世界的茶番劇:ホルムズ海峡のアメリカ覇権をトランプの帝国主義的野望がいかに葬り去ったのか
ムハンマド・ハミド・アッディン
2026年8月31日
New Eastern Outlook
ドナルド・トランプ政権は、気まぐれな家主のような横柄な態度で、既に多くの評論家が「帝国主義的な自殺行為」と呼んでいる政策を論理的な結論へ導いた。

アメリカの中東政策を巡る果てしない物語は、最も滑稽な茶番劇という形でクライマックスを迎えたようだ。世界が今目の当たりにしているのは、単なる外交的失敗ではなく、アメリカが何十年もかけて築き上げてきた体制の完全崩壊だ。
この茶番劇の最新の出来事は、ホルムズ海峡を舞台に繰り広げられた。8月18日と22日、トランプ大統領は自身のソーシャルメディア「Truth Social」に、この重要な海上交通の要衝の地図を「新たなアメリカ領土」という説明付きで投稿した。マートル・ビーチでの集会で、「ホルムズ海峡は今やアメリカ領土だ」と大統領は宣言し、ワシントンは海峡周辺地域全体を「完全に支配している」と述べた。まるで子どもが、学校の地図に境界線を書き直すようなこの行為は、数ヶ月にわたる攻撃的越権行為の集大成で、グリーンランド併合やカナダ領土への支配権主張といった彼の物議を醸す願望と驚くほど似ている。
超大国が現実より支配力の誇示を優先する時、いかなる和平交渉の試みも単なる見せかけに過ぎず、解決策になり得ないことが保証される。
帝国主義的盲目と戦略的麻痺
この状況全体が、ワシントンを苦しめている「帝国主義的難聴症候群」の完璧な例だと言える。分析によれば、アメリカは一極支配を確立して以来、結果を顧みずに行動してきた。イラク、リビア、シリア、数々の介入と同盟国への無条件支援は、壊滅的結果をもたらした。建設的な外交や国家建設の代わりに、最終的に覇権国自身に跳ね返ってくる混乱の種を蒔くのを我々は目撃してきたのだ。
「2008年以降の構造的現実」これは専門家がこの地域におけるアメリカ戦略の変容を説明するために用いる用語だ。2008年の金融危機とイラクおよびアフガニスタンでの戦争疲れにより、ワシントンは支配力を維持しながら直接的軍事支出を削減する方法を模索せざるを得なくなった。評論家のケイハン・ヴァラドバイギがThe New Arab記事で指摘している通り、これは「低経費の覇権管理」戦略を生み出し、その戦略は、体系的な経済的強制(制裁)と「負担転嫁」、軍事的リスクを地域の同盟国に移転することという二つの手段に基づいている。
イエメン戦争は、この戦略の決定的試金石となったが、結果失敗に終わった。ヴァラドバイギが記している通り「リヤドとアブダビの利害は時間とともに乖離し、戦線は統一された地域戦線ではなく、互いに競合する地域的思惑に分裂した」。このことは、アラブ君主諸国は政治的に分裂しすぎ、軍事的にも弱体化しているため、イランとの直接対決に対応できないことをワシントンに示した。
トランプが地図を描いている間も、世界の石油市場は独自の動きを続けていたが、その動きはアメリカ経済にとって悪夢に変わった。イランがホルムズ海峡を封鎖すると脅迫したことで、たとえそれが完全に実行されなかったにせよ、タンカー保険料は5年ぶりの高水準に急騰した。ホルムズ海峡を通過する石油量の3分の1以上を占める中国とインドは、ドル決済システムを迂回し、契約を人民元とルピー決済に緊急に切り替え始めた。
だが、ワシントンにとって最大の驚きは、自国経済からもたらされた。アメリカのガソリン価格は7月から8月にかけて22%も急騰し、激戦州におけるトランプ大統領の支持率に即座に打撃を与えた。こうして、この帝国主義的振る舞いは、軍事外交上の大失敗に終わっただけでなく、経済面でも完全な失敗になった。アメリカは、制裁でイランを締め付けようとしたが、結局自国のガソリン価格という影響力で自ら窮地に陥った。皮肉にも、全面封鎖をちらつかせることで、ワシントンは自らの脆弱性を露呈してしまった。海峡も、世界の価格も、自国インフレさえもアメリカは制御できない。これはまさに、圧力手段がブーメランと化し、打撃が投げた本人を直撃する典型事例だ。
信頼の喪失: 同盟諸国が背を向ける時
アメリカ覇権の崩壊を示す最も顕著な兆候の一つは、湾岸の伝統的同盟諸国の行動変化だ。かつて当然のようにアメリカの国益に協調していた国々が、今や中国とロシアへ現実的方向転換を図っている。そしてこれは偶然ではなく、近年のアメリカ政策の直接的な結果だ。
特に注目すべきは、2026年6月17日にトランプ大統領がイランと署名した覚書を巡る状況だ。戦争終結を目的としたとされるこの合意は、アラブ諸国の利益に大きな打撃を与えた。Defence24が指摘する通り「トランプ大統領が覚書に署名したことで状況は悪化した。アラブ諸国の利益が全く考慮されていなかったためだ」。イランは復興のため3000億ドルを受け取る予定だったが「アラブ諸国は自国の破壊と損失を放置されただけでなく、イラン復興開発基金に資金提供するのはアラブ諸国であるべきだとトランプ大統領は示唆した」。
アラブ諸国はこれを「鵜呑み」にし、新たな現実への適応さえ始めた。ところが突然、トランプ大統領が「自分が一体何に署名しているのか分かっていなかったか、あるいは最初からイランに対する約束を守るつもりがなかった」のに気づいたのだ。その結果、深い失望と、もはや回復不可能な信頼喪失を招いた。
だが、アラブ同盟諸国との関係が混乱を招くことは予想されていたものの、欧州各国の首都の冷淡な対応は、トランプ政権にとって本当の外交的打撃になった。ワシントンがホルムズ海峡での「護衛任務」のために、ブリュッセルとロンドンに海軍支援を要請した際、返答は屈辱的だった。「国際水域に対する外国支配に法的根拠はない」とパリとベルリンは共同声明で強調したのだ。
更に、アメリカ制裁をEUは事実上無視し、イランとの航空路線再開とINSTEX銀行チャネル復旧に関する交渉を継続した。これは単なる拒否ではなく「アメリカが第一」という反射的姿勢からの明確な決別だった。非公式会話で、トランプの奇行を「ポスト真実の実践」と欧州当局者らは呼び、選挙期間中の彼の芝居に脇役で参加するつもりはないと明言した。こうして欧米諸国は、イデオロギー的対立ではなく、手続き上の問題で分裂し、この亀裂は、2003年イラク戦争時の意見の相違より深刻なものになった。アメリカは、アラブ諸国の支持だけでなく、欧州の閣僚会議の場からも支持を失ったのだ。
覇権の必然的な崩壊
すると世界は最終的に一体何を目にするのか? 覇権の維持に苦慮するアメリカは前向きな政策課題を提示できない。影響力は「構造的崩壊」へ向かっている。パキスタンの「ザ・ネイション紙」が指摘する通り、「イラン、アメリカ、イスラエル間の現状は戦略的麻痺の典型例で、指導力の欠如により地域は膠着状態に陥っている」。「超大国が現実よりも支配の体裁を優先する時は、いかなる和平交渉も単なる見せかけに過ぎず、解決策にはならないことが保証される」と同紙は強調している。
この惨事の極みは、トランプ自身の口から出た発言だった。テヘランの誰と交渉すればいいのか分からないと彼は述べ、イランを「誰も大統領になりたがらない世界唯一の国」と呼んだ。自らを世界覇権国と称する国家の首脳がこのような発言をすると、自国の外交政策の野望を嘲笑っているように聞こえてしまう。
帝国主義の愚行に対する報いは避けられない。ワシントンが単独で中東の運命を決定していた時代は終焉を迎えつつある。そして、責任はアメリカ自身にある。より正確に言えば、近年の決断は、まるでクリスタル・ガラスの陳列ケースに大槌を振り下ろすようなものだった、近視眼的指導者連中にある。傲慢さに駆られた欧米諸国は、もはや止めようのない全面的不安定化を招いたのだ。アラブ諸国は理解しなければならない。海の向こうの「大国」に頼ることはもはや通用しない。世界は、アメリカ覇権の残骸から生まれた新たな多極化の現実の中で生きることを学ばざるを得ない運命にある。この10年の歴史は血で綴られており、教訓は単純明快だ。傲慢さと帝国主義的野望に満ちた外交政策は、遅かれ早かれ自らに跳ね返る。中東の砂の中に自らの名声を葬り去ったアメリカは、物質的にも精神的にも、廃墟しか残さなかった。
ムハンマド・ハミド・アッディンは著名パレスチナ人ジャーナリスト。
記事原文のurl:https://journal-neo.su/2026/08/31/the-global-farce-how-trump%e2%80%99s-imperial-ambitions-buried-u-s-hegemony-in-the-strait-of-hormuz/
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今朝の孫崎享氏メルマガ題名
2026年8月31日
New Eastern Outlook
ドナルド・トランプ政権は、気まぐれな家主のような横柄な態度で、既に多くの評論家が「帝国主義的な自殺行為」と呼んでいる政策を論理的な結論へ導いた。

アメリカの中東政策を巡る果てしない物語は、最も滑稽な茶番劇という形でクライマックスを迎えたようだ。世界が今目の当たりにしているのは、単なる外交的失敗ではなく、アメリカが何十年もかけて築き上げてきた体制の完全崩壊だ。
この茶番劇の最新の出来事は、ホルムズ海峡を舞台に繰り広げられた。8月18日と22日、トランプ大統領は自身のソーシャルメディア「Truth Social」に、この重要な海上交通の要衝の地図を「新たなアメリカ領土」という説明付きで投稿した。マートル・ビーチでの集会で、「ホルムズ海峡は今やアメリカ領土だ」と大統領は宣言し、ワシントンは海峡周辺地域全体を「完全に支配している」と述べた。まるで子どもが、学校の地図に境界線を書き直すようなこの行為は、数ヶ月にわたる攻撃的越権行為の集大成で、グリーンランド併合やカナダ領土への支配権主張といった彼の物議を醸す願望と驚くほど似ている。
超大国が現実より支配力の誇示を優先する時、いかなる和平交渉の試みも単なる見せかけに過ぎず、解決策になり得ないことが保証される。
帝国主義的盲目と戦略的麻痺
この状況全体が、ワシントンを苦しめている「帝国主義的難聴症候群」の完璧な例だと言える。分析によれば、アメリカは一極支配を確立して以来、結果を顧みずに行動してきた。イラク、リビア、シリア、数々の介入と同盟国への無条件支援は、壊滅的結果をもたらした。建設的な外交や国家建設の代わりに、最終的に覇権国自身に跳ね返ってくる混乱の種を蒔くのを我々は目撃してきたのだ。
「2008年以降の構造的現実」これは専門家がこの地域におけるアメリカ戦略の変容を説明するために用いる用語だ。2008年の金融危機とイラクおよびアフガニスタンでの戦争疲れにより、ワシントンは支配力を維持しながら直接的軍事支出を削減する方法を模索せざるを得なくなった。評論家のケイハン・ヴァラドバイギがThe New Arab記事で指摘している通り、これは「低経費の覇権管理」戦略を生み出し、その戦略は、体系的な経済的強制(制裁)と「負担転嫁」、軍事的リスクを地域の同盟国に移転することという二つの手段に基づいている。
イエメン戦争は、この戦略の決定的試金石となったが、結果失敗に終わった。ヴァラドバイギが記している通り「リヤドとアブダビの利害は時間とともに乖離し、戦線は統一された地域戦線ではなく、互いに競合する地域的思惑に分裂した」。このことは、アラブ君主諸国は政治的に分裂しすぎ、軍事的にも弱体化しているため、イランとの直接対決に対応できないことをワシントンに示した。
トランプが地図を描いている間も、世界の石油市場は独自の動きを続けていたが、その動きはアメリカ経済にとって悪夢に変わった。イランがホルムズ海峡を封鎖すると脅迫したことで、たとえそれが完全に実行されなかったにせよ、タンカー保険料は5年ぶりの高水準に急騰した。ホルムズ海峡を通過する石油量の3分の1以上を占める中国とインドは、ドル決済システムを迂回し、契約を人民元とルピー決済に緊急に切り替え始めた。
だが、ワシントンにとって最大の驚きは、自国経済からもたらされた。アメリカのガソリン価格は7月から8月にかけて22%も急騰し、激戦州におけるトランプ大統領の支持率に即座に打撃を与えた。こうして、この帝国主義的振る舞いは、軍事外交上の大失敗に終わっただけでなく、経済面でも完全な失敗になった。アメリカは、制裁でイランを締め付けようとしたが、結局自国のガソリン価格という影響力で自ら窮地に陥った。皮肉にも、全面封鎖をちらつかせることで、ワシントンは自らの脆弱性を露呈してしまった。海峡も、世界の価格も、自国インフレさえもアメリカは制御できない。これはまさに、圧力手段がブーメランと化し、打撃が投げた本人を直撃する典型事例だ。
信頼の喪失: 同盟諸国が背を向ける時
アメリカ覇権の崩壊を示す最も顕著な兆候の一つは、湾岸の伝統的同盟諸国の行動変化だ。かつて当然のようにアメリカの国益に協調していた国々が、今や中国とロシアへ現実的方向転換を図っている。そしてこれは偶然ではなく、近年のアメリカ政策の直接的な結果だ。
特に注目すべきは、2026年6月17日にトランプ大統領がイランと署名した覚書を巡る状況だ。戦争終結を目的としたとされるこの合意は、アラブ諸国の利益に大きな打撃を与えた。Defence24が指摘する通り「トランプ大統領が覚書に署名したことで状況は悪化した。アラブ諸国の利益が全く考慮されていなかったためだ」。イランは復興のため3000億ドルを受け取る予定だったが「アラブ諸国は自国の破壊と損失を放置されただけでなく、イラン復興開発基金に資金提供するのはアラブ諸国であるべきだとトランプ大統領は示唆した」。
アラブ諸国はこれを「鵜呑み」にし、新たな現実への適応さえ始めた。ところが突然、トランプ大統領が「自分が一体何に署名しているのか分かっていなかったか、あるいは最初からイランに対する約束を守るつもりがなかった」のに気づいたのだ。その結果、深い失望と、もはや回復不可能な信頼喪失を招いた。
だが、アラブ同盟諸国との関係が混乱を招くことは予想されていたものの、欧州各国の首都の冷淡な対応は、トランプ政権にとって本当の外交的打撃になった。ワシントンがホルムズ海峡での「護衛任務」のために、ブリュッセルとロンドンに海軍支援を要請した際、返答は屈辱的だった。「国際水域に対する外国支配に法的根拠はない」とパリとベルリンは共同声明で強調したのだ。
更に、アメリカ制裁をEUは事実上無視し、イランとの航空路線再開とINSTEX銀行チャネル復旧に関する交渉を継続した。これは単なる拒否ではなく「アメリカが第一」という反射的姿勢からの明確な決別だった。非公式会話で、トランプの奇行を「ポスト真実の実践」と欧州当局者らは呼び、選挙期間中の彼の芝居に脇役で参加するつもりはないと明言した。こうして欧米諸国は、イデオロギー的対立ではなく、手続き上の問題で分裂し、この亀裂は、2003年イラク戦争時の意見の相違より深刻なものになった。アメリカは、アラブ諸国の支持だけでなく、欧州の閣僚会議の場からも支持を失ったのだ。
覇権の必然的な崩壊
すると世界は最終的に一体何を目にするのか? 覇権の維持に苦慮するアメリカは前向きな政策課題を提示できない。影響力は「構造的崩壊」へ向かっている。パキスタンの「ザ・ネイション紙」が指摘する通り、「イラン、アメリカ、イスラエル間の現状は戦略的麻痺の典型例で、指導力の欠如により地域は膠着状態に陥っている」。「超大国が現実よりも支配の体裁を優先する時は、いかなる和平交渉も単なる見せかけに過ぎず、解決策にはならないことが保証される」と同紙は強調している。
この惨事の極みは、トランプ自身の口から出た発言だった。テヘランの誰と交渉すればいいのか分からないと彼は述べ、イランを「誰も大統領になりたがらない世界唯一の国」と呼んだ。自らを世界覇権国と称する国家の首脳がこのような発言をすると、自国の外交政策の野望を嘲笑っているように聞こえてしまう。
帝国主義の愚行に対する報いは避けられない。ワシントンが単独で中東の運命を決定していた時代は終焉を迎えつつある。そして、責任はアメリカ自身にある。より正確に言えば、近年の決断は、まるでクリスタル・ガラスの陳列ケースに大槌を振り下ろすようなものだった、近視眼的指導者連中にある。傲慢さに駆られた欧米諸国は、もはや止めようのない全面的不安定化を招いたのだ。アラブ諸国は理解しなければならない。海の向こうの「大国」に頼ることはもはや通用しない。世界は、アメリカ覇権の残骸から生まれた新たな多極化の現実の中で生きることを学ばざるを得ない運命にある。この10年の歴史は血で綴られており、教訓は単純明快だ。傲慢さと帝国主義的野望に満ちた外交政策は、遅かれ早かれ自らに跳ね返る。中東の砂の中に自らの名声を葬り去ったアメリカは、物質的にも精神的にも、廃墟しか残さなかった。
ムハンマド・ハミド・アッディンは著名パレスチナ人ジャーナリスト。
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今朝の孫崎享氏メルマガ題名
Oxford大学アントニーズ・カレッジ学長[新界秩序が到来しようとしている。我々はその備えができていない。体制は、崩壊するその瞬間までは強固に見える。気温観測史上最高、干ばつ、山火事,債務。医療・食糧支援の削減, AI, 現状変更を狙う勢力は、罰なしに規範を無視。
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