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2026年8月18日 (火)

張り子の虎:一兆ドル規模のアメリカ戦争機械



2026年8月15日
Strattgic Culture Foundation

メディア・ベンジャミンとニコラス・J・S・デイヴィス

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 勝ち目のない対イラン戦争で、2001年以来続けてきた違法かつ腐敗した侵略戦争政策をアメリカは早急に見直す必要があるとメディア・ベンジャミンとニコラス・JS・デイヴィスは、述べている。

 ストックホルム国際平和研究所(SIPRI)によると、2001年から2024年の間に軍事費としてアメリカは21兆ドル(2024年価格換算)費やしており、これは以下の18カ国の軍事費合計に匹敵する。

 イランは、アメリカの僅か2%しか軍事費を支出していないため、このリストにほとんど名を連ねていない。ストックホルム国際平和研究所(SIPRI)は、イランの2025年の軍事予算を僅か75億ドルと推定している。すると、イランは一体どのようにして、数兆ドル規模のアメリカ軍事力に対抗しているのだろう?

 アメリカの対イラン戦争と、過去のユーゴスラビア、アフガニスタン、イラク、リビアと現在のガザ地区に対するアメリカおよび同盟諸国の爆撃作戦との決定的違いは、アメリカとイスラエルがイラン防空システム破壊に失敗し、敵攻撃によって航空機とパイロットを失う危険を冒さずには、イラン上空を戦闘機で飛行できない点にある。イランは賢明にも重要な防衛インフラを地下に構築しており、兵器工場、武器備蓄庫、発射基地は、難攻不落の山岳地帯の地下に安全に隠されている。

 3月10日、アメリカはイラン上空で「完全な制空権」を確保しているとピート・ヘグセス国防長官が主張したが、それは依然事実ではない。実際は、米軍は主にイラン国境の外から遠隔兵器を用いてイランを攻撃しており、非常に高価な兵器の備蓄を大幅に減少させている。

 米軍機はイラン領空への侵入を避けているものの、議会調査局報告によると、アメリカは少なくともF-15戦闘機4機、F-35戦闘機1機、A-10攻撃機1機、KC-135空中給油機7機、E-6早期警戒管制機1機、MC-130J特殊作戦機2機、ヘリコプター1機、高高度トライトン無人機1機、MQ-9リーパー無人機24機を失った。

 

2008年頃、アフガニスタンに配備されたMQ-9リーパー無人航空機。(米空軍、ブライアン・ファーガソン撮影)

 対照的に、2003年のイラクへの本格的侵攻では、米軍はA-10攻撃機1機とヘリコプター6機を失っただけだった。これは、1991年の第一次湾岸戦争後にアメリカ、イギリス、フランスが一方的に設定した、いわゆる飛行禁止区域を隠れ蓑にして、低強度爆撃作戦によりイラク防空網の大部分を組織的に破壊した後のことだった。

 2003年、米軍は開戦後最初の30日間でイラクに1万3000トンの爆弾とミサイルを投下した。しかし、そのうち巡航ミサイルや他の長距離兵器(現在アメリカがイランに対して使用しているような兵器)は僅か800トン、つまり6%に過ぎなかった。

 アメリカは既に、JASSMやトマホーク巡航ミサイル、SM-2、SM-3、SM-6対空ミサイルを含むスタンドオフおよび防空兵器の3分の1を消費しており、パトリオットおよびTHAAD迎撃ミサイルと、短距離型ATACMに代わる新型精密攻撃ミサイルの在庫も半分を消費している。これらミサイルの価格は、JASSMの1発あたり70万ドルから、THAAD迎撃ミサイルの1発あたり1200万ドルまで幅広く、その多くは補充に数年を要する。

 

2013年に行われた米陸軍の試験発射時の終末高高度防衛ミサイル(THAAD)迎撃ミサイル。(米陸軍/ラルフ・スコット/ウィキメディア・コモンズ/パブリックドメイン)

 つまり、アメリカは短期的に代替不可能な数百万ドル相当のミサイルを使い、一機あたり2万ドルから5万ドルでイランが購入するシャヘド無人機を迎撃しようとしているが、多くの場合失敗している。これは、2003年のイラク戦争とは対照的だ。当時アメリカが選んだ兵器は500ポンド級のGBU-12ペイブウェイIIレーザー誘導爆弾で、価格は僅か2万2000ドルだった。しかもイラク攻撃に使用された7000発の爆弾は容易に補充できたのだ。

 戦地における海軍のミサイル備蓄減少を補うため、アメリカはイランに向けてトマホークミサイルを発射するために、イギリスのフェアフォード空軍基地からB-1爆撃機を飛ばしている。現在、非常に多くの航空機が遠方からイランを攻撃しているため、アメリカは既にイスラエルに配備している60機の空中給油機に加え、更に数十機の空中給油機を派遣せざるを得なくなっている。

 戦争において、比較的安価な砲弾やドローン生産を迅速に拡大する能力が、 巨額の兵器開発計画に何兆ドルも費やすよりも、より重要なことをロシアはウクライナで実証した。一方、腐敗したアメリカ軍産複合体は、アメリカ兵器産業と国防総省幹部と懐柔され買収された文民政府の間に金メッキした回転ドアを構築してきた。彼らは益々高価な兵器を生産してきたが、戦った戦争のほとんど全てで敗北している。

 

2月28日、対イラン攻撃開始時に、アーレイ・バーク級ミサイル駆逐艦ウィンストン・S・チャーチルがトマホーク巡航ミサイル(TLAM)を発射する様子。(米海軍提供写真)

 1945年以降、アメリカが勝利した戦争は、1980年代に、ソ連の弱体化に乗じてグレナダ、パナマ、クウェートの小規模な新植民地拠点を奪還した三つの短期戦争だけだ。それ以外、1950年代初頭の朝鮮戦争から今日のイランに至るまで、米軍はあらゆる戦争で敗北し、アメリカ政府が解放すると主張する国々や人々に甚大な被害を与えてきた。「我々のような友さえいれば、敵など不要だ」という諺の通りだ。

 多くのアメリカ産業と同様、冷戦後のアメリカ兵器産業は、5社(ロッキード・マーティン、ボーイング、レイセオン(現RTX)、ジェネラル・ダイナミクス、ノースロップ・グラマン)の寡占体制を中心に統合され、その継続的成長は、益々高価になる軍艦、戦闘機、兵器からの莫大な利益に依存している。そして、終わりのない戦争と「脅威」は、アメリカの国家的富を益々自社の金庫に吸い上げるのを正当化する口実になっている。

 数十年にわたり、こうした莫大な軍事費と終わりのない戦争は誇るべきものだとアメリカ政府と大手メディアは国民に言い聞かせてきた。そして、この歪んだ米軍の軍事力に関する神話を、多くの国民は鵜呑みにしてきた。国防総省はイメージ向上に力を注ぎ、採用と人材維持に年間20億ドル、2023年だけでも広告契約に11億4000万ドル費やしている。

 だが、主張は崩れ始めている。アメリカ政治経済体制の多くの側面と同様、アメリカ軍について教えられてきたことに疑問を抱くアメリカ人が増えており、退役軍人自身が最も率直な批判者になっている場合が多い。

 米軍の新兵募集係が直面する問題について、多くの「対テロ戦争」の退役軍人が、今や自分の子どもに軍隊入隊を思いとどまらせているとBusiness Insider誌に寄稿したケルシー・ベイカーが報じた。ベイカーが話を聞いた新兵募集係のうち三人は、勧誘対象としていた十代の若者の親から銃を突きつけられたと述べ、激怒した親から「赤ん坊殺し」「政府の奴隷」と罵られたのを覚えていると、ある新兵募集係が語った。

 

イラク戦争反対退役軍人会が2007年10月にボストンで行進。(ジョナサン・マッキントッシュ/ウィキメディア・コモンズ/CC BY 3.0)

 決して始めるべきではなかった破滅的で勝ち目のないイランでの戦争をエスカレートさせることと、2001年以来続けてきた違法で腐敗した侵略戦争政策を見直す必要性との間でアメリカは板挟みになっている。

 9月11日の攻撃は、アルカイダのハイジャック犯19人に実行されたもので、アメリカが侵略・占領した国々によるものではなかった。にもかかわらず、アメリカ指導者連中は、これら恐ろしい犯罪に対し、数兆ドル規模の新兵器開発と帝国主義的軍事拡大で対応した。これはまさに、ドワイト・アイゼンハワー大統領が1961年の退任演説で警告した軍産複合体の「不当な影響力」に引き起こされた決定だった。

 アフガニスタンとイラクに駐留する米軍は、自国を守る軽武装抵抗勢力に敗北した。だがアメリカ指導者連中は自らの失敗と敗北を無視し、ウクライナ戦争でロシアと対峙し、今度はイラン国内でイランと戦う闇雲なエスカレーション階段を上り続けている。

 

2021年8月、カブール陥落後、鹵獲したハンヴィーに乗るタリバン戦闘員。(ボイス・オブ・アメリカ・ニュース/ウィキメディア・コモンズ/パブリックドメイン)

 注目すべきは、2014年にウクライナでのクーデターをアメリカが支援し、2022年4月にロシアとウクライナの和平合意を拒否したのが民主党政権下だったのに対し、共和党のトランプ大統領は、2020年にイラン最高軍事指導者を暗殺し、2025年と2026年にはイスラエルと共謀してイランに対する戦争を開始したことだ。ガザにおけるアメリカとイスラエルによるジェノサイドは、それを引き起こした違法占領と同様、いまだ議会で超党派支持を得ているが、議員たちが代表すると主張するアメリカ国民の支持は得られていない。

 国防総省が巨額支出に乗り出し、国々に次々大規模破壊をもたらす前から、2001年9月11日の犯罪に対するアメリカの軍事対応の危険性を多くのアメリカ人は理解していた。

 1999年に先見の明に満ちた高く評価された著書『Blowback(邦題:アメリカ帝国への報復 )』をチャルマーズ・ジョンソンは執筆し、9.11同時多発テロのような大惨事の種をアメリカの軍国主義と帝国主義が、いかにして必然的に蒔くのかを説明した。彼はその後、2010年に亡くなるまでに、アメリカ帝国プロジェクトに関する三冊の著書を出版した。

 元ニュルンベルク検察官ベン・フェレンツは、9.11の一週間後、NPRにこう述べた。  
「不正行為に責任のない人々を罰するのは決して正当な対応と言えない。罪を犯した者を罰することと、そうでない者を罰することを我々は区別しなければならない。例えばアフガニスタンやタリバンに対して、単に一斉爆撃という形で報復すれば、今回の事態を是認していない多くの人々を殺すことになってしまう。」
 2003年にアメリカがイラク侵攻の準備を進める頃には国際社会の怒りは非常に広がり、史上最大規模の世界的街頭デモが発生し、60カ国で最大3600万人が抗議活動をした。

 

2003年2月15日、スペインのバルセロナで、イラク戦争に向けるアメリカの準備に抗議するデモ参加者たち。(APCS2017 /Wikimedia Commons.CC BY-SA 4.0)

 だがアメリカ指導者連中は、国連や世界の街頭の拒絶を無視し、イラクが化学兵器、生物兵器、更には核兵器を保有しており、9月11日の犯罪に何らかの責任があると主張し続けた。

 イラク駐留米軍の洗脳は非常に徹底しており、開戦から3年後の2006年2月でさえ、Zogby世論調査によると、イラク駐留米軍兵士の85%が、彼らの主な任務は「9.11同時多発テロにおけるサダム・フセインの役割への報復」だと答えた。

 過去25年間のアメリカ軍事史を蝕んできた嘘、洗脳、拷問、民間人虐殺、その他の戦争犯罪と途方もない費用は、アメリカ国民を新たな戦争に真っ向から反対する方向へ導いた。

 だが信じられないことに、制御不能なアメリカ軍産複合体に記録的な額の資金、武器と、戦争の偽りの口実を与え続けるのを止める憲法上の責任を果たすよう議員を説得するのにアメリカ国民は失敗した。

 2027会計年度の軍事費として、過去最高額となる1兆5000億ドルをトランプ大統領は要求した。下院を通過した国防権限法(NDAA)は1兆1500億ドルの裁量的軍事支出を認可しており、NDAA以外の追加資金を含めると政権の軍事支出総額は1兆5000億ドルになる。これまでのところ、上院はNDAAを阻止している。

 国防権限法案には、アメリカとイスラエルの兵器生産および情報共有を更に統合するための未曾有の条項も含まれている。

 アメリカとイスラエルがイランを打倒し損ねていることに対するトランプの苛立ちは、特に冷戦終結以降、彼の前任者たちをも蝕んできたのと同じ「アメリカの軍事的優位性」という幻想に起因している。

 だが2018年の著書『Losing Military Supremacy: the Myopia of American Strategic Planning(軍事的優位性の喪失:アメリカ戦略計画の近視眼性)』で、アメリカが空母や他の大型軍艦、軍用機に投じた巨額投資は、アメリカ兵器庫にある最新鋭ミサイルより遙かに速く遠くまで飛翔できる新世代のロシアや中国のミサイルにより急速に時代遅れになりつつあるとアンドレイ・マルチャノフは警告した

 イランのミサイルとドローンは、中東の軍事バランスを根本的に変えてしまった。彼らは米軍をペルシャ湾の基地から追い出し、アメリカ空母はイラン沿岸から約1600キロ以上離れた海域に留まらざるを得なくなっている。アメリカ中央軍は地域司令部をカタールからヨルダンに移転せざるを得なくなったが、イランはそこも攻撃している



 3月13日、イランによるオマーン攻撃の際、サラーラ港から立ち上る黒煙を捉えた衛星画像。(CC BY 4.0 /Wikimedia Commons)

 現在、アメリカは中東における軍事力の多くをイスラエルに再配置している。これは、対イラン戦争が今後エスカレートした場合の利害関係とリスクを高めるだけでなく、現在ほとんどのアメリカ人が反対している大量虐殺国家イスラエルとの複雑な軍事同盟関係を更に拡大させることになる。

 8月8日、トランプ大統領が6月17日に署名した覚書の6項目をイランは改めて強調し、アメリカがこれら項目を遵守しなければホルムズ海峡を国際船舶に開放しないと主張した。



 6月17日、フランスのヴェルサイユ宮殿でイランとの覚書にトランプ大統領が署名した。右はフランスのエマニュエル・マクロン大統領、左はマルコ・ルビオ国務長官。(ホワイトハウス/ダニエル・トロク撮影)

 欧米評論家たちは、これを厳しい新たな条件だと評しているが、実際は新しいものでも、以前より厳しいものでもない。単に、これまで暗黙のうちに示されていたことを明文化したに過ぎない。例えば、当初の覚書では「レバノンを含む全ての戦線」での戦争終結を求めていたのに対し、今回はパレスチナとイエメンを具体的に挙げている。この戦争を始めたのはアメリカとイスラエルで、アメリカは既に合意した覚書に基づき、誠意をもって交渉することで戦争を終結させる力を持っているのだ。

 この時代遅れで高価で非効率的な戦争機械のために、アメリカ国民は多大な犠牲を払ってきた。多くの人々が命や手足や健康を犠牲にしてきたのだ。

 指導者連中の好戦的行動と国家の富の無謀な浪費により、我々全員機会損失を被っており、他の先進国国民が当然のこととして享受している国民健康保険医療や、質の高い公教育、生活賃金、有給休暇といった基本的福祉を失っている。

 アメリカ政府の腐敗した優先順位付けは、気候変動や自然環境破壊から、常に存在する核戦争の危険に至るまで、最も深刻な問題を放置する一方、それら問題に対処するための世界的取り組みを妨害している。

 今年の予備選挙結果が示す通り、ほとんどのアメリカ人は国民を大切にする社会と、国民の最も差し迫った必要性に対応する政府を望んでいる。それには、失敗し、腐敗し、制御不能で、途方もなく費用がかかるこの戦争機構の解体も含まれるはずだ。

原文:consortiumnews.com

記事原文のurl:https://strategic-culture.su/news/2026/08/15/paper-tiger-the-u-s-trillion-dollar-war-machine/

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 東京新聞 朝刊 二面  
 米韓軍事演習の縮小指示

 トランプ氏「金正恩氏と良好な関係」

 イラン難航 北に秋波

 「協力断った」韓国には恨み節

 アジア太平洋地域 抑止力低下の懸念
 耕助のブログ 本記事と平仄が合うHua Bin記事翻訳。
No. 3001 「史上最強の軍事力」と呼ばれなくなるまで、何回戦争に負ければいいのか

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