ロシア

2025年12月 4日 (木)

アメリカのカリブ海での軍事力増強はガザ和平を妨害するイスラエル戦略の一環?石油とマチャドとベネズエラ政権転覆



ホアキン・フローレス
2025年11月29日
Strategic Culture Foundation

 ネタニヤフにとって、従順なベネズエラ政府は、彼に都合の悪い様々な統合枠組みの一部に対し有利な立場に立てる可能性があるのだ。

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 なぜアメリカ海軍はベネズエラを直接攻撃せず威嚇姿勢をとっているのだろう。この問いに答えるには、意外にも意外性のない点に目を向ける必要がある。まずは昨年10月。イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相が、ベネズエラ反政府派指導者マリア・コリーナ・マチャドのノーベル平和賞受賞をいち早く個人的に祝福した人物の一人なのは誰の目にも明らかだ。これに倣った主要国指導者は、アルゼンチンのミレイとドイツのメルツしかいない。両者はリクードの政治とイスラエルのガザ戦争への無批判同調姿勢で知られ、まさにその点で際立っている。なぜマチャドはこの三人からこれほど称賛されたのか。

 公式見解では、ベネズエラのジャングルに潜む、イランの支援を受けたレバノンのヒズボラの隠れた細胞をマチャドが一掃するとされているが、これを真剣に受け止める大人などほぼ皆無だ。ほとんど侮辱的で、信じ難く、1980年代の下手な脚本のハリウッドB級映画のようだ。ネタニヤフのベネズエラへの関心は、むしろ石油とイスラエルのエネルギー源多様化の必要性が焦点だ。同時に、停戦と国連安保理決議2803に異議を唱える場合、地域的経済正常化のリスクを冒しても、ガザに対する影響力を得ることを狙っている。ベネズエラのような代替案を示すことで、イスラエルは、たとえ政治的影響で供給国からの現在の石油供給が途絶えたとしても、ガザ和平を頓挫させるよう圧力をかける柔軟性を得ることになる。トランプはネタニヤフの戦略に同調しているのか、それとも何か他の動機があるのか?

 ベネズエラは世界最大の確認済み石油埋蔵量を保有しており、2024年時点の約3030億バレルはサウジアラビアをも上回る。ドナルド・トランプ・ジュニアとのインタビューで、マチャドはベネズエラ埋蔵量はサウジアラビアより大きいと強調し、ベネズエラ石油をアメリカの利益のために無制限に搾取できると極めて植民地主義的な言葉で語った。彼女は本当にアメリカの利益だけを意味していたのか? ベネズエラ情勢を理解するには、ネタニヤフ首相、トランプとムハンマド皇太子がガザの和平と正常化を巡って抱いている緊張関係を理解する必要があるのかも知れない。

 

イスラエルの限られた選択肢:二つの選択肢

 イスラエルは経済、エネルギー、安全保障の面で、今後二つの主要戦略を掲げている。欧州と欧米諸国の支援に頼るか、地域経済に統合するかのどちらかだ。前者は従来の地域的方向性を維持するが、経済的に非効率だ。ベネズエラのような新たな資源がなければ、イスラエルは停滞するリスクがあり、一方、地域パートナーは発展し、サウジアラビアに過剰な影響力を与えることになる。まさにこれが、テルアビブがIMEC(インド・中東・ヨーロッパ経済回廊)と正常化を推進してきた理由だ。安価なベネズエラ産原油入手は、こうした動きを遅らせるか、あるいはイスラエルの交渉力を強化する可能性がある。

 第二の戦略は、地域経済統合への積極的関与、アブラハム合意の拡大と、サウジアラビアとの正常化で、これはイスラエルにとって全体的に望ましいものだ。それは既存の欧米諸国との関係は強化するが、その明白さはネタニヤフの交渉力を弱め、ガザをイスラエル領とみなす入植・併合派の過激派を疎外する結果となり国内で政治的に危険な道を進むことを余儀なくさせる。
 
インド・中東・欧州経済回廊(IMEC)とサウジアラビアの視点

 イスラエルは、輸送拠点としての戦略的地位を確保し、サウジアラビア原油の一部を利用するため、現在の供給国が提供するより有利な価格設定とメカニズムを模索する計画だ。イスラエルは、特にサウジアラビアとの関係において、地域における自国の方向性を変える必要があると認識している。 トランプ大統領の20項目計画の成功次第の、2002年に発足した長年のアラブ和平構想に基づいて、ガザ地区の平和と再開発が実現しない限り、イスラエルとの正常化やアブラハム合意にリヤドは参加するまい。

 イーライ・コーエン大臣によれば、イスラエルは、サウジアラビアから自国を経由しヨーロッパに直接石油を輸送する経路を提案した。計画では、700キロのパイプラインをエイラートまで敷設し、そこからエイラート・アシュケロン・パイプライン会社(EAPC)(別名「ヨーロッパ・アジア・パイプライン」)を経由してアシュケロンに至り、最終的に地中海をキプロス、ギリシャを経由してヨーロッパ市場に輸送する。この計画をアブラハム合意を拡大し、この地域におけるイスラエルの戦略的、経済的立場を強化する方策とコーエン大臣は位置付けているが、もちろんイスラエル国防軍のガザ侵攻が大いに阻害したサウジアラビアとの正常化に依存している。この広範な合意は、イスラエルが愛憎入り混じる関係にあるIMECプロジェクト(インド・中東・ヨーロッパ経済回廊)の大きな特徴になっている。

 イスラエルにとってアブラハム合意は、理想的には正常化につながり、イスラエルはインドからの製品、中東地域からの石油・天然ガス輸出の主要拠点として、IMECプロジェクトの一環としてヨーロッパ向けに取り組むはずだった。しかしイスラエルがガザを「放棄」しない限りサウジアラビアが正常化に同意しないため、ネタニヤフ首相が20項目計画を遵守しない限りIMECは機能しないだろう。イスラエルとサウジアラビアは共にIMECを望んでいるが、地理的に制約を受けるのはサウジアラビアだけだ。イスラエルの役割は確かにインドとの関係と合致する。それはインドにとって望ましいことではあるが、インド製品のヨーロッパへの輸送を阻む障害を回避する点において根本的なものではない。

 
IMECインフォグラフィック 出典: www.imec.international

 イスラエルはIMECを自国の経済的・戦略的立場の中核と見なしているが、回廊の設計はイスラエルの完全支配下にあるわけではない。湾岸諸国、特にサウジアラビアは、エネルギー輸出をイスラエルではなくガザ地区経由にすると選択し、事実上イスラエルを後回しにすることができる。そのシナリオでは、パイプラインや輸送インフラがイスラエル領土を迂回し、イスラエルはエネルギーの流れや地域貿易に対する影響力を大幅に低下させる可能性がある。この可能性は、IMECからイスラエルが得る利益が、湾岸諸国の協力とガザ地区とパレスチナの正常化に関する譲歩に左右されることを浮き彫りにしている。

 もしイスラエル国防軍がガザで軍事的・政治的に成功し、パレスチナ人を民族浄化していれば、ガザは事実上イスラエル領となり、イスラエルから独立した代替拠点としてのガザは選択肢から消えていただろう。もしかしたら、このことが、失敗した征服戦争におけるネタニヤフ首相の策略の一部を説明するかもしれない。

 サウジアラビアには、まだ別の選択肢があるかもしれない。かつて、サウジアラビアはレバノンに直接石油を輸送するパイプラインを持っていた。1950年に操業を開始したTAPLINEは、サウジアラビア産原油をヨルダンとシリアを経由してレバノンに輸送し、地中海に輸出した。このパイプラインは、一時はレバントの政治経済の再構築を約束した。当時アラムコを支配していたアメリカ企業に建設され、スエズ運河を経由するタンカー輸送をすることなく、サウジアラビア産原油を地中海に輸出することが目的だった。

 しかし、1967年の戦争中、シリアはアメリカとの関係を理由にサウジアラビアを罰するため、パイプラインを遮断した。これによりシリア区間が閉鎖され、パイプライン全体が麻痺した。しかし、最近のシリア政権転覆により状況は変化した

 
1950年代のTAPLINE経路

 イスラエルが将来サウジから原油を輸入する場合でも、現在の供給ネットワークを維持する場合でも、直面する問題は同じだ。ガザ和平計画を後退させ、再び戦闘行為に関与すれば、サウジ計画の実現が阻止され、ブラジルとトルコの躊躇が一層顕著になり、大幅削減、更には停止につながる可能性が高い。

 イスラエルによるガザ紛争は、IMECにとって、まさに悩みの種になっている。ガザ紛争はイスラエルとサウジアラビア間の「正常化交渉を阻害」し、回廊の存続を危うくしていると評論家たちは指摘している
 
ベネズエラは既にトランプのために働いている

 トランプはベネズエラの政権転覆に関心があるかもしれない。あるいは、そうでないのかもしれない。費用対効果の観点から、あるいは現在の体制がトランプにとって非常にうまく機能していることを考慮すると、それを正当化するのは難しい。マドゥロ現政権下でシェブロンは既にベネズエラの5か所で黒字経営をしており、PDVSAと30~40%の株式を保有している。トランプ政権は今夏から2025年8月まで、財務省のOFAC(海外資産管理局)免除措置を発令し、一部の制裁措置は一時停止されたため、事業は継続可能となっている。現在の地政学的局面におけるマドゥロとトランプの明らかな共通認識は、重要な背景を掘り下げた我々の記事「“Are Trump and Maduro secretly friends? Smoke & mirrors in 47’s win-win game in Venezuela”(トランプとマドゥロは密かな友人か? 47のベネズエラにおけるウィンウィンゲームにおける煙幕と鏡)」の基盤になった。

 無視できない別の視点がある。既にベネズエラは、ワシントンに完全に都合のいいように機能しているのだ。カラカスを公然と悪者にして、アメリカは実際機能している取り決めを覆い隠している。現時点で、アメリカだけがベネズエラ原油を通常価格で購入できるが、その場合も、取引の全てが小売価格でベネズエラに入金される精製製品で決済されるため、実質的に追加割引を受ける。他の全員が高額プレミアムを支払う。アメリカ以外の購入者は、現在施行されている関税制度に更に25%関税が課せられる実質的な影響は、ベネズエラをアメリカの事実上の私有埋蔵のようなものにし、見出しで報道されるドラマが示すよりワシントンにとって安価で安全なものになる。

 以下は追加情報だ。

 8月初旬のVenezuela Analysisによれば

 「金曜、アメリカ石油会社シェブロンは、アメリカ財務省による新たな制裁免除を受け、ベネズエラ合弁事業からの原油出荷を再開予定だとシェブロンのマイク・ワースCEOが確認した。」

 「今月、我々が関心を持っているベネズエラの事業から限られた量の石油がアメリカに流れ始めるようだ。」[…]

 この石油企業幹部は、ベネズエラでの石油掘削と輸出事業の再開は、シェブロンの利益への短期的影響は限定的だが、債務返済の促進につながると付け加えた。ベネズエラでの事業継続をドナルド・トランプ政権に強く働きかけてきたワースは、アメリカ制裁を遵守する同社の決意を改めて表明した。


 匿名情報筋は最近ロイターに対し、以前の報道を受けて特定ライセンスが発行されたことを確認した。一般ライセンスと異なり、特定ライセンスは企業に直接付与され、アメリカ財務省に公表されることはない。


 「ベネズエラに残る唯一のアメリカ大手石油会社シェブロン社は、制裁対象国である同国に長期的に留まり、適切な時期が来れば経済再建に貢献したいと考えている」とマイク・ワースに関する最近のシェブロン記事でブルームバーグが報じた。こうした曖昧な姿勢は、シェブロン社が何らかの結果に関与することを意味するものではないが、同時に、当面ベネズエラで操業を継続する計画であることを明確に示している。

 エクソンモービルは、数十年前にカラカスが国有化改革を施行した後、ベネズエラでの操業を停止すると決定したが、おそらく再び操業を開始する可能性がある。アメリカはいつでもベネズエラに対する制裁を解除する決定を下す可能性があるが、そのためには価格とOPECの政策をうまく調整する必要がある。

 制裁により制限されているベネズエラ産原油は、世界的原油価格の上昇を後押しする傾向がある。市場シェアを失うことなく、より多くの原油を高値で販売できるため、OPEC最大の産油国で、柔軟な余剰生産能力を持つサウジアラビアは現在の制度の恩恵を受けている。つまり、アメリカのベネズエラに対する制裁は、総生産量を制限し、アメリカとサウジアラビアの収入と市場への影響力を間接的に強化すると同時に、サウジアラビアにOPEC内での生産と価格管理に関する影響力を与えているのだ。

 ここで重要なのは、その背景だ。ベネズエラの原油生産量は約90万バレル/日なのに対し、サウジアラビアの原油生産量は約900万バレル/日だ。つまり、ベネズエラの生産量はサウジアラビアの生産量の僅か10%に過ぎない。ベネズエラが市場に完全復帰すれば、世界的価格下落を引き起こし、サウジアラビアやアメリカなど原油輸出国にとって経済的に不利な状況となるだろう。アメリカは、生産量1,350万バレル/日のうち約400万バレルを輸出している。

 ベネズエラの政治構造を再構築したり、シェブロンとPdVSAの合弁事業におけるシェブロンの持ち分を増やしエクソン・モービルを呼び戻したりできるとまだトランプは考えているのかもしれない。マドゥロも協力する意向を示している。しかし、アメリカのエネルギー企業は既に出入りできており、制裁はワシントンの裁量で解除される可能性がある。ベネズエラは依然ドルを保有し、石油取引の大半を米ドルで行っており、2024年の売上高は175億ドルに達する。政権転覆はどんな付加価値をもたらすだろう? アメリカの積極的関与がなければ成功する可能性は低く、公然と攻撃すれば石油インフラが壊滅し、アメリカはリスクの高い軍派遣に巻き込まれることになる。シェブロンは政権交代を推進しているわけではない。現実的に、制裁や脅迫や戦争より貿易と商売を優先しているのだ。

 実際、アメリカのベネズエラ産原油輸入量は2025年に増加し、1月には日量約25万バレルに達した。これは2019年の制裁開始以来最高水準の一つだ。またタンカー追跡データによると、輸出量は8月に9ヶ月ぶりの高水準に達し、日量約6万バレルがアメリカ・メキシコ湾岸に輸出された。この増加は主にシェブロンがアメリカのライセンスに基づいて操業を再開したことによるもので、ベネズエラ産原油供給とアメリカ製油所との直接的なつながりを裏付けている。アメリカはベネズエラ産原油の37%を輸入している

 振り返ってみれば、現状のままでほぼ安定していると言えるかもしれない。価格は安定しており、サウジアラビアも満足しているようだ。ベネズエラは合弁事業から非取引的な条件で現物報酬を受け取ることが可能で、CNN報道によると報酬はバレル単位で支払われたという

 「7月、トランプ政権はアメリカ大手石油会社シェブロンに、ベネズエラ産原油の輸出を許可するライセンスを再交渉した。ロイター通信によると、ライセンスの新条件では、シェブロンはベネズエラへの料金とロイヤルティを現金ではなく石油で支払うことが認められ、実質的に同国からのシェブロンの原油輸出量は半減した。」
 今のところ、トランプの海軍力増強とカラカスにおける政権転覆への期待は、うまく噛み合っていないようだ。アメリカと産油国はベネズエラの現状に満足しているようだ。カラカス自身も戦争や政権転覆より現状を好んでいる。他に何が影響しているのだろう?  
結論に向けて

 ネタニヤフにとって、従順なベネズエラ政府は、彼にとって都合の悪い様々な統合枠組みの一部に対し有利な立場に立つ可能性があり、少なくとも、彼にとって妥当な将来の選択肢があるように見せかけるだろう。

 イスラエルは、アゼルバイジャンからトルコ経由で、カザフスタンからロシア経由で、あるいはブラジルからトルコ経由で輸入される石油に依存している。これらの石油は、ネタニヤフ首相のガザに対する好戦的姿勢により危機に瀕している。加えて、イスラエルはエネルギー供給に関し戦略的権能を有している。トルコが既に行動を起こしていることを示す証拠をいくつか検証する予定だ。第二部では、これら要素を取り上げ、イスラエルのエネルギー供給の本当の仕組み、これら経路がネタニヤフ首相のガザにおける政治的影響力を制限している理由と、マチャドとの特別協定に基づくベネズエラ産重質原油の安定供給が、アメリカには解決する動機皆無で、むしろ反対しているように見える問題を解決する可能性がある理由を考察する。

 次回の記事では、マチャドとネタニヤフ首相の合意内容の詳細や、東地中海やペルシャ湾からの不定期再展開を含む、ベネズエラに対する最近の米海軍の姿勢の背後にある論理に焦点を当てる。カラカスにおけるアメリカ主導の政権転覆を通じてベネズエラをイスラエルに開放すれば、イスラエルに信頼できる代替ルートを与えることになり、トランプ大統領自身のガザ開発計画を阻害することになるだろう。しかし空母群は依然地平線のすぐそばで停泊を続けている。

記事原文のurl:https://strategic-culture.su/news/2025/11/29/is-us-caribbean-buildup-part-of-israel-strategy-derail-gaza-peace-oil-machado-and-venezuelan-regime-change/

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 Global Outrage|Col. Larry Wilkerson
VENEZUELA CRISIS DEEPENS — Trump’s Strike Sparks Global Outrage | Col. Larry Wilkerson 59:36
 今朝の孫崎享氏メルマガ題名
各報道機関高市内閣支持率、日経75%(+1)。産経75.2(-0.2) 、 読売72(+1)、共同 69.9(+5.5) 、朝日 69(+1)、NHK65.6

2025年12月 2日 (火)

トランプ大統領の和平提案は、代理戦争の敗北を渋々認めたようなもの



2025年11月28日
Strategic Culture Foundation

 トランプ大統領の粗雑な和平提案は、永続的合意や安全保障条約の基礎とみなされるべきではない

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 四年近く経過して、アメリカは自ら作り出したウクライナの泥沼から抜け出そうとしている。ロシアの目的は依然合理的かつ正当で、実現可能だ。妥協の余地はない。

 2014年、選挙で選ばれた大統領に対するCIA支援を受けたキーウでのクーデターに遡るこの紛争は、歴代アメリカ・ヨーロッパ政府が主導権を握っている。オバマ前大統領、トランプの第一期政権と、バイデン前大統領が、ヨーロッパのNATO加盟諸国と共に、ウクライナを砲弾の餌食にしてロシアを戦略的に打倒する代理戦争シナリオを推進したのだ。

 2014年から2022年にかけて、ウクライナのロシア語圏の人々に対する大量虐殺的攻撃とともに挑発行為が続いた。アメリカ主導のNATO同盟は、殺人的背信行為にロシアが耐えきれなくなり、2022年2月に特別軍事作戦を開始するまで、汚れ仕事をさせるべくキーウのネオナチ政権を兵器化したのだ。ロシアの目的は正当だった。ロシア国民の保護、政権の非ナチ化と、数十年にわたるNATOの容赦ない攻撃を決定的に停止させることだった。

 ウクライナ兵だけでなく、アメリカ、カナダ、イギリス、フランス、ドイツ、ポーランド、バルト諸国などから何千人もの兵士を秘密裏に派遣し、代理軍を武装すべく何千億ドルとユーロを費やしたにもかかわらず犯罪的戦争策略はロシアにより敗北させられた。

 第二期政権で、この汚いゲームが終わりを迎えたのをドナルド・トランプ大統領は悟りつつある。中国を含むアジア太平洋地域や中東やアメリカが「裏庭」とみなす中南米のベネズエラなどの地域、至る所でアメリカ帝国主義は権益を狙っている。

 ヨーロッパ戦線は金がかかる血みどろの混乱だ。ウクライナとNATO支援諸国は完敗したのだ。連中は兵力も武器も資金も尽きたのだ。自らの腐敗の重圧でキーウ政権が崩壊する中、これはロシア侵略から民主主義を守るための崇高な目的だったという欧米諸国の荒唐無稽な言説も崩壊しつつある。CIAが画策したネオナチ・クーデターから生まれた民主主義?

 かつてウクライナ東部および南部の一部だった歴史的ロシア領の大部分、すなわちクリミア、ドネツク、ルガンスク、ヘルソン、ザポリージャをロシアは確保した。ハリコフ、ニコラエフ、オデーサ、スムイを含む残り領土確保に向けロシアは前進するだろう。

 この紛争の間、(そして、それ以前から)欧米諸国の報道機関は終始嘘をつき続けている。騎士道精神に則り欧米諸国が侵略から民主的ウクライナを守っているという見方は現実を大胆に歪曲したものだ。欧米とNATO傭兵の支援があればウクライナは軍事的に勝利できるはずだという考えが何百万人ものウクライナ人の犠牲を伴う無益な戦争を煽ってきた。依然、戦場は「膠着状態」にあるかのように欧米メディアは報じているが実際はロシア軍がNATO軍を包囲している。今後数週間でウクライナ防衛線は急速に崩壊するだろう。

 ロシアは決してウクライナ全土を占領するつもりなどなく、ましてヨーロッパ諸国を征服し続けるつもりなどない。欧米諸国の言説は、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領をヒトラーの生まれ変わりとして描く滑稽で幼稚な幻想だ。この幻想は、欧米諸国の経済と国民を途方もない規模で欺くために利用されてきた。

 ロシアの目標は、常に国民と歴史的領土を守り、NATOとその代理組織ネオナチの脅威を根絶することだ。これはウクライナ全土を征服することなしに達成されつつある。

 トランプの和平提案は、代理戦争計画が失敗したことを欧米諸国の一部がようやく認識したことを反映している。他の歴史的ロシア敵国が敗走したのと同様、残忍な策略でNATOは敗北したのだ。僅か80年前に、ナチス・ドイツの戦争機構がロシア国民に破壊された。だが、ファシズムは完全には破壊されなかった。民主主義国家を装う西欧諸国という形で地下に潜っただけだった。

 トランプ大統領の提案に、将来の平和的解決の基盤となり得るとプーチン大統領は外交的に対応した。実に寛大だ。トランプ大統領の漠然とした提案の中には、ロシアの正当な要求を満たすものがほとんどないためだ。実際、ロシア人評論家スタニスラフ・クラピヴニクが痛烈なまでに明確に指摘している通り、アメリカ「計画」はロシアが求める厳しい条件を満たしていない。

 アメリカを仲介役として提示するトランプの傲慢な思い上がりも軽蔑すべきものだ。アメリカはロシアとの戦争の主要立て役者だ。ヨーロッパの共犯者連中同様、アメリカの手は何百万人もの血で濡れている。

 2014年-2015年のミンスク合意や、2022年3月のイスタンブール和平提案で、アメリカとNATO属国諸国は名誉ある合意に誓約する能力がないことを歴史が示している。更に、アメリカが一方的に破棄した軍備管理条約もいくつかある。

 従って、ウクライナにおける敵の決定的軍事的敗北を通じて、ロシアは自らの条件でこの紛争を終わらせる権利と義務を有している。

 トランプ大統領の粗雑な和平提案は、永続的合意や安全保障条約の基礎とみなされるべきではない。

 アメリカとヨーロッパの手先連中が見せている混乱の中、唯一明るい兆しは、彼らの戦争計画が挫折したのを暗黙のうちに認めていることだ。少なくとも今のところ。この勝利は欧米諸国の帝国主義者連中が二度と同じことを繰り返さないことを保証すべきだ。

 たとえ無秩序な急ぎ足であれ、この泥沼状態から脱却しなければならないという現実的感覚が少なくともトランプには多少ある。だが欧州エリート連中は嘘とプロパガンダとロシア嫌いに囚われすぎて敗北の現実を直視し始めることさえできない。敵が手強いほど、その敗北もまた大きいのだ。

記事原文のurl:https://strategic-culture.su/news/2025/11/28/trump-peace-overtures-reluctant-admission-of-proxy-war-defeat/

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 耕助のブログ
No. 2736 中国の社会的信頼が回復

2025年12月 1日 (月)

贈り物を持ってくる西洋人にご用心

ブライアン・アンソニー・レオ
2025年11月29日
New Eastern Outlook

 ウクライナに対するアメリカの和平提案は不十分だが、EU提案は完全な茶番で、ウクライナが再軍備するための時間稼ぎと猶予期間を稼ぐための単なる試みなのは明らかだ。

 

 「欠陥」と「煙幕」は欧米諸国の提案を最も正確に表す言葉だ。

 アメリカが28項目の和平案を打ち出したと聞いた時点で、私は既に疑念を抱いていた(ウッドロウ・ウィルソンの14項目の二倍の項目をトランプは大げさに宣伝しなければならなかった)。アメリカ案は、大部分において、それ自体が多くを物語っている。

 1、2、3 などの特定の点は、すぐ合理的だと分かる。

 他の点、例えば6番目などは、すぐ不合理だと分かる。ウクライナに60万人規模の軍隊を維持する正当な理由はない(EUの提案は80万人規模だ)。欧米諸国は1919年にドイツの兵力を10万人に制限しようとしていたが、1919年のドイツ人口は現在のウクライナのほぼ三倍で、ドイツにはウクライナにはない重大な国内脅威があった。2025年のウクライナには20万人を超える軍隊は必要ないし、それさえ寛大で過剰な数字だ。60万人は不合理で、80万人はロシアに対する将来の侵略と挑発のための露骨な計画に過ぎない。

 アメリカ提案は多くの点で不十分で、交渉や協議への誘いと捉えられるかもしれない。一方、EUの提案は反応に値しない茶番劇だ。

 アメリカの計画では「ウクライナが理由なくモスクワまたはサンクトペテルブルクに向けてミサイルを発射した場合、安全保障の保証は無効とみなされる」と明記されているが、「理由なく」という表現が曖昧さと抜け穴を生じさせている点で危険だ。ウクライナがモスクワまたはサンクトペテルブルクに向けてミサイルを発射する「理由」があるかどうか一体誰が判断するのか? また、なぜモスクワとサンクトペテルブルクだけなのか? これは、欧米諸国が将来のウクライナ政権に、モスクワやサンクトペテルブルクではなく、スモレンスク、ロストフ、クラスノダールへのミサイル発射の白紙委任を与えているということだろうか? そもそも、そのような発射を行うのに理由が必要か? モスクワまたはサンクトペテルブルクへの「理由ない」ミサイル発射を禁止することは正しい方向への動きではあるものの、それだけでは不十分だ。ウクライナは、ミサイル、ロケット、榴弾、迫撃砲弾など、標的を問わず、ロシアに向けて発射物を発射することを全面的に禁止されなければならない。

 アメリカ計画における第11項は特に危険だ。「ウクライナはEU加盟資格を有し、この問題が検討されている間、短期間、欧州市場への特恵的アクセスを認められる」。これは、まさにEUが基本的に「軽量級NATO」であるがゆえに危険なのだ。これは、フィルター付き低タール「ライト」タバコのようなものだ。もしあなたが十代の息子に喫煙をやめるよう言ったのに、彼が「ライト・タバコしか吸っていない」と言ったら、あなたの指示に反するため、あなたは納得できないはずだ。EUは基本的に軽量級NATOなのだ。ウクライナはNATOに加盟すべきではないし、ウクライナはEUにも加盟すべきでもない。

 提案の核心は、ポイント14あたりから始まる。そこで、ロシアは実際凍結された資金を取り戻すわけではないが、労働者が暮らす企業城下町で企業金券を支払われ、企業金券が、その企業の店でのみ通用するなど、アメリカ主導のプロジェクトに資金投資できることをアメリカは明確にしている。

 ユーロ案と比較すると、ヨーロッパがアメリカの「善玉」に対し「悪玉」を演じているのは明らかだ。結局、どちらの案もロシア権益にとって不利で、ロシアにとって受け入れ難い点を数多く含んでいるが、ヨーロッパ案の明らかな不合理性と比較すれば、アメリカ案は「それほど悪くなく」合理的に見える。

 ユーロ計画をロイターは有料購読制にしており、私は欧米諸国の商業メディアに金を支払うつもりはない。アメリカとユーロの提案を比較した資料は戦略国際問題研究所(CSIS)が提供している。CSISは、いわゆる「シンクタンク」で、タカ派プロパガンダを推進する組織なので、分析は信頼できないと私は考えているが、記載されている28項目は、アメリカとユーロの提案の内容を正確に反映しているように見える。ウェブサイトに掲載されている他の内容は極めて疑わしいと考えるべきだろう。CSISは反文明的思惑を推進する破壊的グローバリストの危険な組織だと私は個人的に考えている。しかし、彼らはユーロとアメリカの両方の提案を公表している。

 EU提案から

 欧州提案は、ウクライナがNATOに法的に加盟することなく事実上NATOに加盟することを意味しているが、この可能性は将来に残されている。

5. ウクライナは強力な安全保障保証を受ける。

6. ウクライナ軍の規模は平時において80万人に制限される。(アメリカ計画では、戦時・平時を問わず60万人という上限が定められている。)

7. ウクライナのNATO加盟は、現在は存在していないNATO加盟国の合意にかかっている。(アメリカ計画では、ウクライナが憲法上NATO加盟を放棄し、NATOがウクライナを加盟させないことを正式に約束することが提案されていた。)

8. NATOは平時において、その指揮下にある部隊をウクライナに恒久的に駐留させないことに同意する。(アメリカ計画では、ウクライナにおけるNATO「部隊」の全面的禁止が求められていたが、欧州は有志連合の余地を残しているようだ。)

10. 第5条(ウクライナの安全保障に関するもの)を反映したアメリカの保証

 欧米諸国は、ウクライナが80万人の軍人を維持し、NATO第5条に準じた保証を受け、NATOが「平和が崩壊した」と判断した場合にはウクライナに軍を駐留させることを認めつつ、将来NATOの合意が得られればウクライナがNATOに加盟する道も残したいと考えている。これら条件はどれも、本当の平和につながるものではなく、実現可能で持続的な平和を実現することも不可能だ。

 今起きていることは、EUが不合理でありながら合理的に見せようとしているということが私には明白だ。彼らは、より深刻な紛争を煽り立てたい、あるいはせいぜい紛争を凍結させ、キーウのマイダン・クーデター政権に再建と再軍備のため3~4年の猶予を与え、できれば残りのトランプ政権の任期を乗り切り、ドンバスでの不条理な緊張激化で、もっと寛容なタカ派のネオコンに取って代わってもらいたいのだ。

 一方で、先ほど触れた通り、アメリカの「善玉警官」に対し、EUが「悪玉警官」役を果たしている可能性もある。

 法律実務において、私はこれを「理不尽でありながら合理的に見せる術」、あるいは「相手にチャンスを与える術」と呼んでいる。これはチーム内の一人の弁護士が、ほとんど、あるいは全く明らかに理不尽な、厳しく過度に理不尽な立場(しかし、善意に基づいているように見せかける)を取り、もう一人の弁護士が、より和解的立場を取りながら、共通の依頼人の利益に合致する立場をとる状況を指す。そして、これらの立場が相手方に提示され、相手は二つの選択肢の中から選べる錯覚に陥る。物事がそのような形で提示され、枠組みが決められている場合、人間心理は、どちらか一方を選ぶ傾向がある。

 結局、これは法廷闘争中の田舎町の実業家や、警察の尋問を受けているチンピラに効果がありそうな安っぽい基本的な心理操作テクニックだ。チンピラは、ハードボイルドな刑事に懲役10年で脅されるが、「あと数ヶ月で定年退職」で「この事件を終わらせたいだけ」の親しみやすく祖父のような雰囲気の警部補が、若い悪党に「事実を正して自力で解決しろ。数ヶ月で刑務所から出られるぞ」と告げるのだ。

 だが、 こうした不器用な欧米策略は熟練したロシア外交官や政治家に通用する可能性は低い。

 欧米諸国とロシアの間の平和を実現する方法について、先ほど述べたこと、そして私が詳述した概要は変わらない。それは非常に単純なものだ。単なる弁護士で、資格ある外交官でなくとも実行できるほど単純だ

 しかし、私が提案するような平和の枠組みは、実際平和を望む文脈の中で生まれなければならないもので、単に紛争を「一時停止」して、西洋やグローバリストの破壊活動勢力の野望にとって状況がより有利になった時点で後日再開しようとするものではない。

 凍結された紛争に対して、欧米諸国は何をしようと予想しているだろう? 数年間何もせず、その後、ロシアでプーチン大統領から、プーチン大統領が定めた進路を継承する形で国家の舵取りを続けるため選出された同じくロシア愛国者へと政権が移行した暁に、欧米諸国は飛びつき、ウクライナ紛争を突如凍結解除させ、モスクワで世代交代が微妙に行われるまさにその瞬間に、ロシア国境で外国危機を引き起こすだろう。なぜなら、それはまさに策略家が企てる巧妙な策略で、欧米諸国の長期的動機と目的を理解していれば、そうするのw理にかなっているためだ。

 本物の政治家、プーチン大統領は、ロシアのために多くの功績を挙げ、おそらく今後7年から15年はそうし続けるだろう。正確な年数は分からないが。彼の健康と長寿と、これからも末永く活躍されるよう願っている。彼は、中身のない役人や弱虫や臆病者で溢れる世界において、伝統的な文明と男性的な指導力の真の宝だ。だが、いつかは、ロシア国民からその松明を担い、モスクワの国家権力の手綱を握るにふさわしい後継者と判断された人物にバトンを渡すだろう。もしウクライナで凍結された紛争が存在すれば、欧米諸国はこの機会を捉え、少なくともモスクワでカラー革命を起こし、ロシア国家を分裂させようと試みるだろう。そしておそらく同時に、ウクライナ紛争の凍結を解除するだろう。

 NATOを東側に拡大しないというゴルバチョフとの合意に欧米諸国が違反して以来、欧米諸国は大きく信用を失っており、今日も誠意を持った提案さえできないようだ。

 アメリカ提案は物足りない部分が多く、交渉や議論への誘いと捉えられるかもしれない。EU提案は、反応するに値しない茶番劇だ。「悪徳警官」のゲームか、あるいは、重要と見せかけたいだけで、実際は無意味で無関係で疲弊した旧大国による単なる窮余の策かのどちらかだ。結局、イギリス、フランス、ドイツは自称伝説的存在ではあるものの実際は無意味だ。

 いずれにせよ、贈り物を持ってくる西洋人には気をつけて頂きたい。こうした申し出は贈り物に見えず、非常に利己的で欺瞞的なものに思える。

 ブライアン・アンソニー・レオはオハイオ州を拠点とする弁護士で、軍事史、地政学、国際関係の専門家。

記事原文のurl:https://journal-neo.su/2025/11/29/beware-of-westerners-bearing-gifts/

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 Alex Christoforou Yutube
Trump closes Venezuela airspace. Zelensky faces party collapse. Merz increases money to Ukraine 31:34
 今朝の孫崎享氏メルマガ題名
ウクライナ、汚職スキャンダルで、イェルマーク大統領府長官が辞任。「ィ」は元TVB級プロヂューサー。ゼレンスキー政権創設者とみられてる。ゼレンスキー内閣の共同代表的存在。常に大統領と一体。米国との交渉、ロシアの軍事攻勢の激化の中で、ゼレンスキー内閣の掌握力低下は必至

2025年11月30日 (日)

ウクライナ戦争の継続を切望する欧州指導者連中



イアン・プラウド
2025年11月27日
Strategic Culture Foundation

 アメリカが仲介して進行中の和平交渉を、連中は妨害しようとし続けている。

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 彼らの判断に任せれば、欧州首脳連中は、ウクライナ戦争継続を喜ぶはずだ。それに伴う莫大な人的被害や、インフラの継続的破壊や、ゼレンスキー大統領と彼の政権の腐敗や抑圧が益々進む傾向など連中はほとんど考慮していない。

 従って、トランプ大統領の(既に困難を大いに極めている)戦争終結に向けた努力を阻止しようと欧州諸国が躍起になっているのは、さほど驚くべきことではない。J・D・ヴァンス副大統領がXに投稿した投稿に見られる通り、アメリカの狙いは「双方が受け入れ可能な」和平案を確保することにあるからだ。

 それが外交の基本原則だ。戦争において真の勝者は存在せず、戦争を終結させるには、双方に、長期的平和のため譲歩する覚悟を持った優れた政治手腕が求められる。戦場でのロシア軍進撃を依然厳しく進め、経済的にも戦争を継続する上で遙かに優位な立場にあるにもかかわらず、プーチン大統領は、流血を終わらせるために和解し、決着をつける姿勢を示している。

 だがヴァンス副大統領が投稿で述べた通り「(ヨーロッパとキーウとワシントンの一部の人々には)資金や武器や制裁を増やせば勝利は目前だという幻想が広がっている。平和は、空想の世界に暮らす無能な外交官や政治家によってもたらされるものではない。現実世界に暮らす賢明な人々によってもたらされる可能性がある。」

 戦争を終わらせるためにはウクライナも譲歩する必要があり、欧州の指導者たちはこの必然性を認めなければならないというのが冷酷な現実だ。

 だが、アメリカがジュネーブでウクライナとの詳細な和平交渉を開始した後、経済的手段も軍事的意志もないのに、ヨーロッパ諸国が、依然和平に必要な譲歩を全てロシアに強制できるという幻想に囚われているのが、すぐ明らかになった。

 ウクライナ和平案の28項目の初期草案が公表された後、欧米メディアはドイツ、フランス、イギリスの国家安全保障顧問が編集した新版を迅速に配信した。(欧米メディアで、なぜこれほど早く文書が漏洩したのか誰も質問しなかったことに私は驚いている。いや驚いていないかもしれない。)

 当初の28項目アメリカ案は、計画というより協議の議題で、決して完璧ではなかったが、ロシアとウクライナ双方の懸念に対処しようとする要素は含まれていた。

 ヨーロッパが編集した27項目計画は、ロシアが和平協定に決して同意せず、戦場で戦い続けるように設計されていた。

 これまでのところ、この最大の理由はNATOに関係している。アメリカ草案には、ウクライナがNATO加盟への野心を放棄し、NATOはウクライナ加盟を決して認めないという誓約を憲章文書に盛り込む条項が含まれていた。

 ウクライナはNATOに加盟できるのは加盟諸国の合意を通してのみと欧州版で変更されたが、そのような合意は存在しない。だが、これは明らかに、ウクライナの加盟に関するNATOの現在の立場を述べている。つまり合意が得られていないのでウクライナは加盟できないのだ。だが、ロシアがしばしば表明している立場は、いつか合意が得られるかもしれない、例えば将来の民主党アメリカ大統領の下では、というものだ。つまり、これはウクライナが将来加盟する可能性を僅かに残しているに過ぎない。そして、まさにこの懸念こそ、開戦前の慌ただしい外交の日々にプーチン大統領が表明した懸念だった。「明日でなければ明後日はどうか?」 特筆すべきは、アメリカ草案にあった第3項「NATOはこれ以上拡大しない」も、欧州側により完全に削除されたことだ(従って、欧州案は28項目ではなく27項目になっている)。

 更に、アメリカ草案の他の文言も骨抜きにされた。ウクライナにNATO軍を駐留させないという誓約は削除され、提案された欧州条項では、平時においてNATO軍はウクライナに恒久的には駐留しないという規定が盛り込まれた。どちらの条項も、NATO軍のウクライナへの一時的派遣と、将来の戦争における恒久的派遣の可能性を残していた。

 この提案がウクライナに平和をもたらすためのものだという前提に立つと、平和が実現した際にNATO軍をウクライナに一時派遣することを認める文言の追加は、決して平和が実現しないようにするためのものに思われる。特にアメリカ草案には、ロシアによる将来の戦争を想定した軍事対応を含むウクライナの安全保障に関する確固たる文言が含まれていた。

 もう一つの欧州側のいわゆる「対案」の特筆すべき点は、ウクライナの将来のEU加盟に関する慎重な姿勢だ。アメリカ草案では、EU加盟はウクライナの「権利」とされていたのに対し、欧州は文言を変更し、ウクライナはEU加盟に「適格」で、申請は「評価される」としている。これは「加盟は保証されていない」という外交上の曖昧な表現だ。ウクライナのEU加盟に、もはや異議を唱えないとロシアは述べているものの、欧州指導者たちは、私がこれまで何度も指摘した通り、加盟に伴う莫大な代償と混乱に焦点を当て始めている。

 ウクライナに支払う資金が不足している欧州諸国は、戦後復興費用に関する文言を根本的に変更した。アメリカは、利用されていないロシア国家資産の一部を分割投資するという文言を採択し、ロシアが全ての復興費用を負担し、それが完了するまで資産は凍結されるとした。明らかに、私が以前指摘した通り、ロシア資産を保有し続けることは、ロシアが和平交渉に踏み切る意欲を削ぐことになるだろう。ロシアは、自ら望んでいる戦争を終わらせ、戦争による損害の全てを負担しながら、凍結された備蓄を返還されないままにしておくだろうか? 戦争を続ける方が費用が安くつくのは確実だろう。

 欧州による奇妙な追加もいくつかあった。例えば、ウクライナで和平合意成立から100日後に選挙を実施するというアメリカ提案を「できるだけ早く」選挙を実施するという誓約に置き換えた。これは明らかにゼレンスキー陣営へのごまかしで、戦争終結後の不確定な期間、大統領選挙が先送りされる可能性を残している。

 ウクライナ間での相互理解と和解を促進するという文言は骨抜きにされ、ナチス・イデオロギーに関する文言は削除された。

 書面上、アメリカの28項目とヨーロッパの27項目改案はかなり似ている。だが良く読むと、アメリカ計画は平和を重視し、欧州計画は更なる戦争を助長するものに見える。

 にもかかわらず、アメリカが交渉の主導権を握っており、ヨーロッパ諸国は交渉の実質的部分からほとんど排除されているようだ。11月24日、ジュネーブでウクライナとの集中的協議が行われた結果、和平案は19項目にまで絞り込まれた。ロシアとウクライナ双方が受け入れ可能な解決策を見出すのはトランプ大統領にとって途方もない挑戦になるだろう。だがヨーロッパ諸国の誰よりも彼こそ遙かに大きな可能性を手にしているのだ。

記事原文のurl:https://strategic-culture.su/news/2025/11/27/european-leaders-are-desperate-for-the-war-in-ukraine-to-continue/

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 ≪櫻井ジャーナル≫
ウクライナでロシア軍の勝利が決定的になる中、NATOの手先を処分する動き
 Real Scott Ritter
Interview with Alexander Artamnov 47:25
Scott Ritter
Nov 29,1025

 植草一秀の『知られざる真実』
NHK登場藪中三十二の正体
 今朝の孫崎享氏メルマガ題名
NYT:長寿専門家が教える、健やかな老後の為のヒント、健康的な老化の鍵は遺伝との説。ゲノム配列解析結果、長寿者の生物学的構成は同年代の人々とほとんど違いない。①筋力トレーニングを始めましょう。⓶定期的睡眠。③メンタルヘルスー週に30分以上屋外緑地で過ごす。

2025年11月29日 (土)

グランド・ホテル・ウクライナ



ロレンツォ・マリア・パチーニ
2025年11月26日
Strategic Culture Foundation

 考えてみると、トランプ大統領の和平計画が不動産投資契約のようなものなのに気づいている人はほとんどいない。

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この平和に、一体どれだけ価値があるのか?

 28項目和平案について我々全員熱心に語っているが、見ようによっては、それが不動産投資契約のようなものなのに気づいている人はほとんどいない。

 偉大なアメリカ起業家で「新世界」価値観を体現する立志伝中の人物で、エプスタインの友人でもあるドナルド・トランプが、ある計画を立案した。それは公式には「ガザを五つ星リゾートに変える」プロジェクトと称されるガザ復興計画に酷似している。だが、トランプは本物の実業家で、望むものを手に入れるためには何をするべきか、どれほど負担がかかろうと目標を実現する方法を心得ているのを認めなければならない。そして、まさにその負担こそが、我々が注目したいものだ。

 この平和に、一体どれだけ価値があるのか?

 正確な推定は難しいが、既に予測を始めているところもある。例えば、SMO三周年に際し、ウクライナ政府、欧州委員会、国連が共同で作成したRDNA4(第4次被害・ニーズ評価)と呼ばれる文書によると、ウクライナ復興にかかる総費用は10年間で約5,240億ドル、つまり2024年のウクライナ推定名目GDPの約2.8倍に達すると推定していると世界銀行グループが報道発表で報じた。

 2022年2月24日から2024年12月31日までの被害を分析したRDNA4では、直接的被害額が1,760億ドル(1,700億ユーロ)に達し、2024年2月のRDNA3で推定された1,520億ドルから増加したことが強調されている。最も被害が大きい分野は、住宅建設、運輸、エネルギー、商業、工業、教育だ。住宅ストック全体の13%が損壊または破壊され、250万世帯以上が影響を受けている。エネルギー分野では、生産施設、送配電網、地域暖房システムなど、インフラの損傷または破壊が、前回評価と比較して70%増加した。最前線に近い地域は、総被害の約72%を被った。

 国際的寄贈者の支援を受け、2025年までに住宅、教育、保健、社会保障、エネルギー、交通、水道、地雷除去、市民保護といった優先分野にウクライナ政府は73億7000万ドル割り当てた。だが同年、復興・復旧需要に対し99億6000万ドルの資金不足が残った。こうした状況で民間部門の関与がウクライナ復興成功の決定的要因だったことが確認された。

 我々が話しているのは、一体どの個人投資家のことなのか?

 ウクライナになされた破壊の規模が桁外れなことを欧州委員会は強調し、民間投資動員とウクライナの欧州単一市場への段階的統合を通じて復興を支援し、双方に新たな経済機会を創出するEU公約を改めて表明した。復興需要が最も大きいのは住宅部門で、約840億ドルが必要とされており、次いで運輸(約780億ドル)、エネルギー・採掘資源(680億ドル)、貿易・工業(640億ドル以上)、農業(550億ドル以上)となっている。瓦礫の処理・撤去だけでも130億ドル近くの費用がかかる。また、この評価には、国、国際パートナー、民間部門の貢献により既に満たされている130億ドル以上の需要は含まれていない。例えば、2024年には少なくとも12億ドルが住宅部門復旧に割り当てられ、2,000キロを超える国道が緊急補修の恩恵を受けた。また、復興投資を優先することが、ウクライナのEU加盟への道筋と長期的回復力強化の中核になるとRDNA4は強調している。これら介入は戦争で破壊されたものを修復するだけでなく、革新的解決策と欧州基準に適合した改革を通じて国の近代化を図り、長期的に、より堅固で持続可能な発展を促進することを目指している。

 つまり、この大規模プロジェクトから利益を得たい投資家は欧州連合(EU)自身だ。5,240億ドル(2025年末には更に多くなると予想される)投資を想像願いたい。どれほど大きな事業機会か。EUがどれほどそれを必要としているか想像してみてほしい。すでにウクライナ支援に約1850億ユーロを費やし、ロシアとの戦争遂行のために800億ユーロ+150億ユーロを求めているのだから。数学が意見の問題でないなら…EUはウクライナの主要投資家になる必要がある。そうすることで初めて資源を回収し、自らの官僚的・政治的・金融的機構の存続を確保し、ウクライナが存続する限り債務に縛り付けられるからだ。

 従って、この平和には価値がある。極めて貴重だ。だが、ドナルド・トランプが提案すると、EUは同意できないのだ。  
東部戦線の巨大リゾート

 さてトランプについてお話ししよう。28項目からなる計画で、凍結されたロシア資産1000億ドルを復興に充てることを彼は提案した。これは実に巧妙な動きだ。実質的に、ロシア資金で新興企業に資金提供するようなものだ。モスクワに対する壮大な侮辱だ。既にアメリカ政府が公式に1850億ドルを戦争に費やしていることを考えれば、必要投資額は実質的に支出の50%に相当する。失われた資金の一部を回収し、それを有利に活用する優れた戦略と言えるだろう。

 さて、ウクライナがどんな姿になるのか想像してみよう。巨大な五つ星リゾート地となり、その中心に「グランド・ホテル・ウクライナ」がそびえる。ここで少し皮肉を込めて、スターリンの七姉妹の一つ、モスクワの有名な「ホテル・ウクライナ」(後にラディソン・ホテルになった)を想起しよう。それはアメリカ覇権が極東ヨーロッパにまで及ぶことを象徴する。このイメージは単なる美学を超える深い意味を持つのだ。

 そうすることで、アメリカはいくつか成果を実現するはずだ。第一に、アメリカは政治的には距離を置いているものの、影響力と覇権という点で、ヨーロッパに新たな拠点を築くことになるのだ。もしワシントンが既にキーウとモスクワを分離するのに成功していれば、国境から僅か数キロの場所に、アメリカが支配する植民地を確保することになるのだ。冷戦という観点から見れば、またしてもアメリカの勝利と言えよう。

 既に述べた通り、アメリカは、ヨーロッパに新たな政治・軍事司令部を置くことになる。だが、どのヨーロッパか? 現在のモデルは既に植民地化しているが、トランプの好みに、イギリスとフランスの影響力は強すぎる。アメリカは、ヨーロッパ自体の権力から「解放した」ヨーロッパを、堕落した帝国属州に変貌させ、最後の住民まで搾取したいのだ。これはカルマ(応報)の法則だ。ヨーロッパは「新大陸」を植民地化するため、アメリカを創設した。そして今や、その「新大陸」が「旧大陸」に敵対しているのだ。

 ロンドンと属国諸国を崩壊させるには時間と多数の標的攻撃が必要なことをトランプは認識している。ウクライナとの交渉から欧州を除外すれば、欧州諸国政府の信頼性と安定に深刻な打撃を与える。西欧諸国に対する広範な支配を維持するためのイギリスの主要プロジェクトたるNATO自体も、イギリス指導部がもはや軍事機構を支配できないため力を失いつつある。

 肝心なのは、ヨーロッパは、アメリカと共に、ではなく、ロシアと共に生きるべきなのだ。ユーラシアは単なる意見ではなく、広大な地政学的空間で、異なる地政学的で連続的文明モデルの拡大と統合に不可欠な空間だ。大西洋対岸依存は嘘の領域に過ぎない。

 そして周辺地域ウクライナは、再びどちら側につくかの決断を迫られている。ロシアに復帰しユーラシアへの統合を受け入れるのか、それとも欧米諸国の勢力圏に留まり、誰か先見の明がある起業家の新たな遊び場に変貌するのを待つのかだ。

記事原文のurl:https://strategic-culture.su/news/2025/11/26/grand-hotel-ukrain

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 The Chris Hedges Report
How Palestinian History Is Systemically Forgotten (w/ Micaela Sahhar) | The Chris Hedges Report 40:26
Micaela Sahhar reframes monumental events in Palestinian history through an intimate lens of her own family’s displacement during the 20th century.

Chris Hedges
Nov 29, 2025

 今朝の孫崎享氏メルマガ題名
AIに問う「現在右派過激発言がSNSで勢い。彼らの好ましくないXがあるとその反応Xで何十万にも。これは何十万の人が反応しているというより、特定の人が複数のアカウントを持ち発信の可能性がないか。見解を問う」、答え:ボット(自動プログラム)や複数アカウント操作の可能性高い。

2025年11月23日 (日)

ウクライナ紛争が欧米諸国の代理策略であることを証明する絶え間ないキーウ政権の腐敗


2025年11月21日">


Strategic Culture Foundation

 腐った袋から死体が溢れ出るかのごとく欧米言説の腐敗と嘘が溢れ出ている。

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 先週ウクライナで爆発的に広がった汚職騒動は、ウォロディミル・ゼレンスキー率いるキーウ政権が、紛れもない恥辱と詐欺であることを疑う余地なく示している。だが非難されるべき存在として暴露されているのはキーウ政権だけではない。支援者たる欧米諸国政府やNATOやあらゆる報道機関も腐敗した仮面を露呈している。

 今ワシントンは、今週トランプ大統領が発表した和平合意をキーウの犯罪組織に受け入れさせる好機を狙っているのかもしれない。悲惨な代理戦争からアメリカを救い出したいとトランプ大統領が切望しているためだ。一方、欧州の支配者連中は、別の理由で、悪臭を放ち、沈みゆくこの船に深く関わっている。

 昨年の選挙を中止し、民主的信任ではなく法令により大統領職に就き続けているゼレンスキー大統領と閣僚やビジネス関係者連中は、とうとう不正行為を暴露された。1億ドル相当の汚職と賄賂を受け取っていたとされる。その資金は全て欧米諸国の納税者の厚意によるものだ。だが、この金額は、政権と欧米諸国支援者が吸い上げてきた数十億ドルに比べれば、ほんのわずかな額に過ぎない。

 2022年2月、ウクライナで軍事紛争が勃発してから約四年。これは地政学的対立における欧米諸国による対ロシア代理戦争だと多くの客観的観察者は主張してきた。ウクライナは、この血みどろのゲームの駒に過ぎなかった。この代理戦争の本質的原動力は、それが「ロシアの戦略的敗北」につながると見込んで、軍事紛争を継続させるためゼレンスキーと政権に賄賂を贈り続けていたことだった。

 欧米諸国政府と支配された商業メディアが報じる欧米プロパガンダ言説は、批判的観察者にとっては信じ難い幻想だった。ウクライナと喜劇役者出身の「勇敢な」大統領が「ロシア侵略」に立ち向かっていると欧米諸国国民は聞かされてきた。この不条理な道徳劇の嘘は、無益で弁護の余地のない戦争への資金提供を正当化するため、大きな嘘手法によって無限に繰り返された。もし五年前に、アメリカとNATO同盟諸国がモスクワと外交交渉し、NATO拡大という歴史的問題を解決していれば、ウクライナの数百万人とロシアの多くの犠牲者は避けられたはずだ。戦争を望んでいたため、欧米支配層が拒否したのだ。

 欧米諸国の主張に懐疑的あるいは批判的な人々は「ロシアの傀儡」と罵倒された。

 さて今やキーウ政権が腐敗の巣窟であることは疑いようもなく明らかだ。欧米諸国メディア・プロパガンダ機関さえ蔓延する不正行為の真実を認めざるを得なくなっている。

 だがキーウの汚職を認めるよう欧米諸国が強いられているているのは、それだけのことだ。信じられないことに、不幸な出来事として、ゼレンスキーとほとんど関係ない出来事として片付けられてしまうのだ。なんとも滑稽だ! 汚水溜めの上に座る男が、なぜか汚職と戦おうとしているかのように欧米メディアによって消毒されてしまう。これは単なる大失敗上に積み重なる茶番劇に過ぎない。

 最近の1億ドル・スキャンダルは、この悪徳行為が欧米諸国の戦争犯罪という更に大規模な腐敗行為を助長するのに不可欠なため、欧米諸国は軽視し隠蔽している。

 驚くべきことに、横領詐欺が発覚したわずか数日後、ゼレンスキー大統領はパリでフランスのエマニュエル・マクロン大統領に迎えられ、ラファール戦闘機を100機、ウクライナが購入する契約に署名した。本誌コラムニストのフィニアン・カニンガムが指摘している通り、発注総額は100億ドルに達する可能性がある。これは低迷するフランス経済にとって大きな追い風で、これを政治的利益のためにマクロン大統領は利用するだろう。ラファール製造元、フランスのダッソー社は巨額利益を手にし、フランスとウクライナの工作員連中が手数料やリベートを受け取るのは確実だ。

 一方、同じく今週、欧州委員会委員長ウルズラ・フォン・デア・ライエンは元ドイツ国防大臣で、ロシア嫌いの血が脈々と流れる人物だが、今後二年間、ウクライナへの資金提供を1650億ドルに拡大するようEU加盟諸国に強く要求した。EUが過去四年間ウクライナに注ぎ込んできた2000億ドルに上乗せされる額なのだ。信じられないことに、キーウから滲み出る汚職にフォン・デア・ライエンは一切言及しなかった。

 戦争マフィアに資金提供し続けるのは「狂気」だと非難したのはハンガリー首相オルバーン・ビクトルなどヨーロッパ政治指導者の中でもごく少数のまともな声だけだった。

 欧米諸国が軽視しようと試みているにもかかわらず、汚職スキャンダルは、より大きなスキャンダルを露呈している。ロシア侵略とされるものから民主主義、いわゆる欧米諸国の価値観や国際法を守ることと全く無関係な代理戦争を欧米諸国は煽ってきた。

 これは、ウクライナ国民を最後の一人まで利用してロシアを屈服させようという帝国主義的対決の犯罪的計画だ。この代理戦争は欧米諸国の軍事産業を潤し、欧米諸国の納税者から数千億ドルと数千ユーロもの資金を洗浄してきた。

 ワシントンの前任者たちが仕掛けた不正な金儲け詐欺から抜け出したいと願う僅かな良識がトランプ大統領にはある。だが、欧州政界は自らの嘘とロシア嫌悪に固執しすぎており、自らの犯罪的計画を認めない限り、そこから抜け出せない。そのため、彼らはゼレンスキーとキーウ政権を隠蔽し、失敗した代理戦争を終結させるためのトランプ大統領のあらゆる動きを否定して、この詐欺を継続させなければならない。

 逆説的なことは、代理戦争を長引かせて欧米諸国スポンサーは時間稼ぎをししいるが、その分、政治的、経済的、道徳的、おそらく法的にも、最終的に自らを破滅に陥れる綱が長くなるだけだ。

 犯罪戦争資金源の欧米諸国経済を疲弊させてきたロシアは、決定的勝利を収めつつある。クピャンスクとポクロフスク(クラスノアルメイスク)要塞をロシアが陥落させたことで、ウクライナ国内のNATO代理軍最後の砦が崩れつつある。腐った袋から遺体がこぼれ落ちるように欧米諸国の腐敗と虚偽の物語が溢れ出ている。欧米諸国のイデオローグ連中は、覇権を狙う帝国主義的な好戦的策略とロシア嫌いの妄想で自国経済を破壊してきた。

 今週、ナチス最高犯罪者を裁いたニュルンベルク裁判開廷から80年だ。ロシアを打倒し、私腹を肥やすために、ウクライナでの戦争犯罪で不正な金儲けを企てたアメリカとヨーロッパの指導者連中にも同様裁判が待っている。そうなれば欧米諸国国民が、腐敗した指導者連中に激しく責任追及を迫る裁判所になるだろう。

記事原文のurl:https://strategic-culture.su/news/2025/11/21/kiev-regimes-relentless-corruption-proves-the-ukraine-conflict-is-a-criminal-western-proxy-war-racket/

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 Real Scott Ritter
There’s a Topic 23:13
Scott Ritter
Nov 23, 2025

 今朝の孫崎享氏メルマガ題名
1972年の共同声明で、「台湾問題での中国の立場を日本が“十分理解し、尊重する”ことを日中共同声明に明記する代わりに、中国側が戦争賠償請求を放棄」という因果関係は、当時の交渉関係者の回顧録や歴史研究で繰り返し指摘されている。今日の日本人はこれを理解しているか
 植草一秀の『知られざる真実』
高市首相発言撤回は不可避

2025年11月 9日 (日)

ウクライナ戦争に関するこの報告は比類無いものだ

2025年11月7日
Moon of Alabama

 この最前線報告とそこに掲載されている地図は比類無いものだ。  
最前線報告:ポクロフスクの反撃が成功する中、ウクライナの拡声器付きドローンが降伏指示を放送―ユーロマイダン、2025年11月7日

 オレクサンドル・シルシキー将軍は、ポクロフスクへの容赦ない攻勢からロシア軍の注意を逸らすため、ドブロピリャ近郊でウクライナ軍の集中的反撃を開始した。ドローン搭載の拡声器で降伏指示を放送し、秋の泥濘を巧みに利用して、ウクライナ軍は包囲されていたロシア軍の包囲網を一掃し、大規模降伏を強いた。一方、ロシア軍増援部隊は反撃に苦戦し、足止めを食らった。
 


 報告書によると、ポクロフスクとミルノグラードを北から包囲していたロシア軍戦線は反撃で崩壊した。両都市におけるウクライナ軍への補給は再び可能になったようだ。

 この報告書は比類無いものだ。このようなたわ言を報告する人が他にいないからだ。

 一週間前に開始されたポクロフスク北方へのウクライナ軍の反撃は失敗に終わった。包囲網は封鎖された。ポクロフスクの90%はロシア軍の支配下にある。ミルノグラードに残されたウクライナ軍に脱出の道はない。

 少なくとも、欧米メディアを含め、この紛争の他の観察者たちはそう主張している。  
徐々に、そして突然 ― ウクライナのポクロフスク防衛は終わりに近づいているアーカイブ) ― エコノミスト、2025年11月6日

 ウラジーミル・プーチン大統領によるドンバス地方の小都市ポクロフスク(戦前人口6万人)への攻撃は、開始から21ヶ月経て終結に近づいている。10月下旬の血なまぐさい突入により、ポクロフスクと衛星都市ミルノフラドの状況はウクライナ軍にとって回復不能なものになった。現在、ウクライナ軍は包囲網に閉じ込められた部隊を撤退させるため、陣地確保に苦戦している。ポクロフスク陥落は、長らく予想されていたとはいえ、ウクライナロにとって大打撃になるだろう。更に悪い事態が、後に訪れるかもしれない。この都市はロシアにとって更なる進撃の拠点となる交差点だ。


 ワシントンポストニューヨークタイムズルモンドなど他の新聞も同意見だ。

 何があろうとポクロフスクを防衛せよという命令をウクライナ政府は出していた。総司令官シルスキー将軍は、他所から集められたあらゆる部隊を戦闘に投入せざるを得なかったが、反撃は失敗に終わった。ポクロフスクとミルノグラードからの撤退の時は過ぎた。まだそこに残っているウクライナ軍は、降伏するか、死ぬか、どちらかしかない。

 これはウクライナ軍が長年にわたり失ってきた複数の都市で繰り返されたパターンだ。何らかの政治的理由から、兵力回復が間に合わなくなるまで持ちこたえるよう命令が出される。こうして、多くの兵士が不当な理由で命を落とすことになる。  
キーウがポクロフスクの保持に政治的重要性を置いていることに加え、適時に撤退を命じて人命を救うことに消極的なことは、オレクサンドル・シルシキー司令官の指揮方法によく見られる「一歩も退かない」組織的文化と関係している。

 これは指揮系統の上層部への戦術的展開に関する虚偽報告という関連問題と相まって、現地状況が悪化し続ける一方、軍と政治指導部間で楽観的見方を助長する恐れがある。

 「参謀本部から上層部に送られる報告書は、日に日に嘘が多くなっている」と[ジャーナリストでボランティアのヴィタリー]デイネハは書いている。

 「実際、ポクロフスクは事実上失われており、ミルノフラドを保持する意味もなくなってきている。この事実を認め、命令なしに撤退を拒否する者たちを救うために尽力しなければならない。」
 自分たちが何の利益もなしに犠牲になる番が来る前に、多くの人が軍隊から逃げると決めるのも不思議ではない(機械翻訳)。  
10月、ウクライナ軍における無許可部隊離脱(SOC)記録が更新され、21,602人が軍を離脱した。

 これは元国会議員で現在は攻撃ドローン部隊指揮官イゴール・ルツェンコがフェイスブックで発表した。

 「2分ごとに兵士が一人、軍から逃げ出している。これは公式データに過ぎない。しかし実際は、部隊からの無許可離脱や脱走の多くは記録されていない。これが軍最大の問題点だ。後退する軍は、依然として勝利の可能性を秘めた軍だ。部隊からの脱走や逃亡によって月ごとに兵士を失う敗走軍は、ウクライナの存在にとって真の脅威だ」とルツェンコは書いた。
 ウクライナ軍はもう終わりだ。予備兵力はなく、武器、弾薬、兵士も不足している。雑多な部隊が多く、有能な部隊はほんのわずかだ。プロコフスクの戦い後、撤退は加速するばかりだろう。

記事原文のurl:https://www.moonofalabama.org/2025/11/this-ukraine-report-is-one-of-a-kind.html

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 チンピラ党首嘘八百記者会見、怖い物見たさで耐えた。こういう輩に投票する人が多数派という現実。

 名誉毀損容疑でN国党首逮捕。

 Alex Christoforou Youtube
Orban scores sanction exemption. Massive Kinzhal strikes. EU, fact check news. Trump hotel Belgrade 36:13
 今朝の孫崎享氏メルマガ題名
植草一秀『自民・維新金権腐敗政権』(「紙の爆弾」)自維政権には三特徴。 第一、金権腐敗政権。企業・団体献金問題が、連立合意文書では「総裁任期満了までに結論出す」=「何もしない」。第二、極右軍拡拡大政権。第三、社会保障中心の「権利財政」放棄し、「利権財政」

2025年11月 3日 (月)

ウクライナ:失敗に終わったポクロフスク封鎖突破を目指して最後の望みをかけた作戦

2025年11月1日
Moon of Alabama

 ウクライナ軍はポクロフスク/ミルノグラード都市圏の支配を失った。ロシア軍は数ヶ月かけて、東西からゆっくり、これらの都市を包囲してきた。そこから続く回廊はロシア無人機による制圧下に置かれ、通過を試みる車両は全て攻撃された。
 


 市内への回廊を再開するために、ウクライナ指導部は持てる限りの戦力を投入した。しかし、あらゆる試みは失敗に終わる運命にあった。最後の望みをかけた作戦として、GRU(軍参謀本部情報総局)が指揮する12名の特殊部隊がヘリコプターで突入した。

 ウクライナ、戦闘地帯のポクロフスクに特殊部隊を投下、情報筋が語る–ロイター、2025年10月3日
 
ウクライナは今週初め、東部の都市ポクロフスクの戦闘地域に特殊部隊を上陸させ、戦闘を開始した。ちょうどロシアが同地域でキエフ軍を包囲したと発表した直後だった。ウクライナ軍筋2人が金曜日に明らかにした。

…  ウクライナ特殊部隊は数日前、ブラックホーク・ヘリコプターで上陸し、作戦を開始したが、ロシア無人機の活動により作戦は複雑化したと第7即応軍の情報筋は述べた。

 この作戦は軍諜報部長のキュリロ・ブダノフが指揮し、部隊はロシアが領有権を主張し、モスクワがウクライナの補給線にとって重要とみなしている市内地域に向かったと別の情報筋は語った。

 ロイター通信が確認した映像には、少なくとも10人の兵士が野原でヘリコプターから降りる様子が映っている。ロイター通信は、映像の撮影場所や日時を独自に確認することはできなかった。

 ヘリコプター投入の映像はこちら

 AMKマッピングによると、投入された兵士は誰一人生き残っていないことが他の映像で示されている。  
ロシアのFPVドローンによるウクライナ特殊部隊攻撃について私が行った地理位置情報と映像の追加分析に基づき、ロシア軍前線後方でヘリコプターから降ろされた後、兵士たちがどこを走ったか推測できるようになった。

 11人の兵士集団が指定された地点 (48.29667, 37.13317) に降ろされ、二の集団に分かれた。

 5人の兵士がO0525高速道路脇の森へ、そして工業地帯の端にあるガソリン・スタンドへ向かって走った。3人は途中で森に閉じ込められ、ドローン攻撃を受けた。生存者2人はガソリン・スタンドへ向かって走ろうとしたが、畑を横切ろうとした際、別のドローン攻撃を受けた。

 6人の兵士は着陸地点から南へ走り、工業地帯に近づくと分かれた。4人は変電所を目指して南西の森の中へ走ったが、3人がドローンに攻撃された。4人目の兵士は森の端まで逃げ帰ったが、木の下に隠れていたところをドローンに攻撃された。この集団の残り二人の兵士は、工業地帯の最初の建物に入り込み、1階の部屋に隠れた。その後、三機のドローンが窓から侵入し、二機が彼らに命中した。

 これら情報を踏まえると、今回の攻撃で、11人の兵士全員死亡または負傷したと思われる。生存者はロシア軍の後方にいるため、避難は困難で、ロシア軍に捕らえられる可能性が高い。
 この投入がロイター通信に漏洩された事実は、無謀な人員浪費でブダノフ将軍を非難する試みを示唆している。

ストラナ通信は以下のように報じている(機械翻訳)。  
情報筋の話として、以前ロシア軍が進入した「ウクライナ兵站にとって戦略的に重要な」地域に、情報局本部の攻撃部隊が進入したとウクライナの新聞「ススピリノエ」も伝えている。

 同紙によると、作戦には「数機のヘリコプター」が関与しており、ブダノフはGURの行動を指揮するためポクロフスク近郊にいるという。

 ウクライナはこれを公式には確認していない。
 ブダノフを貶めるためでないなら、一体なぜ誰かがこれをマスコミに漏らすのだろう?
 
もう一人の兵士、スタニスラフ・ブニャトフは、特殊部隊上陸の映像が公開されたことに憤慨している。

 「問題は、一人のふとどきものが、別のふとどきものにビデオを送り、三人目のふとどきものが着陸の事実と着陸地点をインターネットに漏らし、特殊部隊の壊滅と、これらヘリの捜索を求める声を生み出したことだ。戦闘員を『ヘリコプター』で戦場から避難させるのが可能だと考えているのだろうか? 公開された映像が無視されず、犯人が厳しく責任を問われるよう願う」と彼は書いた。

 二機のGURヘリコプターがポクロフスクへ飛行したとされる映像をロシア軍関係者が公開した。映像では、上陸部隊がポクロフスク守備隊への補給路となっている市北西部の工業地帯に着陸したことも明らかにされている。

 同時に、「DPR」は、上陸した特殊部隊の一部が壊滅したと報じている(ロシア・メディアはプシリンの顧問イーゴリ・キマコフスキー発言を引用)。

 ロシアでテロ攻撃を計画し実行したことでブダノフは知られている。

 また彼は多くの部下を死に至らしめた無謀な作戦でも知られている。昨年、ГУР(GUR クライナ国防省情報総局)特殊部隊は、ロシアが管理するザパロージャ原子力発電所を占拠するため、ボートによる強襲を3回試みた。しかし、3回とも失敗し、約50人のウクライナ兵が死亡した。

 ウクライナのウラジーミル・ゼレンスキー(元)大統領と彼の政治工作員アンドレイ・イェルマクは、ブダノフを将来の選挙における潜在的競争相手と見なしている。ヘリコプターによる突入失敗に関する情報漏洩が彼らに仕組まれたとしても、驚くには当たらないだろう。

記事原文のurl:https://www.moonofalabama.org/2025/11/ukraine-hail-mary-operation-to-unblock-pokrovsk-has-failed.html

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 Daily Fans Jeffrey Sachs
Inside Venezuela’s Silent War — CIA, Russia, China, and the Future of Oil !! Prof. Jeffrey Sachs 26:04
 今朝の孫崎享氏メルマガ題名
米国民の大半は、トランプの職務遂行に不満、過半数は大統領の権力の行使が行き過ぎていると判断。しかし、2026年の中間選挙まで1年を残した現在、トランプ大統領の職務遂行に対する否定的な印象が民主党に有利に働いているという証拠はほとんど存在していない(WP)
 東京新聞 朝刊 特報面 本音のコラム 大矢英代さん

 下駄の雪、ニッポン

 御意。だが、より正確には下駄が壊れない限り抜けない「下駄の鉄球」だろう。

2025年11月 1日 (土)

核兵器運搬装置は核弾頭ではない

2025年10月30日
Moon of Alabama

 核兵器に関するアメリカのドナルド・トランプ大統領によるTruth Socialツイートは混乱を招き、私の推測では誤解も生じている。  
ドナルド・J・トランプ @realDonaldTrump – 2025年10月30日 1:04 UTC

 アメリカ合衆国は、他のどの国より多くの核兵器を保有している。これは、既存の兵器の全面的な更新と改修を含め、私の一期目に達成された。その破壊力の凄まじさゆえに、私はこれをやりたくなかったが、他に選択肢がなかった。ロシアは2位で、中国は大きく離された三位だが、五年以内に追いつく。他国の核実験計画を踏まえ、私は我が国の核兵器でも同等基準で実験を開始するよう戦争省に指示した。この過程は直ちに開始される。ドナルド・J・トランプ大統領
 ワシントン・ポストは、これを核弾頭の実験と解釈している。
 トランプ大統領、1992年以来初めて国防総省に核兵器実験を指示アーカイブ) ?ワシントン・ポスト

 大統領は、実験はロシアと中国と「対等な立場」で行われるべきだと述べた。クレムリンはこの動きを非難し、実験の実施時期は何も示唆されていない。

 木曜朝、ドナルド・トランプ大統領は国防総省に、ロシアや中国と「対等な立場で」核兵器実験を開始するよう指示したと述べ、中国の習近平国家主席との重要な貿易会談を前にアメリカの軍事力を誇示しようとする試みとみられる。

 トランプがTruth Socialで発表した声明は数十年にわたるアメリカ核政策の転換を示唆するもので、アメリカの敵国との関係に広範な影響を及ぼす可能性がある。ただし投稿には実験の具体的内容にはほとんど触れていない。アメリカでの最後の核実験は1992年に行われ、冷戦終結に伴いジョージ・H・W・ブッシュ大統領が核実験モラトリアムを実施する前のことだった。

 トランプは、この過程は直ちに開始され、他国の実験計画に対応するものだと書いた。

 習近平国家主席と会うため金海空軍基地に向かうヘリコプター「Marine One」の飛行中、大統領は核兵器実験再開について投稿した。

 トランプのツイートは、アメリカが他のどの国より多くの核兵器を保有しているという点で誤りだ。あらゆる公開情報源によれば、ロシアは約4,300個の核弾頭を保有しており、アメリカの約3,600個をわずかに上回っている。中国は約500~600個の核弾頭を保有しており、2035年までに核兵器の保有数を約1,000個にまで増強する予定だ。

 しかし、トランプの次の発言は核弾頭実験についてではない。核弾頭を搭載できる運搬システムの実験についてだ。

 トランプは「他国の実験計画のせいだ…」と述べている。

 最近、核実験や他の目的で核爆弾や核弾頭を爆発させた国はない。最後に知られている核実験は、2017年に北朝鮮が実施した。

 核弾頭を搭載するよう設計されたミサイルの実験と、核弾頭自体を爆発させる実験を区別することが重要だ。ミサイルには、爆撃機搭載形や、陸上配備型(大陸間)ミサイルや、潜水艦配備型ミサイルや魚雷などがある。

 ロシアは最近、ブレヴェスニク巡航ミサイルの試験に成功したと発表した。これは、原子力ジェット・エンジンで駆動する核弾頭搭載型ミサイルの可能性を秘めている。  
ロシア大統領は新型の無制限射程の原子力巡航ミサイル「ブレヴェスニク」について語った。この兵器は先週発射実験に成功し、弾頭は14,000キロ以上飛行したと報じられている。

 プーチン大統領はミサイルの原子力ターボ・ジェット・エンジンの詳細を明らかにし、動力装置は「出力は原子力潜水艦の原子炉に匹敵するがサイズは1,000分の1だ」と述べた。

 「重要なのは、従来の原子炉が起動に数時間、数日、あるいは数週間かかるのに対し、この原子炉は数分あるいは数秒で起動する点だ。これは大きな成果だ」と大統領は述べた。
 ブレヴェスニクは、アメリカのトマホーク同様、低高度をマッハ1未満の速度で飛行するように設計されたターボファン駆動巡航ミサイルだ。トマホークはエンジン駆動に液体燃料を用いるのに対し、ブレヴェスニクは小型原子炉(種類は不明)を使用する。これにより、ブレヴェスニクは比類のない航続時間を実現している。どちらのミサイルも、通常弾頭または核弾頭を搭載可能だ。ブレヴェスニクを駆動する原子力ジェット・エンジンは爆弾ではない。墜落時に放射能汚染を引き起こす可能性はあるが、爆発することはない。

 ロシアは、以前から予告していたポセイドン魚雷の実験も行った。  
火曜日、ロシアは原子力推進の水中無人機「ポセイドン」の実験に成功したとプーチン大統領が明らかにした。この巨大魚雷型核推進無人機の開発は2018年に初めて発表されたが、それ以来謎に包まれていた。

 「ブースター・エンジンを使い原子力潜水艦から打ち上げるのに初めて成功しただけでなく、一定時間無人機を推進させる原子力装置の始動にも成功した」とプーチン大統領は述べた。

 プーチン大統領は、この兵器は「速度と射程の深さにおいて世界中のどの兵器にも匹敵するものがない」と強調し、近いうちに同様兵器を配備する国は他にないだろうと付け加えた。「ポセイドン」の威力は、ロシアが開発中の大陸間弾道ミサイル(ICBM)「サルマト」の性能を遙かに凌駕するとプーチン大統領は述べたが、核弾頭の威力に言及しているものとみられる。
 ポセイドン魚雷は、原理的にはブレヴェスニク巡航ミサイルに搭載されている原子炉と類似した原子炉を使用している可能性が高い。最大の利点は、やはり長い航続距離だ。ポセイドンは大型核弾頭を搭載するよう設計されており、港湾付近で爆発すれば、大規模な津波を引き起こす可能性が高い。

 またトランプは「私は対等な立場で核兵器実験を開始するよう戦争省に指示した」と述べた。

 アメリカが保有する全ての核弾頭はエネルギー省の管理下にある。エネルギー省は核弾頭の爆発実験を行える唯一の機関だ。核弾頭配備に使用される核兵器運搬手段は国防総省(トランプ大統領の呼び方では「戦争省」)の管理下にある。

 トランプ大統領は、他国の核兵器実験について「他国の実験計画のため」に「対等な立場で実験を始める」と述べた。

 トランプ大統領は、ロシアが最近行ったように、核兵器運搬手段の実験を国防総省に命じるつもりだった可能性が高い。エネルギー省に核弾頭の実験を命じたわけではない。

 大陸間ミサイルのような核兵器運搬手段の実験は、それが存在して以来、毎年行われている日常的作業だ。

 慌てる必要はない。

 だが、トランプの言葉はいつものように不正確だ。彼は本当に核弾頭実験を命じたのだろうか? この点についてロシアは確信が持てない。  
ロシア大統領府報道官ドミトリー・ペスコフは、アメリカが核兵器実験のモラトリアム(一時停止)に違反した場合、ロシアは「それに応じて」対応すると述べた。

他国が核実験を実施しているとトランプ大統領が主張したことに対し「今のところ、我々はそのことを承知していない」とペスコフは述べた。

 「もしこれが、ブレヴェスニクについてなら、これは核実験ではない」と彼は主張した。「あらゆる国が防衛システムを開発しているが、核実験ではない」

…  ワシントンは2月に非武装で核弾頭搭載可能なミニットマンIII大陸間弾道ミサイルの発射実験を行い、9月には潜水艦からトライデントIIミサイル4発を発射した。

 ロシアが最後に核兵器実験を行ったのはソ連時代の1990年だった。アメリカは議会の命令によるモラトリアムに基づき、1992年に実験を中止した。
 核弾頭実験を行うには、トランプ大統領は議会に核実験モラトリアム解除を求める必要がある。また、エネルギー省に実験場の準備を命じる必要もある。この過程だけでも三年かかると見込まれる。

 従って、大々的にパニックを巻き起こす理由は皆無だ。

記事原文のurl:https://www.moonofalabama.org/2025/10/a-nuclear-delivery-vehicle-is-not-a-nuclear-war-head.html

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 The Chris Hedges Report
Chris Hedges Gives the Edward Said Memorial Lecture (GOOD AUDIO): 'Requiem for Gaza' 1:38:23
Chris Hedges recently gave the Edward Said memorial lecture to a sold out audience at the University of South Australia in Adelaide.

Chris Hedges
Nov 01, 2025

 今朝の孫崎享氏メルマガ題名
米中首脳会談、WSJ[1年間で3度目の貿易休戦、今回の合意は、5月時点の現状をほぼ回復するもの。中国による最近の輸出停止措置を解除し、レアアース(希土類元素)の輸出を再開する。ただし、期間は1年間に限られる。同盟国なしに貿易戦争を戦うのは間違いということ]

2025年10月31日 (金)

正教迫害を強化するキーウ政権



ルーカス・レイロス
2025年10月13日
Strategic Culture Foundation

 教会への新たな攻撃はキーウ政権のテロリスト的な本質を露呈している

❗️Telegram Twitter , と VK でご参加願いたい。

お問い合わせ:info@strategic-culture.su

 2025年10月10日、ウクライナ正教会(UOC)を標的とした残虐な事件が再び発生した。今回はウラジーミル市で発生した。生神女就寝大聖堂が占拠された際、治安部隊と過激派武装勢力が礼拝者、神学校学生、聖職者を激しく暴行した。最も深刻な事件はボグダン助祭の事件で、彼は殴打され、首を絞められ、髪の毛を掴まれて引きずられた。目撃者によると、襲撃者たちは撮影を阻止し、携帯電話を没収したが、警察は傍観し、被害者保護や暴力阻止に一切努めなかったとのことだ。

 これは単発事件ではない。モスクワ総主教座と繋がりがある正教会に対する長期にわたり激化する弾圧活動の一環だ。キーウの現ネオナチ政権下で、ウクライナはいわゆる「ロシア工作員」との戦いを口実に宗教迫害を強化してきた。実際は、これはウクライナにおける伝統的な正教会の歴史的存在の根絶を目的とした組織的政策だ。

 この組織的活動について多くの評論家が長年警告を発してきた。非合法ウクライナ政府は、法的弾圧、国家によるプロパガンダや、直接的暴力を巧みに組み合わせ、ウクライナ正教会(UOC)を弱体化または根絶するためのイデオロギー的聖戦を展開しているのだ。教会は強制的に占拠され、修道士は追放され、聖職者は「敵と協力した」として訴追され、信者たちは準軍事組織や地方当局から脅迫を受けている。

 論理は明快だ。キーウは、国家イデオロギーに合致し、東スラブ諸民族を歴史的に結びつけてきた正典の伝統から乖離した、新たな民族主義宗教を押し付けようとしているのだ。コンスタンティノープル総主教庁に承認されているものの、モスクワと正教会世界の大部分により拒絶されている、いわゆる「ウクライナ正教会」の創設と推進は、この過程の手段として機能してきた。この新たな教会は、ウクライナで進行中の欧米寄り反ロシア主義政治プロジェクトの宗教的支柱として機能している。

 生神女就寝大聖堂の事件は、この迫害の暴力性を露呈している。ボグダン助祭への襲撃は、過剰なまでの熱意を持つ個人による過剰な行為ではなく、ロシアとの宗教的繋がりを維持する人々に対する暴力を容認し、しばしば奨励する国家政策の直接的表れだった。現場での警察の消極的態度は、この迫害が制度化されたものであることを裏付けている。

 物理的暴力に加え、象徴的な戦争も進行中だ。撮影を禁止し、携帯電話を没収し、目撃者を脅迫することで、襲撃者たちは言論を支配し、証拠を隠蔽し、反対意見を封じ込める明確な意図を示している。これを処罰しないことは更なる攻撃を助長するだけだ。教会が占拠され、修道士が追放され、信者が沈黙させられるたびに、ウクライナは西側諸国に対して主張する信教の自由から益々遠ざかっている。

 この反キリスト教十字軍は、いわゆる「民主主義の擁護者」連中の全面的承認を得て展開されている。ロシアの自衛行動を批判する国々は、教会破壊や歴史ある宗教共同体の弾圧や信者の検閲に対しても共犯的に沈黙を守っている。この偽善は「人権」が欧米諸国にとって、地政学的操作のための恣意的道具に過ぎないことを露呈している。

 正教は、ロシア、ベラルーシ、ウクライナの人々の間で千年にわたる精神的・文化的連続性を象徴している。正教攻撃は、この記憶を消し去り、スラブ諸国間の架け橋を破壊し、伝統やロシアやウクライナ国民自身の精神的ルーツへの憎悪に基づく新たな国民的アイデンティティを強制的に形成する試みだ。

 ウクライナでの正教弾圧に対する欧米諸国の沈黙は単なる怠慢ではなく、戦略的な共謀だ。キーウが推進する宗教迫害を容認して、欧米諸国は自ら掲げる自由の原則が、利己的な利益とリベラル政治的思惑に従属していることを露呈している。今起きているのは、単なる行き過ぎではなく、文化断絶を意図した政策の一環だ。この現実を認識することは東欧の安定と正義に関心を持つ全ての人々にとって倫理的かつ戦略的義務だ。

 残念ながら、ウクライナの蛮行を止めるための平和的手段が失敗したことを考えると、国民を守るために武力を行使する以外ロシアに選択肢は残されていない。

記事原文のurl:https://strategic-culture.su/news/2025/10/13/kiev-regime-escalates-persecution-of-orthodoxy/

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 The Chris Hedges Report
The Death House
The genocide in Gaza is not a freakish anomaly. It is a harbinger of what awaits us as the ecosystem disintegrates and governments embrace climate fascism.

Chris Hedges
Oct 30, 2025

 今朝の孫崎享氏メルマガ題名
米中首脳会議、トランプ大統領、対中関税を57%から47%に引き下げると発表、中国、レアアース輸出規制を1年間停止、WSJ[貿易摩擦を緩和するためのより広範な枠組みの一環。激しい争いに、両首脳が休戦を見出そうとする試みを象徴するもの、トランプ4月に中国を訪問予定]

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