アメリカ

2026年4月15日 (水)

南レバノンにおけるイスラエルの策略:「自衛」が征服の様相を呈し始める時

フィル・バトラー
2026年4月13日
New Eastern Outlook

 中東情勢の緊迫化は、アメリカとイラン間の停戦合意の現実性に対する疑念を強めている。イスラエルによるレバノン南部での軍事作戦は継続しており、国際社会からの批判は益々深刻化している。

 

 状況は日増しに悪化している。アメリカとイランの交渉は停戦合意に至らず、地域情勢は益々不確実な状態に陥っている。同時に、イスラエルはレバノン南部で大規模軍事作戦を継続し、村々を破壊し、恒久的な安全保障地帯と見なせる地域を次々作り出している。世界の多くの国々にとって、これはもはや正当な自衛行為とは見えず、ワシントンの外交的保護の下で行われる領土拡大としか見えない。

 ヒズボラに対する作戦として始まったものが、F-35戦闘機を使った人口操作へと急速に変化している。村々は組織的に掃討され、橋は破壊されている。

 10問の数学問題

 イランは緊張緩和の枠組みとして10項目の提案を提示した。第9項では、レバノンを含む地域停戦が明確に求められていた。しかし、交渉が行き詰まり、最終的に決裂すると、アメリカ高官らは、レバノンは提案された枠組みの一部とみなされていなかったことを明確にした。JD・ヴァンスは「レバノンは停戦合意の一部ではなかった」と率直に述べた。これは誤解ではない。事後的に条件を書き換えているのだ。10項目の枠組みを受け入れておきながら、同盟国が領土拡大を望んでいるからといって、そのうちの1項目を安易に削除することはできない。このような都合の良い記憶喪失は、停戦合意全体が最初から偽りだったかのように見せてしまう。

 更に皮肉な見方をすれば、この修正主義的な主張は、アメリカの兵器供給再開のための都合の良い口実に思える。イランとの和平を追求しているとワシントンは主張する一方、イスラエルによるレバノン南部での作戦拡大は、ミサイル、爆弾、精密誘導兵器といったアメリカ兵器の備蓄を枯渇させ、その後で、緊急に補充し続けるための完璧な正当化理由になる。軍産複合体は需要が急増しても決して文句を言わない。

 この事態の展開を見守る多くの人々にとって、この一連の出来事は、まるで巨大な株式市場ゲーム、つまり防衛関連企業と株主の利益のために仕組まれた地政学的茶番劇のように見える。レバノンで人々の生活が破壊され、地域の安定は崩壊し、アメリカ納税者は次の「緊急」武器輸送の費用を負担させられる。その一方、真の勝者はウォール街で取り引き開始の鐘を鳴らす。これは外交政策ではない。戦闘機つきの贈り物に過ぎない。

 安全保障を装った征服

 この手口はガザ地区とレバノン南部の両方で、もはや紛れもない事実になっている。

 2025年10月以降、ガザ地区では、控えめな推定でも7万5000人以上のパレスチナ人が殺害され、飛び地の大部分が瓦礫と化している。パレスチナ人が永久に追放された後、この荒廃した地域を「中東のリビエラ」、高級海岸リゾートに変える構想をトランプ大統領は公然と語っている。言い分は明白だ。土地を更地にし、儲けのための再開発だ。

 同様戦略がレバノン南部でも展開されている。レバノン領土の約10%、深さ15~30キロに及ぶリタニ川までの恒久的緩衝地帯の設置をイスラエル当局は公然と語っている。イスラエル国防軍が全域を支配し、国境付近の家屋や村を破壊し、数十万世帯に及ぶ避難民レバノン人家族の帰還を阻止するとイスラエル・カッツ国防相は述べている。ベザレル・スモトリッチなどの極右勢力を含む閣僚は完全占領、更には全面的併合さえ求めている。

 ヒズボラに対する作戦として始まったものが、F-35戦闘機を用いる人口操作に急速に変貌しつつある。村々は組織的に掃討され、橋は破壊され、帰還は事実上不可能になっている。これはもはや精密対テロ作戦ではない。「自衛」を装う大規模破壊と住民の強制移住に他ならない。

 罰されないことの代償

 超大国が自らの停戦協定すらまともに守れないとなれば信頼性は崩壊する。欧州各国政府と国連は厳しい非難を表明した。世界の世論は変化しつつあり、今や、イスラエルは、自衛する国家ではなく、ワシントンの承認を得て、拡張主義的衝動にふける地域大国だと多くの人々は見なしている。

 イスラエルにはあらゆる自衛の権利がある。だが「防衛」が近隣諸国の大量破壊や併合の公然たる主張を必要とする場合、もはや生存のためではなく征服に見え始める。映像や死傷者数や南レバノンの地図は世界が無視できない事実を物語っている。

 フィル・バトラーは政策研究者、評論家、政治学者、東ヨーロッパ専門家で、最近のベストセラー「Putin’s Praetorians(プーチンの近衛兵)」などの著書がある。

記事原文のurl:https://journal-neo.su/2026/04/13/israels-southern-lebanon-gambit-when-self-defense-starts-looking-like-conquest/

----------

東海林さだおさん死去、88歳
 その昔、全集を購入し、友人と拝読した。

The Chris Hedges Report
Kuwait Must Release the Journalist Ahmed Shihab-Eldin
Kuwait has arrested a prominent international reporter for doing his job. The Kuwaiti government is threatening to imprison him under a set of new and harsh national security laws.

Chris Hedges
Apr 15, 2026

 今朝の孫崎享氏メルマガ題名
何と何と、ニューヨーク・タイムズ紙がトランプは狂人ではないかの記事を書いた。「トランプ大統領の支離滅裂な言動と過激な発言が彼のメンタルヘルス論争を再燃させる」、大統領の安定性がこれほど公然と徹底的に議論され、これほど深刻な結果を招いたことはかつてなかった。

2026年4月14日 (火)

停戦協定が詐欺になる時



対イラン戦争を確実に継続させるトランプとイスラエル
フィリップ・ジラルディ
2026年4月10日
The Unz Review

 水曜日にナポリターノ判事のYoutube番組「Judging Freedom」に出演した際、ワシントン・テヘラン間で現在進行中の停戦は、この地域におけるイスラエル権益を支援し、対イランの次の大規模攻撃の準備をする時間稼ぎのためのテルアビブとホワイトハウスの策略だという見解を私は表明した。ホワイトハウスと従順なメディアに流布される話のいくつかの側面に私の判断は基づいている。そもそも仲介者パキスタンを通じてイランが提示した停戦案をアメリカが受け入れたのは、イスラエルとの協議なしに行われたとされている。言い換えれば、イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相は、事前に知らされておらず、関与もしていなかったのだ。

 これは、合意以前のアメリカとユダヤ国家関係の歴史全てに反するもので、そもそも、それが本当に合意だったかどうかも疑わしい。前任者のジョー・バイデン同様、ドナルド・トランプは、これまでのイスラエルの戦争犯罪で「最も忠実な共犯者」で、イスラエルがアメリカやアメリカの国益に深刻な副次的被害を与えているかどうかに関わらず、アメリカが持つ相当な影響力を行使して、イスラエルの行動に異議を唱えたり阻止したりすることは決してなかった。こうした状況を踏まえれば、レバノン、シリア、ガザ地区で停戦協定が結ばれたが、いずれもアメリカが実施者または保証人だったにもかかわらず、直ちにイスラエルはこれを破った。現在も、これら地域だけでなく、対イランでも同様行為をしている。イスラエルが合意事項に違反しても、トランプ大統領は何も言わない。これは、今回の停戦が、イスラエルとアメリカが裏で巧妙に仕組んだ策略で、劣勢に立たされている戦争を一時的に中断し、停戦の「二週間」期限が切れるやいなや、実質的代替案がないまま戦闘を再開させるためのものであることを示唆している。驚いたことに、この合意は24時間も持たず、イスラエルはレバノンへの壊滅的攻撃を仕掛け、300人もの民間人を殺害し、住宅街を破壊した。イスラエルがこの攻撃を仕掛けたのは、イランとの停戦や和平協定に向けた動きを妨害するためだったのは疑う余地がない。

 レバノン民間人への爆撃をイスラエルが即座に再開した悲しい話以外に、停戦が詐欺であるのを確認するため何か必要なものがあるとすれば、それは木曜日に明らかになった、トランプ大統領が副大統領のJD・ヴァンスを首席交渉官としてパキスタンに派遣し、戦争終結に向けた過程の一環として宣伝されている交渉を継続させるというニュースだ。そもそも戦争に反対していたとされるヴァンスは良い人選かもしれないが、彼がトランプ大統領の望むことだけ行い、それ以上のことはしない、というのが大方の見方だ。ヴァンスには、ドナルド・トランプ大統領の二人の個人交渉官、マイク・ウィトコフと義理の息子ジャレッド・クシュナーが同行するが、この二人はロシア/ウクライナ問題と、特にイランとの交渉で惨敗しており、イランとの交渉で、トランプ大統領とネタニヤフ首相が奇襲攻撃準備をする間、イランを油断させるための目くらましとして利用された。ウィトコフとクシュナーは、いずれもユダヤ人で、イスラエルと密接な関係を持つ熱烈なシオニストで、不動産開発業者として最もよく知られている。クシュナーが最も関心を持っているのは、そこから彼が莫大な利益を得ることになるはずのフランスのリビエラを模したトランプの名を冠したガザ地中海沿岸のリゾート開発だ。何万人ものガザ住民の遺体が埋もれた瓦礫の上にそれが建設されることは、彼にとっては何ら問題でないようだ。この二人が無能ぶりを露呈しているにもかかわらず、トランプがこの任務を与えたことは、新たな交渉を失敗に終わらせるのを狙っていることを示している。

 たとえドナルド・トランプが和平交渉に真摯に取り組んでいて(私は疑わしく思うが)、事態を悪化させないためにネタニヤフと一定の距離を置こうとしているとしても、広く知られている通り、記憶力が短く、効果的に反対意見を調和させる能力に欠けるトランプが、窮地に陥った際、粘り強く交渉を続けるとは考えにくい。彼は、イスラエル・ロビーと大統領職という擁護しようがないものを必死に守ろうとしており、今や不幸にして、彼の誤った対イラン戦争を正当に擁護できたかもしれない人々を攻撃している。

 木曜日、彼のイラン政策に対する抵抗を引き起こしているものをトランプはTruth Socialで激しく非難した。彼は「タッカー・カールソン、メーガン・ケリー、キャンディス・オーウェンズ、アレックス・ジョーンズが長年私に反対してきた理由が私はわかる。特に、テロ支援国家ナンバーワンのイランが核兵器を持つのを素晴らしいと考えているからだ。彼らには共通点が一つある。IQが低いことだ。彼らは愚かな人間で、本人も家族も他の全員もそれを知っている! 彼らの過去を見てみろ、彼らの実績を見てみろ。彼らには必要な資質がなく、これまでもなかった!」と書いた。元FOXニュース司会者カールソンとケリーが「テレビから追放され、番組を失い、誰も彼らのことを気にかけないためテレビに呼ばれることさえなくなった」と彼は説明した。彼らは「狂人でトラブルメーカー」で「無料」で安価な宣伝のためなら「必要なことは何でも言う」。

 そうした人物からの批判は「MAGAとは正反対だ」と愚痴をこぼしながら大統領は締めくくり、その後、彼らを個人的に侮辱した。カールソンは「大学すら卒業できなかった」とトランプは指摘し、FOXニュースを解雇された時は「打ちのめされた男」だったと言った。興味深いことに、カールソンは1991年にコネチカット州の名門大学トリニティ・カレッジを卒業しており、大統領よりも学歴は高い。トランプはいつものように「いわゆる『評論家』は敗者で、これからもずっと敗者であり続ける」と締めくくった。

 当然、世論調査によれば、イスラエルを擁護する彼の好戦的態度に国民の不満が高まっているにもかかわらず、本来支持を得るべき真の保守派からトランプ大統領は距離を置いている。アメリカ・イラン間で進行中の停戦交渉を妨害するためレバノンへの大規模攻撃を行ったイスラエルの即座の対応は、戦争終結をネタニヤフ首相らは許さないという明確な兆候だ。むしろ、政治的に壊滅的結果をもたらしている回避可能な紛争を中止しようとする大統領の真摯な意思を阻止しようとして、イスラエルとロビー団体がホワイトハウスに非常に強い圧力をかけているのではないかと私は疑っている。そして、ネタニヤフ首相が更に破壊的な行動を検討していても私は驚かない。例えば、イランに責任転嫁できるようイスラエルが仕組む、中東の米軍を標的にする偽旗作戦で、イスラエルがイランを壊滅させ「戦争は終わった!」と宣言するまでアメリカに戦争させ続ける作戦だ。イスラエルは偽旗作戦に非常に長けており、10月7日のガザ事件を歪曲して、パレスチナ人虐殺に利用したことからもそれがわかる。イスラエルが、本物の外交政策の代わりに、嘘と欺瞞に完全に依存している様子は、イスラエルが9/11を事前に知りながら、イスラム教に対する戦争にアメリカを引き込むために事件を起こさせたのを想起する。「自分の」戦争が今やアメリカの戦争にもなったとネタニヤフ首相は述べ、大いに喜んでいる。トランプ大統領が尻込みし始めたら、このモデルをイランにも拡大するのは、俗にいうように「朝飯前」、あるいはこの場合「ベーグル一口」といったところだ。

 事の顛末はこうだ。イスラエルというアパルトヘイト国家への好意から、アメリカを脅かしたことがない9000万人の国民と「文化」を根絶する計画を拒否する人々を、明らかに狂気じみた精神異常大統領が攻撃しているのだ。ドナルド・トランプのアメリカを見て、250年前の建国の父たちがなぜ失敗したのかを理解するには想像力をかなり働かせる必要がある。彼らは権力の過度な集中を防ぐ抑制とバランスを備えた世界初の立憲共和制国家として、啓蒙思想に基づく新たな国家を樹立しようとした。今のホワイトハウスに僅かなりとも啓蒙思想がもたらされるよう願うばかりだが、脳死状態のトランプは、イスラエルとユダヤ系億万長者献金者に操られる「感情」次第の戦争大統領になってしまったため、そのような好ましい結果がもたらされる可能性は低い。次に何が起きるかは神のみぞ知る!

 フィリップ・M・ジラルディ博士はより国益に基づいた中東におけるアメリカ外交政策を追求する501(c)3条に基づく税控除対象教育財団(連邦ID番号#52-1739023)の国家利益評議会事務局長。ウェブサイトはhttps://councilforthenationalinterest.org、住所は PO Box 2157, Purcellville VA 20134 で、メールアドレスはinform@cnionline.org

記事原文のurl:https://www.unz.com/pgiraldi/when-is-a-ceasefire-a-scam/

----------

 植草一秀の『知られざる真実』
立憲主義理解できない高市首相

2026年4月13日 (月)

対イラン戦争:敗者が「条件」を設定する――封鎖を封鎖するという奇妙な考え

2026年4月12日
Moon of Alabama

 アメリカとイランによる第1回目の協議は何ら進展を見出せなかった。

 アメリカの交渉担当者は自らの立場を完全に誤って判断し、条件を設定しようとしたアーカイブ)。  
21時間以上に及ぶ交渉の経緯についてバンスはほとんど語らず、イランに核開発計画を永久停止させる二者択一の提案を提示したが、イラン側はそれを拒否したと示唆した。
 「我々は譲れない一線を明確に示した」とバンスは記者団に語り「譲歩できる点も明確にしてきた」と補足し「イランは我々の条件を受け入れないことを選択した」と述べた。
 これまでのところアメリカは戦争に敗北している。戦争の目的は一つも実現されていない。イランの濃縮ウランを奪取しようとした試みは、ベトナム戦争以来最大の空軍損失で終わった。アメリカにはいかなる条件も提示できる立場にない。
 
その点で、今回の交渉は2月下旬にジュネーブで行き詰まりに終わった交渉とほとんど変わらないように見える。

 現在、トランプ最大の切り札は、大規模な戦闘作戦再開をちらつかせる能力にある。何しろ、もろい二週間の停戦は4月21日に終了するのだ。しかし、今後数日の中に戦闘作戦再開の恫喝が持ち出される可能性はあるものの、それはトランプにとって、特に実行可能な政治的選択肢ではなく、イラン側もそれを承知している。

 先週トランプが停戦を宣言した主な理由は、世界の石油供給量の20%が失われたことによる痛手を食い止めるためだった。石油不足はガソリン価格の高騰、肥料不足や、半導体製造に必要なヘリウムをはじめとする重要物資の不足を引き起こしていた。たとえ不完全あるいは不十分な合意でも、合意の可能性を受けて市場は上昇した。戦争が再開されれば、市場は下落し、物資不足は悪化し、既に3.3%に達しているインフレ率はほぼ確実に上昇する。

 そして、最も喫緊の課題は、ホルムズ海峡の再開だ。
 交渉終了後、ホルムズ海峡を再開するための最善の策は、イラン封鎖だと主張する記事をドナルド・トランプがツイッターで引用した。  
イランが譲歩しない場合、大統領が持っている切り札は海上封鎖だ。https: //justthenews.com/government/sec… (TS: 4月12日 00:16 ET)
 該当記事「イランが譲歩しない場合、大統領が持つ切り札:海上封鎖」は、弁護士のジョン・ソロモンによるもので、彼の無知さは驚くべきものだ。  
土曜日にアメリカが提示した最終合意案をイランが受け入れない場合、公言した通り、トランプ大統領は、テヘランを「石器時代」に戻すまで爆撃する可能性がある。あるいは、既に不安定状態にあるイラン経済を締め付け、中国とインドへの主要石油供給源の一つを断って外交的圧力を強めるため、これまで成功を収めてきた封鎖戦略を再び用いるかもしれない。

 皮肉なことに、ベネズエラ封鎖を主導した巨大空母ジェラルド・フォードは深刻な火災事故後の修理と乗組員休息のため一時休止していたが、現在ペルシャ湾にいる。今や、空母エイブラハム・リンカーンをはじめとする他の主要海軍艦艇と合流している。
 トイレが故障し、洗濯室が焼け焦げた空母ジェラルド・フォードは地中海にいる。ペルシャ湾に到達するには、スエズ運河、バブ・エル・マンデブ海峡、ホルムズ海峡を通過しなければならない。バブ・エル・マンデブ海峡はフーシ派が、ホルムズ海峡はイランが支配している。どちらを通過するのも至難の業だ…。

 イランを封鎖することで、ホルムズ海峡封鎖を解除するという発想は、ジョン・ソロモンのものではなく、狂信的ネオコン、ジャック・キーンのものだ。

 海上封鎖という構想は、先週国内屈指の軍事戦略家ジャック・キーン退役将軍によって初めて提唱された。

 「戦争が再開され、我々がイランの残存する軍事力を十分に弱体化させた後、米軍はカーグ島を占領するか、破壊するか選択できる」とキーンがニューヨーク・ポストのコラムに書いた。「あるいは、米海軍が海上封鎖を行い、テヘランの輸出の生命線を遮断することもできる。」  
「カーグ島のインフラを維持しつつ物理的に支配権を掌握すれば、イランの石油と経済を完全に掌握できる」と彼は付け加えた。「それは、イランの『核の塵』、つまり濃縮ウラン貯蔵庫を奪取し、濃縮施設を破壊するために必要な究極の切り札になる。」

 ワシントンの狂信者たちが考えているほど、カーグ港はイラン輸出にとって重要ではない。イラン・イラク戦争の8年間、カーグ港は閉鎖されていたが、イランからの石油輸出は途切れることなく続けられた。

 イランを封鎖しようとするいかなる試みも、インド、中国、ロシアの船舶がイランの港に入るのを阻止するためには武力行使が必要になる。
 それはまた、世界の石油市場への供給量減少を意味する。歴史的に見て、海上封鎖の影響が現れるには数ヶ月、場合によっては数年もかかる。それはトランプ大統領が政治的に生き残る時間よりも長い。

—  
Moon of Alabamaの運営には多大な時間と費用がかかります。ぜひご支援をご検討ください。


記事原文のurl:https://www.moonofalabama.org/2026/04/war-on-iran-loser-tries-setting-terms-the-strange-idea-of-blockading-blockaders.html

----------

 思わぬ影響があるようだ。Bloombergニュース

 TOTO株下落、ユニットバス新規受注を停止-中東情勢で原材料不足

「電撃戦」失敗:アメリカ・イスラエルの対イラン攻撃はなぜ失敗に終わったのか、トランプ大統領はいかにして面目を保てるのか

ムハンマド・ハミド・アッディーン
2026年4月9日
New Eastern Outlook

 2026年2月下旬、ワシントンとテルアビブで、イラン核インフラを破壊するための「限定的作戦」として発表されたものが、4月上旬までに本格的地域的大惨事に発展した。

 

 「電撃戦」だとドナルド・トランプ大統領が宣言したアメリカとイスラエルによるイラン・イスラム共和国攻撃は、戦争首謀者にとっての戦略的大失敗に終わった。テヘランが即笹に降伏するどころか、正反対の展開を世界は目にしている。イランは爆撃に耐えただけでなく、主導権を握り、ペルシャ湾岸のアメリカ同盟諸国やイスラエル本土の重要拠点を攻撃しているのだ。本稿は、アメリカ・イスラエルの冒険が壊滅的失敗に終わった理由を分析し、トランプ大統領の近視眼的政策を批判するとともに、ホワイトハウスの主が自ら仕掛けた「エスカレーションの罠」から一体どのように抜け出せるのかを予測する。

 「トランプ海峡」と帝国主義的な無知:失敗の根源は無知にある

 アメリカ政策が惨憺たる結果に終わった第一の、そして最大の理由は、ドナルド・トランプの頭にある。ブリーフィング中に彼が言い間違え、ホルムズ海峡を「トランプ海峡」と改名したのは単なる滑稽な失言ではなく彼の傲慢さと国際情勢に対する深い無知の表れだった。

 破綻したタカ派に率いられる欧米諸国は単なる敗者としてだけでなく、中東だけでなく、新たな多極化世界での発言権自体を失った大統領と首相として歴史に名を残す危険を冒している。

 トランプと側近連中は地政学の基本原則を驚くほど軽視していた。数週間の爆撃で、イラン国民が政権に立ち向かうか、テヘラン指導部が屈服すると、アメリカ政権は素朴にも信じていたのだ。政治学者ロバート・ペイプが的確に指摘している通り、これは典型的な「エスカレーションの罠」だ。「戦場での初期の成功は、戦略的失望につながる」。(民間人8人を殺害し、95人を負傷させて)アルボルズ州のB1橋を破壊し、イランを「石器時代」に戻すまで爆撃すると脅迫し、畏怖と服従をトランプは期待していた。だが彼が得たのは「水平的エスカレーション」つまり地域全体に広がる戦争だった。

 更に、イラン内政をトランプは全く理解していない。彼が公然と発表する民間インフラ、橋、発電所空爆は国際法で禁止されている。こうした空爆は政権を弱体化させるどころか、国民を国旗の下に結束させるだけだ。イランは8年に及ぶイラン・イラク戦争と数十年にわたる制裁を乗り越えてきた外部圧力に対し類まれな回復力を持つ社会だ。2月28日以降、イラン領内で2,076人が死亡し、26,500人が負傷したという報道(本記事執筆時点)は、アメリカの勝利リストではなく、アメリカとトランプ個人の戦争犯罪リストであり、敵の意志を強めるばかりだ。

 「精密手術」のはずが混乱に転じた軍事的な冒涜

 失敗の第二の理由は、壊滅的に劣悪な軍事計画と敵能力の見込み違いだ。米軍参謀本部は、まるで旧式ビデオゲームで戦い方を学んだかのようだ。国防総省は「限定的空爆作戦」を計画したが、結果的には、本格的な消耗戦に陥ってしまった。イランは、米軍基地だけでなく、アメリカ同盟諸国の重要インフラにも大規模ミサイル攻撃をする能力を実証している。

―クウェートとUAEへの攻撃:イラン・ミサイルがクウェートの石油精製所とUAEのガス・プラントを攻撃した。これは自国の安全な後方とワシントンがみなしていた湾岸諸国経済に直接打撃を与える。カタールの巨大なアル・ウデイド空軍基地への連続爆撃は、同盟諸国防空でアメリカが決定的に失敗していることを端的に示している。

―対イスラエル直接攻撃:イスラエルの家屋や車が炎上しているのは偶発的「不具合」ではなく、イラン・ミサイルによるものだ。アイアンドームは無敵ではなく、効果は益々低下しつつある。アメリカ・イスラエルの侵略が続けばどうなるのだろう? ネタニヤフ首相により再び生存の瀬戸際に追い込まれたイスラエル国民の忍耐は無限ではない。遅かれ早かれ、自らの行動と罪について、ネタニヤフ首相はイスラエル社会、そしておそらく世界に対する責任を問われることになる。

 ホルムズ海峡の状況は特に注目に値する。イランのカーグ島(石油3100万バレルを保有)奪取を夢見て、トランプ政権は専門家の警告を完全に無視した。ロバート・ペイプが指摘している通り「ホルムズ海峡への機雷敷設は紛争の急激なエスカレーションにつながり、機雷除去には数週間かかる可能性がある」。アメリカの地域施設を「破壊する」とテヘランが脅迫しているのは、ただのはったりではない。軍事情報機関の失敗で、敵が戦車ではなく石油掘削施設やタンカーを攻撃するシナリオにワシントンは備えができていなかった。

 国防総省内の人事混乱も実態を如実に物語っている。紛争激化の最中に、理性を失ったピート・ヘグセスの圧力で、ランディ・ジョージ陸軍参謀総長が解任されたことは、米軍指導部の完全な混乱ぶりを示している。政治的な駆け引きによって軍の現役最高指揮官が交代させられて、一体どんな「勝利」があり得るだろう?

 「枢軸諸国」が失敗した理由:アメリカの経済的・外交的孤立

 アメリカとイスラエルはイランを孤立させることを目論んでいたが、結果は真逆だった。両国の侵略行為は一方的戦争とアメリカ覇権拡大に反対する地域大国諸国の結束を招いた。

 エジプト外務省報道官タミム・ハラフ・インタビューによると、この地域では強力な4カ国(エジプト、サウジアラビア、トルコ、パキスタン)ブロックが形成され、戦後解決に向けて取り組んでいる。注:これらの国々はトランプ政権に加わったわけではなく、アメリカ攻撃による影響から、この地域をいかに救済するか協議している。エジプトのエルシーシ大統領は、原油価格が1バレル200ドルに暴騰し「中所得国経済」が崩壊する恐れがあると警告し、攻撃をやめるよう公然とトランプに懇願している。

 ワシントンは外交的に孤立しており、国連安全保障理事会でも船舶保護決議案採決が延期された。イランは安保理に「挑発行為」をしないよう警告し、世界はその声に耳を傾けた。「戦争の主導権はイランに移った」とイギリス情報局(MI6)元長官さえ認めざるを得なかった。

 「影の艦隊制裁免除」で懐柔しようとトランプ大統領が目論んでいた中国とロシアは、テヘランを見捨てていない。ブシェール原発からロシア人専門家を撤退させたのは弱さの表れではなく、最悪の事態にモスクワが備えている兆候で、同時にクレムリンは、バランスを保ち、アメリカが容易に勝利するのを阻止している。失敗は明白だ。アメリカはイランを経済的に締め付けることも、政治的に孤立させることもできなかったのだ。

 トランプが「泥沼」から抜け出す方法:屈辱的撤退のための選択肢

 戦争は(2月28日から)一か月以上続いている。数千人が死亡し、同盟諸国の製油所が炎上し、タンカー市場はパニックに陥っている。トランプ政権は自らを窮地に追い込んだ。当初の「一週間で降伏」させる計画は失敗に終わった。山岳地帯と100万人の兵力を持つイランへの地上侵攻による「完全勝利」という選択肢はトランプ大統領にもはや残されていない。彼の支持率と予算がそれを支えきれないのだ。「1~2週間の猶予」についてルビオ国務長官は語っているが、現実には戦争は何年も続く可能性がある。

 トランプに一体何ができるのだろう? 選択肢は三つある。その内二つは彼の政治生命の崩壊につながり、三つ目は取り引きを装う「救済策」につながる。

 「狂人」の道:核兵器使用の瀬戸際へのエスカレーション。ブシェール原発攻撃、あるいは民間インフラへの更なる攻撃をトランプは試みるかもしれない。だが、そうなればホルムズ海峡完全封鎖、カタールとバーレーンの米軍基地攻撃と、原油価格200ドル超への高騰は確実だ。世界不況の責任はトランプの肩にかかるはずだ。これは自殺行為に等しい。

 屈辱的「ゼロ」:無条件撤退。爆撃を止めて撤退し、イランが転覆しないことを認めるだけだ。これは(「イランに負けた!」)トランプにとって国内で政治的失脚になるはずで、イスラエルの評判も即座に失墜する。

 エジプトとトルコの「合意」:唯一の脱出方法だ。この窮地から抜け出すためには、トランプは彼が大いに軽蔑している外交手段を用いる必要があるのだ。

 仲介諸国の活用:エジプト、トルコ、パキスタンは既に支援の手を差し伸べる準備ができている。トランプ大統領はエルシーシ大統領とエルドアン大統領に交渉を正式要請すべきなのだ。

 ―「イランの勝利」計画:イランのザリフ元外相が示唆している通り、テヘランは勝利宣言が許される必要がある。イランが「受け入れ可能」だと言う条件でアメリカは、停戦に合意しなければならない。これは、海峡地域からの米艦船の撤退、あるいは(実際は、爆撃を受けたため、もはや存在しない)核開発計画の凍結と引き換えに、一部制裁の解除などが考えられる。

 ―イスラエルを「スケープゴート」にする:ネタニヤフの実に過激な行動からトランプが公然と距離を置き、リスクを過小評価したと彼を非難するのだ(「我々は同盟国に、この戦争に巻き込まれたのだ」)。これは身勝手ながら、トランプらしい手口だ。

 トランプ大統領は、インフラ施設攻撃を一時停止すると公式発表し、カイロかリヤドで交渉の席につき、イランに対する表面的譲歩を最小限に抑えつつ、現状維持に戻ることに同意しなければならない。そして、これを「アメリカ人の命を救った厳しい取り引き」だと有権者に売り込む必要がある。

 「帝国主義的傲慢さに対するコンクリート・ブロック:なぜアメリカとイスラエルの戦争精神病は現実に粉砕されたのか」

 アメリカ・イスラエルの対イラン攻撃が失敗したのは不運な事故によるものではなく、戦略家連中の歴史的愚かさによるものだ。この冒険は、ソーシャル・メディア上の雑音を国家の本物の意思だとワシントンとテルアビブが誤解した、自分のプロパガンダという砂上の楼閣だった。トランプと被任命者連中は客観的無知を露呈した。彼らはイランのことも、イラン国民のことも、イスラム革命防衛隊の能力も、ましてや危機を宮殿で臆病に傍観していた親米湾岸君主諸国の脆弱性さえ理解していなかった。

 欧米シンクタンクの傲慢な予測とは裏腹に、イランは足が粘土でできた巨人ではなく、非武装の相手との戦いに慣れた二国が歯を折るほど巨大なコンクリートブロックであることが証明された。

 今日、事実は爆弾より雄弁だ。ホルムズ海峡は、もはや虚栄心の強い大統領が夢見た「トランプ海峡」ではなく、衰退しつつあるアメリカ覇権が自らの血で窒息し溺れつつある戦略的隘路になっている。この軍事的・政治的大失敗を認めるのが遅れるたびごとに、アメリカはグローバル・サウスにおける影響力の最後の残滓を失うことになる。

 ワシントンの哀れな評判と中東の傀儡政権を救える唯一のものは「停戦」ではなく、イランの条件に基づく戦争行為の無条件停止と、地域大国の中国やロシアや長年にわたり新たなゲームのルールを定めてきたとグローバル・サウス諸国を通じた外交への移行だ。

 さもないと、海峡の名称変更やミサイルによる威嚇を企てる欧米諸国は、破綻したタカ派に率いられて敗者として歴史に名を残すどころか、中東だけでなく、新たな多極化世界における発言権自体を失った大統領と首相として歴史に汚名を残す危険を冒している。彼らの侵略は、ただの過ちではなく、戦争犯罪で戦略的自殺行為だ。

 ムハンマド・ハミド・アッディーンは著名パレスチナ人ジャーナリスト

記事原文のurl:https://journal-neo.su/2026/04/09/the-blitzkrieg-failure-why-the-u-s-israeli-aggression-against-iran-is-doomed-and-how-trump-can-save-face/

-----------

 イラン、テルアビブ最後の海水淡水化プラントを破壊。
JUST IN: Iran Just Struck Tel Aviv's Last Water Plant — And Eight Million People Have No Backup 11:07
 植草一秀の『知られざる真実』
米イランチキンレースのゆくえ
 ≪櫻井ジャーナル≫
軍事的に勝利しているイランを米国は交渉で降伏させようとしたが、失敗した

2026年4月12日 (日)

ハンガリーを巡る戦い:RTによるハンガリー選挙決定版ガイド

今年最も重要な欧州選挙で一体何が問われているのか?
公開日:2026年4月10日 12:12 | 更新日:2026年4月10日 13:15
RT

ハンガリーを巡る戦い:RTによるハンガリー選挙決定版ガイド


RT合成画像

 ハンガリーのヴィクトル・オルバン首相は、EU、アメリカ、ウクライナの三者が接戦を繰り広げる今回選挙で、数十年来の権力に対する最も深刻な脅威に直面している。RTは、ハンガリー選挙を左右する関係者と利害関係と不正工作について探る。

 「ハンガリーを巡る戦い」シリーズで選挙について詳しく解説してきたが、今回初めてご覧になる方のために、知っておくべきことを以下にまとめた。

 ハンガリー選挙はいつか?

 ハンガリーでは4月12日(日)、国民議会の全199議員を選出するための選挙が行われる。ハンガリーでは4年ごとに選挙が実施され、投票は1日1回で行われる。結果は通常、投票終了後数時間以内に判明する。

 一体何人投票するだろう?

 ハンガリーでは約820万人の有権者が登録されており、同国の国家選挙管理委員会データによると、2006年から2022年までの投票率は通常61%から69.59%の間で推移した。2022年の前回選挙では、過去最高の69.59%の投票率を記録した。

 約9万1000人のハンガリー国民が海外から投票登録をしており、そのかなりの数がウクライナのザカルパッチャ地方に居住している。

 ハンガリーの選挙に誰が立候補しているのか?

 10以上の政党が候補者を擁立しているが、今回の選挙は実質的にオルバン首相率いるフィデス党とペーター・マジャール首相率いるティサ党の二党による一騎打ちとなる。

 
ヴィクトル・オルバン首相は、2026年3月28日、ハンガリーのペツェルで行われた選挙集会で演説した。© Getty Images; Balint Szentgallay

 オルバンは2010年から政権を握っており5期連続の政権を目指している。彼が所属するフィデス党とキリスト教民主党は、現在国民議会199議席中135議席を占めている。

 オルバンは保守主義で知られ、非ヨーロッパ出身の亡命希望者の受け入れを拒否し、LGBTQの宣伝を禁止したことでEUの怒りを買っている。また「オルバノミクス」として知られる経済ナショナリズム政策や、EUによるウクライナへの財政的・軍事的支援に対する批判でも知られている。オルバンはロシアに対する複数回の制裁措置を阻止し、ハンガリーがロシアからエネルギー購入を継続できる例外措置を確保した後ようやく譲歩した。現在、キーウへの900億ユーロ(1050億ドル)の債務融資パッケージに拒否権を行使している。

 
2026年3月15日、ハンガリーのブダペストで行われたティサ党の集会で演説するペーター・マジャル © Getty Images; バリント・セントガライ

 フィデス党元党員マジャールは、2024年に同党を離党し、4年前に設立されて以来、ほとんど知られていなかったティサ党に入党した。オルバン政権の汚職疑惑について証言した裁判と、元妻で元法務大臣のジュディット・ヴァルガから家庭内暴力で告発された裁判という二つの訴訟に巻き込まれながらも、その年、マジャールは他の6人のティサ党所属欧州議会議員とともに欧州議会議員に選出された。

 マジャールは自身を中道右派と位置づけ、当選すればブダペストとブリュッセルの関係修復を望んでいる。EUとの関係修復は、マジャールの経済政策にとって極めて重要だ。彼の経済政策は、ブリュッセルが凍結されている約200億ユーロの資金を解放することを前提とした野心的な公共支出計画だ。マジャールはEUのウクライナ向け融資について公に支持も反対も表明しておらず、移民問題や社会問題に関する立場も依然曖昧だ

 世論調査の結果はどうなのか?


 政治専門サイト「ポリティコ」がまとめた集計によると、ハンガリーのティサ党は現在、フィデス党を49対39でリードしている。しかし、世論調査機関の政治的立場や資金提供状況により個々の調査結果は大きく異なる。

 例えば、欧州委員会が出資する21リサーチセンターの世論調査では、ティサ党がフィデス党を19ポイントリードしている。野党系のメディアンによる別調査では、マジャール党がオルバン党を23ポイント上回っている。一方、保守系シンクタンクの基本権センターの世論調査では、フィデス党がティサ党を8ポイント上回っている。

 「多くの」EU首脳がオルバン勝利は「あり得る」と密かに考えていると政治専門誌ポリティコは報じた。ハンガリーのヤーノシュ・ボカEU担当大臣は、世論調査と個人の感情の乖離は偶然ではなく、世論調査を歪めることで、マジャールとブリュッセルの支持者たちは「もし選挙に負けたら不正な結果だ」という筋書きを作り上げていると考えている。

 ハンガリー選挙に干渉しているのは一体誰か?

 選挙までの数週間、立証されたものも未立証のものも含め、あらゆる方面から干渉疑惑が持ち上がった。先月、ロシアがオルバンに有利になるよう選挙結果を左右するため「政治技術者」をブダペストに送り込んだと野党系ジャーナリストのサボルチ・パニが非難したが、具体的計画は説明しなかった。この報道は、匿名EUスパイによるものとされ、EUが出資するメディアに掲載されたもので、ブリュッセルはこれをロシアが選挙に干渉する計画を立てていた証拠と受け止め、EU自身の干渉、この場合はハンガリーにおけるオンライン検閲ツール起動を正当化するために利用した。

 パニは、ハンガリーのペテル・シヤルト外相の電話を盗聴するため、EU情報機関員(おそらく彼に「ロシアの干渉」という話を仕込んだのと同じ情報源)と共謀していたことが明らかになり、選挙干渉スキャンダルに巻き込まれた。盗聴により、シヤルトとロシアのセルゲイ・ラブロフ外相との会話が明らかになった。シヤルトは、これらの会話はEUで最も長く外相を務めている自分の仕事の一部で、これら通話で表明された立場(ロシアに対する制裁への反対とブリュッセル官僚に対する軽蔑)は既に周知の事実だと主張した。

 ウクライナも、この状況に介入している。キーウは、ロシア原油をウクライナ経由でハンガリーとスロバキアに輸送するドルージバ・パイプライン再開を拒否し、同パイプラインは1月のロシア空爆で損傷したと主張している。ドルージバ・パイプラインは稼働しており、ウクライナのゼレンスキー大統領がハンガリーのエネルギー価格をつり上げ、自身の再選運動を妨害するために閉鎖しているとオルバン首相は主張している。ハンガリー治安当局によるとマジャール党内で活動するスパイをキーウが訓練したとも言われている。

 ハンガリー選挙は、なぜEUとウクライナにとってそれほど重要なのか?

 EUにとって、今回の選挙は長年の悩みの種を解消し、ロシア・エネルギー輸入からの脱却を加速させ、ウクライナへの巨額資金援助への道を開く機会となる。キーウにとって、後者の懸念は存亡に関わる問題だ。ハンガリーが拒否権を行使した900億ユーロのEU融資パッケージは、2022年以降のEUによるウクライナへの拠出総額のほぼ半分に相当し、今後2年間のウクライナ歳出の3分の2を賄うことになる。

 JDヴァンスはなぜブダペストにいたのか?

 ドナルド・トランプ大統領はオルバン首相の思想的同盟者で、4月7日には副大統領のJD・ヴァンスをハンガリーに派遣し、オルバン首相支持を表明した。ヴァンスはオルバン首相との度重なる公の場での会見で、EUとウクライナによる選挙干渉を激しく非難し、両者の共同行動を「私がこれまで見てきた中で外国による最悪の選挙干渉例の一つ」と呼んだ。

 またヴァンスは、ゼレンスキー大統領に極めて辛辣な批判をして、EU融資パッケージにハンガリーが拒否権を行使したことに対し、オルバン首相の自宅に兵士を派遣するというウクライナ大統領の「とんでもない」脅迫を厳しく非難した。

 注:RT元記事には、ここにヴァンスが語る場面の短い映像があるが、コピーできない。

 だが、ヴァンスはティサとEU当局者から選挙干渉の疑いをかけられた。アメリカ副大統領がオルバンを「エネルギー安全保障と独立問題に関しヨーロッパで唯一卓越した指導者」と評し、再選に向けて「できる限り支援する」と述べた後、欧州委員会はワシントン訪問について「懸念を伝える」と発表した。

 4月8日「バンスがEUによる選挙干渉疑惑について不満を述べているので指摘しておきたいが、アメリカ副大統領は選挙のわずか数日前にハンガリーを訪問した。この事実だけでも、誰が干渉しているかは明白だ」とドイツ政府のセバスチャン・ヒレ報道官が記者団に語った。

 RTインタビューに応じたオーストリア元外相カリン・クナイセルは、今回選挙をワシントンとブリュッセル間の「代理戦争」と表現し、EUはオルバン首相を失脚させるためハンガリーを「麻痺させる」(ゼレンスキー大統領にドルージバ・パイプラインの再開を迫ることを拒否する)のを厭わず、アメリカはオルバンを支援してEUに対する「抵抗を煽っている」と述べた。

記事原文のurl:https://www.rt.com/news/637831-hungary-election-guide-orban/

----------

 今朝の孫崎享氏メルマガ題名
ヘグセス国防長官はイランの発射機とミサイル枯渇、壊滅的打撃を受け、ほぼ完全に無力化と発言。だが米情報機関分析によると、イランは依然数千発の弾道ミサイルを保有、地下貯蔵施設からの発射機回収で、それらを使用できる可能性がある。

今回の悲劇的戦争の長期的見通し



ロレンツォ・マリア・パチーニ

2026年4月7日
Strategic Culture Foundation

 第三次湾岸戦争開戦から既に一月以上経過した。そろそろ今後の展開を予測し、様々な計算を行う頃合いだ。

❗️Telegram Twitter , と VK でご参加願いたい。

お問い合わせ: info@strategic-culture.su
 
現状把握

 第三次湾岸戦争の開戦から既に1ヶ月以上が経過した。そろそろ、今後の展開を予測し、様々な計算をする頃合いだ。

 まず予備的検討事項と、紛争の現状について述べる。

 イランは、ホルムズ海峡を封鎖し、欧米諸国全体を危機に陥れられることを全世界に示した。

 この第一の点は決して見過ごしてはならない。ホルムズ海峡封鎖は、現在、この紛争において最も中心的かつ重要な側面だ。エネルギー供給不足は欧米諸国の経済(と政治)を麻痺させ、世界の半分を差し迫った未曾有の危機に陥れている。この封鎖は、世界の経済、商業と通貨の歴史を完全に変えてしまうだろう。しかも欧米の傲慢さを打ち砕くのに「ほんの僅か」で済むのを全員知っている。約200カ国が事態を注視しており、そのうち少なくとも半数は欧米諸国の崩壊を真剣に望んでいる。

 エネルギーがなければ欧米諸国の力が崩壊することをイランは証明した。

 現在、イランは世界のエネルギー供給の約20~30%を占めているが、これは決して全体のエネルギー供給量ではなく、また再調整不可能な数字でもない。しかしながら、欧米諸国全体が代替策を見つけるのに苦慮しているのも事実だ。エネルギー輸入に依存し、自給自足ができない国々の体制について我々は話している。つまり、イランは今や世界の未来をその手に握っており、この紛争が欧米の未来を大きく左右することになる。旧世界の美辞麗句は、地政学の厳しい現実の前で崩れ去る。

 超大国に加え、もう一つの核保有国にも対抗することにイランは成功している。

 これは西側諸国にとって想像もできなかったことだが、それが今まさに起きている。核超大国アメリカと核保有国イスラエルにイランは立ち向かっている。ゲームのルールは書き換えられた。20世紀の核抑止力は揺らぎつつある。文明は依然野蛮より強いのだ。

 何もかも以前とは同じでなくなる。そして、このことを全員、特にヨーロッパに説明したのはイランだった。

 ヨーロッパは、よく分かっていない連中が人を導く大陸だ。ヨーロッパ指導者連中の完全な鈍感さがヨーロッパの人々の破滅を招いている。世界は多極化へ向かっているにもかかわらず彼らは必死に旧体制を維持しようとしている。ウクライナ紛争でさえ人々の目を覚ますには至らなかったが、物価が急騰した今(願わくは)何か変わるかもしれない。
 
論理的に考えてみよう。

 議論を展開しよう。

 アメリカの第一目的は、ワシントンと北京の戦略的格差を決定的に埋められないレベルにまで中華人民共和国が技術発展するのを阻止することだ。この意味で、ベネズエラやイランといった地政学的要衝を標的にするのは間接的な封じ込め戦略と言える。中国にとって、ベネズエラは、南北アメリカ大陸への進出に役立つエネルギーと物流の拠点で、イランは中東における経済的・政治的な要衝で、いわゆる「新シルクロード」(一帯一路構想)にとって極めて重要だ。これら同盟関係を弱体化させることが中国の勢力拡大を遅らせることにつながるとアメリカは理解している。これは地政学の基礎知識に過ぎない。

 しかし、計画的で規律ある国家経済と儒教的権力観に基づく中国モデルの独自性は、地政学的衝撃を吸収する並外れた能力を北京に与えている。中国の戦略的実用主義は「確実に勝てない戦争はするな」という孫子の格言にまで遡る古代のパターンに従って機能している。これは中国が公然の軍事的敵対行為に身を晒すのではなく、経済、技術、文化の分野で辛抱強く動き、敵の動きに合わせて、障害を自らの国内統合の軌道を再定義する機会に変えるのを好んでいることを意味する。

 第一次世界大戦終結以来、今や中東情勢は最も深刻な地政学的再編過程にある。1920年代にロンドン・パリ枢軸に構築され、第二次世界大戦後はアメリカ主導で運用されてきた人為的地図は今や完全に時代遅れになっている。レントシーキング体制とドル依存を基盤とする湾岸石油君主諸国は存亡の機に直面している。覇権通貨ドルの漸進的衰退は、サウジアラビア、アラブ首長国連邦、クウェートなどの国々の経済基盤を揺るがすだけでなく、1973年以来石油秩序を支えてきた政治・金融構造全体に疑問を投げかけている。

 ドル・石油体制の崩壊は壊滅的影響がある。一方で、湾岸君主諸国が国内の安定と合意を維持する能力を弱体化させ、他方で、イラン、トルコ、そして間接的には中国やロシアといった新たな勢力が影響力を持つ余地が生まれるのだ。この移行期において、アメリカは戦略的混乱を通じて支配権を維持しようと、自国支配に沿わない新たな中東秩序の形成を阻止するために地域的緊張を高めるだろう。だが、この計画の直線性は損なわれつつある。同盟関係は変化し、宗派的・政治的断層線は増え続け、中東の旧植民地秩序は、国内および大陸横断的な力学により徐々に侵食されつつある。

 多くの識者の主張とは異なり、完全な脱ドル化は中国とロシアにとっても有益な目標ではない。ドルの完全崩壊は、実際は世界経済の体制的崩壊を引き起こし、国際貿易と外貨準備に対する信頼の危機を生み出すだろう。一方、北京とモスクワは、ドルの強さの再構築、すなわち、アメリカへの依存度を下げつつ、世界的基準通貨としての役割を失わない多極通貨体制への移行を目指している。

 こうした状況において、イランは象徴的かつ機能的な役割を担っている。イランは国際決済を人民元で行うことを要求して、中国経済との統合を強化し、エネルギー市場における中国通貨の使用を確固たるものにしようとしている。この動きはドルを破壊するのを目的としているのではなく、金融回路の支配や国際制裁を通じてワシントンが及ぼしている影響力の一部を剥奪して、体制全体のバランスを回復することを目指している。従って「通貨戦争」は、現在グローバル化が進んでいるものの、文化的基盤上、正反対のアメリカの自由主義モデルと中国の国家中心主義モデルという覇権をめぐる競争の不可欠な要素として浮上しつつある。
 
犠牲になったヨーロッパ

 世界のチェス盤上で、ヨーロッパは再び主要国戦略の巻き添え被害者の立場に置かれている。ロシアに対する制裁とエネルギー混乱によって悪化した30年にわたる経済停滞を経て、欧州連合は「戦時経済」のパラダイムへ向かっている。産業体制の脆弱性とエネルギーの不安定性を認識している欧州機関は、安全保障対策として提示されながら、実際は国内生産を人為的に維持する目的で、防衛部門への巨額投資を推進している。

 数ヶ月前、「戦時経済動員」の必要性をNATO事務総長と欧州委員会が強調したが、これは欧州が戦略的自律性を放棄し、大西洋対岸の軍事複合体の要求に応じようとしている明確な兆候だ。だが、このような依存はロシアとアメリカ双方に利益をもたらす。モスクワは、弱体化したヨーロッパとの通常戦における直接関与を限定することが可能となる一方、ワシントンはこの脆弱性につけこんで、NATOを皮切りに、従来の欧州中心の権力構造を解体できる。「初歩的なことだよ、ワトソン君」この計算は関係者全員に有利に働く。

 第二次世界大戦後、イギリスとアメリカの影響力下でヨーロッパを守るために創設されたNATOの段階的解体は旧体制に決定的打撃を与えるだろう。このバランス構造がなくなれば、アメリカはヨーロッパを直接支配する自由裁量権を得て、新君主制的な意味で帝国主義の形態を再定義することになる。それはもはや多国間機関によりバランスが保たれるのではなく、脱民主主義的な一方的支配に基づく権力になる。

 中東紛争は、単なる地域危機にとどまらず、今後数十年にわたる権力構造を塗り替える世界的変化の触媒となることが明らかになった。中国への間接的攻撃や、中東の変貌や、ドルの再構築や欧州崩壊は全て一つの軌跡へ収束していく。つまり、この戦争は、これまで戦われたどの戦争よりも大きく世界を変えることになる。

記事原文のurl:https://strategic-culture.su/news/2026/04/07/the-long-term-outlook-for-this-tragic-war/

-----------

Israeli Command Center Breached, Leaders Lose Contact. | Jeffrey Sachs 25:01
 耕助のブログ
No. 2868 戦時下における最良の投資は何か?
 植草一秀の『知られざる真実』
日米同盟は日本にプラスか

2026年4月10日 (金)

帝国はひとまず後退した



「現状を見る限り、これが帝国にとって屈辱的敗北なのは確実だ。」

ケイトリン・ジョンストン
2026年4月8日

 ティム・フォーリーによる英文記事朗読を聞く。

 以前、イランの「文明全体を滅ぼす」とトランプ大統領は脅迫していたが、今回の譲歩の理由として「イランの10項目提案」を挙げて、イランとの二週間停戦を発表した

 トランプ大統領と郎党は、これをアメリカにとっての大勝利だと歪曲し、テヘランの10項目計画は、大統領の脅迫に対する重大な屈服と位置づけている。だが、イランが数週間前から同じ条件を提示していたことを一部の記者は指摘しており、これは実際は、ホワイトハウスが譲歩していることを意味する。

 大統領発表の数時間前、Drop Siteのライアン・グリムはTikTokに動画を投稿し、トランプ大統領はイランの10項目和平案を受け入れ、まるでイランが最近提示したばかりの新提案であるかのように振る舞い、終末論的脅迫を撤回しつつ面目を保てると主張した。西側メディアが、これまでずっとイランが提示した停戦条件を完全に無視してきたため、トランプ大統領はこのようなことをしても許されるとグリムは論じている。


 興味深いことに、トランプ大統領はまさにそのように行動したようだ。以前はイランの提案を「不十分だ」と拒否していた大統領が、一転して、イラン提案を、政権がイランに課せた圧力に対する全く新しい対応策として位置づけたのだ。

 3月28日、Drop Siteは次のように報じていた。  
「イランが戦争を恒久的に終結させるための条件には、アメリカとイスラエルがイランを二度と攻撃しないという長期的保証、停戦がレバノン、イラク、パレスチナにも適用されること、戦争中にイランが被った損害に対する賠償、制裁の解除と、イランがホルムズ海峡の支配権を維持することなどが含まれる。」
 これらは、イランが今日アメリカに受け入れるよう圧力をかけたと主張する条件と同じだ。イラン国営メディア、Press TVは、イラン最高国家安全保障会議の発言を引用して、「イランは犯罪国家アメリカに10項目計画を受け入れさせて歴史的勝利を収めた。アメリカはホルムズ海峡の支配権、ウラン濃縮権、全ての制裁解除をイランに認めた」と報じた。

 ニューヨーク・タイムズは次のように報じている。  
機密性の高い交渉について匿名を条件にイラン高官二人が語ったところによると、提案にはイランが二度と攻撃されない保証、レバノンのヒズボラに対するイスラエル攻撃の停止と、全ての制裁解除が含まれているという。
 
「見返りとして、ホルムズ海峡を通る主要航路に対する事実上の封鎖をイランは解除する。また、イランは船舶1隻あたり約200万ドルの通行料を課し、その金額を海峡対岸に位置するオマーンと折半する。計画によると、イランは直接賠償を要求するのではなく、その収益の自国分をアメリカとイスラエル攻撃により破壊されたインフラ再建に充てるという。」

 現状を見る限り、これは明らかに帝国にとって屈辱的敗北と言える。イランは、ホルムズ海峡の通行料徴収権や、長年イラン経済を苦しめてきたアメリカ制裁からの解放など、戦争前には持っていなかった多くのものを手に入れる一方、帝国は高額な料金を支払って船舶輸送を再開し、核保有国となったイランから世界を救ったとでも言いたげな態度をとるのだ。

 先月まで「イランとの取り引きは無条件降伏以外あり得ない!」と主張していたホワイトハウスの姿勢からすると、まさに大転換だ。

 イランに対する西側諸国の好戦的姿勢について常に優れた洞察力を持つクインシー研究所のトリタ・パルシは、次のように書いている。  
「これはいくら強調してもしすぎることはない。アメリカとイランがイスラマバードで会談し、イランの10項目計画に基づく最終合意を交渉する際、新たな力学が働くだろう。トランプ政権の失敗に終わった戦争により、アメリカ・イラン外交におけるアメリカの軍事的脅威の効力は失われた。アメリカは依然脅迫を行うことはできるが、それがもはや大きな影響力を持たないことを全員認識している。つまり、イランとの戦争が試みられ、失敗に終わったのだ。その結果、交渉はどちらか一方の強制ではなく、双方の真の妥協に基づかなければならない。」

 もちろん悲観的になる理由は山ほどある。アメリカとイスラエルは、交渉中にイランを何度も攻撃してきた。たとえアメリカが合意内容を守ったとしても、イスラエルが侵略行為で合意を妨害する可能性は常にある。イランは今や、イスラエルから身を守る唯一の方法は、イスラエルの侵略行為に対する代償を西側世界全体に課すことだと理解しているはずだ。西側諸国がイスラエルを抑え込む方法を見つけられなければ、イランは我々全員にゴミを燃やして家を暖め、裏庭でニンジンを栽培するような事態を招くだろう。

 参考までに言うと、シオニストのツイッター界隈は今まさに大混乱に陥っており、ローラ・ルーマー、イヴ・バーロウ、エリ・デイヴィッドといった悪名高いイスラエル擁護者連中が、イランがこのような立場になって、殺戮が終わったことに憤慨して、嘆き悲しんでいる。この停戦には私も誰よりも懐疑的だが、世界最悪の連中が今まさにこの件で大混乱に陥っている事実は、かすかな希望の光を与えてくれる。

 そのうちわかる。

______________

 私の記事は完全に読者の皆様のご協力で成り立っている。もしこの記事を気に入っていただけたら、寄付箱に少しお金を投じられる方法がいくつか、ここにあるメーリングリストや、ソーシャルメディアや、書籍や、グッズや、各記事のオーディオ/ビデオ版へのリンクはこちらをクリックしてください。私の記事は全て、海賊版制作や再出版や翻訳やグッズへの使用など、あらゆる方法で自由にご利用いただける。全ての記事は夫のティム・フォーリーとの共著。

 ビットコイン寄付: 1Ac7PCQXoQoLA9Sh8fhAgiU3PHA2EX5Zm2

記事原文のurl:https://caitlinjohnstone.com.au/2026/04/08/the-empire-backs-down-for-now/

----------

 世界で最も愚かな大統領

 Hindustan Times
Iran War News Live | 'World Stupidest President': Jeffrey Sachs Hammers Donald Trump Over Iran War
 今朝の孫崎享氏メルマガ題名
3月の消費者心理、コロナ禍以来の落ち込み幅 中東情勢を警戒(日経)前月より6.4ポイント低い33.3。「暮らし向き」、耐久消費財の買い時判断は大幅落ち込み。消費者心理の悪化は、個人消費の先行きに悪影響を及ぼしやすい。指標為替・株価市場にも反応が出る可能性

2026年4月 9日 (木)

勝利を主張しながら敗北を認める:ホルムズ海峡を開放する簡単な方法はない



アラステア・クルック
2026年4月7日
Strategic Culture Foundation

 今トランプは戦争に負けたことを悟っている。負けたかもしれないが、戦争は終わったわけではない。しばらくは続くかもしれない。

❗️Telegram Twitter , と VK でご参加願いたい。

お問い合わせ: info@strategic-culture.su

 ブルームバーグ:「おそらくイランが最も重要な戦略的勝利を収めたと言えるだろう…テヘランが海峡を支配する能力を高めている兆候が随所に見られる」

 西側諸国が繰り返し被る敗北は「何よりもまず…知的な敗北」だ。そして「目の前の状況を理解できないことは、それに対して効果的に対応するのが不可能なことを意味する」とオーレリアンは主張した。しかし「問題は戦場での戦闘にとどまらず、非対称戦争の本質、そしてその経済的・政治的側面を理解することにある」。

 「これは特にイランの場合に顕著で、ワシントンは『相手側』が経済的・政治的要素を含む戦略を持ち、それを実行に移しているのを理解できないようだ。」

 「(西側諸国の些末な事柄への執着に倣って)最近のメディアの注目は、まるでそれが何かを決定するかのように、地域への米軍の展開と、あり得る用途にばかり集まっている。だが実際は、本当の問題は、ミサイル、ドローンや防衛準備に基づくイランによる新たな戦争概念の開発と展開や、プラットフォーム中心の思考様式を持つ西側諸国が、これら展開(すなわち非対称戦争の背後にある戦略)を理解し、処理することができない点にある。」

 イランの安全保障構想とモデルは20年以上前に計画された。非対称的パラダイムへの移行のきっかけになったのは、2003年にアメリカがバグダッドへの3週間にわたる大規模空爆を行い、イラクの中央集権的軍事司令部を完全に破壊したことだった。

 この事態を受けてイランに生じた問題は、同等の航空戦力を持たない(そして持つこともできない)状況で、いかにして抑止力となる軍事体制を構築するかということだった。更に、高解像度衛星カメラを通して、イラン軍事インフラの規模をアメリカが俯瞰的に把握できる状況で、どのように抑止力となる軍事体制を構築するかという問題もあった。

 まず第一の対策は、軍事構造をできるだけ地上から見えないようにすることだった。構成要素は地中に埋めなければならず、しかも深く埋めなければならなかった(ほとんどの爆弾の届かない深さに)。第二の対策は、地中に深く埋められたミサイルが、事実上イランの「空軍」、つまり従来の空軍の代替となり得ることだった。そのため、イランは20年以上にわたりミサイルを製造・備蓄してきた。第三の対策は、イランの軍事インフラを地方の自治司令部に分割することだった。つまり、司令部を分散化し、各司令部がそれぞれ独自の備蓄弾薬、ミサイル・サイロや、必要に応じて独自の海軍と民兵組織を持つようにしたのだ。

 要するに、イランの軍事機構は、首脳部攻撃が発生した場合、容易に停止または制御できない自動化された分散型の報復機構として機能するように設計されているのだ。

 目の前の事態を理解できない時、最も簡単なのは、自分が良く知っているもの、つまり兵力を増強することに頼って、過去にうまくいかなかったことを続けるのだ。

 若い頃のトランプは、マンハッタンの不動産業界でスターとして賞賛されたいと切望し、ニューヨークの弁護士ロイ・コーンを個人的な師と仰いでいた。「コーンは、ニューヨーク市の五大犯罪組織の弁護士でもあり、こうした人脈により手出し無用な人物として名を馳せていた」とイスラエルの軍事評論家アロン・ベン・ダビッドが言っている。  
「ほとんどの場合、トランプがすべきことは、コーンを取り引き相手に紹介し、相手がトランプの条件に同意するよう促すことだけだった。時には、トランプは相手を法廷に引きずり出すことを余儀なくされ、そこでコーンは裁判官の前で牙をむいて勝利を収めた。だがトランプの最終的目標は常に勝利だった。パイを大きくすることでも、双方にとってのウィン・ウィンでもなく、彼自身の勝利、できれば相手側の降伏を伴う勝利だった。」
 時は流れ、ベン・デイビッドが書いているように、今日では米軍の巨大な力がトランプにとっての「ロイ・コーエン」のような役割を果たしている。トランプはイランに対して、アメリカ軍事力を誇示することで、イランが簡単に降伏するのを期待している。そうでなければ、トランプ自身、手綱を放すつもりだ。米海軍艦隊がペルシャ沿岸に集結した後、集結した海軍力を見て、イランがなぜ降伏しなかったのか「困惑し、混乱している」とトランプはウィトコフに不満を漏らした。

 「トランプが困惑している理由は、今回彼が対峙する相手が、これまで彼が経験したことのない種類の人々だからだ。彼らはマンハッタンの不動産王でもアトランティック・シティのギャングでもなく、3000年の歴史を持つペルシャ人で、時間や勝利の概念が全く違う。」

 今トランプ大統領は、一体どうすべきか分からず、この窮地からどう抜け出せばいいのか途方に暮れている。イランを脅迫したものの、イランは屈服しない。そして予想通り、ネタニヤフ首相は、イランの軍事力が完全解体される前にワシントンがイランと交渉に入るのを恐れ「地上部隊を含む可能性のある短期間で高強度の作戦を実行するようトランプ政権に圧力をかけている」とイスラエル人評論家ベン・カスピットがMa’arivに書いている。

 トランプ大統領はイランとの対話の可能性について矛盾するメッセージを発信しているが、イスラエル当局は、彼は三つの選択肢を検討していると考えている。1つ目は、カーグ島とサウスパルス・ガス田にあるイランのエネルギー・インフラを攻撃して戦争をエスカレートさせること、2つ目は、地上作戦によるイランの高濃縮ウラン備蓄破壊だ。

 検討されている3つ目の選択肢は、イランとの合意交渉だが、そのような可能性は「イランの明白な勝利で、イラン共和国の存続への道を開くことになる」とイスラエル指導部は見なすだろうとカスピットは書いている。「イラン政権を回復不能なほど弱体化させることにイスラエルは注力しており、それにより将来の大規模抗議活動を促そうとしている。この論理は、ワシントンに戦争を継続するよう説得するためにも利用されている」とカスピットは強調している。

 4つ目の選択肢としては、トランプが勝利宣言してそのまま立ち去る可能性もある。

 現実的に考えて、トランプ大統領は戦争を拡大することで何を達成しようとしているのだろう?

 まず、現在イラン国家を空爆だけで打倒することはほぼ不可能だとイスラエルとアメリカの軍当局者は考えている。過去にも成功例はない。

 第二に、アメリカ政権によるホルムズ海峡の最終的軍事的制圧に関する信念表明は、より深い問題、つまり戦略的空白を露呈する戦いの雄叫びや空想の描写として捉えるべきだ。

 「それらは状況の事実から導き出されたものではなく、実際にそれを引き起こすような過程が存在する必要もない。真実とは、そうあってほしいと我々が願うもので、我々を安心させる真実で、現実よりも神話を我々は好むのだ。」

 実際、海峡を再開させる簡単な方法はない。交渉による再開には少なくともイランへの実質的な譲歩が必要で、その中には海峡に対するイランの主権を明確に認めることも含まれる。

 ホルムズ海峡を開放するための停戦合意を目指すには、あらゆる戦線に適用する必要がある。つまり、イスラエルがレバノンでの作戦を停止し、アンサール・アッラーが同様にイスラエルへの攻撃を停止し、イラクが攻撃を停止し、占領下のパレスチナでの攻撃をイスラエルが停止する必要がある。

 第三に、トランプは、イラン新指導者の名前をこれまで聞いたことがないため「政権交代」は既に起きたと主張している。「彼らはこれまで誰も聞いたことのない人物で、率直に言って、より理性的だ。つまり、誰も想像できなかったほどの完全な政権交代が起きたのだ」。トランプは、イランの「新」第三層指導者が誰なのか知らないが、それでも彼らがアメリカとの交渉においてより柔軟になると推測している。(この「信念表明」の根拠は一体何だろう? 事実は必要ないのだろうか?)

 第四に、ホルムズ海峡を直接的な軍事攻撃で突破しようとする試みは、米軍に多大な犠牲者が出る危険性を伴う。ホルムズ海峡はイランにとって本拠地で、イラン軍が長年にわたって準備してきた戦闘の舞台になる。ホルムズ海峡の地理的条件、すなわち狭い水路、イラン海岸線への近さや、イランの強固な防衛体制だけでも明白かつ深刻なリスクだ。部隊はどこから集結するのか? どう補給を受けるのか? どう撤退するのか?

 たとえ米軍がカーグ島、あるいはUAE沿岸に隣接する3つの島のうち1つ、または全てを占領したとしても、イランは依然、水上または潜水ドローン、あるいはイラン本土から発射するミサイルを用いて、無許可で水路を航行するタンカーを攻撃する可能性がある。

 たとえ米軍が島々に駐留して作戦を成功させたとしても、根本的な問題は解決しない。イランは依然遠距離から(ミサイル攻撃や死傷者などで)損害を与える能力を持ち続け、この影響力を利用して更なるエスカレーションを仕掛けるだろう。

 第五に、イランの濃縮ウランを管理するという提案と同様、イランが保有しているとされる430キロの60%濃縮ウランをイランの手から確実に奪う方法は押収以外にない。イランがそれを放棄する合意はありそうになく、また不可能なほど複雑な軍事作戦でそれを押収のも不可能だ。

 ワシントン・ポストによると、トランプ大統領がイランから濃縮ウランを押収する計画を要請した際、掘削機材の空輸、貨物機がウランを搬出するためのイラン国内の滑走路建設や、数百人の兵士の配備を含む複雑な作戦について米軍が大統領に説明した。

 このウランを押収するための米特殊部隊による軍事作戦には、保管場所(または複数の場所)の綿密な特定に加え、十分な準備と搬出計画が必要になる。このウランがまだ一括輸送されているのか、それとも既に分割されているのかアメリカは把握しているのか?

 アメリカがこの作戦について「綿密な検討」を行った兆候はなく、この側面は欺瞞作戦として計画されている可能性を示唆している。つまり、イスファハン近郊で小規模作戦を実行し、ウランを押収したと偽装し、イラン軍が米軍兵士を殺害する前に速やかに撤退するというものだ。

 最後に、イランのミサイル能力の破壊についてだが、これはそもそも実現不可能だ。イランの弾薬庫や生産施設は国土全体に分散しており、地中深くに埋設されている。この問題で「勝利」を収めるには、トランプにとって、嘘をつくのが最善策かも知れない。

 イランは、長期にわたり事前に計画された軍事行動の体系「モザイク」システムを本格始動させた。重要なのは、イランの戦略的反撃は、いかなる交渉による妥協にもつながることを目的としたものではなく、むしろ西側諸国が課す終わりのない制裁、封鎖、孤立や包囲という「檻」から脱出できる状況を作り出すことを目的としている点だ。

 アメリカと同盟諸国にとって不都合な現実は、イランの戦略的反撃に対する、あらゆる軍事的または外交的対応策には重大な欠点が伴うことだ。

 この戦争はトランプとアメリカが負ける可能性もある。今トランプは戦争に負けたのを悟っている。負けたかもしれないが戦争は終わったわけではない。しばらく続くかもしれない。

 1ヶ月にわたる戦争を経て「最も重要な戦略的勝利を収めたのは、おそらくイランだ」とブルームバーグは指摘している。イランは「ホルムズ海峡を通る航行に対する支配力を益々強めている」のだから。

 「テヘランがホルムズ海峡を支配する能力を高めている兆候が随所に見られる…3月初旬以来のホルムズ海峡のほぼ完全な封鎖は世界で最も強力な軍事力を持つ二国との戦いにおいて、イランにとって極めて効果的な非対称兵器だということが証明されている。」

記事原文のurl:https://strategic-culture.su/news/2026/04/07/claiming-victory-whilst-admitting-defeat-there-no-easy-way-open-hormuz/

----------

 トランプを育て上げた弁護士ロイ・コーンとトランプの関係は、映画『アプレンティス:ドナルド・トランプの創り方』で見事に描かれている。

  東京新聞 夕刊 一面  
 イスラエル、レバノン攻撃続行

 イラン対抗か「ホルムズ完全封鎖」

 対イラン攻撃再開「いつでも」
 イスラエル首相
 東京新聞 夕刊 七面  
 海峡通航料徴集「共同で」米大統領

 トランプ大統領は8日ABCテレビのインタビューで、ホルムズ海峡を通過する船舶の通航料徴集を米国とイランの共同事業とする案に言及した。

蛮族は戦略的に降伏した。文明の勝利。今のところ。



ペペ・エスコバル
2026年4月8日
Strategic Culture Foundation

❗️Telegram Twitter , と VK でご参加願いたい。

お問い合わせ: info@strategic-culture.su

 これは常に文明の問題だった。

 「今夜、一つの文明が滅び、二度と復活することはない。」歴史は太陽のように容赦ない視線でそれを記録に刻む。アメリカ大統領がソーシャル・メディア投稿でした驚くべき野蛮な主張だ。

 要するに、世界にビッグマックをもたらした粗悪な「文明」が、代数学を世界にもたらした古代文明を滅ぼそうとしたのだ。古代文明は、比類ない方法で芸術、科学、政治に影響を与え、キュロス大王からアヴィセンナ、オマル・ハイヤームから最高の詩人ジャラールッディーン・ルーミーまで数々のスターを生み出し、壮麗な庭園、絨毯、建築の驚異、そして哲学的・倫理的な枠組みを発展させた。

 決定的に重要なのは、この野蛮な暴挙について、いわゆる「文明化した」西側諸国全体の政治指導者連中からは何の反応もなかったことで、憤慨を装うことさえなかった。これは彼らの絶対的かつ不可逆的な道徳的・政治的破綻を改めて証明するものだ。

 野蛮な行為に対し、イラン国民はそれ相応の対応で応じた。1400万人以上が全国各地の発電所を囲む人間の壁を作るために登録し、生活を守ると同時に、エプスタイン・シンジケートの圧倒的火力に真っ向から立ち向かった。

 手に汗握る緊迫した場面が近づくと、野蛮なヒヒは、当然、Trump Always Chickens Out トランプはいつもビビってやめた。でくの坊部下連中がそれを不滅のものにした。

 パキスタンがイランに停戦こそ戦争終結への道だと「保証」したなどということは到底あり得ない。外交筋が確認したところによると、実際に起きたのは、土壇場になって北京が保証人となり、イランの10項目計画に含まれる要求事項の少なくとも一部をアメリカが受け入れるとテヘランに保証したことだ。

 このことは、駐中国イラン大使、アブドルレザ・ラマニ・ファジリにも確認された。交渉は今週金曜日にイスラマバードで開始される。

 野蛮なヒヒのような大統領は、自らの戦略的失策の避けられない悲惨な結果に直面し、パキスタンを逃げ道として利用した。これはパキスタン首相自身によるもう一つのとんでもない失策で裏付けられた。ホワイトハウスが彼のために作成したツイート/投稿のヘッダーを彼は削除し忘れていたのだ。

 トランプ大統領と頻繁に連絡を取り合っているアシム・ムニール元帥が事実上率いる現在のパキスタン政権は、シーア派の少数派を抱えるイスラム教の核保有国で、湾岸協力会議(GCC)との良好な関係や、イランとの良好な関係を築いている隣国関係や、サウジアラビアとの防衛協定締結や、中国の戦略的協力関係や、国内に米軍基地がない他に類を見ない地位から地政学的に利益を得てきたし、今後も利益を得続けるだろう。

 だがイスラマバードは常に単なる仲介役で、いかなる「調停」の立案者でもなかった。ホワイトハウスからどんなに曖昧な説明がなされようと、緊張緩和の輪郭を固めたのは中国だった。
 
猶予を懇願するエプスタイン・シンジケート

 イランとレバノン南部のヒズボラにより、西アジアの死のカルト集団は壊滅させられる瀬戸際にいた。どんなに多くプロパガンダが流されようと、トランプ大統領が停戦へ舵を切る上で重要な役割を果たしたのは助けを求める彼らの叫び声だった。

 エプスタイン・シンジケートが丸ごと、そう懇願したのだ。地政学的問題ではなく、作戦上の地獄が原因だった。混沌の帝国は軍事資源を使い果たしてしまったのだ。

 決定的な証拠は、強襲揚陸艦トリポリが砲火を浴びながら2,500名の海兵隊員を乗せたまま南インド洋の深海へ撤退したことだった。これはトマホーク・ミサイル搭載潜水艦を除き、米海軍が戦場から撤退したことを意味した。ちなみに、トマホークの約半数は、驚くほど不正確な命中率で目標を外れている。

 そして問題はまだまだ終わっていない。イスラマバードをはじめ、各国でどのような決定が下されようと、2026年には10兆ドルもの国債が借り換えされる予定で、金融危機は避けられない。そしてオイル・ダラーは急速に歴史のゴミ箱へと向かっている。

 またしても狂気に満ちた死のカルト集団登場。

 決して誰も忘れてはならない。エプスタイン・シンジケートには非合意能力があるのだ。そして、この死のカルト集団は停戦などしない。せいぜい目につく者全員を殺し続けるための抜け穴を探すだけだ。

 事態は既に明白だ。死のカルト集団が停戦協定を破棄すれば、実際、既にそうなっているのだが、イランとヒズボラは、アメリカ資産を攻撃せずに、大規模反撃に出る。

 とはいえ、道徳的、法的、政治的、経済的、戦略的など、あらゆる基準において、蛮族のヒヒが戦争に敗れたと断言するのは時期尚早だ。

 結局、混沌の帝国は、本質的に常に「交渉を成立させない能力」を持っており、特に過去の実績を見れば、外交交渉中に、対イラン攻撃が二回連続して行われ、最高指導者ハメネイ師をはじめ、多数の交渉担当者が殺害されたのは明らかだ。

 大局的視点という歌は変わらない(歌おう!):これは多極化世界の三大推進国イラン、中国、ロシアに対して最後まで続く戦争だ。
 
中国のパワー・プレイと、既知の事実いくつか

 停戦前、中国はイランから1日120万バレルの原油を輸入していた。これは実質的に、トランスポンダーを停止した26隻の幽霊タンカー船団により、ホルムズ海峡の通行料所で人民元国際決済システムCIPSを通じて人民元で決済されていた。こうした取り引きは全て、SWIFT、制裁、石油会社と欧米諸国の保険を迂回して行われていた。

 世界で最重要な隘路に事実上導入された新たな代替決済体制について語ろう。

 この複雑な影のエネルギー構造は、停戦が維持されると仮定すれば、影響を受けないままになる。だが重要な点は、中国が一息つけることだ。蛮族の宣言による発電所の日を巡る緊迫した状況の後、イラン産原油輸出を全て停止する不吉な脅威は消え去ったように見える。これが土壇場で中国がイランに保証を与えた理由を説明している。

 混沌の帝国が公言していた「狙い」、つまり、政権転覆の挑発、濃縮ウランの捕獲、ミサイル計画の破壊、イランの軍事力投射能力の破壊と比較してみよう。これらは全て壮大な戦略的失策となり、ホルムズ海峡の新状況という形で頂点に達した。

 停戦期間中はもちろん、停戦後も、ホルムズ海峡を通過する全ての船舶の通行料徴収をイランとオマーンは詳細な法的枠組みに基づいて調整する。人民元で通行料を支払った後に、ホルムズ海峡を通過するアメリカ船舶。歴史の皮肉という観点から言えば、これほど詩的で心を揺さぶる光景は他にあるまい。

 だが、イランが主導権を握っているとはいえ、混沌の帝国が時間稼ぎをしているのは明らかだ。イラン最高国家安全保障会議から得られる重要な教訓は以下の通りだ。

 「これらの原則(イランの10項目)のみに基づき、イランがイスラマバードで2週間の交渉を行うことが最高レベルで決定された。これは戦争終結を意味するものではない。これら原則が詳細に確認された場合にのみ、イランは戦争終結を受け入れる。」

 理論上トランプが「受け入れた」とされる10項目を簡単に振り返ってみよう。
  1. 攻撃しないという誓約。
  2. イランによるホルムズ海峡支配権の維持。
  3. ウラン濃縮に関する合意。
  4. 全ての主要制裁措置の解除。
  5. 全ての二次制裁の解除。
  6. 国連安全保障理事会の全決議の破棄。
  7. IAEA理事会の全決議の破棄。
  8. イランへの賠償金支払い。
  9. 地域からの米軍戦闘部隊撤退。
  10. レバノンのヒズボラとの戦争を含む、あらゆる戦線での戦争停止。
 これらの点ほとんど全てにおいてイランが妥協する可能性は皆無だ。賠償金支払いは、ホルムズ海峡の通行料収入に転嫁されるかもしれない。だが制裁解除はあり得ない。アメリカ議会が決してそれを許すまい。アメリカがイランを二度と攻撃しないという保証は冗談にもならない。更に、混沌の帝国はガザやレバノンに関し何も保証できない。

 とはいえ、これはイランにとって極めて危険な賭けで、主要保証国である中国にとっても大きな試練になる。イランは、特に石油化学産業において甚大な被害を受けている。中国から多額投資があったとしても復興には何年もかかるだろう。

 今週金曜、「三ばか大将」はイスラマバードへ向かうかもしれない。カーリー:ヴァンス。シフティ:ウィトコフ。モー:クシュナー。だがイランは(アラグチ外相を通じて)彼らの一人、カーリーとしか真剣に話し合わないだろう。

 今のところ文明は生き残っている。いくつか事実を挙げておこう。事実その1:アメリカはもはや超大国ではない。事実その2:イランは世界のトップ大国の一つとして復活した。事実その3:臆病な湾岸石油君主国のほとんどが最終的に米軍基地を永久に追い出すことになろう。事実その4:カタールとオマーンはイランと安全保障協定を結ぶだろう。

 最重要課題は依然残っており、それは世界全体に関わる問題だ。すなわち、西アジアにおける癌の治療法をいかにして見つけるかだ。

記事原文のurl:https://strategic-culture.su/news/2026/04/08/barbaria-strategically-surrenders-civilization-wins-for-now/

----------

 文中の「三ばか大将」、意味が分からない方々が多いのではないだろうか? 昔の人気テレビ番組。

 Wikipediaから引用させていただこう。  
『三ばか大将(The Three Stooges)』は、アメリカでは1930年代より短編映画の人気者で、テレビ時代が始まった1949年にはかつての短編映画をテレビ用に編集し放送

  中略

 日本では、1963年6月から1964年11月まで『三ばか大将』の番組名で、日本テレビ系列で毎週日曜19:30 - 20:00(JST)に放送され、スポンサーの森永製菓が3人のイラストを今で言うマスコットキャラクター化するほどの人気を博していた。
とある。

 今朝の孫崎享氏メルマガ題名
イラン戦争、トランプ声明で、「イランからの10項目提案を受理。workable basis(現実的に機能する基盤)」。二週間停戦、両者とも長期化を避けたい(米国:中間選挙・ガソリン価格・経済、イラン:経済疲弊・孤立)。困難材料:要求格差が大きい

2026年4月 8日 (水)

反帝国主義者は世界をより良くしたいと考えているが、リベラル派は自己満足に浸りたいだけ



結局、反帝国主義的左翼と主流派リベラル「人道主義者」を区別するのは、あなたが人類のために行動しているのか、それとも自分のために行動しているのかだ。

ケイトリン・ジョンストン
2026年4月6日

 ティム・フォーリーによる英文記事朗読を聞く。

 結局、反帝国主義的左翼と主流派のリベラル「人道主義者」を分けるのは、あなたが人類のために行動しているのか、それとも自分のために行動しているのかという点だ。

 リベラル派にとって、平和と正義を求めることは、世界における平和と正義の欠如の原因となっている具体的権力構造と戦うという願望というより、むしろ抽象的な概念だ。

 もしあなたがリベラルなら、子どもが殺されたり飢えたりすることに抽象的には反対するだろう。自分を道徳的な人間だと考えることで、自己満足感を得られるからだ。しかし、虐殺、侵略戦争、包囲戦などを通じて日常的に子どもを殺したり飢えさせたりする帝国に対し、明確な立場を取ることには関心がないのだ。

 あなたは貧困に苦しむ家族を望まない。そうすれば自分が悪い人間だと感じてしまうからだ。だが同時に、貧困と欠乏の永続的創出によって成り立つ資本主義体制に対して、具体的に反対の立場を取ることもない。

 あなたは、誰もが恐怖や暴政から解放された幸せで豊かな生活を送ることをある程度望んでいる。だが自国がグローバル・サウスの人々を虐待し、恐怖に陥れ、搾取している可能性は考えたくない。そう考えると不快な気持ちになるからだ。

 それは、実際人類を助けたり、世界の諸問題を解決したりしたいという願望ではなく、あなた自身とあなたの感情に関することだ。

 資本主義帝国に反対する人々は、人類の健康と調和を本当にもたらすことに関心を持っている。彼らは、自国政府の不正行為、西洋文明のディストピア的本質や、自分たちの快適な生活が貧困な国々の労働者の犠牲上に成り立っている事実といった、不都合な真実から目を背けない。彼らにとって大切なのは、心地よい感情を抱くことではなく、より良い世界を創造することだからだ。

 欧米の反帝国主義者は、世界における最大の悪役が自国社会であることを認めるのに何ら抵抗を感じない。実際に世界における虐待や不正義の根源を彼らが見つめているからだ。一方、リベラル「人道主義者」は、悪者になるのは気分が良くないため、悪を外国の政権にのみ見出すのを好む。

 自国の二大政党が、ともに、欧米帝国を支える戦争扇動、軍国主義、資本主義的搾取、帝国主義的収奪を助長しているのを欧米の反帝国主義者は認識しており、政権を握っている政党が誰であろうと、両党の不正行為に反対する。一方、リベラル「人道主義者」は、一方の主要政党の不正行為だけ認め、他方の政党を誇らしげに支持して投票する。そうすることで、自分たちが役に立っていると感じられるからだ。

 欧米の反帝国主義者は、道徳的に正しい側に立つことは、度重なる敗北と失望に耐えなければならないことなのを受け入れている。革命的変革を求める動きは、社会のあらゆる制度に課せられた流れに真っ向から逆らうものだから。一方、リベラル「人道主義者」は、自分たち側が選挙で半分の確率で勝利するからこそ自分たちの立場に満足感を覚える。そして自分たちの支持者を決して当選させられない左派の人々を得意げに嘲笑する。

 欧側の反帝国主義者は、パレスチナ、レバノン、イランで起きる惨劇をじっと見つめ、自国が支援する残虐行為を目撃する苦痛と怒りを全身で感じるはずだ。一方、リベラル「人道主義者」はそうした現実から目を背けようとする。なぜなら、彼らの世界観は、現実から心理的に切り離して、自らの感情を優先することに基づいているからだ。

 要するに、それは、実際良い人間であることと、自分は良い人間だと感じたいだけの違いだ。前者は困難だが、後者は容易だ。

 あなたは、どちらになりたいのだろう?

_________________

 私の記事は完全に読者の皆様のご協力で成り立っている。もしこの記事を気に入っていただけたら、寄付箱に少しお金を投じられる方法がいくつか、ここにあるメーリングリストや、ソーシャルメディアや、書籍や、グッズや、各記事のオーディオ/ビデオ版へのリンクはこちらをクリックしてください。私の記事は全て、海賊版制作や再出版や翻訳やグッズへの使用など、あらゆる方法で自由にご利用いただける。全ての記事は夫のティム・フォーリーとの共著。

 ビットコイン寄付: 1Ac7PCQXoQoLA9Sh8fhAgiU3PHA2EX5Zm2

 記事原文のurl:https://caitlinjohnstone.com.au/2026/04/06/anti-imperialists-want-to-improve-the-world-liberals-just-want-to-feel-good-about-themselves/

----------

 東京新聞 夕刊 一面  
 米イラン即時停戦合意

 2週間 攻撃停止 海峡通行も

 イスラエルも同意
 だが海藻好きとしては、左側の記事も気になった。  
 コンブでウメェー肉に

 価格外品をひつじの餌に
 ▼寄生虫に高価
 ▼薬剤減

 北大院生研究 漁師も畜産農家も 喜こんぶ
 コンブを食べさせた羊の肉がおいしくなるというのだ。

 大昔札幌でジンギスカン料理を愉しんだ経験から、客も喜ぶ、コンブで育てた羊のジンギスカンを味わってみたいと思う。ウニはコンブを食べて育つというし。

より以前の記事一覧

その他のカテゴリー

エチオピア 911事件関連 AI Andre Vltchek BRICS Caitlin Johnstone CODEPINK Eric Zuesse Finian Cunningham GMO・遺伝子組み換え生物 ICE ISISなるもの James Petras John Pilger Mahdi Darius Nazemroaya Mike Whitney Moon of Alabama NATO NGO Pepe Escobar Peter Koenig Prof Michel Chossudovsky Saker SCO Scott Ritter Stephen Lendman Thierry Meyssan Tony Cartalucci/Brian Berletic TPP・TTIP・TiSA・FTA・ACTA Unz Review Wayne Madsen WikiLeaks William Engdahl wsws アフガニスタン・パキスタン アメリカ アメリカ軍・軍事産業 アルメニア・アゼルバイジャン イエメン イギリス イスラエル・パレスチナ イラク イラン インターネット インド イーロン・マスク ウォール街占拠運動 ウクライナ エプスタイン オセアニア・クアッド オバマ大統領 オーウェル カジノ カナダ カラー革命・アラブの春 キューバ ギリシャ クリス・ヘッジズ グリーンランド グレート・リセット サウジアラビア・湾岸諸国 シェール・ガス・石油 シリア ジーン・シャープ ソマリア ソロス タイ チベット チュニジア・エジプト・リビア・アルジェリア テロと報道されているものごと トヨタ問題 トランプ大統領 トルコ ドイツ ナゴルノ・カラバフ ノルドストリーム ノーベル平和賞 バイデン政権 バングラデシュ パソコン関係 ヒラリー・クリントン ビル・ゲイツ フィル・バトラー フランス ブラジル ベネズエラ ベラルーシ ホンジュラス・クーデター ボリビア ポール・クレイグ・ロバーツ マスコミ ミャンマー ユダヤ・イスラム・キリスト教 レバノン ロシア 中南米 中国 中央アジア 二大政党という虚構・選挙制度 伝染病という便利な話題 共産主義 北朝鮮・韓国 地球温暖化詐欺 地震・津波・原発・核 宗教 憲法・安保・地位協定 授権法・国防権限法・緊急事態条項 文化・芸術 新冷戦 新自由主義 日本版NSC・秘密保護法・集団的自衛権・戦争法案・共謀罪 旧ユーゴスラビア 映画 東ヨーロッパ・バルト諸国 東南アジア 民営化 無人殺戮機 田中正造 経済・政治・国際 英語教育 読書 赤狩り 通貨 選挙投票用装置 関税 難民問題 麻薬 麻薬とされるマリファナについて

お勧め

  • IWJ
    岩上安身責任編集 – IWJ Independent Web Journal

カテゴリー

ブックマーク

最近のトラックバック

無料ブログはココログ