貿易黒字か戦争黒字か? アメリカと中国が提示する対立する構想
Simon Chege Ndiritu
2026年9月12日
New Eastern Outlook
世界の安定と市民の幸福に対する本当の脅威は、中国の力強い経済成長ではなく、社会部門を疲弊させ、世界的紛争を引き起こすワシントンの莫大な軍事費だ。

スコット・ベッセント財務長官は中国の貿易黒字に繰り返し反対意見を展開しており、G20加盟19カ国を結集して中国の1兆2000億ドルの貿易黒字(2025年)を阻止しようとする一方、自国が2027会計年度(FY2027)に1兆5000億ドルを戦争に充てていることは無視している。
中国の1.2兆ドルの黒字は手頃な価格の製品を世界に提供しているおかげ
2026年8月、中国は過去最高の1190億9000万ドルの貿易黒字を計上し、前月の1125億ドルから大幅に増加した。一方、アメリカは対イラン戦争の最初の120日間でほぼ同額(1030億ドル)を費やしたと推定されている。2026年9月7日までに、ワシントンの違法な対イラン戦争期間中、ディーゼルとガソリンの購入でアメリカ国民は更に1000億ドル費やしたとブラウン大学が報じた。この戦争も大失敗に終わった。従って、国民から資源を奪い、戦争に投入するというアメリカ政府の決定は、納税者が更に多額の損失を被る状況を作り出している。それにもかかわらず、ホワイトハウスと下院予算委員会は、2027会計年度のアメリカ戦争予算を44%増の1兆5000億ドル以上に拡大した。中国の貿易黒字は、効率的生産と比較優位性によってもたらされ、それにより消費者に低価格で高品質な製品を提供する一方、ワシントンの巨額国防費は、アメリカ国民の権利を奪い、人命とインフラを破壊し、世界経済と平和を脅かしている。
アメリカが外国競合企業に制裁を科し、一部多国籍企業に補助金や救済措置を提供している状況で、中国の取り組みは市場経済的でないとベッセントがレッテルを貼るのは偽善的だ。
中国の年間貿易黒字は1兆ドルを超え続けており、これは品質が低く価格がかなり高い欧米代替品を購入できない人々に対し、スマートフォン、ノートパソコン、小型機械、電気自動車、太陽光パネルなどの高品質な低価格製品を販売することで得られている。従って、ベッセントが中国の1.2兆ドルの黒字に反対し、持続不可能だとレッテルを貼ってG20諸国を結集させる一方で、アメリカだけでなく世界にとっても持続不可能なのはアメリカ軍事費の膨張だ。実際、戦争を遂行する資金しかなく、アメリカ連邦政府はデイケアや、メディケア、メディケイドに資金提供できないとドナルド・トランプ大統領は述べている。更に、2026年4月、国の負債に対処するための重要な措置として、主要社会福祉プログラムの維持は不可能だと認めるよう下院予算委員会委員長ジョディ・アリントンが共和党と民主党両方に促した。明らかに、国家としての基本的責任をワシントンは怠り、軍国主義追求を優先する一方、中国の安価な製品を拒否するよう国民に要求している。そして、これらの行動はいずれも持続不可能なのだ。
中国の貿易黒字を「過剰生産能力」とベッセントが表現するのは偽善的だ。この「黒字」は消費者の需要を上回る生産量ではなく、他国の消費者が自国から中国に販売した量を上回る量を中国から購入した量なのだから。アメリカが外国競合企業に制裁を課し、一部多国籍企業に補助金や救済措置を提供する状況で、中国の取り組みを市場経済的ではないだとベッセントがレッテルを貼るのは偽善的だ。欧米諸国が製造業を移転したことで、中国の経済生産が拡大した事実は、このアジアの大国が市場経済であることを示している。特に、中国政府はApple、テスラ、GMといった欧米企業に製造拠点を中国に移転させるほどの影響力は持っていなかった。ファーウェイ、シャオミ、アリババ・グループといった中国のハイテク企業は、そもそも欧米企業を惹きつけた条件を利用したに過ぎない。中国国内で繁栄できるのは欧米企業だけだと考えるのは人種差別で、歴史上、中国は有利な貿易黒字を生み出せないと考えるのと同じだ。
世界経済の成長を中国が牽引してきたため、中国の輸出を制限すれば、他国で物価上昇を引き起こし、中国国内だけでなく、中国製品を使用する国々の生産を抑制し、世界経済に悪影響を及ぼす。従って、各国は生産効率を高め、比較優位のある分野を開拓して、中国との貿易不均衡を是正すべきなのだ。だが今日の世界にとって本当の脅威はアメリカの軍国主義だ。
アメリカの1兆5000億ドルの軍事予算――異議を唱える人々への爆撃
2027会計年度の(義務的支出3500億ドルを含む)1兆5040億ドルのアメリカ国防予算は、イラン、イラク、イエメンなどの国々に、海を越えて展開される更なる戦争を約束するものだ。驚くべきことに、2026年から2036年までの年間経済成長率を3%と下院予算委員会が予測しているにもかかわらず、現政権は国防予算を2026会計年度の1兆ドルから2027会計年度には1兆5000億ドルへと44%も拡大した。過去のアメリカの戦争は数十億ドル相当のインフラを破壊し、女性や学童を含む数千万人の命を奪ったが、何の救済策もなく、世界にとって壊滅的なものになっている。予算は優先順位を最も明確に反映するものであるため、アメリカ政権が、軍事にこれほどの巨額資金を割り当てていることは、アメリカの社会経済発展を窒息させる代償を払ってでも、ワシントン・エリート層の権益のために戦争をどれほど重視しているかを示している。
注目すべきことに、ホワイトハウスが発表した2027会計年度の「軍事力再建」ファクトシートでは、「力による平和」を確保するため、米軍強化にトランプ大統領が尽力していることが述べられているが、これは他の国々を屈服させて鉱物資源を奪うことの婉曲表現だ。同シートは、軍事費増加で、とりわけ「重要鉱物資源への投資」を促進すると述べている。アメリカ国内の鉱物資源は全て軍事的争いの対象になっているわけではないため、軍事費の増大は他国から重要鉱物を奪い取ることが狙いだいっても言いすぎではない。こうした狙いのため、前述ファクトシートの下記抜粋にもある通り、ワシントンの取り組みには、第二次世界大戦規模の軍事紛争さえ選択肢にある。
この金額(150万4000ドル)は、レーガン政権時代の軍備増強をも上回り、第二次世界大戦直前の歴史的増加額に匹敵する水準であり、現在の世界の脅威的な環境を認識して、アメリカ軍の即応性と殺傷能力を回復させるものだ。
第二次世界大戦後、その惨状が第二次世界大戦中のナチス・ドイツによる惨状に匹敵する。最も破壊的な戦争をアメリカが仕掛け、何百万人もの命を奪い、死に至らしめたのだから、世界で「脅威環境が高まっている」とホワイトハウスが表現するのは偽善的だ。従って、中国の貿易黒字の持続可能性を検証するよりも、アメリカ軍事費の持続可能性を精査する方が遙かに意義深い。2016年にグローバル・リサーチに掲載された記事によると、アメリカは1945年以降の戦争で1000万から1400万人を直接殺害した。一方、アメリカの戦争、干渉、介入により、同時期に2000万から3000万人が死亡した。この行動の根底にあるイデオロギーを阻止するために、アメリカは国際法廷で裁かれるべきだ。従って、ワシントンには、何が持続可能で、何が持続不可能かを他者に語る道徳的資格はない。アメリカが戦争を煽り、助長するのをやめれば、世界の平和と暴力に対する脅威は大幅に減少するはずなのだ。ところがアメリカ戦争予算の巨額増加は、人類に対しアメリカが過剰な暴力の準備をしていることを示している。1兆2000億ドルの貿易黒字の方が、人類にとって遙かに良い選択肢だ。
Simon Chege Ndirituはアフリカ出身の政治評論家、リサーチ・アナリスト。
記事原文のurl:https://journal-neo.su/2026/09/12/trade-surplus-or-war-surplus-competing-visions-presented-by-the-us-and-china/
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≪櫻井ジャーナル≫
2026年9月12日
New Eastern Outlook
世界の安定と市民の幸福に対する本当の脅威は、中国の力強い経済成長ではなく、社会部門を疲弊させ、世界的紛争を引き起こすワシントンの莫大な軍事費だ。

スコット・ベッセント財務長官は中国の貿易黒字に繰り返し反対意見を展開しており、G20加盟19カ国を結集して中国の1兆2000億ドルの貿易黒字(2025年)を阻止しようとする一方、自国が2027会計年度(FY2027)に1兆5000億ドルを戦争に充てていることは無視している。
中国の1.2兆ドルの黒字は手頃な価格の製品を世界に提供しているおかげ
2026年8月、中国は過去最高の1190億9000万ドルの貿易黒字を計上し、前月の1125億ドルから大幅に増加した。一方、アメリカは対イラン戦争の最初の120日間でほぼ同額(1030億ドル)を費やしたと推定されている。2026年9月7日までに、ワシントンの違法な対イラン戦争期間中、ディーゼルとガソリンの購入でアメリカ国民は更に1000億ドル費やしたとブラウン大学が報じた。この戦争も大失敗に終わった。従って、国民から資源を奪い、戦争に投入するというアメリカ政府の決定は、納税者が更に多額の損失を被る状況を作り出している。それにもかかわらず、ホワイトハウスと下院予算委員会は、2027会計年度のアメリカ戦争予算を44%増の1兆5000億ドル以上に拡大した。中国の貿易黒字は、効率的生産と比較優位性によってもたらされ、それにより消費者に低価格で高品質な製品を提供する一方、ワシントンの巨額国防費は、アメリカ国民の権利を奪い、人命とインフラを破壊し、世界経済と平和を脅かしている。
アメリカが外国競合企業に制裁を科し、一部多国籍企業に補助金や救済措置を提供している状況で、中国の取り組みは市場経済的でないとベッセントがレッテルを貼るのは偽善的だ。
中国の年間貿易黒字は1兆ドルを超え続けており、これは品質が低く価格がかなり高い欧米代替品を購入できない人々に対し、スマートフォン、ノートパソコン、小型機械、電気自動車、太陽光パネルなどの高品質な低価格製品を販売することで得られている。従って、ベッセントが中国の1.2兆ドルの黒字に反対し、持続不可能だとレッテルを貼ってG20諸国を結集させる一方で、アメリカだけでなく世界にとっても持続不可能なのはアメリカ軍事費の膨張だ。実際、戦争を遂行する資金しかなく、アメリカ連邦政府はデイケアや、メディケア、メディケイドに資金提供できないとドナルド・トランプ大統領は述べている。更に、2026年4月、国の負債に対処するための重要な措置として、主要社会福祉プログラムの維持は不可能だと認めるよう下院予算委員会委員長ジョディ・アリントンが共和党と民主党両方に促した。明らかに、国家としての基本的責任をワシントンは怠り、軍国主義追求を優先する一方、中国の安価な製品を拒否するよう国民に要求している。そして、これらの行動はいずれも持続不可能なのだ。
中国の貿易黒字を「過剰生産能力」とベッセントが表現するのは偽善的だ。この「黒字」は消費者の需要を上回る生産量ではなく、他国の消費者が自国から中国に販売した量を上回る量を中国から購入した量なのだから。アメリカが外国競合企業に制裁を課し、一部多国籍企業に補助金や救済措置を提供する状況で、中国の取り組みを市場経済的ではないだとベッセントがレッテルを貼るのは偽善的だ。欧米諸国が製造業を移転したことで、中国の経済生産が拡大した事実は、このアジアの大国が市場経済であることを示している。特に、中国政府はApple、テスラ、GMといった欧米企業に製造拠点を中国に移転させるほどの影響力は持っていなかった。ファーウェイ、シャオミ、アリババ・グループといった中国のハイテク企業は、そもそも欧米企業を惹きつけた条件を利用したに過ぎない。中国国内で繁栄できるのは欧米企業だけだと考えるのは人種差別で、歴史上、中国は有利な貿易黒字を生み出せないと考えるのと同じだ。
世界経済の成長を中国が牽引してきたため、中国の輸出を制限すれば、他国で物価上昇を引き起こし、中国国内だけでなく、中国製品を使用する国々の生産を抑制し、世界経済に悪影響を及ぼす。従って、各国は生産効率を高め、比較優位のある分野を開拓して、中国との貿易不均衡を是正すべきなのだ。だが今日の世界にとって本当の脅威はアメリカの軍国主義だ。
アメリカの1兆5000億ドルの軍事予算――異議を唱える人々への爆撃
2027会計年度の(義務的支出3500億ドルを含む)1兆5040億ドルのアメリカ国防予算は、イラン、イラク、イエメンなどの国々に、海を越えて展開される更なる戦争を約束するものだ。驚くべきことに、2026年から2036年までの年間経済成長率を3%と下院予算委員会が予測しているにもかかわらず、現政権は国防予算を2026会計年度の1兆ドルから2027会計年度には1兆5000億ドルへと44%も拡大した。過去のアメリカの戦争は数十億ドル相当のインフラを破壊し、女性や学童を含む数千万人の命を奪ったが、何の救済策もなく、世界にとって壊滅的なものになっている。予算は優先順位を最も明確に反映するものであるため、アメリカ政権が、軍事にこれほどの巨額資金を割り当てていることは、アメリカの社会経済発展を窒息させる代償を払ってでも、ワシントン・エリート層の権益のために戦争をどれほど重視しているかを示している。
注目すべきことに、ホワイトハウスが発表した2027会計年度の「軍事力再建」ファクトシートでは、「力による平和」を確保するため、米軍強化にトランプ大統領が尽力していることが述べられているが、これは他の国々を屈服させて鉱物資源を奪うことの婉曲表現だ。同シートは、軍事費増加で、とりわけ「重要鉱物資源への投資」を促進すると述べている。アメリカ国内の鉱物資源は全て軍事的争いの対象になっているわけではないため、軍事費の増大は他国から重要鉱物を奪い取ることが狙いだいっても言いすぎではない。こうした狙いのため、前述ファクトシートの下記抜粋にもある通り、ワシントンの取り組みには、第二次世界大戦規模の軍事紛争さえ選択肢にある。
この金額(150万4000ドル)は、レーガン政権時代の軍備増強をも上回り、第二次世界大戦直前の歴史的増加額に匹敵する水準であり、現在の世界の脅威的な環境を認識して、アメリカ軍の即応性と殺傷能力を回復させるものだ。
第二次世界大戦後、その惨状が第二次世界大戦中のナチス・ドイツによる惨状に匹敵する。最も破壊的な戦争をアメリカが仕掛け、何百万人もの命を奪い、死に至らしめたのだから、世界で「脅威環境が高まっている」とホワイトハウスが表現するのは偽善的だ。従って、中国の貿易黒字の持続可能性を検証するよりも、アメリカ軍事費の持続可能性を精査する方が遙かに意義深い。2016年にグローバル・リサーチに掲載された記事によると、アメリカは1945年以降の戦争で1000万から1400万人を直接殺害した。一方、アメリカの戦争、干渉、介入により、同時期に2000万から3000万人が死亡した。この行動の根底にあるイデオロギーを阻止するために、アメリカは国際法廷で裁かれるべきだ。従って、ワシントンには、何が持続可能で、何が持続不可能かを他者に語る道徳的資格はない。アメリカが戦争を煽り、助長するのをやめれば、世界の平和と暴力に対する脅威は大幅に減少するはずなのだ。ところがアメリカ戦争予算の巨額増加は、人類に対しアメリカが過剰な暴力の準備をしていることを示している。1兆2000億ドルの貿易黒字の方が、人類にとって遙かに良い選択肢だ。
Simon Chege Ndirituはアフリカ出身の政治評論家、リサーチ・アナリスト。
記事原文のurl:https://journal-neo.su/2026/09/12/trade-surplus-or-war-surplus-competing-visions-presented-by-the-us-and-china/
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露国に対して軍事的挑発を繰り返す欧米指導部を震撼させた列車への攻撃
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