アメリカ・イラン間の和平覚書が罠だったら?

ロレンツォ・マリア・パチーニ
2026年6月22日
Strategic Culture Foundation
ロシアと中国が注視し、抵抗枢軸が危機に瀕する中、ペゼシュキアンの緊張感あふれる署名は「我々は正しいことをしたと信じている」というメッセージを暗示している。
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ワシントン・テヘラン間の影
今起きていること全てに、どこか奇妙なところがある。中東における新たな秩序は成功する可能性を秘めているが、未解決の疑問があまりに多すぎる。
アメリカ、イラン両政府内の力学を分析すると、いくつか憂慮すべき影が浮かび上がる。
アメリカは事実上、イランが望むほぼ全てのものを、彼らの条件で手に入れることを許しており、この合意はイランの勝利で、アメリカの敗北だと評されている。平和協定においては、たとえ覚書の形であれ「勝者」や「敗者」について語るのは厳密には適切ではない。平和は人々にとって最も貴重な善で、それが双方により実現された時には、人々が勝利するためだ。
専門家に任せる技術的詳細はさておき、安定した合意ではなく、覚書が締結された理由は不明だ。多くの人がこの疑問を抱いている。考えられる答えはこうだ。覚書は罠なのだ。アメリカ政権は、イラン国内の誰かがこの罠にかかるかどうか見極めようとしている。すると、この「誰か」とは一体誰なのか? それは革命防衛隊指導者たちだ。なぜか? アメリカの見解では、そして大統領自身が繰り返し報道陣に述べてきたことと一致するが、問題はイラン自体でも、イラン国民でも、ましてイラン政府でもなく、革命防衛隊にあるからだ。なぜか? 彼らが権力を持ちすぎていること、抵抗枢軸を支配していること、そして、アメリカ人評論家たちが言う通り、彼らが「テロリスト犯罪者」であること、したがって、アメリカにはイスラム過激派テロと戦う義務があるからだ。
このシナリオは一部の人には信じがたいかもしれないが、我々は起こりうる結果を考慮しなければならない。もしこれが全て真実なら、事態は次のように展開するだろう。アメリカはイラン革命防衛隊が罠にはまり、和平を追求するのではなく、ホルムズ海峡を再び攻撃または封鎖するか、あるいは覚書条項の遵守を拒否するのを待っている。その時点で、アメリカは本格的軍事介入で対応できる。イランは牽制されるが、内戦やイスラエルによる更なる攻撃のリスクも加わる。大惨事になる。
そうなれば、世界の他のオブザーバーはどのような行動に出るだろう? 答えはロシアと中国にかかっている。両国はペゼシュキアン政権と、平和的解決への意欲を支持し、迅速かつ確実な解決を提唱してきた。バランスのとれた新たな中東秩序の確立は、両超大国にとって理想的シナリオだ。イラン国内の「悪化」は和平過程への信頼を損ない、ロシアと中国にとって、アメリカが妨害を受けずに行動するのを容認することになるかもしれない(実際、100日以上にわたる紛争の間、両国はほぼそうしてきた)。
イラン国内の実際の状況は不明だ。以前から国内には分裂が存在していたが、ここ数ヶ月の直接衝突の中で、革命防衛隊と正規軍の間で矛盾や意見の相違が表面化した。しかし、マソウド・ペゼシュキアン大統領が覚書に署名した際の表情は明らかだ。緊張した真剣な表情で、交渉に同席していた情報筋によると、大統領は「我々はイランにとって正しいことをしたと願っている」と述べたという。
地域への影響
このようなシナリオが地域レベルでどのような意味を持つのか、想像してみよう。アメリカは既に現地に展開しており、イランに対して迅速に介入できるだけでなく、イスラエルが土壇場で愚かな行動に出た場合の抑止力としても機能する可能性がある。イスラマバード合意に続く電子署名に続き、ジュネーブでの合意署名を注視している全ての人々にとって、紛争の新局面勃発は最大の懸念事項だ。
多くの観察者は、過去の出来事を過去の視点から捉え、過去の力学が必然的に繰り返されると考える傾向にある。だが本物の地政学は惰性で動くものではない。二つの戦略的敵対国が構造化された対話を開始すれば、その影響は関係する二国の国境を遙かに超えて波及し、中東、ヨーロッパ、アジア大陸全体と、世界経済の微妙なバランスにまで影響を及ぼす。
他の欧州諸国もこの動きに加わろうと躍起になっており、特にフランスはエマニュエル・マクロン大統領を通じて、G7サミットで復興事業の経済的利益の一部を確保したい意向を表明した。アラブ首長国連邦はG7記者会見でトランプ大統領から直接攻撃を受け、今後他の地域諸国と競合しなければならなくなり、事実上、将来に不利な立場に置かれることになる。既にイランはアラブ首長国連邦に強い疑念を抱いており、パキスタンやサウジアラビアとの緊張も高まっている。一方、イスラエルは広範な論争の中心にあり、和平合意をボイコットし史上最悪の過ちを犯す危険を冒している。緊張は限界点に達している。
少なくともアメリカ側で明らかになっているのは、アメリカが抵抗枢軸を現状のまま維持するのを望んでいないことで、少なくとも現時点では、革命防衛隊は、このことを容認できないと考えている。抵抗枢軸は、欧米帝国主義に対抗することを可能にし、イランだけでなく、レバノン、パレスチナ、イエメン、イラク、アフガニスタン、そしてシリアの長期にわたる存続を直接保証してきた。枢軸解体を要求することは、イラン革命の核心の半分を引き裂くことを要求するようなものだ。だが枢軸が戦闘態勢にある限り、アメリカと他の全ての西欧諸国は中東で安穏としていられない。だからこそ枢軸の破壊が求められているのだ。
しかし、これら全てはイラン指導部にとって本当に受け入れられるものか? この和平合意は、これほど抜本的な変化に見合うだけの価値があるのか? 今のところ、その疑問は未解決のままだ。
記事原文のurl:https://strategic-culture.su/news/2026/06/22/what-if-the-peace-memorandum-between-the-u-s-and-iran-were-a-trap/
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