停戦協定が詐欺になる時

対イラン戦争を確実に継続させるトランプとイスラエル
フィリップ・ジラルディ
2026年4月10日
The Unz Review
水曜日にナポリターノ判事のYoutube番組「Judging Freedom」に出演した際、ワシントン・テヘラン間で現在進行中の停戦は、この地域におけるイスラエル権益を支援し、対イランの次の大規模攻撃の準備をする時間稼ぎのためのテルアビブとホワイトハウスの策略だという見解を私は表明した。ホワイトハウスと従順なメディアに流布される話のいくつかの側面に私の判断は基づいている。そもそも仲介者パキスタンを通じてイランが提示した停戦案をアメリカが受け入れたのは、イスラエルとの協議なしに行われたとされている。言い換えれば、イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相は、事前に知らされておらず、関与もしていなかったのだ。
これは、合意以前のアメリカとユダヤ国家関係の歴史全てに反するもので、そもそも、それが本当に合意だったかどうかも疑わしい。前任者のジョー・バイデン同様、ドナルド・トランプは、これまでのイスラエルの戦争犯罪で「最も忠実な共犯者」で、イスラエルがアメリカやアメリカの国益に深刻な副次的被害を与えているかどうかに関わらず、アメリカが持つ相当な影響力を行使して、イスラエルの行動に異議を唱えたり阻止したりすることは決してなかった。こうした状況を踏まえれば、レバノン、シリア、ガザ地区で停戦協定が結ばれたが、いずれもアメリカが実施者または保証人だったにもかかわらず、直ちにイスラエルはこれを破った。現在も、これら地域だけでなく、対イランでも同様行為をしている。イスラエルが合意事項に違反しても、トランプ大統領は何も言わない。これは、今回の停戦が、イスラエルとアメリカが裏で巧妙に仕組んだ策略で、劣勢に立たされている戦争を一時的に中断し、停戦の「二週間」期限が切れるやいなや、実質的代替案がないまま戦闘を再開させるためのものであることを示唆している。驚いたことに、この合意は24時間も持たず、イスラエルはレバノンへの壊滅的攻撃を仕掛け、300人もの民間人を殺害し、住宅街を破壊した。イスラエルがこの攻撃を仕掛けたのは、イランとの停戦や和平協定に向けた動きを妨害するためだったのは疑う余地がない。
レバノン民間人への爆撃をイスラエルが即座に再開した悲しい話以外に、停戦が詐欺であるのを確認するため何か必要なものがあるとすれば、それは木曜日に明らかになった、トランプ大統領が副大統領のJD・ヴァンスを首席交渉官としてパキスタンに派遣し、戦争終結に向けた過程の一環として宣伝されている交渉を継続させるというニュースだ。そもそも戦争に反対していたとされるヴァンスは良い人選かもしれないが、彼がトランプ大統領の望むことだけ行い、それ以上のことはしない、というのが大方の見方だ。ヴァンスには、ドナルド・トランプ大統領の二人の個人交渉官、マイク・ウィトコフと義理の息子ジャレッド・クシュナーが同行するが、この二人はロシア/ウクライナ問題と、特にイランとの交渉で惨敗しており、イランとの交渉で、トランプ大統領とネタニヤフ首相が奇襲攻撃準備をする間、イランを油断させるための目くらましとして利用された。ウィトコフとクシュナーは、いずれもユダヤ人で、イスラエルと密接な関係を持つ熱烈なシオニストで、不動産開発業者として最もよく知られている。クシュナーが最も関心を持っているのは、そこから彼が莫大な利益を得ることになるはずのフランスのリビエラを模したトランプの名を冠したガザ地中海沿岸のリゾート開発だ。何万人ものガザ住民の遺体が埋もれた瓦礫の上にそれが建設されることは、彼にとっては何ら問題でないようだ。この二人が無能ぶりを露呈しているにもかかわらず、トランプがこの任務を与えたことは、新たな交渉を失敗に終わらせるのを狙っていることを示している。
たとえドナルド・トランプが和平交渉に真摯に取り組んでいて(私は疑わしく思うが)、事態を悪化させないためにネタニヤフと一定の距離を置こうとしているとしても、広く知られている通り、記憶力が短く、効果的に反対意見を調和させる能力に欠けるトランプが、窮地に陥った際、粘り強く交渉を続けるとは考えにくい。彼は、イスラエル・ロビーと大統領職という擁護しようがないものを必死に守ろうとしており、今や不幸にして、彼の誤った対イラン戦争を正当に擁護できたかもしれない人々を攻撃している。
木曜日、彼のイラン政策に対する抵抗を引き起こしているものをトランプはTruth Socialで激しく非難した。彼は「タッカー・カールソン、メーガン・ケリー、キャンディス・オーウェンズ、アレックス・ジョーンズが長年私に反対してきた理由が私はわかる。特に、テロ支援国家ナンバーワンのイランが核兵器を持つのを素晴らしいと考えているからだ。彼らには共通点が一つある。IQが低いことだ。彼らは愚かな人間で、本人も家族も他の全員もそれを知っている! 彼らの過去を見てみろ、彼らの実績を見てみろ。彼らには必要な資質がなく、これまでもなかった!」と書いた。元FOXニュース司会者カールソンとケリーが「テレビから追放され、番組を失い、誰も彼らのことを気にかけないためテレビに呼ばれることさえなくなった」と彼は説明した。彼らは「狂人でトラブルメーカー」で「無料」で安価な宣伝のためなら「必要なことは何でも言う」。
そうした人物からの批判は「MAGAとは正反対だ」と愚痴をこぼしながら大統領は締めくくり、その後、彼らを個人的に侮辱した。カールソンは「大学すら卒業できなかった」とトランプは指摘し、FOXニュースを解雇された時は「打ちのめされた男」だったと言った。興味深いことに、カールソンは1991年にコネチカット州の名門大学トリニティ・カレッジを卒業しており、大統領よりも学歴は高い。トランプはいつものように「いわゆる『評論家』は敗者で、これからもずっと敗者であり続ける」と締めくくった。
当然、世論調査によれば、イスラエルを擁護する彼の好戦的態度に国民の不満が高まっているにもかかわらず、本来支持を得るべき真の保守派からトランプ大統領は距離を置いている。アメリカ・イラン間で進行中の停戦交渉を妨害するためレバノンへの大規模攻撃を行ったイスラエルの即座の対応は、戦争終結をネタニヤフ首相らは許さないという明確な兆候だ。むしろ、政治的に壊滅的結果をもたらしている回避可能な紛争を中止しようとする大統領の真摯な意思を阻止しようとして、イスラエルとロビー団体がホワイトハウスに非常に強い圧力をかけているのではないかと私は疑っている。そして、ネタニヤフ首相が更に破壊的な行動を検討していても私は驚かない。例えば、イランに責任転嫁できるようイスラエルが仕組む、中東の米軍を標的にする偽旗作戦で、イスラエルがイランを壊滅させ「戦争は終わった!」と宣言するまでアメリカに戦争させ続ける作戦だ。イスラエルは偽旗作戦に非常に長けており、10月7日のガザ事件を歪曲して、パレスチナ人虐殺に利用したことからもそれがわかる。イスラエルが、本物の外交政策の代わりに、嘘と欺瞞に完全に依存している様子は、イスラエルが9/11を事前に知りながら、イスラム教に対する戦争にアメリカを引き込むために事件を起こさせたのを想起する。「自分の」戦争が今やアメリカの戦争にもなったとネタニヤフ首相は述べ、大いに喜んでいる。トランプ大統領が尻込みし始めたら、このモデルをイランにも拡大するのは、俗にいうように「朝飯前」、あるいはこの場合「ベーグル一口」といったところだ。
事の顛末はこうだ。イスラエルというアパルトヘイト国家への好意から、アメリカを脅かしたことがない9000万人の国民と「文化」を根絶する計画を拒否する人々を、明らかに狂気じみた精神異常大統領が攻撃しているのだ。ドナルド・トランプのアメリカを見て、250年前の建国の父たちがなぜ失敗したのかを理解するには想像力をかなり働かせる必要がある。彼らは権力の過度な集中を防ぐ抑制とバランスを備えた世界初の立憲共和制国家として、啓蒙思想に基づく新たな国家を樹立しようとした。今のホワイトハウスに僅かなりとも啓蒙思想がもたらされるよう願うばかりだが、脳死状態のトランプは、イスラエルとユダヤ系億万長者献金者に操られる「感情」次第の戦争大統領になってしまったため、そのような好ましい結果がもたらされる可能性は低い。次に何が起きるかは神のみぞ知る!
フィリップ・M・ジラルディ博士はより国益に基づいた中東におけるアメリカ外交政策を追求する501(c)3条に基づく税控除対象教育財団(連邦ID番号#52-1739023)の国家利益評議会事務局長。ウェブサイトはhttps://councilforthenationalinterest.org、住所は PO Box 2157, Purcellville VA 20134 で、メールアドレスはinform@cnionline.org。
記事原文のurl:https://www.unz.com/pgiraldi/when-is-a-ceasefire-a-scam/
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植草一秀の『知られざる真実』
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