ジェフリー・サックス:狂王ドナルドのイラン戦争を止めよう
2026年9月25日
ジェフリー・D・サックス
Common Dream
親愛なる国会議員の皆様
国連で世界の指導者たちに対し、ドナルド・トランプはまさに常軌を逸した発言をし、「イランと交渉して合意に至るか、それとも『イスラム共和国を滅ぼし』、イランを『生き残る見込みのない地獄に突き落とす』か重大な決断を迫られている」と述べました。
彼はそれを個人的な選択だと主張しました。アメリカ国民がトランプの戦争に断固反対している事実は何の意味も持ちません。そして有権者に関し、彼の行動やイランの運命を決める上で、来る中間選挙は「全く考慮に入れていない」と付け加えました。
国連総会の演壇から発せられた、国連加盟国を壊滅させるという大統領の脅迫は、トランプを世界の前で辱めました。
この大統領を縛るものは何もありません。法律にも、憲法にも、国連憲章にも、国内外の世論にも縛られません。年初に権力に制限はあるのかと問われた際、彼は「ああ、一つだけある。私自身の道徳観、私自身の精神だ。私を止められるのはそれだけだ」と答えました。
[参照: トランプの非道な国連演説]
トランプは演説冒頭で独立宣言250周年を記念し、アメリカの自由を称賛しました。しかし実際は、トランプの権威主義は、植民地が反乱を起こしたジョージ3世の権威主義を遙かに凌駕しています。
建国の父たちが狂王ジョージを非難した理由の一つに「彼は軍を文民権力から独立させ、文民権力よりも優位に立たせようとした」というものがありました。しかし、我々の狂王は、文明全体の存続が自分一人の手に委ねられていると決めつけているのです。
トランプが議会に対する軽蔑を強めているのは共和党議員たちが憲法上の責任を放棄し、自国大統領を恐れ、AIPACや軍産複合体からの選挙資金ゆえ有権者を裏切っためです。

1788年のイギリス国王、ジョージ3世(通称「狂王」)。(米国国立公文書館/ウィキメディア・コモンズ、パブリックドメイン)
アメリカ合衆国憲法は、議会の責任について明確に規定しています。第1条第8項は、宣戦布告の権限を大統領ではなく議会にのみ与えています。これは選択肢でもなければ、オプションでもない。憲法は、議会が沈黙して大統領に宣戦布告を任せられるとは述べていません。
建国者たちは意図的にこの選択をしました。なぜなら、彼らは国王が国家を戦争に導く権限を明確に否定していたからです。
連邦党文書第69号で、アレクサンダー・ハミルトンは、大統領の戦争権限はイギリス国王の権限よりも遙かに小さいと国民に保証しました。ジェームズ・マディソンは1798年にトーマス・ジェファーソンに宛てた手紙の中で、この原則を明確に述べています。
対イラン戦争はトランプの愚行ですが、それを阻止できなかった議会の恥辱でもあります。
これは目的のない戦争で、イランに甚大な苦しみをもたらし、数百億ドルもの直接支出を招き、中東8カ国の米軍基地に途方もない損害を与えました。
ホルムズ海峡封鎖により、石油、ガス、肥料などの世界とアメリカの価格は急騰しました。そして、イラン国民と地域住民にとって大きな犠牲を伴うとはいえ、イランがアメリカの侵略に対して自力で対抗できることを世界は十分認識しています。
アメリカが誇るAI戦場は最も恐ろしい形でその実態を露呈しました。開戦初日、アメリカのミサイルが現地の小学校を直撃し、150人以上の人が亡くなりました。犠牲者のほとんどは7歳から12歳の少女でした。軍自身の調査によると、人工知能への過度な依存が標的選定の一因となったとされています。
トランプは「イランか他の誰か」を非難しましたが、7か月経った今も政権は調査結果も謝罪も遺族への補償も何も示していません。
国連総会の演壇から発せられた、国連加盟国を滅ぼすという大統領の恫喝は、世界の面前でトランプを辱めました。またこれは他国に対する武力による威嚇さえも禁じる国連憲章第2条第4項にも違反しています。世界のほぼ全てが驚愕しています。
私があなた方に手紙を書いているのは、トランプの無謀な行動をただ黙って見過ごすわけにはいかないからです。あなた方には果たすべき仕事があります。臆病な共和党は、トランプに「いや、あなたにはイランを破壊する力はない。対イラン戦争は我々次第で、我々はあなたを支持しない。そして、我々国民はこの戦争の終結を望んでいる」と伝えるだけの最低限の勇気を持たなければなりません。
アメリカ国民の大多数がこの戦争に反対しており、世論調査でも反対意見が拡大していることが示されています。少数の共和党員も勇気を示し、先週も3人の共和党員が党の方針に反して終戦を支持しました。他の共和党員も彼らに続くべきです。
皆様の多くは戦争に深く関与している軍事請負業者やハイテク企業から選挙資金を受けています。また、ベンヤミン・ネタニヤフ首相が開戦に大きく貢献した戦争を擁護するAIPAC(アメリカ・イスラエル公共問題委員会)からも資金を受け取っている方が多くいます。これは憲法上の義務の怠慢で宣誓違反であるため直ちに止めなければなりません。
議会は財政権を握っています。会計年度は9月30日に終了します。国防総省の予算を定める全ての法案は無許可の対イラン攻撃作戦への資金提供を禁止する機会になります。
アメリカにとって正しい道は単純明快です。議会は資金援助を打ち切り、アメリカはこれ以上の攻撃を止め、撤退すべきです。我々が始めた戦争を止めるためには、イランであれ他の誰であれ、いかなる合意も必要ありません。
戦争を終結させることで、世界のエネルギー市場、食糧供給やアメリカ人や世界中の人々が直面する価格に、直ちに一定の安定と安全がもたらされるでしょう。
1963年9月20日、ジョン・F・ケネディがソ連との部分的核実験禁止条約を締結した後、国連の同じ演壇に立った輝かしい瞬間からアメリカはいかに衰退してしまったことでしょう。
彼は集まった指導者たちに条約について語りました。
敬具
ジェフリー・D・サックス
コロンビア大学教授
ジェフリー・D・サックスはコロンビア大学教授で、同大学のCenter for Sustainable Development(持続可能な開発センター)所長を務めている。2002年から2016年まで、同大学の地球研究所の所長も務めた。また、国連持続可能な開発ソリューション・ネットワークの会長、国連ブロードバンド開発委員会の委員でもある。これまでに3人の国連事務総長の顧問を務め、現在はアントニオ・グテーレス事務総長の下でSDGs推進担当官を務めている。サックス教授の最新著書は『A New Foreign Policy: Beyond American Exceptionalism』(2020年)。他の著書には『Building the New American Economy: Smart, Fair, and Sustainable』(2017年)や潘基文との共著『The Age of Sustainable Development』(2015年)などがある。
記事原文:https://scheerpost.com/2026/09/25/jeffrey-sachs-stop-mad-king-donalds-iran-war/
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植草一秀の『知られざる真実』
ジェフリー・D・サックス
Common Dream
親愛なる国会議員の皆様
国連で世界の指導者たちに対し、ドナルド・トランプはまさに常軌を逸した発言をし、「イランと交渉して合意に至るか、それとも『イスラム共和国を滅ぼし』、イランを『生き残る見込みのない地獄に突き落とす』か重大な決断を迫られている」と述べました。
彼はそれを個人的な選択だと主張しました。アメリカ国民がトランプの戦争に断固反対している事実は何の意味も持ちません。そして有権者に関し、彼の行動やイランの運命を決める上で、来る中間選挙は「全く考慮に入れていない」と付け加えました。
国連総会の演壇から発せられた、国連加盟国を壊滅させるという大統領の脅迫は、トランプを世界の前で辱めました。
この大統領を縛るものは何もありません。法律にも、憲法にも、国連憲章にも、国内外の世論にも縛られません。年初に権力に制限はあるのかと問われた際、彼は「ああ、一つだけある。私自身の道徳観、私自身の精神だ。私を止められるのはそれだけだ」と答えました。
[参照: トランプの非道な国連演説]
トランプは演説冒頭で独立宣言250周年を記念し、アメリカの自由を称賛しました。しかし実際は、トランプの権威主義は、植民地が反乱を起こしたジョージ3世の権威主義を遙かに凌駕しています。
建国の父たちが狂王ジョージを非難した理由の一つに「彼は軍を文民権力から独立させ、文民権力よりも優位に立たせようとした」というものがありました。しかし、我々の狂王は、文明全体の存続が自分一人の手に委ねられていると決めつけているのです。
トランプが議会に対する軽蔑を強めているのは共和党議員たちが憲法上の責任を放棄し、自国大統領を恐れ、AIPACや軍産複合体からの選挙資金ゆえ有権者を裏切っためです。

1788年のイギリス国王、ジョージ3世(通称「狂王」)。(米国国立公文書館/ウィキメディア・コモンズ、パブリックドメイン)
アメリカ合衆国憲法は、議会の責任について明確に規定しています。第1条第8項は、宣戦布告の権限を大統領ではなく議会にのみ与えています。これは選択肢でもなければ、オプションでもない。憲法は、議会が沈黙して大統領に宣戦布告を任せられるとは述べていません。
建国者たちは意図的にこの選択をしました。なぜなら、彼らは国王が国家を戦争に導く権限を明確に否定していたからです。
連邦党文書第69号で、アレクサンダー・ハミルトンは、大統領の戦争権限はイギリス国王の権限よりも遙かに小さいと国民に保証しました。ジェームズ・マディソンは1798年にトーマス・ジェファーソンに宛てた手紙の中で、この原則を明確に述べています。
「憲法は、あらゆる政府の歴史が示す通り、大統領こそ戦争に最も関心を持ち、最も戦争を起こしやすい権力機関だと想定しています。従って、憲法は周到な検討を経て、戦争に関する権限を立法府に委ねたのです。」建国の父たちが慎重に設計した制度は、共和党議員がトランプ大統領と軍産複合体(ハイテク産業と共和党の複合企業)に憲法違反の形で従属したために覆されてしまいました。そして、確かに、民主党大統領の下でも、ほとんどの民主党議員は、大統領が戦争に踏み切った際に見て見ぬふりをしています。
対イラン戦争はトランプの愚行ですが、それを阻止できなかった議会の恥辱でもあります。
これは目的のない戦争で、イランに甚大な苦しみをもたらし、数百億ドルもの直接支出を招き、中東8カ国の米軍基地に途方もない損害を与えました。
ホルムズ海峡封鎖により、石油、ガス、肥料などの世界とアメリカの価格は急騰しました。そして、イラン国民と地域住民にとって大きな犠牲を伴うとはいえ、イランがアメリカの侵略に対して自力で対抗できることを世界は十分認識しています。
アメリカが誇るAI戦場は最も恐ろしい形でその実態を露呈しました。開戦初日、アメリカのミサイルが現地の小学校を直撃し、150人以上の人が亡くなりました。犠牲者のほとんどは7歳から12歳の少女でした。軍自身の調査によると、人工知能への過度な依存が標的選定の一因となったとされています。
トランプは「イランか他の誰か」を非難しましたが、7か月経った今も政権は調査結果も謝罪も遺族への補償も何も示していません。
国連総会の演壇から発せられた、国連加盟国を滅ぼすという大統領の恫喝は、世界の面前でトランプを辱めました。またこれは他国に対する武力による威嚇さえも禁じる国連憲章第2条第4項にも違反しています。世界のほぼ全てが驚愕しています。
私があなた方に手紙を書いているのは、トランプの無謀な行動をただ黙って見過ごすわけにはいかないからです。あなた方には果たすべき仕事があります。臆病な共和党は、トランプに「いや、あなたにはイランを破壊する力はない。対イラン戦争は我々次第で、我々はあなたを支持しない。そして、我々国民はこの戦争の終結を望んでいる」と伝えるだけの最低限の勇気を持たなければなりません。
アメリカ国民の大多数がこの戦争に反対しており、世論調査でも反対意見が拡大していることが示されています。少数の共和党員も勇気を示し、先週も3人の共和党員が党の方針に反して終戦を支持しました。他の共和党員も彼らに続くべきです。
皆様の多くは戦争に深く関与している軍事請負業者やハイテク企業から選挙資金を受けています。また、ベンヤミン・ネタニヤフ首相が開戦に大きく貢献した戦争を擁護するAIPAC(アメリカ・イスラエル公共問題委員会)からも資金を受け取っている方が多くいます。これは憲法上の義務の怠慢で宣誓違反であるため直ちに止めなければなりません。
議会は財政権を握っています。会計年度は9月30日に終了します。国防総省の予算を定める全ての法案は無許可の対イラン攻撃作戦への資金提供を禁止する機会になります。
アメリカにとって正しい道は単純明快です。議会は資金援助を打ち切り、アメリカはこれ以上の攻撃を止め、撤退すべきです。我々が始めた戦争を止めるためには、イランであれ他の誰であれ、いかなる合意も必要ありません。
戦争を終結させることで、世界のエネルギー市場、食糧供給やアメリカ人や世界中の人々が直面する価格に、直ちに一定の安定と安全がもたらされるでしょう。
1963年9月20日、ジョン・F・ケネディがソ連との部分的核実験禁止条約を締結した後、国連の同じ演壇に立った輝かしい瞬間からアメリカはいかに衰退してしまったことでしょう。
彼は集まった指導者たちに条約について語りました。
「アルキメデスが「てこ」の原理を説明する際、友人たちにこう言ったと伝えられています。『私が立てる場所を与えてくれれば世界を動かしてみせる』と。この地球に住む同胞の皆さん、この国際会議の場で、私たちも立ち上がりましょう。そして、私たち自身の時代に、世界を正義と永続的な平和へと導けるかどうか見てみましょう。」国会議員の皆様、我が国の名誉と憲法を守るため、この戦争を止め、トランプによる厚かましく破壊的で憲法違反の権力掌握を阻止する義務を果たさなければなりません。
敬具
ジェフリー・D・サックス
コロンビア大学教授
ジェフリー・D・サックスはコロンビア大学教授で、同大学のCenter for Sustainable Development(持続可能な開発センター)所長を務めている。2002年から2016年まで、同大学の地球研究所の所長も務めた。また、国連持続可能な開発ソリューション・ネットワークの会長、国連ブロードバンド開発委員会の委員でもある。これまでに3人の国連事務総長の顧問を務め、現在はアントニオ・グテーレス事務総長の下でSDGs推進担当官を務めている。サックス教授の最新著書は『A New Foreign Policy: Beyond American Exceptionalism』(2020年)。他の著書には『Building the New American Economy: Smart, Fair, and Sustainable』(2017年)や潘基文との共著『The Age of Sustainable Development』(2015年)などがある。
記事原文:https://scheerpost.com/2026/09/25/jeffrey-sachs-stop-mad-king-donalds-iran-war/
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植草一秀の『知られざる真実』
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