ウクライナ和平交渉ペテン芝居
2025年12月16日
Moon of Alabama
ロシアとの停戦もしくは和平合意の枠組みをめぐる週末のアメリカ、ウクライナ、欧州間交渉は、現実離れした様相を呈していた。三者は、ロシアが確実に拒否するだろう詳細を巡って激しく対立している。更に、ロシアが優先課題として挙げている重要な点も、三者の間で見落とされている。
こんなことが平和につながるはずがない。それがこの芝居全体の狙いかもしれない。
ゼレンスキー大統領とトランプ大統領、アメリカが安全保障の保証を表明し和平交渉の進展を歓迎– Politico.eu
いや、メルツ、停戦など考えられない。ロシアは停戦を望んでいない。停戦はウクライナの復興と次の戦争への準備を可能にするだろう。ロシアはウクライナだけでなく、ヨーロッパ全体の新たな安全保障体制を定義する和平協定を望んでいる。まこロシアは、ロシア連邦加盟を投票で決定した四州とクリミア半島の物理的支配も望んでいる。ロシアはウクライナの武装解除と非ナチ化を望んでいるのだ。
どれも申し出ていないようだ。
その代わりに、ウクライナの領土譲歩を条件としたアメリカの「安全保障保証」をめぐる騒動が起きている。ゼレンスキー大統領は、前者を金儲けに利用しようとしながら、後者には譲歩しようとしていない。
翻訳: 「これは全くのデマだ。」
ヨーロッパ人も同様に妄想している。
これら各項目は妄想で希望的観測だ。
トランプ政権は一歩後退する必要がある。現在交渉中のパッケージをロシアに提出し、ロシアはそれを精査した上で「詳細」の交渉を求めることになるだろう。最終的結論に至るまでには数年かかるだろう。あるいは、当面この問題全体を棚上げし、6~12ヶ月後に再交渉に臨むという選択肢もある。
その時までに、ウクライナは今より更に酷い状況になっているだろう。ウクライナ全土の電力供給が停止し、ゼレンスキー大統領は失脚し、ザポロージャとケルソンはロシア軍の手に落ち、ヨーロッパ諸国がウクライナを支援する意欲は更に低下しているだろう。
その時までに、ウクライナであれ欧州であれ、和平合意への抵抗は減少しているだろう。そして、その時初めて、ウクライナと欧州の平和は現実的なものになるだろう。
記事原文のurl:https://www.moonofalabama.org/2025/12/flim-flam-theater-of-peace-talks-on-ukraine.html
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今朝の孫崎享氏メルマガ題名
Moon of Alabama
ロシアとの停戦もしくは和平合意の枠組みをめぐる週末のアメリカ、ウクライナ、欧州間交渉は、現実離れした様相を呈していた。三者は、ロシアが確実に拒否するだろう詳細を巡って激しく対立している。更に、ロシアが優先課題として挙げている重要な点も、三者の間で見落とされている。
こんなことが平和につながるはずがない。それがこの芝居全体の狙いかもしれない。
ゼレンスキー大統領とトランプ大統領、アメリカが安全保障の保証を表明し和平交渉の進展を歓迎– Politico.eu
西側諸国の首脳らは月曜日、ウクライナにおけるほぼ4年に及ぶ全面戦争を経て、和平合意の可能性に関する協議の大きな進展を歓迎し、安全保障の保証によりウラジーミル・プーチン大統領による再侵攻をいかに防げるかを初めて概説した。どこから始めようか?
ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領は、ウクライナを守るためにNATOのような保証を与えるというアメリカ当局の劇的な新提案について楽観的評価を示した。
ベルリンでドナルド・トランプ大統領の交渉担当者との2日間協議を終えた際、提案は「かなり良い」とゼレンスキー大統領は述べた。トランプ大統領自身も「我々はこれまで以上に和平に近づいている」と述べた。
だが、ウクライナ大統領は、これら計画はあくまで「最初の草案」に過ぎず、重要問題が未解決のままだと警告した。例えば、ウクライナ東部のドンバス地方の係争地域(その多くはロシア軍が占領している)の帰属について、いまだ合意に至っていない。そして、ロシアの独裁者ウラジーミル・プーチンがこれらの計画に同意する兆候は全くない。
会談を主催したドイツのフリードリヒ・メルツ首相は、アメリカの交渉担当者スティーブ・ウィトコフとトランプ大統領の娘婿ジャレッド・クシュナーが提案した「注目すべき」法的かつ「物質的」安全保障の保証を歓迎した。
「2022年以来初めて、停戦が考えられるようになった」とメルツはゼレンスキー大統領との記者会見で述べた。「クリスマスまでに停戦が実現できるかどうかは完全にロシア次第だ」
いや、メルツ、停戦など考えられない。ロシアは停戦を望んでいない。停戦はウクライナの復興と次の戦争への準備を可能にするだろう。ロシアはウクライナだけでなく、ヨーロッパ全体の新たな安全保障体制を定義する和平協定を望んでいる。まこロシアは、ロシア連邦加盟を投票で決定した四州とクリミア半島の物理的支配も望んでいる。ロシアはウクライナの武装解除と非ナチ化を望んでいるのだ。
どれも申し出ていないようだ。
その代わりに、ウクライナの領土譲歩を条件としたアメリカの「安全保障保証」をめぐる騒動が起きている。ゼレンスキー大統領は、前者を金儲けに利用しようとしながら、後者には譲歩しようとしていない。
「この合意の根底にあるのは、基本的に、第5条のような非常に強力な保証を得ることだ」とあるアメリカ高官は述べた。「こうした保証は永遠に交渉の話題に載るわけではない。良い形で合意に至れば、今まさに交渉の話題に載ることになる」
…
アメリカ高官らは、領土紛争に関する他の溝を埋める方法について、具体的言及をほとんど避けた。その方法について、ゼレンスキー大統領に「示唆に富むアイデア」を残したと彼らは述べた。
翻訳: 「これは全くのデマだ。」
ヨーロッパ人も同様に妄想している。
デンマーク、フィンランド、フランス、イタリア、オランダ、ノルウェー、ポーランド、イギリス、スウェーデン、EUの各国代表とともに、アメリカの努力における「大きな進展」を歓迎し、アメリカが支援する欧州主導のウクライナ多国籍軍派遣などを通じて、ウクライナが戦争を終わらせ、ロシア侵略を抑止できるよう支援することを約束する声明をメルツ首相が発表した。欧州の共同声明には、完全に非現実的な点がいくつか挙げられており、アメリカもロシアも欧州の有権者も受け入れたり支持したりする気はないだろう。
アメリカと欧州の首脳は、戦争終結に関する合意の文脈において、ウクライナに対し強固な安全保障と経済復興支援策を提供するため協力すると約束した。これには以下の誓約が含まれる。
- ウクライナに対し、紛争を抑止し、ウクライナの領土を防衛できるよう平時80万人の兵力を維持すべき軍隊強化に向けて、継続的かつ重要な支援を提供する。
- 欧州主導の「ウクライナ多国籍軍」は、有志連合の枠組み内で有志国からの拠出金で構成され、アメリカの支援を受ける。ウクライナ軍再建、ウクライナ上空の安全確保、そしてウクライナ国内での活動を含む海上安全確保を支援する。
- アメリカ主導で国際社会が参加する停戦監視・検証機構は、将来の攻撃の早期警告を発し、違反の原因究明と対応を行うとともに、全ての当事者に利益をもたらす相互緊張緩和措置に取り組む紛争緩和機構だ。
- 将来の武力攻撃が発生した場合、平和と安全を回復するための措置を講じることを、国内手続きに従い、法的拘束力のある約束とする。これらの措置には、武力、情報・兵站支援、経済・外交行動が含まれる場合がある。
- ウクライナの将来の繁栄に投資する。これには、復旧・復興のための主要資源の提供、互恵的貿易協定の締結と、ロシアがウクライナに与えた損害に対する賠償の必要性を考慮が含まれる。こうした観点から、欧州連合(EU)域内のロシアの国家資産は凍結される。
- ウクライナの欧州連合加盟を強く支持する。
これら各項目は妄想で希望的観測だ。
- 僅か2500万人の住民のうち半分が年金生活者というウクライナが、平時に80万人の強力な軍隊を維持できるはずがない。
- ウクライナにおけるいかなる外国軍侵攻も拒否し、同国に現れた場合は攻撃するとロシアは発表した。
- アメリカは紛争の当事者だ。ロシアに対する代理戦争を開始し、情報機関と通信機関を通じてウクライナ軍を支援して、引き続き紛争に関与している。戦争当事者が「停戦」を監視することなどあり得ない。
- ウクライナ紛争の大きな原因の一つは、NATO加盟の可能性だった。多国間の「法的拘束力のある約束」を装ってNATO加盟を再導入することはロシアには受け入れられるまい。
- ヨーロッパにはウクライナに投資する資金がない。ロシアは戦争で勝利している。ロシアはウクライナにいかなる損害も「補償」するつもりはないが、ロシア領土に与えた損害に対する賠償をウクライナに求める可能性は十分にある。
- ウクライナは近い将来、EUに加盟することはないだろう。EU予算の約65%は「共通農業政策(CAP)」に基づく農村部への支払いだ。現在、ポーランド農家が最大の純受益者だ。ウクライナがEUに加盟すれば、CAP資金のほぼ全てがウクライナに流れ込むことになる。ポーランドや農村部がある他のEU加盟国がこれに賛成票を投じる可能性は低い。
EU計画は、ウクライナを戦後の欧州安全保障秩序に統合するのではなく、ウクライナを正常化された国家ではなく、最前線の安全保障上の資産として制度化するものだ。EUはウクライナが恒久的に軍事化された社会となることを望んでいる。現在交渉されている条件ではロシアとの和平合意には至らない。
トランプ政権は一歩後退する必要がある。現在交渉中のパッケージをロシアに提出し、ロシアはそれを精査した上で「詳細」の交渉を求めることになるだろう。最終的結論に至るまでには数年かかるだろう。あるいは、当面この問題全体を棚上げし、6~12ヶ月後に再交渉に臨むという選択肢もある。
その時までに、ウクライナは今より更に酷い状況になっているだろう。ウクライナ全土の電力供給が停止し、ゼレンスキー大統領は失脚し、ザポロージャとケルソンはロシア軍の手に落ち、ヨーロッパ諸国がウクライナを支援する意欲は更に低下しているだろう。
その時までに、ウクライナであれ欧州であれ、和平合意への抵抗は減少しているだろう。そして、その時初めて、ウクライナと欧州の平和は現実的なものになるだろう。
記事原文のurl:https://www.moonofalabama.org/2025/12/flim-flam-theater-of-peace-talks-on-ukraine.html
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今朝の孫崎享氏メルマガ題名
米国には台湾海峡で日米台が軍事紛争に関与した時、どれ位の犠牲者が出るかの試算が既に存在している。軍事的に死者を伴う事態と理解している日刊IWJガイド
【目次】
■はじめに~12月も残り半月となりました! しかし今月12月のご寄付・カンパの目標額達成率は、まだ9%です! 月間目標に達するには、あと91%、317万1000円が必要です! 8月は16%、9月は14%、10月は33%、11月は55%と、第16期は1年の3分の1、4ヶ月連続でマイナスです! 真実を伝えていく活動を続けていくためには、皆様の有料会員登録と、ご寄付・カンパによる皆様からのご支援が必要です! 12月も、どうぞ皆様、お支えください! 今月、12月こそは、月間目標を達成させてください! よろしくお願いいたします!
■「私がいつも貴IWJのご奮闘と貴重な情報の一端を紹介している友人が、寄付を私に託してくださいました」~ご寄付をくださった皆様からの応援・激励メッセージに、岩上安身がご回答いたします!
■【中継番組表】
■ドイツが大軍拡へひた走る! 再び軍事大国の道を突き進むのか!? 仮にウクライナ戦争が終結しても、その次は欧州対ロシアの戦争が待ち構えている!? 12月5日に、連邦議会(ブンデスターク)で、18歳以上の徴兵制を定める新法が可決! 国防省は、NATO上の義務を果たすため、2035年までに兵力を約27万人に拡大することを目標に! そのためには年間およそ2万人の新兵が必要! NATO諸国の軍事予算がすでにロシアの約10倍に達しているにも関わらず、左派党とザーラ・ヴァーゲンクネヒト同盟(BSW)を除くと、ドイツ社会全体が、軍拡の大合唱!
■<IWJ取材報告>「日中共同声明」に明記された「ポツダム宣言第8項にもとづく立場を堅持する」とは、「中国(を継承した中華人民共和国)への台湾の返還を認める」とするカイロ宣言の履行を意味する!「2つの中国」あるいは「1つの中国・1つの台湾」は認めない。すなわち、「台湾独立は支持しない」ということ!! 高市総理の「存立危機事態」発言で一番の問題は、「国民もメディアも国会議員も、この事態の深刻さを理解していないこと」と孫崎享氏が指摘!~12.2 高市首相「存立危機事態」発言を撤回求める緊急集会 ―講演:孫崎享氏
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