新自由主義

2018年10月17日 (水)

何千人ものインドネシア人を殺したものは何か - 地震か困窮か?

2018年10月10日
Andre Vltchek

 メキシコ・シティーから、ヴァンクーヴァーへのエア・カナダ便に乗って、スラウェシ島で、数日間展開している恐怖についてのグローバル・アンド・メイル紙の報道を読みながら、二つの強力で、矛盾する感情を抱いていた。私はすぐさまそこに行きたかった。‘現地’、パルで、撮影し、人々と話し、できるあらゆる人助けをして… また同時に、前に何度も、スラウェシでのような悪夢が起きているどこであれ、インドネシア群島の至る所に、私は‘既にそこに’いたようにも感じていた。

 そして、私は彼らについて書き、それを記録し、警告したが、何もなされなかった。政府 (というより‘インドネシア政権’と言った方が良いだろう)は何にも耳をかさず、何もせず、あらゆる痛烈な批判を無視する専門家だ。同じことがインドネシア人エリートにも言える。奪い取り、盗め、インドネシア国民の福祉のためには、全く何もしないで済む限り、彼らは目が見えず、耳も聞こえないのだ。

 2004年、私は現地にいた、津波がアチェを襲った直後。現地に到着するの数日かかった。200,000人以上が亡くなった! 同じものだった。強烈な地震、そして津波。そう、誰も実際には、一体何人が不明になったのか知らないが、最小240,000人だ! 25万人! 9-11で、ニューヨークで亡くなった人々の数の100倍だ。

 バンダ・アチェでは、わずか数日前、冠水して、二人の子供、つまり二人の少女が亡くなった部屋の小さな家で暮らした。至る所に動物のぬいぐるみがあり、あらぬる所が濡れ、びしょ濡れだった。子供たちの亡骸は取り去ってあった。毎晩、子供たちの声 -私に話しかけ、私に懇願する声を聞いたと思ったと断言する。日が沈むと、一家は私を家の中に閉じ込めて鍵をかけた。もっぱら、私と家を略奪者から守るため。

 インドネシア国家は、国民を助けることを何もしなかった。アチェでも、どこであれ、自然災害が見舞った至る所で、救援作戦は、即座に巨大な商業作戦になった。‘思いやり’? 連帯? 現実に目を向けよう! 現実に目を向けて頂きたい。あらゆるものが‘商品’になる。遺骸の発掘さえも。遺体の埋葬さえも、有料で行われるのだ - 信じられないほど高い費用で。結局、インドネシアは世界で最も超資本主義国の一つなのだ。死は良い商売になる。あらゆるものが。自然災害が大きければ大きいほど、より多くの遺体が得られる - それは全て、即座に膨大な商売に転化する。少なくとも、一部の連中にとって。

 写真をご覧にいれることができるが、気の弱い方はもどすか気絶されるので、そうしない方が良いだろう。穴の中、熱帯の暑さの中、何日間か腐敗するにまかせたら、遺体がどんな風になるかご存じだろうか? 聞かないほうが良いだろう。だがなぜ遺骸がそこにあったかご存じだろうか? 埋葬してもらうためのワイロを家族が払えなかったからだ!

 アチェでは、国連を含め、あらゆるものが無関心だ。インドネシアは欧米によって批判される立場にない - ワシントンやキャンベラやロンドンの大切な仲間で完全に腐敗した資本主義者、反共産主義者や反中国主義者だ。欧米は自分以外のことなど気にしない。

 インドネシア警察と軍が、拠点拠点を回り、現地NGOのテントから次のテントを回って、被害者用の飲料水容器を破壊しないための金やワイロを要求するのを御存じだろうか。海外から送られた飲料水。ワイロを払わないと、連中はナイフで、フラスチック容器を切り裂くのだ。

 人々が渇きと飢えで死につつあったのに。

 当時、インドネシア副大統領ユスフ・カラは、イスラム教幹部の間で、自分の人気を上げるため、巨大なハーキュリーズ輸送機から、何十人ものインドネシア人医師やボランティアを追い出した。東ジャカルタのハリム空港でエンジンは動いていた。医者や彼らの道具の代わりに、彼は飛行機に、数百人の熱狂的信者を詰め込んだ。そして、彼らはバンダ・アチェに着陸し、遺骸を見て、自撮りをとり、吐いて、最後は首都に舞い戻った。

 更に続けるべきか、それとも要点をご理解戴けただろうか?

 今、スラウェシで、アチェで、あらゆる警報が‘驚くべきことに’失敗した。そして、国の救援物質は決して十分ではなかった。

 なぜか御存じだろうか? インドネシアが破綻国家だからだ。そこでは何も機能しないからだ。(正確に言えば、どんな金額であれ)金と宗教儀式以外誰も気にかけないからだ。

 だが皆様がそういうことをグローブ・アンド・メイルやニューヨーク・タイムズで読むことは決してあるまい。

 インドネシアの大災害を見たし、‘宗派的’、宗教的殺人を見たし、東チモールからアチェ、中央ジャワに至るまで、ロンボクからアンボンで大量虐殺も見た。だからしばしば、これ以上同じことには耐えられないと感じるのだが、状況が余りに酷いので、結局、私は常に何度も何度も、舞い戻り、撮影し、記録する。それが私の‘国際主義者’としての義務だから、来なければならないと感じるためだ。もし私が来なければ、実際、畜生め、一体誰が来るだろう?

*

 だが繰り返そう。一体なぜこうした恐ろしいことが起きるのだろう?

 インドネシアは、国連によれば最も‘災害の起こりやすい国’だ。

 だが一体なぜだろう? 本当に、自然のせいだろうか、インドネシアが有名な‘環太平洋火山帯’上に位置しているためだろうか?

 いや、もちろん、そうではない!

 基本的にはこういうことだ。統計がいかに‘改竄’されていようとも、インドネシア当局が提供する痛々しいほど歪曲されたデータを国連がどう評価しようとも国は極端に貧しい。そこの大半の人々は哀れなほど貧しい。しかも彼らが‘中流階級’と呼ぶもの、あるいは少なくとも、その大半は、他のどこの国でも到底中流階級とは言えない代物だ。

 こうした全てが、各州都の5つ星、4つ星ホテルや、ジャカルタやバリの怪物のように贅沢なホテルで隠蔽されている。加えて、大量生産ションピング・モールが至るところに建設されている。更に、サウジアラビア/ワッハーブ派の資金が湯水のように注がれた大理石で造られた場違いなとてつもなく大きいモスク。

 だがジャカルタや、もちろんインドネシアのあらゆる島には、貧しい人々、極端に貧しい人々が暮らしている。インドネシア人の大多数は極貧の中で暮らしているが、彼らは実際自分たちが、どれだけ貧しく哀れか知らない(彼らに情報を知らせる反対派マスコミは存在せず、彼らの状態について教えるまっとうな学校も存在しない)。あらゆるものが見せ掛け、あるいは通俗的、あるいは、他のお好きな呼び方のものなのだ。

 ボルネオでもスラバヤでも、人々が川に排便し、その水を歯磨きや食器洗いに使うのを撮影した(私はこうした全てを映画の中で記録している)が、彼らに窮状について質問すると、全く洗脳されていて、ある種のビアサ(普通の)暮らしをしていると信じ込んでいるので機嫌を損ね、攻撃してくることもある。彼らは周囲の世界について何も知らず、よそとは比較ができないように条件付けられているのだ。中国やボリビアは、彼らにとって、違う惑星なのだ。

 アチェでも、スラウェシでも、中央ジャワでさえ、現地のカンプン(地方と都会の村)は、まるでクソのようだが、実際クソでできており、あらゆるものが容易に買収できるので、あるいは何かを監督するのを好むような人間はいないので(働くより、金を盗む方が容易だ)政府の監督はほぼ皆無だ。

 インドネシアの住宅の圧倒的多数は、人が住むには全く適していない!

 これを証明したい人なら、誰でも簡単にできる。これや似た話題で、何千人もの博士論文が書けるはずだが、インドネシア学界(とマスコミ)は金を握らされ、脅かされて沈黙し、‘学者’も(‘政府公務員’でもあることが多い)、徹底的に貧しく、自分たちの状態について、どうしようもないほど無知なインドネシア国民のために働く代わりに、異様なものを書いている。

 そのような従順さ、そのような臆病は、人を駄目にする。

 だが欧米がインドネシアは‘普通の’‘民主的’国家だと言い書いている限り、誰も気にしない。

 インドネシア人エリートは天然資源の略奪と貧しい人々からの収奪で生きている。インドネシアは、かつては信じがたいほど豊かで、とてつもなく裕福だった。石油のおかげでいまでも比較的裕福な(だが社会格差や不正に満ちている)もう一つの破綻国家、サウジアラビアと良く似ていた。インドネシアには、あらゆるものが、地上にも、地下にもあったが、今やその大半は消えた! 欧米は、1965年反共産主義クーデターを引き起こすのを支援し、それ以来、あらゆるものが奪いとられ、現地暴力団の懐に消えた - 腐敗し、愛国心のないニューリッチ、外国企業、政府幹部職をつとめる召し使い。

 大衆は守られていない。共産主義と社会主義は基本的に禁じられており、神の存在の否定もそうだ。左派的な元ジャカルタ知事のように誰かが彼の都市とインドネシア国民の暮らしを良くしようとすると、投獄される。彼の場合は‘イスラム教を侮辱した’かどで。

 それで、自然災害が襲うたびに、大半のインドネシア国民が暮らしている掘っ建て小屋や他のすさまじい住宅と共に、あらゆるウソがたちまち崩壊する。だがウソが崩壊するのは国内の条件を重々承知している連中にとってであり、決して大衆にとってではない。

 だが、そうした状況はその通りには決して報じられなかった。国が国民を守り損ねた‘客観的’あるいは‘科学的’理由は、いつだってたっぷりあるのだ。

 早期津波警報装置? 耐震になるよう巧みに計画された村? インドネシアの各地域の地震条件や地理的条件に合うような高度な設計や資材の利用。そのような‘軽薄な’設計にあてるべき資金は、オーストラリアやシンガポールのような場所で見られる可能性が最も高い。インドネシア人政府幹部や‘実業家’の巨大ビラや、ジャカルタで無数のスラムの端を高速で図々しく通り過ぎる豪華な自動車にも見出せよう。

 スラウェシ住民の窮状をもとに、一体どれだけの品のない宮殿が既に建設されただろう? そして、一体いくつの宮殿が、この後、建設されるのだろう?

 最近バンダ・アチェで、都市計画者たちが、津波‘遺産’をどうやって、広島や長崎とよく似た観光名所に変えるかを全国会議で真顔で議論した。ここはそうなるべきだが、堕落、人間の品性の完全崩壊と強欲の記念碑であるべきだ。

 今インドネシア政府は、外国からの支援を受け入れる用意があると言っている。何と素晴らしい仁愛! 笑うべきか、嘔吐すべきか分からない! インドネシア政権の身勝手さには際限がないのだろうか? アチェ災害の時と全てそっくりだ!

 政府幹部の妻にプラダ・スカート、あるいは新たなバロックもどきの宮殿を買うのに使う国家予算を振り向けるのではなく(資金はたっぷりあるのだ、特にボルネオ/カリマンタン、パプア、スマトラや、そうスラウェシそのものからの天然資源の略奪で!)、外国人に来て貰い、貧しい人々を救って貰おう’。

 アチェで、シンガポール人や日本人や他の人々が泥の中から亡骸を掘り出している中、無数の現地‘クルー’や‘救援活動者’が近くでうずくまり、クレテックを吸いながら、外国人たちを指さし、彼らが‘余り懸命に働いている’と笑っていたのを覚えている。

 だがそれで‘万事結構なのだ’。ビアサなのだ。

*

 だから、これが結論だ。スラウェシで最近なくなった何千人もの人々、あるいは今も行方不明の人々がいるのは地震や津波のせいではない。彼らがなくなったのは、彼らが貧しいため、彼らの支配者連中に道徳観念が皆無だから、そして社会が彼らを見捨て、基本的に既に崩壊していたためなのだ。

 インドネシアは国民と資源の両方を失いつつある。だが、大多数が貧しい国民は、自分たちの状況を全く理解していない。

 アチェでは、津波後、完全な廃墟の真っ只中で、ある大モスクが全く無事だった事実を、ある種の天の配剤があった証拠として利用していた。現実は違っていた。モスクは湾岸諸国が何百万ドルも、それにつぎ込んだがゆえに耐えたのだ。モスクは大理石と花崗岩でできていたが、周辺の‘家々’は泥と糞で出来ていた。

 アチェでも、スラウェシでも、貧しい人々が亡くなったのは、単にインドネシア中で、貧しい人々(ここで私は繰り返さなければならない - 貧しい人々が、国民の大多数を占めている)あらゆるものを奪われているためなのだ。彼らが闘い方を学ばない限り。いかにして自分の身を守るのか学ばない限り、更に多くの人々があてどなく死に続ける。

 アンドレ・ヴルチェクは哲学者、作家、映画制作者、調査ジャーナリスト。彼は、Vltchek’s World in Word and Imagesを制作しており、『Revolutionary Optimism, Western Nihilism』を含む多数の本の著者でもある。オンライン誌“New Eastern Outlook”への独占寄稿。

記事原文のurl:https://journal-neo.org/2018/10/10/what-killed-thousands-of-indonesians-the-quake-or-the-misery/

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 インドネシアを題材にした彼の小説『Aurora』を思い出す。

 昼の呆導バラエティ、紀州ドンファン蒸し返しに驚いた。大本営広報部は軽減税率の複雑さ解説にも余念がない。真顔で「ドンファン」論議する諸氏、正気だろうか?と見直した。音声を消しスイッチもすぐ消した。

 宗主国、サウジアラビア支配層に対しては「疑わしきは罰せず」で終わるのだろうか。

2018年10月12日 (金)

重要なディベートでジョン・ミアシャイマーとスティーヴン・コーエンが妄想的ネオコン-ネオリベ体制派と対決

Federico PIERACCINI
2018年10月10日
Strategic Culture Foundation

 2018年9月20日、ニューヨークで、世界という舞台で今我々が目にしている物の多くを理解するのに役立つ極めて重要なことに関する討論をIntelligence Squaredが主催した。

 討論は主要な三つの問題について行われた。一つ目はNATOの役割(“NATOは、もはや目的にかなっていない”)、二つ目はロシアについて(“ロシアの脅威は大げさだ”)、そして、三つ目はイランについて(“イランに対して強硬路線を取るべき時だ”)。

 こうした重要な問題を議論するため、5人の極めて特別なゲストが招かれた。つまりドイツ・マーシャル基金副総裁で元国防次官補のデレック・チョレット、ロシア研究・ロシア歴史のスティーヴン・F・コーエンニューヨーク大学名誉教授、民主主義防衛財団上級研究員で元CIAアナリストのリュエル・マーク・ゲレクト、アメリカ政治学者のジョン・J・ミアシャイマー・シカゴ大学政治学部教授と国際戦略研究所のコリ・シェイク次長だ。

 パネル・メンバーを見れば、アメリカ外交政策の介入主義を支持し、アメリカ合州国を必要欠くべからざる国と見ている他の三人に対し、議論に現実主義的な視点をもたらすべくコーエンとミアシャイマーが招かれたことにすぐ気がつく。ワシントンの覇権政策が、いかにアメリカの一極支配の終焉を促進し、世界に混乱を引き起こしているかを、アメリカ人や世界の人々に説明する上で、コーエンとミアシャイマーは、何十年ではないにせよ、何年も一緒に活動している。

 コーエンと、特にミアシャイマーは、純粋な現実主義者だ。攻撃的現実主義や防御的現実主義やオフショア・バランシングの差異詳細に立ち入ることなしに、二人はいったいなぜ、アメリカの行動が、ベルリンの壁崩壊以来、世界中で我々が目にしている結果を引き起こしたに関して首尾一貫した見解を示している。

 コーエンとミアシャイマーの活動をずっと見てきて、国際関係の分析で二人が現実主義者だと知っている人々にとって、この討論は見るに耐えず、いらだたしいが、現在の分裂を理解するには大いに有用だ。実際、他の三人のパネリストは入念な分析が必要だ。デレック・チョレットはオバマ政権で働いており、新自由主義陣営の一員だ。チョレットは、2003年、イラクでの大失敗後、他の手段を用いて、つまり、いわゆるアラブの春やカラー革命でなどにより画策されるクーデターで、主権国家を転覆させることを選んで、帝国主義者陣営に入った。民主主義を広めるという名目で、アメリカや同盟諸国の手によって、リビアやウクライナやシリアなどの国々は言語に絶する荒廃を被っている。

 アメリカ外交政策全般を代表すべく、ブッシュ時代彷彿とさせるネオコンの主張を繰り返す強硬論者として、元CIA職員リュエル・マーク・ゲレクトが招かれた。元G.W.ブッシュ顧問のコリ・シェイクは、NATOと、ヨーロッパで最もロシア嫌いで、イラン嫌いの国々立場を代表するネオコン-新自由主義の破壊的ささげ物だ。

 こうしたゲストと出された質問を見れば、全く正反対の立場が見られるのは明らかだ。コーエンとミアシャイマーは、事実上、共生関係で、少しだけ異なる視点からながら、同じ結論だ。ソ連崩壊と冷戦終了後、アメリカ合州国は自分が直接敵対する国がない唯一の超大国であることに気づいた。それ以降のワシントンの任務は、世界を自分のイメージと似たものに作り替え、世界の隅々に民主主義を輸出し、地政学的敵国をソフト・パワーやハード・パワーで攻撃することだった。ところが、こうした一連の行動が、皮肉にも、この一極支配の終焉を促進するのに役立っているだけだ。

 アメリカは、自身の愚かな考えと行動で、自らを損なうのに成功しているにすぎないことを、ミアシャイマーとコーエンワシントンはあらゆる答えで、繰り返そうとした。一番目のNATOについての疑問に対しては、ミアシャイマーもコーエンも、冷戦後のNATOの東方拡張が、ヨーロッパにおける不安定の主要因であることを強調した。三人の新自由主義-ネオコン連中は、便宜上“帝国主義者”と呼ぶことにするが、ロシアから自らを守る狙いで、ヨーロッパ内でのアメリカ駐留を要求したのは、実際、ヨーロッパ諸国だと応酬した。三人の帝国主義者は、ヨーロッパの同盟諸国は、自分たちの軍事支出を増やすのを避けるため、ヨーロッパ内のアメリカ駐留を望んだだけだという、オバマとトランプの選挙運動から借用した、単純で単刀直入、当意即妙のミアシャイマーの答えをはねつけるか無視した。ミアシャイマーが言ったことを、どうも聞いていないようで、三人は、ポーランドとバルト諸国が、アメリカ駐留を要求する限り、ワシントンは、それに答えざるを得ないと主張した。ロシア国境に向かってのNATO前進が、多くの戦線で、グローバル同盟国になるべき二国だと彼が考えているロシアとアメリカとの関係をいかに損なったか、今までに何度もしてきた説明をするのは、コーエンにとっても、もどかしかったろう。ミアシャイマーは、三人の帝国主義者連中に、モンロー主義を想起するよう促し、外国勢力が西半球に軍事的に根を下ろすなど、アメリカにとってどれだけ不愉快だろうとまで言った。彼は、ソ連によって、アメリカのすく近くにもたらされたキューバ・ミサイル危機も想起させた。

 不幸にして、三人の帝国主義者はコーエンとミアシャイマーの主張で窮地に追い込まれても、ただ無視したり、うまく言い抜けたりした。三人の中で、最も攻撃的な帝国主義者だったのは、当然ながら、ヨーロッパ内のアメリカ駐留は、ロシアを寄せ付けないためだけでなく、二つの世界大戦で起きたような、お互いが破壊しあう闘争というホッブズ的自然状態にヨーロッパが陥るのを防ぐためにも必要なのだと傲慢な主張した元CIA職員だ。

 ヨーロッパにおけるNATOに関して、元CIA職員が言った主張に、コリ・シェイクとデレック・チョレットが全面的に賛成したのは驚くべきことではない。コーエンが、会場の人々に、ウクライナ・クーデターは、欧米が画策し資金提供したものだったことを想起させても、ウソで、ばかげていると切って捨てられた。デレック・チョレットはこう断言した。 "マイダン運動の出現は自然発生的なもので、モスクワの手中にある独裁者を前にして、ヨーロッパへの近しさを訴えたものだ"。二つ目の疑問は、一つ目と関係しているロシアと、世界におけるその役割についての議論だ。またしても、コーエンもミアシャイマーも忍耐力を奮い起こし、一般大衆に、欧米による挑発に対して、プーチンがいつもどう行動しているかを説明せざるを得なかった。(ゴルバチョフに対する、NATOをドイツより先に広げないというブッシュの口約束にもかかわらず)NATOの東方拡張が、2008年のジョージアと、2014年のウクライナでの戦争原因なのだ。もちろん、三人の帝国主義者は、この主張を否定し、いわれのない攻撃だと、プーチンを非難し、国際的な舞台での悪役、ロシアに対抗するため、ヨーロッパ内のアメリカ駐留が必要な理由を確認した。ロシアと中国を分裂させるキッシンジャー戦略を、ミアシャイマーがまねて言っても、モスクワと北京に対する攻撃的姿勢は、アメリカ合州国を傷つけるだけで、一極支配の終焉を促進し、ワシントンを他の諸大国から孤立させることになる多極的現実の誕生を醸成することを、出席していた人々を説得できなかった。

 独裁者は、常にお互いに同盟を結ぶものなので、ロシアと中国とイランの間の協力は驚くにはあたらないと、三人の帝国主義者は認めた。おまけに連中は、アメリカには、複数の戦線で同時に対応する能力があるので、アメリカ合州国はこの状況でおびえるにはあたらないと言った。幸い、そのような妄想的な希望的観測を駄目にしたアフガニスタンやイラクやシリアやリビアの大惨事を想起させるコーエンの言葉が聴衆の笑いを引き起こした。そうした瞬間は、帝国主義者連中の主張が、いかにばかばかしいかを浮き彫りにするのに役立った。帝国主義者連中による主張に反対することに慣れていない聴衆の目を開けるのには、二、三のそうした議論で十分だ。

 二つのそうした教訓的な瞬間が傑出している。一つは、アメリカ合州国は、いかにしてそうしたことを成功させるか知っていると言って、イラン国内でのクーデターを主張した元CIA職員への反論だった。ところが、イラクやリビアやシリアやアフガニスタンでの失敗を想起させるミアシャイマーの反論が聴衆の大喝采を引き起こした。こうした主張が、オバマやトランプの選挙運動中、当選するために、どのように使われたかを、ミアシャイマーは思い出させた。もう一つ、一層効果的だったのは、イランについてのものだった。多くの近隣諸国(シリア、イラク、レバノン、イエメン)に対する影響力を高める狙いの、地域に対するイランの影響力とされるものゆえ、イランに対する更なる圧力を主張したコリ・シェイクに答えて、ミアシャイマーは、政権転覆と多国内政への介入という点では、アメリカ合州国が世界チャンピォンだという途方もない偽善を指摘した。その直後の大喝采が、この見解の議論の余地ない真実さを証明している。

 不幸なことに、討論は、聴衆の大半が、NATOは根本的に重要で、ロシアは悪役で、アメリカはイランに更に圧力をかける必要があると考え続けるだけに終わった。討論前と後で考え方を変えた人々の人数は重要だが(ミアシャイマーとコーエンは、最初の二つの疑問に関して、約10%の聴衆の考え方を変えた)、全体に比べれば、依然ごくわずかだ。

 オンライン観客として、私は違う感覚を味わった。私が一番いらだったのは、出席している三人の帝国主義者によって増幅され、繰り返される主流マスコミのありとあらゆるウソの山と、コーエンとミアシャイマーの主張が闘うという討論のダビデとゴリアテ的な性格にある。一般の人々は、帝国主義者の主張を聞くことにずっと慣れているのは確実だ。条件付けられた聴衆を説得するのに、コーエンとミアシャイマーに十分な時間があったとは言い難い。それでも、参加していた人々の一部は討論後、考え方を完全に変えた。NATOは必要不可欠で、ロシアは侵略的だという信念で会場に来た一部の人々は、NATOは今や陳腐化しており、ロシアは侵略者ではないという考えになって帰宅することとなった。

 この討論全体から、導きだせるのは、ミアシャイマーとコーエンの二人は、一般通念に対決し、分解し、破壊するのを恐れない素晴らしい人物だということだ。現在、我々の暮らしの上で、情報に通じていることはかかせない。適切に情報を得ていなければ、投票して、議員を選出する準備がで出来ているとは言えない。その場合、民主主義と思い込まされている中で、物事の成り行きを適切に方向づけたり、決定したりすることができなくなる。

 この討論は、アメリカ帝国主義者の世界が、現実世界から、どれほど遊離しているか、そして、特にこのネオコン-新自由主義の物の考え方が、どれほどの損害を実際にもたらしたかを示し、皮肉なことに、狙ったものと逆の、アメリカによる世界支配の終焉を促進させるのにしか役立たない結果を生み出すのに成功している。こうした情報が広がり、益々多くの人々に伝われば、ヨーロッパ-アメリカ支配体制の破滅的な行動についての理解が増すだろう。アメリカ合州国が向かっている方向は、世界におけるアメリカの役割にとって有害な結果しかもたらさないと警告して、コーエンとミアシャイマーは、国のために活動しているのだ。

記事原文のurl:https://www.strategic-culture.org/news/2018/10/10/john-mearsheimer-stephen-cohen-take-delusional-neocon-neoliberal-establishment-vital-debate.html

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 戦争への道をまっしぐらに進んでいると、常々感じている。違いは一つ。昔は、大本営によってだったが、今は、宗主国の戦争屋によって。宗主国の戦争屋が指揮した戦争が、この二人の碩学が指摘しているとおりの悲惨結果になっていることからして、次の戦争も、今の宗主国の侵略戦争と似たような結果になるだけだろう。

加藤周一はいかにして「加藤周一」となったか 『羊の歌』を読み直す』 を読んでいる。目からうろこ。

「まえがき」の8ページ

つまり、『羊の歌』に描かれる「戦前」に、今日の状況がきわめて似てきたということである。その意味では『羊の歌』を「いま」読みとくことは、「いま」を歴史の中で考えることにほかならない。

195ページ

「事件や出来事」と「馴化」の繰りかえしによって「既成事実の積み重ね」が進む。誰もが気づいたときには、はるかに遠くに来てしまっていて、取り返しがつかない。21世紀初めに日本社会で起きている趨勢もこういうことではなかろうか。

2018年8月22日 (水)

資本主義は我々を殺しつつあるのだろうか?

2018年8月17日
Paul Craig Roberts

 ハーマン・E・デイリーなどの生態経済学者は、公害と資源の枯渇という外部経済が、国内総生産に含まれていないので、GDPの増加が利得なのか損失なのかわからないことを強調している。

 外部費用は膨大で増大しつつある。歴史的に、製造会社や工業会社や企業農業や都市下水施設や他の犯人連中が、その活動の費用のつけを環境や第三者に回してきた。最近、主要成分がグリフォセートであるモンサントのラウンドアップが発がん性物質と思われることをめぐり、多くの報道が次々とされている。

 最近、公衆衛生擁護団体Environmental Working Groupが、彼らの実験で、45人中、2人を除く子供のエーカーとケロッグとゼネラル・ミルズ製のグラノーラやオートミールやスナック・バークを含む朝食でグリフォセートを発見したと報じた。https://www.theguardian.com/environment/2018/aug/16/weedkiller-cereal-monsanto-roundup-childrens-food

 ブラジルでの試験では、母乳の83%がグリフォセートを含んでいることが明らかになった。https://www.telesurtv.net/english/news/Brazil-Poisonous-Agrotoxin-Found-Over-80-of-Breast-Milk-Samples-in-Urucui-20180809-0008.html

 最も広く販売されているドイツ・ビールのうち14種がグリフォセートを含んでいるとミュンヘン環境研究所が報じた。https://sustainablepulse.com/2016/02/25/german-beer-industry-in-shock-over-probable-carcinogen-glyphosate-contamination/#.W3XKtC-ZOGQ

 グリフォセートは、メキシコ農民の尿やメキシコの地下水で発見されている。https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC5486281/

 サイエンティフィック・アメリカが、ラウンドアップの“不活性成分がヒト細胞、特に胚や胎盤や臍帯の細胞を殺傷しかねない”と報じている。
https://www.scientificamerican.com/article/weed-whacking-herbicide-p/

 あるドイツ人毒物学者は、モンサントが率いるグリフォセート・タスク・フォースのグリフォセートは発がん性物質ではないという結論を受け入れたドイツ連邦リスクアセスメント研究所と欧州食品安全局を科学的な詐欺のかどで、非難した。https://gmwatch.org/en/news/latest-news/17307-german-toxicologist-accuses-eu-authorities-of-scientific-fraud-over-glyphosate-link-with-cancer

 こうした所見に関する議論は、業界から資金提供された科学者は、グリフォセートとガンとの間のつながりを報告せず、一方、独立した科学者は報告しているという事実に由来する。企業に資金提供された科学者連中は独立しておらず、結論を出すために自分が雇われていることの反対結論を出す可能性は少ないのだから、驚くにはあたらない。

 グリフォセートが混ぜられた製品を危険と分類するために、どの程度の汚染が必要なのかに関しても議論がある。使用と、時間とともに、濃度は上がると思われる。遅かれ早かれ濃度は、被害を与えるのに十分なものとなろう。

 この記事での要点は、もしグリフォセートが発がん性物質であれば、失われた命や医療費の経費をモンサント/バイエルは負担していないということだ。もしこうした費用がモンサントにとって外部費用でなく、つまり同社がこの費用を負担せねばならなかったなら、製品の費用はその使用が経済的にはならなかったはずだ。費用の方が、利点を上回るはずなのだ。

 政治家や規制機関は賄賂に弱く、仕事仲間に便宜を図るので、真実を見出すのは極めて困難だ。ブラジルでは、議員たちが実際農薬使用の規制を撤廃し、スーパーマーケットでの自然食品販売を禁止しようとしている。https://gmwatch.org/en/news/latest-news/18409-brazilian-lawmakers-seek-to-deregulate-pesticide-use-ban-sale-of-organic-food-in-supermarkets

 グリフォセートの場合、モンサント/バイエルの形勢が不利になりつつあるのかも知れない。カリフォルニア州上位裁判所は、州当局に、除草剤グリフォセートを、発がん性物質として、プロポジション65に追加するよう命じた。https://gmwatch.org/en/news/latest-news/18411-monsanto-loses-another-court-case-over-glyphosate-weedkiller

 先週サンフランシスコ陪審が、ラウンドアップによって引き起こされたガンによる損害で、元校庭整備員への2億8900万ドル支払いを命じた。モンサントが上訴し、訴訟が校庭整備員が亡くなるまで延々続くだろうことに疑問の余地はない。だが、これは前例で、陪審員がお雇い科学を疑い始めたことを示している。約1,000件の同様訴訟が係争中だ。https://www.cnn.com/2018/08/10/health/monsanto-johnson-trial-verdict/index.html

 もしラウンドアップが発がん性物質なのであれば、それは一社の一製品に過ぎないということに留意すべきだ。これで外部経済がどれほど大規模なものかわかるだろう。実際、グリフォセートの有害な影響は、この記事が扱っているものを遥かに超えている。https://www.thcfarmer.com/community/threads/expert-gmos-to-blame-for-problems-in-plants-animals.39442/
 GMO餌は家畜にも大きな被害を与えている。http://educate-yourself.org/cn/Mike-McNeil-Whats-Killing-the-Cows-Day8-24July2018-55mins.mp3

 大気や水や土地資源に対する化学農業の悪影響を検討しよう。フロリダ州は農地からの化学肥料流出による藻類ブルームに悩まされており、製糖業はオキーチョビー湖の破壊に大いに貢献した。https://www.miamiherald.com/news/politics-government/state-politics/article216329745.html

 肥料流出は、海洋生物を殺し、人間に有害な青緑色の藻類ブルームを引き起こす。現在、フロリダ州のセント ルーシー川の水は10倍も毒性があり、手を触れられない。https://weather.com/science/environment/news/2018-08-10-florida-algae-bloom-st-lucie-microcystin

 赤潮は自然発生し得るが、肥料流出がその成長や持続を促進しているのだ。更に、公害が温度上昇を引き起こすことも赤潮を増やし、湿地の不動産開発用干拓も、自然の浄化無しで、水が素早く移動することになる。https://www.theguardian.com/us-news/2018/aug/13/florida-gulf-coast-red-tide-toxic-algae-bloom-killing-florida-wildlife?utm_source=esp&utm_medium=Email&utm_campaign=GU+Today+USA+-+Collections+2017&utm_term=283418&subid=1480231&CMP=GT_US_collection

http://www.wafb.com/story/38850029/graphic-red-tide-off-fl-gulf-coast-kills-marine-life

 水質が悪化し、藻類ブルームが増殖する中、フロリダ州の対応は水質監視計画縮小だった。https://www.miamiherald.com/news/local/environment/article215993665.html

 企業農業によるこうした大規模な外部経済を考えると、国内総生産で砂糖や農産品に帰せられている価値は、明らかに過剰だ。化学肥料流出による藻類ブルームで引き起こされる海洋生物の大量死や観光業の損失や人の病気の費用を上乗せしていないため、消費者が支払っている価格は余りに少なく、企業農業が享受している利益は余りに多い。

 私はこの記事で外部経済問題の表面を引っかいた程度に過ぎない。ミシガン州では、州の水道水が安全ではないことがわかった。何十年も軍事基地や何千もの消費財の製造に使われている化学薬品が飲料水に入っている。https://www.cnn.com/2018/08/16/health/tap-water-crisis-toxic-michigan-pfoa-pfas/index.html

 一例として、どれか事業を取り上げ、その事業の外部経済を考えてみよう。例えばアメリカ人の雇用をアジアに海外移転したアメリカ大企業を考えてみよう。大企業の利益は増大するが連邦や州や地方の税基盤は減少する。社会保障やメディケイドのための給与の税基盤は減少し、こうしたアメリカの社会的、政治的安定性の重要な基盤を危機に押しやっている。教師や他の政府職員の年金用の税基盤は減少している。もし雇用を海外移転した大企業が、こうした費用を負担しなければならなければ、彼らは利益が出るまい。言い換えれば、膨大な費用を全員に負担させることで、ごく少数の人々が儲けているのだ。

 ペットショップという単純な例を考えてみよう。美しい45から60センチのニシキヘビやボア・コンストリクターやアナコンダを売り買いするペットショップ経営者も客も、こうした蛇が一体どれほど巨大になるか全く考えないし、輸入を許可する規制当局もそうだ。他のペットや子供を貪り食いそうで、大柄で頑健な成人の生活を息苦しくさせる生き物に直面すると、蛇はエバーグレイズ国立公園の湿地に捨てられ、そこで自然の動物相を破壊し、今や余りに増えすぎて管理できなくなっている。外部費用は、全てのそうした蛇がペットショップによって売られる価格総計を何倍も容易に超える。

 生態経済学者は、資本主義は、天然資源に対する人間による圧力がごく僅かな“空の経済”では機能すると強調している。ところが、資本主義は天然資源が枯渇寸前の“一杯の経済”では機能しないのだ。GDPで測られる経済成長に関連する外部費用は、産出価値より高額な可能性があるのだ。

 これこそ、我々が今直面しているものだという説得力ある主張が可能だろう。種の消滅、食べ物や飲料や水や母乳や空気や大地への毒の出現や、地下水を破壊し地震を引き起こす水圧破砕によって、エネルギーを確保しようとする必死の取り組みなどは、地球が追い詰められている兆しなのだ。突き詰めて考えれば、何世紀にもわたって、資本主義が生み出してきた全ての利益は、おそらく資本家連中が生産の全部原価を負担してこなかったおかげなのだ。彼らは環境や第三者に費用のつけを回し、残った金を利益として懐に入れているのだ。

 更新: 昨年イギリスの医学専門誌ランセットが、公害の年間費用はグローバル経済の約6%で、一方、年間グローバル経済成長率は、約2パーセントで、福祉は2パーセント増ではなく、この差異の年間約4%減少したと推計しているとハーマン・デイリーが書いている。言い換えれば、既に経済成長は、不経済な状況になっている可能性がある。下記を参照。https://www.usnews.com/news/world/articles/2017-10-19/study-world-pollution-deadlier-than-wars-disasters-hunger

 Paul Craig  Robertsは元経済政策担当の財務次官補で、ウオール・ストリート・ジャーナルの元共同編集者。ビジネス・ウィーク、スクリプス・ハワード・ニュー ズ・サービスと、クリエーターズ・シンジケートの元コラムニスト。彼は多数の大学で教えた。彼のインターネット・コラムは世界中の支持者が読んでいる。彼 の新刊、The Failure of Laissez Faire Capitalism and Economic Dissolution of the West、HOW AMERICA WAS LOST、The Neoconservative Threat to World Orderが購入可能。

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記事原文のurl:https://www.paulcraigroberts.org/2018/08/17/is-capitalism-killing-us/

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 角川新書『使ってはいけない集団自衛権』を読み始めた。途中でとめたくなくなる。大本営広報部洗脳電気箱が招くわけがない鋭い論者、著者の菊池博英氏のご本を読むようになったのはIWJインタビューのおかげ。IWJアーカイブに菊池博英の講演やインタビューは数多い。たとえば下記。

 「英EU離脱と米トランプ氏当選は『新自由主義は間違いだ』と国民投票で証明した! 『ポピュリズム』など非常に失礼だ!」――「山田正彦の炉端政治塾」経済アナリスト・菊池英博氏講演 2016.12.17


GDPマイナス成長で日本はますます「貧乏」に! もはやアベノミクスはKO寸前! 富岡幸雄氏、菊池英博氏、植草一秀氏の三専門家に直撃取材! 2016.3.8

 沖縄知事選、翁長氏側の候補者が決まりそうだ。「第41回ロックの会」のビデオで、お話を拝聴した記憶がある。

 日刊IWJ ガイド「<今日の再配信>今日午後8時より、『安倍総理は「ジェンタイル・シオニスト」!? 米国の「イスラエルびいき」の背後にある「ジェンタイル・シオニズム」とは!? 岩上安身が「パレスチナの平和を考える会」事務局長・役重善洋氏にインタビュー(前編)』を、冒頭のみフルオープンで再配信します!/<今日の再配信>自由党・玉城デニー衆議院議員特集! 今日午後6時より、『「第41回ロックの会 IWJ NIGHT」AIIBの衝撃、TPP医療崩壊、辺野古移設と安保法制を徹底解説 ―出演者:宋文洲氏(経済評論家)、西尾正道氏(北海道がんセンター名誉院長)、山田正彦氏(元農林水産大臣)、玉城デニー氏(衆議院議員)』を再配信します! 自由党の玉城デニー衆議院議員が立候補へ!? 自公陣営が選挙体制を着々と整える中、オール沖縄は沖縄の未来をかけて迅速にまとまることができるか!?/次々と発覚する原発ムラのデタラメ! フクイチ敷地内で保管する低レベル放射性廃棄物のドラム缶8千本に腐食が見つかる! さらに、トリチウムを含んだ低濃度汚染水の中に、除去されたはずのストロンチウム90とヨウ素129が基準値を超えて存在! そもそも、原発などなくても、猛暑を乗り切っている!電気は十分足りている!/『赤坂自民亭』で有名になった西村康稔官房副長官は過去に買春していた!? バスケットボール選手が買春すれば処分されるが、西村官房副長官の疑惑はスルー!?/元ツイートは、周知の事実にもとづくものだった! それなのに1回のリツイートだけで名誉棄損!? 損害賠償を求め橋下氏への反訴も提起!橋下徹氏によるIWJ岩上安身への『スラップ訴訟』8月23日 第三回口頭弁論・報告集会のお知らせ/IWJの第9期が始まったばかりですが、新しい期のスタート時としては、ご寄付・カンパがかつてないピンチです! どうかご支援をよろしくお願いいたします!/IWJでは現在、テキスト班の新メンバーを緊急大募集中! 事務・ハドル班、ウェブ動画班の新メンバーも引き続き募集しています!」2018.8.22 日号~No.2169 号~

2018年8月 8日 (水)

ロシアにとって唯一の実存的脅威は新自由主義経済学

2018年8月3日
Paul Craig Roberts

 世界中のあらゆる人々にロシア国債保有を禁じるという、ワシントンが検討している、あり得る新たな対ロシア経済制裁について、今週ロシアTVのインタビューを受けた。これについてお考え願いたい。ワシントンには主権国家と、その国民が、ロシア国債に投資するのを阻止する権利と権限があるとワシントンは考えているのだ。我々が目にしているのは、狂気にまで至った傲慢さだ。

 ロシア国債は素晴らしい投資だ。アメリカやEUやイギリスや日本の国債とは違い、ロシア国債は金利が良く、アメリカやヨーロッパやイギリスや日本の巨額の債務を抱えた政府と違って、ロシアは事実上債務がない。

 しかもロシア・ルーブルは、ヨーロッパと中国がそれに依存している膨大なエネルギー資源で守られている。ルーブルを押し下げる唯一の方法は、欧米と日本の中央銀行による組織的な空売りしかない。これらの中央銀行は、すきなだけお金を刷って、それをすっかり浪費できるのだ。欧米の中央銀行は欧米政府より、もっと無責任だ。

 ソ連政府には、ルーブルが市場で取り引きされ、欧米が操作できるようにさせないだけの分別があったが、アメリカ新自由主義経済学者に洗脳されているロシア政府は、ソ連政府の分別に欠けているのだ。

 ロシアに対するワシントンのあらゆる経済的威嚇は、ロシア政府に、ヨーロッパ、カナダ、オーストラリアや日本の全てのように属国の地位を受け入れるよう強制するよう仕組まれている。マイケル・ハドソンと私が彼らに教えた教訓を、ロシア政府とロシア科学アカデミー経済研究所が無視しているがゆえに、この威嚇が機能し得るのだ。下記を参照。

 ロシアの弱点は経済政策  英語原文

 ロシアは、ブラジルの運命から学ぶことができるだろうか?  英語原文

 アメリカの第五列がロシアを破壊する  英語原文

 ロシアの信用を破壊するためのワシントンによる現在の取り組みの展開はこうだ。まずワシントンが、世界中のあらゆる人にロシア国債購入を禁止することを検討していると発表する。多くの人に犯罪組織と見なされていて、連邦準備金制度理事会からの助成に全面的に依存しているシティーバンクが、でっち上げの“分析”を公開する。ブルームバーグを引用すれば、“シティーグループが開発した新モデルによれば、もしアメリカが、ロシア国債に経済制裁を課する提案を強行すれば、ルーブルは15パーセントも下落し、借り入れ費用は、3年間の最高値に急上昇する”。シティーのアナリスト、イワン・チャカーロフと、アルチョーム・ザイグリンはこう言っている。“この出来事で引き起こされる更なる資本流出は究極的にルーブルを弱体化させかねない。” https://www.bloomberg.com/news/articles/2018-08-01/russia-debt-sanctions-would-send-ruble-plunging-15-citi-says

 これは全くのたわごとだ。もしワシントンが属国諸国に有利な投資を放棄するよう強制できたとしても、その企みを機能させ得るのは新自由主義経済で洗脳されたロシアだけだ。

 もし逆に、ロシア人が新自由主義経済洗脳から解放されたいと望むのであれば、ロシア中央銀行は、ワシントンが属国諸国に売ることを強制しているロシア国債を買うだけで良いのだ。これはまさに、アメリカやイギリスやEUや日本の中央銀行が、自国国債(と株)を買い入れて、価格を押し上げるよう十年間やってきたことだ。欧米同盟諸国における、ゼロ/マイナス金利は、こうして実現されたのだ。

 以前、マイケル・ハドソンと私は、ロシアの発展は、外債と、貴重なロシアの資産を外国に外貨で売ることに依存しているという、ロシアを支配している誤った思い込みは完全に間違っていると、ロシア政府と中央銀行に指摘した。ロシア政府は、ワシントンが仕組んだ物の考え方にはめられているのだ。

 ハドソンと私は、ロシアが開発計画のために外国から借り入れると、ドルはロシア経済の中では使われないことが実に明らかだということを指摘したのだ。借り入れたドル(あるいはイギリス・ポンドや、EU・ユーロや日本円)は中央銀行の外貨準備保有になる。中央銀行は、開発プロジェクトに融資するための、外貨の額に等しいルーブルを印刷するのだ。

 ロシアの対外借款には全く意味がないことは、アメリカ新自由主義経済学者に洗脳されておらず、ワシントンに反対している誰にとっても明々白々だ。ロシア中央銀行は、外国からの借り入れと無関係に、ロシアの開発プロジェクトに融資するためのルーブルを生み出すことが可能なのだ。外国からのあらゆる借り入れは、ロシア対外債務を増大し、それによって、ロシアは、ワシントンの経済制裁の影響をより受けやすくなるのだ。

 ロシアが新自由主義という物の考え方をし続ける限り、ロシア破壊が狙いのアメリカ・ネオコンはくつろいでいられる。新自由主義経済学が、彼らのために仕事をやってくれるのだから。

 Paul Craig  Robertsは元経済政策担当の財務次官補で、ウオール・ストリート・ジャーナルの元共同編集者。ビジネス・ウィーク、スクリプス・ハワード・ニュー ズ・サービスと、クリエーターズ・シンジケートの元コラムニスト。彼は多数の大学で教えた。彼のインターネット・コラムは世界中の支持者が読んでいる。彼 の新刊、The Failure of Laissez Faire Capitalism and Economic Dissolution of the West、HOW AMERICA WAS LOST、The Neoconservative Threat to World Orderが購入可能。

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記事原文のurl:https://www.paulcraigroberts.org/2018/08/03/the-only-existential-threat-to-russia-is-neoliberal-economics/

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 9月に横浜で『華氏451度』が芝居で見られるという。レイ・ブラッドベリによる名作SF。映画もある。

 徹底した思想管理体制のもと、書物を読むことが禁じられ、情報は全てテレビやラジオによる画像や音声などの感覚的なものばかりで溢れている近未来の話だ。本の所持は禁止されており、発見された場合、ただちに「ファイアマン」と呼ばれる連中が出動し、焼却し、所有者は逮捕される社会だ。

 大本営広報部の虚報・洗脳は悪質犯罪と思うが、巨大ハイテク企業の締めつけも劣らず悪質だ。それが今、劇的に強化されつつある。ジョージ・オーウェルの『1984年』と、『華氏451度』の世界、間もなく、ほとんど実現するある。下記はRT記事。

Chilling precedent? InfoWars block exposes Big Tech as no friend of free speech

 大本営広報部でないと、記者会見で手をあげても無視される。れっきとした検閲。

日刊IWJガイド「今日午後8時より、『「憲政史上最悪の国会」にした、安倍政権「7つの大罪」を斬る!岩上安身による立憲民主党代表・枝野幸男衆議院議員インタビュー』を、公共性に鑑みてフルオープンで再配信!/<取材報告・東京医大不正入試>昨日IWJは、東京医科大記者会見と林文科相定例記者会見を取材! IWJ記者だけが手を上げていたのに、司会は指名せずに『IWJ外し』! 記者クラブに加盟していないIWJに質問されるのはよほど都合が悪い!?/【動画班からお知らせ】メインチャンネル(2ch~9ch)中継が『ユーストリーム』から『ツイキャス』に替わりました!/他」2018.8.8日号~No.2155号~

2018年8月 7日 (火)

ウソの世界の中で暮らすアメリカ人

2018年8月3日
Paul Craig Roberts

 アメリカ政府と、それに仕える売女マスコミは、あらゆることについて、我々にウソを語り続けている。今日、労働統計局が失業率は3.9%だと発表した。経済回復とされるものの期間中ずっと就業率が減少し続けており、十年間  完全雇用のせいでの賃金上昇圧力もないとも労働統計局は報告しながら、どうしてそのようなことがあり得よう。仕事がたくさんある場合、就労の機会に乗じ、人々は労働力人口に参入する。これで就業率は上がる。3.9%失業率が意味する、完全雇用時には、雇用者たちが、希少な労働力を得ようと競って賃金は競り上がる。賃金上昇圧力が無く就業率が上がらない完全雇用などあり得ない。

 3.9%失業率は、雇用によるものではない。就ける職がないので、求職活動を止めた求職意欲喪失労働者を計算に入れない結果なのだ。失業者が積極的に職探しをしないと、その人は労働人口として数に入れられないのだ。この計算方法で、失業率はエセになる。

 政府は基本的にインフレではないと言っている事実にもかかわらず価格は、大幅に値上がりしている。食料品価格、住宅改修価格、医薬品価格、ほとんどあらゆるものの価格が。二年前、アメリカ米国退職者協会の公共政策研究所はこう報じた。平均医薬品価格は“年間10パーセントという気がかりなペースで上昇しており、約20の薬品は、仰天することに、12月から価格が四倍になった。同時期に60の薬品が倍の値段になった。マーティン・シュクレリ率いるチューリング医薬品は、この種の振る舞いの最も目立つ例の一つだ。同社は、価格を一錠13.50ドルから、750ドルに値上げするためだけの目的で、命を救う薬品の販売権を買った。” https://www.rt.com/usa/334004-drug-prices-doubled-years/

 もちろん収入は倍増していない。実質的には収入は減った。しかも薬品支出は老人やメディケア対象者の家計の大きな比率を占めている。カイザー・ファミリー財団によれば、高齢者の処方薬に対する平均年間経費は、平均社会保障年金の四分の三を占め、メディケア給付金を受けている人々の平均収入の約半分だ。https://www.rt.com/usa/334004-drug-prices-doubled-years/

 本当の雇用も減っている。売女経済マスコミが人手が足りないと報じている雇用は生活を支えられる職ではない。労働統計局は、複数の仕事で働いているアメリカ人の人数は、7月に 453,000人増え、複数のパート仕事をしているアメリカ人の人数は8,072,000人にのぼると報じている。

 7月の就業者数報告を見ると、またしてもアメリカ労働人口第三世界的様相がある。新規雇用とされるものは低賃金の国内サービス業に集中している。人材派遣サービス、医療支援や社会支援、ウエイトレスやバーテンダー。

 活力ある経済の兆しはほとんどないが、至る所に多額の負債がある。債務はそれを支えるための収入より早く増加しつつある。アメリカ政府は、更なる1兆ドルの年間財政赤字への道を進んでいる。グローバル企業が高生産性、高付加価値製造業と専門技能職を海外移転することで、連邦や州や地方自治体の税基盤は破壊された。“自由貿易”を名目に、社会保障やメディケアや公的年金のための税基盤は、人件費が安い中国や他のアジア諸国に引き渡されてしまった。アメリカのグローバル企業は、アメリカ税基盤を縮小させることで利益を増やしているのだ。新自由主義経済学者は、このばかげたことを、アメリカ人に恩恵を与える“自由貿易”だと擁護している。

 その雇用が外国人に与えられてしまった何百万人ものアメリカ人は自分たちが恩恵を受けていないことを良く理解している。彼らは新自由主義経済学者や売女経済マスコミが言っている話はウソだということを理解している。

 もちろん、ウソは経済だけに限るわけではない。前回の大統領選挙運動以来、印刷やTVメディアやNPRを支配しているロシアゲートは連日続く壮大なウソだ。例えば、8月3日、ポール・マナフォートが裁判にかけられ、ロシアゲート特別検察官ロバート・マラーに、トランプのホワイト・ハウスからの排除を招きかねない有罪判決をもたらす見込みを巡り、売女マスコミNPRはワクワクしている。有罪判決を受けたマナフォートが自分の罪を軽くするのと引き換えに、トランプのことを密告すると売女マスコミは憶測している。

 マナフォートが、ロシアゲートに何らかの形で関係することで裁判にかけられているわけではないのを売女マスコミNPRは明らかにしていない。マナフォートは十年前、ウクライナ人政治家のコンサルタントだった時代の所得税脱税容疑で裁判にかけられているのだ。それは明らかだが、これは自分を守るためにトランプにぬれぎぬを着せるようマナフォートに強要するのが狙いの冤罪だ。もしマナフォートis有罪判決を受けても、いかなる証拠に基づいたものではないはずだ。マナフォートは“税金を払わない金持ちの一人”だと売女マスコミが陪審員に確信させて、マナフォートは有罪判決を受けるだろう。

 この魔女狩りを、一片の証拠も発見されていない、マラーへのロシアゲート負託を遥かに超える魔女狩りの継続を、トランプ大統領が許していることが、軍安保複合体と民主党全国委員会に協力している売女マスコミが、アメリカ大統領をどれだけ無力にしたかを示している。アメリカ人が、じっと座って親指を吸っているうちに、大統領に対するクーデターが目の前で進展している。

 Paul Craig  Robertsは元経済政策担当の財務次官補で、ウオール・ストリート・ジャーナルの元共同編集者。ビジネス・ウィーク、スクリプス・ハワード・ニュー ズ・サービスと、クリエーターズ・シンジケートの元コラムニスト。彼は多数の大学で教えた。彼のインターネット・コラムは世界中の支持者が読んでいる。彼 の新刊、The Failure of Laissez Faire Capitalism and Economic Dissolution of the West、HOW AMERICA WAS LOST、The Neoconservative Threat to World Orderが購入可能。

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記事原文のurl:https://www.paulcraigroberts.org/2018/08/03/americans-live-in-a-world-of-lies/

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 いつになく涼しい。温度計は26度。孫崎享氏、メルマガ、オリンピック時期のサマータイム導入などではなく、時期そのものを秋にずらせと主張しておられる。

 ボクシング界の膿は、しっかり追求して、一番悪辣な膿から目をそらすのに懸命な大本営広報部。大本営広報部も、膿の一部。

日刊IWJガイド「<昨日の岩上さんのインタビュー>『憲政史上最悪の国会』にした、 安倍政権『7つの大罪』を斬る!岩上安身による立憲民主党代表・枝野幸男衆議院議員インタビュー・明日夜8時フルオープンで再配信!!/<8.6広島平和記念式典>被爆者の平均年齢は82歳超に! 安倍総理は昨年同様、核兵器禁止条約にふれず! GHQの厳しい情報統制下で、奇跡的に残った被爆者の手記を公開!! 西日本豪雨から1ヶ月、大量の土砂と酷暑が復興を遅らせる!?/
【動画班からお知らせ】メインチャンネル(2ch~9ch)中継が『ユーストリーム』から『ツイキャス』に替わりました!/他」2018.8.7日号~No.2154号~

2018年8月 6日 (月)

欧米は左翼に対する‘哲学的クーデター’を遂行している

2018年8月2日
Andre Vltchek
New Eastern Outlook

 かなり長い間起きているが、誰も対して注意を払っていないことがある。欧米学界や主流マスコミや最も名の知れた布教者連中が、 1) イデオロギーは死んだか、少なくとも無意味になった 2) 死んでいない場合、左翼は実際…固唾をのんで頂きたい… 右翼だ!と世界を説得しようしているのだ。

 アジアや中南米で、特に権力の座にある左翼は、ロンドンやパリやワシントンで‘再定義され’つつある。アメリカ合州国やイギリスや他から、たっぷり予算が使えるようになって、欧米プロパガンダ導師連中は、最近どうやら活力を取り戻したようだ。彼らは、特定の国々、とりわけロシアと中国とイランを追求するよう、あからさまに命じられている。

 これは実に複雑だが重要な展開だ。欧米は敗北しつつあるが、資本主義、特に新植民地主義と同義語の帝国主義もそうなのだ。

 世界中の人々はうんざりしている。帝国主義諸国内の一部の集団さえ、うんざりしている。

 一番の問題は、何十年も、骨を抜かれた大学の朽ちつつある大講堂の中に、哲学が閉じ込められ、監禁されていた後、大半の人々は、一体何に実際うんざりしているのかわからなくなってしまった。彼らが一体何に反対していて、彼らが一体何を望んでいるのか。

 哲学や‘世界は一体どの方向に発展すべきか’というような深遠で極めて重要な話題は、トーク番組や‘公的知識人’が少なくとも公然とは討論しないのと同様、もはや国際連合教育科学文化機関UNESCO会合では議論されない。

 軽いポップ音楽、ホラー映画や、利己的で、大抵幼稚な価値観や願望の奨励が、大衆を本当に十分満足させることは決してなく、大衆を傷つけ、人々が自由に考え、分析し、地に足が着いた十分情報を得た結論を出す能力を弱めてしまう。

 ‘-主義’、特に左翼‘-主義’は唾棄される。益々、左翼は中傷され、更に、極右やファシズムとさえ比較される。実際、共産主義とファシズムを一息で言うと、大いに報われるようになっている。欧米では、何千人もの‘思想家’やイデオローグ連中が、ただそれだけをして、良い生活をしている。

*

 このエッセイは、私宛の電子メールで、この刊行物 (NEO - New Eastern Outlook)のことを‘極右ロシア国粋主義刊行物’と呼んだアイルランド人学者とのやりとりに触発されたものだ。

 私は激怒し、NEOは左翼、国際主義の雑誌で、運営している人々は、いかなる右翼とも全く無関係だと明らかにして返信した。だが、間もなく、これは証拠の問題ではなく、全く別の問題であることに気がついたのだ。

 ヨーロッパや北アメリカのどこへ行こうと至る所から、テレビやラジオ局にチャンネルを合わせればいつでも、同様の混乱させるメッセージを聞かされる。何がしか歪曲されたものが四六時中放送されている。政治的現実は極端に曖昧になっている。偉大な左翼政治指導者たちは罵られる。デマゴーグやらポピュリスト、もっとひどく。更に狂った冷戦宣伝屋による、スターリンやヒトラーとのひっきりなしの比較(ヒトラー = チャーチル、ドイツ・ナチス = ヨーロッパ植民地主義などのような論理的な比較は決してされない。)

 最大の問題は、大多数の欧米諸国民がこのプロパガンダに屈していることだ。彼らはこうした問題に関し、もはや疑問に思うことができず、たとえ疑問を調べようと思っても、公式見解を効果的に批判するための情報源を一体どこで探すべきかわからないのだ。

 彼らは洗脳されているのに、自分たちは自由に考えていると思い込んでいる。彼らは、自分たちがしっかり、条件付けされて、洗脳されているのを自覚していないだけではない。彼らは実際、自分たちが教えられてきたことを世界に教えて、他者に説教し、啓蒙する立場にあると思い込んでいる。そこで、連中は話し、書いて、謝礼を得る。連中は国連や‘国際的な文化組織’やNGOや大学に参加し、世界を搾取し、支配するというたった一つの目的のために欧米イデオローグが作り出した、こうしたあらゆる教義を広め続けるのだ。連中は、こうしたでっちあげを、主張としてでなく、事実として提示する。もちろん、連中が説いていることの背後に事実は皆無で、確かな証拠も無いが、一体誰が証拠を探すだろう、しかもどうやって? インターネットでさえも、今やもうそう簡単には動き回ることができず、欧米のどこの書店も、中国やロシアのように多様ではない。

*

 本題に戻ろう。社会主義や共産主義や、今世界中で強化しつつある、あらゆる反帝国主義運動の信用を落とすことが、欧米にとって極めて重要なのだ。

 実際、ロンドンやパリやワシントンの多くの宣伝屋連中は、欧米と、彼らによる世界支配がほぼ終わっていることを、はっきり理解しつつある。この事実を彼らが自覚すればするほど、連中の敵を一層攻撃的に追求するのだ(連中の職業は、そうした支配に依存していることが多く、もちろん彼らの国々の特権もそうなのだ)。

 アジアや中南米で権力の座にいる社会主義者や共産主義者攻撃だけでは、もはや不十分だ。

 今、帝国は国内でも外国でも、悲観主義と敗北主義と暗い虚無主義を広めている、(是非、私の新刊をお読み願いたい。“Revolutionary Optimism, Western Nihilism”)。“すべての人々は同じだ”という。耳障りは良いが、それが意味しているものは実際極めて邪悪だ。“あらゆる人々は、我々のような気違いじみた自己中心主義者で、我々のような大量殺人者で、もちろん、盗人だ!”

 用語と定義が全くごた混ぜになって混乱している。何も正確に定義されていない。

 たとえば、ジャカルタの左翼知事‘アホック’が、世界中で最も汚染した都市の清浄化や、公共交通建設や、貧しい人々への公営住宅の提供を始めると、彼が、超資本主義ジャカルタにある、わずかな歩道を臆面もなく塞いでいたプチ資本家露天商やヤクザを立ち退かせたので、欧米から資金を得ているいくつかのインドネシアNGOや無数の人々が‘アホック”を‘右翼’と呼び始めた。ファシスト、反共独裁制時代に繁盛したヤクザと露天商、は、市や主に貧しい住民を、何十年も脅してきたのだ。ところが連中の主張はこうだ。“知事は普通の人々に反対している”。

 実際この大いに人気ある知事が、ずっと高い地位、国の最高の地位に対してさえ及ぼしうる‘大きな脅威’があったのだ。それは認めるわけには行かず、servile‘都市計画者’や、学者や‘市民社会’団体が、破廉恥にも、彼に反対して団結したのだ。最初に、(右翼と呼ばれて)中傷され、宗教(イスラム教)を侮辱していると非難され、最後に投獄された。本物の社会主義者(共産主義とつながるので、インドネシアでは依然発音することさえ違法な単語)であるかどで、いまだに彼は獄で朽ちている。

 ジャカルタ・シナリオは、もちろん例外ではない。同じことがフィリピンでも起きている。欧米と、その現地のお先棒をかつぎが、ベネズエラ、ブラジルなどの国々や、特に、中国とイランとロシアを、同じ歪曲した‘論理’と熱意で攻撃している。

 中国を実際そうであるものとして、‘共産主義(中国的な特徴の)で、現在、世界で最も成功した国”と呼ぶことは、欧米のいたるところや、その‘属’国諸国では、全く許されない。それは中国の人気を大いに高めるはずだ。一体なぜだろう? 資本主義、帝国主義のけだものの暗い腹部の奥深く、ヨーロッパと北アメリカでさえ、普通の人々は、実際、何か左翼’、何か社会主義、共産主義さえ求めている。彼らは、そういうものを憎悪し、公にけなすよう教えられ、そうしている。しかし、心の奥底で、多くの人々は、依然それに憧れているのだ。

 帝国は心理戦を重々理解している。中国を中傷するため、中国は、実際、資本主義者と呼ばなければならないのだ。あるいは、中国を帝国主義者と呼ぶのだ。中国は‘我々と同じ’だと言う。(“我々と同じ”というのは、もちろんよろしくない。あらゆる国の人々は‘我々’を憎悪しているのだ。) 中国は、インフラや病院や学校を建設して、アフリカの人々を助けているわけではない(アフリカ人に聞けば、それこそ、まさに中国がしていることなのに、 - 欧米ジャーナリスト連中が、わざわざしようとは思いもしないこと)。中国は‘自らの利益を追っており’、事業をしていると言うのだ(またしても、わずかな東南アジアの、どうしようもなく腐敗し卑屈な‘属’国を除いて、最近は禁句だ)。

 ロシアについても全く同じだ。ロシア外交政策は、明らかに反帝国主義だ。多くの点で、それは依然、古き良きソ連外交政策で - 人間尊重主義に基づく、国際主義、平等主義だ。現在のロシア外交官は、優秀で口調の柔らかな哲学者だ。欧米は彼らに到底かなわない。それゆえ、帝国は彼らを、彼らの国、そして、それが表すあらゆるものを中傷するのだ。プーチン大統領は、まるで右翼の絶対的指導者で、狂人で、ロシアは資本主義国家として描かれる。ロシアは多くの点で、緊密な同盟国、中国に益々似てきているので、それは全くの戯言だ。ロシアは社会福祉に大きな重点を置いた混合経済で、欧米新植民地主義によって残忍に扱われている人々を進んで擁護し、保護する国だ。ロシアは、どこも占領しておらず、いかなる政権も打倒していない。ロシアは益々、良い、確固とした、思いやりのある国になりつつあるが、そうなればなるほど一層悪魔扱いされる。良く振る舞えば振る舞うほど、‘資本主義者’や‘右翼’や‘オリガルヒ’と呼ばれて、ますます中傷される。そう、偉大なプロパガンダbarks for sure。欧米のデマゴーグと諜報機関職員は、仕事のこつを知っているのだ。

 シリアは欧米のデマゴーグに一体どのよう定義されていることか? いかに誹謗されていることか!何十年も、実際、そうである通りに、汎アラブ社会主義国と呼ばれることはない。‘政権’だ(私が実際喜んで、彼ら自身、イギリス・ファシストに、陳腐で受動攻撃性の君主国に対して使っている私の好みの軽蔑的な英単語だ)いつも‘専制的’とレッテルを貼られている。‘社会主義者’や‘国際主義者’という表現を皆様が聞くことは決してない。なぜかご存じだろうか? 繰り返させて頂きたいが、これらの言葉は心の奥底で、世界中の人々の耳に、一部の欧米人のに心さえ無意識のうちに共感を呼ぶためだ。

‘社会主義者’、‘人々のために尽くす’ - これを中傷することはできるだろうが、人々はそれを本当は求めており、何十年も何世紀も求めて来たのだ。彼らはそのためにこそ、バリケードで戦い、死んできたのだ。人々の心の中には、いまでも何か本能があるのだ、それとも、マクロンやメイのような連中に支配されるために彼らが自らの命を犠牲にすると思われるだろうか?

 それゆえ社会主義者は、一部のヨーロッパの似非-売国-社会主義者ではなく、本当の社会主義者と共産主義者は、欧米によって、いつも‘ポピュリスト’や、デマゴーグや、往々にして、右翼とさえ、レッテルを貼られる。

 この後ろ向きの、虚無主義の、気のめいるプロパガンダは、いたるところで人々の目をくもらせ、混乱させる。これは白を黒と呼び、黒を白と呼ぶ。共産主義者に、ファシストと烙印を押し、更には、ファシストも共産主義者も同じだと宣言する。

 今、人々、少なくとも欧米マスコミに最もさらされている人々は‘政治党派から革命思想に至るまで、更にはお互いに対してさえ、いかなるものにも本気で取り組むことができない。彼らは‘論点毎’に動き、(何億もの分断化された宇宙の中心で)個人的生活でも政治でも傲慢なほど利己的だ。ロンドンやパリや、言うまでもなくニューヨークでも‘最も教育がある’と思われている人々は、悲しいかな最も条件付けされ、洗脳され、弱々しい。

 ばかげた教育と、安手の‘文化的価値’を注入することで、欧米が東南アジアなどの世界の一部で、欧米風ながら、本当は似ていない実に奇怪な‘上流階級’を作り出すのに成功したのは何とも並外れたことだ (この問題については、近く発表予定のエッセイで扱うつもりだ)。結果は、何も新しい意味のあるものを生み出すことができない、従順で、魂のない国々だ。

*

 こうしたこと全てが、世界がその直感に従うのを防ぐため、社会主義や共産主義を選択するのを防ぐためなのだ。

 欧米政権の課題が途方もないものであることがお分かりだろう。人類の自然反射を破壊し、ゆがめるのだ。世界のどこかで人々が、ある種の社会主義や共産主義に投票し、あるいは、そのために戦う本当の機会を与えられた際にはいつでも。

 基本的に、民主的に左翼政府を選んだ中南米の全ての国々。そして彼らは、欧米と連中の従僕連中に打倒された。それは現在も起きている。何百万人もの人々が、その過程で亡くなっている。

 アフリカでも全く同じだ。それはパトリス・ルムンバと彼の殺害で始まり、決して終わってはいない。統治するため、ファシスト怪物や精神的に病んだ連中が外国から送り込まれ、雇われる。

 アジア? 全くの恐怖だ。1950年代の社会主義イランから、1965年以前の国際主義、共産主義インドネシアまで、人々は共産主義を望み、虐殺され、強姦され、最後は、あらゆるものを奪われた。一体誰によってだろう。欧米と、その官僚や、植民地時代以来の現地スパイ。中国やベトナムのように抵抗して勝利した国々は、他の国々より、ずっと暮らし向きは良い。

 世界中の全員が社会主義を望んでいたのだ。中東も、そうヨーロッパも! 第二次世界大戦後、アメリカとイギリス諜報機関が、フランス、イタリアや西ドイツのヨーロッパ人が、共産主義者に投票するのを妨害したのを忘れるためには、実際大変な規律と絶え間のない洗脳が必要だ。左翼候補者を威嚇し殺害するのに、ナチスが雇われた。次に、連中は南米に送り出されて、‘引退する’か、ファシスト親欧米政権との協力を始めるかした。私はそれを知っている。20年ほど前、強制収容所で略奪した金歯を持って、パラグアイやアルゼンチンやチリに逃れることを許された老いた悪漢連中と話したことがあるのだ。

 ‘立憲君主国’であれ‘誘導されたでっち上げ多党制’であれ、社会主義に対する人々の自然な憧れを破壊するのが欧米政権の主な任務だ。

 結果は完全なグローバル統合失調症だ。本能的に、人は何かを望むものだが、それは間違っていると言われ、更に一体何を望むべきか命じられる(雇用され得ない人物になりたいと思わない限り)。

 愛やセックスと同じだ。我々男性は、我々の体は特定なタイプの女性に憧れるべきだと言われる。女性は、どのような男性にあこがれるべきか教え込まれる。

 職業と同じ、というか、自由な時間を人々がどう過ごすのかと同じだ。携帯電話をたたいて、退廃したビデオ・ゲームをし、政権にとって、将来良い召し使いになることを証明する卒業証書を得るためだけに、大学でばかげたことを学んでいる。

 連中は、人々に実際一体何をしたのだろう? 成人、父親も母親も‘立派な’人々は電話画面上で指を動かし、子どもじみたゲームで遊び、 いたるところで子供のような顔で自取りをしている。ヨーロッパの知的映画も文学も崩壊している。そして全員がばかのようににっこりしている。しかも、ほぼ全員自暴自棄だ。

 これは明らかにクーデター後の状況だ。これは異常だ。

 病的だ。ほぼ誰も幸福ではない。全員が幸福なふりをしている。

 心の底で、人々は、より良い世界について夢を見たがっており、他の人々のために貢献し、あるいは理想や革命のため、自らを犠牲にしたいのだ。

 その大切な資本主義と新植民地主義が世界を支配し続けられるように、欧米が広めたこの狂気は、そう長くは続くまい。

 間もなく、人々は、自分の国を作り上げること、世界中の状態を良くすること、環境をきれいにすること、愛し、その愛に全身を捧げること以上に栄誉あるものがないのに気がつくだろう。

 だがその前に、ウソは暴露されなければならない。白は白で、黒は黒だ。戦争は戦争だ、平和は平和だ。侵略者は侵略者で、犠牲者は犠牲者だ。

 欧米は、世界中、卑劣で気のめいるウソで、人々を動けなくしている。欧米は、小さく貧相なねずみを凝視するコブラのように、人間を凝視しているのだ。

 間もなく、世界は立ち上がり、真実を要求すると私は確信している! 真実によって、心理的な均衡も復活するだろう。人々は、いかにして夢見るかを再び学ぶだろう。夢によって、欧米が広めてきた狂気に対決することになるだろう。帝国主義は叫び、泣きわめくだろう。あらゆる動くものにかみつこうとするだろうが、比較的すぐ、あらゆる力を失い、願わくは、くたばるだろう。私はそれを信じている。何百万人もが今、再び、そのために戦う用意ができている。

 アンドレ・ヴルチェクは哲学者、作家、映画制作者、調査ジャーナリスト。彼は、Vltchek’s World in Word and Imagesを制作しており、『大10月社会主義革命』を含む多数の本の著者でもある。オンライン誌“New Eastern Outlook”への独占寄稿。

記事原文のurl:https://journal-neo.org/2018/08/02/the-west-has-performed-philosophical-coup-against-the-left/

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 昨夜の番組『外国人記者は見た』にはビックリ。話題はカジノ導入。小生が拝読する本の筆者、ほとんど大本営広報部洗脳箱ではお見かけすることはないが、その例外だったので。『カジノ幻想 日本が経済成長するという嘘』の筆者鳥畑与一静岡大学教授がコメンテーターだった。有名なカジノがあるシンガポールの記者は、あえてカジノ推進役を演じたのだろう。他の国の記者からはほとんど肯定的意見はなかった。特に韓国の記者は韓国での問題点、対策を詳しくあげた。あまりにまともな内容に驚いた。著書を読む気にならないゲストの場合は、見ないようにしている。

 『カジノ幻想 日本が経済成長するという嘘』については、「ファシズムと独裁 - 暴露されたアメリカ権力」 2015年4月11日 という翻訳記事のあとの文章でごく短く触れた。

 カジノに関する翻訳記事としては、「ニュージャージー州アトランティック・シティーのカジノ閉鎖、アメリカの悪化する雇用危機の兆候」 2014年7月29日がある。基本的事実は変わらない。

 今日にちなむ記事のなかから、二つあげておきたい。「広島から福島へ」は原文が更新されており、こまかい文章の差異が多々あり、多数の映像のリンクが切れている。それでも、イヤガラセの海外からのゴミ・コメントが非常に多い記事なので、宗主国・属国双方の原子力村には不都合なのだろう。近いうちに、翻訳を更新する予定。「はだしのゲンが見たヒロシマ」は翻訳記事ではない。映画を見て書いたもの。

広島から福島へ、1945-2011 2012年9月29日

はだしのゲンが見たヒロシマ・原発切抜帖・ひろしま・あしたが消える日2011年8月29日

 今日もインタビューを見なければ。

日刊IWJガイド「<本日のインタビュー>午後3時より『「憲政史上最悪の国会」にした、安倍政権「7つの大罪」を斬る! 岩上安身による立憲民主党代表・枝野幸男衆議院議員インタビュー』を全編フルオープンで配信!/<インタビュー報告>【広告連動企画】『嫌だと言っていい、逃げてもいい』大切なのは保養という選択肢があること!原発事故後の保養支援・リフレッシュサポート代表 疋田香澄(ひきた・かすみ)さんに岩上安身がインタビュー!/【お知らせ】8月6日より日々の現場からの中継が『ユーストリーム』から『ツイキャス』に替わります!/他」2018.8.6日号~No.2153号~

2018年6月17日 (日)

大西洋体制が崩壊する中、岐路に立つヨーロッパ

2018年6月15日

F. William Engdahl
New Eastern Outlook

 ここ数日間の世界の出来事は、G7先進工業国内部の明らかな分裂を遥かに超える重要なものだ。もし、世界を巨大な電気の力場だと想像した場合、1945年以降のドルに基づく世界体制が混乱した終末段階に至る中、磁力線は劇的な再配列中だ。現在、ヨーロッパの政治エリートは合理と不合理の間で分かれている。とは言え、東方への発展は、益々多くの力を引き寄せつつあり、EU内における西から東への地政学的極性反転とでも呼ぶべきものの初期段階を我々は目の当たりにしているのだ。貿易戦争であれ、経済制裁戦争であれ、テロ戦争であれ、動的戦争であれ、ワシントンには戦争しかできない中で、中東やイランや、何よりロシアと中国間を含むユーラシアでの最近の進展は重要性を増している。

 長年のNATO同盟国で、国境を接する国、カナダの首相を“不正直で弱い”とあからさまに呼ばわりし、カナダから輸入される自動車への新たな輸入関税で威嚇するアメリカ大統領のツイートの光景は、どう見ても、一貫性のないアメリカ大統領の気まぐれというよりも、アメリカの同盟諸国全てを動揺させるための計算ずくの戦略だ。それもワシントンが一方的にイラン核合意を粉砕して、ヨーロッパや、ロシアや中国やイランを落胆させた後の話だ。それに加え、アメリカは、WTO協定に、あからさまに違反して、アルミニウムと鉄鋼で、EUに対する新たな関税貿易戦争も発表した。

 良い人役はもうおわりだ

 こうした振る舞いが、何かより深いものの症状だとすれば、私が先に書いた通りのアメリカの爆発的な債務水準を見るだけでよい。最新のトランプ税法で、現在の21兆ドルという連邦債務に加え、今後十年、1兆ドルという連邦の年間財政赤字が加わると予想される。家計の私的債務は、2007年の金融危機以前より高い水準にある。ジャンクボンド、つまり“投資不適格”債務 を含む企業債務は、十年にわたる連邦準備制度理事会のほぼゼロ金利のおかげで、途方もなく大きい。

 実際のアメリカ経済状況には、ほとんど言及されていない別の要素もある。アメリカ消費者金融保護局による最近の研究によれば、他の多くの国々と比較して、1世帯当たりの平均収入は名目上高く見えるが、食料や住宅や強制医療保険などの固定費という現実で、新種の貧困が生まれている。調査は、約50%のアメリカ人が、毎月の請求書支払いが困難で、三分の一もが、時に食べ物や、まともな住居や医療のお金が不足していると結論づけている。ある最近の研究は、四人家族の医療費だけでも、年間28,000ドル以上、平均収入の半分もかかると推計している。

 アメリカ国内の厳しい見通しに加え、メディケア保険資金の運営委員会が、信託基金は、8年で枯渇すると発表したばかりだ。社会保障信託基金も、引退する多数の戦後ベビー・ブーマー世代と、払い込む若い労働者数の減少のおかげで、出生率も人口成長も減少しているので、1982年以来、今年初めて赤字に転落する。また、ニュージャージー州は、財政破綻が迫るなか、あらゆる歳出を凍結した。連邦準備制度理事会が金利を上げると、企業と家計の債務不履行の連鎖反応が、あらかじめプログラムされている。

 要するに、アメリカ経済は、わずか1%の富裕層に失血させられ、限界点に至っているのだ。アメリカ株式市場は、十年間の低利資金のおかげで、現在過去最高を享受しているが、アメリカ合州国の根本的な経済的現実は、控え目に言っても、不安定だ。唯一の超大国による世界支配を維持するという点では、権力者にとって、二つの道が開きつつある。戦争か、あるいは2008年のものより酷い新たなグローバル金融危機を引き起こし、危機を世界資本の流れに対する支配を再び取り戻すのに利用するかだ。

 世間的に確立したG7同盟諸国に対する貿易戦争のような戦術を、アメリカ大統領が始めるのを余儀なくされている事実が、窮余の策が予定されていることを示唆している。現実には、戦いこそが、EU、特にドイツの未来なのだ。

 対照的なユーラシア

 この点で、注目に値するのは、最近のドイツのメルケル首相による、ロシアのプーチン大統領と、中国習近平主席との会談のための訪問だ。たぶん、イラン核合意以上のことが話し合われたのだ。対ロシア経済制裁を、ドイツ政府が公式に支持しながら、同時に、ドイツが、ある分野では、ロシアを同盟国として必要としているという合図を送っている矛盾が、現在のEUのある種政治的統合失調症を実証している。とりわけ、中国率いる高速ユーラシア横断鉄道と深水港のリンクという壮大な一帯一路構想と、ロシアとイランの巨大な潜在的経済力で、経済的に成長市場が東方にあることが益々明らかになりつつある。

 ロシアは、ワシントンによる新たな過酷な経済制裁を課されているにもかかわらず、記録的な人数の政府首長や産業界指導者が参加し経済協力を話あった最も成功した年次サンクトペテルブルク国際経済サミットを終えたばかりだ。SPIEF会議の文脈での一例として、ロシア国有鉄道CEOが、ロシアは、ペルシャ湾南端沿いに、クウェートからオマーンを結ぶアラビア横断鉄道建設への参加を計画していると発表した。もし実現すれば、ロシア、サウジアラビアと中国は、より緊密な経済関係になる。サウジアラビアへの投資プロジェクトに、中国は既に約1300億ドル確保しており、彼には様々な欠点があるにせよ、ビン・サルマーン皇太子は、サウジアラビアを、三大陸のアフリカ- ユーラシア経済の中心に本気でしたがっているように見える。

 ロシアでのSPIEF会議のすぐ後、北京でのプーチンと習近平の別会合が続き、そこで、中国主席がプーチンに、外国人に対する中国最高の栄誉、金の“友情メダル”を授与し、ロシア大統領は“最高の最も親しい友人”だと宣言した。パキスタンとインドが初めてSCO正式加盟国として、またイラン議決権を有しない参加者として加わった青島での拡大上海協力機構が続いた。今やSCO加盟国には、パキスタン、インド、カザフスタン、キルギスタン、タジキスタン、ウズベキスタン、ロシアや中国が含まれている。

 ロシアと中国とモンゴルの指導者の3者が参加する会談で、プーチンは、ウラーンバートル ロシア-モンゴル鉄道と隣接区間の改良で、2020年までに、2億6000万ドル費やす計画を発表した。中国-モンゴル-ロシア経路でのヨーロッパ向けコンテナ輸送量は、2012年から17年の間に2.7倍に増え、今年初めの三カ月で四倍になったと彼は述べた。

 こうしたこと全て、G7の衝突と緊張は実に対照的だった。プーチンが述べた通り、G7は“この創造的おしゃべりを止めて、本物の協力に関わる具体的問題に移る”べきなのだ。プーチンが、トランプが呼びかけたG7へのロシア再復帰に興味を示さなかったのが、世界の経済と政治の重心が、東に移ったことの更なる印だ。

 ユーラシアの潜在的経済力が、負債で膨れ上がって崩壊しつつある大西洋両岸のドル本位体制への実現可能な代案として出現しつつある。ロシアも中国も経済制裁を受けやすいドルではなく、自国通貨を使って、空前の速度で、中央銀行金準備を蓄積しており、多極化の新たな可能性が現れつつある。一帯一路インフラ・プロジェクトの拡大が、感じられ始めつつある。オランダ ING Bankの新たな研究は、一帯一路は、世界貿易のレベルを、12%あるいはそれ以上、増加させ得ると予測している。エコノミストのJoanna Koningsは、こう述べている。“アジアとヨーロッパ間の貿易は…世界貿易の28%を占めており、こうした貿易の流れをより容易にすることには、大きな潜在的効果がある。”

 ユーロが重大な段階にあり、EUの金融危機は未解決で、イタリアから、ポルトガルからギリシャに至るまで、大半のEU外縁部の国々で景気が後退する中、新たな経済空間、ユーラシア中のEU製品向け新市場構築への参加可能性が、アメリカとの貿易戦争や金融戦争や、もっと悪いものに対する唯一現実的な代案だ。磁力線が、劇的にはっきり見え始め、EUの国々も間もなく、大西洋両岸体制か、新たに出現しつつあるユーラシアという代案のいずれかを選択しなければならない。ワシントンからの強烈な圧力が、その決断の一層の前倒しを強いている。

F. William Engdahlは戦略リスク・コンサルタント、講師で、プリンストン大学の学位を持っており、石油と地政学に関するベストセラー本の著書。本記事はオンライン誌“New Eastern Outlook”独占。

記事原文のurl:https://journal-neo.org/2018/06/15/europe-faces-crossroads-as-atlantic-system-crumbles/
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米朝対話で、地位協定・安保体制が崩壊する中、岐路に立つ属国

朝鮮国連軍後方司令部は、横田基地にある。
日本国内にある国連軍司令部後方基地は座間基地,横田空軍司令部基地,横須賀海軍基地,佐世保海軍基地,嘉手納空軍基地,普天間海兵隊基地,ホワイト・ビーチ地区の計8ヶ所。

親分は辛辣。
「私が(日本に)メキシコ人を2500万人送れば、君はすぐ退陣することになるぞ」と話したと報じられている。

「日米基軸」幻想』の対談内容と、この記事、ぴったり重なっている。今、『増補「戦後」の墓碑銘 』の第5章 平成政治の転換点 を拝読中。文庫版あとがきは、朝鮮半島問題にも触れている。

日刊IWJガイド・番組表「岩上さんが橋下徹元大阪府知事から名誉毀損で訴えられたスラップ訴訟。6月21日の第二回口頭弁論まであと4日!第二回口頭弁論の案内用紙を作成しましたので、ぜひ、ダウンロードして印刷し、お知りあいにお配りください!/<本日の再配信>トラブルが発生したばかりの玄海原発4号機が再稼働!本日午後8時より、『広島高裁の決定が今後の原発訴訟を変える!? 火砕流の危険にさらされているのは伊方原発だけではない!岩上安身による脱原発弁護団全国連絡会共同代表・海渡雄一弁護士インタビュー』を再配信!/
IWJの財政がピンチです! 6月に入ってから上旬までのご寄付・カンパは目標額の1割にも届かず! 第8期も期末まで残り1ヶ月半。このままでは赤字転落の可能性が濃厚です! 崖っぷちに立たされたIWJがつぶれてしまわないよう、なにとぞご支援をよろしくお願いいたします!」2018.6.17日号~No.2103号~

IWJ寄付・カンパのお願い

2018年6月 7日 (木)

外交の欠如がワシントンを孤立化させている

2018年6月5日
Paul Craig Roberts

 ソ連崩壊がワシントンの単独覇権主義に対する制約を取り除いた。権力の座に上り詰めたばかりのネオコンが好機を捉え、外交を恫喝と強制で置き換えた。悪名高い一例は、ジョージ・W・ブッシュ政権時、リチャード・アーミテージ国務次官補が、パキスタンに「言われた通りにしろ、さもないと爆撃で石器時代にするぞ」と言ったことだ。言われた通りにしたパキスタン大統領本人の権限で、アメリカはそうした。

 ロシアのプーチンの場合、ロシアは反撃爆撃ができるので、これほどの脅威は、やりすぎだ。そこで脅威は弱められた。言われた通りにしないと、経済制裁を科すぞ。

 経済制裁、ある国の他の国に対する覇権の主張だ。経済制裁を科する側には、 別の主権国家に、言う通りにしろ、さもなくば報いを受けるぞと言う超法規的な国際的権限があるという主張だ。

 ワシントンの単独覇権主義に対する制約が取り除かれるやいなや、経済制裁はアメリカ外交政策手段となり、外交に置き換わった。クリントン政権は経済制裁をイラクに使った。クリントン政権の対イラク経済制裁の結果、500,000人のイラクの子供が亡くなったと国連が報じた際、クリントンのユダヤ人国務長官は、全国版TV番組“60 Minutes”で、レスリー・スタールに、経済制裁には、50万人の子供を死亡させるだけの値打ちがあったのでしょうかと質問された。マデレーン・オルブライトは、そうだと答えた。“それだけの値打ちはあるのです”。ユダヤ人はパレスチナ人に関して、同じように感じている。パレスチナ人の国が、イスラエルに盗み取られているのだから、パレスチナ人に、何の意味があるだろう? 彼らを殺すというのが、イスラエルの答えだ。あるイスラエル閣僚が言った通り、我々は、アメリカ人がインディアンとして知られているアメリカ先住民に対して行ったことを行っているに過ぎない。アメリカは、この犯罪をイスラエルと共有しているのだから、パレスチナ人へのイスラエルの犯罪に対するあらゆる国連行動に、ワシントンが常に拒否権を行使するのは何ら不思議ではない。二つの犯罪国家が、世界に反対して団結しているのだ。

 ワシントンが21世紀に、7つの国の丸ごと、あるいは一部の破壊を推進して以来、しかも更にいくつかの国に対して、依然しかけているので、ワシントンの見地からすれば“それだけの値打ちはある”のだ。

 ある国がワシントンの命令に従わない場合、ワシントンはいつも経済制裁を科する。イラン、北朝鮮、ロシアとベネズエラは、全てワシントン経済制裁の犠牲者だ。しかも、ワシントンは、ヨーロッパの同盟諸国を含め他の国々にも経済制裁を科するよう強制し、従わないと、そうした国々もワシントンは制裁する。

 ワシントンによる世界覇権の主張が度を超すまでは、これが機能していた。イスラエルと、トランプ顧問になっているイスラエルの手先、ネオコンに導かれて、トランプが、アメリカ、イラン、ロシア、中国、フランス、イギリスとドイツが署名したイラン核合意を非難し、離脱した際、やりすぎたのだ。

 ワシントンのヨーロッパ属国が、彼らが署名した合意から撤退しないと、彼らを経済制裁するとトランプは威嚇した。

 全ヨーロッパは既に高い失業に苦しんでいる。ワシントンの経済制裁が、イランとの儲かる事業を再開したヨーロッパの状況を悪化させている。とうとうヨーロッパは悟ったのだ。ワシントンはヨーロッパに、そこからヨーロッパは何の恩恵も受けない覇権をワシントンが行使できるようにすべく、ヨーロッパは経済的に苦しむべきだと言っている。

 1945年以来ワシントンの属国だったヨーロッパとイギリスの政府にとってさえ、これはやりすぎだ。売女マスコミではそうではないが、インターネット・ニュースの至る所で反乱が報じられている。ヨーロッパやEU幹部たちが、ヨーロッパはワシントンの利益でなく、自らの利益を代表すべき時期だと言っている。CIAが作り出した組織EUのトップさえ反旗を翻している。

 反乱は続くのだろうか、それとも、長年ワシントンに雇われているヨーロッパ人による、もっと金をくれというポーズの滑稽なしぐさに過ぎないのだろうか? ヨーロッパの反乱を鎮めるため、ワシントンは一体いくら支払わなければならないのだろう?

 ウラジーミル・プーチンは、ワシントンの傲慢さが、そのヨーロッパ帝国を崩壊させるのを待ちながら、侮辱と挑発を長年甘受してきた。おそらくプーチンの忍耐が効果を生みつつあり、今それが起きているのだ。

 ワシントンが孤立化しつつある兆しがある。ワシントンは、インドと、NATO加盟国のトルコにも、ロシア兵器システムを買わないよう命じたが、両国はワシントンに肘鉄を食らわせ、ワシントンの内政干渉をはねつけて、購入を進めている。

 ジャン=クロード・ユンケル欧州委員会委員長は、ヨーロッパは、ロシアと再び結びつき、ロシア攻撃を止めるべき時期だと述べた。CIA自身が作り出したEUが、ワシントンに背を向けるのだろうか?

 それはあり得る。ワシントンは、エネルギーをヨーロッパにもたらすロシアのノルド・ストリーム 2 ガス・パイプライン・プロジェクトにドイツが参加すれば、ドイツを経済制裁すると威嚇した。ワシントンには、この依存が、ヨーロッパに対するワシントンの権力を弱めるので、ロシアに依存されるより、エネルギー不足で、ヨーロッパが閉鎖するほうがありがたいのだ。

 長らくワシントンの売女だったドイツのメルケルが心を入れ換えた。アメリカは、もはや信頼できる政治パートナーではなく、ドイツは“自らの運命を自らの手に握る必要がある”と彼女は宣言した。最新の世論調査では、82パーセントのドイツ人が、ワシントンは“信頼できないパートナー”だという彼女に同意している。

 伝説的無能さにふけっているワシントンは、同盟諸国を貿易戦争で恫喝して、帝国のあらゆる関係を悪化させつつある。トランプ政権内には、アメリカの“貿易問題”は、メキシコ、カナダ、中国やヨーロッパのせいではなく、もっぱら自ら招いたものであることを理解できる十分な能力がある人物は一人もいない。

 アメリカの極めて深刻な貿易問題は、グローバリズムと、新自由主義経済学と、ニューヨーク投資銀行のおかげなのだ。

 中国とのアメリカ貿易赤字の、根源は、アメリカの仕事の海外移転だ。かつてはアメリカで、アメリカ労働者によって製造されていたリーバイス、ナイキの靴、アップル・コンピューターなどの製品が、賃金や様々な法令遵守経費が、ずっと安価な外国で製造されている。アメリカ市場向けに、アメリカ企業によって、海外で製造されたこれらの製品が、アメリカでの販売用に帰ってくる際には、製品は輸入としてやってくる。だから、アメリカ企業製造の海外移転が、アメリカ貿易赤字の最も直接的な原因だ。

 ところが、この基本的で、争う余地のない事実を、売女マスコミや新自由主義経済学者やアメリカ政府統計機関は決して報じない。全て中国やメキシコやカナダが悪いふりをしている。それがアメリカ企業による利潤追求行動の直接の結果だとは決して教えられない。

 ソ連崩壊で、社会主義インドと、共産主義中国の政府が、資本主義が今後の方向だと判断し、両国は労働市場を外国資本に開放した。

 製造の海外移転で、地元の町や労働人口を見捨てたいとは思わないアメリカ企業は、ニューヨークの投資銀行による恫喝で、そうするよう強いられた。国内生産者は、人件費が安く、利益を増加させる中国に事業を移転するように言われ、さもないと事業を外国に移転して利益を上げる企業買収に直面した。

 高生産性、高付加価値の仕事がアメリカから出て行った理由は、ウオール街と企業幹部と株主の強欲のためだ。いつもそうなのだが、支配的権益集団と連中のワシントンの傀儡は外国人のせいにして、自分たちを守るのだ。

 ところが、今や連中は、誤って“貿易戦争”と表現されているもの開始した。
実際は、トランプ政権は中国や他の国々と戦争をしているわけではない。トランプ政権は、アメリカ市場向け製造を海外移転したアメリカ企業と、この動きを強制したニューヨークの銀行と戦争しているのだ。関税は、中国の輸出にではなく、アメリカ企業の製造海外移転にかかるのだ。関税は、アメリカ人が、アメリカ企業が中国で製造する製品に支払う価格を上げるのだ。

 鉄鋼とアルミニウムに対するトランプ関税は、アメリカの生産機能に使われる原料の費用を上げる。こうした原料の価格上昇は、鉄鋼やアルミニウムで作られるアメリカ産業の製品も価格が上がり、アメリカの競争力を損なうことを意味する。これは保護主義が機能すると考えられているものの真逆だ。保護主義は、原料の経費を最小化し、競合する外国製品に対する関税で生産物を保護することで機能する。言い換えれば、国内で製造された商品の価格は引き下げられ、競合する輸入品の価格は引き上げられる。

 海外に移転された、アメリカの製造業や高度な技能の仕事は、アメリカ人にとって、より良い仕事で置き換えられるはずだと保証した際、新自由主義経済学者はウソを吐いたのだ。公式賃金データが明らかにしている通り、代替の仕事は、よりひどいもので、第三世界の国々における雇用の特徴、低賃金国内サービス業の仕事だ。

 仕事の海外移転は、アメリカにとって破滅的だ。結果として生じる貿易赤字など序の口だ。給料の良い仕事の喪失が、消費者購買力を損ねている。生活水準を維持するため、消費者は、足りない収入を借金で穴埋めしている。その結果、41パーセントのアメリカ人は、万一、緊急事態に直面した場合、400ドルが集められないのだ。

 かつては製造の本拠地だった国の予算も損なわれ、年金債務を返済する能力に疑念を投げかけている。仕事の海外移転の恩恵は企業幹部と株主という小さな集団に集中しているが、アメリカ経済と労働人口に対する、仕事の海外移転による膨大な外部費用に比べれば、些細なものだ。

 ロボットは状況を一層悪化させる。要員の人間を置き換えるのに、実に幸福に働いている賢い連中は実際は愚かだ。彼らは社会制度を破壊しつつあるのだ。関税はロボットに取って代わられた仕事を守ることはできない。しかもロボットは、住宅、家具、自動車、服、娯楽、食べ物、飲み物、スマートホン、コンピューターを買わない。人をロボットに置き換えて節約された全てのお金は、ロボットによって製造された製品に使われない。消費者需要は崩壊する。唯一の解決策は、社会の全員が生産物の所有者になる製造の社会化だ。人々が時間をどう使うのか、働く必要がない人々はどうなるのか、能力をどう発展させるのかといった回答のない疑問が残るのでこれすらも部分的解決に過ぎない。

 資本主義は、時間とともに、効果的に資源を割り当てるという主張にもかかわらず、短期的な計画対象期間は、次期四半期の利益だ。この制度ではあらゆるものが短期的だ。自社株を買い戻し、株価を押し上げ、自分たちの“業績手当て”を最大化するため、幹部連中が企業に借金させ、破壊する事態にまで至っている

 経済の強さを損なう短期的利益最大化の結果、アメリカは一層好戦的になる。略奪は、体制を破綻させずに維持する手段となる。そこで、他者に対する覇権は、存続のための手段となる。

 事態はトランプ政権で頂点に達している。トランプの弱い者いじめの性格が、ネオコン覇権の好戦的態度と相まって、様々な形の戦争を生み出している。ワシントンが属国を恫喝している経済戦争はロシアに友好的な自立したヨーロッパを実現しかねない。

 ワシントンにおける覇権権力の衰退が、アメリカ経済復活の前提条件だ。略奪が選択肢でなくなれば、政策は内部に向かわざるを得なくなる。企業責任は、株主とともに、従業員や顧客や地域社会も含めるように回復されるべきだ。シャーマン反トラスト法を復活させ、独占企業を解体し、大きすぎて潰せない銀行を分割し、アメリカ市場向け製品を、企業が、国内、海外どちらで生産しているかにより、区別して課税することで、海外移転した製造を国内回帰させる必要がある。

 歴史的に、外国貿易は、アメリカ経済発展にとって重要ではなかった。勃興する中流階級が、大規模製造や産業企業を繁栄させるのに十分な巨大な消費者市場を生み出した。この繁栄するアメリカは、グローバリズムによって破壊された。アメリカの再生には、“例外主義”という思い上がりを持たず、世界のいじめっこ役を拒否し、国内問題に注力できる新たな層の指導者が必要だ。

 Paul Craig  Robertsは元経済政策担当の財務次官補で、ウオール・ストリート・ジャーナルの元共同編集者。ビジネス・ウィーク、スクリプス・ハワード・ニュー ズ・サービスと、クリエーターズ・シンジケートの元コラムニスト。彼は多数の大学で教えた。彼のインターネット・コラムは世界中の支持者が読んでいる。彼 の新刊、The Failure of Laissez Faire Capitalism and Economic Dissolution of the West、HOW AMERICA WAS LOST、The Neoconservative Threat to World Orderが購入可能。

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記事原文のurl:https://www.paulcraigroberts.org/2018/06/05/absence-diplomacy-isolating-washington-paul-craig-roberts/

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孤立化しているご主人に、しっかりかけよるポチ。独自外交政策な皆無。命令通り吠えます。そのうち、噛みつかされるのでは。
資産家急死や、アメフトの話題は延々扱うが、国民全員に多大な影響を与えるTPP11が一体どういうものか、グローバリズムの走狗、大本営広報部は一切触れない。

下記インタビューのようなものは、大本営広報部とは無縁。

種子法廃止を決めた規制改革推進会議は「外資の要求受け入れ窓口」!? 米国のTPP復帰はどうなる!? 岩上安身による日本有機農業研究会理事・安田節子氏インタビュー 2018.2.12
予想通り不起訴、全く驚かない。それがお役目。
日刊IWJガイド「米朝首脳会談の会場がシンガポール・セントーサ島のカペラホテルに決定!/本日午後5時より、『「アベノミクスの成果」に隠された驚くべき「かさ上げ」トリックを暴く! このままいくと日本経済は破綻!?~岩上安身による弁護士『アベノミクスによろしく』著者・明石順平氏インタビュー」を再配信します! 改竄は財務省による森友関連の公文書だけではありません!/検察は死んだ!!『前代未聞!恥ずべき不起訴決定だ!!』公文書を改竄した佐川宣寿・前理財局長ら官僚38人全員の不起訴を受けて、申立人の醍醐聰・東大名誉教授らが怒りの記者会見!/愛媛県の中村時広知事が加計学園の加計孝太郎理事長に記者会見を開くよう要請! 加計氏の記者会見はありうるのか、IWJが加計学園に取材中!/<新記事紹介1>【特別寄稿】新潟県知事選で池田候補にエールを送った小泉元総理!進次郎氏は花角候補の応援を断る!? 公明は自主投票撤回!?/<新記事紹介2>石井機関ができた30年代と今とオーバーラップ!研究者が戦争に協力する時~『なぜ、今、731部隊か』湘南科学史懇話会で常石敬一神奈川大学名誉教授が講演!」2018.6.7日号~No.2093号~

2018年5月29日 (火)

来るべき崩壊

2018年5月20日
TD originals
Truthdig
Chris Hedges

 トランプ政権は、貝殻の上に立つビーナスとは明らかに違う。ドナルド・トランプは、長期的な政治的、文化的、社会的腐食過程の結果だ。彼はアメリカの破綻した民主主義の産物だ。我々は、機能している民主主義の中で暮らしていて、トランプや彼を取り巻く政治変異体は、次回選挙で打ち負かすことができる、どういうわけか常軌を逸した逸脱だという虚構を長続きさせればさせるほど、我々は益々独裁制に向かって突進することになる。トランプが問題なのではない。大企業権力と二大政党官僚に支配され、我々が重視されていない政治制度が問題なのだ。大企業支配国家を解体して、我々が、政治支配を奪い返すのだ。そしてこれは、今年アメリカ中の教師たちが示したような大規模で持続的な市民的不服従を意味する。もし我々が立ち上がられければ、アメリカは新たな暗黒時代に突入する。

 逆さまの全体主義というアメリカ体制の構築を支援してきた民主党は、左翼の多くによって、またしても救世主として祀り上げられている。ところが、この党は、トランプ当選と、バーニー・サンダースの反乱を引き起こした社会的不平等に対処するのを断固拒否している。民主党は、国民の半分苦しめている本当の経済的苦難が聞こえず、話せず、見えないのだ。労働者に生活できる賃金を支払うようには戦わない。民主党は、国民全員へのメディケアを実現させるため、医薬品や保険業界に逆らおうとはしない。民主党は、国を骨抜きにし、無益で費用のかかる外国での戦争遂行を推進している軍の飽くなき欲求を抑制しようとしていない。民主党は、プライバシーの権利や、政府による監視からの自由や、適正手続きを含む失われたわれわれの市民的自由を回復しようとはしない。民主党は、企業と、汚い金を、政治から追い出そうとはしない。民主党は、アメリカ警察を非武装化したり、アメリカ合州国は、世界の人口のわずか5パーセントに過ぎないのに、世界中の囚人の25パーセントを占めている刑務所制度を改革したりしようとはしない。民主党は、特に選挙シーズンには非主流派受けを狙い、本質的な政治、社会問題に対処するのを拒否し、代わりに、ゲイの権利や妊娠中絶や銃規制のような、特有な反政治集団の狭い文化的問題に焦点を絞っている。

 これは絶望的戦術だが、理解できるものではある。民主党指導部のクリントンやナンシー・ペロシやチャック・シューマーやトム・ペレスは大企業支配アメリカの産物だ。党エリートや、大企業からの資金によって支配されない開かれた民主的政治プロセスであれば、この連中が政治的権力を得られるはずなどないのだ。彼らはこれを知っている。連中は、自分たちの特権的な立場を放棄するより、体制丸ごと自滅するのを選ぶはずだ。しかも、それが実際に起きることではないかと私は恐れている。民主党は、何らかの形で専制政治に対する防壁だという考え方は、過去30年間の民主党政治活動と合致しない。民主党は専制政治の保証人だ。

 トランプは、彼らを裏切った政治・経済体制に、アメリカ国民の大きな部分が抱いていた憎悪を活用したのだ。彼は無能で、不道徳で、不正直で、うぬぼれ屋かも知れないが、彼は、彼らが嫌悪している体制を、巧みに笑い者にしているのだ。政府機関、法律や、世間から認められているエリートに向けた彼の残虐で、人をばかにしたあざけりは、これらの機関や法律やエリートが敵対勢力になっているので、国民の共感を呼んだのだ。また政治的見通しに、自分たちの苦難を軽減する変化が見えない多くの人々にとっては、トランプの残酷さと毒舌は、少なくともカタルシス効果がある。

 トランプは、あらゆる独裁者同様、何の倫理的中核もない。彼に対する個人的忠誠、へつらいに基づいて、同盟者や被任命者を選んでいる。彼は誰でも裏切る。彼は腐敗しており、金を貯め込んでおり、彼は昨年4000万ドル稼いだ、ワシントンD.C.、ホテルだけでも、彼の大企業のお仲間。かつては多少の規制と監督を行ってきた政府機関を、彼は解体しつつある。彼は開かれた社会の敵だ。だから彼は危険なのだ。民主的組織や規範の最後の名残に対する彼の強烈な攻撃は、大企業全体主義から、我々を守ってくれるものが、間もなく、名前すら全く無くなってしまうことを意味している。

 中にはマデレーヌ・オルブライトもいるのだが、アメリカの破綻した民主主義を立案した連中による、忍び寄るファシズムに対する警告は、お笑いだ。連中は、エリート連中が、いかに時代精神から切り離されているかを示している。こうしたエリートの誰一人、信頼性がない。トランプ当選を可能にした、ウソと欺瞞の体系と大企業による略奪を、連中が作り上げたのだ。トランプが、こうしたエリートをおとしめればおとしめるほど、そしてこの連中が凶事の予言者カサンドラのように抗議の叫びを上げれば上げるほど、国が急速に崩壊するなか、一層、彼が大統領の悲惨な立場を救済し、泥棒政治家連中による国の略奪を可能にする。

 マスコミはトランプ専制政治の重要な柱の一本だ。ヴェルサイユ王宮で、農民にパンが足りないのに、国王のささいな欠点をぺちゃくちゃしゃべる18世紀の廷臣連中のように、マスコミはとめどなく、しゃべり続けている。多くの人々にとっては、日々の苦しみと全く無関係な、ロシアによる干渉やらポルノ女優への支払いやら虚ろな話題を、マスコミは、ダラダラ話し続け、アメリカの生活を特徴づけている。マスコミは、アメリカの民主主義と経済を破壊し、アメリカ史上最大の富の上方移転を画策した大企業権力の乱用を批判したり、調査したりするのを拒んでいる。大企業マスコミは、金と情報源へのアクセスと引き換えに、文化的自殺をしている朽ち果てた遺骸だ。トランプが“偽ニュース”を巡り、マスコミを攻撃する際は、彼は、またもや、こうした全てのマスコミが無視している深い憎悪を表現する。マスコミは、トランプがしているのと同様に、貪欲の神マモンの偶像を奴隷のように崇拝している。マスコミは、リアリティーテレビ番組大統領が大好きなのだ。マスコミ、特にケーブル・テレビのニュース番組は、視聴者を、21世紀版『カリガリ博士』にくぎ付けにするために、照明を点けて、カメラを回し続けている。視聴率上は良い。収益にとっては良い。だが、これは衰退を加速する。

 こうしたこと全てが、間もなく、金融崩壊で一層ひどくなる。ウオール街の銀行は、2008年の金融崩壊以来、連邦準備金制度理事会と議会によって、ほぼゼロ・パーセント金利で、16兆ドルも緊急援助や他の助成金で渡された。連中は、この金や昨年行われた大規模減税でため込んだ金を、自社株買い戻しに使い、幹部報酬やボーナスを上げ、一層維持不能な借金返済奴隷労働に追いやっている。2017年の法律で、シェルドン・アデルソンのカジノ事業だけでも、6億7000万ドルの減税を受けた。CEOと労働者給与の比率は、今や平均339 対 1で、最大のギャップは、5,000 対 1に近づいている。金を儲け、蓄積する、この金の循環的利用は、カール・マルクスが“擬制資本”と呼んだものだ。公的債務、企業債務、クレジット・カード債務や学資ローン債務の絶えざる増加が、最終的には、ノミ・プリンスが書いている通り、“借金返済に充てるために入ってくるお金、あるいは借りられるお金が、利払いに足りなくなる転換点に至る。そこで高利回りの債券から始まる借金バブルがはじける。”

 成長を借金に頼っている経済では、クレジット・カードの支払いを遅延すると、金利は、28パーセントに跳ね上がる。それが、我々の賃金が停滞していたり、実質的に下落していたりする理由だ。生活維持に十分なだけ稼げていれば、生きるため金を借りなければならないにようなるはずがない。それが、大学教育、住宅、医療費や水道光熱費が、これほど高い理由だ。我々が借金から決して解放されないよう、制度設計されているのだ。

 しかしながら、次の金融崩壊は、プリンスが著書“Collusion: How Central Bankers Rigged the World”で指摘しているように、前回のもののようにはなるまい。彼女が言う通り“代案がないためだ”。金利はこれ以上下げようがない。実体経済は全く成長していない。次回は出口が無いだろう。ひとたび経済が崩壊し、国中で猛威を振るって燃え盛ると、トランプでさえ聡明で温和に見えるような奇人政治屋が登場する。

 そこで、ウラジーミル・レーニンを引用すれば、我々は何をするべきか?

 我々は、我々を守り、力に力で対抗するための平行する、人々の組織の構築にエネルギーを注ぐべきなのだ。組合、コミュニティー開発組織、地方通貨、代替する政党や食品協同組合を含む、こうした平行する組織は、町ごとに構築されなければなるまい。経済的困窮の時期には、エリート連中は、ゲートで囲った住宅地にひきこもり、我々を自力で何とかするよう放置する。ゴミ収集から公共交通、食品流通や医療に至る基本的社会サービスは崩壊するだろう。膨大な失業や不完全就業が社会不安を引き起こすが、対処方法は、政府による雇用創造ではなく、軍隊化した警察の残虐と、市民的自由の完全な停止だ。既に社会の片隅に追いやられている、体制を批判する人々は沈黙させられ、国家の敵として攻撃される。労働組合の最後の名残も、廃止の標的にされるだろうが、最高裁判所の裁判で、公共部門労組が労働者を代表する能力を麻痺させる判決が出ると予想されるので、この過程は間もなく加速されるはずだ。ドルは世界の準備通貨であることを止め、大幅なドル安になるだろう。銀行は閉鎖する。地球温暖化で、我々、特に沿岸住民や農業やインフラは益々大きな負担を負わされるが、枯渇した州は、その費用を工面できまい。商業マスコミは、支配層エリート同様、茶番から不条理へと変わり、その言説は、明らかに、あまりにも作り話で、あらゆる全体主義国家でと同様、現実から切り離される。トランプ同様、マスコミは全て愚からしく聞こえることとなる。そして、W.H. オーデンを引用すれば、“幼い子供たちは街頭で死ぬ”。

 海外特派員として、私は旧ユーゴスラビアを含め崩壊した社会を報道してきた。内部崩壊の間際に、朽ち果てた金融、社会、政治体制がいかに脆弱なのかを、絶望的な人々が理解するのは不可能だ。崩壊のあらゆる前兆が目に見えている。崩壊しつつあるインフラ; 慢性的な不完全雇用と失業; 警官による殺傷力の高い武器の無差別使用; 政治停滞・低迷; 借金という足場の上に築かれた経済; 学校、大学、職場、モール、コンサート会場や映画館での虚無的な銃乱射事件; 年間約64,000人が死亡するオピオイド過剰摂取; 蔓延する自殺; 軍の持続不可能な拡張; 経済発展と政府歳入の絶望的な手段としての賭博; ごく少数の腐敗した徒党による権力掌握; 検閲; 学校や図書館から裁判所や医療施設に至るまでの、公共施設の物理的減少; 我々を幻想の中に閉じ込め続ける、気の滅入る光景になったアメリカから、我々をそらすための電子的幻影による絶え間ない爆撃。我々は差し迫る死の普通の症状を苦しんでいる。私が間違っていたら嬉しいと思う。しかし、私は以前これを見ている。私は前兆を知っている。準備をしておくようにとしか私は言えない。

Poor People’s Campaignを記録するために、Truthdigとして、初めて読者が資金を出すプロジェクトを立ち上げた。寄付によるご支援をお願いしたい。

記事原文のurl:https://www.truthdig.com/articles/the-coming-collapse/
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「逆さまの全体主義」と勝手に訳したの元の単語は、リンク先にある通り、政治学者故シェルドン・ウォリンの表現、Inverted Totalitalianism。
どういうものか知りたくて、その言葉が書名にある彼の本を買った記憶はあるのだが、現在は本の山に消えたまま。例によって「良い本は翻訳されない」ようだ。

Democracy Incorporated: Managed Democracy and the Specter of Inverted Totalitarianism

国会討論、毎回面倒だが、頭とふところに良いので、与党ゆ党質疑は音声を消している。

宗主国の勝手放題・理不尽な主張・行動にはあきれるが、不思議な御仁の意味のわからない弁解も、負けず劣らず愚劣。こういう幹部を奉っている両国支配層の腐敗は末期的。大本営広報部、運動部不祥事を扱う時間の方がはるかに長い。あそこの危機管理学部、名誉会長が、なんとあの人物という記事を読んだが本当だろうか?できすぎたお笑い。

マスコミは○×専制政治の重要な柱の一本だ。

白村江の大敗北のお話、実に興味深く拝聴した。古代史と現代が直結しているかのよう。

日刊IWJガイド・簡易版「本日午後5時半より『「最大のターニングポイントは2014年4月28日!森友交渉記録から安倍昭恵夫人の関与が疑われる箇所が削除されている!?」~岩上安身による日本共産党・辰巳孝太郎参議院議員インタビュー』を全編フルオープンでお送りいたします!/<昨日の岩上さんのインタビュー>白村江の大敗北を利用した権力闘争が専制国家『日本』の起源!? デタラメな軍事戦略は今も健在!?~岩上安身による国際日本文化研究センター教授・倉本一宏氏インタビュー第4弾/
『常に平然としております』と強気な安倍総理が架空のヤジに興奮!? 参議院予算委員会集中審議での珍妙な光景!/米朝首脳会談へ向け再調整が始まる!見事に背を向ける日本!」2018.5.29日号~No.2084号~

2018年5月27日 (日)

アメリカの第五列がロシアを破壊する

2018年5月25日
Paul Craig Roberts

 今週末、ロシアでのサンクトペテルブルク経済会議で演説する招待を、私が受け入れることができていれば、行っていたはずの講演だ。

Paul Craig Roberts

 エグゼクティブ・サマリー:ロシアのジレンマという見地からは、これは重要なコラムだ。ワシントンに対して、プーチンが一部無能力に見えるのは、新自由主義経済学が、ロシア政府に対し、支配力を行使しているためだ。ロシアの経済発展は、欧米経済へのロシア統合にかかっていると彼が考えているため、プーチンは欧米と決別できない。新自由主義経済学は、ロシアの経済、金融支配者連中に、そう言っているのだ。

 私は親ロシア、反米ではないことを皆様に、ご理解頂きたい。私は反戦、特に、核戦争に反対なのだ。ロシア政府が断固譲らない行動ができないのは、ユーラシア・パートナーシップやシルク・ロードに関して、色々言われてはいても、ロシアの発展は欧米への統合に依存しているのだという思い込みがあるせいだというのが私の懸念だ。この全く誤った考え方が、ロシア政府が欧米と決定的決別をする妨げになっているのだ。結果的に、ロシアを欧米から切り離すだろう決定的決別を避けるため、プーチンは挑発を甘受し続けている。ワシントンとイギリスは、これはプーチンの決断力欠如だと解釈し、ロシアの唯一の選択肢が降伏か戦争かになるまで激化する挑発のエスカレーションを促進してしまう。

 もしロシア政府が、ロシアには欧米が必要なのだと思い込んでいなければ、ロシア政府は、挑発に対し、ロシアの我慢には限界があることを明らかにするような強い対応ができているはずだ。そうすれば、ヨーロッパにも自分たちの存在が危機にひんしていると悟らせていたはずだ。トランプによるヨーロッパ虐待と、好戦的なワシントンと協力していることは自らの生存に対する脅威だというヨーロッパの自覚の組み合わせが、欧米同盟とNATOを破壊していたはずなのだ。だが、彼がロシアには欧米が必要だと誤って信じ込んでいるため、プーチンはこれを実現できないのだ。

アメリカの第五列がロシアを破壊する

 もしネオコンに自制心があるなら、連中自身は何もせず、アメリカの第五列-新自由主義経済学に、自分たちのために、ロシア破壊させるはずだ。エリツィン時代、ロシアの経済学者たちが、アメリカ・新自由主義経済学者によって洗脳されているため、ロシアは絶望的だ。アメリカにとって、そうするのはいともたやすいことだった。共産主義経済学が失敗に終わり、ロシア経済は破壊し、ロシア人は蔓延する困難を味わっていたが、そこに、救いの手を差し伸べる成功したアメリカがいたのだ。

 救いの手は、実際は貪欲な手だった。貪欲な手は、民営化により、ロシアの資源をつかみ取り、アメリカ寄りのオリガルヒに支配を任せた。新自由主義をよそおった金融資本主義が、一体どのようにして、経済から資産を略奪し、債務漬けにするのか、ロシア人経済学者には全く見当がつかなかった。

 だが、もっと悪いことが起きた。ロシアの経済学者たちは、欧米帝国主義に奉仕する経済的思考様式をするよう、すっかり洗脳されたのだ。

 例えば、新自由主義経済学は、ロシア通貨を、投機や操作や不安定化にさらした。資本流入は、ルーブルの価値を押し上げるのに利用され、最も好都合な時期に、資本を引き上げ、ルーブルの価値を下落させ、高い輸入品価格で、国内インフレを押し上げ、ロシアの生活水準に打撃を与えるのだ。政府を不安定化させるのに、ワシントンは常にこの種の手練手管を駆使している。

 新自由主義経済学は、ロシア中央銀行も洗脳し、ロシアの経済発展はロシアへの外国投資にかかっていると思い込むようにした。この誤った考え方は、ロシアの主権そのものを脅かすof。ロシア中央銀行は、お金を創造することで、あらゆる国内経済発展に対して、簡単に資金調達できるはずなのだが、洗脳された中央銀行には、これが理解できない。中央銀行は、もし中央銀行が国内の発展に資金を調達すると、インフレと、ルーブル価値の下落という結果を招くと思い込んでいる。そこて中央銀行は、アメリカ新自由主義経済学に指導されて、ロシアに、欧米への利払いとして、ロシアの資源の移転を必要とする対外債務を負わせるため、必要としていない外国資金を借り入れる。

 二年前、ロシアが、欧米、例えば、アメリカから資金を借りた際、マイケル・ハドソンと私が、ロシア人に、ドルが流入するが、ドルは一体どうなるだろうかを説明した? ロシアは国内での開発計画に資金調達するのには使えない、するとドルは一体どこに行くのだろう? ドルはロシアの外貨保有高となり、貸し手に対して、利子を生む。そこで、中央銀行は、借りた無用なドルに等しいルーブルを印刷して、プロジェクトに資金調達する。それなら、なぜドルを借りるのだろうか? 唯一あり得る理由は、アメリカが、ロシアの意思決定に対して支配力を行使するため、ドル債務を利用できるようにすることだ。言い換えれば、ロシアは、自ら敵の手に引き渡しているのだ。

https://www.paulcraigroberts.org/2016/09/28/can-russia-learn-from-brazils-fate-paul-craig-roberts-and-michael-hudson/ 日本語訳 ロシアは、ブラジルの運命から学ぶことができるだろうか?

https://www.paulcraigroberts.org/2016/08/10/russias-weakness-is-its-economic-policy-paul-craig-roberts-and-michael-hudson/ 日本語訳 ロシアの弱点は経済政策

https://www.paulcraigroberts.org/2016/02/08/privatization-is-the-atlanticist-strategy-to-attack-russia-paul-craig-roberts-and-michael-hudson/ 日本語訳 民営化は汎大西洋主義者によるロシア攻撃戦略

 実際、ロシアの経済発展はロシアが欧米の一部として取り込まれることにかかっているというロシア政府の誤った思い込みが、欧米がロシアに浴びせる挑発や屈辱を、プーチンに甘受させている。こうした挑発に対する反撃がないことが、最終的に、ロシア政府が、ロシア国内の民族主義的な部分の支持を失う結果をもたらすことになる。

 ロシア人であるより、欧米人でありたがるロシア・エリートの一部により、ロシアの経済発展は欧米経済に統合されることにかかっていると、プーチンが説得されているため、ロシアの主権を維持しながらも(非現実的な目標)、ロシアを欧米の経済体制に統合させるべく、プーチンは奮闘している。新自由主義経済エリートがロシアの経済、財政政策を支配しているので、欧米の挑発を甘受しなければならない、さもないと、ロシアの経済発展という彼の希望は失われてしまうと、プーチンは思い込んでいる。

 ロシア人経済学者たちは、新自由主義経済学を余りにたたき込まれていて、アメリカを見て、かつて偉大だった経済が、新自由主義経済学によって、いかに完全に破壊されたことを理解することさえできないのだ。

 アメリカには、史上、どの国より最大の公的債務がある。アメリカには、史上、どの国よりも大きな貿易赤字と財政赤字がある。アメリカの失業は、22パーセントだが、職を見つけることができずに、職探しを止め、恣意的に失業計算から除外されている何百万人もの求職意欲喪失労働者を数に入れないことで隠蔽されている。新自由主義経済学が促進した規制緩和のおかげで潰すには大きくなりすぎた、ごく少数の“大きすぎて潰せない銀行”の不良債権を救済することの方が連邦準備金制度理事会にとって重要なので、アメリカの退職者たちは、十年にもわたり、貯蓄に対する利子支払いを剥奪されている。“自由貿易”と“グローバリズム”を歪曲して伝えることで、新自由主義経済学が、アメリカの製造業と、移転可能な専門職を賃金がより安い外国に移転し、アメリカ人賃金労働者の収入を犠牲にして、企業所有者の所得を押し上げ、アメリカ人には第三世界並みの低賃金の国内サービス業雇用しか残っていない。アメリカの本当の世帯平均所得は何十年も停滞している。最近、連邦準備金制度理事会は、アメリカ人は余りに貧しく、国民の41パーセントが、個人財産を売らないと、400ドルを工面することができないと報じた。

 若いアメリカ人は、大学教育を受けている場合、借金奴隷として人生を始める。現在、44,200,000人のアメリカ人が、総計1,048,000,000,000にのぼる学資ローン負債を抱えている。1.48兆ドルだ! https://studentloanhero.com/student-loan-debt-statistics/

 アメリカでは、教育を奨励するため、50州全てに、学費がほんのわずかなはずの公的支援される大学がある。私が一流工科大学であるジョージア工科大学に行っていた当時、年間学費は500ドル以下だった。ローンは不要で、そもそも存在していなかった。

 一体何が起きたのだろう? 金融資本主義が、どうすれば大学生を、年季奉公奴隷に変えられるかを発見し、大学経営陣が、それに協力したのだ。学費はぐんぐん上がり、益々多くが経営陣に振り向けられ、経費は爆発した。現在、多くの大学経営陣が年間予算の75%を消費し、教授の給与や学費援助には、ほとんど何も残らない。従順な議会は、大学教育を受けるため、若いアメリカ人男女は確実に膨大な借金を抱えさせる融資プログラムを作り出した。新自由主義経済学によって、給料の良い雇用の非常に多くが外国に移転されたので、就ける仕事では、学資ローンの借金が返済できない。職からは学資ローンの借金を返済し、アパート代を支払うだけ十分な賃金が得られないので、24-34歳のアメリカ人の多くが両親と実家で暮らしている。借金のおかげで、自立した生活ができないのだ。

 アメリカの国民債務は、新自由主義経済学の産物だ。私営化、私営化、規制緩和、規制緩和、借金、借金が、債務を返済した後、アメリカ国民には、経済を駆動するための可処分所得が皆無なので、経済成長を阻止している。アメリカでは、自動車やトラックやSUVは、頭金なしの七年ローンで販売される。自動車が購入された瞬間から、ローンの債務が自動車の値段を超えるのだ。

 年収225,000ドルの歯科医、マイク・メルには、学資ローンの借金が、1,060,945.42ドルあるとウオール・ストリート・ジャーナルが報じている。彼は毎月1,589.97ドル支払っているが、利子支払いには不十分で、まして元金など減らせない。結果的に、南カリフォルニア大学での七年間にわたる彼の借金は、一日130ドル増える。20年で、彼のローン残高は、200万ドルになる。https://www.wsj.com/articles/mike-meru-has-1-million-in-student-loans-how-did-that-happen-1527252975

 新自由主義経済学がアメリカで機能しないのなら、それが一体どうしてロシアで機能するだろう? 新自由主義経済学は、オリガルヒと、経済を破綻させずにおくため、中央銀行から資金援助されているゴールドマン・サックスのような連中の機関に対してしか機能しない。欧米金融機関が、ロシアから資産を剥奪し、債務を負わせるのを認めるエリツィン時代の慣行を復活させることにプーチンが同意すれば、ワシントンは、ロシアが欧米体制に組み込まれるのに同意するだろう。

 マイケル・ハドソンの表現を使えば、ジャンク経済学、つまり新自由主義経済学について、私は延々お話しすることができる。アメリカ合州国は、そのおかげで衰えており、ロシアもそうなるだろう。

 ジョン・ボルトンやネオコンは、くつろぐべきだ。新自由主義経済学が、ロシア金融権益や、ロシア政府や、どうやらプーチン本人までも支配しているので、戦争無しでロシアを破壊してくれるだろう。

Paul Craig  Robertsは元経済政策担当の財務次官補で、ウオール・ストリート・ジャーナルの元共同編集者。ビジネス・ウィーク、スクリプス・ハワード・ニュー ズ・サービスと、クリエーターズ・シンジケートの元コラムニスト。彼は多数の大学で教えた。彼のインターネット・コラムは世界中の支持者が読んでいる。彼 の新刊、The Failure of Laissez Faire Capitalism and Economic Dissolution of the West、HOW AMERICA WAS LOST、The Neoconservative Threat to World Orderが購入可能。

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記事原文のurl:https://www.paulcraigroberts.org/2018/05/25/americas-fifth-column-will-destroy-russia/
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新自由主義経済学に洗脳されているのは、この国のトップとて同じこと。働かせ方改悪「高プロ」もその典型。

「こんな国会 先進国ではない」というのを聞いて、たまに良い事をいうと驚いたが、全文を見ると、やはりトンデモ発言。こういうものを垂れ流すのが大本営広報部のお仕事。

モスクワから呆導する番記者を見て、音声を消した。

今日の孫崎享氏のメルマガ題名、まったくお説の通り。マサルを寄贈したマケル国で、この傀儡を平然と支持しつづける恐ろしいほど愚かな30パーセントの皆様。

安倍政権は、骨の髄まで、米国隷属だ。菅長官「米朝会談中止「たった1カ国、支持した」と自慢。自慢できることでないでしょう。恥ずべき事じゃないか。そしてトランプが「開催再検討」というと会談支持という。世界でたった一カ国だけ無定見で米国隷属。

昨日は、4月24日に行われたIWJ記者による蓮池透氏インタビューを拝聴した。

日刊IWJガイド・日曜版「『北朝鮮との間で不測の事態が起きたら、その経費を韓国と日本が喜んで引き受ける』とのトランプ大統領の発言は事実なのか!?菅官房長官は会見でのらりくらりとかわすのみで否定せず!!~IWJが東京新聞・五味洋治論説委員に訊く!/ウソをついていたのは加計学園担当者だった!? 安倍総理と加計孝太郎理事長の2015年2月の面会は「実際にはなかった」と学園側がコメント発表!?/『セクハラ罪という罪は存在しない』に続き、『「くそ野郎」発言は国家公務員法で規定する信用失墜行為の禁止に抵触しない』と閣議決定!?どこまで恥知らず!?底なしの安倍政権!!/財務省が国会に提出した森友学園との交渉記録に『安倍晋三記念小学校』の名前が明記されていた!! 2014年3月に近畿財務局が認識していたことが明確に!!」2018.5.27日号~No.2082号~

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