あなたの心をプロパガンダで操られにくくする方法

権力者から欧米人が受けるプロパガンダは、典型的には、完全な捏造ではなく、むしろ歪曲や半分の真実や操作された強調や省略による嘘で構成されている。
ケイトリン・ジョンストン
2025年5月13日
この英語記事の朗読を聞く(朗読:ティム・フォーリー)。
ニュースを読む際に犯しうる最悪の間違いは、あることをマスメディアが、そう報じるからには、それなり理由があると思い込むことだ。イスラエル・パレスチナ問題は、一見自明に見えるにもかかわらず、複雑で、道徳的に曖昧で、明確な解決策がない問題として捉えられるのは、それなり理由があると考えてしまうのだ。あるニュースが、一見遙かに重要に見えるニュースより多く報道されるのは、もっともで正当な理由があるに違いないと人は考える。例えば、一人のイスラエル系アメリカ人人質の解放が、民間人で溢れる地域全体を意図的に飢えさせるニュースより遙かに多く報道されるのと同じだ。
現実には、なぜこのように報道されるのかという、もっともで正当な理由は存在しない。報道がこのような形で行われるのは、イスラエルと欧米諸国の情報権益にかなうからで、他に理由はない。
欧米諸国の無知の多くは、世界で起きていることを帝国主義メディアが巧みに報道することで助長される。ある問題について頻繁に報道されない、あるいは特に緊急性の高い報道がなされないから、それは自分たちが注意を払うべき、特に重要な問題でないに違いないと人々は思い込む。紛争の一方が、明らかに間違っているように描かれていなければ、それは間違っているはずがないと彼らは思い込む。
再びのホロコーストや、再びの大西洋奴隷貿易や、再びのキューバ危機を世界が経験すれば、適切な緊急度でニュースで報じられるはずだと欧米人は想定している。だが現実は決してそうではない。何か悪いことが、頻繁に、高い緊急度で起きたと欧米諸国民が知らされるのは、欧米帝国に都合が良い時だけだ。例えば、ロシアがウクライナに侵攻した時など。あの事件は長年あらゆる欧米メディアの主要ニュースになり、ロシアは明らかに邪悪な侵略者として描かれ、この侵攻を引き起こしたNATOの攻勢行為は全く触れられなかった。
「プロパガンダ」という言葉を聞くと「嘘」と同じ意味だと人は思いがちだが、それは正しくない。権力者が欧米人流布するプロパガンダは、多くの場合、完全な捏造ではなく、歪曲や半端な真実や操作された強調や省略による嘘で構成されている。
アメリカと同盟諸国が世界で行っている最悪な行為のほとんどは、欧米諸国メディアで特定時期に特定出版物で正確に報道されはするものの、短い言及の後、強調も拡大もされないままになる。記事中、帝国の犯罪行為を説明するため私が引用するハイパーリンクを見ると、大半は主流メディアの引用か主流ニュースを引用する他の独立系筆者の引用だ。野何時の違いは、そうれら自白を私が頻繁に強調するのに対し、帝国主義メディアは記事中で一度だけ触れ、その後、日々のニュースでメモリー・ホールに流してしまう点だ。
欧米諸国のプロパガンダは、報道内容の操作より、報道の仕方の操作に重点を置いている。ある出来事がどれくらいの頻度で言及されるか。虐待の加害者がどれくらいの頻度で、はっきり名前を挙げられるか。ある犯罪行為を説明する際、どんな言葉が使われるか。こうした調整は、説明されている時には取るに足らないことに思えるかも知れないが、実際全面的に実行された場合、世界情勢に対する国民認識の形成上、極めて効果的だ。
これを避ける唯一の方法は、報道頻度や強調点や論調といった歪曲要因は無視し、報道内容に注意を鋭く払い続けることだ。帝国が日々何をしているかに関し、報道されている生データのみに焦点を当て、報道方法には惑わされないようにしなければならない。帝国の犯罪行為に関する重要情報に遭遇したら、それをしっかり握りしめ、自分にとっての重要性を心に留めておく必要がある。帝国報道機関は、決してあなたにそれを想起させようとしないためだ。来週、彼らは、まるで何もなかったかのように振る舞う。
現実とマスメディアによる世界情勢報道の乖離の大きさに気づき始めると、奇妙なことに気がつく。時折、実際重要な出来事も取り上げるが、内容に正確なバランスはない。友人とレストランにいると、ウェイターの制服が燃えたのに、友人が「あ、あの人、燃えてるよ」と何気なく言っただけで、その後食事の話に戻り、その間、部屋の反対側でウェイターが焼死してしまう状況のようだ。全く現実離れした光景だ。
だから、真実に基づく世界観を維持するために最も重要なことの一つは、視界に入る情報の重要性に対する自分の理解を完全に制御することだ。情報の重要性を他人が教えてくれるとは期待できない。社会で最も増幅され影響力ある意見は全て重要性に対するあなたの理解を操作しようとしており、あなたが接する大半の一般人も多かれ少なかれそうした意見に操られているためだ。公式政治言説は圧倒的にこうした歪曲に支配されている。
情報の緊急性や重要性は自分で判断しなければならない。帝国の工作装置に情報がごちゃ混ぜにされる前に、自分の足で立ち、帝国のスピン装置にごちゃごちゃにされる前に、新鮮な目で生データを見ることで、あなたの心は、ずっと、帝国の意志で曲げられにくくなるはずだ。
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