東ヨーロッパ・バルト諸国

2025年5月 9日 (金)

全速力で進むヨーロッパの戦争準備:フランス人軍事地図製作者はルーマニアで一体何をしているのか?



エルキン・オンカン
2025年4月17日
Strategic Culture Foundation

 トルコが果たす役割は、NATO加盟国としても地域大国としても特に重要だ。

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 ロシアとの紛争の可能性に備えて、フランス軍地図製作者がルーマニアに駐留しているという衝撃的記事をフランス新聞「ル・フィガロ」が掲載した。「ロシアとの緊張が高まる中、NATOの東側陣地にフランス軍の地図製作者が展開」と題されたニコラ・バロテ記者による記事は、ロシア攻撃を想定した新たな軍事準備について詳述している。

 報道によれば、ルーマニアとモルドバ、ウクライナの国境沿い地域地図をフランス軍地図製作者が作成中だという。

 5kmごとに給水塔や鐘楼などの高所を兵士が特定していることが注目される。

 フランス軍兵士によれば、これら建造物は必要に応じて砲撃標的地点として利用される予定だという。

 部隊移動経路と軍の前進軸を含む非常に詳細な地図もフランス軍は作成した。この地図作成の主目的は、衛星信号が途絶えた場合でも地上で方向感覚を確保することだ。
 
地図作製を実施したのは一体誰か?

 地図作成作業は第28地理集団(28e Groupe Geographique)により実施された。

 「28e GG」の略称で知られるこの部隊は、ストラスブール近郊のアグノーに駐屯しており、規模は小さいながらも、フランス陸軍において最も戦略的な部隊の一つだ。28e GGは、陸軍に対し地理情報、地図作成、地形解析支援を提供している。長年にわたり情報司令部の管轄下に置かれていたが、2023年秋、工兵旅団(brigade du genie)に再編された。

 軍事作戦において極めて重要な役割を担うこの部隊は、作戦地域における地図作成、LIDAR(レーザー測位技術)、ドローン、モバイル・データ収集装置などを用いた3D地形地図作成を担当している。軍事標的やインフラへの経路特定、衛星信号が途絶えた場合に備えた基準点決定、標的識別や火力支援計画策定における砲兵支援も行っている。350名の隊員で構成されるこの部隊は、作戦だけでなく計画策定過程にも積極的に参加している。
 
ルーマニアにおけるフランス軍駐留

 一方、フランス軍のルーマニア駐留は目新しいものではない。ロシア・ウクライナ戦争勃発時、NATOによるルーマニア東部防衛強化の一環として、フランスはルーマニア中部のトランシルヴァニア地方にあるチンクに1000人の部隊を派兵した。

 フランス軍兵士は、NATOが設立したルーマニア駐留多国籍戦闘集団も指揮している。
 
なぜルーマニアなのか?

 フィガロ紙によれば、部隊は既にルーマニアで作成した地図をアグノー本部の壁に掲示しているという。

 ルーマニアの地図では、国の地形が3次元で表示されている。第28師団は5kmごとに基準点を設定し、軍の移動経路の地図を作成した。

 この地図は、Googleストリートビューに類似した技術を用いて作成された。28eGGが使用した高解像度カメラとレーザー・センサーを搭載した車両が、この地域を3Dスキャンしたのだ。

 この軍事準備の最も重要な側面はフォクシャニ門だ。
 
フォクシャニ門

 フォクシャニ門(またはフォクシャニ峠)はルーマニア東部に位置し、歴史的、軍事戦略的に非常に重要な地域だ。

 東カルパティア山脈とドナウ川平野の間の狭く平坦な地峡で、モルドバ、トランシルヴァニア、ドナウ川地域を結ぶ回廊として機能している。

 周囲の山岳地帯と異なり、この平坦な地域は防御が難しく、攻撃が容易だ。

 この経路を通ってロシアが攻撃を仕掛ける可能性があるとNATOが想定していることから、フォクシャニを経由するロシア侵攻が成功すれば、その侵攻はルーマニア中心部にまで広がり、コンスタンツァを経由して黒海にまで達する可能性があると予想されている。

 更に、オスマン帝国、ロシア、ドイツ、ソビエト連邦が、フォクシャニを軍事目的で歴史的に利用してきたことは、この地域の戦略的関心に貢献している。
 
フォクシャニ経由でロシアが攻撃したらどうなるか?

 フォクシャニへの重点的取り組みは「ロシア侵攻」という物語の下、ヨーロッパを軍事化しようとする広範な取り組みの一環なのは確実だ。だがNATOの想定が現実のものとなったらどうなるだろう?

 予想通りフォクシャニを経由してロシアが攻撃した場合、最初に遭遇する部隊はルーマニアの第8師団と第2歩兵師団になるだろう。最初の航空攻撃は、フェテシュティ空軍基地とボルチャ空軍基地に駐留するルーマニア軍航空機により行われることになるだろう。

 仮にNATOが第5条を発動し、ロシアと全面対決すると決断すれば、ルーマニアの黒海沿岸にあるミハイル・コガルニセアヌの米空軍基地も関与することになるだろう。

 フォクシャニを経由してロシアが攻撃した場合、バルト地域におけるNATOの強力な存在は主要な影響を与えないだろう。例えば、カルパティア山脈の存在により、ポーランドをはじめとするバルト諸国がモルドバ・ルーマニア軸に直接介入するのは兵站的に困難だろう。これらの国々はせいぜいロシアに対する新たな戦線を北部に展開する陽動作戦を展開する程度だろう。

 このようなシナリオで、NATOのもう一つの主要部隊として思い浮かぶのは、2001年にNATOの即時対応部隊として設立されたNATOイタリア緊急展開軍団だ。
 
トルコの立場

 バランス外交を脇に置き、NATOで二番目に大きな陸軍を有する国としてトルコが同盟義務を履行すると仮定すれば、可能性があるトルコの行動には、72時間以内に部隊をルーマニアに派遣することが含まれるだろう。

 2023年現在、トルコは第66機械化歩兵旅団(イスタンブール)やコマンド旅団など即応性の高い部隊と共に非常に高い即応性を備えた統合任務部隊(VJTF)に加盟している。

 この文脈で、イスタンブールの第66機械化旅団と、シリアでの作戦で経験を積んだコマンド旅団が、ルーマニアに地上支援を提供できる最速部隊だと思われる。

 トルコ海軍は黒海最大のNATO海軍力でもあり、フリゲート艦、高速攻撃艇、掃海艇を駆使して第2常設NATO海洋グループ(SNMG2)と第2常設NATO対機雷グループ(SNMCMG2)に交代で参加している。

 同様に、トルコの空軍力は、ルーマニアのNATO基地に戦闘部隊と弾薬の増援を空輸できる。また無人機や海上哨戒機を活用すれば、偵察・抑止任務を遂行できる。NATOの作戦計画に基づき、上陸能力を備えた水陸両用部隊やSAT/SASコマンド部隊をルーマニア領内に展開させることも可能だ。

 もちろん、このようなシナリオにおいて、トルコが直接軍事介入する可能性は、トルコの伝統的なバランス志向の外交政策の範囲外だと考えられている。

 現在の政治状況下では、このようなシミュレーションが実現する可能性は明らかに低いが、そのためには、ロシアがまずオデーサを占領してモルドバ国境に到達し、次にモルドバ(トランスニストリア)経由でルーマニア侵攻を試みることが必要になる。

 だが今のところトルコが直接戦争に関与する可能性は低いものの、現在の「抑止力」の概念の範囲内でトルコが新たな責任を担う可能性に関し声高に議論されることが増えている。

 特に、欧州をドナルド・トランプ大統領が「見捨てた」と見られ、トルコに注目が集まっている政治情勢において、最近レジェップ・タイイップ・エルドアン大統領がアンタルヤ外交フォーラムで述べた「トルコは欧州の安全保障に責任を負う用意がある」という発言は、トルコが近い将来、欧州の安全保障体制において、より積極的な役割を果たすことをこれまでで最も明確に示している。

 最近、トルコ軍がウクライナに派遣されるという話が多く出ているが、NATOの重要地域であるルーマニアにトルコ軍が派遣されても驚くには当たらない。
 
結論

 東欧に加え、南東欧もロシアの潜在的攻撃ルートとNATOは見なし、それに応じて戦争準備を調整している。トランプ政権下で米欧関係は依然不安定な状況にあるが、現在進行中の準備は、どちら側もアメリカが短期間で欧州から軍を撤退させると本当に信じてはいないことを示唆している。実際、NATOとアメリカの当局者は、既にこの件について「安心感を与える」ための取り組みを開始している。

 一方、NATOはルーマニアをロシア攻撃時の戦略的なルートと見なし、この地域を軍事的に極めて重要な地域と位置付けている。しかし、ルーマニアのような国における反NATOまたは反EUへの傾倒は、現在の戦略に深刻な打撃を与えるのは明らかだ。この事実は、ルーマニア大統領選挙第一回投票からも既に明らかだ…

 現在ルーマニアは、NATOの南東側で重要な役割を果たしているものの、政治的志向の変化の兆候が現れ始めている。2024年ルーマニア大統領選挙第一回投票では、親欧米派および親EU派政党が大きく後退し、一方民族主義とEU懐疑派勢力が勢いを増した。この変化が続けば、この地域におけるNATOの将来計画に深刻な課題をもたらす可能性がある。

 ロシアとの長期的対立を見据え、NATOは東部および南東部の戦線を強化する一方、加盟諸国の政治的変容を注意深く監視する必要がある。国民の不満や国家主義的な言説や極右政治運動の台頭が、同盟の結束力と作戦能力を損なう可能性がある。

 更に、現在の米欧同盟は軍事協定のみに基づいて構築されているわけではないことが明らかになりつつある。この同盟の持続可能性は、加盟諸国における国内の政治的安定と国民の支持にも左右される。こうした文脈で、NATO加盟国として、そして南東欧と黒海流域の発展に影響を与える地域大国として、トルコが果たす役割は特に重要だ。

 ルーマニアにおけるフランス軍による地図作成活動は、一見すると日常的な技術作戦のように見えるかもしれないが、実際は、より広範な戦争準備の一環だ。地図作成場所の選択や詳細度や、フォクシャニ門のような脆弱な回廊への重点的取り組みは、綿密に練られた軍事的緊急事態対応計画を物語っている。

 要するに、ヨーロッパは再び戦争準備を進めているのだ。今回は遠く離れた敵ではなく、強大で核兵器を保有する隣国との戦争だ。そして、こうした断層線の交差点に位置するルーマニアのような国々は、急速に軍事化が進んでいる。これが本物の準備なのか、それとも計算された抑止力なのかはさておき、確かなことが一つある。戦争の地図を描いた連中は既に動き出している。

記事原文のurl:https://strategic-culture.su/news/2025/04/17/full-speed-ahead-for-war-preparations-in-europe-what-are-french-military-cartographers-doing-in-romania/

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 Daniel Davis/Deep Dive  
John Mearsheimer: Why the EU Can't End Russia Ukraine War 52:15
 植草一秀の『知られざる真実』
対米交渉の戦略上の誤り
 今朝の孫崎享氏メルマガ題名
①コルビー米国防次官(政策担当)が英軍に、インド太平洋地域への関与を減らせと発言、②台湾の国防副部長訪問時、台湾の要請する武器供与を拒否は断片的出来事か意味があるか、一つの解釈「バイデン政権の「アジア回帰」から、トランプ政権下「選択と集中」型の戦略へのシフトの可能性

2025年5月 4日 (日)

「ロシアを制裁しなければクラブに入れてやらない」と戦勝記念日を前にセルビアを脅迫するユーロ官僚


イアン・プラウド
2025年4月20日
Strategic Culture Foundation

 ウクライナ戦争で「我々につくのか、ロシアにつくのか」の二者択一をブリュッセルの欧州官僚がセルビアに迫っている。

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 スロバキアをはじめとする中央ヨーロッパ諸国が、ブリュッセルにおける反民主主義的な動きに不満を募らせる中、欧州委員会はEU加盟を目指すセルビアなどの国々に対し、ロシアとの関与を断ち切り、代わりに制裁を課すよう圧力を強めている。これは欧州構想にとって暗い兆しだと言える。

 スロバキアのロベルト・フィツォ首相とセルビアのアレクサンダル・ヴチッチ大統領は、第二次世界大戦終結80周年を記念し、5月9日にモクワで行われる戦勝記念日パレードに出席する予定だ。両者の大きな違いは、スロバキアはEU加盟国である一方、セルビアは将来の加盟を希望している点だ。

 4月14日のEU外相会議後、「ロシアが実際に欧州で本格的戦争を仕掛けていることを考えれば、5月9日にモスクワで行われるパレードや祝賀行事へのいかなる参加も欧州では軽視されない」とEU外務安全保障上級代表カヤ・カラスは述べた。

 ラトビアのバイバ・ブラジェ外務大臣も発言し、「EU加盟国は候補者に対し、EUの価値観にそぐわないとして、5月9日のモスクワでの軍事パレードに参加せず、そのような旅行もしないよう明確に指示しており、制裁措置も含め、CFSPの価値観と整合性に関する議論」を指摘した。

 エストニア外務省のヨナタン・フセリオフ事務総長は、より率直にこう述べた。「セルビアには、特定の決定には代償が伴うことを理解してもらう必要がある。その結果、彼らは欧州連合(EU)に加盟できない。」

 欧州連合(EU)の内部手続きは、脅迫や恐喝が常態化するほど武器化されている。2020年以降、EU加盟プロセスの変更により、加盟国は加盟プロセスのあらゆる段階で加盟候補国を阻止できるようになった。

 セルビアは、加盟プロセスの第3クラスター(競争力と包括的成長)の進展に向けた取り組みを、交渉開始に制度上有利な立場にあるように見えるにもかかわらず、ここ数年行き詰まっている。

 ハンガリーは、クラスター3交渉を2024年12月に開始することで合意を得ようとしたが、いつもの札付き、エストニアとラトビアとセルビアの隣国クロアチアを含むEU7カ国に阻止された。理由として挙げられたのは、セルビアがロシアへの経済制裁を拒否したこと、その「不明確な地政学的方向性」と、コソボとの関係だ。

 セルビアが欧州との関係とロシアとの関係で取ってきたバランスのとれた路線は、ヴチッチ大統領が権力を握っている限り、ブリュッセルにおける大きな争点となるだろう。

 ヴチッチはしばしば対話とウクライナ戦争の平和的解決を訴えてきた。しかし、それは彼がモスクワのあらゆる点に同意しているという意味ではない。彼はクリミアをロシア領として承認していない。これはセルビアがコソボの独立を認めていないのと同じ理由だ。だが、彼が指摘する通り、バルカン半島諸国と旧ソ連圏諸国間の関係は複雑で、特定の分野では大きな相違があるにもかかわらず、対話は極めて重要だ。

 セルビア外交政策のあらゆる側面が親ロシア的だと断言するのは全くの誤りだ。だが、ジョージアの場合と同様、ウクライナ戦争と欧州の継続的な民主主義の行き過ぎが相まって、ブリュッセルの欧州官僚連中はセルビアに二者択一を迫っている。「我々かロシアか」。

 セルビアはロシアとの健全な関係維持に尽力する一方、2009年に初めてEU加盟を申請し、2012年に候補国としての地位を獲得して以来、長年にわたりEU加盟への真摯な姿勢を示してきた。かつては、セルビアが2025年、つまり今年までのEU加盟を目指して奔走しているように見えた時期もあった。政府には欧州統合省が設置されている。2020年のパンデミックによる落ち込みを除けば、セルビアの年間経済成長は力強く、経済開放に向けて大きな前進を遂げている。

 しかし、ヴチッチ大統領は最近、セルビアが2030年より前にEUに加盟する可能性は低いと示唆した。それでもなお、あまりに野心的だと思う。たとえウクライナで和平が実現したとしても、ウルズラ・フォン・デア・ライエンとカヤ・カラスが2029年半ばまでEUの事務総長を務める状況で、ロシアに対するEU制裁が完全に解除されると賭けるのは、楽観的な見方でなければ不可能だ。そして、制裁に関するセルビアの立場は、この期間中、加盟交渉を凍結させるだろう。

 こうした状況にもかかわらず、ヴチッチ大統領は5月9日にモスクワ訪問予定だ。第二次世界大戦で戦死したユーゴスラビアの100万人を追悼するため、セルビア軍部隊は赤の広場で行われる戦勝記念パレードに参加予定だ。

 最近のインタビューで、セルビアのミリツァ・ジュルジェヴィッチ=スタメンコフスキ家族・人口大臣は次のように述べた。「EUがロシアに対する制裁と対決を常に主張し、ウクライナ紛争に関して合理的解決策を避け、自らの機関における民主的正当性の深刻な欠如を認めようとしないこと、これら全てが欧州プロジェクトの権威と魅力を深刻に損なっている。」

 そのため、セルビアのEU加盟への意欲は冷めつつあるのかもしれない。EU加盟国であるクロアチアやエストニアなどのEU加盟国と足並みを揃えない限り、セルビアが欧州に加盟することは決してないだろうという認識が広まりつつあるからだ。

 EUの政治家たちは、3月のセルビア政府の崩壊につながった広範な反政府抗議行動を支持してきた。これは、2024年11月にノヴィ・サド駅で16人が死亡した悲劇を受けて、汚職と過失の疑惑が浮上したことを受けてのことだった。セルビア国内の状況は、新政権樹立により安定しつつあるように見える。

 だがEUとアメリカがトビリシの政権交代を積極的に求め、前大統領の任期終了が近づくにつれジョージアにかけられた大きな圧力が、ここにも反映されているのは憂慮すべきだ。

 スロバキアは既にEU加盟国であるため、益々不満を募らせるロベルト・フィツォ首相は、5月9日のモスクワ訪問に関するブリュッセルからの脅迫への対応上、ヴチッチ首相ほど制約を感じていないようだ。Xへの投稿で彼は次のように述べている。

 カラスの警告は一種の脅迫なのか、それともモスクワから帰国したら処罰されるというシグナルなのか。私には分からない。しかし、1939年ではなく2025年であるのは確かだ。カラスの警告は、EU内で民主主義の本質について議論する必要があることを改めて示している。ルーマニアとフランスで大統領選挙に関連して何が起きたか、ジョージアとセルビアで欧米諸国が組織した「マイダン」について…そして私はEU内でウクライナの平和の必要性を一貫して訴え、この無意味な戦争の継続を支持しない数少ない人物の一人であることを改めてお伝えしたいと思う。カラス氏発言は失礼で、強く抗議する。

 私も全く同感だ。

記事原文のurl:https://strategic-culture.su/news/2025/04/20/sanction-russia-or-you-cant-join-our-club-eurocrats-blackmail-serbia-ahead-victory-day/

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 Sabby Sabs Larry C. Johnson、経歴を語る。
Larry C. Johnson: CIA, Ukraine, Trump and More! 1:01:45
 今朝の孫崎享氏のメルマガ題名
日本社会は基本的に米国に隷属していれば①経済は繫栄、②軍事上の安全は保たれると思ってきた。今変化、①石破首相発言(国益冒してまで早期妥結は求めない)、②安全保障に関する世論調査-米国は本気で日本を守らないー。背景に自動車関税。日米主張継続。早期関税合意は不可能。

2025年2月28日 (金)

NATOを追い込むことになるジョルジェスク逮捕



ロレンツォ・マリア・パチーニ
2025年2月27日
Strategic Culture Foundation

 カリン・ジョルジェスクが逮捕された。今ルーマニアには絶好の機会がある。

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どれほど酷い状況でも、何か良い可能性があるものだ。

 2025年2月26日、ルーマニアの2024年選挙で大統領に選出され、その後EUの圧力によりルーマニア国内法に違反して選挙結果を無効にされ罷免されたカリン・ジョルジェスクが、ルーマニア大統領選立候補を表明する途中で逮捕された。彼が乗っていた車は交通渋滞に巻き込まれ、彼は検事総長事務所で尋問を受けた。

 皆様、これがヨーロッパ民主主義のもう一つの典型的逸話だ。民主主義の傲慢さと横柄さ、そして情報戦争だけでは十分でなくなった時、ロンドンやワシントンやテルアビブの取り巻き連中は強引な戦術に訴えるのだ。これは確かに目新しいことではないが、毎回衝撃的なのは、市民の大半が無力なまま傍観する中、このような出来事が全くの無関心で行われることだ。あるいは、そうではないのかも知れない。

 今回は状況が非常に白熱している。選挙では、ジョルジェスクは22.94%の票を獲得し、最有力候補と目されていた元首相マルセル・チョラクと(選挙運動がUSAIDから資金提供を受けた)エレナ・ラスコーニを破った。ルーマニア右派は合計55%の票を獲得した。ブカレストでは群衆が祝っていた。問題は、ジョルジェスクが詐欺やプロパガンダや親ロシア的すぎると非難されたことだ。彼はクレムリンから資金を得て、ソーシャルメディアで選挙プロパガンダをしたと告発者連中は非難した。そのため、彼は欧州連合に弾劾され、選挙結果を恣意的に無効にされるに至った。

 数週間後の12月末、真実が明らかになった。ルーマニア税務当局ANAFは、ルーマニア大統領選挙の第1回投票の無効化の勝者ケリン・ジョルジェスクのTikTok活動は、ルーマニア諜報機関が述べた通りに、ロシアに資金提供されたのではなく(これが第1回投票結果の無効化の正式理由だった)、親欧州派のルーマニア国民自由党に資金提供されたことを突き止めた。税務当局は、ジョルジェスク=ルーゲンのソーシャルメディア活動は国民自由党に資金提供されたと判断した。国民自由党の狙いは、ライバルの社会民主党から有権者を遠ざけることだった。スヌープ調査官による調査後、自由党が雇ったケンジントンの会社は選挙運動がPNLに資金提供されたことを認めたが「国民自由党の指示の下、国民の意識を高めるために」行われたより大規模な活動の一部だったと主張している。

 完璧に小説風の本物の選挙詐欺。

 その瞬間以来、ルーマニア国民がこの状況に抗議し始めた何週間広場や通りがデモ参加者で埋め尽くされた結果、クラウス・ヨハニス大統領は2月12日に辞任し、5月に新たな選挙が行われることが確定した。

 この状況は、EUにとってあまりに危険だ。

 アメリカから届いた奇妙なニュースは、おそらく今後の展開にとって重要になるだろう。ジョルジェスク逮捕についてイーロン・マスクがXで発言し「ルーマニア大統領選挙で最多票を獲得した人物が逮捕された。狂っている。」と書いた。
 
NATO支配下にあるルーマニア

 不幸なことに、ルーマニアはNATOやグローバリスト・エリート連中が長年注目してきた国の一つだ。

 1990年代初頭、ルーマニア共産党の第二階層が権力を掌握し民主主義を宣言した政権交代と呼ばれる政治移行後、エリート層間では国の戦略的方向性を巡る議論が交わされた。中心問題は、ソ連・ロシア影響圏に留まるか、それとも西側に目を向けるかだった。

 結局、西側諸国と統合するという選択が勝利した。ルーマニアは2004年にNATOに加盟し、以来徐々に同盟国との結びつきを強化し、主権と領土管理の一部を徐々に委譲してきた。この過程の重要要素は、領土内軍事基地の拡大で、これによりルーマニアはこの地域におけるNATOの戦略的同盟国としての地位を固めている。

 この軍事協力の重要な例は、コンスタンツァのミハイル・コガルニセアヌ基地拡張で、完成すれば兵士最大一万人を収容できるようになる予定だ。

 ここ数十年、ルーマニアとポーランドはNATO加盟国の中でも最も大西洋主義的な国として際立っており、地理的距離にもかかわらずアメリカと緊密な関係を維持している。2014年以降、欧州の安全保障が高まり、両国はアメリカ企業と共同で野心的軍事近代化計画に乗り出した。だがアメリカとの経済・貿易関係は比較的限定的だ。それにもかかわらず、ルーマニア社会は一般的にワシントンに対し好意的意見を持っており、アメリカとの政治的・軍事的同盟の継続を支持している。

 本検討は、この状況に至った歴史的および政治的過程を分析する。

 ルーマニアは何世紀にもわたる外国支配後の19世紀半ば、1856年に形成され始め、それ以来、主目的は自らの存在を守ることだった。20世紀の変革の間、ルーマニアは戦略的同盟を通じて、地位を強化し、トランシルヴァニアやドブルジャなどの領土的優位性を獲得した。しかし、これら領土を維持し、征服を正当化するために、ルーマニアは常にその立場を正当化する必要があった。ブカレストの外交政策は常に小国の役割を超え、東ヨーロッパの地域大国としての国を確立することを目指してきた。この目標を実現するため、ルーマニアは人口増加、領土拡大、経済的影響力に焦点を当てた。1989年の共産主義政権崩壊後、この戦略は次第に明確になった。

 90年代当初の困難にもかかわらず、冷戦終結はルーマニアとアメリカの関係に大きな変化をもたらした。両国の外交関係は19世紀末にまで遡るが、20世紀の戦争が発展を妨げた。ソ連時代には、東側諸国に対し、ルーマニアはある程度の自治権を維持していた。その明確な例は、60年代にカナダの支援とアメリカ技術を使って現在も稼働している原子炉建設開始の許可をモスクワから得たことだ。更に、ルーマニアは1968年プラハの春鎮圧に参加しなかった唯一のワルシャワ条約機構加盟国で、ソ連がボイコットした1984年ロサンゼルス・オリンピックにも参加した。これらの要素は、ルーマニアの政治および知識エリートが1989年以前から西側に目を向けていたことを示している。

 1975年から1988年にかけてアメリカが「最恵国」の地位を与えたことで、更に確証が得られた。1989年の革命から数か月後の1990年2月、アメリカ国務長官ジェームズ・ベーカーがブカレストを訪れ、新政府および野党と会談した。この訪問は象徴的価値があっただけでなく、既にアメリカに対し好意的傾向を示していたルーマニアを含む新しい共産主義後諸国の可能性を評価するワシントン戦略の一部でもあった。

 1990年代初頭は、ルーマニアにとって国内外ともに不確実な時期だった。新しい政治体制は、外交政策を固め定義するのに時間が必要だった。世界秩序の変化により、国益と地域におけるルーマニアの役割を再定義する必要があったのだ。1990年から1995年までの期間をルーマニアの外交政策の曖昧な時期と表現する人もいるが、この時期に欧州大西洋統合プロセスが始まったのだ。

 ルーマニア最初の戦略策定は、しばしば矛盾していた。1991年にイオン・イリエスク大統領の下で提案された「国家安全保障構想」と、1995年に改訂されたその構想は、内部矛盾と人権および少数派の権利に関するギャップのため議会で承認されなかった。国家安全保障を安定させるため、イリエスクは1991年4月にソ連と条約を締結し、国境の不可侵性と敵対同盟に加わらない相互約束を保証した。だが数か月後の1991年7月4日と5日に、NATO事務総長マンフレート・ヴェルナーがブカレストを訪問し、ルーマニアのNATO加盟に向けた最初の一歩を踏み出した。当時、黒海はNATOの優先事項ではなかったが、ルーマニアは明らかにこの方向に向かっていた。

 1993年、アメリカはルーマニアの最恵国待遇を回復し、1996年には経済移行と二国間関係促進のため議会により強化された。この政策は、1997年にアメリカ大統領ビル・クリントンがブカレストを訪問し、戦略的提携協定が締結されたことで加速した。ルーマニアは欧州大西洋統合への誓約を再確認し、セルビア攻撃中、アメリカに領空と基地の使用を許可し、ワシントンとNATOを支援する意志を示した。

 2005年、NATO加盟翌年、ルーマニアとアメリカは、米軍を恒久的にルーマニアに配備する協力協定に署名した。ロシアにとって、これらの動きは以前の二国間協定に違反するもので、ブカレストとモスクワの戦略的疎遠を証明するものだった。2011年には、ルーマニアとアメリカ間で21世紀の戦略的提携に関する共同宣言が発表され、政治・軍事協力が強化され、経済・エネルギー問題も含まれるようになり、亀裂は更に深まった。

 2015年、ルーマニアはデベセルにイージス・アショア・ミサイル防衛システムを導入した。これは完全にアメリカ軍人に管理されている。ロシアによるクリミア併合後、この基地は欧州の安全保障とアメリカ戦略の中心的要素となった。ポーランド同様、ルーマニアも2008年のロシア・ジョージア戦争や、2014年のクリミア併合や、2022年のウクライナ侵攻などを挙げて、ロシアの脅威を理由に、防衛強化を正当化し続けている。

 モスクワの視点から見ると、ルーマニアがアメリカおよびNATOと和解し、以前の合意を尊重しなかったことは、自国権益を守るためにロシアが対抗措置を取るきっかけになった。包囲されているという感覚と、ある種帝国の誇りが、益々過激な反応を引き起こした。クリミア併合はロシア・ルーマニア関係の転換点となり、ブカレストは黒海における安全保障上の脅威の高まりを認識することになった。

 1989年の革命後、ルーマニア軍は指揮系統再編やソ連軍装備の老朽化など、大きな課題に直面した。2022年、ルーマニア軍の兵力は71,500人で、国防予算は若干減少があったものの、GDPの1.7%を占め、2022年には3,000億ドルにまで増加した。ウクライナ紛争への対応として、ルーマニアは今後数年間で国防予算をGDPの2.5%に増額する計画だ。

 ルーマニアの軍事装備、特に地上部隊の装備は依然大部分が旧式で、T-55AM戦車とTR-85戦車は近代化が必要だ。ルーマニアはピラニア装甲車と重戦車も購入している。空軍はC-130とC-27J輸送機を保有し、米軍装備に約62億ドル投資している。ルーマニア海軍はフリゲート艦2隻と他の艦艇を擁しているが、以前の計画やフランスのナバル・グループとの契約にもかかわらず十分近代化されていない。契約は2023年に撤回される予定だ。

 2023年、ルーマニアは軍強化を決定し、1,000人以上の新兵役職を発表した。95台の統合軽戦術車両(JLTV)と関連兵器購入についてアメリカの承認を得ており、将来的に更に車両34台の購入が計画されている。またルーマニア地上部隊は298台の歩兵戦闘車と5台の自走榴弾砲を取得し、総投資額は36億ユーロとなる。更にルーマニアは54台のM1エイブラムス戦車と32機のF-35戦闘機の購入を目指している。国防省は防空ミサイル41基を購入予定で、総額は42億ユーロだ。歩兵用小火器の国内生産は2024年に開始された。

 ルーマニアの現在の軍事開発計画「アルマタ2040」は、1億ユーロを超える投資を伴う戦略構想だ。この近代化の取り組みは、NATO基準を満たす必要性やアメリカとの協力関係を改善する必要性など、いくつかの主要要因により推進されている。ウクライナで進行中の戦争の近接性や他の世界的課題により、ルーマニアの軍事力を向上させる必要性が浮き彫りになった。アルマタ2040プログラムの主目的は、領土防衛を保証しながら、地域と世界の安定を維持するためのNATOとEUの任務を支援することだ。

 ルーマニアの2024年防衛戦略では、ロシア侵略が最大の脅威とされており、アルマタ2040イニシアチブの下での近代化の取り組みに重点が置かれるようになっている。また、このプロジェクトは、ルーマニアとNATO双方にとって極めて重要な地政学的地域である黒海地域におけるルーマニアの安全保障の強化を目指している。近年、ルーマニアは国際的地位を向上させるために多大な努力をしており、世界防衛フォーラムに積極的に参加し、様々なNATO作戦に貢献している。

 ルーマニアの調達プロジェクトは主にアメリカの防衛機器を優先しており、これはルーマニアがアメリカとの戦略的提携への関心を高めていることを反映している。この選好は、アメリカ兵器と他のNATO加盟諸国が使用する兵器の相互運用性など、いくつかの要因により推進されており、それによりルーマニアの同盟統合が改善される。これら防衛投資は、NATO軍事基準に対するルーマニアの取り組みを示すだけでなく、組織内でのルーマニアの役割拡大という政治的側面を浮き彫りにしている。NATOにおけるルーマニアの政治的影響力は、ミルチャ・ジョアナがNATO副事務総長に任命されたことで更に強化された。またルーマニアのクラウス・ヨハニス大統領は、来る2024年選挙でNATO事務総長に立候補する意向を示しており、その可能性はルーマニアの地政学的立場に重要な象徴的、実際的影響を及ぼすだろう。

 軍事・防衛協力に加え、ルーマニアとアメリカの経済・政治関係も大きく発展した。2020年、ルーマニアとアメリカの貿易額は総額30億ドルに達し、ルーマニアは10億ドル相当の商品を輸入し、20億ドル相当の商品を輸出した。この貿易額はルーマニアの世界貿易総額のほんの一部に過ぎないが、それでも両国間経済関係の拡大を強調している。だがルーマニアと欧州諸国との貿易関係はアメリカとの関係を遙かに上回る。特に、ドイツ、イタリア、フランスとの貿易額は遙かに大きく、それぞれ350億ドル、160億ドル、90億ドルとなっている。中国との貿易も大幅に増加しており、これは主にルーマニアが黒海の港に近い戦略的位置にあるためで、同地域における中国貿易経路でルーマニアは重要当事国になっている。

 ルーマニアとアメリカの貿易は、欧州やアジアの相手国に比べると規模は大きくないが、ルーマニアの幅広い外交政策の重要な要素であり続けている。ルーマニアとアメリカの戦略的提携は、国際機関での協力や共同軍事構想により強化されてきた。だが特にビザ自由化に関しては協力が限定されている分野が依然ある。何度か試みたにもかかわらず、自国民のアメリカへのビザなし渡航をルーマニアはまだ確保できていない。アメリカ当局は、ルーマニアのビザ拒否率が3%を下回ればこれを実現できると示唆しているが、依然10%を超えており、ルーマニア人がアメリカ渡航を完全に享受できない状況になっている。

 1997年にルーマニアとアメリカ間で戦略的提携関係が確立されて以来、ルーマニアはアメリカにおける自国の存在感を高めるよう努めてきた。この取り組みには、政治対話、国際フォーラムでの協力、文化活動への取り組みが重視されている。ルーマニアはアメリカの主要都市で文化的催しを開催するとともに、ルーマニアの複数大学でアメリカ研究を推進し、両国間の文化および教育交流の深化を示してきた。

 要約すると、ルーマニアの軍事開発計画「アルマタ2040」は、特にロシアによる安全保障上の脅威増大に対応する防衛能力の戦略的かつ長期的投資だ。この取り組みは、ルーマニアとアメリカ関係の強化と相まって、ルーマニアをNATO内の主要当事国、アメリカの戦略的パートナーとして位置づけている。貿易不均衡やビザ問題など、いくつかの分野での課題にもかかわらず、ルーマニアとアメリカ協力関係の拡大は、軍事と経済両分野で両国間の連携が拡大する幅広い傾向を反映している。
 
ルーマニア国民は胸を張れる

 この複雑な組織の問題は、徐々にルーマニア国民がもはや耐えられないほどの貧困化に陥っていることだ。

 今やジョルジェスクの逮捕により、NATO覇権に対する集団反乱の可能性が浮上した。これは政治レベルでは極めて有益な機会だ。これに、ロシアと直接衝突したくない、あるいは欧州連合の邪悪な政策に服従し続けたくない国民がいる他のヨーロッパ諸国も巻き込まれる可能性がある。

 あらゆる自由と主権の露骨かつ度重なる侵害は余りにも明白で、社会の怒りは爆発しかねない緊張レベルに達している。

 舞台裏では二つけの提携相手の介入が今や基本だ。それは既に何度もジョルジェスクを支持してきたトランプのアメリカと、ルーマニア選挙を支持したプーチンのロシアだ。

 NATO東部戦線は過熱しつつある。爆弾の熱でないよう祈ろう。

記事原文のurl:https://strategic-culture.su/news/2025/02/27/the-arrest-of-georgescu-will-push-against-nato/

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 Alex Christoforou Youtube 冒頭、ジョルジェスク逮捕の話題
Trump trashes EU. Georgescu 60 day media ban. Elensky getting cold feet. Rubio cancels on Kallas 36:07

2025年2月22日 (土)

さよならロシア、さよならレーニン:「エネルギー自立」はバルト諸国に何をもたらしたか?



エルキン・オンカン
2025年2月13日
Strategic Culture Foundation

 バルト諸国の「エネルギー自立」は地政学的勝利として歓迎されているが、経済的負担に変わる危険性もある。

❗️Telegram Twitter , と VK でご参加願いたい。

お問い合わせ:info@strategic-culture.su

 エストニア、ラトビア、リトアニアの電力網は、ソ連邦時代の1950年代に構築されたBRELL (ベラルーシ、ロシア、エストニア、ラトビア、リトアニア) 電力網の一部だった。

 当初16本の送電線で構成され、この送電網は直接の陸上ケーブルと、ベラルーシ経由の回線とバルト海海底ケーブルを通じてバルト諸国とロシアを接続していた。

 1990年代に独立したこれらの国々は、ソ連崩壊後もエネルギー・インフラを制御できず、周波数の安定をモスクワに頼っていた。ロシアが管理するIPS/UPSネットワークは、バルト諸国とカリーニングラードなどのロシアの飛び地も結んでいた。長年、欧州政治家たちは、この接続を「ロシア依存」と位置づけてきた。

 ロシア・ウクライナ戦争勃発後、電力を含むあらゆる形のロシア依存が徐々に断ち切られてきた。この過程の最終段階はリトアニアの首都ビリニュスでの式典で行われた。

 2025年2月9日現在、これらの国々は正式にソ連時代の電力網から切り離され、欧州の電力網に完全統合されている。このEU域内市場への移行はEU補助金12億3000万ユーロで賄われ、投資額の75%はEU資金で賄われている。ウクライナとモルドバも2022年に同様の措置を講じ、自国の電力網をEU電力網に統合している。

 当初、バルト諸国はポーランドと同期した独自周波数を維持していた。周波数同期を実現した後、バルト諸国はポーランドと共有エネルギー網に統合された。これは、バルト諸国が最初にポーランドの周波数を独自に制御する能力を示し、その後ポーランドと完全に連携して統一エネルギー網を形成したことを意味する。

 バルト諸国は電圧調整と同期試験を無事完了し、各国首脳と欧州委員会委員長ウルズラ・フォン・デア・ライエンが出席したビリニュスでの式典で「勝利」を宣言した。

 ラトビア大統領エドガルス・リンケビッチは「我々は成し遂げた」と述べ、この偉業を称えた。リトアニア指導者ギタナス・ナウセダは「さよならロシア、さよならレーニン」と述べ電力網移行を祝った。一方、エストニアとポーランドの指導者は、国防費とエネルギー・インフラの地政学的重要性を強調した。

 だが、この祝賀行事は電気料金の急騰で影を潜めた。ラトビア人ジャーナリスト、アルニス・クルイニスは、Neatkar?g? R?ta Av?ze(NRA)に寄稿し、ある家庭の電気料金が17.68ユーロから22.06ユーロに上昇したと報じた。初日だけで24.8%の増加だ。

 以前、当局は、同期の影響は5%を超えないと国民に保証していた。だが実際の値上げは予測値の5倍になった。バルト諸国がロシアからEUの送電網に移行することで、平均的な消費者は月1ユーロの追加費用を負担することになるとエストニアのヨーコ・アレンデル気候相は主張し「独立と安全のために支払う価値のある代償」だと言った。

 既にバルト諸国はヨーロッパで最も高い電気料金に苦しんでいる。2月10日現在、この地域の平均は146.83ユーロ/MWhだった。対照的に、スカンジナビアの電気料金は平均8.83ユーロ/MWhに過ぎず、格差が拡大していることが露呈している。イグナリナ原子力発電所閉鎖とフィンランド・エストニア海底ケーブル・プロジェクトの失敗は、この地域の慢性的エネルギー費用問題をさらに悪化させた。

 バルト諸国の「エネルギー自立」は地政学的勝利として歓迎されているが、経済的負担に変わるリスクもある。初日の展開は、そうなる可能性があることを示唆している。

 欧州がこの移行を成功させるか否かは、必要と考える安全保障上の措置と国民の経済的安定への要求とのバランスを取れるかどうかにかかっている。今のところ、ロシアからの離脱の思想的意義は、欧州人が直面している電気料金高騰に直接結びついている。

記事原文のurl:https://strategic-culture.su/news/2025/02/13/farewell-russia-farewell-lenin-what-has-energy-independence-brought-to-the-baltic-states/

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 Alex Christoforou Youtube ヨーロッパに語るバンス
Vance crushes Globalists. Macron/Starmer, US-Russia war plan. NYPost, BEST case Elensky to France 35:29
 今朝の孫崎享氏メルマガ題名
トランプ関税①対全世界、相互関税、貿易相手国と同じ水準まで関税引き上げ。導入指示② 国毎・加、墨、輸入品全てに25%関税、3月4日まで延期、中国、全てに10%の追加関税、発動済、③製品分野毎、自動車、25%程度を検討、4月2日にも発表、半導体医薬品 25%以上を検討、未定

2025年1月18日 (土)

ブカレストで最大規模の抗議行動:背後に一体何があるのか?



エルキン・オンカン
2025年1月16日
Strategic Culture Foundation

 真の中道左派がない中、不満を抱く大衆は極右人物や政党に解決を頼っている。

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お問い合わせ:info@strategic-culture.su

 先週ブカレストで、これまでで最大規模のデモが行われた。だが一体なぜだろう?

 ルーマニアでは、候補者13人が参加した大統領選挙の第1回投票で最有力候補になったのは、リベラル保守派で欧米・NATO支持派のエレナ・ラスコニと、極右でNATO・EU反対派の候補者で自称「TikTokスター」のカリン・ジョルゲスクだった。

 第1回投票でのジョルゲスク勝利は欧米諸国に衝撃を与えた。しかし、第2回投票のわずか2日前に、ルーマニア憲法裁判所は第1回投票の結果を無効とした。

 諜報機関報告は、TikTokに焦点を当てたジョルゲスクの選挙運動には「ロシアの干渉」の痕跡があると主張した。だがルーマニアの国家財政管理庁(ANAF)は後に、ジョルゲスクのTikTok選挙運動はロシアではなく、親欧州の国民自由党(PNL)から資金提供を受けていたことを明らかにした。それでも無効の決定は覆されなかった。

 ジョルゲスクは、欧州政界で最も興味深い人物の一人だ。極右政治家の彼は、2022年にアンテナ3とのインタビューで、ルーマニアの親ナチス派元独裁者イオン・アントネスクと、人種差別主義で反ユダヤ主義の鉄衛団創設者コルネリウ・ゼレア・コドレアヌを「英雄」と呼び、物議を醸した。

 だがアメリカとNATO投資の最大受益国の一つであるルーマニアのような国では、ジョルゲスクの指導力に対する本当の障害は彼の極右姿勢ではなく、反NATO的見解だ。

 NATOのデベセル島弾道ミサイル防衛システムを「外交上の恥辱」と評し、ルーマニアはウクライナ戦争で中立を保つべきだとジョルゲスクは主張した。「ウクライナ情勢が操作されているのは明らかだ。アメリカ軍産複合体と軍需産業の利益のために紛争が引き起こされている」と彼は述べた。

 また欧州連合(EU)はルーマニアを奴隷化するのを狙った失敗プロジェクトだと彼は批判した。

 ジョルゲスク当選取り消しに続く社会不安は、この極右指導者が国民の間で大きな支持を得ていることを示している。報道によると、今日の集会には約5万人が参加した。

 この抗議行動は、2019年に設立され、ジョージ・シミオンが率いるルーマニア民族統一党(AUR、Alianța pentru Unirea Romanilor)が主催した。民族主義的保守政党のAURは、ルーマニアとモルドバ(Unirea)の統一を主張し、カトリックと正教会の価値観に根ざした伝統的道徳を推進している。

 LGBTQ+の権利や移民やワクチン接種の義務化や規制にも同党は反対している。2020年の議会選挙では9%近くの票を獲得し、大きな驚きをもたらした。

 要約すると、これはヨーロッパ全体のより広範な傾向を反映しており、経済の安定と安全の要求、現在の政治情勢への幻滅、EUのような欧米同盟に対する懐疑心により動かされた人々は、益々主流政治から外れた代替案を求めている。真の中道左派が存在しない中、不満を持つこれら大衆は、解決策として極右の人物や政党に目を向けている。

 これはルーマニアだけでなく、ヨーロッパ全体で増加傾向にあり、注目に値する。ヨーロッパの未来は、おそらくこれらの動きによって形成されるだろう。

記事原文のurl:https://strategic-culture.su/news/2025/01/16/one-of-largest-protests-in-bucharest-whats-behind-it/

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 The Duranの二人がこの問題を解説している。
Romania's silent coup. EU/NATO tries to stop Georgescu 18:12;
 日刊IWJガイド
「フジテレビの港浩一社長が記者会見!『局として性接待や性上納の報道が出ているが?』の質問に『ない』ではなく『ないと信じたい』と回答!」2025.1.18号

■本日午後7時より、「激戦の地ドンバスまで足を運び、自分の目と耳で調査した『学者魂』の研究者に聞く! 第2次トランプ政権でウクライナ政策が見直される今だからこそ、日本も、2014年のユーロマイダン革命にまで立ち返って現在に至る経緯を検証する必要がある! 岩上安身によるインタビュー第1181回ゲスト 東京大学法学部・松里公孝教授 第1部・第2回」を撮りおろし初配信します! 配信終了後、会員向けIWJサイトのアーカイブにアップします!

2023年4月14日 (金)

東欧の視点

多くの人々がロシアの敗北を見たいと思っている
フィリップ・ジラルディ
2023年4月11日
The Unz Review

1970年代に私はバージニア州ウィリアムズバーグ近くのキャンプ・ピアリーにあるCIA中央情報局の主要訓練施設で、新しい作戦要員のための実践スパイ技術コースに参加していた。ピアリーは昔も今も「農場」と呼ばれているが最も基本的な意味でのみ畜産に従事していた。教官の一人はラドヤード・キップリングの詩の一部を教官室のドアに飾っていた。それにはこうあった。

鋤の下のヒキガエルは知っている

それぞれの刃先が落ちる正確な場所を

路上の蝶

ヒキガエルに満足を知れと説く

 一部の学生は自分たちを「ヒキガエル」と呼び始め、当局の期待に添うべく教官からの最悪事態を予想していたが、この教官は、海外に行く資格を得たいなら黙って一緒に付き合うよう言う蝶だと特定した。誰もがそれは自分の役割や地位の認識の問題で、学生は罰で辞任するか、更に酷い場合、ヒキガエルのように更に酷い目にあうと知っており、視点と期待が全く異なる教官は全て順調に進んでいると犠牲者たちに快く請け合った。

 国家安全保障問題には関与するヒキガエルや蝶が常にいるのは当然だが、何が重要か重大かについての認識は個人の生活や文化的経験によって異なる。別の言い方をすれば基本的見解はあらかじめ決められておらず塀のどちら側に立っているかに大きく依存する。

 ところで私は最近東ヨーロッパ7か国に立ち寄った3週間旅行から戻ってきた。旅の準備として私は様々な国の多数の現地ジャーナリストや政治家や学者との出会いを手配した。私が選んだ人々は一般的に、それぞれの国のより保守的な政党で活動している私自身の傾向を考えて私自身心地よくいられる範囲の人々を私が選んだ。私が本当に知りたかったのはウクライナでの戦争が国家エリートと一般市民両方に実際どう認識されているかということだった。

 私は自分の見解と同期する反応、つまり、戦争は回避可能だったが、ロシアと指導者ウラジーミル・プーチンを弱体化させるためイギリスとアメリカ両方から要求されたという反応を期待していた。紛争のあらゆるレベルに関与する全当事者が停戦と、戦闘を終わらせるための交渉を要求すべきことを。そしてこの瞬間も軍事力の使用を非難しながらも、ロシアには対処しなければならない正当な国家安全保障上の懸念があることを。

 私の対話者の反応にはいくつか差違があったが、ウクライナでの戦争は、人気がないにせよ、泥棒政治ではなくとも必要に応じ軍事力を使用して旧ソビエト連邦を再現したいプーチンの願望、独裁的だと繰り返し説明されたものを制限するため必要な措置だと考えられているとすぐに知った。私は二つのレベルで、この主張に精力的に反論した。第一に、ウクライナとの戦いが示したように、ロシアにはそのような狙いを楽しむための資源がないこと、第二に、ソビエト連邦の「悲惨な」崩壊に関連するプーチンのしばしば引用される発言はボリス・エリツィン下でその後起きたロシア資源の壊滅的略奪に明確に言及しているのだ。プーチンはワルシャワ条約機構を再現する憧れには言及していない。

 確かに、紛れもなく紛争の最前線にいて、通常関与を警戒すべき人々の反ロシア感情は私を驚かせた。ロシアと深い歴史的、文化的、宗教的つながりを持つセルビアでだけ、ウクライナ紛争に対する彼の同胞の見解は「五分五分」で、国の半分と指導者の何人かさえウクライナ防衛を支持していると主要ジャーナリストが私に言った。他の東ヨーロッパ諸国では視点は遙かに決定的に親ウクライナだった。あるチェコ共和国の学者はポーランドとスロベニア大統領が加わりウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領への個人的支持を誓約し始めキーウフを訪問したため彼の国の指導者を「英雄」と表現した。

 いくつかの出会いでウクライナへの傾倒の一層もっともらしい理由を聞かされた。彼らは、モスクワの中央集権的支配への復帰と、第二次世界大戦の結果、クレムリンが設立した共産主義政権下で採用された形の国政採用につながる可能性のある、この地域でのロシア支配復帰を阻止したかったのだ。彼らはロシアが東ヨーロッパやバルカン半島で支配的役割を果たせなくなるよう何であれロシアを弱体化させたいと考えているのだ。

 更に言えば、彼らは僅か30年以上前のソビエト連邦の崩壊以来経験している繁栄を手放したいのだ。東ヨーロッパのほとんどの国は現在高価なレストランや瀟洒なホテル、繁華街地域でイタリアやフランス・ブランド店舗が並んで目に見えて繁栄している。巨大なスターリン様式アパートが多くの都市部を汚しているのを見ながら、1990年代の問題にさかのぼる廃墟となった建物や正面の銃弾痕の証拠を農村部で見ても、印象は間違いなく高級だった。私は旅の途中あちこちでメルセデスやBMW、そして遙かに高級なマセラティスやランボルギーニ、更に何台かのベントレーやロールスロイスを含む他の場所で見たことのないほど高価な自動車を見た。住民が300万人未満のルーマニアの首都ブカレストでは150万台の自動車が登録されている。東欧中の通りや道路はジョー・バイデンのアメリカの多くの地域より良く維持されているのに私は気がついた。

 現在東ヨーロッパに暮らす多くの人々はソビエト共産主義の代理人が軍事介入(ハンガリー、チェコスロバキア)に支えられて支配した時代にさかのぼる経済的、社会的失敗の直接的な、ほとんど好ましくない記憶を持っているのに留意願いたい。そして若い世代は自由市場と比較的自由な選挙しか知らず両親が説明するような古い姿に戻りたいという傾向はさらに減る。これら全てがおそらく不可逆的なロシアに対する懸念につながるのだ。

 だから私には「ヨーロッパに出没する亡霊」共産主義のようなものへの復帰への恐れが優勢で、態度や視点を形作っているように見えたが、歴史的に言えば好む好まざるにかかわらず、共産主義はロシアを意味する。私は確かに特に現在、ロシアは選挙の自由やその他の基本的自由の点で少なくとも東ヨーロッパにほとんどに匹敵するので、破棄された社会経済的概念と関連する罪悪感の基準によって今のロシアを判断するのには反対だ。あるスロバキア知識人が仲間同胞の宗教を「彼ら全員異教徒だ」と私に説明したにせよ、この地域のほとんどの国で多数派の信仰である正教という共通の絆もあるのだ。

 したがってネオコンが主導する敵対的軍事同盟が世界最大の核保有国と対峙する取り決めより、ある種友好的な多国間関係が好ましいと示唆するのは合理的だ。しかし、とはいえ私の旅行は東ヨーロッパ人が歴史的現実に基づいてロシアが一体何なのかについて正当な懸念を持っている現実に目を開かせた。それは紛れもなく、NATO/西側の介入支持が増加している要因で、その文脈で、ポーランド、チェコ、スロバキア政府が、自国の兵器庫から引き出した武器をウクライナに提供する先導者だったことに注意する必要がある。ある時点で、誰もが正気を取り戻し、何万人ものウクライナ人やロシア人を殺すのは避けられない交渉による紛争解決を遅らせるだけの無意味な行為だったことに気が付くよう期待する必要がある。

 Ph.D.のフィリップ・M・ジラルディは、中東での、より権益にかなうアメリカ外交政策を検討する501(c)3の課税控除対象教育財団Council for the National Interest(連邦ID番号#52-1739023)事務局長。ウェブサイトはhttps://councilforthenationalinterest.orgで、アドレスはP.O. Box 2157, Purcellville VA 20134、電子メールはinform@cnionline.org

記事原文のurl:https://www.unz.com/pgiraldi/perspectives-from-eastern-europe/

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 The Jimmy Dore Show マクロンのもっともな発言。女性ドイツ議員はもっとまとも。

BOMBSHELL! French President Says France Is Done “Following” The United States

Since the end of World War II the United States has had a near stranglehold on Western European policymakers — compelling countries like the U.K., Germany and France to go along with American imperialist efforts in Africa, the Middle East and Asia. Now those virtual vassal states may be reconsidering their adherence to U.S. foreign policy as the U.S. empire begins to disintegrate while China merely gains in stature and influece on the global stage.

Jimmy and Americans’ Comedian Kurt Metzger talk to British politician and talk show host George Galloway about what will likely happen as the U.S. traditional European allies seek a better deal elsewhere.

 今朝の孫崎享氏メルマガ題名

ウクライナにブラジルですら和平の動き。ロシアとウクライナの間の和平交渉を仲介するために、中国、インド、インドネシアを含む国のグループの創設を提案。更に元外相をモスクワに送り打診。日本って平和国家じゃないのか。間接的に戦争ヤレヤレ側についてる。

 日刊IWJガイド

「日本の新聞・テレビが今も取り上げないタブー! 元ジャニーズJr.の岡本カウアン氏がFCCJ会見でジャニー喜多川氏の性的虐待を告発!」

はじめに~日本の新聞・テレビが今も取り上げないタブー! ジャニー喜多川氏による性的虐待を元ジャニーズJr.の岡本カウアン氏がFCCJ会見で告発!『NHK』ディレクターの「もし大手メディアが報じていれば、ジャニーズ事務所に入らなかったか?」との質問に「大問題になっていれば、親も行かせなかったし、なかった」と回答!

【IWJ号外】を発行しました! シーモア・ハーシュ氏の新記事を仮訳! 米国と同盟国からのウクライナへの支援のうち、ゼレンスキー政権による横領は4億ドル以上! ゼレンスキー大統領を無条件で支援するバイデン政権と米情報機関の信頼関係は崩壊、さらに、米国内でもほとんど知られていない事実として、ウクライナの国境近くに米軍2個旅団(約2万人)がすでに集結!! NATOと手を組んで、ロシア軍と対峙するのか、米国政府と米軍の意図は不明!!

2023年3月15日 (水)

ジョージアで混乱を起こしてロシアに対する新たな戦線を開くアメリカ

2023年3月10日
Brian Berletic
New Eastern Outlook


 ワシントンがウクライナで対ロシア代理戦争を仕掛ける中、ロシア周辺の他のおなじみの紛争頻発地域が再び発火したのは偶然ではない。コーカサス地域の国ジョージアで、現政権を標的に、抗議行動を推進しているまさにその種のアメリカとヨーロッパの干渉を暴露し管理するこの目的とする透明性法案を妨害しようとする抗議行動が始まった。

 BBC記事「ジョージアの抗議行動:警察は抗議行動参加者を議会から押し戻す」で下記のように主張している。

 警察は、ジョージアの首都トビリシのデモ隊に対し2日目の夜、放水銃と催涙ガスを使用した。非政府組織やメディア組織が資金の20%以上を海外から受け取った場合「外国代理人」に分類する物議を醸しているロシア風の法律に群衆は怒っているのだ。

 記事はこうも言う。

 ロシアでも同様の法律が、報道の自由を厳しく制限し、市民社会を抑圧するため利用されてきた。「政府はロシアの影響下にあり、我々の将来にとって非常に悪いと思う」と抗議に参加した多くの学生の一人、リジーは言った。

 しかしBBCの「市民社会」は、ソ連崩壊以来、欧米の支援でジョージアで活動する反政府勢力のことを言っているのは極めて明白だ。欧米が支援する野党集団が自身アメリカ-ヨーロッパの影響力の産物なのに「ロシアの影響力」に不平を言うという皮肉を超えて、この抗議行動は、ワシントンやロンドンやブリュッセルの不当な影響力からジョージアが主権を守ろうとする試みを妨害しようとしているのだ。

 ジョージアのメディアや政治の場で外国からの資金提供を暴露するのを目的とした法律を可決するジョージア政府の動機に、BBCは疑問を投げかけようとしているのだ。

 記事はこう主張している。

 ジョージア・ドリームのイラクリ・コバヒゼ議長はロシアの抑圧的法律に似ているという法案批判は誤解を招くと述べた。「結局、騒ぎは消え、国民はNGOへの資金提供に透明性を得るだろう」と彼は述べた。

 しかしトランスペアレンシー・インターナショナルのエカ・ギガウリは、NGOは既に10の異なる法律の対象となっており、財務省は既に口座や資金、その他の情報を完全に入手できるとBBCに語った。

 一見して「トランスペアレンシー・インターナショナル」と呼ばれる組織が特に外国からの資金提供のような微妙なものに関し透明性の向上に反対するのは奇妙に思えるかもしれないが、アメリカ国務省、EU委員会、イギリス外務省を含むトランスペアレンシー・インターナショナル自身の資金提供先を見ると、この組織は具体的には実際の透明性を犠牲にして、欧米外交政策目的を推進するために存在していることが明らかになる。

 BBCが実際描写しているのは、2014年にウクライナを標的とし、その後ロシアが介入した進行中の紛争を引き起こした、アメリカが支援した政権転覆の取り組みの繰り返しというだけでなく、ジョージア自身へのアメリカ干渉行為の繰り返しでもある。

 繰り返される歴史

 早くも2003年、アメリカ政府はジョージアの政権転覆を支援した。

 ロンドン・ガーディアンによる2004年記事「キーウ混乱の背後にあるアメリカの活動」で、ガーディアン紙は、いわゆるオレンジ革命でのアメリカによるウクライナ干渉だけでなく、セルビアとジョージア両国のことについても語っている。

 記事はこう認めている。

...このキャンペーンはアメリカの創作で、欧米のブランド戦略とマスマーケティングで洗練された見事に考え出された行動で、四年間に四か国で不正選挙を行い、不都合な政権を打倒するために使用された。

 アメリカ政府に資金提供され組織され、アメリカのコンサルタント会社、世論調査員、外交官、アメリカ二大政党やアメリカ非政府組織を展開したこの作戦は2000年にベオグラードでヨーロッパでは最初に使用され、選挙でスロボダン・ミロシェビッチを打倒した。

 ベオグラードのアメリカ大使であるリチャード・マイルズが重要な役割を演じた。昨年までトビリシのアメリカ大使として、ジョージアでこの策略を繰り返し、エドゥアルド・シェワルナゼを打倒する方法をミハイル・サアカシュビリに指導した。

 2003年以降、アメリカはジョージアに兵器を注ぎ込み軍を訓練した。2008年までにジョージアは、2014年以降のウクライナに関するモスクワの国家安全保障上の懸念を多くの点で正当化する、不運で短い代理戦争でロシアを攻撃する。

 欧米諸国政府とマスコミ双方の多くが、2008年の紛争を"ロシアの侵略"として描き出そうとしているが、ロイターは2009年の記事「ジョージアがロシアとの戦争を始めた:EUが支援 報告」で次のように報じている。

 「委員会の見解では2008年8月7日から8日の夜ツヒンバリ(南オセチア)を重砲で攻撃して戦争を引き起こしたのはジョージアだった」と調査を主導したスイス外交官ハイジ・タグリアヴィーニは述べた。

 記事は更にこう書いている。

 ...調査結果はミヘイル・サアカシュヴィリ大統領下のアメリカ同盟国ジョージアの行動に特に批判的で、彼の政治的立場をさらに傷つける可能性がある。

 「アメリカ政府が組織した」政治干渉後に権力を握ったのはミヘイル・サアカシュヴィリだったとガーディアン紙が2004年の記事で認めている。

 再び代理になるジョージア:ワシントンはロシアに対し新たな戦線を模索している

 トビリシの多くの抗議行動参加者が抗議していると思っていることにもかかわらず、現実には、ワシントンは、ウクライナで推進している代理戦争の可能性を改善するためロシアに対して第二戦線を開こうとしているのだ。

 憶測とはほど遠く、まさにこの目的のためジョージアを利用することは「ロシアに手を広げさせる」と題する2019年のランド研究所の論文で詳細に説明されている。

 「ウクライナに致命的支援を提供すること」を含むロシアに手を広げさせ疲弊させるのを意図した他の措置の中には「南コーカサスの緊張利用」があった。

 論文は次のように説明している。

 ...アメリカは、ジョージアとアゼルバイジャンとのより緊密なNATO関係を推進する可能性があり、ロシアは南オセチア、アブハジア、アルメニア、およびロシア南部での軍事駐留を強化する可能性がある。

 ロシアが南オセチアやアブハジア、アルメニアや南ロシアでの軍事駐留強化を強いられれば、ウクライナから資源をそらせるとワシントンは期待している。

 この論文は更にこう説明している。

 ジョージアは長年NATO加盟を求めてきた。独立直後の1992年に北大西洋協力評議会に参加し、1994年に平和のためのパートナーシップ・プログラムに参加した。理論的に連合国はジョージアを加盟への軌道に乗せたが、2008年のロシア・ジョージア戦争はこの努力を無期限に保留した。しかしジョージアはNATOの野心を決してあきらめず、地中海、コソボ、アフガニスタンなどでのNATO作戦に参加している。ヨーロッパの反対がジョージアの同盟加盟を阻止した場合、アメリカは二国間安全保障関係を確立する可能性がある。

 もちろん、これは全てジョージアが従順なアメリカ傀儡政権に運営されていることに依存しており、それ自体がロシア国境沿いに不安定を生み出し、ロシアに圧力を加えるという同じ目的を果たしている現在の抗議行動を必要としているのだ。

 最近のBBC記事はジョージの抗議行動参加者が彼らの利益のために戦っていると示唆しているが、ランド研究所はアメリカによるロシアに対するジョージアの利用がどれほど壊滅的だったか明らかにしている。

 論文は次のように述べている。

 2008年8月分離主義者との和平協定破綻後、ジョージアは2つの半独立親ロシア州、南オセチアとアブハジアの飛び地をめぐり短期戦争を戦った。戦争はジョージアにとり悲惨な結果になった。ロシアは即座に介入し、最終的に両地域、間もなくジョージアの他地域も占領した。ジョージアはロシア介入からわずか8日後の2008年8月14日停戦協定に署名した。しかしロシア軍は南オセチアとアブハジアに留まり、いずれも独立を宣言している。

 同紙はトビリシがNATO加盟を追求すれば「ロシアが再び介入するかもしれない」とも警告している。

 アメリカ外交政策が国家、国民、政府と軍を乗っ取って完全な自滅への軌道に乗せたウクライナ同様、アメリカは、アメリカ政策文書が文字通り題名で述べている通り「ロシアに手を広げさせ」ようとロシア周辺沿いの他の国々を火をつけ焼き払おうとしている。これにはジョージアも含まれる。

 これに加えて、アメリカが支援する抗議行動参加者が「ロシアの影響力」について不平を言っているが、外国からの資金提供をより透明にするのを意図した法律に熱心に反対している事実は、アメリカと同盟諸国が国際法を支持しているのではなく、国際法に違反して連中の外交政策目標を推進する単なる煙幕にすぎないことを示している。

 Brian Berleticは、バンコクを本拠とする地政学研究者、著者。オンライン誌New Eastern Outlook独占記事。

記事原文のurl:https://journal-neo.org/2023/03/10/us-sparks-turmoil-in-georgia-to-open-new-front-against-russia/

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 クリス・ヘッジズ氏もハーシュのノルドストリーム爆破暴露について書いている。

The Chris Hedges Report Podcast with Seymour Hersh on how the U.S. blew up the Nord Stream pipelines and why the p…

 植草一秀の『知られざる真実』

警察検察断罪した大善文男裁判長

 今朝の孫崎享氏メルマガ題名

本年夏以降、下院を掌握の共和党がウクライナ支援に消極的なため、ウクライナの戦闘能力は後退するとみられる。この中、戦闘現場取材のWPはウクライナ兵の死傷者(12万人)の増大と武器不足でU軍は劣勢と報ずる。4月下旬―5月上旬U軍攻勢成果に疑義

2023年2月24日 (金)

NATO分裂を予兆するアメリカ主導「有志連合」

マイク・ホイットニー
2023年2月15日
Unz Review

 ノルドストリーム・パイプライン破壊は「ルールに基づく秩序」の中核にある癌を明らかにするギャング行為だった。世界最強の国が熟考や司法手続きなしで他国の重要インフラを破壊するのが可能な時に、どうして平和や安全があり得るだろう? ハーシュ報告が信頼できる場合、私は信頼できると思うが、バイデン政権の上級顧問と大統領自身が長年の友人で同盟国ドイツに対し意図的に産業テロ行為をしたと考える必要があるのだ。この行為へのバイデン関与が意味するのはアメリカは現在どの国がどの国と商取引できるか恣意的に決定する権利を主張していることだ。そして何らかの理由でエネルギー供給売買がワシントンの広範な地政学的な狙いと矛盾すれば、アメリカはそのような貿易を可能にするインフラを抹殺する権利があると考えているのだ。これがノルドストリーム爆破を正当化するため使われた理論的根拠ではないだろうか?

 シーモア・ハーシュはノルドストリーム破壊行為の加害者を暴露して世界に貢献した。彼の暴露は当事者を特定するだけでなく、彼らがその行為に対し責任を問われるべきだと考えている。しかし近い将来徹底的調査が行われるとは期待できないが、攻撃の規模は、一極モデルが道徳的に受け入れられる結果を生み出せるという信念に固執する人々にとって「目覚め」の呼びかけだったと考えている。事件が示しているのは一方的行動は必然的に弱者や無防備な人々に対する犯罪的暴力につながるということだ。バイデンの秘密作戦はヨーロッパの全ての男性、女性、子供を傷つけた。それは本当の悲劇だ。ハーシュの最近インタビューの引用は次のとおりだ。

 「この物語は、アメリカ人を戦争支持に結集する大統領の能力を破壊する可能性があると思う。なぜならそれは実に暗く非アメリカ的なものだから。これは我々ではない。我々は我々のことを話しているのではない。諜報機関員とCIA連中の集団だ」 シーモア・ハーシュ 2:29分

 彼は正しい、そうだろう? バイデン政権は、これら暴露が国民に与える影響を大幅に誤算している。評判への打撃だけでも甚大だろうが、多くの批判者が戦争を見るプリズムとしても利用される。実際それが既に起きているかもしれない兆候がある。日曜ロシアのセルゲイ・ラブロフ外相は、ワシントンの戦争の本当の狙いは単にロシアを"弱体化"させ最終的にロシアを細かく分裂させることではなく、ドイツとロシア間の分裂を強制することだと確認した。彼が土曜日に言ったことは下記のとおりだ。

 ラブロフによれば、ロシアとドイツが過去20-30年間「あまりに良く」協力し、ロシアの資源とドイツの技術に基づいて強力な同盟を確立したとアメリカは判断したのだ。

 「それは多くのアメリカ企業の独占的地位を脅かし始めた。したがって、なんとかそれを台無しにする必要があったのだ。文字通り」と外務大臣は述べた。

 「ここにはロシアとドイツ間で起きたような国家間の友情や国家間の和解や、世界のどこであれ自ら宣言した主要覇権国アメリカと競争する国が決してあってほしくない人々にとって目障りだという事実と関連する側面がある。」とラブロフは付け加えた。 (「ラブロフは、アメリカ当局は本質的にノルドストリーム爆破がアメリカの仕業だったと認めていると言っている」タス)

 この紛争はドイツとロシアの経済統合が世界秩序におけるアメリカの支配的役割に深刻な脅威をもたらすことに気づいたワシントンの外交政策専門家によってでっち上げられたという我々の見解をラブロフ発言は補強する。パイプラインは二つの大陸を結びつけ、最終的に世界最大の自由貿易地域になる経済コモンズをもたらす重要な動脈だったのでノルドストリームがアメリカによる攻撃の主要標的になったのはそのためだ。これがワシントンが最も恐れていたことで、それがバイデンと仲間がドイツとロシア間の経済関係強化を防ぐためにそうした必死の措置を講じた理由だ。要するにノルドストリームは一極世界秩序の終わりを意味したのでノルドストリームは破壊されなければならなかったのだ。


 この精巧な理論を拡張する代わりに、少々時間を取って、ハーシュの影の「情報源」について何か理解できるかどうか見てみよう。質問形式でさせて頂きたい。

 なぜシーモア・ハーシュの情報源はバイデン政権によるノルドストリーム・パイプライン破壊行為について詳細で極秘な情報を彼に提供したのだろう?

  • a. 情報源は戦争努力を覆しアメリカに深刻な損害を与えたかったクレムリンの手先だ。
  • b. 情報源は民主主義と自由を嫌うアメリカ嫌いの「共産主義者」だ
  • c. 情報源は自分自身、家族、彼のキャリア、彼の自由を危険にさらすのを楽しんでいるアドレナリン中毒者だ。
  • d. 情報源はノルドストリーム破壊に関する情報を明らかにすることでネオコンがアメリカをロシアとの壊滅的戦争に導くのを防げると考えた憂慮するアメリカ人だ。

 「d」を選択された場合は、正しい解答なのでご自分を褒めて頂きたい。正しい心を持つ人の誰であれ国が重大な危険にさらされていると思わない限り、ハーシュの情報源が取ったようなリスクを冒すことはない。そしてネオコンが計画している将来のエスカレーションがわからないので、その危険が何かさえまだわからないことに留意願いたい。たとえばロシア領をより深く攻撃するため使用されるF-16と長距離ミサイルを提供するアメリカ計画が既に進行中の可能性があるネオコンは"偽旗"作戦の一環として、ウクライナで核兵器を爆発させたがっているかもしれない。あるいはバイデンはウクライナ東部の戦闘作戦でアメリカ特殊部隊と一緒に戦う「有志連合」(イギリス、ポーランド、ルーマニア)を組織することを計画している可能性がある。これらの進展はいずれも核武装したロシアとの直接衝突の可能性を高める敵対行為の深刻なエスカレーションだ。ジョー・バイデン自身の言葉を借りれば「それは皆が第三次世界大戦と呼ぶものだ」。

 彼は正しく、それは第三次世界大戦で、それがハーシュの情報源が彼にノルドストリームに関する不都合な情報を提供する勇気を奮い起こした理由を説明するかもしれない。彼は世界が核絶滅への道を進んでいると信じていたのかもしれず、彼は我々のために自分の命を危険にさらしたのだ。「彼ほど偉大な愛はない」。

 そして自分自身を危険にさらしたのは情報源だけではない。ハーシュ自身も起訴されかねないのだ。実際ハーシュが彼ほど広く尊敬されていなかったら彼はおそらく今ジュリアン・アサンジと独房を共有していただろうと私は主張したい。結局アサンジがしたこととハーシュがしたことの違いは一体何だろう?

 ハーシュの輝かしい評判が彼を「手出しできない」人物にしている(と我々は願う)事実以外はさほど多くはない。

 いずれにせよ、記事の背後にある動機が核ハルマゲドンを防ぐことであった場合、我々は彼らの勇気と無私無欲に非常に感謝する。

 それでも記事を推進する我々が検討する価値がある他の動機があったのかもしれない。少々の間ハーシュの情報源が近い将来のネオコン計画に関する情報を持っていると想像してみよう。言い換えれば、ノルドストリーム破壊行為だけがハーシュ報告の主な原動力ではなく、水平線上にある他の不吉な計画、つまり未曾有な深刻さの大惨事を引き起こす可能性がある軍事的エスカレーションであった可能性は十分にある。

 先に述べた通り、そのような計画にはF-16と長距離ミサイル、または核の「偽旗」作戦が含まれる場合もあれば、バイデンがウクライナ東部での戦闘作戦でアメリカ特殊部隊と共に戦う「有志連合」を組織する可能性もある。ウクライナでのアメリカ戦闘部隊はロシアとの直接の衝突を事実上避けられないものにするだろう。それはネオコンが望んでいる次の世界大戦への軌道にアメリカを乗せるだろう。残念ながら、これが最も可能性の高い短期的シナリオだと私は思う。ウクライナでロシアと直接交戦すべく組織されたアメリカが支援する連合の形成だ。バイデン大統領のポーランド訪問に関するカリーヌ・ジャン・ピエール報道官の声明は下記の通りだ。

 2月20日から22日までジョセフR.バイデン Jr.大統領がポーランドを訪問する。彼はポーランドのアンジェイ・ドゥダ大統領と会談し、二国間協力と、ウクライナを支援し、NATOの抑止力を強化するための共同の取り組みについて話し合う。彼はまた我々の東側のNATO同盟国集団であるブカレスト・ナイン(B9)指導者と会い同盟の安全に対するアメリカの揺るぎない支持を再確認する。さらにバイデン大統領はロシアの残忍でいわれのないウクライナ侵攻の一周年に先立ち、ウクライナの人々が自由と民主主義を守るためアメリカが世界をどのように結集させたか、我々がウクライナの人々を支持する方法について話す。(ワシントンDC、ホワイトハウス)

 公式声明で述べている通り、バイデンはポーランド大統領と「ウクライナを支援するための集団的努力」について話すだけでなく、アメリカとポーランドの「二国間協力」についても話し合う予定だ。しかしバイデンはより多くの武器以外に一体どのような二国間協力を望んでいるのだろう? 戦闘部隊? それがバイデンが求めているものだろうか? ウクライナの大きな犠牲者を穴埋めするため連合は現地に兵士を送るのだろうか? ここにNotes From Polandと呼ばれるウェブの記事がある。ポーランドは採用目標の急激な増加を発表した。当然ながら、この記事はポーランドが一年以内に軍隊規模を2倍以上にするつもりの理由を説明していない。

 来年ポーランドでの軍事演習に最大20万人が集められる可能性があり、その中には軍務に申請したことは一度もないが「有用な技術」を持っていると見なされる人もいる。演習は最大90日間続く可能性があり、参加しなかった場合懲役または罰金が科せられる。

 召集される対象の人々は19歳になった全ての男性が義務的に健康状態と兵役の適合性が判断されるいわゆる軍事資格に合格した55歳以下の人々だ。

 ポーランドは来年「貪欲な帝国ロシア」から守るため防衛費をNATO最高レベルのGDPの3%に増やす予定だ。

 新しい国土防衛法は軍隊に服務する兵士の数を二倍以上にする https://t.co/KlEA1cHOo Notes from Poland(@notesfrompoland) 2022年3月19日

 2009年までポーランドは男性に兵役を義務付けていたが完全に専門的な軍隊のため兵役は廃止された。しかし近年ロシアの脅威の高まりにより政府は軍隊規模と強さを増やそうとしている。

 2017年、新しい領土防衛軍が設立された。今年の国土防衛法は現在の143,500人の軍隊から兵士規模が倍増することを見越している」(「来年最大20万人のポーランド人が軍事訓練に召集される」Notes From Poland)

 このポーランド軍の突然の拡大は単なる偶然として見過ごすよう期待されているのだろうか、それともウクライナへの将来の軍隊配備に関し、ワシントンと既に合意がなされている可能性が高いのだろうか?

 ホワイトハウス声明によると、バイデンは冷戦終結後にアメリカ主導軍事同盟の一部となった東ヨーロッパのルーマニア、ポーランド、ハンガリー、ブルガリア、チェコ共和国、スロバキア、およびエストニア、ラトビア、リトアニアのバルト三国が含まれる9つのNATO諸国の集団「ブカレスト・ナイン(B9)の指導者とも会う」予定だ。9カ国全てかつて崩壊したソビエト連邦と密接に関係していたが後に民主主義の道を選んだ。ルーマニア、ポーランド、ハンガリー、ブルガリアはソビエト連邦が率い現在は解散しているワルシャワ条約機構の軍事同盟の元加盟国だ。確認願いたい。

 B9の全メンバーはNATOの一部で(全て)2014年以来ウラジーミル・プーチン大統領のウクライナ侵略に批判的だった。昨年NATOは新たな戦略概念を採択したが、全ての同盟国がロシア連邦は同盟国の安全とユーロ大西洋地域の平和と安定に対する最も重大な直接的脅威であることに同意した。今ビリニュス・サミットに向かう中、同盟がこの脅威に立ち向かう準備を十分に整えていることを確認する必要がある。」 (「ブカレスト・ナインとは誰か、NATOの東部側面部隊?」インディアン・エクスプレス)

 反ロシア軍。それが彼らが作りたいものだろうか?

 確かにそう見える。

 我々は「モグラ塚の山」を作っているのかも知れない。確かにその可能性がある。だがロシア軍が接触線に沿ってあらゆる前線で前進している今、絶望的なネオコンが何か巨大なことをするに違いないと我々は考えている。実際我々はそう確信している。ラリー・ジョンソンのウェブ「The Son of a New American Revolution」の記事からのクリップを確認願いたい。

 さて悪いニュースだ。バイデン政権とヨーロッパ同盟諸国はウクライナ戦争で大規模軍事行動の準備をしているか、何か悪いことが起きるのを知っているのだ。おそらくベラルーシで。外国人がベラルーシとロシアから素早く立ち去るよう警告が出されたばかりなので。

 フランス外務省は国民にベラルーシから遅滞なく去るよう促した。

 カナダは現地法の国民に恣意的適用のリスクやウクライナでの戦争のためベラルーシを直ちに離れるよう奨励する。カナダ外務省。

 月曜日、特にアメリカ人に対する嫌がらせと不法拘留のリスクを理由に、隣国ウクライナに対するロシアの戦争が続く中、アメリカはアメリカ市民に直ちにロシアを離れ、同国への旅行をやめるよう指示する最高レベルの勧告を出した。

 「ロシア軍によるウクライナへのいわれのない本格的侵略の予測不可能な結果、ロシア政府治安当局による嫌がらせの可能性や拘留のためのアメリカ市民選出や現地法の恣意的執行やロシアに出入りする飛行便制限があり、ロシアのアメリカ市民を支援する大使館の能力が限定されておりテロの可能性のためロシアに旅行せぬように。」と警告にある。

 私は偶然を信じない。これは協調行動でロシアとベラルーシの状況が近い将来危険になることを示している。もしかしたらアメリカがロシアとベラルーシでテロ攻撃を実行するためイスラム過激派を訓練しているのと関係があるかもしれない」(「シーモア・ハーシュが話し、NATOはウクライナ戦争エスカレーションを警告?」Son of a New American Revolution)

 それが実現するかどうかわからないが何かが進行中だ。しかし留意願いたい。公式言説が実際本当で、ウクライナ軍が戦争に勝っている場合、テロ攻撃や偽旗攻撃または追加戦闘部隊は必要ないはずだ。しかしそれは起きていることではない。ウクライナ軍はひどく負けている。実際彼らは長期戦闘を維持するのに十分な弾薬備蓄さえない。ロイター記事は下記のとおりだ。

 「NATOは加盟諸国にウクライナでの戦争でひどく枯渇した弾薬備蓄を増やすよう要請すると予想されている。キーウ軍が毎日最大10,000発の大砲を発射しているウクライナへの送付のペースは欧米の在庫を枯渇させ、サプライチェーンの効率、速度、人員の穴を露呈させた。

 「ヨーロッパがロシアと戦えば数日で弾薬を使い果たす国もある」とあるヨーロッパ外交官がロイターに語った。ウクライナでの紛争により備蓄は更に減少している。何十年にもわたる政府注文の減少により多くの生産ラインが消滅した後、生産を迅速に増やすために必要な産業能力の不足に戦争は脚光を当てた

 「来年中に備蓄レベルが大幅に増加するとは必ずしも思わない」とNATO当局者は述べた。「我々が持っている追加備蓄はウクライナに向かうだろう。」(「戦争が備蓄を使い果たすにつれNATOは軍需品備蓄目標を引き上げると予想される」ロイター)

 敵と戦う十分な弾薬なしで、どうやって国をロシアと戦争させるのだろう?

 無能さは気が遠くなるほどだが、短期的な問題ではない。欧米諸国は「大規模高強度戦争」に必要な物資と装備を提供するための産業基盤をもはや持っていない。能力構築には何年もかかる。その間戦争は装備の整ったロシア戦闘部隊に決定され、彼らは、あらゆる場面で益々人数で負け、武器の量でも負けているのに気づいて意気消沈しているウクライナ人を粉砕し続けるだろう。これはイギリスのテレグラフ記事からのものだ。

 「2022年後半にハルキウとヘルソン周辺でウクライナの主要戦闘が成功した後、ロシアが攻撃に戻ったため、これまでも血なまぐさい戦争だが、過去数週間更に血なまぐさいもので、双方非常に大きな犠牲者を出した。事態は更に悪化すると予想願される

 ロシアは30万人以上の「遙かに多く」、おそらく最大50万人の兵士を動員しており、彼らは今後数日から数週間で大規模攻撃になると予想されるものに備えウクライナに流れ込んでいるとウクライナのオレクシー・レズニコフ国防相は述べている。キーウも軍隊を増強し、欧米から送られた最新装備を配備しているが、プーチンは一年前に侵略した時より兵員数で遙かに大きな優位がある。ロシアが砲弾が不足しているという楽観的報道が繰り返されているにもかかわらず、この紛争の戦いの勝者、プーチンの戦争備蓄は膨大で、彼の工場は更に多く大量生産するため24時間稼働している。

 昨年末の時期には、圧力下で、ロシアは東部のウクライナ人を粉砕して抵抗力を弱め、計画している強烈な一撃のため資源を大量に集め、軍隊を強力な陣地に撤退させ、来る攻撃のため占領地と時間を交換した。

 今まで欧米の物語はウクライナがこの戦争に楽々勝っているというものだ。現実はもっと複雑だ。真実はウクライナに対する新しい戦闘装備、特に長距離ミサイルや戦車や他の装甲車両の最近の約束は、キーウが予想する日程でプーチンが攻撃を開始した場合、この戦闘に影響を与えるのに間に合うよう実現する可能性は低い。

 したがって今後数週間ロシアのかなりの前進に備える必要がある。我々は物事がどれほど悪いことになり得るかについて現実的になる必要がある。さもないと衝撃は欧米の決意をそぐリスクがある。昨年の夏と秋にはウクライナの成功によってヨーロッパとアメリカの一部で支持が活気づけられたため逆のことが起きた。」(「ウラジーミル・プーチンは衝撃的前進をしようとしている」、イギリス、テレグラフ)

 そしてこれはニューヨーク・タイムズのものだ。

 疲弊したウクライナ軍はロシアが新たに動員した約20万人の兵士の大部分を投入する前でさえ既に員数で負け、兵器の量で負けていると不満を漏らしている。そして病院の医師は恐ろしい怪我をした兵士の世話で苦労しており損失が増えていると語っている。
...
 ロシア攻撃の最初の段階は既に始まっている。ウクライナ軍はロシア軍が夏以来占領しようとしているウクライナ東部の都市バフムートが間もなく陥落する可能性が高いと述べている。他の場所でもロシア軍は小集団で前進しウクライナの弱点を探して最前線を偵察している。

 12か月近くの激しい戦闘で既に疲弊しているウクライナ軍にこの取り組みは負担をかけている
...
 ウクライナ軍の損失は深刻だ。ネフスケの近くに配置されたカルパティア・シーチと呼ばれる志願兵部隊は、彼らの集団の戦闘員約30人がここ数週間で死亡したと述べ、兵士たちは、冗談でほぼ全員脳震盪を起こしていると言った。

 ドンバスのある最前線の病院の霊安室は白いビニール袋に入ったウクライナ兵の遺体で一杯だった。別の病院では金色の防寒用毛布で覆われた負傷兵を乗せた担架で廊下が一杯で、ほぼ一日中救急車が正面に絶え間なく到着した。」(「人数で負け、疲弊した東部のウクライナ人、ロシア攻撃に備える」ニューヨークタイムズ)注:Moon of Alabalaから借用

 そして、ニューヨーク・タイムズからのもう一つの抜粋だ。

 問題はウクライナが戦争に負けていることだ。我々が知る限り兵士の戦い方が拙かったり人々が失望したりしているためでなく、戦争が第一次世界大戦風の消耗戦となり、入念に掘られた塹壕と比較的安定した前線になっているためだ。

 そのような戦争は実際第一次世界大戦がそうであったように人数と産業資源が最も長く持ちこたえる側が勝つ傾向がある。ロシアはウクライナの3倍以上の人口と無傷の経済と優れた軍事技術を持っている。同時にロシアには独自の問題がある。最近まで兵士不足とミサイル攻撃に対する武器庫の脆弱性により西方への進撃が遅くなっていた。双方に交渉のテーブルに着く動機がある」(ロシアとウクライナには交渉する動機がある。アメリカには他の計画がある」ニューヨーク・タイムズ)

 おわかりだろうか? 戦争は間違いなくしばらく続くだろうが結果は今や確実だ。そして東部で締めなわがきつく締まり、成功の見通しがますます遠くなるにつれ、ネオコンは更に絶望的で無謀で暴力的なことをするに違いないと思う。次の動きはウクライナの戦場でロシア軍に対しその場しのぎのアメリカ主導の軍隊を戦わせて、消極的なNATO同盟国を限界点に押しやる有志連合(イギリス、ルーマニア、ポーランド、アメリカ)を構築する試みだと予想する。あらゆる無謀な行動でアメリカ政府はNATO内での重大な分裂の可能性を高め、ヨーロッパに対するワシントンの完全支配を終わらせ新秩序の基礎を築くだろう。

記事原文のurl:https://www.unz.com/mwhitney/a-us-led-coalition-of-the-willing-foreshadows-the-splintering-of-nato/

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 さすが中国国際電視台英語TV、ノルドストリーム爆破問題を取り上げている。

The Point Special: U.S. behind Nord Stream sabotage 29:06

 属国民洗脳工作の見事な結果、世論調査に現れる。

反撃能力保有 74%が肯定的

 今朝の孫崎享氏メルマガ題名

プーチンへの支持。西側はロシア国民の支持が減と指摘するが、事実は逆。反プーチン発言には厳しい罰。「プーチン戦争に対するロシアの支持は強まっている」(ブルムバーグ)。早期終結が敗北を意味するなら、戦争の早期終結を望む者は.5分の1だけ。

 日刊IWJガイド

「シーモア・ハーシュ氏が新記事で米国とノルウェーの秘密共同作戦史を暴露! ノルドストリーム爆破の起源はベトナム戦争のトンキン湾事件!」

はじめに~米国によるノルドストリーム爆破を暴露したシーモア・ハーシュ氏が、新たな記事で米国とノルウェーの秘密共同作戦の歴史を暴露! ノルドストリームの爆破は、ベトナム戦争の開戦時の口実である偽旗作戦のトンキン湾事件が起源だった! 歴史は繰り返すのか!?、とすれば再び米国政府は自らの「罪」を認めることになるのか!

2022年12月 4日 (日)

ウクライナ戦争-論争の的になっているポーランドの墓地

2022年11月28日
Moon of Alabama

 独立したポーランド・ニュースサイト、Niezaleizny Dziennik Politycznyにウクライナでの戦争におけるポーランドの損失についての興味深い記事がある。

 私はこの報道の信憑性を確認できないが、少なくとも2014年以来、このサイトは規則的に毎日1いくつかのニュースや論評を発表している。それは現在ポーランドの保守的な法と正義党率いる政府に反対のように思われる。

 下記はポーランド語文章を機械翻訳したものだ。

 恥ずべき最期。ポーランド人傭兵用のアメリカ区画

 11月初旬に地域メディアはオルシュティンにアメリカ戦没者墓地に似た墓地を作る計画を発表した。この報道はこの都市の住民にも全国的にもポーランド人の憤慨の波をひき起こした。「これがポーランド人共同墓地か? 我々は文化が違う」市議会の奇妙な発想に憤慨したソーシャル・メディア・ユーザーはこう反応した。
・・・
 ディヴィティ市営墓地はオルシュティンの主要共同墓地で面積35ヘクタールだ。まもなくそれがアメリカの戦没者墓地のようになるため今やポーランド中大騒ぎだ。それはアメリカ映画のものと同じでなければならない。同じ墓石が並ぶ広い芝生。樹木もベンチも故人にかがむ天使もない。墓石は同じで色が違うだけだ。業者は三色しか用意していない。黒、灰色、赤褐色。

 オルシュティンでアメリカ墓地を作る主な理由はこの地域での埋葬が主に兵士の墓で劇的に増加しているためだ。

 この状況は第16ポメラニア機械化旅団が駐屯しているオルシュティン市当局にとって大問題となっている。弔砲が伴うほぼ毎日の軍葬が住民をいらだたせ始め市当局や第16旅団司令部への多数の問い合わせをもたらしている。この問題が更に広まるのを避けるため、当局は別途「アメリカ風」墓地を作ることに決めた。
・・・
 今年2月ウクライナで戦争が始まった後アンドレ・ドゥダ大統領とマリウシュ・ブワシュチャク国防大臣は公式に傭兵に合流しキーウ政権側で戦うようポーランド人に呼びかけた。出征兵の中には第16機械化旅団の職業軍人や地域に暮らすこの部隊の退役軍人がいた。

 公的な情報によれば10カ月の血まみれの戦いで第16機械化旅団の兵士や退役軍人を含め1,200人以上のポーランド人がウクライナで亡くなった。負傷したり体が不自由になったりした人々の数は数千人にのぼる。

 戦争状況次第で変化する可能性はあるが負傷者数はおそらく死者数の3倍だ。それはウクライナでポーランド分遣隊の総計約4800人の兵士が負傷したか死亡したことを意味する。それはウクライナにいるポーランド「傭兵」軍の3分の1だろうか? それ以上だろうか? あるいはもっと少ないのだろうか?

 我々には分からないがオルシュティンの第16機械化師団の非常に多くの正規兵が参戦するよう「要求された」と私は思う。師団は一つの機甲旅団と二つの機械化旅団と補助員で構成されている兵士15,000人の部隊だ。

 ポーランド墓地のスタイルはヨーロッパのカトリック国に典型的だ。樹木、個別の墓、精巧な墓石、ろうそくと花。


情報源 拡大する

 ポーランド人々が「アメリカ」風戦没者墓地計画が気に入らないのは理解できる。

 彼らのために当局は「特別な名誉」を用意した。オルシュティンには統一区画が作られている。墓石の大きさは二種類ある。より大きいもの(1メートル×1メートル)は士官の墓、より小さいもの(60センチ×60センチ)は兵士の墓だ。墓石を立体で覆ったり小石を撒いたり花を植えたりはできない。墓の周囲に芝だけ植える予定だ。このような不名誉な最期がウクライナで死んだ傭兵を待ち受けている。

 オルシュティンだけでこのような埋葬場所が1,700ある。政府プロパガンダの虚偽の約束を信じた多くのポーランド人は法と正義党政権の挑発的外交政策の犠牲になるだろう。

 ポーランド兵士死者数1,700人という計画で1,200人が既に埋葬されたが一層強化された長びく戦争に兵士が参戦するのをポーランド政府は期待しているように思われる。

記事原文のurl:https://www.moonofalabama.org/2022/11/ukraine-war-a-contentious-graveyard-in-poland.html#more

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 今朝の孫崎享氏メルマガ題名

米中は「技術経済冷戦」。半導体規制が主戦場。対中規制でファーウェイのスマートフォン出荷で世界第2位から第10位に落ち込む。中国は自国製造能力を強化策が次第に効果を持ってきている。中国の自国能力拡大で長期的に米企業は販売先を減少させる

 宗主国による命令で醜の御楯化が益々急速化。自国民の命より宗主国軍事政策優先。

 デモクラシータイムス

ミサイル増税という戦争準備 逆噴射始めた岸田政権 WeN20221203 1:43:05

 The Duranも石油価格設定という理不尽な方針を批判している。

EU bad moves, oil price cap. Russia big moves, gas union 27:25

 日刊IWJガイド

「EU、G7によるロシア産原油価格上限措置は1バレル=60ドルで合意! 中国、インドの参加見通せず穴だらけ! サハリン2は適用除外!」

はじめに~EU、G7、オーストラリアによるロシア産原油価格上限措置1バレル=60ドルは12月5日から発効! 最後まで30ドルにしろと粘ったポーランドはこっそり地上パイプラインでロシア産石油を供給するようロシア企業に申請、ロシア副首相は「馬鹿げた演劇」と揶揄! 米財務省は「プーチンの主要な収入源を制限し、世界のエネルギー供給の安定性を維持する」と鼻高々、しかし、専門家は「ロシアの石油収入を削減する効果は薄い」と低評価。中国、インド、インドネシアなどのアジア諸国の価格上限への参加が見通せず、抜け穴だらけ! そんな中、日本がロシアから輸入する唯一の「サハリン2」は原油価格上限措置から除外

2022年7月11日 (月)

元ポーランド大統領、ロシア人口削減を示唆

欧米はロシア「政治制度」を変えるか大衆蜂起を扇動すべきとレフ・ワレサは考えている

2022年7月10日
RT

 金曜日、フランス放送局LCIに、ロシアは本質的に「帝国」であり、常に「人々を併合し続けよう」と努めているので、現代ロシアが存在する限り世界は決して安全ではない、と元ポーランド大統領レフ・ワレサが述べた

 たとえ欧米諸国がモスクワとの進行中の紛争で勝つべくウクライナを支援しても、それだけでは世界を安全な場所にするのに失敗すると言い、ワレサは、国際社会は、更に「5年でロシアが関与する紛争を見るはずだ」と付け加えた。彼は欧米当局者やメディアに、益々独裁的指導者として描かれるロシア大統領ウラジーミル・プーチンに言及して、「10年で、もう一人のプーチンが出現するだろう」と付け加えた。

 そのような進展を避けるためには、欧米はロシアでの政治体制変化を強制しなければならない」と元ポーランド大統領は考えている。もしそれが不可能と分かったら「蜂起を計画する」ことが、もう一つの選択肢だろうと彼は述べた。

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 ワレサによれば、ロシアには依然「今のウクライナ人のように併合された[併合されている]60の民族がいる。」ロシア国民を「5000万人以下に」減らすためには「それらの人々を行動にかき立てる必要がある」と元大統領が、現代ロシアの強制的崩壊の可能性を指して述べた。2021年に行われた最近の人口調査によると、ロシア人口は現在約1億4700万人だとロシア連邦国家統計庁Rosstatが4月に述べた。

 ポーランドの社会主義政府を崩壊させた連帯運動の共同創設者だったワレサは、欧米は「ロシアを崩壊させる」べきだったが、それは最終的に、最後のソ連指導者ミハイル・ゴルバチョフの肯定的イメージのため失敗し、機会を無駄にしたと主張した。

 「我々はロシアを崩壊させるべきだった。だが、ゴルバチョフはあまりに賢明だった。当時、我々は言っていた。「スターリンやブレジネフがいたが、ゴルバチョフは良い」。ワレサが「それは我々の当時の過ちだった」と補足して言った。元ポーランド大統領によれば、ロシアは困難な時期を「過ぎ去るまで待ち」「彼らが何世紀もしたように乗り切り、彼らの帝国に人々を併合し続ける」ことが可能だった。

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 欧米には、それ自身の権益があり、影響力と権力を行使しようと努めているが、「民主的な方法で」そうするといって、元ポーランド大統領はNATOとEU拡大を擁護した。

 「今二つの体制がある。人々の承認を得ることで拡大を望む民主主義国とNATOと、旧来の併合という古い方法を行使するロシアと中国だ」と彼は述べた。

 1990年から1995年まで大統領だったワレサは、最近ロシアの最も厳しい批判者の一人になった。2月初旬、ウクライナでのロシア軍事作戦開始前でさえ、元ポーランド大統領は、ウクライナに対するロシア攻撃に対する「即座の対応」として、世界に「動員」を求めた。当時彼はロシアによるキエフ攻撃には「モスクワ攻撃」で対応すべきだと述べていた。

 2月初旬、ワレサはまだロシアを「問題がある」「偉大な国」と呼んでいた。彼は「大変プーチンを尊敬し、彼を支持していた」とも認めた。

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記事原文のurl:https://www.rt.com/news/558739-walesa-russia-uprising-reduce-population/

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 Sakerが復活した。この種攻撃、新たな形の戦争の一環だと書いてある。

 デモクラシータイムス

現地報告 専制国家と民主主義国【米中のはざま どうする!日本】20220706

 習近平支配下の香港政治の様子を聞いていると、まるで我が身。金融窓口としての香港には及びもつかないが。

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