東ヨーロッパ・バルト諸国

2026年7月 3日 (金)

フラミンゴ革命:外国資本とアルバニア沿岸の為の戦い

エイドリアン・コルチンスキー
2026年7月2日
New Eastern Outlook

 アルバニアでは三週間以上にわたり近年最大規模の環境保護反政府デモが繰り広げられている。

 環境保護反政府デモ

 サザン島と近隣の保護区、ナルタ潟での高級観光開発計画への反対運動として始まったものが遙かに大きな問題へ発展したのだ。「アルバニアは一体誰のために開発されているのか?」というより広範な問いを益々抗議行動参加者たちが投げかけつつある。

 投資家と政治的背景

 この論争の中心にあるのは、ジャレッド・クシュナーが設立した投資ファンド、アフィニティ・パートナーズが支援する高級リゾート開発計画だ。このプロジェクトは、アルバニア沿岸の中でも戦略的に最も重要な地点の一つに位置する、かつてはアルバニア軍基地で、冷戦時代にはソ連の潜水艦基地として利用されていたサザン島に、高級ホテル、ヴィラ、マリーナ施設を建設する計画だ。

 既に明らかになっているのは、外国による投資は自動的に国益になるという主張を受け入れることにアルバニア社会の相当な部分が消極的になりつつあることだ。

 ジャレッド・クシュナーは普通の投資家ではない。ドナルド・トランプ大統領の義理の息子で、アメリカとイスラエル政界双方と密接な関係を持つ人物としての彼の関与により、本来なら地域的都市計画上の紛争にとどまっていたはずの問題が、国家的な政治的重要性を持つ事態に変貌したのだ。

 多くのアルバニア人にとって、この問題は、もはや単なる環境問題ではない。主権問題であり、国の最も貴重な資産の一部が、国民の監視が不十分なまま外国の手に渡るという認識が高まっているのだ。

 こうした認識は、このプロジェクトへの政府の対応により一層強固なものになった。国家の戦略的領土に関わる決定が、十分な透明性を欠いたまま進められる一方、地域住民の懸念は正当な政治的課題としてではなく、単なる障害として扱われてきたと批判派は主張している。

 イスラエルとラマのつながり

 近年、エディ・ラマ首相はイスラエルと極めて緊密な関係を築いている。2026年1月のクネセト(イスラエル議会)での演説で、ビジネスや長期的協力分野を含め、彼はアルバニアとイスラエルの関係の深さを称賛し、アルバニアとの関わりを深めるようイスラエル国民や投資家にラマ首相は広く呼びかけた。

 単独で見れば、こうした発言もさほど注目を集めなかったかもしれない。ところが、サザン・プロジェクトという文脈では、より大きな意味を持つようになったのだ。

 アルバニアで、多くの若者が国外に流出し続ける中、裕福な外国人投資家や新たな住民を誘致しようと政府が躍起になって、一体誰の利益が優先されているのかという不快な疑問を招いている。サザン開発を、単なる投機的事業としてではなく、政治的に、一般のアルバニア人よりも外国資本が大きな影響力を持つ、より広範なパターンの一部だと多くの抗議行動参加者は捉えている。

 そのような非難を政府は否定している。だが、その認識自体が政治的に重要な意味を持つようになったのだ。

 環境問題と国民の怒り

 環境問題への大きな懸念

 ヴィヨサ=ナルタ生態系は、アドリア海地域で最も重要な保護湿地の一つだ。フラミンゴやウミガメや数多くの保護生物の生息地だ。大規模建設工事が、この地域に回復不能な損害を与える可能性があると環境保護団体は繰り返し警告してきた。

 だが今や「フラミンゴ革命」と広く呼ばれるこの運動は、保護活動だけにとどまらず、急速にその範囲を広げている。

 環境問題への懸念は、汚職、透明性の欠如、国家主権といった問題に対する広範な不満と結びついている。デモ参加者たちは、この問題を観光開発を巡る争いとしてではなく、アルバニアの未来を最終的に誰が支配するのかという問題として捉えるようになっている。

 このことが抗議活動が驚くほど根強く続く理由を説明するのに役立つ。人々は単に鳥や海岸を守るために立ち上がっているのではない。国の最も貴重な資産に影響を与える決定が国民の意味ある参加なしに行われているという高まりつつある不満から反応しているのだ。

 地域のパターン

 アルバニアの事例は特異なものではない。

 地中海沿岸の一部地域では、外国資本が関与する大規模沿岸開発を巡り同様論争が巻き起こっている。ギリシャやキプロスや他の地域で、投資プロジェクトを経済成長の原動力として政府が推進する一方、戦略的に重要な地域に対する実質的支配権を現地社会が徐々に失いつつあるのではないかという批判派の声も上がっているのだ。

 アルバニアの事例を特徴づけているのは、クシュナーの政治経歴と、ラマ首相とイスラエル指導部との異例なほど緊密な関係と、サザン島自体の戦略的立地といった複数要因が複合的に絡み合っている点だ。サザン島は、かつてはソ連の支援を受けて開発された閉鎖的軍事拠点だったが、現在はアメリカとイスラエル関連資本の注目を集めている。

 これらの要素が相まって、この不動産プロジェクトは、国家の意思決定に対する外部影響力のより広範な象徴へと変貌を遂げた。

 このプロジェクトを、多くの抗議参加者はアルバニアにおけるアメリカとイスラエルの影響力拡大と明確に結びつけている。この解釈に賛同するかどうかは別として、それは抗議活動を取り巻く政治的現実の重要な一部となり、抗議活動の感情的激しさを説明する一助になっている。

 抗議活動が本当に意味するもの

 国の最も貴重な資産に関する決定が、一般市民の優先事項とは必ずしも一致しない主体により益々左右されているという認識がアルバニア社会の相当部分で高まっていることをフラミンゴ革命は反映している。

 環境保護、主権問題と絶え間ない移民問題への不満が、一つの運動に収束した。

 このプロジェクトは、雇用や投資や繁栄をもたらすと政府は主張している。一方、本当の問題は外国資本存在の是非ではなく、それが誰の条件で運営され、最終的に誰が利益を得るのかにあると批判派は、反論している。

 サザン開発計画を阻止、あるいは大幅変更するのに抗議行動参加者たちが成功するかどうかは依然不透明だ。しかし、アルバニア社会の相当部分が、いかなる外国投資も自動的に国益にかなうのだという主張をアルバニア社会の相当部分が受け入れにくくなっているのは既に明らかだ。

 フラミンゴ革命によって提起された問題は、単なる高級リゾートの問題を遙かに超えている。アルバニアの発展に本当の影響力を行使しているのは一体誰なのか、国の変革から利益を得ているのは一体誰なのか、そして戦略的に重要な国土が、依然、国内の実質的支配下にあるのかどうか、といった点を人々は懸念している。

 だからこそ、この運動が環境保護活動の枠を超えて大きな反響を呼んでいるのだ。多くのアルバニア人にとって、サザン島を巡る議論は、国の将来の方向性そのものを問う議論に発展している。

 エイドリアン・コルチンスキーは中欧および世界政策研究アナリスト、評論家

記事原文のurl:https://journal-neo.su/2026/07/02/the-flamingo-revolution-foreign-capital-and-the-battle-for-albania%e2%80%99s-coast/

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 東京新聞 朝刊 一面
福島シイタケ原木の賠償対立

東電の説明うのみ
経産省が虚偽試料

「生産者が一定理解」実情はらちあかず

 昔、福島出張時には、桃の季節には、知人につれられた店で土産に購入していた。残念ながら、もう何十年も福島には行っておらず、福島の桃も食べていない。

2026年6月12日 (金)

バルト三国への一撃…イランのようにロシアは反撃するのか?



フィニアン・カニンガム
2026年6月10日
Strategic Culture Foundation

 バルト三国への一撃こそ、ロシア嫌いの意識を正すために必要なのかもしれない。手遅れになる前に。

❗️Telegram Twitter , と VK でご参加願いたい。

お問い合わせ: info@strategic-culture.su

 ロシアの主要国際ビジネス・サミットがサンクトペテルブルクで開催され、ウクライナ・ドローンがロシア防空網を回避するために、エストニア領海を利用して攻撃を行った。先週の大規模攻撃には、他のバルト三国も関与しているとみられている。

 情報通のボルジックマン・チャンネルによると、バルト海の船舶から多数の特攻ドローンが発射された。ドローンはエストニア領海上を低空飛行した後、サンクトペテルブルクを攻撃した。飛行経路はロシア防衛網を奇襲するよう設計されていた。

 ほとんどのドローンはロシアの防衛システムに撃墜されたが、数機は目標に命中した。最大の被害はサンクトペテルブルクの石油ターミナル攻撃だった。これにより、6月3日のサンクトペテルブルク国際経済フォーラム(SPIEF)開会日に、参加者の目に触れる黒煙が立ち込め、プロパガンダ効果を発揮した。

 ロシア第二の都市上空に見られた恥ずべき光景と、プーチン大統領が演説を行う予定のフォーラムについて、BBCなどの欧米メディアは喜んで報道した。

 BBCのスティーブ・ローゼンバーグは、まさに大喜びでこう書いている。「SPIEF 2026の最も印象的なイメージは、水曜日にサンクトペテルブルクの空を覆った巨大な黒煙だ… 市郊外にある博覧会センターに到着した代表全員、煙を目にした。」

 バルト海の船舶から発射されたドローンがエストニア領海を飛行したのは空爆実行にNATO加盟国が関与していたことを意味する。同日ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領と会談するためNATOのマルク・ルッテ事務総長が予告なしでキーウを訪問した

 NATOがウクライナの代理勢力を使ってロシアに戦争を仕掛けているのは、もはや滑稽なほど明白だ。ここ数週間で、何百機ものウクライナ・ドローンがフィンランド、エストニア、リトアニア、ラトビア、ポーランド、ルーマニアで墜落した。民間人の負傷につながったこれら侵害行為について、キーウ政権は欧州各国の首都に繰り返し謝罪している。それでもなお、欧州連合とNATOはキーウに対する制裁や非難を一切していない。ロシアの電子妨害によりドローンが方向転換されているという主張に彼らは甘んじている。「過ち」を避けるため、NATO加盟国はロシアを標的とするウクライナを支援すべきだとさえスウェーデンのウルフ・クリステルソン首相は促しさえている。

 この二枚舌は卑劣極まりない。ロシア軍情報部はウクライナによるロシア攻撃に関与しているバルト三国や他のNATO加盟国にあるドローン製造拠点に正確に標的を定めている。

 「ロシア国防省の声明は文字通り解釈されるべきだ。ヨーロッパにおけるドローンや他の軍事装備の生産拠点公表は、ロシア軍にとって正当な標的になり得るものの登録簿に過ぎない」とロシア国家安全保障会議のドミトリー・メドベージェフ副議長は述べた。

 明らかに、対ロシア攻撃を最大限にするため、NATO加盟国は標的データを提供し、自国領土の使用を許可している。NATOが支援するこれらドローン作戦で数百人のロシア市民が殺害されており、最も恐ろしい事件は5月22日にルハンスク州スタロベリスクの大学寮で21人の学生が殺害された事件だ。先週、サンクトペテルブルクへのドローン攻撃と同じ日に、ドネツク州からクリミア半島に向かっていたバスが空爆で爆破され、市民8人が死亡し、10人が負傷した。

 ダニー・ハイフォンのYoutube番組で「ロシア全土で怒りが高まっている」と専門家のスタニスラス・クラピヴニクが語った。ウクライナ全土の軍事施設や意思決定センターへの大規模攻撃でロシアは報復した。しかし、クラピヴニクが指摘する通り、ウクライナによる攻撃の発端となっているNATO加害者連中に行動を起こすようモスクワは圧力を受けている。イランのように、ロシアは痛手となる場所を徹底的に反撃すべきだと彼は主張している。

 2月28日にアメリカとイスラエルが対イラン攻撃を開始してから100日経過したが、イランは極超音速ミサイルや弾道ミサイル、ドローンといった強力な兵器を用いて、ペルシャ湾沿岸の数十の米軍施設とイスラエル基地を破壊してきた。

 週末、ベイルート南部のダヒヤ地区をイスラエルが爆撃し、不安定な停戦協定を破った際、イランは警告通り即座に報復攻撃を行い、イスラエル空軍基地とサウジアラビアにある米軍基地を攻撃した。

 イランの反抗的な態度は、ワシントンに礼儀をわきまえさせた。イスラエルは学ぶのが遅いが、いずれイランがどんな攻撃も黙って受け入れるつもりがないのを理解するようになる。イランは痛手となる場所に迅速かつ強力な反撃を仕掛けている。アメリカとイスラエルが何の制裁も受けずに侵略行為を行える時代は終わったのだ。

 もう一つは、トランプ大統領の「狂気の恫喝」つまり戦争をエスカレートさせてイランを壊滅させるという脅しをイランが見事に無視したことだ。攻撃を続ければ、失うものは遙かに大きいことをイランはワシントンとイスラエルに示したのだ。

 クラピヴニク、ボルジクマン、セルゲイ・カラガノフをはじめとする専門家たちが指摘している通り、ロシアは肝に銘じるべきだ。ウクライナが単独で攻撃をしているという身勝手な茶番劇を口実に、EUとNATOは、対ロシア攻撃をエスカレートさせ、民間人を殺害し、ロシア経済に打撃を与えられるという妄想を抱いて、何の罪悪感も抱かずに振る舞っている。

 もちろん、ロシアの極超音速兵器がバルト海でNATOのドローン発射艦を撃破した場合、アメリカが主導する軍事同盟の共同防衛義務が発動されるリスクがある。そうなれば第三次世界大戦に発展する可能性もある。

 だが、少しお待ち願いたい。建前とは裏腹に、ロシアとその首都モスクワ、サンクトペテルブルク攻撃にNATO加盟国が直接関与し、数百人の民間人を殺害している現状を考えれば、既に我々はそのような状況にあるのではないだろうか?

 NATOとEUの指導者連中は、ロシア恐怖症と傲慢さに深く染まっており、もはや理性的思考ができない。彼らが理解できる唯一の言語は直接的な恫喝と武力行使だけだ。代償を払わせない限り、狂気じみたロシア恐怖症指導者連中は現状のままエスカレートし続ける。

 イランは有効な自衛政策を示している。イラン国民に攻撃を仕掛けた敵は、その報いとして大きな打撃を受けることになる。

 バルト三国への一撃こそ、ロシア嫌いの意識を正すために必要なものかもしれない。手遅れになる前に。

記事原文のurl:https://strategic-culture.su/news/2026/06/10/kick-baltics-will-russia-hit-back-like-iran/

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 東京新聞 朝刊 一面  
 「国旗損壊罪」創設法案

 異論許さぬ空気 危惧

 1987年「日の丸焼却事件」知花さん長男

 「戦前と同じになるのでは」

 核のごみ どこへ

 文献調査

 「交付金受け取らないで」

 小笠原住民、村議会に請願

 「全国的な議論にしたい。」
 東京新聞 朝刊 二面  
 傑作 ガウディ没後100年

 サグラダ・ファミリア 命日に教皇ミサ
 東京新聞 朝刊 六面  
 聖堂 こめた平和の祈り

 スペイン内戦・コロナ…苦節140年

 サグラダ・ファミリア教会 主塔完成
 ガウディを全く知らずにバルセロナに出張し、タクシーの中からカサ・ミラとサグラダ・ファミリアを見て驚いたのを思い出す。  東京新聞 朝刊 国際・総合 四面  
 交渉停滞 再び攻撃カード

 焦るトランプ政権■イランは徹底抗戦の構え
 東京新聞 朝刊 十八・十九 特報面  
 緊張高まるサッカーW杯

 イラン代表 受難と怒り

 コーチらビザ却下、拠点変更…戦略・体調に打撃

 米国よ開催の資格あるか

 「国際法違反」ロシアは排除

 FIFAよ反差別はどうした

 トランプ氏の平和賞「剥奪を」

2026年5月15日 (金)

オデーサ2014:永遠に語り継がれるべき恐ろしい残虐行為



スティーブン・カルガノビッチ
2026年5月14日
Strategic Culture Foundation

 2014年5月2日にオデーサ労働組合会館で起きた恐ろしいポグロム(大量虐殺)は、ウクライナの新秩序に反対する人々を殺害する単純な行為にとどまらなかった。

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 2014年5月2日、オデーサで、決して忘れてはならず、軽視してはならない残虐行為が発生した。残念ながら、この残虐行為の記憶は徐々に薄れつつある。事実関係は議論の余地がないにもかかわらず、激しい攻撃にさらされており、2014年にマイダン革命によって生まれたウクライナの秩序を根底から覆したこの虐殺が象徴する道徳的破局は悪意をもって歪曲されている。こうした理由から、この警告文を書くことにした。

 オデーサでその日に起きた出来事の本質的事実と経緯は本格的な議論の余地などほとんどない。マイダン支持派の暴徒集団に追われた50人近い反体制派の市民が命の危険を感じて、地元の労働組合会館に避難しようとした。だが彼らは追っ手連中に包囲され、建物内に焼夷弾が投げ込まれ、火が放たれた。その結果発生した大火災で安全な出口はなく、48人が死亡した。うち42人は労働組合会館内で生きたまま焼死または死亡している。この一連の出来事に直接異議を唱えているのは、容疑者連中本人たちと、彼らを支援する外国勢力により周到に準備されたグローバル・メディア・プロパガンダ機関だけだ。

 文脈を正しく理解するには、その数週間前、キーウで、合法的に選出された正当なウクライナ政府が、別の暴徒により暴力的に打倒されたことを思い出す必要がある。この暴徒連中は、現在我々が欧米諸国と呼んでいる国々により、特定の狙いのために訓練され、資金提供を受けていた。キエフで、専門的に仕組まれ、巨額資金(主要な組織者の一人、ヴィクトリア・ニューランドが公に自慢した通り、50億ドル以上)投入された動乱から生まれたこの新「政府」は、正真正銘の外国工作員や、ステパン・バンデラの指揮下にあった第二次世界大戦時のナチス協力者たちからイデオロギー的な影響を受けた現地勢力で構成されていた。これは、当時ウクライナのどこであれ、親ロシア的感情を表明する人々にとって非常に悪い兆候だった。

 こうして外国の支援を受けてウクライナを武力で掌握した政治連合は、直ちにウクライナの外交政策と国内政策を、欧米諸国の共同支援者連中の地政学的目標に沿うように再編成された。この政策転換は、ロシアの安全保障上の利益を直接標的にしただけでなく、ウクライナでロシア語を話す多数派住民の意思をも無視した。彼らは、自分たちの文化や、アイデンティティや、歴史的つながりに公然と敵対する政策には当然共感を示さなかった。ウクライナの多くの地域で、公然と、あるいは消極的に、クーデターに反対する動きが速やかに起きた。これに対し、クリミア、ルハンシク、ドネツクといったロシア人が圧倒的に多い地域は、キーウ政権に忠誠を誓う軍隊による大規模無差別爆撃を受け、推定1万5000人の無辜の民間人が犠牲になった。こうした懲罰的作戦に影響を受けた地域の住民は、残りのウクライナ地域からの分離に向けた法的措置を講じるに至った。一夜にして、ウクライナは、彼らがもはや住みたくない国、良心に照らして忠誠を誓うことができない国になってしまったのだ。

 オデーサは民族構成と歴史的特徴において圧倒的にロシア人が多い地域の一つで、住民は武力と欺瞞によってキーウで樹立されつつあったネオナチ政権の支配から逃れたいと切望していた。政権は住民を代表するどころか積極的に彼らを根絶しようとしていたのだ。

 2014年5月2日にオデーサ労働組合会館で起きた凄惨な大量虐殺は、ウクライナ新体制に反対する人々を殺害しただけにとどまらなかった。残虐な実行方法は、邪悪な神をなだめるための生贄の儀式的性格を、疑う余地なく示していた。事件直後、その光景を目にしたほとんどの人が、本能的にそう感じた。当初、この攻撃の狙いは、ロシア系住民多数派を威嚇することであり、政権支持派の暴徒連中は、その限定的狙いのために解き放たれたものの、彼らの暴力的性向のため、事態は制御不能に陥ったと主張することもできる。どのような説明が最も可能性が高いものとされようと、オデーサから発せられた残虐行為の映像は世界の良心を震撼させた。それはキーウで勝利したとされた「尊厳の革命」と「ヨーロッパ的価値観」にとって広報上の大失敗となった。打撃を最小限に抑える効果的対策が喫緊の課題になったのは明らかだった。

 だが、2014年当時は、現実を操作する現在の能力を人工知能がまだ獲得していなかったため、恐ろしい映像を真っ向から否定することも、信憑性を疑うこともできなかった。解決策は、到底反論できない最低限の事実を認めつつ、被害者と、より広くは、残虐行為が行われた「雰囲気」を作り出したとされるロシアに責任を転嫁する捏造された詳細を物語に加えることにあった。いつものように、BBCはこの不名誉な作戦の先頭に立った。

 「ソ連時代の壮麗な労働組合会館の三階で火災に巻き込まれた42人が焼死、窒息死、または飛び降り自殺した」とBBC報道はあっさり認めている。ここまでは問題ないが、受動態の使用は、この致命的火災を、故意の行為ではなく、事故として捉えるように事情を知らない読者に促す。次の文では、火災がどのように発生したかという合理的疑問から読者を巧妙にそらしている。「犠牲者はどうして建物内にいたのか、そして誰が火をつけたのか?」から。直接に述べてはいないものの、犠牲者が自ら危険な状況に身を置いたことが原因かもしれないという示唆で、焦点がずらされている。「誰が火をつけたのか?」という問いは、文脈的に適切な探究的質問ではなく、二つの選択肢を同じくらいもっともらしく示唆し、因果関係問題を一層曖昧にしている。そのうちの一つは、明らかにありそうもない。50人近い死者を出した火災が、建物の外側を包囲した敵対的群衆に引き起こされた可能性をBBCは公然とは否定せず、追い詰められた犠牲者自身が火災の原因だった可能性も否定しない大胆な主張をした。彼らは最終的に炎に巻き込まれて命を落としたのだ。

 結局、「3階で火災がどのように発生したのか依然不明だ」という露骨な主張で、BBCはまさにそのような印象を与える舞台を整えようとしていたことが判明した。BBCは公平な報道を装い続けながら(「写真には親ウクライナ派が火炎瓶を床に向かって投げている様子がはっきり写っていた」)と今や被害者に責任を転嫁する決定的一撃を放ったのだ。

 「だが(BBCの現地情報提供者)セルヒーは、三階で、誰かが閉まった窓から火炎瓶を投げるのを目撃したと証言した。だがガラスは割れずに、室内で火災が発生した。」

 情報提供者のセルヒーがどこにいたのか、そしてなぜ建物の三階にある割れていない窓の向こうで起きている出来事が彼の視界に完璧に収まっていたのかBBCは明らかにしていない。だが、それはさておき…。

 BBCの公式見解にほぼ沿って、ロンドンのガーディアンは、この事件を攻撃ではなく、双方が責任を負うべき衝突として捉えている。

 「金曜日、ウクライナ南部の都市オデーサで、キーウの現政権に反対し、ロシアとの関係強化を支持する抗議者たちが守る建物に親ウクライナ派活動家らが突入した際、激しい衝突が発生し、30人以上死亡した。」

 致命的暴力を引き起こしたのは一体誰なのかという問題について『ガーディアン』紙は、微塵の控えめさも示さず論じている。

 「燃え盛る建物の最後の抵抗として、親ロシア派戦闘員は屋上から下の群衆に向かって石や火炎瓶を投げつけた。現場の医療関係者によると、親ロシア派戦闘員は屋上から銃撃もしていた。」

 すると、包囲していた暴徒連中が、自衛のために建物に火を放ったのか?

 ドイツ公共放送ドイチェ・ヴェレ報道も同様に嘘だ。

 記事は、文字通りのホロコーストを「親ウクライナ派と親ロシア派活動家による数時間にわたる激しい市街戦の頂点で、既に6人射殺された。数百人が負傷した。これは多くの人々にとって黒海沿岸のこの港町の近年の歴史で最も暗い日だった」とさりげなく描いている。

 ドイチェ・ヴェレが被害者に対して全く共感を示さなかったことや、状況や因果関係を歪曲して伝えたことを、ゲッベルス博士なら、きっと称賛したに違いない。

 「この事件は、東ウクライナにとっても重要な出来事だったようだ。というのも、ドネツク州とルハンシク州でキーウからの分離独立を問ういわゆる『住民投票』が行われる僅か一週間前に起きたからだ。焼け焦げた遺体の映像をロシア・テレビは放送し、ロシアに友好的な同胞を『ウクライナ・ナチス』が『生きたまま焼き殺した』と報じた。分離主義者側のロシア人戦闘員は『オデーサの地獄』に触発されたとインタビューで語った。」

 この問題は、一部の犠牲者遺族の要請により、最終的に欧州人権裁判所に持ち込まれた。恥ずべきほど不十分な同裁判所の判決は2025年に公表され、ここで閲覧できる。欧米メディア全体と同様、同裁判所は否定できない事実を直接否定するのではなく、歪曲して、別の視点から捉え直している。まともな人間なら誰で言語に絶する残虐行為で、極めて重大な人道に対する罪と考えるだろうこの事件に対して、欧州人権裁判所の裁判官連中は全く動じない。この惨劇を引き起こした最大の原因として、彼らは、ロシア・プロパガンダと偽情報を挙げている。

 「今回の事件における悲劇的出来事に、こうした偽情報やプロパガンダが、影響を与えた可能性があると裁判所は考えている。オデーサの親ロシア派『クリコヴェ・ポーレ』運動は、ウクライナ新政府やマイダン支持者に関して、ロシア当局やマスメディアが発信する攻撃的で感情的な偽情報やプロパガンダ発言に大きく依存していた。」

 最終的犯人を特定して、裁判所は、ウクライナ当局を非難して公平さを装う贅沢を自らに許している。警察の「不作為」と消防隊の対応の遅れは、ウクライナ当局の責任とされた。これは、ニュルンベルク裁判で、戦争犯罪の被告が信号無視に相当する罪で起訴されるようなものだ。判決全体を通して、ロシアと東欧で最も洗練された国際都市の一つ、オデーサで少なくとも42人の人間が意図的に焼き殺されたことに対する地方レベルを超える構造的責任については微塵も言及されていない。裁判所が背景事情を検討した際、親ナチス勢力が積極的に関与し、同程度の致命的暴力を特徴とするキーウでの暴力的なクーデターが、この事件と何らかの関係があった可能性を示唆する記述は皆無だ。

 こうして、本件に関して、知るべきことが全て盛り込まれた権威ある法的判断が下されたので安心して幕を閉じられる。これはまさに「普遍的価値観」への誓約を誇る法学の、ある種の倒錯ぶりを如実に示している。

記事原文のurl:https://strategic-culture.su/news/2026/05/14/odessa-2014-appalling-atrocity-that-should-live-in-infamy/

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 宗主国マスコミも、属国マスコミも、ロシアの対ウクライナ特別作戦う対して、「いわれのない侵略」という真っ赤な嘘をつき続けている。本件の真実が大本営広報部に報道されることは今後もあり得ない。

 2024年5月8日に下記記事を書いた。
オデッサ虐殺から10年…NATOの犯罪を隠蔽する欧米メディアの沈黙
 2014年5月7日に掲載した記事で、下記の様に書いた。日本のマスコミなるもののデタラメさの反証として、是非ご覧頂きたい。
 キエフと右派セクターによるオデッサ水晶の夜 (写真・閲覧注意!) 翻訳したVeterans Today元記事自体が削除されており、そこにリンクしておいた画像が全てみえなくなっている。  2022/2/28 読者の方から、写真全てがみられる魚拓ページをご教示いただいた。この問題のページの凄惨な写真が全てみられる。 https://web.archive.org/web/20140515000559/http://eigokiji.cocolog-nifty.com/blog/2014/05/post-4bc4.html
 今朝の孫崎享氏メルマガ題名
トランプ会談開始時「史上最高の首脳会談」になる可能性」に言及、習近平は台湾問題への対応を誤れば「極めて危険な事態」を招くとトランプに警告し雰囲気変える。米側対応は不明。イラン問題については双方で見解表明程度。経済・貿易紛争を鎮静化も大きな前進なし(WP)

2026年4月13日 (月)

ハンガリーの覇権争いでマジャルがオルバンに勝利:今後の展開は?

マジャル・ペーテルの決定的勝利はハンガリーと東西諸国との関係を大きく変えるだろう。

公開日:2026年4月12日 22:22 | 更新日:2026年4月13日 05:31
RTニュースルーム

 RTニュースルームは、ロシアおよび国際報道において10年以上の経験を持つ多言語ジャーナリストのチームで、主流メディアの報道で見落とされがちな独自の調査と洞察を提供している。

 ハンガリーの覇権争いでマジャルがオルバンに勝利:今後の展開は?

2026年4月12日、ハンガリーのオルバーン・ヴィクトル首相がブダペストで投票した。© NurPhoto / Getty Images

ハンガリーの野党指導者マジャル・ペーテルが同国の議会選挙で驚異的勝利を収めた。マジャール率いるティサ党は、オルバン首相率いるフィデス党を16ポイント以上の差で破った。この結果は、ハンガリーとEU、ロシア、ウクライナとの関係を劇的に変えることになるだろう。

 日曜日の投票締め切りからわずか一時間後、オルバンはマジャールに電話をかけ、勝利を祝った。

 日曜夜の時点で投票用紙の92%が開票され、ティサ党が53.72%の得票率でフィデス党の37.67%を上回り、リードしていた。この結果は、野党寄りの選挙前世論調査結果と一致していた。

 マジャールは、汚職撲滅、公共サービスの拡充、EUとの関係修復を公約に掲げて選挙運動を展開した。一方、オルバンは、国民の減税と企業課税を継続するとともに、ハンガリーをロシア・ウクライナ紛争から遠ざけることを約束した。マジャルはEUの手先で、EUはハンガリーの安価なロシア産エネルギー入手を断ち、モスクワに対するEUのエスカレーション政策を支持するだろうとオルバンは選挙運動で訴えた。

 ハンガリー有権者の77.8%が投票し、ハンガリー史上最高の投票率を記録した。この未曾有の高い投票率のおかげで「次期国民議会の民主的正当性は、これまで以上に強固なものとなるだろう」と首相府大臣のゲルゲリー・グヤーシュは記者団に述べた。

 「今回の結果が我が国と国民の運命にとって何を意味するのか、またそのより深い、あるいは、より高次の意味は一体何か、現時点では分からない。時が経てば分かる」とオルバン首相はブダペストで支持者たちに語った。「結果がどうであれ、我々は野党として、我が国とハンガリー国民のために尽力する。」

 マジャール勝利は一体何を意味するのか?

 1. ハンガリーはロシアとの緊密な関係を維持するのか?

 これは極めてありそうもない。マジャルの野党メディア同盟者たちはEUのスパイと協力して、ロシアが選挙に干渉したという記事を掲載し、マジャールは群衆を率いて「ロシア人は帰れ!」と叫んだ。こうした主張はさておき、マジャールがモスクワに対して公然と敵対する政策を採用する可能性は低いが、EUとの関係修復を望む彼の願望は、ブダペストがEUのウクライナ向け900億ユーロの融資パッケージ反対を取り下げる結果となる可能性が非常に高い。この決定はロシアでは受け入れられないだろう。

 2. ハンガリーはアメリカから冷遇されるのか?

 オルバーン・ヴィクトルはドナルド・トランプ大統領と思想的に緊密な同盟者で、トランプはオルバン再選運動のために副大統領のJD・ヴァンスをブダペストに派遣し、オルバンが勝利すれば「アメリカの経済力を最大限に活用してハンガリー経済を強化する」と約束していた。

 マジャールが政権を握れば、ハンガリーはもはやMAGA運動の寵児でなくなるが、両国間関係は友好的なまま維持される可能性が高い。

 3. マジャルはハンガリーの移民受け入れを拡大するのか?

 可能性は極めて低い。オルバン首相の強硬な移民政策はハンガリー国内で非常に人気が高く、ハンガリー右派は移民問題に関して首相を批判し、EU域外から3万5000人の外国人労働者の受け入れを認めた決定を非難している。ブリュッセルがハンガリーに亡命希望者の受け入れを迫るかどうか、また西側リベラル・メディアがオルバン首相と同様、この問題でハンガリーを激しく批判するかどうかは今後の展開次第だ。

 4. ハンガリーへの数十億ユーロの資金提供をEUはどれくらい速く解除できるのか?

 現在、EUは司法の独立性、汚職、オルバン首相によるLGBTQプロパガンダ禁止などを理由に、約200億ユーロのハンガリーへの資金提供を保留している。

 マジャルは、ハンガリー憲法を改正し、EUが要求する司法改革を実施するために必要な3分の2の多数派を獲得する見込みだが、資金提供の可否と時期は最終的にEUが決定する。更に、マジャルはLGBTQ問題に関して沈黙を守っており、EU要求を満たすためハンガリーを自由化しようとするいかなる試みもハンガリー国民の不評を買う可能性がある。

 マジャルにとって、この資金へのアクセスは極めて重要である。医療、教育、その他の公共サービスへの支出計画は、資金提供の有無に完全に依存している。

 5. ハンガリーはロシア産原油契約を解除できるのか?

 ロシアはハンガリーの石油のほぼ90%、天然ガスのそれよりやや多い分を供給しており、パクシュ原子力発電所の核燃料も供給している。EUは加盟国に対し、来年末までにロシアからのエネルギー供給を完全に断つよう義務付けているが、ハンガリーとロシアの契約は2035年までとなっている。

 契約満了時に、ハンガリーのロシア・エネルギー依存を解消するとマジャルは約束している。しかし、ハンガリーに対するEU制裁措置の適用除外を確保するために、オルバン前首相が行ってきたような政策を続けるつもりはないかもしれない。この政策は、事実上2035年より前に供給を断つことを余儀なくさせるものになる。

 6. EUは今や、ロシアの凍結資産を奪取できるようになるのか?

 いや。オルバン首相はメディアでEUとウクライナに関するEUの計画を阻む唯一の障害として描かれているが、EUに凍結されている約2100億ユーロのロシア資産を奪うかどうかの決定はEU内で不人気だ。イタリアのジョルジア・メローニ首相、スロバキアのロベルト・フィツォ首相、チェコ共和国のアンドレイ・バビシュ首相をはじめとする各国首脳は、資産が差し押さえられているベルギーのアレクサンダー・デ・クロー首相と同様、この措置に反対している。

 そのため、EUはウクライナを存続させるために、900億ユーロの債務融資に頼っている。オルバン首相がいなくなったことで、フィツォ首相やバビシュ首相が反対しない限り、EUは融資に対する全会一致の支持を得られる可能性が高い。

記事原文のurl:https://www.rt.com/news/638268-magyar-beats-orban-hungary/

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 ハンガリーは、欧米で唯一、日本と同様、姓・名の順で表記する。

 Magyar、マジャルは、文字通りマジャール人、マジャール語、ハンガリー語、ハンガリー人という意味。

2026年4月12日 (日)

ハンガリーを巡る戦い:RTによるハンガリー選挙決定版ガイド

今年最も重要な欧州選挙で一体何が問われているのか?
公開日:2026年4月10日 12:12 | 更新日:2026年4月10日 13:15
RT

ハンガリーを巡る戦い:RTによるハンガリー選挙決定版ガイド


RT合成画像

 ハンガリーのヴィクトル・オルバン首相は、EU、アメリカ、ウクライナの三者が接戦を繰り広げる今回選挙で、数十年来の権力に対する最も深刻な脅威に直面している。RTは、ハンガリー選挙を左右する関係者と利害関係と不正工作について探る。

 「ハンガリーを巡る戦い」シリーズで選挙について詳しく解説してきたが、今回初めてご覧になる方のために、知っておくべきことを以下にまとめた。

 ハンガリー選挙はいつか?

 ハンガリーでは4月12日(日)、国民議会の全199議員を選出するための選挙が行われる。ハンガリーでは4年ごとに選挙が実施され、投票は1日1回で行われる。結果は通常、投票終了後数時間以内に判明する。

 一体何人投票するだろう?

 ハンガリーでは約820万人の有権者が登録されており、同国の国家選挙管理委員会データによると、2006年から2022年までの投票率は通常61%から69.59%の間で推移した。2022年の前回選挙では、過去最高の69.59%の投票率を記録した。

 約9万1000人のハンガリー国民が海外から投票登録をしており、そのかなりの数がウクライナのザカルパッチャ地方に居住している。

 ハンガリーの選挙に誰が立候補しているのか?

 10以上の政党が候補者を擁立しているが、今回の選挙は実質的にオルバン首相率いるフィデス党とペーター・マジャール首相率いるティサ党の二党による一騎打ちとなる。

 
ヴィクトル・オルバン首相は、2026年3月28日、ハンガリーのペツェルで行われた選挙集会で演説した。© Getty Images; Balint Szentgallay

 オルバンは2010年から政権を握っており5期連続の政権を目指している。彼が所属するフィデス党とキリスト教民主党は、現在国民議会199議席中135議席を占めている。

 オルバンは保守主義で知られ、非ヨーロッパ出身の亡命希望者の受け入れを拒否し、LGBTQの宣伝を禁止したことでEUの怒りを買っている。また「オルバノミクス」として知られる経済ナショナリズム政策や、EUによるウクライナへの財政的・軍事的支援に対する批判でも知られている。オルバンはロシアに対する複数回の制裁措置を阻止し、ハンガリーがロシアからエネルギー購入を継続できる例外措置を確保した後ようやく譲歩した。現在、キーウへの900億ユーロ(1050億ドル)の債務融資パッケージに拒否権を行使している。

 
2026年3月15日、ハンガリーのブダペストで行われたティサ党の集会で演説するペーター・マジャル © Getty Images; バリント・セントガライ

 フィデス党元党員マジャールは、2024年に同党を離党し、4年前に設立されて以来、ほとんど知られていなかったティサ党に入党した。オルバン政権の汚職疑惑について証言した裁判と、元妻で元法務大臣のジュディット・ヴァルガから家庭内暴力で告発された裁判という二つの訴訟に巻き込まれながらも、その年、マジャールは他の6人のティサ党所属欧州議会議員とともに欧州議会議員に選出された。

 マジャールは自身を中道右派と位置づけ、当選すればブダペストとブリュッセルの関係修復を望んでいる。EUとの関係修復は、マジャールの経済政策にとって極めて重要だ。彼の経済政策は、ブリュッセルが凍結されている約200億ユーロの資金を解放することを前提とした野心的な公共支出計画だ。マジャールはEUのウクライナ向け融資について公に支持も反対も表明しておらず、移民問題や社会問題に関する立場も依然曖昧だ

 世論調査の結果はどうなのか?


 政治専門サイト「ポリティコ」がまとめた集計によると、ハンガリーのティサ党は現在、フィデス党を49対39でリードしている。しかし、世論調査機関の政治的立場や資金提供状況により個々の調査結果は大きく異なる。

 例えば、欧州委員会が出資する21リサーチセンターの世論調査では、ティサ党がフィデス党を19ポイントリードしている。野党系のメディアンによる別調査では、マジャール党がオルバン党を23ポイント上回っている。一方、保守系シンクタンクの基本権センターの世論調査では、フィデス党がティサ党を8ポイント上回っている。

 「多くの」EU首脳がオルバン勝利は「あり得る」と密かに考えていると政治専門誌ポリティコは報じた。ハンガリーのヤーノシュ・ボカEU担当大臣は、世論調査と個人の感情の乖離は偶然ではなく、世論調査を歪めることで、マジャールとブリュッセルの支持者たちは「もし選挙に負けたら不正な結果だ」という筋書きを作り上げていると考えている。

 ハンガリー選挙に干渉しているのは一体誰か?

 選挙までの数週間、立証されたものも未立証のものも含め、あらゆる方面から干渉疑惑が持ち上がった。先月、ロシアがオルバンに有利になるよう選挙結果を左右するため「政治技術者」をブダペストに送り込んだと野党系ジャーナリストのサボルチ・パニが非難したが、具体的計画は説明しなかった。この報道は、匿名EUスパイによるものとされ、EUが出資するメディアに掲載されたもので、ブリュッセルはこれをロシアが選挙に干渉する計画を立てていた証拠と受け止め、EU自身の干渉、この場合はハンガリーにおけるオンライン検閲ツール起動を正当化するために利用した。

 パニは、ハンガリーのペテル・シヤルト外相の電話を盗聴するため、EU情報機関員(おそらく彼に「ロシアの干渉」という話を仕込んだのと同じ情報源)と共謀していたことが明らかになり、選挙干渉スキャンダルに巻き込まれた。盗聴により、シヤルトとロシアのセルゲイ・ラブロフ外相との会話が明らかになった。シヤルトは、これらの会話はEUで最も長く外相を務めている自分の仕事の一部で、これら通話で表明された立場(ロシアに対する制裁への反対とブリュッセル官僚に対する軽蔑)は既に周知の事実だと主張した。

 ウクライナも、この状況に介入している。キーウは、ロシア原油をウクライナ経由でハンガリーとスロバキアに輸送するドルージバ・パイプライン再開を拒否し、同パイプラインは1月のロシア空爆で損傷したと主張している。ドルージバ・パイプラインは稼働しており、ウクライナのゼレンスキー大統領がハンガリーのエネルギー価格をつり上げ、自身の再選運動を妨害するために閉鎖しているとオルバン首相は主張している。ハンガリー治安当局によるとマジャール党内で活動するスパイをキーウが訓練したとも言われている。

 ハンガリー選挙は、なぜEUとウクライナにとってそれほど重要なのか?

 EUにとって、今回の選挙は長年の悩みの種を解消し、ロシア・エネルギー輸入からの脱却を加速させ、ウクライナへの巨額資金援助への道を開く機会となる。キーウにとって、後者の懸念は存亡に関わる問題だ。ハンガリーが拒否権を行使した900億ユーロのEU融資パッケージは、2022年以降のEUによるウクライナへの拠出総額のほぼ半分に相当し、今後2年間のウクライナ歳出の3分の2を賄うことになる。

 JDヴァンスはなぜブダペストにいたのか?

 ドナルド・トランプ大統領はオルバン首相の思想的同盟者で、4月7日には副大統領のJD・ヴァンスをハンガリーに派遣し、オルバン首相支持を表明した。ヴァンスはオルバン首相との度重なる公の場での会見で、EUとウクライナによる選挙干渉を激しく非難し、両者の共同行動を「私がこれまで見てきた中で外国による最悪の選挙干渉例の一つ」と呼んだ。

 またヴァンスは、ゼレンスキー大統領に極めて辛辣な批判をして、EU融資パッケージにハンガリーが拒否権を行使したことに対し、オルバン首相の自宅に兵士を派遣するというウクライナ大統領の「とんでもない」脅迫を厳しく非難した。

 注:RT元記事には、ここにヴァンスが語る場面の短い映像があるが、コピーできない。

 だが、ヴァンスはティサとEU当局者から選挙干渉の疑いをかけられた。アメリカ副大統領がオルバンを「エネルギー安全保障と独立問題に関しヨーロッパで唯一卓越した指導者」と評し、再選に向けて「できる限り支援する」と述べた後、欧州委員会はワシントン訪問について「懸念を伝える」と発表した。

 4月8日「バンスがEUによる選挙干渉疑惑について不満を述べているので指摘しておきたいが、アメリカ副大統領は選挙のわずか数日前にハンガリーを訪問した。この事実だけでも、誰が干渉しているかは明白だ」とドイツ政府のセバスチャン・ヒレ報道官が記者団に語った。

 RTインタビューに応じたオーストリア元外相カリン・クナイセルは、今回選挙をワシントンとブリュッセル間の「代理戦争」と表現し、EUはオルバン首相を失脚させるためハンガリーを「麻痺させる」(ゼレンスキー大統領にドルージバ・パイプラインの再開を迫ることを拒否する)のを厭わず、アメリカはオルバンを支援してEUに対する「抵抗を煽っている」と述べた。

記事原文のurl:https://www.rt.com/news/637831-hungary-election-guide-orban/

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 今朝の孫崎享氏メルマガ題名
ヘグセス国防長官はイランの発射機とミサイル枯渇、壊滅的打撃を受け、ほぼ完全に無力化と発言。だが米情報機関分析によると、イランは依然数千発の弾道ミサイルを保有、地下貯蔵施設からの発射機回収で、それらを使用できる可能性がある。

2026年4月11日 (土)

キーウからベオグラード、更にブダペストへ:戦争は拡大しつつあるのか?



ホアキン・フローレス
2026年4月9日
Strategic Culture Foundation

 中欧とバルカン半島における危機は深刻化する兆しを見せており、この問題には十分な注意を払う必要がある。

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 イラン・アメリカ間の不安定な停戦に世界の注目が集まっているが、中欧とバルカン半島の危機が激化しているようで、これにも十分注意を向ける必要がある。キーウ軍事政権がロシアとのより公然とした紛争にヨーロッパ全体を引き込もうとしているのは明らかだ。このような事態を我々は予想していたので、実際起きた時も驚きはしなかった。だが、予想していたからといって、それが最終的に公になった時の反応が落ち着くわけではない。4月5日朝、セルビア北部(バルカン・ストリーム)のトルコ・ストリーム沿いで複数爆発物が発見されたことをセルビア当局が明らかにした。カンジザ市でのこの事件を「ハンガリーの主権に対する攻撃」とブダペストは見なしているとハンガリーのペーテル・シヤルト外相は述べた。ロシア・ガスの大部分はこのパイプラインを通って輸送されているためだ。強力な爆薬を詰め、起爆装置を取り付けた二つのバックパックが重要パイプライン・インフラの影響範囲内に意図的に配置されていたとセルビアのアレクサンダル・ヴチッチ大統領は述べた。すると我々はそれを一体どう解釈すれば良いのだろう?

 このテロ未遂事件は、関連性がある複数の動的要素が絡み合っている。
 
  1. EUとNATOの両方に加盟しているにもかかわらず、(どちらにも加盟していない)キーウを絶えず支援しているEUとNATOにブダペストは概して反対している。
  2. ドルージバ石油パイプラインをキーウは遮断している。
  3. 戦争継続のためキーウに900億ユーロの相互債務を贈与することにブダペストは反対している。
  4. 欧州委員会のドルージバ・パイプライン検査官がウクライナで行方不明になっている。
  5. 今年3月にウクライナ軍がロシアのエネルギー施設を攻撃した
  6. ハンガリー選挙を巡り、ブリュッセルとキーウ双方の干渉をオルバン首相は非難している。
  7. クロアチア・アルバニア軍事同盟はセルビアに対抗するために結成された
  8. ベオグラードとブダペスト間の良好な関係の重要性
 「また、戦争と戦争のうわさとを聞くであろう。注意していなさい、あわててはいけない。それは起らねばならないが、まだ終りではない。」 ? マタイによる福音書 24:6

 西ウクライナのポンプ場が「攻撃」されたという話の後、ハンガリーとスロバキアへのドルージバ・パイプライン経由石油輸送が今年1月27日から停止されている。だが予備調査ではパイプラインに損傷は見られなかった。ブダペストの強い要請により、ECは調査員を派遣し、実際の状況を自ら評価させた。本稿執筆時点では、調査員は報告書を提出していない。3月31日までに、キーウが現場への立ち入りを許可していないと調査員は不満を述べた。それ以来、EC代表アンナ=カイサ・イコネンによると、ECはウクライナにいるドルージバ・パイプライン評価調査員との連絡が途絶えているようで、調査員の現在の所在に関する情報はないと伝えざるを得なかった。これは深刻な事態だ。

 阻止されたバルカン・ストリーム破壊計画に関し、爆発物が爆発していたら、ハンガリーとセルビア北部全域のガス供給が途絶えていたはずだとベオグラードのアレクサンダル・ヴチッチ首相は述べ、直ちにブダペストのヴィクトル・オルバン首相に状況を報告したと付け加えた。

 欧州・イギリスの金融利権に支えらるゼレンスキー政権にとって崩壊しつつある権力と失敗に終わった戦争努力から「抜け出す」唯一の方法は、ウクライナ国境を越えて戦争を拡大することなのは誰も否定できない。旧ウクライナ領がロシア領として認められる可能性を示唆するような発言をゼレンスキーがすれば、ロンドン金融街と欧州中央銀行は巨額損失を被ることになる。彼らはこれら損失を帳消しにせざるを得なくなり、彼らのエバーグリーニング(債務の永久化)と再担保化計画が崩壊するためだ。

 ロシアの意思を挫く手段として、またヨーロッパとの長期的エネルギー・経済プロジェクトを断ち切る手段として、ウクライナがテロに益々依存するようになったのは、避けられないだけでなく、既に確立された手法だった。2022年9月26日にノルド・ストリームIIパイプラインを機能停止させたテロ攻撃を見れば、背景にある全てが理解できるはずだ。そして、テロは彼らの武器庫に広く存在していた。ウクライナがケルチ橋を破壊しようとした試みを想起してほしい。もちろん、ベルゴロド、発電所、更にはダリア・ドゥギナ暗殺など攻撃リストは更に長い。この紛争がロシア、ウクライナ(と、その旧領土)領内に限定されている限り、完全な敗北を喫するのは時間の問題だとキーウは理解している。

 
「ウクライナがドルージバ・パイプラインを封鎖している状況で、第二のエネルギー源攻撃はハンガリーにとって壊滅的事態になりかねない。」©RT

 本稿執筆時点では、このトルコ・ストリーム爆破未遂事件の犯人の国籍や組織に関する最終的結論は出ていない。問題のパイプライン区間は、ロシア産ガスをセルビア経由でハンガリーへ輸送するトルコ・ストリームのバルカン・ストリーム延長線の一部だ。ウクライナがハンガリーに対して非常に敵対的な姿勢を取っているのは明らかだ。

 ベオグラード軍事保安庁(VBA)長官のジュロ・ヨヴァニッチによると、週末に発見された爆発物はアメリカで製造されたものだが「製造者が破壊工作の首謀者で、実行者であるという意味では決してない」と彼は強調した。これは妥当な助言であると同時に、事態の複雑で微妙な性質を示している。ベオグラードはトランプ政権下でアメリカと良好な、あるいは友好的関係を築いているが、多数のCIA作戦を政権が統制しているのかどうかについては大きな疑問が残る。CIAは文民政権の交代に関係なく政策の継続性を重視しているように見えるため、いわゆる「ディープステート」の主要部分とみなされることが多い。同時に、アメリカ製爆発物は世界の兵器市場に広く出回っており、実際はどんな人物でも入手できた可能性がある。

 少なくとも現時点で、ヴィクトル・オルバン首相はウクライナを法的に正式に非難しているわけではないが、今回の事件を、ロシアからヨーロッパへのエネルギーの流れを妨害しようとするウクライナの長年の試みと一致するものと捉えている。ハンガリー指導者にとって確かなことは、これが破壊工作の試みだったことだ。犯人が誰なのかは正確にはまだ分からないかもしれないが、既に脅迫行為を行った者、同様のテロ行為や破壊工作を行った者という観点からこの問題に取り組めば、誰もがキーウを直接見据えることになる。結局、いかなる調査も「一体誰が得をするのか?」という問いから始まるべきなのだ。

 これは、以前のウクライナによるトルコ・ストリーム攻撃と関連しているため「時期尚早な」結論を出さずにはいられない。トルコ・ストリームに接続されたエネルギー・インフラが、つい先日の2026年3月11日にも既に空爆またはドローン攻撃を受けていたとガスプロムは述べている。これらは、ロシア南部のインフラ、特にヨーロッパに向かうトルコ・ストリーム海底動脈に天然ガスを供給する重要拠点であるルスカヤ揚水場を標的とした、ウクライナによる失敗に終わった空爆だ。

 ガスプロム自身の発表によると、攻撃のペースは持続的かつエスカレートしており、トルコ・ストリームとブルー・ストリーム両方のシステムに関連する施設がわずか2週間の間に12回も攻撃を受けている。これは、ロシアのガス輸出の重要回廊に対する作戦的攻撃だと結論づけざるを得ない。

 展開中のこの圧力作戦は、石油精製所や物流拠点を含むロシアのエネルギー・インフラへの攻撃を激化させているキーウの広範な方針転換と一致している。緊張はインフラだけに留まらず、人口密集地にも明らかに波及しており、黒海沿岸のリゾート都市ソチのアンドレイ・プロシュニン市長は、今年2月中旬に24時間以上連続して発生した未曾有のドローン攻撃の波について語った。

 こうした状況は全て戦略的に狭まる領域中で起きている。現在、トルコはロシア産ガスをヨーロッパへ輸送する唯一の残された輸送経路となっており、このボトルネックは依存と脆弱性の両方を単一の地理的経路に集中させている。この経路が寸断されれば、影響は近隣地域を遙かに超えて及ぶ。

 これらの数字は、ロシアからヨーロッパへのパイプラインによるガス輸出量が2025年には44%減少し、約180億立方メートルにまで落ち込むという、1970年代半ば以来の低水準となる流れを裏付けている。これは、欧州連合がロシアからのエネルギー供給への依存を段階的に解消し続け、大陸のエネルギー戦略を再構築すると同時に、現在も稼働しているパイプラインを巡る利害関係を強めているためだ。

 脅威にさらされているネットワークの中で、セルビア、ハンガリー、スロバキアといった国々は、トルコとともにトルコ・ストリームを通じて供給されるガスの下流受け入れ国として存続しており、益々争いの的となり、益々危険にさらされ、紛争から隔離されるどころか、紛争に益々引き込まれていく制度の安定性または不安定性に直接結びついている

 そしてモスクワは、ウクライナによるガス輸出ルート全般への攻撃が増加していると既に警告していた。セルビアとハンガリーの国境で最近発生したこの事件は、既存作戦の一環だ

 さて、セルビア諜報機関から多くの情報が伝わってくる。移民で訓練を受けた人物が関与する可能性があるエネルギー・インフラに対する何らかの破壊工作の企みの事前警告をセルビア情報機関が受けていたという主張が報じられている。だが同時に、セルビア当局は、ウクライナや外国の国家主体との関連は確認されておらず、流布している主張の一部は誤報だと明言することには慎重だ。つまり、セルビアは事実上、地政学的なマクロコスモスの縮図とも言える二つの立場を同時に取っているのだ。何らかの事前警告は受けていたものの、国家支援を示す証拠はまだない、というわけだ。実際、これはセルビアの微妙な立場と一致している。一方では、現実の状況を認識しつつ、少なくとも建前上はいつか加盟したいとセルビアが主張する欧州連合との外交において、穏健な姿勢を取る必要があるのだ。

 ウクライナは予想通り関与を真っ向から否定し、これは偽旗作戦か政治的意図に基づくもので、実際、ウクライナの作戦ではないと反論している。

 ハンガリーの野党候補ペーテル・マジャールなどの人物は更に踏み込んで、この事件自体が仕組まれたもの、あるいは誇張されたもので、政治的効果を狙ってハンガリー指導部と外部勢力との間で調整された可能性があると示唆している。これは、同様発言をしたキーウと連携したメッセージとも解釈できる。

 ウクライナの報道はハンガリーだけでなくロンドンの報道とも一致しており、この壮大なゲームにおける本当の地政学的境界線がどこにあるのかを示している。ガーディアンは、この件が選挙前の安全保障上でっち上げ策略である可能性を指摘し、今回の発見が緊急措置の正当化、未決定層の世論操作、あるいはゼレンスキー大統領への批判強化に利用される可能性があると報じている。

 そして最後の部分が重要なのは、タイミングが極めて重要だからだ。これはヴィクトル・オルバン首相が関わるハンガリー総選挙直前に起きているため、多くの解釈が国内の政治的思惑を通して行われている。確かにそうだが、同時にEUがウクライナへの巨額融資を強行しようとしている最中に起きているのだ。ブダペストはこれに抵抗している。したがって、こうしたテロの脅威は、ブダペストが圧力に屈するのを見たいと願うあらゆる勢力から発せられている可能性もある。

 これはロシアのガス・インフラを破壊しようとするウクライナの実際の企ての一環で、以前の警告や攻撃とも一致するとブダペストは主張している。一方、ベオグラードは、これは正体不明の人物による破壊工作の試みで、セルビア情報機関が事前に察知していた可能性があり、国家との関連性は証明されてはいないが、セルビアの広範な地政学的志向を反映したものだと述べている。キーウとロンドンは、ウクライナの主張は根拠がなく、偽情報の一部であり、事件全体がハンガリーの選挙に関連した政治的目的のために仕組まれた可能性があると述べている。

 3月6日金曜日、8200万ドル相当の現金と金をハンガリー当局が押収し、7人を逮捕したとの報道が国際メディアで流れた。逮捕された7人はウクライナ国営オシャドバンク従業員で、オーストリアとウクライナ間で現金と金を運んでいた二台の装甲車に乗っていたところを逮捕された。来月の重要な選挙を前に、ウクライナへの批判を強めつつ、モスクワとの関係を維持しているハンガリーのヴィクトル・オルバン首相は、ハンガリーは今やウクライナを敵対国と見なしていると述べ、4月12日の選挙に影響を与えるためにゼレンスキー大統領がエネルギー危機を引き起こそうとしていると説明した。これは奇妙なことに、セルビアで最近阻止された攻撃を予兆していた。

 背景として、アルバニア、「コソボ」、クロアチアはセルビアに対する軍事協定を結んでいる。ザグレブでは、セルビアとその関連問題に対する対抗勢力を構築するという考え方が繰り返し浮上しており、ティラナやプリシュティナに注目が集まっているように、セルビア側に立っていると見なされる協力者との連携が自然と促されている。当局者はこの解釈を公然と支持することはない。代わりに、彼らは一貫してNATO加盟国であることと、同盟の責任に対する明示的関係を通じて、こうした動きを正当化している。クロアチア、アルバニア、コソボが参加する新たな三国間協定は、2025年3月18日にティラナで署名され、軍事訓練の拡大、共同演習、情報共有、調整を通じて防衛協力を深化させることを目的とした共同宣言で、セルビアとハンガリーに対する露骨な反対姿勢で、ウクライナを支持する姿勢であるように見える。

 これに対し、クロアチア、コソボ、アルバニアの三国間合意を受けて、セルビアとハンガリー、そして場合によってはスロバキアの安全保障同盟に関する憶測が政界で高まっていることを受け、セルビアのマルコ・ジュリッチ外相はハンガリーとの軍事関係強化に前向きな見解を示した。特に、歴史的、イデオロギー的、経済的側面でザグレブとブダペストの間に根強い緊張関係があることを背景に、正式な同盟の可能性について問われたジュリッチ外相は「国際舞台でセルビアが独立して行動する能力を強化するものは全て、セルビアにとって有益だと信じている。 […]我々は、多くの人が反セルビア枢軸と呼ぶ同盟の挑戦に対し、尊厳をもって対応してきた。 […]我々の目標は議論に勝つことではなく、問題を解決することだ」と述べた。

 結論としては、セルビアでのトルコ・ストリームに対するテロ攻撃未遂事件後、国防力強化が、軍拡競争や同盟競争の激化を招くリスクがないのが明らかだ。むしろ、好機を狙う侵略を抑止するための明確な境界線を確立する。セルビアがハンガリーと慎重かつ毅然と連携を取っていることは、挑発的姿勢を避けつつ、同盟国や国民を安心させる点で、この姿勢を体現している。予防的抑止力は、対立を激化させるのではなく、敵対勢力に機会を与えないことで機能し、彼らが限界を試そうとする前に考え直させるようにするものだ。キーウ政権は末期状態にあり、追い詰められた狂犬のようなこの政権の無謀な行動に誰も驚くべきではない。ロンドンとブリュッセルは、ウクライナ傀儡政権の扱い方を再考すべきなのだ。

 ホアキンをフォローするには、Telegramで@NewResistance、またはX/Twitterで@XoaquinFloresをフォローしてください。

記事原文のurl:https://strategic-culture.su/news/2026/04/09/from-kiev-belgrade-and-budapest-is-the-war-spreading/

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The Chris Hedges Report
America’s Suez Crisis (w/ Alastair Crooke) | The Chris Hedges Report 50:22
Amidst the US-Iran negotiations, Alastair Crooke says, Iran is not incentivized to end the war. Instead, it seeks to upend America's hegemonic dominance of the region — and "break the paradigm."

Chris Hedges
Apr 12, 2026

 今朝の孫崎享氏メルマガ題名
ヘグセス国防長官はイランの発射機とミサイル枯渇、壊滅的打撃を受け、ほぼ完全に無力化と発言。だが米情報機関分析によると、イランは依然数千発の弾道ミサイルを保有、地下貯蔵施設からの発射機回収で、それらを使用できる可能性がある。

2026年3月 1日 (日)

政治万華鏡

「二月だ インクをとって泣け!」
クセニア・ムラトシナ
2026年2月25日
New Eastern Outlook

 泣くべきか笑うべきか? ボリス・パステルナークの言葉をどう締めくくるかは、その時の気分次第。このコラムのモットーは「それほど悲しくなければ面白いかもしれない」だ。

 

 カッラス・リストの悲しい運命

 本日のランキング・トップは、カヤ・カッラスと、キーウのナチスを支援するためEUがロシアに対する「要求」リストを作成する計画に関する彼女の発言に関する記事だ。ロシアの反応は、ロシア外務省のマリア・ザハロワ報道官により非常に機知に富んだ形で表現された。「彼女の要求リストをどう扱うかは、まだ明らかにしない。軽騎兵ども、黙れ!」と、このロシア外交官は書いている。この点に関し、New Eastern Outlookは、カッラスがこのヒントを理解するのか、それとも問題を起こし続けるのか、読者の皆様のご想像におまかせする。まさに彼女の疑わしい知性を試す試金石になるだろう…。

 

 ジョークで描かれたこれら病状に関してルッテ事務総長がどこまで踏み込んだのか、そして、この欧州政治家に一体どんな診断を下すのかは、よく言われる通り、あなた次第だ…

 そして、犬に話しかける事務総長

 一方、NATO事務総長マルク・ルッテは並外れた想像力を発揮した。ミュンヘン安全保障会議で、キーウの軍指導部の将来について犬と交わした会話について彼は世界に語った。いくつか有名なジョークが思い浮かぶ。

 ある男性が知人が犬とチェスをしているのを見た。

 – わー、なんて賢い犬を飼っているんだ!

 – 「賢いってどういう意味だ? スコアは3対2だぞ。私の勝ちだ!」

***

 あるイギリス人が新聞広告「しゃべる犬販売中」を読んだ。彼はその住所へ行き、その犬を見せられる。彼は尋ねる。「どうやって話せるようになったの?」犬は言う。「若い頃、アルプスで山岳救助隊員として働いていました。その後、イラクで工兵として従軍しました。」驚いたイギリス人は飼い主に尋ねる。「なぜこんなに素晴らしい犬を売るんですか?」飼い主は怒って答える。「だって、この犬はいつも嘘をつくんですよ!!! 一度もイラクに行ったことなんかありません!」

***

 人が猫や犬に話しかければ、急性精神病の兆候だ。ペットの前であまり多くを話すのが怖いなら、妄想症だ。あなたの頭の中で動物が話しかけてくるなら、統合失調症だ。だが、あなたがペットに文句を言っても、ペットが黙って無視し、あなたがそれに耐えられないのなら、それは神経衰弱だ。

***

 ジョークで描かれたこれら病状に関しルッテがどこまで進んでいるのか、そしてこの欧州政治家にどのような診断を下すのかは、よく言われる通り、あなた次第だ…

 またしても危険にさらされるマクロン

 最近、フランスのマクロン大統領が予想外に辛辣な反米発言を繰り返している。最初はダボスで開催された世界経済フォーラムで、関税戦争でアメリカに立ち向かい、グリーンランドを守るよう大統領はEUに訴えた。その後、ル・モンド紙のインタビューで、ドルに代わる通貨の模索に関する自身の見解を表明した。インターネット・ユーザーから、なぜマクロン大統領がこのような発言を始めたのかという疑問が投げかけられている。議論は二分されている。激怒した大統領をブリジット夫人が見守り損ねたことが、この発言の理由だとする声もある。一方、マクロン大統領が目の打撲事件を起こした後、ストレスを解消しようと熱心に取り組んだ結果ではないかと推測する声もある。更に、マクロン大統領を真剣に受け止める人はもはやおらず、大統領は自身の姿勢に影を落とす「エプスタイン・ファイル」スキャンダル情報以外の何かで注目を集めたいだけだと指摘する声もある。一部評論家は、第五共和国のマクロン大統領にルーブルへの切り替えを勧めている。一方、鋭い観察者たちは、このフランス人に警告を発している。もし彼が同じ調子で続ければ彼の顔は再び危険にさらされるかもしれない。次の平手打ちはメラニア夫人からかもしれない。

 

 カナダ総督

 近頃、羨ましくない人物がもう一人いる。カナダのマーク・カーニー首相だ。ダボス会議でカーニー首相がアメリカの政策手法を非難し、NATO憲章第5条を改めて強調した後、アメリカは反撃に出た。ドナルド・トランプはソーシャルメディアに、カナダをアメリカの一部として描いた地図を投稿し、カーニー首相を総督と呼び、中国との協力を理由にカナダに100%関税を課すと脅した。

 そろそろ賭けを始める頃合いだ。カナダに関し、トランプはどんな道を選ぶのか? 購入か? (アルバータ州の分離独立派が真剣に計画しているという報道も考慮して)国民投票か。クーデターか? それとも「小規模な勝利戦争」か? いずれにせよ、どれほど不条理に見えようと、この状況から何も良いことは期待できない。

 スパイ問題

 国際社会は既にアメリカの対カナダ攻撃に慣れきっている。だが欧州最大の中国大使館設置計画を巡るイギリスへの予期しない「弾圧」は異例の事態だ。「開戦理由」は、大規模外交施設で、彼らの主張によれば、スパイの拠点となり、西側諸国で歓迎されることで知られる逃亡中の中国人裏切り者を威嚇する手段になるという。さて、この臆病ながら非常に知的な論争の行方を知るのは実に興味深い。スパイが映画で不朽の名声を博し、様々な国で捕まっているにもかかわらず、アメリカとイギリスが今やこれほど公然と外国スパイを恐れていることは本物の認知的不協和を生み出している。世界は一体どこへ向かっているのだろう?

 キーア・スターマーとキノコ

 この点に関して、最近、イギリスのキア・スターマー首相が幻覚キノコ料理で有名なレストランを訪れたというテレグラフ記事は無視できない。確実に、これは現代イギリス政治について多くのことを説明しているのではあるまいか。

 金を払わずWHO脱退

 ヨーロッパ情勢は常に禁止薬物の痕跡にまみれているが、アメリカでは過剰な物質的利害が渦巻いている。最近アメリカは世界保健機関(WHO)脱退を完了した。厄介なのは、ドナルド・トランプがWHO全体予算への拠出を拒否したため、2億6000万ドルの債務を返済せずに脱退したことだ。「まさか、こんなことが許されるのか?」という疑問に国連が頭を悩ませる一方、他の国々はこの状況を特異な前例と捉えている。WHOの今後について、まだ結論は出ていない。

 「グリンチ号」ハイジャック犯

 これまで議論してきたこと以外にも、ここ数週間、西側諸国は中世型海賊行為の蔓延を目の当たりにし、愚かさにより、それが増幅された。様々な事例がある。まずフランスは「疑念」に基づき、インド人乗組員を乗せたマーシャル諸島のタンカー「グリンチ号」を地中海で拿捕した。その後、エストニア特殊部隊は、エクアドルからロシアへ向かう途中のバハマ船籍のコンテナ船をエストニア領海内で拿捕する独自論理を駆使した。この船は花と果物を積んでいた。最後に、アメリカはインド洋でパナマのタンカーを拿捕し、検査を行った。これら三事例全てにおいて、海賊は何の利益も得ず、国際法と他国に対する厚かましい無視を露呈したに過ぎない。

 トランプによる新ミーム

 国際法に少し触れたい。ネットで広く拡散される人物によるもう一つの発言をリストに加えよう。トランプはノルウェーのストーレ首相に「親愛なるヨナス!」と言って、激しい非難を浴びせた。「貴国が私にノーベル平和賞を授与しない決定を下したことを踏まえれば、私はもはや平和のことだけを考える義務を感じない。アメリカにとって何が正義で利益になるかに集中できる。」これは風刺画やネットの花崗岩に刻み込むのが可能であり、刻まれるべき決めゼリフだ。平和について考えるのは、いわば任意なのだから…。

 テキーラ市長

 そして奇妙なことに、最後の仕上げとして、テキーラに関するニュースが届いた。メキシコのこの都市の警察が、この都市の由来となったテキーラを、少なくとも十社ほどの醸造会社からゆすった容疑で市長を逮捕した。捜査は現在も続いている。とはいえ、何がそんなにおかしいのか? 国際犯罪との戦いが今まさに行われているのに!

 この衝撃的記事で「Political Kaleidoscope」2月分放送はこれにて終了。続報をお待ちください!

 クセニア・ムラトシナは歴史学博士、ロシア科学アカデミー東洋学研究所東南アジア・オーストラリア・オセアニア研究センター上級研究員

記事原文のurl:https://journal-neo.su/2026/02/25/political-kaleidoscope-february-to-get-the-ink-and/

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 パステルナークの詩「二月」冒頭のロシア語原文は下記の通り。
 Февраль. Достать чернил и плакать!

 トランプ・アメリカによるイスラエルに成り代わっての全く理不尽なイラン爆撃「三月だ インクをとって泣け!」か?

 The Chris Hedges Report
Going to War, Again, for Israel
 Chris Hedges
 Mar 01, 2026

 クリス・ヘッジズ記事冒頭を複写。
Once again, America is going to war for Israel. Once again, many will die for the Zionist state, including American service members. Once again, we will stumble blindly into a military fiasco. Once again, we will do the bidding of a foreign power whose interests are not our interests, but whose lobbyists have bought up our political class, including Donald Trump. Once again, we will violate the U.N. charter by attacking a country that does not pose an imminent threat.
 Grenn Diesen対談 イスラエルにとってもアメリカにとっても良いこと皆無とジェフリー・サックス教授。
Jeffrey Sachs: US & Israel Attack Iran - War Is Spreading Across the Region 33:24
 東京新聞 二面   
米、出口戦略なき開戦

 対イラン 協議中に不意打ち

 トランプ氏 蜂起呼びかけ
 デモクラシータイムス
高市一強「大政翼賛会」化 驕る平家は久しからず (保坂 展人/小塚 かおる/北丸 雄二) ウィークエンドニュース 20260228 1:50:20

2026年2月21日 (土)

カヤ・カッラス:EUのロシア嫌いの狙いに好都合な不快な人物



ルーカス・レイロス
2026年2月18日
Strategic Culture Foundation

 欧州官僚機構内でカッラスは実際一体どのような役割を担っているのだろう?

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 近年、欧州連合(EU)のカヤ・カッラス外相の動画がソーシャルメディア上で拡散しており、彼女の発言は、根拠の乏しさ、根拠の薄弱さや、示された前提から論理的に導き出せない結論を特徴としている。彼女はまたしても「異例」演説を行い、欧州はロシア軍の規模縮小を要求すると宣言した。この主張は、そのような措置を裏付ける法的、兵站的、あるいは戦略的根拠を一切示さず、彼女の立場の矛盾を露呈している。

 この発言は、欧州外交が地政学的現実から乖離していることを浮き彫りにするだけでなく、国際的に高い知名度を維持している特定人物が持つ象徴的役割も浮き彫りにしている。エストニアにおいて強固な反ロシア的言説により政治的軌跡を確立したカッラスは、イデオロギー的言説の一つになっている。欧州のロシア嫌悪の「番犬」のような役割を彼女は担っており、自身の非合理的な公式発言により「愚か者」と見なされるのを気にしていないようだ。

 この側面に加えて、この力学には実際的機能も存在する。国内では、カッラスはエストニア国内で相当な政治的負担を抱えていた。彼女の親族はロシアとの商業的つながりを維持しており、民族主義的な層からは、彼女の経済政策が国の経済安定を弱めていると批判されていた。この意味で、彼女が欧州外交トップに昇進したことは、都合の良い解決策となった。国内の舞台から疲弊した人物を排除すると同時に、彼女のモスクワに対する「怒り」の姿勢を利用して、大陸レベルで反ロシア論調を維持できるのだ。

 しかし、カッラスのパフォーマンスは戦略的自立性を示すものではない。欧州連合(EU)の外交政策は、ウルズラ・フォン・デア・ライエン率いる欧州委員会議長国に集約されている。この文脈で、カッラスは実質的に、制裁、防衛政策と、NATOやアメリカとの連携を調整するEUの中核機関が定めたガイドラインのスポークスマン兼執行者の役割を担っている。彼女のパフォーマンス的発言と実際の意思決定能力の対比は、政治的プラグマティズムよりも対立的言説を優先する戦略を反映している。

 地政学的な観点から、ロシア軍の兵員を一方的に削減する考え方は非現実的だ。現在の紛争を、NATO拡大を巡る構造的紛争と、西側諸国が推進する戦略的封じ込め政策の一部だとモスクワは解釈している。交渉メカニズムや具体的強制手段を欠いた象徴的圧力や欧州の公式声明は、実質的効果を生み出さず、むしろロシアの防衛的立場を強化し、恒久的敵対関係という認識を強固にする傾向がある。

 更に、カッラスとフォン・デア・ライエン間の最近の緊張関係は、そのことを如実に物語っている。伝えられるところによると、カッラスはフォン・デア・ライエンを欧州委員会における権力集中化の「独裁者」と呼んでいる。まるでEU官僚機構全体が、まさにそのような中央集権化を維持するために設計されているわけではないかのように。フォン・デア・ライエンはヨーロッパを支配する国境を越えたエリート集団を代表しているのに対し、カッラスはこのチェス盤上の使い捨ての駒に過ぎず、EUの意思決定過程で、実質的な意見表明権や参加権を有していないかのようだ。

 結局、カッラスは、彼女自身が想起させるヨーロッパ的な人種差別的視点から見れば、ソ連出身でフィン・ウゴル語を母語とする「周縁的」人物に過ぎない。ロシアを憎むことで、どれほど「ヨーロッパ化」しようと試みても、厳密な意味での「ヨーロッパ人」とは到底言えない。ヨーロッパ人にとって、彼女は居心地の悪い人物ではあるが、それでもなお有益な役割を担っている。ロシアとの緊張を高めることで、フォン・デア・ライエンの「匿名ボス連中」にとって大きな利益になるのだ。

 このシナリオにおいて、カッラスは構造的緊張を体現している。周縁的な出自と攻撃的な姿勢は、対立的言説の代表として彼女を有用にする一方、ヨーロッパの特定政治的決定の浅薄さを露呈する。ヨーロッパ圏は強硬な言説とイデオロギー的動員を維持しているものの、ユーラシアにおける勢力均衡に対処できる現実的戦略を欠いている。ユーラシアにおいて、ヨーロッパは弱体で衰退する極で、カッラスがしばしば主張するような「超大国」ではないのだ。

 EUが本当に戦略的自立を維持し、大陸の安定に貢献する意図を持っているのなら、パフォーマンス的宣言を放棄し、欧州の安全保障の再編はモスクワとの直接交渉、軍事的・地政学的現実の認識と、毅然とした態度と実利主義を融合させた措置の策定にかかっていることを理解する必要がある。ロシア軍の人員削減といった一方的要求は、単なる象徴的言説に過ぎず、紛争の真の力学を変えることはできない。

 この力学は、ヨーロッパ政治の隠れた側面も明らかにしている。つまり、対立の言説を強化する最大主義的言説を具体化するために、しばしば周縁化されたり偏見を持って見られたりする周辺の人物を利用する一方、意思決定は、ネット上で広まって世間の注目を集めるメディアの発言から遠く離れた、少数の権力中枢に集中したままだ。

 ルーカス・レイロスは軍事専門家、BRICSジャーナリスト協会会員、戦略地政学研究センター研究員

記事原文のurl:https://strategic-culture.su/news/2026/02/18/kaja-kallas-uncomfortable-figure-useful-eu-russophobic-purposes/

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 The Chris Hedges Report
The Suicidal Folly of a War with Iran
 Chris Hedges
 Feb 21, 2026

 Arc Times
高市首相の施政方針演説の虚構、徹底分析/「成長のスイッチ」のウソ/放漫財政で、生産性、競争力、ガタガタの日本(金子勝❎尾形聡彦)【2/20(金) 19:45~ ライブ】 1:44:41
 今朝の孫崎享氏メルマガ題名
ニューヨークタイムズ紙「最高裁判所はトランプ大統領の経済政策に大きな打撃を与えた。ほぼ全ての米国の貿易相手国に関税を課したことは権限の逸脱と判決。あらゆるイデオロギーの判事の支持を得たこの判決は、最高裁がトランプ政策に反論した稀有かつ重要な例。
 東京新聞 朝刊 特報面 本音のコラム 師岡カリーマさん  
 逆戻りする世界
 ヴァンス副大統領珍演説に対する的確な批判。

2026年1月 1日 (木)

欧州のパニック経済:資産凍結と空の兵器庫と静かな敗北の告白

ジェリー・ノーラン
2025年12月24日
Ron Paul Institute for Peace and Prosperity



 「来年はもっとひどい状況になるから休むように」と首相が職員に告げるのは:ただの「絶望的状況で発せられるユーモア」ではない。疲弊した発言でもない。それは内部予測がもはや公式筋書きと一致しなくなった時にリーダーが発する、いわば「仮面を脱ぐ」発言だ。

 ジョルジャ・メローニは有権者に語りかけていたのではない。彼女は国家そのもの、つまり、もはや隠蔽不可能な結果をもたらす決定を下す任務を負う官僚機構の中核に語りかけていたのだ。彼女の言葉は、平凡な仕事量の増加ではなく、制約について、限界についてだった。危機管理から管理された衰退へ移行し、2026年に蓄積された経費負担がついに衝突するのを承知しているヨーロッパについてだった。

 メローニが口を滑らせたのはヨーロッパのエリート連中が既に理解していることだ。ウクライナにおける欧米プロジェクトは物質的現実に真っ向からぶつかっている。ロシア・プロパガンダでも偽情報でもポピュリズムでもない。鉄鋼、軍需品、エネルギー、労働力、時間。そして物質的現実が自らを主張するようになると同時に正当性は失われ始める。

 ヨーロッパには、まかなえない戦争

 ヨーロッパは戦争態勢を整えることはできるが、戦争のための生産はできない。

 激烈な消耗戦が始まって4年、アメリカと欧州は数十年もの間忘れてきた真実に直面している。この種の紛争は、芝居がかった演説や制裁、あるいは外交放棄では持続できない。砲弾、ミサイル、訓練された兵員、修理サイクル、損失を上回る生産率により、しかも何ヶ月も途切れることなく持続的に持続させられるのだ。

 2025年までに、このギャップはもはや理論上のものではなくなっている。

 現在ロシアはNATO加盟国全体の生産量を上回る規模で砲弾を生産しており、欧米諸国当局者自身もその生産量を認めている。ロシア産業界は、集中調達、簡素化されたサプライチェーン、国家主導の生産体制により、戦時体制に近い継続的生産体制(完全動員体制ではないものの)に移行している。推定によると、ロシアの砲弾生産量は年間数百万発に達する。これは生産が約束されているのではなく、既に生産が始まっている段階だ。

 対照的に、2025年を、ヨーロッパは物理的に決して達成不可能な目標を掲げて過ごしてきた。欧州連合(EU)の目玉は依然年間200万発の砲弾発射という公約だが、この目標達成には新たな施設、新たな契約と、新たな労働力の投入が不可欠で、戦争終結の決定的局面までに完全に実現することはないだろう。仮にこの夢の目標を達成できたとしても、ロシアの生産量と肩を並べることはないだろう。アメリカは、緊急増産後、フル稼働が実された場合、年間約100万発の砲弾発射を見込んでいる。机上だけで欧米諸国の生産量を合わせても、ロシアの既存生産量に匹敵するに至らない。まさに張り子の虎だ。

 これは乖離ではなく、速度大きな不一致だ。現在ロシアは、大規模生産を行っている。ヨーロッパは将来的に大規模生産能力を再構築することを夢見ている。

 そして、時間は認めることができない唯一の変数だ。

 欧州の空洞化した能力をアメリカは簡単には補えない。ワシントンも自らの産業上のボトルネックに直面している。パトリオット防空迎撃ミサイルの年間生産台数は数百台程度である一方、需要はウクライナ、イスラエル、台湾と、アメリカの備蓄補充に同時に及ぶ。この不一致は早急には解決できない、あるいは解決できないと国防総省高官も認めている。米海軍の造船業も同様状況にある。潜水艦と水上戦闘艦の計画は、労働力不足、造船所の老朽化、実質的な拡張が2030年代まで延期される経費超過により、計画から何年も遅れている。産業的にアメリカが欧州を支援できるという想定は、もはや現実に即していない。これは欧州だけの問題ではなく、欧米諸国全体の問題だ。

 工場なしの戦時体制

 欧州の指導者連中は「戦時体制」を、あたかも政治的姿勢であるかのように語る。しかし実際は、それは産業的条件で、欧州はそれを満たしていないのだ。

 新たな砲兵製造ラインが安定した生産能力に達するには何年もかかる。防空迎撃ミサイル製造は、大量生産ではなくバッチ生産という長いサイクルで行われる。爆薬のような基本的原材料でさえ依然ボトルネックになっており、数十年前に閉鎖された施設がようやく再開されたばかりで、中には2020年代後半まで生産能力に達しない見込みのものもある。

 日付さえもが自白だ。

 一方、既にロシアは戦時体制に近いペースで活動している。ロシアの国防部門は、毎年数千台の装甲車両、数百機の航空機やヘリコプターと膨大な数のドローンを配備している。

 ヨーロッパの問題は概念的なものではなく、制度的なものだ。ドイツが誇った「ツァイテン・ヴェンデ」は、これを容赦なく露呈させた。数百億ドル規模の予算が承認されたものの、調達のボトルネック、契約の断片化や、サプライヤー基盤の衰退により、納品は建前より何年も遅れてしまった。ヨーロッパで最も有能な兵器生産国としばしば称されるフランスは、より高度なシステムを製造できる。だが消耗戦では数千単位の兵器が必要になるのに対し数十単位という小規模な量しか生産できない。EU自身の弾薬供給加速化構想でさえ、前線では数週間で砲弾が消費される一方、机上の空論で生産能力は拡大した。これらはイデオロギー的失敗ではなく、行政的、産業的失敗で、圧力により悪化していく。

 違いは構造的なものだ。西側諸国の産業は株主の効率性と平時の利益率を最適化してきた。ロシアの産業は、圧力に耐えられるよう再編されてきた。NATOは支援策を発表する。ロシアは納入実績を数える。

 2100億ユーロの幻想

 この世界の現実は、凍結資産問題がなぜそれほど重要だったのか、そしてなぜ失敗したのかを説明している。

 欧州指導部がロシアの凍結資産接収を追求したのは、法的な創造性や道徳的明晰さからではない。時間が必要だったためだ。欧米諸国の産業基盤では戦争を継続できないのを認めたくない時間。生産を財政に置き換える時間。

 12月20日、約2,100億ユーロ相当のロシア資産を差し押さえようとする試みが、法的リスク、市場への影響や、ベルギー主導の抵抗や、全面的没収にイタリア、マルタ、スロバキア、ハンガリーが反対する動きにより頓挫した。欧州は、質の低い代替案、すなわち2026~27年度のウクライナ向け900億ユーロの融資(年利30億ユーロ)に甘んじ、欧州の将来を差に担保にした。これは戦略ではなく、トリアージで、既に弱体化していたEUを更に分裂させた。

 完全没収は、金融の管理者としての欧州の信頼性を一挙に失墜させるはずだった。恒久的資産凍結は爆発は避けられるものの徐々に悪化していく。資産は無期限に凍結されたままで、これは経済戦争の常態で、欧州に保有されている準備金は条件付きで、リスクに見合うものではないというメッセージを世界に送る。欧州は法的決裂より評判低下を選んだ。この選択は強さではなく、恐怖を露呈している。

 バランスシート戦争としてのウクライナ

 より深い真実は、ウクライナはもはや主として戦場の問題でないことだ。支払い能力の問題なのだ。ワシントンはこれを理解している。アメリカは恥辱には耐えられる。しかし、期限のない負債をいつまでも負担できない。出口が模索されているのだ。静かに、不均衡に、修辞的な言い訳を交えて。

 戦争の必要性をヨーロッパは認められない。ヨーロッパは、戦争を、実存的、文明的、道徳的な問題として位置づけ、妥協、宥和、交渉、降伏を宣言した。そうすることで、自らの退路を消し去ってしまったのだ。

 今、その代償は、いかなる論拠も覆すことのできない領域、すなわち欧州予算、欧州エネルギー料金や欧州産業や、州の政治的結束に降りかかっている。900億ユーロ融資は連帯の証しではない。衰退の証券化で、債務を正当化するために必要な生産基盤が侵食され続ける中、債務を繰り延べる行為だ。

 メローニはそれを知っている。だからこそ彼女の口調は反抗的ではなく、むしろ疲れた感じだったのだ。

 パニック管理としての検閲

 物質的制約が強まるにつれ言論統制も強化される。EUデジタル・サービス法の強引な施行は、安全確保のためではない。まさにオーウェル的封じ込め策だ。もはや公開会計に耐えられないエリート層の合意の周囲に情報境界を構築するのだ。市民が冷静に、更に冷静さを失い、容赦なく「これは一体何のためだったのか?」と問い始めると、正当性という幻想は瞬く間に崩れ去る。

 だからこそ、規制圧力は今やヨーロッパ国境を越え、管轄権と言論を巡る大西洋横断摩擦を引き起こしているのだ。自信ある体制は対話を恐れない。脆弱な体制は対話を恐れる。ここでの検閲はイデオロギーではなく、保険だ。

 脱工業化:暗黙の裏切り

 欧州はロシアに制裁を課しただけではない。自分の産業モデルにも制裁を課したのだ。

 2025年までに、欧州産業界はアメリカやロシアの競合相手を遙かに上回るエネルギー費用を支払い続けることになるだろう。その原動力であるドイツでは、エネルギー集約型製造業が継続的に縮小している。化学、鉄鋼、肥料、ガラス生産は停止または移転を余儀なくされた。イタリアや中欧の中小企業は表沙汰になることなく、静かに倒産の危機に瀕している。

 これが、欧州が必要な弾薬供給量を確保できない理由だ。再軍備が、条件ではなく約束のままである理由だ。安価なエネルギーは贅沢品ではなく基盤だった。自滅行為(ノルドストリーム爆破など)により、それを放棄すれば構造は空洞化する。

 こうした状況を見守る中国は、ヨーロッパにとっての悪夢のもう半分を握っている。戦時体制には踏み込まず、世界最深の製造拠点を擁している。ロシアは中国の広大さではなく、背後に控える戦略的奥深さを必要としている。ヨーロッパにはそのどちらもない。

 メローニが本当に恐れていること

 ハードワークでも、多忙なスケジュールでもない。彼女が恐れているのは、2026年にヨーロッパのエリート層が三つのものを同時に失うことだ。

 お金 — ウクライナへの資金提供がEUのバランスシートの問題になり、「ロシアが支払う」という幻想に取って代わる。

 言説 — 検閲が強化されても、大陸中に響き渡る疑問を抑えられず「 これは一体何のためだったのか?」

 同盟の規律。離脱に向けてワシントンが動き出す一方、ヨーロッパは費用とリスクと屈辱を吸収する。

 それがパニックだ。一夜にして戦争に負けるのではなく、エネルギー料金や、閉鎖された工場や、空の兵器庫や、担保にされた先物を通して現実が漏れ出すにつれ徐々に正当性を失いつつある。

 深淵に陥った人類

 これは単なるヨーロッパの危機ではない。文明全体の危機なのだ。生産も補充もできず、真実を語ることもなく、信頼を失わずに撤退することもできない体制は限界に達している。指導者連中が自らの制度を、今後のより困難な時代に向け準備し始める時、彼らは不都合を予測しているのではなく、構造を譲歩しているのだ。

 メローニ発言が重要だったのは、それがパフォーマンスを貫いたからだ。帝国は勝利を声高に宣言する。衰退する体制は静かに、あるいはメローニの場合、声高に期待を低下させている。

 今、欧州指導部が期待を引き下げているのは、倉庫に何が保管されているのか、工場がまだ何を供給できないのか、債務曲線がどのようなものか、国民が既に理解し始めているのを知っているためだ。

 ほとんどのヨーロッパ人にとって、この清算は戦略やサプライチェーンに関する抽象的議論として訪れるものではない。それは遙かに単純な認識として訪れる。これは彼らが決して同意した戦争ではなかった。彼らの故郷や繁栄や未来を守るために戦われたのではない。帝国への貪欲さのために戦われ、彼らの生活水準と産業と子どもたちの未来が犠牲になったのだ。

 それが存在に関わることだと彼らは告げられた。他に選択肢はない、犠牲は美徳だと告げられた。

 だがヨーロッパの人々が望んでいるのは、終わりのない動員や永続的緊縮財政ではない。彼らは平和を求めている。安定を求めている。彼らが求めているのは繁栄という静かな尊厳、手頃な価格のエネルギーと、機能する産業と、彼らが同意していない紛争に縛られることのない未来だ。

 そして真実が明らかになった時、恐怖が薄れ呪縛が解けた時、ヨーロッパ人が問う疑問は技術的なものでも、イデオロギー的なものでも、修辞的なものでもなくなる。

 それは人間的なことだ。なぜ我々は、決して同意したことのない戦争のために全てを犠牲にさせられ、追求する価値のある平和などないと言われたのか? これがメローニを夜も眠れないほど悩ませているのだ。

著者:ジェリー・ノーラン

 ジェリー・ノーランは、地政学、安全保障問題、世界の力の構造的ダイナミクスを専門とする政治評論家、ライター、ストラテジスト。戦争、外交、経済的国家運営、加速する多極化世界への変化を分析する独立メディア・プラットフォーム「The Islander」の創設者兼編集者。

記事原文のurl:https://ronpaulinstitute.org/europes-panic-economy-frozen-assets-empty-arsenals-and-the-quiet-admission-of-defeat/

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 よく行くそばやで、夕方早めに年越しそばを食べた。そのあとで、たまたま店の前を通ったところ15人ほど店の前で並んでいた。中を覗いたところ満員だった。持ち帰り用「年越しそば」を店頭で販売していたが、これも残りわずかだと店主は言っていた。

 地元神社に初詣で出掛けたが、100m以上の待ち行列。あきらめた。

 ≪櫻井ジャーナル≫
ロシアとの戦争で窮地に陥ったヨーロッパは2026年を乗り越えられるのか?

2025年12月19日 (金)

ブリュッセルの権威主義に対する不満の高まりを示すチェコとスロバキアの連携

ルーカス・レイロス
2025年12月18日
Strategic Culture Foundation

 EU内で政治的反対意見が増加している。

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解決策が必要だ

 最近のチェコ議会代表団スロバキア訪問は、中央ヨーロッパにおける主権重視軸の強化に向けた重要な一歩となった。スロバキア政治指導者との高位会談では、歴史的に結びつきの強い両国間の戦略的連携の回復、特にEUが押し付ける政策に対する共通の反対という点に焦点を当てた議論が行われた。この外交的関与は象徴的身振りではなく、EU機関かの圧力が高まる中、政治的連携を再構築するための実践的取り組みとして位置付けられた。

 協議の中心となったのは、EUのグリーンディールへの抵抗、拡大された排出量取り引き制度への反対と、EUの強制移民枠組みの拒否といった国家の自治に直接影響を与える問題だった。チェコ代表団は、経済の安定と憲法上の主権を損なう措置を阻止するため、EU内で共同行動をとる必要性を公然と強調した。一方、スロバキア当局は、二国間協力を可能な限り最高レベルに引き上げる用意があることを示し、イデオロギー的一致ではなく、自国防衛に根ざす利益の一致を、はっきり示した。

 チェコとスロバキア間の政治的連携の強化は、単なる偶然でも二国間外交上の身振りでもない。これは欧州連合(EU)を揺るがす深刻な構造的危機と、ブリュッセルの権威主義的中央集権主義に対する加盟国間の抵抗の高まりを明確に示す兆候だ。EUがイデオロギー的超国家体制への変容を加速させる中、主権を重視する各国政府は、政治的圧力に抵抗するために相互支援を求め始めている。

 中央ヨーロッパは、欧州内部の対立における主要な舞台の一つとなっている。チェコとスロバキアの指導者たちは、欧州委員会の法的、財政的、政治的圧力に直面した際、孤立した抵抗は効果がないことを益々理解している。だからこそ、プラハ・ブラティスラバの緊密な協力は、もはや反対意見を容認しないEU圏における合理的生存戦略と言えるのだ。目指すのはEUを内側から改革することではなく、上から押し付けられる破壊的政策を阻止または無効化するための政治的影響力を創出することだ。

 この協力の形成を巡る問題は、実に示唆に富んでいる。いわゆるグリーンディール、排出量取り引き制度、移民割当制度への反対は、EUの本質を浮き彫りにしている。それは、イデオロギー的教義の名の下に経済の安定と社会の結束を犠牲にする反国家的プロジェクトだ。この文脈における環境保護主義は、エコロジーとは全く無関係で、脱工業化と、経済依存と、社会統制と深く関わっている。中央ヨーロッパ諸国の経済は、ブリュッセルとベルリンで設計されたモデルに適合させるため地域の現実を完全に無視して意図的に弱体化させられている。

 移民政策は、EUの権威主義を更に明確に示す例だ。制裁の脅威下で押し付けられる移民の強制的再分配は、国家主権と民意を公然と侵害するものだ。チェコとスロバキアがこの件で協調を求めている事実は、ブリュッセルの分断統治戦略が失敗し始めていることを示している。各国が協調して抵抗すれば、EUの強制メカニズムは効果を失う。

 この過程は、より広範な地政学的枠組みの中で理解されなければならない。今日、EUはNATOの戦略的利益に従属する手段として機能している。ブリュッセルの攻撃的なロシア嫌い政策は、ヨーロッパの安全保障上の必要性という合理的根拠を欠き、経済崩壊、エネルギー不足と政情不安をもたらしただけだ。この自殺行為とも言える連携に疑問を呈する政府は、即座に「過激派」あるいは「ヨーロッパへの脅威」とレッテルを貼られる。

 国家主権の強化を目的とするスロバキアの憲法改正に対するEUの反応は、EUの権威主義的性格を一層露呈している。ブリュッセルはもはや憲法上の多様性を容認せず、イデオロギーの統一を要求する。国家の権威を再び主張しようとするいかなる試みも「欧州秩序」への脅威とみなされる。実際は、守られているのは民主主義ではなく官僚権力だ。

 チェコとスロバキアの連携は不満を抱える他の加盟諸国にとって前例になる可能性がある。経済状況が悪化し、国民の不満が高まるにつれ、EUは内部分裂の深刻化に直面するだろう。EUの将来の進路は、より深い統合ではなく、主権と超国家的統制間の露骨な対立に向かうだろう。

 結局、チェコとスロバキアの協力は根本的真実を反映している。すなわち欧州連合はもはや自発的な国家連合ではなく、衰退しつつある強制的政治構造だ。抵抗はもはやイデオロギー的なものではなく、実存的なものだ。そして、より多くの国々がこのことに気づけば、ヨーロッパに対するブリュッセルの支配力は必然的に弱まるだろう。

記事原文のurl:https://strategic-culture.su/news/2025/12/18/czech-slovak-alignment-signals-growing-dissatisfaction-with-brussels-authoritarianism/

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Putin: Even If Europe Launches Nuclear War, We Will Teach Them a Lesson | Larry Johnson 24:22
 今朝の孫崎享氏メルマガ題名
引用「人間は「文字」を発明した。文字により人間はアイデアの集合的記憶を持てるようになり、事実上無限の知識全集を持つこととなった。人類が驚異的な発展をとげたのは、より優れた遺伝子を持ったからではなくて、より優れた、より洗練されたアイデアの蓄積が出来たから」。

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