« 西側諸国がウクライナ紛争を招いた経緯 | トップページ | ウクライナは疲弊しているが、更に何年も戦争を続ける計画だ »

2026年2月23日 (月)

ヴァンス副大統領のアルメニア・アゼルバイジャン歴史的訪問は対ロシア・アメリカ新戦線を強化するもの



フィニアン・カニンガム
2026年2月13日
Strategic Culture Foundation

 より壮大な計画は、世界のエネルギー貿易においてロシアとイランを脇に追いやり、両国国境で攻撃的軍事態勢を整えることだ。

❗️Telegram Twitter , と VK でご参加願いたい。
 今週のJ・D・ヴァンス副大統領によるアルメニア・アゼルバイジャン訪問は歴史的出来事と称された。現職アメリカ副大統領あるいは大統領が南コーカサスの両国を訪問するのは初めてのことだった。

 この訪問は、伝統的にモスクワと緊密な関係を築いてきたロシア南部国境地域に、アメリカが「国旗を立てた」と報じられた。アルメニアとアゼルバイジャンは旧ソ連圏の共和国でイランの北国境に位置している。

 今回の訪問はドナルド・トランプ大統領が昨年夏、ホワイトハウスで主導した「和平プロセス」を強化するものだとヴァンス副大統領は強調した。このプロセスで、アルメニアとアゼルバイジャン指導者が、ナゴルノ・カラバフ紛争地域を巡る数十年にわたる紛争に終止符を打つ和平合意に署名した。この功績により自分はノーベル平和賞に値するとトランプ大統領は考えている。

 注目すべきことに、ヴァンス副大統領はアルメニアとアゼルバイジャン指導者とそれぞれの首都で連続して会談を行った。もしこれがアメリカの仲介による和平を確固たるものにするための訪問だったなら、三国首脳会談の方が適切だったと思われる。そこで疑問が湧く。本当の狙いは和平だったのか?

 アメリカ主導の和平合意の中核を成すのは、いわゆる「トランプ平和繁栄ルート」(TRIPP)だ。これはアメリカが管理する新たな安全保障回廊で、アゼルバイジャンが南アルメニア領土の反対側に位置するもう一つの飛び地、ナヒチェヴァンへの行き来を可能にする。ナヒチェヴァンは西側でトルコと接している。

 エレバンとバクーの首都で演説したヴァンスは、TRIPPをアメリカが南コーカサスに与える平和と繁栄の協定として称賛した。このおだやかなな言葉は、ロシアとイランを弱体化させるためのアメリカの強硬な戦略的動きを裏付けている。

 「平和回廊」は、アメリカとNATOの地政学的利益に合致するアジアとヨーロッパを結ぶ新たな貿易路だ。カスピ海の膨大な石油・ガス埋蔵量は、ロシアとイランのエネルギー資源を迂回し、NATO加盟国トルコへ輸送され、そこからヨーロッパへと輸送される。

 最近、アメリカが世界のエネルギー供給を支配する戦略を強化し、ロシアやイランなどの競争相手を悪意を持って排除しようとしていることにロシアのセルゲイ・ラブロフ外相が不満を表明した。トランプ大統領による先月のベネズエラ攻撃や、ロシアおよびイランとのエネルギー取り引き停止を求める各国への脅迫の強化は、まさにこのチェス・ゲームに当てはまる。コーカサスへの進出は、こうした駆け引きの大胆な延長線上にある。

 だが、これは単に世界のエネルギー貿易を支配することだけを目的とするものではない。地政学的安全保障攻勢でもある。

 2日間の訪問中、アルメニアとアゼルバイジャンへの米軍物資供給契約にヴァンス副大統領は署名した。歴史的に防衛調達をロシアに依存してきた両国とアメリカが軍事協力を開始するのは今回が初めてだ。

 確かに、ヴァンス副大統領が発表した軍事物資は致死的でも大量でもない。アルメニアには1100万ドル相当の偵察ドローンが、アゼルバイジャンにはカスピ海の権益を「保護」するための海軍哨戒艇が、それぞれ提供された。だがこの物資供給の開放は極めて重要な意味を持つ。

 潜在的に、南コーカサスはロシアの南側とイランの北部地域に位置するアメリカとNATOの軍事拠点となる可能性がある。

 『Killing Democracy』で指摘されている通り「アルメニアとアゼルバイジャンは、アメリカとその西欧同盟諸国にとってロシアを脅かす新たな機会として浮上した。」(第15章、275ページ)

 2019年にランド研究所が発表した「ロシアを過剰拡張させてバランスを崩させる」と題する調査報告書で、こうした動きが予測されていた。ワシントンに拠点を置くこのシンクタンクは、ウクライナ、モルドバ、ジョージア、アルメニア、アゼルバイジャンをロシアの不安定化の手段として活用するよう提案した。これは、ウクライナで代理戦争が勃発する三年前のことだ。

 アメリカが南コーカサスに足場を築くことは、ウクライナのNATO加盟と同じくらいロシアの国家安全保障にとって深刻な脅威になる。これが2022年以来のウクライナにおける代理戦争の根本原因だ。しかし、アルメニアとアゼルバイジャンが、アメリカと「戦略的提携」を締結して、軍事的プレゼンスの拡大につながる可能性もある。

 ワシントンの外交政策支配体制にとって、ウクライナ紛争は、ウクライナでの軍事関与がモスクワの関心をそらすことを意識し、ロシアの弱点に侵入する好機になった。

 昨年、フォーリン・アフェアーズ誌に掲載された記事は「ロシアは近隣諸国への影響力を失いつつある」と宣言し、祝賀ムードを醸していた。更に、南コーカサスにおけるプレゼンスを高めることで「アメリカと欧州同盟諸国は、衰退するモスクワの影響力をいかにして弱められるか」提言していた。

 アルメニアのニコル・パシニャン首相はロシアとのCSTO安全保障同盟からアルメニアを離脱させ、欧州連合(EU)およびNATOとの緊密な関係構築を目指している。パシニャン首相の外交政策はロシアとの友好関係維持を望む多くのアルメニア国民の怒りを買っている。

 一方、イルハム・アリエフ大統領の20年間の支配下にあるアゼルバイジャンは、常にトルコと親密な関係にあり、NATOとのより緊密な関係に前向きだ。

 コーカサスへの接近はトランプ大統領以前から行われており、近年、かつて敵対関係にあった隣国間の和平を仲介したとトランプ大統領は主張している。バイデン政権下でも、ワシントンはパシニャンに対し、国境紛争でアゼルバイジャンに譲歩するよう働きかけていた。パシニャンはワシントンの忠告に忠実に従ったが、ナゴルノ・カラバフへの裏切りと受け取られ憤慨するアルメニア人は大いに動揺した。2023年、アゼルバイジャンがトルコ軍の支援を受けて、この地域を制圧した際、約10万人のアルメニア人が避難を余儀なくされた。

 アルメニアは、このゲームで重要な駒ではあるものの、ここでは、さほど重要ではない。ワシントンは、アゼルバイジャンが支配する膨大なカスピ海のエネルギー資源に目を付けている。だがロシアとイランを迂回し、これら資源を活用するには、アゼルバイジャン・トルコ間「平和回廊」を確保するためアルメニアを同盟に取り込むことが不可欠だった。

 アルメニアの従属的役割を恥ずかしくも示しているのは、今週エレバンで行われた大量虐殺記念式典でヴァンス副大統領が犯した失態だ。

 アルメニア滞在中、ヴァンスと妻はアルメニア人虐殺国立記念碑に花輪を捧げた。その後、ヴァンスは公式ソーシャルメディア投稿から「ジェノサイド」に関する言及を急遽削除した。トルコとその同盟国アゼルバイジャンは、オスマン帝国が1915年から1917年にかけて150万人以上のアルメニア人虐殺を行ったことを否定しており、この言及が両国の激しい反発を招いたことにヴァンスは気づいたのだ。

 その後、ヴァンスはアゼルバイジャンを訪問し、アリエフ大統領と戦略的協力協定に署名した。

 アゼルバイジャンはアメリカにとって最大の獲物であり、決して手を出してはならないというのが明白なメッセージだ。アルメニアは単なる無名の国で、その痛ましい歴史的な恨みはワシントンの大局の中では無視できる。

 より壮大な計画は、世界のエネルギー貿易においてロシアとイランを脇に追いやり、両国国境で攻撃的軍事態勢を整えることだ。

 ロシアはウクライナにおけるアメリカとNATOの攻撃から自国を守るため、精力的に戦ってきた。しかし、今週ヴァンス副大統領が、アルメニアとアゼルバイジャンに星条旗を立てたことは、南コーカサスに新たな危険な戦線が開かれたことを示唆している。

 フィニアン・カニンガムは『Killing Democracy: Western Imperialism’s Legacy of Regime Change and Media Manipulation(民主主義の破壊:西洋帝国主義の体制転換とメディア操作の実績)』の共著者。

記事原文のurl:https://strategic-culture.su/news/2026/02/13/vances-historic-visit-to-armenia-and-azerbaijan-consolidating-a-new-u-s-front-against-russia/

----------

 古賀茂明 TV
『リベラルは死んだのか虚勢をはっても意味はない諦めてしまえば明日がない』高市錯乱症候群が広がり絶望感が支配するリベラル勢力の世界 それでも復活を狙うベテラン議員 小川代表は気の毒な立場に 23:17

« 西側諸国がウクライナ紛争を招いた経緯 | トップページ | ウクライナは疲弊しているが、更に何年も戦争を続ける計画だ »

アメリカ」カテゴリの記事

アメリカ軍・軍事産業」カテゴリの記事

Finian Cunningham」カテゴリの記事

アルメニア・アゼルバイジャン」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。

(ウェブ上には掲載しません)

« 西側諸国がウクライナ紛争を招いた経緯 | トップページ | ウクライナは疲弊しているが、更に何年も戦争を続ける計画だ »

お勧め

  • IWJ
    岩上安身責任編集 – IWJ Independent Web Journal

カテゴリー

ブックマーク

最近のトラックバック

無料ブログはココログ