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2026年1月 6日 (火)

アメリカはマドゥロを拘束したが、ベネズエラの将来は何も保証されていない



ラファエル・マチャド
2026年1月4日
Strategic Culture Foundation

 世界はいくつかの勢力圏に再編されつつあり、軍事力と、それを使用する意志だけが外国介入に対する有効な障壁になっているようだ。

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 カラカス時間午前2時に開始された作戦後、米軍特殊部隊はベネズエラのニコラス・マドゥロ大統領とシリア・フローレス夫人を拘束し、国外に拉致した。作戦はわずか30分で終了し、数機のヘリコプターが現地に非常に近い場所で活動した。

 アメリカ政府とその支持者たちは、この作戦の「偉業」に歓喜した。このようなことを実行できるのはアメリカだけだとドナルド・トランプは述べた。

 しかしながら、これまでのところ、この出来事は偉大な軍事的偉業というより、プロパガンダ花火大会といった様相を呈している。というのも、あらゆる兆候から見て、この拉致はベネズエラ政府のいかなる抵抗もなく行われたように見えるためだ。

 アメリカとベネズエラの緊張が高まって以来、数ヶ月にわたりマドゥロ大統領とトランプ大統領間で秘密交渉があったのではないかという憶測が飛び交っている。実際、マドゥロ大統領がトランプ大統領に「あらゆるもの」を申し出たにもかかわらず、トランプ大統領が様々な申し出を拒否したとニューヨーク・タイムズなどの新聞は報じている。

 他にもいくつか交渉が行われたと伝えられており、その中にはマドゥロ大統領退陣を条件に、ボリバル体制の維持と、アメリカがPDVSAと共にベネズエラ石油採掘に協力するという条件付き提案も含まれていた。アメリカはこれら提案を拒否したとされている。

 少なくとも2025年11月以降、ブラジル政府とコロンビア政府はニコラス・マドゥロ大統領の辞任を説得しようと試みてきたことも指摘しておくべき重要な点だ。ルラと現在はトランプ大統領双方の盟友であるブラジルの有力実業家でロビイストのジョゼリー・バティスタは、マドゥロ大統領の退陣交渉のためカラカスを訪れたと伝えられている。しかし、交渉は成功しなかったようだ。

 だが事実は変わらない。MANPADのような携帯型対空兵器なら、作戦で使用されたアパッチ機を撃墜できたはずだ。しかし、実際は、どれも使われなかった。実際、作戦中にベネズエラの防衛兵器が使用された証拠はない。公式発表では、それらは全て単に「停止」されたとされている。これはおそらくBUKが不活動だった理由を説明できるかもしれないが、他の兵器が使われなかった理由を説明することはできない。

 更に、シリアで見られたような軍人の大量離脱の兆候は見られない。パドリノ・ロペス国防大臣とディオスダド・カベジョ内務大臣は、それぞれ国軍とボリバル国家衛兵に対する完全な統制権を掌握している。街は、あらゆる兆候から見て平穏だ。野党勢力による祝賀ムードも、野党勢力全体による動きも見られない。

 マドゥロ解任は、実際は交渉によってなされたのかもしれない。だが、必ずしもマドゥロ本人と交渉されたわけではない。しかし、この件の責任者が一体誰なのか明確に特定するのは不可能だ。純粋に技術的観点から言えば、当然ながら、主な責任はベネズエラ防諜機関とマドゥロの個人的治安機関にあるだろう。だが、今回の場合、裏切りというより、単に失敗だったのかもしれない。

 現時点では、ベネズエラでの「政権交代」について適切に語るのは時期尚早だ。

 作戦直後の記者会見で、アメリカがベネズエラの「政権移行」を行うとドナルド・トランプは述べたが、現時点で、アメリカはベネズエラに全く駐留していない。マリア・コリーナ・マチャドによる政権交代を期待する者は間違っている。トランプは既に彼女を候補から外しており、ベネズエラ国民に不人気なことから無能と判断している。むしろ、チャベス派の知事や大臣や将軍たちの支持を得て、既にベネズエラ指導者となっているデルシー・ロドリゲスとの交渉に満足しているようだ。

 ロドリゲス大統領がアメリカと全面的に協力し、事実上ベネズエラの石油を「引き渡す」用意があるとトランプ大統領は主張している。しかし、ベネズエラ側からのこれまでの公式声明は、石油の差し押さえを非難し、マドゥロ大統領の復帰を要求し、トランプ大統領の野望に抵抗する姿勢を強調する内容ばかりだ。言い換えれば、トランプ大統領発言とベネズエラの現実の間には問題となる乖離が存在しているのだ。

 もちろん、例えば、チャベス主義がカラカスの権力を維持し、アメリカがベネズエラの石油部門で事業を展開できるようにする「密室取り引き」の可能性も排除できない。この種の交渉におけるマドゥロの運命は未知数だ。死刑から国外追放、更には最終的には釈放される懲役刑まで、あらゆる可能性が考えられる。

 だが、ベネズエラにおける主要政治主体は、PSUVでもマドゥロでもなく、軍だ。そして、合意内容やベネズエラの近い将来の政治的将来に関わらず、この状況は変わるまい。

 だが、ここで明らかなのは、国際情勢に大きな変化が生じたことだ。アメリカはこの作戦を「警察活動」として扱い、マドゥロ大統領は麻薬密売から機関銃所持(!)に至るまで、アメリカの銃器法違反(!!)の罪で起訴されている。事実上、ベネズエラ領土をアメリカ領土であるかのように扱っているのだ。

 国家間の主権国家としての相互承認、ひいては紛争における正当な交戦国としての相互承認、そして一定の交戦規則遵守は、文明の重要な成果だ。外国の主権者を犯罪者扱いすることは、蛮行と、礼儀正しさの規範を欠いた際限のない紛争への扉を開く。

 だが海賊時代と同じ考え方に戻る側面を超えて、国際法と国連への訴えは今日ではほとんど効果がないことは極めて明らかだ。

 世界は勢力圏に再編されつつあり、軍事力とそれを使用する意志だけが外国の介入に対する有効な障壁になっているようだ。

記事原文のurl:https://strategic-culture.su/news/2026/01/04/usa-seizes-maduro-but-nothing-is-guaranteed-regarding-venezuelas-future/

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 Chris Hedges 「ならず者国家 アメリカ」 いつもながら挿絵も秀逸。
America the Rogue State

The evisceration of the rule of law at home and abroad solidifies America as a rogue state.
Chris Hedges
Jan 05, 2026
 冒頭をはりつける。
The ruling class of the United States, severed from a fact-based universe and blinded by idiocy, greed and hubris, has immolated the internal mechanisms that prevent dictatorship, and the external mechanisms designed to protect against a lawless world of colonialism and gunboat diplomacy.
 Dialgue Works ゼレンスキー同様に、戦争をしないといって支持を得て当選しておいて乱暴狼藉のし放題。さすがに支持率は低下しており、中間選挙で酷い目に遭い、後半はレームダック化するとジョンソン氏。
Larry C. Johnson: Maduro’s Kidnapping Could Trigger a Massive US Backlash 57:36
 今朝の孫崎享氏メルマガ題名
トランプの奔放を止めるのは何か。米国自身。11月中間選挙。現在 民主党支持46.2%、共和党42.2%。この傾向継続なら民主党は下院過半数達成。共和党は微差で上院過半数維持。選挙民にとり最大課題は経済(雇用含む)。これに対しトランプ批判が支持を上回る。

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