イランとの戦争 – 違う。ハールク島確保は選択肢ではない。
2026年3月10日
Moon of Alabama
イラン産原油の本格的輸出が始まると、すぐ問題に直面した。イランの海岸線は比較的浅く、大型タンカーは喫水が大きかったのだ。そのため、イラン石油業界にとって、大型船に大量の原油を輸送するのは容易ではなかった。
幸運なことに、イラン沖約24キロの深海に島がある。石油産出地イラン本土からこの島までパイプが敷設され、大型原油輸送船の積み込みを可能にする桟橋が建設された。この島の名前はハールクだ。現在この島はイラン産原油の90%を輸出する主要ターミナルになっている。

アメリカの愚かな素人政治家連中は何十年間も、ハールク島を奪ってイランの石油生産を支配するとを夢見てきた。
最近、アメリカはハールク島奪還作戦の主力部隊となる可能性がある第82空挺師団の軍事演習を中止した。(アーカイブ)
だが、これには二つの問題がある。
一つ目は、イランに非常に近い島を占領し、維持することだ。
ハールク島作戦は全て空路で行われるはずだ。しかし、そこに展開した兵士はどのように補給を受けるのだろう? そして、おそらく甚大な損害を受ける兵士たちを、どのように撤退させるのか?
テレグラフ紙が言及していないのは、ブレマーがこの問題を認識している事実だ。ハールク島攻撃は何の解決策にもならないと彼は考えている。
しかし、そうなると二番目の問題に直面することになるだろう。
殉教したイラン最高指導者アリー・ハメネイ師は、イランに対するあらゆる行為を湾岸地域全体にもすると警告していた。イランが石油を生産できなければ、他の国も生産できなくなる。イランが炭化水素製品の輸出を阻止されれば、他の湾岸諸国も同様に阻止される。イラン国家安全保障会議議長は次のように述べている。
ハールク島や湾岸地域の全ての輸出港はイランの継続的ミサイル攻撃を受けることになるだろう。これまでの10日間の戦争は、イランがそのような攻撃を実行できることを既に示している。本日、UAEにある湾岸最大の製油所(90万バレル/日の生産能力)であるアル・ルワイス製油所が、イランのドローン攻撃を受けて閉鎖された。
ハールク島が米軍に占領されれば、イラクのアル・バシュラ、クウェートのミナ・アル・アフマディ、UAEのフジャイラ、カタールのラス・ラファンとメサイード、サウジアラビアのラス・タヌラといった石油輸出港は全て継続的砲撃を受け、閉鎖されるだろう。
だから、ハールク島を占領する選択肢などないのだ。
軍事的に複雑化し、甚大な損失をもたらし、持続不可能な事態になるだろう。経済的に壊滅的結果になるだろう。なぜなら、イランが自国製品輸出を阻止されれば、他の湾岸諸国の輸出も阻止可能だし、実際に阻止するからだ。
1988年のトランプが、以来多少賢くなっているよう期待する。
記事原文のurl:https://www.moonofalabama.org/2026/03/war-on-iran-no-taking-kharg-island-is-not-an-option.html
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イラン産原油の本格的輸出が始まると、すぐ問題に直面した。イランの海岸線は比較的浅く、大型タンカーは喫水が大きかったのだ。そのため、イラン石油業界にとって、大型船に大量の原油を輸送するのは容易ではなかった。
幸運なことに、イラン沖約24キロの深海に島がある。石油産出地イラン本土からこの島までパイプが敷設され、大型原油輸送船の積み込みを可能にする桟橋が建設された。この島の名前はハールクだ。現在この島はイラン産原油の90%を輸出する主要ターミナルになっている。

アメリカの愚かな素人政治家連中は何十年間も、ハールク島を奪ってイランの石油生産を支配するとを夢見てきた。
1988年、イギリス新聞インタビューで、当時ニューヨークで有望視されていた不動産王ドナルド・トランプは、将来の計画について問われた。予想通り、彼は熱弁をふるい、いつか大統領選に出馬するかもしれないと豪語し、世界の舞台でアメリカへの「尊敬」を取り戻すと誓った。また、1979年の米国人質事件以降、既にアメリカの宿敵となっていたイラン・イスラム共和国に対しても、厳しい言葉を投げかけた。同様に、ハールク島を占領すればアメリカは、現在そして将来にわたりイランの原油輸出を全て掌握できるとトランプ政権の複数関係者も述べている。
「彼らは我々を精神的に打ちのめし、愚か者のように見せかけている」とトランプはガーディアン紙に語った。「我々の兵士や艦船に一発でも弾丸が飛んできたら、私はハールク島を徹底的に攻撃する。侵攻して占領する」」
「我々が望んでいるのはイランの膨大な石油埋蔵量をテロリストの手から奪い取ることだ」と、ホワイトハウス顧問ジャロッド・エイゲンが週末フォックス・ビジネス・インタビューで語り、エピック・フューリー計画の根拠の中心はハールク島にあると示唆した。ハールク島は長さ6.4キロ、幅3.2キロの比較的平坦な島で起伏はほとんどない。防衛は困難だ。
最近、アメリカはハールク島奪還作戦の主力部隊となる可能性がある第82空挺師団の軍事演習を中止した。(アーカイブ)
だが、これには二つの問題がある。
一つ目は、イランに非常に近い島を占領し、維持することだ。
ハールク島構想は全く突飛な計画だ。イランの砲火を抑制しなければ、実現不可能だ。ハールク島はイランのミサイルやドローンに完全に無防備なだけでなく、イランの移動砲兵の射程圏内にある。海兵隊の一個師団を上陸させれば、数十人、あるいは数百人の死傷者を出し、数時間以内に撤退を余儀なくされるだろう。この計画全体は、アメリカがイランの砲火を抑制した前提に立っているが、イランの砲火抑制こそ、アメリカ軍が解決すべき問題だ。この問題は米海軍艦船を展開することで克服できるとテレグラフ紙記者は考えているようだ。
国際情勢ウェブサイトGZEROメディアに寄稿する政治リスク・コンサルタントのイアン・ブレマーによると、「島(ハールク)自体はマンハッタンの半分以下の大きさで、広範囲に要塞化されておらず、米軍駆逐艦と近距離防空システムが沖合に信頼性の高い防衛線を確立できるほど孤立した場所にある」という。ホルムズ海峡が閉鎖されているのに、一体どうやってアメリカ駆逐艦をペルシャ湾に派遣できるのか? そして、イランの対艦ミサイルの射程圏内にいるこれら駆逐艦は、どれくらい生き残れるのか?
ハールク島作戦は全て空路で行われるはずだ。しかし、そこに展開した兵士はどのように補給を受けるのだろう? そして、おそらく甚大な損害を受ける兵士たちを、どのように撤退させるのか?
テレグラフ紙が言及していないのは、ブレマーがこの問題を認識している事実だ。ハールク島攻撃は何の解決策にもならないと彼は考えている。
イランは依然、除去不可能な短距離ミサイルとドローンを数千発保有している。艦船を攻撃し、航空機を撃墜できることは既に証明済みだ。ハールク島奪還作戦には、自国優位で失うものがない敵に対し、係争海域に米軍を集結させる必要がある。イランの指揮統制力が弱体化しているにせよ、水陸両用強襲作戦をトランプ大統領が政治的に容認できないような流血戦に転換させるだけの連携力は備えている。軍事作戦上の問題として見られるハールク島は大きな損失があっても占領でき、おそらく一か月から一年は保持できるだろう。
そして、それを奪取するだけでは戦いの半分に過ぎない。仮にアメリカがハールク島を見事に奪還し維持できたにせよ、ペルシャ湾の真ん中にある重要インフラを無期限に占領し続け、ドローン、機雷、破壊工作、代理攻撃、テロリズムや、何年もかけて疲弊させるゆっくりとした消耗戦など、あらゆる手段を使って奪還しようとする敵国から防衛し続けなければならないのだ。
しかし、そうなると二番目の問題に直面することになるだろう。
殉教したイラン最高指導者アリー・ハメネイ師は、イランに対するあらゆる行為を湾岸地域全体にもすると警告していた。イランが石油を生産できなければ、他の国も生産できなくなる。イランが炭化水素製品の輸出を阻止されれば、他の湾岸諸国も同様に阻止される。イラン国家安全保障会議議長は次のように述べている。
アリ・ラリジャニ | علی لاریجانی@alilarijani_ir – · 2026年3月10日 12:28 UTC
ホルムズ海峡は、全ての人にとって平和と繁栄の海峡となるか、あるいは戦争主義者にとって敗北と苦しみの海峡となるかのどちらかだ。
ハールク島や湾岸地域の全ての輸出港はイランの継続的ミサイル攻撃を受けることになるだろう。これまでの10日間の戦争は、イランがそのような攻撃を実行できることを既に示している。本日、UAEにある湾岸最大の製油所(90万バレル/日の生産能力)であるアル・ルワイス製油所が、イランのドローン攻撃を受けて閉鎖された。
ハールク島が米軍に占領されれば、イラクのアル・バシュラ、クウェートのミナ・アル・アフマディ、UAEのフジャイラ、カタールのラス・ラファンとメサイード、サウジアラビアのラス・タヌラといった石油輸出港は全て継続的砲撃を受け、閉鎖されるだろう。
だから、ハールク島を占領する選択肢などないのだ。
軍事的に複雑化し、甚大な損失をもたらし、持続不可能な事態になるだろう。経済的に壊滅的結果になるだろう。なぜなら、イランが自国製品輸出を阻止されれば、他の湾岸諸国の輸出も阻止可能だし、実際に阻止するからだ。
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America Has Lost This War | John Mearsheimer 23:22
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