史上最大の銀行強盗

イアン・プラウド
2025年12月16日
Strategic Culture Foundation
欧州連合はロシア資産を永久没収する計画を進めている
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解決策が必要だ
二年以上にわたり、ロシアが欧州に保有する約2450億ドル相当の凍結資産を永久に差し押さえるよう繰り返し強く要請されてきた。だが、これら資産は、これまで、6ヶ月ごとに全会一致で承認が必要となるEUの制裁措置に基づいて凍結されてきた。
もはや、そうではない。ユーロクリアに保有する1650億ドルの凍結資産利用にベルギーが強固に抵抗していることから、欧州連合の機能に関する条約の緊急条項を欧州委員会は発動し、制裁政策における全会一致の原則を回避したのだ。
先週木曜日、欧州理事会の大使たちは、欧州の銀行に預けられたロシア資産を無期限に凍結することに多数決で同意した。この提案は、ウクライナの財政需要を満たすための特定融資とは別のもので、これは別途提案の対象になっていた。
だが実際は両者は関連している。いわゆる賠償融資に関する別提案では、ウクライナはロシアから賠償金を受け取った場合にのみ融資を返済する義務があり、その場合、ロシアの凍結資産は返還されることが明確にされているからだ。
だがウクライナに賠償金をロシアが支払うことが決してないのは自明だ。ウクライナ賠償に使用される可能性があるロシア凍結資産は既に没収されており、返還される見込みがないからだ。
EUが提案した措置は、進行中の戦争によるEUの経済的リスクを補填する必要があることを法的根拠としている。だが、エコノミスト誌はこれを「怪しい」法的論理の例として指摘している。だが、これはそれ以上に深刻で、事実と異なる。この資金は欧州GDPの僅か1%に過ぎず、欧州経済を支援するためのものではない。この資金は賠償ではなく、ウクライナの肥大化した予算を補填するための賠償融資の裏付けとして使われることになる。
これには今後二年間、ウクライナの財政赤字を補填するための1060億ドルと、2024年6月に合意されたG7特別歳入加速融資に対するEU拠出金を帳消しにするための500億ドルが含まれる。残りはウクライナの防衛産業に投入される。
つまり、ロシア資金は全て、ロシア資産を保有する欧州銀行が保証する融資という形であるものの、実質的にウクライナに与えられることになる。この幻想の中では、ロシア資産は依然存在し、EU銀行がその価値に相当する金額をウクライナに貸し付けるだけだ。
ウルズラ・フォン・デア・ライエンが回避しようとしている問題は、私が以前指摘した通り、対ロシア制裁解除につながる和平合意が成立した後、ロシア資産が返還される点だ。つまり和平が成立すれば、融資の担保がロシアに返還されるリスクが高まるのだ。つまり、ウクライナが融資を返済する手段を持たないため、欧州が担保を負担しなければならなくなるのだ。
はっきりさせておきたいのは、 2024年に合意されたG7のウクライナ向け特別歳入加速融資の返済期限は最長45年だったことだ。欧州は本当にロシア資産をその期間、凍結したままにしておくつもりなのか?
トランプ大統領が当初発表した28項目和平案では、ロシア凍結資産を三分割することを提案していた。1,000億ドルは、アメリカ企業がウクライナに投資し、1,000億ドルは、欧州が監督し、残りはアメリカとロシアがウクライナに共同投資する。この案に基づき、ロシアが同意すれば、ロシアの凍結資産は全て、ウクライナ国内およびロシアが占領している地域における真の復興活動に使用されることになる。今週、ドネツク州の係争地域に非武装化される特別経済区を設置する可能性についてゼレンスキー大統領が発言した。
一年前に私が指摘した通り、トランプ政権が実質的に提案しているような、何らかの形での領土承認と引き換えに、資産を手放す用意がロシアにあるのかもしれない。凍結されていないロシア外貨準備高は4250億ドルに達し、欧州やアメリカを含む他の管轄区域で依然凍結されている金額を遙かに上回る。従ってロシアは領土を譲る見返りとして、資産の一部を手放す用意があるかもしれない。そもそも欧州には資金を返還する意図が全くないのは明らかなので、ロシアにとって最も有利な取引をしないのはなぜだろう。
だが欧州諸国が望んでいるのは、二兎を得ることだ。戦争終結後も、ウクライナの戦争遂行と防衛産業複合体の建設に伴う日々の財政支出をロシアに負担させ、更にウクライナの戦後復興にもロシアに負担させようとしているのだ。これは明らかに妄想だ。
なぜなら既に指摘した通り、戦闘が終結しても、いずれにせよウクライナは莫大な財政赤字を抱えることになるからだ。だから、もしロシア凍結資産を日常生活費の担保として利用するという実際の計画だとすると、賠償金を賄うための資金はどこにあるのだろう? つまり、もはや資金は調達できなくなるのだ。
いや、心配はご無用。欧州委員会担当者は、ロシアはウクライナに賠償金を支払えば資産を取り戻せると保証している。だがロシアがいくら支払うべきか決めるのは一体誰だろう? 2024年末時点で、ウクライナの復興・再建に必要な総額は5240億ドルと国連は推定している。
その金額を支払うことにロシアは絶対同意しないだろう。もし支払ったとしても、ウクライナ予算に使われてしまった凍結資産はもはや利用できないと分かるだろうからなおさらだ。そもそもアメリカが凍結資産利用に関してより確実な計画を持っているにもかかわらず、ヨーロッパが遠くから決める賠償金支払いにロシアが同意する理由などあるだろうか?
ウクライナと欧州首脳連中を彼らが同意したくない和平合意へと抵抗されながらもトランプ大統領は押し進めようとしている。ゼレンスキー大統領は、合意が自身の権力の座を揺るがす可能性があるため、合意に抵抗してきた。フォン・デア・ライエンの場合、加盟諸国に対し、ウクライナへの支払いにどれだけ資金が必要か指示しなければならないことを意味する。資産差し押さえ案は、論理的に混乱しており、十分な検討もされていないだけでなく、停戦を阻止する更なるリスクも伴う。
それにもかかわらず、トランプ大統領は和平協定を強行する意志を持っているようだし、ゼレンスキー大統領がNATO加盟を断念したように見えることから、ありがたいことに、我はこの不必要な戦争の終結に向けて少しずつ前進しているように見える。
そうなっても誰かがウクライナ予算を負担する必要がある。欧州が史上最大の銀行強盗で自国の資金を没収したとロシアは正当に指摘するだろう。そしてブリュッセルを訴訟の嵐に巻き込み、欧州に資金を留めおくべきかどうか発展途上国の投資家を真剣に考えさせるだろう。
記事原文のurl:https://strategic-culture.su/news/2025/12/16/the-biggest-bank-robbery-in-history/
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