シオニズムという魔法のシステム

昨年のLouis Theroux(ルイ・セロー)監督のドキュメンタリー映画『The Settlers(ザ・セトラーズ)』で、イスラエル人入植者指導者ダニエラ・ヴァイスが、シオニズムを「魔法のシステム」と呼ぶ場面が印象に残っている。
ケイトリン・ジョンストン
2026年1月24日
ティム・フォーリーによる英文記事朗読を聞く。
もし私が、インドがカシミールで行っている虐待行為について批判的発言をしたら、反ヒンドゥー教徒のヘイトクライムで私が告発されると思われるだろうか?
インド軍の作戦を批判する場合、「私はヒンズー教徒や宗教を憎んでいないし、ヒンズー教を少しも嫌っているわけではない」と前置きする必要があるだろうか?
もしインド軍の行動に対して世界中で反対があった場合、ヒンズー教徒社会の人々が危険を感じるために、欧米諸国政府がその反対を禁止する法律を必死になって作り始めると思われるだろうか?
インド政府の暴力行為に対する批判が、ヒンズー教と信者に対する攻撃として解釈される可能性があるなど想像したことがおありだろうか?
おそらく私が何を言いたいのかお分かりいただけると思う。
Normal person: It's bad to massacre tens of thousands of civilians.
— Caitlin Johnstone (@caitoz) January 16, 2024
Crazy person: Oh so you're saying you hate Jews then. You're saying Jews shouldn't defend themselves. You want all the Jews to die so there won't be any more Jews because you hate Jews. Jews Jews Jews Jews Jews.
インド国家批判が、その多数派宗教への攻撃として捉えられるとは、皆様は予想していないだろう。皆様の社会では、そのような期待を抱くように仕向けられていないためだ。しかし、我々はイスラエルに対して、そのような期待を抱くように仕向けられてきた。
反ユダヤ主義とイスラエル国家への批判を結びつけるのは自然なことではない。訓練されていない心に自然に浮かぶようなものではない。
イスラエルやパレスチナについて聞いたこともない人が、ガザでのジェノサイドの映像を見せられたら、反射的に恐怖に震え上がり「これはひどい光景だ」と言うだろう。もし誰かが駆け寄ってきて、今言ったことは実は宗教迫害という憎しみに満ちた行為だと説明されたら、彼はひどく驚き、混乱するだろう。彼はそのような連想をするよう洗脳されていなかったためだ。それは、あなたがインド政府批判を、ヒンドゥー教攻撃と連想するよう洗脳されなかったのと同じだ。
それは全く直感に反する連想だ。観察や推論で理解できるようなものではない。他人に教えてもらう必要がある。説明してもらわないと理解できない。
これはヘブライ語「ハスバラ」の直訳だ。「説明する」という意味だ。イスラエルと支持者たちは、イスラエル国家批判は、実際はユダヤ人とその宗教に対するひどいヘイト・クライムだと、何十年もの間世界に「説明」してきた。そうでなければ、普通の人は、それが事実だとは決して思わないためだ。
実際、驚くほど印象的だ。この小さなアパルトヘイト国家を支持する政治イデオロギーは、イスラエルについて、どう考えるべきかを世界に説く上で非常に効果的で、その取り組みは我々の生活全体に影響を及ぼしている。その効果は余りに大きく、たとえ海の向こうのアメリカで社交の場にいたとしても周囲の人々をよほど良く知っている人でない限り、イスラエルの話題が出れば非常に気まずい夜になるとすぐに分かるだろう。
このイデオロギーが我々の社会の文化や制度に実に大きな影響を与えてきたのは驚くべきほどだ。まるで魔法のようだ。
“Using the magic system, Zionism...” says Daniella Weiss, a far-right Israeli settler leader and former mayor of Kedumim, describing how to overcome the “great difficulty” of establishing Zionist colonies in Gaza. In the BBC 'The Settlers' documentary, she lays out her vision… pic.twitter.com/Ukn4vaNmKK
— Translating Falasteen (Palestine) (@translatingpal) April 29, 2025
昨年のLouis Theroux(ルイ・セロー)監督のドキュメンタリー映画『The Settlers(ザ・セトラーズ)』で、イスラエル人入植者指導者ダニエラ・ヴァイスが、シオニズムを「魔法のシステム」と呼ぶ場面が印象に残っている。
「ガザ地区でのユダヤ人入植地建設は非常に困難で、多大な労力が必要だ」とヴァイスがセローに言った。「シオニズムという魔法のシステムを使って、左翼や、政府や、世界の国々に影響を与えなければならない。」
ヴァイスが自分の活動を一種の魔法とみなしているのは驚くべきことではない。理論上、彼女や、お仲間がそんなことができるはずはない。既存の文明社会に、外国の民族国家を無理やり押し付け、その地域のあらゆる有機的衝動に逆らって暴力的に強制するだけでも十分異常なのに、それを世界の国々に支持させるとは? 地球の裏側にいる我々の人間関係や交流に実際影響を与えるほどに? そんなことが、うまく行くはずがない。だが実際、うまく行くのだ。
魔法が一体何なのか私にはよく分からないが、一部シオニストがそう捉えるのも無理はない。外部から見れば、大規模心理社会的操作は、まるで説明のつかない魔法のように見えるからだ。
幸いなことに、魔法は薄れつつあるようだ。古いトリックはもはや通用しない。イスラエルを批判する人を「反ユダヤ主義者」と呼ぶことは不正な操作だと広く認識されている。親パレスチナ政治家は、彼らの立候補がユダヤ人に不安を抱かせるという綿密に組織化された中傷作戦にもかかわらず、選挙で勝利している。あらゆることについてイスラエルが常に嘘をついているのは誰もが知っている。メディアへの信頼はかつてないほど低下している一方、主流メディアの親イスラエル偏向に対する認識はかつてないほど高まっている。
抗議活動やパレスチナ支持の催しには今も人々が集まる。かつてないほど多くの人々がイスラエルに背を向けている。もはや誰も古臭い歌や踊りに乗ろうとしない。
もしかすると、人々は自分なりのちょっとした魔法を見つけているのかも知れない。
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記事原文のurl:https://caitlinjohnstone.com.au/2026/01/24/the-magic-system-of-zionism/
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