アメリカ

2025年12月16日 (火)

傲慢と暴力のトランプ帝国


 画像は、2025年10月30日にカラカスで開催されたカリブ海における米軍の活動に反対する集会で、ベネズエラのニコラス・マドゥロ大統領支持者が着ていたドナルド・トランプ大統領と「ヤンキー・ゴー・ホーム」というスローガンが描かれたTシャツ。(写真:フェデリコ・パラ/AFP、ゲッティイ・メージズより)

 大統領最新の国家安全保障戦略覚書は他者に強制する自由をアメリカ主権の本質とみなしている。このまま放置されれば、アメリカを再び苦しめることになる不穏な文書だ。

ジェフリー・D・サックス
2025年12月11日
Common Dreams

 最近ドナルド・トランプ大統領が発表した2025年国家安全保障戦略(NSS)は、アメリカの新たな権力の青写真だと謳っているが、四つの点で危険なほど間違っている。

 第一、NSSは誇大妄想に根ざしている。つまり、アメリカは、あらゆる主要権力において比類なき優位性を享受しているという信念だ。第二、NSSは極めてマキャベリ的な世界観に基づいており、他国をアメリカの利益のために操るべき道具とみなしている。第三、NSSは、国際法や国際機関を、アメリカと世界の安全保障を共に強化する枠組みとしてではなく、アメリカ主権を阻害するものとして軽視する素朴なナショナリズムに基づいている。

 第四、これはCIAと軍を利用するトランプによる暴力的行為だ。国家安全保障問題報告書の公表から数日後、公海上でベネズエラ産原油を積載するタンカーを、その船が以前アメリカの対イラン制裁に違反したという根拠の薄い理由で、アメリカは厚かましくも拿捕した。

 この拿捕は、差し迫った脅威を回避するための防衛措置ではなかった。また、アメリカの一方的制裁を理由に公海上での船舶拿捕は到底合法ではない。そのような権限を持っているのは国連安全保障理事会のみだ。むしろ、この拿捕はベネズエラ政権転覆の強制を狙った違法行為だ。これは、ベネズエラで政権を不安定化させるため、トランプ大統領がCIAに秘密工作を指示したと宣言したことを受けての措置なのだ。

 威圧的行動によって、アメリカの安全保障は強化されない。むしろ構造的にも道徳的にも戦略的にも弱体化する。同盟諸国を脅かし、近隣諸国を威圧し、国際ルールを無視する大国は、最終的に孤立することになる。

 言い換えれば、NSSは単なる机上の空論ではない。急速に大胆な実践に転化されつつある。

 現実主義のきらめき、そして傲慢への迷走

 公平を期すなら、NSSには長らく待たれていた現実主義の瞬間が含まれている。アメリカは世界全体を支配しようと試みることはできないし、試みるべきでもないことを暗黙のうちに認めているのだ。また、一部同盟国がアメリカの真の利益とは相容れない、費用のかかる戦争にアメリカを引きずり込んだことを正しく認識している。また少なくとも理論上は、大国による強烈な聖戦からは一歩引いている。この戦略は、普遍的政治秩序をアメリカが押し付けることが可能だ、あるいは押し付けるべきだという幻想を否定している。

 だが謙虚さは長くは続かない。国家安全保障戦略(NSS)はすぐに、アメリカは「世界最大かつ最も革新的経済」「世界をリードする金融体制」「世界で最も先進的で最も収益性の高いハイテク部門」を有し、これら全てを「世界で最も強力で有能な軍事力」に支えられていると再主張する。これらの主張は、単なる愛国心の表明ではなく、アメリカの優位性を盾に、他国に条件を押し付けことの正当化として機能している。この傲慢さの矢面に立たされるのは様々な小国になりそうだ。他の諸大国を、とりわけ核兵器保有国であるがゆえにアメリカは打倒できないためだ。

 教義における露骨なマキャベリズム

 NSSの壮大さは露骨なマキャベリズムと融合している。NSSが問うているのは、アメリカと他国が相互利益のためにどのように協力できるかではなく、市場、金融、技術、安全保障におけるアメリカの影響力をいかに活用し他国から最大限の譲歩を引き出せるかだ。

 この点は、西半球に関するNSSの議論において最も顕著で、モンロー主義に対する「トランプ的帰結」を宣言している。NSSは、中南米が「敵対的外国の侵略や主要資産の所有から自由であり続ける」のをアメリカが保証し、同盟と援助は「敵対的外部影響力を弱める」ことを条件とすると宣言している。この「影響」は、明らかに、中国の投資やインフラ整備や融資を指している。

 NSSは次のように明確に規定している。「アメリカに最も依存しており、従ってアメリカが最も影響力を持つ」国々とのアメリカ協定は、アメリカ企業にとって独占供給契約でなければならない。アメリカ政策は、地域インフラを建設する「外国企業を排除するため、あらゆる努力を払う」べきで、アメリカは世界銀行などの多国間開発機関を「アメリカの利益にかなう」ように再編すべきだ。

 中南米諸国政府は、多くがアメリカ、中国両国と広範囲に貿易を行っているが、事実上「中国でなく我々と取引しなければならない。さもないと酷い目に逢うぞ」と告げられているのだ。

 このような戦略は戦略的に素朴だ。中国は西半球の多くの国々を含む世界のほとんどの国々にとって主要貿易相手国だ。アメリカは中南米諸国に中国企業を追放するよう強制はできないだろうが、そのような取り組みはアメリカ外交に深刻な打撃を与えるだろう。

 親密な同盟諸国さえ警戒するほど露骨な暴力行為

 NSSは「主権と尊重」の原則を掲げてはいるものの、その行動により既に、この原則はアメリカの主権と、他の国々の脆弱性に貶められている。この新たな原則を、一層異常なものにしているのは、それが今や中南米の小さな国々だけでなく、ヨーロッパにおけるアメリカの最も緊密な同盟諸国さえも恐怖に陥れていることだ。

 注目すべき進展として、アメリカに最も忠実なNATO諸国の一つデンマークが、アメリカをデンマークの国家安全保障に対する潜在的脅威だと公然と宣言したのだ。デンマークの防衛計画担当者は、トランプ政権下のアメリカがグリーンランドに対するデンマーク王国の主権を尊重するとは想定できず、アメリカが強制的にグリーンランドを奪取しようとする事態は、デンマークが今こそ備えなければならない不測の事態だと公言している。

 これは様々な意味で驚くべきことだ。グリーンランドには既に米軍のピツフィク宇宙軍基地があり、西側諸国の安全保障体制にしっかり組み込まれている。デンマークは反米主義でもなければ、ワシントンを挑発しようとしているわけでもない。友好国とされるものに対してさえ予測不可能な行動をアメリカが取り始めた世界に対して、単に合理的に対応しているに過ぎない。

 ワシントンに対する防衛策を検討せざるを得ないとコペンハーゲンが感じていることは多くを物語っている。それは、アメリカ主導の安全保障体制の正当性が内部から揺らいでいることを示唆している。デンマークでさえアメリカに対するヘッジが必要だと考えているなら、問題はもはや中南米の脆弱性というだけではない。かつてアメリカを安定の保証人と見なしていた諸国が、今やアメリカを潜在的、あるいは確実な侵略者と見なす国家間の信頼の体系的な危機だ。

 要するに、NSSは、これまで大国間の対立に費やしていたエネルギーを、小国への威圧に転換するようだ。海外で数兆ドル規模の戦争を起こすことにアメリカが少々消極的になっているように見えるとすれば、制裁や、金融による圧力や、資産の差し押さえや、公海での窃盗といった手段を武器にしたいと思っているのだ。

 欠けている柱:法、互恵、礼儀

 おそらくNSSの最も深刻な欠陥は、アメリカの安全保障の基盤としての国際法、互恵主義、基本的礼儀への取り組みが欠如していることだ。

 NSSは、世界的な統治構造を、アメリカの行動に対する障害とみなしている。気候変動対策協力を「イデオロギー」だと一蹴し、最近のトランプ大統領国連演説によれば、事実上「でっち上げ」だと主張している。国連憲章を軽視し、国際機関を、主にアメリカの意向に沿って動かすための道具とみなしている。だが、歴史的にアメリカの利益を守ってきたのは、まさに法的枠組み、条約と、予測可能なルールだ。

 アメリカ合衆国建国の父たちは、このことを明確に理解していた。アメリカ独立戦争後、新たに主権を獲得した13州は、すぐに憲法を採択し、課税、防衛、外交といった主要権限を統合した。これは州の主権を弱めるためではなく、合衆国連邦政府の設立によって主権を確保するためだった。第二次世界大戦後のアメリカ合衆国政府の外交政策も、国連、ブレトンウッズ機関、世界貿易機関と軍備管理協定を通じて、同様の目的を実現した。

 トランプ政権の国家安全保障戦略(NSS)は今やその論理を覆し、他者に強制する自由を主権の本質とみなしている。この観点から見ると、ベネズエラ・タンカー拿捕事件とデンマークの不安は、この新たな政策の表れと言えるだろう。

 アテネ、メロス、ワシントン

 こうした傲慢さは、いずれアメリカを苦しめることになるだろう。古代ギリシャの歴史家トゥキュディデスは、紀元前416年にアテネ帝国がメロス島の小島と対峙した際、アテネ人は「強者はできることをし、弱者は耐え忍ぶべきことをする」と宣言したと記録している。だが、アテネの傲慢さは、同時にアテネの破滅を招いた。12年後の紀元前404年、スパルタによってアテネは陥落した。アテネの傲慢さ、行き過ぎた支配と、小国への軽蔑が、最終的にアテネを滅ぼす同盟を活性化させたのだ。

 2025年国家安全保障戦略(NSS)も同様に傲慢な論調で語っている。法より権力、同意より強制、外交より支配を重視する教義だ。アメリカの安全保障は、威圧的な行動によって強化されることはない。むしろ構造的、道徳的、戦略的に弱体化する。同盟国を脅迫し、近隣諸国を威圧し、国際ルールを無視する大国は最終的に孤立することになる。

 アメリカの国家安全保障戦略は全く異なる前提に基づくべきだ。すなわち、多元的世界を受け入れること、国際法を通じると主権は弱まるのではなく強化されるという認識、気候、健康、技術に関する世界協力が不可欠だと認めること、そしてアメリカの世界的影響力は強制よりも説得にかかっているという認識だ。

記事原文のurl:https://www.commondreams.org/opinion/trump-national-security-strategy-memo

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 東京新聞 朝刊 特報面  
 実は恐ろしいスパイ防止法
 市民ら法制化を懸念 集会相次ぐ

 戦前は「心」を弾圧

 治安維持法 思想を「犯罪」にして裁く

 宗教史「戦死者たたえた過去
 デモクラシータイムス
2025年とは? 戦後100年に向かう世界 (中野 晃一/小塚 かおる/布施 祐仁) ウィークエンドニュース 20251213 1:58:10
【横田一の現場直撃 No.350】 ◆維新も早速「下駄の雪」◆おこめ券、JAの利益誘導? ◆前橋市長選、知事全面介入 20251215 52:07

2025年12月15日 (月)

EU丸ごと沈没船にするか、更に酷い場合には全面戦争に巻き込むロシア資金の窃盗



2025年12月5日
Strategic Culture Foundation

 フォン・デア・ライエン、カッラス、メルツ、マクロン、NATOのルッテなど犯罪的で無責任なユーロエリート連中は、EUを財政的に沈没船に縛り付けている。

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 腐敗したネオナチ・キーウ政権を支え、無益な代理戦争を長引かせる狙いで、欧州委員会のウルズラ・フォン・デア・ライエン委員長はロシアの国家財産2000億ユーロ以上を没収する無謀な計画を推進している。

 これ以上無謀な行動など想像しがたい。だがフォン・デア・ライエンを中心とするいわゆる欧州指導者連中は熱心に破滅へ向かう舵取りをしている。タイタニック号の不運な船長は少なくとも氷山衝突を回避しようと試みた。ユーロ圏の船長連中は全速力で突進しているのだ。

 フォン・デア・ライエンが提案した計画は「賠償融資」という空想的な名称で呼ばれ、法的な言説を駆使し、ロシア資産を没収するものでないかのように装っている。だが結局、窃盗と同じことだ。ナチス・ドイツの敗北を象徴する第二次世界大戦以来、ヨーロッパで最も血なまぐさい戦争を継続するための窃盗だ。

 元ドイツ国防相のフォン・デア・ライエンは、他の異常なほどロシア嫌いのユーロ圏エリート連中から支持されている。ロシア資金を押収してキーウ政権に送るのは、四年近く続く紛争の平和的終結に向けた交渉をモスクワに迫るためだとEU外相で元エストニア首相カヤ・カッラスは主張している。こんな歪んだ理屈はオーウェル風現実歪曲だ。

 ベルギーをはじめとする欧州諸国は、この未曾有の大胆な動きに強い警戒感を抱いている。ベルギーは凍結されたロシア資産の大半(約1,850億ユーロ)をユーロクリアの預託銀行に保有しており、EUを違法資産差し押さえの責任をロシアが問えば、自国が財政破綻に陥るのを懸念している。ロシア嫌いのベルギー指導部が、トランプ政権とクレムリンによる和平交渉に向けた外交的取り組みを阻害するのではないかとハンガリーやスロバキアなどのEU加盟国は懸念している。

 EU首脳によるロシア資産没収は、金銭的主張の如何を問わず、モスクワからの国家財産窃盗とみなされるとロシアのウラジーミル・プーチン大統領は警告した。賠償を求めるべく、既存条約に基づき法的措置を講じて断固たる対応を取るとロシアは明言している。ベルギーはまさにこれを恐れており、これがフォン・デア・ライエン委員長の債務保証制度に抵抗している理由でもある。

 12月18~19日に欧州首脳は首脳会議を開き、この提案について決定を下す予定だ。ロシア嫌いのエリート連中は必死で、ベルギー政府に政治圧力をかけ続け、この計画に反対する姿勢を崩させようとしてきた。ベルギーの同意を得るため、EU加盟諸国全てが法的、財政的影響を分担するという法的保証をフォン・デア・ライエン委員長が文書化した。こうして選挙で選ばれてもいないこの欧州委員会委員長はヨーロッパ全体への遺書を書こうとしているのだ。

 提案されている債務保証制度は、本質的に、EU銀行におけるロシアの凍結資金を担保にして、ウクライナに1400億ユーロの無利子援助を提供するものだ。ウクライナはNATOの代理戦争として四年ロシアと戦い、破産状態にあるため、この財政的生命線は不可欠だ。

 この紛争でロシア軍が軍事力で優勢を増す中、ウクライナとNATO支援諸国は敗北した。ところが欧州エリート層はロシアの和平条件に応じるどころか「ウクライナ国民が最後の一人まで死ぬ」よう望んでいる。和平を求めることは代理戦争への加担を認めることになり、欧州の戦争屋にとって政治的に破滅的な結果をもたらすだろう。自らの犯罪行為と嘘を隠蔽するために彼らは「ウクライナ防衛」という茶番劇を続けざるを得ないのだ。

 最近の閣僚や補佐官の解雇からもわかる通り、キーウ政権の中核では汚職や横領が横行しており、次回のEU融資の多くはオフショア銀行口座や外国の不動産に流れ込み、腐敗政権の連中に吸い込まれるのは確実だ。

 フォン・デア・ライエンの巧妙な窃盗欺瞞は、ロシア資産は永久に没収されるのではなく、モスクワが最終的にウクライナに「戦争賠償金」を支払った時解放されると主張している。言い換えれば、この計画は脅迫作戦で、ロシアが決して従わないものだ。この計画はロシアを有罪な侵略者だと前提としており、モスクワや他の多くの人々が見ている通り、2014年のキーウでのCIAクーデターで頂点に達したNATOが煽った長年の敵意と、ロシアを挑発するためネオナチ政権を兵器化することに対する自衛として行動しているものではないからだ。従って、フォン・デア・ライエン計画では、ロシアの凍結資金は事実上決して返還されず、更に悪いことに、キーウ・マフィアの利益のために流用されることになるだろう。

 このような犯罪行為は極めて挑発的で危険だ。ロシア国民に対する略奪規模の大きさを考えれば、モスクワはこれを戦争行為と解釈する可能性がある。少なくとも、ロシアは国際条約や法律に基づいて賠償を求めるだろう。その結果、ベルギーをはじめとするEU諸国は財政的負債から解放される可能性がある。これは一体どれほど馬鹿げた行為だろう? フォン・デア・ライエンや彼女のようなロシア嫌い連中は、腐敗したネオナチ政権を支えるためにロシアの富を盗み、ヨーロッパを破産へと追い込んでいるのだろうか? この政権は既に数百万人ものウクライナ軍犠牲者を出している。

 あるいはEU指導部が12月18日?19日の首脳会議でこの無謀な強奪計画を逃れられなかった場合、「プランB」は、EU加盟27カ国が国際市場からの共同債務を負い、キーウ政権に更に二年の消耗戦を強いることだ。

 EU首脳連中の狂気は計り知れない。ロシアを「従属させる」というイデオロギー的で、無益な執着に突き動かされているのだ。フォン・デア・ライエンも、ドイツのフリードリヒ・メルツ首相もナチスの血筋だ。彼らにとって、ロシアを打倒し、ヨーロッパの「偉大さ」を主張する祖先伝来の探求心が、まさにその根源にある。

 ウクライナでの代理戦争に連中は敗れ多くの血を流した。ところが破壊的執着をやめるどころか、それを継続させるための新たな方法を必死に模索している。

 フォン・デア・ライエン、カッラス、メルツ、マクロンやNATOのルッテといった犯罪的で無責任なユーロ・エリート連中は、財政的にEUを沈没船に縛り付けている。連中はヨーロッパ全体を道連れに沈没させ、分裂させているのだ。

 これらエリート連中がしているのは、我々が知っているEUの姿や、彼らが擁護すると公言している姿の破壊なのだ。皮肉にも、ヨーロッパにおける民主主義と平和の最大の敵は、ロシアではなく、連中なのだ。

記事原文のurl:https://strategic-culture.su/news/2025/12/05/theft-russian-wealth-tying-entire-eu-bloc-sinking-ship-or-worse-all-out-war/

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シリアで米兵ら3人死亡、ISの攻撃か トランプ氏が報復宣言
 
米ブラウン大学銃撃事件、参考人の24歳男を拘束 2人死亡、9人負傷
 
豪ビーチで銃撃 死者15人に、銃撃犯を止めた英雄に称賛の声 これまでに分かっていること
 Arc Times
高市首相の逆ギレ答弁、経済も/高市氏の経済音痴を全解説/伊東市長選どうなる/家計の大苦境と維新の「税金食い物」(金子勝❎尾形聡彦) 1:40:19
 The Duran ウクライナ・ロシア戦線を取材するポルトガル人ボランティア
Inside Russian military barracks w/ João Quaresma 53:33

2025年12月13日 (土)

ドナルド・トランプ、今週も好調で自己宣伝満載

フィリップ・ジラルディ
2025年12月5日
The Unz Review



 ワシントンからは常に何か新しく刺激的な出来事が生まれている。先週の大きなニュースは、世界中のどこででも死刑に値するという法的または道徳的根拠を必ずしも示すことなく、人を殺害できるというアメリカ合衆国の推定特権に焦点を当てていた。必然的に、まさにそれを実行する衝動は政府体制の最上層から生じており、ドナルド・J・トランプ大統領は、政権がアメリカの「敵」に遭遇した場合、新しく改名された戦争省長官が「彼らを殺す」権利を行使すると明言することで、国家安全保障政策を何度も口頭で表明してきた。トランプ大統領は、大統領として「何でもできる」と主張しているが、これは彼が合衆国憲法を一度も読んだことがないことを示唆している。

 確かに、頭が混乱したトランプは「国家こそ我なり」という事実上の政策を採用した最初のアメリカ大統領ではないが、それを公然と認めた最初の大統領かもしれない。ジョージ・W・ブッシュは「世界的なテロとの戦い」を支持し「街の新しい保安官」の役割を担うことで拷問を「合法化」した。彼の後を継いだバラク・オバマは、ホワイトハウスで毎週会議を開き、ドローンで暗殺するアメリカ国民や海外にいる人々のリストを作成した。彼がその方法で殺害したのは有名な話だ。ジョー・バイデンはもう一歩進んで、代理戦争を仕掛け、イスラエルに武器と政治的支援を提供し、少なくとも10万人のガザ地区住民を大量虐殺した。この政策について職員から個人的に質問されると、彼は「私はシオニストだ」と答え、イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相に行動を緩和するよう圧力をかけることを検討するのを拒否した。

 だがトランプに関して言えば、記者会見で質問する女性記者に滑稽だが侮辱的な名前をつけるなど、複数の死を継続的な喜劇の一幕にする彼の能力は称賛に値する。ここ数週間、トランプの侮辱、癇癪、脅迫は爆発している。CBSのホワイトハウス特派員ナンシー・コーデスに対して、彼は「あなたはバカなのか? バカな人間なのか? バカな人間だから質問しているだけだ」と愚痴をこぼした。またニューヨーク・タイムズ特派員ケイティ・ロジャースを「三流…内面も外面も醜悪」と不満を漏らした。しかし最も極端な非難はホワイトハウス特派員キャサリン・ルーシーに向けられた。「静かに。静かに、ブタちゃん」だが、さらに酷かったのは、軍人らに違法な命令に逆らうよう命じた民主党議員たちに対するもの。彼らは「反逆罪…死刑に値する」とされた。

 自己陶酔男トランプは、あらゆる虐殺を自らの才能と政治的手腕を示す物語へと昇華させている。先週、トランプは二つの大きな催しを主催し、アメリカ合衆国大統領がいかに低俗な言動をするかを露呈した。一つ目はアメリカ平和研究所での集会で、表向きルワンダとコンゴ民主共和国の和平協定調印式の場所とされていたが、結局は文字通りでも、比喩的でもトランプ一色となった。

 今年初め、イーロン・マスク率いる政府効率化局(DOGE)が政府の給与から雇用と業務を奪い取る政策に躍起になっていた頃、平和研究所はホワイトハウスの介入により事実上接収され、閉鎖に追い込まれた。トランプ大統領は、研究所を「肥大化した無用な組織」と評した。この動きは現在裁判で争われている。研究所は主に政府資金で運営されており、議会で可決された法律により設立されたものの、行政機関の管轄下にないためだ。

 しかし現在、同研究所は名称を変更し、コロンビア特別区コネチカット通りの建物の正面には、研究所名の上に「Donald J Trump」と記された大きなブロンズ文字が掲げられている。これは大統領の平和推進者としての専門的能力を明らかに暗示している。月曜日、同研究所が「国家史上最も偉大な交渉役を称え、反映するため」、同を「ドナルド・J・トランプ平和研究所」に改名されたと国務省は発表した。トランプは8つの国際紛争に平和をもたらしたと主張しているが、この主張は広く反証され、嘲笑さえされている。トランプが建物の正面に自分の名前を加えたのは、2026年のノーベル平和賞受賞を目指す中、自身を偉大な外交交渉役として印象づけようとする努力の継続のように見える。彼はこの栄誉を大いに望んでいるようだ。

 新しい碑文はそれだけではない。先週、トランプは同所で開催された催しで自らを主要演説者と称し、自らについて語った。彼は金曜日に行われた来年のアメリカ・カナダ・メキシコFIFAサッカーワールドカップの最終メンバーを決める別の会議にも言及した。会議はワシントンのジョン・F・ケネディ・センターで開催される予定だったが、トランプは「トランプ・ケネディ・センター」とわざと間違って呼んだ。

 既にトランプはケネディ・センターの理事会に支持者を詰め込み、オペラハウスを妻にちなみ、建物自体を自分にちなみ、改名しようと働きかけている。この差し迫った乗っ取りにより、多くの出演者がキャンセルし、観客動員数も劇的に減少したと報じられている。金曜日のFIFA集会では、予想通り、サッカー協会主催者が初めて特別「平和賞」をトランプに授与した!FIFA会長ジャンニ・インファンティーノが「あなたの行動、あなたが獲得したものは、確実にFIFA平和賞に値します。しかも信じられないほど素晴らしい方法で獲得しました。大統領、あなたが平和を実現し世界を繁栄させるために、私やサッカー社会全体の支援を常に頼りにしてください」と述べ、トランプは受賞を「生涯で最大の栄誉の一つ」と称した。 FIFAは、トランプがアメリカで開催されるワールドカップの試合を妨害することを懸念している。トランプは既に、自身の知名度向上と宣伝効果を享受できなければ、ワールドカップを妨害すると示唆している。一部報道によると、トランプが自らメダルを首にかける仕草は、非常に不快なものだったという。

 そして、トランプの常として、まだ続きがある。先週、トランプはバージニア州近郊のダレス国際空港について協議し、ホワイトハウスは同空港の「改善」を強く求めている。トランプは実際同空港を視察し、その後、現在の空港を「…良い空港ではない。素晴らしい空港であるべきなのに良い空港ではない」と述べた。また、メイン・ターミナルビルを「設計が間違っている」と述べ「これを立て直し、ワシントン、バージニア州、メリーランド州などを結ぶダレス空港を本当に素晴らしいものにする。素晴らしい計画がある」と付け加えた。改善案には、どうやら名前の変更も含まれるようだ。誰の空港か想像がつくだろう。

 そして、アーリントン国立墓地の外、ポトマック川沿いに建設されるかもしれない「巨大な」凱旋門、あるいはトランプ・フル・アーチ、そしてサウスダコタ州のラシュモア山記念碑にトランプの巨大な頭部を追加する法案も忘れてはならない。少なくともワシントンD.C.はトランプを称えるために改名される予定はまだないが、おそらく次はそうなるだろう。だが絶望する必要はない。トランプは先週火曜日、アメリカ合衆国がモンロー主義を宣言してから232周年となる12月2日を記念する宣言を発し、再び輝く機会を得たのだ。そこにはこうあった。「本日、我が政権は、モンロー主義の新たな『トランプの系』に基づき、誇りを持ってこの誓約を再確認する。すなわちアメリカ国民は、外国やグローバリスト組織ではなく、常にこの西半球における自らの運命を握るということだ…私の『トランプの系』によって活力を得たモンロー主義は健在で、アメリカの指導力はかつてないほど力強く復活しつつある。」

 「トランプの帰結」の発明のように、トランプは名指しで自分を称賛する機会を逃さず、そのため自分の職権にふさわしいと考えた全ての権力を行使するだろう。悲しいことに、この自画自賛は大部分幻想だ。ネタニヤフとユダヤ人大富豪の資金の前でひれ伏して行動してきたことからすれば、平和主義者トランプは、正確には戦争主義者だ。「トランプ和平計画」下のガザは残虐行為で、トランプのおかげでイスラエルが更に多くのパレスチナ人を殺害するための手渡しへと堕落した。ネタニヤフがレバノン人を殺害するための切符であるレバノン停戦も同様で、シリア入植地も同様だ。では、イラン爆撃はどうなのか? そして先週トランプが、そこの国民を「ゴミ」と呼んだソマリアはどうなのか?

 自由の国、勇敢な人々の故郷であるアメリカに、自国民の入国を歓迎するにはあまりにも不快だと見なされているソマリア人や他の国々について言えば、今、第三世界諸国からの移民を「永久に」終わらせ、既にアメリカ国内にいる、これらの国の国民の「大量国外追放を加速」させたいとトランプ大統領は述べている。クリスティ・ノーム国土安全保障長官は、トランプ大統領の19カ国への渡航禁止措置に少なくとも11カ国を追加したい考えで、今週トランプ大統領と会談し、「殺人者、寄生虫、特権階級の人間を我が国に押し寄せさせている忌ま忌ましい国々全てへの全面的渡航禁止を勧告した。そんな奴らは一人たりともいらない」とXは報じている。

 興味深いことに、ノエムの説明通りに厳格に適用されれば、この禁止措置はイスラエル人のアメリカ入国を阻止するために利用される可能性がある。近隣諸国やイスラエル国内におけるイスラエル人の行動を「殺人者、寄生虫、特権意識の塊」と見なせば、容易に納得のいく根拠となるからだ。これは確かに朗報になるだろう。特に、イスラエルが期待通りに崩壊し、彼らの多くがアメリカにやって来て、政府を腐敗させ、メディアを買収・買収する手腕を発揮するのであればなおさらだ。

 トランプ大統領のホワイトハウスとイスラエル・ロビーの両方が注視していることは確実なもう一つの動きとして、アメリカ国民は「アメリカに唯一かつ排他的な忠誠を誓わなければならない」と定める法案を提出した。彼は「アメリカ国民であることは名誉であり特権だ。アメリカ人でありたいのであれば、全てを捨てるか、何も捨てないかのどちらかだ。二重国籍を永久に終わらせる時が来たのだ」とオハイオ州選出の共和党上院議員バーニー・モレノが述べた。

 「2025年排他的市民権法」は、何人も外国市民権を持ちながら、同時にアメリカ市民権または国民であることはできないことを意味している。また自発的に外国市民権を取得したアメリカ国民は、施行日後にアメリカ市民権を放棄しなければならない。更に二重国籍を持つ者は、同法施行後一年以内に、外国市民権の放棄書を国務長官に、アメリカ市民権の放棄書を国土安全保障長官に提出しなければならない。これに従わない者は、移民国籍法第349条(a)項の目的において、アメリカ市民権を自発的に放棄したものとみなされる。市民権を放棄したとみなされる個人は、「連邦制度に適切に記録され、移民法の目的において外国人として扱われる」。

 この取り組みは興味深いもので、その政策は多くの諸外国で実施されているものと類似している。ここアメリカでは、イスラエル・ロビーと一部の議員と、ホワイトハウス・スタッフが、これを阻止しようと躍起になるだろう。実際、予想通り、イスラエル人が最高裁判所でアフロイム対ラスク事件(1967年)を審理し、アメリカ国民は自発的に市民権を放棄しない限り、自動的に市民権を失うことはないという現在の判決につながった。具体的数字は確認できないが、現在イスラエルには約20万人から60万人のイスラエル市民権を持つアメリカ国民が暮らしている。アメリカにおけるイスラエル系アメリカ人の数は推定約19万1000人だ。

 二重国籍撤廃法案がどれほど支持されるかは見極めが難しいが、ブルックリン出身の二重国籍の「イスラエル」入植者たちがヨルダン川西岸で犯している残虐行為の話を聞き、多くのアメリカ人がうんざりしているのではないか。更に、二重国籍のユダヤ人大富豪やハリウッド・スター連中が自分たちは「反ユダヤ主義」の被害者で、自分たちを守るための特別な支援や法律が必要だと主張している、強大な権力を持つイスラエル・ロビーも存在する。例えば、トランプ選挙運動の最大献金者イスラエル人ミリアム・アデルソンは、共和党に1億ドル以上を寄付する一方、ガザ虐殺推進など、イスラエルに有利な政策を要求している。トランプは彼女の資金を受け取り、彼女のあらゆる要望に応えてきた。こうしたことを全て終わらせる時が来たのだ。

フィリップ・M・ジラルディ博士は、中東における米国のより利益に基づいた外交政策を追求する501(c)3税控除対象教育財団(連邦ID番号52-1739023)である国益評議会の事務局長。ウェブサイトはhttps://councilforthenationalinterest.org。住所はPO Box 2157, Purcellville VA 20134で、メールアドレスはinform@cnionline.org。

記事原文のurl:https://www.unz.com/pgiraldi/donald-trump-on-a-roll-all-week/

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 映画『ネタニヤフ調書』を見た。妻もつわもの。トランプと同列。日本の与党政治家、あそこまで鉄面皮になれるだろうか?

 耕助のブログ 投稿日時: 2025年12月12日
No. 2746 日本が台湾の戦争に参加したらどうなるか
 What happens if Japan joins the war in Taiwan

 特別軍事作戦は歯止めのない全面戦争になるだろう Hua Bin

2025年12月12日 (金)

アメリカ、入国時のソーシャルメディア検査を義務化

2025年12月10日
Moon of Alabama

 1990年代から2001年にかけて、私は十数回アメリカを訪問した。50州のうち22州を旅した。旅行の半分は仕事で、残りの半分は休暇や友人との会合だった。

 9.11の同時多発テロ後、アメリカは完全に閉鎖された。飛行機で入国するには、馬鹿げた保安対策劇を繰り広げなければならなかった。以前から煩わしかった、列に並んだり、税関や入国管理局の職員に質問されたりすることが一層酷くなった。旅行者はもはや歓迎されないのだ。私は予定していた今後の訪問を中止した。

 今や状況は更に悪化している。  
アメリカ、入国者に過去5年のソーシャル・メディア履歴開示を求める計画アーカイブ) – ワシントン・ポスト

 アメリカ税関・国境警備局が連邦官報に掲載し、水曜日に正式発表される予定の提案によると、アメリカはビザ免除プログラム参加国からの入国者に対し、最大5年分のソーシャル・メディア履歴の提供を義務付け始める可能性がある。

 ビザ免除プログラムのリストには多くのヨーロッパ諸国、オーストラリア、ニュージーランド、韓国、日本、ブルネイ、シンガポール、カタール、イスラエル、チリなど数十カ国が掲載されている。

 この提案は、電子渡航認証システム(ESTA)申請の「必須データ要素」としてソーシャル・メディアの追加を勧めている。

 提案によると、申請者は「可能な場合」追加情報も提供する必要がある。リストには、過去5年間に使用した電話番号、過去10年間に使用したメール・アドレス、IPアドレス、電子的に提出された写真のメタデータ、顔、指紋、DNA、虹彩データなどの生体認証情報が含まれる。

 また、申請者には、氏名、電話番号、生年月日、出生地、居住地など、家族に関する情報の提供も義務付けられる
 入国者はアメリカ政府が提供するアプリを使用し、約40ドル支払う必要がある。欧州からの入国者は家族データを提供するには自国の個人情報保護法に違反する必要がある。

 だが最もひどい要求はソーシャル・メディア・データに関するものだ。提案書には次のように記されている。
 
3. ソーシャル・メディ・アデータ申告義務:

 2025年1月の大統領令14161号(外国テロリスト及びその他の国家安全保障・公共の安全に対する脅威からのアメリカの保護)に準拠するため、アメリカ合衆国税関・国境警備局は電子渡航認証システムESTA申請における必須データ項目にソーシャルメディアを追加する。このデータ項目により、ESTA申請者は過去5年間のソーシャルメディア履歴を提出する必要がある
 既にアメリカ税関・国境警備局はH-1bビザ申請者からソーシャル・メディア・データを収集している。  
12月15日から、アメリカ国務省は、既にオンラインプレゼンス審査の対象となっている学生と交流入国者に加え、全てのH-1Bビザ申請者と、その扶養家族に対しオンラインプレゼンス審査を実施する要件を拡大する。この審査を円滑に進めるため、H-1Bビザ(H-4ビザ)、Fビザ、Mビザ、Jビザの申請者とその扶養家族は、全てのソーシャルメディア・プロフィールのプライバシー設定を「公開」にするよう要求される
 電子渡航認証システムESTA申請者にも同様要件が導入される可能性がある。

 アメリカ税関・国境警備局は入国時の公開検査を義務付けていない。なぜ導入をためらっているのか不思議に思う。

 中国旅行は今や「自由世界のリーダー」アメリカ旅行よりも遙かに簡単だ。私の国から中国への30日間滞在ならビザ不要だ。何の質問もされない。ソーシャル・メディアのチェックもない。入国審査の行列もなく、パスポートを10秒見るだけで済む。その上、中国は犯罪率が低く、物価も手頃だ。

 アメリカは、入国者に途方もない量の個人情報を要求して、自国の国際的イメージにどれほど打撃を与えているのか気づいていないのだろうか? それとも気にしていないのだろうか?

 私は二度とアメリカを訪問するつもりはない。

記事原文のurl:https://www.moonofalabama.org/2025/12/u-s-to-require-social-strip-search-on-entry.html

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 小生も二度とアメリカを訪問するつもりはない。(そもそも金がない。)

 東京新聞 国際総合 六面  
 アメリカ観光
 SNA履歴の
 提出義務化へ
 日本などビザ免除国対象
 東京新聞 総合 二面  
 「ベネズエラの人々のため」
 ノーベル平和賞 マチャド氏 オスロ入り
 「抑圧に屈せず」長女が演説
 東京新聞 総合 四面 全くのゴミ。  
 平和賞へ 決死の脱出行3日間
 返送 軍の検問所10カ所突破
 漁船 カリブの荒波こえ島に
 マチャド氏オスロに
 米軍戦闘機二機が「見守り」
 ディープ・ステートのためのディープ・ステートによる佐藤栄作やオバマ同様、ノーベル戦争賞。

 科学に対する賞は世界の専門家が厳しい目で見るので意味はあるだろうが、ノールウェー人が恣意的に選ぶ戦争賞、アメリカの目にかなう傀儡の印籠に過ぎない。

2025年12月10日 (水)

戦争狂大統領を平和主義者と呼び続けるトランプの取り巻き連中



平和の大統領になるという謳い文句でトランプは選挙運動し、自身の評判を平和構築に関する大言壮語と結びつけているが、具体的行動は、彼以前の精神異常者連中と同じくらい好戦的な人物だ。

ケイトリン・ジョンストン
2025年12月8日

 この英語記事の朗読を聞く(ティム・フォーリーによる朗読)。

 「我が国の歴史上最も偉大な交渉者を反映するために」アメリカ平和研究所をドナルド・J・トランプ平和研究所に改名したとアメリカ国務省は発表した。

 この発表について「トランプ大統領は平和の大統領として歴史に記憶されるだろう」とマルコ・ルビオ国務長官がツイートした。

 今年初め、トゥルシー・ギャバード国家情報長官も同様のソーシャルメディア投稿をして「トランプ大統領は平和の大統領だ。彼は世界中の流血を終わらせ、中東に永続的平和をもたらすだろう。」とツイートした


 これは、昨年、ジョー・バイデン大統領とバラク・オバマ大統領の在任期間12年を合わせた回数より多くソマリアを爆撃したトランプ大統領と同じ人物だ。

 カリブ海で船舶を爆撃し、今この瞬間にもベネズエラで政権転覆を狙って悲惨な軍事介入を公然と強化しているトランプ大統領と同じ人物が、統合参謀本部議長と一緒になって「近隣地域」での戦争が迫っているとアメリカ国民に宣言しているのだ

 この同じトランプ大統領が、選挙運動中ずっと就任初日に紛争を終わらせると誓約していたにもかかわらず、ウクライナでの恐ろしいアメリカ代理戦争に丸一年費やして兵器を投入している。

 この同じトランプ大統領が、数ヶ月にわたり、イスラエルによるガザ地区焼き払いを支援し、その後、偽「停戦」協定で世界を騙している。本記事執筆時点で、この停戦協定発効後、僅か二ヶ月でイスラエルに少なくとも373人のパレスチナ人が殺害され、生存している人々の周囲には悪夢のような監視体制が構築されつつある。

 この同じトランプ大統領がイランを爆撃して、中東情勢の恐ろしい緊張を高める危険を冒した。

 この同じトランプ大統領が今年初めにイエメンで爆撃作戦を行い、数百人もの民間人を虐殺した

 この同じトランプ大統領が、他の誰よりも大量虐殺的なサウジアラビアの暴君ムハンマド・ビン・サルマンからそっと促されるまで、アラブ首長国連邦が支援するスーダンでの大量虐殺を一年間ずっと無視し続けた。

 この同じトランプ大統領が、ベネズエラを飢えさせ、サウジアラビアのイエメンでの大量虐殺行為を支持し、ロシアに対する冷戦激化を加速し、ウクライナ紛争への道を開き、アメリカの戦争犯罪を暴露したかどでジュリアン・アサンジを投獄し、イランで残忍な政権転覆作戦を仕掛け、政権転覆を推進する狙いでシリア油田を占領し、ソレイマニ将軍を暗殺し、世界中でアメリカの殺人機構を拡張するなど、戦争を煽るワシントンの沼地の怪物連中の長年の計画を推進するために一期目の任期丸ごと費やした

 トランプが「平和の大統領」だという物言いは、まさに口先だけだ。口先だけに過ぎない。この政権は、自らでっち上げた紛争、解決に協力しなかった紛争、あるいは積極的に交戦した紛争解決を自らの功績にしている。だが実際は、アメリカで歴代大統領を務めたどの大統領にも劣らず、帝国主義的戦争機械の歯車を急速に回転させ続けてる。

 トランプは平和の大統領になることを掲げて選挙運動をし、自身の評判を平和構築に関する大言壮語と結びつけているが、具体的な行動に関しては、彼以前の精神異常者連中と同じくらい好戦的人物だ。

 もし、あなたが戦争に反対なら、トランプを支持し続ける理由はない。トランプは確実に、そういうたわ言を助長しているだから「リベラル派を刺激する」とか「意識の覚醒と戦う」とか、その他どんな馬鹿げた文化戦争の理由であれ、あなたの好みなら、彼を支持しても構わない。だが、もしトランプが平和を実現し、泥沼を浄化し、弱者を擁護していると信じて彼を支持しているなら、あなたはどうかしている。

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 画像はアメリカ国務省から。

記事原文のurl:https://caitlinjohnstone.com.au/2025/12/08/trumps-henchmen-keep-calling-their-war-slut-president-a-peacemaker/

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 デモクラシータイムス
<高市が壊す「和敬」の精神> 平野貞夫×前川喜平×佐高信【3ジジ放談】20251206 1:32:14

2025年12月 9日 (火)

高市早苗首相発言による「波及効果」

ウラジミール・テレホフ
2025年12月7日
New Eastern Outlook

 2025年11月7日の台湾問題に関する高市早苗首相発言に端を発したスキャンダルは、今もなお波紋を広げており、収まる気配はない。

 

 彼女の発言が世界政治の舞台に引き起こした「水面の波紋」は消えるどころか、新たな当事者たちに広がり続けている。

 日本の防衛大臣、台湾に近い島を訪問

 高市首相が以前、中国が台湾問題で軍事的解決を選択し、ひいては日本にとって「存立危機事態」となる可能性について発言したことに既にNEOは触れている。今や高市首相発言が経験の浅い政治家の単なるうっかり失言だったという希望は消え去りつつあるようだ。女性初の首相に就任し、まさにその道を歩み始めたばかりの彼女は、理論上、経験豊富な男性政治家が巧妙に仕掛けた罠に真っ向から陥った可能性もある。例えば、議題と無関係の国会行事で、予期せぬ質問を投げかけられたかもしれないのだ。

 高市首相発言によって引き起こされた、この地域の二大国間の関係悪化を反転させる可能性は今のところ示唆されていない。

 だが高市首相は発言を撤回するどころか「穏便な」説明さえ拒否している。しかも、中国政府はそうした説明があれば事は片付いたと控えめに示唆しているにもかかわらず、このような対応をとっているのだ。

 高市首相発言が偶然の失言だったという仮説は、二週間後の出来事により更に揺るがされた。小泉進次郎防衛大臣は、台湾東岸に最も近い日本最西端の有人島で人口1500人の小さな与那国島を視察した。更に重要なのは「我が国への武力攻撃の可能性を低減するため」と自ら述べた通り、同島にミサイルを配備する計画を彼が発表したことだ

 具体的にどのようなミサイルを指しているか彼は明らかにしなかった。日本は現在、幅広い海上・地上配備型ミサイルを開発しており、与那国島に配備されれば、中国沿岸部から最短距離でも500キロ未満であるため、中国の複数の省が射程内に入る可能性がある。日本からの既に薄っぺらな脅威に対する中国国防省の反応は、予想以上のものだった。

 二国間関係の悪化が更に進む前に、日本外務省全権大使による北京緊急訪問という形で状況改善の試みがあったことは特筆に値する。しかし、この試みは成果を上げなかった。もしこの二つの展開が日本による「アメとムチ」戦略の試みなら、世界第二位の大国に対するこのような姿勢は適切とは言えない。

 危機の深刻化と拡大

 高市首相発言を契機に悪化した地域二大国間の関係改善の可能性は、現時点では全く見えていない。南アフリカで開催されたG20サミットの際に予定されていた李強中国首相との会談は実現しなかった。日中韓3カ国首脳会談は当初2026年1月に予定されていたが、無期限延期となった。この3カ国協議メカニズムが三年の中断を経て2024年5月に再開されることは、各国に存在する長年の深刻な問題がようやく解決される兆しと目されていただけに、これは特に注目に値する。

 しかし今日、日中両国の人的交流、特に観光業において新たな障害が立ちはだかっている。また長らく主に中国が輸入してきた日本の水産物輸出にも新たな規制が課されつつある。

 過去二年間、この分野の状況は二国間関係の現状を示す信頼できる指標となってきた。関係改善の兆しが見えてきたことで、福島第一原発の損傷した原子炉冷却に使用された処理水放出に起因する日本の海水、ひいては水産物の品質に対する中国当局の懸念は薄れた。現在、中国当局は輸入停止の正当化として、「不完全な」書類だけでなく、「高市首相の台湾問題に関する誤った発言が中国国民の憤慨と非難を招いた」ことを挙げている。

 日本に対する中国国民や専門家の言説の急激な強硬化も見逃せない。彼らは第二次世界大戦と戦後初期の様々な事実データを用いている。特に注目されているのは、1947年の平和憲法を改正しようとする日本の試みだ。この問題に関する論評は、議論の余地ない一般的な警告で締めくくられている。「戦争を好む者は滅びる」。だが問題は「戦争を好む者」が、生き残ることを期待し、何年もの間、何の罰も受けずに公然と行動していることだ。

 現アメリカ大統領は、政治的特異性や個人的欠点はあるものの、そのような範疇には当てはまらないようだ。東アジアの二大国間対立が急速にエスカレートしていることに、彼は心から警戒しているようだ。両首脳と直接会談してからわずか1ヶ月後、ドナルド・トランプは電話をかけた。一部報道によると、高市首相との会談で、彼は日中関係の現状に対する「懸念」を表明し「エスカレーションを避ける」よう促したという。しかし、この対立は世界政治の舞台に広がり続け、既に国連の場にまで及んでいる。

 この問題は、11月下旬、中国の王毅外相とフランス大統領の外交顧問エマニュエル・ボンヌとの電話会談、そして中国訪問中のジョナサン・パウエル・イギリス国家安全保障問題担当大統領補佐官と王毅外相との会談の際に浮上した。注目すべきは、ボンヌ自身もそのわずか一か月前に中国を訪問していたことだ。

 台湾での反応

 台湾問題を巡る大国間の地政学的駆け引きにおいて、台湾が受動的駒として扱われているわけではないことは改めて強調しておくべきだろう。しかし、これは北京が主張する「台湾問題」の実態とは程遠いもので、単に歴史的経緯と「誤解」により、台湾は中国の行政管轄下にないだけだと主張している。

 しかし、中国は台湾の活発な国内政治のあらゆるニュアンスを綿密に監視しており、台湾の主要政治勢力の中で、現在野党となっている国民党を明確に支持している。孫文と、その後継者蒋介石と、現在の党指導部の時代から、国民党は「一つの中国」原則の堅持を宣言してきたが、もちろんそれは独自条件に基づくものだった。国民党は日本との関係構築の必要性を否定していないものの、複数の国民党議員や馬英九前総統(2008年から2016年まで総統を務めた)は、高市発言に対し、基本的に「中国本土との関係は我々自身で管理する」と慎重な批判を示した。

 一方、台湾現政権の代表たちは、民進党の頼清徳総統をはじめ、高市首相発言と前述の日本防衛計画の両方に十分な理解を示している。一方、国民党と連立政権を組む台湾人民党は、日中対立の高まりの中で、仲介役としての役割を担っている。

 現在、これは世界政治の安定に対する大きな脅威の一つとなっているため、更なる進展を継続的に監視する必要がある。

ウラジミール・テレホフはアジア太平洋問題専門家

記事原文のurl:https://journal-neo.su/2025/12/07/a-ripple-on-effect-following-sanae-takaichis-remark/

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 東京新聞 朝刊 特報面

「台湾有事は存立危機事態」

「村山談話の会」高市首相答弁撤回を要求

 「若者同士の交流維持が重要」

 「まずは相手を理解しようとすること」

 「国民感情悪化を憂慮」

 「まさに戦争前夜」

元外交官ら「対話へ努力を」

貿易・観光に打撃「外交音痴

 辺野古・高江リポート

 「まだ戦闘機は飛んでいる」
 墜落64年で集会、辺野古では基地反対訴え

2025年12月 8日 (月)

ドナルド・トランプは精神的に職務遂行に適しているのか?



ジョージ・サミュエルソン
2025年12月5日
Strategic Culture Foundation

 第47代大統領はホワイトハウスに選出された最年長者なので、今こそ益々不安定化する彼の行動に疑問を呈する良い機会かもしれない。

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 第47代大統領は選出された中で最年長者なので、今こそ彼の益々不安定な行動に疑問を呈する好機かもしれない。

 アメリカ大統領を直線的思考や話し方をする人物だと非難する人はいるまい。トランプの話し方は話題から話題へと大きく揺れ動き、その過程で時折聞き手にめまいを感じさせる。まるでジェットコースターに乗っているような気分だ。だが、ここ数ヶ月、人々はトランプの調子の変化に気づき始めている。しかも、それは必ずしも良い方向ではない。79歳の大統領は、これまで以上に混乱し、闘争的で、大げさな態度を見せるようになり、思考回路が軌道から外れている。そのために彼の精神状態に疑問を抱く人が増えている。

 過去数ヶ月、トランプ大統領のソーシャルメディア投稿は事実と全くかけ離れた内容が多数(12月2日には5時間で160件)に上り、政権関係者は驚愕する国民への説明に追われている。例えば11月には、ナイジェリアに対しトランプ大統領が強烈な攻撃を仕掛け、アメリカは、このアフリカの国との戦争準備を進めているのではないかと多くの人が疑問を抱いた。

 「キリスト教徒殺害をナイジェリア政府が容認し続けるなら、アメリカはナイジェリアへのあらゆる援助を直ちに停止し、今や不祥事を起こしたこの国に「銃をぶっ放して」侵攻し、これら残虐な行為をしているイスラム・テロリストを徹底的に殲滅する。私はここで、とり得る行動への準備を戦争省に指示する。攻撃すれば、テロリスト凶悪犯が我々の大切なキリスト教徒を攻撃するのと同じように、迅速かつ残忍で素敵な攻撃になる! 警告する! ナイジェリア政府は迅速に行動すべきだ!」とトランプは11月1日、自身のTruth Socialアカウントに投稿した。

 かつてテディ・ルーズベルトが言った「棍棒を持って穏やかに話せ」という言葉は、もはや通用しない。トランプがキリスト教徒の扱いに懸念するのはもっともだが、抑制された、ニュアンスに富んだ大統領らしいメッセージこそ最善の方法だったかもしれない。少なくとも、そうすれば、アメリカ大統領は自分の感覚と感情を完全に制御している印象を与えられたはずだ。これは彼の一言一句に何億人もの人々が耳を傾けていることをトランプが忘れているように見える、ほんの一例に過ぎない。一方、このアフリカの国での戦争を阻止した唯一のものは、麻薬密売を巡ってトランプの怒りの標的になっている隣国ベネズエラとの緊張の高まりだったのかもしれない。

 11月29日この南米の国への全面侵攻の噂が広がる中、「全ての航空会社、パイロット、麻薬売人、人身売買業者の皆様、ベネズエラ上空と周囲空域の全面的閉鎖を検討しなさい」とトランプ大統領がソーシャルメディアに投稿した。

 だが、どうやら他国空域を閉鎖する権限がないとトランプ大統領に言った者は誰もいなかったようだ。この警告は、トランプ大統領がベネズエラのニコラス・マドゥロ大統領に、自発的に権力を放棄しない場合、軍事力行使も検討すると通告した後、発せられた。今のところトランプ大統領のはったりを見破りマドゥロ大統領は閣僚と共に職務にとどまっている。

 さらに、10月にはアメリカの核兵器実験再開についてトランプ大統領がわめき散らす発言があった。10月29日、中国の習近平国家主席との会談中に彼はこう書いている。「アメリカは、どの国よりも多く核兵器を保有している。これは私の在任期間一期目に既存兵器の完全な更新と改修を含め実現された。破壊力があまりに大きいため、私はそれをやりたくなかったが他に選択肢がなかった! ロシアは二位、中国は大きく離れて三位だが、五年以内にそうなるだろう。他国の実験計画のため、我が国の核兵器を同等に実験するよう私は戦争省に指示した。作業は直ちに開始される。ドナルド・J・トランプ大統領」

 どこから話せば良いのだろう。まず第一に、最大の核兵器備蓄を保有しているのはロシアで、アメリカではない。そして彼は、現在核兵器の実験を行っている他の国々について話しているが、もちろんこれは真実ではない。核兵器の爆発実験を行っている国はない。ロシアはソ連末期の35年間、そのような実験をしていない。最後に、核兵器実験を監督しているのは戦争省ではなくエネルギー省だ。

 トランプ発表が、本当は何を意味しているのか理解するのは難しい。またもや読者は、核兵器のボタンを持つ男の精神状態に不安しか抱かなくなる。

 これら全てが、ドナルド・トランプが何らかの認知機能低下を患っており、それが日を追うごとに顕著になりつつある可能性を示唆している。だが、このような場合、問題となるのは、当人に自らの症状を認めさせ、引退させることだ。トランプはあまりに虚栄心が強く、うぬぼれが強い利己主義者なため、そのようなことを認めない。一方、彼に忠実な政権は、ジョー・バイデン政権下と同様、現状維持に甘んじている。こうした状況は、アメリカ合衆国とその近未来にとって決して良い兆候とは言えない。

記事原文のurl:https://strategic-culture.su/news/2025/12/05/is-donald-trump-mentally-fit-to-serve/

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 耕助のブログ
No. 2740 ジェフリー・サックス教授:日本の軍国主義が復活 投稿日時: 2025年12月6日
Jeffrey Sachs warns: Japan militarism back

 ヘグセス馘首は時間の問題?  退役陸軍州兵大佐のタミー・ダックワース上院議員が戦争犯罪人ヘグセスに喝。
Duckworth Condemns Hegseth’s Strikes As “Illegal on So Many Levels” 3:49

2025年12月 7日 (日)

墓地の静寂を求めて



ホセ・ゴウラン
2025年12月4日
Strategic Culture Foundation

 シオニストの拡張主義に対して世界中の指導者の誰も効果的行動を取るつもりがないのは、ずっと以前から明らかだ。

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 ドナルド・トランプ大統領のいわゆる「ガザ和平20項目計画」をめぐる茶番劇が展開する中、世界は概ね無関心で沈黙し、隠蔽工作を進めながら偽りの希望を煽っている。当初から、この計画はメディアを巧みに操るプロパガンダに過ぎず、偽りの停戦発表から2か月近くが経過した現在、既に立案者連中にいくつかの戦略的勝利をもたらしている。これらの成果は、イスラエルと共謀し、ガザでの大量虐殺を世間の目に触れさせないようにし、世界中の人々に「和平」への道が開かれたと思わせようとする西側諸国の広範な宣伝活動の一環だ。実際は、ほとんど何も変わっていない。真の停戦さえも行われていない。

 これは、パレスチナ人絶滅を遂行し、支持する連中による、疑いなくこれまでで最も効果的な策略だ。彼らは二年間の組織的破壊後、自らの行動が、特に2023年10月7日以降、世界中で益々高まる憤りの波を引き起こしているのに気づいたのだ。その怒りは、少なくとも仮定上、扇動者連中に跳ね返る恐れがあった。イスラエルの外交的孤立は、トランプ大統領や、益々混乱する欧州連合(EU)諸機関でさえ見抜くほど顕著になっていた。

 この手の込んだ欺瞞行為の更なる勝利は「トランプ計画」自体が獲得した見かけ上の「信頼性」だ。この欺瞞行為は、本質的部分は変わらないように、あるいは少なくともパレスチナ人の生活破壊を継続するための条件が維持されるよう仕組まれている。まるで奇跡的転換によって、アメリカとイスラエル間の「壊れることのない絆」とされていたものが、これまで一度も示したことのない道徳的覚醒により突如和らげられたかのようだ。まるでワシントンがパレスチナ人の苦しみに心を動かされ面目を保てる打開策を編み出したかのようだ。

 世界中のメディアは、その役割を忠実に果たした。恥ずべきことにアラブ諸国の多くも含まれる各国政府や国際機関は、この構想を機に動員するふりをし、政治的手品を人道的な形に変えるのに一役買った。今や帝国秩序の守護者に成り下がった国連安全保障理事会は、UNCTADがガザの状況は史上最悪の悲惨さだと結論付けていたにもかかわらず、最終的にこの計画を自らのものとして採択したのだ。

 ロシアと中国が便宜主義的な棄権により、安保理の立場は、依然死刑を宣告されている人々に対する人道的連帯の表明を微塵も示せなかったことを不必要に裏付けるに過ぎない。北京やモスクワの当局者でさえ「トランプ計画」がパレスチナに適用される国際法と全く関係がない事実を知らないなどとは到底言えない。トランプ計画は、パレスチナ国家樹立の権利さえ露骨に無視している。したがって、いかなる政府も、特にEU加盟国において「二国家解決」への支持を表明しながら、同時にトランプ計画に同調するのは、これまで以上に露骨な欺瞞行為だ。

 この計画の信憑性から大きな恩恵を受けているもう一人の人物は、イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相だ。この文書は、国際法を露骨に無視しているだけでなく、政治的活路を提供している点においても、彼の痕跡を随所に残している。益々脆弱化するイスラエル司法制度において、彼が刑事訴追に直面しているにもかかわらず、この文書は彼の政権維持に役立っている。

 ネタニヤフ首相は、2023年10月に暴力行為をエスカレートさせた際に宣言した目標、すなわちハマス壊滅、すなわちパレスチナ武装抵抗勢力の壊滅を達成できなかった。圧倒的な火力の不均衡と7万人以上の民間人の死にもかかわらず、ハマスと、より広範な抵抗戦線は依然活動を継続している。

 ネタニヤフ首相がトランプ提案を受け入れた主な狙いの一つは、パレスチナ人集団が依然拘束している人質の解放を確実にし、生死を問わず全ての捕虜をイスラエルに返還しなかったことによる政治的圧力の高まりと国民の不満を和らげることだった。そのためには、人質と引き換えに多数のパレスチナ人政治犯を解放するという交換条件を成立させるため、停戦という幻想を作り出す必要があった。しかし実際は停戦など存在しなかった。この過程全体が幻想で、政治指導者や世界中のメディアや今や安全保障理事会も支持する虚構で、虐殺が阻止され、和平への道が開かれつつあると国民に信じ込ませているのだ。

 この計画では、ガザはいわゆる「和平評議会」監督下にあるテクノクラート機構により支配統されることになる。この評議会はトランプ自身が議長を務め、常に日和見主義者のトニー・ブレア、そして背後に潜むネタニヤフに支えられる。この体制は、パレスチナ人の権利保護にとって決して好ましいものではない。またガザ地区内でイスラエル軍と連携して活動する国際的「安定化部隊」派遣も想定されており、これは事実上新たな占領形態と言える。この部隊は「イエローライン」内に駐留し、拡大はいつでも可能なのだ。

 このような取り決めは、世界に向けて表明されている保証とは裏腹に、ジェノサイドを止めることはできない。せいぜい見せかけだけの理由で虐殺の速度を緩める程度だろう。だが遅かれ早かれ、おそらく時宜を得た「ハマスによる挑発」がきっかけになるだろうが、イスラエルが軍事力を再編すれば、シオニズムの究極の狙い、すなわちパレスチナ人がいないパレスチナ土地の実現を目指して攻撃は新たな激しさで再開されるだろう。

 一体誰がそれを阻止できるだろう? パレスチナ抵抗運動と、世界中で連帯を示す数百万人の人々だけだ。世界の指導者の誰一人と、シオニストの拡張主義に対し効果的行動をとるつもりがないのは長らく明らかだった。こうして地上の法と国際法は無視され、旧約聖書の暗黒の書物から引き出された冷酷で打算的な植民地主義的権益に奉仕する狂信者連中が持ち出す、いわゆる「神の法」に取って代わられる。これが、イスラエルに対する世界的政治的隷属の本当の意味だ。

記事原文のurl:https://strategic-culture.su/news/2025/12/04/in-search-of-the-peace-of-cemeteries/

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  The Chris Hedges Report
Join Me In Supporting the Palestine Action Hunger Strike! 2:05
We must demand that the courageous hunger strikers with Palestine Action be released from jail on bail, and that we repeal the acts and laws that criminalize dissidence.
Chris Hedges
Dec 06, 2025

 今朝の孫崎享氏メルマガ題名
米国内政、WSJペギー・ヌーナン「我々は今、政治的暴力の時代にいる。続々と標的にされ死亡。最早銃規制の論はない。銃が勝った。米国、銃の数は人口より多。人々は病的に、政党、キャスター等が興奮しすぎている国を更に煽ろうとしてる。その先頭にトランプ。
 Movie Iwj
【前編】日本国民メディア そして国会議員の多くが事態の深刻さを理解していない!! ~ 高市首相「存立危機事態」発言の撤回を求める緊急集会 ―講演:孫崎享氏 1:04:18
【後編】日本国民メディア そして国会議員の多くが事態の深刻さを理解していない!! ~ 高市首相「存立危機事態」発言の撤回を求める緊急集会 1:11:38

2025年12月 5日 (金)

ベネズエラに対するアメリカの圧力戦略と南北アメリカ大陸における勢力再編



ルーカス・レイロス
2025年12月2日
Strategic Culture Foundation

 トランプ大統領は南北アメリカ大陸での軍事行動によって他地域での自身の「平和主義」的姿勢を補おうとしている。

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 ワシントンとカラカス間の緊張の高まりは、アメリカ大陸におけるアメリカの役割、そしてアメリカの戦略的優位性を拒否する政府に対しホワイトハウスが用いるハイブリッドな脅威の本質を改めて浮き彫りにしている。ベネズエラに対する直接的軍事作戦はまだ確認されていないものの、アメリカがこの可能性を依然残している、あるいは少なくとも地政学的威圧の手段として利用している明確な兆候がある。現在の状況を理解するには、モンロー主義などの構造的要因と、現在のアメリカ外交政策の方向性に関連する文脈的変数との相互作用を検証することが不可欠だ。

 客観的に見て、アメリカがベネズエラに対し、たとえ限定的であれ、具体的軍事行動を検討する可能性は排除できない。領空封鎖、電子戦活動の強化、あるいはベネズエラ領海付近の船舶空爆強化などは典型的ハイブリッド戦争モデルにおける準備段階として機能する可能性がある。しかし、大規模地上侵攻が行われる可能性は極めて低い。ベネズエラの地理的特徴は、密林、山岳地帯やアクセス困難な広大な地域に特徴づけられており、長期にわたる占領は、コストが高く成功確率の低い戦略的賭けになる。更に数百万人規模の民兵の存在は抵抗力を増幅させ、介入の政治的・軍事的費用を増大させるだろう。

 したがって、もしワシントンが実際に軍事行動を選択するなら、それは選択的な空爆、カリブ海における限定的な水陸両用作戦、あるいは重要インフラに対する破壊活動といった形を取る可能性が高い。それは通常戦争というより、冷戦後以降、アメリカが支援してきた体制転覆作戦に典型的に見られる計画的消耗戦とになるだろう。

 しかし、多くの主流派評論家がしばしば主張する通り、カラカスへの現在の圧力を単にモンロー主義の自動的継続と解釈することはできない。歴史的に西半球におけるアメリカの支配を正当化してきたこの原則は、依然イデオロギー的背景ではあるものの、現代の状況は異なる分析の視点を必要とする。国際体制は多極化への急速な移行期にあり、トランプ政権下のアメリカは自国の影響力の相対的低下を認識し、戦略的優先事項の見直しを始めている。

 このシナリオで、中南米は「地政学的補償」地域として再浮上する。東欧、中東、そしてアジア太平洋地域におけるアメリカの影響力の相対的低下に直面し、ワシントンは国内の結束と対外的重要性を維持する手段として、南北アメリカにおける優位を再確認しようとしている。ベネズエラに対する敵意は、この戦略の中で理解されなければならない。それは主に石油やイデオロギーの問題ではなく、西側諸国の独占が崩壊しつつある世界における構造的な再配置問題なのだ。

 この動きは、アメリカの軍産複合体の利益にも直接一致する。彼らは、多額資金援助を正当化するために、恒久的緊張地帯を必要としている。「脅威」が大陸自体に出現しているという言説を強化することで、ワシントンは支出を正当化し、地域の同盟諸国を動員し、中南米諸国がユーラシア大陸の列強との関係を深めるのを阻止しようとしている。

 だが、この姿勢は逆効果を生み出す可能性がある。アメリカが中南米を「戦略的裏庭」とみなす姿勢は、この地域の自立性追求を加速させる傾向がある。南南協力、中南米諸国間の統合努力、そして地政学的協力関係の多様化を目指す各国政府の意欲の高まりは、既に目に見える形で現れている。

 ベネズエラは、内政上の困難を抱えながら、この過程の一環を象徴している。外圧への抵抗は、国家の存亡を左右するだけでなく、国際体制における新たな力関係の兆候にもなっている。アメリカの攻撃的姿勢は、逆説的に、アメリカの強さではなく、大陸全体で定着しつつある新たな多極構造を受け入れることの難しさを露呈している。

記事原文のurl:https://strategic-culture.su/news/2025/12/02/the-us-pressure-strategy-on-venezuela-and-reconfiguration-of-power-in-americas/

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 東京新聞 朝刊 四面 国際・総合  
ロシア産ガス恒久停止
EU27年秋までに全面禁輸

 Alex Christoforou 最新Youtube冒頭、ウルスラ・フォン・デア・ライアンが高々と全面禁輸を宣言する場面。生命線ともいうべきエネルギー源、より高価な遠方の産出先に切り替えると自慢する論理、理解できない。納得できる説明を知りたいもの。
Putin in India. Ursula demands Russian assets. New German War machine. Macron visits China 36:06

2025年12月 4日 (木)

アメリカのカリブ海での軍事力増強はガザ和平を妨害するイスラエル戦略の一環?石油とマチャドとベネズエラ政権転覆



ホアキン・フローレス
2025年11月29日
Strategic Culture Foundation

 ネタニヤフにとって、従順なベネズエラ政府は、彼に都合の悪い様々な統合枠組みの一部に対し有利な立場に立てる可能性があるのだ。

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 なぜアメリカ海軍はベネズエラを直接攻撃せず威嚇姿勢をとっているのだろう。この問いに答えるには、意外にも意外性のない点に目を向ける必要がある。まずは昨年10月。イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相が、ベネズエラ反政府派指導者マリア・コリーナ・マチャドのノーベル平和賞受賞をいち早く個人的に祝福した人物の一人なのは誰の目にも明らかだ。これに倣った主要国指導者は、アルゼンチンのミレイとドイツのメルツしかいない。両者はリクードの政治とイスラエルのガザ戦争への無批判同調姿勢で知られ、まさにその点で際立っている。なぜマチャドはこの三人からこれほど称賛されたのか。

 公式見解では、ベネズエラのジャングルに潜む、イランの支援を受けたレバノンのヒズボラの隠れた細胞をマチャドが一掃するとされているが、これを真剣に受け止める大人などほぼ皆無だ。ほとんど侮辱的で、信じ難く、1980年代の下手な脚本のハリウッドB級映画のようだ。ネタニヤフのベネズエラへの関心は、むしろ石油とイスラエルのエネルギー源多様化の必要性が焦点だ。同時に、停戦と国連安保理決議2803に異議を唱える場合、地域的経済正常化のリスクを冒しても、ガザに対する影響力を得ることを狙っている。ベネズエラのような代替案を示すことで、イスラエルは、たとえ政治的影響で供給国からの現在の石油供給が途絶えたとしても、ガザ和平を頓挫させるよう圧力をかける柔軟性を得ることになる。トランプはネタニヤフの戦略に同調しているのか、それとも何か他の動機があるのか?

 ベネズエラは世界最大の確認済み石油埋蔵量を保有しており、2024年時点の約3030億バレルはサウジアラビアをも上回る。ドナルド・トランプ・ジュニアとのインタビューで、マチャドはベネズエラ埋蔵量はサウジアラビアより大きいと強調し、ベネズエラ石油をアメリカの利益のために無制限に搾取できると極めて植民地主義的な言葉で語った。彼女は本当にアメリカの利益だけを意味していたのか? ベネズエラ情勢を理解するには、ネタニヤフ首相、トランプとムハンマド皇太子がガザの和平と正常化を巡って抱いている緊張関係を理解する必要があるのかも知れない。

 

イスラエルの限られた選択肢:二つの選択肢

 イスラエルは経済、エネルギー、安全保障の面で、今後二つの主要戦略を掲げている。欧州と欧米諸国の支援に頼るか、地域経済に統合するかのどちらかだ。前者は従来の地域的方向性を維持するが、経済的に非効率だ。ベネズエラのような新たな資源がなければ、イスラエルは停滞するリスクがあり、一方、地域パートナーは発展し、サウジアラビアに過剰な影響力を与えることになる。まさにこれが、テルアビブがIMEC(インド・中東・ヨーロッパ経済回廊)と正常化を推進してきた理由だ。安価なベネズエラ産原油入手は、こうした動きを遅らせるか、あるいはイスラエルの交渉力を強化する可能性がある。

 第二の戦略は、地域経済統合への積極的関与、アブラハム合意の拡大と、サウジアラビアとの正常化で、これはイスラエルにとって全体的に望ましいものだ。それは既存の欧米諸国との関係は強化するが、その明白さはネタニヤフの交渉力を弱め、ガザをイスラエル領とみなす入植・併合派の過激派を疎外する結果となり国内で政治的に危険な道を進むことを余儀なくさせる。
 
インド・中東・欧州経済回廊(IMEC)とサウジアラビアの視点

 イスラエルは、輸送拠点としての戦略的地位を確保し、サウジアラビア原油の一部を利用するため、現在の供給国が提供するより有利な価格設定とメカニズムを模索する計画だ。イスラエルは、特にサウジアラビアとの関係において、地域における自国の方向性を変える必要があると認識している。 トランプ大統領の20項目計画の成功次第の、2002年に発足した長年のアラブ和平構想に基づいて、ガザ地区の平和と再開発が実現しない限り、イスラエルとの正常化やアブラハム合意にリヤドは参加するまい。

 イーライ・コーエン大臣によれば、イスラエルは、サウジアラビアから自国を経由しヨーロッパに直接石油を輸送する経路を提案した。計画では、700キロのパイプラインをエイラートまで敷設し、そこからエイラート・アシュケロン・パイプライン会社(EAPC)(別名「ヨーロッパ・アジア・パイプライン」)を経由してアシュケロンに至り、最終的に地中海をキプロス、ギリシャを経由してヨーロッパ市場に輸送する。この計画をアブラハム合意を拡大し、この地域におけるイスラエルの戦略的、経済的立場を強化する方策とコーエン大臣は位置付けているが、もちろんイスラエル国防軍のガザ侵攻が大いに阻害したサウジアラビアとの正常化に依存している。この広範な合意は、イスラエルが愛憎入り混じる関係にあるIMECプロジェクト(インド・中東・ヨーロッパ経済回廊)の大きな特徴になっている。

 イスラエルにとってアブラハム合意は、理想的には正常化につながり、イスラエルはインドからの製品、中東地域からの石油・天然ガス輸出の主要拠点として、IMECプロジェクトの一環としてヨーロッパ向けに取り組むはずだった。しかしイスラエルがガザを「放棄」しない限りサウジアラビアが正常化に同意しないため、ネタニヤフ首相が20項目計画を遵守しない限りIMECは機能しないだろう。イスラエルとサウジアラビアは共にIMECを望んでいるが、地理的に制約を受けるのはサウジアラビアだけだ。イスラエルの役割は確かにインドとの関係と合致する。それはインドにとって望ましいことではあるが、インド製品のヨーロッパへの輸送を阻む障害を回避する点において根本的なものではない。

 
IMECインフォグラフィック 出典: www.imec.international

 イスラエルはIMECを自国の経済的・戦略的立場の中核と見なしているが、回廊の設計はイスラエルの完全支配下にあるわけではない。湾岸諸国、特にサウジアラビアは、エネルギー輸出をイスラエルではなくガザ地区経由にすると選択し、事実上イスラエルを後回しにすることができる。そのシナリオでは、パイプラインや輸送インフラがイスラエル領土を迂回し、イスラエルはエネルギーの流れや地域貿易に対する影響力を大幅に低下させる可能性がある。この可能性は、IMECからイスラエルが得る利益が、湾岸諸国の協力とガザ地区とパレスチナの正常化に関する譲歩に左右されることを浮き彫りにしている。

 もしイスラエル国防軍がガザで軍事的・政治的に成功し、パレスチナ人を民族浄化していれば、ガザは事実上イスラエル領となり、イスラエルから独立した代替拠点としてのガザは選択肢から消えていただろう。もしかしたら、このことが、失敗した征服戦争におけるネタニヤフ首相の策略の一部を説明するかもしれない。

 サウジアラビアには、まだ別の選択肢があるかもしれない。かつて、サウジアラビアはレバノンに直接石油を輸送するパイプラインを持っていた。1950年に操業を開始したTAPLINEは、サウジアラビア産原油をヨルダンとシリアを経由してレバノンに輸送し、地中海に輸出した。このパイプラインは、一時はレバントの政治経済の再構築を約束した。当時アラムコを支配していたアメリカ企業に建設され、スエズ運河を経由するタンカー輸送をすることなく、サウジアラビア産原油を地中海に輸出することが目的だった。

 しかし、1967年の戦争中、シリアはアメリカとの関係を理由にサウジアラビアを罰するため、パイプラインを遮断した。これによりシリア区間が閉鎖され、パイプライン全体が麻痺した。しかし、最近のシリア政権転覆により状況は変化した

 
1950年代のTAPLINE経路

 イスラエルが将来サウジから原油を輸入する場合でも、現在の供給ネットワークを維持する場合でも、直面する問題は同じだ。ガザ和平計画を後退させ、再び戦闘行為に関与すれば、サウジ計画の実現が阻止され、ブラジルとトルコの躊躇が一層顕著になり、大幅削減、更には停止につながる可能性が高い。

 イスラエルによるガザ紛争は、IMECにとって、まさに悩みの種になっている。ガザ紛争はイスラエルとサウジアラビア間の「正常化交渉を阻害」し、回廊の存続を危うくしていると評論家たちは指摘している
 
ベネズエラは既にトランプのために働いている

 トランプはベネズエラの政権転覆に関心があるかもしれない。あるいは、そうでないのかもしれない。費用対効果の観点から、あるいは現在の体制がトランプにとって非常にうまく機能していることを考慮すると、それを正当化するのは難しい。マドゥロ現政権下でシェブロンは既にベネズエラの5か所で黒字経営をしており、PDVSAと30~40%の株式を保有している。トランプ政権は今夏から2025年8月まで、財務省のOFAC(海外資産管理局)免除措置を発令し、一部の制裁措置は一時停止されたため、事業は継続可能となっている。現在の地政学的局面におけるマドゥロとトランプの明らかな共通認識は、重要な背景を掘り下げた我々の記事「“Are Trump and Maduro secretly friends? Smoke & mirrors in 47’s win-win game in Venezuela”(トランプとマドゥロは密かな友人か? 47のベネズエラにおけるウィンウィンゲームにおける煙幕と鏡)」の基盤になった。

 無視できない別の視点がある。既にベネズエラは、ワシントンに完全に都合のいいように機能しているのだ。カラカスを公然と悪者にして、アメリカは実際機能している取り決めを覆い隠している。現時点で、アメリカだけがベネズエラ原油を通常価格で購入できるが、その場合も、取引の全てが小売価格でベネズエラに入金される精製製品で決済されるため、実質的に追加割引を受ける。他の全員が高額プレミアムを支払う。アメリカ以外の購入者は、現在施行されている関税制度に更に25%関税が課せられる実質的な影響は、ベネズエラをアメリカの事実上の私有埋蔵のようなものにし、見出しで報道されるドラマが示すよりワシントンにとって安価で安全なものになる。

 以下は追加情報だ。

 8月初旬のVenezuela Analysisによれば

 「金曜、アメリカ石油会社シェブロンは、アメリカ財務省による新たな制裁免除を受け、ベネズエラ合弁事業からの原油出荷を再開予定だとシェブロンのマイク・ワースCEOが確認した。」

 「今月、我々が関心を持っているベネズエラの事業から限られた量の石油がアメリカに流れ始めるようだ。」[…]

 この石油企業幹部は、ベネズエラでの石油掘削と輸出事業の再開は、シェブロンの利益への短期的影響は限定的だが、債務返済の促進につながると付け加えた。ベネズエラでの事業継続をドナルド・トランプ政権に強く働きかけてきたワースは、アメリカ制裁を遵守する同社の決意を改めて表明した。


 匿名情報筋は最近ロイターに対し、以前の報道を受けて特定ライセンスが発行されたことを確認した。一般ライセンスと異なり、特定ライセンスは企業に直接付与され、アメリカ財務省に公表されることはない。


 「ベネズエラに残る唯一のアメリカ大手石油会社シェブロン社は、制裁対象国である同国に長期的に留まり、適切な時期が来れば経済再建に貢献したいと考えている」とマイク・ワースに関する最近のシェブロン記事でブルームバーグが報じた。こうした曖昧な姿勢は、シェブロン社が何らかの結果に関与することを意味するものではないが、同時に、当面ベネズエラで操業を継続する計画であることを明確に示している。

 エクソンモービルは、数十年前にカラカスが国有化改革を施行した後、ベネズエラでの操業を停止すると決定したが、おそらく再び操業を開始する可能性がある。アメリカはいつでもベネズエラに対する制裁を解除する決定を下す可能性があるが、そのためには価格とOPECの政策をうまく調整する必要がある。

 制裁により制限されているベネズエラ産原油は、世界的原油価格の上昇を後押しする傾向がある。市場シェアを失うことなく、より多くの原油を高値で販売できるため、OPEC最大の産油国で、柔軟な余剰生産能力を持つサウジアラビアは現在の制度の恩恵を受けている。つまり、アメリカのベネズエラに対する制裁は、総生産量を制限し、アメリカとサウジアラビアの収入と市場への影響力を間接的に強化すると同時に、サウジアラビアにOPEC内での生産と価格管理に関する影響力を与えているのだ。

 ここで重要なのは、その背景だ。ベネズエラの原油生産量は約90万バレル/日なのに対し、サウジアラビアの原油生産量は約900万バレル/日だ。つまり、ベネズエラの生産量はサウジアラビアの生産量の僅か10%に過ぎない。ベネズエラが市場に完全復帰すれば、世界的価格下落を引き起こし、サウジアラビアやアメリカなど原油輸出国にとって経済的に不利な状況となるだろう。アメリカは、生産量1,350万バレル/日のうち約400万バレルを輸出している。

 ベネズエラの政治構造を再構築したり、シェブロンとPdVSAの合弁事業におけるシェブロンの持ち分を増やしエクソン・モービルを呼び戻したりできるとまだトランプは考えているのかもしれない。マドゥロも協力する意向を示している。しかし、アメリカのエネルギー企業は既に出入りできており、制裁はワシントンの裁量で解除される可能性がある。ベネズエラは依然ドルを保有し、石油取引の大半を米ドルで行っており、2024年の売上高は175億ドルに達する。政権転覆はどんな付加価値をもたらすだろう? アメリカの積極的関与がなければ成功する可能性は低く、公然と攻撃すれば石油インフラが壊滅し、アメリカはリスクの高い軍派遣に巻き込まれることになる。シェブロンは政権交代を推進しているわけではない。現実的に、制裁や脅迫や戦争より貿易と商売を優先しているのだ。

 実際、アメリカのベネズエラ産原油輸入量は2025年に増加し、1月には日量約25万バレルに達した。これは2019年の制裁開始以来最高水準の一つだ。またタンカー追跡データによると、輸出量は8月に9ヶ月ぶりの高水準に達し、日量約6万バレルがアメリカ・メキシコ湾岸に輸出された。この増加は主にシェブロンがアメリカのライセンスに基づいて操業を再開したことによるもので、ベネズエラ産原油供給とアメリカ製油所との直接的なつながりを裏付けている。アメリカはベネズエラ産原油の37%を輸入している

 振り返ってみれば、現状のままでほぼ安定していると言えるかもしれない。価格は安定しており、サウジアラビアも満足しているようだ。ベネズエラは合弁事業から非取引的な条件で現物報酬を受け取ることが可能で、CNN報道によると報酬はバレル単位で支払われたという

 「7月、トランプ政権はアメリカ大手石油会社シェブロンに、ベネズエラ産原油の輸出を許可するライセンスを再交渉した。ロイター通信によると、ライセンスの新条件では、シェブロンはベネズエラへの料金とロイヤルティを現金ではなく石油で支払うことが認められ、実質的に同国からのシェブロンの原油輸出量は半減した。」
 今のところ、トランプの海軍力増強とカラカスにおける政権転覆への期待は、うまく噛み合っていないようだ。アメリカと産油国はベネズエラの現状に満足しているようだ。カラカス自身も戦争や政権転覆より現状を好んでいる。他に何が影響しているのだろう?  
結論に向けて

 ネタニヤフにとって、従順なベネズエラ政府は、彼にとって都合の悪い様々な統合枠組みの一部に対し有利な立場に立つ可能性があり、少なくとも、彼にとって妥当な将来の選択肢があるように見せかけるだろう。

 イスラエルは、アゼルバイジャンからトルコ経由で、カザフスタンからロシア経由で、あるいはブラジルからトルコ経由で輸入される石油に依存している。これらの石油は、ネタニヤフ首相のガザに対する好戦的姿勢により危機に瀕している。加えて、イスラエルはエネルギー供給に関し戦略的権能を有している。トルコが既に行動を起こしていることを示す証拠をいくつか検証する予定だ。第二部では、これら要素を取り上げ、イスラエルのエネルギー供給の本当の仕組み、これら経路がネタニヤフ首相のガザにおける政治的影響力を制限している理由と、マチャドとの特別協定に基づくベネズエラ産重質原油の安定供給が、アメリカには解決する動機皆無で、むしろ反対しているように見える問題を解決する可能性がある理由を考察する。

 次回の記事では、マチャドとネタニヤフ首相の合意内容の詳細や、東地中海やペルシャ湾からの不定期再展開を含む、ベネズエラに対する最近の米海軍の姿勢の背後にある論理に焦点を当てる。カラカスにおけるアメリカ主導の政権転覆を通じてベネズエラをイスラエルに開放すれば、イスラエルに信頼できる代替ルートを与えることになり、トランプ大統領自身のガザ開発計画を阻害することになるだろう。しかし空母群は依然地平線のすぐそばで停泊を続けている。

記事原文のurl:https://strategic-culture.su/news/2025/11/29/is-us-caribbean-buildup-part-of-israel-strategy-derail-gaza-peace-oil-machado-and-venezuelan-regime-change/

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 Global Outrage|Col. Larry Wilkerson
VENEZUELA CRISIS DEEPENS — Trump’s Strike Sparks Global Outrage | Col. Larry Wilkerson 59:36
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