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2026年4月11日 (土)

キーウからベオグラード、更にブダペストへ:戦争は拡大しつつあるのか?



ホアキン・フローレス
2026年4月9日
Strategic Culture Foundation

 中欧とバルカン半島における危機は深刻化する兆しを見せており、この問題には十分な注意を払う必要がある。

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 イラン・アメリカ間の不安定な停戦に世界の注目が集まっているが、中欧とバルカン半島の危機が激化しているようで、これにも十分注意を向ける必要がある。キーウ軍事政権がロシアとのより公然とした紛争にヨーロッパ全体を引き込もうとしているのは明らかだ。このような事態を我々は予想していたので、実際起きた時も驚きはしなかった。だが、予想していたからといって、それが最終的に公になった時の反応が落ち着くわけではない。4月5日朝、セルビア北部(バルカン・ストリーム)のトルコ・ストリーム沿いで複数爆発物が発見されたことをセルビア当局が明らかにした。カンジザ市でのこの事件を「ハンガリーの主権に対する攻撃」とブダペストは見なしているとハンガリーのペーテル・シヤルト外相は述べた。ロシア・ガスの大部分はこのパイプラインを通って輸送されているためだ。強力な爆薬を詰め、起爆装置を取り付けた二つのバックパックが重要パイプライン・インフラの影響範囲内に意図的に配置されていたとセルビアのアレクサンダル・ヴチッチ大統領は述べた。すると我々はそれを一体どう解釈すれば良いのだろう?

 このテロ未遂事件は、関連性がある複数の動的要素が絡み合っている。
 
  1. EUとNATOの両方に加盟しているにもかかわらず、(どちらにも加盟していない)キーウを絶えず支援しているEUとNATOにブダペストは概して反対している。
  2. ドルージバ石油パイプラインをキーウは遮断している。
  3. 戦争継続のためキーウに900億ユーロの相互債務を贈与することにブダペストは反対している。
  4. 欧州委員会のドルージバ・パイプライン検査官がウクライナで行方不明になっている。
  5. 今年3月にウクライナ軍がロシアのエネルギー施設を攻撃した
  6. ハンガリー選挙を巡り、ブリュッセルとキーウ双方の干渉をオルバン首相は非難している。
  7. クロアチア・アルバニア軍事同盟はセルビアに対抗するために結成された
  8. ベオグラードとブダペスト間の良好な関係の重要性
 「また、戦争と戦争のうわさとを聞くであろう。注意していなさい、あわててはいけない。それは起らねばならないが、まだ終りではない。」 ? マタイによる福音書 24:6

 西ウクライナのポンプ場が「攻撃」されたという話の後、ハンガリーとスロバキアへのドルージバ・パイプライン経由石油輸送が今年1月27日から停止されている。だが予備調査ではパイプラインに損傷は見られなかった。ブダペストの強い要請により、ECは調査員を派遣し、実際の状況を自ら評価させた。本稿執筆時点では、調査員は報告書を提出していない。3月31日までに、キーウが現場への立ち入りを許可していないと調査員は不満を述べた。それ以来、EC代表アンナ=カイサ・イコネンによると、ECはウクライナにいるドルージバ・パイプライン評価調査員との連絡が途絶えているようで、調査員の現在の所在に関する情報はないと伝えざるを得なかった。これは深刻な事態だ。

 阻止されたバルカン・ストリーム破壊計画に関し、爆発物が爆発していたら、ハンガリーとセルビア北部全域のガス供給が途絶えていたはずだとベオグラードのアレクサンダル・ヴチッチ首相は述べ、直ちにブダペストのヴィクトル・オルバン首相に状況を報告したと付け加えた。

 欧州・イギリスの金融利権に支えらるゼレンスキー政権にとって崩壊しつつある権力と失敗に終わった戦争努力から「抜け出す」唯一の方法は、ウクライナ国境を越えて戦争を拡大することなのは誰も否定できない。旧ウクライナ領がロシア領として認められる可能性を示唆するような発言をゼレンスキーがすれば、ロンドン金融街と欧州中央銀行は巨額損失を被ることになる。彼らはこれら損失を帳消しにせざるを得なくなり、彼らのエバーグリーニング(債務の永久化)と再担保化計画が崩壊するためだ。

 ロシアの意思を挫く手段として、またヨーロッパとの長期的エネルギー・経済プロジェクトを断ち切る手段として、ウクライナがテロに益々依存するようになったのは、避けられないだけでなく、既に確立された手法だった。2022年9月26日にノルド・ストリームIIパイプラインを機能停止させたテロ攻撃を見れば、背景にある全てが理解できるはずだ。そして、テロは彼らの武器庫に広く存在していた。ウクライナがケルチ橋を破壊しようとした試みを想起してほしい。もちろん、ベルゴロド、発電所、更にはダリア・ドゥギナ暗殺など攻撃リストは更に長い。この紛争がロシア、ウクライナ(と、その旧領土)領内に限定されている限り、完全な敗北を喫するのは時間の問題だとキーウは理解している。

 
「ウクライナがドルージバ・パイプラインを封鎖している状況で、第二のエネルギー源攻撃はハンガリーにとって壊滅的事態になりかねない。」©RT

 本稿執筆時点では、このトルコ・ストリーム爆破未遂事件の犯人の国籍や組織に関する最終的結論は出ていない。問題のパイプライン区間は、ロシア産ガスをセルビア経由でハンガリーへ輸送するトルコ・ストリームのバルカン・ストリーム延長線の一部だ。ウクライナがハンガリーに対して非常に敵対的な姿勢を取っているのは明らかだ。

 ベオグラード軍事保安庁(VBA)長官のジュロ・ヨヴァニッチによると、週末に発見された爆発物はアメリカで製造されたものだが「製造者が破壊工作の首謀者で、実行者であるという意味では決してない」と彼は強調した。これは妥当な助言であると同時に、事態の複雑で微妙な性質を示している。ベオグラードはトランプ政権下でアメリカと良好な、あるいは友好的関係を築いているが、多数のCIA作戦を政権が統制しているのかどうかについては大きな疑問が残る。CIAは文民政権の交代に関係なく政策の継続性を重視しているように見えるため、いわゆる「ディープステート」の主要部分とみなされることが多い。同時に、アメリカ製爆発物は世界の兵器市場に広く出回っており、実際はどんな人物でも入手できた可能性がある。

 少なくとも現時点で、ヴィクトル・オルバン首相はウクライナを法的に正式に非難しているわけではないが、今回の事件を、ロシアからヨーロッパへのエネルギーの流れを妨害しようとするウクライナの長年の試みと一致するものと捉えている。ハンガリー指導者にとって確かなことは、これが破壊工作の試みだったことだ。犯人が誰なのかは正確にはまだ分からないかもしれないが、既に脅迫行為を行った者、同様のテロ行為や破壊工作を行った者という観点からこの問題に取り組めば、誰もがキーウを直接見据えることになる。結局、いかなる調査も「一体誰が得をするのか?」という問いから始まるべきなのだ。

 これは、以前のウクライナによるトルコ・ストリーム攻撃と関連しているため「時期尚早な」結論を出さずにはいられない。トルコ・ストリームに接続されたエネルギー・インフラが、つい先日の2026年3月11日にも既に空爆またはドローン攻撃を受けていたとガスプロムは述べている。これらは、ロシア南部のインフラ、特にヨーロッパに向かうトルコ・ストリーム海底動脈に天然ガスを供給する重要拠点であるルスカヤ揚水場を標的とした、ウクライナによる失敗に終わった空爆だ。

 ガスプロム自身の発表によると、攻撃のペースは持続的かつエスカレートしており、トルコ・ストリームとブルー・ストリーム両方のシステムに関連する施設がわずか2週間の間に12回も攻撃を受けている。これは、ロシアのガス輸出の重要回廊に対する作戦的攻撃だと結論づけざるを得ない。

 展開中のこの圧力作戦は、石油精製所や物流拠点を含むロシアのエネルギー・インフラへの攻撃を激化させているキーウの広範な方針転換と一致している。緊張はインフラだけに留まらず、人口密集地にも明らかに波及しており、黒海沿岸のリゾート都市ソチのアンドレイ・プロシュニン市長は、今年2月中旬に24時間以上連続して発生した未曾有のドローン攻撃の波について語った。

 こうした状況は全て戦略的に狭まる領域中で起きている。現在、トルコはロシア産ガスをヨーロッパへ輸送する唯一の残された輸送経路となっており、このボトルネックは依存と脆弱性の両方を単一の地理的経路に集中させている。この経路が寸断されれば、影響は近隣地域を遙かに超えて及ぶ。

 これらの数字は、ロシアからヨーロッパへのパイプラインによるガス輸出量が2025年には44%減少し、約180億立方メートルにまで落ち込むという、1970年代半ば以来の低水準となる流れを裏付けている。これは、欧州連合がロシアからのエネルギー供給への依存を段階的に解消し続け、大陸のエネルギー戦略を再構築すると同時に、現在も稼働しているパイプラインを巡る利害関係を強めているためだ。

 脅威にさらされているネットワークの中で、セルビア、ハンガリー、スロバキアといった国々は、トルコとともにトルコ・ストリームを通じて供給されるガスの下流受け入れ国として存続しており、益々争いの的となり、益々危険にさらされ、紛争から隔離されるどころか、紛争に益々引き込まれていく制度の安定性または不安定性に直接結びついている

 そしてモスクワは、ウクライナによるガス輸出ルート全般への攻撃が増加していると既に警告していた。セルビアとハンガリーの国境で最近発生したこの事件は、既存作戦の一環だ

 さて、セルビア諜報機関から多くの情報が伝わってくる。移民で訓練を受けた人物が関与する可能性があるエネルギー・インフラに対する何らかの破壊工作の企みの事前警告をセルビア情報機関が受けていたという主張が報じられている。だが同時に、セルビア当局は、ウクライナや外国の国家主体との関連は確認されておらず、流布している主張の一部は誤報だと明言することには慎重だ。つまり、セルビアは事実上、地政学的なマクロコスモスの縮図とも言える二つの立場を同時に取っているのだ。何らかの事前警告は受けていたものの、国家支援を示す証拠はまだない、というわけだ。実際、これはセルビアの微妙な立場と一致している。一方では、現実の状況を認識しつつ、少なくとも建前上はいつか加盟したいとセルビアが主張する欧州連合との外交において、穏健な姿勢を取る必要があるのだ。

 ウクライナは予想通り関与を真っ向から否定し、これは偽旗作戦か政治的意図に基づくもので、実際、ウクライナの作戦ではないと反論している。

 ハンガリーの野党候補ペーテル・マジャールなどの人物は更に踏み込んで、この事件自体が仕組まれたもの、あるいは誇張されたもので、政治的効果を狙ってハンガリー指導部と外部勢力との間で調整された可能性があると示唆している。これは、同様発言をしたキーウと連携したメッセージとも解釈できる。

 ウクライナの報道はハンガリーだけでなくロンドンの報道とも一致しており、この壮大なゲームにおける本当の地政学的境界線がどこにあるのかを示している。ガーディアンは、この件が選挙前の安全保障上でっち上げ策略である可能性を指摘し、今回の発見が緊急措置の正当化、未決定層の世論操作、あるいはゼレンスキー大統領への批判強化に利用される可能性があると報じている。

 そして最後の部分が重要なのは、タイミングが極めて重要だからだ。これはヴィクトル・オルバン首相が関わるハンガリー総選挙直前に起きているため、多くの解釈が国内の政治的思惑を通して行われている。確かにそうだが、同時にEUがウクライナへの巨額融資を強行しようとしている最中に起きているのだ。ブダペストはこれに抵抗している。したがって、こうしたテロの脅威は、ブダペストが圧力に屈するのを見たいと願うあらゆる勢力から発せられている可能性もある。

 これはロシアのガス・インフラを破壊しようとするウクライナの実際の企ての一環で、以前の警告や攻撃とも一致するとブダペストは主張している。一方、ベオグラードは、これは正体不明の人物による破壊工作の試みで、セルビア情報機関が事前に察知していた可能性があり、国家との関連性は証明されてはいないが、セルビアの広範な地政学的志向を反映したものだと述べている。キーウとロンドンは、ウクライナの主張は根拠がなく、偽情報の一部であり、事件全体がハンガリーの選挙に関連した政治的目的のために仕組まれた可能性があると述べている。

 3月6日金曜日、8200万ドル相当の現金と金をハンガリー当局が押収し、7人を逮捕したとの報道が国際メディアで流れた。逮捕された7人はウクライナ国営オシャドバンク従業員で、オーストリアとウクライナ間で現金と金を運んでいた二台の装甲車に乗っていたところを逮捕された。来月の重要な選挙を前に、ウクライナへの批判を強めつつ、モスクワとの関係を維持しているハンガリーのヴィクトル・オルバン首相は、ハンガリーは今やウクライナを敵対国と見なしていると述べ、4月12日の選挙に影響を与えるためにゼレンスキー大統領がエネルギー危機を引き起こそうとしていると説明した。これは奇妙なことに、セルビアで最近阻止された攻撃を予兆していた。

 背景として、アルバニア、「コソボ」、クロアチアはセルビアに対する軍事協定を結んでいる。ザグレブでは、セルビアとその関連問題に対する対抗勢力を構築するという考え方が繰り返し浮上しており、ティラナやプリシュティナに注目が集まっているように、セルビア側に立っていると見なされる協力者との連携が自然と促されている。当局者はこの解釈を公然と支持することはない。代わりに、彼らは一貫してNATO加盟国であることと、同盟の責任に対する明示的関係を通じて、こうした動きを正当化している。クロアチア、アルバニア、コソボが参加する新たな三国間協定は、2025年3月18日にティラナで署名され、軍事訓練の拡大、共同演習、情報共有、調整を通じて防衛協力を深化させることを目的とした共同宣言で、セルビアとハンガリーに対する露骨な反対姿勢で、ウクライナを支持する姿勢であるように見える。

 これに対し、クロアチア、コソボ、アルバニアの三国間合意を受けて、セルビアとハンガリー、そして場合によってはスロバキアの安全保障同盟に関する憶測が政界で高まっていることを受け、セルビアのマルコ・ジュリッチ外相はハンガリーとの軍事関係強化に前向きな見解を示した。特に、歴史的、イデオロギー的、経済的側面でザグレブとブダペストの間に根強い緊張関係があることを背景に、正式な同盟の可能性について問われたジュリッチ外相は「国際舞台でセルビアが独立して行動する能力を強化するものは全て、セルビアにとって有益だと信じている。 […]我々は、多くの人が反セルビア枢軸と呼ぶ同盟の挑戦に対し、尊厳をもって対応してきた。 […]我々の目標は議論に勝つことではなく、問題を解決することだ」と述べた。

 結論としては、セルビアでのトルコ・ストリームに対するテロ攻撃未遂事件後、国防力強化が、軍拡競争や同盟競争の激化を招くリスクがないのが明らかだ。むしろ、好機を狙う侵略を抑止するための明確な境界線を確立する。セルビアがハンガリーと慎重かつ毅然と連携を取っていることは、挑発的姿勢を避けつつ、同盟国や国民を安心させる点で、この姿勢を体現している。予防的抑止力は、対立を激化させるのではなく、敵対勢力に機会を与えないことで機能し、彼らが限界を試そうとする前に考え直させるようにするものだ。キーウ政権は末期状態にあり、追い詰められた狂犬のようなこの政権の無謀な行動に誰も驚くべきではない。ロンドンとブリュッセルは、ウクライナ傀儡政権の扱い方を再考すべきなのだ。

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記事原文のurl:https://strategic-culture.su/news/2026/04/09/from-kiev-belgrade-and-budapest-is-the-war-spreading/

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