戦争に発展する恐れがあった三年間のウクライナ紛争終結に向けて、トランプ大統領は重要な第一歩を踏み出した。

 サウジアラビアで会談したのは、アメリカ側はマルコ・ルビオ国務長官、マイク・ウォルツ国家安全保障担当大統領補佐官、トランプ大統領特使スティーブン・ウィトコフだった。ウィトコフ特使は数週間前にモスクワを訪れ好評を博していた。アメリカに新たな前向きな活力を彼はもたらしたようだ。

 ロシアからは老練の外務大臣セルゲイ・ラブロフ、プーチン大統領の国際問題担当補佐官ユーリー・ウシャコフ、ロシア直接投資基金代表キリル・ドミトリエフが出席した。ドミトリエフ参加は、議題がウクライナの紛争停止実現より遙かに大きなものであることを予感させ、ワシントンとモスクワの地政学的、地経学的関係の野心的新規まき直しを示唆した。

 協議は4時間半続いた。その後、双方別々に、今回の協議が建設的で、広範囲かつ詳細なものだったことに満足の意を表した。

 したがって、この高官級会談は、ウクライナでの紛争に平和的終結をもたらすだけでなく、世界二大核保有国間の正常かつ生産的関係を回復するための長らく遅れていた交渉過程の有望な起点となる。

 注目すべきは、これがアメリカとロシアの三年以上ぶりの公式会談だったことだ。やりとりの空白は嘆かわしいもので、主にアメリカの非理性的でイデオロギー的敵意によるものだった。

 凍結された関係を打破し、ウクライナ紛争を終わらせ、正常な二国間関係を回復するためロシアと再交渉するという選挙公約をトランプ大統領は果たした。これは大いに評価に値する。

 一方、尊重すべきアメリカとの外交交渉に応じる用意があるとプーチン大統領は一貫して述べている。

 2021年12月に、紛争を回避するための外交手段をロシアは提案していたが、今週の国連安全保障理事会での証言でロジャー・ウォーターズが雄弁に指摘した通り、その提案はバイデン政権とヨーロッパのNATO同盟諸国に即座に拒否されていた。

 同じことは、ミンスク合意(今週で10周年)、イスタンブール合意(2022年3月)、INF全廃条約(トランプが一方的に破棄)、ABM条約(息子ブッシュが2003年に破棄)、冷戦後デタント(ブッシュ・シニアとクリントン政権下)の長期にわたる裏切りなどについても言える。

 従って、ロシアおよびソ連との取り引きにおける不誠実さと裏切りの矯正不可能な歴史のおかげで、アメリカは多くの信頼を回復しなければならない。

 トランプ大統領とプーチン大統領の歴史的首脳会談が予定されているが、日時や場所はまだ確定していない。

 一方、アメリカとロシアは持続可能な和平合意に向けて幅広い問題に対処するため特使を任命する予定だ。

 リヤドでの会談についてラブロフ外相は好意的に語り、双方が耳を傾けただけでなく、理解し合ったと述べた。

 それが重要な点だ。あまりに長年、ロシアの国家安全保障上の懸念にアメリカは耳を傾けず理解もしなかった。特に、ロシア国境に向けるNATOの容赦ない攻撃的拡大に対するロシアの度重なる懸念を。

 ウクライナ紛争終結に何が含まれるべきかについてロシアは明確な条件を示した。条件の中には、ウクライナはNATOに加盟せず、ヨーロッパに包括的安全保障条約が必要だというものがある。

 今週のアメリカの交渉担当者の思慮深く、敬意ある対応は、ロシアとの紛争解決にトランプ政権が真剣に取り組み、深い歴史的背景を理解していることを示している。我々は1月31日の論説で、トランプにそれができるかどうか疑問を表明した。だが少なくともこれまでのところ、我々の懸念が間違っていたことをトランプは証明しつつある。

 合意の詳細条件や実施方法について議論するのは時期尚早だ。現段階では、外交と政治が機能していることを示したことが重要な成果だ。

 リヤドでの協議の大半は、大使の任務と外交交渉の正常化復活に関するものだった。過去10年、ロシアに対する虚偽主張(例えば、ロシアの選挙介入というデマ)により、政府間やりとりの正常機能という分野は、バイデン政権とオバマ政権下で妨害されてきた。外交を進め成功させるには、こうした障害を全て取り除かねばならない。少なくともアメリカは、自国の政策がいかに破壊的だったかを認識し、暗黙のうちに認めている。

 リヤドでの協議に、熟練の実務家スティーブン・ウィトコフとロシアの経済担当長官キリル・ドミトリエフが参加していたことも重要だ。二人はアメリカとロシアの経済協力について協議した。それは必然的に国際銀行業務への障壁を含むロシアに対する不当制裁をアメリカが撤回することを意味する。

 トランプとプーチン大統領は両者とも中心的対話相手だ。トランプは、プーチン大統領を対等な立場で尊重し、ウクライナ戦争を終わらせるという基本的礼儀を示した。また、ロシアに対する地政学的敵意を阻止したいとも考えている。トランプが任命した特使は、彼の目的を遂行する能力があるようだ。

 一方、ロシアとウクライナに関してのみならず、何十年も続いてきた帝国主義のならず者国家ではなく、法を遵守する国として、ロシアや他の国々と再び関与するために、アメリカが何をすべきかについても、和平条件が名誉ある実行可能なものとなるよう保証する深い歴史的、知的理解をプーチン大統領は持っている。

 キーウの傀儡政権やヨーロッパNATO属国諸国は、その狙いには無関係だ。

 キーウ政権やヨーロッパの従僕連中に対する軽蔑をトランプは当然のように示した。こうした取るに足りない連中、平和外交のこの初期段階に関与しなかったのは全く適切だった。ウクライナは正当な大統領を選出する必要があり、その後、どこかの段階で、ロシアに対する愚かな制裁解除についてヨーロッパ諸国と相談できるだろう。

 来週、トランプ大統領の平和外交について更に詳しく聞くため、イギリスとフランスの首脳がワシントンに招待される

 ウクライナに平和維持軍を装って派遣される、いかなるヨーロッパNATO軍もロシアは断固拒否している。自分の重要性に幻想を抱くな、いかなる軍事的冒険も絶対やめろとヨーロッパの手下連中にトランプは告げる必要がある。EUのウルズラ・フォン・デア・ライエンやカヤ・カラスやオランダ人で果敢さが売り物のNATO道化師マルク・ルッテなどのロシア嫌い連中も無視すべきだ。彼らの貢献は完全に逆効果で、軽蔑にさえ値しない。

 今週サウジアラビアで行われた直接的で真剣な協議が継続されれば、アメリカとロシア両国がウクライナ問題で最終的に大きな合意に達し、世界平和がもたらされる兆しになる。この概念的枠組みの重要な変化は、アメリカがロシアに敬意を示す根本的で前向きな姿勢の変化により生じた。敬意と傾聴は、外交において最も重要な要素だが、アメリカ政治家には長年欠けていた。

 これまでのところ、トランプ大統領は驚くべき成果を上げている。だがロシアや世界との平和を決して望まないアメリカ帝国主義の邪悪な勢力にトランプ大統領は勝てるのだろうか?

記事原文のurl:https://strategic-culture.su/news/2025/02/21/us-russia-peace-talks-promising-because-finally-americans-listening/

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 Judging Freedom マルコ・ルビオもイスラエルに大量資金援助。サリバンらと変わらない。
Aaron Maté : Zelenskyy's Hostility to Peace 21:34
 今朝の孫崎享氏メルマガ題名
問い「安倍銃殺の山上容疑者の裁判が行われていないのは何故か。裁判なしの長期勾留は法的に問題ないのか。裁判を行わないことに疑念をもつ報道がないのは何故か。山上容疑者は逮捕時動機などを話したとされているが、健康状態が拘留中悪化したのか。」

2025年3月 4日 (火)

トランプ大統領のこれまでの大きな動き:狂人か天才か?

フィル・バトラー
2025年2月19日
New Eastern Outlook

 ドナルド・トランプ大統領の大胆かつ型破りな地政学構想(カナダ併合からウクライナ放棄まで)は、彼が戦略的天才なのか無謀な野心家なのかを巡り議論を巻き起こしている。

 トランプ大統領のこれまでの大きな動き:狂人か天才か?

 ドナルド・トランプが大統領に就任して、我々は素晴らしき新世界に直面している。あるいは、それは同じ旧世界の邪悪版だ。アメリカ大統領による最近の電光石火の行動は、全世界を緊張させている。カナダを51番目の州にすることやグリーンランド購入計画やガザを新たなマール・ア・ラーゴにすることや、ウォロディミル・ゼレンスキーを犠牲にすることは、トランプが計画していると思われる過激な措置のごく一部だ。下記は彼が天才なのか狂人なのかに関する一瞥だ。

 サスカチュワン州はいかが?

 ウクライナのNATO加盟を諦めろとアメリカ大統領が示唆すれば、ゼレンスキーのような傀儡独裁者にとっては試合終了を意味することになる。

 まずドナルド・トランプは優秀な実業家だが、地理を5分学べば、カナダにはテキサスより大きい10州があると分かるはずだ。新アメリカ合衆国は50州ではなく60州を持つことで恩恵を享受できる。一州(ケベック州)を除く全州で主に英語が話されているため言語の壁は、さほど大きくないと思われる。文化的には多くの調整が必要になるだろうが、アメリカとカナダは長年の友好国であるため、トランプの発想は天才的に思える。つまり、もしもカナダ人とアメリカ人の大多数がそのような超国家を望んでいればの話だ。興味深いことに、大アメリカの潜在的な力を合計した数値は現在の中国とロシアとインドのGDPに匹敵するはず。もちろん、これは完全に発展したロシアの可能性を台無しにする。

 アメリカにとって良い面としては、カナダは約60種の非常に必要な鉱物を生産していることだ。カナダは、ダイヤモンド、宝石、金、インジウム、ニオブ、白金族金属、チタン精鉱、ウラン、アルミニウムの世界トップ5の産出国だ。また、カナダは世界の確認済み石油埋蔵量の10%を保有しており、ベネズエラ、サウジアラビアに次いで3位だ。カナダは天然ガスの第5位の産出国でもある。カナダ人にとって、アメリカの一部になることは、彼らの2.4兆ドルのGDPがアメリカの27兆ドルの生産高と即座に融合することになる。アメリカがカナダを併合するという考えは、ドナルド・トランプの発明ではない。アメリカがイギリスから独立して以来、様々な併合主義集団や著名人が、カナダの一部または全部がアメリカの一部にすることを目指してきた。これに対する私の考えは、それが論理的で両国にとって有益なら、その可能性は低いというものだ。

 パレスチナ買収!

 トランプがガザを購入し海辺のリゾート地に変える話に移ると、ここから新大統領の政策展開が面白くなる。億万長者不動産王は、ガザに暮らしているパレスチナ人180万人をエジプトやヨルダンなどに移住させることを提案している。これについて私が最初に思ったのは、ネタニヤフが選挙前からトランプの糸を引いて「大イスラエル」が実現するようにしたということだ。パレスチナ人は何十年も圧制下に置かれているが、この計画にはある種邪悪な天才性が感じられる。数百人の敵を倒すためにイスラエルが殺した1万5000人の無辜の人々を別にすれば、これらの人々が公平な扱いを受けるべき時はとっくに過ぎている。多少の批判は受け入れるが、このばかげた状況を解決するための私の計画は下記の通りだ。

 トランプとイスラエルには旧パレスチナでやりたいことをやらせればいい。だが、ここに落とし穴がある。ガザ(またはヨルダン川西岸)の貧しく家のない人々を単にトラックに積み込むのでなく、シオニストのために土地を盗むのでなく、代金を払わせるのだ。そして、トランプがガザをそんなに欲しいなら、アメリカの金で参加させれば良い。180万人のパレスチナ人に、たとえば一人当たり4万ドルの分け前を配ろう。この数字は、ジョー・バイデン前大統領が、アメリカ軍需産業への資金洗浄をするためゼレンスキー大統領に与えた金額より遙かに少ない。720億ドルは、現代における最も大規模な人類の惨事の一つを完全解決するためなら安いものだ。そして正直に言って、シオニストにはその余裕がある。さて、これらの人々を移住させることについてだが、まあ、この提案に対するする批判は大いにあるだろう。今でもロシアはトランスロシア鉄道と輸送網の最も寂しい部分に沿った広大で緑豊かな自然の楽園への人々の定住を必要としている。素晴らしいIMFに、砂と埃よりましな所に住みたいと思っているパレスチナ人への助成金を出させれば良いではないか。シオニストに望むものをくれてやり、黙れ!と言うのだ。天国への階段を建設するのだ。すぐ隣に豪華ペントハウスがあるアメリカ前哨基地で安心して憩うのだ。私の天才的才能を皆様に感じていただけるはずだ。

 真ん中で分ける

 さて、ウクライナとゼレンスキーの今後の離脱について考えてみよう。ロシアが遅かれ早かれドニプロ川東側を全て占領することを考えると、これが停戦交渉の最初の要点になるはずだ。物事を真っ二つに分けるより公平なことがあるだろうか? ウクライナ軍はドニプロ川西岸に撤退し、ロシア軍はその場で停止すべきだ。これが合意されれば、ロシア人であれウクライナ人であれ、川の東側に住む全員に投票権が与えられるべきだ。他の超党派組織と連携して国連は投票を監視すべきだ。その後、境界線を引くか、または人々が心情的に居着いている地域に再定住させるべきなのだ。これはインドが分割された時の惨事のような強制移住ではなく、より緩慢で、より円滑な、より良い解決策だ。残ったウクライナは、決してNATOに加盟させてはならない。EU加盟は、ロシアは全く気にしないだろうと私は思う。

 アメリカに借金を返済するようトランプはウクライナに求めているが、これはドナルド・トランプではなくブラックロックの話だと全員知っている。希少鉱物は、関係が正常化さえすれば、イーロン・マスクはロシアからリチウムを容易に購入できる。ウクライナ西部の重要資源は、大量の石炭鉱床と、カルパチア山脈地方の石油とガス埋蔵、そして小麦だけだ。後者はウクライナのインフラ再建に要する数兆ドルとともに、ブラックロックや他の投資海賊が狙っているものだ。

 戦線からの最新ニュースによると、ロシア軍は既に南東部戦線全域でドニプロ川東岸の陣地に向かって前進している。ハリコフは間もなく包囲されるだろうし、人口の半分以上はロシア人だ。そして最後に、今週、ヴァンス・ゼレンスキー会談を前にウクライナは「いつかロシアのものになるかもしれない」とトランプ大統領が記者団に語った。だから、ゼレンスキーが何が自分のためなるか分かっていれば、私が上述した取り引きをためらわずに成立させるだろう。アメリカはウクライナのNATO加盟をあきらめているとアメリカ大統領が示唆すれば、ゼレンスキーのような傀儡独裁者にとっては試合終了の合図だ。

 もちろん、私の分析は極めて投機的だ。だが私が話している勢力や支配領域は痛みを伴う未来に残る人類の傷だ。今後の最善策は、必ずしも彼らが望むものを与えるのではなく、双方が納得できるものを与えることだ。イスラエルには誰とも一緒に暮らすつもりがないのは明らかだ。アメリカは流血なしに拡大しつつあるのだろうか? まあ拡大アメリカの国民にとっては、ガソリンが安くなり雇用や食料品が増えるなど利点は多々ある。ウクライナに関しては、ユーロマイダン・クーデター以来、正当な国ですらないというのが私見だ。トランプは正しいと私は思う。ウクライナは常に(西側にポーランド帝国の小さな領土がある)ロシアの一部であるべきだ。

 皆様のお考えをお聞きしたい。

 フィル・バトラーは政策研究者、評論家、政治学者で東ヨーロッパ専門家。「Putin’s Praetorians(プーチンの近衛兵)」という最近のベストセラーや他の本の著者。

記事原文のurl:https://journal-neo.su/2025/02/19/trumps-big-moves-so-far-lunacy-or-genius/

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 たまたま見たジェフリー・サンクスの語り 長いが実に興味深い。
 「ケネディは演説原稿を実際に読むまでは決して職員に読ませなかった。」
 某国外交幹部に、どうして意見をしないのかと聞いたところ
 「ワシントンは我々を子供扱いしている」という答えだった。
Jeffrey Sachs REVELAS: U.S. WAR PLANS—China, Russia, and NATO on the Brink of GLOBAL DESTRUCTION! 48:39
 今朝の孫崎享氏メルマガ題名
トランプ・ゼレンスキー首脳会談決裂後①ジョンソン下院議長、ゼレンスキー氏は辞任しなければならないかもしれないと発言②ウォルツ国家安全保障補佐官は「個人的、政治的な動機が戦闘の終結から逸脱なら“深刻な問題”と主張し、辞任を求める可能性を示唆。グラハム上院議員はゼに辞任を求めた。

2025年3月 2日 (日)

日本の国家安全保障戦略

サイモン・ウェストウッド
2025年2月14日
New Eastern Outlook

 日本の国家安全保障戦略は実は太平洋における日本の不安の高まりを完璧に表している。またロシアの発展に対する日本の無能さと絶望の高まりを反映しているにすぎない。

 日本の国家安全保障戦略

 はじめに

 2022年12月、日本外務省は「国家安全保障戦略」と題する非常に重要な政策文書を発表した。この文書には国家防衛戦略と防衛力整備計画という二つの文書が含まれている。

 この文書には「ロシア」という言葉が16回近く登場しており、ロシアのせいで日本が深刻な不安に陥っていることを反映している。だがロシアに対する日本の不安は、国際関係の一般的観察者の理解を超えている。

 どうやら日本はロシアの国益を傷つけるためにあらゆる手を尽くしているようだ。

 北大西洋条約機構(NATO)が定める基準と同等の国内総生産(GDP)の約2%まで防衛費を増額することを日本は目指している。ここで忘れてならないのは、日本は世界第3位の経済大国で、G20、G7、経済協力開発機構(OECD)などの帝国主義的手段の重要メンバーであることだ。国際戦略研究所(IISS)によれば、日本は既に防衛・軍事力強化に500億ドル以上費やしている。このような実績があれば日本は安全な国になるはずだが、日本の国家安全保障戦略と政治軍事態勢は非常に不安定なようだ。この本質的不安定さは、特にロシアに関し、太平洋地域における日本の最近の動きにより明らかにされている。

 ロシアや中国や北朝鮮を日本は同じものと見ている。

 ロシアや中国や北朝鮮に関し、日本の国家安全保障戦略が非常に厄介な見解を示しているのは実に奇妙だ。歴史的に言えば日本は侵略国家だったのだ。日本はロシアと戦争し、第二次世界大戦中および戦前、中国や北朝鮮の人々に対して凶悪な残虐行為と重大な戦争犯罪を行ったのだ。おそらく日本指導者は、これらの国々を常に支配することが可能で、政治的・軍事的優位性が永遠に続くはずだと考えていたのだろう。

 だが特に現代において、ロシアや中国や北朝鮮のような開かれた考えを持つ国々が西洋覇権に対抗し可能性を創り続けている。反植民地主義姿勢と反資本主義の確固たる信念を持つロシアや中国や北朝鮮は特に日本にとっての脅威とみなされている。

 ウクライナにおけるロシア特別軍事作戦に関する日本の立場

 どうやら日本は、ロシアの国益を傷つけるために、あらゆる手を尽くしているようだ。また日本政界はロシアの敵を励まして支援するのに多忙だ。日本の国家安全保障戦略は「ロシアのウクライナ侵略は国際秩序を形成する規則の根幹をいとも簡単に破った」とはっきり言及している。また「ロシアは日本周辺での軍事活動を加速させている」とも指摘している。日本は、航行の自由作戦や、自由で開かれたインド太平洋を支持しているが、太平洋におけるロシアの利益は忘れている。

 慶應義塾大学大学院の谷口智彦元教授は安倍晋三前首相の顧問を務めた。ドイツのニュース局DWインタビューで、ロシアを日本にとっての脅威と谷口教授は語り、ウクライナでのロシア特別軍事作戦を批判し、特に千島列島周辺でのロシア軍軍事活動をしっかり監視するよう日本政府に求めた。

 日本の出生率低下と軍事的野心

 2023年から2024年にかけて日本の出生率が過去最低を記録したのは実に残念だ。日本の出生率が8年連続で低下し、女性1人あたり約1.20になったと厚生労働省が明らかにした。たとえば2022年に日本で生まれた子どもの総数は770,759人だったが、2023年には727,277人に減少した。今後数年、出生率は70万人を下回る可能性が高い。

 このような人的資源の減少傾向により、2720年1月までに日本には14歳未満の子どもは一人しか残らないと日本の人口統計専門家が主張した。理解すべきは、このような人口減少では、日本は野心的軍事的野望を実現する立場に全くないことだ。

 結論

 日本の国家安全保障戦略は実は国家非安全保障戦略だと結論付けるのは困難ではない。軍事に多額投資すれば、特にロシアに対し日本固有の不安を克服できると日本の政治軍事思想家は考えている。だが大日本帝国軍国主義は日本を救えず、ソ連が日本軍を破ったことを歴史は示している。また日本の現在の同盟国アメリカは1945年8月、日本国民に対する核兵器使用を躊躇しなかった。今日でさえ強力な軍隊で日本の存続を確保するのは不可能だ。

 軍事力の近代化や防衛や軍事力強化に日本が数十億ドル投資する必要はない。国民に投資し、日本の人口減少を最小限に抑える必要がある。

 戦略的不安と絶望感を更に最小限に抑えるため、アメリカやオーストラリアやその他の志を同じくする国々に対し、ロシアに対する不安感を軽減できる戦略を追求すべく、日本は積極的に働きかけている。例えば2022年9月に、アメリカが史上初のアメリカ太平洋パートナーシップ戦略を開始するよう日本は日本は大いに説得した。同様に2022年6月に開催された第4回日米豪安全保障対話首脳会議でも日本は非常に攻撃的な発言をした。特に千島列島を巡りロシアに圧力をかけるため、国連海洋法条約(UNCLOS)実施を日本は強調した。だが1951年のサンフランシスコ平和条約で、日本は千島列島に対する全ての領有権主張を撤回したことを世界に知ってもらう必要がある。

 サイモン・ウェストウッドはアイルランド、ダブリン市立大学(DCU)修士課程学生。DCUの歴史学部の研究助手でもある。

記事原文のurl:https://journal-neo.su/2025/02/14/japans-national-in-security-strategy/

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