経済・政治・国際

2025年11月20日 (木)

日本の歴史を書き換える参政党、人気低下

ダニイル・ロマネンコ
2025年11月18日
New Eastern Outlook

 参政党は、外国人排斥運動が広がる中、国民の大きな支持を集めている。反移民政策への支持(そして党自身の宣伝活動)に後押しされ、同党は2025年7月の参議院選挙で13議席という圧倒的勝利を収めた。

 

 しかし、2025年8月以降、与党の支持率は低下し始め、一方、広く批判されてきた最大保守勢力である自由民主党(自民党)の支持率は同月に上昇し始めた。本稿では、これらの出来事の背景にある理由を検証する。

 参政党内の不安定さ

 党の衰退を物語る大きな要因の一つは党内の不安定さだ。2020年の結党以来、党は地方レベルでも全国レベルでも頻繁に党員を失ってきた。このような出来事は政治世界では珍しくないが「健全な」政党では、これほどの頻度(と規模)で起こるべきではない。

 2023年、党共同代表の一人、吉野敏明氏が離党した。公式理由はイデオロギーの違いとされたが、党の意思決定プロセスと指導スタイルへの不一致が原因だったと考える者もいる。同年、党顧問の武田邦彦氏も参政党から除名されたが、これも公式にはイデオロギーの違いが理由だとされている。

 こうした幹部でさえ離党するのは、党が何らかの内部問題を抱えていることを示すものだ。それはイデオロギーの違い、党運営、指導力、党規律といった問題かもしれない。問題の本質に関わらず、この傾向は党の特殊性を考えると極めて破壊的だ。各候補者はそれぞれ独自のアイデンティティ、ブランドや支持基盤を持ち、その多くは「国民からの候補者」だ。従って、このような候補者の離党は票の喪失につながる。更に、こうした事例はメディアで取り上げられることが多くなり参政党の人気を更に損なっている。

 大衆受けする言説を借用する自民党

 高市早苗氏が自民党総裁兼首相に就任したのは時宜を得たもので、党にとって有利なものだった。多くの問題における高市氏の立場は、有権者のかなりの支持を集め、参政党が推進してきた政策、すなわち防衛費増額、外国人入国制限や、第二次世界大戦における日本の戦争犯罪の否定といった政策と一致する。

 参政党が感情的な訴えかけを通じて動員する、党の聴衆や有権者自身との独自のコミュニケーション・チャネルは、半閉鎖的情報フィールドの形成に貢献している。

 自民党と公明党による連立政権崩壊と、維新の会との連立により、高市早苗氏に対する防衛予算の変更に関する制約が解除され、首相は今年度防衛予算を2%に増額予定だ。また高市首相は、外国人問題への対応にも慎重ながら関心を示した。11月4日には、新たに設置された「外国人の受入れ・秩序ある共生社会実現に関する関係閣僚会議」の初会合が開催された。首相の指示により、会議では不法移民や外国人犯罪対策に加え、日本が現在切実に必要としている外国人専門家の適応と統合についても議論される予定だ。

 このように、自民党は参政党から最も人気の高い話題やスローガンを借用し、それらに関連する国民の願いを叶える意思を示した(ただし純粋に外国人排斥的政策に反対する有権者など、他の有権者層を疎外しないよう慎重に行動した)。自民党は国会で第一党(過半数ではないものの依然大きな影響力を持つ)で、参政党は数的には取るに足らない野党であるため、有権者の支持が、現状で政策を実際変更できる政党に移ることは十分に予想されていた。

 11月6日の国会審議において、参政党代表の神谷宗幣氏は、高市早苗氏に対し、外国人対策の強化、軍事費増額、学校における道徳教育や愛国心教育の強化や、ワクチンの安全性の見直し(神谷氏はトランプ政権を例に挙げてこの点を訴えている)など数多くの質問と提案を行った。高市首相は、参政党の主張の大部分に賛同し(ただし、ワクチン問題など一部には異論もある)、これらの問題のほとんどに対処するための対策が既に講じられていることを指摘するなど、神谷氏に適切な回答をしたと筆者は考える。その際、高市首相は、私が前述した手法、すなわち、国民の立場に配慮しつつ、社会を悩ませている問題に既に自民党が取り組んでいることを示す手法を実践したと言えるだろう。

 それだけに留まらず、おそらく党の支持率を上げ注目を集めるため、神谷宗幣氏は、11月13日の予算委員会で再び高市早苗首相と討論し、首相攻撃を激化させたが、さほど成果はなかった。

 しかし、前述の11月6日の国会審議を映した参政党のYouTube動画へのコメントを見ると、視聴者は動画を見る前から既に勝者を決めていたようだ。圧倒的多数が参政党を支持する一方、自民党と高市早苗首相への批判的な意見も少なくない。これは参政党のもう一つの興味深い側面を示している。

 参政党:カルト政党か?

 参政党は他のベテラン政党と異なり、初期の支持基盤を主にオンラインで構築した。党の支持者の多くは、以前は政治に無関心だった、あるいは政治に幻滅した人々で構成されている。党が感情的訴えかけで動員する、支持者や有権者自身との独自のコミュニケーション手段は、半ば閉鎖的な情報場の形成に貢献している。この情報の場において、参政党の政治家たちは、ワクチンの危険性や政治エリートによる陰謀や、第二次世界大戦中の南京大虐殺のような戦争犯罪を日本は行っていないと支持者を説得している

 同時に、参政党のイデオロギーや情報環境を十分に理解していない有権者は、メディアが党の主張や理念や党内の問題について真実を暴露すれば落胆する可能性がある。党の人気が低下した理由の一つは、こうした幻滅した人々の意見にあるのかもしれない。

 結論

 参政党は、ウイルス感染や一時的流行に乗じて、有権者に検証されていない、時には意図的に虚偽情報を提供する、理解しにくい情報環境を作り出すポピュリスト政党の興味深い例だ。しかし、党内の不安定さや、党への不信感の高まりや、自民党と高市早苗氏による巧妙なメディア戦略は、参政党にとって深刻な課題になっている。

 政治学者で同志社大学政策学部教授の吉田徹氏は、日本の新興右派ポピュリスト政党は約三年存続し、その後困難に直面し、支持を失い解散するという興味深い理論を提唱している。参政党も同様の終焉に向かっている可能性は十分あるが、日本の政治が大きく予測不可能な変化を遂げている今、近い将来参政党が消滅するとは到底言えない。

 ダニイル・ロマネンコはロシア科学アカデミー東洋学研究所の日本学者

記事原文のurl:https://journal-neo.su/2025/11/18/the-falling-popularity-of-the-sanseito-party-rewriting-japanese-history/

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 「馬鹿な大将、敵より怖い。」は名言。

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