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2026年2月22日 (日)

西側諸国がウクライナ紛争を招いた経緯

ブライアン・アンソニー・レオ
2026年2月19日
New Eastern Outlook

 2014年のマイダン・クーデターは、2021年までじわじわと悪化した危機の直接的引き金となった。2021年12月にロシアが行った外交的働きかけを西側諸国が拒否したことで、戦争は避けられなくなった。

 

 紛争の始まりは明らかだった

 西側諸国の多くの人々と同様、私も2014年以降ドンバスで紛争が起きていることを漠然と認識していた。正直に言うと、当時は特に詳しく追っていなかった。当然ながら、私は生活に追われていた。2014年には法科大学院に入学したばかりだった。だが世界と東欧、特にソ連崩壊後時代の地政学的現実には、ある程度知識は持っていた。

 振り返ってみると、少なくとも2021年から2022年までは西側諸国は平和に興味がなかったことが痛いほど明らかになる。そして残念ながら、2022年以降もそうだった。

 2021年の秋が近づくにつれ、私は東欧情勢を注意深く観察(そして分析)し、(2021年9月にブリュッセルの欧州議会議員補佐官に宛てた手紙の中で)次のように推測し予測した。「ロシアとNATOの関係は間もなく頂点に達する。NATOがウクライナへの侵攻問題で譲歩し、立場を固めなければ、ロシアは2022年2月末から3月中旬の間にウクライナに侵攻する。正確な日時は、機械化作戦を支援できるほど地盤が凍結し、兵站準備が整うかどうかで決定される。ロシアがこの事態を非常に深刻に受け止めているのは明らかで、西側諸国が彼らの懸念を真剣に受け止めなければ、問題は戦争によって解決される。ロシアの要求や要望は合理的で、現実的に満たされる可能性があるため、戦争は必要ではない。だが西側諸国が耳を傾けないことで、戦争を必要にさせる。ロシアが準備しているのは、はったりではなく本気だ。彼らは戦争準備をしている。」そして彼らはこの件を巡って戦争に突入するだろう。ザパド2021に動員された部隊は、解散して通常の兵舎に戻ることはなく、前線準備地域に静かに投入されるだろう。もしこの紛争が平和的に解決されなければ、2022年2月下旬か3月上旬に戦争が始まるだろう。」

 数多くの出口が存在していた。ロシアは西側諸国を交渉に招いていた。

 2021年12月にロシアが西側諸国に通告した「最後通牒」の条項を私は精査したが、とんでもなく法外な条項や、アメリカが即座に拒否しなければならないような条項は見当たらなかった。ほとんどの条項は即座に合意できたはずだが、いくつかは明確化が必要で、おそらく一つか二つは修正や変更が必要だっただろう。だが最後通牒の核心である要点は非常に妥当なものだった。

 これらの条項を読んだ結果、全ての条項が合理的だと判断したが、唯一の例外は、第4条「ロシア連邦および1997年5月27日時点で北大西洋条約機構の加盟国によってそれぞれ構成されていた全ての締約国は、1997年5月27日時点で当該地域に展開していた部隊に加えて、その他の全てのヨーロッパ諸国に、その軍隊および兵器を配備しない」という点について明確化が必要だっただろうことだ。

 もしそれが「1997年以降にNATOに加盟した加盟国の領土にNATO外の部隊は展開しない」という意味であれば、それは理にかなっており、承認され、実現できたはずだ。もしそれが「1997年以降に加盟したNATO加盟国の領土にNATO部隊は駐留できない」という意味であれば、意味をなさない。なぜなら、それは論理的に1997年以降に加盟した加盟国自身に適用され、理論上、加盟国は自国軍隊を保有してはならないことになるためだ。この点には、明確な説明が必要だったろう。

 アメリカは、国家の運命に関わる大国間の争いどころか、村の隣人同士の些細な争いを解決する交渉能力さえない外交官を輩出してきた。

 第7条は「北大西洋条約機構(NATO)加盟国は、ウクライナ、東欧、トランスコーカサス、中央アジアの他の国々の領土において、いかなる軍事活動も行うことを拒否する」とされている。これはアメリカにとって非常に単純明快な合意で、受け入れられるべきだった。

 条文に目を通せば、簡単に読めるはずだ。「第1条、賛成。第2条、賛成。第3条、賛成。第4条は明確化と修正が必要。第5条、賛成。第6条、賛成。第7条、『東欧』の正確な定義の明確化を求める要請に賛成。第8条、賛成。第9条、賛成。」

 最後通牒の大部分(9項目中7項目)は、NATOやアメリカの利益を侵害することなく、合理的かつ平和を促進するものだったため、合意できたはずだ。残りの2項目は、明確化、あるいは修正・修正を加えることで合意できた可能性が高い。

 声明は最後通牒だったのかもしれず、交渉への招待だったのかもしれず

 ロシアによるアメリカ/NATOへの提案は、しばしば最後通牒として捉えられるが、それが最後通牒かどうかは定かではない(私は外交的最後通牒の専門家ではなく、訴訟の場で最後通牒を発している)。通常、最後通牒には有効期限と「さもなければ」という段落の条項、あるいは少なくとも数文が含まれるが、ある意味では誰もが「さもなければ」が何かを知っているべきだった。私がこれを「最後通牒」と呼ぶのは、それが西側諸国で最もよく知られ、識別されている方法だからだ。もっとも、これを「条約の提案」や「外交と更なる交渉への招待」と呼ぶことも妥当だろう。声明が最後通牒であったとしても、私は気にしない。私は何かが最後通牒であるかどうかに道徳的重みを感じない。最後通牒は善でも悪でもなく、単に要求を伴う声明に過ぎない。

 振り返ってみると、少なくとも2021年から2022年までは、そして残念ながら2022年以降も、西側諸国は平和に興味がなかったことが痛いほど明らかになる。

 交渉拒否が現在の戦争を保証した

 現在、西側諸国、つまりNATOは、主にアメリカ、ドイツ、フランス、イギリス、ポーランドを介して、ウクライナでロシアとの代理戦争を繰り広げている。多くの命が失われ、莫大な富が破壊され、あるいは浪費されている。あるいはアメリカ納税者の場合、キーウ・マフィア政権の腐敗したウクライナ・オリガルヒに、あるいはワシントンD.C.の環状道路沿いの巨大軍需産業請負業者に、キーウ政権への武器弾薬供給のために、その富が移った。

 リンジー・グラムなどワシントンDCの一部の人々は、これは笑い事で、ロシア人が死ぬという考えは気に入っているので、お金は有効に使われていると考えている。

 グラム*は、まさにその通り(道徳的に破綻した人間で、アメリカ上院議員として失格で、その存在はかつて威厳に満ちていた上院と、神聖なるキャピトル・ヒルの面目を失わせる)「そしてロシア人は死につつある。これは我々がこれまでに費やしたお金の中で、最高のものだ」と述べた。

 グラム*は、形成されつつある新世界秩序における理想的テクノクラートだ。子供もいない、道徳的に破綻した男で、自らを「退役軍人」と称しながら、派兵された経験も戦闘経験もなく、アメリカ国内の事務手続き以外で軍務に就いた経験もない。それなのに、イラン、ロシア、イラク、シリア、リビア、イエメンなど、あらゆる場所で、どこであろうと戦争を執拗に主張し続けている。彼が軍産複合体に、どんな株式を保有しているのか、あるいは彼の取り巻きや管理者が金庫にどんな写真を保管しているのか私には疑問だ。この男のどこが間違っているのか、私には正確には分からないが、ほとんどのアメリカ人、ほとんどの普通の人間は、他人が死ぬことを喜んで歓迎することはないはずだ。もし我々が重要な国益のために戦争に突入し、他者の殺害に加担しなければならないのなら、そうするだろう。しかし、喜んで死を祝う必要はない。また、アメリカがロシアと紛争に巻き込まれなければならない、あるいはアメリカの重要な国益が危機に瀕していることを証明した人は誰もいない。

 西側メディアで蔓延する反ロシア憎悪

 西側諸国には、理性的に説明できない反ロシア的偏見があるようだ。つまり、もし西側諸国でロシア嫌いの人、つまりロシア人の死を望む人に「なぜロシアとロシア人のためにこんなことを望むのか」と尋ねても、首尾一貫した論理的で理性的な返答は得られない。返ってくるのは、憎しみに満ちた感情的な喧騒と言説とたわ言だ。

 知的レベルでは憎しみの心理は理解できるが、感情的レベルでは理解できない。傷つけたり侮辱したりしない人を憎むのは私には理解できない。欧米メディアが国民を一世代か二世代丸々洗脳し、ロシア人を憎み軽蔑させてきたことは、知的レベルでは理解できる。ユーラシアを支配する手段としてロシアを標的にする地政学的戦略の一環だからだ。

 私は1980年代、冷戦終結の時期にアメリカで育ったので、少年時代には「あいつらはまだ共産主義だ。ロシア人は信用できない」といった言説を耳にし、1990年代から2000年代初頭にかけてもその余韻を多く耳にしてきた。だから、その言説の意味は理解できる。そういう言説を聞いて育ったのだ。言説の内容には賛同できないが、その言説がどのようなものかは理解できるし、それが歴史的にどこから来ているのかも知っている。

 私にとって重要なのは、主張より国益だ。主張は私にとって魅力的ではない。ただの雑音だ。リンジー・グラム*は、ロシア人殺害はこれまでで最も有効な資金の使い方だと言うが、私は自分のお金や国のお金をそのような形で使いたくない。ちなみに、私や多くのアメリカ国民は、米国上院におけるグラムの最大功績は3度の再選だと考えている。

 私はロシア人を殺すことに興味はない。何の目的もなく、私の人生にも利益にもならず、国家の強化にもならず、文明の発展や人類のさらなる進歩にもならず、神に仕えることもない。命を絶つ必要もないと思う人々を殺すために資源を費やすことに興味はない。ここで話しているのはロシアとロシア人で、アルカイダ*やISIL/ISIS*のテロリストのことではない。彼らは発見された場所で無力化するために注意を払い、資源を割り当てる価値がある。ただし言及する価値はあるが、アルカイダ*はCIAによって結成・組織され、ISIL/ISIS*はアメリカが中東全域で作り出し容認した状況により誕生が可能になったのだ。

 自国の政治エリートが反ロシア戦争でアメリカ財政を枯渇させるのをアメリカ人は許している(戦争は「聖戦」を意味するが、これは不聖な戦争だ)。

 アメリカはロシア人を殺すためにお金を使うのではなく、政治家に平和協力を促進するためにお金を使うよう要求すべきだ。もし私がアメリカとロシアの双方に長期的に利益をもたらす4つのことをできるとしたら、そうするだろう。

  • 交渉によるウクライナ戦争解決の確保に参加する。
  • ロシアとアメリカ間の制裁終了と緊張緩和開始を規定する条約交渉推進に参加する。
  • 将来の経済・文化協力の基盤を築く過程に参加する。
  • アメリカとロシアが直面している長期的人口減少を逆転させるための解決策の策定支援に参画する。両国とも人口減少の理由は似ており、最終的解決策は主に文化的、精神的、社会的なもので、法制度改革が必要になる。相互協力、あるいは少なくとも発想や文化資源の共有が必要になる可能性がある。
 ロシア人を殺すのではなく、アメリカの資源と知力をロシアの人口安定化に充ててほしい。安全で安定したユーラシアを維持し、中央アジア、コーカサス、東ヨーロッパの安全保障を強化し、発展を促進する安定的で繁栄したロシアを維持することこそが、アメリカ(そして伝統文明)の長期的利益だと私は考えている。

 2022年2月にロシアがウクライナに侵攻したのを私は責めない。そうする必要があったのだ。それはロシアの権益にとって極めて重要で、リンジー・グラム*のような人間のせいでアメリカの和平提案が拒否された後の最後の手段としての国家存亡に関わる問題だった。グラム*はアメリカを貧困に陥れ、自分の軍需品商売仲間がウクライナに爆弾を供給し、ロシア人を殺害するのを好む人物だ。2021年12月のロシアの共同声明を拒否したのは私の決定ではない。私は単なる弁護士で、アメリカ上院議員ではない。死ぬ必要のない人を殺すことを信じていないので、アメリカ上院に参加する資格はない。リンジー・グラム*のような人物は、私がロシアに対して「甘い」とか「本物のアメリカ愛国者ではない」とか、彼らが言いたい、あらゆるたわ言を言うだろう。だが、それはどういう意味だろう? 国民を不必要に殺害することを支持しないという理由で、私は国に甘いのだろか? 私は真のアメリカ人ではない。資源を圧迫し、兵力を疲弊させ、国庫を枯渇させ、傷を負って帰還する無数の兵士や彼らが残した未亡人や孤児の人生を破滅させる不必要な戦争や終わりのない軍事関与を支持しないためだ。2021年の声明を拒否したのは私の決断ではなかったが、アメリカ人として、私と3億4000万人以上のアメリカ人は、好戦的なロシア嫌いの堕落した徒党が引き起こす結果を受け入れなければならない。あるいはアメリカ指導部が国際情勢への対応を大きく誤った場合、結果として命を落とすことになるかも知れない。

 旧ソ連で、アメリカを代表して交渉する資格があると認められるためには、ロシアは悪で、ロシア人は正当な安全保障上の懸念を持たない非理性的な野獣(偏見に満ちた西側メディアではしばしば「オーク」と呼ばれる)だと信じ込まなければならないのは、現代のテクノクラート的アメリカ外交における悲劇的で不幸な現実だ。これは歴史的に奇妙な状況だ。なぜなら歴史的に見て、ほとんどの大使は少なくとも受け入れ国に敬意を払い、その国や、言語や、文化や、国民をある程度評価してきたためだ。一般的に、列強は赴任先の国民を軽蔑するような口汚く罵る人種差別主義者に外交任務を与えなかった。外交官の育成という点において、西側諸国がせいぜいできるのは、敵意に突き動かされ、非合理的な行動を取りながら、ロシア人は「非合理的な野獣」で、ロシア人を殺すことは「アメリカがこれまでに費やした最高の金」だと主張する偏屈者を2~3世代連続で輩出することだけなのは奇妙に思える。

 アメリカは、国家の運命が関わる大国間紛争どころか、村の隣人同士の花園のような意見の相違を解決する交渉さえできない外交官を輩出してきた。

*ロシア連邦においてテロリストおよび過激派と認定された組織および個人

ブライアン・アンソニー・レオはオハイオ州を拠点とする弁護士で、軍事史、地政学、国際関係の専門家。

記事原文のurl:https://journal-neo.su/2026/02/19/how-the-west-guaranteed-conflict-in-ukraine/

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 東京新聞 朝刊 17面 特報面から一部引用させていただく。
 
 週刊誌を読む 2月15日~21日

 高市政権 強権路線に

 言論への規制 懸念広がる

 高市自民党の圧勝については各誌が誌面をさいているが、『サンデー毎日』3月1日号が読み応えがあった。コラムで作家の高村薫さんはこう書いている。「2026年、この国でリベラルはひとまず死んだのだ。そしておそらく民主主義も」(月刊『創』編集長・篠田博之)
 今朝の孫崎享氏メルマガ題名
米国最高裁トランプ独裁の阻止。 トランプ政権の看板政策 「ノー」突きつけた最高裁の「独立宣言」(毎日)「最高裁の判断は6対3、判決は保守派のロバーツ長官が書いた。リベラル派判事3人に保守派2判事が賛成。新トランプ関税、24日から10%、「通商法122条」で150日間発動へ

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コメント

 例えば、本日ネットを検索しようとすると、現在のトレンドとかで、竹島の日記念式典などという、ふざけたものが出てきます。
 一般の人が、こんな、くだらない行事に関心があるとは思えません。
 こんなのは、明らかに、右傾化メディアが、意図的に宣伝しているのです。
 新聞やテレビは、情報の発信源がはっきりしている分、ろくでもないことは言いにくいと思われます。
 ところがネットニュースは、誰が書いているのかも分かりにくいため、なおさら、無責任です。
 まさに、ネットやSNSで暗躍するマスコミこそ、一般市民の敵であり、今日、ますますその傾向は強まっています。

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