気候変動とエネルギー問題─CO2温暖化論を超えて
マスコミが世論調査をする場合は、自分のプロパガンダ・洗脳効果を検証して、プロパガンダを強化するために行うのだろうと思っている。
他の団体の調査結果を利用する場合は、自社の洗脳方針に沿うものを掲載して、後光効果を狙うのだろう。と、ひねくれものは思っている。ともあれ、最近の例。
YOMIURI ONLINE 読売新聞(2011年9月4日)
語り部ら「原発廃止望む」9割超 長崎平和推進協会アンケート
エネルギー政策に関する質問(複数回答)では、「自然エネルギーの開発と原発廃止」を求める人が93・8%で最も多かった。「原発の即時停止と廃炉」は31・3%で、「原発の安全強化と従来の政策の推進」は6・3%だった。
調査に当たった広報班の広瀬方人(まさひと)班長(81)は「原子力依存からの脱却を求める意見がほとんどだが、代替エネルギー技術の確立の必要性を訴える慎重論もあった。被災者への共感や行動を起こしたいという思いの強さは表れていた」と分析した。
とある。なぜか「原発の即時停止と廃炉」が、大多数というわけではないようだ。
原発は、地震だけで破壊されてしまう脆弱な危険物だという事実、中越沖地震時の柏崎刈羽原発事故で、そして今回の福島第一で、証明されている。
田中三彦氏は、以前から地震による事故を警告しておられ、また「老朽化、脆化している原発は、地震がなくとも危ない」とおっしゃっている。
「即時全停止」という声、多数にならないことを不思議に思う。地震活動が活発化している現在、原発をゆっくり減らしている余裕はないだろう。フクシマ事故の深刻さ、北朝鮮顔負けの報道管制をされているだけ。もう一件、事故が起きれば日本完全壊滅。
「即時全停止」という声が多数にならず、大半が「減らすべき」程度でとどまっている大きな理由として思いつくものがある。表題の、気候変動をかたる大規模「地球温暖化詐欺」。
「化石燃料使用による、空気中の二酸化炭素増加で、地球は温暖化してきた。だから化石燃料は止めて、地球にやさしい原発と自然エネルギーに変えよう」というアレだ。
アル・ゴアの「不都合な真実」は、実際は「不都合なプロパガンダ」であること、既に世界的には周知の事実。いわゆる「クライメート・ゲート」
ところが、世界の知的ガラパゴスたる日本では、その事実を、マスコミは全く報道しない。日本では、「地球温暖化」問題が宣伝され、洗脳されたまま化石化している。
そのため、
「原発を急に廃止して、化石燃料使用に変えれば、空気中の二酸化炭素増加で、地球は温暖化してしまう。だから原発廃止はゆっくり進め、自然エネルギーに変えてゆこう」
と、思いこまされているのではあるまいか。
先々月「不都合なプロパガンダ」に関する素晴らしい本が刊行された。
「気候変動とエネルギー問題」CO2温暖化論を超えて 深井有著 中公新書2120
第一章、ミステリーか探偵小説のようだ。
以下、いいかげんな要約を書いておくが、本そのものをお読みいただきたい。わずか860円で目からうろこが落ちる。目次は下記の通り。
- 序章 クライメートゲート事件─暴かれた二酸化炭素原因説の陰謀
- 第一章 気候変動はどうして起こるのか
- 第二章 「地球温暖化」から「エネルギー問題」へ
- 第三章 未来のエネルギー源─核融合
- 第四章 これからどうするか?
まず、はしがきの一部をご紹介しよう。
地球の気候はたしかに温暖化してきた。しかしそれは一七〇〇年頃の寒冷期から徐々に起こってきたことであって、最近一〇年間はほぼ頭打ちになっている。大気中の二酸化炭素は確実に増加し続けているにも拘わらず、である。温暖化防止キャンペーンは費用対効果が疑問であるだけでなく、その科学的根拠も、実は極めて薄弱なのだ。それなのに、日本はこのキャンペーンの先棒を担いで自滅への道を突き進んでいる。
この国を自滅への道から踏み止まらせるにはどうすれば良いのか、人々を「地球温暖化防止」の集団パラノイアから目覚めさせるにはどうすれば良いのか。こと、ここに到っては、ひどく難しいに違いない。何しろ、この「地球温暖化防止」キャンペーンは、あろうことか国連機関IPCC(国連の気候変動に関する政府間パネル)によって演出され、ノーベル平和賞というお墨付きまでもらっているのだから。そして、とくに日本では、マスコミがその旗振り役しかしようとしないのだから。
IPCCは空中楼閣となり、いずれは崩壊するだろう。そして地球温暖化防止のキャンペーンは世紀の科学スキャンダルとして記憶されることになるに違いない。
諸外国では、この状況が次第に広く認識されるようになってきて、多くの先進国で政策が大きく転換されようとしている。先進国で人為的温暖化論を信じる人は激減し、これを受けて温暖化防止法案は、最近、相次いで否決された。二酸化炭素削減を定めた京都議定書の国際的な枠組みも遠からず崩れ去るのではないかと考えられる。ところが、日本にはこのような世界の動きがまったく伝わっていない。これではいけない。人々が「CO2温暖化」の悪夢をふり払い、政府に無意味な支出を止めさせなくてはならない。そうすれば.一〇年間で一〇兆円以上のお金を震災復興に回せるではないか。
「化石燃料使用による、空気中の二酸化炭素増加で、地球は温暖化してしまう」論をふりまいていた組織IPCCのコンピューターが何者かにアクセスされ、13年間にわたるメールとデータが流出した。その流出データから、IPCCの有名な、いわゆるホッケー・スティック曲線が、捏造されたものであったことがばれてしまう。
ホッケー・スティック曲線、1900年ころから、気温が急にあがる(ホッケー・ステッキの先端のように)という図だ。
「何者かにアクセスされ、13年間にわたるメール・データが流出した。」というが、重要なものが流出していることから、筆者は関係者の関与を示唆する。
気温があがると、二酸化炭素が増加するという事実はあっても、二酸化炭素が増加すると、気温があがるという因果関係は証明できていない。
そもそも、IPCCという組織、もともと、温室効果による地球温暖化を前提にして作られた組織なので、科学的根拠については中立的ではありえなかった。30ページ。
いわく、
- 温暖化が今のまま進むと、2035年には、ヒマラヤ氷河は消失する。
- 温暖化によって、ハリケーンがふえる。
- 温暖化による雨量減少で、北アフリカの食糧生産が50%減少する。
等という数々のIPCCによる虚報。
そして、きわめつけとして、地球温暖化を種とした商取引が出現する。排出権取引だ。
温暖化防止を大義名文に、世界経済のヘゲモニー把握を狙うヨーロッパの意図が、IPCCを動かす影の力ではないか、と著者は言う。
また、IPCCは、原発推進の隠れ蓑になっているという説も紹介する。
ともあれ、IPCCは、空気を種に、排出権取引での大儲けを狙った詐欺師だった。
47ページで、著者は言う。
ところがわが国では、2011年4月の時点で、まだIPCC信仰は崩れておらず、国民は依然として二酸化炭素の排出削減を崇高な目標と信じ込まされている。これではいけない。
少なくとも諸外国並みに、国民が地球温暖化論の真実を知り、政府が正しく対応できるようになるべきなのだ。
このように日本が世界から取り残されていることについては、マスコミの責任も大きい。
ここで述べたようなIPCCへの疑問を日本のマスコミはまったく報道していない。2009年9─10月に外国のメディアが気候温暖化への疑問に取り組み始めたとき、日本のメディアの反応は皆無だった。そして、クライメートゲート事件が起こった後も、長いこと沈黙を守っていた。IPCCの旗を担いで地球温暖化の危機感を煽ることに終始してきたメディアは、ことの重大さに気付かなかったのか、あるいは気付いていながら目を瞑(つむ)ったのか、分からない。いずれにせよ、今に到るまで、マスコミは事件の持つ意味を正しく伝えていないのだ。日本のマスコミに「社会の木鐸たれ」などとないものねだりをする気はない。むしろ身に合わぬことはしないで欲しいのだが、せめて世界で起こっていることを正確に伝えるのが使命であるくらいの見識は持って欲しいものだ。
そこで、「一章 気候変動はどうして起こるのか」となる。
地球温暖化や冷却化の要因、実は、地球内部のちまちました変動ではない。現在より、もっと暖かい時期もあった。北極圏にワニのような変温動物がいた。
要因は、銀河系の中の太陽の動き。
雲のでき方は、宇宙線の強度と深い関係がある。宇宙線強度が弱まると、エアロゾルができにくくなる、雲量が減る。
雲が減れば、地上に降り注ぐ太陽光は増し、温度は上昇し、雲が増えれば、雲は太陽光を反射し、地上に降り注ぐ太陽光は減少し、温度は下降する。
銀河系の中には、星がより密集した渦状腕が存在している。太陽も公転しているが、銀河系も回転しており、太陽は、公転する中で、時折、その密集した渦状腕を通過する。この渦状腕の中では、超新星の爆発に遭遇する確率が大きく、平均して宇宙線強度が増し、地球は寒冷化する。
宇宙線強度の増大は、生物大絶滅の原因でもあった。
ところで、雲の種となる微粒子、エアロゾルには、硫酸が含まれる。そして、その硫酸の由来は、植物性プランクトンから放出される硫化ジメチル。銀河系内での太陽の動きによる宇宙線の変化と、小さな植物性プランクトンが、雲の生成、地球の気候を左右しているのだ。発電に使う化石燃料による二酸化炭素が、気候を左右しているのではない。
年々暑くなっていると我々が感じるのは、都会の「ヒートアイランド現象」というローカルな理由による。狭いところに集まって、大量の熱を放出するためだ。そもそも、気温測定が正しく行われているか?という基本的な測定環境の問題がある。夏の暑い日、芝生の上で、25度である時に、コンクリートの上では、10度以上も高くなる。アメリカの観測ステーションを調べたところ、測定誤差が1度以下のもの、わずか10%。
アメリカは京都議定書を批准していないのは、アメリカの科学者がまともで、科学アカデミー会長が、IPCC批判の先頭に立っているという背景もあるのだ。
アラスカ大学名誉教授、赤祖父俊一『正しく知る地球温暖化─誤った地球温暖化に惑わされないために』
学会誌は学者しか読めないが、ブログなら世界中誰でも読めるので、IPCC一派も、ブログを、批判派対応と、温暖化の啓蒙に利用しようとした。
「真の気候」realclimate.org
仲間へのメールで、「どんなコメント、批判、提案も歓迎する。」と書いたが、同時に「雑音を減らすために、書き込みは必ず検閲する」とも書いていた。
IPCC一派が学会誌に手を回し、異論・反論を排除する中、果敢に戦って、状況を動かしたのは、批判派のブログだ。
マッキンタイアの「気候監査」
統計数学の知識を駆使したマッキンタイアは、IPCCチームとマッキンタイアとのやりとりを丸ごと公開し、批判封殺を続けようとしたチームの所業を白日の下にさらした。2007年にベスト科学ブログ賞を受賞。
ワッツとモンフォードのWUWT
全米の気象観測ステーションの実態を調べ、温度計のおかれたミクロ環境の影響がきわめて大きいことが明らかになった。同時に、測温データ自体が、近年の上昇を強調する「補正」をされていることも発見した。2008年にベスト科学ブログ賞を受賞。
アンドリュー・モントフォードのビショップヒル
IPCC報告書の古気候学部分の作られ方を追跡し、IPCC報告書の偏向ぶりを明らかにした。
著者は144ページで、書いている。
しかし、まだ大きな問題が残っている。IPCCの活動が科学を離れて一人歩きし始めてしまった今、その流れを止めるためにインターネットのような情報伝達手段が果たすべき役割はますます重要になっている。日本のようにマスコミが正しい情報を伝える役を果たしていない国では尚更のことである。インターネットを通しての草の根運動が、やがては科学的根拠のない人為的温暖化論を駆逐することを願っている。
第二章 「地球温暖化」から「エネルギー問題」へ、は省略させていただく。
第三章、「未来のエネルギー源─核融合」も省略させていただく。
第四章 これからどうするか?
結論だけ。
温暖化対策費のすべてを災害復興へ
田中康夫のにっぽんサイコー!の下記放送、この文脈で考えると、実に的確。
11/08/06 喜ぶのは孫さんだけ?民主党の脱原発政策 guest町田徹氏(経済ジャーナリスト・ノンフィクション作家)
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