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2026年1月 1日 (木)

欧州のパニック経済:資産凍結と空の兵器庫と静かな敗北の告白

ジェリー・ノーラン
2025年12月24日
Ron Paul Institute for Peace and Prosperity



 「来年はもっとひどい状況になるから休むように」と首相が職員に告げるのは:ただの「絶望的状況で発せられるユーモア」ではない。疲弊した発言でもない。それは内部予測がもはや公式筋書きと一致しなくなった時にリーダーが発する、いわば「仮面を脱ぐ」発言だ。

 ジョルジャ・メローニは有権者に語りかけていたのではない。彼女は国家そのもの、つまり、もはや隠蔽不可能な結果をもたらす決定を下す任務を負う官僚機構の中核に語りかけていたのだ。彼女の言葉は、平凡な仕事量の増加ではなく、制約について、限界についてだった。危機管理から管理された衰退へ移行し、2026年に蓄積された経費負担がついに衝突するのを承知しているヨーロッパについてだった。

 メローニが口を滑らせたのはヨーロッパのエリート連中が既に理解していることだ。ウクライナにおける欧米プロジェクトは物質的現実に真っ向からぶつかっている。ロシア・プロパガンダでも偽情報でもポピュリズムでもない。鉄鋼、軍需品、エネルギー、労働力、時間。そして物質的現実が自らを主張するようになると同時に正当性は失われ始める。

 ヨーロッパには、まかなえない戦争

 ヨーロッパは戦争態勢を整えることはできるが、戦争のための生産はできない。

 激烈な消耗戦が始まって4年、アメリカと欧州は数十年もの間忘れてきた真実に直面している。この種の紛争は、芝居がかった演説や制裁、あるいは外交放棄では持続できない。砲弾、ミサイル、訓練された兵員、修理サイクル、損失を上回る生産率により、しかも何ヶ月も途切れることなく持続的に持続させられるのだ。

 2025年までに、このギャップはもはや理論上のものではなくなっている。

 現在ロシアはNATO加盟国全体の生産量を上回る規模で砲弾を生産しており、欧米諸国当局者自身もその生産量を認めている。ロシア産業界は、集中調達、簡素化されたサプライチェーン、国家主導の生産体制により、戦時体制に近い継続的生産体制(完全動員体制ではないものの)に移行している。推定によると、ロシアの砲弾生産量は年間数百万発に達する。これは生産が約束されているのではなく、既に生産が始まっている段階だ。

 対照的に、2025年を、ヨーロッパは物理的に決して達成不可能な目標を掲げて過ごしてきた。欧州連合(EU)の目玉は依然年間200万発の砲弾発射という公約だが、この目標達成には新たな施設、新たな契約と、新たな労働力の投入が不可欠で、戦争終結の決定的局面までに完全に実現することはないだろう。仮にこの夢の目標を達成できたとしても、ロシアの生産量と肩を並べることはないだろう。アメリカは、緊急増産後、フル稼働が実された場合、年間約100万発の砲弾発射を見込んでいる。机上だけで欧米諸国の生産量を合わせても、ロシアの既存生産量に匹敵するに至らない。まさに張り子の虎だ。

 これは乖離ではなく、速度大きな不一致だ。現在ロシアは、大規模生産を行っている。ヨーロッパは将来的に大規模生産能力を再構築することを夢見ている。

 そして、時間は認めることができない唯一の変数だ。

 欧州の空洞化した能力をアメリカは簡単には補えない。ワシントンも自らの産業上のボトルネックに直面している。パトリオット防空迎撃ミサイルの年間生産台数は数百台程度である一方、需要はウクライナ、イスラエル、台湾と、アメリカの備蓄補充に同時に及ぶ。この不一致は早急には解決できない、あるいは解決できないと国防総省高官も認めている。米海軍の造船業も同様状況にある。潜水艦と水上戦闘艦の計画は、労働力不足、造船所の老朽化、実質的な拡張が2030年代まで延期される経費超過により、計画から何年も遅れている。産業的にアメリカが欧州を支援できるという想定は、もはや現実に即していない。これは欧州だけの問題ではなく、欧米諸国全体の問題だ。

 工場なしの戦時体制

 欧州の指導者連中は「戦時体制」を、あたかも政治的姿勢であるかのように語る。しかし実際は、それは産業的条件で、欧州はそれを満たしていないのだ。

 新たな砲兵製造ラインが安定した生産能力に達するには何年もかかる。防空迎撃ミサイル製造は、大量生産ではなくバッチ生産という長いサイクルで行われる。爆薬のような基本的原材料でさえ依然ボトルネックになっており、数十年前に閉鎖された施設がようやく再開されたばかりで、中には2020年代後半まで生産能力に達しない見込みのものもある。

 日付さえもが自白だ。

 一方、既にロシアは戦時体制に近いペースで活動している。ロシアの国防部門は、毎年数千台の装甲車両、数百機の航空機やヘリコプターと膨大な数のドローンを配備している。

 ヨーロッパの問題は概念的なものではなく、制度的なものだ。ドイツが誇った「ツァイテン・ヴェンデ」は、これを容赦なく露呈させた。数百億ドル規模の予算が承認されたものの、調達のボトルネック、契約の断片化や、サプライヤー基盤の衰退により、納品は建前より何年も遅れてしまった。ヨーロッパで最も有能な兵器生産国としばしば称されるフランスは、より高度なシステムを製造できる。だが消耗戦では数千単位の兵器が必要になるのに対し数十単位という小規模な量しか生産できない。EU自身の弾薬供給加速化構想でさえ、前線では数週間で砲弾が消費される一方、机上の空論で生産能力は拡大した。これらはイデオロギー的失敗ではなく、行政的、産業的失敗で、圧力により悪化していく。

 違いは構造的なものだ。西側諸国の産業は株主の効率性と平時の利益率を最適化してきた。ロシアの産業は、圧力に耐えられるよう再編されてきた。NATOは支援策を発表する。ロシアは納入実績を数える。

 2100億ユーロの幻想

 この世界の現実は、凍結資産問題がなぜそれほど重要だったのか、そしてなぜ失敗したのかを説明している。

 欧州指導部がロシアの凍結資産接収を追求したのは、法的な創造性や道徳的明晰さからではない。時間が必要だったためだ。欧米諸国の産業基盤では戦争を継続できないのを認めたくない時間。生産を財政に置き換える時間。

 12月20日、約2,100億ユーロ相当のロシア資産を差し押さえようとする試みが、法的リスク、市場への影響や、ベルギー主導の抵抗や、全面的没収にイタリア、マルタ、スロバキア、ハンガリーが反対する動きにより頓挫した。欧州は、質の低い代替案、すなわち2026~27年度のウクライナ向け900億ユーロの融資(年利30億ユーロ)に甘んじ、欧州の将来を差に担保にした。これは戦略ではなく、トリアージで、既に弱体化していたEUを更に分裂させた。

 完全没収は、金融の管理者としての欧州の信頼性を一挙に失墜させるはずだった。恒久的資産凍結は爆発は避けられるものの徐々に悪化していく。資産は無期限に凍結されたままで、これは経済戦争の常態で、欧州に保有されている準備金は条件付きで、リスクに見合うものではないというメッセージを世界に送る。欧州は法的決裂より評判低下を選んだ。この選択は強さではなく、恐怖を露呈している。

 バランスシート戦争としてのウクライナ

 より深い真実は、ウクライナはもはや主として戦場の問題でないことだ。支払い能力の問題なのだ。ワシントンはこれを理解している。アメリカは恥辱には耐えられる。しかし、期限のない負債をいつまでも負担できない。出口が模索されているのだ。静かに、不均衡に、修辞的な言い訳を交えて。

 戦争の必要性をヨーロッパは認められない。ヨーロッパは、戦争を、実存的、文明的、道徳的な問題として位置づけ、妥協、宥和、交渉、降伏を宣言した。そうすることで、自らの退路を消し去ってしまったのだ。

 今、その代償は、いかなる論拠も覆すことのできない領域、すなわち欧州予算、欧州エネルギー料金や欧州産業や、州の政治的結束に降りかかっている。900億ユーロ融資は連帯の証しではない。衰退の証券化で、債務を正当化するために必要な生産基盤が侵食され続ける中、債務を繰り延べる行為だ。

 メローニはそれを知っている。だからこそ彼女の口調は反抗的ではなく、むしろ疲れた感じだったのだ。

 パニック管理としての検閲

 物質的制約が強まるにつれ言論統制も強化される。EUデジタル・サービス法の強引な施行は、安全確保のためではない。まさにオーウェル的封じ込め策だ。もはや公開会計に耐えられないエリート層の合意の周囲に情報境界を構築するのだ。市民が冷静に、更に冷静さを失い、容赦なく「これは一体何のためだったのか?」と問い始めると、正当性という幻想は瞬く間に崩れ去る。

 だからこそ、規制圧力は今やヨーロッパ国境を越え、管轄権と言論を巡る大西洋横断摩擦を引き起こしているのだ。自信ある体制は対話を恐れない。脆弱な体制は対話を恐れる。ここでの検閲はイデオロギーではなく、保険だ。

 脱工業化:暗黙の裏切り

 欧州はロシアに制裁を課しただけではない。自分の産業モデルにも制裁を課したのだ。

 2025年までに、欧州産業界はアメリカやロシアの競合相手を遙かに上回るエネルギー費用を支払い続けることになるだろう。その原動力であるドイツでは、エネルギー集約型製造業が継続的に縮小している。化学、鉄鋼、肥料、ガラス生産は停止または移転を余儀なくされた。イタリアや中欧の中小企業は表沙汰になることなく、静かに倒産の危機に瀕している。

 これが、欧州が必要な弾薬供給量を確保できない理由だ。再軍備が、条件ではなく約束のままである理由だ。安価なエネルギーは贅沢品ではなく基盤だった。自滅行為(ノルドストリーム爆破など)により、それを放棄すれば構造は空洞化する。

 こうした状況を見守る中国は、ヨーロッパにとっての悪夢のもう半分を握っている。戦時体制には踏み込まず、世界最深の製造拠点を擁している。ロシアは中国の広大さではなく、背後に控える戦略的奥深さを必要としている。ヨーロッパにはそのどちらもない。

 メローニが本当に恐れていること

 ハードワークでも、多忙なスケジュールでもない。彼女が恐れているのは、2026年にヨーロッパのエリート層が三つのものを同時に失うことだ。

 お金 — ウクライナへの資金提供がEUのバランスシートの問題になり、「ロシアが支払う」という幻想に取って代わる。

 言説 — 検閲が強化されても、大陸中に響き渡る疑問を抑えられず「 これは一体何のためだったのか?」

 同盟の規律。離脱に向けてワシントンが動き出す一方、ヨーロッパは費用とリスクと屈辱を吸収する。

 それがパニックだ。一夜にして戦争に負けるのではなく、エネルギー料金や、閉鎖された工場や、空の兵器庫や、担保にされた先物を通して現実が漏れ出すにつれ徐々に正当性を失いつつある。

 深淵に陥った人類

 これは単なるヨーロッパの危機ではない。文明全体の危機なのだ。生産も補充もできず、真実を語ることもなく、信頼を失わずに撤退することもできない体制は限界に達している。指導者連中が自らの制度を、今後のより困難な時代に向け準備し始める時、彼らは不都合を予測しているのではなく、構造を譲歩しているのだ。

 メローニ発言が重要だったのは、それがパフォーマンスを貫いたからだ。帝国は勝利を声高に宣言する。衰退する体制は静かに、あるいはメローニの場合、声高に期待を低下させている。

 今、欧州指導部が期待を引き下げているのは、倉庫に何が保管されているのか、工場がまだ何を供給できないのか、債務曲線がどのようなものか、国民が既に理解し始めているのを知っているためだ。

 ほとんどのヨーロッパ人にとって、この清算は戦略やサプライチェーンに関する抽象的議論として訪れるものではない。それは遙かに単純な認識として訪れる。これは彼らが決して同意した戦争ではなかった。彼らの故郷や繁栄や未来を守るために戦われたのではない。帝国への貪欲さのために戦われ、彼らの生活水準と産業と子どもたちの未来が犠牲になったのだ。

 それが存在に関わることだと彼らは告げられた。他に選択肢はない、犠牲は美徳だと告げられた。

 だがヨーロッパの人々が望んでいるのは、終わりのない動員や永続的緊縮財政ではない。彼らは平和を求めている。安定を求めている。彼らが求めているのは繁栄という静かな尊厳、手頃な価格のエネルギーと、機能する産業と、彼らが同意していない紛争に縛られることのない未来だ。

 そして真実が明らかになった時、恐怖が薄れ呪縛が解けた時、ヨーロッパ人が問う疑問は技術的なものでも、イデオロギー的なものでも、修辞的なものでもなくなる。

 それは人間的なことだ。なぜ我々は、決して同意したことのない戦争のために全てを犠牲にさせられ、追求する価値のある平和などないと言われたのか? これがメローニを夜も眠れないほど悩ませているのだ。

著者:ジェリー・ノーラン

 ジェリー・ノーランは、地政学、安全保障問題、世界の力の構造的ダイナミクスを専門とする政治評論家、ライター、ストラテジスト。戦争、外交、経済的国家運営、加速する多極化世界への変化を分析する独立メディア・プラットフォーム「The Islander」の創設者兼編集者。

記事原文のurl:https://ronpaulinstitute.org/europes-panic-economy-frozen-assets-empty-arsenals-and-the-quiet-admission-of-defeat/

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 よく行くそばやで、夕方早めに年越しそばを食べた。そのあとで、たまたま店の前を通ったところ15人ほど店の前で並んでいた。中を覗いたところ満員だった。持ち帰り用「年越しそば」を店頭で販売していたが、これも残りわずかだと店主は言っていた。

 地元神社に初詣で出掛けたが、100m以上の待ち行列。あきらめた。

 ≪櫻井ジャーナル≫
ロシアとの戦争で窮地に陥ったヨーロッパは2026年を乗り越えられるのか?

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