破綻と詐欺:ロシアには制裁を科す一方、アメリカとイスラエルによるジェノサイドには沈黙するEU

2026年7月24日
Strattgic Culture Foundation
EUが一体どのような組織になったのかをヨーロッパをはじめ世界中の人々は目の当たりにしている。EUは、自国民を犠牲にするエリート主義的戦争扇動プロジェクトに成り下がってしまったのだ。
❗️Telegram
お問い合わせ: info@strategic-culture.su
今週欧州連合(EU)首脳は、ロシア連邦に対して新たな制裁措置を課した。これは27カ国からなるEUが過去四年でロシアに対し発動した21番目の政治的・経済的制裁措置だ。
これらの措置は、2022年2月の、なんのいわれもない、ロシアによる一方的なウクライナ侵攻に対する非難の表明だとEUは偽善的に主張している。
「ヨーロッパの原則」を装う、こうした態度は滑稽極まりない。
アメリカと欧州のNATO加盟諸国が2014年にキーウで暴力クーデターを画策し、その後、ロシアとの地政学的紛争のため、欧米帝国主義者が密かにネオナチ政権を意図的に兵器化して戦争を引き起こしたことをウクライナ紛争を客観的に研究した人なら誰でも知っている。この歴史を多くの人々が知らないのは、主に欧米メディアの洗脳的プロパガンダによるものだ。
従って、EUの制裁政策は、経済戦争で、ロシアを打倒するための大規模な軍事戦略を補完するものとして正しく理解されるべきだ。それは、2022年3月にフランスの元財務大臣がぎごちなく認めた通り「総力戦」の一部だ。
NATOの支援を受けたウクライナ政権が、石油・ガス・インフラとロシア経済に打撃を与える狙いで、ロシア国内への長距離空爆を強化する一方、EUの制裁措置も同じ狙いを実現しようとしている。
これは、ロシアの侵略の被害者とされるウクライナへの政治的・道徳的支援を示すために貿易や金融措置を用いる話とは全く無関係だ。これは、ロシアとの紛争を最大限に高めてロシアを打倒するためのものだ。
一方的な制裁措置は国際法上違法で、国連憲章で明確に禁止されている。これは犯罪的侵略行為の一形態だ。EUは国際法に違反しており、アメリカも同様だ。アメリカは、ロシア、中国、イラン、キューバを含む現在30カ国に及ぶ他国を威嚇するため、露骨に制裁措置を行使している。
いずれにせよ、EUの政策は、無益な行動を何度も繰り返し、違う結果を期待する点で、まさに狂気の定義に当てはまる。
EUがこれまでに21回も制裁を科し、数百もの銀行や企業を標的にしてきたことを考えると、ロシアは確実に世界で最も多くの制裁を受けている国と言える。だが、ロシア経済は期待されたほど崩壊していない。
更に驚くべきことに、ロシアとの貿易や事業を自ら排除したことで、特に安価なエネルギー供給の喪失で深刻な打撃を受けているのは、他ならぬヨーロッパ経済だ。エネルギー経費の高騰により、EUでは脱工業化が急速に進んでいる。かつてヨーロッパの経済大国だったドイツは、歴史的にヨーロッパ産業を支えてきたロシアの伝統的燃料供給に代わり、高価なアメリカ燃料を輸入せざるを得なくなったため、経済は麻痺状態に陥っている。
総人口5億人に及ぶ欧州市民は、生活費の高騰という壊滅的危機に直面している。大きな原因は彼らの政治指導者自身による制裁政策にある。いわゆる指導者連中が、自ら経済と社会を破壊しているのだ。
この破綻は政治的かつ倫理的問題だ。最新の制裁措置を巡る論争や緩和策に見られる通り、EU加盟諸国内部の緊張は高まっている。国益の損害を最小限に抑えるため、複数の国が制裁免除を強く要求した。
ギリシャは、ロシア産石油・ガスの国際輸送に関する制限の免除を求めた。ドイツとポルトガルは、ロシア漁業に対する制裁措置の免除を求めた。オーストリア、ブルガリア、フランス、イタリアも、それぞれの国益を守るため、禁止措置の緩和を訴えた。
ユーロニュースは見出しで「混乱した制裁交渉が対ロシアEU戦線の亀裂を露呈させた」と報じた。
集団政策が各国の国益を損ない始めており、それがEU加盟国間の内紛を引き起こしていると同メディアは報じた。
「共通点を見出すのが益々困難になっている。今週もそれが顕著だった」と、難航する交渉について、ある外交官が語った。
「欧州委員会(EUの執行機関)は盛り込むべき内容の選択肢が尽きつつある。もっと創意工夫を凝らす必要があるが、どの案も複雑化し、交渉に時間がかかるようになっている」と別の外交官が発言した。
言い換えれば、ブリュッセルの政策立案者連中は、違法な制裁措置を巡る失敗した政治理念のため破綻しているのだ。更に、彼らは政治的にも破綻している。これらのエリート主義的で反ロシア的な官僚連中は、民主的正当性もないまま、欧州市民に深刻な経済的苦痛を与えているためだ。彼らは独裁政権のように壊滅的政策を押し付けており、それは緊張と敵意を、全面戦争へと悪化させている。
ヨーロッパ・エリート層は、過去100年間で既に二度、世界大戦を引き起こした。そして今や、彼らは三度の世界大戦を煽っているようだ。
だが、ここが肝心な点だ。この常軌を逸した政策は全くの詐欺だ。そこには、ウクライナへの正義感や民主主義の擁護といった建前は一切見られない。
アメリカとイスラエルの政権が大規模に実行している戦争犯罪に欧州連合が無関心なことが、その偽善を明白に露呈している。
今週、元欧州議会議員のミック・ウォレスとクレア・デイリーが指摘した通り、五ヶ月目に突入したアメリカの対イラン侵略戦争についてEU首脳陣は何も発言していない。アメリカとイスラエルの爆撃でイラン人数千人が死亡し、イランを滅ぼすとジェノサイド的脅迫をドナルド・トランプ大統領は繰り返し、核兵器使用を悪魔的に示唆している。
ウォレスとデイリーも指摘している通り、世界の裏側で、ワシントンによる厳重な対キューバ封鎖措置の下で、何千人もの子どもが餓死している。EUはアメリカに対して何の批判もせず、まして、この野蛮な行為に対する非難など全くしていない。
今週、21回目の疑わしい対ロシア制裁措置を欧州エリート連中が策定する一方、同じ当局者連中は、パレスチナ人に対するイスラエル政権による継続的ジェノサイド(アメリカと、言うまでもなくイスラエルと貿易をしている欧州諸国に助長されているジェノサイド)に対し、いかなる制裁も発令することを拒否した。
EU指導部のこの二重基準は単なる愚かな二枚舌ではない。EUの政治的・道徳的破綻と組織的不正の証拠だ。かつて、一部ヨーロッパ政治家がアメリカの戦争や犯罪に反対の声を上げた時代もあった。だが今やもうない。 欧州の政治家連中全員、汚職と共犯関係で腐りきっている。
EUの対ロシア制裁は、あらゆる面で自滅的だ。究極的な敗北は、EU自身の制度の致命的腐敗と、権威の著しい欠如だ。欧州の政治家たちは、自らの正当性と統治者としての主張を自ら損なっている。EUが一体どんな組織になったのかを欧州の人々と世界中の人々は目の当たりにしている。EUは自国民を犠牲にするエリート主義的な戦争扇動プロジェクトに成り下がってしまったのだ。
記事原文のurl:https://strategic-culture.su/news/2026/07/24/bankrupt-and-fraudulent-eu-sanctions-russia-while-silent-on-us-israeli-genocide/
----------
植草一秀の『知られざる真実』
ゆ党が支える高市暴政
« トランプのイラン爆撃作戦は、アメリカを一層深い泥沼に陥れるだけ | トップページ | 軍国主義と戦争を煽ってホームレス問題を解消しようとしているイギリス新首相アンディ・バーナム »
「NATO」カテゴリの記事
- ウクライナ軍に組み込まれつつあるNATO(2026.08.12)
- ウクライナが殺戮をゲーム化しているのは「ぞっとする」とイギリス国防相が発言(2026.08.12)
- ばれた…NATOの戦略的行き詰まりで幕を閉じた40日間の対ロシア・テロ行為(2026.08.09)
- 人気の国防大臣をゼレンスキー大統領が解任した理由(2026.08.07)
「ロシア」カテゴリの記事
- ウクライナ軍に組み込まれつつあるNATO(2026.08.12)
- ウクライナが殺戮をゲーム化しているのは「ぞっとする」とイギリス国防相が発言(2026.08.12)
- ばれた…NATOの戦略的行き詰まりで幕を閉じた40日間の対ロシア・テロ行為(2026.08.09)
- 持てる者と持たざる者(2026.08.09)
「イスラエル・パレスチナ」カテゴリの記事
- トランプランドの、またもや奇妙な一週間(2026.08.12)
- 世界を駆け巡るシオニスト偽情報(2026.08.11)
- タッカーを大統領に MAGA反乱軍、イスラエルからの独立を宣言(2026.08.10)
- 「私は政治に関心がない」というのは「私は現状維持を支持する」に過ぎない(2026.08.07)
「ウクライナ」カテゴリの記事
- ウクライナ軍に組み込まれつつあるNATO(2026.08.12)
- ウクライナが殺戮をゲーム化しているのは「ぞっとする」とイギリス国防相が発言(2026.08.12)
- ばれた…NATOの戦略的行き詰まりで幕を閉じた40日間の対ロシア・テロ行為(2026.08.09)
- 人気の国防大臣をゼレンスキー大統領が解任した理由(2026.08.07)
« トランプのイラン爆撃作戦は、アメリカを一層深い泥沼に陥れるだけ | トップページ | 軍国主義と戦争を煽ってホームレス問題を解消しようとしているイギリス新首相アンディ・バーナム »



コメント