トランプの「プロジェクト・フリーダム」は完全に頓挫した。さて、これからどうなるか?

マーティン・ジェイ
2026年5月6日
Strategic Culture Foundation
エスカレーションの罠は、ドナルド・トランプをイラン戦争という流砂に益々深く引きずり込んでいるようだ。
❗️Telegram
お問い合わせ: info@strategic-culture.su
エスカレーションの罠は、ドナルド・トランプをイラン戦争の流砂に益々深く引きずり込んでいるようだ。イランがUAEの石油ターミナルを攻撃した後、トランプは後退し、ホルムズ海峡を通過する石油タンカーを護衛する軍事護衛を創設する計画を「一時停止」せざるを得なくなった。大統領自身のソーシャルメディア投稿によると、プロジェクト・フリーダムは開始される前に中止された。トランプは、イラン戦争に「勝利」したと騙されやすいアメリカ国民を欺くための更なる煙幕戦術を見つけようと苦心している。実際、8回も。
だが、トランプ大統領が様々な勢力に翻弄され、ペルシャ湾での何らかの軍事行動という考えにしがみついている可能性は容易に想像できる。以前、彼が二度目の攻撃を行うとは考えていないと私は推測したが、島に上陸して米兵を駐留させる試みは、彼がまだ検討している選択肢の一つに違いない。そして、イランによるUAE攻撃以来、このような計画がうまくいくかもしれないという考えを彼の頭に更に強く印象付けるような驚くべき出来事が起きた。UAEは思い切ってイスラエルとの関係を全く新しいレベルに強化し、GCC全体でシオニスト国家の唯一の確固たる同盟国という特別な地位をも超えた。石油ターミナル攻撃後、UAEが報復攻撃を計画し、イスラエルと軍事的に連携しているというニュースがソーシャルメディアに溢れた。これは多くの点で重要な意味を持つ。イランに対して敵ではないという意思表示をしたい他のGCC諸国との間に明確な境界線を引くだけでなく、UAEをテヘランの主要標的に位置づけることになるからだ。そのため、アブダビのエリート層にとって、この動きは愚かとまでは言わないまでも、非常に危険なものだと言える。まるで、アブラハム合意への署名が実際は彼らの重大な過ちでなかったことを示すためだけに、50年間で地域全体の経済奇跡として成し遂げてきたこの国の全てを破壊する覚悟があるかのようだ。イスラエルか、さもなくば何もないかだ。
こうしてイスラエルの戦略は、軍事的にも人命の面でも甚大な付随的損失を被る必要があるとアメリカを説得することから、今度はUAEを説得することへと移行している。だが、アブダビの支配者連中はイランに正面から立ち向かう勇気があるのだろうか? 避けられない人命の損失やインフラ破壊に耐えられるのだろうか? イスラエルは巧みな話術で支配者を説得して、トランプ大統領が引きずり込まれた幻想の世界へと誘い込んだとしか考えられない。トランプ大統領自身も、僅かながら重要な役割を果たしたのかもしれない。そのわずか1週間前に、イランの攻撃による被害についてアメリカはUAEに賠償することを検討すべきだと記者団に発言していたのは決して偶然でないからだ。もちろん、これら全ては繋がっており、UAEが気まぐれでこの決定を下したと偶然に考えるべきではない。
ペルシャ湾の島を占領するトランプの構想と、UAEがイスラエルと軍事同盟を結んだことは、いずれも同じ壊滅的計画の一部で、イラン指導者たちは、この幸運を信じられないほど喜んでいるに違いない。彼らは「ドバイとアブダビを破壊し、支配者連中が慈悲を乞うのを見届け、海峡の支配権を含む我々のあらゆる要求にGCC諸国全体が屈服する」と考えているに違いない。
トランプの島占領構想は、おそらくこれまでで最も愚かなものであり、イスラエルの軍事計画立案者の発案である可能性が高い。あらゆる面で愚かな計画だが、UAEがイランに奪われたと主張する多くの島々のうちの1つに米軍を駐留させることが可能であるという点で、魅力的に映るのも無理はない。イランはおそらくこの作戦を容認するだろう。なぜなら、アメリカが島に拠点を築くことを許せば、イランを人質に取る絶好の機会となるからだ。兵站の観点から見ても、この構想は失敗に終わる運命にある。米軍を島に配置することと、彼らに物資を供給することは全く別の問題だ。米軍が島に到着し基地を設営した後、イランは米軍の補給船や航空機を阻止できる。部隊は活動するために食料、水、装備を必要とする。この構想を思いついた軍事計画立案者たちは、おそらくそのような島を作戦の拠点として利用できると考えているのだろうが、イランが常に一歩先を行き、この計画の後半部分を成功させないだろうということを考慮に入れていない。こうして、この島構想は、それを承認した者たちの顔に跳ね返ってくるだろう。兵士たちは事実上人質となり、毎日ソーシャルメディアで晒し者にされることになる。一方、イランは良心的な行為として彼らに食料を供給するだろう。テヘランがエネルギー・インフラ攻撃に激怒し、アメリカとイスラエルにメッセージを送るために彼らを皆殺しにすると決意しない限り。これはすべて狂気だ。しかし、このような狂気がこの段階にまで達してしまったことの問題点は、唯一の解決策が更なる狂気であるように見えることだ。トランプ、イスラエル、そして今やUAEは皆、火には火で対抗している。皮肉なことに、かつてイランと非常に友好的な関係を持っていたこの地域で唯一の国であるUAEこそが、平和的解決策を見つけるための外交的パイプ役になれたはずなのだ。ドバイにイラン人の巨大社会を抱えるUAEは、イスラエルとイランの両方との独特な関係を鑑みて、この狂気を止め、和平を仲介できた唯一の国だったはずなのに、そうしなかった。これはボブ・ペイプ教授が言う「エスカレーションの罠」で、アブダビでまた新たな犠牲者が出た。
記事原文のrl:https://strategic-culture.su/news/2026/05/06/trumps-project-freedom-just-got-blown-out-of-water-what-now/
-----------
ベトナムで、オーストラリアで、恥かきまくり害行。
« ナチズムに対する戦勝祝賀をヒトラーを称賛する政権が尊重できるのか? | トップページ | エネルギーを巡る激震:ウクライナと対イラン紛争がヨーロッパの未来をどのように変えたのか »
「イラン」カテゴリの記事
- イラン:エスカレーションの主導権を掌握する技術(2026.06.03)
- 対イラン戦争:イスラエルがベイルートを脅迫した後、イランは石油供給量を更に削減すると発表(2026.06.02)
- 対イラン戦争:失敗に終わったアメリカの強硬策(2026.06.01)
- 対イラン戦争:次の停戦合意はあり得ない(2026.05.27)
「アメリカ軍・軍事産業」カテゴリの記事
- ロシアは反撃を自制できるのか? English Outsider(2026.06.06)
- イラン:エスカレーションの主導権を掌握する技術(2026.06.03)
- 対イラン戦争:イスラエルがベイルートを脅迫した後、イランは石油供給量を更に削減すると発表(2026.06.02)
「シェール・ガス・石油」カテゴリの記事
- ドルの罠:湾岸諸国を統制しようとするワシントンの企み(2026.05.20)
- 中国の習主席から現実を突きつけられたトランプ(2026.05.17)
- ほとんど成果を得られずに中国を去ったトランプ(2026.05.16)
- 対イラン戦争:サウジアラビアはイスラエルを非難し、ネオコンの大御所は敗北を認めている(2026.05.15)
- 対イラン戦争:サウジアラビアがイスラエルを非難し、ネオコンの大御所が敗北を認める(2026.05.12)
「サウジアラビア・湾岸諸国」カテゴリの記事
- 対イラン戦争:失敗に終わったアメリカの強硬策(2026.06.01)
- トランプ大統領は今本当にイランを爆撃できるのか?(2026.05.25)
- ドルの罠:湾岸諸国を統制しようとするワシントンの企み(2026.05.20)
- 良い終わりは迎えらないだろうインドとイスラエルとUAEの準同盟関係(2026.05.30)
「トランプ大統領」カテゴリの記事
- 対イラン戦争:次の停戦合意はあり得ない(2026.05.27)
- トランプ大統領は今本当にイランを爆撃できるのか?(2026.05.25)
- 失敗に終わったトランプの中国訪問(2026.05.21)
- 中国の習主席から現実を突きつけられたトランプ(2026.05.17)
コメント
« ナチズムに対する戦勝祝賀をヒトラーを称賛する政権が尊重できるのか? | トップページ | エネルギーを巡る激震:ウクライナと対イラン紛争がヨーロッパの未来をどのように変えたのか »



前世紀の労働運動の名言に、「労働者は、祖国を持たない」という、素晴らしい事実認識があります。
戦争は、資本主義体制の軍需産業を、金儲けさせるだけのものです。
一般市民が日常的な法令を守るのは仕方ないとしても、くだらない全体主義思想に協力する必要はありません。
私の敵は、自分の家の近所に住んでいる、ろくでもない人です。
海の向こうに、敵なんか、いません。
投稿: !&% | 2026年5月 8日 (金) 20時35分