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2026年6月21日 (日)

欧州プロジェクトの裏切り



ウーゴ・ディオニシオ
2026年6月17日
Strategic Culture Foundation

 軍国主義への傾倒が、いかに共同体の法を転覆させアメリカ軍産複合体を潤すのか。

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 欧州連合の問題は、その象徴するものと「連合」という名称自体が持つ記号論的な意味との間に完全な乖離があるだけでなく、企業メディアや指導者の演説で示される「連合」という矛盾したイメージを追求し、それを目指す中、ロシア連邦を、あらゆる領土、軍事、産業、コミュニケーション戦略の基盤となる重要な敵とみなす考え方を助長することだけに依拠している点にもある。トルコを拒否した後、特にアルメニアなどのアジアの国に対してEUが歩み寄る姿勢を目にする時、今日の欧州連合が、その存在全体をこの欺瞞の上に成立しており、NATO、ひいてはアメリカ合衆国の延長として振る舞うことで、それを維持しようとしている事実を、どうしても認めざるを得ないだろう。

 ヨーロッパ統合の最も重要なイデオロギー提唱者の一人、ロベール・シューマンは、ヒトラーやナポレオンや、それ以前の多くの人々が試みたような武力ではなく、経済的利益の融合によって統合が実現され、それが平和につながると信じていた。この考えに基づき、シューマンは石炭や鉄鋼といった当時の基本的原料を共通のヨーロッパ的、超国家的な権威の下に置くことで、フランスとドイツ間の戦争を「物質的に不可能にする」ことを構想した。ヨーロッパ統合の立て役者やイデオロギー提唱者にとって、石炭と鉄鋼は、今日のエネルギーや重要鉱物が果たす役割と同じ役割を果たし、西欧とソビエト連邦(ロシア連邦)との共存を可能にしたのだ。

 従って、欧州統合計画は、少なくとも理論上は、軍縮と当時世界で最も経済的に発展していた国々の経済力により、武力を代替する計画として誕生したのだ。

 76年後、欧州連合は戦争中の国への融資に900億ユーロを投じ、欧州防衛基金を創設し、「欧州再武装」計画を開始し、EDIRPA、ASAP、EDIPといった共同体予算を兵器生産の原動力に変えることを目的とする制度を承認するに至った。ここで生じる疑問は、こうした政策が平和構築のための武器として経済力を活用する当初の構想に合致しているのかという点にとどまらず、少なくとも欧州法そのものに準拠しているかどうかという点にも及ぶ。果たして「欧州連合」は今でも存在しているのだろうか?

 欧州連合条約第41条第2項は非常に明確だ。「運営費(…)は、軍事的または防衛的意味合いを持つ作戦から生じる支出、および理事会が全会一致で別段の決定を下す場合を除き、連合予算に計上されるものとする。」この文言は決して曖昧ではなく、二つの非常に重要なことを目指している。1. EUとその機関を戦争という事業から運営上遠ざけること、そして、2. 欧州連合が軍事費を負担するのを阻止することだ。今日この条項を読むと、まるで冗談のように感じられ、フォン・デア・ライエンやカヤ・カッラスが声高に主張する「原則と価値観」への裏切りがどれほど進んでいるかが分かる。彼らが主張すればするほど、彼らは原則から遠ざかっていく。

 TFEUはこの点について非常に明確だ。第32条d項では「委員会は、加盟国の経済生活に重大な混乱が生じることを回避し、共同体内における生産の合理的発展と消費の拡大を確保する必要性に基づいて行動しなければならない」と述べている。ロシア産ガスの消費を停止し、21件もの制裁措置を適用し、ロシア連邦が保証する全ての生産要素を廃止するという決定で、この規定が一体どこにあったのか知りたいものだ。この決定は、他国に対する侮辱という論拠に基づいており、アメリカやイスラエルなどの、より深刻な場合には、同様の対応は見られない。

 欧州委員会が安全保障政策や軍事問題への介入制限に関する禁止事項を絶えず回避していることは明白で、戦争自体と同様に、我々に数百万ポンドの損失をもたらす法務部門全体により、しばしば巧妙な創意工夫に頼っている。本来あるべき姿から、かけ離れた存在となった欧州委員会は、自らが擁護を誓った条約に違反する方法を見つけることに時間を費やし、自らを支配する公言できない利害を代表する行動を通じて、本来従うべき法律が規定する内容と正反対の結果をもたらしている。

 例えば、ウクライナへの融資(900億ユーロ)の場合、TFEU第122条の「例外的な困難」条項が援用される。まるで地政学的問題が自然災害で、ウクライナがEU加盟国であるかのように、こうした仕組みの適用が正当化されるかのように。ReArm Europe(1500億ユーロ)でも、同じ法的根拠が用いられ、融資はウクライナではなく加盟国に対して行われていると主張される。事態をややこしくするため、ロシア連邦が明日、一年後、二年後、三年後、あるいは十年後(カレンダーと、納税者の資金で賄われる再軍備計画により異なる)にNATOを攻撃するという筋書きが作られ、こうして危険はEU自身に向けられ、NATOとの道具的な関係が証明される。こうしてウクライナは資金を受け取り、EU加盟国は、神の恵みで突然発生した、自分たちでは制御できない「例外的出来事」を理由に再軍備できる。

 「エネルギーをはじめとする特定製品の供給難」「自然災害」に言及する記事は、軍国主義的な偏向だけでなく、一般のヨーロッパ人の生活とかけ離れた、選挙で選ばれていない官僚組織、欧州委員会への権限集中化を正当化するためにも利用されている。エネルギー、兵器、半導体、全て、EU自身の無能さによってのみ生じた例外的状況下で集中化されてしまったのだ。

 防衛産業の再工業化に関しては、EUはTFEU第173条(産業競争力)の仕組みに頼っているが、まるで弾薬や戦車の生産が域内市場の問題であるかのように扱っている。EUと欧州委員会は、本来焦点を当てるべきではない事柄に焦点を当て始めているだけでなく、条約を、偏った解釈で解釈し、あらゆる条項に戦争と社会分野から軍産複合体への資金流用の正当化を見出している。第4次産業革命競争をアメリカに譲り渡し、エネルギー転換戦略と原子力エネルギーを苦い結末に導いたEUは、今や経済「競争力」に関する条項を経済のためではなく、戦争のために利用している。軍事競争のために。

 これは法的解釈ではない! これは組織的回避策だ。欧州連合条約第24条第1項は、共通外交安全保障政策(CFSP)における立法行為の採択を禁止している。解決策は? CFSPの旗印の下で手段を採用しないことだ。欧州連合条約第41条第2項は、EU予算を軍事作戦に使用することを禁止している。解決策は?政府間「予算外」手段(例えば、欧州平和基金(EPF)(これは戦争のためのもので、平和のためのものではない))を作成するか、産業法上の根拠を援用することだ。欧州連合条約第4条第2項は、国家安全保障は「各加盟国の専属的責任」であると定めている。解決策は? 防衛資金をブリュッセルに集中させることだ。

 欧州委員会、欧州議会と、理事会に参加する各国指導者たちは、条約がこのような目的で作られたものではないのを承知している。毎日放送される多くの音響室も同様だ。まさにこの「法的根拠の創造的な利用」に疑問を呈し、それが「現行条約と、変化する地政学的現実に対するEU対応間の乖離の拡大」を反映しているとスウェーデン欧州政策研究所(SIEPS)調査は非難している。問題は、私たちが信じ込まされているのとは反対に、この乖離は、地質的宿命ではなく、政治的な選択であることだ。そして、間違った、非民主的な政治的選択には、通常、法的結果が伴う。

 しかし、これら全てを踏まえてもなお、最もスキャンダラスな事例はやはりウクライナへの融資だ。ハンガリー、スロバキア、チェコ共和国はこれに反対した。共通外交・安全保障政策(CFSP)の規則の下で。規則によれば、そして、これは共通安全保障に関わる問題であるため、このような反対は自動的に手続きを阻止するはずだった。全会一致が原則で、偶然ではない。目的は戦争を起こすことではなく、平和へと導く経済の道を歩むことだ、覚えているだろうか? しかし、欧州委員会は欧州連合機能条約(TFEU)第332条に訴え「強化された協力」という論理で、反対国抜きで26カ国が手続きを進めることを認めたが、このような状況のために作られたものではない規範を用いた。つまり、規範は本来の目的のために使用されなければならないという規範の特殊性原則に違反したのだ。欧州法を回避するための、もう一つの狡猾な戦略だ。

 これは憲法上、クーデターに相当する。強化協力は、共通の権限を有する分野において全会一致で統合を進められない場合の最終手段として構想されたのだ。しかし、共通外交・安全保障政策(CFSP)は、他の分野のように共通の権限を有する分野ではない。それは加盟国のみの権限を有する分野で、共有されるものではない。この分野では、全会一致こそが、この欧州連合、すなわち国民の主権によって成立し、支えられているEUを形成すべき主権的妥協の根幹を成すものだ。戦争、ひいては世界大戦につながりかねない分野で、加盟国の拒否権を回避するために強化協力を利用するのは、警察から逃れるために、救急車を使うようなものだ。技術的には可能だが、道徳的には容認できない。

 しかし、ヨーロッパの人々にとって危機に瀕しているのは、単なる形式的合法性ではない。加盟国間の相互信頼の原則だ。多数派が少数派に戦争を強要できるなら、EUは主権国家の連合体ではなくなり、強制的連邦制になる。しかも連邦制としての民主的正当性を持たない連邦制になる。そして、これが各国指導者、すなわち当時のEEC加盟以来のポルトガル政府によって、我々が導かれてきた欺瞞だ。彼らはあらゆる段階で、この欧州連合の純粋な植民地主義的性質を助長し、深化させてきたのだ。

 だが、更に深刻な裏切りが存在する。EUの軍国主義的傾向は、ヨーロッパを強化するどころか、とりわけアメリカを強化する。その数字は明白だ。2020年から2024年の間に、ウクライナを含むヨーロッパへのアメリカ武器輸入は、その前の5年間と比べて三倍以上に増加した。世界の武器輸出に占めるアメリカの割合は35%から43%に上昇した。歴史的に軍事問題に消極的だったドイツでは武器輸入が334%増加し、約70%がアメリカからの輸入だった。

 F-35は、この依存関係を象徴する完璧な例と言える。ウクライナ侵攻以降、多くのヨーロッパ諸国がこのアメリカ製戦闘機を購入してきた。そして、いずれもソフトウェアのアップデートに関してアメリカ政府とロッキード・マーティン社に依存している。この機体はアメリカ製兵器を使用するように設計されており、ヨーロッパ兵器に適合させるにはワシントンの承認が必要となるが、これは現実的ではない。更に、フランスとドイツによる第6世代戦闘機開発コンソーシアムの分裂も、この現実と無関係ではないはずだ。

 1500億ユーロ規模の「欧州再軍備計画」は、その大げさな名称とは裏腹に、決して欧州の自立を目指す計画ではない。むしろ、それは兵器購入計画だ。そして、誰が売っているのか? アメリカ合衆国だ。NATO加盟諸国に、国防費をGDPの5%まで引き上げ、アメリカ製の兵器を購入するよう、トランプ大統領は明確に要求した。

 ベルリンの「欧州製品優先」政策は、アメリカ兵器業者からの購入を僅か8%に限定するもので、対応が遅く、しかも不十分だ。問題は、一体誰が武器を売っているのかだけでなく、一体誰が技術を支配しているのかにある。軍事情報システム、標的データ・ベース、防衛ソフト、人工知能、これら全てアメリカに依存している。「アメリカ兵器システムからのデータは自動的にアメリカに送信され、重要ソフトウェアのアップデートはアメリカ製造業者に依存している」とイギリス王立国際問題研究所自身も述べている。

 この裏切りは二重の意味を持つ。一つは条約への裏切りであり、EUは(他に言いようがないが)創意工夫に富んだ弁護士集団の共謀のもと、条約を破っている。そしてもう一つは、少なくとも国内向けに売り込まれてきた欧州統合構想の精神の裏切りだ。

 シューマンは世間知らずではなかったかもしれないが、統合が平和を通じて実現しなければ、決して実現しないことを知っていた。少なくとも彼はそう言っていた。とはいえ、戦争という行為は分断しかもたらさない、戦争とは、統合ではなく分断をもたらすものだからだと常に言える。

 EUはまさにそれを実行している。病院、学校、インフラ整備のために税金を納める欧州納税者に資金提供される共同予算を、防衛産業への融資保証に利用しているのだ。歴史的に兵器への融資が禁じられてきた欧州投資銀行を、戦争銀行に変貌させている。「欧州製」防衛製品購入を義務付ける規制を承認しているが、実際は、欧州で合弁事業を展開し、欧州企業に様々な資本規制を組み込んでいるアメリカ企業が恩恵を受けている。

 この軍国主義的傾向を擁護する連中が好んで用いる論拠は、今回の事態の「例外性」にある。ロシアによるウクライナ侵攻を未曾有の出来事と位置づけることで、連中はEU加盟国全体を適応が避けられないという考えに引きずり込もうとしている。彼らは、EUで適用される欧州法や国際法が示唆するように、戦争を非難し拒絶することが避けられないという立場を示すこともできたはずだが、そうはしなかった。まさにこのような状況に対応するために制定された法律を適用しないために、彼らは、この例外性を悪用しているのだ。

 この種の指導者連中は、ヨーロッパの人々に売り込み、しばしば非民主的手段で、彼らを無理やり参加させたヨーロッパ構想を裏切ることで、単にその構想を裏切っただけではない。彼らは、その構想がどのようなものになるか語っていたこと、売り込んだもの、約束したこと、全て裏切ったのだ。その構想の本質を分析し、当初からそれを非難し、当時の勢力関係を鑑みれば、そのような試みは不可能だと断言していた人々もいた。

 だが戦いが発生した際、正しいにせよ、その戦いに参加するのを誇りに思うべきではない! 今日の戦いは、この奈落への流れを食い止めることにある。さもなければ、意識的に、あるいは罪悪感から、あるいは無意識に、我々全員それに屈服してしまう!

 出典および外部参照

1. €90 Billion Loan to Ukraine (2026-2027):ウクライナへの900億ユーロ融資(2026年~2027年)

  The Conversation、「EUはウクライナへの900億ユーロの融資に合意したが、凍結されたロシア資産をめぐる争いがEUの深い分裂を露呈した」、2025年12月19日。

2. “ReArm Europe” Plan (€150 billion):「欧州再武装計画」(1500億ユーロ)

  • European Parliamentary Research Service (EPRS), “ReArm Europe Plan/Readiness 2030,” April 2025.欧州議会調査サービス(EPRS)「欧州再武装計画/2030年準備」、2025年4月。
3. European Peace Facility (EPF) ? “Off-Budget” Instrument:欧州平和基金(EPF)-「予算外」手段:

4. Article 122 TFEU Legal Basis (Exceptional Difficulties):欧州連合機能条約第122条の法的根拠(例外的な困難):

5. Article 332 TFEU (Enhanced Cooperation) and Veto by Hungary, Slovakia, and Czech Republic:欧州連合機能条約第332条(強化された協力)およびハンガリー、スロバキア、チェコ共和国による拒否権

  • Max Planck Institute, “Frozen assets: Hard compromises in the European Council,” April 17, 2026 (on enhanced cooperation with 24 Member States).マックス・プランク研究所、「凍結された資産:欧州理事会における厳しい妥協」、2026年4月17日(24加盟国との協力強化について)。
6. U.S. Arms Exports to Europe (2020-2024):アメリカの対欧州武器輸出額(2020年~2024年)

7 U.S. Technological Dependence and Military Data:アメリカの技術依存度と軍事データ

  • Chatham House, references on dependence on American weapons systems and data sharing (as cited in the original text; specific source to be confirmed in publications by the Royal Institute of International Affairs).チャタムハウス、アメリカの兵器システムへの依存とデータ共有に関する参考文献(原文に引用されている通り。具体的出典は王立国際問題研究所出版物で確認予定)。
8 Article 41, Paragraph 2 TEU (EU Budget and Military Operations):TEU第41条第2項(EU予算と軍事作戦)

  • Treaty on European Union (TEU), Article 41, Paragraph 2.欧州連合条約(TEU)、第41条、第2項。
9 Article 32, Paragraph d) TFEU (Rational Development of Production):欧州連合機能条約第32条d項(生産の合理的発展)

  • Treaty on the Functioning of the European Union (TFEU), Article 32, Paragraph d).欧州連合の機能に関する条約(TFEU)、第32条d項。
10 Article 173 TFEU (Industrial Competitiveness):欧州連合機能条約第173条(産業競争力)

  • Treaty on the Functioning of the European Union (TFEU), Article 173.欧州連合の機能に関する条約(TFEU)、第173条。
11 Article 24, Paragraph 1 TEU (Prohibition of Legislative Acts in CFSP):州連合条約第24条第1項(共通外交・安全保障政策における立法行為の禁止)
  • Treaty on European Union (TEU), Article 24, Paragraph 1.欧州連合条約(TEU)、第24条第1項。
12 Article 4, Paragraph 2 TEU (National Security ? Exclusive Responsibility of Member States):TEU第4条第2項(国家安全保障-加盟国の専属的責任)

  • Treaty on European Union (TEU), Article 4, Paragraph 2.欧州連合条約(TEU)、第4条第2項。
13 SIEPS Study on “Creative Use of Legal Bases”:SIEPSによる「法的根拠の創造的な活用」に関する研究

  • SIEPS (Swedish Institute for European Policy Studies), publications on the disconnect between Treaties and the EU’s response to geopolitical reality.SIEPS(スウェーデン欧州政策研究所)は条約とEUの地政学的現実への対応との間の乖離に関する出版物を刊行している。
記事原文のurl:https://strategic-culture.su/news/2026/06/17/the-betrayal-of-the-european-project/

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 耕助のブログ Rnaud Bertrand記事翻訳
No. 2940 米国の完全降伏

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