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2026年4月12日 (日)

今回の悲劇的戦争の長期的見通し



ロレンツォ・マリア・パチーニ

2026年4月7日
Strategic Culture Foundation

 第三次湾岸戦争開戦から既に一月以上経過した。そろそろ今後の展開を予測し、様々な計算を行う頃合いだ。

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現状把握

 第三次湾岸戦争の開戦から既に1ヶ月以上が経過した。そろそろ、今後の展開を予測し、様々な計算をする頃合いだ。

 まず予備的検討事項と、紛争の現状について述べる。

 イランは、ホルムズ海峡を封鎖し、欧米諸国全体を危機に陥れられることを全世界に示した。

 この第一の点は決して見過ごしてはならない。ホルムズ海峡封鎖は、現在、この紛争において最も中心的かつ重要な側面だ。エネルギー供給不足は欧米諸国の経済(と政治)を麻痺させ、世界の半分を差し迫った未曾有の危機に陥れている。この封鎖は、世界の経済、商業と通貨の歴史を完全に変えてしまうだろう。しかも欧米の傲慢さを打ち砕くのに「ほんの僅か」で済むのを全員知っている。約200カ国が事態を注視しており、そのうち少なくとも半数は欧米諸国の崩壊を真剣に望んでいる。

 エネルギーがなければ欧米諸国の力が崩壊することをイランは証明した。

 現在、イランは世界のエネルギー供給の約20~30%を占めているが、これは決して全体のエネルギー供給量ではなく、また再調整不可能な数字でもない。しかしながら、欧米諸国全体が代替策を見つけるのに苦慮しているのも事実だ。エネルギー輸入に依存し、自給自足ができない国々の体制について我々は話している。つまり、イランは今や世界の未来をその手に握っており、この紛争が欧米の未来を大きく左右することになる。旧世界の美辞麗句は、地政学の厳しい現実の前で崩れ去る。

 超大国に加え、もう一つの核保有国にも対抗することにイランは成功している。

 これは西側諸国にとって想像もできなかったことだが、それが今まさに起きている。核超大国アメリカと核保有国イスラエルにイランは立ち向かっている。ゲームのルールは書き換えられた。20世紀の核抑止力は揺らぎつつある。文明は依然野蛮より強いのだ。

 何もかも以前とは同じでなくなる。そして、このことを全員、特にヨーロッパに説明したのはイランだった。

 ヨーロッパは、よく分かっていない連中が人を導く大陸だ。ヨーロッパ指導者連中の完全な鈍感さがヨーロッパの人々の破滅を招いている。世界は多極化へ向かっているにもかかわらず彼らは必死に旧体制を維持しようとしている。ウクライナ紛争でさえ人々の目を覚ますには至らなかったが、物価が急騰した今(願わくは)何か変わるかもしれない。
 
論理的に考えてみよう。

 議論を展開しよう。

 アメリカの第一目的は、ワシントンと北京の戦略的格差を決定的に埋められないレベルにまで中華人民共和国が技術発展するのを阻止することだ。この意味で、ベネズエラやイランといった地政学的要衝を標的にするのは間接的な封じ込め戦略と言える。中国にとって、ベネズエラは、南北アメリカ大陸への進出に役立つエネルギーと物流の拠点で、イランは中東における経済的・政治的な要衝で、いわゆる「新シルクロード」(一帯一路構想)にとって極めて重要だ。これら同盟関係を弱体化させることが中国の勢力拡大を遅らせることにつながるとアメリカは理解している。これは地政学の基礎知識に過ぎない。

 しかし、計画的で規律ある国家経済と儒教的権力観に基づく中国モデルの独自性は、地政学的衝撃を吸収する並外れた能力を北京に与えている。中国の戦略的実用主義は「確実に勝てない戦争はするな」という孫子の格言にまで遡る古代のパターンに従って機能している。これは中国が公然の軍事的敵対行為に身を晒すのではなく、経済、技術、文化の分野で辛抱強く動き、敵の動きに合わせて、障害を自らの国内統合の軌道を再定義する機会に変えるのを好んでいることを意味する。

 第一次世界大戦終結以来、今や中東情勢は最も深刻な地政学的再編過程にある。1920年代にロンドン・パリ枢軸に構築され、第二次世界大戦後はアメリカ主導で運用されてきた人為的地図は今や完全に時代遅れになっている。レントシーキング体制とドル依存を基盤とする湾岸石油君主諸国は存亡の機に直面している。覇権通貨ドルの漸進的衰退は、サウジアラビア、アラブ首長国連邦、クウェートなどの国々の経済基盤を揺るがすだけでなく、1973年以来石油秩序を支えてきた政治・金融構造全体に疑問を投げかけている。

 ドル・石油体制の崩壊は壊滅的影響がある。一方で、湾岸君主諸国が国内の安定と合意を維持する能力を弱体化させ、他方で、イラン、トルコ、そして間接的には中国やロシアといった新たな勢力が影響力を持つ余地が生まれるのだ。この移行期において、アメリカは戦略的混乱を通じて支配権を維持しようと、自国支配に沿わない新たな中東秩序の形成を阻止するために地域的緊張を高めるだろう。だが、この計画の直線性は損なわれつつある。同盟関係は変化し、宗派的・政治的断層線は増え続け、中東の旧植民地秩序は、国内および大陸横断的な力学により徐々に侵食されつつある。

 多くの識者の主張とは異なり、完全な脱ドル化は中国とロシアにとっても有益な目標ではない。ドルの完全崩壊は、実際は世界経済の体制的崩壊を引き起こし、国際貿易と外貨準備に対する信頼の危機を生み出すだろう。一方、北京とモスクワは、ドルの強さの再構築、すなわち、アメリカへの依存度を下げつつ、世界的基準通貨としての役割を失わない多極通貨体制への移行を目指している。

 こうした状況において、イランは象徴的かつ機能的な役割を担っている。イランは国際決済を人民元で行うことを要求して、中国経済との統合を強化し、エネルギー市場における中国通貨の使用を確固たるものにしようとしている。この動きはドルを破壊するのを目的としているのではなく、金融回路の支配や国際制裁を通じてワシントンが及ぼしている影響力の一部を剥奪して、体制全体のバランスを回復することを目指している。従って「通貨戦争」は、現在グローバル化が進んでいるものの、文化的基盤上、正反対のアメリカの自由主義モデルと中国の国家中心主義モデルという覇権をめぐる競争の不可欠な要素として浮上しつつある。
 
犠牲になったヨーロッパ

 世界のチェス盤上で、ヨーロッパは再び主要国戦略の巻き添え被害者の立場に置かれている。ロシアに対する制裁とエネルギー混乱によって悪化した30年にわたる経済停滞を経て、欧州連合は「戦時経済」のパラダイムへ向かっている。産業体制の脆弱性とエネルギーの不安定性を認識している欧州機関は、安全保障対策として提示されながら、実際は国内生産を人為的に維持する目的で、防衛部門への巨額投資を推進している。

 数ヶ月前、「戦時経済動員」の必要性をNATO事務総長と欧州委員会が強調したが、これは欧州が戦略的自律性を放棄し、大西洋対岸の軍事複合体の要求に応じようとしている明確な兆候だ。だが、このような依存はロシアとアメリカ双方に利益をもたらす。モスクワは、弱体化したヨーロッパとの通常戦における直接関与を限定することが可能となる一方、ワシントンはこの脆弱性につけこんで、NATOを皮切りに、従来の欧州中心の権力構造を解体できる。「初歩的なことだよ、ワトソン君」この計算は関係者全員に有利に働く。

 第二次世界大戦後、イギリスとアメリカの影響力下でヨーロッパを守るために創設されたNATOの段階的解体は旧体制に決定的打撃を与えるだろう。このバランス構造がなくなれば、アメリカはヨーロッパを直接支配する自由裁量権を得て、新君主制的な意味で帝国主義の形態を再定義することになる。それはもはや多国間機関によりバランスが保たれるのではなく、脱民主主義的な一方的支配に基づく権力になる。

 中東紛争は、単なる地域危機にとどまらず、今後数十年にわたる権力構造を塗り替える世界的変化の触媒となることが明らかになった。中国への間接的攻撃や、中東の変貌や、ドルの再構築や欧州崩壊は全て一つの軌跡へ収束していく。つまり、この戦争は、これまで戦われたどの戦争よりも大きく世界を変えることになる。

記事原文のurl:https://strategic-culture.su/news/2026/04/07/the-long-term-outlook-for-this-tragic-war/

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