書籍・雑誌

2018年10月 6日 (土)

アメリカ・マスコミはいかに破壊されたか

2018年10月1日
Paul Craig Roberts

 9月24日のコラム“Truth Is Evaporating Before Our Eyes” https://www.paulcraigroberts.org/2018/09/24/truth-is-evaporating-before-our-eyes/で、いかに非難だけで相手を破壊できるかを実証するため、アブグレイブの拷問と、ジョージ・W・ブッシュ大統領のテキサス州兵航空隊の任務不履行を報じた、CBSニュース・チームや、ピーボディー賞受賞者で、26年もニュースの仕事をしたベテランCBSプロデューサー、メアリー・メイプスや、定評あるニュース・アンカー、ダン・ラザーを破壊した例をあげた。

 90パーセントのアメリカ・マスコミが、エンタテインメントや他の事業が専門で、報道が専門でない6つの巨大企業に集中されるの許し、独立したアメリカ・マスコミを破壊したのは、ビル・クリントン大統領だったことを私は何度も書いている。この未曾有のマスコミの集中は、アメリカのあらゆる伝統に反しており、政府に国民に対する責任を持たせ続けるべく、建国の始祖が出版・報道の自由に託した信頼を破壊したのだ。

 メアリー・メイプスの『Truth and Duty 』(2005年、St. Martin’s Press)(『大統領の疑惑』2016年、稲垣みどり訳、キノブックス刊)を読むまで、シャーマン反トラスト法とアメリカの伝統に反する、このマスコミ独占が、誠実な報道をどれだけ破壊したかに私は気づいていなかった。

 起きたのは、こういうことだ。テキサス州兵航空隊はベトナム戦争の徴兵を逃れるためにエリート連中が息子を入れておく場所だった。ジョージ・W・ブッシュが、戦争から逃れるのを狙って、入隊待ちの長いリストを飛び越え入隊できたことや、州兵航空隊の要求事項違反や、無許可で他州に転属したことについて、ジェリー・B・キリアン中佐書いた書類の写しをCBSが入手した。CBSチームは、書類を、本物か、そうでないか判断するために何カ月も作業した。書類中の情報は、テキサス州兵パイロットの時代にジョージ・W・ブッシュと知り合った人々のインタビューと辻褄が合うことが分かった。

 これは入念に準備された報道で、やっつけ仕事ではなく、ブッシュの義務不履行に関して、現在我々が知っているあらゆる情報と一致している。

 CBSニュース・チームにとっての問題は、当時彼らは気づいていなかったのかも知れないが、その書類が専門家が疑問の余地ない本物だと確認できる原本でなく、コピーだったことだ。そのため書類は他の人々の証言と首尾一貫していたが、原本ならできていたはずの、書類が本物だという確認が、専門家たちはできなかったのだ。

 共和党はこの弱点に付けこみ、CBSの『60ミニッツ』報道が真実かどうかから、写しが偽物かどうかへと話題をそらせた。

 CBSには他にも二つ問題があった。一つは同社オーナー、ヴァイアコムが報道事業ではなく、法的特権や規制上の許可で儲けようとして、ワシントンでロビー事業をしている会社だったことだ。ブッシュ政権が否定する鼻先で、アメリカのによる拷問を暴露し、ブッシュに強い特権があり、テキサス州防衛隊から罪を問われなかったことを示すCBSの本当のニュース報道は、大金をかけたヴァイアコム・ロビー活動の邪魔だった。

 極右ブロガー連中がCBSを追求すると、ヴァイアコム幹部は厄介なCBSニュース・チームを処分する方法に気がついた。ヴァイアコム経営幹部は、同社の記者たちを支持するのを拒否し、ブッシュがテキサス州防衛隊の任務を遵守し損ねたことに関する『60ミニッツ』報道に対し、共和党支持者で構成される、つるし上げ用“調査委員会”を雇ったのだ。

 ヴァイアコムが、自社のロビー活動の邪魔になる自立したニュースを片づけたいと望んでいたのに、メアリー・メイプスと彼女の弁護士は、真実に何か意味があり、最後は勝利すると思い込んでいた。そこで、彼女は自分の経歴と品位が組織的に破壊されてゆくのを見守る破壊過程にさらされることになったのだ。

 CBSのもう一つの問題は、それが正当化できるか、できないかに関係なく、保守的な共和党連中によって、CBSとダン・ラザーが、共産主義者に等しい呼称である、リベラルと見なされたことだ。何百万人ものアメリカ人にとっての問題は、リベラルなCBSが、ジョージ・W・ブッシュを傷つけ、国民をイスラム・テロにさらけ出したままにしようとしていたことだったのだ。ブッシュがワールド・トレード・センターとペンタゴンを吹き飛ばしたイスラム・テロリストからアメリカを守ろうとしているのに、CBSはブッシュ大統領を中傷しようとしているというのが極右の考えだった。

 メアリー・メイプスとダン・ラザーとCBSニュース・チームは報道に専念し過ぎ、自分たちが、その中で活動している危険な状況に考えが及ばなかった。それで彼らは、ハリバートンとイスラエルのためになる、ディック・チェイニーの中東戦争に役立つ罠と“リベラル”ニュースに対する保守派の憎悪に役立つ罠にはまってしまったのだ。

 アメリカ・マスコミは一体なぜ、CBSの入念な報道を擁護しなかったのだろう? 答えは、それが、TVニュース・メディアが死につつある時期だったからだ。インターネットが勝利しつつあった。同社以外のマスコミは、CBSの崩壊に、この市場を奪い、寿命を伸ばす好機を見て取ったのだ。

 そこで、同社以外のマスコミは『60ミニッツ』が偽書類に基づく報道をしたという偽ニュースを報じた。マスコミは、自分たちの死刑執行令状に署名していることに気がついていなかったのだ。共和党がCBSにけしかけた極右ブロガー連中もそうだった。現在、そうしたブロガー連中自身、いかなる真実を表現できる状態から遮断されている。

 アメリカにおける真実は根絶されつつあり、CBSニュースの破壊は出発点だった。メアリー・メイプスが著書で書いている通り、ヴァイアコムはスタッフ全員を首にし『60ミニッツ』を完全に一掃するやいなや、翌日ヴァイアコムは意気揚々と年次株主総会を開催した。サムナー・レッドストーン会長は、2004年に5600万ドルの給与を得た。最高執行責任者のレスリー・ ムーンべスとトム・フレストンは“それぞれ法外な年収5200万ドルを手に入れた。”

 一方CBSニュース・チームの人々は住宅ローンも自動車ローンも医療保険も支払えなくなった。

 メイプスはこう書いている。“数年前まで、大企業幹部へのこうした大盤振る舞いなど聞いたことなどなかった。今では、こうしたマスコミの支配者連中が公共電波を牛耳っており、彼らが果たすべき責任は一つだけ、儲けることだ。”調査報道から、政府と大企業広告主守る必要がある巨大企業でさえも。

 その結果、現在アメリカ・マスコミは全く信頼できない。読者はいかなる報道も、ニューヨーク・タイムズの死亡記事すらも信じることができない。

 Paul Craig  Robertsは元経済政策担当財務次官補で、ウオール・ストリート・ジャーナルの元共同編集者。ビジネス・ウィーク、スクリプス・ハワード・ニューズ・サービスとクリエーターズ・シンジケートの元コラムニスト。彼は多数の大学で教えた。彼のインターネット・コラムは世界中の支持者が読んでいる。彼 の新刊、The Failure of Laissez Faire Capitalism and Economic Dissolution of the West、HOW AMERICA WAS LOST、The Neoconservative Threat to World Orderが購入可能。

 ご寄付はここで。https://www.paulcraigroberts.org/pages/donate/

記事原文のurl:https://www.paulcraigroberts.org/2018/10/01/how-the-american-media-was-destroyed/

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 このメイプスによる本『大統領の疑惑』をもとに、映画『ニュースの真相』が制作されている。映画は見ていないが、『大統領の疑惑』は読み始めたらとまらない。決意をもって書かれた作品 太田愛著 『天上の葦』(KADOKAWA)  ネタバレ注意
の記事で知って、テレビ報道番組にまつわる策謀についてのミステリー『天上の葦』を拝読したばかり。

 昨日は以下のインタビューを拝聴した。この二冊の本と直接つながる出来事のご本人。その出来事からも、「現在日本のマスコミは全く信頼できない。読者はいかなる報道も、新聞の死亡記事すらも信じることができない」と思っている。

上層部からの圧力か!? 森友問題でスクープを連発した元NHK記者の「考査室への異動」の真相に迫る! 岩上安身による大阪日日新聞論説委員・相澤冬樹氏インタビュー 2018.10.2

 いじめ問題についても追求したいとおっしゃっている。是非拝読したいものだ。

2016年3月 5日 (土)

エコノミック・ヒットマン新版から 「退職者ができる6つのこと」

退職者ができる6つのこと

1. 解雇されることはないのだから声をあげよう。かつては不安に感じていたような活動に参加しよう。“とんでもない”という程まで、自分の意見を恐れずに発言しよう。

2. 行動しよう。自分の心に従って、自分の本心に訴える大義に加わろう。自分の最盛期を終わってしまったとか、世界にとって何か意味のあることをすることができないと思い込む誘惑や、没頭する活動に気を取られてしまうことは避けよう。ゴルフ、トランプ、テニス、帆走、TVなどのレジャーを楽しみながらも、大義のために、人生で学んだことを伝え、将来の世代のための、より良い世界を作り出すことで、より大きな喜びが得られることを理解しよう。

3. 若者を指導しよう。あなた方は人さまに提供できることを大いにお持ちなのだ。大工、教師、医療労働者、庭師、企業幹部、あるいは他の何の職業をしていたのであれ、自分の経験は貴重で、自分より若い人々を支援できることを理解しよう。土着社会では、長老は、伝統的に、その智恵を尊ばれてきた。自らを長老として尊重し、若者に、あらゆる仕事、あらゆる活動で、生命と「生の経済」を育てるように教えよう。

4. 責任ある投資を要求しよう。年金、投資信託や他の基金には、公共の利益のために働き、環境的に維持可能で、資源再生的で、社会的に公正な世界を作り出すことに力を注ぐように主張しよう。基金や株主になっている企業には、彼らには成功して欲しいと思っていて、これが「生の経済」を生み出すことへの参加を意味していることを伝えよう。

5. 政府や政治や企業政策に影響を与えることができるような組織的運動に参加するか、立ち上げるかしよう。立候補するか、そういうことをしている候補者に投票し、消費者運動に参加するか、何らかの民主的過程の本格的参加者になれる道を選ぼう。これは民主主義を本気で擁護するための一環にすぎないというだけではない。大いにやりがいがあり、楽しいことでもある。

6. 自分の経験を共有しよう。他の人々、特に若者に、自分の人生や自分が育った世界について - どのように動いていたのか、どこで失敗したのか、柔軟で、全ての命を大切にする社会を作り出すためには、今何をすべきなのかを語ろう。家族や地域の小さな集まりでも、社会奉仕クラブのような大きな組織でも、こういう活動をし、著述、映画、絵、音楽なりなんなり、あなたにとって最善の手段で実行しよう。自分独自の能力・才能を活用しよう。
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ジョン・パーキンス氏に大変申し訳ないが、『新版エコノミック・ヒットマン』The New Confession of an Economic Hit Man 第47章にある、
「なすべきこと」のリスト 6つ
「我々全員ができる11のこと」
「学生ができる9つのこと」
「退職者ができる6つのこと」
「学生と退職者の間の人々ができる9つのこと」
「企業ができる11のこと(そして、消費者が、企業にそうするよう主張できること)」
「起業家ができる5つのこと」
のうち、「退職者ができる6つのこと」を勝手に翻訳させて頂いた。

「我々全員ができる11のこと」の中から、4番目も追加しておこう。

4. あなたの情熱に最も強く訴える主題を選んで、定期的に支援しよう。これで、モンサント、シェブロンや、ウォルマートなどの企業を変えられるかも知れない。あるいは運動や、ラジオ局、ブロガー、非利益、非政府組織を宣伝しよう。時間やエネルギー(たとえわずか数分でも)あるいはお金という形で、毎日そうしたものに注意を払おう。ソーシャル・メディアを使って、友人全員に自分がしていることを知らせよう。あなたが関わっている主題に関する電子メールやレターを書き、それを頻繁に、ソーシャル・メディアの連絡先に配布し、それを、彼らのソーシャル・メディアの連絡先など全てに配布するよう依頼しよう。

この、できることリストを見て、「TPP: 一体何がめでたいのか?」記事翻訳末尾で触れた加藤周一講演、老青同盟の一節を思い出した。

ポール・クレーグ・ロバーツ氏がこの新版については、コラム記事で詳しく紹介しておられる。 世界を死の経済で支配する悪の帝国

辺野古訴訟、国と沖縄県和解という報道について、電気洗脳箱、与党と仲の良い有名「学者」が、「首相の余裕ですよ」と。

学者先生の自信に満ちた様子から、砂川裁判を思い出して、暗澹とした気分になった。属国では、宗主国と組んだ国が負けるはずはないだろう。移設方針は変わらないのだから、属国裁判所が反対の判決を出すはずがない、と素人は思う。

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普天間基地

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辺野古

2016/03/03 「英語化」と「グローバル化」を警戒せよ! 大切なのは「翻訳」と「土着化」を通じた国づくり~岩上安身による『英語化は愚民化』著者・施光恒氏インタビュー 第2弾(動画)

実に長い!が実にもっとも。大本営広報部電気洗脳箱から自立するのに不可欠な話ばかり。そこで再度、繰り返そう。

4. あなたの情熱に最も強く訴える主題を選んで、定期的に支援しよう。これで、モンサント、シェブロンや、ウォルマートなどの企業を変えられるかも知れない。 あるいは運動や、ラジオ局、ブロガー、非利益、非政府組織を宣伝しよう。時間やエネルギー(たとえわずか数分でも)あるいはお金という形で、毎日そうした ものに注意を払おう。ソーシャル・メディアを使って、友人全員に自分がしていることを知らせよう。あなたが関わっている主題に関する電子メールやレターを 書き、それを頻繁に、ソーシャル・メディアの連絡先に配布し、それを、彼らのソーシャル・メディアの連絡先など全てに配布するよう依頼しよう。

2014年10月14日 (火)

不完全なように見える対エボラ安全手順

Paul Craig Roberts
2014年10月12日

ダラスのエボラ患者を看護していた看護婦が、エボラにかかってしまった。

アメリカ疾病管理予防センターCDCは、CDCが規定した他の服装と共に、看護婦がつけていたマスクを指定していた。マスク着用は、ウイルスは空気感染しないという仮説に基づいている。

おそらく、自らをかばおうとして、CDCのトム・フリーデン医師は、看護婦の感染を“安全手順違反”のせいにしている。実際、問題は、普通のマスクの代わりに、防毒マスクが必要だということなのではあるまいか。

もし、CDCが病気の特性を誤解していて、その誤解に固執すれば、エボラはアメリカ国内で手に負えなくなる可能性がある。

CDC基準通りに防御されていたのに、看護していたエボラ患者から感染した看護婦についての情報はここにある。http://www.weather.com/health/american-nurse-tests-positive-ebola-20141012

現在のエボラ菌は過去のものと違う方法で感染する可能性は十分にあり得る。過ちを認めることができない官僚の無能さが、アメリカでの蔓延をもたらすことになりかねない。

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四半期毎のご寄附のお願い

多くの皆様が御承知の通り、数年前に私が引退しようとした際に、読者の皆様は、それを受けいれてくださらなかった。私は、協賛各紙に同時に掲載され るコラムを降りて、皆様にお別れをつげた。皆様が、何千通もの電子メールで、小生の経験と知識を頼りにしておられ、それが現代の出来事を客観的に理解する のに役立っていると言ってこられたのだ。皆様の御意見には説得力があった。私は引退を止め、このウェブサイトを開設したが、皆様から強固なご指示頂いてい る。

これは皆様のウェブサイトだ。皆様に支持を頂ける限りは継続する。

寄付のためのページ

Paul Craig Robertsは、元経済政策担当の財務次官補で、ウオール・ストリート・ジャーナルの元共同編集者。ビジネス・ウィーク、スクリプス・ハワード・ニュー ズ・サービスと、クリエーターズ・シンジケートの元コラムニスト。彼は多数の大学で教えていた。彼のインターネット・コラムは世界中の支持者が読んでい る。彼の新刊、The Failure of Laissez Faire Capitalism and Economic Dissolution of the WestHOW AMERICA WAS LOSTが購入可能。

記事原文のurl:http://www.paulcraigroberts.org/2014/10/12/ebola-safety-protocol-appears-defective-paul-craig-roberts/
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日清・日露戦争で派兵された日本軍兵士の多くが脚気で倒れた事実を数年前に知った。そして、その原因は、森鴎外だったことを。

海軍軍医の高木兼寛は、脚気対策で、先覚的な業績を上げた。
海軍での兵食改革は(洋食+麦飯)だった。
高木兼寛の処方を実践していた間、脚気による患者、死者は劇的に減少した。

ドイツ・コッホ研究所帰りの森林太郎(森鴎外)は、頑固に病原菌説を唱えた。
陸軍での兵食は白米だった。
日清・日露戦役で、3万数千人の脚気による戦病死者を出した。

過ちを認めることができない官僚の無能さが、日本軍での脚気蔓延をもたらした。

『新装版 白い航跡』という吉村昭著の文庫や
『鴎外最大の悲劇』(新潮選書)という本(現在は品切れ)や
『鴎外 森林太郎と脚気紛争』という本まである。

大本営広報部は、台風襲来の報道一色。台風は自然のもので、一過性。
TPPは、宗主国による人為的なのもので、永続的。

大本営広報部、TPPに触れる場合は、「交渉難航の恐れ」ばかり、「TPPそのもの恐ろしさ」には絶対に触れない。

TPP、現代の日本人囲い込み。北米先住民が、移民によって追いやられ、悲惨な境遇に陥ったのと同じ状況に、これから陥る。歴史的蟻地獄。
台風、TPP、どちらが深刻か、わからずに報道していれば、知的に深刻な問題があるだろう。実態をわかっていて、報道をしているのであれば、倫理的に深刻な問題があるだろう。

対エボラ安全手順、不完全なように見えるという。
対TPP報道基準、TPP実現の為、意図的に全く不完全。かくして
「それでも、日本人はTPPを選んだ」
「それでも、日本人は原発再稼働を選んだ」
「それでも、日本人は集団的自衛権を選んだ」ことになり、
猿の惑星のような世界で暮らす後世の日本人、先祖を大いに恨むに違いない。

過ちを認めることをしない大本営そして大本営広報部の無能さが、日本の主権喪失をもたらしている。

ウクライナ・ゲート ネオコンの情報操作と野望』塩原俊彦著 社会評論社 本体2400円+税
報道されない中東の真実』国枝昌樹著 朝日新聞社 本体1700円+税
を読み始めた。大本営広報から離れる為、いずれも必読書。

IWJで、国枝昌樹氏インタビューが見られる。

IWJ Webサイトの記事はこちら→http://iwj.co.jp/wj/open/archives/181134
会員登録はこちらから→ http://iwj.co.jp/join/

2013年9月 4日 (水)

田中正造伝 嵐に立ち向かう雄牛 ケネス・ストロング著

ネットで調べた所、9月4日はクジラの日だそうだ。おばあちゃんの原宿、巣鴨とげぬき地蔵商店街ではくじら祭りが開催される。くじらには申し訳ないが、ベーコンや大和煮がなつかしい。クジラには、汚染水、影響ないのだろうか。

巣鴨くじら祭り、鯨肉の抗疲労成分「バレニン」で巣鴨を一層元気に

9月4日は、田中正造没後百周年。彼の言葉で始まり、終わる新聞コラム記事を見てびっくり。

真の文明は、山を荒らさず、川を荒らさず、村を破らず、人を殺さざるべし。古来の文明を野蛮に回らす。今文明は虚偽虚飾なり。 私慾なり、露骨的強盗なり。

というわけで、どうやら絶版らしい『田中正造伝 嵐に立ち向かう雄牛』 ケネス・ストロング著 川端康雄 佐野正信訳 晶文社 の文章を、ご紹介させていただこう。

下記部分を選んだ理由、特にない。田中正造全集刊行以前に書いたということだが、偉い学者がおられたもの。再版されて欲しい書籍。

 正造はそう簡単に信用しはしなかった。五月二十四日と六月十四日の二回の長い演説のなかで、彼は、農商務大臣の答弁は足尾銅山に今まで通り操業を続けさせてやる方便に過ぎぬものだといって非難した。答弁自体が「銅臭の毒気」を帯びている、大臣も農商務省も毒気を受けてしまっていて、体に毒が回ってしまったので、川や作物の鉱毒被害が目に入らず、銅山主の利益のために尽くすことしかできないのである、と。
 政治家にとっても一般大衆にとっても最大の関心事となっていた政治問題に、正造はとりわけ辛辣なアナロジーをもって言及した。曰く、日本は西洋諸国と「不平等」条約を結んでいて、これらの国々はいまだにその国籍の人間のために、日本国内であまたの治外法権上の特権を保持している ─ 日本政府はこの条約を改正しようとの試みを再度おこなっているわけである。治外法権の恥辱をなくそうと政府がかくも懸命になっているのなら、どうして足尾銅山を見て見ぬふりをするのか。
その地では、日本の法律が適用できないでいる点では、いわゆる外国人居留地と変わりないように見えるではないか。そしてそれは結果として日本の人民にはるかに過酷な苦しみをもたらしたではないか。外国人の場合は、自分たちを守るための独自の治安体制と法廷を有するが、下野の農民は、租税を負担していながら、そのような保護も補償を得る手段も有していない。それとも農商務大臣のお考えでは ─と正造は痛烈な皮肉の口調で尋ねる ─農民たちが竹槍と蓆旗をもって政府に抗議に押しかけに来でもしなければ、「公共の安寧」がおびやかされることはないというのであるか。

155-156ページ

沖縄の米軍基地を強化し、原発を再稼働・増設し、TPP参加を推進する政府、明治政府どころでない劣化。

 二つ目の演説は、二月十七日の総理に対する質問演説である。この時に出された「亡国に至るを知らざれば之れ即ち亡国の儀につき質問書」は、次のような、いつにない激しい調子を帯びたものであった。

 民を殺すは国家を殺すなり
 法を蔑にするは国家を蔑するなり
 皆自ら国を毀つなり
 財用を濫り民を殺し法を乱して而して亡びざるの国なし、之を奈何。

中略

 日本の政府はろくに鉱毒問題に取り組もうとしないが、このような国の場合、政府が国を治める全責任を回避してしまっているから、実は政府がまったくないのと同じになる。これが政府の人にわからなければ、即ち「亡国」に至るる。……そうは言っても、悪いのは大臣ばかりではない。関八州の人間に広い視野と十分な気力があれば、鉱毒被害がここまで広がることはなかったとも言えるのである。上方生まれの古河が土地を汚し、薩長の閥族どもがその分け前を取ったというのに、彼ら農民の大半は、黙ってそれに耐えるだけだった。……世の中が鉱毒問題を耳にして何も驚かないとすれば、それは、世の中が鉱毒に類似した有様に段々なってきたということに違いない。……

228-229ページ

日本の政府はろくに原発問題に取り組もうとしないが、このような国の場合、政府が国を治める全責任を回避してしまっているから、実は政府がまったくないのと同じになる。

 「ただ増税をして憲法は勝手次第に放りなげておいて、乱暴狼籍をやりたい者にはやらして、増税をするという政府には、どなたにでもこれは反対をしなければならない。……人は明日ということをばお互いに期せないものでございますからして、今日のこの御用の多い中をも御妨げということを顧みず、しばらく御耳を拝借致しました次第でございます」。

242ページ

消費税強行そのまま。

 正造の小遣は一ケ月二、三円に過ぎず。夜るも着たままなり。枕のあるの夜は稀れなり。又二泊せし事は少なし。飯は麦めしを以最上とす。只湯はあります。衣類の汚れたるは却て見よし。此境遇に加え、巡査の虐待、汚吏の侮辱、殆んど人類を以てせられず、而して県民之をしらざるなり。しらざるは新聞が冷かすためなり。我日本国の中に此くの如き魔境ありて正造は慈にあり。去る三十五年より堤防は破れたるまま、水浸五ヶ年に及び、穀実を得るなく、常に船にて村中を歩行く。何ともかとも人間居住すべき処でない。而しも天災にあらで悪人のために此災害を受けつつあり。此窮民の一人を救え得ば、正造は此処に死して少しもうらみなし。誠に道ちのためなればなり。人生苟くも道によりて死すは、死するにあらず生きるなり。
 天は屢々正造に神の道ちを教えたるは正造の歴史なり。若きより屢々牢獄に入りたるは、皆之厄を以て悔を改めさせる神の道ちなり。故に正造は難に逢う毎に精神をばみがけて候。此くして幾回も厄に逢うて幾回も神に近くなり、老てますます精神は若きに復し候。肉体は年々に劣ると反比例、精神は年々に優る。今の正造は二十三、四、五才の頃よりも盛んなり。但し肉体は六十八才相当の疲労とはなりまして候。此度の公判後、谷中問題解決の後ちはそろそろ演説に出かけべく候。

 日本人の根性小さく、此へぼの団体を以てして、形によりて外あるをしらず。僅に満州を得て喜ぶ。笑うべきのみ。正造の愛は一己なりとも之を推して世界に及ぶなり。天上の星し地上の砂、皆悉く我有なりとは、誠に愛の博愛を云うなり。人一人を救えば、其愛や世界に及ぶなり。満州を得て満足するものの心の中にして其業の賤き事憐むに堪えたり。
303ページ

汚吏の侮辱、殆んど人類を以てせられず、而して県民之をしらざるなり。しらざるは新聞が冷かすためなり。我日本国の中に此くの如き魔境ありて正造は慈にあり。

そう、大本営広報部の役割、全く変化していない。

日清戦争の頃は侵略戦争を支持していたが、日露戦争に至って、反戦論者となった。竹島や尖閣で、強硬論を主張する人々を、田中正造、墓の中で怒っているだろう。

木下尚江の文章

 明治三十九年九月九日の夜、下野佐野町で同志者の演説会があり、僕は石川旭山と二人で行 った。田中翁も忙がしい中を谷中村から出かけて来た。万座と云う芝居小屋の集会を終えて、夜ふけて宿屋へ帰ると、座敷二た間の唐紙を取り払って、蚊帳が二つ釣ってあった。僕と旭山と一つの蚊帳。翁は一人で別の蚊帳。
  何事にも腹の立った時代で、其晩も、大きな劇場に溢れる聴衆が、無暗に翁の演説に喝采するのを見ると、憤怒の虫が頭を捧げて抑えきれず、翁の後を受けて出た僕は、『何を見に汝等は来た。我が田中正造は、口稼ぎの大道芸人では無いぞ。汝等、同郷の老偉人を見殺しにして、只だ手ばかり叩く軽薄。-我輩旅人は、決して汝等の前に口を開くような 馬鹿はしない。』

307ページ

我が田中正造は、口稼ぎの大道芸人では無いぞ。汝等、同郷の老偉人を見殺しにして、只だ手ばかり叩く軽薄。

この正造はな……天地と共に生きるものである。天地が滅ぶれば正造もまた滅びざるをえない。今度この正造が斃れたのは、安蘇、足利の山川が滅びたからだ─日本も至るところ同様だが─。故に見舞いに来てくれる諸君が、本当に正造の病気を直したいという心があるならば、まずもってこの破れた安蘇、足利の山川を回復することに努めるがよい。そうすれば正造の病気は明日にもなおる……

さあ、できるかできないか、もしできなければ遺憾ながら正造は、安蘇、足利の山川と共に滅びてしまう……。死んだあとで棺を金銀で飾り、林檎で埋めても、そんなことは正造の喜ぶところではない。

377-378ページ

九月四日、最後の時が静かに訪れた。夜明け前、島田宗三から看護を引き取った木下が、容態はいかがですかと尋ねると、正造は、「病気は問題ないです」と答えてから、「これからの日本の乱れっ-」と低く独白した。それから、ゆっくりと、何かを悲しんででもいるかのように、正造は、自分の生涯についての最後の感懐を述べた。

 鉱毒事件で、多年有志の人達を奔走させましたが、ただ奔走させただけで、教育ということをしなかった。教育をしなかったのではない。実は教育ということを知らなかった。この田中正造というものが、全くの無教育者でがすから。-それを、自分一人抜けて来てしまって、外の者を皆んな捨てほかして置いたでがすから、今日の場合、何ともやむをえないです。

その日の午前中、正造は、接客役の岩崎佐十を枕元に呼び寄せて、次のように言った。

 お前方、大勢来ているようだが、嬉しくも何とも思わねえ。お前方は、田中正造に同情してくれるか知らねえが、田中正造の事業に同情して来ているものは、一人もない。-行って、皆にそう言えっ。

379-380ページ

この正造の有名な言葉、原書"OX AGAINST THE STORM"では、こうなっている。

There seem to be a lot of them outside, but they 're no comfort to me. They sympathize with Shozo, but not a single one of them believes in his work. Go outside and tell them so!

 正造の名前が再び広く言及されるようになったのは、一九六〇年代後半になって、日本国民が、奇跡的な経済成長の副産物としてもたらされた大規模な公害の存在を、急速に認識するようになってからである。今日では、ラジオ、出版物、テレビなどが、「公害第一号」の「英雄」として正造を頻繁に取り上げている。
 現在、公害反対の気運は、これまで以上に高まっている。市民は、環境保護のために連帯する必要があることを日まLに痛感してきている。そして大変に優れた公害罪法も国会で制定されるに至った。とはいえ、官僚たちがなかなか腰を上げようとしなかったため、また歴史的に見て─そし て近年に至るまで疑いようもなく必然的な傾向として─市民からの突き上げがあっても、彼らがそれを無視して企業の側に与しがちであったため、従来の歯止めは、比較的弱いものとならざるを得なかった。それゆえ、問題がここまで拡大した現在においては、公害に対して何らかの措置を講じることが、これまで以上の緊急課題となっている。この田中正造の生涯についての物語は、次のような正造自身の俳句で幕を閉じるのがふさわしいかもしれない。何となれば、この言葉は、現在においても正造がこれを詠んだ時と何ら変わることなく、日本だけにとどまらず他のすべての工業国に対して、依然として当てはまるからである。

    明日は清よかるべしといふなかれ

383-384ページ

この正造の言葉、原書の英語では、こうなっている。

Say not that all

Shall be made clean

Tomorrow!

入手しやすい関連書籍の一部は下記の通り。順不同。

没後百年にちなむ重要な講演会、IWJでみることができる。

2013/08/25 人の命の大切さを訴え続けた田中正造の没後記念100年行事開催 ~第41回渡良瀬川鉱害シンポジウム「田中正造の実像を知り、今何を受け継ぐか」

岩上安身責任編集 – IWJ Independent Web Journal

夕刊訃報欄、フレデリック・ポールが2日に亡くなったとある。 熱心な読者ではない小生、1987年、"Chenrnobyl"を見かけて購入した程度。読み始めたら止められない本だった。その翻訳『チェルノブイリ』講談社文庫、再版されない不思議。体制と関係なしに、原発事故が起きた場合の、支配層のいい加減さを知るための良い参考書と思える。『チェルノブイリ』を読む限り、ソ連より、日本の支配層の方が悪質度の程度、遥かにひどい。
日本の原発村学者には、ソ連の学者レガソフはいない。

2008年10月 7日 (火)

イラク戦争を阻止しようとした内部告発者キャサリン・ガンの物語、ようやく刊行

2008/9/25

ノーマン・ソロモン

もちろん、イギリス諜報機関における仕事の邪魔にならない限り、キャサリン・ガンが良心を持つのは自由だった。当局にとって、事実上、良心は、コンピューター画面上の一画素以下のものとしか思われなくなりがちだ。しかし、あるありきたりな朝、机で電子メールをスクロールしている時、突然、彼女の良心が目覚めたのだ。それはキャサリン・ガンの人生を変え、歴史をも変えた。

この若いイギリス人女性の国籍にもかかわらず、彼女の物語は、大いにアメリカ的だ。アメリカ合州国では、これが国民からほとんど隠されたままだったがゆえに、一層そうなのだ。キャサリン・ガンが、非常に大きな個人的なリスクを覚悟して、アメリカ政府が、上位パートナーとして存在している国連における、違法なスパイ活動を明らかにした際、彼女は、米英の暗部を、白日の下では耐えられないような特別な関係を暴いたのだ。

あの当時、2003年早々、アメリカ大統領は、すぐ背後についてきてくれるイギリス首相の断固たる支援を得て、イラク侵略を開始することを早くから決断していたことは明白だった。ガンの倫理的な懸念は珍しいことではない。彼女は、他の無数のイギリス人やアメリカ人と共に、差し迫った戦争開始への強い反対の意識を持っていた。ところが、運命の単純かつ複雑なねじれのおかげで、彼女は突然、ワシントンとロンドンから、戦争に向かう政治的行進の道をふさぐ、バリケードを投げ込める、稀な立場にいる自分に気がついたのだ。だが、何よりも非凡なものは、目ざましい事実を、世界に明らかにするため、自らを大変な危険にさらそうという彼女の決断だった。

このような機会をうらやみ、原理を貫くこのような勇気に感服することはありえよう。だが、戦争への道に敷石を置くために、服従と沈黙を必要としている機関では、内部告発者が、なぜほとんど現れないかという、十分な、あるいは、少なくとも理解可能な理由があるのだ。そうした理由は、個人の安全、経済的安全性、法律的に有罪になる危険性、社会的一体性や服従という既定の立場といった事柄に関係している。これは、たとえ甚だしく、嘘という基盤に基づいていようとも、なぜ、どのようにして、人々は、好戦国家と折り合って行こうとするのかを説明する助けになろう。

あの運命的な朝、キャサリン・ガンに衝撃を与えた、アメリカ国家安全保障局から電子メールで送られてきたあのメモは、何千人もの占領軍兵士や、何十万人ものイラク国民の死を招く結果となったイラク侵略まで、二カ月もない日付のものだった。現代は誠実さなど信用できない時代だと言われているが、予告もなしに机の上に現れたメモに対するキャサリン・ガンの対応には、誠実さを疑うようなところはほんのわずかもない。慎重な無為のための底無しの理由付けに従って、それを無視する理由など山のようにあった。倫理的関与と、それに対応する行動の基盤は一つしかなかった。

NSAメモの重要性が非常に大きかったため、トニー・ブレア政府を震撼させ、いくつかの大陸で騒ぎをひき起こした。しかし、アメリカ合州国のマスコミにとって、それは些細な話題だった。ニューヨーク・タイムズにとっては、それは話題でさえなかった。

とうとう一冊の新刊書がこの話を物語ってくれた。"The Spy Who Tried to Stop a War"は、強烈なパンチが山盛りだ。個人的、政治的、そして歴史的な意味で、キャサリン・ガンが何をしたのか、イギリスとアメリカの政府がどう対応し、アメリカのマスコミが、何を報じ、また何を報じなかったかを理解することは、彼女の大胆な良心の行動の直後に、イラク侵略へと突進した、軍産マスコミ複合体についてのはっきりとした実情を把握することだ。この複合体は、マーチン・ルーサー・キングJr.が、「軍国主義の狂気」と呼んだものを、依然として推進しつづけている。

政治家たちや、広く尊敬されているジャーナリストたちが、非常に洗練されたように見える姿勢を進んで示そうとする時代にあって、キャサリン・ガンの対応は拍子抜けするくらい単純だった。外交で戦争を避けるようとするのではなく、 戦争が、ペンシルバニア・アベニュー1600番地とダウニング街10番地それぞれの最高指導者たちの優先項目リストで一番上にあるという、明らかな証拠が手に入った時に、彼女は良心を発動させた。彼女は思い出して語る。「当時私が考えつけたことといえば、彼等は侵略を必死に正当化しようとしていて、世界に対して、戦争への合意が実現できたと連中が発表できるよう、腕をねじり上げ、恐らくは代表たちを脅迫するために、この新しい諜報情報を、彼等は喜んで使うだろうことを、私が知っているということでした。」

政府の通信本部で働いていた彼女や同僚達は、後に彼女が語ったように、「国際法に違反する侵略を実現するという究極的な狙いをもった、違法行為に加わることを要求されていた。」

"The Spy Who Tried to Stop a War"の著者マルシアとトーマス・ミッチェルは、そのシナリオを以下のように説明している。「扱いにくい[国連安全保障理事会]代表たちの腕をひねって、広く受け入れられる論理的根拠を提供できる新たな決議の承認を勝ち取ろうとするもの。」キャサリン・ガンが、何が進行中なのかを発見した後、「彼女は、戦争を合法的なものにしてしまうような、必要とされていた二つ目の決議、つまり引き金機構となり得るものを破壊することで、戦争を押しとどめようとしたのだ。」

単なる非難でなく、NSAメモは、証拠になっているのだ。この事実は、なぜアメリカの諜報機関が断固として、マスコミの質問への対応に妨害工作を行ったのかを説明し、なぜアメリカのマスメディアがこの話題を著しく冷淡にあしらったのかを説明する助けにもなろう。このスクープは、アメリカのマスコミという反響室の内部で、大きく鳴り響くことはなかった。なぜなら、それが、しくまれていた主流の話題に溶け込むには、余りに鋭く、多くを物語っていたため。

表向き、歴史の第一草稿を提供するような振りをしながら、アメリカのマスコミはワシントンの崇高な戦争計画立案者たちの主張も論破できるような、極めて重要な情報は取り除いてきた。「ジャーナリストのうち余りに多くの人々が、中には非常に明確に、自分の使命は、戦争準備を支援することだと考えていると語っている」あるアメリカのマスコミ評論家がイラク侵略の準備段階時期に警告した。「もしも自分の使命をそのように定義してしまえば、結局は、重要で、正確ではあっても、戦争準備には役立たないかも知れないようなニュースを差し止めてしまうことになる。」

この話がキャサリン・ガンの漏洩によって世に流れ、イギリスの新聞の一面中に書き立てられ、ようやくアメリカのマスコミにも滴り落ちようかとする前に、ジェフ・コーヘン(私の友人かつ同僚)は、この話を語っている。彼は、プロデューサー兼、時折、生放送に出演する解説者として働いていた、フィル・ドナヒューが司会するMSNBCテレビの番組で、それを発言した。ドナヒューのゴールデン・アワーの番組が、NBC経営陣によって、侵略の三週間前に中止されたのは、偶然にも、NSAメモの暴露がイギリスで極めて大きなマスコミの話題となり、一方、アメリカ合州国では非常に入念に避けるべき話題となったのとほぼ同時期のことだった。

間もなく漏洩されたあるNBCメモが、戦争に突進するのに邪魔になるような見解や情報を遮るべく、放送局がドナヒューの番組を見捨てたのだという疑惑を裏付けた。放送局のメモには、ドナヒューの番組は「戦時において、NBCにとって厄介な番組」だと書いてあった。さらに、「彼は、反戦、反ブッシュで、政権の動機に懐疑的なゲストたちを登場させるのを楽しんでいるように思われる。」中止することで、番組が"競合する他局があらゆる機会をとらえて、戦争への旗振りをしている時に、リベラルで反戦的な話題の基地"になりかねない可能性の危険が回避された。

概して、アメリカのマスコミの編集者たちにとって、キャサリン・ガンの行動と暴露は、とりわけ、それが大問題である間、ごくわずか、あるいは全く、報道には値しなかったのだ。包括的なLexisNexisデータベースを私が調べたところでは、彼女の名がイギリスのマスコミで初めて報道されてからほぼ三カ月間の間、彼女の名に触れるアメリカのニュース記事はほとんど存在しない。

キャサリン・ガン告訴が、とうとうイギリス裁判制度遍歴の旅を終えた際に、著者たちは書いている。結審する裁判に関するアメリカ・ニュース報道の激増は、「なぜ、そもそもの始めに、NSAスパイ活動について知らされなかったのか、人々に疑問を抱かせた。」本書には、私たち自身の勇気と良心を活性化するよう鼓舞してくれるような良心と勇気の物語と、ゾッとするような好対照である、ジャーナリズムの怠慢についての記事もある。

本記事は、マルシアとトーマス・ミッチェルの新刊書"The Spy Who Tried to Stop a War: キャサリン・ガンと、イラク侵略を承認させるための秘密の策略"へのノーマン・ソロモンのまえがきを、書き換えたものである。

記事原文のurl:www.commondreams.org/view/2008/09/25

出版社による書籍情報

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もちろん、日本のマスコミでは、ほとんど報じられていない。

日本のマスコミ、アメリカの傀儡政権たる「日本政府」広報機関なので。

万が一、別の傀儡、民主党政権になろうとも、変わることはありえまい。

記事を読まれる前に、Blog暗いニュースリンクの記事「黙殺されたキャサリン・ガン事件」を参照いただきたい。

2008年10月 3日 (金)

『予期しなかった戦争- カンダハールのカナダ』書評

ジャニス・グロス・スタインおよびユージン・ラング共著

ヴァイキング・カナダ (ペンギン)、トロント、2007刊

Jim Miles

2008年9月24日、

Palestine Chronicle

アフガニスタンは、カナダにとっては、予期しなかった戦争だったのかもしれないが、アメリカ新世紀プロジェクトにまつわるアメリカの期待については十分知っていたことと、カナダ軍が卑屈にも進んでやろうとしている意欲とが結びつけば、この戦争は、起こりそうにないというより、いかにもあり得るはずのものだった。『The Unexpected War(予期しなかった戦争)』で、著者のステインとラングは、二つの主題に、終始注目している。一つ目は、イラク戦争への貢献の欠如と、ミサイル防衛への貢献の欠如を穴埋めするための、カナダ政府によるアメリカに対する妥協の程度だ。二つ目は、大国に、自分たちの力量を誇示したいばかりに、アメリカの相手方に、取り入ろうとするカナダ軍の卑屈な態度だ。

この現在の出来事に関与したすべての政治家と軍関係者が、カナダの国全体として、アメリカに対し、独立した姿勢を実現することができずにいた為に、我々がアフガニスタン戦争に巻き込まれてしまったように見える。あらゆる党派の政治家達は典型的な政治家として行動しており、情報操作を極めて受けやすく、しかも不幸なことに、カナダは、アメリカ合州国に対し、本当に独立した姿勢がとれないことが多すぎるのだ。

表向きは、アフガニスタン政府の原状回復を目指すということだが、アフガニスタンの地政学的地勢をより広く見れば、それは、石油と天然ガス資源の両方を得るためこの領土を支配し、ロシアと中国を孤立化させ、南アジアへの動きを封じ込めるというアメリカの帝国主義的戦いなのだ。これは、国会議員から、政府高官に至るまでのカナダ政府の面々が、明らかに理解してはいなかった複雑な状況なのだ。カナダが、アフガニスタンに巻き込まれてしまったのは、ある面、カナダがアメリカに従属的であることが理由であり、また、ある面では、単なる無知が理由だ。現在の保守派政府のある議員が、全議員に対して私がした多くの具申の一つに反駁しようとして、「アフガニスタンには石油はない」と語った。私はそんなことは言っていないのだが、議員たちと、おそらく他の多くの人々が知らなかったのは、イランやロシアを避けるため、アフガニスタン領土を経由して石油を輸送するという課題があったことだ。更に、アフガニスタン北端のカスピ海には、価値ある天然ガス田が多少ある。

アメリカの本音と、実際の状況と、この地域に内在する複雑な事情に対するこの無知さが、100人が戦闘で死亡するという始めての世紀を迎えようとしており、その解釈と、カナダ国内で派兵に対する国民の支持を得ようという、カナダ軍にとって膨大な問題をもたらしている。カナダ国防省の政策審議官が、「この国について、我々は何も知らない。」と言ったとして引用されている。これらは余りに真実であり、そしてこの無知が、国内における余りの政治的混乱と、アフガニスタンにおいて、カナダ軍が不必要に危険に曝される状況をもたらしたのだ。

著者は、アフガニスタンの状況について、ロシア侵略から始めて、短いかも知れないが、妥当な背景説明をしている。それは、アメリカが、その属国に対して行いがちな支援だ、という言い方もできよう。とはいえそれ以前に、ソ連を引きずり込むような一層不安定な状況を作りだす為、アフガニスタン内でCIAを活動させたことに対するブレジンスキー発言には一切触れていない。パシュトゥーン人領土を横断し、パシュトゥーン人をアフガニスタンとパキスタン二国に分けてしまっている、デュランド・ラインという名の国境線のわざとらしさが、事態進展の上での重要な要素として認識されている。惜しみないCIAの資金供与と軍事補給支援、特に、効果的なスティンガー・ミサイルなどによる、パキスタンISIに対するアメリカの支援にも触れられている。触れられていないもう一つの要素は、この地域全土にわたりムジャヒディン戦闘部隊を育てようとした、アメリカの広範な尽力だ。[1]

アメリカ(そしてつまりはカナダ)が、「安定化と再建」にだけ向き合うのだと考えていたのに対し、著者達の結論は「この判断の上で、無知と傲慢さが効果を発揮していた。」

そこから本書は、カナダの話、つまり、誰が何を誰に言ったのかという典型的な話、あるいは、何を誰に言ったかを彼等がどのように覚えているかになる。アメリカに対して「信用を維持する」というテーマが何度も繰り返される。カナダを、イラクという「困難から抜け出させる」ことには、弾道ミサイル防衛網を懸念し、カナダが「ホワイト・ハウスを離反させてしまう」ことを恐れる、軍部からの「政治家達に対する大変な圧力」があり、そしてまたもや、イラクについての決定を「穴埋めするために、何か目ざましいことを早急にすることが必要だという感覚の再燃」から…アフガニスタンは、手始めとして、道理にかなった場所のように思えた…。「ペンタゴンを感心させるような自らの行動」と、スチーブン・ハーパーのおはこの一つ「世界的に、カナダの刻印を残す」ことが、本書後半で、「ワシントンの友人たちと協同して政策を進めようとした」として、軍部がとがめられる際に、この主題は再び現れるが、「カナダの軍事的任務は、完全にではないにせよ、多くの部分が、『強迫観念』とさえいえるほどの、オタワとアメリカ合州国との関係を基本にして決定されたのだ。

こうした全てに直面すべく、カナダ政府(それぞれ、ほぼ民主党と共和党に対応する、自由党も保守党も)は、これまた政治家たち同様に、本当の状況にうといと思われる典型的に迎合的なマスコミを通して、カナダ国民に対し、かなりの情報操作を行った。アメリカ同様に、部族と村々の統治については、通常カーブル中央政府が関知するところではない地域において、西側がイメージする自由とデモクラシーを打ち立てることが目的だとしたのだ。

カナダは無知ゆえに、どこにいようと、戦闘的なイスラム教徒を打ち破る世界戦争である対テロ・グローバル戦争という、アメリカの路線にも付き従っている。著者たちは、アフガニスタンの立場を、正当に、「現地の不満で激昂した、現地の政治的目標をもった…タリバンや現地の、パシュトゥーンの土壌の息子たち」のイスラム社会として扱っているが、他にも無知な分野があるなかでも、これはほとんどのカナダ政治家が認識しそこねている部分だ。

二大政党いずれもが、カナダがアフガニスタンに派兵している責任を負っているとは言え、それは[ハーパー]政府の未来を決定する」ものとなった。彼のリーダーシップのもと、「アフガニスタンのことをほとんど知らない国会」における論議の為、国会は「悲惨なほど不十分な時間」しか与えられなかった。この表現の裏にあるのは、「ハーパーは、政治的な目的のため、投票を操作しながらも、国会に対する尊敬の欠如を示している 」という見方だ。彼はブッシュ的用語を使っている。「カナダはアフガニスタンからあわてて逃げ出すことはしない」というもので、彼の見解は「9/11に対する報復」をも含んでいた。

最後の章は、将来についての疑問であり、アフガニスタンでの今後の進め方を、カナダがどのように決断するかを問うている。本書が書かれてから、ハーパーは政治的手腕を存分に駆使して、国会を操っており、特にそもそもこれを始めた自由党に、2011年までの延長を支持させている。アフガニスタンの状況は大幅に悪化しており、イスラム教徒との戦線(以前から、そういう状況にはあったが、現在の出来事の歴史は、必ずしもブッシュが感じているようなものではない)に、ブッシュが、新たにパキスタンをも加えたことによって、状況は今後更に悪化しよう。カナダ軍とカナダ政治家の無知に加え、パキスタンの内部事情と、アフガニスタンとインドに対する外交問題という二つの屈折した問題の複雑化について、恐らくは更に無知なことが追い打ちをかける。考慮すべき後の二つの要素は、最後の項で、多くの疑問を受ける部分である、カナダのNATOとの関係、および国際法の問題だ。

ハーパーは、現在、(行われなかった)信任投票の場合を除き、四年ごとの確定日選挙(アメリカの期待に対する、もう一つのハーパーの仕掛け)をするとした法律より早く行われるカナダの選挙戦中だ。このタイミングは、彼の政府を到来する不況に備えさせるとともに、更に、アフガニスタンとパキスタンへの、過去の壊滅的政策の延長であり、危険かつ無知な軍事関与を、アメリカの両党とも強化する予定でいるのだが、新たに授権されるアメリカ政府の到来とともに、更なる海外への介入を議論しなければならなくなることを避けるためだとも言われている。アメリカ軍にへつらおうとするカナダ軍の傾向と、ハーパーの偽装した右翼的好戦性を考えれば、ハーパーが選挙に勝つようなことがあれば、アメリカと並んでカナダが戦争を継続するようになるのも驚くべきことではなかろう。

カナダの有権者に対する課題は、これを「伝統的な平和維持軍」・対・「対ゲリラ」戦士という立場(違う人々たちの用語では、あるいは侵略者または占領者)という概念ではなく、カナダ海外政策の独立・対・世界の多くの場所に死と破壊をもたらしているアメリカの海外政策への卑屈な追従、という問題として考慮すべきだということだ。

しかし、それは本書の第二巻になるのかも知れない。更なる無知、更なる西欧風の傲慢さ、アメリカの欲望に対する更なる追従によって、「予期しなかった戦争」は思ったより長びくだろう。著者達は、アメリカの利害と並んで、カナダがアフガニスタンに関与した現在の出来事の歴史をうまく描き出しており、巻頭における出来事の要約に多少些細な脱落があるとは言え、全体像は明確で、直截で、適切な疑念をはさんでいる。これから五年先に、本書の第二巻が書かれることはないのかもしれない。

[1]この地域の複雑さに関するより詳細情報は、Michael ScheuerのMarching Toward Hell - America and Islam After Iraq、Free Press、New York、2008;  およびAhmed RashidのDescent Into Chaos - The Unites States and the Failure of Nation Building in Pakistan、Afganistan、and Central Asia、Viking (Penguin)、2008を参照のこと。

ジム・マイルズはカナダの教育者で、The Palestine Chronicleの評論記事と書評の常連寄稿者/コラムニスト。マイルズの仕事は、他の非伝統的なウエブ・サイトやニュース媒体によって、世界中で発表されている。

記事原文のurl:www.politicalaffairs.net/article/articleview/7452/

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明日はわがみ。全く人ごととは思われない本、書評だ。

衆議院選挙で、アフガニスタン派兵に反対する野党が大幅に躍進しなければ、日本は周回遅れで、カナダと同じ経験をすることになる。派兵に反対する野党の中には、もちろん民主党は入らない。代表は一貫して、国連至上主義、アフガニスタンISAF派遣を主張しているのだから。

湾岸戦争に、膨大な資金を提供したのは、当時自民党の幹事長だった小沢一郎氏だ。

小沢一郎という政治家が、小選挙区制度導入を推進し、実現した。マスコミはこぞって小選挙区制度導入をあおった。その結果は、どうなっただろう。

小泉政治を、小泉911選挙を、マスコミはこぞって翼賛した。その結果は、どうなっただろう。

そして今、マスコミは政権交代を、こぞってあおっている。その結果は、火を見るよりあきらかだろう。

引退を表明した元首相、国をすっかりアメリカの為に破壊しておいて、アメリカの安保専門家、有名ジャパンハンドラーに預けた次男、日本版サアカシュビリの卵に地盤を譲るという厚かましさ。辞任した中山元国交相のセリフに習えば、「自民党など体制派政治家の子供は頭が悪くても政治家になる。自民党の強い政界はレベルが低い。自民党は日本の癌だ」ろうか。

こりずに、サアカシュビリの卵に投票する市民が多数いる、なんとも不思議な不沈空母基地属国。前回は、天木氏と、羽柴秀吉氏が立候補していた。天木氏の得票、驚くほど少なかった。

マスコミがあおる政権交代、事実は、政権交代ではなく、アメリカ従属を旨とする派閥間交代にすぎまいに。小選挙区制度導入の時から予定されていた遠大なシナリオ。小泉元首相が破壊した日本を、小沢氏が粉砕してくれる。

しかし、人は痛みを実際に感じないと懲りないものなのだろう。もちろん、悲惨な現実を見てから後悔しても遅すぎるのだが。

10/7追記 共同通信で、驚くべき記事が配信されている。

【ワシントン6日共同】米国防総省当局者は6日までに、治安が急速に悪化しているアフガニスタンの国軍増強のための費用として、米政府が少なくとも170億ドル(約1兆7000億円)の負担を日本を含む同盟諸国に要求したことを明らかにした。ロイター通信が同日伝えた。

 ロイターによると、米政府が費用負担を求めたのは、米同盟国のうち、日本やアフガンに展開する国際治安支援部隊(ISAF)に派兵していない北大西洋条約機構(NATO)加盟国など。

 モレル国防総省報道官はロイターなどに対し、アフガン国軍増強について「少なくとも170億ドルが必要。これは誰かが支払わなければならない」と指摘した上で、「アフガンに軍隊、特に戦闘部隊を派遣することに消極的な国は、財政的な貢献をするべきだ」と述べた。

 同報道官によると、米政府は既に日本に費用負担を要請済みだが、要請は福田前政権に対し行われたため、麻生政権に対してもあらためて要請する方針という。

2008/10/07 00:29   【共同通信】

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こんな大強盗のような国家と、この属国は、本当に同じ価値観を持っているのだろうか?

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2008/10/08追記 MSN産経ニュースに、【ノーベル物理学賞】風呂あがりに浮かんだ「小林・益川理論」 研究秘話というのがある。

研究が始まったのは昭和47年5月。当時、益川さんは教職員組合の書記長も務め、多忙だった。2人は益川さんの時間が空く午前中に議論し、結果を家に持ち帰って熟考。翌朝、また議論する生活を続けた。

辞任した中山元国交相のセリフとは、完全に逆ではないか?

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