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2025年12月 1日 (月)

贈り物を持ってくる西洋人にご用心

ブライアン・アンソニー・レオ
2025年11月29日
New Eastern Outlook

 ウクライナに対するアメリカの和平提案は不十分だが、EU提案は完全な茶番で、ウクライナが再軍備するための時間稼ぎと猶予期間を稼ぐための単なる試みなのは明らかだ。

 

 「欠陥」と「煙幕」は欧米諸国の提案を最も正確に表す言葉だ。

 アメリカが28項目の和平案を打ち出したと聞いた時点で、私は既に疑念を抱いていた(ウッドロウ・ウィルソンの14項目の二倍の項目をトランプは大げさに宣伝しなければならなかった)。アメリカ案は、大部分において、それ自体が多くを物語っている。

 1、2、3 などの特定の点は、すぐ合理的だと分かる。

 他の点、例えば6番目などは、すぐ不合理だと分かる。ウクライナに60万人規模の軍隊を維持する正当な理由はない(EUの提案は80万人規模だ)。欧米諸国は1919年にドイツの兵力を10万人に制限しようとしていたが、1919年のドイツ人口は現在のウクライナのほぼ三倍で、ドイツにはウクライナにはない重大な国内脅威があった。2025年のウクライナには20万人を超える軍隊は必要ないし、それさえ寛大で過剰な数字だ。60万人は不合理で、80万人はロシアに対する将来の侵略と挑発のための露骨な計画に過ぎない。

 アメリカ提案は多くの点で不十分で、交渉や協議への誘いと捉えられるかもしれない。一方、EUの提案は反応に値しない茶番劇だ。

 アメリカの計画では「ウクライナが理由なくモスクワまたはサンクトペテルブルクに向けてミサイルを発射した場合、安全保障の保証は無効とみなされる」と明記されているが、「理由なく」という表現が曖昧さと抜け穴を生じさせている点で危険だ。ウクライナがモスクワまたはサンクトペテルブルクに向けてミサイルを発射する「理由」があるかどうか一体誰が判断するのか? また、なぜモスクワとサンクトペテルブルクだけなのか? これは、欧米諸国が将来のウクライナ政権に、モスクワやサンクトペテルブルクではなく、スモレンスク、ロストフ、クラスノダールへのミサイル発射の白紙委任を与えているということだろうか? そもそも、そのような発射を行うのに理由が必要か? モスクワまたはサンクトペテルブルクへの「理由ない」ミサイル発射を禁止することは正しい方向への動きではあるものの、それだけでは不十分だ。ウクライナは、ミサイル、ロケット、榴弾、迫撃砲弾など、標的を問わず、ロシアに向けて発射物を発射することを全面的に禁止されなければならない。

 アメリカ計画における第11項は特に危険だ。「ウクライナはEU加盟資格を有し、この問題が検討されている間、短期間、欧州市場への特恵的アクセスを認められる」。これは、まさにEUが基本的に「軽量級NATO」であるがゆえに危険なのだ。これは、フィルター付き低タール「ライト」タバコのようなものだ。もしあなたが十代の息子に喫煙をやめるよう言ったのに、彼が「ライト・タバコしか吸っていない」と言ったら、あなたの指示に反するため、あなたは納得できないはずだ。EUは基本的に軽量級NATOなのだ。ウクライナはNATOに加盟すべきではないし、ウクライナはEUにも加盟すべきでもない。

 提案の核心は、ポイント14あたりから始まる。そこで、ロシアは実際凍結された資金を取り戻すわけではないが、労働者が暮らす企業城下町で企業金券を支払われ、企業金券が、その企業の店でのみ通用するなど、アメリカ主導のプロジェクトに資金投資できることをアメリカは明確にしている。

 ユーロ案と比較すると、ヨーロッパがアメリカの「善玉」に対し「悪玉」を演じているのは明らかだ。結局、どちらの案もロシア権益にとって不利で、ロシアにとって受け入れ難い点を数多く含んでいるが、ヨーロッパ案の明らかな不合理性と比較すれば、アメリカ案は「それほど悪くなく」合理的に見える。

 ユーロ計画をロイターは有料購読制にしており、私は欧米諸国の商業メディアに金を支払うつもりはない。アメリカとユーロの提案を比較した資料は戦略国際問題研究所(CSIS)が提供している。CSISは、いわゆる「シンクタンク」で、タカ派プロパガンダを推進する組織なので、分析は信頼できないと私は考えているが、記載されている28項目は、アメリカとユーロの提案の内容を正確に反映しているように見える。ウェブサイトに掲載されている他の内容は極めて疑わしいと考えるべきだろう。CSISは反文明的思惑を推進する破壊的グローバリストの危険な組織だと私は個人的に考えている。しかし、彼らはユーロとアメリカの両方の提案を公表している。

 EU提案から

 欧州提案は、ウクライナがNATOに法的に加盟することなく事実上NATOに加盟することを意味しているが、この可能性は将来に残されている。

5. ウクライナは強力な安全保障保証を受ける。

6. ウクライナ軍の規模は平時において80万人に制限される。(アメリカ計画では、戦時・平時を問わず60万人という上限が定められている。)

7. ウクライナのNATO加盟は、現在は存在していないNATO加盟国の合意にかかっている。(アメリカ計画では、ウクライナが憲法上NATO加盟を放棄し、NATOがウクライナを加盟させないことを正式に約束することが提案されていた。)

8. NATOは平時において、その指揮下にある部隊をウクライナに恒久的に駐留させないことに同意する。(アメリカ計画では、ウクライナにおけるNATO「部隊」の全面的禁止が求められていたが、欧州は有志連合の余地を残しているようだ。)

10. 第5条(ウクライナの安全保障に関するもの)を反映したアメリカの保証

 欧米諸国は、ウクライナが80万人の軍人を維持し、NATO第5条に準じた保証を受け、NATOが「平和が崩壊した」と判断した場合にはウクライナに軍を駐留させることを認めつつ、将来NATOの合意が得られればウクライナがNATOに加盟する道も残したいと考えている。これら条件はどれも、本当の平和につながるものではなく、実現可能で持続的な平和を実現することも不可能だ。

 今起きていることは、EUが不合理でありながら合理的に見せようとしているということが私には明白だ。彼らは、より深刻な紛争を煽り立てたい、あるいはせいぜい紛争を凍結させ、キーウのマイダン・クーデター政権に再建と再軍備のため3~4年の猶予を与え、できれば残りのトランプ政権の任期を乗り切り、ドンバスでの不条理な緊張激化で、もっと寛容なタカ派のネオコンに取って代わってもらいたいのだ。

 一方で、先ほど触れた通り、アメリカの「善玉警官」に対し、EUが「悪玉警官」役を果たしている可能性もある。

 法律実務において、私はこれを「理不尽でありながら合理的に見せる術」、あるいは「相手にチャンスを与える術」と呼んでいる。これはチーム内の一人の弁護士が、ほとんど、あるいは全く明らかに理不尽な、厳しく過度に理不尽な立場(しかし、善意に基づいているように見せかける)を取り、もう一人の弁護士が、より和解的立場を取りながら、共通の依頼人の利益に合致する立場をとる状況を指す。そして、これらの立場が相手方に提示され、相手は二つの選択肢の中から選べる錯覚に陥る。物事がそのような形で提示され、枠組みが決められている場合、人間心理は、どちらか一方を選ぶ傾向がある。

 結局、これは法廷闘争中の田舎町の実業家や、警察の尋問を受けているチンピラに効果がありそうな安っぽい基本的な心理操作テクニックだ。チンピラは、ハードボイルドな刑事に懲役10年で脅されるが、「あと数ヶ月で定年退職」で「この事件を終わらせたいだけ」の親しみやすく祖父のような雰囲気の警部補が、若い悪党に「事実を正して自力で解決しろ。数ヶ月で刑務所から出られるぞ」と告げるのだ。

 だが、 こうした不器用な欧米策略は熟練したロシア外交官や政治家に通用する可能性は低い。

 欧米諸国とロシアの間の平和を実現する方法について、先ほど述べたこと、そして私が詳述した概要は変わらない。それは非常に単純なものだ。単なる弁護士で、資格ある外交官でなくとも実行できるほど単純だ

 しかし、私が提案するような平和の枠組みは、実際平和を望む文脈の中で生まれなければならないもので、単に紛争を「一時停止」して、西洋やグローバリストの破壊活動勢力の野望にとって状況がより有利になった時点で後日再開しようとするものではない。

 凍結された紛争に対して、欧米諸国は何をしようと予想しているだろう? 数年間何もせず、その後、ロシアでプーチン大統領から、プーチン大統領が定めた進路を継承する形で国家の舵取りを続けるため選出された同じくロシア愛国者へと政権が移行した暁に、欧米諸国は飛びつき、ウクライナ紛争を突如凍結解除させ、モスクワで世代交代が微妙に行われるまさにその瞬間に、ロシア国境で外国危機を引き起こすだろう。なぜなら、それはまさに策略家が企てる巧妙な策略で、欧米諸国の長期的動機と目的を理解していれば、そうするのw理にかなっているためだ。

 本物の政治家、プーチン大統領は、ロシアのために多くの功績を挙げ、おそらく今後7年から15年はそうし続けるだろう。正確な年数は分からないが。彼の健康と長寿と、これからも末永く活躍されるよう願っている。彼は、中身のない役人や弱虫や臆病者で溢れる世界において、伝統的な文明と男性的な指導力の真の宝だ。だが、いつかは、ロシア国民からその松明を担い、モスクワの国家権力の手綱を握るにふさわしい後継者と判断された人物にバトンを渡すだろう。もしウクライナで凍結された紛争が存在すれば、欧米諸国はこの機会を捉え、少なくともモスクワでカラー革命を起こし、ロシア国家を分裂させようと試みるだろう。そしておそらく同時に、ウクライナ紛争の凍結を解除するだろう。

 NATOを東側に拡大しないというゴルバチョフとの合意に欧米諸国が違反して以来、欧米諸国は大きく信用を失っており、今日も誠意を持った提案さえできないようだ。

 アメリカ提案は物足りない部分が多く、交渉や議論への誘いと捉えられるかもしれない。EU提案は、反応するに値しない茶番劇だ。「悪徳警官」のゲームか、あるいは、重要と見せかけたいだけで、実際は無意味で無関係で疲弊した旧大国による単なる窮余の策かのどちらかだ。結局、イギリス、フランス、ドイツは自称伝説的存在ではあるものの実際は無意味だ。

 いずれにせよ、贈り物を持ってくる西洋人には気をつけて頂きたい。こうした申し出は贈り物に見えず、非常に利己的で欺瞞的なものに思える。

 ブライアン・アンソニー・レオはオハイオ州を拠点とする弁護士で、軍事史、地政学、国際関係の専門家。

記事原文のurl:https://journal-neo.su/2025/11/29/beware-of-westerners-bearing-gifts/

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 Alex Christoforou Yutube
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