« 開戦初日、予想外のイラン反撃で麻痺状態に陥ったアメリカとイスラエル | トップページ | 西アジアを震撼させた10時間 »

2026年3月 4日 (水)

アメリカの対ロシア代理戦争:今後何が起きるのか?

Brian Berletic
2026年2月25日
New Eastern Outlook

 平和への願いを声高に宣言する裏で、遙かに広範かつ過酷な戦略が展開されており、その影響はウクライナを遙かに超えるものだ。

 

 トランプ政権が発足すると、ウクライナで進行中の戦争を早期に終結させたいと主張していたにもかかわらず、2024年後半から2025年初頭にかけて、アメリカはむしろ戦争を着実にエスカレートさせてきた。

 今日、西側メディアは、ロシア領奥深くへの継続的な長距離ドローン攻撃と、ロシアのエネルギー輸出に対する海上ドローン攻撃がアメリカ中央情報局(CIA)が実行しているのを公然と認めている。その間、アメリカは紛争の公平な「調停者」を装い続けている。

 これに加えて、現在、アメリカは欧州代理勢力がウクライナ国内の戦闘でより直接的かつ危険な役割を果たすよう準備しており、国家資金を欧州国民向けから、ロシアに特化した軍事費向けに移行させている。

 アメリカは、ロシアと中国が主導する多極世界の主要な同盟諸国をロシアと中国しか残らなくなるまで削減しようとしている。

 アメリカはロシア国内でロシアのエネルギー生産施設を攻撃し、国境を越えてロシアのエネルギーを輸送するタンカーに対し海上ドローン攻撃を行っていることを認めているが、いわゆる「ロシアの影の艦隊」を迎撃し、乗り込み、最終的に封鎖するという、より積極的な役割を欧州に担わせようとしている。

 ワシントンのヨーロッパ代理勢力も、徐々に崩壊しつつあるウクライナが作り出す大きな空白を埋めるために、ウクライナ国内への直接介入を迫られている。

 他の地政学的目的を追求するためウクライナでのロシアに対する代理戦争から距離を置きたいとアメリカは主張しているが、この狙いは中南米のベネズエラやキューバ、中東のイラン、アジア太平洋地域の中国など世界中の最も重要なロシア同盟諸国と関係する。

 本質的には、主張に関係なく、アメリカは、台頭する多極主義自体に対して行っている遙かに大規模な戦争の一環として、ロシアに対する代理戦争に依然全力を注いでおり、その全てはアメリカの世界的優位性を維持するための一部なのだ。

 ウクライナにおけるアメリカの狙いは変わらない

 2022年に、ロシアがウクライナで特別軍事作戦(SMO)を開始するずっと前から、アメリカの政策文書は、ウクライナを支配するだけでなく、冷戦終結前に崩壊したソ連と同様に、ウクライナをロシアに対する好戦的代理として利用して過度に拡大させる論理を展開していた。

 ランド研究所が2019年に発表した論文「ロシアの手を広げさせる:有利な立場からの競争」は、二つの重要かつ示唆に富む事実を明らかにしている。第一に、ウクライナ軍への殺傷力ある兵器供与(第一次トランプ政権下で開始)を含む、アメリカによるウクライナへの継続的支援は、ウクライナを守るためではなく、ロシアを挑発するために行われたのだ。

 第二に、報告書は、結果として生じる紛争は「ウクライナ側の不均衡に甚大な犠牲や領土喪失や難民流出をもたらす可能性が高い。ウクライナにとって不利な和平にさえつながる可能性がある」と認めている。

 そして、まさにこれが起きている。

 当時も今も、アメリカの目的は、ウクライナ(あるいはヨーロッパでさえ)がロシアを打倒することではなく「ロシアが軍事的または経済的に過剰拡張し、政権に国内および/または国際的威信と影響力を失わせる」ことを狙った遙かに大きな戦略の一環として、ロシアの負担を可能な限り高くすることだ。

 論文の他部分、特にウクライナに関しては、1980年代にソ連を巻き込んだアメリカ主導のアフガニスタン紛争がアメリカが現在再現しようとしているものと比較されている。

 その目的のため、ウクライナだけでなくヨーロッパの他の国々にも犠牲を強いているにもかかわらず、アメリカはこの代理戦争を継続し、ロシアに膨大な軍事力と装備を前線に投入することを強いている。その結果、シリアを含む他地域に対するロシアの関与がまず損なわれ、ついには2024年にシリアが完全崩壊するに至った。

 そして、アメリカCIAのドローン攻撃がロシア国内のエネルギー生産とロシア国境を遙かに超えた海上エネルギー輸出を標的としていることは認められているが、その全てがロシアの経済力、ひいては軍事力を弱体化させることを目的としている。ロシアのエネルギー生産と輸出を標的とすることは、アジア太平洋地域で中国を包囲し封じ込めることを狙った、遙かに大規模な戦略の一部でもある。

 2018年にアメリカ海軍戦争大学が発表した論文「中国に対する海上石油封鎖」は、(その後実施された措置)アジア太平洋地域での米軍の能力を強化し「遠隔封鎖」を実施することを推奨しただけでなく、中国の一帯一路構想と、中国へのロシア・エネルギー輸出の両方が、中国自体を完全に遮断し、締め付ける上での障害だと指摘した。

 この文書は、一帯一路を物理的に攻撃し断絶するため、アメリカによる「空爆や空中機雷敷設」を含む「軍事行動」を推奨したが 、中国へのロシア・エネルギー輸出を削減するための具体的軍事行動は規定していなかった。

 だが、それ以降、CIAが組織したロシアのエネルギー生産施設へのドローン攻撃は、まさにこの報告書がBRIに対して推奨した「運動行動」を反映している。BRI自体に関しては、アメリカによるBRIインフラ攻撃には至らず、ワシントンは、その代わりに、特にミャンマーとパキスタンにおいて、過激派に武器と支援を提供し、プロジェクトや技術者や現地治安部隊をアメリカに代わって攻撃させている。

 形成されつつあるのは、ロシアと、その同盟諸国、そしてもちろん中国を第一に相手にしてアメリカが戦っている多正面戦争だ。

 ロシアを弱体化させるのは目的ではなく、むしろ手段だ。

 ウクライナ現地の現実

 2014年にアメリカが初めてウクライナを政治的に支配し、その後2022年にSMOを挑発する以前も、それ以降も、ロシアは急速に軍事力を近代化し、拡大してきた。

 以来、ロシアは装甲車、砲弾、巡航ミサイル、弾道ミサイル、ドローン、防空システム、電子戦能力の面で、ヨーロッパのどの国やアメリカ単独より生産量が多いだけでなく、西側諸国全体を凌駕することに成功している。これは、2022年、SMOを開始するずっと前に何年もの計画と準備を必要とした偉業だ。

 ロシアの軍事計画立案者たちは、ウクライナ(および他地域)での紛争が本質的に消耗戦になると知っていて、西側諸国の軍事産業生産とは正反対のやり方で、利益より生産を優先するように国営企業を組織したのはほぼ確実だ。

 これは、西側諸国による着実なエスカレーションや挑発行為にもかかわらず、一貫してロシアに有利な消耗戦の戦場で現れている。

 西側諸国の専門家連中は、領土獲得を唯一の尺度として、ウクライナにおけるロシアの前進を度々否定してきた。だが実際は、前線は何年も停滞したまま、その後、どちらかの勢力が突如急に崩壊することもある。

 消耗戦における本当の成功を測るには、その代わりに、人材徴募と訓練や、軍需産業生産、死傷率といった指標を考慮する必要がある。これら指標はアメリカの説明に合わないため、嘘が報じられるか、全く言及されない。

 2025年後半から2026年にかけて、ウクライナが占領するドンバス領土の残存地域南部のポクロフスクとミルノグラードが陥落し、ロシア軍が北部のリマン付近に向けて着実に進軍した後、ウクライナが占領するスロビャンスクとクラマトルスクは、ロシア軍がこれまでドンバス全域の多くの都市を孤立させ占領するため利用したのと同じ種類の軍隊の交代と補給線の混乱に直面することになる。

 ロシア軍は、ウクライナがドンバスの強固に要塞化された二つの都市を制圧するために利用している通信線に、ドローンや砲火や他の兵器を益々接近させながら、前線全域で圧力をかけ続けるだろう。これら兵器が接近し数が増えるほど、部隊の交代や都市への補給は複雑化し、ウクライナがこれら都市を維持し続けるのは益々困難になる。

 同時に、ウクライナ軍は現在さらに南で攻勢を行っている。

 しかし、これまでのウクライナの攻勢と同様、表面上どれほど成功しているように見えても、人員、武器、弾薬の不足が是正されない限り(そして是正はされていない)、そのような作戦はより多くの犠牲者と、既に不足している資源のより急速な枯渇をもたらすだけで、犠牲者と資源の枯渇はロシアの消耗戦勝利を加速させるだけだ。

 今後何が起きるのか

 既に、ウクライナにおけるロシアとの代理戦争をすぐに終わらせるつもりがないことをアメリカは明確に示している。むしろ急速に勢力を弱めつつあるウクライナ軍が残した空白にヨーロッパが入り込み、前線でロシアに継続的圧力をかけ続ける態勢を整えている。一方、アメリカ自身はロシア国内のエネルギー生産施設攻撃を継続し、ヨーロッパ代理勢力はロシア・エネルギーを海外に輸送する船舶を標的とし、拿捕さえするなど、より積極的な戦略を準備している。

 ベネズエラを政治的に支配し、キューバに圧力をかけ、イランとの戦争準備が急速に進む中、アメリカは、ロシアと中国が主導する多極世界で、ロシアと中国しか残らないようになるまで主要同盟国を減らそうとしている。

 ウクライナ紛争の将来を理解するには、アメリカ主導の一極世界と多極世界がどのように組織され運営されているか、そして多極化に対してアメリカが世界中で仕掛けているより広範な戦争で、ウクライナにおける対ロシア・アメリカ代理戦争がどのような役割を果たしているかを理解する必要がある。

 ヨーロッパはアメリカに反対するのではなく、従属しており、欧州指導者が公式に何を主張しようと、ウクライナ紛争におけるヨーロッパのより大規模で、より危険で、より直接的役割に関わるアメリカの命令を実行する準備が既に進行中だと理解すべきこと。

 更に、ワシントンの主要な地政学的狙いを明確に理解する必要がある。狙いは世界の全ての国々に対する優位性の追求だ。交渉を求める相手を従属させ、更には排除することを究極の目的とする相手と交渉の余地はない。

 アメリカの世界的侵略を防御し、抑止し、最終的に武装解除するために必要な軍事力、経済力、政治力、社会力を構築することによってのみ、ウクライナの紛争や他のあらゆる場所での紛争を公正かつ永久に終わらせることが可能だ。

 Brian Berleticはバンコクを拠点とする地政学研究者、作家。

記事原文のurl:https://journal-neo.su/2026/02/25/us-proxy-war-on-russia-what-comes-next/

----------

 植草一秀の『知られざる真実』
米国暴挙諫められない高市首相

« 開戦初日、予想外のイラン反撃で麻痺状態に陥ったアメリカとイスラエル | トップページ | 西アジアを震撼させた10時間 »

アメリカ軍・軍事産業」カテゴリの記事

NATO」カテゴリの記事

ロシア」カテゴリの記事

Tony Cartalucci/Brian Berletic」カテゴリの記事

ウクライナ」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。

(ウェブ上には掲載しません)

« 開戦初日、予想外のイラン反撃で麻痺状態に陥ったアメリカとイスラエル | トップページ | 西アジアを震撼させた10時間 »

お勧め

  • IWJ
    岩上安身責任編集 – IWJ Independent Web Journal

カテゴリー

ブックマーク

最近のトラックバック

無料ブログはココログ