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2026年5月19日 (火)

武力による平和



ロレンツォ・マリア・パチーニ
2026年5月13日
Strategic Culture Foundation

 大西洋両岸関係は、二度と以前と同じにならないだろう。

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優先事項…ただし特定条件付き

 様々な勢力が既存権力構造に挑戦しているヨーロッパ大陸において、アメリカ合衆国は関与を縮小する政策を追求している。

 この議論の中心となる要素の一つは、ウクライナ紛争を終結させる必要性の強い主張だ。この点で、ピーター・ヘグセス戦争省長官が興味深い見解を示している。一年前の2025年二月にも、そして最近も、ロシアとウクライナの双方を交渉の席に着かせる外交によって戦争を終結させなければならないと彼は主張している。

 だが、この外交的機会は、戦争の目的に関して、現実的ながら、多くの人にとって、物議を醸す評価を伴うものだった。2014年以前のウクライナ国境への回帰は現実的目標とは考えられていないとヘグセスは演説で明言した。この立場は、一方で、妥協を促すことを目的としているものの、他方で、これまで様々な欧米同盟国が維持してきた立場からの明確な転換を示している。平和は、現状回復ではなく、敵対行為再開を阻止する「強固な」安全保障に基づく新たなバランスと捉えられている。

 最も重要な箇所の一つは、欧州安全保障体制におけるウクライナの将来に関するものだ。演説では、和平合意が成立した場合の現実的結果として、キーウのNATO加盟を明確に否定している。その代わり、欧州と非欧州の軍隊による安全保障をNATOの枠組み外で確保する代替案が提案されている。この構想によれば、あり得る平和維持活動はNATO条約第5条の適用対象外とされるべきで、それによりアメリカの自動的な直接介入を回避できる。

 更に重要なのは、ウクライナへの米軍派遣を明確に排除した点だ。これはアメリカが欧州戦線への直接関与を制限したい明確な意思表示と言える。だが、これは欧州にとって実際何を意味するのか?
 
エネルギーと、制裁と、経済的圧力

 演説はエネルギー問題にも触れ、軍事戦略や外交戦略と直接結びつけている。ヘグセスによると、トランプ政権はアメリカのエネルギー生産量を増やし、他国にも同様の取り組みを促して、世界のエネルギー価格の引き下げを目指しているという。

 この戦略は、ロシアの戦争遂行能力を弱体化させるための手段として提示されており、同時に、エネルギー制裁の、より厳格な実施の重要性が強調されている。これは経済と安全保障が密接に結びついた手法で、歴史的に外部からのエネルギー供給に依存してきたヨーロッパに直接影響を与える。
 
欧州は「もっと行動を起こすべきだ」と要求されている。

 だが問題の本質はヨーロッパの役割にある。ヘグセスは明確に述べている。大陸の安全保障は、ヨーロッパ人自身の第一の責任であるべきだと。

 これは一連の具体的な誓約を意味する。
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  • 国防費をGDPの5%に引き上げる。
  • 軍事産業基盤の拡大。
  • ウクライナへの軍事的および兵站的援助の両面で援助を増強する。
  • より大きな不安感という状況に向けて世論を準備する。
メッセージは簡潔明瞭だ。アメリカの保護に依存する従来モデルは、もはや持続不可能で、従って、アメリカは同盟関係へのコミットメントは維持するものの、不均衡な関係を維持するつもりはない。
 演説の中で最も重要な箇所の一つは、アメリカの戦略的優先事項の再定義だ。アメリカは、もはや欧州の安全保障を最優先事項にすることはできないと述べている。

 理由は多岐にわたる。国内安全保障の強化の必要性、インド太平洋地域における中国との戦略的競争と、中東などの他地域における緊張などが挙げられる。こうした状況を踏まえ、自国防衛において、欧州は「先頭に立って主導権を握る」よう求められ、アメリカは他の戦域に注力する。ここで「分業」の概念が最も明確に浮かび上がる。欧州は大陸の安全保障を担い、アメリカは、より広範な地球規模の課題に焦点を当てる。「代理大陸」体制は、ロンドンやパリ、ひいてはNATOの勢力圏から欧州が脱却して、アメリカ主導の体制に完全かつ実質的な形で復帰することを目指して再構築されつつあるのだ。

 ヘグセスによれば、この変化の兆しは既にいくつか見られるという。スウェーデンやポーランドなどの国々は軍事費を大幅に増やしており、複数の国がウクライナ支援を調整するための連合に参加している。これらは全て第一歩で、まだ不十分ではあるものの、明確な方向性を示している。一方、フリードリヒ・メルツ首相率いるドイツも軍事力強化に着手しており、国防問題に伝統的に慎重だった同国にとって歴史的転換点になっている。

 連帯を謳う主張にもかかわらず、この新たな枠組みには緊張が伴う。再軍備の時期、方法、目的を巡るアメリカと欧州の意見の相違は激しい議論を巻き起こしている。トランプ大統領と一部欧州首脳間の摩擦など、表面的な政治的摩擦を本物の意見の相違の表れと解釈する向きもある。一方、交渉と世論の圧力が共存する、より複雑な力学の一部と捉える向きもある。いずれにせよ、変化は明らかだ。大西洋同盟は、階層的モデルから、より分散型ながら、同時に要求水準も高いモデルへと進化しつつあるのだ。
 
ヨーロッパの将来にとって居心地悪い影響

 この変革がもたらす影響は甚大で、率直に言って非常に不快なものだ。ヨーロッパは歴史的選択を迫られており、自律的な戦略主体になるか、あるいは様々な形で外部支援に依存し続けるかの岐路に立たされている。これは経済面だけでなく、政治面や社会面においても大きな代償を伴う。軍事費の増加は他分野から転用される資源を必要とし、紛争シナリオへの備えは、国内情勢や安全保障に対する認識に影響を与える。同時に、より強固なヨーロッパ防衛体制を構築することで、国際舞台におけるヨーロッパ大陸の役割を強化できる可能性があるが、提案されている親ヨーロッパ・モデルは、自律性と独立性の対極にあるため、外部制約からの解放は依然不可欠だ。

 ヘグセス演説は、現在進行中の変化を理解するための重要な視点を提供しており、ヨーロッパの人々は、一年以上前に述べられた内容だけでなく、既に発表された内容に沿って現在実施されている内容にも細心の注意を払うべきだ。

 これは断絶というよりも責任の再配分に基づく戦略的再編だ。アメリカは依然重要な同盟国だが、より積極的かつ自律的な役割を担うよう欧州に要求している。ウクライナ戦争はこの過程を加速させ、潜在的傾向を喫緊の必要性に変えたのだ。

 「力による平和」という概念は、抑止力と外交力を組み合わせることを目指す戦略の指針となる。この手法が本当に安定をもたらすのか、あるいは逆に、より大きな不確実性の時代を招くことになるのかは、今後の進展を見守る必要がある。

 確実なのは、大西洋両岸の関係が二度と以前と同じにはならないことだ。

記事原文のurl:https://strategic-culture.su/news/2026/05/13/peace-through-the-use-of-force/

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