イラン

2025年1月19日 (日)

大統領の鳴り物入り宣伝など忘れろ アメリカ帝国主義によるホワイトハウス占拠だ



)フィニアン・カニンガム
2025年1月16日
Strategic Culture Foundation

 アメリカ帝国主義勢力が途切れることなくホワイトハウスを占拠し、世界はアメリカの犯罪的戦争行為の結果に対処し続けることになる。

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 一週間もしないうちにジョー・バイデンからドナルド・トランプがホワイトハウスの職務を引き継ぐが、これは事実上、お飾り行政トップの芝居がかった交代だ。

 一体のマネキンが搬出され別の一体が搬入される。吹奏楽演奏と祝砲の音が聞こえる。

 政策に関する各人のやり方や言説には大きな違いがある。だが、世界はアメリカ権力、つまり帝国主義的軍国主義や紛争や暴力を経験し続ける。

 今週、最後の外交政策演説とされる演説をした際、退任する民主党のジョー・バイデン大統領は、いつものように、うっかり秘密を漏らした。バイデン大統領は、軍事力と代理工作によるアメリカ支配の世界を描いた。それは国際関係のディストピア的見解だったが「アメリカは勝っている」と信じて大喜びし、これはアメリカ国民に報告すべき崇高なことだとバイデン大統領は語った。

 国務省での30分間の演説で「4年前と比べてアメリカは世界競争に勝っている。アメリカは強くなった。同盟は強くなり敵や競争相手は弱くなった」とバイデンは宣言した。

 句読点も無しで、断片的に文から次の文へ、ろれつの回らないバイデン発言を聞くのは辛かった。彼の政権の庇護下でアメリカが世界を先導しているという妄想的な嘘を聞くのは、なお辛かった。

 彼は更に、ロシアや中国やイランなどの敵国が、自らの政策によって弱体化し、新たな冷戦が生まれたと自慢した。そう、「ポスト冷戦は終わり、熾烈な競争と危機の新たな時代が始まった」と口ごもりながら、バイデンは、それが善だと主張したのだ。

 ウクライナにおける対ロシア代理戦争では、3年間で100万人もの兵士が死亡しているが、この戦争はバイデン政権によって無謀に煽られている。バイデン政権とボリス・ジョンソン前イギリス首相は、2022年3月の早期和平合意を意図的に妨害した。

 こうしてバイデンは世界をアメリカとロシアの核戦争の瀬戸際に追い込んだ。世界の安全保障がこれほどまで悲惨な状況に陥ったのは1962年のキューバ危機以来だ。それなのにこの恐ろしい状況をアメリカ国民に報告できる「成果」だとバイデンは自慢している。

 外交政策演説の中で、アメリカ兵器によって煽られ、主に女性、子供、高齢者など4万6000人以上のパレスチナ人を殺害したガザでのイスラエルによる大量虐殺は、イランを弱体化させるための代償だと、バイデンは吐き気を催すほど正当化した。

 バイデンはまた、自らの監視下にある米軍と同盟諸国によるアジア太平洋の軍事化を自慢し、中国を封じ込めるとしているが、中国はもう一の核保有国として挑発行為をエスカレートさせている。

 バイデンの身勝手さは奇怪だ。ある時「我々はこうしたことを起こすために戦争をしたのではない」と彼は宣言した。

 それは米兵を派遣せずにロシア兵を殺害できるウクライナ代理戦争はワシントンにとって最高の投資だと自慢したアメリカ共和党上院議員リンジー・グラハムを彷彿とさせる。

 ロシア外務省報道官マリア・ザハロワは「バイデン氏の本日の声明は、意図的に実行した挑発行為を認めたものだ。バイデン政権は世界を危機に追い込んでいるとわかっていたが、それでも紛争を激化させることを選んだ」と発言したが、その通りだ。

 ホワイトハウスで荷物をまとめる最中に、バイデンがしているのはエスカレーションだ。今週、更にアメリカが供給・運用する長距離ATACMSミサイルによるロシア深部への空爆が行われた。世界戦争と核戦争を煽っているというモスクワの警告にもかかわらず、昨年末バイデンはこうした攻撃を承認した。

 来週、老齢バイデンは老人ホームに向かう。だがトランプ政権が世界支配と、それを実現するための戦いを求めるアメリカ政策を変えると期待する理由はほとんどない。次期政権に「非常に強い手札」を残すとバイデンは主張した。

 歴史的に、紛争の行方は、世界的権力を維持しようとする帝国主義国に決定される。トランプには、アメリカ帝国主義の根本的な力学に挑戦するつもりはない。

 大統領選挙中、バイデンがアメリカを「世界の笑いもの」にしているとトランプは頻繁に非難した。トランプが、アメリカを強くするというバイデンの自己中心的主張を軽蔑するのは確実だ。

 トランプの選挙運動はアメリカ国民の反戦感情を巧妙に利用した。大統領就任初日にウクライナ戦争を終わらせると彼は繰り返し誓った。共和党員である彼は、焦点は「アメリカ第一主義」と海外での戦争や紛争の終結にあると述べた。

 1月20日の就任前からトランプ大統領は帝国主義を前面に打ち出し「国家安全保障」を理由に、必要とあらばグリーンランドとパナマを軍事力で併合すると宣言している。

 またトランプは中東におけるイスラエル侵略に迎合する傾向が強い。イラン核施設空爆を支持すると彼は公言している。

 中国に対する彼の敵対的見解も、閣僚人選同様、十分文書化されており狂っている。

 大々的に喧伝されいるトランプ大統領のウクライナ和平の意図に関する最新報道も、そう期待できない。紛争解決は「数日」ではなく、数か月先になるかもしれないとトランプ大統領側近たちは述べている。

 トランプ大統領と彼の代弁者億万長者イーロン・マスクを含む側近連中は、ロシア、イラン、中国、あるいは他の誰とも交渉をうまく進める能力皆無で、全く無能だ。

 トランプMAGA支持者の吹聴や、トランプを嫌悪する民主党バイデン支持者による大騒ぎにもかかわらず、バイデンとトランプの違いには、ほとんど何の意味もない。

 民主党の堕落男から共和党の大口男が引き継いだのだ。それがどうした? アメリカ帝国主義勢力が途切れることなくホワイトハウスを占拠しており、アメリカの犯罪的戦争行為の結果に世界は対処し続ける。

記事原文のurl:https://strategic-culture.su/news/2025/01/16/forget-presidential-fanfare-us-imperialism-occupies-white-house/

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 ニューヨーク・タイムズ紙によればCIAがキーウと提携しドローン工場に資金提供
The CIA-Kiev Partnership: Report Reveals Biden Admin Secretly Funded Kiev's Drone Industry 19:21
Rachel Blevins
Jan 19, 2025

 今朝の孫崎享氏メルマガ題名
ニューヨーク。タイムズ紙「トランプの敵とみなされた人々にとって、不安と恐怖の時代。トランプ氏自身が手を下さなくても、同調者たちが行動する可能性。その行動の可能性には暴力行為も含まれる。トランプ氏が報復を誓いホワイト・ハウス入りすることは、批判を控え、トランプ支持へなだれ込ませる効果。

2025年1月15日 (水)

就任さえしていないのに既に全面戦争を誓うトランプ



ロレンツォ・マリア・パチーニ
2025年1月11日
Strategic Culture Foundation

 新たな戦争を一切起こさなかった大統領任期一期目のドナルド・トランプを覚えておられるだろうか? 心配ご無用。ただの悪い思い出に過ぎない。

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 大統領就任一期目の任期中、ドナルド・トランプが新たな戦争を一切起こさなかったことを覚えておられるだろうか? 心配ご無用。ただの悪い思い出に過ぎない。2025年のアメリカは征服に戻るのだ。
 
決して抜けない悪癖

 ドナルド・トランプが大統領選挙に勝利すれば、平和と繁栄の時代へと世界を導き、台頭しつつある多極世界の他の国々と競争ではなく協調関係を築くだろうと、世界中が数日間(本当に数日間)固く信じていた。決して少なからぬ内部構造の崩壊を避けるため、緊急に解決が必要なアメリカ国民の問題対応にアメリカ政府が戻るはずだと信じる人々さえいた。またグローバリズムを放棄し、それからの一種の「解放」を理論化し、本物の政治を中心に戻し、アメリカ地政学と国際関係の再生を信じる人々もいた。

 応援した人々全員がっかりさせて残念だ。トランプはアメリカ合衆国大統領なので、これまで全てのアメリカ大統領がしてきたこと、つまり世界征服戦争をしたいと考えているようだ。

 まだホワイトハウスに就任さえしていないのに、既にイランを破壊し、カナダを征服し、グリーンランドを接収して北極圏の土地を開発し、中国から台湾を奪い、パナマを併合し、メキシコ湾をアメリカ湾に改名するとトランプは脅している。一方、欧州には軍事費増額をほのめかし、東側に制裁を課すと言っている。

 彼が最も信頼する協力者(あるいは師匠)たるイーロン・マスクは、大規模トランスヒューマニズムへの移行だけでなく、国内外でアメリカ政府の覇権に反対する者全員の入れ替えも計画している。所有するソーシャルメディアにおける報道と表現の自由に関する彼の譲歩のせいで、これが本当の自由だと人々は信じ込んでいるが、実際は対話型に見せかけた檻に過ぎない。

 まさに妙技だ。
 
アメリカを再びメキシコにしよう

 それは視点の問題にすぎない。

 本物のアメリカ人は、旧世界からやって来て、溢れかえる刑務所から追い出された犯罪人集団たるアメリカ人ではない。この大陸は「アメリカ」とさえ呼ばれていなかったが、イギリス人、いやアメリカ人が、それをとても気に入っている今のグローバリズム到来よりずっと前から、キャンセル・カルチャーは始まっていたのだ。本物のアメリカ人は絶滅させられたり殺されたりして絶滅危惧種の獣のように保護区に閉じ込められている。「アメリカを再び偉大にする」のをどう思うかを誰も彼らに聞いたことがない。一体なぜだろう...

 メキシコ湾も同じで、これをアメリカ湾にしたいとトランプは考えている。地理的に、メキシコの消滅あるいは併合を彼は提案しているのだろうか? 彼のトゥルース・ソーシャルを通じて、彼はまだ我々にそうは言っていないが、嫌疑は直ちに払拭されるはずだと我々は確信している。

 この点、先週水曜日の記者会見でトランプ大統領に対応したメキシコのクラウディア・シェインバウム大統領の言葉が素晴らしかった。「もちろん、メキシコ湾は国連で認められているが「メキシコのアメリカ」と呼んだら良いのではなかろうか? 1607年以来、アパチンガン憲法はメキシコ・アメリカ憲法だった。だからメキシコのアメリカと呼ぼう。メキシコ湾も、1607年以来、国際的に認められている」と彼女は補足した。更に「お言葉を返すようだが、昨日トランプ大統領は誤った情報を与えられていたと私は思う。メキシコではフェリペ・カルデロン大統領とガルシア・ルナ公安相がまだ統治していると言われたのだと思うが、そうではない。メキシコを統治しているのは国民だ」とも補足した。

 イギリス人入植者より遙か前からそこにあったのだから「アメリカ」領土を取り戻すという(正当な)主張をメキシコ人がしたら興味深いはずだ。ジャーナリストのペペ・エスコバルが指摘した通り「アメリカを再びメキシコにする」こそ的を射た標語のはずだ。
 
赤い龍をからかう

 ロシア科学アカデミー世界経済・国際関係研究所の報告書(RIAノーボスチ通信から入手可能)によれば、中国とアメリカは、二国間関係における大規模危機と軍事衝突の脅威に直面する可能性がある。

 年末までに、中国に対する経済圧力は不要だとトランプ大統領が確信するようになれば、台湾問題を利用して圧力を強める可能性があると報告書筆者は指摘している。

 数日前、対イラン戦士ネオコン、ピート・ヘグゼス下の国防次官として、中国戦士ネオコン、エルブリッジ・コルビーをトランプは指名しなかった。

 コルビーは最も狂った戦争派ネオコンの一人で、ロシアやイランとの戦争に反対しているために反介入主義者と誤解されることも多いが、全ての努力や資源を中国との戦争に費やすべきだと信じているからに過ぎない。

 中国の島嶼省である台湾の分離を彼は支持し、アメリカ製兵器への支出を増やすよう台湾政府に求め、半導体メーカーTSMCは「中国」の手に落ちるよりも破壊されるべきだと主張している(台湾は中国だとアメリカも認めている)。

 劇的変化を掲げてトランプは選挙戦を戦ったのに、星条旗を掲げる帝国主義的拡張主義政策を鉄壁の継続性で貫く政権を構築した。

 この金髪大統領にとって、中国をからかうことは最も情熱を傾ける娯楽の一つであり続けている。この大統領は第一期大統領としての2016年、中国問題掌握を相当強化した。

 この点について、年末のTASSインタビューで「今後のアメリカ政権の計画を我々は推測しない。それは政治学者の仕事だ。この地域全体状況の我々による評価では状況は悪化し続けている。アメリカと衛星諸国は『一つの中国』原則厳守を宣言してはいるが、現状維持に固執しており、それは現在の状況を無限に維持することを意味する」とロシアのセルゲイ・ラブロフ外相は述べた。更に「一方、アメリカは台湾海峡で挑発的行動を取り、台北に武器を供給し、台湾当局と政治的対話を進めている。これら全てが相まって分離主義感情の高まりをもたらしているのは確実だ。これらの方法は、過去ウクライナで反ロシア拠点を築くためにアメリカが使用した方法と非常に良く似ている」と彼は付け加えた。

 アメリカが本当に中国との通常戦争を維持できるかどうか我々には正確には分からないが、中国はいかなる状況下でも大同原則を曲げるつもりはなく、アメリカの傲慢さに直面しても屈しないのは確実だ。  
平和を許さないイラン

 ワシントン政権にとって本当に悩みの種であるイランも同様だ。

 イランは、中東で唯一、アメリカ支配下にない地域だ。アメリカを本拠とする銀行も、米軍基地もなく、アメリカ政治権益を保護するものもない。要するに「悪の王国」なのだ。更に彼らが反シオニストである事実も加えれば、まさに悪魔そのものだ。

 長年アブラハム合意で推進してきた大イスラエル・プロジェクトの発展や第三神殿再建をトランプは阻止できない。

 「テロリスト」が「我が国領土に侵入している」と主張し「テロとの戦いは終わったとバイデン政権が決定したというメモを[ISISやアルカイダやハマス]は受け取っていない」と次期アメリカ国家安全保障問題担当大統領補佐官マイク・ウォルツがフォックス・ニュースのマーク・レビンに語った。トランプ政権は「国家安全保障の観点から海外で正しい姿勢を維持する」つもりだとウォルツは強調した。

 「より広範な中期的取り組み」の一環として「アメリカに脅威を与え、アメリカに危害を加えるため人々を過激化させているモスクや個人や大学や教授など、あらゆるもの」を監視し「過激化」に対抗する政府間構想計画を彼は語った。特に抗議活動に参加したり、他者を過激化させたりする学生ビザ保有者に警告して、そのような連中は直ちに国外追放されると強調した。

 更に中東政策に関して、哲学と国家安全保障の全面転換をトランプ政権は計画していると彼は付け加え「中東問題の大半はテルアビブでなくテヘランから生じている」と主張した。言うまでもなく、イスラエルを支援する政権誓約を彼は改めて強調した。政権の優先事項には、イランに対抗するためイスラエルを湾岸アラブ諸国と連携させることや、イランに対する最大限の経済的圧力を復活させることやイラン石油販売停止などが含まれる。

 ウォルツによれば、戦略的外交を通じて中東における長年の紛争を「縮小」し「歴史的前進」を遂げるというトランプ大統領の熱意は、フーシ派に対する容赦ない攻撃を通じて実現しており、フーシ派壊滅はアメリカ政策課題の一部になっている。
 
俺の覇権以外なら、何に触れてもかまわない

 結局、要点は常に同じだ。ルールに基づく秩序に挑戦してはならない。挑戦する者は遅かれ早かれ無力化される。

 かくして世界戦争を勃発させ、国際政治で既に特定されている一連の身代わり連中に責任を押し付ける準備をトランプは整えている。もちろん可能な限り代理戦争が推進されるだろう。常に汚れ仕事は他人にやらせる方が良いからだ。

 事実を踏まえれば、トランプを救世主と考えると誤解を招きかねない。トランプの願いは自国権益と帝国主義アメリカの権益を守りたいだけで、多極的平和や新たな世界秩序を望んでいるわけではないのだ。

記事原文のurl:https://strategic-culture.su/news/2025/01/11/trump-hasnt-even-taken-office-yet-and-he-already-promising-total-war/

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 Alex Christoforou YouTube 冒頭はNATO加盟諸国よ軍事支出をふやせルッテ事務総長
RUTTE, more money to NATO or learn Russian. POLAND, cut Russian LNG. MELONI to Trump, keep war going 47:48
 耕助のブログ Richard Wolf記事の翻訳
No. 2393 2週間後、誰もが影響を受ける
 今朝の孫崎享氏メルマガ題名
ニューヨーク・タイムズ紙「中国の貿易黒字は1兆ドル近くの記録に達する。独、日、米国等の輸出大国の貿易黒字を含め、過去100年間の世界の貿易黒字をはるかに上回った。中国の工場は、第二次世界大戦後の米国以来、どの国も経験したことのない規模で世界の製造業を支配している。」
 植草一秀の『知られざる真実』
チームBに引き込まれぬ叡智

2025年1月12日 (日)

シリア分割と新サイクス・ピコ協定:地政学的混乱と地域再編

セス・フェリス
2025年1月10日
New Eastern Outlook

 外部勢力とテロ集団の名称変更により煽られた民族的、宗教的境界線に沿ったシリアの意図的分割は、この国の混沌とした未来を形作する地政学的策略を浮き彫りにしている。

 シリア分裂と新サイクス・ピコ協定:地政学的混乱と地域再編

 テロ組織が一夜にして自らを変え、行いを改められると本当に思っている人などいるだろうか、特に国際社会に?

 だが、この「騒乱」がどれだけ、トルコやイスラエルのような国々や彼らの国際支援ネットワーク権益のため、シリア全体を古代の民族的、宗教的境界線に沿って憎悪で分割された地域に完全分裂させるため意図的に仕組まれたものであるかは注目されていない。

 アメリカにとって、アサド政権崩壊は、部分的勝利を主張するのを可能にし、焦点をウクライナからイランへと移すことになる。

 HTS*と指導者ジョラニを「多様性に友好的」と欧米諸国は位置付け、名称変更したアルカイダ*集団をテロ組織リストから急遽削除しようとしている。このテロリスト、おっと、民主化代理人指導者にかけられた1000万ドルの懸賞金を取り消すとアメリカも発表した。全て、この指導者(でゼレンスキーのクローン)との取り引きを試みるためだとされている。少数派と女性の権利について「前向きなメッセージ」が受け取れており、これは「HTS*との協議を開始している事実と一致する」「政策決定」だったとバーバラ・リーフ国務次官補(近東担当)は説明し、この地域の利益に関する協議に着手している時に「この人物の首に懸賞金をかけるのは少々矛盾する」と付け加えた。

 まるで取り引きが既に成立していないかのように。もしあなたがこれを信じるなら、あなたに、良い橋を売りましょう...。他の人々は彼をCIA工作員と呼んでいるが、それはまだ結論が出ていない。様々な課題を彼がどれだけうまく遂行するか見よう。

 シリアが新たな未来を迎える中、アル・ジョラニ、別名アフマド・フセイン・アル・シャラーに注目が集まっている。CNNやBBCのインタビューに後押しされて、彼の怪しい過去と、突然の変貌により、アル・ジョラニは変わった指導者として自らイメージチェンジした。だが、このPR活動の背後にあるものは、シリアで実際に起きている動向と、この国の未来がどうなるのか明らかにするかもしれない。

 彼がしたとされる約束の中には、キリスト教共同体や彼らの礼拝の権利を尊重することに関するものがある。彼はスーツとネクタイが似合っているが、彼の性格や暗い魂はおそらく何も変わっていない。

 一方、驚くべきことではないが、シリアのキリスト教聖職者は、イドリブ県などHTS*の厳重な管理下にある地域では伝統衣装を着て公の場に姿を現すことを禁じられており、キリスト教の象徴、特に十字架は教会から撤去されている。

 多様性、寛容…。

 そして予想通り、むしろ意外なことだったが、彼が指揮するテロリスト・ネットワークは、真の姿を現し続けている。

 ハマ市近郊のキリスト教徒が多数派を占める町スケイラビヤでクリスマスツリーが燃やされたことで、少数派の間で激しい怒りが巻き起こり、シリアのキリスト教徒は首都ダマスカスの一部を含む、キリスト教徒が多数派を占める多くの地域でシリア人キリスト教徒が抗議行動をした。言うまでもなく、この攻撃は「外国人戦闘員」に実行されたとジョラニとHTS*は主張しているが、これは単なる意図的隠蔽だ。なぜなら外国人戦闘員がHTS*作戦で重要な役割を演じ、ウクライナの外国人「志願兵」同様、彼らの部隊にうまく統合されていたのは周知の事実だから。

 ある抗議行動参加者はこう言った。「我々は、以前のようにキリスト教を尊重する国に暮らすか、国外出国できるよう扉を開けてもらうかのどちらかだ」

 おそらくこれが計画の全てで、イスラエル占領下のヨルダン川西岸地区とガザ地区も同様だ。パレスチナ人キリスト教徒に対するイスラエル国防軍の極めて否定的な態度により、過去40年間でキリスト教徒人口は激減した。

 だがシリアの他の少数民族、特にアラウィー派、ドゥルーズ派、クルド人はどうだろう?

 アサドがアラウィ派だったことを考えれば、宗教や民族共同体が反政府勢力による報復攻撃の標的になったのも不思議ではない。攻撃は犠牲者が政府に関与しているかどうかに関わらず行われることが多い。確かに、標的にされた人々の中には政府関係者や治安・諜報機関関係者もいたが、このテロ活動は、包括的な国家を創りたいというジョラニの主張と明らかに矛盾している。

 一方、ドゥルーズ派は実際的理由からイスラエルと連携しているようだ。既にイスラエルはゴラン高原全体(以前は戦略的要衝の一部しか占領していなかった)と1974年の緩衝地帯を含むシリア西部の大部分を占領しているが、ダマスカスから数キロのところまで急速に移動している。これは彼らの過激な入植者指導者が既に「ユダヤ人の街」と定義しているもう一つの標的なのかもしれない。これは非難されるべきイスラエル財務大臣スモトリッチが支持する見解で、彼は次のように発言している。

 「将来エルサレムはダマスカスまで拡張すると書かれている」「ダマスカスまではエルサレムだけだ」と不気味な口調で付け加えた。

 クルド人問題

 そして、この地域の庶子で、かつてシリア内戦の主な勝者で、国の25%以上を支配する「自治」地域(当然かなりアメリカの支援を受けて)を切り開いた、トルコ人から最も嫌われているクルド人がいる。

 今やHTS*の突然の変身や、世俗主義バース党勢力の劇的崩壊や、トルコと連携する「多様な聖戦主義者」によるダマスカス占領により、クルド人と彼らの国家樹立や自決の夢の終わりが近づいているのかもしれない。

 シリアのクルド人に対して、エルドアン大統領が本能的憎悪を抱いているのは周知の事実で、彼らがトルコのPKKやYPGなどのクルド民族主義者(テロリスト)を直接支援していると主張している。PKK、YPG、SDFのシリア・クルド人部隊に対し、トルコは長年にわたり国境を越えた作戦を数多く行ってきた。

 今や、この問題を「きっぱり」解決するとトルコは脅し、PKKやYPGなどの集団に、武器を捨ててシリアから撤退するよう要求しているようだ。彼らを救出する者が現れるかどうか疑わしいが、NATO加盟諸国の潔白な手により、彼らはパレスチナ人と同じ運命をたどることになるのかもしれない。

 トルコの支援を受けたSNAの攻撃により、シリア北部の戦略都市マンビジの大部分が制圧され、アメリカは停戦交渉を余儀なくされたが、その結果、SDF同盟者はマンビジからの撤退を余儀なくされた。最近クルド人の反撃はいくらか優勢に立ったようだが、この戦略都市は今のところトルコ代理勢力の支配下にある。

 SDFに関し、トルコのハカン・フィダン外相は

 「トルコ、イラク、イラン、欧州から来たPKKメンバーや極左集団により、この地域はテロの温床と化している」と会談後の記者会見でフィダンは述べた。「ISが(ISに対して)監視を行っているため、この無法状態に国際社会は目をつぶっている」

 イスラム過激派テロリストをアンカラが支援していることを考えると、これは少々偽善的に思えるが、何を期待すれば良いのだろう?

 全体像の中で、これはどのように展開するのだろう?

 われわれが目にしているのは新たなサイクス・ピコ協定の展開ではないかと思う。アメリカ、イスラエル、トルコはいずれもシリアの広大な地域に対する領有権を主張している。トルコのエルドアンはシリアの多くの地域、特にアレッポ、イドリブ、ダマスカス、ラッカ併合を提案している。言うまでもなく、これはダマスカスを含む広大な地域に対するイスラエルの主張と衝突することになるが、パレスチナ人を支持すると公言しているにもかかわらず、エルドアンは多くのアラブ指導者同様、国民の希望や期待に反して、ネタニヤフの腰巾着であることが益々明らかになっている。

 混乱が広がるにつれ、私は映画「アラビアのロレンス」の場面を思い出す。映画の終わり、ダマスカス陥落の際、彼は二人の外交官と話し、秘密のサイクス・ピコ条約は何も知らなかったと主張する。背後にある現実の物語では、勝者は栄光に浸っているが、いつも通り、その輝きはすぐ薄れ、舞台裏の協定の当事者たちは、いつも通り、権力や資源や、その双方から流れる金を求めて互いに敵対し始める。

 アサド軍崩壊の中、イランとロシアが比較的無策なのは戦略的撤退かもしれない。撤退することで、アサド軍は再編成し、内紛で敵が弱体化すれば戻ってくる可能性がある。一方、ロシアはHTS*から主要基地を確保しており、シリアでの最近の試練に直接関与しないことで、ウクライナでの主要目標に集中し、いざという時のため資源を温存できる。

 名ばかりの勝利!

 イランにとっては、レバノンやヒズボラとの直接の繋がりを失うのは後退だが、シリアでの作戦が長期化すれば危険を伴う。防空軍援護がないため、本国から遠く離れた場所では、イラン軍はイスラエル空爆に対して無防備になるだろう。

 アメリカにとって、アサド政権崩壊は、ウクライナからイランへと焦点を移し、部分的な勝利を主張できる機会となる。これをガザ紛争と進行中の大量虐殺から注意をそらす機会で、シリア防空軍に邪魔されることなくイラン核施設を攻撃する好機とイスラエルは見ている。だがイランがイスラエル空軍基地を以前攻撃した際、イランが十分に設計され完全に機能する防空網を持っているのをアメリカとイスラエルどちらも学んでいない。

 混乱は拡大し、ヨルダンとエジプトの不安定化を招く可能性が高く、それに比べればアラブの春は穏やかなものに見えてくるだろう。

*-ロシア連邦では禁止されている

 セス・フェリスは調査ジャーナリスト、政治学者、中東問題専門家

記事原文のurl:https://journal-neo.su/2025/01/10/syrias-fragmentation-and-the-new-sykes-picot-geopolitical-chaos-and-regional-realignments/

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2025年1月 8日 (水)

2025年、再びアメリカによる政権転覆の標的となったイラン



フィニアン・カニンガム
2025年1月4日
Strategic Culture Foundation

 新アメリカ大統領と中東の新たな構成により、再びイランは猛烈な勢いで政権転覆の標的に返り咲いた。

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 今後一年、政権転覆を巡りイランはアメリカの激しい敵意に直面することになる兆候がある。

 イランの地域同盟国シリアの突然の崩壊とレバノンのヒズボラ孤立により、テヘランは脆弱に見えるようになっている。

 テヘラン政権転覆の可能性にアメリカの反イラン強硬派は歓喜している。

 ジミー・カーターが最近100歳で亡くなったことはイスラム共和国がワシントンの帝国主義的願望にとって、いかに大きな賞品か示している。中東におけるアメリカ権力にとって重要な従属国だったイランを1979年に失ったアメリカ大統領としてカーターは軽蔑されていた。

 40年以上にわたり、イスラム共和国を打倒し、ペルシャ国家をアメリカの世界勢力圏に復帰させることをアメリカ帝国主義勢力は目指してきた。

 だが先月、アントニー・ブリンケン国務長官が嘆いたように、アメリカのイランにおける「政権転覆実験」は失敗に終わってきた。

 しかし現在、ワシントンではペルシャの賞に対する熱意が新たに高まっている。

 シリアのアサド大統領の劇的失脚により、テヘランにおける政権転覆への欲求は頂点に達している。

 政権転覆に「絶好の機会」があるとアメリカ議員やイラン亡命者は信じており、テヘランに対する最大限の圧力作戦を再開するよう、トランプ新政権に公に求めている。

 最初のホワイトハウス時代(2017~2021年)に、ドナルド・トランプはオバマ政権のイラン核合意を破棄し「最大限の圧力」政策と呼ばれる経済制裁を強化した。

 弱体化したイランの好機に乗じて、アヤトラ・アリ・ハメネイ師の聖職者統治を打倒するようアメリカに求める声が共和党と民主党の中で高まっている。

 最近ワシントンで開かれたフォーラムで演説者が次々テヘラン政権転覆を叫んだと報じられた。長年アメリカの失敗とイスラム共和国の手強さにより、そうした願いは薄れていた。

 「この政権の弾圧を終わらせるため同盟諸国と団結する義務が我々にはある」と民主党のコリー・ブッカー上院議員が語った。

 「イランは弱さだけを見せている」ともう一人の民主党上院議員ジーン・シャヒーンは断言した。

 長年の反イラン姿勢が正当化されたかのように共和党テッド・クルーズ上院議員が語った。「長年イラン政権転覆を私は明確に要求してきた。アヤトラは倒れ、ムッラーは倒れ、イランで自由で民主的な選挙が行われる。変化はやってくる。それはもうすぐだ」

 「シリア政府の構造的変化は、イラン国民にとって、中東では実際に変化が可能だということを意味するはずだ」と元ホワイトハウス国家安全保障問題担当大統領補佐官ジェームズ・ジョーンズは述べた。

 1979年のイスラム革命により、アメリカの熱心な子分だったパフラヴィー国王は退位させられた。革命とテヘラン・アメリカ大使館人質事件は、ワシントンの国際イメージに酷い打撃を与えた。国王は1953年の米英クーデターで権力を握り、26年間、この独裁君主はアメリカ兵器の忠実な大量購入者、石油利益の供給者として強権的に統治していた。

 シャー打倒により、イランは政権転覆の標的になった。1980年から1988年にかけて、アメリカはイラク・イラン戦争を引き起こした。新しいイスラム教支配者たちは壊滅的経済制裁を受けたが、オバマ政権が仲介したイラン核合意が2015年に調印され、制裁は緩和された。その頃まで、アメリカは政権転覆と限定的関与という、より柔軟な政策を試みていた。

 トランプ大統領はその政策を放棄し、より敵対的な政策に戻った。2020年1月3日、イラン最高軍事司令官ガーセム・ソレイマーニー少将暗殺をトランプ大統領は命じた。

 1月20日に始まる第二次政権一年目、トランプ大統領はイランを外交政策目標にすると予想される。

 アメリカの支援を受けたイスラエルによるガザ、レバノン、イエメンに対する戦争がイスラム共和国を致命的に弱体化させたという不穏な感覚がある。

 選挙運動中、イラン核施設を軍事攻撃するイスラエル計画をトランプは支持していた。

 イランは早い政治実績の成功になるかもしれないとトランプはその気になるだろう。イラン政府を打倒して親米政権に置き換えれば、アメリカ帝国主義のエゴにとって、今世紀最大の戦利品になるはずだ。

 地政学的戦略も不可欠だ。アメリカの世界的権力と米ドル覇権に対する脅威とみなされる重要な代替の地政学的軸として、ロシアと中国とイランが浮上している。イランは、BRICSとして知られる対立ブロック中、最も脆弱な部分のように思われる。

 ロシアとのウクライナ和平交渉をトランプ大統領は優先しているようだ。計算の一部は、アメリカ資源を解放し、イランを攻撃するという動機だ。

 昨年、帝国主義団体「アトランティック・カウンシル(大西洋評議会)」は「アメリカには新たなイラン政策が必要だ。それは政権転覆を伴うが伝統的なものではない」という見出しの記事を発表した

 アトランティック・カウンシル記事は、イランに対する経済的、政治的圧力の強化と、イラン反体制派集団への秘密裏の支援による国内不安定化を提唱している。イランでの、当局に対する国民抗議を、欧米メディアが増幅して、より強化されたカラー革命が予想される。また「ロシアとイラン間に亀裂を生じさせ、イスラム革命防衛隊(IRGC)と軍の一般兵士による支持を弱めるプロパガンダ活動も政権の弱体化に役立つだろう」とアトランティック・カウンシルは勧告している。

 この一年、イランを標的とする大規模取り組みをアメリカが行う年になりそうだ。

 突然、アメリカ帝国主義の体制転覆機構が、イランとシリアでの長年の失敗後、再び主導権を握った。シリアでCIA代理人が勝利し、ついにアサド政権を打倒したことで、イランでも同じことをしようという動きが急増している。その目標は長年手の届かないものと思われていた。新アメリカ大統領と、中東の新たな構成により、イランは猛烈な勢いで体制転覆の標的に返り咲いた。

記事原文のurl:https://strategic-culture.su/news/2025/01/04/2025-iran-back-in-us-crosshairs-for-regime-change/

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 Scott Ritter Extra
Hypocrisy Thy Name is Blinken
Scott Ritter
Jan 08, 2025

 今朝の孫崎享氏メルマガ題名
トルドー首相党首辞任(自由党党首11年、首相9年)、本年10月までに総選挙。支持率保守党44.2%、自由党20.1%。移民問題、トランプの関税攻撃を巡り対応策で党内対立。広く見れば主要自由主義諸国全て政権交代や不安定化。米、英、独、仏、低所得層困難→反移民→右傾化。伊は既に右派政権。
 デモクラシータイムス
アベノミクスを徹底総括せよ!失敗を認め困難から逃げるな【金子勝の言いたい放題】20250106 55:19

2025年1月 7日 (火)

地域における新たな緊張の高まりの前兆を示すトルコのシリア冒険譚

アレクサンドル・スヴァランツ
2024年12月29日
New Eastern Outlook

 戦争で荒廃したシリアにおける自国の立場を固めることにトルコは熱心に取り組んでおり、内外双方の不満を招いている。エルドアンは妥協する用意があるのだろうか、それとも完全勝利を確信しているのだろうか。

 トルコ、シリアにおける立場を強化

 トルコが支援する部隊ハヤト・タハリール・アル・シャム*(HTS)とシリア国民軍*(SNA)がイドリブからダマスカスへと勝利を収めたのは、トルコからの長年にわたる軍事、諜報、財政、外交の強力な支援と、アメリカと欧州諸国による正式な不介入の結果だ。

 アサド政権打倒に向けた、もう一つの積極的取り組みに参加しているイスラエルは、シリア経由レバノンへのイラン武器輸送を阻止し、ヒズボラ基地を解体し、イスラム教内部のスンニ派とシーア派(アラウィ派を含む)の分裂を深め、イスラエルの安全な国境を拡大しながら、ゴラン高原占領を正当化することを目指している。

 分裂し不安定なシリアで平和が保証されないまま、現実的にカタールのガスを受け取ることをヨーロッパは期待できるのだろうか?

 トルコの成功とシリアにおけるjトルコ狙い
 
  • シリアで成果をあげて、トルコが戦略的目標を追求する立場に立つ。
  •  
  • SNAのトルクメン派と連携して、HTS*指導者ムハンマド・アル・ジョラニなどのスンニ派過激派に代表される親トルコ勢力を権力の座に就ける。
  •  
  • シリアにおいて、シーア派が支配するイランの影響力を弱め、排除することで、アメリカとイスラエルの利益を満たす。
  •  
  • クルド労働者党(PKK)現地の人民防衛部隊(YPG)を標的にして、クルド人の抵抗を軍事的かつ政治的に抑圧する。
  •  
  • シリア北西部諸州に30キロの「緩衝安全地帯」を設定し、民族浄化と併せて、クルド人をトルクメン人とスンニ派アラブ人に置き換える。
  •  
  • トルコとHTS*の管理下で30万人のシリア軍を結成し、シリアにおけるアンカラの政治的、経済的、軍事的利益を確保する。
  •  
  • シリアからトルコ、ヨーロッパに至るカタール・ガス・パイプラインなど、利益の大きい経済プロジェクトを推進する。
  •  
  • シリアを通る主要国際輸送経路の支配権を獲得する。
  •  
  • トルコからシリア難民300万人の帰還を促進し、アンカラの財政負担を軽減し、親トルコ派支持者を拡大する。
 エルドアン大統領は、機が熟すのを待ち、八方美人を演じ、自らを「信頼できる友人」として描く能力を証明してきた。彼はロシアとの経済関係や他の関係を強化し、この関係からロシアでの数十億ドル規模の建設契約、ロシアから多数の観光客や、最も重要なロシアの安価な天然ガスやパイプラインや原子力発電プロジェクトなど多大な利益を享受してきた。また少なくとも一時的には、ナゴルノ・カラバフ問題も、アンカラ・バクー連合に利益をもたらす形で解決に成功した。

 トルコがシリアで大成功を収めたのは疑いようがないが、その結果、シリアは分裂し、矛盾を抱え、経済的に荒廃し、更なる紛争の恐れがある国になっている。

 シリア戦域における和解不可能な相違。妥協か、それとも新たな紛争か?

 シリアは、内外の政治圧力、経済不安、社会不安、統治、民族的・宗教的少数派に関する未解決問題など、依然多くの課題を抱えている。これら問題の解決は一夜にして達成できるものではない。問題がシリア人だけの問題なら社会は最終的に前進の道を見つけられるだろう。だが、シリアは多くの地域的・世界的勢力の野望の焦点となっている。これは必然的に紛争につながり、一部の人々の過激主義や他の人々の強硬姿勢により、残ったシリア・アラブ共和国領土は、あり得る新たな衝突の舞台になり続けている。

 主要同盟国イスラエルを優先し、裕福なアラブ君主諸国に対する支配権を再び主張して、アメリカは中東における立場を強化しようとしている。ワシントンはシリアのクルド人を支援しており、クルド人が居住する地域の油田とインフラの支配権を確保しようとする可能性が高い。更に、シリアは、アメリカにとって、イランとの地理的接点となっている。ドナルド・トランプ前大統領の親イスラエル姿勢は依然テヘランに対する警告となっている。

 一体どんな狙いをテルアビブはシリアで追求しているのか?

 イスラエルは、ヒズボラの抵抗を解体し、シリアとイランの同盟を排除し、1967年に占領したゴラン高原を併合し、安全保障「緩衝地帯」(シリア南西部の大部分を包含する可能性あり)を確立し、イランへの戦略的影響力を拡大することを目指している。テルアビブは、シリアのドゥルーズ派とクルド人をこの取り組みにおける同盟者とみなしている。またイスラエルはトルコの脅威と、その非友好的な外交的動きを見逃していない。更に、ベンヤミン・ネタニヤフ首相は既にイスラエル軍をシリア国内に展開しており、撤退する意向を示していない。この駐留は、権力を握った現地イスラム過激派の予期せぬ行動からイスラエルの安全を確保するための措置だと正当化している。アサド政権に対する批判的姿勢にもかかわらず、アサドの親も息子も1974年合意の条件を遵守しており、彼らの行動を予測可能だとイスラエルは認めている。更に、モサドはイスラム過激派集団内に広範な工作員ネットワークを持っており、HTS*も例外でないようだ。従って必要と判断された場合、ユダヤ国家に対する脅威を実証する挑発行為をイスラエル諜報機関は画策できるのだ。

 シリアのスウェイダ県とクネイトラ県からイスラエル軍を撤退させる利点を誰も彼を納得させられないとネタニヤフ首相は明確に述べている。この立場を、彼は既にダマスカスの新政権に伝えている。

 この状況には主にトルコが関わっているようで、シリアのクルディスタンにおけるトルコの権益が脅かされる場合、トルコ防空システムはイスラエル航空機を標的にすると断言する定例声明をトルコ国防省は発表した。エルドアン大統領は言葉でイスラエルを恫喝し続けているが、現実には、トルコのいかなる行動もイスラエル国防軍(IDF)とアメリカ軍の厳しい反応を招くことになるだろう。

 既にイスラエルはシリア南部に軍を派兵している。もしトルコが新生シリアとその領土保全の安全を心から懸念しているなら、エルドアン大統領とシリアのアルカイダ*過激派分派新指導者が、この侵略者に対し恫喝を実行するのを一体何が阻止しているのだろう。

 アサド政権後のシリアにおけるイランの役割

 イランはシリア内外の情勢を注視しながら、引き続き慎重な姿勢を保っている。HTS*支配下にあるダマスカスのイラン大使館は既に攻撃を受け、イラン外交官が死亡した。現地のシーア派やアラウィ派の共同体は処刑や虐待の標的になっている。こうした緊張の中、トルコが支援するHTS*政権に対抗するようイラン最高指導者アヤトラ・ハメネイはシリアの若者に呼びかけている。

 ロシアは焦点を再び定め、中国は監視

 シリアに関し大胆な発言をロシアは控えているが、これは軍事基地の新たな設置場所(おそらく北アフリカ)特定に気を取られているからかもしれない。モスクワ・タイムズ報道によると、ロシア海軍基地建設の要請をスーダン政府が拒否した可能性があるが、この主張は未だ検証されていない。

 シリアでの事業で、モスクワがトルコと提携する可能性は低い。ロシアが自国の条件でウクライナ問題を解決し、アメリカとの関係を改善すれば、ガスや、原子力や、観光や、事業関係へのロシア依存をトルコは思い知ることになるかもしれない。

 アサド政権は中国から200億ドル近い多額投資を受けている。北京は反中国策動を容認しないことで知られており、特にトルコはトゥランに興味を示し、中国の一帯一路構想への参加を得るためザンゲズール回廊という切り札を使っている。

 一方、クルド人は、トルコ政府の攻撃計画に屈したり、武器を放棄したりする意図はない。この闘争で、クルド人は一体何が危険にさらされているのか、誰が味方になる可能性があるのか、彼らが管理する資源について痛感している。

 このような状況下で、トルコとカタールはシリアを通るガスパイプラインをどのように建設するつもりなのだろう? 更に、分裂し不安定なシリアで平和が保証されないまま、ヨーロッパは現実的にカタール・ガスを受け取ることを期待できるのだろうか?

*ロシアで禁止されているテロ組織

 アレクサンダー・スヴァランツは政治学博士、教授

記事原文のurl:https://journal-neo.su/2024/12/29/turkeys-syrian-saga-threatens-new-escalations-in-the-region/

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 The Chris Hedges Report
Genocide: The New Normal

Israel and the U.S. government will continue the genocide in Gaza for many months until the Palestinians are annihilated or driven from their homeland and Greater Israel is consolidated.

Chris Hedges
Jan 07, 2025
 今朝の孫崎享氏メルマガ題名
米国公衆衛生局長官がアルコールと癌の関連に警鐘鳴らす(CNN)「勧告は稀なもので、即時の認識と行動が必要な問題の為に確保。しばしば国民の健康習慣のターニングポイントになる。同報告書は7種類の癌に、アルコール摂取とがんリスクとの関連性が確立されていると指摘。
 TV国際呆導、基本的にみない。一億総白痴化が商売。時間と電気の無駄。

 日刊IWJガイド
「ロシアが日本の原発をミサイル攻撃の標的にしていたことが漏洩文書で明らかに! プーチンが年頭演説で日本攻撃を口にしたとテレ朝がデマ報道!」2025.1.7号

■はじめに~ロシア軍が日本の原発をミサイル攻撃の標的にしていた!『フィナンシャル・タイムズ』が報じたロシア軍の2014年の漏洩機密文書で、日韓の米軍基地を含む82ヶ所の軍事施設に続き、原発を含む13の発電施設、関門トンネルなどの交通インフラが狙われていることが明らかに! 他方で、テレビ朝日はプーチンが本年年頭のスピーチで、日本への攻撃について言及したと、戦争煽動ともいうべきデマ報道!!

2025年1月 5日 (日)

シリアにおける帝国の傲慢さ(とその結果)



アラステア・クルック
2025年1月1日
Strategic Culture Foundation

 シリア情勢は「アサド大統領が倒れ」「テクノクラート・サラフィー主義者」が権力を掌握した、というほど単純ではない。

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 どうやら、シリア情勢は「アサド大統領が倒れ」「テクノクラートのサラフィー主義者」が権力を掌握した、というほど単純ではなさそうだ。

 ある意味で、この崩壊は予測可能だった。アサド大統領は、過去数年、エジプトとUAEの影響を受けていたことが知られている。イランとロシアとの関係を断ち切り、欧米諸国側に転じるよう彼らはアサド大統領に促していた。3~4年にわたりアサド大統領は徐々にそうした動きを示し実行してきた。特にシリア軍と協力する作戦上の問題でイランは益々困難に直面していた。アサド大統領の移行は対イラン・メッセージとして意図されていた。

 アメリカによる長年にわたるシーザー制裁に加え、占領下のシリア北東部でアメリカが押収した農業とエネルギー収入の全てを失い、シリアの財政状況は壊滅的だった。シリアには経済が全く存在しなかったのだ。

 アサドにとって、ジレンマから抜け出す唯一の現実的方法は、イスラエルとワシントンに接触をはかることだったのは確実だ。「正常化」は制裁解除につながる可能性があると連中は彼を誘った。そしてアサドと連絡を取っていた人々によれば、(HTS「侵攻」の土壇場でさえ)ワシントンに近いアラブ諸国は、シリアがサラフィー主義の狂信者の餌食になるのを見るよりも、彼の指導継続を選ぶだろうとアサドは信じていた。

 誤解のないように言っておくと、アサド大統領に対し、軍隊(全体として)は脆弱で、給与も低く、外国情報機関に浸透され、賄賂を受け取っているため、国家を効果的に防衛できるとは考えられないと、モスクワとテヘランは警告していた。また、アサド大統領はアレッポを占領しようとしているイドリブの聖戦主義者の脅威についても繰り返し警告されていたが、大統領は警告を無視しただけでなく、反論した。

 ジョラニの民兵が進軍していた「最後の日々」でさえ、一度ならず二度も非常に大規模な外部軍事力派遣をアサドは申し出られた。アサドは拒否した。最初の機会には「我々は強い」と相手に語ったが、その後すぐ二度目には「我が軍は敗走している」と認めた。

 アサドは同盟諸国に見捨てられたわけではない。その時はもう遅すぎたのだ。アサドは余りに頻繁に態度を変えた。アサドの同意がなければ支援できなかった主要国中の二国(ロシアとイラン)は苛立っていた。

 アサド家と知り合いで、アレッポ侵攻直前に大統領と長時間話をした、あるシリア人は、アサド大統領が驚くほど楽観的で動揺していないことに気づいたという。その友人に対し、ジョラニの脅威に対処できるだけの兵力(2,500人)がアレッポにいると彼は保証し、シシ大統領がシリア支援に介入する用意があるかもしれないとほのめかした。(もちろんエジプトは、かつて世俗主義だったバース党の国で、ムスリム同胞団のイスラム教徒が権力を握るのを恐れていた)。

 アサド大統領も同様の認識を持っているとアル・アクバル紙編集者イブラヒム・アル・アミンは指摘している。  
「アメリカや一部欧州諸国との問題をアブダビが解決できるという確信をアサド大統領は深めていたようで、抵抗勢力との同盟を離脱する戦略に同意した場合の、経済的な誘惑を彼はよく耳にしていた。武装勢力の攻撃を止めるため何か大きなことが起きることをアサド大統領はまだ期待していたとアサド大統領がダマスカスを離れる直前まで同行していた部下の一人は語っている。イスラム主義者がシリア政権掌握するよりも自分が権力の座にとどまるのを「アラブ社会と国際社会」は望むはずだとアサド大統領は考えていた」。
 しかし、ジョラニ軍がダマスカスに至るM5高速道路にいた時でさえ、撤退準備や、親しい友人にそのような不測の事態について考えるよう警告する努力をアサド一族や主要当局者は一切していなかったと、この対談者は語った。モスクワへ向かう途中で、アサドがフメイミンに向かっていた時でさえ「撤退せよ」という助言は友人に送られなかった。

 アサド大統領がモスクワに向けて静かに出発した後、一体誰が、いつシリア軍に撤退と政権移行準備を命じたのかは分からないと後者は述べた。

 11月28日、アレッポ県でのHTS攻撃と南方への急速な進撃の翌日(レバノンでの停戦の翌日)にアサド大統領はモスクワを短時間訪問した。モスクワでの大統領会談の内容についてロシア当局は何も語っておらず、ロシアから口を閉ざしたまま大統領は帰国したとアサド家は語っている。

 その後、アサド大統領は最終的にモスクワに向け出発した(12月7日、自家用機でドバイまで複数回飛行した後、または12月8日に)。永久出国することを、またもや身近な人や家族の誰にもほとんど告げなかった。

 この普段の振る舞いと違う考え方の原因は一体何だったのか? 誰にもわからないが、愛する妻アスマの重病で、バッシャール・アル・アサド大統領は精神的に深刻な混乱に陥っていたのではないかと家族は推測している。

 率直に言えば、三つの主要諸国は事態の方向性を明確に理解していたものの シリア(国家の脆弱性は驚くべきことではなかった)、それでもアサドの否定的な考え方と、その結果としての軍事的結末の速さは驚きだった。それが本物の「想定外の事態」だった。

 一体何がきっかけだったのか? 数年にわたり、エルドアンは、アサドに対し、まず「正当なシリア反体制派」との交渉、次に憲法起草、そして最後にエルドアン大統領との直接会談(アサドは一貫してこれを拒否していた)を要求してきた。三勢力全てが、「反体制派」と交渉するようアサドに圧力をかけたが、アサドは応じず、エルドアンとは会わなかった(両者は互いに嫌悪し合っている)。これらの点に対する不満は高かった。

 今や議論の余地なくエルドアン大統領が「旧シリア」を「所有」している。オスマン帝国領土回復の感情は熱狂的で、更なるトルコの復讐を要求している。だがより世俗的なトルコ都市住民など他の人々はトルコの宗教的民族主義誇示にはさほど熱狂していない。

 だが、エルドアンは、おそらく(あるいは、もうすぐ)後悔の念を抱くだろう。確かにトルコはシリア新領主として堂々立っているが、次に何が起きるかは今や彼が「責任」を負っている(HTSはトルコ代理人であることが明白に暴露されている)。少数派が殺害され、宗派間の残忍な処刑が加速し、宗派主義は一層過激になっている。シリア経済回復は視野に入っておらず、収入はなく、ガソリン精製所(以前イランが供給していた)燃料もない。

 エルドアンが支持する、衣替えし西洋化したアルカイダは、常に弱体化する危険がある(宗派間殺人が残酷なほど示す通り)。スーツを着たアルカイダ変身を異端派信奉者連中にジョラニは押し付けられるだろうか? 当時(2012~2013年)アル・バグダディ最高側近だったアブ・アリ・アル・アンバリは、ジョラニを以下のように痛烈に評価していた

 「彼は狡猾な人物で、裏表があり、自分を崇拝し、兵士を気にかけず、メディアで自分の名を上げるためには兵士の血を犠牲にするのもいとわない。衛星放送で自分の名前が取り上げられると彼は満足感に浸る。」

 いずれにせよ、エルドアンの策略により、以前(そして大部分)静まっていたスンニ派宗派主義とオスマン帝国主義が再燃する結果になったのは明白だ。影響は多岐にわたり地域全体に波及するだろう。既にエジプトは不安を抱いており、ヨルダンのアブドラ国王も同様だ。

 シリア転覆の「勝者」だと多くのイスラエル人は自認している。抵抗枢軸の補給線が途中で切断されたためだ。11月19日にイスタンブールでトルコ情報機関長イブラヒム・カリンと会談した際、イスラエルの治安責任者ロナン・バールは予想されるイドリブ侵攻について説明を受けた可能性が高い。イスラエルがレバノン停戦を発効し、ヒズボラ軍のシリア侵入を阻止するのに間に合うように(イスラエルはレバノンとシリアの国境検問所全てを直ちに爆撃した)。

 それでも、再燃したサラフィー主義の熱狂は、自分たちの味方ではなく、最終的に自分たちの利益にもならないことにイスラエル人は気づくかもしれない。

 2025年1月17日、イランはロシアとの待望の防衛協定に署名予定だ。

 ロシアはウクライナ戦争に集中し、中東の泥沼からは距離を置くだろう。進行中のゆっくりとした世界再編や、やがてアジアの「ハートランド」とBRICSの安全保障上の利益をトランプ大統領が認め、リムランド(大西洋主義)安全保障圏の境界線に合意し、世界戦略の安定と欧州の安全保障問題に関する協力で合意できるようにする大局的試みに焦点を合わせるためだ。

 (本記事の第一部は、Conflicts Forum の Substackでご覧いただける)。

記事原文のurl:https://strategic-culture.su/news/2025/01/01/imperial-hubris-and-its-consequences-in-syria/

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 Scott Ritter Extra
Trump versus “The Establishment”
Scott Ritter
Jan 05, 2025
 今朝の孫崎享氏メルマガ題名
ドイツ経済の不振。ドイツ中銀も2025年の成長見通しを修正し、12月に1.1%から0.2%に下方修正。ハンデルスブラット研究所は、2023年に0.3%、2024年に0.2%のマイナス成長に続き、2025年には0.1%のマイナスになると予測。安価なロシア・天然ガスが途絶え、エネルギー高騰が一因。

2025年1月 1日 (水)

アサド政権後のシリア:アラウィー派は墓場へ、キリスト教徒はベイルートへ



デクラン・ヘイズ
2024年12月28日
Strategic Culture Foundation

アラウィー派の若者は追い詰められ、斬首され、キリスト教徒は銃剣を突きつけられ改宗を強制されている。解放されたシリアへようこそ。

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お問い合わせ:info@strategic-culture.su

その時には、人々は死を求めても与えられず、死にたいと願っても、死は逃げて行く。~ヨハネの黙示録 9:6。

 シリア沿岸地域と主要都市は地獄のようだ。NATOの反政府勢力代理軍が「アラウィー派は墓場へ、キリスト教徒はベイルートへ」という当初の約束を実行に移している。アラウィー派の若者は追い詰められ斬首され、キリスト教徒は銃剣を突きつけられて改宗を強要されている。解放されたシリアへようこそ。

 こうしたことは何ら目新しいことではない。シリア反政府勢力の最初の戦闘スローガンはアラウィ派を根絶するという約束だっただけでなく、この野蛮な連中が最初にイドリブを制圧した時、捕らえたドルーズ派の村人に同じ選択を迫った。死のカルトに改宗するか死ぬかだ。更に遡れば、クルド人軍閥サラディンは、キリスト教徒に飽きると、アレッポのアラウィ派を虐殺した。

 ルーラ・アルゼイルを覚えている人はおられるだろうか? 彼女は普通の教師で、何らか単純な教師賞を獲得した後、母国の大統領 (バッシャール) とファーストレディ (アスマ) と一緒に自撮り写真を撮った受賞歴ある単純な教師だった。NATOの支援を受けた反政府勢力がイドリブを制圧した際、教師賞を受賞したという理由だけで、彼女は生徒の前で生きたまま焼き殺された。事情を知らない人のために言っておくと、沸騰した砂糖は自家製ナパーム弾として使えるが、話がそれた。

 息子がシリア軍に徴兵されたという理由で、他のスンニ派女性を反政府勢力は殺害した。酒を売ったという理由で80代のキリスト教徒を殺害し、8歳の正統派キリスト教徒を集団でレイプした。何十人ものシリア軍兵士が処刑される前にひざまずかされたことを覚えているだろうか。幼稚園やシーア派の子どもを安全な場所に送るバスへの自爆攻撃はいかがだろう。これらは全てシリア新支配者連中の仕業だった。

 アメリカが資金援助する野蛮人連中は、トルコとイスラエルがシリアを滅ぼす前にシリアを鎮圧するのを仕事としており、実情は一致している。NATOとムスリム同胞団が我々を全面的に加担させている進行中の大量虐殺を我々は目の当たりにしている。前戯の時間だ。

 まだ実際に我々何か見たわけではない。まだ我々は見ていない。透明これがどう展開するか我々が分かっているのは、虐殺に抵抗するアラウィ派勢力は犬のように追い詰められ(拉致されたアラウィ派は犬のように吠えさせられ、捕獲者が彼らに浴びせる尿を飲まされる)、運のいいキリスト教徒は命からがらベイルートに逃げ、その後、アメリカの代理ISISがイラクを制圧して以来、見たことのない人数のシーア派が死ぬ時が来るだろう。

 シリアでシーア派は取るに足らない少数派だが、過去10年、NATOと代理組織がシリアで引き起こした全ての損害についてNATOはシーア派を非難している。NATOが囚人を拷問のために移送したセドナヤ刑務所? 全てイラン人のせいだ。シリア・アラブ軍とヒズボラの英雄たちが解放する前にマアルーラの町が強姦されたのは? それはイランのせいだ。

 トルコに侵略されたアルメニアの町ケサブはどうだろう? あれはイランの仕業だ。アレッポの破壊と略奪? イランの責任だ。ISISの自爆テロリスト? シリアの石油を盗んだトルコのタンカーに対するロシア空軍攻撃、あるいはアメリカ空軍のクズ連中によるラッカ殲滅? これらはイランの責任だ。デリゾールの英雄的シリア・アラブ軍に対するオランダ、デンマーク、ヨルダン、オーストラリア空軍の攻撃はどうか? イランの責任だ。

 ダマスカスのゼイナブ廟への集団自爆攻撃は? またしてもテヘランの責任だ。

 これら告発や、同様の何千もの告発を私は簡単に叩き潰せるが、これらの嘘はNATOの群れとして果てしなく押し寄せるため、独自の合意を形成する。重要な連中間の合意は、アラウィ派は根絶するに値する(当然の報い)というもので、イランや、NATOから悪評が高い他の連中も同様だ。

 シリア領空をイスラエルが掌握しているため、イランに一直線の攻撃を成功させる可能性は数週間前より遙かに高く、イラン通貨と経済はともに破綻しているため、イランは特に脆弱だ。一方、ヒズボラはレバノン内戦以来、かつてないほど厳しい恒久的窮地に陥っている。

 イランが首を切られる準備を整えている今、切られるのは自分の首ではないとロシアが安堵のため息をつくのも無理はない。だが、それはロシアの共通の敵、アメリカを誤解することになりかねない。「ペルシャへのどの道政策」が最終的成功の間際にあるとアメリカは見ているが、窮地から、あるいは斬首からロシアを逃れさせるつもりはない。

 ロシア、イラン、中国といった浦島太郎のような連中がこの件で、どうすべきかは、6400万ドルの問題というより連中の最高司令部が緊急に取り組むべき問題だ。イランとロシアの軍隊は、シリア、アルメニア、ヒズボラの軍隊と同様できる限りの答えを出すだろうが、中国は依然全ての点で利己的なアキレス腱であり続けている。中国が介入して、サフランなどの脆弱なイラン産品の持続可能な市場を作らない限り、イランはシリアの後を追って歴史のゴミ箱に捨てられることになるだろう。イランとロシアの経済を中国が保証しない限り、無辜のアラウィー派は、同じように無辜の仲間大勢と一緒に掘りたての墓に入れられることになるだろう。我々全員、ソーシャルメディア・ページをいじって、斬首されるアラウィー派やシーア派やキリスト教徒を支持するふりはできるが、もし中国が最終的に正しいことをすると決断し、トランプに逆らった場合、人道責任は中国次第だ。

記事原文のurl:https://strategic-culture.su/news/2024/12/28/post-assad-syria-alawites-grave-christians-beirut/

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 文中の「ペルシャへのどの道」とはブルッキングス研究所による、イランの破壊方法を検討する論文。

 2017年6月に翻訳掲載した「ペルシャへのどの道」に関する下記記事、隠蔽エンジンでは、表示されない。
テヘランは、常にアメリカの最終目的、ISISテロ攻撃の標的
 昔書いた「イランを待ち受ける危険な挑発」という2020年12月記事ともつながる。

 この記事も、Google、Yahooでは検索しても、簡単には見つからないない。
 DuckDuckGoでは見つかる。何度でも繰り返す。いわゆる検索エンジン、実態は隠蔽エンジン。

 今朝の孫崎享氏メルマガ 二本のうちの一本の題名
「2025年の世界情勢、トランプ次期大統領が「台風の目に」孫崎享が選ぶ10人(エコノミスト、2024/12/29/)味方と思えば大切に、敵と位置づけたら攻撃。カナダやメキシコに高い関税を課す意向を示すなど、波乱を起こしつつそこからの「ディール(取引)」を楽しむのがトランプ流。
 耕助のブログ Judging Freedomでのミアシャイマー教授談書き起こし!彼のYouTubeはもちろん見ているが、この書き起こし、大変なご尽力に、驚嘆するしかない。
No. 2379 ジョン・ミアシャイマー教授:米国、ロシアを嘲笑う
 デモクラシータイムス
【横田一の現場直撃 No.300】◆斎藤暗黒政治、露呈 ◆2024横田疾走!小池、万博、石破、斎藤、立花、玉木… 1:11:35
 日刊IWJガイド
「あけましておめでとうございます! IWJは2025年も、記者クラブメディアとは一線を画し、真に重要な問題をお伝えし続けてまいります!」2025.1.1号

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■IWJが2025年も活動を続けられますように、ご寄付・カンパによるご支援をよろしくお願いいたします! 12月は27日間で、92件、116万9200円のご寄付・カンパをいただきました。ありがとうございます! これは月間目標額の約33%に相当します。月間目標額の350万円には、あと67%、233万800円が必要でした。IWJの財政は大ピンチです! 11月からカンパの月間目標額を400万円から350万円に下げたのですが、8月からの今期第15期は、4ヶ月連続で未達です!「IWJしか報じていない情報」は激増中です!

■【中継番組表】

■本日午後7時より、「『ウクライナ3.0』をはじめとする塩原俊彦氏のウクライナ関連著書が2024年度『岡倉天心記念賞』を受賞! 塩原氏に、『米国・NATOの代理戦争の裏側』と『ウクライナ和平』について訊く!~岩上安身によるインタビュー第1177回 ゲスト 評論家、元日経新聞・朝日新聞記者・塩原俊彦氏 第2回」を撮りおろし初配信します! 配信終了後、会員向けIWJサイトのアーカイブにアップします!

■新型コロナmRNAワクチンは遺伝子製剤! WHOは邪悪な反社!! 12月発行の『岩上安身のIWJ特報!』は、「岩上安身による立憲民主党・原口一博衆議院議員インタビュー」をテキスト化し、詳細な注釈をつけて発行しました! ぜひ「まぐまぐ」からご登録ください!! IWJのサポート会員になれば、IWJサイトでバックナンバーをすべて読めます! ぜひ、サポート会員にご登録を!!

2024年12月18日 (水)

シリア:全てが、金、金、金の問題

マーティン・ジェイ
2024年12月13日
Strategic Culture Foundation

 西側諸国の支援で、ダマスカスを支配している聖戦主義者指導者が、アメリカではテロリストとして指名手配されているなど、一体どうしてあり得るのだろう?

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 アサド政権崩壊に呆然とし混乱している騙されやすい国民の目をくらますために、欧米諸国の政治家連中は労力を倍加している。現在ダマスカスを支配している聖戦主義者連中が、アメリカ人の税金で賄賂を受け取っているだけでなく、指導者がアメリカではテロリストとして指名手配されていることなど一体あり得るのかと疑問に思う人も国民の中にいるかもしれないためだ。

 超間抜けなデイビッド・ラミー議員はマグーという漫画の登場人物のイギリス版ドジな黒人版だ。ラミー議員は見た目ほど間抜けではないが、有権者は多かれ少なかれ脳死状態だと彼が想定してイギリス議会で全てを説明する彼の幸運な口調に注目願いたい。

 HTSテロ集団がダマスカスを占領したのと同時期に行われたイスラエルによるシリア爆撃を正当化する声明を最近ブレンダン・オハラ国会議員が発表した。おそらく重砲や飛行機や船舶が、汚れた髭を生やした連中の手に渡らないようにするためだろう。連中がそれらを支援諸国に対して使いかねないためだ。アフガニスタンから米兵が脱出する前に、装甲車や戦車や更には航空機までタリバンに残していった驚異的に愚かな作戦から、アメリカは教訓を学んだのだろうか? おそらくそうだろう。だが、それ以外にも理由があるかもしれない。たとえば、アメリカが第二作戦を考えていて、彼ら(あるいは彼らの代理人)は、それにより現在権力を掌握している連中を転覆させたいと考えているかもしれない。現時点で捏造されている、シリア地図上でホムスを見つけることさえできないコールセンターのジャーナリスト連盟に忠実にうみだされている明白な嘘の量を考えれば、これは、さほど突飛なことではない。「アサド政権打倒のために我々が支援した集団は心を入れ替えるつもりがなかったことが判明した。ジョウラニは信用できない、ご存じの通り…」というのが、ホワイトハウス記者会見で記者団に語られる言葉だろう。大半の人はそれを鵜呑みにするはずだ。

 ともあれ、国会で無駄遣いをする議員連中のたわ言は一見の価値がある。

 国会でのブレンダン・オハラ議員質問に答えて「ISIS(ISIL)とアルカイダを擁する国に、正当な安全保障上の懸念をイスラエルが抱いていると理解するのは正しい」とラミー外相は述べ、イスラエル外相と話し合ったと付け加えた。

 「こうした、あらゆる理由から、全ての人を支援する包括的な社会を我々は望んでいるが、誰もテロリスト集団とは交渉できない」と彼は語った。

 彼が言及するテロ集団は、アメリカから給与を得ており、イギリスとアメリカ両方と連携していることに言及し忘れたのは奇妙だ。それとも、アサド政権をテロリストがアメリカとイスラエルに引き渡した今、彼らの役割はもはや重要ではなく、従って彼らを排除する必要があるということなのだろうか?

 ラミー外相自身シリア情勢をほとんど理解しておらず、台本を読んでいるように見えるため、彼の二枚舌を理解するのは困難だ。結局、最近ラミー外相はイギリスの独立調査機関により、イスラエルから資金を受け取っていた特定された閣僚12人ほどの一員だ。シリアの物語は、結局、大規模な裏切り、裏切り、でたらめの物語で、イスラエルの金を享受しているイギリス議員が、用意されたイスラエル国防軍の主張を支持するのは当然と思われる。結局、無血クーデターが大成功を収めた大きな要因は金だったので、イギリスで物語を左右しているのも、おそらく今や金なのだろうか? もちろん、レバノンのヒズボラの弱体化や、ロシアがもはやアサドを支援していないのも要因だった。だが金は大きな役割を演じた。現在、ヒゲを生やしAKを携えたHTSの平均的チンピラは、月に約2000ドル稼いでいる。大した金額ではないと思うかもしれない。だが現地通貨が常に切り下げられている世界最貧国の一つシリアで、月収僅か7ドルのシリア軍兵士にとって、この額は大金だ。

 合意が成立していたため政権軍は抵抗しなかったのだ。彼らは月々の食費を払うため、単に数ドル稼ぐため、この地域でカプタゴン錠剤製造と販売に頼らざるを得なかった兵士だ。2003年に、サダムの兵士への給与未払い分の支払いをアメリカ政府が拒否した時と同様(彼らは武器を持って駐屯地から逃亡し、後にISISまたはISILとして知られる組織を作った)今同じ話が反響を呼んでいる。兵士にもっと給料を払い、ロシアに訓練させていればアサドは老いるまで権力を維持できたかもしれない。数ドル多く払っていれば。

 シリア政権の兵士もイギリス人政治家も。彼ら全員に値札がついている。シリア戦争が始まった同じ年に発表されたJessie Jの90年代ヒット曲「Price Tag(値札)」のことは考えないことにしよう。

金、金、金なんか問題じゃない
金、金、金なんかいらない
世界を踊らせたいだけだ
値札のことなど忘れろ
記事原文のurl:https://strategic-culture.su/news/2024/12/13/syria-about-money-money-money/

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 Dialogue Works 暗殺はゼレンスキー犯罪集団の犯行。
Scott Ritter: killing of Russian general in Moscow, Syria Becoming West's Next Geopolitical Trap?  1:42:53
 今朝の孫崎享氏メルマガ題名
ドイツ。ショルツ首相は三党連立政権崩壊後、信任投票を提示し394対207の投票で現政権の解散を可決、困難で不安定な政治の新時代を反映。低迷する経済、インフラの破綻、移民、政治的両極端の台頭、トランプ政権での関税、安全保障問題等の難問。世論調査保守的なキリスト教民主党がリード。
 ショルツを横に立たせて「ウクライナに侵略したら、ノルドストリームを止めてやる」とバイデンが発言した場面は忘れない。でくのぼうのようにぼーっとショルツは立っていた。女性記者が「しかし、ノルドストリームは我々のものではありませんが、どうやって止めるのですか?」と質問すると「それでも我々はやる」とバイデンは答えた。
President Biden on Nord Stream 2 Pipeline if Russia Invades Ukraine: "We will bring an end to it." 3:42

2024年12月15日 (日)

もう一つの国が帝国の塊に吸収された



そして今、帝国の塊は、代理戦争や制裁やイスラエルによる執拗な爆撃作戦や食糧や燃料を奪うことを狙った軍事占領を通じて、何年もかけてシリアを弱体化させ、シリア全土の大きさにまで成長し、次の標的を吸収するため動き続けている。

ケイトリン・ジョンストン
2024年12月9日

 この英語記事の朗読を聞く(朗読:ティム・フォーリー)。
 バッシャール・アル・アサドはシリアからモスクワに逃亡し、ロシアから亡命を認められたと報じられている。アサドを追い出したアルカイダ関連組織は、ダマスカスでの「ムジャヒディーン」勝利を宣言した。政権転覆を支援したのをバイデンネタニヤフ両人は公式に認めており、もちろんトルコのエルドアンも多大な功績を認められるに値する。

 それでも、欧米の主流言説では、これをアメリカと同盟諸国が支援する政権転覆作戦と呼ぶには依然タブーがある。何年にもわたる反証があるにもかかわらず、これが完全にシリア国民のみに引き起こされた、100%自然発生的蜂起であるかのように我々全員装わなければならない。代理戦争や飢餓制裁や絶え間ない爆撃作戦や、欧米が支援した内戦後、復興を阻止するため、明らかにシリアから石油と小麦を断つことを意図した軍事占領によりアメリカ権力同盟がシリアを粉砕するのを見たばかりなのに、我々はそう装わなければならないのだ。

 こう言うと怒る人もいるだろうが、これは事実だ。世界的大事件は、その結果に利害関係を持つ大国の行動と無関係に起きるものでないのは単なる事実だ。私がこう言うのを不快に感じるなら、その不快感は認知的不協和と呼ばれる。何か変だという感覚だ。

 シリアにおけるアメリカ権力同盟の関与を指摘されると、あなたは不快に感じるかもしれない。そして、ハリウッド映画のように勇敢な自由戦士の一団が邪悪な超悪人独裁者を独力で勇敢に倒したと信じたいのかもしれない。だが現実はあなたの好み通りには進まない。現実には、アメリカを中心とする地球規模の帝国が、そのような出来事に深く関与しているのは確実だ。

 私がこう言うと、私が「シリア人の主体性を否定している」とあなたは思いたがるかもしれない。そして「主体性の否定」は人が犯し得る最悪の罪だ。だが私が言っているのは、シリア人は主体性を持っているという考えと矛盾するものではない。アサド退陣を望むシリア人は明らかに多数いたし、アメリカ帝国と何の関係もない独自の理由でアサドと戦った人も明らかに多数いた。この明白な事実と、2011年の紛争の始めから、シリアに深く入り込んでいたアメリカを中心とする権力構造や、その関与が、今日我々が目にしている出来事につながったという十分文書化された現実との間に矛盾はない。

 シリア人の心をアメリカ帝国が支配し、彼らに自らの力で政府に背くよう強制したという主張ではない。天秤にアメリカ帝国が大きな力を加えて、シリア人のある集団ではなく、別の集団が思い通りに行動できるようにしたという主張なのだ。

 欧米諸国の政権転覆介入主義が今回良い結果につながると主張することは可能だ(一貫して、その逆を示す膨大な歴史的証拠を無視する覚悟がある限り)が、欧米諸国の政権転覆介入主義がシリアで起きたことは、いかなる合理的根拠に基づいても否定できない。

 欧米の自由主義がおかしいのは、欧米帝国の行動、更には帝国の存在そのものから、信奉者連中が、心理的に断絶する能力に大きく依存している点だ。欧米諸国が自分たちのことに大いに気を配り、欧米指導者連中が演壇から平和と外交を訴えながら、世界中で暴力と破壊が広がるのを受動的に見る架空の別世界に欧米の自由主義者は生きている。彼らは帝国が存在しないふりをし、ワシントンの戦略的利益に有利な形で紛争やクーデターや暴動が起こり続けるのは、単なる偶然だと考えている。

 現実には、アメリカが、そうとは宣言していない帝国の中心で、その帝国が自ら支配する単一権力の傘の下に世界中の人々をまとめようと精力的に活動しているのを理解しなければ世界で起きていることを理解するのは不可能だ。この帝国の塊に吸収されることにうまく抵抗している数少ない国々は、我々欧米人が憎むよう洗脳されている公式の悪人だ。中国やロシアやイランや北朝鮮や中南米のいくつかの社会主義国だ。以前シリアもこのリストに含まれていたが、今やもう終わりだ。シリアは帝国の塊に吸収されてしまったのだ。

 そして明日には、帝国の塊は、吸収されていない次の国に照準を移すだろう。これが地球上のあらゆる主要紛争の背後にある根本的力学だ。この力学は、マスメディアとして知られる欧米宣伝機関と、学校教育として知られる欧米の洗脳制度の支援により、主流の欧米西世界観から消し去られている。この力学は、世界の情報システムを操作する金権政治家や帝国管理者によって、我々の世界観から消し去られ、我々の注目から隠されている。さもないと、アメリカ帝国が今日のこの地球で最も暴君的で虐待的権力構造であることに我々が気付いてしまうためだ。

 そしてそれは疑いようのない事実なのだ。21世紀に侵略戦争で何百万人もの人々を殺しながら、何百もの軍事基地で地球を包囲し、世界のどこであれ自らの命令に反対する集団を粉砕するため絶えず活動してきた権力構造は他にない。中国でも、ロシアでも、イランでも、キューバでも、バッシャール・アル・アサドでもない。現代、これほどまでに世界を圧制し虐待してきたのは、アメリカ帝国だけだ。

 そして今、帝国の塊は、代理戦争や制裁やイスラエルによる執拗な爆撃作戦や食糧や燃料を奪うことを目的とした軍事占領を通じて何年もかけてシリアを弱体化させ、シリア全土の大きさにまで成長し、次の標的を吸収するため動き続けている。

 人間の血の無限の流れによって支えられている帝国に支配されている限り、世界は平和を知ることはできない。それが、帝国の終焉が早く訪れるよう祈る理由なのだ。

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記事原文のurl:https://caitlinjohnstone.com.au/2024/12/09/another-nation-absorbed-into-the-blob-of-the-empire/

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 The Chris Hedges YouTube Channel
The Fall of Assad & What it Means for The Mid East (w/ Alastair Crooke) | The Chris Hedges Report  1:10:46
 今朝の孫崎享氏メルマガ題名
韓国社会、民主主義国家として権力の恣意性に対する抵抗力証明。日本にあるか。韓国議会、尹大統領への2回目弾劾訴追案を採決し議案可決。今後は憲法裁判所が180日以内に、弾劾の妥当性を判断。憲法裁判所が大統領の罷免を認めれば60日以内に大統領選挙。

2024年12月11日 (水)

シリア崩壊

2024年12月9日
Moon of Alabama

 シリアが崩壊した。

 シリア - 勝者なのか敗者なのか、それとも、その両方なのか

 この国が崩壊する可能性は今や非常に高い。国外および国内関係者は、それぞれ可能な限り遺骸の多くの部分を捕獲したり支配したりしようとするだろう。

 そこから何年にもわたる混乱と争いが続くことになるだろう。

 イスラエルはシリア領土を更に広範囲に奪取している。シリアの都市クネイトラを制圧し、クネイトラ地域のアル・カハタニヤとアル・ハミディヤの町も制圧した。またシリアのヘルモン山にも進攻し、現在シリア首都から僅か30キロ地点(上空)にいる。

 また、イスラエルは射程圏内のシリア軍備貯蔵施設を爆撃して、シリアの非武装化を更に進めている。主な標的は防空陣地と揚陸艦だ。今後何年もシリア、あるいはシリアから発展する国は、外部からの攻撃に対して完全に無防備状態になるだろう。

 今のところイスラエルは、シリアで大勝利を収めている。だが落ち着きのないジハード主義者連中が今や国境に迫っており、この状況がいつまで続くかはまだ分からない。

 シリアの中央砂漠をアメリカは爆撃している。ISISを攻撃していると主張しているが、本当の標的は、アメリカが支配するシリア東部とイスラエルが支配する南西部とのつながりを阻止する可能性がある全ての現地(アラブ)抵抗勢力だ。このつながりを更に強化して、川から海までシオニストが支配するエレツ・イスラエル国家を建設する計画のる可能性は十分にある。

 シリア攻撃において、トルコはこれまでも、そしてこれからも大きな役割を果たし続ける。トルコは「シリア国民軍」(旧自由シリア軍)に資金提供し、支配しており、主にシリア国内のクルド人分離主義者との戦いに利用している。

 トルコには300万から500万人のシリア難民がいるが、国王志望者のエルドアン大統領は国内政治的理由から彼らがシリアに帰国するのを望んでいる。だが混乱が拡大しているため、それは許されないだろう。

 トルコはアルカイダから派生したハヤト・タハリール・アル・シャムを育成し、アレッポを占領するよう圧力をかけてきた。この組織がこれほど成功するとはトルコは予想していなかった。シリア陥落は、アメリカがシリアを支配しつつある今、トルコにとって問題となっている。トルコが何をしようと、控えめに言っても、ワシントンは必ずしも両立しない国益のためにHTSを利用しようとするだろう。

 トルコにとって主目的は、トルコ国内のクルド人反乱軍と、彼らを支援するシリアのクルド人だ。クルド人はシリア民主軍として組織されており、アメリカが支援し、支配している。SDFは既にエルドアンのSNAと戦っており、シリアにトルコが更に侵入すれば、彼らは対抗することになるだろう。

 シリア東部でアメリカ占領軍の支援を受けているSDFは、シリア東部の主要石油、ガス、小麦産地を掌握している。ダマスカスで支配したいと望む者は、国家財政を支えるため、これらの資源を自由に得ちれる必要がある。

 HTS指導者アブ・モハメド・アル・ゴラニは、1,000万ドルの賞金が懸けられているにもかかわらず、現在、シリア統一と寛容の新指導者として欧米メディアに取り上げられている。だが彼のHTS自体は様々な国々の強硬派ジハード主義者の連合体だ。略奪できるものがシリアにはほとんど残っておらず、それら資源が尽きれば、すぐにHTS内で戦闘が始まるだろう。ダマスカスのシーア派やキリスト教の聖地を略奪し始めた同志の宗派的衝動を、アル・ゴラニは制御できるのだろうか。

 ここ数年、ロシアはアサド政権に見かけほど注力していなかった。アサドがほとんど役に立たないパートナーになったのをロシアは知っていた。ラタキア県フメイミムにあるロシアの地中海基地は、ロシアにとってアフリカへの足掛かりとなっている。シリア新指導者には、ロシアを追い出すようアメリカから圧力がかかるだろう。だが、シリア新指導者は、賢明なら、ロシアを留めておきたいと思うはずだ。いずれ必要になった時に代わりの選択肢を持つことは決して悪いことではない。ロシアは今後何年もラタキアに留まるかもしれない。

 シリア陥落により、イランはイスラエルに対する抵抗枢軸の主要部分を失った。レバノンのヒズボラが提供していた前線防衛は今や崩壊している。

 かつてペンタゴンでした会話について、元将軍ウェズリー・クラークは以下のように報じていた。  
「これは、イラクから始まり、シリア、レバノン、リビア、ソマリア、スーダン、そして最後にイランまで、7カ国を5年で、どう排除するかを記したメモだ。」
 現在までに、あの有名なメモに記された7カ国中6カ国は混乱に陥っている。イランは、これまでのところ、その計画から唯一生き残っている。イランは緊急に国内防衛力を更に強化する必要がある。今こそ、イランが本物の核兵器を手に入れるべき時だ。

 トランプ新政権は中国を最大の敵とみなしている。退任するバイデン政権は、シリア(とウクライナ)を混乱に陥れて、確実にトランプが中東(と東ヨーロッパ)に関与し続けるようにした。

 アメリカの大規模「アジア回帰」は再び待たねばならない。これにより中国は勢力圏を築くための時間が増える。中国はおそらくこの件で勝利を収めた唯一の大国だろう。

記事原文のurl:https://www.moonofalabama.org/2024/12/syria-winner-and-losers-or-both.html

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 ノーベル賞受賞の演説を見ながら、大昔、オスロに出張したことを思い出した。
 グランド・ホテルに宿泊した。
 顧客にホルメンコーレン・スキー・ジャンプ場のレストランで鹿肉ステーキをご馳走になった。
 翌日、ムンク美術館に行った。「叫び」を含むムンク作品を鑑賞したが他の訪問者皆無。

 The Chris Hedges Report
Letter to Refaat Alareer
 A year ago on Dec. 6, 2023 Israel murdered Palestinian poet Refaat Alareer in Gaza. His poems, however, remain, condemning his killers and beseeching us to honor our shared humanity.

 Chris Hedges
 Dec 11, 2024

 藤永茂氏の「私の闇の奥」最新記事
シリア哀悼
 ≪櫻井ジャーナル≫
シリア全土でHTS戦闘員による虐殺が行われていると報告され始めた
 今朝の孫崎享氏メルマガ題名
米国の対中禁輸措置に対抗し、中国はガリウム、ゲルマニウム、黒鉛、アンチモンの対米禁輸を決め、第三国が輸入し米国に回すことも禁止。中国の重要鉱物禁輸措置は予想以上に厳しい。但し中国側は交渉で妥協を図る余地も残す。米国の同盟国にも厳しい状況がくるであろう(NYT)

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