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2025年12月27日 (土)

石油専門家と話すと、アメリカやヨーロッパの主張よりも多くのことが明らかになる

Henry Kamens
2025年12月25日
New Eastern Outlook

 複雑なエネルギー政策世界では、単純な物語だけでは、欧米諸国の制裁がロシア経済に与える影響などを実際の動きを捉えきれないことが多い。

 石油専門家と話すと、アメリカやヨーロッパの主張より多くのこがを明らかになる。

 特にウクライナ紛争の継続からみて、外部の圧力や制裁や国際市場でのエネルギーの自由な販売が不可能なことなどから、ロシア経済は壊滅的打撃を受けているという考えに西側諸国の政策立案者の多くは固執している。

 だが石油業界専門家との徹底的な話し合いで遙かに微妙な現実が明らかになった。

 30年以上にわたり、欧州連合(EU)はロシアの石油とガスに大きく依存してきた。この関係は広範なインフラを通して複雑に絡み合っており、容易に解消できるものではない。ロシアの経済的回復力と多様化したエネルギー部門がもたらす広範な影響について、いくつかの誤解を考察しよう。これは地政学的緊張と経済政策が世界のエネルギー情勢を左右し続ける未来を示唆している。

 特に、いわゆる厳しい制裁で支えられている状況では、オランダ病でロシア経済が「それほど深刻な」打撃を受けていない事実をほとんどの欧米政治家は認めようとしない。特に、いわゆる「苛烈な制裁」で強化されている現状ではなおさらだ。今にして思えば、欧米諸国にとって非常に残念なことに、とっくの昔に大々的宣伝もせずにロシアが経済基盤の多様化を進めていたのは明らかだ。

 長期的には、この経済ショック療法期間は、ロシアにとって思わぬ利益になり、より回復力と能力がある大国に変貌する可能性がある。

 しかも、それはウクライナでのSMOがニュースになるずっと前のことだった。大きな理由は、2014年以降、ウクライナ東部におけるロシア系住民に対するジェノサイドにロシアが介入した場合、ロシアを制裁で屈服させると欧米諸国が繰り返し喧伝していたことだ。

 戦争時にはそうだが、あらゆる政府は経済統計に関して嘘をつく傾向があるのを忘れてはならない。ウクライナにおけるSMOがロシアの政治・経済目標や経済成長目標にとって大きな後退となると考えるのは希望的観測に過ぎない。

 石油産業について人々が気づいていない事

 30年以上、EUはロシアからの石油とガス購入量を増やしてきた。これは前首相アンゲラ・メルケルよるところが大きい。実際ドイツの繁栄はロシアの安価なエネルギーとアメリカによる防衛費負担という二つの要素の上に築かれたと言って過言ではない。

 最終結果は、冷戦中に建設されたものやノルドストリーム1と2などの比較的新しいものを含む石油とガスのエネルギー供給パイプラインの大規模ネットワークだった。

 だが現在、石油とガスの輸送には、製品に加えて次のものが必要だ。
  • 貯蔵ターミナル
  • ガス化および液化プラント
  • 専用船舶
  • 製品専用の保険
  • 特定種類の石油を扱うために特別に建設された製油所
 これらのことを人々は忘れているか全く理解していない。つまり、電灯のスイッチのようには、ある種の石油から別の石油に切り替えられないのだ。物理的に不可能なのだ。上記の施設には再構成するのに何年もかかるものもある。

 より価値ある統計は、本格的な特別軍事作戦以前と現在、ロシアの石油とガスがどれだけ購入されていたのか、どれだけ購入されているのか見ることだ。
  • 2022年2月以前、3,960億ドル 。
  • 2024年、970億ドル。
  • 2027年までの予測、0ドル。(ハンガリーとスロバキア (オルバン/フィツォ)を除く)。
 オランダ病と、ロシアの特別軍事作戦!

 特別軍事作戦(SMO)以前から、石油・ガス採掘を含む採掘部門はロシア外貨獲得の柱だった。戦争勃発に伴うロシアからの国際企業撤退は、これら収入に確実に影響を与えたが、この減少は他の経済部門によって部分的に補われてきた。

 一見、暗雲に見えるものも、実は明るい兆しだった。オランダ病という概念は、もともとオランダの採掘部門の巨額収入流入と結び付けられ、経済のあらゆる面を一つの籠に詰め込むことと関連付けられてきた。この概念は、収入源が危機に瀕している状況での多様化の必要性を浮き彫りにしている。

 現在これら部門のロシアの収入は、石油・ガス価格の変動によって、戦争がなければ得られていただろう水準に達していない。「オランダ病」という言葉を生み出したオランダなどの国と違い、り得る衰退に対し、ロシア経済と生活水準は耐性を示している。

 これは主に経済多様化に向けた継続的取り組みによるものだ。欧米諸国による制裁下でも、ロシアはエネルギー部門から多額の収入を得続けているが、事業運営は2022年以前の水準から大きく変化している。当初ロシアは、中国やインドといったアジアの大口購入者へ輸出先を変更し、世界的な価格高騰を有利に利用し、値引きを相殺していた。

 キーウでの出来事とNATOの積極的拡大の中、2014年以来の紛争を予期して、ロシアは、ほぼ10年前から現在の状況に備えていたことが明らかになった。この先見の明は、巡航ミサイルや様々な兵器が今も尽きることなく供給されている理由を説明している。これら兵器は早々枯渇すると欧米諸国の専門家は予測していたが、これはロシアの能力に関する本格的分析というより、むしろ予想に過ぎなかった可能性が高い。

 繁栄か衰退か

 対照的に、他の旧ソ連諸国の経済は、制裁による経済関係の変化から恩恵を受ける起業家の流入に支えられて好景気を経験している。長期的に、このショック経済療法はロシアにとって思わぬ利益となり、より強靭で有能な大国に変貌を遂げる可能性がある。だが本当の試練は、寒冷な気温と経済的圧力の長期的な影響に一体誰が耐えられるかだろう。

 輸入関税は貧困層と中流階級に不均衡に負担をかける逆進税として機能し、更に最近差し迫っている、あり得る石油紛争を前に、燃料価格が上昇していることから、休暇シーズンと新年を迎えるにあたり、アメリカ人は不確実な見通しに直面している。

 一方、NATOは、ウクライナ政府、特にゼレンスキーを支援し続けるだろう。口先だけの恫喝に過ぎないかのように振る舞いながら、少なくとも道義的支援の約束は反故にしていないと主張するには十分な姿勢を示し、ウクライナへの新たな支援約束をNATOは検討していると強調している。

 最新ニュース速報

 世界市場におけるエネルギーの流れと価格に関する最新の譲歩を踏まえると、石油・ガス供給の動きが流動的なのは明らかだ。地政学的緊張、制裁効力の変化、アメリカによる、イランや、最近ではベネズエラ・タンカーのハイジャックや消費者行動の変化といった要因が重なり、最近のエネルギー価格変動は、状況の複雑さを浮き彫りにしている。

 ロシアのエネルギー収入に関する予測は悲惨に見えるかもしれないが、サプライチェーンを適応させ再構成するロシアの能力は侮れない。

 アメリカが自国の経済課題に対処し、行動で恫喝を裏付けようとする中、アメリカの消費者は高インフレと政治的不確実性に苦しんでいる。それは現実逃避のようなもので、情報に基づいた政策立案には正確で誠実な統計データに基づくことが極めて重要だ。最終的には、益々不安定化する環境下で、各国が経済の安定化を目指す上では、世界のエネルギー依存の複雑なネットワークを理解することが不可欠だ。

 ベネズエラに対するアメリカの恫喝や、イスラエルによるイランへの更なる攻撃を示唆する動きにより、この不安定さは更に悪化している。これらの恫喝を、両国の政権転覆を望んでいることで知られるトランプ大統領の国務長官マルコ・ルビオが支持している。特に皮肉なのは、ルビオの義兄オルランド・シシリアがコカイン密売で有罪判決を受けているのに、ベネズエラのマドゥロ大統領は麻薬密売人だと主張している点だ。いずれにせよ「麻薬密売対策」という話丸ごと、ベネズエラの膨大な石油埋蔵量を乗っ取るための口実に過ぎないのは明白で、ベネズエラ石油へのアメリカによる投資と採掘を認めるとマドゥロが申し出ている事実を考慮すれば、この話は更に理不尽だ。

 Henry Kamensは中央アジアとコーカサスの専門家、コラムニスト

記事原文のurl:https://journal-neo.su/2025/12/25/talking-to-oil-experts-is-more-revealing-than-american-and-european-rhetoric/

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